説明

Vカットによる折曲部構造及び継手部付き複合パネル並びに継手部付き複合パネルの接合装置

【課題】段ボールを用いながらも強度的安定性に優れたVカットによる折曲部構造を提供する。
【解決手段】紙管原紙を用いた板紙9を、波形の中しん2がライナ3,3間に介在されてなる紙製の段ボール5の表裏面に貼り合わせてなる板状部材10を用いる。段ボール5は、波形の中しん2とライナ3との間で形成される溝部を有する。板状部材10に、一方の板紙側から他方の板紙側に向けてVカットを形成し、Vカットの左右のカット面19,19に接着剤を塗布する。板状部材19をVカットのカット溝の最深部17を中心として折曲する。両カット面19,19の、段ボールの溝開口部分22,22に存する接着剤21,21が一連に連なった状態で両カット面19,19が接着一体化される。接着剤は中しん2やライナ3に染み込んだ状態にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙管原紙からなる板紙を紙製の段ボールの表裏面に貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されたVカットによる折曲部構造に関するものである。又、該板状部材を用いて構成された継手部付き複合パネルに関するものであり、更に、該継手部付き複合パネルを用いて構成された継手部付き複合パネルの接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
段ボール等の紙シートを複数枚積層して互いに接着して形成した紙製ボードを用いて、Vカットによりコ字状屈曲部を形成してなるパネルとしては、例えば特開平10−183820号公報が開示するものが提案されている。
【0003】
該パネルaは、例えば図47に示す構成のものであり、図48に示すような、段ボールbを積層して互いに接着してなる紙製ボードcを素材として構成されている。該パネルaは、図48に示すように該紙製ボードcの一部を欠切してVカットd,dを形成して後、該紙製ボードcを該Vカットd,dの位置で折り曲げることにより、底片eと両側片f,fが形成され且つ該両側片f,fの間に空間gが設けられてなるコ字状屈曲部hを有している。そして、該空間gには補強枠jが収容され、該補強枠jの両表面k,kと前記側片f,fの内面m,mとが接着剤にて接着されることによりパネルaが構成されている。
【0004】
前記空間gに前記補強枠jを収容する目的は、前記Vカットd,dの位置で紙製ボードcを折曲しただけではその形が崩れてしまうことや、前記両側片f,f間に空間gが形成されているためにパネル強度が十分でないことに鑑み、該空間gに補強枠jを収容することによって形が崩れない高強度のパネルを形成するのであった。
【0005】
かかるコ字状屈曲部hを有する従来のパネルaは、紙製ボードcだけでは、コ字状屈曲部hを所要強度で型崩れしないように保持することができなかったことから、特別な補強枠jを用いざるを得なかったのであり、そのために、パネル製造に手間を要したばかりか特別な補強枠を必要としてパネルの製造コストの上昇を招く問題もあったのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−183820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題点に鑑みて開発されたものであり、紙管原紙からなる板紙を紙製の段ボールの表裏面に貼り合わせて構成した板状部材を用いることを基本として、強度的安定性に優れたVカットによる折曲部構造の提供を課題とするものである。又本発明は、該板状部材を用い且つ該Vカットによる折曲部構造を応用して構成された、継手部の形態が安定状態で保持される継手部付き複合パネルの提供を課題とするものである。更に本発明は、該継手部付き複合パネルを用いて構成された構造的安定性に優れる継手部付き複合パネルの接合装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係るVカットによる折曲部構造(以下、折曲部構造という)は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いは該紙管原紙の複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を、波形の中しんがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に貼り合わせてなる板状部材に、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されてVカットが形成されている。そして、該Vカットの左右のカット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とするものである。
【0009】
前記折曲部構造において、前記段ボールは、表ライナと中ライナと裏ライナの3層のライナを有し、該表ライナと該中ライナとの間に、段数が少なく段高さの大きい波形の第1の中しんを介在させると共に、該裏ライナと該中ライナとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しんを介在させてなる複両面段ボールとし、前記Vカットのカット溝が前記第1の中しん側で欠切形成されており前記Vカットのカット溝の最深部側に前記第2の中しんが位置すると共に前記カット溝の開放端側に前記第1の中しんが位置されたものとして構成するのがよい。
【0010】
前記折曲部構造において、前記紙管原紙の流れ目の方向を前記段ボールの前記溝部の延長方向に合わせるのがよい。
【0011】
前記各折曲部構造において、前記Vカットは、前記溝部の延長方向と直交する方向に延長して設けられることの他、前記溝部の延長方向に延長して設けられることもある。
【0012】
又、本発明に係る継手部付き複合パネル(以下、複合パネルともいう)は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いは該紙管原紙の複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を、波形の中しんがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に貼り合わせてなる板状部材に、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの2本が所要間隔を置いて平行して形成され、該板状部材が、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによってコ字状の継手部が形成される如くなされている。そして、前記Vカットの左右のカット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とするものである。
【0013】
前記複合パネルにおいて、前記紙管原紙の流れ目の方向を前記段ボールの前記溝部の延長方向に合わせるのがよい。
【0014】
前記複合パネルにおいて、前記段ボールとしては、表ライナと中ライナと裏ライナの3層のライナを有し、該表ライナと該中ライナとの間に、段数が少なく段高さの大きい波形の第1の中しんが介在されると共に、該裏ライナと該中ライナとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しんが介在されてなる複両面段ボールを用いることとし、前記Vカットのカット溝が前記第1の中しん側で欠切形成されており前記Vカットのカット溝の最深部側に前記第2の中しんが位置すると共に前記カット溝の開放端側に前記第1の中しんが位置されている如く構成するのがよい。
【0015】
前記各複合パネルにおいて、前記Vカットは、前記溝部の延長方向と直交する方向に延長して設けられることの他、前記溝部の延長方向に延長して設けられることもある。
【0016】
又、本発明に係る継手部付き複合パネルの接合装置(以下、接合装置という)は、第1の平板部の左右方向で見た一方の端部分の端部で、外方に向けて直角に折曲されて第1の折曲片が形成されると共に、該第1の折曲片の先端で、他方の端部分に向けて直角に折曲されて第2の折曲片が形成され、該一方の端部分と該第1の折曲片と該第2の折曲片とにより、接合溝を有するコ字状の第1の継手部が形成されてなる第1の継手部付き複合パネルと、第2の平板部の左右方向で見た一方の端部分の端部で直角に折曲されて、前記第1の折曲片の外面に当接し得る第3の折曲片が形成されると共に、該第3の折曲片の先端で直角に折曲されて前記第2の折曲片の外面に当接し得る第4の折曲片が形成され、又、該第4の折曲片の先端で直角に折曲されて前記第2の折曲片の端面に当接し得る第5の折曲片が形成され、更に、該第5の折曲片の先端で前記接合溝に挿入される第6の折曲片が形成されてコ字状の第3の継手部が設けられてなる第2の継手部付き複合パネルとからなる継手部付き複合パネル相互の接合装置である。
【0017】
