説明

TOF質量分析によるHIPIMSスパッタ源のプラズマ解析方法及びその装置

【課題】HIPIMSのスパッタ源のプラズマに含まれるイオンの生成分布を安定して検出する。
【解決手段】HIPIMSのスパッタ源で発生したプラズマに含まれるイオンをTOF質量分析にかけて、イオンの生成分布を検出する。その際、プラズマからの光を検出し、TOF分析装置におけるイオンの飛行時間の開始時刻をプラズマからの光に基づき定める。HIPIMSのスパッタ源に対向するTOF質量分析装置の開口部はスパッタ源のターゲットより低い電位とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TOF質量分析によるHIPIMSスパッタ源のプラズマ解析方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新世代の表面処理方法を提供する技術として高出力インパルス・マグネトロン・スパッタリング(以下、「HIPIMS(HIgh Power Impulse Magnetron Sputtering)」と省略する)が注目されている(特許文献1及び特許文献2参照)。
このHIPIMSのスパッタ源ではターゲットをAr等の不活性ガス中において高電圧のパルスを印加してターゲットから粒子をはじき飛ばしている。
他方、従来より、飛行時間質量分析(以下、「TOFMS(Time-of-Flight mass spectrometer)」が知られている。イオンを静電場によって加速すると、すべてのイオンに同じエネルギーが与えられる。したがって、その速度は軽いイオンほど大きく、重いイオンほど小さい。この原理を用いて、加速を開始した瞬間から一定距離の飛行管の中をイオンが走って検出器まで到達するまで時間(飛行時間)を測定すると、質量スペクトルが得られることになる。実際には、イオン加速開始時刻(イオン化レーザ光パルス照射時刻や加速電場パルス印加時刻など)をトリガとしてオシロスコープ上で電子増幅検出器アノードの電位変動を観測すると、軽いイオンから次々にイオンが到達するたびに電圧ピークが表れることになる。この分析計は、(1)原理上測定できるイオンの質量に上限がない、(2)すべてのイオンをロスすることなく検出することができる(高感度)、(3)イオン加速から検出までが数百マイクロ秒(10のマイナス4乗秒のオーダー)の短時間で完了する、などの特長を持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−512458号公報
【特許文献2】特開2010−512459号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Vac. Sci. Technol. A, 2000, 18 (4), pp1533-1537
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
HIPIMSは近年開発された技術であり、今までにない蒸着膜をスパッタにより形成できる可能性があるものの、工業的にはその用途や具体的な使用条件等は開発の途中にある。本発明者らは、HIPIMSの新規な用途開発(新規な蒸着膜層の形成)を検討する際に、HIPIMSのスパッタ源の状態解析が重要であると考えた。HIPIMSにおいては、まさしくターゲットに高出力インパルスを印加することに特徴があるからである。
【0006】
本発明者らは、HIPIMSのスパッタ源の状態解析をするにあたり、TOFMSの利用を考えた。即ち、TOFMSの対象となるイオンと、HIPIMSのスパッタ源においてターゲットからはじき出されたイオンとは、類似の状態にあると考えられるからである。
TOFMSを利用してHIPIMSのスパッタ源の状態が把握できれば、当該スパッタ源の状態とHIPIMSの結果物である蒸着膜との関係付けが期待できる。なお、TOFMSを利用して把握できるスパッタ源の状態は、プラズマに含まれるイオン粒子の分布(質量の基準にした)である。ここに、目的仕様の蒸着膜をスパッタ形成するには、スパッタ源の状態をリアルタイムで把握することが好ましい。
【0007】
本発明者らは、HIPIMSのスパッタ源の状態、即ち当該スパッタ源のプラズマに含まれるイオンの分布をTOFMSにより検出すべく鋭意検討を重ねてきた。
