説明

VLA−4アンタゴニスト

本発明の置換N−[N−(スルホニルフェニル)スルホニル−プロリル]−フェニルアラニン誘導体はVLA−4インテグリンのアンタゴニストであり、VLA−4結合並びに細胞接着および活性化が介在する疾患の治療、予防および抑制において有用である。さらに、本発明の化合物は、経口投与後にVLA−4坦持細胞の有意の受容体占有を示し、1日1回、2回もしくは3回経口投与に適する。本発明はこのような化合物を含有する組成物およびこのような化合物を用いる治療方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
VLA−4(「最晩期抗原−4(very late antigen−4)」;CD49d/CD29;もしくはα4β1)は、血小板および成熟好中球を除き、樹状細胞およびマクロファージ様細胞を含む全ての白血球上に発現するインテグリンであり、これらの細胞型の細胞−細胞および細胞−マトリックス相互作用の鍵介在物である。VLA−4のリガンドには、血管細胞接着分子−1(VCAM−1)、フィブロネクチン(FN)のCS−1ドメインおよびマトリックスタンパク質、オステオポンチンが含まれる。VLA−4とこのリガンドとの相互作用を阻害する中和抗−α4抗体もしくはブロッキングペプチドが、喘息、多発性硬化症、炎症性腸疾患、多発性骨髄腫および関節リウマチを含む疾患の幾つかの動物モデルにおいて予防的および治療的の両者で有効であることが示されている。
【0002】
α4に対するヒト化モノクローナル抗体、ナタリズマブ(Tysabri(登録商標)、Elan/Biogen)は多発性硬化症(D.H.Miller et al.,New England Journal of Medicine,348,15(2003))およびクローン病(S.Ghosh et al.New England Journal of Medicine,348,23(2003))の治療において効力を示している。喘息、関節炎、多発性硬化症およびクローン病を治療するための早期臨床試験にも幾つかのVLA−4アンタゴニストが存在する。
【0003】
ナタリズマブを用いる早期臨床試験において、リンパ球増加症(VLA−4機能の遮断の代理マーカー)および>80%受容体占有が観察された。小分子VLA−4アンタゴニストが、皮下投与に続く多発性硬化症の動物モデルであるラットの実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)アッセイにおいて機能的活性を示すことが報告された(D.R.Leone et al.,J.Pharmacol.Exper.Therap.,305,1150(2003))。この化合物はリンパ球増加症を誘発し、および解離速度(オフ速度)が遅く、これがVLA−4坦持細胞上での有意および持続的な受容体占有を生じることが示された。受容体占有、リンパ球増加症およびこの原稿に記述されるEAEモデルにおける効力の間には正の相関が存在していた。
【0004】
Jurkat細胞上のVLA−4からの解離(オフ速度)が遅いことが示されている一連のイソニコチニル−L−アミノフェニルアラニン誘導体がG.Doherty et al.,Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters,13,1891(2003)に報告された。しかしながら、さらに特徴付けられたこの化合物は、非常に乏しい薬物動力学的特性、例えば、低い経口バイオアベイラビリティ、中程度から高度の血漿クリアランスおよび短い半減期を示しており、これらはこれを経口投与に不適切なものとする。本発明の化合物は、経口投与を許容するのに十分な時間、受容体占有を達成および維持することが可能な、VLA−4の強力なアンタゴニストである。
【発明の開示】
【0005】
発明の要旨
本発明の置換N−[N−(スルホニルフェニル)スルホニル−プロリル]−フェニルアラニン誘導体誘導体は、VLA−4インテグリンのアンタゴニストであり、VLA−4結合並びに細胞接着および活性化が介在する疾患の治療、予防および抑制において有用である。さらに、本発明の化合物は、経口投与後にVLA−4坦持細胞の有意の受容体占有を示し、1日1回、2回もしくは3回経口投与に適する。本発明はこのような化合物を含有する組成物およびこのような化合物を用いる治療方法にも関する。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は式Iの化合物
【0007】
【化6】

(式中、
XおよびYは、(1)C1−3アルキル、(2)ハロゲンおよび(3)C1−3アルコキシから独立して選択され;
ZはNもしくはNO−であり;
は、(1)水素、(2)C1−10アルキル、(3)−(C1−10アルキル)−アリール、(4)−(C1−10アルキル)−O−C1−10アルキル、(5)−(C1−10アルキル)−OC(O)−C1−10アルキル、(6)−(C1−10アルキル)−OC(O)−アリールおよび(7)−(C1−10アルキル)−OC(O)O−C1−10アルキルから選択され;ここで、アルキルはRから独立して選択される1から3個の置換基で場合により置換され、およびアリールはRから独立して選択される1から3個の置換基で場合により置換され;
は水素もしくはメチルであり;
およびRは、(1)水素、(2)C1−10アルキル、(3)−OR、(4)−NR、(5)−NRS(O)、(6)−NRC(O)R、(7)−NRC(O)ORおよび(8)−NRC(O)NRから独立して選択され、ここで、アルキルはRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;または
およびRはこれらが結合している炭素原子と共に、O、SおよびN−Rから独立して選択される0から2個のさらなるヘテロ原子を含む、5から7員の単環式環を形成し、該環はRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;
は(1)C1−10アルキルおよび(2)アリールから選択され;
は(1)水素、(2)ハロゲンおよび(3)−ORから選択され;
は、(1)−OR、(2)−NRS(O)、(3)−NO、(4)ハロゲン、(5)−S(O)、(6)−SR、(7)−S(O)OR、(8)−S(O)NR、(9)−NR、(10)−O(CRNR、(11)−C(O)R、(12)−CO、(13)−CO(CRCONR、(14)−OC(O)R、(15)−CN、(16)−C(O)NR、(17)−NRC(O)R、(18)−OC(O)NR、(19)−NRC(O)OR、(20)−NRC(O)NR、(21)−CR(N−OR)、(22)CF、(23)−OCF、(24)C3−8シクロアルキルおよび(25)ヘテロシクリルから選択され;ここで、シクロアルキルおよびヘテロシクリルはRから独立して選択される1から3個の基で場合により置換され;
は、(1)Rから選択される基、(2)C1−10アルキル、(3)C2−10アルケニル、(4)C2−10アルキニル、(5)アリールおよび(6)−(C1−10アルキル)−アリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールはRから独立して選択される基から選択される1から3個の置換基で場合により置換され;
は、(1)ハロゲン、(2)アミノ、(3)カルボキシ、(4)C1−4アルキル、(5)C1−4アルコキシ、(6)アリール、(7)−(C1−4アルキル)−アリール、(8)ヒドロキシ、(9)CF、(10)OC(O)C1−4アルキル、(11)−CNおよび(12)−SO1−10アルキルであり;
およびRは、水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、CyおよびCy−C1−10アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびCyはRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;または
およびRはこれらが結合している原子と共に、O、SおよびN−Rから独立して選択される0から2個のさらなるヘテロ原子を含む、4から7員の複素環を形成し;ここで、該環はRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;
およびRは水素、C1−10アルキル、CyおよびCy−C1−10アルキルから独立して選択され;または
およびRはこれらが結合している炭素と共に、酸素、イオウおよび窒素から独立して選択される0から2個のヘテロ原子を含む5から7員の環を形成し;
は、Rおよび−C(O)Rから選択され;
Cyは、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
各々のmは、独立して、0、1または2であり;並びに
各々のnは、独立して、1、2、3または4である。)
またはこれらの医薬的に許容される塩を提供する。
【0008】
式Iの一態様において、XおよびYの一方はハロゲンであり、他方はハロゲン、C1−3アルキルおよびC1−3アルコキシから選択される。この態様の一下位集合において、XおよびYの一方はクロロであり、他方はクロロまたはメトキシである。別の下位集合においては、XおよびYは各々クロロである。
【0009】
式Iの別の態様において、Rは水素、C1−4アルキル、−(C1−4アルキル)OC(O)−C1−4アルキルもしくは−(C1−4アルキル)OC(O)−C1−4アルキルである。一下位集合においてはRは水素であり、別の下位集合においてはRはC1−4アルキルである。
【0010】
式Iの別の態様において、Rは水素であり、およびRはNRである。
【0011】
式Iの別の態様において、RはNRであり、およびRは水素である。
【0012】
式Iの一態様は式Iaの化合物
【0013】
【化7】

(式中、
ZはNまたはNO−であり;
は、水素、C1−10アルキル、−(C1−4アルキル)−アリール、−(C1−4アルキル)−O−C1−4アルキルおよび−(C1−4アルキル)−OC(O)−C1−4アルキルから選択され;
はC1−4アルキルおよびフェニルから選択される。)
またはこれらの医薬的に許容される塩を提供する。
【0014】
代表的な式Iの化合物は以下のものおよびこれらの医薬的に許容される塩である。
【0015】
【化8】

【0016】
【化9】

(式中、RはHまたはエチルである。)
【0017】
式Iの別の態様は式Ibの化合物
【0018】
【化10】

(式中、
ZはNまたはNO−であり;
は水素およびC1−4アルキルから選択され;
はC1−4アルキルおよびフェニルから選択され;並びに
は水素であり、およびRはNRでありまたはRはNRであり、およびRは水素である。)またはこの医薬的に許容される塩を提供する。この態様の一下位集団において、RまたはRの一方は水素であり、およびRまたはRの他方は、C1−6アルキルアミノ、C3−6シクロアルキルアミノおよび
【0019】
【化11】

