説明

Trp−p8発現に関連する疾患の処置をするための組成物および方法

Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含む、低分子Trp−p8モジュレータ、低分子Trp−p8アゴニストを含む組成物、並びに新規低分子Trp−p8モジュレータを同定かつ特徴づける方法、新規Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させ、そして/または成長を阻害する方法、Trp−p8が仲介する陽イオン流入を活性化する方法、アポトーシスおよび/または壊死を刺激する方法、並びに、例えば肺癌、乳癌、結腸癌および/または前立腺癌疾患、および、良性前立腺肥大などTrp−p8発現に関わる他の疾患処置用関連方法、が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法第119条第(e)項の下、米国仮特許出願第60/497,384号(2003年8月22日出願)に優先権を主張する。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、一般に、細胞生物学、生化学、および有機化学の分野に関する。より具体的には、本発明はTrp−p8活性の低分子モジュレータの分野、ならびに低分子Trp−p8モジュレータを含む組成物を提供し、このモジュレータとしては、Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストが挙げられる。新規低分子Trp−p8モジュレータを同定および特徴づける方法、ならびに細胞中でTrp−p8が仲介する陽イオン流入、および/またはアポトーシスを調節する方法、およびTrp−p8の発現、活性化、および/またはシグナル伝達に関わる疾患の関連処置法もまた提供される。本発明の組成物および方法で適切に処置される疾患例には、肺癌、乳癌、結腸癌、および/または前立腺癌などの癌が挙げられる。
【背景技術】
【0003】

(発明の背景)
前立腺癌は合衆国における男性で診断される最も一般的な癌であり、肺腺癌に次ぐ2番目に高い癌死亡率をもつ。Parkerら、CA Cancer J.Clin.46:5−27(1996)。臓器に限定された前立腺癌を効果的に処置することは可能であるが、転移性疾患では処置オプションは非常に限定されている。従って、初期段階の疾患を診断する新規方法を見出し、そしてその疾患の進行および処置の両方を綿密にモニターし、ならびに新規治療方法を開発することが非常に重要である。本目的を達成するために、前立腺癌の発達の分子機構を理解し、そして疾患診断および進行のための新規生化学的マーカーを特定することが重要となる。
【0004】
現在までに、非常に少ない前立腺特異的マーカーしか有効でない。実証済の前立腺癌診断値の最もよく知られ、また良く特徴づけられたマーカーには、タンパク質前立腺酸性フォスファターゼ(PAP)、前立腺特異抗原(PSA),および前立腺特異的膜抗原(PSMA)がある。これらのタンパク質は、それぞれ、疾患の処置用の新規免疫療法アプローチの標的にもなっている。Horoszewiczら、Anticancer Res.7:927−935(1987);Barrenら、Prostate 30:65−68(1997);Murphyら,Prostate 33:281−285(1997);Murphyら、Prostate 26:164−168(1995);Rochonら、Prostate 25:219−223 (1995);Correaleら、J.Immunol.161:3186−3194(1998);およびMurphyら、Prostate 38:73−78(1999)。
【0005】
陽イオンチャネルタンパク質は、Trp−p8(一過性受容体ポテンシャル−p8)、TRPM8、およびCMR1(コールドおよびメントール受容体1)などと呼ばれ、前立腺で優先的に発現されることが報告されている。全長ヒトtrp−p8cDNAのクローニングによって、カルシウムチャネルのtrpファミリーと相同性を共有する1104アミノ酸ポリペプチドに相当する転写物が明らかになった。Claphamら、Nature Reviews 2:387−396(2001)およびClaphamら、IUPHAR Compendium、TRP Channels(2002)。Trp−p8は、ヒトTRPC7遺伝子(脳組織にて高頻度で発現されているtrpファミリーの推定Ca2+チャネルタンパク質)と特に高い相同性を示している。Nagamineら、Genomics 54:124−131(1998)。Trp−p8はまた、ヒトメラスタチン、と有意な相同性を示し、このメラスタチンは、メラニン細胞で発現するもう1つのTrpファミリー関連タンパク質であり、腫瘍抑制遺伝子であると考えられている。Duncanら、Cancer Res.58:1515−1520(1998);およびHunterら、Genomics 54:1l6−123(1998)。たぶん最も興味深いのは、trp−p8遺伝子が、前立腺腫瘍性病変に加え広範囲の非前立腺腫瘍性病変で発現されると考えられていることが観察されることである。Tsavalerら、Cancer Res.61(9):3760−9(2001)。
【0006】
Trpのスーパーファミリーは、20個を超える関係陽イオンチャネルタンパク質を含み、これらのタンパク質は、血管緊張低下および雄の妊性に関する感覚生理学を含む過程に関与している。Trpチャネルの欠陥は、成長制御および腫瘍抑制の変化に関係している。Trpタンパク質は全て、カルシウムチャネルであるが、それらのタンパク質は、選択性および活性化の様式が有意に変化する。Trpスーパーファミリーのメンバーは、顕著な配列相同性および推定膜貫通セグメントのサイズなどの推定構造類似性を共有する。
【0007】
Trp−p8は、前立腺癌、乳癌、肺癌および結腸癌を含む癌領域で過剰発現され、一方、正常組織内では、優先的に、ヒト前立腺(Tsavalerら、上述)および後根神経節(DRG、Dendreon、未公開観測)で発現される。Fuesselらは、Trp−p8は非常に前立腺に特異的な前立腺癌に関係した遺伝子であり、従って、Trp−p8を特異的な治療法のための潜在的な標的として適格であると見なすこと、を報告している。International J.of Oncology 23:221−228(2003)。他の化学種の中では、Trp−p8オルソログもまた、ラット(McKemyら、Nature 416(6876):52−8(2002))およびマウス(Peierら、Cell 108(5):705−15(2002))のDRG、および三卵性神経節(TG)細胞のサブセットで発現されると報告されている。よって、Trp−p8は疾患診断およびに処置の間の疾患進行のモニターにおけるかなりの潜在的用途を有する、全腫癌発現マーカーであり、かつ癌治療のための有効な標的である。
【0008】
同時に発表された2文献では、Trp−p8オルソログは、寒冷および一定の冷却用化合物に応答して、細胞外空間からのカルシウムのような陽イオンの流入を始めることが始めて報告された。McKemyら(前述);およびPeierら(前述)。Trp−p8活性の最もよく知られたモジュレータの2つは、Trp−p8アゴニストであるメントールおよびイシリンである。メントールは、約10〜100μMでカルシウム流入を誘導するのに効果的であり、一方、イシリンは0.1〜1μMの有効濃度領域を持ち、より強力である。
【0009】
最も広範囲に研究されたアゴニストであるメントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)による、Trp−p8活性化に対し報告されているより高温の閾値は、各種細胞(寒冷感受性神経細胞、ゼノパス卵母細胞、HEK293細胞およびCHO細胞中で非相同的に発現されるTrp−p8、)で約30〜32℃である。McKemyら、Nature(前述);Peierら、Cell(前述);Nealenら、J Neurophysiol.90(1):515−520(2003);およびReidら、J Physiol.545(Pt2):595−614(2002)。
【0010】
あるアゴニスト化合物は32℃までTrp−p8を発現する細胞を活性化することが示されているが、生理学的温度(すなわち、37℃)(この温度で、化合物は、有効なインビボ治療剤であるために活性でなければならない)で、細胞中で増殖操作を明らかにした報告はない。
【0011】
Trp−p8が前立腺癌、肺癌、乳癌、および結腸癌に関係していること、ならびに重要な細胞機能で各種イオンチャネルが果たす重要な役割よって、Trp−p8チャネルには癌細胞シグナル伝達および/または癌細胞増殖において重要な機能があり得ることが示唆されている。Trp−p8活性の生理学的アゴニストを通して活性化することによるか、またはアンタゴニストを通して阻害することによる、温度における調節は、Trp−p8を発現する細胞を特定様式で調節するための治療法として価値があり得る。
【0012】
従って、当該分野において、Trp−p8活性の低分子モジュレータ、1個以上の低分子Trp−p8モジュレータを含む組成物、細胞中でのTrp−p8の活性を調節する低分子の同定法および使用法、ならびにTrp−p8の異常発現に関係する疾患の処置法に対する必要性が残っている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の要旨)
本発明は、Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含むTrp−p8活性の低分子モジュレータ、およびそのようなTrp−p8モジュレータを含む組成物、ならびにTrp−p8モジュレータの同定法および使用法を提供することによって、これらおよび他の関連要求を満たす。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、陽イオン流入がTrp−p8モジュレータにより誘導される毒性に相関している細胞中で、Trp−p8に結合してTrp−p8を活性化し、そして/または、カルシウム流入を含むがこれに限定されない、陽イオン流入を刺激する。よって、これらの実施形態および他の実施形態では、本発明のTrp−p8アゴニストは、Trp−p8を発現する細胞の増殖を阻害すること、ならびに/あるいはTrp−p8を発現する細胞中で、アポトーシスおよび/または壊死を誘導するのに効果的である。代替の実施形態では、細胞中のTrp−p8の基本的活性を減量し、それによってTrp−p8を発現する細胞の生存性を減量するのに効果的なTrp−p8アンタゴニストが提供されている。都合のよいことに、従って、本発明のアゴニストおよびアンタゴニストは、Trp−p8発現に関係している乳房、肺、結腸、および/または前立腺の癌を含むが、これらに限定されない疾患を処置するのに使われ得る。
【0014】
1個以上のTrp−p8モジュレータが、1個以上の薬学的に受容可能なキャリアもしくは賦形剤、および/または1個以上のその他の治療化合物を含有する薬学的組成物を含む、組成物に処方され得る。そのような組成物はTrp−p8発現に関係している1つ以上の疾患の処置法に利用される。
【0015】
従って、1つの実施形態で、本発明は下記のTrp−p8モジュレータ、およびその誘導体を提供する:
化学式Iの化合物
【0016】
【化17】

ここで、
は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Hからなる群より選択され;
は、O,OH,酢酸エステル、乳酸エステル、カルボキサミド、ブタンアミド、スルファンアミド、およびプロパントリオールからなる群より選択され;そして
は、CH−CH−CH(イソプロピル)、イソプロパン−2−オール、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択される。
【0017】
化学式Iの例示的な化合物として次の化合物が挙げられる:
【0018】
【化18】

これらの例示的な化学式IのTrp−p8モジュレータは、次の商品名および化学名を有する:メントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)(Sigma−Aldrich,Inc.;St.Louis、Missouri);Frescolat ML(Harris&Ford、LLC;Indianapolis、Indiana;乳酸メンチル);L−酢酸メンチル(Millenium Chemicals;Olympia Fields、 Illinois;シクロヘキサノール−5−メチル−2−(1−メチルエチル)−アセテート−[1R−(1α,2β,5α)]−);冷却剤10(Takasago International Corp.;Rockleigh、New Jersey;(1)−メトキシプロパン−1,2−ジオール); Coolact P(登録商標)(Takasago International Corp.;(−)−イソプレゴール);およびクーラクト38D(登録商標)(Takasago International Corp.)。
【0019】
他の実施形態では、本発明はさらに次の低分子Trp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供する:
化学式IIの化合物
【0020】
【化19】

ここで、
は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Nからなる群より選択され;
は、OおよびNからなる群より選択され;
は、NH、OおよびSからなる群より選択され;そして
は、NOからなる群より選択される。
【0021】
化学式IIの化合物は、本明細書では、イシリン(1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン、別名3,4−ジヒドロ−3−(2−ヒドロキシフェニル)−6−(3−ニトロフェニル)−(1H)−ピリミジン−2−オン)によって例示される。
【0022】
【化20】

他の実施形態では、本発明はさらに、米国特許第4,153,679号(本明細書において参考として援用される)に示される、次の非環式カルボキサミドTrp−p8アゴニストおよびその誘導体を提供する:
化学式IIIの化合物
【0023】
【化21】

ここで、
10は、H、ならびにCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)を含むが、これらに限定されないC−Cアルキルからなる群より選択され;
11は、OH、カルボキサミド、ブタンアミド、プロパントリオール、およびCONR’R”からなる群より選択され、ここでR’は、H、CH、C、C(シクロブチル)およびCOからなる群より選択され、そしてR”は、COOCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)、HOCHC(CH、HOCHCH、C(tert−ブチル)、およびC(sec−ブチル)からなる群より選択され;
12は、H、ならびにCH、CH−CH−CH(イソプロピル)、CH−C=CH(イソプロペニル)、C(sec−ブチル)、C(イソブチル)、C(n−ブチル)、およびC11(イソヘキシル)を含むが、これらに限定されないC−Cアルキルからなる群より選択され;そして
13は、HならびにCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)、CH−C=CH(イソプロペニル)、C(sec−ブチル)、およびC(イソブチル)を含むが、これらに限定されないC−Cアルキルからなる群より選択される。
【0024】
化学式IIIの化合物は、本明細書では、WS−23(2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、別名N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミド)により例示される。
【0025】
【化22】

他の実施形態では、本発明はさらに、米国特許第4,150,052(本明細書において参考として援用される)に示されるものによって例示される、次の3−置換−p−メンタンTrp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供する:
化学式IVの化合物
【0026】
【化23】

ここで、
14は、Hならびに25個までの炭素を含む脂肪族基からなる群より選択され;
15は、H、OH、および25個までの炭素原子を含む脂肪族基からなる群より選択され、ただし、R15がHの場合、R14は、10個までの炭素原子のアリール基でもよく、また置換フェニル、フェナルキル、置換フェナルキル、ナフチル、置換ナフチル、およびピリジルからなる群より選択されてもよく;そして
14およびR15は、これらが結合している窒素原子一緒になる場合、R14およびR15は、例えば、ピペリジノ基またはモルホリノ基のような、25個までの炭素原子を有する環状基または複素環式基を形成し得る。例示的なそのような環状基は、3−フェニル−ピペリジン−1−イル、3−フェニル−ピロリジン−1−イル、6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル、および4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択され得る。
【0027】
14およびR15が脂肪族の場合、R14およびR15の典型的な基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチルメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル、2−アミノエチル、2−アセトキシエチル、2−エチルカルボキシエチル、4−ヒドロキシブト−2−イニル、およびカルボキシメチルである。
【0028】
14がアリールの場合、その典型的な基はベンジル、ナフチル、4−メトキシフェニル、2−メトキシ−4−メトキシフェニル、3−メトキシ−5−メトキシフェニル、4−メチル−5−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、3−メチル−4−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、4−エチルフェニル、2−フルオロ−4−フルオロフェニル、4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシナフチル、ピリジル、[1−カルバモイル−2−(1H−インドール−3−イル)−エチル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、1−カルバモイル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−カルバモイル−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−(1H−インドール−3−イル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−クロロフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−フェニルエチル、1−メトキシメチル−2−フェニルエチル、1−メチル−2−(4−クロロフェニル)−エチル、1−メチル−2−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、1−メチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−オキソ−2−フェニルエチル、1−フェニル−シクロペンチルメチル、2−(1−シクロペンチル−ピロリジン−3−イル)−エチル、2−(1H−インドール−3−イル)エチル、2−(2,3−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、2−(2,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,5−ジメチルフェニル)−エチル、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(2−フルオロフェニル)エチル、2−(2−フリル)エチル、2−(2−メトキシ−5−ブロモフェニル)エチル、2−(2−メトキシフェニル)−エチル、2−(2−メチルフェニル)エチル、2−(3,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(3−エトキシフェニル)エチル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−エチル、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ブロモフェニル)−エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(4−フルオロフェニル)エチル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−エチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルスルファニルフェニル)エチル、2−(4−ニトロフェニル)エチル、2−(4−スルファモイル−フェニル)−エチル、2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(N,N−ジプロピルアミノ)エチル、2−(ピリジン−2−イル)−エチル、2−(ピリジン−3−イル)−エチル、2−(ピリジン−4−イル)−エチル、2,2−ジフェニルエチル、2,3−ジフルオロベンジル、2,3−ジメトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−ブロモ−4−メチルフェニル、2−クロロ−4−シアノフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−ヨードフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−5−ニトロフェニル、2−クロロフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニル−エチル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、2−ヨードフェニル、2−メチル−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、2−メチル−2−フェニルエチル、2−メチル−4−ブロモフェニル(broophenyl)、2−メチル−5−ニトロフェニル、2−メチルフェニル、2−ニトロ−4−フルオロフェニル、2−ニトロフェニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−オキソ−2−フェニルエチル、2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−フェニル−2−(4−クロロフェニル)エチル、2−フェニル−2−(4−フルオロフェニル)−エチル、2−フェニル−2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−フェニルエテニル、2−フェニルエチル、2−ピリジン−2−イル−ベンゾオキサゾール−5−イル、2−ピリジン−3−イル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−チオフェン−2−イル−エチル)、2−トリフルオロ(trilfouro)メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,4−シクロペンタンフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−アセトアミドフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、3−カルボキサミドフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル、3−ヒドロキシメチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−オキソ−インダン−5−イル、3−フェニルプロピル、3−イル−アセトフェノン、4−(1,1−ジオキソ−1l6−チオモルホリン−4−イルメチル)−フェニル、4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル、4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル、4−[1,3−ジオキソ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−[2−(2−メトキシ−フェニル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−{2−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ}−フェニル、4−アセチルフェニル、4−アゼパン−1−イルメチル−フェニル、4−ベンゾオキサゾール−2−イル−フェニル、4−ビフェニル、4−ブロモフェニル、4−カルボキサミドフェニル、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−エトキシフェニル、4−エチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル、4−メチルシクロヘキシル、4−メチルフェニル、4−メチルスルファニルフェニル、4−ニトロベンジル、4−ピロリジン−1−イルメチル−フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル,ベンゾイルアミノ、ベンジルオキシ、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、C−1H−インダゾール−5−イル、シクロヘプチル、インダン−2−イル、N−(2−ジエチルアミノ−エチル)−ベンズアミド−4−イル、N’−キノキサリン−2−イル−アミノ、およびフェニルシクロプロピルである。
【0029】
化学式IVのTrp−p8モジュレータは、本明細書では、Trp−p8アゴニストであるWS−3(Millenium Chemicals;N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、別名シクロヘキサンカルボキサミド、N−エチル−5−メチル−2(1−メチルエチル))、およびWS−12(N−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2(1−メチルエチル))、ならびに表1に示された化合物によって例示される。
【0030】
【化24】

