説明

USB3.0装置及び制御方法

【課題】USB3.0ホストまたはUSB3.0ハブの電力消費を削減する。
【解決手段】SS(SS:Super Speed)に関連する処理を行うSSブロックと、USB2.0に関連する処理を行うUSB2.0ブロックとを有するUSB3.0ホストまたはUSB3.0ハブに対して、DS(DS:Downstream Facing)ポートに接続されたUSB機器であるDS機器とのSS接続が確立したときに、USB2.0ブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するUSB2.0接続処理を停止させる。また、DS機器とのUSB2.0接続が確立したときに、SSブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するSS接続処理を停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSポート(DS:Downstream Facing)を有するUSB(Universal Serial Bus)3.0装置の電力消費を制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
USB規格の誕生以来、USB機器の開発が盛んに行われ、様々な技術が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
USB機器の普及に伴い、USB規格も進化し続け、USB2.0(非特許文献1)を経て、現在の最新のUSB3.0(非特許文献2)に至っている。
【0004】
USB3.0は、USB2.0と下位互換性を有し、USB2.0のロースピード、フルスピード、ハイスピードに加え、5Gbpsの超高速転送が可能になるスーパースピードが追加されている。以下、ロースピード、フルスピード、ハイスピード、スーパースピードを夫々LS、FS、HS、SSとも表記する。
【0005】
SS通信を実現するために、USB3.0では、様々な工夫がなされている。例えば、USB2.0で使われているUTP(Unshielded Twist Pair)ケーブルをSS通信に使うのでは減衰が大き過ぎて正しく通信できないため、USB3.0では、USB2.0の通信用として同じ規格のUTPケーブルはそのままにして、別にSSに対応する通信線として、2対のSDP(Shielded Differential Pair)ケーブルが追加されている。
【0006】
また、非特許文献2におけるFigure10−3に対して符号を追加した図15が示すように、USB3.0機器の回路ブロックでは、USB2.0のブロック(Non−SuperSpeed部分)とは別個に、SS用のブロック(SuperSpeed部分)が追加されている。
【0007】
例えば、USB3.0ホスト10は、SS用のブロック(SS部分12)と、USB2.0のブロック(USB2.0部分14)を有する。また、USB3.0ハブ20は、SS用のブロック(SSハブ22)と、USB2.0のブロック(USB2.0ハブ24)を有する。同様に、USB3.0デバイス30は、SS用のブロック(SS部分32)と、USB2.0のブロック(USB2.0部分34)を有する。
【0008】
本明細書の説明において、「USB機器」は、USB規格に準拠したホスト(USBホスト)、ハブ(USBハブ)、デバイス(USBデバイス)を意味する。USBホストはDSポートのみを有し、USBハブはUS(Upstream Facing)ポートとDSポートの両方を有し、USBデバイスは、USポートのみを有する。また、USBホストは、「ルートハブ」と定義されており、DSポートに対する制御に関して、USBハブと同様の機能を有する。
【0009】
ここで、USB3.0ハブ20におけるSSハブ22とUSB2.0ハブ24が行うDSポートへの制御を説明する。なお、これらの機能は、USB3.0ホスト10のSS部分12とUSB2.0部分14にも備えられている。
【0010】
まず、図16〜図18を参照して、SSハブ22が行うDSポート70への制御を説明する。
図16は、非特許文献2におけるFigure10−1に対して符号を追加した図である。図16に示すUSB3.0ハブ20は、USポート50、SSハブ22、USB2.0ハブ24、Vbus制御ロジック部(以下「VCLブロック」という)60、1つ以上(図示では4つ)のDSポート70を備える。USB3.0ハブは、各DSポート70に対して同様の制御を行う。
【0011】
図17は、非特許文献2におけるFigure10−9の一部を切り取って符号を追加したものである。SSハブ22は、DSポート70に対向のUSB機器(ここではUSBハブまたはUSBデバイス)が接続されると、該DSポート70のステートを「DSPORT.Powered−off」ステート(S10)から「DSPORT.Disconnected」ステート(リンク層においては「Rx.Detect」ステート)に遷移させる(S12)。
【0012】
「Rx.Detect」ステートは、SS接続に対応するリンクパートナーの存在を探すステートである。この「Rx.Detect」ステートにおいて、USB3.0機器は、「Receiver Detection」と呼ばれる処理を行って、SSの送受信ラインに「Rx.Termination」と呼ばれる終端抵抗の有無を検出する。
【0013】
図18は、非特許文献2におけるFigure7−5に対して符号を追加したものであり、「Rx.Detect」ステートのサブステートマシンを示す。図示のように、DSポート70が「Rx.Reset」ステート(S20)を経由して「Rx.Detect.Active」ステート(S22)に遷移した後に、「Receiver Detection」が成功すれば、SSハブ22は、該DSポート70のステートを「Polling」に遷移させ(S22→S30)、SS接続手順を進める。一方、「Rx.Detect.Active」ステート(S22)において「Rx.Termination」を検出できず、「Receiver Detection」が失敗した場合には、SSハブ22は、該DSポート70を一旦「Rx.Detect.Quiet」(S24)に遷移させるが、所定時間(12ms)経過後に再度「Rx.Detect.Active」ステート(S22)に遷移させて「Receiver Detection」を行わせる。すなわち、「Receiver Detection」が失敗した場合に、SSハブ22は、12ms毎に対向の終端抵抗の検出を繰り返させる。
【0014】
次に、図19を参照して、USB2.0ハブ24が行うDSポート70への制御を説明する。図19は、非特許文献1におけるFigure11−10が示すUSB2.0ハブのDSポートのステートマシン図の一部を切り取って符号を追加したものである。
【0015】
