説明

VII因子ポリペプチドの安定化された組成物

本発明は、化学的に同様に物理的に安定なキットおよび組成物に関し、これらはポリペプチド(特にVII因子またはVII因子関連ポリペプチド)を、これらの組成物が室温で保存、取扱、および使用できるように含む。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、化学的に同様に物理的に安定な組成物を含むキットに関し、該組成物は、VII因子またはVII因子関連ポリペプチドを、これらの組成物が室温で保存、取扱い(handled)、および使用できるように含む。
【0002】
[発明の背景]
ポリペプチドを含有している医薬は、複雑な組成物(complex compositions)である。係る医薬を開発する場合、幾つかのパラメータを考慮する必要がある。例として、医薬は、効果的で、安全で、良好な患者のコンプライアンス(good patient compliance)を導くものである必要がある。そのうえ、医薬は、薬学的に許容される賦形剤を用いて非経口投与のために製剤化され、これは様々な世界の医薬規制機関の承認に合致する必要がある。非経口投与の目標に関して、製剤(formulation)が適切に等張性であること及び製剤のpHが注射/輸液の際に生理学的に適切な範囲内であることが非常に望ましく、そうでなければ患者に痛み及び不快感を与えるだろう。ポリペプチド製剤の一般的な論説に関しては、例えば、文献〔 Cleland et al.: The development of stable protein formulations: A closer look at protein aggregation, deamidation and oxidation, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 1993, 10(4): 307-377; および Wang et al., Parenteral formulations of polypeptides and peptides: Stability and stabilizers, Journal of Parenteral Science and Technology 1988 (Supplement), 42 (2S)〕を参照されたい。
【0003】
しかしながら、ポリペプチドを含む医薬に関して、安全性は、前記ポリペプチドの物理的および化学的な安定性に直接的に関連するだろう。ポリペプチドは、物理的なデグラデーション(変性および凝集が含まれ、例えば、ダイマー、オリゴマー、およびポリマーの形態での可溶性または不溶性の凝集物の形成)、または化学的なデグラデーション(例えば、加水分解、脱アミド、および酸化が含まれる)に感受性である。結果的に、物理的および化学的な不安定性は、ポリペプチドの活性の損失、毒性および免疫原性のデグラデーション産物の形成を導くであろう。凝固因子ポリペプチドの場合、数例を挙げると、デグラデーションされたポリペプチドの注射に際して血栓症を誘発すること、注射に使用した針の目詰まり(clogging)、および非均質性(non-homogeneity)のリスクが存在する。
【0004】
従って、ポリペプチドを含んでいる組成物は、周囲温度(ambient temperatures)での貯蔵および取扱が認容されるように安定化されるべきである。ポリペプチドを安定化させる1つのアプローチは、前記ポリペプチドからの水の除去に関し、例えば、前記ポリペプチドを凍結乾燥ケーキ(フリーズドライプロセスで得られる最終物質)の形態で提供することなどである。しかしながら、フリーズドライプロセスそれ自身もまた、ポリペプチドに有害である;フリーズドライの間、ポリペプチド溶液は、最初に適切に凍結するまで冷却され、前記ポリペプチド溶液中のバルク水(bulk water)は、この段階で氷を形成する。前記ポリペプチドは、これによって凍結誘発性ストレス(freeze-induced stress)をうける傾向があり、変形(deformation)および沈殿(precipitation)を生じる。次の工程(いわゆる一次乾燥段階)において、氷は昇華(sublimes)し、そして二次乾燥段階において、吸着した又は結合した水が上昇した温度下で除去される。この水除去の間、前記ポリペプチドは、主に水素結合を通して提供される彼等の適切なコンホメーションが緩め(loose)られる。
【0005】
それゆえ、フリーズドライ間にポリペプチドのコンホメーション、活性および安定性を保存するために、ポリペプチド溶液は、凍結保護物質(cryoprotectant)および/または溶解保護物質(lyoprotectant)の特性を有する十分な量の適切な賦形剤を添加して、ポリペプチドをそれぞれ凍結誘発性ストレスおよび/または水除去の間のストレスから防御する必要がある。
【0006】
U.S.20010031721 A1(American Home Products)は、高度に濃縮され、凍結乾燥された、液体のIX因子製剤に関する。
【0007】
WO 97/26909(Genetics Institute)は、貯蔵および投与に適切なIX因子の凍結乾燥された調製物(preparations)に関する。前記調製物は、凍結保護物質としてスクロースまたはマンニトールを含む。
【0008】
WO 95/28954(Genetics Institute)は、貯蔵および投与に適切なIX因子の調製物に関する。前記調製物は、凍結保護物質としてスクロースを含む。
【0009】
さらに、凍結乾燥産物を提供する場合、必須な特性は、凍結乾燥ケーキの特性に関する。凍結乾燥ケーキの形態(form)と構造(structure)とに関して、良好な特性を有することが必要とされる。それは即ち、崩壊(collapse)すべきではないということであり、このような崩壊したケーキは、硬いか又はむしろ使用前に溶解(再構成)させることは不可能である。逆に、凍結乾燥ケーキの物理的な構造は、緩すぎる及び柔らかすぎることはないだろう。従って、1以上のいわゆるバルキング剤(bulking agents)が、フリーズドライ前にポリペプチド溶液に添加される。
【0010】
正しいバルキング剤を選択することとは別に、前記ケーキの物理的特性を不安定化させる賦形剤を回避することも必須である。これらの物質の濃度は、できるだけ低くあるべきである。さらにまた、再構成された溶液が過度に低浸透圧性または高浸透圧性ではないことが重要である、というのもこれによって注射が不便になる又は投与に際して患者に痛みを与えるからである。従って、張性(tonicity)を組成物に添加することが通常必要である。別の賦形剤は、貯蔵期間に安定な再構成溶液のpHを維持するための緩衝物質であってもよい。
【0011】
ビタミンK依存性ポリペプチドは、血液凝固プロセスに関与するポリペプチドのグループである(該グループには、VII因子, IX因子, X因子, II因子, プロテインC, プロテインS, gas6, および骨基質Glaポリペプチドが含まれる)或いは、VIIa因子, IXa因子, Xa因子, IIa因子,および活性化プロテインCからなる群から選択されるプロテアーゼであってもよい。VIIa因子, IXa因子, およびXa因子は、特に有用なプロテアーゼである。VIII因子は、血液凝固プロセスに関与するポリペプチドである。それは、組換え技術で作出するか又は血漿から調製することができ、血友病患者における出血の発症(bleeding episodes)の治療に広く使用される。
【0012】
VII因子は、血液凝固プロセスに関与するポリペプチドである。今日、VIIa因子は、組換え技術で作出することができ(rFVIIa)、また前止血性(pro-haemostatic)の薬剤として広く使用される。VII因子(ヒト野生型)は、米国特許第4,784,950号に記載されている。今日、rFVIIaは、迅速で高度に有効な前止血の応答を、出血を伴う血友病個体に提供する。好都合なことに、rFVIIaは、抗体形成により他の凝固因子製品で治療することができない血友病個体を治療するために使用することができる。また、VII因子の欠乏(deficiency)を伴う個体又は正常な凝固系を有するが、過剰の出血を受けている個体を、rFVIIaでうまく治療することができる。
【0013】
今日、組換え技術により作出されたFVIIポリペプチドは、約2および約8゜Cの間の温度で貯蔵することが意図される、フリーズドライされた製品として提供される。冷却条件の要求は、負荷(burden)を生じ、製造者または提供者と同様にエンドユーザー(患者)に不便である。
【0014】
組換え技術により作出されたFVII製品は、NovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, デンマーク)であり、これは1.2 mgの組換え型ヒトVIIa因子, 5.84mgのNaCl, 2.94mgのCaCl2, 2H2O, 2.64 mgのグリシルグリシン, 0.14mgのポリソルベート80および60.0mgのマンニトールからなる。2.0mlの注射用水(WFI)で再構成された場合、pHは5.5であり、調製されたFVII含有溶液は室温で24時間十分に安定である。
【0015】
本発明者らは、凍結乾燥したNovoSeven(登録商標)製品の6ヶ月25゜Cでの貯蔵に際し、rFVIIaの約6〜7%w/wの初期含有量が凝集物の形態で存在することを見出した。
【0016】
従って、VII因子ポリペプチドを含んでいる組成物は、周囲温度(ambient temperatures)で貯蔵および取扱いが認容されるように安定化されるべきである。
【0017】
本発明の課題は、改善された組成物、キット、及びこれらを生産するための方法を提供することであり、前記ポリペプチドを含んでいる乾燥組成物は、化学的な及び物理的なデグラデーションに対して安定化され(例えば、より低いダイマー/オリゴマーのデグラデーション形態を形成するなど);その形態および構造に関して、凍結乾燥ケーキの良好な特性(good properties)を有する、つまり崩壊しない;凍結乾燥ケーキの良好で安定な物理的構造を有する;ここで乾燥組成物は、前記ケーキの物理的特性を不安定化(例えば、共融融点を減少させること、そしてケーキの崩壊のリスクを増加させることによって)する賦形剤を欠き;乾燥ポリペプチド含有組成物(dry polypeptide-containing composition)を投与ビヒクルに溶解することによって調製される再構成された組成物は、等張性であるか又は等張性に近く(closely isotonic)、良好に規定されたpH(pH安定)を有する。特に、好ましくは周囲条件で長期の貯蔵後(例えば、少なくとも6ヶ月)、デグラデーション産物(degradation products)が実質的に存在しない及びVII因子ポリペプチドの活性が減少しない、VII因子ポリペプチドを含んでいる改善された組成物を提供することが課題である。さらにまた、安定な組成物が、患者に何らかの不便の原因とならないような非経口投与に適切であることが課題である。
【0018】
[発明の概要]
本発明者らによって、ポリペプチド含有医薬(polypeptide-containing medicaments)が、パーツのキット(a kit of parts)として提供することができることが見出された。該キットは、乾いた(例えば、フリーズドライされた)組成物からなる第1単位形態(該組成物はポリペプチドおよび少なくとも1つの安定化剤を具備し、ここで該組成物は約3%以下の含水量を有する)、および該第1単位形態を含むための容器手段(container mean);係る形態を含むための容器手段において、該組成物の溶液(再構成)のための溶媒と以下に記すリストから選択される少なくとも1つの成分とを含んでいる投与ビヒクルからなる第2単位形態を具備する:
(i)水性溶媒に約0.1mM〜100mMの量で溶解された場合、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤;および
(ii)前記第1単位形態の組成物を前記第2単位形態の投与ビヒクルに溶解することから生じる再構成された溶液を、基本的に等張性となすために十分な量の張性を修飾する薬剤。
【0019】
緩衝物質(buffer substances)および張性修飾剤のような製剤に通常存在する物質は、共融融点(eutectic melting point)を頻繁に減少させ、そして前記ケーキの崩壊のリスクを増加させる。これらの物質がフリーズドライの間に存在する場合、一次乾燥間の氷の温度を崩壊を回避するために低下させなければならず、結果的にフリーズドライの時間が長くなる。フリーズドライされたケーキ中のこれらの物質の濃度を、可能な限り低くするか又はそれらを完全に避けるべきである。代わりに、それらを、再構成液体に有利(beneficially)に添加してもよい。
【0020】
これらの賦形剤の濃度を低下させる又はそれらを完全に除去することによって、再構成された溶液は、ある場合には(in some instances)、低浸透圧性となる。そして張性修飾剤を、必要とされる張性(例えば、等張性)又はそれに近接するもの(「基本的に等張性」)を有する溶液を得るように、溶媒に添加することが必要である。溶媒中に必要な別の賦形剤は、貯蔵期間に安定な再構成溶液のpHを維持するための緩衝物質であろう。
【0021】
前記のパーツのキットは、室温でおよそ少なくとも8ヶ月の貯蔵を認容するのに、十分に安定である。
【0022】
さらにまた、VII因子ポリペプチドを、室温で約少なくとも8ヶ月の貯蔵を認容するような十分に安定である組成物に提供できることが見出された。本研究者らは、安定化が、幾つかの薬学的に許容される賦形剤の適切な組合せに関連することを見出した。
【0023】
従って、本発明は、第一側面において、キット(薬学的な医薬/治療を含んでいる)に関し、該キットは、以下を具備する、
a)ポリペプチドおよび少なくとも1つの安定化剤(stabilizing agent)を含む組成物(該組成物は、約3%以下の含水量を有する)、を第1単位形態において、および該第1単位形態を収納させるための容器手段;
並びに
b)前記組成物および少なくとも1つの以下のリストから選択される成分の再構成(溶液)のための溶媒を含む投与ビヒクル:
(i)水性溶媒に溶解された場合、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤(ここで前記薬剤は、約0.1mM〜100mMの量で存在する)。
(ii)前記第1単位形態の組成物を前記第2単位形態の投与ビヒクルに溶解することから生じる再構成された溶液を、基本的に等張性となすために十分な量の張性を修飾する薬剤;
を第2単位形態において、および該第2単位形態を収納させるための容器手段。
【0024】
第二側面において、本発明は、ポリペプチドの液体製剤を調製するための方法に関し、該方法は以下の工程を備える:
a)上記の第1および第2単位形態を提供することと;および
b)前記第1および第2単位形態を、前記組成物を前記投与ビヒクルに溶解した液体溶液を提供するように混合すること。
【0025】
第三側面および第四側面において、本発明は、凝固因子応答性症候群を治療するための方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の上記の方法により調製された凝固因子の液体製剤を投与することを備える方法、およびVII因子応答性症候群の治療用に上記のようなキットの形態で医薬を調製するための該製剤の使用に関する。
【0026】
第五側面において、本発明は、VII因子ポリペプチド、および以下に記すものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含む組成物に関する、
a)抗酸化剤(antioxidant)およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
該組成物は約3%以下の含水量を有している;
【0027】
第六側面において、本発明は、上記で既定した組成物を調製する方法に関し、該方法は以下の工程を備える:
i)VII因子ポリペプチドを、次のものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含んでいる溶液に供給することと、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;および
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
ii)前記溶液を、約3% w/w以下の含水量を有している固形組成物(a solid composition)を得るように処理すること。
【0028】
第七および第八側面において、本発明は、FVII応答性症候群を治療するための方法であって、必要とする被験者に効果的な量の上記の組成物を投与することを備える方法、およびVII因子応答性症候群を治療するための医薬の調製における、VII因子ポリペプチドの使用(該医薬は、上記の組成物を含んでいる)に関する。
【0029】
[発明の詳細な記述]
本発明は、貯蔵安定キット(storage-stable kits)およびポリペプチド(FVIIIポリペプチド、ビタミンK-依存性ポリペプチド、およびFVIIポリペプチドを含む)を含んでいる組成物に関する。前記組成物は、室温で延長期間(extended period of time)、前記ポリペプチドが実質的にデグラデーションすることなく保存することができる。室温は部屋内の周囲温度を意味する;これは、通常では約5゜C〜約40゜C(例えば、約10゜C〜30゜C、または15゜C〜25゜C)の範囲である。
【0030】
特定の薬学的に許容される賦形剤の適切な既定の組合せ(proper predetermined combination)によって、本発明者らは、ポリペプチド(特に、VII因子ポリペプチド)を含んでいる安定化された組成物を提供し、該組成物は室温で延長期間(例えば、少なくとも約8月)を保存することが認容される。好都合なことに、安定化された組成物は、冷却条件(例えば、2および8゜Cの間)で保存される必要はない。
【0031】
また、本発明は、約30゜Cでの保存に際して少なくとも約8ヶ月安定である、貯蔵安定な組成物に関する。前記組成物は、好ましくは暗所で貯蔵される。従って、本発明は、係る組成物を、室温で、係る組成物を投与している患者に有害なイベントのリスクを増加させることなく、貯蔵することを可能とならしめる。好都合なことに、改善された貯蔵安定性によって、貯蔵に際して特別な冷却条件が必要とされずコスト低下が得られ、さらに利用者による前記組成物の操作がより便利となる。
【0032】
本発明により製剤化されるポリペプチドには、ビタミンK依存性ポリペプチドを含む血液凝固因子、例えば、限定されることなく、VIII因子、V因子、XI因子、VII因子、IX因子、X因子、II因子、プロテインC、プロテインS、gas6、および骨基質Glaポリペプチド;活性型のFVIII、Va因子、XIa因子、VIIa因子、IXa因子、Xa因子、IIa因子、および活性化プロテインCが含まれるが、限定されない。
【0033】
「ビタミンK依存性ポリペプチド(Vitamin K-dependent polypeptide)」の用語は、VII因子、IX因子、X因子、II因子、プロテインC、プロテインS、gas6、および骨基質Glaポリペプチド(bone matrix Gla polypeptide)からなる群から選択されるポリペプチドを含む又はVIIa因子、IXa因子、Xa因子、IIa因子、および活性化プロテインC(activated Protein C)からなる群から選択されるプロテアーゼであってもよい。VIIa因子、IXa因子、およびXa因子は、特に有用なプロテアーゼである。
【0034】
「VII因子ポリペプチド(Factor VII polypeptide)」の用語は、出血(bleeding)を防止する(preventing)又は治療する(treating)ことに効果的である任意のVII因子ポリペプチドを意味することを表示する。これには、血液(blood)もしくは血漿(plasma)に由来するか、または組換え手段によって産生されたVII因子ポリペプチドが含まれる。
【0035】
本明細書において使用される、「VII因子ポリペプチド」は、VII因子(そのバリアントを含む)、同様にVII因子関連ポリペプチド、VII因子誘導体、およびVII因子抱合体(Factor VII conjugates)を包含するが、限定されない。「VII因子」の用語は、野生型ヒトVII因子(米国特許第4,784,950号に開示されたもの)、同様に例えばウシ、ブタ、イヌ、マウス、およびサケなどの他の種に由来する野生型VII因子のアミノ酸配列1〜406を有するポリペプチドを包含することが企図されるが、限定されず、前記VII因子は、血液もしくは血漿に由来するか、または組換手段によって産生される。これには、1つの個体から別の個体へと存続し且つ出現するであろう、VII因子の天然の対立形質のバリエーション(natural allelic variations)がさらに包含される。また、糖鎖形成または他の翻訳後修飾の程度および位置は、選ばれた宿主細胞および宿主細胞環境(host cellular environment)の性質に依存して変動(vary)してもよい。また、「VII因子」の用語は、VII因子ポリペプチドの未切断(酵素前駆体)の形態、同様にタンパク質分解性にプロセスされてこれらのそれぞれの生理活性の形態に産出された、VIIa因子と称されるものを包含(encompass)することが意図される。典型的には、VII因子は、残基152および153の間で切断されてVIIa因子を産出する。
【0036】
