説明

USBコネクタ装置

【課題】簡単な構造であってコスト面で有利にでき、ロックの有無を電気的に識別できるUSBコネクタ装置を提供する。
【解決手段】USBコネクタ装置10は、制御部12が、USBコネクタがレセプタ内に挿入された後にモータ16を駆動させて固定部19をレセプタ内に進出させて固定部19をUSBコネクタに係止させ、圧力センサ21より所定の信号が得られた場合にモータ16をロック状態に保持し、USBコネクタの取り外し指令を受けた場合に、モータ16を戻り方向に駆動させて固定部19をレセプタから退避させてUSBコネクタへの係止を解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB機器に装備されるUSBコネクタが挿入されるUSBコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、USBコネクタ装置においてUSBコネクタとレセプタとが接続したとき、レセプタ側シェルに設けられた山形状のロック片が、コネクタ側シェルに形成された孔部に引っ掛かることで、USBコネクタの挿入方向への動きが規制される。しかしながら、このようなUSBコネクタ装置は、抜け方向への制止力が弱く、振動や外力が作用すると容易に抜けてしまい、データの転送が中断するおそれがあった。
また、USBコネクタ装置は、外部機構を用いてUSBコネクタを固定するものも存在するが、その場合、コネクタ抜けは防止できるものの、取り外しに手間がかかるという問題があった。
そこで、このような課題を解決するための従来のUSBコネクタ装置として、オスコネクタがメスコネクタに接続されると、ロック爪がオスコネクタの接続部上面の係止穴に嵌入し、オスコネクタが抜き取り不能にロックされるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1によれば、オスコネクタの外周面に形成された穴部または凹部を備える。
また、特許文献1によれば、メスコネクタの内周面に形成された穴から出没自在に設けられ、穴から突出することにより、メスコネクタに挿入されたオスコネクタの穴部又は凹部に嵌合されて、オスコネクタの抜けを防止するロック部材を備える。
【0004】
具体的には、電子機器の電源がオンになっている場合に通信が開始され、通信開始と同時に制御部が加熱ユニットに駆動信号を出力し、アームの先端側に設けられた第2の押圧板が加熱される。そして、第2の押圧板が加熱されることにより、第2の押圧板が元の形状に復元しようとする力でアームの先端部が押圧される。そのため、メスコネクタのアームの先端部に設けられたロック爪が貫通穴から突出して、オスコネクタの接続部上面に設けられた係止穴に嵌入する。
これにより、特許文献1は、オスコネクタが抜き取り不能にロックされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−335275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の方法を用いる場合、第1の押圧板および第2の押圧板が、加熱により元の形状に復元する形状記憶合金製であるために、コストが高いという問題がある。また、特許文献1に記載の方法を用いる場合、第1の押圧板および第2の押圧板を加熱するために、加熱に伴う発熱により機器が発熱するおそれがあり、十分な放熱対策が必要であって構造が複雑化するという問題がある。
さらに、特許文献1は、USBコネクタがロックされているのか否かを電気的に識別することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、簡単な構造であってロックの有無を電気的に識別できるUSBコネクタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るUSBコネクタ装置は、USBコネクタが挿入されるレセプタと、駆動源により前記レセプタ内に進退移動可能な固定部と、前記固定部に設けられる圧力センサと、前記USBコネクタの前記レセプタへの挿入の有無および取り外し指令を受けるとともに、前記圧力センサから得られた信号に基づき、前記固定部を進退移動させるために前記駆動源に信号を与える制御部とを備え、前記制御部は、前記USBコネクタが前記レセプタ内に挿入された後に前記駆動源を駆動させて前記固定部を前記レセプタ内に進出させて前記固定部を前記USBコネクタに係止させ、前記圧力センサより所定の信号が得られた場合に前記駆動源をロック状態に保持し、前記USBコネクタの取り外し指令を受けた場合に、前記駆動源を戻り方向に駆動させて前記固定部を前記レセプタから退避させて前記USBコネクタへの係止を解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るUSBコネクタ装置によれば、簡単な構造でロックの有無を電気的に識別できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る一実施形態のUSBコネクタ装置のブロック構成図である。