(式中、kは0から3である。)
からなる群より選択される。この下位集団のうちで、RまたはRの一方は水素であり、およびRまたはRの他方は、シクロブチルアミノ、tert−ブチルアミノおよびピペリジノからなる群より選択される。
【0020】
本発明の別の側面において、哺乳動物に有効量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳動物において細胞接着が介在する疾患、障害、状態または症状を予防または治療するための方法を提供する。この側面は、哺乳動物において細胞接着が介在する疾患、障害、状態または症状を治療するための医薬の製造における式Iの化合物の使用を含む。一実施形態において、該疾患または障害は喘息、アレルギー性鼻炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、多発性硬化症、アテローム性動脈硬化、炎症性腸疾患、関節リウマチ、臓器移植、急性白血病および鎌状赤血球貧血から選択される。
【0021】
別の側面において、本発明は、哺乳動物に治療上有効な量の式Iの化合物を投与することを含む、哺乳動物においてVLA−4の作用を妨害するための方法を提供する。
【0022】
本発明の別の側面は、式Iの化合物および医薬的に許容される坦体を含む医薬組成物を提供する。
【0023】
「アルキル」に加えて前置詞「アルク(alk)」を有する他の基、例えば、アルコキシ、アルカノイルは、直鎖もしくは分岐鎖またはこれらの組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。
【0024】
「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含み、および直鎖もしくは分岐鎖またはこれらの組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、イソプロペニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、1−プロペニル、2−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル等が含まれる。
【0025】
「アルキニル」は、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含み、および直鎖もしくは分岐鎖またはこれらの組み合わせであり得る炭素鎖を意味する。アルキニルの例は、エチニル、プロパルギル、3−メチル−1−ペンチニル、2−ヘプチニル等が含まれる。
【0026】
「シクロアルキル」は、各々3から10個の炭素原子を有する単環式もしくは二環式飽和炭素環式環を意味する。この用語は、結合点が非芳香族位置上にあるアリール基に融合した単環式環も含む。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニル等が含まれる。
【0027】
「アリール」は、炭素原子のみを含む単環式または二環式芳香族環を意味する。この用語は、結合点が芳香族位置上にある、単環式シクロアルキルもしくは単環式複素環基に融合したアリール基も含む。アリールの例には、フェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニル等が含まれる。
【0028】
「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環式または二環式芳香族環を意味し、各々の環は5から6個の原子を含む。ヘテロアリールの例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル等が含まれる。
【0029】
「ヘテロシクリル」は、N、SおよびOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む単環式または二環式飽和環を意味し、該環の各々は3から10個の原子を有し、結合点は炭素であっても窒素であってもよい。この用語は、結合点が非芳香族位置上にある、アリールまたはヘテロアリール基に融合する単環式複素環も含む。「ヘテロシクリル」の例には、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリル等が含まれる。この用語は、芳香族ではない部分的に不飽和の単環式環、例えば、窒素を介して結合する2−もしくは4−ピリドンまたはN−置換−(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N−置換ウラシル)も含む。
【0030】
「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0031】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
式Iの化合物は1つ以上の非対称中心を含み、したがって、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして生じ得る。本発明にはこのような式Iの化合物の全ての異性体形態が包含される。
【0032】
ここで説明される化合物の幾つかはオレフィン性二重結合を含み、他に指定されない限り、EおよびZ幾何異性体の両者がこれら化合物に含まれる。
【0033】
ここで説明される化合物の幾つかは異なる水素結合点を有して存在することができ、これは互変異性体と呼ばれる。このような例は、ケト−エノール互変異性体として知られるケトンおよびこのエノール形態であり得る。個々の互変異性体に加えてこれらの混合物が式Iの化合物に包含される。
【0034】
式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えば、MeOHもしくはEtOAcまたはこれらの混合液からの分画結晶化により、鏡像異性体のジアステレオマー対に分離することができる。このようにして得られる鏡像異性体の対は、通常の手段により、例えば、光学活性アミンを分離剤として用いることにより、またはキラルHPLCカラムにより個々の立体異性体に分離することができる。
【0035】
この代わりに、公知立体配置の光学的に純粋な出発物質または試薬を用いる立体特異的合成により、一般式IまたはIaの化合物のあらゆる鏡像異性体を得ることができる。
【0036】

