説明

USBアダプタ

【課題】利用簿に記載しないUSB接続機器の利用をさせないように利用者に対して牽制する。
【解決手段】USBメモリ100のUSB端子を差し込むUSBアダプタスロット部30を有する筐体10と、筐体10の側壁から突出し、かつパーソナルコンピュータ5に備えたUSBスロット7に差し込むUSBアダプタコネクタ部12とを備え、USBメモリ100のUSBコネクタ部102をUSBアダプタスロット部30に差し込み、USBスロット7にUSBアダプタコネクタ部12を差し込んだ場合に、パーソナルコンピュータ5とUSBメモリ100との間でデータの読み書きを可能にするUSBアダプタにおいて、筐体10に、USBアダプタコネクタ部12の差し込み回数を表示する液晶表示装置20を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に備えたUSBスロットに差し込むUSBアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器にUSBスロットを備え、このUSBスロットにUSB接続機器を接続することにより、電子機器に新たな機能を追加することが行われている。USB接続機器としては、USBメモリがよく知られている。USBメモリは、小型であることから携帯性に優れ、データの読み書き速度も早く、しかも、大容量化が進んでいることから、現在、USBメモリは急速に普及している。
【0003】
また、従来におけるUSB接続機器に関する技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1には、指紋認証機能を持たせたUSBメモリについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−166049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、USBメモリはデータの持ち運びに大変便利であるが、会社等の組織において、例えば、私用のUSBメモリを会社のコンピュータで利用することは、セキュリティ上好ましくない。そこで、会社専用のUSBメモリを用意して、複数の社員によって共用させる、といった利用法が考えられる。この場合、USBメモリの無許可利用による紛失・盗難を防止するために、紙の利用簿に、利用者の名前やUSBメモリの識別番号、利用日時を記録した利用者のみにUSBメモリの利用を承認する、といった管理を行う必要がある。
【0006】
しかしながら、紙の利用簿の場合には、記録の付け忘れや意図的に記載しないなど、承認のない利用を把握することは困難であった。そこで、USBメモリの利用を把握するためには、特許文献1のような、指紋認証機能付USBメモリを利用することがあげられる。しかし、この場合は、許可された利用者のみが利用できるという利点がある反面、指紋の登録作業等が必要で運用が煩雑であった。その一方で、紙の利用簿を用いた管理では、現在、誰が利用しているのかを、利用簿を見ることによって簡単に判別できる、という便利な一面もある。
【0007】
このため、紙の利用簿を用いた管理においては、利用者が利用簿に必要事項を記載することが重要になる。そこで、USBメモリの利用の際に、利用簿に記載しない利用を牽制し、利用簿に記載しようとする気持ちを喚起させるような工夫を施すことが望まれる。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、次に記載する構成を備えている。
【0010】
(1) USB接続機器のUSB端子を差し込むスロット部を有する筐体と、当該筐体の側壁から突出し、かつ電子機器に備えたUSBスロットに差し込むコネクタ部とを備え、前記USB接続機器のUSB端子を前記スロット部に差し込み、電子機器に備えたUSBスロットに前記コネクタ部を差し込んだ場合に、前記電子機器と前記USB接続機器との間でデータの送受信を可能にするUSBアダプタにおいて、前記筐体に、前記コネクタ部の差し込み回数を表示するカウント表示手段を備えたことを特徴とするUSBアダプタ。
【0011】
(1)によれば、USB接続機器(例えば、USBメモリ)のUSB端子を電子機器に差し込む毎に、USB端子の差し込み回数がカウント表示手段に表示されるため、カウント表示手段を見ることによって差し込み回数を容易に確認可能になる。これにより、例えば、利用前と利用後においてカウント表示手段に表示された数字を利用簿に記録しておくことにより、USB接続機器の利用を管理できる。この場合、管理者あるいは次の利用者が、カウント表示手段の数字と利用簿の数字とを確認し、両者が異なっている場合には、利用簿に記載のない利用があったことが分かる。このため、管理者は、利用簿を用いて、USB接続機器を適切に管理できる。また、利用者に対しては、利用簿に記載のない利用が記録として残ってしまうため、カウント表示手段の表示によって、利用簿に記載しない利用をさせないように牽制するとともに、利用簿に記載しようとする気持ちを喚起させることが可能になる。