USB2.0ハブ24は、DSポート70に対向のUSB機器(ここではUSBハブまたはUSBデバイス)が接続されているときに、USB2.0のリンク(LS、FS、HSのいずれかに対応するリンク)が確立されていないと、該DSポート70のステートを「Disconnected」(図19におけるS50)に留め続け、USB2.0接続を行うために対向の終端抵抗の検出を繰り返させる。なお、USB2.0ハブ24の検出対象となる終端抵抗と、SSハブ22の検出対象となる終端抵抗とは、互いに異なるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−27073号公報
【特許文献2】特開2009−48444号公報
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】Universal Serial Bus Specification,Revision 2.0,April 27,2000
【非特許文献2】Universal Serial Bus 3.0 Specification,Revision 1.0,November 12,2008
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
ここで、図16に示すUSB3.0ハブ20において、あるDSポート70にUSB機器例えばUSBデバイスが接続されている場合を考える。
【0019】
このUSBデバイスがUSB2.0に準拠し、SSに対応しないものであるときに、SSハブ22は、終端抵抗の検出を行い、SS接続を試みるものの、終端抵抗の検出ないしSS接続ができない。一方、USB2.0ハブ24は、終端抵抗の検出に成功すると共に、その後のUSB2.0接続手順を実行することにより該USBデバイスとのUSB2.0接続に成功する。USB2.0接続の成功は、USB2.0接続の確立と同様に、LS、FS、HSのいずれかのモードでのリンクアップの確立を意味する。なお、SS接続の成功も、SS接続の確立と同様に、SSモードでのリンクアップの確立を意味する。
【0020】
この場合、該USBデバイスとのSS接続が不可能であるにも関わらず、図18のステートマシンに従うと、SSハブ22は、該USBデバイスに対して存在しない終端抵抗の検出を実行し続ける。これでは、無駄な電力を消費してしまうという問題がある。
【0021】
また、上記USBデバイスがUSB3.0に準拠し、すなわちSS接続に対応するものであるときに、SSハブ22は、終端抵抗の検出に成功すると共に、その後のSS接続手順を実行することにより該USBデバイスとのSS接続に成功する。このとき、該USBデバイスが、USB2.0接続のための終端抵抗をアクティブにしないため、USB2.0ハブ24は、終端抵抗を検出することができない。なお、USBデバイスによるUSB2.0接続のための終端抵抗をアクティブにすることとは、HS接続またはFS接続の場合には、該USBデバイスの受信部に設けられた2つの差動信号線(D+、D−)のうちのD+をプルアップ(pull−up)し、LS接続の場合には、D−をプルアップすることを意味する。
【0022】
このとき、該USBデバイスに対してUSB2.0接続のための終端抵抗を検出できないにも関わらず、図19のステートマシンに従うと、USB2.0ハブ24は、終端抵抗の検出を実行し続け、無駄な電力を消費してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の1つの態様は、1つ以上のDSポート、SSに関連する処理を行うSSブロック、USB2.0に関連する処理を行うUSB2.0ブロックを備えるUSB3.0装置の制御方法である。DSポートを備えることは、該USB3.0装置が、USB3.0ホストとUSB3.0ハブのいずれかであることを意味する。
【0024】
該制御方法は、DSポートに接続されたUSB機器(以下「DS機器」という)とのSS接続が確立したときに、USB2.0ブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するUSB2.0接続処理を停止させ、前記DS機器とのUSB2.0接続が確立したときに、前記SSブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するSS接続処理を停止させる。
【0025】
なお、上記態様の制御方法を装置に置換えて表現したもの、該方法をコンピュータに実行せしめるプログラム、該方法を実行するUSB3.0ホストまたはUSB3.0ハブなども、本発明の態様としては有効である。
【発明の効果】
【0026】
本発明にかかる技術によれば、USB3.0ホストとUSB3.0ハブの電力消費を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかるUSBシステムを示す図である。
【図2】図1に示すUSBシステムにおけるSSハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すUSBシステムにおけるUSB2.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図4】図1に示すUSBシステムにおけるUSB3.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施の形態にかかるUSBシステムを示す図である。
【図6】図5に示すUSBシステムにおけるSSハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図7】図5に示すUSBシステムにおけるUSB3.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第3の実施の形態にかかるUSBシステムを示す図である。
【図9】図8に示すUSBシステムにおけるUSB2.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図10】図8に示すUSBシステムにおけるUSB3.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施の形態にかかるUSBシステムを示す図である。
【図12】図11に示すUSBシステムにおけるUSB3.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第5の実施の形態にかかるUSBシステムを示す図である。
【図14】図13に示すUSBシステムにおけるUSB3.0ハブの処理の一部を示すフローチャートである。
【図15】USB3.0のトポロジを示す図である。
【図16】USB3.0ハブのアーキテクチャを示す図である。
【図17】USB3.0ハブのDSポートのステートマシン図の一部である。
【図18】Rx.Detectのサブステートマシン図である。
【図19】USB2.0ハブのDSポートのステートマシン図の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0029】
