説明

Toll−likereceptor2に関連する疾患及び状態を治療するための化合物及び方法

本発明は、Toll-like receptor 2の活性化に関連した疾患又は状態を予防若しくは治療するのに有用な化合物及び方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Toll-like receptor 2の活性化に関連する疾患及び状態の予防並びに治療に関する。
【背景技術】
【0002】
脊椎免疫系は、感染性病原体(例えば、細菌、ウィルス、菌、及び寄生虫)及びそれらの副生物のような、体内に侵入する有害な異物に対して、身体を保護する。これが起こる一態様には適応免疫系が含まれ、それによって、身体は、異物を認識し且つそれらに対して特異的な免疫応答を起こす。適応免疫の誘導には時間がかかり(例えば、感染後2−3日)、それ故、他の区分の免疫系、即ち、自然免疫系が活性化されなければ、身体は初期感染の悪影響を受けやすいままとなる。
【0003】
自然免疫系は、侵入してくる病原体に対する最前線の防衛能力を身体にもたらす。自然免疫応答においては、侵入してくる病原体は、生殖系列がエンコードされたレセプタにより認識され、当該レセプタの活性化によって、サイトカイン発現の誘導につながるシグナル伝達カスケードが開始される。自然免疫系のレセプタは、広範な特異性を有し、種々の病原体の中で非常に集積された分子構造を認識する。これらのレセプタは、ショウジョウバエにおいて最初に見出されたレセプタとそれらの相同性に起因して、Toll-like receptor(TLR)として知られており、マクロファージ、樹状細胞、及び上皮細胞などの細胞中に存在する。
【0004】
哺乳動物内には少なくとも10種の異なるTLRが存在し、これらのレセプタの幾つかに関しては、リガンド並びに対応するシグナル伝達カスケードが確認されている。例えば、TLR2は、細菌(例えば、大腸菌)のリポタンパク質によって活性化され、TLR3は、二本鎖RNAにより活性化され、TLR4は、グラム陰性細菌(例えば、サルモネラ及び大腸菌O157:H7)のリポ多糖(即ち、LPS又はエンドトキシン)により活性化され、TLR5は、運動性細菌(例えば、リステリア菌)のフラジェリンにより活性化され、そしてTLR9は、病原体DNAの非メチル化CpG配列により活性化される。これらのレセプタの各々を刺激することによって、転写因子NF-kB、並びに腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン1(IL-1)、及び特定のケモカインをエンコードするものをはじめとする、サイトカイン遺伝子発現の調節に関与する他のシグナル伝達物質が活性化される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、患者内におけるToll-like receptor 2(TLR 2)の活性化により特徴付けられる疾患又は状態の予防又は治療に使用するための化合物及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従って、第1の態様では、本発明は、式I:
【0007】
【化30】

【0008】
の化合物、又はその製薬的に許容し得る塩若しくはプロドラッグに関し、ここで、
aは、1-3の整数であり;
bは、0-4の整数であり、この場合、bが0のとき、X及びWに結合している炭素は2つ以上のヘテロ原子には結合しておらず;
R1は、H又はC1-6アルキルであり;
Xは、-NRX1V、-N(RX1)C(O)V、-N(RX1)C(S)V、-N(RX1)C(O)N(RX2)V、-N(RX1)C(S)N(RX2)V、-N(RX1)C(O)OV、-N(RX1)S(O)2V、-C(O)N(RX1)V、-C(O)OV、-OC(O)V、-OC(O)OV、及び-OC(O)N(RX1)Vから成る群から選択され、ここで、RX1及びRX2の各々は、個々独立してH又はC1-6アルキルであり、Vは、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
Wは、H、-C(O)N(RW1)RW2、-C(O)ORW2、-(CH2)cORW3、-(CH2)cSRW3、-(CH2)cO(CH2)dCH(ORW3)RW4、-(CH2)cS(CH2)dCH(ORW3)RW4、-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)RW4、及び-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)(CH2)eORW5から成る群から選択され、ここで、c及びdの各々は1-4の整数であり、eは2-4の整数であり、RW1は、H又はC1-6アルキルであり、RW2は、C1-20アルキル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、RW3及びRW5の各々は、個々独立してH、C1-20アルキル、C1-21アシル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、RW4は、H、C1-20アルキル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、ここで、RW2、RW3、 RW4及びRW5の各々は、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換されており、炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を任意に含み、且つ炭素鎖に1-4つの非隣接酸素原子を任意に含み;
Uは、
【0009】
【化31】

【0010】
から成る群から選択され、ここで、fは、1-4の整数であり、gは、0又は1であり、
RU1、RU2、及びRU3の各々は、個々独立して、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであるか、又はRU1はH又は任意に置換されたC1-6アルキルであり且つRU2及びRU3は共に炭素原子に結合して任意に置換されたC3-6脂肪族環を形成しているか、又はRU2はHであり且つRU3及びRU1並びにRU3に結合した炭素原子及びRU1に結合した窒素原子は共に任意に置換された4-6員のヘテロ環を形成しており、
RU4は、-CH2RU5、-C(O)RU6、-C(O)NH(RU7)、及び-C(O)O(RU8)から成る群から選択され、ここで、RU5、RU6、RU7及びRU8の各々は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15へテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択されるか、又はRU4は、C末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つH、-CH2RU5、-C(O)RU6、-C(O)NH(RU7)、及び-C(O)O(RU8)から選択される基によってペプチドN末端位置が置換されており、ここでRU5、RU6、RU7及びRU8の各々は先に定義した通りであり、且つ
RU5は、N末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つC末端はCO2RU9若しくはCONRU10RU11であり、ここでRU9、RU10及びRU11の各々は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択される。
【0011】
第2の態様では、本発明は、式II:
【0012】
【化32】

【0013】
の化合物、又は製薬的に許容し得るそれらの塩若しくはプロドラッグに関し、式中、a、b、U、X及びWの各々は、個々独立してH若しくはC1-6アルキルであり;R4は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、若しくは任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであり;R5は、CO2H、SO3H、OP(O)(OH)2、OSO3H、若しくは5-テトラゾリルである。
【0014】
本発明の第1又は第2の態様の実施形態では、X又はWは、少なくとも1つの炭素数7以上の直鎖アルキル成分を含む。好ましくは、X及びWの各々は、少なくとも1つの炭素数7以上の直鎖アルキル成分を含む。
【0015】
Wが炭素数7以上の直鎖アルキル成分を少なくとも1つ含む場合の本発明の化合物の例には、Wが、-C(O)NH(CH2)2CH(OH)RW4、式中RW4はC7-19アルキルである;-C(O)NH(CH2)2CH2ORW3、式中RW3は-C(O)(CH2)aaCH3であり且つaaは6-18の整数である;及び-C(O)NH(CH2)2CH(ORW3)RW4、式中RW3は-C(O)(CH2)aaCH3であり且つR4はCH2OC(O)(CH2)bbCH3であり、aa及びbbの各々は、個々独立して6-18の整数である、から成る群から選択されるような化合物が含まれる。
【0016】
本発明の第1又は第2の態様の他の実施形態では、Uは、C(O)C(RU2)(RU3)NHRU4又は-C(O)(CH2)fNHRU4であり、fは1-4の整数であり、RU2は任意に置換されたC1-6アルキルであり、RU3はHであり、RU4は任意に置換されたC6-10アリール若しくは任意に置換されたC2-9ヘテロシクリルである。例としては、RU4が、
【0017】
【化33】

【0018】
である化合物が挙げられ、式中、RU12は、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換されたC6-10アリールオキシ、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC7-16アラルコキシ、任意に置換されたC2-9ヘテロシクリル、任意に置換されたC2-9ヘテロシクリルオキシ、任意に置換されたC3-15ヘテロシクリルアルキル、若しくは任意に置換されたC3-15ヘテロシクリルアルキルオキシである。最も好ましくは、RU4は、
【0019】
【化34】

