説明

TRAIL−R1及びTRAIL−R2に結合するポリペプチド

多量体化の、例えば、3量体化のドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体である、TRAIL−R1及びTRAIL−R2に結合するポリペプチド配列を有するポリペプチドを含む、TRAIL死受容体に対するアゴニスト。TRAIL囮受容体に結合しないアゴニストを記載する。多量体化ドメインはヒトテトラネクチン由来であってよい。アゴニストは、TRAIL死受容体を発現する病原細胞においてアポトーシスを誘発することができる。DR4及びDR5を発現する細胞、例えば、腫瘍細胞に関連する疾患を治療するための薬物組成物を記載する。ポリペプチドを選択するための方法、及び多量体複合体を調製するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全文が本明細書に参照によって援用される、2008年10月10日出願の米国仮特許出願第61/104,538号の利益を主張するものである。
【0002】
配列表は、本出願において電子様式においてのみ出願されるものであり、本明細書に参照によって援用される。テキストファイル「_」に列挙する配列は、_上に作り出されたものであり、サイズ_バイトである。
【0003】
本発明は、広く、癌及び他の障害の治療に関する。とりわけ、本発明は、TRAIL死受容体に結合し、TRAIL死受容体を発現する病原細胞におけるアポトーシスを誘発するポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0004】
TRAIL(腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導性リガンド、文献においてなかでもApo2L及びTNFSF10とも呼ばれる)は、腫瘍壊死因子(TNF)スーパーファミリーに属し、腫瘍細胞におけるプログラム細胞死、即ちアポトーシスの活性化因子として同定されている。TRAILは、NK細胞、T細胞、マクロファージ、及び樹状細胞を含めた免疫系の細胞において発現され、細胞膜中に位置する。TRAILはシステインプロテアーゼによってプロセシングされ、可溶型のタンパク質を産生することができる。TRAILは、膜結合型及び可溶型の両方とも3量体として機能し、標的細胞上に位置するTRAIL受容体と相互作用することによってアポトーシスを引き起こすことができる。ヒトでは、5つの受容体がTRAILに対する結合活性を有すると同定されている。これら5つの受容体のうちの2つであるTRAIL−R1(DR4、TNFSF10a)及びTRAIL−R2(DR5、TNFSF10b)は、死ドメイン(DD)と呼ばれる細胞質領域を含む。これら2つの受容体分子上の死ドメインは、TRAILが受容体に結合する時に外因性アポトーシス経路のTRAIL活性化に必要とされる。残りの3つのTRAIL受容体(TRAIL−R3(DcR1、TNFRSF10c)、TRAIL−R4(DcR2、TNFRSF10d)、及び循環オステオプロテゲリン(OPG、TNFRSF11b)と呼ばれる)は、囮受容体として働くと考えられている。これら3つの受容体は、機能的なDDを欠いており、TRAILを隔絶することによって、又は生存促進性シグナルを刺激することによって、負に調節されたアポトーシスに主に関与すると考えられている。
【0005】
TRAILがTRAIL−R1(DR4)又はTRAIL−R2(DR5)に結合すると、3量体化されている受容体は、死誘導シグナリング複合体(DISC)を形成するいくつかの細胞基質タンパク質をリクルートし、これは引き続きカスパーゼ−8又はカスパーゼ−10の活性化をもたらす。これは不可逆的な細胞死を引き起こす2つの異なる経路を誘発し、その1経路においてカスパーゼ−8はエフェクターカスパーゼ(カスパーゼ−3、−6、−7)を直接活性化し、細胞の分解をもたらし、他方の経路はプロデス(pro−death)Bcl−2ファミリータンパク質であるBidのカスパーゼ−8依存性切断に関与し、ミトコンドリア又は内因性の死の経路に従事する。
【0006】
この細胞死活性を考慮し、いくつかのTRAILベースの治療の取組みが追求されている。いくつかの前臨床試験において、組換えの可溶性TRAILは、白血病、多発性骨髄腫、及び神経芽細胞種、並びに肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、膵臓癌、腎臓癌、及び甲状腺癌に由来する広範囲のヒト腫瘍細胞系におけるアポトーシスを誘発した。腫瘍の増殖の投与量依存性の抑制が、複数の腫瘍異種移植片において観察されており、全身性の毒性は全く又は殆んどなかった(Ashkenazi、1999年、Jin、2004年)これらの試験において、高度に凝集した型のTRAILは肝毒性に関連していたので、組換えTRAIL製剤は、選択性及び抗腫瘍の性質にとって重要であると思われる。組換えTRAILは患者に安全に投与されている。
【0007】
いくつかのTRAIL−R1又はTRAIL−R2ヒトアゴニストモノクローナル抗体が開発中である。細胞系及びマウスモデルにおいて、これらの抗体はアポトーシスを強力に誘発した。少なくとも5つのモノクローナル抗体が、単剤療法として、又は小分子化学療法との併用のいずれかとして、現在臨床開発中である。少なくとも1つの試験において、抗−DR4又はDR5モノクローナル抗体は全般的に安全であり、良好に耐容され、現在評価中である併用化学療法の試験で、数々の患者に安定な疾患をもたらした(即ち、これらはそれ自体十分な効力を欠く)。DR5に結合するモノクローナル抗体での前臨床試験は、in vitroでは2次抗体との2次的な架橋によって(及びin vivoではおそらく腫瘍部位の免疫細胞表面受容体に結合する抗体Fcドメインによって)媒介される、TRAIL受容体のスーパークラスター形成は、活性を増強すると思われると指摘している。
【0008】
それでも上記に詳しく述べた治療の取組みにはいくつかの不備がある。例えば、天然/組換えのTRAILはTRAIL−R1及びTRAIL−R2の両方(DDは両方とも受容体を含む)に結合することができるが、囮受容体にも結合し、その活性を広く制限する。さらに、TRAILの半減期は非常に短く、分単位であり、このためその効力がさらに制限される。どちらの抗体の取組みも、半減期のより長い分子を提供する一方で、単一の所与の受容体に特異的である。さらに、抗体のサイズが大きいと、抗体の腫瘍への浸透を制限することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、当技術分野において、TRAIL−R1及びTRAIL−R2に結合するさらなる分子、これらの分子を含む組成物、このような分子をスクリーニングするための方法、及び広範囲の癌の治療的処置においてこのような分子を用いるための方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、その最も広い態様において、3量体化ドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドを含む非天然のポリペプチドに対するものである。
【0011】
本発明の様々な態様において、3量体化ドメインは、10位、17位、20位、21位、24位、25位、26位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、又は35位に最高5個のアミノ酸置換を有する配列番号10のポリペプチドを含み、3つの3量体化ドメインは3量体複合体を形成する。代替の一実施形態において、3量体化ドメインは、hTRAF3(配列番号)、hMBP(配列番号)、hSPC300(配列番号)、hNEMO(配列番号)、hキュビリン(hcubilin)(配列番号)、hトロンボスポンジン(配列番号)、並びにヒトSP−Dの頸部領域、(配列番号)、ウシSP−Dの頸部領域(配列番号)、ラットSP−Dの頸部領域(配列番号)、ウシコングルチニンの頸部領域:(配列番号)、ウシコレクチンの頸部領域:(配列番号)、及びヒトSP−Dの頸部領域:(配列番号)の1つから選択される3量体形成ポリペプチドを含む。
【0012】
特定の一実施形態において、本発明の非天然のポリペプチドは、DR4及びDR5の1つ又は両方のTRAIL死受容体に結合する。TRAIL死受容体に結合するポリペプチドはC型レクチン様ドメイン(CLTD)であってよく、ループセグメントA又はループセグメントBのループ1、2、3、又は4の1つがDR4及びDR5の一方又は両方に結合するポリペプチド配列を含む。
【0013】
さらなる一態様において、本発明は、3量体化ドメイン、及びTRAIL死受容体DR4に結合するポリペプチドを有する非天然のポリペプチドに対するものであり、DR4に結合するポリペプチドは、ループ1及び4の配列のいくつかの可能な組合せの1つを含むC型レクチン様ドメイン(CLTD)を含む。類似の一実施形態において、本発明は、3量体化ドメイン、及びTRAIL死受容体DR5に結合するポリペプチドを有する非天然のポリペプチドに対するものであり、DR4に結合するポリペプチドは、CLTDのループ1及び4における配列のいくつかの可能な組合せの1つを含むC型レクチン様ドメイン(CLTD)を含む。
【0014】
一態様において、本発明の非天然のポリペプチドは、DcR1、DcR2、及び循環オステオプロテゲリン(OPG)などのTRAIL囮受容体に結合しない。
【0015】
またさらに、本発明のポリペプチドは融合タンパク質の形態であってよい。
【0016】
本発明の様々な態様において、ポリペプチドはDR4及びDR5の両方に結合し、又はポリペプチドは両方がDR4に結合し、若しくは両方がDR5に結合する2つの配列を有する。例えば、本発明のポリペプチドは、3量体化ドメインのN末端又はC末端の一方に位置付けられるDR4及びDR5の少なくとも1つに結合する第1のポリペプチド、並びに3量体化ドメインのN末端又はC末端の他方に位置付けられるDR4及びDR5の少なくとも1つに結合する第2のポリペプチドを有することができる。第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの両方がDR4に結合してもよく、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの両方がDR5に結合してもよい。或いは、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの一方がDR4に結合し、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの他方がDR5に結合する。
【0017】
別の一態様において、本発明のポリペプチドは、3量体化ドメインのN末端及びC末端の一方に位置付けられるDR4又はDR5に結合する配列を含んでおり、次いで、N末端及びC末端の他方に、腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異抗原(TSA)に結合するポリペプチド配列を有する。別の一態様において、DR4又はDR5に結合するポリペプチドは3量体化ドメインのN末端及びC末端の一方に位置付けられ、Fn14、FAS受容体、TNF受容体、及びLIGHT受容体からなる群から選択される受容体に結合するポリペプチド配列がN末端及びC末端の他方に位置付けられる。本発明のポリペプチドはポリペプチドに共有結合的に付着している治療薬(単数又は複数)も有することができる。
【0018】
またさらに、本発明は、本発明の3つのポリペプチドの3量体複合体に対するものである。例えば、3量体化ドメインはテトラネクチン3量体化構造要素である。
【0019】
本発明は、DR4及びDR5の少なくとも1つを発現する患者において腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘発する方法にも対する。方法は、細胞を本発明の3量体複合体と接触させることを含む。
【0020】
本発明は、3量体複合体及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤の薬学組成物にも対する。組成物を用いて癌患者を治療することができ、治療薬と同時又は逐次に投与することができる。
【0021】
さらなる一態様において、本発明は、細胞におけるアポトーシスを誘発するポリペプチドを調製するための方法に対するものである。方法は、DR4又はDR5の一方に結合するがTRAIL囮受容体には結合しない第1のポリペプチドを選択するステップと、第1のポリペプチドを多量体化ドメインのN末端又はC末端の一方と融合させるステップとを含む。方法はまた、DR4及びDR5の他方に特異的に結合する第2のポリペプチドを選択するステップと、第2のポリペプチドを多量体化ドメインのN末端又はC末端の他方と融合させるステップとを含むことができる。この態様において、方法は、TRAIL囮受容体に結合しないポリペプチドを選択するステップを含むことができる。
【0022】
本発明のさらなる一態様は、3つの3量体化ポリペプチドを含む、TRAILに対する死受容体の少なくとも1つを発現する細胞においてアポトーシスを誘発するポリペプチド複合体を調製するための方法を含む。
【0023】
本発明の他の態様は、腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘発するポリペプチドを調製するための方法を含む。本態様の方法は、少なくとも1つのランダム化ループ領域を含むCTLDを含むポリペプチドのライブラリーを作り出すステップと、DR4又はDR5の1つに結合する第1のポリペプチドをライブラリーから選択するステップとを含む。この態様は、選択されたポリペプチドを多量体化ドメインのN末端又はC末端に融合するステップ、及びTRAIL囮受容体に結合しないポリペプチドを選択するステップも含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】既知の2次構造要素の表示を有する、ヒト(配列番号100)及びマウス(配列番号)のテトラネクチンの成熟型のコード領域のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。
【図2】テトラネクチンタンパク質ファミリーの3量体化構造要素のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。ヒトテトラネクチンのエキソン2、及びエキソン3の最初の3残基を含む残基V17からK52に対応するアミノ酸配列(1文字コード)(配列番号1)、マウステトラネクチン(配列番号)(Sorensenら、Gene、152巻、243〜245頁、1995年)、並びにリーフシャーク(reefshark)軟骨から単離したテトラネクチン相同タンパク質(配列番号)(Neame及びBoynton、1992年、1996年)、並びにウシ軟骨から単離されたテトラネクチン相同タンパク質(配列番号)(Neame及びBoynton、データベース受諾番号PATCHX:u22298)。7アミノ酸繰返しにおけるa位及びd位の残基を太字体で列挙する。テトラネクチンタンパク質ファミリー3量体化構造要素の列挙したコンセンサス配列(配列番号10)は、領域の他の保存残基の他に、図に示した7アミノ酸繰返しにおけるa位及びd位に存在する残基を含む。「hy」は脂肪族疎水残基を意味する。
【図3A】本発明の例示のポリペプチドと用いるためのテトラネクチン3量体化モジュール切断の例を示す図である。
【図3B】本発明の例示のポリペプチドと用いるためのテトラネクチン3量体化モジュール切断の例を示す図である。
【図3C】本発明の例示のポリペプチドと用いるためのテトラネクチン3量体化モジュール切断の例を示す図である。
【図3D】本発明の例示のポリペプチドと用いるためのテトラネクチン3量体化モジュール切断の例を示す図である。
【図4】既知の3D構造の10個のCTLDのアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。主な2次構造要素の配列位置は、αヘリックスのN番目を意味する「αN」及びβ鎖のM番目を意味する「βM」として連続の番号順において標識される示される上記の各配列である。CTLDの保存されている2つのジスルフィド架橋の形成に関与する4個のシステイン残基が示され、それぞれ「CI」、「CII」、「CIII」、及び「CIV」として図に列挙される。保存されている2つのジスルフィド架橋は、それぞれCI−CIV及びCII−CIIIである。ヒトテトラネクチン配置における様々なループ1〜4及びLSB(ループ5)を下線付けして示す。10個のC型レクチンは、hTN:ヒトテトラネクチン(配列番号:XX)、MBP:マンノース結合性タンパク質(配列番号:XX);SP−D:サーファクタントタンパク質D(配列番号:XX);LY49A:NK受容体LY49A(配列番号:XX);H1−ASR:HIアシアロ糖タンパク質受容体のサブユニット(配列番号:XX);MMR−4:マクロファージマンノース受容体ドメイン4(配列番号:XX);IX−A(配列番号:XX)、及びIX−B(配列番号:XX):それぞれ凝固因子IX/X−結合性タンパク質ドメインA及びB;Lit:リソスタチン(lithostatine)(配列番号:XX);TU14:尾索動物C型レクチン(配列番号:XX)である。これらのCTLDはTU14を除いて全て、ヒトタンパク質由来である。
【図5】ヒト(Swissprot P05452)(配列番号:XX)、マウス(Swissprot P43025)(配列番号:XX)、ニワトリ(Swissprot Q9DDD4)(配列番号:XX)、ウシ(Swissprot Q2KIS7)(配列番号:XX)、タイセイヨウサケ(Atlantic salmon)(Swissprot B5XCV4)(配列番号:XX)、カエル(Swissprot Q5I0R9)(配列番号:XX)、ゼブラフィッシュ(zebrafish)(GenBank XP_701303)(配列番号:XX)、並びにウシ(Swissprot u22298)(配列番号:XX)の軟骨から単離された関連のCTLD相同体、及びリーフシャーク(reef shark)(Swissprot p26258)(配列番号:XX)から単離されたテトラネクチンからのいくつかのC型レクチンドメインのアラインメントを示す図である。
【図6】CTLDにおいてランダム化ループを作り出すためのPCR戦略を示す図である。
【図7】クローニングのための制限部位を含むように修飾したヒトテトラネクチンCTLDのDNA配列及びアミノ酸配列を示し、Ca2+結合部位を示す図である。制限部位を実線で下線付けする。ループを破線で下線付けする。カルシウム配位残基は太字のイタリックで、部位1:D116、E120、G147、E150、NI51;部位2:Q143、D145、E150、D165を含む。CTLDドメインは、太字のアミノ酸A45から始まる(即ち、ALQTVCL・・・)。天然テトラネクチン(TNCTLD)塩基配列への変更を、小文字で示す。制限部位を、天然のアミノ酸配列を変更しないサイレント変異を用いて作り出した。
【発明を実施するための形態】
【0025】
様々な態様において、本発明は、多量体化ドメインを有するポリペプチド、及びTRAIL死受容体に結合する1つ又は複数のポリペプチドを含むTRAIL受容体アゴニストに対するものである。2つ、3つ、又はそれを超えるポリペプチドが多量体化して、TRAIL死受容体に結合するポリペプチドを含む多量体複合体であるアゴニストを形成し得る。アゴニストがこのような受容体を提示する細胞上のTRAIL死受容体に結合すると、細胞のアポトーシスを誘発する。代替の一実施形態において、ポリペプチドは死受容体に結合するが受容体に対するアゴニストではなく、なかでも、ポリペプチドと会合している(例えば、ポリペプチドに共有結合している)アウリスタチン、メイタンシノイドなどの治療薬の標的化送達を可能にする。さらに、本発明は、対象にアゴニストを投与することによって、対象における癌及び他の障害を治療するための方法を提供する。ポリペプチドは、TRAIL−R1(DR4)又はTRAIL−R2(DR5)の一方又は両方に特異的に結合し、好ましくはTRAIL囮受容体に結合しない1つ又は複数のポリペプチドを含む。
【0026】
定義
本発明をさらに詳しく定義する前に、数々の用語を定義する。用語に対する詳しい定義が本明細書に提供されていない場合は、本開示にわたって用いられる用語及び語句は、当技術分野において通常理解される意味を有すると理解されたい。また、本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられる通り、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈が他の方法を明確に指示しなければ、複数の対象物を含む。
【0027】
「TRAIL」又は「TRAILポリペプチド」は、配列番号62、及び配列番号62の生物学的に活性なフラグメントを意味する。フラグメントは、それだけには限定されないが、配列番号62のアミノ酸残基約5個から約50個、又はアミノ酸残基約5個から約25個、又は約10個から約20個、又は約12個から約20個を有する配列を含む。任意選択で、TRAILペプチドは、わずか25個のアミノ酸残基(例えば、25個、23個、21個、19個、17個、15個、又はそれ未満のアミノ酸残基)からなる。
【0028】
本明細書で用いられる「TRAIL死受容体」の語は、TRAILに結合し、TRAILに結合すると腫瘍細胞におけるプログラム細胞死(アポトーシス)を活性化するタンパク質を意味する。TRAIL死受容体のある種の非限定的な例には、通常TRAIL−R1(DR4)(配列番号42)又はTRAIL−R2(DR5)(配列番号43)と呼ばれる受容体タンパク質のいずれかが含まれる。
【0029】
「DR4」、「DR4受容体」、及び「TRAIL−R1」の語は本明細書において交換可能に用いられて、配列番号42の全長のTRAIL受容体配列、並びにPanら、Science、276巻、111〜113頁(1997年);1998年7月30日公開のWO98/32856;2002年1月29日発行の米国特許第6,342,363号;及び1999年7月29日公開のWO99/37684に記載されている、可溶性の細胞外ドメイン型の受容体を意味する。
【0030】
「DR5」、「DR5受容体」、及び「TRAIL−R2」の語は本明細書において交換可能に用いられて配列番号43の全長のTRAIL受容体配列、並びに各々その全文が参照によって本明細書に援用されるSheridanら、Science、277巻、818〜821頁(1997年);Panら、Science、277巻、815〜818頁(1997年)、2000年6月6日発行の米国特許第6,072,047号、;1998年10月19日公開の米国特許第6,342,369号、WO98/51793;1998年9月24日公開のWO98/41629;Screatonら、Curr.Biol.、7巻、693〜696頁(1997年);Walczakら、EMBO J.、16巻、5386〜5387頁(1997年);Wuら、Nature Genetics、17巻、141〜143頁(1997年);1998年8月20日公開のWO98/35986;1998年10月14日公開のEP870,827;1998年10月22日公開のWO98/46643;1999年1月21日公開のWO99/02653;1999年2月25日公開のWO99/09165;1999年3月11日公開のWO99/11791に記載されている、可溶性の細胞外ドメイン型の受容体を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる「TRAIL囮受容体」の語は、TRAILに結合し、TRAILに結合したとき腫瘍細胞におけるプログラム細胞死(アポトーシス)を活性化しないタンパク質を意味する。したがって、TRAIL囮受容体は、プログラム細胞死のシグナリングのトランスデューサーよりもむしろインヒビターとして機能すると考えられている。TRAIL囮受容体のある種の非限定的な例には、各々その全文が参照によって本明細書に援用される、TRAIL−R3(DcR1、TRID、LIT、又はTNFRSF10cと呼ばれる)[(Panら、Science、276巻、111〜113巻(1997年);Sheridanら、Science、277巻、818〜821頁(1997年);McFarlaneら、J.Biol.Chem.、272巻、25417〜25420頁(1997年);Schneiderら、FEBS Letters、416巻、329〜334頁(1997年);Degli−Espostiら、J.Exp.Med.、186巻、1165〜1170頁(1997年);及びMongkolsapayaら、J.Immunol.、160巻、3〜6頁(1998)](配列番号44)、TRAIL−R4(DcR2、TRUNDD、及びTNFRSF10dとも呼ばれる)(配列番号45)、[Marstersら、Curr.Biol.、7巻、1003〜1006頁(1997年);Panら、FEBS Letters、424巻、41〜45頁(1998年);Degli−Espostiら、Immunity、7巻、813〜820頁(1997年)]、並びに循環オステオプロテゲリン(OPG、TNFRSF11b)(配列番号46)と通常呼ばれるあらゆる受容体タンパク質が含まれる。
【0032】
「TRAIL受容体アゴニスト」又は「アゴニスト」の語は広い意味において用いられ、in vitro、in situ、又はin vivoで、DR4若しくはDR5又はこれらの生物学的に活性な変異体の1つ又は複数の生物学的活性を、部分的又は完全に増強し、刺激し、又は活性化するあらゆる分子を含む。このような生物学的活性の例には、アポトーシス、及び文献においてさらに報告されているものが含まれる。アゴニストは直接的又は間接的に機能することができる。例えば、「TRAIL死受容体アゴニスト」は、受容体の活性化又はシグナル伝達を引き起こすDR4又はDR5に直接結合した結果、in vitro、in situ、又はin vivoでDR4又はDR5の1つ又は複数の生物学的活性を部分的又は完全に、増強、刺激、又は活性化するように機能することができる。TRAIL受容体アゴニストには、本明細書で定義するTRAILポリペプチド、及びTRAILポリペプチドとみなされないTRAIL受容体に結合するポリペプチド、例えば、TRAIL死受容体に特異的に結合するが、本明細書で定義する方法を用いて同定するTRAIL囮受容体には結合しないポリペプチドが含まれる。
【0033】
本明細書で用いられる「結合メンバー」の語は、相互に結合特異性を有する1対の分子のメンバーを意味する。結合対のメンバーは、天然由来であってよく、又は完全に若しくは部分的に合成的に生成されてもよい。対の分子の1メンバーはその表面上に領域、又は空洞を有し、それが、対の分子の他のメンバーの特定の空間的及び極性組織に結合し、したがってそれに対して相補的である。このように対のメンバーは、相互に特異的に結合する性質を有する。
【0034】
本発明の様々な態様において、TRAIL死受容体に対する結合メンバーはTRAIL受容体アゴニストである。これらのメンバーには、本明細書に記載するTRAILポリペプチド、並びにTRAILポリペプチド及び多量体化(例えば、3量体化)ドメインを含むポリペプチド、並びに本明細書にさらに記載する、多量体化ドメイン及びTRAILポリペプチドではないポリペプチドを含むがTRAIL死受容体に結合して刺激するポリペプチドが含まれる。他の態様において、本発明のポリペプチドはTRAIL死受容体に結合するが、受容体に対するアゴニストではない。
【0035】
本明細書で用いられる「多量体化ドメイン」の語は、2つ又はそれを超える他のアミノ酸配列と会合して3量体又は他の多量体複合体を形成することができる機能性を含むアミノ酸配列を意味する。一例において、ポリペプチドは、他の2つの3量体化ドメインと3量体複合体を形成する「3量体化ドメイン」であるアミノ酸配列を含む。3量体化ドメインは、アミノ酸配列が同一である他の3量体化ドメインと会合することができ(ホモ3量体)、又はアミノ酸配列の異なる3量体化ドメインと会合することができる(ヘテロ3量体)。このような相互作用は、3量体化ドメインの成分間の共有結合によって、並びに水素結合力、疎水性力、ファンデルワールス力、及び塩橋によって引き起こされ得る。本発明の様々な実施形態において、多量体化ドメインは、2量体化ドメイン、3量体化ドメイン、4量体化ドメイン、5量体化ドメインなどである。これらのドメインは、本発明のポリペプチドの2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれを超えるポリペプチド複合体を形成することができる。
【0036】
本発明のポリペプチドの3量体化ドメインは、その全文が参照によって援用される米国特許出願公開第2007/0154901号(’901出願)に記載されているテトラネクチンに由来することができる。成熟ヒトテトラネクチン単鎖ポリペプチド配列は、本明細書に配列番号100(例えば表1を参照されたい)として提供される。テトラネクチン3量体化ドメインの例には、配列番号1のアミノ酸17から49、17から50、17から51、及び17〜52が含まれ、これらは、ヒトテトラネクチン遺伝子のエキソン2によってコードされるアミノ酸、及び任意選択で遺伝子のエキソン3によってコードされるアミノ酸の最初の1個、2個、又は3個を表す。他の例には、アミノ酸1から49、1から50、1から51、及び1から52が含まれ、これらはエキソン1及び2の全て、並びに任意選択で遺伝子のエキソン3によってコードされるアミノ酸の最初の1個、2個、又は3個を表す。或いは、エキソン1によってコードされるアミノ酸配列の一部分だけが3量体化ドメインに含まれる。とりわけ、3量体化ドメインのN末端は、配列番号1の残基1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、及び17のいずれかから始まってよい。特定の実施形態において、N末端がI10又はV17であり、C末端がQ47、T48、V49、C(S)50、L51、又はK52(配列番号1による番号付け)である。さらに図3A〜3Dは、ヒトテトラネクチン3量体化ドメインの潜在的な切断変異体の数を提供するものである。
【0037】
本発明の一態様において、3量体化ドメインは、その全文が参照によって本明細書に援用されるUS2007/00154901により完全に記載されている、テトラネクチンファミリー3量体化構造要素のコンセンサス配列である配列番号1のアミノ酸配列を有するテトラネクチン3量体化構造要素(「TTSE」)である。図2に示す通り、TTSEは、タンパク質のテトラネクチンファミリーの天然に存在するメンバーの変異体、とりわけ、αヘリックスのコイルドコイル3量体を形成するTTSEの能力に有害な影響を及ぼさずにアミノ酸配列があらゆる実質的な程度まで修飾されている変異体を包含する。本発明の様々な態様において、本発明による3量体ポリペプチドは、配列番号10のコンセンサス配列に少なくとも66%のアミノ酸配列の同一性を有する、例えば、配列番号1のコンセンサス配列に少なくとも73%、少なくとも80%、少なくとも86%、又は少なくとも92%の配列同一性を有する3量体化ドメインとしてTTSEを含む(規定された(Xではない)残基のみを数えて)。換言すれば、配列番号1における規定されたアミノ酸の少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、又は少なくとも5個が置換されていてよい。
【0038】
特定の一実施形態において、不必要な多量体化をもたらし得る不必要な鎖間ジスルフィド架橋の形成を避けるために、配列番号63の50位のシステイン(C50)が、セリン、スレオニン、メチオニン、又はあらゆる他のアミノ酸残基に変異誘発されていると有利であり得る。他の知られている変異体には、あらゆる非ヘリックス開裂性アミノ酸残基によって置換されていてよいアミノ酸残基、第6、21、22、24、25、27、28、31、32、35、39、41、及び42番(配列番号63による番号付け)から選択される少なくとも1個のアミノ酸残基が含まれる。これらの残基は、天然のテトラネクチン単量体の3個のTTSE間の3量体複合体を安定化する分子間相互作用に直接関与しないことが示されている。図2に示す一態様において、TTSEは、式a−b−c−d−e−f−g(NからC)を有する7アミノ酸繰返しを有し、この場合残基a及びd(即ち、26位、33位、37位、40位、44位、47位、及び51位)は、あらゆる疎水性アミノ酸であってよい(配列番号1による番号付け)。
【0039】
さらなる実施形態において、TTSE3量体化ドメインは、ポリヒスチジン配列及び/又はプロテアーゼ切断部位の組入れ、例えば、血液凝固因子Xa又はグランザイムB(参照によって本明細書に援用されるUS2005/0199251を参照されたい)によって、並びにC末端のKG又はKGS配列を含めることによって修飾されてよい。また、精製における助けのために、2位のプロリンをグリシンで置換してもよい。
【0040】
TTSE切断及び変異体の特定の非限定的な例を図3A〜3Dに示す。さらに、ヒトテトラネクチンの3量体化ドメインに実質的に相同性を有する(66%を超える)数々の3量体化ドメインが知られている。
【表1−1】