また、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non−transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0030】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかるUSBシステム100を示す。該USBシステム100は、本発明にかかる技術をUSB3.0ハブに適用したものであり、USB3.0ハブ110と、USB3.0ハブ110の後述する複数(例として4つ)のDSポートに夫々接続されるUSBデバイス192〜USBデバイス198を有する。USBデバイス192〜USBデバイス198は、DS機器に該当し、USB3.0またはUSB2.0に準拠する。
【0031】
なお、本実施の形態のUSBシステム100におけるUSB3.0ハブ110は、そのDSポートにUSBハブが接続されることが無く、USBデバイスのみが接続されることを前提とするものである。
【0032】
USB3.0ハブ110は、1つのUSポート120と、SSに関連する処理を行うSSブロック130と、USB2.0に関連する処理を行うUSB2.0ブロック150と、DSポート172〜DSポート178を有する。SSブロック130は、USB3.0規格でハブに対して定められるSSハブに対応し、以下SSハブともいう。また、USB2.0ブロック150は、USB3.0規格でハブに対して定められるUSB2.0ハブに対応し、以下USB2.0ハブともいう。
【0033】
USポート120は、図示しない上段のUSB機器(USBホストまたはUSBハブ)のDSポートに接続されている。上段のUSB機器とSSハブ130間、上段のUSB機器とUSB2.0ハブ150間のパケット伝送は、USポート120を介して行われる。
【0034】
SSハブ130は、DSポート172〜DSポート178のいずれかに例えばUSBケーブルを差し込まれ、USBデバイスが接続されると、SS接続処理を開始する。具体的には、まず、終端抵抗の検出を行い、検出が成功すると、該USBデバイスとのSS接続が確立するまでSS接続処理を続行する。SS接続処理中に、SSハブ130とUSBデバイス間で、様々なパケットが伝送される。これらのパケットのうちに、例えばUSBデバイスに送信されるGet Descriptor Deviceのリクエストがあり、このリクエストに対して、USBデバイスは、応答パケットを返送する。
【0035】
また、USB2.0ハブ150は、USBデバイスが接続されると、USB2.0接続処理を開始する。具体的には、まず、終端抵抗の検出を行い、検出が成功すると、該USBデバイスとのUSB2.0接続が確立するまでUSB2.0接続処理を続行する。なお、USB2.0接続は、LS接続、FS接続、HS接続のいずれか1つである。
【0036】
USB2.0接続処理中に、USB2.0ハブ150とUSBデバイス間で、様々なパケットが伝送される。これらのパケットのうちに、USBデバイスに送信される上述のGet Descriptor Deviceのリクエストがあり、このリクエストに対して、USBデバイスは、応答パケットを返送する。
【0037】
SS接続またはUSB2.0接続が確立するまでのUSB3.0ハブ110の動作は、通常のUSB3.0ハブの動作と同様である。
【0038】
本実施の形態のUSBシステム100におけるUSB3.0ハブ110は、SS接続またはUSB2.0接続が確立した後の動作は、下記の点において、通常のUSB3.0ハブと異なる。
【0039】
USB3.0ハブ110において、SSハブ130とUSB2.0ハブ150が互いに接続されており、信号の送受信が可能である。SSハブ130からUSB2.0ハブ150に送信する信号は、後述する第1の制御信号C1であり、USB2.0ハブ150からSSハブ130に送信する信号は、後述する第2の制御信号C2である。
【0040】
USBデバイスとのSS接続が確立したときに、SSハブ130は、DSポート172〜DSポート178のうちの、該USBデバイスと接続されたDSポートについて、第1の制御信号C1をUSB2.0ハブ150に出力する。該第1の制御信号C1は、当該DSポートに接続されたUSBデバイスとの間で既にSS接続が確立したことを示す信号である。
【0041】
このとき、USB2.0ハブ150は、USB2.0接続のための終端抵抗の検出を行っている。USB2.0ハブ150は、第1の制御信号C1を受信すると、第1の制御信号C1が示すDSポートに接続されたUSBデバイスに対する終端抵抗の検出を停止する。これにて、USB2.0ハブ150は、USB2.0接続処理(ここでは終端抵抗の検出)を停止する。
【0042】
USBデバイスとのUSB2.0接続が確立したときに、USB2.0ハブ150は、該USBデバイスと接続されたDSポートについて、第2の制御信号C2をSSハブ130に出力する。該第2の制御信号C2は、当該DSポートに接続されたUSBデバイスとの間で既にUSB2.0接続が確立したことを示す信号である。
【0043】
このとき、SSハブ130は、SS接続のための終端抵抗の検出を行っている。SSハブ130は、第2の制御信号C2を受信すると、第2の制御信号C2が示すDSポートに接続されたUSBデバイスに対する終端抵抗の検出を停止する。これにて、SSハブ130は、SS接続処理(ここでは終端抵抗の検出)を停止する。
【0044】
図2は、DSポート172〜DSポート178のいずれかにUSBデバイスが接続され、さらに、SS接続またはUSB2.0接続が確立した後のSSハブ130の動作を示すフローチャートである。
【0045】
図2に示すように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにUSBデバイスが接続され、該USBデバイスとのSS接続が確立すると(S100:Yes)、SSハブ130は、該DSポートについて第1の制御信号C1をUSB2.0ハブ150に送信する(S102)。
【0046】
一方、SS接続が確立する前にUSB2.0ハブ150から第2の制御信号C2を受信すると(S100:No、S110:Yes)、SSハブ130は、SS接続処理の最初に行う終端抵抗の検出処理を停止する。これにて、SS接続処理が停止される(S112)。
【0047】
なお、SS接続が確立せず、第2の制御信号C2も受信していない場合に(S100:No、S110:No)、SSハブ130は、第1の制御信号C1の送信と、SS接続処理の停止をいずれにもしない。この場合、通常のSSハブのときと同様に、SS接続処理が続行される。
【0048】
図3は、DSポート172〜DSポート178のいずれかにUSBデバイスが接続され、さらに、SS接続またはUSB2.0接続が確立した後のUSB2.0ハブ150の動作を示すフローチャートである。
【0049】
図3に示すように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにUSBデバイスが接続され、該USBデバイスとのUSB2.0接続が確立すると(S120:Yes)、USB2.0ハブ150は、該DSポートについて第2の制御信号C2をSSハブ130に送信する(S122)。
【0050】
