説明

Trp−p8活性の低分子モジュレーター

Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレーター、低分子Trp−p8アゴニストを含む組成物、ならびに新規低分子Trp−p8モジュレーターを同定し特徴付ける方法と、Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させ、かつ/または増殖を阻害する方法と、Trp−p8を介した陽イオン流入を活性化する方法と、アポトーシスおよび/またはネクローシスを刺激する方法と、肺癌、乳癌、結腸癌および/または前立腺癌などの癌を含む疾患、および良性前立腺肥大などのTrp−p8発現に関係する他の疾患の処置のための関連方法とが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2006年2月15日に出願された米国仮特許出願第60/773,435号への優先権の利益を主張し、その内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、一般に、細胞生物学、生化学、および有機化学の分野に関する。より具体的には、本発明は、Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含むTrp−p8活性の低分子モジュレーター、ならびに低分子Trp−p8モジュレーターを含む組成物を提供する。また、新規低分子Trp−p8モジュレーターを同定し特徴付ける方法、ならびに細胞中のTrp−p8を介した陽イオン流入、および/またはアポトーシスを調節する方法、およびTrp−p8の発現、活性化、および/またはシグナル伝達に関わる疾患の関連処置法もまた提供される。本発明の組成物および方法で適切に処置される疾患例には、肺癌、乳癌、結腸癌、および/または前立腺癌などの癌が挙げられる。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
前立腺癌は合衆国における男性で診断される最も一般的な癌であり、肺腺癌に次ぐ2番目に高い癌死亡率をもつ。Parkerら、CA Cancer J. Clin.46巻:5〜27頁(1996年)。臓器に限定された前立腺癌を効果的に処置することは可能であるが、転移性疾患では処置オプションは非常に限定されている。したがって、初期段階の疾患を診断する新規方法を見出し、その疾患の進行および処置の両方を綿密にモニターし、かつ新規治療方法を開発することが非常に重要である。本目的を達成するために、前立腺癌の発達の分子機構を理解し、疾患診断および進行のための新規生化学的マーカーを特定することが重要となる。
【0004】
現在のところ、利用可能な前立腺特異的マーカーは非常に少ない。実証済の前立腺癌診断値の最もよく知られ、またよく特徴付けられたマーカーは、タンパク質前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA)、および前立腺特異的膜抗原(PSMA)である。これらのタンパク質のそれぞれは、疾患の処置用の新規免疫療法アプローチの標的にもなっている。Horoszewiczら、Anticancer Res.7巻:927〜935頁(1987年);Barrenら、Prostate 30巻:65〜68頁(1997年);Murphyら、Prostate 33巻:281〜285頁(1997年);Murphyら、Prostate 26巻:164〜168頁(1995年);Rochonら、Prostate 25巻:219〜223頁(1995年);Correaleら、J. Immunol.161巻:3186〜3194頁(1998年);およびMurphyら、Prostate 38巻:73〜78頁(1999年)。
【0005】
Trp−p8(一過性受容体ポテンシャル−p8)、TRPM8、およびCMR1(コールドおよびメントール受容体1)と様々に呼ばれる陽イオンチャネルタンパク質は、前立腺で優先的に発現されることが報告されている。全長ヒトTrp−p8cDNAのクローニングによって、カルシウムチャネルのtrpファミリーと相同性を共有する1104アミノ酸ポリペプチドに相当する転写物が明らかになった。非特許文献1および非特許文献2。Trp−p8は、ヒトTRPC7遺伝子(脳組織にて高頻度で発現されているtrpファミリーの推定Ca2+チャネルタンパク質)と特に高い相同性を示している。非特許文献3。Trp−p8はまた、ヒトメラスタチンと有意な相同性を示し、このメラスタチンは、メラニン細胞で発現するもう1つのTrpファミリー関連タンパク質であり、腫瘍抑制遺伝子であると考えられている。非特許文献4および非特許文献5。おそらく最も興味深いのは、Trp−p8遺伝子が、前立腺腫瘍性病変に加え広範囲の非前立腺腫瘍性病変で発現されるように思われることが観察されていることである。非特許文献6。
【0006】
Trpのスーパーファミリーは、20個を超える関係陽イオンチャネルタンパク質を含み、これらのタンパク質は、血管緊張低下および雄の妊性に関する感覚生理学を含む過程に関与している。Trpチャネルの欠陥は、増殖制御および腫瘍抑制の変化に関係している。Trpタンパク質はすべて、カルシウムチャネルであるが、それらのタンパク質は、選択性および活性化の様式が有意に変化する。Trpスーパーファミリーのメンバーは、顕著な配列相同性および推定膜貫通セグメントのサイズなどの推定構造類似性を共有する。
【0007】
Trp−p8は、前立腺癌、乳癌、肺癌および結腸癌を含む癌領域で過剰発現され、一方、正常組織内では、優先的に、ヒト前立腺(非特許文献6)および後根神経節(DRG、Dendreon、未公開観測)で発現される。Fuesselらは、Trp−p8は非常に前立腺に特異的な前立腺癌に関係した遺伝子であり、したがって、Trp−p8を特定の治療法のための潜在的な標的として適格であると見なすこと、を報告した。非特許文献7。他の化学種の中では、Trp−p8オルソログもまた、ラット(非特許文献8)およびマウス(非特許文献9)のDRG、および三卵性神経節(TG)細胞のサブセットで発現されると報告されている。よって、Trp−p8は疾患診断および処置の間の疾患進行のモニターにおけるかなりの潜在的用途を有する、全腫癌発現マーカーであり、かつ癌治療のための有効な標的である。
【0008】
Trp−p8が前立腺癌、肺癌、乳癌、および結腸癌に関係していること、ならびに重要な細胞機能で各種イオンチャネルが果たす重要な役割よって、Trp−p8チャネルには癌細胞シグナル伝達および/または癌細胞増殖において重要な機能があり得ることが示唆されている。アゴニストを通して活性化することによる、またはアンタゴニストを通して阻害することによる、Trp−p8活性の調節は、Trp−p8を発現する細胞を特定様式で調節するための治療法として価値があり得る。例えば、米国特許出願10/923,413参照。
【非特許文献1】Claphamら、Nature Reviews 2巻:387〜396頁(2001年)
【非特許文献2】およびClaphamら、IUPHAR Compendium、TRP Channels(2002年)
【非特許文献3】Nagamineら、Genomics 54巻:124〜131頁(1998年)
【非特許文献4】Duncanら、Cancer Res.58巻:1515〜1520頁(1998年)
【非特許文献5】Hunterら、Genomics 54巻:1l6〜123頁(1998年)
【非特許文献6】Tsavalerら、Cancer Res.61巻(9):3760〜9頁(2001年)
【非特許文献7】International J. of Oncology 23巻:221〜228頁(2003年)
【非特許文献8】McKemyら、Nature 416巻(6876):52〜8頁(2002年)
【非特許文献9】Peierら、Cell 108巻(5):705〜15頁(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、当技術分野において、Trp−p8活性の低分子モジュレーター、1つ以上の低分子Trp−p8モジュレーターを含む組成物、細胞中でのTrp−p8の活性を調節する低分子の同定法および使用法、ならびにTrp−p8の異常発現に関係する疾患の処置法に対する必要性が残っている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含むTrp−p8活性の低分子モジュレーター、およびそのようなTrp−p8モジュレーターを含む組成物、ならびにTrp−p8モジュレーターの同定法および使用法を提供することによって、これらおよび他の関連要求を満たす。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、陽イオン流入がTrp−p8モジュレーターにより誘導される毒性に相関している細胞中で、Trp−p8に結合してTrp−p8を活性化し、かつ/または、カルシウム流入を含むがこれに限定されない、陽イオン流入を刺激する。よって、これらの実施形態および他の実施形態では、本発明のTrp−p8アゴニストは、Trp−p8を発現する細胞の増殖を阻害すること、ならびに/あるいはTrp−p8を発現する細胞のアポトーシスおよび/またはネクローシスを誘導するのに効果的である。代替の実施形態では、細胞中のTrp−p8の基本的活性を低減し、それによってTrp−p8を発現する細胞の生存性を低減するのに効果的なTrp−p8アンタゴニストが提供されている。したがって、都合のよいことに、本発明のアゴニストおよびアンタゴニストは、Trp−p8発現に関係している乳房、肺、結腸、および/または前立腺の癌を含むが、これらに限定されない疾患を処置するのに使われ得る。
【0011】
1つ以上のTrp−p8モジュレーターが、1つ以上の薬学的に許容されるキャリアもしくは賦形剤、および/または1つ以上のその他の治療化合物を含む薬学的組成物を含む組成物に処方され得る。そのような組成物はTrp−p8発現に関係している1つ以上の疾患の処置法に利用される。
【0012】
したがって一実施形態において、本発明は、低分子が下記の式Iの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0013】
【化7】

式中、RはH、アルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、およびアリールから選択される、または、RおよびRは窒素基と共に25個までの原子の環状基または複素環基を形成でき;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0014】
関連した実施形態の中で、本発明は、低分子が下記の式I−Aの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0015】
【化8】

式中、A、B、C、およびDは、CRおよびNから独立に選択され;A、B、C、およびDのうちの少なくとも1つがCRであり;Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ハロゲン、アリールアルキル、RO−、およびRS−から選択されたメンバーであり、Rはアルキルであり;A、B、C、およびDの隣接する2つがCRであるとき、2つのRが一緒になって単一のアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成することができ、
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され、
は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、および−NR−から選択され、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択されたメンバーであり、
は、−C(O)R−、アルキル、アリールアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、Rは、アルキルおよびヘテロアルキルから選択され、
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され、
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0016】
式I−Aのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;RはHであり;Rは2個、3個、もしくは4個の炭素を含み;Rは、プロピオニル、エチル、ブチリル、ヒドロキシプロピオニル、および3−ヒドロキシブチリルから選択され;RはHおよびメチルから選択され;Rは、1個、2個、3個、4個、5個、もしくは6個の炭素を含み;ならびに/または、Rは、メトキシ、メチルスルファニル、フェニル、およびHから選択される。
【0017】
本明細書で例示されるのは、2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、N−(2−アミノ−エチル)−2−アミノ−5−メチルスルファニル−フェニル、1−(2−アミノ−エトキシ)−ナフタレン−2−イル、2−(2−アミノ−エチルアミノ)−4−メチルスルファニル−フェニル、N−(2−アミノ−エチル)−5−メトキシ−ベンズアミド、2−(2−アミノ−ブチリルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、3−(2−アミノ−エチルアミノ)−ナフタレン−2−イル、N−(2−アミノ−エチル)−2−アミノ−ベンズアミド、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−フェニル、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−ブチリルアミノ)−4−メトキシ−フェニルアミド、および2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−4−メトキシ−フェニルから選択された基を含む式I−Aの化合物である。
【0018】
他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Bの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0019】
【化9】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリール、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され、
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0020】
式I−Bのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択され;RはHおよびメチルから選択され;ならびに/または、Rは、フェニル、フラン、メチルピロール、メチルベンゾアート、アミノフェニル、ヒドロキシフェニル、シアノフェニル、およびメトキシフェニルから選択される。
【0021】
本明細書で例示されるのは、2−(2−アミノ−エチル)−5−フラン−2−イル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(4−アミノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−メチルアミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、4−{1−(2−アミノ−エチル)−1H−ピラゾール−3−イル}−安息香酸メチルエステル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−アミノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、および2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルから選択された基を含む式I−Bの化合物である。
【0022】
さらに他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Cの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0023】
【化10】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、−NHC(O)R−、−OR−、および−NHR−から選択され、Rはアルキルまたはヘテロアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0024】
式I−Cのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;Rはフェニルであり;Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択され;Rは、プロピオニルアミノ、エトキシ、プロポキシ、およびエチルアミノから選択され;ならびに/または、RはHおよびメチルから選択される。
【0025】
本明細書で例示されるのは、2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−2−フェニル−エチル、2−(2−アミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、2−(2−アミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、2−(3−アミノ−プロポキシ)−2−フェニル−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、および2−(2−アミノ−エチルアミノ)−2−フェニル−エチルから選択された基を含む式I−Cの化合物である。
【0026】
さらに他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Dの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0027】
【化11】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0028】
式I−Dのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;Rはフェニルおよびフェニルアミノから選択され;Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、およびアセチルから選択され;ならびに/または、RはHおよびメチルから選択される。
【0029】
本明細書で例示されるのは、2−[2−(2−アミノ−エチルアミノ)−フェニル]−エチル、2−(2−アミノメチル−フェニル)−エチル、および2−[(2−アミノ−アセチル)−フェニル−アミノ]−エチルから選択された基を含む式I−Dの化合物である。
【0030】
さらに他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Eの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0031】
【化12】