本明細書中に使用される「VII因子誘導体(Factor VII derivative)」の用語は、野生型VII因子と比べて実質的に同じか又は改善された生物活性を呈しているFVIIポリペプチドを意味することを意図しており、ここで親ペプチドの1以上のアミノ酸は、例えば、アルキル化、糖鎖形成、PEG化(PEGylation)、アシル化、エステル形成またはアミド形成などによって遺伝的および/または化学的および/または酵素的に修飾されている。これにはPEG化ヒトVIIa因子、システイン―PEG化ヒトVIIa因子及びそのバリアントが含まれるが、これらに限定されない。VII因子誘導体の非限定的な例には、WO03/31464および米国特許出願US 20040043446, US 20040063911, US 20040142856, US 20040137557, および US 20040132640 (Neose Technologies, Inc.)に開示された糖PEG化(GlycoPegylated)FVII誘導体;WO 01/04287, 米国特許出願20030165996, WO 01/58935, WO 03/93465 (Maxygen ApS)およびWO 02/02764, 米国特許出願20030211094(ミネソタ大学)に開示されたFVII抱合体が含まれる。
【0037】
「改善された生物活性(improved biological activity)」の用語は、i)組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加したタンパク分解活性を有するFVIIポリペプチドを、又はii)組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加したTF結合活性を有するFVIIポリペプチドを、又はiii)組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加した血漿中の半減期を有するFVIIポリペプチドを意味する。「PEG化ヒトVIIa因子(PEGylated human Factor VIIa)」の用語は、ヒトVIIa因子ポリペプチドに結合されたPEG分子を有しているヒトVIIa因子を意味する。前記PEG分子は、VIIa因子ポリペプチドの任意のアミノ酸残基または炭水化物部分を含む、VIIa因子ポリペプチドの任意の部分に付着しえることが理解される。「システイン―PEG化ヒトVIIa因子(cysteine-PEGylated human Factor VIIa)」の用語は、ヒトVIIa因子に導入されたシステインのスルフヒドリル基に結合させたPEG分子を有しているVIIa因子を意味する。
【0038】
また、述べたとおり「VII因子ポリペプチド」の用語は、「VII因子関連ポリペプチド(Factor VII-related polypeptides)」を意味することを表示する。「VII因子関連ポリペプチド」の用語は、未切断(酵素前駆体)の形態、同様にタンパク質分解性にプロセスされて、これらのそれぞれの生理活性の形態に産出されたポリペプチドを包含することが企図される。本明細書に使用される「VII因子関連ポリペプチド」は、野生型のヒトVII因子と比較して、実質的に同等または改善された生物活性を呈しているポリペプチド、並びに野生型ヒトVIIa因子(米国特許第4,784,950号に開示されたとおり)の活性と比較して、生物活性が実質的に減少したポリペプチドを含むが、限定されない。これらのポリペプチドは、化学的に修飾されたVII因子またはVIIa因子であって、例えば、VII因子を不可逆的なインヒビター、例えば、有機リン化合物(organophosphor compound)、フッ化スルホニル(sulfonyl fluoride)、ペプチドハロメチルケトン(peptide halomethyl ketone)またはアザペプチド(azapeptide)と反応させることにより、又はアシル化により、非限定的な例により、化学的に修飾されたVII因子またはVIIa因子、並びにVII因子バリアントであって、特定のアミノ酸配列の変更(alterations)が導入されて、前記ペプチドの生物活性が僅かに修飾または改善されたVII因子バリアント、例えば、VIIa因子の触媒活性が触媒部位またはトライアッドの化学的な誘導体化によって阻害されるペプチドなどを含むが、限定されない。
【0039】
「触媒部位(catalytic site)」または「活性部位(active site)」の用語は、本明細書中でFVIIaに関連して使用された場合、FVIIaの「S1」部位(この用語は、Schecter, I. and Berger, A., (1967) Biochem. Biophys. Res. Commun. 7:157-162によって既定されている)を含む、触媒性および酵素前駆体基質結合部位を意味する。ヒトおよびウシのVII因子タンパク質の触媒部位は、アミノ酸 Ser344、Asp242、およびHis193(下付き文字の番号は、前記配列におけるポジションを指摘している)を具備し、これらはいわゆる触媒の「トライアッド(triad)」を形成している。他の哺乳類種からのVII因子における触媒部位は、とりわけタンパク質単離およびアミノ酸配列分析を含む現在利用可能な技術を用いて決定しえる。また、触媒部位は、配列を、活性部位が以前に決定〔Sigler et al., J. Mol. Biol., 35:143-164 (1968)〕された他のセリンプロテアーゼ(特に、キモトリプシン)の配列と整列させること、そして該整列から類似する活性部位残基を決定することによっても決定しえる。
【0040】
野生型VIIa因子と比較して実質的に同等または改善された生物活性を有する、VII因子関連ポリペプチド(バリアントを含む)は、本明細書中に記載の通りに凝固アッセイ法、タンパク質分解アッセイ法、またはTF結合アッセイの1つまたは複数において試験したときに、同じ細胞タイプにおいて産生されている野生型VIIa因子の比活性(specific activity)の、少なくとも約25%、好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約110%、より好ましくは少なくとも約120%、及び最も好ましくは少なくとも約130%を示すものを包含する。
【0041】
野生型ヒトVIIa因子の活性と比較して実質的に減少した生物活性を有する、VII因子関連ポリペプチド(バリアントを含む)は、本明細書中に記載の通りに凝固アッセイ法、FIXaまたはFXa発生アッセイ(FIXa or FXa generation assay)、アミロイドーシス(amidolysis)またはタンパク質分解アッセイの1つまたは複数において試験したときに、野生型VIIa因子の比活性の、約25%未満、より好ましくは約10%未満、または約5%、または約3%、または約2%、および最も好ましくは約1%未満を示すポリペプチドを包含する。
【0042】
一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子関連ポリペプチド、特にバリアントであって、ここで「インビトロ加水分解アッセイ法(In Vitro Hydrolysis Assay)」(下記の例、一般的な方法を参照されたい)で試験したときに、前記VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は少なくとも約1.25であり;その他の態様において、比は、少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約4.0である。本発明の一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子関連ポリペプチド、特にバリアントであって、ここで「インビトロタンパク質分解アッセイ法」(下記の「アッセイ法」を参照されたい)で試験したときに、前記VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比が少なくとも約1.25であり;その他の態様において、比は、少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約4.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約8.0である。
【0043】
野生型のVII因子と実質的に同等または改善された生物活性を有しているVII因子バリアントの非限定的な例には、次のものが含まれる、即ち、 S52A-FVII, S60A-FVII (Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, およびS336G-FVII;米国特許第5,580,560号に開示された増大したタンパク分解の安定性を呈しているFVIIaバリアント;残基290及び291の間又は残基315及び316の間がタンパク分解性に切断されているVIIa因子 (Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995); VIIa因子の酸化型 (Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999); PCT/DK02/00189に開示されたFVIIバリアント(WO 02/077218に相当する);およびWO 02/38162 (Scripps研究所)に開示された増大したタンパク分解の安定性を呈しているFVIIバリアント;WO 99/20767, 米国特許US 6017882 およびUS 6747003, 米国特許出願第20030100506号(ミネソタ大学)およびWO 00/66753, 米国特許出願US 20010018414, US 2004220106, およびUS 200131005, 米国特許US 6762286およびUS 6693075(ミネソタ大学)に開示されたような、修飾型Glaドメインを有している及び増強された膜結合を呈しているFVIIバリアント;およびWO 01/58935, 米国特許US 6806063, 米国特許出願20030096338 (Maxygen ApS), WO 03/93465 (Maxygen ApS)およびWO 04/029091(Maxygen ApS)に開示された、FVIIバリアント;WO 01/83725, WO 02/22776, WO 02/077218, PCT/DK02/00635, デンマーク国 特許出願PA 2002 01423, デンマーク国 特許出願PA 2001 01627;WO 02/38162 (Scripps 研究所)に開示された、野生型のFVIIaと比較して、増大した生物活性を有しているFVIIバリアント;及びJP 2001061479 (Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示された、増強された活性を有するFVIIaバリアントである。
【0044】
野生型VII因子と比較して、実質的に減少した生物活性を有するVII因子変異体の非限定の例は、R152E−FVIIa(Wildgoose et al., Biochem 29:3413-3420, 1990)、S344A−FVIIa(Kazama et al., J. Biol. Chem. 270:66-72, 1995)、FFR−FVIIa(Holst et al., Eur. J. Vasc. Endovasc. Surg. 15:515-520, 1998)、およびGlaドメインを欠いているVIIa因子(Nicolaisen et al., FEBS Letts. 317:245-249, 1993)を含む。また、非限定的な例には、次のものが含まれる、ポジション341におけるリジン残基が別のアミノ酸残基で置き換えられているヒトFVIIa;ポジション344におけるセリン残基が別のアミノ酸残基で置き換えられているヒトFVIIa;ポジション242におけるアスパラギン酸残基が別のアミノ酸残基で置き換えられているヒトFVIIa;ポジション193におけるヒスチジン残基が別のアミノ酸残基で置き換えられているヒトFVIIa;FVII-(K341A); FVII-(S344A); FVII-(D242A); FVII-(H193A); Phe-Phe-Arg-FVII (FFR-FVII), D-Phe-Phe-Arg-FVII (D-FFR-FVII), Phe-Pro-Arg-FVII (FPR-FVII), D-Phe-Pro-Arg-FVII (D-FPR-FVII), L-Glu-Gly-Arg-FVII (EGR-FVII) および D-Glu-Gly-Arg-FVII (D-EGR-FVII), ダンシル-Phe-Phe-Arg-FVII, ダンシル-D-Phe-Phe-Arg-FVII, ダンシル-Phe-Pro-Arg-FVII, ダンシル-D-Phe-Pro-Arg-FVII, ダンシル-L-Glu-Gly-Arg-FVII および ダンシル-D-Glu-Gly-Arg-FVII。化学的に修飾されたVII因子ポリペプチドおよび配列バリアントの非限定の例は、例えば米国特許第5,997,864号に記載されている。
【0045】
VII因子又はVII因子関連ポリペプチドの限定されない例には、以下のものが含まれる、即ち、
【0046】
野生型VII因子, L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, およびS336G-FVII,
【0047】
L305V/K337A-FVII, L305V/V158D-FVII, L305V/E296V-FVII, L305V/M298Q-FVII, L305V/V158T-FVII, L305V/K337A/V158T-FVII, L305V/K337A/M298Q-FVII, L305V/K337A/E296V-FVII, L305V/K337A/V158D-FVII, L305V/V158D/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V-FVII, L305V/V158T/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V-FVII, L305V/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/K316H-FVII, S314E/K316Q-FVII, S314E/L305V-FVII, S314E/K337A-FVII, S314E/V158D-FVII, S314E/E296V-FVII, S314E/M298Q-FVII, S314E/V158T-FVII, K316H/L305V-FVII, K316H/K337A-FVII, K316H/V158D-FVII, K316H/E296V-FVII, K316H/M298Q-FVII, K316H/V158T-FVII, K316Q/L305V-FVII, K316Q/K337A-FVII, K316Q/V158D-FVII, K316Q/E296V-FVII, K316Q/M298Q-FVII, K316Q/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D-FVII, S314E/L305V/E296V-FVII, S314E/L305V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/K337A/E296V-FVII, S314E/L305V/K337A/V158D-FVII, S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V-FVII, S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V-FVII, S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D-FVII, K316H/L305V/E296V-FVII, K316H/L305V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/K337A/E296V-FVII, K316H/L305V/K337A/V158D-FVII, K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V-FVII, K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V-FVII, K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D-FVII, K316Q/L305V/E296V-FVII, K316Q/L305V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII, K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII, K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII, K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/K337A-FVII, F374Y/V158D-FVII, F374Y/E296V-FVII, F374Y/M298Q-FVII, F374Y/V158T-FVII, F374Y/S314E-FVII, F374Y/L305V-FVII, F374Y/L305V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D-FVII, F374Y/L305V/E296V-FVII, F374Y/L305V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T-FVII, F374Y/L305V/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E-FVII, F374Y/K337A/V158T-FVII, F374Y/K337A/M298Q-FVII, F374Y/K337A/E296V-FVII, F374Y/K337A/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q-FVII, F374Y/V158D/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q-FVII, F374Y/V158T/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E-FVII, F374Y/S314E/M298Q-FVII, F374Y/E296V/M298Q-FVII,
【0048】
F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII, F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII, F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII, F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII, F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII, F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII, F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII, F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII, F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII,
【0049】
F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A -FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII,
【0050】
F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, S52A-VII因子, S60A-VII因子;および
【0051】
P11Q/K33E-FVII, T106N-FVII, K143N/N145T-FVII, V253N-FVII, R290N/A292T-FVII, G291N-FVII, R315N/V317T-FVII, K143N/N145T/R315N/V317T-FVII;
【0052】
アミノ酸配列の233Thr〜240Asnに置換、付加、又は欠失を有しているFVII, アミノ酸配列の304Arg 〜 329Cysに置換、付加、又は欠失を有しているFVII, および
【0053】
アミノ酸配列のIle153〜Arg223に置換、欠失、又は付加を有しているFVII、
が含まれる。
【0054】
本発明の目的のために、VII因子ポリペプチドの生物活性(「VII因子生物活性(Factor VII biological activity)」)は、たとえば米国特許第5,997,864号に記載されているとおり、VII因子が欠乏した血漿およびトロンボプラスチンを使用して、調製物が血液凝固を促進する能力を測定することによって定量してもよい。このアッセイ法において、生物活性は、コントロールサンプルと比較した凝固時間の減少として表され、1単位/mlのVII因子活性を含むプールされたヒト血清標準と比べることにより「VII因子単位」に換算される。或いは、VIIa因子生物活性は、以下によって定量してもよい、
【0055】
(i)脂質膜およびX因子に包埋(embedded)されたTFを含む系において、VIIa因子またはVIIa因子関連ポリペプチドが活性化されたX因子(Xa因子)を産生する能力を測定すること(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);
(ii)水性系におけるX因子の加水分解を測定すること(「インビトロ・タンパク質分解アッセイ法」、下記の一般的な方法を参照されたい);
(iii)表面プラスモン共鳴に基づいた機器を使用して、VIIa因子またはVIIa因子関連ポリペプチドのTFに対する物理的な結合を測定すること(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);および