HIPIMSにTOFMSの飛行時間測定部を組み合わせたとき、次の課題を見出した。
即ち、一般的なTOFMSでは、ターゲットに対するイオン化レーザ光パルス照射時刻や加速電場パルス印加時刻等を基準にして二次イオンの飛行時間を測定している。これと同様に、HIPIMSのスパッタ源においてイオンを発生させるための高電圧パルスの印加時刻を基準にしてプラズマ中のイオンの飛行時間を測定しようとしても、得られるデータが非常に不安定であることに気がついた。
この理由は次のように考えられる。
高電圧パルスを印加してもこのパルスに同期して放電がなされない場合がある。
高電圧パルスを発生するための電源装置には電流が流れるので入力信号と出力信号にバラつきが生じ、出力信号にはノイズがのりやすいので、飛行時間開始の時刻を特定するためのパルスのエッジを決めることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、イオンの飛行時間測定の開始時刻をHIPIMSのスパッタ源におけるプラズマの発光をトリガとすればよいことに気が付き、この発明に想到した。
即ち、この発明の第1の局面は次のように規定される。
HIPIMSのスパッタ源で発生したプラズマからの光を検出する光検出ステップと、
前記プラズマからのイオンをTOF質量分析する際に、飛行時間の開始時刻を前記光検出ステップで検出した光に基づき定める、ことを特徴とするTOF質量分析によるHIPIMSスパッタ源のプラズマ解析方法。
【0009】
HIPIMSのスパッタ源において高電力パルスが適正に印加されるとプラズマが生成する。適正なプラズマ生成は発光をともない、この発光は高電圧パルスに対応してパルス状の発光となる。
この発明の第1の局面に規定されるように、HIPIMSのスパッタ源においてプラズマが生成された証拠となる、プラズマからの発光を基準にしてTOF質量分析を実行することにより、その飛行時間の開始時刻が明確になり、飛行時間の計測が安定した。
【0010】
かかるプラズマ解析方法は下記に規定のプラズマ解析装置により実行することができる。
即ち、プラズマを発生させるHIPIMSのスパッタ源と、
該HIPIMSのスパッタ源に接続されるTOF質量分析部と、を備え、
前記HIPIMSのスパッタ源には前記プラズマからの光を検出する光検出部が備えられ、
前記TOF質量分析部は、前記光検出部によるプラズマからの光の検出時刻を基準にして該プラズマに対応して生成されたイオンの飛行時間を計測する、ことを特徴とするTOF質量分析によるHIPIMSスパッタ源のプラズマ解析装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施例のプラズマ解析装置の構成を示すブロック図である。
【図2】トリガ発生装置の詳細構造を示すブロック図である。
【図3】イオン化装置を備えたTOF質量分析部を示すブロック図である。
【図4】実施例のプラズマ解析装置で得られたスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記においてHIPIMSのスパッタ源は、アノード電極、マグネトロン、取り換え可能なターゲット(カソード電極に接続)を備えてなり、ターボ分子ポンプ等で真空引きされたチャンバ内に存在する。このスパッタ源にはアルゴン等のスパッタガスが導入され、スパッタ源へ高電圧のパルスを印加することにより導入されたスパッタガスがターゲットへ衝突する。スパッタガスの衝突によりターゲットからその材料粒子が飛び出す。この材料粒子のうちイオン化されたものはそのままの状態でTOF質量分析の対象となる。
HIPIMSのスパッタ源において高電圧のパルスを印加したとき、そのスパッタ源において予定通りに放電が実行されると、発生したプラズマから所定波長の光が所定強さで放出される。他方、放電に異常があると、一般的にはプラズマが発生しないか、若しくは発生してもそれから放出される光は弱く、波長が異なることもある。
従って、これらプラズマにより生じた光を検出することにより、HIPIMSのスパッタ源において正常に放電が行なわれたか否かが判定される。
【0013】
ターゲットから叩き出された粒子のいくつかはイオン化されており、かかるイオン化されたターゲットの粒子はそのままの状態でTOF質量分析の対象となる。
