説明

VLA−4アンタゴニストとしてのイミダゾロンフェニルアラニン誘導体

この式の化合物、及び薬剤として許容されるこれらの塩が開示されており、ここで、変数A、n、R、R21〜R24及びQは、本明細書に定義されている。これらの化合物はVLA−4と結合する。これらの化合物のあるものはまた、白血球接着、特にVLA−4によって媒介される白血球接着を阻害する。このような化合物は、哺乳動物の患者、例えばヒトにおける炎症性疾患、例えば、喘息、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、AIDS認知症、糖尿病、炎症性腸疾患、慢性関節リウマチ、組織移植、腫瘍転移及び心筋虚血の治療に有用である。この化合物はまた、多発性硬化症などの炎症性脳疾患の治療に投与することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イミダゾロンフェニルアラニン誘導体、詳細には、白血球接着、特にα4インテグリンによって媒介される白血球接着を阻害するような化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症性白血球の相互の及び体の他の細胞との物理的な相互作用は、免疫及び炎症応答を調節するのに重要な役割を果たす[Springer,T.A.Nature、346、425、(1990);Springer、T.A.Cell 76、301、(1994)]。これらの相互作用の多くは、総称して細胞接着分子と称される特異的細胞表面分子によって媒介される。これらの接着分子は、その構造に基づいて異なるグループに細区分されている。免疫及び炎症応答を調節するのに重要な役割を果たすと考えられる接着分子の1つのファミリーは、インテグリンファミリーである。細胞表面糖タンパク質のこのファミリーは、典型的な非共有結合のヘテロ二量体構造を有する。
【0003】
本明細書で対象とするこの特定のインテグリンサブグループは、アルファ4(α4)鎖を含み、これは2種の異なるベータ鎖、ベータl(β1)及びベータ7(β7)と対になることができる[Sonnenberg,A.前掲書]。α4β1対形成は、多数の循環する白血球(例えばリンパ球、単球及び好酸球)上で生じるが、循環する好中球上には存在しないか低濃度でしか存在しない。最初にHemler及びTakadaによって確認されたVLA−4(Very Late Antigen−4、αβインテグリン及びCD49d/CD29とも称される)は、細胞表面受容体のインテグリンファミリーの一員である。VLA−4はα4鎖及びβ1鎖からなる。少なくとも9種のβ1インテグリンが存在し、すべてのものは同じβ1鎖を共に有し、それぞれが相異なるα鎖を有する。これらの9種の受容体はすべて、フィブロネクチン、ラミニン、及びコラーゲンなどの種々の細胞マトリックス分子の異なる補体に結合する。VLA−4は、例えば、フィブロネクチンに結合する。VLA−4は、内皮及び他の細胞によって発現された非マトリックス分子にも結合する。
【0004】
VLA−4(αβインテグリン)は、炎症の部位の内皮細胞上でしばしば上方調節される血管細胞接着分子(又はVCAM−1)と呼ばれる接着分子に結合する[Osborne,L.Cell、62、3(1990)]。VCAM−1は、白血球を中枢神経系(CNS)中へ輸送する原因であると考えられる、発現された受容体である非マトリックス分子である。α4β1はまた、マトリックス分子フィブロネクチン中の少なくとも3つの部位に結合することが明らかにされている[Humphries,M.J.ら、Ciba Foundation Symposium、189、177、(1995)]。VLA−4の相異なるエピトープが、フィブロネクチン及びVCAM−1結合活性の原因であり、それぞれが独立に阻害されることが実証されている。 動物モデルにおけるモノクローナル抗体で得られたデータに基づき、α4β1と、他の細胞及び細胞外マトリックス上のリガンドの間の相互作用は、白血球の遊走及び活性化で重要な役割を果たすものと考えられる。[Yednock、T.A.ら、Nature、356、63、(1992)]。
【0005】
α4とβ7の対形成によって生じたインテグリンは、LPAM−1と称され[Holzmann,B及びWeissman,I.EMBO J.8、1735、(1989)]、α4β1と同様にVCAM−1及びフィブロネクチンと結合することができる。さらに、α4β7は、白血球の粘膜組織へのホーミングに関与するものと考えられるMAdCAM−1と称される接着分子と結合する[Berlin,C.ら、Cell、74、185、(1993)]。α4β7とMAdCAM−1の間の相互作用はまた、粘膜組織の外の炎症部位で重要であり得る[Yang,X−D.ら、PNAS、91、12604(1994)]。
【0006】
VLA−4及び他の細胞表面受容体によって媒介される細胞間接着は、多くの炎症応答に関連する。損傷又は他の炎症性刺激の部位において、活性化された血管内皮細胞は、白血球に接着する分子を発現する。内皮細胞への白血球接着の機構には、一部は、白血球上の細胞表面受容体の内皮細胞上の対応する細胞表面分子に対する認識及び結合が関与する。一旦結合すると、この白血球は血管壁を横切って遊走して、損傷部位に侵入し、ケミカルメディエーターを放出して、感染症を抑制する。免疫系の接着受容体の総説に関しては、例えば、Springer及びOsbornを参照のこと。
【0007】
多発性硬化症(MS)、髄膜炎、脳炎、及び実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)と呼ばれている疾患モデルなどの炎症性脳障害は、内皮/白血球接着機構が、さもなければ健康な脳組織の破壊を生じる中枢神経系障害の例である。これらの炎症性疾患を有する患者では、多数の白血球が血液脳関門(BBB)を横切って遊走する。この白血球は、大量の細胞の損傷及び死を引き起こして、神経伝導障害及び麻痺を生じる有毒なメディエーターを放出する。脳炎及び髄膜炎における類似の発生は、これらの疾患は、適切な細胞接着阻害剤で治療することができることを示している。
【0008】
他の器官系において、組織損傷はまた、白血球の遊走又は活性化を生じる接着機構を介して起こる。例えば、炎症性腸疾患15(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)は、少なくとも一部は、α4β7とMadCAMとの相互作用及び場合によってはα4β1と同様にこの組織で発現されたVCAM−1との相互作用を介して腸内皮を横切る白血球輸送により引き起こされる。喘息6〜8、慢性関節リウマチ18〜21及び組織移植拒絶反応22はすべて、α4β1とVCAM−1及び/又はフィブロネクチン、おそらく両方との相互作用に基づく成分を有するものと考えられる。心筋(心臓組織)虚血後の最初の発作は、白血球が損傷した組織へ浸入してなおさらなる障害を引き起こすことによって、さらに複雑化され得ることが示されている(Vedderら)。接着分子機構によって媒介される他の炎症状態又は病状には、一例として、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症9〜10、AIDS認知症11、糖尿病12〜14(急性若年発症糖尿病を含む)、腫瘍転移23〜28、脳卒中、及び他の脳障害、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、及び成人呼吸窮迫症候群で生じるものなどの急性白血球媒介性肺障害が含まれる。
【0009】
抗炎症薬としての見込みを示す2つの群のVLA−4アンタゴニストは、例えば、米国特許第6489300号及び同第6492372号にそれぞれ示された、スルホニル化−Pro−Phe及びピリミジニル−Phe化合物のクラスである。31 これらの化合物は、VLA−4/VCAM−1結合の非常に強力なアンタゴニストである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、VLA−4に結合する化合物を提供する。本発明は、VLA−4拮抗性を示す化合物を提供する。このような化合物は、例えば、試料中及び薬剤組成物中のVLA−4の存在をアッセイして、VLA−4によって媒介された細胞接着、例えば、VCAM−1のVLA−4への結合を阻害するために使用することができる。本発明の好ましい化合物は、約15μM以下のIC50で表されるVLA−4への結合親和性を有する(以下の実施例Aに記載の手順を用いて測定される)。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、式I
【化1】


[式中、
Aは、−H、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール又は基−C(X)D(R)Zであり、ここで、Dは、炭素原子(置換アリール又は置換ヘテロアリールの一部の場合)、CH、N又はOであり、但し、Dが酸素の場合は、Zは存在せず、
Zは、−H、−NO、ハロアルキル又は基−N(YR)Rであり、ここで、
Yは、共有結合、−C(O)−又は−SO−であり、
は、R1’、N(R1’、又は−OR1’であり、ここで
各R1’は、独立に、水素、置換されていてもよい直鎖若しくは分枝C〜Cアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい複素環又は置換されていてもよいヘテロアリールであり、ここで、このような置換には、ハライド、C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルがあり、
は、水素又はR1’であり、
Xは、酸素、硫黄、CHR及びNRからなる群から選択され、ここで、Rは、−H、アルキル又は置換アルキルであり、
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、又は置換複素環であり;或いは
D、R及びZは、一緒になって複素環又は置換複素環基を形成し、ここで、前記基は、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み;或いは
X、D及びRは、D及びXを持つ炭素原子と一緒になって置換されていてもよい炭素環基又は置換されていてもよい複素環基を形成し、ここで、前記複素環基は、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、
及びRは、Rに結合する窒素原子及びRに結合している炭素原子と一緒になって複素環又は置換複素環基を形成し、ここで、前記基は、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、
は、アミノ、置換アミノ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、アリールオキシ及び置換アリールオキシ、及び−OHからなる群から選択され、
nは、0又は1〜4の整数であり、
Qは、式V
【化2】


(式中、Gは、置換されていてもよいアリール又は0〜3個の窒素を含む置換されていてもよいヘテロアリール5員又は6員環であり、
は、−H、アルキル、置換アルキル、又は−CHC(O)Rであり、ここで、Rは、−OH、−OR、又は−NHRであり、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである)の基であり、
21、R22、R23、及びR24は、独立に、水素、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及びハロゲンからなる群から選択される]
の化合物及び薬剤として許容されるこれらの塩を提供する。
【0012】
本発明はまた、例えば、薬剤として許容される担体及び本発明の化合物又はこれらの混合物を含む薬剤組成物を提供する。
【0013】
本発明はまた、患者において少なくとも一部はVLA−4によって媒介される疾患を治療するための方法であって、本発明の化合物或いは薬剤として許容される担体及び本発明の化合物又はこれらの混合物を含む薬剤組成物の治療有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、患者中で少なくとも一部はVLA−4によって媒介される疾患を治療するために使用する薬物の製造に使用する、本発明の化合物、及び薬剤として許容されるその塩の使用を含む。
【0015】
この化合物及び薬剤組成物は、少なくとも一部はVLA−4又は白血球接着によって媒介される病態を治療するために使用し得る。このような病態には、一例として、喘息、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、AIDS認知症、糖尿病(急性若年性発症の糖尿病を含む)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)、多発性硬化症、慢性関節リウマチ、組織移植、腫瘍転移、髄膜炎、脳炎、脳卒中、及び他の脳障害、腎炎、網膜炎、シェーグレン病、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血及び成人呼吸窮迫症候群で生じるものなどの急性白血球媒介肺障害が含まれる。
【0016】
本発明の化合物及び組成物を用いて治療し得る他の病態には、これらに限定されるものではないが、炎症性状態、例えば、結節性紅斑、アレルギー性結膜炎、視神経炎、ブドウ膜炎、アレルギー性鼻炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、血管炎、ライター症候群、全身性紅斑性狼蒼、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、ウェーグナー肉芽腫症、大動脈炎、サルコイドーシス、リンパ球減少症、側頭動脈炎、心膜炎、心筋炎、うっ血性心不全、結節性多発動脈炎、過敏症症候群、アレルギー、過好酸性症候群、チャーグ−ストラウス症候群、慢性閉塞性肺疾患、過敏性肺炎、慢性活動性肝炎、間質性膀胱炎、自己免疫性内分泌不全、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性再生不良性貧血、慢性持続性肝炎及び甲状腺炎が含まれる。
【0017】
好ましくは、本発明の化合物及び薬剤組成物は、喘息、慢性関節リウマチ及び多発性硬化症を治療するための方法に使用される。この最後の疾患に関しては、本発明の化合物は、in vivoで投与した場合、消炎作用を提供するのみならず、脱髄に伴う状態及び疾患の治療における用途をさらに見出している。
【0018】
本発明はまた、本発明の化合物を調製する方法及びこれらの方法に使用される中間体を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
上記のように、本発明は式Iの化合物を提供する。式Iの化合物は、白血球接着、特に少なくとも一部はVLA−4によって媒介される白血球接着を阻害する。
【0020】
好ましいものは、式Iの化合物であり、ここで、
Aは、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール又は置換されていてもよいアシルであり、
nは0〜3の整数であり、
21、R22、R23及びR24は、独立に、水素、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及びハロゲンからなる群から選択され、
Qは式Vの基であり、
【化3】


Gは、置換されていてもよいアリール又は0〜3個の窒素を含む置換されていてもよいヘテロアリール5員又は6員環であり、
は、−H、アルキル、置換アルキル、−CHC(O)Rであり、ここで、Rは、−OH、−OR、−NHRであり、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである。
【0021】
他の好ましい式Iの化合物としては、Aが基
【化4】


から選択される化合物がある。
【0022】
他の好ましい式Iの化合物には、Qが群
【化5】


[式中、R66は、水素又は直鎖若しくは分枝C〜Cアルキルであり、R77は、水素、ハロゲン又は直鎖若しくは分枝C〜Cアルコキシである]
から選択される化合物が含まれる。
【0023】
さらに他の好ましい式Iの化合物には、Rが、水素又は置換アルキルであるものが含まれる。より好ましくは、Rは、水素或いはアミノ、アミノカルボニル、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、又はアミノアルコキシアルコキシアルキルで置換されたアルキルである。
【0024】
さらに他の好ましい式Iの化合物には、式Ia及びIb
【化6】


[式中、
式Iaにおいて、R及びRは、Rに結合する窒素原子及びRに結合している炭素原子と一緒になって、複素環又は置換複素環基を形成し、前記環式基が、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、
式Ibにおいて、R及びRは、Rに結合する窒素原子及びRに結合している炭素原子と一緒になって、複素環又は置換複素環基を形成し、前記環式基が、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、
さらに、式Ia及び式Ibが、置換可能ないずれかの環原子又は部位上で、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールオキシアリール、置換アリールオキシアリール、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオ複素環、置換チオ複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−複素環、−OS(O)−置換複素環、−OSO−NRR(ここで各Rは、独立に、水素又はアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−複素環、−NRS(O)−置換複素環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−複素環、−NRS(O)−NR−置換複素環(ここでRは、水素又はアルキルである)、−N[S(O)−R’]及びN[S(O)−NR’](ここで各R’は、独立に、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環及び置換複素環からなる群から選択される)からなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物が含まれる。
【0025】
好ましい式Iの化合物には、式II
【化7】


[式中、R13は、−H、基−C(O)OR13’、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリールであり、
ここで、R13’は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール基である]
の化合物及びこれらの薬剤として許容される塩が含まれる。
【0026】
式Iaの好ましい化合物には、式III
【化8】


[式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールからなる群から選択される]
の化合物及び薬剤として許容されるこれらの塩が含まれる。
【0027】
好ましい式IIの化合物には、Rが、水素又は置換アルキルであるものが含まれる。より好ましくは、式IIの化合物において、Rは、水素或いはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、又はアミノアルコキシアルコキシアルキルで置換されたアルキルである。
【0028】
他の好ましい式IIの化合物には、Yが−SO−であり、Rが、フェニル又は少なくとも1個の窒素原子を有する5員又は6員ヘテロアリール基であり、これらのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノ(C〜C)アルキル、C〜Cアシル、C〜Cアシルアミノ、或いはアミノ(C〜C)アシルで置換されていてもよいものが含まれる。より好ましくは、Yは−SO−であり、Rは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノ(C〜C)アルキル、C〜Cアシル、C〜Cアシルアミノ、或いはアミノ(C〜C)アシルで置換されていてもよいピリジルである。特に好ましい式IIIの化合物には、Yが−SO−であり、Rが、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいピリジルであるものが含まれる。好ましい式Ibの化合物には、式IV
【化9】


[式中、R11は、−H、R11’、−NH、−NHR11’又は−N(R11’、−NC〜C環式、−OR11’、−SR11’であり、ここで、各R11’は、独立に、置換されていてもよい直鎖又は分枝C〜Cアルキル、置換されていてもよいC〜Cシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールであり、
12は、−H、−NO、ハロアルキル又は基−N(YR)Rであり、ここで、Yは、共有結合、−C(O)−又は−SO−であり、Rは、R1’、N(Rl’、又は−OR1’であり、
各R1’は、独立に、水素、置換されていてもよい直鎖又は分枝C〜Cアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい複素環又は置換されていてもよいヘテロアリールであり、このような置換には、ハライド、C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルであり、
は、水素又はR1’である]
の化合物及び薬剤として許容されるこれらの塩が含まれる。
【0029】
好ましい式IVの化合物には、Rが水素又は置換アルキルであるものが含まれる。より好ましくは、式IVの化合物において、Rは、水素或いはアミノ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、又はアミノアルコキシアルコキシアルキルで置換されたアルキルである。
【0030】
他の好ましい式IVの化合物には、R11が、アミノ或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノであり、R12が、−H、−NO又はハロアルキル、より好ましくはトリフルオロメチルメチルであるものが含まれる。
【0031】
さらに他の好ましい式IVの化合物は、
11が、アミノ或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノであり、
12が、−N(YR)Rであり、ここで、
Yは、−SO−又は−CO−であり、
は、
ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいC〜Cアルキル、或いは
フェニル又は少なくとも1つの窒素を含む5員又は6員ヘテロアリールであり、これらのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよく、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cシクロアルキルである
ものである。
【0032】
式IV中の好ましいR基は、
ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいC〜Cアルキル、或いは
ピリジル又はピリミジニル(これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよい)であり、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cシクロアルキルである。
【0033】
式Iの化合物においてより好ましいA基は、
【化10】


である。
【0034】
式Iの化合物において他のより好ましいA基は、
【化11】


である。
【0035】
式Iの化合物においてさらに他のより好ましいA基は、
【化12】


である。
【0036】
式Iの化合物においてさらに他のより好ましいA基は、
【化13】


である。
【0037】
式Iの化合物においてさらに他のより好ましいA基は、
【化14】


である。
【0038】
式Iの化合物においてさらに他のより好ましいA基は、
【化15】


である。
【0039】
式Iの化合物においてさらに他のより好ましいA基は、
【化16】


である。
【0040】
それぞれの式A.1〜A.7において、R11及びR12は、式IVに関して上記で定義した通りである。
【0041】
式A.1〜A.7を有する特に好ましい化合物において、
11は、アミノ或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノであり、
12は、−N(YR)Rであり、ここで、
Yは、−SO−又は−CO−であり、
は、
ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいC〜Cアルキル、或いは
フェニル又は少なくとも1個の窒素を含む5員若しくは6員ヘテロアリール(これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよい)であり、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cシクロアルキルである。
【0042】
式IV中の好ましいR基は、
ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいC〜Cアルキル、或いは
ピリジル又はピリミジニル(これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよい)であり、
は、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cシクロアルキルである。
【0043】
式Iの化合物において、より好ましいQ基は、
【化17】


