説明

USBメモリ

【課題】USBポートを有するパーソナルコンピュータ等の電子機器と、IrDA通信可能な外部機器とのそれぞれに接続可能なUSBメモリを提供する。
【解決手段】USBメモリ10は、フラッシュROM13とUSBコネクタ11、またはフラッシュROM13とIrDA21との間に通信路を切り替え形成するための制御手段30を備える。外部機器5とIrDAモジュール21でデータ通信を行い、外部機器5からデータを送信してもらい、これをフラッシュROM13に格納する。外部機器からこのようなデータの吸出しができれば非常に便利である。そしてPC1のUSBポート2にUSBメモリ10のUSBコネクタ11を装着すると、USB−シリアル変換ICの機能により、PC1側からはRS232Cによるシリアル通信方式のインターフェースで接続されたメモリと認識され、所要のデータ通信が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USBポートを有するパーソナルコンピュータ等の電子機器と接続可能なUSBメモリであって、データロガー等の外部機器とIrDA通信により接続可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
USBメモリは、プラグ・アンド・プレイが可能なストレージデバイスとしてUSBポートを有するパーソナルコンピュータ等の電子機器に広く用いられている。特に、コネクタケーブルを持たないスティックタイプと称されるものが多く用いられている。この種のUSBメモリは、通常、筐体内部にフラッシュメモリとUSBコントローラとを有して構成されている。
【0003】
一方、例えば組み込み機器でUSB接続を用いようとした場合、以下のようなデメリットがある。すなわち、
(1)USB接続機能を持った特殊なマイクロプロセッサーやデバイスを使わなければならず、コストがかかり、装置構成をコンパクトにできない。
(2)USB接続できる製品を開発、販売する場合、USBフォーラムからベンダーIDを購入しなければならず、余計にコストがかかる。例えばベンダーID取得のみで2000米ドル、製品にUSBロゴマークをつける場合、2年間で2000米ドル、USBフォーラムの会員になるためには、年会費4000米ドル必要である。
したがって、低速・小容量データでよい組み込み機器との接続には、安価なIrDA通信を用いることが多い。本願発明者の知る限り、上述のデメリットを解決し、かつ組み込み機器等との接続には安価な通信法を用い得るUSBメモリは存在していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、USBポートを有するパーソナルコンピュータ等の電子機器と、IrDA通信可能な外部機器とのそれぞれに接続可能なUSBメモリを提供することを目的とする。なお本明細書において、USBコネクタとはUSB−シリアル変換IC等の機器を言い、IrDA通信とは、基本的には赤外線による光無線データ通信であってIrDA規格に適合する通信を言う。なおIrDA通信に関しては、本発明は家電製品のリモコンなどで使われている赤外線通信のように、独自に定められた仕様による赤外線通信をも含む。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、筐体外部に突出し、USB−シリアル変換によりデータ通信可能なUSBコネクタ、筐体内部に配するメモリ部、IrDA通信手段を備えた外部機器との通信用のIrDA通信手段、外部の機器、装置とのデータ通信を行うために使用する手段を、前記IrDA通信手段または前記USBコネクタに切り換える制御手段、前記USBコネクタまたは前記IrDA通信手段を介して入力された情報をもとに前記メモリ部をリード/ライト制御するUSBコントローラを備えることを特徴とするUSBメモリを提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るUSBメモリは、パーソナルコンピュータ等の電子機器であってUSB接続可能な機器との接続にはUSB−シリアル変換により擬似的にUSB接続を行い、組み込み機器とはIrDA通信で接続でき、パソコンとも簡単にUSB接続できる安価でコンパクトなものとして構成でき、便利なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係るUSBメモリの適用例を例示する概念図
【図2】本発明に係るUSBメモリの構成例を概念的に示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は本発明に係るUSBメモリの適用例を例示する概念図、図2は本発明に係るUSBメモリの構成例を概念的に示すブロック図である。
【0010】
図1において、1はパーソナルコンピュータ(以下単にPCという)、5はデータロガー等の外部機器(以下、単に外部機器という)であり、10は本発明に係るUSBメモリで、USBコネクタ(USB−シリアル変換IC)11と、IrDAモジュール21とを備えている。
【0011】
PC1は、USBコネクタが接続されるUSBポート2を備え、このUSBポート2に、USBメモリ10のUSBコネクタ11を接続し、PC1等のホスト側の機器とデータ通信を行える。また外部機器5も、IrDAモジュール6を備えており、USBメモリ10のIrDAモジュール21との間でデータ通信を行える。またUSBメモリ10は、その筐体12(本実施例ではスティックタイプと称される形態のものを図1に描いてあるが、本発明はこの形状のものに限定されない。またUSBメモリとしては、ケーブルを用いるタイプのものを排除するものでも無い。)内には、例えばフラッシュROM13をメモリとして備えている。
【0012】
図2に示すように、USBメモリ10は、フラッシュROM13とUSBコネクタ11、またはフラッシュROM13とIrDA21との間に通信路を切り替え形成するが、その切り替え制御のインターフェースとして、ソフトウェアにより実現する種々の層からなる制御手段30を備えている。
