説明

VEGF−CまたはVEGF−D遺伝子またはタンパク質を用いた再狭窄の予防

【課題】血管の狭窄または再狭窄を予防するための被験哺乳類の治療法の提供。
【解決手段】血管内皮増殖因子C(VEGF−C)および/または血管内皮増殖因子D(VEGF−D)遺伝子またはタンパク質を用いた血管の狭窄または再狭窄を予防する材料および方法。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、血管の狭窄および再狭窄を予防する材料および方法に関し、一般的には循環器薬の分野に関する。
【0002】
冠動脈疾患は、世界中、特に米国および欧州での罹病率および死亡率の主要な原因となっている。経皮的経管的冠動脈形成(例えば、冠動脈内ステンティングを行うまたは行わないバルーン血管形成)はこのような疾患に最もよく用いられかつ成功率の高い治療法であり、米国だけでも年に数十万回行われている。しかしながら、このような血管再生法の1/3〜1/2程度で、再狭窄が起こる。再狭窄の経済コストは、米国だけでも年に20億ドルと計算されている[Feldman et al., Cardiovascular Research, 32: 194-207 (1996); この文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される]。剖検およびアテレクトミー研究により、再狭窄損傷の主要な組織学的成分として脈管内膜過形成が確認されている[Cerek et al., Am. J. Cardiol., 68: 24C-33C (1991)]。
【0003】
再狭窄は、末梢血管で行われる血管形成においても関心を集めている。同様に、狭窄は、心臓バイパス療法、または末梢血管虚血や間欠跛行の治療のための血管(例えば、移植したおよび移植した人工血管)移植後の臨床的関心事である(例えば、膝上大腿膝窩動脈バイパス移植片)。
【0004】
Mazur et al., Texas Heart Institute Journal, 21: 104-111 (1994)には、再狭窄は主として経皮冠動脈形成によって引起される損傷に対する動脈の応答であり、内皮細胞およびその下の中膜の平滑筋細胞の脈管内膜層を崩壊させることが述べられている。この著者は、血小板、内皮細胞、マクロファージおよび平滑筋細胞によって分泌される複数の増殖因子が再狭窄過程に機械的に関与しており、平滑筋細胞の増殖が決定的な病因であることを述べている。著者らによれば、この平滑筋細胞の増殖は機械的および薬物療法に抗療性であることが明らかになった。更に最近、他の研究者らは、平滑筋細胞の増殖が再狭窄に極めて重要である(of penultimate importance)かどうかに異議を唱えている。Libby, Circ. Res., 82: 404-406 (1998)を参照されたい。
【0005】
Nairns et al., Circulation, 97: 1298-1305 (1998)は、再狭窄の予防における冠動脈内ステントの使用およびそれらの利点と限界について概説している。Debbas et al., American Heart Journal, 133: 460-468 (1997)は、ステント内でステンティングを行い、ステント内再狭窄を治療することを記載している。
【0006】
Chang & Leiden, Semin. Intervent. Cardiol., 1: 185-193 (1996)(この文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)は、再狭窄を治療するための体腔遺伝子療法を概説している。Chang & Leidenは、複製欠損アデノウイルスが再狭窄の予防を目的とする遺伝子療法の有望かつ安全なベクター系であることを教示しているが、このウイルスは血管平滑筋など広汎な種類の細胞型に効率的に感染することができ、このウイルスは高力価で産生することができ(例えば、1010〜1012プラーク形成単位/ml)、このウイルスは大きさが例えば、7〜9キロ塩基(kb)のトランスジーンを収容することができ、このウイルスは標準的なカテーテルにより経皮的に送達することができ、かつこのウイルスは宿主ゲノムに組込まれないからである。Chang & LeidenおよびFeldman et al.(上記引用)は共に、再狭窄の特徴である新内膜形成に関与すると考えられている増殖する血管平滑筋細胞を殺しまたは阻止するようにデザインされている細胞毒性および細胞増殖抑制遺伝子療法も概説している。
【0007】
Riessen & Isner, J. Am. Coll. cardiol., 23: 1234-1244 (1994)(この文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)には、血管内薬剤送達の装置および血管内遺伝子療法のベクターが概説されている。
【0008】
Cerek et al., Am. J. Cardiol., 68: 24C-33C (1991)には、動脈損傷の増殖因子による治癒を抑制することによる再狭窄の予防が示唆されている。血小板由来の増殖因子(PDGF)、トロンボスポンジン、インスリン様増殖因子1(IGF−1)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、トランスフォーミング増殖因子α(TGF−α)およびβ(TGF−β)、上皮増殖因子(EGF)の潜在的役割が記載されている。
【0009】
Isner & Asaharaの国際特許公表WO98/19712号明細書(この特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)では、患者の内皮前駆細胞を単離し、この細胞を患者に再投与することによって損傷した血管を治療し、血管形成後の再内皮形成を促進することが示唆されている。この著者は、血管内皮増殖因子(VEGF)または塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)のような新脈管形成促進増殖因子を用いることの有効性は、VEGFまたはbFGFがその効果を発揮する内皮細胞を欠いているため限定されることがあることを示唆している。
【0010】
Martin et al.の国際特許公表WO98/20027号明細書には、VEGF遺伝子またはタンパク質を用いて血管の狭窄または再狭窄を治療または予防することが示唆されている。著者らは、VEGFの好ましい効果が、内皮が損傷していた場合の再内皮形成の刺激に関するVEGFの活性の基礎となっている機構以外の異なる作用機構から生じることを示唆している。
【0011】
Callow et al., Growth Factors, 10: 223-228 (1994)には、血管透過因子(VEGFとしても知られている)をバルーン血管形成によって誘発された内皮露出を行ったウサギに静脈内投与すると、対照と比較して内皮の再生が増加したことが記載されている。著者らは、塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)が再内皮形成の促進に友好であるが、この再内皮形成は新内膜損傷の大きさの増加を伴うことも述べている。
【0012】
Asahara et al., Circulation, 94: 3291-3302 (December 15, 1996)は、CMV−ヒト−VEGF165トランスジーンの局部経皮カテーテル送達によりバルーンにより損傷したウサギにおける再内皮形成が促進され、内膜の肥厚化が少なくなったことを述べている。著者の関連グループの報告であるVan Belle et al., J. Am. Coll. Cardiol., 29: 1371-1379 (May, 1997)は、ステント内皮形成がCMV−ヒト−VEGF165トランスジーンの送達によって促進されかつ内膜の肥厚化もみられたことを述べている。
【0013】
Morishita et al., J. Atherosclerosis and Thrombosis, 4(3): 128-134 (1998)は、肝細胞増殖因子(HGF)はVEGFより強いヒト内皮細胞に対する分裂促進作用を有することを述べており、HGF遺伝子療法が血管形成後の再狭窄のような循環器疾患の治療に潜在的な治療価値を有する可能性があるという仮説を立てた。Morishita et al.は、内皮細胞のみを刺激し、血管平滑筋細胞は刺激しない増殖因子についてはほとんど知られていないことも述べている。
【0014】
DeYoung & Dichek, Circ. Res., 82: 306-313 (1998)は、VEGF遺伝子送達は現在のところヒトの冠動脈再狭窄に用いられる予定になっているとは思われず、かつ2つの独立した研究はVEGF送達が動脈の内膜過形成を実際に悪化させることがあることを示唆していることを述べている。
【0015】
Brown et al.の米国特許第5,795,898号明細書は、PDGF、FGF、EGFまたはVEGFシグナル形成の阻害剤を用いて血管形成後の冠状血管または他の動脈の再狭窄に関与するアテローム発生の促進を抑制することを提案している。
【0016】
上記の論文は、血管形成材料および/または方法の改良、および/または補助療法を行って再狭窄の事例を減少させるための久しく感じていた要望が存在し続けていることを示している。
【0017】
発明の概要
本発明は、哺乳類の血管における狭窄または再狭窄を予防するための材料および方法を提供することにより医薬の分野で久しく感じられてきた要望を解決する。
【0018】
例えば、本発明は、被験哺乳類を治療して血管の狭窄または再狭窄を予防する方法であって、血管の狭窄または再狭窄を予防するための治療を必要とする被験哺乳類に、ポリヌクレオチドを含んでなる組成物であって、ポリヌクレオチドが血管内皮増殖因子C(VEGF−C)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるものである組成物を投与する工程を含んでなる方法を提供する。好ましい態様では、被験動物はヒト被験者である。
【0019】
VEGF−Cポリヌクレオチドは狭窄を予防する目的で純粋に予防治療として投与することができると考えられるが、好ましい態様では、経皮経腔冠動脈形成法の直前および/または同時および/または直後に被験者の血管の再狭窄を予防する目的でポリヌクレオチドを投与することが考えられる。もう一つの好ましい態様では、ポリヌクレオチドをバイパス処置(例えば、冠状動脈バイパス法)の前、中および/または直後に投与し、移植血管中または付近での狭窄または再狭窄、特に移植片自身の場所における狭窄を予防する。更に好ましい態様では、ポリヌクレオチドを、末梢虚血または間欠性跛行を治療する目的で行った末梢血管での血管移植の前、中または後に投与する。狭窄または再狭窄の予防とは、外科処置で頻繁にみられる狭窄または再狭窄の量/激しさを減少させ、および/または実質的に除去するための予防的治療を意味する。ポリヌクレオチドは、被験哺乳類の血管においてVEGF−Cポリペプチドの発現を促進するのに有効な量および形態で組成物に含まれ、これにより血管の狭窄または再狭窄が予防される。
【0020】
好ましい態様では、被験哺乳類は、ヒト被験者である。例えば、被験者は、(血管内ステントを挿入したまたは挿入しない)治療的バルーン血管形成法または冠動脈バイパス法により快復の可能性がある候補者として心臓専門医によって確認されている冠動脈疾患に罹っているヒトである。他の被験哺乳類、特にヒトでの治療効果を示すためのモデルとして一般に用いられている哺乳類(例えば、霊長類、ブタ、イヌまたはウサギ)における本発明の方法の実施も考えられる。
【0021】
本発明の方法の実施について、「VEGF−Cポリペプチド」という用語は、VEGF−CまたはVEGF−C類似体アミノ酸配列(本明細書の他の箇所で更に詳細に定義する)を有しかつヒトVEGF−Cのイン・ビボでの再狭窄減少作用を有する任意のポリペプチド含むことを意図するものであり、この作用は本明細書ではウサギモデルでの例によって示される。「VEGF−Cポリヌクレオチド」という用語は、VEGF−Cポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる任意のポリヌクレオチド(例えば、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNA)を含むことを意図するものである。遺伝子コードの周知の縮重により、任意の選択されたVEGF−Cポリペプチドをコードする複数のVEGF−Cポリヌクレオチド配列がある。
【0022】
