説明

TRPM8モジュレーターとしてのスルファミド

開示されたものは、疼痛を含む、様々な疾患、症候群、病的状態及び障害を処置するための化合物、組成物及び方法である。かかる化合物は以下のように式(I)で表わされる。
【化1】


式中、Y、R1、R2、R3、R4、RA及びRBは、本明細書に定義される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
該当なし。
【0002】
(発明の分野)
本発明はTRPM8受容体のモジュレーターとして作用するスルファミドに関する。本発明は、スルファミドの調製プロセス、並びに、炎症性若しくは神経障害性疼痛、寒冷不耐症又は寒冷異痛症、末梢血管痛、掻痒、尿失禁、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺高血圧症及び不安神経症、例えば、他のストレス関連障害、及びこれらの組み合わせを引き起こすものなどの様々な疾患、症候群及び障害の処置におけるスルファミドの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
一過性受容器電位(Transient Receptor Potential(TRP))チャネルは、様々な刺激により活性化される非選択的カチオン・チャネルである。膨大な数のイオン・チャネルのファミリーが今日までに同定されており、その中にはTRPM8とも称される冷感−メントール受容体(cold-menthol receptor)が含まれる(McKemy D.D.ら、Nature 2002,416(6876),52〜58)。TRPチャンネル及び関連するTRP様受容体は、集団としては、熱曝露の連続範囲全体への感覚応答性を示唆し、有害な暑さから有害な寒さまでの範囲に広がる閾値温度、及び同様にこれらの感覚に類似した知覚をもたらす化学物質に選択的に応答する。特に、TRPM8は、冷涼から寒冷までの温度並びにメントール及びイシリンのような化学物質により刺激される場合があり、これらの物質が誘起する処置的な冷感に関与する可能性がある。
【0004】
一次侵害受容ニューロン(A−δ線維及びC線維)に局在するTRPM8は、炎症により媒介される二次メッセンジャーのシグナルによっても調節される(Abe,J.ら、Neurosci Lett 2006,397(1〜2),140〜144;Premkumar,L.S.ら、J.Neurosci,2005,25(49),11322〜11329)。A−δ線維及びC線維の両方へのTRPM8の局在化は、これらのニューロンが変質され、痛みをもたらし、しばしば熱傷的性質を持つ、病原性状態における異常な寒冷感受性の基礎を提供している可能性がある(Kobayashi,K.ら、J Comp Neurol,2005,493(4),596〜606;Roza,C.,ら、Pain,2006,120(1〜2),24〜35;and Xing,H.ら、J Neurophysiol,2006,95(2),1221〜30)。化学的又は熱的な冷却により誘起される、寒冷不耐症、及び逆説的な熱傷的感覚は、広範囲の臨床的障害に見られる症状と酷似しており、それゆえに、新規な抗感覚過敏症薬、又は坑異痛症薬としてのTRPM8モジュレーター開発に、強固な理論的根拠を提供する。TRPM8は、脳、肺、膀胱、消化管、血管、前立腺及び免疫細胞にも発現することが知られており、それにより広範囲の疾患の処置的調節の可能性が提供される。
【0005】
Bayer Healthcare AGの国際公開第2006/040136(A1)号は、証明はされていないが、泌尿器系障害処置のための寒冷メントール受容体−1(CMR−1)アンタゴニストとしての置換4−ベンジルオキシ−フェニルメチルアミド誘導体を記載している。Bayer Healthcare AGの国際公開第2006/040103(A1)号は、証明はされていないが、呼吸器系疾患又は障害の処置及び/又は予防のための方法及び医薬組成物を記載している。Bayer Healthcare AGの国際公開第2007/017092(A1)号、同第2007/017093(A1)号及び同第2007/017094(A1)号は、証明はされていないが、TRPM8としても知られる、寒冷メントール受容体(CMR)に関連付けられる疾患の処置のためのベンジルオキシフェニルメチルカーバメート、置換2−ベンジルオキシ安息香酸アミド及び置換4−ベンジルオキシ安息香酸アミド誘導体を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野には、TRPM8受容体の調節により影響される、疼痛、かかる疼痛をもたらす疾患及び呼吸器系又は血管系の機能障害のような哺乳類の疾患、症候群又は病的状態の処置に使用できる、TRPM8アンタゴニストに対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、とりわけ、式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容できる塩を提供する。
【0008】
【化1】

式中、
Yは、
(i)H、
(ii)ブロモ、
(iii)クロロ、
(iv)フルオロ、
(v)ヨード、
(vi)C3〜6シクロアルキル、又は、
(vii)C1〜6アルキルであり、
1は、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換され、及び、所望によりヒドロキシ及びオキソからなる群から選択される1個の追加的な置換基で置換されるC1〜6アルキル[ここで、上記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノカルボニル、C1〜3アルキルアミノカルボニル、ジ(C1〜3)アルキルアミノカルボニル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、ジ(C1〜3)アルキルアミノ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、置換基のうちの2個以下は、1〜3個のフルオロ置換基で置換されたC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノカルボニル、C1〜3アルキルアミノカルボニル、ジ(C1〜3)アルキルアミノカルボニル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、ジ(C1〜3)アルキルアミノ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iv)所望によりC3〜6シクロアルキル若しくはトリフルオロメチルで置換されるC1〜6アルキル、あるいは、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、
(ii)フルオロ、
(iii)クロロ、
(iv)メトキシ、又は、
(v)メチルであり、
3は、
(i)水素、
(ii)フルオロ、
(iii)クロロ、又は、
(iv)メチルであり、
4は、
(i)水素、
(ii)C1〜6アルキル、
(iii)トリフルオロメチル、
(iv)C1〜4アルコキシ、
(v)ブロモ、
(iv)クロロ、
(vii)フルオロ、又は、
(viii)ヒドロキシであり、
Aは、カルボキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で末端炭素原子が置換されたC1〜6アルキルであり、
Bは水素又はC1〜6アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、上記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)上記環の炭素原子を介して結合したスピロ縮合ピロリジニル環[ここで、ピロリジニル窒素原子は所望によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル(C1〜3)アルキル又はCH2CF3で置換される]
[ピペリジニル環は所望によりベンゾ縮合されて、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イル[ここで、上記1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イルは所望により、上記環のヘテロシクリル部分でメチル及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換され、
又は、上記1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イルのヘテロシクリル部分は置換されず、上記環のベンゾ部分は所望により、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、エトキシカルボニル、カルボキシ及びメトキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換され、但し、上記置換基のうちの1個以下はカルボキシ若しくはエトキシカルボニルである]]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニル、
(vii)C(O)R1a[式中、R1aはC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル又はフェニルである]、あるいは、
(viii)SO22a[式中、R2aはメチル又はフェニルである]である。
【0009】
本発明は、製薬上許容できるキャリヤ、製薬上許容できる賦形剤、及び/又は製薬上許容できる希釈剤並びに式(I)の化合物又はその製薬上許容できる塩を含むか、又はそれらからなり、及び/又はそれらから本質的になる医薬組成物をとりわけ提供する。
【0010】
更に本発明により、式(I)の化合物、及び製薬上許容できるキャリヤ、製薬上許容できる賦形剤、及び/又は製薬上許容できる希釈剤の混合物を含むか、又はそれらからなり、及び/又はそれらから本質的になる医薬組成物を製造するプロセスが提供される。
【0011】
更に本発明は、疼痛のようにTRPM8受容体の調節により影響される疾患、症候群、又は病的状態並びに、かかる疼痛をもたらす疾患及び呼吸器系又は血管系の機能障害のような哺乳類及び/又はヒトを含む被験者のTRPM8受容体により調節される障害を、式(I)の化合物を用いて処置又は改善する方法をとりわけ提供する。特に、本発明の方法は、炎症による疼痛、寒冷不耐症又は寒冷異痛症、末梢血管痛、掻痒、尿失禁、慢性閉塞性肺疾患、肺性高血圧及び他のストレス関連障害を含む不安神経症を含むTRPM8受容体により調節される障害を、式(I)の化合物を用いて処置又は改善することを対象とする。
【0012】
更に本発明は、とりわけ、例示的な化合物並びにその医薬組成物及び医薬品の製造方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
用語「独立して」は、1個を超えてこのような置換基が可能であるとき、このような置換基は、互いに同一であってもよく、異なってもよいことを意味する。
【0014】
用語「アルキル」は、単独で使用されるか置換基の一部であるかを問わず、1〜8個の炭素原子、又はこの範囲内の任意の数を有する、直鎖及び分枝炭素鎖を指す。したがって、指定された炭素原子の数(例えば、C1〜8)は、独立してアルキル部分の又はより大きなアルキル含有置換基のアルキル部分の、炭素原子数を指す。例えば、(C1〜6アルキル)2アミノ−のような複数のアルキル基を有する置換基の場合、ジアルキルアミノのC1〜6アルキル基は、同一でも異なってもよい。
【0015】
用語「アルコキシ」は、O−アルキル置換基を指し、ここで、アルキルは、上記に定義されている通りである。置換される範囲で、アルキル鎖及びアルコキシ鎖は炭素原子上で置換され得る。
【0016】
用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、2個以上の炭素原子を有する直鎖及び分枝炭素鎖を指し、アルケニル鎖は鎖中に少なくとも1個の二重結合を有し、アルキニル鎖は鎖中に少なくとも1個の三重結合を有する。
【0017】
用語「シクロアルキル」は、飽和又は部分的に不飽和であり、炭素原子員が3〜14個の、単環式又は多環式炭化水素環を指す。このような環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロヘプチル、及びアダマンチルが挙げられるが、これらに限定されない。同様にして、「シクロアルケニル」は、環内に少なくとも1つの二重結合を含有するシクロアルキルを指す。加えて、「ベンゾ縮合したシクロアルキル」は、ベンゼン環と縮合したシクロアルキル環である。「ヘテロアリール縮合したシクロアルキル」は5〜6員のヘテロアリール環(O、S又はNのうちの1つを含有し、所望によりもう1個窒素を含有している)と縮合したシクロアルキル環である。
【0018】
用語「ヘテロシクリル」は、5〜7員の非芳香族環であり、そのうちの1〜2個の構成原子は窒素であり、又は5〜7員の非芳香族環であり、そのうちの0、1又は2個の構成原子は窒素であり、かつ最大2個の構成原子は酸素又は硫黄であり、ここで、環は任意に0〜1個の不飽和結合を含み、6〜7員環の場合には、任意に最大2個の不飽和結合を含む。本明細書で使用するとき、「ベンゾ縮合したヘテロシクリル」としては、ベンゼン環と縮合した5〜7員の単環式複素環が挙げられる。本明細書で使用するとき、「ヘテロアリール縮合したヘテロシクリル」は、5又は6員のヘテロアリール環(O、S又はNを1つ含有し、場合によりもう1つ窒素を含有している)と縮合した5〜7員の単環式複素環を指す。本明細書で使用するとき、「シクロアリール縮合したヘテロシクリル」は、5〜7員のシクロアルキル環又はシクロアルケニル環と縮合した5〜7員の単環式複素環を指す。加えて、本明細書で使用するとき、「ヘテロシクリル縮合したヘテロシクリル」は、5〜7員のヘテロシクリル環(上記と同様の定義であるが、更なる縮合環についての選択肢は欠いている)と縮合した5〜7員の単環式複素環を指す。本発明の本化合物については、ヘテロシクリル環を形成する炭素原子環員は完全に飽和している。本発明の他の化合物は、部分的に飽和したヘテロシクリル環を有してよい。本明細書で使用するとき、「ヘテロシクリル」としてはまた、架橋されることで二環式環を形成する5〜7員の単環式複素環も挙げられる。このような化合物は完全に芳香族であるとは見なされず、ヘテロアリール化合物を指すものではない。ヘテロシクリル基の例としては、ピロリニル(2H−ピロール、2−ピロリニル又は3−ピロリニル)、ピロリジニル、2−イミダゾリニル、イミダゾリジニル、2−ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びピペラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
用語「アリール」は、6炭素員の不飽和芳香族単環、又は10〜14炭素員の不飽和芳香族多環を指す。このようなアリール環の例としては、フェニル、ナフタレニル又はアントラセニルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施に好ましいアリール基は、フェニル及びナフタレニルである。
【0020】
用語「ヘテロアリール」は、5又は6員の芳香環で、その環が炭素原子を含み、ヘテロ原子員を少なくとも1個有するものを指す。好適なヘテロ原子としては、N、O、又はSが挙げられる。5員環の場合、ヘテロアリール環は、N、O又はSのうちの1員を含有し、これに加えて、最大3個の窒素原子を追加で含有してもよい。6員環の場合、ヘテロアリール環は、1〜3個の窒素原子を含有してもよい。6員環が3個の窒素原子を有する場合、最大で2個の窒素原子が隣接する。
【0021】
所望によりヘテロアリール環はベンゼン環と縮合して「ベンゾ縮合したヘテロアリール」を形成し、同様に、ヘテロアリール環は所望により5〜6員ヘテロアリール環(O、S又はNのうちの1つを含有し、所望によりもう1個窒素を含有している)と縮合して「ヘテロアリール縮合したヘテロアリール」を形成し、同様に、ヘテロアリール環は所望により5〜7員シクロアルキル環又は5〜7員ヘテロシクロ環(上記に定義した通りであるが、更なる縮合環部分はない)と縮合して「シクロアルキル縮合したヘテロアリール」を形成する。ヘテロアリール基の例としては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル又はピラジニルが挙げられ、場合により縮合したベンゼン環を有するヘテロアリール基の例としては、インドリル、イソインドリル、インドリニル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、キノリジニル、キノリニル、イソキノリニル、又はキナゾリニルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0022】
用語「アリールアルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基を意味する(例えばベンジル、フェネチル)。同様に、「アリールアルコキシ」は、アリール基で置換されたアルコキシ基を指す(例えば、ベンジルオキシ)。
【0023】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指す。複数のハロゲンで置換された置換基は、安定な化合物を提供するような方法で置換されている。
【0024】
用語「アルキル」若しくは「アリール」又はその接頭辞の語根のいずれかが、置換基(例えば、アリールアルキル、アルキルアミノ)の名称に現れる場合はいつでも、それは「アルキル」及び「アリール」について上述した限定を含むものとして解釈すべきである。指定された炭素原子数(例えば、C1〜C6)は、独立してアルキル部分、アリール部分、又はアルキルが接頭辞の語根として現れるより大きな置換基のアルキル部分の、炭素原子の数を指すべきである。アルキル及びアルコキシ置換基については、指定された炭素原子数は、特定された所与の範囲内での独立した構成成分の全てを含む。例えば、C1〜6アルキルは、個別に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル、並びにこれらの下位の組み合わせ(sub-combinations)(例えば、C1〜2、C1〜3、C1〜4、C1〜5、C2〜6、C3〜6、C4〜6、C5〜6、C2〜5など)を含む。
【0025】
一般に、本開示全体で使用される標準的な命名法の規則の下では、指定される側鎖の末端部が最初に記載され、結合点に向かって隣接する官能基が続く。したがって、例えば、「フェニルC1〜C6アルキルアミドC1〜C6アルキル」置換基は、次式の基を指す。
【0026】
【化2】

【0027】
特に注記がない限り、分子内の特定の位置におけるいずれの置換基又はその変形物の定義は、同一分子内の他の位置におけるその定義とは独立していることが意図されている。当業者であれば、本発明の化合物上の置換基及び置換パターンを選択して、化学的に安定であり、かつ当該技術分野で知られている技術並びに本明細書に記載する方法により容易に合成できる化合物を提供することができるであろう、と理解される。
【0028】
本明細書で使用するとき、用語「被験体」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトを指す。
【0029】
用語「処置上有効な量」は、研究者、獣医、医師、又は他の臨床専門家により探求される、組織系、動物又はヒトでの、処置される疾患、症候群、病的状態、若しくは障害の症状の緩和又は部分的緩和を含む、生物学的応答又は薬剤応答を引き出す活性のある化合物又は医薬品の量を意味する。
【0030】
用語「組成物」は、処置上有効な量の特定の成分を含む生成物、並びに、特定の量の特定の成分の組み合わせから直接的に又は間接的にもたらされるいかなる生成物をも包含することを意図している。
【0031】
用語「アンタゴニスト」は、状況に応じてTRPM8イオン・チャネルの機能拮抗作用(functional antagonism)を生じる化合物を指し、限定するものではないが、競合的アンタゴニスト、非競合的アンタゴニスト、減感作動薬、及び部分的作動薬が挙げられる。
【0032】
本明細書で使用するとき、「炎症性過敏症」は、浮腫、紅斑、高熱及び疼痛を含む1つ以上の炎症の顕著な特徴、及び/又は1つ以上の、熱的、機械的及び/又は化学的刺激を含む刺激への過度の生理学的又は病態生理学的応答により特徴付けられる病的状態を指すために用いられる。
【0033】
用語「TRPM8により調節される」はTRPM8受容体により媒介される状態などの、TRPM8受容体の調節により影響を受ける病的状態を指すために用いられる。
【0034】
本発明の実施形態は、被験体における、以下の片頭痛、帯状疱疹後神経痛、外傷後神経痛、化学療法後神経痛、複合性局所疼痛症候群1型及び2型(CRPS I/II)、線維筋痛、炎症性腸疾患、掻痒、ぜんそく、慢性閉塞性肺疾患、歯痛、骨痛及び発熱からなる群から選択される、少なくとも1つの疾患、症候群、及び病的状態の処置又は予防方法であり、この方法は、式(I)の化合物であるTRPM8アンタゴニストの処置上有効な量を、処置又は予防を必要としている動物、哺乳動物、及びヒトなどの被験体へ投与することを含むかあるいは、投与することからなり、及び/又は、投与することから本質的になる。
【0035】
本発明の他の実施形態は、被験体における、以下の高血圧、末梢血管疾患、レイノー病、再灌流傷害又は凍傷から選択される、少なくとも1つの疾患、症候群、及び病的状態の処置又は予防方法であり、この方法は、式(I)の化合物であるTRPM8アンタゴニストの処置上有効な量を、処置又は予防を必要としている動物、哺乳動物、及びヒトなどの被験体へ投与することを含む。
【0036】
本発明の更なる実施形態は、動物、哺乳動物、及びヒトなどの被験体における、麻酔後の回復又は低体温後の回復を促進する方法であり、この方法は、式(I)の化合物であるTRPM8アンタゴニストの処置上有効な量を、回復の促進を必要としている動物、哺乳動物、及びヒトなどの被験体へ投与することを含む。
【0037】
本発明の実施形態、並びに、下記実施形態a)〜j)の任意の組み合わせは、式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容できる塩を目的とする。
【0038】
【化3】

式中、
a)Yは、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、C3〜6シクロアルキル又はC1〜4アルキルであり、
b)Yは、水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はブロモであり、
c)Yは、水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル又はブロモであり、
d)R1は、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、上記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、C1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、又は、
(iv)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
e)R1は、
(i)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、上記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(ii)フェニルで置換されたC1〜3アルキル[ここで、フェニルは4又は5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iii)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(iv)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
f)R2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
g)R3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
h)R4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
i)RAは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
j)RBは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、上記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルであり、
但し、同一の置換基の異なる実施形態が組み合わされる組み合わせは除外されることが理解される。
【0039】
本発明の更なる実施形態は、以下のような式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容できる塩を目的とする。
【0040】
【化4】