さらなる実施形態では、本発明は、少なくとも1個のケタール部分を含む次のTrp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供し、これらとしては、Trp−p8アゴニストである1−メントングリセロールケタールおよび米国特許第5,266,592号(本明細書において参考として援用される)に示された3,3,5−トリメチルシクロヘキサオングリセロールケタールが挙げられるが、これらに限定されない:
化学式Vの少なくとも1個のケタールを含む化合物
【0031】
【化25】

ここで、
16は、少なくとも1個、しかし3個を超えないヒドロキシル基、好ましくは1個の、ヒドロキシル基を含むC−Cアルキレン基からなる群より選択され;そして
17およびR18は、各々、互いに独立して、C−C10アルキル基(ヒドロキシル、アミノ、チオ、およびハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)からなる群より選択される1から3個の基で必要に応じて置換される)、C−Cシクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、C−C12アリール、好ましくはフェニル、を表し、但し、R17およびR18のC原子の全数は3より小さくなく;または
17およびR18は一緒になってアルキレン基を表し、該アルキレン基は、基R17およびR18を持つ炭素原子と共に、5−7員環を形成し、このアルキレン基は、C−Cアルキル基で置換できる。
【0032】
好ましいR17基およびR18基は、メチル、イソプロピル、およびtert−ブチルを含む。
【0033】
化学式Vのケタールを含むTrp−p8モジュレータには、以下の化合物が挙げられ、ここでR16は既に定義されたとおりである:
【0034】
【化26】

化学式Vのケタールを含む化合物は、本明細書では、Trp−p8アゴニストであるFrescolat MGA(Harris&Ford,LLC;メントングリセリンアセタール)で例示される。
【0035】
【化27】

さらにもう一つの実施形態では、本発明は化学式VIの低分子Trp−p8アゴニスト、およびその誘導体を提供し、本明細書ではL−カルボン(Millenium Chemicals;(R)−5−イソプロペニル−2−メチル−2−シクロヘキセノン−p−メンタ−6,8−ジエン−2−オン)で例示される。
【0036】
【化28】

本発明の他の実施形態は、化学式VIIのTrp−p8モジュレータを提供する。化学式VIIの化合物
【0037】
【化29】

ここで、
17は、2−ピリジル,2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル,2−ニトロ−4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル,フェニル,2−メチル−キノリン−3−イル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−アゼパン1−イル−5−(4−トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ[1,3,5]トリアジル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、2−フェニルエチル,4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンチル、C−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−メチル、2−ピリジル、および4−クロロベンジルからなる群より選択され;
18は、1−ベンジル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、3−ベンジルアミノ−2−ニトロフェニル、5−ニトロ−キノリン−8−イル、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、ベンジル−2−メチル−キナゾリン−4−イル、3−メチル−5−モルホリン−4−イル−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−5−ピペラジン−1−イル−エタノール、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、4−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、2−(2−フルオロ−フェノキシメチル)−2−シアノオキサゾリル、アダマンチル、5−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)−10b,10c−ジヒドロ−アントラ[1,9−cd]イソオキサゾール−6−オン−イル,2−メチル−チアゾロ[3,2−b][1,2,4]トリアゾール−6−オール4−メチルフェニルメチル、3−ベンジル−3H−キナゾリン−4−オン−2−イル、シクロペンチル、テトラヒドロナフチル、シクロオクチル、シクロヘキシル、C−[3−(4−クロロ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−メチル、C−(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−メチル,および1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オールからなる群より選択され;
19およびR20は、それぞれ独立に、HおよびOからなる群より選択され;そして
21は、4−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、および4−クロロフェニルからなる群より選択される。
【0038】
他の実施形態では、本発明は、化学式VIIIの低分子Trp−p8モジュレータを提供する。化学式VIIIの化合物
【0039】
【化30】

ここで、
22は,オキシアセトアミド、尿素、カルバメート、チオ尿素、スルホンアミド、アミン、およびアミドからなる群より選択され得るリンカー部分である。化学式VIIIのアンタゴニストは、以下の下位化学式(化学式VIII−A、化学式VIII−B、化学式VIII−C、化学式VIII−D、化学式VIII−E、化学式VIII−F、および化学式VIII−G)で表される:
【0040】
【化31−1】

【0041】
【化31−2】

【0042】
【化31−3】

前記7種のR22リンカー部分のいずれが使われるかに関係なく、R23は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、2−(N−メチル,N−フェニルエチル)アミノエチル、3−メチルインドリニル、1−フェニルエチル、2−クロロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、(1−フェニル−シクロフェンチル)−メチル、2−(テトラヒドロキノリニル)−エチル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、シクロヘプチル、3−シクロヘキシルスルファニルプロピル,2−シクロヘキシ−1−エニルエチル,2−(N−イソプロピル,N−フェニルエチル)アミノエチル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ(tetrhydro)−ピロロ[1,2−a]ピラジン、2−シクロペンチルエチル、2−フェニルシクロプロピル、1−フェノキシエチル、4−ブチルオキシフェニル、(2−ニトロフェノキシ)メチル、4,7,7−トリメチル−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン、C−(1−フェニル−5−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−メチル、ベンジル、2−クロロベンジル、1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、C−[3−(4−ブトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−メチル、4−(アゼパン−1−スルホニル)−フェニル、および5−(7−クロロ−キノリン−4−イルスルファニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルからなる群より選択され;そして
24は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、3−メチルインドリニル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ(tetrhydro)−ピロロ[1,2−a]ピラジン、および1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリンからなる群より選択され;そして
25は、Hからなる群より選択される。
【0043】
本発明の他の局面は薬学的組成物を含む組成物を提供し、これらの組成物は、薬学的に受容可能な賦形剤、キャリア、および/または希釈剤と共に、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および化学式VIIIの1個以上の低分子Trp−p8モジュレータを含む。本明細書において、実施例に例示されるものには、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、および化学式VIの特異的Trp−p8アゴニスト、ならびに化学式VII、および化学式VIIIのTrp−p8アンタゴニストがある。化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、および化学式VIのTrp−p8アンタゴニスト、ならびに化学式VII、および化学式VIIIのTrp−p8アゴニストもまた提供される。
【0044】
さらなる局面では、本発明の組成物は、1個以上の癌治療薬を一緒に処方した、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上の化合物を含む。あるいは、本発明の組成物は、独立に、1個以上の癌治療薬と処方された、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物を含む。すなわち、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上の化合物、ならびに癌治療薬は独立して処方される。
【0045】
適切な癌治療薬には、パクリタキセル、ビンクリスチン、およびエトポシドを含むが、これらに限定されない有糸分裂阻害剤;メクロレタミン、シクロホスファミド、およびカルムスチンを含むが、これらに限定されないアルキル化剤;メトトレキサート、ゲムシタビン、ロメトレキソール(lometrexol)、5−フルオロウラシル、および6−メルカプトプリンを含むが、これらに限定されない代謝拮抗剤;ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、およびストレプトゾシンを含むが、これらに限定されない細胞傷害性抗生物質;シスプラチンおよびカルボプラチンを含むが、これらに限定されない白金剤;タモキシフェン、およびジエチルスチルベストールのような抗エストロゲン、ならびにフルタミドのような抗アンドロゲンを含むが、これらに限定されないホルモン剤;抗血管新生作用剤;ならびにファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
いくつかの局面では、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物は、それ自体ではTrp−p8を発現する細胞でTrp−p8活性を調節するのに効果的ではない癌治療薬と共に投与される。意外にも、これらの型の併用治療法は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの単一の化合物を単独で使用するのに比べ効力を増すことになる。
【0047】
他の局面では、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物を含むが、これらに限定されない、1個以上の他のTrp−p8モジュレータと共に、投与される。
【0048】
これらの実施形態のあるものでは、本明細書に示される低分子Trp−p8アゴニストの低分子アンタゴニストが提供される。従って、ある実施形態では、1個以上の化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIのTrp−p8アゴニストの化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIII、ならびにそれらの誘導体の低分子Trp−p8アンタゴニストが提供される。
【0049】
本発明のさらなる実施形態は、細胞生存性を減少する方法、および/または細胞成長を阻害する方法、陽イオン流入を刺激する方法、およびTrp−p8を発現する細胞において、アポトーシスおよび/または壊死を誘導する方法を提供する。例示的そのような方法は、細胞生存性を減少させ、そして/または細胞成長を阻害するのに細胞間カルシウムを増加するため、ならびに/または該細胞のアポトーシスおよび/または壊死を誘導するために、必要な濃度と時間で、該細胞を化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物と接触させる工程を含む。
【0050】
さらなる実施形態では、本発明は、哺乳動物、最も典型的にはヒト、の疾患を、本発明の1個以上の化合物、および/または組成物を投与することによって、処置する方法を提供する。いくつかの局面では、前記方法は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物と単一処方におけるように、併発法で送達される1個以上の癌治療薬との組み合わせを含む組成物を、投与することを含む。いくつかの他の局面では、本発明の方法は、組み合わせ療法を含み、この療法では、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物が最初に一つの処方物で投与され、次いで、別の処方物で癌治療薬が投与される。前記方法はまた最初に一つの処方で供給される癌治療薬を含み、次いで、別の処方物中での、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物を含む。
【0051】
本発明の治療法は、ある種の結腸癌、肺癌、乳癌、および前立腺癌を含むが、これらに限定されないTrp−p8の発現に関係する癌の処置に特に効果がある。
【0052】
添付図と共に読まれる、次のより詳細な説明を参照することによって、本発明の上記および他の特徴、ならびにそれらを得る方法は明らかになり、そして本発明は、最も良く理解される。
【0053】
配列番号1は、ヒトTrp−p8cDNAのヌクレオチド配列(GenBank登録番号AY090109)である。
【0054】
配列番号2は、配列番号1のヌクレオチド配列によりコードされたアミノ酸配列(GenBank登録番号NP_076985)である。
(発明の詳細な説明)
本発明は、Trp−p8活性のいくつかの低分子アゴニストは、Trp−p8を発現する細胞の成長を阻害でき、そして/またはTrp−p8を発現する細胞におけるアポトーシスおよび/もしくは壊死を誘導することができる、という発見に基礎を置いている。どのような特定の作用形態にも限定されることを望むことなく、Trp−p8レセプターのTrp−p8アゴニストを媒介する活性化は実質的に陽イオンフラックスを増加し、このフラックスは細胞の傷害性と相関関係があると考えられる。さらに、Trp−p8アンタゴニストは、内因性のTrp−p8活性の基本的レベル、および/またはネイティブなリガンドによって誘導された活性を阻害でき、この結果、この陽イオンチャネルタンパク質を発現する細胞の成長減少または死に導くと考えられる。
【0055】
よって、本発明は、Trp−p8活性のアゴニストおよびアンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレータ、ならびに1個以上の薬学的に受容可能なキャリアおよび/または賦形剤を組み合わせた、1個以上の低分子Trp−p8モジュレータを含有する、例えば薬学的組成物を含む組成物を、提供する。本発明はまた、1個以上のTrp−p8モジュレータ、および1個以上の、例えば癌治療薬などの他の治療化合物、を含有する組み合わせ組成物を提供する。Trp−p8モジュレータ、およびTrp−p8モジュレータを含む組成物は、細胞内でTrp−p8により媒介される陽イオンフラックスを活性化する方法、細胞内でアポトーシス、および/または壊死を誘導する方法、ならびに乳癌、結腸癌、肺癌、および前立腺癌のような癌を含むが、これらに限定されないTrp−p8発現に関係する疾患の処置のための方法に、用途がある。
【0056】
(定義)
用語「Trp−p8モジュレータ」は、集合的に低分子アゴニストおよびアンタゴニストを意味し、これらの化合物は、細胞中のTrp−p8に結合し、細胞中のTrp−p8の活性を、それぞれ、増加または減少する。Trp−p8アゴニストには、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および化学式VIIIの化合物が挙げられ、これらのアゴニストは、本明細書では、化学式I〜VIの各種化合物およびそれらの化学的誘導体によって例示される。Trp−p8アンタゴニストには、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および化学式VIIIの化合物が挙げられ、これらのアゴニストは、本明細書では、化学式VII〜VIIIの各種化合物およびそれらの化学的誘導体によって例示される。本明細書で具体的に例示されていない化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および化学式VIIIの他のTrp−p8アゴニスト、またはアンタゴニストは、当業者よって、本明細書で明白に提供された方法、および/または当該分野で容易に利用できるような方法を用いることによって、容易に合成でき、また特徴化できる。
【0057】
句「Trp−p8を活性化する」は、細胞の表面上に発現されたTrp−p8のアゴニストを媒介にした活性化を意味する。例えば、いくつかの実施形態では、細胞に接触させた場合、および/または生体内で哺乳動物の被験体に投与した場合、本発明のアゴニストは、Trp−p8を活性化する。その結果、細胞成長の減少、ならびに/または壊死による細胞死および/またはアポトーシスによる細胞死の開始によって明らかなように、細胞に傷害を起こすに十分な細胞内レベルまで、および/または継続時間の間、アゴニストは、カルシウムイオンのような陽イオンのフラックスを容易にする。
【0058】
用語「脂肪族」は、芳香族の不飽和のない、直鎖基、分枝鎖基、または環状基のいずれかを含むことを意図し、よってアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アミノアルキル、アシルアミノアルキル、カルボキシアルキル、および同様な組み合わせを含む。
【0059】
用語「アルキル」は、単独で、または他の置換基の一部として、他に記述がなければ、直鎖もしくは分枝鎖、または環状の炭化水素基、またはそれらの組み合わせを意味し、アルキルは、完全に飽和していてもよく、単一が、または複数が飽和していてもよく、そして指定された数の炭素原子を有する(すなわち、C−C10は1から10個の炭素を意味する)、二価および多価の基を挙げることができる。飽和炭化水素基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)エチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルの同族体、および異性体などが挙げられる。不飽和アルキル基は、1以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例としては、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−プロピニル、および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに高級同族体および高級同位体が挙げられる。
【0060】
用語「アルケニル」は、1以上の炭素−炭素二重結合を含む分枝または非分枝の炭化水素鎖を意味する。
【0061】
用語「アルキニル」は、1以上の炭素−炭素三重結合を含む分枝または非分枝の炭化水素鎖を意味する。
【0062】
用語「アルキレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、−CHCHCHCH−で例示されるようなアルカンから誘導される2価の基を意味する。典型的には、アルキレン基は、1個から24個の炭素原子を有するが、本発明では、10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。「低級アルキル」、または「低級アルキレン」は、より短い鎖のアルキル基、またはアルキレン基であり、一般に、8個以下の炭素原子を有する。
【0063】
用語「シクロアルキレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、シクロヘキシレンで例示されるようなシクロアルカンから誘導される2価の基を意味する。典型的には、シクロアルキレン基は、5から8個の炭素原子を有するが、本発明では、6個の炭素原子を有する基が好ましい。
【0064】
用語「アルケニレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、−CH=CHCHCH−で例示されるようなアルケニルから誘導される2価の基を意味する。典型的には、アルケニレン基は、2から24個の炭素原子を有するが、本発明では、10個以下の炭素原子を有する基が好ましい。
【0065】
用語「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、および「アルキルチオ」は、それぞれ、酸素原子、窒素原子、またはイオウ原子を介して、その分子の残部に結合したアルキル基を有する基を意味する。同様に、用語「ジアルキルアミノ」は、従来の意味で使用され、−NR’R”を意味し、ここでR基は、同じまたは異なったアルキル基であり得る。
【0066】
用語「ヘテロアルキル」、単独で、または他の用語と共に、特に記述がなければ、完全に飽和していているか、または1度から3度の不飽和性を含み、明記された数の炭素原子、ならびにO、N、Si、およびSからなる群より選択される1個から3個のヘテロ原子から構成される安定な直鎖または分枝鎖、または環状炭化水素基、またはそれらの組み合わせを意味する。ここで、窒素原子とイオウ原子は、必要に応じて酸化され、そして窒素ヘテロ原子は、必要に応じて四級化され得る。ヘテロ原子(O、N、およびS)は、前記ヘテロアルキル基の内部の任意の位置に位置し得る。ヘテロ原子のSiは、ヘテロアルキル基の内部の任意の位置に位置し得る。この位置には、アルキル基がその分子の残部に結合した位置が挙げられる。例として、−CH−CH−O−CH、−CH−CH−NH−CH、−CH−CH−N(CH−)−CH、−CH−S−CH−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH−CH−S(O)−CH、−CH=CH−O−CH、−Si(CH、−CH−CH=N−OCH、および−CH=CH−N(CH−CHが挙げられる。2個までのヘテロ原子は連続してもよく、例えば、例として、CH−NH−OCHおよび−CH−O−Si(CHが挙げられる。また、用語「ヘテロアルキル」には、「ヘテロシクロアルキル」として以下に詳述される基が挙げられる。用語「ヘテロアルキレン」は、単独で、または他の置換基の一部として、−CH−CH−S−CHCH−およびCH−S−CHCH−NH−CH−で例示されるようなヘテロアルキレンから誘導される2価の基を意味する。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖末端の一方または両方をもまた占有できる。さらに、アルキレン連結基およびヘテロアルキレン連結基の場合、この連結基の配向は考慮されない。
【0067】
用語「アシル」は、有機酸のヒドロキシ部分を取り除くことで得られる酸から誘導される基を意味する。従って、アシルには、例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、デカノイル、ピバロイル、ベンゾイルなどが挙げられることを意味する。
【0068】
「活性化カルボニル」基は、そのカルボニルの両側に結合した基の結果として、その求電子性が増強されるカルボニル基である。そのような活性化カルボニル基の例として、(ポリフルオロアルキル)ケトン、(ポルフルオロアルキル)アルデヒド、α−ケトエステル、α−ケト酸、α−ケトアミド、1,2−ジケトン、2−アシルチアゾール、2−アシルイミダゾールなどである。
【0069】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、単独で、または他の用語と併せて、特に記述しない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状版を表す。さらに、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環基が分子の残部に結合している位置を占有できる。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキシニル、3−シクロヘキシニル、シクロヘプチルなどが挙げられる。ヘテロシクロアルキルには、例えば、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなどが挙げられる。
【0070】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、単独で、または他の置換基の一部として、特に記述しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を意味する。さらに、「フルオロアルキル」のような用語は、モノフルオロアルキルおよびポルフルオロアルキルを含むことを意味する。
【0071】
用語「アリール」は、単独で使用されるか、または他の用語と共に使用され(例えば、アリールオキシ、アリールチオオキシ、アリールアルキル)、特に記述しない限り、芳香族置換基を意味し、この基は単環、または縮合もしくは共有結合した複数環(3環まで)であり得る。用語「ヘテロアリール」は、N、O、およびSから選択される0個から4個のヘテロ原子を含むアリール環を含むことを意味し、窒素原子とイオウ原子は必要に応じて酸化され、そして窒素原子は必要に応じて四級化される。「ヘテロアリール」基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合できる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的なれいとしては、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンゾイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記アリール環系のそれぞれに対する置換基は、下記の許容できる置換基の群から選択される。用語「アリールアルキル」は、アリール基またはヘテロアリール基が、アルキル基に結合している基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)、またはヘテロアルキル基に結合している基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル,3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むことを意味する。
【0072】
上記用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、および「アリール」)は、各々、示された基の置換形および非置換形の両方を含むことを意味する。各型の基に対する好ましい置換基は、以下で提供される。
【0073】
アルキル基およびヘテロアルキル基に対する置換基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしば呼ばれる基を含む)には、各種の基があり得、これらの基は−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−COR’、CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R’’’、−NR”C(O)R’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、S(O)R’、−S(O)NR’R”、−CN、および−NO、から選択され、ここで数はゼロから(2N+1)の範囲にあり、Nはそのような基の炭素の全数である。R’、R”、およびR’’’は、各々独立に、水素、非置換(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、1個から3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換アルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、またはアリール−(C〜C)アルキル基を意味する。R’およびR”が、同じ窒素原子に結合している場合、それらはその窒素原子と一緒になり、5員環、6員環、または7員環を形成し得る。例えば、−NR’R”は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むことを意味する。置換基の上記議論から、当業者は、用語「アルキル」はハロアルキル(例えば、−CFおよび−CHCF)およびアシル(例えば、−C(O)CH、−C(O)CF、C(O)CHOCHなど)、のような基を含むことを意味することを理解する。
【0074】
同様に、アリール基に対する置換基は、さまざまであり、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R”、−SR’、−R’、−CN、−NO、−COR’、−CONR’R”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、NR”C(O)R’、NR”C(O)R’、−NR’−C(O)NR”R’’’、−NH−C(NH)=NH、−NR’C(NH)=NH、−NH−C(NH)=NR’、−S(O)R’、−S(O)R’、−S(O)NR’R”、−NR”−S(O)−R’、−N、−CH(Ph)、パーフルオロ(C〜C)アルコキシ、およびパーフルオロ(C〜C)アルキルから選択され、数はゼロから芳香族環系の空いている原子価の全数の範囲にあり;そしてR’、R”、およびR’’’は、水素、(C〜C)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C〜C)アルキル、ならびに(非置換アリール)オキシ−(C〜C)アルキルから独立に選択される。
【0075】
アリール環の隣接原子上の置換基の2個は、必要に応じて、化学式−T−C(O)−(CH−U−の置換基で置き換えられ得、ここでTおよびUは、独立して、−NH−、−O−、−CH−または単結合であり、下付き文字のqは、0から2までの整数である。あるいは、アリール環の隣接原子上の置換基の2個は、必要に応じて、化学式−A−(CH−B−の置換基で置き換えられ得、ここでAおよびBは、独立して、−CH−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、−S(O)NR’−または単結合であり、下付き文字のrは、1から3までの整数である。そのようにして形成された新しい環の単結合の1個は、必要に応じて、二重結合で置換してもよい。あるいは、アリール環の隣接原子の2個は、化学式−(CH−X−(CH−の置換基で置き換えられ得、ここでsおよびtは、独立して、0から3までの整数であり、そしてXは、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)−、または−S(O)NR’−である。−NR’−および−S(O)NR’における置換基R’は、水素または非置換(C〜C)アルキルから選択される。
【0076】
本明細書で使われる場合、用語「ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、およびイオウ(S)を含むことを意味する。
【0077】
用語「薬学的に受容可能な塩」とは、化学式Iの化合物、化学式IIの化合物、化学式IIIの化合物、化学式IVの化合物、化学式Vの化合物、化学式VIの化合物、化学式VIIの化合物、および/または化学式VIIIの活性な化合物の塩であって、本明細書で記述した化合物に見出される特定の置換基に依存して、比較的に非毒性な酸、または塩基を使用して調製される塩を含むことを意味する。薬学的に受容可能な塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、マグネシウム塩、または他の同様な塩が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に受容可能な酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素酸、正燐酸、燐酸一水素酸、ジヒドロリン酸、硫酸、硫酸一水素酸、ヨウ化水素酸、亞燐酸などのような無機酸から誘導されるものを含むが、これらに限定されず、ならびに酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などのような比較的に非毒性の有機酸から誘導された塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
(Trp−p8活性の低分子モジュレータ)
本発明の組成物および方法に適切に使用される低分子Trp−p8モジュレータは、次のTrp−p8アゴニスト化合物によって、本明細書で例示される。すなわち、メントール(Sigma−Aldrich,Inc.;St.Louis、Missouri;(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール));Frescolat ML(Harris&Ford、LLC;Indianapolis、Indiana;乳酸メンチル);Frescolat MGA(Harris&Ford、LLC;メントングリセリンアセタール);L−酢酸メンチル(Millenium Chemicals;Olympia Fields, Illinois;シクロヘキサノール−5−メチル−2−(1−メチルエチル)−アセテート−[1R−(1α,2β,5α)]−);L−Carvone(Millenium Chemicals;(R)−5−イソプロペニル−2−メチル−2−シクロヘキセノン−p−メンタ−6,8−ジエン−2−オン);WS−3(Millenium Chemicals;N−メチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、別名シクロヘキサンカルボキサミド、N−エチル−5−メチル−2(1−メチルエチル));冷却剤10(Takasago International Corp.;Rockleigh、New Jersey;(1)−メントキシプロパン−1,2−ジオール); Coolact P(登録商標)(Takasago International Corp.;(−)−イソプレゴール);クーラクト38D(登録商標)(Takasago International Corp.);イリシン(1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン、別名3,4−ジヒドロ−3−(2−ヒドロキシフェニル)−6−(3−ニトロフェニル)−(1H)−ピリミジン−2−オン);WS−23(2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、別名N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミド)、およびWS−12(N−(4−メトキシフェニル)−p−メンタン−3−カルボキサミド、別名シクロヘキサンカルボキサミド,N−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2(1−メチルエチル))。
【0079】
本発明は、本明細書で開示した化学式I、II、III、IV、V、VI、VII、および/またはVIIIの化合物の誘導体を含む他のTrp−p8アゴニストもまた、本発明の組成物および方法に適切に使用できることをさらに考慮している。
【0080】
従って、一つの実施形態で、本発明は下記のTrp−p8モジュレータ、およびその誘導体を提供する:
化学式Iの化合物
【0081】
【化32】

