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TWEAK結合抗体
説明

TWEAK結合抗体

【課題】TWEAK結合抗体の提供。
【解決手段】抗TWEAK抗体について記載されている。この抗TWEAK抗体を用いて、例えば、炎症性疾患、神経細胞疾患、または本明細書に記載された他の疾患など、さまざまな症状と疾患を治療することができる。ヒト被験体を治療するために使用する場合、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはそれ以外の実質的なヒト抗体である。一つの態様において、本開示は、第一および第二の免疫グロブリン可変領域の配列を含み、例えば、ヒトTWEAKなどのTWEAKに結合するタンパク質を特徴とする。このタンパク質は、例えば、10−7Mよりも小さい、例えば、10−8M、10−9M、10−10M、10−11Mまたはそれ以上のKに相当するアフィニティーでTWEAKに結合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
この出願は、2005年5月27日に出願された、米国出願第60/685,149号への優先権を主張し、この内容は、その全体が参考として本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
(背景)
腫瘍壊死因子(TNF)関連サイトカインは、免疫調節およびアポトーシス調節に関係する機能を含む、一連の機能を有するタンパク質のスーパーファミリーである。TWEAK(TNF−like weak inducer of apoptosis)は、このスーパーファミリーの一員である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(要旨)
抗TWEAK抗体を用いて、例えば、炎症性疾患、神経細胞疾患、または本明細書に記載された他の疾患など、さまざまな症状と疾患を治療することができる。ヒト被験体を治療するために使用する場合、抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはそれ以外の実質的なヒト抗体である。
【0004】
一つの態様において、本開示は、第一および第二の免疫グロブリン可変領域の配列を含み、例えば、ヒトTWEAKなどのTWEAKに結合するタンパク質を特徴とする。このタンパク質は、例えば、10−7Mよりも小さい、例えば、10−8M、10−9M、10−10M、10−11Mまたはそれ以上のKに相当するアフィニティーでTWEAKに結合することができる。このタンパク質は、本明細書において、「抗TWEAK抗体」とも呼ばれる。第一および第二の免疫グロブリン可変領域の配列は、少なくとも、TWEAKに結合する抗原結合部位を形成するのに十分な免疫グロブリン可変領域の部分を含むことができる。典型的には、第一および第二の免疫グロブリン可変領域の配列は、例えば、一対になっているか、そうでなければ適合性のある重鎖および軽鎖など、それぞれ重鎖および軽鎖の免疫グロブリン可変領域の配列に対応する。
【0005】
この抗体は、P2D10によって認識されるTWEAK上のエピトープに由来する少なくとも1個、2個、3個または4個のアミノ酸残基を含む、TWEAK上のエピトープ、P2D10に結合しているTWEAKに由来するペプチド(例えば、長さ25、20または15アミノ酸よりも短いペプチド)、またはP2D10によって認識されるTWEAK領域に結合する。例えば、この抗体は、例えば、直鎖状エピトープまたは高次構造エピトープなど、TWEAK、特にヒトTWEAKのエピトープ、例えば、TWEAKの可溶性領域に特異的に結合する。この抗体は、TWEAK、例えば、ヒトTWEAKへの結合について、P2D10と競合することができる。この抗体は、TWEAK、例えば、ヒトTWEAKへのP2D10の結合を競合的に阻害することができる。一つの実施態様において、この抗体は、P2D10のエピトープと重複した、例えば、P2D10のエピトープと共通するアミノ酸を、少なくとも1個、2個、3個または4個の含むエピトープ、または、結合されると、TWEAKとP2D10の相互作用を立体的に妨害するエピトープに結合することができる。
【0006】
例えば、抗TWEAK抗体は、TWEAKに結合して、TWEAKと、例えば、Fn14(例えば、ヒトFn14)などのTWEAKレセプターとの相互作用(例えば、結合)を調節、例えば、阻害することができる。また、この抗体は、TWEAKレセプターのシグナル伝達活性を低下させることもできる。この抗体は、TWEAKを標的し、TWEAKを隔離し、および/またはTWEAKのインビボ安定性を調節することができる。
【0007】
一つの実施態様において、本抗体は、Fn14(例えば、ヒトFn14)と接触するTWEAK上の相互作用部位の少なくとも一部に特異的に結合する。本抗体は、TWEAK、例えば、ヒトTWEAKへの結合についてFn14と競合することができる。本抗体は、TWEAKへのFn14の結合を競合的に阻害することができる。本抗体は、TWEAK上のエピトープであって、結合されていると、TWEAKとFn14(例えば、ヒトTWEAKとヒトFn14)の相互作用を立体的に妨害するエピトープと相互作用することができる。
【0008】
一つの実施態様において、本抗体は、一つ以上のTWEAK関連活性を、約50nMから5pM、一般的には約100から250pM以下のIC50で阻害することができる。例えば、本抗体は、内皮細胞増殖または血管新生を促進するTWEAKの能力を阻害することができる。一つの実施態様において、この抗TWEAK抗体は、少なくとも一つのTWEAK関連活性を低下させて、例えば、抗体が被験体に投与されると炎症症状を調節することができるようにする。
【0009】
別の実施態様において、本抗体は、10から10−1−1、一般的には、10から10−1−1の範囲の速度でTWEAKと結合することができる。さらに別の実施態様において、本抗体は、10−2から10−6−1、一般的には、10−2から10−5−1の範囲の解離速度をもつ。一つの実施態様において、本抗体は、TWEAK、例えば、ヒトTWEAKに、モノクローナル抗体P2D10、またはその改変型、例えば、そのキメラ型またはヒト化型(例えば、本明細書記載のヒト化型)と同様の(例えば、5倍または10倍の範囲内の)結合力および/または速度で結合する。抗TWEAK抗体の結合力および結合速度は、例えば、バイオセンサー技術(商標BIACORE)を用いて試験することができる。
【0010】
一つの実施態様において、本抗体は、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、またはFv断片の一本鎖など、全長抗体の抗原結合断片である。一般的には、本抗体は全長抗体である。本抗体は、モノクローナル抗体でも、単一特異性抗体でもよい。例えば、本抗体は、20種類よりも少ない別の抗TWEAK抗体種を含む組成物、例えば、別の抗TWEAK抗体種を含まない組成物になっている。
【0011】
本抗体は、実質的にヒトである。「実質的にヒト」抗体とは、その抗体が、正常なヒトにおいて免疫原反応を引き起こすことのない十分な数のヒトアミノ酸位置を含む抗体のことである。好ましくは、このタンパク質は、中和抗体反応、例えば、ヒト抗マウス抗体(HAMA)反応を引き起こさない。HAMAは、例えば、抗体を反復して投与することが望ましい場合、例えば、慢性または再発性の病状を治療する場合など、いくつかの状況下で問題となりうる。HAMA反応は、血清からの抗体クリアランスが増加するため、(例えば、Saleh et al.,Cancer Immunol.Immunother.,32:180−190(1990)参照)、および、またアレルギー反応を起す可能性がある(例えば、LoBuglio et al.(1986)Hybridoma,5:5117−5123参照)ために、反復した抗体投与の効果を失わせる可能性がある。
【0012】
例えば、本抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、キメラ抗体、変異抗体、親和性成熟抗体、脱免疫抗体、合成抗体、またはそれ以外のインビトロ生成抗体、およびこれらを組み合わせたものでありうる。一つの実施態様において、抗TWEAK抗体はヒト化抗体である。
【0013】
抗TWEAK抗体の重鎖および軽鎖は、実質的に全長でもよい。このタンパク質は、少なくとも1個、好ましくは2個の完全な重鎖、および少なくとも1個、好ましくは2個の完全な軽鎖を含むことができ、または、抗原結合断片(例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、または一本鎖Fv断片)を含むこともできる。さらに別の実施態様において、本抗体は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA1、IgA2、IgD、およびIgEから選択された、特に、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4から選択された、さらに特には、IgG1(例えば、ヒトIgG1)である重鎖定常領域を有する。一般的には、この重鎖定常領域は、ヒトの定常領域、またはヒト定常領域の改変型である。別の実施態様において、本抗体は、例えば、κまたはλから選択された、特にκ(例えば、ヒトκ)である軽鎖定常領域を有する。
【0014】
一つの実施態様において、このタンパク質は、本明細書に開示された抗体、例えば、P2D10の軽鎖または重鎖の可変領域に由来する、少なくとも1個、2個、および好ましくは3個のCDRを含む。ここで、CDRは、Chothiaの超可変ループによって規定されるCDRを意味する。例えば、このタンパク質は、重鎖可変ドメイン配列において、以下の配列:
【0015】
【化5】

の少なくとも1個、2個、または3個をCDR領域の内部に含むか、または、前記配列に対して10アミノ酸あたり4、3、2.5、2、1.5、1、もしくは0.5以下(例えば、相違する数は、CDRの長さに比例する)の変化(例えば、置換、挿入、または欠失)、例えば、1つのCDRにつき少なくとも1個はあるが、2個、3個、または4個を超えない変化によって異なるアミノ酸配列を有するCDR。重鎖可変ドメイン配列は、これらのCDR配列を、特にCDR3において、または少なくとも2個のCDR、例えば、CDR1およびCDR3、CDR2およびCDR3、または3個のCDRすべてにおいて含むことができる。
【0016】
このタンパク質は、重鎖可変ドメイン配列において、以下の配列:
【0017】
【化6】

の少なくとも1個、2個、または3個をCDR領域の内部に含むことができる(括弧内のアミノ酸は具体的な位置における変化を示す)。
【0018】
このタンパク質は、軽鎖可変ドメイン配列において、以下の配列:
【0019】
【化7】

の少なくとも1個、2個、または3個をCDR領域の内部に含むことができるか、または、前記配列に対して10アミノ酸あたり4、3、2.5、2、1.5、1、もしくは0.5以下(例えば、相違する数は、CDRの長さに比例する)の変化(例えば、置換、挿入、または欠失)、例えば、1つのCDRにつき少なくとも1個はあるが、2個、3個、または4個を超えない変化によって異なるアミノ酸配列を有するCDR。重鎖可変ドメイン配列は、これらのCDR配列を、特にCDR3において、または少なくとも2個のCDR、例えば、CDR1およびCDR3、CDR2およびCDR3、または3個のCDRすべてにおいて含むことができる。
【0020】
このタンパク質は、軽鎖可変ドメイン配列において、以下の配列:
【0021】
【化8】

の少なくとも1個、2個、または3個をCDR領域の内部に含むことができる(括弧内のアミノ酸は具体的な位置における変化を示す)。
【0022】
一つの好適な実施態様において、このタンパク質は、P2D10の6個すべてのCDR、または近縁のCDR、例えば、同一のCDR、または少なくとも1個のアミノ酸変異をもつが、2個、3個、または4個よりも多い変異(例えば、置換、欠失、または挿入)をもたないCDR、または本明細書記載のその他のCDRを含む。
【0023】
さらに別の実施例において、このタンパク質は、P2D10の同一の正準な構造に対応するChothiaのCDR領域を有する、少なくとも1個、2個、または3個のCDR領域、例えば、P2D10の重鎖および/または軽鎖の可変領域の少なくともCDR1および/またはCDR2などを含む。
【0024】
このタンパク質は、以下の配列の一つを含むことが可能である。
【0025】
【化9】

または、8個、7個、6個、5個、4個、3個、または2個よりも少ない変異(例えば、置換、挿入、または欠失、例えば、保存的置換、またはP2D10、huP2D10−L1もしくはP2D10−L1の対応する位置あるアミノ酸残基の置換)をもつ配列を含むことが可能である。置換の例は、以下のKabat位の一つにおけるものである。2、4、6、35、36、38、44、47、49、62、64〜69、85、87、98、99、101、および102位。置換は、例えば、P2D10のアミノ酸の1個以上を、例えば、ヒトフレームワーク領域などのフレームワーク領域中の、例えば、FR2中(例えば、連続番号でPheに対して46位にある)およびFR3中(例えば、Pheに対して87位にある)の対応する位置の中に置換することができる。
【0026】
このタンパク質は、重鎖可変領域にある以下の配列の一つを含むことが可能である。
【0027】
【化10】