そして、前記第1の平板部と前記第2の平板部は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いはその複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を段ボールの表裏面に貼り合わせてなる第1の板状部材と第2の板状部材を用いてなり、該第1の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの2本が所要間隔を置いて平行して形成され、該第1の板状部材が、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによってコ字状の前記第1の継手部が形成される如くなされており、又、該第2の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの4本が所要間隔を置いて平行して形成され、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによって前記第3の継手部が形成される如くなされており、夫々のVカットの左右の両カット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とするものである。
【0018】
又、本発明の接合装置の他の態様は、第1の平板部の左右方向で見た一方の端部分の端部で、外方に向けて直角に折曲されて第7の折曲片が形成されると共に、該第7の折曲片の先端で、他方の端部分に向けて直角に折曲されて第8の折曲片が形成され、該一方の端部分と該第7の折曲片と該第8の折曲片とにより、接合溝を有するコ字状の第4の継手部が形成されてなる第1の継手部付き複合パネルと、第2の平板部の左右方向で見た一方の端部分が、前記第7の折曲片の外面に当接し得る移動阻止片となり、該移動阻止片の先端で直角に折曲されて前記第8の折曲片の外面に当接し得る第9の折曲片が形成され、又、該第9の折曲片の先端で直角に折曲されて前記第8の折曲片の端面に当接し得る第10の折曲片が形成され、更に、該第10の折曲片の先端で前記接合溝に挿入される第11の折曲片が形成されてコ字状の第5の継手部が設けられてなる第2の継手部付き複合パネルとからなる継手部付き複合パネル相互の接合装置である。
【0019】
そして、前記第1の平板部と前記第2の平板部は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いはその複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を段ボールの表裏面に貼り合わせてなる第1の板状部材と第2の板状部材を用いてなり、該第1の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの2本が所要間隔を置いて平行して形成され、前記第1の板状部材が、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによってコ字状の前記第4の継手部が形成される如くなされており、又、該第2の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの4本が所要間隔を置いて平行して形成され、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによって前記第5の継手部が形成される如くなされており、夫々のVカットの左右の両カット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
本発明は、紙管原紙からなる板紙を段ボールの表裏面に貼り合わせてなる板状部材を用いて構成されている。又本発明は、Vカットによる折曲部の開きに対する抵抗力を増大させ得る独特の接着手段を採用している。即ち、Vカットの左右のカット面に塗布された接着剤が段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なり両カット面が接着一体化されてなるという独特の接着手段を採用している。
【0021】
かかることから本発明によるときは、段ボールの利点と紙管原紙の利点を巧みに生かしつつ独特の接着手段を用いて、全体厚さを極力薄くできながら(段ボールを何枚も重ねて強度を確保するものに比し極力薄くできながら)、比較的軽量で、形態保形性、強度的安定性にも優れた折曲部構造及び複合パネルを提供できることとなる。これを具体的に説明すれば以下のようである。
【0022】
(1) 本発明によるときは、軽量で良好な曲げ強度(段ボールの溝部の方向を弓形にするようには湾曲させにくい曲げ強度)を有する段ボールの特性をそのまま有効に発揮させることができる。
【0023】
(2) 前記独特の接着手段によって、Vカットの左右のカット面が接着一体化された状態で、前記中しんや前記ライナに染み込んでこれらと一体化した接着剤硬化部が、前記溝開口部分に存して一連に連なった接着剤硬化物に対するアンカー作用を発揮する。かかることから、該接着手段によって、Vカットの前記最深部を中心とした折り曲げによって形成された折曲部の開きに対して大きく抵抗できることとなり、従来におけるような特別な補強枠を要することなく、両カット面が剥離しにくい強度的安定性に優れた折曲部や、継手部を構成できることとなる。
【0024】
(3) そして、柔らかくて形態保形に難のある段ボールを用いて構成されているものではあっても、硬質で耐衝撃性に優れると共に形態保形性にも優れる硬質の紙管原紙の特性を生かして、Vカットによる折曲部の形態を安定的に保持させることができる。かかることから、パネル相互の確実且つ強固な接合を可能とするコ字状の接合の形態を、強度が高く保形性に優れたものとして構成できることになる。
【0025】
(4) 前記段ボールとして次の構成を有する如く、即ち、表ライナと中ライナと裏ライナの3層のライナを有し、該表ライナと該中ライナとの間に、段数が少なく段高さの大きい波形の第1の中しんを介在させると共に、該裏ライナと該中ライナとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しんを介在させてなる複両面段ボールであって、前記Vカットのカット溝が前記第1の中しん側で欠切形成されており前記Vカットのカット溝の最深部側に前記第2の中しんが位置すると共に前記カット溝の開放端側に前記第1の中しんが位置する如く構成するときは、Vカットによる折曲部の入隅側に比較的大きな接着剤硬化物が存在することになるため、折曲部の開きに対する抵抗力を増大させることができ、構造的により安定した折曲部を構成できることになる。
【0026】
(5) 本発明に係る継手付き複合パネルは、紙製の段ボールと紙管原紙を用いて構成するため、古紙使用により、環境に配慮された折曲部構造、継手付き複合パネルを構成できることになる。
【0027】
(6) 本発明に係る継手部付き複合パネルの接合装置によるときは、複合パネル相互が分離する恐れのない安定構造の接合部を構成できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る折曲部構造を示す断面図である。
【図2】本発明で用いる板状部材の構成を説明する斜視図と側面図、及び、板紙を示す部分側面図である。
【図3】板状部材にVカットを形成した態様を示す側面図である。
【図4】板状部材にVカットを形成した他の態様を示す側面図である。
【図5】板状部材に2本のVカットを平行して形成した状態を示す斜視図である。
【図6】そのVカットで折曲してコ字状の継手部を形成してなる継手部付き複合パネルを示す部分平面図である。
【図7】コンテナ囲枠を構成する第1型の複合パネル〜第6型の複合パネルを示す斜視図である。
【図8】第1型の複合パネルを示す斜視図と部分平面図である。
【図9】その複合パネルを構成する板状部材と、該板状部材にVカットを設けた状態を示す部分平面図である。
【図10】第2型の複合パネルを示す斜視図と部分平面図である。
【図11】継手部相互を接合した状態を示す平面図である。
【図12】第3型の複合パネルを示す斜視図と部分平面図である。
【図13】継手部相互を接合した状態を示す平面図である。
【図14】第4型の複合パネルを示す斜視図とその部分平面図である。
【図15】継手部相互を接合した状態を示す平面図である。
【図16】継手部相互を接合した状態を示す平面図である。
【図17】第5型の複合パネルを示す斜視図と部分平面図である。
【図18】継手部相互を接合した状態を示す平面図である。
【図19】第6型の複合パネルを示す斜視図と部分平面図である。
【図20】継手部相互を接合した状態を示す平面図である。
【図21】第1パネルと第2パネルとの接合工程を説明する斜視図である。
【図22】第3パネルと第4パネルの夫々を他のパネルに接合する工程を説明する斜視図である。
【図23】第5パネルと第6パネルの夫々を他のパネルに接合する工程を説明する斜視図である。
【図24】第7パネルと第8パネルの夫々を他のパネルに接合する工程を説明する斜視図である。
【図25】第9パネルと第10パネルの夫々を他のパネルに接合する工程を説明する斜視図である。
【図26】第11パネルと第12パネルの夫々を他のパネルに接合する工程を説明する斜視図である。
【図27】第13パネルと第14パネルの夫々を他のパネルに接合する工程を説明する斜視図である。