式中、
Yは、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、C3〜6シクロアルキル又はC1〜4アルキルであり、
1は、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、上記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、C1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iv)所望によりC3〜6シクロアルキル若しくはトリフルオロメチルで置換されるC1〜6アルキル、あるいは、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
Bは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個の追加的ヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、及び、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、上記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである。
【0041】
本発明の更なる実施形態は、以下のような式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容できる塩を目的とする。
【0042】
【化5】

式中、
Yは、水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はブロモであり、
1は、
(i)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、上記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(ii)フェニルで置換されたC1〜3アルキル[ここで、フェニルは4又は5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iii)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(iv)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
Bは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、及び、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、上記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである。
【0043】
本発明の更なる実施形態は、以下のような式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容できる塩を目的とする。
【0044】
【化6】

式中、
Yは、水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル又はブロモであり、
1は、
(i)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、上記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(ii)フェニルで置換されたC1〜3アルキル[ここで、フェニルは4又は5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iii)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(iv)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
Bは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、及び、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、上記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(iv)水素、
(v)C1〜8アルキル、
(vi)C3〜6シクロアルキル、
(vii)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(viii)CH2CF3、又は、
(ix)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである。
【0045】
本発明の更なる実施形態は、以下のものからなる群から選択される式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー、溶媒和物、及び製薬上許容できる塩を目的とする。
【0046】
【化7】

【0047】
Yがブロモであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBがカルボキシメチルである化合物、
Yがブロモであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBが3−カルボキシプロピルである化合物、
Yがメチルであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBが3−カルボキシプロピルである化合物、
Yがブロモであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBが4−カルボキシブチルである化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−メチルピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−カルボキシピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノカルボニル)ピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、ピペラジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−(3−メチル−ブチル)−ピペラジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−ピペラジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、4−(ピロリジン−1−イル)ピペリジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBがこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、モルホリン−4−イルを形成する式(I)の化合物。
【0048】
薬剤での使用に関して、式(I)の化合物の塩は、非毒性の「製薬上許容できる塩」を指す。しかしながら、他の塩も式(I)の化合物又はその製薬上許容できる塩の調製に有用となり得る。製薬上許容できる、式(I)の化合物の塩としては、例えば、化合物の溶液を塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸、又はリン酸のような、製薬上許容できる酸の溶液と混合することにより得られる酸付加塩が挙げられる。更に、式(I)の化合物が酸性部分を有する場合は、その適切な製薬上許容できる塩としては、ナトリウム塩又はカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩又はマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、及び4級アンモニウム塩のような適切な有機リガンドと形成された塩、を挙げることができる。したがって、代表的な製薬上許容できる塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物塩、カルシウム・エデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、2塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、ハイドロバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート、ヨウ化物塩、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物塩、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミン・アンモニウム塩、オレイン酸塩、パモン酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩が挙げられる。
【0049】
製薬上許容できる塩の調製で使用され得る代表的な酸及び塩基としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アシル化アミノ酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、(+)−しょうのう酸、カンファースルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、ケイ皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチシン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、D−グルクロン酸、L−グルタミン酸、α−オキソ−グルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸、ラクトビオン酸、マレイン酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロト酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、L−ピログルタミン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸(sebaic acid)、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、p−トルエンスルホン酸及びウンデシレン酸などの酸、並びに、アンモニア、L−アルギニン、ベネタミン、ベンザチン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−(ジエチルアミノ)−エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−グルカミン、ヒドラバミン、1H−イミダゾール、L−リジン、水酸化マグネシウム、4−(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ピペラジン、水酸化カリウム、1−(2−ヒドロキシエチル)−ピロリジン、第二級アミン、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン及び水酸化亜鉛などの塩基が挙げられる。本発明の実施形態は、式(I)の化合物のプロドラッグを含む。一般にそのようなプロドラッグは、インビボで必要な化合物に容易に転化され得る化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の処置又は予防実施形態の方法においては、用語「投与する」は、具体的に開示された化合物又は具体的には開示されていないが、患者に投与後にインビボにおいて特定の化合物に転化される化合物と共に記載される様々な疾患、病的状態、症候群、及び障害の処置又は予防を包含する。好適なプロドラッグ誘導体の選択及び調製の従来手順については、例えば、「Design of Prodrugs」、ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に述べられている。本発明の実施形態に従う化合物は少なくとも1個の不斉中心を有し、したがってそれらは鏡像異性体として存在する。化合物が2つ以上のキラル中心を有する場合、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。全てのそのような異性体及びその混合物が本発明の範囲に包含される。更に、その化合物に関する結晶形態の一部は、多形体として存在でき、このようなものも本発明に含まれるものとする。加えて、化合物の中には水(すなわち水和物)又は一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成できるものもあり、そのような溶媒和物も本発明の範囲に包含されるものとする。当業者は、本明細書で用いる用語「化合物」が、式Iの化合物の溶媒和物を含むことを理解するであろう。
【0050】
本発明の特定の実施形態に従う化合物の調製プロセスが、立体異性体の混合物を生じさせる場合、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの従来の技術により分離することができる。化合物はラセミ体で調製されてもよく、又は個々の鏡像異性体をエナンチオ選択的合成、又は分割のいずれかにより調製することができる。化合物は、例えば標準的な技術、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−D−酒石酸及び/又は(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などの光学的に活性な酸と共に塩を形成することによりジアステレオマー対を形成した後、分別結晶化及び遊離塩基の再生を行ってそれらの構成要素である鏡像異性体に分割することができる。化合物は、ジアステレオマーエステル又はアミドの形成と、その後のクロマトグラフ分離及びキラル補助基の除去により分割することもできる。あるいは、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されてよい。
【0051】
本発明の一実施形態は、式(I)の化合物の(+)−エナンチオマーを含む、(+)−エナンチオマーからなる、及び/又は本質的に(+)−エナンチオマーからなる医薬組成物を含む組成物を対象とし、その組成物は上記化合物の(−)−異性体を実質的に含まない。本明細書の文脈における「実質的に含まない」とは、下式により求められる(−)−異性体が約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、更に好ましくは約2%未満、更にいっそう好ましくは約1%未満であることを意味する。
【0052】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物の(−)−エナンチオマーを含む、(−)−エナンチオマーからなる、及び/又は本質的に(−)−エナンチオマーからなる医薬組成物を含む組成物であり、その組成物は上記化合物の(+)−異性体を実質的に含まない。本明細書の文脈において「実質的に含まない」とは、下式により求められる(+)−異性体が約25%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約5%未満、更により好ましくは約2%未満、及び更により好ましくは約1%未満であることを意味する。
【0053】
本発明の様々な実施形態の化合物のいずれの調製のプロセスの間も、関係するいずれの分子に対する感応性基又は反応性基を保護することが必要であり及び/又は望ましい。この保護は、Protective Groups in Organic Chemistry、J.F.W.McOmie編、Plenum Press,1973及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1999において記載されるものなどの従来の保護基の手段によって行うことができる。保護基は、続く都合のよい段階で、当技術分野にて公知の方法を用いて除去されてよい。本発明の実施形態の化合物(その製薬上許容できる塩及び製薬上許容できる溶媒和物を含む)は単独で投与されることができるが、それらは通常、意図された投与経路及び標準の薬学的又は獣医学的な実務の観点から選ばれる、製薬上許容できるキャリア、製薬上許容できる賦形剤及び/又は製薬上許容できる希釈剤との混合物として投与される。それゆえに、本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物、並びに、少なくとも1つの製薬上許容できるキャリア、製薬上許容できる賦形剤及び/又は製薬上許容できる希釈剤を含む医薬及び獣医学組成物を目的とする。
【0054】
一例として、本発明の実施形態の医薬組成物では、式(I)の化合物は、任意の適切な結合剤、潤滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤、及びそれらの組み合わせと混合することができる。
【0055】
本発明の化合物を含む錠剤又はカプセルのような固体の経口投与形態は、必要に応じて1回につき少なくとも1種の投与形態で投与することができる。徐放性製剤として化合物を投与することも可能である。
【0056】
本発明の化合物が投与され得る追加の経口形態としては、エリキシル剤、溶液、シロップ、及び懸濁液が挙げられ、そのそれぞれが任意に香料及び着色剤を含有する。
【0057】
代替的に、式(I)の化合物は、吸入(気管内又は経鼻的に)により投与することができ、又は座薬若しくはペッサリー、又は局所的にローション、溶液、クリーム、軟膏若しくは散布剤として塗布することができる。例えば、それらは、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルションを含むか、それからなるか、及び/又は本質的にそれからなるクリームの中に組み込むことができる。それらは、クリームの約1重量%〜約10重量%の濃度で、白色ワックス又は白色軟パラフィン基剤を含むか、それからなるか、及び/若しくは本質的にそれからなる軟膏に、必要に応じていかなる安定剤及び保存料と共に組み込んでもよい。代替的な投与方法は、皮膚又は経皮パッチを使用することによる経皮投与を含む。本発明の医薬組成物(本発明の化合物単独と同様に)は、非経口的に、例えば空洞内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、又は髄腔内に注入することができる。この場合、その組成は、少なくとも1つの好適なキャリア、1つの好適な賦形剤、及び1つの好適な希釈剤を含む。
【0058】
非経口投与に対して、本発明の医薬組成物は、例えば、溶液を血液と等張に保つ塩及び単糖のなどの他の物質を十分含む、滅菌水溶液形態での使用に最も適している。
【0059】
口腔又は舌下投与に対しては、本発明の医薬組成物は、既存の方法で製剤される錠剤又はトローチ剤の形態で投与することができる。
【0060】
更なる例として、少なくとも1つの式(I)の化合物を活性成分として含む医薬組成物は、化合物を通常の製薬学的配合技術に従う製薬上許容できる担体、製薬上許容できる希釈剤、及び/又は製薬上許容できる賦形剤と混合することにより調製することができる。キャリア、賦形剤、及び希釈剤は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口など)に応じ、広範な形態を取ることができる。したがって懸濁液、シロップ、エリキシル剤及び溶液などの液体の経口用製剤では、適切なキャリア、賦形剤及び希釈剤は、水、グリコール、油、アルコール、着香料、保存料、安定剤、着色剤などを含み、粉剤、カプセル、及び錠剤などの経口固形製剤では、適切なキャリア、賦形剤及び希釈剤は、でんぷん、糖、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などを含む。その吸収及び崩壊の主要な体内部位を調節するために、経口固形製剤は、更に所望により糖などの物質で被覆してもよく、又は経腸的に吸収されるように被覆してもよい。非経口投与のための、キャリア、賦形剤及び希釈剤は、通常滅菌水を含み、及び溶解性の向上及び組成の保存のための他の成分を加えることができる。注射用懸濁液又は溶液は、水性のキャリア並びに可溶化剤及び保存料のような好適な添加物と共に調製することができる。
【0061】
式(I)の化合物又はその医薬組成物の処置上有効量としては、平均的なヒト(70kg)に対する1日当たり約1〜4回の投与レジメン中に、約0.1mg〜約3000mg、具体的には約1mg〜約1000mg、より具体的には約10mg〜約500mgの薬量範囲の活性成分が含まれるが、当業者には自明であるように、本発明の活性化合物の処置上有効な量は、処置される疾患、症候群、病的状態、及び障害が変化することにより変化する。
【0062】
経口投与のためには、医薬組成物は、好適には本発明の化合物を活性成分として約0.01、約10、約50、約100、約150、約200、約250、及び約500ミリグラム含む、錠剤として提供される。
【0063】
有利なことに、式(I)の化合物は、1日に1回投与することができ、又は1日当たりの合計投与量を2、3、及び4回に分けて投与することができる。投与される式(I)の化合物の最適薬量は容易に決定することができるが、使用する具体的な化合物、投与形態、製剤の強度、及び疾患、症候群、病的状態、又は障害の進行状態により変化する。更に、処置される特定の被験体に付随する、被験体の年齢、体重、食事、及び投与時間を含む因子は、好適な処置水準を達成するために薬量を調節する必要性をもたらす。上記投与量は、したがって、平均的な場合の代表例である。もちろん、より高いか又はより低い薬量範囲が有効である個別の例が存在し、このようなものも発明の範囲の中に含まれる。
【0064】
式(I)の化合物は、それを必要としている患者のために使用する場合には、上記のいずれかの組成物及び投与レジメンで、又は当技術分野で確立されたそれらの組成物及び投与レジメンで投与され得る。式(I)の化合物は、TRPM8イオン・チャンネルのアンタゴニストとして、その疾患、症候群、病的状態、又は障害がTRPM8受容体の調節により影響される動物、哺乳類及びヒトなどの被験者の疾患、症候群、病的状態、又は障害を処置及び予防するための方法において有用である。かかる方法は、かかる処置又は予防を必要とする動物、哺乳類、及びヒトを含む被験者に、処置上有効量の式(I)の化合物、塩、又は溶媒和物を投与することを含み、投与することからなり、及び本質的に投与することからなる。式(I)の化合物は、特に、疼痛、又は、かかる疼痛を引き起こす疾患、症候群、病的状態若しくは障害、又は呼吸器系若しくは血管系の機能不全の予防又は処置のために有用である。より具体的には、式(I)の化合物は、式(I)の化合物を必要とする患者に処置上有効な量を投与することにより、炎症性疼痛、炎症性過敏症状態、神経障害性疼痛、不安神経症、うつ病、及び末梢血管疾患、血管性高血圧、肺性高血圧、レイノー病、及び冠動脈疾患などの寒冷により悪化する心臓血管疾患、を予防又は処置するのに有効である。
【0065】
炎症性疼痛の例としては、炎症性腸疾患、内臓疼痛、偏頭痛、術後疼痛、変形性関節炎、関節リウマチ、背痛、腰痛、関節痛、腹痛、胸痛、陣痛、筋骨格疾患、皮膚疾患、歯痛、発熱、火傷、日焼け、蛇咬症、毒蛇咬症、クモの咬傷、虫刺され、過敏膀胱、間質性膀胱炎、尿路感染、鼻炎、接触皮膚炎/過敏症、掻痒、湿疹、咽頭炎、粘膜炎、腸炎、過敏性腸症候群、胆嚢炎、膵臓炎、乳房切除術後疼痛症候群、生理痛、子宮内膜症、副鼻腔炎による頭痛、緊張性頭痛、若しくはくも膜炎などの疾患、病的状態、症候群、障害、又は疼痛状態に起因する疼痛が挙げられる。
【0066】
炎症性疼痛の1つの種類は炎症性痛覚過敏症であり、これは更に炎症性身体痛覚過敏症又は炎症性内臓痛覚過敏症に区別される。炎症性身体痛覚過敏症は、熱的、機械的及び/又は化学的刺激への過敏症が認められる、炎症性痛覚過敏状態の存在により特徴付けることができる。炎症性内臓痛覚過敏症は、亢進した内臓興奮性が認められる、炎症性痛覚過敏状態の存在により特徴付けることもできる。
【0067】
炎症性痛覚過敏症の例としては、炎症、変形性関節炎、関節リウマチ、腰痛、関節痛、腹痛、筋骨格疾患、皮膚疾患、術後疼痛、頭痛、歯痛、火傷、日焼け、虫刺され、過敏膀胱、尿失禁、間質性膀胱炎、尿路感染、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患、鼻炎、接触皮膚炎/過敏症、掻痒、湿疹、咽頭炎、腸炎、過敏性腸症候群、クローン病若しくは潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、を含む疾患、症候群、病的状態、障害又は疼痛状態による疼痛が挙げられる。
【0068】
本発明の一実施形態は、熱的、機械的及び/又は化学的刺激への過敏症が認められる炎症性身体痛覚過敏症を処置する方法を目的とし、かかる処置を必要とする被験体に式(I)の化合物、塩又は溶媒和物の処置上有効量を投与する工程を含む。
【0069】
本発明の更なる実施形態は、亢進した内臓興奮性が認められる、炎症性の内臓痛覚過敏症を処置する方法を対象とし、かかる処置を必要とする患者に式(I)の化合物、塩又は溶媒和物の処置上有効量を投与する工程を含むか、投与する工程からなり、及び/又は本質的に投与する工程からなる。
【0070】
本発明の更なる実施形態は、寒冷刺激に対する過敏症が認められる神経障害性寒冷アロディニアを処置する方法を対象とし、かかる処置を必要とする患者に式(I)の化合物、塩又は溶媒和物の処置上有効量を投与する工程を含むか、投与する工程からなり、及び/又は本質的に投与する工程からなる。
【0071】
炎症性過敏症状態の例としては、尿失禁、良性前立腺肥大、咳、喘息、鼻炎及び鼻過敏症、掻痒、接触性皮膚炎及び/又は皮膚アレルギー、並びに慢性閉塞性肺疾患が挙げられる。
【0072】
神経障害性疼痛の例としては、がん、神経障害、脊椎及び末梢神経手術、脳腫瘍、外傷性脳傷害(TBI)、脊髄外傷、慢性疼痛症候群、線維筋痛、慢性疲労症候群、神経痛(三叉神経痛、舌咽神経痛、ヘルペス神経痛及び灼熱痛)、狼瘡、サルコイドーシス、末梢神経障害、両側性末梢神経障害、糖尿病性神経障害、中心性疼痛、脊髄損傷に伴う神経障害、脳卒中、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、多発性硬化症、坐骨神経炎、顎関節神経痛、末梢神経炎、多発性神経炎、断端痛、幻肢痛、骨折、口腔神経障害痛、シャルコー疼痛、複合性局所疼痛症候群I及びII(CRPSI/II)、神経根障害、ギラン・バレー症候群、知覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱症候群、視神経炎、発熱後神経炎、移動性神経炎、分節性神経炎、ゴンボール神経炎、神経細胞傷害、頸腕神経痛、頭蓋神経痛、膝神経痛、舌咽神経痛、群発頭痛、特発性神経痛、肋間神経痛、乳房神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭神経痛、紅神経痛、スルーダー神経痛、スプレノパラチン神経痛、眼窩上神経痛、外陰部痛、又はビディアン神経痛などの疾患、症候群、病的状態、障害、又は疼痛状態による疼痛が挙げられる。
【0073】
神経障害性疼痛の1つの種類は、神経障害性寒冷異痛症であり、寒冷刺激に対する過敏症が認められる、神経障害に伴う異痛症状態の存在により特徴付けることができる。神経障害性寒冷異痛症の例としては、神経障害性疼痛(神経痛)、脊髄及び末梢神経の手術又は外傷により生じる疼痛、外傷性脳傷害(TBI)、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、灼熱痛、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、中心性疼痛、脳卒中、末梢神経炎、多発性神経炎、複合性局所疼痛症候群I及びII(CRPS I/II)及び神経根障害を含む疾患、症候群、病的状態、障害、又は疼痛状態による異痛症が挙げられる。
【0074】
不安神経症の例としては、社会不安神経症、心的外傷後ストレス障害、恐怖症、対人恐怖症、特定恐怖症、パニック障害、強迫神経症、極度のストレス障害、分離不安障害、及び全般性不安神経症が挙げられる。
【0075】
うつ病の例としては、大うつ病、双極性障害、季節性情動障害、産後うつ病、躁うつ病及び双極性うつ病が挙げられる。
【0076】
一般的な合成方法
本発明の代表的な化合物は、以下に記載し、続くスキーム及び実施例で例示する、一般的な合成法に従って合成することができる。スキームは説明図であるため、本発明はスキームに記載された化学反応及び条件により限定されたものとして解釈されるべきではない。スキーム及び実施例で用いられる様々な出発物質は、市販品として入手可能であるか、又は当業者の技能の範囲内に十分に入る方法によって調製し得るものである。変形物は、本明細書に定義されている通りである。
【0077】
本明細書、特にスキーム及び実施例で用いられる略称は以下の通りである。
【0078】
【表1】