【表1−2】

【0041】
3量体化するのに知られている他のヒトポリペプチドには以下が含まれる。
【表2】

【0042】
3量体化ドメインの別の一例は、コレクチン頸部領域を含むポリペプチドを記載するUS6,190,886(その全文が参照によって本明細書に援用される)に開示されている。次いで、3量体を、コレクチン頸部領域アミノ酸配列を含む3つのポリペプチドと好適な条件下で作成することができる。以下のものを含む、数々のコレクチンが同定されている。
ヒトSP−Dのコレクチン頸部領域:VASLRQQVEALQGQVQHLQAAFSQYKK(配列番号)
ウシSP−Dのコレクチン頸部領域:VNALRQRVGILEGQLQRLQNAFSQYKK(配列番号)
ラットSP−Dのコレクチン頸部領域:SAALRQQMEALNGKLQRLEAAFSRYKK(配列番号)
ウシコングルチニンのコレクチン頸部領域:VNALKQRVTILDGHLRRFQNAFSQYKK(配列番号)
ウシコレクチンのコレクチン頸部領域:VDTLRQRMRNLEGEVQRLQNIVTQYRK(配列番号)
ヒトSP−Dの頸部領域:GSPGLKGDKGIPGDKGAKGESGLPDVASLRQQVEALQGQVQHLQAAFSQYKKVELFPGGIPHRD(配列番号)
【0043】
MBP3量体化ドメインの他の例は、その全文が参照によって援用される、WO2009/036349として公開されたPCT出願第US08/76266号に記載されている。この3量体化ドメインをさらにオリゴマー形成し、高次の多量体複合体を作り出してもよい。
【0044】
現在の文脈における「3量体化ドメイン」は、他の、類似の、又は同一の3量体化ドメインと相互作用することができる。相互作用は、3量体のタンパク質又はポリペプチドを生成するタイプのものである。このような相互作用は、3量体化ドメインの成分間の共有結合によって、並びに水素結合力、疎水性力、ファンデルファールス力、及び塩橋によって引き起こされ得る。3量体化ドメインの3量体の効果は、他の2つの3量体化ドメインのコイルドコイル構造と相互作用して、比較的高い温度でも安定である3重のαヘリックスのコイルドコイル3量体を形成するコイルドコイル構造によって引き起こされる。様々な実施形態において、例えば、テトラネクチン構造要素をベースとする3量体化ドメインでは、少なくとも60℃で、例えばいくつかの実施形態において少なくとも70℃で、複合体は安定である。
【0045】
「C型レクチン様タンパク質」及び「C型レクチン」の語は、あらゆる真核生物種のゲノムに存在し、又はゲノムにおいてコードされるあらゆるタンパク質を意味するために用いられ、このタンパク質は、1つ若しくは複数のCTLD、又は炭水化物のリガンドに結合している、CTLDのサブグループであるCRDに属する1つ若しくは複数のドメインを含む。この定義には、膜に付着しているC型レクチン様タンパク質及びC型レクチン、機能的な膜貫通ドメインを欠く「可溶性の」C型レクチン様タンパク質及びC型レクチン、並びに1つ又は複数のアミノ酸残基がグリコシル化又はあらゆる他の合成後修飾によってin vivoで変更されている変異型のC型レクチン様タンパク質及びC型レクチン、並びにC型レクチン様タンパク質及びC型レクチンの化学的修飾によって得られるあらゆる生成物が特に含まれる。
【0046】
CTLDは大まかに120個のアミノ酸残基からなり、2個又は3個の鎖内ジスルフィド架橋を含むのが特徴的である。様々なタンパク質からのCTLD間のアミノ酸配列レベルの類似性は比較的低いが、数々のCTLDの3D構造は高度に保存されていることが見出されており、構造の可変性は最高5個のループによってしばしば規定される、いわゆるループ領域に本質的に限局される。いくつかのCTLDはカルシウムに対する1つ又は2ついずれかの結合部位を含んでおり、カルシウムと相互作用する側鎖の殆どはループ領域に位置する。
【0047】
3D構造の情報が入手可能であるCTLDに基づいて、正規のCTLDは、β1、α1、α2、β2、β3、β4、及びβ5の順番において順次現れる7個の主要な2次構造要素(即ち、5個のβ鎖及び2個のαヘリックス)によって構造的に特徴付けられると推測されている。図4は、10個のC型レクチンの既知の3次元構造のCTLDのアラインメントを説明するものである。3D構造が決定されている全てのCTLDにおいて、β鎖は、一方がβ1及びβ5からなり、他方がβ2、β3、及びβ4からなる2つの逆平行のβシートに配列される。さらなるβ鎖であるβ0は、配列においてしばしばβ1の前にあり、存在する場合には、β1、β5シートと統合するさらなる鎖を形成する。さらに、1つがα1とβ5とを接続し(C−CIV)、1つがβ3と、β4及びβ5を接続するポリペプチドセグメントとを連結する(CII−CIII)2つのジスルフィド架橋は、現在までに特徴付けられている全てのCTLDに不変的に見出される。また、図5は、ヒトテトラネクチン及び他の9個のテトラネクチン又はテトラネクチン様ポリペプチドからのCTLDのアラインメントを示している。
【0048】
CTLDの3D構造において、これらの保存されている2次構造要素は、数々のループに対して密な骨格を形成し、これらは現在の状況において集合的に、コアから突出する「ループ領域」と呼ばれる。CTLDの一次構造において、これらのループは、ループセグメントAであるLSA及びループセグメントBであるLSB2つのセグメントに組織化される。LSAは、しばしば規則的な2次構造を欠き、最高4つのループを含むβ2とβ3を連結する長いポリペプチドセグメントを表す。LSBは、β鎖のβ3とβ4を連結するポリペプチドセグメントを表す。LSAにおける残基は、β4における単一の残基と一緒に、テトラネクチンのCTLDを含むいくつかのCTLDのCa2+結合性部位及びリガンド結合性部位を特定することが示されている。例えば、1つ又は少数の残基の置換を伴う変異の研究は、結合特異性、Ca2+感受性、及び/又は親和性における変化はCTLDドメインによって収容され得ることを示している。以下の非限定的な例を含めた数々のCTLDが知られている:テトラネクチン、リソスタチン、マウスマクロファージガラクトースレクチン、クッパー細胞受容体、ニワトリニューロカン、パールシン(perlucin)、アシアロ糖タンパク質受容体、軟骨プロテオグリカンコアタンパク質、IgE Fc受容体、膵炎関連タンパク質、マウスマクロファージ受容体、ナチュラルキラー群、幹細胞増殖因子、IX/X因子結合性タンパク質、マンノース結合性タンパク質、ウシコングルチニン、ウシCL43、コレクチン肝臓1、サーファクタントタンパク質A、サーファクタントタンパク質D、e−セレクチン、尾索動物c型レクチン、CD94 NK受容体ドメイン、LY49A NK受容体ドメイン、ニワトリ肝臓レクチン、マスc型レクチン、HIVgp120結合性c型レクチン、及び樹状細胞免疫受容体。その全文が参照によって本明細書に援用される米国特許公開第2007/0275393号を参照されたい。
【0049】
「有効量」の表現は、同時に投与しても、又は逐次に投与しても、本発明の死受容体アゴニスト、及び細胞毒性薬又は免疫抑制薬の、一方又は両方の、問題の疾患若しくは状態を予防し、寛解し、若しくは治療するのに有効である量を意味する。特定の実施形態において、有効量は、細胞がアポトーシスを経験し、腫瘍体積を低減し、又は癌若しくは免疫関連疾患を有する哺乳動物の生存を延長する性向を(例えば、相乗的に)増強し、又は他の方法で増大するのに十分な組合せの、死受容体アゴニスト又は死受容体バインダー、及び細胞毒性薬又は免疫抑制薬の量である。
【0050】
「治療薬」は、細胞毒性薬、化学療法薬、免疫抑制薬、免疫賦活薬、及び/又は増殖抑制薬を意味する。
【0051】
補助的療法に対して本明細書で用いられる「免疫抑制薬」の語は、本明細書において治療する哺乳動物の免疫系を抑制し、又はマスクするように働く物質を意味する。これは、サイトカインの生成を抑制し、自己抗原の発現を下方制御若しくは抑制し、又はMHC抗原をマスクする物質を含む。このような薬剤の例には、それだけには限定されないが、2−アミノ−6−アリール−5−置換ピリミジン(米国特許第4,665,077号を参照されたい)、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)、アザチオプリン、シクロホスファミド、ブロモクリプチン、ダナゾール、ダプソン、グルタールアルデヒド(米国特許第4,120,649号に記載されているようにMHC抗原をマスクする)、MHC抗原及びMHCフラグメントに対する抗イディオタイプ抗体、シクロスポリンA、グルココルチコステロイドなどのステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、及びヒドロコルチゾン、メトトレキセート(経口若しくは皮下)、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、レフルノミド;抗インターフェロンγ(IFN−γ)、−β、若しくは−α抗体、抗腫瘍壊死因子−α抗体(インフリキシマブ若しくはアダリムマブ)、抗TNFαイムノアドヘジン(エタネルセプト)、抗腫瘍壊死因子−β抗体、抗インターロイキン−2抗体、及び抗IL−2受容体抗体を含めたサイトカイン又はサイトカイン受容体アンタゴニスト;抗CD11a及び抗CD18抗体を含む抗LFA−1抗体;抗L3T4抗体、異種性の抗リンパ球グロブリン、pan−T抗体、好ましくは抗CD3又は抗CD4/CD4a抗体、LFA−3結合性ドメインを含む可溶性ペプチド(1990年7月26日公開のWO90/08187)、ストレプトキナーゼ、TGF−β、ストレプトドルナーゼ、宿主からのRNA若しくはDNA、FK506、RS−61443、デオキシスペルグラリン、ラパマイシン、T細胞受容体(Cohenら、米国特許第5,114,721号)、T細胞受容体フラグメント(Offnerら、Science、251巻、430〜432頁(1991年);WO90/11294;Janeway、Nature、341巻、482頁(1989年);及びWO91/01133);並びにT10B9などのT細胞受容体抗体(EP340,109)。
【0052】
本明細書で用いられる「細胞毒性薬」の語は、細胞の機能を阻害若しくは防止し、及び/又は細胞の破壊を引き起こす物質を意味する。この語は放射性同位元素(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、及びLuの放射性同位元素)、化学療法薬、並びに小分子毒素、或いは酵素的に活性な細菌、真菌、植物、若しくは動物起源の毒素、又はこれらのフラグメントなどの毒素が含まれる。
【0053】
「化学療法薬」は、癌の治療に有用な化学物質である。化学療法薬の例には、アルキル化剤、例えば、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド;アルキルスルホネート、例えば、ブスルファン、イムプロスルファン、及びピポスルファン;アジリジン、例えば、ベンゾドーパ、カルボコン、メツレドーパ(meturedopa)、及びウレドーパ(uredopa);エチレンイミン及びメチラメラミン(methylamelamine)、例えば、アルテラミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンエチオホスホラミド(triethylenethiophosphoramide)、及びトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine);アセトゲニン(acetogenin)(特に、ブラタシン、及びブラタシノン);カンプトテシン(合成類似体のトポテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC−1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン、及びビゼレシンの合成類似体を含む);クリプトフィシン(特に、クリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);ドラスタチン、デュオカルマイシン(合成の類似体であるKW−2189及びCB1−TM1を含む);エリュテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン(sarcodictyin);スポンギスタチン;ナイトロジェンマスタード、例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロルホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベムビシン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素、例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン;抗生物質、例えば、エンジイン(enediyne)抗生物質(例えば、カリケアマイシン、特に、カリケアマイシンγ11、及びカリケアマイシンω11(例えば、Agnew、Chem Intl.Ed.Engl.、33巻、183〜186頁(1994年)を参照されたい);ダイネミシンAを含むダイネミシン;ビスホスホネート、例えば、クロドロネート;エスペラマイシン;並びにネオカルジノスタチン発色団、及び関連のクロモプロテインエンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6−ジアゾ−5−オキソ−L−ノルロイシン、ADRIAMYCIN(登録商標)ドキソルビシン(モルホリノ−ドキソルビシン、シアノモルホリノ−ドキソルビシン、2−ピロリノ−ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;代謝拮抗薬、例えば、メトトレキセート、及び5−フルオロウラシル(5−FU);葉酸類似体、例えば、デノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えば、フルダラビン、6−メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えば、アンシタビン、アザシタジン、6−アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン;アンドロゲン、例えば、カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗アドレナル、例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えば、フロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルウラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン;ジアジコン;エルフォルニチン(elfornithine);エリプチニウム酢酸塩;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン(lonidainine);メイタンシノイド、例えば、メイタンシン、及びアンサミタシン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット(phenamet);ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2−エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products、Eugene、Oreg);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン(triaziquone);2,2’,22”−トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(trichothecene)(特に、T−2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA、及びアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara−C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、TAXOL(登録商標)パクリタキセル(Bristol−Myers Squibb Oncology、Princeton、N.J.)、ABRAXANE(商標)クレモホール(Cremophor)フリーのアルブミン操作したパクリタキセルのナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners、Schaumberg、Illinois)、並びにTAXOTERE(登録商標)ドセタキセル(Rhone−Poulenc Rorer、Antony、France);クロランブシル(chloranbucil);GEMZAR(登録商標)ゲムシタビン;6−チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;白金類似体、例えば、シスプラチン、及びカルボプラチン;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP−16);イホスファミド;ミトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;キセローダ;イバンドロナート(ibandronate);CPT−11;トポイソメラーゼ阻害薬RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイド、例えば、レチノイン酸;カペシタビン;並びにあらゆる上記の薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体が含まれる。定義にやはり含まれるものに、プロテアソーム阻害薬、例えば、ボルテゾミブ(Velcade)、BCL−2阻害薬、IAPアンタゴニスト(例えば、Smac模倣物/xIAP及びcIAP阻害薬、例えば、ある種のペプチド、ピリジン化合物、例えば、(S)−N−{6−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−1−[5−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピリジン−3−イルメチル]−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル}−2−メチルアミノ−プロピオンアミド、xIAPアンチセンス)、HDAC阻害薬(HDACI)、及びキナーゼ阻害薬(ソラフェニブ)がある。
【0054】
この定義にやはり含まれるのは、抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)など、腫瘍に対するホルモンの作用を制御又は阻害するように働く抗ホルモン薬であり、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)タモキシフェン)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、4−ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON−トレミフェン;副腎におけるエストロゲンの生成を制御する、酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害薬、例えば、4(5)−イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)酢酸メゲストロール、AROMASIN(登録商標)エキセメスタン、ホルメスタニエ(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)ボロゾール、FEMARA(登録商標)レトロゾール、及びARIMIDEX(登録商標)アナストロゾール;並びに抗アンドロゲン、例えば、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、及びゴセレリン;並びにトロキサシタビン(1,3−ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);アンチセンスオリゴヌクレオチド、とりわけ接着細胞の増殖に関係するシグナリング経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC−α、Ralf、及びH−Ras;リボザイム、例えば、VEGF発現阻害薬(例えば、ANGIOZYME(登録商標)リボザイム)、及びHER2発現阻害薬;ワクチン、例えば、遺伝子治療ワクチン、例えば、ALLOVECTIN(登録商標)ワクチン、LEUVECTIN(登録商標)ワクチン、及びVAXID(登録商標)ワクチン、PROLEUKIN(登録商標)rIL−2;LURTOTECAN(登録商標)トポイソメラーゼ1阻害薬;ABARELIX(登録商標)rmRH;並びにあらゆる上記の薬学的に許容される塩、酸、又は誘導体がある。
【0055】
「増殖阻害薬」は本明細書で用いられる場合、in vitro又はin vivoのいずれかで細胞の増殖を阻害する化合物又は組成物を意味する。このように増殖阻害薬は、S期においてこのような遺伝子を過剰発現する細胞のパーセント値を大幅に低減する薬剤である。増殖阻害薬の例には、G1期停止及びM期停止を引き起こす薬剤など、(S期以外の位置で)細胞周期の進行を阻止する薬剤が含まれる。古典的なM期阻止薬には、ビンカ(ビンクリスチン及びビンブラスチン)、タキソール、並びにトポII阻害薬、例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、及びブレオマイシンが含まれる。DNAアルキル化剤(例えば、タモキシフェン)、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキセート、5−フルオロウラシル、及びara−Cなど、G1期を停止させる薬剤はまた、S期の停止に波及する。さらなる情報は「癌の分子的ベース(The Molecular Basis of Cancer)」、Mendelsohn及びIsrael編集、第1章、Murakamiら、「細胞周期制御、腫瘍遺伝子、及び抗新生物薬(Cell cycle regulation,oncogenes,and antineoplastic drugs)」(WB Saunders:Philadelphia、1995年、13頁)に見ることができる。
【0056】
さらに、アルギニン枯渇薬(例えば、アルギナーゼ)など、細胞ストレスを誘発する薬剤が含まれる。
【0057】
さらに、リツキシマブなどの標的化抗体が含まれる。さらに、TRAILアゴニストの、アスピリン及びNFkB経路の阻害薬との併用も有益であり得る。
【0058】
本明細書で用いられる「相乗活性」、「相乗作用」、「相乗効果」、又は「相乗的効果量」は、TRAIL死受容体アゴニスト及び治療薬の併用を用いた場合に観察される効果が(1)TRAIL死受容体アゴニスト又は治療薬を単独で(若しくは個々に)用いた場合に達成される効果を超え、(2)TRAIL死受容体アゴニスト又は治療薬に対する加えられた(相加)効果の合計を超える。このような相乗作用又は相乗効果は、当技術分野では知られている様々な手段によって決定することができる。例えば、TRAIL死受容体アゴニスト及び治療薬の相乗効果は、腫瘍細胞数又は腫瘍塊の低減を試験するin vitro又はin vivoのアッセイフォーマットにおいて観察することができる。
【0059】
「アポトーシス」及び「アポトーシス活性」の語は広い意味で用いられ、細胞質の濃縮、原形質膜の微絨毛の喪失、核の分節化、染色体DNAの分解、又はミトコンドリア機能の喪失を含めた、1つ若しくは複数の特徴的な細胞の変化を典型的に伴う哺乳動物の細胞死の、秩序だった、又は制御された形態を意味する。この活性は、例えば、細胞生死判定アッセイ、FACS分析又はDNA電気泳動、アネキシンVの結合性、DNAの断片化、細胞の収縮、小胞体の拡大、細胞の断片化、及び/又は膜小胞の形成(アポトーシス小体と呼ばれる)によって、技術分野でよく知られている方法を用いて決定及び測定することができる。
【0060】
「癌」、「癌性の」、及び「悪性」の語は、典型的に細胞の非制御の増殖を特徴とする、哺乳動物における生理状態を意味し、又は記載するものである。癌の例には、それだけには限定されないが、腺癌、リンパ腫、芽腫、メラノーマ、肉腫、及び白血病を含めた癌腫が含まれる。このような癌のより詳しい例には、扁平細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、消化器癌、ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫、膵臓癌、神経膠芽腫、グリオーマ、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌(例えば、肝癌及び肝細胞癌)、膀胱癌、乳癌、大腸癌、直腸結腸癌、子宮内膜癌、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、唾液腺癌、腎臓癌(例えば、腎細胞癌及びウイルムス腫瘍)、基底細胞癌、メラノーマ、前立腺癌、外陰癌、甲状腺癌、精巣癌、食道癌、並びに様々なタイプの頭部及び頸部の癌が含まれる。
【0061】
「免疫関連疾患」の語は、哺乳動物の免疫系の構成成分が、哺乳動物における罹患を引き起こし、媒介し、又は他の方法で罹患に貢献する疾患又は障害を意味する。免疫反応の刺激又は介入が疾患の進行に対して寛解性の効果を有する疾患も含まれる。この語の中には、自己免疫疾患、免疫媒介性炎症性疾患、免疫非媒介性炎症性疾患、感染性疾患、及び免疫不全疾患が含まれる。そのいくつかは免疫細胞又はT細胞媒介性であり、本発明に従って治療することができる、免疫関連疾患及び炎症性疾患の例には、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、脊椎関節症、全身性強皮症(強皮症)、特発性炎症性筋疾患(皮膚筋炎、多発性筋炎)、シェーグレン症候群、全身性血管炎、サルコイドーシス、自己免疫性溶血性貧血(免疫性汎血球減少症、発作性夜間血色素尿症)、自己免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病、免疫媒介性血小板減少症)、甲状腺炎(グレーブス病、橋本甲状腺炎、若年性リンパ球性甲状腺炎、萎縮性甲状腺炎)、糖尿病、免疫媒介性腎疾患(糸球体腎炎、尿細管間質性腎炎)、中枢神経系及び末梢神経系の脱髄性疾患(例えば、多発性硬化症)、特発性脱髄性多発性ニューロパチー又はギランバレー症候群、並びに慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、肝胆道疾患、例えば、流行性肝炎(A型、B型、C型、D型、E型肝炎、及び他の肝親和性のウイルス)、自己免疫性慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、肉芽腫様肝炎、並びに硬化性胆管炎、炎症性及び線維性肺疾患、例えば、炎症性腸疾患(潰瘍性腸炎、クローン病)、グルテン過敏性腸炎、並びにウィップル病、水疱性皮膚疾患を含む自己免疫性又は免疫媒介性皮膚疾患、多形性紅斑及び接触性皮膚炎、乾癬、アレルギー疾患、例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物過敏症及び蕁麻疹、肺の免疫疾患、例えば、好酸球性肺炎、特発性肺線維症及び過敏性肺炎、移植片拒絶及び移植片対宿主病を含む移植関連疾患が含まれる。感染性疾患には、AIDS(HIV感染)、A型、B型、C型、D型、及びE型肝炎、細菌感染症、真菌感染症、原虫感染症、並びに寄生虫感染症が含まれる。
【0062】