【図28】第1パネル〜第14パネルを順次接合して構成されたコ字枠体を示す斜視図である。
【図29】コ字枠体の前方開放端を側部覆体で塞いで構成されたコンテナ囲枠を示す斜視図である。
【図30】側部覆体を構成する第15パネルと第16パネルの組立て工程を説明する斜視図である。
【図31】その平面図である。
【図32】その平面図である。
【図33】側部覆体を構成する第17パネルの組立て工程を説明する斜視図である。
【図34】パネルの移動阻止片の外面側に形成される段差部分に補強材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図35】その平面図である。
【図36】コンテナ囲枠を分解するために第21パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
【図37】その分解のために第20パネルを取り外した状態を示す斜視図である。
【図38】その取り外しのために第19パネルを取り外す工程を説明する斜視図である。
【図39】本発明に係る折曲部構造の他の実施例を示す断面図と、それを構成する板状部材を示す斜視図である。
【図40】その折曲部構造を用いて構成された複合パネルを示す部分平面図である。
【図41】複合パネルを用いて構成された六角形枠体を示す平面図である。
【図42】その六角形枠体を構成する板状部材にVカットを形成した状態を示す側面図と、そのVカットで折曲して構成された折曲部構造を示す断面図である。
【図43】本発明に係る折曲部構造を用いて構成された五角形枠体の頂点部を示す断面図である。
【図44】本発明に係る折曲部構造を用いて構成された傾斜棚部を示す斜視図と側面図である。
【図45】複合パネルを用いて構成された間仕切りの一例を示す斜視図である。
【図46】板状部材にVカットを形成した他の態様を示す側面図である。
【図47】Vカットによりコ字状屈曲部が形成されてなる従来のパネルを示す側面図である。
【図48】そのパネルを構成する紙製ボードにVカットを形成した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明に係る継手部構造Aを示すものであり、図2(A)(B)に示すような、波形の中しん2がライナ3,3間に介在されてなる紙製の段ボール5の表裏面6,7に板紙9,9を貼り合わせてなる、一方向に延長する矩形板状の板状部材10を用いて構成されている。該板紙9は、図2(C)に示すような、対向する表面11,11が平滑な硬質面として形成された紙管原紙12の一枚からなり、或いは図2(D)に示すような、該紙管原紙12の複数枚(例えば2枚)をその表面11,11相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる。
【0030】
該板状部材10には、図2(A)に一点鎖線で示し、又、図3〜4に示すようにVカット13が設けられている。該Vカット13は、一方の板紙9a側から他方の板紙9b側に向けて形成され、該他方の板紙9bを切断しないように欠切形成されている。そして該Vカット13は、図3に示すように、前記中しん2と前記ライナ3との間で形成される溝部15の延長方向と直交する方向に延長して設けられることの他、図4に示すように、該溝部15に延長して設けられることもある。
【0031】
そして、前記板状部材10が、前記Vカット13のカット溝16の最深部17を中心として折曲され該Vカット13の左右のカット面19,19が接着一体化されることによって、図1に示す折曲部構造Aが構成されるようになされている。
【0032】
該折曲部構造Aは、前記左右のカット面19,19に接着剤21が塗布され、該接着剤21が、前記段ボール5の波形の中しん2と前記ライナ3との間で形成される溝部15の前記カット面19,19で開口された溝開口部分22,22に入り込み、該接着剤21が前記中しん2や前記ライナ3に染み込んだ状態となされ、前記板状部材10が、前記Vカット13のカット溝16の最深部17を中心として折曲され、図1に示すように、両カット面19,19の溝開口部分22,22に存する接着剤21が一連に連なった状態で該両カット面19,19が接着一体化されてなるものである。カット溝16の最深部17を中心として折曲した場合、各溝部15が平行状態で直線状に延長している段ボール5の構造上、両カット面19,19で開口された溝開口部分22,22は自ずから合致する。従って、直線状に延長する溝部15の一部分がVカット13の欠切により切除されて形成された隣り合う溝開口部分22,22に存する接着剤21,21は、前記折曲により、自ずから一連に連なった状態となる。該接着剤としては、例えば酢酸ビニル樹脂エマルジョンを用いることができる。
【0033】
かかる構成の折曲部構造Aにあっては、図1に示すように、前記両カット面19,19の前記溝開口部分22,22に存する接着剤21,21が一連に連なった状態にあり、しかも、該溝開口部分22,22に存する接着剤21,21が前記中しん2と前記ライナ3に染み込んだ状態にある。かかることから、該接着剤21が硬化して両カット面19,19が接着一体化された状態では、該中しん2や該ライナ3に染み込んで硬化してこれらと一体化した接着剤硬化部が、前記溝開口部分22,22に存して一連に連なった接着剤硬化物23に対するアンカー作用を発揮する。従って、かかる折曲部構造Aによるときは、両カット面19,19相互が単に接着一体化されているだけの場合とは異なり、両カット面19,19に現れる板紙端面25,25相互の面接着作用だけでなく、一連に連なった接着剤硬化物23が、Vカット13の前記最深部17を中心とした折り曲げにより形成された折曲部26の開きに対して大きく抵抗することになるので、両カット面19,19が剥離しにくい強度的安定性に優れた折曲部26が構成されることになる。
【0034】
本発明に係る継手部付き複合パネル1は、図5〜6に示すように、前記板状部材10に、例えばその長さ方向に所要間隔を置いて2本のVカット13,13を設け(図5)、該板状部材10を、該Vカット13,13の夫々の位置で折曲して構成されており、夫々のVカット13,13で、前記折曲部構造Aが応用されている。
【0035】
より具体的には、図1に示すと同様にして、前記板状部材10が、該Vカット13,13のカット溝16,16の最深部17,17を中心として折曲され、各Vカット13の左右のカット面19,19に接着剤21が塗布され、該接着剤21が、前記段ボール5の波形の中しん2と前記ライナ3との間で形成される溝部15の前記カット面19,19で開口された溝開口部分22,22に入り込み、該接着剤21が前記中しん2と前記ライナ3に染み込んだ状態となされ、該板状部材10が、前記Vカットのカット溝16の最深部17を中心として折曲され、両カット面19,19の溝開口部分22,22に存する接着剤21が一連に連なった状態で該両カット面19,19が接着一体化され、コ字状の継手部27が構成されている。該コ字状の継手部27は、強度的安定性に優れる前記折曲部構造Aを採用していることと、紙管原紙12からなる硬質の板紙9が段ボール5の表裏面に貼り合わせられてなることとの相乗効果によって、継手部のコ字状の形態が安定的に保持されることとなる。
【0036】
図7は、本発明に係る継手部付き複合パネル1が、上下端が開放した直方体筒状を呈する図29に示すコンテナ囲枠29を構成するために応用された場合を示し、第1型の複合パネル1aと、第2型の複合パネル1bと、第3型の複合パネル1cと、第4型の複合パネル1dと、第5型の複合パネル1eと、第6型の複合パネル1fの6種類の複合パネルが図示されている。
【0037】
かかる構成を有する第1型〜第6型の複合パネルを用いて前記コンテナ囲枠29(長辺L1が約2900mm、短辺L2が約1200mm、高さL3が約2540mm)を構成するのであるが、本実施例においては、該コンテナ囲枠29を、簡易な上下係合接合構造によって構造的に安定したものとして構成できるようにするために、これらの複合パネルの上下高さを例えば次のように設定している。即ち、第1型の複合パネル1aにあっては高さL4を約635mmに、第2型の複合パネル1bにあっては高さL5を約847mmに、第3型の複合パネル1cにあっては高さL6を約635mmに、第4型の複合パネル1dにあっては高さL7を約847mmに、第5型の複合パネル1eにあっては高さL8を約635mmに、第6型の複合パネル1fにあっては高さL9を約847mmに設定している。
【0038】
該第1型の複合パネル1aは図8(A)(B)に示すように、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する板状部材10の左右方向両端部分にコ字状の継手部27a,27bを設けてなる。
【0039】