【0012】
(2) (1)において、前記筐体に、前記USB接続機器のUSB端子が前記スロット部に差し込まれた状態で固定するロック部を設けたことを特徴とするUSBアダプタ。
【0013】
(2)によれば、USB接続機器とUSBアダプタとを一体化させることができる。これにより、市販のUSB接続機器に、電子機器にUSB接続機器を差し込んだ回数を表示させる機能を容易に付加することができる。
【0014】
(3) (1)又は(2)において、前記カウント表示手段が表示する差し込み回数が、所定値に到達した場合に、前記USB接続機器の利用を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とするUSBアダプタ。
【0015】
(3)によれば、USB接続機器に取り付けられたUSBアダプタを交換して、カウント表示手段に表示されている差し込み回数をリセットしたり、また、共用するUSB接続機器を新しいものにしたりするタイミングを与えることが可能になる。また、許可のない利用、例えば、10回の利用までを条件に貸し出しを許可している場合に、それ以上の利用を禁止することができる。
【0016】
(4) (1)〜(3)において、前記カウント表示手段は、前記コネクタ部の差し込み回数を、複数桁の数字で表示することを特徴とするUSBアダプタ。
【0017】
(4)によれば、USB端子の差し込み回数の範囲を十分に確保することが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、USBアダプタのカウント表示手段が、差し込み回数を表示することによって、例えば、利用簿に差し込み回数を記入することが可能になる。これにより、利用簿の差し込み回数と、カウント表示手段の差し込み回数とが関連しない場合には、承認のないUSB接続機器の利用があったこと分かる。このため、管理者は、利用簿を用いて、USB接続機器を適切に管理できる。また、利用者に対しては、利用簿に記載のない利用が記録として残ってしまうため、カウント表示手段の表示によって、利用簿に記載しない利用をさせないように牽制するとともに、利用簿に記載しようとする気持ちを喚起させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態におけるUSBアダプタにUSBメモリを接続した外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態におけるUSBアダプタにUSBメモリを接続する前の外観を示す背面斜視図である。
【図3】USBアダプタとUSBメモリとの連結構造を示す側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態におけるUSBアダプタの利用形態を示す説明図である。
【図5】USBアダプタの電気的構成を示す回路ブロック図である。
【図6】検知スイッチをオン、オフさせる押圧機構を示す説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態におけるUSBアダプタにUSBメモリを接続した外観を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2実施形態におけるUSBアダプタにUSBメモリを接続する前の外観を示す背面斜視図である。
【図9】機械式カウンタ装置の構成、及び機械式カウンタ装置の駆動機構を示す説明図である。
【図10】機械式カウンタ装置の動作を示す説明図である。
【図11】カウント数の別の表示例を示す図である。
【図12】第1実施形態のUSBアダプタに、抜き差し回数が所定回数になった場合に、フラッシュメモリへの書き込みを禁止する機能を持たせた電気的構成を示すブロック図である。
【図13】第2実施形態のUSBアダプタに、抜き差し回数が所定回数になった場合に、フラッシュメモリへの書き込みを禁止する機能を持たせるための機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態においては、USB接続機器としてUSBメモリを例に説明する。
【0021】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態におけるUSBアダプタ1にUSBメモリ100を接続した外観を示す斜視図、図2は、本発明の第1実施形態におけるUSBアダプタ1にUSBメモリ100を接続する前の外観を示す背面斜視図である。