「医薬的に許容される塩」という用語は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む、医薬的に許容される非毒性塩基または酸から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等が含まれる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩には、一級、二級および三級アミン、天然置換アミンを含む置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂の塩、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等が含まれる。
【0037】
本発明の化合物が塩基性であるとき、塩は無機および有機酸を含む医薬的に許容される非毒性酸から調製することができる。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸等が含まれる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が特に好ましい。
【0038】
ここで用いられる場合、式Iの化合物への言及は医薬的に許容される塩も含むことが理解される。
【0039】
有用性
VLA−4の作用に拮抗する式Iの化合物の能力は、VLA−4のそのリガンドへの結合によって誘発される症状、障害もしくは疾患の予防または逆転についてこれらを有用なものとする。したがって、これらのアンタゴニストは、細胞の活性化、移動、増殖および分化を含む、細胞接着プロセスを阻害する。したがって、本発明の別の態様は、哺乳動物に有効量の式Iの化合物を投与することを含む、VLA−4結合並びに細胞接着および活性化が介在する疾患または障害または症状を治療(予防、軽減、緩和または抑制を含む)するための方法を提供する。このような疾患、障害、状態または症状は、例えば、(1)多発性硬化症、(2)喘息、(3)アレルギー性鼻炎、(4)アレルギー性結膜炎、(5)炎症性肺疾患、(6)関節リウマチ、(7)敗血症性関節炎、(8)I型糖尿病、(9)臓器移植拒絶、(10)再狭窄、(11)自家骨髄移植、(12)ウイルス感染の炎症性後遺症、(13)心筋炎、(14)潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、(15)特定の型の毒性および免疫系腎炎、(16)接触性皮膚過敏症、(17)乾癬、(18)腫瘍転移、(19)アテローム性動脈硬化、(20)鎌状赤血球貧血、(21)特定の急性白血病、(22)様々なメラノーマ、カルチノーマおよびサルコーマ(多発性骨髄腫を含む);(23)急性呼吸困難症候群;(24)ブドウ膜炎;(25)循環器ショック;(26)肝炎および(27)慢性閉塞性肺疾患である。本発明の化合物は、例えばウマ、ネコ、イヌ、ウシおよびブタを含む、ヒト以外の哺乳動物における上記疾患、障害、状態または症状の治療に有用であり得る。本発明の化合物は、ウマにおける、通常ヒーブ(heaves)と呼ばれる、再発性気道閉塞の治療を含む、非ヒト哺乳動物におけるアレルギー関連またはアレルギー誘発呼吸器状態の治療にも有用であり得る。
【0040】
これらの疾患または障害における本発明の化合物の有用性は文献に報告されている動物疾患モデルにおいて示すことができる。以下はこのような動物疾患モデルの例である。i)実験的アレルギー性脳脊髄炎、多発性硬化症に似ているニューロン脱髄のモデル(例えば、T.Yednock et al.,Nature,356,63(1993)およびE.Keszthelyi et al.,Neurology,47,1053(1996)を参照);ii)喘息の様々なフェーズのモデルとしてのヒツジおよびモルモットにおける気管支応答性亢進(例えば、W.M.Abraham et al.,J.Clin.Invest.93,776(1993)およびA.A.Y.Milne and P.P.Piper,Eur.J.Pharmacol.,282,243(1995)を参照);iii)炎症性関節炎のモデルとしてのラットにおけるアジュバント誘導関節炎(C.Barbadillo et al.,Arthr.Rheuma.(Suppl.),36 95(1993)およびD.Seiffge,J.Rheumatol.,23,12(1996)を参照);iv)NODマウスにおける養子自己免疫糖尿病(J.L.Baron et al.,J.Clin.Invest.,93,1700(1994),A.Jakubowski et al.,J.Immunol.,155,938(1995)およびX.D.Yang et al.,Diabetes,46,1542(1997)を参照);v)臓器移植のモデルとしてのマウスにおける心臓同種移植片生存(M.Isobe et al.,Tranplant.Proc.,26,867(1994)およびS.Molossi et al.,J.Clin Invest.,95,2601(1995)を参照);vi)炎症性腸疾患の一形態であるヒト潰瘍性大腸炎に似ている、ワタボウシタマリン(cotton−top tamarins)における突発性慢性大腸炎(D.K.Podolsky et al.,J.Clin.Invest.,92,372(1993)を参照);vii)皮膚アレルギー反応のモデルとしての接触性過敏症(T.A.Ferguson and T.S.Kupper,J.Immunol.,150,1172(1993)およびP.L.Chisholm et al.,Eur.J.Immunol.,23,682(1993)を参照);viii)急性腎毒性腎炎(M.S.Mulligan et al.,J.Clin.Invest.,91,577(1993)を参照);ix)腫瘍転移(例えば、M.Edward,Curr.Opin.Oncol.,7,185(1995)を参照);x)実験的自己免疫甲状腺炎(R.W.McMurray et al.,Autoimmunity,23,9(1996)を参照);xi)ラットにおける動脈閉塞後の虚血性組織損傷(F.Squadrito et al.,Eur.J.Pharmacol.,318,153(1996)を参照);xii)アレルギー応答を弱めるVLA−4抗体による、IL−4およびIL−5を含むTH2 T−細胞サイトカイン産生の阻害(J.Clinical Investigation 100,3083(1997));xiii)VLA−4インテグリンに対する抗体は、霊長類およびマウスにおいて長期再増殖性細胞を集結させ、サイトカイン誘導結集を増強する(Blood,90 4779−4788(1997));xiv)鎌状網状赤血球はVCAM−1に接着する(Blood 85 268−274(1995)およびBlood 88 4348−4358(1996));xv)ケモカイン間質細胞誘導因子1はCS−1/フィブロネクチンおよびVCAM−1へのVLA−4インテグリン介在多発性骨髄異種細胞の接着を調節する(Blood,97,346−351 2001);xvi)抗−α4インテグリン抗体は多発性骨髄腫および関連骨破壊性骨溶解の発症を抑制する(Y.Mori et al.,Blood,104 2149−2154を参照)。
【0041】
用量範囲
式Iの化合物の予防または治療用量の多さは、もちろん、治療しようとする状態の性質および重篤性並びに用いられる式Iの化合物およびこの投与経路に従って変化する。この用量も個々の患者の年齢、体重および応答に従って変化する。一般に、1日用量範囲は、1回もしくは分割用量で、哺乳動物の体重kgあたり約0.001mgから約100mg、好ましくは、kgあたり0.01mgから約50mg、最も好ましくは、kgあたり0.1から10mgの範囲内にある。他方、幾つかの場合において、これらの限度外の投薬量を用いることが必要となり得る。
【0042】
静脈内投与用の組成物が用いられる用途について、適切な投薬量範囲は毎日体重kgあたり約0.01mgから約25mg(好ましくは、0.1mgから約10mg)の式Iの化合物である。
【0043】
経口組成物が用いられる場合において、適切な投薬量範囲は、例えば、毎日体重kgあたり約0.01mgから約100mgの式Iの化合物、好ましくは、kgあたり約0.1mgから約10mgである。
【0044】
舌下投与用の組成物が用いられる用途について、適切な投薬量範囲は毎日体重kgあたり0.01mgから約25mg(好ましくは、0.1mgから約5mg)の式Iの化合物である。
【0045】
喘息の治療について、式Iの化合物を、約0.1mg/kgから約100mg/kg、好ましくは、約1mg/kgから10mg/kgの用量で、経口/吸入/舌下/等により、1日1回、2回、3回等で用いることができる。この用量は1回1日用量として、または1日2回もしくは3回投与用に分割して投与することができる。
【0046】
多発性硬化症の治療について、式Iの化合物を、約0.1mg/kgから約100mg/kg、好ましくは、約1mg/kgから10mg/kgの用量で、経口/吸入/舌下/等により、1日1回、2回、3回等で用いることができる。この用量は1回1日用量として、または1日2回もしくは3回投与用に分割して投与することができる。
【0047】
炎症性腸疾患の治療について、式Iの化合物を、約0.1mg/kgから約100mg/kg、好ましくは、約1mg/kgから10mg/kgの用量で、経口/吸入/等により、1日1回、2回、3回等で用いることができる。この用量は1回1日用量として、または1日2回もしくは3回投与用に分割して投与することができる。
【0048】
関節リウマチの治療について、式Iの化合物を約0.1mg/kgから約100mg/kg、好ましくは、約1mg/kgから10mg/kgの用量で、経口/吸入/舌下/等により、1日1回、2回、3回等で用いることができる。この用量は1回1日用量として、または1日2回もしくは3回投与用に分割して投与することができる。
【0049】
医薬組成物
本発明の別の側面は、式Iの化合物および医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物を提供する。医薬組成物におけるような「組成物」という用語は、活性成分および担体を形成する不活性成分(医薬的に許容される賦形剤)を含有する製品の他に、2種類以上の成分の組み合わせ、複合体生成もしくは凝集から直接もしくは間接的に生じるまたは1種類以上の成分の解離から生じるまたは1種類以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から生じるあらゆる製品を包含することが意図される。したがって、本発明の医薬組成物は、式Iの化合物、追加活性成分および医薬的に許容される賦形剤を混合することによって製造されるあらゆる組成物を包含する。
【0050】
あらゆる適切な投与経路を、哺乳動物、特にヒトに有効投薬量の本発明の化合物を与えるのに用いることができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、目、肺、鼻等を用いることができる。投薬形態には錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾル等が含まれる。
【0051】
本発明の医薬組成物は活性成分としての式Iの化合物またはこれらの医薬的に許容される塩を含み、医薬的に許容される担体および場合により他の治療用成分を含むこともできる。「医薬的に許容される塩」という用語は、無機塩基または酸および有機塩基または酸を含む、医薬的に許容される非毒性塩基または酸から調製される塩を指す。
【0052】
所定の場合における最も適切な経路は処置される状態の性質および重篤性並びに活性成分の性質に依存するものの、これらの組成物には経口、舌下、直腸、局所、非経口(皮下、筋肉内および静脈内を含む)、眼(眼用)、肺(エアロゾル吸入)または鼻投与に適する組成物が含まれる。これらは単位投与形態で都合よく提示することができ、医薬技術分野において公知の方法のいずれによっても調製することができる。
【0053】
吸入による投与については、本発明の化合物は加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾル・スプレー提示の形態で都合よく送達される。これらの化合物は配合可能である粉末として送達することもでき、粉末組成物はガス注入粉末吸入装置の助けを借りて吸入することができる。吸入に好ましい送達システムは、適切な噴霧剤、例えばフルオロカーボンまたは炭化水素中の式Iの化合物の懸濁液または溶液として配合することができる秤量用量吸入(MDI)エアロゾルおよび追加賦形剤を含むまたは含まない式Iの化合物の乾燥粉末として配合することができる乾燥粉末吸入(DPI)エアロゾルである。
【0054】
式Iの化合物の適切な局所配合物には、経皮装置、エアロゾル、クリーム、軟膏、ローション、粉剤等が含まれる。
【0055】
実際の使用に置いて、式Iの化合物は、緊密な混合物中における活性成分として、医薬担体と、通常の医薬配合技術により組み合わせることができる。これらの担体は、投与(例えば経口または非経口投与(静脈内投与を含む))において望まれる製品の形態に依存して、広い範囲の様々な形態をとることができる。経口投薬形態のための組成物の調製において、通常の医薬媒体のいずれも使用することができる、例えば、経口用液体製品(例えば懸濁液、エリキシルおよび溶液など)の場合、水、グリコール、油、アルコール、香味料、保存料、着色料等、または経口用固体調製品(例えば、粉末、カプセルおよび錠剤)の場合、担体(例えば、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤等)を用いることができる。経口用固体調製品が液体調製品よりも好ましい。錠剤およびカプセルが、これらの投与が容易であるため、最も有利な経口投薬単位形態を代表する。この場合、固体医薬坦体が当然用いられる。所望であれば、錠剤を標準の水性または非水性技術によって被覆することができる。
【0056】
上述の通常の投薬形態に加えて、式Iの化合物は徐放手段および/または送達装置、例えば、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第3,630,200号および第4,008,719号に記載されるものによって投与することもできる。
【0057】
経口投与に適する本発明の医薬組成物は、個別の単位として、例えば、各々が予め決定された量の活性成分を含有するカプセル、カシューもしくは錠剤として、粉末もしくは顆粒として、または水性液体、非水性液体、水中油エマルジョンもしくは油中水液体エマルジョン中の溶液もしくは懸濁液として、提示することができる。このような組成物は製薬の方法のいずれによっても調製することができるが、全ての方法は活性成分を1種類以上の必要な成分を構成する坦体と会合させる工程を含む。一般に、これらの組成物は、活性成分を液体担体もしくは微細化固体担体またはこの両者と均一および緊密に混合し、次いで、必要であれば、この生成物を望ましい提示に成形することによって調製される。例えば、錠剤は、場合により1種類以上の補助成分と共に、圧縮もしくは成型することによって調製することができる。圧縮錠は、適切な機械内で、場合により結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、表面活性剤または分散剤と混合された、自由流動形態にある活性成分、例えば粉末もしくは顆粒を圧縮することによって調製することができる。成型錠は、適切な機械内で、不活性液体希釈剤で加湿した粉末化化合物の混合物を成型することによって製造することができる。望ましくは、各々の錠剤は約1mgから約500mgの活性成分を含有し、各々のカシューもしくはカプセルは約1から約500mgの活性成分を含有する。
【0058】
以下は式Iの化合物の代表的な医薬投薬形態の例である。
【0059】
【表1】