ここで、
は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Hからなる群より選択され;
は、O,OH,酢酸エステル、乳酸エステル、カルボキサミド、ブタンアミド、スルファンアミド、およびプロパントリオールからなる群より選択され;そして
は、CH−CH−CH(イソプロピル)、イソプロパン−2−オール、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択される。
【0082】
化学式Iの例示的な化合物として次のTrp−p8アゴニストが挙げられる:
【0083】
【化33】

これらの例示的な化学式IのTrp−p8アゴニストは、次の商品名および化学名を有する:メントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)(Sigma−Aldrich,Inc.;St.Louis、Missouri);Frescolat ML(Harris&Ford、LLC;Indianapolis、Indiana;乳酸メンチル);L−酢酸メンチル(Millenium Chemicals;Olympia Fields, Illinois;シクロヘキサノール−5−メチル−2−(1−メチルエチル)−アセテート−[1R−(1α,2β,5α)]−);冷却剤10(Takasago International Corp.;Rockleigh、New Jersey;(1)−メトキシプロパン−1,2−ジオール); クーラクト P(登録商標)(Takasago International Corp.;(−)−イソプレゴール);およびクーラクト38D(登録商標)(Takasago International Corp.)。
【0084】
他の実施形態では、本発明はさらに次の低分子Trp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供する:
化学式IIの化合物
【0085】
【化34】

ここで、
は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Nからなる群より選択され;
は、OおよびNからなる群より選択され;
は、NH、OおよびSからなる群より選択され;そして
は、NOからなる群より選択される。
【0086】
化学式IIの化合物は、本明細書では、Trp−p8アゴニストであるイシリン(1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン、別名3,4−ジヒドロ−3−(2−ヒドロキシフェニル)−6−(3−ニトロフェニル)−(1H)−ピリミジン−2−オン)によって例示される。
【0087】
【化35】

他の実施形態では、本発明はさらに、米国特許第4,153,679号(本明細書において参考として援用される)に示される、次の非環式カルボキサミドTrp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供する:
化学式IIIの化合物
【0088】
【化36】

ここで、
10は、H、ならびにCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)を含むが、これらに限定されないC〜Cアルキルからなる群より選択され;
11は、OH,カルボキサミド、ブタンアミド、プロパントリオール、およびCONR’R”からなる群より選択され、ここでR’は、H、CH、C、C(シクロブチル)およびCOからなる群より選択され、そしてR”は、COOCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)、HOCHC(CH、HOCHCH、C(tert−ブチル)、およびC(sec−ブチル)からなる群より選択され;
12は、H、ならびにCH、CH−CH−CH(イソプロピル)、CH−C=CH(イソプロペニル)、C(sec−ブチル)、C(イソブチル)、C(n−ブチル)、およびC11(イソヘキシル)を含むが、これらに限定されないC〜Cアルキルからなる群より選択され;そして
13は、HならびにCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)、CH−C=CH(イソプロペニル)、C(sec−ブチル)、およびC(イソブチル)を含むが、これらに限定されないC〜Cアルキルからなる群より選択される。
【0089】
化学式IIIの化合物は、本明細書では、Trp−p8アゴニストであるWS−23(2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、別名N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミド)により例示される。
【0090】
【化37】

他の実施形態では、本発明はさらに、米国特許第4,150,052(本明細書において参考として援用される)に示されるような、次の3−置換−p−メンタンTrp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供する:
化学式IVの化合物
【0091】
【化38】

ここで、
14は、Hならびに25個までの炭素を含む脂肪族基からなる群より選択され;
15は、H、OH、および25個までの炭素原子を含む脂肪族基からなる群より選択され、ただし、R15がHの場合、R14は、10個までの炭素原子のアリール基であり得、そして置換フェニル、フェナルキル、置換フェナルキル、ナフチル、置換ナフチル、およびピリジルからなる群より選択され得;そして
14およびR15は、これらが結合している窒素原子と一緒になる場合、例えば、ピペリジノ基またはモルホリノ基のような、25個までの炭素原子を有する環状基または複素環式基を形成し得る。例示的なそのような環状基は、3−フェニル−ピペリジン−1−イル、3−フェニル−ピロリジン−1−イル,6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル、および4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択され得る。
【0092】
14およびR15が脂肪族の場合、R14およびR15の典型的な基は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチルメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル、2−アミノエチル、2−アセトキシエチル、2−エチルカルボキシエチル、4−ヒドロキシブト−2−イニル、およびカルボキシメチルである。
【0093】
14がアリールの場合、その典型的な基はベンジル、ナフチル、4−メトキシフェニル、2−メトキシ−4−メトキシフェニル、3−メトキシ−5−メトキシフェニル、4−メチル−5−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、3−メチル−4−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、4−エチルフェニル、2−フルオロ−4−フルオロフェニル、4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシナフチル、ピリジル、[1−カルバモイル−2−(1H−インドール−3−イル)−エチル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、1−カルバモイル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−カルバモイル−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−(1H−インドール−3−イル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−クロロフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−フェニルエチル、1−メトキシメチル−2−フェニルエチル、1−メチル−2−(4−クロロフェニル)−エチル、1−メチル−2−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、1−メチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−オキソ−2−フェニルエチル、1−フェニル−シクロペンチルメチル、2−(1−シクロペンチル−ピロリジン−3−イル)−エチル、2−(1H−インドール−3−イル)エチル、2−(2,3−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、2−(2,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,5−ジメチルフェニル)−エチル、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(2−フルオロフェニル)エチル、2−(2−フリル)エチル、2−(2−メトキシ−5−ブロモフェニル)エチル、2−(2−メトキシフェニル)−エチル、2−(2−メチルフェニル)エチル、2−(3,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(3−エトキシフェニル)エチル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−エチル、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ブロモフェニル)−エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(4−フルオロフェニル)エチル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−エチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルスルファニルフェニル)エチル、2−(4−ニトロフェニル)エチル、2−(4−スルファモイル−フェニル)−エチル、2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(N,N−ジプロピルアミノ)エチル、2−(ピリジン−2−イル)−エチル、2−(ピリジン−3−イル)−エチル、2−(ピリジン−4−イル)−エチル、2,2−ジフェニルエチル、2,3−ジフルオロベンジル、2,3−ジメトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−ブロモ−4−メチルフェニル、2−クロロ−4−シアノフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−ヨードフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−5−ニトロフェニル、2−クロロフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニル−エチル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、2−ヨードフェニル、2−メチル−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、2−メチル−2−フェニルエチル、2−メチル−4−ブロモフェニル(broophenyl)、2−メチル−5−ニトロフェニル、2−メチルフェニル、2−ニトロ−4−フルオロフェニル、2−ニトロフェニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−オキソ−2−フェニルエチル、2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−フェニル−2−(4−クロロフェニル)エチル、2−フェニル−2−(4−フルオロフェニル)−エチル、2−フェニル−2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−フェニルエテニル、2−フェニルエチル、2−ピリジン−2−イル−ベンゾオキサゾール−5−イル、2−ピリジン−3−イル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−チオフェン−2−イル−エチル)、2−トリフルオロ(trilfouro)メチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,4−シクロペンタンフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−アセトアミドフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、3−カルボキサミドフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル、3−ヒドロキシメチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−オキソ−インダン−5−イル、3−フェニルプロピル、3−イル−アセトフェノン、4−(1,1−ジオキソ−1l6−チオモルホリン−4−イルメチル)−フェニル、4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル、4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル、4−[1,3−ジオキソ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−[2−(2−メトキシ−フェニル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−{2−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ}−フェニル、4−アセチルフェニル、4−アゼパン−1−イルメチル−フェニル、4−ベンゾオキサゾール−2−イル−フェニル、4−ビフェニル、4−ブロモフェニル、4−カルボキサミドフェニル、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−エトキシフェニル、4−エチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル、4−メチルシクロヘキシル、4−メチルフェニル、4−メチルスルファニルフェニル、4−ニトロベンジル、4−ピロリジン−1−イルメチル−フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル,ベンゾイルアミノ、ベンジルオキシ、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、C−1H−インダゾール−5−イル、シクロヘプチル、インダン−2−イル、N−(2−ジエチルアミノ−エチル)−ベンズアミド−4−イル、N’−キノキサリン−2−イル−アミノ、およびフェニルシクロプロピルである。
【0094】
化学式IVのTrp−p8モジュレータは、本明細書では、Trp−p8アゴニストであるWS−3(Millenium Chemicals;N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、別名シクロヘキサンカルボキサミド、N−エチル−5−メチル−2(1−メチルエチル))、およびWS−12(N−(4−メトキシフェニル)−p−メンタン−3−カルボキサミド、別名シクロヘキサンカルボキサミド、N−(4−メトキシフェニル)−5−メチル−2(1−メチルエチル))、ならびに表1に示された化合物によって例示される。
【0095】
【化39】

さらなる実施形態では、本発明は、少なくとも一個のケタール部分を含む次のTrp−p8モジュレータおよびその誘導体を提供し、これらとしては、Trp−p8アゴニストである1−メントングリセロールケタールおよび米国特許第5,266,592号明細書(本明細書において参考として援用される)に示された3,3,5−トリメチルシクロヘキサオングリセロールケタールが挙げられるが、これらに限定されない:
化学式Vの少なくとも一個のケタールを含む化合物
【0096】
【化40】