【0022】
図1に示すように、USBアダプタ1は、直方体型の筐体10と、筐体10の側壁から突出するUSBアダプタコネクタ部12と、筐体10の上面に設けられた液晶表示装置20と、USBメモリ100を抜き差しするUSBアダプタスロット部30(図2参照)と、筐体10内に備えられたカウントメモリ38(図5参照)とを有している。
【0023】
USBアダプタコネクタ部12は、角筒状に形成された金属筒14と、表面にUSB端子22(図5参照)が配置されたコネクタ部端子基板16とによって構成されている。コネクタ部端子基板16は、金属筒14の内部に配置されており、USB端子22(図5参照)が配置された面の反対側の面に金属筒14の内面が当接している。また、USB端子22(図5参照)は、金属筒14の内部空間に露出している。
【0024】
また、USBアダプタスロット部30は、図2に示すように、USBアダプタコネクタ部12が突出する筐体10の側壁に対して反対側の側壁に設けられており、USBアダプタスロット部30の内部にスロット部端子基板30aが設けられている。このスロット部端子基板30aにはUSB端子36(図5参照)が配置されており、USBアダプタコネクタ部12がUSBアダプタスロット部30に差し込まれた場合に、USB端子22がUSB端子36に電気的に接続される。
【0025】
また、図1に示すように、筐体10には、ねじ穴28が形成されている。このねじ穴28は、USBアダプタスロット部30近傍に形成されている。
【0026】
USBメモリ100は、図2に示すように、直方体型の筐体101と、筐体101の側壁から突出するUSBコネクタ部102と、筐体101内に備えられたフラッシュメモリ150とを有している。フラッシュメモリ150は、電気的にデータの書き換えが可能な記憶素子であり、フラッシュROMとも称されている。
【0027】
USBコネクタ部102は、USBアダプタコネクタ部12と同形であり、角筒状に形成された金属筒104と、一方の面にUSB端子108が配置された端子基板106(図3参照)とによって構成されている。端子基板106は、USB端子108(図3参照)が備えており、金属筒104の内部に配置されている。金属筒104には、一対の孔部104a、104bが形成されている。一方、USBアダプタスロット部30には、図示しない板バネ材が設けられており、USBコネクタ部102をUSBアダプタスロット部30に差し込んだ場合に、板バネ材の一部が孔部104bに係合するとともに、孔部104aがねじ穴28に対向する。
【0028】
図3は、USBアダプタ1とUSBメモリ100との連結構造を示す側面図である。USBメモリ100のUSBコネクタ部102を、USBアダプタスロット部30に差し込むことにより、金属筒104の内部にスロット部端子基板30aが挿入され、端子基板106のUSB端子108とスロット部端子基板30aのUSB端子36とが電気的に接続する。
【0029】
このとき、金属筒104に形成された孔部104aにねじ穴28が対向する。このねじ穴28に、特殊工具によって着脱される特殊ねじ110が螺合されており、特殊ねじ110の先端部が孔部104aの内部に位置付けられている。このため、USBアダプタ1からUSBメモリ100を引き抜こうとしても、特殊ねじ110が孔部104aに係合するため、引き抜きできないようにロックされた状態で固定される。なお、特殊ねじ110は、特殊工具によって着脱されるため、一般の工具を用いて容易に取り外すことが極めて困難である。
【0030】
図4は、本発明の第1実施形態におけるUSBアダプタ1の利用形態を示す説明図である。USBメモリ100をUSBアダプタ1に差し込み、さらに、パーソナルコンピュータ5に装備されたUSBスロット7に、USBアダプタ1のUSBアダプタコネクタ部12を差し込むことにより、USBメモリ100がパーソナルコンピュータ5の補助記憶装置として利用可能になる。USBスロット7は、内部に、スロット側端子基板8を備えている。そして、USBスロット7にUSBアダプタコネクタ部12を挿入した際に、USB端子22が、スロット側端子基板8の端子8aに電気的に接続される。これにより、パーソナルコンピュータ5からフラッシュメモリ150へのアクセスが可能になり、パーソナルコンピュータ5の操作によって、フラッシュメモリ150に記憶されたデータの読み取りや、フラッシュメモリ150へのデータの書き込みが可能になる。
【0031】
図5は、USBアダプタ1の電気的構成を示す回路ブロック図である。USBアダプタ1は、USB端子22、36、制御回路24、液晶表示装置20、カウントメモリ38、及び検知スイッチ32を備えている。
【0032】