【0020】
から成る群から選択される。
【0021】
本発明の他の化合物には、
【0022】
【化35】

【0023】
【化36】

【0024】
【化37】

【0025】
【化38】

【0026】
【化39】

【0027】
【化40】

【0028】
から成る群から選択されるものが含まれる。
【0029】
第3の態様では、本発明は、式
【0030】
【化41】

【0031】
を有する化合物、又は製薬的に許容し得るそれらの塩若しくはプロドラッグに関し、式中、iは、1-4の整数であり、
R6は、H若しくはC1-6アルキルであり;
Zは、-NRZ1V、-N(RZ1)C(O)V、-N(RZ1)C(S)V、-N(RZ1)C(O)N(RZ2)V、-N(RZ1)C(S)N(RZ2)V、-N(RZ1)C(O)OV、及び-N(RZ1)S(O)2Vから成る群から選択され、ここで、RZ1及びRZ2の各々は、個々独立してH若しくはC1-6アルキルであり、Vは、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
R7は、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
R8及びR9の各々は、個々独立して、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、若しくは任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであるか、又はR8及びR9は共に炭素原子に結合して任意に置換されたC3-6脂肪族環を形成しており;
Tは、ORT1、NRT2RT3であるか、又はN末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つC末端はCO2RT1若しくはCONRT2RT3であり、ここで、RT1、RT2及びRT3の各々は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール、及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択される。
【0032】
本発明はまた、本発明の化合物の何れかと、製薬的に許容し得る賦形剤とを含有する製薬組成物にも関する。本発明の製薬組成物を用いることによって、例えばヒト患者のような哺乳動物内におけるToll-like receptor 2の活性化により特徴付けられる疾患若しくは状態を治療又は予防することができる。従って、本発明は、Toll-like receptor 2の活性化により特徴付けられる疾患を有しているか又はかかりやすい哺乳動物の疾患を治療又は予防する方法に関し、それは、式I又は式IIの化合物を、疾患又は状態を治療若しくは予防するのに十分な量にて哺乳動物に投与することを包含する。本発明の治療方法にはまた、例えばTLR4よりもTLR2に選択性を有する1つ又は複数の化合物の投与が含まれ、また、TLR2/TLR4両方の拮抗剤の投与が含まれる。
【0033】
TLR2の活性化により特徴付けられ且つ本発明に従って治療され得る疾患又は状態の例としては、炎症性腸疾患、敗血症、歯周病、粘膜炎、にきび、心臓血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、関節炎、嚢胞性線維症、細菌感染症、ウィルス感染症、マイコプラズマ関連疾患、帯状疱疹後神経痛、虚血・再潅流傷害、喘息、発作、脳損傷、壊死性腸炎、床擦れ、ハンセン病、アトピー性皮膚炎、乾癬、外傷性障害、アレルギー、神経変性疾患、アンホテリシンBによる発熱及び腎炎、冠動脈バイパス術、アテローム性動脈硬化症が挙げられる。
【0034】
本発明にはまた、Toll-like receptor 2の活性化を低減若しくは阻害する薬剤を識別する方法が含まれる。これらの方法は、(i)レセプタを発現する細胞を、そのレセプタの活性化剤の存在下、候補薬剤に接触させること(in vitro又はin vivo)及び(ii)レセプタの活性化に対する薬剤の効果を判定すること、を包含する。薬剤の存在下、活性化剤によるレセプタ活性化の低減の検出は、当該レセプタの活性化を低減若しくは阻害するために用い得る薬剤の識別をもたらす。これらの方法では、レセプタの活性化に対する薬剤の効果は、レセプタの活性化により開始されるシグナル伝達経路内で誘導されるプロモーターの制御下にあるところのレポーター遺伝子の発現を分析することによって判定することができる。
【0035】
用語「アシル」又は「アルカノイル」は、ここでは相互に交換して用いられ、ここでは、親分子の基にカルボニル基を介してアルキル基若しくは水素が結合しているものを表し、例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイルなどが挙げられる。例示的な未置換のアシル基は、炭素数2-21である。
【0036】
用語「アシルオキシ」は、ここでは、親分子の基にカルボニル基及び酸素原子を介してアルキル基が結合しているものを表す。例示的なアシルオキシ基は、炭素数2-21である。
【0037】
ここで用いるとき、用語「アルケニル」は、別途特定のない限り、1つ又は複数の炭素−炭素二重結合を有する炭素数2-20の一価の直鎖若しくは分岐鎖基を表し、例としては、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニルなどが挙げられ、任意に、(1)炭素原子数1-20のアルコキシ;(2)炭素原子数1-20のアルキルスルフィニル;(3)炭素原子数1-20のアルキルスルホニル;(4)アミノ;(5)アリール;(6)アルキレン基が炭素数1-20であるアリールアルコキシ;(7)アリーロイル;(8)アジド;(9)カルボキシアルデヒド;(10)炭素原子数3-8のシクロアルキル;(11)ハロ;(12)ヘテロ環;(13)(ヘテロ環)オキシ;(14)(ヘテロ環)オイル;(15)ヒドロキシ;(16)N-保護アミノ;(17)ニトロ;(18)オキソ;(19)炭素原子数3-8のスピロアルキル;(20)炭素原子数1-20のチオアルコキシ;(21)チオール;(22)-CO2RA、ここでRAは、(a)水素、(b)置換若しくは未置換C1-20アルキル、(c)置換若しくは未置換C6又はC10アリール、(d)アルキレン基が炭素原子数1-20である置換若しくは未置換C7-16アリールアルキル、(e)置換若しくは未置換C1-9ヘテロシクリル、(f)アルキレン基が炭素原子数1-20である置換若しくは未置換C2-15ヘテロシクリルアルキル、から成る群から選択される;(23)-C(O)NRBRC、ここでRB及びRCの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(24)-S(O)2RD、ここでRDは(a)アルキル、(b)アリール、(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(25)-S(O)2NRERF、ここでRE及びRFの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(26)-NRGRH、ここでRG及びRHの各々は、個々独立して(a)水素、(b)N-保護基、(c)炭素原子数1-20のアルキル、(d)炭素原子数2-20のアルケニル、(e)炭素原子数2-20のアルキニル、(f)アリール、(g)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、(h)炭素原子数3-8のシクロアルキル、(i)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル、から成る群から選択されるが、但し、カルボニル基若しくはスルホニル基を介して窒素原子に2つの基は結合していない、から成る群から個々独立して選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つの置換基により置換され得る。
【0038】
用語「アルコキシ」又は「アルキルオキシ」は、ここでは相互に交換して用いられ、親分子の基に酸素原子を介してアルキル基が結合しているものを表す。例示的な未置換アルコキシ基は、炭素数1-20である。
【0039】
ここで用いるとき、用語「アルキル」は、別途特定しない限り、炭素数1-20の直鎖若しくは分岐鎖の飽和炭化水素から得られる一価の基を表し、例としては、メチル、エチル、n-及びイソ-プロピル、n-、sec-、イソ-及びtert-ブチル、ネオペンチルなどが挙げられ、任意に、(1)炭素原子数1-20のアルコキシ;(2)炭素原子数1-20のアルキルスルフィニル;(3)炭素原子数1-20のアルキルスルホニル;(4)アミノ;(5)アリール;(6)アリールアルコキシ;(7)アリーロイル;(8)アジド;(9)カルボキシアルデヒド;(10)炭素原子数3-8のシクロアルキル;(11)ハロ;(12)ヘテロシクリル;(13)(
ヘテロ環)オキシ;(14)(ヘテロ環)オイル;(15)ヒドロキシ;(16)N-保護アミノ;(17)ニトロ;(18)オキソ;(19)炭素原子数3-8のスピロアルキル;(20)炭素原子数1-20のチオアルコキシ;(21)チオール;(22)-CO2RA、ここでRAは、(a)水素、(b)置換若しくは未置換C1-20アルキル、(c)置換若しくは未置換C6又はC10アリール、(d)アルキレン基が炭素原子数1-20である置換若しくは未置換C7-16アリールアルキル、(e)置換若しくは未置換C1-9ヘテロシクリル、(f)アルキレン基が炭素原子数1-20である置換若しくは未置換C2-15ヘテロシクリルアルキル、から成る群から選択される;(23)-C(O)NRBRC、ここでRB及びRCの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(24)-S(O)2RD、ここでRDは(a)アルキル、(b)アリール、(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(25)-S(O)2NRERF、ここでRE及びRFの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(26)-NRGRH、ここでRG及びRHの各々は、個々独立して(a)水素、(b)N-保護基、(c)炭素原子数1-20のアルキル、(d)炭素原子数2-20のアルケニル、(e)炭素原子数2-20のアルキニル、(f)アリール、(g)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、(h)炭素原子数3-8のシクロアルキル、(i)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル、から成る群から選択されるが、但し、カルボニル基若しくはスルホニル基を介して窒素原子に2つの基は結合していない、から成る群から個々独立して選択される1つ、2つ、3つ若しくは、炭素原子数2以上のアルキル基の場合には4つの置換基により置換され得る。
【0040】
ここで用いるとき、用語「アルキレン」は、2つの水素原子を除去することにより、直鎖若しくは分岐鎖の飽和炭化水素から得られた二価の飽和炭化水素基を表し、例としては、メチレン、エチレン、イソプロピレンなどが挙げられる。
【0041】
ここで用いるとき、用語「アルキルチオ」は、親分子の基に硫黄原子を介してアルキル基が結合しているものを表す。例示的な未置換のアルキルチオ基は、炭素数1-20である。
【0042】
ここで用いるとき、用語「アルキニル」は、炭素−炭素三重結合を有する炭素原子数2-20の一価の直鎖若しくは分岐鎖基を表し、例としては、エチニル、1-プロピニルなどが挙げられ、任意に(1)炭素原子数1-20のアルコキシ;(2)炭素原子数1-20のアルキルスルフィニル;(3)炭素原子数1-20のアルキルスルホニル;(4)アミノ;(5)アリール;(6)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルコキシ;(7)アリーロイル;(8)アジド;(9)カルボキシアルデヒド;(10)炭素原子数3-8のシクロアルキル;(11)ハロ;(12)ヘテロシクリル;(13)(ヘテロ環)オキシ;(14)(ヘテロ環)オイル;(15)ヒドロキシ;(16)N-保護アミノ;(17)ニトロ;(18)オキソ;(19)炭素原子数3-8のスピロアルキル;(20)炭素原子数1-20のチオアルコキシ;(21)チオール;(22)-CO2RA、ここでRAは、(a)水素、(b)アリール、(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(23)-C(O)NRBRC、ここでRB及びRCの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(24)-S(O)2RD、ここでRDは(a)アルキル、(b)アリール、(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(25)-S(O)2NRERF、ここでRE及びRFの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(26)-NRGRH、ここでRG及びRHの各々は、個々独立して(a)水素、(b)N-保護基、(c)炭素原子数1-20のアルキル、(d)炭素原子数2-20のアルケニル、(e)炭素原子数2-20のアルキニル、(f)アリール、(g)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、(h)炭素原子数3-8のシクロアルキル、(i)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル、から成る群から選択されるが、但し、カルボニル基若しくはスルホニル基を介して窒素原子に2つの基は結合していない、から成る群から個々独立して選択される1つ、2つ、3つ若しくは、炭素原子数2以上のアルキル基の場合には4つの置換基により置換され得る。
【0043】
ここで用いるとき、用語「アルファ-アミノ酸残基」は、-N(RA)C(RB)(RC)C(O)-結合を表し、式中、RAは、(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アリールアルキルから成る群から選択されるものとここでは定義され;RB及びRCの各々は、個々独立して(a)水素、(b)任意に置換されたアルキル、(c)任意に置換されたシクロアルキル、(d)任意に置換されたアリール、(e)任意に置換されたアリールアルキル、(f)任意に置換されたヘテロシクリル、(g)任意に置換されたヘテロシクリルアルキルから成る群から選択され、それらの各々は先に定義した通りである。天然アミノ酸に関しては、RBは、Hであり、RCは、自然界に存在する天然アミノ酸の側鎖に対応し、又はそれらの反対の構成を有する。例示的な天然アミノ酸としては、アラニン、システイン、アスパラギン酸、グルタミン酸、フェニルアラニン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、リシン、ロイシン、メチオニン、アスパルタミン(aspartamine)、オルニチン、プロリン、グルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、バリン、トリプトファン、及びチロシンが挙げられ、グリシンを除いて、それらの各々は、D若しくはL形態がある。ここで用いるとき、たいていの部分に関しては、ここで用いる天然に生じるアミノ酸及びアミノアシル残基の名称は、有機化学の命名法に関するIUPAC会議並びにBiochemistry 14(2), 1975(推薦1974)のα-アミノ酸の命名法にて公表されている生化学命名法に関するIUPAC-IUB会議により提唱された命名規約に従う。本発明はまた、D-若しくはL-形態の、天然には生じない(即ち、非天然の)アミノ酸残基も意図しており、例えば、ホモフェニルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、シクロペンチルアラニン、シクロブチルアラニン、シクロプロピルアラニン、シクロヘキシルグリシン、ノルバリン、ノルロイシン、チアゾイルアラニン(2-、4-、及び5-置換)、ピリジルアラニン(2-、3-及び4-異性体)、ナフタルアラニン(1-及び2-異性体)などがある。非天然アミノ酸にはまた、アルファ位若しくはベータ位又はアルファ位及びベータ位の両方が上述のRA及びRBにより個々独立して任意に置換されているベータ-アミノ酸も含まれる。
【0044】
ここで用いるとき、用語「アミノ」は、-NH2基を表す。
【0045】
ここで用いるとき、用語「アリール」は、1つ又は複数の芳香族環を有する単環若しくは二環式炭素環システムを表し、例としては、フェニル、ナフチル、1,2-ジヒドロナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インダニル、インデニルなどが挙げられ、任意に、(1)炭素原子数1-20のアルカノイル;(2)炭素原子数1-20のアルキル;(3)炭素原子数1-20のアルコキシ;(4)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルコキシアルキル;(5)炭素原子数1-20のアルキルスルフィニル;(6)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルキルスルフィニルアルキル;(7)炭素原子数1-20のアルキルスルホニル;(8)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルキルスルホニルアルキル;(9)アリール;(10)アルキル基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(11)アミノ;(12)炭素原子数1-20のアミノアルキル;(13)アリール;(14)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(15)アリーロイル;(16)アジド;(17)炭素原子数1-20のアジドアルキル;(18)カルボキシアルデヒド;(19)アルキレン基が炭素原子数1-20である(カルボキシアルデヒド)アルキル;(20)炭素原子数3-8のシクロアルキル;(21)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル;(22)ハロ;(23)炭素原子数1-20のハロアルキル;(24)ヘテロシクリル;(25)(ヘテロシクリル)オキシ;(26)(ヘテロシクリル)オイル;(27)ヒドロキシ;(28)炭素原子数1-20のヒドロキシアルキル;(29)ニトロ;(30)炭素原子数1-20のニトロアルキル;(31)N-保護アミノ;(32)アルキレン基が炭素原子数1-20であるN-保護アミノアルキル;(33)オキソ;(34)炭素原子数1-20のチオアルコキシ;(35)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるチオアルコキシアルキル;(36)-(CH2)qCO2RA、式中、qは0-4の整数であり、RAは、(a)アルキル、(b)アリール、及び(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキルから成る群から選択される;(37)-(CH2)qCONRBRC、ここでRB及びRCは、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキルから成る群から選択される;(38)-(CH2)qS(O)2RD、ここでRDは(a)アルキル、(b)アリール及び(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(39)-(CH2)qS(O)2NRERF、ここでRE及びRFの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(40)-(CH2)qNRGRH、ここでRG及びRHの各々は、2つの基がカルボニル基若しくはスルホニル基を介して窒素原子に結合していないことを条件として、個々独立して(a)水素、(b)N-保護基、(c)炭素原子数1-20のアルキル、(d)炭素原子数2-20のアルケニル、(e)炭素原子数2-20のアルキニル、(f)アリール、(g)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、(h)炭素原子数3-8のシクロアルキル、及び(i)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル、から成る群から選択される;(41)オキソ;(42)チオール;(43)パーフルオロアルキル;(44)パーフルオロアルコキシ;(45)アリールオキシ;(46)シクロアルコキシ;(47)シクロアルキルアルコキシ;及び(48)アリールアルコキシ、から成る群から個々独立して選択される1つ、2つ、3つ、4つ、又は5つの置換基で置換されている。
【0046】
用語「アリールアルキル」又は「アラルキル」は、ここでは相互に交換して用いられ、親分子の基にアルキル基を介してアリール基が結合しているものを表す。例示的な未置換アリールアルキル基は、炭素数7-16である。
【0047】
ここで用いるとき、用語「アリールオキシ」は、親分子の基に酸素原子を介してアリール基が結合しているものを表す。例示的な未置換のアリールオキシ基は、炭素数6又は10である。
【0048】
用語「アリーロイル」又は「アロイル」は、ここでは相互に交換して用いられ、親分子の基にカルボニル基を介してアリール基が結合しているものを表す。例示的な未置換のアリールオキシカルボニル基は、炭素数7-11である。
【0049】
ここで用いるとき、用語「カルボニル」は、C=O基を表す。
【0050】
用語「カルボキシ」又は「カルボキシル」は、ここでは相互に交換して用いられ、-CO2H基を表す。
【0051】
ここで用いるとき、用語「カルボキシ保護基」又は「カルボキシル保護基」は、合成手順時に、望ましくない反応に対して-CO2H基を保護するように意図された基を表す。一般に用いられるカルボキシ保護基は、Greeneによる、「Protective Groups In Organic Synthesis, 3rd Edition」(John Wiley & Sons, New York, 1999)に開示されており、参照することでここに取り入れることとする。
【0052】
フレーズ「Toll-like receptor 4よりもToll-like receptor 2の拮抗作用に選択性を有する化合物」は、ここに記載のTLR2のin vitroアッセイにより試験する際に、ここに記載のTLR4のin vitroアッセイにより試験した際に得られるIC50値よりも低いIC50値を有するところの化合物を説明するために用いる。
【0053】
ここで用いるとき、用語「シクロアルキル」は、別途特定しない限り、炭素数3-8の飽和若しくは不飽和の一価の非芳香族型の環式炭化水素基を表し、例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1.]ヘプチルなどが挙げられる。本発明のシクロアルキル基は、任意に、(1)炭素原子数1-20のアルカノイル;(2)炭素原子数1-20のアルキル;(3)炭素原子数1-20のアルコキシ;(4)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルコキシアルキル;(5)炭素原子数1-20のアルキルスルフィニル;(6)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルキルスルフィニルアルキル;(7)炭素原子数1-20のアルキルスルホニル;(8)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルキルスルホニルアルキル;(9)アリール;(10)アルキル基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(11)アミノ;(12)炭素原子数1-20のアミノアルキル;(13)アリール;(14)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(15)アリーロイル;(16)アジド;(17)炭素原子数1-20のアジドアルキル;(18)カルボキシアルデヒド;(19)アルキレン基が炭素原子数1-20である(カルボキシアルデヒド)アルキル;(20)炭素原子数3-8のシクロアルキル;(21)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル;(22)ハロ;(23)炭素原子数1-20のハロアルキル;(24)ヘテロシクリル;(25)(ヘテロシクリル)オキシ;(26)(ヘテロシクリル)オイル;(27)ヒドロキシ;(28)炭素原子数1-20のヒドロキシアルキル;(29)ニトロ;(30)炭素原子数1-20のニトロアルキル;(31)N-保護アミノ;(32)アルキレン基が炭素原子数1-20であるN-保護アミノアルキル;(33)オキソ;(34)炭素原子数1-20のチオアルコキシ;(35)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるチオアルコキシアルキル;(36)-(CH2)qCO2RA、式中、qは0-4の整数であり、RAは、(a)アルキル、(b)アリール、及び(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキルから成る群から選択される;(37)-(CH2)qCONRBRC、ここでRB及びRCは、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキルから成る群から選択される;(38)-(CH2)qS(O)2RD、ここでRDは(a)アルキル、(b)アリール及び(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(39)-(CH2)qS(O)2NRERF、ここでRE及びRFの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(40)-(CH2)qNRGRH、ここでRG及びRHの各々は、2つの基がカルボニル基若しくはスルホニル基を介して窒素原子に結合していないことを条件として、個々独立して(a)水素、(b)N-保護基、(c)炭素原子数1-20のアルキル、(d)炭素原子数2-20のアルケニル、(e)炭素原子数2-20のアルキニル、(f)アリール、(g)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、(h)炭素原子数3-8のシクロアルキル、及び(i)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル、から成る群から選択される;(41)オキソ;(42)チオール;(43)パーフルオロアルキル;(44)パーフルオロアルコキシ;(45)アリールオキシ;(46)シクロアルコキシ;(47)シクロアルキルアルコキシ;及び(48)アリールアルコキシ、で置換することができる。
【0054】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、ここでは相互に交換して用いられ、F、Cl、Br及びIを表す。
【0055】
ここで用いるとき、用語「ヘテロアリール」は、ヘテロ環のサブセットを表し、それは、芳香族であり、即ち、それらは、単環若しくは複数環式システム内に4n+2のπ電子を含む。例示的な未置換のヘテロアリール基は、炭素数1-9である。
【0056】
用語「ヘテロ環」又は「ヘテロシクリル」は、ここでは相互に交換して用いられ、別途特定しない限り、窒素、酸素及び硫黄から成る群から個々独立して選択される1つ、2つ、3つ若しくは4つのヘテロ原子を含有する5-、6-、若しくは7-員環を表す。5員環は、0-2の二重結合を有し、6-及び7-員環は、0-3の二重結合を有する。用語「ヘテロ環」にはまた、上述のヘテロ環が、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環、及びインドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどのような他の単環式ヘテロ環から成る群から個々独立して選択される1つ又は2つの環と縮合している、二環式、三環式、及び四環式の基も含まれる。ヘテロ環基としては、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニイル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソインダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ウリシル、チアジアゾリル、ピリミジル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロイニドリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、ジチアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどが挙げられる。ヘテロ環基にはまた、式
【0057】
【化42】

