説明

TRPV3モジュレーターとしてのクロマン誘導体

本発明は、一過性受容体電位バニロイド(TRPV)モジュレーターとしてのクロマン誘導体を提供する。特に、本明細書に記載の化合物は、TRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害の治療または予防のために有用である。本明細書では、本明細書に記載の化合物の調製方法、その合成で使用する中間体、その医薬組成物、ならびにTRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害を治療または予防するための方法も提供される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2008年6月17日に出願したインド国仮出願第1274/MUM/2008号および2008年7月7日に出願した米国仮出願第61/078,603号の利益を主張し、これらの出願はすべて、その全体が本明細書中に参考として援用される。
【0002】
技術分野
本特許出願は、一過性受容体電位バニロイド3(TRPV3)活性を有するクロマン誘導体に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
細胞膜を横切るイオンの移動は、特殊化したタンパク質によって行われる。TRPチャネルは、イオン流動および膜電位の調節を助ける機能を有する非選択的陽イオンチャネルの大きな一ファミリーである。TRPチャネルは、TRPVファミリーを含めた6つのサブファミリーに細分される。TRPV3は、TRPチャネルのTRPVクラスの一員である。
【0004】
TRPV3は、カルシウム透過性非選択的陽イオンチャネルである。TRPV3チャネルは、カルシウムイオンに加えて、他の陽イオン、たとえばナトリウムに対しても透過性である。すなわち、TRPV3チャネルは、カルシウムイオンやナトリウムイオンなどの陽イオンの流動をモジュレートすることにより、膜電位をモジュレートする。TRPV3受容体は、電位開口型カルシウムチャネルとは機械的に異なる。一般に、電位開口型カルシウムチャネルは、膜脱分極に応答し、開口して細胞外媒体からのカルシウムの流入を可能にし、それによって細胞内のカルシウムレベルまたは濃度が増大する。対照的に、非選択的であり長時間持続型のTRPチャネルは、イオン濃度のより長時間の変化をもたらし、(2−アミノエトキシジフェニルボラート[2−APB]、バニロイドなどの化学物質および熱によってモジュレートされる)リガンド開口型である。これらの機械的な違いは、電位開口型チャネルとTRPチャネルの構造的な違いを伴う。すなわち、多くの多様なチャネルが、様々な細胞型において、また非常に多くの刺激に応答してイオン流動および膜電位を調節する働きをするとしても、異なるクラスのイオンチャネル間にはかなりの構造的、機能的、および機械的な相違があることを認識することが重要である。
【0005】
TRPV3タンパク質は、皮膚細胞(非特許文献1)、脊髄神経節、三叉神経節、脊髄、および脳(非特許文献2;非特許文献3)において発現される温度感受性チャネルである。ケラチノサイト細胞系において、TRPV3を刺激すると、インターロイキン1を含めた炎症メディエーターが放出される。すなわち、TRPV3は、炎症性の刺激物の放出によって生じる炎症および疼痛の調節においても重要な役割を果たし得る。TRPV3の機能をモジュレートする化合物を同定する、本明細書で記載するようなスクリーニングアッセイで使用することのできる特定のTRPV3タンパク質としては、ヒトTRPV3、マウスTRPV3、ラットTRPV3、およびショウジョウバエTRPV3が挙げられるがこの限りではない。US2004/0009537(‘537出願)は、ヒト、マウス、およびショウジョウバエTRPV3に対応する配列を開示している。たとえば、‘537出願の配列番号106および107は、それぞれヒトの核酸およびアミノ酸配列に対応するものであった。‘537出願の配列番号108および109は、それぞれマウスの核酸およびアミノ酸配列に対応するものであった。
【0006】
TRPV3機能は本来、痛みの受容および伝達と関連付けられてきた。したがって、TRPV3の1つまたは複数の機能をモジュレートすることのできる化合物を同定し、製造することが望ましいはずである。
【0007】
特許文献1、特許文献2および特許文献3は、様々な疾患に媒介されるTRPV3を治療するためのTRPV3モジュレーター、特にアンタゴニストを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/056124号
【特許文献2】国際公開第2008/140750号
【特許文献3】国際公開第2008/033564号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Peierら、Science(2002年)、第296巻、2046〜2049頁
【非特許文献2】Xuら、Nature(2002年)、第418巻、181〜185頁
【非特許文献3】Smithら、Nature(2002年)、第418巻、186〜188頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よりよい鎮痛薬を発見する取り組みの中で、TRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害の治療処置が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
概要
本特許出願は、式(I)の化合物に関する:
【0012】
【化1】