である。
【0044】
式Iの化合物において、他のより好ましいQ基は、
【化18】


である。
【0045】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化19】


である。
【0046】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化20】


である。
【0047】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化21】


である。
【0048】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化22】


である。
【0049】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化23】


である。
【0050】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化24】


である。
【0051】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化25】


である。
【0052】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化26】


である。
【0053】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化27】


である。
【0054】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化28】


である。
【0055】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化29】


である。
【0056】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化30】


である。
【0057】
式Iの化合物において、さらに他のより好ましいQ基は、
【化31】


である。
【0058】
式Q.l〜Q.15のそれぞれにおいて、R66は、水素又は直鎖若しくは分枝C〜Cアルキルであり、R77は、水素、ハロゲン又は直鎖若しくは分枝C〜Cアルコキシである。
【0059】
好ましくは、本発明の化合物は、以下に示すL異性体である。

【化32】

【0060】
これらの化合物において、Aは、式Iに関して定義されており、Qは、−(1−R−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)(ここでRは、−H、アルキル、置換アルキル、又は−CHC(O)Rであり、Rは、−OH、−OR、−NHRであり、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである)である。
【0061】
定義
本明細書では、「アルキル」とは、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖及び分枝アルキル基を指す。この用語には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ヘプチル、オクチル等などの基が含まれる。用語アルキルの前に、C(ここでxは整数である)を含めることは、アルキル鎖中の炭素原子数を表し、範囲が規定されている場合、より小さな整数及びより大きな整数は共に範囲中に含まれる。
【0062】
「置換されていてもよいアルキル」とは、非置換であるか、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、複素環、置換複素環、ヒドロキシル、ニトロ、及びオキシカルボニルアミノからなる群から独立に選択される1〜5個の置換基で置換されたアルキル基を指す。
【0063】
「アルキレン」とは、1〜10個の炭素原子、より好ましくは1〜6個の炭素原子を有する直鎖及び分枝の二価アルキレン基を指す。この用語は、上記の置換アルキルに関して定義された1〜5個の置換基で置換されていてもよい、メチレン、1,6−ヘプチレン、1,8−オクチレン等などの基で例示される。
【0064】
「アルコキシ」とは、基「アルキル−O−」を指し、一例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ等が含まれる。
【0065】
「置換アルコキシ」とは、「置換アルキル−O−」を指す。
【0066】
「アルキル−O−アルキル」の各アルキルは、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、複素環、置換複素環、ヒドロキシル、ニトロ、及びオキシカルボニルアミノからなる群から独立に選択される1〜5個の置換基で独立に置換されていてもよい。
【0067】
「アルケニル」とは、2〜10個の炭素原子、より好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つ、好ましくは1つから2つのアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を指す。
【0068】
「置換されていてもよいアルケニル」とは、非置換であるか、又はアルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、複素環、置換複素環、ヒドロキシル、ニトロ、及びオキシカルボニルアミノからなる群から独立に選択される1〜5個の置換基で置換されたアルケニル基を指す。
【0069】
「アシル」とは、基H−C(O)−、アルキル−C(O)−、置換アルキル−C(O)−、アルケニル−C(O)−、置換アルケニル−C(O)−、シクロアルキル−C(O)−、置換シクロアルキル−C(O)−、アリール−C(O)−、置換アリール−C(O)−、ヘテロアリール−C(O)−、置換ヘテロアリール−C(O)、複素環−C(O)−、及び置換複素環−C(O)−を指す。
【0070】
「アシルアミノ」とは、基−C(O)NR3030(式中、各R30は、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環からなる群から独立に選択され、各R30が窒素原子と一緒になって、複素環又は置換複素環を形成する)を指す。
【0071】
「アシルオキシ」とは、基アルキル−C(O)O−、置換アルキル−C(O)O−、アルケニル−C(O)O−、置換アルケニル−C(O)O−、アリール−C(O)O−、置換アリール−C(O)O−、シクロアルキル−C(O)O−、置換シクロアルキル−C(O)O−、ヘテロアリール−C(O)O−、置換ヘテロアリール−C(O)O−、複素環−C(O)O−、及び置換複素環−C(O)O−を指す。
【0072】
「アミノ」とは、基−NHを指す。
【0073】
「置換アミノ」とは、基−NR3131(式中、各R31基は、独立に、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、及び置換複素環からなる群から選択され、ここで、R31基は共に水素にはなれず、或いはこれらのR31は、窒素原子と一緒になって、複素環又は置換複素環を形成するとすることができる)を指す。
【0074】
「アミノアシル」とは、基−NR32C(O)アルキル、−NR32C(O)置換アルキル、−NR32C(O)シクロアルキル、−NR32C(O)置換シクロアルキル、−NR32C(O)アルケニル、−NR32C(O)置換アルケニル、−NR32C(O)アリール、−NR32C(O)置換アリール、−NR32C(O)ヘテロアリール、−NR32C(O)置換ヘテロアリール、−NR32C(O)複素環、及び−NR32C(O)置換複素環(ここで各R32は、水素又はアルキルである)を指す。
【0075】
「アミノカルボニルオキシ」とは、基−NR32C(O)O−アルキル、−NR32C(O)O−置換アルキル、−NR32C(O)O−アルケニル、−NR32C(O)O−置換アルケニル、−NR32C(O)O−シクロアルキル、−NR32C(O)O−置換シクロアルキル、−NR32C(O)O−アリール、−NR32C(O)O−置換アリール、−NR32C(O)O−ヘテロアリール、−NR32C(O)O−置換ヘテロアリール、−NR32C(O)O−複素環、及び−NR32C(O)O−置換複素環(ここでR32は、水素又はアルキルである)を指す。
【0076】
「オキシカルボニルアミノ」とは、基−OC(O)−アミノ及びOC(O)−置換アミノを指す。
【0077】
「アミノカルボニルアミノ」とは、基−NR32C(O)−アミノ及び−NR32C(O)−置換アミノ(ここでR32は、水素又はアルキルである)を指す。
【0078】
「アリール」又は「Ar」とは、単環(例えば、フェニル)又は複数の縮合環(例えば、ナフチル又はアントリル)であって、この縮合環が芳香族であっても、なくてもよく(例えば、2−ベンゾオキサリノン、2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン−7イル等)、但し、その結合点は芳香環原子を介している縮合環を有する、6〜14個の炭素原子からの不飽和芳香族炭素環式基を指す。好ましいアリールとしては、フェニル、ナフチル及び5,6,7,8−テトラヒドロナフサ−2−イルがある。特に好ましいアリール基にはフェニル基がある。
【0079】
「置換されていてもよいアリール」とは、非置換であるか、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、及びオキシカルボニルアミノからなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されたアリール基を指す。特に好ましい置換されていてもよいアリール基は、置換されていてもよいフェニル基である。
【0080】
「アリールオキシ」とは、基アリール−O−を指し、一例として、フェノキシ、ナフトキシ等が含まれる。
【0081】
「置換アリールオキシ」とは、置換アリール−O−基を指す。
【0082】
「カルボキシル」とは、基−COOH及び薬剤として許容されるその塩を指す。
【0083】
「カルボキシルエステル」とは、−C(O)O−アルキル、−C(O)O−置換アルキル、−C(O)O−アルケニル、−C(O)O−置換アルケニル、−C(O)O−アリール、−C(O)O−置換アリール、−C(O)O−シクロアルキル、−C(O)O−置換シクロアルキル、−C(O)O−ヘテロアリール、−C(O)O−置換ヘテロアリール、−C(O)O−複素環、及び−C(O)O−置換複素環を指す。
【0084】
「シクロアルキル」とは、一例として、アダマンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等を含む、単環又は複数の縮合環を有する、3〜12個の炭素原子の環状アルキル基を指す。
【0085】
「置換されていてもよいシクロアルキル」とは、非置換であるか、オキソ(=O)、チオキソ(=S)、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、カルボキシル、カルボキシルエステル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、複素環、置換複素環、ヒドロキシル、ニトロ、及びオキシカルボニルアミノからなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換された、シクロアルキル基を指す。
【0086】
「シクロアルキルオキシ」とは、シクロアルキル−O−基を指す。
【0087】
「置換シクロアルキルオキシ」とは、シクロアルキル部分上で置換されたシクロアルキル基を指す。
【0088】
「ハロ」又は「ハロゲン」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指し、好ましくは、フルオロ、クロロ又はブロモである。
【0089】
「ヘテロアリール」とは、その環又はオキシド中に、2〜10個の炭素原子並びに酸素、窒素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を有する芳香族基を指す。このようなヘテロアリール基は、単環(例えば、ピリジル又はフリル)或いは複数の縮合環を有することができ、1種又は複数の縮合環は、その結合点が芳香環原子を介しているならば、芳香性であってもなくてもよい。さらに、このヘテロアリール基のヘテロ原子は、酸化されて、即ちピリジンN−オキシド又は1,1−ジオキソ−1,2,5−チアジアゾール等を形成する。好ましいヘテロアリールには、ピリジル、ピロリル、インドリル、フリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、1−オキソ−1,2,5−チアジアゾリル及び1,1−ジオキソ−1,2,5−チアジアゾリルが含まれる。
【0090】
「置換されていてもよいヘテロアリール」とは、非置換であるか、置換されたアリールに対して上で定義されたものからなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換されたヘテロアリール基を指す。
【0091】
「ヘテロアリールオキシ」とは、基−O−ヘテロアリールを指し、「置換ヘテロアリールオキシ」とは、基−O−置換ヘテロアリールを指す。
【0092】
「複素環」、「複素環の」又は「ヘテロシクリル」とは、この環中に、1〜10個の炭素原子及び窒素、硫黄又は酸素から選択される1〜4個のヘテロ原子の単環又は複数の縮合環を有する飽和又は不飽和基であって、縮合環系中において、その結合点が複素環原子を介しているならば、1個又は複数の環は、アリール又はヘテロアリールとすることができる基を指す。
【0093】
本明細書では、「−NC〜C環式」という用語は、親基への結合点が複素環中の窒素原子である4〜7員複素環基を意味する。−NC〜C環式基の例には、ピペラジン−1−イル、ホモピペリジン−1−イル、及びアゼチジン−1−イル、及びピロリジン−1−イルがある。これらのそれぞれの−NC〜C環式基を環上でC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、モノ−及びジ−(C〜C)アルキルアミノ、ニトロ、及びトリフルオロメチルで置換してもよい。
【0094】
「置換されていてもよい複素環」、「置換複素環」及び「置換ヘテロシクリル」とは、非置換であるか、置換シクロアルキルに対して定義されたものからなる群から選択される1〜5個、好ましくは1〜3個の置換基で置換された複素環基を指す。
【0095】
複素環及びヘテロアリールの例には、これらに限定されるものではないが、アゼチジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、ジヒドロインドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチルピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナントロリン、イソチアゾール、フェナジン、イソオキサゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドリン、フタルイミド、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[b]チオフェン、チアゾール、チアゾリジン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペリジニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル等が含まれる。
【0096】
「ヘテロシクリルオキシ」とは、基−O−複素環を指し、「置換ヘテロシクリルオキシ」とは、基−O−置換複素環を指す。
【0097】
「化合物」及び「活性化合物」という用語は、VLA−4アンタゴニストを指すために使用される。
【0098】
「薬剤として許容される塩」とは、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持し、生物学的ではなく、又は他の点で望ましくなくない塩を指す。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ及び/又はカルボキシル基或いはこれに類似の基の存在によって酸及び/又は塩基塩を形成することができる。
【0099】
薬剤として許容される塩基付加塩は、無機及び有機塩基から調製することができる。無機塩基から誘導される塩には、一例にすぎないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩が含まれる。有機塩基から誘導される塩には、これらに限定されるものではないが、アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換アルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換アルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換シクロアルキルアミン、二置換シクロアルキルアミン、三置換シクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換シクロアルケニルアミン、二置換シクロアルケニルアミン、三置換シクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環アミン、ジ複素環アミン、トリ複素環アミン、混合ジ−及びトリ−アミン(ここで、アミン上の少なくとも2個の置換基は異なり、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環等からなる群から選択される)などの一級、二級及び三級アミンの塩が含まれる。さらに含まれるものは、2個又は3個の置換基がアミノ窒素と一緒になって複素環又はヘテロアリール基を形成するアミンである。
【0100】
適したアミンの例には、非限定的な一例にすぎないが、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリ(n−プロピル)アミン、エタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N−アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N−エチルピペリジン等が含まれる。また、他のカルボン酸誘導体、例えば、カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミド等を含むカルボン酸アミドは、本発明の実施において有用であると解されるべきである。
【0101】
薬剤として許容される酸付加塩は、無機及び有機酸から調製することが可能である。無機酸から誘導される塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が含まれる。有機酸から誘導される塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエン−スルホン酸、サリチル酸等が含まれる。
【0102】
「薬剤として許容されるカチオン」という用語は、薬剤として許容される塩のカチオンを指す。
【0103】
本明細書で定義されたすべての置換基において、それ自体に対するさらなる置換基で、置換基を規定することによって到達したポリマー[例えば、置換基として置換アリール基を有する(これ自体が置換アリール基で置換されている)置換アリール等]は、本明細書に包含することは意図していないものと解される。この場合では、このような置換基の最大限の数は3である。即ち、上記の定義のそれぞれは、例えば、置換アリール基は、置換アリール(置換アリール)−(置換アリール)に限定されるという限定によって制約される。
【0104】
同様に、上記の定義には、許されない置換型(例えば、5個のフルオロ基で置換されたメチル或いはエチレン又はアセチレンの不飽和に対してアルファであるヒドロキシル基)は含まれないものと解される。このような許されない置換型は、当業者にはよく知られている。
【0105】
本発明の化合物は、薬剤として使用される場合は、通常薬剤組成物の形態で投与する。これらの組成物は、経口、経直腸、経皮、静脈内、筋肉内、及び鼻腔内を含む種々の経路で投与することができる。好ましい投与経路としては、皮下及び静脈内がある。特に好ましいものは皮下である。このような組成物は、薬剤技術でよく知られている方法で調製され、少なくとも1つの活性化合物を含む。
【0106】
本発明は、本発明による化合物、例えば式Iの化合物を、αβ阻害剤である別の化合物と組み合わせて含む薬剤組成物も提供する。このような組成物はまた、薬剤として許容される担体又は賦形剤を含み、他の場所で論じられるように投与することができる。
【0107】
本発明は、活性成分として、薬剤として許容される担体を伴う1種又は複数の上記式Iの化合物を含む薬剤組成物も含む。本発明の組成物の製造では、この活性成分を通常賦形剤と混合するか、賦形剤によって希釈するか、又は無菌の注射用溶液、及び無菌のパッケージ化粉末内にあり得るように担体中に封入する。皮下投与に関しては、単純な担体が、水、Na2HPO4、NaH2PO4、及びNaClの等張性で生理的に許容されるpHとなる比率の無菌溶液(PBS又はリン酸塩緩衝生理食塩水としても知られている)を含み得る。他の選択肢は当業者には知られており、吸収の速度及び総暴露量に影響を及ぼすことが可能な混合溶媒系が含まれる。これらの選択肢には、グリセリン、ポリエチレングリコール400、及び綿実油を含む混合溶媒系が含まれる。また可能性のある使用には、エタノール、N、N’−ジメチルアセトアミド、プロピレングリコール及びベンジルアルコールがあり、これらのすべては、浸透性の促進及び高張性を操作するために使用し得る。
【0108】
製剤の製造において、この活性化合物を磨砕して、他の成分と組み合わせる前に適当な粒径にすることが必要である。この活性化合物が実質的に不溶性の場合は、通常200メッシュ未満の粒径まで磨砕する。活性化合物が実質的に水溶性の場合は、通常、製剤中で実質的に均一な分布にするために、磨砕により、例えば約40メッシュに調整する。
【0109】
適した賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、及びメチルセルロースが含まれる。この製剤は、さらに、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油などの滑沢剤;湿潤剤;乳化剤及び懸濁剤;安息香酸メチル及びプロピルヒドロキシベンゾエートなどの防腐剤;甘味料;及び香料を含んでもよい。本発明の組成物は、当技術分野で既知の手法を使用して、患者に投与後、活性成分の迅速、持続又は遅延放出を提供するように配合することができる。
【0110】