ここで、
16は、少なくとも1個、しかし3個を超えないヒドロキシル基、好ましくは一個の、ヒドロキシル基を含むC〜Cアルキレン基からなる群より選択され;そして
17およびR18は、各々、互いに独立して、C〜C10−アルキル基(ヒドロキシル、アミノ、チオ、およびハロゲン(例えば、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素)からなる群より選択される1から3個の基で必要に応じて置換される)、C〜C−シクロアルキル、好ましくはシクロヘキシル、C−C12−アリール、好ましくはフェニル、を表し、但し、R17およびR18のC原子の全数は3より小さくなく;または
17およびR18は一緒になってアルキレン基を表し、該アルキレン基は、基R17およびR18を持つ炭素原子と共に、5−7員環を形成し、このアルキレン基は、C〜Cアルキル基で置換できる。
【0097】
好ましいR17基およびR18基は、メチル、イソプロピル、およびtert−ブチルを含む。
【0098】
化学式Vのケタールを含む化合物には、以下のTrp−p8モジュレータが挙げられ、ここでR16は既に定義されたとおりである:
【0099】
【化41】

化学式Vのケタールを含む化合物は、本明細書では、Trp−p8アゴニストであるFrescolat MGA(Harris&Ford,LLC;メントングリセリンアセタール)で例示される。
【0100】
【化42】

さらにもう一つの実施形態では、本発明は化学式VIの低分子Trp−p8モジュレータ、およびその誘導体を提供し、本明細書ではL−カルボン(Millenium Chemicals;(R)−5−イソプロペニル−2−メチル−2−シクロヘキセノン−p−メンタ−6,8−ジエン−2−オン)で例示される。
【0101】
【化43】

本発明のさらなる実施形態は、本明細書で提示された低分子Trp−p8アゴニストの低分子アンタゴニストを提供する。従って、いくつかの実施形態では、本明細書で既に開示した、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIのTrp−p8アゴニストの化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの低分子アンタゴニスト、およびそれらの誘導体が提供される。
【0102】
本発明における実施例に、化学式VIIのTrp−p8モジュレータの例である特定のTrp−p8アンタゴニストが示され、
【0103】
【化44】

ここで、
17は、2−ピリジル、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ニトロ−4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル,フェニル、2−メチル−キノリン−3−イル、4−メトキシフェニル,4−フルオロフェニル、3−アゼパン1−イル−5−(4−トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ[1,3,5]トリアジル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、2−フェニルエチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンチル、C−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−メチル、2−ピリジル、および4−クロロベンジルからなる群より選択され;
18は、1−ベンジル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、3−ベンジルアミノ−2−ニトロフェニル、5−ニトロ−キノリン−8−イル、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、ベンジル−2−メチル−キナゾリン−4−イル、3−メチル−5−モルホリン−4−イル−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−5−ピペラジン−1−イル−エタノール、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、4−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、2−(2−フルオロ−フェノキシメチル)−2−シアノオキサゾリル,アダマンチル、5−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)−10b,10c−ジヒドロ−アントラ[1,9−cd]イソオキサゾール−6−オン−イル、2−メチル−チアゾロ[3,2−b][1,2,4]トリアゾール−6−オール4−メチルフェニルメチル、3−ベンジル−3H−キナゾリン−4−オン−2−イル、シクロペンチル、テトラヒドロナフチル、シクロオクチル、シクロヘキシル、C−[3−(4−クロロ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−メチル、C−(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−メチル、および1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オールからなる群より選択され;
19およびR20は、それぞれ独立に、HおよびOからなる群より選択され;そして
21は、4−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、および4−クロロフェニルからなる群より選択される。
【0104】
他の実施形態では、本発明は、本明細書で既に、また実施例で開示された化学式IVであるTrp−p8アゴニストの化学式VIIIのアンタゴニストを含む、化学式VIIIの低分子モジュレータ、およびそれらの誘導体を提供する。
【0105】
化学式VIIIの化合物
【0106】
【化45】

ここで、
22は,オキシアセトアミド、尿素、カルバメート、チオ尿素、スルホンアミド、アミン、およびアミドからなる群より選択され得るリンカー部分である。化学式VIIIのアンタゴニストは、以下の下位化学式(化学式VIII−A、化学式VIII−B、化学式VIII−C、化学式VIII−D、化学式VIII−E、化学式VIII−F、および化学式VIII−G)で表される:
【0107】
【化46−1】