式中、A、B、C、およびDは、CRおよびNから独立に選択され;A、B、C、およびDのうちの少なくとも1つがCRであり;Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびハロゲンから選択され;A、B、C、およびDの隣接する2つがCRであるとき、2つのRが一緒になって単一のアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成することができ;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0032】
式I−Eのいくつかの例示的な化合物では、
(i)RはHまたは−ORであり、Rは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
(ii)Rは−SRiiであり、Riiは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
(iii)Rは−S(O)Riiiであり、Riiiは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
iv)Rは−S(O)iVであり、Rivは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
(v)Rは−C(O)NRviであり、RおよびRviは、H、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、ジエチルアミノエチル、フェニル、ピリジニル、メトキシエチル、ヒドロキシエトキシエチル、ベンジル、メチルフェニル、フェニルエチル、ヒドロキシヒドロキシメチルフェニルエチル、カルバモイルメチル、およびヒドロキシメチルヒドロキシエチルから独立に選択され;
(vi)Rは−C(O)NRViであり、RおよびRViは一緒に、モルホリン、ピペラジン、ピペラジンエチルエステルを形成し;
(vii)Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択され;
(viii)Rはエチレンであり、RはHであり;
(ix)RはCFまたはハロゲンである。
【0033】
本明細書で例示されるのは、3−(2−アミノ−エチル)−5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−エトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−メタンスルホニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸アミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−メチルスルファニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−メチルスルフィニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−プロピル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、[3(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ]−アセトニトリル、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸エチルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−3−イルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−アミド、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−d]イミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−プロポキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−4−イルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン、1−(3−アミノ−プロピル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸フェニルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル]−アミド、1−(2−アミノ−エチル)−5−トリフルオロメチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ベンジルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−(モルホリン−4−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(2−オキソ−2−フェニル−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−メチルアミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−ブトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、4−[3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ジエチルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸フェネチル−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸カルバモイルメチル−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)−アミド、N−{2−[2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−エチル}−グアニジン、3−(2−アミノ−エチル)−5−ベンジルオキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、および1−(4−アミノ−ブチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンから選択された基を含む式I−Eの化合物である。上記のような一実施形態においては、化合物3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンがもたらされる。
【0034】
本発明の他の態様は薬学的組成物を含む組成物を提供し、これらの組成物は、薬学的に許容される賦形剤、キャリア、および/または希釈剤と共に、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの1つ以上の低分子Trp−p8モジュレーターを含む。本明細書において、実施例に例示されるものは、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの特異的Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニスト;式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの例示的なTrp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを合成する方法;ならびに式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの開示されたTrp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストそれぞれのインビトロ効果および特異的な活性を例証するEC50データである。
【0035】
さらなる態様では、本発明の組成物は、1つ以上の癌治療薬を一緒に処方した、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの1つ以上の化合物を含む。あるいは、本発明の組成物は、独立に、1つ以上の癌治療薬と処方された、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物を含む。すなわち、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの1つ以上の化合物、ならびに癌治療薬は独立して処方される。
【0036】
適切な癌治療薬には、パクリタキセル、ビンクリスチン、およびエトポシドを含むが、これらに限定されない有糸分裂阻害剤;メクロレタミン、シクロホスファミド、およびカルムスチンを含むが、これらに限定されないアルキル化剤;メトトレキサート、ゲムシタビン、ロメトレキソール(lometrexol)、5−フルオロウラシル、および6−メルカプトプリンを含むが、これらに限定されない代謝拮抗剤;ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、およびストレプトゾシンを含むが、これらに限定されない細胞傷害性抗生物質;シスプラチンおよびカルボプラチンを含むが、これらに限定されない白金剤;タモキシフェン、およびジエチルスチルベストールなどの抗エストロゲンと、フルタミドなどの抗アンドロゲンとを含むが、これらに限定されないホルモン剤;抗血管新生作用剤;ならびにファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
いくつかの態様では、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物は、それ自体ではTrp−p8を発現する細胞でTrp−p8活性を調節するのに効果的ではない癌治療薬と共に投与される。意外にも、これらの型の併用治療法は、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの単一の化合物を単独で使用するのに比べ効力を増すことになる。
【0038】
他の態様では、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物は、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物を含むが、これらに限定されない、1つ以上の他のTrp−p8モジュレーターと共に投与される。
【0039】
これらの実施形態のあるものでは、本明細書に示される低分子Trp−p8アゴニストの低分子アンタゴニストが提供される。したがって、ある実施形態では、1つ以上の式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−EのTrp−p8アゴニストの式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−E、ならびにそれらの誘導体の低分子Trp−p8アンタゴニストが提供される。
【0040】
本発明のさらなる実施形態は、細胞生存性を減少させる方法、および/または細胞増殖を阻害する方法、陽イオン流入を刺激する方法、ならびにTrp−p8を発現する細胞において、アポトーシスおよび/またはネクローシスを誘導する方法を提供する。例示的な上記方法は、細胞生存性を減少させかつ/もしくは細胞増殖を阻害するのに細胞内カルシウムを増加するため、ならびに/または該細胞のアポトーシスおよび/もしくはネクローシスを誘導するために、必要な濃度と時間で、該細胞を式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物と接触させるステップを含む。
【0041】
さらなる実施形態では、本発明は、哺乳動物、最も典型的にはヒトの疾患を、本発明の1つ以上の化合物および/または組成物を投与することによって処置する方法を提供する。いくつかの態様では、この方法は、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物と、単一処方などにより同時に送達される1つ以上の癌治療薬との組合せを含む組成物を投与するステップを含む。いくつかの他の態様では、本発明の方法は、組合せ療法を含み、この療法では、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物が最初に1つの処方物で投与され、次いで、別の処方物で癌治療薬が投与される。この方法はまた、最初に1つの処方物で供給される癌治療薬を含み、次いで、別の処方物中での、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物を含む。
【0042】
本発明の治療法は、ある種の結腸癌、肺癌、乳癌、および前立腺癌を含むが、これらに限定されないTrp−p8の発現に関係する癌の処置に特に効果がある。
【0043】
添付図面と共に読まれる、以下のより詳細な説明を参照することによって、本発明の上記および他の特徴、ならびにそれらを得る方法が明らかとなり、本発明が最もよく理解されるであろう。
【0044】
配列番号1は、ヒトTrp−p8cDNAのヌクレオチド配列(GenBank登録番号AY090109)である。
【0045】
配列番号2は、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列(GenBank登録番号NP_076985)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
(発明の詳細な説明)
本発明は、Trp−p8活性のアゴニストを含むいくつかの低分子Trp−p8モジュレーターが、Trp−p8を発現する細胞の増殖を阻害でき、かつ/またはTrp−p8を発現する細胞におけるアポトーシスおよび/もしくはネクローシスを誘導することができる、という発見に基礎を置いている。どのような特定の作用形態にも限定されることを望むことなく、Trp−p8受容体のTrp−p8アゴニストを媒介する活性化は実質的に陽イオン流入を増加し、この流入は細胞の傷害性と相関関係があると考えられる。さらに、Trp−p8アンタゴニストは、内因性のTrp−p8活性の基本的レベル、および/またはネイティブなリガンドによって誘導された活性を阻害でき、この結果、この陽イオンチャネルタンパク質を発現する細胞の増殖減少または死を導くと考えられる。
【0047】
したがって、本発明は、Trp−p8活性のアゴニストおよびアンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレーター、ならびに1つ以上の薬学的に許容されるキャリアおよび/または賦形剤を組み合わせた、1つ以上の低分子Trp−p8モジュレーターを含有する薬学的組成物を含む組成物を提供する。本発明はまた、1つ以上のTrp−p8モジュレーター、および1つ以上の、例えば癌治療薬などの他の治療化合物、を含有する組合せ組成物を提供する。Trp−p8モジュレーター、およびTrp−p8モジュレーターを含む組成物は、細胞内でTrp−p8により媒介される陽イオン流入を活性化する方法、細胞のアポトーシスおよび/またはネクローシスを誘導する方法、ならびに乳癌、結腸癌、肺癌、および前立腺癌などの癌を含むが、これらに限定されないTrp−p8発現に関係する疾患の処置のための方法における用途がある。
【0048】
定義
用語「Trp−p8モジュレーター」は、集合的に低分子アゴニストおよびアンタゴニストである化合物を意味し、これらの化合物は、細胞中のTrp−p8に結合し、細胞中のTrp−p8の活性を、それぞれ増強または低下させる。Trp−p8アゴニストには、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの化学的誘導体が挙げられる。式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−EのTrp−p8アンタゴニストは、当業者よって、本明細書で明白に提供され、かつ/または当技術分野で容易に利用できるような方法を用いることによって、容易に合成および特徴化できる。
【0049】
句「Trp−p8を活性化する」は、細胞の表面上に発現されたTrp−p8のアゴニストを媒介にした活性化を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、細胞に接触させた場合、および/または哺乳動物の被験体にインビボで投与した場合、本発明のアゴニストは、Trp−p8を活性化し、それにより、細胞増殖の減少、ならびに/またはネクローシスによる細胞死および/またはアポトーシスによる細胞死の開始によって明らかとなるように、細胞に傷害を起こすのに十分な細胞内レベルまで、および/または継続時間の間、カルシウムイオンなどの陽イオンの流入が容易になる。
【0050】
用語「脂肪族アミン」は置換された窒素原子を意味し、H以外の置換基が飽和炭素原子によって窒素に結合している。
【0051】
用語「アルキル」は、単独で、または他の置換基の一部として、他に記述がなければ、直鎖もしくは分枝鎖、または環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合せを意味し、アルキルは、完全に飽和していてもよく、単一が、または複数が飽和していてもよく、指定された数の炭素原子を有する(すなわち、C〜C10は1から10個の炭素を意味する)、2価および多価の基を挙げることができる。飽和炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルの同族体、および異性体などが挙げられる。不飽和アルキル基は、1以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−プロピニル、および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに高級同族体および高級異性体が挙げられる。
【0052】
用語「アルケニル」は、1つ以上の炭素−炭素二重結合を含む分枝または非分枝の炭化水素鎖を意味する。
【0053】
用語「アルキニル」は、1つ以上の炭素−炭素三重結合を含む分枝または非分枝の炭化水素鎖を意味する。
【0054】
用語「アルキレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、−CHCHCHCH−で例示されるようなアルカンから誘導される2価の基を意味する。典型的には、アルキレン基は、1個から24個の炭素原子を有するが、本発明では、10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、より短い鎖のアルキル基、またはアルキレン基であり、一般に、8個以下の炭素原子を有する。
【0055】
用語「シクロアルキレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、シクロヘキシレンで例示されるようなシクロアルカンから誘導される2価の基を意味する。典型的には、シクロアルキレン基は、5個から8個の炭素原子を有するが、本発明では、6個の炭素原子を有する基が好ましい。
【0056】
用語「アルケニレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、−CH=CHCHCH−で例示されるようなアルケニルから誘導される2価の基を意味する。典型的には、アルケニレン基は、2個から24個の炭素原子を有するが、本発明では、10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。
【0057】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」は、それぞれ、酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子を介して、その分子の残部に結合したアルキル基を有する基を意味する。同様に、用語「ジアルキルアミノ」は、従来の意味で使用され、−NR’R”を意味し、ここでR基は、同じまたは異なったアルキル基であり得る。
【0058】
用語「ヘテロアルキル」は、単独で、または他の用語と共に、特に記述がなければ、完全に飽和していているか、または1度から3度の不飽和性を含み、明記された数の炭素原子、ならびにO、N、Si、およびSからなる群から選択される1個から3個のヘテロ原子から構成される安定な直鎖もしくは分枝鎖、または環状炭化水素基、あるいはそれらの組合せを意味し、ここで、窒素原子とイオウ原子は、必要に応じて酸化され、そして窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化され得る。ヘテロ原子O、N、およびSは、ヘテロアルキル基の内部の任意の位置に位置し得る。ヘテロ原子のSiは、ヘテロアルキル基の任意の位置に位置してもよく、この位置には、アルキル基がその分子の残部に結合した位置が挙げられる。例として、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH−)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH)−CHが挙げられる。2個までのヘテロ原子は連続してもよく、例えば、例として、−CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHが挙げられる。また、用語「ヘテロアルキル」には、「ヘテロシクロアルキル」として以下に詳述される基が挙げられる。用語「ヘテロアルキレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、−CH−CH−S−CHCH−および−CH−S−CHCH−NH−CH−で例示されるようなヘテロアルキルから誘導される2価の基を意味する。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖末端の一方または両方を占有することもできる。さらに、アルキレン連結基およびヘテロアルキレン連結基の場合、この連結基の配向は考慮されない。
【0059】
用語「アシル」は、有機酸のヒドロキシ部分を取り除くことで有機酸から誘導される基を意味する。したがって、アシルは、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、デカノイル、ピバロイル、ベンゾイルなどを含むことを意味する。
【0060】
「活性化カルボニル」基は、カルボニルの両側に結合した基の結果として、その求電子性が増強されるカルボニル基である。そのような活性化カルボニル基の例は、(ポリフルオロアルキル)ケトン、(ポルフルオロアルキル)アルデヒド、α−ケトエステル、α−ケト酸、α−ケトアミド、1,2−ジケトン、2−アシルチアゾール、2−アシルイミダゾールなどである。
【0061】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、単独で、または他の用語と併せて、特に記述しない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状版を表す。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環基が分子の残部に結合している位置を占有できる。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキシニル、3−シクロヘキシニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルには、例えば、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。
【0062】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、単独で、または他の置換基の一部として、特に記述しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「フルオロアルキル」などの用語は、モノフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキルを含むことを意味する。
【0063】
用語「アリール」は、単独で使用されるか、または他の用語と共に使用され(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)、特に記述しない限り、芳香族置換基を意味し、この基は単環、または縮合もしくは共有結合した複数環(3環まで)であり得る。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される0個から4個のヘテロ原子を含むアリール環を含むことを意味し、窒素原子とイオウ原子は必要に応じて酸化され、窒素原子は必要に応じて四級化される。「ヘテロアリール」基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合できる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記アリール環系のそれぞれに対する置換基は、下記の許容できる置換基の群から選択される。用語「アリールアルキル」は、アリール基またはヘテロアリール基が、アルキル基に結合している基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)、またはヘテロアルキル基に結合している基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル,3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むことを意味する。
【0064】
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、および「アリール」)は、各々、示された基の置換形および非置換形の両方を含むことを意味する。各型の基に対する好ましい置換基は、以下で提供される。
【0065】
アルキル基およびヘテロアルキル基に対する置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれる基を含む)は各種の基であり得、これらの基は−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R”’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NR”C(O)R’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、S(O)R’、−S(O)NR’R”、−CN、および−NOから選択され、ここで数はゼロから(2N+1)の範囲にあり、Nはそのような基の炭素の全数である。R’、R”、およびR”’は、各々独立に、水素、非置換(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、1個から3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリール−(C〜C)アルキル基を意味する。R’およびR”が、同じ窒素原子に結合している場合、それらはその窒素原子と一緒になり、5員環、6員環、または7員環を形成し得る。例えば、−NR’R”は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むことを意味する。置換基の上記議論から、当業者は、用語「アルキル」はハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、−C(O)CHOCHなど)のような基を含むことを意味することを理解するであろう。
【0066】
同様に、アリール基に対する置換基は様々であり、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R”、−SR’、−R’、−CN、−NO、−COR’、−CONR’R”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R”’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NR”−S(O)−R’、−N、−CH(Ph)、パーフルオロ(C〜C)アルコキシ、およびパーフルオロ(C〜C)アルキルから選択され、数はゼロから芳香族環系の空いている原子価の全数の範囲にあり;R’、R”、およびR”’は、水素、(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C〜C)アルキル、ならびに(非置換アリール)オキシ−(C〜C)アルキルから独立に選択される。
【0067】
アリール環の隣接原子上の置換基の2個は、必要に応じて、式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で置き換えられ得、ここでTおよびUは、独立して、−NH−、−O−、−CH−または単結合であり、下付き文字のqは、0から2までの整数である。あるいは、アリール環の隣接原子上の置換基の2個は、必要に応じて、式−A−(CH−B−の置換基で置き換えられ得、ここでAおよびBは、独立して、−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、rは1から3までの整数である。そのようにして形成された新しい環の単結合の1個は、必要に応じて、二重結合で置換してもよい。あるいは、アリール環の隣接原子上の置換基の2個は、必要に応じて、式−(CH−X−(CH−の置換基で置き換えられ得、ここでsおよびtは、独立して、0から3までの整数であり、Xは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である。−NR’−および−S(O)NR’における置換基R’は、水素または非置換(C〜C)アルキルから選択される。
【0068】
本明細書で使われる場合、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、およびイオウ(S)を含むことを意味する。
【0069】
用語「薬学的に許容される塩」とは、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの活性な化合物の塩であって、本明細書で記述した化合物に見出される特定の置換基に依存して、比較的非毒性の酸または塩基を使用して調製される塩を含むことを意味する。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、マグネシウム塩、または他の同様な塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素酸、正リン酸、リン酸一水素酸、ジヒドロリン酸、硫酸、硫酸一水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸などのような無機酸から誘導されるもの、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的非毒性の有機酸から誘導された塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
Trp−p8活性の低分子モジュレーター
本発明の組成物および方法に適切に使用される低分子Trp−p8モジュレーターは、本明細書で開示する式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物、ならびにその誘導体によって本明細書で例示される。
【0071】
したがって一実施形態において、本発明は、低分子が下記の式Iの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0072】
【化13】

式中、RはH、アルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、およびアリールから選択される、または、RおよびRは窒素基と共に25個までの原子の環状基または複素環基を形成でき;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0073】
関連した実施形態の中で、本発明は、低分子が下記の式I−Aの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0074】
【化14】