USB端子22は、コネクタ部端子基板16に備えられ、パーソナルコンピュータ5に接続するための端子である。USB端子36は、スロット部端子基板30aに備えられた端子である。USB端子22とUSB端子36とは1対1に配線接続されている。これにより、USBメモリ100が、USBアダプタ1に差し込まれた場合には、コネクタ部端子基板16のUSB端子22が、USBメモリ100のUSB端子として機能する。
【0033】
制御回路24は、液晶表示装置20の表示制御を行うものであり、液晶表示装置20、カウントメモリ38、及び検知スイッチ32が接続されている。検知スイッチ32は、USBアダプタ1のUSBスロット7への差し込みを検知するスイッチであり、USBアダプタ1をUSBスロット7に差し込んだ場合にオンになり、USBアダプタ1をUSBスロット7から引き抜いた場合にオフになるように動作する。液晶表示装置20は、USBアダプタ1をUSBスロット7に差し込んだ回数を示す、5桁の数を表示するものであり、検知スイッチ32がオンになる毎にカウントアップされる。
【0034】
カウントメモリ38は、検知スイッチ32がオンになった回数を記憶する不揮発性メモリである。
【0035】
次に、液晶表示装置20によるカウント表示について説明する。制御回路24は、カウントメモリ38からカウント値を読み出して、液晶表示装置20に表示させる。これにより、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれていない場合には、前回の利用時点におけるUSBアダプタ1の差し込み回数が表示される。
【0036】
USBアダプタ1の利用時において、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれると、検知スイッチ32がオンになる。制御回路24は、検知スイッチ32がオンになったと判断すると、カウントメモリ38に記憶されているカウント値を、1加算した値に更新する制御を行う。さらに、制御回路24は、更新したカウント値に基づいて、液晶表示装置20に表示されているカウント数を、1加算した値に更新する制御を行う。これにより、USBアダプタ1の液晶表示装置20に、現時点におけるUSBアダプタ1のパーソナルコンピュータ5のUSBスロット7への差し込み回数が表示される。このように、検知スイッチ32が検知手段に相当し、液晶表示装置20がカウント表示手段に相当する。
【0037】
図6は、検知スイッチ32をオン、オフさせる押圧機構を示す説明図である。検知スイッチ32は、プッシュ式のスイッチからなり、ボタン32aを押圧していない状態ではオフになり、ボタン32aを押圧している状態ではオンになる。
【0038】
押圧機構は、スライダ40、付勢ばね42、及び伝達ばね44によって構成されている。スライダ40は、金属筒14の奥側に、USBアダプタ1の抜き差し方向(図中X方向)にスライド可能に設けられている。また、スライダ40は、付勢ばね42によってUSBアダプタ1を差し込む方向(図中X1方向)に付勢されている。また、伝達ばね44は、中央部がコイル状に巻き返され、両端部がハの字型に開いている針金部材からなり、一端がスライダ40に連結され、他端がボタン32aに連結されている。
【0039】
図6(a)は、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれていない場合における押圧機構の状態を示すものであり、スライダ40は、付勢ばね42からの付勢によって筐体10から金属筒14側に突出した状態で維持される。
【0040】
図6(b)は、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれた場合における押圧機構の状態を示すものである。USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれた場合、スロット側端子基板8の先端にスライダ40が当接する。そして、USBアダプタ1がUSBスロット7にさらに差し込まれることにより、スライダ40がスロット側端子基板8によって押圧されて、奥側(図中X2方向)にスライド移動する。スライダ40が移動すると、伝達ばね44がスライダ40によって押圧され、さらに伝達ばね44によってボタン32aが押圧され、検知スイッチ32がオンになる。
【0041】
検知スイッチ32がオンになると、液晶表示装置20に表示されるカウント数が更新される。例えば、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれる前において、液晶表示装置20に表示されるカウント数が「00007」であれば、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれた後のカウント数は「00008」となる。なお、USBアダプタ1には、液晶表示装置20の表示内容のリセット機能は設けられていない。
