説明

VEGFの阻害による貧血の処置

VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2およびVEGF受容体Flk1またはFlt4のIgドメイン3、ならびに多量体化成分を有する融合ポリペプチドを含むVEGFアンタゴニストを投与する段階を含む、ヒト被験体における貧血性疾患を処置する方法。特に癌に対して化学療法剤および/または放射線により処置されている被験体において、貧血を予防し、ヘマトクリットレベルを増加させ、かつエリスロポイエチンを増加または刺激する方法がさらに含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明の分野は、一般に血管内皮増殖因子(VEGF)をブロックするか、阻害するか、または改善することができる薬剤により貧血を処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
関連技術の記載
哺乳動物における赤血球の産生、すなわち赤血球形成は、ホルモンエリスロポイエチン(EPO)の制御下にある。EPOは通常、血漿内に低濃度で存在し、正常な血液細胞消失(すなわち、老化を介して)および赤血球産生の間の平衡を維持するには充分である。
【0003】
貧血は、赤血球の産生の減少または赤血球の破壊の増加によって引き起こされる赤血球質量の減少である。EPOは、末期腎不全に関連する貧血、後天性免疫不全症候群(AIDS)、および癌化学療法に関連する貧血の処置に、現在用いられている。例えば、US 5,846,528を参照されたい。グロビン産生における遺伝性異常の結果である貧血性疾患の他の群は、異常ヘモグロビン症であり、グロビン鎖の一つまたは複数の合成速度における遺伝性欠損の結果であるサラセミアを含む。
【0004】
US 2004/0115166は、VEGF-Bの阻害による自己免疫性溶血性貧血の処置を記載する。US 2003/0175276は、鎌状赤血球貧血の処置のための抗VEGF抗体による血管新生の阻害方法を記載する。
【発明の開示】
【0005】
発明の簡単な概要
第一の局面において、本発明は、VEGFによる活性をブロックするか、阻害するか、または改善することができる血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニストを、ヒト被験体に投与する段階を含む、貧血性疾患を処置する方法を特徴とする。より具体的には、VEGFアンタゴニストは、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2およびVEGF受容体Flk1またはFlt4のIgドメイン3、ならびに多量体化成分を有する融合ポリペプチドを含む高親和性融合タンパク質二量体(または「トラップ」)である。さらにより具体的には、VEGFアンタゴニストは、Flt-1(1-3)-Fc、Flt-1(1-3R->N)-Fc、Flt-1(1-3ΔB)-Fc、Flt-1(2-3ΔB)-Fc、Flt-1(2-3)-Fc、Flt-1D2-VEGFR3D3-FcΔC1(a)、Flt-1D2-Flk-1D3-FcΔC1(a)、およびVEGFR1R2-FcΔC1(a)からなる群より選択される融合ポリペプチドを含む。好ましい態様において、VEGFアンタゴニストは、VEGFR1R2-FcΔC1(a)(SEQ ID NO:4)である。
【0006】
本発明の方法によって処置される貧血性疾患は、慢性腎不全、癌、癌化学療法、および抗ウイルス療法に関連する貧血からなる群より選択される。貧血性疾患はまた、栄養鉄分欠乏(鉄欠乏)貧血、血液損失(出血性)貧血、または溶血性貧血であってもよい。好ましくは、本発明の方法によって処置される被験体は、化学療法もしくは放射線によって処置されたか、または処置されるであろう。
【0007】
薬剤の投与は、皮下投与、筋肉内投与、皮内投与、腹腔内投与、静脈内投与、鼻腔内投与、または経口投与経路を含む、当技術分野において公知の任意の方法よってもよい。投与は、単一用量または複数回用量によってもよい。
【0008】
第二の局面において、本発明は、VEGFによる活性をブロックするか、阻害するか、または改善することができる血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニストを、ヒト被験体に投与する段階を含む、危険性のある被験体において癌化学療法の結果もたらされるか、またはもたらされると予想される貧血を予防する方法を特徴とし、ここでVEGFアンタゴニストは、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2およびVEGF受容体Flk1またはFlt4のIgドメイン3、ならびに多量体化成分からなる融合ポリペプチドである。好ましい態様において、VEGFアンタゴニストは、VEGFR1R2-FcΔC1(a)(SEQ ID NO:4)である。好ましい態様において、処置される被験体は、放射線および/もしくは化学療法による処置を受けているか、または受けるであろう被験体である。
【0009】