【0108】
【化46−2】

【0109】
【化46−3】

前記7種のR22リンカー部分のいずれが使われるかに関係なく、R23は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、2−(N−メチル,N−フェニルエチル)アミノエチル、3−メチルインドリニル、1−フェニルエチル、2−クロロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、(1−フェニル−シクロフェンチル)−メチル、2−(テトラヒドロキノリニル)−エチル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、シクロヘプチル、3−シクロヘキシルスルファニルプロピル,2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、2−(N−イソプロピル,N−フェニルエチル)アミノエチル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ(tetrhydro)−ピロロ[1,2−a]ピラジン、2−シクロペンチルエチル、2−フェニルシクロプロピル、1−フェノキシエチル、4−ブチルオキシフェニル、(2−ニトロフェノキシ)メチル、4,7,7−トリメチル−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン、C−(1−フェニル−5−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−メチル、ベンジル,2−クロロベンジル、1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、C−[3−(4−ブトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−メチル、4−(アゼパン−1−スルホニル)−フェニル、および5−(7−クロロ−キノリン−4−イルスルファニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルからなる群より選択され;
24は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、3−メチルインドリニル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ(tetrhydro)−ピロロ[1,2−a]ピラジン、および1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリンからなる群より選択され;そして
25は、Hからなる群より選択される。
【0110】
(低分子Trp−p8モジュレータの合成)
上述したように、本発明の化合物には、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および化学式VIIIの化合物が挙げられる。いくつかの局面では、本発明の化合物は、商業供給源から得られ、そして/または当該分野で容易に利用できる合成法を使用して、市販の原料を使用して製造できる。化学式I〜VIIIの化合物は、当該分野で公知である典型的な単離および精製技術を用いて単離され得、これらの技術には、例えば、クロマトグラフィーおよび再結晶法が挙げられる。
【0111】
例示的な組成物およびそれらの合成のための方法は、以下の特許に開示されている(各々、本明細書において参考として援用される):米国特許第4,150,052号は、皮膚に対する生理学的冷却作用を有するN置換p−メンタン3−カルボキサミドの化合物を開示している;米国特許第4,153,679号は、皮膚に対する生理学的冷却作用を有する、非環式三級および二級のカルボキサミドを含む組成物を開示している;米国特許第4,020,153号は、皮膚に対する生理学的冷却作用を有する環状のスルホンアミドおよびスルフィンアミドを開示している;欧州特許出願第1157617号は、各種の食品、化粧品、医薬品、および香水組成物中のα−ケトエナミン誘導体を開示している;米国特許第4,296,093号は、皮膚に対する生理学的冷却効果を有するアルキル置換のシクロヘキサンアミドを開示している;米国特許第5,756,857号は、冷たい感触を有するシクロヘキサノール誘導体を開示している;米国特許第4,248,859号は、生理学的冷却効果を有する脂環式のアミドを開示している;米国特許第5,266,592号は、生理学的冷却効果を有する、グリセロールケタールのようなケタール、例えば、1−メントングリセロールケタール、または3,3,5−トリメチルシクロヘキサノングリセロールケタールを開示している;米国特許第6,328,982号は、1−メントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)、1−イソプレゴール、3−(1−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール、およびp−メンタン−3,8−ジオールのような冷却化合物を含む組成物を開示している;ならびに米国特許第4,459,425は、3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール、およびそれに関係した冷却作用を開示している。
【0112】
当業者は、本発明の組成物および方法に適切に含まれた化合物が、多くのシス異性体およびトランス異性体、E形/Z形、ジアステレオマー、および光学異性体で存在し得ることを容易に理解する。よって、本発明の組成物および方法に使用される化合物は、そのような組み合わせ、および変種を全て含む。
【0113】
化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、および化学式VIの化合物において、4個の同一でない置換基が結合している炭素原子は非対称である。従って、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、または化学式VIの化合物は、エナンチオマー、ジアステレオマー、またはそれらの混合物として存在し得る。それらのエナンチオマーおよびジアステレオマーは、クロマトグラフ法、または結晶化法、または当該分野で公知の方法によって分離できる。不斉炭素原子は、2つの立体配置、すなわちRまたはS、の1つで存在し得、これらの両方が本発明の範囲内にある。最終的に生成した生成物中に、対立するエナンチオマーまたはジアステレオマーが少量存在しても、そのような化合物の治療上の用途に影響しない。
【0114】
化学式I〜VIの化合物は、さらに処理され、薬学的に受容可能な塩を形成し得る。本発明の化合物を酸または塩基で処理することによって、それぞれ、薬学的に受容可能な酸付加塩、および薬学的に受容可能な塩基付加塩を形成し得、各々は既に定義されている。本明細書で既に述べられた各種無機酸および有機酸を含み、当該分野で知られているものは、塩への変換に使用し得る。
【0115】
本発明はまた、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、および化学式VIの化合物の薬学的に受容可能な異性体、水和物、および溶媒和物に関する。これらの化学式の化合物はまた、異性体および互変異性体の薬学的に受容可能な塩、水和物、および溶媒和物を含む各種異性体形および互変異性形で存在し得る。
【0116】
本発明はまた、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、および化学式VIの化合物のプロドラッグ誘導体を含む。用語「プロドラッグ」とは、活性薬物を放出するために、生物内で、自発的または酵素的な生体内変換を必要とする、親薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体を意味する。プロドラッグは、代謝条件下で開裂可能な基を有する本発明の化学式I〜VIの化合物の変形物、または誘導体である。プロドラッグは、生理学的条件下で、加溶媒分解するか、または酵素による分解を受ける場合、インビボで薬学的に活性である本発明の化合物になる。本発明の化合物と共に適切に使用できる例示的なプロドラッグ技術は、プロテアーゼにより活性化される癌治療(PACT)技術であり、この技術は米国特許出願第10/156,214号、および国際公開第02/095007号で詳述されている(両出願は本明細書において参考として援用される)。
【0117】
化学式Iの化合物の合成は、化学式IVの化合物に関連して以下に記述されているように、酸塩化物(p−メンタン−3−カルボン酸と塩化チオニルとを反応して得られる)と適切なアミンとを反応させることによって達成され得る。以下に述べるように、典型的には、その反応は、溶液中で室温で塩化水素のレセプター(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で行われる。
【0118】
1−メントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)からの(1)−メントキシプロパン−1,2−ジオール(冷却剤10)の合成は、米国特許第4,459,425号に述べられている(本明細書において参考として援用される)。簡単には、1−メントールおよび金属ナトリウムまたは水素化ナトリウムを、溶媒(例えば、トルエンまたはキシレン)に添加し、加熱する。温度が100℃以上になると、反応が開始し、水素ガスの発生が起こる。水素の発生が止まったことを確認した後、この混合物をこの溶媒の還流温度でさらに加熱し、反応を完了させる。
【0119】
次に、ハロゲン化アリル(例えば、塩化アリルまたは臭化アリル)をその反応混合物に少量ずつ添加する。反応が進むにつれ、ハロゲン化ナトリウムが沈殿し、そして反応液はスラリー状になる。反応の完結後、反応液を冷却し、そして水の添加後、得られた混合物を攪拌する。その後、溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、エーテル、ヘキサン、または石油エーテル)を加える。有機層を分離し、飽和生理食塩水で洗浄する。溶媒を回収後、残留物を減圧下で蒸留し、3−1−メントキシプロペイト−1−エン(3−1−menthoxypropate−1−ene)を得る。
【0120】
3−1−メントキシプロパン−1−エン(3−1−menthoxypropane−1−ne)を、有機過酸を使って相当する酸化物に酸化する。この酸化物を加水分解し、所望の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオール(3−1−methoxypropane−1,2−diol)を形成する。すなわち、有機酸(例えば、ギ酸または酢酸)および過酸化水素水溶液を3−1−メントキシプロパン−1−エンと混合し、攪拌しながら、徐々に注意深く加熱する。有機酸および過酸化水素が反応して、有機過酸が生じ、酸化反応で沈殿する。この反応は発熱性であるので、急激な加熱は避けるべきである。反応液の温度が50℃近くに達したら、加熱を止める。その後、外部冷却によって反応液の温度を約70℃に保つ必要がある。これは、反応熱に起因するさらなる温度上昇を防ぐためである。反応液の温度が過度に高い場合、有機過酸が酸化反応で沈殿する前に分解し、その結果、収率が減少する。
【0121】
反応の完了後、溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、または石油エーテル)を加え、抽出を行う。この抽出液を水で洗浄する。蒸留による溶媒の回収の際、有機酸エステルの形で粗酸化物を生じる。このようにして得られた粗酸化物に、例えば、苛性ソーダの約20%水溶液を混合し、約1時間、煮沸して加水分解し、所望の3−1−メントキシプロパン−1,2−ジオールを生成する。
【0122】
本明細書で、1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン(イシリン、別名AG−3−5)によって例示される、化学式IIの化合物の合成は、米国特許第3,821,221号に開示されている(本明細書において参考として援用される)。簡単には、β−ジエチルアミノ−m−ニトロプロピオフェノン塩酸塩を50%エタノール水溶液に加え、そしてこの混合物を攪拌しながら塩酸塩が溶解するまで還流する。O−アミノフェノールを加え、その溶液を30分間還流し、そして放冷する。反応生成物を溶液から結晶化し、β−(o−ヒドロキシアニリノ)−m−ニトロプロピオフェノン(nitrophropiophenone)((融点:107℃〜109℃)を得る。β−(o−ヒドロキシアニリノ)−m−ニトロプロピオフェノン(nitrophropiophenone)をエタノールに溶解し、濃HClを加えて溶液を酸性にする。この溶媒を、減圧下でエバポレートし、β−(o−ヒドロキシアニリノ−m−ニトロプロピオフェノン)−HCl(融点:172℃〜173℃)をメタノール−アセトンから結晶化する。β−(o−ヒドロキシアニリノ−m−ニトロプロピオフェノン)−HClを60℃の酢酸に溶解する。シアン化カリウムを加え、そしてその反応混合物を室温まで冷却する。水を加え、結晶性の1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン(融点:228℃〜230℃)をろ過して回収する。
【0123】
本明細書で、2−イソプロピル−N,2,3−トリメチルブチルアミド、別名N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミド(WS−23)で例示される、化学式IIIの非環式のカルボサミド化合物の合成は、米国特許第4,153,679号に開示されている(本明細書において参考として援用される)。簡単には、化学式IIIのアミドは、当業者に公知の従来技術によって、上述したように、塩化水素アクセプターの存在下で、例えば、化学式R101213COClの酸塩化物をアミン(R11)と反応させることによって調製され得る。
【0124】
N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミドは、例えば、2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタン酸(2,3−Dimetyl−2−isopropylbutanic acid)を塩化チオニルと共に還流しながら60分間加熱することによって調製され得る。過剰の塩化チオニルは、減圧下で除去され得、そして2,3−ジメチル−2−イソプロピルブタノイルクロリド(沸点:73℃〜75℃/15mm)を蒸留し得る。
【0125】
その酸塩化物のエーテル溶液を、メチルアミン(70%水溶液)の攪拌したエーテル溶液に攪拌しながら滴下し得る。次に、このエーテル層を、水、希HCl、および水で洗浄し得る。乾燥させた(MgSO)このエーテル溶液を濃縮し、そして残留物を蒸留してN,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタミド(融点:58℃〜61℃、沸点:83℃〜85℃/0.35mm)を得た。
【0126】
本発明の組成物および方法におけるTrp−p8モジュレータとして適切に使用され得る、例示的な3−置換−p−メンタン化合物の合成は、米国特許第4,150,052号に記述されている(全体が本明細書において参考として援用される)。例えば、対応する酸塩化物(p−メンタン−3−カルボン酸を塩化チオニルと反応させて得られる)を前記適切なアミンと反応させ得る。この反応は通常、室温で溶液にて、塩化水素レセプター(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で行われる。
【0127】
塩基性のp−メンタン構造は、椅子形分子であり、シス形でもトランス形でも存在し得る。前記カルボキシル基またはアミド基をその3−位に置き換えると、置き換えがアキシアルでそのシス異性体になるかトランス異性体になるか、またはエクアトリアルでそのシス異性体になるかトランス異性体になるかに依存して、4つの立体配置異性体、または幾何異性体を生じる。また、メントールがネオメントール、イソメントール、およびネオイソメントールに関係するように、これら4つの異性体は関係している。
【0128】
例示的な反応プロトコルでは、p−メンタン−3−カルボン酸を、還流しながら、塩化チオニルと共に熱する。過剰の塩化チオニルを減圧下で蒸留除去する。粗p−メント−3−オイルをジエチルエーテルに溶解し、そしてこのエーテル溶液を、攪拌および冷却しながら、エチルアミンと水酸化ナトリウムとの水溶液に加える。この混合物を攪拌し、エーテル層を分離する。水層をエーテルで洗浄し、そして一緒にしたエーテル溶液を希塩酸および水で洗浄する。このエーテル溶液をMgSOで乾燥し、エバポレートして白色結晶性固体を得る。この固体を、室温でその結晶を溶解し、そして冷却して、アセトン:水(9:1)から再結晶し、白色結晶性固体(融点:82.5℃〜84.5℃)としてN−エチル−p−メンタン−3−カルボザミドを得る。p−メンタン構造の3位のアミド基を置き換えると、光学異性および幾何異性を生じる。
【0129】
13またはR14のいずれかが脂肪族の場合、好ましい基は、C〜Cの直鎖または分枝鎖アルキル、C〜Cの直鎖または分枝鎖ヒドロキシアルキルまたはアミノアルキルおよびそれらのC〜Cのアシル化誘導体、ならびに−C2nCOR15または−C2nCOOR15であり、ここで−C2nは直鎖または分枝鎖アルキレンであり、ここでnは1から6までの整数であり、R15はHまたはC〜Cのアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、好ましくはC〜Cの直鎖アルキル基である。
【0130】
13がHである場合、R14はOHまたは、例えば、10個のまでの炭素原子のアルキルフェニル、ヒドロキシフェニル、アルコキシフェニル、ハロフェニルのような置換フェニル、フェナルキルまたは、例えば、ベンジル、ナフチルのような置換フェナルキル、または置換ナフチルである。ならびにR13およびR14が結合して環状基を形成する化合物が挙げられる。そのように結合した場合、R13およびR14は、好ましくは、必要に応じて酸素で遮られるアルキレン鎖を表し、このアルキレン鎖は、R13およびR14が結合する窒素原子と一緒になって、5員複素環または6員複素環を形成する。
【0131】
本発明の組成物および方法においてTrp−p8モジュレータとして適切に使用され得る、例えば、メントングリセリンケタールのような1個以上のケタールを含む例示的な化合物合成は、米国特許第5,266,592号に説明されている(全体が本明細書において参考として援用される)。
【0132】
例えば、化学式Vのケタールは、ケトン、(このケトンに化学式Vのケタールは基づく)と、3個以上で5個以下、好ましくは3個のヒドロキシル基を有する当量以上の脂肪族C〜Cアルコールとの酸触媒反応によって調製され得る。化学式Vのケタールが基づくケトン、および3個から5個のヒドロキシ基を有する過剰量のC〜Cアルコールが使用される。
【0133】
使用できる例示的な酸触媒は、触媒的に効果的な量のp−トルエンスルホン酸、正リン酸、または硫酸水素カリウムである。この反応は、一般に、水と一緒になって共沸混合物を形成する有機溶媒中で行われ、その結果、ケタールの生成中に放出される水は、共沸によるエントレインメントによって除去され得る。または、例えば、トリアルキルオルトエステルのような水を消費する共試薬が使用される。例示的な有機溶媒には、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、塩化メチレン、およびトリクロロエチレンが挙げられる。この反応は、水が分離しなくなったとき、またはエステル/アルコール混合物がもはや分離しなくなったときに、完了する。その後、生成物を、希アルカリおよび水で洗浄し、有機相を分離および乾燥し得、溶媒を除去し得、そして、必要なら、例えば、蒸留によって残留分を精製し得る。
【0134】
化学式Vのケタールを含む例示的化合物は、1−メントングリセロールケタールであり(Frescolat MGA,別名メントングリセリンアセタール;Harris&Ford、LLC)、以下のようにして合成される。2モルの1−メントン,3モルのグリセロールおよび5gの硫酸水素カリウムを2リットルの三つ口フラスコ中でトルエンの存在下で混合する。この混合物を水分離器で還流する。7時間後に、水は分離され、この混合物を中和および蒸留する。
【0135】
例示的な化学式VIのテルペン化合物であるL−カルボン(2−シクロヘキセン−1−オン,2−メチル−5−(1−メチルエテニル)−(R);Millenium Chemicals)のD−リモネンからの合成は、Ikan、Natural Products−A Laboratory Guide pp.151−155(Academic Press,1969)に記述されている(本明細書において参考として援用される)。簡単には、イソプロパノールのD−リモネン溶液を10℃より低温に冷却する。HClのイソプロパノール溶液および濃亜硝酸ナトリウム水溶液をD−リモネン溶液に滴下し、リモネンニトロソクロリドを生成する。リモネンニトロソクロリドおよびジメチルホルムアミドをイソプロパノールと共に還流する。冷却後、結晶化が誘導され、沈殿物をろ過し、そして水で洗浄する。得られたL−カルボキシムを0.5M シュウ酸と共に還流し、その混合物を水蒸気蒸留する。この蒸留物をエーテルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして過剰のエーテルをエバポレートし、L−カルボンを残す。
【0136】
本発明のTrp−p8モジュレータを調製する他の合成法は、本明細書において、実施例1〜5に示される。
【0137】
(低分子Trp−p8モジュレータを含む組成物)
上で議論したように、本発明は、Trp−p8に結合し、かつTrp−p8の活性を変化させる、Trp−p8アゴニストおよびTrp−p8アンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレータに関する。いくつかの実施形態では、Trp−p8モジュレータはアゴニストであり、いくつかの例では、Trp−p8チャネルタンパク質を発現する細胞内の陽イオンの流入を刺激でき、またTrp−p8チャネルタンパク質を発現する細胞の毒性を刺激できるアゴニストである。代替の実施形態では、Trp−p8モジュレータは、細胞中で発現したTrp−p8の活性を減少できる、Trp−p8活性のアンタゴニストである。よって、本発明のTrp−p8モジュレータは、薬学的組成物を含む組成物に用途があり、これらの組成物は、Trp−p8発現に関係する疾患の処置に有用である。本発明によれば、適切な組成物は、一種以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは賦形剤と共に、上述したような、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上のTrp−p8アゴニスト、および/または化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上のTrp−p8アンタゴニストを含む。
【0138】
1つの実施形態では、本発明は、滅菌した生理食塩水または他の媒体、水、ゼラチン、油などのような薬学的に受容可能な賦形剤と共に低分子Trp−p8モジュレータを提供し、薬学的に受容可能な組成物を形成する。それらの組成物および/またはアゴニストは、単独で、またはいずれかの都合のよいキャリア、希釈剤などと共に投与され得、そしてそのような投与は、1回または複数回の投薬で提供され得る。有用なキャリアには、固体、半固体、または水および非毒性の有機溶媒を含む液体媒体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
本発明の薬学的組成物は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上のTrp−p8アゴニストと薬学的に受容可能なキャリアまたは薬学的に受容可能な薬剤とを混合して調製され得る。あるいは、薬学的組成物は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上のTrp−p8アンタゴニストと薬学的に受容可能なキャリアまたは薬学的に受容可能な薬剤とを混合して調製され得る。さらに、薬学的組成物は、さらに、賦形剤、安定剤、希釈剤などを含み得、そして除放処方物または時限放出処方物で供給され得る。治療用途のための受容可能なキャリア、薬剤、賦形剤、安定剤、希釈剤などは、薬学分野で周知であり、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」に記載されている(Mack Publishing Co.、A.R.Gennaro(編)、1985)(本明細書において参考として援用される)。そのような物質は、使用される投与量および濃度でレシピエントに対して毒性ではなく、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、および他の有機酸塩のような緩衝剤、アスコルビン酸のような酸化防止剤、ポリアルギニンのような低分子量ペプチド、セラムアルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのような親水性のポリマー、ポリビニルピロリジノンのような親水性のポリマー、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類、およびセルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTAのようなキレート剤、マンニトールまたはソルビトールのような糖アルコール、ナトリウムのような対イオン、ならびに/またはTWEENまたはポリエチレングリコールのような非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0140】
さらなる局面では、本発明の組成物には、1個以上の癌治療薬と共に処方される化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物が含まれる。あるいは、本発明の組成物は、独立に、1個以上の癌治療薬と処方された、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物を含む。すなわち、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物、ならびに癌治療薬は別々に処方される。
【0141】
適切な癌治療薬には、パクリタキセル、ビンクリスチン、およびエトポシドを含むが、これらに限定されない有糸分裂阻害剤;メクロレタミン、シクロホスファミド、およびカルムスチンを含むが、これらに限定されないアルキル化剤;メトトレキサート、ゲムシタビン、ロメトレキソール(lometrexol)、5−フルオロウラシル、および6−メルカプトプリンを含むが、これらに限定されない代謝拮抗剤;ドキソルビシン、ダウノルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、およびストレプトゾシンを含むが、これらに限定されない細胞傷害性抗生物質;シスプラチンおよびカルボプラチンを含むが、これらに限定されない白金剤;タモキシフェン、およびジエチルスチルベストールのような抗エストロゲン、ならびにフルタミドのような抗アンドロゲンを含むが、これらに限定されないホルモン剤;抗血管新生作用剤;ならびにファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
いくつかの局面では、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物は、Trp−p8を介した陽イオン流入を刺激する際に効果的ではない癌治療薬と共に投与される。
【0143】
他の局面では、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個の化合物含むが、これに限定されない、1個以上の他のTrp−p8モジュレータと共に投与される。
【0144】
考慮される、特定の処置養生法に依存するが、本発明の薬学的組成物は、非経口的に、局所的に(topically)、経口的に、または局所的(locally)に投与され得る。いくつかの局面では、薬学的組成物は、非経口的に、例えば、静脈内に、皮下に、皮内に、または筋肉内に投与される。1つの実施形態では、本発明は、水性キャリアのようなキャリアに溶解、または懸濁した、本発明の化合物を含む非経口投与のための組成物を提供する。
【0145】
固体の処方物の場合、化合物は、例えば、薬学的グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどのような、従来の非毒性の固体キャリアと混合され得る。
【0146】
エアゾール投与の場合、本発明の化合物は、微細に分割した形で、非毒性の界面活性剤および噴霧剤と共に供給され得る。例示的なそのような薬剤は、カプロン酸、アクタン酸(actanoic)、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、オレステリン酸(olesteric)、およびオレイン酸のような6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸のエステルまたは不完全エステルである。
【0147】
本発明の組成物は、注入によって、即ち、静脈内に、筋肉内に、皮内に、皮下に、十二指腸内に(introaduodenally)、または腹膜内に投与され得る。あるいは、組成物は、経鼻投与のような吸入によって投与され得、またパッチなどを介するように、経皮的に投与され得る。
【0148】
薬学的組成物を含む組成物の実際的な好ましい処方は、投与の形態、および処置されている特定の疾患によって変わることは理解される。最適な処方物および投与の形態は、当業者により、疾患ごとまた患者ごとのベースで、慣用的に決定される。
【0149】
(Trp−p8の低分子モジュレータのインビトロおよびインビボの効力を同定および特徴付けするための方法)
既に議論したように、本発明は、Trp−p8活性のアゴニストおよびアンタゴニストを含む低分子Trp−p8モジュレータに関する。本明細書で開示しているのは、既に本明細書で記述した化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物で例示されるTrp−p8モジュレータである。本発明はさらに、他のTrp−p8モジュレータが本発明の組成物および方法で適切に使用され得ることも意図している。
【0150】
他のまたは代替のTrp−p8アゴニストおよびアンタゴニストは、付随の実施例で開示される方法によって同定され得る。例えば、Trp−p8発現に関係する疾患を処置する際に効力を有するTrp−p8アゴニストには、以下の1事項以上の結果となる低分子が挙げられる。すなわち、(1)Trp−p8を発現する細胞の成長を阻害するまたはTrp−p8を発現する細胞の生存性を減少する;(2)Trp−p8を発現する細胞におけるカルシウムおよび/または他の陽イオンの流入を刺激する;(3)Trp−p8を発現する細胞におけるアポトーシスおよび/または壊死の誘導;ならびに/または(4)ヒト疾患の1つ以上の動物モデル系における効力。Trp−p8発現に関係する疾患の処置をする際に効力を有するTrp−p8アンタゴニストには、以下の1事項以上の結果となる低分子が挙げられる。すなわち、(1)インビトロのモデル系におけるアゴニストの毒性効果からTrp−p8を発現する細胞を保護する(2)内因性のTrp−p8発現を有する癌細胞株の成長を阻害し、および/または内因性のTrp−p8発現を有する癌細胞株を殺傷する(3)ヒト疾患の1つ以上の動物モデル系において有効である。
【0151】
よって、いくつかの実施形態では、本発明は、Trp−p8を発現する細胞の成長を阻害するため、および/またはTrp−p8を発現する細胞の生存性を減少する、に十分な時間および量で、Trp−p8を発現する細胞と候補Trp−p8アゴニストとを接触させる工程を含む、Trp−p8アゴニストを同定する方法を提供し、ここで阻害された成長および/または減少した生存性は、候補Trp−p8アゴニストが前記細胞によって発現されたTrp−p8を活性化できることを示す。
【0152】
他の実施形態は、カルシウムおよび/または他の陽イオンをTrp−p8を発現する細胞に流入するのを誘導するに十分な時間および量で、前記細胞と候補Trp−p8アゴニストとを接触させる工程を含む、Trp−p8アゴニストを同定する方法を提供し、ここで増加した陽イオンの流入は増加した細胞の毒性に相関する。
【0153】
さらなる実施形態は、Trp−p8を発現する新生細胞の成長を阻害するため、ならびに/または前記細胞中のアポトーシスおよび/または壊死を誘導すし、従ってその動物の生存を増加させるために十分な時間ならびに量で、1個以上の前記細胞を有する動物に候補Trp−p8アゴニストを投与する、工程を含む、Trp−p8アゴニストを同定する方法を提供し、ここで細胞成長の阻害、アポトーシスの誘導、壊死の誘導、および/または動物の増加した生存のうちのいずれか1つ以上がTrp−p8アゴニストの効力を示す。
【0154】
本発明は、化学式VIIおよび化学式VIIIの化合物による、本明細書に開示されたTrp−p8アンタゴニストの同定に加えて、Trp−p8アンタゴニストの同定のための方法を提供する。上記方法には、以下の事項が挙げられる。すなわち、(1)Trp−p8を発現する細胞をTrp−p8アゴニストにより誘導された毒性から保護することを検出するためのインビトロアッセイ系;(2)Trp−p8を内因的に発現する癌細胞および/または癌細胞株の成長の阻害を検出するインビトロおよびインビボアッセイ系(3)インビボ動物モデル系、これによって1個以上の候補Trp−p8アンタゴニストは、細胞の成長を阻害、ならびに/および細胞中のアポトーシスおよび/または壊死を誘導するために十分な時間ならびに量で、Trp−p8を発現する1個以上の新生細胞を有する動物に投与され、それによって前記動物の生存を増加する。
【0155】
(Trp−p8モジュレータの使用方法)
本発明の低分子Trp−p8モジュレータは、細胞中のTrp−p8を介したカルシウムの流入を修正する(すなわち、活性化する、または減少する)ための方法、およびTrp−p8の発現に関連した1つ以上の疾患の処置のための治療法に適切に使用され得る。例えば、上述したように、異常なTrp−p8発現は、乳房組織、結腸組織、肺組織、および前立腺組織を含む各種癌組織の新生細胞の表現型に関連していることが観察された。Tsavalerら、Cancer Research,前述。
【0156】
よって、いくつかの実施形態では、細胞中でTrp−p8を介したカルシウムの流入を活性化するための方法が提供され、そのような方法は、Trp−p8を発現する細胞の成長を阻害する十分な時間の間、ならびに/または前記細胞中の壊死および/またはアポトーシスを誘導するのに十分な時間の間、前記細胞をある量のTrp−p8アゴニストに接触させる工程を含む。Trp−p8を活性化するための例示的な方法が、本明細書に示した実施例に提供される。
【0157】
本発明の他の実施形態は、Trp−p8の発現に関係する疾患の処置のための治療法を提供し、そのような方法は、前記細胞の成長を阻害する十分な時間の間、ならびに/または前記細胞中の壊死および/またはアポトーシスを誘導するのに十分な時間の間、典型的にはヒトのような哺乳動物に、Trp−p8アゴニストを含む薬学的に効果的な量の組成物を投与する方法を含む。本明細書で使われる場合、句「薬学的に効果的な量」とは、疾患を処置するために哺乳動物に投与したとき、その疾患に対してそのような処置を達成するのに十分である化合物の量を意味する。「薬学的に効果的な量」は、化合物、哺乳動物の疾患、およびその重傷度、ならびに処置される哺乳動物の年齢、体重などに依存して変化する。
【0158】
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置すること」、および「処置」には、(1)前記疾患を防ぐこと、すなわち、前記疾患に感染しやすい可能性があるが、まだその疾患のいかなる症状にも直面していない哺乳動物で、前記疾患の臨床症状を発現させないようにすること;(2)その疾患を阻害すること、すなわち、疾患の発病、またはその臨床症状を阻止するか、軽減すること;あるいはその疾患を和らげる、すなわち、その疾患またはその臨床症状を後退させることが含まれる。
【0159】
処置療法の頻度および投薬は、疾患および処置される患者のような要因に依存して変化するが、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上の化合物を含む組成物は、典型的には、約0.001mg化合物/kg体重から約100mg/kgまでの範囲で投与される。典型的には、処置は、化合物の最適服用量より少ない服用量で始められる。その後、最適な効果が達成されるまで、服用量を増加し得る。
【0160】
ほとんどの場合、本発明の化合物の投与は、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの化合物に全身を暴露することを保証するいかなる方法によっても達成される。従って、組成物は、経口で、非経口で、十二指腸内で、および鼻腔内で、投与され得る。典型的には、そのような組成物は、本明細書で既にさらに詳細に記述したように、1個以上の薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、1個以上のそのような化合物を含む。
【0161】
本発明の他の実施形態は、組み合わせ療法を提供し、ここで化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの1個以上の化合物が、本明細書で既にさらに詳細に記述したように、1個以上の癌治療薬と一緒に投与される。癌治療薬の例としては、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、細胞傷害性抗生物質、白金剤、ホルモン剤、および/または抗アンドロゲンがある。本発明のさらなる実施形態は、組み合わせ療法を提供し、化学式I、化学式II、化学式III、化学式IV、化学式V、化学式VI、化学式VII、および/または化学式VIIIの2個以上の化合物が、望ましい治療結果が達成されるまで、同時か、連続して投与される。
【0162】
したがって、本明細書で使われている場合、用語「組み合わせ」は、組み合わせ治療で、少なくとも2個の化合物が、同時に送達され得ることを意味する。この組み合わせ治療法では、最初の化合物は最初に投与され、続いて第二の化合物が投与され、また第二の化合物が最初に送達され、続いて最初の化合物が投与される。望ましい結果は、投薬の受容者において、症状の主観的軽減か、または客観的に確認できる改善であり得る。
【0163】
以下の実施例は、実例という目的で提供され、限定という目的で提供されるものではない。
【実施例】
【0164】
(実施例1)
(メンタン−3−カルボキサミド化合物の合成)
本実施例は、メンタン−3−カルボキサミドのTrp−p8モジュレータの合成のための方法を開示する。
【0165】
【化47】