式中、A、B、C、およびDは、CRおよびNから独立に選択され;A、B、C、およびDのうちの少なくとも1つがCRであり;Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ハロゲン、アリールアルキル、RO−、およびRS−から選択されたメンバーであり、Rはアルキルであり;A、B、C、およびDの隣接する2つがCRであるとき、2つのRが一緒になって単一のアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成することができ、
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され、
は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、および−NR−から選択され、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択されたメンバーであり、
は、−C(O)R−、アルキル、アリールアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、Rは、アルキルおよびヘテロアルキルから選択され、
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され、
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0075】
式I−Aのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;RはHであり;Rは2個、3個、もしくは4個の炭素を含み;Rは、プロピオニル、エチル、ブチリル、ヒドロキシプロピオニル、および3−ヒドロキシブチリルから選択され;RはHおよびメチルから選択され;Rは、1個、2個、3個、4個、5個、もしくは6個の炭素を含み;ならびに/または、Rは、メトキシ、メチルスルファニル、フェニル、およびHから選択される。
【0076】
本明細書で例示されるのは、2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、N−(2−アミノ−エチル)−2−アミノ−5−メチルスルファニル−フェニル、1−(2−アミノ−エトキシ)−ナフタレン−2−イル、2−(2−アミノ−エチルアミノ)−4−メチルスルファニル−フェニル、N−(2−アミノ−エチル)−5−メトキシ−ベンズアミド、2−(2−アミノ−ブチリルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、3−(2−アミノ−エチルアミノ)−ナフタレン−2−イル、N−(2−アミノ−エチル)−2−アミノ−ベンズアミド、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−フェニル、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−ブチリルアミノ)−4−メトキシ−フェニルアミド、および2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−4−メトキシ−フェニルから選択された基を含む式I−Aの化合物である。
【0077】
他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Bの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0078】
【化15】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリール、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され、
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0079】
式I−Bのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択され;RはHおよびメチルから選択され;ならびに/または、Rは、フェニル、フラン、メチルピロール、メチルベンゾアート、アミノフェニル、ヒドロキシフェニル、シアノフェニル、およびメトキシフェニルから選択される。
【0080】
本明細書で例示されるのは、2−(2−アミノ−エチル)−5−フラン−2−イル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(4−アミノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−メチルアミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、4−{1−(2−アミノ−エチル)−1H−ピラゾール−3−イル}−安息香酸メチルエステル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−アミノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、および2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルから選択された基を含む式I−Bの化合物である。
【0081】
さらに他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Cの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0082】
【化16】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、−NHC(O)R−、−OR−、および−NHR−から選択され、Rはアルキルまたはヘテロアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0083】
式I−Cのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;Rはフェニルであり;Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択され;Rは、プロピオニルアミノ、エトキシ、プロポキシ、およびエチルアミノから選択され;ならびに/または、RはHおよびメチルから選択される。
【0084】
本明細書で例示されるのは、2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−2−フェニル−エチル、2−(2−アミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、2−(2−アミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、2−(3−アミノ−プロポキシ)−2−フェニル−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、および2−(2−アミノ−エチルアミノ)−2−フェニル−エチルから選択された基を含む式I−Cの化合物である。
【0085】
さらに他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Dの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0086】
【化17】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0087】
式I−Dのいくつかの例示的な化合物では、RはHであり;Rはフェニルおよびフェニルアミノから選択され;Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、およびアセチルから選択され;ならびに/または、RはHおよびメチルから選択される。
【0088】
本明細書で例示されるのは、2−[2−(2−アミノ−エチルアミノ)−フェニル]−エチル、2−(2−アミノメチル−フェニル)−エチル、および2−[(2−アミノ−アセチル)−フェニル−アミノ]−エチルから選択された基を含む式I−Dの化合物である。
【0089】
さらに他の関連した実施形態では、本発明は、低分子が下記の式I−Eの化合物を含む低分子Trp−p8モジュレーターおよびその誘導体を提供する:
【0090】
【化18】

式中、A、B、C、およびDは、CRおよびNから独立に選択され;A、B、C、およびDのうちの少なくとも1つがCRであり;Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびハロゲンから選択され;A、B、C、およびDの隣接する2つがCRであるとき、2つのRが一緒になって単一のアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成することができ;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する。
【0091】
式I−Eのいくつかの例示的な化合物では、
(i)RはHまたは−ORであり、Rは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
(ii)Rは−SRiiであり、Riiは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
(iii)Rは−S(O)Riiiであり、Riiiは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
(iv)Rは−S(O)iVであり、Rivは、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択され;
v)Rは−C(O)NRviであり、RおよびRviは、H、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、ジエチルアミノエチル、フェニル、ピリジニル、メトキシエチル、ヒドロキシエトキシエチル、ベンジル、メチルフェニル、フェニルエチル、ヒドロキシヒドロキシメチルフェニルエチル、カルバモイルメチル、およびヒドロキシメチルヒドロキシエチルから独立に選択され;
(vi)Rは−C(O)NRViであり、RおよびRViは一緒に、モルホリン、ピペラジン、ピペラジンエチルエステルを形成し;
(vii)Rは、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択され;
(viii)Rはエチレンであり、RはHであり;
(ix)RはCFまたはハロゲンである。
【0092】
本明細書で例示されるのは、3−(2−アミノ−エチル)−5−メトキシル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−エトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−メタンスルホニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸アミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−メチルスルファニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−メタンスルフィニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−プロピル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、[3(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ]−アセトニトリル、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸エチルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−3−イルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−アミド、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−d]イミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−プロポキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−4−イルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン、1−(3−アミノ−プロピル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸フェニルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル]−アミド、1−(2−アミノ−エチル)−5−トリフルオロメチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ベンジルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−(モルホリン−4−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(2−オキソ−2−フェニル−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−メチルアミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−ブトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、4−[3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ジエチルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸フェネチル−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸カルバモイルメチル−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)−アミド、N−{2−[2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−エチル}−グアニジン、3−(2−アミノ−エチル)−5−ベンジルオキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、および1−(4−アミノ−ブチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンから選択された基を含む式I−Eの化合物である。上記のような一実施形態においては、化合物3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンがもたらされる。
【0093】
低分子Trp−p8モジュレーターの合成
上述したように、本発明の化合物には、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物が挙げられる。いくつかの態様では、化合物は、当技術分野で容易に利用できる合成法を使用して、市販の出発原料を使用して製造できる。式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物は、当技術分野で知られている典型的な単離および精製技術を用いて単離され得、これらの技術には、例えば、クロマトグラフィーおよび再結晶法が挙げられる。
【0094】
当業者は、本発明の組成物および方法に適切に含まれた化合物が、複数のシス異性体およびトランス異性体、E形/Z形、ジアステレオマー、および光学異性体で存在し得ることを容易に理解するであろう。よって、本発明の組成物および方法に使用される化合物は、そのような組合せ、および変種をすべて含む。
【0095】
式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物において、4個の同一でない置換基が結合している炭素原子は非対称である。したがって、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物として存在し得る。それらのエナンチオマーおよびジアステレオマーは、クロマトグラフ法、または結晶化法、または当技術分野で知られている他の方法によって分離できる。不斉炭素原子は、2つの立体配置、すなわちRまたはS、の1つで存在し得、これらの両方が本発明の範囲内にある。最終的に精製した生成物中に、対立するエナンチオマーまたはジアステレオマーが少量存在しても、そのような化合物の治療上の用途に影響しない。
【0096】
式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物はさらに処理されて、薬学的に許容される塩を形成し得る。本発明の化合物を酸または塩基で処理することによって、それぞれ、薬学的に許容される酸付加塩、および薬学的に許容される塩基付加塩を形成し得、各々は既に定義されている。本明細書で既に述べられたものを含む当技術分野で知られている各種の無機および有機の酸と塩基は、塩への変換を行う際に使用し得る。
【0097】
本発明はまた、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物の薬学的に許容される異性体、水和物、および溶媒和物に関する。これらの式の化合物はまた、そのような異性体および互変異性体の薬学的に許容される塩、水和物、および溶媒和物を含む各種異性体形および互変異性形で存在し得る。
【0098】
本発明はまた、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物のプロドラッグ誘導体を含む。用語「プロドラッグ」とは、親薬物を放出するために、生物内で、自発的または酵素的な生体内変換を必要とする、親薬物分子の誘導体を意味する。プロドラッグは、代謝条件下で開裂可能な基を有する本発明の式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物の変形物、または誘導体である。プロドラッグは、生理学的条件下で、加溶媒分解するか、または酵素による分解を受ける場合、インビボで薬学的に活性である本発明の化合物になる。本発明の化合物と共に適切に使用できる例示的なプロドラッグ技術は、プロテアーゼにより活性化される癌治療(PACT)技術であり、この技術は米国特許出願第10/156,214号、および国際公開第02/095007号で詳述されており、両出願は本明細書において参照により組み込まれる。
【0099】
式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物の合成は、p−メンタン−3−カルボン酸と塩化チオニルとを反応させて得られる酸塩化物と、適切なアミンとを反応させることによって達成され得る。以下に述べるように、典型的には、この反応は、溶液中において室温で塩化水素の受容体(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で行われる。
【0100】
塩基性のp−メンタン構造は、椅子形分子であり、シス形でもトランス形でも存在し得る。カルボキシル基またはアミド基をその3位へ置き換えると、置き換えがアキシアルでそのシス異性体になるかトランス異性体になるか、またはエクアトリアルでそのシス異性体になるかトランス異性体になるかに依存して、4つの立体配置異性体、または幾何異性体を生じ、これら4つの異性体は、メントールのようにネオメントール、イソメントール、およびネオイソメントールに関係している。
【0101】
例示的な実施形態では、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの化合物は、特定の立体化学によって合成され、メンタン環に関する相対立体化学はメントールの相対立体化学であり、かつ/またはメンタン環に関する絶対立体化学は(−)−メントールの絶対立体化学である。
【0102】
本発明の例示的な式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの低分子Trp−p8モジュレーターを調製する合成方法は、実施例1〜9で本明細書に示す。
【0103】
低分子Trp−p8モジュレーターを含む組成物
先に議論したように、本発明は、Trp−p8に結合し、かつTrp−p8の活性を変化させる、Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレーターに関する。いくつかの実施形態では、Trp−p8モジュレーターはアゴニストであり、このアゴニストは、いくつかの例では、Trp−p8チャネルタンパク質を発現する細胞内の陽イオンの流入を刺激でき、またTrp−p8チャネルタンパク質を発現する細胞の毒性を刺激できる。代替の実施形態では、Trp−p8モジュレーターは、細胞中で発現したTrp−p8の活性を減少できる、Trp−p8活性のアンタゴニストである。よって、本発明のTrp−p8モジュレーターは、薬学的組成物を含む組成物に用途があり、これらの組成物は、Trp−p8発現に関係する疾患の処置に有用である。本発明によれば、適切な組成物は、一種以上の薬学的に許容されるキャリアまたは賦形剤と共に、上述したような、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの1つ以上のTrp−p8アゴニスト、ならびに/または式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの1つ以上のTrp−p8アンタゴニストを含む。
【0104】
一実施形態では、本発明は、滅菌した生理食塩水または他の媒体、水、ゼラチン、油などのような薬学的に許容される賦形剤と共に低分子Trp−p8モジュレーターを提供して、薬学的に許容される組成物を形成する。これらの組成物および/またはアゴニストは、単独で、またはいずれかの都合のよいキャリア、希釈剤などと共に投与され得、そのような投与は、単回または多回用量で提供され得る。有用なキャリアには、固体、半固体、または水および非毒性の有機溶媒を含む液体媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
本発明の薬学的組成物は、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの1つ以上のTrp−p8アゴニストと薬学的に許容されるキャリアまたは薬学的に許容される薬剤とを混合して調製され得る。あるいは、薬学的組成物は、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの1つ以上のTrp−p8アンタゴニストと薬学的に許容されるキャリアまたは薬学的に許容される薬剤とを混合して調製され得る。それに加え、薬学的組成物はさらに、賦形剤、安定剤、希釈剤などを含み得、除放処方物または時限放出処方物で供給され得る。治療用途のための許容されるキャリア、薬剤、賦形剤、安定剤、希釈剤などは薬学分野で周知であり、例えば、本明細書において参照により組み込まれる「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている(Mack Publishing Co.、A.R.Gennaro(編)、1985年)。そのような物質は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して毒性ではなく、そのような物質には、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、および他の有機酸塩などの緩衝剤、アスコルビン酸などの酸化防止剤、ポリアルギニンなどの低分子量ペプチド、セラムアルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどの親水性のポリマー、ポリビニルピロリジノンなどの親水性のポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、またはアルギニンなどのアミノ酸、単糖類、二糖類、およびセルロースもしくはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの対イオン、ならびに/あるいはTWEENまたはポリエチレングリコールなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0106】
さらなる態様では、本発明の組成物は、1つ以上の癌治療薬と共に処方される式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物を含む。あるいは、本発明の組成物は、1つ以上の癌治療薬と独立に処方される式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物を含む。すなわち、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物、ならびに癌治療薬は別々に処方される。
【0107】
適切な癌治療薬には、パクリタキセル、ビンクリスチン、およびエトポシドを含むが、これらに限定されない有糸分裂阻害剤;メクロレタミン、シクロホスファミド、およびカルムスチンを含むが、これらに限定されないアルキル化剤;メトトレキサート、ゲムシタビン、ロメトレキソール、5−フルオロウラシル、および6−メルカプトプリンを含むが、これらに限定されない代謝拮抗剤;ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、およびストレプトゾシンを含むが、これらに限定されない細胞傷害性抗生物質;シスプラチンおよびカルボプラチンを含むが、これらに限定されない白金剤;タモキシフェン、およびジエチルスチルベストールなどの抗エストロゲンと、フルタミドなどの抗アンドロゲンとを含むが、これらに限定されないホルモン剤;抗血管新生作用剤;ならびにファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
いくつかの態様では、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物は、Trp−p8を介した陽イオン流入を刺激する際に効果的ではない癌治療薬と共に投与される。
【0109】
他の態様では、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物は、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物を含むが、これらに限定されない、1つ以上の他のTrp−p8モジュレーターと共に投与される。
【0110】
考慮される特定の処置養生法に依存するが、本発明の薬学的組成物は、非経口的に、局所的に、経口的に、または局部的に投与され得る。いくつかの態様では、薬学的組成物は、非経口的に、例えば、静脈内に、皮下に、皮内に、または筋肉内に投与される。一実施形態では、本発明は、水性キャリアなどのキャリアに溶解または懸濁させた、本発明の化合物を含む非経口投与のための組成物を提供する。
【0111】
固体の処方物の場合、化合物は、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどのような、従来の非毒性の固体キャリアと混合され得る。
【0112】
エアゾール投与の場合、本発明の化合物は、微細に分割した形で、非毒性の界面活性剤および噴霧剤と共に供給され得る。例示的なそのような薬剤は、カプロン酸、アクタン(actanoic)酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレステリン酸、およびオレイン酸などの6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸のエステルまたは不完全エステルである。
【0113】
本発明の組成物は、注入によって、すなわち、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に(introaduodenally)、または腹膜内に投与され得る。あるいは、組成物は、経鼻投与などの吸入によって投与され得、またパッチなどを介するなど、経皮的に投与され得る。
【0114】
薬学的組成物を含む組成物の実際的な好ましい処方は、投与の形態、および処置されている特定の疾患によって変わることが理解されるであろう。最適な処方物および投与の形態は、当業者により、疾患ごとまた患者ごとのベースで、慣用的に決定される。
【0115】
Trp−p8の低分子モジュレーターのインビトロおよびインビボの効力を同定および特徴付けるための方法
先に議論したように、本発明は、Trp−p8活性のアゴニストおよびアンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレーターを対象とする。本明細書で開示しているのは、既に本明細書で記述した式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物で例示されるTrp−p8モジュレーターである。本発明はさらに、他のTrp−p8モジュレーターが本発明の組成物および方法で適切に使用され得ることも意図している。
【0116】
他のまたは代替のTrp−p8アゴニストおよびアンタゴニストは、付随の実施例で開示される方法によって同定され得る。例えば、Trp−p8発現に関係する疾患を処置する際に効力を有するTrp−p8アゴニストには、以下の1事項以上の結果となる低分子が挙げられる。すなわち、(1)Trp−p8を発現する細胞の増殖を阻害するまたはTrp−p8を発現する細胞の生存性を減少させる;(2)Trp−p8を発現する細胞におけるカルシウムおよび/または他の陽イオンの流入を刺激する;(3)Trp−p8を発現する細胞のアポトーシスおよび/またはネクローシスの誘導;ならびに/あるいは(4)ヒト疾患の1つ以上の動物モデル系における効力。Trp−p8発現に関係する疾患の処置をする際に効力を有するTrp−p8アンタゴニストには、以下の1事項以上の結果となる低分子が挙げられる。すなわち、(1)インビトロのモデル系におけるアゴニストの毒性効果からTrp−p8を発現する細胞を保護する(2)内因性のTrp−p8発現を有する癌細胞株の増殖を阻害しかつ/または内因性のTrp−p8発現を有する癌細胞株を殺傷する(3)ヒト疾患の1つ以上の動物モデル系において有効である。
【0117】
よって、いくつかの実施形態では、本発明は、Trp−p8を発現する細胞の増殖を阻害し、かつ/またはTrp−p8を発現する細胞の生存性を減少させるのに十分な時間および量で、Trp−p8を発現する細胞と候補Trp−p8アゴニストとを接触させるステップを含む、Trp−p8アゴニストを同定する方法を提供し、ここで阻害された増殖および/または減少した生存性は、候補Trp−p8アゴニストが上記細胞によって発現されたTrp−p8を活性化できることを示す。
【0118】
他の実施形態は、カルシウムおよび/または他の陽イオンをTrp−p8を発現する細胞に流入するのを誘導するのに十分な時間および量で、上記細胞と候補Trp−p8アゴニストとを接触させるステップを含む、Trp−p8アゴニストを同定する方法を提供し、ここで増加した陽イオンの流入は増加した細胞の毒性に相関する。
【0119】
さらなる実施形態は、Trp−p8を発現する新生細胞の増殖を阻害し、かつ/または上記細胞のアポトーシスおよび/またはネクローシスを誘導し、それによりその動物の生存を増加させるために十分な時間ならびに量で、1つ以上の上記細胞を有する動物に候補Trp−p8アゴニストを投与するステップを含む、Trp−p8アゴニストを同定する方法を提供し、ここで細胞増殖の阻害、アポトーシスの誘導、ネクローシスの誘導、および/または動物の増加した生存のうちのいずれか1つ以上がTrp−p8アゴニストの効力を示す。
【0120】
本発明は、本明細書に開示されたTrp−p8アンタゴニストに加えて、Trp−p8アンタゴニストの同定のための方法を提供する。上記方法には、以下の事項が挙げられる。すなわち、(1)Trp−p8を発現する細胞をTrp−p8アゴニストにより誘導された毒性から保護することを検出するためのインビトロアッセイ系;(2)Trp−p8を内因的に発現する癌細胞および/または癌細胞株の増殖の阻害を検出するインビトロおよびインビボアッセイ系(3)インビボ動物モデル系、これによって1つ以上の候補Trp−p8アンタゴニストは、細胞の増殖を阻害し、かつ/または細胞のアポトーシスおよび/もしくはネクローシスを誘導するのに十分な時間ならびに量で、Trp−p8を発現する1つ以上の新生細胞を有する動物に投与され、それによって上記動物の生存を増加する。
【0121】
Trp−p8モジュレーターの使用方法
本発明の低分子Trp−p8モジュレーターは、細胞中のTrp−p8を介したカルシウムの流入を調節する(すなわち、活性化するまたは減少させる)ための方法、およびTrp−p8の発現に関連した1つ以上の疾患の処置のための治療法に適切に使用され得る。例えば、上述したように、異常なTrp−p8発現は、乳房組織、結腸組織、肺組織、および前立腺組織を含む各種癌組織の新生細胞の表現型に関連していることが観察された。Tsavalerら、Cancer Research、前述。
【0122】
よって、いくつかの実施形態では、細胞中でTrp−p8を介したカルシウムの流入を活性化するための方法が提供され、そのような方法は、Trp−p8を発現する細胞の増殖を阻害し、かつ/あるいは細胞中のネクローシスおよび/またはアポトーシスを誘導するのに十分な時間、上記細胞をある量のTrp−p8アゴニストに接触させるステップを含む。Trp−p8を活性化するための例示的な方法が、本明細書に示した実施例おいて提供される。
【0123】
本発明の他の実施形態は、Trp−p8の発現に関係する疾患の処置のための治療法を提供し、そのような方法は、細胞の増殖を阻害し、かつ/あるいは細胞中のネクローシスおよび/またはアポトーシスを誘導するのに十分な時間、哺乳動物、典型的にはヒトにTrp−p8アゴニストを含む治療有効量の組成物を投与するステップを含む。本明細書で使われる場合、句「治療有効量」とは、疾患を処置するために哺乳動物に投与したとき、その疾患に対してそのような処置を行うのに十分である化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、処置される哺乳動物の疾患、ならびにその重傷度、および年齢、体重などに依存して変化する。
【0124】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、および「処置」には、(1)前記疾患を防ぐこと、すなわち、疾患に罹患しやすくなっている可能性があるが、まだその疾患のいかなる症状にも直面していない哺乳動物で、疾患の臨床症状を発現させないようにすること;(2)その疾患を阻害すること、すなわち、疾患の発病、もしくはその臨床症状を阻止するか、軽減すること;または(3)その疾患を和らげる、すなわち、その疾患またはその臨床症状を後退させることが含まれる。
【0125】
処置療法の頻度および投薬は、疾患および処置される患者といった要因に依存して変化するが、式I、I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの1つ以上の化合物を含む組成物は、典型的には、約0.001mg化合物/kg体重から約1000mg/kgまでの範囲で投与される。典型的には、処置は、化合物の最適服用量より少ない服用量で始められる。その後、最適な効果が達成されるまで、服用量を増加させることができる。
【0126】
ほとんどの場合、本発明の化合物の投与は、式I、I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物に全身を曝露することを保証するいかなる方法によっても達成される。したがって、組成物は、経口で、非経口で、十二指腸内で、および鼻腔内で投与され得る。典型的には、そのような組成物は、本明細書で既にさらに詳細に記述したように、1つ以上の薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤と共に、1つ以上のそのような化合物を含む。
【0127】
本発明の他の実施形態は、組合せ療法を提供し、この組合せ療法では、式I、I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの1つ以上の化合物が、本明細書で既にさらに詳細に記述したように、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、細胞傷害性抗生物質、白金剤、ホルモン剤、および/または抗アンドロゲンなどの1つ以上の癌治療薬と一緒に投与される。本発明のさらなる実施形態は、組合せ療法を提供し、式I、I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの2つ以上の化合物が、望ましい治療結果が得られるまで、同時または連続して投与される。
【0128】
したがって、本明細書で使われている場合、用語「組合せ」は、組合せ治療で、少なくとも2つの化合物が、同時に送達され得ることを意味し、この組合せ治療法では、第1の化合物が最初に投与され、続いて第2の化合物が投与されるほか、第2の化合物が最初に送達され、続いて第1の化合物が投与される。望ましい結果は、投薬の受容者における、症状の主観的軽減か、または客観的に確認できる改善であり得る。
【0129】
以下の実施例は、例示として提供するものであり、限定するために提供するものではない。
【実施例】
【0130】
(実施例1)
メンタン−3−カルボキサミド化合物の合成
本実施例は、メンタン−3−カルボキサミド化合物の合成のための方法を開示する。
【0131】
メンタン−3−カルボン酸
大きな攪拌棒を備えた2Lのエルレンマイヤーフラスコに水(300ml)を投入した。硫酸(500ml)を、攪拌しながら注意深く加えた。この溶液を75℃まで放冷し、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(62.5g)を加えた。温度をホットプレートで75℃に保持し、亜硝酸ナトリウム(31g)を注意深く添加した。さらに31グラムのNaNOを1時間の間隔で2回加え、混合物を75℃で一晩攪拌した。
【0132】
この混合物を室温まで冷却し、約1Lの氷水で希釈し、約500mlのエーテルで抽出した。エーテル層を分離し、水で洗浄し、350mlの1MのNaOHで2回抽出した。水層を濃HClで酸性にし、エーテルで抽出した。このエーテル層をMgSOで乾燥させ、蒸発して、メンタン−3−カルボン酸(33.2g、61%)を結晶性固体として得た。□□□=−50.3度(c=1、CHCl、25℃)。
【0133】
メンタン−3−カルボニルクロリド
メンタン−3−カルボン酸(54.35g)を80mlの塩化チオニルと共に3時間還流した。SOClを蒸留で除去し、その酸塩化物を114〜115℃(8トル)で蒸留した。(文献より、3.5トルで沸点:84〜85℃)。収率:50g(84%)。
【0134】
メンタン−3−カルボキサミドの調製のための一般的手順
1mlのアセトニトリルまたはNMPおよび0.4mmolのDIPEA中の0.2mmolのアミンの攪拌溶液に、0.022mlのメンタン−3−カルボニルクロリドを加えた。反応混合物を3時間振とうした。より低反応性のアミンの場合、この混合物を加熱(60℃)し、24時間振とうした。生成物をHPLCにより粗反応混合物から精製し(CHCN中の0.05%TFAおよびHO中の0.05%TFAを使用して、10分にわたって40〜95%の勾配)、蒸発乾固させた。
【0135】
(実施例2)
式I−Eのジヒドロベンゾイミダゾール化合物の合成
本実施例は、式I−EのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0136】
【化19】