ヒトの治療には、ヒトVEGF−Cのアミノ酸配列を有するVEGF−Cポリペプチドが特に好ましく、ヒトVEGF−CcDNAのヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドが特に好ましい。「ヒトVEGF−C」とは、ヒトVEGF−C遺伝子の任意の対立遺伝子によってコードされる天然に存在するタンパク質(プレプロタンパク質、部分プロセス型タンパク質(partially-processed protein)、または完全プロセス型成熟タンパク質(fully-processed mature protein))に相当するポリペプチド、または天然に存在する成熟タンパク質の生物活性断片を含んでなるポリペプチドを意味する。例えば、ヒトVEGF−Cは、ポリペプチドに結合させ、VEGFR−2および/またはVEGFR−3レセプターを発現する細胞中でこれらのレセプターのホスホリル化を刺激するのに十分な配列番号2に記載のアミノ酸配列の連続部分を含んでなる。配列番号2のアミノ酸131〜211を含んでなるポリペプチドが、特に考えられる。例えば、配列番号2の連続部分を含んでなるアミノ酸配列を有するポリペプチドであって、連続部分がそのアミノ末端として配列番号2の30〜131位からなる群から選択されるアミノ酸を有し、かつそのカルボキシル末端として配列番号2の211〜419位からなる群から選択されるアミノ酸を有するものが考えられる。本明細書の他の箇所で更に詳細に説明するように、VEGF−C生物活性、特にVEGFR−2を介して伝達されるものは、アミノ末端およびカルボキシル末端のプロペプチドのプロセッシングによって増加する。従って、配列番号2の102〜131位からなる群から選択されるアミノ末端が好ましく、配列番号2の103〜113位からなる群から選択されるアミノ末端が特に好ましい。同様に、配列番号2の211〜227位からなる群から選択されるカルボキシル末端が好ましい。上記のように、「ヒトVEGF−C」という用語は、配列番号1および2に記載の配列を特徴とするヒトVEGF−Cの対立遺伝子変異体によってコードされるポリペプチドを包含しようとするものでもある。
【0023】
更に、治療用VEGF−Cは組換えVEGF−Cとしてまたは体性遺伝子療法により間接的に投与されるものであるので、1個以上のアミノ酸を加え、欠失し、または他のアミノ酸、特に保存的置換で置換しかつ抗再狭窄生物活性を保持しているヒトVEGF−Cの類似体(およびこのような類似体をコードするポリヌクレオチド)を作成し、使用することは当該技術分野の技術の範囲内にある。抗再狭窄VEGF−C生物活性を保持している類似体は、本発明で用いられるVEGF−Cポリペプチドと考えられる。好ましい態様では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25の改質を有し、抗再狭窄VEGF−C生物活性を保持している類似体は、本発明で用いられるVEGF−Cポリペプチドと考えられる。このような類似体をコードするポリヌクレオチドは、通常のPCR、位置指定突然変異誘発、および化学合成の手法を用いて生成させる。
【0024】
非ヒト哺乳類またはトリVEGF−Cポリペプチドおよびポリヌクレオチドも、VEGF−Cポリペプチドと考えられる。「哺乳類VEGF−C」とは、任意の方法にのVEGF−C遺伝子の任意の対立遺伝子によってコードされる天然に存在するタンパク質(プレプロタンパク質、部分プロセス型タンパク質(partially-processed protein)、または完全プロセス型成熟タンパク質(fully-processed mature protein))に相当するポリペプチド、または成熟タンパク質の生物活性断片を含んでなるポリペプチドを意味する。「哺乳類VEGF−Cポリペプチド」という用語は、哺乳類VEGF−Cのイン・ビボでの再狭窄減少作用を有する哺乳類VEGF−Cの類似体を含むことを意図するものである。トランスジーンコードヒトVEGF−Cを用いる遺伝子療法がウサギモデルで再狭窄を予防するのに有効であるという事実は、VEGF−Cタンパク質の種間治療効力があることの証拠である。
【0025】
どのVEGF−Cが選択されるかについては関係なく、VEGF−Cポリヌクレオチドは、好ましくはVEGF−Cポリペプチド配列とインフレームで融合した分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる。分泌シグナルペプチドはポリヌクレオチドを発現する細胞によってVEGF−Cポリペプチドの分泌を指示し、分泌されたVEGF−Cポリペプチド由来の細胞によって開裂する。例えば、VEGF−Cポリヌクレオチドは配列番号2に記載の完全なプレプロ−VEGF−C配列をコードすることができ、または完全プロセス型VEGF−C(例えば、配列番号2のアミノ酸103〜227)またはVEGF−C類似体をコードする配列にインフレームで融合したVEGF−Cシグナルペプチドをコードすることができた。更に、シグナルペプチドをVEGF−Cから誘導する必要はない。シグナルペプチド配列は、別の分泌されたタンパク質のものであることができ、または被験哺乳類の細胞で分泌を指示するのに有効な完全に合成のシグナル配列であることができる。
【0026】
一つの態様では、本発明のVEGF−Cポリヌクレオチドは、50%ホルムアミド、5XSSC、20mM NaPO,pH6.8中42℃でハイブリダイゼーション、および1XSSC中で55℃にて30分間洗浄の典型的なストリンジェントハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1に記載のヒトVEGFcDNA配列に相補的なポリヌクレオチドにハイブリダイズし、かつヒトVEGFR−2および/またはVEGFR−3に結合して、刺激するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなる。これらの典型的な条件での変動は、ハイブリダイゼーションを行う配列の長さおよびGCヌクレオチド含量に基づいて起こることが理解される。当該技術分野における標準的な式は、適当なハイブリダイゼーション条件を決定するのに適当である。Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (第2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989)、9.47-9.51節を参照されたい。
【0027】
好ましい態様では、VEGF−Cポリヌクレオチドは、VEGF−C遺伝子療法を促進するために追加の配列をも含んでなる。一つの態様では、「裸の」VEGF−Cトランスジーン(すなわち、トランスフェクションを促進するためのウイルス、リポソームまたは他のベクターを持たないトランスジーン)を遺伝子療法に用いる。この態様では、VEGF−Cポリヌクレオチドは、好ましくは標的哺乳類細胞で発現するための適当なプロモーターおよび/またはエンハンサー配列(例えば、サイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー[Lehner et al., J. Clin. Microbiol., 29: 2494-2502 (1991); Boshart et al., Cell, 41: 521-530 (1985)]; ラウス肉腫ウイルスプロモーター[Davis et al., Hum. Gene Ther., 4: 151 (1993)];タイプロモーター(Tie promoter)[Korhonen et al., Blood, 86(5): 1828-1835 (1995)];またはサルウイルス40プロモーター)であって、プロモーターがVEGF−Cコード配列の上流(すなわち、5′)に適切に結合しているものを含んでなる。VEGF−Cポリヌクレオチドはまた、好ましくはVEGF−Cコード配列の下流(すなわち、3′)に作動可能に結合した適当なポリアデニル化配列(例えば、SV40またはヒト成長ホルモン遺伝子ポリアデニル化配列)をも含む。ポリヌクレオチドは、場合によっては、唯一の意図した機能が例えば複製の細菌起源のような、細菌におけるベクターの大規模酸性を促進することである配列、および選択可能なマーカーをコードする配列も含んでなることができる。しかしながら、好ましい態様では、このような異種配列は、本発明の方法によってヒトに投与する前に少なくとも部分的に開裂している。他のトランスジーンについての文献に記載されている手順を用いて良好な遺伝子療法を行うために、このようなポリヌクレオチドを製造して、投与することができる。例えば、Isner et al., Circulation, 91: 2687-2692 (1995);Isner et al., Human Gene Therapy, 7: 989-1011 (
1996)を参照されたい。上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0028】
任意の適当なベクターを用いて、VEGF−Cトランスジーンを宿主に導入することができる。文献に記載されている典型的なベクターとしては、レンチウイルスベクター[Kim et al., J. Virol., 72(1): 811-816 (1998); Kingsman & Johnson, Scrip Magazine, October, 1998, pp. 43-46]; アデノ随伴ウイルスベクター[Gnatenko et al., J. Investig. Med., 45: 87-98 (1997)]; アデノウイルスベクター[例えば、米国特許第5,792,453号明細書; Quantin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 2581-2584 (1992); Stratford-Perricadet et al., J. Clin. Invest., 90: 626-630 (1992); およびRosenfeld et al., Cell, 68: 143-155 (1992)]; リポフェクチン依存性遺伝子導入(BRL); リポソームベクター[例えば、米国特許第5,631,237号明細書(センダイウイルスタンパク質を含んでなるリポソーム)];およびそれらの組合せなどの複製欠損レトロウイルスベクターが挙げられるが、これらに限定されない。上記文献の総ての内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。複製欠損アデノウイルスベクターは、好ましい態様を構成する。
【0029】
ウイルスベクターを用いる態様では、好ましいポリヌクレオチドは、更に上記のような適当なプロモーターおよびポリアデニル化配列が挙げられる。更に、これらの態様では、ポリヌクレオチドはVEGF−Cポリペプチドをコードする配列に作動可能に結合したベクターポリヌクレオチド配列(例えば、アデノウイルスポリヌクレオチド配列)も挙げられる。
【0030】
従って、一つの態様では、投与を行う組成物は、ベクターであって、VEGF−Cポリヌクレオチドを含んでなるベクターを含んでなる。好ましい態様では、ベクターはアデノウイルスベクターである。極めて好ましい態様では、アデノウイルスベクターは複製欠損であり、すなわちアデノウイルスゲノムから本質的なウイルス複製配列が欠失しているため被験哺乳類では複製することができない。例えば、本発明者らは、ベクターが複製欠損アデノウイルスであって、プロモーターに作動可能に結合しかついずれかの末にアデノウイルスポリヌクレオチド配列によって隣接したVEGF−Cポリヌクレオチドを含んでなるアデノウイルスを含んでなる方法を考慮している。
【0031】
本発明の方法によって投与を行う組成物は、好ましくは(ポリヌクレオチドまたはベクターの他に)治療薬を血管内送達するのに一般に用いられる水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、グルコースまたは他のキャリヤーのような薬学上許容可能なキャリヤー溶液を含んでなる。多重遺伝子療法であって、組成物が場合によってはVEGF−Cポリヌクレオチド/ベクターおよび再狭窄を予防する目的で選択された別のポリヌクレオチド/ベクターを両方とも含んでなるものも考えられる。VEGF−Cトランスジーンを用いるコトランスフェクションのための典型的な候補遺伝子/ベクターは上記文献に記載されており、細胞毒性因子、細胞増殖抑制因子、内皮増殖因子、および平滑筋細胞増殖/マイグレーションインヒビターをコードする遺伝子が挙げられる。以下において更に詳細に説明するように、VEGF−Dは、VEGF−Cトランスジーンとの同時投与の好ましい候補である。VEGFトランスジーンの同時投与も、具体的に考慮される。
【0032】
本発明の方法によって行われる「投与」は、治療薬を被験哺乳類の血管に直接または間接的に導入するための任意の医学上許容された手段を用いて行うことができ、注射、経口摂取、経鼻または局所投与などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい態様では、VEGF−Cポリヌクレオチドを含んでなる組成物の投与は、静脈内、動脈内、または冠動脈内注射のように血管内に行われる。
【0033】