メンタン−3−カルボン酸(2) 水(300ml)を大きな攪拌棒を備えた2−Lエルレンマイヤーフラスコに投入した。硫酸(500ml)を、攪拌しながら注意深く加えた。この溶液を75℃まで放冷し、そしてN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(1、62.5g)を加えた。温度をホットプレートで75℃に保もち、そして亜硝酸ナトリウム(31g)を注意深く添加した。31グラムのNaNOを1時間の間隔で2回加えた。この混合物を75℃で一晩攪拌した。
【0166】
この混合物を室温まで冷却して、約1Lの氷水で希釈し、約500mlのエーテルで抽出した。エーテル層を分離し、水で洗浄し、そして350mlの1MのNaOHで2回抽出した。水層を濃HClで酸性にし、そしてエーテルで抽出した。このエーテル層をMgSOで乾燥し、エバポレートし、メンタン−3−カルボン酸(33.2g、61%)を結晶性固体として得た。
[□]=−50.3度(c=1、CHCl、25℃)
メンタン−3−カルボニルクロリド(3)。 メンタン−3−カルボン酸(54.35g)を80mlの塩化チオニルと共に3時間還流した。SOClを蒸留で除き、そしてその酸塩化物を114〜115℃(8トル)で蒸留した。(文献より、3.5トルで沸点:84〜85℃)。収率:50g(84%)。
【0167】
メンタン−3−カルボキサミド(5)の調製のための一般的手順。 1mlのアセトニトリルまたは1mlのNMPおよび0.4mmolのDIPEA中の0.2mmolのアミン(4)の攪拌溶液に、0.022mlのメンタン−3−カルボニルクロリド(3)を加えた。この反応混合物を3時間振とうした。より低反応性のアミンの場合、この混合物を加熱(60℃)し、そして24時間振とうした。生成物をHPLCにより粗反応混合物から精製し(CHCN中の0.05% TFAおよびHO中の0.05% TFAを使って、10分にわたって40〜95%の勾配)、そしてエバポレートして乾固させた。
【0168】
(実施例2)
(メントールアセトアミド化合物およびメントールカルバメート化合物の合成)
本実施例は、メントールアセトアミドおよびメントールカルバメートのTrp−p8モジュレータの合成のための方法を開示する。
【0169】
【化48】

メントールアセトアミド(7)およびメントールカルバメート(9)の調製のための一般的手順。 1mlのエーテルおよび1mlの0.1M水酸化ナトリウム水溶液中の0.07mmolのアミン(4)を含む2相エーテル−水系に、0.1mmolの酸塩化物(6)または塩化ギ酸エステル(8)を加えた。この反応混合物を2〜3時間振とうした。上層を除去し、そしてエバポレートして乾固し、生成物を得た。
【0170】
(実施例3)
(メンチル−3−尿素化合物およびメンチル−3−チオ尿素化合物の合成)
本実施例は、メンチル−3−尿素およびメンチル−3−チオ尿素のTrp−p8モジュレータの合成のための方法を開示する。
【0171】
【化49】

メンチル−3−イソシアネート(10)。 乾燥DMF(45ml)中のメンタン−3−カルボン酸(4g、22mmol)およびトリエチルアミン(3.05ml、22mmol)の氷冷溶液に、ジフェニルホスホリルアジド(4.72ml、22mmol)を加えた。この混合物を0℃で2時間攪拌し、そして室温で3時間攪拌し、その後エーテルと氷水の混合物に注いだ。そのエーテル層を分離し、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、MgSOで乾燥し、そしてエバポレートした。残分を蒸留し(85℃、10トル)、メンチル−3−イソシアネート(2.9g、73%)を無色液体として得た。
【0172】
メンチル−3−尿素(12)およびメンチル−3−チオ尿素(13)の調製のための一般的手順。 1mlの乾燥酢酸エチル中の0.07mmolのアミン(4)またはチオール(11)の攪拌溶液に、0.5mlの酢酸エチル中の0.07mmolのメンチル−3−イソシアネートの溶液を加えた。この反応混合物を、一晩振とうし、その後エバポレートして乾固し、生成物を得た。
【0173】
(実施例4)
(メンタン−3−アミド化合物、メンタン−3−スルホンアミド化合物およびメンタン−3−カルバメート化合物の合成)
本実施例は、メンタン−3−アミド、メンタン−3−スルホンアミドおよびメンタン−3−カルバメートのTrp−p8モジュレータの合成のための方法を開示する。
【0174】
【化50】

メンチル−3−アミン塩酸塩(14)。 ジエチルエーテル(100ml)と6N塩酸水溶液(100ml)とを激しく攪拌した混合物に、メンチル−3−イソシアネート(2.0g、11mmol)を加え、そしてこの混合物を室温で一晩攪拌した。水相を分離し、過剰の水酸化ナトリウム水溶液で塩基性化し、そしてエーテルで抽出した。エーテル相をMgSOで乾燥し、ろ過した。エタノール中の無水HCl(3M)を過剰に加えると、沈殿物が直ちに形成した。ろ過によって、メンチルアミン塩酸塩(1.9g、90%)を微細な白色結晶として得た。
【0175】
メンタン−3−アミド(18)、メンタン−3−スルホンアミド(19)およびメンタン−3−カルバメート(20)の調製のための一般的手順。 0.7mlの水中のメンチル−3−アミン塩酸塩(0.078mmol)の溶液を、1mlのEtO中の前記酸塩化物、塩化スルホニル、または塩化ギ酸エステル(0.078mmol)の溶液に加え、続いて0.3mlの0.5M NaOHを加えた。この混合物を室温で12〜18時間振とうした。その後、EtO層を分離し、そして溶媒を減圧下で除去し生成物を得た。
【0176】
(実施例5)
(メンチル−3−アミン化合物の合成)
本実施例は、メンチル−3−アミンのTrp−p8モジュレータの合成のための方法を開示する。
【0177】
【化51】

メンチル−3−アミン(23)の調製のための一般的手順。
【0178】
(方法1)
1mlの1,2−ジクロロエタン中のアミン(22、0.1mmol)および15.4mg(0.1mmol)のメントン(21)の混合物をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(32mg、0.15mmol)で処理した。この混合物を24時間攪拌した(周期的にLCMSでモニターした)。この反応混合物を、1N NaOH(1ml)を加えることでクエンチし、そして生成物をエーテルで抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO),そしてエバポレートして乾固し、生成物を得た。
【0179】
(方法2)
1mlの1,2−ジクロロエタン中のメンチル−3−アミン(0.1mmol)および15.4mg(0.1mmol)のアルデヒド(24)の混合物をトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(32mg、0.15mmol)で処理した。この混合物を24時間攪拌した(周期的にLCMSでモニターした)。この反応混合物を、1N NaOH(1ml)を加えることでクエンチし、そして生成物をエーテルで抽出した。この抽出物をブラインで洗浄し、乾燥し(MgSO),そしてエバポレートして乾固した。
【0180】
(実施例6)
(CHO細胞でのTrp−p8の発現)
ヒトTrp−p8をトランスフェクションしたCHO細胞(本明細書でCHO/Trp−p8と呼ぶ)を生成し、本発明の実験に使用した。このトランスフェクタントのTrp−p8のポリペプチドの発現、およびトランスフェクションしていないCHOでのあらゆる内因性の発現の欠如を、Trp−p8特異的抗体を使用するウェスタンブロットおよび免疫蛍光法(GS2.20;同時係属中の米国出願第10/ , ,号に開示されている、全体が本明細書において参考として援用される)ならびにイリシン(1−[2−ヒドロキシフェニル]−4−[3−ニトロフェニル]−1,2,3,6−テトラヒドロピリミジン−2−オン)およびメントール(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキサノール)を用いるカルシウムフラックスアッセイによって確認した。トランスフェクションしていないCHO細胞を使って、CHO/Trp−p8で観測された化合物の効果の特異性を確立した。
【0181】
(実施例7)
(候補Trp−p8アゴニスト化合物にCHO/Trp−p8細胞を37℃で暴露した後の、細胞生存度のTrp−p8を介した減少)
本実験例は、効果的なTrp−p8アゴニストに対するスクリーニングに適したATP生存性アッセイを開示する。本明細書で述べられたATP生存性アッセイは、外因性のTrp−p8のcDNAを発現するCHO細胞を使用する。本実施例は、さらに、本発明のTrp−p8アゴニストは、Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少する際に有効であることを確立する。
【0182】
代謝的に活性な細胞が壊死および/またはアポトーシスを受ける場合、分子内ATPの濃度は、非常に急激に低下する。このATP濃度、従って相対的細胞生存性は、市販の試薬を使う確立された方法によって測定され得る。本明細書で開示したアゴニストスクリーニング方法では、CHO/Trp−p8細胞の生存性を特異的に減少させる化合物をアゴニストと呼ぶ。
【0183】
アゴニストに対する効力および特異性についての一次スクリーニングとして、トランスフェクションしていないCHO細胞とCHO/Trp−p8細胞との両方を、96−ウェルの黒色壁で、黒色底の細胞培養処理プレート中で、1%ジメチルスルホキシド(DMSO)中の10μMの試験化合物または1%DMSO(コントロール)に暴露した。DMSOは、試験した化合物全てに対する、唯一の溶媒であった。37℃で24〜26時間後に、前記細胞を溶解し、ATP濃度を化学発光アッセイにより、市販の試薬キット(Cell Titer−Glo(Promega; Madison,WI))を使用して決定した。相対的生存性(%)(DMSOのみで処理した細胞中のATPレベルのパーセントとして表される、化合物で処理された細胞中のATPレベルとして表される)は、候補化合物のアゴニスト活性の尺度であった。すなわち、%生存性が小さければ小さいほど、そのTrp−p8アゴニストはより強力である。8〜10アゴニスト濃度で生存性を測定することによって、37℃で最も活性な候補Trp−p8アゴニストに対し、EC50値を決定した。(本明細書ではEC50は、細胞の生存性に50%の減少があるアゴニスト濃度として定義される)。
【0184】
ATP生存性アッセイで有効な、化学式IVの例示的なTrp−p8アゴニストを、本明細書の表1に示してある。表1Aには、0.05から0.20μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVのTrp−p8アゴニストを掲げてある;表1Bには、0.20から0.50μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVのTrp−p8アゴニストを掲げてある;表1Cには、0.50から1.00μMの範囲内のEC50値を表す化学式IVのTrp−p8アゴニストを掲げてある;そして表1Dには、1.00から7.00μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVのTrp−p8アゴニストを掲げてある。
【0185】
例示的なTrp−p8アゴニストで処理した後のCHO/Trp−p8細胞の生存性を図1に示す。
【0186】
(表1A)
(0.05から0.20μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVの例示的なTrp−p8アゴニスト)
【0187】
【表1−1】

【0188】
【表1−2】

(表1B)
(0.20から0.50μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVの例示的なTrp−p8アゴニスト)
【0189】
【表1−3】

【0190】
【表1−4】

【0191】
【表1−5】

【0192】
【表1−6】

【0193】
【表1−7】

(表1C)
(0.50から1.00μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVの例示的なTrp−p8アゴニスト)
【0194】
【表1−8】

【0195】
【表1−9】

【0196】
【表1−10】

【0197】
【表1−11】

(表1D)
(1.00から7.00μMの範囲内のEC50値を示す化学式IVの例示的なTrp−p8アゴニスト)
【0198】
【表1−12】

【0199】
【表1−13】

【0200】
【表1−14】

【0201】
【表1−15】

【0202】
【表1−16】

【0203】
【表1−17】

【0204】
【表1−18】

【0205】
【表1−19】

【0206】
【表1−20】

【0207】
【表1−21】

【0208】
【表1−22】

(実施例8)
(37℃におけるCHO/Trp−p8細胞中へのカルシウム流入を測定することによるTrp−p8アゴニスト化合物のスクリーニングおよび特徴付け)
本実施例は、本発明の候補Trp−p8アゴニストの活性をさらに評価するために使われるCHO/Trp−p8をベースにしたカルシウム流入アッセイを開示する。
【0209】
カルシウム流入をフレクステーションミクロプレート蛍光プレートリーダー(Molecular Devices;Sunnyvale,CA)を使用して測定した。カルシウムフラックスのための典型的なアッセイを、以下のようにして行った。DMEM/Ham’s F−12をベースとした培地中の細胞を、典型的には30,000細胞/ウェル/100μlの濃度で、96−ウェルの黒壁の、透明底の組織培養プレート(Greiner Bio−one)中にプレートし、そして37℃で16〜20時間培養した。Fura2−AM蛍光染料/Pluronic F−27混合物(Molecular Probes;Eugene,Oregon)と共に、各々のウェル中の細胞を37℃で1時間培養し、プロベネシドを含む培地に溶解した。典型的な最終濃度は、Fura2−AMが5〜8μM、Pluronic F−27が0.01%、そしてプロベネシド(陰イオン交換阻害剤、これは細胞内からの加水分解した染料の輸送を減少し、それによって実験中の染料の損失を最小限にする)が2.5mMであった。1時間後、細胞を緩衝溶液(20mMのHEPESおよび1.26mMのCaClを含むHanks平衡塩溶液)(pH7.4、2.5mMの最終濃度でプロベネシドを含む)で洗浄し、そして37℃のアッセイ温度で少なくとも30分間予備インキュベートした。
【0210】
典型的には、追加のカルシウムを含まないか、カルシウム濃度を2mMに増加するカルシウムを含む前記HEPES/HBSSベースの緩衝液、および各種濃度の化合物(最終濃度の5倍で)を、自動のマルチチャネルピペットを使用して各ウェルに加えた。これらの化合物は、アッセイ(37℃)を行う前に、37℃で少なくとも30分間予備インキュベートした。シグナルを、340nmおよび380nmの二重励起波長、ならびに510nmの発光波長で、495nmの遮断フィルターを使って読み取った。そのシグナルを380nmで励起したときの放射に対する340nmで励起したときの放射の比として報告した[相対的蛍光単位(RFU)]。イオノマイシンを正のコントロールとして慣用的に使用した。
【0211】
アゴニストアッセイの場合、異なった濃度の化合物を、染料を充填した細胞(上述したように)に加えた。RFUの増加は、アゴニストとしてのそれらの化合物の作用強度の尺度であった。例示的な結果を図2に示す。
【0212】
(実施例9)
(CHO/Trp−p8細胞をTrp−p8アゴニスト化合物に37℃で暴露した後のアポトーシスの増加)
本実施例は、Trp−p8を発現する細胞中でアポトーシスを誘導する際のTrp−p8アゴニスト化合物の効力を開示する。
【0213】
アネキシンV(Annexin V)/ヨウ化プロピジウム(PI)フローサイトメトリーアッセイを使用して、Trp−p8アゴニスト化合物により誘導される細胞死の機構に対してさらに理解を深めた。アネキシンV染色は、ホスファチジルセリンが原形質膜の外部層に転移するのを検知する。これは、アポトーシスに特徴的な事象である。一方PI染色は、易感染性膜を有する死亡細胞を示す。
【0214】
細胞を、24〜26時間37℃で、1%DMSO中の化合物で処理し、または1%DMSO(コントロール)で処理した。それらの細胞を、制御条件下で短時間トリプシン処理し、そして供給者(例えば、Southern Biotech;Birmingham,Alabama)により提供された方法に従って、アネキシンV/PI試薬キットで染色した。例示的な結果を図3に示す。
【0215】
(実施例10)
(Trp−p8発現細胞を毒性のアゴニスト化合物から保護することに基づいた、Trp−p8アンタゴニスト化合物についての細胞生存性アッセイを使用するインビトロスクリーニング)
本実施例は、候補Trp−p8アンタゴニスト化合物を同定および特徴付けするためのアッセイ系を開示する。
【0216】
以下の修正を伴って、37℃でのCHO/Trp−p8細胞に対する細胞生存性アッセイ(実施例7を参照)を使用することによって、Trp−p8アンタゴニストを同定した。本発明の状況内では、CHO/Trp−p8細胞をコントロールアゴニストの毒性効果から保護する化合物、従ってTrp−p8アゴニストに暴露したCHO/Trp−p8細胞の生存性を保持する化合物をアンタゴニストと定義する。アンタゴニストに対する一次スクリーニングとして、1%のジメチルスルホキシド(DMSO)中、またはコントロールアゴニストであるD−1607を毒性濃度中で含む1% DMSO中10μMの試験化合物にCHO/Trp−p8細胞を暴露した。実施例7で記述したように決定した、10μMでの相対的生存性は、Trp−p8アンタゴニストとしての前記化合物の潜在能力の尺度であった。すなわち、生存性が高ければ高いほど、そのアンタゴニストはより強力である。例示的な結果を図4に示す。
【0217】
(表2)
(化学式IVのアゴニスト化合物の例示的な化学式VIIIのTrp−p8アンタゴニスト)
【0218】
【表2−1】