4−メトキシ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼン
攪拌棒および還流冷却器を備えた2Lの丸底フラスコに、アセトニトリル(1L)、KCO(263g、1.9mol)および4−ヒドロキシ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼン(100g、0.64mol)を投入した。反応混合物にヨウ化メチル(271g、1.9mol)を加え、還流温度で激しく攪拌しながら5時間加熱した。アセトニトリルを除去し、酢酸エチル(1L)およびHO(700mL)を加えた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×200mL)で再抽出した。有機相を混合し、HO(2×500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮してわずかに黄色の固体(107g、98%)として所望の生成物を得た。
【0137】
【化20】

[2−(5−メトキシ−2−ニトロフェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた2Lのフラスコに、DMSO(800mL)、KCO(161g、1.6mol)および4−メトキシ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼン(100g、0.58mol)を投入した。反応混合物にモノ−N−Boc−1,2−ジアミノエタン(94g、0.55mol)を加え、60℃で12時間攪拌した。反応混合物を氷冷水(1.2L)で粉砕し、得られた黄色の沈殿物を真空ろ過によって収集した。この沈殿物を水で数回(5×1L)洗浄し、高真空で48時間乾燥させて、鮮黄色の固体(178g、98%)として所望の生成物を得た。
【0138】
【化21】

[2−(5−メトキシ−2−アミノ−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた2Lの丸底フラスコに、20%のPd(OH)(5g)および1,4−ジオキサン(800mL)の懸濁液を投入した。この懸濁液に[2−(5−メトキシ−2−ニトロフェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100g、0.32mol)を加えた。反応混合物を(原料が消費されるまで)48時間水素化(バルーン)した後で、混合物にKCO(100g)を加え、さらに12時間攪拌して微量の水を除去した。懸濁液をろ過してPd(OH)およびKCOを除去した。ろ液は、さらなる精製を行わずに次のステップに使用した(収率は求めていない)。
【0139】
【化22】

[2−(6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
上記溶液を過剰のカルボニルジイミダゾール(104g、0.64mol)で処理し、90℃で4時間加熱した。1,4−ジオキサンを除去し、残留物を水(1.5L)で粉砕した。得られた沈殿物を真空ろ過によって収集し、水で数回(5×500mL)洗浄した。粗生成物は、高真空で12時間70℃で乾燥させ、さらなる精製を行わずに使用した(66g、2つのステップの収率67%)。
【0140】
【化23】

{2−[3−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−6−メトキシ−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−1−イル]−エチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた2Lのフラスコに、[2−(2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−1−イル)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(40g、0.20mol)、DMAP(48g、0.39mol)、およびCHCl(500mL)を投入した。塩化メントイル(40g、0.20mol)を15分間にわたって滴下し、周囲温度で4時間攪拌した。反応混合物を1N HClでクエンチし、さらに20分間攪拌した。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、CHCl(2×200mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(2×300mL)、HO(300mL)、飽和NaHCO(水溶液)(2×300mL)、ブライン(300mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を最小量のCHClに溶解させ、シリカゲルプラグに通して溶出させて(溶出には10%ヘキサン/酢酸エチル)、無色の固体(93g、96%)として所望の生成物を得た。
【0141】
【化24】

3−(2−アミノエチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号36)のTFA塩。
【0142】
500mLの丸底フラスコに、{2−[3−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾイミダゾール−1−イル]−エチル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(90g、0.19mol)および95%TFA/HO(200mL)を投入した。反応を2時間攪拌し、TFAを減圧下で除去して、(真空下に置くと凝固して壊れやすいフォームを形成する)濃い油として粗生成物を得た。この粗生成物を30%のアセトニトリル/HOに溶解させ、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(10μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて、軽い綿毛状の無色の固体(79g、94%)を得た。MS(ESI)m/z374(M+1)。
【0143】
【化25】

3−(2−アミノエチル)−5−エトキシ−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号38)のTFA塩
化合物番号36の合成と同様の手順で、(臭化エチルおよび4−ヒドロキシ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから調製した)4−エトキシ−1−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから化合物番号38を調製した。MS(ESI)m/z387(M+1)。
【0144】
【化26】

1−(2−アミノエチル)−3−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号50)のTFA塩
化合物番号36の合成と同様の手順で、2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから化合物番号50を調製した。MS(ESI)m/z344(M+1)。
【0145】
【化27】

3−(2−アミノエチル)−5−(3−ヒドロキシプロポキシ)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号37)のTFA塩
化合物番号36の合成と同様の手順で、(1−ブロモ−3−tert−ブトキシプロパンおよび4−ヒドロキシ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから調製した)4−(2−tert−ブトキシプロポキシ)−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから化合物番号37を調製した。MS(ESI)m/z418(M+1)。
【0146】
【化28】

3−(2−アミノエチル)−5−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号40)のTFA塩
化合物番号36の合成と同様の手順で、(1−ブロモ−3−tert−ブトキシエタンおよび4−ヒドロキシ−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから調製した)4−(2−tert−ブトキシエトキシ)−2−フルオロ−1−ニトロベンゼンから化合物番号40を調製した。MS(ESI)m/z404(M+1)。
【0147】
【化29】

1−(2−アミノ−2−(R)−メチルエチル)−3−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号45)のTFA塩
化合物番号36の合成と同様の手順で、2−フルオロ−1−ニトロベンゼンおよび(2−アミノ−1−(R)−エチル)カルバミン酸tert−ブチルエステルから化合物番号45を調製した。MS(ESI)m/z358(M+1)。
【0148】
(実施例3)
式I−Eのさらなるジヒドロベンゾイミダゾール化合物の合成
本実施例は、式I−EのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0149】
【化30】

【0150】
【化31】

3−フルオロ−4−ニトロ安息香酸メチルエステル
攪拌棒および還流冷却器を備えた1Lの丸底フラスコに、HSO(4mL)、メタノール(400mL)、および3−フルオロ−4−ニトロ安息香酸(10g)を投入した。反応混合物を18時間激しく攪拌しながら還流温度で加熱した。メタノールを除去し、粗生成物をヘキサンで粉砕し、濃縮して無色の固体(9.79g)を得た。この無色の固体は、さらなる精製を行わずに使用した。
【0151】
【化32】

3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチルアミノ)−4−ニトロ安息香酸メチルエステル
攪拌棒を備えた2Lのフラスコに、1,4−ジオキサン(300mL)、DMF(40mL)、KCO(10g)、および3−フルオロ−4−ニトロ安息香酸(9.7g)を投入した。反応混合物にモノ−N−Boc−1,2−ジアミノエタン(8.6g)を加え、60℃で12時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残留物をCHCl(400mL)およびHO(500mL)に溶解させた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、CHCl(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、HO(5×100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮してオレンジ色の固体(14g、84%)として標記の化合物を得た。
【0152】
【化33】

4−アミノ−3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチルアミノ)−安息香酸メチルエステル
攪拌棒を備えた2Lの丸底フラスコに、20%Pd(OH)および1,4−ジオキサン(400mL)の懸濁液を投入した。この懸濁液に4−アミノ−3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−エチルアミノ)−安息香酸メチルエステル(14g)を加えた。反応混合物を(原料が消費されるまで)48時間水素化(バルーン)した後で、混合物にKCO(100g)を加え、さらに12時間攪拌して微量の水を除去した。懸濁液をろ過してPd(OH)およびKCOを除去した。ろ液は、さらなる精製を行わずに次のステップに使用した。
【0153】
【化34】

