説明

TVWSチャネルの割り当て方法

【課題】TVWSとの間で通信可能なイネーブラーが非実装である第1モードデバイスにおいてTVWSチャネルを効率的かつ確実に割り当てる。
【解決手段】第1モードデバイス31が通信イネーブラーからイネーブル信号を受信した場合には、第1モードデバイス31において非イネーブル状態からイネーブルセットアップ完了状態へと移行するとともに、通信イネーブラーに対してイネーブル要求を行い、通信イネーブラーが第1モードデバイス31から上記イネーブル要求を受けた場合には、イネーブル応答を返信するとともに、TVWSデータベース2から受信した空き情報が記述されたビーコンフレームを第1モードデバイス31へ送信し、第1モードデバイス31がビーコンフレームを受信し、かつ待受期間内において通信イネーブラーから接続確認信号を受信した場合には、イネーブル状態を維持して空き情報に基づいてTVWSのチャネルに基づいて無線通信を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが非実装であるデバイスにおいてもTVWSチャネルを割り当てる上で好適なTVWSチャネルの割り当て方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アナログテレビからデジタルテレビへの移行に伴い、ある程度の周波数が開放されてそれらの周波数帯域が移動通信に使用されるようになっている。特に、新しい通信サービスや様々なアプリケーションが次々に実用化されている昨今において、この無線帯域の割り当ては細分化され、複雑なものとなっている。このようにして割り当てられた各通信サービスが無線帯域において混在している中で、更に新たな通信サービスをこの無線帯域に割り当てるのは徐々に困難になりつつある。
【0003】
このため、近年においてTV White Space(TVWS)を利用した無線通信ネットワークの標準化が進められており、IEEE802標準がTVWSにおいて共存するための手法の標準化も進められている(例えば、非特許文献1参照。)。このため、これら異なるIEEE802標準の通信システムを同じ周波数帯においていかに共存させるかが特に重要になり、特に最近における無線通信機会の飛躍的な増大に伴い、その重要性はより増している。
【0004】
実際にTVWSの周波数帯域を利用する場合には、いわゆるコグニティブ無線通信に基づいて、セカンダリネットワークは、プライマリネットワークであるTV放送を行っていない時間や、利用していない周波数帯域を検出する。次に、セカンダリネットワークは、自システムに属するデバイスによる通信によりプライマリネットワークの各デバイスが通信を行う上で干渉を与えないか否かを確認し、問題ないと判断した場合には、上記検出した周波数帯域又は時間により無線通信を行うこととなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】IEEE 802.af"Part11:Wireless Medium Control(MAC) and Physical Layer (PHY) Specification for Wireless Local Area Networks (WLANs):Operation in the TV White Spaces
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、TVWSにおいては、常時固定され、自らの位置情報が既知であるルータ等で構成される固定デバイス、自らの位置情報が未知の第1モードデバイスと、自らの位置情報が既知の第2モードデバイスの3種類に分類することができる。このうち固定デバイスと、第2モードデバイスは、それぞれTVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが実装されているため、当該通信イネーブラーを介してTVWSデータベースに直接アクセスし、空きチャネルに関する情報を取得することができる。これに対して、第1モードデバイスは、TVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが非実装である。このため、この第1モードデバイスは、実際にTVWSデータベースとの間で空きチャネルに関する情報のやりとりを行うためには、先ずは周囲にある固定デバイス又は第2モードデバイスにアクセスし、それらに実装されている通信イネーブラーを介してTVWSデータベースへとアクセスする必要があるが、これらを効率的かつ確実に実現する方法が従来においては未だ提案されていなかった。