より具体的に説明すれば、該板状部材10は図9(A)に示すように、紙製の段ボール5の表裏面6,7に板紙9a,9bを貼り合わせてなる、左右方向に延長した横長矩形板状を呈しており、図8に示すように、該板状部材10からなる平板部31の左右方向両端部分の外面側32に、コ字状を呈する第1の継手部27aと第2の継手部27bが左右対称の形態で設けられている。該板状部材10を構成する前記段ボール5は、図9(A)に示すように、表ライナ3aと中ライナ3bと裏ライナ3cの三層のライナを有し、該表ライナ3aと該中ライナ3bとの間に、段数が少なく段高さの大きい波形の第1の中しん2aを介在させると共に、該裏ライナ3cと該中ライナ3bとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しん2bを介在させた、ABフルートの複両面段ボールとして構成されている。又、前記板紙9は、本実施例においては、前記紙管原紙12の1枚からなり、例えば、約1mm厚さで坪量が660g/m〜710g/m程度の高密度で圧縮強度が高いものを用いることができる。好ましくは、耐水性を有するものがよい。該耐水性の紙管原紙は、例えば、耐水性の薬品を紙管原紙に染み込ませて形成できる。
【0040】
前記板状部材10の左右方向両端部分の外面側32において、Vカット13の2本が間隔を置いて、該板状部材10の幅方向(左右方向と直角の方向)に延長する如く平行して形成されている。該Vカット13は、前記カット溝16の最深部側に前記第2の中しん2bが位置すると共に前記カット溝16の開放端側に前記第1の中しん2aが位置するように、一方の板紙9a側から他方の板紙9b側に向けて形成され、該他方の板紙9bを切断しないように欠切され且つ開口角度θ(図9(A))が90度に設定されている。
【0041】
然して図8(B)に示すように、前記板状部材10が、前記2本のVカット13,13の夫々についてそのカット溝16の最深部17を中心として折曲されることにより、前記平板部31の一方の端部分34と他方の端部分36において、その端部37,38で直角に折曲されて第1の折曲片39が形成されると共に該第1の折曲片39の先端40で直角に折曲されて第2の折曲片41が形成されている。そして、該一方の端部分34と該第1の折曲片39と該第2の折曲片41とにより、又、該他方の端部分36と該第1の折曲片39と該第2の折曲片41とにより、コ字状を呈して上下端が開放した、接合溝45を有する前記第1の継手部27aと前記第2の継手部27bが、その内方開放端46,47が向き合う状態で左右対称に設けられている。
【0042】
かかる第1の継手部27aと第2の継手部27bを構成するに際しては、図1に示すと同様にして、前記左右のカット面19,19に接着剤21を塗布する。これにより、該接着剤21が、前記段ボール5の波形の中しん2と前記ライナ3との間で形成される溝部15の前記カット面19,19で開口された溝開口部分22,22に入り込んだ状態となり、該接着剤21が前記中しん2と前記ライナ3に染み込んだ状態となる。このように接着剤21を塗布した後、前記板状部材10を、前記Vカットのカット溝16の最深部17を中心として折曲する。これによって、両カット面19,19の溝開口部分22,22に存する接着剤21が一連に連なって接着剤硬化物23が形成された状態で両カット面19,19が接着一体化され、前記したような、形態が安定状態のコ字状の継手部27a,27bが構成されることになる。
【0043】
特に本実施例においては、前記カット溝16の最深部17側に前記第2の中しん2bが位置すると共に前記カット溝16の開放端側に前記第1の中しん2aが位置し、図1に示すように、Vカット13の折曲部26の入隅側47にはその出隅側49におけるよりも大きな接着剤硬化物23が存在している。かかることから、コ字状の継手部27の各折曲部26,26が、開きに対する抵抗力がより高められた構造部となっているのであり、このことがコ字状の継手部27の強度的な安定性をもたらしているのである。
【0044】
前記第2型の複合パネル1bは、図10に示すように、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する前記と同様構成の板状部材10からなる平板部31の一方の端部分50の外面側51に、移動阻止片52を介して、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有するコ字状の第3の継手部27cが設けられる一方、該平板部31の他方の端部分55の外面側56には、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有するコ字状の第4の継手部27dが設けられている。
【0045】
前記第3の継手部27cは、図10(B)、図11に示すように、前記平板部31の一方の端部分50の端部59で折曲されて、前記第1型の複合パネル1aの前記第1の継手部27aを構成する前記第1の折曲片39の外面60に当接し得る前記移動阻止片52としての第3の折曲片61が外方に直角に折曲形成されると共に、該第3の折曲片61の先端62で、前記第2の折曲片41の外面63に当接し得る第4の折曲片65が直角に折曲形成され、該第4の折曲片65の先端66で、前記第2の折曲片41の端面67に当接し得る第5の折曲片69が内方に直角に折曲形成されており、更に、該第5の折曲片69の先端70で、前記第1の継手部27aの前記接合溝45に挿入される第6の折曲片71が直角に折曲形成されている。
【0046】
又、該第4の継手部27dは、前記第1型の複合パネル1aにおける前記第1の継手部27aと同様の構成を有しており、前記平板部31の他方の端部分55の端部73で直角に折曲されて第7の折曲片75が形成されると共に該第7の折曲片75の先端76で直角に折曲されて第8の折曲片77が形成され、該他方の端部分55と該第7の折曲片75と該第8の折曲片77とによりコ字状を呈する如くなされており、上下端が開放した接合溝45を有している。
【0047】
前記第3型の複合パネル1cは、図12に示すように、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する前記と同様構成の板状部材10からなる平板部31の、左右方向で見た一方の端部分79の内面側80に、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有する第5の継手部27eが設けられる一方、該平板部31の他方の端部分81の外面側82には、前記折曲部構造Aを用いて、外方に直角に折曲されてなる第6の継手部27fが設けられている。
【0048】
該第5の継手部27eは図12(B)、図13に示すように、前記平板部31の一方の端部分79が、前記第4の継手部27dを構成する前記第7の折曲片75の外面83に当接し得る移動阻止片52を構成すると共に、該一方の端部分79の端部85で第9の折曲片86が内方に直角に折曲形成されると共に該第9の折曲片86の先端87で、前記第8の折曲片77の端面89に当接し得る第10の折曲片90が直角に折曲形成され、該第10の折曲片90の先端91で、前記第4の継手部27dの前記接合溝45に挿入される第11の折曲片92が直角に折曲形成されている。
【0049】
又、前記第6の継手部27fは図12(B)、図15に示すように、前記平板部31の他方の端部分81が、後述するコ字状の第7の継手部27gの接合溝45を構成する第14の折曲片110の端面93に当接し得る移動阻止片52として機能し、該他方の端部分81の端部95に、該接合溝45に挿入される第12の折曲片96が外方に向けて直角に折曲形成されている。
【0050】
前記第4型の複合パネル1dは、図14に示すように、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する前記と同様構成の板状部材10からなる平板部31の、左右方向で見た一方の端部分97の内面側99に、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有するコ字状の第7の継手部27gが設けられる一方、該平板部31の他方の端部分101の内面側102には、前記折曲部構造Aを用いて、移動阻止片52を介して、接合溝45を有するコ字状の第8の継手部27hが設けられている。
【0051】
該第7の継手部27gは図14(B)に示すように、前記平板部31の一方の端部分103の端部105で内方に直角に折曲されて第13の折曲片106が形成されると共に、該第13の折曲片106の先端107で、他方の端部分101に向けて直角に折曲されて第14の折曲片110が形成され、該一方の端部分103と該第13の折曲片106と該第14の折曲片110とにより、コ字状を呈して上下端が開放した、接合溝45を形成する如く構成されている。
【0052】
又、前記第8の継手部27hは図14(B)、図16に示すように、前記平板部31の他方の端部分101の端部111で外方に向けて直角に折曲されて、後述するコ字状の第9の継手部27jの第19の折曲片112の外面113に当接し得る移動阻止片52としての第15の折曲片115が外方に直角に折曲形成されると共に、該第15の折曲片115の先端116で、後述するコ字状の第9の継手部27jの第20の折曲片117の外面119に当接し得る第16の折曲片120が直角に折曲形成され、該第16の折曲片120の先端121で、該第20の折曲片117の端面122に当接し得る第17の折曲片123が内方に直角に折曲形成されており、更に、該第17の折曲片123の先端125で、後述するコ字状の第9の継手部27jの接合溝45に挿入される第18の折曲片126が直角に折曲形成されている。