3(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル
上記溶液を過剰のカルボニルジイミダゾール(26.8g、4当量)で処理し、90℃で4時間加熱した。1,4−ジオキサンを除去し、残留物を水(1.5L)で粉砕した。得られた沈殿物を真空ろ過によって収集し、水で数回(5×500mL)洗浄した。粗生成物を最小量のCHClに溶解させ、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には10%メタノール/CHCl)、白色の固体(11.8g、85%)として所望の生成物を得た。
【0154】
【化35】

3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸
攪拌棒を備えた2Lのフラスコに、HO(300mL)に溶解させた1,4−ジオキサン(70mL)、3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチルエステル(10.4g)およびLiOH(3.7g)を投入した。反応溶液を65℃で6時間攪拌した。混合物を濃縮し、粗残留物をHOに溶解させた。溶液を濃HCl(水溶液)で中和し、得られた沈殿物を真空ろ過によって収集した。固体をHOで数回洗浄し、高真空で一晩乾燥させて、白色の固体(8.66g、87%)として所望の生成物を得た。
【0155】
【化36】

3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸のTFA塩
攪拌棒を備えた100mLの反応容器内に、THF(20mL)、DMAP(1.8g)、および3−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノエチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(4g)を投入した。反応混合物を0℃まで冷却し、塩化メントイル(2.9g)で処理した。反応混合物を周囲温度に温め濃縮した。1N HCl(水溶液)(50mL)およびCHCl(50mL)を加えた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(2×50mL)、HO(50mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には4:1CHCl/THF)、無色の固体(3.2g、52%)として標記の化合物を得た。
【0156】
【化37】

3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベノイミダゾール−5−カルボン酸アミド(化合物番号41)のTFA塩
攪拌棒を備えた10mLの反応容器内に、DMF(5mL)、3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(1.5g、3.9mmol)、EDC(824mg、4.3mmol)、HOBt(581mg、4.3mmol)、DIEA(1.11g、8.6mmol)、およびNHCl(230mg、4.3mmol)を投入した。反応混合物を60℃でマイクロ波によって10分間加熱し、酢酸エチル(50mL)および1N HCl(50mL)の混合物に注いだ。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×50mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(100mL)、HO(2×100mL)、飽和NaHCO(3×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物を95%TFA/HOに溶解させ、2時間攪拌し、濃縮した。粗生成物を30%アセトニトリル/HOに溶解させ、(0.1%TFAを含む)10〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(10μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて軽い綿毛状の無色の固体(910mg、61%)を得た。MS(ESI)m/z387(M+1)。
【0157】
【化38】

3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)アミド(化合物番号44)のTFA塩
化合物番号41の合成と同様の手順で、N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミンから化合物番号44を調製した。MS(ESI)m/z486(M+1)。
【0158】
【化39】

3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸エチルアミド(化合物番号47)のTFA塩
化合物番号41の合成と同様の手順で、エチルアミンから化合物番号47を調製した。MS(ESI)m/z415(M+1)。
【0159】
【化40】

3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチルシクロヘキサンカルボニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−3−イルアミド(化合物番号48)のTFA塩
化合物番号41の合成と同様の手順で、ピリジン−3−イルアミンから化合物番号48を調製した。MS(ESI)m/z464(M+1)。
【0160】
(実施例4)
式I−Eのさらなるジヒドロベンゾイミダゾール化合物の合成
本実施例は、式I−EのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0161】
【化41】

[2−(5−メチル−スルファニル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた1リットルの丸底フラスコ内に、DMSO(200mL)、KCO(13g、0.10mol)、および2,4−ジフルオロ−1−ニトロベンゼン(5g、0.03mol)を投入した。反応混合物をモノ−N−Boc−1,2−ジアミノエタン(5g、0.32mol)で処理し、周囲温度で18時間攪拌した。反応混合物にナトリウムチオメトキシド(2.24g、0.03mol)を加え、60℃で12時間攪拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、水(800mL)で粉砕し、形成された黄色の沈殿物を真空ろ過によって収集した。沈殿物を水で数回(5×500mL)洗浄し、高真空で48時間乾燥させて、鮮黄色の固体(8.7g、71%)として所望の生成物を得た。
【0162】
【化42】

[2−(2−アミノ−5−メチル−スルファニル−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた500mLの丸底フラッシュ内に、MeOH(200mL)、[2−(5−メチル−スルファニル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(5g、0.02mol)、およびNiCl(19g、0.05mol)を投入し、0℃まで冷却した。反応混合物にNaBH(1.7g、0.05mol)を(同量ずつ4回)1時間の期間にわたって加えた。この添加が終了すると、反応混合物をさらに2時間攪拌した。反応混合物にブライン(100mL)および酢酸エチル(200mL)を加えた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、HO(3×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して黒色の残留物を得た。粗生成物を100mLのCHClに溶解させ、2つの100mL丸(それぞれに50mL)内に分け、その両方を減圧下で濃縮し、さらなる精製を行わずに使用した。
【0163】
【化43】

3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メチルスルファニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号42)
化合物番号36の合成と同様の手順で、粗[2−(2−アミノ−5−メチル−スルファニル−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルから化合物番号42を調製した。MS(ESI)m/z390.1(M+1)。
【0164】
【化44】

3−2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メチルスルフィニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号43)
10mLの反応フラスコに、3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メチルスルファニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号42、300mg)および1%TFA/DMSO(1mL)を投入した。反応混合物中に酸素を20分間泡立たせ、封止した。反応混合物を18時間攪拌し、粗生成物を(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(10μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて軽い綿毛状の無色の固体(296mg 94%)を得た。MS(ESI)m/z406(M+1)
【0165】
【化45】

3−2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メチルスルホニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号39)
攪拌棒を備えたl0mLの反応容器に、3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メチルスルファニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(化合物番号42)、Oxone(1g)、および20%メタノール水溶液(5mL)を投入した。反応混合物を約5pHまで飽和NaHCO(水溶液)で滴定した。反応混合物を1時間攪拌した。反応混合物をろ過し、濃縮した。粗生成物を30%アセトニトリル/HOに溶解させ、(0.1%TFAを含む)15〜50%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(10μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて綿毛状の無色の固体(79g、94%)を得た。MS(ESI)m/z422(M+1)。
【0166】
(実施例5)
式I−Bの化合物の合成
本実施例は、式I−AのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0167】
【化46】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−アミド
4−メトキシ−2−ニトロアニリン(5g、0.018mol)をピリジン(50)に溶解させ、塩化メントイル(3.57g、0.018mol)で処理した。反応混合物を50℃まで加熱し、6時間激しく攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、CHCl(100mL)および1N HCl(100mL)の混合物に注いだ)。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、CHCl(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(8×100mL)、HO(1×100mL)、1N NaOH(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には20〜50%酢酸エチル/ヘキサン)、無色の固体(4.9g、83%)として標記の化合物を得た。
【0168】
【化47】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−アミノ−4−メトキシフェニル)−アミド
2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)−アミド(4.9g)を10%Pd−C(5g)およびTHF(150mL)の懸濁液に溶解させた。反応混合物を20%Pd(OH)によりバルーンを用いて48時間水素化した。反応混合物をろ過し濃縮させて、さらなる精製を行うことなく次の反応において使用するのに十分な純度の所望の化合物を得た。
【0169】
【化48】

(1−{2−[2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−メトキシ−フェニルカルバモイル}−エチル)カルボン酸tert−ブチルエステル
2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−アミノ−4−メトキシフェニル)−アミド(5g、0.016mol)、EDC(4.2g、0.022mol)、HOBt(2.97g、0.022mol)、およびDIEA(8.53g、0.066mol)をDMF(50mL)に溶解させ、45℃で6時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルおよび1N HCl(100mL)の混合物に注いだ。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで相を分離した。水相を酢酸エチル()で再抽出し、有機相を混合し、1N HCl(5×100mL)、HO(100mL)、飽和1N NaOH(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、ろ過、濃縮して、わずかに黄色の固体(7.5g)を得た。粗生成物の一部(1.5g)をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(SiO、溶出には30%酢酸エチル/ヘキサン)、無色の固体(1.6g)として所望の生成物を得た。
【0170】
【化49】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−(2−アミノプロピオニルアミノ)−4−メトキシルフェニル]アミド(化合物番号1)のTFA塩
(1−{2−[2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−5−メトキシ−フェニルカルバモイル}−エチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(1g)を95%TFA/HOに溶解させ、1時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、粗生成物を30%アセトニトリル/HOに溶解させ、(0.1%のTFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro
120(10μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて軽い綿毛状の無色の固体(880mg)を得た。MS(ESI)m/z376(M+1)。
【0171】
【化50】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸性[2−(2−アミノ−エチルアミノ)−4−メチルスルファニル−フェニル]アミド(化合物番号4)のTFA塩
粗[2−(2−アミノ−5−メチル−スルファニル−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを収容し、攪拌棒を備えた100mlの丸底フラスコに、THF(50g)およびDMAP(1.8g、0.02mol)を投入した。反応混合物を0℃まで冷却し、塩化メントイル(1.5g、0.008mol)を5分間にわたって滴下した。反応混合物を周囲温度まで温め、さらに30分間攪拌した。粗生成物を最小量のCHClに溶解させ、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製すると(溶出には10%のヘキサン/酢酸エチル)、わずかに黄色の固体(1.76g、61%)がもたらされた。この精製された材料を20mLの95%TFA/HOに溶解させ、1時間攪拌し濃縮した。粗生成物を30%アセトニトリル/HOに溶解させ、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合し、濃縮し、凍結乾燥させて軽い綿毛状の無色の固体(1.41g)を得た。MS(ESI)m/z364(M+1)
【0172】
【化51】

[2−(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコに、アセトニトリル(40mL)、EDC(1.12g、5.9mmol)、HOBt(0.796g、5.9mmol)、DIEA(3.76mL、21.6mmol)、およびモノ−N−Boc−1,2−ジアミノエタン(0.865g、5.4mmol)を投入した。反応混合物を約18時間攪拌し、濃縮した。残留物を酢酸エチル(50mL)および1N HCl(50mL)の混合物に溶解させた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(2×50mL)、HO(1×50mL)、飽和NaHCO(3×50mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には30〜50%酢酸エチル/ヘキサン)、わずかに紫色の固体(1.12g、63%)として標記の化合物を得た。
【0173】
【化52】

[2−(5−メチル−スルファニル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた10反応容器内に、DMF(5mL)、NaSMe(0.162g、2.3mmol)、および[2−(4−フルオロ−2−ニトロ−ベンゾイルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.757g、2.3mmol)を投入した。反応混合物を周囲温度で2時間攪拌し、酢酸エチル(20mL)およびHO(25mL)の混合物に注いだ。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×10mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(2×10mL)、HO(1×10mL)、飽和NaHCO(2×10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には30%〜50%酢酸エチル/ヘキサン)、わずかに黄色の固体(500mg、61%)として標記の化合物を得た。
【0174】
【化53】

N−(2−アミノ−エチル−2−[(2−イソプロピル1−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ−4−メチルスルファニル−ベンズアミド(化合物番号2)
化合物番号42の合成と同様の手順で、[2−(5−メチル−スルファニル−2−ニトロ−フェニルアミノ)−エチル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルから化合物番号2を調製した。MS(ESI)m/z392(M+1)。
【0175】
(実施例6)
式I−Bの化合物の合成
本実施例は、式I−BのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0176】
【化54】

スキーム5.
【0177】
【化55】

2−(5−アミノ−3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−エタノール
ベンゾイルアセトニトリル(25g、0.17mol)を125mLの試薬用無水アルコールおよび20mLの氷酢酸の混合物に懸濁させた。35mLのアルコールに溶解させた2−ヒドロキシエチルヒドラジン(14.4g、1.1当量)を一度にすべて加えた。混合物を4時間加熱還流させ、冷却し、水を加えて総量500mLにし、この溶液を冷蔵庫で一晩冷却した。結晶をブフナーロートで冷ろ過し、冷水で洗浄し、高真空で乾燥させて所望の生成物(27.2g、79%)を得た。
【0178】
【化56】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−]−アミド
2−(5−アミノ−3−フェニル−ピラゾール−1−イル)−エタノール(87.3g、0.43mol)を、ジクロロメタン(500mL)およびピリジン(40mL)の混合物に懸濁させ、氷浴内で冷却した。塩化メントイル(100g、1.15当量)をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、CaCl乾燥管によって保護された別のロートから滴下した。完全に添加するのに要する45分の経過後に、氷浴を除去し、3時間攪拌を続けた。1M HCl(水溶液、200mL)を加え、相を分離させた。有機相を1M HCl(水溶液、100mL)で再抽出した。1M HClを再び加え、ジクロロメタンを減圧下で除去すると、大量の沈殿が生じた。この沈殿物を真空ろ過によって収集し、固体を数回水で洗浄した。固体残留物を400mLの1:1エーテル/ヘキサンで(2時間急速攪拌し)粉砕した。この固体をブフナーロートでろ過し、ヘキサンで洗浄した。一晩風乾させた後、高真空でさらに24時間乾燥させると、無色の固体(144.4g)が得られた。
【0179】
【化57】

メタンスルホン酸−2−{5−[2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボイル)−アミノ]−3−フェニル−ピラゾール−1−イル}エチルエステル
2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−ヒドロキシ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−]−アミド(140g、0.38mol)をCHCl(500mL)に懸濁し、ピリジン(47mL、1.5当量)を加え、続いて氷浴温度のメタンスルホニルクロリド(44mL、1.5当量)を加えた。この溶液を室温まで温め、さらに12時間攪拌した。水(500mL)を加え、混合物を0.5時間攪拌した。ジクロロメタンを蒸発して除去すると、わずかに黄色の粒状塊の沈殿物が残った。デカンテーションの後にさらに500mLの水で処理し、再度デカンテーションを行った。最後の500mLの量の水を使用して、この固体をブフナーロートへ移し、そこで真空乾燥させた(収率は求めていない)。
【0180】
【化58】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−アジド−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド
アジ化ナトリウム(37g、1.5当量)を含むDMSO(500mL)に粗メシレート(0.38mol)を溶解させた。混合物を70℃まで6時間加熱した。冷却すると即座に、水(1L)および酢酸エチル(500mL)を加え、この混合物を分液ロートで振とうした。層を分離し、有機層を200mLの量の水、飽和NaHCO3、およびブラインによって順次洗浄した。この有機層をNaSOで乾燥させ、デカントし、ロトバップにて溶媒を除去した。次のステップへ移行する前に生成物から溶媒を完全には除去できていなかったので、収率は求めなかった。
【0181】
2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−アミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド
粗アジド化合物を500mLの試薬用無水アルコールに溶解させ、5gの活性炭で処理した。これを数時間間攪拌し、セライトでろ過した。約300mLの溶媒をロトバップにて除去し、新しい溶媒と交換した。10%Pd−C(4.8g、約50重量%のHO)を加え、24時間急速攪拌しながら反応混合物上への水素の安定した流れを維持した。水素の供給を停止し、濃HCl(32mL)をゆっくり加えた。セライトによるろ過の後、ろ液をロトバップにて濃縮すると、大量の沈殿が得られた。まだ湿った状態で、ジイソプロピルエーテルを残留物に加え、懸濁液を0.5時間急速攪拌した。固体をブフナーロート内へとろ過し、ジエチルエーテルで洗浄した。風乾白色粉体が生成された。収率:108.6g(3ステップを経て71%)。
【0182】
【化59】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−アミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド(化合物番号16)のTFA塩
トリフルオロアセタート塩への変換:固体を中和し、500mLのエーテルおよび150mLの2N NaOHと振とうすることによって分液ロート内で分配した。固体が完全に溶解すると、層を分離し、有機相をNaCOで乾燥させた。デカンテーション、および23mLのトリフルオロ酢酸との混合の後に、溶剤を蒸発し、高真空で乾燥させた。フォームを潰し、300mLのヘキサンで粉砕すると(3時間の急速攪拌)、ろ過後に、大変わずかなエーテルを含む白色の粉体が生成された。6時間800℃で丸底フラスコ内で加熱することによって、最後には溶媒を完全に除去した。
【0183】
【化60】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−(2−アミノ−エチル)−5−フラン−2−イル−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド(化合物番号14)のTFA塩
化合物番号16の合成と同様の手順で、2−フロイルアセトニトリルおよび2−ヒドロキシエチルヒドラジンから化合物番号14を調製した。この材料を、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。MS(ESI)m/z344(M+1)。
【0184】
【化61】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−(2−アミノ−エチル)−5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド(化合物番号17)のTFA塩
化合物番号16の合成と同様の手順で、1−メチル−1H−ピロール−2−カルバルデヒドおよび2−ヒドロキシエチルヒドラジンから化合物番号17を調製した。この材料を、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。MS(ESI)m/z372(M+1)。
【0185】
【化62】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−(2−アミノ−エチル)−5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド(化合物番号15)のTFA塩
化合物番号16の合成と同様の手順で、2−ベンゾイルアセトニトリルおよび(2−ジアゼニル−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルから化合物番号15を調製した。この材料を、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。MS(ESI)m/z383(M+1)。
【0186】
【化63】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸−[2−(2−アミノ−エチル)−5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−アミド(化合物番号18)のTFA塩
化合物番号16の合成と同様の手順で、2−ベンゾイルアセトニトリルおよび(3−ジアゼニル−プロピル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルから化合物番号18を調製した。この材料を、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。MS(ESI)m/z383(M+1)。
【0187】
(実施例7)
式I−Cの化合物の合成
本実施例は、式I−CのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0188】
【化64】

