TRPV1アゴニストの投与のための方法および組成物

【課題】カプサイシンと他のTRPV1アゴニスト投与のさらなる方法と組成物を提供する。
【解決手段】カプサイシン等のTRPV1アゴニストと溶媒系を含む組成物が提供される。本組成物の局所的な適用は皮膚および上皮へのアゴニストの迅速な送達をもたらす。対象中の侵害受容性神経線維機能の減少およびカプサイシン応答性条件の治療のための組成物を使用する方法も提供される。本発明は、哺乳動物の皮膚または粘膜表面の1cm領域下にある表皮および真皮にTRPV1アゴニストを送達する方法であって、該領域を、TRPV1アゴニストおよび少なくとも一つの浸透増強剤を含有する組成物と接触させる工程を包含し、ここで、該接触工程の30分後に少なくとも約3ナノモルの該TRPV1アゴニストが表皮および真皮に保持される方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は共に2003年4月10日出願の米国仮特許出願第60/462,457号と同60/462,040号および2003年8月29日出願の同60/499,062号の優先権を主張する。これらの出願の内容はその全体が参考として全ての目的のために援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は組織中の感覚神経線維の密度を低減させ、カプサイシン応答条件の改善のための組成物と方法を提供し、医薬領域における適用を見出す。
【背景技術】
【0003】
(背景)
過渡的レセプター潜在的バニロイド−1(TRPV1)は、小さく髄鞘のない末梢神経線維(皮膚侵害受容器)上で選択的に発現するカプサイシン応答リガンドゲートカチオンチャンネルである。非特許文献1;および非特許文献2を参照されたい。TRPV1がカプサイシン等のアゴニストおよび熱やアシドーシス等の他の因子により活性化される場合、カルシウムが細胞に入り、疼痛のシグナルが開始される。病気または傷害の後、皮膚侵害受容器が永続的に異常に活発となり、自発的に過剰な疼痛のシグナルを疼痛の刺激ない脊髄に送り、多様な種類の慢性的疼痛をもたらす。TRPV1が、アゴニスト(例えば、カプサイシン)に対する長期の暴露により連続的に活性化されると、過剰なカルシウムが神経線維に入り、侵害受容器機能の長期の尚も可逆性な損傷をもたらすプロセスを開始する。これが、カプサイシンの適用が疼痛の軽減を提供する機構と考えられる。
【0004】
カプサイシンは疼痛以外の状態や病気の改善にも効果的であろう。例えば、カプサイシンは抗炎症剤、反対刺激剤、止痒剤、抗乾癬剤および抗掻痒剤として作用する(概説に関しては、非特許文献3を参照)。さらに、カプサイシンはアポトーシスを引き起こすことおよび/または悪性癌細胞の増殖を阻害すること(概説に関しては、非特許文献4を参照)、また洞房鼻ポリープを減少すること(非特許文献5)が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】CaterinaおよびJulius、「The vanilloid receptor: a molecular gateway to the pain pathway」、Annu Rev Neurosci.、2001年、第24巻、p.487−517
【非特許文献2】Montellら、「A unified nomenclature for the superfamily of TRP cation channels」、Mol.Cell.、2002年、第9巻、p.229−31
【非特許文献3】SzallasiおよびBlumberg、「Vanilloid (Capsaicin) Receptors and Mechanisms」、Pharm Revs、1999年、第51巻、p.159−211
【非特許文献4】Surh、「More Than Spice: Capsaicin in Hot Chili Peppers Makes Tumor Cells Commit Suicide」、J Nat Cancer Inst、2002年、第94巻、p.1263−65
【非特許文献5】Baudoinら、「Capsaicin significantly reduces sinonasal polyps」、Acta Otolaryngol、2000年、第120巻、p.307−11
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
低濃度のカプサイシンクリームは、長年、疼痛のある神経障害および筋肉骨格痛を治療するために用いられてきたが、それらは適用するのに苦痛で不便であり、通常、穏当な軽減のためだけで毎日複数回の適用を必要とするために、それらの使用は制限されている。最近、効果的で持続的な疼痛の軽減を提供すると考えられる高濃度のカプサイシンパッチが開発された(NGX−4010; Neuroges X, Inc.)。
【0007】
本発明はカプサイシンと他のTRPV1アゴニスト投与のさらなる方法と組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、治療を必要とする個体に対するカプサイシン等のTRPV1アゴニストの投与のための方法、組成物およびデバイスに関する。
【0009】
一側面において、本発明は、被験体の選択された領域を、TRPV1アゴニストおよび一つ以上の浸透増強剤による溶媒系を含む組成物に接触させることにより、該領域の機能的侵害受容性神経線維の密度を減少させる方法において、該組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に皮膚に少なくとも約3ナノモルのアゴニストを送達する方法を提供する。一実施態様において、組成物は迅速放出組成物である。一実施態様において、該接触は非閉塞条件にある。一実施態様において、該接触は非付着条件にある。一実施態様において、少なくとも約5μLの組成物が該領域の各1cmに約15分間で送達される。ある実施態様において、哺乳動物の皮膚に対する組成物の15分間の適用が機能的侵害受容性神経線維の密度の少なくとも約20%の減少をもたらす。ある実施態様において、機能的侵害受容性神経線維の密度が少なくとも約50%減少する。ある実施態様において、哺乳動物はマウスである。ある実施態様において、哺乳動物はヒトである。
【0010】
一側面において、本発明は、TRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含む組成物の投与により被験体のカプサイシン応答状態を治療する方法において、該組成物が、マウス皮膚吸収アッセイで測定したときに、少なくとも3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する方法を提供する。ある実施態様において、組成物は迅速送達組成物である。ある実施態様において、投与は非閉塞性および/または非付着性である。一実施態様において、カプサイシン応答条件は、神経障害性の疼痛、侵害受容性と神経障害性の混合病因により作られる疼痛、炎症性痛覚過敏症、慢性外陰病変、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺過形成、鼻炎、直腸過敏症、口内焼灼感症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス、前立腺肥大、皮膚炎、掻痒、疥癬、耳鳴り、乾癬、いぼ、皮膚癌、頭痛、またはしわである。一部実施態様において、組成物は皮膚または粘膜の表面上の領域に適用される。
【0011】
関連する側面において、本発明はTRPV1アゴニストと二つ以上の浸透増強剤を含む組成物の投与により被験体のカプサイシン応答状態を治療する方法において、該組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に皮膚に少なくとも約3ナノモルのアゴニストを送達する方法を提供する。
【0012】
多様な実施多様において、組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで、少なくとも約6ナノモルのアゴニストを皮膚に送達し、または少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する。
【0013】
ある実施態様において、組成物はマウス皮膚吸収アッセイで測定したときに約0.25未満の沈着効果を有する。一部実施態様において、沈着効果は約0.1未満、約0.02未満または約0.001未満である。
【0014】
ある実施態様において、組成物はTRPV1アゴニストと溶媒系を含有し、浸透増強剤は溶媒系の少なくとも20%(v/v)を構成する。他の実施態様において、浸透増強剤は少なくとも50%(v/v)、少なくとも90%、少なくとも95%または実質的にすべての溶媒系を構成する。ある実施態様において、組成物は0.05%(w/v)〜60%(w/v)の濃度のTRPV1アゴニスト(例えば、カプサイシン等のバニロイド)を含む。
【0015】
ある実施態様において、溶媒系は、エーテル、エステル、アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリオール、テルペンまたはアミンである、選択された浸透増強剤である。一実施態様において、溶媒系は、1−メントン、ジメチルイソソルビド、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、吉草酸、ペラルゴン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、オレイン酸、イソ吉草酸、イソプロピルブチレート、イソプロピルヘキサノエート、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルバレレート、エチルオレエート、ポロキサマー、d−ピペリトン、メチルノネン酸、メチルノネンアルコール、およびd−プレゴンから選択される浸透増強剤を含む。
【0016】
本発明は、治療効果量のTRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤および任意に一つ以上のさらなる治療活性物質を含む薬学的組成物において、マウス皮膚吸収アッセイにおいて測定したときに少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する組成物を提供する。ある実施態様において、薬学的組成物は被験体に対する投与に適切な形にある。ある実施態様において、カプサイシン濃度は0.05%を超え、かつ20%未満である。
【0017】
一実施態様において、本発明は、TRPV1アゴニストおよび任意に一つ以上のさらなる治療活性物質を、一つ以上の浸透増強剤による溶媒系に含み、一つ以上の浸透増強剤は一緒にした場合、溶媒系の少なくとも約50%(v/v)および100%以内を構成する組成物を提供する。ある実施態様において、組成物は局所麻酔薬等のもう一つの治療活性物質を含む。
【0018】
別の側面において、本発明は、TRPV1アゴニスト組成物またはマイクロエマルジョン、および処方物を皮膚または粘膜表面に適用するための非閉塞性で非付着性の塗布デバイスを含む、カプサイシン応答条件を治療するシステムを提供する。ある実施態様において、塗布デバイスは組成物で前充填される。もしくは、組成物は該デバイスとは別個の容器に含まれる。関連する実施態様において、該組成物またはシステム、およびアゴニスト除去用の洗浄組成物を含むキットが提供される。
【0019】
一側面において、本発明はカプサイシン等のTRPV1アゴニストを含有するマイクロエマルジョンならびに該エマルジョンを使用する治療方法を提供する。
【0020】
別の側面において、本発明は、該組成物とTRPV1アゴニストまたは異なるTRPV1アゴニストとからなる溶液について沈着効果を各組成物について決定することにより、TRPV1アゴニストの被験体への治療的送達の有用性にしたがって二つ以上の組成物をランク付ける方法において、各組成物について得られた値を比較し、それら組成物を該値にしたがってランク付け、その際に低い値を有する組成物がTRPV1アゴニストの治療的送達にさらに適するとランク付ける方法を提供する。
【0021】
もう一つの側面において、本発明は、メチルノネノイルアルコールまたはメチルノネン酸を含む組成物中の分子を局所投与することにより局所投与された該分子の表皮層と皮膚層に入る量を増加させる方法を提供する。関連するもう一つの側面において、本発明はカプサイシンおよびメチルノネノイルアルコールまたはメチルノネン酸を含む薬学的組成物を提供する。
【0022】
もう一つの側面において、本発明は、哺乳動物の皮膚表面または粘膜表面の1cmの領域の下にある表皮および皮膚にTRPV1アゴニストを送達させる方法において、該領域を、TRPV1アゴニストおよび少なくとも一つの浸透増強剤を含む組成物に接触させ、該接触の15分後または30分後に少なくとも約3ナノモルのTRPV1アゴニストが表皮および皮膚に保持される方法を提供する。ある実施態様において、上皮および皮膚内の機能的侵害受容性神経繊維密度が、接触工程の後に測定したときに少なくとも約20%減少する。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
哺乳動物の皮膚または粘膜表面の1cm領域下にある表皮および真皮にTRPV1アゴニストを送達する方法であって、該領域を、TRPV1アゴニストおよび少なくとも一つの浸透増強剤を含有する組成物と接触させる工程を包含し、ここで、該接触工程の30分後に少なくとも約3ナノモルの該TRPV1アゴニストが表皮および真皮に保持される、方法。
(項目2)
上記接触工程の15分後に、少なくとも約3ナノモルのTRPV1アゴニストが表皮および真皮に保持される、項目1に記載の方法。
(項目3)
少なくとも約32ナノモルが保持される、項目2に記載の方法。
(項目4)
少なくとも約49ナノモルが保持される、項目3に記載の方法。
(項目5)
少なくとも約65ナノモルが保持される、項目4に記載の方法。
(項目6)
少なくとも約16ナノモルが保持される、項目5に記載の方法。
(項目7)
上記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、項目2に記載の方法。
(項目8)
上記接触される領域が皮膚である、項目2に記載の方法。
(項目9)
上記哺乳動物がヒトである、項目8に記載の方法。
(項目10)
上記ヒトがカプサイシン応答状態に罹患している、項目9に記載の方法。
(項目11)
上記表皮および真皮の機能的侵害受容性神経線維の密度が、上記接触工程後2〜7日で測定した場合に、少なくとも約20%減少する、項目2に記載の方法。
(項目12)
上記組成物が、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目2に記載の方法。
(項目13)
上記組成物が、エーテル、エステル、アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリオール、テルペンおよびアミンからなる群より選択される浸透増強剤を含有する、項目2に記載の方法。
(項目14)
被験体の選択された領域中の機能的侵害受容性神経線維の密度を減少させる方法であって、該方法は、該領域を、TRPV1アゴニストおよび一種以上の浸透増強剤を含有する即時送達組成物と接触させる工程を包含し、該組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、方法。
(項目15)
被験体の選択された領域中の機能的侵害受容性神経線維の密度を減少させる方法であって、該方法は、該領域を、TRPV1アゴニスト、および一種以上の浸透増強剤を含む溶媒系を含有する組成物と接触させる工程を包含し、該組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達し、そして少なくとも約5μlの組成物が該領域の各1cmに約15分間以内に送達される、方法。
(項目16)
上記選択された領域が皮膚または粘膜の表面上にある、項目14に記載の方法。
(項目17)
上記組成物が少なくとも約6ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目14に記載の方法。
(項目18)
上記組成物が少なくとも約16ナノモルを皮膚に送達する、項目17に記載の方法。
(項目19)
上記組成物が少なくとも約32ナノモルを皮膚に送達する、項目18に記載の方法。
(項目20)
上記組成物が少なくとも約49ナノモルを皮膚に送達する、項目19に記載の方法。
(項目21)
上記組成物が少なくとも約65ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記組成物が約5ナノモル〜約290ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目21に記載の方法。
(項目23)
上記接触工程の沈着効果がマウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に約0.25未満である、項目14に記載の方法。
(項目24)
上記沈着効果が約0.1未満である、項目23に記載の方法。
(項目25)
上記沈着効果が約0.02未満である、項目24に記載の方法。
(項目26)
上記沈着効果が約0.001未満である、項目25に記載の方法。
(項目27)
上記沈着効果が約0.001〜約0.25の範囲内である、項目14に記載の方法。
(項目28)
上記接触工程の分布効果が、マウス皮膚吸収アッセイで測定し場合に0.5〜2の範囲内である、項目14に記載の方法。
(項目29)
上記組成物がTRPV1アゴニストおよび溶媒系を含有し、浸透増強剤が該溶媒系の少なくとも20%(v/v)を構成する、項目14に記載の方法。
(項目30)
浸透増強剤が上記溶媒系の少なくとも50%(v/v)を構成する、項目29に記載の方法。
(項目31)
浸透増強剤が上記溶媒系の少なくとも90%(v/v)を構成する、項目30に記載の方法。
(項目32)
浸透増強剤が上記溶媒系の少なくとも95%(v/v)を構成する、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記溶媒系が、エーテル、エステル、アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリオール、テルペンおよびアミンからなる群より選択された浸透増強剤を含む、項目14に記載の方法。
(項目34)
上記溶媒系が脂肪アルコールおよびテルペンからなる群より選択される浸透増強剤を含む、項目14に記載の方法。
(項目35)
上記溶媒系が1−メントン、ジメチルイソソルビド、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、吉草酸、ペラルゴン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリル酸、オレイン酸、イソ吉草酸、イソプロピルブチレート、イソプロピルヘキサノエート、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルバレレート、エチルオレエート、ポロキサマー、d−ピペリトン、メチルノネン酸、メチルノネンアルコール、およびd−プレゴンからなる群より選択される浸透増強剤を含む、項目14に記載の方法。
(項目36)
上記組成物が上記TRPV1アゴニストを0.05%(w/v)〜60%(w/v)の濃度で含有する、項目14に記載の方法。
(項目37)
上記TRPV1アゴニストがバニロイドである、項目36に記載の方法。
(項目38)
上記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、項目37に記載の方法。
(項目39)
上記組成物が上記TRPV1アゴニストを1%(w/v)〜20%(w/v)の濃度で含有する、項目36に記載の方法。
(項目40)
上記被験体がヒトである、項目14に記載の方法。
(項目41)
上記接触工程が局所適用または点滴注入による、項目14に記載の方法。
(項目42)
上記組成物の哺乳動物の皮膚への15分間の適用が、機能的侵害受容性神経線維の密度の少なくとも約50%の低下をもたらし、該哺乳動物は、マウスまたはヒトからなる群より選択される、項目14に記載の方法。
(項目43)
上記被験体がヒトである、項目14に記載の方法。
(項目44)
上記被験体がカプサイシン応答状態に罹患している、項目43に記載の方法。
(項目45)
上記カプサイシン応答状態が神経障害性疼痛、侵害受容性と神経障害性との混合病因により生じる疼痛、炎症性痛覚過敏症、慢性外陰病変、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺過形成、鼻炎、直腸過敏症、口内焼灼感症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス、前立腺肥大、皮膚炎、掻痒、疥癬、耳鳴り、乾癬、いぼ、皮膚癌、頭痛、またはしわである、項目44に記載の方法。
(項目46)
TRPV1アゴニストおよび少なくとも一種の浸透増強剤を含有する組成物の非閉塞投与または非付着投与を包含する被験体中のカプサイシン応答状態を処置する方法であって、該組成物が、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に、皮膚に少なくとも約3ナノモルのアゴニストを送達する、方法。
(項目47)
TRPV1アゴニストおよび少なくとも二種の浸透増強剤を含有する組成物の投与を包含する被験体中のカプサイシン応答状態を処置する方法であって、該組成物が、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に、皮膚に少なくとも約3ナノモルのアゴニストを送達する、方法。
(項目48)
上記組成物が皮膚、粘膜または内皮の表面上の領域に適用される、項目46に記載の方法。
(項目49)
上記組成物が少なくとも約6ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目46に記載の方法。
(項目50)
上記組成物が少なくとも約16ナノモルを皮膚に送達する、項目49に記載の方法。
(項目51)
上記組成物が少なくとも約32ナノモルを皮膚に送達する、項目50に記載の方法。
(項目52)
上記組成物が少なくとも約49ナノモルを皮膚に送達する、項目51に記載の方法。
(項目53)
上記組成物が少なくとも約65ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目52に記載の方法。
(項目54)
上記組成物が約5ナノモル〜約290ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目53に記載の方法。
(項目55)
上記接触工程の沈着効果がマウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に、約0.25未満である、項目46に記載の方法。
(項目56)
上記沈着効果が約0.1未満である、項目55に記載の方法。
(項目57)
上記沈着効果が約0.02未満である、項目56に記載の方法。
(項目58)
上記沈着効果が約0.001未満である、項目57に記載の方法。
(項目59)
上記沈着効果が約0.001〜約0.25の範囲内である、項目55に記載の方法。
(項目60)
上記接触工程の分布効果が、マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合に、0.5〜2の範囲内である、項目46に記載の方法。
(項目61)
上記組成物がTRPV1アゴニストおよび溶媒系を含有し、浸透増強剤が該溶媒系の少なくとも20%(v/v)を構成する、項目46に記載の方法。
(項目62)
浸透増強剤が上記溶媒系の少なくとも50%(v/v)を構成する、項目61に記載の方法。
(項目63)
浸透増強剤が上記溶媒系の少なくとも90%(v/v)を構成する、項目62に記載の方法。
(項目64)
浸透増強剤が上記溶媒系の少なくとも95%(v/v)を構成する、項目63に記載の方法。
(項目65)
上記溶媒系が、エーテル、エステル、アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリオール、テルペンおよびアミンからなる群より選択された浸透増強剤を含む、項目46に記載の方法。
(項目66)
上記溶媒系が脂肪アルコールおよびテルペンからなる群より選択される浸透増強剤を含む、項目65に記載の方法。
(項目67)
上記溶媒系が1−メントン、ジメチルイソソルビド、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、吉草酸、ペラルゴン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリル酸、オレイン酸、イソ吉草酸、イソプロピルブチレート、イソプロピルヘキサノエート、ブチルアセテート、メチルアセテート、メチルバレレート、エチルオレエート、ポロキサマー、d−ピペリトン、メチルノネン酸、メチルノネンアルコール、およびd−プレゴンからなる群より選択される浸透増強剤を含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
上記組成物が上記TRPV1アゴニストを0.05%(w/v)〜60%(w/v)の濃度で含有する、項目46に記載の方法。
(項目69)
上記TRPV1アゴニストがバニロイドである、項目68に記載の方法。
(項目70)
上記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、項目69に記載の方法。
(項目71)
上記組成物が上記TRPV1アゴニストを1%(w/v)〜20%(w/v)の濃度で含有する、項目70に記載の方法。
(項目72)
上記組成物の哺乳動物の皮膚への15分間の適用が、上記接触工程の2〜7日後に測定した場合に機能的侵害受容性神経線維の密度の少なくとも約20%の低下を生じる、項目71に記載の方法。
(項目73)
上記組成物の哺乳動物の皮膚への15分間の適用が、上記接触工程の7日後に測定した場合に機能的侵害受容性神経線維の密度の少なくとも約50%の低下を生じる、項目72に記載の方法。
(項目74)
上記領域下の上皮および真皮における機能的侵害受容性神経線維の密度が、上記接触工程の7日後に測定した場合に少なくとも約20%低下する、項目14に記載の方法。
(項目75)
上記組成物が局所的に投与される、項目46に記載の方法。
(項目76)
上記組成物が点滴注入により投与される、項目75に記載の方法。
(項目77)
上記組成物が注射により投与される、項目46に記載の方法。
(項目78)
上記組成物がマイクロエマルジョンの形態で投与される、項目46に記載の方法。
(項目79)
上記カプサイシン応答状態が神経障害性疼痛、侵害受容性と神経障害性との混合病因により生じる疼痛、炎症性痛覚過敏症、慢性外陰病変、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺過形成、鼻炎、直腸過敏症、口内焼灼感症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス、前立腺肥大、皮膚炎、掻痒、疥癬、耳鳴り、乾癬、いぼ、皮膚癌、頭痛、またはしわである、項目46に記載の方法。
(項目80)
上記神経障害性疼痛が、糖尿病ニューロパシー、ポストヘルペス神経痛、HIV/AIDS、外傷性傷害、複合領域疼痛症候群、三叉神経痛、先端紅痛症および幻想痛と関連する、項目79に記載の方法。
(項目81)
組成物の一回または二回の適用が持続性の軽減を提供する、項目80に記載の方法。
(項目82)
上記組成物の一回の適用が持続性の軽減を提供する、項目81に記載の方法。
(項目83)
上記組成物が皮膚の表面の領域に投与され、投与後に該領域が洗浄されて残留するアゴニストを完全に除去する、項目46に記載の方法。
(項目84)
上記領域が少なくとも60%(w/w)のポリエチレングリコールを含有する組成物を用いて洗浄される、項目83に記載の方法。
(項目85)
治療効果量のTRPV1アゴニストおよび一種以上の浸透増強剤および必要に応じて一種以上のさらなる治療活性物質を含有する薬学的組成物であって、ここで、該組成物が、マウス皮膚吸収アッセイにおいて測定した場合に少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達し、該薬学的組成物が、被験体に投与するために適切な形態である、薬学的組成物。
(項目86)
治療効果量のTRPV1アゴニストおよび一種以上の浸透増強剤および必要に応じて一種以上のさらなる治療活性物質を含有する薬学的組成物であって、ここで、該組成物が、マウス皮膚吸収アッセイにおいて測定した場合に少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達し、但し、TRPV1アゴニストがカプサイシンである場合、カプサイシン濃度は0.05%より高く、そして20%未満である、薬学的組成物。
(項目87)
二種以上の浸透増強剤を含有する、項目85に記載の組成物。
(項目88)
TRPV1アゴニストおよび必要に応じて一種以上のさらなる治療活性物質を、一種以上の浸透増強剤を含む溶媒系に含み、ここで、該一種以上の浸透増強剤はひとまとめにして、該溶媒系の少なくとも約50%(v/v)を構成する、項目85に記載の組成物。
(項目89)
上記一種以上の浸透増強剤はひとまとめにして、上記溶媒系の少なくとも約75%(v/v)を構成する、項目88に記載の組成物。
(項目90)
上記一種以上の浸透増強剤はひとまとめにして、上記溶媒系の少なくとも約95%(v/v)を構成する、項目89に記載の組成物。
(項目91)
マウス皮膚吸収アッセイで測定した場合、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する、項目85に記載の組成物。
(項目92)
少なくとも約3ナノモルのアゴニストを0.25未満の沈着効果で皮膚に送達する、項目91に記載の組成物。
(項目93)
上記TRPV1アゴニストがカプサイシンである、項目85に記載の組成物。
(項目94)
1%〜15%のカプサイシンを含有する、項目93に記載の組成物。
(項目95)
局所麻酔薬を含有する、項目85に記載の組成物。
(項目96)
項目85に記載の組成物を投与する工程を包含する、被験体中のカプサイシン応答状態を処置する、方法。
(項目97)
マイクロエマルジョンに含まれる、項目85に記載の組成物。
(項目98)
カプサイシン応答状態を処置するためのシステムであって、該システムは、項目85に記載の組成物、および処方物を皮膚または粘膜表面に適用するための非閉塞性、かつ/または、非付着性の塗布デバイスを備える、システム。
(項目99)
上記塗布デバイスは上記組成物で前充填されている、項目98に記載のシステム。
(項目100)
上記組成物は、上記装置とは別個の容器に含まれる、項目98に記載のシステム。
(項目101)
使用者が上記塗布デバイス内の組成物の量を決定する工程を補助するための測定指標を塗布デバイスにさらに備える、項目98に記載のシステム。
(項目102)
上記塗布デバイスが定量噴霧エアゾール、貯蔵エネルギー定量噴霧ポンプまたは手動定量噴霧ポンプである、項目98に記載のシステム。
(項目103)
上記塗布デバイスがスポンジ、ブラシまたは消毒綿である、項目98に記載のシステム。(項目104)
項目98に記載のシステムおよび残留アゴニストの除去のための洗浄組成物を備える、キット。
(項目105)
上記洗浄組成物が少なくとも約60%のポリエチレングリコールを含有する、項目104に記載のキット。
(項目106)
項目98に記載の組成物を含む、TRPV1アゴニストマイクロエマルジョン。
(項目107)
項目106に記載のマイクロエマルジョンに身体の一部を浸漬する工程を包含する、身体の一部を冒すカプサイシン応答状態を罹患する患者を処置する、方法。
(項目108)
上記冒された組織の領域がマイクロエマルジョンに所定の時間浸漬される、項目107に記載の方法。
(項目109)
項目106のTRPV1アゴニストマイクロエマルジョンをたらいに添加する工程を包含する、治療槽を提供する方法。
(項目110)
組織の冒された領域を受け入れることの可能なたらいを備える治療槽装置であって、該たらいは底の表面およびそこから上方に伸びる壁構造を有し、ここで、該たらいは項目106に記載のTRPV1アゴニストマイクロエマルジョンを含有する液体を含む、治療槽装置。
(項目111)
被験体の選択された領域における機能的侵害受容性神経線維の密度を減少させる方法であって、該方法は、該領域を項目106に記載のTRPV1アゴニストマイクロエマルジョンに接触させる工程を包含する、方法。
(項目112)
上記選択された領域は膀胱内皮である、項目111に記載の方法。
(項目113)
項目106に記載のTRPV1アゴニストエマルジョンの投与を包含する、被験体中のカプサイシン応答状態を処置する、方法。
(項目114)
上記カプサイシン応答状態が過活動膀胱であり、上記TRPV1アゴニストマイクロエマルジョンが膀胱に点滴注入される、項目21に記載の方法。
(項目115)
被験体に対するTRPV1アゴニストの治療的送達に有用な組成物を同定するための方法であって、該方法は、該組成物および該TRPV1アゴニストからなる溶液について沈着効果を決定する工程を包含し、ここで、0.2未満の沈着効果は、該組成物がTRPV1アゴニストの治療的送達に有用であることを示す、方法。
(項目116)
上記組成物が皮膚表面に適用される場合、特定の時間の後に皮膚表皮および真皮に送達されたアゴニストの量を決定する工程をさらに包含する、項目115に記載の方法。
(項目117)
二種以上の組成物を、被験体へのTRPV1アゴニストの治療的送達に対する有用性に従ってランク付けするための方法であって、該方法は、該組成物および該TRPV1アゴニストまたは異なるTRPV1アゴニストからなる溶液について沈着効果を各組成物について決定する工程、各組成物について得られた値を比較する工程、および該値に従って該組成物をランク付けする工程を包含し、ここで、より低い値を有する組成物がTRPV1アゴニストの治療的送達により適しているとランク付けする、方法。
(項目118)
カプサイシンおよびメチルノネノイルアルコールまたはメチルノネン酸を含有する、薬学的組成物。
(項目119)
メチルノネノイルアルコールまたはメチルノネン酸を含有する組成物中の分子を塗布する工程により、皮膚または粘膜表面に塗布された分子の表皮層および皮膚層の下に入る量を増加させる、方法。
(項目120)
上記分子が治療的に活性物質である、項目119に記載の方法。
(項目121)
上記分子がTRPV1アゴニストである、項目120に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1はTRPV1アゴニスト投与後の皮膚(ヌードマウス)の神経線維密度の減少を示す。
【図2】図2はTRPV1アゴニストの投与後の陰門(ラット)中の神経線維密度の減少を示す。Transcutol(登録商標)はジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)である。
【図3】図3はTRPV1アゴニストの陰門(ラット)への適用後の疼痛の挙動を示す。
【図4】図4はTRPV1アゴニストの皮膚(ラット背面の足)への適用後の疼痛の挙動を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(詳細な説明)
(1.序論)
本発明は、一部は、顕著な量のTRPV1アゴニストが迅速かつ効率的に皮膚に送達、保持される条件下における該アゴニストの投与が驚くべき有益性を提供するとの発見に関する。特に、そのような送達は、アゴニストに対する短い暴露のみの後に処置領域での機能的な皮膚または粘膜侵害受容器の神経線維密度の顕著な減少をもたらす(例えば、下記の実施例1、2および3を参照)。さらに、カプサイシン等のTRPV1アゴニストとの接触に通常関連する苦痛が、アゴニストを皮膚または粘膜に迅速かつ効率的に送達され保持される場合に減少すると考えられる(例えば、下記の実施例4と5を参照)。
【0025】
関連する側面において、本発明は、顕著な量のアゴニストが迅速かつ効率的に皮膚または粘膜に送達、保持される条件下において、カプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストを含有する組成物の局所適用により被験体のカプサイシン応答状態を治療する方法を提供する。
【0026】
本発明の一側面において、TRPV1アゴニストを含有し、付加的な治療活性物質を任意に含有し、少なくとも一つの浸透増強剤を含有する溶媒系を含有し、および下記の他の成分を任意に含有する組成物を被験体の体(例えば、皮膚または粘膜)の標的領域に接触させる。明瞭化のために、この組成物はときどき「投与組成物」と称する。一部実施態様において、溶媒系は、一つ以上の浸透増強剤が高比率の溶媒系を形成することを特徴とする。
【0027】
(2.定義と慣例)
読者の本発明の理解を助けるために以下の定義を提供する。他に定義しない限り、ここで用いられるすべての技術用語、表記および他の科学または医学用語または専門用語は、化学分野と医学分野において当業者に共通して理解される意味を持つことが意図される。ある場合では、共通して理解される意味を有する用語は明瞭化および/または容易な参照のためにここに定義され、ここでのそのような定義の包含は、必ずしも当技術において通常理解される用語の定義を超える実質的な違いを表すと理解されるべきではない。
【0028】
「治療効果のある量」または「治療効果のある投与量」とは生物学的または化学的応答(例えば、機能的な皮膚または粘膜の侵害受容器の神経線維の密度の減少を必要とする被験体中の該減少)、病気または状態の一つ以上の徴候の緩和または改善、病気の程度の低減、または病気の安定化状態等の臨床的に望ましい結果を得るために必要とされる物質の量または投与量を意味する。
【0029】
状態または患者を「治療する」とは臨床的結果等の有益な結果または所望の結果を得るために工程を取ることを意味する。本発明の目的のために、有益な結果または所望の臨床結果としては、一つ以上の徴候の緩和または改善、病気の程度の低減、病気進展の遅延または低速化、病気の状態の改善、一時的緩和または安定化および下記の他の有益な結果が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
「薬学的に受容可能な塩」とは、リン酸塩、硫酸塩、乳酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、メシラート、塩酸塩、ナトリウム、カリウム、n−メチルグルカミン、およびトリメタミン塩等の、しかしこれらに限定されない、被験体への投与に毒物学的に安全な酸性または塩基性の塩をいう。
【0031】
「局所投与」、「局所に」および文法的等価物は、体のあらかじめ定められた領域または限定領域、例えば皮膚表面、粘膜、特定の器官、特定の付属器または領域(例えば、足)の定義または制限された領域等に対する生物活性化合物の投与をいう。ここで用いる局所投与とは皮下注射による投与を含まない。
【0032】
「完全に可溶」または「完全に溶解」または「完全に溶液」とは、治療活性物質の実質的に懸濁されたかまたは懸濁されていない粒子を含まない視覚的に透明な均一溶液をいう。溶液清澄度の定量的測定は濁り測定、例えば不溶物質の存在により起こされる液体透明度の減少の測定により行うことができる(Lawler, 1995, Turbidimetry and Nephelometry Encyclopedia of Analytical Science, ed. P. Worsfold, Academic Press Ltd., UKを参照)。モデル2100ANまたは2100N濁度計(Hach Co., Loveland, CO)等の機器を用いてよい。通常、治療活性物質を含む組成物の濁度は約10NTU(比濁度単位)未満、さらに通常は約5NTUまたは約3NTU未満であろう。
【0033】
「角層」(“Stratum corneum”)とは、主要障壁層である皮膚の外層をいう。角層とは皮膚を経る活性物質の拡散に対して律速障壁を作る。
【0034】
「浸透増強剤」とは使用される皮膚を経る活性物質の経皮輸送速度と哺乳動物等の生物への活性物質の送達を向上させる物質をいう。
【0035】
「個体」または「被験体」とは脊椎動物、好ましくは哺乳動物であり、しばしばヒトである。哺乳動物としては、ヒト、非ヒト霊長類、実験模型動物(例えば、マウスとラット)、農業的に重要な動物、およびペットが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
ここで用いられる「GMPスタンダードに基づき」製造または処方したとは、薬学的組成物をいう場合、該組成物が米国食品医薬局(U.S. Food and Drug Administration)のすべてのGood Manufacturing Practice(GMP)規則に完全に合致することを意味する。
【0037】
「神経線維機能性(NFF)」とは侵害受容性(TRPV1発現)感覚神経線維の機能的または構造的非活性化の目安である。NFFの変化は、下記のように、免疫染色および形態学により同定される機能的神経線維密度の変化として表現することができる。もしくは、NFFの変化は神経線維の感受性変化(例えば、温度変化まで)として表現することができる。
【0038】
ここで用いる「送達する」、「送達している」および文法的な等価物(例えば、「アゴニストの表皮および真皮への送達」の場合のように)は、物質(例えば、TRPV1アゴニスト)の標的組織(例えば、表皮および真皮)への移動をもたらす作用をとることをいう。例えば、カプサイシンは、本発明のカプサイシン含有組成物を皮膚下の皮膚が壊れていない表面に適用することにより真皮に送達することができる。
【0039】
ここで用いる「保持された」(例えば、皮膚に保持されたアゴニスト)の場合のように)との用語は、特定の時点(例えば、アゴニスト含有組成物適用の15分後)で特定の組織(例えば、上皮と皮膚)に見られる物質の量をいう。
【0040】
下記の取り決めと略号は下記の記載に用いられる:他に示されなければ、温度は摂氏であり、すべての測定は1気圧かつ23〜32℃の温度で行う。この開示で用いられる略号としては“μL”(マイクロリットル);“mL”(ミリリットル);“nmol”(ナノモル);“PE”(浸透増強剤);“TAA”(治療活性物質);重量/容量(w/v);容量/容量(v/v)が挙げられる。TRPV1アゴニスト含有組成物の投与後の特定された時間(例えば、「15分」)への言及は組成物の被験体との最初の第一の接触(例えば、適用時間)から始まる時間をいう。他に示されないか、文脈から明らかでない場合、組成物の投与の15または30分後にアッセイを行うことができ、値を1cmの領域への投与として標準化する。
【0041】
(3.TRPV1アゴニスト)
本発明に有用なTRPV1アゴニストとしては、カプサイシン、カプサイシン類似体と誘導体、およびTRPV1をアゴナイズする他の低分子量化合物(すなわち、MW<1000)が挙げられる。カプサイシンは原型TRPV1アゴニストと考えることができる。カプサイシン(8−メチル−N−バニリル−トランス−6−ノネンアミド;(6E)−N−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−8−メチルノン−6−エナミド;N−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−8−メチル−(6E)−6−ノネンアミド;N−(3−メトキシ−4−ヒドロキシベンジル)−8−メチルノントラン−6−エナミド;(E)−N−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチル]−8−メチル−6−ノネンアミド)とも言う)は下記の化学構造を有する:
【0042】
【化1】