「B細胞悪性腫瘍」は、B細胞に関与する悪性腫瘍である。例には、リンパ球優位型ホジキン病(LPHD)を含むホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)、濾胞性中心細胞(FCC)リンパ腫、急性リンパ性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、ヘアリー細胞白血病、形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、AIDS又はHIV関連のリンパ腫、多発性骨髄腫、中枢神経系(CNS)リンパ腫、移植後リンパ球増殖性疾患(PTLD)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、及び辺縁層リンパ腫/白血病が含まれる。
【0063】
非ホジキンリンパ腫(NHL)には、それだけには限定されないが、低悪性度/濾胞性NHL、再発性又は難治性のNHL、前線(front line)低悪性度NHL、ステージIII/IVのNHL、化学療法抵抗性NHL、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、びまん性大細胞型リンパ腫、侵襲性NHL(侵襲性の前線NHL及び高悪性度の再発性NHLを含む)、自己幹細胞移植後の再発性又は難治性のNHL、高悪性度免疫芽球性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小非正円形細胞NHL、巨大病変NHLなどが含まれる。
【0064】
腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異性抗原(TSA)は、宿主における免疫反応を誘発することができる腫瘍細胞において生成される分子である。腫瘍関連抗原は腫瘍細胞上及び正常細胞上の両方に見出されるが発現レベルが異なり、一方腫瘍特異性抗原は専ら腫瘍細胞によって発現される。腫瘍細胞の表面上に示されるTAA又はTSAには、それだけには限定されないが、なかでも、αフェトプロテイン、癌胎児性抗原(CEA)、CA−125、MUC−1、グリピカン−3、腫瘍関連糖タンパク質−72(TAG−72)、上皮腫瘍抗原、チロシナーゼ、メラノーマ関連抗原、MART−1、gp100、TRP−1、TRP−2、MSH−1、MAGE−1、−2、−3、−12、RAGE−l、GAGE−1、−2、BAGE、NY−ESO−1、β−カテニン、CDCP−1、CDC−27、SART−1、EpCAM、CD20、CD23、CD33、EGFR、HER−2、乳房腫瘍関連抗原BTA−1及びBTA−2、RCAS1(SiSo細胞上に発現される受容体結合性癌抗原)、胎盤(PLACenta)特異的1(PLAC−1)、シンデカン、MN(gp250)、イディオタイプが含まれる。腫瘍関連抗原には、また、血液型抗原、例えば、Le、Le、LeX、LeY、H−2、B−1、B−2抗原が含まれる。(明細書最後の表XXを参照されたい)。理想的には、本発明の目的では、TAA又はTSAの標的は、結合時に内部移行されない。
【0065】
次に、より詳細に本発明に目を向けると、一態様において、本発明は少なくとも1つのTRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチド結合メンバーを含む、多量体化ドメインを含む非天然のポリペプチドに対するものである。本発明によると、結合メンバーは、多量体化ドメインのN末端又はC末端いずれかのアミノ酸残基に連結することができる。また、ある実施形態において、単量体の多量体化ドメインのN末端及びC末端の両方に対する結合メンバーに連結し、それによってTRAIL死受容体に結合することができる結合メンバーを6個含む多量体化ポリペプチド複合体を提供するのが有利であり得る。本発明のポリペプチドは非天然のポリペプチド、例えば、多量体化ドメインとTRAIL死受容体に結合するポリペプチド配列との融合タンパク質である。非天然のポリペプチドは、天然に存在するアミノ酸配列が、アミノ酸の付加、欠失、又は置換によって変更された、天然のポリペプチドであってもよい。このようなポリペプチドの例には、ドメインの1つ又は複数のループ領域が本明細書に記載するように修飾されているC型レクチン様ドメイン(CTLD)を有するポリペプチドが含まれる。天然に存在するTRAIL死受容体は、本発明の範囲内の非天然のポリペプチドではない。本発明のこの態様において、3量体化ドメインは、TRAIL死受容体に結合する天然に存在するポリペプチドから得ることができる配列ではなく、天然に存在するポリペプチドに対する実質的な相同性を有さない。本発明の他の態様において、少なくとも1つのTRAIL死受容体に結合するポリペプチドは、死受容体に結合する天然のポリペプチドのフラグメント又は変異体であり、この場合、天然に存在するポリペプチド、変異体、又はフラグメントが多量体化ドメインに融合している場合、融合タンパク質はもはや天然に存在するポリペプチドではない。したがって、本発明は、本発明の融合タンパク質の一部分から、天然に存在するポリペプチド、そのフラグメント、又は変異体を除外するものではない。
【0066】
本発明の様々な態様において、多量体化ドメインは、本明細書に記載する非限定的な例などの3量体化ドメインである。
【0067】
本態様の一実施形態において、ポリペプチドは、腫瘍細胞におけるアポトーシスを活性化するTRAIL死受容体に結合する。一実施形態において、ポリペプチドは、TRAIL−R1(DR4)(配列番号42)、又はTRAIL−R2(DR5)(配列番号43)、又はこれらの保存的置換の変異体に結合する。特定の一実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも1つのTRAIL囮受容体に特異的に結合しない。
【0068】
様々な態様において、単量体のポリペプチドは少なくとも2つのセグメント:他の多量体化ドメインと多量体複合体を形成することができる多量体化ドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体と結合するポリペプチド配列を含む。TRAIL死受容体に結合する配列は、ドメインのN末端で、C末端で、又はN末端及びC末端の両方で、多量体化ドメインと融合していてよい。
【0069】
一実施形態において、TRAIL−R1(DR4)(配列番号42)、又はTRAIL−R2(DR5)(配列番号43)に結合する第1のポリペプチドは3量体化ドメインのN末端及びC末端の一方で融合しており、TRAIL−R1(DR4)(配列番号42)、又はTRAIL−R2(DR5)(配列番号43)に結合する第2のポリペプチドは3量体化ドメインのN末端又はC末端の他方で融合している。
【0070】
さらなる一実施形態において、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの両方がTRAIL−R1(DR4)(配列番号42)に結合し、又は第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの両方がTRAIL−R2(DR5)(配列番号43)に結合する。さらなる一実施形態において、第1のポリペプチドがTRAIL−R1(DR4)(配列番号42)に結合し、第2のポリペプチドがTRAIL−R2(DR5)(配列番号43)に結合する。両方の受容体を標的にする二重特異性分子の利点は、DR4及びDR5の両方を発現するある患者での発現と、一方又は他方のいずれかを発現する他の患者での発現との差により、効力が大きく、適用範囲が広いことである。また、分子の両終端上に腫瘍細胞が特異的に結合することにより、二重特異性分子はスーパークラスター形成の、即ち両方向において媒介されるスーパークラスター形成効果をもたらすことが予想される。
【0071】
TRAIL受容体は、ヒトの組織にわたって相当広範に発現されるので、本発明の別の一態様は、ドメインの一終端(N末端又はC末端のいずれか一方)に、DR4又はDR5のいずれかに結合するポリペプチドを有し、他方の終端(N末端又はC末端の他方)に、腫瘍関連(TAA)抗原又は腫瘍特異性(TSA)抗原に結合するポリペプチドを有する3量体化ドメインを含む。TAA又はTSAに結合するドメインはペプチド、例えば、CTLD、単鎖抗体、又は所望の標的に特異的に結合するあらゆるタイプのドメインであってよい。これらの場合において、アポトーシスを促進する標的に対するアゴニスト活性は、所与の腫瘍細胞表面上のTAA又はTSAに結合し、近傍の別の腫瘍細胞と相互作用する多数の3量体複合体によって媒介されるスーパークラスター形成で大幅に増強される。さらに、腫瘍特異的ペプチド結合性ドメインは、薬物(3量体複合体と結合している)を腫瘍部位に方向付けることにより、腫瘍死滅活性をより特異的のものにすることができ、腫瘍特異性によって標的の滞留時間を改善することができる。結合活性の利点(近接の結合アームが3本対2本)による標的滞留時間が改善されるとともに、抗体に比べて小さいサイズ(約70kD対150kD)による腫瘍の浸透の改善により、さらなる有効性及び安全性の利点がもたらされると予想される。
【0072】
特定の一取組みにおいて、正常組織に対する毒性の潜在的な危険性は、3量体化ドメインの一終端のDR4又はDR5結合性ポリペプチドによって媒介される弱いアゴニスト活性を有し、3量体化ドメインの第2の終端上の腫瘍特異的なポリペプチドによって媒介されるクラスター形成が改善されている分子をデザインすることによって低減することができる。様々な態様において、ポリペプチドは、TAA又はTSAに対するよりも低い親和性で死受容体に結合する。より詳しくは、ポリペプチドは、TAA又はTSAに少なくとも2倍大きな親和性で、例えば、ポリペプチドが死受容体に結合するよりも、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、10、15、20、50、及び100倍大きな親和性で結合する。
【0073】
腫瘍の抗原標的部位に対するより高い親和性は、TRAIL受容体及びTAA又はTSA標的薬剤の両方に結合しながらTRAIL受容体の内部移行を防ぐことにより、潜在的に効力を増強することもある。同様に、死受容体アゴニストの、クロルプロマジンなど、内部移行を防止する薬剤との併用治療又は化学的連結は、TRAIL受容体アゴニストの効力を増強することがある(Zhangら、Mol.Cancer Res.(2008年)6巻、1861〜72を参照されたい)。
【0074】
一態様において、本発明は、1つ又は複数のTRAIL死受容体に結合するが、受容体に対するアゴニストであるポリペプチドを対象とするものである。DR4/DR5に結合するがアゴニスト活性を欠くポリペプチドを用いてペイロードを送達し、それによって癌細胞を死滅させる。DR4/DR5受容体は内部移行されている(Kohlhaas、J Biol Chem.、2007年4月27日、282巻(17)、12831〜41頁)。
【0075】
さらに、TRAIL受容体アゴニストの効力は、3量体化ドメインの一終端にDR4又はDR5アゴニスト、及び3量体化ドメインの他方の終端上にTNF受容体アゴニスト、FN14アゴニスト、FAS受容体アゴニスト、LIGHT受容体アゴニストを有する二重特異性分子を提供することによって、TRAIL受容体と相乗的に働く死受容体を標的にすることによって増強され得る(明細書の終わりの表XXを参照されたい)。
【0076】
TRAIL受容体結合性ポリペプチド(単数若しくは複数)、及びTAA又はTSA標的薬剤(単数若しくは複数)の両方を有する3量体複合体に対する徴候には、非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌、卵巣癌、腎臓癌、膵臓癌、肉腫、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫、乳癌、前立腺癌、メラノーマ、神経膠芽腫、神経芽細胞腫が含まれる。
【0077】
さらに、正常細胞は細胞表面上にホスファチジルセリンを提示しないが、アポトーシスを起こしている細胞は、表面上のホスファチジルコリンをホスファチジルセリンに切り替えている。したがって、アポトーシス細胞を、ホスファチジルセリン結合性薬剤によって標的にすることができる。ホスファチジルセリン結合性薬剤には、それだけには限定されないが、抗体、抗体フラグメント、例えば、Burteaら(Mol Pharm.、2009年9月10日[印刷に先行してオンラインで発行された]によって記載されているCTLD又はペプチドが含まれる。一終端上にDR4及び/又はDR5アゴニスト活性を有し、他方の終端にホスファチジルセリン標的ペプチドを有する分子は、DRアゴニストのより良好な腫瘍標的をもたらし、及び架橋により潜在的に効力を増強する。
【0078】
別の一態様において、TRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチドは、CTLDのループ領域中に含まれている。ポリペプチドはTRAILポリペプチドであってよく、又は本明細書に提供する通りに同定される配列であってよいが、天然に存在するTRAIL配列若しくはそのフラグメントではなく、本明細書に記載するTRAILポリペプチドではない。この態様において、配列はCTLDのループ領域中に含まれ、CTLDは、直接又は好適なリンカーによってドメインのN末端又はC末端の3量体化ドメインに融合している。また、本発明のポリペプチドは、他方のN末端及びC末端で融合している第2のCLTDドメインを含むことができる。本態様の一変形において、ポリペプチドは、3量体化ドメインの末端の一方でTRAIL死受容体に、末端の他方でCLTDに結合するポリペプチドを含む。1つ、2つ、又は3つのポリペプチドが、TRAIL死受容体に特異的な結合メンバーを最高6個含む3量体複合体の部分であってよい。
【0079】
本発明のポリペプチドは、天然のTRAIL配列、又はランダム配列中に、TRAIL囮受容体ではなく、DR4受容体又はDR5受容体のいずれかに選択的な結合親和性を有する1つ又は複数のアミノ酸変異を含むことができる。別の一実施形態において、TRAIL変異体又はランダム配列は、TRAIL囮受容体ではなく、DR4及びDR5の両方に選択的な結合親和性を有する。様々な実施形態において、配列はDR4に選択的に結合するが、DR5及び囮受容体には結合しない。類似の一実施形態において、配列はDR5に結合するが、DR4及び囮受容体には結合しない。
【0080】
1つ又は複数のTRAIL死受容体に結合するポリペプチド配列は、天然のTRAILが死受容体(単数若しくは複数)に対して有する結合親和性におよそ等しいDR4及び/又はDR5に対する結合親和性を有することができる。ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、天然のTRAILが同じTRAIL死受容体(単数又は複数)に対して有する結合親和性より大きい、1つ又は複数のTRAIL死受容体(単数若しくは複数)に対する結合親和性を有する。
【0081】
一態様において、本発明のTRAIL死受容体アゴニストは、DR4及びDR5受容体に対して選択的である。例えば、このような結合メンバーのDR4又はDR5受容体に対する結合親和性が、天然配列のTRAILに比べて、およそ等しい(非変化)又はそれより大きい(増大)場合、及び結合メンバーの囮受容体に対する結合親和性が天然配列のTRAILに比べて低い、又はほぼ除去されている場合、本明細書の目的では、結合メンバーの結合親和性はDR4又はDR5受容体に対して「選択的である」とみなされる。別の一例において、死受容体に対する結合メンバーの親和性は同じ受容体に対するTRAILの親和性より低いが、囮受容体よりも死受容体に対して高い親和性を有すれば、結合メンバーは受容体に対して依然として選択的である。本発明の好ましいDR4及びDR5選択的アゴニストは、囮受容体に比べて死受容体に対して少なくとも5倍、好ましくは少なくとも10倍大きい結合親和性を有し、さらにより好ましくは、囮受容体に比べて死受容体に対して少なくとも100倍大きい結合親和性を有する。結合メンバーはDR4及びDR5に対して異なる結合親和性を有していてよい。
【0082】
当技術分野では知られている、ELISA、RIA、及び/又はBIAcoreアッセイによって、アゴニストのそれぞれの結合親和性を決定することができ、天然のTRAIL、又はその一部分の結合の性質と比べることができる。本発明の好ましいDR4及びDR5選択的アゴニストは、少なくとも1タイプの哺乳動物細胞(例えば、癌細胞)においてアポトーシスを誘発し、このようなアポトーシス活性は、アラマー(alamar)ブルーアッセイ又はクリスタルバイオレットアッセイなど、技術分野では知られている方法によって決定することができる。
【0083】
一実施形態において、TRAIL死受容体アゴニストは、抗体又は抗体フラグメントを含む。現在の文脈において、「抗体」の語は、天然であっても、又は部分的に若しくは完全に合成的に生成されても、免疫グロブリンを記載するために用いられる。抗体は数々の方法で修飾することができるので、「抗体」の語は、所望の受容体特異性を有する結合性ドメインを有するあらゆる特異的な結合メンバー又は物質を網羅するものと解釈すべきである。したがって、この語は、天然であっても、又は完全に若しくは部分的に合成的であっても、免疫グロブリン結合性ドメインを含むあらゆるポリペプチドを含む、抗体のフラグメント、誘導体、機能的同等物、及び抗体の相同体を網羅するものである。別のポリペプチドに融合している、免疫グロブリン結合性ドメインを含むキメラの分子、又は同等物も、したがって含まれる。この語はまた、抗体模倣物など、抗体結合性ドメインである、又は抗体結合性ドメインと相同である結合性ドメインを有するあらゆるポリペプチド又はタンパク質を網羅する。これらは天然の供給源に由来していてよく、又はこれらは部分的に若しくは完全に合成的に生成されてもよい。抗体の例には、免疫グロブリンイソ型及びこれらのイソ型のサブクラス;Fab、Fab’、F(ab’)、scFv、Fv、dAb、Fdなどの抗原結合性ドメインを含むフラグメント;並びにダイアボディがある。
【0084】
別の一態様において、本発明は、各々のポリペプチドが、多量体化ドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体に結合するポリペプチドを少なくとも1つ含む、3つのポリペプチドの多量体複合体に対するものである。一実施形態において、多量体複合体は、ヒトテトラネクチン3量体化構造要素に実質的な相同性を有するポリペプチド、マンノース結合性タンパク質(MBP)3量体化ドメインを含む他のヒト3量体ポリペプチド、コレクチン頸部ポリペプチド、及び他者から選択される多量体ドメインを有するポリペプチドを含む。多量体複合体は、多量体複合体のポリペプチドが、相互に会合して多量体を形成することができる多量体化ドメインを含む、本発明のあらゆるポリペプチドからなっていてよい。したがって、いくつかの実施形態において、多量体複合体は、同じアミノ酸配列を有するポリペプチドからなるホモ多量体複合体である。他の実施形態において、多量体複合体は、例えば、異なる多量体化ドメイン、及び/又はTRAIL死受容体に結合する異なるポリペプチドなどの、異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドからなるヘテロ多量体複合体である。このような実施形態において、TRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチドは、同じTRAIL死受容体を標的にすることができる。他の実施形態において、TRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチドは、DR4及びDR5など、異なるTRAIL死受容体を標的にする。したがって、ある実施形態において、多量体複合体は本発明のポリペプチドを含み、各ポリペプチドはDR4に結合する少なくとも1つのポリペプチド及び/又はDR5に結合する少なくとも1つのポリペプチドを含み、該DR4結合性ポリペプチドは同じでも異なってもよく、該DR5結合性ポリペプチドは同じでも異なってもよい。
【0085】
さらに、一態様において、本発明は、(a)DR4又はDR5に特異的に結合するがTRAIL囮受容体には結合しない第1のポリペプチド(単数又は複数)を選択すること、(b)第1のポリペプチド(単数又は複数)をテトラネクチンCTLDの1つ又は2つのループ領域中にグラフトして第1の結合決定因子を形成すること、或いはポリペプチドをTTSEに直接融合すること、(c)第1のCTLDをテトラネクチン3量体化構造要素のN末端又はC末端の1つと融合することを含む、TRAILに対する少なくとも1つの死受容体を発現する細胞におけるアポトーシスを誘発するポリペプチドを調製するための方法に関する。この態様の別の一実施形態において、方法は、(a)第1のポリペプチドに比べて他のDR4及びDR5に特異的に結合するように選択される第2のポリペプチド(単数又は複数)を選択すること、(b)第2のポリペプチド(単数又は複数)をテトラネクチンCTLDの1つのループ領域中にグラフトして第2の結合決定因子を形成すること、或いはポリペプチドをTTSEに直接融合すること、並びに(c)第2のCTLDをテトラネクチン3量体化構造要素のN末端又はC末端の他方と融合することをさらに含む。
【0086】
テトラネクチンCTLDは、その中にTRAIL死受容体に対する結合メンバーを挿入することができる最高5個のループ領域を有する。したがって、本発明のポリペプチドがCTLDを含む場合、ポリペプチドは、CTLDによって3量体化ドメインに付着するTRAIL死受容体に対して最高4個の結合メンバーを有することができる。各々の結合メンバーは同じでもよく、又は異なっていてもよく、DR4若しくはDR5のいずれか、又は両方に対するアゴニストであってもよい。
【0087】
本発明のポリペプチドの他の態様において、受容体アゴニストは3量体化ドメインの1末端に結合することができ、1つ若しくは複数の治療薬が第2の末端に結合していてよい。薬剤は、直接結合していてよく、又は当業者であれば理解される好適なリンカーによって結合していてもよい。このような薬剤は、アゴニストと同じアポトーシス経路において働いてもよく、又は癌及び他の状態を治療するための異なる経路において働いてもよい。また、このような薬剤は、DR4及びDR5の発現を上方制御することができる。ポリペプチドの末端の1つに結合していることの他に、薬剤は、3量体化ドメインにおける側鎖に対するペプチド結合によって、又はシステイン残基に対する結合によって3量体化ドメインに共有結合的に連結していてよい。薬剤をモジュールに共有結合的にカップリングする他の方法は、例えば、本明細書に参照によって援用されるUS6,190,886において示す通りに用いることもできる。
【0088】
TRAIL死受容体に特異的なポリペプチド配列の同定
一態様において、TRAIL死受容体に特異的な結合メンバーを、受容体に特異的に結合するライブラリーのメンバーを選択することによって、ポリペプチドのランダムライブラリーから得ることができる。推定上のリガンド結合部位を有する表現型をディスプレイするための数々のシステムが知られている。これらには、ファージディスプレイ(例えば、繊維状ファージfd[Dunn(1996年)、Griffiths及びDuncan(1998年)、Marksら(1992年)]、λファージ[Mikawaら(1996年)])、真核生物ウイルス上のディスプレイ(例えば、バキュロウイルスb[Ernstら(2000年)])、細胞ディスプレイ(例えば、細菌細胞上のディスプレイ[Benharら(2000年)]、酵母菌細胞[Boder及びWittrup(1997年)]、並びに哺乳動物細胞[Whitehornら(1995年)]、リボソーム連結ディスプレイ[Schaffitzelら(1999年)]、並びにプラスミド連結ディスプレイ[Gatesら(1996年)]が含まれる。
【0089】
また、その全文が参照によって本明細書に援用されるUS2007/0275393は、CTLDライブラリーを産生するためのディスプレイシステムを達成するための手順を詳しく記載している。一般的な手順は以下を含む:(1)3D構造などの情報が入手可能な場合には、選択したCTLDの3D構造を参照することによるループ領域の位置の同定、又は入手可能ではない場合は、やはり上記に開示した通り、β2及びβ3コンセンサス配列エレメント並びにβ4鎖の特徴に対応する配列エレメントの同定によるさらなる確証による助けで、既知の配列との配列アラインメントによるβ2、β3、及びβ4鎖の配列位置の同定、(2)β2、β3、及びβ4をコードする配列に近いエンドヌクレアーゼ制限部位を予め挿入した、又は予め挿入しない、タンパク質ディスプレイベクター系における、選択したCTLDをコードする核酸フラグメントのサブクローニング、並びに(3)受け入れ側のフレームワークをコードする核酸コンテクスト内への挿入後に、オリジナルのループ領域のポリペプチドフラグメントをコードする核酸フラグメントを、ランダムに選択した核酸フラグメントで置換する多数の核酸フラグメントからなる集合のランダムに選択されたメンバーで、選択したCTLDのループ領域の一部又は全てをコードする核酸フラグメントを置換すること。クローニングされた核酸フラグメントは各々、オリジナルのループセグメント又は全体のループ領域を置き換える新しいポリペプチドをコードしており、その新しい配列のコンテクスト内に決定された読み枠で解読される。
【0090】
TRAIL−R1(DR4)及びTRAIL−R2(DR5)受容体を通してシグナル伝達してアポトーシスを誘発する、ホモ3量体タンパク質として機能する複合体が形成され得る。TRAILリガンドによるこれらの受容体の3量体化は、死誘導シグナリング複合体(DISC)の形成及びその後のアポトーシスシグナリング経路の完全誘導に関与するので、ヒトテトラネクチンタンパク質の3量体構造は、TRAIL−R1及びTRAIL−R2受容体に対する結合、並びに受容体及びアゴニスト活性の3量体化の誘発ができるメンバーを有するライブラリーを構築する独特に理想的な骨格を提示する。しかし、TRAIL受容体結合活性を有するペプチドを最初に同定しなければならない。これを達成するには、結合活性が既知であるペプチドを用いてもよく、又はさらなる新しいペプチドをディスプレイライブラリーからのスクリーニングによって同定してもよい。それだけには限定されないがファージ、リボソーム、及び酵母菌のディスプレイなど、数々の異なるディスプレイ系が入手可能である。
【0091】
結合活性を有する新しいペプチドを選択するため、ライブラリーを構築し、単一の単量体CTLDドメイン、又はファージの表面上にディスプレイされた個々のペプチドのいずれかとして、単量体要素としてのTRAIL受容体への結合に対して最初にスクリーニングすることができる。TRAIL受容体結合活性を有する配列が同定されたら、これらの配列を引き続きヒトテトラネクチンの3量体化ドメイン上にグラフトして、アゴニスト活性(アポトーシス)を誘発するための3量体複合体において3つの受容体を結合することができる潜在的なタンパク質治療薬を作り出す。
【0092】
これらのファージディスプレイライブラリー及び3量体化ドメイン構築物の構築において、4つの主要な戦略を用いることができる。第1の戦略は、ランダムペプチドファージディスプレイライブラリーの構築及び/又は使用である。ジスルフィド制限ループとして構築されたランダムの直鎖状ペプチド及び/又はランダムペプチドが、ファージ粒子の表面上に個々にディスプレイされ、ファージディスプレイの「パニング」によって所望のTRAIL受容体に対する結合に関して選択される。TRAIL受容体結合活性を有するペプチドクローンを得た後、これらのペプチドをヒトテトラネクチンの3量体化ドメイン上に、又はCTLDドメインのループ中にグラフトし、その後3量体化ドメイン上にグラフトし、アゴニスト活性に対してスクリーニングする。
【0093】
ファージディスプレイライブラリー及び3量体化ドメイン構築物の構築に対する第2の戦略は、CTLD由来のバインダーを得ることを含む。ライブラリーは、ファージの表面上にディスプレイされるヒトテトラネクチンのCTLD骨格内の5つの異なるループの1つ又は複数におけるアミノ酸をランダム化することによって構築することができる。TRAIL受容体に対する結合を、ファージディスプレイのパニングによって選択することができる。TRAIL受容体結合活性を示すペプチドループを有するCTLDクローンを得た後、次いで、これらのCTLDクローンをヒトテトラネクチンの3量体化ドメイン上にグラフトし、アゴニスト活性に対してスクリーニングすることができる。
【0094】