第三の局面において、本発明は、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2およびVEGF受容体Flk1またはFlt4のIgドメイン3、ならびに多量体化成分を有する融合ポリペプチドを含む血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニストを、ヒト被験体に投与する段階を含む、それを必要とする被験体におけるヘマトクリットレベルを増加させる方法を特徴とする。好ましい態様において、VEGFアンタゴニストは、VEGFR1R2-FcΔC1(a)(SEQ ID NO:4)である。一つの態様において、処置される被験体は、全血液量の約33%を下回るヘマトクリットレベルを有すると測定され、例えば貧血であると診断される。本発明のVEGFアンタゴニストは、全血液量の約33%を上回るヘマトクリットの増加を生成するのに十分な治療的有効量で投与される。
【0010】
第四の局面において、本発明は、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2およびVEGF受容体Flk1またはFlt4のIgドメイン3、ならびに多量体化成分を有する融合ポリペプチドを含む血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニストを、ヒト被験体に投与する段階を含む、それを必要とする被験体におけるエリスロポイエチンレベルを増加させる方法を特徴とする。
【0011】
第四の局面において、本発明は、VEGF受容体Flt1の免疫グロブリン様(Ig)ドメイン2およびVEGF受容体Flk1またはFlt4のIgドメイン3、ならびに多量体化成分を有する融合ポリペプチドを含む血管内皮増殖因子(VEGF)アンタゴニストを、ヒト被験体に投与する段階を含む、それを必要とする被験体における赤血球形成を刺激する方法を特徴とする。
【0012】
他の目的および利点は、以下の詳細な説明の検討から明白になると思われる。
【0013】
第五の局面において、本発明は、以下のための医用薬剤の調製において、血管内皮増殖因子(VEGF)による活性をブロックするか、阻害するか、または改善することができる薬剤の使用を包含する:(a)哺乳動物における貧血性疾患の処置;(b)その危険性のある被験体における癌処置の結果もたらされると予想される貧血の予防;(c)それを必要とする被験体におけるヘマトクリットレベルの増加;または(d)それを必要とする被験体におけるエリスロポイエチンレベルの増加もしくは赤血球形成の刺激。特定の態様において、貧血性疾患は、ヘマトクリットレベルの低下によって特徴付けられる、および/または慢性腎不全、癌、癌化学療法、放射線処置、抗ウィルス療法、栄養鉄分欠乏、血液損失、もしくは溶血に関連する。貧血性疾患は、化学療法または放射線による処置の結果もたらされる可能性もある。ヘマトクリットレベルを増加させるための一つの態様において、それを必要とする被験体におけるヘマトクリットレベルは、全血液量の約33%を下回り、かつ融合ポリペプチドの投与は、全血液量の約33%を上回るようヘマトクリットレベルを増加させるのに十分な量で行われる。全ての態様において、VEGF活性をブロックするか、阻害するか、または改善することができる好ましい薬剤は、VEGFアンタゴニストVEGFR1R2-FcΔC1(a)(SEQ ID NO:4)である。本発明の使用のいずれにおいても、投与は皮下または静脈内であってよく、かつ単一用量または複数回用量で提供されてもよい。
【0014】
詳細な説明
本発明の方法を記載する前に、本発明は、記載する特定の方法および実験条件に限定されるものではなく、方法および実験は変更できることが理解されるべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲にのみ限定されることから、本明細書で使用される専門用語は、単に特定の態様を説明することを目的としており、限定することを意図しないこともまた理解されるべきである。
【0015】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」には、明確に特記しない限り複数形も含まれる。したがって、例えば「1つの方法」への言及は、一つもしくは複数の方法、ならびに/または本明細書に記載される種類の段階、および/もしくは本開示およびその他を読むことで当業者に明白となる段階を含む。
【0016】
特に定義していない限り、本明細書で用いた全ての技術用語および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施または検証においては、本明細書に記載のものと類似または同等のあらゆる方法および物質が使用可能であるが、以下に好ましい方法および物質を説明する。
【0017】
定義
「治療的有効量」という用語は、投与した対象に所望の効果をもたらす用量を意味する。正確な用量は、処置の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者により確定可能であると考えられる(例えば、Lloyd (1999) The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照されたい)。
【0018】
「ブロッカー」、「阻害剤」、または「アンタゴニスト」という用語は、化学的もしくは生理的反応または応答を、遅延させるかまたは阻止する物質を意味する。一般的なブロッカーまたは阻害剤は、アンチセンス分子、抗体、アンタゴニスト、またはそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない。より具体的には、VEGFアンタゴニストの例は、例えば抗VEGF抗体、またはVEGFR1R2-FcΔC1(a)(SEQ ID NO:1〜2)のようなVEGF結合受容体に基づく融合タンパク質(「トラップ」)である。VEGFR1R2-FcΔC1(a)を含むVEGF受容体に基づくアンタゴニストの完全な記載については、PCT公報WO/00/75319を参照されたい。