カプサイシンに加えて、多様なカプサイシン類似体と誘導体、および他のTRPV1アゴニストを投与してよい。カプサイシノイド等のバニロイド類は有用なTRPV1アゴニストの例である。本発明にしたがって使用される例示的なバニロイド類としては、N−バニリル−アルカンジエンアミド、N−バニリル−アルカンジエニル、N−バニリル−シス−モノ不飽和アルカンアミド、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルヒドロカプサイシン、ノルヒドロカプサイシン、ホモカプサイシンおよびホモジヒドロカプサイシンが挙げられる。
【0043】
もう一つの実施態様において、TRPV1アゴニストは、ピペリンまたはジアルデヒドセスキテルペン(例えば、ワーブルガナール、ポリゴジアールまたはイソベレラール)等のバニリル機能を欠如する化合物である。別の実施態様において、TRPV1アゴニストはスクチゲラール等のトリプレニルフェノールである。さらに例示的なTRPV1アゴニストは、米国特許第4,599,342号、同第5,962,532号、同第5,762,963号、同第5,221,692号、同第4,313,958号、同第4,532,139号、同第4,544,668号、同第4,564,633号、同第4,544,669号、同第4,493,848号、同第4,532,139号、同第4,564,633号、同第4,544,668号、およびPCT公開WO00/50387号に記載されている。他の有用なTRPV1アゴニストとしては、薬理学的に活性なジンゲロール、ピペリン、ショガオール、さらに具体的にはグアヤコール、オイゲノール、ジンゲロン、シバミド、ノニバミド、ヌバニル、オルバニル、NE−19550、NE−21610およびNE−28345(Dray et al., 1990, Eur. J. Pharmacol 181:289−93およびBrand et al., 1990, Agents Actions 31:329−40を参照)、レシニフェラトキシン、レシニフェラトキシン類似体、およびレシニフェラトキシン誘導体(例えば、チニアトキシン)が挙げられる。前記アゴニストの活性のある幾何異性体または立体異性体を用いてもよい。
【0044】
他のTRPV1アゴニストは、脂肪族環状化、直鎖または分鎖置換によりアミド化されたモノ−フェノール性モノ置換ベンジルアミン等のTRVP1レセプター結合部分を有するバニロイド類である。本発明を実施するためのさらに他の有用なTRPV1アゴニストは、米国特許公告US20030104085に記載のような標準的な方法論を用いて容易に同定することができる。TRPV1アゴニスト同定用の有用なアッセイとしては、レセプター結合アッセイ;TRPV1レセプターを発現する細胞中のカルシウム流入または膜電位の促進の機能的評価、そのような細胞での細胞死誘導能に関するアッセイ(例えば、C線維ニューロンの選択的剥離)および当分野で公知の他のアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
前記のいずれのアゴニストおよび薬学的に受容可能な塩の混合物を用いてもよい。Szallasi and Blumberg, 1999, Pharmacological Reviews 51:159−211,米国特許第5,879,696号およびそこに記載の引例を参照されたい。
【0046】
(4.TRPV1アゴニストの迅速で高品質の送達)
本発明は、一部、顕著な量のアゴニストが皮膚に迅速に送達され、好ましくは皮膚に保持される条件下にTRPV1アゴニストを投与することが驚くべき利点を提供するという発見に関する。
【0047】
一側面において、本発明は、TRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含む組成物を投与することによりカプサイシン応答条件を治療する方法を提供する。ある実施態様において、組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する。マウス皮膚吸収アッセイは下記に詳細に説明する。下記のように、マウス皮膚吸収アッセイにおいて特定のモル量のアゴニストを皮膚に送達するとは、該アッセイ条件下、(アッセイで用いられる皮膚の0.8cmの領域から標準化された)1cmあたり、15分間で送達される量をいう。
【0048】
関連する側面において、本発明は、被験体の選択された組織を、TRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含む組成物に接触させることにより、該組織中の機能的侵害受容性神経線維の密度を低減させる方法を提供する。一実施態様において、組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する。
【0049】
関連する側面において、本発明は、TRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含む薬学的組成物において、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、少なくとも約3ナノモルのアゴニストを皮膚に送達する組成物を提供する。
【0050】
本発明の一実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンであり、送達されるアゴニストの量は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、少なくとも約3ナノモル、少なくとも約6ナノモル、少なくとも約9ナノモル、少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモルである。一実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンであり、送達されるアゴニストの量は、約3ナノモル〜約290ナノモルの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0051】
本発明の関連実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシン以外のアゴニストであり、送達されるアゴニストの量は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、少なくとも約3ナノモル、少なくとも約6ナノモル、少なくとも約9ナノモル、少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモル、または約3ナノモル〜約290ナノモルの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0052】
本発明の関連実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシン以外のアゴニストであり、送達されるアゴニストの量は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、少なくとも約3ナノモルのカプサイシン、少なくとも約6ナノモルのカプサイシン、少なくとも約9ナノモルのカプサイシン、少なくとも約16ナノモルのカプサイシン、少なくとも約32ナノモルのカプサイシン、少なくとも約49ナノモルのカプサイシン、または少なくとも約65ナノモルのカプサイシンの相当物、または約3ナノモル〜約290ナノモルのカプサイシンの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルのカプサイシンの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルのカプサイシンの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0053】
カプサイシンのモル量(例えば、3ナノモル)と等しいTRPV1アゴニストのモル量は、この用語がこの文脈で用いられる場合、標準的な方法論を用いて決定することができる。TRPV1アゴニストの効能および有効性は変化し得るために、カプサイシンの最適送達量を決定する際に、カプサイシン以外のTRPV1アゴニストの濃度または投与量を調整することはある場合には有用である。1モルのカプサイシンにより作られる同程度の生物学的効果(例えば、減少傷害受容性神経線維機能)を作る非カプサイシンTRPV1アゴニストのモル数はカプサイシン当量(「CE」)と称する。CEの概念は、多様なオピオイド麻酔剤の当量麻酔投与量を予測するために用いられる「モルヒネ等価物」の概念に類似する(例えば、Kaiko, 1986, “Controversy in the management of chronic cancer pain: therapeutic equivalents of IM and PO morphine” J Pain Symptom Manage. 1:42−5; Hoskin et al., 1991, “Opioid agonist−antagonist drugs in acute and chronic pain states” Drugs 41:326−44を参照)。CE値は、同一のアッセイ条件下でカプサイシンと比較してTRPV1アゴニストの効能と有効性から導かれる。TRPV1アゴニストの相対的な効能と有効性を決定する一つの方法は、Fluorometric
Imaging Plate Reader(FLIPR)技術に基づくもの等の標準化インビトロアッセイを用いることである(Sullivan et al., 1999, “Measurement of [Ca2+] using the Fluorometric Imaging Plate Reader (FLIPR)” Methods Mol Biol. 114:125−33)。FLIPRアッセイは多数のTRPV1アゴニストを特性付け、比較するために広く用いられている(例えば、Smart et al., 2001, “Characterisation using FLIPR of human vanilloid VR1 receptor
pharmacology.” Eur J Pharmacol. 417:51−8; Witte et al., 2002, “Use of a fluorescent imaging plate reader−based calcium assay to assess pharmacological differences between the human and rat vanilloid receptor” J Biomol Screen. 7:466−475;およびBehrendt et al., 2004, “Characterization of the mouse cold−menthol receptor TRPM8 and vanilloid receptor type−1 VR1 using a fluorometric imaging plate reader (FLIPR) assay” Br J Pharmacol. 141:737−45を参照)。非カプサイシンTRPV1アゴニストのCE値を決定する一つの方法は、FLIPRアッセイにおいてカプサイシンの測定される効能と有効性の両方に0.5の値を割り当てる(1.0の結合値を生じる)ことにより化合物の効能と有効性を結合することにあろう。次に、別のTRPV1アゴニストの効能と有効性の値を決定し、カプサイシンの該0.5に対して標準化する。別のTRPV1アゴニストの結合標準化値をカプサイシンの該1.0に対して比較して、例えば神経線維機能性(NFF)に対して適用した場合にカプサイシンと同じ効果を生じると期待される非カプサイシンTRPV1アゴニストのおおよそのナノモル数を提供する。
【0054】
本発明のさらなる側面において、組成物は顕著な沈着効果を有するTRPV1アゴニストを送達する。ここで用いられる「沈着効果」とは、マウス皮膚アッセイにおけるアゴニストの保持をいい、マウス皮膚吸収アッセイにおいて、皮膚から出るアゴニストの、皮膚に保持される量に対する比率である。
【0055】
よって、ある側面において、本発明は、TRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含む組成物を投与することによりカプサイシン応答条件を治療する方法において、該組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、3ナノモルまたは3ナノモルを超えるアゴニストを皮膚に送達し、顕著な比率のアゴニストが皮膚に保持される方法を提供する。
【0056】
関連する側面において、本発明は、被験体の選択された組織を、TRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含有する組成物に接触させることにより被験体の選択された組織で機能性侵害受容性神経線維の密度を減少させる方法において、該組成物は、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、3ナノモルまたは3ナノモルを超えるアゴニストを皮膚に送達し、顕著な比率のアゴニストが皮膚に保持される方法を提供する。
【0057】
一部実施態様において、例えば、マウス皮膚吸収アッセイにおいてレセプターチャンバーに入るアゴニストの量の、皮膚に保持される量に対する比率は、約0.25未満、約0.2未満、約0.15未満、約0.1未満、約0.04未満、約0.02未満、約0.01未満、約0.004未満、約0.002未満、約0.0015未満、または約0.001未満である。一部実施態様において、マウス皮膚吸収アッセイにおいてレセプターチャンバーに入るアゴニストの量の、特定の時点で皮膚に保持される量に対する比率は、約0.0001〜約0.25、しばしば約0.0001〜約0.2、ときどき約0.0001〜約0.1、ときどき約0.0001〜0.04である。一部実施態様において、マウス皮膚吸収アッセイにおいてレセプターチャンバーに入るアゴニストの量の、皮膚に保持される量に対する比率は、約0.001〜約0.25、しばしば約0.01〜約0.2、ときどき約0.1〜約0.25である。
【0058】
一実施態様において、マウス皮膚吸収アッセイで測定して、皮膚中のアゴニストの量の、表皮中の量の比率は0.5〜2の範囲にある。一部実施態様において、該比率は0.75〜1.5の範囲にある。
【0059】
関連する実施態様において、本発明は、顕著な量のアゴニストが、皮膚、粘膜および内皮等の、しかしこれらに限定されない標的細胞に迅速に送達され、好ましくは保持される条件下でTRPV1アゴニストを含有する組成物を投与することによりカプサイシン応答条件を治療する方法を提供する。もう一つの関連する実施態様において、本発明は、顕著な量のアゴニストが標的細胞に迅速に送達され、好ましくは保持される条件下で、被験体の選択された組織にTRPV1アゴニストを含有する組成物を接触させることにより該組織中の機能性侵害受容性神経線維の密度を減少させる方法を提供する。ある実施態様において、「顕著な量のアゴニストが標的組織に迅速に送達される条件」は、30分以内、よりしばしば15分以内、ときどき5分以内で、適用の1cmの表面領域(例えば、皮膚または粘膜表面領域)あたり少なくとも3ナノモルのアゴニストの送達をもたらす条件のTRPV1アゴニストの投与をいう。
【0060】
一実施態様において、顕著な量のアゴニストが皮膚に迅速に送達される条件はヒト被験体中で測定される条件と定義される。一実施態様において、ヒト被験体は、正常な健康にある被験体である。一実施態様において、ヒト被験体はカプサイシン応答性疾患または状態の治療を必要とする被験体である。よって、一実施態様において、本発明は、約30分未満、任意に約15分未満、さらに任意に約10分未満に顕著な量のアゴニストを局所的に選択された組織領域に投与することにより、被験体の該領域における機能的傷害受容性神経線維の密度を減少させる方法を提供する。顕著な量とは、該領域(例えば、皮膚、粘膜および、内皮、例えば膀胱)の表面の1cmあたり、少なくとも少なくとも約3ナノモル、任意に少なくとも約6ナノモル、少なくとも約9ナノモル、少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモル、または約3ナノモル〜約290ナノモルの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にあることができる。
【0061】
別の実施態様において、顕著な量のアゴニストが皮膚に迅速に送達される条件はマウス皮膚アッセイで測定される条件と定義される。
【0062】
本発明の一実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンであり、送達されるアゴニストの量は、少なくとも約3ナノモル、少なくとも約6ナノモル、少なくとも約9ナノモル、少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモルである。ある実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンであり、送達されるアゴニストの量は、約3ナノモル〜約290ナノモルの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0063】
本発明の関連実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシン以外のアゴニストであり、送達されるアゴニストの量は、少なくとも約3ナノモル、少なくとも約6ナノモル、少なくとも約9ナノモル、少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモル、または約3ナノモル〜約290ナノモルの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0064】
本発明の関連実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシン以外のアゴニストであり、送達されるアゴニストの量は、少なくとも約3ナノモルのカプサイシン、少なくとも約6ナノモルのカプサイシン、少なくとも約9ナノモルのカプサイシン、少なくとも約16ナノモルのカプサイシン、少なくとも約32ナノモルのカプサイシン、少なくとも約49ナノモルのカプサイシン、または少なくとも約65ナノモルのカプサイシンの相当物、または約3ナノモル〜約290ナノモルのカプサイシンの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルのカプサイシンの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0065】
関連する実施態様において、本発明は、TRPV1アゴニストを含有する組成物を顕著な量のアゴニストが組織に送達、保持される条件下に投与することによりカプサイシン応答条件を治療する方法を提供する。もう一つの関連する実施態様において、本発明は被験体の選択された組織を、TRPV1アゴニストを含む組成物に、顕著な量のアゴニストが皮膚に送達、保持される条件下に接触させることにより、該組織中の機能性侵害受容性神経線維の密度を低減させる方法を提供する。TRPV1アゴニストのボーラス投与量への全身の暴露は患者に安全危険性を引き起こす。というのも、これらのレセプターは心臓血管系(および他の器官系)を調節する神経線維で発現されるためであって、その結果、これらの神経の迅速な活性化は心臓速度と血圧に迅速な変化を起こすと予想されるためである(Zahner et al., 2003, “Cardiac vanilloid receptor 1−expressing afferent nerves and their role in the cardiogenic sympathetic reflex in rats” J Physiol. 551:515−23)。そのような変化は年配の患者や先在する心臓血管疾患を有する患者にとっては問題がある。したがって、TRPV1アゴニストに対する皮膚、粘膜および他の種類の組織に効率的かつ迅速に接せしめることは、顕著な全身性医薬送達の危険性がなくここに記載するように達成することができたという驚くべき発見は比較的高い安全性限界を有するTRPV1アゴニスト含有処方物の局所適用を可能とする。一側面において、本発明は、哺乳動物の皮膚または粘膜表面の1cmの領域を、TRPV1アゴニストと少なくとも一つの浸透増強剤を含む組成物に接触させることにより、該領域下にある表皮および皮膚にTRPV1アゴニストを送達する方法において、該接触の30分後に少なくとも約3ナノモルのTRPV1アゴニストが表皮および皮膚に保持される方法を提供する。関連する実施態様において、本発明は、哺乳動物の皮膚または粘膜表面の1cmの領域を、TRPV1アゴニストと少なくとも一つの浸透増強剤を含む組成物に接触させることにより、該領域下にある表皮および皮膚にTRPV1アゴニストを送達する方法において、該接触の15分後に少なくとも約3ナノモルのTRPV1アゴニストが表皮および皮膚に保持される方法を提供する。多様な実施態様において、表皮および皮膚に保持されるTRPV1アゴニストの量は、少なくとも約3ナノモル、少なくとも約6ナノモル、少なくとも約9ナノモル、少なくとも約16ナノモル、少なくとも約32ナノモル、少なくとも約49ナノモル、または少なくとも約65ナノモルである。ある実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンであり、送達されるアゴニストの量は、約3ナノモル〜約290ナノモルの範囲、例えば3ナノモル、6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、または49ナノモルの下限および6ナノモル、9ナノモル、16ナノモル、32ナノモル、49ナノモル、65ナノモル、75ナノモル、90ナノモル、120ナノモル、200ナノモルおよび290ナノモルの独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲にある。
【0066】
1cmの領域の下にある表皮および真皮のアゴニスト含量を測定するときに、検定される組織の実際の横断面は1cmよりも狭いか(例えば、0.8cm)または広くてもよく、測定されるアゴニスト含量は1cmあたりの量に標準化できることが理解されよう。
【0067】
一実施態様において、アゴニストは皮膚、粘膜または膀胱表面にインビトロで(例えば、マウス皮膚吸収アッセイまたは類似のアッセイを用いて)接触させる。もう一つの実施態様において、アゴニストを皮膚、粘膜または膀胱表面にインビボで(例えば、組成物をヒトまたはマウス等の動物の皮膚に適用することにより)に接触させ、組織試料(例えば、皮膚表面およびその下にある真皮および表皮の組織試料)を得て、アゴニスト含量を決定する。組織試料はパンチ生検や切除等の日常的な方法を用いて得ることができる。アゴニスト含量は、使用される特定のアゴニストに適するHPLC−MS等の定量方法(実施例を参照)を用いて決定することができる。任意に、別の定量を真皮層と表皮層に対して行うことができ、それらの値を組み合わせることができる。
【0068】
一実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンである。
【0069】
一実施態様において、哺乳動物はヒト被験体である。ヒト被験体は正常な健康状態にあってもよいし、カプサイシン感受性状態にかかっていてもよい。
【0070】
さらなる局面において、下の組織(真皮と表皮)に送達されるアゴニストの量は、表皮および真皮中の機能的侵害受容性神経線維の密度を、該接触工程の1、2、3、4、5、6または7日後に測定したときに少なくとも20%減少(すなわち、低減神経線維機能)させるのに十分である。別の実施態様において、該減少は、未処理領域に比較して、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、または少なくとも約80%である。アゴニスト濃度とNFFが同一個体の被験体で測定される場合、該測定は異なる組織領域を用いてなされることは明らかであろう。しかし、(TRPV1アゴニストを本発明の組成物と併用する)接触の特定された条件がアゴニストの特定された送達および/またはNFFの減少をもたらすことを確立するために、異なる被験体でアッセイを実施するのがさらに一般的である。
【0071】
(4.1 「マウス皮膚吸収アッセイ」)
「マウス皮膚吸収アッセイ」は、Nu/Nu(「ヌード」)マウスの皮膚を用いて、(1)皮膚表面の0.8cmの領域へのアゴニストの投与後15分間に皮膚に入るアゴニストの量;(2)表皮層および真皮層のそれぞれに見られる皮膚中のアゴニスト比率;および(3)皮膚を通る(例えばFranz細胞のレセプターチャンバーに入る)アゴニストの量を決定するインビトロFranz細胞系アッセイである。下記の実施例1で詳細に説明するこのアッセイは、皮膚の表面をアゴニスト含有組成物と接触させてから15分後に真皮および表皮に保持されているアゴニストの量を測定する。ヌードマウスの皮膚を用いたインビトロ研究は生きている動物で得られた結果を予測するとの報告と一致し(Venter et al., 2001, “A comparative study of an in situ adapted diffusion cell and an in vitro Franz diffusion cell method for transdermal absorption of doxylamine” Eur J Pharm Sci. 13:169−77)、マウス皮膚模型の皮膚へのTRPV1アゴニストの送達は、アゴニストの投与後に神経線維機能性のインビボでの低減に関連する(インビトロでのTRPV1アゴニストのヌードマウス皮膚への送達と、インビボアッセイでの皮膚神経繊維免疫染色に対する薬理学的効果との関係を示す実施例を参照)。哺乳動物において、拡散、分配および物理的結合等の物理学的プロセスは予測可能なように変化し(Franz et al., 1992, In: Treatise on Controlled Drug Delivery. Edited by A Kydonieus. Marcel Dekker, Inc. New York)、インビトロのヌードマウスの皮膚研究はヒト皮膚における医薬物質と溶媒の浸透速度を予測可能と思われる(Durrheim et al., 1980, “Permeation of hairless mouse skin I: Experimental methods and comparison with human epidermal permeation by alkanols” J. Pharm. Sci. 69:781−6;Tojo, 1987, “Mathematical modeling of skin permeation of drugs” J. Chem. Eng. Jpn. 20:300−308;およびTojo, 1988, “Concentration profile in plasma after transdermal drug delivery” Int. J. Pharm. 43:201−205もまた参照のこと)。特に、ヌードマウス等の毛のない動物種の毛包の低い密度は、これらの膜をこの点においてヒトの皮膚にさらに近づけている(Katz, 1993, “Rationale and Approaches to Skin Permeation” In: Skin Permeation, Fundamentals and Application, Edited by JL. Zatz. Allured Publishing Corp. Wheaton, IL)。
【0072】
マウス皮膚吸収アッセイを用いて、いくつかの値を測定することができる。表皮(「E」)と真皮(「D」)に入るアゴニストのそれぞれ量を測定することができる。(実施例に報告された値において、皮膚の0.8cmの横断面に入る量は1.25をかけることにより1cmに標準化する)。これら二つの値の比(「E/D」)は、「分布効果」と称され、1の比を与える等しい(指定されたモルまたは質量に基づく)分布による二つの皮膚層中のアゴニストの相対的な分布の目安である。これら二つの値の合計(E+D)はアッセイ条件下で皮膚(「S」)に送達されたアゴニストの全量である。皮膚を通りFranz細胞のレセプターチャンバー(「P」)に入るアゴニストの量も測定することができる。皮膚を通るアゴニストの量と皮膚に保持される量の比(「P/S」)は「沈着効果」と称する。E、DおよびSの単位はモル(例えば、ナノモルのアゴニスト)または重量(例えば、マイクログラムのアゴニスト)であってよい。E/DおよびP/Sは無単位である。
【0073】
(5.投与組成物)
本発明の一局面において、TRPV1アゴニストは、少なくとも一つの浸透増強剤を含有する組成物(「投与組成物」)として投与される。本発明の適用組成物は下記の三成分を有するということができる:
1.少なくとも一つの浸透増強剤を含有する、TRPV1アゴニストが可溶な溶媒系;
2.TRPV1アゴニストおよび/または一つ以上のさらなる治療活性物質;
3.存在する場合、該組成物の5%(w/v)を超えるさらなる成分。
【0074】
本発明の一部の実施態様において、溶媒系は高濃度の浸透増強剤を有することを特徴とする。
【0075】
(5.1 溶媒系)
(5.1.1 浸透増強剤)
本発明の溶媒系は浸透増強剤もしくは複数の浸透増強剤の組合せを含有できる。浸透増強剤は当分野で周知であり、物質の顕著な皮膚内または経皮送達を提供する組成物である(Smith and Maibach, in Percutaneous Penetration Enhancers; CRC Press: Florida 1995; pp 1−8,例えば、表1;またBarry, B. W. “Vehicle Effect: What is an Enhancer?” In: TOPICAL DRUG BIOAVAILABILITY, BIOEQUIVALENCE, AND PENETRATION. Shah & Maibach, Eds. Plenum Press: New York, 1993; pp 261−76を参照)。
【0076】
特定の機構の縛られることを意図するものではないが、浸透増強剤は幾つかの機構により働くと考えられ、それらの機構は、医薬物質を孔、汗腺および毛包に「通過」させることや、角層の細胞間空間を解放することをともなう(Asbill et al., 2000, “Enhancement of transdermal drug delivery: chemical and physical approaches,” Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 17:621−58)。後者にもかかわらず、角層中の細胞間ドメインの多様な生化学的環境とともに、角層のタンパク質含有細胞間マトリックスは、医薬が表皮の深い部分(例えば、胚芽層)および真皮に達することができる前に医薬に対する非常にすぐれた障壁を代表する。角層中にいったん吸収されると、浸透増強剤の効果としては、角層の生化学的環境の溶媒潜在性を変える(すなわち、医薬物質を非結晶形に保持する角層の能力)および細胞間脂質領域の秩序ある構造の無秩序化(例えば、脂肪酸の平行炭素鎖間への増強剤分子の挿入による)が挙げられよう。例示的な浸透増強剤を以下に挙げるがこれらは例示のためであって限定するものではない(例えば表1〜表3のものを参照)。他の浸透増強剤が、日常的なアッセイ、例えばFranz拡散セルを用いたラット、ブタまたはヒト皮膚を用いたインビトロ皮膚浸透研究を用いて同定することができる(Franz et al.,
“Transdermal Delivery” In: Treatise on Controlled Drug Delivery. A. Kydonieus. Ed. Marcell Dekker: New York, 1992; pp 341−421参照)。増強剤評価の他の多くの方法が公知であり、Karande and Mitragotriの高処理法(Karande and Mitragotri, 2002, “High throughput screening of transdermal formulations” Pharm Res 19:655−60,およびKarande and Mitragotri, 2004, “Discovery of transdermal penetration enhancers by high−throughput screening”)等が挙げられる。
【0077】
本発明での使用に適する浸透増強剤は薬学的に受容可能な浸透増強剤である。薬学的に受容可能な浸透増強剤はヒト患者の皮膚に有害な影響なしに適用することができる(すなわち、使用される量で低いか、許容される毒性を有する)。
【0078】
本発明の使用に適する浸透増強剤としては、脂肪アルコール、脂肪酸(直鎖または分鎖);テルペン(例えば、モノ、ジおよびセスキテルペン;炭化水素、アルコール、ケトン);脂肪酸エステル、有機酸、エーテル、アミド、アミン、炭化水素、アルコール、フェノール、ポリオール、表面活性剤(陰イオン性、陽イオン性、非イオン性、胆汁酸塩)等、いずれの種類の増強剤も挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
浸透増強剤は多様な物理的ならびに構造的性質により特徴付けることができる。例えば、本発明の一部実施態様において、溶媒系の浸透増強剤成分は400以下の分子量を有し、室温で液体であり、32℃で10mmHg未満の蒸気圧を有する。説明のためであって、限定のためではないが、そのような化合物の例を表1に提供する。(表1〜5は明細書の最後に提供する)。
【0080】
本発明の一部実施態様において、溶媒系の浸透増強剤成分は400以下の分子量を有し、室温で液体であるが、10mmHgを超える蒸気圧を有する。この種類の浸透増強剤は、通常、溶媒系の100%(v/v)未満、さらに通常は溶媒系の95%以下、さらに通常は溶媒系の75%以下、さらに通常は溶媒系の50%以下を構成し、最も普通にはこれらの浸透増強剤は溶媒系の約30%(v/v)以下に寄与する。そのような化合物の例示であって、限定するものでない具体例を表2に提供する。
【0081】