【0079】
LC−MS/HPLC方法:
方法1(HPLC):器具:DAD検出器付きHP 1100、カラム:Gemini C18、110A、30×4.60mm、3.0μ;溶離液A:水(0.1% TFA)、溶離液B:アセトニトリル(0.1% TFA);勾配:0分96% A→8.5分95% B;流量:1.2mL/分;紫外線検出:210及び254nm。
【0080】
方法2(LC−MS):器具MS:Micromass LCZ;器具HPLC Agilent Series 1100;カラム:SupelcoCosil ABZ+PLUS 3μ、3.3cm×2.1mm;溶離液A:水(0.1% TFA)、溶離液B:アセトニトリル(0.1% TFA);勾配:0.0分100% A→6.5分100% B;流量0.5mL/分;紫外線検出:210及び254nm。
【0081】
方法3(RP−HPLC):器具HPLC、Gilson,215 Liquid Handler,306 Pumps;カラム:Gemini AXIA,C18、110 A、5μ、100×30.0mm;溶離液A:水(0.1% TFA)、溶離液B:アセトニトリル(0.1% TFA);勾配:0.0分開始% A→12分終了% B;流量32mL/分;紫外線検出:210及び254nm。
【0082】
スキームAは、YAが水素又はアルキルであり、R2、R3及びR4が本明細書で定義された通りである本発明の特定の中間体の合成経路を表す。
【0083】
【化8】

【0084】
式A1の化合物は、市販品として入手可能であるか又は科学的文献に記載されたような周知の方法で調製し得る。式A1の化合物(式中、XAはクロロ又はフルオロであり、YAは水素又はアルキルである)を塩基の存在下でR−置換チオグリコレート(式中、RはC1〜6アルキルである)と反応させ、式A2の化合物を生じさせてもよく、この化合物を当業者に周知の化学的方法を用いて鹸化して式A3の化合物を生じさせてもよい。式A3の化合物は、ジフェニルホスホリルアジド、tert−ブタノール及び有機塩基を用いて式A4の化合物へと転化させ得る。式A4の化合物は、HCl若しくは別の鉱酸、又はトリフルオロ酢酸のような有機酸の作用により、対応するアミンである式A5の化合物へと転化し得る。
【0085】
スキームBは、式(I)−Bの化合物の合成経路を表し、ここで、RA及びRBは一緒になって、所望により置換されるピロリジニル又はピペリジニル環を形成する。
【0086】
【化9】

【0087】
化合物B1は、非プロトン性溶媒中にて塩化スルフリルを用いて化合物B2へと転化させ得る。化合物B2をメチルトリフレートの存在下でメチル化すると、化合物B3が生じ得る。化合物B3を式B4の環式アミンで処理すると、式B5の化合物が生じ得る。メチルトリフレートでの後続の処置により、式B6のメチル化生成物が生じ、これを式A5の化合物と反応させると、式B7の化合物が生じ得る。式B7の化合物を、水素化ナトリウム、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、n−ブチルリチウム、炭酸カリウム又はカリウムtert−ブトキシドなどの塩基、次いで式R1X(式中、Xはブロモ、クロロ、ヨード、トシレート、メシレート及びこれらに類するものなどの脱離基である)によりアルキル化すると、式(I)−Bの化合物が生じ得る。あるいは、式B7の化合物を、トリフェニルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−2−フリルホスフィン及びこれらに類するものなどのトリアリールホスフィン、ジエチル−、ジイソプロピル−、又はジ−t−ブチル−アゾジカルボキシレート及びこれらに類するものなどのC1〜6ジアルキルアゾジカルボキシレート、並びに適切に置換されたアルコールR1OHで処理して、式(I)−Bの化合物を生じさせてもよい。
【0088】
スキームCは、式(I)−C1及び式(I)−C2の化合物の合成経路を表し、ここで、RA及びRBは一緒になって、追加的なヘテロ原子Gを含有する所望により置換される環を形成する(Gは、O、S、S(O2)、N(PG)及びN(RC)からなる群から選択され、式中、PGは従来のアミノ保護基である)。
【0089】
【化10】

【0090】
化合物B3を式C1の環式アミンで処理すると、式C2の化合物が生じ得る。式C2の化合物をメチルトリフレートでメチル化すると、式C3の化合物が生じる。式A5の化合物での処理により、式C4の化合物が生じ、これをスキームBに記載の方法に従ってアルキル化すると、式(I)−C1の化合物が生じ得る(式中、Gは、O、S又はS(O2)である)。あるいは、Gは、保護されたアミノ基N(PG)であってもよい。GがN(PG)である場合、保護基は、従来の化学的方法を用いて除去され得、それにより式C5のアミンが生じ、これを、適切なRC置換剤での従来の還元アミン化、アルキル化又はアシル化化学的方法を用いて、アルキル化又はアシル化して、式(I)−C2の化合物を生じさせてもよい(式中、RCは、本明細書に定義している通りである)。
【0091】
スキームDは、式(I)−Dの化合物の合成経路を表し、ここで、RA及びRBは一緒になって、4位がNRDEで置換されたピぺリジニル環を形成する。
【0092】
【化11】

【0093】
式D1の化合物は、式B4の化合物の代わりに1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4,5]デカンを用いてスキームBに記載の方法に従って調製され得る。硝酸セリウムアンモニウム(CAN)での処理により、式D2のケトンが生じる。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物源の存在下での式D3のアミンによる還元アミン化により、式(I)−Dの化合物が生じる。
【0094】
スキームEは、式(I)−Eの化合物の合成経路を表し、ここで、ピペリジン−1−イルは4−C(O)NRYZで置換され、式中、RY及びRZは本明細書で定義されている通りであり、所望により一緒になって、5若しくは6員環を形成し、ここで、上記6員環はO又はN−メチルを含有する。
【0095】
【化12】

【0096】
式E1の化合物は、式B4の化合物の代わりに4−エトキシカルボニル−ピペリジンを用いてスキームBに記載の方法に従って調製され得る。式E1の化合物の従来の鹸化により、式E2のカルボン酸が生じる。この酸と式E3のアミンとを、HBTU、DCC、HATU、EDC及びこれらに類するものなどのカップリング剤の存在下でカップリングすることにより、式(I)−Eのアミドが生じる。
【0097】
スキームFは、式(I)−Fの化合物の合成経路を表し、ここで、RAは、末端炭素原子が、カルボキシ及びC1〜4アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルである。
【0098】
【化13】

【0099】
式F1の化合物は、市販品として入手可能であるか又は科学的文献に記載されたような周知の方法で調製され得るかのいずれかである。式F1の化合物を、塩基及びt−ブチルアルコールの存在下で、ジフェニルリン酸アジドで処理して、式F2のBoc保護アミンを形成することができ、これを次にスキームBに記載の方法に従ってアルキル化して、式F3のR1置換された化合物を形成することができる。Boc保護基を、HCl若しくは別の鉱酸の作用などによる、又は、トリフルオロ酢酸などの有機酸の作用などによる、従来の化学的方法を用いて取り外して、式F4の化合物を形成させてもよい。t−ブチルアルコールの存在下でのイソシアン酸クロロスルホニルによる式F4のアミンの処理により、式F5のスルファミドが生じる。式F5の化合物を、式F6のRA置換されたアルキル化剤の存在下で塩基作用によりアルキル化することができ、ここで、LGは、臭化物、ヨウ化物、トシレート及びこれらに類するものなどの脱離基である。Bocアミノ保護基の最終脱離により、式(I)−Fの化合物が生じる。
【0100】
具体的実施例
試薬は、商業的な供給源から購入した。水素原子の核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、表示されている溶媒中でTMSを内部標準として、Bruker Avance 400MHzスペクトロメーターにより測定された。測定値はTMSから低磁場に向かう百万分率(ppm)により示される。マススペクトル(MS)は、エレクトロスプレー法を用いて(ESI)m/z(M+H+)としてAgilent社のスペクトロメーターで測定した。特に注記がない限り、実施例に用いられている物質は、容易に入手可能な市販品から得、あるいは当業者に周知の化学的合成方法を用いて合成した。実施例間で変化する置換基は、特に注記しない限り水素である。マイクロ波反応器で反応が遂行される場合には、Personal Chemistry Smith Synthesizer(商標)が用いられている。全ての逆相準分取用HPLC精製は、Gemini C−18カラム(100×30mm内径;5μ)上で行い、TFAを添加してあるいは添加せずにMeCN−H2O勾配で溶出させた。
【実施例】
【0101】
(実施例1)
【0102】
【化14】

【0103】
A.tert−ブチル−3−メチルベンゾ[b]チオフェン−2−イルカーバメート(1−B)。オーバーヘッド型機械的撹拌装置、N2導入/排出アダプター、還流コンデンサー、加熱用マントル及び熱電温度計を取り付けた5Lの4口フラスコに、t−ブチルアルコール(2.11L)、化合物1−A(225.0g、1.17mol)及びジイソプロピルエチルアミン(225mL、1.29mol)を充填した。ジフェニルリン酸アジド(304mL、1.4mol)をトルエン(300mL)と予備混合し、次に10分にわたって滴加した。この反応混合物を21時間にわたって撹拌しながら還流させ、22℃に冷却し、次に減圧下にて蒸発させた。残留物をCH2Cl2(1L)に溶解させ、1N NaOH(500mL)、食塩水(500mL)で洗浄し、有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、及び真空中で濃縮し暗橙色油状物質(557g)を得た。粗残留物を、ヘプタン−EtOAcで溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製し、265gの化合物1−Bを淡黄色の固体として得た。1H−NMR(CDCl3):δ7.71(d,1H),7.54(d,1H),7.36−7.31(m,1H),7.30−7.20(m,1H),6.75(br s,1H),2.23(s,3H),1.55(s,9H)。
【0104】
B.3−メチルベンゾ[b]チオフェン−2−アミン塩酸塩(1−C)。オーバーヘッド型機械的撹拌装置、N2導入/排出アダプター、還流コンデンサー、及び熱電温度計を取り付けた5Lの3口フラスコに、4MのHClのジオキサン(3.1L)溶液及び化合物1−B(265g、1.0mol)を充填し、22℃で18時間にわたって撹拌した。白色沈殿を濾過により収集し、ジエチルエーテル(3×500mL)で洗浄し、40℃で48時間にわたって真空乾燥し、174gの化合物1−Cを白色固体として得た。1H−NMR(DMSO−d6):δ8.7(br s,3H),7.71(d,1H),7.44(d,1H),7.29(t,1H),7.14(t,1H),2.184(s,3H)。
【0105】
C.1,1’−ビス−イミダゾール−1−スルホニル(1−E)。0℃に冷却した化合物1−D(20.0g、294mmol)の無水CH2Cl2(210mL)溶液に、塩化スルフリル(5.0mL、61.6mmol)のCH2Cl2(28mL)溶液を滴加した。この反応混合物を周囲温度まで温めておき、16時間にわたって撹拌した。この反応混合物を濾過し、溶媒は減圧下にて蒸発させ、得られた固体をイソプロピルアルコール(100mL)から結晶化した。白色の針状物を濾過し、冷たいイソプロピルアルコールで洗浄し、減圧下で乾燥させたところ、白色固体として7.81g(64%)の化合物1−Eが得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ8.50〜8.51(d,2H),7.92(s,2H),7.24−7.23(d,2H);MS(方法2)m/z 198.9(M+1)。
【0106】
D.1,1’−ビス−(3−メチル−イミダゾール)−1−スルホニルトリフレート塩(1−F)。0℃に冷却した化合物1−E(1.26g、6.36mmol)のCH2Cl2(10mL)溶液に、メチルトリフレート(0.719mL、6.36mmol)を添加した。この反応混合物を周囲温度まで温めておき、18時間にわたって撹拌した。この溶媒を減圧下で蒸発させたところ、白色固体として化合物1−Fが得られた。
【0107】
E.1−(イミダゾール−1−スルホニル)−ピペリジン(1−H)。MeCN(1mL)中に溶解させた化合物1−F(0.375g、1.03mmol)に、ピペリジン(1−G)(0.123mL、1.24mmol)を添加し、この反応混合物を室温にて18時間にわたって撹拌した。この反応混合物を、30%〜50%の勾配で溶出させる(TFAは添加しない)逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、白色固体として79.6mg(36%)の化合物1−Hが得られた。MS(方法2):m/z 216.0(M+1)。
【0108】
F.1−メチル−3−(ピペリジン−1−スルホニル)−3H−イミダゾール−1−イウムトリフレート塩(1−I)。0℃に冷却した化合物1−H(79.6mg、0.37mmol)のCH2Cl2(2mL)溶液に、メチルトリフレート(46μL、0.407mmol)を添加した。この反応混合物を周囲温度まで温めておき、3時間にわたって撹拌した。この溶媒を減圧下で蒸発させたところ、白色固体として化合物1−Iが得られた。MS(方法2):m/z 229.9(MH+)。
【0109】
G.ピペリジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−アミド(1−J)。化合物1−I(85.2mg、0.37mmol)のMeCN(1.0mL)溶液に、化合物1−C(120.8mg、0.74mmol)のMeCN(1.0mL)溶液を添加し、この反応混合物をマイクロ波照射下にて140℃で10分間にわたって加熱した。この反応混合物を、45% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜65% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、膜として46mgの化合物1−Jが得られた。1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ7.71〜7.73(t,1H),7.63〜7.66(t,1H),7.34〜7.40(m,2H),6.28(s,1H),3.27〜3.29(m,4H),2.39(s,3H),1.53〜1.73(m,6H);MS(方法2):m/z 311.0(M+1)。
【0110】
H.ピペリジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−アミド、化合物1。化合物1−J(46mg、0.148mmol)のDMF(1.5mL)溶液に、炭酸カリウム(30.7mg;0.222mmol)を添加し、この反応混合物を室温にて30分にわたって撹拌した。4−トリフルオロメトキシベンジルブロミド(1−K)(45.3mg、0.178mmol)を滴加し、この反応混合物を室温にて18時間にわたって撹拌した。この反応混合物をH2OとEtOAcとの間で分離し、有機相をH2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下にて蒸発させたところ、黄色油が得られた。この粗残留物を、65% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜85% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、半固体として40.6mgの化合物1が得られた。1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ7.71〜7.73(m,1H),7.52〜7.58(m,1H),7.34〜7.37(m,2H),7.27〜7.31(m,2H),6.99〜7.21(m,2H),4.72(s,2H),3.24〜3.27(m,4H),1.97(s,3H),1.52〜1.62(m,6H);MS(方法2):m/z 485.0(M+1)。
【0111】
上記の実施例1の操作手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0112】
モルホリン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−アミド、化合物2。実施例1の工程Eにてピペリジンの代わりにモルホリンを用いて、化合物2を調製したところ、半固体として32.6mgが得られた。1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ7.71〜7.75(m,1H),7.54〜7.64(m,1H),7.34〜7.40(m,2H),7.27〜7.29(m,2H),6.99〜7.16(m,2H),4.76(s,2H),3.68〜3.70(m,4H),3.11〜3.30(m,4H),1.97(s,3H);MS(方法2):m/z 487.0(M+1)。
【0113】
(実施例2)
【0114】
【化15】

【0115】
A.4−[(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]−ピペラジン−1−カルボン酸tertブチルエステル(2−A)。実施例1の工程Eにおいてピペリジンの代わりにN−bocピペラジンを用い、工程F〜Hに概略を示した化学的方法を使用して、化合物2−A(159.9mg(80%)、白色の泡)を調製した。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ7.86〜7.88(m,1H),7.64〜7.66(m,1H),7.35〜7.41(m,4H),7.27〜7.29(m,2H),4.77(s,2H),3.38〜3.40(m,4H),3.25〜3.27(m,4H),1.99(s,3H),1.40(s,9H);MS(方法2):m/z 485.9(M−Boc+);HPLC(方法1):Rt=7.76分。
【0116】
B.ピペラジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]アミド、化合物3。化合物2−A(159.9mg、0.273mmol)の溶液に、4Nの塩酸塩のジオキサン(4mL)溶液を添加し、この反応混合物を室温にて3時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下にて蒸発させ、粗反応混合物を、40% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜60% MeCN−H2O(0.1% TFA)勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、ワックス状の白色固体として129.2mg(79%)の化合物3が得られた。MS(方法2):m/z 485.9(MH+);HPLC(方法1):Rt 5.18分。
【0117】
C.4−イソプロピル−ピペラジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]アミド、化合物4。化合物3(38.4mg、0.066mmol)のジクロロメタン(0.8mL)溶液に、トリエチルアミン(10μL、0.073mmol)及びアセトン(2−B)(24μL、0.33mmol)を添加し、この反応混合物を室温にて30分にわたって撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(21mg、0.099mmol)を添加し、この反応混合物を18時間にわたって撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、H2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗反応混合物を、40% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜60% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、透明な半固体として28.2mgの化合物4が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.72〜7.84(m,1H),7.57〜7.70(m,1H),7.29〜7.46(m,4H),7.17(d,2H),4.76(s,2H),3.98(s,1H),3.43〜3.64(m,4H),3.32〜3.39(m,4H),1.98(s,3H),1.35(d,6H);MS(方法2):m/z 528.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 4.94分。
【0118】
上記の実施例2の操作手順に従い、当業者に周知の好適な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0119】
4−(3−メチル−ブチル)−ピペラジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]アミド、化合物5。実施例2の工程Bでアセトンの代わりにバレルアルデヒドを用いることにより、化合物5を調製したところ、透明な半固体として34.2mgが得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.73〜7.86(m,1H),7.54〜7.69(m,1H),7.28〜7.45(m,4H),7.17(d,2H),4.76(s,2H),3.98(s,1H),3.43〜3.64(m,4H),3.32〜3.39(m,4H),3.06〜3.25(m,3H),1.98(s,3H),1.53〜1.74(m,3H),0.98(d,6H);MS(方法2):m/z 556.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.33分。
【0120】
4−メチル−ピペラジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]アミド、化合物6。実施例2の工程Bでアセトンの代わりにホルムアルデヒドを用いることにより、化合物6を調製したところ、透明な半固体として3.6mgが得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.75〜7.79(m,1H),7.61〜7.63(m,1H),7.34〜7.41(m,4H),7.16〜7.18(d,2H),4.76(s,2H),3.43〜3.64(m,4H),3.32〜3.39(m,4H),2.92(s,3H),1.98(s,3H);MS(方法2):m/z 500.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.29分。
【0121】
(実施例3)
【0122】
【化16】