【0007】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、TVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが非実装である第1モードデバイスにおいてTVWSチャネルを効率的かつ確実に割り当てることが可能なTVWSチャネルの割り当て方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のTVWSチャネルの割り当て方法は、TVWS(TV White Space)の各チャネルにおける時間毎及び位置毎の空き情報が記録されたTVWSデータベースと、上記TVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが実装された第2モードデバイス又は固定デバイスと、上記通信イネーブラーが非実装であるため当初は非イネーブル状態にある第1モードデバイスとを有する無線通信システムにおけるTVWSチャネルの割り当て方法において、上記第1モードデバイスが上記通信イネーブラーからイネーブル信号を受信した場合には、上記第1モードデバイスにおいて非イネーブル状態からイネーブルセットアップ完了状態へと移行するとともに、上記通信イネーブラーに対してイネーブル要求を行い、上記通信イネーブラーが上記第1モードデバイスから上記イネーブル要求を受けた場合には、イネーブル応答を返信するとともに上記イネーブルセットアップ完了状態からイネーブル状態へと移行し、上記TVWSデータベースから受信した上記空き情報が記述されたビーコンフレームを上記第1モードデバイスへ送信し、上記第1モードデバイスが上記ビーコンフレームを受信した場合には、待受期間を設定し、上記待受期間内において上記通信イネーブラーから接続確認信号を受信した場合には、上記イネーブル状態を維持して上記空き情報に基づいてTVWSのチャネルに基づいて無線通信を行い、上記待受期間内において上記通信イネーブラーから接続確認信号を受信しなかった場合、又は上記イネーブル状態を解除する旨のイネーブル解除要求を受信した場合には、上記非イネーブル状態へ戻ることを特徴とする。
【0009】
請求項2記載のTVWSチャネルの割り当て方法は、請求項1記載の発明において、上記イネーブルセットアップ完了状態において上記第1モードデバイスが上記ビーコンフレームを受信しなかった場合、又は上記イネーブル解除要求を受信した場合には、上記非イネーブル状態へ戻ることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載のTVWSチャネルの割り当て方法は、請求項1又は2記載の発明において、ペイロードには、これ以降に記述される各情報要素(IE)に関する制御情報が含まれるIE(Information Elements)制御情報領域、少なくともTVWSにおける周波数チャネルのリスト、またこれらのうちイネーブル処理を通じて使用可能なチャネルのリストが記述される周波数チャネル情報領域、有効なチャネルの時間帯に関する情報が記述されるタイミング情報領域、チャネルが有効である位置に関する情報が記述される位置情報領域をそれぞれ含むビーコンフレームを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述した構成からなる本発明によれば、自らの位置情報が未知であり、通信イネーブラーが実装されていない第1モードデバイスであっても、固定デバイス又は第2モードデバイスに実装されている通信イネーブラーを介してTVWSデータベースへとアクセスすることができ、そこから、TVチャネルに関する空き情報を取得することができる。このため、第1モードデバイスは、通信イネーブラーを介して取得した空き情報から、現時点において空いているTVチャネルを容易に確認することができ、その空いているチャネル、時間帯、位置を選択して通信を開始することが可能となる。
【0012】
このため、本発明では、特にTVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが非実装である第1モードデバイスにおいても、TVWSチャネルを効率的かつ確実に割り当てることが可能となる。その結果、通信開始までの時間を浪費することもなくなり、また周波数リソースの無駄を省くことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用したTV帯域へのチャネル割り当てシステムの構成例を示す図である。
【図2】第1モードデバイスにおける3つのステートメントの遷移について示す図である。
【図3】第1モードデバイスにおける状態遷移を示すフローチャートである。
【図4】ステップS21において送信されるビーコンフレームの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した無線通信方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用した、TVWS(TV White Space)におけるTV帯域へのチャネル割り当てシステム1の構成例を示している。このチャネル割り当てシステム1は、TVWSの各チャネルにおける時間毎及び位置毎の空き情報が記録されたTVWSデータベース2と、TVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが実装された固定デバイス32及び第2モードデバイス33と、通信イネーブラーが非実装であるため当初は非イネーブル状態にある第1モードデバイス31とを有する無線通信ネットワーク3と、公衆通信網25とを備えている。ちなみに、これら固定デバイス32、第2モードデバイス33は何れか一方のみが設けられていればよい。