皮下又は静脈内製剤による治療薬の投与は、製薬業界でよく知られている。皮下又は静脈内製剤は、治療薬がその中で可溶性な組成物であることだけでなく、ある種の品質を所有するべきである。例えば、この製剤は、活性成分(複数可)の全体的な安定性を促進し、また製剤の製造は費用効果が高くあるべきである。これらすべての要素は、最終的には静脈内製剤の全体的な成功及び有用性を決定する。
【0111】
本発明の化合物の製剤中に含めてもよい他の副成分の添加剤は以下の通りである:溶媒:エタノール、グリセロール、プロピレングリコール;安定剤:EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸;抗菌性防腐剤:ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン;緩衝剤:クエン酸/クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム水素、酒石酸ナトリウム水素、酢酸/酢酸ナトリウム、マレイン酸/マレイン酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム水素、リン酸/リン酸カリウム二水素、リン酸/リン酸二ナトリウム水素;及び張性調整剤:塩化ナトリウム、マンニトール、デキストロース。
【0112】
緩衝剤の存在は、水溶液のpHを約4〜約8、より好ましくは約4〜約6の範囲に維持するのに必要である。この緩衝系は、通常、弱酸とその可溶性塩の混合物、例えば、クエン酸ナトリウム/クエン酸、或いは二塩基酸の一カチオン又は二カチオン塩、例えば、酒石酸カリウム水素、酒石酸ナトリウム水素、リン酸/リン酸カリウム二水素、及びリン酸/リン酸二ナトリウム水素である。
【0113】
使用される緩衝系の量は、(1)所望のpH、及び(2)薬物の量に依存する。4〜8のpH範囲を維持するために使用される緩衝剤の量は、一般にモル比0.5:1〜50:1の製剤の緩衝剤:アレンドロネート(ここで緩衝剤のモル数は、緩衝剤成分、例えば、クエン酸ナトリウム及びクエン酸の総モル数を採用する)であり、一般に、モル比1:1〜10:1の緩衝剤(組み合わせた)対存在する薬物が使用される。
【0114】
本発明における有用な緩衝剤は、この組成物の水溶液pHを4〜6に維持するのに十分な、1ml当たり5〜50mgのクエン酸ナトリウム対1ml当たり1〜15mgのクエン酸の範囲のクエン酸ナトリウム/クエン酸である。
【0115】
緩衝剤はまた、ガラス容器又はゴムストッパーから外に浸出するか、通常の流水中に存在し得る溶解金属イオン、例えば、Ca、Mg、Fe、Al、Baとの可溶性金属錯体の形成を介して薬物が沈殿するのを防止するために存在してもよい。緩衝剤は、薬物との競合的錯化剤として作用して可溶性金属錯体を生成し、望ましくない微粒子の存在を生じ得る。
【0116】
さらに、その張性をヒト血液と等価に調整するための薬剤、例えば約1〜8mg/mlの量の塩化ナトリウムの存在は、製剤を静脈内に投与したとき、悪心又は下痢及び場合によっては付随する血中障害などの望ましくない副作用を生じる赤血球の膨潤又は収縮を回避するために要求され得る。一般に、この製剤の張性は、282〜288mOsm/kgの範囲であり、一般に285mOsm/kgであるヒト血液のものに一致し、これは塩化ナトリウム0.9%溶液に対応する浸透圧と等価である。
【0117】
この静脈内製剤は、直接静脈内注射、静脈内大量瞬時投与によって投与することができ、或いは、0.9%塩化ナトリウム注射液又は他の適合性のある輸液などの適当な輸液に添加することにより注入で投与することができる。
【0118】
この組成物は、好ましくは、各用量が約5〜約100mg、より通常は約10〜約30mgの活性成分を含有する、単位剤形に配合される。「単位剤形」という用語は、ヒト患者及び他の哺乳動物に対する単位用量として適当な物理的に分離された単位であって、各単位が、適当な薬剤賦形剤と組み合わせて、所望の治療効果をもたらすように計算された所定の量の活性物質を含む単位を指す。
【0119】
この化合物は、広い用量範囲にわたり有効であり、通常薬剤有効量で投与する。しかし、実際に投与されるこの化合物の量は、治療する状態、選択した投与経路、投与される実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の症状の重症度等を含む関連する状況に照らして、医師によって決定されるものと解される。
【0120】
錠剤などの固体組成物を製造するためには、この主要な化合物を薬剤の賦形剤と混合して、本発明の化合物の均一な混合物を含む固体の予備処方組成物を形成する。これらの予備処方組成物が均一であると言及する場合は、この化合物が組成物全体にわたり均一に分散されており、この組成物を錠剤、丸薬及びカプセル剤などの同等に有効な単位剤形に容易に細分することが可能であることを意味する。次いで、この固体予備処方を、例えば、0.1〜約500mgの本発明の活性成分を含む上記のタイプの単位剤形に細分する。
【0121】
本発明の錠剤又は丸薬を、コートするか、さもなければ配合して、持続的作用の利点をもたらす剤形を提供してもよい。例えば、錠剤又は丸薬は、内部製剤成分及び外部製剤成分を含み、後者は、前者を覆う外被の形態とすることができる。この2種の成分は、胃中での崩壊を抑えて、内部成分が損なわれずに十二指腸中に通過するか、又は遅延放出するための役割を果たす腸溶層によって分離することができる。種々の材料がこのような腸溶層又はコーティングのために使用することができ、このような材料は、いくつかのポリマー酸並びにポリマー酸とシェラック、セチルアルコール、及び酢酸セルロースなどの材料の混合物を含む。
【0122】
本発明の新規な組成物が、経口で又は注射による投与のために取り込まれ得る液体の形態には、適切に香味をつけたシロップ剤水溶液、水性又は油の懸濁液、及び綿実油、ゴマ油、ココナツ油、又はピーナッツ油などの食用油を有する香味のあるエマルジョン、並びにエリキシル剤及び類似の薬剤ビヒクルが含まれる。
【0123】
吸入又はガス注入のための組成物には、薬剤として許容される水性又は有機溶媒或いはこれらの混合物中の溶液及び懸濁液、並びに粉末が含まれる。液体又は固体組成物は、上記のように薬剤として適当な許容される賦形剤を含んでもよい。好ましくは、この組成物は、局所的又は全身作用のために経口又は経鼻呼吸器の経路で投与される。好ましくは薬剤として許容される溶媒中の組成物を不活性ガスを使用して噴霧化することができる。噴霧化された溶液は、噴霧器から直接吸ってもよく、或いは噴霧器を顔面マスクテント又は断続的陽圧呼吸機器に取り付けてもよい。溶液、懸濁液、又は粉末組成物は、好ましくは、この製剤を適当な方法で供給する装置から経口又は経鼻で投与される。
【0124】
本発明の化合物は、VLA−4アンタゴニストであり、アルファ4ベータ7インテグリンに対してある親和力を有する。この薬物製剤は、より少ない頻度で患者に投与してもよいが、同様又は改良された治療効果を達成する。
【0125】
本発明の化合物は、in vivoで、VLA−4によって媒介される白血球の内皮細胞への接着を、VLA−4への競合的結合によって優れた阻害を有する。好ましくは、本発明の化合物は、VLA−4又は白血球接着によって媒介される疾患の治療のために、例えば、注入、或いは皮下又は経口投与によって使用することができる。本発明の化合物は、種々の炎症性脳障害、特に、内皮/白血球接着機構が、さもなければ健康な脳組織に破壊を生じる中枢神経系障害を治療するために使用することができる。したがって、本発明の化合物は、例えば、実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)、多発性硬化症(MS)、髄膜炎、及び脳炎の治療のために使用することができる。
【0126】
本発明の化合物は、他の器官系における組織障害であって、即ち、組織障害がまた接着機構を介して起こり、白血球の遊走又は活性化が起こる組織障害に起因する障害及び疾患を治療するために使用することもできる。哺乳動物患者におけるこのような疾患の例には、喘息、アルツハイマー病、アテローム性動脈硬化症、AIDS認知症、糖尿病(急性若年性発症の糖尿病を含む)、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病を含む)、慢性関節リウマチ、組織移植拒絶、腫瘍転移、脳卒中、及び他の脳障害、腎炎、網膜炎、アトピー性皮膚炎、乾癬、心筋虚血及び急性白血球媒介肺障害、例えば成体呼吸窮迫症候群で起こるものなどの炎症性疾患がある。
【0127】
本発明の化合物を用いて治療し得るさらに他の病態には、結節性紅斑、アレルギー性結膜炎、視神経炎、ブドウ膜炎、アレルギー性鼻炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、血管炎、ライター症候群、全身性紅斑性狼蒼、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、ウェーグナー肉芽腫症、大動脈炎、サルコイドーシス、リンパ球減少症、側頭動脈炎、心膜炎、心筋炎、うっ血性心不全、結節性多発動脈炎、過敏症症候群、アレルギー、過好酸性症候群、チャーグ−ストラウス症候群、慢性閉塞性肺疾患、過敏性肺臓炎、慢性活動性肝炎、間質性膀胱炎、自己免疫性内分泌不全、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性再生不良性貧血、慢性持続性肝炎及び甲状腺炎が含まれる。
【0128】
本発明はまた、患者中で結合する少なくとも一部はα4インテグリン媒介白血球によって引き起こされるか又は悪化する病状を治療する方法であって、本発明の化合物、例えば式Iの化合物の有効量及びαβ阻害剤である別の化合物の有効量の同時投与を含む方法を提供する。この同時投与は、同時に又は逐次に実施してもよい。例えば、本発明の化合物の投与をαβ阻害剤の投与より数分又は数時間先行してもよい。或いは、αβ阻害剤を本発明の化合物より前に投与してもよい。
【0129】
炎症応答を治療する効力を証明するための適当なin vivoモデルには、マウス、ラット、モルモット又は霊長類におけるEAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)、並びにα4インテグリンに依存する他の炎症性モデルが含まれる。
【0130】
炎症性腸疾患とは、クローン病及び潰瘍性大腸炎と称される2つの類似の疾患に対する集合的な用語である。クローン病は、特発性の慢性潰瘍狭窄型炎症性疾患であり、肉芽腫性炎症性反応による腸壁の全層の明確に境界が定められた典型的には貫壁的な関与により特徴づけられる。消化管の口から肛門までの任意の区域が関与し得るが、この疾患は、最も一般的には末端回腸及び/又は結腸に発症する。潰瘍性大腸炎は、主に結腸粘膜及び粘膜下組織に限定された炎症応答である。リンパ球及びマクロファージは炎症性腸疾患の病変部に多く、炎症性障害の一因となり得る。
【0131】
喘息は、気管支気道の発作性狭窄を増強する種々の刺激への気管支樹の増大した応答性によって特徴づけられる疾患である。この刺激は、IgE被覆肥満細胞からのヒスタミン、好酸球及び好中球走化性因子、ロイコトリエン、プロスタグランジン及び血小板活性化因子を含む炎症の種々のメディエーターの放出を引き起こす。これらの因子の放出により、炎症性障害の原因になる、好塩基球、好酸球及び好中球が漸増する。
【0132】
アテローム性動脈硬化症は動脈(例えば、冠状動脈、頚動脈、大動脈及び腸骨動脈)の疾患である。基本的な病変であるアテロームは、脂質のコア及び被覆する繊維状のキャップを有する、内膜中の浮き出た病巣斑からなる。アテロームは、動脈血流を損ない、影響を受けた動脈を弱体化させる。心筋及び脳梗塞がこの疾患の主な結果である。マクロファージ及び白血球がアテロームに漸増し、炎症性障害の一因となる。
【0133】
慢性関節リウマチは、主として関節の障害及び破壊を引き起こす慢性の再発性炎症疾患である。慢性関節リウマチは、通常、先ず手及び足の小関節に発症するが、次いで手首、肘、足首及び膝が関与し得る。この関節炎は、滑膜細胞と循環から関節の滑膜内層中へ浸入する白血球との相互作用に起因する。例えば、Paul、Immunology(第3版、Raven Press、1993)参照。
【0134】
本発明の化合物の他の適応症は、VLA−4によって媒介される器官又は移植片拒絶の治療である。最近、皮膚、腎臓、肝臓、心臓、肺、膵臓及び骨髄などの組織並びに器官を移植する外科的技術の有効性におけるかなりの進歩が見られる。多分、主要で顕著な問題は、移植した同種移植片又は器官への被移植者における免疫寛容を誘導するための満足のいく試薬がないことである。同種異系の細胞又は器官が宿主に移植される場合(即ち、提供者及び被提供者は、同じ種からの異なる固体である)、この宿主の免疫系は、移植片中の外部抗原への免疫応答を開始しようとして(宿主対移植片病)、移植した組織の破壊をもたらす。CD8細胞、CD4細胞及び単球は、すべて移植片組織の拒絶に関与する。α4インテグリンと結合する本発明の化合物は、とりわけ、被提供者中の同種異系抗原誘起免疫応答をブロックするのに有用であり、このような細胞が移植された組織又は器官が破壊に関与することを妨害する。Paulら、Transplant International 9、420〜425(1996);Georczynskiら、Immunology 87、573〜580(1996);Georcyznskiら、Transplant.Immunol.3、55〜61(1995);Yangら、Transplantation 60、71〜76(1995);Andersonら、APMIS 102、23〜27(1994)参照。
【0135】
VLA−4に結合する本発明の化合物に対する関連する使用は、「移植片対宿主」病(GVHD)に関与する免疫応答を調節することである。例えば、Schlegelら、J.Immunol.155、3856〜3865(1995)参照。GVHDは、免疫担当細胞が同種異系被移植者に移された場合に生じる潜在的に致命的な疾患である。この状況では、提供者の免疫担当細胞は、被移植者中の組織を攻撃し得る。皮膚、腸上皮及び肝臓の組織が標的になることが多く、GVHDの過程で破壊されることがある。この疾患は、骨髄移植などの免疫組織が移植される場合は特に重度の問題をもたらす。しかし、より重症でないGVHDも同様に、心臓及び肝臓移植を含む他の場合に報告されている。本発明の治療薬は、とりわけ、提供者のT細胞の活性化をブロックして、宿主中の標的細胞を溶解するその能力を妨害するために使用される。
【0136】
本発明の製剤は、特に、多発性硬化症慢性関節リウマチ及び喘息の治療に有用である。
【0137】
本発明の化合物の他の使用は、腫瘍転移の阻害である。いくつかの腫瘍細胞はVLA−4を発現することが報告されており、VLA−4に結合する化合物は、このような細胞の内皮細胞への接着をブロックする。Steinbackら、Urol.Res.23、175〜83(1995);Oroszら、Int.J.Cancer 60、867〜71(1995);Freedmanら、Leuk.Lymphoma 13、47〜52(1994);Okaharaら、Cancer Res.54、3233〜6(1994)。
【0138】
所望の生物学的活性を有する化合物は、改良された薬理学的特性(例えば、in vivo安定性、生物学的利用能)、又は診断適用における検出能を提供するために、必要に応じて改変してもよい。安定性は、ペプチダーゼ又はヒト血漿又は血清とのインキュベーション中のタンパク質の半減期を測定することなどの、様々な方法でアッセイすることができる。いくつかのこのようなタンパク質の安定性アッセイが記載されている(例えば、Verhoefら、Eur.J.Drug Metab.Pharmacokinet.、1990、15(2):83〜93参照)。
【0139】
本発明の化合物の他の使用は、多発性硬化症を治療することである。多発性硬化症は、米国で推定250,000〜350,000人に発症する進行性の神経学的自己免疫疾患である。多発性硬化症は、ある種の白血球が攻撃し、神経線維を被覆する絶縁鞘であるミエリンの破壊を開始する特異的自己免疫性反応の結果であると考えられる。多発性硬化症の動物モデルでは、VLA−4を対象とするマウスのモノクローナル抗体は、白血球の内皮への接着をブロックし、これによって動物の中枢神経系の炎症及びその後の麻痺を防止することが明らかにされている16
【0140】
本発明の薬剤組成物は、種々の薬物送達系に使用するのに適している。本発明で使用するのに適した製剤は、Remingtonの「薬剤の科学(Pharmaceutical Sciences)」、Mace Publishing Company、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、第17版(1985)に見られる。
【0141】
患者に投与する量は、投与されるもの、予防又は治療などの投与の目的、患者の状態、投与方法等に応じて変化する。治療用途では、すでに罹患した患者に、この疾患及びその合併症の症状を治癒させる又は少なくとも部分的に抑えるのに十分な量で組成物を投与する。これを達成するのに適切な量は、「治療有効用量」と定義される。この使用のための有効量は、治療される病態、並びに炎症の重症度、患者の年齢、体重及び全体的状態等などの要素に応じて担当臨床医の判断により決まる。
【0142】
患者に投与される組成物は、上記の薬剤組成物の形態をしている。これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌してもよく、又は無菌ろ過をしてもよい。得られた水性溶液は、そのままで使用するために包装しても、凍結乾燥してもよく、凍結乾燥した調剤は、投与前に無菌の水性担体と混合される。
【0143】
本発明の化合物の治療量は、例えば、治療される個々の使用、この化合物の投与方法、患者の健康及び状態及び処方する医師の判断に応じて変化する。例えば、静脈内投与では、用量は、典型的には約20μg〜約2000μg/体重1キログラム、好ましくは約20μg〜約500μg、より好ましくは約100μg〜約300μg/体重1キログラムである。鼻腔内投与に対する適した用量範囲は、ほぼ、約0.1pg〜1mg/体重1キログラムである。有効用量は、in vitro又は動物モデル試験系から誘導される用量−応答曲線から外挿することができる。
【0144】
本発明の化合物はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβインテグリン(しかし、本発明では、αβ及びαβが好ましい)の作用と結合するか、又は拮抗することが可能である。したがって、本発明の化合物はまた、これらのインテグリンのそれぞれのリガンドへの結合によって誘発された症状、障害又は疾患を阻止するか、又は回復させるために有用である。
【0145】
例えば、December、1998年12月3日に開示された、国際公開第WO98/53817号(この開示全体を参照により本明細書に援用する)及びこれに引用されている参考文献には、αβによって媒介される障害が記載されている。この参考文献にはまた、VCAM−Ig融合タンパク質へのαβ依存性結合の拮抗作用を決定するアッセイが記載されている。
【0146】
さらに、αβ及びαβインテグリンに結合する化合物は、喘息及び関連する肺疾患の治療に対して特に有用である。例えば、M.H.Graysonら、J.Exp.Med.1998、188(11)2187〜2191参照。αβインテグリンに結合する化合物はまた、全身性紅斑性狼蒼(例えば、M.Pangら、Arithritis Rheum.1998、41(8)、1456〜1463参照);クローン病、潰瘍性大腸炎及び炎症性腸疾患(IBD)(例えば、D.Elewautら、Scand J.Gastroenterol 1998、33(7)743〜748参照);シェーグレン症候群(例えば、U.Kroneldら、Scand J.Gastroenterol 1998、27(3)、215〜218参照);及び慢性関節リウマチの治療に有用である(例えば、Scand J.Gastroenterol 1996、44(3)、293〜298参照)。及び、αβに結合する化合物は、受精を阻止するのに有用である可能性がある(例えば、H.Chenら、Chem.Biol.1999、6、1〜10参照)。
【0147】
本発明の他の態様では、本明細書に記載の化合物及び組成物は、例えば、多発性硬化症の場合は中枢神経系への、又はミエリンの炎症誘発性の破壊が生じた領域への血流からの免疫細胞の遊走を阻害するために使用することができる。好ましくは、これらの試薬は、脱髄を阻害し、さらに再髄鞘化を促進させる方法で免疫細胞の遊走を阻害する。この試薬はまた、浸透する免疫細胞が主にCNSにおけるミエリン鞘の発生に作用する、先天性代謝障害に対する中枢神経系の脱髄を阻止し、再髄鞘化を促進し得る。この試薬はまた、脱髄性疾患又は状態によって誘発された麻痺を持つ患者に投与した場合、好ましくは麻痺を軽減する。
【0148】
本明細書に開示されている組成物、化合物及び方法による治療に含まれる炎症性疾患には、一般に脱髄に関連する状態が含まれる。組織学的には、ミエリンの異常は、脱髄性か、又は髄鞘化障害性である。脱髄はミエリンの破壊を意味する。髄鞘化障害は、オリゴデンドロサイトの機能障害から生じるミエリンの形成又は維持の欠陥を指す。好ましくは、本明細書に開示されている組成物及び方法は、脱髄に関連した疾患及び状態を治療し、再髄鞘化を助けることが企図される。治療することが企図されている他の疾患及び状態には、髄膜炎、脳炎及び脊髄傷害並びに一般に炎症応答の結果として脱髄を誘発する状態が含まれる。本明細書に開示されている化合物、組成物及び方法は、例えば、異常なミエリン形成、例えば、髄鞘化障害を生じる遺伝的欠陥が存在する疾患及び状態を対象としていない。
【0149】
本明細書に開示されている組成物、化合物及びカクテルは、脱髄に伴う状態及び疾患を治療するのに使用することが企図される。脱髄が関与する疾患及び状態には、これらに限定されるものではないが、多発性硬化症、先天性代謝障害(例えば、フェニルケトン尿症、テイ−ザックス病、ニーマン・ピック病、ゴーシェー病、ハーラー症候群、クラッベ病及び他の白質ジストロフィー)、異常な髄鞘化を伴う神経障害(例えば、ギラン−バレー、慢性免疫脱髄性多発神経障害(CIDP)、多巣性CIDP、anti−MAG症候群、GALOP症候群、抗スルファチド抗体症候群、抗GM2抗体症候群、POEMS症候群、神経周膜炎、IgM抗−GD1b抗体症候群)、脱髄関連薬物(例えば、クロロキン、FK506、ペルヘキシリン、プロカインアミド、及びジメルジンの投与に起因する)、他の遺伝性脱髄状態(例えば、糖鎖欠損糖タンパク質、コケーン症候群、先天性ミエリン形成減少、先天性筋ジストロフィー、ファーバー病、マリネスコ−シェーグレン症候群、異染性白質ジストロフィー、ペリツェウス−メルツバッヘル病、レフスム病、プリオン関連状態、及びサラ病)及び他の脱髄状態(例えば、髄膜炎、脳炎又は脊髄障害)或いは疾患が含まれる。
【0150】
これらの疾患をin vivoで試験するのに使用することができる、種々の疾患モデルが存在する。例えば、動物モデルには、これらに限定されるものではないが、
【表1】