【0013】
ここで、点線(.....)は、必要に応じた結合であり、
Aは、置換または非置換のシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式基であり、
Yは、−(CHRであり、Rは、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルであり、
Xは、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキル、−OR、−NR、−C(O)−R、−C(O)O−R、−C(O)NR、−S(O)NR、または−S(O)であり、
およびRは、存在する毎に、同じでも異なってもよく、水素、−OR、置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環式基、またはヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立に選択され、
は、存在する毎に、水素、置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され、
「m」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)であり、
「n」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)であり、
「p」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)であり、
「r」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)である。
【0014】
式(I)は、構造に関して、本明細書に記載の種類の化学構造から考えることのできる鏡像異性体、およびジアステレオ異性体を含めたすべての立体異性体、ならびに薬学的に許容される塩を包含することを理解されたい。
【0015】
一実施形態によれば、「A」が置換または非置換のアリールである式(I)の化合物が特に提供される。この実施形態では、「A」は、置換または非置換のフェニルまたはナフチル(napthyl)であることが好ましく、(1個または複数の)置換基は、ハロゲン(たとえばフッ素または塩素)、アルコキシ(たとえばメトキシ)、またはシクロアルコキシ(たとえばシクロペンチルオキシ)からそれぞれ独立に選択される。
【0016】
別の実施形態によれば、「A」が置換または非置換のヘテロアリールである式(I)の化合物が特に提供される。この実施形態では、「A」は、置換または非置換のチアゾール、ベンゾチアゾール、キノリン、またはジベンゾ[b,d]フランであることが好ましく、(1個または複数の)置換基は、ハロゲン、アルキル(たとえばメチル)、アルコキシ(たとえばメトキシ)、シクロアルコキシ、またはハロフェニル(たとえばブロモフェニル)からそれぞれ独立に選択される。
【0017】
別の実施形態によれば、「Y」が、CH、CH(CH)、または結合である式(I)の化合物が特に提供される。
【0018】
別の実施形態によれば、点線(.....)が、単結合または不在である式(I)の化合物が特に提供される。
【0019】
別の実施形態によれば、Xが、ハロゲン(たとえばフッ素または塩素)またはアルコキシ(たとえばメトキシ)であり、「m」が1である式(I)の化合物が特に提供される。
【0020】
別の実施形態によれば、「n」が1である式(I)の化合物が特に提供される。
【0021】
以下は、代表的な化合物であるが、例示的な性質のものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−メトキシフェニル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−シクロペンチルオキシ−3−メトキシベンジル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1−(4−メトキシナフチルメチル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−[(4−メトキシジベンゾ[b,d]フラン−1−イル)メチル]アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−[(1S)−1−フェニルエチル]アセトアミド、
(2E)−2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イリデン)−N−[2−(シクロペンチルオキシ)フェニル]アセトアミド、
N−(2−シクロペンチルオキシフェニル)−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド、
N−(2,6−ジフルオロベンジル)−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド、
2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−キノリン−6−イルアセトアミド、
N−[4−(4−ブロモフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド、
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1−ナフチルアセトアミド、
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1,3−チアゾール−2−イルアセトアミドおよび
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(6−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド
または
化合物1〜13の類似体、互変異性体、レジオマー、幾何異性体、立体異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、もしくは薬学的に許容される塩も企図される。
【0022】
別の実施形態によれば、TRPV3機能を阻害し、IC50値が10,000nM未満である式Iの化合物またはその塩が特に提供される。他の実施形態では、TRPV3機能を阻害し、IC50値が1000nM未満である式Iの化合物またはその塩が特に提供される。
【0023】
本明細書に記載の化合物の調製方法もここで提供する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本特許出願は、TRPV3モジュレーターとして使用することのできるクロマン誘導体およびこうした化合物の合成方法を提供する。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容できる塩、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体は、単独および個々に企図される。TRPV3に媒介される疾患、状態、および/または障害の治療に使用することのできる、記載の化合物と共に、薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤を含有する医薬組成物が個々に企図される。
【0025】
本発明は、特許請求の範囲によって規定されるものであり、本明細書において以下で示す記述によって限定されるものではない。付属の特許請求の範囲で使用する用語は、本明細書のこの用語解説の部で定義するが、但し、請求項の用語は、明確な列挙によってそのように定義される場合、異なって用いられる場合もある。
【0026】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を包含する。
【0027】
用語「アルキル」とは、炭素原子および水素原子のみからなり、不飽和を含まず、1個〜8個の炭素原子を有し、分子の残部に単結合によって結合している炭化水素鎖基、たとえば、メチル、エチル、n−プロピル、1−メチルエチル(iso−プロピル)、n−ブチル、n−ペンチル、および1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)を指す。用語「C1〜6アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル鎖を指す。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのアルキル基は、直鎖でも分枝状でもよく、置換でも非置換でもよい。
【0028】
用語「アルケニル」とは、2〜10個の炭素原子を含んでおり、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む炭化水素鎖を指す。アルケニル基の非限定的な例として、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソ−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、および2−ブテニルが挙げられる。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのアルケニル基は、直鎖でも分枝状でもよく、置換でも非置換でもよい。
【0029】
用語「アルキニル」とは、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、2個〜約12個の炭素原子を有するヒドロカルビル基(2個〜約10個の炭素原子を有する基が好ましい)を指す。アルキニル基の非限定的な例として、エチニル、プロピニル、およびブチニルが挙げられる。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのアルキニル基は、直鎖でも分枝状でもよく、置換でも非置換でもよい。
【0030】