【0042】
ところで、USBメモリ100を、複数の利用者によって共用する場合には、USBメモリ100をUSBアダプタ1に差し込みかつ固定して、USBメモリ100に利用回数のカウント機能を持たせる。さらに、USBメモリ100の無許可利用による紛失・盗難を防止するために、利用者に、紙の利用簿の記入を義務づけるようにする。利用簿の記入項目としては、利用者の名前、USBメモリ100の識別番号、利用日時、利用時のカウント数、返却日時、利用後のカウント数等がある。そして、利用の際には、利用簿に、USBメモリ100の識別番号、利用日時、利用時のカウント数を記入し、返却の際には、利用簿に、返却日時、利用後のカウント数を記入する。これにより、仮に、承認のない利用があった場合には、利用後のカウント数と、USBアダプタ1の液晶表示装置20に表示されているカウント数とが異なる。このため、利用者が利用簿への記入を怠った場合には、その事実が管理者あるいは次の利用者に分かってしまうことから、利用簿への記入する意欲を喚起させることができる。このように、USBメモリ100の差し込み回数を表示することによって、利用簿へ記入しなければ利用させないように、利用者を牽制することが可能になる。
【0043】
また、本実施形態によれば、差し込み回数を5桁の数字で表示しているため、USBアダプタ1の差し込み回数を、99999回まで表示することが可能になる。このように、表示範囲を十分に確保することができる。また、フラッシュメモリの寿命は、数万回から数百万が限度であると言われている。このため、液晶表示装置20に表示されるカウント数を、USBメモリ100の寿命に関する情報として提供することが可能になる。また、例えば、利用簿の記録が「7」であり、利用者が利用簿の記入を忘れて、USBアダプタ1のカウント表示を「00008」にした場合において、USBアダプタ1のカウント表示を「00007」に戻すためには、リセット機能がないことから、USBアダプタ1をUSBスロット7に99999回抜き差しすることになる。このため、差し込み回数を5桁の数字で表示することにより、カウント表示の変更が容易にできなくなる。
【0044】
[第2実施形態]
図7は、本発明の第2実施形態におけるUSBアダプタ50にUSBメモリ100を接続した外観を示す斜視図、図8は、本発明の第2実施形態におけるUSBアダプタ50にUSBメモリ100を接続する前の外観を示す背面斜視図である。なお、図1〜図6に示す第1実施形態における部材と同一の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。USBアダプタ50は、円柱体型の筐体52と、筐体52の側壁から突出するUSBアダプタコネクタ部12と、筐体52の内部に備えられた機械式カウンタ装置60と、USBメモリ100を抜き差しするUSBアダプタスロット部30(図8参照)とを有している。筐体10には、機械式カウンタ装置60の5桁の数字が視認可能な窓54が設けられている。
【0045】
また、筐体10にはねじ穴28が形成されている。このねじ穴28は、図8に示すように、USBアダプタスロット部30近傍に形成されている。
【0046】
USBメモリ100のUSBコネクタ部102を、USBアダプタスロット部30に差し込んだ場合に、金属筒104に形成された孔部104aにねじ穴28が対向する。このねじ穴28に、図3に示す第1実施形態と同様に、特殊工具によって特殊ねじ110が螺合されており、特殊ねじ110の先端部が孔部104aの内部に位置付けられている。このため、USBアダプタ50からUSBメモリ100を引き抜こうとしても、特殊ねじ110が孔部104aに係合するため、引き抜きできないようにロックされた状態で固定される。なお、特殊ねじ110は、特殊工具によって着脱されるため、一般の工具を用いて容易に取り外すことは極めて困難である。
【0047】
第1実施形態においては、検知スイッチ32のオン、オフ回数をカウントメモリ38に累積記憶して、USBアダプタ1の差し込み回数、すなわちUSBメモリ100の利用回数を液晶表示装置20に表示するという、電気的手法を用いたことに対し、第2実施形態においては、機械式カウンタ装置60を用いてUSBアダプタ1の差し込み回数、すなわちUSBメモリ100の利用回数を機械的に表示するように構成したものである。
【0048】
図9は、機械式カウンタ装置60の構成、及び機械式カウンタ装置60の駆動機構を示す説明図である。
【0049】
機械式カウンタ装置60は、5桁の数字を表示する5つのリング部材62、1桁目のリング部材62に設けた伝達ギア64、伝達ギア64を押圧する可動ピン66、板ばね68を有している。