極めて好ましい態様では、組成物は、局所、例えば血管形成の部位またはバイパスに投与される。例えば、投与は、被験哺乳類の血管、特に被験哺乳類の冠動脈へのトランスジーンを含む組成物のカテーテルによる導入である。局所送達のための典型的な材料および方法は、Lincoff et al., Circulation, 90: 2070-2084 (1994)およびWilensky et al., Trends Cardiovasc. Med., 3: 163-170 (1993)に概説されており、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。例えば、組成物は、冠動脈内への薬剤輸液の文献に記載されているものなど輸液−灌流バルーンカテーテル(好ましくは、多孔性バルーンカテーテル)を用いて投与される。例えば、米国特許第5,713,860号明細書(輸液アレイを有する血管内カテーテル);米国特許第5,087,244号明細書;米国特許第5,653,689号明細書;およびWolinsky et al., J. Am. Coll. Cardiol., 15: 475-481 (1990)(ウォリンスキー輸液カテーテル);およびLambert et al., Coron. Artery Dis., 4: 469-475 (1993)を参照されたい。上記の総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。位置指定体細胞遺伝子療法へのこれらのカテーテルの使用は、例えばMazur et al., Texas Heart Institute Journal, 21: 104-111 (1994)に記載されており、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。VEGF−Cトランスジーンをアデノウイルスベクターに投与する態様では、このベクターは、好ましくは10〜1013のウイルス粒子の力価で、更に好ましくは10〜1011ウイルス粒子の力価で薬学上許容可能なキャリヤー中で投与される。アデノウイルスベクター組成物は、好ましくは15秒〜30分間、更に好ましくは1〜10分間輸液する。
【0034】
例えば、冠動脈の単一または複数の損傷による狭心症の患者であって、冠動脈血管造影の一次所見に基づいてPTCAが処方された患者では、典型的プロトコールは大腿部法を用いる標準的臨床実施による7Fガイドカテーテルを介するPTCAを行うことを含む。PTCA単独では最適結果が得られない場合には、血管内ステントも移植する。(最適でない結果は、目視評価、およびBおよびC型切開による管腔直径の>30%の残存狭窄として定義される。)バルーン拡張の部位における動脈遺伝子導入は、血管形成の直後でステント移植の前に、輸液−灌流バルーンカテーテルを用いて複製欠損アデノウイルスVEGF−Cベクターで行う。カテーテルの大きさは、血管造影図から測定した動脈の直径に合うように選択され、例えば、3.0〜3.5Fの直径となる。バルーンを最適圧力まで膨張させ、ウイルス力価1.15×1010で0.5ml/分の速度で10分間の輸液中に行う。
【0035】
もう一つの態様では、他のトランスジーンを導入するために文献に記載されているように、ゲルをコーティングしたカテーテルを用いる血管内投与が考えられる。例えば、米国特許第5,674,192号明細書(強靱に付着した膨張性ヒドロゲルポリマーをコーティングしたカテーテル);Riessen et al., Human Gene Therapy, 4: 749-758 (1993); およびSteg et al., Circulation, 96: 408-411 (1997)および90: 1648-1656 (1994)を参照されたい。これらの総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。簡単に説明すれば、DNAの溶液(例えば、VEGF−Cポリヌクレオチド)をヒドロゲルポリマーをコーティングした膨張した血管形成カテーテルバルーンの表面にエクス・ビボで1回以上塗布する(例えば、ヒドロプラスを有するスライダー(Slider with Hydroplus), Mansfield Boston Scientific Corp., Watertown, MA)。ヒドロプラスコーティングは、親水性のポリアクリル酸ポリマーであって、バルーンに架橋して、バルーンにしっかりと付着した高分子量ヒドロゲルを形成する。DNAで被覆されたヒドロゲルを乾燥した後、バルーンをすぼませる。血管形成法の際にバルーンを血管内で再膨張させることにより、DNAが血管壁に導入される。
【0036】
更にもう一つの態様では、バルーン血管形成カテーテルまたはステントに配置されたまたはこれと一体的な膨張性の弾性膜または同様の構造を用いて、VEGF−Cトランスジーンを送達する。例えば、米国特許第5,707,385号、第5,697,967号、第5,700,286号、第5,800,507号および第5,776,184号明細書を参照されたい。上記の総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0037】
もう一つの態様では、VEGF−Cトランスジーンを含む組成物を、例えば血管の一部を取り囲みまたはカプセル化する装置を用いて血管外に投与する。例えば、(バイパス処置の際などに)動脈の外側に置き、プラスミドまたはリポソームベクターを介して動脈壁にトランスジーンを送達するカラーが記載されている国際特許公表WO98/20027号明細書(この特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)を参照されたい。
【0038】
更にもう一つの態様では、内皮細胞または内皮前駆細胞をVEGF−Cトランスジーンでエクス・ビボでトランスフェクションし、トランスフェクションした細胞を被験哺乳類に投与する。血管移植片に遺伝子修飾した内皮細胞を播種するための典型的手順は、米国特許第5,785,965号明細書に記載されており、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0039】
被験哺乳類が血管移植片を受け入れているときには、VEGF−Cトランスジーンを含む組成物を単離した血管断片に直接適用した後、イン・ビボで移植することができる。
【0040】
もう一つの態様では、本発明は、血管の狭窄または再狭窄を予防するための被験哺乳類の治療法であって、血管の狭窄または再狭窄を予防するための治療を必要とする被験哺乳類に、血管の狭窄または再狭窄を予防するための有効量のVEGF−Cポリペプチドを含んでなる組成物を投与する段階を含んでなる方法を提供する。好ましい態様では、投与は、血管内ステントを被験哺乳類に移植することを含んでなり、このステントは組成物をコーティングまたは含浸させている。薬剤をコーティングしたまたは薬剤を含浸したステントを構築するための典型的な材料は上記文献に記載されており、Lincoff et al., Circulation, 90: 2070-2084 (1994)に概説されている。もう一つの好ましい態様では、組成物は、PGLA、非分解性ポリマー、または生物学的ポリマー(例えば、澱粉)のような生物分解性ポリマーからなる微粒子であって、VEGF−Cポリペプチドでカプセル化または含浸されているものを含んでなる。このような粒子は、輸液血管形成カテーテルなどを用いて血管壁に送達される。局部的に持続した薬剤送達を行うための他の手法は、Wilensky et al., Trends Cardiovasc. Med., 3: 163-170 (1993)に概説されており、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0041】
血管形成またはバイパス処置の後に1回以上の静脈内注射による投与も考えられる。処置の部位へのVEGF−Cポリペプチドの局在化は、増殖する内皮細胞上でのVEGF−Cレセプターの発現によって起こる。局在化は、(例えば、Shih et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 87: 1436-1440 (1990)に記載のアポリポタンパク質B−100オリゴペプチドに融合した)融合ポリペプチドとしてVEGF−Cを組み換え発現することによっても促進される。VEGF−CポリヌクレオチドとVEGF−Cポリペプチドの同時投与も考えられる。
【0042】
更にもう一つの態様では、本発明は、血管の狭窄または再狭窄の治療または予防用の医薬を製造するためのVEGF−CポリヌクレオチドまたはVEGF−Cポリペプチドの使用を提供する。
【0043】
更にもう一つの態様では、本発明は、血管の狭窄または再狭窄を予防するための被験哺乳類の治療法であって、血管の狭窄または再狭窄を予防するための治療を必要とする被験哺乳類にポリヌクレオチドを含んでなる組成物であって、ポリヌクレオチドが血管内皮増殖因子D(VEGF−D)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるものを投与する段階を含んでなる方法を提供する。このような方法は、VEGF−Dをコードするポリヌクレオチドを用いること以外はVEGF−Cをコードするポリヌクレオチドに関して本明細書に本質的に記載されている方法で実施される。ヒトVEGF−D遺伝子およびタンパク質の詳細な説明は、Achen, et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 95(2): 548-553 (1998); 1998年2月26日公表の国際特許公表WO98/07832号明細書、およびGenbank受入番号AJ000185号に記載されており、上記の総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。プレプロ−VEGF−DについてのcDNAおよび推定アミノ酸配列は、本明細書の配列番号3および4に記載されている。周知のように遺伝子コードが縮重しているため、多重VEGF−Dコードポリヌクレオチド配列があり、それらのいずれを本明細書に記載の方法によって用いることができることは当然である。
【0044】
VEGF−Cに関して本明細書で詳細に説明したように、VEGF−D断片、VEGF−D類似体、VEGF−D対立遺伝子および種間変異体をコードするポリヌクレオチド、およびヒトVEGF−Dのイン・ビボで再狭窄防止作用を有するものの使用が、総て本発明に包含されるものとして考えられる。
【0045】
更にもう一つの態様では、本発明は、血管の狭窄または再狭窄を予防するための被験哺乳類の治療法であって、血管の狭窄または再狭窄を予防するための治療を必要とする被験哺乳類にVEGF−Dポリペプチドを血管の狭窄または再狭窄を予防するのに有効な量で含んでなる組成物を投与する段階を含んでなる方法を提供する。このような方法は、VEGF−Cポリペプチドに関して本明細書に本質的に記載されている方法で実施される。
【0046】
関連態様では、本発明は、上記方法の実施のための材料および装置を提供する。
【0047】
例えば、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、ベクター、組成物、および本発明の組成物での用途について記載したものは、それ自体が本発明の態様と考えられる。
【0048】
同様に、本発明は、血管内(血管中)ステント、バルーンカテーテル、輸液−灌流カテーテル、血管外カラー、弾性膜などの循環器障害の治療に用いられる外科装置であって、VEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−Dポリヌクレオチドおよび/またはVEGF−Dポリペプチドを含んでなる組成物をコーティングし、含浸し、これに付着し、または装置内にカプセル化することによって改良した装置も提供する。
【0049】
例えば、一つの態様では、本発明は、血管内ステントであって、このステントがVEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−Dポリヌクレオチド、およびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物をコーティングまたは含浸している改良を特徴とするステントを提供する。この方法で改良することができる典型的ステントは、米国特許第5,800,507号および第5,697,967号明細書(Medtronic, Inc., フィブリンおよび再狭窄の治療法を提供することができる溶出可能な薬剤を含んでなる管腔内ステントを記載)、米国特許第5,776,184号明細書(Medtronic, Inc., ポリマーおよび固形物または固形物/溶液中に治療物質をポリマーと共に含んでなる多孔性コーティングを有するステントを記載)、米国特許第5,799,384号明細書(Medtronic, Inc., 体管腔に接触するための生物適合性ポリマー表面を有する柔軟な円筒形の金属ステントを記載)、米国特許第5,824,048号および第5,679,400号明細書、および米国特許第5,779,729号明細書に記載され、描写されており、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。一般的な血管形成法の際にこのようなステントを移植すると、通常のステントの移植よりも再狭窄が少なくなる。この意味において、ステントの生物適合性は改良されている。
【0050】
もう一つの態様では、本発明は、血管に治療薬を送達するための血管外カラーであって、このカラーがVEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−Dポリヌクレオチド、およびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物をコーティングまたは含浸しまたはカプセル化している改良を特徴とするカラーを提供する。この方法で改良される典型的なカラーは、国際特許公表WO98/20027号明細書(Eurogene, Ltd., 血管周囲をシールし、再狭窄防止医薬処方物を保持する溜めを画定するために採用された本体を含んでなるカラー)に記載され、描写されており、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0051】