【0019】
「赤血球形成」という用語は、赤血球前駆細胞の増殖および/または分化を意味する。赤血球細胞の増殖および分化の標準的な測定は、ヘマトクリットおよび網状赤血球計数を含む。ヘマトクリットは、赤血球の測定値であり、一般に赤血球からなる全血液量の割合として表される。網状赤血球数は、mRNA、および染色によって示されるリボソームの凝集を含む1〜2日目の細胞(成熟赤血球は不在)を測定する(Erslev, A.,「Reticulocyte Enumeration」, Hematology, McGraw-Hill, NY, 1990)。網状赤血球数は、計数した500または1000細胞当たりのそのような細胞の割合である。網状赤血球数の平均範囲は、0.8%〜1.2%である。EPOは市販されており(R & D Systems, Minneapolis, Minn. and Amgen, Thousand Oaks, Calif.)、活性は、低酸素症でない赤血球増加症マウスの赤血球への56Feの取り込みを測定するインビボアッセイ(Cotes et al. (1961) Nature 191:1065)を用いた、エリスロポイエチンの第二の国際標準調製物に対する較正(Annable et al. (1972) Bull. WId. HIth. Org. 47:99)によって、または因子依存性ヒト赤白血病細胞株であるTF-1を用いるインビトロ増殖アッセイ(Kitamura et al. (1989) J. Cell. Physiol. 140:323)によって測定する。US 6,099,830も参照されたい。
【0020】
貧血は、赤血球(red blood cell)(赤血球(erythrocyte))の産生の欠乏であり、血液によって体の組織へ輸送される酸素レベルの低下をもたらす。低酸素症は、出血を介した大量の血液の損失、自己抗体、放射線、もしくは化学物質への曝露による赤血球の破壊、または高い標高もしく長い意識喪失による酸素取り込みの低下によって生じ得る。低酸素状態が組織において存在する場合、EPO産生が刺激され、赤血球産生を増大する。EPOは、骨髄における始原前駆細胞の前赤血球への変換を促進し、前赤血球はその後成熟し、ヘモグロビンを合成し、赤血球として循環中に放出される。循環中の赤血球の数が正常な組織の酸素要求に必要な数より多い場合、循環中のEPOレベルは低下する。
【0021】
巨核球および赤血球レベル両方の激しい低下は、化学療法および放射線による様々な癌の処置、ならびにAIDS、再生不良性貧血、および骨髄形成異常のような疾患と関連し得る。極端に低下した巨核球および/または赤血球レベル、例えば25,000〜50,000を下回る血小板数および25%より低いヘマトクリットは、かなりの罹患を引き起こす可能性が高く、かつ特定の状況において、これらのレベルは命に関わる。根底にある疾患の処置に加えて、特異的な処置は、血小板減少症(少ない血小板数)のための血小板輸血、および貧血のためのEPOを用いた赤血球形成の刺激、または赤血球の輸血を含む。
【0022】
下記の実験セクションにおいて示すように、VEGFアンタゴニスト投与は、ヘマトクリットの増加をもたらすことがここで示される。以前の研究(Gerber et al. (1999) Development 126:1149-1159)は、発育中のマウスにおけるVEGFの遮断が、ヘマトクリットの増加および腎臓におけるエリスロポイエチンメッセージレベルの増加を引き起こすことを報告した;しかしながら、それらの変化は、心臓および/または肺の形成不全の副作用であることが示唆された。VEGF受容体Flt-1/KDRの小分子阻害剤であるSU5416(セマキサニブ(semaxanib);Pharmacia)は、臨床試験に参加している数人の患者においてヘマトクリットを増加することが報告されたが、それが他の患者には見られなかったことから、彼らが有する特定の癌に起因すると考えられた(Richard et al. (2002) Blood 99:385 1-3853)。これらの結果は、内因性VEGFが、マウス、サル、およびヒトを含む広い範囲の種において、赤血球形成の調節因子であることを示す。
【0023】
VEGFアンタゴニストおよびVEGF特異的融合ポリペプチドトラップ
本発明の方法は、下記に記載する可溶性の受容体に基づく融合タンパク質、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標);Genentech)のような抗VEGF抗体、および例えば CDP-791(ImClone)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer AG)、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer)のような、VEGF活性をブロックすることができる薬剤を含む、広い範囲のVEGFアンタゴニストの使用により達成されてもよい。
【0024】
好ましい態様において、VEGFアンタゴニストは、VEGFと高い親和性で結合することができ、ヒトIgG1のFc部分に融合されたヒトVEGFR1およびVEGFR2受容体の細胞外ドメインの主要なリガンド結合部分からなる二つの受容体-Fc融合タンパク質で構成される二量体タンパク質である。具体的には、VEGFトラップは、VEGFR2由来のIgドメイン3と融合され、次いでこれがIgG1のFcドメインと融合される、VEGFR1由来のIgドメイン2からなる(SEQ ID NO:2)。