【0050】
5つのリング部材62は、回転軸(図示せず)に、個々に独立して回転可能に並列支持されており、各リング部材62の外周には、0〜9の数字が刻まれている。また、1桁目のリング部材62aと2桁目のリング部材62bとは、リング部材62aが1周した場合に、2桁目のリング部材62bの数字が1つ変わるようにする回転機構(図示せず)を介して、連結されている。同様に、2桁目のリング部材62bと3桁目のリング部材62cとは、リング部材62bが1周した場合に、3桁目のリング部材62cの数字が1つ変わるようにする回転機構(図示せず)を介して、連結されている。3桁目のリング部材62cと4桁目のリング部材62d、及び4桁目のリング部材62dと5桁目のリング部材62eも上述した回転機構(図示せず)を介して、連結されている。
【0051】
伝達ギア64は、1桁目のリング部材62aにおける、リング部材62bに対向する面の反対面の外周部に形成され、歯型が直角三角形型のギアである。伝達ギア64の歯は、円板面に、0〜9の数字に対応して10個立設しており、伝達ギア64の歯は、数字が大きくなる方向に斜辺が下り傾斜するように、円形に並べられている。
【0052】
可動ピン66は、伝達ギア64に当接、離間する部材であり、可動ピン66が伝達ギア64の斜辺に当接して押圧することにより、リング部材62aが回転する。また、可動ピン66は、検知スイッチ32のボタン32aに連結している。ボタン32aを押圧する機構は、図6に示した第1実施形態における、スライダ40、付勢ばね42、及び伝達ばね44によって構成された機構と同じである。
【0053】
板ばね68は、一端が筐体に固定され、先端部が自由端として弾性変形可能な金属板である。また、板ばね68は、リング部材62aの近傍に設けられ、リング部材62aが回転する際に、先端部が伝達ギア64の上部に当接するように配置されている。
【0054】
図10は、機械式カウンタ装置60の動作を示す説明図である。図10(a)は、USBアダプタ50をUSBスロット7に差し込んでいない場合の状態を示すものであり、伝達ギア64の斜面の上部に可動ピン66が、所定の距離をおいて対向している。また、伝達ギア64は、板ばね68によって押さえられた状態にある。
【0055】
USBアダプタ50をUSBスロット7(図9参照)に差し込んだ場合には、スライダ40が、スロット側端子基板8(図9参照)によって押圧されて、奥側にスライド移動する。スライダ40が移動すると、伝達ばね44がスライダ40によって押圧され、さらに伝達ばね44によってボタン32aが押圧され、図10(b)に示すように、可動ピン66が突出する。可動ピン66が突出すると、可動ピン66が伝達ギア64の斜辺に当接して押圧する。これにより、リング部材62aが回転する。リング部材62aが回転すると、板ばね68は、伝達ギア64の斜辺の最上部に当接して、弾性変形しながら押し上げられる。そして、可動ピン66が最大に突出する直前に、板ばね68の先端が、伝達ギア64の斜辺の最上部を乗り越える。これにより、USBアダプタ50がUSBスロット7(図9参照)に差し込まれた状態においては、リング部材62aが板ばね68の付勢によって回転するため、可動ピン66は伝達ギア64の直角の辺に当接した状態で維持される。
【0056】
そして、USBアダプタ50をUSBスロット7(図9参照)から引き抜いた場合には、可動ピン66が伝達ギア64から離間し、リング部材62aが板ばね68の付勢によって若干回転する。これにより、図10(c)に示すように、数字が1だけ増えるようにリング部材62aが回転し、かつ図10(a)に示す状態と同様に、伝達ギア64の斜面の上部に可動ピン66が所定の距離をおいて対向する状態に復帰する。
【0057】
このように、USBアダプタ50をUSBスロット7に差し込んで、引き抜くことにより、リング部材62aが、伝達ギア64の歯1つ分だけ回転する。これにより、USBアダプタ50をUSBスロット7に対して1回差し込み、引き抜きを行う毎に、機械式カウンタ装置60のカウント数が1ずつ増加する。例えば、USBアダプタ50がUSBスロット7に差し込まれる前において、窓54から視認されるカウント数が「00007」であれば、USBアダプタ50をUSBスロット7に差し込んでから引き抜いた後のカウント数は「00008」となる。なお、USBアダプタ50には、機械式カウンタ装置60の表示内容をリセットする機構が設けられていない。機械式カウンタ装置60の表示内容をリセットしたい場合には、特殊工具を用いて特殊ねじ110を外して、USBアダプタ1からUSBメモリ100を取り外し、このUSBメモリ100を機械式カウンタ装置60の表示内容が「00000」の新規のUSBアダプタ1に取り付けることになる。
【0058】
