説明

VX−950を含む剤形およびそれらの投与量レジメン

【課題】C型肝炎感染を処置または予防するための抗ウイルス療法および組成物を提供する。
【解決手段】患者においてC型肝炎感染を処置または予防するための抗ウイルス療法および組成物、ならびに本明細書中で開示する他の方法を提供する。また、組成物および剤形を含むキットおよび医薬的パッケージを提供する。さらに、該組成物、投与量、キット、およびパッケージを製造するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス感染症の処置のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(“HCV”)による感染は、切実なヒトの医学的問題である。HCVは、世界的にヒト血清陽性率3%であると概算される、非A型、非B型肝炎のほとんどの場合の原因因子として認識されている[A. Alberti et al., “Natural History of Hepatitis C,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 17−24 (1999)]。米国だけで400万人近くの人々が、感染しているかもしれない[M.J. Alter et al., “The Epidemiology of Viral Hepatitis in the United States,” Gastroenterol. Clin. North Am., 23, pp. 437−455 (1994);M. J. Alter “Hepatitis C Virus Infection in the United States,” J. Hepatology, 31., (Suppl. 1), pp. 88−91 (1999)]。
【0003】
HCVに感染したヒトのうち20−25%は、急性感染後にウイルスを排除し得るが、75−80%は、慢性C型肝炎感染を発症し得る[preface, Frontiers in Viral Hepatitis. Ed. RF Schinazi, J−P Sommadossi, and CM Rice. p. xi. Elsevier (2003)]。これは、通常、肝硬変および肝細胞癌のようなより重度の疾患状態をしばしばもたらす、肝炎の再発および漸進的悪化をもたらす[M.C. Kew, “Hepatitis C and Hepatocellular Carcinoma”, FEMS Microbiology Reviews, 14, pp. 211−220 (1994);I. Saito et. al., “Hepatitis C Virus Infection is Associated with the Development of Hepatocellular Carcinoma,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 6547−6549 (1990)]。残念なことに、慢性HCVの進行を遅らせるのに広く有効な処置は存在しない。
【0004】
HCVゲノムは、3010−3033アミノ酸のポリタンパク質をコードする[Q.L. Choo, et. al., “Genetic Organization and Diversity of the Hepatitis C Virus.” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, pp. 2451−2455 (1991);N. Kato et al., “Molecular Cloning of the Human Hepatitis C Virus Genome From Japanese Patients with Non−A, Non−B Hepatitis,” Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 9524−9528 (1990);A. Takamizawa et. al., “Structure and Organization of the Hepatitis C Virus Genome Isolated From Human Carriers,” J. Virol., 65, pp. 1105−1113 (1991)]。HCV非構造(NS)タンパク質は、ウイルス複製に必須の触媒機構を提供すると考えられている。NSタンパク質は、ポリタンパク質のタンパク質分解的切断によって得られる[R. Bartenschlager et. al., “Nonstructural Protein 3 of the Hepatitis C Virus Encodes a Serine−Type Proteinase Required for Cleavage at the NS3/4 and NS4/5 Junctions,” J. Virol., 67, pp. 3835−3844 (1993);A. Grakoui et. al., “Characterization of the Hepatitis C Virus −Encoded Serine Proteinase: Determination of Proteinase−Dependent Polyprotein Cleavage Sites,” J. Virol., 67, pp. 2832−2843 (1993);A. Grakoui et. al., “Expression and Identification of Hepatitis C Virus Polyprotein Cleavage Products,” J. Virol., 67, pp. 1385−1395 (1993);L. Tomei et. al., “NS3 is a serine protease required for processing of hepatitis C virus polyprotein”, J. Virol., 67, pp. 4017−4026 (1993)]。
【0005】
HCV NSタンパク質3(NS3)には、大部分のウイルス酵素の合成を補助するセリンプロテアーゼ活性が含まれ、故に、ウイルス複製および感染性に必須であると見なされる。黄熱病ウイルスNS3プロテアーゼにおける変異は、ウイルス感染性を減少することが知られている[Chambers, T.J. et. al., “Evidence that the N−terminal Domain of Nonstructural Protein NS3 From Yellow Fever virus is a Serine Protease Responsible for Site−Specific Cleavages in the Viral Polyprotein”, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, pp. 8898−8902 (1990)]。NS3の最初の181アミノ酸(ウイルスポリタンパク質の残基1027−1207)は、HCVポリタンパク質の4つ全ての下流部位を処理するNS3のセリンプロテアーゼドメインを含むことが示されている[C. Lin et al., “Hepatitis C Virus NS3 Serine Proteinase: Trans−Cleavage Requirements and Processing Kinetics”, J. Virol., 68, pp. 8147−8157 (1994)]。