【0016】
この無線通信ネットワーク3は、例えば、WPAN(Wireless Personal Area Network)やWLAN(Wireless Local Area Network)の無線通信規格に基づき無線通信を行う。本発明は、IEEE802.15.4標準のWPANに基づき無線通信を行う無線通信ネットワーク3に対して、特に好適に用いられる。この無線通信ネットワーク3内にある第1モードデバイス31、第2モードデバイス33が、現時点において使用していないTV帯域を選択的に利用することにより、当該ネットワーク内においてTV帯域を用いた無線通信をも行うことが可能となる。
【0017】
第1モードデバイス31、第2モードデバイス33は、例えばパーソナルコンピュータ(ノートPC)や、携帯電話、更には高機能携帯電話等を初めとした各種携帯情報端末等で構成される。第1モードデバイス31、第2モードデバイス33は、少なくともWPANやWLAN等の規格に基づき、無線通信ネットワーク3内において時分割で互いにアドホックな無線通信を直接的に行うこともでき、また固定デバイス32を介して間接的な無線通信を互いに行うことも可能となる。なお、この第2モードデバイス33には、図示しない通信イネーブラーが実装されている。この図示しない通信イネーブラーは、第2モードデバイス31とTVWSデータベース2との間で公衆通信網25を介した通信を実現する上での翻訳手段としての役割を担う。図示しない通信イネーブラーは、第2モードデバイス31と、TVWSデータベース2との間における通信を中継する。
【0018】
これに対して、第1モードデバイス31は、このような通信イネーブラーが実装されていない。このため、第1モードデバイス31は、実際にTVWSデータベース2との間で空きチャネルに関する情報のやりとりを行うためには、先ずは周囲にある固定デバイス32又は第2モードデバイス33にアクセスし、それらに実装されている通信イネーブラーを介してTVWSデータベース2へとアクセスする必要がある。
【0019】
固定デバイス32は、無線通信ネットワーク3内において存在する固定型のデバイスであり、例えばデスクトップPCで構成される。また、この固定デバイス32は、第1モードデバイス31、第2モードデバイス33による無線アクセスポイントの役割を果たし、また公衆通信網25間とのインターフェースの役割を担うように設定されていてもよい。第1モードデバイス31、第2モードデバイス33は、自ら図示しない他のアクセスポイントを介して公衆通信網25との間でデータ通信を行うことも可能である他、この固定デバイス32を介して公衆通信網25との間でデータ通信を行うことも可能である。また、この固定デバイス32には、図示しない通信イネーブラーが実装されている。この図示しない通信イネーブラーは、固定デバイス32とTVWSデータベース2との間で公衆通信網25を介した通信を実現する上での翻訳手段としての役割を担う。図示しない通信イネーブラーは、固定デバイス32と、TVWSデータベース2との間における通信を中継する。
【0020】
また公衆通信網25は、TVWSデータベース2と無線通信ネットワーク3とを電話回線を介して接続されるインターネット網を始め、TA/モデムと接続されるISDN(Integrated Services Digital Network)/B(broadband)−ISDN等のように、情報の双方向送受信を可能としたネットワーク等である。
【0021】
また、TVWSデータベース2は、TVWSの各チャネルにおける空き情報が記録されたデータベースである。即ち、例えばテレビシステムが現在使用している周波数チャネルの状況が分かれば、現時点において空いているチャネルに関する情報(以下、チャネル空き情報という。)も同時に知ることができる。TVWSデータベース2には、かかるチャネル空き情報として、各チャネルにおけるチャネル空き時間毎及びチャネル空き位置等が記録される。このようなTVWSデータベース2にアクセスすることにより、現時点においてどのTVWSのチャネルを、どの位置においていかなる時間において使用することが可能であるかを判別することができる。
【0022】
上述の如き構成からなる本発明では、固定デバイス32又は第2モードデバイス33は、それぞれ通信イネーブラーが実装されていることから、公衆通信網25を介してTVWSデータベース2へと直接アクセスすることが可能となり、ここからTVWSの各チャネルにおける時間毎及び位置毎の空き情報を取得することが可能となる。その結果、これら公衆通信網25を介してTVWSデータベース2は、TV放送において使用されていない時間帯、チャネル、位置において当該TV帯域の周波数で通信を行うことが可能となる。
【0023】
これに対して、通信イネーブラーが実装されていない第1モードデバイス31は、上述したように固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーを介してTVWSデータベース2へとアクセスする必要がある。