【0058】
の化合物も含まれ、式中、
F'は、-CH2-、-CH2O-、及び-O-から成る群から選択され、G'は、-C(O)-及び-(C(R')(R''))V-から成る群から選択され、ここでR'及びR''の各々は、個々独立して、水素若しくは炭素数1-4のアルキルから成る群から選択され、Vは1-3であり、例えば1,3-ベンゾジオキソリル、1,4-ベンゾジオキサニルなどのような基が含まれる。ここで述べたヘテロ環基の何れも、任意に、(1)炭素原子数1-20のアルカノイル;(2)炭素原子数1-20のアルキル;(3)炭素原子数1-20のアルコキシ;(4)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルコキシアルキル;(5)炭素原子数1-20のアルキルスルフィニル;(6)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルキルスルフィニルアルキル;(7)炭素原子数1-20のアルキルスルホニル;(8)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるアルキルスルホニルアルキル;(9)アリール;(10)アルキル基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(11)アミノ;(12)炭素原子数1-20のアミノアルキル;(13)アリール;(14)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(15)アリーロイル;(16)アジド;(17)炭素原子数1-20のアジドアルキル;(18)カルボキシアルデヒド;(19)アルキレン基が炭素原子数1-20である(カルボキシアルデヒド)アルキル;(20)炭素原子数3-8のシクロアルキル;(21)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル;(22)ハロ;(23)炭素原子数1-20のハロアルキル;(24)ヘテロシクリル;(25)(ヘテロシクリル)オキシ;(26)(ヘテロシクリル)オイル;(27)ヒドロキシ;(28)炭素原子数1-20のヒドロキシアルキル;(29)ニトロ;(30)炭素原子数1-20のニトロアルキル;(31)N-保護アミノ;(32)アルキレン基が炭素原子数1-20であるN-保護アミノアルキル;(33)オキソ;(34)炭素原子数1-20のチオアルコキシ;(35)アルキル基及びアルキレン基が個々独立して炭素原子数1-20であるチオアルコキシアルキル;(36)-(CH2)qCO2RA、式中、qは0-4の整数であり、RAは、(a)アルキル、(b)アリール、及び(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキルから成る群から選択される;(37)-(CH2)qCONRBRC、ここでRB及びRCは、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキルから成る群から選択される;(38)-(CH2)qS(O)2RD、ここでRDは(a)アルキル、(b)アリール及び(c)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、から成る群から選択される;(39)-(CH2)qS(O)2NRERF、ここでRE及びRFの各々は、個々独立して(a)水素、(b)アルキル、(c)アリール、及び(d)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル;(40)-(CH2)qNRGRH、ここでRG及びRHの各々は、2つの基がカルボニル基若しくはスルホニル基を介して窒素原子に結合していないことを条件として、個々独立して(a)水素、(b)N-保護基、(c)炭素原子数1-20のアルキル、(d)炭素原子数2-20のアルケニル、(e)炭素原子数2-20のアルキニル、(f)アリール、(g)アルキレン基が炭素原子数1-20であるアリールアルキル、(h)炭素原子数3-8のシクロアルキル、及び(i)シクロアルキル基が炭素原子数3-8であり且つアルキレン基が炭素原子数1-10であるシクロアルキルアルキル、から成る群から選択される;(41)オキソ;(42)チオール;(43)パーフルオロアルキル;(44)パーフルオロアルコキシ;(45)アリールオキシ;(46)シクロアルコキシ;(47)シクロアルキルアルコキシ;及び(48)アリールアルコキシ、から成る群から個々独立して選択される1つ、2つ、3つ、4つ若しくは5つの置換基で置換することができる。
【0059】
ここで用いるとき、用語「ヘテロシクリルオキシ」は、親分子の基に酸素原子を介してヘテロシクリル基が結合しているものを表す。
【0060】
用語「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」は、ここでは相互に交換して用いられ、-OH基を表す。
【0061】
ここで用いるとき、用語「N-保護アミノ」は、ここに記載のN-保護基、即ち、窒素保護基と結合している、ここに記載のアミノ基を指す。
【0062】
ここで用いるとき、用語「N-保護基」、「窒素保護基」又は「アミノ保護基」は、合成手順時に、望ましくない反応に対してアミノ基を保護するように意図された基を表す。一般に用いられるN-保護基は、Greeneによる、「Protective Groups In Organic Synthesis, 3rd Edition」(John Wiley & Sons, New York, 1999)に開示されており、参照することでここに取り入れることとする。N-保護基には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、フタリル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイル、及びアラニン、ロイシン、フェニルアラニンなどのような保護若しくは未保護のL-又はD-アミノ酸などの対掌体のような、アシル、アロイル、若しくはカルバミル基;ベンゼンスルホニル、p-トルエンするホニルなどのようなスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニルイル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのようなカルバメート形成基;ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなどのようなアリールアルキル基;及びトリメチルシリルなどのようなシリル基が包含される。好ましいN-保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、アラニル、フェニルスルホニル、ベンジル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)である。
【0063】
用語「非隣接酸素原子」とは、同一の炭素原子に結合していない酸素原子を指す。
【0064】
ここで用いるとき、用語「製薬的に許容し得る塩」は、しっかりとした医学的判断において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、適切な有益性/リスク比を有する、ヒト及び動物の組織に接触して用いるのに適切な塩を指す。製薬的に許容し得る塩は、当分野において周知である。例えば、S.M. Bergeらは、J. Pharmaceutical Sciences 66:1-19, 1977において、製薬的に許容し得る塩について詳細に説明している。当該塩は、本発明の化合物の最終的な単離及び精製時にin situにて調製したり、又は遊離塩基を適切な有機酸と反応させることにより別個に調製することができる。代表的な酸付加塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセリンホスホン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、オキソ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカノアート(undecanoate)、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれ、また、無毒のアンモニウム、四級アンモニウム、並びに、限定はしないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミンなどをはじめとするアミンカチオンが含まれる。ここで用いるとき、用語「製薬的に許容し得るエステル」は、in vivoで加水分解するエステルを表し、ヒトの体内で容易に分解されて親化合物又はその塩を残すものが包含される。適切なエステル基としては、例えば、製薬的に許容し得る脂肪族カルボン酸、特に各アルキル若しくはアルケニル基の炭素原子数が6より大きくないカルボン酸、シクロカルボン酸、ジカルボン酸から得られるものが含まれる。具体的なエステルの例として、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステル、及びエチルコハク酸エステルが挙げられる。
【0065】
ここで用いるとき、用語「製薬的に許容し得るプロドラッグ」は、しっかりとした医学的判断において、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、適切な有益性/リスク比を有し、意図する用途に有用である、ヒト及び動物の組織に接触して用いるのに適する、本発明の化合物のプロドラッグ、並びに可能であれば、本発明の化合物の双性イオン形態を意味する。
【0066】
用語「フェニル」は、6つの炭素を含有する芳香族環を意味する。フェニル環は、任意に、置換することができる。フェニル環が、炭素鎖内にある場合には、それは、炭素鎖結合の一部である(即ち、フェニル環は、オルト、メタ、若しくはパラのような2つの位置にて鎖に結合している)。フェニル環が炭素鎖の末端にある場合、それは、炭素鎖の末端に結合している。
【0067】
ここで用いるとき、用語「プロドラッグ」は、例えば、血液中での加水分解により、上式の親化合物へとin vivoで転化する化合物を表す。プロドラッグに関する十分な解説は、T. Higuchi及びV. Stellaによる、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series、Edward B. Rocheによる、「Bioreversible Carriers in Drug Design」, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987、並びにJudkinsらによる、Synthetic Communications 26(23):4351-4367, 1996に提示されており、参照することでそれらの各々をここに取り入れることとする。
【0068】
ここで用いるとき、用語「スルホニル」は、-S(O)2-を表す。
【0069】
「チオール」とは、-SH基を意味する。
【0070】
非対称又は対掌の軸は、本発明の化合物内に存在する。本発明は、様々な立体異性体並びにその混合物を含む。本発明の化合物の個々の立体異性体は、非対称又は対掌の軸を有する市販の出発原料から合成により調製したり、又は鏡像異性化合物の混合物を調製し、次いで当業者には周知の分割をすることにより調製できる。これら分割の方法は、(1) (+/-)で表される鏡像異性体のラセミ混合物を不斉補助剤(chiral auxiliary)に加え、生じたジアステレオマーを再結晶化若しくはクロマトグラフィにより分離し、補助剤から光学的に純粋な生成物を遊離させること、又は(2)対掌性に関するクロマトグラフカラムを用いて光学鏡像体混合物を直に分離すること、によって実施される。鏡像体は、ここでは、不斉炭素原子のまわりの置換基の配置に応じて記号「R」又は「S」により表すか、又は、3次元空間においてページ面の上方にある置換基を表す太線と、3次元空間において印刷ページ面の下方にある置換基を表す細線とを用いる従来的な手法により表す。立体化学表記が成されていない場合は、その構造の定義には、両方の立体化学の可能性が含まれるものと推定されたい。
【発明の効果】
【0071】
本発明は、幾つかの利点をもたらす。例えば、上記のように、本発明は、治療が困難な、非常に痛み、容体を衰弱させ、合衆国だけで百万人以上が患っている炎症性腸疾患を治療するためのアプローチをもたらす。本発明の方法はまた、他で記載するように、TLR2に関連する他の疾患を予防又は治療するために用いることもできる。最終的に、本発明のスクリーニング法は、TLR2関連疾患及び状態の予防並びに治療に用い得る薬剤を識別しキャラクタリゼーションするための簡単なアプローチを提供する。
【0072】
本発明の他の特徴並びに利点は、以下の詳細な説明並びに特許請求の範囲から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0073】
本発明は、Toll-like receptor 2(TLR2)を発現しない動物が、炎症性腸疾患(IBD)のモデルである大腸炎のデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の誘導から保護されるという発見に一部基づくものである。この発見に基づけば、TLR2の活性化を阻止する薬剤を用いることで、大腸炎及び関連する疾患若しくは状態、並びにTLR2の活性化により特徴付けられる他の疾患若しくは状態を治療したり予防したりできるという結論に至る。従って、本発明は、TLR2の活性化に関連する疾患又は状態を予防あるいは治療するための化合物及び方法、並びに当該レセプタの活性化を低減若しくは阻害する薬剤を識別するための方法を提供する。以下、本発明の化合物及び方法を、さらに詳細に説明する。
TLR2阻害剤の調製
式Iの化合物
【0074】
【化43】

【0075】
は、スキーム1にて示す反応シーケンスにより調製することができ、式中、Xは、-NHC(O)-であり;a及びbの各々は1であり;Wは、-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)RW4-であり、ここでcは2であり、RW1及びRW4の各々はHであり、U、V及びRW5の各々は先に定義した通りである。従って、式IIIの化合物をエポキシ化することで式IVの化合物が生成し、エポキシ基をシアノ基と反応させて当該エポキシドを求核的に開環させることで式Vの化合物が生成する。アキラルな出発原料からキラルなエポキシドを調製する方法は当業者には知られており、そのような方法によって、既知の構成の式Vの化合物が生成される。t-ブチルジフェニルシリルエーテルとしてヒドロキシ基を保護し、次いでシアノ基をラネーニッケルで還元すると、式VIIの化合物が生成する。式VIIIの化合物は、式VIIの化合物をL-若しくはD-形態のN-Fmoc-セリンとカップリングさせることにより調製することができる。次いで、セリンから得られるヒドロキシ基をリン酸化剤IXと反応させることができ、中間体ホスフィンが過酸化水素で酸化されて式Xの化合物が生成される。Fmoc保護基は、ピペリジンにより選択的に除去することができ、生じたアミンを塩化アシルによりアシル化するか又はカルボジイミド若しくは他の適切なカップリング剤により媒介される反応においてカルボキシ基を含有する化合物とカップリングさせる。次いで、フッ化物イオンによりシリル保護基を除去すると、式XIの化合物が生成する。酸性条件(例えば、TFA若しくはHCl/ジオキサン)でのBoc保護基の除去及びアシル化、還元的アミノ化、又は生じたアミンのスルホン化により、式XIIの化合物が生じる。Pd(0)触媒による処理によってホスホン酸アリル保護基が除去され、式XIIIの化合物が生成する。
【0076】
【化44】

【0077】
式XIIIの化合物の例を表1に示しており、この場合、別途明記しない限り、R1はHであり、C2は(S)-配置であり、C3'は(R,S)-配置混合物である。
【0078】
表1 式XIIIの化合物、但しR1はH
【0079】
【表1A】

【0080】
【表1B】

【0081】
【表1C】

【0082】
式Vの化合物をRW3-Hal若しくはRW3-OMsであるアルキルハライド若しくはアルキルメシレートと反応させて得られる式XIVの化合物を経由して、スキーム1記載の合成ルートに類似の方法で式XVの化合物を調製することができ、ここでRW3は、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、若しくはC1-20アルキニル基である。
【0083】
【化45】

【0084】
スキーム2に示すように、式XIの化合物から式XVの化合物を調製することができ、この場合、RW3はC1-21アシル基である。式XIの化合物は、酸性条件下でN脱保護することができ、次いでカップリング剤を用いてカルボン酸と反応させることで、保護されたホスホネート中間体が生じ、次いでPd(0)触媒で処理してアリル保護基を除去すると、式XVの化合物が生成する。
【0085】
【化46】

【0086】
式XVの化合物の例を表2に示しており、この場合、別途明記のない限り、R1はHであり、RW3はアシル基であり、C2及びC3'はそれぞれS-配置及びR-配置を有する。
【0087】
表2 式XVの化合物、但しR1はH
【0088】
【表2A】

【0089】
【表2B】

【0090】
【表2C】

【0091】
【表2D】

【0092】
【表2E】

【0093】
スキーム3に示すようにして、式XVの化合物を調製することができ、この場合、RW4はHであり、RW3はアシル基である。即ち、N-Fmoc-L-若しくはD-セリンを、カルボジイミドなどの適切なカップリング剤を用いてTBDPS-保護プロパノールアミンと反応させることで、式XVIの化合物が形成される。L-若しくはD-セリンの選択によって、C2の構成が決まる。その後、式XVIの化合物をBoc-リン酸化剤IXと反応させて、次いで過酸化水素で酸化させて、式XVIIのホスホネートが得られる。テトラブチルアンモニウムフルオリドを用いてシリル保護基を除去し、酸性条件下でBoc保護基を除去することで、式XIXの化合物が生じる。式XIXの化合物のアミンに関して、アシル化、還元的アミノ化、又はスルホン化をすることで、式XXの化合物が得られる。式XXの化合物のヒドロキシ基を、カップリング条件下、カルボン酸を含有する化合物と反応させることで、式XXIの化合物を得ることができる。Fmoc保護基を除去し、次いで生じたアミンをカップリング条件下でカルボン酸含有化合物とカップリングさせることによって、式XXIIIの化合物が得られる。触媒作用のあるパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンを用いてアリル保護基を除去すると、式XXIVの化合物が得られる。
【0094】
【化47】

【0095】
式XXIVの化合物の例を表3に示しており、この場合、R1はHであり、C2は(S)-配置を有する。
表3 式XXIVの化合物、但しR1はH
【0096】
【表3A】

【0097】
【表3B】

【0098】
【表3C】

【0099】
【表3D】

【0100】
WがC(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)(CH2)eORW5である式Iの化合物は、(R)-若しくは(S)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノールを出発原料として調製することができ、ここで、c及びeの各々は1であり、RW1はHであり、RW5はC1-21アシルであり、U及びVの各々は先に定義した通りである。メシル化によるヒドロキシ基のアミノ基への転化、アジドによる置換、及びアジドのアミンへの還元により、セリン誘導体にカップリングされる際に式XXVの化合物をもたらすところの化合物が得られる。酸性条件下でのアセトニド保護基の除去、それに次ぐ、生じたヒドロキシ基のアルキル化又はアシル化(最終的に、同一のRW3及びRW5基に帰着するか、あるいは異なるRW3及びRW5基に帰着する)により、式XXVIの化合物が得られる。この化合物は、水素化反応により脱保護することができ、前述の合成法を用いて進行させることで、式XXVIIIの化合物が得られる。
【0101】
【化48】

【0102】
式XXVIIIの化合物の例は、ER811261及びER811245である。
【0103】
【化49】

【0104】
WがHである場合の式Iの化合物の調製に関しては、N-Fmoc-グリシノールを式IXの化合物と反応させて、次いでスキーム1記載のものと同様に反応させることで、式XXIXの化合物が生成される。
【0105】
【化50】

【0106】
式XXIXの化合物の例を表4に示しており、この場合、R1はHである。
表4 式XXIXの化合物、但しR1はH
【0107】
【表4A】

【0108】
【表4B】

【0109】
Wが-C(O)N(RW1)RW2である式Iの化合物は、HN(RW1)RW2を適切に保護されたL-若しくはD-セリン同族体にカップリングさせて式XXXの化合物を生成し、次いでスキーム1記載のものと同様に反応させて式XXXIの化合物を生成することにより調製できる。式XXXIの化合物の例を表4に示しており、この場合、別途明記のない限り、R1及びRW1の各々はHであり、C2はS-配置を有する。
【0110】
【化51】