【0006】
HCV NS3 セリンプロテアーゼおよびそれに関係する補因子NS4Aは、全てのウイルス酵素の過程を補助し、故に、ウイルス複製に必須であると見なされる。この過程は、ウイルス酵素過程にも関与する、ヒト免疫不全ウイルス アスパルチルプロテアーゼにより行われるのと同様のようである。ウイルスのタンパク質処理を阻害するHIVプロテアーゼ阻害剤は、ヒトにおいて強力な抗ウイルス剤であり、ウイルス生活環のこの段階を中断することは、治療的活性剤の結果となることを示す。結果として、それは、創薬の魅力的な標的である。
【0007】
現在のところ、満足のいく抗HCV剤または処置法は存在しない。最近まで、HCV疾患の確立された治療は、インターフェロン処置のみであった。HCV感染のための最初に認可された治療は、標準(非PEG化)インターフェロンαを用いる処置であった。しかしながら、インターフェロンは、重大な副作用を有し[M. A. Wlaker et al., “Hepatitis C Virus: An Overview of Current Approaches and Progress,” DDT, 4, pp. 518−29 (1999);D. Moradpour et al., “Current and Evolving Therapies for Hepatitis C,” Eur. J. Gastroenterol. Hepatol., 11, pp. 1199−1202 (1999);H. L. A. Janssen et al. “Suicide Associated with Alfa−Interferon Therapy for Chronic Viral Hepatitis,” J. Hepatol., 21, pp. 241−243 (1994);P.F. Renault et al., “Side Effects of Alpha Interferon,” Seminars in Liver Disease, 9, pp. 273−277. (1989)]、インターフェロンαの単剤療法は、症例のごく一部(〜25%)だけで長期寛解を示す[O. Weiland, “Interferon Therapy in Chronic Hepatitis C Virus Infection”, FEMS Microbiol. Rev., 14, pp. 279−288 (1994)]。前記処置レジメンへのリバビリンの追加は、応答率をわずかに増加する。リバビリンと併用されている、最近導入されたPEG化型インターフェロン(PEG−イントロン(登録商標)およびPEGASYS(登録商標))は、寛解率のごく限られた改善および副作用の一部分のみの減少という結果となっている。現在の標準的な治療は、HCV遺伝子型のような予後因子、および治療への初期応答の現れに依存して、24−48週間継続する処置レジメンである。さらに、有効な抗HCVワクチンの見込みは、不明確なままである。
【0008】
よって、抗HCV治療および抗HCV化合物に適当な用量レジメンが必要である。
【0009】
HCVならびに他の疾患および障害は、肝臓障害と関係がある。治療法および肝臓障害を処置するのに適当な用量レジメンも必要である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
さらなる参考文献
【非特許文献1】Wasley A, Alter MJ. Epidemiology of hepatitis C: geographic differences and temporal trends. Semin liver Dis 2000;20:1−16.
【非特許文献2】Alter HJ, Seeff LB. Recovery, persistence, and sequelae in hepatitis C virus infection: a perspective on long−term outcome. Semin liver Dis 2000;20:17−35.
【非特許文献3】Brown RS Jr, Gaglio PJ. Scope of worldwide hepatitis C problem. liver Transpl 2003;9:S10−S13.
【非特許文献4】DeFrancesco R, Migliaccio G. Challenges and successes in developing new therapies for hepatitis C. Nature 2005;436(7053):953−60.
【非特許文献5】Bowen DG, Walker CM. The origin of quasispecies: cause or consequence of chronic hepatitis C viral infection? J Hepatol 2005;42:408−17.
【非特許文献6】Hoofnagle JH. Course and outcome of hepatitis C. Hepatology 2002;36:S21−S29.
【非特許文献7】Brown RS Jr. hepatitis C and liver transplantation. Nature 2005;436(7053):973−8.
【非特許文献8】Chisari FV. Unscrambling hepatitis C virus−host interactions. Nature 2005;436(7053):930−2。
【0011】
本明細書中に引用される全ての文献は、参照により本明細書中に包含される。
【発明の概要】
【0012】
本発明は、C型肝炎ウイルス感染の処置法を提供する。故に、本発明は、C型肝炎ウイルス感染の臨床的続発症の予防法を提供する。
【0013】
本発明はまた、肝臓障害および肝炎の処置法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1Aおよび図1Bは、用量レベルによる平均濃度時間プロフィールを示す(実施例3)。
【図2】図2A−2Dは、誘導された薬物動態パラメーターを示す。棒グラフ内の線は中央値を示し、棒グラフは、データの中央半分の範囲を示す(実施例3)。
【図3】図3は、14日間の試験期間中のHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)を示す(実施例5)。
【図4】図4は、14日間の試験期間中のベースラインと比べたHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)の変化を示す(実施例5)。