一方、SSハブ130から第1の制御信号C1を受信すると(S120:No、S130:Yes)、USB2.0ハブ150は、USB2.0接続処理の最初に行う終端抵抗の検出処理を停止する。これにて、USB2.0接続処理が停止される(S132)。
【0051】
なお、USB2.0接続が確立せず、第1の制御信号C1も受信していない場合に(S120:No、S130:No)、USB2.0ハブ150は、第2の制御信号C2の送信と、USB2.0接続処理の停止をいずれにもしない。この場合、通常のUSB2.0ハブのときと同様に、USB2.0接続処理が続行される。
【0052】
図2と図3を統合して、USB3.0ハブ110の動作を図4のフローチャートで示す。図示のように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにUSBデバイスが接続され、該USBデバイスとのSS接続が確立すると(S140:Yes)、USB2.0ハブ150によるUSB2.0接続処理が停止される(S142)。
【0053】
一方、USBデバイスとのSS接続が確立せず、USB2.0接続が確立すると(S140:No、S150:Yes)、SSハブ130によるSS接続処理が停止される(S152)。
【0054】
なお、SS接続とUSB2.0接続のいずれも確立していない場合に(S140:No、S150:No)、通常のUSB3.0ハブのときと同様に、SS接続処理とUSB2.0接続処理が続行される。
【0055】
本実施の形態のUSBシステム100のUSB3.0ハブ110において、SS接続が確立すると、USB2.0ハブ150による終端抵抗の検出が停止され、USB2.0接続が確立すると、SSハブ130による終端抵抗の検出が停止される。これにより、存在しない終端抵抗を検出する無駄な処理を回避することができ、DSポートにUSBデバイスのみが接続されることを前提とするUSB3.0ハブ110の電力消費を削減することができる。
【0056】
<第2の実施の形態>
図2は、本発明の第2の実施の形態にかかるUSBシステム200を示す。該USBシステム200も、本発明にかかる技術をUSB3.0ハブに適用したものであり、USB3.0ハブ210と、USB3.0ハブ210の4つのDSポート172〜DSポート178に夫々接続される4つのDS機器を有する。
【0057】
USB3.0ハブ210は、USBデバイスに限らず、USBハブも接続される。図5に例示したように、DSポート172とDSポート174に接続されたDS機器は、USBハブ(USBハブ292、USBデバイス194)であり、DSポート176とDSポート178に接続されたDS機器は、USBデバイス(USBデバイス296、USBデバイス298)である。これらのDS機器は、USB3.0またはUSB2.0に準拠する。
【0058】
USB3.0ハブ210は、SSハブ230とUSB2.0ハブ150を備える。SSハブ230が図1に示すUSBシステム100におけるUSB3.0ハブ110のSSハブ130と異なる点を除き、USB3.0ハブ210は、USB3.0ハブ110と同様である。ここで、SSハブ230について、SSハブ130と異なる点を説明する。
【0059】
図5に示すように、SSハブ230は、SSパケット解析部240を備える。該SSパケット解析部240は、DSポート172〜DSポート178に夫々接続されたDS機器が図示しないUSBホストに送信し、SSハブ230により転送されるパケットの解析を行う。
【0060】
図6は、DS機器とのSS接続またはUSB2.0接続が確立した後のSSハブ230の処理を示すフローチャートである。
【0061】
図6に示すように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにDS機器(USBハブまたはUSBデバイス)が接続され、該DS機器とのSS接続が確立すると(S200:Yes)、SSハブ230は、該DS機器がUSBハブであるか否かを確認する(S202)。この確認は、Get Descriptor Deviceのリクエストに対するDS機器からの応答パケットのbDeviceClassフィールドを参照することにより行われる。SSハブ230は、SSパケット解析部240を備えるため、上記応答パケットのbDeviceClassフィールドの値を得ることができる。
【0062】
上記DS機器がUSBハブではない、すなわちUSBデバイスである場合に(S202:No)、SSハブ230は、USB2.0ハブ150に第1の制御信号C1を送信する(S204)。一方、該DS機器がUSBハブである場合には(S202:Yes)、SSハブ230は、該DS機器が接続されたDSポートについての第1の制御信号C1を送信しない。
【0063】
S210からの各処理は、図2のフローチャートにおけるS110からの各処理と夫々同様であり、説明を省略する。
【0064】
図7は、SSハブ230を備えたUSB3.0ハブ210の処理を示すフローチャートである。図示のように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにDS機器が接続され、該DS機器とのSS接続が確立した場合に(S240:Yes)、該DS機器がUSBハブではない場合にのみ、USB2.0ハブ150によるUSB2.0接続処理が停止される(S242:No、S244)。
【0065】
DS機器とのSS接続が確立せず、USB2.0接続が確立すると(S240:No、S250:Yes)、SSハブ230によるSS接続処理が停止される(S252)。
【0066】
なお、SS接続とUSB2.0接続のいずれも確立していない場合に(S240:No、S250:No)、通常のUSB3.0ハブのときと同様に、SS接続処理とUSB2.0接続処理が続行される。
【0067】
DSポート例えばDSポート172にUSBハブ292が接続され、該USBハブ292が複数DSポートを有する場合、該USBハブ292にUSB3.0デバイスとUSB2.0デバイスのいずれも接続される可能性がある。USBハブ292とのSS接続が確立したときに(S240:Yes)直ちにDSポート172に対するUSB2.0接続処理を停止すると、後にUSBハブ292にUSB2.0デバイスが接続された場合に、該USB2.0デバイスとのUSB2.0接続ができなくなってしまう。
【0068】
本実施の形態のUSBシステム200のUSB3.0ハブ210は、DS機器とのSS接続が確立し、かつ、該DS機器がUSBハブではないときに(S240:Yes、S242:No)、USB2.0ハブ150による終端抵抗の検出ないしUSB2.0接続処理を停止する。そのため、DS機器としてUSBハブが接続されることがある場合に、該USBハブに接続されたUSB2.0デバイスとのUSB2.0接続できない問題を回避することができると共に、USBシステム100と同様の効果を得ることができる。
【0069】
<第3の実施の形態>
図8は、本発明の第3の実施の形態にかかるUSBシステム300を示す。該USBシステム300も、本発明にかかる技術をUSB3.0ハブに適用したものであり、USB3.0ハブ310と、USB3.0ハブ310の4つのDSポート172〜DSポート178に夫々接続される4つのDS機器を有する。