【0111】
表4 式XXXIの化合物、但しR1及びRW1の各々はH
【0112】
【表4C】

【0113】
Wが-(CH2)cO(CH2)dCH(ORW3)RW4である式Iの化合物は、米国特許出願公開第20030153532A1号に記載の方法を用いて、スキーム3に示すようにして調製することができる。L-若しくはD-セリンメチルエステルをエチルベンズイミデードと反応させてセリンのベンズイミジンを生成することにより、保護されたセリン同族体を調製し、次いで、それをDIBALで還元することで、式XXXIIの化合物が生成する。XXXIIのヒドロキシ基は、式XXXIIIのトシル酸エステルによりO-アルキル化することができ、4MのHClにより還流処理することでベンズイミジンを除去して、式XXXVの化合物が生成する。アミノ基の保護若しくはN-アシル化によって、式XXXVIの化合物が生成し、次いで、それを式IXの化合物と反応させることで、式XXXVIIの化合物が生成する。スキーム2において上述したものと同様のステップにより、式XXXVIIの化合物は、式XXXVIIIの化合物へと転化する。式XXXVIIIの化合物の例を表5に示しており、この場合、別途明記のない限り、R1はHであり、C2及びC3'の各々はR-配置を有する。
【0114】
【化52】

【0115】
表5 式XXXVIIIの化合物、但しR1はH
【0116】
【表5A】

【0117】
【表5B】

【0118】
【表5C】

【0119】
【表5D】

【0120】
【表5E】

【0121】
【表5F】

【0122】
【表5G】

【0123】
【表5H】

【0124】
【表5I】

【0125】
【表5J】

【0126】
【表5K】

【0127】
【表5L】

【0128】
式IIの化合物は、スキーム4に示すようにして調製することができ、ここで、a、b、R1、R2、R3、R4、R5、U、X及びWは先に定義した通りである。式XXXIXの保護されたアミノ酸を式XLの適切に保護されたアミノ酸にカップリングさせることで、式XLIの化合物が生成する。酸性条件下でt-ブチルエステルを除去することで、式XLIIの化合物が得られ、次いでそれを式XLIIIの化合物に結合させることで、式IIの化合物が生じる。
【0129】
【化53】

【0130】
式IIの例示的な化合物には、以下に示すER811204及びER811195が含まれる。
【0131】
【化54】

【0132】
【化55】

【0133】
Wが-(CH2)cO(CH2)dCH(ORW3)RW4である式I若しくはIIの化合物は、米国特許第6,551,600号に記載されるものに類似の方法によって調製することができる。非限定的な1つの例では、RW3がC1-21アシルであり且つV及びRW4の各々が個々独立してC1-20アルキルである式XLIVの化合物は、マロン酸のモノ-t-ブチルエステルと4-ブロモメチルフェノールのアリルエーテルとのモノアリルのアルキル化によって調製することのできるモノアリルエステルである2-(4-アリルオキシベンジル)マロン酸とカップリングされ、次いで酸性条件下でt-ブチル保護基が除去される。Pd(0)触媒による処理によりアリル保護基を除去すると、化合物XLVが生成する。
【0134】
【化56】

【0135】
式XLVの化合物の一例は、ER808577である。
【0136】
【化57】

【0137】
WがC(O)ORW2である式Iの化合物は、カルボジイミド若しくは他の適切なカップリング剤を用いて、保護されたセリン同族体とアルコールをカップリングさせることにより調製することができ、例えば、N-Boc-O-ベンジル-L-セリンを式XLVIの化合物と反応させて式XLVIIの化合物を生成することができる。
【0138】
【化58】

【0139】
酸性条件下におけるBoc-保護基の選択的な除去、それに次ぐN-アシル化、その後の水素化によるベンジル保護基の除去によって、式XLVIIIの化合物が得られる。先述のような、リン酸化、酸化及び脱保護によって、式XLIXの化合物が得られ、それを、アシル化、還元的アミノ化若しくはスルホン化により未保護のアミン位置を官能基化することで、アリル保護基の除去後に式Lの化合物が得られる。
【0140】
【化59】

【0141】
式Lの化合物の一例は、ER808549である。
【0142】
【化60】

【0143】
本発明の化合物はまた、ペプチド配列を組み込むことができる。本発明の化合物にペプチドを組み込むのに有用な中間体は、カルボキシ基若しくはアミノ基を含有するものである。アミノ基を含有する中間体は、保護されたペプチドのC末端カルボキシ基と反応させることができ、カルボキシ基を含有する中間体は、保護されたペプチドのアミン末端と反応させることができる。特に有用な中間体は、以下に示す式LIのものであり、式中、X及びWは先に定義した通りである。
【0144】
【化61】

【0145】
ペプチド配列は、基本的な教科書に説明及び記載される固相法若しくは液相法によって、又は両方法を組み合わせることによって、合成することができる。これらの方法は当業者には周知である(例えば、Bodanszkyによる、「The Principles of Peptide Synthesis」, Hafner, Rees, Trost, Lehn, Schleyer, Zahradnik, EDs., Springer-Verlag, Berlin, 1984;Stewart及びYongによる、Solid Phase Peptide Synthesis, Pierce Chemical Co., Rockford, III., 1984を参照されたい)。
【0146】
これらの方法で用いられる全ての出発原料は、Aldrich、Sigma、Nova Biochemicals、Bachem Biosciences、Advanced ChemTechなどの化学品会社から市販されているか、又は既知の手順によって容易に合成することができる。
【0147】
反応生成物は、従来法、典型的に相溶性溶媒への溶媒抽出によって、分離、生成される。生成物は、さらに、カラムクロマトグラフィや、中圧若しくは高圧液体クロマトグラフィをはじめとする他の適切な方法により精製することができる。
【0148】
これらの化合物の合成時、これらの方法で用いられるアミノ酸誘導体の官能基を保護基で保護することにより、カップリング手順時の副反応を防止することができる。適切な保護基並びにそれらの使用法の例は、「The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology」, Academic Press, Vol. 3(Gross, E.及びMeienhofer, J.編、1981)及びVol. 9(1987)に記載されており、参照することでその開示内容をここに取り入れることとする。
【0149】
ペプチド配列の合成に特に有用な支持体は、2-クロロトリチル樹脂である。クロロトリチル樹脂上に調製されたペプチド配列は、例えば式XLIの化合物のような、カルボキシ基を含有する本発明で用いられる中間体と、樹脂上反応においてさらに反応させることができる。あるいはまた、クロロトリチル樹脂上に調製されたペプチドは、保護状態の樹脂から除去することができ、次いで、ペプチドのカルボキシ末端をアミンを含有する本発明の中間体と反応させ、ペプチド合成で用いられる保護基が除去される。ペプチド配列を含有する本発明の化合物の一例は、以下に示すER810625である。
【0150】
【化62】

【0151】
式LIIの化合物
【0152】
【化63】

【0153】
は、例えばシステイン又はホモシステインのような、スルフヒドリル成分を側鎖の一部として含む適切に保護されたアミノ酸から調製することができ、ここで、i、T、Z、R6、R7、R8及びR9の各々は先に定義した通りである。スルフヒドリルを活性化されたオレフィンと反応させると、式LIIIの化合物が生成する。Fmoc保護アミンLIIIを脱保護し且つ式I若しくはIIの化合物のX基の調製に関して上述したものと同様の方法で処理して式LIVの化合物を得た後に、式LIVの化合物のカルボキシ末端を、カルボキシ基を有する他の中間体の官能化に関して記載したように官能化することで、式LIIの化合物が生成される。
【0154】
【化64】

【0155】
式IIaの化合物の一例は、化合物ER810675である。
【0156】
【化65】

【0157】
TLR2阻害剤の治療における使用
TLR2の活性化を低減若しくは阻害する薬剤は、TLR2の活性化により特徴付けられる多数の疾患又は状態を予防若しくは治療するために用いることができる。例えば、当該薬剤は、クローン病や潰瘍性大腸炎のような炎症性腸疾患(IBD)を予防若しくは治療するために使用することができる。本発明の方法を用いて予防若しくは治療することのできる他の疾患又は状態としては、例えば、敗血症、歯周病、粘膜炎、にきび、心臓血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、関節炎、嚢胞性線維症、細菌感染症、ウィルス感染症、マイコプラズマ関連疾患、帯状疱疹後神経痛、虚血・再潅流傷害、喘息、発作、脳損傷、壊死性腸炎、床擦れ、ハンセン病、アトピー性皮膚炎、乾癬、外傷性障害、神経変性疾患、アンホテリシンBによる発熱及び腎炎、冠動脈バイパス術、アテローム性動脈硬化症が挙げられる。
【0158】
本発明の製薬組成物における活性成分の薬量レベルは、具体的な患者、組成物及び投薬形態に関して所望の治療効果が達成されるような活性化合物の量を得るべく変更することができる。薬量レベルは、具体的化合物の活性、投薬経路、治療される疾患の重大さ、並びに治療を受ける患者の状態及び過去の医学的記録に基づいて、選択される。成人に関しては、薬量は、吸入の場合、1日当たり、概して約0.01〜約100mg/kg、好ましくは約0.1〜約1mg/kg体重であり、経口投与の場合、1日当たり、約0.01〜約100mg/kg、好ましくは0.1〜70mg/kg、より好ましくは0.5〜10mg/kg体重であり、そして静脈投与の場合、1日当たり、約0.01〜約50mg/kg、好ましくは0.1〜1mg/kg体重である。薬量は、年齢、体重、全般的な健康状態、及び本発明の化合物の効用に影響を与える他の因子をはじめとする、患者に固有の因子に従って、標準的な方法を用いて、具体的な各患者に関して、決定される。
【0159】
ヒトをはじめとする哺乳動物への本発明の化合物の投与は、特定の投薬形態、薬量、若しくは投薬頻度に限定されるものではない。本発明は、経口、腹腔内、筋肉内、静脈内、関節内、病巣内、皮下、又は過度の若しくは望ましくないTLR2活性を予防若しくは治療するのに適する薬量をもたらすのに十分な他の経路をはじめとする、全ての投薬形態を意図している。本発明の1つ又は複数の化合物は、単一回の投与にて、又は複数回の投与にて、哺乳動物に投与することができる。複数回投与する際には、投与は、例えば数時間、1日、1週間、1ヶ月、若しくは1年、互いに間隔をとることができる。具体的な患者に関して、個々の必要性並びに本発明の化合物を含有する製薬組成物の投与を行う又は投与を指示する人の専門的な判断に従って、具体的な投薬計画を経時的に調節すべきことを理解されたい。
【0160】
臨床適用に関しては、本発明の化合物は、概して、静脈内、皮下、筋肉内、腸内、鼻内、腹腔内、直腸内、口腔内、若しくは経口にて投与することができる。ヒト若しくは獣医学薬剤に用いるのに適する少なくとも1つの本発明の化合物を含有する組成物は、適切な経路による投薬を可能とする形態にて提供することができる。これらの組成物は、1つ又は複数の製薬的に許容し得る補助薬剤又は賦形剤を用いて、慣習的な方法によって調製することができる。補助薬剤には、とりわけ、希釈剤、無菌性水性媒体、及び種々の無毒性有機溶媒が含まれる。治療用途において許容し得る担体若しくは希釈剤は、製薬分野では周知であり、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A.R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000, Philadelphia、及びEncyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J.C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New Yorkに記載されている。当該組成物は、タブレット、丸剤、顆粒、粉末、水溶液若しくは懸濁物、注射可能な溶液、エリキシル剤、若しくはシロップの形態にて提供することができ、また、当該組成物は、製薬的に許容し得る調合物を得るために、任意選択的に、甘味料、香料、着色剤、及び安定化剤から成る群から選択される1つ又は複数の薬剤を含むことができる。
【0161】
ビヒクルの選択並びにビヒクル中の活性物質の含量は、概して、製品の溶解性及び化学的特性、具体的な投薬形態、及び製薬的な実践において遵守すべき規定に従って決定される。例えば、ラクトース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、及びリン酸二カルシウムなどの賦形剤、デンプン、アルギン酸、及び特定の複合シリケートなどの分解剤を滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルク)と組み合わせて、タブレットを調製するために用いることができる。カプセルを調製するには、ラクトース及び高分子量ポリエチレングリコールを用いるのが好ましい。水性懸濁物を用いる場合には、それらは、懸濁を促進する乳化剤を含有することができる。スクロース、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、クロロホルム、又はそれらの混合物などの希釈剤もまた用いることができる。
【0162】
腸管外投薬に関しては、野菜油(例えば、ごま油、ナッツ油、若しくはオリーブ油)、水性有機溶液(例えば、水及びプロピレングリコール)、注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)、又は製薬的に許容し得る塩の無菌性水溶液の中に本発明の組成物を含んで成る、エマルジョン、懸濁物、又は水溶液が用いられる。本発明の組成物の塩の溶液は、筋肉内注射又は皮下注射による投薬に特に有用である。純粋な精製水中に当該塩の溶液を含んで成る水溶液は、(i)それらのpHが適切に調節されていること、(ii)十分な量のグルコール若しくは塩化ナトリウムにより適切に緩衝され且つ等浸透圧とされていること、並びに(iii)加熱、照射又は精密濾過により無菌化されていることを条件として、静脈内投薬に用いることができる。本発明の化合物を含有する適切な組成物は、噴霧器又は懸濁物若しくは溶液エーロゾルに使用するために、適切な担体中に溶解若しくは懸濁させることができ、又は乾燥粉末吸入器に使用するために、適切な固形担体上に吸収若しくは吸着させることができる。直腸投与のための固形組成物としては、既知の方法に従って調合され且つ式I若しくはIIの化合物の少なくとも1つを含有する座剤が挙げられる。
【0163】
治療投与に用いられる本発明の化合物の投薬調合物は、無菌性でなければならない。無菌性は、無菌膜(例えば、0.2ミクロン膜)を用いた濾過あるいは他の従来法により容易に達成し得る。調合物は、典型的に、凍結乾燥状態若しくは水溶液として保管される。本発明の組成物のpHは、典型的に、3-11であり、より好ましくは5-9であり、最も好ましくは7-8である。好ましい投薬経路は、静脈内などの注射(急速静注及び/又は輸注)によるが、他の投薬法も用いることができる。例えば、組成物は、座剤、移植ペレット、即ち小円柱、エーロゾル、経口投与調合物、並びに軟膏、滴薬、及び皮膚パッチのような局部調合物のような種々の薬形態にて、皮下、筋肉内、腸内、直腸内、鼻内、又は腹腔内に投与することができる。本発明の化合物は、好ましくは、限定はしないが、弁、ステント、チューブ、及びプロテーゼをはじめとする、インプラントのような成形人工物に組み込まれ、それは、合成ポリマー若しくはシリコン(例えば、Silastic、シリコンゴム、又は他の市販のポリマー)などの不活性材料を用いることができる。そのようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシ-プロピル-メタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチル-アスパルトアミド-フェノール、又はパルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド-ポリリシンを挙げることができる。さらに、本発明のTLR2阻害剤は、薬剤の制御された放出を達成するのに有用な種類の生分解性ポリマーに結合させることができ、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸のコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、及びヒドロゲルの架橋性若しくは両親媒性ブロックコポリマーがある。
【0164】
本発明の化合物はまた、小さな一枚膜ベシクル、大きな一枚膜ベシクル、及び多重膜ベシクルのような、リポソーム供給システム形態にて投与することもできる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンなどの種々の脂質から形成することができる。本発明の化合物はまた、抗体、抗体断片、成長因子、ホルモン、又は記載した式I若しくはIIの化合物の血液成分へのin vivo結合をはじめとする、当該化合物分子が結合する他のターゲティング成分(例えば、上述のRemington: The Science and Practice of Pharmacyを参照されたい)を用いて供給することができる。
TLR2阻害剤の識別
本発明の治療法に用いることのできる製薬的薬剤は、スクリーニング法で識別することができる。例えば、細胞に基づくスクリーニング法を用いることができ、そこでは、TLR2を発現する細胞を候補薬剤に接触させ、細胞中のTLR2の活性化に対する当該薬剤の影響が判定される。当該方法の一例においては、既知のリガンド(例えば、Pam3Cys-SKKKKのようなリポペプチド(以下参照))によるTLR2の活性化に関する薬剤の効果が判定される。リガンドによる当該レセプタの活性化を低減若しくは阻止することが確認された薬剤は、さらなる分析、及び/又は治療法におけるTLR2阻害剤としての使用が考慮される。これらの方法におけるTLR2の活性化は、例えば、レポーターシステムを用いて測定することができる。例えば、スクリーニングアッセイで用いられる細胞は、TLR2の活性化によって開始されるシグナル伝達経路(例えば、NF-KBの発現を誘導するシグナル伝達経路)により誘導され得るプロモータ(例えば、ELAMプロモータ)の制御下にあるレポーター遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ)を含むことができる。当該方法の一例に関するさらなる詳細は、以下に提示する。
【0165】
細胞を基礎とする方法の他に、候補薬剤は、動物モデルシステムにて試験することができる。これは、例えば、薬剤が、細胞に基づくアッセイにおいて拮抗作用を有するか又はin vitroアッセイ(以下参照)においてTLR2に結合することが確認されている場合に、好ましい。例えば、動物実験では、TLR2を活性化することが知られている分子(例えば、リポペプチド)と共に、試験薬剤を動物モデルに投与して、当該レセプタの活性化により当該動物内において通常引き起こされる応答(例えば、サイトカイン誘導)に関する当該薬剤の影響を判定することができる。さらに、in vitro法を利用することができる。例えば、候補薬剤は、それが、TLR2若しくは当該リガンドの結合サイトを少なくとも一部含むレセプタ断片に結合するかどうかに関してアッセイすることができる。そのようなアッセイは、例えば、レセプタ若しくは断片が結合するカラム又はビーズを用いて実施することができる。
【0166】
上述の方法に加えて、TLR2拮抗作用に関して、候補化合物を、記載したTLR2拮抗剤の何れかと比較する方法において、他のTLR2拮抗剤を識別することができる。これらの方法には、ここに記載されるもののような(例えば、以上の記載及び実施例8を参照)、in vitroやin vivo法の使用が含まれる。さらに、TLR2拮抗作用に関して比較すること以外に、他のレセプタ(例えば、TLR4)に対するTLR2への特異性に関して、候補薬剤をTLR2拮抗剤と比較することができる。これらのアッセイでここに記載の拮抗剤の活性と同等か又はそれよりも高いTLR2拮抗作用を有すると(及び/又はTLR4に対するTLR2への特異性が低い又は高いレベルであると)確認された候補薬剤は、例えば、個々に記載の任意の疾患又は状態に関して、適切な動物モデルアッセイにおいて、並びにヒトの臨床試験において、さらに試験することができる。TLR2拮抗作用を有する候補薬剤とは、例えば、実施例8に記載されるもののようなアッセイにおいて、TLR2に関するIC50が、例えば30μM未満(例えば、25、20、15、10、5、1又は0.5μM未満)であると確認されるものである。
【0167】
本発明はまた、TLR4よりもTLR2に対して選択性を示す化合物、並びに両方に対する拮抗剤(即ち、TLR2とTLR4両方に対する拮抗剤)である化合物が含まれる。TLR4よりもTLR2に対して選択性を示す化合物とは、例えば、ここに記載するもののようなTLR2拮抗作用アッセイにおけるIC50が、ここに記載するもののようなTLR4拮抗作用アッセイにおいて確認されるそれよりも、低いものである。例えば、TLR2アッセイにおけるIC50は、TLR4アッセイで試験した同じ化合物に関する数値よりも、少なくとも5、10、25、又は50倍低くすることができる。
【0168】
両方の拮抗剤である化合物とは、例えば、ここに記載するアッセイを用いた際に、お互いに対して5倍の範囲内にあるIC50値を有するようなものである。即ち、両方の拮抗剤には、互いに関して1:5-5:1(例えば、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1及び4:1)の活性を有するようなものが含まれる。本発明はまた、TLR2の活性化(又は不活性化)に伴うか又は影響を受ける生理学的な分子経路に関する研究における、ここに記載するもののようなTLR2拮抗剤の使用法も包含する。
【0169】
本発明の方法を用いてスクリーニングし得る薬剤には、例えば、化合物ライブラリー(例えば、ランダムライブラリー)内に存在する化合物、並びにTLR2を活性化するのではなく予防するように変性された既知のTLR2リガンド(例えば、リポペプチド)の類似体が含まれる。さらに、TLR2のリガンド用の結合サイトに対応するペプチドを試験することができ、それは、前記結合サイトへのリガンドの結合を競争阻害することができるものである。さらに、当該レセプタのリガンド又はリガンド結合サイトに対する抗体若しくは抗体断片をスクリーニングすることができる。
【0170】
本発明の種々の態様及び実施形態をさらに説明するために、以下、非限定例を提示する。