【0028】
【化11】

【0029】
【化12】

または、8個、7個、6個、5個、4個、3個、または2個よりも少ない変異(例えば、置換、挿入、または欠失、例えば、保存的置換、またはP2D10の対応する位置あるアミノ酸残基の置換)をもつ配列を含むことが可能である。置換の例は、以下のKabat位の一つにおけるものである。2、4、6、25、36、37、39、47、48、93、94、103、104、106、および107位。置換は、例えば、P2D10のアミノ酸の1個以上を、例えば、ヒトフレームワーク領域などのフレームワーク領域中の対応する位置の中に置換することができる。
【0030】
ひとつの実施態様において、重鎖フレームワーク(例えば、個々のFR1、FR2、FR3、またはFR1、FR2、およびFR3を含むがCDRは含まない配列)は、以下の生殖系列のVセグメントの配列の一つの重鎖フレームワークに少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれ以上一致するアミノ酸配列を含む:DP−25、DP−1、DP−12、DP−9、DP−7、DP−31、DP−32、DP−33、DP−58、DP−54、他のVHIサブグループの生殖系列の配列、他のVHIIIサブグループの生殖系列の配列、またはクラス1−3の正準な構造と適合性のある別のV遺伝子(例えば、Chothia et al.(1992)J.Mol.Biol.227:799−817;Tomlinson et al.(1992)J.Mol.Biol.227:776−798参照)。クラス1−3の正準な構造と適合性のある他のフレームワークには、Kabatナンバリングに従った以下の残基の一つ以上を有するフレームワークが含まれる:26位のAla、Gly、Thr、またはVal、26位のGly、27位のTyr、Phe、またはGly、29位のPhe、Val、Ile、またはLeu、34位のMet、Ile、Val、Leu、Thr、Trp、またはIle、94位のArg、Thr、Ala、Lys、54位のGly、Ser、Asn、またはAsp、および71位のArg。
【0031】
一つの実施態様において、軽鎖フレームワーク(例えば、個々のFR1、FR2、FR3、またはFR1、FR2、およびFR3を含むがCDRを含まない配列)は、VκIIサブグループの生殖系列の配列の軽鎖フレームワーク、または以下の生殖系列のVセグメントの配列の一つに少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、またはそれ以上一致するアミノ酸配列を含む:A17、A1、A18、A2、A19/A3、A23、VκIサブグループの生殖系列の配列(例えば、DPK9配列)、またはクラス4−1の正準な構造と適合性のある別のV遺伝子(例えば、Tomlinson
et al.(1995)EMBO J.14:4628参照)。クラス4−1の正準な構造と適合性のある他のフレームワークには、Kabatナンバリングに従った、以下の残基の一つ以上を有するフレームワークなどがある:2位のValまたはLeuまたはIle、25位のSerまたはPro、27b位のIleまたはLeu、29位のGly、33位のPheまたはLeu、および71位のPhe。さらに、Kabatナンバリングに従って、48位をIleまたはValにすることができる。
【0032】
別の実施態様において、軽鎖フレームワーク(例えば、個々のFR1、FR2、FR3、またはFR1、FR2、およびFR3を含むがCDRを含まない配列)は、VκIサブグループの生殖系列の軽鎖フレームワーク配列、例えば、DPK9配列に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、またはそれ以上一致するアミノ酸配列を含む。
【0033】
一つの実施態様において、軽鎖または重鎖の可変フレームワーク(例えば、少なくともFr1、FR2、FR3、およびに任意でFR4を含む領域)を以下のものから選択することができる:(a)ヒトの軽鎖または重鎖の可変フレームワーク由来のアミノ酸残基、例えば、ヒト成熟型抗体、ヒト生殖系列配列、ヒトコンセンサス配列、または本明細書記載のヒト抗体に由来する軽鎖または重鎖の可変フレームワークの残基の少なくとも80%、90%、95%、または好ましくは100%を含む軽鎖または重鎖の可変フレームワーク;(b)ヒトの軽鎖または重鎖の可変フレームワーク由来のアミノ酸残基、例えば、ヒト成熟型抗体、ヒト生殖系列配列、ヒトコンセンサス配列に由来する軽鎖または重鎖の可変フレームワーク残基の20%から80%、40%から60%、60%から90%、または70%から95%を含む軽鎖または重鎖の可変フレームワーク;(c)非ヒト由来のフレームワーク(例えば、齧歯動物由来のフレームワーク);または(d)例えば、抗原性または細胞毒性の決定基を除去するために改変されたり、例えば、脱免疫されたり、または部分的にヒト化されたりしている非ヒト由来フレームワーク。一つの実施態様において、前記重鎖可変ドメイン配列は、以下の位置の一つ以上(好ましくは5個、10個、12個、もしくは全部)に、ヒト残基またはヒトコンセンサス配列残基を含む:(軽鎖の可変領域のFR中に)4L、35L、36L、38L、43L、44L、58L、46L、62L、63L、64L、65L、66L、67L、68L、69L、70L、71L、73L、85L、87L、98L、および/または(重鎖の可変領域のFR中に)2H、4H、24H、36H、37H、39H、43H、45H、49H、58H、60H、67H、68H、69H、70H、73H、74H、75H、78H、91H、92H、93H、および/または103H(Kabatナンバリングに従う)。
【0034】
一つの実施態様において、このタンパク質は、少なくとも1個の非ヒトCDR、例えばマウスCDR、例えば、P2D10に由来するCDR、またはその変異体、および少なくとも1個のアミノ酸、例えば、少なくとも5個、8個、10個、12個、15個、または18個のアミノ酸がP2D10のフレームワークと異なるフレームワークを少なくとも1個含む。例えば、このタンパク質は、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の非ヒトCDRを含み、HC FR1、HC FR2、HC FR3、LC FR1、LC FR2、およびLC FR3のうちの少なくとも3つの中に、少なくとも1個のアミノ酸の違いを含む。
【0035】
一つの実施態様において、このタンパク質の軽鎖または重鎖の可変ドメイン配列は、本明細書記載の抗体、例えば、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2などの可変ドメイン配列に少なくとも80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%、またはそれ以上同一であるアミノ酸配列か、または、本明細書記載の抗体、例えば、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2などの可変ドメイン配列とは、1または5残基以上、40、30、20、または10残基以下が異なるアミノ酸配列を含む。
【0036】
一つの実施態様において、可変領域の一方または両方が、マウス抗体(例えばP2D10)およびヒト化抗体(例えば、56−84mおよびK107)の両方、または生殖系列の配列にさまざまに由来するアミノ酸位置をフレームワーク領域内に含む。例えば、可変領域は、アミノ酸がマウス抗体とヒト抗体(または生殖系列の配列)の両方に同一である位置をいくつも含むはずである。なぜなら、2種類の抗体が、その位置で同一だからである。マウスとヒトで異なる残りのフレームワーク位置の中では、可変領域の位置の少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%がマウス抗体ではなくヒト抗体(または生殖系列の配列)と好適には同一である。そのような残りのフレームワーク位置のうち、0個、または少なくとも1個、2個、3個、もしくは4個が、ヒト抗体ではなくマウス抗体に同一であってもよい。例えば、HC FR1において、1個または2個のそのような位置がマウスのものであってもよく;HC FR2において、1個または2個のそのような位置がマウスのものであってもよく;FR3において、1個、2個、3個、または4個のそのような位置がマウスのものであってもよく;LC FR1において、1個、2個、3個、または4個のそのような位置がマウスのものであってもよく;LC FR2において、1個または2個のそのような位置がマウスのものであってもよく;LC FR3において、1個または2個のそのような位置がマウスのものであってもよい。
【0037】
一つの実施態様において、このタンパク質の重鎖または軽鎖の可変領域は、本明細書記載の核酸配列、または本明細書記載の核酸配列に、例えば、低厳密度、中厳密度、高厳密度、もしくは非常に高厳密度の条件下でハイブリダイズする核酸(例えば、特異的核酸配列または、本明細書記載のアミノ酸配列をコードする核酸配列)もしくはその相補配列によってコードされたアミノ酸配列を含む。
【0038】
抗TWEAK抗体は、誘導体化するか、または別の機能分子、例えば、別のペプチド、タンパク質、または化合物に結合させることができる。例えば、この抗体は、一つ以上の他の分子的実体、とりわけ、例えば、別の抗体(例えば、二重特異性抗体または多重特異性抗体)、毒素、放射性同位体、高分子化合物、細胞毒性薬、または細胞分裂阻害剤に、(例えば、化学的結合、遺伝子融合、非共有結合性会合またはその他の方法によって)機能的に結合させることができる。
【0039】
別の態様において、本開示は、薬学的に許容される担体および抗TWEAK抗体、例えば、本明細書記載の抗TWEAK抗体を含む組成物、例えば、薬学的組成物を提供する。
【0040】
さらに別の実施態様において、抗TWEAK抗体(例えば、その薬学的組成物)は、抗TWEAK抗体療法を必要としているか、その症状がこの抗体によって改善されると考えられる被験体に投与される。例えば、抗TWEAK抗体は、炎症性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、神経細胞疾患、腫瘍性疾患、または本明細書に記載された他の疾患を患っているか、またはその危険がある被験体に投与することができる。一つに実施態様において、本明細書記載の抗TWEAK抗体は、炎症性疾患、免疫疾患、自己免疫疾患、神経細胞疾患、腫瘍性疾患、または本明細書に記載された他の疾患を治療するための薬物を調製するために使用される。
【0041】
別の態様において、本開示は、被験体においてTWEAK関連疾患を治療する方法を特徴とする。この方法は、抗TWEAK抗体を、TWEAK関連疾患を治療(例えば、改善または防止)するのに十分な量にして被験体に投与することを含む。抗TWEAK抗体は、単独、または本明細書に記載された他の治療法と組み合わせて、被験体に投与することができる。一つの実施態様において、被験体とは哺乳動物、例えば、ヒト、例えば、TWEAK関連疾患、例えば、本明細書記載の疾患を患っているヒトのことである。この抗体を使用して、そのような疾患の一つ以上の症状を改善させることができる。「治療する」という用語は、統計的に有意な程度または当業者に検知可能な程度にまで、病状、症状、または疾患(例えば、本明細書記載の疾患)に関連したパラメーターを改善するか予防し、または疾患の発病、進行、または悪化を阻止するのに有効な量、態様、および/または方式で治療法を施すことを意味する。したがって、治療により、治療的利益および/または予防的利益を達成することができる。有効な量、態様、または方式は、被験体によって変わることがあり、被験体に合わせることができる。一つの実施態様において、本明細書記載の抗TWEAK抗体は、TWEAK関連疾患の治療用薬物を調製するために用いられる。
【0042】
別の態様において、本開示は、TWEAKとTWEAKレセプタータンパク質との相互作用を調節する方法を特徴とする。例えば、抗TWEAK抗体を用いて、TWEAKと、Fn14などのTWEAKレセプターとの間の結合を低下させるか、阻止することができる。この方法は、TWEAKまたはTWEAKを含む複合体をこの抗体に接触させることを含む。この方法は、インビトロで、例えば、培養中の、例えばインビトロまたはエキシビボの細胞に対して用いることができる。例えば、TWEAKレセプターを発現する細胞を、培養培地中においてインビトロで培養することができ、この培地に抗TWEAK抗体を添加することにより、接触工程を行うことができる。あるいは、この方法を、例えば、インビボにおける(例えば、治療用または予防用の)プロトコールの一部として、被験体の体中に存在している細胞に対し実施することができる。例えば、この抗TWEAK抗体を局所的または全身に送達することができる。一つの実施態様において、本明細書記載の抗TWEAK抗体は、TWEAKとTWEAKレセプタータンパク質の間の相互作用を調節する薬物を調製するために用いられる。
【0043】
この方法は、TWEAKと、TWEAKレセプター複合体、またはそのサブユニットとが相互作用を起こし、それによってTWEAK/TWEAKレセプター混合物を形成させるという条件下で、TWEAKをTWEAKレセプター複合体、またはそのサブユニットに接触させることを含む。通常、抗TWEAK抗体は有効量で提供され、その結果、例えば、TWEAK/TWEAKレセプター混合物を抗TWEAK抗体に接触させると、例えば、TWEAKとレセプタータンパク質の相互作用、またはTWEAKの少なくとも一つの機能、例えば、TWEAKが介在する信号伝達などを調節、例えば、妨害する(例えば、阻害するか、遮断するか、さもなければ低下させる)。
【0044】
また、本開示は、例えば、本明細書に記載されているような抗TWEAK抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードする核酸も特徴とする。例えば、本開示は、P2D10の重鎖および軽鎖の可変領域をそれぞれコードする第1および第2の核酸を特徴とする。別の態様において、本開示は、本明細書記載の核酸を含む宿主細胞およびベクターを特徴とする。
【0045】
また、本開示は、TWEAK、例えば、ヒトTWEAKのエピトープであって、P2D10によって認識されるエピトープ、およびこのエピトープと相互作用することができるタンパク質を特徴とする。例えば、このエピトープを含むタンパク質およびペプチドを用いて、このエピトープと相互作用する他の結合性化合物、例えば、抗体または低分子などのタンパク質を作製またはスクリーニングすることができる。例えば、このエピトープを含むペプチドを免疫原として、または発現ライブラリーをスクリーニングするための標的として用いることができる。また、このペプチドと相互作用する能力について化合物を評価することもでき、あるいは、マッピングまたは構造決定によって、例えば、成熟型TWEAKに関連して、このエピトープと相互作用する能力について化合物を評価することもできる。評価の例には、競合するP2D10抗体の存在下で、化合物がTWEAKと相互作用することができるか否かを判定することなどがある。
【0046】
薬剤、例えば、治療薬(遺伝的因子を含む)または細胞毒性薬を、抗TWEAK抗体(例えば、P2D10または本明細書記載の他の抗体)とともに、インビボでTWEAKを発現する細胞または構造体に送達または標的する方法も開示される。
【0047】
本明細書において「抗体」という用語は、少なくとも1個の免疫グロブリン可変領域、例えば、免疫グロブリン可変領域を提供するアミノ酸配列、または免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質を意味する。例えば、抗体は、重(H)鎖可変領域(本明細書ではVHと略す)、および軽(L)鎖可変領域(本明細書ではVLと略す)を含むことができる。別の例において、抗体は、2個の重(H)鎖可変領域および2個の軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体」という用語は、抗体の抗原結合断片(例えば、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、およびdAb断片)、および全長抗体、例えば、IgA型、IgG型(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、IgE型、IgD型、IgM型(およびこれらのサブタイプ)の免疫グロブリンを包含する。「全長抗体」という用語は、プロセッシングされてシグナル配列が除去される天然抗体の少なくとも96%の長さを有する抗体を意味する。全長抗体は、天然抗体の完全長、例えば、天然抗体のアミノ末端残基(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)からカルボキシ末端残基までの残基を含むことができる。
【0048】
「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリンの可変領域の構造を形成することができるアミノ酸配列を意味する。例えば、この配列は、天然の可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部を含むことが可能である。例えば、この配列は、1個、2個、またはそれ以上のN末端またはC末端のアミノ酸を含むことも含まないことも可能であり、あるいは、タンパク質の構造の形成と適合する他の変異を含むことも可能である。
【0049】
「単離された組成物」とは、この単離された組成物を得ることができる天然のサンプルの少なくとも一つの成分の少なくとも90%から切り離された組成物を意味する。目的とする組成物種または組成物種集団が重量対重量ベースで少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、80%、90%、95%、98%または99%純粋であれば、人工的または天然にできた組成物は、「少なくともある程度の純度の組成物」でありうる。
【0050】
「エピトープ」は、抗体によって結合される標的化合物上の部位を意味する。例えば、標的化合物がタンパク質である場合、エピトープは、抗体によって結合されるアミノ酸(特にアミノ酸側鎖)を意味する。重複したエピトープは、少なくとも1個の共通アミノ酸残基、例えば、2個、3個、4個、または5個以上の共通アミノ酸残基を含む。
【0051】
本明細書において、「低厳密度、中厳密度、高厳密度、もしくは非常に高厳密度の条件下でハイブリダイズする」という用語は、ハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明するものである。ハイブリダイゼーション反応を実施するための手引きを、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6に見出すことができる。水性および非水性の方法がこの参考文献に記載されており、いずれかを用いることができる。本明細書記載の具体的なハイブリダイゼーション条件は以下の通りである:1)6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)の中、約45℃で低厳密度ハイブリダイゼーション条件の後、0.2×SSC、0.1%SDSの中、50℃以上で2回洗浄する(低厳密度条件では、洗浄温度を55℃まで上げることができる);2)6×SSCの中、約45℃で中厳密度ハイブリダイゼーション条件の後、0.2×SSC、0.1%SDSの中、60℃以上で1回以上洗浄する;3)6×SSCの中、約45℃で高厳密度ハイブリダイゼーション条件の後、0.2×SSC、0.1%SDSの中、65℃で1回以上の洗浄;および好ましくは、4)非常に高厳密度のハイブリダイゼーション条件は、0.5Mのリン酸ナトリウム、7%SDSで60℃、その後、65℃において0.2×SSC、1%SDSで1回以上洗浄する。高厳密度条件(3)が好適な条件であり、別段の記載がない限り、この条件を用いるべきである。
【0052】
「TWEAK関連疾患」とは、TWEAKが病因に寄与している疾患、またはTWEAK遮断剤を提供することによって病状、症状、または発症の危険が変化する疾患のことである。
【0053】
別段の定義がない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者に共通して理解されているのと同じ意味を有する。本明細書記載の方法および材料と同様または同等の方法および材料を、本明細書記載の実施または試験において用いることができるが、適当な方法および材料を以下で説明する。さらに、ChotiaのCDRに関して記載された本発明の実施態様も、KabatのCDRを用いて実施することが可能である。
【0054】
本明細書記載のすべての刊行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、それら全体を参照されて本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合、定義も含め、本明細書が優先される。さらに、材料、方法、および例は例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ヒトTWEAKに結合する抗原結合部位を形成することができる重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む、単離されたタンパク質であって、以下の特性:
(a)該タンパク質は、ヒトTWEAKへの結合について、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2と競合するか;
(b)該タンパク質は、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2が結合するエピトープと重複する、ヒトTWEAK上のエピトープに結合するか;
(c)該重鎖および/または軽鎖の可変ドメイン配列が、高ストリンジェント条件下で、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2をコードする核酸の相補配列にハイブリダイズする核酸によってコードされているか;
(d)該重鎖および/または軽鎖の可変ドメイン配列が、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2の対応する可変ドメインのアミノ酸配列に少なくとも80%同一であるか;
(e)該重鎖および/または軽鎖の可変ドメイン配列が、CDR領域(集合的に)において、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2の重鎖および/または軽鎖の可変領域のCDR領域に少なくとも95%同一であるか;あるいは
(f)フレームワーク領域(集合的に)において、P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2の重鎖および/または軽鎖の可変領域のフレームワーク領域に少なくとも95%同一である、
の一つ以上を有する、タンパク質。
(項目2)
前記重鎖可変ドメイン配列が、CDR領域の内部に以下の配列:
【化1】