【0070】
USB3.0ハブ310は、USBシステム200におけるUSB3.0ハブ210と同様に、USBデバイスに限らず、USBハブも接続される。
【0071】
USB3.0ハブ310は、SSハブ230とUSB2.0ハブ350を備える。USB2.0ハブ350が図5に示すUSBシステム200におけるUSB3.0ハブ210のUSB2.0ハブ150と異なる点を除き、USB3.0ハブ310は、USB3.0ハブ210と同様である。ここで、USB2.0ハブ350について、USB2.0ハブ150と異なる点を説明する。
【0072】
図8に示すように、USB2.0ハブ350は、USB2.0パケット解析部360を備える。該USB2.0パケット解析部360は、DSポート172〜DSポート178に夫々接続されたDS機器が図示しないUSBホストに送信し、USB2.0ハブ350により転送されるパケットの解析を行う。
【0073】
図9は、DS機器とのSS接続またはUSB2.0接続が確立した後のUSB2.0ハブ350の処理を示すフローチャートである。
【0074】
図9に示すように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにDS機器(USBハブまたはUSBデバイス)が接続され、該DS機器とのUSB2.0接続が確立すると(S320:Yes)、USB2.0ハブ350は、該DS機器がUSB3.0すなわちSSに対応するか否かを確認する(S322)。この確認は、Get Descriptor Deviceのリクエストに対するDS機器からの応答パケットのbcdUSBフィールドを参照することにより行われる。USB2.0ハブ350は、USB2.0パケット解析部360を備えるため、上記応答パケットのbcdUSBフィールドの値を得ることができる。
【0075】
上記DS機器がSSに対応しない、すなわちUSB2.0ハブまたはUSB2.0デバイスである場合に(S322:No)、USB2.0ハブ350は、SSハブ230に第2の制御信号C2を送信する(S324)。一方、該DS機器がSSに対応する、すなわちUSB3.0ハブまたはUSB3.0デバイスである場合には(S320:Yes)、USB2.0ハブ350は、該DS機器が接続されたDSポートについての第2の制御信号C2を送信しない。
【0076】
S330からの各処理は、図3のフローチャートにおけるS130からの各処理と夫々同様であり、説明を省略する。
【0077】
図10は、USB3.0ハブ310の処理を示すフローチャートである。図示のように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにDS機器が接続され、該DS機器とのSS接続が確立した場合に(S340:Yes)、該DS機器がUSBハブではない場合にのみ、USB2.0ハブ350によるUSB2.0接続処理が停止される(S342:No、S344)。上記DS機器とのSS接続が確立したものの、該DS機器がUSBハブである場合には(S340:Yes、S342:Yes)、ステップS344の処理は、実行されない。
【0078】
DS機器とのSS接続が確立せず、USB2.0接続が確立した場合に(S340:No、S350:Yes)、該DS機器がSSに対応しない場合にのみ、SSハブ230によるSS接続処理が停止される(S352:No、S354)。上記DS機器とのUSB2.0接続が確立したものの、該DS機器がSSに対応する場合には(S340:No、S350:Yes、S352:Yes)、ステップS354の処理は、実行されない。
【0079】
なお、SS接続とUSB2.0接続のいずれも確立していない場合に(S340:No、S350:No)、通常のUSB3.0ハブのときと同様に、SS接続処理とUSB2.0接続処理が続行される。
【0080】
DSポートに接続されたDS機器がUSB3.0に準拠したものであっても、SS接続が失敗し、USB2.0接続が確立した場合がある。通常のUSB3.0ホストまたはUSB3.0ハブは、USB2.0接続が確立しても、終端抵抗の検出をはじめとするSS接続処理を行うため、USB2.0接続の確立後、SS接続を確立させるチャンスがある。DSポートに接続されたDS機器とのUSB2.0接続が確立した場合に(S340:No、S350:Yes)、直ちに該DSポートに対するSS接続処理を停止すると、該DS機器がSSに対応するものであっても、SS接続を確立させるチャンスを失ってしまい、通信速度の低下を招く恐れがある。
【0081】
本実施の形態のUSBシステム300におけるUSB3.0ハブ310は、DS機器とのUSB2.0接続が確立し、かつ、該DS機器がSSに対応しないときに(S340:No、S350:Yes、S352:No)、SSハブ230による終端抵抗の検出を停止する。そのため、上記問題を回避することができると共に、USBシステム200と同様の効果を得ることができる。
【0082】
<第4の実施の形態>
【0083】
図11は、本発明の第4の実施の形態にかかるUSBシステム400を示す。該USBシステム400は、本発明に本発明にかかる技術をUSB3.0ハブに適用したものであり、USB3.0ハブ410と、USB3.0ハブ410の4つのDSポート(172〜178)に夫々接続される4つのDS機器(292〜298)を有する。
【0084】
USB3.0ハブ410は、SSハブ430とUSB2.0ハブ450に加え、さらにDSポート電源供給制御部(DSPC)500を備える。図11において、SSハブ430とUSB2.0ハブ450の構成を詳細に示している。
【0085】
SSハブ430は、USポートSS制御部432、SSハブ制御部434、SSパケット解析部240、DSポートと同数(ここでは4つ)のDSポートSS制御部(442〜448)を有する。
【0086】
USポートSS制御部432は、通常のSSハブにおける相対応する機能ブロックと同様の機能を有し、USポート120に接続された上段のUSB機器とのSS接続処理やパケットの転送などを行い、SSハブ制御部434により制御される。
【0087】
DSポートSS制御部442〜448は、通常のSSハブにおける相対応する機能ブロックの機能を備える。これらのDSポートSS制御部は、DSポート172〜178に夫々接続されており、該DSポートに接続されたDS機器とのSS接続処理を含む、該DSポートにのみ関連する処理を行う。DSポートSS制御部442〜448も、SSハブ制御部434により制御される。
【0088】
また、DSポートSS制御部442は、他の機能ブロックとは独立に電源供給を制御可能に設けられている。これを実現するために、例えば、DSポートSS制御部442への電源供給線(図示せず)上にスイッチを設けるなどして、従来知られている種々の技術を適用可能である。DSポートSS制御部444〜448に関しても、DSポートSS制御部442と同様である。
【0089】