更にもう一つの態様では、本発明は、ステントを包むためのポリマーフィルムであって、フィルムがVEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−Dポリヌクレオチド、およびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物をコーティングまたは含浸している改良を特徴とするフィルムを提供する。この方法で改良される典型的なカラーは、米国特許第5,700,286号および第5,707,385号明細書(Advanced Cardiovascular Systems, Inc., 再狭窄防止治療薬をコーティングまたは含浸し、血管内ステントに結合可能な生物吸収性ポリマー材料の鞘)に記載され、描写されている。
【0052】
同様に、本発明は、本発明の方法を実施するためその使用を促進する方法で包装された本発明の化合物または組成物を含んでなるキットを含む。最も単純な態様では、このようなキットは、密封ボトルまたは器のような容器に、容器に添付されまたは包装に含まれている本発明の方法を実施するための化合物または組成物の使用を記載しているラベルと共に包装された本発明の実施に用いられることが本明細書に記載されている化合物または組成物(例えば、VEGF−CまたはVEGF−Dポリヌクレオチドまたはポリペプチド)を含む。好ましくは、化合物または組成物は、単位投与形態で包装される。もう一つの態様では、本発明のキットは、ステント、カテーテル、血管外カラー、ポリマーフィルムなどの本発明の方法の実施に有用な物理装置と共に包装されているVEGF−CまたはVEGF−Dポリヌクレオチドまたはポリペプチド組成物を含む。もう一つの態様では、本発明のキットは、ヒドロゲルポリマーまたは微粒子ポリマー、またはVEGF−C/VEGF−Dを患者に送達するのに有用であることが本明細書に記載されている他のキャリヤーと共に包装されているVEGF−CまたはVEGF−Dポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む。
【0053】
本発明の他の特徴および変更は、本願明細書の内容から当業者に明らかになるであろうし、これらの総ての特徴は、本発明の態様と考えられるものである。
【0054】
同様に、本明細書に記載された本発明の特徴を、特徴の組合わせが本発明の側面または態様として上記に具体的に述べられているかどうかには関係なく、本発明の側面とも考えられる追加の態様と再度組み合わせることができる。また、本発明にとって決定的なものとして本明細書に記載される限定のみをそのまま記載すべきであり、本明細書に決定的なものとして記載されなかった限定を欠く本発明の変更は、本発明の側面と考えようとするものである。
【0055】
上記に加えて、本発明は、上記で具体的に述べた変更よりいずれにせよ範囲が狭い本発明の総ての態様を追加の側面として含む。本出願人(ら)はここに追加された請求項の全範囲を発明したが、ここに追加した請求項は、その範囲内に第三者の従来技術による研究成果を包含しようとするものではない。従って、請求項の範囲内の法定従来技術が特許庁または他の団体または個人によって出願人が考慮させられる場合には、出願人(ら)は出願可能な特許法下で補正の権利を実施し、請求項の主題を再定義し、このような請求の範囲から法定上の従来技術または明白な法定上の従来技術の変更を具体的に除外する権利を留保する。このような補正した請求の範囲によって定義される発明の変更も、本発明の側面として考えられる。
【0056】
発明の詳細な説明
本発明は、ヒト血管内皮増殖因子C(VEGF−C)を一般的なバルーン血管形成法の際に起こることがある外傷のような血管外傷を受けた哺乳類に投与すると、損傷した血管の再狭窄が減少しまたはなくなることを見出したことに基づいている。再狭窄を予防するためのVEGF−Cトランスジーンの効果を示すイン・ビボで制御した実験を、例1で詳細に説明する。例2は、VEGF−Cの再狭窄防止作用が類似の方法で投与したVEGFの再狭窄防止作用より優れていると思われることを示す同時行った比較研究を提供する。
【0057】
血管内皮増殖因子C(VEGF−C)と呼ばれる増殖因子、並びにVEGF−CおよびVEGF−C変異体および類似体をコードする天然のヒト、非ヒト哺乳類およびトリのポリヌクレオチド配列は、1998年2月2日に出願され1998年8月6日に国際公表WO98/33917号として公表された国際特許出願PCT/US98/01973号明細書、Joukov et al., J. Biol. Chem., 273(12): 6599-6602 (1998); およびJoukov et al., EMBO J., 16(13): 3898-3911 (1997)に詳細に記載されており、上記の総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。そこで詳細に説明されているように、ヒトVEGF−Cは最初は419アミノ酸のプレプロ−VEGF−Cポリペプチドとしてヒト細胞に産生する。ヒトプレプロ−VEGF−CについてのcDNAおよび推定アミノ酸配列は、それぞれ配列番号1および2に記載されており、ヒトVEGF−CをコードするcDNAは、ブダペスト条約の規定に準じてアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC),10801 University Blvd., Manassa, VA 20110-2209 (USA)に寄託されている(寄託日1995年7月24日、およびATCC受入番号97231)。他の種からのVEGF−C配列も報告されている。例えば、Genbank 受入番号MMU73620(Mus musculus)およびCCY15837(Coturnix coturnix)を参照されたい。上記配列の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0058】
プレプロ−VEGF−Cポリペプチドは多段階で処理され、約21〜23kD(還元条件下でSDS−PAGEによって評価)の成熟し極めて活性の高いVEGF−Cポリペプチドを産生する。このような処理としては、シグナルペプチドの開裂(配列番号2,残基1〜31)、カルボキシル末端ペプチドの開裂により(配列番号2のアミノ酸228〜419に近似的に相当し、バルビアニ環3タンパク質(BR3P)配列を暗示する間隔を置いたシステイン残基のパターンを有する{Dignam et al., Gene, 88: 133-40 (1990); Paulsson et al., J. Mol. Biol., 211: 331-49 (1990)])約29kDの部分処理形態を産生すること、およびアミノ末端ペプチド(配列番号2のアミノ酸32〜103に近似的に相当する)の開裂(明らかに細胞外)により約21〜23kDの完全に処理された成熟形態を産生することが挙げられる。実験的証拠は、VEGF−Cの部分処理形態(例えば、29kD形態)はFlt4(VEGFR−3)レセプターに結合することができ、砒素の完全処理形態ではVEGFR−2への高親和性結合だけが起こる。VEGF−Cポリペプチドは、天然では非ジスルフィド結合二量体として会合していると思われる。
【0059】
更に、配列番号2のアミノ酸103〜227は、VEGF−C機能の保持に総てが決定的という訳ではないことが示されている。配列番号2のアミノ酸113〜213からなり(かつ残基103〜112および214〜227を欠く)ポリペプチドは、VEGF−Cレセプターに結合して、刺激する能力を保持しており、約残基131から約残基211までの範囲のポリペプチドはVEGF−C生物活性を保持することが予想される。156位のシステイン残基は、VEGFR−2結合能にとって重要であることが示されている。しかしながら、VEGF−CΔC156ポリペプチド(すなわち、欠失または置換によりこのシステインを欠く類似体)は、VEGFR−3の強力な活性剤のままである。VEGF−Cの再狭窄防止作用がVEGFR−3を介して伝達されると、VEGF−CΔC156ポリペプチド(およびそれらをコードするポリヌクレオチド)の使用は、再狭窄防止効果を提供し、VEGFR−2依存性の副作用を最小限にすることが予想される。配列番号2の165位のシステインは、いずれかのレセプターへの結合にとって本質的であり、83または137位のシステインを欠く類似体は両レセプターとの結合について本来のVEGF−Cと競合誌、両レセプターを刺激する。
【0060】
ヒトVEGF−Cを他の種由来のVEGF−Cと整列(任意の一般に認められている整列アルゴリズムを用いて行った)は、VEGF−Cの生物活性を破壊することなく修飾を導入することができる(例えば、挿入、置換、および/または欠失)追加の残基を示唆する。整列した2個以上の種のVEGF−Cポリペプチドが異なるアミノ酸、特に異なる化学的特徴の側鎖を有する異なるアミノ酸を有する任意の位置は、同時に機能が除去されることなく修飾を受けやすい適当な位置である。ヒト、ネズミおよびウズラのVEGF−Cの典型的な整列は、PCT/US98/01973の図5に記載されている。
【0061】
上記の考察は別として、無数の保存的アミノ酸置換を行って特にこの置換の数が小さければVEGF−C生物活性を保持するポリペプチドを生じると思われる野生型VEGF−C配列とすることができることが理解されるであろう。「保存的アミノ酸置換」とは、アミノ酸を同様の化学的特性の側鎖を有するアミノ酸で置換することを意味する。保存的置換行うための同様なアミノ酸としては、酸性側鎖(グルタミン酸、アスパラギン酸)、塩基性側鎖(アルギニン、リシン、ヒスチジン)、極性アミド側鎖(グルタミン、アスパラギン)、疎水性の脂肪族側鎖(ロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、グリシン)、芳香族側鎖(フェニルアラニン、トリプトファン、チロシン)、小さな側鎖(グリシン、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニン)、または脂肪族ヒドロキシル側鎖(セリン、トレオニン)を有するものが挙げられる。VEGF−C生物活性を破壊することのない1または数個の内部アミノ酸の付加または欠失も、考えられる。
【0062】
特定の理論に限定しようとするものではないが、再狭窄の予防におけるVEGF−Cの効果を支持する機構は、血管中の平滑筋の増殖を有意に同時に刺激することなく損傷した血管(および/または血管内ステント)の再内皮形成を刺激するVEGF−Cの能力に関するものと思われる。VEGF−Cは、平滑筋細胞増殖を抑制することもできる。従って、候補のVEGF−C類似体ポリペプチドを、最初に既知のVEGF−Cレセプター(VEGFR−2およびVEGFR−3)に結合し、自動ホスホリル化を刺激する目的で速やかにスクリーニングすることができる。一方または両方の既知レセプターを刺激するポリペプチドを、培養した毛細血管または動脈内皮細胞(例えば、WO98/33917号明細書に記載)に対するマイトジェンおよび/または走化性活性についてイン・ビトロで速やかに再スクリーニングする。次に、マイトジェンおよび/または走化性活性を有するポリペプチドを、再狭窄を予防する能力について本明細書に記載の方法でイン・ビボでスクリーニングする。この方法で、天然に存在するVEGF−Cタンパク質の変異体(類似体)を速やかにスクリーニングし、この変異体が本発明で使用するための「VEGF−Cポリペプチド」を構成するのに必要な生物活性を有するかどうかを決定する。
【0063】
血管内皮増殖因子D(VEGF−D)と呼ばれる増殖因子、並びにVEGF−Dをコードするヒト配列、およびVEGF−D変異体および類似体は、1997年8月21日に出願され、1998年2月26日に国際公表WO98/07832号として公表された国際特許出願PCT/US97/14696号明細書、およびAchen et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 95(2): 548-553 (1998)に詳細に記載されており、両文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。そこに詳細に説明されているように、ヒトVEGF−Dは最初はヒト細胞で354アミノ酸のプレプロ−VEGF−Dポリペプチドとして産生される。ヒトプレプロ−VEGF−DについてのcDNAおよび推定アミノ酸配列は、それぞれ配列番号3および4に記載されている。他の種由来のVEGF−D配列も報告されている。例えば、Genbank 受入番号D89628(Mus musculus)およびAF014827(Rattus norvegicus)を参照されたい。上記配列の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0064】