例1.ER811133の調製
ステップ1. DCM(200mL)中に1-ペンタデカン(23.0mL、84.7mmol)を含有して成る0℃の溶液に、炭酸水素ナトリウム(704mg、8.3mmol)及びmCPBA(58.48g、338.9mmol)を滴下添加した。当該反応混合物を、室温まで温めた。室温にて一晩撹拌した後、当該反応混合物に亜硫酸ナトリウム飽和溶液(500mL)を添加した。有機層を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィ(10% EA/ヘキサン)により精製し、化合物1(19.10g、収率96%)を得た。
【0171】
【化66】

【0172】
ステップ2. 90%エタノール(200mL)中に化合物1(19.1g、84.4mmol)を含有して成る室温の溶液に、シアン化カリウム(15.38g、236.2mmol)を添加した。室温にて20時間撹拌した後、当該反応混合物を硫酸ナトリウムを用いて濾過した。シリカゲルクロマトグラフィ(30% EA/ヘキサン)により精製して、化合物2(18.46g、収率86%)を得た。
【0173】
【化67】

【0174】
ステップ3. DMF(100.0mL)中に化合物2(18.46g、72.84mmol)を含有して成る室温の溶液に、イミダゾール(9.9g、145.7mmol)及びtert-ブチルジフェニルシリルクロリド(TBDPSCl)(28.4mL、109.3mmol)を添加した。全ての出発原料が消費されるまで、TLC(30% EA/ヘキサン)により反応をモニタした。シリカゲルクロマトグラフィ(20% EA/ヘキサン)により精製して、化合物3(34.84g、収率97%)を得た。
【0175】
【化68】

【0176】
ステップ4. 2.0MのNH3/MeOH(100mL)中にラネーNi(3.0mLスラリー)を含有して成る溶液に化合物3(5.04g、10.2mmol)を添加し、当該反応混合物を50psiにて20時間水素化した。当該反応混合物をCeliteを通して濾過し、MeOHで洗浄して、化合物4(4.81g、95%)を得た。
【0177】
【化69】

【0178】
ステップ5. DCM(50mL)中に化合物4(4.81g、9.7mmol)を含有して成る溶液に、N-Fmoc-L-セリン(4.76g、14.55mmol)及びEDC(3.72g、19.4mmol)を-5℃にて添加した。当該反応混合物を室温まで温め、3時間撹拌した。10-50%のEA/ヘキサンを用いるシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、ワックス状固形物として化合物5(6.26g、80%)を得た。
【0179】
【化70】

【0180】
ステップ6. リン酸化剤化合物6を作るために、塩化メチレン中に精製ジイソプロピルアミン(9.0mL)を含有して成る溶液に、室温にてテトラゾール(4.51g)を添加して、次いで1.5時間撹拌した。アリルホスホロジアミダイト(10)(20.5mL)を速度6.5mL/時間にて滴下添加し、次いでさらに3時間撹拌した。塩化メチレン(50mL)中にN-Boc-2-アミノエタノール(10.36g)を含有して成るものを、速度8.4mL/時間にて上記反応混合物に滴下添加し、次いでさらに18時間撹拌した。白色懸濁物をCelite 545を通して濾過し、塩化メチレン20mLにより2回洗浄した。濾過物を濃縮し、次いで残留物の懸濁及びヘキサン(200mL)による濾過を行った。生じたヘキサン濾過物を乾燥するまで濃縮して、2、10mLのトルエンと共沸させて、油として粗生成物6(21.54g)を得た。
【0181】
DCM(70mL)中に化合物5(6.26g、7.77mmol)を含有して成る室温の溶液に、ピリジニウムトリフルオロアセテート(3.0g、15.55mmol)を添加した。上記反応溶液を-20℃まで冷却した。当該反応溶液に、シリンジを用いて化合物6(4.8g、14.0mmol)を添加した。-10から-20℃にて反応を継続し、化合物5が消費されるまで、TLC(30% アセトン/ヘキサン)によりモニタした。当該反応混合物に、過酸化水素(30%、1.8mL)を添加した。当該反応混合物をゆっくりと温め、室温にて30分間撹拌した。当該溶液に、水(20mL)中にチオ硫酸ナトリウム(2.0g)を含有して成るものを添加した。水性洗浄及びBiotageカラム(10-30% アセトン/ヘキサン)を用いたHPLC後、化合物7(8.7g)が単離された。
【0182】
【化71】

【0183】
ステップ7. DCM(12.0mL)中に化合物7(2.83g、2.645mmol)を含有して成る溶液に、-5℃にて、ピペリジン(3.0mL、10.1mmol)を添加した。当該混合物を-5℃にて30分間撹拌し、次いで室温まで温め、TLCによりモニタした。出発原料が消費されると、当該反応混合物を濃縮して、粗アミンを得た。DCM(10mL)中に当該粗アミンを含有して成る溶液に、0℃にて、ラウリル酸(1.06g、5.29mmol)及びEDC(1.01g、5.29mmol)を添加した。0℃にて10分間撹拌した後、当該反応混合物を室温まで温め、室温にて一晩撹拌した。水性洗浄、次いで当該有機物の濃縮、クロマトグラフィによる精製を行い、化合物8(2.45g、収率90%)を得た。
【0184】
【化72】

【0185】
ステップ8. THF(10mL)中に化合物8(1.5g、0.473mmol)を含有して成る室温の溶液に、酢酸(0.17mL、2.92mmol)及びテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(0.763g、2.92mmol)を添加した。室温にて70時間撹拌した後、当該反応混合物を水で希釈し、EAで抽出した。足し合わした有機溶液を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。アセトン/ヘキサンを利用しBiotageカラムを備えたHPLCにより精製し、製品化合物9(0.937g、収率81%)を得た。
【0186】
【化73】

【0187】
ステップ9. 化合物9(138mg、0.175mmol)に4.0MのHCl/ジオキサン(2.0mL)を添加し、当該混合物を室温にて2時間撹拌した。当該反応混合物を濃縮し、トルエンを用いて共沸乾燥させて、粗アミンを得た。DCM(5.0mL)中に当該粗アミンを含有して成る0℃の溶液に、N-(3-インドールアセチル)-L-イソロイシン(55.4mg、0.192mmol)、HBTU(79.5mg、0.21mmol)及びDIPEA(90.3mg、0.70mmol)を添加した。当該反応物を室温まで温め、一晩撹拌した。当該反応混合物を、25mmのBiotageカラムに充填し、HPLCにより精製し、10、20、30、40、及び50%のアセトン/ヘキサンを用いて溶離して、化合物10(72.0mg、収率43%)を得た。
【0188】
【化74】

【0189】
ステップ10. THF(1.0mL)中に化合物10(25.3mg、0.026mmol)を含有して成る溶液に、フェニルシラン(29μL、0.237mmol)、トリフェニルホスフィン(12.4mg、0.047mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.006mg、0.005mmol)を、室温にて添加した。室温にて30分間撹拌した後、当該粗混合物を、0.5mmの分取TLCプレート上に充填し、1:1のMagic(60:35:2:3のCHCl3/MeOH/AcOH/H2O)/DCMで溶離して、ER811133(18.3mg、75%)を得た。
【0190】
【化75】

【0191】
例2.ER811212の調製
ステップ1. ジクロロメタン(350mL)中にFmoc-Ser-OH(25.2g、77.0mmol)を含有して成る室温の溶液に、TBDPSで保護されたプロパノールアミンヒドロクロリド(20.0g、51.75mmol)、次いでトリエチルアミン(14.5mL、104.1mmol)及び1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC、19.85g、103.5mmol)を添加した。一晩撹拌し、次いで、水性洗浄及びカラムクロマトグラフィを実施して、化合物11(10.38g、収率32%)を得た。
【0192】
【化76】

【0193】
ステップ2. ジクロロメタン(400mL)中に化合物11(17.83g、28.63mmol)を含有して成る室温の溶液に、ピリジニウムトリフルオロアセテート(12.26g、63.48mmol)を添加した。当該反応混合物を-20℃まで冷却し、化合物6(17.60g、50.51mmol)を添加した。2時間後、30%の過酸化水素(14.5mL、140.3mmol)を添加し、当該反応物を室温まで温めた。当該反応混合物に、水(215mL)中にチオ硫酸ナトリウム(17.2g)を含有して成るものを添加した。水性洗浄及びカラムクロマトグラフィにより、化合物12(25.37g、収率100%)を得た。
【0194】
【化77】

【0195】
ステップ3. THF(85mL)中に化合物(15.82g、17.85mmol)を含有して成る室温の溶液に、氷酢酸(2.1mL、36.68mmol)、次いでTBAF(9.35g、35.8mmol)を添加した。8時間撹拌した後、水性洗浄及びカラムクロマトグラフィを行い、化合物13(3.65g、収率31%)を得た。
【0196】
【化78】

【0197】
ステップ4. 化合物13(3.65g、5.64mmol)に、室温にて、ジオキサン(21.5mL、86.1mmol)中に4MのHClを含有して成るものを添加した。20分後、溶媒を蒸発させて、化合物14(3.09g、収率93%)を得た。
【0198】
【化79】

【0199】
ステップ5. ジクロロメタン(35mL)中に化合物14(3.30g、5.64mmol)を含有して成る室温の溶液に、N-(3-インドリルアセチル)-L-イソロイシン(1.80g、6.24mmol)、次いでDIEA(2.2mL、12.69mmol)及びHBTU(2.59g、6.83mmol)を添加した。2時間後、水性洗浄及びクロマトグラフィを行い、化合物15(3.74g、収率81%)を得た。
【0200】
【化80】

【0201】
ステップ6. ジクロロメタン(1.5mL)中に化合物15(204mg、0.25mmol)を含有して成る室温の溶液に、パルミチン酸(125mg、0.49mmol)、次いでEDC(95mg、0.495mmol)及びDMAP(8.2mg、0.067mmol)を添加した。室温にて一晩撹拌した後、水性洗浄及びクロマトグラフィを行い、化合物16(198mg、収率75%)を得た。
【0202】
【化81】

【0203】
ステップ7. 化合物16(65mg、0.061mmol)に、室温にて、DMF(0.38mL、1.54mmol)中に4.0Mのピペリジンを含有して成る溶液を添加した。20分後、溶媒を蒸発させて、化合物17(50mg、収率100%)を得た。
【0204】
【化82】

【0205】
ステップ8. ジクロロメタン(0.48mL)中に化合物17(51.1mg、0.059mmol)を含有して成る室温の溶液に、ラウリル酸(17.2mg、0.086mmol)、次いでDIEA(24μL、0.138mmol)及びHBTU(30.7mg、0.081mmol)を添加した。一晩撹拌した後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィにより精製して、化合物18(44.8mg、収率73%)を得た。
【0206】
【化83】

【0207】
ステップ9. THF(0.63mL)中に化合物18(45mg、0.044mmol)を含有して成る室温の溶液に、n-ブチルアミンの0.10M溶液(0.450mL、0.045mmol)、次いでパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(2.9mg、0.0025mmol)を添加した。2時間後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィにより精製し、化合物19(ER811212、21.9mg、収率59%)を得た。
【0208】
【化84】