【0123】
4−(2,2,2−トリフルオロ−エチル)−ピペラジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]アミド、化合物7。化合物3(38.4mg、0.066mmol)のトルエン(1.0mL)溶液に、ジイソプロピルアミン(14μL、0.083mmol)を、続いてトリフルオロメタンスルホン酸2,2,2−トリフルオロメチル(30mg、0.128mmol)を添加し、この反応混合物を82℃にて18時間にわたって加熱した。この反応混合物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗反応混合物を、50% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜70% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、白色固体として21.8mgの化合物7が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.70〜7.86(m,1H),7.60(m,1H),7.26〜7.43(m,4H),7.15(d,2H),4.79(s,2H),3.32〜3.43(m,4H),3.10(m,2H),2.65〜2.81(m,4H),1.96(s,3H);MS(方法2):m/z 567.9(MH+);HPLC(方法1):Rt 7.29分。
【0124】
(実施例4)
【0125】
【化17】

【0126】
A.1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4,5]デカン−8−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−アミド(4−A)。実施例1の工程Eにおいてピペリジンの代わりに1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4,5]デカンを用い、工程F〜Hで概略を示した化学的方法を使用して、化合物4−Aを調製したところ、白色の泡として204.1mg(54%)が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.74〜7.76(m,1H),7.54〜7.60(m,1H),7.28〜7.37(m,4H),7.13〜7.15(m,2H),4.76(s,2H),3.93(m,4H),3.41〜3.42(m,4H),1.96(s,3H),1.70〜1.73(m,4H);MS(方法2):m/z 542.8(MH+);HPLC(方法1):Rt 6.77分。
【0127】
B.4−オキソ−ピペリジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]−アミド(4−B)。70℃に加熱した化合物4−A(204.1mg、0.376mmol)のアセトニトリル(3.0mL)溶液に、硝酸セリウムアンモニウム(515.5mg、0.94mmol)のH2O(2.0mL)溶液を添加し、この反応混合物を70℃にて1時間にわたって加熱した。この反応混合物を冷却し、EtOAcで希釈し、有機相をH2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗反応混合物を、100%ヘプタン〜50%ヘプタン−50% EtOAcで溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)により精製したところ、透明な油として67.9mg(36%)の化合物4−Bが得られた。1H−NMR(CDCl3,400MHz):δ7.71〜7.75(m,1H),7.57〜7.66(m,1H),7.35〜7.40(m,2H),7.21〜7.27(m,2H),7.04〜7.16(m,2H),4.77(s,2H),3.58〜3.64(m,4H),2.50〜2.53(m,4H),1.99(s,3H);MS(方法2):m/z 499.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 6.82分。
【0128】
C.4−ジメチルアミノ−ピペリジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]アミド、化合物8。化合物4−B(33.9mg、0.068mmol)のジクロロメタン(1.0mL)溶液に、2MのジメチルアミンのTHF(4−C)(170μL、0.34mmol)溶液を添加し、この反応混合物を室温にて30分にわたって撹拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(22mg、0.102mmol)を添加し、この反応混合物を18時間にわたって撹拌した。追加部のジメチルアミン−THF(0.5mL)とトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(22mg)とを添加し、この反応混合物を室温にて更に18時間にわたって撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、H2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗反応混合物を、40% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜60% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、透明な半固体として19.2mgの化合物8が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.73〜7.78(m,1H),7.59〜7.63(m,1H),7.32〜7.39(m,4H),7.15〜7.17(d,2H),4.79(s,2H),3.95〜3.98(m,2H),2.91〜3.13(m,2H),2.84(m,7H),2.07〜2.10(m,2H),1.98(s,3H),1.66〜1.77(m,2H);MS(方法2):m/z 528.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.29分。
【0129】
上記の実施例4について記載された操作手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質、及び精製方法を置き換えることにより、以下の本発明の化合物が調製された。
【0130】
4−ピロリジン−1−イル−ピペラジン−1−スルホン酸(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]−アミド、化合物9。実施例4の工程Bでジメチルアミンの代わりにピロリジンを用いることにより、化合物9を調製したところ、透明な半固体として13.2mgが得られた。この反応を完了させるのに、ピロリジンでの処理が1度のみ必要とされた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.73〜7.77(m,1H),7.59〜7.62(m,1H),7.32〜7.39(m,4H),7.15〜7.17(d,2H),4.79(s,2H),3.91〜3.94(m,3H),3.42〜3.48(m,2H),3.10〜3.12(m,2H),2.93〜2.96(t,2H),2.14〜2.20(m,4H),1.98(s,3H),1.65〜1.72(m,2H);MS(方法2):m/z 554.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.38分。
【0131】
(実施例5)
【0132】
【化18】

【0133】
A.1−[(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]−ピペリジン−4−カルボン酸エチルエステル(5−A)。実施例1の工程Eにおいてピペリジンの代わりにピペリジン−4−カルボン酸エチルエステルを用い、工程F〜Hに概略を示した化学的方法を用いることにより、化合物5−Aを調製したところ、油として27mg(60%)が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.71〜7.86(m,1H),7.54〜7.61(m,1H),7.29〜7.42(m,4H),7.10〜7.23(m,2H),4.72〜4.85(br s,2H),4.07〜4.23(q,2H),3.63〜3.79(m,2H),2.95〜3.11(m,2H),2.44〜2.61(m,1H),1.99(s,3H),1.87〜1.96(m,2H),1.60〜1.81(m,2H),1.15〜1.31(t,4H);MS m/z 557.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 7.60分。
【0134】
B.1−[(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]−ピペリジン−4−カルボン酸、化合物10。化合物5−A(27mg、0.049mmol)をMeOH(1.0mL)中に溶解させた溶液に、3NのNaOH(24μL、0.073mmol)を添加し、この反応混合物を18時間にわたって還流させた。この反応物を冷却し、溶媒を減圧下で蒸発させた。残留固体をH2OとEtOAcとの間で分離し、有機層を収集し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下にて蒸発させた。この粗物質を、50% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜70% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、白色固体として11.2mgの化合物10が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.71〜7.86(m,1H),7.54〜7.61(m,1H),7.29〜7.42(m,4H),7.10〜7.23(m,2H),4.72〜4.85(br s,2H),3.63〜3.79(m,2H),2.95〜3.11(m,2H),2.44〜2.61(m,1H),1.99(s,3H),1.87〜1.96(m,2H),1.60〜1.81(m,2H);MS(方法2):m/z 528.9(MH+);HPLC(方法1):Rt 6.68分。
【0135】
C.4−(4−メチル−ピペラジン−1−カルボニル)−ピペリジン−1−スルホン酸3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−アミド、化合物11。ジクロロメタン(2.0mL)中に溶解させた化合物10(49mg、0.093mmol)の溶液に、EDC(27mg、0.139mmol)及びN−メチル−ピペラジン(5−B)(12μL、0.111mmol)を添加し、この反応混合物を18時間にわたって撹拌した。この反応混合物をジクロロメタンで希釈し、H2Oで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗物質を、38% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜58% MeCN−H2O(0.1% TFA)の勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、油として17.6mgの化合物11が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.70〜7.82(m,1H),7.53〜7.67(m,1H),7.27〜7.43(m,4H),7.10〜7.23(m,2H),4.70〜4.84(br s,2H),3.82〜3.90(m,2H),3.40〜3.65(m,3H),2.89〜3.07(m,3H),2.92(s,3H),2.76〜2.89(m,1H),1.87〜2.00(m,4H),1.63〜1.85(m,5H);MS(方法2):m/z 611.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.24分。
【0136】
上記の実施例5の操作手順に従い、当業者に周知の適切な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0137】
1−[(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−(4−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−スルファモイル]−ピペリジン−4−カルボン酸(2−ジメチルアミノ−エチル)−アミド、化合物12。実施例5の工程Bにおいてn−メチル−ピペラジンの代わりにジメチルアミノ−エチルアミンを用いることにより、化合物12を調製したところ、油として25.0mgが得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.69〜7.86(m,1H),7.53〜7.67(m,1H),7.28〜7.45(m,4H),7.08〜7.23(m,2H),4.69〜4.83(br s,2H),3.83〜3.91(m,2H),3.74〜3.83(m,2H),3.46〜3.61(m,2H),3.18〜3.27(m,8H),2.25〜2.45(m,1H),1.90〜2.00(m,4H),1.80〜1.90(m,2H),1.60〜1.80(m,2H);MS(方法2):m/z 599.1(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.31分。
【0138】
(実施例6)
【0139】
【化19】

【0140】
A.(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6−B)。オーバーヘッド型機械的撹拌装置、N2導入/排出アダプター、還流コンデンサー、加熱用マントル及び熱電温度計を取り付けた5Lの4口フラスコに、t−ブチルアルコール(2.11L)、化合物6−A(225.0g、1.17mol)及びジイソプロピルエチルアミン(225mL、1.29mol)を充填した。ジフェニルリン酸アジド(304mL、1.4mol)をトルエン(300mL)と予備混合し、次に10分にわたって滴加した。この反応混合物を21時間にわたって撹拌しながら還流させ、22℃に冷却し、次に減圧下で蒸発させた。残留物をCH2Cl2(1L)に溶解させ、1NのNaOH(500mL)、食塩水(500mL)で洗浄し、有機層を分離し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、減圧下で蒸発させたところ、暗橙色の油(557g)が得られた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、淡黄色の固体として265gの化合物6−Bが得られた。1H−NMR(CDCl3):δ7.71(d,1H),7.54(d,1H),7.36−7.31(m,1H),7.30−7.20(m,1H),6.75(br s,1H),2.23(s,3H),1.55(s,9H)。
【0141】
B.(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6−C)。0℃に冷却した化合物6−B(2.0g、7.59mmol)のDMF(20mL)溶液に、60%のNaH(0.334g、8.35mmol)を添加し、この反応混合物を15分にわたって撹拌した。4−フルオロ−3−トリフルオロメチルベンジルブロミド(1.26mL、8.35mmol)を0℃にて滴加し、この反応混合物を1時間にわたって撹拌した。この反応混合物を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出し、有機相をH2O、食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗油を、0% EtOAc−ヘプタン〜25% EtOAc−ヘプタン勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)により精製したところ、透明な油として化合物6−Cが得られた。化合物6−Cを更なる精製なしに次の工程で使用した。
【0142】
C.(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−アミン塩酸塩(6−D)。化合物6−Cに4NのHClのジオキサン(20mL)溶液を添加し、この反応混合物を3時間にわたって撹拌した。この反応混合物をエーテルで希釈し、固体を濾過し、エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させたところ、白色固体として1.86gの化合物6−Dが得られた。1H NMR(CD3OD,300MHz):δ7.61〜7.83(m,3H),7.52(d,1H),7.26〜7.39(m,2H),7.10〜7.26(m,1H),4.57(s,2H),2.22(s,3H);MS(方法2):m/z 340.0(MH+);HPLC(方法1):Rt 6.78分。
【0143】
D.N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−N−(3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−[N’−tert−ブチルオキシカルボニル]−スルホンアミド(6−E)。0℃にてイソシアン酸クロロスルホニル(0.720mL、3.91mmol)のCH2Cl2(7.0mL)溶液に、t−ブタノール(0.793mL、3.91mmol)のCH2Cl2(4.0mL)溶液を添加し、この反応混合物を0℃にて30分にわたって撹拌した(t−ブタノール添加時に反応熱が生じた)。次に、この調製溶液を化合物6−D(1.47g、3.91mmol)のCH2Cl2(7.0mL)とTEA(1.63mL、11.73mmol)との冷たい溶液(0℃)に滴加し、この反応混合物を18時間にわたって周囲温度に温めておいた。この反応混合物をEtOAcで希釈し、1NのHCl、H2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下にて蒸発させた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、白色の泡として813mgの化合物6−Eが得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ11.65(s,1H),7.91〜7.93(m,1H),7.68−7.62(m,2H),7.61〜7.65(m,4H),7.37〜7.48(m,3H),5.00(br s,2H),2.01(s,3H),1.52(s,9H);MS(方法2):m/z 541.0(M+Na);HPLC(方法1):Rt 6.79分。
【0144】
E.N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−N−(3−メチル−ベンゾ[b]−チオフェン−2−イル)−N’−(酪酸エチルエステル)−N−(tert−ブチルオキシカルボニル)−スルホンアミド(6−F)。室温にて化合物6−E(200mg、0.386mmol)のDMF(2.0mL)溶液に、1.0MのKOtBuのTHF(0.579mL、0.579mmol)溶液を添加し、この懸濁液を室温にて30分にわたって撹拌しておいた。エチル4−ブロモブチレート(0.221mL、1.54mmol)をこの反応混合物に滴加し、これを18時間にわたって撹拌しておいた。この反応混合物は不完全であり、K2CO3(53mg)、続いてエチル4−ブロモブチレート(0.1mL)を添加し、この反応混合物を65℃にて18時間にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、H2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、粘稠な油として186.6mgの化合物6−Fが得られた。MS(方法2):m/z 533.1((M−Boc)+1)/655.2(M+Na);HPLC(方法1):Rt 7.36分。
【0145】
F.N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−N−(3−メチル−ベンゾ[b]−チオフェン−2−イル)−N’−(酪酸エチルエステル)−スルホンアミド(6−G)。化合物6−F(186mg、0.296mmol)に4NのHClのジオキサン(4.0mL)溶液を添加し、この反応混合物を室温にて24時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物をCH2Cl2で共沸し(2X)、この残留物を減圧下にて乾燥させたところ、黄色油として164.4mgの化合物6−Gが得られた。HPLC(方法1):Rt 6.49分。
【0146】
G.N−(4−フルオロ−3−トリフルオロメチル−ベンジル)−N−(3−メチル−ベンゾ[b]−チオフェン−2−イル)−N’−(酪酸)−スルホンアミド、化合物13。化合物6−G(164.4mg、0.309mmol)のMeOH(3.0mL)溶液に、3NのNaOH(0.206mL、0.617mmol)を添加し、この反応混合物を18時間にわたって還流させた。この反応混合物を冷却し、粗残留物を、60% MeCN−H2O(0.1% TFA)〜80% MeCN−H2O(0.1% TFA)勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(方法3)により精製したところ、透明な油として44.8mgの化合物13が得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ12.09(s,1H),7.99(m,1H),7.83〜7.88(m,1H),7.62〜7.69(m,2H),7.34〜7.45(m,3H),4.76(s,2H),3.07〜3.17(m,2H),2.06〜2.07(m,4H),1.23〜1.77(t,2H);MS(方法2):m/z 505.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 6.31分。
【0147】
(実施例7)
【0148】
【化20】

【0149】
A.N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−N−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−[N’−tert−ブチルオキシカルボニル]−スルホンアミド(7−A)。実施例6の工程Aにおいて化合物6−Aの代わりにベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸を用い、工程B〜Dに概略を示した化学的方法を使用して、化合物7−Aを調製したところ、橙色油として654mgが得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ11.76(s,1H),7.87〜7.91(m,1H),7.69〜7.80(m,3H),7.46〜7.51(t,1H),7.33〜7.38(m,2H),7.29(s,1H),5.13(s,2H),1.48(s,9H);HPLC(方法1):Rt 6.71分。
【0150】
B.N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−[N’−tert−ブチルオキシカルボニル]−スルホンアミド(7−B)。室温にて化合物7−A(654mg、1.29mmol)のDCE(6.0mL)溶液に、NBS(254mg、1.42mmol)を添加し、この反応物を室温にて18時間にわたって撹拌しておいた。更にNBS(100mg)を添加し、この反応混合物を室温にて18時間にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、H2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、褐色の固体として565mgの化合物7−Bが得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ11.80(s,1H),8.00〜8.03(m,1H),7.70〜7.77(m,2H),7.62〜7.66(m,1H),7.49〜7.54(m,2H),7.41〜7.45(t,1H),5.06(s,2H),1.51(s,9H);HPLC(方法1):Rt 6.87分。
【0151】
C.N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−[N’−tert−ブチルオキシカルボニル]−スルホンアミド(7−B)。室温にて化合物7−A(654mg、1.29mmol)のDCE(6.0mL)溶液に、NBS(254mg、1.42mmol)を添加し、この反応物を室温にて18時間にわたって撹拌しておいた。更にNBS(100mg)を添加し、この反応混合物を室温にて18時間にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、H2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、褐色の固体として565mgの化合物7−Bが得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ11.80(s,1H),8.00〜8.03(m,1H),7.70〜7.77(m,2H),7.62〜7.66(m,1H),7.49〜7.54(m,2H),7.41〜7.45(t,1H),5.06(s,2H),1.51(s,9H);HPLC(方法1):Rt 6.87分。
【0152】
D.N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−(N−酢酸エチルエステル)−[N’−tert−ブチルオキシカルボニル]−スルホンアミド(7−D)。室温にて化合物7−B(92mg、0.158mmol)のDMF(0.5mL)溶液に、60%のNaH(8.0mg、0.205mmol)を添加し、この懸濁液を室温にて30分にわたって撹拌しておいた。この反応混合物にブロモアセト酢酸(7−C)(21μL、0.190mmol)を滴加し、これを18時間にわたって撹拌しておいた。この反応混合物を追加の60%のNaH(8mg)、続いてブロモアセト酢酸(21μL)で処理し、この反応混合物を室温にて18時間にわたって撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、H2O、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、溶媒を減圧下で蒸発させた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、黄色の油として34.6mgの化合物7−Dが得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.73〜7.82(m,2H),7.67〜7.69(m,1H),7.45〜7.55(m,3H),7.16〜7.21(t,1H),5.15(s,2H),4.23(s,2H),4.12〜4.21(m,2H),1.57(s,9H),1.15〜1.29(m,3H);MS(方法2):m/z 570.6((M−Boc)+1);HPLC(方法1):Rt 7.79分。
【0153】
E.N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−(N−酢酸エチルエステル)−スルホンアミド(7−E)。化合物7−D(34.6mg、0.052mmol)にCH2Cl2(2mL)、次いでTFA(2mL)を添加し、この反応混合物を室温にて2時間にわたって撹拌した。溶媒を減圧下にて蒸発させ、乾燥させた。この粗残留物を、ヘプタン−EtOAc勾配で溶出させるフラッシュカラムクロマトグラフィー(SiO2)で精製したところ、油として23.9mgの化合物7−Eが得られた。MS(方法2):m/z 570.6(M+1);HPLC(方法1):Rt 6.58分。
【0154】
F.N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−(N−酢酸)−スルホンアミド、化合物14。化合物7−E(23.9mg、0.042mmol)のMeOH(0.5mL)溶液に、3NのNaOH(21μL、0.062mmol)を添加し、この反応混合物を2時間にわたって還流させた。この反応混合物を冷却し、粗残留物を、55〜75% MeCN−H2O(0.1% TFA)勾配で溶出させる逆相準分取用HPLC(Gemini、C−18カラム;100×30mm内径;5μ)により精製したところ、透明な油として9.8mgの化合物14が得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.68〜7.79(m,3H),7.54〜7.56(m,1H),7.40〜7.45(m,2H),7.12〜7.17(m,1H),4.00(s,2H);MS(方法2):m/z 543.0(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.81分。
【0155】
上記の実施例7の操作手順に従い、当業者に周知の好適な試薬、出発物質及び精製方法に置き換えることにより、以下の本発明の化合物を調製した。
【0156】
N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−(N−酪酸)−スルホンアミド、化合物15。実施例7の工程Bにおいてブロモアセト酢酸の代わりにエチル4−ブロモブチレートを用いることにより、化合物15を調製したところ、油として17.6mgが得られた。1H−NMR(CD3OD,400MHz):δ7.38〜7.79(m,6H),7.11〜7.23(m,1H),5.45(s,2H),2.32〜2.41(m,2H),1.75〜1.88(m,2H);MS(方法2):m/z 570.9(M+1);HPLC(方法1):Rt 5.91分。
【0157】
N−(3−ブロモ−ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)−N−(4−フルオロ−3−トリフルオロベンジル)−(N−ヘキサン酸)−スルホンアミド、化合物16。実施例7の工程Bにおいてブロモアセト酢酸の代わりにエチル5−ブロモ吉草酸を用いることにより、化合物16を調製したところ、油として17.6mgが得られた。1H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ12.06(s,1H),8.15〜8.18(m,1H),7.94〜7.98(m,1H),7.64〜7.75(m,3H),7.40〜7.51(m,3H),4.81(s,2H),3.02〜3.16(m,2H),2.21〜2.34(m,2H),1.54〜1.55(m,4H);MS(方法2):m/z 585.0(M+2);HPLC(方法1):Rt 6.54分。
【0158】
表1に示されている式(I)の化合物1〜16を、本明細書に記載されているスキーム及び実施例に従って、調製した。
【0159】
【化21】