(iV)VIIa因子および/またはVIIa因子関連ポリペプチドによる合成基質(synthetic substrate)の加水分解を測定すること(「インビトロ加水分解アッセイ法」、下記の一般的な方法を参照されたい);および
(V)TF非依存的なインビトロ系におけるトロンビン生成の測定。
【0056】
「VII因子生物活性」または「VII因子活性(Factor VII activity)」の用語は、トロンビンを生成する能力を含むことが企図され;該用語は、組織因子の非存在下で活性化された血小板の表面においてトロンビンを生成する能力も含む。
【0057】
本明細書の「[例]の一般的な方法」は、FVII生物活性をアッセイするために有用な詳細なアッセイを記載している。
【0058】
さらにまた、本明細書をとおして、以下の用語は、以下の意味を有する:
【0059】
「キット(kit)」または「パーツのキット(kit of parts)」の用語は次の組合せを意味することが企図される、第1単位において、ポリペプチドおよび1以上の安定化剤を含有している乾燥製品;および第2単位において、前記第1単位の乾燥製品を溶解することに適切な溶媒と、少なくとも1つの約0.1mM〜100mMの量の緩衝剤及び/又は少なくとも1つの張性を修飾する薬剤との組合わせからなる投与ビヒクル。前記キットは、特に出血の発症の薬学的な治療(pharmaceutical treatment)を含む。使用前に、前記第1単位の乾燥組成物は、前記第2単位に含有されている投与ビヒクルと混合され、溶解され、使える状態の医薬が提供される。
前記使える状態の医薬は、基本的に等張性である。
【0060】
「投与ビヒクル(administration vehicle)」の用語は、注射可能な手段(例えば、輸液または注射を、静脈内、皮下、または筋肉内注射などによって)によって投与するために適切な、薬学的に許容される、好ましくは無菌の液体を包含することを意味する。前記投与ビヒクルは、好ましくは水性(aqueous)である。前記投与ビヒクルは、前記ポリペプチド組成物の再構成(溶液)に適切な、溶媒、または溶媒の混合物(例えば、注射用水/WFI)、および約0.1mM〜100mMの量の水性溶媒に溶解された際に該組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な1以上の薬剤;および/または前記第1単位形態の組成物を前記第2単位形態の投与ビヒクルに溶解することから生じる再構成された溶液を、基本的に等張性となすために十分な量の1以上の張性を修飾する薬剤を具備する。
【0061】
前記投与ビヒクルは、更なる物質、例えば、金属塩、例えば、カルシウムおよび/またはマグネシウム塩、アミノ酸、例えば、グリシルグリシンを含有してもよい。
【0062】
再構成された組成物は、予防的(prophylactic)および/または治療的な治療に関して、非経口投与を意図している。
【0063】
ポリペプチドの「効果的な量(effective amount)」は、本発明に従って投与した場合、当業者に既知の止血の少なくとも1つの臨床パラメータに、測定可能な改善を生じさせるポリペプチドの量を意味する。
【0064】
ポリペプチドの効果的な量は被験者の止血状態(haemostatic status)により変動しえること、これは次に1以上の臨床パラメータ(例えば、循環している凝固因子の相対的レベル;失血(blood lost)の量;出血の割合;ヘマトクリットなどが含まれる)に反映されるだろうことが理解される。単回用量の効果的な量(single-dose-effective amount)は、値からマトリックス(a matrix)を構築し、前記マトリックスの異なるポイントを試験することによる、ルーチン実験で当業者が達成し得ることが理解される。
【0065】
「安定化(stabilizing)」の用語は、生物活性およびポリペプチド安定性が維持されるように、凝集物(不溶性および/または可溶性)の形成および/または化学的なデグラデーションを最低化すること、同様に、前記組成物の貯蔵または産生の間に前記ポリペプチドのpHおよび適切なコンホメーションの維持を提供することを包含することを意図している。そのうえ、安定化は、フリーズドライ条件で前記組成物を製造する間の前記ポリペプチドの溶解保護(lyoprotection)および凍結保護(cryoprotection)を意味することをも表す。
【0066】
「安定化剤(stabilizing agent)」の用語は、前記ポリペプチドを含んでいる組成物の貯蔵または製造の間にポリペプチドを安定化することができる、物質(または物質の混合物)を包含することを意図している。
【0067】
「構造上の安定化(structural stabilisation)」または「構造上の安定性(structural stability)」の用語は、例えば、崩壊せず且つ使用前に容易に溶解するような、良好な特性および外見(looks)を有している凍結乾燥された栓(plug)またはケーキを形成する能力を包含することを意図している。
【0068】
「貯蔵安定(storage-stable)」の用語は、次の製品を既定することを意図している;その製品とは、貯蔵に際して5゜C 〜 40゜Cの間の温度で安定化し、適切な期間(しばしば数ヶ月)の間に前もって選ばれた製品仕様書(pre-selected product specifications)ないにとどまる製品である。
【0069】
VII因子ポリペプチドの「物理的な安定性(physical stability)」の用語は、VII因子ポリペプチドのダイマー、オリゴマー、およびポリマーの形態で、同様に任意の前記分子の構造的な変形(deformation)および変性(denaturation)の形態での、不溶性および/または可溶性の凝集物の形成に関する。
【0070】
「化学的な安定性(chemical stability)」の用語は、溶解された又は固形の状態で促進的な条件(accelerated conditions)で保存した際の、VII因子ポリペプチドにおける任意の化学的な変化の形成に関連することを意図する。例は、加水分解、脱アミドおよび酸化である。特に、イオウ含有アミノ酸は、対応するスルホキシド(sulphoxides)の形成で酸化される傾向がある。
【0071】
本明細書中に使用される「凍結保護物質(cryoprotectants)」の用語は、一般に前記ポリペプチドに凍結誘発性のストレスに安定性を提供する剤(agents)を含む。凍結保護物質の例には、ポリオール(例えば、マンニトールなど)が含まれる、また、サッカライド(例えば、スクロースなど)、同様に、界面活性剤(例えば、ポリソルベート、ポロキサマーまたはポリエチレングリコール)などが含まれる。また、凍結保護物質は、製剤の張性に寄与する。
【0072】
本明細書中に使用される「溶解保護物質(lyoprotectant)」の用語は、前記ポリペプチドに、凍結乾燥プロセスの乾燥プロセスの際の水除去の間に安定性を提供する剤を含む。例えば、前記ポリペプチドの適切なコンホメーションを維持することによって。溶解保護物質の例には、サッカライド(特に、ジまたはトリサッカライド)が含まれる。また、凍結保護物質は、溶解保護物質の効果を有しえる。
【0073】
「pHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤(agent suitable for keeping the pH in the range of 3 to 9)」または「緩衝剤(buffering agent)」の用語は、溶液pHを、3.0および9.0の間の認容される範囲に維持する剤を包含する。pHを3〜9の範囲に維持する能力を有する薬剤の典型的な例は、クエン酸、酢酸、ヒスチジン、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、PIPES、イミダゾール、TRIS、乳酸、グルタル酸およびグリシルグリシンの酸形態(acid form)または塩である。また、剤の組合わせ(ここで前記剤の組合わせは、pHを上記で記載された範囲に維持するために適切である)を、本発明に使用しえることが理解されるべきである。
【0074】
本明細書中に使用される「凍結乾燥ケーキ(lyophilised cake)」の用語は、溶解された又は少なくとも部分的に溶解された組成物を、該溶解された/部分的に溶解された組成物を氷(ice)に冷却する少なくとも1つの工程、引き続く真空乾燥の少なくとも1つの工程が関与する条件下で、プロセスする際に得られた固形組成物を包含することを表す。
【0075】
「凍結乾燥(lyophilization)」または「フリーズドライ(freeze-drying)」の用語は、液体が、溶解された又は少なくとも部分的に溶解された組成物から、前記溶解された又は部分的に溶解された溶液を氷に冷却する少なくとも1つの工程と引き続く真空乾燥が関与する条件下で除去されるプロセスを包含する。凍結乾燥またはフリーズドライは、固形のポリペプチド医薬品を作出する最も通常のプロセスである。前記プロセスは、2つの主要な工程、即ち:ポリペプチド溶液を凍結すること、及び凍結された固形物を真空下(under vacuum)で乾燥させることからなる:前記乾燥工程は、2つの段階、即ち:一次および二次乾燥に分けられる。一次乾燥は凍結した水を除去(氷の昇華)し、二次乾燥は非凍結の「結合」水を除去〔水の脱離(desorption)〕する。各々の凍結乾燥工程のより詳細な分析は、例えば、Wang et al, International Journal of Pharmaceutics 203 (2000): 1-60 (セクション4, 6ページ ff.)に提供されている。
【0076】
典型的には、組成物は、バイアルに充填され、フリーズドライ器の棚(shelves)で凍結され、その後に減圧が達成され、棚が熱せられ一次乾燥(または氷の昇華)が実行される。その後、二次乾燥〔または吸収された水(sorbed water)の脱離〕が、高温で、前記プロセスの完了〔即ち、前記組成物が、水分(水)の十分に低い含有量を含有するところ〕まで行われる。フリーズドライのための方法は、一般に当該技術分野において既知であり、例えば、文献(Wang et al, International Journal of Pharmaceutics 203 (2000): 1-60)を参照されたい。
特定の組成物に関してプロセスの間に使用されるべき温度(s)、各温度での時間(s)、及び圧力に関するフリーズドライ条件を至適化することは従事者の通常の技能の範囲内である。
【0077】
「含水量(moisture content)」の用語は、産物と会合する水(water associated with the product)を包含することを意味し、限定されることなく、吸収された形態の水、例えば、凍結溶液相(frozen solute phase)に捕捉(entrapped)された又は吸収された及び/又は非結晶相(amorphous phase)と会合する又は結晶性固体(crystalline solid)に吸収される非凍結水が含まれる。「含水率(water content)」の用語は、「含水量」と交換可能(interchangeably)に使用される。所望の残留する水分レベル(含水量)は、二次乾燥工程の持続時間および温度の相関的要素(function)である。凍結乾燥間に残留する含水量を決定するための幾つかの方法は、当該技術分野において既知であり;例えば、電気湿度計(electronic hygrometer)または残留ガス分析機(residual gas analyser)を使用しえる。フリーズドライされた製剤の含水量は、当該技術分野において既知の幾つかの方法、例えば、乾燥減量(loss-on-drying)、カールフィッシャー滴定、温熱重量分析(TGA;thermal gravimetric analysis)、ガスクロマトグラフ法(GC)、または近IR法(near IR)によって決定することができる(例えば、 Wang et al, International Journal of Pharmaceutics 203 (2000): 1-60を参照されたい)。含水率(含水量)を決定する方法は、欧州および米国の薬局方の双方にも記載されている。例えば、含水率の決定は、米国薬局方(USP)または欧州薬局方(EP)に記載されているカールフィッシャー電量滴定で実施することができる。
【0078】
手短に言えば、前記方法は以下の通りである:
電量滴定による含水率の決定:カールフィッシャー反応は、無水培地(anhydrous medium)中で水と二酸化硫黄およびヨウ素との定量的な反応に基づいた、水の電量的な決定に使用されている。ヨウ素は、反応セル中でヨウ化物の酸化によって電気化学的に産生される。陽極で産生されるヨウ素は、水および反応セルに含有される二酸化硫黄と即時に反応する。物質における水の量は、滴定エンドポイントまでの電気の量に直接的に比例する。前記セル中の全ての水が消費されたときに、前記エンドポイントに達し、ヨウ素の過剰が出現(これは電気滴定的に検出される)し、前記エンドポイントが指摘される。物質中に存在するパーセンテージ含水率(percentage water content)が、次に計算される。
【0079】
含水量は、分析時でのバイアル中のサンプルの重量に関して規定してもよい〔即ち、固体プラス存在する水であり、湿重量ベース(wet weight basis)と称される〕、また、サンプル中に測定された水に関して修正されたものに関して規定されてもよい〔即ち、乾燥重量ベース(dry weight basis)と称される〕。低い含水量を有するフリーズドライされた産物のケースにおいて、2つの測定値(湿重量ベース vs. 乾燥重量ベース)は非常に類似した結果を生じる。本明細書中に使用される含水量は、固体+存在する水(即ち、湿重量ベース)に関して既定される。
【0080】
「バルキング剤(bulking agent)」の用語は、一般に良好な凍結乾燥ケーキ特性を提供し、薬剤的にエレガントな産物を形成させ、ポリペプチドが様々なストレス(例えば、凍結乾燥プロセスに関連する剪断/凍結)を克服することを援助し、フリーズドライプロセスおよび引き続く貯蔵の間のポリペプチド活性レベルを維持することを助ける剤を含む。バルキング剤の非限定的な例には、マンニトール、グリシン、スクロース、ラクトースが含まれる。また、これらの剤は、製剤の張性に寄与しえる。
【0081】
等張溶液は、血液、腹水(peritoneal fluid)または他の関連性のある体液の生理的な範囲内の張性を有する。等張性(isotonicity)は、0.9% NaCl溶液(=286mOsM)の浸透圧に相当する浸透圧を有する溶液を意味する。「基本的に等張性(essentially isotonic)」の用語は、約0.7〜約1.5% NaCl、例えば、約0.8〜約1.3%、約0.8〜約1.1%、約0.8〜約1.0%、または約0.9% NaClなどを含んでいる塩類溶液の浸透圧に相当する(corresponding)張性を意味することを表す。
【0082】
「張性修飾剤(tonicity modifier)」または「張性を修飾する薬剤(tonicity modifying agent)」の用語は、組成物の使用時に溶解する際に、溶解された(又は再構成された)組成物が基本的に等張性であるように、前記組成物の張性を調節する能力を有する任意の剤(または剤の混合物)を意味することを表す。
【0083】
明らかに、再構成された溶液の張性は、乾燥組成物中の及び再構成溶液中の張性を修飾する薬剤の双方の含有量に依存するだろう。
【0084】
張性を修飾する薬剤は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、又はこれらの2以上の混合物から選択される成分を含むが、限定されない。
【0085】
上記のような張性を有している組成物を提供するための適切な張性を修飾する薬剤は、個々の張性修飾剤が単独で又は1以上の張性修飾剤と組み合わせて使用されるかどうかに依存するが、例えば、0〜約9mg/mlの塩化ナトリウム、0〜約17mg/mlの塩化カルシウム二水和物、0〜約51mg/mlのマンニトール、0〜約26mg/mlのグリセロール、0〜約21mg/mlのプロピレングリコールである。
【0086】
一般的に「界面活性剤(surfactants)の用語には、前記ポリペプチドを、空気/溶液界面により誘導されるストレスおよび溶液/表面により誘導されるストレスから防御する剤が含まれる。例えば、界面活性剤は、前記ポリペプチドを凝集から防御しえる。適切な界面活性剤は、例えば、ポリソルベート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、Brij35(登録商標)、またはポロキサマー、例えば、Tween 20、Tween 80、またはポロキサマー188を含みえる。好適な界面活性剤は、ポロキサマー、例えば、Poloxamer188、Poloxamer407;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、Brij35(登録商標)、CremophorA25、SympatensALM/230;およびポリソルベート/Tweens、例えば、Polysorbate20、Polysorbate80である。より好ましいものは、ポロキサマー、例えば、Poloxamer188、およびTweens、例えば、Tween20およびTween80である。典型的には、前記界面活性剤は、0.005〜5mg/mlの量で添加される。好適な量は、0.01〜3mg/ml、より好ましくはTween20および/またはTween80に関して0.01〜0.3mg/mlおよびPoloxamer188に関して0.05〜3.0mg/mlである。
【0087】
「初期含有量(initial content)」の用語は、組成物に、調製に際して添加されるVII因子ポリペプチドの量に関する。本明細書中で記載される濃度(mg/ml)は、水分を除去する前(例えば、フリーズドライ前)のVII因子ポリペプチドの溶液における又は再構成された組成物における濃度の何れかを意味するか、或いは% w/wと称され、これは固形組成物(例えば、凍結乾燥ケーキ)における濃度に関する。
【0088】
本明細書中に使用される、特定された量は、±約10%であると理解され;従って、約50mMには50mM±5mMが含まれ、4%には4%±0.4%が含まれる、等々であると理解される。
【0089】
上述のとおり、本発明者らは、VII因子ポリペプチドを安定化し、これによって利用者にリスクの増大及び不便を与えることなく長期貯蔵を認容させることによって本質的に当該技術に貢献した。
【0090】
本発明者らは、VII因子ポリペプチドの安定化において調整される必要がある幾つかの重大なパラメータを見出した。1つの重要なパラメータは、少なくとも部分的には、含水量(例えば、水)に関する。含水量は制限されるべきである。更なる基本的なパラメータとして、前記組成物は、1つの安定化剤を少なくとも含むべきである。
【0091】
安定化剤には、抗酸化剤、サッカライド、ポリオール、界面活性剤、およびpHを既定の範囲に維持するために適切な剤が含まれるが、限定されない。
【0092】
本発明の一態様において、適切な安定化剤には、抗酸化剤、サッカライドおよびポリオールからなる群から選択される、少なくとも2つのグループの薬学的に許容される賦形剤の組み合わせが含まれる。前記サッカライドおよびポリオールは、前記組成物がフリーズドライされるイベントにおいて、少なくとも部分的に重要となるであろう、溶解保護物質および/または凍結保護物質の特性を有する。通常は、改善された安定性は、少なくとも2つのこれらのグループの賦形剤の適切な組み合わせによって、部分的に達成されるだろう。しかしながら、より具体的には、前記組み合わせがサッカライド(スクロース)または抗酸化剤(メチオニン)を含む場合、安定化効果がなおさら顕著になりえることが見いだされた。そのうえ、驚くべきことに、メチオニンが前記VII因子ポリペプチドの酸化的なデグラデーションを阻止することが発見された。
【0093】
先に述べたとおり、本発明の一態様において、安定化剤は、少なくとも2つのグループの薬学的に許容される賦形剤の組み合わせを含む。
【0094】
本発明によると、前記VII因子ポリペプチドは、上記のポリペプチドを包含する。本発明の適切な態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子、組換え型ヒトVIIa因子およびVII因子配列バリアントからなる群から選択される。好ましくは、前記VII因子ポリペプチドはヒトVIIa因子または組換え型ヒトVIIa因子またはVII因子関連ポリペプチドであり、本明細書中に記載された1以上の「インビトロタンパク質分解アッセイ法」および「インビトロ加水分解アッセイ法」で試験したときに、該VII因子関連ポリペプチドおよび野生型VII因子の活性の間の比は少なくとも約1.25である。
【0095】
述べたように、含水量は制限されるべきである。本発明の目的のために、前記VII因子ポリペプチドは、バルク(bulk)で供給される際に固形または液体の形態で提供されてもよい。しかしながら、典型的には、前記VII因子ポリペプチドは、バルクで供給される際に液体の形態で提供される。以上のように、組成物の製造のためのバルクポリペプチドは、適切な賦形剤を添加する工程および液体をバルクから除去する工程を必要とし、賦形剤の添加は前記液体の除去の前または後に実施しえる。液体をポリペプチドから除去するための1つのこのような手段は、フリーズドライに関連する。従って、本発明の好適な態様において、前記組成物は、凍結乾燥ケーキの形態である。しかしながら、本発明は、約3% w/w以下の含水量を有する固形組成物を達成するように、液体をバルクポリペプチドから除去するために適切な他の方法を排除しない。
【0096】
そのうえ、本発明によると、前記含水量は、好ましくは約2.5% w/w以下、好ましくは約2% w/w以下、最も好ましくは約1.5% w/w以下である。
【0097】