ファージディスプレイライブラリー及び3量体化ドメイン構築物の構築に対する第3の戦略は、TRAIL受容体に対する結合能力を有する既知の配列を選択すること、及びこれらをヒトテトラネクチンの3量体化ドメイン上に直接グラフトすること、及びアゴニスト活性に対してスクリーニングすることを含む。
【0095】
第4の戦略は、TRAIL受容体に対する結合能力が既知であるペプチド配列を用いて、ペプチドに隣接するランダム化されたアミノ酸、及び/又はペプチド内のランダム化された選択された内部アミノ酸を有する新しいライブラリーを作り出すことによってこれらの結合を最初に改善し、その後ファージディスプレイによって改善された結合を選択することを含む。親和性の改善されたバインダーを得た後、これらのペプチドのバインダーをヒトテトラネクチンの3量体化ドメイン上にグラフトし、アゴニスト活性に対してスクリーニングすることができる。この方法において、最初のライブラリーを、ファージ粒子の表面上にディスプレイされた遊離のペプチドとして、第1の戦略として(上述)、又はやはり上記で論じた第2の戦略におけるようにCTLD骨格内の制限ループとしてのいずれかで構築することができる。親和性の改善されたバインダーを得た後、これらのペプチドのヒトテトラネクチンの3量体化ドメイン上へのグラフト、及びアゴニスト活性に対するスクリーニングを行う。
【0096】
3量体化ドメインの切断されたバージョンを、N末端の最高16残基(V17)を除去するのに、又はC末端を変化させるのに用いることができる。Trip V(配列番号)、Trip T(配列番号)、Trip Q(配列番号)、及びTrip K(配列番号)(図3を参照されたい)と呼ばれるC末端変異体により、3量体化ドメイン上のCTLDドメインの独特の提示が可能になる。Trip K変異体は最長の構築物であり、CTLDと3量体化ドメインの間に最長且つ最も柔軟なリンカーを含む。Trip V、Trip T、Trip Qは、いかなる構造上の柔軟さなしに3量体モジュール上に直接CTLD分子の融合物を提示するが、CTLD分子をTrip VからTrip Tに、及びTrip TからTrip Qに1/3旋回させる。これは、これらのアミノ酸の各々がαヘリックスの旋回中にあり、完全に旋回させるには3.2aaが必要とされるという事実による。第1、第3、及び第4の戦略において結合に選択された遊離のペプチドを、3量体化ドメインの上記のバージョンのいずれかの上にグラフトすることができる。次いで、得られた融合物をスクリーニングして、どのペプチドの組合せ、及びどの方向付けが最良の活性をもたらすかを見ることができる。テトラネクチンのCTLDのループ内に制限された結合に対して選択したペプチドを、全長の3量体化ドメインにグラフトすることができる。
【0097】
より詳しくは、4つの戦略を以下に記載する。これらの戦略はファージディスプレイに注目しているが、ポリペプチドを同定する他の同等の方法を用いることができる。
【0098】
戦略1
それだけには限定されないが、New England Biolabs Ph.D.Phage display Peptide Library Kitなどのペプチドディスプレイライブラリーキットが市販されており、TRAIL受容体結合活性を有する新しい、新規なペプチドの選択における使用に購入することができる。New England Biolabsキットの以下の3つの形態が入手可能である:独立したクローンが2.8×10のライブラリーサイズの、アミノ酸長7個の直鎖状ランダムペプチドを含むPh.D−7 Peptide Library Kit、独立したクローンが1.2×10のライブラリーサイズの、アミノ酸長7個のランダムペプチドを有するジスルフィド制限ループとして構築されたペプチドを含むPh.D−C7C Disulfide Constrained Peptide Library Kit、及び独立したクローンが2.8×10のライブラリーサイズの、アミノ酸長12個の直鎖状ランダムペプチドを含むPh.D−12 Peptide Library Kit。
【0099】
或いは、類似のライブラリーを、これらのキット同様、ランダムアミノ酸を含むペプチドで新規に構築することができる。構築にはNNK又はNNSの戦略のいずれかを用いてランダムヌクレオチドを産生するが、この場合NはA、C、G、及びTの4つの核酸塩基の等しい混合物を表す。Kは、G又はTいずれかの等しい混合物を表し、SはG又はCいずれかの等しい混合物を表す。これらのランダム化された位置を、ファージ又はファージミドのいずれかのディスプレイベクター系において遺伝子IIIタンパク質にクローニングすることができる。NNK及びNNSの戦略は両方とも、可能なアミノ酸20個全て、及び1個の終止コドンを網羅し、コードされるアミノ酸の頻度はわずかに異なる。細菌の形質転換の効率に限界があるため、ファージディスプレイ用に産生されるライブラリーサイズは、前記に開始した順番であり、したがって最高7個のランダム化されたアミノ酸の位置を含むペプチドが産生され、それでも理論上の組合せの完全なレパートリーを網羅することができる(20=1.28×10)。NNK又はNNSの戦略のいずれかを用いてより長いペプチドライブラリーを構築することができるが、実際のファージディスプレイライブラリーのサイズは、細菌の形質転換に必要とされるため、このような長さに付随する可能な理論上のアミノ酸の組合せ全てを網羅しない可能性がある。
【0100】
したがって、リボソームディスプレイライブラリーは、より大型の/より長いランダムペプチドが関与する場合に有益であり得る。ジスルフィド制限ライブラリーには、同様のNNK又はNNSランダムヌクレオチドの戦略が用いられる。しかし、これらランダムの位置にはシステインアミノ酸残基が隣接して、ジスルフィド架橋の形成を可能にしている。N末端のシステインには、アラニンなどのさらなるアミノ酸が先行することがよくある。さらに、それだけには限定されないが、いくつかのグリシン残基を作り上げる柔軟なリンカーが、あらゆる上記のランダムペプチドライブラリーに対してペプチドと遺伝子IIIタンパク質の間のスペーサーとして働くことがある。
【0101】
戦略2
図1及び図4に示すヒトテトラネクチンCTLDは5つのループ(LSAに4ループ、及び1ループはLSBを構成する)を含み、これらを様々なタンパク質標的に対してCTLDの結合を付与するように変更することができる。ランダムアミノ酸配列を1つ又は複数のこれらのループに配置して、それから所望の結合の性質を有するCTLDドメインを選択することができるライブラリーを作り出すことができる。ヒトテトラネクチンCTLDの5つのループのあらゆるもの又は全ての中に制限されているランダムペプチドを含むこれらのライブラリーの構築は、戦略1において上記に記載したNNK又はNNSのいずれかを用いて(それだけには限定されないが)、遂行することができる。それによって7つのランダムペプチドをTN CTLDのループ1中に挿入することができる方法の一例は、以下の通りである。
【0102】
フラグメントAのPCRは、CTLDのN末端に結合するフォワードオリゴF1(5’−GCC CTC CAG ACG GTC TGC CTG AAG GGG−3’;配列番号);ループ1に対して5’のDNA配列に結合するリバースオリゴR1(5’−GTT GAG GCC CAG CCA GAT CTC GGC CTC−3’、配列番号49)を用いて行うことができる。フラグメントBは、フォワードオリゴF2(5’−GAG GCC GAG ATC TGG CTG GGC CTC AAC NNK NNK NNK NNK NNK NNK NNK TGG GTG GAC ATG ACC GGC GCG CGC ATC−3’;配列番号)、及びリバースプライマーR2(5’−CAC GAT CCC GAA CTG GCA GAT GTA GGG−3’;配列番号)を用いて作り出すことができる。フォワードプライマーF2は、プライマーR1に相補的であり、ループ1の最初の7個のアミノ酸をランダムアミノ酸で置き換える5’末端を有し、ループ1の最後のアミノ酸及びその配列3’に結合する3’末端を含んでおり、一方、リバースプライマーR2は、CTLD配列の末端に相補的であり、結合する(図6を参照されたい)。フィデリティの高いポリメラーゼ又はtaqのブレンド、及び標準のPCRサーモサイクル条件を用いて、PCRを行うことができる。次いで、フラグメントA及びBをゲル単離し、次いで、上記に記載したプライマーF1及びR2を用いてオーバーラップエクステンションPCR用に組み合わせる。制限酵素Bgl II及びPst Iで消化すると、TN CTLDのループを含むフラグメントの単離が可能になり、遺伝子IIIに融合している、以下に示す修飾されたCTLDの制限を含むファージディスプレイベクター(例えば、CANTAB 5E)(クローニング用にBgl II及びPst Iで同様に消化される)中への引き続きライゲーションが可能になる(図7を参照されたい)。
【0103】
ランダム化されたアミノ酸で置換することによる他のループの修飾は、上記に示したように同様に行うことができる。ループ内の規定されたアミノ酸の、ランダム化されたアミノ酸での置換は、いかなる特定のループに制限されず、ループのオリジナルのサイズにも制限されない。同様に、ループ全体の置換は必要とされず、あらゆるループに対する部分的な置換が可能である。いくつかの場合において、図4に示すカルシウム配位アミノ酸など、ループ内のオリジナルのアミノ酸のいくつかの保持が望ましいことがある。これらの場合において、ランダム化されたアミノ酸での置換が、ループ内のより少ないアミノ酸のいずれかに起きてカルシウム配位アミノ酸を保持することがあり、又はさらなるランダム化されたアミノ酸がループに加えられてループのサイズ全体を増大することがあるが、これらのカルシウム配位アミノ酸は依然として保持される。ループ1及び2、又はループ3及び4などのループ領域を1つの大型の置換ループに組み合わせることによって、非常に大型のペプチドを収容し、試験することができる。さらに、それだけには限定されないが、MBL CTLDなどの他のCLTDを、テトラネクチンのCTLDの代わりに用いることができる。ペプチドのこれらCTLD中へのグラフトは、上記に記載した方法に類似の方法を用いて起こることができる。
【0104】
本発明の様々な例示の態様において、TRAIL死受容体に結合するポリペプチドを、CTLDバックボーンをベースにして、コンビナトリアルペプチドライブラリー、及びライブラリーのポリペプチドをコードする核酸配列のライブラリーを用いて同定することができるが、この場合、ポリペプチドのCTLDは、スキーム(a)〜(g)として同定のみの目的に標識されている数々の例示のスキームに従って修飾されている。
(a)CTLDのループセグメントA(LSA)における4ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数の酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ1における少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及びループ1内の少なくとも5つのアミノ酸のランダム置換を含む)。
(b)CTLDのループセグメントA(LSA)における4ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数のアミノ酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ1内の少なくとも5つのアミノ酸のランダム置換、及びループ2内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換を含む)。
(c)CTLDのループセグメントA(LSA)における4ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数のアミノ酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ1内の少なくとも7つのアミノ酸のランダム置換、及びループ4における少なくとも1つのアミノ酸の挿入を含む)。
(d)CTLDのループセグメントA(LSA)における4ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数のアミノ酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ3における少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及びループ3内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換を含む)。
(e)CTLDのループセグメントA(LSA)における4ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数のアミノ酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾は2つのループを1本のループに合わせる修飾を含み、2つの組み合わされるループはループ3とループ4である)。
(f)CTLDのループセグメントA(LSA)における4ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数のアミノ酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ4における少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及びループ4内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換を含む)。
(g)CTLDのループセグメントA(LSA)及びループセグメントB(LSB)における5ループのうち少なくとも1つにおける1つ又は複数のアミノ酸修飾(1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ3における5つのアミノ酸残基のランダム置換、及びループ5内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換を含む)。
【0105】
したがって、一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を有するポリペプチドメンバーのコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDは、CTLD(ループ5)のLSA又はLSBループにおける4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾は、ループ1における少なくとも1つのアミノ酸の挿入、及びループ1内の少なくとも5つのアミノ酸のランダム置換を含む。
【0106】
コンビナトリアルライブラリーのこの態様の実施形態において、CTLDがヒトテトラネクチン由来である場合、CTLDはまた、アルギニン−130のランダム置換を有する。ヒトテトラネクチンのCTLD以外のCTLDでは、このペプチドは、C末端方向におけるループ2のC末端ペプチドにすぐ隣接して位置する。例えば、マウステトラネクチンにおいて、このペプチドはGly−130である。ヒト又はマウスのテトラネクチンからのCTLDのコンビナトリアルライブラリーのこの態様の実施形態において、CTLDはループ4におけるリシン−148からアラニンへの置換を含む。この態様のある実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ1における2つのアミノ酸挿入、ループ1内の少なくとも5つのアミノ酸のランダム置換、アルギニン−130、又はC末端方向におけるループ2の外側に、及びループ2に隣接して位置する他のアミノ酸のランダム置換、並びにループ4におけるリシン−148からアラニンへの置換を含む。
【0107】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ1内の少なくとも5つのアミノ酸のランダム置換、ループ2内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換、及びアルギニン−130又はC末端方向におけるループ2の外側に、及びループ2に隣接して位置する他のアミノ酸のランダム置換、並びにループ4におけるリシン−148からアラニンへの置換を含む。
【0108】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含み、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ1内の少なくとも7つのアミノ酸のランダム置換、及びループ4における少なくとも1つのアミノ酸挿入を含む。
【0109】
この態様の実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ4内の少なくとも2つのアミノ酸のランダム置換をさらに含む。ある実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ1内の少なくとも7つのアミノ酸のランダム置換、ループ4における3つのアミノ酸挿入、及びループ4内の少なくとも2つのアミノ酸のランダム置換を含む。
【0110】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ3内の少なくとも6つ(例えば、3、4、5、6個若しくはそれを超える)のアミノ酸のランダム置換、及び任意選択で、ループ4におけるリシン−148からアラニンへの置換を含む。
【0111】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ3内の少なくとも1つのアミノ酸挿入及びループ3における少なくとも3つのアミノ酸のランダム挿入、並びにループ4におけるリシン−148からアラニンへの置換を含む。
【0112】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾はループ3における少なくとも1つのアミノ酸挿入、及びループ3内の少なくとも6つのアミノ酸のランダム挿入、並びにループ4におけるリシン−148からアラニンへの置換を含む。
【0113】
この態様の実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ4における少なくとも1つのアミノ酸挿入をさらに含む。ある実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ4内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換をさらに含む。ある実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ3における3つのアミノ酸挿入を含む。ある実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ4における3つのアミノ酸挿入をさらに含む。
【0114】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾は2つのループを1本のループに合わせる修飾を含み、2つの組み合わされるループはループ3とループ4である。
【0115】
この態様の一実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、配列NWEXXXXXXX XGGXXXN(配列番号)を含み、Xはあらゆるアミノ酸であり、アミノ酸配列は、ループ3とループ4が組み合わされ、修飾されたものからの1本のループを形成する。
【0116】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾は、ループ4における少なくとも1つのアミノ酸修飾、及びループ4内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換を含む。
【0117】
この態様の一実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは、ループ4における4つのアミノ酸挿入、及びループ4内の少なくとも3つのアミノ酸のランダム置換を含む。コンビナトリアルライブラリーがループ4領域に1つ又は複数のアミノ酸修飾を含む(単独で、若しくはCTLDの他の領域に対する修飾と組み合わせて)実施形態において、修飾(単数又は複数)は、CTLDの金属イオン結合親和性を維持し、変調し、又は抑止するようにデザインされていてよい。このような修飾は、CTLDのプラスミノーゲン結合活性に影響を及ぼし得る(例えば、Nielboら、Biochemistry、2004年、43巻(27)、8636〜8643頁;又はGraversen、1998年を参照されたい)。
【0118】
さらなる実施形態において、CTLDループ領域を、以下の非限定的な実施例に詳述する例示の構築物を越えて伸長してもよい。所与のライブラリーにおける4つのLSAループ及びLSBループ(ループ5)のさらなるあらゆる組合せは、1つ又は複数のアミノ酸修飾(例えば、挿入、伸長、若しくはランダム化による)を含むことができる。したがって、あらゆる様々な実施形態において、修飾されたCTLDは、単独で、又は(LSA)からのあらゆる1つ、2つ、3つ、若しくは4つのループ領域(ループ1〜4)と組み合わせて、LSBループ領域に対する1つ又は複数のアミノ酸修飾も含むことができる。
【0119】
一態様において、本発明は、修飾されたC型レクチンドメイン(CTLD)を含むポリペプチドメンバーを含むコンビナトリアルポリペプチドライブラリーに関し、修飾されたCTLDはCTLDのループセグメントA(LSA)における4ループの少なくとも1つにおけるアミノ酸修飾を1つ又は複数、及びループセグメントB(LSB、若しくはループ5)におけるアミノ酸修飾を1つ又は複数含み、1つ又は複数のアミノ酸修飾はLSBアミノ酸残基のランダム化を含む。
【0120】
この態様の一実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは修飾されたループ3及び修飾されたループ5領域を含み、修飾されたループ3領域は5つのアミノ酸残基のランダム化を含み、修飾されたループ5領域はループ5を含む3つのアミノ酸残基のランダム化を含む。一実施形態において、コンビナトリアルライブラリーは修飾されたループ3、修飾されたループ5領域、及び修飾されたループ4領域を含み、ループ4に対する修飾はプラスミノーゲン結合を抑止する。一実施形態において、ループ4に対する修飾はリシン148の置換を含む。
【0121】
本明細書に記載する様々な実施形態に従って、CTLD領域からのあらゆる2つ、3つ、4つ、又は5つのループは、1つ又は複数のアミノ酸修飾(例えば、2つのループ領域、3つのループ領域、4つのループ領域、若しくは5つ全てのループ領域に対するランダムなアミノ酸修飾のあらゆるランダムな組合せ)を含むことができる。修飾されたCTLDライブラリーは、αヘリックス又はβ鎖におけるなど、LSA又はLSB領域の外側のCTLDの領域に対するさらなるアミノ酸修飾をさらに含むことができる(例えば、図4を参照されたい)。
【0122】
ある実施形態において、組換えのCTLDライブラリーを、体細胞超変異(例えば、参照によって援用される、米国特許公開第2009/0075378号を参照されたい)ランダムフラグメンテーションによるDNAシャフリング(Stemmer、PNAS、1994年)、ループシャフリング(loop shuffling)、ループウォーキング(loop walking)、エラープローンPCR変異誘発(error−pronePCR mutagenesis)、及び最適の結合活性を有する分子を産生するための配列多様性を作成するのに当技術分野では知られている他の方法を受けさせることができる。さらなる実施形態において、組換えCTLDライブラリーは、任意選択で、ループ領域におけるある種のCa2+配位アミノ酸を保持していてよく、且つ/又はプラスミノーゲン結合活性が排除されていてもよい(下記を参照されたい)。
【0123】
戦略3
TRAIL受容体に対する結合活性を有する数々のペプチドが同定されている。受容体と複合したTRAILリガンドの結晶構造により、結合の相互作用に関与するアミノ酸配列が同定されている(S.G.Hymowitzら、1999年;Sun−Shin Chaら、2000年)。さらに、DR5受容体に結合するペプチド及び抗体の配列分析により、共有トリペプチドモチーフが同定されている(B.Liら、2006年)。これらのペプチドを、遊離の直鎖状ペプチドとして、又はシステインを用いたジスルフィド制限ループとして、N末端又はC末端終端いずれかの3量体化ドメイン上に直接クローニングすることができる。TRAIL受容体に結合することができる単鎖抗体又はドメイン抗体を、3量体化ドメインのいずれかの終端上にクローニングしてもよい。さらに、結合の性質が知られているペプチドを、TN CTLDのあらゆる1つのループ領域中に直接クローニングしてもよい。ジスルフィド制限ループとして、又は抗体の相補性決定領域として選択されたペプチドは、ヒトテトラネクチンのCTLDのループ領域中に再配置するのが極めて容易であることがある。これらの構築物全てに対して、3量体化ドメインと融合する場合の、単量体としての結合、並びに3量体としての結合及びアゴニスト活性化を、次いで、試験することができる。
【0124】
戦略4
いくつかの場合において、結合活性を有するペプチドの直接的なクローニングが十分ではないことがあり、さらなる最適化及び選択が必要とされることがある。例として、それだけには限定されないが上記で言及したものなど、TRAIL受容体に対する結合が知られているペプチドを、ヒトテトラネクチンのCTLD中にグラフトすることができる。結合用のこれらのペプチドの最適な提示に対して選択するために、1つ又は複数の隣接するアミノ酸をランダム化し、その後結合に対してファージディスプレイを選択してもよい。さらに、単独で制限された結合、又は弱い結合を示すペプチドを、別のさらなるループのランダム化を含むCTLDライブラリーのループの1つの中にグラフトし、再びその後、結合及び/又は特異性の増大に対してファージディスプレイによって選択してもよい。さらに、特異的な相互作用/結合性のアミノ酸が知られている場合に結晶構造によって同定されるペプチドでは、非結合性のアミノ酸のランダム化を探索し、その後結合及び受容体の特異性の増大に対してファージディスプレイによって選択してもよい。結合を担うと同定されたTRAILリガンドの領域を、種をまたいで試験してもよい。保存されているアミノ酸は保持されていてよく、種に関係なく保存されている位置に対するランダム化及び選択を試験することができる。
【0125】
治療方法
本発明の別の一態様は、DR4及びDR5の少なくとも1つを発現する腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘発する方法に関する。方法は、細胞を、3量体化ドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチドを少なくとも1つ含む本発明の死受容体アゴニストと接触させることを含む。この態様の一実施形態において、方法は、細胞を本発明の3量体複合体と接触させることを含む。本発明の様々な態様において、タンパク質及び複合体は、カスパーゼ依存性の、及びカスパーゼ非依存性のアポトーシスを誘発する。
【0126】
別の一態様において、本発明は、3量体化ドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチドを少なくとも1つ有するポリペプチドを含む死受容体アゴニストの治療有効量を対象に投与することによって、腫瘍を有する対象を治療する方法に関する。この態様の一実施形態において、方法は、本発明の3量体複合体を対象に投与することを含む。
【0127】
本発明の別の一態様は、併用治療に対するものである。本発明は、死受容体アゴニスト及び治療薬を含む製剤も提供する。このような製剤は、貯蔵に、及び治療上の投与にとりわけ適すると考えられる。製剤は、知られている技術によって調製されてよい。例えば、製剤を、ゲルろ過カラム上のバッファーを交換することによって調製することができる。
【0128】