【図5】図5は、750mgを8時間毎の投与群における、個々の対象についての14日間の試験期間中のベースラインと比べたHCV RNAの血漿濃度(IU/mL)の変化を示す(実施例5)。
【図6】図6は、全ての投与群におけるネオプテリン、ALT(アラニンアミノ転移酵素)、およびHCV RNAの平均値±SEMを示す。下記の記号を図6において用いる:ALTレベルの平均±SEM(上、白抜き記号の4本線)、ネオプテリン血漿濃度の平均±SEM(中、白抜き記号の4本線)、および血漿HCV RNA負荷の平均±SEM(下、黒塗り記号の4本線)におけるベースラインからの変化を、3つ全ての投与群およびプラセボについて示す。患者を、VX−950で14日間処置した。*450mgを8時間毎の群における12日目の平均ALTレベルの一過性増加は、アーチファクトである(10症例中5症例には見られなかった、中央値38U/l、範囲25−125U/l)(実施例5)。
【図7】図7は、全ての群におけるネオプテリン値の平均±SEMを示す。3つ全ての投与群およびプラセボについての、処置前、7日目および14日目のネオプテリン血漿濃度の平均±SEM。平均ネオプテリンの減少は、処置前に最高値であり、14日目に最低の平均値を示す、750mgを8時間毎の投与群で最大であることに留意すべきである。750mgを8時間毎の投与群において、ベースラインおよびプラセボと比較したネオプテリンの減少は、14日目に最大となった(*対応のない両側t検定、**Mann Whitney検定)。Y=7.7nmol/lの横破線は、ULNを示す(実施例5)。
【図8】図8、9、および10は、HCV NS3/4AプロテアーゼによるTRIF(TLR3アダプタータンパク質)のインビトロ切断が、VX−950により阻害されることを示す。 図8(IFN−β、TRIFまたはTICAM−1を誘導するアダプターを含むtoll−IL1受容体ドメイン)は、様々なタンパク質結合ドメインを示すTRIFの略図を示す。Cys372でのHCV NS3 プロテアーゼによるTRIF切断により、2つの断片−ΔC340およびΔN372が生じる(Li et al 2005, PNAS, 102, p2992−2997の改訂版)。
【図9】図9は、HCV NS3プロテアーゼによるTRIF切断の速度(kinetics)を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFタンパク質インビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0−240分の範囲の様々な時間、6μMのtNS3 プロテアーゼと共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行った。ゲルを、切断産物を定量するために、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、時間関数として図中に示す。
【図10】図10は、NS3 プロテアーゼ依存的TRIF切断およびVX−950によるTRIF切断の阻害を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFタンパク質インビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、10μM VX−950の存在下(○)または不存在下(□)のどちらかで、0−4μMの範囲のtNS3 プロテアーゼ酵素の増加濃度下でインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図11】図11、12、および13は、ウイルス変異株の減少した適応力を示す。 図11は、VX−950耐性変異体のインビトロでの表現型の特徴を示す。野生型プロテアーゼと比較してVX−950に対する増加した耐性が、インビトロ酵素反応(Ki)または2日間のレプリコン分析(IC50)において、A156V/T変異により得られた。野生型酵素と比較した変異体のKcat/Km比を、表に示す(Lin et al 2005, JBC, 280, p36784−36791の改訂版)。
【図12】図12は、野生型(WT)NS3プロテアーゼと比較したA156V/T変異体によるHCV 4A/B基質の切断を示す:35Sメチオニン標識結合、間に4A/B結合点を有するSEAPタンパク質と融合した不活性化HCV変異プロテアーゼのインビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0.008μMから6μMの範囲の野生型(WT)(□)またはA156V/T(△および○)tNS3 プロテアーゼのどちらかの変化量と共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図13】図13は、野生型(WT)NS3プロテアーゼと比較したA156V/T変異体によるTRIF基質の切断を示す。35Sメチオニン標識結合TRIFのインビトロ転写/翻訳産物(基質として)を、0.008μMから6μMの範囲の野生型(WT)(□)またはA156V/T(△および○)tNS3プロテアーゼのどちらかの変化量と共にインキュベートし、次いでSDS−PAGEを行い、phosphorimagerに暴露した。ΔN372切断産物の定量を、図に示す。
【図14】図14は、ベースライン、7日目、および14日目における平均HCV RNA、ネオプテリンおよびALTを示す(実施例5)。
【図15】図15および16は、VX−950が、センダイウイルス感染Huh7細胞においてIFNβ依存性遺伝子発現を元に戻すというデータを示す。 図15は、センダイウイルスで刺激したHuh7細胞におけるHCVプロテアーゼによるIFN−βプロモーター活性の抑制を示す。Huh7細胞を、野生型(WT)または不活性変異体(MT)プロテアーゼのどちらかと、IFN−βプロモーター制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミドで共トランスフェクトし、次いでセンダイウイルス(SeV)で刺激した。センダイウイルス非誘導性対照と比較したルシフェラーゼ遺伝子の活性化倍数を、この図に示す。
【図16】図16は、VX−950を用いる処理が、センダイウイルス刺激IFN−βプロモーター活性に対するHCVプロテアーゼの抑制効果を克服し得ることを示す。Huh7細胞を、野生型(WT)または不活性化変異体(MT)プロテアーゼのどちらかと、IFN−βプロモーターの制御下でルシフェラーゼ遺伝子を発現するプラスミドで共トランスフェクトした。これらの細胞を、DMSO(対照)または10μM VX−950のどちらかで処理した。細胞をセンダイウイルス(SeV)で刺激し、ルシフェラーゼ活性を感染の16時間後に測定した。センダイウイルス非誘導性対照と比較したルシフェラーゼ遺伝子の活性化倍数を、この図に示す。