以上、説明したように、第2実施形態においては、USBメモリ100の差し込み回数を表示することによって、第1実施形態と同様に、利用簿へ記入しなければ利用させないように、利用者を牽制することが可能になる。
【0059】
なお、第1実施形態においては、液晶表示装置20や回路基板として、比較的薄い部材を用いることができるため、USBアダプタ1をコンパクトに形成することができる。一方、第2実施形態においては、機械式カウンタ装置60を用いているため、第1実施形態にUSBアダプタ1よりも大型になりやすいが、その一方で、液晶表示装置20を表示させておくための電源(例えば、ボタン電池)が必要なく、しかも、カウンタ表示は消えることがない。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限るものではない。例えば、液晶表示装置20の代わりにLEDによる7セグメント表示を行ってもよい。また、表示方法についても、数字によるカウント数表示に限るものではなく、例えば、図11に示すように、カウント数に応じて、指標80の長さ変わるようなアナログ的な表示であってもよい。
【0061】
また、第1実施形態又は第2実施形態のUSBアダプタに対して、追加機能を持たせてもよい。例えば、抜き差し回数が所定回数になった場合に、USBメモリ100のフラッシュメモリ150への書き込みを禁止するようにしてもよい。
【0062】
図12は、第1実施形態のUSBアダプタ1に、抜き差し回数が所定回数になった場合に、フラッシュメモリ150への書き込みを禁止する機能を持たせた電気的構成を示すブロック図である。図12において、スイッチ34は、USB端子22とUSB端子36との配線の一部に設けられ、USB端子22とUSB端子36とを導通状態あるいは非導通状態に切り換えるものである。また、USB端子22と制御回路24とが接続されている。このため、USBアダプタ1がUSBスロット7に差し込まれ場合に、パーソナルコンピュータ5から制御命令を制御回路24に送信することが可能になり、パーソナルコンピュータ5を操作することにより、書き込み禁止となる所定回数を設定することが可能になる。
【0063】
具体的に、管理者が、USBアダプタ1をUSBスロット7に差し込み、パーソナルコンピュータ5を操作して、書き込み禁止となる所定回数の設定データをUSBアダプタ1の制御回路24に送信する。制御回路24は、カウントメモリ38に所定回数の設定データを書き込む。これにより、書き込み禁止となる所定回数が設定される。なお、制御回路24へのアクセス権は、管理者のみが有するように、例えば、パスワードを予め設定しておくことが望ましい。
【0064】
その後、制御回路24は、USBメモリ100を固定したUSBアダプタ1の抜き差し回数のカウント数が所定回数に到達し、かつUSBメモリ100の利用が終了したか否か(検知スイッチ32がオンからオフになったか)を判定する。そして、制御回路24は、USBアダプタ1の抜き差し回数のカウント数が所定回数に到達し、かつUSBメモリ100の利用が終了したと判定した場合に、スイッチ34を開放するように制御する。
【0065】
例えば、現在、USBアダプタ1の液晶表示装置20に表示されているカウント数が10回であり、管理者が、書き込み禁止となる所定回数として20回を設定したとする。この場合において、利用者が、USBアダプタ1の抜き差しを繰り返すことによって、カウント数が更新され、やがて、制御回路24は、抜き差し回数のカウント数が20に到達し、かつ検知スイッチ32がオンからオフとなったことを検知した場合に、スイッチ34を開放するように制御する。
【0066】
これにより、USB端子22とUSB端子36との間が非道通状態となるため、USBアダプタ1の11回目の利用はできない状態となり、USBアダプタ1を介してパーソナルコンピュータ5からフラッシュメモリ150へのアクセスは不可能になる。したがって、USBメモリ100の利用が禁止される。これにより、許可のない利用、例えば、10回の利用までを条件に貸し出しを許可している場合に、それ以上の利用を禁止することができる。なお、USBメモリ100を利用したい場合には、改めて、利用簿の所定の記入項目に記入し、管理者に、所定回数を再設定してもらうとよい。
【0067】
図13は、第2実施形態のUSBアダプタ50に、抜き差し回数が所定回数(例えば、100000回)になった場合に、フラッシュメモリ150への書き込みを禁止する機能を持たせるための機構を示す説明図である。図13に示すように、5桁目のリング部材62eの外周部における「9」と「0」との間に突起72が設けられ、この突起72の近傍に、突起72の移動によって動作するスイッチ70が設けられている。このスイッチ70は、USB端子22とUSB端子36との配線の一部に設けられ、USB端子22とUSB端子36とを導通状態あるいは非導通状態に切り換えるものである。また、スイッチ70は、押圧された後に再び押圧されるまで、切り換えた状態を維持する機能を備えている。