従って、HIPIMSの真空チャンバにTOF質量分析装置を取りつけ、イオン化されたターゲットの粒子をTOF質量分析の対象とする。そして、TOF質量分析を実行するにあたり、ターゲットの粒子の発生時刻(≒プラズマの発光時刻)を基準にして当該ターゲットの粒子の飛行時間を特定する。
このようにプラズマからの光に基づきTOF質量分析の対象粒子の飛行時間を計測することにより、HIPIMSのスパッタ源で生じたイオンのTOF質量分析が安定することとなった。
【実施例】
【0014】
以下、この発明の実施例の説明をする。
図1は実施例の解析装置1の構造を示す概念図である。
この解析装置1はHIPIMS部10、TOF質量分析部40を備える。
HIPIMS部10は一般的な構造であり、チャンバ11、スパッタ源13、排気装置19を備えている。
スパッタ源13はアノード電極14、マグネトロン15及びターゲット12から構成され、ターゲット12はカソード電極として電源18に接続される。
チャンバ11内は、ターボ分子ポンプ等からなる排気装置19で所定の真空度(例えば10−4Pa)まで一旦排気され、その後、スパッタガスとしてアルゴンガスを導入し、チャンバ内を1×10−2Paに保つ。符号21はアルゴンガスタンクであり、アルゴンガスの流量は流量調節器23により制御される。アルゴンガスへ窒素等の反応ガスを混入することができる。
【0015】
電源18からスパッタ源13に高電圧のパルス(〜1kV、10μs〜1000μs)が印加され、これによりパルス放電が生じて金属ターゲット12の近傍にアルゴンに起因するプラズマがパルス状に形成される。次に金属ターゲットからその形成材料である金属粒子若しくはそのイオン(一価、多価)が放出される。これら一連の正常な反応が生じたときには、アルゴンや金属イオンに起因した波長の光が所定の光強度(スペクトルのピーク高さ)比を維持して放出される。例えば、アルゴンに起因する光の波長は811.5nmであり、チタンに起因する光の波長は498nmである(非特許文献1参照)。
パルス放電が異常のときは、各波長の光の強さ(スペクトルのピーク高さ)及び/又はその比が所定のものと異なることとなる。
アルゴン等のスパッタガスととともに窒素や酸素等の反応ガスを導入したときには、当該反応ガスに起因する波長の光も含まれる。
所望の要素(例えば、アルゴン等のスパッタガス、ターゲットからの粒子、若しくは反応ガス)に起因する光を択一的に選択し、その強度のみを比較することによりパルス放電の正常・異常を判断することも可能である。
この実施例では、チャンバ11に設けられた窓25を介して、プラズマの光を光電変換器31で電気信号に変換する。トリガ信号生成部33は得られた電気信号に基づきトリガ信号を生成する。例えば、光電変換器31を所望の波長帯の光のみに反応して当該光の強さに対応した電気信号を生成するものとする。ここに所望の波長帯の光とは、正常な放電に対応するプラズマから放出される光である。トリガ信号生成部33はその電気信号の強さが所定値以上の場合にトリガ信号を生成する。これにより、正常な放電が生じたとき、トリガ信号が生成される。
【0016】
図2はトリガ信号発生部33の一例(詳細構造)を示す。
このトリガ信号発生部33によれば、光電変換器としてのフォトダイオード31からの電流をオシロスコープ331へ入力しこれからTTLパルス信号を出力させる。TTLパルス信号はデジタル遅延パルス発生器333へ入力される。このデジタル遅延パルス発生器はTTLパルス信号を受けてから所定時間後にトリガ信号を出力する。このトリガ信号はイオン加速器ドライバ35へ入力される。このトリガ信号を受けたイオン加速器ドライバ35はイオン加速電極45へ所定の高電圧を印加し、イオンを加速する。
トリガ信号は飛行時間特定部37にも印加され、イオンの飛行開始時刻を定める。
図2の構造を採用することにより、デジタル遅延パルス発生器333によるトリガ信号の発生タイミングを制御することにより、プラズマ発生からイオン加速までの時間を調整できることとなり、また、プラズマに含まれるイオンの経時変化を解析可能となる。
【0017】
既述のように、スパッタ源で生じるプラズマからは、スパッタガス、反応ガスまたターゲット粒子にそれぞれ起因して、異なる波長の光が放出される。そこで、光電変換器31に波長依存性を与えて、特定の成分(例えばスパッタガス)からの光に対してのみ電気信号を出力するようにすることができる。光電変換器31に波長依存性を与えるには、受光面にフィルタを設けるか、光電変換器31としてフォトダイオードを用いるときは、フォトダイオード自体の受光特性を選択する。
いかなる成分に起因する光を選択するかは任意に設定可能であるが、スパッタガスからの光に基づき電気信号を出力させることが好ましい。スパッタ源のプラズマにおいて最初に放出される光であり、かつ十分な光量を得やすいからである。
【0018】
TOF質量分析部40は筐体部41、イオン加速器45、イオン検出器48を備えてなる。この実施例ではTOF質量分析部40としてリフレクトロンタイプを採用している。筐体部41は第1の部屋40Aと第2部屋40Bとに分離されており、第1の部屋40Aにはイオン加速器45が配置される。第2の部屋41Bにはリフレクトロン47とイオン検出器48が配置される。筐体部40はHIPIMSのチャンバ11に固定され、HIPIMSのスパッタ源13に対向してアパチャー42を介して開口している。このアパチャー42は金属板43に直径約1mmの孔をあけてなり、この金属板43はグランドにアースされ、金属ターゲット12以下の電位に維持されている。スパッタ装置におけるスパッタ対象は金属ターゲット12以下の電位に維持されるので、スパッタの最適条件を探索するために用いられるTOF質量分析部40においてもそのイオン導入口を、スパッタ装置と同様に、金属ターゲット12以下の電位とすることが好ましい。
スパッタ装置としてチャンバ11内の圧力に比べて、TOF質量分析部40としての筐体部41内の圧力は低く維持されなければならない。この観点から、両者のインターフェースとなるアパチャーの径は出来るだけ小さくすることが好ましい。他方、チャンバ内で発生したイオンをTOF質量分析部40へ安定して導入しなければならない。そのためには、アパチャーの径は大きくすることが好ましい。かかるトレードオフの関係にあるアパチャーの径は、本発明者らの検討によれば、0.1mm〜5mmとすることが好ましい。
【0019】
このアパチャー42は、ターゲット12の中心から外方へ偏心している。この実施例では22.5mm偏心させている。最も蒸発粒子イオン濃度の高い部分をサンプリングするためである。
この実施例ではアパチャー42と金属ターゲット12との間に5cmの間隔をあけたが、両者の間隔は任意に設定可能である。
第1の部屋40Aにはイオン加速器45が備えられる。このイオン加速器45はアパチャー42と同一軸線上にメッシュを張った開口部46を開口した金属板からなり、この開口部46を通過するイオンが加速される。
イオン加速器45にはイオン加速器ドライバ35から一定の高電圧(この例では1.4kV)が印加される。加速されたイオンはリフレクトロン47で反射されて例えばMCP検出器からなるイオン検出器48で検出され、トリガ信号発生時刻からイオン検出時刻までの時間が飛行時間として飛行時間特定部37により特定される。
イオン加速器45から与えられる運動エネルギー1/2Mvは一定であるので、イオンの質量(M)の違いが速度(v)即ち、イオン検出器48に到達するまでの時間の違いとして検出される。
検出結果はデジタルオシロスコープ等の出力部を介して出力される。
【0020】
TOF質量分析部40にも排気装置51を設け、HIPIMS部10とは別途に排気をし(差動排気)、TOF質量分析部40内からアルゴンガスを排除することが好ましい。
この実施例では、TOF質量分析部40内の真空度は、第1の部屋40Aを1×10−4Pa、第2の部屋40Bを3×10−5Paとしている。
【0021】
図1の装置において、スパッタ対象をチャンバ11内にセットすれば、スパッタ対象に蒸着膜をスパッタ成長しつつ、チャンバ内のスパッタ源の状態をTOF質量分部40により分析できる。これにより、スパッタ源の状態と蒸着膜の特性とを対比可能となる。スパッタ源13に印加する電流、電圧、磁場、導入ガス圧等の各種パラメータを変化させることでスパッタ源の状態を制御可能である。
TOF質量分析部40の出力結果は数100μs以内に得ることができるので、TOF質量分析部40の出力結果をみながら、上記各種パラメータを制御し、スパッタ源の状態を所望の蒸着膜に適したものにすることができる。