【0060】
エアロゾル 容器あたり
式Iの化合物 24mg
レシチン、NF濃縮液 1.2mg
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g
【0061】
組み合わせ療法
式Iの化合物は、式Iの化合物が有用である疾患もしくは状態の治療/予防/抑制または緩和において用いられる他の薬剤と組み合わせて用いることができる。このような他の薬物はこれらに通常用いられる経路および量で、式Iの化合物と同時にまたは連続的に投与することができる。式Iの化合物を1種類以上の他の薬物と同時に用いるとき、このような他の薬物を式Iの化合物に加えて含有する医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて1種類以上の他の活性成分をも含有するものが含まれる。別々にまたは同じ医薬組成物において投与される、式Iの化合物と組み合わせることができる他の活性成分の例には、限定されるものではないが、以下が含まれる。(a)他のVLA−4アンタゴニスト、例えば、US5,510,332、WO97/03094、WO97/02289、WO96/40781、WO96/22966、WO96/20216、WO96/01644、WO96/06108、WO95/15973およびWO96/31206に記載されるものに加えて、ナタリズマブ;(b)ステロイド、例えば、ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、デキサメタゾンおよびヒドロコルチゾン;(c)免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシンおよび他のFK−506型免疫抑制剤;(d)抗ヒスタミン(H1−ヒスタミンアンタゴニスト)、例えば、ブロモフェニラミン、クロルフェニラミン、デクスクロルフェニラミン、トリプロリジン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ジフェニルピラリン、トリペランナミン、ヒドロキシジン、メトジラジン、プロメタジン、トリメプラジン、アザタジン、シプロヘプタジン、アンタゾリン、フェニラミン、ピリラミン、アステミゾール、テルフェナジン、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスカルボエトキシロラタジン等;(e)非ステロイド抗喘息薬、例えば、β2−アゴニスト(テルブタリン、メタプロテレノール、フェノテロール、イソエタリン、アルブテロール、ビトルテロール、サルメテロールおよびピルブテロール)、テオフィリン、クロモリンナトリウム、アトロピン、臭化イプラトロピウム、ロイコトリエンアンタゴニスト(ザフィルルカスト、モンテルカスト、プランルカスト、イラルカスト、ポビルカスト、SKB−106、203)、ロイコトリエン生合成阻害剤(ジロイトン、BAY−1005);(f)非ステロイド抗炎症剤(NSAID)、例えば、プロピオン酸誘導体(アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン)、酢酸誘導体(インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、フェンクロジン酸、フェンチアザク、フロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、オクスピナク、スリンダク、チオピナク、トルメチン、ジドメタシンおよびゾメピラク)、フェナム酸誘導体(フルフェナム酸、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(ジフルニサルおよびフルフェニサル)、オキシカム(イソキシキカム、ピロキシカム、スドキシカムおよびテノキシカン)、サリチル酸塩(アセチルサリチル酸、スルファサラジン)およびピラゾロン(アパゾン、ベズピペリロン、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン);(g)シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤、例えば、セレコキシブ、ロフェコキシブおよびパレコキシブ;(h)IV型ホスホジエステラーゼ(PDE−IV)の阻害剤;(i)ケモカイン受容体、特には、CCR−1、CCR−2およびCCR−3のアンタゴニスト;(j)コレステロール低下剤、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シムバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよび他のスタチン)、金属イオン封鎖剤(コレスチラミンおよびコレスチポール)、ニコチン酸、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラト、フェノフィブレートおよびベンザフィブレート)およびプロブコール;(k)抗糖尿病薬、例えば、インシュリン、スルホニル尿素、ビグアニド(メトホルミン)、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボーズ)およびグリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、BRL49653等);(l)インターフェロンベータの調製品(インターフェロンベータ−1a、インターフェロンベータ−1b);(m)抗コリン作動薬、例えば、ムスカリンアンタゴニスト(イプラトロピウムおよびチアトロピウム);(n)プレドニゾロン、グラチラマー、デオキシアデノシン、ミトキサントロン、メトトレキセートおよびシクロホスファミドを含む、多発性硬化症の現在の治療;(o)p38キナーゼ阻害剤;(p)他の化合物、例えば、5−アミノサリチル酸およびこれらのプロドラッグ、抗代謝剤、例えば、アザチオプリンおよび6−メルカプトプリン並びに細胞毒性癌化学療法剤。
【0062】
式Iの化合物の第2活性成分に対する重量比は、変化させることができ、各々の成分の有効用量に依存する。一般に、各々の有効用量が用いられる。したがって、例えば、式Iの化合物をNSAIDと組み合わせるとき、式Iの化合物のNSAIDに対する重量比は、一般に約1000:1から約1:1000、好ましくは約200:1から約1:200の範囲をとる。式Iの化合物および他の活性成分の組み合わせは一般に前記範囲のうちにあるが、各々の場合において、各活性成分の有効用量を用いるべきである。
【0063】
プロドラッグ
本発明の化合物の幾つかはインビボで活性部分に変換されるプロドラッグである。例えば、Rがエチルであるとき、本発明の化合物はインビボで対応する酸に変換される。このようなプロドラッグは当該技術分野における通常の技術を有する者が容易に識別可能である。
【0064】
合成方法
以下のスキームおよび実施例において用いることができる略語には以下が含まれる。
4−DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;AcCN:アセトニトリル;BOC:tert−ブトキシカルボニル;BOC−ON:2−(tert−ブトキシカルボニルオキシイミノ)−2−フェニルアセトニトリル;BOP:ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;食塩水:飽和NaCl溶液;DIPEA:N,N−ジイソプロピルエチルアミン;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;Et:エチル;EtOAc:酢酸エチル;EtOH:エタノール;gまたはgm:グラム;hまたはhr:時間;HATU: O−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HBTU:O−(ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HOAc:酢酸;HOAt:1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;in vacuo:回転蒸発(rotoevaporation);Me:メチル;MeOH:メタノール;mg:ミリグラム;MHz:メガヘルツ;min:分;mL:ミリリットル;mmol:ミリモル;MSもしくはms:質量スペクトル;MsCl:塩化メタンスルホニル;Ph:フェニル;PhP:トリフェニルホスフィン;PyBOP:(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)−トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;rt:室温;TEA:トリエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフラン。
【0065】
本発明のメチルスルホン誘導化合物はスキーム1において説明される手順によって調製することができ、フェニルスルホン誘導化合物は実施例7および8において説明される手順によって調製することができる。スキーム1において、置換ピリジル−4−カルボン酸誘導体Aを塩化チエニルで処理してカルボン酸塩化物を作製し、次にこれを4−アミノ−(L)−フェニルアラニン誘導体と反応させてアミドBを得る。BにおけるN−BOC−保護基を強酸(TFAもしくはHCl)で除去し、遊離アミンCを得る。適切に置換された(L)−プロリンエステルDを塩基(DIPEAもしくはNaCO)の存在下において塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニルでスルホニル化してスルホンアミドEを得、エステル保護基を含む場合、水酸化物で処理して遊離酸を得る。アミンCおよび酸Eを適切なカップリング剤(例えば、PyBOP、HBTU/HOAt、Eの酸塩化物の予備作製等)の存在下で反応させ、アミドFを得る。F中のエステルは水酸化物(Rがn−もしくはi−アルキルである場合)またはTFAもしくはHCl(Rがtert−ブチルである場合)で加水分解し、酸Gを得ることができる。
【0066】
【化12】

【0067】
生物学的評価
式Iの化合物は、VLA−4坦持細胞上での有意なおよび持続的な受容体占有を有する、VLA−4の強力なアンタゴニストである。Jurkat細胞上のVLA−4からの試験化合物の解離速度は、G.Doherty et al.,Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,13,1891(2003)に記載される方法によって決定することができる。本発明の化合物はこのアッセイにおいて3時間を上回る解離の半減期(t1/2>3hr)を有しており、これら化合物がVLA−4の緊密な結合阻害剤であることを示している。
【0068】
ラットおよびイヌにおける経口投薬後のVLA−4受容体占有は、D.R.Leone et al.,J.Pharmacol Exper.Therap.,305,1150(2003)に記載される方法によって決定することができる。本発明の化合物は、経口投薬後に、持続した有意の受容体占有(>50%)を示す。
【0069】
本発明の化合物は以下の実施例において詳述される手順によって調製することができる。提供される実施例は本発明を説明するものであり、いかなる方法であってもこの範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0070】
参照例1
4−((3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ)−(L)−フェニルアラニン、エチルエスエル、塩酸塩
工程A:4−ニトロ−L−フェニルアラニン、エチルエステル、塩酸塩
【0071】
【化13】

【0072】
500mLの無水エタノールに、窒素の下、0℃で、塩化チオニル(21mL、0.29mol)を5分にわたって添加し、この透明溶液を0℃で10分間、次いで室温で30分間攪拌した。4−ニトロ−L−フェニルアラニン(50.2g、0.24mol)を一度に添加し、この混合物を一晩還流した。得られた混合物をin vacuoで濃縮し、標題の化合物(60g、92%)を白色固体として得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.21(d,2H),7.54(d,2H),4.39
(dd,1H),4.22(q,2H),3.24−3.40(m,2H),1.22(t,3H)。
【0073】
工程B:N−BOC−4−ニトロ−L−フェニルアラニン、エチルエステル
【0074】
【化14】

【0075】
塩化メチレン(1.5L)中の4−ニトロ−L−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(60g、0.22mol)の懸濁液に、窒素下で、トリエチルアミン(31mL)を添加した。室温で10分間攪拌した後、ジ−t−ブチルジカルボネート(49g、0.22mol)および4−ジメチルアミンピリジン(0.1g)を添加し、この反応物を室温で一晩攪拌した。この反応混合物を1N HCl(2×200mL)、HO(2×200mL)および食塩水(1×250mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥させて濾過し、濃縮して標題の化合物(78g、100%)を得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.14(d,2H),7.28(d,2H),4.30−4.65(m,1H),4.15(q,2H),3.00−3.30(m,2H),1.35(s,9H).1.20(t,3H)。
【0076】
工程C:N−BOC−4−アミノ−L−フェニルアラニン、エチルエステル
【0077】
【化15】

【0078】
エタノール(300mL)中のN−BOC−4−ニトロ−L−フェニルアラニンエチルエステル(78.3g、0.22mol)の溶液を窒素でパージし、10%パラジウム付着炭素(1.0g)を添加した。40から50psiで1時間水素化した後、反応混合物をCeliteを通して濾過し、ケークをEtOH、次いでEtOAcで洗浄した。濾液を濃縮し、残滓を4:1から1:1 EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物(60g、收率89%)を得た。H NMR(400MHz,CDCI3)δ6.90(d,2H),6.63(d,2H),4.20−4.50(m,lH),4.14(q,2H),3.76−3.00(m,2H),1.36(s,9H).1.20(t,3H)。
【0079】
工程D:N−BOC−4−((3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ)−L−フェニルアラニン、エチルエステル
【0080】
【化16】