理解されるであろうとおり、本発明は、一部では調製の間にVII因子ポリペプチドのデグラデーションを制限すること(例えば、最大3% w/wの含水量を有する固形組成物を達成するための、賦形剤の混合および液体の除去の間)、及び前記固形組成物を製造するときから使用時(例えば、前記組成物が患者により投与されるまで)までの該デグラデーションを制限することに関する。
【0098】
従って、VII因子ポリペプチドを含んでいる安定化キットおよび組成物中のなお更なるパラメータとして、pHは水性溶媒(例えば、純水または水性緩衝剤)中に溶解されたときに3〜9のpH範囲に維持されるべきである。換言すれば、水分内容物を除去前のとき(例えば、フリーズドライ前)の前記ポリペプチド溶液のpHは、約3〜約9のpH内に維持されるべきである。好都合なことに、このpH範囲は所望の生理的な範囲であり、このことから前記組成物を非経口的な手段によって投与する際に利用者に無害である。好ましくは、前記溶液のpHは、約4.0〜約9.0、例えば、4.0〜8.0, 4.0〜7.5, 4.0〜7.0, 4.5〜7.0, 4.5〜6.8, 4.5〜6.5, 5.0〜7.0, 5.0〜6.5, 5.0〜6.0, 5.5〜6.0, または約5.5〜約6.5、例えば、約5.5, 5.6, 5.7, 5.8, 5.9, 6.0, 6.1, 6.2, 6.3, 6.4, または6.5である。
【0099】
本発明の適切な態様において、pHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤は、クエン酸, 酢酸, ヒスチジン, リンゴ酸, リン酸, 酒石酸, コハク酸, MES, HEPES, イミダゾール(imidazole), TRIS, 乳酸, グルタル酸, PIPESおよびグリシルグリシンの酸又は塩, または少なくとも2つの係る薬剤の混合物からなる群から選択される(前記混合物は特定範囲のpH値を提供することができる)。
【0100】
さらにまた、pHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤は、少なくとも2つの係る薬剤の混合物であってもよく、前記混合物は特定範囲のpH値を提供することができる。前記適切な薬剤の濃度は、約0.1 mM〜100 mM; 約0.1mM〜約50mM;例えば、約0.1mM〜約40mM; 約0.1mM〜約35mM; 約0.1mM〜約30mM; 約0.5mM〜約25mM; 約1mM〜約20mM; 約1mM〜約15mM; 約5mM〜約20mM; または約5mM〜約15mMの範囲である。
【0101】
本発明の一態様において、pHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤は、ヒスチジン、好ましくはL-ヒスチジンである。
【0102】
酸化的な経路(oxidative pathway)による同様に凝集経路(aggregation pathway)によるVII因子ポリペプチドのデグラデーションは、安定性の要注意パラメータである。
【0103】
典型的には、前記組成物はフリーズドライの終結に際して、VII因子ポリペプチドの初期含有量の5% w/w未満、例えば、4、3または2% w/w未満が、その酸化型へと転換されるように安定化される。前記VII因子ポリペプチドの初期含有量は、フリーズドライ工程前に組成物の調製に際して前記組成物に添加される量である。さらにまた、VII因子ポリペプチドの初期含有量の5% w/w未満(例えば、4.0%、3.0%、2.5%、2%、1.5%未満、または1% w/w未満)が、従来の分析方法(例えば、本出願の例に記載されるような)で決定される際に、凝集形態で回収される。
【0104】
本研究者らは、VII因子ポリペプチドの更なるデグラデーション(即ち、製造プロセスの終結時から、30゜Cでの8ヶ月貯蔵まで計算した際)が、周囲条件(ambient conditions)下で貯蔵した際に最小(minimal)であることを見出した。抗酸化剤(メチオニン)を含んでいる組成物が、VII因子ポリペプチドの酸化的なデグラデーションに安定であることが見出された。
【0105】
以上のように、適切な組成物は、少なくとも8ヶ月、周囲条件で貯蔵した際に、酸化型の含有量において限定的な増加を有している。
【0106】
即ち、なお更なる重要な態様において、前記組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約6% w/w以下が、該組成物を製造プロセス(例えば、フリーズドライプロセス)の終結後に30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に、酸化型へと付加的にデグラデーションされる程度に安定である。その更なる適切な態様において、VII因子ポリペプチドの約 5, 4, 3, 2, または 1.5 % w/w以下が、製造プロセス(manufacturing process)の終結時から30゜Cで8ヶ月貯蔵まで計算した際に、酸化型へと付加的に転換される。本発明のこれらの態様において、前記組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約5%(4, 3, 2, または 1.5 %)w/w以下が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に、酸化型へと転換される程度に安定である。すでに述べたように、初期含有量は、フリーズドライ工程前に、組成物の調製に際して前記組成物に添加されるVII因子ポリペプチドの量に関する。
【0107】
示したとおり、凝集経路によるVII因子ポリペプチドのデグラデーションも、基本的な安定性を指示するパラメータとして認められる。
【0108】
本発明の重要な態様は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約5%w/w以下が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に、凝集物へと転換される程度に安定である組成物に関する。既に述べたように、前記VII因子ポリペプチドの初期含有量は、フリーズドライ工程前に組成物の調製に際して前記組成物に添加される量である。サッカライド、ポリオールおよび抗酸化剤の含有量の適切な至適化によって(少なくとも部分的な)、前記組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約4.0%, 3.0% w/w以下(例えば、2.5%, 2.0%, 1.5%、または1.0% w/w)が該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に凝集物へと転換される程度に安定である。
【0109】
このように、好都合なことに、本発明の組成物は、製造プロセスの終結に際し(即ち、フリーズドライプロセスの終結に際し)、酸化型および凝集物の低い含有量を有する。それゆえ、本発明による組成物は、貯蔵される前に酸化型および凝集物の低い初期含有量を有していることによって特徴づけられ、VII因子ポリペプチドの初期含有量の例えば約5% w/w以下(例えば、4.0%, 3.0%, または2.0%)が酸化型へと転換され、5% w/w未満(例えば、約4.0%, 3.0%, 2.5%, 2%, 1.5%以下, または約1% w/w以下)が製造プロセスの終結に際しダイマー型または高次のポリマー型の形態へと転換される。
【0110】
そのうえ、好都合なことに、本発明のキットおよび組成物は貯蔵安定であり、例えば、VII因子ポリペプチドの初期含有量の10%未満(例えば、6%, 5%, 4%, 3%, 2%, または 1.5% w/w)が酸化型へと転換され、5% w/w未満(例えば、約4.0%, 3.0%, 2.5%, 2%, 1.5%, または1% w/w)がダイマー型または高次のポリマー型の形態へと転換される(少なくとも8ヶ月間の30゜C暗所での保存に際して)。
【0111】
述べたとおり、前記の改善された安定性は、特定の賦形剤の適切な組み合わせに関する。本発明によると、安定化剤は、サッカライド、ポリオールおよび抗酸化剤の群から選択されてもよい。適切な態様において、所望のサッカライドは、ジ-およびトリ-サッカライドおよびポリサッカライドであり、前記サッカライドはスクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびデキストランからなる群から選択されえる。さらにまた、幾つかの態様において、前記ポリオールは、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールからなる群から選択される。なお重要な態様において、前記抗酸化剤は、ホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニン, グルタチオン(gluthatione), およびペプチド(該ペプチドは、任意の1つのホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニンおよびグルタチオンを含んでいる)からなる群から選択される。
【0112】
それぞれ、前記サッカライドおよびポリオール賦形剤は、少なくとも2つの係る薬剤の混合物であってもよいことが理解される。本発明の1シリーズの態様において、使用される前記サッカライド賦形剤は、少なくとも2つのジ-、トリ-および/またはポリサッカライドの組合せであり、例えば、スクロースとシクロデキストリンとの組合せ、トレハロースとシクロデキストリンとの組合せ、スクロースとデキストランとの組合せ、またはスクロースとラクトースとの組合せなどである。本発明の1シリーズの態様において、使用される前記ポリオール賦形剤は、少なくとも2つのポリオールの組合せであり、例えば、マンニトールとソルビトールとの組合せ、マンニトールとキシリトールとの組合せ、またはソルビトールとキシリトールとの組合せなどである。本発明の1シリーズの態様において、使用される前記抗酸化剤賦形剤は、少なくとも2つの抗酸化剤の組合せであり、例えば、メチオニンと、1以上のホモシステイン, システイン, シスタチオニン, グルタチオン, 並びに任意の1つのホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニンおよびグルタチオンを含んでいるペプチドとの組合せなどである。
【0113】
特に重要な態様において、前記抗酸化剤は、ホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニン, グルタチオン(gluthatione), およびペプチド(該ペプチドは、任意の1つのホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニンおよびグルタチオンを含んでいる)からなる群から選択される。好適な態様において、前記抗酸化剤は、メチオニンである。
【0114】
本発明のさらに重要な態様において、前記ポリオールは、約5% w/w〜約90% w/wの範囲の量で存在する。好ましくは、前記ポリオールの量は、約18% w/w〜約88% w/w、例えば、約18% w/w〜約83% w/w, 25%〜80%, 30%〜65%, 30%〜80%, 40%〜80%, 50%〜80%, 30%〜75%, 40%〜75%, 50%〜75%, または約50%〜約70% w/wの範囲で存在する。
【0115】
前記ポリオールは、約0.5〜75 mg/ml、例えば、約2〜60 mg/ml, 5 mg/ml〜55 mg/ml, 8〜45 mg/ml, 10〜40 mg/ml, 10〜30 mg/ml, または約2〜45 mg/ml, 5 mg/ml〜45 mg/ml, 5〜35 mg/ml, 5〜25 mg/ml, 5〜20 mg/ml, 20〜40 mg/ml, または、例えば、約20〜30 mg/mlの範囲の量で存在する。
【0116】
そのうえ、本発明の重要な態様において、同様に、本発明の幾つかの他の重要な態様において、前記サッカライドは、約0〜約85% w/wの範囲の量で前記組成物中に存在する。本発明の更に重要な態様において、前記量は、約3% w/w〜約80% w/w、例えば、約7% w/w〜約75% w/w, 10%〜70%, 10%〜50%, 20%〜50%, 10%〜40%, または約10% w/w〜約35% w/wの範囲である。
【0117】
前記サッカライドは、約0.5〜75 mg/ml、例えば、約2〜60 mg/ml, 約5 mg/ml〜55 mg/ml, 約8〜45 mg/ml, 約10〜40 mg/ml, 約10〜30 mg/ml, または約2〜45 mg/ml, 約5 mg/ml〜45 mg/ml, 約5〜35 mg/ml, 約5〜25 mg/ml、例えば、約5〜20 mg/mlの範囲であるべきである。
【0118】
前記抗酸化剤は、約0.05〜10 mg/ml、好ましくは約0.1〜5 mg/ml、より好ましくは約0.1 mg/ml〜2.5 mg/ml、なおより好ましくは約0.1〜2 mg/ml、最も好ましくは約0.1〜1 mg/mlの範囲の量で提供されるべきである。
【0119】
前記ポリオールおよび前記サッカライドの間の比率は、適切に調整される必要がある。本発明の適切な態様において、前記ポリオールは、前記サッカライドと比べた重量比が約100:1〜1:50の範囲である。本発明のなおさらに適切な態様において、前記重量比は、約50:1〜1:10、より好ましくは約20:1〜1:5である。他の適切な態様において、前記重量比は、約10:1〜1:2および約6:1〜1:2に関する。適切な態様は次のような態様に関し;その態様において、前記糖アルコールは、前記サッカライドと比べた重量比が約4:1〜1:1、例えば、約4:1〜3:2または約1:1〜3:2の範囲で存在する。
【0120】
本発明の幾つかの態様において、前記ポリオールはマンニトールである。そして、なおさらなる態様において、前記サッカライドはスクロースである。そのうえ、なおさらなる態様において、前記抗酸化剤は、メチオニンである。
【0121】
本発明のさらに好適な態様において、前記組成物は、バルキング剤として作用する他の薬学的賦形剤をさらに含む。即ち、マンニトール以外のバルキング剤が、前記組成物に含まれる。特に、バルキング剤は、フリーズドライで調製された組成物に含まれる。
【0122】
前記組成物中のVII因子ポリペプチドの初期含有量は、好ましくは、約0.6 mg/mL〜約10.0 mg/mL、例えば、約0.6 mg/mL〜約8 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約6 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約5 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約4 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約3 mg/mL, 約1.0 mg/mL〜約5 mg/mL, 約1.0 mg/mL〜約4 mg/mL, または約1.0 mg/mL〜約3 mg/mL、例えば、約1.0 mg/mL, 約2.0 mg/mL, 約3.0 mg/mL, 約4.0 mg/mL, または約5.0 mg/mLである。
【0123】
一態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は:VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、およびポリソルベート(好ましくはポリソルベート20または80)を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0124】
一態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は:VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、メチオニン、およびポリソルベート、好ましくはポリソルベート20または80を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0125】
別の態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、ヒスチジン、およびポリソルベート、好ましくはポリソルベート20または80を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0126】
一態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は:VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、メチオニン、ヒスチジン、およびポリソルベート、好ましくはポリソルベート20または80を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0127】
別の態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、およびポロキサマー188を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0128】
別の態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、メチオニン、およびポロキサマー188を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0129】
別の態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、ヒスチジン、およびポロキサマー188を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0130】
別の態様において、前記キットの前記第1単位形態に含まれる組成物は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、ヒスチジン、メチオニン、およびポロキサマー188を含み、約3%以下の含水量を有し、前記組成物が水に溶解される場合、5.0〜7.0範囲のpHを有する。一態様において、前記組成物はCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。1つの態様において、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である。
【0131】
一態様において、前記キットの前記第2単位形態に含まれる組成物は、水およびヒスチジンを含む。更なる態様において、前記ビヒクルはCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分をさらに含む。その更なる態様において、前記ビヒクルは、約5〜15 mMの濃度のCaCl2、約30〜60 mMの濃度のNaCl(例えば、約40mMまたは約50mM)のリストから選択される1以上の成分を含む。
【0132】
好適な態様において、安定なVII因子ポリペプチドを調製する方法は、フリーズドライを備える。フリーズドライは、前記VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液が凍結乾燥バイアルなどへと充填されるプロセスに関する。前記VII因子ポリペプチドは、フリーズドライの開始前に無菌濾過(sterile filtration)に任意で供されてもよい。臨界産物温度(critical product temperatures)未満にバイアルおよび溶液を凍結させるために、フリーズドライ器(freeze-drier)の棚に冷却を適用した。水を、フリーズドライ器のアイスコンデンサーにおいて、減圧を誘導し、水蒸気の凝縮させることによって除去した。産物が乾燥したとき(通常、3%未満の残留含水量)(例えば、上記のとおりカールフィッシャー電量滴定で測定される)、バイアルを閉鎖し、蓋をした。製造は、最終処理された(finalised)。そして、前記組成物は、この段階で凍結乾燥ケーキの形態となった。
【0133】
再構成された組成物は、予防的(prophylactic)および/または治療的な治療に関して、非経口投与を意図している。好ましくは、前記薬学的組成物は、非経口的、すなわち静脈内に、皮下に、または筋肉内に投与される、又はそれらは連続的な若しくはパルス性(pulsative)の輸液の様式で投与される。
【0134】
それゆえ、本発明のなお更なる側面は、凝固因子応答性症候群を治療する医薬の調製における、固形の安定化された組成物の使用に関する。一態様において、本発明は、VII因子応答性症候群を治療するための医薬の調製における、VII因子ポリペプチドの使用に関する。
【0135】
異なる態様において、前記VII因子応答性症候群は、血友病A、血友病B、XI因子欠乏(Factor XI deficiency)、VII因子欠乏、血小板減少症(thrombocytopenia)、フォンウィルブランド病(von Willebrand’s disease)、凝固因子インヒビターの存在、手術(surgery)、または外傷(trauma)である。さらに、VII因子応答性症候群は、抗凝固療法と関連するものであってもよい。
【0136】
述べたように、本発明の組成物は、固形形態である。従って、適切な態様において、医薬は、溶解されることに関して適切であるべきであり、これによって前記医薬の非経口投与が許容される。従って、前記組成物が患者に投与される場合、前記組成物を、投与工程の前に適切な液体に溶解する工程を備える。
【0137】
本願発明で使用される略語を以下に記す:
FVII:凝固因子VIIの単鎖形態
FVIIa:凝固因子VIIの切断された活性型2鎖形態
rFVII(rFVIIa):組換え型VII因子(組換え型VIIa因子)
【0138】
態様:
本発明の1シリーズの態様において、前記キットの前記第1単位形態は、賦形剤、及びその量(amounts thereof)を含む。また、該第1単位形態は、製剤1〜48のリストに示されるpHを有する:
【0139】
【表1−1】