スキーム6.
【0189】
【化65】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−アミド
攪拌棒を備えた500mLの丸底フラスコに、CHCl(200mL)、DIEA(28g、0.219mol)、および2−アミノ−1−フェニル−エタノール(10g、0.073mol)を投入し、0℃まで冷却した。塩化メントイル(14.8g、0.073mol)を15分間にわたって滴下した。この添加が終了すると、反応を周囲温度まで温め、2時間攪拌した。反応混合物にCHCl(100mL)および1N HCl(100mL)を加え、さらに20分間攪拌した。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、CHCl(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(8×100mL)、HO(1×100mL)、1N NaOH(2×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルプラグに通して溶出させて(溶出には50%酢酸エチル/ヘキサン)、無色の固体(18.8g、85%)として標記の化合物を得た。
【0190】
【化66】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−アミノ−4−エトキシ)−2−フェニル−エチル]−アミド(化合物番号30)のTFA塩
攪拌棒を備えた500mLの丸底フラスコに、無水THF(200mL)および2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−アミド(10g、0.03mol)を投入した。NaH(0.87g、0.04mol)を一度に加え、(Hの生成が停止するまで)10分間攪拌した。反応混合物に、1−ブロモメチル−2−アミン臭化水素(6.74g、0.033mol)、およびNaH(0.87g、0.036mol)を加え、2時間攪拌した。さらに等量のNaH(0.87g、0.036mol)を加え、さらに2時間攪拌した。反応混合物を氷上に注ぐことによって過剰のNaHをクエンチした。エチルアセテート(200mL)およびHOを加え、20分間攪拌した。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×100mL)で再抽出した。有機相を混合し、HO(1×100mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗生成物を(0.1%TFAを含む)30〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて、軽い綿毛状の無色の固体(9.4g、62%)を得た。MS(ESI)m/z347(M+1)。
【0191】
【化67】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(3−アミノ−4−プロポキシ)−2−フェニル−エチル]−アミド(化合物番号31)のTFA塩
化合物番号30の合成と同様の手順で、2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−アミドおよび1−ブロモプロピル−3−アミン臭化水素から化合物番号31を調製した。この材料を、(0.1%TFAを含む)40〜60%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。MS(ESI)m/z361(M+1)。
【0192】
(実施例8)
式I−Dのさらなるジヒドロベンゾイミダゾール化合物の合成
本実施例は、式I−DのジヒドロベンゾイミダゾールTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0193】
【化68】

スキーム7.
【0194】
【化69】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−ブロモ−フェニル)−エチル]−アミド
攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコに、CHCl(30mL)、2−ブロモ−フェネチルアミン(1.0g、5.00mmol)およびトリエチルアミン(684μl、5.05mmol)を投入した。反応溶液を、塩化メントイル(1.02g、5.05mmol)で一度に処理し、周囲温度で30分間攪拌した。反応をCHCl(50mL)で希釈し、水で洗浄した(3×100mL)。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して濃い油(1.8g)を得た。生成物は、精製を行うことなく次のステップに使用した。
【0195】
【化70】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸{2−[2−(2−アミノ−エチルアミノ)−フェニル]−エチル}−アミド(化合物番号33)のTFA塩
攪拌棒を備えた25mLのマイクロ波反応容器に、非希釈のジアミノエタン(10mL)、2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−ブロモ−フェニル)−エチル]−アミド(1.5g、4.1mmol)、およびCu粉(390mg、6.147mmol、1.5当量)を投入した。反応容器にマイクロ波を180℃で40分間当てた。反応混合物を丸底フラスコへ移し、濃縮した。残留物を(0.1%TFAを含む)10〜40%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて無色の固体(1g、52%)を得た。(MS(ESI)m/z346(M+1)。
【0196】
【化71】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−シアノ−フェニル)−エチル]−アミド
攪拌棒を備えた20mLのマイクロ波反応容器に、2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−ブロモ−フェニル)−エチル]−アミド(1.54g、4.2mmol)、CuCN(0.60g、6.4mmol)、およびNMP(10mL)を投入した。反応容器にマイクロ波を180℃で40分間当てた。反応混合物を丸底フラスコへ移し、濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には10%酢酸エチル/ヘキサン)、無色の固体(1.25g、81%)を得た。
【0197】
【化72】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−2−アミノメチル−フェニル)−エチル]−アミド(化合物番号34)
攪拌棒を備えた100mLの丸底フラスコに、2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−シアノ−フェニル)−エチル]−アミド(1.25g、4.0mmol)およびメタノール(50mL)を投入した。NiCl(1.14g、8.8mmol)およびNaBH(0.64g、16.8mmol)。NaBHを30分間にわたって少しずつ加え、1時間攪拌した。NaBH(0.20g)を加え、反応混合物をさらに20分攪拌した。セライトのケーキに反応混合物を通過させ、減圧下で濃縮した。黒色残留物を最小量のアセトニトリルに溶解させ、C18シリカゲルカートリッジを通過させ、(0.1%TFAを含む)10〜40%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(l0μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて無色の固体(1.1g)を得た。MS(ESI)m/z317(M+1)。
【0198】
(実施例9)
式I−Cのさらなる化合物の合成
本実施例は、式I−CのTrp−p8モジュレーターの合成のための方法を開示する。
【0199】
【化73】

スキーム7.
【0200】
【化74】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−オキソ−2−フェニル−エチル)−アミド
攪拌棒を備えた20mLの丸底フラスコに、2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−ヒドロキシ−2−フェニル−エチル)−アミド(100mg、0.33mmol)および酢酸(1mL)を投入した。酢酸(500μl)および水(100μl)中のCrO(36mg、0.363mmol、1.1当量)の溶液を反応混合物にゆっくり加えた。反応混合物を周囲温度で15分間攪拌し、酢酸エチル(30mL)および飽和NaHCO(水溶液)(30mL)で希釈した。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×10mL)で再抽出した。有機相を混合し、NaHCO(3×10mL)、HO(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には30%〜50%酢酸エチル/ヘキサン)、白色の固体(92g、93%)として標記の化合物を得た。
【0201】
【化75】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−アミノ−2−フェニル−エチル)−アミド
攪拌棒を備えた25mLのマイクロ波反応容器に、2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−オキソ−2−フェニル−エチル)−アミド(80mg)およびアンモニア(メタノール中1.5mL、7M)を投入した。1滴の酢酸およびNaCNBH(20mg)を反応混合物に加え、80℃で80分間マイクロ波に当てた。残留物を酢酸エチル(30mL)および飽和NaHCO(水溶液)(30mL)に溶解させた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×10mL)で再抽出した。有機相を混合し、飽和NaHCO(3×10mL)、HO(10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して固体(75mg)を得た。
【0202】
【化76】

(1−{2−[(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−1−フェニル−エチルカルバモイル}−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
攪拌棒を備えた15mLの反応容器に、THF(15mL)、Boc−(R)−アラニン(52mg、0.273mmol)、HOBt(37.87mg、0.273mmol)、EDCI(53mg、0.273mmol)、およびTEA(37μl、0.273mmol)を投入した。反応混合物を15分間攪拌し、そこに2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸(2−アミノ−2−フェニル−エチル)−アミド(75mg、0.248mmol)を加え、さらに3時間攪拌した。酢酸エチル(10mL)およびHO(10mL)をこの反応混合物に加えた。不均一混合物を分液ロートに移し、そこで水相を分離し、酢酸エチル(2×10mL)で再抽出した。有機相を混合し、1N HCl(2×10mL)、HO(1×10mL)、飽和NaHCO(3×10mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーによって精製して(溶出には20%酢酸エチル/ヘキサン)、無色の固体(30mg)として標記の化合物を得た。
【0203】
【化77】

2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボン酸[2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−2−フェニル−エチル]−アミド(化合物番号28)のTFA塩。
【0204】
攪拌棒を備えた5mLの丸底フラスコに、10%TFA/CHClおよび(1−{2−[(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−アミノ]−1−フェニル−エチルカルバモイル}−エチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(30mg)を投入し、1時間攪拌した。TFAを減圧下で除去し、残留物を30%アセトニトリル/HOに溶解させ、(0.1%TFAを含む)10〜40%アセトニトリル/HO勾配を使用して分取HPLC(Ultro 120(10μm)C18Q)によって精製した。純粋留分を混合、濃縮し、凍結乾燥させて無色の固体(17.7mg)を得た。MS(ESI)m/z374(M+1)。
【0205】
(実施例10)
CHO細胞でのTrp−p8の発現
ヒトTrp−p8をトランスフェクションしたCHO細胞(本明細書ではCHO/Trp−p8と呼ぶ)を作製し、本発明の実験に使用した。このトランスフェクタントでのTrp−p8のポリペプチドの発現、およびトランスフェクションしていないCHOでのあらゆる内因性の発現の欠如を、Trp−p8特異的抗体を使用するウェスタンブロットおよび免疫蛍光法(GS2.20)ならびにイシリン(1−[2−ヒドロキシフェニル]−4−[3−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン)およびメントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)を用いるカルシウムフラックスアッセイによって確認した。トランスフェクションしていないCHO細胞を使って、CHO/Trp−p8で観測された化合物の効果の特異性を確立した。
【0206】
(実施例11)
候補Trp−p8アゴニスト化合物にCHO/Trp−p8細胞を37℃で曝露した後の、細胞生存度のTrp−p8を介した減少
本実施例は、効果的なTrp−p8アゴニストに対するスクリーニングに適したATP生存性アッセイを開示する。本明細書に記載のATP生存性アッセイは、外因性のTrp−p8のcDNAを発現するCHO細胞を使用する。本実施例は、さらに、本発明のTrp−p8アゴニストが、Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させる際に有効であることを確立する。
【0207】
代謝的に活性な細胞がネクローシスおよび/またはアポトーシスを受ける場合、分子内ATPの濃度は、非常に急激に低下する。このATP濃度、したがって相対的細胞生存率は、市販の試薬を使う確立された方法によって測定され得る。本明細書で開示したアゴニストスクリーニング方法では、CHO/Trp−p8細胞の生存性を特異的に減少させる化合物をアゴニストと呼ぶ。
【0208】
アゴニストに対する効力および特異性についての一次スクリーニングとして、トランスフェクションしていないCHO細胞とCHO/Trp−p8細胞の両方を、96ウェルの黒色壁で、黒色底の細胞培養処理プレート中で、1%ジメチルスルホキシド(DMSO)中の1または10μMの試験化合物または1%DMSO(コントロール)に曝露した。DMSOは、試験した化合物すべてに対する溶媒であった。37℃で24〜26時間後に、これらの細胞を溶解し、ATP濃度を化学発光アッセイにより、市販の試薬キット(Cell Titer−Glo(Promega;Madison、WI))を使用して求めた。DMSOのみで処理した細胞中のATPレベルのパーセントとして表される、化合物で処理された細胞中のATPレベルとして表される相対的生存率(%)は、候補化合物のアゴニスト活性の尺度であった。すなわち、生存率%が小さいほど、そのTrp−p8アゴニストはより強力である。8〜10アゴニスト濃度で生存率を測定することによって、37℃で最も活性な候補Trp−p8アゴニストに対し、EC50値を決定した。(本明細書ではEC50は、相対的細胞生存率に50%の減少があるアゴニスト濃度として定義される)。
【0209】
ATP生存性アッセイにおいて有効であった式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および式I−Eの例示的なTrp−p8アゴニストを本明細書において表1〜表5に示す。EC50データを以下の通りに示す:A=<0.020μM;B=0.021〜0.050μM;C=0.051〜0.10μM。
【0210】
表1〜表5では、以下の形態の化学構造が提供される:
【0211】
【化78】

上記化学構造において、Xおよび/またはYに対して化学名が与えられている。X/Yに名称が与えられる場合、その名称には窒素基が含まれる。
【0212】
例示的なTrp−p8アゴニストで処理した後のCHO/Trp−p8細胞の生存率を図1に示す。
【0213】
表1
式I−Aの例示的な化合物
【0214】
【表1−1】