【図2】本発明に係る一実施形態のUSBコネクタ装置の斜め上方から視た外観斜視図である。
【図3】本発明に係る一実施形態のUSBコネクタ装置のアーム周りの一部破断水平断面図である。
【図4】本発明に係る一実施形態のUSBコネクタ装置の固定部の一部破断垂直断面図である。
【図5】本発明に係る一実施形態のUSBコネクタ装置の制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る一実施形態のUSBコネクタ装置について図面を参照して説明する。
図1に示すように、USBコネクタ装置10は、PC装置(パーソナルコンピュータ装置)1内に装備され、電源部11と、制御部12とを備える。
USBコネクタ装置10は、PC装置1に有する複数の第1USBポート2、第2USBポート3・・・において、第1USBポート2に第1USBコネクタ抜け止め機構13を備える。
USBコネクタ装置10は、第2USBポート3に第2USBコネクタ抜け止め機構14を備える。
なお、複数の第1USBコネクタ抜け止め機構13、第2USBコネクタ抜け止め機構14は、同一構造を有するために、以下の説明では、第1USBコネクタ抜け止め機構13についてのみ説明し、第2USBコネクタ抜け止め機構14の説明は省略する。
【0012】
電源部11は、PC装置1側のDC電源、あるいはACからDCへ変換するパワーサプライ等であり、モータ制御部15や制御部12等に電源を供給する。
制御部12は、PC装置1内にCPUおよびメモリ資源を使用しており、一例としてWindows−OS(Windowsは登録商標)では、Windowsメッセージを監視する。
そして、制御部12は、第1USBポート2、第2USBポート3・・・における接続状態(接続/取り外し可能)を検知する。
第1USBコネクタ抜け止め機構13は、USBポートアドレスに対して機能が関連付けられている。
第1USBコネクタ抜け止め機構13は、モータ制御部15と、モータ16と、距離センサ17と、ギア18と、固定部19と、アーム20と、圧力センサ21と、支柱部22とから構成される。
【0013】
モータ制御部15は、USBポートアドレスを記憶する機能と、モータ16のステップ数を記憶する機能と、距離センサ17の基準値を記憶する機能と、距離センサ17の検知後のモータ動作制御機能とを有する。
モータ16およびギア18は、精密な位置調整が可能であれば特に限定しない。ここでは、一例としてステッピングモータおよびピニオンギアを使用したラック・アンド・ピニオン方式とする。
ラック・アンド・ピニオン方式は、バックラッシュが少ないことおよび安価であること等の理由から適用される。なお、細かな制御が可能であれば、ラック・アンド・ピニオン方式に代えて、ソレノイドやウォームギアを組み合わせた構造でもよい。
【0014】
モータ16とギア18とは、モータ軸であるシャフト(図2参照)23を介して連動している。
ギア18は、ラック(図2参照)24を有するアーム20に歯車結合されており、ギア18がモータ16の動作により回転することにより、アーム20の上げ下げを行う。ギア18とラック24とは、歯車減速機構を構成する。
アーム20は、支柱部22側に係合凸部(図3参照)25を有しており、この係合凸部25が支柱部22に係合する。
【0015】
図2に示すように、USBコネクタ装置10は、具体的に、第1USBコネクタ4が装着される第1USBポート2に有するレセプタ5に装備される。
レセプタ5は、その天板6に、一対の固定部19が進退可能な一対の固定部用孔7を有する。
第1USBコネクタ4は、レセプタ5に装着された際に、レセプタ5の固定部用孔7に対応して配置されるロック孔8を有する。
【0016】
一対の固定部19は、レセプタ5の天板6の上方に配置される。固定部19は、アーム20の所定位置からレセプタ5に向けて突出される。
アーム20は、ギア18側にラック24を有し、このラック24がギア18に噛み合う。
支柱部22およびモータ16は、基台26上に固定されている。モータ16は、モータ制御部15に配線27を通じて電気的に接続され、モータ制御部15は、配線28を通じて制御部12に電気的に接続される。
なお、配線27および配線28は、基台26が載置される不図示の基板に形成されるプリント回路等でもよい。
【0017】
図3に示すように、ギア18に噛み合うラック24を有するアーム20は、ラック24とは反対側に係合凸部25を有する。
支柱部22は、アーム20の係合凸部25に係合される係合凹部29を有する。
そして、アーム20の係合凸部25と支柱部22の係合凹部29との間に軸受30が組み込まれている。
そのため、軸受30により、アーム20の係合凸部25と、支柱部22の係合凹部29との間の摩擦抵抗が減少するために、支柱部22に対してアーム20は、スムースに上下移動できる。
【0018】
図4に示すように、固定部19は、先端部に圧力センサ21を取り付けており、一対の固定部19の間に距離センサ17を取り付けている。
また、固定部19は、強度のある金属で成形され、先端部のみに弾性部材であるゴム部材31が成形される。