本発明の一部実施態様において、溶媒系の浸透増強剤成分は室温で液体でない(例えば、ミリスチルアルコール)。そのような「固体浸透増強剤」は、通常は溶媒系の単一成分として用いられることはない。しかし、成分の混合物を含有する溶媒系として、固体浸透増強剤自体が溶液であるかぎり固体増強剤を含むことができる。例えば、95%ジエチレングリコールモノエチルエーテルと5%ミリスチルアルコール(ここでミリスチルアルコールは溶液である)を含む溶媒系を用いることができる。この種の浸透増強剤は通常溶媒系の100%(v/v)、さらに通常は溶媒系の95%以下、さらに通常は溶媒系の75%以下、さらに通常は溶媒系の50%以下を構成し、最も普通にはこれらの浸透増強剤は溶媒系の約30%(v/v)以下に寄与する。そのような化合物の例示であって、限定するものでない具体例を表3に提供する。
【0082】
本発明の一部実施態様において、溶媒系の浸透増強剤成分は50未満の分子量を有する。この種の浸透増強剤は通常溶媒系の100%(v/v)未満、さらに通常は溶媒系の95%以下、さらに通常は溶媒系の75%以下、さらに通常は50%以下を構成し、最も普通にはこれらの浸透増強剤は溶媒系の約30%(v/v)以下に寄与する。
【0083】
本発明の一部実施態様において、溶媒系の浸透増強剤成分は界面活性剤である。ある実施態様において、界面活性剤からなる溶媒系の比率は5%(v/v)以下である。
【0084】
本発明の一部実施態様において、溶媒系の浸透増強剤成分は尿素である。ある実施態様において、尿素からなる溶媒系の比率は10%(v/v)以下であるか、もしくは5%(v/v)以下である。
【0085】
一実施態様において、溶媒系は一種類のみの浸透増強剤を含有する。関連する実施態様において、溶媒系は2種類の増強剤、3種類の増強剤、4種類の増強剤、5種類の増強剤または5種類を超える増強剤を含有する。通常、溶媒系は1〜4種類の増強剤を含有する。
【0086】
本発明の使用に特に適する浸透増強剤として脂肪アルコールとテルペンが挙げられる。
【0087】
浸透増強剤として有用である有用な脂肪アルコールの例として、オレイルアルコール、エライジルアルコール、リノレイルアルコール、エライドリノレイルアルコール、リノレニルアルコール、エライドリノレニルアルコール、セチル−ステアリルアルコール、ラウリル−ミリスチルアルコール、オクチル−デシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、2−ラウリルアルコール、リシノールアルコール、獣脂アルコール、およびカプリルアルコールが挙げられる。
【0088】
テルペンは分子式(C2n−4)を有し、イソプレン単位の数にしたがって分類される。テルペンは理論的には下記の四つの立体配置で存在しうる:(1)三つの二重結合と無環(例えば、オシメンとミレセン)、(2)二つの二重結合と一つの環(例えば、リモレンとカルベオール)、一つの二重結合と二つの環(例えば、α−ピネンまたはβ−ピネンとリモネンオキシド)。セスキテルペンは式(C2n−6)を有し、理論的には多様な立体配置で存在しうる。テルペンの多様な性質とテルペン分類の厳密な定義がないことを考えると、テルペンおよびセスキテルペンの前記説明は本発明を決して限定するものではない。
【0089】
他の例として、モノテルペン(2つのイソプレン単位)、セスキテルペン(3つのイソプレン単位)、ジテルペン(4つのイソプレン単位)、トリテルペン(6つのイソプレン単位)およびテトラテルペン(8つのイソプレン単位)が挙げられる。モノテルペンの例はネロール、シトラール、カンファー、メントールである。セスキテルペンの例はネロリドール、ファルネソールである。ジテルペンの例はフィトール、ビタミンA1である。スクアレンはトリテルペンの例であり、カロテン(プロビタミンA1)はテトラテルペンである。浸透増強剤として有用なテルペンの例示のためであって限定するものではない例として、メチルノネノン酸およびメチルノネオノイルアルコール、オキシド、シクロペンテンオキシド、D−リモネン、β−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、メントンおよび1,8−シネオールが挙げられる。一実施態様において、本発明の実施に用いられるテルペンは600未満の分子量を有する。一実施態様において、本発明の実施に用いられるテルペンは100を超える分子量を有する。一局面において、本発明は、表皮層および真皮層に入る局所適用のTRPV1アゴニストの量を、テルペンを含む組成物中の該分子を局所適用することにより増加させる方法を提供する。ある実施態様において、本発明はテルペンとTRPV1アゴニストを含む薬学的組成物を提供する。ある実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンである。ある実施態様において、テルペンはメチルノネン酸またはメチルノネノイルアルコールである。別の実施態様において、テルペンはα−ピネンオキシド、リモネンオキシド、シクロペンテンオキシド−リモネン、α−ピネン、β−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルボール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、メントンおよび1,8−シネオールからなる群から選択される。
【0090】
溶媒系の一つの有用な浸透増強剤はメントンである。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%のメントンを含む。
【0091】
溶媒系のもう一つの有用な浸透増強剤はメチルノネン酸である。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約50%(v/v)、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%のメチルノネン酸を含む。一側面において、本発明は、TRPV1アゴニスト(例えば、カプサイシン)およびメチルノネン酸を含む薬学的組成物を提供する。
【0092】
溶媒系のもう一つの有用な浸透増強剤はメチルノネノイルアルコールである。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約50%(v/v)、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%のメチルノネノイルアルコールを含む。一側面において、本発明は、TRPV1アゴニスト(例えば、カプサイシン)およびメチルノネノイルアルコールを含む薬学的組成物を提供する。別の側面において、本発明は、TRPV1アゴニストとメチルノネノイルアルコールを含有する組成物を投与することにより該アゴニストの組織(例えば、表皮および/または真皮)への送達を増加させる方法を提供する。
【0093】
カプサイシン等の治療活性物質の皮膚浸透を高めるためのメチルノネノイルアルコールおよびメチルノネン酸の使用はこれまで記述されたことはない。一側面において、本発明は、表皮層および真皮層に入る局所適用分子の量を、メチルノネノイルアルコールまたはメチルノネン酸を含む組成物中の該分子を局所適用することにより増加させる方法を提供する。ある実施態様において、該分子は治療活性物質である。ある実施態様において、該分子はTRPV1アゴニストである。
【0094】
溶媒系の別の有用な浸透増強剤はセチルアルコールである。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約10%(v/v)、少なくとも約20%、少なくとも約30%または少なくとも約40%のセチルアルコールを含む。
【0095】
溶媒系の別の有用な浸透増強剤はオレイルアルコールである。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約50%(v/v)、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%のオレイルアルコールを含む。
【0096】
溶媒系の別の有用な浸透増強剤はプロピレングリコールである。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約50%(v/v)、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90%のプロピレングリコールを含む。
【0097】
溶媒系の別の有用な浸透増強剤はジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)であり、これはTranscutol(登録商標)(Gattefosse Corp.,Paramus,NJ)として市販されている。本発明のいくつかの態様において、溶媒系は少なくとも約70%(v/v)、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または少なくとも約99%のジエチレングリコールモノエチルエーテルを含む。本発明のいくつかの態様において、溶媒系はDGMEを含まないか、またはDGMEは溶媒系の95%以下、あるいは溶媒系の75%以下、もしくは溶媒系の50%以下、もしくは溶媒系の約30%(v/v)以下を構成する。
【0098】
一部実施態様において、溶媒系は下記の浸透増強剤の一つまたは二つ以上を含有する:メントン、メチルノネンアルコール、メチルノネン酸、オレイルアルコール、イソプロピルミリステート、ジメチルイソソルビドおよびプロピレングリコール。
【0099】
例示的な溶媒系は浸透増強剤の下記の組合せを、ゼロ、または任意に1、2、3または3を超えるさらなる浸透増強剤とともに含有する:d−ピペルトンとオレイン酸;1−メントンとオレイン酸;1−メントンとエチルオレエート;1−メントンとベンジルアルコール;エチレングリコールと1−メントン;ベンジルアルコールとオレイルアルコール;1−メントンとセチルアルコール;1,3−ブタンジオールとオレイン酸;ジエチレングリコールモノエチルエーテルと1−メントン;エチレングリコールとオレイン酸;イソプロピルミリステート;オレイルアルコールと1,3−ブタンジオール;1−メントンとイソプロピルブチレート;1−メントンと1,3−ブタンジオール;n−ヘキサンとオレイル酸;メントンとメタノール;メチルノネン酸とn−ヘキサン;オレイルアルコールとプロピレングリコール;メチルノネンアルコールとジメチルアセトアミドおよびBrij。
【0100】
例示的な溶媒系は、(i)メントン90%(v/v)+メントール10%(v/v);(ii)メチルノネン酸95%+n−ヘキサン5%;(iii)オレイルアルコール20%+プロピレングリコール80%;(iv)メチルノネンアルコール94%+ジメチルアセトアミド5%+Brij−35の1%である。カプサイシンは、高親油性で水をほとんど吸収しないこれら処方物中で長期間安定であると期待される。例示のためであって制限のためではない、さらなる例示的な溶媒系を表6に示す。
【0101】
溶媒系が二つ以上の浸透増強剤を含む場合、ときどき浸透増強剤の一つが混合物中に圧倒的に多くなる場合がある。例えば、本発明の実施態様において、溶媒系中圧倒的に多い浸透増強剤と、他の浸透増強剤の合計との比率は少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、少なくとも約8:1、少なくとも約9:1(v/v)、または少なくとも約20:1である。一実施態様において、圧倒的に多い浸透増強剤はジエチレングリコールモノエチルエーテルである。一実施態様において、圧倒的に多い浸透増強剤はメントンである。
【0102】
例示的な浸透増強剤としては、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、カプリルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エトキシジグリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサントリオール2−ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、吉草酸、ヘプタン酸、ペラゴン酸、カプロン酸、イソ吉草酸、ネオペンタン酸、トリメチルヘキサン酸、ネオデカン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸、ネオノナン酸、イソプロピルn−デカノエート、イソプロピルパルミテート、オクチルドデシルミリステート、エチルアセテート、ブチルアセテート、メチルアセテート、イソプロピルn−ブチレート、エチルバレレート、メチルプロピネート、ジエチルセバケート、エチルオレエート、イソプロピルn−ヘキサノエート、イソプロピルミリステート、尿素、ジメチルアセトアミド、ジエチルトルアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルオクタミド、ジメチルデカミド、1−ヘキシル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−アルキル−4−イミダゾリン−2−オン、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1−ラウリル−2−ピロリドン、1−ヘキシル−4−カルボキシ−2−ピロリドン、1−メチル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、1−ラウリル−4−メトキシカルボニル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、デシルメチルスルホキシド、N−ココアルキルピロリドン、N−ジメチルアミノプロピルピロリドン、N−獣脂アルキルピロリドン、N−シクロヘキシルピロリドン、1−ファネシルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルゲラニルアザシクロヘプタン−2−オン、−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリドンの脂肪酸エステル、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2−オン、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン(Azone(登録商標))、1−(3,7−ジメチルオクチル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘキサン−2−オン、1−(3,7,11−トリメチルドデシル)アザシクロヘプタン−2−オン、1−ゲラニルアザシクロヘプタン−2,5−ジオン、1−ファルネシルアザシクロペンタン−2−オン、ベンジルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、エタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン;ヘキサメチレンラウラミドおよびその誘導体、塩化ベンザルコニウム、ラウリン酸ナトリウム、硫酸ラウリルナトリウム;塩化セチルピリジニウム、クエン酸、コハク酸、サリチル酸、臭化セチルトリメチルアンモニウムサリチル酸、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウム;塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム;塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、スパン20、スパン40、スパン60、スパン80、スパン85、ポロキサマー231、ポロキサマー182、ポロキサマー184)、Brij 30、Brij 35、Brij 93、Brij 96、スパン99、Myrj45、Myrj51、Myrj52、Miglyol 840、グリコール、タウロコールナトリウム塩、レシチン、コール酸ナトリウム、デソキシコール酸、D−リモネン、α−ピネン、β−カレン、α−テルピネオール、テルピネン−4−オール、カルボール、カルボン、プレゴン、ピペリトン、イランイラン、メントン、アニス、ケノポジウム、ユーカリ、リモネンオキシド、α−ピネンオキシド、シクロペンテンオキシド、1,8−シネオール、シクロヘキセンオキシド、N−ヘプタン、N−オクタン、N−ノナン、N−デカン、N−ウンデカン、N−ドデカン、N−トリデカン、N−テトラデカン、N−ヘキサデカンおよび精油(例えば、ティートリー油)が挙げられる。
【0103】
以下に議論するように、一部実施態様において、溶媒系は水または他の賦形剤等、浸透増強剤以外の要素を含有してよい。一部実施態様において、浸透増強剤(溶媒系が唯一つの浸透増強剤を有する場合)または一緒にした浸透増強剤(溶媒系が二つ以上の浸透増強剤を含む場合)は溶媒系の少なくとも約20容量%を占める。しばしば、浸透増強剤は溶媒系の少なくとも約40容量%、しばしば溶媒系の少なくとも約50容量%、しばしば溶媒系の少なくとも約75容量%、しばしば溶媒系の少なくとも約80容量%、しばしば溶媒系の少なくとも約90容量%、しばしば溶媒系の少なくとも約95容量%、しばしば溶媒系の少なくとも約98容量%、ときどき溶媒系の少なくとも約99容量%、ときどき溶媒系の少なくとも約99.5容量%、およびときどき溶媒系の100容量%を占める。
【0104】
(5.1.2 溶媒系の他の成分)
本発明の一部実施態様において、溶媒系は、浸透増強剤または浸透増強剤の組合せ以外に液体成分(水、塩水等)を含有する。本発明の一部実施態様において、溶媒系は二相であり、TRPV1アゴニストは少なくとも一つの相に可溶性である。ある実施態様において、溶媒系は一相である。
【0105】
(5.2 TRPV1アゴニストおよび/または他の治療活性物質)
(5.2.1 TRPV1アゴニストの投与)
例示的なTRPV1アゴニストは上記で説明した(セクション3)。本発明の一部実施態様において、投与組成物はさらにTRPV1アゴニストと共に投与される一つ以上のさらなる治療活性物質を含有する。
【0106】
ここに開示の方法と組成物を用いて、カプサイシン等の治療有効量のTRPV1アゴニストを、慣用の処方物を用いて可能であるよりもさらに迅速に被験体に(例えば局所)投与することができる。カプサイシン仲介の治療的利益(皮膚または粘膜侵害受容器の密度の減少およびカプサイシン応答性条件および/またはそれらの特徴的な徴候の改善等)は、以前に考えられていたか、示されたよりものよりも低い濃度および/または短い時間でカプサイシンを投与することにより達成することができる。一部適用のために、比較的高い濃度を短時間使うことが望ましいであろうし、他の場合では低濃度を用いることに利点があろう。組成物中のTRPV1アゴニストの濃度は、特定のTRPV1アゴニスト、使用される溶媒系および所望の結果に基づき、0.05〜60%w/vの範囲であってよい。
【0107】
一部実施態様において、本発明組成物中のTRPV1アゴニストの濃度は約1%(w/v)〜約40%、約5%〜約25%、約10%〜約20%の範囲、または約15%である。
【0108】
一部実施態様において、TRPV1アゴニストの濃度は約3%(w/v)未満である。一部実施態様において、本発明組成物中のTRPV1アゴニストの濃度は約0.001%〜約20%、約0.05%〜約20%、約0.1%〜約10%、または約0.1%〜約5%の範囲である。一実施態様において、TRPV1アゴニストの濃度は約3%未満である。他の例示的な範囲は約0.001%〜約0.09%、約0.001%〜約0.05%、約0.001%〜約0.5%、約0.01%〜約1%、約1%〜約5%、約1%〜約10%、約2%〜約7%、および約2%〜約5%である。多様な実施態様において、TRPV1アゴニストは、0.001%、0.010%、0.05%、0.1%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、7.5%または10%の下限および0.010%、0.05%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、7.5%、10%、20%、30%、40%、50%または60%の独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる濃度で存在する。
【0109】
一実施態様において、カプサイシン(またはカプサイシン類似体)は5%(w/v)未満、約3%未満、約2%未満、約1%未満または約0.5%未満の濃度である。
【0110】
通常、TRPV1アゴニスト濃度は、治療効果投与量のTRPV1アゴニストが被験体の皮膚に都合よく適用される容量(例えば、通常、1cmあたり約5μL〜50μL、しばしば1cmあたり約50μL、しばしば1cmあたり約25μL、しばしば1cmあたり約10μL、しばしば1cmあたり約5μL〜25μLまたは1cmあたり約5μLおよび10μL)で送達可能な濃度である。
【0111】
一実施態様において、本発明の組成物は2つ以上のTRPV1アゴニスト(例えば、2、3,4またはそれ以上のTRPV1アゴニスト)を含有する。一実施態様において、組成物はカプサイシンともう一つのTRPV1アゴニストを含有する。通常、組成物中の複数のTRPV1アゴニストが一緒になった濃度は0.05〜60%w/v、さらにしばしば0.05%〜10%、頻繁に0.1%〜15%、0.1%〜10%または1%〜10%である。一実施態様において、本発明の組成物は単一のTRPV1アゴニストを含む。一実施態様において、TRPV1アゴニストはカプサイシンである。
【0112】
(5.3 TRPV1アゴニスト以外の治療活性物質)
一部実施態様において、投与される組成物としては、TRPV1アゴニストと共に投与される一つ以上のさらなる治療活性物質(「TAA」)を含む。ここで用いられる治療活性物質との用語は、皮膚、目、または口または鼻粘膜への局所適用により被験体に投与することのできる生物学的に望まれる活性を有するTRPV1アゴニスト以外の物質をいう。典型的には、TAAは1000未満、しばしば500未満の分子量を有する。浸透増強剤、ビヒクル、溶媒等はTAAの例でないことが理解されよう。
【0113】
一実施態様において、TRPV1アゴニストと共投与されるさらなる治療活性物質は局所麻酔薬である。限定するものではない例示的な局所麻酔薬として、アセタミドオイゲノール、アルファドロンアセテート、アルファキサロン、アムカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェナミン、ブピバカイン、ブレタミン、ブタカイン、ブタベン、ブタニリカイン、ブタリタール、ブトキシカイン、カルチカイン、2−クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペラドン、ダイクロニン、エクゴニジン、エクゴニン、エチルアミノベンゾエート、塩化エチル、エチドカイン、エトキサドロール、β−オイカイン、オイプロシン、フェナルコミン、ホモカイン、ヘキソバルビタール、ヘキシルカイン、ヒドロキシジオン、ヒドロキシプロカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp−アミノベンゾエート、ケタミン、ロイシノカインメシレート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、メトヘキシタール、塩化メチル、ミダゾラム、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタザイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェンシクリジン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパニジド、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポフォール、プロポキシカイン、シュードコカイン、ピロカイン、リソカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、チアルバルビタール、チミラール、チオブタバルビタール、チオペンタール、トリカイン、トリメカインおよびゾラミン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0114】
他の実施態様において、TRPV1アゴニストと共投与されるさらなる治療活性物質は局所麻酔薬以外のものである。例であって限定するものでないが、TAAはステロイド、非ステロイド系抗炎症医薬(例えば、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルビプロフェン、ナプロキセン、ケトロラックおよびジクロフェナク)、オピオイド麻酔剤(例えば、フェンタニルおよびブプレノルフィン)、抗腫瘍性物質(例えば、5−フルオロウラシル)、または多様な他の医薬であってよい。一般的に、TAAは局所(例えば、皮膚)投与が望まれる物質である。
【0115】
組成物中のTAAの濃度は、特定のTAAおよび用いられる溶媒系に依存して、0.05〜60%w/vの範囲であってよい。組成物中のTAAの濃度は通常は約0.05%〜約10%の範囲、しばしば約0.1〜約10%の範囲、最も頻繁には約0.1〜約5%の範囲である。通常、その濃度は、TAAの治療効果量が被験体の皮膚に便利に適用される容量(例えば、通常約0.05mL〜10mL、さらにしばしば約0.1mL〜5mL、さらにしばしば約0.25mL〜1mLの容量)で送達可能な濃度である。
【0116】
多様な実施態様において、TRPV1アゴニストは、0.001%(w/v)、0.010%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、7.5%または10%の下限および0.001%、0.010%、0.05%、0.1%、0.5%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、7.5%、10%、20%、30%、40%、50%または60%の独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲の濃度にあり、局所麻酔薬は、0.1%、0.5%、1%または2%の下限および0.5%、1%、2%、5%または10%の独立して選択された上限(但し、上限は下限よりも高い)により範囲付けられる範囲の濃度にある。ある実施態様において、局所麻酔薬はテトラカインである。通常、TRPV1アゴニストと他のTAAとの組み合わせられた濃度は0.05〜60%w/v、さらにしばしば0.05〜10%、頻繁には0.1%〜10%の範囲にある。
【0117】
(5.4 TRPV1アゴニスト以外の治療活性物質の投与)
本発明の関連する側面において、TRPV1アゴニスト以外の治療活性物質は、本発明の投与組成物に関してここのいずれかの箇所で記載されたように溶媒系を含む組成物として投与される。よって、TAA組成物は下記のものを有する:
1.少なくとも一つの浸透増強剤を含む、TAAが可溶である溶媒系;
2.一つ以上のTAA;
3.存在する場合、該組成物の5%(w/v)を超えないさらなる成分。
【0118】
好ましい実施態様において、溶媒系は高い濃度、例えば、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、少なくとも約99.5%または100%の浸透増強剤を有することを特徴とする。
【0119】
本組成物を用いて投与することのできる例示的なTAAとしては、上記セクション5.2に挙げられたものがあり、典型的には局所(例えば、皮膚)投与が望まれる物質であり、しばしば投与の部位と非常に近い部位で働く医薬(例えば、局所麻酔薬)である。
【0120】
(5.5 投与組成物の他の成分)
さらに、組成物は安定剤、pH調節剤、着色料および香味または他の化合物を含有してもよい。これらの成分は組成物の約5%(w/v)未満、さらにしばしば約2%未満、そしてしばしば組成物の約1%未満または約0.5%を占める。
【0121】
組成物に有用な安定剤としては、安定な組成物を確保する助けとなり(例えば、粘度の経時的な維持、経時的なpHの維持、または純度、外見、均一性および/または色の経時的な維持)、および/または細菌または他の微生物の生育を阻止し、および/または加水分解、酸化、熱分解または光分解に対するアゴニストまたは他の治療活性物質の化学的安定性を維持する材料が挙げられる。例示的な安定剤としては、抗酸化剤、キレーター、保存剤(例えば、エデト酸二ナトリウム、ベータ−カロテン、トコフェロール、ベータトコフェロール、トコフェロールアセテート、オクチルガレート、アスコビルパルミテート、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン);抗微生物剤(すなわち、処方物中の微生物負荷の形成を減少または防止するのに効果的な任意の化合物、例えば、パラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、メチルサリチレート、フェネチルアルコールおよびレゾルシノールを含む);および他の物質(例えば、米国特許第6,013,270および6,390,291号を参照)が挙げられる。
【0122】
(5.6 通常必要とされずに、ときどき除外されるか、またはごく少量存在する任意の物質)
局所投与される物質はしばしば中〜高粘度形(例えば、ゲル、ローションまたはクリームとして)または局所または経皮膚パッチにより投与される。本発明の一部実施態様において、本発明の組成物は、すべてまたはほとんど(すなわち、全投与量)の治療物質が持続的な期間にわたって投与されるよりも、投与部位(例えば、皮膚、粘膜または上皮表面)で利用可能な「即時放出組成物」である。一部実施態様において、組成物は低粘度組成物である(すなわち、TRPV1アゴニストは低粘度組成物中で送達される)。この文脈で用いられる低粘度組成物は、皮膚に投与する前に測定した場合、もしくは32℃(皮膚温度)で測定した場合に、約5000センチポイズ(cps)未満、ときどき約1000cps未満、約500cps未満、約100cps未満、約50cps未満、約40cps未満、約20cps未満または約10cps未満の粘度を有する組成物である。粘度は標準的な方法により、例えば、円錐&板粘度計または同軸シリンダー粘度計を用いて測定することができる。経皮膚パッチ(例えば、リザーバー、マトリックスおよびマイクロリザーバーパッチ)が医薬送達のために広く用いられ、一般的に閉塞性および/または粘着性デバイスである。さらに、パッチにより送達される組成物は本来「徐放性」組成物である。閉塞性パッチデバイスを用いない治療物質の投与は「非閉塞性」投与または接触と呼ばれる。皮膚粘着性装置を使用しない治療物質の投与は、「非粘着性」投与または接触と呼ばれる。徐放性機構を使用せずに投与される治療物質は「即時放出」組成物と呼ばれる。本発明のある実施態様において、TRPV1アゴニストは経皮膚パッチデバイスを使用せずに、および/または閉塞性物質をもちいずに、および/または接着剤を用いずに、および/または「即時送達組成物」として送達される。一実施態様において、投与組成物のTRPV1アゴニストは受動的に(すなわち、入る際の速度を高める閉塞性物質を使用することなく)組織に入る。
【0123】
よって、本発明の一部実施態様において、投与組成物は粘度を上げるため、または長期間にわたる局所投与物質の皮膚表面への接触を維持するために局所投与用組成物に一般的に加えられるか、および/または限定された領域への適用を容易にする流動性を改良するために加えられる物質を含まず、またはそのような物質が存在したとしても非常に低い量(例えば、約3%(w/v)未満、約1%未満、通常約0.5%未満、もっとも普通には0.1%未満)でのみ存在する。例えば、一部実施態様において、エチルセルロースを仮に含ませた場合、1%未満、さらに通常は0.5%未満、もっとも普通には0.1%未満または0.05%未満の濃度で含ませられる。
【0124】
よって、一部実施態様において、投与組成物は非常に低い粘度を有し、増粘剤およびゲル化剤、例えばアルケン共重合体(例えば、ブチレン−エチレン−スチレン共重合体またはエチレン−プロピレン−スチレン共重合体)、架橋ポリアクリレート重合体、カルボン酸重合体、ポリアクリルアミド重合体、アクリル酸/酢酸エチル共重合体、カルボキシビニル重合体、CarbopolTM樹脂(ポリアリルスクロースまたはポリアリルペンタエリスリトール等の架橋剤と架橋されたアクリル酸のコロイド性水溶性ポリアルケニルポリエーテル架橋ポリマー)、アカシア、寒天、アルギン酸、モノステアリン酸アルミニウム、アタパルガイト(活性化またはコロイド活性化)、ベントナイト、精製ベントナイト、ベントナイトマグマ、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム12、カラギーナン、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、ゼラチン、グアーガム、ヒアルロン酸、ヒドロキリエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチエレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポビドン、アルギン酸プロピレングリコール、二酸化ケイ素、コロイド性二酸化ケイ素、粘性シリコーンオイル(>5000cps)、シリコーン系ゲル、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、キサンタンガム、およびケイ酸アルミニウムを含まないか、または実質的に含まない(この文脈においては0.1%(w/v)未満を意味する)。
【0125】
(5.7 投与組成物の形)
本発明の一部実施態様において、投与組成物は被験体(例えば、ヒト患者)への投与に適する形である。一実施態様において、組成物は単位投与形または多単位投与形で提供される。ここで用いる単位投与形とは、治療を必要とする単一被験体に対する単一投与に適する投与組成物の量を意味し、多単位投与形とは多投与(例えば、通常2〜10投与、さらに普通は2〜5投与、さらにより普通には2〜4投与、最も普通には2または3投与)に適する投与組成物の量を意味する。単位投与形および多投与形は、一つ以上のバイアルまたは類似の容器中の液体溶液形でよい。典型的には、各バイアルの含量は0.1mL〜100mL、さらにしばしば0.5〜50mL、さらにしばしば1〜10mLであろう。一部実施態様において、単位投与量または多単位投与量はシリンジ、点滴注入器、ピペットまたは他の液体送達デバイスに含ませる。一部実施態様において、単位投与量または多投与量はスプレーまたはエアゾール送達デバイスに含ませる。一部実施態様において、単位投与量または多投与量はシリンジに含ませる。一部実施態様において、単位投与量または多投与量は、投与組成物を含浸させたペーパータオルまたは他の吸収物質の形を持つ。一実施態様において、各単位投与量または多投与量は保存および/または輸送に適する包装物に個々に包装される。