が含まれる。
【0151】
多発性硬化症
最も一般的な脱髄性疾患は、多発性硬化症であるが、多数の他の代謝性及び炎症性障害は不完全な又は異常な髄鞘化をもたらす。MSは、慢性の神経疾患であり、成体期の初期に現れ、ほとんどの場合かなりの能力障害まで進む。米国だけでも、MSはほぼ350000症例存在する。外傷を除いて、MSは成体期の初期から中期における神経性能力障害の最も多い原因である。
【0152】
MSの原因は、今のところ確定されていない。MSは、慢性的炎症、脱髄及び、神経膠症(瘢痕化)によって特徴づけられる。脱髄は、軸索伝導にマイナスの又はプラスの影響をもたらし得る。プラスの伝導異常(positive conduction abnormalities)には、軸索伝導遅延、高く、低くはない周波数の連続インパルスの存在下で生じる可変的な伝導ブロック又は完全な伝導ブロックが含まれる。プラスの伝導異常には、自発的な又は機械的応力に続く異所性インパルスの発生、脱髄化エキソンの間の異常な「クロストーク」が含まれる。
【0153】
ミエリンタンパク質、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)又はミエリンプロテオリピドタンパク質(PLP)のいずれかに対して反応性のT細胞は、実験的アレルギー性脳脊髄炎においてCNS炎症を媒介することが認められている。患者は、高濃度のCNS免疫グロブリン(Ig)を有することも観察されている。MSで観察される組織障害のあるものは、活性化T細胞、マクロファージ又は星状膠細胞のサイトカイン生成物によって媒介されることがさらに可能である。
【0154】
今日では、MSと診断された患者の80%は、疾病の発症後20年は生存している。MSを管理するための療法には、(1)急性の悪化の治療を含む疾患の経過の変更を目的とし、疾患の長期抑制をするための治療;(2)MSの症状の治療;(3)医学的合併症の防止及び治療、及び(4)二次的な個人及び社会的問題の管理が含まれる。
【0155】
MSの発症は劇的であるか、患者に医学的配慮を求めさせないような緩やかなものであり得る。最も一般的な症状には、1つ又は複数の四肢の脱力感、視神経炎に起因する目のかすみ、感覚障害、復視及び運動失調が含まれる。疾患の経過は、3つの全般的カテゴリー、(1)再発性MS、(2)慢性進行性MS、及び(3)非活動性MSに分類される。再発性MSは、神経性機能障害の反復性の発作により特徴づけられる。MS発作は、通常数日から数週間にわたり徐々に進化し、続いて完全に又は部分的に回復するか、回復しない。発作からの回復は、通常、症状のピークから数週から数ヵ月以内に起こるが、まれに一部の回復は、2年以上続くことがある。
【0156】
慢性進行性MSは、安定又は緩解期間を伴わず、徐々に進行する悪化をもたらす。この形態は、先に再発性MSの病歴を有する患者に発現するが、患者の20%は、再発を取り消すことができない。進行性の経過の間に、急性の再発が起こることもある。
【0157】
第3の形態は非活動性MSである。非活動性MSは、様々な程度の固定された神経性障害により特徴づけられる。非活動性MSの大部分の患者は、先に再発性MSの病歴を有する。
【0158】
疾患の経過は、患者の年齢にも依存する。例えば、有利な予後の因子には、初期の発症(小児期を除いて)、再発性経過及び発症後5年は能力障害がほとんど残存しないことが含まれる。対照的に、不利な予後は、老年での発症(即ち、40歳以上)及び進行性の経過に伴われる。これらの変動は相互に依存している。なぜなら、慢性進行性MSは、MSを再発するより遅い年齢で開始するためである。慢性進行性MSからの能力障害は、通常、患者の進行性対麻痺又は四肢麻痺(麻痺)に起因する。本発明の一態様では、患者が疾患の再発段階よりも緩解段階にある場合に患者を治療することが好ましい。
【0159】
副腎皮質刺激ホルモンホルモンか、又は経口コルチコステロイド(例えば、経口プレドニゾン又は静脈内メチルプレドニゾロン)の短期使用は、患者にMSの急性増悪を治療するための特定の処置にすぎない。
【0160】
MSに対する最新の療法には、患者をインターフェロンβ−1b、インターフェロンβ−1a、及びコパキソン(登録商標)(以前は、コポリマー1として知られていた)で治療することが含まれる。これらの3種の薬物は、この疾患の再発の割合を有意に減少させることが明らかにされている。これらの薬物は、筋肉内又は皮下に自己投与される。
【0161】
しかし、最新の治療法には、自発的再髄鞘化を促進するか可能にし、麻痺を軽減することはもちろん、脱髄を阻害するものはない。本発明の一態様は、本明細書に開示されている薬剤を単独で又は他の標準的治療法と組み合わせて、MSを治療することを企図する。
【0162】
先天性代謝障害
先天性代謝障害には、フェニルケトン尿症(PKU)及び他のアミノ酸尿症、テイ−ザックス病、ニーマン・ピック病、ゴーシェー病、ハーラー症候群、クラッベ病及び以下にさらに詳述するように、鞘の発生に影響を与える他の白質ジストロフィーが含まれる。
【0163】
PKUは、酵素、フェニルアラニンヒドロキシラーゼの欠乏に起因する代謝の遺伝的欠陥である。この酵素の減少により、精神遅滞、器官障害、異常な姿勢をもたらし、マターナルPKUの場合は、妊娠をかなり危うくすることがある。PKUを研究するためのモデルは、マウスで見出されている。好ましくは、PKUと確認された乳児に、フェニルアラニンを含まない又は低減した食事を補給する。本発明の一態様では、脱髄を阻止し、PKUに起因して損傷を受けた細胞を再髄鞘化するために、このような食事と本明細書に開示されている化合物及び組成物を組み合わせる。
【0164】
古典的なテイ−ザックス病は、齢約6ヵ月の患者に出現し、結局は5歳までに患者の死亡という結果となる。この疾患は、酵素、ヘキソアミニダーゼA(hex A)(これは、脳及び神経の細胞中のある種の脂肪物質を分解するために必要である)の欠乏に起因する。この物質は、この酵素の非存在下では蓄積して、神経細胞の破壊を引き起こす。hex A酵素欠乏の他の形態は、生涯のより後期に起こり、hex A欠乏の若年性、慢性及び成体発症の形態と称される。症状は、古典的テイ−ザックス病を特徴づけるものに類似している。この酵素欠乏の成体発症の形態も存在する。現在、この疾患/欠乏に対する治癒又は治療は存在せず、この疾患に対する胎児の子宮内試験による予防的処置があるにすぎない。したがって本明細書に開示されている化合物及び組成物は、この細胞の破壊を寛解させる又は阻止するのに有用であり得る。
【0165】
ニーマン・ピック病は3つのカテゴリーに分類される:急性乳児形態、タイプBは、一般的でない慢性の非神経性形態であり、タイプCは、この疾患の生化学的及び遺伝的に特徴的な形態である。正常な個体では、細胞コレステロールがプロセシングのためにリソソーム中に移入され、その後放出される。ニーマン・ピック病患者から採取した細胞は、リソソームからのコレステロールの放出に欠陥があることが明らかにされている。これは、リソソーム内部にコレステロールの過剰な蓄積につながり、プロセシングエラーを引き起こす。NPClは、他のタンパク質中のものに類似の、既知のステロールセンシング領域を有することが見出されており、これがコレステロールの輸送を調節する役割を果たしていることを示唆している。ニーマン・ピック病のタイプA及びCの形態に対して、功を奏する療法は確認されてない。タイプCでは、患者は、低コレステロールの食事に従うことが推奨される。したがって、本明細書に開示されている化合物及び組成物は、細胞の破壊を寛解させる又は阻止するのに有用であり得る。
【0166】
ゴーシェー病は、遺伝子突然変異に起因する遺伝性疾病である。通常、この遺伝子は、脂肪、グルコセレブロサイドを分解するために体が必要とするグルコセレブロシダーゼと呼ばれている酵素に関与する。ゴーシェー病患者では、体がこの酵素を適切に産生することができず、脂肪を分解することができない。テイ−ザックス病と同様に、ゴーシェー病は、東欧(アシュケナジ)出身のユダヤ人の子孫でかなりより一般的であるが、どんな民族出身の個人も影響を受ける可能性がある。アシュケナジユダヤ人の集団の中で、ゴーシェー病は最も一般的な遺伝的障害であり、ほぼ450人に1人の発生率である。一般社会では、ゴーシェー病はほぼ100,000人に1人発症する。
【0167】
1991年に、ゴーシェー病に対する最初の有効な治療として、酵素補充療法が利用可能になった。この治療は、静脈内に与えられるグルコセレブロシダーゼ酵素の改変された形態からなる。罹患した患者のこの疾患を治療するために、本明細書に開示されている組成物及び化合物を単独で又はより好ましくはグルコセレブロシダーゼ投与と併せて使用し得ることが企図される。
【0168】
ムコ多糖症I型としても知られているハーラー症候群は、重複疾患のクラスである。これらの遺伝的疾患は、線維芽細胞中にムコ多糖類の細胞蓄積を共有する。この疾患は遺伝子により識別可能である。線維芽細胞及び骨髄の移植は役立つと思われないので、疾患の重症度及び進行を寛解させるのに有用な化合物及び組成物が必要である。本明細書に開示されている化合物及び組成物は、疾患の進行及び/又は重症度を寛解するために患者に投与し得る。
【0169】
クラッベ病(球様細胞白質ジストロフィーとしても知られている)は、ミエリンの主な脂質成分を異化するリソソーム酵素であるガラクトシルセラミダーゼ(又はガラクトセレブロシダーゼ)欠乏から生じる常染色体の劣勢状態である。フランスでの発生率は、推定1:150000誕生数である。この疾患は、中央及び末梢神経系の脱髄をもたらす。発症は通常、生後1年目に起こり、その状態は急速に進行するが、進行がより様々な速度である、若年性、青年期又は成体の発症形態も報告されている。診断は、酵素アッセイから立証される(ガラクトシルセラミダーゼ欠乏)。いくつかの天然の動物モデルが存在する(マウス、イヌ、サル)。すべての白質ジストロフィーと同様に、クラッベ病は、治癒又は有効な療法が知られていない。本発明の一実施形態では、クラッベ病及び他の白質ジストロフィーを治療又は寛解するために、本明細書に開示されている組成物及び化合物が使用される。
【0170】
白質ジストロフィーは、脳、脊髄及び末梢神経に発症する、遺伝子により決定される進行性障害の群である。これらには、副腎白質ジストロフィー(ALD)、副腎脊髄神経障害(AMN)、エルカルディ−ゴーチエ(Aicardi−Goutiers)症候群、アレキサンダー病、CACH(即ち、中枢神経系ミエリン形成減少を伴う小児失調又は白質消失病)、CADASIL(即ち、皮質下梗塞及び白質脳症を伴う脳常染色体優性動脈症)、カナバン病(海綿状変性)、脳腱黄色腫症(CTX)、クラッベ病(上記に論じた)、異染性白質ジストロフィー(MLD)、新生児副腎白質ジストロフィー、卵巣白質ジストロフィー症候群、ペリツェウス−メルツバッヘル病(X連鎖性痙性対麻痺)、レフスム病、ファン・デル・クナープ症候群(皮質下シストを伴う空洞化白質ジストロフィー)及びツェルウェガー症候群が含まれる。これらのどの疾患も、治癒はいうまでもなく、有効な療法を有さない。したがって、本明細書に開示されている組成物及び化合物を使用することによるなどの、これらの疾患の症状を治療するか、寛解させる手段が必要である。
【0171】
異常な髄鞘化を伴う神経障害
患者に脱髄を生じる、種々の慢性の免疫多発神経障害が存在する。この状態に対する発症の年齢は、条件によって異なる。これらの疾患に対する標準的な療法が存在し、本明細書に開示されている組成物及び化合物と組み合わせてもよい。或いは、開示されている組成物及び化合物を単独で使用してもよい。
【0172】
既存の標準的な療法には、以下のものが含まれる。
【表2】