固定部19は、レセプタ5の天板6の固定部用孔7を通じて、第1USBコネクタ4をロックする際に、ゴム部材31が第1USBコネクタ4のロック孔8に当接することにより、第1USBコネクタ4への損傷を防止できる。
このとき、圧力センサ21がゴム部材31に覆われており、第1USBコネクタ4との接触を検知する。
【0019】
次に、USBコネクタ装置10の制御動作について説明する。
図5に示すように、第1USBコネクタ4がレセプタ5に挿入され、Windowsメッセージ(「WM DEVICECHANGE」)が出されると、その内容からUSB機器の接続を検知し、接続された第1USBポート2が判別される(ステップA1、A2、A3)。
このとき、第1USBポート2に設置されている第1USBコネクタ抜け止め機構13においてアーム20はレセプタ5の天板6に上方に退避している。
第1USBポート2が判別されることにより、モータ制御部15がモータ16を正転させてアーム20を下降方向に移動させる。
【0020】
アーム20が下降される際に、制御部12は、モータ16の正回転方向のステップ数を記憶する(ステップA4)。
アーム20が下降されることにより、固定部19がレセプタ5の固定用孔7から第1USBコネクタ4のロック孔8に当接する。
そのため、圧力センサ21が第1USBコネクタ4への接触を検知することにより、制御部12は、コネクタロック状態と判断してモータ16を停止させる(ステップA5、A6)。
このとき、制御部12は、あらかじめ定められた圧力閾値を格納したデータベースを保存しており、圧力閾値が所定値を超えたことによりコネクタロック状態と判断する。
【0021】
次に、制御部12が、シャットダウン、あるいはUSB機器の取り外しのWindowsメッセージを検知すると、モータ制御部15がモータ16を逆転させる(ステップA7、A8)。
制御部12は、ステップA4で記憶したステップ数と同じステップ数でモータ15の逆転を行う(ステップA9)。
このとき、ギア欠けなどの要因により固定解除が不十分となっている虞があるため、距離センサ17により固定部19と第1USBコネクタ4との距離を計測する(ステップA10)。
【0022】
距離センサ17の値が基準値未満であった場合は、モータ15を1ステップ逆転する(ステップA11)。
この処理は、距離センサ17の値が基準値以上となるまで繰り返し行う。
そして、距離センサ17の値が基準値を超えた後に、モータ15を停止して固定部19が復帰されて終了する(ステップA12)。
【0023】
以上、説明したように一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、制御部12は、第1USBコネクタ4がレセプタ5内に挿入された後にモータ16を駆動させて固定部19をレセプタ5内に進出させて固定部19を第1USBコネクタ4に係止させる。
また、USBコネクタ装置10によれば、圧力センサ21より所定の信号が得られた場合にモータ16をロック状態に保持する。
そして、USBコネクタ装置10によれば、第1USBコネクタ4の取り外し指令を受けた場合に、モータ16を戻り方向に駆動させて固定部19をレセプタ5から退避させて第1USBコネクタ4への係止を解除する。
従って、USBコネクタ装置10によれば、ユーザの意図しない第1USBコネクタ4の抜けを防止することにより、データ転送の中断やデータファイルの破損を防止できる。
また、USBコネクタ装置10によれば、PC装置1の内部において、第1USBコネクタ4のロック機能を制御するため、ユーザが特別な操作を行うことなく抜け防止機能を実現できる。
そして、USBコネクタ装置10によれば、簡単な構造であってコスト面で有利にでき、ロックの有無を電気的に識別できる。
【0024】
また、一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、制御部12は、圧力センサ21が第1USBコネクタ4への接触を検知することにより、コネクタロック状態と判断してモータ16を停止させる。
このとき、制御部12は、あらかじめ定められた圧力閾値を格納したデータベースを保存しており、圧力閾値が所定値を超えたことによりコネクタロック状態と判断する。
従って、USBコネクタ装置10によれば、制御部12が、圧力センサ21の検出値に基づいてロック状態あるいはアンロック状態を確実に検出できる。
【0025】
そして、一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、制御部12は、固定部19を退避させる際に、固定部19に設けられる距離センサ17により固定部19の移動量を監視する。
従って、USBコネクタ装置10によれば、制御部12が、距離センサ17の検出値に基づいてアンロック状態を確実に検出できる。
【0026】
さらに、一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、制御部12は、距離センサ17におけるあらかじめ定められた距離データ値を格納しており、距離データ値が所定値を超えた際に、固定部19の第1USBコネクタ4からの係止の解除を判別する。