【0126】
(6.投与組成物と溶媒系の性質)
このセクションでは、本発明の実施に用いてよい特定の投与組成物のさらなる性質を説明する。これらの性質は、アゴニストの特定の種類と濃度により最適化された使用のため、浸透増強剤と他の組成物成分の組合せを選択する際に使用してよい。しかし、本発明の有用な組成物は以下に説明するすべての例示的性質を有する組成物に限定されるものではない。
【0127】
(6.1 投与組成物および溶媒系はTRPV1アゴニストが可溶性である液体溶液であってよい)
上記のように、TRPV1アゴニストは、特定のアゴニスト、存在する他のTAA、組成物の目的および所望の投与量にしたがって変動する量と濃度で溶媒系に溶解する。しかし、好ましい実施態様においては、本発明において、TRPV1アゴニストは溶媒系中で完全に溶液である(例えば、溶媒系中、TRPV1アゴニストの飽和限度よりも低い量で存在する)ことが理解される。アゴニストが調製後に室温または皮膚温度で溶液であり続けるかぎり、攪拌、加熱、超音波処理等を用いてアゴニストを溶液としてもよい。
【0128】
本発明の組成物は、組成物中に溶かした(およびしばしば組成物の溶媒系成分に溶かした)実質的にすべてのTRPV1アゴニストを有し、アゴニストの実質的に懸濁または未溶解の粒子を含まない均一な溶液であってよい。本発明は濁り度の特定の最大レベルだけを示す組成物に限定されないが、当業者は一般に濁り度は最小であるということを理解しよう。
【0129】
(6.2 組成物は薄いフィルムとして適用してよい)
本発明の一部の組成物は、薬理学的作用を達成するために、閉塞、バイオ接着剤または他の接着剤またはデバイスを必要としない薄い均一フィルムとして適用することができる。処方物は、薄いフィルム中の液体を塗布するために意図される綿棒、塗布パッド、シリンジスプレダーまたは類似のデバイス等の物理的機械的手段により適用してよい。本発明の投与化合物は1cmあたり約10μL、ときどき1cmあたり20〜30μLまでの範囲の投与量で皮膚に局所投与されるので、これらの適用は結果として約100〜300μmの組成物フィルム厚となる。
【0130】
一般的に、本発明の組成物は少なくとも約5μl/cm適用領域(例えば、皮膚または粘膜表面)、しばしば少なくとも約7.5μl/cm適用領域、少なくとも約10μl/cm適用の液体容量で適用される。
【0131】
組成物は、ミクロ皮膚表面の凹凸に吸収され、体の形により流れる低粘性の均一な液体の薄い層をもたらす。液体の局所適用により与えられる範囲、湿潤する固有の輪郭は、低粘度液体の流動学的ならびに熱力学的性質のために最大表面露出を可能とする。組成物は、最初の湿潤光沢とその後の徐々に起こる消失等の期待される挙動を示す。薄いフィルムとしての適用は、非常に短い適用時間で皮膚に沈着する処方物の能力に寄与し得る。
【0132】
(6.3 組成物は適用後に迅速に消失し得る)
本発明の一部組成物は、適用後に皮膚表面からの迅速で実質的に完全な消失により特徴付けられる。一実施態様において、例えば、組成物は、皮膚面積の1cmあたり約5μLまたは10μLの皮膚(例えば前腕)適用後(例えば25cmあたり250μL)、約30分以内(およびさらに普通には15分以内、10分以内、しばしば約5分以内、しばしば約2分以内およびときどき1分以内)に実質的に消失(例えば、吸収および/または蒸発)する。「実質的に消失する」とは、局所適用された組成物の大部分(通常少なくとも約75%、少なくとも約90%または少なくとも約95%)が、角層を経て皮膚の表皮または真皮に吸収されることにより、および/または蒸発プロセスにより消失する(これは例えば、適用の表面部位から消失、例えば触ってみると皮膚表面が乾燥感していることにより評価するか、他の定量的または定性的方法により評価する)。一実施態様において、この消失は主にまたは完全に吸収による(例えば、局所適用された組成物の大部分または少なくとも約75%が吸収により消失した)。もう一つの実施態様において、消失は主にまたは完全に吸収による。ある実施態様において、組成物の少なくとも約5μLが約15分以内に皮膚または他の処置領域の各1cmに送達(吸収)される。
【0133】
(6.4 組成物の浸透速度は蒸発速度よりも高くてもよい)
本発明のいくつかの組成物は蒸発速度よりも高い浸透速度を有することを特徴とする。ここで用いられる「浸透速度」との用語は組成物が角層の障壁を透過し、皮膚に吸収される際の速度をいう。ここで用いられる「蒸発速度」との用語は処方物の成分が液体形から気体形へと相変化する速度をいう。組成物の蒸発速度が浸透速度よりも高い場合、顕著なアゴニストが皮膚表面に残ることが特に起こりやすい。別の言い方をすれば、組成物の蒸気圧が高く、よってその蒸発速度が経皮膚浸透を超える場合、治療物質のかなりの残渣が皮膚表面上に残留析出物として残り得る。
【0134】
組成物の相対的な浸透速度と蒸発速度は、B. W. Kemppainen and
W. G. Reifeinrath in METHODS FOR SKIN ABSORPTION, CRC Publication 1990に記載の方法等の多様な方法により測定してよい。蒸発/浸透分析系はLaboratory Glass Apparatus, Inc. Berkeley, CAから得ることができる。
【0135】
(7.組成物の製造方法)
本発明の組成物は慣用の技術を用いて作ることができる。材料はどのような順序で組み合わせてもよい。ある形の組成物の例示的な調製方法を以下に示す。
【0136】
一実施態様において、成分は、ヒト被験体の投与に適する物質を用いて米国食品医薬局のすべてのGood Manufacturing Practice (GMP)規則に完全に合致するように作られ、処方される。
【0137】
(8.高い流動速度適用)
もう一つの側面において、本発明は、TRPV1アゴニストを含む組成物を、該アゴニストが角層を高い流動速度で通過する条件下に局所適用することにより被験体中のカプサイシン応答条件を治療する方法を提供する。高い流動速度で投与されると、神経線維のカプサイシンへの迅速な暴露および/または表皮または皮膚でのカプサイシンの迅速な蓄積が機能的皮膚侵害受容器密度の実質的な減少をもたらす。
【0138】
流動速度とは障壁(例えば、角層)を経る化合物(例えば、TRPV1アゴニスト)の移動をいい、重量/領域/単位時間(例えば、μg/cm/10分)の単位を有する。
【0139】
この文脈で用いられる「高い流動速度」とは少なくとも約10μg/cm/15分、好ましくは少なくとも約10μg/cm/10分、さらに好ましくは少なくとも約20μg/cm/15分、またはさらに好ましくは少なくとも約35μg/cm/15分または少なくとも約35μg/cm/10分、およびときどきはさらに少なくとも約50μg/cm/15分、少なくとも約75μg/cm/15分、または少なくとも約100μg/cm/15分の流動速度を意味する。「高い流動速度」とは少なくとも約1μg/cm/分、好ましくは少なくとも約2μg/cm/分、少なくとも約3.5μg/cm/分、少なくとも約5μg/cm/分、好ましくは少なくとも約7.5μg/cm/分、または少なくとも約10μg/cm/分の流動速度を意味する。
【0140】
一実施態様において、本発明は、TRPV1アゴニストを5%(w/v)未満、通常約3%未満、しばしば約1%以下、しばしば約1%未満、しばしば約0.5%未満であり、ときどき約0.1または0.05%未満の濃度で含有する組成物を、アゴニストが角層を高い流動速度で浸透する条件下に局所適用することより被験体中のカプサイシン応答条件を治療する方法を提供する。
【0141】
一実施態様において、本発明は、TRPV1アゴニストを高い流動速度で含有する組成物を局所適用することより被験体中のカプサイシン応答条件を治療する方法において、該投与は約45分未満、好ましくは約30分未満、しばしば約15分未満、ときどき約10分以下、またはさらに5分未満である方法を提供する。ある実施態様において、投与される組成物は、カプサイシンを5%(w/v)未満、通常約3%未満、しばしば約1%以下、しばしば約1%未満、しばしば約0.5%未満およびときどき約0.1または0.05%未満の濃度で含む。
【0142】
一実施態様において、本発明は、TRPV1アゴニストを高い流動速度で含有する組成物を局所適用することより被験体の局所領域の機能的皮膚侵害受容器密度を実質的に減少させる方法において、該投与は約45分未満、好ましくは約30分未満、しばしば約15分未満、ときどき約10分以下、またはさらに約5分未満である方法を提供する。ある実施態様において、投与される組成物は、TRPV1アゴニストを5%(w/v)未満、通常約3%未満、しばしば約1%以下、しばしば約1%未満、しばしば約0.5%未満、ときどき約0.1未満、およびときどき約0.05%未満の濃度で含む。
【0143】
(9.組成物の投与)
(9.1 投与の持続時間)
投与の目的および/または対象とする条件にしたがって、本発明の組成物の投与は、神経線維機能性の減少、皮膚感受性の変化、疼痛の軽減、および他の有益な効果等の多様な有益な効果を有しえる。意外にも、これらの有益な効果は通常組成物の比較的短い暴露により達成することができる。例えば、有益な効果をもたらすのに十分な投与時間は通常1時間以内、さらにしばしば30分未満、ときどき約15分未満およびときどき約10分未満、ときどき約5分以内、およびときどき約2分未満である。ここに開示された方法と組成物を用いれば、カプサイシン等の治療効果のある量のTRPV1を、被験体に、慣用の処方物を用いて可能であるよりもさらに迅速に、さらに高い量で局所投与することができる。
【0144】
一つの実施態様において、本発明は、本発明のTRPV1アゴニスト含有組成物を約45分間未満、通常、約30分未満、しばしば約15分未満、ときどき約10分以下、さらに約5分未満で局所適用することにより被験体の慢性の疼痛を減少する方法を提供する。一般的に、一回または二回の投与が持続する軽減を提供するのに十分である。
【0145】
ここで用いられる投与時間とは組成物の被験体への(例えば、皮膚への噴霧により、浸漬等による)最初の適用と、(1)(例えば、浸漬した体の部分を槽から出す、塗布デバイスを皮膚からはずす等による)終わりの接触;(2)組成物と接触した領域を(例えば、下記のセクション10に記載のように洗浄溶液を使用して)洗浄した残留アゴニストの完全な除去;または(3)組成物が(例えば、皮膚への吸収、蒸発、または両者の組合せにより)適用の部位から完全に消失した時点との間に経過した時間ということができる。
【0146】
(9.2 皮膚への投与)
本発明の組成物は、多様な方法およびデバイスを用いて皮膚へ(もしくは粘膜へ)適用してよい。例えば、組成物はこれらに限定されないが、スポンジ、エアゾール、スプレー、ブラシ、綿棒または他の塗布具を用いて投与してよい。一実施態様において、塗布具は、定量噴霧エアゾール、貯蔵エネルギー定量噴霧ポンプまたは手動の定量噴霧ポンプ等の固定または可変定量適用を提供する。ある実施態様において、塗布デバイスは使用者が塗布デバイス内の組成物の量を決定するのを助ける測定指標を有する。
【0147】
一実施態様において、塗布具は非閉塞である。一実施態様において、塗布具は皮膚に付着せず、および/または接着性でない。一実施態様において、塗布具はパッチデバイスではない。一実施態様において、塗布具はパッチデバイスであり、群ブタンジオール、ジプロピレングリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリおよびジエチレングリコールのカルボン酸エステル、炭素数6〜18のポリエトキシル化脂肪アルコール、2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコールモノエチルエーテルまたは2,2−ジメチル−4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソランから選択される浸透増強剤を含有しない。
【0148】
一側面において、本発明は、(1)ここに記載の投与組成物と(2)処方物を皮膚または粘膜表面に適用するための塗布デバイスを有するカプサイシン応答性条件を治療するためのシステムを提供する。一実施態様において、塗布デバイスは組成物に前充填されている。一実施態様において、投与組成物はデバイスとは別個の容器に含まれる。
【0149】
(9.3 注入)
一実施態様において、投与組成物は注入により投与される。この文脈において用いられる注入とは、注射以外の方法により組成物を皮膚以外の体の部分に導入することを意味する。注入の例としてはカテーテルによる膀胱への導入、スプレーによる鼻腔への導入、尿道への注入、および外科的傷(例えば、疼痛を治癒または防止するために)への注入である。
【0150】
(9.4 注射による投与)
本発明の一部実施態様において、ここに記載の処方物は注射により投与される。例えば、注射法を使って、TRPV1アゴニストを被験体中の特定の神経幹、組織または他の部位に送達し得る。有利には、本発明の投与組成物は大量のTRPV1アゴニストを小さい投与容量で送達することである;小さい投与容量は減少した疼痛や減少した組織損傷を確保し、健康管理提供者には便利である。さらに、本発明の一部投与組成物に関して皮膚で見られる実質的な沈着効果を見ると、組成物は注射された場合に注射領域に沈着し、TRPV1アゴニストの低いレベルの全身性暴露をもたらしながら、高い局所濃度を提供することが期待される。TRPV1アゴニストの神経幹への注射を用いて、末端侵害受容性神経線維から入ってくる求心性疼痛シグナルをブロックすることにより、神経病痛症候群を有する患者に利益性を提供する(Pertovaara, 1988, “Collateral sprouting of nociceptive C−fibers after cut or capsaicin treatment of the sciatic nerve in adult rats” Neurosci Lett. 90:248−53)。別の例において、TRPV1アゴニストの前立腺組織への注射を用いて、前立腺起源の癌細胞を選択的に殺すことにより前立腺癌を制御することができる(Morre et al., 1997, “NADH oxidase activity from sera altered by capsaicin is
widely distributed among cancer patients” Arch Biochem Biophys 342:224−30; Szallasi et al., 2001, “Vanilloid receptor ligands: hopes and realities for the future” Drugs Aging. 18:561−73; Surh, 2002, “Anti−tumor promoting potential of selected spice ingredients with antioxidative
and anti−inflammatory activities: a short review” Food Chem Toxicol. 40:1091−7;
Van der Aa et al., 2003, “Interstial cells in the human prostate: a new therapeutic target? Prostate 56:250−5”)。
【0151】
(9.5 マイクロエマルジョンとしての投与)
一実施態様において、投与組成物がマイクロエマルジョンの形で適用もしくは注入される。一実施態様において、マイクロエマルジョンは膀胱に注入(導入)される。
【0152】
(9.6 他の投与形)
他の投与方法が知られているということは当業者には明らかであろう。すべての適当な方法が本発明で意図され包含される。他の投与形は液体充填マイクロスフェア(例えば、米国特許第5716643;米国特許第6264988)、リポソーム、他の中空のベシクル、シクロデキストリン、ミセルゲルまたは生物侵食可能なゲルを使用する投与が挙げられる。
【0153】
(10 残留TRPV1アゴニストの除去)
一つの特徴において、本発明は表面(例えば、皮膚)をTRPV1アゴニストに接触させて神経線維機能を減少させ、および/またはカプサイシン応答性状態を治療した後に残留アゴニストを表面から除去する工程からなる方法を提供する。ある実施態様において、残留するアゴニストは洗浄により除去される。異なる実施態様において、アゴニストが可溶性である洗浄組成物を適用して、洗浄組成物を除去することにより残留アゴニストを除去する。例示のためであり、限定するものではないが、適当な化合物は60〜約99パーセント(w/w)ポリエチレングリコールを含有する水性ゲル等のポリエチレングリコール(PEG)系組成物であってよい。ある実施態様において、洗浄剤は、PEG−300(89.08%)、ポリアクリレート増粘剤、例えばCarbopol 1382TM(1.0%)、ブチル化ヒドロキシアニソール(0.02%)、エデト酸二ナトリウム(0.1%)、残りが水からなる;ゲルは約6.5のpHである。例えば、PCT公告WO04021990A2の“Compositions and kits for the
removal of irritating compounds from bodily surfaces.”を参照されたい。
【0154】
所望なら、皮膚表面上の残留物として残るアゴニストの量を多様なアッセイのいずれかを用いて決定してよい。例えば、TRPV1アゴニストが可溶である溶媒による洗浄によるか、適用部位を綿棒で拭くことにより残留物を皮膚から除去でき、溶媒中または綿棒中のTRPV1アゴニスト重量、濃度または生物活性を測定することができる。この測定の適当な操作は当業者には明らかであろうし、科学文献を参照できる。例えば、Wang et al., 2001, Int J Pharm 14:89−104を参照のこと。ほとんどのアッセイで、皮膚表面上医薬の残留量の試料採取が行われる。サンプリングの一つの方法は特定の医薬物質に適する溶媒に軽く浸した外科グレードガーゼスポンジを用いて適用部位をふき取ることによる。このふき取りは、スポンジの各表面が縦の一拭きでわずかに一回露出されるように行われる。次にゲージスポンジを焼結ガラス漏斗に置き、十分なわかっている量の同じ溶媒(同じ知られた量がゲージを最初に浸すために用いられる)で洗浄する。得られた洗浄物を問題の医薬物質の定量測定に適する方法(クロマトグラフィー、UV分光分析または質量スペクトル分析)により分析する。例えば、M.
J. Shifflet and M. Shapiro Development of Analytical Methods to Accurately and Precisely Determine Residual Active Pharmaceutical Ingredients and Cleaning Agents on Pharmaceutical Surfaces, American Pharmaceutical Review; Summer 2002を参照されたい。サンプリングの別法は、Nanji A. et al. 1987, J Toxicol. Clin Toxicol. 25:501−15(吸引プローブを用いて試料を集め、次にこれら試料を直接に熱脱着による質量分析計にかけたことを記載)に記載されている。
【0155】
(11.キットとデバイス)
一側面において、本発明は、(1)本発明の投与組成物と残留アゴニストを適用表面(例えば、皮膚表面)から除去する物質を含むキットを提供する。一実施態様において、キットはPCT公告WO04021990A2に記載のようなPEG系洗浄ゲルを含有する。
【0156】
さらに、本発明のキットは麻酔剤、薬品耐性のある使い捨てバック、洗浄組成物を適用するための塗布具、洗浄ゲルを除去するためのタオルまたはペーパータオル、手袋、眼球保護、ハサミ、マーキングペンおよび付加的な体表面洗浄剤、例えばアルコール綿棒を含んでよい。一実施態様において、麻酔剤はリドカインである。
【0157】
一側面において、本発明は(1)本発明の投与組成物および(2)組成物を送達するための材料またはデバイスを含むキットを提供する。ある実施態様において、組成物は、デバイスとは別の容器に含ませる。一実施態様において、塗布デバイスはスポンジ、ブラシまたは綿棒である。
【0158】
(12.例示的な効果)
本発明のTRPV1アゴニストの適用は多様な有益な生理学的および/または治療効果をもたらし、その例のいくつかを以下に説明する。
【0159】
(12.1 機能的侵害受容性神経線維の密度の減少)
上記のように、一側面において、本発明はTRPV1アゴニストと一つ以上の浸透増強剤を含む溶媒系とを含む組成物(すなわち、ここに記載の投与組成物)を被験体の選択された領域と接触させることにより、該領域の機能的侵害受容性神経線維の密度を低減(すなわち、神経線維機能性、NFFの低減)させる方法を提供する。
【0160】
本発明の一部実施態様において、該領域を投与組成物に特定時間接触させることは密度の実質的な減少をもたらす。機能的侵害受容性神経線維の密度または数の「実質的な減少」とは、未処置(対照)領域または被験体に比較して、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約28%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、およびときどき少なくとも約80%の減少を意味する。下記の実施例2と3を参照されたい。一部実施態様において、特定時間は約10、15、20、30または45分以内である。
【0161】
機能的侵害受容性神経線維の密度または数とは多様な方法により決定することができる。特に有用な方法は、Nolano et al., 1999, J Neuroscience 81:135−45に記載されたタンパク質遺伝子産物9.5(「PGP9.5」)に対する免疫染色である。Kennedy et al., 1996, “Quantitation of epidermal nerves in diabetic neuropathy” Neurology 47:1042−48も参照されたい。PGP9.5染色の減少はNFFの減少を示す。神経繊維の機能的または構造的不活性化を測定する他の方法はサブスタンスP免疫染色、カルシトニン関連遺伝子産物免疫染色、S100免疫染色、ニューロフィラメントタンパク質に関する免疫染色および例えば抗TRPV1レセプター抗体を用いるTRPV1レセプターの免疫染色が挙げられる。免疫染色の分析は通常はTRPV1アゴニストの投与の2〜7日後に行われる。多様な実施態様において、神経線維密度は組成物投与の2、3、4、5、6または7日後に測定する。一実施態様において、機能的侵害受容性神経線維の密度はTRPV1アゴニスト投与の7日後に測定する。もしくは、免疫染色以外の方法を用いて皮膚侵害受容器の密度を評価することができる。
【0162】
実施例2および3はカプサイシンまたはレシニフェラトキシンの局所適用後のNFFに関するアッセイを示す。TRPV1アゴニストへの暴露は表皮および真皮の数えられる神経線維の数の明らかな減少もしくはこれら神経線維出現の変化のいずれかを導き得る。PGP9.5免疫アッセイを用いてNFFをモニターする場合、正常な形態学的外見を持つPGP9.5陽性神経細胞のみが数えられる。末梢神経障害により侵された皮膚領域は、小直径神経線維(侵害受容器)の非定型の膨潤、静脈瘤様腫脹または分割により特徴付けられる(例えば、McArthur et al., 1998, “Epidermal nerve fiber density: normative reference range and diagnostic efficiency” Arch
Neurol. 55:1513−20; Herrmann et al., 2004, “Epidermal nerve fiber density, axonal swellings and QST as predictors of HIV distal sensory neuropathy” Muscle Nerve. 29:420−7を参照のこと)、侵害受容器形態の類似の変化は局所カプサイシンに対する皮膚の暴露後に起こると考えられる。皮膚の1mmあたりの神経線維数を数える際に、正常な形態学的外見を持つ神経線維のみを数える。さらに、いかなる皮膚部分においても実質的に多数の神経線維が、正常な外見を持つ繊維を数えることができない程度に膨潤または静脈瘤様腫脹を持つ場合、その部分は0神経線維の値を割り当てる。
【0163】
(12.2 神経病痛の持続的な減少)
一側面において、本発明は、投与組成物の神経病痛を有する被験体への適用が症状(例えば、疼痛)の継続または持続する減少をもたらす方法を提供する。一部のケースで、一回または二回の投与が継続する軽減(すなわち、少なくとも約4週間、好ましくは少なくとも約8週間の軽減)を提供するのに十分である。
【0164】
(12.3 TRPV1アゴニスト投与後の皮膚感受性の減少(QSTアッセイ))
侵害受容性神経線維は、普通は暖かいか、冷たい熱的刺激に応答する。よって、熱的閾値の変化は減少した侵害受容器機能を示し、NFFを測定するために用いることができる。NFFの「実質的な減少」は熱的閾値の変化として検出することができる。定量的感覚試験(QST)は、病気またはTRPV1アゴニストに対する暴露のいずれかのために、熱的閾値の変化を検出することために用いることができる(Bjerring et al., 1989, “Use of a new argon laser technique to evaluate changes in sensory and
pain thresholds in human skin following
topical capsaicin treatment” Skin Pharmacol. 2:162−67)。QSTの方法は科学文献によく確立されており、当業者には広く知られている(Siao et al., 2003, “Quantitative sensory testing” Phys Med Rehabil Clin N Am. 14:261−86)。例えば、12℃に前冷却された金属ローラー(Therrell device, Somedic Production AB, Sollentuna, Sweden)により作られる冷感覚を検出する低減能力を測定することができる。多様な実施態様において、熱的閾値の変化は、未処置(対照)領域または被験体に比較して少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約28%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、ときどき少なくとも約50%である。
【0165】
(12.4 苦痛の減少したTRPV1アゴニストの投与)
カプサイシンの投与は強烈な焼けるような疼痛を生じることが一般的に知られている。比較的低い濃度のカプサイシンの適用でさえ多くの患者には耐えられない疼痛をもたらす。この理由から、カプサイシンは鎮静剤の投与後または投与時に投与してよい。
【0166】
驚くことに、本発明の方法と組成物を用いるTRPV1アゴニストの迅速な投与が、非常に低い濃度のカプサイシを含有する慣用のカプサイシン処方物の投与よりも低い疼痛または苦痛を生じることが発見された。実施例4は、驚くべきことに、10%w/vのカプサイシン液体処方物が、ラットの陰門に投与した場合に、Zostrix(登録商標)クリーム(Zostrix(登録商標)クリームは市販の0.075%カプサイシン処方物である)よりも統計的に有意な(p≦0.1)低い疼痛の応答を生んだことを示している。同様に、実施例5はジエチレングリコールモノエチルエーテル中の10%カプサイシン液体処方物の局所投与が、市販の店頭売買の低濃度(0.1%)カプサイシンクリームの局所投与よりも90分の観察時間にわたって低い侵害防御挙動を生じることを示唆する。
【0167】
本発明の方法を用いて、中程度(>1%)高い(3>%)およびさらに非常に高い投与量のカプサイシンを鎮静剤の前処置または同投与の必要性なしに患者に投与することができることが企図される。さらに、鎮静剤がTRPV1アゴニストへの暴露前、暴露間または暴露後に用いられる場合、少ない量の鎮静剤または鎮静剤に対する短い暴露が苦痛に対する同じ効果を達成するために必要となるだろう。よって、一つの側面において、本発明は、本発明の組成物を用いて、鎮静剤の必要なしに、カプサイシン等のTRPV1アゴニストを1%(w/v)よりも高い、2%よりも高い、3%よりも高い、4%よりも高い、5%よりも高い、または6%よりも高い濃度で投与する方法を提供する。
【0168】
(13.TRPV1アゴニスト含有する組成物の治療的使用)
このセクションは本発明の組成物の使用を説明する。しかし、このセクションの実施例は例示のために提供されるのであって限定のためではないことが理解されよう。上記のように、カプサイシン適用は数多くの治療的利点があり、その各利点が本発明の方法を用いて効果的に処理されうる。TRPV1アゴニスト処理が示し得る状態として、神経病の疼痛(糖尿病ニューロパシー、ポストヘルペス神経痛、HIV/AIDS、外傷性傷害、複合領域痛症候群、三叉神経痛、先端紅痛症および幻想痛と関連する疼痛が挙げられる)、混合侵害受容性および/または神経病性の混合病因(例えば、癌)により作られる疼痛、変形性関節症、線維筋痛症、腰痛、炎症性痛覚過敏症、外陰部膣前庭炎(vulvar vestibulitis)または慢性外陰病変、サイナスポリープ間質性膀胱炎、神経原性または過活動膀胱、前立腺過形成、鼻炎、手術、外傷、直腸過敏症、口内焼灼感症候群、口腔粘膜炎、ヘルペス(または他のウイルス性感染)、前立腺肥大、皮膚炎、掻痒、疥癬、耳鳴り、乾癬、いぼ、癌(特に皮膚癌)、頭痛、およびしわが挙げられる。一般的に、TRPV1アゴニスト含有組成物を用いてTRPV1アゴニスト(例えば、カプサイシン)の局所適用が有益であるいかなる状態も治療することができる。
【0169】
(13.1 神経病の疼痛)
糖尿病ニューロパシーまたはポストヘルペス神経痛と関連した神経病疼痛は処置するのに特に治りにくいことが証明された。しかし、カプサイシンは神経病疼痛の治療に有効であることが示されている。例えば、8%w/wのカプサイシン皮膚パッチにより誘導された表皮および真皮中の皮膚侵害受容器の不活性化は、原型神経病性疼痛状態であるポストヘルペス神経痛に対する臨床的有効性を示した(Backonja et al., “A Single One Hour Application of High−Concentration Capsaicin Patches Leads to Four Weeks of Pain Relief in Postherpetic
Neuralgia Patients” American Academy of
Neurology, 2003 (meeting abstract)を参照)。本発明の組成物はそのような神経病性疼痛を治療するために有効的である。
【0170】
皮膚の侵害受容器を持続的に非機能的にする能力に関して特定の組成物の有効性を、タンパク質遺伝子産物9.5(PGP9.5)等の皮膚侵害受容器の皮膚マーカー密度の免疫組織化学的評価により決定することができる。標準的な方法を用いてPGP9.5染色密度の変化を定量することができる(Nolano et al., 1999, J Neuroscience 81:135−45を参照のこと)。処方物による処置の3〜7日後に採取したパンチ生検の分析を行うことができる。カプサイシン皮膚パッチ(Backonja et al., 2003を参照)に匹敵またはそれより優れたPGP9.5染色の損失を生じる本発明の組成物は類似または優れた麻酔活性を作ると予想される。
【0171】
本発明のTRPV1アゴニスト含有(例えば、カプサイシン含有)組成物の単一投与を用いて、慢性疼痛状態、特に神経病疼痛と炎症疼痛の顕著で長期の軽減を得ることができる。この文脈で用いる顕著な疼痛の軽減は、患者が最初に報告した疼痛に対して少なくとも15%、ときどき少なくとも50%の減少を意味する。Likert疼痛尺度の適用等の日常的な技術を用いて疼痛を測定することができる(Guyatt et al., 1987, “A comparison of Likert and visual
analogue scales for measuring change in
function” J Chronic Dis. 40:1129−33を参照)。この文脈で用いられる長期の疼痛の軽減は少なくとも2週間、通常、少なくとも1ヶ月の軽減、しばしば投与後3〜6ヶ月の軽減を意味する。1〜10%(w/v)カプサイシンを含む組成物の2〜60分間の適用は顕著な軽減を提供すると期待される。通常、30分以内、例えば15分以内、さらに10分以内の適用が顕著な軽減を提供するだろう。
【0172】
(13.2 炎症性または侵害受容性疼痛)
TRPV1アゴニストは、炎症性または侵害受容性疼痛、特に変形性関節症、慢性関節リウマチ、関節痛、手術、外傷、打撲、擦過傷、腰痛、急性帯状疱疹または癌等の状態による疼痛の改善に有用である。
【0173】
(13.3 癌)
本発明のTRPV1アゴニスト組成物は多様な種類の癌、例えば皮膚癌の治療に特に価値がある。カプサイシンは、多様な癌細胞系を用いて、癌細胞成長を阻止し、および/または癌細胞死を誘導することがインビトロアッセイで示されている(概説について、Y−J Surh, 2002, “More Than Spice: Capsaicin in Hot Chili Peppers Makes Tumor Cells
Commit Suicide”, J Nat Cancer Inst, 94:1263−65を参照)。本発明にしたがって、本発明のカプサイシンまたはTRPV1アゴニスト組成物は癌組織または細胞または前癌細胞(例えば、前立腺過形成または子宮異常にかかわる細胞)に直接送達される。皮膚癌の治療について、例えば、組成物は局所適用により、もしくは注射または注入により適用することができる。カプサイシンは他の化合物の経皮膚吸収を増強するため、カプサイシンの抗癌化合物(例えば、5−フルオロウラシル)との組合せの送達も有効であると期待されよう。
【0174】
(13.4 口腔粘膜炎(Mucositis))