【0160】
【表2】

【0161】
生物学的実施例
(実施例1)
インビトロでのイヌTRPM8の機能解析
式(I)の化合物の機能活性を、Ca2+−感受性蛍光色素を用いて細胞内カルシウム濃度変化を測定することで決定した。蛍光シグナルの変化をFLIPR(商標)(Molecular Devices)又はFDSS(Hamamatsu)の蛍光プレート・リーダーによりモニターした。細胞内Ca2+濃度の増加は、イシリンによる活性化後に直ちに検出された。
【0162】
アッセイの24時間前に、イヌTRPM8を安定して発現するHEK293細胞を、黒壁で透明底のポリ−D−リジン被覆384穴プレート(BD Biosciences,NJ,USA)中の培地に播種し、5% CO2で37℃にて一晩増殖させた。アッセイの当日に増殖培地を除去し、細胞にCalcium 3Dye(Molecular Devices)を5% CO2で37℃にて35分にわたって、次いで室温と室内雰囲気で25分にわたって充填した。次に、FLIPR(商標)又はFDSSを用い、作動薬により誘導された細胞内Ca2+レベルの増加について細胞を試験した。細胞は式(I)の化合物(各種の濃度)に曝露され、約80%の最大応答を生成する最終濃度を達成するために、イシリン添加前の5分間に、全てのウェルについて細胞内Ca2+を測定した。本発明の化合物のEC50又はIC50値は、8点での用量−反応試験により決定された。各データポイントについて4つ1組のウェルの平均を用いてカーブを作成した。得られたデータを表2に示す。
【0163】
【表3】

*IC50値は、1回の測定に基づく。
【0164】
インビボモデル
(実施例3)
齧歯類でのイシリン誘発性挙動の阻害
イシリンをまずDelmar Chemicals Ltd.による「超冷却(super-cooling)」化合物として発生させた。続いて、それは、TRPM8の最も有効な既知の作動薬の1つであることが示され(McKemy DDら、Nature 2002,416(6876):52〜8)、TRPM8を導入された細胞へのカルシウムイオン流入を刺激すると、EC50=0.2μMを有した(Behrendt HJら、Brit J Pharmacol 2004,141(4):737〜45)。初期のインビボでのイシリンの試験は、ラットに「激しい震え」("wet-dog" shake)を引き起こすことを示した。同様の震え又は飛び跳ね挙動は、マウス、ウサギ、ネコ、イヌ及びサルで明瞭に認められている。ヒトでは、イシリンは粘膜との接触により冷涼な感覚を生成し、0.1mgを舌に滴下した場合には寒冷な穿痛感をもたらし、及び5〜10mgを経口で摂取させた場合には、口内、咽頭及び胸部に30〜60分間持続する冷たさを生成させる(Wei ET,Seid DA,J Pharm Pharmacol.1983,35,110)。齧歯類におけるイシリン誘発性の震えの挙動の阻害又は逆転は、その疾患、症候群、障害又は病的状態がTRPM8受容体の調節によって影響される被験者の、疾患、症候群、障害、又は病的状態の処置又は予防における式(I)のTRPM8アンタゴニストの有用性の証拠を提供する。
【0165】
(実施例3a)
ラットでのイシリン誘発性の「激しい震え」の阻害
選択された式(I)の化合物の、イシリン誘導性の「激しい震え」("wet-dog" shake)(WDS)を阻害する能力を評価するために、オスのスプラーグドーリーラット(220〜450g、Charles River Labs、n=6〜9/処置)を用いることができる。式(I)の化合物を、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)、メトセルロース、10% Solutol又はH2O又はこれらに類するものなどの適切な分散媒中で、腹腔内又は経口の適切な経路により、イシリンよりも30〜120分前に投与することができる。イシリンは、PEG−400中又は10% solutol/H2O溶液として、1.0又は3.0mg/kgの用量を腹腔内投与することができ、自発的な「激しい震え」はイシリン投与の10〜20分後に計測することができる。
【0166】
(実施例3b)
ラットでのイシリン誘発性の「激しい震え」からの回復
選択した式(I)の化合物の、イシリン誘導性の「激しい震え」(WDS)から回復させる能力を評価するために、オスのスプラーグドーリーラット(225〜450g,Charles River Labs,n=4〜6/処置)を用いることができる。イシリンは、PEG−400中又は10% solutol/H2O溶液として、1.0又は3.0mg/kgの用量を腹腔内投与することができ、自発的な「激しい震え」(WDS)はイシリン投与の10〜20分後に計測することができる。10回以上の震えを示し得る動物を無作為に処置群に組み込むことができ、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HPβCD)、メトセルロース、10% Solutol又はH2O及びこれらに類するものなどの適切な分散媒中の式(I)の化合物を、腹腔内投与や経口投与などの好適な投与経路により直ちに投与することができる。自発的な「激しい震え」は化合物投与後の60〜70分間に計測することができる。
【0167】
(実施例4)
亜急性炎症性疼痛のインビボのモデル:カラギーナン誘発性痛覚過敏
ラット後肢へのカラギーナンの足底内注射は、典型的に投与の3〜6時間後にその頂点に達し、12〜24時間後に鎮静する、発赤、腫脹、並びに熱及び機械的な刺激に対する肢の過敏性、により特徴付けられる強い急性炎症反応を引き起こす。
【0168】
(実施例4a)
ラットのカラギーナン誘発性放射熱過敏性
炎症性痛覚過敏症における式(I)の試験化合物の効果を評価するために、オスのスプラーグ・ドーリー・ラットの片側後肢にカラギーナンの足底内注射(Lambda、Type IV、200μL)した3時間後に、放射熱潜時反応を評価することができる。試験化合物はカラギーナン注射の2時間前又は1時間後のいずれかで投与され得る。目的は、化合物がこの炎症誘引物質(inflammogen)に関連する過敏症を予防又は遅らせることができるかどうかを判定することである。ベースラインの熱応答潜時反応は、全ての処置前に、及び、カラギーナン注射の3時間後に測定することができる。分散媒処置に比較した痛覚過敏の逆転百分率(%R)は、下式に従い化合物処置パラダイムの両方について計算することができる。
%R=(化合物投与後の潜時反応−分散媒投与後の潜時反応)/(ベースラインの潜時反応−分散媒投与後の潜時反応)×100%。
【0169】
(実施例5)
慢性炎症性疼痛のインビボモデル:完全フロイントアジュバント(CFA)誘発性痛覚過敏
齧歯類への完全フロイントアジュバント(CFA)の足底内注射は、熱的及び機械刺激の両方に対する明白な過敏性により特徴付けられる、長期にわたって持続する炎症反応をもたらす。この過敏性は、注射後24〜72時間でピークに達し、数週間持続可能である。式(I)の試験化合物が、確立された過敏性から回復させるかどうかを評価するために、スプラーグドーリーラット(一般的に150〜350gのオス)の片側後肢に、100μLのCFA(生理食塩水と、熱殺菌されたヒト結核菌を加えた鉱油溶液との、1:1エマルションとして懸濁)を足底内注射することができる。このパラダイムは、痛覚過敏の発症過程を変更するように設計された連続投与レジメン又は予防的投与のレジメンによっても遂行することができる。この試験は、アセトアミノフェン、アスピリン及びイブプロフェンなどのNSAID及びモルフィンのようなオピオイドを含む膨大な数の臨床的に効果的な薬剤の鎮痛、抗異痛、及び抗痛覚過敏効果を予測している。
【0170】
(実施例5a)
CFA誘発性の肢の放射熱過敏症
各ラットを暖かいガラス表面上の試験チャンバーに入れ、約10分間順応させ得る。次いで放射熱刺激(光線)をガラスを通して各後肢の足底面に順番に集中させ得る。肢が動かされるか、停止時間(約5アンペアで20秒の放射熱)に達したときに、熱刺激は光電リレーにより自動的に停止され得る。CFAの注射に先立ち、熱刺激に対する初期(ベースライン)応答潜時反応が各動物について記録され得る。足底内へのCFAの注射後24時間、熱刺激に対する動物の応答潜時反応が再評価され、動物のベースライン応答時間と比較され得る。応答潜時(すなわち、痛覚過敏症)の少なくとも25%の減少を示したラットのみを、その先の解析に含める。CFA投与後潜時の評価後、直ちに試験化合物又は分散媒(通常はSolutol、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン又はPEG−400)をラットに腹腔内又は経口投与し得る。化合物処置後の潜時反応からの離脱は、通常、30、60及び120分の固定された時間間隔で評価され得る。痛覚過敏症からの回復百分率(%R)は、下式に従い計算される。
【0171】
【数1】