【0140】
【表1−2】

【0141】
【表1−3】

【0142】
【表1−4】

【0143】
【表1−5】

【0144】
【表1−6】

【0145】
【表1−7】

【0146】
【表1−8】

【0147】
【表1−9】

【0148】
【表1−10】

【0149】
【表1−11】

【0150】
【表1−12】

【0151】
別のシリーズの態様において、前記キットの前記第1単位形態は、賦形剤、及びその量(amounts thereof)を含む。また、該第1単位形態は、製剤100〜124のリストに示されるpHを有する:
【0152】
【表2−1】

【0153】
【表2−2】

【0154】
【表2−3】

【0155】
【表2−4】

【0156】
【表2−5】

【0157】
【表2−6】

【0158】
1シリーズの態様において、組成物1〜48および100〜124の何れか1つにおけるFVIIポリペプチドの濃度は、約0.6 mg/mL〜約10.0 mg/mL、例えば、約0.6 mg/mL〜約8 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約5 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約3 mg/mL, 約1.0 mg/mL〜約5 mg/mL, または約1.0 mg/mL〜約3 mg/mLである。
【0159】
別のシリーズの態様において、組成物1〜48および100〜124の何れか1つにおけるFVIIポリペプチドの濃度は、次のリストから選択される:約0.6 mg/mL, 約0.7 mg/mL, 約0.8 mg/mL, 約0.9 mg/mL, 約1.0 mg/mL, 約1.1 mg/mL, 約1.2 mg/mL, 約1.3 mg/mL, 約1.4 mg/mL, 約1.5 mg/mL, 約1.6 mg/mL, 約1.7 mg/mL, 約1.8 mg/mL, 約1.9 mg/mL, 約2.0 mg/mL, 約2.1 mg/mL, 約2.2 mg/mL, 約2.3 mg/mL, 約2.4 mg/mL, 約2.5 mg/mL, 約2.6 mg/mL, 約2.7 mg/mL, 約2.8 mg/mL, 約2.9 mg/mL, 約3.0 mg/mL, 約3.1 mg/mL, 約3.2 mg/mL, 約3.3 mg/mL, 約3.4 mg/mL, 約3.5 mg/mL, 約3.6 mg/mL, 約3.7 mg/mL, 約3.8 mg/mL, 約3.9 mg/mL, および約4.0 mg/mL。
【0160】
1シリーズの態様において、製剤1〜48および100〜124におけるポリソルベートの濃度は、約0.05〜0.08 mg/mL、例えば、約 0.06〜0.08 mg/mL、または約 0.07 mg/mLである。
【0161】
別のシリーズの態様において、前記第1単位形態は組成物1〜48および100〜124の何れか1つに記載の組成物を含み、前記第2単位形態は約0.5 mg/mL〜3 mg/mL、例えば、約1.0〜約2.0 mg/mL、または約1.55 mg/MLの量のL-ヒスチジンを含む。
【0162】
なお別のシリーズの態様において、前記第1単位形態は組成物1〜48および100〜124の何れか1つに記載の組成物を含み、前記第2単位形態は約30〜約60 mM NaCl、例えば、約40 mM、約45 mM、または約50 mM NaClを含む。
【0163】
なお別のシリーズの態様において、前記第1単位形態は組成物1〜48および100〜124の何れか1つに記載の組成物を含み、前記第2単位形態は約30〜約60 mM NaCl、例えば、約40 mM、約45 mM、または約50 mM NaCl;およびL-ヒスチジンを約0.5 mg/mL〜3 mg/mL、例えば、約1.0〜約2.0 mg/mL、または約1.55 mg/MLの量で含む。
【0164】
本発明の別の側面は、VII因子ポリペプチドおよび以下のものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含む新規組成物の提供である、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
該組成物は約3%以下の含水量を有している;
【0165】
一態様において、抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ(a)は、更にサッカライドを含む。別の態様において、メチオニンおよびポリオールの組み合わせ(b)は、更にサッカライドを含む。別の態様において、サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ(c)は、更に抗酸化剤を含む。別の態様において、スクロースおよびポリオールの組み合わせ(d)は、更に抗酸化剤を含む。
【0166】
重要な態様において、前記抗酸化剤は、ホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニン, グルタチオン, 並びにホモシステイン, システイン, シスタチオニン, メチオニンおよびグルタチオンの何れか1つを含んでいるペプチド、又はその混合物;好ましくはメチオニンまたはメチオニンを含んでいる混合物からなる群から選択される。別の重要な態様において、前記サッカライドは、スクロース, デキストロース, ラクトース, マルトース, トレハロース, シクロデキストリン, マルトデキストリンおよびデキストラン、又はその混合物;好ましくはスクロースまたはスクロースを含んでいる混合物からなる群から選択される。さらに別の重要な態様において、前記ポリオールは、マンニトール, ソルビトールおよびキシリトール、又はその混合物;好ましくはマンニトールまたはマンニトールを含んでいる混合物からなる群から選択される。
【0167】
前記組成物は、水性溶媒に溶解された場合、該組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤を更に含んでもよい。係る薬剤の非限定的な例と好適なpH範囲は、本明細書に記載されている。
【0168】
前記組成物は、更に張性修飾剤を含んでもよい。係る張性修飾剤の非限定的な例は、本明細書に記載されている。
【0169】
前記ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20または80、好ましくはポリソルベート80からなる群から選択される。
【0170】
本発明の一態様において、新規組成物は次のリストから選択される:
【0171】
【表3】

【0172】
一態様において、前記組成物は次のリストから選択される:
【0173】
【表4】

【0174】
一態様において、前記組成物は次のリストから選択される:
【0175】
【表5】

【0176】
1シリーズの態様において、製剤I〜XVIにおけるポリソルベートの濃度は、約0.05〜0.08 mg/mL、例えば、約 0.06〜0.08 mg/mL、または約 0.07 mg/mLである。
【0177】
1シリーズの態様において、製剤I〜XVIにおけるポリソルベートは、ポリソルベート20(例えば、Tween 20TM)である。1シリーズの態様において、製剤I〜XVIにおけるFVIIポリペプチドは、ポリソルベート80(例えば、Tween 80TM)である。
【0178】
さらに別の態様において、前記組成物は次のリストから選択される:
【0179】
【表6−1】