【0173】
薬物及び放射線誘発脱髄
ある種の薬物及び放射線は、患者に脱髄を誘発し得る。脱髄の原因となる薬物には、これらに限定されるものではないが、クロロキン、FK506、ペルヘキシリン、プロカインアミド、及びジメルジンが含まれる。
【0174】
放射線も脱髄を誘発し得る。放射線に起因する中枢神経系(CNS)毒性は、(1)血管構造に対する損傷、(2)オリゴデンドロサイト−2星状膠細胞前駆体及び熟成オリゴデンドロサイトの欠失、(3)海馬、小脳及び皮質における神経幹細胞個体数の欠失、及びサイトカイン発現の全身的な変化によって引き起こされるものと考えられる。大部分の放射線障害は、ある種の癌の治療中に行われる放射線療法に起因する。総説に関しては、Belkaら、2001 Br.J.Cancer 85:1233〜9参照。しかし、放射線暴露は、宇宙飛行士(Hopewell、1994 Adv.Space Res.14:433〜42)及び放射性物質への暴露の場合に関する問題でもある。
【0175】
薬物を受けたか、放射線に偶発的に又は意図的に暴露された患者は、本明細書に開示されている化合物又は組成物のうちの1つの投与により、脱髄を阻止するか、再髄鞘化を促進する利益を受け得る。
【0176】
脱髄が関与する状態
脱髄を生じる他の遺伝性症候群/病には、コケーン症候群、先天性ミエリン形成減少、ファーバー病、異染性白質ジストロフィー、ペリツェウス−メルツバッヘル病、レフスム病、プリオン関連状態及びサラ病が含まれる。
【0177】
コケーン症候群(CS)は、人々が日光に敏感であり、低い身長を有し、早すぎる老化の容姿を有する、まれな遺伝性障害である。コケーン症候群の古典的な形態(I型)では、この症状は、進行性であり、典型的には1歳後に明らかになる。コケーン症候群の早期発症又は先天性の形態(II型)は、誕生時に明らかである。興味深いことには、他のDNA修復疾患とは異なり、コケーン症候群は、癌とは関連付けられない。CSは、体及び脳の著しい成長不良及び進行性悪液質、網膜、蝸牛、及び神経の変性の両方を引き起こす、癌の増加を伴わずに、白質ジストロフィー及び脱髄性神経障害を伴う多重系障害である。UV(例えば日光)に暴露後は、コケーン症候群を有する患者は、もはや転写共役修復を実施することができない。コケーン症候群における2種の欠陥のある遺伝子、CSA及びCSBがこれまでに同定されている。このCSA遺伝子は染色体5上に見られる。両方の遺伝子は、転写機構の成分と、さらにDNA修復タンパク質と相互作用するタンパク質をコードする。
【0178】
現在のところ、この疾患を有する患者のための治癒法又は有効な療法は確認されていない。したがって、本発明の一態様は、本明細書に開示されている化合物及び組成物によるこの疾患の治療である。
【0179】
先天性ミエリン形成減少は、先天性髄鞘化障害性神経障害、先天性ミエリン形成減少多発神経障害、先天性ミエリン形成減少(オニオンバルブ)多発神経障害、先天性ミエリン形成減少神経障害、ミエリン形成減少に起因する先天性神経障害、ミエリン形成減少神経障害及びCHNを含むいくつかの病名を有する。ヒトの最も一般的な遺伝的障害の中でも、遺伝性末梢神経障害は、末梢神経の進行性悪化を生じさせる複雑な臨床的に及び遺伝的に不均一な群の障害である。先天性ミエリン形成減少は障害の群の1つである。この群には、圧迫性麻痺にかかりやすい遺伝性神経障害、シャルコー−マリー−トゥース病、デジュリーヌ−ソッタス症候群、及び先天性ミエリン形成減少神経障害が含まれる。これらの障害のどれにについても治癒法又は有効な療法は知られていない。
【0180】
ファーバー病は、ファーバー脂肪肉芽腫症、セラミダーゼ欠乏症、酸性セラミダーゼ欠乏症、AC欠乏症、N−ラウリルスフィンゴシンデアシラーゼ欠乏症、及びN−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼを含むいくつかの病名を有する。特定の病名が示すように、この疾患は酸性セラミダーゼ(N−アシルスフィンゴシンアミドヒドロラーゼ、ASAHとしても知られている)の欠乏に起因して起こる。この酵素の欠乏は、ニューロン及びグリア細胞中に非スルホン化酸性ムコ多糖の蓄積をもたらす。この疾患を有する患者は、通常2歳の前に死亡する。
【0181】
異染性白質ジストロフィー(MLD)は、酵素アリールスルファターゼAの欠乏に起因する遺伝的障害である。これは、髄鞘の成長に影響を及ぼす白質ジストロフィーと呼ばれている遺伝的障害の群の中の1つである。MLDの3種の形態、乳児期後期、若年期及び成体期が存在する。最も一般的である乳児期後期の形態では、症状の発症は、6ヵ月から2歳の間で開始する。この乳児は、通常、誕生時は正常であるが、結局はこれまでに得た能力が失われる。症状には、低圧(筋緊張低下)、言語異常、精神的能力の消失、盲目、硬直(即ち、制御できない筋肉の緊張)、痙攣、嚥下障害、麻痺、及び認知症が含まれる。若年性形態の症状は、4から14歳の間で開始し、学業成績障害、精神衰退、運動失調、発作、及び認知症が含まれる。成体形態では、16歳以降に始まる症状には、集中障害、鬱病、精神障害、運動失調、振戦、及び認知症が含まれ得る。発作は成体形態で起こることがあるが、他の形態におけるよりも一般的ではない。3つの形態すべてにおいて、通常精神衰退が最初の徴候である。
【0182】
ペリツェウス−メルツバッヘル病(出生時スダン好性白質ジストロフィーとしても知られている)は、プロテオリピドタンパク質の異常を引き起こすX連鎖性遺伝的障害である。この異常は、典型的には1歳の前に乳児の死亡をもたらす。この疾患に対する療法又は治癒法は知られていない。
【0183】
レフスム病(フィタン酸オキシダーゼ欠乏症、遺伝性多発神経炎性失調又は遺伝性運動及び感覚神経障害IV、HMSN IVとも称される)は、その遺伝子の突然変異に起因し、フィタノイル−CoAヒドロキシラーゼ(PAHX又はPHYH)をコードする。主な臨床的特徴は、網膜色素変性症、慢性多発神経障害及び小脳の徴候である。フィタン酸、異常な分枝鎖脂肪酸(ヘキサデカン酸3,7,11,15−テトラメチル)が、この疾患を有する患者組織及び体液中に蓄積し、PAHXの欠乏のために代謝することができない。月に1又は2回実施される血漿交換療法により、この酸を体から有効に除去し、フィタン酸の摂取を限定する食餌制限からの開放が可能になる。
【0184】
プリオン関連状態には、ゲルストマン−ストラウスラー病(GSD)、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、家族性致死性不眠症が含まれ、クールー及びスクレイピー(ヒツジに見受けられる疾患)におけると同様に、これらの障害でプリオンタンパク質の異常アイソフォームが感染物質として作用し得る。プリオンという用語は、「タンパク質感染物質」に由来する(Prusiner、Science 216:136〜44、1982)。不溶性原繊維に重合するアミロイド形成性ペプチドを生じるプリオン関連タンパク質(PRP)のタンパク分解性開裂が存在する。
【0185】
サラ病及び他のタイプのシアルリア(sialuria)は、シアル酸貯蔵に関する問題が関与する疾患である。これらは、重篤な乳児の形態(即ち、ISSD)又はフィンランドで流行している(即ち、サラ病)、徐々に進行する成体の形態として提示し得る常染色体性劣勢神経変性障害である。この主な症状は、低圧、小脳の運動失調及び精神的遅滞である。これらの状態及び疾患も、対症の又は寛解させる療法が企図される。
【0186】
脱髄をもたらす他の状態には、感染後脳炎(急性播種性脳脊髄炎、ADEMとしても知られている)、髄膜炎及び脊髄損傷が含まれる。本明細書に開示されている組成物及び化合物はまた、これらの他の脱髄性状態を治療するのに使用することが企図される。
【0187】
化合物の調製
本発明の化合物は、以下の一般的な方法及び手順を用いて、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。典型的な又は好ましい処理条件(即ち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力等)が与えられた場合、別段の指示がなければ、他の処理条件もまた使用することができるものと理解される。最適反応条件は、使用される個々の反応物又は溶媒で異なり得るが、このような条件は、日常的な最適化手順によって当業者により決定することができる。
【0188】
さらに、当業者には明らかであるように、従来の保護基は、ある種の官能基を望ましくない反応を受けることから防止するのに必要である。種々の官能基に対する適した保護基及び個々の官能基を保護及び脱保護するための適した条件は、当技術分野でよく知られている。例えば、多数の保護基が、T.W.Greene及びG.M.Wuts、「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」、第2版、Wiley、ニューヨーク、1991、及びそこに引用されている参考文献に記載されている。
【0189】
さらに、本発明の化合物は、典型的には、1つ又は複数のキラル中心を含むであろう。したがって、必要に応じて、このような化合物は純粋な立体異性体、即ち個々のエナンチオマー又はジアステレオマーとして、或いは立体異性体に富む混合物として調製又は単離することができる。すべてのこのような立体異性体(及び立体異性体に富む混合物)は、別段の指示がなければ、本発明の範囲に包含される。純粋な立体異性体(又は立体異性体に富む混合物)は、例えば、当技術分野で既知の、光学活性な出発材料又は立体選択的試薬を用いて調製してもよい。或いは、このような化合物のラセミ混合物は、例えば、キラルカラムクロマトグラフィー、キラル分割剤等を用いて分離してもよい。
【0190】
式Iの化合物は、既知の合成手順を用いて調製することができる。化合物の代表的な合成法を以下に示す。
【0191】
式IIの化合物は、先ず、保護した4−アミノフェニルアラニンを2−クロロ−3−ニトロピリジンと結合させ、続いて得られた結合されたニトロ化合物を還元することによって調製することができる。以下のスキーム1に例示されるように、得られたジアミノピリジンの1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)による環化に続いて、得られたイミダザロンのアルキル化により式IIの化合物を得る。
【化33】


この得られた生成物を、クロマトグラフィー、ろ過、蒸発、結晶化等などの従来の方法によって回収するか、或いは、精製及び/又は単離せずに使用することができる。
【0192】
式IIIの化合物は、スキーム1からのアミノイミダザロン生成物を利用して調製してよく、次いでこの化合物を置換チアゾリジンカルボン酸と結合させて、以下のスキーム2に例示するように、式IIIの化合物を得る。
【化34】

【0193】
さらに、イミダゾロンの窒素置換基、Rを、ヨウ化メチル又はブロモ酢酸メチルなどの標準的なアルキル化試薬で標準的なアルキル化反応を使用し、或いは適当な結合手順を使用することによって、結合シーケンスの前又は後に導入してもよい。この得られた生成物を、クロマトグラフィー、ろ過、蒸発、結晶化等などの従来の方法によって回収するか、或いは、精製及び/又は単離せずに使用することができる。
【0194】
ピリミジンの2位が非置換である式IVの化合物は、イミダザロンで置換されたフェニルアラニン誘導体を、4,6−ジクロロ−5−アミノピリミジンから誘導されたN,N−二置換4−クロロ−5−アミノピリミジンに結合させ、結合した生成物のさらなる仕上げ後、スキーム3に例示するように、式IVの化合物を得る。
【化35】

【0195】
4,6−ジクロロ−5−アミノピリミジンをメルカプトで置換された4−アミノピリミジンに変換し、続いてラネーニッケル脱硫黄化を行う。還元的アミノ化処理に続いて酸塩化物でアシル化すること(或いは、スルホニルクロライドでスルホニル化すること)によってアルキル基を導入して、N,N−二置換クロロピリミジンを得る。フェニルアラニン誘導体との結合に続いてこのエステルの加水分解によってこの生成物を得る。
【0196】
さらに、イミダゾロンの窒素置換基、Rを、必要に応じて、ヨウ化メチル又はブロモ酢酸メチルなどの標準的なアルキル化試薬で標準的なアルキル化反応を使用し、或いは適当な結合手順を用いてアルコールを使用することによって、結合シーケンス中に導入してもよい。
【0197】
或いは、ピリミジンの2位が置換された式IVの化合物は、以下のスキーム4に示すように調製する。
【化36】

【0198】
先ず、2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジンをニトロフェニルアラニン誘導体と結合させ、この生成物をジアルキルアミンと、直接か、又は「ブッフバルド」パラジウムを触媒とする結合条件を利用して反応させる。次いで、得られた生成物を水素化して、アミノフェニルアラニン誘導体を得る。これを2−クロロ−3−ニトロピリジンと結合させ、続いてニトロ基を還元する。CDIで環化し、続いてヨウ化メチル又は他のアルキル化剤でアルキル化してイミダゾロンを得る。ピリミジンのニトロ基を還元し、続いて還元的アミノ化を介してN−イソプロピル基を導入し、続いてスルホニルクロライドでスルホニル化(或いは、酸塩化物でアシル化)して、エステルを得る。ギ酸で加水分解して、この生成物を得る。
【0199】
得られた生成物を、クロマトグラフィー、ろ過、蒸発、結晶化等などの従来の方法によって回収するか、或いは、精製及び/又は単離せずに使用することができる。
【0200】
或いは、ピリミジンの2位で置換された式IVの化合物は、以下のスキーム5に示すように調製する。
【化37】

【0201】
ギ酸エチルを置換4−ヒドロキシピリミジンに転換し、次いでこれをトリフレートに変換する。これをニトロフェニルアラニン誘導体と結合させ、得られたニトロ生成物をアミノフェニルアラニン誘導体に還元する。これを2−クロロ−3−ニトロピリジンに結合させ、続いてこのニトロ基を還元する。CDIで環化し、続いてヨウ化メチル又は他のアルキル化剤でアルキル化して、イミダゾロンを得る。ギ酸で加水分解してこの生成物を得る。
【0202】
この得られた生成物を、クロマトグラフィー、ろ過、蒸発、結晶化等などの従来の方法によって回収するか、或いは、精製及び/又は単離せずに使用することができる。
【0203】
上記のように調製された化合物式Iを、以下の表I、表II及び表IIIに示す。
【表3】


【表4】


【表5】

【0204】
以下の合成及び生物学的な実施例は、本発明を例示するために提供されており、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるものではない。別段の指示がなければ、すべての温度は、摂氏温度単位である。
【実施例】
【0205】
以下の実施例において、下記の略語は、以下の意味を有する。略語が定義されてない場合は、その一般に受容されている意味を有する。
ACN=アセトニトリル
bs=広い一重線
Boc=N−tert−ブトキシルカルボニル
BOP=ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロリン酸
Cbz=カルボベンジルオキシ
CHCl=ジクロロメタン
d=二重線
dd=二重二重線
DCC=1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMAP=4−N,N−ジメチルアミノピリジン
EDC=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtN=トリエチルアミン
FmocONSu=N−(9−フルオレニルメトキシカルボニル)スクシンイミド
g=グラム
h及びhr=時間
O=水
HOBT=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
HPLC=高速(又は高圧)液体クロマトグラフィー
kg=キログラム
CO=炭酸カリウム
kDa=キロダルトン
L=リットル
m=多重線
MeOH=メタノール
M=モル濃度
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
mm=ミリメートル
mM=ミリモル濃度
mmol=ミリモル
N=規定
NaHCO=炭酸水素ナトリウム
nM=ナノモル濃度
q=四重線
s=一重線
sat.=飽和
t=三重線
t−BuOH=tert−ブタノール
TFA=トリフルオロ酢酸
TLC又はtlc=薄層クロマトグラフフィー
Ts=トシル
TsCl=塩化トシル
TsOH=トシレート
μL=マイクロリットル
μg=マイクログラム
μm=ミクロン又はマイクロメートル
【0206】
スキーム5は、本発明の化合物を調製するために使用し得る方法を例示する反応シーケンスを概説している。スキーム5は、表1から3に示した生成物に共通の中間体の関係も例示している。上記スキーム1から5及び下記スキーム6に概説された方法は、一般的及び例示的であり、本発明は、これらのそのままのシーケンス及び方法の使用には限定されない。
【化38】

【0207】
以下の実施例は、上記スキーム1から5に示された化合物を調製する方法を説明する。
【0208】
(実施例1)
【化39】


水酸化ナトリウム(10g、0.25m)を水(300ml)に溶解する。この溶液に4−ニトロフェニルアラニン(50.3g、0.22m)を加え、完全に溶解するまで撹拌する。得られた溶液に炭酸ナトリウム(28.8g、0.26m)を加えて撹拌し、氷浴中で懸濁液を+8℃まで冷却する。内部温度を+6°〜+9℃の範囲に維持して、激しく撹拌しながら、ベンジルクロロフォーメート(44.7g、0.26m)を滴下する。この混合物を+6℃でさらに1時間撹拌し、分液漏斗に移し、エーテル(2×150ml)で洗浄する。水相を大きなエルレンマイヤーフラスコ(2L)に入れ、希HCl溶液でpH=2に注意深く酸性化し、酢酸エチル(4×500ml)で抽出する。合わせた抽出物を水で洗浄し、MgSOで乾燥する。この溶液をろ過し、ろ液を蒸発し、残渣を酢酸エチル(150ml)に溶解し、ヘキサン(500ml)で希釈する。結晶性物質をろ過して分け、冷溶媒ですすぎ、空気乾燥して、Cbz−4−ニトロフェニルアラニン75g(収率99.5%)を得る。
【化40】

【0209】
Cbz−4−ニトロフェニルアラニン(75g、0.22m)をジオキサン(300ml)に溶解する。得られた撹拌溶液をドライアイス浴中で−20℃(内部)に冷却する。液化イソブチレン(ほぼ290ml)を加え、続いて濃硫酸(35ml)を3等分して30分おきに加える。この酸の添加は、かなりの程度の重合が伴って起こる発熱性の工程である。この段階の効率的な機械的撹拌が必須である。得られた混合物を20時間撹拌して周囲温度まで温め、次いで飽和炭酸ナトリウム水溶液(2L)中に注意して注ぎ、酢酸エチル(600ml)で希釈する。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(2×200ml)で抽出する。合わせた抽出物を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させる。この溶液をろ過して乾燥するまで蒸発する。この残渣を、酢酸エチル/ヘキサン混合物(500ml;1:1)に溶解し、シリカゲル(約2×2インチ)のプラグを通してろ過する。このシリカを追加量の同じ溶媒(総計2L)ですすぎ、このろ液を蒸発させ、粘性の油として、完全に保護された4−ニトロフェニルアラニン73g(2ステップ後83%)を得る。
【化41】

【0210】
保護された4−ニトロフェニルアラニン(73g、0.18m)を、エタノール(500ml)に溶解し、酸化白金触媒(1.5g)を加える。得られた溶液を水素雰囲気下(50〜60psi)周囲温度で、さらなる水素の吸着が停止されるまで激しく撹拌する(3時間)。触媒をろ過して除き、ろ液を乾燥するまで蒸発し、この残渣を酢酸エチル(200ml)に溶解し、シリカをすすぐために酢酸エチル−ヘキサン混合物(3:2、2L)を用いて、シリカゲル(2×2インチ)のプラグを通してろ過する。このろ液をほぼ200mlまで濃縮し、ヘキサン(500ml)を加える。結晶性生成物をろ過して分け、冷溶媒ですすぎ、空気乾燥する。収量56g、84%。
【化42】

【0211】
(実施例2)
【化43】


実施例1の生成物、4−アミノフェニルアラニン(20g、0.054m)をエタノール(200ml)に溶解し、ヒューニッヒ塩基(21g、0.162m、3当量)及び2−クロロ−3−ニトロピリジン(10.3g、0.65m、1.2当量)で処理した。得られた溶液を窒素雰囲気下撹拌し、24時間還流加熱した。LC分析は、少量の未反応アミンの存在を示した。少量の追加のクロロニトロピリジン(1.1g、0.13当量)を加え、さらに24時間還流を継続した。反応混合物を冷却し、乾燥するまで蒸発させた。残渣を酢酸エチル(600ml)に溶解し、得られた溶液を水(1×200ml)、希クエン酸水溶液(0.2N、2×200ml)、ブライン(1×200ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体をろ過して除き、ろ液を蒸発し、過剰なクロロニトロピリジンで汚染された予測した生成物を含む37gの深紅色の油を得た。不純な生成物を酢酸エチル:ヘキサン(3:17)混合物で溶離してフラシュクロマトグラフィー(Biotage 75Lシステム)で精製した。純粋な生成物を含有する分画を合わせて蒸発させて、深紅色の粘性の油26g(99%)を得た。
【化44】

【0212】
この赤色のニトロ化合物(26g、0.054m)をTHF(350ml)に溶解し、酸化白金触媒(1.35g)を加えた。得られた混合物を水素雰囲気下(50〜60psi)で水素の吸着が停止するまで激しく撹拌した(2時間)。触媒をろ過して除き、ろ液を乾燥するまで蒸発させた。残渣を酢酸エチル(100ml)に溶解し、結晶化が開始するまでヘキサン(50ml)で希釈した。混合物をさらに酢酸エチル/ヘキサン(1:1)混合物(300ml)で希釈し、冷蔵庫の中に3時間静置させた。結晶性固体をろ過して分け、冷溶媒ですすぎ、空気乾燥して、生成物23g、94%を得た。
【化45】

【0213】
このアミノピリジン(19g、0.041m)をジクロロメタン(200ml)に懸濁させ、CDI(12g、0.074m、1.8当量)を加えた。得られた混合物を周囲温度で20時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素塩水溶液(2×100ml)、ブライン(1×100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体をろ過して除き、ろ液を乾燥するまで蒸発させた。残渣を酢酸エチル(熱、300ml)に溶解し、静置して結晶化させた。結晶性生成物をろ過して分け、冷酢酸エチルですすぎ、空気乾燥して、19.9g、81%のイミダゾロンを得た。
【化46】

【0214】
(実施例3)
【化47】


実施例2の生成物(4.0g、8.19mmol)のDMF(40ml)溶液に、粉砕した炭酸カリウム(1.58g、11.47mmol)を加え、続いてブロモ酢酸メチル(1.0ml、11.47mmol)を加えた。この反応混合物を窒素下室温で一晩撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を酢酸エチル(100ml)に溶解した。有機相をHO、ブラインで洗浄し、NaSOにより乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮した。この粗製物質をカラムクロマトグラフィー(100%酢酸エチル)で精製して、白色の泡として収量4.5g(100%)の表題化合物を得た。
【化48】