【0172】
(実施例5b)
CFA誘発性の肢の寒冷過敏症
CFAの足底内注射に先立ち、マウス又はラットは、金網の床を持つ高架の観察用チャンバーに個別に入れられ得る。3回1組のアセトン投与(0.04〜0.10mL/投与)が、金網の床を通して、連続使用注射器を用いて足底にスプレーされ得る。陽性応答は、突然肢を引き込む及び肢を舐めるという形を取り得る。3回の試験のそれぞれについて肢舐めの持続時間の累積が記録され得、その平均により各個体の応答が与えられる。CFAの注射後の24時間、アセトンによる肢舐め行動の持続時間は著しく増加し得たが、このことは、冷感に対する過敏性を示唆する。式(I)の試験化合物は、その全身性投与後に、アセトンにより誘発される足舐め行動の持続時間をCFA投与前のレベルに(通常は0に近い)戻す能力によって評価することができる。阻害百分率は以下のように計算される。
阻害%=[1−(化合物処置による肢舐め持続時間/分散媒処置による肢舐め持続時間)]×100。
【0173】
(実施例6)
内臓痛を化学的に誘発させた腹部刺激モデル
化学的刺激物質(酢酸、カオリン、ブラジキニン、フェニル−p−(ベンゾ)キニーネ、ブロモ−アセチルコリン又はジモサンなど)をマウスに腹腔内注射してもよく、これは後肢に至るまでの体の伸びにより特徴付けられる腹部筋組織の収縮を引き起こす。このような反応の数は定量化され得、鎮痛剤の前処理により低減され得るために選別試験の基礎を形成する(Collier HOら、Br J Pharmacol Chemother 1968,32(2):295〜310)。このタイプの腹部刺激試験は、膨大な数の臨床的に有効な薬剤の鎮痛効果の予測に用いられており、腹部刺激試験での効力は、臨床的な疼痛の緩和に必要とされる用量の規模と対応する。かかる薬剤は、アセトアミノフェン、アスピリン及びイブプロフェンなどのNSAID、モルフィン及びコデインなどのオピオイド、及びトラマドールなどの他の中枢作用性鎮痛剤を含む。
【0174】
内臓疼痛の化学的に誘発される腹部刺激モデルの1つの改変は、腹腔内注射することにより炎症性応答を誘発することが知られている(LPS、ザイモサン、又はチオグリコレートなどの)薬剤で、動物を前処置することである。急性の化学刺激物質への曝露の数時間又は数日前に腹腔内投与される、かかる少量の炎症源は、観察される腹部収縮回数を増加させることが知られている(Ribeiro RAら、Eur J Pharmacol 2000,387(1):111〜8)。一部の鎮痛薬が、内臓における急性の化学的な侵害受容の緩和に有効である一方、その他の鎮痛薬、特に受容体の誘導に依存する鎮痛薬は、炎症性刺激での前処理により引き起こされる行動反応の亢進の予防、又は引き起こされる行動反応からの回復においてより有効である。炎症時にTRPM8受容体の発現が増加することから、収縮の平均数を減少させるのに有効なTRPM8アンタゴニストは、ヒトでの臨床的な使用時に鎮痛作用を提供すると予測される。
【0175】
式(I)の化合物の、炎症性刺激による前処理後の化学的刺激物質により誘発される腹部収縮の軽減能力は、以下のように研究することができる。腹膜の炎症を誘発するために、チオグリコレート(3%,w/v,2〜3mL腹腔内投与)の最大用量で容積80mL/Kgを、オスのCD1マウス(20〜40g、Charles River Labs)に注射し得る。続く24時間の前炎症期間に、式(I)の化合物(30mg/Kg、n=10)又は分散媒(HPMCと2% Tween80、n=9)をこれらのマウスに経口投与し得、及び1時間後に酢酸(1%、10mL/Kg、腹腔内投与)による腹部刺激曝露に付し得る。酢酸の注射後直ちに、次の15分間の腹部収縮を計数するために、マウスを個別にガラス製ベル型ジャー(約15cmの直径)に入れ得る。それぞれの処置群について腹部収縮の合計数を集計して、下式を用いて阻害百分率(%I)を計算し得る。
%I=[1−(試験化合物による収縮数/分散媒による収縮数)]×100。
【0176】
(実施例7)
神経障害性疼痛のインビボモデル
坐骨神経は(後)肢及び足の主要な感覚運動の神経支配を行う神経である。坐骨神経又はその構成要素である脊髄神経の損傷は、しばしば疼痛に関連する挙動をもたらす。ラット及びマウスにおいて、絹縫合糸によるL5脊髄神経のきつい結紮、絹縫合糸による坐骨神経の部分的にきつい結紮又はクロミック・ガット(chromic gut)縫合糸による坐骨神経のゆるい結紮のそれぞれが、ヒトの神経障害性疼痛を連想させる挙動を引き起こす。これらの損傷(動物当たり1つ)は、麻酔をかけた齧歯類に対して外科的に実施され得る。脊髄神経及び坐骨神経損傷の両方が、通常は無害な刺激に対しての痛みを伴う応答である異痛症、及び通常は非侵害性の刺激に対しての過剰な応答である痛覚過敏を引き起こす。疼痛に関連するこれらの挙動がどちらも実験手順により誘発され得ることと、肢の正常な使用(例えば、歩行)が、肢の時折の「防御」は別として比較的損なわれないことには注意しなくてはならない。手術後の、身づくろい、摂食行動、及び体重増加などの被験体の挙動は、影響を受ける肢の過敏性(上記で定義された)を除いては正常である。
【0177】
事故による外傷又は外科的操作に起因する神経障害の誘発に加え、神経障害性疼痛は、糖尿病(Fox,Aら、Pain 81:307〜316,1999)又はパクリタキセル若しくはビンクリスチンのような化学療法剤による処置によっても誘発される(Yaksh,TLら、Pain 93:69〜76,2001)。
【0178】
診療室で神経障害性疼痛を軽減する薬剤は、齧歯類の神経障害性疼痛モデルに対しても有効である。これらの薬剤としては、最近承認されたCymbalta(Duloxetine,Iyengar,S.ら、JPET 2004 311:576〜584)、モルフィン(Suzuki,Rら、Pain 1999 80:215〜228)及びガバペンチン(gabapentin)(Hunter,JCら、Eur J Pharmacol 1997 324:153〜160)が挙げられる。TRPV1/TRPM8受容体の二重アンタゴニストであるBCTCは、齧歯類の絞扼性神経損傷(chronic constriction injury)モデルにおいて、機械的痛覚過敏及び触知性異痛症を軽減した(Pomonis,JDら、JPET 2003 306:387〜393;Behrendt,Hら、Brit J Pharm 2004 141:737)。寒冷異痛症は、神経障害性疼痛状態の特に衰弱を起こす症状である(Jorum Eら、Pain 2003 101:229〜235)。式(I)の化合物のこの齧歯類モデルでの坑異痛効果は、これらの新規薬剤の臨床効果を予測するものである。
【0179】
(実施例7a)
絞扼性神経損傷(CCI)により誘発された神経障害性疼痛のモデル−アセトン誘発性過敏症
選択された式(I)の化合物の、CCIにより誘発された寒冷過敏症から回復させる能力を評価するために、オスのスプラーグドーリーラット(225〜450g,n=5〜8/処置)を使用することができる。Bennettらによる記載(Bennett GJ,Xie YK.Pain,1988,33(1):87〜107)の通りに、吸入麻酔下で4−0クロミック・ガットによるゆるい結紮を、外科的に左坐骨神経の周囲に配置することができる。CCI手術の14〜35日後に、被験体を金網床を有する高架観察チャンバーに入れて、連続使用シリンジを用いて足底表面にアセトンを振りかけることによりアセトン投与を5回実施し得る(約5分間の間隔で、0.05mL/投与)。肢を突然引く又は持ち上げることは、陽性応答と考えてもよい。5回の試験にわたって、それぞれのラットに対して陽性応答の回数を記録し得る。ベースラインの引きこみの測定の後、式(I)の化合物を、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(HP β CD)、メチルセルロース、Methocel、10% Solutol又はH2O又はこれらに類するものなどの適切な分散媒中で、腹腔内又は経口の適切な経路により、投与することができる。化合物投与の1〜3時間後に引き込みの数を再測定することができる。結果は震えの阻害百分率として示すことができ、これはそれぞれの被験体について、[1−(試験化合物による引き込み数/試験前の引き込み数)]×100として計算し、次いで処置ごとに平均した。
【0180】
(実施例7b)
絞扼性神経損傷(CCI)により誘発された神経障害性疼痛モデル−冷却板誘発性過敏症
Bennettらによる記載(Bennett GJ,Xie YK.,Pain 1988,33(1):87〜107)の通りに、オスのSDラット(175〜325g)に、吸入麻酔下で、4−0クロミック・ガットによるゆるい結紮を左坐骨神経の周囲に外科的に配置することができる。絞扼性神経損傷(CCI)手術の7〜21日後に、被験体を、表面温度を1℃に保持するようなペルチェ熱電素子により冷却される、市販の冷却板装置上に置くことができる。それぞれの被験体は、6分間の条件付け期間、次いで3分間の評価期間を受け、その間の後肢の持ち上げの持続時間の合計が記録された。薬剤の全身投与の前後に、この操作手順は数回の間隔を置いて繰り返された。式(I)の化合物は、後肢の持ちあげ持続時間を、損傷前のレベルまで戻す能力によって評価することができる。試験化合物投与後の、3分間の試験期間中の肢の持ち上げ持続時間は、試験化合物による処置前の3分間の肢の持ち上げ持続時間の百分率として用いた。
【0181】
(実施例7c)
絞扼性神経損傷(CCI)により誘発された神経障害性疼痛モデル−機械的異痛(von Frey試験)
Bennettらによる記載(Bennett GJ,Xie YK.,Pain 1988,33(1):87〜107)の通りに、オスのSDラット(175〜325g)に、吸入麻酔下で、4−0クロミック・ガットによるゆるい結紮を左坐骨神経の周囲に外科的に配置することができる。絞扼性神経損傷(CCI)手術の7〜21日後に、被験体は、金網床又は他のタイプの穴のあいた床を有するプレキシグラスのチャンバーの高架ラックに入れられた。機械的異痛の測定はvon Frey hair(Semmes−Weinstein Monofilaments,Stoelting Co.,IL)を用いて行い、ラットは実験開始前に金網床のケージに馴化される。静的異痛症は、最大で6秒間、又は肢を引きこむ応答が誘発されるまでの間、力を徐々に上げて(1.2、1.5、2.0、3.6、5.5、8.5、12、15、29、及び76g)後肢の底面をvon Frey hairで触ることで、非拘束ラットで試験される。応答を誘発する最も低い量の力が、引き込みの閾値としてlogGで記録される。薬剤の全身投与の前後に、この操作手順は数回の間隔を置いて繰り返された。式(I)の化合物は、足を後ろに持ち上げる閾値の力を、損傷前のレベルに戻す能力により評価することができる。
【0182】
(実施例8)
炎症性薬剤により誘発される発熱/解熱モデル
式(I)の化合物は、Kozakらにより記載の論文(Kozak W,Fraifeld V.,Front Biosci 2004,9:3339〜55)などの既に文書化され、有効性の確認された方法に従って、発熱の動物モデルで試験することができる(Kozak W,Fraifeld V.,Front Biosci 2004,9:3339〜55)。発熱は炎症性疾患にしばしば付随するものである。動物モデルは、酵母又は他の炎症性薬剤の懸濁液を皮下注射することによる、酵母及び他の炎症性薬剤の発熱特性を利用する(Tomazetti Jら、J Neurosci Methods 2005,147(1):29〜35)、(Van Miert AS及びVan Duin CT.Eur J Pharmacol 1977,44(3):197〜204)。例えば、オスのウィスターラット(75〜100g)を4匹で1群として、制御された温度(23±1℃)のケージ内で12時間明かりをつけ:12時間暗くするサイクル(07:00時にライトを点灯する)で、標準の実験動物用飼料及び不断の水道水により飼育することができる。全ての測定温度は、08:00〜19:00時の間に記録される。それぞれの動物は1回の試験にのみ使用できる。直腸内温度(TR)は、潤滑油を差したサーミスタ・プローブ(外径:3mm)を動物の直腸内に2.8cm挿入することにより測定できる。プローブはディジタル装置に連結され、この装置は0.1℃の精度でプローブ先端の温度を表示し、時間と共に値を記録する。最初の基礎直腸温度の測定後、直ちに発熱物質を含まない0.9% NaCl(0.05〜0.25g/Kg,腹腔内投与)又は0.9% NaCl(10mL/kg)水溶液中に懸濁した市販の乾燥パン酵母(Saccharomyces cerevisiae)を動物に注射する。TRの変化は、12時間後まで1時間ごとに記録され基礎値からの差として表される。取り扱い及び体温測定に関連するストレスが直腸温度を変化させることが以前に報告されているため、これらの動物は、実験遂行前の2日間、注射及び測定操作に馴化させる。これらのセッションにおいて、動物は上記の同一の温度測定操作に付され、0.9% NaCl(10mL/Kg)を腹腔内投与(i.p.)される。
【0183】
基礎直腸温度に対する潜在的な解熱性化合物の効果を評価するために、試験動物のTRを4時間にわたって測定することができ、4回目のTR測定後に、動物に分散媒(10% solutolの滅菌水溶液を5mL/Kg)又は分散媒中の式(I)の化合物を皮下注射することができる。化合物の注射後に、TRは8時間後まで1時間ごとに記録される。パン酵母により誘発された異常高熱に対する式(I)の化合物の効果を測定するために、試験動物の基礎TRを測定し、その後発熱用量のパン酵母(例えば、0.135g/kg)を注射することができる。TR変化は4時間後まで1時間ごとに記録することができ、4時間後に式(I)の化合物などの潜在的な解熱性薬剤が投与される。直腸温度は、その後8時間後までモニターされる。基礎直腸温度及び直腸温度の変化は、平均温度±7時間後のTRとの差のS.E.M.(平均の標準誤差)により表される。データは実験の設計に応じて、測定の時間を被験体内要因として処理した、2元配置分散分析(ANOVA)により解析される。事後解析は、単純効果についてのF検定、及び好適な場合には、Student−Newman−Keuls検定により行われる。P<0.05の値は統計的に有意であると認められる。
【0184】
処置薬剤によるその後の発熱的応答の変更は、直腸の遠隔測定法又は他の体温測定法によってもモニターされ得る。臨床的に関連性のある、アセトアミノフェン、アスピリン及びイブプロフェンなどの薬剤は、これらのモデルにおいて発熱を軽減する。これらの試験における式(I)の化合物などのTRPM8アンタゴニストの解熱効果は、更にその臨床的有効性を予測する。
【0185】
(実施例9)
CFA誘発性関節リウマチのモデル
式(I)の化合物は、Nagakuraらによる記載の論文(Nagakura Yら、J Pharmacol Exp Ther 2003,306(2):490〜7)などの既に文書化され、有効性が確認された方法に従って、関節リウマチの動物モデルで試験することができる。例えば、関節炎はラット(オスのルイスラット150〜225g、Charles River)へのCFA接種により誘発し得る。100mgのMycobacterium butyricum(Difco,Detroit,MI)を短時間で十分に20mLのパラフィン油と混合させる。次いで、混合物を120℃で20分間加圧滅菌器で処理する。吸入麻酔下で各ラットの右足蹠(後肢)に、容積0.1mLの混合物を注射する。対照としての機能を果たすラットには、0.1mLの生理食塩水を注射する。疼痛及び他の疾患の進展のパラメーターは、CFA又は生理食塩水で処置されたラットにおいて、接種直前、及び接種後28日間まで測定される。機械的及び熱的(熱い又は冷たい)評価項目の両方について、疼痛パラメーターの測定が行われる。機械的異痛の測定は、von Frey hair(Semmes−Weinstein Monofilaments,Stoelting Co.,IL)を用いて遂行され、ラットは実験開始前に金網床のケージに馴化させられる。静的異痛症は、最大で6秒間、又は肢を引きこむ応答が誘発されるまでの間、力を徐々に上げて(1.2、1.5、2.0、3.6、5.5、8.5、12、15、29、及び76g)後肢の底面をvon Frey hairで触ることで、非拘束ラットで試験される。応答を誘発する最も低い量の力が、引き込みの閾値としてlog gで記録される。熱的痛覚過敏は、放射熱試験を用い評価することができ、可動性の放射熱源がラットがその上に配置されたガラス表面の下部に配置される。光線を後肢に集中させることができ、肢の引き込み潜時を、ラットが熱源からその後肢を移動させるのに要する時間として定義する。関節の痛覚過敏の測定は、既に報告されている方法の変法により遂行される(Rupniak NMJ et al.Pain 1997,71:89〜97)。各ラットの胴を後ろから左の手のひらで掴み、足首の運動の範囲の限界までの屈曲及び伸張(交互に、各方向に5回)を右手の指で行う。この操作後に発生する鳴き声の合計回数(各方向に5回の屈曲及び伸張)が各肢について記録される(各肢の最大スコアは10)。
【0186】
可動性に対するスコア付けは、Butlerらにより報告された(Butler SHら、Pain 1992,48:73〜81)評価スケールを改変することにより遂行された:スコア6、正常に歩行する、スコア5、同側の後肢をかばうように歩行する(同側の後肢は床に完全に触れる)、スコア4、同側の後肢をかばうように歩行する(同側の後肢のつま先のみを床に触れる)、スコア3、両側の後肢をかばうように歩行する(反対側の後肢を床に触れる)、スコア2、両側の後肢をかばうように歩行する(反対側の後肢のつま先のみを床に触れる)、スコア1、前肢のみを使って這う、及びスコア0、動かない。肢の容積は、市販の肢容積測定装置での電解質溶液による置換により測定することができる。後肢を、毛皮で覆われる皮膚との境界まで浸漬し、その容積をディジタル表示により読み取る。関節硬直についてのスコア付けは、ラットの体を左の手のひらで後ろから掴み、足首の運動の範囲の限界までの屈曲及び伸張(各方向に1回)を右手の指で行うことで実施できる。実験未使用のラットで、屈曲及び伸張操作において足首関節の運動に制約のないことを前もって確認し、スコア付けは、Butlerにより報告された評価スケールに従って遂行される(Butler SHら、Pain 1992,48:73〜81)。スコア2、屈曲及び伸張における足首のあらゆる種類の動きに制約がある、スコア1、屈曲又は伸張における足首のあらゆる種類の動きに制約がある、及びスコア0、制約がない。肢の容積及び関節の硬直の測定は、両側の後肢に対して実施できる。
【0187】
式(I)の化合物は、抗痛覚過敏症の有効性について次のように評価することができる:CFAで処置した32匹のラット(1用量当たり8匹のラット、及び化合物当たり4用量)及び別の8匹の実験に使用しない参照ラットを各薬剤の評価に使用する。同側の肢の機械的異痛、熱的痛覚過敏、関節痛覚過敏、及び関節硬直がほぼその最大に達するが、それらについての反対側の肢のパラメーターは僅かにしか変化せず、可動性スコアの変化により示される全身的な障害が少ない、接種後9日目に鎮痛効果を評価することができる。評価の前日に、化合物の評価に用いられる32匹のラットについて、体重、機械的異痛、熱的痛覚過敏、及び関節痛覚過敏が測定される。ラットは、各群間の上記パラメーターの平均の差が小さくなるように、4群に振り分けられる(1群当たりラット8匹)。全ての鎮痛効果の評価及び挙動の観察は、薬剤処置の振り分けについて知らされていない観察者により行われる。
【0188】
データは平均+/−S.E.Mで表される。機械的異痛、熱的痛覚過敏、関節痛覚過敏、体重、及び肢容積の経時変化曲線は、t試験後に反復測定2元配置分散分析統計に付すことができる。式(I)の化合物を評価するための実験において、分散媒処置及び実験に未使用の対照群の差異は、同側の肢の疼痛パラメーターにおいて有意な変化を確認するために、Student検定により解析することができる。鎮痛効果は、Dunnett検定により解析され、それぞれのケースにおいて、薬剤処置群は分散媒処置群と比較される。各統計解析において、比較は対応する側の肢について行われる。P<0.05が統計的に有意であるとみなされる。このモデルにおいて、中枢に作用する鎮痛剤であるモルフィン及びトラマドールが完全に疼痛を緩和する一方、NSAIDであるインドメタシン及びジクロフェナックは部分的に有効であり、モデルの臨床的な予測性を立証した。式(I)の化合物のこの試験における鎮痛効果は、関節炎の処置におけるその臨床的有用性を予測するものであろう。
【0189】
(実施例10)
関節炎のインビボモデル:膝関節の炎症源により誘発される痛覚過敏
式(I)の化合物は、既に文書化され、有効性の確認されたSlukaらにより記載の方法に従い、変形性関節炎の動物モデルで試験することができる(Sluka KA,Westlund KN.Pain 1993,55(3):367〜77)。例えば、体重225g〜350gのオスのスプラーグドーリーラット(Harlan,Indianapolis,IN)を揮発させたハロタンにより短時間で麻酔し、次いで一方の膝の関節腔に3%カラギーナン及び3%カオリン混合物(0.9%滅菌生理食塩水溶液、100μL)を注射した。注射後、試験時まで動物をケージに戻した。挙動試験のために、動物を、動物の行動を制約する高架の金網表面の上部に形成された個別の透明プラスチック製ケージに入れた。動物は試験の約1時間前に順応させる。次いで、機械刺激に対する亢進した応答の試験のために、上記のVon Freyフィラメントを用いた。フィラメントは、金網を通し引き続いて足の第3及び第4指骨の間の足底表面に対して垂直に使用された。機械的刺激に対する応答の閾値は、膝関節の炎症の前に、痛覚過敏の進展を確認するために炎症の4時間後に、式(I)の化合物などの試験化合物の投与後直ち(すなわち、炎症の5時間後)に、及び炎症の8、12、及び24時間後に決定することができる。
【0190】
ノンパラメトリック検定であるKruskal−Wallis検定を、炎症後4時間、及び化合物処置後(炎症後、5時間、8時間、12時間及び24時間)に、頻度、強度、及びベースラインの機械刺激に対する応答についての効果を解析するために用いることができる。更なる群間の事後解析は、Mann−Whitneyの符号付順位検定を用いて遂行することができる。データは25及び75パーセンタイルの中央値として表すことができる。有意性は、P≦0.05である。
【0191】
更に、動物の肢取りや又は他の疼痛に関連する挙動を、動物の活動度に対する関節炎の有痛性効果依存測定として、スコア付けすることができる(Hallas B,LehmanS,Bosak Aら、J Am Osteopath Assoc 1997,97(4):207〜14)。動物の正常挙動に対する試験薬剤の効果は、無応答を意味する0から、身体の自由を奪う機能障害を意味する3までの数値で定量化される。有効な鎮痛処置としては、臨床的に使用されているインドメタシンを含む(Motta AFら、Life Sci 2003,73(15):1995〜2004)。したがって、このモデルにおける式(I)の化合物の有用性は、その臨床的妥当性を予測するものである。
【0192】
(実施例11)
肉腫細胞に誘発される骨肉腫疼痛モデル
式(I)の化合物は、既に文書化され、有効性の確認された以下のような科学的文献に記載の方法に従い、尿失禁の動物モデルで試験することができる(El Mouedden M,Meert TF.Pharmacol Biochem Behav 2005,82(1):109〜19;Ghilardi JRら、J Neurosci 2005,25(12):3126〜31)。細胞の接種及び腫瘍の誘発に備え、骨融解性マウス肉腫細胞(NCTC 2472、American Type Culture Collection(ATCC),Rockville,MD,USA)を、10%ウマ血清(Gibco)を含むNCTC 135培地(Invitrogen)中で、ATCCガイドラインに従って1週間に2代継代して培養した。投与のために、細胞をかきとって剥離し、1000×gで遠心分離した。ペレットを新鮮なNCTC135培地に懸濁し(2.5×106細胞/20μL)、続いて大腿骨髄内接種に用いた。かかる実験には、オスのC3H/HeNCRlマウス(25〜30g,Charles River Labs)を用いた。キシラジン(10mg/Kg腹腔内投与)及びケタミン(100mg/kg腹腔内投与)による全身麻酔の導入後、左の後肢を剃毛し、ポビドンヨード、次いで70%エタノールで消毒した。次いで、1cmの表部切開を膝蓋骨上の膝に施す。次いで、膝蓋骨靱帯を切断して、遠位大腿の関節丘を露出する。細胞を注射するための空洞を形成するために、23番ゲージの針を関節丘の切れ目及び髄内の管のレベルで挿入する。次に、20μLの培地(偽手術をする動物)又は肉腫細胞を含む培地(約2.5×106細胞)をシリンジを用いて骨空洞内に注射する。骨外への細胞の漏出を防ぐために、注射部位は、歯科用アクリルで密閉し傷は皮膚縫合で閉じる。
【0193】
疼痛挙動は、別個の群(n=6)の偽手術をしたマウス及び自発的な持ち上げ挙動により評価される痛覚過敏性が確定された骨肉腫マウスで評価され得る。肉腫摂取の3週間前と3週間後に、動物は3週間の間、挙動的に試験される。一般的な健康状態のモニターを助けるために、マウスの体重は実験期間中を通じて記録される。自発的な持ち上げを測定するために、動物は水平表面の上に置かれた透明な直径20cmのアクリル製円筒の中で馴化され、その後、左後肢の自発的な持ち上げ挙動を4分間観察する。自発的な持ち上げ挙動の評価後、直ちに動物は、マウス回転機械(例えばENV−575M\,Med Associates Inc.,GA,USA)に入れることができ、16rpmの速度で2分間回転させ、強制的な歩行の間の肢の使用を以下に従ってスコア付けする:4=正常、3=肢を引きずる、2=左後肢を部分的に使用しない、1=左後肢を実質的に使用しない、0=左後肢を使用しない。寒冷異痛症の評価は、マウスの同側の後肢に5回繰り返してアセトン(20μL)を吹きかけ、持ち上げ/肢舐め行動の頻度及び/又はその持続時間を定量することにより実施できる。骨破壊についての死亡後の評価は、ACT処理、次いで小動物イメージング用のスカイスキャン1076マイクロトモグラフ・システム(Skyscan 1076\,Skyscan,Aartselaar,Belgium)のようなシステムを用いるスキャンにより行い得る。骨破壊について測定された形態計測パラメーターは、続いて行動についての評価項目と関連付けられる。
【0194】
式(I)の化合物の抗痛覚過敏症、抗異痛症及び疾患修飾効果は、このマウスの骨肉腫疼痛モデルの別個の群で試験することができる(用量群当たりn=6)。自発的又はアセトンにより誘発される足の持ち上げにより評価される、確定された痛覚過敏を有する動物は、例えば、遠位大腿への肉腫接種後15及び22日目及び分散媒(例えば20% HPbCD無菌水溶液)又は式(I)の化合物の全身投与の前及び1時間後に、挙動的に試験することができる。行動に関する測定と実験群の骨パラメーターを比較するための統計的解析は、1元配置ANOVAにより行うことができる。偽手術を施した動物と実験群の肉腫を持つ動物の間の、挙動に関する測定と骨パラメーターを比較するためにMann−WhitneyのU検定を用いることができる。結果は、P<0.05(両側)の場合に実質的に有意とみなされる。データは平均値+/−S.E.M.で表される。
【0195】
骨肉腫はヒトにきわめて激しい疼痛を引き起こし、上述のように齧歯類の骨肉腫疼痛の動物モデルにおいて再現される。このモデルで有効な鎮痛療法には、COX−2阻害剤(Sabino MA,Ghilardi JR,Jongen JLら、Cancer Res 2002,62(24):7343〜9)、高用量のモルフィン(Luger NMら、Pain.2002,99(3):397〜406)、及び骨肉腫の疼痛に悩む患者の疼痛緩和に臨床的に用いられる薬剤を含む。このモデルはヒトの疾患状態に酷似して模倣するために、寒冷異痛症が顕著な症状であるという所見(Lee,Seongら、Yonsei Med J 2005,46(2):252〜9)は、本発明のTRPM8アンタゴニストが、ヒトの骨肉腫に付随する疼痛の緩和を提供するという概念を強固に支持する。
【0196】
(実施例12)
呼吸刺激剤により誘発される咳のモデル
式(I)の化合物は、Tanaka,M.及びMaruyama,K.J Pharmacol.Sci 2005,99(1),77〜82;Trevisani,M.ら、Throax 2004,59(9),769〜72;及びHall,E.ら、J Med.Microbiol 1999,48:95〜98により記載のものなどの先行文献及び実証済みの方法に従って、鎮咳剤活性の動物モデルで試験することができる。試験は透明な換気されたチャンバー中で、400mL/minの一定の空気の循環下で行われる。咳を起こす薬剤(クエン酸0.25M又はカプサイシン30mM)は、ミニ超音波噴霧器により0.4mL/minの放出率で噴霧される。咳の発生は、ネクタイピン型のマイクロフォンにより検知され、動物の特徴的な姿勢により確認される。咳の音は記録されディジタル的に保存される。その後、振り分けを知らされていない観察者が、誘発された咳の活動を計数する。場合によっては、動物はオボアルブミンなどの特定の薬剤への曝露により前感作される。試験化合物は、化合物の鎮咳効果を評価するために、刺激剤により誘発された咳のピークに投与される。更に、刺激剤により誘発される咳の発現及び持続時間に対する試験化合物の調節作用を評価するために、予防レジメン又は連続投与レジメンを用いることができる。これらの試験の変動は、デキストロルファン及びデキストロメトルファンなどのNMDAアンタゴニスト、コデインなどのオピオイド、サルブタモールなどのβ2−作動薬及びイプラトロピウムなどの抗ムスカリン薬などを含む有効な臨床薬剤の鎮咳効果を予測する(Bolser,D.C.etら、Eur J Pharmacol 1995,277(2〜3),159〜64;Braga,P.C.Drugs Exper Clin Res 1994,20,199〜203)。モルモット及びヒトのどちらにおいてもメントールの鎮咳剤作用(Eccles R.Curr Allergy Asthma Rep 2003,3(3):210〜4;Laude EA,et al.Pulm Pharmacol.1994,7(3):179〜84;Morice AH,et al.,Thorax 1994,49(10):1024〜6)は式(I)の化合物の鎮咳薬としての有用性を予測する。
【0197】
(実施例13)
化学刺激剤により誘発される、掻痒、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎及び他の皮膚アレルギー、過敏性及び/又は炎症の兆候
式(I)の化合物は、既に文書化され、有効性の確認された、以下のような科学的文献などに記載の方法に従い、接触皮膚炎又は掻痒の動物モデルで試験することができる(Saint−Mezard Pら、Eur J Dermatol 2004,14(5):284〜95;Thomsen J.S.ら、J Exp Dermatol 2002,11(4):370〜5;Weisshaar Eら、Arch Dermatol Res 1998,290(6):306〜11;Wille JJら、Skin Pharmacol Appl Skin Physiol 1999,12(1〜2):18〜27)。25mLの0.5%ジニトロフルオロベンゼン溶液(投与直前に4:1のアセトン:オリーブ油に希釈したDNFB;あるいは12−ミリスチン酸−13−酢酸、塩化ピクリル、オキサゾロン、カプサイシン、アラキドン酸、酪酸、トランス−レチノイン酸又はラウリル硫酸ナトリウムなどの他のハプテン)をマウス(又はモルモット若しくはラットなどの種)の剃毛した背部皮膚に塗布して感作するか、又は何も処置しない(対照)。5日後に、10mLの0.2% DNFB(非刺激用量)を右耳の両側に塗布し、及び同量の溶媒を単独で左耳に塗布する。測径器を用いて耳の厚さを測定する。式(I)の化合物を、化合物の抗アレルギー活性を評価するために炎症のピーク時に投与することができる。更に、抗アレルギー活性の発現及び持続時間に対する試験化合物の調節作用を評価するために、予防的レジメン又は連続投与レジメンを用いることができる。これらの試験の変更は、有効な臨床的薬剤の抗アレルギー及び抗掻痒活性を予想し得る。化合物のヒトの皮膚の病的状態に対する処置効果を予測する、これらのモデルの能力は、セロトニンの異種間の掻痒を誘発する能力により支持される(Weisshaar E,Gollnick H.Skin Therapy Lett 2000,5(5):1〜2,5)。更に、商業的に重要な薬剤の接触感作性、及びイオン・チャネル・モジュレーターのこれらのモデルでの皮膚感作を予防又は処置する能力(Proceedings of the International Symposium on Controlled Release of Bioactive Materials 24th):23〜24,1997)は、皮膚感作での式(I)の化合物の処置的有用性を実証する。
【0198】
(実施例14)
化学刺激剤により誘発される鼻炎及び他の鼻過敏性及び/又は炎症の兆候のモデル
既に文書化され、有効性が確認された以下のような科学的文献に記載の方法に従って、式(I)の化合物を鼻炎の動物モデルで試験することができる(Hirayama Yら、Eur J Pharmacol 2003,467(1〜3):197〜203;Magyar Tら、Vaccine 2002,20(13〜14):1797〜802;Tiniakov RLら、J Appl Physiol 2003,94(5):1821〜8)。試験は、冷気、カプサイチン、ブラジキニン、ヒスタミン、花粉、デキストラン硫酸、2,4−トリレンジイソシアネート、気管支敗血症菌(Bordetella bronchiseptica)、パスツレラ・マルトシダ(Pasteurella multocida)又は酢酸などの、1つ以上の刺激剤の鼻内曝露に対するマウス、モルモット、イヌ又はヒトの応答により行われる。場合によっては動物は、限定するものではないがブタクサ又はオボアルブミンを含む特定の薬剤による前曝露により感作され得る。刺激剤の投与前に、又は投与後に、被験動物は、それぞれ予防的又は処置的に式(I)の化合物又は対照分散媒の1回又は複数回の腸内又は非経口経路による投与を受けることができる。鼻炎又は感作の指標となる、試験化合物処置被験体と分散媒処置被験体との比較についての有意差は、抗鼻炎作用の証拠として採用できる。独立変数には、用量、頻度及び投与経路、予防的又は処置的試験化合物投与の時間間隔、及び刺激剤曝露と同様に試験被験体の性及び非性遺伝子型が含まれる。これらの過敏性状態における、神経性炎症の緊密に関係する役割は、式(I)の化合物が疾患の基礎をなす感作の脱感作又は阻害を起こすことを実証する。
【0199】
(実施例15)
葛藤(conflict)により誘発される不安神経症、パニック障害及び他のストレス不適応又は恐怖症応答のモデル
式(I)の化合物は、Cryan及びHolmes(Cryan JF,Holmes A.Nat Rev Drug Discov 2005,4(9):775〜90)又はBrawら、(Y.Braw et al.Behav Brain Res 2006,167:261〜269)により記載のものなどの先行文献及び実証済みの方法に従って、不安神経症、パニック障害及び他の非適応応答の動物モデルで試験することができる。特にラットでの試験では、以下の装置、不透明な壁(30cm高)により囲まれたオープン・フィールド活動領域(62cm×62cm)、並びに2つのオープン・アーム(50cm×10cm)と、開放屋根を有する2つのエンクローズド・アーム(50cm×10cm×40cm)の、それぞれのタイプの2つのアームが互いに対向するように配置されることで構成された十字迷路、を利用できる。迷路は70cmの高さに高架される。エンクローズド・アームの壁は、黒いプレキシグラスで作られ、床は白いプレキシグラスで作られる。ビデオテープの記録は「オブザーバー(Observer)」システム(Noldus Information Technology)を用いて解析できる。被験ラットは、飼育ケージから取り出され、体重を測定され、及びオープン・フィールド活動領域の中央に静かに置かれる。ラットは、オープン・フィールドを探索することが許され、その間の挙動が5分間ビデオで撮影され得る。その後、ラットは十字迷路に移され、エンクローズド・アームに対面する中央部に配置され得る。ラットの挙動は再び5分間ビデオ撮影され、その後ラットは飼育ケージに戻される。次のラットを使用する前に装置は70%エタノール溶液により洗浄される。
【0200】
オープン・フィールド及び十字迷路測定は、2つの行動等級、すなわち「不安様行動」並びに「活動量」へとグループ分けすることができる。オープン・フィールド行動測定としては、1)不安神経症測定:中央にある正方形の領域にいる時間%、中央にある正方形の領域に入った回数%(正方形の領域に入った合計回数より)、動きを止めている時間%、最初に動きを止めるまでの潜時(動かない状態は、被験動物が少なくとも3秒不動の状態にあるときにスコアづけされる);及び2)活動量測定:正方形の領域に入って後ろ肢で立った回数(2本の後ろ肢で立つ)、最初に後ろ肢で立つまでの潜時、が挙げられる。十字迷路の評価は、1)不安神経症:開放アームにいた時間の%、開放アームに立ち入りした回数の%(合計進入数より)、床への無防備な覗き込み(head dip)回数、オープン・アーム進入までの潜時、及び、2)活動度:全てのアームへの合計進入回数を含むことができる。不安様挙動及び活動量は、それぞれの被験体間の比較のための測定について、片側ANOVAで解析され得る。十字迷路の解析も同様の様式で行うことができる。
【0201】
Geller又はVogel型の抗葛藤試験、明暗探索試験(light/dark test)及びホール・ボード試験などの他の嫌悪される環境的刺激への回避試験も、この方式でマウス又はラットにおいて同様に行い得る(Cryan JF,Holmes A.Nat Rev Drug Discov 2005,4(9):775〜90を参照のこと)。環境への曝露に先立ち、被験動物は、経腸経路又は非経口経路により1回以上の式(I)の化合物、又は分散媒対照(例えば、10% solutol滅菌水溶液)の予防投与を受け得る。累積時間、又は嫌悪挙動に携わった回数を測定できる。試験化合物処置被験体と分散媒処置被験体との比較についてのこれらの測定の1つ以上の有意差は、抗不安活性の証拠として採用できる。これらのモデルは、臨床的に有用な抗不安活性の有効性により製薬上有効である(Cryan JF,Holmes A.Nat Rev Drug Discov 2005,4(9):775〜90)ので、これらは、式(I)の抗不安活性化合物の検出に有用である。
【0202】
(実施例16)
膀胱圧及び膀胱壁肥厚により誘発される尿失禁モデル
式(I)の化合物は、既に文書化され、有効性の確認された以下のような科学的文献に記載された方法に従い、尿失禁の動物モデルにおいて試験され得る(Kaiser S,Plath T,(Metagen Pharmaceuticals GmbH,Germany DE Patent 10215321;McMurray Gら、Br J Pharmacol 2006,147 Suppl 2:S62〜79))。TRPM8は、ヒト前立腺、睾丸、細精管、陰嚢皮膚、及び膀胱炎症部において発現されている(Stein RJら、J Urol 2004,172(3):1175〜8;Stein RJら、 J Urol 2004,172(3):1175〜8;Mukerjiら、BMC Urology 2006,6:6)。冷却を介した又はメントール塗布を介したTRPM8受容体の活性化は、膀胱の収縮及び尿意閾値容積の減少を引き起こす(Tsukimi Y,Mizuyachi Kら、Urology 2005,65(2):406〜10)。尿失禁に対する式(I)の化合物の潜在的な活性を評価するために、流体(一般的に生理食塩水)の注入を可能とする膀胱カテーテルをスプラーグドーリーラットに外科的に留置し、圧をモニターする(圧力トランスデューサーを用いる)。膀胱内圧測定法の記録は、ポリグラフにより排尿間隔、閾値圧、膀胱容量、膀胱コンプライアンス、及び自発的膀胱収縮の回数をモニターして評価できる。例えば膀胱カテーテルは、ハーバード輸液ポンプに連結され、膀胱は一晩2mL/hの生理食塩水で灌流される。翌朝、膀胱カテーテルはStatham圧力トランスデューサー(モデルP23Db)及びハーバード輸液ポンプに(Tコネクタを用いて)取り付けられる。力変位トランスデューサー(Grass FTO3)に取り付けられたプラスチックのビーカーを、採尿と尿量の測定のためにラットのケージの下に配置する。膀胱機能の膀胱内圧測定による評価は、生理食塩水(20mL/h)の注入により開始することができ、最初の尿意の後、注入は20分間維持される。最初の膀胱内圧測定期間の2時間後、ラットは、経口により式(I)の化合物を投与することができ、第二の膀胱内圧測定が試験化合物投与の30分後と4時間後に行われる。好適な分散媒(例えば10% solutol滅菌水溶液)を同様に対照のラット群に投与し、膀胱内圧測定を同じそれぞれの時点で行う。
【0203】
式(I)の化合物は、膀胱肥大及び不安定膀胱の条件下で評価することができる。麻酔下で齧歯類の近位尿道の周囲を絹の縫合糸で緊縛し、排泄の部分的閉塞を発生させ、その結果生ずる肥大膀胱を6〜9週間で成長させる(Woods M.ら、J Urology 2001,166:1142〜47)。次いで膀胱内圧測定法の記録は、上記のように評価される。かかる前臨床的手順は、尿失禁処置に関して臨床的な有用性を有する化合物に対して高感度であり(Soulard Cら、J Pharmacol Exp Ther 1992,260(3):1152〜8)、このモデルにおける式(I)の化合物の活性は、臨床的な有用性を予測させるものであるだろう。
【0204】
(実施例17)
寒冷により亢進される中心性疼痛状態のインビボモデル
外傷、血流障害、又は神経変性疾患により引き起こされる、脳又は脊髄の損傷は、多くの場合中心性疼痛状態を誘発させる。寒冷刺激への過敏性により部分的に特徴付けられる、かかる損傷の例としては、多発性硬化症(Morin Cら、Clin J Pain 2002,18(3):191〜5;Svendsen KBら、Pain 2005,114(3):473〜81)、脳卒中又は脳虚血(Greenspan JDら、Pain.2004,109(3):357〜66)及び脊髄損傷(Defrin R,Ohry A,Blumen N,Urca G.Pain 2001,89(2〜3):253〜63;Defrin Rら、Brain 2002,125(Pt 3):501〜10;Finnerup NBら、Anesthesiology 2005,102(5):1023〜30)が挙げられる。これらのそれぞれの状態は、過敏状態を緩和する式(I)の化合物の能力の評価のために、動物において容易にモデル化することができる。例えば脊髄損傷(SCI)は、手術時に体重150〜200gのスプラーグ・ドーリーの成体ラットで実行できる(Erichsen et al.Pain 2005,116:347〜358)。ラットは、抱水クロラール(300mg/Kg,腹腔内投与,Sigma,USA)により麻酔され、カテーテルが頸静脈内に挿入される。次いで、背部に沿った正中線の皮膚切開によりT11〜L2錐体を露出させる。同調可能なアルゴン・イオン・レーザー(Innovaモデル70,Coherent Laser Products Division,CA,USA)の下に動物を置き、平均出力0.17Wで、514nmの波長で手術する。レーザー光は、T13錐体を覆う細い光線に収束させることができ、10分間照射することができる。照射の直前に、エリトロシンB(Aldrich,32.5mg/kgの濃度で0.9%生理食塩水に溶解されている)を頚部カテーテルを経て静脈内に注入することができる。エリスロシンBの急速な代謝のために、適正な血中濃度を維持するために注入を5分後に繰り返す。照射の間、加温パッドにより身体中央部の体温は37〜38℃に保つことができる。照射後に傷は層をなして閉じられ、皮膚は一緒に縫合される。
【0205】
SCIラットでは、手術後3〜4週で、疼痛様挙動の存在についての試験をルーチン的に行うことができる。皮膚受容体の感作を避けるために、動物の毛皮は少なくとも皮膚の疼痛閾値試験の1日前には剃毛される。試験の間、ラットは実験者により穏やかに立位に保持し、感覚刺激に対する過敏性についてわき腹の領域と後肢を試験する。薬剤試験の当日、SCIラットは、実験スケジュール、及び疼痛様挙動が測定される時間的経過に従って薬剤を投与される。寒冷異痛症の存在の確認試験のために、既にvon Freyフィラメント試験による機械的刺激に感受性があると決定された頻度で塩化エチル又はアセトンが動物の皮膚に噴霧される。結果として生じる寒冷刺激への応答が観察され、以下の等級に従い分類される:0、可視的な応答が無い、1、発声の伴わない局所的な応答(皮膚の痙攣)、2、一過性の発声、3、持続性の発声。式(I)の化合物又は分散媒のいずれかによる前処置後の寒冷刺激に対する応答で得られた非母数のデータに基づく、全体的な効果の解析に、Kruskal Wallisの順位検定ANOVAを用いることができる。
【0206】
(実施例18)
麻酔後の震えのインビボモデル
震えに類似する、麻酔後の自発的な身震いは、麻酔からの回復時に一般的に生じる。術後の患者のリスクとしては、最大400%までの代謝率の増大、低酸素血症、傷口の裂開、歯の損傷、及び繊細な外科的修復の崩壊が挙げられる。麻酔後の自発的な身震いの病因は、通常は、手術中の低体温症への応答である正常な体温調節のための震えに帰される。ほとんどの手術室と回復室では、震えは加湿器、加温毛布、加湿され温められた酸素の吸入により管理される。しかしながら、薬理学的管理は有効な代替的処置様式である(Bhatnagar Sら、Anaesth Intensive Care 2001,29(2):149〜54;Tsai YC,Chu KS.Anesth Analg 2001,93(5):1288〜92)。麻酔後に誘発される震えを軽減させる、式(I)の化合物の能力について、Nikkiら、(Nikki P,Tammisto T.Acta Anaesthesiol Scand 1968,12(3):125〜34)及びGrahn(Grahn,DAら、J Applied Physiology 1996,81:2547〜2554)に記載のような動物モデルを用いることで評価することができる。麻酔後の身震い活動を評価するために、例えばウイスター・ラット(オス、体重250〜450g)に外科的にEEG/EMG記録アレイを埋め込む。EEG電極は、正中線から両側に2mm外して、十字縫合及び人字縫合に隣接させて配置する。1週間の回復期の後、実験期間中を通じ、前頭部及び後頭部EEG、生EMG、及び統合EMG活性と同様に、銅コンスタンチン熱電対により、3点(麻酔中の皮膚、直腸、及びウオーター・ブランケット)の温度及び麻酔後の室温を測定する。EEG及びEMG信号は、ポリグラフ紙(5mm/s,Grassモデル7Eポリグラフ)上に記録され、麻酔からの回復中、EEGは徐波睡眠(SWS様)に特徴的な、同期化された高振幅(.100μV)、低周波数(主に1〜4Hz)の活動、又は覚醒及びレム睡眠(W様)に特徴的な、非同期化された低振幅(75μV)、高周波数(主に5〜15Hz)の活動のいずれかとして、10秒間の期間でコンピュータによりスコア付けされる。EMG活動は、インテグレーター(グラス・モデル7P3,0.5秒の時定数)を介して生EMG信号を処理することにより、平均化された合計の電圧/時間間隔として定量化される。実験の当日、動物は小さなアクリル製の箱(15×15×15cm)に入れられ、ハロタン蒸気と空気の混合物(4%ハロタン)に曝露される。麻酔導入後、直ちに動物は囲いから取り出され、続いてノーズ・コーンを通して麻酔される。続く麻酔の休止後、2段階の回復が判定される:麻酔からの覚醒、及び挙動活性の回復(挙動的回復)である。麻酔からの覚醒は、強直性EMG活性の増加及びEEGのSWS様パターンからW様パターンへの変化として定義され得る。挙動的には、回復は、動物が腹臥位から起き上がり協調的な運動を開始した時に起きる。麻酔の終了から覚醒及び挙動的回復までの時間間隔を全ての動物で測定する。時間間隔のデータは、反復測定の分散統計に付され、及び平均値のペア間の比較にはシェッフェの方法を用いることができる。
【0207】
(実施例19)
寒冷により誘発される心臓血管昇圧応答
寒冷への曝露により誘発される心臓血管昇圧応答を緩和する能力について、式(I)の化合物を動物及びヒトで試験できる。季節的な環境的冷却は、世界的な人口母集団において直接的に血圧上昇及び冠動脈イベントの発生率に関連している(Barnett,AGら、J Epidemiol Community Heath 2005,59 551〜557)。寒冷により誘発される肺性高血圧、及び慢性閉塞性肺疾患の寒冷による悪化は、寒冷に対する亢進した心肺感受性の敏感な臨床的指標である(Marno Pら、Eur Respiratory Review 2006,15(101):185.;Acikel Mら、Int J of Cardiol(2004)97:187〜192)。臨床的な寒冷による昇圧試験では、血圧(BP)と、2〜3分氷水に片手を浸漬する間の寒冷疼痛感覚とを評価する。この試験は鎮痛性化合物の特徴づけ(Koltzenberg Mら、Pain 2006,126(1〜3):165〜74)、及び寒冷過敏性の評価に利用できる(Desmeules JAら、Arthritis Rheum 2003,48(5):1420〜9)。麻酔ラット寒冷昇圧パラダイムにおいて、TRPM8拮抗が前足の寒冷刺激への血圧昇圧応答に介入するか否かを決定するために式(I)の化合物を試験することができる。ペントバルビタールナトリウムにより麻酔されたオスのスプラーグ・ドーリー・ラット(300〜450g)に、圧力トランスデューサーに連結された頚部カテーテル及び内在性頸動脈カニューレを留置する。分散媒(例えば20% HPbCD無菌水溶液)又は試験化合物を1分間にわたって静脈内カテーテルを介して注入(1mL/kg)する。10分後に、砕いた氷で両方の前肢を5分間包む。代替法として、外科的なカニューレ留置及び寒冷曝露の前の適切な時間に、前処置として試験化合物及び分散媒を経口的に投与できる。分散媒及び試験化合物による前処置について、寒冷刺激に対する応答における平均動脈圧のパーセント変化が計算される。次いで、以下の式を用いて試験化合物の処置に帰される阻害百分率を決定する。阻害%=[1−(試験化合物投与後の寒冷に誘発された血圧変化%/分散媒投与後の寒冷に誘発された血圧変化%)]×100。結果を表11に示す。
【0208】
(実施例20)
寒冷に誘発された血管収縮:組織内血流への悪影響
血流が障害又は遮断されたとき、体組織に障害が生じることがある。血管障害の理由としては、末梢血管疾患(Lamah Mら、European journal of vascular and endovascular surgery(1999),18(1),48〜51)、以前の外傷性又は凍傷性損傷、レイノー症候群(Lutolf,Oら、Microvascular research(1993),46(3),374〜82)、糖尿病性神経障害(Forst Tら、Clinical science(London,England:1979)(1998),94(3),255〜61.)、外科的介入及び自律神経失調症(Gherghel Dら、Investigative ophthalmology & visual science(2004),45(10),3546〜54)が挙げられる。安静時末端潅流の場合、低温度により亢進される血管収縮は症状を悪化させ、組織損傷を促進する(Cankar Kら、The Journal of hand surgery(2000),25(3),552〜8;Lutolf O et al Microvascular research(1993),46(3),374〜82.)。これらの条件のいくつかは、式(I)の化合物などのTRPM8アンタゴニストの、局所の冷却に直面した際に組織内血流を保つ能力の評価のために、容易に動物においてモデル化され得る。例えば皮膚血流のレーザー・ドップラー評価は、麻酔ラットの肢で試験でき(Hord A Hら、Anesthesia and analgesia(1999),88(1),103〜8)、ラットの肢はコンピュータ制御されたペルチェ冷却エレメントから加えられる物理的接触としての一連の低温度に付される。レーザー・ドップラーは、寒冷に誘発された血管収縮に直面した際の皮膚血流を測定し、それにより生じる温度×血流の関係を測定する。TRPM8アンタゴニストの全身投与は、分散媒の前処置に比べて、低温において、この曲線を血流を保つ方向にシフトさせることが期待される。この活性は、低血流及び虚血からの組織の防護において処置的であり、それにより随伴症状(例えば疼痛)及び組織損傷の可能性を最小化することが予測される。
【0209】
前述の明細書は、例示を目的として提供される実施例とともに、本発明の原理を教示するが、本発明の実践は、以下の「特許請求の範囲」及びそれらの等価物の範囲内に含まれる全ての通常の変形、改作及び/又は修正を包含することが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって、
【化1】