【図17】図17は、VX−950処置が、HCV治療に以前非応答性であった患者(図17A)および未処置患者(図17B)においてHCV RNAの減少をもたらすというデータを示す。各処置レジメンにおける患者の平均HCV RNAレベルを示す。血漿HCV RNA濃度を、Roche COBAS TaqMan HCV/HPS分析を用いて決定した。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、VX−950を投与するための特定の用量および投与量レジメンに関する。VX−950は、7nMの定常結合定数(ki*)を有する競合性、可逆性ペプチド模倣性NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤である[WO02/018369]。
【化1】

【0016】
VX−950は、ヒトにおいて単回用量で試験され、良好な耐容性を示すことが発見されている(実施例3)。有害事象の発生または程度は、VX−950用量と共に増加しなかった。重症(グレード3またはグレード4)であると見なされた有害事象はなかった。血液学または臨床化学パラメーターについては、ベースライン実験値から臨床的に顕著な変化はなかった。試験した患者は全て、身体検査、バイタルサイン、または心電図に臨床的に顕著な変化はなかった。
【0017】
分析を、VX−950薬物動態プロフィールを決定するために行った。データを図1および図2に示す。
【0018】
VX−950に暴露した肝臓を、前臨床および臨床の総合データを基に予測した。予測されたヒト暴露肝臓を、より良好な耐容性が見込まれ、治療上の利点をもたらす用量を決定するため、VX−950レプチコン分析および感染性ウイルス分析(下記参照)の結果と合わせた。肝臓濃度の予測された平均値は、試験した用量範囲において、レプリコン分析IC90の57倍まで、およびレプリコン分析IC50の113倍までである。
【0019】
これらの結果は、本出願人の用量レジメンが、非臨床試験にて決定されたIC50およびIC90を実質的に上回るVX−950の肝臓濃度を達成し得ることを示す。
【0020】
従って、本発明の一態様は、
a)約100mgから約1500mg;
約300mgから約1500mg;
約300mgから約1250mg;
約450mg;
約750mg;または
約1250mgの、VX−950、またはその薬学的に許容される塩:および
b)薬学的に許容される担体
を含む、医薬組成物を提供する。
【0021】
また、本発明は、
約100mgから約1500mg;
約300mgから約1500mg;
約300mgから約1250mg;
約450mg;
約750mg;または
約1250mgのVX−950、またはその薬学的に許容される塩を、1日1回、2回または3回投与することを含む、治療レジメンを提供する。本発明の治療レジメンは、1個以上の剤形でのVX−950の投与を含むことを意図する。
【0022】
本発明の他の態様は、約300mgから約1500mgのVX−950またはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、患者のHCV感染を処置または予防するための方法を提供する。
【0023】
ある態様において、VX−950の用量は、少なくとも約300mgである。他の態様において、VX−950の用量は、少なくとも約450mgである。他の態様において、VX−950の用量は、少なくとも約500mgである。他の態様において、VX−950の用量は、少なくとも約750mgである。他の態様において、VX−950の用量は、少なくとも約1250mgである。他の態様において、VX−950の用量は、少なくとも約1500mgである。
【0024】
さらに他の態様において、VX−950の用量は、約1500mg未満である。他の態様において、VX−950の用量は、約1250mg未満である。他の態様において、VX−950の用量は、約750mg未満である。他の態様において、VX−950の用量は、約450mg未満である。他の態様において、VX−950の用量は、約500mg未満である。他の態様において、VX−950の用量は、約300mg未満である。
【0025】
これらの下限量および上限量は、VX−950の投与に好ましい用量範囲を提供するために組み合わせ得ると理解されるはずである。例えば、一態様において、VX−950またはその薬学的に許容される塩は、約300mgから約1250mgである。
【0026】
ある態様において、VX−950は、約450mg投与される。VX−950は、約500mg投与される。他の態様において、VX−950は、約600mg投与される。他の態様において、VX−950は、約750mg投与される。他の態様において、VX−950は、約1000mg投与される。さらに他の態様において、VX−950は、約1250mg投与される。
【0027】
これらの態様のいくつかにおいて、前記VX−950量は、1日1回投与される。あるいは、前記VX−950量は、1日2回投与される(例えば、BID;12時間毎)。あるいは、前記VX−950量は、1日3回投与される(例えば、TID;8時間毎)。VX−950は、食事と共にまたは別に投与され得る。
【0028】
VX−950はまた、ヒトにおいても試験されており、HCV複製の阻害に効果があることが発見された。本発明者らは、VX−950の投与が、HCV RNAレベルを実質的に減少し得ることを証明した。重要なことに、本発明者らは、HCVに感染した対象へのVX−950の投与が、ウイルスRNAが、Roche COBAS TaqMan(商標)HCV/HPS分析(Roche Molecular Diagnosticsから市販されている)を用いて検出不可能になるように、ウイルスを阻害し得ることを証明した。750mgのVX−950を8時間毎(q8h)に受容する8名の対象のうち、4名は、定量限界未満(LLQ 30IU/mL)のHCV RNAレベルを有し、4名のうち2名の対象は、検出限度未満(LLD 10IU/mL)のHCV RNAレベルを有する。
【0029】
750mgのVX−950を8時間毎に受容する対象は、14日間の処置の最後に、HCV−RNAの4log10より大きな平均減少(すなわち、10,000倍の低下)を達成した。HCV−RNAの2log10より大きな平均減少が、14日間の処置の最後に、他の2つのVX−950用量群のそれぞれで見られた。VX−950を受容する各対象は、HCV−RNAの2log10より大きな減少を処置の最初の3日以内に達成し、VX−950を受容する28名の対象のうち26名が、処置の最初の3日以内に、HCV−RNAを3log10減少した。実施例5および図3−5を参照のこと。
【0030】
血漿ウイルス量が、VX−950で処置された患者において迅速に減少することが証明された。さらに、投与終了後、HCV RNAのベースラインレベルにゆっくりと戻ることが証明された。特に、処置終了後にHCV RNAベースラインレベルに戻る速度は、処置によるHCV RNAの減少速度よりゆっくりであった。検出不可能なHCV RNAレベルに達することと合わせてこれらの結果は、単剤療法としてのVX−950の有効性を示す。