用語「アルコキシ」とは、分子の残部に酸素結合を介して結合したアルキル基を意味する。そのような基の代表例は、−OCHおよび−OCである。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのアルコキシ基は、直鎖でも分枝状でもよく、置換でも非置換でもよい。
【0031】
用語「シクロアルキル」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなど、3個〜約12個の炭素原子の芳香族ではない単環式または多環式の環系を意味する。多環式シクロアルキル基の例としては、ペルヒドロナフチル、アダマンチル、およびノルボルニル基、架橋環式基、またはスピロ二環式基、たとえばスピロ(4,4)ノン−2−イルが挙げられるがこの限りではない。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのシクロアルキル基は、置換でも非置換でもよい。
【0032】
用語「シクロアルキルアルキル」とは、アルキル基に直接に結合した3個〜約8個の炭素原子を有する環状の環含有基を指す。シクロアルキルアルキル基は、アルキル基中の、安定な構造をもたらす任意の炭素原子のところで主構造に結合することができる。そのような基の非限定的な例として、シクロプロピルメチル、シクロブチルエチル、およびシクロペンチルエチルが挙げられる。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのシクロアルキルアルキル基は、置換でも非置換でもよい。
【0033】
用語「シクロアルケニル」とは、シクロプロペニル、シクロブテニル、およびシクロペンテニルなど、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合と共に、3個〜約8個の炭素原子を有する環式の環含有基を指す。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのシクロアルケニル基は、置換でも非置換でもよい。
【0034】
用語「アリール」とは、6〜14個の炭素原子を有する芳香族基を指し、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル(tetrahydronapthyl)、インダニル、およびビフェニルなどの、単環式、二環式、および三環式芳香族系を包含する。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのアリール基は、置換でも非置換でもよい。
【0035】
用語「アリールアルキル」とは、上で規定したようなアルキル基に直接に結合した、上で規定したようなアリール基、たとえば、−CHおよび−Cを指す。
【0036】
用語「ヘテロシクリル」および「複素環」「複素環式基」とは、炭素原子と、窒素、リン、酸素、および硫黄から選択される1個〜5個のヘテロ原子とからなる安定な3〜15員環基を指す。本発明の目的では、複素環式基は、縮合、架橋、またはスピロ環系を含めてもよい、単環式、二環式、または三環式の環系でよく、複素環式基中の窒素、リン、炭素、酸素、または硫黄原子は、任意選択で酸化して、様々な酸化状態にあってもよい。さらに、窒素原子は、四級化されていてもよく、環基は、部分的または完全に飽和していてもよい(すなわち、複素環またはヘテロアリール)。そのような複素環式基の例としては、アゼチジニル、アクリジニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキサニル、ベンゾフラニル、カルバゾリル、シンノニリル、ジオキソラニル、インドリジニル、ナフチリジニル、ペルヒドロアゼピニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピリジル、プテリジニル、プリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラゾリル、イミダゾリル、テトラヒドロイソキノリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、2−オキソアゼピニル、アゼピニル、ピロリル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、トリアゾリル、インダニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリル、チアゾリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、キヌクリジニル、イソチアゾリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、キノリル、イソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンゾイミダゾリル、チアジアゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、チエニル、ベンゾチエニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、ジオキサホスホラニル、オキサジアゾリル、クロマニル、およびイソクロマニルが挙げられるがこれに限らない。複素環式基は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子のところで主構造に結合することができる。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのヘテロシクリル基は、より複雑な部分構造に含まれるものを含めて、置換でも非置換でもよい。
【0037】
用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、アルキル基に直接に結合した複素環式基を指す。ヘテロシクリルアルキル基は、安定な構造をもたらす、アルキル基中の任意の炭素原子のところで主構造に結合することができる。
【0038】
用語「ヘテロアリール」とは、芳香族複素環式基を指す。ヘテロアリール環基は、安定な構造をもたらす任意のヘテロ原子または炭素原子のところで主構造に結合することができる。そうでないことを記載または列挙しない限り、本明細書において記載または特許請求の範囲に記載するすべてのヘテロアリール基は、より複雑な部分構造に含まれるものを含めて、置換でも非置換でもよい。
【0039】
用語「ヘテロアリールアルキル」とは、アルキル基に直接に結合したヘテロアリール環基を指す。ヘテロアリールアルキル基は、安定な構造をもたらす、アルキル基中の任意の炭素原子のところで主構造に結合することができる。
【0040】
特に指定しない限り、用語「置換」とは、本明細書では、その限りではないが、ヒドロキシ、ハロゲン、カルボキシル、シアノ、ニトロ、オキソ(=O)、チオ(=S)、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニルアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換もしくは非置換のヘテロシクリルアルキル環、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、置換もしくは非置換の複素環、置換もしくは非置換のグアニジン、−COOR、−C(O)R、−C(S)R、−C(O)NR、−C(O)ONR、−NRCONR、−N(R)SOR、−N(R)SO、−(=N−N(R)R)、−NRC(O)OR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(S)R、−NRC(S)NR、−SONR、−SONR、−OR、−ORC(O)NR、−ORC(O)OR、−OC(O)R、−OC(O)NR、−RNRC(O)R、−ROR、−RC(O)OR、−RC(O)NR、−RC(O)R、−ROC(O)R、−SR、−SOR、−SO、および−ONOなどの置換基を含む基または部分の構造骨格に結合する1つまたは複数の置換基を有する基または部分を指し、R、RおよびRは、水素、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルコキシ、置換もしくは非置換のアルケニル、置換もしくは非置換のアルキニル、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のアリールアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルキル、置換もしくは非置換のシクロアルケニル、置換もしくは非置換のアミノ、置換もしくは非置換のアリール、置換もしくは非置換のヘテロアリール、置換ヘテロシクリルアルキル環、置換もしくは非置換のヘテロアリールアルキル、または置換もしくは非置換の複素環からそれぞれ独立に選択される。
【0041】
状態(state)、疾患、または状態(condition)を「治療する」またはその「治療」という用語は、以下を包含する:(a)状態(state)、障害もしくは状態(condition)を患い、またはその素因があり得るが、その状態(state)、障害もしくは状態(condition)の臨床的または準臨床的症状を未だ経験も顕示もしていない対象において発症する状態(state)、障害もしくは状態(condition)の臨床症状の出現を予防するかまたは遅らせること、(b)状態(state)、障害もしくは状態(condition)を抑制する、すなわち、疾患、またはその少なくとも1つの臨床的もしくは準臨床的症状の発症を阻止または軽減すること、または(c)疾患を解消する、すなわち、状態(state)、障害もしくは状態(condition)、またはその臨床的もしくは準臨床的症状の少なくとも1つを退行させること。
【0042】
用語「対象」(subject)は、家畜(たとえば、ネコおよびイヌを含めた家庭用愛玩動物)や(野生動物などの)非家畜動物など、哺乳動物(特にヒト)および他の動物を包含する。
【0043】