【0219】
【表2−2】

【0220】
【表2−3】

【0221】
【表2−4】

【0222】
【表2−5】

【0223】
【表2−6】

【0224】
【表2−7】

(表3)
(化学式IIのアゴニスト化合物の例示的な化学式VIIのTrp−p8アンタゴニスト)
【0225】
【表3−1】

【0226】
【表3−2】

【0227】
【表3−3】

【0228】
【表3−4】

(実施例11)
(CHO/Trp−p8細胞中のTrp−p8アゴニストにより誘導されたカルシウム流入を抑圧するTrp−p8アンタゴニスト化合物の能力に基づいた、Trp−p8アンタゴニスト化合物のためのカルシウムフラックスアッセイを使用するインビトロスクリーニング)
本実施例は、候補Trp−p8アンタゴニストをさらにスクリーニングし、特徴化するのに使用されるインビトロアッセイ系を開示する。
【0229】
Trp−p8アンタゴニストをまた実施例8に記述したような37℃でのカルシウムフラックスアッセイを使用して、以下の2つの区別をして、スクリーニングおよび特徴化を行った。2つの区別とは、(1)化合物をコントロールアゴニストと予備混合したか、またはコントロールアゴニストのみを細胞に加え、アゴニストに対する応答の抑制をその化合物のアンタゴニストとしての作用強度の尺度とすること、および(2)化合物を、異なった濃度で細胞に加え、その後2〜3分後にコントロールアゴニストをその細胞に加え、アゴニストにより誘導された応答の抑制をアンタゴニストとしてのその化合物の作用強度の尺度としたこと、であった。例示的な結果を図5に示す。
【0230】
(実施例12)
(癌の処置のための候補Trp−p8アゴニストおよび候補Trp−p8アンタゴニストのインビボ効力をアッセイするための動物モデル系)
本実施例は、アゴニストとアンタゴニストとの両方を含む候補Trp−p8モジュレータのインビボ効力を決定するのに適した動物モデル系を提供する。
【0231】
Trp−p8(University of WashingtonのDr.Robert Vessellaの実験室からの移植片、タンパク質に特異的なウサギポリクローナル抗体であるT−904を使用するインサイチュハイブリダイゼーションおよび免疫組織化学により評価される)を発現するヒト前立腺癌の異種移植片ならびにCHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞株およびEL−4(マウスの胸腺腫)細胞株を操作し、Trp−p8を発現するように、そしてマウスで腫瘍モデルを確立するのに使用した。これらのトランスフェクタントでのTrp−p8発現を、ウェスタンブロットおよびTrp−p8に特異的な抗体(GS2.20)を使用する免疫蛍光検査、ならびにカルシウム流入の機能的なアッセイにおいて公知のアゴニストに対する応答によって確認した。さらに、これらのトランスフェクションされた細胞株は、ATP生存性およびアポトーシスアッセイから明らかなように、Trp−p8アゴニストによる殺傷を受けやすかった(本明細書において実施例7および8で記述されているように)。
【0232】
マウスにおける腫瘍モデルを、CHO/Trp−p8細胞をSCIDマウスに皮下注入することによって確立した。これらのマウスから摘出した腫瘍中のTrp−p8発現をRT−PCRおよびウェスタンブロット分析によって確認した。無胸腺のヌードマウスまたはSCIDマウスで上述したヒト前立腺癌の異種移植片を使用することによって、また正常マウス中のEL4/Trp−p8トランスフェクタントを使用することによって、さらに、腫瘍モデル開発を行う。Trp−p8を発現するように操作され得る、他の供給源由来の前立腺異種移植片および他の細胞株もまた、さらなるモデル系を作るための潜在的な候補である。
【0233】
インビトロおよびインビボ評価からの結果に基づいて、1組のTrp−p8アゴニストを、マウス中の効力を決定するために選ぶ。インビトロ評価としては、細胞殺傷アッセイにおける強度、水への溶解度、血漿結合研究、および代謝安定性(肝細胞および/またはマウスのミクロソームを使用して決定されるような、化合物が肝臓により新陳代謝される能力)が挙げられる。インビボ評価には、薬動学および毒性研究が含まれる。それらの選択された化合物を、異なった経路(経口、静脈内、腹膜内、皮下、筋肉内)によって、Trp−p8を発現する腫瘍を有するマウスに投与する。腫瘍の減少およびこれらのマウスの生存を、これらの化合物の様々な服用量で評価する。腫瘍と戦う際に最も効果的な化合物は、さらなる研究が望まれる。
【0234】
本発明は、理解を鮮明にするために図示および実施例を介してかなり詳細に記述しているが、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の範囲を逸脱することなく、変更および修正を行い得る。
【図面の簡単な説明】
【0235】
【図1】図1は、例示的なATP生存性分析を記述するグラフである。Trp−p8アゴニストを10μMで試験し、そしてTrp−p8を発現するCHO細胞(CHO/Trp−p8)のアゴニスト特異的殺傷を37℃で測定した。
【図2A】図2A〜2Cは、Trp−p8アゴニストにより誘導された、37℃で実施したカルシウムフラックスアッセイにより決定した細胞内カルシウムの増加を記述したグラフである。図2Aは、CHO細胞およびCHO/Trp−p8細胞が、37℃でのカルシウムフラックスアッセイで1μMイオノマイシンに、同様に、応答することを例証する陽性コントロールである。図2Bは、内因性または外因性のTrp−p8を発現しない親のCHO細胞が10μMの濃度ですらTrp−p8アゴニストに応答しないことを例証する陰性コントロールである。図2Cは、Trp−p8アゴニスト(本明細書では化合物1603と呼ぶ)が、37℃でのCHO/Trp−p8細胞で特異的な濃度依存応答を誘導したことを例証している。
【図2B】図2A〜2Cは、Trp−p8アゴニストにより誘導された、37℃で実施したカルシウムフラックスアッセイにより決定した細胞内カルシウムの増加を記述したグラフである。図2Aは、CHO細胞およびCHO/Trp−p8細胞が、37℃でのカルシウムフラックスアッセイで1μMイオノマイシンに、同様に、応答することを例証する陽性コントロールである。図2Bは、内因性または外因性のTrp−p8を発現しない親のCHO細胞が10μMの濃度ですらTrp−p8アゴニストに応答しないことを例証する陰性コントロールである。図2Cは、Trp−p8アゴニスト(本明細書では化合物1603と呼ぶ)が、37℃でのCHO/Trp−p8細胞で特異的な濃度依存応答を誘導したことを例証している。
【図2C】図2A〜2Cは、Trp−p8アゴニストにより誘導された、37℃で実施したカルシウムフラックスアッセイにより決定した細胞内カルシウムの増加を記述したグラフである。図2Aは、CHO細胞およびCHO/Trp−p8細胞が、37℃でのカルシウムフラックスアッセイで1μMイオノマイシンに、同様に、応答することを例証する陽性コントロールである。図2Bは、内因性または外因性のTrp−p8を発現しない親のCHO細胞が10μMの濃度ですらTrp−p8アゴニストに応答しないことを例証する陰性コントロールである。図2Cは、Trp−p8アゴニスト(本明細書では化合物1603と呼ぶ)が、37℃でのCHO/Trp−p8細胞で特異的な濃度依存応答を誘導したことを例証している。
【図3】図3は、Trp−p8アゴニストが、37℃でのTrp−p8を発現するCHO細胞で、特異的にアポトーシスを誘導できることを例証しているフローサイトメトリーデータのプロットである。
【図4】図4は、37℃でCHO/Trp−p8細胞を用いて、本明細書で記述した前記ATP生存性アッセイを使って得た、Trp−p8アンタゴニストに対する一次スクリーニングからの例示的結果を記述するグラフである。CHO/Trp−p8細胞を、1%DMSO中または1%DMSO中での異なった濃度で、Trp−p8アゴニスト1607の毒性濃度と組み合わせた化合物に暴露した。細胞の生存性を、24〜26時間後に37℃でATPアッセイを使って、分析した。化合物D−2258およびD−2212は、前記細胞をTrp−p8アゴニストであるD−1607の毒性効果から保護した結果、Trp−p8アンタゴニストとして分類される。D−2250は保護効果を有せず、ここでは、前記アッセイの例証目的で示されている。
【図5】図5は、37℃で行ったカルシウムフラックスアッセイによる、Trp−p8アンタゴニストのスクリーニングおよび特徴付けを記述したグラフである。CHO/Trp−p8細胞にカルシウム指標染料であるフラ−2を充填し、化合物に応答した分子内カルシウムの増加を蛍光の増加によって決定した。フラ−2染料を充填したCHO/Trp−p8細胞を、1%DMSO中の異なった濃度で37℃で、1%DMSOまたはD−2258に暴露した。3分後に、D−1607を前出の細胞に加えた。細胞を有効濃度のアンタゴイストのD−2258に暴露した時、そのアゴニストD−1607に応答する細胞の能力は有意に減少されたか、または全く排除された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学式VIIIの化合物であって、
【化1】

22は、オキシアセトアミド、尿素、カルバメート、チオ尿素、スルホンアミド、アミン、アミドからなる群より選択され得るリンカー部分であり;
23は、H、25個までの炭素の脂肪族基、ならびに置換フェニル、フェナルキル、置換フェナルキル、ナフチル、置換ナフチルおよびピリジルからなる群より選択される10個までの炭素のアリール基からなる群から選択され;
24は、H,OHおよび25個までの炭素原子を含む脂肪族基からなる群より選択され;そして
25はHからなる群より選択される、化学式VIIIの化合物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物であって、
23は、H,テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、2−(N−メチル,N−フェニルエチル)アミノエチル、3−メチルインドリニル、1−フェニルエチル、2−クロロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、(1−フェニル−シクロフェニチル)−メチル、2−(テトラヒドロキノリニル)−エチル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロピロロ[1,2−a]ピラジン、シクロヘプチル、3−シクロヘキシルスルファニルプロピル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、2−(N−イソプロピル、N−フェニルエチル)アミノエチル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、2−シクロペンチルエチル、2−フェニルシクロプロピル、1−フェノキシエチル、4−ブチルオキシフェニル、(2−ニトロフェノキシ)メチル、4,7,7−トリメチル−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン、C−(1−フェニル−5−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−メチル、ベンジル、2−クロロベンジル、1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、C−[3−(4−ブトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−メチル、4−(アゼパン−1−スルホニル)−フェニル、および5−(7−クロロ−キノリン−4−イルスルファニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルからなる群より選択される、化合物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物であって、R24は、H,テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、3−メチルインドリニル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジンおよび1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、からなる群より選択される、化合物。
【請求項4】
請求項2記載の化合物であって、R24は、H,テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、3−メチルインドリニル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジンおよび1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、からなる群より選択される、化合物。
【請求項5】
請求項1、請求項2、請求項3、または請求項4に記載の化合物、および薬学的に受容可能な賦形剤または希釈剤を含む、組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の組成物であって、さらに癌治療剤を含有する、組成物。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、前記癌治療剤は抗有糸分裂剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、細胞傷害性抗生物質、ホルモン剤、抗女性ホルモン物質、抗男性ホルモン物質、およびファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤からなる群より選択される組成物。
【請求項8】
Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させる方法であって、該方法は、該細胞の生存性を減少させるのに必要な濃度でかつ該細胞の生存性を減少させるのに必要な時間の間、該細胞を減少させる低分子Trp−p8モジュレータに接触させる工程を含む方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータは化学式Iの化合物、化学式IIの化合物、化学式IIIの化合物、化学式IVの化合物、化学式Vの化合物、化学式VIの化合物、化学式VIIの化合物、および化学式VIIIの化合物からなる群より選択される方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータは化学式Iの化合物であって、
【化2】

は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Hからなる群より選択され;
は、O、OH、酢酸エステル、乳酸エステル、カルボキサミド、ブタンアミド、スルファンアミド、およびプロパントリオールからなる群より選択され;そして
は、CH−CH−CH(イソプロピル)、イソプロパン−2−オール、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択される、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8アゴニストは化学式IIの化合物であり、
【化3】

は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Nからなる群より選択され;
は、OおよびNからなる群より選択され;
は、NH、OおよびSからなる群より選択され;そして
は、NOからなる群より選択される、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータは化学式IIIの化合物であり、
【化4】

10は、H、ならびにCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)およびCH−C=CH(イソプロペニル)を含むが、これらに限定されないC−Cアルキルからなる群より選択され;
11は、OH、カルボキサミド、ブタンアミド、プロパントリオール、およびCONR’R”からなる群より選択され、ここでR’は、H、CH、C、C(シクロブチル)およびCOからなる群より選択され、そしてR”は、COOCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)、HOCHC(CH、HOCHCH、C(tert−ブチル)、およびC(sec−ブチル)からなる群より選択され;
12は、H、ならびにCH、CH−CH−CH(イソプロピル)、CH−C=CH(イソプロペニル)、C(sec−ブチル)、C(イソブチル)、C(n−ブチル)、およびC11(イソヘキシル)を含むが、これらに限定されないC−Cアルキルからなる群より選択され;そして
13は、HならびにCH、C、CH−CH−CH(イソプロピル)、CH−C=CH(イソプロペニル)、C(sec−ブチル)、およびC(イソブチル)を含むが、これらに限定されないC−Cアルキルからなる群より選択される、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータが化学式IVの化合物であり、
【化5】

14は、H、25個までの炭素の脂肪族基、ならびに置換フェニル、フェナルキル、置換フェナルキル、ナフチル、置換ナフチルおよびピリジルからなる群より選択される10個までの炭素のアリール基からなる群より選択され;そして
15は、H、OH、および25個までの炭素原子を含む脂肪族基からなる群より選択される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、R14およびR15は共に、25個までの炭素および窒素原子を含む環状基または複素環式基を形成する、方法。

【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記環状基または複素環式基は、3−フェニル−ピペリジン−1−イル、3−フェニル−ピロリジン−1−イル、6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル、および4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択される、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、R14およびR15は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチルメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル、2−アミノエチル、2−アセトキシエチル、2−エチルカルボキシエチル、4−ヒドロキシブタ−2−イニル、およびカルボキシメチルからなる群より選択される脂肪族基である、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、R14は、ベンジル、ナフチル、4−メトキシフェニル、2−メトキシ−4−メトキシフェニル、3−メトキシ−5−メトキシフェニル、4−メチル−5−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、3−メチル−4−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、4−エチルフェニル、2−フルオロ−4−フルオロフェニル、4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシナフチル、ピリジル、[1−カルバモイル−2−(1H−インドール−3−イル)−エチル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、1−カルバモイル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−カルバモイル−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−(1H−インドール−3−イル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−クロロフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−フェニルエチル、1−メトキシメチル−2−フェニルエチル、1−メチル−2−(4−クロロフェニル)−エチル、1−メチル−2−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、1−メチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−オキソ−2−フェニルエチル、1−フェニル−シクロペンチルメチル、2−(1−シクロペンチル−ピロリジン−3−イル)−エチル、2−(1H−インドール−3−イル)エチル、2−(2,3−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、2−(2,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,5−ジメチルフェニル)−エチル、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(2−フルオロフェニル)エチル、2−(2−フリル)エチル、2−(2−メトキシ−5−ブロモフェニル)エチル、2−(2−メトキシフェニル)−エチル、2−(2−メチルフェニル)エチル、2−(3,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(3−エトキシフェニル)エチル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−エチル、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ブロモフェニル)−エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(4−フルオロフェニル)エチル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−エチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルスルファニルフェニル)エチル、2−(4−ニトロフェニル)エチル、2−(4−スルファモイル−フェニル)−エチル、2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(N,N−ジプロピルアミノ)エチル、2−(ピリジン−2−イル)−エチル、2−(ピリジン−3−イル)−エチル、2−(ピリジン−4−イル)−エチル、2,2−ジフェニルエチル、2,3−ジフルオロベンジル、2,3−ジメトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−ブロモ−4−メチルフェニル、2−クロロ−4−シアノフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−ヨードフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−5−ニトロフェニル、2−クロロフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニル−エチル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、2−ヨードフェニル、2−メチル−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、2−メチル−2−フェニルエチル、2−メチル−4−ブロモフェニル、2−メチル−5−ニトロフェニル、2−メチルフェニル、2−ニトロ−4−フルオロフェニル、2−ニトロフェニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−オキソ−2−フェニルエチル、2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−フェニル−2−(4−クロロフェニル)エチル、2−フェニル−2−(4−フルオロフェニル)−エチル、2−フェニル−2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−フェニルエチル、2−フェニルエチル、2−ピリジン−2−イル−ベンゾオキサゾール−5−イル、2−ピリジン−3−イル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−チオフェン−2−イル−エチル)、2−トリフルオロメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,4−シクロペンタンフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−アセトアミドフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、3−カルボキシアミドフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル、3−ヒドロキシメチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−オキソ−インダン−5−イル、3−フェニルプロピル、3−イル−アセトフェノン、4−(1,1−ジオキソ−1l6−チオモルホリン−4−イルメチル)−フェニル、4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル、4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル、4−[1,3−ジオキソ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−[2−(2−メトキシ−フェニル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−{2−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ}−フェニル、4−アセチルフェニル、4−アゼパン−1−イルメチル−フェニル、4−ベンゾオキサゾール−2−イル−フェニル、4−ビフェニル、4−ブロモフェニル、4−カルボキサミドフェニル、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−エトキシフェニル、4−エチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル、4−メチルシクロヘキシル、4−メチルフェニル、4−メチルスルファニルフェニル、4−ニトロベンジル、4−ピロリジン−1−イルメチル−フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル、ベンゾイルアミノ、ベンジルオキシ、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、C−1H−インダゾール−5−イル、シクロヘプチル、インダン−2−イル、N−(2−ジエチルアミノ−エチル)−ベンズアミド−4−イル、N’−キノキサリン−2−イル−アミノ、およびフェニルシクロプロピルからなる群より選択されるアリール基である、方法。
【請求項18】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータは化学式Vの化合物であり、
【化6】

16は、少なくとも1個、しかし3個を超えない、ヒドロキシル基を含むC−Cアルキレン基からなる群より選択され;そして
17およびR18は、互いに独立して、C−C10−アルキル基、C−C−シクロアルキル、C−C12−アリールからなる群より選択され、ここでR17およびR18のC原子の全数は3より小さくなく、またはR17およびR18は一緒になってアルキレン基を表し、該アルキル基は、基R17およびR18を持つ炭素原子と共に、5−7員環を形成する、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、前記R17およびR18のアルキル基の1個あるいは両方がヒドロキシル、アミノ、チオ、およびハロゲンからなる群より選択される1個から3個の基により置換される、方法。
【請求項20】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータは化学式VIIの化合物であり、
【化7】