本明細書に記載する死受容体アゴニスト及び治療薬は、様々な治療上の適用において用いることができる。これらの適用の中には、様々な癌を治療する方法がある。死受容体アゴニスト及び治療薬を、例えば、ボーラスとしての、又はある期間にわたる持続的注入による静脈内投与によって、筋肉内、腹腔内、脳脊髄液内、皮下、関節内、滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、局所、又は吸入の経路によって、知られている方法に従って投与することができる。任意選択で、投与を、様々な市販の機器を用いたミニポンプ注入によって行ってもよい。
【0129】
死受容体アゴニストを投与するのに有効な投与量及びスケジュールは経験的に決定することができ、このような決定を行うのは当業者の範囲内である。単回投与量又は複数回投与量を用いることができる。単独で用いる死受容体アゴニストの有効投与量又は有効量は、1日当たり約1μg/kg体重から約100mg/kg体重までの範囲、又はそれを超えてよいと現在考えられている。投与量の種間スケーリングを、当技術分野では知られている方法で、例えば、Mordentiら、Pharmaceut.Res.、8巻、1351頁(1991年)に開示されている通りに行うことができる。
【0130】
死受容体アゴニストのin vivo投与を用いる場合、標準の投与量の量は、投与経路に応じて、1日当たり哺乳動物の体重当たり約10ng/kgから最高100mg/kgまで又はそれを超えて、好ましくは約1μg/kg/日から10mg/kg/日まで変化することができる。特定の投与量及び送達の方法に関する指図は、文献において提供される(例えば、米国特許第4,657,760号、第5,206,344号、又は第5,225,212号を参照されたい)。当業者であれば、様々な製剤が様々な治療用化合物及び様々な障害に有効であり、例えば、1つの器官又は組織を標的にする投与は、別の器官又は組織に対する投与とは異なる方法の送達を必要とし得ることを理解するであろう。当業者であれば、投与しなければならない死受容体アゴニストの投与量は、例えば、死受容体アゴニストを投与する哺乳動物、投与経路、及び哺乳動物に投与する他の薬物又は治療法に応じて変化することを理解するであろう。
【0131】
本方法においてまたさらなる治療法を用いることができることが企図される。1つ又は複数の他の治療法には、それだけには限定されないが、放射線治療、サイトカイン(単数又は複数)、増殖阻害薬(単数又は複数)、化学療法薬(単数又は複数)、細胞毒性薬(単数又は複数)、チロシンキナーゼ阻害薬、rasファルネシルトランスフェラーゼ阻害薬、血管新生阻害薬、及びサイクリン依存性キナーゼ阻害薬、又は当技術分野では知られている死受容体アゴニストによって死滅に対する癌細胞の感受性を増強するあらゆる他の薬剤の投与が含まれ得る。
【0132】
化学療法薬に対する調製及び投与のスケジュールを、製造元の指示に従って、又は当業者が経験的に決定した通りに用いることができる。このような化学療法に対する調製及び投与のスケジュールは、Chemotherapy Service編集、M.C.Perry、Williams及びWilkins、Baltimore、Md.(1992年)にも記載されている。化学療法薬は、Apo2L変異体の投与前若しくは投与後であってよく、又はそれと同時に投与してもよい。
【0133】
死受容体アゴニスト及び治療薬(及び1つ又は複数の他の治療法)は、同時に(一緒に)又は逐次に投与されてよい。特定の実施形態において、本発明の非天然のポリペプチド、又はその多量体(例えば、3量体)複合体、及び治療薬は同時に投与される。別の一実施形態において、ポリペプチド又は3量体複合体は、治療薬を投与する前に投与される。別の一実施形態において、治療薬は、ポリペプチド又は3量体複合体の前に投与される。投与後、in vitroで治療した細胞を分析することができる。in vivoの治療が存在する場合、治療した哺乳動物を、当業者にはよく知られている様々な方法においてモニタリングすることができる。例えば、腫瘍組織を、病理学的に試験して細胞死に対してアッセイすることができ、又は血清を免疫系の反応に対して分析することができる。
【0134】
薬剤組成物
さらに別の一態様において、本発明は、治療有効量の本発明のポリペプチドを、薬学的に許容される担体又は賦形剤と一緒に含む薬剤組成物に関する。本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」又は「薬学的に許容される賦形剤」は、生理学的に適合性である、あらゆる全ての溶剤、分散媒体、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張化剤及び吸収遅延剤などを含む。薬学的に許容される担体又は賦形剤の例には、1つ又は複数の水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、及びこれらの組合せが含まれる。多くの場合において、等張化剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、又は塩化ナトリウムを組成物中に含むのが好ましい。湿潤量又は少量の補助物質、例えば、抗体又は抗体部分の有効期間又は有効性を増強する、湿潤剤又は乳化剤、保存剤又はバッファーなどの薬学的に許容される物質も含まれていてよい。任意選択で、例えば、架橋したポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸又はその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムなどの崩壊剤も含まれていてよい。賦形剤の他に、薬剤組成物は、1つ又は複数の以下のものを含むことができる:担体タンパク質、例えば血清アルブミン、バッファー、結合剤、甘味剤及び他の香味剤、着色剤及びポリエチレングリコール。
【0135】
組成物は、例えば、液体、半固形、及び固体の剤形、例えば、液剤(例えば、注射用液剤及び注入用液剤)、分散剤又は懸濁剤、錠剤、丸剤、散剤、リポソーム、及び坐剤を含む様々な形態であってよい。好ましい形態は、意図する投与経路及び治療上の適用による。一実施形態において、組成物は、抗体でヒトを受動免疫するのに用いるのと同様の組成物など、注射用又は注入用液剤の形態である。一実施形態において、投与の様式は非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。一実施形態において、ポリペプチド(又は3量体複合体)を、静脈内注入又は注射によって投与する。別の一実施形態において、ポリペプチド又は3量体複合体を、筋肉内注射又は皮下注射によって投与する。
【0136】
薬剤組成物に適する他の投与経路には、それだけには限定されないが、直腸内、経皮、膣内、経粘膜、又は腸管投与が含まれる。
【0137】
治療用組成物は、典型的には無菌であり、製造及び貯蔵の条件下で安定である。組成物を、液剤、マイクロエマルジョン、分散剤、リポソーム、又は高濃度の薬物に適する他の秩序だった構造として調合することができる。滅菌の注射用液剤は、有効化合物(即ち、ポリペプチド、又は3量体複合体)を必要量の好適な溶媒中に、所望により先に列挙した成分の1つ又は組合せと組み入れ、その後ろ過滅菌することによって調製することができる。一般的に、分散剤は、有効化合物を、分散基剤及び先に列挙したものからの必要とされる他の成分を含む無菌のビヒクル中に組み入れることによって調製される。無菌の注射用液剤を調製するための無菌の散剤の場合、好ましい調製方法は、有効成分プラス予め滅菌ろ過したその溶液からのあらゆるさらなる望ましい成分の粉末をもたらす、真空乾燥及び凍結乾燥である。例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散剤の場合は必要とされる粒子サイズを維持することによって、及び界面活性剤の使用によって、溶液の適当な流動性を維持することができる。注射用組成物の吸収の延長は、組成物中に吸収を遅らせる物質、例えば、モノステアリン酸塩及びゼラチンを含むことによってもたらすことができる。
【0138】
本明細書に記載する障害の治療に有用な死受容体アゴニスト及び治療薬を含むキットなどの製造品は、少なくとも容器及びラベルを含む。適切な容器には、例えば、ビン、バイアル、シリンジ、及び試験管が含まれる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの様々な材料から形成されていてよい。容器上の、又は容器に付随するラベルは、選択された状態を治療するために製剤が用いられることを示すものである。製造品は、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液などの薬学的に許容されるバッファーを含む容器をさらに含むことができる。これはさらに、他のバッファー、希釈剤、ろ紙、針、シリンジ、及び使用のための指示を有する包装挿入物を含めた、販売の及びユーザーの視点から望ましい他の材料を含むことができる。製造品は、先に記載した別の有効薬剤を有する容器も含むことができる。
【0139】
典型的には、好適な量の薬学的に許容される塩を製剤中に用いて、製剤を等張にする。薬学的に許容される担体の例には、食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液が含まれる。製剤のpHは、好ましくは約6から約9まで、より好ましくは約7から約7.5までである。当業者であれば、死受容体アゴニスト及び治療薬の投与経路及び濃度などに応じて、ある種の担体がより好ましいことがあることは明らかである。
【0140】
治療用組成物は、好適な純度を有する所望の分子を、任意選択の薬学的に許容される担体、賦形剤、又は安定化剤と混合することによって、凍結乾燥製剤、水性液剤、又は水性懸濁液剤の形態で調製することができる(「レミントンの薬剤科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、第16版、Osol,A.編集(1980年))。許容される担体、賦形剤、又は安定化剤は、使用する投与量及び濃度でレシピエントに非毒性であることが好ましく、Tris、HEPES、PIPES、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;保存剤(例えば、塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチルアルコール又はベンジルアルコール;メチルパラベン又はプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3−ペンタノール、及びm−クレゾール);低分子量(残基約10個未満)のポリペプチド;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、又はリシン;単糖、二糖、及び他の炭水化物(グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む);糖、例えば、ショ糖、マンニトール、トレハロース、又はソルビトール;塩形成性の対イオン、例えば、ナトリウム;並びに/或いは非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、又はポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。
【0141】
このような担体のさらなる例には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、バッファー物質、例えば、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩、又は電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、及びセルロースベースの物質が含まれる。局所用又はゲルベースの形態用の担体には、多糖、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム又はメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロック重合体、ポリエチレングリコール、及びウッドワックスアルコール(wood wax alcohol)が含まれる。全ての投与に対して、従来のデポー形態が適切に用いられる。このような形態には、例えば、マイクロカプセル、ナノカプセル、リポソーム、プラスター、吸入形態、鼻スプレー、舌下錠、及び徐放性調製物が含まれる。
【0142】
in vivo投与で用いるための製剤は無菌でなければならない。これは凍結乾燥及び再構成の前に、又は後に、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に行われる。製剤を、全身投与する場合には凍結乾燥形態又は液剤において貯蔵することができる。凍結乾燥形態における場合は、典型的には、使用時に好適な希釈剤で再構成するための他の成分と組み合わせて調合される。液体製剤の一例は、皮下注射用の単回投与量バイアル中に充填された、無菌の、澄明な、無色の新鮮な溶液である。
【0143】
治療用製剤は、一般的に、無菌のアクセスポート(access port)を有する容器、例えば、静脈内液剤用バッグ又は皮下注射針によって孔をあけることができるストッパーを有するバイアルの中に配置される。製剤を、繰り返し、静脈内(i.v.)、皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)の、注射若しくは注入として、又は経鼻若しくは肺内送達に適するエアロゾル製剤として投与するのが好ましい(肺内送達については、例えば、EP257,956を参照されたい)。
【0144】
本明細書に開示する分子は、徐放調製物の形態で投与することもできる。徐放調製物の適切な例には、タンパク質を含む固体の疎水性ポリマーの半透性のマトリクスが含まれ、このマトリクスは造形品(例えば、フィルム又はマイクロカプセル)の形態における。徐放マトリクスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら、J.Biomed.Mater.Res.、15巻、167〜277頁(1981年)、及びLanger、Chem.Tech.、12巻、98〜105頁(1982年)によって記載されているポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、又はポリ(ビニルアルコール))、ポリ乳酸(米国特許第3,773,919号、EP58,481)、L−グルタミン酸とγエチル−L−グルタメートの共重合体(Sidmanら、Biopolymers、22巻、547〜556頁(1983年))、非分解性のエチレン−酢酸ビニル(Langerら、上述)、分解性の乳酸−グリコール酸共重合体、例えば、Lupron Depot(乳酸−グリコール酸共重合体と酢酸ロイプロリドからなる注射用微粒子)、及びポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が含まれる。
【0145】
ポリペプチドの生成
本発明のポリペプチドは、ポリペプチドが発現される条件下で、ポリペプチドをコードするベクターで形質転換した宿主を培養することによって、あらゆる適切な標準タンパク質発現系中に発現されてよい。好ましくは、発現系は、そこから所望のタンパク質を単離するのが容易であり得る系である。一般的に、原核生物の発現系は、高い収量のタンパク質を得ることができ、効率的な精製及びリフォールディングの戦略がもたらされるので、利用可能である。したがって、好適な発現系(ベクター及び細胞型を含む)の選択は当業者の知識の範囲内である。同様に、本発明のポリペプチドに対するアミノ酸の一次配列が選択されれば、当業者であれば、選択された宿主におけるコドンバイアス、宿主における分泌シグナル配列の必要性、シグナル配列内のプロテイナーゼ切断部位の導入などの要因を考慮に入れて、所望のアミノ酸配列をコードする好適な組換えDNA構築物を容易にデザインすることができる。
【0146】
一実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、TRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチド、及び3量体化ドメインをコードする。一実施形態において、単離されたポリヌクレオチドは、TRAIL死受容体に特異的に結合する第1のポリペプチド、TRAIL死受容体に特異的に結合する第2のポリペプチド、及び3量体化ドメインをコードする。ある実施形態において、TRAIL死受容体(又は第1のポリペプチド及び第2のポリペプチド)並びに3量体化ドメインに特異的に結合するポリペプチドは、単一の近接するポリヌクレオチド配列にコードされている(遺伝子融合)。他の実施形態において、TRAIL死受容体に特異的に結合するポリペプチド(又は第1のポリペプチド及び第2のポリペプチド)並びに3量体化ドメインは、近接しないポリヌクレオチド配列によってコードされている。したがって、いくつかの実施形態において、TRAIL死受容体に特異的に結合する少なくとも1つのポリペプチド(又はTRAIL死受容体に特異的に結合する第1のポリペプチド及び第2のポリペプチド)並びに3量体化ドメインは、別々のポリペプチドとして発現され、単離され、及び精製され、一緒に融合されて本発明のポリペプチドを形成する。
【0147】
これらの組換えDNA構築物は、選択された宿主に好適な数々の発現ベクターのいずれかの中に、インフレームで挿入されてよい。ある実施形態において、発現ベクターは、組換えポリペプチド構築物の発現を制御する強力なプロモーターを含む。組換えの発現戦略を用いて本発明のポリペプチドを産生する場合、得られるポリペプチドを当技術分野ではよく知られている適切な標準的な手段を用いて単離及び精製することができ、任意選択で、例えば凍結乾燥などのさらなる処理を受けさせることができる。
【0148】
標準的な技術を、組換えDNA分子、タンパク質、及びポリペプチドの生成に、並びに組織培養及び細胞の形質転換に用いることができる。例えば、Sambrookら(下記)、又は「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」(Ausubelら編集、Green Publishers Inc.及びWiley and Sons、1994年)を参照されたい。精製技術は、典型的には、製造元の仕様書に従って、又はSambrookら(「分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、NY(1989年)に記載されているものなどの従来の手順を用いて当技術分野で通常行われている通りに、或いは本明細書に記載した通りに行われている。特定の説明がなければ、本明細書に記載される分子生物学、生化学、分析化学、及び薬剤/製剤化学に関する検査法及び技術に関連して利用される命名法は、当技術分野ではよく知られているものであり、通常用いられているものである。標準的技術を、生化学的合成、生化学的分析、薬剤調製、製剤、及び送達、並びに患者の治療に用いることができる。
【0149】
柔軟な分子リンカーは、任意選択で、特定の結合メンバーと3量体化ドメインの間に挿入してもよく、共有結合的に連結してもよいことが理解されよう。ある実施形態において、リンカーは、アミノ酸残基約1〜20個のポリペプチド配列である。リンカーはアミノ酸10個未満、最も好ましくは5個、4個、3個、2個、又は1個であってよい。ある場合において、アミノ酸9個、8個、7個、又は6個が適切であることがある。有用な実施形態において、リンカーは本質的に非免疫原性であり、タンパク質分解性の切断を起こしやすくなく、他の残基と相互作用することが知られているアミノ酸残基(例えば、システイン残基)を含まない。
【0150】
以下の記載は、1つ又は複数の化学基に共有結合的に付着している(以下「コンジュゲートしている」)ポリペプチド及び3量体複合体を生成する方法にも関する。このようなコンジュゲートにおいて用いるのに適する化学基は、著しく毒性又は免疫原性ではないのが好ましい。化学基は、貯蔵に適する条件下で貯蔵し、用いることができるコンジュゲートを生成するように、任意選択で選択される。ポリペプチドにコンジュゲートすることができる様々な例示の化学基が当技術分野では知られており、例えば、糖タンパク質、ポリグルタメート、及び非タンパク質性のポリマー上に天然に存在する炭水化物(例えば、ポリオール)などの炭水化物が含まれる(例えば、米国特許第6,245,901号を参照されたい)。
【0151】
例えば、ポリオールは、上記WO93/00109に記載されているように、リシン残基を含む1つ又は複数のアミノ酸残基で、本発明のポリペプチドにコンジュゲートしていてよい。用いられるポリオールは、あらゆる水溶性ポリ(アルキレンオキシド)ポリマーであってよく、直鎖又は分枝鎖を有することができる。適切なポリオールには、炭素を1個と4個の間有するアルキル基などの化学基で、1つ又は複数のヒドロキシル位が置換されているものが含まれる。典型的には、ポリオールは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)などのポリ(アルキレングリコール)であり、したがって、記載を易しくすると、考察の残りの部分は、用いられるポリオールがPEGであり、ポリオールをポリペプチドにコンジュゲートする過程が「ペグ化」と呼ばれる例示の実施形態に関する。しかし、当業者であれば、例えば、ポリ(プロピレングリコール)及びポリエチレン−ポリプロピレングリコール共重合体などの他のポリオールを、PEGに対して本明細書に記載するコンジュゲートのための技術を用いて使用することができることを認める。
【0152】
Apo−2Lのペグ化に用いられるPEGの平均分子量は変化してよく、典型的に、約500ダルトン(D)から約30000ダルトンまでの範囲であってよい。好ましくは、PEGの平均分子量は約1000Dから約25000Dまでであり、より好ましくは約1000Dから約5000Dまでである。一実施形態において、ペグ化は、平均分子量が約1000DであるPEGで行われる。任意選択で、PEGホモポリマーは非置換であるが、一終端がアルキル基で置換されていてもよい。好ましくはアルキル基がC1〜C4アルキル基であり、最も好ましくはメチル基である。PEG調製物は市販されており、典型的には、本発明で用いるのに適するPEG調製物は、平均分子量に従って販売されている、非均質の調製物である。例えば、市販のPEG(5000)調製物は、通常±500Dである、分子量がわずかに変化する分子を典型的に含む。本発明のポリペプチドは、小分子化合物(例えば、化学療法薬)に対するコンジュゲート、シグナル分子(例えば、フルオロフォア)に対するコンジュゲート、特異的な結合対の分子(例えば、ビオチン/ストレプトアビジン、抗体/抗原)に対するコンジュゲート、又はグリコシル化、PEG化、若しくは安定化ドメイン(例えば、Fcドメイン)に対するさらなる融合物による安定化など、当技術分野では知られている技術を用いてさらに修飾することができる。
【0153】
タンパク質をペグ化するための様々な方法が当技術分野では知られている。PEGにコンジュゲートしたタンパク質を生成する特定の方法には、米国特許第4,179,337号、第4,935,465号、及び第5,849,535号に記載されている方法が含まれている。典型的に、タンパク質は、主に反応条件、ポリマーの分子量などに応じて、タンパク質の1つ又は複数のアミノ酸残基によって、ポリマーの末端の反応基に共有結合している。反応基(単数又は複数)を有するポリマーは、本明細書では活性化ポリマーと呼ばれる。反応基は、タンパク質上の遊離アミノ基又は他の反応基と選択的に反応する。PEGポリマーは、ランダム又は部位特異的は方法のいずれかにおいて、タンパク質上のアミノ基又は他の反応基に連結していてよい。しかし、最適の結果を得るために、選択される反応基のタイプ及び量、並びに使用するポリマーのタイプは、タンパク質上の非常に多くの特定な活性化基と反応する反応基を有することを避けるために、使用される特定のタンパク質又はタンパク質変異体に依存する。これを完全に回避するのは可能ではないことがあるので、タンパク質濃度に応じて、タンパク質1モル当たり、一般的に約0.1モルから1000モル、好ましくは2モルから200モルの活性化ポリマーを用いることが推薦される。タンパク質1モル当たりの活性化ポリマーの最終量は、最適の活性を維持するバランスであるが、同時に、可能であれば、タンパク質の循環半減期を最適化する。
【0154】
「ポリオール」の語は、本明細書で用いる場合、多価アルコール化合物を広く意味する。ポリオールは、例えば、あらゆる水溶性のポリ(アルキレンオキシド)ポリマーであってよく、直鎖又は分枝鎖を有していてよい。好ましいポリオールには、炭素を1個と4個の間有するアルキル基などの化学基で、1つ又は複数のヒドロキシル位が置換されているものが含まれる。典型的には、ポリオールは、ポリ(アルキレングリコール)、好ましくはポリ(エチレングリコール)(PEG)である。しかし、当業者であれば、例えば、ポリ(プロピレングリコール)及びポリエチレン−ポリプロピレングリコール共重合体などの他のポリオールを、PEGに対して本明細書に記載するコンジュゲートのための技術を用いて使用することができることを認める。本発明のポリオールは、当技術分野ではよく知られているもの、及び市販の供給源などから公的に入手可能であるものが含まれる。
【0155】
さらに、血清アルブミン結合性ペプチド、IgG結合性ペプチド、又はFcRnに結合するペプチドを含めた、半減期を延長する他の分子が3量体化ドメインのN末端又はC末端に付着していてよい。
【0156】
セクションの表題は、本明細書において組織化の目的のみで用いられるものであり、記載する主題を限定するものであると決して解釈してはならないことに留意されたい。本明細書に引用した参照は全て、全ての目的でその全文が参照によって援用される。
【0157】
以下の実施例は、本発明のある実施形態を例示するものにすぎず、本発明を限定するものと解釈してはならず、本発明は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【実施例】
【0158】
以下の実施例において論じるベクター(pANA)は、先に記載したベクターに由来する(US2007/0275393を参照されたい)。ある種のベクター配列を配列リストに提供し、当業者であれば、本明細書に提供する記載にもたらすベクターを引き出すことができるであろう。pPhCPABファージディスプレイベクター(配列番号273)は、ALQT(など)をコードするhTN配列に対するリンカーと融合しているgIIIシグナルペプチドコード領域を有する。CTLD領域のC末端終端は、リンカーによってgIII領域に融合している。CTLD領域内で、コード配列は変更しないが、変更されたループ領域を含むPCRフラグメントをクローニングするのに適する制限部位を産生するヌクレオチド変異が産生された。全てのライブラリーファージが組換え型を発現することだけができ、野生型テトラネクチンを発現することができないように、これら制限部位間のループ領域の一部分が除去された。
【0159】
(例1)
ライブラリー構築:ループ1の変異及び伸長
ヒトテトラネクチンの配列、並びにループ1、2、3、4(LSA)、及び5(LSB)の部分を図1及び4に示す。ヒトテトラネクチンC型レクチン結合性ドメインの1〜2が伸長されたライブラリー(「ヒト1〜2X」)に対して、表1に示す配列をコードするようにループ1のコード配列を修飾し、5個のアミノ酸AAEGT(配列番号)ヒト)を、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)(NはA、C、G、又はTを示し、KはG又はTを示す)によってコードされる7個のランダムなアミノ酸で置換した。ループ2の直後のアミノ酸であるアルギニンを、コード鎖におけるヌクレオチドNNKを用いることによってやはり完全にランダム化した。このアミノ酸は、アルギニンがループ1におけるアミノ酸に接触しているのでランダム化され、ループ1のランダム化によって達成できる配置を制約し得た。さらに、ループ4に対するコード配列は、プラスミノーゲン結合を抑止するために、リシン(K)の代わりにアラニン(A)をコードするように変更されたが、これはループ4のリシンに依存することが示された(Graversenら、1998年)。
【表3】