を少なくとも2個含む、項目1記載のタンパク質。
(項目3)
前記軽鎖可変ドメイン配列が、CDR領域の内部に以下の配列:
【化2】


の一つ以上を含む、項目1または2記載のタンパク質。
(項目4)
前記重鎖可変ドメイン配列が以下のCDR:
【化3】


を含み、また、前記軽鎖可変ドメイン配列が、CDR領域の内部に以下の配列:
【化4】


の一つ以上を含む、項目2記載のタンパク質。
(項目5)
組換え全長IgGである、項目1記載のタンパク質。
(項目6)
ヒトFc領域を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目7)
3個以下のアミノ酸置換を有するヒトFc領域を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目8)
FabまたはscFvである、項目1記載のタンパク質。
(項目9)
ヒト生殖系列のフレームワーク領域と少なくとも90%同一のフレームワーク領域を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目10)
前記軽鎖可変ドメイン配列のフレームワーク領域が、集合的に、Vκ1サブグループ生殖系列の配列に少なくとも95%同一である、項目1記載のタンパク質。
(項目11)
前記重鎖可変ドメイン配列のフレームワーク領域が、集合的に、DP54生殖系列の配列に少なくとも95%同一である、項目1記載のタンパク質。
(項目12)
前記軽鎖可変ドメイン配列のフレームワーク領域が、集合的に、DPK9生殖系列の配列に少なくとも95%同一である、項目1記載のタンパク質。
(項目13)
前記重鎖可変ドメイン配列のフレームワーク領域が、集合的に、VHIサブグループ生殖系列の配列に少なくとも95%同一である、項目1記載のタンパク質。
(項目14)
P2D10、huP2D10−1、またはhuP2D10−2と同じ正準な構造をもつ超可変ループを含む、項目1記載のタンパク質。
(項目15)
前記重鎖可変ドメイン配列が、配列番号:65に少なくとも95%同一な配列を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目16)
前記重鎖可変ドメイン配列が配列番号:65を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目17)
前記軽鎖可変ドメイン配列が、配列番号:67または69に少なくとも95%同一な配列を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目18)
前記軽鎖可変ドメイン配列が、配列番号:67または69を含む、項目1または15記載のタンパク質。
(項目19)
前記重鎖可変ドメイン配列が、配列番号:27〜49のいずれか一つ、またはそれに少なくとも95%同一の配列を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目20)
前記軽鎖可変ドメイン配列が、配列番号:17〜26のいずれか一つ、またはそれに少なくとも95%同一の配列を含む、項目1記載のタンパク質。
(項目21)
項目1〜20のいずれか一項に記載のタンパク質、および医薬上許容される担体を含む医薬組成物。
(項目22)
抗体を提供するための方法であって、
重鎖可変ドメイン配列および軽鎖可変ドメイン配列を含む項目1記載のタンパク質を発現させるための組換え核酸配列を含む宿主細胞を提供する工程、そして
該細胞を、該タンパク質が発現される条件下で維持する工程
を包含する、方法。
(項目23)
さらに、前記タンパク質を単離して、該タンパク質を医薬上許容される担体とともに処方することを含む、項目22記載の方法。
(項目24)
被験体における自己免疫疾患を治療する方法であって、項目21記載の医薬組成物を、該自己免疫疾患を治療するのに有効な量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目25)
被験体における慢性関節リウマチを治療する方法であって、項目21記載の医薬組成物を、慢性関節リウマチを治療するのに有効な量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目26)
被験体における多発性硬化症を治療する方法であって、項目21記載の医薬組成物を、多発性硬化症を治療するのに有効な量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目27)
被験体における脳卒中を治療する方法であって、項目21記載の医薬組成物を、脳卒中を治療するのに有効な量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目28)
被験体における癌を治療する方法であって、項目21記載の医薬組成物を、癌を治療するのに有効な量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目29)
前記癌が膵臓癌である、項目28記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(詳細な説明)
P2D10は、ヒトTWEAKに特異的に結合してTWEAKの機能を阻害するマウス抗体の例である。また、ヒト化変異体の例など、P2D10の変異体も開示されている。これらの抗体、その他の抗TWEAK抗体、およびその他のTWEAK遮断薬を用いて、TWEAK関連疾患、例えば、本明細書に開示された炎症性疾患および他の疾患を治療または予防することができる。
【0056】
抗TWEAK抗体
本開示は、P2D10、huP2D10−1、およびhuP2D10−2など、抗TWEAK抗体の具体例の配列を含む。このような具体的抗体は、記載されたアミノ酸配列をコードする合成遺伝子を調製して発現させるか、記載されたアミノ酸配列をコードする遺伝子を提供するためにヒト生殖系列遺伝子を変異させることによって作出することができる。さらに、これらの抗体およびその他の抗TWEAK抗体を、例えば、以下の方法の一つ以上を用いて作成することができる。
【0057】
抗体、特にヒト抗体を得るために、数多くの方法が利用可能である。方法の一例は、タンパク質発現ライブラリー、例えば、ファージまたはリボゾームの提示ライブラリーをスクリーニングすることを含む。ファージ提示法は、例えば、米国特許第5,223,409号;Smith(1985)Science 228:1315−1317;国際特許公開92/18619号;国際特許公開91/17271号;国際特許公開92/20791号;国際特許公開92/15679号;国際特許公開93/01288号;国際特許公開92/01047号;国際特許公開92/09690号;および国際特許公開90/02809号に記載されている。ファージ上にFab’を提示させることが、例えば、米国特許第5,658,727号;米国特許第5,667,988号;および米国特許第5,885,793号に記載されている。
【0058】
提示ライブラリーを用いる以外にも、別の方法を用いて、TWEAK結合抗体を得ることができる。例えば、TWEAKタンパク質またはそのペプチドを、非ヒト動物、例えば、齧歯動物、例えば、マウス、ハムスター、またはラットなどにおける抗原として用いることができる。
【0059】
一つの実施態様において、非ヒト動物は、ヒト免疫グロブリン遺伝子の少なくとも一部を含む。例えば、ヒトIg遺伝子座の大断片をもつマウス抗体の産生が十分にできないマウス系統を設計することが可能である。ハイブリドーマ技術を用いて、所望の特異性を有する遺伝子に由来する抗原特異的モノクローナル抗体を作成して選択することができる。例えば、商標XENOMOUSE、Green et al.(1994)Nature
Genetics 7:13−21、米国特許出願第2003−0070185号、国際特許公開第96/34096号、および国際特許公開第96/33735号など参照。
【0060】
別の実施態様において、非ヒト動物からモノクローナル抗体を得て、これを改変、例えば、ヒト化または脱免疫する。Winterは、本明細書記載のヒト化抗体を調製するために用いることができるCDR移植法の例を説明している(米国特許第5,225,539号)。特定のヒト抗体のCDRの全部または一部を、非ヒト抗体の少なくとも一部と置き換えることができる。TWEAKに結合する有用なヒト化抗体を達成するには、結合に必要とされるCDR、またはそのようなCDRの結合決定基を置換することが必要なだけであろう。
【0061】
抗原結合に直接関与していないFv可変領域の配列をヒトFv可変領域由来の同等な配列と置換することによって、ヒト化抗体を作成することができる。ヒト化抗体を作成するための一般的な方法が、Morrison,S.L.(1985)Science 229:1202−1207、Oi et al.(1986)BioTechniques
4:214、ならびに米国特許第5,585,089号;米国特許第5,693,761号;米国特許第5,693,762号;米国特許第5,859,205号;および米国特許第6,407,213号に記載されている。それらの方法は、重鎖または軽鎖の少なくとも一つに由来する免疫グロブリンFv可変領域の全部または一部をコードする核酸配列を単離し、操作し、また発現させることを含む。そのような核酸の由来源は当業者によく知られており、例えば、上記したように、所定の標的に対する抗体を産生するハイブリドーマから、生殖系列の免疫グロブリン遺伝子から、または合成構築物から得ることができよう。そして、ヒト化抗体をコードする組換えDNAを適当な発現ベクターの中にクローニングすることができる。
【0062】
ヒト生殖系列の配列は、例えば、Tomlinson,I.A.et al.(1992)J.Mol.Biol.227:776−798;Cook,G.P.et al.(1995)Immunol.Today 16:237−242;Chothia,D.et al.(1992)J.Mol.Bio.227:799−817;およびTomlinson et al.(1995)EMBO J 14:4628−4638に開示されている。V BASE要覧(Tomlinson, I.A.et al.MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UKにより編集された)は、ヒト免疫グロブリン可変ドメイン配列の包括的要覧を提供している。これらの配列は、例えば、フレームワーク領域およびCDRに関する、ヒト配列の由来源として使用することができる。また、共通のヒトフレームワーク領域も、例えば、米国特許第6,300,064号に記載されているようにして用いることができる。
【0063】
また、非ヒトTWEAK結合抗体も、国際特許公開第98/52976号および国際特許公開第00/34317号に開示されている方法によって、ヒトT細胞エピトープの特異的な欠失、すなわち「脱免疫」により改変することが可能である。要するに、MHCクラスIIに結合するペプチドについて、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域を解析することができるが、これらのペプチドは(国際特許公開第98/52976号および国際特許公開第00/34317号に定義されているような)潜在的T細胞エピトープを代表している。潜在的T細胞エピトープを検出するには、「ペプチドスレディング法(peptide threading)」と呼ばれるコンピューターモデリング法を利用することができ、また、国際特許公開第98/52976号および国際特許公開第00/34317号に記載されているように、ヒトMHCクラスII結合ペプチドのデータベースを、VおよびVの配列に存在するモチーフについて検索することも可能である。これらのモチーフは、MHCクラスIIの18種類の主要なDRアロタイプのいずれかに結合して、潜在的T細胞エピトープを構成する。検出された潜在的T細胞エピトープは、可変領域内にある少数のアミノ酸残基、好ましくは、単一のアミノ酸を置換することによって消失させることができる。可能な限り、保存的置換を行う。専らという訳ではないが、大抵は、ヒト生殖系列抗体の配列中のある位置において共通するアミノ酸を用いることができる。脱免疫させる変異を同定した後、変異誘発またはその他の合成法(例えば、デノボ合成、カセット交換など)により、VおよびVをコードする核酸を構築する。変異誘発された可変領域は、任意で、ヒト定常領域、例えば、ヒトIgG1またはκ定常領域に融合させることもできる。
【0064】
場合によっては、潜在的T細胞エピトープは、抗体機能にとって重要であることが知られているか予測されている残基を含むことがある。例えば、潜在的T細胞エピトープは通常、CDRに偏っている。また、潜在的T細胞エピトープは、抗体の構造および結合にとって重要なフレームワーク残基内に存在する可能性がある。これらの潜在的T細胞エピトープを消失させるための変異を、場合によっては、例えば、この変異を有する鎖および有しない鎖を作成して試験することにより、さらに精査する必要があろう。可能であれば、CDRと重複する潜在的T細胞エピトープを、CDRの外部における置換によって消失させることができる。場合によっては、CDR内部を改変することしか選択肢がないために、この置換を有する変異体および有しない変異体を試験することも可能である。場合によっては、潜在的T細胞エピトープを消失させるために必要とされる置換が、抗体結合に決定的な意味を持つかもしれないフレームワークの内部の残基位置にあることもある。そのような場合には、この置換を有する変異体および有しない変異体を試験する。このように、場合によっては、脱免疫された重鎖および軽鎖可変領域変異体を設計し、さまざまな重鎖/軽鎖の組み合わせを検査して最適な脱免疫抗体を同定する。そうして、さまざまな変異体の結合アフィニティーを、脱免疫の程度、特に、可変領域に残っている潜在的T細胞エピトープの数と併せて考慮することにより、最終的な脱免疫抗体を選択することができる。脱免疫を用いて、任意の抗体、例えば、非ヒト配列を含む抗体、例えば、合成抗体、マウス抗体、その他の非ヒトモノクローナル抗体、または提示ライブラリーから単離された抗体などを改変することができる。
【0065】
また、抗体をヒト化する別の方法を用いることもできる。例えば、別法は、抗体の三次元構造、結合決定基に三次元的に近接しているフレームワーク位置、および抗原性ペプチド配列を明らかにすることができるかもしれない。例えば、国際特許公開第90/07861号;米国特許第5,693,762号;第5,693,761号;第5,585,089号;第5,530,101号;および第6,407,213号;Tempest et al.(1991)Biotechnology 9:266−271参照。さらに別の方法は「ヒューマニアリング(humaneering)」と名付けられ、例えば、米国特許出願第2005−008625号に記載されている。