【0209】
例3. ER811230の調製
ステップ1. ジクロロメタン(5mL)中にFmoc-グリシノール(104.4mg、0.3685mmol)を含有して成る室温の溶液に、ピリジニウムトリフルオロアセテート(155.1mg、0.8031mmol)を添加した。当該反応混合物を-20℃まで冷却し、Boc-リン酸化剤化合物6(212.1mg、1.652mmol)を添加した。2時間後、30%の過酸化水素(0.170mL、1.665mmol)を添加し、当該反応物を室温まで温めた。当該反応混合物に、チオ硫酸ナトリウム溶液(3.2mLの水中に240mg)を添加した。水性洗浄及びカラムクロマトグラフィを行い、化合物20(150mg,収率74%)を得た。
【0210】
【化85】

【0211】
ステップ2.化合物20(150mg、0.27mmol)に、室温にて、ジオキサン(1.0mL)中に4MのHClを含有して成るものを添加した。20分後、溶媒を蒸発させて、化合物21(132mg、収率100%)を得た。
【0212】
【化86】

【0213】
ステップ3. ジクロロメタン(1.5mL)中に化合物21(132mg、0.27mmol)を含んで成るものに、室温にて、N-(3-インドリルアセチル)-L-イソロイシン(85mg、0.29mmol)、次いでDIEA(0.1mL)及びHBTU(117mg、0.31mmol)を添加した。室温にて2時間撹拌した後、水性洗浄及びクロマトグラフィを行い、化合物22(141mg、収率71%)を得た。
【0214】
【化87】

【0215】
ステップ4. 化合物22(32mg、0.045mmol)に、室温にて、DMF(0.260mL)中に4.0Mのピペリジンを含有して成る溶液を添加した。20分後、溶媒を蒸発させて、化合物23(21mg、94%)を得た。
【0216】
【化88】

【0217】
ステップ5. ジクロロメタン(0.25mL)中に化合物23(21mg、0.04mmol)を含有して成る室温の溶液に、パルミチン酸(13mg、0.05mmol)、次いでDIEA(16μL、0.09mmol)及びHBTU(20mg、0.054mmol)を添加した。一晩撹拌した後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィにより精製して、化合物24(19mg、収率61%)を得た。
【0218】
【化89】

【0219】
ステップ6. THF(0.4mL)中に化合物24(19mg、0.026mmol)を含有して成る室温の溶液に、n-ブチルアミンの0.1M溶液(0.26mL、0.026mmol)、次いでパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(1.7mg、0.0015mmol)を添加した。2時間後、溶媒を蒸発させた。カラムクロマトグラフィにより精製して、化合物ER811230(13.0mg、収率73%)を得た。
【0220】
【化90】

【0221】
例4. ER811261の調製
ステップ1. ジクロロメタン(5mL)中に(S)-(+)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-メタノール(1.36g、10.3mmol)を含有して成る溶液に、トリエチルアミン(4.30mL、30.9mmol)を添加した。当該混合物を氷/水浴を用いて冷却して、メタンスルホニルクロリド(2.40mL、30.9mmol)を添加した。一晩撹拌後、NaHCO3飽和(水)溶液を添加して反応を中止させた。水相をジクロロメタンにより一度に抽出し、足し合わせた有機相を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濃縮させた。粗化合物25は、精製することなく次のステップに用いた。
【0222】
【化91】

【0223】
ステップ2. DMF(10mL)中にステップ1の化合物25を含有して成る溶液に、水(5mL)中にNaN3(2.0g、31mmol)を含有して成る溶液を添加して、当該反応混合物を80℃に加熱した。18時間撹拌した後、反応混合物を室温まで冷まし、ブライン溶液を添加した。当該混合物をジエチルエーテルで3回抽出し、有機相をロータリーエバポレータを用いて1/2の容積となるように濃縮し、水で2回、次いでブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させて、濃縮させた。粗化合物26(1.84g)は、精製することなく次のステップに用いた。
【0224】
【化92】

【0225】
ステップ4. THF(20mL)中に粗化合物26(1.84g)、トリフェニルホスフィン(3.51g、13.4mmol)を含有して成る溶液を、室温にて一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物にヘキサンを添加した。生じた固形物を濾過して取り除き、ヘキサンを添加して濾過するという当該工程を数回繰り返した。粗生成物を短いシリカゲルカラムを通過させる(100% EA、30% イソプロピルアルコール/EA)ことで、化合物27(279mg)を得た。
【0226】
【化93】

【0227】
ステップ5. ジクロロメタン(2mL)中に化合物27(268mg、2.04mmol)、EDC(589mg、3.07mmol)、DMAP(50mg、0.407mmol)、及びO-ベンジル-N-アセチル-D-セリン(725mg、3.07mmol)を含有して成る混合物を、室温にて撹拌した。一晩撹拌した後、当該反応混合物を濃縮し、フラッシュクロマトグラフィにより精製して、化合物28(359mg)を得た。
【0228】
【化94】

【0229】
ステップ6. 酢酸水溶液(3.50mL、5:1)を化合物28(343mg、0.979mmol)に添加した。室温にて一晩撹拌した後、当該反応物を40℃に加熱した。1.5時間後、当該反応混合物を濃縮し、トルエンを用いて共沸させた。フラッシュクロマトグラフィにより精製して、化合物29(289mg、95%)を得た。
【0230】
【化95】

【0231】
ステップ7. 化合物29(265mg、0.854mmol)、パルミチン酸(679mg、2.65mmol)、EDC(507mg、2.65mmol)及びDMAP(32.5mg、0.265mmol)から成る混合物を、室温にて18時間撹拌した。水性洗浄及びクロマトグラフィにより、化合物30(591mg)を得た。
【0232】
【化96】

【0233】
ステップ8. 酢酸エチル(30mL)中に化合物30を含有して成るフラスコに、Pearlman触媒を添加し、当該反応混合物を水素雰囲気下(水素充填風船を使用)で撹拌した。2時間後、当該反応混合物をCeliteを通して濾過し、濃縮して、化合物31(344mg)を得た。当該粗生成物を、精製することなく次のステップに用いた。
【0234】
【化97】

【0235】
ステップ9. DCM(0.7mL)中に化合物31(51.7mg、0.0742mmol)を含有して成る室温の溶液に、ピリジニウムトリフルオロアセテート(31.5mg、0.163mmol)を添加した。上記反応溶液を-20℃まで冷却した。当該反応溶液に、リン酸化剤化合物6(46.0mg、0.131mmol)を添加した。-10から-20℃にて反応を継続し、化合物31が消費されるまでTLC(30% アセトン/ヘキサン)によりモニタした。当該反応混合物に、過酸化水素(30%、18μL)を添加した。当該反応混合物をゆっくりと温め、室温にて30分間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム(20mg)を添加した後、水性洗浄及びクロマトグラフィを行った後、化合物32が単離された。
【0236】
【化98】

【0237】
ステップ10. 化合物32(42.3mg、0.044mmol)に、4.0MのHCl/ジオキサン(132μL)を添加し、当該混合物を室温にて2時間撹拌した。当該反応混合物を濃縮し、トルエンを用いて共沸乾燥して、粗アミンを得た。DCM(200μL)中に当該粗アミンを含有して成る0℃の溶液に、N-(3-(5-ベンジルオキシ)インドールアセチル)-L-イソロイシン(20.0mg、0.0485mmol)、HBTU(22.0mg、0.0582mmol)及びDIPEA(31.0μL、0.176mmol)を添加した。当該反応物を室温まで温め、一晩撹拌した。水性洗浄及びクロマトグラフィにより、化合物33(72.0mg、収率43%)が得られた。
【0238】
【化99】

【0239】
ステップ11. THF(300μL)中に化合物33(25.3mg、0.026mmol)(10.2mg、0.00825mmol)を含有して成る溶液に、室温にて、フェニルシラン(10μL、0.08mmol)、トリフェニルホスフィン(4.1mg、0.015mmol)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.002mg、0.0015mmol)を添加した。室温にて30分間撹拌した後、当該粗混合物を0.5mmの分取TLCプレート上にのせ、1:1のMagic(60:35:2:3のCHCl3/MeOH/AcOH/H2O)/DCMで溶離して、ER811261(5.5mg)を得た。
【0240】
【化100】

【0241】
例5. ER808977の調製
DCM(2.0mL)中に化合物34(100mg、0.11mmol、米国特許第6,290,973号に記載のように調製)を含有して成る溶液に、0℃にて、トリエチルシラン(87μL、0.545mmol)及びトリフルオロ酢酸(84μL、1.1mmol)を添加した。生じた溶液を、出発原料が消費されるまで(およそ2時間)、室温にした。次いで、当該反応混合物を濃縮して、TFA塩を得た。残留物をDCM中に再溶解させ、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で洗浄し(×2)、Na2SO4上で乾燥させた。蒸発させると、粗アミン遊離塩基が得られ、これを、精製することなくそのまま用いた。DMF中にN-(3-インドールアセチル)-L-イソロイシン(RUCO2H、29mg、0.1mmol)を含有して成る溶液に、トリエチルアミン及びカルボジイミドを有するポリマーを添加した。当該反応混合物を室温にて2時間ゆっくりと揺すり、次いでDMF中に前述の粗アミン遊離塩基を含有して成る溶液を用いて処理した。当該反応混合物を室温にて一晩ゆっくりと揺すった。濾過、それに次ぐ真空下での濃縮により、粗な結合生成物を得た。n-ブチルアミンの存在下、THF中にパラジウムテトラキストリフェニルホスフィンを触媒量含有して成るもので2時間処理することによって、アリル保護基を除去した。フラッシュクロマトグラフィにより精製して、化合物ER808977を得た。表5に記載の化合物を生成するために、(11)と反応させるためのN-(3-インドールアセチル)-L-イソロイシン若しくはその類似体に代えて、他の適切な保護されたアミノ酸を用いることができる。
【0242】
例えば、置換インドール成分を含む化合物のような、本発明の化合物の調製に有用な芳香族中間体は、市販されておらず、それは、例えばハロゲン若しくはトリフラート(triflate)などの除去可能な基を含む芳香族化合物から調製することができる。これらの化合物は、塩基と、例えば、-B(OH)2若しくは-B(Oアルキル)2基(Suzuki反応)、-Mg-Hal基(Kumada反応)、-Zn-Hal基(Negishi反応)、-Sn(アルキル)3基(Stille反応)、-Si(アルキル)3基(Hiyama反応)、-Cu-Hal基、-ZrCp2Cl基、又は-AlMe2基(パラジウム触媒によるクロスカップリング反応に関する、Fu及びLittkeによる、Angew. Chem. Int. Ed. 41:4176-4211, 2002を参照)を備える化合物のような有機金属化合物の存在下、パラジウム触媒/リガンドシステム(例えば、Pd(PPh2)4、Pd(PtBu3)4、Pd[P(Me)(tBu2)]4、PdCl2(PPh3)2、PdCl2(dppf)2、Pd2(dba)3BINAP、Pd2(dba)3P(o-tol)3など)と反応させることができる。
【0243】
【化101】

【0244】
例6. 804469の調製
ステップ1.DMF(20mL)中にモノ-tert-ブチルマロン酸塩(1.6g、10mmol)を含有して成る溶液に、炭酸セシウム(3.42g、10.5mmol)、次いで臭化アリル(1.33g、11mmol)を添加した。当該反応物を室温にて16時間撹拌し、EAで希釈して、水及びブラインを用いて洗浄した。当該有機溶液をNaSO4上で乾燥させ、濃縮させた。残留物をクロマトグラフィ(シリカゲル、EA-ヘキサンで溶離)により精製し、化合物マロン酸,モノアリル,モノ-t-ブチルエステル(1.873g、93%)を得た。
【0245】
【化102】

【0246】
ステップ2. DMF(10mL)中に化合物マロン酸,モノアリル,モノ-t-ブチルエステル(1.873g、9.27mmol)を含有して成る溶液に、水素化ナトリウム(400mg、60%、10mmol)を添加した。当該反応物を室温にて20分間撹拌し、次いで6-tert-ブチルジフェニルシロキシル-1-ブロモヘキサン(3.69g、8.79mmol)を添加した。当該反応物を室温にて16時間撹拌し、次いでEAで希釈して、水洗した。当該有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させて、濃縮した。残留物をクロマトグラフィ(シリカゲル、EA-ヘキサンで溶離)により精製して、化合物35(3.947g、収率83%)を得た。
【0247】
【化103】

【0248】
ステップ3. 化合物35(2.10g、3.90mmol)に、THF中にテトラブチルアンモニウムフルオリドを含有して成る溶液(1M、5mL)を添加した。当該反応物を室温にて2時間撹拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、残留物をクロマトグラフィ(シリカゲル、EA-ヘキサンで溶離)により精製して、2-(6-ヒドロキシヘキシル)マロン酸,モノアリル,モノ-t-ブチルエステル(460mg、収率39%)を得た。
【0249】
【化104】

【0250】
ステップ4. ジクロロメタン(3.5mL)中に2-(6-ヒドロキシヘキシル)マロン酸,モノアリル,モノ-t-ブチルエステル(220mg、0.733mmol)を含有して成る溶液に、テトラゾール(154mg、2.20mmol)を添加した。当該反応物を室温にて20分間撹拌し、次いで、ジアリルジイソプロピルホスホラミダイト(270mg、1.10mmol)を添加した。当該反応物を室温にて1時間撹拌した。当該反応混合物を0℃まで冷却し、THFを4mL、次いで水(4mL)中にOxone(901mg、1.466mmol)を含有して成る溶液を添加した。当該反応物が室温まで暖まる間、30分撹拌を続けた。チオ硫酸ナトリウム及び炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して、反応を中止した。2相に分離させ、水相をジクロロメタンで抽出した。有機相を足し合わせ、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残留物をクロマトグラフィ(シリカゲル、EA-ヘキサンで溶離)により精製し、化合物36(169mg、収率50%)を得た。
【0251】
【化105】

【0252】
ステップ5. ジクロロメタン(0.2mL)中に化合物36(77mg、0.167mmol)を含有して成る溶液に、トリエチルシラン(97mg、0.836mmol)、次いでトリフルオロ酢酸(1mL)を添加した。当該反応物を室温にて1時間撹拌し、揮発分を蒸発させた。残留物をトルエンを用いて2回共沸させ、そして、粗生成物である化合物37(77mg、0.167mmol)はそのまま次のステップに用いた。
【0253】
【化106】

【0254】
ステップ6. DMF(2.4mL)中に化合物38(90mg、0.112mmol、米国特許第6,290,973号参照)及び化合物37(未精製77mg、0.167mmol)を含有して成る溶液に、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(38mg、0.2mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールハイドレート(23mg、0.167mmol)、及びトリエチルアミン(20mg、0.2mmol)を添加した。当該反応物を室温にて16時間撹拌し、EAで希釈し、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。クロマトグラフィ(シリカゲル、MeOH-DCMで溶離)により精製して、化合物39(133mg、95%)を得た。
【0255】
【化107】

【0256】
ステップ8. CHCl3(11mL)中に化合物39(133mg、0.112mmol)及びフェニルシラン(72mg、0.666mmol)を含有して成る、氷-水浴で0℃に冷却された溶液に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(192mg、0.166mmol)を添加した。当該反応混合物を0℃にて1.5時間撹拌し、2:3:1のCHCl3:MeOH:H2O(1mL)を添加して中止させた。当該反応混合物を、2:3:1のCHCl3:MeOH:H2O中に0.05-0.1MのNH4OAcを含有して成るもので溶離されるDEAEカラムにより精製した。HPLC(A:ヘキサン-イソプロパノール-H2O 370-540-90、B:H2O-イソプロパノール 1-10、60分間でA/Bは0/100-100/0)によりさらに精製すると、ER804469(35mg、収率30%)が得られた。
【0257】
【化108】

【0258】
例7. 811195の調製
ステップ1. DMF/DCM(5mL/5mL)中にグリシンt-ブチルエステル(511mg、3.05mmol)及びN-(3-インドリルアセチル)-L-イソロイシン(878mg、3.05mmol)を含有して成る室温の溶液に、DIPEA(2.1mL、12.2mmol)及びHBTU(2.31g、6.10mmol)を添加した。1時間撹拌した後、当該反応混合物をEAで希釈して、水(×2)及びブライン(×1)で洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィにより精製して、化合物40(830mg、収率68%)を得た。
【0259】
【化109】