プレプロ−VEGF−Dポリペプチドは21アミノ酸の推定シグナルペプチドを有し、プレプロ−VEGF−Cの処理と類似の方法で明らかにタンパク質分解的に処理される。配列番号4の残基1〜92および202〜354を欠く「組換え成熟した」VEGF−Dは、レセプターVEGFR−2およびVEGFR−3を活性化する能力を保持しており、非共有結合した二量体として会合していると思われる。従って、好ましいVEGF−Dポリヌクレオチドとしては、配列番号4のアミノ酸93〜201をコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドが挙げられる。機能を保護する修飾をVEGF−Cポリペプチドに導入するための上記に提供したガイダンスも、機能を保護する修飾をVEGF−Dポリペプチドに導入するのに適している。
【0065】
本発明によって提供される再狭窄の治療的または予防的治療は、ヒトなどの被験哺乳類にVEGF−CまたはVEGF−Dポリヌクレオチドまたはポリペプチドまたはそれらの組合せを含んでなる組成物(時には、本明細書では総称的に「VEGF−CまたはVEGF−D治療薬」と呼ばれる)を投与することを含む。
【0066】
「投与」は、治療薬を被験哺乳類の血管に直接または間接的に導入する任意の医学的に認められた手段を用いて行うことができ、注射、経口摂取、経鼻または局所投与などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい態様では、VEGF−CまたはVEGF−Dポリヌクレオチドまたはポリペプチド組成物を含んでなる組成物の投与は、静脈内、動脈内、または冠動脈内注射によるなど血管内で行う。
【0067】
極めて好ましい態様では、組成物は、局所的に、例えば血管形成またはバイパスの部位に投与される。例えば、投与は、治療組成物を被験哺乳類の血管、特に被験哺乳類の冠動脈にカテーテルを介して導入することを含んでなる。局所送達の典型的な材料および方法は、Lincoff et al., Circulation, 90: 2070-2084 (1994)、およびWilensky et al., Trends Cardiovasc. Med., 3: 163-170 (1993)に概説されており、これらの文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。例えば、組成物は、冠動脈薬剤輸液についての文献に記載されているような輸液−灌流バルーンカテーテル(好ましくは、微孔性バルーンカテーテル)を用いて投与される。例えば、米国特許第5,713,860号明細書(輸液アレイを有する血管内カテーテル);米国特許第5,087,244号明細書;米国特許第5,653,689号明細書;およびWolinsky et al., J. Am. Coll. Cardiol., 15: 475-481 (1990)(ウォリンスキー輸液カテーテル);およびLambert et al., Coron. Artery Dis., 4: 469-475 (1993)を参照されたい。上記の総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。位置指定体細胞遺伝子療法へのこれらのカテーテルの使用は、例えばMazur et al., Texas Heart Institute Journal, 21: 104-111 (1994)に記載されており、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0068】
例えば、冠動脈の単一または複数の損傷による狭心症の患者であって、冠動脈血管造影の一次所見に基づいてPTCAが処方された患者では、典型的プロトコールは大腿部法を用いる標準的臨床実施による7Fガイドカテーテルを介するPTCAを行うことを含む。PTCA単独では最適結果が得られない場合には、血管内ステントも移植する。(最適でない結果は、目視評価、およびBおよびC型切開による管腔直径の>30%の残存狭窄として定義される。)バルーン拡張の部位における動脈遺伝子導入は、血管形成の直後でステント移植の前に、輸液−灌流バルーンカテーテルを用いて複製欠損アデノウイルスVEGF−Cベクターで行う。カテーテルの大きさは、血管造影図から測定した動脈の直径に合うように選択され、例えば、3.0〜3.5Fの直径となる。バルーンを最適圧力まで膨張させ、ウイルス力価1.15×1010で0.5ml/分の速度で10分間の輸液中に行う。
【0069】
もう一つの態様では、他のトランスジーンを導入するために文献に記載されているように、ゲルをコーティングしたカテーテルを用いる血管内投与が考えられる。例えば、米国特許第5,674,192号明細書(強靱に付着した膨張性ヒドロゲルポリマーをコーティングしたカテーテル);Riessen et al., Human Gene Therapy, 4: 749-758 (1993); およびSteg et al., Circulation, 96: 408-411 (1997)および90: 1648-1656 (1994)を参照されたい。これらの総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。図1に示されるように、膨張性バルーン12が遠位末端に取り付けられているカテーテル10が提供される。バルーンは、治療用のVEGF−CまたはVEGF−D治療薬を含んでなる溶液を吸収することができる膨潤性のヒドロゲルポリマーコーティング14を含む。簡単に説明すれば、DNAの溶液(例えば、VEGF−Cポリヌクレオチド)をヒドロゲルポリマーをコーティングした膨張した血管形成カテーテルバルーンの表面にエクス・ビボで1回以上塗布する(例えば、ヒドロプラスを有するスライダー(Slider with Hydroplus), Mansfield Boston Scientific Corp., Watertown, MA)。ヒドロプラスコーティングは、親水性のポリアクリル酸ポリマーであって、バルーンに架橋して、バルーンにしっかりと付着した高分子量ヒドロゲルを形成する。DNAで被覆されたヒドロゲルを乾燥した後、バルーンをすぼませる。血管形成法の際にバルーンを血管内で再膨張させることにより、DNAが血管壁に導入される。従って、また図1について説明すれば、取り付けてコーティングしたバルーンを、保護鞘20によって被覆して、閉塞部位22に置かれる前にコーティングしたバルーンが血液に露出するのを最小限にしながら、血管18の管腔16に挿入する。装置が治療領域に配置されたならば、保護鞘を引き戻し、またはカテーテルを前方に移動させてバルーンを露出させ、これを膨張させてバルーン(従って、コーティング)を血管壁に与圧して、圧縮したスポンジから液体を絞り出しまたは湿潤塗料を接触によって表面に導入するのと類似の方法でVEGF−CまたはVEGF−D治療薬を組織に導入する。
【0070】
更にもう一つの態様では、バルーン血管形成カテーテルまたはステントに配置されたまたはこれと一体的な膨張性の弾性膜、フィルムまたは同様の構造を用いて、VEGF−CまたはVEGF−D治療薬を送達する。例えば、米国特許第5,707,385号、第5,697,967号、第5,700,286号、第5,800,507号および第5,776,184号明細書を参照されたい。上記の総ての文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。図2A〜2Bに示されるように、弾性膜材料(図2A)の単層30または多層30,32シートを、シート(同士)の対向末端をまとめて、例えば重複または接触関係で接着することによって管状構造34(図2B)に成形する。この方法で、弾性材料をカテーテルバルーンまたはステントの回りに巻き付けることができる。治療用のVEGF−CまたはVEGF−D組成物を、射出成形、コーティング、拡散、および吸収法などの任意の適当な手段を用いて膜と合わせる。図に示した多層態様では、二層の両端を結合させて、液密シールを形成することができる。好ましい態様では、材料の一方の層を最初に材料を伸張し、複数の微小孔またはスリット36を導入することによって加工する。層同士が互いに結合した後、シートを伸張し、孔またはスリットの一方を介して治療用VEGF−C/D組成物を注入して層の間にある空隙を満たすことができる。次に、シートを弛緩させ、孔を閉じて、シートを再度伸張するときまで層の間に治療組成物をシールする。これは、例えばシートによって被覆された血管内ステントまたはバルーンが狭窄した血管の管腔内で膨張するときに起こる。膨張ステントまたはバルーンは、管状シートカバーの内部表面38に対して放射状外側にプレスし、シートを伸張し、孔を開き、治療薬を血管壁に送達する。
【0071】
もう一つの態様では、VEGF−CまたはVEGF−D治療薬を含む組成物を、例えば血管の一部を取り囲みまたはカプセル化する装置を用いて血管外に投与する。例えば、(バイパス処置の際などに)動脈の外側に置き、プラスミドまたはリポソームベクターを介して動脈壁にトランスジーンを送達するカラーが記載されている国際特許公表WO98/20027号明細書(この特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される)を参照されたい。図3Aおよび3Bに示されるように、血管外カラーは、例えば生物分解性または生物適合性材料で形成された壁44によって画定されるボイドスペース42を含む。カラーは、カラーの外側末端で血管48の外壁46に触れている。血液52は、血管の管腔を流れる。柔軟なカラーの縦方向スリット54により、カラーを変形させ、血管の回りに置き、トロンビン接着剤のような通常の組織接着剤を用いてシールする。
【0072】
更にもう一つの態様では、内皮細胞または内皮前駆細胞をVEGF−CまたはVEGF−Dトランスジーンでエクス・ビボでトランスフェクションし、トランスフェクションした細胞を被験哺乳類に投与する。血管移植片に遺伝子修飾した内皮細胞を播種するための典型的手順は、米国特許第5,785,965号明細書に記載されており、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0073】
被験哺乳類が血管移植片を受け入れているときには、VEGF−CまたはVEGF−D治療組成物を単離した血管断片に直接適用した後、イン・ビボで移植することができる。
【0074】
もう一つの態様では、投与は、被験哺乳類に血管内ステントを移植することを含んでなり、ステントは治療用VEGF−C/D遺伝子/タンパク質組成物でコーティングまたは含浸されている。薬剤をコーティングしたまたは薬剤を含浸したステントを構築するための典型的な材料は上記文献に記載されており、Lincoff et al., Circulation, 90: 2070-2084 (1994)に概説されている。図4Aおよび4Bに示されるように、ステントを形成するための金属またはポリマーワイヤー70を、VEGF−CまたはVEGF−D治療組成物を含浸させた(または浸漬し、あるいは使用直前に容易にコーティングすることができる)多孔性の生物適合性ポリマーまたはゲルのような組成物でコーティングする。ワイヤーをコイルに巻き取り、織り、あるいは血管内血管形成カテーテル法のような通常の材料および手法を用いて血管の管腔に移植するのに適するステント74に成形する。この方法で改良することができる典型的ステントは、米国特許第5,800,507号および第5,697,967号明細書(Medtronic, Inc., フィブリンおよび再狭窄の治療法を提供することができる溶出可能な薬剤を含んでなる管腔内ステントを記載)、米国特許第5,776,184号明細書(Medtronic, Inc., ポリマーおよび固形物または固形物/溶液中に治療物質をポリマーと共に含んでなる多孔性コーティングを有するステントを記載)、米国特許第5,799,384号明細書(Medtronic, Inc., 体管腔に接触するための生物適合性ポリマー表面を有する柔軟な円筒形の金属ステントを記載)、米国特許第5,824,048号および第5,679,400号明細書、および米国特許第5,779,729号明細書に記載され、描写されており、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。一般的な血管形成法の際にこのようなステントを移植すると、通常のステントの移植よりも再狭窄が少なくなる。この意味において、ステントの生物適合性は改良されている。
【0075】
もう一つの好ましい態様では、組成物は、PGLA、非分解性ポリマー、または生物学的ポリマー(例えば、澱粉)のような生物分解性ポリマーからなる微粒子であって、VEGF−CまたはVEGF−Cポリペプチド/ポリヌクレオチドでカプセル化または含浸されているものを含んでなる。このような粒子は、輸液血管形成カテーテルなどを用いて血管壁に送達される。局部的に持続した薬剤送達を行うための他の手法は、Wilensky et al., Trends Cardiovasc. Med., 3: 163-170 (1993)に概説されており、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0076】