SSハブ制御部434は、通常のSSハブにおける相対応する機能ブロックの機能以外に、第1の制御信号C1を出力する機能を有する。SSハブ制御部434が第1の制御信号C1を出力する条件は、第3の実施の形態のUSBシステム300におけるSSハブ230が第1の制御信号C1を出力する条件と同様である。
【0090】
USB2.0ハブ450は、USポートUSB2.0制御部452、USB2.0ハブ制御部454、USB2.0パケット解析部360、DSポートと同数(ここでは4つ)のDSポートUSB2.0制御部(462〜468)を有する。
【0091】
USポートUSB2.0制御部452は、通常のUSB2.0ハブにおける相対応する機能ブロックと同様の機能を有し、USポート120に接続された上段のUSB機器とのUSB2.0接続処理やパケットの転送などを行い、USB2.0ハブ制御部454により制御される。
【0092】
DSポートUSB2.0制御部462〜468は、通常のUSB2.0ハブにおける相対応する機能ブロックの機能を備える。これらのDSポートUSB2.0制御部は、DSポート172〜178に夫々接続されており、該DSポートに接続されたDS機器とのUSB2.0接続処理を含む、該DSポートにのみ関連する処理を行う。DSポートUSB2.0制御部462〜468も、USB2.0ハブ制御部454により制御される。
【0093】
また、DSポートUSB2.0制御部462は、他の機能ブロックとは独立に電源供給を制御可能に設けられている。これを実現するために、例えば、DSポートUSB2.0制御部462への電源供給線(図示せず)上にスイッチを設けるなどして、従来知られている種々の手法を適用可能である。DSポートUSB2.0制御部464〜468についても、DSポートUSB2.0制御部462と同様である。
【0094】
USB2.0ハブ制御部454は、通常のUSB2.0ハブにおける相対応する機能ブロックの機能以外に、第2の制御信号C2を出力する機能を有する。USB2.0ハブ制御部454が第2の制御信号C2を出力する条件は、第3の実施の形態のUSBシステム300におけるUSB2.0ハブ350が第2の制御信号C2を出力する条件と同様である。
【0095】
DSPC500は、SSハブ制御部434とUSB2.0ハブ制御部454に接続されており、第1の制御信号C1と第2の制御信号C2に応じて、DSポートSS制御部442〜448と、DSポートUSB2.0制御部462〜468への電源供給を夫々制御する。
【0096】
図12は、DS機器とのSS接続またはUSB2.0接続が確立した後のUSB3.0ハブ410の処理を示すフローチャートである。図12において、図10のフローチャートにおけるものと同一のステップに関しては、図10における該ステップと同様の符号を付与している。
【0097】
図12に示すように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにDS機器(USBハブまたはUSBデバイス)が接続され、該DS機器とのSS接続が確立すると(S340:Yes)、SSハブ430におけるSSハブ制御部434は、該DS機器がUSBハブであるか否かを確認する(S342)。この確認は、SSパケット解析部240による解析の結果に基づいて行われる。
【0098】
上記DS機器がUSBハブではない場合に(S342:No)、SSハブ制御部434は、第1の制御信号C1を出力する。この第1の制御信号C1は、DSPC500に入力される。DSPC500は、第1の制御信号C1を受信すると、該第1の制御信号C1が示すDSポートに対応するDSポートUSB2.0制御部(DSポートUSB2.0制御部462〜468のうちの1つ)への電源供給を停止する(S440)。
【0099】
一方、上記DS機器がUSBハブである場合に(S342:Yes)、SSハブ制御部434は、第1の制御信号C1の出力をしない。
【0100】
DS機器とのSS接続が確立せず、USB2.0接続が確立すると(S340:No、S350:Yes)、USB2.0ハブ制御部454は、該DS機器がSSに対応するか否かを確認する(S352)。この確認は、USB2.0パケット解析部360による解析の結果に基づいて行われる。
【0101】
上記DS機器がSSに対応しない場合に(S352:No)、USB2.0ハブ制御部454は、第2の制御信号C2を出力する。この第2の制御信号C2も、DSPC500に入力される。DSPC500は、第2の制御信号C2を受信すると、第2の制御信号C2が示すDSポートに対応するDSポートSS制御部(DSポートSS制御部442〜448のうちの1つ)への電源供給を停止する(S450)。
【0102】
一方、上記DS機器がSSに対応する場合に(S352:Yes)、USB2.0ハブ制御部454は、第2の制御信号C2の出力をしない。
【0103】
なお、SS接続とUSB2.0接続のいずれも確立していない場合に(S340:No、S350:No)、通常のUSB3.0ハブのときと同様に、SS接続処理とUSB2.0接続処理が続行される。
【0104】
図12と図10を比較すると分かるように、本実施の形態のUSB3.0ハブ410は、DSポートSS制御部442〜448への電源供給を停止することによりSS接続処理を停止させ、DSポートUSB2.0制御部464〜DSポートUSB2.0制御部468への電源供給を停止することによりUSB2.0接続を停止させている。そのため、図3に示すUSBシステム300におけるUSB3.0ハブ310と同様の効果を得ることができる。
【0105】
<第5の実施の形態>
図13は、本発明の第5の実施の形態にかかるUSBシステム600を示す。該USBシステム600は、そのUSB3.0ハブ610が、図11に示すUSBシステム400におけるUSB3.0ハブ410に対して、SSハブ430とUSB2.0ハブ450への電源供給を制御可能なブロック電源供給制御部(BKPC)700をさらに設けたものである。
【0106】
BKPC700は、SSハブ制御部434とUSB2.0ハブ制御部454に接続されており、第1の制御信号C1と第2の制御信号C2に応じて、SSハブ430とUSB2.0ハブ450への電源供給を夫々制御する。
【0107】
図14は、DS機器とのSS接続またはUSB2.0接続が確立した後のUSB3.0ハブ610の処理を示すフローチャートである。
【0108】
図14に示すように、DSポート172〜DSポート178のいずれかにDS機器(USBハブまたはUSBデバイス)が接続され、該DS機器とのSS接続が確立すると(S500:Yes)、SSハブ430におけるSSハブ制御部434は、該DS機器がUSBハブであるか否かを確認する(S510)。この確認は、SSパケット解析部240による解析の結果に基づいて行われる。
【0109】
上記DS機器がUSBハブではない場合に(S510:No)、SSハブ制御部434は、第1の制御信号C1を出力する。この第1の制御信号C1は、DSPC500とBKPC700に入力される。
【0110】
BKPC700は、第1の制御信号C1を受信すると、内部カウント値iがDSポートの総数k(ここでは4)に達したか否かを確認する(S520)。なお、内部カウント値iのデフォルト値は「0」である。BKPC700は、第1の制御信号C1を受信する度に内部カウント値iを1つカウントアップする。