【0260】
ステップ2. 化合物40(83.0mg、0.207mmol)に、4MのHCl/ジオキサン溶液(2mL、8mmol)を添加した。室温にて18時間撹拌した後、当該反応混合物を濃縮して、THF/トルエンを用いて共沸させ、化合物41(93.3mg、超過重量)を得た。
【0261】
【化110】

【0262】
ステップ3. DCM(20mL)中に化合物42(2.05g、3.20mmol、米国特許第6,290,973号記載のように調製)を含有して成る0℃の溶液に、DMAP(78.0mg、0.64mmol)及びEt3N(892μL、6.40mmol)、次いでMsCl(496μL、6.40mmol)を添加した。氷浴を取り除き、当該反応混合物を室温にて30分間撹拌した。当該反応混合物を0℃に冷却し、0.5NのHClを用いて中止させた。水層をDCMで抽出した(×2)。シリカゲルクロマトグラフィにより精製して、化合物43(2.30g、収率100%)を得た。
【0263】
【化111】

【0264】
ステップ4. DMF(10mL)中に化合物43(2.30g、3.20mmol)を含有して成る室温の溶液に、NaN3(624mg、9.6mmol)を添加した。当該反応混合物を100℃にて計20時間加熱した。室温まで冷却した後、当該反応混合物をEAで希釈し、水及びブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィにより精製して、化合物44(1.24g、収率58%)を得た。
【0265】
【化112】

【0266】
ステップ5. MeOH(20mL)中に化合物44(1.24g、1.86mmol)を含有して成る室温の溶液に、Pd/C(200mg)を添加した。当該反応混合物を水素雰囲気下で4時間撹拌した。Celiteを通して濾過した後、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィにより精製して、化合物45(793mg、収率64%)を得た。
【0267】
【化113】

【0268】
ステップ6. DCM(1mL)中に化合物45(102mg、0.16mmol)及びBoc-L-セリン(39mg、0.19mmol)を含有して成る溶液に、EDC(46mg、0.24mmol)を添加した。室温にて20時間撹拌した後、当該反応混合物を濃縮させ、分取TLCにて精製し、化合物46(113mg、収率86%)を得た。
【0269】
【化114】

【0270】
ステップ7. 化合物46(113mg、0.137mmol)に、4.0NのHCl(1.5mL、6.0mmol)を添加した。室温にて2.5時間撹拌した後、当該反応混合物を濃縮させ、トルエンと共に共沸させ(×2)、化合物47(108mg、収率100%)を得た。
【0271】
【化115】

【0272】
ステップ8. DMF(1.0mL)中に化合物47(108mg、0.137mmol)及び化合物41(79.0mg、0.207mmol)を含有して成る溶液に、EDC(28mg、0.411mmol)、HOBT(48μL、0.207mmol)、及びDIPEA(48μL、0.274mmol)を添加した。室温にて17時間撹拌した後、当該反応混合物をEAで希釈し、水及びブラインで洗浄した。シリカゲルクロマトグラフィにより精製して、化合物48(13.7mg、収率9.5%)を得た。
【0273】
【化116】

【0274】
ステップ9. ピリジン(1.0mL)中に化合物48(13.7mg、0.013mmol)を含有して成る溶液に、Py-SO3(過剰量)を添加した。室温にて24時間撹拌した後、当該反応混合物をコットンを通して濾過し、濃縮させ、トルエンと共に共沸させた。シリカゲルクロマトグラフィにより精製して、ER811195(8.6mg、収率58%)を得た。
【0275】
【化117】

【0276】
例7. 809266の調製
ステップ1. DCM(40mL)中に3(R)-1,3-ジヒドロキシデカン(6.39g、36.6mmol)を含有して成る0℃の溶液に、DMAP(0.447g、3.66mmol)、トリエチルアミン(10.2mL、73.2mmol)及びTBDPSCl(10.7mL、40.4mmol)を添加した。室温にて20時間撹拌した後、当該反応混合物をDCMで希釈し、0.5NのHCl及び飽和炭酸水素塩で洗浄した。足し合わした有機溶液を硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濃縮して、粗化合物49(約16.5g)を得、それをそのまま用いた。
【0277】
【化118】

【0278】
ステップ2. THF(45mL)中に粗化合物49(5.35g、約13.0mmol)を含有して成る0℃の溶液に、トリフェニルホスフィン(10.3g、38.9mmol)、4-ニトロ安息香酸(6.5g、38.9mmol)及びDEAD(6.1mL、38.9mmol)を添加した。0℃にて60分間撹拌した後、当該反応混合物を-20℃にて一晩フリーザ内で維持した。EA/ヘキサンを用いるBiotageカラムにより精製して、化合物50(5.77g、収率79%)を得た。
【0279】
【化119】

【0280】
ステップ3. 1:1のTHF:MeOH(120mL)中に化合物50(5.77g、10.3mmol)を含有して成る室温の溶液に、炭酸カリウム(1.72g、12.33mmol)を一度に添加した。室温にて4時間撹拌を継続した。EA/ヘキサンを用いるBiotageカラムにより精製して、化合物51(3.26g、収率77%)を得た。
【0281】
【化120】

【0282】
ステップ4. 無水DCM(20mL)中に化合物51(3.26g、7.9mmol)を含有して成る0℃の溶液に、DMAP(0.193g、1.5mmol)及びトリエチルアミン(2.2mL、15.2mmol)を添加し、次いでメタンスルホニルクロリド(1.22mL、15.2mmol)をゆっくりと添加した。0℃にて30分間撹拌した後、当該反応混合物を室温まで温め、さらに30分間撹拌した。当該反応混合物を0.5MのHCl(50mL)で希釈し、DCM(3×40mL)で抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム飽和溶液で洗浄し、MgSO4を用いて乾燥させ、濾過、濃縮して、化合物52(4.0g)を得、それを次の反応に直に使用した。
【0283】
【化121】

【0284】
ステップ5. DMF(30mL)中に化合物52(3.6g、7.34mmol)を含有して成る溶液に、室温にて、アジ化ナトリウム(1.45g、22.3mmol)を添加した。当該反応混合物を、油浴中、140℃にて一晩加熱した。水で希釈し、EAで抽出した後、足し合わした有機層をMgSO4を用いて乾燥させ、濃縮させた。10%のEA/ヘキサンを用いてBiotageカラムにて精製して、化合物53(2.27g、収率70%)を得た。
【0285】
【化122】

【0286】
ステップ6. 無水THF(20mL)中に化合物53(2.25g、5.15mol)を含有して成る室温の溶液に、テトラブチルアンモニウムフルオリド(4.04g、15.44mmol)を一度に添加した。当該混合物を室温にて90分間撹拌し、水/EAで希釈した。水層をEA(3×20mL)で抽出し、0.1NのHCl(20mL)及び炭酸水素ナトリウム飽和溶液(20mL)で洗浄した。Biotage 40mmカラム(30% EA/ヘキサン)を備えたフラッシュクロマトグラフィにより、化合物54(1.02g、収率99%)を得た。
【0287】
【化123】

【0288】
ステップ7. DCM(20.0mL)中に化合物54(1.01g、5.1mmol)を含有して成る0℃の溶液に、DMAP(45.0mg、0.37mmol)、トリエチルアミン(1.4mL、10.1mmol)、及びメタンスルホニルクロリド(0.78mL、10.1mmol)を添加した。生じた混合物を0℃にて2時間、室温にて一晩撹拌した。当該反応混合物を水で希釈し、EA(3×20mL)で抽出し、MgSO4を用いて乾燥させ、濾過し、濃縮させた。Biotage 25mmカラム(20% EA/ヘキサン)を用いるフラッシュクロマトグラフィにより、化合物55(1.27g、収率90%)が得られた。
【0289】
【化124】

【0290】
ステップ8. THF(5.0mL)中にカリウムtert-ブトキシド(0.98g、8.73mmol)を含有して成る0℃の懸濁物に、THF(10.0mL)中にベンズイミデート化合物56(L-セリンメチルエステルからのもの)(1.5466g、8.73mmol)を含有して成る溶液を、速度0.24mL/分にてシリンジポンプを用いて添加した。生じた反応混合物を0℃にて1時間撹拌した。当該混合物に、THF(10.0mL)中に化合物55(1.21g、4.36mmol)を含有して成る溶液を、速度0.24mL/分にてシリンジポンプを用いて添加した。当該反応混合物を48時間撹拌した。フラッシュクロマトグラフィ(30% EA/ヘキサン)により、化合物57(0.73g、収率46%)が得られた。
【0291】
【化125】

【0292】
ステップ9. MeOH(10mL)中に化合物57(0.93g、2.6mmol)を含有して成る室温の溶液に、2NのHCl(7.8mL、15.6mmol)を添加した。当該反応混合物を90℃にて2時間加熱した。当該反応混合物を室温まで冷ました後、当該反応混合物に室温にて7.4NのNaOH溶液(4.2mL、31.2mmol)を添加した。当該反応混合物を90℃にて4時間加熱し、室温まで冷却し、一晩静置した。当該反応混合物をDCM(3×50mL)で抽出し、足し合わした有機物を濃縮して、粗化合物58(0.81g)を得、それをさらに精製することなく次のステップに使用した。
【0293】
【化126】

【0294】
ステップ10. THF(10mL)中に化合物58(0.72g)を含有して成る室温の溶液に、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(10mL)を添加した。生じた混合物に、0℃にて、ミリストイルクロリド(0.63mL、2.24mmol)を添加した。0℃にて20分間撹拌を継続した。当該反応混合物を水で希釈し、DCM(3×10mL)で抽出し、乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(30% EA/ヘキサン)により精製して、化合物59(0.92g、2ステップでの収率76%)を得た。
【0295】
【化127】

【0296】
ステップ11. ジクロロメタン(25mL)中に化合物59(0.92g)を含有して成る室温の溶液に、ピリジニウムトリフルオロアセテート(803mg)を添加した。当該反応混合物を-20℃まで冷却し、Boc-リン酸化剤化合物6(1.10g)を添加した。2時間後、30%の過酸化水素(0.88mL)を添加し、当該反応物を室温まで温めた。当該反応混合物にチオ硫酸ナトリウム溶液(20mLの水に1.24g)を添加した。水洗、カラムクロマトグラフィにより、化合物60(0.619g、収率47%)を得た。
【0297】
【化128】

【0298】
ステップ12. 20/1のTHF:H2O(5.5mL)中に化合物60(0.29g、0.38mmol)を含有して成る室温の溶液に、トリフェニルホスフィン(0.18g、0.69mmol)を添加した。生じた混合物を室温にて一晩撹拌し、濃縮させ、トルエンと共に共沸乾燥させて、化合物61を得、それを精製することなく次のステップに使用した。
【0299】
【化129】

【0300】
ステップ13. DCM(5.0mL)中に粗化合物61(0.50g)を含有して成る0℃の溶液に、ラウリル酸(0.14g、0.70mmol)、EDC(0.13g、0.70mmol)、及びHOBt(0.094g、0.70mmol)を添加した。生じた混合物を、化合物61が消費されるまで、室温にて撹拌した。フラッシュクロマトグラフィにより、化合物62(0.122g、2ステップでの収率39%)を得た。
【0301】
【化130】

【0302】
ステップ14. DCM中に化合物62(0.122g、0.135mmol)を含有して成る溶液に、0℃にて、トリエチルシラン(108μL、0.67mmol)及びTFA(104μL、1.35mmol)を添加した。生じた混合物を室温にて撹拌し、化合物62が消費されるまでTLC(10% MeOH/DCM)によりモニタした。当該反応混合物を水及び炭酸水素ナトリウム飽和溶液で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出し、硫酸ナトリウムを用いた乾燥させ、濃縮して、粗アミン化合物63を得、それをさらに精製することなく次の反応に直に用いた。
【0303】
【化131】

【0304】
ステップ15. DCM(3.0mL)中に化合物63(55.4mg、0.069mmol)及び2-(4-アリルオキシベンジル)マロン酸,モノアリルエステル(60.1mg、0.207mmol)を含有して成る溶液に、-5℃にて、EDC(26.3mg、0.138mmol)、HOBt(18.6g、0.138mmol)、及びトリエチルアミン(72.2μL、0.41mmol)を添加した。当該混合物を室温にて一晩撹拌し、炭酸水素塩飽和溶液で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出し、硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、濃縮した。25mmのBiotageカラム(40% アセトン/ヘキサン)によるフラッシュクロマトグラフィにより、化合物64(52mg、収率69%)が得られた。
【0305】
【化132】

【0306】
ステップ16. THF中に化合物64(51.7mg、0.048mmol)を含有して成る溶液に、室温にて、フェニルシラン(53.4μL、0.433mmol)、トリフェニルホスフィン(22.7mg、0.086mmol)、及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(16.7mg、0.014mmol)を添加した。当該反応混合物を室温にて60分間撹拌し、DEAE上にのせ、2:3:1のCHCl3:MeOH:H2Oで溶離して、パラジウム触媒を除去し、次いで2:3:1中に0.01M、0.02MのNH4OAcを含有して成るものを用いてカラム溶離した。生成物部分を収集し、等容積のDCMで希釈した。当該有機溶液を濃縮して、ER809266(32.8mg、収率71%)を得た。
【0307】
【化133】

【0308】
メシル化及びアジド置換の前には化合物49の対掌の構成が逆にならないことを除いて、同様の反応シーケンスでER809265及びER809267を調製することができる。
【0309】
【化134】

【0310】
例8.TLR2及びTLR4拮抗剤の識別
材料
Pam3CSK4及びR-MALP-2リポペプチド(EMC-Microcollections)、又はリポ多糖(LPS、Lis Biologicals)のどちらかを、濃度1mg/mLとなるように水中に溶解させ、5回、30秒の超音波処理を行い、アリコート中、-20℃にて保管した。細胞に加える前には、リガンドの溶解したアリコートを1分間超音波処理し、次いで2ng/mLのPam3CSK4、16ng/mLのR-MALP-2、又は100ng/mLのLPSとなるように培地中に希釈させた。
【0311】
試験化合物は、4%のDMSO中に30mM含まれるように保管した。当該アッセイにおける試験化合物の最終濃度は、0.2%のDMSO中にて、0.1、0.3、1、3、10及び30μMであった。当該アッセイでは、0.2%のDMSOを比較対照として用いた。
【0312】
TLR4、MD2及びNF-kBレポーター遺伝子ELAM-1-ルシフェラーゼのプラスミドを安定に保持するHEK293細胞(HEK-TLR4-MD2-ELAM)は、Yangらによる、J. Biol. Chem. 275:20861-20866, 2000に記載のように生成した。
【0313】
HEK-TLR2-ELAM細胞は、2ステップ法により作製した。ステップ1では、Hek293細胞に、ヒトTLR2をエンコードするpcDNA3.0をトランスフェクトし、次いで10%胎児血清が添加されたG418含有D-MEMを用いて抗生物質の選択(antibiotic selection)を行い、Hek-TLR2細胞を生成する。ステップ2では、Hek-TLR2細胞に、pELAM-luc/Zeoをトランスフェクトし、次いで10%胎児血清が添加されたZeocin含有D-MEMを用いて抗生物質の選択を行った。トランスフェクタントを、リガンドにより誘導されるpELAM-ルシフェラーゼレポーターの活性を測定することによってTLR2反応性に関してスクリーニングし、RT-PCRによってTLR2 mRNA発現に関して分析した。
TLR2拮抗作用アッセイ
ステップ1. 1日目に、HEK-TLR2-ELAM細胞を、96ウェルのブラックプレート内に、2×105細胞/mL、80μL/ウェルにて配置した。細胞は、37℃、5%CO2にて、24時間培養した。用いた成長培地は、D-MEM、10%胎児血清、2mM L-グルタミン、10μg/mL Ciprofloxacin、300μg/mL Geneticin(G418)、及び150μg/mL Zeocinであった。
【0314】
ステップ2. 2日目に、ウェルに各試験化合物を10μL添加し、全てのウェルにリポペプチドを10μL添加した。次いで、プレートを、37℃、5%CO2にて、18時間培養した。
【0315】
ステップ3. 3日目に、各ウェルに、25μLのSteady-Glo剤(Promega, Inc.)を添加した。次いでプレートを5分間揺すり、各ウェルの化学ルミネッセンスをWallac 1450 MicroBeta TriLuxカウンタにおいて読み取った。投薬反応曲線を、KaleidaGraph version 3.5 Synergy Softwareにてプロットし、IC50値を計算した。
TLR4拮抗作用アッセイ
ステップ1. 1日目に、HEK-TLR4-MD2-ELAM細胞を、96ウェルのブラックプレート内に、4×105細胞/mL、80μL/ウェルにて配置した。用いた成長培地は、D-MEM、10%胎児血清、2mM L-グルタミン、10μg/mL Ciprofloxacin、300μg/mL Geneticin(G418)、150μg/mL Zeocin、及び50μg/mL Hygromycinであった。
【0316】
ステップ2. 2日目に、ウェルに各試験化合物を10μL添加し、全てのウェルに10nMの可溶性CD14(Biometec)が添加されたLPSを10μL添加した。次いで、プレートを、37℃、5%CO2にて、18時間培養した。
【0317】
ステップ3. 3日目に、各ウェルに、25μLのSteady-Glo剤(Promega, Inc.)を添加した。次いでプレートを5分間揺すり、各ウェルの化学ルミネッセンスをWallac 1450 MicroBeta TriLuxカウンタにおいて読み取った。投薬反応曲線を、KaleidaGraph version 3.5 Synergy Softwareにてプロットし、IC50値を計算した。
【0318】
TLR2及びTLR4アッセイにおける、本発明の特定の化合物の拮抗作用を表6に提示する。
【0319】
【表6】