【0013】
すなわち、USBコネクタ11(USB−シリアル変換IC)にはシリアル通信ドライバ31が接続し、IrDAモジュール21にはIrDA通信ドライバ32が接続し、両者の間には、ドライバを切り換えるために、通信電文プロトコル層33、通信電文アプリケーション層34、メイン処理部35、フラッシュROMドライバ36が存在し、フラッシュROMドライバ36がフラッシュROM13と接続する形態となっている。
【0014】
次に本実施例の使用形態の一例を説明する。
例えばIrDA通信ドライバ32側が作動するように切り換えておいて、図1(B)に示すように、外部機器5のIrDAモジュール6とUSBメモリ10のIrDAモジュール21との間でデータ通信を行うことにより、外部機器5のメモリ(図示せず)が格納していたデータを送信してもらい、これを受信してフラッシュROM13に格納する。このとき、外部機器5がUSBコネクタ5aを有している場合、それにUSBコネクタ11を挿入し、例えば+5Vの電源供給のみ受ける構成とすることができる。もちろん、データ通信はIrDA通信のみで行う。すると、外部機器5を持ち運ばなくても、非常に軽いUSBメモリ10のみを持ち運べばデータを外部へ持ち出せることになる。例えば環境温度を測定するデータロガーのように、非常に重いか、持ち運びが難しい機器などにおいては、このようなデータの吸出しができれば非常に便利である。
【0015】
なおUSB−シリアル変換でのデータ通信とIrDAでのデータ通信の切り替え制御は、一例としては、以下の通り行えばよい。
(1)基本的に、シリアル通信を優先する。
すなわち、シリアル通信はPC1からの通信になるので、IrDAでの通信に比べてノイズの影響が少なく、IrDAモジュールでの通信は外光などの影響で、ノイズの信号がはいり易い(PC1のUSBコネクタにUSBメモリ10を接続する場合は常に外光に曝されている状態であるのが普通である)。
(2)そして初期状態は、未確定の状態であるが、初期状態で、シリアル通信が入ったらシリアル通信で確定し、それ以後、IrDAモジュール21からの通信は無視する。
(3)一方、初期状態でIrDAモジュール21による通信が入ったら、IrDA通信で確定するが、IrDA通信で確定していても、それ以後にシリアル通信が入ったら、シリアル通信で確定しなおす。
これにより、複雑な制御を行わずにUSB−シリアル変換でのデータ通信とIrDAでのデータ通信の切り替え制御が行える。
【0016】
そして図1(A)に示すように、PC1のUSBポート2にUSBメモリ10のUSBコネクタ11を装着すると、USBコネクタ11(USB−シリアル変換IC)の機能により、PC1側からはRS232Cによるシリアル通信方式のインターフェースで接続されたメモリと認識され、所要のデータ通信が行われる(ただし、詳細には、PC側のUSBドライバには、RS232Cとして認識するものと、普通のUSB接続機器として認識するものの2種類があり、どちらを使うかは、PC1側での選択になる。)。本例では、外部機器5からUSBメモリ10が得てフラッシュROM13に記憶されていたデータがPC1側へ送出されることになる。
【0017】
このUSB−シリアル変換ICによる擬似的なUSBコネクタと、IrDA端子を用いた機器間通信機能により、外部機器からPCへと容易にデータを送ることができ、従来のようにUSB接続を用いる場合に比べてコストが掛からず、装置構成も簡単なもので済むようになる。なお、上述した実施形態では、本発明に係るUSBメモリをパーソナルコンピュータ(PC)と外部機器との通信に介在させる例のみを示したが、本発明はこれに限らず、PC以外の種々の機器間での通信に適用可能であることは勿論である。また本実施例ではUSBメモリは電源を内蔵しておらず、PC等のUSB端子へ装着していない状態では電源が供給されないので、IrDAモジュール側は動作できない状態(不作動状態)となり、PCやそれ以外の装置とIrDAで接続する場合、電源供給のためにUSB端子に接続する必要がある。ただし、USBメモリに電池を内臓してUSB端子に接続しなくても通信できるようにする構成も可能である。
【0018】
なお、上述してきた説明ではUSBメモリのコストやサイズについての要求から、USB−シリアル変換ICを使用している実施例のみとしたが、USBの接続機能を持ったCPUを使用できれば、USB−シリアル変換ICに限定されることはない。
【符号の説明】
【0019】
1:パーソナルコンピュータ(PC)
2:USBポート
5:データロガー等の外部機器
5a:外部機器のUSBコネクタ
6:IrDAモジュール
10:USBメモリ
11:USBコネクタ(USB−シリアル変換IC)
12:USBメモリの筐体
13:フラッシュROM
21:IrDAモジュール
31:シリアル通信ドライバ
32:IrDA通信ドライバ
33:通信電文プロトコル層
34:通信電文アプリケーション層
35:メイン処理部
36:フラッシュROMドライバ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】実用新案登録第3133935号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体外部に突出し、USB−シリアル変換によりデータ通信可能なUSBコネクタ、
筐体内部に配するメモリ部、
IrDA通信手段を備えた外部機器との通信用のIrDA通信手段、
外部の機器、装置とのデータ通信を行うために使用する手段を、前記IrDA通信手段または前記USBコネクタに切り換える制御手段、
前記USBコネクタまたは前記IrDA通信手段を介して入力された情報をもとに前記メモリ部をリード/ライト制御するUSBコントローラ、
を備えることを特徴とするUSBメモリ。


【図1】
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【図2】
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