血管形成またはバイパス処置の後に1回以上の静脈内注射による投与も考えられる。処置の部位へのVEGF−CまたはVEGF−Dポリペプチドの局在化は、増殖する内皮細胞上でのVEGF−Cレセプターの発現によって起こる。局在化は、(例えば、Shih et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. USA, 87: 1436-1440 (1990)に記載のアポリポタンパク質B−100オリゴペプチドに融合した)融合ポリペプチドとしてVEGF−CまたはVEGF−Dを組み換え発現することによっても促進される。
【0077】
血管の狭窄または再狭窄を予防するためのVEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−Dポリヌクレオチド、およびVEGF−Dポリペプチドの医薬効果を、イン・ビボで、例えば幾つかは余弦的なものである下記の例に記載されるような手順を用いて示す。例により、本発明の説明が更に容易になるが、本発明の範囲を制限しようとするものではない。
【0078】
例1
再狭窄を予防するためのアデノウイルス依存性VEGF−C遺伝子導入の使用
ウサギの再狭窄モデルで行った下記の実験は、血管形成後の再狭窄を予防するためのアデノウイルス依存性の血管内VEGF−C遺伝子導入の効果を示す。
【0079】
A.材料および方法
1.アデノウイルス構築物
サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターおよびヒト成長ホルモンポリアデニル化シグナル配列に作動可能に結合した完全なヒトプレプロ−VEGF−CオープンリーディングフレームをコードするcDNAを含むアデノウイルスプラスミドは、下記の方法で構築した。CMVプロモーター配列を含んでなるDNA断片を、pcDNA3.1+ベクター(Invitrogen)をSalIで消化し、5′オーバーハングにクレノウ酵素を充填することによって調製した。CMVプロモーター(ヌクレオチド5431〜911)を、ベクターからHindIIIで摘出して、単離した。配列番号1に記載した1997bpの配列(並びに追加の非コードおよびポリリンカー配列の50塩基未満)を含む完全長のヒトVEGF−CcDNAを、[WO98/33917号明細書に記載の]VEGF−CpREP7発現ベクターからHindIIIおよびXhoIで摘出し、単離した。ヒト成長ホルモンポリアデニル化シグナル(約860bp)を、αMHCベクターからSalIおよびBamHIで摘出した。CMVプロモーター、VEGF−CcDNAおよびhGHポリアデニル化シグナル断片を同時にBamHIおよびEcoRVで消化したpCRIIベクターに連結した。連結したCMVプロモーターおよびVEGF−CcDNAは、配列番号17に示されている。生成する構築物をBglIIで開き、BamHIで部分消化した。完全転写単位をBglIIで開いたpAdBglIIベクターに連結した。次に、この構築物[pAdBglIIVEGF−Cと命名]を用いて、標準的相同組換え法を用いてCMV−VEGF−C−hGH転写単位を含む組換えアデノウイルスを作成した[Barr et al., Gene Ther., 1: 51-58 (1994)]。組換え欠損E1〜E3欠失アデノウイルスを293個の細胞で産生させ、文献で知られている手法を用いる超遠心によって濃縮した[例えば、Barr et al. (1994)を参照されたい]。同じプロモーターに操作可能に連結したlacZ遺伝子を含んでなるコントロールプラスミドも用いた[Laitinen M. et al., Hum. Gene Ther., 9: 1481-1486 (1998)]。lacZアデノウイルスは核標的設定シグナルを有し、核に対するβ−ガラクトシダーゼ発現を指定した。複製欠損E1〜E3欠失アデノウイルスを293個の細胞で産生させ(Barr et al., 1994)。アデノウイルス製剤をヘルパーウイルスおよび細菌学的汚染物が含まれないことについて分析した。
【0080】
2.動物モデル
ニュージーランドシロウサギを用いて、遺伝子導入研究を行った。第一群のウサギには0.25%コレステロール食を2週間与えた後、大動脈のバルーン露出を行った後、3日後にアデノウイルス依存性遺伝子導入を行った。第二群のウサギには、遺伝子導入だけを行った。動物を、遺伝子導入から2または4週後に屠殺した。両研究群における実験(VEGF−C)およびコントロール(lacZ)動物の数は6であった。
【0081】
第一群のウサギでは、4.0F動脈塞栓摘出カテーテル(Sorin Biomedical, Irvine, CA)を用いて大動脈弓の先端から初めて大動脈全体を露出させた。カテーテルを右腸骨動脈を介して大動脈弓まで導入し、膨張させ、大動脈を二回露出させた。
【0082】
3.遺伝子導入
遺伝子導入は、3.0Fチャンネルバルーン局所薬送達カテーテル(Boston Scientific Corp., Maple Grove, MA)を用いて行った。X線透視装置制御を用いて、バルーンカテーテルを左腎動脈尾部の側肢のない部分に右頸動脈中の5F経皮インデューサー鞘(Arrow International, Reading, PA)を介して配置し、コントラスト媒体および食塩水の混合物で6ATMまで膨張させた。バルーンカテーテルの解剖学上の位置を、左腎動脈の大動脈開口からの距離を測定することによって決定した。1.15×1010プラーク形成単位(pfu)のウイルス力価をそれぞれの動物に最終容積2ml(0.9%NaCl)で投与し、遺伝子導入を6ATMで10分間(0.2ml/分)行った。第二の研究群では、動物に遺伝子導入のみを行い、遺伝子導入から2週後に屠殺した。それぞれの研究群(0.9%NaClのみ、lacZ遺伝子導入、およびVEGF−C遺伝子導入)における動物数は3であった。総ての検討は、フィンランドのクオピオ大学の実験動物委員会によって承認された。
【0083】
4.組織学
屠殺の3時間前に、動物にBrdU 50mgを40%エタノールに溶解したものを静脈内投与した。屠殺後、遺伝子導入を行った大動脈切片を取り出し、食塩水で静かに洗い流し、5個の均等な切片に分けた。基部切片を液体窒素で瞬間凍結し、−70℃で保管した。次の切片を、4%パラホルムアルデヒド/15%スクロース(pH7.4)中で4時間浸漬固定し、15%スクロース(pH7.4)で一晩洗浄し、パラフィンに埋設した。中膜切片は、4%パラホルムアルデヒド/リン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4)中で10分間浸漬固定し、PBSで2時間洗浄し、OCT化合物(Miles)に埋設し、−70℃で保管した。第四の切片は70%エタノールで浸漬固定し、パラフィンに埋設した。先端切片は、X−GAL染色与中で+37℃で16時間β−ガラクトシダーゼ活性について直接染色し、4%パラホルムアルデヒド/15%スクロース(pH7.4)中で4時間浸漬固定し、15%スクロース(pH7.4)で一晩洗浄し、パラフィンに埋設した。パラフィン切片は、平滑筋細胞(SMC)、マクロファージおよび内皮の免疫細胞化学的検出に用いた。遺伝子導入効率を、OCT埋設組織のX−GAL染色を用いて評価した。BrdU陽性細胞を、製造業者の指示に準じて検出した。形態計測は、イメージ分析ソフトウェアを用い、ヘマトキシリン−エオシン染色パラフィン切片を用いて行った。測定は、切片の起源について知識のない複数の切片から2名の観察者が独立して行った。内膜/中膜(I/M)比を、内膜の肥厚化のパラメーターとして用いた。
【0084】
B.結果
バルーンによって露出したマウスの組織学的分析により、lacZをトランスフェクションしたコントロール群のI/M比は、遺伝子導入の2週間後では0.61であり、これはVEGF−Cをトランスフェクションした群(I/M比は0.40)とは統計的に有意さがあることを表していた。VEGF−C群が小さめのI/M比を有する傾向は、遺伝子導入から4週後の時点でも持続した。
【0085】
(内皮露出なしで)血管壁への遺伝子導入を施しただけのウサギの第二の群では、lacZ群のI/M比は0.3であり、一方VEGF−C群については0.15であった。この差も、VEGF−C群での新内膜形成の統計的に有意な(p<0.05)阻害を表していた。
【0086】
BrdU標識により、VEGF−Cトランスフェクション対コントロール(lacZ)動物における平滑筋細胞増殖の分析を行うことができる。SMC増殖は、VEGF−Cトランスフェクション個体では減少することが予想される。
【0087】
上記データーは、大動脈露出およびバルーン露出なしでの遺伝子導入カテーテルによって引起された血管壁損傷から2週後の時点では、VEGF−C遺伝子導入により内膜肥厚化が有意に減少することを示している。これらのデーターは、血管形成後再狭窄の予防を目的とするVEGF−C遺伝子の治療上の有用性を示している。
【0088】
例2
VEGF−Cの再狭窄作用がVEGFの作用より優れていることを示す比較例
下記の実験は、血管形成後再狭窄の予防を目的とするアデノウイルス依存性血管内VEGFおよびVEGF−C遺伝子導入の効果を示しており、VEGF−CがVEGFと比較して優れた治療効果を提供すると思われることを示している。 A. 材料および方法
1. アデノウイルス構築物
VEGF(ネズミVEGF−A164;配列番号18)アデノウイルスをVEGF−C構築物と同じプロモーターを用い、例1に記載したのと同様な手順に従って構築した。VEGF−A164アデノウイルス構築物を293T細胞で産生し、本質的に例1に記載の方法で濃縮し、ヘルパーウイルス、リポ多糖類および細菌性混入物が含まれていないことを分析した。
【0089】
2. 動物モデル
63匹のニュージーランドシロウサギを、0.25%コレステロール食餌を2週間与え、遺伝子導入の前に大動脈のバルーン露出を行った第一群と、遺伝子導入のみを行った第二群の二つの主要な群に分割した。遺伝子導入は、第一群のウサギでは露出の3日後に行い、遺伝子導入の2または4週間後に屠殺した。両時点におけるそれぞれの検討群(lacZ、VEGFおよびVEGF−C)のウサギの数は6匹であった。第二の検討群では、ウサギは遺伝子導入のみを行い、コレステロール食餌またはバルーン露出は行わず、遺伝子導入の2または4週間後に屠殺した。それぞれの検討群(0.9%食塩水、lacZ、VEGFおよびVEGF−C)のウサギの数は3匹であった。
【0090】
3. 遺伝子導入
遺伝子導入は、例1に記載の手順に従って行った。
【0091】
4. 組織学
組織学は、本質的に例1に記載の方法で、SMCはHHF35 (DAKO, 1:50希釈)を用いて検出し、マクロファージはRAM-11 (DAKO, 1:50希釈)を用いて検出し、内皮はCD31 (DAKO, 1:50希釈)を用いて検出し、T細胞はMCA805 (DAKO, 1:100希釈)を用いて検出した改質を加えて行った。免疫染色のコントロールは、クラスおよび種にマッチした免疫グロブリンを有するインキュベーション、および一次抗体を省いたインキュベーションを含んだ。形態計測およびイメージ分析は、Image-Pro Plus(商品名)ソフトウェアおよびOlympus AX70顕微鏡(Olympus Optical, 日本)を用いて行った。統計分析は,ANOVAおよび改良t検定を用いて行った。P<0.05は、統計的に有意であると考えた。
【0092】
B. 結果
バルーン露出したウサギの組織学的分析では、内膜肥厚化およびSMC増殖を示している。遺伝子導入の2週間後には、lacZコントロール群はI/M比が最高となり(0.57±0.04)、一方VEGF−C(0.38±0.02)およびVEGF(0.49±0.17)群では内膜肥厚化の減少を示した。lacZおよびVEGF−C群のI/M比の差は有意であったが(P<0.05)、lacZとVEGF群の間の差は2週間後の時点では統計上有意ではなかった。VEGFおよびVEGF−Cのいずれの群でもI/M比がより小さいという傾向は、4週間後の時点では継続しており、I/M比はlacZ、VEGF−C、およびVEGFについてそれぞれ0.73±0.16、0.44±0.14および0.63±0.21であった。トランスフェクションした動脈のヘマトキシリン−エオシンおよび免疫染色は、総ての動脈における内膜の肥厚化は大部分がSMCからなることを示している。
【0093】
アデノウイルスベクターを用いることによって、免疫および炎症性応答を生じることができるが、一部は高力価アデノウイルスがNFκBの発現を誘発し、CTL応答を活性化するからである。しかしながら、マクロファージおよびT細胞免疫染色によって判定したところ、炎症または泡沫細胞の蓄積の徴候は全く検出されなかった。また、ヒトの臨床的遺伝子療法級のウイルスをトランスフェクションした動脈で短い露出時間で用い、これによりこの反応では過酷な炎症反応がみられないことを説明することもできる。
【0094】
増殖細胞の割合を、BrdU標識を用いて分析した。VEGF−C群は増殖速度は低くなりがちであったが、有意差は見られず、VEGF−Cを形質導入した動脈はいずれの時点でもI/M比が小さいという観察と一致した。バルーン露出から2週間後には、増殖細胞の割合は、lacZ、VEGF、およびVEGF−C群についてそれぞれ1.8±0.4、2.2±0.7、および1.2±0.0であり、4週間後には、増殖細胞の割合は、lacZ、VEGF、およびVEGF−C群についてそれぞれ0.3±0.1、1.2±0.5、および0.3±0.1であった。内皮再成長を、組織学的切片から完全な内皮の長さを測定することによって分析した。これらの検討群の間には、有意差は見られなかった。