従って、USBコネクタ装置10によれば、制御部12が、距離センサ17の検出値に基づいてアンロック状態を検出することにより、固定部19のアンロック状態の精度を向上できる。
【0027】
さらにまた、一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、固定部19がレセプタ5の天板6の固定部用孔7を通じて第1USBコネクタ4をロックする際に、ゴム部材31が第1USBコネクタ4のロック孔8に当接することにより、第1USBコネクタ4への損傷を防止できる。
【0028】
そしてまた、一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、固定部19は、アーム20に接続された歯車減速機構であるギア18およびラック24により進退移動される。
従って、固定部19は、歯車減速機構により確実に移動される。
【0029】
加えて、一実施形態のUSBコネクタ装置10によれば、アーム20の係合凸部25と支柱部22の係合凹部29との間に軸受30が組み込まれている。
従って、USBコネクタ装置10によれば、軸受30により、アーム20の係合凸部25と、支柱部22の係合凹部29との間の摩擦抵抗が減少するために、支柱部22に対してアーム20をスムースに上下移動できる。
【0030】
なお、本発明のUSBコネクタ装置は、前述した一実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【符号の説明】
【0031】
4 第1USBコネクタ(USBコネクタ)
5 レセプタ
10 USBコネクタ装置
12 制御部
16 モータ(駆動源)
17 距離センサ
18 ギア(歯車減速機構)
19 固定部
20 アーム
21 圧力センサ
22 支柱部
24 ラック(歯車減速機構)
30 軸受
31 ゴム部材(弾性部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
USBコネクタが挿入されるレセプタと、
駆動源により前記レセプタ内に進退移動可能な固定部と、
前記固定部に設けられる圧力センサと、
前記USBコネクタの前記レセプタへの挿入の有無および取り外し指令を受けるとともに、前記圧力センサから得られた信号に基づき、前記固定部を進退移動させるために前記駆動源に信号を与える制御部とを備え、
前記制御部は、前記USBコネクタが前記レセプタ内に挿入された後に前記駆動源を駆動させて前記固定部を前記レセプタ内に進出させて前記固定部を前記USBコネクタに係止させ、前記圧力センサより所定の信号が得られた場合に前記駆動源をロック状態に保持し、前記USBコネクタの取り外し指令を受けた場合に、前記駆動源を戻り方向に駆動させて前記固定部を前記レセプタから退避させて前記USBコネクタへの係止を解除するUSBコネクタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のUSBコネクタ装置において、
前記圧力センサよりの所定の信号とは、前記制御部が、あらかじめ定められた圧力閾値を格納したデータベースを保存しており、前記圧力閾値が所定値を超えたことを意味するUSBコネクタ装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のUSBコネクタ装置において、
前記制御部は、前記固定部を退避させる際に、前記固定部に設けられる距離センサにより前記固定部の移動量を監視するUSBコネクタ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のUSBコネクタ装置において、
前記制御部は、前記距離センサにおけるあらかじめ定められた距離データ値を格納しており、前記距離データ値が所定値を超えた際に、前記USBコネクタからの係止の解除を判別するUSBコネクタ装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載のUSBコネクタ装置において、
前記固定部は、前記USBコネクタに当接する弾性部材を備えるUSBコネクタ装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載のUSBコネクタ装置において、
前記固定部は、アームに接続されており、前記アームは、前記駆動源に歯車結合された歯車減速機構により進退移動されるUSBコネクタ装置。
【請求項7】
請求項6に記載のUSBコネクタ装置において
前記アームは、軸受を介して支柱部に接続されるUSBコネクタ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−12311(P2013−12311A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142625(P2011−142625)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】