本発明のTRPV1アゴニスト組成物は口腔粘膜炎の治療にも用いられる。口腔粘膜炎は化学療法または放射線療法を受ける患者において顕著な問題である。癌治療における口腔粘膜炎の概算は標準化学療法を受ける40%から骨髄移植患者における76%の範囲にある。口腔粘膜炎を治療するためのカプサイシンの有効性が記載されている(Berger et al., 1995, J Pain Symptom Manage 10:243−8)。しかし、以前の処方物により提供される疼痛の軽減は大部分の患者にとって完全でなく、限定された期間を有する。これは、以前の処方物の性質である疼痛を誘導する能力または高濃度のカプサイシンを口腔粘膜炎の部位に正確に送達することができないことに起因し得る。
【0175】
口腔粘膜炎の病変に対する本発明組成物の投与は、カプサイシンまたは他のTRPV1アゴニストの迅速で便利な送達を提供するだろう。組成物の適用は綿棒、スプレー、ローラー、注射器または他のデバイスを用いて達成することができる。
【0176】
(13.5 膀胱疾患)
カプサイシン含有溶液の膀胱への注入は、神経因性膀胱、間質性膀胱炎、不安定膀胱および過活動膀胱等の多様な膀胱疾患を治療するために用いられてきた(概説について、Fowler et al., 2002, “Voiding and the Sacral Reflex Arc: Lessons from Capsaicin Instillation,” Scand J Urol Nephrol Supple 210:46−50を参照)。これらの操作は一般的には有効であるが、少なくとも20分間の医薬溶液暴露が必要であり、患者に対して顕著な疼痛と不快感を与える。Chancellor et al., 1999, J Urol 162:3−11を参照されたい。本発明の組成物はそうした膀胱疾患を治療するために用いることができる。一実施態様において、組成物は、膀胱に注入される下記セクション13で記載されたようなマイクロエマルジョンの形で投与される。もう一つの実施態様において、ここに記載のアゴニスト含有組成物は浸透増強剤の補助溶剤性のために水と混和する。ジエチレングリコールモノエチルエーテルに溶解したカプサイシン等の両親媒性溶媒系はカプサイシの十分な水への可溶性を得て、得られた単一相混合物の直接の注入を可能とする。
【0177】
(13.6 前立腺肥大)
前立腺肥大は、世界中の多くの数百万男性の苦痛状態となっている。特に、過剰増殖前立腺細胞は癌細胞と多くの特徴を共有する(これは上記のようにカプサイシンの応答で細胞死する)。Tayeb et al., 2003, Br J Cancer 88:928−32を参照されたい。この状態は本発明の組成物の投与により治療することができる。一実施態様において、組成物を尿道に注入される下記セクション13で記載されたようなマイクロエマルジョンの形で投与することは前立腺肥大を治療する(そしておそらく逆行させる)のに特に価値があるだろう。前立腺肥大に加えて、本発明の組成物の注入は、前立腺肥大の処置に特徴的な排尿症状の不快さも減少させるにちがいない。カプサイシンの前立腺への直接の注入はペースメーカーおよびTRPV1を発現する肥大細胞に影響を与えるだろう。Exintaris et al., 2002, J. Urol. 168:315−22を参照されたい。
【0178】
(13.7 乾癬、皮膚炎、掻痒および疥癬)
乾癬、皮膚炎、掻痒および疥癬に対するカプサイシンの有効性はよく調節された臨床的試験で文献化されている(例えば、Bernstein et al., 1986, “Effects of Topically Applied Capsaicin on Moderate and Severe Psoriasis Vulgaris,” J Am Acad Dermatol 15:504−507; Ellis
et al., 1993, “A Double−Blind Evaluation of Topical Capsaicin in Pruritic Psoriasis,” J Am Acad Dermatol 29:438−42を参照されたい)。そのような治療は低濃度クリームを多週にわたり、一日につき多くの回数の適用を必要とする。本発明にしたがって、ここに記載の組成物を乾癬、皮膚炎、掻痒または疥癬の部位に局所投与する。この処置は、現在利用可能な方法よりも優れ、さらに持続する軽減を提供すると期待される。
【0179】
(13.8 いぼ)
通常のいぼ、すなわち尋常性ゆうぜいは子供の5〜10パーセントで起こり、大人はそれよりも低いパーセントで起こる。標準的な処置は液体窒素滴下による凍結または寒冷療法である。この操作は効果的となりうるが、多くの子供たちにとっては恐ろしい数ヶ月の繰返しの苦痛な適用を必要としえ、水泡や感染をときどき導くことがあり得る。また、寒冷療法は効能が限定されていると報告されている。本発明のカプサイシン含有組成物は通常のいぼの治療に有用である。この治療は現在利用できる方法よりも優れ持続的な軽減を提供すると期待される。
【0180】
(13.9 偏頭痛と頭痛)
偏頭痛(前兆を有する偏頭痛を含む)および頭痛(例えば、群発性頭痛)は疼痛、および三叉神経系の過剰活性化を無力化することを特徴とする。TRPV1アゴニストの鼻粘膜への局所投与は頭痛を防止し、逆行させるとの証拠が存在する。例えば、Saper et al., 2002, Arch Neurol 59:990−4;およびVass et al., 2001, Neuroscience 103:189−201を参照されたい。三叉神経系は顔と頭の皮膚ならびに鼻腔の粘膜に分布する。本発明に従って、本発明の組成物の三叉神経系への局所適用(例えば額または顔の他の部分または頭または鼻通路への適用)を用いて頭痛の症状を防止または低減する。
【0181】
(13.10 しわ)
多くのしわは皮膚の下にある筋肉の硬直性活性化により引き起こされる。感覚神経系の過剰活動をともなう反射弓が関与しているようである。本発明の組成物の適用を用いてしわの深さや程度を減少するか、またはしわの形成を防止する。
【0182】
(13.11 耳鳴り)
激しい耳鳴りと慢性的な疼痛の症状と徴候には多くの類似性があり、例えば、激しい耳鳴りを有する一部の個人は音が不快で苦痛であると認知し、同一の医薬のいくつかが両状態を治療するために用いられている(Moller, 2000, “Similarities between severe tinnitus and chronic
pain” J Am Acad Audiol. 11:115−24)。耳鳴りを引き起こす変化の解剖学的位置についてはほとんど知られていないが、それは下丘ならびに他の構造であるかもしれない。TRPV1は有毛細胞内で発見され、コルチ器官の細胞およびらせん神経節の細胞を支えている。動物研究は、カプサイシンの主要な作用が外側の毛の細胞に対するものであることを示しており、蝸牛のTRPV1が蝸牛のホメオスタシスにある役割を果たしていることを示唆する(Zheng et al.、2003、“Vanilloid receptors in hearing: altered
cochlear sensitivity by vanilloids and expression of TRPV1 in the organ of corti” J Neurophysiol. 90:444−55)。さらに、内因性リガンドによるTRPV1の活性化が、耳鳴り、メニエール病および偏頭痛等の多様な病理的状態における毛細胞インプットに対する八番目の神経の過剰感受性に寄与し得る(Balaban et al., 2003, “Type 1 vanilloid receptor expression by mammalian inner ear ganglion cells” Hear Res. 175:165−70)。本発明の組成物は耳鳴りの治療に効果的であると期待される。
【0183】
(14.スクリーニング法)
一側面において、本発明は、組成物とTRPV1アゴニストまたは異なるTRPV1アゴニストからなる溶液について、0.25未満の沈着効果は組成物がTRPV1アゴニストの治療送達に有用であることを示すとして、沈着効果を調べることにより被験体に対するTRPV1アゴニストの治療的送達に有用なものとして組成物を同定する方法を提供する。別の実施態様において、0.2、0.1、0.05、0.01、0.005または0.001未満の沈着効果は、組成物がTRPV1アゴニストの治療送達に有用であることを示す。一つの実施態様において、組成物が皮膚表面に適用される特定の時間の後に皮膚表皮と真皮に送達されたアゴニストの量を決定するさらなる工程が存在する。
【0184】
関連する側面において、本発明は、該組成物とTRPV1アゴニストまたは異なるTRPV1アゴニストとからなる溶液について沈着効果を各組成物について決定することにより、TRPV1アゴニストの被験体への治療的送達の有用性にしたがって二つ以上の組成物をランク付ける方法において、各組成物について得られた値を比較し、それら組成物を該値にしたがってランク付け、その際に低い値を有する組成物がTRPV1アゴニストの治療的送達にさらに適するとランク付ける方法を提供する。一実施態様において、組成物を皮膚表面に適用して特定の時間後に皮膚表皮および真皮に送達されたアゴニストの量を、各組成物について決定し、その際に高い値を有する組成物がTRPV1アゴニストの治療的送達にさらに適するとランク付けるさらなる工程が存在する。
【0185】
これらの方法の多様な実施態様において、(i)該組成物は一つ以上の浸透増強剤を含有する;(ii)該組成物は本発明の組成物である;(iii)TRPV1アゴニストはカプサイシンである;(iv)沈着効果をインビトロで決定する;(v)沈積効果を、マウス皮膚を用いて決定する;または(v)沈積効果を本発明のマウス皮膚アッセイを用いて決定する。
【0186】
(15.マイクロエマルジョンの調製と投与)
本発明の組成物はマイクロエマルジョンの形で投与することができる。マイクロエマルジョンを作る方法は一般に当分野で知られている。例えば、Prince, 1970“Microemulsions” J. Soc. Cosmet. Chem. 21:193−204; Prince L. M. in MICROEMULSIONS
- THEORY AND PRACTICE, Academic, New Yo
rk 1977; Belloq A. M. et al.; Adv Colloid Interface Sci 20:167, 1984およびBourrel M., Schechter R. S. in MICROEMULSIONS AND
RELATED SYSTEMS, Dekker, New York, 1988を参照されたい。
【0187】
一態様において、三成分を含むマイクロエマルジョンを調製する。三成分とは内相、外相および一つ以上の乳化剤である。
【0188】
(内相)
内相の含量は、マイクロエマルジョンを作るために用いられたTRPV1アゴニスト含有組成物の性質に基づく。組成物が水中で混和性でない場合、組成物は内相として働く(ただし、組成物が混和性である油と任意に組み合わせることができる)。組成物(すなわち、TRPV1アゴニストと溶媒系、例えばジエチレングリコールモノエチルエーテル中の5%(w/v)カプサイシンを含むもの)が両親媒性または親水性である場合、組成物はそれが混和性である油と混合する。そのような油の説明のためであって限定するものではない例としては、鉱油、ミンク油、アマニ油、キリ油、パイン油および植物油が挙げられる。内相はマイクロ液滴(例えば、約10〜約200nm、通常約10〜約60nmの直径を有する)として分散させる。
【0189】
(外相)
外相は、水、塩水、緩衝液等の水性液体である。外相はマイクロ液滴が分散している媒体である。
【0190】
(乳化剤)
適当な乳化剤の例(例示のためであって限定するものではない)として、鉱油、プルロニック(BASF)、ポリエトキシル化脂肪酸、PEGジエステル脂肪酸、モノおよびジエステルのPEG脂肪酸混合物、ポリグリセル化脂肪酸、モノおよびジグリセリド、ステロールおよびステロール誘導体、糖エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、ソルビタン脂肪酸エステル、低級アルコール脂肪酸エステル、イオン性界面活性剤、および非イオン性界面活性剤、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0191】
(任意の成分)
さらに、マイクロエマルジョンは他の成分、例えば安定性向上成分等(例えば、抗菌物質、抗酸化剤等)、pH調整剤等、安定剤等)を含んでもよい。しかし、通常、これらの成分は少量(例えば、約5%(w/v)未満、最も頻繁には約1%未満)で存在する。
【0192】
(マイクロエマルジョンの調製)
マイクロエマルジョンは少なくとも一つの乳化剤(例えば、ポリグリセリル−6ジオレエート)を内相(例えば、油と混合させたジエチレングリコールモノエチルエーテル中の5%カプサイシン溶液)に加えることにより調製してよい。次にこの混合物を外相(例えば、水)に加える。得られた混合物を激しく攪拌し、超音波処理し、もしくは安定なマイクロエマルジョンが形成されるまで熱を加えるか、加えないで、攪拌し、均一な分散結果を得る。pHを調節して、マイクロエマルジョンの安定性および/または生理学的耐性を向上させることができる。
【0193】
補助溶剤、表面活性剤、乳化剤および増粘剤を期待される最終投与組成物よりも高い濃度で含有するTRPV1アゴニストの濃縮処方物を調製することができる。(実施例6を参照。)これらの処方物は、直接の投与が意図されるのではなく、所望の投与濃度を得るために適当なビヒクル中でさらに希釈を必要とする「前濃縮物」である。
【0194】
(マイクロエマルジョンの使用)
マイクロエマルジョンを、TRPV1アゴニストの送達を意図する組織に接触させる。特別な機構に縛られることを意図するものではないが、マイクロ液滴は標的組織(すなわち、マイクロエマルジョンが接触する組織)に迅速に融合し、TRPV1アゴニストと任意の他の治療活性物質を該組織に送ると考えられる。
【0195】
マイクロエマルジョン投与が有用である治療の具体例としては、(1)末梢神経障害、関節炎、乾癬および凍傷の治療(槽による投与);(2)神経因性膀胱、間質性膀胱炎または類似の状態の治療(膀胱への注入);(3)前立腺癌または前立腺肥大の治療(尿道への注入);および(4)疼痛を処置または防止するための外科的な傷への注入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0196】
組織とマイクロエマルジョンを接触させる方法は組織の性質と治療すべき状態に基づいて変化する。投与方法の一つの例は水/槽タイプのデバイス(すなわち、手や足等の標的組織を浸すことのできるマイクロエマルジョン用の容器)による。
【0197】
例えば、本発明は、槽タイプのデバイスを用いて、TRPV1アゴニスト組成物(上記のようなマイクロエマルジョンまたは別のTRPV1アゴニストを含有する組成物)の投与方法とデバイスを提供する。一つの形態では、槽デバイスとして、TRPV1アゴニストマイクロエマルジョンを含むためと、侵された組織領域を受け入れるためのはちを含む。例えば、手、足、肘または他の侵された領域を治療のための槽中に浸透してもよい。この種類のデバイスはある利点を有する。
【0198】
最初に、全体の体部分が容易に治療用槽に容易に浸されるので、槽タイプのデバイスは侵された領域のすべてを確実に処置するのに助けとなる便利な方法を提供する。治療槽は、特に、下肢の先、すなわち、足内に疼痛に典型的に影響を与え、疼痛を生じるある種の神経障害、例えば、糖尿病性末梢神経障害にかかる患者に特に適する。治療槽は筋肉骨格痛の治療にも使用することができる。糖尿病性末梢神経障害にかかる患者はここに記載の方法を用いて治療のためにここに記載の槽デバイスに足を浸すことができる。同様に、上肢内の神経病の疼痛は手と腕に移る前に指先内で典型的に始まる。したがって、治療槽は指および手の治療に特に有用である。
【0199】
次に、槽タイプデバイスの使用は、医薬送達の調節と増強に有用である。これは、医薬送達に影響を与える環境条件が緊密に調節でき変更できるからである。例えば、温度、水和化、塩含量および医薬濃度のすべてが皮膚を経る医薬の吸収に影響を与えることが示されたためである。したがって、これらの性質の調節は、医薬送達の調節または増強に役立つことができる。
【0200】
その最も単純な形において、槽デバイスは治療液体を入れる容器を提供する。容器は侵された領域を浸すのに十分な大きさを持つ。デバイスは例えば足のために浴槽の形を取ってよい。しかし、浴槽は任意の多くの形と大きさを有することができるために、多くの任意の侵された体の部分を浸すことに適することを理解されたい。一実施態様において、槽は、TRPV1アゴニストマイクロエマルジョンを含有して、そこに体の一部を受け入れるための洗面器を有する。洗面器は底の表面とそこから上方に伸びる壁構造を有する。
【0201】
槽が足浴用デバイスである場合、洗面器は平均サイズの成人使用者の足を収容するのに十分な長さと幅を有する。同様に、洗面器の大きさは使用者が足を容易に出し入れするのを可能とする十分な広さを提供するように選択することができる。さらに、槽は解剖学的に設計されたある特徴を有してもよい。例えば、槽デバイスは分かれたフットレスト、任意の足底板、または足のために設計された他の輪郭に沿った形を含むことができる。槽は任意の適当な物質から作ることができる。
【0202】
一部実施態様において、槽は洗面器またはそこに含まれるマイクロエマルジョンの温度を調節するために設計された発熱体または冷却体を含む。高められた温度はTRPV1アゴニストが皮膚を通過するのを助け得る。反対に、低下した温度はTRPV1アゴニストへの暴露に由来する任意の苦痛に対する耐性を向上させるのを助け得る。発熱体または冷却体は電気的に調節できるか、またはバッテリーで操作できる。一部実施態様において、発熱体は使用者の足の特定領域に、例えば赤外線を用いることにより熱を集める能力を提供する。しかし、いかなる種類の適当な発熱体も用いてよい。槽は波を発してTRPV1アゴニストマイクロエマルジョンを通過させる超音波発生器またはソニケーターを含んでもよい。特定のいずれかの理論に縛られるのを望まないが、そのような波の使用はTRPV1アゴニストが皮膚を透過することを容易にすると考えられる。
【0203】
槽は、蒸気を取り込み、突発的な流失を防止する蓋またはシールを有してもよい。蓋は完全に除去可能であってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、蓋は洗面器表面に即座に合致するように形付けることができ、または他の任意の適切な連結デバイス(例えばヒンジ)を用いて洗面器に結合してもよい。一部実施態様において、蓋は洗面器の全表面を覆い、侵された領域の周囲にシールを形成しつつ、侵された領域が処置される。
【0204】
コントロールパネルを用いて、発熱体、冷却体および超音波発生器を制御し得る。コントロールパネルは適当な電源、例えば110VのACコンセントにつなぐ電気コード、または電池により電力を供給され得る。電池により槽に電力を供給することはデバイスの携帯性を容易にする。さらに、コントロールパネルは処置時間を監視して、処置が完了するときを使用者に知らせるタイマーデバイスを有してもよい。所望なら、さらなる多くの改良または調整をコントロールパネルに加えてもよい。
【0205】
上記のように、本発明は一面で、槽デバイスを用いるTRPV1アゴニストマイクロエマルジョンを投与する方法を提供する。操作では、TRPV1アゴニストマイクロエマルジョンをデバイスの洗面器に加える。次に、侵された体の部分を一定の処理時間マイクロエマルジョンに浸す。処置時間は選択されたアゴニストにより変えられる。一実施態様において、カプサイシンはVR1レセプターアンタゴニストである。一実施態様において、カプサイシンは洗面器にマイクロエマルジョンとして(例えば上記のように)加えることができ、またカプサイシンマイクロエマルジョンを槽自体中に(例えば、カプサイシンを適当な溶媒系中に提供し、乳化剤を加え、次にそれらを水と混合することにより)形成してもよい。
【0206】
別の一面において、本発明は、布または衣服の製品内でTRPV1アゴニストを投与する方法およびデバイスを提供する。衣服は、神経障害に侵された人の四肢に着用するように設計された例えば手袋、靴下または指または足の指ブーツであってよい。衣服は、マイクロエマルジョンを被覆するか、含浸することを可能にする体にぴったり合う伸縮性の材料から作製されることが望ましい。該材料は任意の多くの天然または合成繊維から作られてよい。衣服の厚みや弾性は使用されるマイクロエマルジョンおよび所望の衣服の種類により変更される。衣服はどの長さでもよいし、使い捨てでもよく、再使用可能であってもよい。一部実施態様において、衣服は多層である。層は湿気および蒸気を透過しない外層を含むことができる。
【実施例】
【0207】
(16.実施例)
(実施例1)
(マウス皮膚吸収アッセイを用いるTRPV1アゴニスト含量の測定およびTRPV1アゴニストの哺乳動物皮膚への迅速かつ効率的な送達の実証)
この実施例は多様な組成物を用いるTRPV1アゴニストの送達を示し、「マウス皮膚吸収アッセイ」を説明する。マウス皮膚吸収アッセイはTRPV1アゴニストの送達と保持を測定するインビトロアッセイである。このアッセイはKemppainen and
Reifeinrath, 1990, in METHODS FOR SKIN ABSORPTION, CRC Publication(以下、“Kemppainen”)に記載されているように一般的であり、下記の変更をこのアッセイに行った: 動物を殺した日に使用しない組織は実験の日まで−60℃未満ではなく、−70℃未満で保存した;そして(約0.3μCi/mLではなく)約0.5μCi/mLの比活性を有するOを用い、かつレセプター溶液を集めて、Kemppainenに記載された20分間ではなく、30分間分析した。
【0208】
(皮膚の調製)
殺してから2時間以内に得られた、皮膚病の明らかな徴候のないマウスの体幹皮膚(Nu/Nu)をこの研究に用いた。得られたときに、皮下組織を除去し、水非浸透性のプラスチックバックに密閉し、到着の日に使用しない場合、該バックを実験の日まで<−70℃で保存した。使用前に、約37℃の水にバックを置いて解凍し、水道水で濯いで付着する血液や他の物質をその表面から除去した。
【0209】
単一のドナーからの皮膚は最初に全ての皮下組織と約50%の真皮を外科用メスによる手作業で取り除き、次に0.8cmのFranz拡散セル(Crown Glass Co., Somerville, NJ)にあわせて十分な大きさの複数の小切片に切断した。皮膚チャンバー(レセプター側)にリン酸緩衝等張塩溶液(PBS)、pH7.4±0.1のレセプター溶液を容量一杯に満たし、表皮チャンバー(ドナー側)を周りの実験室環境に解放して放置した。次に、細胞を皮膚レセプター溶液が磁力により約600RPMで攪拌され、33.0±1.0℃の皮膚表面温度を得るために維持される拡散装置に置いた。代表的なチャンバーからの皮膚表面温度を測定し、記録した。
【0210】
各皮膚切片の完全性を保証するために、トリチウム化した水に対するその浸透性を、試験品の適用前に決定した(Franz et al., 1990, “The use
of water permeability as a means of validation for skin integrity in in vitro pecutaneous absorption studies” Abst. J.Invest.Dermatol., 94:525)。短い(0.5〜1時間)の平衡化時間の後、O(NEN, Boston, MA, sp. Act.約0.5μCi/mL)を点滴注入器によって皮膚の表面を越えて層状として、露出された全表面を被覆した(約100〜150μL)。5分後、O水性層を除去した。30分で、レセプター溶液を集め、液体シンチレーション計数により放射能含量について分析し、皮膚完全性を浸透の定量に基づき確認した。Oの吸収が1.75μL equ未満である典型的な皮膚試料は適格であるとみなされた。
【0211】
皮膚切片への局所試験処方物の投与前に、レセプター溶液を新鮮な1:10のPBS溶液と投薬前に取り替えた。投薬前に投薬のチャンバーハーフセルを取り外して皮膚表面への十分な接近を可能とした。次に、すべての処方物を、10μL/0.8cmの標的投薬容量で、基準合わせをした陽性置換ピペットを用いて皮膚切片に塗布した。処方物をピペットのテフロン(登録商標)チップを用いて皮膚表面にわたって広げた。塗布の1〜5分後にFranzチャンバーのドナーハーフセルを交換して再度密閉して皮膚をチャンバー内に確保した。
【0212】
投薬後の予め選択した時間(15分)で、レセプター溶液を完全に除去し、4mL容量を凍結乾燥し(Savant SpeedVac)、その後の分析に取っておいた。
【0213】
各皮膚切片を0.5mLのメタノールで二回表面洗浄して残留TRPV1アゴニストを除去した。皮膚切片をチャンバーから取り出し、外科用メスによりOリング押し込みの円周縁に沿って切り目を付け、先の細いピンセットを用いて、表皮を穏やかに真皮から裂いた。皮膚切片を次に表皮と真皮に分離した。それぞれ別個の表皮と真皮を1mLのメタノールと混合し、横型シェーカーにより室温で約24時間抽出した。
【0214】
カプサイシンの定量は、質量分析検出を有する高速液体クロマトグラフィー(HPLC−MS)によった。簡単に説明すると、1100シリーズAPI−ES LC/MSDを有するヒューレットパッカード1100シリーズHPLCシステムを陽イオンモードで用いてHPLC−MSを行った。70%アセトニトリル+0.1%TEA、30%水+0.1%ギ酸からなる溶媒系をC18 Lunaカラム(4.6×100mm、3μm、Phenominex Inc.)に0.5mL/分の流速で通した(6.5分の実施時間)。20マイクロリットルの試料を注入した。ピーク領域は、純粋な合成カプサイシン・スタンダードを用いて作成した外部標準曲線を用いて濃度まで定量し、外部標準法により定量した。
【0215】
結果を表4と5に要約する。
【0216】
(実施例2)
(ヌードマウス皮膚における神経線維機能性の減少)
この実施例はカプサイシンのマウス皮膚への適用後にPGP9.5免疫染色により示された神経線維機能性(NFF)の減少を示す。実験は8〜12週齢のヌードマウス(Nu/Nu)(チャールズリバー)に対して行った。マウスを順化させ、任意に一グループあたり12匹のマウス(6匹のオスと6匹のメス)の2投与量グループ(実験1)または一グループあたり20匹のマウス(10匹のオスと10匹のメス)の4投与量グループ(実験2)に分けた。
【0217】
実験1において、第0日に、100%ジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)および0.1%(w/v)エチルセルロース中の15μLの10%(w/v)のカプサイシン(すなわち、0.1%エチルセルロースを含有する処方物No.23)を一グループの麻酔したマウスの背中の1cm×1cm領域に適用し、一方、対照グループは接着マトリックスに分散させたDGMEを適用した。実験2において、第0日に、15%オレイン酸、10%イソプロピルミリステート、10%セチルアルコール、55%DGMEおよび10%メタノールおよび0.1%エチルセルロース中の15μLの15%(w/v)のカプサイシン(すなわち、0.1%エチルセルロースを含有する処方物No.42)、または0.1%エチルセルロースを含む20%オレイルアルコールと80%プロピレングリコール中の15μLの15%(w/v)のカプサイシン(すなわち、0.1%エチルセルロースを含有する処方物No.28)、または0.1%エチルセルロースを含む90%1メントンと10%メタノール中の15%(w/v)のカプサイシン(すなわち、0.1%エチルセルロースを含有する処方物No.27)を3グループの麻酔したマウスの背中の1cm×1cm領域に適用し、一方、対照グループは処置をしなかった。両実験において、マウスを30分間の処置時間中一般的な麻酔下に保持し、その後に試験品を除去した。試験品の除去後、皮膚領域を洗浄ゲル(89.08% PEG300、1.0%カルボポール1382TM、0.02%ブチル化ヒドロキシアニソール、0.01%エデト酸二ナトリウム、pH6.5)で洗浄した。第7日に、マウスを殺し、適用部位からの組織を集めて二つの等しい切片に分けた。皮膚の一切片をボール紙に置き、10%中性緩衝性ホルマリンに固定し、炎症および任意の他の異常の評価のためにヘマトキシリン/エオシン染色スライドへと加工した。もう一つの皮膚切片を、抗体PGP9.5による免疫組織化学用の凍結ブロックとして調製した。この組織を、皮膚感覚神経線維を同定するPGP9.5用抗体で染色した。加工組織を、(1)炎症および微小血管変化に特別な注意を有するすべての病変、および(2)皮膚感覚神経線維の構造体異常の存在または非存在に関して、委員会に認定された獣医学病理学者により評価を行なった。各試料について、神経線維密度を、少なくとも4つの顕微鏡視野(各円形の顕微鏡視野は90μmの半径を有した)中で観察された正常に見える神経線維の数を計測することにより決定し、次に平均を取った。視野における神経繊維の形態が変化した場合、すなわち、膨潤、小水泡または静脈瘤様腫脹が存在し、神経線維の大部分が形態変化を示すように見える場合、その視野には正常神経線維の値を付与しなかった。報告されたデータは、各対照と比較して、1動物あたり1顕微鏡視野の神経線維数の平均の減少である。各群間の平均神経線維密度は、これら多様な処置が、もしあるのならどのような効果を神経線維密度に対して有するのかを決定するために比較した。
【0218】
この実施例における研究の結果は、実験1で、DGMEと0.1%エチルセルロース中の10%カプサイシン(w/v)(処方物No.23)が、接着マトリックスに分散させたDGMEと比較して、神経線維密度の約49%の減少を引き起こしたことを示す。この減少は統計学的に有意である(p≦0.01)。実験2において、15%オレイン酸、10%イソプロピルミリステート、10%セチルアルコール、55%DGME、10%メタノールおよび0.1%エチルセルロース中の15%カプサイシン(w/v)(処方物No.42)は、未処理対照に比較して、神経線維密度の約39%の減少を引き起こし、20%オレイルアルコール、80%プロピレングリコールおよび0.1%エチルセルロース中の15%カプサイシン(w/v)(処方物No.28)は、神経線維密度の約70%の減少を引き起こし、一方で90%1メントン、10%メタノールおよび0.1%エチルセルロース中の15%のカプサイシン(w/v)(処方物No.27)は神経線維密度の約75%の減少を引き起こした。この実験で観察される神経線維密度のすべての減少が統計学的に有意であった(p≦0.01)。
【0219】
(実施例3)
(ラット陰門における神経線維機能性の減少)
この実施例はTRPV1アゴニスト処方物のラット陰門への局所適用の効果を示す。
【0220】
60匹のメス引退ブリーダーSprague−Dawleyラットを6グループに分けた。第0日に、ラットをイソフルラン麻酔ガスで麻酔し、次にLMX5(登録商標)麻酔クリームを各ラットの全陰門領域に少なくとも30分間適用した。試験処方物を、マイクロピペットを用いて適用して、33μLの各処方物を施した。適用された処方物はジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)のみ;DGME中の0.01%カプサイシン(w/v);DGME中の0.1%カプサイシン(w/v);DGME中の1%レシニフェラトキシン(w/v);90%(v/v)DGMEと10%(v/v)DMSO中の3%カプサイシン(w/v)、DGME中の10%カプサイシン(w/v)であった。5分間放置したDGME中の10%(w/v)カプサイシン以外、処方物は20分間放置した。残りの処方物は洗浄ゲル(89.08% PEG300、1.0%カルボポール1382TM、0.02%ブチル化ヒドロキシアニソール、0.01%エデト酸二ナトリウム、pH6.5)を用いて除去した。ゲルは約3〜5分間放置し、次にキムワイプと生殖器綿棒を用いて除去した。第7日に、ラットを殺し、陰門の1mmパンチ生検を、免疫組織化学用の凍結ブロックとして調製するために氷冷リン酸緩衝塩溶液中に集めた。この組織から作った凍結切片を、末端感覚神経線維を染色する抗PGP9.5抗体により染色した。この組織を、(1)炎症および微小血管変化に特別な注意を有するすべての病変、および(2)末端神経感覚神経線維の構造体異常の存在または非存在に関して、委員会に認定された獣医学病理学者により評価を行なった。各試料について、神経線維機能性を、少なくとも4つの顕微鏡視野(各円形の顕微鏡視野は90μmの半径を有した)中で観察された神経線維の数を計測することにより決定し、次に平均を取った。視野における神経繊維の形態が変化する場合、すなわち、膨潤、小水泡または静脈瘤様腫脹が存在し、神経線維の大部分が形態変化を示すように見える場合、その視野には正常神経線維の値を付与しなかった。報告されたデータは、1動物あたり1顕微鏡視野の神経線維数の平均である。各群間の発見を比較して、これら多様な処置が、もしあるのならどのような効果を神経線維に対して有するのかを決定した。
【0221】
この研究の結果を図2に示す。これらの結果は、0.01%(w/v)以上のカプサイシン濃度を有する3カプサイシン含有処方物が、5分または20分の適用時間後にPGP9.5免疫染色により示されたように神経線維密度の統計学的に有意である(p≦0.1)減少を引き起こした。別のTRPV1アゴニストレシニフェラトキシン(RTX)の1%(w/v)の液体処方物は、20分間適用した場合に、この実験で神経線維密度の28%の減少を引き起こした;しかし、さらなる実験が、観察された減少の統計学的有意性を確立するために必要である。
【0222】
(実施例4)
(陰門処置後の疼痛挙動)
この実施例は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル中の10%カプサイシン(w/v)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル中の3%カプサイシン(w/v)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのみ、および市販の0.075%(w/v)カプサイシンクリーム処方物であるZostrix(登録商標)を引退ブリーダーSprague−Dawleyラットの陰門に適用した場合に作られた侵害受容性挙動の量を示す。
【0223】
(処置群)
【0224】
【化2】