式中、
Yは、
(i)H、
(ii)ブロモ、
(iii)クロロ、
(iv)フルオロ、
(v)ヨード、
(vi)C3〜6シクロアルキル、又は、
(vii)C1〜6アルキルであり、
1は、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換され、及び、所望によりヒドロキシ及びオキソからなる群から選択される1個の追加的な置換基で置換されるC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノカルボニル、C1〜3アルキルアミノカルボニル、ジ(C1〜3)アルキルアミノカルボニル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、ジ(C1〜3)アルキルアミノ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、1〜3個のフルオロ置換基で置換されたC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノカルボニル、C1〜3アルキルアミノカルボニル、ジ(C1〜3)アルキルアミノカルボニル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、ジ(C1〜3)アルキルアミノ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iv)所望によりC3〜6シクロアルキル若しくはトリフルオロメチルで置換されるC1〜6アルキル、あるいは、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、
(ii)フルオロ、
(iii)クロロ、
(iv)メトキシ、又は、
(v)メチルであり、
3は、
(i)水素、
(ii)フルオロ、
(iii)クロロ、又は、
(iv)メチルであり、
4は、
(i)水素、
(ii)C1〜6アルキル、
(iii)トリフルオロメチル、
(iv)C1〜4アルコキシ、
(v)ブロモ、
(vi)クロロ、
(vii)フルオロ、又は、
(viii)ヒドロキシであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルであり、
Bは水素又はC1〜6アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、前記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)前記環の炭素原子を介して結合したスピロ縮合ピロリジニル環[ここで、ピロリジニル窒素原子は所望によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル(C1〜3)アルキル又はCH2CF3で置換される]
[ピペリジニル環は所望によりベンゾ縮合されて、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イル[ここで、前記1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イルは所望により、前記環のヘテロシクリル部分でメチル及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換され、
又は、前記1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イルのヘテロシクリル部分は置換されず、前記環のベンゾ部分は所望により、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、エトキシカルボニル、カルボキシ及びメトキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換される、但し、前記置換基のうちの1個以下はカルボキシ若しくはエトキシカルボニルである]]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである、
式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー及び製薬上許容できる塩。
【請求項2】
式(I)
【化2】