【0160】
ヒトループ1伸長ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した(プライマー配列を表2に示す)。プライマー1Xfor(配列番号)及び1Xrev(配列番号)を混合し、PCRによって伸長し、プライマーBstX1for(配列番号3)及びPstBssRevC(配列番号)を混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、アウタープライマーBglfor12(配列番号5)及びPstRev(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglII及びPstIで切断し、ファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。ファージディスプレイベクターpPhCPABはpCANTAB(Pharmacia)由来であり、M13遺伝子IIIタンパク質に融合しているヒトテトラネクチンCTLDの一部分を含んでいた。CTLD領域を、ループ1〜4に隣接するBglII及びPstI制限酵素部位を含むように修飾し、インフレームの挿入物のライゲーションなしに機能的な遺伝子IIIタンパク質がベクターから生成され得ないように、ストップコドンを含むように1〜4領域を変更した。pANA27は、BamHIからClaI領域を配列番号274(pANA27)のBamHIからClaI配列で置換することによって、pPhCPABに由来するものであった。これは、アンバー抑制可能ストップコドンをグルタミンコドンで置き換えるものであり、ベクターは遺伝子IIIの切断も含む。
【0161】
ライゲートした材料を、エレクトロポレーション用コンピテントXL1−Blue大腸菌(Stratagene)中に形質転換し、細胞4リットルから8リットルを一夜増殖させ、DNAを単離してパニング用のマスターのライブラリーDNAストックを産生した。1.5×10のライブラリーサイズが得られ、試験したクローンは標的の領域において多様な配列を示した。
【表4−1】