【0066】
前記抗体は、ヒトFc領域、例えば、野生型Fc領域、または一つ以上の改変を含むFc領域を含むことができる。一つの実施態様において、定常領域を、例えば、突然変異させて、改変し、抗体の性質を変更する(例えば、Fcレセプター結合、抗体グリコシル化、システイン残基の数、エフェクター細胞機能、または補体機能のうち一つ以上のものを増加または低下させる)。例えば、ヒトIgG1定常領域を、一個以上の残基、例えば、234位および237位の残基の一つ以上で変異させることができる。抗体は、重鎖のCH2領域に、例えば、Fcレセプター結合および補体活性化などのエフェクター機能を低下させるかまたは変化させる変異を有するかもしれない。例えば、抗体は、米国特許第5,624,821号および第5,648,260号に記載された変異を有するかもしれない。また、抗体は、当技術分野において開示されているように(例えば、Angal et al.(1993)Mol.Immunol.30:105−08)、IgG4のヒンジ領域における変異など、免疫グロブリンの二つの重鎖間のジスルフィド結合を安定させる変異を有するかもしれない。米国特許出願第2005−0037000号も参照。
【0067】
親和性成熟。一つの実施態様において、抗TWEAK抗体を、例えば、変異誘発法によって改変して、改変型抗体のプールを提供する。次に、改変型抗体を評価して、変化した機能特性(例えば、結合の向上、安定性の向上、抗原性の低下、またはインビボにおける安定性の増加など)を有する一つ以上の抗体を同定する。一つの実施形態において、提示ライブラリー技術を用いて、改変型抗体のプールを選択またはスクリーニングする。そして、例えば、より高い厳密度またはより競合的な結合および洗浄条件を用いて、二次ライブラリーから高親和性抗体を選択する。また、別のスクリーニング技術を用いてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、変異誘発は、結合界面にあることが知られているか、その可能性が高い領域を標的にする。例えば、同定された結合タンパク質が抗体である場合には、変異誘発を、本明細書に記載された重鎖および軽鎖のCDR領域に向けることができる。さらに、変異誘発を、CDR領域の近傍にあるか、またはそれに隣接したフレームワーク領域、例えば、CDR接合部から特に10個、5個、または3個のアミノ酸以内にあるフレームワーク領域に向けることができる。抗体の場合には、変異誘発を、例えば、段階的に改善するために、CDRの一つまたは数個に制限することも可能である。
【0069】
一つの実施態様において、抗体を一つ以上の生殖系列の配列により似たものにするために、変異誘発法が用いられる。生殖系列形成法の一例は、単離された抗体の配列に類似した(例えば、特定のデータベースにおいては最も類似した)一つ以上の生殖系列の配列を同定することを含むかもしれない。そして、単離された抗体において(アミノ酸レベルで)変異を、追加的か併用的に、またはその両方の態様で生じさせることができる。例えば、生じうる生殖系列の変異の一部または全部をコードする配列を含む核酸ライブラリーを作成する。そして、変異抗体を評価して、例えば、単離抗体に対して1個以上の付加的な生殖系列残基を持つ抗体であって、なお有用である(例えば、機能活性を有する)抗体を同定する。一つの実施態様において、可能なかぎり数多くの生殖系列の残基を単離抗体に導入する。
【0070】
一つに実施態様において、変異誘発法を用いて、CDR領域の中に1個以上の生殖系列残基を置換または挿入する。例えば、生殖系列CDR残基は、改変されている可変領域に類似した(例えば、最も類似した)生殖系列配列に由来するものであってよい。変異誘発の後に、抗体の活性(例えば、結合活性またはその他の機能活性)を評価して、生殖系列残基が許容されるか否かを決定することができる。同様の変異誘発をフレームワーク領域内で実施することができる。
【0071】
さまざまな方法で生殖系列の配列を選択することができる。例えば、ある生殖系列の配列が、ドナーである非ヒト抗体に対し、例えば、一定以上の一致率、例えば、少なくとも75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%の一致率のように、選択性または類似性に関する所定の基準に適合すれば、それを選択することができる。この選択は、少なくとも2個、3個、5個、または10個の生殖系列配列を用いて実施することができる。CDR1およびCDR2の場合には、類似した生殖系列の配列を同定することは、そのような配列を一つ選択することを含みうる。CDR3の場合には、類似した生殖系列の配列を同定することは、そのような配列を一つ選択することを含みうるが、アミノ末端部分およびカルボキシル末端部分に別々に寄与する2つの生殖系列の配列を用いることも含みうる。別の実施形態において、2個以上または3個以上の生殖系列の配列を用いて、例えば、コンセンサス配列を形成する。
【0072】
別の実施態様において、改変されたグリコシル化パターン(すなわち、本来または天然のグリコシル化パターンから変化したもの)を持つように、抗体を改変することができる。ここで「改変された」とは、一つ以上の炭水化物部分を欠失させること、および/または本来の抗体に付加された一つ以上のグリコシル化部位を持つことを意味する。本願で開示されている抗体にグリコシル化部位を付加することは、グリコシル化部位のコンセンサス配列を含むようにアミノ酸配列を改変して達成することができるが、そのような技術は当技術分野でよく知られている。炭水化物部分の数を増加させる別の方法は、抗体のアミノ酸残基にグリコシドを、化学的または酵素的に結合させることによるものである。これらの方法は、例えば、国際特許公開第87/05330号、およびAplin and Wriston(1981)CRC Crit.Rev.Biochem.22:259−306に記載されている。抗体上に存在する任意の炭水化物部分の除去は、当技術分野で既述されているように(Hakimuddin et al.(1987)Arch.Biochem.Biophys.259:52;Edge et al.(1981)Anal.Biochem. 118:131;およびThotakura et al.(1987)Meth.Enzymol.138:350)、化学的または酵素的な方法で行うことができる。サルベージレセプター結合エピトープを提供して、インビボでの半減期を延長させる改変法については、例えば、米国特許第5,869,046号参照。
【0073】
一つの実施態様において、抗体は、P2D10のCDR配列とごく僅かしか異ならないCDR配列を持つ。ごく僅かな差異には、例えば、ChotiaまたはKabatのCDRなどのCDR配列における、一般的には、5〜7個のアミノ酸のうち1個または2個が置換されていることなど、軽微なアミノ酸変異が含まれる。一般的には、アミノ酸が、同じような電荷特性、疎水性、または立体化学的特性を持つ類縁のアミノ酸によって置換される。かかる置換は、通常の職人技の範囲内である。CDRにおけるのとは異なり、構造フレームワーク領域(FR)では、抗体の結合特性に悪影響を及ぼすことなしに、より実質的な変異を作出することができる。FRの変異には、非ヒト由来のフレームワークをヒト化したり、抗原と接触するため、または結合部位を安定させるために重要な一定のフレームワーク残基を改造したりすること、例えば、定常領域のクラスまたはサブクラスを変更すること、Fcレセプター結合などのエフェクター機能を変える可能性がある特異的なアミノ酸残基を変異させること(Lund et al.(1991)J.Immun.147:2657−62;Morgan et al.(1995)Immunology 86:319−24)、または定常領域が由来する種を変更することが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
抗TWEAK抗体は、全長の抗体という形態、または、例えば、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、dAb断片、およびscFv断片などという、抗体の断片の形態をしていてもよい。さらなる形態には、単一の可変領域、例えば、ラクダ由来の領域またはラクダ化領域を含むタンパク質などがある。例えば、米国特許出願第2005−0079574号およびDavies et al.(1996)Protein Eng.9(6):531−7参照。
【0075】
抗体の製造。例えば、Fab’抗体などの抗体は、細菌の細胞、例えば、大腸菌の細胞内で産生させることができる。また、真核細胞内でも、抗体を産生させることができる。一つの実施態様において、抗体(例えば、scFv’)をピチア属(Pichia)(例えば、Powers et al.(2001)J Immunol Methods.251:123−35参照)、ハンセヌラ属(Hanseula)、またはサッカロミセス属(Saccharomyces)などの酵母細胞内で発現させる。
【0076】
一つの好適な実施態様において、抗体を哺乳動物細胞の中で産生させる。抗体を発現させるための哺乳動物宿主細胞の例には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)(例えば、Kaufman and Sharp(1982)Mol.Biol.159:601−621に記載されているように、DHFR選択マーカーと共に用いられる、Urlaub and Chasin (1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216−4220に記載されているdhfrCHO細胞など)、例えば、NS0骨髄腫細胞およびSP2細胞などのリンパ球細胞株、COS細胞、ならびにトランスジェニック動物、例えば、トランスジェニック哺乳動物などに由来する細胞などがある。例えば、この細胞は乳房上皮細胞である。
【0077】
多様な免疫グロブリン領域をコードする核酸配列に加え、組換え発現ベクターも、宿主細胞内におけるベクターの複製(例えば、複製開始点)および選択マーカー遺伝子を調節する配列など、付加的な配列を担持することができる。選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入されている宿主細胞の選択を容易にする(例えば、米国特許第4,399,216号、第4,634,665号および第5,179,017号参照)。例えば、一般的に、選択マーカー遺伝子は、ベクターが導入された宿主細胞に、G418、ハイグロマイシン、またはメトトレキサートなどの薬剤に対する耐性を付与する。
【0078】
抗体発現系の一例において、抗体重鎖および抗体軽鎖の両方をコードする組換え発現ベクターを、リン酸カルシウムによる形質転換法によってdhfrCHO細胞に導入する。組換え発現ベクターの内部で、抗体の重鎖および軽鎖の遺伝子が、エンハンサー/レセプター調節因子(例えば、CMVエンハンサー/AdMLPプロモーター調節因子またはSV40エンハンサー/AdMLPプロモーター調節因子など、SV40、CMV、アデノウイルスなどに由来するもの)に、それぞれ操作可能な形で結合されていて、これらの遺伝子を高レベルで転写させる。また、この組換え発現ベクターはDHFR遺伝子も担持するが、この遺伝子は、ベクターによって形質転換されたCHO細胞を、メトトレキサートによる選抜/増幅を用いて選択することを可能にする。選択された形質転換体である宿主細胞を培養して、抗体の重鎖および軽鎖を発現させてから、培養培地から抗体を回収する。標準的な分子生物学技術を用いて、組換え発現ベクターを調製し、宿主細胞を形質転換し、形質転換体を選択し、宿主細胞を培養し、培養培地から抗体を回収する。例えば、抗体には、プロテインAまたはプロテインGを結合した基質を用いたアフィニティークロマトグラフィーによって単離することができるものもある。
【0079】
Fc領域を含む抗体については、抗体産生系は、好ましくは、Fc領域がグリコシル化されている抗体を合成する。例えば、IgG分子のFc領域は、CH2領域内の297位のアスパラギンでグリコシル化されている。このアスパラギンが、二分岐型オリゴ糖による修飾部位である。このグリコシル化は、FcγレセプターおよびC1q補体によって媒介されるエフェクター機能を必要とすることが実証されている(Burton and Woof (1992)Adv.Immunol.51:1−84;Jefferis et al.(1998)Immunol.Rev.163:59−76)。一つの実施態様において、Fc領域は、297位のアスパラギンに対応する残基を適当にグリコシル化する哺乳動物発現系において産生される。抗体のFc領域またはその他の領域も、真核細胞におけるその他の翻訳後修飾基を含みうる。
【0080】
また、トランスジェニック動物によって、抗体を生産させることもできる。例えば、米国特許第5,849,992号には、トランスジェニック哺乳動物の乳腺内で抗体を発現させる方法が記載されている。乳特異的プロモーター、ならびに目的とする抗体および分泌シグナル配列をコードする核酸を含む導入遺伝子を構築する。このようなトランスジェニック哺乳動物の雌により分泌される乳は、その中に分泌された目的とする抗体を含む。この抗体は、乳から精製するか、または、用途によっては直接利用することもできる。
【0081】
性質決定
抗体の結合特性は、標準的な方法、例えば以下の方法の一つによって測定することができる:商標BIACORE解析法、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA法)、蛍光共鳴エネルギー転移法(FRET法)、X線結晶構造解析法、配列解析法、および系統的変異導入法。タンパク質がTWEAKの一つ以上の活性を阻害することができるかは、インビトロで、または疾患、例えば、本明細書記載の疾患の動物モデルで評価することができる。好ましくは、抗体は、TWEAKの一つ以上の活性を阻害することを示す、統計的に有意な効果を有する。
【0082】
一つの実施態様において、皮膚線維芽細胞においてIL−8、MMP−1、PGE2、IL−6、IP−10およびRANTESの産生を促進するTWEAKの能力の阻害について、抗体を評価する。適当なアッセイ条件に関しては、Chicheportiche