【0022】
図3には他の例のTOF質量分析部140を示す。なお、図3において図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この例では、イオン加速器45とアパチャー42との間で中性粒子をイオン化可能とする。この実施例では、イオン化装置61として紫外光発生器を採用し、筐体部41に設けた透過窓63を介して紫外光を筐体41内の中性金属粒子へ照射し、これをイオン化する。イオン化装置として、紫外光発生器の代わりに、熱電子パルスビーム発生器を用いることもできる。
HIPIMSスパッタ源にはイオン化された金属粒子のみならず、中性金属粒子も存在し、両者はともにスパッタ膜の製膜に影響するものと考えられる。従って、中性金属粒子をイオン化装置でイオン化し、その質量分析を行なうことが好ましい。イオン化装置61はトリガ信号生成部33からのトリガ信号を受け、イオン加速器35と同期して紫外光を放出する。
中性金属粒子のみの質量分析を行なう場合には、イオン化装置でイオン化したときに得られる質量分析結果から、イオン化装置でのイオン化を行なわないときの質量分析結果(イオン化された金属粒子の質量分析結果)を差し引くことにより行なう。
【0023】
上記実施例(図1)の装置で得られたTOFスペクトルを図4に示す。測定条件は次の通りである。
ターゲット:Cr, 電圧:650 V, パルス幅:100 μs,
Arガス流量:390 ccm, 窒素ガス流量:390 ccm,
磁石の位置 中心:0.0 mm, 外:0.0 mm,
Acc : 1400 V/1130 V, Ref : 1600 V/1025 V
Lens : 1250 V, MCP : -1.85 kV/-100.0 V
【0024】
本発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0025】
1 プラズマ解析方法
10 HIPIMS部
11 チャンバ
12 ターゲット
13 スパッタ源
14 マグネトロン
25 窓
40 TOF質量分析部
42 アパチャー
43 金属板
45 イオン加速部
47 リフレクタ
48 イオン検出部
61 イオン化装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HIPIMSのスパッタ源で発生したプラズマからの光を検出する光検出ステップと、
前記プラズマからのイオンをTOF質量分析する際に、飛行時間の開始時刻を前記光検出ステップで検出した光に基づき定める、ことを特徴とするTOF質量分析によるHIPIMSスパッタ源のプラズマ解析方法。
【請求項2】
プラズマを発生させるHIPIMSのスパッタ源と、
該HIPIMSのスパッタ源に接続されるTOF質量分析部と、を備え、
前記HIPIMSのスパッタ源の前記プラズマからの光を検出する光検出部が備えられ、
前記TOF質量分析部は、前記光検出部によるプラズマからの光の検出時刻を基準にして該プラズマに対応して生成されたイオンの飛行時間を計測する、ことを特徴とするTOF質量分析によるHIPIMSスパッタ源のプラズマ解析装置。
【請求項3】
前記TOF質量分析部において前記スパッタ源に対向する部分にはアパチャーが設けられ、該アパチャー周壁の電位は前記スパッタ源のターゲットの電位以下であること、を特徴とする請求項2に記載のプラズマ解析装置。
【請求項4】
前記スパッタ源からの中性粒子をイオン化させるイオン化装置が更に備えられる、ことを特徴とする請求項2又は3に記載のプラズマ解析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−99226(P2012−99226A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−243309(P2010−243309)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(305018856)株式会社アヤボ (4)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】