【0053】
前記第5型の複合パネル1eは、図17に示すように、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する前記と同様構成の板状部材10からなる平板部31の、左右方向で見た一方の端部分127の外面側129に、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有するコ字状の第9の継手部27jが設けられる一方、該平板部31の他方の端部分130の内面側131には、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有するコ字状の第10の継手部27kが設けられている。
【0054】
該第10の継手部27kは図17(B)、図18に示すように、前記平板部31の他方の端部分130の端部133で内方に直角に折曲されて第21の折曲片135が形成されると共に、該第21の折曲片135の先端136で、前記一方の端部分127に向けて直角に折曲されて第22の折曲片137が形成され、該他方の端部分130と該第21の折曲片135と該第22の折曲片137とにより、コ字状を呈して上下端が開放した接合溝45を有する如く構成されている。
【0055】
前記第6型の複合パネル1fは、図19に示すように、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する前記と同様構成の板状部材10からなる平板部31の、左右方向で見た一方の端部分139の外面側140に、前記折曲部構造Aを用いて、第11の継手部27mが設けられる一方、該平板部31の他方の端部分141の内面側142には、前記折曲部構造Aを用いて、接合溝45を有するコ字状の第12の継手部27nが設けられている。
【0056】
該第11の継手部27mは図18、図19に示すように、前記平板部31の一方の端部分143が、前記第10の継手部27kの前記第22の折曲片137の端面145に当接し得る移動阻止片52として機能し、該一方の端部分143の端部146に、該接合溝45に挿入される第23の折曲片147が外方に向けて直角に折曲形成されている。
【0057】
又前記第12の継手部27nは図19(B)、図20に示すように、前記平板部31の他方の端部分141が、前記第2の継手部27bを構成する前記第1の折曲片39の外面148に当接し得る移動阻止片52を構成すると共に、該他方の端部分141の端部150で第24の折曲片151が内方に直角に折曲形成されると共に該第24の折曲片151の先端152で、前記第2の折曲片41の端面153に当接し得る第25の折曲片155が直角に折曲形成され、該第25の折曲片155の先端156で、前記第2の継手部27bの前記接合溝45に挿入される第26の折曲片157が直角に折曲形成されている。
【0058】
次に、かかる構成を有する6種類の複合パネル、即ち第1型〜第6型の複合パネル1a,1b,1c,1d,1e,1fを用いて前記コンテナ囲枠29を組み立てる作業工程の一例を説明すれば、次の通りである。なお該コンテナ囲枠29は、本実施例においては、第1パネル〜第21パネルの21枚のパネルを順次組み合わせて構成されるものとなされている。
【0059】
この組立て施工例においては、先ず図21に示すように、前記第2型の複合パネル1bからなる第1パネルP1をパレット上面159に垂直に立設する。同図においては、第4の継手部27dが右に位置し、移動阻止片52に連なる第3の継手部27cが左に位置している。
【0060】
その後、図21に示すように、前記第1型の板状部材1aからなる第2パネルP2を、その第1の継手部27aの前記第2の折曲片41(図8)が前記第3の継手部27cの接合溝45(図10)に挿入されるように、前記第1パネルP1に対して上下方向で位置決めし、該第2の折曲片41が該接合溝45に順次挿入状態となるように該第1の継手部27aを下方にスライドさせ、図22に示すように、該第2パネルP2の下面160を前記パレット上面159に当接させ、これによって該第2パネルP2をパレット上面159に立設状態とする。図22,図11は、該第1パネルP1の第3の継手部27cと該第2パネルP2の第1の継手部27aとが係合した状態で該第1パネルP1と該第2パネルP2とが左右方向に直線状に接合された状態を示している。この状態で、図11に示すように、前記第1の継手部27aの前記第1の折曲片39の外面60が前記第3の折曲片(移動阻止片52)61に当接状態になると共に前記第2の折曲片41の端面67が前記第5の折曲片69に当接状態になる。その結果、該第3の継手部27cと該第1の継手部27aとは左右方向での移動が阻止され両者の接合部158が分離する恐れがない。そして、第1パネルP1と第2パネルP2とが接合された状態で、図22に示すように、該第1パネルP1の高さL5が前記第2パネルP2の高さL4よりも高いことから(212mm程度高い)、第1、第2パネルP1,P2は、接合部分161で段差が生じている。
【0061】
図22は、前記第3型の複合パネル3cからなる第3パネルP3を、前記第5の継手部27eの接合溝45(図12)に前記第8の折曲片77(図10)が挿入されるように上下方向で位置決めし、該第8の折曲片77が前記接合溝45に順次挿入状態となるように該第5の継手部27eを下方にスライドさせ、図23に示すように、該第3パネルP3の下面162を前記パレット上面159に当接させ、これによって該第3パネルP3をパレット上面159に立設状態とする。図23には、該第3パネルP3が前記第1パネルP1に対して直角に接合された状態が示されている。該接合状態において、図13に示すように、前記第1パネルP1の第7の折曲片75の外面83が前記移動阻止片52に当接状態になると共に前記第8の折曲片77の端面89が前記第10の折曲片90に当接状態になる。その結果、前記第5の継手部27eと前記第4の継手部27dとは移動が阻止され両者の接合部164が分離する恐れがない。そして、第1パネルP1と第3パネルP3とが接合された状態で、図23に示すように、該第1パネルP1の高さL5が第3パネルP3の高さL6よりも高いことから(212mm程度高い)、第1、第3パネルP1,P3は接合部分163で段差が生じている。
【0062】
その後、図22に示すように、前記第6型の複合パネル1fからなる第4パネルP4の第12の継手部27nを、その接合溝45(図19)に前記第2パネルP2の前記第2の折曲片41(図8)を挿入させ得るように上下方向で位置決めし、図22に矢印で示すように、該第2の折曲片41が該接合溝45に順次挿入状態となるように該第12の継手部27nを下方にスライドさせ、図23に示すように、該第4パネルP4の下面165を前記パレット上面159に当接させ、これによって該第4パネルP4をパレット上面159に立設状態とする。図23は、該第4パネルP4が前記第2パネルP2に対して直角に接合された状態を示す。該接合状態において、図20に示すように、前記第2パネルP2の第1の折曲片39の外面148が前記移動阻止片52に当接状態になると共に前記第2の折曲片41の端面153が前記第25の折曲片155に当接状態になる。その結果、前記第12の継手部27nと前記第2の継手部27bとは移動が阻止され両者の接合部168が分離する恐れがない。そして、第4パネルP4と第2パネルP2とが接合された状態で、該第4パネルP4の高さL9が第2パネルP2の高さL4よりも高いことから(212mm程度高い)、第4、第2パネルP4,P2は接合部分166で段差が生じている。
【0063】
その後、図23に示すように、前記第1型の複合パネル1aからなる第5パネルP5を、その左側に位置する第2の継手部27bを、前記第4パネルP4の前記第12の継手部27nの上側に位置させると共に前記第1の継手部27aを、前記第1パネルP1の第3の継手部27cの上側に位置させて、前記第2の折曲片41(図8)を前記第12の継手部27nの接合溝45(図19)に挿入させ得るように且つ、前記第2の折曲片41(図8)を前記第3の継手部27cの接合溝45(図10)に挿入させ得るように上下方向で位置決めし、図23に矢印で示すように、第2の継手部27bの該第2の折曲片41が第12の継手部27nの接合溝45に順次挿入状態となるように且つ、第1の継手部27aの前記第2の折曲片41が第3の継手部27cの前記接合溝45に順次挿入状態となるように、該第2の継手部27bと該第1の継手部27aを下方にスライドさせ、図24に示すように、該第5パネルP5の下面167を前記第2パネルP2の上面169に当接させる。これにより、該第5パネルP5が第2パネルP2に立設状態となる。この状態で、前記したところと同様、該第2の継手部27bと該第12の継手部27nとの接合部170及び、該第1の継手部27aと該第3の継手部27cとの接合部171が分離する恐れがない。そして、第5パネルP5と第2パネルP2とが上下接合された状態で、図24に示すように、該第5のパネルP5の該第2の継手部27bと該第1の継手部27aが、前記第4パネルP4、前記第1パネルP1の上面172,173の上方に突出した状態となる。
【0064】