【0095】
アデノウイルスが血管壁および新内膜形成に損傷を引起す可能性を、ウサギの完全な腹部大動脈にバルーン−露出なしで高力価アデノウイルス遺伝子導入を行うことによって試験した。コントロールウサギには、同じ方法で0.9%食塩水を投与した。処置の後に、遺伝子導入カテーテルの設置により、幾らかの内部弾性管腔の損傷と新内膜形成の中程度の誘導を引起した。2週間後の時点では、lacZ群でのI/M比は0.24±0.06であり、コントロール群では0.28±0.05であり、VEGF−C群では0.18±0.07であり、VEGF群では0.15±0.03であった。4週間後の時点では、lacZ群はI/M比が0.22±0.13であり、VEGF−C群は0.13±0.03であり、VEGF群は0.23±0.11であった。
【0096】
この検討は、バルーン損傷後の血管壁に対する血管内アデノウイルス依存性VEGF−C遺伝子導入の治療効果が有益であることを示し、また新内膜形成の予防のためのVEGF−CおよびVEGFアデノウイルス依存性遺伝子導入を比較する。VEGF−CおよびVEGFの異なるレセプター結合プロフィールは血管壁において異なる生物学的効果を生じる可能性があるが、いずれのVEGFも遺伝子導入から2週間後には内膜肥厚化が減少した。従って、いずれのVEGFも虚血性のアテローム性疾患の血管遺伝子療法の潜在的な候補である。しかしながら、この実験によれば、このモデル系ではVEGF−CはVEGFより効果的に再狭窄を防止すると思われる。VEGFと比較して、再狭窄を防止するVEGF−Cの優れた能力は、VEGF−CおよびVEGF−DのレセプターではあるがVEGFのレセプターではないVEGFR−3の発現または活性によると思われた。あるいは、明らかな優越性は、VEGFR−1を介して伝達される再狭窄促進作用によるか、または血管平滑筋細胞で発現するといわれている共通レセプターVEGFR−2を介して伝達される示差リガンド効果(VEGF−C対VEGF)によることができる[Grosskreutz et al., Microvasc. Res., 58(2): 128-136(1999年9月)を参照されたい] 。
【0097】
例3
大動脈壁におけるトランスフェクションしたVEGFの発現
例2に記載した同じ実験動物からの大動脈切片を用いて、lacZ、VEGF−C、およびVEGF(ネズミVEGF−A164)のmRNA発現を、遺伝子導入後の大動脈組織において分析した。総RNAを、Triazol Reagent (Gibco-BRL)を用いてトランスフェクションした大動脈切片から抽出し、RNA2μgを用いてcDNAを合成した。lacZ、VEGF−CおよびVEGFについてのプライマーをデザインして、CMVプロモーター由来の5′プライマーとコード領域由来の3′プライマーを選択することによって内在性および形質導入遺伝子を識別した。
【0098】
lacZ増幅については、プライマーは、5′プライマーが5'-TTGGAGGCCTAGGCTTTTGC-3'(配列番号5)であり、3′プライマーが5'-ATACTGTCGTCGTCCCCTCA-3'(配列番号6)であった。第一のPCRサイクルは96℃で4分間の初期インキュベーションに続いて80℃で3分間のインキュベーションであり、この間にDNAポリメラーゼを加えた。この後に30サイクル行い、それぞれ94℃で45秒間、58℃で45秒間、および72℃で50秒間からなり、続いて72℃で5分間の最終伸張を行った。第一のPCR生成物5μlは、5′プライマー5'-GGTAGAAGACCCCAAGGACTTT-3'(配列番号7)および3′プライマー5'-CGCCATTCGCCATTCAG-3'(配列番号8)と共に第二のPCRについて用いた。第一のPCRサイクルは、96℃で3分間の初期インキュベーションに続いて80℃で3分間のインキュベーションであり、これに続いて32サイクル行い、それぞれ94℃で60秒間、58℃で15秒間、および72℃で90秒間からなり、続いて72℃で5分間の最終伸張を行った。
【0099】
VEGF−C増殖については、プライマーは、5′プライマーが5'-CTGCTTACTGGCTTATCG-3' (配列番号9)であり、3′プライマーが5'-CCTGTTCTCTGTTATGTTGC-3' (配列番号10)である。第一のPCRサイクルは96℃で4分間の初期インキュベーションに続いて80℃で3分間のインキュベーションであり、この間にDNAポリメラーゼを加えた。この後に39サイクル行い、それぞれ94℃で30秒間、56℃で40秒間、および72℃で90秒間からなり、続いて72℃で5分間の最終伸張を行った。第一のPCR生成物5μlは、5′プライマー5'-TCTCCAAAAAGCTACACCG-3'(配列番号11)および3′プライマー5'-CAAGTGCATGGTGGAAGG-3'(配列番号12)と共に第二のPCRについて用いた。第一のPCRサイクルは、96℃で3分間の初期インキュベーションに続いて80℃で3分間のインキュベーションであり、これに続いて39サイクル行い、それぞれ94℃で60秒間、57℃で30秒間、および72℃で90秒間からなり、続いて72℃で5分間の最終伸張を行った。
【0100】
VEGF増幅については、プライマーは、5′プライマーが5'-TCGATCCATGAACTTTCTGC-3' (配列番号13)であり、3′プライマーが5'-TTCGTTTAACTCAAGCTGCC-3' (配列番号14)である。第一のPCRサイクルは96℃で4分間の初期インキュベーションに続いて80℃で3分間のインキュベーションであり、この後に39サイクル行い、それぞれ94℃で30秒間、53℃で40秒間、および72℃で90秒間からなり、続いて72℃で5分間の最終伸張を行った。第一のPCR生成物5μlは、5′プライマー5'-GACCCTGGCTTTACTGCTG-3'(配列番号15)および3′プライマー5'-GGAACATTTACACGTCTGCG-3'(配列番号16)と共に第二のPCRについて用いた。第一のPCRサイクルは、96℃で3分間の初期インキュベーションに続いて80℃で3分間のインキュベーションであり、これに続いて39サイクル行い、それぞれ94℃で60秒間、54℃で30秒間、および72℃で90秒間からなり、続いて72℃で5分間の最終伸張を行った。
【0101】
遺伝子導入から4週間後までに、lacZ、VEGF−CおよびVEGFのmRNAを大動脈壁組織に検出した。
【0102】
遺伝子導入効率を、OCT埋設組織切片でβ−ガラクトシダーゼ活性についてのX−Gal染色によって分析したlacZ発現を検討することによって評価した。トランスフェクション効率は、血管内カテーテル依存性遺伝子導入からそれぞれ2および4週間後では、1.1%±0.5および0.3%±0.1であった。
【0103】
例4
大動脈壁におけるVEGFレセプターの発現
例2に記載の実験動物を用いて、大動脈壁でのVEGFR−1、VEGFR−2およびVEGFR−3の発現を免疫染色およびインシテューハイブリダイゼーションによって分析した。免疫組織化学は、VEGFR−1の検出にはクローンsc−316(Santa Cruz Biotechnology, 1:50希釈)、VEGFR−2の検出にはクローンsc−6251(Santa Cruz Biotechnology, 1:50希釈)、およびVEGFR−3の検出にはクローンsc−637(Santa Cruz Biotechnology, 1:300希釈)を用いて行った。免疫染色のコントロールは、クラスおよび種にマッチした免疫グロブリンを有するインキュベーション、および一次抗体を省いたインキュベーションを含んだ。VEGFレセプターmRNAのインシテューハイブリダイゼーションは、33P−UTPを標識したリボプローブを用いて行った。総てのレセプターの発現は、内皮に局在化した。VEGFR−2は、新内膜SMCでも発現した。
【0104】
例5
再狭窄の予防のための露出VEGF−Cトランスジーン療法の使用
下記の改質を行ったことを除き、例1および2に記載の手順を繰返した。VEGF−Cトランスジーンの送達のためにアデノウイルスベクターを用いる代わりに、哺乳類発現ベクターを構築して、(露出プラスミドDNAの)直接遺伝子導入を行う。VEGF−Cコード配列はCMVプロモーターのような適当なプロモーターに作動可能に結合し、好ましくはヒト成長ホルモンポリアデニル化配列のような適当なポリアデニル化配列に結合した。典型的なVEGF−Cベクターは、他の増殖因子のベクターを含まない遺伝子導入を行うために文献に記載されたベクターから、VEGFコード配列の代わりにVEGF−Cコード配列を用いることによって設計することができる。[例えば、Isner et al., Circulation, 91: 2687-2692 (1995); およびIsner et al., Human Gene Therapy, 7: 989-1011 (1996)を参照されたい。上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。]ベクター。lacZ遺伝子を含んでなる同様な構築物は、コントロールとして用いられる。
【0105】
ヒドロゲルでコーティングしたバルーンカテーテル(Boston Scientific)を、Asahara et al., Circulation, 94: 3291-3302 (1996年12月15日)に本質的に記載されたVEGF−Cトランスジーンの送達に用い、上記文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。簡単に説明すれば、血管形成バルーンは、テフロン保護鞘(Boston Scientific)中を完全にすぼめたバルーンを前進させることによってエクス・ビボで調製する。バルーンを膨張させ、通常のピペットを用いて、トランスジーン構築物(例えば、50〜5000μgのトランスジーンDNAの食塩溶液)を膨張させたバルーンの外部表面をコーティングしているヒドロゲルポリマーに塗布する。トランスジーン溶液が乾燥した後、バルーンをすぼませて保護鞘中に引き入れ、バルーンが標的動脈中で適正に配置されるまでバルーン表面を通る血流を最小限にする。
【0106】
内膜/中膜(I/M)比を、内膜の肥厚化のパラメーターとして用いた。VEGF−Cトランスジーンをコーティングしたバルーンカテーテルで処理した動物でのI/M比の減少は、治療効果を示していると考えられる。例2に記載しているように、VEGF−C遺伝子導入の治療効果のVEGF遺伝子導入のような他の治療法との比較を、平行して行うこともできる。
【0107】
例6
ステントを用いる血管形成の後の再狭窄を予防するためのVEGF−C遺伝子療法の使用
初期のバルーン血管形成と同時に通常の手順を用いて冠動脈ステントの移植を行うことの改質を除き、上記の例に記載した手順を繰返す。VEGF−Cトランスジーンを、上記の例に本質的に記載したステントの移植と同時にまたは直前または直後に送達する。Van Belle et al., J. Am. Coll. Cardiol., 29: 1371-1379 (1997年5月)に記載されているように、(ステントなしの血管形成と比較して)トランスジーンの量を増加(例えば、2倍〜10倍)させ、トランスフェクション時間を増加させることが望ましいことがある。上記の文献の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。VEGF−C遺伝子で処理した動物体マーカー遺伝子で処理したコントロール動物での新内膜肥厚化の減少および/または血栓性閉塞の減少は、VEGF−C遺伝子療法の効果を示しているものと考えられる。
【0108】
例7
血管狭窄を減少させるための血管外カラーの使用
国際特許公表WO98/20027号明細書に記載のような不活性シリコーンカラーを、ニュージーランドシロウサギの頸動脈周囲に外科的に移植するカラーは内膜肥厚化を誘発する刺激物質として作用し、VEGF−Cトランスジーンまたはタンパク質医薬処方物の局部送達に適する溜めを含む。例1に記載したVEGF−Cアデノウイルス構築物または混合物と構築物を用いる遺伝子導入を、5日後に10〜1011pfuをカラーに注入することによって開始する。動物を14または28日後に屠殺し、組織学的検討を例1に記載したのと同様にして行う。内膜/中膜厚み比[Yla-Herttuala et al., Arteriosclerosis, 6: 230-236 (1986)]を、狭窄の指標として用いる。lacZコントロールウサギと比較して、VEGF−CトランスフェクションウサギでのI/M比が減少することは、動脈狭窄の予防のためのVEGF−C遺伝子導入の治療効果を示している。
【0109】
例8
再狭窄を減少させまたは防止するためのVEGF−Cポリペプチドの使用