【0068】
すなわち、スイッチ70は、初期状態において導通状態に設定されている。そして、機械式カウンタ装置60の表示が「99999」から「00000」に変化するときに、突起72がスイッチ70を押圧することにより、USB端子22とUSB端子36とが導通状態から非導通状態に切り換えられる。これにより、USB端子22とUSB端子36との間が非道通状態となるため、USBメモリ100の100000回目の利用が禁止された状態となり、USBアダプタ50を介してパーソナルコンピュータ5からフラッシュメモリ150へのアクセスは不可能になる。
【0069】
このように、図12、図13に示すUSBアダプタを用いることにより、USBメモリに取り付けられたUSBアダプタを交換して、カウント表示手段に表示されている差し込み回数をリセットしたり、また、共用するUSBメモリを新しいものにしたりするタイミングを与えることが可能になる。特に、図12に示すUSBアダプタ1においては、管理者が利用回数を設定することができるため、許可のない利用、例えば、10回の利用までを条件に貸し出しを許可している場合に、それ以上の利用を禁止することができる。
【0070】
また、上述した実施形態においては、カウント数を5桁の数字で表示しているが、桁数は5桁に限るものではなく、それより桁が多くても少なくてもよい。ただし、USBメモリの抜き差しを繰り返すことによって、カウント数をクリアできない程度の桁であることが望ましい。
【0071】
また、上述した実施形態においては、USB接続機器としてUSBメモリを例に説明したが、USBメモリ以外のUSB接続機器、例えば、ICレコーダや無線接続機器に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
1、50 USBアダプタ
5 パーソナルコンピュータ
7 USBスロット
8 スロット側端子基板
8a 端子
10 筐体
12 USBアダプタコネクタ部
14 金属筒
16 USBコネクタ部端子基板
20 液晶表示装置
22、36 USB端子
24 制御回路
28 ねじ穴
30 アダプタスロット部
30a スロット部端子基板
32 検知スイッチ
32a ボタン
34 スイッチ
38 カウントメモリ
40 スライダ
42 付勢ばね
44 伝達ばね
52 筐体
54 窓
60 機械式カウンタ装置
62、62a、62b、62c、62d、62e リング部材
64 伝達ギア
66 可動ピン
68 板ばね
70 スイッチ
72 突起
80 指標
100 USBメモリ
101 筐体
102 USBコネクタ部
104 金属筒
104a、104b 孔部
106 端子基板
108 USB端子
110 特殊ねじ
150 フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USB接続機器のUSB端子を差し込むスロット部を有する筐体と、
当該筐体の側壁から突出し、かつ電子機器に備えたUSBスロットに差し込むコネクタ部とを備え、
前記USB接続機器のUSB端子を前記スロット部に差し込み、電子機器に備えたUSBスロットに前記コネクタ部を差し込んだ場合に、前記電子機器と前記USB接続機器との間でデータの送受信を可能にするUSBアダプタにおいて、
前記筐体に、前記コネクタ部の差し込み回数を表示するカウント表示手段を備えたことを特徴とするUSBアダプタ。
【請求項2】
前記筐体に、前記USB接続機器のUSB端子が前記スロット部に差し込まれた状態で固定するロック部を設けたことを特徴とする請求項1記載のUSBアダプタ。
【請求項3】
前記カウント表示手段が表示する差し込み回数が、所定値に到達した場合に、前記USB接続機器の利用を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のUSBアダプタ。
【請求項4】
前記カウント表示手段は、前記コネクタ部の差し込み回数を、少なくとも5桁の数字で表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のUSBアダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−253373(P2011−253373A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−127103(P2010−127103)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】