その後、図23に示すように、前記第3型の複合パネル1cからなる第6パネルP6の第5の継手部27eを、その接合溝45(図12)に前記第1パネルP1の前記第4の継手部27dの前記第8の折曲片77(図10)を挿入させ得るように上下方向で位置決めし、図23に矢印で示すように、該第8の折曲片77が該接合溝45に順次挿入状態となるように該第5の継手部27eを下方にスライドさせ、図24に示すように、該第6パネルP6の下面175を前記第3パネルP3の上面176に当接させる。これにより、該第6パネルP6が第3パネルP3に立設状態となる。この状態で、前記したところと同様にして、両継手部27e,27dの接合部177が分離する恐れがない。そして、第6パネルP6と第1パネルP1とが接合された状態で、図24に示すように、該第5の継手部27eが前記パネル1の上面173の上方に突出した状態となる。
【0065】
その後、図24に示すように、前記第2型の複合パネル1bからなる第7パネルP7を、その左側に位置する第3の継手部27cを、前記第5パネルP5の前記第1の継手部27aの上側に位置させると共に前記第4の継手部27dを、前記第6パネルP6の第5の継手部27eの上側に位置させて、前記第2の折曲片41(図8)を前記第3の継手部27cの接合溝45(図10)に挿入させ得るように且つ、前記第11の折曲片92(図12)を前記第4の継手部27dの接合溝45(図10)に挿入させ得るように上下方向で位置決めし、該第2の折曲片41が該接合溝45に順次挿入状態となるように且つ、前記第11の折曲片77が前記接合溝45に順次挿入状態となるように、図24に矢印で示すように、該第3の継手部27cと該第4の継手部27dを下方にスライドさせ、図25に示すように、該第7パネルP7の下面179を前記第1パネルP1の上面180に当接させる。これにより、該第7パネルP7が第1パネルP1に立設状態となる。この状態で、前記したところと同様にして、第3の継手部27cと第1の継手部27aとの接合部181及び、第4の継手部27dと第5の継手部27eとの接合部182が分離する恐れがない。そして、第7パネルP7と第5パネルP5とが接合され、第7パネルP7と第6パネルP6とが接合された状態で、図25に示すように、該第3の継手部27cと第4の継手部27dが前記第5パネルP5、第6パネルP6の上面183,185の上方に突出した状態となる。
【0066】
その後、図24に示すように、前記第6型の複合パネル1fからなる第8パネルP8の第12の継手部27nを、その接合溝45(図19)に前記第5パネルP5の前記第2の継手部27bの第2の折曲片41(図8)を挿入させ得るように上下方向で位置決めし、図24に矢印で示すように、該第2の折曲片41が該接合溝45に順次挿入状態となるように該第12の継手部27nを下方にスライドさせ、図25に示すように、該第8パネルP8の下面186を前記第4パネルP4の上面172に当接させる。これにより、該第8パネルP8が第4パネルP4に立設状態となる。この状態で、前記したところと同様にして、両継手部27b,27nの接合部187が分離する恐れがない。そして、第8パネルP8と第5パネルP5とが接合された状態で、図25に示すように、該第12の継手部27nが前記第5パネルP5の上面183の上方に突出した状態となる。
【0067】
以下このような工程を繰り返して、図25〜28に示すように、前記第3型の複合パネル1cからなる第9パネルP9、前記第1型の複合パネル1aからなる第10パネルP10、前記第2型の複合パネル1bからなる第11パネルP11、前記第6型の複合パネル1fからなる第12パネルP12、前記第1型の複合パネル1aからなる第13パネルP13、前記第3型の複合パネル1cからなる第14パネルP14を、対応の継手部相互を係合させて順次接合していくことにより、図28に示すような、前方が開放したコ字枠体190を構成できる。該コ字枠体190の上端191は、前記第1型の複合パネル1a〜前記第6型の複合パネル1fの前記上下高さの寸法関係から、略一連の水平状態となる。
【0068】
図28に示すように該コ字枠体190をパレット上面159で構成して後、該コ字枠体190の囲み凹部192内に、機械装置や建材などの物品をパレット上面159に載せて収容する。その後図29に示すように、コ字枠体190の前方開放端193を側部覆体195で塞いだ状態にすると、前記コンテナ囲枠29が構成されることになる。
【0069】
該側部覆体195の組立て手順を説明すれば次のようである。先ず図30〜31に示すように、前記第5型の複合パネル1eとしての第15パネルP15の左側の第10の継手部27kの接合溝45に前記第4パネルP4の前記第11の継手部27mの第23の折曲片147を横方向で挿入させ(図31(B))、該第4パネルP4の下面196をパレット上面159に当接させる。これにより図33に示すように、該第15パネルP15がパレット上面159に立設状態となる。これにより、両継手部27k,27mによる接合部197が構成される。
【0070】
その後、図30、図32に示すように、前記第4型の複合パネル1dとしての第16パネルP16の右側の第7の継手部27gの接合溝45に前記第6パネルP6や前記第9のパネルP9の前記第12折曲片96を横方向で挿入させる(図32(B))と共に、該第16パネルP16の第8の継手部27hを、その接合溝45に前記第15パネルP15の前記第9の継手部27jの第20の折曲片117を挿入させ得るように上下方向で位置決めし、図30に矢印で示すように、該第20の折曲片117が該接合溝45に順次挿入状態となるように該第8の継手部27hを下方にスライドさせ、該第16パネルP16の下面199を前記パレット上面159に当接させ、これによって、図33に示すように、該第16パネルP16をパレット上面159に立設状態とする。この状態で、前記したところと同様にして、両継手部27h,27jの接合部200が分離する恐れがない。そして、第15パネルP15と第16パネルP16とが接合された状態で、図33に示すように、該第16パネルP16の高さL7が該第15パネルP15の高さL8よりも高いことから、該第8の継手部27hが前記第15パネルP15の上面201の上方に212mm程度突出した状態となる。
【0071】
その後同様にして、前記第5型の複合パネル1eからなる第17パネルP17、前記第4型の複合パネル1dからなる第18パネルP18、前記第5型の複合パネル1eからなる第19パネルP19、前記第4型の複合パネル1dからなる第20パネルP20、前記第5型の複合パネル1eからなる第21パネルP21を同様に組み立てていくと、図29に示すような、上端202が前記コ字枠体190の上端191と同高さの前記側部覆体195が構成されることになる。そして、前記物品がコンテナ囲枠29内に収容された状態が得られる。
【0072】
かかる構成を有するコンテナ囲枠29は、左右隣り合うパネルの下面側又は上面側に段差が生ずるように上下の継手部が接合される如く各パネルが順次組み立てられる上下係合接合構造を採用しているため、同じ高さのパネルを積み上げていき左右隣り合うパネルの下面及び上面が水平であるのとは異なり、上下に配置されるパネル相互が水平方向で位置ずれしない。又、該コンテナ囲枠29は、紙管原紙12からなる板紙9によって高い強度が得られているため、物品を安定状態で安全に梱包できることになる。そして本実施例においては、前記段ボール5の溝部15が各パネルの延長方向(水平方向)に延びるため、該段ボール5は、該溝部15の方向を弓形にするようには湾曲させにくく、従って各パネルは、側方からの荷重に対する曲げ強度が大きい。
【0073】
なお図34〜35においては、パネルを上下多段に積重した場合における上下方向の荷重に対する強度アップを図るために、前記移動阻止片52の外面側に形成される段差部分205に補強材206を嵌め入れて固定している。該補強材206としては、例えば、紙管原紙を積層状態に貼り合わせてなるものを用いることができる。
【0074】
そして、かかる構成のコンテナ囲枠29を分解するに際しては、例えば図36に示すように、第21パネルP21を上方向にスライドさせて、前記第9の継手部27jと前記第8の継手部27hとの係合状態を外すと共に前記第10の継手部27kと前記第11の継手部27mとの係合状態を外す。これにより該第2パネルP21を取り外すことができる。その後、図37に矢印F1で示すように、前記第8の継手部27hと前記第9の継手部27jとの係合状態が外れる程度に第20のパネルP20を上方向にスライドさせる。このように係合が外れた状態で、図37に矢印F2で示すように、該第20パネルP20を右方向に移動させて前記第6の継手部27fと前記第7の継手部27gとの係合状態を外す。これにより該第20パネルP20を取り外すことができる。
【0075】
その後、図38に矢印F3で示すように、前記第8の継手部27hと前記第9の継手部27jとの係合状態が外れる程度に第19パネルP19を上方向(F3)にスライドさせる。このように係合が外れた状態で、図38に矢印F4で示すように、該第19パネルP19を左方向に移動させて前記第10の継手部27kと前記第11の継手部27mとの係合状態を外す。これにより該第19パネルP19を取り外すことができる。要するに、前記コンテナ囲枠29を分解するに際しては、各パネルの取り外しを、コンテナ囲枠29の上端の上方向にまでパネルを移動させなくても、上方向への多少の移動操作と左右方向での移動操作だけで行い得るのであり、コンテナ囲枠29の分解を能率的に行うことができるのである。