et al.(2002)Arthritis Res.4(2):126−133参照。
【0083】
別の実施態様において、TWEAKが内皮細胞の増殖を促進するのを阻害する能力について、抗体を評価する。例えば、米国特許出願第2003−0211993号参照。これは、以下のような増殖アッセイ法(およびその他の有用なアッセイ法)を記載している:HVECを96穴のマイクロタイタープレートにサブコンフルエント(ウエルあたり細胞4000個)になるよう播種し、供給業者の増殖用添加剤を加えずにCS−C培地の中で一晩培養する。培地を完全培地または基本培地に置き換える。細胞を基本培地の中で、TWEAK(100ng/ml)、bFGF増殖添加剤(Clonetics)で1/500から1/1000に希釈したものを用いるか、もしくは1ng/ml(R&D System)のbFGF、VEGF(10ng/ml)、またはこれらの因子を組み合わせたものを加えるか、または加えないで培養する。指示されたところで、10μg/mlの試験すべき抗体または対照抗体も添加する。細胞を、5%CO下37℃で3日間インキュベートし、培養の最後の10時間、H−チミジンでパルス処理して、増殖を測定した。細胞に結合した放射能は、商標BETAPLATE(EG&G Wallac,Gaithersburg,Md.)を用いて測定することができる。TWEAK、またはTWEAKとbFGFとを組み合わせたものを介して増殖が低下すると、抗体がTWEAKの活性を阻害するのに有効であることを示している可能性がある。
【0084】
表面プラズモン共鳴法(SPR)。目的とするタンパク質と標的(例えば、TWEAK)との結合相互作用を、SRPを用いて解析することができる。SPRまたは生体分子相互作用解析法(BIA)によって、相互作用物を標識することなく、リアルタイムで生体分子特異的相互作用が検出される。BIAチップの結合表面において質量変化が起きる(結合が起きたことの指標となる)と、表面付近で光の屈折率に変化が生じる(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学現象)。屈折度が変化すると、検出可能な信号が発生し、これを生体分子同士のリアルタイムでの相互作用の指標として測定する。SPRを用いるための方法が、例えば、米国特許第5,641,640号;Raether(1988)Surface Plasmons Springer Verlag;Sjolander
and Urbaniczky(1991)Anal.Chem.63:2338−2345;Szabo et al.(1995)Curr.Opin.Struct.Biol.5:699−705およびBIAcore International AB(Uppsala,Sweden)によって提供されているオンライン情報源に記載されている。SPRからの情報を用いて、標的への生体分子の結合に関する、平衡解離定数(K)、ならびにKonおよびKoffなどの速度パラメーターの正確かつ定量的な測定を行うことができる。
【0085】
また、TWEAK(例えば、ヒトTWEAK、特に、可溶性ヒトTWEAK)への結合に関して互いに競合し合う様々な抗体の能力を、BIAcoreのクロマトグラフィー技術(Pharmacia BIAtechnology Handbook,“Epitope Mapping”,Section 6.3.2,(May 1994);Johne et al.(1993)J.Immunol.Methods,160:191−198も参照)を用いて評価することによって直接マッピングすることもできる。例えば、ウエスタンブロット法および免疫沈降アッセイ法で抗体を評価するための更なる一般的な手引きを、Antibodies:A Laboratory Manual,ed.by Harlow and Lane,Cold Spring Harbor press(1988)の中に見出すことができる。
【0086】
TWEAK関連疾患
抗TWEAK抗体(本明細書記載の抗体など)を用いて、TWEAK関連疾患など、さまざまな疾患を治療することができる。例えば、この抗体を用いて、患者における炎症性、免疫性、または自己免疫性の疾患、ならびに腫瘍性疾患を治療することができる。炎症性のTWEAK関連疾患の例には、関節リウマチ、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎およびクローン病など)、乾癬、または筋肉炎などがある。治療可能な炎症性疾患のさらに別の例には、ランゲルハンス細胞組織球増加症、成人型呼吸窮迫症候群/閉塞性細気管支炎、ヴェグナー肉芽腫症、血管炎、悪液質、口内炎、特発性肺線維症、皮膚筋炎もしくは多発性筋炎、非感染性強膜炎、肺障害を伴う慢性サイコイドーシス、骨髄異形成症候群/芽球増加型不応性貧血、潰瘍性大腸炎、中程度から重度の慢性閉塞性肺疾患、および巨細胞性動脈炎などがある。
【0087】
これらの疾患の一つに罹る危険性があるか、それと診断されているか、またはそれに罹っている被験体に、抗TWEAK抗体を、全体的な治療効果をもたらす量および期間にして投与することができる。この抗TWEAK抗体は、単独あるいは他の薬剤と併用して投与することができる。例えば、米国特許出願第60/679,518号には、TWEAK遮断薬をTNF−α遮断薬と併用して投与する方法が記載されている。併用療法の場合には、投与する量および回数は、例えば、相乗的な治療効果をもたらすとすることができる。さらに、TWEAK遮断薬の投与を(第二薬剤の有無にかかわらず)一次治療法、例えば第一選択治療法として使用するか、または、例えば、その前に受けた療法(すなわち、WEAK遮断薬による療法以外の療法)に対して不良な反応を示す被験体のための二次的治療法として利用することができる。
【0088】
関節リウマチ(RA)
抗TWEAK抗体(本明細書記載の抗体など)を用いて、関節リウマチおよびその関連疾患を治療することができる。関節リウマチ(「RA」)とは、主に関節において、疼痛、腫脹、硬直、および機能喪失を引き起こす慢性の炎症性疾患のことである。RAは、関節を包む保護嚢となっている膜である滑膜において、しばしば発症する。RAを患っている数多くの人において、白血球が循環液から滑膜内に浸潤して、持続性の異常な炎症(例えば、滑膜炎)を引き起こす。その結果、滑膜は炎症を起こし、発熱、紅化、腫脹、および疼痛をもたらす。軟骨のコラーゲンが徐々に破壊され、関節腔を狭め、最後には骨を損傷する。この炎症は、患部において骨の糜爛性損傷を引き起こす。この過程で、滑膜の細胞が異常に増殖および分裂して、通常は薄い滑膜が厚くなり、その結果、関節が腫脹し、触ると腫れぼったくなる。
【0089】
RAが進行するにしたがって、異常な滑膜細胞が、関節内部の軟骨および骨を侵して破壊する。関節を支え安定させている、周囲の筋肉、靭帯、および腱が弱くなり、正常に機能できなくなる可能性がある。また、RAは、骨粗鬆症をもたらす可能性のある、より全身性の骨減少を引き起こすことがあり、骨を脆く骨折しやすくさせる。これらの作用すべてが、RAに伴う疼痛、機能障害および変形を引き起こす。影響を受ける可能性のある部位には、手関節、指関節、膝および母指球などがある。しばしば、多くの関節で発症する可能性があり、さらに脊椎も冒される可能性がある。RAに罹っている人々の約25%においては、微小血管の炎症が、皮膚の下で、しばしば関節に近接して形成されるリウマチ結節またはしこりをもたらす可能性がある。この疾患が進行するにつれて、体液も、特に足関節に蓄積する可能性がある。RA患者の多くでは、貧血も起こり、正常な数の赤血球が減少する。
【0090】
RAは、フェルティ症候群、血清反応陰性RA、「古典的」RA、進行性および/または再発性のRA、ならびに血管炎を伴うRAなど、いくつかのサブタイプを含む。専門家によっては、この疾患を1型もしくは2型に分類している。1型はあまり一般的な型ではなく、せいぜい数ヶ月間持続して、永久的な障害を残さない。2型は慢性であり、何年間も持続し、場合によっては一生続く。また、RAは皮下リウマチ結節、内臓結節、下腿潰瘍を引き起こす血管炎もしくは多発性単神経炎、胸水もしくは心嚢液貯留、リンパ節腫脹、フェルティ症候群、シェーグレン症候群、および上強膜炎として発現することもある。これらの疾患サブタイプも、上記症状の一つ以上を示す被験体も、本明細書に記載された抗体を用いて治療することができる。
【0091】
さまざまな臨床的基準により、RAを評価することができる。いくつかの指標の例には、トータルシャープスコア(TSS)、シャープ糜爛スコア、およびHAQ障害指数などがある。本明細書記載の方法を用いて、これらの指標の少なくとも一つを改善することができる。RAを治療するための抗TWEAK抗体の治療特性は、例えば、コラーゲン誘発関節炎(mCIA)マウスモデル(例えば、Stuart et al.,J.Clin.Invest.69:673−683(1982)参照)を用いるなど、動物モデルにおいて評価することができる。
【0092】
多発性硬化症
抗TWEAK抗体(本明細書に記載された抗体など)を用いて、多発性硬化症(MS)およびその関連疾患を治療することができる。MSとは、炎症および髄鞘消失を特徴とする中枢神経系疾患である。
【0093】
MS患者は、MS診断に関するワークショップで定義されているように、臨床的に明確なMSと診断する判定基準によって同定することができる(Poser et al.,Ann.Neurol.(1983)13:227)。要するに、臨床的に明確なMSを患っている者とは、2回の発作と、2箇所の病変部という臨床所見か、または1箇所の病変部という臨床所見にもう1箇所別の病変部という副次的な臨床所見(paraclinical evidence)を有している者である。また、明確なMSは、2回の発作という所見、および脳脊髄液中のIgGのオリゴクローナルバンドによって、または1回の発作、2箇所の病変部という所見、および脳脊髄液中のIgGのオリゴクローナルバンドの組み合わせによって診断することもできる。
【0094】
多発性硬化症の有効な治療を、いくつかの異なった方法で調べることができる。以下のパラメーターを用いて、治療の有効性を評価することができる。3つの主な判定基準、すなわち、EDSS(総合障害度評価尺度)、悪化所見、またはMRI(核磁気共鳴映像法)を用いる。EDSSは、MSに起因する臨床的障害を等級分けする手段である(Kurtzke(1983)Neurology 33:1444)。神経学的障害のタイプおよび重症度について、8つの機能系を評価する。要するに、治療前に、以下の系における障害について、患者を評価する。すなわち、錐体路系、小脳系、脳幹系、感覚系、腸系および膀胱系、視覚系、大脳系など。規定された間隔で経過観察を行う。尺度は、0(正常)から10(MSにより死亡)までである。EDSSの低下は、治療が効果的であることを示す(Kurtzke(1994)Ann.Neurol.36:573−79)。
【0095】
多発性硬化症の動物モデルの例は、例えば、Tuohy et al.(J.Immunol.(1988)141:1126−1130),Sobel et al.(J.Immunol.(1984)132:2393−2401)、およびTraugott(Cell Immunol.(1989)119:114−129)に記載されているような、実験的自己免疫性脳炎(EAE)のマウスモデルである。マウスには、EAEを誘導する前に、本明細書記載の抗体を投与することができる。本抗体の効能を測定するために、特性判定基準について、マウスを評価する。
【0096】
脳卒中
抗TWEAK抗体(本明細書に記載されている抗体など)を用いて、例えば、血栓塞栓性または出血性の脳梗塞などの脳卒中を(例えば、過去48時間、24時間、12時間、8時間、または2時間以内に)経験した被験体を治療するか、あるいは、例えば、脳卒中の危険のある被験体において、脳卒中を予防することができる。方法例が米国特許出願第60/653,811号に記載されている。脳卒中は、血管の病気によって起こる急性の脳損傷を表す一般用語である。脳卒中は、出血性脳卒中(正常な血管から外部への血液の漏出に起因する)および虚血性脳卒中(血液供給がなくなることに起因する)という、少なくとも2つの主なカテゴリーに分類することができる。虚血性脳卒中を引き起こす可能性のある事象には、血栓症、塞栓症、および全身性の血流低下(結果として虚血および酸素欠乏症を伴う)などがある。
【0097】
脳卒中は、一般に、酸素欠乏および二次的事象により、脳において神経細胞の死滅および損傷を引き起こす。血液供給の欠乏およびその他の障害の結果として死滅する脳領域を梗塞巣と呼ぶ。場合によっては、本明細書に記載されている治療法を用いて、例えば、神経細胞の死滅または損傷を引き起こす二次的事象を減少させることによって、梗塞巣の大きさを縮小させるか、または最小化させることができる。
【0098】
脳動脈壁に形成された血栓に起因する大脳動脈の閉塞は、一般的に脳血栓と呼ばれる。脳塞栓では、大脳動脈を遮断する閉塞物質が、血行路の下流で生じる(例えば、塞栓が心臓から大脳動脈に運ばれる)。脳卒中が血栓症によるものか、塞栓症によるものかを識別するのは困難であるため、血栓塞栓症という用語を使用して、これら2つのタイプの脳卒中をカバーしている。全身性血流低下は、血液量の減少、ヘマトクリットの低下、低血圧、または心臓が血液を適切に送り出すことができないことの結果として起きる。
【0099】
さらに、抗TWEAK抗体は、予防的脳卒中療法として、またはその構成要素として、例えば、一過性脳虚血発作(TIA)を経験したことがあるか、あるいはTIAの症状を示す被験体に投与することができる。
【0100】
神経細胞疾患
抗TWEAK抗体(本明細書に記載された抗体など)を用いて、機械的神経外傷および神経変性疾患などの神経細胞疾患を治療または予防することができる。機械的神経外傷の例には、脊髄損傷(SCI)および外傷性脳損傷(TBI)などがある。神経変性疾患の例には、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、進行性球麻痺(PBP)、原発性側索硬化症(PLS)、進行性筋萎縮(PMA)、パーキンソン病、ハンチントン病(HD)、およびアルツハイマー病などがある。例えば、米国特許出願第60/653,813号参照。一つの実施態様において、神経細胞疾患は、神経細胞、例えば、運動神経細胞の破壊または死滅(例えば、ALS)、大脳基底核の線条体ニューロンおよび/または大脳皮質ニューロンの破壊または死滅(例えば、ハンチントン病)、黒質ニューロンの破壊または死滅(例えば、パーキンソン病)を主な特徴とする。
【0101】