【0215】
【表1−2】

【0216】
【表1−3】

表2
式I−Bの例示的な化合物
【0217】
【表2−1】

【0218】
【表2−2】

【0219】
【表2−3】

【0220】
【表2−4】

表3
式I−Cの例示的な化合物
【0221】
【表3−1】

【0222】
【表3−2】

表4
式I−Dの例示的な化合物
化合物番号
【0223】
【表4−1】

【0224】
【表4−2】

表5
式I−Eの例示的な化合物
【0225】
【表5−1】

【0226】
【表5−2】

【0227】
【表5−3】

【0228】
【表5−4】

【0229】
【表5−5】

【0230】
【表5−6】

【0231】
【表5−7】

【0232】
【表5−8】

(実施例12)
37℃におけるCHO/Trp−p8細胞中へのカルシウム流入を測定することによるTrp−p8アゴニスト化合物のスクリーニングおよび特徴付け
本実施例は、本発明の候補Trp−p8アゴニストの活性をさらに評価するために使用されるCHO/Trp−p8をベースにしたカルシウム流入アッセイを開示する。
【0233】
カルシウム流入をフレクステーションミクロプレート蛍光プレートリーダー(Molecular Devices;Sunnyvale、CA)を使用して測定した。カルシウムフラックスのための典型的なアッセイを、以下のようにして行った。DMEM/Ham’s F−12をベースとした培地中の細胞を、典型的には30,000細胞/ウェル/100μlの濃度で、96ウェルの黒壁の、透明底の組織培養プレート(Greiner Bio−one)に播種し、37℃で16〜20時間培養した。Fura2−AM蛍光色素/Pluronic F−27混合物(Molecular Probes;Eugene、Oregon)と共に、各ウェル中の細胞を37℃で1時間培養し、プロベネシドを含む培地に溶解させた。典型的な最終濃度は、Fura2−AMが5〜8μM、Pluronic F−27が0.01%、プロベネシド(細胞内からの加水分解した色素の輸送を減少させ、それにより実験中の色素の損失を最小限にする陰イオン交換阻害剤)が2.5mMであった。1時間後、pHが7.4で、2.5mMの最終濃度でプロベネシドを含む緩衝溶液(20mMのHEPESおよび1.26mMのCaClを含むHanks平衡塩溶液)で細胞を洗浄し、37℃のアッセイ温度で少なくとも30分間予備インキュベートした。
【0234】
典型的には、追加のカルシウムを含まないか、濃度を2mMに増加するカルシウムを含む上記HEPES/HBSSベースの緩衝液、および各種濃度の化合物(最終濃度の5倍で)を、自動のマルチチャネルピペットを使用して各ウェルに加えた。これらの化合物は、アッセイ(37℃)を行う前に、37℃で少なくとも30分間予備インキュベートした。シグナルを、340nmおよび380nmの二重励起波長、ならびに510nmの発光波長で、495nmの遮断フィルターを使って読み取った。そのシグナルを380nmで励起したときの放射に対する340nmで励起したときの放射の比として報告した[相対的蛍光単位(RFU)]。イオノマイシンを正のコントロールとして慣用的に使用した。
【0235】
アゴニストアッセイの場合、異なった濃度の化合物を、(上述したように)色素を導入した細胞に加えた。RFUの増加は、アゴニストとしての化合物の作用強度の尺度であった。例示的な結果を図2に示す。
【0236】
(実施例13)
CHO/Trp−p8細胞をTrp−p8アゴニスト化合物に37℃で曝露した後のアポトーシスの増加
本実施例は、Trp−p8を発現する細胞中でアポトーシスを誘導する際のTrp−p8アゴニスト化合物の効力を開示する。
【0237】
アネキシンV/ヨウ化プロピジウム(PI)フローサイトメトリーアッセイを使用して、Trp−p8アゴニスト化合物によって誘導される細胞死の機構に対してさらに理解を深めた。アネキシンV染色は、ホスファチジルセリンが原形質膜の外部層に転移するのを検知し、これはアポトーシスに特徴的な事象である一方、PI染色は易感染性膜を有する死亡細胞を示す。
【0238】
細胞を、37℃で24〜26時間、1%DMSO中の化合物、または1%DMSO(コントロール)で処理した。それらの細胞を、制御条件下で短時間トリプシン処理し、供給者(例えば、Southern Biotech;Birmingham、Alabama)によって提供された方法に従って、アネキシンV/PI試薬キットで染色した。例示的な結果を図3に示す。
【0239】
(実施例14)
Trp−p8発現細胞を毒性のアゴニスト化合物から保護することに基づいた、Trp−p8アンタゴニスト化合物についての細胞生存性アッセイを使用するインビトロスクリーニング
本実施例は、候補Trp−p8アンタゴニスト化合物を同定および特徴付けるためのアッセイ系を開示する。
【0240】
以下の修正を伴って、37℃でのCHO/Trp−p8細胞に対する細胞生存性アッセイ(実施例11を参照)を使用することによって、Trp−p8アンタゴニストを同定した。本発明の場合は、CHO/Trp−p8細胞をコントロールアゴニストの毒性効果から保護し、それによりTrp−p8アゴニストに曝露したCHO/Trp−p8細胞の生存性を維持する化合物をアンタゴニストと定義する。アンタゴニストに対する一次スクリーニングとして、1%のジメチルスルホキシド(DMSO)中の10μMの試験化合物、または毒性濃度のコントロールアゴニストを含む1%DMSOにCHO/Trp−p8細胞を曝露した。実施例11で記述したように求めた10μMでの相対的生存率は、Trp−p8アンタゴニストとしてのこの化合物の潜在能力の尺度であった。すなわち、生存率が高いほど、そのアンタゴニストはより強力である。例示的な結果を図4に示す。
【0241】
(実施例15)
CHO/Trp−p8細胞中のTrp−p8アゴニストによって誘導されたカルシウム流入を抑圧するTrp−p8アンタゴニスト化合物の能力に基づいた、Trp−p8アンタゴニスト化合物のためのカルシウムフラックスアッセイを使用するインビトロスクリーニング
本実施例は、候補Trp−p8アンタゴニストをさらにスクリーニングし、特徴付けするのに使用されるインビトロアッセイ系を開示する。
【0242】
実施例12に記述したような37℃でのカルシウムフラックスアッセイを使用して、以下の2つの区別をして、Trp−p8アンタゴニストに対してさらにスクリーニングおよび特徴付けを行った。2つの区別とは、(1)化合物をコントロールアゴニストと予備混合する、またはコントロールアゴニストのみを細胞に加え、アゴニストに対する応答の抑制をその化合物のアンタゴニストとしての作用強度の尺度とすること、および(2)化合物を、異なった濃度で細胞に加え、その後2〜3分後にコントロールアゴニストをその細胞に加え、アゴニストによって誘導された応答の抑制をアンタゴニストとしてのその化合物の作用強度の尺度としたこと、であった。例示的な結果を図5に示す。
【0243】
(実施例16)
癌の処置のための候補Trp−p8アゴニストおよび候補Trp−p8アンタゴニストのインビボ効力をアッセイするための動物モデル系
本実施例は、アゴニストとアンタゴニストの両方を含む候補Trp−p8モジュレーターのインビボ効力を決定するのに適した動物モデル系を提供する。
【0244】
Trp−p8を発現するヒト前立腺癌の異種移植片(University of WashingtonのDr.Robert Vessellaの実験室からのLuCaP。タンパク質に特異的なウサギポリクローナル抗体であるT−904を使用するインサイチュハイブリダイゼーション、定量的ポリメラーゼ連鎖反応、および免疫組織化学により評価される)、ならびにCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株およびEL−4(マウスの胸腺腫)細胞株を含む、Trp−p8を発現するように操作される細胞株を使用して、マウスで腫瘍モデルを樹立した。これらのトランスフェクタントでのTrp−p8発現を、ウェスタンブロットおよびTrp−p8に特異的な抗体(GS2.20)を使用する免疫蛍光検査、ならびにカルシウム流入の機能的なアッセイにおいて知られているアゴニストに対する応答によって確認した。さらに、(本明細書において実施例11および実施例13で記述されているように)これらのトランスフェクションされた細胞株は、ATP生存性およびアポトーシスアッセイから明らかなように、Trp−p8アゴニストによる殺傷を受けやすかった。
【0245】
マウスにおける腫瘍モデルを、CHO/Trp−p8細胞をSCIDマウスに皮下注入することによって樹立した。これらのマウスから摘出した腫瘍中のTrp−p8発現をRT−PCR、免疫組織化学、およびウェスタンブロット分析によって確認した。無胸腺のヌードマウスまたはSCIDマウスで上述したヒト前立腺癌の異種移植片を使用することによって、かつ正常マウス中のEL4/Trp−p8トランスフェクタントを使用することによって、さらなる腫瘍モデル開発を行う。Trp−p8を発現するように操作され得る、他の供給源由来の前立腺異種移植片および他の細胞株も、さらなるモデル系を作るための潜在的な候補である。
【0246】
インビトロ評価およびインビボ評価からの結果に基づいて、一組のTrp−p8アゴニストを、マウス中の効力を決定するために選択する。インビトロ評価としては、細胞殺傷アッセイにおける強度、水への溶解度、血漿結合研究、および代謝安定性(肝細胞および/またはマウスのミクロソームを使用して決定されるような、化合物が肝臓によって新陳代謝される能力)が挙げられる。インビボ評価には、薬動学および毒性研究が含まれる。選択した化合物を、異なった経路(経口、静脈内、腹膜内、皮下、筋肉内)によって、Trp−p8を発現する腫瘍を有するマウスに投与する。腫瘍の減少およびこれらのマウスの生存を、これらの化合物の様々な服用量で評価する。腫瘍と闘う際に最も効果的な化合物を、さらなる研究のために選択する。
【0247】
(実施例17)
いくつかの例示的な化合物の実験による特徴付け
本実施例は、化合物I、II、III、およびIVとして示した式Iのいくつかの例示的な低分子Trp−p8モジュレーターの実験による特徴付けとその結果を開示する。これらの式および分子量を表6にまとめた。
【0248】
表6
式および分子量
【0249】
【表6】

インビトロ活性
表8にまとめたように、これらの化合物は、Trp−p8を発現する細胞の殺傷に対して高度の作用強度および特異性を示した。典型的には、Trp−p8を発現する細胞と比較して、Trp−p8のない細胞を殺傷するには、>1000倍高濃度の化合物が必要であった。このアッセイで、化合物II、III、およびIVは同様の活性を示し、化合物Iはそれらよりも約3倍強力であった。
【0250】
表8
いくつかの好ましい化合物に対するATP生存性アッセイの結果
【0251】
【表8】

インビボ活性
図9Aおよび図9Bに示したように、化合物I、II、およびIIIは、齧歯動物(図9A)およびビーグル犬(図9B)の両方に単回経口投与した後で持続性曝露を生じた。マウスと比較して、ラットは同等の曝露を達成するのに(体重に基づき)約2倍の経口投与量を必要とし、イヌには1/3未満が必要である。維持された血漿レベル(tl/2〜9時間)と一致して、単回経口投与によってCHO/Trp−p8異種移植モデルに長期にわたる持続的な反応がもたらされる。
【0252】
図10Aおよび10Bに示したように、これらの化合物の経口投与によって、CHO/Trp−p8異種移植モデルに持続的な反応がもたらされた。腫瘍増殖の大幅な抑制は、10mg/kgのわずかな単回投与の後で見られ、有意な毒性は100mg/kgで明白にならなかった;>10倍の治療窓。
【0253】
図7に示したように、式Iの化合物は、単回腹腔内注射によって、経口投与と比較して大幅に短い曝露を生じた。図8Aおよび図8Bに示したように、これらの化合物をマウスへ腹腔内注射すると、CHO/Trp−p8異種移植モデルにおける反応がより短くなり、IP投与の停止後には持続性の低下が見られる。
【0254】
有効性にはTrp−p8が媒介していることを例証するために、図11は、適合したCHO(Trp−p8−)モデル内の化合物Iの評価を示している。提案された作用機序と一致して、このモデルにおいて化合物Iは100mg/kgで有意な有効性を示さなかった;類似のCHO/Trp−p8モデルにおける有効投与量の10倍の投与量。
【0255】
図12に示したように、LuCaPモデルは、CHO/Trp−p8モデルと同等の反応またはそれよりも良好であるといえる反応を示した。CHO/Trp−p8は増殖の早い腫瘍である;化合物Iを用いた処置は、増殖を弱めたが後退させることはなかった。対照的に、LuCaPは増殖の遅い腫瘍である;処置は、増殖阻止と同様に統計的に有意な後退を生じさせた。この場合、マウスから切除した腫瘍組織を免疫組織化学で評価すると、LuCAP異種移植モデルはCHO/Trp−p8モデルと同等のTrp−p8レベルを示した。
【0256】
マウスに経口投与した最も高い投与量100mg/kgは、これらの化合物のいずれに対しても有意な毒性を生じさせなかった。化合物Iの10mg/kgの単回経口投与がCHO/Trp−p8異種移植モデルにおいて大きな効力を生じさせたので、>10の治療窓は式Iの化合物で達成可能である。これをラットの毒性試験によって発展させた。試験においては、より高い投与量で化合物を投与することができた。ラットで実施された毒性試験では、250mg/kgの経口投与は、観察可能な毒性効果を誘導しなかった。500mg/kgおよび1000mg/kgの単回投与は、軽度から中度の毒性を生じさせたが、MTDには達しなかった。式Iの化合物によって達成可能な最小の治療窓を表すこれらのデータを表7にまとめた。
【0257】
表7
【0258】
【表7】