式中、
Yは、
(i)H、
(ii)ブロモ、
(iii)クロロ、
(iv)フルオロ、
(v)ヨード、
(vi)C3〜6シクロアルキル、又は、
(vii)C1〜6アルキルであり、
1は、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換され、及び、所望によりヒドロキシ及びオキソからなる群から選択される1個の追加的な置換基で置換されるC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノカルボニル、C1〜3アルキルアミノカルボニル、ジ(C1〜3)アルキルアミノカルボニル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、ジ(C1〜3)アルキルアミノ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、1〜3個のフルオロ置換基で置換されたC1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、アミノカルボニル、C1〜3アルキルアミノカルボニル、ジ(C1〜3)アルキルアミノカルボニル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ、アミノ、C1〜3アルキルアミノ、ジ(C1〜3)アルキルアミノ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iv)所望によりC3〜6シクロアルキル若しくはトリフルオロメチルで置換されるC1〜6アルキル、あるいは、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、
(ii)フルオロ、
(iii)クロロ、
(iv)メトキシ、又は、
(v)メチルであり、
3は、
(i)水素、
(ii)フルオロ、
(iii)クロロ、又は、
(iv)メチルであり、
4は、
(i)水素、
(ii)C1〜6アルキル、
(iii)トリフルオロメチル、
(iv)C1〜4アルコキシ、
(v)ブロモ、
(vi)クロロ、
(vii)フルオロ、又は、
(viii)ヒドロキシであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜6アルキルであり、
Bは水素又はC1〜6アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、前記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)前記環の炭素原子を介して結合したスピロ縮合ピロリジニル環[ここで、ピロリジニル窒素原子は所望によりC1〜4アルキル、C3〜6シクロアルキル(C1〜3)アルキル又はCH2CF3で置換される]
[ピペリジニル環は所望によりベンゾ縮合されて、1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イル[ここで、前記1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イルは所望により、前記環のヘテロシクリル部分でメチル及びフルオロからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換され、
又は、前記1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−1−イルのヘテロシクリル部分は置換されず、前記環のベンゾ部分は所望により、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、メチル、トリフルオロメチル、シアノ、エトキシカルボニル、カルボキシ及びメトキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換される、但し、前記置換基のうちの1個以下はカルボキシ若しくはエトキシカルボニルである]]で置換され、
Cは、
(i)C(O)R1a[式中、R1aはC1〜6アルキル、C3〜6シクロアルキル又はフェニルである]、あるいは、
(ii)SO22a[式中、R2aはメチル又はフェニルである]である、
式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー及び製薬上許容できる塩。
【請求項3】
Yが水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、C3〜6シクロアルキル又はC1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yが水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はブロモである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Yが水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル又はブロモである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
1が、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、C1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iv)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
1が、
(i)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(ii)フェニルで置換されたC1〜3アルキル[ここで、フェニルは4又は5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iii)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(iv)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
2が水素又はフルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
3が水素又はフルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
4が水素、メチル又はフルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Aが末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Bが水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBがこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBがこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、あるいは、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルが、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、前記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cが、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式(I)
【化3】

式中、
Yは、水素、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、C3〜6シクロアルキル又はC1〜4アルキルであり、
1は、
(i)C3〜6シクロアルキル、
(ii)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、所望により1〜3個のフルオロ置換基で置換されるC1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜4アルコキシカルボニル、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル、C1〜3アルキルスルホニル、ニトロ及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(iii)フェニルで置換されたC1〜6アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iv)所望によりC3〜6シクロアルキル若しくはトリフルオロメチルで置換されるC1〜6アルキル、あるいは、
(v)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
Bは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個の追加的ヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、及び、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、前記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである、
式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー及び製薬上許容できる塩。
【請求項14】
式(I)
【化4】

式中、
Yは、水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル、シクロブチル又はシクロペンチル、ブロモであり、
1は、
(i)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(ii)フェニルで置換されたC1〜3アルキル[ここで、フェニルは4又は5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、
(iii)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(iv)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
Bは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、及び、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、前記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである、
式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー及び製薬上許容できる塩。
【請求項15】
式(I)
【化5】

式中、
Yは、水素、メチル、イソプロピル、クロロ、シクロプロピル又はブロモであり、
1は、
(i)1個のC6〜10アリール基で置換されたC1〜6アルキル[ここで、前記C6〜10アリール基は、クロロ、フルオロ、ブロモ、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、ヒドロキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で所望により置換され、但し、前記置換基のうちの2個以下は、C1〜4アルコキシ、C1〜3アルキルチオ、トリフルオロメチルチオ、シアノ、トリフルオロメチル及びC1〜3アルキルカルボニルからなる群から選択される]、
(ii)フェニルで置換されたC1〜3アルキル[ここで、フェニルは4若しくは5個のフルオロ置換基で置換されるか、又は、フェニルはメトキシ及び3〜4個のフルオロ置換基で置換される]、あるいは、
(iii)シクロプロピル又はトリフルオロメチルで所望により置換されるC1〜3アルキル、あるいは、
(iv)ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、2,2−ジフルオロ−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル又は2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イルで置換されたメチレンであり、
2は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
3は、
(i)水素、又は、
(ii)フルオロであり、
4は、
(i)水素、
(ii)メチル、又は、
(iii)フルオロであり、
Aは、末端炭素原子が、カルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルであり、
Bは水素又はC1〜4アルキルであり、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、O、S及びS(O2)からなる群から選択される1個のヘテロ原子を含有する6員環を形成し、
あるいは、RA及びRBはこれらが結合している窒素原子と一緒になって、所望により1個の追加的N原子を含有する、5若しくは6員環を形成して、
(i)ピペラジン−1−イル[ここで、ピペラジニル窒素はRCで置換されている]、
(ii)所望により3位がC1〜4アルキル又はNRDEで置換されるピロリジン−1−イル[式中、RD及びREは、水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RD及びREは、これらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]、及び、
(iii)所望によりカルボキシ、C1〜3アルコキシカルボニル、又は、末端炭素原子がカルボキシ、C1〜3アルコキシ及びヒドロキシからなる群から選択される置換基で置換されたC1〜4アルキルで置換された、ピペリジン−1−イルを形成し、
あるいは、ピペリジニルは、所望により4位が、
(i)C(O)NRYZ[式中、RYは水素又はC1〜6アルキルであり、RZは、水素又は、所望によりアミノ、C1〜2アルキルアミノ若しくはジ(C1〜2アルキル)アミノで置換されるC1〜6アルキルであり、あるいは、RY及びRZはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成し、前記6員環は所望によりO若しくは4−N(メチル)を含有する]、又は、
(ii)NRHJ[式中、RH及びRJは水素及びC1〜4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又は、RH及びRJはこれらの両方が結合している窒素原子と一緒になって、5若しくは6員環を形成する]で置換され、
Cは、
(i)水素、
(ii)C1〜8アルキル、
(iii)C3〜6シクロアルキル、
(iv)C3〜6シクロアルキル(C1〜4)アルキル、
(v)CH2CF3、又は、
(vi)メチル、メトキシ、クロロ、フルオロ及びトリフルオロメチルからなる群から選択される1〜2個の置換基で所望により独立して置換されるフェニルである、
式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー及び製薬上許容できる塩。
【請求項16】
【化6】

Yがブロモであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBがカルボキシメチルである化合物、
Yがブロモであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBが3−カルボキシプロピルである化合物、
Yがメチルであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBが3−カルボキシプロピルである化合物、
Yがブロモであり、R1が4−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RAがHであり、RBが4−カルボキシブチルである化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−メチルピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−カルボキシピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−(4−メチルピペラジン−1−イルカルボニル)ピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−(2−ジメチルアミノ−エチルアミノカルボニル)ピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、ピペラジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−イソプロピル−ピペラジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−(3−メチル−ブチル)−ピペリジン−1−イルを形成する化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−(2,2,2−トリフルオロエチル)−ピペラジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−(ジメチルアミノ)−ピペリジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、4−(ピロリジン−1−イル)−ピペリジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、ピペリジン−1−イルを形成する式(I)の化合物、
Yがメチルであり、R1が4−トリフルオロメトキシフェニルメチルであり、R2、R3及びR4がHであり、RA及びRBが一緒になって、モルホリン−4−イルを形成する式(I)の化合物、
からなる群から選択される、式(I)の化合物、並びに、これらの鏡像異性体、ジアステレオマー及び製薬上許容できる塩。
【請求項17】
請求項1又は2に記載の化合物と、製薬上許容できるキャリア、製薬上許容できる賦形剤、及び製薬上許容できる希釈剤のうちの少なくとも1つと、を含む、医薬組成物。
【請求項18】
前記組成物が固体の、経口投与形態である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記組成物がシロップ、エリキシル剤又は懸濁物である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
処置上有効な量の請求項1に記載の化合物を、処置を必要とする被験体に投与することを含む、被験体の神経障害性疼痛の処置方法。
【請求項21】
前記神経障害性疼痛が、がん、神経性障害、脊髄又は末梢神経手術、脳腫瘍、外傷性脳損傷(TBI)、脊髄外傷、慢性疼痛症候群、線維筋痛、慢性疲労症候群、神経痛、狼瘡、サルコイドーシス、末梢神経障害、両側性末梢神経障害、糖尿病性神経障害、中心性疼痛、脊髄損傷に付随する神経障害、脳卒中、ALS、パーキンソン病、多発性硬化症、坐骨神経症、舌咽神経痛、末梢神経炎、多発性神経炎、断端痛、幻肢痛、骨折、口内神経障害性疼痛、シャルコー疼痛、複合性局所疼痛症候群I及びII(CRPSI/II)、神経根障害、ギラン・バレー症候群、知覚異常性大腿神経痛、口腔内灼熱症候群、視神経炎、発熱後神経炎、遊走性神経炎、分節性神経炎、Gombault神経炎、神経炎、頸腕神経痛、頭蓋神経痛、膝状体神経痛、舌咽神経痛、群発頭痛、特発性神経痛、肋間上腕神経痛、乳房神経痛、モートン神経痛、鼻毛様体神経痛、後頭部神経痛、紅神経痛、スルーダー神経痛、スプレノパラチン神経痛、眼窩上神経痛、外陰部痛又は発作性神経痛に起因する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記神経障害性疼痛が、神経障害性寒冷異痛症である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記神経障害性寒冷異痛症が、脊髄及び末梢神経手術若しくは外傷、外傷性脳損傷(TBI)、三叉神経痛、ヘルペス後神経痛、灼熱痛、末梢神経障害、糖尿病性神経障害、中心性疼痛、脳卒中、末梢神経炎、多発性神経炎、複合性局所疼痛症候群I及びII(CRPS I/II)、又は神経根障害により生じる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
処置上有効な量の請求項1に記載の化合物を処置を必要とする被験体に投与することを含む、被験体の神経障害性寒冷異痛症の処置方法。
【請求項25】
請求項1に記載の化合物と、製薬上許容できるキャリア、製薬上許容できる賦形剤、及び製薬上許容できる希釈剤のうちの少なくとも1つと、を含む、医薬組成物。

【公表番号】特表2012−512879(P2012−512879A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542337(P2011−542337)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/068034
【国際公開番号】WO2010/080397
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】