【0215】
(実施例4)
【化49】


Degussa社のPd/C触媒(113mg)を含む、実施例3の生成物(2.25g、4.01mmol)のMeOH(20ml)溶液を、H下に(55psi)一晩置いた。この反応混合物をセライトを通してろ過し、真空中で濃縮して、茶色の油として収量1.65g(97%)の表題化合物を得た。
【化50】

【0216】
(実施例5)
【化51】


ピリジン−3−スルホン酸(125g、0.78m)を、機械的撹拌機、還流凝縮器、温度計及び窒素注入口を備えた1Lの三口フラスコに入れた。次に、五塩化リン(250g、1.19m、1.5当量)を、直ぐ続いてオキシ塩化リン(330m1、3.8m、4.5当量)加えた。フラスコの内容物を、最初に周囲温度で30分間撹拌し、次いで、次の1時間にわたって徐々に緩やかな還流(内部温度ほぼ110℃)に至らせて、この温度にほぼ3.5時間保ち、次いで、次の12時間にわたり周囲温度まで戻るように冷却させておいた。この時間の間にガスの放出が観察された。この揮発性物質を減圧下で(12mmHg/40℃で)取り除き、黄色の半個体残渣をDCM(1L)で希釈した。このスラリーを、pH=7に維持しながら、撹拌した氷冷の飽和炭酸水素塩水溶液中に徐々に注いだ。ガスの放出が観察された。この有機層を分離して、水層をDCMで逆抽出した。合わせた抽出物を冷飽和炭酸水素塩水溶液、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。この固体をろ過して除き、ろ液を蒸発して、淡黄色の油性液体としてピリジン−3−スルホニルクロライドが123g(純度93%;理論値88%)残る。
【化52】

【0217】
L−ペニシラミン(150g、1.0m)をDI水(1500ml)中に撹拌しながら溶解させ、氷浴中で+8℃まで冷却し、ホルマリン(150ml、37%水溶液)で処理した。この反応混合物を+8℃で2時間撹拌し、次いで、冷却浴を取り外し、撹拌を12時間継続した。この透明な溶液を減圧下で(14mmHg/50°)濃縮すると、白色の残渣が残った。この固体を再懸濁させ、次いで熱MeOH(2500ml)に溶解し、周囲温度で12時間静置させておいた。この白色のふわふわした沈殿をろ過して分け、冷メタノールですすいだ。このろ液を濃縮し、再度結晶化させるために置いておいた。回収した沈殿を最初の収穫物と合わせ、真空オーブン中で55℃45mmHgで24時間乾燥した。(R)−5,5−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸の収量は、138g(純度>99%;理論値86%)であった。
【化53】

【0218】
機械的撹拌機及び温度計を備えた4Lの反応器中に、DI水(2L)中のリン酸二水素カリウム(43g、0.31m)及びリン酸水素二カリウム(188.7g、1.08m)から緩衝液を調製した。(R)−5,5−ジメチルチアゾリジン−4−カルボン酸(107g、0.675m)を加え完全に溶解するまで撹拌した。この溶液を氷浴中で+8℃まで冷却した。この反応器に、別に調製したピリジン−3−スルホニルクロライド(124g、0.695m)のDCM(125ml)溶液を激しく撹拌しながら1時間にわたって滴下した。反応混合物のpHを監視して、4時間後にpH=5であることが見出されたので、固体炭酸水素塩を添加でpH=6に調整した。この混合物を18時間にわたって周囲温度まで温めておいた。このpHを希硫酸水溶液で2に調整し、1時間撹拌し、沈殿した黄色の固体をろ過して分け、水で中性まですすいだ。この固体ケークを2Lエルレンマイヤーフラスコに移し、DCM(500ml)に時々5分間かき混ぜて懸濁させ、再度ろ過して分けた。フィルターケークをDCMで洗浄し、空気乾燥した。表題化合物、(R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボン酸の収量は、148.9g(純度98%;理論値73%)であった。
【化54】

【0219】
(実施例6)
【化55】


実施例4の生成物(1.65g、3.88mmol)のアセトニトリル(35ml)溶液を、実施例5の生成物(1.06g、3.53mmol)、HATU(1.75g、3.88mmol)、及びトリエチルアミン(5.3ml)に加えた。この均一な茶色の溶液を窒素下72時間撹拌した。この有機反応混合物を真空下で濃縮し、酢酸エチル(40ml)に溶解し、1N HCl、飽和NaHCO、及びブラインで洗浄した。有機層をNaSOにより乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮して、橙色の泡として2.67g(97%)の3を得た。
【化56】

【0220】
(実施例7)
【化57】


実施例6の生成物(2.67g、3.75mmol)のTHF(12ml)溶液に、LiOH・HO(245mg、5.97mmol)のHO(3ml)溶液を添加する。この反応混合物を窒素下室温で一晩撹拌した。完了後、反応混合物を真空中で濃縮し、HO(100ml)に溶解し、1M HCl溶液でpH4に酸性化した。所望の生成物が白色固体として析出し、ろ過し、HOですすいで、1.87g(72%)の表題の化合物を得た。
【化58】

【0221】
(実施例8)
【化59】


実施例2の生成物(52g、0.106m)をMeOH(450ml)中にスラリー化し、水素化触媒(8.7g、5%Pd/C、Degussa社)を添加し、この混合物を水素雰囲気下で(60psi)さらなる吸収が停止するまで撹拌する(約2時間)。THF(150ml)を加えて沈殿した固体を溶解し、この溶液をセライトのプラグを通してろ過し、このフィルターをすすぐのにDCMを用いた。このろ液を乾燥するまで蒸発させ、DCM(300ml)に再溶解させ、再度取り除いた。この操作を2回反復した。この泡状の固体を高真空下に3時間おいた。表題化合物の収量は、38.3g(理論値の101%)であった。
【化60】

【0222】
(実施例9)
【化61】


実施例8の生成物38.3g、推定0.106m)をDCM(500ml)に溶解し、N−メチルモルホリン(27g、30ml、0.266m;2.5当量)、HOBt(17.3g、0.128m;1.2当量)、及び実施例5の生成物(33.8g、0.112m;1.06当量)で逐次処理した。得られた不均一な溶液を氷浴中で+4℃まで冷却し、EDC(22.5g、0.117m;1.1当量)で一度に処理した。この反応混合物を次の4時間、及び次いでさらに18時間にわたって撹拌して周囲温度まで加温させた。この溶媒を取り除き、残渣を酢酸エチル(1.2L)に溶解し、飽和炭酸水素塩水溶液(2×250ml)、水(250ml)、ブライン(300ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した。この溶液をろ過し、乾燥するまで蒸発させると、薄橙色の粘性油76g(>>100%)が残った。この粗生成物をシリカゲルによるフラシュクロマトグラフィー(Biotage 75L、酢酸エチル/メタノール(3%)混合物中で)によって精製した。純粋な生成物を含む分画を合わせ、蒸発させて、54gの表題化合物(収率83%)を得た。
【化62】

【0223】
(実施例10)
【化63】


下の氷冷した、トリフルオロ酪酸エチル(15g、89mmol)及びギ酸エチル(36mL、444mmol)のTHF(200mL)溶液に、1M KOtBuのTHF溶液(107mmol、107mL)を25分間にわたって添加した。15分後氷浴を取り外し、この反応混合を室温で1時間撹拌した。次いで、追加のギ酸エチル(18mL、222mmol)を加え、反応混合物を一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、この残渣を冷エーテル(100mL)と冷水(300mL)の間に分配させた。水相のpHを濃HClで2に調整した。この生成物をジクロロメタン(1×100mL、45×75mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をブライン(1×100mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮して、粘性の油として表題化合物10.2g(58.5%)を得て、静置した後固化した。MS(m/z)=198(M+H)
【0224】
(実施例11)
【化64】


下の、実施例10の生成物(10g、51mmol)及びジエチルグアニジン硫酸塩(8.3g、25.2mmol)のEtOH(60mL)溶液に、NaOEtの21%EtOH溶液(20.7mL、55.5mmol)を10分間にわたり添加した。次いでこの反応混合物を5時間還流加熱した。この不均一な溶液を冷却し、冷水(100mL)中に注いで、均一な溶液をを得た。この溶液のpHを濃HCl及び1N HClでほぼ3.5に調整した。固体が溶液から沈殿し、これをろ過によって収集した。この薄褐色の固体を水で洗浄し、空気乾燥して、2.9g、(23%)の表題化合物を得た。
【化65】

【0225】
(実施例12)
【化66】


フラスコに実施例11の生成物(2.0g、8.02mmol)、DIEA(1.5mL、8.83mmol)、DMAP(.98g、0.8mmol)、及びジクロロメタン(30mL)を投入した。この混合物を0℃に冷却し、トリフルオロ酢酸無水物(1.5mL、8.83mmol)を添加した。この反応は均一になり、0℃で3時間撹拌した。この混合物を飽和NaHCOでクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。この有機相を0.2Nクエン酸で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、真空中で濃縮して、茶色の固体として2.87g(94%)の表題化合物を得た。
【化67】

【0226】
(実施例13)
【化68】


下の、実施例12の生成物(1.3g、3.5mmol)、H−Phe(p−NO)OtBu(1.1g、4.2mmol)及びDIEA(0.9mL、5.3mmol)のCHCN(14mL)溶液を一晩還流加熱した。翌日、追加のH−Phe(p−NO)OtBu(0.8g、3mmol)を添加し、還流を3日間継続した。次いで、この反応混合物を冷却し、濃縮した。この残渣をEtOAc(50mL)に溶解し、有機部分を0.5N KHSO(3×50mL)、水(1×50mL)、ブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、茶色がかったガムまで濃縮した。この粗製物質をフラシュクロマトグラフィー(5:1ヘキサン/EtOAc)で精製して、金色のガムとして640mg(38%)の表題化合物を得た。
【化69】

【0227】
(実施例14)
【化70】


実施例13の生成物(635mg、1.27mmol)を無水EtOH(5mL)に溶解し、これに35mgのPd/C(10重量%)を添加した。この反応を2.5時間水素化(45psiのH)にかけ、この時間に50mgのPd/C(10重量%)を添加し、反応混合物を再度水素化(45psiのH)に一晩かけた。この反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、ろ液を濃縮して、452mg(76%)の表題化合物を得た。
【化71】

【0228】
(実施例15)
【化72】


下の、実施例14の生成物(598mg、1.28mmol)、2−クロロ−3−ニトロピリジン(243mg、1.53mmol)、及びDIEA(0.67mL、3.83mmol)のEtOH(5mL)溶液を還流加熱した。翌日、この反応を冷却し、追加の2−クロロ−3−ニトロピリジン(40mg、0.25mmol)及びDIEA(0.11mL、0.60mmol)を添加し、この反応を1日間還流加熱した。次いでこの反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(20mL)に溶解した。有機相を水(2×20mL)で洗浄した。合わせた水性洗浄液をEtOAc(2×10mL)で逆抽出した。合わせた有機抽出物を0.2Nクエン酸(3×20mL)、水(1×10mL)、飽和NaHCO(3×20mL)、ブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、ストリップして橙色のガムを得た。粗生成物を4:1ヘキサン/EtOAc(R=0.14)で溶離するフラシュクロマトグラフィーで精製して、赤色の油として610mg(81%)の表題化合物を得た。
【化73】

【0229】
(実施例16)
【化74】


実施例15の生成物(610mg、1.03mmol)の無水EtOH(5mL)溶液に、60mgのPd/C(10重量%)を添加した。この混合物を一晩水素化(45psiのH)にかけた。翌日、この反応混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を濃縮して、500mg(87%)の表題化合物を得た。
【化75】

【0230】
(実施例17)
【化76】


実施例16の生成物(141mg、0.250mmol)及びCDI(62mg、0.378mmol)のCHCl(3mL)溶液を一晩撹拌した。翌日、追加のCDI(30mg、0.185mmol)を添加し、この反応をもう一日撹拌した。次いで、反応混合物を濃縮し、EtOAc(10mL)に溶解し、有機部分を0.2Nクエン酸(3×5mL)、水(1×5mL)、飽和NaHCO(3×5mL)、ブライン(1×5mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮して、泡として表題化合物69mg(47%)を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化77】

【0231】
(実施例18)
【化78】


実施例17の生成物(67mg、0.114mmol)及びKCO(150mg、0.457mmol)のアセトン(1mL)溶液にMeI(21μL、0.343mmol)を添加した。この懸濁液を室温で一晩撹拌した。次いでこの反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(5mL)に溶解した。有機部分を水(3×10mL)、ブライン(1×10mL)で洗浄し、乾燥し(MgSO)、ろ過し、濃縮して、透明な油として69mg(100%)の表題化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化79】

【0232】
(実施例19)
【化80】


実施例18の生成物(69mg、0.115mmol)をギ酸(2ml)に溶解し、この溶液を40℃で一晩温めた。この反応混合物を濃縮して、褐色の固体として55mg(88%)の表題化合物を得た。
【化81】

【0233】
(実施例20)
【化82】


4,6−ジクロロ−5−アミノピリミジン(5.0g、30.7mmol)のDMSO(30mL)溶液に、NaS・9HO(7.4g、30.8mmol)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物に水(40mL)を加え、この溶液を減圧下でほぼ6mLまで蒸発させた。この溶液に濃HCl(0.5mL)及び水を加えて、この生成物を沈殿させた。この溶液をろ過し、橙色の固体を水で洗浄し、乾燥して、4.3g(86%)の表題化合物を得た。
【化83】

【0234】
(実施例21)
【化84】


濃NH0H(4mL)中に溶解した実施例20の生成物(4.3g、26mmol)にEtOH(40mL)を添加した。この溶液に、ラネーニッケル(過剰な)を分割して添加した。この反応を室温で一晩撹拌し、次いで80℃に2時間加熱した。この混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を濃縮した。この粗生成物をEtOAc/ヘキサンを用いてシリカによるフラシュクロマトグラフィーで精製して、黄色の固体として1.6g(47%)の表題化合物を得た。
【化85】

【0235】
(実施例22)
【化86】


MeOH(20mL)及びHOAc(0.5mL)中の実施例21の生成物(0.51g、3.9mmol)にCHCHO(0.52mL、9.2mmol)を添加した。次いで、NaBHCN(590mg、9.2mmol)を一度に添加した。この反応を室温で一晩撹拌し、追加のHOAc、CHCHO、及びNaBHCNを添加した。この反応を一晩撹拌し、濃縮し、残渣をEtOAc及び飽和NaHCO中に溶解した。この分離された水層をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機層を乾燥し、残渣まで濃縮した。この残渣をMeOHに溶解し、上記のようにHOAc、CHCHO及びNaBHCNで処理した。上記の後処理手順に従って、この粗生成物をEtOAc/ヘキサンを用いてシリカによるフラシュクロマトグラフィーで精製して、黄色の油として0.35g(57%)の表題化合物を得た。
【化87】

【0236】
(実施例23)
【化88】


DMF(1mL)に溶解した実施例22の生成物70mg、0.45mmol)に、TEA(93μL)及びイソニコチノイルクロライド(0.12g、0.67mmol)を添加した。この反応混合物を室温で2日間撹拌し、次いで、EtOAc及び飽和NaHCOに分配させた。分離した水層をEtOAcで逆抽出した。合わせた有機層を乾燥し、濃縮して、67mg(57%)の表題の化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化89】


注:H NMRは、すべてのピークの幅の広さが証明するように、回転異性体の証拠を示している。MS(m/z):MH=263。
【0237】
(実施例24)
【化90】


実施例23の生成物(0.11g、0.42mmol)及び実施例8の生成物(0.135g、0.38mmol)のIPA(2.5ml)溶液に、DIEA(0.35ml、1.9mmol)を添加した。この反応混合物を密閉チューブ中で130℃で2日間撹拌した。この粗製混合物を濃縮し、この油を、CHCl中の0〜10%MeOHの溶媒グラジエントを有するフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、油として表題化合物を得た。
【化91】

【0238】
(実施例25)
【化92】


実施例24の生成物(7.6mg、0.013mmol)をCHCl(0.1ml)及びTFA(0.05ml)に溶解した。この反応を室温で一晩撹拌し、次いで濃縮して、表題化合物を得た。
【化93】

【0239】
(実施例26)
【化94】


2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(3.5g、18.1mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(3.2mL、18.1mmol)のTHF(30mL)冷溶液に、L−4’−ニトロフェニルアラニンt−ブチルエステル(4.84g、18.1mmol)のTHF(15mL)溶液をカニューレを介して添加した。添加が完了した後、この混合物を0℃で30分間撹拌した。ジエチルアミン(3.0mL、29.0mmol)を添加し、この反応を室温で18時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を0.5N HCl(100mL)に溶解した。この混合物をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO、水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、真空中で濃縮した。この残渣を酢酸エチル/ヘキサンを用いてシリカによるフラシュクロマトグラフィーで精製して、白色固体として5.9g(70%)の表題化合物を得た。
【化95】

【0240】
(実施例27)
【化96】


実施例26の生成物(10.75g、23mmol)の酢酸エチル(200mL)溶液に、10重量%のPd/C(0.81g)を添加した。撹拌しながら、フラスコを15分間ハウスバキュームに連結した。フラスコを隔膜でキャップし、バルーンを介して水素ガスを勢いよく流し、水素雰囲気下で4時間撹拌した。この混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、透明の油として9.87g(98%)の表題の化合物を得た。この生成物をさらなる精製はせずに使用した。
【化97】

【0241】
(実施例28)
【化98】


実施例27の生成物(0.46g、1.1mmol)及び2−クロロ−3−ニトロピリミジン(0.2g、1.3mmol)のエタノール溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.4ml、2.3mmol)を添加した。この反応混合物を18時間還流加熱し、次いで室温まで冷却した。混合物を真空下濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。この溶液を0.2Nクエン酸、水、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空下で濃縮して、表題化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化99】

【0242】
(実施例29)
【化100】


実施例28の生成物(0.1g、0.17mmol)のエタノール溶液に10重量%のPd/C(0.01g)を添加した。この反応混合物を真空排気し、バルーンを介して水素を急激に流し、水素雰囲気下で1時間撹拌した。この反応混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を真空中で濃縮して、表題化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化101】

【0243】
(実施例30)
【化102】


ジクロロメタン(3mL)中の実施例29の生成物(0.075g、0.14mmol)及びカルボニルジイミダゾール(0.05g、0.31mmol)を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空中で濃縮して、表題化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化103】