【0111】
BKPC700は、ステップS520において、内部カウント値iが総数kに達したことを確認すると、USB2.0ハブ450への電源供給を停止する(S520:Yes、S530)。
【0112】
一方、BKPC700は、ステップS520において、内部カウント値iが総数kより小さいことを確認すると、内部カウント値iを1つカウントアップするが(S520:No、S522)、USB2.0ハブ450への電源供給の停止の制御をしない。
【0113】
DSPC500は、第1の制御信号C1を受信すると、該第1の制御信号C1が示すDSポートに対応するDSポートUSB2.0制御部(DSポートUSB2.0制御部462〜468のうちの1つ)への電源供給を停止する(S520:No、S524)。
【0114】
ステップS510において、上記DS機器がUSBハブである場合に(S510:Yes)、SSハブ制御部434は、第1の制御信号C1の出力をしない。
【0115】
DS機器とのSS接続が確立せず、USB2.0接続が確立すると(S500:No、S550:Yes)、USB2.0ハブ制御部454は、該DS機器がSSに対応するか否かを確認する(S560)。この確認は、USB2.0パケット解析部360による解析の結果に基づいて行われる。
【0116】
上記DS機器がSSに対応しない場合に(S560:No)、USB2.0ハブ制御部454は、第2の制御信号C2を出力する。この第2の制御信号C2も、DSPC500とBKPC700に入力される。
【0117】
BKPC700は、第2の制御信号C2を受信すると、内部カウント値jがDSポートの総数kに達したか否かを確認する(S570)。なお、内部カウント値jのデフォルト値は「0」である。BKPC700は、第2の制御信号C2を受信する度に内部カウント値jを1つカウントアップする。
【0118】
BKPC700は、ステップS570において、内部カウント値jが総数kに達したことを確認すると、SSハブ430への電源供給を停止する(S570:Yes、S580)。
【0119】
一方、BKPC700は、ステップS570において、内部カウント値jが総数kより小さいことを確認すると、内部カウント値jを1つカウントアップするが(S570:No、S572)、SSハブ430への電源供給の停止の制御をしない。
【0120】
DSPC500は、第2の制御信号C2を受信すると、第2の制御信号C2が示すDSポートに対応するDSポートSS制御部(DSポートSS制御部442〜448のうちの1つ)への電源供給を停止する(S570:No、S574)。
【0121】
ステップS560において、上記DS機器がSSに対応する場合に(S560:Yes)、USB2.0ハブ制御部454は、第2の制御信号C2の出力をしない。
【0122】
すなわち、図11に示すUSBシステム400におけるUSB3.0ハブ410と比較すると、本実施の形態のUSBシステム600におけるUSB3.0ハブ610は、全てのDSポートに関して、USB2.0接続処理を停止させる条件が満たされたときに、BKPC700によりUSB2.0ハブ450への電源供給を停止する。また、全てのDSポートに関して、SS接続処理を停止させる条件が満たされたときに、SSハブ430への電源供給を停止する。そのため、USB3.0ハブ610によれば、USBシステム400におけるUSB3.0ハブ410と同様の効果を得ることができると共に、電力の消費をより削減することができる。
【0123】
なお、上記各実施の形態は、本発明にかかる技術をUSB3.0ハブに適用したものである。USB3.0ホストは、USB3.0で定められたルートハブであるため、本発明にかかる技術をUSB3.0に適用しても勿論よい。
【0124】
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述した各実施の形態に対してさまざまな変更、増減、組合せを行ってもよい。これらの変更、増減、組合せが行われた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0125】
10 USB3.0ホスト 12 SS部分
14 USB2.0部分 20 USB3.0ハブ
22 SSハブ 24 USB2.0ハブ
30 USB3.0デバイス 32 SS部分
34 USB2.0部分 50 USポート
60 VCLブロック 70 DSポート
100 USBシステム 110 USB3.0ハブ
120 USポート 130 SSハブ
150 USB2.0ハブ 172 DSポート
174 DSポート 176 DSポート
178 DSポート 192 USBデバイス
194 USBデバイス 196 USBデバイス
198 USBデバイス 200 USBシステム
210 USB3.0ハブ 230 SSハブ
240 SSパケット解析部 292 USBハブ
294 USBハブ 296 USBデバイス
298 USBデバイス 300 USBシステム
310 USB3.0ハブ 350 USB2.0ハブ
360 USB2.0パケット解析部 400 USBシステム
410 USB3.0ハブ 430 SSハブ
432 USポートSS制御部 434 SSハブ制御部
442 DSポートSS制御部 444 DSポートSS制御部
446 DSポートSS制御部 448 DSポートSS制御部
450 USB2.0ハブ 452 USポートUSB2.0制御部
454 USB2.0ハブ制御部 462 DSポートUSB2.0制御部
464 DSポートUSB2.0制御部 466 DSポートUSB2.0制御部
468 DSポートUSB2.0制御部 500 DSポート電源供給制御部
600 USBシステム 610 USB3.0ハブ
700 ブロック電源供給制御部
C1 第1の制御信号
C2 第2の制御信号
LS ロースピード
FS フルスピード
HS ハイスピード
SS スーパースピード
i ブロック電源供給制御部の内部カウント値(SSハブ用)
j ブロック電源供給制御部の内部カウント値(USB2.0ハブ用)
k DSポートの総数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上のDSポート(DS:Downstream Facing)を有するUSB(Universal Serial Bus)3.0装置であって、
SS(SS:Super Speed)に関連する処理を行うSSブロックと、
USB2.0に関連する処理を行うUSB2.0ブロックとを備え、
前記SSブロックは、
各DSポートに対して、該DSポートに接続されたUSB機器であるDS機器とのSS接続が確立したときに、該DS機器と接続されたDSポートについて第1の制御信号を前記USB2.0ブロックに出力し、
前記USB2.0ブロックから第2の制御信号を受信したときに、該第2の制御信号が示すDSポートに対するSS接続処理を停止し、
前記USB2.0ブロックは、