【0081】
窒素フラッシュ処理500mL丸底フラスコに3,5−ジクロロ−イソニコチン酸(46.5g、0.24mol)、CHCl(150mL)、DMF(0.5mL)および塩化チオニル(20mL、33.9g、0.28mol)を投入した。このスラリーを5時間還流した後、さらなる塩化チオニル(5mL、0.70mol)およびCHCl(100mL)を添加し、この反応物をさらに45分間還流した。反応混合物を濃縮し、残滓をトルエンと共沸させて粗製塩化アシルを得、これを直ちに用いた。したがって、この粗製塩化アシルをCHCl(150mL)に溶解し、CHCl(400mL)中のN−BOC−4−アミノ−L−フェニルアラニンエチルエステル(60g、0.20mol)および4−メチルモルホリン(44mL、0.40mol)に0℃で5分にわたって添加した。0℃で1時間攪拌した後、反応を希NaHCO水溶液で停止させた。有機層を分離し、水層をCHCl(500mL)で抽出した。有機層を合わせ、無水MgSOで乾燥させてin vacuoで濃縮し、残滓を4:1から3:2 EtOAc/ヘキサンで溶出するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して標題の化合物(95g、收率100%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.60(s,2H),7.54(d,2H),7.20(d,2H),4.20−4.36(m,1H),4.10(q,2H),3.02−3.12(m,1H),),2.82−2.92(m,1H),1.34/1.30(s,9H).1.20(t,3H)。
【0082】
工程E:4−((3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ)−(L)−フェニルアラニン、エチルエスエル、塩酸塩
【0083】
【化17】

【0084】
EtOAc(1.2L)中のN−BOC−4−((3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ)−L−フェニルアラニンエチルエステル(95g、0.197mol)の溶液を塩化水素ガスの気流で2時間にわたって室温で処理した。生じる黄色懸濁液をヘキサン(250mL)で希釈し、0℃に冷却して濾過した。ケークをヘキサンで洗浄してin vacuoで乾燥させ、標題の化合物を黄色固体として得た(80g、98%)。
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.64(s,2H),7.66(d,2H),7.30(d,2H),4.28(dd,1H),4.25(q,2H),3.20(q,2H),1.26(t,3H)。
【0085】
参照例2
シス−オクタヒドロイソインドール−1−カルボン酸
【0086】
【化18】

【0087】
シス−N−BOC−オクタヒドロイソインドール−1−カルボン酸(18.6mmol)をジオキサン中の4M HCl(46.5mL)に室温で溶解した。1時間攪拌した後、TLCによって反応が完了したものと判定された。この反応混合物をin vacuoで濃縮し、EtO(2×70mL)と共に摩砕した後、in vacuoで乾燥させてシス−オクタヒドロイソインドール−1−カルボン酸(4.13g)を白色固体として得た。
500MHz H NMR(CDOD)δ4.40(d,J=5.5Hz,1H);3.39(m,1H);3.31(m,1H);2.70(m,1H);2.58;(m,1H);1.78−1.14(m,8H)。
【実施例1】
【0088】
(R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
【0089】
【化19】

【0090】
工程A:N−BOC−4(R)−シクロブチルアミノ−L−プロリン、メチルエステル
【0091】
【化20】

【0092】
塩化メチレン(800mL)中のN−BOC−シス−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル(60g、0.25mol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(100mL、0.57mol)の溶液に、−20℃で、無水トリフルオロメタンスルホン酸を45分にわたって添加した。−20℃でさらに45分間攪拌した後、シクロブチルアミン(55g、0.78mol)を一度に添加し、反応物を室温まで一晩暖めた。反応を1N NaOH(250mL)および飽和NaHCO水溶液(250mL)で停止させた。有機層を分離し、食塩水で洗浄して硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮し、残滓をCHCl、次いでEtOAc、次いで5%MeOH/EtOAcで溶出するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して標題の化合物(77g、100%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ4.8(brs,1H),4.24−4.32(m,1H),3.67/3.68(s,3H),3.56−3.64(m,1H),3.1−3.38(m,3H),2.12−2.21(m,2H),2.00−2.12(m,2H),1.54−1.82(m,4H),1.36/1.43(s,9H)。
【0093】
工程B:N−[N−BOC−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロピル]−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
CHCN(350mL)および水(150mL)中のN−BOC−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリンメチルエステル(77g、0.25mol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(21g、0.50mol)を添加し、この懸濁液を室温で一晩攪拌した。この反応混合物をCHCNで1Lの総容積に希釈し、0℃に冷却して濾過し、濾液をN−BOC−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリンのリチウム塩の溶液として得た。上記濾液の一部(484mL、0.22M、0.11mol)を濃縮し、残滓に水(1L)、CHCl(1L)、EDC(20.8g、0.11mol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(14.6g、0.11mol)および水(1L)中の4−((3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ)−(L)−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(39g、0.090mol)の溶液を添加した。この二相混合物を室温で4時間激しく攪拌した。有機層を分離し、水層をCHCl(0.5L)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濾過して濃縮し、残滓をEtOAc、次いでEtOAc/MeOH/NHOH(98:1:1)で溶出するシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して標題の化合物(48g、78%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.64(s,2H),7.57(d,2H),7.20−7.30(m,2H),4.80(brs,1H),4.58−4.70(m,1H),4.08−4.30(m,3H),3.56−3.64(m,1H),2.90−3.30(m,5H),3.00−3.08(m,1H),1.5−2.2(m,8H),1.22(brs,9H),1.2(t,3H)。
【0094】
工程C:N−[4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロピル]−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル、塩酸塩
【0095】
【化21】

【0096】
エタノール(300mL)中のN−[N−BOC−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロピル]−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステルの溶液にジオキサン(250mL)中の4M HClを添加した。室温で一晩攪拌した後、この透明黄色溶液を濃縮し、残滓をエーテル(1L)と共に摩砕した。得られた懸濁液を室温で2時間攪拌し、沈殿を濾過によって集めた。このケークをエーテルで洗浄し、乾燥させて標題の化合物(45.6g、收率100%)を得た。H NMR(400MHz,CDOD)δ8.86(d,1H),8.62(s,2H),7.58(d,2H),7.26(d,2H),4.80(brs,1H),4.70(m,1H),4.64(dd,1H),4.15(q,2H),3.80−3.95(m,3H),3.5(dd,1H),3.24(dd,1H),3.00(dd,1H),2.50−2.70(m,2H),2.20−2.40(m,4H),1.8−2.0(m,2H),1.22(t,3H)。
【0097】
工程D:N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
テトラヒドロフラン(80mL)および塩化メチレン(80mL)中のN−[4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロピル]−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(18g、30mmol)、塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニル(7.64g、30mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(50mg)の溶液に、0℃で、ジイソプロピルエチルアミン(21mL、0.12mol)を添加した。この反応物を室温まで3時間にわたって暖め、得られる混合物を濃縮した。残滓を酢酸エチル(400mL)に溶解して1N水酸化ナトリウムおよび食塩水で洗浄し、乾燥するまで濃縮した。残滓をメタノール中の2Nアンモニア/EtOAc(0から3%)を用いるシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物(21.4g、93%)を得た。
H ΝMR(500MHz,CDOD):δ8.63(s,2H),8.31(s,1H),8.23(m,2H),7.95(d,1H),7.80(t,1H),7.62(d,2H),7.32(d,2H),4.61(dd,1H),4.47(dd,1H),4.14(m,2H),3.68(dd,1H),3.57(m,1H),3.42(dd,1H),3.20(s,3H),3.21(m,1H),3.05(dd,1H),2.19(m,2H),1.94(m,1H),1.87(m,2H),1.73(m,2H),1.22(t,3H)。LC−MS:C33H37C12N5O8S2についての算出値,観測値 m/e766(M+H)(2.85分)。
【実施例2】
【0098】
【化22】

(R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン
40mLのアセトニトリル中のN−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル(実施例1の化合物、4.794g、6.378mmol)に15.93mLの1N NaOHを添加した。室温で2時間攪拌した後、反応を8mLの2N HClで停止させ、僅かに酸性の反応溶液を作製した。この反応物を450mLのTHF/EtOAc(1:3 v/v)で希釈し、水(100mL×2)で洗浄した。溶媒を蒸発させた後、残滓を100mLのアセトニトリルに溶解し、凍結乾燥して4.6g(99%)の標題の生成物を得た。
H NMR(500MHz,CDOD):δ8.62(s,2H),8.33(s,1H),8.20(d,1H),7.90(d,1H),7.76(t,1H),7.60(d,2H),7.34(d,2H),4.49(dd,1H),4.44(dd,1H),3.70(dd,1H),3.63(m,1H),3.52(m,1H),3.22(m,2H),3.20(s,3H),3.01(dd,1H),2.27(m,2H),1.97(m,2H),1.80(m,1H)。LC−MS:C31H33C12N5O8S2737についての算出値,観測値 m/e738(M+H)+(2.54分)。
【実施例3】
【0099】
【化23】