【0244】
(実施例31)
【化104】


実施例30の生成物(0.02g、0.037mmol)のアセトン(3mL)溶液に、CsCO(0.05g、0.15mmol)及びヨードメタン(20μL、0.33mmol)を添加した。この反応を30分間撹拌し、真空下で濃縮し、残渣をジクロロメタン及び水に分配した。有機部分を集め、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空中で濃縮して、表題化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化105】

【0245】
(実施例32)
【化106】


実施例31の生成物(0.9g、1.6mmol)のエタノール(10mL)及び酢酸エチル(10mL)溶液に10重量%のPd/C(0.15g)を添加した。この反応混合物を18時間水素化し(55psiのH)、セライトを通してろ過し、真空中で濃縮した。残渣をエタノール(5mL)及びアセトン(5mL)に溶解した。酸化白金(0.09g)及び数滴の氷酢酸を添加し、この反応混合物を18時間水素化した(55psiのH)。この混合物をセライトを通してろ過し、ろ液を真空下で濃縮した。残渣をジクロロメタンに溶解し、飽和NaHCOで洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空下で濃縮した。この残渣をトルエンに溶解し、真空下で濃縮して、表題化合物を得た。この残渣のH NMR分析は、この生成物は残留する酢酸を含んでいないことを証明している。
【化107】

【0246】
(実施例33)
【化108】


0℃の、実施例32の生成物(0.38g、0.66mmol)のピリジン(3mL)溶液にメタンスルホニルクロライド(0.3mL、3.9mmol)を添加した。この反応を室温で一晩加温させ、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、0.2Nクエン酸、水、飽和NaHCO、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空中で濃縮して、表題化合物を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化109】

【0247】
(実施例34)
【化110】


実施例33の生成物(0.05g、0.077mmol)をギ酸に溶解し、40℃に18時間加熱した。この反応混合物を真空中で濃縮して、表題化合物を得た。
【化111】

【0248】
(実施例35)
【化112】


MeOH(7mL)中の2,4−ジクロロ−5−ニトロピリミジン(2.0g、10.3mmol)に、N下0℃でNaOMe(MeOH中0.5M、25mL)を滴下した。添加が完了した後、反応混合物を0℃で15分間撹拌した。次いで、ジエチルアミン(5mL)を添加し、この混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、残渣をEtOAcとHOの間に分配した。有機層を乾燥し、残渣まで濃縮し、これをEtOAc/ヘキサンを用いてシリカによるフラシュクロマトグラフィーで精製して、オフホワイトの固体として表題化合物を得た(1.1g、4.9mmol、収率47%)。
【化113】

【0249】
(実施例36)
【化114】


MeOH/EtOAc(1:1、20mL)中の実施例35の生成物(1.1g、4.9mmol)を、Pd/C(5% degussa社、0.5g)及びH(50psi)によりParrシェーカー中で一晩還元した。この反応混合物をろ過し、このろ液を減圧下で濃縮して、固体として表題化合物を得た(0.85g、4.3mmol、収率88.5%)。
【化115】

【0250】
(実施例37)
【化116】


CHCl(15mL)及びTEA(1.4mL、10mmol)中の実施例36の生成物(0.85g、4.3mmol)に、イソニコチニルクロライドHCl塩(1.13g、6.3mmol)を添加した。15分後、TLCは、出発材料はないことを示した。この混合物をEtOAcと飽和NaHCOの間に抽出した。水層をEtOAcで2回洗浄した。合わせた有機層を飽和NaHCO及びブラインで洗浄した。これをMgSOで乾燥し、ろ過した。このろ液を濃縮して、茶色の固体として表題化合物を得た(1.3g、4.3mmol、収率100%)。
【化117】

【0251】
(実施例38)
【化118】


THF(1mL)中の実施例37の生成物(100mg、0.33mmol)に、KOtBu(THF中1M、0.5mL)を徐々に、続いてEtI(40μL、0.5mmol)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。TLCは、この出発材料の消失を示していた。この混合物をEtOAcとHOの間に分配した。水層をEtOAcで洗浄した。合わせた有機層を飽和NaHCO及びブラインで洗浄した。これを乾燥し、濃縮して、表題化合物(90mg、0.27mmol、83%)を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化119】

【0252】
(実施例39)
【化120】


DMF(4mL)中の実施例38の生成物(200mg、0.61mmol)にEtSNa(66mg、0.79mmol)を添加し、反応混合物を100℃で1時間加熱した。LC/MSは、出発材料が依然として存在することを示した。別の部分のNaSEt(66mg、0.79mmol)を添加し、この反応をさらに2時間加熱した。LC/MSは、生成物のみであることをを示した。減圧下でDMFを除去し、HO(10mL)、続いて濃HCl(0.132mL)を加えた。溶媒を蒸発させると残渣が残った。これをEtOHに溶解し、ろ過した。ろ液を濃縮して、表題化合物(190mg、100%)を得て、さらなる精製はせずに使用した。
【化121】

【0253】
(実施例40)
【化122】


室温の、POCl(3mL)中の実施例39の生成物(70mg、0.22mmol)に、ジエチルアニリン(30μL)を添加した。この反応混合物を100℃に30分間加熱した。次いで、これを濃縮した。この残渣をEtOAcとHOの間に分配した。有機層をHOで2回洗浄した。次いで、これを乾燥し、濃縮して、表題化合物(50mg、0.15mmol、68%)を得て、さらなる精製はせずに次に反応に使用した。HPLC/MS:MH=334。
【0254】
(実施例41)
【化123】


実施例40の生成物(50mg、0.15mmol)及び実施例8の生成物(60mg、0.17mmol)のIPA(0.75mL)溶液に、DIEA(0.15mL、0.8mmol)を添加した。この反応混合物を130℃で7日間密閉チューブ中で撹拌した。この粗製混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC及びシリカゲルフラシュクロマトグラフィーで精製して、多少のシリカで汚染されたオフホワイトの固体(10mg)を得た。この固体に0.5mLのHCOOHを添加し、この反応を40℃で一晩加熱した。次いで、この酸を除去し、残渣を分取HPLCで精製して、表題化合物(3.4mg、0.0057mmol、3.8%)を得た。
【化124】

【0255】
(生物学的実施例)
(実施例A)
候補化合物のVLA−4への結合性を決定するin vitroアッセイ
候補化合物のαβインテグリンへの結合性を評価するために、1つのin vitroアッセイを使用した。このアッセイで結合する化合物は、従来のアッセイ(例えば、競合的アッセイ)によって生物学的試料中のVCAM−1濃度を評価するために使用することができる。このアッセイは、約1nMほどの低いIC50値に感度がある。
【0256】
αβインテグリンの活性は、可溶性VCAM−1と、Jurkat細胞(例えば、American Type Culture Collection No.TIB 152、TIB 153、及びCRL 8163)、高濃度のαβインテグリンを発現するヒトT細胞系との相互作用によって測定された。VCAM−1は、αβインテグリン依存的にこの細胞の表面と相互作用する(Yednockら、J.Biol.Chem.、1995、270巻:28740)。
【0257】
組み換え型可溶性VCAM−1は、N末端上にVCAM−1の7つの細胞外ドメイン及びC末端上にヒトIgG重鎖定常領域を含むキメラ融合タンパク質として発現される。このVCAM−1融合タンパク質は、上記Yednockにより記載された方法で製造及び精製した。
【0258】
Jurkat細胞は、上記Yednockにより記載されたように、10%ウシ胎児血清、ペニシリン、ストレプトマイシン及びグルタミンを補充したRPMI 1640中で成長させた。
【0259】
Jurkat細胞を、1.5mM MnCl及び5μg/mLの15/7抗体と共に、氷上で30分間インキュベートした。Mn+2はこの受容体を活性化して、リガンドとの結合を促進し、15/7は、αβインテグリンの活性化/リガンドの占有配置を認識するモノクローナル抗体であり、この分子をこの配置にロックして、VCAM−1/αβインテグリン相互作用を安定化させる(上記Yednockら)。この15/7抗体に類似した抗体が、他の研究者によって調製されており(Luqueら、1996、J.Biol.Chem.271巻:11067)、このアッセイで使用し得る。
【0260】
次いで、細胞を、標準5点連続希釈を用いて66μM〜0.01μMの範囲の種々の濃度の候補化合物と共に、室温で30分間インキュベートした。15μLの可溶性組み換え型VCAM−1融合タンパク質をJurkat細胞に加え、氷上で30分間インキュベートした(上記Yednockら)。
【0261】
次いで、細胞を2回洗浄し、PE標識ヤギF(ab’)抗マウスIgG Fc(Immunotech社、Westbrook、メイン州)中に1:200で再懸濁させ、氷上で暗中30分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、上記Yednockらに記載されたように、標準的な蛍光活性細胞ソーター(「FACS」)分析法で分析した。
【0262】
約15gM未満のIC50を有する化合物は、αβへの結合親和性を有する。
【0263】
このアッセイで試験した場合、上記実施例で調製された各化合物は、15μM以下のIC50を有するか、又は有することが予想される(或いは、in vivoで活性であることが予想される)。
【0264】
(実施例B)
候補化合物のαβへの結合性を決定するin vitro飽和アッセイ
以下の事項は、次の実施例に記載の実験的自己免疫性脳脊髄炎(「EAE」)モデル、又は他のin vivoモデルで、化合物が活性であるのに必要な血漿濃度を決定するin vitroアッセイを説明する。
【0265】
対数増殖Jurkat細胞を洗浄し、20μg/mlの15/7抗体(上記の実施例に記載の)を含む正常な動物血漿中に再懸濁させる。
【0266】
このJurkat細胞を、標準的な曲線のための標準的12点連続希釈法を用いた、66μM〜0.01μMの範囲の種々の濃度の既知の量の候補化合物を含む正常な血漿試料中か、又は候補化合物で処理した動物の末梢血から得られた血漿試料中に2倍に希釈する。
【0267】
次いで、細胞を室温で30分間インキュベートし、2%ウシ胎児血清及びそれぞれ1mMの塩化カルシウム及び塩化マグネシウム(アッセイ媒体)を含むリン酸塩緩衝生理食塩水(「PBS」)で2回洗浄して、非結合15/7抗体を除去する。
【0268】
次いで、この細胞を、試験される動物種からの5%血清でコインキュベーションすることによって、任意の非特異的交差反応性のために吸着されている、フェコエリトリン標識ヤギF(ab’)抗マウスIgG Fc(Immunotech社、Westbrook、メイン州)に1:200で暴露し、暗中4℃で30分間インキュベートする。
【0269】
細胞をアッセイ媒体で2回洗浄し、同じものに再懸濁させる。次いで、これらを、Yednockら、J.Biol.Chem.、1995、270巻、28740に記載されたように、標準的な蛍光活性化細胞ソーター(「FACS」)分析法で分析した。
【0270】
次いで、このデータを蛍光量対用量、例えば、通常の用量−応答の形でグラフ化する。この曲線の上部プラトーになる用量レベルは、あるin vivoモデルで効力を得るのに必要な濃度を表す。
【0271】
このアッセイは、αβに最も密接に関連するインテグリンであるαβなどの他のインテグリンの結合部位を飽和させるのに必要な血漿濃度を決定するのにも使用し得る(Palmerら、1993、J.Cell Bio.、123巻、1289)。このような結合性は、一例として、慢性喘息によって起こる気道の過剰応答及び閉塞、アテローム性動脈硬化症における平滑筋細胞増殖、血管形成術後の血管閉塞、繊維化症及び腎疾患の結果としての糸球体瘢痕化、大動脈弁狭窄、慢性関節リウマチにおける滑膜の肥大、及び潰瘍性大腸炎及びクローン病の進行によって起こる炎症及び瘢痕化を含む、αβインテグリンによって媒介される炎症状態に対するin vivo有用性を予測するものである。
【0272】
したがって、上記のアッセイは、αβインテグリンの結合性を測定するために、Jurkat細胞の代わりにαインテグリンをコードするcDNAでトランスフェクトされたヒト結腸癌細胞系、SW 480(ATTC #CCL228)で実施してもよい(Yokosakiら、1994、J.Biol.Chem.、269巻、26691)。対照として、他のα及びβサブユニットを発現する、SW480細胞を使用し得る。
【0273】
本発明の他の態様は、哺乳動物の患者における疾患を治療する方法であって、この疾患がαβによって媒介され、本発明の化合物の治療有効量を前記患者に投与することを含む方法を対象とする。このような化合物は、好ましくは、上記に記載された薬剤組成物で投与される。有効な1日当たりの投薬量は、患者の年齢、体重、状態により決まり、この要素は担当臨床医により容易に確認することができる。しかし好ましい実施形態では、この化合物は、約20〜500μg/kg・日が投与される。
【0274】
(実施例C)
In vivo評価
標準的な多発性硬化症モデルである、実験的自己免疫性(又はアレルギー性)脳脊髄炎(「EAE」)が、ラット又はモルモットにおける運動障害を軽減するための候補化合物の効果を決定するために使用される。運動障害の軽減は、白血球と内皮の間の接着をブロックすることに基づき、候補化合物の抗炎症性活性と相関する。このモデルは、Keszthelyiら、Neurology、1996、47巻、1053〜1059によって以前に記載されており、疾患の発症の遅延を測定する。
【0275】
成体Hartley guinia pigの脳及び脊髄を、同体積のリン酸塩緩衝生理食塩水中でホモジナイズした。同体積のフロイントの完全アジュバント(100mg結核菌プラス10mlフロイントの不完全アジュバント)をこのホモジネートに添加した。この混合物を蠕動ポンプを備えた20mlの注入器を通して約20分間繰り返して循環させることによって乳化した。
【0276】
雌性Rewis rat(齢2〜3ヵ月、170〜220g)又はHartley guinia pig(齢20日、180〜200g)をイソフランで麻酔し、それぞれが0.1mlのエマルジョンの3つの注射をそれぞれの側腹部にした。運動障害の発症がほぼ9日に見られる。
【0277】
候補化合物の治療を8日目、症状を発症の直前に開始した。化合物を皮下に(「SC」)、経口で(「PO」)又は腹腔内に(「IP」)投与した。用量は、日に2回、5日間10mg/kg〜200mg/kg、典型的な用量としては、10〜100mg/kg SC、10〜50mg/kg PO、及び10〜100mg/kg IPの範囲で与えた。
【0278】
症状の発症を遅延させる、αβインテグリンに対する抗体GG5/3(Keszthelyiら、Neurology、1996、47巻、1053〜1059)を、正の対照として使用し、8日及び11日に、皮下に3mg/kgで注射した。
【0279】
体重及び運動障害を、毎日測定した。運動障害を、以下の臨床スコアで格付けした。
0 変化なし
1 尾の脱力又は麻痺
2 後肢の脱力
3 後肢の麻痺
4 瀕死又は死亡
【0280】
候補化合物は、症状の発症を遅延し、例えば、2以下の臨床スコアをもたらすか又は対照に比較して体重減少を遅延させた場合は、活性であるとみなされる。
【0281】
(実施例D)
喘息モデル
αβインテグリンによって媒介される炎症状態には、例えば、慢性喘息によって起こる気道の過剰応答及び閉塞が含まれる。以下の事項は、喘息を治療するのに使用する本発明の化合物in vivoの効果を調査するために使用することができる喘息モデルを説明している。
【0282】
Abrahamら、J.Clin.Invest、93巻、776〜787(1994)及びAbrahamら、Am J.Respir Crit Care Med、156巻、696〜703(1997)(これらの両方は、その全体が参照により援用される)の手順に従って、本発明の化合物を、エアロゾルに配合し、ブタ回虫抗原に過敏であるヒツジに投与する。初期の抗原誘発性気管支応答を低下させ、且つ/又は後期の気道応答をブロックする、例えば、抗原誘発性後期応答及び気道の過剰応答(「AHR」)に対する保護作用を有する化合物は、このモデルで活性であると考えられる。
【0283】
吸入したブタ回虫抗原に対して初期の及び後期気管支応答を発現することが明らかにされたアレルギー性ヒツジを、候補化合物の気道への作用を調査するのに使用する。2%リドカインによる鼻腔の局所的麻酔に続いて、バルーンカテーテルを一方の鼻孔を通して食道下部中に進める。次いで、この動物に、他方の鼻孔を通して、折り返しのある気管内チューブをガイドとしてフレキシブルな光ファイバー気管支鏡と共に挿管する。
【0284】
胸腔内圧をAbraham(1994)に従って予測する。エアロゾル(以下の製剤を参照)は、アンダーセンカスケードインパクターで測定して3.2μmの質量中央空気力学的径を有するエアロゾルを供給する使い捨て医薬ネブライザを用いて作製した。ネブライザを、ソレノイド弁及び圧縮空気源(20psi)からなる薬量計システムに接続する。ネブライザの出口をプラスチックのT部品に導き、その一方の端は、ピストン呼吸器の吸気口に接続する。この呼吸器の吸気サイクルの始めに、ソレノイド弁を1秒間作動させる。エアロゾルを500mlのV及び20回の息/分の速度で供給する。0.5%炭酸水素ナトリウム溶液のみのものを対照として使用する。
【0285】
気管支の応答性を評価するために、カルバコールに対する累積濃度−応答曲線をAbraham(1994)に従って作成することができる。治療開始の前後及び抗原暴露の24時間後に気管支の生検を採取することができる。気管支の生検はAbraham(1994)に従って実施することができる。
【0286】
肺胞マクロファージのin vitro接着試験も、Abraham(1994)に従って実施して、接着細胞の割合を計算することもできる。
【0287】
エアロゾル製剤
候補化合物の30.0mg/mLの濃度の0.5%炭酸水素ナトリウム/生理食塩水(重量/体積)溶液を、以下の手順を用いて調製する。
【0288】
A.0.5%炭酸水素ナトリウム/生理食塩水原液溶液の調製:100.0mL
【表6】


手順:
1.100mL容積フラスコ中に0.5gの炭酸水素ナトリウムを加える。
2.ほぼ90.0mLの生理食塩水を加え、溶解するまで超音波処理する。
3.100.0mLとなるまで生理食塩水を加え、十分混合する。
【0289】
B.30.0mg/mLの候補化合物の調製:10.0mL
【表7】