【表4−2】


【表4−3】

【0162】
(例2)
ライブラリーの構築:ループ1及び2の変異
ヒト及びマウステトラネクチンC型レクチン結合性ドメインのループ1−2ライブラリー(「ヒト1−2」)に対して、表1に示す配列をコードするようにループ1に対するコード配列を修飾し、5個のアミノ酸AAEGT(配列番号;ヒト)を、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK((配列番号);NはA、C、G、又はTを意味し、KはG又はTを意味する)によってコードされる5個のランダムアミノ酸で置換した。ループ2(隣接するアルギニンを含む)において、ヒトにおける4個のアミノ酸TGARを、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK(配列番号)によってコードされる4個のランダムアミノ酸で置換した。さらに、ループ4のリシンに依存することが示されているプラスミノーゲン結合を抑止するために、ループ4に対するコード配列を、ループにおけるリシン(K)の代わりにアラニン(A)をコードするように変更した(Graversenら、1998年)。
【0163】
ヒト1−2ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した(プライマー配列を表2に示す)。プライマー1−2for(配列番号)と1−2rev(配列番号)を混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、アウタープライマーBglfor12(配列番号)及びPstRev12(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglII及びPstIで切断し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。4.86×10のライブラリーサイズが得られ、試験したクローンは標的の領域において多様な配列を示した。
【0164】
(例3)
ライブラリー構築:ループ1及び4の変異及び伸長
ヒトC型レクチン結合性ドメインのループ1−4ライブラリー(「ヒト1−4」)に対して、表1に示す配列をコードするようにループ1のコード配列を修飾し、7個のアミノ酸DMAAEGT(配列番号)を、ヌクレオチドNNS NNS NNS NNS NNS NNS NNS((配列番号);NはA、C、G、又はTを意味し、SはG又はCを意味し、KはG又はTを意味する)によってコードされる7個のランダムアミノ酸で置換した。さらに、ループ4に対するコード配列を、表1に示す配列をコードするように修飾し、伸長し、ループ4の2個のアミノ酸であるKTを、ヒトではヌクレオチドNNS NNS NNS NNS NNS(配列番号)、又はマウスではNNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)によってコードされる5個のランダムアミノ酸で置換した。
【0165】
ヒト1〜4ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した(プライマー配列を表2に示す)。プライマーBglBssfor(配列番号)とBssBglrev(配列番号)を混合し、PCRによって伸長し、プライマーBssPstfor(配列番号)とPstBssRev(配列番号)を混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、アウタープライマーBglfor(配列番号)及びPstRev(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglII及びPstI制限酵素で切断し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。2×10のライブラリーサイズが得られ、パニングの前に試験した12個のクローンは標的の領域において多様な配列を示した。
【0166】
(例4)
ライブラリー構築:ループ3及び4の変異及び伸長
ヒトテトラネクチンC型レクチン結合性ドメインのループ3−4伸長ライブラリー(「ヒト3−4X」)に対して、表1に示す配列をコードするようにループ3のコード配列を修飾し、3個のアミノ酸EITテトラネクチンを、コード鎖におけるヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)によってコードされる(NはA、C、G、又はTを意味し、KはG又はTを意味する)6個のランダムアミノ酸で置換した。さらに、ループ4において、3個のアミノ酸KTEを、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)によってコードされる6個のランダムアミノ酸で置換した。
【0167】
ヒト3〜4伸長ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した(プライマー配列を表2に示す)。プライマーH Loop1−2−F(配列番号)とH Loop3−4Ext−R(配列番号)を混合し、PCRによって伸長し、プライマーH Loop3−4Ext−F(配列番号29)とH Loop5−R(配列番号)を混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、さらなるH Loop1−2−F(配列番号)及びH Loop5−R(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglII及びPstI制限酵素で切断し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。7.9×10のライブラリーサイズが得られ、試験したクローンは標的の領域において多様な配列を示した。
【0168】
(例5)
ライブラリー構築物:ループ3及び4及びループ間PROの変異
ヒトテトラネクチンC型レクチン結合性ドメインのループ3〜4comboライブラリー(「ヒト3〜4combo」)に対して、表1に示す配列をコードするようにループ3及び4のコード配列、並びにこれら2つのループ間のプロリンを変更し、ヒト配列TEITAQPDGGKTE(配列番号)を、アミノ酸13個の配列XXXXXXXXGGXXX(配列番号)で置換した(Xは配列NNKによってコードされるランダムアミノ酸を表す(NはA、C、G、又はTを意味し、KはG又はTを意味する))。
【0169】
ヒト3−4comboライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した(プライマー配列を表2に示す)。プライマーH Loop1−2−F(配列番号)とH Loop3−4Combo−R(配列番号)を混合し、PCRによって伸長し、得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、さらなるH Loop1−2−F(配列番号)及びH Loop5−R(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglII及びPstI制限酵素で切断し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。4.95×10のライブラリーサイズが得られ、試験したクローンは標的の領域において多様な配列を示した。
【0170】
(例6)
ライブラリー構築:ループ4の変異及び伸長
ヒト及びマウスのテトラネクチンC型レクチン結合性ドメインのループ4伸長ライブラリー(「ヒト4」)に対して、表1に示す配列をコードするようにループ4のコード配列を修飾し、3個のアミノ酸KTEテトラネクチンを、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK NNK NNK((配列番号);NはA、C、G、又はTを意味し、KはG又はTを意味する)によってコードされる7個のランダムアミノ酸で置換した。
【0171】
ヒト4伸長ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した(プライマー配列を表2に示す)。プライマーH Loop1−2−F(配列番号)及びH Loop3−R(配列番号)を混合し、PCRによって伸長し、プライマーH Loop4Ext−F(配列番号)及びH Loop5−R(配列番号)を混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、さらなるH Loop1−2F(配列番号)及びH Loop5−R(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglII及びPstI制限酵素で切断し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。2.7×10のライブラリーサイズが得られ、試験したクローンは標的の領域において多様な配列を示した。
【0172】
(例7)
ライブラリー構築:ループ3の伸長あり及びなしの変異
ヒトC型レクチン結合性ドメインのループ3変更ライブラリーに対して、表1に示す配列をコードするようにループ3のコード配列を修飾し、マウステトラネクチンの6個のアミノ酸ETEITA(配列番号)を、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)、NNK NNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号155)、及びNNK NNK NNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)によってコードされる6個、7個、又は8個のランダムアミノ酸で置換した(NはA、C、G、又はTを意味し、KはG又はTを意味する)。さらに、ループ4において、ヒトにおける3個のアミノ酸KTEを、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK NNK(配列番号)によってコードされる6個のランダムアミノ酸で置換した。さらに、ループ4のリシンに依存することが示されている、プラスミノーゲン結合を抑止するために、ループ4に対するコード配列を、ループにおけるリシン(K)の代わりにアラニン(A)をコードするように変更した(Graversenら、1998年)。
【0173】
ヒトループ3変更ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した。プライマーH Loop3F6、H Loop3F7、及びH Loop3F8(配列番号、それぞれ)をH Loop4R(配列番号)と個々に混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、オリゴH Loop1−2F(配列番号)、HuBglfor(GCC GAG ATC TGG CTG GGC CTG A(配列番号XXX))、及びPstRev(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglI及びPstI制限酵素で消化し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。ライブラリー産生の後、3つのライブラリーをパニング用にプールした。
【0174】
(例8)
ループ3及び5の変異
ヒトテトラネクチンC型レクチン結合性ドメインのループ3及び5変更ライブラリーに対して、表1に示す配列をコードするようにループ3及び5に対するコード配列を修飾し、ヒトテトラネクチンの5個のアミノ酸TEITAを、ヌクレオチドNNK NNK NNK NNK NNK(配列番号xxx)によってコードされる5個のアミノ酸で置換し、ヒトの3個のアミノ酸AANを、ヌクレオチドNNK NNK NNKによってコードされる3個のアミノ酸で置換した。さらに、ループ4のリシンに依存することが示されている、プラスミノーゲン結合を抑止するために、ループ4に対するコード配列を、ループにおけるリシン(K)の代わりにアラニン(A)をコードするように変更した(Graversenら、1998年)。
【0175】
ヒトループ3及び5変更ライブラリーを、以下の方法でオーバーラップPCRを用いて産生した。プライマーh3−5AF(配列番号)、及びh3−5AR(配列番号)を混合し、PCRによって伸長し、プライマーh3−5BF(配列番号)、及びh3−5BR(配列番号)を混合し、PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲルから精製し、混合し、h3−5OF(配列番号)、及びPstRev(配列番号)の存在下PCRによって伸長した。得られたフラグメントをゲル精製し、BglI及びPstI制限酵素で消化し、先に記載したように、同様に消化したファージディスプレイベクターpPhCPAB又はpANA27中にクローニングした。
【0176】
(例9)
ヒトライブラリー1−4のパニング及びスクリーニング
ヒトライブラリー1−4から産生したファージを、組換えTRAIL R1(DR4)/Fcキメラ、及びTRAIL R2(DR5)/Fcキメラ上にパニングした。ELISAプレートアッセイを用いて3、4、及び/又は5ラウンドのパニングをした後、これらの結合パネルのスクリーニングによって、全ての場合における受容体特異的バインダーを同定した。
【0177】
(例10)
TRAIL受容体DR4及びDR5に対するアゴニストの選択及びスクリーニングのためのライブラリー及びクローンの構築
様々な長さの直鎖又は環状のランダム化ペプチドを発現するファージライブラリーは、New England Biolabs(NEB)などの製造元から市販で購入することができる。或いは、ヒトテトラネクチンのC型レクチンドメイン(CTLD)(配列番号)のループにおけるランダム化ペプチドを含むファージディスプレイライブラリーを産生することができる。ループ1、2、3、及び4を図4に示す。これらのループ内のアミノ酸を、NNS又はNNKがオーバーラップするPCR変異誘発の戦略を用いてランダム化することができる。あらゆる1つのループにおける1つから7つのコドンを、変異原性NNS又はNNKコドンによって置換してスクリーニング用のライブラリーを産生してもよく、或いは、変異誘発されたアミノ酸の数が置換された数を超えてもよい(例えば、より大型のランダム化ループを作成するために、2個のアミノ酸が5個のアミノ酸によって置換されていてもよい)。さらに、1つを超えるループが同時に変更されてよい。オーバーラップPCRの戦略は、ループ2と3の間の最終のDNA構築物におけるいずれかのKpn1部位を産生することができ、これはループ間のアミノ酸の1つを変更し、スレオニンをオリジナルのアラニンに交換する。或いは、BssH II部位を、オリジナルのアミノ酸配列を変更しないループ2と3の間に組み入れてもよい。
【0178】
(例11)
TRAIL受容体DR4及びDR5に対するアゴニストの選択及びスクリーニング
ファージを発現する細菌のコロニーを、ファージライブラリー又はライブラリーDNAのグリセロールファージストックのいずれかを用いて、それぞれ、大腸菌TG−1又はXL−1 Blueなどの細菌の感染又は形質転換によって産生する。O.D.600が1.0である、感染させた/形質転換した細菌50ミリリットルを室温(RT)で15分間増殖させ、その後、最終濃度40%の選択可能な薬物マーカーを培養液に加え、37℃で1時間インキュベートする。このインキュベート後、選択用の残りの薬物を加え、37℃でさらに1時間インキュベートする。ヘルパーファージVCS M13を加え、2時間インキュベートする。カナマイシン(70μg/mL)を培養液に加え、次いでこれを振盪しながら37℃で一夜インキュベートする。ファージを遠心分離し、その後1/3容積の20%ポリエチレングリコール(PEG)8000/2.5M NaClで上清からファージを寒冷沈澱することによって収集する。プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Complete Mini EDTAフリー)を含むバッファー中にファージを再懸濁し、引き続き滅菌ろ過する。大腸菌TG−1、XL1−Blue、又は他の好適な細菌宿主におけるファージライブラリーを力価測定する。
【0179】
ファージを、ヒトDR4及び/又はDR5に対するポジティブ選択のラウンドにおいてパニングする。ヒトDR4及びDR5(ヒトTRAIL死受容体1及び2としても知られる)は、可溶型で(Antigenix America、Cell Sciences)、又はFcとして(Genway Biotech、R&D Systems)、又はGST融合物として(Novus Biologicals)市販されている。PBS中可溶性DR4又はDR5は、マイクロプレートウエル(Immulon 2B plates)の底部などの固体支持体に、又はDynabeadsなどの磁性ビーズに直接結合する。約250ngから500ngの可溶性DR4又はDR5は、4℃又はRTいずれかでPBS中一夜インキュベートすることによって固体の基体に結合する。次いで、プレート(又はビーズ)をPBS/0.05%Tween20中3回洗浄し、その後1%BSA、PBS中0.05%アジ化ナトリウムなどのブロッキング剤を添加し、少なくとも0.5時間RTでインキュベートして、将来のステップにおける非特異的な表面に対する材料の結合を防ぐ。3%脱脂粉乳又は煮沸カゼインを含むPBSなどのブロッキング剤も用いることができる。
【0180】
代替の一プロトコールにおいて、DR4又はDR5 Fc融合タンパク質に結合させるために、プレート又はビーズを最初に、PBS中0.5〜1μgの市販の抗Fc抗体とインキュベートする。プレート(又はビーズ)を先に記載した1%BSA、PBS中0.05%アジ化ナトリウムで洗浄し、ブロックし、次いで5μg/mLの死受容体融合タンパク質とインキュベートし、RTで2時間インキュベートする。次いで、プレートを、PBS/0.05%Tween20で3回洗浄する。
【0181】
濃度約1011又は1012pfu/mLのファージライブラリーを、死受容体に対する直接又は間接的な結合を含むウエル(又はビーズ)に加える。ファージを、RTで少なくとも2時間インキュベートするが、様々な結合の性質をスクリーニングするために、インキュベート時間及び温度は変化してよい。ウエルを、PBS/0.05%Tween20で少なくとも8回洗浄し、その後PBSで洗浄する(8×)。ウエルを、後の選択のラウンドにおいて、100mM Tris pH5.0、Tris pH4.0、及びTris pH3.0など、酸性度の上がるバッファーで洗浄してもよい。結合しているファージをトリプシン消化によって溶出する(PBS中1mg/mLトリプシン100μL、30分間)。結合しているファージを、また、0.1Mグリシン、pH2.2を用いて溶出してもよい。或いは、死受容体に対する結合に関してTRAILと競合するCTLD又はペプチドを選択するために、結合しているファージをTRAIL(AbD Serotecから市販されている)を用いて溶出することができる。さらに、結合しているファージを、死受容体の結合に関してTRAILと競合することが知られている化合物で溶出してもよい。
【0182】
溶出したファージを、OD600が0.8である、新たに増殖させた細菌10mLで15分間インキュベートし、感染した細菌を上記の通りに処理して第2ラウンドのパニング用のファージを産生する。さらなる2ラウンド又は3ラウンドのポジティブパニングを行う。
【0183】
基体に直接又は間接的に結合するDR4及び/又はDR5を用いる代わりとして、癌細胞系によって内因性に発現される、又は293細胞などのトランスフェクトした細胞によって発現されるDR4及び/又はDR5をポジティブ選択のラウンドにおいて用いてもよい。トランスフェクト細胞では、例えばQiagen Attractene(商標)プロトコール、及びDR4若しくはDR5を保有するpcDNA3.1、pCEP4、又はpCEP5などの好適な発現プラスミドを用いてトランスフェクトを行った2日後、パニングする。細胞を非トリプシン解離バッファー中解離し、及び細胞6×10個をIMDMバッファー2mL中に再懸濁する。パニングするファージを透析し、その後細胞に加え、RTで2時間インキュベートする。細胞をペレッティングによって洗浄し、IMDM中複数回再懸濁し、グリシンバッファーでファージを溶出する。
【0184】
DR4及び/又はDR5に親和性を有するが囮受容体に親和性のないペプチドを選択するために、ネガティブ選択のラウンド、又はポジティブ選択に付随するネガティブ選択を行う。ネガティブ選択は、囮受容体DcR1、DcR2、可溶性DcR3、及び/又はオステオプロテゲリン(OPG、R&Dsystems)を用いて行う。OPG及び可溶性DcR3は市販されており(Gene Tex、R&Dsystems)、FcorGSTにコンジュゲートしているDcR1及びDcR2も市販されている(R&Dsystems、Novus Biologicals)。ネガティブ選択のラウンドでは、囮受容体はプレート又はビーズに結合しており、ポジティブラウンドの選択では上記に記載したようにブロックされている。ビーズは、より大きな表面積のネガティブ選択分子がパニングされるライブラリーに曝露され得るので、より望ましい。プライマリーライブラリー又は他のラウンドのポジティブ選択からのファージを、室温で2時間、又は4℃で一夜、囮受容体とインキュベートする。次いで、非結合のファージを除去し、ポジティブラウンドの選択にかける。
【0185】
ネガティブ選択と同時にポジティブ選択も行う。可溶性DR4又はDR5でコーティングしたウエル又はビーズをブロックし、プライマリーライブラリー、又は先に記載した選択のラウンドからのファージに曝露するが、DcR1などの囮受容体が10μg/mlの濃度に含まれている。DR4又はDR5に対する特異性及び親和性のより大きなファージを得るために、この戦略における溶出の前のインキュベート時間は4℃で2時間から数日まで延長することができる。DR5に特異的なバインダーを得るためにDR4を用いたネガティブ選択、又はDR4に特異的なバインダーを得るためにDR5を用いたネガティブ選択を、上記に詳しく述べた取組みを用いて行ってもよい。
【0186】
1つ又は複数の囮受容体を発現する癌性細胞又はトランスフェクトした細胞に対して、ネガティブ選択をやはり行うことができる。ネガティブ選択は、上記に記載したポジティブ選択と同様に行うが、インキュベート後に細胞をスピンダウンした後の上清からファージを回収し、次いでポジティブ選択のラウンドにおいて用いることが異なる。
【0187】
(例12)
3量体TRAIL受容体アゴニスト及び3量体CTLD由来TRAIL受容体アゴニストのプラスミド構築
ファージディスプレイからの、又はペプチドをグラフトした、ペプチド−3量体化ドメイン(TD)融合物、ペプチド−TD−CTLD融合物、若しくはこれらの様々な組合せからの、3量体TRAIL受容体アゴニスト及び3量体CTLD由来TRAIL受容体アゴニストの様々なバージョンを、小規模又は大規模の生成用に、細菌発現ベクター(pT7自社ベクター、又はpET、NovaGen)及び哺乳動物発現ベクター(pCEP4、pcDNA3、Invitrogen)中にサブクローニングする。
【0188】
プライマーを、例1からの様々な機能的なディスプレイベクターからのバインダー/アゴニストのDNAフラグメントをPCR増幅するようにデザインする。5’末端に対するプライマーは、BamHI制限部位と隣接しており、ベクターpT7CIIH6におけるリーダー配列とインフレームである。5’プライマーも、プロテアーゼグランザイムB又はファクターXaに対する切断部位と一緒に組み入れられていてよい。3’プライマーはEcoRI制限部位と隣接している。PCR生成物をBamHI/EcoRIで消化し、次いで同じ酵素で消化したpT7CIIH6中にライゲートして細菌発現ベクターpT7CIIH6−TRAILaを作り出す。
【0189】
TRAIL受容体アゴニストDNAを、いかなるリーダー配列及び6×HisなしでベクターpT7CIIH6又はpET28a(NovoGen)中にサブクローニングしてもよい。5’プライマーはNdeI制限部位に隣接し、3’プライマーはEcoRI制限部位に隣接している。PCR生成物をNdeI/EcoRIで消化し、同じ酵素で消化したベクター中にライゲートして発現ベクターpT7−TRAILa及びpET−TRAILaを作り出す。
【0190】
TRAIL受容体アゴニストDNAを、分泌シグナルペプチドと、ベクターpT7CIIH6又はpET28a(NovoGen)中にサブクローニングしてもよい。発現したタンパク質は細菌のペリプラズム中に搬出され、分泌シグナルペプチドはトランスロケーション中に除去される。5’プライマーはNdeI制限部位と隣接しており、プライマーを細菌の分泌シグナルペプチドであるPelB、OmpA、又はOmpT中に組み入れる。3’プライマーはEcoRI制限部位に隣接している。6×Hisタグコード配列を、任意選択で3’プライマー中に組み入れてもよい。PCR生成物をNdeI/EcoRIで消化し、同酵素で消化されるベクター中にライゲートして、発現ベクターpT7−sTRAILa、pET7−TRAILa、pT7−TRAILaHis、及びpET−sTRAILHisを作り出す。
【0191】
TRAIL受容体アゴニストDNAを、また、分泌シグナルペプチドと一緒に、哺乳動物発現ベクターpCEP4又はpcDNA3.1中にサブクローニングしてもよい。発現されたタンパク質は培地中に分泌され、分泌シグナルペプチドは分泌プロセス中に除去される。5’プライマーはNdeI制限部位と隣接しており、プライマーをテトラネクチンの分泌シグナルペプチド、又は別の分泌シグナルペプチド(例えば、Igペプチド)中に組み入れる。3’プライマーはXhoI制限部位に隣接している。6×Hisタグを、任意選択で3’プライマー中に組み入れる。PCR生成物をNheI/XhoIで消化し、同じ酵素で消化されるベクター中にライゲートして、発現ベクターpCE4−TRAILa、pcDNA−TRAILa、pCEP4−TRAILaHis、及びpcDNA−TRAILaHisを作り出す。
【0192】
(例13)
細菌からのTRAIL受容体アゴニストの発現及び精製
細菌の発現構築物を、細菌系統BL21(DE3)(Invitrogen)に形質転換する。新鮮プレート上のコロニー1個を、振盪フラスコ中2×YT培地100mL中に接種する。フラスコを、250rpmで回転する振盪機中、37℃で12時間又は一夜インキュベートする。一夜培養物(50mL)を用いて4L振盪フラスコ中2×YT 1Lを接種する。細菌をフラスコ中OD600が約0.7になるまで培養し、そのとき最終濃度が1mMになるまでIPTGを培養物に加える。誘導4時間後、細菌のペレットを遠心分離によって収集し、その後のタンパク質精製用に保存する。
【0193】
10リットル発酵槽中、流加条件下で細菌の発酵を行う。複合発酵媒体1リットルは、酵母菌抽出物5g、トリプトン20g、NaCl0.5g、KHPO4.25g、KHPO3HO4.25g、グルコース8g、MgSO7HO2g、及び微量金属溶液3mL(2.7%FeCl6HO/0.2%ZnCl4HO/0.2%CoCl6HO/0.15%NaMoO2HO/0.1%CaCl2HO/0.1%CuCl/0.05%HBO/3.7%HCl)を含む。発酵槽に1夜培養物を接種し(5%vol/vol)、pH6.9の一定の操作条件(水酸化アンモニウム及びリン酸で制御して)及び30℃で増殖させる。40%の最小溶解酸素レベルを維持するように空気流量及び撹拌を変化させる。培養物中のグルコースレベルが1g/L未満になったらフィード(40%グルコースで)を開始し、発酵の残りの間グルコースレベルを0.5g/Lに維持する。OD600が約60に到達したらIPTGを培養物中に加えて最終濃度を0.05mMとする。誘導4時間後、細胞を回収する。細胞のペレットを遠心分離によって得、その後のタンパク質精製用に−80℃で貯蔵する。
【0194】
可溶性であり、細菌細胞のペリプラズム中に分泌され、アフィニティタグ(例えば、6×Hisタグ付けしたタンパク質)を含む、発現されたタンパク質を、当業者にはよく知られている、金属キレートクロマトグラフィー(例えば、Niアフィニティカラム)、陰イオン/陽イオンアフィニティクロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、又はこれらのあらゆる組合せなどの標準のクロマトグラフィー方法を用いて精製する。
【0195】
発現されたタンパク質は、細菌細胞中に不溶性の封入体を形成することができる。これらのタンパク質を、最初の精製ステップにおいて変性の条件下で精製し、その後、精製クロマトグラフィーカラム上で行うことができるリフォールディングの手順を受けさせる。細菌のペレットを溶解バッファー(0.5MNaCl、10mMTris−HCl、pH8、及び1mMEDTA)中に懸濁し、超音波処理する。封入体を遠心分離によって回収し、引き続き6M塩酸グアニジン、50mMTris−HCl、pH8、及び0.1MDTTを含む結合バッファー中に溶解する。可溶化した部分をNiアフィニティカラムに適用する。非結合の材料をカラムから洗浄した後、タンパク質を溶出バッファー(6M塩酸グアニジン、50mMTris−HCl、pH8.0、10mM 2−メルカプトエタノール、250mMイミダゾール)で溶出する。単離したタンパク質のバッファーを結合バッファーに交換し、Niカラムに再適用して変性剤を除去する。カラム上にロードした後、タンパク質を、5C.V.(カラム容積)の変性剤を欠くバッファー(50mMTris−HCl、pH8.0、10mM 2−メルカプトエタノール、プラス2mMCaCl)を用いて直線勾配(0〜0.5MNaCl)によってリフォールディングする。タンパク質を、0.5MNaCl、50mMTris−HCl、pH8.0、及び250mMイミダゾールを含むバッファーで溶出する。融合タグ(6×His、CII6His)をファクターXa又はグアニジンBで切断し、Ni−NTAアフィニティカラムを通過させることによってタンパク質試料から除去する。タンパク質を、バッファー(50mMTris−HCl、pH8.0、及び2mMCaCl)中10C.V.を越える直線勾配(0〜0.5MNaCl)を用いてQセファロース(GE)上イオン交換クロマトグラフィーによってさらに精製する。タンパク質を1×PBSバッファー中に透析する。任意選択で、Mustang Eフィルター(PALL)を通過させることによって、内毒素を除去する。
【0196】
ペリプラズムにおいて発現されたタンパク質に対する細菌細胞からの可溶性の抽出物を調製するために、細菌のペレットをローディングバッファー中(10mMリン酸バッファー、pH6.0)に懸濁し、超音波処理(又はその代わりにフレンチプレス)を用いて溶解する。不溶性の部分を遠心分離でスピンダウンした後、可溶性の抽出物をSP FFカラム(GE)に適用する。ペリプラズムの抽出物を、また、浸透圧ショック又は「穏やかな」超音波処理によって調製する。分泌された、可溶性の6×Hisでタグ付けされたタンパク質を、先に記載したようにNi−NTAカラムによって精製する。粗製抽出物は、アフィニティカラムローディングバッファーに交換されたバッファーであり、次いで、SPFFカラムに適用する。ローディングバッファー4C.V.で洗浄した後、タンパク質を、高塩濃度バッファー(10mMリン酸バッファー、0.5MNaCl、pH6.0)で8C.V.にわたって100%勾配を用いて溶出する。溶出物をMustangEフィルターを通過させることによってろ過して内毒素を除去する。部分的に精製したタンパク質のバッファーを10mMリン酸バッファー、pH7.4に交換し、次いでQFFカラムにロードする。10mMリン酸バッファー、pH6.0と7C.V.洗浄後、高塩濃度バッファー(10mMリン酸バッファー、pH6.0、0.5MNaCl)で8C.V.にわたって100%勾配を用いてタンパク質を溶出する。再びもう一度、MustangEフィルターを通過させることによって内毒素を除去する。
【0197】
(例14)
哺乳動物細胞からのTRAIL受容体アゴニストの発現及び精製
各発現構築物に対するプラスミドを、Qiagen Endofree Maxi Prep Kitを用いて調製する。プラスミドを用いて、HEK293−EBNA細胞を一過性にトランスフェクトする。トランスフェクト2〜4日後、組織培養物の上清をタンパク質精製用に収集する。
【0198】
大規模に生成するために、CHO又はPER.C6細胞における安定な細胞系を、TRAIL受容体アゴニストを過剰発現するように開発する。細胞(5×10個)を、20Lバイオリアクター(Wave)中、培地2.5L中に接種する。細胞が2倍になったら新たな培地(1×開始体積)を加え、細胞が倍加して最終体積が10Lに到達するまで添加し続ける。細胞の生存率が20%に低下するまで約10日間細胞を培養する。次いで、細胞培養物の上清を精製用に収集する。
【0199】
Hisでタグ付けしたタンパク質の精製(Ni−NTAカラム)及び非タグのタンパク質の精製(イオン交換クロマトグラフィーによる)の両方を、先に記載した通りに用いる。
【0200】
(例15)
インシリコのモデリングによって支援されるTRAIL受容体アゴニストのアフィニティ成熟
インシリコのモデリングを用いて、CTLDファージディスプレイライブラリーのスクリーニングから同定されるTRAIL受容体アゴニストをアフィニティ成熟する。アゴニスト相同性モデルを既知のテトラネクチンの3D構造に基づいて構築する。アゴニスト相同性モデルのループの立体配置を、LOOPER(DS2.1、Accelrys)及びその関連のアルゴリズムを用いて精錬し、最適化する。このプロセスは3つの基本的なステップ:1.ループバックボーンの残りのタンパク質との最適化した相互作用での1セットの可能なループ配座異性体の構築;2.ループ側鎖の構築及び構造の最適化、並びに全てのループ原子に適用されるエネルギーの最小化;3.ループ配座異性体の保持されている変異体の最終のスコアリング及びランク付けを含む。手操作と分子動力学ベースのドッキングの組合せを用いて、DR4/DR5細胞外ドメイン上に位置する潜在的な結合領域又はエピトープをアゴニストに対して同定する。結合性ドメインを、DR4/DR5細胞外ドメイン(単数若しくは複数)及びアゴニストの欠失又は点突然変異を用いて結合アッセイを行うことによって、さらに確認する。結合特異性の決定に関与するアミノ酸残基(又は配列)を、DR4/DR5及びTRAIL CTLDアゴニストの両方に対して規定する。様々な標的ポジションのランダム変異の組合せを、構造鋳型との適合性を決定するために構造ベースの算出を用いてスクリーニングする。見かけのパッキング欠陥の分析に基づいて、残基を変異原性に対して選択して、ファージディスプレイ用のライブラリーを構築する。
【0201】
TRAIL受容体アゴニストペプチド及びDR4/DR5の3Dモデルを、ペプチドグラフト化CTLD及びDR4/DR5モデリングを精錬するための参考として用いることができる。TRAIL受容体アゴニストペプチドがCTLDループ中にグラフトされる場合、ループの立体配置は、インシリコのモデリングを用いて隣接及び周囲のアミノ酸残基を変更することによって、アゴニストペプチド/DR4/DR5結合に適合するように最適化及びリサーフェシングされる。ペプチドをグラフトしたCTLDアゴニスト相同性モデルを、既知のテトラネクチン3D構造に基づいて構築する。アゴニストの相同性モデルのループの立体配置を、先に記載したように、LOOPER(DS2.1、Accelrys)及びこれらの関連のアルゴリズムを用いて精錬し、最適化する。様々な標的ポジションのランダム変異の組合せを、構造鋳型との適合性を決定するために、構造ベースの算出によってスクリーニングする。見かけのパッキング欠陥の分析に基づいて、ペプチドに隣接し、又は取り囲むアミノ酸残基を変異原性に対して選択して、ファージディスプレイ用のライブラリーを構築する。
【0202】
(例16)
癌細胞の増殖の阻害
COLO205(結腸直腸腺癌)、NCI−H2122(非小細胞肺癌)、MIA PaCa−2(膵癌)、ACHN(腎細胞癌)、WM793B(メラノーマ)、及びU266B1(リンパ腫)(全てAmerican Type Tissue Collection(Manassas、VA)より購入)など、DR4及び/又はDR5を発現するヒト癌細胞系を、各細胞系に好適な条件下で培養し、細胞密度5000〜20000細胞/ウエル(各癌細胞系に好適な増殖曲線によって決定した通り)で接種する。DR4/5アゴニスト分子を、0.0001〜100μg/mLの範囲の濃度で添加する。任意選択で、DR4/DR5アゴニストを、化学療法(例えば、ボルテゾミブ)又は放射線照射によって予め感作させた細胞を含めた治療方法と組み合わせて、DR4若しくはDR5を上方制御し、又はカスパーゼ活性を変化させる相乗効果を産生させる。生存細胞の数を、製造元の指示に従って、「CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assay」(Promega)を用いて24時間後及び48時間後に評価し、DR4/DR5アゴニストに対するIC50濃度を決定する。
【0203】
(例17)
癌細胞系におけるDR5及びDR4アゴニスト分子によるカスパーゼの活性化
COLO205(結腸直腸腺癌)、NCI−H2122(非小細胞肺癌)、MIA PaCa−2(膵癌)、ACHN(腎細胞癌)、WM793B(メラノーマ)、及びU266B1(リンパ腫)(全てAmerican Type Tissue Collection(Manassas、VA)より購入)など、DR4及び/又はDR5を発現するヒト癌細胞系を、各細胞系に好適な条件下で培養し、細胞密度5000〜20000細胞/ウエル(各癌細胞系に好適な増殖曲線によって決定して)で接種する。DR4/5アゴニスト分子を、0.0001〜100μg/mLの範囲の濃度で添加する。DR4/DR5アゴニストを、化学療法(例えば、ボルテゾミブ)又は放射線照射によって予め感作させた細胞などの他の治療方法と組み合わせて、このような組合せが、DR4若しくはDR5の上方制御、又はカスパーゼ活性の変化に対して相乗効果を有するか否かを決定する。カスパーゼ活性を、製造元の指示に従って、「APO−ONE Caspase assay」(Promega)を用いて様々な時間点に決定する。
【0204】
ウエスタンブロットによるさらなる分析を、先に記載したように2×10個の腫瘍細胞をインキュベートすることによって行う。引き続き、ウエスタンブロット用に細胞可溶化物を調製する。タンパク質をSDS−PAGEによって分離し、ニトロセルロース膜に移す。pro及び切断型のアポトーシスタンパク質であるPARP、カスパーゼ3、カスパーゼ8、カスパーゼ9、bid及びアクチンを認識する抗体とフィルターをインキュベートする。特異的なタンパク質に対応するバンドを、HRPコンジュゲートした2次抗体及び化学発光の増強によって検出する。
【0205】
(例18)
腫瘍異種移植片モデルにおけるアゴニスト分子の評価
癌細胞系(例えば、HCT−116、SW620、COLO205)を、Balb/cヌードマウス又はSCIDマウス中にs.c.注射する。ノギスを用いて、腫瘍の長さ及び幅を週2回測定する。腫瘍が250mmのサイズに到達したら、マウスを無作為化し、10〜100mg/kgのDR4又はDR5アゴニストでi.v.又はs.c.処置する。処置は、化学療法(例えば、イリノテカン、ボルテゾミブ、若しくは5FU)、又は放射線照射処置などの他の治療法と組み合わせることができる。腫瘍サイズが1500mmに到達しなければ腫瘍サイズを30日間観察し、到達した場合はマウスを屠殺しなければならない。
【0206】
(例19)
ヒトDR4及びDR5上のヒトライブラリー1−4のパニング
1.DR4受容体上のパニング
1ウエル当たりPBS100μL中に希釈した担体フリーの標的抗原250ngから1μgと結合した、前夜に新たに調製したDR4/Fc抗原コーティングした(R&D Systems)ウエル上、ヒトCTLDのループ1−4ライブラリーを用いてパニングを行った。抗原プレートを4℃で一夜、次いで37℃で1時間インキュベートし、PBS/0.05%Tween20で2回、PBSで2回洗浄し、次いで37℃で1時間、1%BSA/PBSでブロックし、その後パニングした。各ラウンドにおいて6個のウエルを用い、ファージを、精製ファージ上清ストックを2つずつ、希釈なし、1:10、及び1:100希釈を用いて、37℃で2時間、ウエルに結合させた。標的の抗原はFc融合タンパク質として発現されたので、ファージ上清ストックは、可溶性競合物として作用する可溶性IgG1 Fc1μg/mLを含んでいた。さらに、標的抗原の結合の前に、Fcバインダーを除去するために、ファージ上清物をヒトIgG1 Fcと抗原のウエルに予備結合させた(予備結合の間、可溶性IgG1 Fc競合物は存在しなかった)。
【0207】
パニングの最初のラウンド用のファージを生成するために、ライブラリーDNA10μgを、エレクトロコンピテントTG−1細菌中に形質転換し、カルベニシリン40μg/mL及びグルコース2%とともにSBを含む培養液100mL中、37℃で1時間増殖させた。次いで、カルベニシリンの濃度を50μg/mLに増大し、さらに1時間培養物を増殖させた。次いで、培養液の体積を500mLに増大し、5×10pfu/mLの感染効率(MOI)で培養物にヘルパーファージを感染させ、37℃でさらに1時間増殖させた。細菌をスピンダウンし、カルベニシリン50μg/mL及びカナマイシン100μg/mLを含むSB500mL中に再懸濁し、250rpmで振盪しながら室温で一夜増殖させた。翌日、細菌を遠心分離して除き、ファージを氷上で1時間、最終濃度4%PEG/0.5MNaClで沈澱させた。次いで、沈澱したファージを、4℃、10500rpmで20分間スピンダウンした。ファージペレットを、Roche EDTAフリーコンプリートプロテアーゼインヒビターを含む1%BSA/PBS中に再懸濁した。次いで、再懸濁したファージを、微量遠心管中13200rpmで10分間遠心し、0.2μMフィルターを通過させて残りの細菌を除去した。
【0208】
1ウエル当たり50μLの精製ファージ上清ストックを、IgG Fcでコーティングしたウエルに37℃で1時間予備結合させ、次いで、先に記載したように、37℃2時間、好適な濃度の標的の抗原でコーティングしたウエルに移した。次いで、ウエルをPBS/0.05%Tween20で上下のピペッティングにより5分間洗浄した(ラウンド1に洗浄1回、ラウンド2に洗浄5回、並びにラウンド3及びラウンド4に洗浄10回)。標的の抗原が結合したファージを1ウエル当たり60μLの酸溶出バッファー(グリシンpH2)で溶出し、次いで、3.6μL/ウエルの2M Trisで中和した。次いで、溶出したファージを用いてTG−1細菌を、室温で15分間感染させた(OD6000.8〜1.0で2mL)。培養物の体積を、カルベニシリン40μg/mL及びグルコース2%を有するSB中10mLにし、250rpmで振盪しながら37℃で1時間増殖させた。次いで、カルベニシリン濃度を50μg/mLに増大し、培養物をさらに1時間増殖させた。次いで、培養物の体積を100mLに増大し、5×10pfu/mLのMOIで培養物にヘルパーファージを感染させ、37℃でさらに1時間増殖させた。細菌をスピンダウンし、カルベニシリン50μg/mL及びカナマイシン100μg/mLを含むSB100mL中に再懸濁し、250rpmで振盪しながら室温で一夜増殖させた。パニングのその後のラウンドを、培養物のより小体積に対して同様に調節し、後のラウンドにおける洗浄を増大して行った。クローンを、4ラウンド間、DR4/Fc上パニングし、ラウンド3及びラウンド4のスクリーニングからクローンを得た。
【0209】
2.ファージELISA
TG−1系統の細菌を用いて少なくとも4ラウンド間、パニングを行った。パニングの各ラウンドに、試料の力価を取り、カルベニシリン50μg/mL及びグルコース2%を含むLBプレート上に塗抹した。ファージミドクローンの受容体標的に対する特異的な結合をスクリーニングするために、個々のコロニーをパニングの後のラウンドからのこれらのタイタープレートから選択し、上部に通気性の膜を有するポリプロピレン製96ウエルプレートにおいて、グルコース2%及びカルベニシリン50μg/mLを含む2×YT培地250μL中、250rpmで振盪しながら室温で一夜増殖させた。翌日、先の一夜培養物30μLを、グルコース2%及びカルベニシリン50μg/mLを含む2×YT500μLに接種することによって、レプリカのプレートを深型96ウエルプレート中にセットアップした。残余の一夜培養物を用いて、各ウエルに50%グリセロール100μLを加え、−80℃で貯蔵することによって、マスターストックプレートを作成した。レプリカの培養プレートを、およそ2時間250rpmで振盪しながら37℃で、OD600が0.5〜0.7になるまで増殖させた。次いで、ウエルにK07ヘルパーファージを感染させて5×10pfu/mLにし、混合し、振盪しないで37℃で30分間インキュベートし、次いで、250rpmで振盪しながら37℃でさらなる30分間インキュベートした。次いで、培養物を、2500rpm及び4℃で20分間スピンダウンした。ウエルから上清を除去し、細菌細胞のペレットをカルベニシリン50μg/mL及びカナマイシン50μg/mLを含む2×YT500μL中に再懸濁した。培養物のブロック上に通気性の膜を配置し、細胞を250rpmで振盪しながら室温で一夜増殖させた。
【0210】
3日目、培養物をスピンダウンし、ファージを含む上清を室温で1時間、3%ミルク/PBSでブロックした。1ウエル当たり75〜100ngの抗原の結合を用いて、最初のファージELISAを行った。1ウエル当たり75〜100ngのヒトIgG1 Fcを用いて非特異的な結合を測定した。1ウエル当たり100μLのPBS中に希釈した上記の量の抗原を結合することによって、DR4/Fc抗原(R&D Systems)でコーティングしたウエル及びIgG Fcでコーティングしたウエルを新たに前夜に調製した。抗原のプレートを4℃で一夜、次いで37℃で1時間インキュベートし、PBS/0.05%Tween20で2回、PBSで2回洗浄し、次いで3%ミルク/PBSで37℃で1時間ブロックし、その後ELISAを行った。ブロックしたファージを、ブロックした抗原が結合したプレートに1時間結合させ、次いで0.05%Tween20/PBSで2回、次いでPBSでさらに2回洗浄した。次いで、3%ミルク/PBS中希釈した、HRPがコンジュゲートした抗M13 2次抗体を適用し、1時間結合させ、先に記載した通りに洗浄した。ELISAシグナルをTMB基質90μLを用いて発生させ、次いで0.2M硫酸90μLで停止し、次いで450nMでELISAプレートを読んだ。2次ELISAのスクリーニングを、同定したポジティブ結合のクローニング上で行い、さらなるTRAIL受容体及び囮受容体に対して特異性(DR4、DR5、DcR1、及びDcR2)に関してスクリーニングして試験した。2次ELISAのスクリーニングを、先に詳述したプロトコールと同様に行った。
【0211】
DR4特異的結合性クローン。ヒトTN1〜4ライブラリーからDR4受容体に対する特異的結合に関して選択したループ1及び4に対するアミノ酸配列の例を、以下の表4に詳しく記載する。
【表5−1】