TWEAKおよびそのレセプターが、例えば膵癌など、少なくともいくつかのタイプの癌の発生に関係している可能性がある。抗TWEAK抗体(本明細書記載の抗体など)を用いて、癌(例えば、腺癌)およびその他の腫瘍性疾患を治療または予防することができる。例えば、“TREATMENT OF CANCER”、2005年5月27日出願の米国特許出願第60/685,465号参照。
【0102】
薬学的組成物
抗TWEAK抗体(本明細書に記載された抗体など)は、例えば、本明細書に記載された疾患を治療するために、被験体に投与するための薬学的組成物として処方することができる。一般的には、薬学的組成物は、薬学的に許容される担体を含む。本明細書において、「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合するあらゆる溶解剤溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌薬および抗菌薬、等張剤および吸収遅延剤などがある。本組成物は、薬学的に許容される塩、例えば、酸付加塩または塩基付加塩を含むことができる(例えば、Berge,S.M.,et al.(1977)J.Pharm.Sci.66:1−19参照)。
【0103】
医薬製剤は十分に確立した技術であり、例えば、Gennaro (ed.),Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th ed.,Lippincott,Williams & Wilkins(2000)(ISBN:0683306472);Ansel et al.,Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems,7th Ed.,Lippincott Williams
& Wilkins Publishers(1999)(ISBN:0683305727);およびKibbe(ed.),Handbook of Pharmaceutical Excipients American Pharmaceutical
Association,3rd ed.(2000)(ISBN:091733096X)にさらに説明されている。
【0104】
本薬学的組成物は、さまざまな形態をとることができる。それらには、例えば、溶液(例えば、注射用および点滴用の溶液)、分散剤もしくは懸濁剤、錠剤、ピル、粉末剤、リポソームならびに座薬など、液体、半固体、および固体の剤形がある。好適な剤形は、意図した投与方式および治療用途に応じて決めることができる。一般には、本明細書に記載された薬剤用の組成物は、注射用または点滴用の溶液の形態をとる。
【0105】
一つの実施態様において、抗TWEAK抗体は、塩化ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物、一塩基性リン酸ナトリウム、および安定剤などの賦形剤物質とともに処方される。これを、例えば、適当な濃度の緩衝液の形で提供することができ、2〜8℃で保存することができる。
【0106】
そのような組成物は、非経口的な方法(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内への注射)によって投与することができる。本明細書において使用される「非経口投与」および「非経口的に投与される」という語句は、腸内または局所への投与以外の投与方法、通常は注射による投与を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内への注射および点滴なを含むが、これらに限定されるものではない。
【0107】
組成物は、高濃度で安定して貯蔵するのに適した、溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、またはその他の規則的な構造物として処方することができる。滅菌注射液は、本明細書記載の薬剤を必要量、上に挙げた成分の一つまたはそれらを組み合わせたものとともに適当な溶媒の中に取り込み、その後、必要に応じてろ過滅菌することによって調製することができる。通常、分散液は、基本分散媒と、上に挙げたものの中から必要とされる成分とを含む滅菌賦形剤の中に、本明細書に記載された薬剤を取り込ませることによって調製することができる。滅菌注射液調製用の滅菌粉末剤の場合には、好適な調製法は、本明細書記載の薬剤と所望の付加的成分の粉末を、予め滅菌ろ過処理してあるそれらの溶液から回収する真空乾燥法および凍結乾燥法である。溶液の適当な流動性は、例えば、レシチンなどの被覆剤を使用することにより、分散液の場合には、必要とされる粒子サイズを維持することにより、および、界面活性剤を使用することにより維持することができる。吸収を遅らせる薬剤、例えば、ステアリン酸塩およびゼラチンを組成物に含ませることによって、注射用組成物の持続的な吸収をもたらすことができる。
【0108】
一定の実施態様において、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル送達系など、徐放性処方剤など、急速な放出から組成物を保護する担体とともに抗TWEAK抗体を調製してもよい。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物類、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル類、およびポリ乳酸など、生物分解性で生体適合性のポリマーを使用することも可能である。このような処方剤を調製するための数多くの方法が特許を付与されているか、あるいは周知されている。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.、New York (1978)参照。
【0109】
抗TWEAK抗体は、循環液、例えば,血液、血清、または他の組織におけるその安定率および/または保持率を、例えば、少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、または50倍向上させる成分によって改変することができる。改変された抗体を評価して、それが炎症部位、例えば、関節まで到達できるかを判定することができる。
【0110】
例えば、抗TWEAK抗体を、ポリマー、例えば、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドなど、実質的に非抗原性のポリマーと結合(例えば、共役)させることができる。適当なポリマーは、重量により大幅に異なるであろう。数平均分子量が約200から約35,000ダルトン(または約1,000から約15,000、および2,000から約12,500ダルトン)のポリマーを使用することができる。
【0111】
例えば、抗TWEAK抗体は、水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコールまたはポリビニルピロリドンなどの親水性ポリビニルポリマーと共役させることができる。このようなポリマーの例には、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコールなどのポリアルキレンオキシドホモポリマー、ポリオキシエチレン化ポリオール類、これらのコポリマー、および、これらのブロックコポリマーが含まれる。ただし、ブロックコポリマーの水溶性が維持される場合に限られる。他の有用なポリマーには、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ならびにポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマーなどのポリオキシアルキレン類;ポリメタクリル酸類;カルボマー類;ならびに分岐型もしくは非分岐型の多糖類などがある。
【0112】
いくつかの実施形態において、抗TWEAK抗体は、標識または他の薬剤、例えば、細胞毒性薬または細胞分裂阻害剤などの別の治療薬に結合させるか、あるいは会合させることができる。ただし、多くの実施態様において、このような構成は不要である。細胞毒性薬および化学療法剤の例には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、ビンブラスチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、メイタンシノイド(例えば、メイタンシノールもしくはDM1メイタンシノイド、メイタンシンのスルフヒトリル含有誘導体)、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド類、プロカイン、タキサン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、およびピューロマイシン、ならびにこれらのアナログもしくはホモログなどがある。
【0113】
抗WEAK抗体を第2の薬剤(例えば、抗TNF−α抗体または他の薬剤)と組み合わせて使用する場合、これら2つの薬剤は、別個に処方することも、一緒に処方することもできる。これらの薬剤を、相乗的な有効量にして調製または使用することができる。また、これらの薬剤の一方または両方を、単独療法において使用されるよりも少ない量にして使用することも可能である。例えば、それぞれの薬学的組成物を、例えば、投与直前に混合して、一緒に投与するか、または、例えば、同一回数または異なる回数、別々に投与することも可能である。
【0114】
また、他のTWEAK遮断薬、例えば、米国特許出願第60/679,518号に記載された薬剤を使用することも可能である。この薬剤は、被験体に投与することができる、如何なるタイプの化合物(例えば、低有機分子もしくは低無機分子、核酸、タンパク質、またはペプチド模倣体)であってもよい。一つの実施態様において、この遮断薬は生物薬、例えば、分子量5〜300kDaのタンパク質である。例えば、TWEAK遮断薬は、TWEAKがTWEAKレセプターに結合するのを阻害することができる。TWEAKと結合する抗体以外のTWEAK遮断薬の例は、TWEAK−Rに結合する抗体、およびTWEAKへの結合に関して細胞表面TWEAK−Rと競合する可溶型のTWEAK−R(例えば、Fn14)などである。また、本明細書に記載された他の治療薬も、例えば、標準的な方法または本明細書に記載した方法によって、薬学的組成物として提供することができる。
【0115】
投与
抗TWEAK抗体は、さまざまな方法により、被験体、例えば、ヒト被験体に投与することができる。多くの用途にとって、投与経路は以下のうちの一つである。すなわち、静脈内注射もしくは点滴(IV)、皮下注射(SC)、腹腔内(IP)、もしくは筋肉内注射。また、関節内送達を用いることも可能である。また、他の非経口的投与法を用いてもよい。そのような方法の例には、動脈内、くも膜下腔内、関節包内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、ならびに硬膜外および胸骨内への注射などがある。場合によっては、炎症部位、例えば、関節その他の炎症部位に直接投与することも可能である。
【0116】
また、抗体を投与する経路および/または方法も、例えば、断層撮影画像法、神経学的検査法、および特定の疾患に関する標準的パラメーター、例えば、関節リウマチの評価基準などを用いて、被験体を観察するなどして、個別の症例に合わせることも可能である。
【0117】
抗体は、固定した用量として、あるいはmg/kg用量にして投与することができる。また、抗TWEAK抗体に対する抗体の産生を低下または回避できるように投薬量を選択することもできる。投与計画は、所望の反応、例えば、治療反応または組み合わせ治療効果がもたらされるように調整される。通常、抗TWEAK抗体(および任意には第2の薬剤)の投与量は、薬剤が生体利用可能な量、被験体に提供されるように使用することも可能である。例えば、0.1〜100mg/kg、0.5〜100mg/kg、1mg/kg〜100mg/kg、0.5〜20mg/kg、0.1〜10mg/kg、または1〜10mg/kgの用量を投与することができる。その他の用量を用いることも可能である。
【0118】
本明細書において、投薬単位形態または「固定用量」は、治療の対象となる被験体にとって単一の投薬量として適した物理的に分離した単位を意味するが、各々の単位は、必要とされる薬剤担体、および任意には別の薬剤ととともに所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の活性化合物を含む。単一または複数回の投薬量で投与することができる。あるいは、またはさらに、本抗体は、持続注入により投与することも可能である。
【0119】
例えば、毎日1回もしくは2回、または週あたり約1回から4回、または、好ましくは毎週1回、2週間に1回、毎月1回、例えば、約1週間から12週間の間、好ましくは2週間から8週間の間、より好ましくは約3週間から7週間の間、さらに好ましくは約4週間、5週間、もしくは6週間の間、例えば、少なくとも2回量、3回量、5回量、10回量、またはそれ以上を含むのに十分な期間(治療過程)にわたって定期的に、1回量の抗TWEAK抗体を投与することができる。被験体を効果的に治療するために必要とされる投薬量およびタイミングに影響を及ぼす可能性のある因子は、例えば、病気または疾患の重症度、処方剤、送達経路、治療歴、被験体の全般的健康および/または年齢、ならびに他の病気の存在などがある。さらに、治療的有効量の化合物で被験体を治療することには、単回治療が含まれる。あるいは、好ましくは、一連の治療が含まれる。また、動物モデルを用いて、有用な用量、例えば、初回量または投与計画などを決めることができる。
【0120】
被験体が炎症性疾患または本明細書に記載された他の疾患を発症する危険性がある場合、疾患を完全に発症する前に、例えば、予防的手段として、本抗体を投与することができる。そのような予防的処置の継続期間は、抗体を一回投投与することであってもよいし、または処置を継続することも可能である(例えば、反復投与)。例えば、疾患が起きたり激症化したりするのを予防するために、疾患の危険性のある被験体または疾患の素因がある被験体を、何日間、何週間、何ヶ月間、または何年間にもわたって抗体で治療することができる。
【0121】