手順:
1.10.0mL容積フラスコに0.300gの候補化合物を加える。
2.ほぼ9.7mLの0.5%炭酸水素ナトリウム/生理食塩水原液溶液を加える。
3.候補化合物が完全に溶解するまで超音波処理する。
4.10.0mLとなるまで0.5%炭酸水素ナトリウム/生理食塩水原液溶液を加え、十分混合する。
従来の経口製剤を用いると、本発明の化合物は、このモデルで活性であろう。
【0290】
(実施例E)
同種移植片モデル
炎症性細胞の浸潤に関連する、同種移植片拒絶は、長期の同種移植片の生存に対する主な障害である。細胞表面接着分子は、in vitroにおける同種異系抗原認識を促進し、in vivoにおけるリンパ球輸送に対して重大な意味を持ち得る。以下の事項は、同種移植片拒絶の制御における、本発明の化合物のin vivo作用を研究するために使用することができるモデルを説明する。
【0291】
以下の手順は、Coitoら、Transplantation(1998)65(6):699〜706及びKoromら、Transplantation(1998)65(6):854〜859(これらの両方は、その全体を参照により援用する)に記載されている。
【0292】
Coito及びKoromに記載の手順に従って、このモデルに体重がほぼ200〜250gの雄性成体ラットを使用する。Lewis X Brown Norway ratからの心臓同種移植片のレシピエントとしてLewis ratを使用する。心臓を標準的な微小血管技術を用いて腹部大血管に移植する。
【0293】
候補化合物を、この移植の日に始まる7日過程の治療の間、適当な薬剤担体中で移植片レシピタントに投与する。用量は、0.3〜30mg/kg/日の範囲である。対照のレシピエントは、この薬剤担体のみを受ける。このラットを安楽死させ、これらの心臓同種移植片をCoito及びKoromに記載されたように解析する。
【0294】
従来の製剤を用いると、本発明の化合物はこのモデルで活性である。
【0295】
(実施例F)
候補化合物のαβへの結合性を決定するin vitro飽和アッセイ
以下の事項は、次の実施例に記載の実験的自己免疫性脳脊髄炎(「EAE」)モデル、又は他のin vivoモデルで、化合物が活性であるのに必要な血漿濃度を決定するin vitroアッセイを説明する。
【0296】
対数増殖Jurkat細胞を洗浄し、20μg/mlの15/7抗体(上記の実施例に記載の)を含む正常な動物血漿中に再懸濁させる。
【0297】
このJurkat細胞を、標準的な曲線のための標準的な12点連続希釈法を用いて、66μM〜0.01μMの範囲の種々の濃度の既知の量の候補化合物を含む正常な血漿試料中か、又は候補化合物で処理した動物の末梢血から得られた血漿試料中に2倍に希釈する。
【0298】
次いで、細胞を室温で30分間インキュベートし、2%ウシ胎児血清及びそれぞれ1mMの塩化カルシウム及び塩化マグネシウム(アッセイ媒体)を含むリン酸塩緩衝生理食塩水(「PBS」)で2回洗浄して、非結合15/7抗体を除去する。
【0299】
次いで、この細胞を、試験する動物種からの5%血清でコインキュベーションすることによって、任意の非特異的交差反応性のために吸着されている、フェコエリトリン標識ヤギF(ab’)抗マウスIgG Fc(Immunotech社、Westbrook、メイン州)に1:200で暴露し、暗中4℃で30分間インキュベートする。
【0300】
細胞をアッセイ媒体で2回洗浄し、同じものに再懸濁させる。次いで、これらを、Yednockら、J.Biol.Chem.、1995、270巻、28740に記載されたように、標準的な蛍光活性化細胞ソーター(「FACS」)分析法で分析した。
【0301】
次いで、このデータを蛍光量対用量、例えば、通常の用量−応答の形でグラフ化する。種々の希釈率の試験試料により発生した蛍光量を、標準曲線から測定することによって、血中での化合物の濃度を決定することができる。化合物の半減期、及びこの曲線の上部プラトーの濃度に維持するのに必要な投与の頻度を決定することができ、この濃度は、あるin vivoモデルで効力を得るのに必要な濃度を表す。
【0302】
(実施例G)
ラットにおけるアジュバント誘発関節炎
アジュバント誘発関節炎(「AIA」)は、Lewis ratの尾の基部に結核菌(M.tubeculosis)を注射することによって誘発される慢性関節リウマチ(RA)の研究に有用な動物モデルである。注射後10から15日の間に、動物は重症の進行性関節炎を発現する。
【0303】
一般に、化合物がラットにおけるアジュバント誘発浮腫から生じる後足膨潤及び骨障害を変えるその能力について試験する。AIAから生じる後足膨潤の阻害を定量化するために、炎症の2つの相が定義されている:(1)一次及び二次の注射をした後足、及び(2)二次の注射をしていない後足(これは、一般に注射した足における炎症の誘発から約11日目に発現し始める)。後者のタイプの炎症の減少は、免疫抑制活性の指標である。Chang、Arth.Rheum.、20、1135〜1141(1977)参照。
【0304】
AIAなどのRAの動物モデルを用いて、疾患の初期段階に関与する細胞の事象を研究することが可能になる。マクロファージ及びリンパ球におけるCD44の発現は、アジュバント関節炎の初期発生の間に上方調節され、一方、LFA−1の発現は、疾患の進行の後期に上方調節される。アジュバント関節炎の初期の段階における接着分子と内皮の間の相互作用を理解することにより、RAの治療に使用される方法の有意の進歩がもたらされるはずである。
【0305】
本発明を種々の具体的な及び好ましい実施形態及び技術を参照して説明してきた。しかし、本発明の精神及び範囲内に留まったままで、多くの変形形態及び修正形態を加えることができるものと解される。
【0306】
(参考文献)
以下の文献、特許及び特許出願(そのあるものは、上付き数値で本出願に引用されている)は、あたかも、それぞれの文献、特許又は特許出願は、その全体が参照により援用されると具体的に及び個々に示されているのと同じように、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0307】


【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】


[式中、
Aは、−H、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、又は基−C(X)D(R)Zであり、ここで、Dは、炭素原子(置換アリール又は置換ヘテロアリールの一部の場合)、CH、N又はOであり、ここで、Dが酸素の場合は、Zは存在せず、
Zは、−H、−NO、ハロアルキル又は基−N(YR)Rであり、ここで、Yは、共有結合、−C(O)−又は−SO−であり、Rは、R1’、N(R1’、又は−OR1’であり、ここで、各R1’は、独立に、水素、置換されていてもよい直鎖若しくは分枝C〜Cアルキル、置換されていてもよいシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい複素環又は置換されていてもよいヘテロアリールであり、ここで、このような置換には、ハライド、C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキルがあり、及びRは、水素又はR1’であり、
Xは、酸素、硫黄、CHR及びNRからなる群から選択され、ここで、Rは、−H、アルキル又は置換アルキルであり、
は、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、又は置換複素環であり;或いは
D、R及びZは、一緒になって複素環又は置換複素環基を形成し、ここで、前記基は、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み;或いは
X、D及びRは、D及びXを持つ炭素原子と一緒になって置換されていてもよい炭素環基又は置換されていてもよい複素環基を形成し、ここで、前記複素環基は、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、
及びRは、Rに結合する窒素原子及びRに結合している炭素原子と一緒になって複素環又は置換複素環基を形成し、ここで、前記基は、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、
は、アミノ、置換アミノ、アルコキシ、置換アルコキシ、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、アリールオキシ及び置換アリールオキシ、及び−OHからなる群から選択され、
nは、0又は1〜4の整数であり、
Qは、式V
【化2】


(式中、Gは、置換されていてもよいアリール又は0〜3個の窒素を含む置換されていてもよいヘテロアリール5員又は6員環であり、Rは、−H、アルキル、置換アルキル、又は−CHC(O)Rであり、但し、Rは、−OH、−OR、又は−NHRであり、ここで、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール又は置換アリールである)の基であり、
21、R22、R23、及びR24は、独立に、水素、−C〜Cアルキル、−OC〜Cアルキル及びハロゲンからなる群から選択される]
の化合物又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項2】
及びRが、Rに結合する窒素原子及びRに結合している炭素原子と一緒になって、複素環又は置換複素環基を形成することができ、前記基が、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、或いは
及びRが、Rに結合する窒素原子及びRに結合している炭素原子と一緒になって、複素環又は置換複素環基を形成することができ、前記基が、O、N、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、水素又は置換アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素或いはアミノ、アミノカルボニル、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、又はアミノアルコキシアルコキシアルキルで置換されたアルキルである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】

【化3】


[式中、
及びRが、これらがそれぞれ結合している炭素原子及び窒素原子と一緒になって、アリール、シクロアルケニル、ヘテロアリール又は複素環基中に少なくとも5個の原子を有するアリール、シクロアルケニル、ヘテロアリール又は複素環基を形成し、ヘテロアリール及び複素環基の場合は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよいか、又はさらに含み、且つヘテロアリール又は複素環基が単環式であり、
各アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール又は複素環基が、置換可能ないずれかの環原子上で、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールオキシアリール、置換アリールオキシアリール、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオ複素環、置換チオ複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−複素環、−OS(O)−置換複素環、−OSO−NRR(ここで各Rは、独立に、水素又はアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−複素環、−NRS(O)−置換複素環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−複素環、−NRS(O)−NR−置換複素環(ここでRは、水素又はアルキルである)、−N[S(O)−R’]及び−N[S(O)−NR’](各R’は、独立に、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環及び置換複素環からなる群から選択される)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】

【化4】


[式中、
及びRは、これらがそれぞれ結合する窒素原子及び炭素と一緒になって、シクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環基中に少なくとも5個の原子を有するシクロアルキル、シクロアルケニル又は複素環基を形成し、複素環基の場合は、酸素、窒素及び硫黄からなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子を含んでいてもよいか、又はさらに含み、且つ複素環基が単環式であり、
各アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロアリール又は複素環基は、置換可能ないずれかの環原子上で、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アミノ、置換アミノ、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノアシル、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、アリールオキシアリール、置換アリールオキシアリール、シアノ、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オキソ、カルボキシル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオ複素環、置換チオ複素環、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルキルオキシ、置換シクロアルキルオキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、−OS(O)−アルキル、−OS(O)−置換アルキル、−OS(O)−アリール、−OS(O)−置換アリール、−OS(O)−ヘテロアリール、−OS(O)−置換ヘテロアリール、−OS(O)−複素環、−OS(O)−置換複素環、−OSO−NRR(ここで各Rは、独立に、水素又はアルキルである)、−NRS(O)−アルキル、−NRS(O)−置換アルキル、−NRS(O)−アリール、−NRS(O)−置換アリール、−NRS(O)−ヘテロアリール、−NRS(O)−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−複素環、−NRS(O)−置換複素環、−NRS(O)−NR−アルキル、−NRS(O)−NR−置換アルキル、−NRS(O)−NR−アリール、−NRS(O)−NR−置換アリール、−NRS(O)−NR−ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−置換ヘテロアリール、−NRS(O)−NR−複素環、−NRS(O)−NR−置換複素環(ここでRは、水素又はアルキルである)、−N[S(O)−R’]及び−N[S(O)−NR’](ここで各R’は、独立に、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環及び置換複素環からなる群から選択される)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい]
の請求項1に記載の化合物。
【請求項7】

【化5】


[式中、R13は、−H、又は基−C(O)OR13’であり、ここで、R13’は、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアリール、又は置換されていてもよいヘテロアリール基である]
の請求項1に記載の化合物。
【請求項8】

【化6】


[式中、Rは、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、ヘテロアリール及び置換ヘテロアリールからなる群から選択される]
を有する、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項9】
が水素又は置換アルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素或いはヒドロキシ、ハロゲン、アミノ、アミノカルボニル、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、又はアミノアルコキシアルコキシアルキルで置換されたアルキルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
Yが−SO−であり、
が、フェニル又は少なくとも1個の窒素原子を有する5員又は6員ヘテロアリール基であり、これらのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキル、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノ(C〜C)アルキル、C〜Cアシル、C〜Cアシルアミノ、或いはアミノ(C〜C)アシルで置換されていていてもよい、
請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
Yが−SO−であり、
が、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノ、アミノ(C〜C)アルキル、C〜Cアシル、C〜Cアシルアミノ、或いはアミノ(C〜C)アシルで置換されていてもよいピリジルである、
請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
Yが−SO−であり、
が、C〜Cアルキル、ヒドロキシ、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、ニトロ、トリフルオロメチル、アミノ、或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいピリジルである、
請求項8に記載の化合物。
【請求項14】

【化7】


[式中、
11は、−H、−NH、−NHC〜Cアルキル又は−NC〜Cジアルキルであり、
12は、−H、−NO、ハロアルキル又は−N(YR)Rであり、ここで、
Yは、−C(O)−又は−SO−であり、
は、アルキル、置換アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、ヘテロアリール又は置換ヘテロアリールであり、
は、水素、アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、シクロアルケニル、置換シクロアルケニル、複素環、置換複素環、置換アルキル、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、又は置換ヘテロアリールである]
を有する、請求項1に記載の化合物又は薬剤として許容されるその塩。
【請求項15】
が、水素又は置換アルキルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項16】
が、水素或いはアミノ、ヒドロキシ、アミノカルボニル、C〜Cアルコキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、ヒドロキシ(C〜C)アルキルアミノカルボニル、又はアミノアルコキシアルコキシアルキルで置換されたアルキルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
11が、アミノ或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノであり、
12が、−H、−NO又はハロアルキルである、
請求項14に記載の化合物。
【請求項18】
11が、アミノ或いはモノ−又はジ(C〜C)アルキルアミノであり、
12が、−N(YR)Rであり、ここで、
Yが、−SO−又は−CO−であり、
が、
ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジC〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいC〜Cアルキル、或いは
フェニル又は少なくとも1つの窒素を含む5員又は6員ヘテロアリールであり、これらのそれぞれが、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、C〜Cシクロアルキル、アミノ、ニトロ、トリフルオロメチル、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよく、
が、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cシクロアルキルである、
請求項14に記載の化合物。
【請求項19】
が、
ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよいC〜Cアルキル、或いは
ピリジル又はピリミジニル(これらのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシ、C〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、アミノ、又はモノ−若しくはジ(C〜C)アルキルアミノで置換されていてもよい)であり、
が、水素、C〜Cアルキル、又はC〜Cシクロアルキルである、
請求項14に記載の化合物。
【請求項20】
(S)−2−(2−(ジエチルアミノ)−5−(N−イソプロピルメタン−5−イルスルホンアミド)ピリミジン−4−イルアミノ)−3−(4−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−(2−(ジエチルアミノ)−5−(N−イソプロピルアセトアミド)ピリミジン−4−イルアミノ)−3−(4−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸;
2−(ベンジルオキシカルボニル)−3−(4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸(S)−tert−ブチル;
2−(2−(ジエチルアミノ)−5−ニトロピリミジン−4−イルアミノ)−3−(4−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸(S)−tert−ブチル;
(S)−2−((R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボキサミド)−3−(4−(1−(2−(2−メトキシエチルアミノ)−2−オキソエチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−(2−(ジエチルアミノ)−5−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピリミジン−4−イルアミノ)−3−(4−(1−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸;
2−(3−(4−((S)−3−tert−ブトキシ−2−((R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボキサミド)−3−オキソプロピル)フェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−1−イル)酢酸;
2−((R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボキサミド)−3−(4−(1−(2−(4−ニトロフェノキシ)−2−オキソエチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸(S)−tert−ブチル;
2−((R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボキサミド)−3−(4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸(S)−tert−ブチル;
2−アミノ−3−(4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸(S)−tert−ブチル;
(S)−2−((R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボキサミド)−3−(4−(2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−2−(5−(N−エチルイソニコチナミド)ピリミジン−4−イルアミノ)−3−(4−(2−オキソ−l,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)プロパン酸;
(S)−3−(4−(1−(2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エチル)−2−オキソ−1,2−ジヒドロイミダゾ[4,5−b]ピリジン−3−イル)フェニル)−2−((R)−5,5−ジメチル−3−(ピリジン−3−イルスルホニル)チアゾリジン−4−カルボキサミド)プロパン酸;
及び薬剤として許容されるこれらの塩
からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
薬剤として許容される賦形剤及び請求項1に記載の化合物を含む薬剤組成物。
【請求項22】
患者において少なくとも一部はα4インテグリンによって媒介される白血球結合によって引き起こされる又は悪化する病状を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項23】
阻害される、α4β1が結合する相互作用が、VCAM−1とのものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
阻害される、α4β1が結合する相互作用が、フィブロネクチンとのものである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記病状が、自己免疫疾患状態である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の化合物による治療が、炎症及びそれに続く自己免疫性反応に起因する組織障害を緩和する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記病状が、多発性硬化症、髄膜炎、脳炎、脳卒中、及び他の脳障害である、請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記病状が多発性硬化症である、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記病状が、喘息、成人呼吸窮迫症候群及び急性白血球媒介肺障害からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記病状が喘息である、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記病状が慢性関節リウマチである、請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記病状が、結節性紅斑、アレルギー性結膜炎、視神経炎、ブドウ膜炎、アレルギー性鼻炎、強直性脊椎炎、乾癬性関節炎、血管炎、ライター症候群、全身性紅斑性狼蒼、進行性全身性硬化症、多発性筋炎、皮膚筋炎、ウェーグナー肉芽腫症、大動脈炎、サルコイドーシス、リンパ球減少症、側頭動脈炎、心膜炎、心筋炎、うっ血性心不全、結節性多発動脈炎、過敏症症候群、アレルギー、過好酸性症候群、チャーグ−ストラウス症候群、慢性閉塞性肺疾患、過敏性肺炎、慢性活動性肝炎、間質性膀胱炎、自己免疫性内分泌不全、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性再生不良性貧血、慢性持続性肝炎及び甲状腺炎からなる群から選択される炎症性状態である、請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記病状がシェーグレン病である、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記病状がクローン病である、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記病状が炎症性腸疾患である、請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記病状が潰瘍性大腸炎である、請求項22に記載の方法。
【請求項37】
αβ阻害剤と併用して請求項1に記載の化合物を含む薬剤組成物。
【請求項38】
患者において少なくとも一部はα4インテグリンによって媒介される白血球結合によって引き起こされる又は悪化する病状を治療する方法であって、請求項1に記載の化合物の有効量及びαβ阻害剤の有効量を同時投与することを含む方法。
【請求項39】
炎症がVLA−4によって媒介される、哺乳動物の患者における炎症を治療する方法であって、薬剤として許容される賦形剤及び請求項1に記載の化合物の薬剤有効量を含む薬剤組成物を前記患者に投与する方法。

【公表番号】特表2008−540686(P2008−540686A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512589(P2008−512589)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/019708
【国際公開番号】WO2006/127584
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(503007313)イーラン ファーマスーティカルズ、インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】