ラットをベースライン疼痛挙動について5分間モニタリングした。試験品を適用した。示された適用時間後に、残留カプサイシンを洗浄ゲル(89.08% PEG300、1.0%カルボポール1382TM、0.02%ブチル化ヒドロキシアニソール、0.01%エデト酸二ナトリウム、pH6.5)を用いて陰門から除去した。試験品の適用後、疼痛挙動を60分間モニタリングした。下記の挙動を疼痛応答とみなした:陰門領域をなめるか、毛づくろいする、陰門を見る、陰門のにおいを嗅ぐ、口をなめるか、かむ、後ろ足で立ち、尾を立てる、ケージ内を走り回る、ケージの底に沿って這う、起き直って鼻を腹部に向ける、過剰または激しい毛づくろい、後ろ足を伸ばす、尾を上げる、ケージの底を掘る、および伸びの姿勢。
【0225】
図3は、実験の結果を示す。カプサイシン含有(3%および10%w/v)液体処方物および店頭売買のカプサイシン含有(0.075%)クリーム(Zostrix(登録商標))は、ラットの陰門に5分間または20分間適用した場合、ジエチレングリコールモノエチルエーテルのみよりも高い疼痛応答を引き起こした。しかし、3%w/vカプサイシン液体処方物とZostrix(登録商標)との間に疼痛応答の統計学的に有意な違いはなかった。驚くことに、10%w/vカプサイシン液体処方物は、0.075%カプサイシンを含有するZostrix(登録商標)クリームよりも統計学的に有意な(p≦0.1)少ない疼痛応答を生じた。
【0226】
(実施例5)
(皮膚処置後の疼痛挙動)
この実施例は、市販濃度カプサイシンクリーム(0.1%w/w;Capzasin−HP(登録商標)カプサイシンクリーム)またはジエチレングリコールモノエチルエーテルのみと比較して、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(TranscutolTM)中のカプサイシン(10%w/v)の単一の局所投与後のラットの侵害受容性挙動の程度を示す。
【0227】
(材料と方法)
成熟オスSprague−Dawleyラット(250〜300g、N=19)をチャンバーに入れ、空気中2〜3%ハロタンで麻酔した。尾をはさんで締め付けることに対して引っ込める応答の欠如により示される十分な深さの麻酔をいったん各ラットが示したら、ラットをチャンバーから取り出し、1〜2%のハロタンを送達する顔マスクを取り付けた。ラットを暖かい毛布に置き、両後ろ足を伸ばしながら、左側に位置させた。後肢の背部からごみを取り除き、その背部をイソプロピル(消毒用)アルコールで一回拭いた。化学脱毛剤を後肢の背部に適用した。10分後、脱毛剤を、ガーゼを用いて除去し、次に後肢の背部をイソプロピルアルコールで一回拭いた。後肢の背部を調べて、見える毛が残っていないことを確認した。ハロタンを停止し、ラットを元のケージ中に戻した。
【0228】
ラットがいったん正常に動き回ったら、ラットを、持ち上げられたプラスチックメッシュ上に置き、プラスチックの容器で覆った。ラットを該メッシュ上で少なくとも30分間順化させた。次に、ラットが右の後肢を5分間にわたって振った回数を記録した。後肢の振りは、ラットが右の後肢を明らかに上げて、移動しない状態で振った場合のみ記録した。このベースライン評価後に、各ラットをメッシュから取り外し、布のタオル中にやさしく包んだ。右の後肢の背部をイソプロピルで一回拭いた。アルコールの蒸発直後に、下記処置の一つを右の後肢の背部に適用した。
i)Capzasin−HP(登録商標)0.1%カプサイシンクリーム(約0.15g);
ii)10%(w/v)カプサイシンを含む50μlのDGME;
iii)50μlのDGME。
【0229】
先端が綿の塗布具を用いて、カプサイシンクリームを適用し、クリームを後肢の背部に10秒間すりこんだ。カプサイシン液体処方物とDGMEを、ピペッターを用いて右の後肢の背部に適用し、ラットを10秒間静止させた。各処置の適用後、ラットをメッシュ上に戻し、プラスチック容器で覆った。各ラットが右の後肢を振った回数を連続5分間、合計90分間記録した。
【0230】
(統計学的分析)
ラットが右の後肢を振った回数を各処置グループの平均(±sem)として示す。片側t検定を用いて、処置グループ間に後肢の振りの回数の各5分間および全90分間で有意な違いが存在するかどうかを決定した。すべての分析について、0.05以下の確率(P−値)が有意であるとみなした。
【0231】
(結果)
ベースライン5分間で、ラットは右の後肢を振ることはなかった。図1に示されるように、カプサイシン(0.1%)クリームの適用は、90分間の観察時間中59.4±23.7回の振りを引き起こした。カプサイシン液体処方物(DGME中の10%カプサイシン(w/v))の適用は有意に少ない後肢の振り(10.2±2.4回の振り、P≦0.05)をもたらした。反対に、DGMEのみの適用は90分間でほとんど侵害受容性挙動(0.7±0.7回の振り)をもたらさず、これはDGME中の10%カプサイシンにより作られたもの(P≦0.01)よりも有意に少ない後肢の振りであった。
【0232】
(考察)
この実施例の結果は、10%カプサイシン液体処方物の局所投与が、市販の店頭売買の低濃度(0.1%)カプサイシンクリームの局所投与よりも、90分間の観察時間にわたって、低い侵害受容性挙動(すなわち、後肢の振り)を生じたことを示唆する。カプサイシン液体処方物の適用がジチレングリコールモノエチルエーテルのみよりも多い後肢の振りを引き起こした。
【0233】
(実施例6)
(0.1%(w/v)カプサイシンを含有するマイクロエマルジョンの調製)
カプサイシンとジエチレングリコールモノエチルエーテルを含む第一の組成物を調製することによりマイクロエマルジョンを作る。第一の組成物は10gのカプサイシンを100mLのジエチレングリコールモノエチルエーテル(DGME)に溶解し内相を作ることにより調製する。第一の組成物を1Lの鉱油に加えた後に、10〜30%(w/w)カプリルカプロイルマクロゴール−8グリセリド(乳化剤)を加え、カプリルカプロイルマクロゴール−8グリセリドが溶けるまで攪拌し、第二の組成物(「油相」)を作ることによりマイクロエマルジョンを調製する。
【0234】
使用または投与前に、100mLの油相を1Lの水または塩水(外相)に加えた後に、安定なマイクロエマルジョンが形成されるまで十分な混合を行う。得られたマイクロエマルジョンは0.1%カプサイシン(w/v)を含む。
【0235】
(実施例7)
(水中油マイクロエマルジョンの調製)
下記の例は水中油マイクロエマルジョン処方物を示す。
【0236】
【化3】