【0320】
TLR2は、TLR6及びTLR1と協働してヘテロダイマーを形成し、異なる微生物リガンドを認識する。例えば、TLR2は、TLR1と協働するとトリアシル化リポペプチド(Pam3CSK4)を認識し、一方TLR6とはジアシル化リポペプチド(R-MALP-2)を認識する。本発明の化合物に関する当該ヘテロダイマーの選択性を、ER811245及びER808977について表7に示す。
【0321】
【表7】

【0322】
以上の説明から、種々の用途及び疾患に適応させるべく、ここに記載の発明に変更及び改良を成し得ることは明らかであろう。そのような実施形態もまた、添付の特許請求の範囲の範囲内である。
【0323】
本明細書で述べた全ての刊行物は、個々の各刊行物若しくは特許出願が、具体的且つ個々に示されているのと同等に、参照することで個々に取り入れることとする。
【0324】
他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


を有する化合物、又は製薬的に許容し得るそれらの塩若しくはプロドラッグ。
式中、
aは、1-3の整数であり;
bは、0-4の整数であり、この場合、bが0のとき、X及びWに結合している炭素は2つ以上のヘテロ原子には結合しておらず;
R1は、H又はC1-6アルキルであり;
Xは、-NRX1V、-N(RX1)C(O)V、-N(RX1)C(S)V、-N(RX1)C(O)N(RX2)V、-N(RX1)C(S)N(RX2)V、-N(RX1)C(O)OV、-N(RX1)S(O)2V、-C(O)N(RX1)V、-C(O)OV、-OC(O)V、-OC(O)OV、及び-OC(O)N(RX1)Vから成る群から選択され、ここで、RX1及びRX2の各々は、個々独立してH又はC1-6アルキルであり、Vは、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
Wは、H、-C(O)N(RW1)RW2、-C(O)ORW2、-(CH2)cORW3、-(CH2)cSRW3、-(CH2)cO(CH2)dCH(ORW3)RW4、-(CH2)cS(CH2)dCH(ORW3)RW4、-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)RW4、及び-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)(CH2)eORW5から成る群から選択され、ここで、c及びdの各々は個々独立して1-4の整数であり、eは2-4の整数であり、RW1は、H又はC1-6アルキルであり、RW2は、C1-20アルキル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、RW3及びRW5の各々は、個々独立してH、C1-20アルキル、C1-21アシル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、RW4は、H、C1-20アルキル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、ここで、RW2、RW3、 RW4及びRW5の各々は、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換されており、炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を任意に含み、且つ炭素鎖に1-4つの非隣接酸素原子を任意に含み;
Uは、
【化2】


から成る群から選択され、ここで、fは、1-4の整数であり、gは、0又は1であり、
RU1、RU2、及びRU3の各々は、個々独立して、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであるか、又はRU1はH又は任意に置換されたC1-6アルキルであり且つRU2及びRU3は共に炭素原子に結合して任意に置換されたC3-6脂肪族環を形成しているか、又はRU2はHであり且つRU3及びRU1並びにRU3に結合した炭素原子及びRU1に結合した窒素原子は共に任意に置換された4-6員のヘテロ環を形成しており、
RU4は、-CH2RU5、-C(O)RU6、-C(O)NH(RU7)、及び-C(O)O(RU8)から成る群から選択され、ここで、RU5、RU6、RU7及びRU8の各々は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15へテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択されるか、又はRU4は、C末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つH、-CH2RU5、-C(O)RU6、-C(O)NH(RU7)、及び-C(O)O(RU8)から選択される基によってペプチドN末端位置が置換されており、ここでRU5、RU6、RU7及びRU8の各々は先に定義した通りであり、且つ
RU5は、N末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つC末端はCO2RU9若しくはCONRU10RU11であり、ここでRU9、RU10及びRU11の各々は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択される。
【請求項2】

【化3】


を有する化合物、又は製薬的に許容し得るそれらの塩若しくはプロドラッグ。
式中、
aは、1-3の整数であり;
bは、0-4の整数であり、この場合、bが0のとき、X及びYに結合している炭素は2つ以上のヘテロ原子に結合しておらず;
R1、R2及びR3は、個々独立してH又はC1-6アルキルであり;
R4は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、若しくは任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであり;
R5は、CO2H、SO3H、OSO3H、OP(O)(OH)2、若しくは5-テトラゾリルであり;
Xは、-NRX1V、-N(RX1)C(O)V、-N(RX1)C(S)V、-N(RX1)C(O)N(RX2)V、-N(RX1)C(S)N(RX2)V、-N(RX1)C(O)OV、-N(RX1)S(O)2V、-C(O)N(RX1)V、-C(O)OV、-OC(O)V、-OC(O)OV、及び-OC(O)N(RX1)Vから成る群から選択され、ここで、RX1及びRX2の各々は、個々独立してH又はC1-6アルキルであり、Vは、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
Wは、H、-C(O)N(RW1)RW2、-C(O)ORW2、-(CH2)cORW3、-(CH2)cSRW3、-(CH2)cO(CH2)dCH(ORW3)RW4、-(CH2)cS(CH2)dCH(ORW3)RW4、-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)RW4、及び-C(O)N(RW1)(CH2)cCH(ORW3)(CH2)eORW5から成る群から選択され、ここで、c及びdの各々は個々独立して1-4の整数であり、eは2-4の整数であり、RW1は、H又はC1-6アルキルであり、RW2は、C1-20アルキル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、RW3及びRW5の各々は、個々独立してH、C1-20アルキル、C1-21アシル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、RW4は、H、C1-20アルキル、C1-20アルケニル若しくはC1-20アルキニルであり、ここで、RW2、RW3、 RW4及びRW5の各々は、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換されており、炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を任意に含み、且つ炭素鎖に1-4つの非隣接酸素原子を任意に含み;
Uは、
【化4】


から成る群から選択され、ここで、fは、1-4の整数であり、gは、0又は1であり、
RU1、RU2、及びRU3の各々は、個々独立して、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、若しくは任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであるか、又はRU1はH又は任意に置換されたC1-6アルキルであり且つRU2及びRU3は共に炭素原子に結合して任意に置換されたC3-6脂肪族環を形成しているか、又はRU2はHであり且つRU3及びRU1並びにRU3に結合した炭素原子及びRU1に結合した窒素原子は共に任意に置換された4-6員のヘテロ環を形成しており、
RU4は、-CH2RU5、-C(O)RU6、-C(O)NH(RU7)、及び-C(O)O(RU8)から成る群から選択され、ここで、RU5、RU6、RU7及びRU8の各々は、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15へテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択されるか、又はRU4は、C末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つH、-CH2RU5、-C(O)RU6、-C(O)NH(RU7)、及び-C(O)O(RU8)から選択される基によってペプチドN末端位置が置換されており、ここでRU5、RU6、RU7及びRU8の各々は先に定義した通りであり、且つ
RU5は、N末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つC末端はCO2RU9若しくはCONRU10RU11であり、ここでRU9、RU10及びRU11の各々は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択される。
【請求項3】
X又はWが、少なくとも1つの炭素数7以上の直鎖アルキル成分を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
X及びYの各々が、少なくとも1つの炭素数7以上の直鎖アルキル成分を含む、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
Wが、-C(O)NH(CH2)2CH(OH)RW4であり、ここでRW4はC7-19アルキルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項6】
Wが、-C(O)NH(CH2)2CH2ORW3であり、ここでRW3は-C(O)(CH2)aaCH3であり、aaは6-18の整数である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項7】
Wが、-C(O)NH(CH2)2CH(ORW3)RW4であり、ここでRW3は-C(O)(CH2)aaCH3であり且つRW4はCH2OC(O)(CH2)bbCH3であり、aa及びbbの各々が個々独立して6-18の整数である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項8】
Uが、C(O)C(RU2)(RU3)NHRU4若しくは-C(O)(CH2)fNHRU4であり、ここでRU2は任意に置換されたC1-6アルキルであり、RU3はHであり、RU4は任意に置換されたC6-10アリール若しくは任意に置換されたC2-9ヘテロアリールである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項9】
Uが、
【化5】


である、請求項1又は2に記載の化合物。
式中、
RU2は、C1-6アルキルであり、RU3は、Hであり、且つRU12は、任意に置換されたC6-10アリール、任意に置換されたC6-10アリールオキシ、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC7-16アラルコキシ、任意に置換されたC2-9ヘテロシクリル、任意に置換されたC2-9ヘテロシクリルオキシ、任意に置換されたC3-15ヘテロシクリルアルキル、若しくは任意に置換されたC3-15ヘテロシクリルアルキルオキシである。
【請求項10】
Uが、
【化6】


から成る群から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が、
【化7】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が、
【化8】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が、
【化9】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が、
【化10】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が、
【化11】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が、
【化12】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が、
【化13】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が、
【化14】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
前記化合物が、
【化15】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
前記化合物が、
【化16】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
前記化合物が、
【化17】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
前記化合物が、
【化18】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
前記化合物が、
【化19】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、
【化20】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項25】
前記化合物が、
【化21】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項26】
前記化合物が、
【化22】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項27】
前記化合物が、
【化23】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項28】
前記化合物が、
【化24】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項29】
前記化合物が、
【化25】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、
【化26】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項31】
前記化合物が、
【化27】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項32】
前記化合物が、
【化28】


である、請求項1に記載の化合物。
【請求項33】

【化29】


を有する化合物、又は製薬的に許容し得るそれらの塩若しくはプロドラッグ。
式中、
iは、1-4の整数であり、
R6は、H若しくはC1-6アルキルであり;
Zは、-NRZ1V、-N(RZ1)C(O)V、-N(RZ1)C(S)V、-N(RZ1)C(O)N(RZ2)V、-N(RZ1)C(S)N(RZ2)V、-N(RZ1)C(O)OV、及び-N(RZ1)S(O)2Vから成る群から選択され、ここで、RZ1及びRZ2の各々は、個々独立してH若しくはC1-6アルキルであり、Vは、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
R7は、任意にハロ、ヒドロキシ、C1-21アシルオキシ、オキソ、C1-20アルコキシ若しくはC1-20チオアルコキシで置換された、C1-20アルキル、C1-20アルケニル、又はC1-20アルキニル基であり且つ炭素鎖の末端中及び/又は末端に1-2つのフェニル若しくはビフェニル成分を含有しており;
R8及びR9の各々は、個々独立して、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC7-16アラルキル、若しくは任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキルであるか、又はR8及びR9は共に炭素原子に結合して任意に置換されたC3-6脂肪族環を形成しており;
Tは、ORT1、NRT2RT3であるか、又はN末端を介して連結された1-10の天然若しくは非天然アミノ酸から成るペプチド鎖又はそれらの混合物であり且つC末端はCO2RT1若しくはCONRT2RT3であり、ここで、RT1、RT2及びRT3の各々は、H、任意に置換されたC1-6アルキル、任意に置換されたC2-6アルケニル、任意に置換されたC2-6アルキニル、任意に置換されたC7-16アラルキル、任意に置換されたC2-15ヘテロシクリルアルキル、任意に置換されたC6-10アリール、及び任意に置換されたC1-9ヘテロシクリルから成る群から選択される。
【請求項34】
請求項1〜33の何れかに記載の化合物と、製薬的に許容し得る賦形剤とを含んで成る製薬組成物。
【請求項35】
患者内におけるToll-like receptor 2の活性化により特徴付けられる疾患又は状態を予防あるいは治療するための方法であって、Toll-like receptor 4よりもToll-like receptor 2の拮抗作用に選択性を有する化合物、又はToll-like receptor 2及びToll-like receptor 4の2つに対する拮抗剤を患者に投与することを含む、方法。
【請求項36】
患者内におけるToll-like receptor 2の活性化により特徴付けられる疾患又は状態を予防あるいは治療するための方法であって、Toll-like receptor 2及びToll-like receptor 4の2つに対する拮抗剤である化合物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項37】
患者内におけるToll-like receptor 2の活性化により特徴付けられる疾患又は状態を予防あるいは治療するための方法であって、請求項1〜33の何れかに記載の化合物を患者に投与することを含む、方法。
【請求項38】
前記疾患又は状態が、炎症性腸疾患、敗血症、歯周病、粘膜炎、にきび、心臓血管疾患、慢性閉塞性肺疾患、関節炎、嚢胞性線維症、細菌感染症、ウィルス感染症、マイコプラズマ関連疾患、帯状疱疹後神経痛、虚血・再潅流傷害、喘息、発作、脳損傷、壊死性腸炎、床擦れ、ハンセン病、アトピー性皮膚炎、乾癬、外傷性障害、アレルギー、神経変性疾患、アンホテリシンBによる発熱及び腎炎、冠動脈バイパス術、アテローム性動脈硬化症から成る群から選択される、請求項35、36又は37に記載の方法。
【請求項39】
Toll-like receptor 2の活性化を低減又は阻害する薬剤を識別する方法であって、(i)前記レセプタを発現する細胞を、前記レセプタの活性化剤の存在下、候補薬剤に接触させること、及び(ii)前記レセプタの活性化に対する前記薬剤の効果を判定すること、を包含し、前記薬剤の存在下における前記レセプタの活性化の低減が、前記レセプタの活性化を低減又は阻害する薬剤の識別をもたらす、方法。
【請求項40】
前記レセプタの活性化に対する前記薬剤の効果が、前記レセプタの活性化により開始されるシグナル伝達経路内で誘導されるプロモーターの制御下にあるところのレポーター遺伝子の発現の分析により判定される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記細胞が、in vitroである、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記細胞が、in vivoである、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
或る化合物がToll-like receptor 2のアンタゴニストであるかどうかを判定する方法であって、Toll-like receptor 2の活性に関するアッセイにおいて、前記化合物を、請求項1〜33の何れかに記載の化合物と比較することを含む、方法。

【公表番号】特表2007−514648(P2007−514648A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536923(P2006−536923)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/035447
【国際公開番号】WO2005/039504
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(000000217)エーザイ株式会社 (102)
【Fターム(参考)】