「治療有効量」とは、状態(state)、障害、または状態(condition)を治療するために対象に投与するとき、対象において投与の目的である効果を引き起こすのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患およびその重症度、ならびに治療を受ける対象の年齢、体重、身体的状態、および応答性に応じて様々となる。
【0044】
本特許出願に記載の化合物は、塩を形成する場合もある。本特許出願の一部をなす薬学的に許容される塩の非限定的な例としては、無機塩基由来の塩、有機塩基の塩、キラル塩基の塩、天然アミノ酸の塩、非天然アミノ酸の塩が挙げられる。式(I)によって示す全化合物に関して、本特許出願は、これらの立体異性体形態およびその混合物をカバーする。先行技術によって特定の立体異性体の合成または分離が教示されている程度までは、本特許出願の異なる立体異性体形態を、当業界で公知の方法によって互いに分離することができ、または立体特異的合成もしくは不斉合成によって所与の異性体を得ることができる。本明細書に記載の化合物の互変異性体形態および混合物も企図される。
【0045】
医薬組成物
本発明で提供する医薬組成物は、少なくとも1種の本明細書に記載の化合物と、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤(薬学的に許容される担体や希釈剤など)とを含む。企図する医薬組成物は、本明細書に記載の化合物を、対象においてTRPV3受容体を阻害するのに十分な量で含むことが好ましい。
【0046】
企図する対象としては、たとえば、生細胞、およびヒト哺乳動物を含めた哺乳動物が挙げられる。本発明の化合物は、薬学的に許容される賦形剤(担体や希釈剤など)を伴っていてもよいし、または担体で希釈されていてもよいし、またはカプセル、小袋、紙、もしくは他の容器の形でよい担体に封入されていてもよい。
【0047】
適切な担体の例としては、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシ化ヒマシ油、ラッカセイ油、オリーブ油、ゼラチン、ラクトース、白土、スクロース、デキストリン、炭酸マグネシウム、糖、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、セルロースのステアリン酸もしくは低級アルキルエーテル、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロース、およびポリビニルピロリドンが挙げられるがこれに限らない。
【0048】
担体または希釈剤には、単独またはろうと混合された、モノステアリン酸グリセリルやジステアリン酸グリセリルなどの徐放性材料を含めることもできる。
【0049】
医薬組成物は、1種または複数の薬学的に許容される補助剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、浸透圧に影響を及ぼす塩、緩衝剤、甘味剤、着香剤、着色剤、または前述のものの任意の組合せを含んでもよい。本発明の医薬組成物は、対象に投与された後、前述のものの急速放出、持続放出、または遅延放出をもたらすように、当業界で公知の手順を用いて製剤することができる。
【0050】
本明細書に記載の医薬組成物は、当業界で公知の従来の技術によって調製することができる。たとえば、活性化合物を担体と混合し、または担体で希釈し、またはアンプル、カプセル、小袋、紙、もしくは他の容器の形でよい担体に封入することができる。担体は、希釈剤として使用するとき、活性化合物のためのビヒクル、賦形剤、または媒体として働く固体、半固体、または液体材料でよい。活性化合物は、たとえば小袋中の、顆粒の固体容器に吸着させることができる。
【0051】
医薬組成物は、従来の形態、たとえば、カプセル剤、錠剤、エアロゾル、溶液、懸濁液、または局所適用のための製品にすることができる。
【0052】
投与経路は、本発明の活性化合物を適切なまたは所望の作用部位に効果的に輸送するどんな経路でもよい。適切な投与経路としては、経口、経鼻、肺、口腔、真皮下、皮内、経皮、非経口、直腸、デポー、皮下、静脈内、尿道内、筋肉内、鼻腔内、眼科(点眼液を用いるなど)、または局所(局所用軟膏を用いるなど)が挙げられるがこれらに限らない。
【0053】
固体経口製剤としては、錠剤、カプセル剤(軟または硬ゼラチン)、糖衣丸(粉末またはペレット状の活性成分を含有する)、トローチ剤、およびロゼンジが挙げられるがこれらに限らない。タルクおよび/または炭水化物の担体または結合剤などを含んでいる錠剤、糖衣丸、またはカプセル剤は、経口での適用に特に適する。液体製剤としては、シロップ、乳濁液、軟ゼラチン、および水性または非水性の懸濁液または溶液などの無菌注射液が挙げられるがこれらに限らない。非経口の適用では、ポリヒドロキシル化ヒマシ油に溶解させた活性化合物を含有する注射用の溶液または懸濁液、好ましくは水溶液が特に適する。
【0054】
本明細書に記載の疾患および障害の治療で使用するのに適する化合物の用量は、関連分野の技術者によって決定することができる。治療的な用量は、一般に、動物試験から導かれる予備的な証拠に基づき、ヒトにおける用量範囲試験(dose ranging study)を通して同定される。用量は、望ましくない副作用を引き起こすことなく、所望の治療利益をもたらすのに十分でなければならない。たとえば、TRPV3モジュレーターの1日投与量は、約0.1〜約30.0mg/kgの範囲とすることができる。投与方式、剤形、適切な医薬用賦形剤、希釈剤、または担体も、当業者の手でうまく使用し、調整することができる。変更および改変はすべて、本発明の範囲内に想定される。
【0055】
治療方法
本発明は、TRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害の治療に有用な化合物およびその医薬製剤を提供する。本特許出願はさらに、TRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害を治療する必要のある対象において、その対象に治療有効量の本発明の化合物または医薬組成物を投与することにより、TRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害を治療する方法も提供する。
【0056】
TRPV3によってモジュレートされる疾患、状態、および/または障害としては、その限りではないが、疼痛、侵害受容性疼痛、歯痛、虚血心筋層から生じる心臓痛、偏頭痛による疼痛、急性痛、慢性痛、神経因性疼痛、術後疼痛、神経痛(たとえばヘルペス後神経痛または三叉神経痛)による疼痛、糖尿病性ニューロパシーによる疼痛、歯痛、および癌性疼痛、炎症性の疼痛状態(たとえば関節炎および変形性関節症)、関節痛、ニューロパシー、神経変性、網膜症、神経性皮膚障害、脳卒中(stroke)、膀胱過敏症、尿失禁、外陰部痛(vulvodynia)、過敏腸管症候群などの胃腸障害、胃食道逆流疾患、腸炎、回腸炎、胃十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、膵炎などの炎症性疾患;アレルギー性および非アレルギー性鼻炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器障害;皮膚、眼、または粘膜の刺激、皮膚炎、尿毒症性そう痒症(uremic pruritus)などのそう痒性状態、体温上昇、筋痙攣、嘔吐、ジスキネジア、うつ病、ハンチントン病、記憶障害、脳機能の制限、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知症、関節炎、変形性関節症、糖尿病、肥満、じんま疹、日光性角化症、角化棘細胞腫(keratocanthoma)、脱毛症、メニエール病、耳鳴、聴覚過敏、不安障害、ならびに良性前立腺肥大症が挙げられると考えられている。TRPV3によってモジュレートされる追加の疾患、状態、および/または障害は、たとえば、WO2007/056124;Wissenbach, U.ら、Biology of the cell(2004年)、第96巻、47〜54頁;Nilius, B.ら、Physiol Rev(2007年)、第87巻、165〜217頁;Okuhara, D. Y.ら、Expert Opinion on Therapeutic Targets(2007年)、第11巻、391〜401頁;Hu, H. Z.ら、Journal of Cellular Physiology(2006年)、第208巻、201〜212頁、およびこれら文献の中で引用される参考文献で説明されており、これらすべての文献の全体を、記載した目的のために参照により本明細書に援用する。
【0057】
一般調製法
一般式(1)の化合物および特定の実施例を含めて、本明細書に記載の化合物は、当業者に公知の技術を使用して調製される。本明細書に記載の化合物は、スキーム1に示すような反応順序で調製される。考えられるすべての立体異性体も、本発明の範囲内に構想される。
【0058】
以下の反応スキームの出発材料は、市販されており、または当業者に公知の方法に従って、もしくは本明細書で開示する方法によって調製することができる。一般に、本明細書による化合物は、以下のとおり反応スキームによって調製することができ、記号はすべて、上で規定したとおりである。
【0059】
式(I)の化合物は、合成スキーム1に従って調製することができる。すなわち、式(1)の2−ヒドロキシアセトフェノンを、アルコール性溶媒中にてピロリジンやピペリジンなどの塩基の存在下、式(2)の環式のケトンと縮合させると、式(3)のスピロ環式ケトンが得られ、これを、ウィッティヒ反応条件下で式(4)のホスホノ酢酸トリアルキル(Rはアルキルである)と反応させると、式(5)のアクリル酸エステル(Rはアルキルである)が得られる。式(5)の化合物を加水分解した後、接触水素化(任意)にかけると、式(6)の化合物が得られる。式(6)のカルボン酸を適切なカップリング剤の存在下で式(7)の適切なアミンと結合させることにより、一般式(I)の化合物を調製する。別法として、中間体(6)の酸塩化物を適切な塩基の存在下で式(7)のアミンと結合させて、一般式(I)の化合物を得ることもできる。
【0060】
【化2】