【0024】
以下、この第1モードデバイス31と固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーを使用したTVWSチャネルの割り当て方法について詳細に説明をする。
【0025】
図2は、第1モードデバイス31における3つのステートメントの遷移について示している。第1モードデバイス31は、大きく分類して、非イネーブル状態、イネーブルセットアップ完了状態、イネーブル状態の3つに分類することが可能となる。ここでいう非イネーブル状態とは、第1モードデバイス31が、固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーを介してTVWSデータベース2と完全にアクセス不能である状態を示している。また、イネーブルセットアップ完了状態とは、第1モードデバイス31が、固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーを介して空き情報が記述されたビーコンフレームの待ち受け状態に入った状態を示している。また、イネーブル状態とは、第1モードデバイス31が、固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーを介して、TVWSデータベース2と間接的にアクセス可能となった状態をいう。
【0026】
先ず第1モードデバイス31は、非イネーブル状態において、通信イネーブラーからのイネーブル信号を待ち受ける。そして、この第1モードデバイス31は、この非イネーブル状態において通信イネーブラーからイネーブル信号を受信した場合には、イネーブルセットアップ完了状態へと移行する。ちなみに、このイネーブル信号は、ビーコンの中に含まれるものであってもよい。このイネーブルセットアップ完了状態において接続確認信号(Contact Verification 信号。以下CV信号という。)を受信できなかった場合、又はイネーブル解除要求を受信した場合には、再び非イネーブル状態へと戻る。これに対して、このイネーブルセットアップ完了状態において第1モードデバイス31がイネーブル応答信号を受信した場合には、イネーブル状態へと移行する。
【0027】
第1モードデバイス31は、イネーブル状態へと移行した場合には、通信イネーブラーを介してTVWSデータベース2へアクセスし、TV放送において使用されていない時間帯、チャネル、位置において当該TVWS帯域の周波数で通信を行うことが可能となる。このときCV信号を受信し続けることにより、このイネーブル状態が維持されることなるが、このCV信号を受信することができない場合、又はイネーブル解除要求を受信した場合には、再び非イネーブル状態へと戻ることとなる。
【0028】
以下、この第1モードデバイス31と、固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーとの間における、これら状態遷移のフローについて説明をする。
【0029】
図3は、これら状態遷移のプロセスを示すフローチャートである。これらのプロセスは、第1モードデバイス31と、固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラー35との間で実行していくが、具体的には、第1モードデバイス31におけるMLME(MAC Layer Management Entity)31aとDME(DME:Device Management Entity)31b、並びに通信イネーブラー35におけるMLME35aとDME35bを介して行われる。MLME31a、35aは、MAC層に関する所定の動作を管理するためのものであり、DME31b、35bは、それぞれデバイスやイネーブラー全体を管理するためのものである。
【0030】
このフローの開始時点では、第1モードデバイス31は、非イネーブル状態にあるものとしたとき、通信イネーブラー35におけるDME35bは、先ずステップS11において、イネーブル信号を送信するための開始要求をMLME35aに送信する。MLME35aは、かかる開始要求を受けてイネーブル信号を第1のデバイス31におけるMLME31aに送信する(ステップS12)。また、MLME31aは、このイネーブル信号を受信した場合には、その旨通知するための信号受信通知をDME31bへ送信する(ステップS13)。このDME31bがかかる信号受信通知を受けた段階で、第1モードデバイス31は、非イネーブル状態からイネーブルセットアップ完了状態へと移行する。
【0031】
イネーブルセットアップ完了状態では、ちょうど点線で囲まれる範囲内の処理を実行することとなる。先ずDME31bからMLME31aにむけてイネーブル要求を通知する(ステップS14)。またMLME31aは、かかるイネーブル要求を受けた場合に、イネーブル要求信号を生成して、これを通信イネーブラー35におけるMLME35aへと送信する(ステップS15)。MLME35aは、このイネーブル要求信号を受信した場合に、当該イネーブル要求信号に基づくイネーブル要求指示をDME35bへ送信する(ステップS16)。