【0180】
【表6−2】

【0181】
【表6−3】

【0182】
1シリーズの態様において、製剤I〜XXVIIIは、更に次のリストから選択される1以上の成分(components)を含む:
Ca2+(好ましくは約5〜約15 mM、例えば、約10 mMの量で、好ましくはCaCl2 x2H2Oとして);
NaCl(好ましくは、約50 mM、または約 40 mM、例えば、39 mMの量で);
ヒスチジン(好ましくはL-ヒスチジン、好ましくは約 10 mMの量で;および
グリシルグリシン(例えば、約10 mMの量で)。
【0183】
別のシリーズの態様において、前記組成物は賦形剤を含み、その量は製剤I〜XXVIIIの何れか1つに記載のとおりであるが、pH 5.5, または5.6, または5.7, または, 5.8, または5.9, または6.1, または6.2, または6.3, または6.4, または6.5のpHを有する。
【0184】
1シリーズの態様において、製剤I〜XVIにおけるFVIIポリペプチドの濃度は、約 1.0 mg/mLである。
【0185】
1シリーズの態様において、製剤I〜XXVIIIにおけるFVIIポリペプチドは、野生型ヒトVIIa因子である。
【0186】
1シリーズの態様において、製剤I〜XXVIIIにおけるFVIIポリペプチドは、FVIIバリアント(FVII variant)である。
【0187】
異なるシリーズの態様において、製剤I〜XXVIIIにおけるFVIIポリペプチドは、次のリストから選択される:L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, および S336G-FVII;
【0188】
異なるシリーズの態様において、組成物1〜48および100〜124の何れか1つにおけるVII因子ポリペプチドは、次のリストから選択される:約0.6 mg/mL〜約10.0 mg/mL、例えば、約0.6 mg/mL〜約8 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約6 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約5 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約4 mg/mL, 約0.6 mg/mL〜約3 mg/mL, 約1.0 mg/mL〜約5 mg/mL, 約1.0 mg/mL〜約4 mg/mL, 約1.0 mg/mL〜約3 mg/mL, 約0.6 mg/mL, 約0.7 mg/mL, 約0.8 mg/mL, 約0.9 mg/mL, 約1.0 mg/mL, 約1.1 mg/mL, 約1.2 mg/mL, 約1.3 mg/mL, 約1.4 mg/mL, 約1.5 mg/mL, 約1.6 mg/mL, 約1.7 mg/mL, 約1.8 mg/mL, 約1.9 mg/mL, 約2.0 mg/mL, 約2.1 mg/mL, 約2.2 mg/mL, 約2.3 mg/mL, 約2.4 mg/mL, 約2.5 mg/mL, 約2.6 mg/mL, 約2.7 mg/mL, 約2.8 mg/mL, 約2.9 mg/mL, 約3.0 mg/mL, 約3.1 mg/mL, 約3.2 mg/mL, 約3.3 mg/mL, 約3.4 mg/mL, 約3.5 mg/mL, 約3.6 mg/mL, 約3.7 mg/mL, 約3.8 mg/mL, 約3.9 mg/mL, および約4.0 mg/mL。
【0189】
別の側面において、本発明は、表3から6に規定された新規の組成物を調製する方法を提供し、該方法は以下の工程を備える:
i)VII因子ポリペプチドを、次のものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含んでいる溶液に供給することと、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;および
e)メチオニン
ii)前記溶液を、約3% w/w以下の含水量を有している固形組成物(a solid composition)を得るように処理すること。
【0190】
1つの態様において、前記ポリオールは、約0.5〜約75 mg/ml、好ましくは約2〜45 mg/ml、例えば、約5 mg/ml〜45 mg/ml、約5〜35 mg/ml、約5〜25 mg/ml、5〜20 mg/ml、20〜40 mg/ml、または約20〜約30 mg/mlの範囲の量で存在する。
【0191】
1つの態様において、前記サッカライドは、約0.5〜75 mg/ml、好ましくは約2〜45 mg/ml、例えば、約5 mg/ml〜45 mg/ml、約5〜35 mg/ml、約5〜25 mg/ml、または約5〜20 mg/mlの範囲の量で存在する。
【0192】
1つの態様において、前記抗酸化剤は、約0.05〜10 mg/ml、好ましくは約0.1〜5 mg/ml、より好ましくは約0.1 mg/ml〜2.5 mg/ml、なおより好ましくは約0.1〜2 mg/ml、最も好ましくは約0.1〜1 mg/mlの範囲の量である。
【0193】
一態様において、前記サッカライドは、スクロースである。一態様において、前記抗酸化剤は、メチオニンである。一態様において、前記ポリオールは、マンニトールである。一態様において、前記処理することは、フリーズドライすることを備える。
【0194】
本発明の新規組成物は、許容される、好ましくは無菌の希釈剤または担体、好ましくは水性担体(aqueous carrier)を用いて再構成される。水性担体の非限定的な例には、注射用水(WFI)同様に以下のリストから選択される少なくとも1つの成分を含んでいる、本明細書(上記)に記載された溶媒が含まれる:
(i)水性溶媒に約0.1mM〜100mMの量で溶解された場合、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤;および
(ii)再構成される溶液を基本的(essentially)に等張性となすために十分な量の張性を修飾する薬剤。
一態様において、前記担体はWFIであり;別の態様において、前記溶媒はヒスチジンを含む。
【0195】
[発明の態様]
態様1: 薬学的医薬(pharmaceutical medicament)を含んでいるキット、該キットは以下を具備する、
a)第1単位形態において、ポリペプチドおよび少なくとも1つの安定化剤(stabilizing agent)を含む組成物(該組成物は、約3%以下の含水量を有する)、および該第1単位形態を収納させるための容器手段;および、
b)第2単位形態において、前記組成物と少なくとも1つの以下のリストから選択される成分との再構成(溶液)のための溶媒を含む投与ビヒクル:
(iii)水性溶媒に溶解された場合、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤(ここで前記薬剤は、約0.1mM〜100mMの量で存在する)。
(iV)前記第1単位形態の組成物を前記第2単位形態の投与ビヒクルに溶解することから生じる再構成された溶液を、基本的に等張性となすために十分な量の張性を修飾する薬剤;
および該第2単位形態を収納させるための容器手段。
【0196】
態様2: 態様1に記載のキットであって、前記第1単位形態は、界面活性剤、抗酸化剤、サッカライド(saccharides)、およびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの成分を具備するキット。
【0197】
態様3: 態様2または態様2に記載のキットであって、前記第2単位形態は、更に界面活性剤、抗酸化剤、サッカライド、およびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの成分を具備するキット。
【0198】
態様4: 態様1〜3の何れか1つに記載のキットであって、前記ポリペプチドは、血液凝固因子(例えば、VIII因子, IX因子, X因子, II因子, V因子, VII因子)であるキット。
【0199】
態様5: 態様1〜3の何れか1つに記載のキットであって、前記ポリペプチドは、ビタミンK-依存性ポリペプチド(例えば、VII因子, IX因子, X因子, II因子, プロテインC, プロテインS, プロトロンビン)であるキット。
【0200】
態様6: 態様4または5に記載のキットであって、前記凝固因子ポリペプチドは、ヒトVIII因子、ヒトVIIa因子、VII因子関連ポリペプチド、ヒトIX因子、ヒトX因子、活性化ヒトプロテインCのリストから選択されるキット。
【0201】
態様7: 態様6に記載のキットであって、前記FVII関連ポリペプチドは、L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, and S336G-FVIIのリストから選択されるVII因子バリアントであるキット。
【0202】
態様8: 態様6に記載のキットであって、前記FVII関連ポリペプチドはVII因子バリアントであり、本明細書中に記載された1以上の「インビトロタンパク質分解アッセイ法」および「インビトロ加水分解アッセイ法」で試験したときに、該VII因子の活性とヒトVIIa因子(野生型VII因子)の活性との間の比は少なくとも約1.25であるキット。
【0203】
態様9: 態様1〜8の何れか1つに記載のキットであって、水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤は、約0.1mM〜約50mM;例えば、約0.1mM〜約40mM;約0.1mM〜約35mM;約0.1mM〜約30mM;約0.5mM〜約25mM;約1mM〜約20mM;約1mM〜約15mM;約5mM〜約20mM;または約5mM〜約15mMの量で存在するキット。
【0204】
態様10: 態様1〜9の何れか1つに記載のキットであって、水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤は、クエン酸, 酢酸, ヒスチジン, リンゴ酸, リン酸, 酒石酸, コハク酸, MES, HEPES, イミダゾール, TRIS, 乳酸, グルタル酸, PIPESおよびグリシルグリシンのリスト、または少なくとも2つの係るリストされた薬剤の混合物から選択され、前記混合物は特定範囲のpH値を提供することができるキット。
【0205】
態様11: 態様1〜10の何れか1つに記載のキットであって、前記第2単位形態は、水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを4〜7の範囲に維持するために適切な薬剤を含み;好ましくは、4.5〜7.5の範囲(例えば、5〜7,または5.5〜6.5)であるキット。
【0206】
態様12: 態様1〜11の何れか1つに記載のキットであって、前記第2単位形態はヒスチジンを含むキット。
【0207】
態様13: 態様1〜12の何れか1つに記載のキットであって、前記「張性を修飾する薬剤」は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコールのリストから選択されるか、又は少なくとも2つの係るリストされた修飾する薬剤の混合物であって;好ましくは、塩化ナトリウム、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、塩化カルシウムのリストから選択される混合物であるか、又はその混合物であるキット。
【0208】
態様14: 態様13に記載のキットであって、前記張性を修飾する薬剤は、Ca2+またはMg2+を含むキット。
【0209】
態様15: 態様1〜14の何れか1つに記載のキットであって、前記第1および第2単位形態の1つ又は両方は、更に保存剤(preservative)を含むキット。
【0210】
態様16: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって;前記第1単位形態は、以下に記すものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含むキット、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;
e)メチオニン;および
f)界面活性剤
該組成物は約3%以下の含水量を有している。
【0211】
態様17: 態様16に記載のキットであって、前記の抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせは、更にサッカライドを含むキット。
【0212】
態様18: 態様16に記載のキットであって、前記のメチオニンおよびポリオールの組み合わせは、更にサッカライドを含むキット。
【0213】
態様19: 態様16に記載のキットであって、前記のサッカライドおよびマンニトールの組み合わせは、更に抗酸化剤(antioxidant)を含むキット。
【0214】
態様20: 態様16に記載のキットであって、前記のスクロースおよびポリオールの組み合わせは、更に抗酸化剤を含むキット。
【0215】
態様21: 態様16または17の何れか1つに記載のキットであって、前記の(a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせは、更に界面活性剤(surfactant)を含むキット。
【0216】
態様22: 態様16または18の何れか1つに記載のキットであって、前記の(b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせは、更に界面活性剤を含むキット。
【0217】
態様23: 態様16または19の何れか1つに記載のキットであって、前記の(c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせは、更に界面活性剤を含むキット。
【0218】
態様24: 態様16または20の何れか1つに記載のキットであって、前記の(d)スクロースおよびポリオールの組み合わせは、更に界面活性剤を含むキット。
【0219】
態様25: 態様16に記載のキットであって、前記安定化剤は、(e)界面活性剤およびメチオニンの組み合わせであるキット。
【0220】
態様26: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、抗酸化剤は、ホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン(gluthatione)、およびペプチド(該ペプチドは、任意の1つのホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニンおよびグルタチオンを含んでいる)からなる群から選択されるキット。
【0221】
態様27: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記サッカライドは、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびデキストランからなる群から選択されるキット。
【0222】
態様28: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記ポリオールは、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールからなる群から選択されるキット。
【0223】
態様29: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記第1単位形態の組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約5% w/w以下(好ましくは、約4.0% w/w, 3.0% w/w, 2.5% w/w, 2.0% w/w, 1.5% w/w以下、または約1.0% w/w以下)が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に凝集物(aggregates)へと転換される程度に安定であるキット。
【0224】
態様30: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記第1単位形態の組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約6% w/w以下(好ましくは、約5% w/w, 4.0% w/w, 3.0% w/w, 2.5% w/w, 2.0% w/w以下, または約1.5% w/w以下)が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に酸化型(oxidised forms)へと転換される程度に安定であるキット。
【0225】
態様31: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記ポリオールは、約5% w/w〜90% w/w、好ましくは約18% w/w〜88% w/w、18%〜83%、25%〜80%、40%〜80%、50%〜80%、または約50% w/w〜70% w/wの範囲の量であるキット。
【0226】
態様32: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記サッカライドは、約0〜85% w/w、好ましくは約 3% w/w〜80% w/w、7%〜75%、10%〜70%、10%〜50%、10%〜40%、または約10% w/w〜35% w/wの範囲の量であるキット。
【0227】
態様33: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記ポリオールは、前記サッカライドに対し約100:1〜1:50, 好ましくは約50:1〜1:10; 20:1〜1:5; 10:1〜1:2; 6:1〜1:2; 4:1〜1:1; または約4:1〜3:2の範囲の相対的な重量比(weight ratio)で存在するキット。
【0228】
態様34: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記第1単位形態は、更に張性修飾剤(tonicity modifier)を含むキット。
【0229】
態様35: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20または80);ポリオキシエチレンアルキルエーテル〔例えば、Brij35(登録商標)〕;またはポロキサマー(例えば、ポロキサマー188または407);および他のエチレン/ポリプロピレンブロックポリマーまたはポリエチレングリコール(PEG)(例えば、PEG8000)からなる群から選択されるキット。
【0230】
態様36: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記サッカライドは、スクロースであるキット。
【0231】
態様37: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記ポリオールは、マンニトールであるキット。
【0232】
態様38: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記VII因子ポリペプチドは、約0.6 mg/ml〜約10.0 mg/ml、例えば、約0.6 mg/ml〜約6 mg/ml、約0.6 mg/ml〜約5 mg/ml、または約0.6 mg/ml〜約4 mg/mlの濃度で存在するキット。
【0233】
態様39: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記含水量は、約2.5% w/w以下、好ましくは約2% w/w以下、最も好ましくは約1.5% w/w以下であるキット。
【0234】
態様40: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記第1単位形態は、凍結乾燥ケーキ(lyophilised cake)であるキット。
【0235】
態様41: 上記の態様の何れか1つに記載のキットであって、前記第1単位形態は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、およびポリソルベートまたはポロキサマー、例えば、Tween80(登録商標)またはポロキサマー188(登録商標)から選択される界面活性剤を含むキット。
【0236】
態様42: 態様41に記載のキットであって、更にメチオニンを含むキット。
【0237】
態様43: 上記の態様41または42の何れか1つに記載のキットであって、前記第2単位形態は、約0.1mM〜約50mM;例えば、約0.1mM〜約40mM;約0.1mM〜約35mM;約0.1mM〜約30mM;約0.5mM〜約25mM;約1mM〜約20mM;約1mM〜約15mM;約5mM〜約20mM;または約5mM〜約15mMの量のL-ヒスチジンを含むキット。
【0238】
態様44: 上記の態様41〜43の何れか1つに記載のキットであって、前記第2単位形態は、更にCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分を含むキット。
【0239】
態様45: ポリペプチドの液体製剤を調製するための方法、該方法は以下の工程を備える:
a)態様1〜44の何れか1つに記載された第1および第2単位形態を提供することと;
b)前記第1および第2単位形態を、前記組成物を前記投与ビヒクルに溶解した液体溶液を提供するように混合すること。
【0240】
態様46: 凝固因子応答性症候群(coagulation factor-responsive syndrome)を治療する方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の態様45の方法により調製された凝固因子の液体製剤(liquid formulation)を投与することを備える方法。
【0241】
態様47: 態様46に記載の方法であって、前記凝固因子応答性症候群が血友病であり、前記凝固因子がVIII因子またはIX因子である;または前記症候群が敗血症であり、前記凝固因子がプロテインCまたは活性化プロテインCである方法。
【0242】
態様48: FVII応答性症候群(FVII-responsive syndrome)を治療するための態様46に記載の方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の態様45の方法により調製された前記生物学的因子(said biological agent)の液体製剤を投与することを備える方法。
【0243】
態様49: 態様48に記載の方法であって、前記症候群は、血友病A、血友病B、XI因子欠乏、VII因子欠乏、血小板減少症、フォンウィルブランド病、凝固因子インヒビターの存在、手術、外傷、希釈凝固障害(dilution coagulopathy)、および抗凝固療法からなる群から選択される方法。
【0244】
態様50: VII因子応答性症候群の治療のための、態様1〜44の何れか1つに規定されたキットの形態で医薬を調製するためのVII因子ポリペプチドの使用。
【0245】
態様51: VII因子ポリペプチド、および以下に記すものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含む組成物、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
該組成物は3%以下の含水量を有している;
【0246】
態様52: 態様51に記載の組成物であって、前記の抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせは、更にサッカライドを含む組成物。
【0247】
態様53: 態様51に記載の組成物であって、前記のメチオニンおよびポリオールの組み合わせは、更にサッカライドを含む組成物。
【0248】
態様54: 態様51に記載の組成物であって、前記のサッカライドおよびマンニトールの組み合わせは、更に抗酸化剤を含む組成物。
【0249】
態様55: 態様51に記載の組成物であって、前記のスクロースおよびポリオールの組み合わせは、更に抗酸化剤を含む組成物。
【0250】
態様56: 上記の態様51〜55の何れか1つに記載の組成物であって、抗酸化剤は、ホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン(gluthatione)、およびペプチド(該ペプチドは、任意の1つのホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニンおよびグルタチオンを含んでいる)からなる群から選択される組成物。
【0251】
態様57: 上記の態様51〜56の何れか1つに記載の組成物であって、前記サッカライドは、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびデキストランからなる群から選択される組成物。
【0252】
態様58: 上記の態様51〜57の何れか1つに記載の組成物であって、前記ポリオールは、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールからなる群から選択される組成物。
【0253】
態様59: 上記の態様51〜58の何れか1つに記載の組成物であって、前記組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約5% w/w以下(好ましくは、約4.0% w/w、3.0% w/w、2.5% w/w、2.0% w/w、1.5% w/w以下、または約1.0% w/w以下)が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に凝集物(aggregates)へと転換される程度に安定である組成物。
【0254】
態様60: 上記の態様51〜59の何れか1つに記載の組成物であって、前記組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約6% w/w以下(好ましくは、約5% w/w、4.0% w/w、3.0% w/w、2.5% w/w、2.0% w/w以下、または約1.5% w/w以下)が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に酸化型へと転換される程度に安定である組成物。
【0255】
態様61: 上記の態様51〜60の何れか1つに記載の組成物であって、前記ポリオールは、約5% w/w〜90% w/w、好ましくは約18% w/w〜88% w/w、18%〜83%、25%〜80%、40%〜80%、50%〜80%、または約50% w/w〜70% w/wの範囲の量である組成物。
【0256】
態様62: 上記の態様51〜61の何れか1つに記載の組成物であって、前記サッカライドは、約0〜85% w/w、好ましくは約3% w/w〜80% w/w、7%〜75%、10%〜70%、10%〜50%、10%〜40%、または約10% w/w〜35% w/wの範囲の量である組成物。
【0257】
態様63: 上記の態様51〜62の何れか1つに記載の組成物であって、前記ポリオールは、前記サッカライドに対し約100:1〜1:50, 好ましくは約50:1〜1:10; 20:1〜1:5; 10:1〜1:2; 6:1〜1:2; 4:1〜1:1; または約4:1〜3:2の範囲の相対的な重量比である組成物。
【0258】
態様64: 上記の態様51〜63の何れか1つに記載の組成物であって、水性溶媒に溶解された場合に、該組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤を更に含み、好ましくは、前記pHは4〜7の範囲、より好ましくは4.5〜6.5の範囲、なおより好ましくは5.5〜6.5の範囲である組成物。
【0259】
態様65: 態様64に記載の組成物であって、前記薬剤は、クエン酸、酢酸、ヒスチジン、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール(imidazole)、TRIS、イミダゾール(imidazol)、乳酸、グルタル酸、PIPESおよびグリシルグリシンからなる群、または少なくとも2つの係るリストされた薬剤の混合物から選択され、前記混合物は特定範囲のpH値を提供することができる組成物。
【0260】
態様66: 上記の態様51〜65の何れか1つに記載の組成物であって、更に張性修飾剤を含む組成物。
【0261】
態様67: 態様66に記載の組成物であって、前記張性修飾剤は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、マンニトール、グリセロール、およびプロピレングリコールからなる群から選択される組成物。
【0262】
態様68: 上記の態様51〜67の何れか1つに記載の組成物であって、前記界面活性剤は、ポリソルベート20または80、好ましくはポリソルベート80からなる群から選択される組成物。
【0263】
態様69: 上記の態様51〜68の何れか1つに記載の組成物であって、前記サッカライドは、スクロースである組成物。
【0264】
態様70: 上記の態様51〜69の何れか1つに記載の組成物であって、前記ポリオールは、マンニトールである組成物。
【0265】
態様71: 上記の態様51〜70の何れか1つに記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子、組換え型ヒトVIIa因子およびVII因子配列バリアントからなる群から選択される組成物。
【0266】
態様72: 態様71に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子または組換え型ヒトVIIa因子である組成物。
【0267】
態様73: 上記の態様51〜72の何れか1つに記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドはVII因子関連ポリペプチドであり、ここで本明細書中に記載された1以上の「インビトロタンパク質分解アッセイ法(In Vitro Proteolysis Assay)」および「インビトロ加水分解アッセイ法(in Vitro Hydrolysis Assay)」で試験したときに、該VII因子関連ポリペプチドと野生型VII因子との間の活性の比は少なくとも約1.25である組成物。
【0268】
態様74: 上記の態様51〜73の何れか1つに記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、約0.6 mg/ml〜約10.0 mg/ml、例えば、約0.6 mg/ml〜約6 mg/ml、約0.6 mg/ml〜約5 mg/ml、または約0.6 mg/ml〜約4 mg/mlの濃度で存在する組成物。
【0269】
態様75: 上記の態様51〜74の何れか1つに記載の組成物であって、前記含水量は、約2.5% w/w以下、好ましくは約2% w/w以下、最も好ましくは約1.5% w/w以下である組成物。
【0270】
態様76: 上記の態様51〜75の何れか1つに記載の組成物であって、前記組成物は、凍結乾燥ケーキである組成物。
【0271】
態様77: 上記の態様の何れか1つに記載の組成物であって、前記組成物は、VII因子ポリペプチド、マンニトール、スクロース、およびポロキサマー、例えば、Tween80(登録商標)を含む組成物。
【0272】
態様78: 態様77に記載の組成物であって、更にメチオニンを含む組成物。
【0273】
態様79: 上記の態様77〜78の何れか1つに記載の組成物であって、更にL-ヒスチジンを含む組成物。
【0274】
態様80: 態様77〜79の何れか1つに記載の組成物であって、更にCaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分を含む組成物。
【0275】
態様81: 上記の態様51〜80の何れか1つに記載の組成物であって、以下のリストから選択される組成物:
【0276】
【表A】