【0031】
従って、本発明は、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、a)約450mg、1日3回、8時間毎;b)約750mg、1日3回、8時間毎;c)約1250mg、1日2回、12時間毎;または、d)約1250mg、1日3回、8時間毎の量で、患者に投与することを含む、HCVに感染した患者を処置するための方法を提供する。
【0032】
他の態様において、本発明は、患者のHCV RNAレベルが、処置前より処置後のほうが、少なくとも約2log(好ましくは、少なくとも約4log)低くなるように、HCVに感染した患者にVX−950を投与するための方法を提供する。他の態様において、本発明は、患者のウイルスRNAレベルが検出不可能なレベルに減少し、“持続的ウイルス応答”が達成されるまで検出不可能なレベルのままであるように、HCVに感染した患者にVX−950を投与するための方法を提供する。現在のところ“持続的ウイルス応答”の定義としては、投与終了後24週間、ウイルスRNAレベルが検出不可能なままであることを意味する。
【0033】
理論はともかく、750mgのVX−950を8時間毎に用いる本発明の方法は、その方法が、より高いトラフ濃度をもたらすため、好ましいと考えられる。トラフ濃度とは、薬剤が、次回投与直前の血漿中で低下する濃度である(すなわち、投与間での最低濃度である)。特にウイルス性疾患において、ウイルス複製を阻害するのに適する濃度に維持するために上記のある濃度に薬剤レベルを維持することは、重要である。有利には、本発明者らは、750mgのVX−950を、8時間毎に投与する1つのレジメンが、試験したレジメンの最高トラフ濃度をもたらすことを発見した。
【0034】
従って、好ましい態様において、本発明は、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、約750mgを1日3回8時間毎に、患者に投与することを含む方法を提供する。
【0035】
フレキシブルな投与スケジュールが都合よいことは、認められるであろう。従って、本発明の他の態様において、前記投与は1日3回であるが、8時間毎ではなく、要すれば食事と共に投与する。ある態様において、VX−950は、食事と共に投与される。
【0036】
本発明はまた、ヒトにVX−950を含む組成物の経口用量を投与することを含む(ここで、該用量は、該ヒトに対して、投与後に少なくとも約750ng/mLのVX−950の平均血漿濃度(Cavg)を供する。)、それを必要とするヒトにVX−950を供するための方法を提供する。ある態様において、前記Cavgは、約1000ng/mLまたは約1250ng/mLである。ある態様において、該用量は本質的に、750mgのVX−950を包含する。これらの態様において、前記Cavgは、投与後3時間以内、好ましくは2時間以内、より好ましくは投与後1時間以内に得られる/達せられる。これらの態様の好ましい形態において、前記Cavgは、約24時間以上、好ましくは12週以上、維持される。
【0037】
ある態様において、本発明は、患者におけるHCV感染を、VX−950を含む少なくとも1個の剤形を24時間かけて投与すること(ここで、前記剤形は、24時間の間、血漿VX−950を約750ng/mLの最低トラフ濃度に維持するために投与される。)により処置するための方法を提供する。
【0038】
この態様のある形態において、前記剤形は、24時間の間、血漿VX−950を、約800ng/mL、好ましくは約900ng/mL、より好ましくは24時間の間、約1000ng/mLの最低トラフ濃度に維持するために投与される。
【0039】
ある好ましい態様において、治療的に有効な血漿濃度が得られ、あるトラフ濃度が維持される。これらの方法は、特に、VX−950製剤を投与することによりHCV感染を有するヒトを処置するのに有用であり、ここで、前記VX−950の血漿中トラフ濃度は、24時間の間、約750ng/mLの最低レベル、800ng/mL、900ng/mLまたは1000ng/mLに維持される。理論はともかく、約1500ng/mLより大きいトラフ濃度は、本発明に必要とされないと考えられる。従って、約750、800、900、1000ng/mLから約1500ng/mL(特に、1000から約1500)のトラフ濃度は、本発明の範囲内である。
【0040】
VX−950をヒトに送達するためのVX−950を含む剤形であって、該剤形が
24時間の間に少なくとも1回投与されるとき、VX−950の血漿中トラフ濃度が、24時間の間、少なくとも約750ng/mL、800ng/mL、900ng/mL、または1000ng/mLから、24時間の間、約1500ng/mL(特に、1000ng/mLから約1500ng/mL)に維持される剤形もまた、提供する。
【0041】
理想的には、本発明の方法が、HCVに感染した患者を処置することを包含するとき、本方法は、VX−950の治療的に有効な血漿濃度を比較的迅速に達成し、その後、効果的な治療応答を達成するように前記トラフ濃度を維持することを含む。効果的な治療応答とは、好ましくは、a)持続的ウイルス応答を達成すること;そして、b)少なくとも12週間(12週間またはそれ以上)、検出不可能な血漿中HCV RNAを達成すること、の一方または両方である。本明細書中で用いる、HCV RNAについての“検出不可能”とは、HCV RNAが、現在商業的に利用可能な分析により決定される、好ましくは、Roche COBAS TaqManTM HCV/HPS分析により決定される、10IU/ml未満で存在することを意味する。
【0042】
血漿濃度の比較的迅速な低下は、患者に負荷用量を投与することにより得られ得る。1つの態様において、負荷用量は、約1250mgのVX−950である。
【0043】
本発明のある剤形において、(負荷用量を投与するために用いられる剤形以外の)剤形には、約750mgのVX−950が含まれ、該剤形は、各24時間に3回投与される。
【0044】
ある態様において、VX−950を用いる処置期間は、現在の標準的な治療よりも短い。
【0045】
ある態様において、本発明の方法は、遺伝子型1型のC型肝炎ウイルスに感染した患者の処置を含む。遺伝子型1型のHCV感染は、治療するHCVの最も困難な株および米国で最も蔓延している株である。
【0046】
本発明者らはまた、VX−950の投与が、ネオプテリンおよびALTレベルをインビボで減少させることを証明した(図6、図7および図14)。AST(アルパラギン酸アミノ転移酵素)レベルもまた、VX−950の投与により減少した。ALTは、肝臓細胞に存在する酵素であり;肝臓細胞が、損傷を受けるかまたは炎症を起こすとき、ALTが細胞から血中へ流れ出す。血中ALTレベルは、肝炎または肝臓損傷のマーカーとして有用である。Tatyana Yashina & J. Sanders Sevall, “Hepatitis C Virus” in Use and Interpretation of Laboratory Tests in Gastroenterology, James B. Peter, ed., p. 127, (1998);and Andres T. Blei, “Liver and Biliary Tract” in Laboratory Medicine, D. A. Noe and Robert C. Rock, eds., ch. 19, p. 363 (1994)を参照のこと。