【0100】
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3(S)−tert−ブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
【0101】
工程A:N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3(S)−ヒドロキシ−(L)−プロリン、メチルエステル
30mLの水中の(3S)−ヒドロキシ−(L)−プロリン(Acros、1.223g、9.324mmol)および炭酸ナトリウム(2.08g、19.63mmol)の溶液に、0℃で、粉末化塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニル(2.5g、9.815mmol)を添加した。室温で一晩攪拌した後、反応混合物を濃塩酸(pH=3)で酸性化し、生成物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。この有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、濾過して乾燥するまで濃縮した。その後、残滓を塩化メチレン(10mL)およびメタノール(10mL)に溶解し、トリメチルシリルジアゾメタン(エタノール中2M)を0℃で黄色が残るまで添加した。室温で15分間攪拌した後、混合物を乾燥するまで濃縮し、標題の化合物(2.6g、77%)を得た。
LC−MS:C13H17NO7S2についての算出値 363、観測値 m/e 364(M+H)(2.1分)。
【0102】
工程B:N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3(S)−メタンスルホニルオキシ−(L)−プロリン、メチルエステル
24mLのジクロロメタン中のN−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3(S)−ヒドロキシ−(L)−プロリン、メチルエステル(2.6g、7.16mmol)の溶液に、0℃でトリエチルアミン(1.2mL、8.59mmol)および塩化メタンスルホニル(0.61mL、7.87mmol)を添加した。0℃で20分間攪拌した後、反応を30mLの重炭酸ナトリウム水溶液で停止した。15分間攪拌した後、この反応混合物を酢酸エチル(100mL)および重炭酸ナトリウム水溶液(50mL)に分配した。有機層を分離して食塩水で洗浄し、乾燥するまで濃縮して生成物(3.156g、99%)を得た。
LC−MS:C14H19NO9S3についての算出値 441、観測値 m/e 442(M+H)(2.5分)。
【0103】
工程C:N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−2,3−デヒドロプロリン、メチルエステル
24mLのアセトニトリル中のN−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3(S)−メタンスルホニルオキシ−(L)−プロリン、メチルエステル(3.156g、7.15mmol)の溶液にトリエチルアミン(3.985mL、28.6mmol)を添加した。75℃で4時間加熱した後、反応混合物を室温に冷却して濃縮した。残滓を酢酸エチル(100mL)に溶解して1N水酸化ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥するまで濃縮して標題の化合物(2.4g、97%)を得た。LC−MS:C13H15NO6S2についての算出値 345、観測値 m/e 346(M+H)(2.53分)。
【0104】
工程D:N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3−tert−ブチルアミノプロリン、メチルエステル
18mLのシクロヘキサンおよび6mLのtert−ブタノール中のN−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−2,3−デヒドロプロリン、メチルエステル(2.4g、6.95mmol)の懸濁液にtert−ブチルアミン(7.3mL、69.5mmol)を添加した。50℃で48時間加熱した後、反応混合物を室温に冷却して濃縮した。固体残滓をヘキサンと共に摩砕し、濾過によって集めて標題の化合物(1.63g、56%)を得た。H ΝMR(400MHz,CDOD):δ8.38(s,1H),8.22(d,1H),8.20(d,1H),7.87(dd,1H),3.99(d,1H),3.75(s,3H),3.50(m,3H),3.20(s,3H),2.17(m,1H),1.62(m,1H),0.97(s,9H)。LC−MS:C17H26Ν2O6S2418についての算出値,観測値 m/e419(M+H)+(2.0分)。
【0105】
工程E:N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3−tert−ブチルアミノプロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
10mLのアセトニトリル/水(2.5:1)中のN−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3−tert−ブチルアミノプロリンメチルエステル(工程D、1.63g、3.883mmol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(407mg、9.71mmol)を添加した。室温で2.5時間攪拌した後、2N塩酸水溶液(5mL、10mmol)を添加することによって反応を停止させ、この反応混合物を凍結乾燥して粗製リチウム塩を得、これをさらに精製することなく用いた。したがって、13mLの乾燥ジメチルホルムアミド中の粗製リチウム塩の懸濁液に4−[(3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(1.79g、4.27mmol)、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(3.03g、5.83mmol)およびN−メチルモルホリン(1.7mL、15.5mmol)を添加した。室温で2.5時間攪拌した後、反応混合物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水(30mL×2)および食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して乾燥するまで濃縮した。この残滓をシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物を得た。LC−MS:C33H39C12N5O8S2についての算出値 767、観測値 m/e 768(M+H)(2.8分)。
【実施例4】
【0106】
【化24】

N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3−tert−ブチルアミノプロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン
1mLのアセトニトリル中のN−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3−tert−ブチルアミノプロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル(実施例3の標題化合物、50mg、0.065mmol)の溶液に水酸化ナトリウム(1N、0.164mL、0.164mmol)を添加し、この反応物を室温で60分間攪拌した。反応を0.2mlのギ酸で停止させ、0.5mLのDMSOおよび0.3mLの水で希釈した。この反応混合物を逆相HPLCにかけ、生成物を含む画分を集めて凍結乾燥し、標題の化合物を得た。LC−MS:C31H35C12N5O8S2についての算出値 739、観測値 m/e 740(M+H)(2.5分)。
【実施例5】
【0107】
【化25】

(S,R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
工程A:(S,R,S,S)−N−{N−Boc−オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
【0108】
【化26】

【0109】
100mLのCHCl中のラセミN−Boc−オクタヒドロイソインドル−1−カルボン酸(Neosystem製、6g、22.28mmol、1当量)、参照例1の工程EからのアミンHCl塩(9.3g、22.28mmol、1当量)およびPYBOP(17.4g、33.42mmol、1.5当量)のスラリーにN−メチルモルホリン(8.52mL、78mmol、3.5当量)を0℃で添加した。冷却浴を取り外し、透明になった反応溶液を室温で一晩攪拌した。LCMSは反応が完了したことを示した。その後、反応溶液を65Mシリカカラムに乗せ、ジクロロメタン中に2から10%のTHFで溶出した。高Rf異性体(望ましいジアステレオマー)を集め、低Rf異性体は廃棄する。中央部のジアステレオマー混合物画分を別に集め、上記条件を用いて再度カラム処理した。最高Rf異性体の2つのバッチを合わせ、5.64g(收率80%)の化合物3を得た。これら2種類のジアステレオマーはChiralPak AD 4.6×250mm 10u(40%イソプロパノール/60%ヘプタン、アイソクラチック、保持時間:望ましくない異性体 8.1分、望ましい異性体 10.5分)によってもうまく分離することができる。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.65(s,2H);7.60(d,J=8.5Hz,2H);7.31(d,J=8.5Hz,2H);4.70(broads,1H);4.21(d,J=6Hz1H);4.15(m,2H);3.50(m,1H);3.15(m,1H);2.96(m,
1H);2.37(m,1H);2.27(m,1H);1.71−1.08(m,13H);1.27(s,9H)。LCMSm/e632(M)/532(M−Boc),3.49分。
【0110】
工程B:(S,R,S,S)−N−(オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル)−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステルHCl塩
【0111】
【化27】

【0112】
50mLのEtOAc/CHCl(1:1 v/v)中の工程Aの生成物(5.64g、8.9mmol)に20mLの1,4−ジオキサン中の4N HClを添加した。この反応混合物を一晩攪拌し、真空中で濃縮して標題の化合物(5.02g、收率99%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.65(s,2H);7.59(d,J=8.5Hz,2H);7.27(d,J=8.5Hz,2H);4.80(m,1H);4.18(q,J=7Hz,2H);3.28(m,2H);2.98(m,1H);2.60(m,2H);1.78−1.55(m,5H);1.28(m,2H);1.25(t,J=7Hz,3H);1.03(m,1H)。LCMSm/e532(M),2.63分。
【0113】
工程C:(S,R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
テトラヒドロフラン(5mL)および塩化メチレン(5mL)中の(S,R,S,S)−N−(オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル)−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステルHCl塩(工程Bの生成物、1.522g、2.853mmol)および塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニル(0.8g、3.138mmol)の懸濁液に、0℃で、トリエチルアミン(1.19mL、8.56mmol)を添加した。この反応物を室温まで2時間にわたって暖め、得られる混合物を濃縮した。残滓を酢酸エチル(50mL)に溶解し、1N水酸化ナトリウムおよび食塩水で洗浄して乾燥するまで濃縮した。この残滓をEtOAc/ヘキサン(50から100%)を用いるシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、標題の化合物(1.687g、79%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.62(s,2H),8.38(s,1H),8.24(d,1H),8.14(d,1H),7.87(dd,1H),7.63(d,2H),7.32(d,2H),4.80(dd,1H),4.18(q,2H),3.51(dd,1H),3.40(m,1H),3.25(dd,1H),3.20(s,3H),3.05(dd,2H),2.25(m,1H),1.73(m,1H),1.58−1.35(m,5H),1.28(t,3H),1.06−0.97(m,4H)。LC−MS:C33H36C12N4O8S2750についての算出値,観測値 m/e751(M+H)(3.4分)。
【実施例6】
【0114】
【化28】

(S,R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン
標題の化合物を、実施例2について説明される手順に従い、出発物質を実施例5からの化合物に代えて調製した。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.62(s,2H),8.39(s,1H),8.23(d,1H),8.14(d,2H),7.83(dd,1H),7.62(d,2H),7.34(d,2H),4.78(dd,1H),4.18(d,1H),3.49(dd,1H),3.39(m,1H),3.20(s,3H),3.06(m,1H),2.28(m,1H),1.76(m,1H),1.60−135(m,4H),1.26−1.00(m,4H)。LC−MS:C31H32C12N4O8S2722についての算出値,観測値 m/e723(M+H)(3.0分)。
【実施例7】
【0115】
【化29】

(S,R,S,S)−N−{N−[(3−フェニルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
工程A:(S,R,S,S)−N−{N−[(3−ヨードベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
【0116】
【化30】