薬学的組成物は、「治療上有効な量」の本明細書記載の薬剤を含むことができる。そのような有効量は、投与される薬剤の効果、または、一種類以上の薬剤を使用する場合には、薬剤の組み合わせ効果に基づいて決定することができる。また、治療上有効な量の薬剤は、各人の病状、年齢、性別、および体重、ならびに、例えば、少なくとも一つの疾患パラメーターの改善、または疾患の少なくとも一つの症状の改善など、化合物が各人において所望の反応を誘発することができるかなどの因子によって変化しうる。また、治療上有効な量とは、治療的に有益な効果が有毒または有害な効果を上回る量のことでもある。
【0122】
治療用の装置およびキット
抗TWEAK抗体を含む薬学的組成物は、医療用装置を用いて投与することができる。この装置は、緊急事態の時に、例えば、未経験者や救助隊員が野外で、医療設備および他の医療装置から離れても使えるよう、可搬性、室温での保存性、および使いやすさなどの特徴をもつよう設計することができる。この装置は、例えば、抗TWEAK抗体を含む薬学的調製物を保存するための一つ以上の筐体を含むことができ、また、一単位用量以上の抗体を送達できるように設計することができる。この装置は、第2の薬剤、例えば、抗TNF−α抗体を、抗TWEAK抗体も含む単一の薬学的組成物として、または2つの別々の薬学的組成物として投与するように構成することもできる。
【0123】
例えば、この薬学的組成物は、米国特許第5,399,163号;第5,383,851号;第5,312,335号;第5,064,413号;第4,941,880号;第4,790,824号;または第4,596,556号に開示されている装置のような無針の皮下注射装置を用いて投与することができる。周知のインプラントおよびモジュールの例には以下のものがある。すなわち、米国特許第4,487,603号に開示された、制御された速度で薬物を分配するための埋め込み式微量注入ポンプ;米国特許第4,486,194号に開示された、皮膚から薬剤を投与するための治療用装置;米国特許第4,447,233号に開示された、正確な注入速度で薬物を送達するための薬物注入ポンプ;米国特許第4,447,224号に開示された、持続的に薬剤を送達するための埋め込み式可変流量注入装置;米国特許第4,439,196号に開示された、多室コンパートメントを有する浸透圧剤送達装置;および、米国特許第4,475,196号に開示された浸透圧剤送達装置。その他多数の装置、インプラント、送達系、およびモジュールも知られている。
【0124】
抗TWEAK抗体は、キットにして提供することができる。一つの実施態様において、このキットは、(a)抗TWEAK抗体を含む組成物を含む容器、および、任意で(b)情報資料を含む。この情報資料は、記述的なもの、教育的なもの、マーケティング的なもの、あるいは、本明細書に記載された方法および/または治療効果をもたらすための薬剤の使用に関するその他の資料であってもよい。
【0125】
また、ある実施態様において、本キットは、炎症性疾患を治療するための第2の薬剤、例えば、抗TNF−α抗体も含む。例えば、このキットは、抗TWEAK抗体を含む組成物を含む第1の容器、および第2の薬剤を含む第2の容器を含む。
【0126】
本キットの情報試料は、その形態を限定されない。一つの実施態様において、この情報試料は、化合物の製造、化合物の分子量、濃度、有効期限、バッチ、または製造地の情報などに関する情報を含むことができる。一つの実施態様において、この情報試料は、抗TWEAK抗体を、例えば、適当な用量、剤形、または投与方法(例えば、本明細書に記載された用量、剤形、または投与方法)で投与して、炎症性疾患、または本明細書に記載された他の疾患を患ってしまったか、その危険性のある被験体を治療する方法に関する。この情報は、さまざまな方式で提供することができ、印刷物、コンピューター可読資料、録画、もしくは録音、または、例えば、インターネット上で、重要な資料へのリンクもしくはアドレスを提供する情報などを含む。
【0127】
本キットの組成物は、抗体に加えて、溶媒もしくは緩衝液、安定剤、または保存剤など、その他の成分を含むことができる。抗体は、例えば、液体、乾燥した形状または凍結乾燥した形状など、任意の形態にして、好ましくは、実質的に純粋および/または無菌の形態で提供することができる。薬剤が溶液の形で提供される場合、この溶液は、好ましくは水溶液である。薬剤が乾燥した形で提供される場合、一般的には、適当な溶媒を添加して再構成を行う。この溶媒、例えば滅菌した水または緩衝液を、任意には、キットに入れて提供することができる。
【0128】
本キットは、薬剤を含む一つまたは複数の組成物用に1個以上の容器を含むことができる。いくつかの実施態様において、本キットは、組成物および情報資料用に別々の容器、仕切り、またはコンパートメントを含む。例えば、組成物をボトル、バイアル、またはシリンジに入れ、情報試料をプラスチック製のジャケットや小袋の中に入れてもよい。別の実施態様において、本キットの別々の構成要素を、単一の分割されていない容器に入れる。例えば、組成物を、ラベルという形で情報資料が貼付されているボトル、バイアル、またはシリンジに入れる。いくつかの実施態様において、本キットは、それぞれが、薬剤の一つ以上の単位投薬形態(例えば、本明細書記載の投薬形態)を含む複数の(例えば、包みに入った)個別の容器を含む。これらの容器は、組み合せ単位投薬量、例えば、抗TWEAK抗体と第2の薬剤とを、例えば、所望の割合で含む単位を含むことができる。例えば、本キットは、例えば、それぞれが一回分の組み合せ単位投薬量を含む、複数のシリンジ、アンプル、ホイル製の袋、ブリスター包装、または医療用装置を含む。本キットの容器は、気密性、防水性(例えば、水分や蒸発の変化を防ぐ)、および/または遮光性であってもよい。
【0129】
本キットは、組成物を投与するのに適した装置、例えば、シリンジまたはその他適当な送達装置を任意に含む。この装置は、一方または両方の薬剤を予め入れて提供することもでき、あるいは、空のままでもよいが、装填するのに適したものである。
【0130】
TWEAK発現細胞を標的にすること
本明細書記載の抗TWEAK抗体を用いて、TWEAK発現細胞、またはTWEAKに関連した組織もしくはその他の構造物へのペイロード(payload)を標的することができる。例えば、抗体を、外来遺伝子(例えば、遺伝子治療用の)を送達することができるウイルスまたはウイルス様粒子に、またはリポソーム、例えば、治療用薬剤または外来遺伝子を封入するリポソームに付着させることができる。抗体を用いてウイルスを標的する方法の例が、Roux et al.(1989)Proc Natl Acad Sci USA(1989)86:9079−9083に記載されている。また、例えば、Curr Gene Ther.(2005)5:63−70およびHum Gene
Ther.(2004)15:1034−1044も参照。
【0131】
また、本発明の抗TWEAK抗体を、化学療法剤などの治療用薬剤を含むリポソームに付着させることもできる。抗体のリポソームへの付着は、選択的送達(targeted
delivery)を行うためにトキシンまたは化学療法剤を抗体に結合させるために広く用いられているヘテロ二機能性架橋剤などの任意の既知の架橋剤によって行うことができる。例えば、リポソームへの結合は、炭水化物指向性架橋剤である4−(4−マレイミドフェニル)酪酸ヒドラジド(MPBH)を用いて行うことができる(Duzgunes et al.(1992)J.Cell.Biochem.Abst.Suppl.16E 77)。また、抗体含有リポソームも周知の方法によって調製することができる(例えば、ドイツ特許第3,218,121号;Epstein et al.(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688−92;Hwang et al.(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77:4030−34;米国特許4,485,045号および第4,544,545号参照)。
【0132】
診断用途
抗TWEAK抗体は、TWEAKの存在をインビトロ(例えば、組織または生検などの生体試料)またはインビボ(例えば、被験体の生体内撮像)で検出するための診断法で使用することができる。例えば、ヒト抗体または実質的なヒト抗体を被験体に投与して、被験体の体内にあるTWEAKを検出することができる。例えば、抗体を、例えば、MRI検出用標識または放射標識で標識することができる。検出可能な標識を検出する手段を用いて、被験体を評価することができる。例えば、被験体をスキャンして、被験体の体内における抗体の局在を評価することができる。例えば、被験体を、例えば、NMRまたはその他の断層撮影法を用いて撮像する。
【0133】
画像診断に有用な標識の例は、131I、111In、123I、99mTc、32P、33P、125I、H、14C、および188Rhなどの放射性標識、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、核磁気共鳴活性標識、陽電子放出断層撮影(「PET」)装置によって検出可能な陽電子放出同位体、ルシフェリンなどの化学発光物質、ならびにペルオキシダーゼまたはホスファターゼなどの酵素マーカーなどである。また、短距離検出用プローブにより検出可能な同位体などの短距離発光体も使用することができる。タンパク質リガンドを、既知の方法を用いて、このような試薬で標識することができる。例えば、抗体の放射性標識に関する技術については、Wensel and Meares(1983)Radioimmunoimaging and Radioimmunotherapy,Elsevier,New York参照、またColcher et al.(1986)Meth.Enzymol.121:802−816も参照。
【0134】
被験体を、例えば、ガンマカメラまたは放射トモグラフィーを用いる放射性核走査法(radionuclear scanning)などの既知の技術を用いて、インビボで「画像化」することができる。例えば、A.R.Bradwell et al.,“Developments in Antibody Imaging”,Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,R.W.Baldwin et al.,(eds.),pp.65−85(Academic Press 1985)参照。あるいは、放射性標識が陽電子(例えば、11C、18F、15O、および13N)を放出する場合には、Brookhaven National LaboratoryにあるPet VIと命名された撮影装置などの陽電子放射型断層撮影装置を使用することもできる。
【0135】
MRI造影剤。核磁気共鳴影像法(MRI)は、NMRを用いて生体内部の特徴を可視化するものであり、予後、診断、治療、および手術に有用である。MRIは、放射性トレーサー化合物を使用せずに用いることができ、明らかに有益である。いくつかのMRI技術が、欧州特許第0 502 814 A号に要約されている。一般的に、さまざまな環境における水プロトンの緩和時間定数T1およびT2に関係する差異を利用して画像を生成する。しかし、これらの差異は、鮮明な高解像度画像を結像させるには不十分であるかもしれない。
【0136】
造影剤により、これらの緩和時間定数の差異を大きくすることができる。そのような造影剤の例には、いくつかの磁性剤、(主にT1を変化させる)常磁性剤ならびに(主にT2応答を変化させる)強磁性剤もしくは超常磁性剤などがある。キレート剤(例えば、EDTAキレート剤、DTPAキレート剤およびNTAキレート剤)を、いくつかの常磁性物質(例えば、Fe3+、Mn2+、Gd3+など)の付着(およびその毒性の低下)に利用することができる。そのほかの薬剤は粒子(例えば、直径10μm以下から約10nm)の形態をとることができる。粒子は、常磁性、坑常磁性または超常磁性の特性を有することがある。粒子には、例えば、マグネタイト(Fe)、γ−Fe、フェライト、およびその他遷移元素の磁性鉱物化合物などがありうる。磁性粒子は、非磁性物質を含むか含まない、一種類以上の磁性物質の結晶を含んでいてもよい。非磁性物質には、合成または天然のポリマー(セファロース、デキストラン、デキストリン、デンプンなど)がありうる。
【0137】
また、(i)天然に豊富に存在するフッ素原子の実質的にすべてが19F同位体であるため、実質的にすべてのフッ素含有化合物がNMR活性であり;(ii)無水トリフルオロ酢酸など、数多くの化学的に活性な重フッ化化合物が比較的低価格で市販されており;かつ(iii)ヘモグロビン置換物として酸素を運搬するのに利用される全フッ素置換ポリエーテルなど、数多くのフッ化化合物が、ヒトにおける使用を医学的に許容できるものと判明しているため、NMR活性19F原子、または複数のそのような原子を含む指標基(indicating group)で標識することも可能である。インキュベーションする時間を置いた後、Pykett(1982)Scientific American,246:78−88によって説明されているような装置を用いて全身のMRIを行って、TWEAKの分布を位置づけるとともに画像化する。
【0138】
別の態様において、本開示は、サンプル(例えば、血清、血漿、組織、生検などの生体試料)中にTWEAKが存在することをインビトロで検出する方法を提供する。本発明の方法を用いて、疾患、例えば、免疫細胞関連疾患を診断することができる。この方法は、(i)サンプルまたは対照サンプルを抗TWEAK抗体に接触させること、および(ii)例えば、抗TWEAK抗体とTWEAKとの複合体の形成を検出することによって、または抗体またはTWEAKが存在することを検出することによって、TWEAKの存在についてサンプルを評価することを含む。例えば、抗体は、例えば、支持体の上に固定化することができると、抗原が支持体上に保持されることが検出でき、および/また逆も同様である。対照サンプルを含むことも可能である。対照サンプルと比較して、サンプルにおける複合体形成の変化が統計的に有意であることが、そのサンプル中にTWEAKが存在することの指標となる可能性がある。一般的に、抗TWEAK抗体は、蛍光偏光法、光学顕微鏡法、ELISA法、遠心分離法、クロマトグラフィー、および細胞選別法(例えば、蛍光活性化細胞選別法)などの応用法で使用することができる。
【実施例】
【0139】
実施例1
マウスP2D10の重鎖可変領域の配列(CDRに下線を付した):
【0140】
【化13】