【実施例】
【0061】
実験
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、実施例は、本開示の範囲に制限を強いるものとは決して解釈されず、むしろ例示的なものを意図しているにすぎない。したがって、当業者ならば、以下の実施例、置換基、試薬、または条件を様々に変更することにより、開示する実験および実施例をさらに広げて実行に移すことのできる方法を心得ていよう。
【0062】
中間体
中間体1
(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)酢酸:
【0063】
【化3】

【0064】
ステップ1:6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−オン:メタノール(50ml)中の5’−クロロ−2’−ヒドロキシアセトフェノン(5.0g、29.308mmol)の撹拌した溶液に、ピロリジン(4.16g、58.616mmol)、次いでシクロブタノン(4.1g、58.616mmol)を室温で加えた。反応混合物を窒素中にて14時間加熱還流した。減圧下で溶媒を蒸発させ、得られた残渣を水(100ml)で希釈し、混合物をpH4.0に酸性化した。混合物をクロロホルム(3×100ml)で抽出した。有機抽出物を合わせて水(100ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させた後に得られた残渣を、石油エーテル中の15%の酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、6.3gの生成物を白色の固体として得た。
【0065】
【化4】

【0066】
ステップ2:エチル(2E)−(6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−イリデン)アセテート:無水テトラヒドロフラン(25ml)中の水素化ナトリウム(431mg、17.897mmol)の撹拌し冷却した混合物に、ホスホノ酢酸トリエチル(4.03g、17.897mmol)を15分間かけて加えた。反応混合物を30分間撹拌し、次いで無水テトラヒドロフラン中の6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−オン(2g、8.948mmol)を加えた。反応混合物を窒素中にて同じ温度で24時間撹拌した。反応混合物をメタノールおよび水で希釈し、生成物を酢酸エチル(3×100ml)中に抽出した。有機層を水(100ml)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、3.54gの粗生成物を得、これをそのまま次のステップに使用した。
【0067】
ステップ3:(2E)−(6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−イリデン)酢酸:エタノール(30ml)中のエチル(2E)−(6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−イリデン)アセテート(3g、10.22mmol)の撹拌した溶液に、1N水酸化ナトリウム溶液(30ml)を室温で加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒を蒸発させた後に得られた残渣を1N HClで酸性化した。所望の生成物を酢酸エチル(3×50ml)中に抽出し、水(100ml)、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濃縮して、2.6gの生成物を白色の固体として得た。
【0068】
【化5】

【0069】
ステップ4:(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)酢酸:酢酸エチル(25ml)中の(2E)−(6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−イリデン)酢酸(2.5g、9.444mmol)の撹拌した溶液に、10%Pd/C(50mg)を室温で加えた。反応混合物をPaar水素化装置にて40psiの水素圧で12時間撹拌した。反応混合物をセライト床で濾過し、濾液を乾燥させ(NaSO)、濃縮して、2.45gの生成物を白色の固体として得た。
【0070】
【化6】

【0071】
中間体2
6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)酢酸:
【0072】
【化7】

【0073】
表題化合物は、5’−フルオロ−2’−ヒドロキシアセトフェノンおよびシクロブタノンから、中間体1に記載したのと同様の手順によって4ステップで調製して、白色の固体を得た。
【0074】
【化8】

【0075】
中間体3
(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)酢酸:
【0076】
【化9】

【0077】
ステップ1:6−ヒドロキシスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−(3H)−オン:表題化合物は、2’,5’−ジヒドロキシアセトフェノン(10g、65.724mmol)およびシクロブタノン(13.29ml、131.44mmol)から、ピロリジン(10.79ml)の存在下、中間体1のステップ1に記載したのと同様の手順によって調製して、10gの生成物を得た。
【0078】
【化10】