【0277】
態様82: 上記の態様81に記載の組成物であって、以下のリストから選択される組成物:
【0278】
【表B】

【0279】
態様83: 上記の態様81〜82の何れか1つに記載の組成物であって、ポリソルベート80を約0.07 mg/mLの量で含有している組成物。
【0280】
態様84: 上記の態様81〜83の何れか1つに記載の組成物であって、FVIIaポリペプチドを約1.0 mg/mLの量で含有している組成物。
【0281】
態様85: 上記の態様81〜84の何れか1つに記載の組成物であって、Ca2+を約10 mMの量(好ましくは、CaCl2x2H2Oとして);NaClを約50 mMまたは約40 mMの量(例えば、39 mM);ヒスチジン(好ましくは、L-ヒスチジン)を約10 mMの量のリストから選択される少なくとも1つの成分を更に含んでいる組成物。
【0282】
態様86: 上記の態様81〜85の何れか1つに記載の組成物であって、5.5, または5.6, または 5.7, または, 5.8, または 5.9, または 6.0, または 6.1, または 6.2, または 6.3, または 6.4, または 6.5のpHを有している組成物。
【0283】
態様87: 態様51〜86に規定した組成物を調製する方法であって、以下の工程を備える方法:
i)VII因子ポリペプチドを、次のものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含んでいる溶液に供給することと、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;および
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
ii)前記溶液を、約3% w/w以下の含水量を有している固形組成物(a solid composition)を得るように処理すること(processing)。
【0284】
態様88: 態様87に記載の方法であって、前記抗酸化剤は、ホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン(gluthatione)、およびペプチド(該ペプチドは、任意の1つのホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニンおよびグルタチオンを含んでいる)からなる群から選択される方法。
【0285】
態様89: 態様87に記載の方法であって、前記サッカライドは、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびデキストランからなる群から選択される方法。
【0286】
態様90: 態様87に記載の方法であって、前記ポリオールは、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトールからなる群から選択される方法。
【0287】
態様91: 態様87に記載の方法であって、前記ポリオールは、約0.5〜約75 mg/ml、好ましくは約2〜45 mg/ml、例えば、約5 mg/ml〜45 mg/ml、約5〜35 mg/ml、約5〜25 mg/ml、5〜20 mg/ml、20〜40 mg/ml、または約20〜約30 mg/mlの範囲の量で存在する方法。
【0288】
態様92: 態様87に記載の方法であって、前記サッカライドは、約0.5〜75 mg/ml、好ましくは約2〜45 mg/ml、例えば、約5 mg/ml〜45 mg/ml、約5〜35 mg/ml、約5〜25 mg/ml、または約5〜20 mg/mlの範囲の量で存在する方法。
【0289】
態様93: 態様87に記載の方法であって、前記抗酸化剤は、約0.05〜10 mg/ml、好ましくは約0.1〜5 mg/ml、より好ましくは約0.1 mg/ml〜2.5 mg/ml、なおより好ましくは約0.1〜2 mg/ml、最も好ましくは約0.1〜1 mg/mlの範囲の量である方法。
【0290】
態様94: 態様87に記載の方法であって、前記サッカライドはスクロースである方法。
【0291】
態様95: 態様87に記載の方法であって、前記抗酸化剤はメチオニンである方法。
【0292】
態様96: 態様87に記載の方法であって、前記ポリオールはマンニトールである方法。
【0293】
態様97: 態様87に記載の方法であって、前記処理することはフリーズドライを備える方法。
【0294】
態様98: FVII応答性症候群を治療する方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の態様51〜86の何れか1つで規定した組成物を投与することを備える方法。
【0295】
態様99: 態様98に記載の方法であって、前記症候群は、血友病A、血友病B、XI因子欠乏、VII因子欠乏、血小板減少症、フォンウィルブランド病、凝固因子インヒビターの存在、手術、外傷、希釈凝固障害(dilution coagulopathy)、および抗凝固療法からなる群から選択される方法。
【0296】
態様100: VII因子応答性症候群を治療する医薬を調製するためのVII因子ポリペプチドの使用であって、該医薬は態様51〜86の何れか1つに規定された組成物を含む使用。
【0297】
態様101: 態様100に記載の使用であって、前記症候群は、血友病A、血友病B、XI因子欠乏、VII因子欠乏、血小板減少症、フォンウィルブランド病、凝固因子インヒビターの存在、手術、外傷、および抗凝固療法からなる群から選択される使用。
【0298】
以下の例は、例証の目的で提供され、限定の目的ではない:
【0299】
[例]
一般的な方法(General methods)
例1
安定性を示すパラメータの決定に使用される分析方法:
【0300】
A. 逆相 HPLC(RP-HPLC)による、酸化型(Oxidised forms)の決定:
【0301】
HPLCカラム:ブチルが結合されたシリカ(粒径5μmで細孔サイズ300Å)を充填された、4.5x250mmカラム。カラム温度:70゜C。溶出剤A:水99.9% v/vおよびトリフルオロ酢酸0.1 % v/v。溶出剤B:アセトニトリル80% v/v. トリフルオロ酢酸 0.09% v/vおよび水 19.91 % v/v。前記カラムを、X% Bから(X+13)% Bのリニアグラジエントで 30 分間で溶出した。流速:1.0 ml/min。検出:214 nm。
【0302】
前記酸化型は、VII因子ポリペプチドのメチオニンスルホキシドである。例えば、FVIIの2つの主な誘導体は、Met(O)298 FVIIおよびMet(O)306 FVIIである。
【0303】
酸化型の含有量(content)は、調製の際の組成物中のVII因子の初期量(initial amount)のパーセンテージとして表され、それはVII因子の酸化型として回収される。
【0304】
B. VII因子ポリペプチドの凝集物の、高性能ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP-HPLC)による決定。
【0305】
GP-HPLCを、Waters Polypeptide Pak 300 SW カラム 7.5x300 mmで、移動相として 0.2 M 硫酸アンモニウム pH 7.0(5% イソプロパノールを含有している)を用いて行った。流速:0.5ml/minおよび検出:215nm。
【0306】
凝集物の含有量は、調製の際の組成物中のVII因子の初期量のパーセンテージとして表され、それはVII因子のダイマー、オリゴマー、およびポリマー形態として回収される。
【0307】
例2
VII因子ポリペプチドの生物活性を試験するためのアッセイ:
【0308】
VIIa因子活性に関する試験:
VIIa因子活性を試験することにより、適切なVIIa因子バリアントを選択することに適したアッセイ法は、簡単で予備的なインビトロ試験として行うことができる:(インビトロ加水分解アッセイ法)。
【0309】
インビトロ加水分解アッセイ法
未変性(Native)(野生型)のVIIa因子およびVIIa因子バリアント(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)で、比活性をアッセイしてもよい。また、これらを、並行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイしてもよい。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。終濃度1mMの色素生産性基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix,Sweden)を、VIIa因子(終濃度100nM)の0.1M NaCl、5mM CaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む50mMのHepes、pH7.4溶液に添加する。405nmの吸光度を、SpectraMax(登録商標)340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、酵素を含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、バリアントおよび野生型のVIIa因子活性の間の比を算出するために使用する:
【0310】
比率=(A405nm VIIa因子バリアント)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0311】
その結果に基づいて、天然のVIIa因子に匹敵するか、それよりも高い活性を有するVIIa因子バリアントは、たとえばバリアントの活性および天然のVII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、1.0を超える数値の周辺(around, versus above 1.0)であるバリアントなどとして同定されてもよい。
【0312】
また、VIIa因子またはVIIa因子バリアントの活性は、X因子などの生理学的な基質を、適切には100〜1000nMの濃度で使用して測定してもよく、この場合、Xa因子の生成は、適切な色素生産性基質(例えば、S-2765)を添加した後に測定される(「インビトロ・タンパク質分解アッセイ法」)。加えて、活性アッセイ法は、生理学的な温度で行ってもよい。
【0313】
インビトロ・タンパク質分解アッセイ法
天然の(野生型)VIIa因子およびVIIa因子バリアント(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)を、並行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイする。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。VIIa因子(10nM)およびX因子(0.8microM)を、100microLの50mM Hepes、pH7.4(0.1M塩化ナトリウム、5mM CaCl2および1mg/mlウシ血清アルブミンを含有している)中に含む溶液を、15分間インキュベーションした。生成したXa因子の量は、色素生産性基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)(終濃度0.5mM)の添加によって測定する。405nmの吸光度を、SpectraMaxTM340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。10分の間に発生した吸光度を、FVIIaを含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、バリアントおよび野生型のVIIa因子のタンパク分解活性間の比を算出するために使用する:
【0314】
比率=(A405nm VIIa因子バリアント)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0315】
その結果に基づいて、天然のVIIa因子に匹敵するか、それよりも高い活性を有するVIIa因子バリアントは、たとえばバリアントの活性および天然のVII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、1.0を超える数値の周辺(around, versus above 1.0)であるバリアントなどとして同定されてもよい。
【0316】
トロンビン生成アッセイ法:
VII因子もしくはVII因子関連ポリペプチド、またはVIII因子もしくはVIII因子関連ポリペプチド(たとえば、バリアント)がトロンビンを生成する能力は、全ての関連した凝固因子および生理的濃度の阻害剤および活性化された血小板を含むアッセイ法において測定することができる(Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547の543ページに記載されている、これは本明細書に参照として援用される)。
【0317】
血餅アッセイ:
また、VII因子ポリペプチドの活性は、基本的にWO 92/15686またはUS 5,997,864に記載される、1段階血餅アッセイ(アッセイ4)を用いて測定し得る。簡単に説明すると、試験されるサンプルは50 mM Tris (pH 7.5)、0.1% BSAに希釈され、そして100μlが100μlのVII因子欠乏血漿および200μlのトロンボプラスチンC(10mM Ca2+を含有する)でインキュベーションされる。凝固時間が、測定され、参照標準を用いた標準曲線またはクエン酸添加正常ヒト血漿のプールを段階希釈したものと比較される。
【0318】
[実施例(Working examples)]
例3
フリーズドライされたrFVIIaの組成物に関する安定性データは、それぞれヒスチジンの有り無し(with and without)で得られた。
【0319】
ヒスチジンが存在することなくフリーズドライすることが利点であることが認められる。というのも、より少ないダイマー/オリゴマーが形成されるからである。
【0320】
組成物
【0321】
【表C−1】

【0322】
【表C−2】

【0323】
【表C−3】

【0324】
組成物 A1, C1, E1, G1, I1, および K1の再構成のために、ヒスチジン溶解物(Histidine solvens)1.55 mg/mLが使用され;組成物 B1, D1, F1, H1, J1, および L1に関して、注射用水(WFI;Water for injection)が使用される。
【0325】
例4
フリーズドライされたrFVIIaの組成物に関する安定性データは、それぞれヒスチジン、および/またはグリシルグリシン、および/またはNaClの有り無しで得られた。
【0326】
NaClが存在することなくフリーズドライすることが利点であることが認められる。というのも、これによって前記ケーキの崩壊(collapse)のリスクが減少されるからである。
【0327】
【表D−1】

【0328】
【表D−2】

【0329】
【表D−3】

【0330】
【表D−4】

【0331】
【表D−5】

【0332】
【表D−6】

【0333】
再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLが組成物 A2, I2, および Q2に関して使用され;組成物B2, J2, および R2に関して、注射用水が使用される(WFI)。
再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLが組成物C2, K2, および S2に関して使用され;組成物D2, L2, および T2に関して、注射用水が使用される(WFI)。
再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLにNaCl 2.92 mg/mLを有するものが組成物E2, M2, および U2に関して使用され;組成物F2, N2, および V2に関して、塩水(Saline Water)2.92 mg/mLが使用される。
再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLにNaCl 2.92 mg/mLを有するものが組成物G2, O2, および X2に関して使用され;組成物H2, P2, および Y2に関して、塩水2.92 mg/mLが使用される。
【0334】
例5
組成物の製造
【0335】
通常は、前記組成物は、精製バルク溶液(a purified bulk solution)から調製された。賦形剤が添加され、溶液は所望の濃度のrFVIIaに希釈された。生じた溶液は、滅菌したメンブランフィルター(0.2 ミクロンのポアサイズまたは均等物)を用いて濾過滅菌(sterile filtered)され、そして無菌のガラスバイアルへと充填された。前記バイアルは、フリーズドライされ、ゴム栓で閉じられ、アルミニウムのフリップオフ型キャップ(flip-off type caps)でシールされた。
【0336】
例6
フリーズドライ前にL-ヒスチジンの添加の有り無しで製剤中で形成された可溶性の凝集物の含有量(content)の比較
【0337】
以下の製剤が調製された(全ての濃度は、mg/mlで記載された):
【0338】
【表E】

【0339】
前記製剤は、5.3 mlの充填容量(filling volume)を用いて例5に記載のとおり調製された。フリーズドライ後、ダイマー、オリゴマー、および ポリマー形態の含有量を、例3に記載のとおりGP-HPLCで測定した:結果を以下に記載する:
【0340】
【表F】

【0341】
結果は、L-ヒスチジンの添加なしの製剤1および2が、フリーズドライ後に、対応する製剤3および4(L-ヒスチジンを含有する)と比較して、より低いダイマーおよびオリゴマー形態の含有量を有していたことを示している。
【0342】
例7
フリーズドライされたrFVIIa製剤の安定性
【0343】
以下のもの、
rFVIIa 1.0 mg/ml
NaCl 2.34 mg/ml
CaCl2, 2H2O 1.47 mg/ml
グリシルグリシン 1.32 mg/ml
ポリソルベート80 0.07 mg/ml
L-メチオニン 0.5 mg/ml
マンニトール 25 mg/ml
スクロース 10 mg/ml
pH 6.0
を含んでいる製剤は、1.1 mlの充填容量を用いて例5に記載のとおり調製された。
【0344】
前記製剤は、暗所中25゜Cおよび40゜Cに静置された。サンプルは、以下の表にしたがって収集された。10 mM L-ヒスチジン溶媒中でフリーズドライされた産物を再構成した後、ダイマー/オリゴマー/ポリマーおよび酸化型の含有量は、例3に記載のとおりに測定された。他方で、活性は、例4に記載のとおり1段階血餅アッセイ(one-stage clot assay)で決定された。
【0345】
【表G−1】

【0346】
【表G−2】

【0347】
例8
フリーズドライされたケーキの視覚的な出現における塩化ナトリウムの影響を、製造デザイン研究(factorial design study)で調査した。変動性のパラメータは、塩化ナトリウムの含有量であった。前記研究に含まれる4つの製剤の結果は、表に示される。
【0348】
【表H】

【0349】
全ての製剤は、更に以下のものを含有する:
rFVIIa 1.0 mg/mL
塩化カルシウム 1.47 mg/mL
グリシルグリシン 1.32 mg/mL
ポリソルベート80 0.1 mg/mL
マンニトール 40 mg/mL
スクロース 10 mg/mL
【0350】
加えて、製剤1および2は、0.5 mg/mL メチオニンを含有していた。
pHは、以下のとおりに調整された:
6.0(製剤1および4)
5.0(製剤2および3)
【0351】
例9
FVIIポリペプチドの組成物に関する安定性データ
【0352】
25゜Cで6ヶ月貯蔵後、前記組成物が、ダイマー/オリゴマーに関して安定であることが示される。
【0353】
組成物
【0354】
【表I−1】

【0355】
【表I−2】

【0356】
組成物A-9からH-9の再構成のために、注射用水(WFI)が使用される。
組成物B-9、D-9、F-9、およびH-9の再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLを使用してもよい。
【0357】
また、組成物A-9からH-9と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、4.5のpHを有している組成物を調製した。さらにまた、組成物A-9からH-9と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、5.5のpHを有している組成物を調製した。
【0358】
【表J−1】

【0359】
【表J−2】

【0360】
組成物A-9-1からH-9-1の再構成のために、注射用水(WFI)が使用される。
組成物B-9-1、D-9-1、F-9-1、およびH-9-1の再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLを使用してもよい。
【0361】
また、組成物A-9-1からH-9-1と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、4.5のpHを有している組成物を調製した。さらにまた、組成物A-9-1からH-9-1と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、5.5のpHを有している組成物を調製した。
【0362】
【表J−3】

【0363】
【表J−4】

【0364】
組成物A-9-2からH-9-2の再構成のために、注射用水(WFI)が使用される。
組成物B-9-2、D-9-2、F-9-2、およびH-9-2の再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLを使用してもよい。
【0365】
また、組成物A-9-2からH-9-2と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、4.5のpHを有している組成物を調製した。さらにまた、組成物A-9-2からH-9-2と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、5.5のpHを有している組成物を調製した。
【0366】
【表J−5】

【0367】
【表J−6】

【0368】
組成物A-9-3からH-9-3の再構成のために、注射用水(WFI)が使用される。
組成物B-9-3、D-9-3、F-9-3、およびH-9-3の再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLを使用してもよい。
【0369】
また、組成物A-9-3からH-9-3と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、4.5のpHを有している組成物を調製した。さらにまた、組成物A-9-3からH-9-3と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、5.5のpHを有している組成物を調製した。
【0370】
【表K−1】