【0025】
本発明の方法において有用な融合タンパク質をコードする核酸構築物は、当技術分野に公知の方法により発現ベクターに挿入され、核酸分子は発現制御配列に機能的に連結される。タンパク質発現に適した宿主細胞に導入された発現ベクターを含む、タンパク質産生のための宿主ベクター系は、当技術分野において公知である。適した宿主細胞は、大腸菌(E. coli)などの細菌細胞、ピキア-パストリス(Pichia pastoris)などの酵母細胞、スポドプテラ-フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)などの昆虫細胞、またはCOS、CHO、293、BHK、もしくはNS0細胞などの哺乳動物細胞であってよい。好ましい態様において、VEGFトラップをコードする発現プラスミドがCHO細胞にトランスフェクトされ、このCHO細胞が、培養培地にVEGFトラップを分泌する。得られるVEGFトラップは、タンパク質分子量97kDaの二量体糖タンパク質であり、〜15%のグリコシル化を含むことで総分子量が115kDaとなる。
【0026】
VEGFトラップは、高親和性受容体の結合ドメインを用いてそのリガンドに結合することから、モノクローナル抗体よりもVEGFに対して高い親和性を有する。VEGFトラップは、およそ約1.5 pMのKDを有するVEGF-A、およそ約1.3 nMのKDを有するPLGF1、およびおよそ約50 pMのKDを有するPLGF2に結合する;他のVEGFファミリーメンバーへの結合はまだ十分に特徴付けられていない。
【0027】
処置集団
化学療法剤および/または放射線による癌処置を受けている被験体は、巨核球および/または赤血球レベルの激しい低下に苦しみ、貧血になることが公知である。
AIDS、再生不良性貧血、および骨髄形成異常などの疾患に罹患した被験体は、同様に貧血になることが公知である。一般に、被験体は、そのヘモグロビンレベルが、(患者の年齢および性別に依存して)血液100 ml当たり11〜13 gmを下回って低下する場合、貧血であると見なされる。したがって、貧血を発症する危険があるか、または貧血に罹患している被験体は、本発明の方法による処置の候補である。
【0028】
併用療法
多くの態様において、VEGFアンタゴニストは、第二のVEGFアンタゴニスト分子を含む、1つもしくは複数のさらなる化合物または治療と組み合わせて投与してもよい。併用療法は、VEGFアンタゴニストおよび1つまたは複数のさらなる薬剤を含む単一の薬学的投与製剤の投与、ならびにそれ自体別個の薬学的投与製剤におけるVEGFアンタゴニストおよび1つまたは複数のさらなる薬剤の投与を含む。例えば、VEGFアンタゴニスト、および細胞障害性薬剤、化学療法剤、または増殖阻害剤は、併用製剤のような単一の投与組成物において共に患者に投与することができるか、または各薬剤は、別個の投与製剤において投与することができる。別個の投与製剤が用いられる場合、本発明のVEGF特異的融合タンパク質および1つまたは複数のさらなる薬剤は、同時に、または別のずらした時間に、すなわち連続的に、投与することができる。
【0029】
本明細書で用いられる用語「細胞障害性薬剤」は、細胞の機能を阻害もしくは抑止し、および/または細胞の破壊を引き起こす物質を指す。この用語は、放射性同位体(例えば、I131、I125、Y90、およびRe186)、化学療法剤、および細菌、真菌、植物、もしくは動物起源の酵素的に活性な毒素、またはその断片のような毒素を包むことを意図する。
【0030】
「化学療法剤」は、癌の処置に有用な化学的化合物である。化学療法剤の例は、アルキル化剤(例えば、チオテパおよびシクロスホスファミド(Cytoxan(登録商標)));アルキルスルホン酸(例えば、ブスルファン、インプロスルファン、およびピポスルファン);アジリジン(例えば、ベンゾドパ、カルボコン、メトウレドパ、およびウレドパ);エチレンイミンおよびメチルメラミン(アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミド、およびトリメチロールメラミンを含む);ナイトロジェンマスタード(例えば、クロラムブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、塩酸メクロレタミンオキシド、メルファラン、ノべムビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタード);ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチン);抗生物質(例えば、アクラシノミシン、アクチノマイシン、オースラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアマイシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン);代謝拮抗剤(例えば、メトトレキサートおよび5-フルオロウラシル(5-FU));葉酸アナログ(例えば、デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート);プリンアナログ(例えば、フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン);ピリミジンアナログ(例えば、アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン);アンドロゲン(例えば、カルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン);抗副腎剤(例えば、アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン);葉酸補充剤(例えば、フォリン酸);アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルチン;ジアジクオン;エフロールニチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジクオン;2,2',2''-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキサン、例えば、パクリタキセル(Taxol(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, N.J.)およびドセタキセル(Taxotere(登録商標);Aventis Antony, France);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;白金アナログ(例えば、シスプラチンおよびカルボプラチン);ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ナベルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼローダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸;エスペラミシン;カペシタビン;ならびに上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体を含む。例えば、タモキシフェン、ラロキシフェン、アロマターゼ阻害性4(5)-イミダゾール、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY 117018、オナプリストン、およびトレミフェン(Fareston)を含む抗エストロゲン;ならびにフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド、およびゴセレリンなどの抗アンドロゲン;ならびに上記いずれかの薬学的に許容される塩、酸、または誘導体のような、腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するよう作用する抗ホルモン剤もまた、この定義に含まれる。
【0031】
本明細書で使用される場合、「増殖阻害剤」は、インビトロまたはインビボのいずれかで、細胞、特に癌細胞の増殖を阻害する化合物または組成物を指す。増殖阻害剤の例は、G1停止およびM期停止を誘導する薬剤のような細胞周期の進行を(S期以外の時期で)遮断する薬剤を含む。古典的なM期遮断剤には、ビンカ類(ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、Taxol(登録商標)、ならびにドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、およびブレオマイシンのようなトポII阻害剤が含まれる。G1を停止させる薬剤、例えばタモキシフェン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル、およびara-CのようなDNAアルキル化剤はまた、S期の停止にも影響する。
【0032】
投与方法
本発明は、VEGFアンタゴニストなどのVEGFアンタゴニスト、および降圧剤を含む組成物ならびに処置方法を提供する。例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、化合物を発現することが可能な組換え細胞、受容体によるエンドサイトーシス(例えばWu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432を参照されたい)、レトロウイルスベクターまたは他のベクターの一部としての核酸の構築など、様々な送達系が公知であり、本発明の組成物を投与するのに使用することができる。導入方法は、経腸または非経口が可能であり、かつ皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、眼内、および経口経路を含むがこれらに限定されない。化合物は、任意の便利な経路、例えば注入またはボーラス注射、上皮または粘膜皮内層による吸収(例えば、口腔粘膜、直腸および腸粘膜など)によって投与してもよく、他の生物活性物質と共に投与してもよい。投与は、全身投与または局所投与とすることができる。投与は、急性的もしくは慢性的(例えば、毎日、毎週、毎月など)に行うことが可能であり、または他の薬剤と併用することもできる。例えば吸入器または噴霧器、およびエアロゾル化剤による製剤を使用することにより、肺への投与を行うことができる。
【0033】