【0117】
標題の化合物を、実施例5,工程Cについて説明される手順に従い、塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニルを塩化3−ヨードベンゼンスルホニルに代えて調製した。
H NMR(500MHz,CDOD):δ8.62(s,2H),8.18(s,1H),8.02(d,1H),7.85(d,1H),7.62(d,2H),7.38(dd,1H),7.28(d,2H),4.80(m,1H),4.20(q,2H),3.40(m,2H),3.25(m,2H),3.05(dd,1H),2.21(m,1H),1.63(m,1H),1.50(m,2H),1.33(m,2H),1.25(t,3H),1.18(m,1H),0.94(m,2H)。LC−MS:C32H33C12IN4O6S798についての算出値,観測値 m/e799(M+H)(3.8分)。
【0118】
工程B:(S,R,S,S)−N−{N−[(3−フェニルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
標題の化合物をOrg.Lett.2002,4,pp 4423−4425に記載される手順に従って調製した。したがって、(S,R,S,S)−N−{N−[(3−ヨードベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル(工程Aから、53mg、0.066mmol)、フェニルスルフィン酸ナトリウム塩(32.7mg、0.199mmol)、(CuOTf)ベンゼン錯体(10mg、0.0199mmol)およびN,N−ジメチルエチルジアミン(0.005mL、0.04mmol)を0.5mLのDMSO(4A MSで乾燥)に溶解した。この反応混合物を110℃で一晩加熱した。次に、反応混合物をEtOAc(10mL)で希釈し、水(10mL×2)および食塩水で洗浄した。MgSOで乾燥させた後、溶媒を蒸発させ、残滓をEtOAc/ヘキサン(60%−100%)を用いてSiOで精製して標題の化合物(18mg、34%)を得た。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.61(s,2H),8.38(s,1H),8.24(d,1H),8.01(d,2H),7.81(dd,1H),7.67(d,1H),7.61(m,4H),7.31(d,2H),4.80(m,1H),4.18(q,2H),3.36(m,2H),3.24(dd,2H),3.06(dd,1H),2.16(m,1H),1.47(m,3H),1.33(m,2H),1.27(t,3H),1.19(m,2H),1.02−0.91(m,3H)。LC−MS:C38H38C12N4O8S2812についての算出値,観測値 m/e813(M+H)(3.7分)。
【実施例8】
【0119】
【化31】

(S,R,S,S)−N−{N−[(3−フェニルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン
標題の化合物を、実施例2について説明される手順に従い、出発物質を実施例7からの化合物に代えて調製した。H NMR(500MHz,CDOD):δ8.62(s,2H),8.38(s,1H),8.23(d,1H),8.03(d,2H),7.80(dd,1H),7.68(m,1H),7.60(m,4H),7.34(d,2H),4.78(dd,1H),4.08(d,1H),3.37(m,1H),3.05(m,2H),2.18(m,1H),1.52(dm,3H),1.38−0.95(m,6H)。LC−MS:C36H34C12N4O8S2784についての算出値,観測値 m/e785(M+H)(3.5分)。
【実施例9】
【0120】
【化32】

N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−ピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
工程A:N−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−ピペリジノ−L−プロリン、メチルエステル
【0121】
【化33】

【0122】
CHCl(50mL)中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−シス−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル(1.5g、6.1mmol)の溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(2.7mL、15.25mol)を添加した。反応混合物を−78℃に冷却し、無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.4mL、8.5mmol)を滴下によりこの溶液に添加した。1時間攪拌した後、混合物を−20℃に暖め、ピペリジン(1.8mL、18.3mmol)を滴下により添加した。この溶液を室温に温め、一晩攪拌した。水をこの溶液に添加し、水層をCHClで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させて濃縮した。残滓をフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、N−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−ピペリジノ−L−プロリン、メチルエステルを油として得た。H NMR(CDCl3,500MHz)δ4.44−4.31(m,1H),3.87−3.75(m,1H),3.72(s,3H),3.45−2.90(m,3H),2.51−2.15(m,5H),1.71−1.55(m,4H),1.48−1.39(m,11H)。MS(ESI)313.3(MH)。
【0123】
工程B:N−((3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル)−4(R)−ピペリジノ−L−プロリン、メチルエステル
【0124】
【化34】

【0125】
N−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−ピペリジノ−L−プロリンメチルエステル(388mg、1.24mmol)をCHCl(7.5mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(2.5mL)を添加した。室温で3時間攪拌した後、溶液を濃縮し、高真空下でさらに乾燥させた。この粗製物質をCHCl(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.5mL、3.6mmol)、次いで塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニル(500mg、1.96mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、反応物を濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製してN−((3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル)−4(R)−ピペリジノ−L−プロリン、メチルエステルを得、これを次工程において直接用いた。MS(ESI)431.0(MH)。
【0126】
工程C:N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−ピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
アセトニトリル/水(6mL、2/1)中のN−((3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル)−4(R)−ピペリジノ−L−プロリンメチルエステル(320mg、0.74mmol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(100mg、2.4mmol)を添加した。室温で30分間攪拌した後、反応物を1N HCl(2.4mL、2.4mmol)で中和して乾燥するまで濃縮し、次工程において直接用いた。MS(ESI)417.1(MH)。
【0127】
DMF(5mL)中の上記酸の懸濁液にN−メチルモルホリン(0.25mL、2.3mmol)、HATU(310mg、0.82mmol)および4−[(3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(310mg、0.74mmol)を添加した、室温で2時間攪拌した後、反応物を水(50mL)に徐々に添加し、生じる沈殿を濾過して乾燥させた。この物質の半分を次工程に直接採用し、これに対して残部は調製用逆相HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥し、標題の化合物を白色粉末として得た。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ10.84(s,1H),8.78(s,2H),8.41(d,1H),8.26−8.25(m,1H),8.24(s,1H),8.13−8.11(m,1H),7.91−7.88(m,1H),7.58(d,2H),7.27(d,2H),4.51−4.49(m,1H),4.36−4.34(m,1H),4.11−4.07(m,2H),3.60−3.57(m,1H),3.34(s,3H),3.05−3.03(m,2H),2.92−2.89(m,1H),2.78−2.81(m,1H),2.21−2.11(m,4H),1.82−1.79(m,1H),1.63−1.60(m,1H),1.35−1.27(m,6H),1.17(t,3H)。MS(ESI)780.2(M)。
【実施例10】
【0128】
【化35】

N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−ピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン
アセトニトリル/水(3mL、2/1)中のN−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−ピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル(実施例9の化合物、9、133mg、0.17mmol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(15mg、0.35mmol)を添加した。室温で30分間攪拌した後、反応を5滴のギ酸で停止させた。この反応物を調製用逆相HPLCによって直接精製し、生成物画分を凍結乾燥して標題の化合物を白色粉末として得た。H−ΝMR(DMSO−d,500MHz)δ12.86(brs,1H),10.84(s,1H),8.78(s,2H),8.27(s,1H),8.26−8.22(m,2H),8.14−8.12(m,1H),7.90−7.87(m,1H),7.58(d,2H),7.27(d,2H),4.47−4.45(m,1H),4.38−4.36(m,1H),3.59−3.56(m,1H),3.34(s,3H),3.08−3.05(m,1H),3.02−2.99(m,1H),2.92−2.89(m,1H),2.81−2.76(m,1H),2.21−2.12(m,4H),1.86−1.83(m,1H),1.59−1.55(m,1H),1.35−1.29(m,6H)。MS(ESI)752.2(M)。
【実施例11】
【0129】
【化36】

N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
工程A:N−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−L−プロリン、メチルエステル
【0130】
【化37】

【0131】
CHCl中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−シス−ヒドロキシ−L−プロリンメチルエステル(1.5g、6.1mmol)の溶液にジイソプロピルエチルアミン(2.7mL、16.1mmol)を添加した。この溶液を−78℃に冷却した後、無水トリフルオロメタンスルホン酸(1.4mL、8.3mmol)を滴下により10分にわたって添加した。1時間攪拌した後、溶液を−20℃に暖め、3,3−ジメチルピペリジン(1.4g、12.4mmol)を滴下により5分にわたって添加した。この反応物を室温に暖め、一晩攪拌した。水を添加し、この反応物をCHClで抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過して濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製して生成物を油として得た。H−NMR(DMSO−d,500MHz)δ4.39−4.29(m,1H),3.80−3.76(m,1H),3.74(s,3H),3.22−3.15(m,1H),2.88−2.84(m,1H),2.37−2.22(m,2H),2.17−1.96(m,4H),1.65−1.55(m,2H),1.48−1.43(2s,9H),1.21−1.18(m,2H),0.92(s,3H),0.90(s,3H)。MS(ESI)341.3(MH)。
【0132】
工程B:N−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
【0133】
【化38】