【0079】
ステップ2:6−メトキシスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−オン:乾燥ジメチルホルムアミド(150ml)中の6−ヒドロキシスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−(3H)−オン(8g、39.215mmol)の撹拌した溶液に、炭酸カリウム(16.28g、117.64mmol)およびヨウ化メチル(4.88ml、78.431mmol)を加え、反応混合物を窒素雰囲気中にて室温で2時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を水(100ml)で希釈し、酢酸エチル(3×300ml)で抽出し、有機層を合わせて水(3×100ml)、ブライン(60ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、8.13gの生成物を得た。
【0080】
【化11】

【0081】
ステップ3:最終化合物は、6−メトキシスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−オンから、中間体1のステップ2〜4に記載したのと同様の手順によって調製した。
【0082】
【化12】

【0083】
中間体4
1−[2−(シクロペンチルオキシ)−3−メトキシフェニル]メチルアミン塩酸塩:
【0084】
【化13】

【0085】
ステップ1:2−(シクロペンチルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒドオキシム:エタノール中の2−(シクロペンチルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒド(3g、13.636mmol)の撹拌した溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.758g、27.277mmol)および水酸化ナトリウム水溶液(18ml、34.091mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気中にて6時間還流させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、反応混合物を水で希釈した。クロロホルム(3×200ml)を使用して生成物を抽出し、有機層を合わせて水(3×100ml)、ブライン(50ml)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮して、3.12gの生成物を得た。
【0086】
【化14】

【0087】
ステップ2:1−[2−(シクロペンチルオキシ)−3−メトキシフェニル]メタンアミン塩酸塩:メタノール(10ml)中の2−(シクロペンチルオキシ)−3−メトキシベンズアルデヒドオキシム(3g、12.448mmol)の撹拌した溶液に、触媒量のラネーニッケル(0.30g)を室温で加えた。反応混合物をPaar水素化装置にて50psiの水素圧で3時間撹拌した。反応混合物をセライト床で濾過し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。次いで、粗生成物を酢酸エチルに溶解させ、これに酢酸エチル中の塩酸を10℃で滴下し、20分間撹拌し、次いで濾過し、乾燥させて、2.86gの生成物を得た。
【0088】
【化15】

【0089】
中間体5
1−(4−メトキシ−1−ナフチル)メチルアミン塩酸塩:
【0090】
【化16】

【0091】
表題化合物は、4−メトキシ−1−ナフトアルデヒド(1g、5.376mmol)から、中間体4に記載したのと同様の手順によって2ステップで調製して、1.27gの生成物を塩酸塩として得た。
【0092】
【化17】

【0093】
中間体6
1−(4−メトキシジベンゾ[b,d]フラン−1−イル)メチルアミン塩酸塩:
【0094】
【化18】

【0095】
表題化合物は、4−メトキシ−ジベンゾ[b,d]フラン−1−カルバルデヒド(3g、13.274mmol)から、中間体4に記載したのと同様の手順によって2ステップで調製して、2.97gの生成物を塩酸塩として得た。
【0096】
【化19】

【0097】
(実施例)
3,4−ジヒドロスピロ[クロメン2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−メトキシフェニル)アセトアミド誘導体を調製するための一般手順:
方法A
ジクロロメタン中の(3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)酢酸誘導体(1.0mmol)およびアリールアミン塩酸塩(1.0mmol)の撹拌した混合物に、3−(3−ジメチルアミノプロピル)−1−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI・HCl)(1.3mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(1.3mmol)、およびトリエチルアミン(3.4mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応が完了した後、反応混合物を水で希釈し、クロロホルムで抽出し、有機層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を得た。
【0098】
方法B
ステップ1:ジクロロメタン中の(3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)酢酸誘導体(1.0mmol)の撹拌した溶液に、塩化オキサリル(1.5mmol)および触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドを加えた。反応混合物を窒素雰囲気中にて室温で2時間撹拌した。減圧下で溶媒および過剰の塩化オキサリルを蒸発させて、酸塩化物を粘着性の固体として得、これを精製せずにそのままカップリング反応に使用した。
【0099】
ステップ2:ジクロロメタン中のアリールアミン(1.0mmol)およびトリエチルアミン(1.7mmol)の撹拌し冷却した混合物に、ジクロロメタン中のステップ1中間体(1.0mmol)を0℃で15分間かけて加えた。反応混合物を室温に温め、窒素中にて同じ温度で2時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、生成物をクロロホルムで抽出した。合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮して、生成物を得た。
【0100】
(実施例1)
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−メトキシフェニル)アセトアミド:
【0101】
【化20】

【0102】
表題化合物は、中間体1から調製した6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセチル塩化物(230mg、0.812mmol)を、ジクロロメタン(10ml)中にてトリエチルアミン(225μl、1.624mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに2−メトキシアニリン(100mg、0.812mmol)と結合させることにより調製して、159mgの生成物をオフホワイトの固体として得た。
【0103】
【化21】

【0104】
(実施例2)
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−シクロペンチルオキシ−3−メトキシベンジル)アセトアミド:
【0105】
【化22】

【0106】
この表題化合物は、中間体1(207mg、0.828mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてEDCI・HCl(238mg、1.248mmol)、HOBt(190mg、1.242mmol)、およびトリエチルアミン(460μl、3.312mmol)の存在下、方法Aに記載のとおりに中間体4 (200mg、0.828mmol)と結合させることにより調製して、157mgの生成物を白色の固体として得た。
【0107】
【化23】

【0108】
(実施例3)
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1−(4−メトキシナフチルメチル)アセトアミド:
【0109】
【化24】

【0110】
表題化合物は、中間体1(178mg、0.671mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてEDCI・HCl(192mg、1.008mmol)、HOBt(154mg、1.008mmol)、およびトリエチルアミン(375μl、2.686mmol)の存在下、方法Aに記載のとおりに中間体5(150mg、0.671mmol)と結合させることにより調製して、103mgの生成物を白色の固体として得た。
【0111】
【化25】

【0112】
(実施例4)
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−[(4−メトキシジベンゾ[b,d]フラン−1−イル)メチル]アセトアミド:
【0113】
【化26】