【0047】
ネオプテリン(6−d−エリスロ−トリヒドロキシプロピルプテリジン)は、グアノシン三リン酸(GTP)の代謝中に生産されるプテリジン誘導体である。ネオプテリンは、インターフェロンγまたはインターフェロンαによる活性化により単球およびマクロファージによって最初に生産され、炎症のマーカーである。ネオプテリンレベルは、しばしば、慢性的HCV感染において上昇する(Quiroga, et al. Dig Dis Sci 1994;39(11): 2485−96)。健康な個体において予期されるネオプテリンの血漿レベルは、3.1から7.7nmol/lである。
【0048】
従って、本発明者らは、単球/マクロファージ活性のマーカーとして、(HCV)NS3・4Aプロテアーゼの阻害剤の投与期間中の血清ネオプテリン濃度の変化を決定した。本明細書で記載の通り、VX−950を、遺伝子型1型のHCVに感染した34名の患者における、無作為化、二重盲検、プラセボ−対照、多数回投与試験において14日間投与した(表1)。患者は、VX−950を、450mg、8時間毎(n=10)、750mg、8時間毎(n=8)、1250mg、12時間毎(n=10)、またはプラセボ(n=6)を受容した。血清ネオプテリン濃度を、定量的競合ELISA(ELItest(登録商標) Neopterin, Brahms, Hennigsdorf, Germany)により、処置前、処置7日目、14日目、およびフォローアップ10日目に測定した。検出の下限値(LLD)は、2nmol/lであった。HCV RNAを、リアルタイムPCR (COBAS(登録商標) TaqMan HCV検定;3.0×10から2.0×10 HCV RNA IU/mlの線形ダイナミックレンジ;10 HCV RNA IU/mlのLLD;Roche Diagnostics, Branchburg, NJ)により、試験中頻繁に評価した。
【0049】
VX−950の投与期間中、各患者は、全ての用量群においてウイルス量が>2−log10に下がることを証明した(表2)。750mg、8時間毎の用量群において、平均HCV RNAは、3日目に3.6log10に低下し、14日目に4.3log10に低下した。450mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の用量群において、最大効果は、3日目から7日目に見られ、その後、7日目から14日目の間に平均ウイルス量が増加した。平均ウイルス量は、全ての用量群において、フォローアップ中に増加した。有利なことに、HCV未処置患者および以前処置した患者の両方において、本発明の方法が有効である。図17Aおよび図17Bに示す通り、以前処置した患者および未処置患者の両方が、VX−950に応答した。疑いを避けるために、本発明の方法で処置され得る患者には、HCV処置が、試されなかった患者か、または、非応答、リバウンド、再発および進行した患者を含む、処置に失敗した患者が含まれる。
【0050】
ネオプテリンベースラインは、23/34名の患者で上昇した(平均9.33nmol/l;正常上限(ULN)7.7nmol/l)。750mgの用量群において、ベースラインおよびプラセボと比較したネオプテリンの減少は、14日目に顕著となった(750mg、8時間毎の用量群のベースライン v 14日目 10.48±0.84nmol/l v 7.32±0.48nmol/l P=0.0104、マンホイットニー検定;750mg、8時間毎の用量群 v プラセボ、14日目 7.32±0.48nmol/l v 9.81±1.36nmol/l P=0.0036、対応のない両側t検定)。平均ネオプテリンレベルは、750mg、8時間毎の用量群においてのみ、14日目にて正常値内であった(図7および図14)。450mg、8時間毎の用量群、および1250mg、12時間毎の用量群において、平均ネオプテリンレベルの減少は、より小さかった(図6、7、および14)。平均ネオプテリンレベルは、プラセボ群で変化しなかった(図6および図7)。平均ネオプテリンレベルは、フォローアップ中に全ての用量群で増加した。
【0051】
平均ALTレベルは、ベースライン時に高く、全ての群にて投与中に減少した(図6)。平均ALTレベルは、フォローアップ中に全ての用量群で増加し、ベースラインに戻った。
【0052】
HCV RNAは、450mgの用量群、および1250mgの用量群で7日後に増加するが、ネオプテリンおよびとりわけALTは、減少し続ける。平均ネオプテリン濃度の変化は、VX−950の投与中のHCV RNAおよびALTレベルの減少と関係があった。平均ネオプテリン濃度は、750mg、8時間毎の用量群において14日目に最大に減少した。これはまた、14日目に、HCV RNAの最大の減少を有する用量群でもあった。450mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の用量群において7日目の後、ALTおよびネオプテリンレベルは減少したが、HCV RNAレベルは増加した。これらのデータは、VX−950によるHCV複製の阻害が、結果としてウイルス感染と関係のある全身性炎症性活性の著しい減少となることを示唆する。
【0053】
VX−950はまた、動物モデルにおいて高ALTレベルを改善する(WO2005/025517を参照のこと)。特に、SCIDマウスにおけるWT−HCVプロテアーゼ−SEAPの発現は、VX−950で処置することにより改善される高ALTレベルをもたらす。SCIDマウスにおけるWT−HCVプロテアーゼのみの発現は、ALTレベルの時間および用量依存的上昇ももたらす。
【0054】
従って、本発明の他の態様は、HCV陽性またはHCV陰性のどちらかである患者において、肝臓障害、肝炎、脂肪症、脂肪肝、NAFLD、NASH、アルコール性脂肪症、およびライ症候群の1種以上を処置または予防するための方法を提供する。本発明はまた、HCV陽性または陰性のどちらかである患者における、肝臓保護のための方法を提供する。
【0055】
本発明者らはまた、VX−950が、インビトロで免疫回避を阻止することを証明した。
【0056】
VX−950は、センダイウイルス感染Huh7細胞におけるIFNβ依存的遺伝子発現を元に戻す。IFNβプロモーター活性は、WT HCVproの存在下で、センダイウイルス刺激に応答して減少する。VX−950は、WT HCVproが仲介するIFNβプロモーター活性化の抑制を克服する。図15および図16。
【0057】