試験動物をVEGF−CトランスジーンまたはlacZコントロールを含むアデノウイルスで処理する代わりに、動物に薬学上許容可能なキャリヤー中にVEGF−Cポリペプチド(例えば、血清アルブミンを含む等張食塩水)またはコントロールとしてキャリヤー溶液のみを投与することを除き、例1に記載の手順を繰返す。試験動物には、例えば例1に記載されているように、動脈内輸液によりVEGF−Cポリペプチド10、100、250、500、1000、または5000μgを投与する。第二群の動物には、7日後にVEGF−Cポリペプチドの注射を更に行う。動物を、例1に記載した方法で屠殺し、組織学的検討を行った。コントロール動物と比較して、VEGF−Cを投与した動物でI/M比が減少することは、VEGF−Cポリペプチド治療の治療効果を示している。様々な持続放出VEGF−C処方物および上記の材料を用いて実験を繰返すと、VEGF−Cポリペプチドの治療効果が更に向上することが予想される。更に、VEGF−Cタンパク質(標的血管に即時に治療を行うための)VEGF−Cタンパク質と(数日または週間持続治療を行うための)VEGF−Cトランスジーンとの同時投与を含んでなる治療法は、本発明の一変法と特に考えられている。
【0110】
例9
VEGF−Dの狭窄防止/再狭窄防止活性
上記の例に記載された手順を、VEGF−Cポリヌクレオチド/ポリペプチドの代わりにVEGF−DポリヌクレオチドまたはVEGF−Dを含んでなる組成物を用いて繰返し、血管の狭窄または再狭窄を予防するためのVEGF−Dの能力を示す。
【0111】
本発明を特定の態様について説明してきたが、変更および改質は当業者に起こるであろうし、これらは総て本発明の側面としようとするものであることが理解される。従って、請求の範囲に見られる制限のみが、本発明に適用されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】保護鞘を含む薬剤送達バルーンカテーテルを挿入した血管の断面であり、保護鞘は挿入および位置設定の際にバルーンを被覆する働きをする。
【図2A】両端を互いに合わせる前の間隔を置いて離れている二層を有する膨張性膜の斜視図。
【図2B】丸めてチューブ状にし、対向端を隣接させた図2Aの膜の斜視図。
【図3】血管の一部を取り巻いている血管外カラーの斜視(図3A)および縦断面(図3B)略図。
【図4A】治療組成物を含む(例えば、含浸させる)ことができるポリマーまたはゲルをコーティングしたワイヤーの断面図。
【図4B】図4Aのワイヤーから形成された血管内ステントの斜視図。
【符号の説明】
【0113】
10 カテーテル
12 膨張性バルーン
14 膨潤性ヒドロゲルポリマーコーティング
16 管腔
18 血管
20 保護鞘
22 閉塞部位
30,32 弾性膜材料の層
34 管状構造
36 孔またはスリット
38 内部表面
40 血管外カラー
42 ボイドスペース
44 壁
46 外壁
48 血管
50 カラーの外部先端
52 血液
54 縦方向スリット
70 ワイヤー
72 組成物
74 ステント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管の狭窄または再狭窄を予防するための被験哺乳類の治療法であって、血管の狭窄または再狭窄を予防するための治療を必要とする被験哺乳類に、血管内皮増殖因子C(VEGF−C)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド、血管内皮増殖因子D(VEGF−D)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、およびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも1種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物を投与する工程を含んでなり、それによって血管の狭窄または再狭窄を予防する方法。
【請求項2】
被験哺乳類がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組成物が哺乳類VEGF−Cポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドを含んでなる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
組成物がヒトVEGF−Cポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチドを含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
VEGF−Cポリペプチドが、配列番号2の連続部分を含んでなるアミノ酸配列を含んでなり、その連続部分がそのアミノ末端として配列番号2の30〜131位からなる群から選択されるアミノ酸を有しかつそのカルボキシル末端として配列番号2の211〜419位からなる群から選択されるアミノ酸を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ポリヌクレオチドが、分泌シグナルペプチドをコードするヌクレオチド配列をも含んでなり、分泌シグナルペプチドをコードする配列がVEGF−Cポリペプチドをコードする配列とインフレームで結合している、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ポリヌクレオチドが配列番号2のアミノ酸228〜419をコードするヌクレオチド配列を欠いている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ポリヌクレオチドが配列番号2のアミノ酸32〜102をコードするヌクレオチド配列を欠いている、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
ポリヌクレオチドが分泌シグナル配列およびVEGF−Cポリペプチドをコードする配列に作動可能に結合したプロモーター配列を更に含んでなり、このプロモーター配列が被験哺乳類の細胞の分泌シグナル配列およびVEGF−Cポリペプチドをコードする配列の転写を促進する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ポリヌクレオチドがVEGF−Cポリペプチドをコードする配列に作動可能に結合したポリアデニル化配列を更に含んでなる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
組成物が遺伝子治療ベクターを含んでなり、その遺伝子治療ベクターが前記ポリヌクレオチドを含んでなる、請求項3〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ベクターが複製欠損アデノウイルスを含んでなり、そのアデノウイルスがプロモーターに作動可能に結合したポリヌクレオチドを含んでなりかつアデノウイルスポリヌクレオチド配列が隣接している、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
組成物が薬学上許容可能なキャリヤーを更に含んでなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
投与が、組成物の少なくとも1回血管内投与することを含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
投与が、組成物の被験哺乳類の血管へのカテーテルを介する導入を含んでなる、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
カテーテルを介する遺伝子の導入が、被験哺乳類の冠状動脈へカテーテルを導入し、冠動脈へ組成物を放出することを含んでなる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
投与を、ヒトにおいて経皮的経管的冠動脈形成と同時に行う、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
組成物が、血管の狭窄または再狭窄の予防に有効な量のVEGF−Cポリペプチドを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
投与が、被験哺乳類に血管内ステントを移植することを含んでなり、そのステントが組成物をコーティングまたは含浸させている、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複製欠損アデノウイルスベクターを血管に送達することを含んでなる、ヒトの血管の狭窄または再狭窄を予防するための治療であって、、そのベクターがVEGF−CポリペプチドおよびVEGF−Dポリペプチドから選択されるポリペプチドの少なくとも一つをコードするポリヌクレオチド、および血管の細胞で少なくとも一種類のポリペプチドの発現を促進するためのプロモーター配列を更に含んでなり、これにより血管の狭窄または再狭窄を予防することを含んでなる、治療。
【請求項21】
ポリヌクレオチドがVEGF−Cポリペプチドをコードする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
血管の狭窄を治療するための手術中に血管の表面に接触するように設計された医療装置であって、再狭窄の予防に有効な組成物であって、VEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−DポリヌクレオチドおよびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物を装置に組込んでなる改良を特徴とする、装置。
【請求項23】
装置が、血管内ステント、血管内カテーテル、血管外カラー、血管内ステントまたはカテーテルの表面を被覆するのに適したエラストマー膜、およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項22に記載の医療装置。
【請求項24】
血管の表面に接触するための外部表面を有する血管内ステントと、その表面上の組成物であって、VEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−DポリヌクレオチドおよびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物とを含んでなる、請求項22に記載の医療装置。
【請求項25】
血管の表面に接触するための外部表面を有するカテーテルと、その表面上の組成物であって、VEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−DポリヌクレオチドおよびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の部材を含んでなる組成物とを含んでなる、請求項22に記載の医療装置。
【請求項26】
治療薬を血管の内部に送達する目的で保持するためのボイドを有するバルーンカテーテル、およびボイドに含まれる組成物であって、VEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−DポリヌクレオチドおよびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を含んでなる組成物を含んでなる、請求項22に記載の医療装置。
【請求項27】
VEGF−Cポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、VEGF−DポリヌクレオチドおよびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも一種類の再狭窄防止薬を保持する容器と、容器に取り付けられまたは容器と一緒に包装されたラベルであって、血管の再狭窄を予防するための化合物の使用を記載したラベルを含んでなる、再狭窄治療用キット。
【請求項28】
血管内ステント、血管内カテーテル、血管外カラー、および血管内ステントまたはカテーテルの表面を被覆するのに適した膜からなる群から選択される医療装置を更に含んでなる、請求項27に記載のキット。
【請求項29】
血管の狭窄または再狭窄の治療または予防用の医薬を製造するための組成物の使用であって、その組成物が血管内皮増殖因子C(VEGF−C)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド、血管内皮増殖因子D(VEGF−D)ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでなるポリヌクレオチド、VEGF−Cポリペプチド、およびVEGF−Dポリペプチドからなる群から選択される少なくとも1種類の再狭窄防止薬を含んでなる、使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2011−173874(P2011−173874A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−15549(P2011−15549)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【分割の表示】特願2000−578021(P2000−578021)の分割
【原出願日】平成11年10月26日(1999.10.26)
【出願人】(508088775)ベジェニクス ピーティーワイ リミテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】VEGENICS PTY LTD
【出願人】(501172176)
【氏名又は名称原語表記】SEPPO YLA−HERTTUALA
【Fターム(参考)】