【実施例2】
【0076】
図39は、本発明に係る折曲部構造Aの他の実施例を示すものであり、前記と同様構成の段ボール5の表裏面6,7に、前記と同様構成の板紙9a,9bが貼り合わせられてなる板状部材10に、一方の板紙9a側から他方の板紙9b側に向けて形成されたVカット13が設けられてなる構成においては前記と同様である。本実施例においては、該Vカット13が、図4に示すと同様にして、前記段ボール5を構成する波形の中しん2の溝部15の延長方向に延長している点である。
【0077】
然して本実施例においては、図39(A)に示すように、前記左右のカット面19,19に接着剤21が塗布され、該接着剤21が、両カット面19,19で開口された、Vカット13の延長方向に延びる樋状の溝開口部分22に入り込んだ状態となされ、前記中しん2や前記ライナ3に染み込んでいる。そして該板状部材10が、前記Vカット13のカット溝16の最深部17を中心として折曲され、両カット面19,19の溝開口部分22に存する接着剤21が一連に連なった状態で該両カット面19,19が接着一体化されている。
【0078】
かかる構成の折曲部構造Aにあっては、前記両カット面19,19の前記溝開口部分22,22に存する接着剤21,21が一連に連なった状態にあり、しかも、該接着剤21,21が前記中しん2と前記ライナ3に染み込んだ状態にある。かかることから、該接着剤21が硬化して両カット面19,19が接着一体化された状態では、該中しん2や該ライナ3に接着剤21が染み込んで硬化することにより、これらと一体化した接着剤硬化部が、前記溝開口部分22,22に存して一連に連なった接着剤硬化物23に対するアンカー作用を発揮する。従って、かかる折曲部構造Aによるときは、両カット面19,19相互が単に接着一体化されているだけの場合とは異なり、一連に連なった状態の接着剤硬化物23が、Vカット13の前記最深部17を中心とした折り曲げによって形成された折曲部26の開きに対して大きく抵抗することとなり、両カット面19,19が剥離しにくい強度的安定性に優れた折曲部26が構成されることになるのである。
【0079】
図40は、該折曲部構造Aを応用して構成された継手部付き複合パネル1の他の実施例を示すものであり、左右方向に延長して横長矩形板状を呈する板状部材10の左右方向の両端部分に、図8に示すと同様の構成でコ字状の継手部27,27が設けられている。かかる折曲部構造Aを応用して、前記と同様の第1型〜第8型の複合パネル1a〜1fを構成でき、これらを用いて前記と同様のコンテナ囲枠29を組み立てることができる。
【実施例3】
【0080】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0081】
(1) 本発明に係る複合パネル1を構成する段ボール5としては、前記したABフルートを用いた複両面段ボールの他、AフルートとCフルートとをライナを介して積み重ねてなるACフルートを用いた複両面段ボール、ライナの両側にAフルートを配置してなるAAフルートを用いた複両面段ボール等、波形の中しんがライナ間に介在されてなる各種構成のものを用いることができる。
【0082】
(2) 本発明に係る複合パネル1は、その端部部分に設けられたコ字状等の継手部相互を接合することにより、コンテナ囲枠の形成や防音室の形成、インテリア用品の形成等の使用目的に応じて、正方形枠体や五角形枠体、六角形枠体、八角形枠体等を形成することができる。
【0083】
図41は、本発明に係る複合パネル1の2つを用いて構成された六角形枠体207を示す平面図であり、該複合パネル1の両端部分209,209、両端部分210,210にコ字状の継手部27,27が設けられている。該継手部27,27は前記と同様の構成を有する。そして中間部分211では、図42(A)に示すように板状部材10に、開口角度θが60度に設定されたVカット13が設けられ、該板状部材10が、該Vカット13のカット溝16の最深部17を中心として折曲され、該カット溝16の左右のカット面19,19に接着剤21,21が塗布される。該接着剤21は、該段ボールの波形の中しん2とライナ3との間で形成される溝部15の前記カット面19,19で開口された溝開口部分22,22に入り込み、該接着剤21が前記中しん2や前記ライナ3に染み込んだ状態となされ、該板状部材10が、前記Vカット13のカット溝16の最深部17を中心として折曲され、図42(B)に示すように、両カット面19,19の該溝開口部分22,22に存する接着剤21,21が一連に連なった状態で該両カット面19,19が接着一体化される。これにより、強度的に安定した、六角形枠体の頂点部が構成される。該Vカット13は、前記溝部15の延長方向と直交する方向に延長して設けられることの他、該溝部15の延長方向に延長して設けられることもある。
【0084】
このように構成した場合も、強度的安定性に優れる前記折曲部構造Aが採用されていることと、紙管原紙12からなる硬質の板紙9が段ボール5の表裏面に貼り合わせられてなることとの相乗効果によって、継手部27のコ字状の形態が安定的に保持されることとなる。図43は、本発明に係る複合パネルを用いて構成された五角形枠体の頂点部211を示す断面図であり、前記と同様にして強度的に安定した頂点部が構成されている。
【0085】
(3) 図44(A)(B)は、本発明に係る折曲部構造Aを応用して構成された傾斜棚215を例示するものであり、パンフレット等の印刷物216などを傾斜状態で載せるための傾斜棚部217が複数段に設けられている。
【0086】
(4) 図45は、本発明に係る複合パネル1を用いて構成された間仕切り212の一例を示すものであり、例えば平面視でL字状に屈曲している。該複合パネル1の積重段数や該複合パネルの各部の寸法、間仕切りの形態は所要に設定できる。
【0087】
(5) 前記段ボール5が、表ライナ3aと中ライナ3bとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しん2bを介在させると共に、裏ライナ3cと中ライナ3bとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しん2bを介在させてなるものであるとき、前記Vカット13を、図46で示すように、該第2の中しん2b側から欠切形成することもある。
【0088】
(6) Vカット13の左右のカット面19,19に接着剤を塗布する際、前記溝開口部分22に入り込むように接着剤を塗布するのであるが、該溝開口部分22の全てに接着剤が入り込んだ状態となることや該溝開口部分22に均等に接着剤が入り込んだ状態となることは、必ずしも必要ではない。
【0089】
(7) 本発明において、前記紙管原紙12の流れ目の方向(紙管原紙を製造する抄紙機から流れ出る方向)を、前記段ボール5の前記溝部15の延長方向に合わせる場合は、前記複合パネルを、前記溝部15を弓形にするように湾曲させるパネル側方からの荷重に対する抵抗力がより向上したものとして構成できることになる。
【符号の説明】
【0090】
1 複合パネル
2 中しん
3 ライナ
5 段ボール
9 板紙
10 板状部材
12 紙管原紙
13 Vカット
15 溝部
16 カット溝
17 最深部
19 カット面
21 接着剤
22 溝開口部分
23 接着剤硬化物
25 板紙端面
26 折曲部
27 継手部
27a 第1の継手部
27b 第2の継手部
27c 第3の継手部
27d 第4の継手部
27e 第5の継手部
27f 第6の継手部
27g 第7の継手部
27h 第8の継手部
27j 第9の継手部
27k 第10の継手部
27m 第11の継手部
27n 第12の継手部
29 コンテナ囲枠
31 平板部
39 第1の折曲片
41 第2の折曲片
45 接合溝
51 移動阻止片
61 第3の折曲片
65 第4の折曲片
69 第5の折曲片
71 第6の折曲片
75 第7の折曲片
77 第8の折曲片
86 第9の折曲片
90 第10の折曲片
92 第11の折曲片
96 第12の折曲片
106 第13の折曲片
110 第14の折曲片
115 第15の折曲片
120 第16の折曲片
123 第17の折曲片
126 第18の折曲片
112 第19の折曲片
117 第20の折曲片
135 第21の折曲片
137 第22の折曲片
147 第23の折曲片
151 第24の折曲片
155 第25の折曲片
157 第26の折曲片
190 コ字枠体
195 側部覆体
A 折曲部構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いは該紙管原紙の複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を、波形の中しんがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に貼り合わせてなる板状部材に、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切されてVカットが形成され、該Vカットの左右のカット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とするVカットによる折曲部構造。