【0032】
次にDME35bは、イネーブル要求指示を受けて、これに対するイネーブル応答をMLME35aへと通知する(ステップS17)。また、MLME35aは、これを受けてイネーブル応答信号を第1モードデバイス31におけるMLME31aへと送信する(ステップS18)。当該イネーブル応答信号を受信した場合に、イネーブルセットアップ完了状態からイネーブル状態へと移行する。また、MLME31aは、このイネーブル応答信号を受信した場合に、DME31bに向けてイネーブル応答確認を通知する(ステップS19)。
【0033】
次にステップS20において、通信イネーブラー35におけるDME35bは、ビーコン送信要求をMLME35aへと通知する。MLME35aは、かかるビーコン送信要求を受けて、ビーコンフレームを第1モードデバイス33におけるMLME31aへと送信する(ステップS21)。このステップS21におけるビーコンフレームの送信プロセスは、ステップS12におけるイネーブル信号の送信プロセスと同一である。このため、ステップS21はオプションとして、プロセス内に導入してもよいし、ステップS12に含めることで省略するようにしてもよい。かかる場合には、ステップS21におけるビーコンフレームは、ステップS12におけるイネーブルフレームとして送られることとなる。
【0034】
ちなみに、このビーコンフレームには、TVWSデータベース2から受信した空き情報が記述されている。この空き情報は、上述したようにTVWSの各チャネルが空いている時間及び位置等で構成される。MLME31aは、かかるビーコンフレームを受信した場合には、その旨の受信通知をDME31bへ送信する(ステップS22)。DME31bはかかる受信通知を受けて、上述したTV帯域におけるチャネルの空き情報を得ることが可能となる。
【0035】
ちなみにステップS20〜S22の処理を通じて第1モードデバイス31がこのビーコンフレームを受信することができなかった場合、或いはイネーブル解除要求を受信した場合には、非イネーブル状態へと戻ることとなる。
【0036】
イネーブル状態に移行したDME31bは、ステップS23においてデータの要求を行う。MLME31aは、かかるデータの要求を受けて、通信イネーブラー35におけるMLME35aに対して要求フレームを送信する(ステップS24)。この要求フレームを受信したMLME35aは、その旨の要求をDME35bへと送信する(ステップS25)。
【0037】
なお、この第1モードデバイス31は、ステップS21においてビーコンフレームを受信した際には、所定長さからなる待受期間を設定する。この待受期間は、通信イネーブラー35から送信されてくるCV信号を待ち受けるためのものである。
【0038】
DME35bは、上述したステップS25におけるステップ要求通知を受けて、CV信号送信の指示をMLME35aへと送信する(ステップS26)。MLME35aは、かかるCV信号送信指示を受けた場合に、CV信号を第1モードデバイス31bへと送信する(ステップS27)。MLME31aは、このCV信号を、待受期間内において捕捉することができた場合には、ステップS28へ移行し、CV信号を受信することができた旨の通知をDME31bに対して行う(ステップS28)。DME31bは、当該通知を受信することにより、第1モードデバイス31がCV信号を受信することができた旨を識別することが可能となり、イネーブル状態を維持し続けることとなる。これに対して、このステップS27においてCV信号を待受期間内において受信することができなかった場合には、第1モードデバイス31がCV信号を受信することができなかった旨を識別することが可能となり、イネーブル状態を解除されて、非イネーブル状態に戻ることとなる。ちなみに、この待受期間において、上述したCV信号以外のイネーブル解除要求を通知した場合においても同様に非イネーブル状態へと戻ることとなる。
【0039】
上述したフローを通じて、自らの位置情報が未知であり、通信イネーブラーが実装されていない第1モードデバイス31であっても、固定デバイス32又は第2モードデバイス33に実装されている通信イネーブラーを介してTVWSデータベース2へとアクセスすることができ、そこから、TVチャネルに関する空き情報を取得することができる。このため、第1モードデバイス31は、通信イネーブラーを介して取得した空き情報から、現時点において空いているTVチャネルを容易に確認することができ、その空いているチャネル、時間帯、位置を選択して通信を開始することが可能となる。
【0040】
このため、本発明では、特にTVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが非実装である第1モードデバイス31においても、TVWSチャネルを効率的かつ確実に割り当てることが可能となる。その結果、通信開始までの時間を浪費することもなくなり、また周波数リソースの無駄を省くことも可能となる。
【実施例1】
【0041】