別の態様において、活性物質は、ベシクル、特にリポソームにおいて、徐放系において、またはポンプにおいて送達することができる。本発明の活性物質がタンパク質をコードする核酸である他の態様において、本核酸を、適切な核酸発現ベクターの一部として構築し、例えばレトロウイルスベクターを用いることにより(例えば米国特許第4,980,286号を参照)、直接注射することにより、または微粒子銃(microparticle bombardment)を使用することにより、または脂質、もしくは細胞表面受容体、もしくはトランスフェクション剤をコーティングすることにより細胞内となるように投与することによって、または細胞核に入ることが公知のホメオボックス様ペプチドに連結させて投与すること(例えば、Joliot et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:1864-1 868を参照されたい)などによって、そのコードされるタンパク質の発現を促進するためにインビボで投与することができる。
【0034】
特定の態様において、処置を必要とする領域に対して本発明の薬学的組成物を局部的に投与することが望ましいこともある;これは、限定するわけではないが、例えば手術中の局部的な注入、例えば注射、カテーテル手段、またはシラスティック膜などの膜、繊維、もしくは市販の皮膚代用物を含む、多孔性の、非多孔性の、もしくはゼラチン状の材料で作られた、インプラントによるインプラント手段などの局所適用により達成してもよい。
【0035】
本発明の方法を実施するのに有用な組成物は、溶液中、懸濁液中、またはその両方に本発明の薬剤を含む液体であってよい。用語「溶液/懸濁液」は、活性物質の第一部分が溶液中に存在し、活性物質の第二部分が粒子形態で、液体マトリクス中に懸濁して存在する液体組成物を指す。液体組成物はまた、ゲルを含む。液体組成物は、水性であっても軟膏の形態であってもよい。
【0036】
本発明の方法を実施するのに有用な水性懸濁液または溶液/懸濁液は、懸濁剤として1つまたは複数のポリマーを含んでもよい。有用なポリマーには、セルロースポリマーのような水溶性ポリマー、および架橋カルボキシル含有ポリマーのような水不溶性ポリマーが含まれる。本発明の水性懸濁液または溶液/懸濁液は、好ましくは、粘着性もしくは粘膜付着性であり、またはさらにより好ましくは、粘着性および粘膜付着性の両方である。
【0037】
薬学的組成物
本発明の方法の実施に有用な薬学的組成物は、治療的有効量の活性物質、および薬学的に許容される担体を含む。「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトへの使用に対して、連邦政府または州政府の規制当局により認可されている、または米国薬局方もしくは一般に認められている薬局方に記載されていることを意味する。「担体」という用語は、それを用いて治療用物質を投与する、希釈剤、アジュバント、付形剤、または賦形剤を意味する。このような薬学的担体は、水、およびピーナッツオイル、大豆油、鉱油、ゴマ油など、石油、動物油、植物油、または合成されたものを含む油などの液体を滅菌したものであることができる。適した薬学的付形剤には、デンプン、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。組成物はまた、望ましければ、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含んでもよい。これらの組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性製剤などの形態を取ることができる。この組成物は従来の結合剤およびトリグリセリドのような担体と共に坐剤として製剤化することができる。経口製剤は、製薬グレードのマンニトール、乳糖、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどのような標準的な担体を含むことができる。適切な薬学的担体の例は、E. W. Martinにより、「Remington's Pharmaceutical Sciences」に記載されている。
【0038】
好ましい態様において、本組成物は、日常的な手順に従って、ヒトに対する静脈内、皮下、または筋肉内投与に適合した薬学的組成物として製剤化する。必要な場合、本組成物は、溶解剤、および注射部位の痛みを和らげるためのリドカインなどの局所麻酔剤を含んでもよい。組成物が注入によって投与されるものである場合、組成物は、滅菌した製薬グレードの水または生理食塩水の入った注入ボトルを用いて調剤することができる。組成物が注射によって投与される場合、投与の前に成分を混合できるように、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0039】
本発明の活性物質は、中性のまたは塩の形態として製剤化することができる。薬学的に許容される塩は、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来する塩など、遊離アミノ基により形成された塩、およびナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化第二鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来する塩など、遊離カルボキシル基により形成された塩を含む。
【0040】
糖尿病の処置に効果的であると考えられる本発明の活性物質の量は、本記載に基づく標準的な臨床的技術によって決定することができる。さらに、最適な用量範囲の同定を助けるために、任意でインビトロアッセイ法を用いてもよい。製剤において用いられる正確な用量はまた、投与経路および状態の重篤性に依存し、医師の判断および各被験体の状況に従って決定すべきである。しかしながら、静脈内投与の適切な用量範囲は、一般にキログラム体重当たり活性化合物約50〜5000マイクログラムである。鼻腔内投与の適切な用量範囲は、一般に約0.01 pg/kg体重〜10 mg/kg体重である。有効量は、インビトロまたは動物モデル試験系に由来する用量反応曲線から推定してもよい。