【請求項2】
前記段ボールは、表ライナと中ライナと裏ライナの3層のライナを有し、該表ライナと該中ライナとの間に、段数が少なく段高さの大きい波形の第1の中しんを介在させると共に、該裏ライナと該中ライナとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しんを介在させてなる複両面段ボールであって、前記Vカットのカット溝が前記第1の中しん側で欠切形成されており前記Vカットのカット溝の最深部側に前記第2の中しんが位置すると共に前記カット溝の開放端側に前記第1の中しんが位置されていることを特徴とする請求項1記載のVカットによる折曲部構造。
【請求項3】
前記紙管原紙の流れ目の方向を前記段ボールの前記溝部の延長方向に合わせたことを特徴とする請求項1記載のVカットによる折曲部構造。
【請求項4】
前記Vカットは、前記溝部の延長方向と直交する方向に延長して設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のVカットによる折曲部構造。
【請求項5】
前記Vカットは、前記溝部の延長方向に延長して設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のVカットによる折曲部構造。
【請求項6】
対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いは該紙管原紙の複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を、波形の中しんがライナ間に介在されてなる紙製の段ボールの表裏面に貼り合わせてなる板状部材に、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの2本が所要間隔を置いて平行して形成され、該板状部材が、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによってコ字状の継手部が形成される如くなされており、
前記Vカットの左右のカット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とするVカットによりコ字状の継手部が設けられた継手部付き複合パネル。
【請求項7】
前記段ボールは、表ライナと中ライナと裏ライナの3層のライナを有し、該表ライナと該中ライナとの間に、段数が少なく段高さの大きい波形の第1の中しんを介在させると共に、該裏ライナと該中ライナとの間に、段数が多く段高さの小さい波形の第2の中しんを介在させてなる複両面段ボールであって、前記Vカットのカット溝が前記第1の中しん側で欠切形成されており前記Vカットのカット溝の最深部側に前記第2の中しんが位置すると共に前記カット溝の開放端側に前記第1の中しんが位置されていることを特徴とする請求項6記載の継手部付き複合パネル。
【請求項8】
前記紙管原紙の流れ目の方向を前記段ボールの前記溝部の延長方向に合わせたことを特徴とする請求項6記載の継手部付き複合パネル。
【請求項9】
前記Vカットは、前記溝部の延長方向と直交する方向に延長して設けられていることを特徴とする請求項6、7又は8記載の継手部付き複合パネル。
【請求項10】
前記Vカットは、前記溝部の延長方向に延長して設けられていることを特徴とする請求項6、7又は8記載の継手部付き複合パネル。
【請求項11】
第1の平板部の左右方向で見た一方の端部分の端部で、外方に向けて直角に折曲されて第1の折曲片が形成されると共に、該第1の折曲片の先端で、他方の端部分に向けて直角に折曲されて第2の折曲片が形成され、該一方の端部分と該第1の折曲片と該第2の折曲片とにより、接合溝を有するコ字状の第1の継手部が形成されてなる第1の継手部付き複合パネルと、
第2の平板部の左右方向で見た一方の端部分の端部で直角に折曲されて、前記第1の折曲片の外面に当接し得る第3の折曲片が形成されると共に、該第3の折曲片の先端で直角に折曲されて前記第2の折曲片の外面に当接し得る第4の折曲片が形成され、又、該第4の折曲片の先端で直角に折曲されて前記第2の折曲片の端面に当接し得る第5の折曲片が形成され、更に、該第5の折曲片の先端で前記接合溝に挿入される第6の折曲片が形成されてコ字状の第3の継手部が設けられてなる第2の継手部付き複合パネルとからなる継手部付き複合パネル相互の接合装置であって、
前記第1の平板部と前記第2の平板部は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いはその複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を段ボールの表裏面に貼り合わせてなる第1の板状部材と第2の板状部材を用いてなり、該第1の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの2本が所要間隔を置いて平行して形成され、該第1の板状部材が、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによってコ字状の前記第1の継手部が形成される如くなされており、又、該第2の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの4本が所要間隔を置いて平行して形成され、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによって前記第3の継手部が形成される如くなされており、夫々のVカットの左右の両カット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とする継手部付き複合パネルの接合装置。
【請求項12】
第1の平板部の左右方向で見た一方の端部分の端部で、外方に向けて直角に折曲されて第7の折曲片が形成されると共に、該第7の折曲片の先端で、他方の端部分に向けて直角に折曲されて第8の折曲片が形成され、該一方の端部分と該第7の折曲片と該第8の折曲片とにより、接合溝を有するコ字状の第4の継手部が形成されてなる第1の継手部付き複合パネルと、
第2の平板部の左右方向で見た一方の端部分が、前記第7の折曲片の外面に当接し得る移動阻止片となり、該移動阻止片の先端で直角に折曲されて前記第8の折曲片の外面に当接し得る第9の折曲片が形成され、又、該第9の折曲片の先端で直角に折曲されて前記第8の折曲片の端面に当接し得る第10の折曲片が形成され、更に、該第10の折曲片の先端で前記接合溝に挿入される第11の折曲片が形成されてコ字状の第5の継手部が設けられてなる第2の継手部付き複合パネルとからなる継手部付き複合パネル相互の接合装置であって、
前記第1の平板部と前記第2の平板部は、対向する表面が平滑な硬質面として形成された紙管原紙の1枚からなり、或いはその複数枚を該表面相互を接着して積層状態に貼り合わせてなる板紙を段ボールの表裏面に貼り合わせてなる第1の板状部材と第2の板状部材を用いてなり、該第1の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの2本が所要間隔を置いて平行して形成され、前記第1の板状部材が、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによってコ字状の前記第4の継手部が形成される如くなされており、又、該第2の板状部材は、一方の板紙側から他方の板紙側に向けて形成され該他方の板紙を切断しないように欠切され且つ開口角度が90度に設定されたVカットの4本が所要間隔を置いて平行して形成され、該Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されることによって前記第5の継手部が形成される如くなされており、夫々のVカットの左右の両カット面に接着剤が塗布されると共に該接着剤が、前記段ボールの波形の中しんとライナとの間で形成される溝部の前記カット面で開口された溝開口部分に入り込むと共に該中しんや該ライナに染み込んだ状態で、該板状部材が、前記Vカットのカット溝の最深部を中心として折曲されており、前記両カット面の溝開口部分に存する接着剤が一連に連なった状態で前記両カット面が接着一体化されていることを特徴とする継手部付き複合パネルの接合装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44】
image rotate

【図45】
image rotate

【図46】
image rotate

【図47】
image rotate

【図48】
image rotate


【公開番号】特開2011−52441(P2011−52441A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−201952(P2009−201952)
【出願日】平成21年9月1日(2009.9.1)
【出願人】(507279875)株式会社旬和 (4)
【Fターム(参考)】