理解を明確にするために、図示および例によって本発明をある程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の範囲を逸脱することなく、変更および修正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0259】
【図1A】図1Aは、本発明の低分子Trp−p8モジュレーターを試験し特徴付けるのに適した例示的なATP生存性アッセイを示すグラフである。予備アッセイ(図1A)では、化合物を1μMで試験し、Trp−p8を発現するCHO細胞(CHO/Trp−p8)の特異的殺傷を37℃で測定した。追跡アッセイ(図1B)では、化合物を様々な濃度で試験し、Trp−p8を発現するCHO細胞(CHO/Trp−p8)の殺傷を37℃で測定した。EC50値は、濃度の関数として細胞生存性のプロットから得られた。
【図1B】図1Bは、本発明の低分子Trp−p8モジュレーターを試験し特徴付けるのに適した例示的なATP生存性アッセイを示すグラフである。予備アッセイ(図1A)では、化合物を1μMで試験し、Trp−p8を発現するCHO細胞(CHO/Trp−p8)の特異的殺傷を37℃で測定した。追跡アッセイ(図1B)では、化合物を様々な濃度で試験し、Trp−p8を発現するCHO細胞(CHO/Trp−p8)の殺傷を37℃で測定した。EC50値は、濃度の関数として細胞生存性のプロットから得られた。
【図2A】図2Aは、Trp−p8モジュレーターにより誘導された、37℃で実施したカルシウムフラックスアッセイにより決定した細胞内カルシウムの増加を示すグラフである。図2Aは、CHO細胞およびCHO/Trp−p8細胞が、37℃でのカルシウムフラックスアッセイで2μMイオノマイシンと同様に応答することを例証する陽性コントロールである。図2Bは、内因性または外因性のTrp−p8を発現しない親のCHO細胞が10μMの濃度でTrp−p8アゴニストに応答しないことを例証する陰性コントロールである。図2Cは、Trp−p8アゴニストが、37℃でCHO/Trp−p8細胞において特異的な濃度依存応答を誘導したことを例証している。
【図2B】図2Bは、Trp−p8モジュレーターにより誘導された、37℃で実施したカルシウムフラックスアッセイにより決定した細胞内カルシウムの増加を示すグラフである。図2Aは、CHO細胞およびCHO/Trp−p8細胞が、37℃でのカルシウムフラックスアッセイで2μMイオノマイシンと同様に応答することを例証する陽性コントロールである。図2Bは、内因性または外因性のTrp−p8を発現しない親のCHO細胞が10μMの濃度でTrp−p8アゴニストに応答しないことを例証する陰性コントロールである。図2Cは、Trp−p8アゴニストが、37℃でCHO/Trp−p8細胞において特異的な濃度依存応答を誘導したことを例証している。
【図2C】図2Cは、Trp−p8モジュレーターにより誘導された、37℃で実施したカルシウムフラックスアッセイにより決定した細胞内カルシウムの増加を示すグラフである。図2Aは、CHO細胞およびCHO/Trp−p8細胞が、37℃でのカルシウムフラックスアッセイで2μMイオノマイシンと同様に応答することを例証する陽性コントロールである。図2Bは、内因性または外因性のTrp−p8を発現しない親のCHO細胞が10μMの濃度でTrp−p8アゴニストに応答しないことを例証する陰性コントロールである。図2Cは、Trp−p8アゴニストが、37℃でCHO/Trp−p8細胞において特異的な濃度依存応答を誘導したことを例証している。
【図3】図3は、Trp−p8アゴニストが、37℃でTrp−p8を発現するCHO細胞において用量依存的に特異的にアポトーシスを誘導できることを例証しているフローサイトメトリーデータのプロットである。
【図4】図4は、37℃でCHO/Trp−p8細胞を用いる、本明細書で説明するATP生存性アッセイを使用するTrp−p8アンタゴニストに対する一次スクリーニングからの例示的結果を示すグラフである。CHO/Trp−p8細胞を、1%DMSOまたは毒性濃度のTrp−p8アゴニストと組み合わせた1%DMSO中で異なった濃度の化合物に曝露した。細胞の生存性を、24〜26時間後に37℃でATPアッセイを使って分析した。細胞をTrp−p8アゴニストの毒性効果から保護した化合物は、Trp−p8アンタゴニストとして分類される(化合物A〜B)。不活性化合物(化合物C)は保護効果を有さず、ここでは、上記アッセイの例証目的で示されている。
【図5】図5は、37℃で行ったカルシウムフラックスアッセイによる、Trp−p8アンタゴニストのスクリーニングおよび特徴付けを示すグラフである。CHO/Trp−p8細胞にカルシウム指標色素であるFura−2を導入し、化合物に応答した分子内カルシウムの増加を蛍光の増加によって決定した。Fura−2色素を導入したCHO/Trp−p8細胞を、1%DMSO中の異なった濃度で、37℃で1%DMSOまたはアンタゴニストに曝露した。3分後に、この細胞にアゴニストを加えた。細胞を有効濃度のアンタゴニストに曝露すると、そのアゴニストに応答する細胞の能力は有意に減少されたか、または完全に消失した。
【図6A】図6Aは、本発明の低分子Trp−p8モジュレーターを試験し、特徴付けるのに適した例示的な動物モデルからの結果を示すグラフである。マウスの皮下にCHO/Trp−p8細胞を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(最長寸法)および幅(長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約100mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けした。図6Aでは、水性配合物としての試験化合物またはビヒクル単独のいずれかをマウスに単回強制経口投与した。図6Bでは、水性配合物としての試験化合物またはビヒクル単独のいずれかをマウスに繰返し強制経口投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図6B】図6Bは、本発明の低分子Trp−p8モジュレーターを試験し、特徴付けるのに適した例示的な動物モデルからの結果を示すグラフである。マウスの皮下にCHO/Trp−p8細胞を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(最長寸法)および幅(長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約100mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けした。図6Aでは、水性配合物としての試験化合物またはビヒクル単独のいずれかをマウスに単回強制経口投与した。図6Bでは、水性配合物としての試験化合物またはビヒクル単独のいずれかをマウスに繰返し強制経口投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図7】図7は、単回腹腔内注射による投与後のマウスにおける、時間および投与量の関数としてのいくつかの化合物の血漿濃度を示すグラフである。各化合物を水性配合物中にすべて溶解させ、比較投与量で投与した。示された時点で血液を採取し、薬物濃度を分析した。
【図8A】図8Aは、Trp−p8を発現するマウス腫瘍異種移植モデルにおいていくつかの化合物が例証する有効性を示すグラフである。マウスの皮下にCHO/Trp−p8細胞を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(L;最長寸法)および幅(W;長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約100mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けし、水性配合物としての化合物またはビヒクル単独のいずれかを、示された日にマウスに腹腔内注射によって投与した。すべての化合物を比較投与量で投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図8B】図8Bは、Trp−p8を発現するマウス腫瘍異種移植モデルにおいていくつかの化合物が例証する有効性を示すグラフである。マウスの皮下にCHO/Trp−p8細胞を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(L;最長寸法)および幅(W;長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約100mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けし、水性配合物としての化合物またはビヒクル単独のいずれかを、示された日にマウスに腹腔内注射によって投与した。すべての化合物を比較投与量で投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図9A】図9Aは、単回経口投与後のラット(図9A)およびイヌ(図9B)における、時間および投与量の関数としてのいくつかの化合物の血漿濃度を示すグラフである。各化合物を水性配合物中にすべて溶解させ、比較投与量で強制経口投与した。示された時点で血液を採取し、薬物濃度を分析した。
【図9B】図9Bは、単回経口投与後のラット(図9A)およびイヌ(図9B)における、時間および投与量の関数としてのいくつかの化合物の血漿濃度を示すグラフである。各化合物を水性配合物中にすべて溶解させ、比較投与量で強制経口投与した。示された時点で血液を採取し、薬物濃度を分析した。
【図10A】図10Aは、Trp−p8を発現するマウス腫瘍異種移植モデルにおいていくつかの化合物が例証する有効性を示すグラフである。マウスの皮下にCHO/Trp−p8細胞を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(L;最長寸法)および幅(W;長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約100mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けし、水性配合物としての化合物またはビヒクル単独のいずれかを、マウスに単回強制経口投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図10B】図10Bは、Trp−p8を発現するマウス腫瘍異種移植モデルにおいていくつかの化合物が例証する有効性を示すグラフである。マウスの皮下にCHO/Trp−p8細胞を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(L;最長寸法)および幅(W;長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約100mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けし、水性配合物としての化合物またはビヒクル単独のいずれかを、マウスに単回強制経口投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図11】図11は、Trp−p8発現のないマウス腫瘍異種移植モデルにおいて例示的な化合物が例証する有効性の欠如を示すグラフである。マウスの皮下にTrp−p8のないCHO−K1を注射すると、それにより固形腫瘍が形成された。各腫瘍の長さ(L;最長寸法)および幅(W;長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約50mmに達したときに、マウスを無作為にグループ分けし、水性配合物としての単回投与量の化合物またはビヒクルのいずれかを、マウスに強制経口投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。
【図12】図12は、Trp−p8を発現するマウス腫瘍異種移植モデルにおいて例示的な化合物が例証する有効性を示すグラフである。LuCaP腫瘍モデルは、University of Washington’s School of Medicineの泌尿器科学教授Robert L. Vassella, Ph.D.から入手した。各腫瘍の長さ(L;最長寸法)および幅(W;長さと同じ平面において、それに対して垂直な寸法)をノギスで測定し、腫瘍体積を楕円の体積に関する式0.52*L*Wによって近似させた。平均腫瘍体積が約150mmに達したときに、水性配合物としての化合物を、マウスに腹腔内注射によって1日1回、5日間投与した。その後、示された日に腫瘍を測定した。データは、平均腫瘍体積±平均値の標準誤差として示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物であって、
【化1】

式中、RはH、アルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、およびアリールから選択される、または、RおよびRは窒素基と共に25個までの原子の環状基または複素環基を形成でき;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する、化合物。
【請求項2】
式I−Aの化合物であって、
【化2】

式中、A、B、C、およびDは、CRおよびNから独立に選択され;A、B、C、およびDのうちの少なくとも1つがCRであり;Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、ハロゲン、アリールアルキル、RO−、およびRS−から選択されたメンバーであり、Rはアルキルであり;A、B、C、およびDの隣接する2つがCRであるとき、2つのRが一緒になって単一のアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成することができ、
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され、
は、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、−NRC(O)−、−C(O)NR−、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、および−NR−から選択され、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択されたメンバーであり、
は、−C(O)R−、アルキル、アリールアルキル、およびヘテロアルキルから選択され、Rは、アルキルおよびヘテロアルキルから選択され、
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され、
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する、化合物。
【請求項3】
がHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
が2個、3個、または4個の炭素を含む、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、プロピオニル、エチル、ブチリル、ヒドロキシプロピオニル、および3−ヒドロキシブチリルから選択される、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
がHおよびメチルから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
が、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素を含む、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
が、メトキシ、メチルスルファニル、フェニル、およびHから選択される、請求項7に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が、2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、N−(2−アミノ−エチル)−2−アミノ−5−メチルスルファニル−フェニル、1−(2−アミノ−エトキシ)−ナフタレン−2−イル、2−(2−アミノエチルアミノ)−4−メチルスルファニル−フェニル、N−(2−アミノ−エチル)−5−メトキシ−ベンズアミド、2−(2−アミノ−ブチリルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、3−(2−アミノ−エチルアミノ)−ナフタレン−2−イル、N−(2−アミノ−エチル)−2−アミノベンズアミド、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−プロピオニルアミノ)−4−メトキシ−フェニル、2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−フェニル、2−(2−アミノ−3−ヒドロキシ−ブチリルアミノ)−4−メトキシ−フェニルアミド、および2−(2−アミノ−アセチルアミノ)−4−メトキシ−フェニルから選択された基を含む、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
式I−Bの化合物であって、
【化3】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリール、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され、
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する、化合物。
【請求項12】
がHである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が、1個、2個、3個、4個、5個、または6個の炭素を含む、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
が、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
がHおよびメチルから選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
が、フェニル、フラン、メチルピロール、メチルベンゾアート、アミノフェニル、ヒドロキシフェニル、シアノフェニル、およびメトキシフェニルから選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が、2−(2−アミノ−エチル)−5−フラン−2−イル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(4−アミノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(4−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−メチルアミノ−エチル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−プロピル)−5−フェニル−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、4−{1−(2−アミノ−エチル)−1H−ピラゾール−3−イル}−安息香酸メチルエステル、2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−アミノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル、および2−(2−アミノ−エチル)−5−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルから選択された基を含む、請求項11に記載の化合物。
【請求項18】
式I−Cの化合物であって、
【化4】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、アリールアルキル、−NHC(O)R−、−OR−、および−NHR−から選択され、Rはアルキルまたはヘテロアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する、化合物。
【請求項19】
がHである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
がフェニルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
が、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
が、プロピオニルアミノ、エトキシ、プロポキシ、およびエチルアミノから選択される、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
がHおよびメチルから選択される、請求項18に記載の化合物。
【請求項24】
前記化合物が、2−(2−アミノ−プロピオニルアミノ)−2−フェニル−エチル、2−(2−アミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、2−(2−アミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、2−(3−アミノ−プロポキシ)−2−フェニル−エチル、2−(2−ジメチルアミノ−エトキシ)−2−フェニル−エチル、および2−(2−アミノ−エチルアミノ)−2−フェニル−エチルから選択された基を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項25】
式I−Dの化合物であって、
【化5】

式中、Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、およびアリールアルキルから選択され;
は、アリールおよびアリールアルキルから選択され;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する、化合物。
【請求項26】
がHである、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
がフェニルおよびフェニルアミノから選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項28】
が、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルアミノ、およびアセチルから選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項29】
がHおよびメチルから選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項30】
前記化合物が、2−[2−(2−アミノ−エチルアミノ)−フェニル]−エチル、2−(2−アミノメチル−フェニル)−エチル、および2−[(2−アミノ−アセチル)−フェニル−アミノ]−エチルから選択された基を含む、請求項25に記載の化合物。
【請求項31】
式I−Eの化合物であって、
【化6】

式中、A、B、C、およびDは、CRおよびNから独立に選択され;A、B、C、およびDのうちの少なくとも1つがCRであり;Rは、H、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびハロゲンから選択され;A、B、C、およびDの隣接する2つがCRであるとき、2つのRが一緒になって単一のアリール基、シクロアルキル基、またはヘテロシクロアルキル基を形成することができ;
は、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、およびアリールアルキルから選択され;
およびRは、窒素基と共に脂肪族アミンを形成する、化合物。
【請求項32】
がHである、請求項31に記載の化合物。
【請求項33】
が−ORであり、Rが、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項34】
が−SRiiであり、Riiが、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項35】
が−S(O)Riiiであり、Riiiが、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項36】
が−S(O)iVであり、Rivが、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、アセトニトリル、フェニル、フェニルメトキシ、フェニルエトキシ、フェニルプロポキシ、フェニルブトキシ、およびベンジルから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項37】
が−C(O)NRviであり、RおよびRviが、H、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、ヒドロキシエチル、プロピル、ヒドロキシプロピル、ブチル、ヒドロキシブチル、ジエチルアミノエチル、フェニル、ピリジニル、メトキシエチル、ヒドロキシエトキシエチル、ベンジル、メチルフェニル、フェニルエチル、ヒドロキシヒドロキシメチルフェニルエチル、カルバモイルメチル、およびヒドロキシメチルヒドロキシエチルから独立に選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項38】
が−C(O)NRViであり、RおよびRViが一緒に、モルホリン、ピペラジン、ピペラジンエチルエステルを形成する、請求項31に記載の化合物。
【請求項39】
がCFまたはハロゲンである、請求項31に記載の化合物。
【請求項40】
が、メチレン、エチレン、プロピレン、およびブチレンから選択される、請求項31に記載の化合物。
【請求項41】
がエチレンであり、RがHである、請求項40に記載の化合物。
【請求項42】
がメトキシである、請求項31に記載の化合物。
【請求項43】
がHである、請求項31に記載の化合物。
【請求項44】
前記化合物が、3−(2−アミノ−エチル)−5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(3−ヒドロキシ−プロポキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−エトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−メタンスルホニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸アミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−メチルスルファニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−メタンスルフィニル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−プロピル)−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、[3(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イルオキシ]−アセトニトリル、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸エチルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−3−イルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−メトキシ−エチル)−アミド、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−d]イミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−プロポキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボン酸(2−ジエチルアミノ−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ピリジン−4−イルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−オン、1−(3−アミノ−プロピル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸フェニルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸[2−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−エチル]−アミド、1−(2−アミノ−エチル)−5−トリフルオロメチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、1−(2−アミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ベンジルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−5−(モルホリン−4−カルボニル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−(2−オキソ−2−フェニル−エトキシ)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−メチルアミノ−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−5−ブトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メチル−フェニル−アミド、4−[3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボニル]−ピペラジン−1−カルボン酸エチルエステル、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸ジエチルアミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸フェネチル−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−2−フェニル−エチル)−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸カルバモイルメチル−アミド、3−(2−アミノ−エチル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチル−エチル)−アミド、N−{2−[2−オキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−1−イル]−エチル}−グアニジン、3−(2−アミノ−エチル)−5−ベンジルオキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン、および1−(4−アミノ−ブチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンから選択された基を含む、請求項31に記載の化合物。
【請求項45】
前記化合物が、3−(2−アミノ−エチル)−1−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサンカルボニル)−5−メトキシ−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オンである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
治療有効量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩に癌性細胞を接触させるステップを含む、癌の治療方法。
【請求項47】
Trp−p8を発現する細胞のアポトーシスおよび/またはネクローシスを誘導する方法であって、治療有効量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩に前記細胞を接触させるステップを含む、方法。
【請求項48】
細胞生存性を減少させる方法および/または細胞増殖を阻害する方法であって、治療有効量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩に癌性細胞を接触させるステップを含む、方法。
【請求項49】
哺乳動物の疾患を処置する方法であって、治療有効量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、方法。
【請求項50】
前記哺乳動物がヒトである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記疾患が癌である、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記疾患が、前立腺、肺、乳房、および結腸の癌である、請求項49に記載の方法。
【請求項53】
哺乳動物の疾患を処置する方法であって、式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せ、またはそれらの薬学的に許容される塩と、1つ以上の癌治療薬との組合せを投与するステップを含む、方法。
【請求項54】
前記組合せが同時に投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記哺乳動物がヒトである、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記疾患が癌である、請求項53に記載の方法。
【請求項57】
前記疾患が、前立腺、肺、乳房、および結腸の癌である、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
式I、式I−A、式I−B、式I−C、式I−D、および/または式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せ、またはそれらの薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項59】
前記組成物が、薬学的に許容されるキャリアまたは薬学的に許容される薬剤と処方される、請求項58に記載の薬学的組成物。
【請求項60】
哺乳動物における、Trp−p8受容体が関与し受容体機能の調節が望まれる疾患または状態を処置する方法であって、有効調節量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、方法。
【請求項61】
Trp−p8受容体機能の調節方法であって、有効調節量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を投与するステップを含む、方法。
【請求項62】
医療診断または治療での使用のための、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項63】
医療診断または治療が、Trp−p8受容体関連疾患または状態の治療または予防である、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
疾患またはTrp−p8受容体関連状態を治療または予防するために有用な医薬を調製するための、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩の使用。
【請求項65】
Trp−p8発現に関連する疾患を処置する方法であって、治療有効量の、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物、ならびにそれらの組合せからなる群から選択された化合物、またはそれらの薬学的に許容される塩を哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項66】
Trp−p8アゴニストを同定する方法であって、Trp−p8を発現する細胞およびTrp−p8を発現しない細胞を、Trp−p8を発現する前記細胞の生存性を減少させるのには十分な時間であるがTrp−p8を発現しない前記細胞の生存性を減少させない時間の間、Trp−p8を発現する前記細胞の生存性を減少させるのには十分な量であるがTrp−p8を発現しない前記細胞の生存性を減少させない量で、式Iの化合物、式I−Aの化合物、式I−Bの化合物、式I−Cの化合物、式I−Dの化合物、および式I−Eの化合物からなる群から選択された化合物に接触させるステップを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−526859(P2009−526859A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555361(P2008−555361)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/US2007/004053
【国際公開番号】WO2007/095340
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500072714)デンドレオン コーポレイション (11)
【Fターム(参考)】