さらに、NS3/4Aは、例えば、TRIF依存的機序(ならびに、ウイルスポリタンパク質プロセシング)により、先天的防御の回避を伴うことが知られている。この免疫回避は、ウイルスの存続をもたらす。従って、ウイルスポリタンパク質プロセシングおよび先天的防御の回避の両方を阻害する化合物が望ましい。有利には、VX−950は、該両方を行うことが示されている。特に、VX−950は、インビトロで、TLR3アダプタータンパク質であるTRIFの切断を阻害する。図8−10。
【0058】
理論はともかく、モデル化は、VX−950が、NS3プロテアーゼによるTRIF切断を阻害することを示唆する。TRIFは、NS3プロテアーゼ活性部位の非プライム(non−prime)側に結合する。VX−950は、TRIFと、同じ活性部位の非プライム側に結合し、TRIF切断を阻止する。
【0059】
さらに、本発明者らは、2種のVX−950ウイルス変種、A156TおよびA156Vが、TRIFまたは4A/4Bのどちらかを切断する能力の低下を示すことを明らかにした(C. Lin et al. “In Vitro Studies of Cross−resistance Mutations Against two Hepatitis C Virus Serine Protease Inhibitors VX−950 and BILN 2061”, J. Biol. Chem., (August 8, 2005)。これらのウイルス変種は、適合性が小さく、それらは、ウイルスポリタンパク質プロセシングおよびウイルスの存続の両方に影響しない。理論は別にして、これは、4A/4BおよびTRIF基質に結合して影響を与えるA156Vの立体障害と関係する。図11−13。
【0060】
これは、VX−950が、直接的抗ウイルス剤および免疫回避の阻害剤の両方として作用することを示す。従って、本発明はまた、HCVプロテアーゼが仲介する宿主の防御の回避を阻害する方法を提供する。
【0061】
本明細書中で開示されるインビボデータと共にこれらの結果は、単剤療法としてのVX−950の有効性を示す。
【0062】
本発明のVX−950の量は、単一剤形または2つ以上の剤形で投与される。分割剤形であるとき、各剤形は、ほぼ同時に投与される。疑いを避けるために、1日1回以上の投与を求める投与レジメンについては、1個以上のピルまたは用量が、1日につき各回で投与される(例えば、1個のピルを1日3回、または3個のピルを1日3回)。本発明の最も好ましい態様は、1回の投与につき少なくとも2個のピルを用い得る。
【0063】
VX−950は、1個以上の不斉炭素原子を含むことができ、従って、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして存在し得る。これらの化合物の全てのそのような異性体は、本発明に明示的に包含される。各立体中心の炭素は、RまたはS配置であり得る。VX−950のN−プロピル側鎖におけるD−およびL−異性体は、本発明の範囲内に明示的に包含される。本発明の好ましい態様は、VX−950を用いる。
【0064】
当業者に実施可能なように、本発明の方法が患者の予防的処置に用いられ、その患者がC型肝炎ウイルスに感染するとき、該方法は、その後感染を処置し得る。故に、本発明の1つの態様は、患者におけるC型肝炎感染を処置または予防するための方法を提供する。
【0065】
C型肝炎に感染した患者の処置に加えて、本発明の方法は、C型肝炎の感染から患者を予防するために用いることができる。従って、本発明の1つの態様は、本発明の組成物または剤形を患者に投与することを含む、患者におけるC型肝炎ウイルス感染を予防するための方法を提供する。
【0066】
本発明の方法はまた、免疫調節剤;抗ウイルス剤;HCVプロテアーゼの阻害剤(VX−950以外);HCV生活環の他の標的の阻害剤(NS3/4Aプロテアーゼ以外);内部リボソーム侵入の阻害剤、広域的ウイルス阻害剤;または、シトクロムP−450阻害剤;または、それらの組み合わせ、から選択されるさらなる薬剤を含む他の成分の投与を含み得る。さらなる薬剤はまた、ウイルスの細胞侵入の阻害剤から選択される。
【0067】
従って、他の態様において、本発明は、VX−950および他の抗ウイルス剤、好ましくは抗HCV剤を投与することを含む方法を提供する。そのような抗ウイルス剤には、α−、β−、およびγ−インターフェロンまたはチモシン、PEG化誘導インターフェロン−α化合物、およびチモシンのような免疫調節剤;リバビリン、アマンタジン、およびテルビブジンのような他の抗ウイルス剤;C型肝炎プロテアーゼの他の阻害剤(NS2−NS3阻害剤およびNS3−NS4A阻害剤);ヘリカーゼ、ポリメラーゼ、およびメタロプロテアーゼ阻害剤を含む、HCV生活環における他の標的の阻害剤;内部リポソーム侵入の阻害剤;IMPDH阻害剤のような広域的ウイルス阻害剤(例えば、VX−497、VX−148、および/またはVX−944を含むが、それらに限定されない、米国特許第5,807,876号、同第6,498,178号、同第6,344,465号、同第6,054,472号、WO97/40028、WO98/40381、WO00/56331の化合物、ならびにミコフェノール酸およびその誘導体);または、上記のいずれかの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0068】
本発明の化合物と併用され得る他の薬剤(例えば、非免疫調節または免疫調節化合物)には、参照により本明細書中に包含されるWO02/18369(例えば、273頁、9−22行目、および274頁、4行目から276頁、11行目、本開示は、参照により明確に本明細書中に包含される)に記載されるものが含まれるが、それらに限定されない。
【0069】
様々な公開された米国特許出願に記載されるさらに他の薬剤が包含される。これらの刊行物は、本発明の方法、特に肝炎の処置においてVX−950と併用し得る化合物および方法のさらなる教示を提供する。そのような方法および組成物は全て、本発明の方法および組成物と併用し得ると考えられる。簡潔には、それらの刊行物の開示内容は、公開番号を参照することにより参照されるが、化合物の開示が、特に、参照により本明細書中に明確に包含されることは、注意されるべきである。そのような刊行物の例には、米国特許公開番号第20040058982号;米国特許公開番号第20050192212号;米国特許公開番号第20050080005号;米国特許公開番号第20050062522号;米国特許公開番号第20050020503号;米国特許公開番号第20040229818号;米国特許公開番号第20040229817号;米国特許公開番号第20040224900号;米国特許公開番号第20040186125号;米国特許公開番号第20040171626号;米国特許公開番号第20040110747号;米国特許公開番号第20040072788号;米国特許公開番号第20040067901号;米国特許公開番号第20030191067号;米国特許公開番号第20030187018号;米国特許公開番号第20030186895号;米国特許公開番号第20030181363号;米国特許公開番号第20020147160号;米国特許公開番号第20040082574号;米国特許公開番号第20050192212号;米国特許公開番号第20050187192号;米国特許公開番号第20050187165号;米国特許公開番号第20050049220;および、米国特許公開番号第US2005/0222236が含まれる。