これはマウスサブグループ3Dの重鎖可変領域である。
【0141】
マウスP2D10の軽鎖可変領域の配列(CDRに下線を付した):
【0142】
【化14】

これはマウスサブグループ2のκ軽鎖である。
【0143】
以下のヒトアクセプターフレームワークをhuP2D10に対して選択した:ヒト56−84mサブグループ3の重鎖可変領域の配列(NCBIデータベース受入番号GI:33318898、Scamurra et al.,直接登録)。CDRに下線を付した配列は以下の通りである:
【0144】
【化15】

ヒトK107サブグループ2の軽鎖可変領域の配列(NCBIデータベース受入番号GI:21669075、Akahori et al.,直接登録)(CDRに下線を付した):
【0145】
【化16】

示されたヒトアクセプター配列において、CDR(下線が付されている)は、muP2D10の可変領域のCDRと同じ長さで同じ正準なクラスのものである。
【0146】
以下に示すのは、マウスP2D10の重鎖可変領域(上)とヒトアクセプター56−84mの重鎖可変領域(下)を配列比較したものである(68.8%同一):
【0147】
【化17】

以下に示すのは、マウスP2D10の鎖可変領域(上)とヒトアクセプターK107の軽鎖可変領域(下)を配列比較したものである(75.9%同一):
【0148】
【化18】

huP2D10の軽鎖には2つのバージョンがある(L1およびL2)。huP2D10−1抗体は、huP2D10H1およびhuP2D10L1を含む抗体を意味する。huP2D10−2抗体は、huP2D10H1およびhuP2D10L2を含む抗体を意味する。
【0149】
以下に示すのは、56−84mヒトアクセプターの可変領域(上)とhuP2D10H1重鎖の可変領域(下)を配列比較したものである:
【0150】
【化19】

CDRには下線を付してある。huP2D10の重鎖は、直鎖状CDRの移植片である(すなわち、フレームワークには逆突然変異が存在しない)。
【0151】
以下に示すのは、K107ヒトκアクセプター(上)とhuP2D10L1軽鎖(下)の可変領域とを配列比較したものである:
【0152】
【化20】

CDRには下線を付してある。huP2D10L1の軽鎖には、上記のフレームワーク内に小文字で示した2つの逆突然変異がある:すなわち、FR2におけるL46F、およびFR3におけるY87F。
【0153】
以下に示すのは、K107ヒトアクセプター(上)とhuP2D10L2の軽鎖(下)の可変領域とを配列比較したものである:
【0154】
【化21】

CDRには下線を付してある。huP2D10 L2の軽鎖は、直鎖状のCDRの移植片である(フレームワーク内に逆突然変異をもたない)。
【0155】
これは、成熟型huP2D10 H1のIgG1の重鎖のアミノ酸配列の例である:
【0156】
【化22】

重鎖可変領域(配列番号:65)のV部分のKabatの番号付けを以下に示す:
【0157】
【化23】

これは成熟型huP2D10 L1の軽鎖のアミノ酸配列の例である:
【0158】
【化24】

このV部分のKabatの番号付けを以下に示す(配列番号:67):
【0159】
【化25】

これは成熟型huP2D10 L2の軽鎖のアミノ酸配列の例である:
【0160】
【化26】

このV部分のKabatの番号付けを以下に示す(配列番号:69):
【0161】
【化27】

実施例2
TWEAKに対するモノクローナル遮断抗体であるmP2D10は、多発性硬化症、脳卒中、および関節リウマチのモデルにおいて臨床的悪性度を顕著に低下させた。静脈内(IV)投与後の抗TWEAKモノクローナル抗体mP2D10の薬物速度(PK)をモデル化した。
【0162】
mP2D10を、IV注射により1、10、または100mg/kgマウスに投与した。ELISA法を用いて、mP2D10の血清濃度を測定した。容積V1の中央コンパートメントからの一次消失またはミカエリス−メンテン型消失による2−コンパートメントモデルを用いて、濃度−時間PKプロファイルを解析した。2つのコンパートメント間の速度定数は、K12(コンパートメント1から2へ出る)およびK21(コンパートメント2から1へ出る)であった。一次消失モデルでは、消失速度定数はK10であった。ミカエリス−メンテン型消失モデルでは、VmC1/(Km+C1)の速度で薬剤が除去された。ただし、式中、C1は中央コンパートメントにおける濃度のmP2D10であり、VmおよびKmは定数であった。データは、最尤推定法を用いるADAPTIIソフトウエア(D’Argenio,D.Z.and A.Schumitzky.ADAPT
II User’s Guide:Pharmacokinetic/Pharmacodynamic Systems Analysis Software.Biomedical Simulations Resource,Los Angeles,1997)によって適合させた。
【0163】
2−コンパートメント型線形消失モデルでは、V1が23.2mL/kg、K10が0.0096h−1、K12が2.501、およびK21が1.053であった。曲線下面積(AIC)値が298、Schwarz値が304.2であった。2−コンパートメント型非線形モデルでは、V1が0.0235であった。Vmは9.22mg/kg/hr、Kmは484.2μg/mLであった。K12は2.348h−1であり、K21は0.966h−1であった。AIC値が269、Schwarz値は276であった。mP2D10のPKは、線形モデルよりも非線形モデルによる方が、より正確に予測された。
【0164】
mP2D10の濃度−時間プロファイルは、ミカエリス・メンテン型消失による2−コンパートメントモデルの方が、一次消失モデルによる2−コンパートメントモデルよりも予測が正確であった。
【0165】
当業者は、これ以上の日常的な実験を用いることなく、本明細書に記載された具体的実施態様と同等の数多く態様を認識したり、確認したりできるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2013−40210(P2013−40210A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−256386(P2012−256386)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【分割の表示】特願2008−513580(P2008−513580)の分割
【原出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】