【0041】
全身投与については、治療有効用量は、まずインビトロアッセイから概算することができる。例えば、用量は、細胞培養において決定されるようにIC50を含む循環濃度範囲を達成するよう動物モデルにおいて処方することができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な投与量をより正確に決定するために使用することができる。初期用量はまた、当技術分野で周知の技術を用いて、インビボデータ、例えば、動物モデルからも概算することができる。当業者は、動物データに基づきヒトへの投与を容易に最適化することができるであろう。
【0042】
用量および投与間隔は、治療効果を維持するのに十分な化合物の血漿レベルを提供するよう個別に調節してもよい。当業者は、治療的に効果的な局所投与量を過度の実験なしに最適化することが可能である。
【0043】
投与される化合物の量は、当然、処置される被験体、被験体の体重、苦痛の重篤度、投与様式、および処方医の判断に依存するであろう。治療は、症候が検出可能である間またはそれらが検出可能でない場合でさえも断続的に反復され得る。治療は、単独でまたは他の薬物と組み合わせて提供してもよい。
【0044】
本発明の他の特徴は、本発明の説明のために与えられ、その限定を意図しない、以下の例示的な態様の記載の過程で明らかになると考えられる。
【0045】
実施例
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の製造方法および使用方法の完全な開示ならびに説明を当業者に提供する目的で記載されるものであり、発明者らが本発明とみなす範囲を限定することを意図しない。使用する数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保する努力は成されているが、ある程度の実験的誤差および偏りは許容されるべきである。特に規定されない限り、部分は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏であり、かつ圧力は大気圧であるか、またはその近傍である。
【0046】
実施例1.マウスにおけるVEGFトラップ投与のヘマトクリットに対する効果
SCIDマウス(n=3〜4)を、週2回(週蓄積量5および50 mg/kg)もしくは週3回(週蓄積量75 mg/kg)、それぞれ8または9.5週間にわたって、VEGFトラップタンパク質(SEQ ID NO:4)を皮下に注射することで処理した。ヘマトクリットは標準的な技術によって測定した。結果は図1に示す。ヘマトクリットの増加は、VEGFトラップによって処理したSCIDマウスにおいて用量依存様式で観察された。
【0047】
マウスを、4または8週間、2.5または25 mg/kgの皮下注射を週2回行うことにより処理した。ヘマトクリットレベルを、4および8週で屠殺したマウスにおいて測定した。結果は図2に示す。ヘマトクリットの増加は、処理の4週間後の両方のVEGFトラップ投与コホートにおけるマウスで観察され、この効果は処理が延長されるにつれより顕著になった。
【0048】
実施例2.サルにおけるVEGFトラップ投与のヘマトクリットに対する効果
24匹のカニクイザル(3/性別/群)に、1.5、5、もしくは15 mg/kg VEGFトラップタンパク質(SEQ ID NO:4)、または賦形剤を週3回、4週間にわたり皮下投与した。8匹のさらなるカニクイザル(2/性別/群)に、週3回、4週間にわたり、さらに28日間の回復期間を伴って、賦形剤または15 mg/kg VEGFトラップタンパク質のいずれかを与えた。ヘマトクリット、ヘモグロビン、および赤血球数の増加は、全ての用量で観察された。
【0049】
カニクイザル(n=6)に、15および30 mg/kgでVEGFトラップタンパク質(SEQ ID NO:4)を隔週で皮下注射した。ヘマトクリットレベルを、処理の13週目に測定した。結果を図3に示す。
【0050】
実施例3.マウスにおけるVEGFトラップ投与のヘマトクリットに対する効果
VEGFトラップを、皮下注射を介して、0〜25 mg/kgの用量範囲で、10日〜8週間の範囲の期間、週2回投与した。研究の終わりに、全血を心臓穿刺によって採取し、ヘマトクリットの測定を含む分析のため、AniLytics(Gaithersburg, MD)に送った。「IgG4」は、そこにおいてIgG4がIgG1に置換されるVEGFトラップタンパク質の一種を意味する:「クレモフォール(cremophor)」は、10%クレモフォール、10%エタノールをPBS中に含むパクリタキセル(Taxol(商標))に対する賦形剤である:Taxol(商標)は、20 mg/kgとして週3回与えられた。マウスをVEGFトラップによって処理する場合、ヘマトクリットはマウスの系統に関わらず増加する。一般に、VEGFトラップ処理のヘマトクリットに対する効果は、処理の期間および用量の両方に依存するように見える。VEGFトラップを、単独でヘマトクリットの減少をもたらした薬剤と併用する場合、ヘマトクリットはおよそ正常レベルになることが見出された。
【0051】
(表1)VEGFトラップ投与のヘマトクリットに対する効果


【0052】
実施例4.ヒト患者におけるVEGFトラップのヘマトクリットに対する効果