【0134】
アセトニトリル/水(6mL、2/1)中のN−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−L−プロリンメチルエステル(1.22g、3.6mmol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(376mg、9.0mmol)を添加した。室温で1時間攪拌した後、1N HCl(9mL、9mmol)を添加することによって反応物を中和し、凍結乾燥してカルボン酸を得、これを次工程において直接用いた。MS(ESI)327.3(MH)。
【0135】
DMF(20mL)中の上記酸の懸濁液にN−メチルモルホリン(1.0mL、9.1mmol)、HATU(1.5g、3.9mmol)および4−[(3’,5’−ジクロロイソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル塩酸塩(1.5mg、3.6mmol)を添加した。室温で2時間攪拌した後、反応物を水(200mL)に徐々に添加し、生じる沈殿を濾過して乾燥させた。この粗製物質を次工程に直接採用した。MS(ESI)690.3(M)。
【0136】
工程C:N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル
CHCl(20mL)中のN−[N−(tert−ブトキシカルボニル)−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル(1.5g、2.2mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(5mL)を添加した。室温で2時間攪拌した後、この溶液を濃縮し、高真空下でさらに乾燥させた。この粗製物質をCHCl(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(0.65mL、4.7mmol)、次いで塩化3−メチルスルホニルベンゼンスルホニル(650mg、2.55mmol)を添加した。室温で1時間攪拌した後、反応物を濃縮し、真空下で乾燥させた。この粗製物質をDMF(10mL)に溶解し、水(100mL)に徐々に添加した。沈殿を濾過してCHClに溶解し、MgSOで乾燥させ、濾過して濃縮した。この生成物の一部をさらに精製することなしに次工程に採用し、これに対して残部は調製用逆相HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥し、標題の化合物を白色粉末として得た。H ΝMR(DMSO−d,500MHz)δ10.77(s,1H),8.71(s,2H),8.37(d,1H),8.19−8.17(m,2H),8.06−8.04(m,1H),7.83−7.80(m,1H),7.51(d,2H),7.20(d,2H),4.41−4.39(m,1H),4.32−4.30(m,1H),4.04−3.99(m,2H),3.52−3.49(m,1H),3.26(s,3H),2.98−2.95(m,2H),2.87−2.84(m,1H),2.76−2.73(m,1H),2.11−2.02(m,2H),1.78−1.74(m,3H),1.56−1.52(m,1H),1.34−1.30(m,2H),1.10(t,3H),1.05−1.03(m,2H),0.74(s,3H),0.72(s,3H)。MS(ESI)808.2(M)。
【実施例12】
【0137】
【化39】

N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン
アセトニトリル/水(4.5mL、2/1)中のN−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニンエチルエステル(実施例11の化合物、160mg、0.20mmol)の溶液に水酸化リチウム一水和物(20mg、0.48mmol)を添加した。室温で1時間攪拌した後、反応を5滴のギ酸で停止させた。この反応物を調製用逆相HPLCによって直接精製し、生成物画分を凍結乾燥して標題の化合物を白色粉末として得た。H NMR(DMSO−d,500MHz)δ12.83(s,1H),10.83(s,1H),8.78(s,2H),8.26−8.23(m,3H),8.13−8.11(m,1H),7.89−7.86(m,1H),7.59−7.57(d,2H),7.28−7.26(d,2H),4.46−4.43(m,1H),4.41−4.38(m,1H),3.58−3.55(m,1H),3.33(s,3H),3.08−3.05(m,1H),3.02−2.99(m,1H),2.93−2.89(m,1H),2.81−2.79(m,1H),2.15−2.09(m,2H),1.87−1.84(m,3H),1.58−1.55(m,1H),1.39−1.36(m,2H),1.11−1.09(m,2H),0.80(s,3H),0.78(s,3H)。MS(ESI)780.2(M)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはこの医薬的に許容される塩。
【化1】

(式中:
XおよびYは、(1)C1−3アルキル、(2)ハロゲンおよび(3)C1−3アルコキシから独立して選択され;
ZはNもしくはNO−であり;
は、(1)水素、(2)C1−10アルキル、(3)−(C1−10アルキル)−アリール、(4)−(C1−10アルキル)−O−C1−10アルキル、(5)−(C1−10アルキル)−OC(O)−C1−10アルキル、(6)−(C1−10アルキル)−OC(O)−アリールおよび(7)−(C1−10アルキル)−OC(O)O−C1−10アルキルから選択され;ここで、アルキルはRから独立して選択される1から3個の置換基で場合により置換され、およびアリールはRから独立して選択される1から3個の置換基で場合により置換され;
は水素またはメチルであり;
およびRは、(1)水素、(2)C1−10アルキル、(3)−OR、(4)−NR、(5)−NRS(O)、(6)−NRC(O)R、(7)−NRC(O)ORおよび(8)−NRC(O)NRから独立して選択され、ここで、アルキルはRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;または
およびRはこれらが結合している炭素原子と共に、O、SおよびN−Rから独立して選択される0から2個のさらなるヘテロ原子を含む5から7員の単環式環を形成し、該環はRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;
は(1)C1−10アルキルおよび(2)アリールから選択され;
は(1)水素、(2)ハロゲンおよび(3)−ORから選択され;
は、(1)−OR、(2)−NRS(O)、(3)−NO、(4)ハロゲン、(5)−S(O)、(6)−SR、(7)−S(O)OR、(8)−S(O)NR、(9)−NR、(10)−O(CRNR、(11)−C(O)R、(12)−CO、(13)−CO(CRCONR、(14)−OC(O)R、(15)−CN、(16)−C(O)NR、(17)−NRC(O)R、(18)−OC(O)NR、(19)−NRC(O)OR、(20)−NRC(O)NR、(21)−CR(N−OR)、(22)CF、(23)−OCF、(24)C3−8シクロアルキルおよび(25)ヘテロシクリルから選択され;ここで、シクロアルキルおよびヘテロシクリルはRから独立して選択される1から3個の基で場合により置換され;
は、(1)Rから選択される基、(2)C1−10アルキル、(3)C2−10アルケニル、(4)C2−10アルキニル、(5)アリールおよび(6)−(C1−10アルキル)−アリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリールはRから独立して選択される基から選択される1から3個の置換基で場合により置換され;
は、(1)ハロゲン、(2)アミノ、(3)カルボキシ、(4)C1−4アルキル、(5)C1−4アルコキシ、(6)アリール、(7)−(C1−4アルキル)−アリール、(8)ヒドロキシ、(9)CF、(10)OC(O)C1−4アルキル、(11)−CNおよび(12)−SO1−10アルキルであり;
およびRは、水素、C1−10アルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、CyおよびCy−C1−10アルキルから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびCyはRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;または
およびRはこれらが結合している原子と共に、O、SおよびN−Rから独立して選択される0から2個のさらなるヘテロ原子を含む、4から7員の複素環を形成し;ここで、該環はRから独立して選択される1から4個の置換基で場合により置換され;
およびRは水素、C1−10アルキル、CyおよびCy−C1−10アルキルから独立して選択され;または
およびRはこれらが結合している炭素と共に、酸素、イオウおよび窒素から独立して選択される0から2個のヘテロ原子を含む5から7員の環を形成し;
は、Rおよび−C(O)Rから選択され;
Cyは、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
各々のmは、独立して、0、1または2であり;並びに
各々のnは、独立して、1、2、3または4である。)
【請求項2】
XおよびYの一方がハロゲンであり、および他方がハロゲン、C1−3アルキルおよびC1−3アルコキシから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XおよびYの一方がクロロであり、および他方がクロロまたはメトキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
XおよびYが各々クロロである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
が水素、C1−4アルキル、−(C1−4アルキル)OC(O)−C1−4アルキルおよび−(C1−4アルキル)OC(O)−C1−4アルキルからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
が水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がC1−4アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素であり、およびRがNRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がNRであり、およびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
式Iaの請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩。
【化2】

(式中、
ZはNもしくはNO−であり;
は、水素、C1−10アルキル、−(C1−4アルキル)−アリール、−(C1−4アルキル)−O−C1−4アルキルおよび−(C1−4アルキル)−OC(O)−C1−4アルキルから選択され;
はC1−4アルキルおよびフェニルから選択される。)
【請求項11】
【化3】

(式中、RはHまたはエチルである。)
およびこの医薬的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式Ibの請求項1に記載の化合物またはこの医薬的に許容される塩。
【化4】

(式中、
ZはNまたはNO−であり;
は水素およびC1−4アルキルから選択され;
はC1−4アルキルおよびフェニルから選択され;並びに
は水素であり、およびRはNRでありまたはRはNRであり、およびRは水素である。)
【請求項13】
またはRの一方が水素であり、およびRまたはRの他方がC1−6アルキルアミノ、C3−6シクロアルキルアミノおよび
【化5】

(式中、kは0から3である。)
からなる群より選択される、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
またはRの一方が水素であり、およびRまたはRの他方がシクロブチルアミノ、tert−ブチルアミノおよびピペリジノからなる群より選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
以下からなる群より選択される請求項1に記載の化合物。
(R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル;
(R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−シクロブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン;
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3(S)−tert−ブチルアミノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル;
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−3−tert−ブチルアミノプロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン;
(S,R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル;
(S,R,S,S)−N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン;
(S,R,S,S)−N−{N−[(3−フェニルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル;
(S,R,S,S)−N−{N−[(3−フェニルスルホニルベンゼン)スルホニル]オクタヒドロイソインドル−1−カルボキシル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン;
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−ピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル;
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−ピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン;
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、エチルエステル;および
N−{N−[(3−メチルスルホニルベンゼン)スルホニル]−4(R)−3,3−ジメチルピペリジノ−(L)−プロリル}−4−[(3’,5’−ジクロロ−イソニコチノイル)アミノ]−(L)−フェニルアラニン、
または上記のいずれかの医薬的に許容される塩。
【請求項16】
治療上有効な量の請求項1の化合物またはこれらの医薬的に許容される塩および医薬的に許容される坦体を含む医薬組成物。
【請求項17】
細胞接着が介在する疾患を治療または予防するための医薬の製造への、請求項1の化合物もしくはこれらの医薬的に許容される塩の使用。
【請求項18】
該疾患が喘息、多発性硬化症、炎症性腸疾患、慢性閉塞性肺疾患、鎌状赤血球貧血、白血病、多発性骨髄腫および関節リウマチから選択される、請求項17の使用。
【請求項19】
該哺乳動物に治療上有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、哺乳動物においてVLA−4の作用を妨害するための方法。

【公表番号】特表2008−538563(P2008−538563A)
【公表日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507824(P2008−507824)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2006/014655
【国際公開番号】WO2006/115918
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】