17は、2−ピリジル、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ニトロ−4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、フェニル、2−メチル−キノリン−3−イル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−アゼパン1−イル−5−(4−トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ[1,3,5]トリアジル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、2−フェニルエチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンチル、C−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−メチル、2−ピリジル、および4−クロロベンジルからなる群より選択され;
18は、1−ベンジル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、3−ベンジルアミノ−2−ニトロフェニル、5−ニトロ−キノリン−8−イル、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、ベンジル−2−メチル−キナゾリン−4−イル、3−メチル−5−モルホリン−4−イル−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−5−ピペラジン−1−イル−エタノール、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、4−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、2−(2−フルオロ−フェノキシメチル)−2−シアノオキサゾリル,アダマンチル、5−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)−10b,10c−ジヒドロ−アントラ[1,9−cd]イソオキサゾール−6−オン−イル、2−メチル−チアゾロ[3,2−b][1,2,4]トリアゾール−6−オール4−メチルフェニルメチル、3−ベンジル−3H−キナゾリン−4−オン−2−イル、シクロペンチル、テトラヒドロナフチル、シクロオクチル、シクロヘキシル、C−[3−(4−クロロ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−メチル、C−(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−メチル、および1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オールからなる群より選択され;
19およびR20は、それぞれ独立に、HおよびOからなる群より選択され;そして
21は、4−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、および4−クロロフェニルからなる群より選択される、方法。
【請求項21】
請求項9に記載の方法であって、前記低分子Trp−p8モジュレータは化学式VIIIの化合物であり、
【化8】

22は,オキシアセトアミド、尿素、カルバメート、チオ尿素、スルホンアミド、アミン、およびアミドからなる群より選択され得るリンカー部分であり;
23は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、2−(N−メチル,N−フェニルエチル)アミノエチル、3−メチルインドリニル、1−フェニルエチル、2−クロロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、(1−フェニル−シクロフェンチル)−メチル、2−(テトラヒドロキノリニル)−エチル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、シクロヘプチル、3−シクロヘキシルスルファニルプロピル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、2−(N−イソプロピル,N−フェニルエチル)アミノエチル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、2−シクロペンチルエチル、2−フェニルシクロプロピル、1−フェノキシエチル、4−ブチルオキシフェニル、(2−ニトロフェノキシ)メチル、4,7,7−トリメチル−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン、C−(1−フェニル−5−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−メチル、ベンジル,2−クロロベンジル、1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、C−[3−(4−ブトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−メチル、4−(アゼパン−1−スルホニル)−フェニル、および5−(7−クロロ−キノリン−4−イルスルファニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルからなる群より選択され;そして
24は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、3−メチルインドリニル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、および1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリンからなる群より選択され;そして
25は、Hからなる群より選択される、方法。
【請求項22】
Trp−p8を発現する細胞中でアポトーシスおよび/または壊死を誘導する方法であって、該細胞に、化学式Iの化合物、化学式IIの化合物、化学式IIIの化合物、化学式IVの化合物、化学式Vの化合物、化学式VIの化合物、化学式VIIの化合物、および化学式VIIIの化合物からなる群より選択される低分子Trp−p8モジュレータを投与する工程を含む方法。
【請求項23】
Trp−p8発現に関連する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含む方法であり、
【化9】

は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、OH、カルボキサミド、ブタンアミド、およびプロパントリオールからなる群より選択され;そして
は、CH−CH−CH(イソプロピル)、イソプロパン−2−オール、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択される、方法。
【請求項24】
Trp−p8発現に関連する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含む方法であり、
【化10】

は、H、OH、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
は、Nからなる群より選択され;
は、O、CH、およびCH−C−CH(イソプロピル)からなる群より選択され;
は、NHからなる群より選択され;そして
は、NOからなる群より選択される、方法。
【請求項25】
Trp−p8発現に関連する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含む方法であり、
【化11】

10は、H、CH、CH−CH−CH(イソプロピル)、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;
11は、OH、カルボキサミド、ブタンアミド、およびプロパントリオールからなる群より選択され;
12は、H、CH、CH−C−CH(イソプロピル)、およびCH−C=CH(イソプロペニル)からなる群より選択され;そして
13は、H、CH、CH−C−CH(イソプロピル)、およびCH−C=CH(イソプロペニル)、ならびに薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤からなる群より選択される、方法。
【請求項26】
Trp−p8発現に関連する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含む方法であり、
【化12】

14は、H、25個までの炭素の脂肪族基、ならびに置換フェニル、フェナルキル、置換フェナルキル、ナフチル、置換ナフチルおよびピリジルからなる群より選択される10個までの炭素のアリール基からなる群より選択され;そして
15は、H、OH、および25個までの炭素原子を含む脂肪族基からなる群より選択される、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、R14とR15は、一緒になって、25個までの炭素および前記窒素原子を含む環状基または複素環式基を形成する、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、前記環状基または複素環式基は、3−フェニル−ピペリジン−1−イル、3−フェニル−ピロリジン−1−イル、6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル、および4−ピリミジン−2−イル−ピペラジン−1−イルからなる群より選択される、方法。
【請求項29】
請求項26に記載の方法であって、
14およびRl5は、それぞれ、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、n−デシル、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロヘプチルメチル、2−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシ−n−プロピル、6−ヒドロキシ−n−ヘキシル、2−アミノエチル、2−アセトキシエチル、2−エチルカルボキシエチル、4−ヒドロキシブト−2−イニル、およびカルボキシメチルからなる群より独立に選択される脂肪族基である、方法。
【請求項30】
請求項26に記載の方法であって、R14は、ベンジル、ナフチル、4−メトキシフェニル、2−メトキシ−4−メトキシフェニル、3−メトキシ−5−メトキシフェニル、4−メチル−5−クロロフェニル、4−ヒドロキシフェニル、4−メチルフェニル、3−メチル−4−メチルフェニル、3−ヒドロキシ−4−メチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−クロロフェニル、4−ブロモフェニル、4−エチルフェニル、2−フルオロ−4−フルオロフェニル、4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシナフチル、ピリジル、[1−カルバモイル−2−(1H−インドール−3−イル)−エチル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−4−イル、1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、1−カルバモイル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−カルバモイル−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−(1H−インドール−3−イル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−クロロフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、1−ヒドロキシメチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシメチル−2−フェニルエチル、1−メトキシメチル−2−フェニルエチル、1−メチル−2−(4−クロロフェニル)−エチル、1−メチル−2−(5−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、1−メチル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−オキソ−2−フェニルエチル、1−フェニル−シクロペンチルメチル、2−(1−シクロペンチル−ピロリジン−3−イル)−エチル、2−(1H−インドール−3−イル)エチル、2−(2,3−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(2,4−ジメチルフェニル)エチル、2−(2,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(2,5−ジメチルフェニル)−エチル、2−(2,6−ジメチルフェニル)エチル、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)エチル、2−(2−クロロフェニル)エチル、2−(2−フルオロフェニル)エチル、2−(2−フリル)エチル、2−(2−メトキシ−5−ブロモフェニル)エチル、2−(2−メトキシフェニル)−エチル、2−(2−メチルフェニル)エチル、2−(3,4−ジクロロフェニル)エチル、2−(3,4−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル、2−(3−ブロモ−4−メトキシフェニル)エチル、2−(3−クロロフェニル)エチル、2−(3−エトキシフェニル)エチル、2−(3−フルオロフェニル)エチル、2−(3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−エチル、2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−エトキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(3−メトキシフェニル)エチル、2−(3−メチルフェニル)エチル、2−(3−トリフルオロメチルフェニル)エチル、2−(4−ブロモフェニル)−エチル、2−(4−クロロフェニル)エチル、2−(4−エチルフェニル)エチル、2−(4−フルオロフェニル)エチル、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−(4−メトキシ−フェニル)−2−オキソ−エチル、2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルスルファニルフェニル)エチル、2−(4−ニトロフェニル)エチル、2−(4−スルファモイル−フェニル)−エチル、2−(5−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−フルオロ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(6−メトキシ−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(7−メチル−1H−インドール−3−イル)−エチル、2−(N,N−ジプロピルアミノ)エチル、2−(ピリジン−2−イル)−エチル、2−(ピリジン−3−イル)−エチル、2−(ピリジン−4−イル)−エチル、2,2−ジフェニルエチル、2,3−ジフルオロベンジル、2,3−ジメトキシフェニル、2,4−ジクロロフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、2,4−ジメトキシフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−ブロモ−4−メチルフェニル、2−クロロ−4−シアノフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、2−クロロ−4−ヨードフェニル、2−クロロ−4−ニトロフェニル、2−クロロ−5−ニトロフェニル、2−クロロフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニル−エチル、2−フルオロ−4−クロロフェニル、2−フルオロ−5−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−2−(3−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、2−ヨードフェニル、2−メチル−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イル、2−メチル−2−フェニルエチル、2−メチル−4−ブロモフェニル、2−メチル−5−ニトロフェニル、2−メチルフェニル、2−ニトロ−4−フルオロフェニル、2−ニトロフェニル、2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−オキソ−2−フェニルエチル、2−フェニル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−フェニル−2−(4−クロロフェニル)エチル、2−フェニル−2−(4−フルオロフェニル)−エチル、2−フェニル−2−(4−メトキシフェニル)エチル、2−フェニルエテニル、2−フェニルエチル、2−ピリジン−2−イル−ベンゾオキサゾール−5−イル、2−ピリジン−3−イル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、2−チオフェン−2−イル−エチル)、2−トリフルオロメチル−1H−ベンゾイミダゾール−5−イル、3,4,5−トリフルオロフェニル、3,4,5−トリメトキシフェニル、3,4−シクロペンタンフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメトキシフェニル、3−アセトアミドフェニル、3−ブロモ−4−メチルフェニル、3−カルボキサミドフェニル、3−クロロ−4−メトキシフェニル、3−クロロ−4−メチルフェニル、3−クロロ−4−モルホリン−4−イル−フェニル、3−ヒドロキシメチルフェニル、3−ニトロフェニル、3−オキソ−インダン−5−イル、3−フェニルプロピル、3−イル−アセトフェノン、4−(1,1−ジオキソ−1l6−チオモルホリン−4−イルメチル)−フェニル、4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル、4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニル、4−(4−メチル−1H−ベンゾイミダゾール−2−イル)−フェニル、4−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−フェニル、4−(モルホリン−4−スルホニル)−フェニル、4−[1,3−ジオキソ−2−(2−トリフルオロメチル−フェニル)−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−[2−(2−メトキシ−フェニル)−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ]−フェニル、4−{2−[2−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エチル]−1,3−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−5−イルオキシ}−フェニル、4−アセチルフェニル、4−アゼパン−1−イルメチル−フェニル、4−ベンゾオキサゾール−2−イル−フェニル、4−ビフェニル、4−ブロモフェニル、4−カルボキサミドフェニル、4−クロロフェニル、4−シアノフェニル、4−エトキシフェニル、4−エチルフェニル、4−フルオロフェニル、4−ヒドロキシメチルフェニル、4−メトキシフェニル、4−メチル−2−オキソ−2H−クロメン−7−イル、4−メチルシクロヘキシル、4−メチルフェニル、4−メチルスルファニルフェニル、4−ニトロベンジル、4−ピロリジン−1−イルメチル−フェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル,ベンゾイルアミノ、ベンジルオキシ、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、C−1H−インダゾール−5−イル、シクロヘプチル、インダン−2−イル、N−(2−ジエチルアミノ−エチル)−ベンズアミド−4−イル、N’−キノキサリン−2−イル−アミノ、およびフェニルシクロプロピルからなる群より選択されるアリール基である、方法。
【請求項31】
Trp−p8発現に関係する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含む方法であり、
【化13】

16は、少なくとも1個、しかし3個を超えない、ヒドロキシル基を含むC−Cアルキレン基からなる群より選択され;そして
17およびR18は、互いに独立して、C−C10−アルキル基、C−C−シクロアルキル、C−C12−アリールからなる群より選択され、ここでR17およびR18のC原子の全数は3より小さくなく、またはR17およびR18は一緒になってアルキレン基を表し、該アルキレン基は、基R17およびR18を持つ炭素原子と共に、5−7員環を形成する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、前記R17およびR18のアルキル基の1個あるいは両方がヒドロキシル、アミノ、チオ、およびハロゲンからなる群より選択される1個から3個の基により置換される、方法。
【請求項33】
Trp−p8発現に関係する疾患を処置する方法であって、下記化学式
【化14】

で表される化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含む方法。
【請求項34】
Trp−p8発現に関係する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含み、
【化15】

17は、2−ピリジル、2−ニトロ−4−トリフルオロメチルフェニル、2−ニトロ−4−クロロフェニル、2−メトキシフェニル、2−クロロフェニル、フェニル、2−メチル−キノリン−3−イル、4−メトキシフェニル、4−フルオロフェニル、3−アゼパン1−イル−5−(4−トリフルオロメトキシ)フェニルアミノ[1,3,5]トリアジル、シクロヘキシル、ジフェニルメチル、2−フェニルエチル、4−ヒドロキシ−シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロペンチル、C−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−メチル、2−ピリジル、および4−クロロベンジルからなる群より選択され;
18は、1−ベンジル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、3−ベンジルアミノ−2−ニトロフェニル、5−ニトロ−キノリン−8−イル、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、ベンジル−2−メチル−キナゾリン−4−イル、3−メチル−5−モルホリン−4−イル−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−5−ピペラジン−1−イル−エタノール、1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オール、4−(2,5−ジメチル−ピロール−1−イル)−2−ニトロ−フェニル、2−ニトロ−3−トリフルオロメタンスルホニル−フェニル、1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン−4−イル、2−(2−フルオロ−フェノキシメチル)−2−シアノオキサゾイル、アダマンチル、5−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イルアミノ)−10b,l0c−ジヒドロ−アントラ[1,9−cd]イソオキサゾール−6−オン−イル、2−メチル−チアゾロ[3,2−b][1,2,4]トリアゾール−6−オール4−メチルフェニルメチル、3−ベンジル−3H−キナゾリン−4−オン−2−イル、シクロペンチル、テトラヒドロナフチル、シクロオクチル、シクロヘキシル、C−[3−(4−クロロ−フェニル)−2,5−ジメチル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−イル]−メチル、C−(2−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−ベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジン−4−イル)−メチル、および1−イル−3−(2−イソプロピル−5−メチル−シクロヘキシルオキシ)−プロパン−2−オールからなる群より選択され;
19およびR20は、それぞれ、HおよびOからなる群より独立に選択され;そして
21は、4−メチルフェニル、2−クロロ−4−フルオロフェニル、および4−クロロフェニルからなる群より選択される、方法。
【請求項35】
Trp−p8発現に関係する疾患を処置する方法であって、下記化学式を有する化合物を含む組成物の有効量を、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と共に、哺乳動物に投与する工程を含み、
【化16】

22は,オキシアセトアミド、尿素、カルバメート、チオ尿素、スルホンアミド、アミン、およびアミドからなる群より選択され得るリンカー部分であり;
23は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、2−(N−メチル,N−フェニルエチル)アミノエチル、3−メチルインドリニル、1−フェニルエチル、2−クロロベンジル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェニル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、(1−フェニル−シクロフェンチル)−メチル、2−(テトラヒドロキノリニル)−エチル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、シクロヘプチル、3−シクロヘキシルスルファニルプロピル、2−シクロヘキシ−1−エニルエチル、2−(N−イソプロピル,N−フェニルエチル)アミノエチル、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、2−シクロペンチルエチル、2−フェニルシクロプロピル、1−フェノキシエチル、4−ブチルオキシフェニル、(2−ニトロフェノキシ)メチル、4,7,7−トリメチル−2−オキサ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−3−オン、C−(1−フェニル−5−プロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−メチル、ベンジル、2−クロロベンジル、1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリン、C−[3−(4−ブトキシ−フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]−メチル、4−(アゼパン−1−スルホニル)−フェニル,および5−(7−クロロ−キノリン−4−イルスルファニル)−[1,3,4]チアジアゾール−2−イルからなる群より選択され;
24は、H、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、3−メチルインドリニル、インドリニル、3−メチルインドリニル、1−プロピル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ピロロ[1,2−a]ピラジン、および1−[3−(6,7−ジメトキシ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イルメチル)−4−メトキシ−フェニル]−2,3,4,9−テトラヒドロ−1H−b−カルボリンからなる群より選択され;そして
25は、Hからなる群より選択される、方法。
【請求項36】
Trp−p8アゴニストを同定する方法であって、Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させるために十分な時間であるがTrp−p8を発現しない細胞の生存性を減少させないための時間の間で、および該Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させるに十分な量であるがTrp−p8を発現しない細胞の生存性を減少させないための量で、Trp−p8を発現する該細胞およびTrp−p8を発現しない該細胞を候補Trp−p8アゴニストに接触させる工程を含む、方法。
【請求項37】
Trp−p8アンタゴニストを同定する方法であって、Trp−p8アゴニストがTrp−p8を発現する細胞の生存性を減少させるために十分な時間の間、および該Trp−p8アゴニストが該Trp−p8を発現する細胞の生存性を減少させるに十分な量で、該Trp−p8を発現する細胞を該Trp−p8アゴニストと候補Trp−p8アンタゴニストとに接触させる工程を含み、Trp−p8アンタゴニストは、該Trp−p8を発現する細胞の生存性の増大によって検出される、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−503392(P2007−503392A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524040(P2006−524040)
【出願日】平成16年8月20日(2004.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/026931
【国際公開番号】WO2005/020897
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(500072714)デンドレオン コーポレイション (11)
【出願人】(506059539)
【出願人】(506059540)
【出願人】(506059551)
【出願人】(506059562)
【出願人】(506059573)
【出願人】(506059584)
【Fターム(参考)】