【表5−2】

【0212】
3.DR5受容体上のパニング
DR4受容体に関して先に詳述したのと同様にDR5受容体上のパニングを行ったが、パニングを5ラウンド行い、予備結合をIgG1 FcではなくBSAでコーティングしたウエル上で行ったことが異なった。しかし、ファージ上清ストックは、各ラウンド間にFc結合に対する可溶性の競合物として働く可溶性IgG1 Fcを含んでいた。DR5に特異的な結合クローンを、ラウンド5からスクリーニングして得た。DR5に特異的な結合に対するクローンから得たループ1及び4に対するアミノ酸配列を、以下表5に示す。
【表6−1】


【表6−2】

【0213】
先に記載した通り、ループ1はスクリーニングしたライブラリー中にランダム化アミノ酸を7個含み、ループ4は天然アミノ酸の2位に5個のランダム化アミノ酸の挿入を有していた(表5における下線領域)。変更されたループ中にグルタミン(Q)を有するいくつかのクローンでは、アンバー抑制可能ストップコドン(TAG)はグルタミンをコードし、これは小文字の「q」によって示される。パニングの間、これらの領域の外側に変化を含む少数のクローンが同定され、例えば、ループ4において、カルボキシに隣接するアミノ酸はいくつかの場合においてEからKに変更された。
【0214】
(例20)
ヒトDR4及びDR5受容体に対するアトリマー(atrimer)バインダーのサブクローニング及び生成
ループ領域のDNAフラグメントが、BglII及びMfeI制限酵素での2重消化によってDR4/DR5バインダーDNAから放出され、細菌の発現ベクターpANA4、pANA10、又はpANA19にライゲートして、大腸菌において分泌型アトリマーを生成した。
【0215】
発現構築物を大腸菌系統BL21(DE3)に形質転換し、アンピシリンを含むLB寒天上に細菌を塗抹した。新鮮なプレート上のコロニー1個を、アンピシリンを含む2×YT培地中に接種した。培養物を200rpmの振盪機中37℃で、OD600が0.5に到達するまでインキュベートし、次いで室温に冷却した。アラビノシス(arabinosis)を加えて最終濃度を0.002〜0.02%にした。室温で一夜、120〜150rpmで振盪して誘導を行い、その後、遠心分離によって細菌を収集した。浸透圧ショック又は穏やかな超音波処理によってペリプラズムタンパク質を抽出した。
【0216】
Ni−NTAアフィニティクロマトグラフィーによって、6×Hisでタグ付けしたアトリマーを精製した。簡潔に述べると、ペリプラズムタンパク質をHis結合バッファー(100mM HEPES、pH8.0、500mM NaCl、10mMイミダゾール)中再構成し、His結合バッファーで予め平衡にしたNi−NTAカラム上にロードした。カラムを結合バッファー10×体積で洗浄した。タンパク質を溶出バッファー(100mM HEPES、pH8.0、500mM NaCl、500mMイミダゾール)で溶出した。精製したタンパク質をPBSバッファー中に透析し、陰イオン交換によって細菌の内毒素を除去した。
【0217】
ステップII−タグ付けしたアトリマーをStrep−Tactinアフィニティクロマトグラフィーによって精製した。簡潔に述べると、ペリプラズムタンパク質を1×結合バッファー(20mM Tris−HCl、pH8.5、150mM NaCl、2mM CaCl、0.1% Triton X−100)中再構成し、結合バッファーで予め平衡にしたStrep−Tactinカラム上にロードした。カラムを10×体積の結合バッファーで洗浄した。タンパク質を溶出バッファー(2.5mMデスチオビオチンを含む結合バッファー)で溶出した。精製したタンパク質を結合バッファー中に透析し、陰イオン交換によって細菌の内毒素を除去した。
【0218】
ループ領域のDNAフラグメントを哺乳動物の発現ベクターpANA2及びpANA11中にサブクローニングして、HEK293一過性発現系中にアトリマーを生成した。ループ領域のDNAフラグメントが、BglII及びMfeI制限酵素での二重消化によってIL−23RバインダーDNAから放出され、BGlII及びMfeIで予備消化した発現ベクターpANA2及びpANA11にライゲートした。発現プラスミドを、Qiagen HiSpeed Plasmid Maxi Kit(Qiagen)によって細菌から精製した。HEK293接着細胞では、一過性トランスフェクトを、製造元のプロトコールに従ってQiagen SuperFect Reagent(Qiagen)によって行った。トランスフェクトの翌日、培地を除去し、293 Isopro無血清培地(Irvine Scientific)に交換した。2日後、0.5M HEPES中20%グルコースを培地に加えて最終濃度1%とした。組織培養物上清を、精製用にトランスフェクトした4〜7日後に収集した。HEK293F懸濁細胞に対して、一過性トランスフェクトを、Invitrogenの293Fectin及びそのプロトコールによって行った。翌日、1×体積の新鮮な培地を培養物中に加えた。組織培養物上清を、精製用にトランスフェクトした4〜7日後に収集した。哺乳動物組織培養物上清からのHis−又はStrepII−でタグ付けしたアトリマーの精製を、上記に記載した通りに行った。
【0219】
ループ領域のDNAフラグメントを、哺乳動物発現ベクターpANA5、pANA6、pANA7、pANA8、及びpANA9中にサブクローニングして、HEK293一過性発現系中、CTLDを提示する配向の異なるアトリマーを生成した。pANA5は、ヒトTNにおいてC末端His−タグ及びV49欠失を含む、修飾されたpCEP4ベクターである。同様に、pANA6は、T48欠失を有し、pANA7はT48及びV49の欠失を有する。pANA8は、野生型TNより柔軟なCTLDを提供するためのC50、C60→S50、S60の二重変異を有する。pANA9は、グリコシル化部位を除去するためのE→V17の欠失を有する。ループ領域のDNAフラグメントが、BglII及びMfeI制限酵素での二重消化によってIL−23RバインダーDNAから放出され、BGlII及びMfeIで予備消化した発現ベクターpANA5、pANA6、pANA7、pANA8、及びpANA9にライゲートした。
【0220】
(例21)
Biacoreを用いたヒトDR4及びDR5受容体バインダーの親和性のキャラクタリゼーション
3量体のDR4及びDR5バインダーの見かけの親和性を、それぞれ表6及び表7に提供する。標準のアミンカップリング化学反応を用いて抗ヒトIgG Fc抗体(Biacore)のCM5チップ(Biacore)への固定化を行い、この表面を用いて組換えヒトDR4又はDR5受容体Fc融合タンパク質(R&D Systems)を捕獲した。アトリマー希釈液(1〜500nM)を30μl/分でIL−23受容体表面にわたって注射し、速度定数をBiaevaluationソフトウエア(バージョン3.1、Biacore)を用いてセンサーグラムデータから引き出した。データ収集は、会合に3分及び解離に5分であった。抗ヒトIgGの表面を3M塩化マグネシウムの30秒のパルスで再生した。センサーグラムは全て、活性化及びブロックしたフローセル及びバッファー注射に対して二重基準としたものである。
【表7】


【表8】

【0221】
細胞アッセイの説明
H2122肺腺癌細胞(ATCC#CRL−5985)及びA2780卵巣癌細胞(European Collection of Cell Culture、#93112519)を、1×10細胞/ウエルで、96ウエル白色不透明プレート(Costar)において10%FBS/RMPI培地(Invitrogen)中、DR5アトリマー(20μg/mL)又はTRAIL(0.2μg/mL、R&D Systems)とインキュベートした。対照のウエルには、培地とそれぞれのバッファー:DR5アトリマーにはTBS、及びTRAILにはPBSを入れた。20時間後、ViaLight Plus(Lonza)によって細胞の生存率を決定し、Glomaxルミノメーター(Promega)上で検出した。データは、それぞれのバッファー対照に対するパーセント細胞死として表した。3回測定した平均値及び標準誤差をExcelを用いてプロットした。DR5アトリマーを5つ試験した:4a8c、2a1a、1a7b、9b3d、及び8b6b。DR5アトリマー3つ(4a8c、1a7b、及び8b6b)は両方の細胞系において50%を超える死滅を示した。別の実験において同様のデータを得た。
【0222】
(例22)
ヒトDR5に対するNEBペプチドライブラリーのパニング及びDR5特異的ペプチドの同定
New England Biolabs(NEB)Ph.D.Phage Display Librariesを用いてペプチドライブラリーのパニングを行った。1ウエル当たり150μLの0.1M NaHCOpH8.6中に希釈した担体フリーの標的抗原3μgと結合させ、前夜新たに調製した、DR5/Fc抗原コーティングした(R&D Systems)ウエル上でパニングを行った。各ラウンドにおいてウエルを2つずつ用いた。抗原のプレートを4℃で一夜、次いで37℃で1時間インキュベートした。抗原を除去し、次いでウエルを、PBS中0.5%煮沸カゼインpH7.4で、37℃で1時間ブロックし、その後パニングした。次いでカゼインを除去し、次いでウエルをTBST(0.1%Tween)300μLで6回洗浄し、次いでファージを加えた。標的抗原はFc融合タンパク質として発現されたので、標的抗原の結合の前に、ファージ上清液を1時間ヒトIgG1 Fcを有する抗原ウエルと予備結合させてFcバインダーを除去した(ラウンド2からラウンド4の間)。Fc抗原が結合したウエルを、上記に記載したように、DR5/Fc抗原が結合したウエルと同様に調製した。
【0223】
パニングの最初のラウンドでは、TBST(0.1%Tween)100μLを各ウエルに加え、3つのNEBペプチドライブラリー(Ph.D.−7、Ph.D.−12、及びPh.D.−C7C)を各々5ul、各ウエルに加えた。プレートを室温で1時間、穏やかに揺り動かし、次いでTBST(0.1%Tween)で10回洗浄した。結合したファージを、濃度100μg/mlの可溶性DR5/Fc標的抗原を含むPBS100μLで溶出した。ファージを1時間、室温で揺り動かして溶出した。次いで、溶出したファージをウエルから除去し、これを用いてOD600nmが0.05から0.1のER2738細菌20mlに感染させ、250rpmで振盪しながら37℃で4.5時間増殖させた。次いで、細菌を、4℃、12K×Gで20分間、培養物から遠心分離して除いた。細菌を新たな試験管に移し、再び遠心分離した。上清を再び新たな試験管に移し、6分の1容積の20%PEG/2.5M NaClを加えることによってファージを沈澱させた。ファージを4℃で一夜沈澱させた。翌日、沈澱したファージを4℃、12K×Gで20分間スピンダウンした。上清を捨て、ファージペレットをTBST(0.1%Tween)1ml中に再懸濁した。残余の細菌を、4℃、13.2Kで10分間、微量遠心管中遠心分離することによって除いた。次いで、ファージ上清を新たな試験管に移し、6分の1容積の20%PEG/2.5M NaClを加えることによって再沈澱し、氷上4℃で1時間インキュベートした。沈澱したファージを4℃、13.2Kで10分間、微量遠心管中スピンダウンした。上清を捨て、ファージペレットをTBS200μL中に再懸濁した。パニングのその後のラウンドをラウンド1と同様に行ったが、Fcをコーティングしたウエルにファージを1時間予備結合し、結合の間に先のラウンドからの増幅されたファージストック4μLを1ウエルごとに用いたことが異なった。さらに、Tweenの濃度を、10回の洗浄の間に用いたTBST中0.5%に増大した。
【0224】
ファージELISA
ER2738系統の細菌を用いて、少なくとも4ラウンド、パニングを行った。パニングの各ラウンドに試料の力価を取り、LB/Xgalプレート上の上層寒天を用いて塗抹してプラークを得た。ファージクローンの受容体標的への特異的な結合をスクリーニングするために、個々のプラークを、パニングの後のラウンドからのこれらのタイタープレートから選択し、これを用いてOD600nmが0.05から0.1であるER2738細菌に感染させ、250rpmで振盪しながら37℃で4.5時間増殖させた。次いで、一夜、4℃で貯蔵した。
【0225】
2日目、培養物を、4℃、12×Gで20分間スピンダウンし、ファージを含む上清を室温で1時間、3%ミルク/PBSでブロックした。1ウエル当たり75〜100ngのDR5/Fc抗原の結合を用いて、最初のファージELISAを行った。1ウエル当たりヒトIgG1 Fc75〜100ngを含むウエルを用いて非特異的な結合を測定した。1ウエル当たりPBS100μL中に希釈した上記の量の抗原に結合することによって、DR5/Fc抗原(R&D Systems)でコーティングしたウエル及びIgG1 Fcでコーティングしたウエルを前夜新たに調製した。抗原のプレートを4℃で一夜、次いで37℃で1時間インキュベートし、PBS/0.05%Tween20で2回、PBSで2回洗浄し、次いで3%ミルク/PBSで37℃、1時間ブロックし、その後ELISAを行った。ブロックしたファージを、ブロックした抗原が結合したプレートに1時間結合させ、次いで0.05%Tween20/PBSで2回、次いでPBSでさらに2回洗浄した。3%ミルク/PBS中希釈したHRPコンジュゲートした抗M13 2次抗体を次いで適用し、1時間結合させ、上記に記載した通りに洗浄した。ELISAシグナルをTMB基質混合物90μLを用いて発生させ、次いで0.2M硫酸90μLで停止し、次いで450nMでELISAプレートを読んだ。2次ELISAスクリーニングを、同定したポジティブ結合のクローニングに対して行い、さらなるTRAIL受容体及び囮受容体に対してスクリーニングして特異性(DR4、DR5、DcR1、及びDcR2)に関して試験した。2次ELISAスクリーニングを、先に詳述したプロトコールと同様に行った。
【0226】
DR5特異的結合性クローン。DR受容体に対する特異的結合に関して選択した、NEB Ph.D.−C7Cファージライブラリーからのペプチドのアミノ酸配列の例を、以下の表XXに詳しく記載する。
【表9】

【0227】
上記の実施例は、これらのライブラリーにおいて産生することができる変形の範囲を制限するものではない。様々な数のランダムの、又はより多くの標的アミノ酸を用いて存在するアミノ酸を置換する、他のライブラリーを産生することができ、様々な組合せのループを利用することができる。さらに、ランダムPCR変異誘発など、他の変異及び変異を産生する方法を利用して、パニングを受けさせることができる多様化したライブラリーを提供することができる。
【0228】
上記に記載した実施例は例示にすぎず、本発明の全ての可能な実施形態、応用、又は修飾を網羅的に列挙しようとするものではない。したがって、本発明の記載する方法及びシステムの様々な修飾及び変形は、当業者であれば本発明の範囲及び精神から逸脱せずに明らかであろう。本発明を特定の実施形態に関連させて記載してきたが、主張する通り本発明は、このような特定の実施形態に過度に制限されるべきではないことを理解されたい。実際、分子生物学、免疫学、化学、生化学、又は関連の分野における技術者には明らかである、本発明を実施するための記載された様式の様々な修飾は、添付の特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0229】
本明細書に記載する、特定の方法論、プロトコール、及び試薬などは当業者が認識するものとして変化し得るので、本発明は、これらに制限されるものではないことが理解される。本明細書で用いる専門用語は、特定の実施形態を記載する目的で用いるにすぎず、本発明の範囲を制限することを意図するものではないことも理解される。
【0230】
本発明の実施形態、並びにその様々な特徴及び有利な詳細を、非制限的な実施形態を参照して、より完全に説明し、且つ/又は添付の図面に例示し、且つ以下の記載に詳述してある。図面に例示する特徴は、必ずしも規模を描くものではなく、本明細書において明示的に述べてなくても、当業者であれば認識する通り一実施形態の特徴を他の実施形態とともに用いることができることに留意されたい。
【0231】
本明細書に列挙したあらゆる数値は、あらゆる低値とあらゆる高値の間が少なくとも2単位離れているならば、1単位の増加における低値から高値までの全ての値を含む。一例として、成分濃度、又はサイズ、角度のサイズ、圧力、時間など、プロセスの変数の値が、例えば、1から90まで、詳しくは20から80まで、より詳しくは30から70までであると記載される場合、15から85まで、22から68まで、43から51まで、30から32までなどの値が、本明細書において明白に列挙されることが意図される。1未満の値に対して、1単位は適宜、0.0001、0.001、0.01、又は0.1とみなされる。これらは、特に意図されるものの例にすぎず、列挙される最低値と最高値の間の数値の全ての可能な組合せが、同様に本出願において明白に記載されるものとみなされるべきである。
【0232】
特定の方法、装置、及び材料を記載するが、本明細書に記載するものと同様又は等価のあらゆる方法及び材料が、本発明の実践又は試験において用いられてよい。本明細書に列挙する全ての参考文献及び出版物の開示は、各々が参照によって個々に援用されるごとく同程度に、その全文が参照によって特に援用される。
【表10−1】


【表10−2】


【表11】


【表12−1】


【表12−2】


【表12−3】


【表12−4】


【表12−5】


【表12−6】


【表12−7】


【表12−8】


【表13−1】


【表13−2】


【表13−3】


【表13−4】


【表13−5】


【表13−6】


【表13−7】


【表13−8】


【表13−9】


【表13−10】


【表13−11】


【表13−12】


【表13−13】


【表13−14】


【表13−15】


【表13−16】


【表13−17】


【表13−18】


【表13−19】


【表13−20】


【表13−21】


【表13−22】


【表13−23】


【表13−24】


【表13−25】


【表13−26】


【表13−27】


【表13−28】


【表13−29】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
3量体化ドメイン、及び少なくとも1つのTRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドを含む非天然のポリペプチド。
【請求項2】
3量体化ドメインが、10位、17位、20位、21位、24位、25位、26位、28位、29位、30位、31位、32位、33位、34位、又は35位に最高5個のアミノ酸置換を有する配列番号10のポリペプチドを含み、3つの3量体化ドメインが3量体複合体を形成する、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項3】
3量体化ドメインが、hTRAF3(配列番号)、hMBP(配列番号)、hSPC300(配列番号)、hNEMO(配列番号)、hキュビリン(hcubilin)(配列番号)、hトロンボスポンジン(配列番号)、並びにヒトSP−Dの頸部領域、(配列番号)、ウシSP−Dの頸部領域(配列番号)、ラットSP−Dの頸部領域(配列番号)、ウシコングルチニンの頸部領域:(配列番号)、ウシコレクチンの頸部領域:(配列番号)、及びヒトSP−Dの頸部領域:(配列番号)からなる群から選択される3量体化ポリペプチドを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項4】
少なくとも1つのTRAIL死受容体がDR4又はDR5である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項5】
TRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドがC型レクチン様ドメイン(CLTD)を含み、ループセグメントA又はループセグメントBのループ1、2、3、又は4の1つがDR4及びDR5の少なくとも1つに結合するポリペプチド配列を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項6】
TRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドがDR4に結合し、ループ1及び4における配列の以下の組合せの1つを含むC型レクチン様ドメイン(CLTD)を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【表1−1】


【表1−2】

【請求項7】
TRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドがDR5に結合し、ループ1及び4における配列の以下の組合せの1つを含むC型レクチン様ドメイン(CLTD)を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【表2−1】


【表2−2】

【請求項8】
TRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドがTRAIL囮受容体に結合しない、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項9】
TRAIL囮受容体が、DcR1、DcR2、及び循環オステオプロテゲリン(OPG)の少なくとも1つである、請求項8に記載のポリペプチド。
【請求項10】
ポリペプチドが融合タンパク質である、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項11】
少なくとも1つのTRAIL死受容体に結合するポリペプチドがDR5に結合し、以下の配列:ACFPIMTLHCGGG(配列番号)を含む、請求項10に記載のポリペプチド。
【請求項12】
TRAIL死受容体に結合する少なくとも1つのポリペプチドが、DR4に結合するポリペプチド及びDR5に結合するポリペプチドを含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項13】
DR4及びDR5の少なくとも1つに結合する第1のポリペプチドが3量体化ドメインのN末端又はC末端の一方に位置付けられ、DR4及びDR5の少なくとも1つに結合する第2のポリペプチドが3量体化ドメインのN末端又はC末端の他方に位置付けられる、請求項12に記載のポリペプチド。
【請求項14】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの両方がDR4に結合する、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項15】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの両方がDR5に結合する、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項16】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの一方がDR4に結合し、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの他方がDR5に結合する、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項17】
第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの少なくとも1つがCTLDを含み、ループセグメントA又はループセグメントBのループ1、2、3、又は4の1つが、DR4及びDR5の少なくとも1つに結合するポリペプチドを含む、請求項13に記載のポリペプチド。
【請求項18】
DR4又はDR5に結合するポリペプチドが3量体化ドメインのN末端及びC末端の一方に位置付けられ、N末端及びC末端の他方に、腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異抗原(TSA)に結合するポリペプチド配列をさらに含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項19】
ポリペプチドが、DR4又はDR5に結合するポリペプチドよりも少なくとも2倍大きな親和性で腫瘍関連抗原(TAA)又は腫瘍特異抗原(TSA)に結合する、請求項18に記載のポリペプチド。
【請求項20】
DR4又はDR5に結合するポリペプチドが3量体化ドメインのN末端及びC末端の一方に位置付けられ、N末端及びC末端の他方に、Fn14、FAS受容体、TNF受容体、及びLIGHT受容体からなる群から選択される受容体に結合するポリペプチド配列をさらに含む、請求項4に記載のポリペプチド。
【請求項21】
ポリペプチドに共有結合している治療薬をさらに含む、請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項22】
請求項1に記載のポリペプチドを3つ含む3量体複合体。
【請求項23】
3量体化ドメインがテトラネクチン3量体化構造要素である、請求項22に記載の3量体複合体。
【請求項24】
請求項22に記載のポリペプチドを3つ含む3量体複合体であって、DR4に結合する同じでも異なってもよいポリペプチド配列を3つ含み、DR5に特異的に結合する同じでも異なってもよいポリペプチド配列を3つ含む、上記3量体複合体。
【請求項25】
請求項1に記載のポリペプチドを含むポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項26】
請求項25に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
【請求項27】
請求項26に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項28】
細胞を請求項22に記載の3量体複合体と接触させることを含む、DR4及びDR5の少なくとも1つを発現する患者において腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘発する方法。
【請求項29】
3量体複合体がカスパーゼ依存性アポトーシスを誘発する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
3量体複合体がカスパーゼ非依存性アポトーシスを誘発する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
請求項22に記載の3量体複合体、及び少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤を含む、薬剤組成物。
【請求項32】
請求項31に記載の薬剤組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、癌患者を治療するための方法。
【請求項33】
治療薬を、同時又は逐次のいずれかで患者に投与することをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
請求項22に記載の複合体を含む、DR4受容体アゴニスト。
【請求項35】
請求項22に記載の複合体を含む、DR5受容体アゴニスト。
【請求項36】
a)DR4又はDR5の一方に結合するがTRAIL囮受容体に結合しない第1のポリペプチドを選択するステップと、
b)第1のポリペプチドを多量体化ドメインのN末端又はC末端の一方と融合させるステップと
を含む、細胞におけるアポトーシスを誘発するポリペプチドを調製するための方法。
【請求項37】
a)DR4及びDR5の他方に特異的に結合する第2のポリペプチドを選択するステップと、
b)第2のポリペプチドを多量体化ドメインのN末端又はC末端の一方と融合させるステップと
をさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ステップ(a)が、TRAIL囮受容体に結合しないポリペプチドを選択するステップをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
請求項37に従って調製した3つのポリペプチドを3量体化することを含む、TRAILに対する少なくとも1つの死受容体を発現する細胞においてアポトーシスを誘発するポリペプチド複合体を調製するための方法。
【請求項40】
a)少なくとも1つのランダム化ループ領域を含むCTLDを含むポリペプチドのライブラリーを作り出すステップと、
b)DR4又はDR5の一方に結合する第1のポリペプチドをライブラリーから選択するステップと
を含む、腫瘍細胞におけるアポトーシスを誘発するポリペプチドを調製するための方法。
【請求項41】
(c)選択されたポリペプチドを、多量体化ドメインのN末端又はC末端に付着させるステップ
をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
ステップ(b)が、TRAIL囮受容体に結合しないポリペプチドを選択するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−504969(P2012−504969A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531234(P2011−531234)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060271
【国際公開番号】WO2010/042890
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(508253627)アナフォア インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Anaphore,Inc.
【Fターム(参考)】