前記DS機器とのUSB2.0接続が確立したときに、該DS機器と接続されたDSポートについて前記第2の制御信号を出力し、
前記SSブロックから前記第1の制御信号を受信したときに、該第1の制御信号が示すDSポートに対するUSB2.0接続処理を停止することを特徴とするUSB3.0装置。
【請求項2】
前記SSブロックは、前記DS機器とのSS接続が確立し、かつ、該DS機器がUSBハブではない場合にのみ、該DS機器と接続されたDSポートについての前記第1の制御信号を前記USB2.0ブロックに出力することを特徴とする請求項1に記載のUSB3.0装置。
【請求項3】
前記SSブロックは、前記DS機器からのパケットを解析し、Get Descriptor Deviceのリクエストに対する前記DS機器からの応答パケットのbDeviceClassフィールドを参照することにより前記DS機器がUSBハブであるか否かを確認することを特徴とする請求項2に記載のUSB3.0装置。
【請求項4】
前記USB2.0ブロックは、前記DS機器とのUSB2.0接続が確立し、かつ、該DS機器がSSに対応しないときにのみ、該DS機器と接続されたDSポートについて前記第2の制御信号を前記SSブロックに出力することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のUSB3.0装置。
【請求項5】
前記USB2.0ブロックは、前記DS機器からのパケットを解析し、Get Descriptor Deviceのリクエストに対する前記DS機器からの応答パケットのbcdUSBフィールドを参照することにより前記DS機器がSSに対応するか否かを確認することを特徴とする請求項4に記載のUSB3.0装置。
【請求項6】
DSポート電源供給制御部をさらに備え、
前記SSブロックは、
前記第1の制御信号を前記DSポート電源供給部に出力し、
DSポート毎に設けられており、該DSポートに接続されたDS機器とのSS接続処理を含む、該DSポートにのみ関連する処理を行うDSポートSS制御部を有し、
前記USB2.0ブロックは、
前記第2の制御信号を前記DSポート電源制御部に出力し、
DSポート毎に設けられており、該DSポートに接続されたDS機器とのUSB2.0接続処理を含む、該DSポートにのみ関連する処理を行うDSポートUSB2.0制御部を有し、
前記DSポート電源供給制御部は、
前記第1の制御信号に応じて、該第1の制御信号が示すDSポートに対応する前記DSポートUSB2.0制御部への電源供給を停止し、
前記第2の制御信号に応じて、該第2の制御信号が示すDSポートに対応する前記DSポートSS制御部への電源供給を停止することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のUSB3.0装置。
【請求項7】
前記SSブロックと前記USB2.0ブロックへの電源供給を制御するブロック電源制御部をさらに備え、
前記ブロック電源制御部は、
全てのDSポートについて前記第1の制御信号が出力されたときに前記USB2.0ブロックへの電源供給を停止し、
全てのDSポートについて前記第2の制御信号が出力されたときに前記SSブロックへの電源供給を停止することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のUSB3.0装置。
【請求項8】
1つ以上のDSポート(DS:Downstream Facing)と、SS(SS:Super Speed)に関連する処理を行うSSブロックと、USB(Universal Serial Bus)2.0に関連する処理を行うUSB2.0ブロックとを有するUSB3.0装置に対して、
DSポートに接続されたUSB機器であるDS機器とのSS接続が確立したときに、前記USB2.0ブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するUSB2.0接続処理を停止させ、
前記DS機器とのUSB2.0接続が確立したときに、前記SSブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するSS接続処理を停止させることを特徴とする制御方法。
【請求項9】
前記DS機器とのSS接続が確立し、かつ、該DS機器がUSBハブではない場合にのみ、前記USB2.0ブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するUSB2.0接続処理を停止させることを特徴とする請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記DS機器からのパケットを解析し、Get Descriptor Deviceのリクエストに対する前記DS機器からの応答パケットのbDeviceClassフィールドを参照することにより前記DS機器がUSBハブであるか否かを確認することを特徴とする請求項9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記DS機器とのUSB2.0接続が確立し、かつ、該DS機器がSSに対応しないときにのみ、前記SSブロックに、該DS機器と接続されたDSポートに対するSS接続処理を停止させることを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項12】
前記DS機器からのパケットを解析し、Get Descriptor Deviceのリクエストに対する前記DS機器からの応答パケットのbcdUSBフィールドを参照することにより前記DS機器がSSに対応するか否かを確認することを特徴とする請求項11に記載の制御方法。
【請求項13】
前記SSブロックは、DSポート毎に設けられたDSポートSS制御部を有し、該DSポートSS制御部が、該DSポートに接続されたDS機器とのSS接続処理を含む、該DSポートにのみ関連する処理を行い、
前記USB2.0ブロックは、DSポート毎に設けられたDSポートUSB2.0制御部を有し、該DSポートUSB2.0制御部が、該DSポートに接続されたDS機器とのUSB2.0接続処理を含む、該DSポートにのみ関連する処理を行い、
前記DSポートUSB2.0制御部への電源供給を停止することにより該DSポートUSB2.0制御部によるUSB2.0接続処理を停止させ、
前記DSポートSS制御部への電源供給を停止することにより該DSポートSS制御部によるSS接続処理を停止させることを特徴とする請求項8から12のいずれか1項に記載の制御方法。
【請求項14】
全てのDSポートに関して、USB2.0接続処理を停止させる条件が満たされたときに、前記USB2.0ブロックへの電源供給を停止し、
全てのDSポートに関して、SS接続処理を停止させる条件が満たされたときに、前記SSブロックへの電源供給を停止することを特徴とする請求項8から13のいずれか1項に記載の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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