図4は、ステップS21において送信されるビーコンフレームの例を示している。先頭に設けられるプリアンブル11の後には、各種管理情報が書き込まれるヘッダ12が続き、更に実データが書き込まれるペイロード13が設けられている。
【0042】
ペイロード13には、IE(Information Elements)制御情報領域14、周波数チャネル情報領域15、タイミング情報領域16、位置情報領域17、出力制御情報領域18がそれぞれ書き込まれている。IE制御情報領域14には、これ以降に記述される各情報要素(IE)に関する制御情報が含まれる。周波数チャネル情報領域15は、TVWSにおける周波数チャネルのリスト、またこれらのうちイネーブル処理を通じて使用可能なチャネルのリスト等が記述される。また、タイミング情報領域16には、有効なチャネルのうち、具体的にいかなる時間帯において有効であるのか記述されている。また位置情報領域17には、第1モードデバイス31が容易に有効なチャネルに切り替えることができるように、チャネルが有効である位置に関する情報が記述されている。また、出力制御情報領域18には、TVシステムとの間でよりよい共存を目指す観点から提案された動作出力に関する情報が記述される。
【0043】
このような第1モードデバイス31は、上述の如き構成からなるビーコンフレームを取得することにより、現時点において空いているTVチャネルを容易に確認することができ、その空いているチャネル、時間帯、位置を選択して通信を開始することが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
1 チャネル割り当てシステム
2 TVWSデータベース
3 無線通信ネットワーク
11 プリアンブル
12 ヘッダ
13 ペイロード
14 制御情報領域
15 周波数チャネル情報領域
16 タイミング情報領域
17 位置情報領域
18 出力制御情報領域
25 公衆通信網
31 第1モードデバイス
32 固定デバイス
33 第2モードデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TVWS(TV White Space)の各チャネルにおける時間毎及び位置毎の空き情報が記録されたTVWSデータベースと、上記TVWSデータベースとの間で通信可能な通信イネーブラーが実装された第2モードデバイス又は固定デバイスと、上記通信イネーブラーが非実装であるため当初は非イネーブル状態にある第1モードデバイスとを有する無線通信システムにおけるTVWSチャネルの割り当て方法において、
上記第1モードデバイスが上記通信イネーブラーからイネーブル信号を受信した場合には、上記第1モードデバイスにおいて非イネーブル状態からイネーブルセットアップ完了状態へと移行するとともに、上記通信イネーブラーに対してイネーブル要求を行い、
上記通信イネーブラーが上記第1モードデバイスから上記イネーブル要求を受けた場合には、イネーブル応答を返信するとともに上記イネーブルセットアップ完了状態からイネーブル状態へと移行し、上記TVWSデータベースから受信した上記空き情報が記述されたビーコンフレームを上記第1モードデバイスへ送信し、
上記第1モードデバイスが上記ビーコンフレームを受信した場合には、待受期間を設定し、上記待受期間内において上記通信イネーブラーから接続確認信号を受信した場合には、上記イネーブル状態を維持して上記空き情報に基づいてTVWSのチャネルに基づいて無線通信を行い、上記待受期間内において上記通信イネーブラーから接続確認信号を受信しなかった場合、又は上記イネーブル状態を解除する旨のイネーブル解除要求を受信した場合には、上記非イネーブル状態へ戻ること
を特徴とするTVWSチャネルの割り当て方法。
【請求項2】
上記イネーブルセットアップ完了状態において上記第1モードデバイスが上記ビーコンフレームを受信しなかった場合、又は上記イネーブル解除要求を受信した場合には、上記非イネーブル状態へ戻ること
を特徴とする請求項1記載のTVWSチャネルの割り当て方法。
【請求項3】
ペイロードには、これ以降に記述される各情報要素(IE)に関する制御情報が含まれるIE(Information Elements)制御情報領域、少なくともTVWSにおける周波数チャネルのリスト、またこれらのうちイネーブル処理を通じて使用可能なチャネルのリストが記述される周波数チャネル情報領域、有効なチャネルの時間帯に関する情報が記述されるタイミング情報領域、チャネルが有効である位置に関する情報が記述される位置情報領域をそれぞれ含むビーコンフレームを送信すること
を特徴とする請求項1又は2記載のTVWSチャネルの割り当て方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−102382(P2013−102382A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245680(P2011−245680)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】