すべての賦形剤をバイアル中に計り取り、60℃の水浴で均一な溶液が形成されるまで加熱した。この溶液を室温まで冷却させた。o/wエマルジョンの曇った分散液が得られた。医薬を処方物中に導入するために、カプサイシンを残りの賦形剤とともには計り取り水浴中で加熱し、冷却してo/wエマルジョンを形成した。
【0237】
(実施例8)
(リポソームマイクロエマルジョンの調製)
この実施例はリポソームマイクロエマルジョン処方物を示す。
【0238】
【化4】

すべての賦形剤を直接にバイアル中に計り取り、70℃の水浴ですべての脂質が溶解するまで加熱した。カプサイシンを導入するために、医薬を処方物の主要賦形剤とともに計り取り、均一な単一相溶液が得られるまで水浴中で加熱した。次に、この溶液を室温に自然冷却するまで均質化した。滑らかな白色のクリームが得られた。リポソームの形成は顕微鏡下でチェックした。脱イオン水中のリポソーム処方物が10中1および100中1の希釈物は顕微鏡下で観察してリポソームの物理的特長を変えなかった。
【0239】
(実施例9)
(補助溶剤組成物の調製)
この実施例は補助溶剤組成物を示す。
【0240】
補助溶剤前濃縮物は基本的に界面活性剤からなる。アルコールに溶解した(ポロキサマー)。10%w/v濃度のカプサイシンを含む溶媒系の下記例を処方した。水性媒体中の処方物の希釈物は透明な溶液をもたらした。
【0241】
医薬を処方物中に導入するために、所望の量のカプサイシンをバイアルに計り取った後に、エタノールを加えて、医薬を溶解した。この後に、溶解したポロキサマー407を加え、残りの成分をビンに直接計り取った。処方物をボルテックスミキサーで混合して、透明な液体を形成した。
【0242】
【化5】