臨床試験は、VEGFトラップタンパク質(SEQ ID NO:4)を、扁平上皮肺癌以外の不治の再発性または難治性固形腫瘍を有する被験体に皮下投与することによって行った。被験体を、毎週25、50、100、200、400、および800μg/kg、ならびに週2回800μg/kgで、VEGFトラップタンパク質によって処置した。研究の最初の5週間、被験体は、割り当てられた用量レベルで連続して週6回(または週2回)注射を受けた。
【0053】
用量に関連したヘマトクリット値の増加は、ベースラインと16回目の来院の間で観察された。ヘマトクリット値の変化はそれぞれ、800μg/kg週2回および毎週の群において+3.8%、+2.7%、-0.2%、+1.6%、+0.6%、および+0.1%であり、25μg/kg用量レベルのコホートで400、200、100、50、および25であった。同様の知見はヘモグロビンについても見られた。
【0054】
用量レベルコホートは、4つの用量群に組み合わされ、ほぼ等しい被験体数による分析のための群を作製することにより、統計学的ツールを用いてヘモグロビンおよびヘマトクリットの傾向を検討するのを容易にする。結合用量群1は、25、50、および100μg/kgで処置した被験体を含む(結合したn=13);結合用量群2は、200および400μg/kg用量レベルで処置した被験体を含む(結合したn=10);結合用量群3は、週1回800μg/kg用量レベルで処置した被験体を含む(n=7)、ならびに用量群4は、週2回800μg/kg用量レベルで処置した被験体を含む(n=8)。平均ヘマトクリットが、最も低い用量群(25、50、および100 mg)における患者のコホートにおいて増加しなかった一方、他の3つの群の各々において、処置の4週間後ヘマトクリットの増加は明らかであった。処置の10週間後、この効果は、2つの最も高い用量群(週1回または2回、800 mg)において最も顕著であった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】週蓄積量5、50、または75 mg/kgの、皮下注射によって送達されたVEGFトラップタンパク質(SEQ ID NO:4)で処理されたSCIDマウス(n=3〜4/群)における、ヘマトクリット増加割合の棒グラフである。ヘマトクリットは、8週および9.5週で測定した。対照ヘマトクリットデータ(0μg/kg)は、8週で屠殺したマウスから得られたデータに基づく。
【図2】8週間にわたり、週蓄積量である示された投与量で、週2回マウスに皮下注射によって投与される、異なる量のVEGFトラップの効果を示すグラフである(◆=0 mg/kg;■=5 mg/kg;▲=50 mg/kg)。0日目のヘマトクリットは、同系統でほぼ同じ歳のマウスの歴史的ヘマトクリットデータに基づく。
【図3】0(対照)、15、または30 mg/kgのVEGFトラップタンパク質によって、隔週で処理したサル(n=6)において13週目で観察されたヘマトクリットの変化の棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のための医用薬剤の調製における、血管内皮増殖因子(VEGF)による活性をブロックするか、阻害するか、または改善することができる薬剤の使用:(a)哺乳動物における貧血性疾患の処置;(b)その危険性のある被験体における癌処置の結果もたらされると予想される貧血の予防;(c)それを必要とする被験体におけるヘマトクリットレベルの増加;または(d)それを必要とする被験体におけるエリスロポイエチンレベルの増加または赤血球形成の刺激。
【請求項2】
貧血性疾患が、低下したヘマトクリットレベルによって特徴付けられる、請求項1パート(a)記載の使用。
【請求項3】
貧血性疾患が、慢性腎不全、癌、癌化学療法、放射線処置、抗ウィルス療法、栄養鉄分欠乏、血液損失、または溶血に関連する、請求項1パート(a)または請求項2記載の使用。
【請求項4】
貧血性疾患が、化学療法または放射線による処置の結果もたらされる、請求項3記載の使用。
【請求項5】
癌処置が、放射線および/または化学療法による処置である、請求項1パート(b)記載の使用。
【請求項6】
それを必要とする被験体におけるヘマトクリットレベルが、全血液量の約33%を下回り、かつ融合ポリペプチドの投与が、全血液量の約33%を上回るようヘマトクリットレベルを増加させるのに十分な量で行われる、請求項1パート(c)記載の使用。
【請求項7】
薬剤がVEGFR1R2-FcΔC1(a)(SEQ ID NO:4)である、前記請求項のいずれか一項記載の使用。
【請求項8】
投与が皮下または静脈内投与である、前記請求項のいずれか一項記載の使用。
【請求項9】
投与が単一用量または複数回用量である、前記請求項のいずれか一項記載の使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2008−535798(P2008−535798A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500972(P2008−500972)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/008620
【国際公開番号】WO2006/099154
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(507302748)リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (9)
【Fターム(参考)】