【0371】
【表K−2】

【0372】
組成物A-9-4からH-9-4の再構成のために、注射用水(WFI)が使用される。
組成物B-9-4、D-9-4、F-9-4、およびH-9-4の再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLを使用してもよい。
【0373】
また、組成物A-9-4からH-9-4と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、4.5のpHを有している組成物を調製した。さらにまた、組成物A-9-4からH-9-4と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、5.5のpHを有している組成物を調製した。
【0374】
【表K−3】

【0375】
【表K−4】

【0376】
組成物A-9-5からH-9-5の再構成のために、注射用水(WFI)が使用される。
組成物B-9-5、D-9-5、F-9-5、およびH-9-5の再構成のために、ヒスチジン溶解物1.55 mg/mLを使用してもよい。
【0377】
また、組成物A-9-5からH-9-5と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、4.5のpHを有している組成物を調製した。さらにまた、組成物A-9-5からH-9-5と同じ構成成分および構成成分の量を含有しているが、5.5のpHを有している組成物を調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的医薬を含んでいるキットであって、以下を具備するキット:
a)第1単位形態において、血液凝固因子ポリペプチドと界面活性剤、抗酸化剤、サッカライド、およびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤とを含み、約3%以下の含水量を有する組成物、および該第1単位形態を収納させるための容器手段;
並びに、
b)第2単位形態において、前記組成物の再構成(溶液)のための溶媒と少なくとも1つの以下のリストから選択される成分とを含む投与ビヒクル、
(V)水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤であって、約0.1mM〜100mMの量で存在する薬剤、
(Vi)前記第1単位形態の組成物を前記第2単位形態の投与ビヒクルに溶解することから生じる再構成された溶液を、基本的に等張性となすために十分な量の張性を修飾する薬剤;
および該第2単位形態を収納させるための容器手段。
【請求項2】
請求項1に記載のキットであって、前記第2単位形態は、界面活性剤、抗酸化剤、サッカライド、およびポリオールからなる群から選択される少なくとも1つの成分をさらに具備するキット。
【請求項3】
請求項1または2に記載のキットであって、前記ポリペプチドは、ヒトVIII因子、ヒトVIIa因子、ヒトIX因子、ヒトX因子、活性化ヒトプロテインC、またはVII因子配列バリアントのリストから選択されるキット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載のキットであって、前記「水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤」は、約0.1mM〜約50mM;例えば、約0.1mM〜約40mM;約0.1mM〜約35mM;約0.1mM〜約30mM;約0.5mM〜約25mM;約1mM〜約20mM;約1mM〜約15mM;約5mM〜約20mM;または約5mM〜約15mMの量で存在するキット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載のキットであって、前記「水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤」は、クエン酸、酢酸、ヒスチジン、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール、TRIS、乳酸、グルタル酸、PIPESおよびグリシルグリシンのリストから選択されるか、または少なくとも2つの係るリストされた薬剤の混合物であり、前記混合物は特定範囲のpH値を提供することができるキット。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載のキットであって、前記第2単位形態は、水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを4〜7の範囲に維持するために適切な薬剤を含み;好ましくは、前記範囲は4.5〜7.5(例えば、5〜7、または5.5〜6.5)であるキット。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のキットであって、前記第2単位形態は、ヒスチジンを;好ましくは約0.1mM〜約50mM;例えば、約0.1mM〜約40mM;約0.1mM〜約35mM;約0.1mM〜約30mM;約0.5mM〜約25mM;約1mM〜約20mM;約1mM〜約15mM;約5mM〜約20mM;または約5mM〜約15mMの量で含むキット。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のキットであって、前記「張性を修飾する薬剤」は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコールのリストから選択されるか、又は少なくとも2つの係るリストされた修飾する薬剤の混合物であって;好ましくは、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、塩化カルシウムのリストから選択される混合物であるか、又はその混合物であるキット。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか1項に記載のキットであって、前記第1単位形態は:
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;
e)メチオニン;
f)界面活性剤;
からなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含み、
前記組成物は約3%以下の含水量を有しているキット。
【請求項10】
請求項9に記載のキットであって、前記の抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ(a)は、更にサッカライドを含むキット。
【請求項11】
請求項9に記載のキットであって、前記のメチオニンおよびポリオールの組み合わせ(b)は、更にサッカライドを含むキット。
【請求項12】
請求項9に記載のキットであって、前記のサッカライドおよびマンニトールの組み合わせ(c)は、更に抗酸化剤を含むキット。
【請求項13】
請求項9に記載のキットであって、前記のスクロースおよびポリオールの組み合わせ(d)は、更に抗酸化剤を含むキット。
【請求項14】
請求項9〜13の何れか1項に記載のキットであって、界面活性剤を更に含むキット。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか1項に記載のキットであって、前記抗酸化剤は、ホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びに任意の1つのホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニンおよびグルタチオン;好ましくはメチオニンを含んでいるペプチドからなる群から選択されるキット。
【請求項16】
請求項1〜15の何れか1項に記載のキットであって、前記サッカライドは、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびデキストラン;好ましくはスクロースからなる群から選択されるキット。
【請求項17】
請求項1〜16の何れか1項に記載のキットであって、前記ポリオールは、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトール;好ましくはマンニトールからなる群から選択されるキット。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか1項に記載のキットであって、前記第1単位形態の組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約5% w/w以下、好ましくは約4.0% w/w、3.0% w/w、2.5% w/w、2.0% w/w、1.5% w/w以下、または約1.0% w/w以下が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に凝集物へと転換される程度に安定であるキット。
【請求項19】
請求項1〜18の何れか1項に記載のキットであって、前記第1単位形態の組成物は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約6% w/w以下、好ましくは約5% w/w、4.0% w/w、3.0% w/w、2.5% w/w、2.0% w/w以下、または約1.5% w/w以下が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に酸化型へと転換される程度に安定であるキット。
【請求項20】
請求項1〜19の何れか1項に記載のキットであって、前記ポリオールは、約5% w/w〜90% w/w、好ましくは約18% w/w〜88% w/w、18%〜83%、25%〜80%、40%〜80%、50%〜80%、または約50% w/w〜70% w/wの範囲の量であるキット。
【請求項21】
請求項1〜20の何れか1項に記載のキットであって、前記サッカライドは、約0〜85% w/w、好ましくは約 3% w/w〜80% w/w、7%〜75%、10%〜70%、10%〜50%、10%〜40%、または約10% w/w〜35% w/wの範囲の量であるキット。
【請求項22】
請求項1〜21の何れか1項に記載のキットであって、前記ポリオールは、前記サッカライドに対し約100:1〜1:50, 好ましくは約50:1〜1:10; 20:1〜1:5; 10:1〜1:2; 6:1〜1:2; 4:1〜1:1; または約4:1〜3:2の範囲の相対的な重量比で存在するキット。
【請求項23】
請求項1〜22の何れか1項に記載のキットであって、前記第1単位形態は、更に張性修飾剤を含むキット。
【請求項24】
請求項1〜23の何れか1項に記載のキットであって、前記界面活性剤は、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート20または80;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、例えば、Brij35(登録商標);またはポロキサマー、例えば、ポロキサマー188または407;および他のエチレン/ポリプロピレンブロックポリマーまたはポリエチレングリコール(PEG)、例えば、PEG8000からなる群から選択されるキット。
【請求項25】
請求項1〜24の何れか1項に記載のキットであって、前記VII因子ポリペプチドは、約0.6 mg/ml〜約10.0 mg/ml、例えば、約0.6 mg/ml〜約6 mg/ml、約0.6 mg/ml〜約5 mg/ml、または約0.6 mg/ml〜約4 mg/mlの濃度で存在するキット。
【請求項26】
請求項1〜25の何れか1項に記載のキットであって、前記第1単位形態は、凍結乾燥ケーキであるキット。
【請求項27】
請求項1〜26の何れか1項に記載のキットであって、前記第2単位形態は、CaCl2、NaCl、およびグリシルグリシンのリストから選択される1以上の成分を含むキット。
【請求項28】
血液凝固因子ポリペプチドの液体製剤を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
a)請求項1〜27の何れか1項に記載された第1および第2単位形態を提供することと;
b)前記第1および第2単位形態を、前記組成物を前記投与ビヒクルに溶解した液体溶液を提供するように混合すること。
【請求項29】
凝固因子応答性症候群を治療する方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の請求項28記載の方法により調製された前記凝固因子の液体製剤を投与することを備える方法。
【請求項30】
請求項29記載の方法であって、前記症候群がFVII応答性症候群であり、前記凝固因子がVII因子ポリペプチドである方法。
【請求項31】
請求項30記載の方法であって、前記症候群は、先天性または後天性の血友病A;先天性または後天性の血友病B;XI因子欠乏;VII因子欠乏;グランツマン血小板無力症(Glanzmann thrombastenia);血小板減少症;フォンウィルブランド病;VIIIまたはIX因子に対するインヒビターなどの凝固因子インヒビターの存在;手術;外傷;希釈凝固障害;および抗凝固療法からなる群から選択される方法。
【請求項32】
VII因子応答性症候群の治療のための、請求項1〜27の何れか1項に規定されたキットの形態で医薬を調製するためのVII因子ポリペプチドの使用。
【請求項33】
VII因子ポリペプチドと、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
からなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤とを含み、
約3%以下の含水量を有している組成物。
【請求項34】
請求項33に記載の組成物であって、前記の抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせは、更にサッカライドを含む組成物。
【請求項35】
請求項33に記載の組成物であって、前記のメチオニンおよびポリオールの組み合わせは、更にサッカライドを含む組成物。
【請求項36】
請求項27に記載の組成物であって、前記のサッカライドおよびマンニトールの組み合わせは、更に抗酸化剤を含む組成物。
【請求項37】
請求項27に記載の組成物であって、前記のスクロースおよびポリオールの組み合わせは、更に抗酸化剤を含む組成物。
【請求項38】
請求項27〜37の何れか1項に記載の組成物であって、前記抗酸化剤は、ホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニン、グルタチオン、並びに任意の1つのホモシステイン、システイン、シスタチオニン、メチオニンおよびグルタチオン;好ましくはメチオニンを含んでいるペプチドからなる群から選択される組成物。
【請求項39】
請求項27〜38の何れか1項に記載の組成物であって、前記サッカライドは、スクロース、デキストロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびデキストラン;好ましくはスクロースからなる群から選択される組成物。
【請求項40】
請求項27〜39の何れか1項に記載の組成物であって、前記ポリオールは、マンニトール、ソルビトールおよびキシリトール;好ましくはマンニトールからなる群から選択される組成物。
【請求項41】
請求項27〜40の何れか1項に記載の組成物であって、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約5% w/w以下、好ましくは約4.0% w/w、3.0% w/w、2.5% w/w、2.0% w/w、1.5% w/w以下、または約1.0% w/w以下が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に凝集物へと転換される程度に安定である組成物。
【請求項42】
請求項27〜41の何れか1項に記載の組成物であって、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約6% w/w以下、好ましくは、約5% w/w、4.0% w/w、3.0% w/w、2.5% w/w、2.0% w/w以下、または約1.5% w/w以下が、該組成物を30゜Cで8ヶ月貯蔵した際に酸化型へと転換される程度に安定である組成物。
【請求項43】
請求項27〜42の何れか1項に記載の組成物であって、水性溶媒に溶解された場合に、前記組成物のpHを3〜9の範囲に維持するために適切な薬剤を更に含み、好ましくは前記pHは4〜7の範囲、より好ましくは4.5〜6.5の範囲、なおより好ましくは5.5〜6.5の範囲である組成物。
【請求項44】
請求項43に記載の組成物であって、前記薬剤は、クエン酸、酢酸、ヒスチジン、リンゴ酸、リン酸、酒石酸、コハク酸、MES、HEPES、イミダゾール(imidazole)、TRIS、イミダゾール(imidazol)、乳酸、グルタル酸、PIPESおよびグリシルグリシンからなる群、または少なくとも2つの係るリストされた薬剤の混合物から選択され、前記混合物は特定範囲のpH値を提供することができる組成物。
【請求項45】
請求項27〜44の何れか1項に記載の組成物であって、張性修飾剤を更に含む組成物。
【請求項46】
請求項45に記載の組成物であって、前記張性修飾剤は、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、マンニトール、グリセロール、およびプロピレングリコールからなる群から選択されるか、又は少なくとも2つの係るリストされた修飾する薬剤の混合物であって;好ましくは、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、塩化カルシウムのリストから選択される混合物であるか、又はその混合物である組成物。
【請求項47】
請求項27〜46の何れか1項に記載の組成物であって、前記ポリソルベート界面活性剤は、ポリソルベート20または80、好ましくはポリソルベート80からなる群から選択される組成物。
【請求項48】
請求項27〜47の何れか1項に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子、組換え型ヒトVIIa因子およびVII因子配列バリアントからなる群から選択される組成物。
【請求項49】
請求項48に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子または組換え型ヒトVIIa因子である組成物。
【請求項50】
請求項27〜49の何れか1項に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、VII因子配列バリアントであり、本明細書中に記載された1以上の「インビトロタンパク質分解アッセイ法」および「インビトロ加水分解アッセイ法」で試験したときに、該バリアントと野生型VII因子との間の活性の比は少なくとも1.25である組成物。
【請求項51】
請求項27〜50の何れか1項に記載の組成物であって、前記VII因子ポリペプチドは、約0.6 mg/ml〜約10.0 mg/ml、例えば、約0.6 mg/ml〜約6 mg/ml、約0.6 mg/ml〜約5 mg/ml、または約0.6 mg/ml〜約4 mg/mlの濃度で存在する組成物。
【請求項52】
請求項27〜51の何れか1項に記載の組成物であって、以下のリストから選択される組成物:
【表1】


【請求項53】
請求項52に記載の組成物であって、以下のリストから選択される組成物:
【表2】


【請求項54】
請求項52に記載の組成物であって、以下のリストから選択される組成物:
【表3】


【請求項55】
請求項52〜54の何れか1項に記載の組成物であって、ポリソルベート80を約0.07 mg/mLの量で含有している組成物。
【請求項56】
請求項52〜55の何れか1項に記載の組成物であって、FVIIaポリペプチドを約1.0 mg/mLの量で含有している組成物。
【請求項57】
請求項52〜56の何れか1項に記載の組成物であって、Ca2+を約10 mMの量(好ましくは、CaCl2x2H2Oとして);NaClを約50 mMまたは約40 mMの量(例えば、39 mM);ヒスチジン(好ましくは、L-ヒスチジン)を約10 mMの量のリストから選択される少なくとも1つの成分を更に含んでいる組成物。
【請求項58】
請求項52〜57の何れか1項に記載の組成物であって、5.5, または5.6, または5.7, または, 5.8, または5.9, または6.0, または6.1, または6.2, または6.3, または6.4, または6.5のpHを有している組成物。
【請求項59】
請求項27〜58で規定した組成物を調製する方法であって、以下の工程を備える方法:
i)VII因子ポリペプチドを、以下のものからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含んでいる溶液に供給することと、
a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;
b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;
c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;
d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;および
e)メチオニン;および
約0.06〜0.08 mg/mLの量のポリソルベート界面活性剤;
ii)前記溶液を、約3% w/w以下の含水量を有している固形組成物を得るように処理すること。
【請求項60】
FVII応答性症候群を治療する方法であって、必要とする被験者に、効果的な量の請求項27〜57の何れか1項で規定した組成物を投与することを備える方法。
【請求項61】
請求項60記載の方法であって、前記症候群は、先天性または後天性の血友病A;先天性または後天性の血友病B;XI因子欠乏;VII因子欠乏;グランツマン血小板無力症(Glanzmann thrombastenia);血小板減少症;フォンウィルブランド病;VIIIまたはIX因子に対するインヒビターなどの凝固因子インヒビターの存在;手術;外傷;希釈凝固障害;および抗凝固療法からなる群から選択される方法。
【請求項62】
VII因子応答性症候群を治療する医薬を調製するためのVII因子ポリペプチドの使用であって、該医薬は請求項27〜58の何れか1項に規定された組成物を含む使用。
【請求項63】
請求項62記載の使用であって、前記症候群は、先天性または後天性の血友病A;先天性または後天性の血友病B;XI因子欠乏;VII因子欠乏;グランツマン血小板無力症(Glanzmann thrombastenia);血小板減少症;フォンウィルブランド病;VIIIまたはIX因子に対するインヒビターなどの凝固因子インヒビターの存在;手術;外傷;希釈凝固障害;および抗凝固療法からなる群から選択される使用。

【公表番号】特表2007−519623(P2007−519623A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544456(P2006−544456)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053587
【国際公開番号】WO2005/058283
【国際公開日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】