前記の発明を理解の明瞭化の目的ために例示と実例により詳細に説明してきたが、変更や改良が発明の精神と範囲から離れることなく実施してよいことは当業者にとっては明らかであろう。ここで引用したすべての刊行物、特許および特許出願は、各刊行物、特許および特許出願が参考として援用されることが具体的かつ個々にしめされたと同じ程度にすべての目的のためにそれら全体が参考として援用される。
【0243】
【表1】

【0244】
【表2−1】

【0245】
【表2−2】

【0246】
【表3】

【0247】
【表4−1】

【0248】
【表4−2】

【0249】
【表4−3】

【0250】
【表5−1】

【0251】
【表5−2】

【0252】
【表6−1】

【0253】
【表6−2】

【0254】
【表6−3】

【0255】
【表6−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
6%(w/v)と60%(w/v)との間のカプサイシンと、少なくとも第1浸透増強剤および第2浸透増強剤を含む溶媒系とを含む液体処方物であって、
該第1浸透増強剤と該第2浸透増強剤とは異なるものであり、該第1浸透増強剤および該第2浸透増強剤は以下:
i)メントンおよびメタノール;
ii)n−ヘキサンおよびメチルノネン酸;または
iii)ジメチルアセトアミド、Brij35およびメチルノネンアルコール
であり、該液体処方物は、必要に応じて、該液体処方物の5%(w/v)を超えないさらなる成分を含む、液体処方物。
【請求項2】
前記第1浸透増強剤および前記第2浸透増強剤は、一緒になって、前記液体処方物の溶媒系のうち少なくとも50%(v/v)を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項3】
前記第1浸透増強剤および前記第2浸透増強剤は、一緒になって、前記液体処方物の溶媒系のうち少なくとも75%(v/v)を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項4】
前記第1浸透増強剤および前記第2浸透増強剤は、一緒になって、前記液体処方物の溶媒系のうち少なくとも90%(v/v)を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項5】
さらに局所麻酔剤を含む、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項6】
前記液体処方物は、マイクロエマルジョンに含まれる、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項7】
カプサイシン応答性状態を処置するためのシステムであって、該システムは、請求項1に記載の液体処方物と、該液体処方物を適用するための非閉塞および/または非付性アプリケーターデバイスとを備える、システム。
【請求項8】
前記アプリケーターデバイスは、前記液体処方物で前充填されたものである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記液体処方物は、前記デバイスとは別個の容器に含まれる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記アプリケーターデバイスにおいて使用者が前記液体処方物の量を決定することを補助するための測定指標をさらに備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項11】
前記アプリケーターデバイスは、定量噴霧エアゾール、貯蔵エネルギー定量噴霧ポンプまたは手動定量噴霧ポンプである、請求項7に記載のシステム。
【請求項12】
前記アプリケーターデバイスは、スポンジ、ブラシまたは消毒綿である、請求項7に記載のシステム。
【請求項13】
請求項7に記載のシステムと、残留カプサイシンの除去のための洗浄組成物とを備える、キット。
【請求項14】
前記洗浄組成物は、少なくとも60%のポリエチレングリコールを含有する、請求項13に記載のキット。
【請求項15】
組織の冒された領域を受け入れることの可能なたらいを備える治療槽装置であって、該たらいは底の表面およびそこから上方に伸びる壁構造を有し、ここで、該たらいは請求項6に記載の液体処方物を含有する液体を含む、治療槽装置。
【請求項16】
前記液体処方物は、カプサイシンが6%(w/v)と40%(w/v)との間を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項17】
前記液体処方物は、カプサイシンが6%(w/v)と30%(w/v)との間を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項18】
前記液体処方物は、カプサイシンが6%(w/v)と20%(w/v)との間を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項19】
前記液体処方物は、カプサイシンが6%(w/v)と10%(w/v)との間を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項20】
前記液体処方物は、カプサイシンが6%(w/v)と7.5%(w/v)との間を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項21】
前記液体処方物は、カプサイシンが6%(w/v)と7%(w/v)との間を構成する、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項22】
10%(w/v)のカプサイシンを含む、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項23】
前記液体処方物の単回適用が、少なくとも1ヶ月にわたり疼痛軽減を生じる、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項24】
前記液体処方物の単回適用が、少なくとも3ヶ月にわたり疼痛軽減を生じる、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項25】
前記液体処方物の単回適用が、少なくとも6ヶ月にわたり疼痛軽減を生じる、請求項1に記載の液体処方物。
【請求項26】
前記液体処方物の単回適用が、神経病疼痛軽減を生じる、請求項1に記載の液体処方物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−60461(P2013−60461A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−278005(P2012−278005)
【出願日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【分割の表示】特願2010−115835(P2010−115835)の分割
【原出願日】平成16年4月12日(2004.4.12)
【出願人】(505080910)ニューロジェシックス, インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】