【0114】
表題化合物は、中間体1(121mg、0.455mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてEDCI・HCl(109mg、0.569mmol)、HOBt(87mg、0.569mmol)、およびトリエチルアミン(158μl、1.138mmol)の存在下、方法Aに記載のとおりに中間体6(100mg、0.379mmol)と結合させることにより調製して、64mgの生成物を白色の固体として得た。
【0115】
【化27】

【0116】
(実施例5)
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−[(1S)−1−フェニルエチル]アセトアミド:
【0117】
【化28】

【0118】
表題化合物は、中間体1の酸塩化物(117mg、0.412mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(172μl、1.238mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに(S)−(−)−α−メチルベンジルアミン(50mg、0.412mmol)と結合させることにより調製して、98mgの生成物を白色の固体として得た。
【0119】
【化29】

【0120】
(実施例6)
(2E)−2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イリデン)−N−[2−(シクロペンチルオキシ)フェニル]アセトアミド:
【0121】
【化30】

【0122】
表題化合物は、エチル(2E)−(6−クロロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4(3H)−イリデン)アセテート(中間体1のステップ2)を、ジクロロメタン(5ml)中にてEDCI・HCl(163mg、0.851mmol)、HOBt(130mg、0.851mmol)、およびトリエチルアミン(157μl、1.134mmol)の存在下、方法Aに記載のとおりに2−(シクロペンチルオキシ)アニリン(120mg、0.681mmol)(150mg、0.565mmol)と結合させることにより調製して、95mgの生成物を白色の固体として得た。
【0123】
【化31】

【0124】
(実施例7)
N−(2−シクロペンチルオキシフェニル)−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド:
【0125】
【化32】

【0126】
表題化合物は、中間体2の酸塩化物(121mg、0.451mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(188μl、1.353mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに2−(シクロペンチルオキシ)アニリン(80mg、0.451mmol)と結合させることにより調製して、89mgの生成物を白色の固体として得た。
【0127】
【化33】

【0128】
(実施例8)
N−(2,6−ジフルオロベンジル)−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド:
【0129】
【化34】

【0130】
表題化合物は、中間体2の酸塩化物(250mg、0.931mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(388μl、2.793mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに2,6−ジフルオロベンジルアミン(133μl、1.117mmol)と結合させることにより調製して、219mgの生成物を白色の固体として得た。
【0131】
【化35】

【0132】
(実施例9)
2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−キノリン−6−イルアセトアミド:
【0133】
【化36】

【0134】
表題化合物は、中間体2の酸塩化物(110mg、0.409mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(171μl、1.229mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに6−アミノキノリン(65mg、0.451mmol)と結合させることにより調製して、99mgの生成物を白色の固体として得た。
【0135】
【化37】

【0136】
(実施例10)
N−[4−(4−ブロモフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド:
【0137】
【化38】

【0138】
ジメチルホルムアミド(5ml)中の中間体2(100mg、0.399mmol)の撹拌した溶液に、4−(4−ブロモフェニル)−1,3−チアゾール−2−アミン(122mg、0.679mmol)を加えた後、ジシクロヘキシルカルボジイミド(122mg、0.598mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(67mg、0.598mmol)を加えた。反応混合物を窒素中にて24時間80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、残渣をセライト床で濾過した。生成物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出し、有機層を合わせて水、ブラインで洗浄し、乾燥させた(NaSO)。減圧下で蒸発にかけた後に得られた粗生成物を、石油エーテル中の5%の酢酸エチルを使用するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、79mgの生成物をオフホワイトの固体として得た。
【0139】
【化39】

【0140】
(実施例11)
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1−ナフチルアセトアミド
【0141】
【化40】

【0142】
表題化合物は、中間体3の酸塩化物(195mg、0.698mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(291μl、2.095mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに1−アミノナフタレン(100mg、0.698mmol)と結合させることにより調製して、128mgの生成物を白色の固体として得た。
【0143】
【化41】

【0144】
(実施例12)
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1,3−チアゾール−2−イルアセトアミド:
【0145】
【化42】

【0146】
表題化合物は、中間体3の酸塩化物(100mg、0.356mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(149μl、1.068mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに2−アミノ−1,3−チアゾール(35mg、0.356mmol)と結合させることにより調製して、85mgの生成物を白色の固体として得た。
【0147】
【化43】

【0148】
(実施例13)
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(6−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミド:
【0149】
【化44】

【0150】
表題化合物は、中間体3の酸塩化物(170mg、0.608mmol)を、ジクロロメタン(5ml)中にてトリエチルアミン(254μl、1.826mmol)の存在下、方法Bに記載のとおりに6−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2−アミン(100mg、0.608mmol)と結合させることにより調製して、80mgの生成物を白色の固体として得た。
【0151】
【化45】

【0152】
薬理活性
本発明の実例となる実施例のTRPV3活性について、To’th, A.、Kedei, N.、Wang, Y.、およびBlumberg, P. M.、Life Sciences(2003年)、第73巻、487〜498頁に記載の手順の変法に従ってスクリーニングする。化合物のスクリーニングは、当業者に公知の他の方法および手順によって実施することもできる。そのようなスクリーニング法は、(a)Hu, H.−Z.ら、J. Biol. Chem.(2004年)、第279巻、35741〜35747頁;(b)Smith, G. Dら、Nature(2002年)、第418巻、186〜190頁;(c)Peier, A. M.ら、Science(2002年)、第296巻、2046〜2049頁で見ることができる。
【0153】
45カルシウム取込みアッセイを使用したTRPV3アンタゴニストのスクリーニング:
TRPV3受容体活性化の阻害を、2−アミノエスキシジフェニルボラート(2−aminoethxydiphenylborate;2−APB)によって誘導される細胞の放射性カルシウム取込みの阻害として追跡した。試験化合物をジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解させて20mMの保存溶液を調製し、次いで、1.8mMのCaClを含有するDMEM/F−12の単純培地を使用して希釈し、所望の濃度を得た。反応液中のDMSOの最終濃度は0.5%(v/v)とした。ヒトTRPV3を発現させるCHO細胞を、10%のFBS、1%のペニシリン−ストレプトマイシン溶液、400μg/mlのG−418を含有するDMEM/F−12培地において増殖させた。実験日にウェルあたり約50,000細胞となるように、アッセイの24時間前に細胞を96ウェルプレートに播種した。細胞を試験化合物で10分間かけて処理した後、最終濃度を500μMとした2−APBおよび5μCi/mlの45Ca+2を4分間加えた。1%のTriton X−100、0.1%のデオキシコール酸塩、および0.1%のSDSを含有する緩衝液を使用して、細胞を洗浄し、溶解させた。溶解産物中の放射能を、液体シンチラントを加えた後Packardt Topcountで測定した。濃度反応曲線は、試験アゴニストなしで得られた最大反応の%としてプロットした。IC50値は、GraphPad PRISMソフトウェアを使用して、濃度反応曲線から非線形回帰分析によって算出した。
【0154】
調製した化合物を、上記アッセイ手順を使用して試験し、得られた結果を表1に示す。濃度1.0μMおよび10.0μMでの阻害パーセントを表1に示す。
【0155】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化46】


または薬学的に許容されるその塩であって、
ここで、点線(.....)は、必要に応じた結合であり、
Aは、置換または非置換のシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環式基であり、
Yは、−(CHRであり、Rは、水素、ハロゲン、または置換もしくは非置換のアルキルであり、
Xは、水素、ニトロ、シアノ、ハロゲン、置換もしくは非置換のアルキル、−OR、−NR、−C(O)−R、−C(O)O−R、−C(O)NR、−S(O)NR、または−S(O)であり、
およびRは、存在する毎に、同じでも異なってもよく、水素、−OR、置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル シクロアルキルアルキル、シクロアルケニル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、複素環式基、またはヘテロシクリルアルキルからそれぞれ独立に選択され、
は、存在する毎に、水素、置換または非置換のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、またはヘテロシクリルアルキルからなる群から選択され、
「m」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)であり、
「n」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)であり、
「p」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)であり、
「r」は、0〜2の範囲の整数(0と2を含める)である、化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
Yが−(CHRであり、rは0〜2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素または置換もしくは非置換のアルキルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、置換または非置換のアリールである、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、置換または非置換のヘテロアリールである、請求項1から3に記載の化合物。
【請求項6】
「n」が1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−メトキシフェニル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(2−シクロペンチルオキシ−3−メトキシベンジル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1−(4−メトキシナフチルメチル)アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−[(4−メトキシジベンゾ[b,d]フラン−1−イル)メチル]アセトアミド、
2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−[(1S)−1−フェニルエチル]アセトアミド、
(2E)−2−(6−クロロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イリデン)−N−[2−(シクロペンチルオキシ)フェニル]アセトアミド、
N−(2−シクロペンチルオキシフェニル)−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド、
N−(2,6−ジフルオロベンジル)−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド、
2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−キノリン−6−イルアセトアミド、
N−[4−(4−ブロモフェニル)−1,3−チアゾール−2−イル]−2−(6−フルオロ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)アセトアミド、
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1−ナフチルアセトアミド、
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−1,3−チアゾール−2−イルアセトアミド、および
2−(6−メトキシ−3,4−ジヒドロスピロ[クロメン−2,1’−シクロブタン]−4−イル)−N−(6−メチル−1,3−ベンゾチアゾール−2−イル)アセトアミドまたは
薬学的に許容されるその塩
から選択される、請求項1から6に記載の化合物。
【請求項8】
遊離塩基または薬学的に許容される塩形態としての請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項9】
前記薬学的に許容される賦形剤が担体または希釈剤である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
バニロイド受容体に媒介される疾患、障害、または症候群を予防するか、軽減するか、または治療する必要のある対象においてバニロイド受容体に媒介される疾患、障害、または症候群を予防するか、軽減するか、または治療するための方法であって、該対象に請求項1から7に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項11】
TRPV3機能に関連する疾患、障害、症候群、または状態の症状が、疼痛、急性痛、慢性痛、侵害疼痛、神経因性疼痛、術後疼痛、歯痛、癌性疼痛、虚血心筋層から生じる心臓痛、偏頭痛による疼痛、関節痛、ニューロパシー、神経痛、三叉神経痛神経傷害、糖尿病性ニューロパシー、神経変性、網膜症、神経性皮膚障害、脳卒中、膀胱過敏症、尿失禁、外陰部痛、過敏腸管症候群などの胃腸障害、胃食道逆流疾患、腸炎、回腸炎、胃十二指腸潰瘍、炎症性腸疾患、クローン病、セリアック病、膵炎などの炎症性疾患;アレルギー性および非アレルギー性鼻炎、喘息または慢性閉塞性肺疾患などの呼吸器障害;皮膚、眼、または粘膜の刺激、皮膚炎、尿毒症性そう痒症などのそう痒性状態、体温上昇、筋痙攣、嘔吐、ジスキネジア、うつ病、ハンチントン病、記憶障害、脳機能の制限、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、認知症、関節炎、変形性関節症、糖尿病、肥満、じんま疹、日光性角化症、角化棘細胞腫、脱毛症、メニエール病、耳鳴、聴覚過敏、不安障害、ならびに良性前立腺肥大症からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
疼痛を治療する必要のある対象における疼痛の治療方法であって、前記対象に、請求項1から7に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項13】
前記疼痛が急性痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記疼痛が慢性痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記疼痛が術後疼痛である、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
神経因性疼痛を治療する必要のある対象における神経因性疼痛の治療方法であって、該対象に、請求項1から7に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む方法。
【請求項17】
炎症を治療する必要のある対象における炎症の治療方法であって、該対象に、請求項1から7に記載の化合物の治療有効量を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2011−529855(P2011−529855A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514136(P2011−514136)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2009/005641
【国際公開番号】WO2010/004379
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(510168852)グレンマーク ファーマシューティカルズ, エセ.アー. (13)
【Fターム(参考)】