【0070】
さらなる他の薬剤には、Human Genome Sciencesから市販されるアルブフェロン(商標)(アルブミン−インターフェロンα);PEG−イントロン(登録商標)(PEG化インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販される);イントロン−A(登録商標)(VIRAFERON(登録商標)、インターフェロンα−2b、Schering Corporation, Kenilworth, NJから市販されている);リバビリン(1−β−D−リボフラノシル−1H−1,2,4−トリアゾール−3−カルボキサミド、ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CAから市販される;the Merck Index, entry 8365, Twelfth Editionに記載される);REBETROL(登録商標)(Schering Corporation, Kenilworth, NJ);コーペガス(登録商標)(Hoffmann−La Roche, Nutley, NJ);ペガシス(登録商標)(PEG化インターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);ロフェロン(登録商標)(組換えインターフェロンα−2a、Hoffmann−La Roche, Nutley, NJから市販される);BEREFOR(登録商標)(インターフェロンα2、Boehringer Ingelheim Pharmaceutical, Inc., Ridgefield, CTから市販される);スミフェロン(登録商標)(スミフェロンのような、精製物と天然のαインターフェロンの混合物、Sumitomo, Japanから市販される);ウェルフェロン(登録商標)(インターフェロン α n1、Glaxo Wellcome Ltd., Great Britainから市販される);アルフェロン(登録商標)(Interferon Sciencesにより作製される天然αインターフェロンの混合物、およびPurdue Frederick Co., CTから市販される);α−インターフェロン;天然αインターフェロン 2a;天然αインターフェロン 2b;PEG化αインターフェロン 2aまたは2b;コンセンサスαインターフェロン(Amgen, Inc., Newbury Park, CA);レベトロン(登録商標)(Schering Plough、インターフェロン−α 2B+リバビリン);PEG化インターフェロンα(Reddy, K.R. et al. “Efficacy and Safety of Pegylated (40−kd) Interferon alpha−2a Compared with Interferon alpha−2a in Noncirrhotic Patients with Chronic Hepatitis C”(Hepatology, 33, pp. 433−438 (2001);コンセンサスインターフェロン(インファゲン(登録商標))(Kao, J.H., et al., “Efficacy of Consensus Interferon in the Treatment of Chronic Hepatitis” J. Gastroenterol. Hepatol. 15, pp. 1418−1423 (2000);リンパ芽球様または“天然”インターフェロン;インターフェロン tau(Clayette, P. et al., “IFN−tau, A New Interferon Type I with Antiretroviral activity” Pathol. Biol. (Paris) 47, pp. 553−559 (1999);インターロイキン−2(Davis, G.L. et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−6(Davis et al. "Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease 19, pp. 103−112 (1999);インターロイキン−12(Davis, G.L. et al., "Future Options for the Management of Hepatitis C." Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999);および、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物(Davis et al., “Future Options for the Management of Hepatitis C.” Seminars in Liver Disease, 19, pp. 103−112 (1999))、が含まれるが、それらに限定されない。また、二本鎖RNA単独、またはトブラマイシンおよびイミキモドとの組み合わせを含むが、これらに限定されない(3M Pharmaceuticals;Sauder, D.N. “Immunomodulatory and Pharmacologic Properties of Imiquimod” J. Am. Acad. Dermatol., 43 pp. S6−11 (2000))、細胞におけるインターフェロンの合成を刺激する化合物(Tazulakhova, E.B. et al., “Russian Experience in Screening, analysis, and Clinical Application of Novel Interferon Inducers” J. Interferon Cytokine Res., 21 pp. 65−73)も含まれる。また、WO02/18369、特に272頁、15行目から273頁、8行目を参照のこと、この開示内容は、参照により本明細書中に明確に包含される。
【0071】
当業者に認められる通り、VX−950は、好ましくは経口投与される。インターフェロンは、通常、経口投与されないが、経口投与剤形が開発される。それにもかかわらず、本明細書中、本発明の方法または組み合わせを、何らかの特定の剤形またはレジメンに限定すべきではない。よって、本発明の組み合わせの各構成成分は、個別に、共に、またはその何らかの組み合わせで投与され得る。当業者に認められる通り、インターフェロンの投与量は、一般的に、IUで測定される(例えば、約400万IUから約1200万IU)。インターフェロンはまた、マイクログラム単位で投与され得る。例えば、PEG化イントロンの標準的用量は、1.0−1.5μg/kg/週であり、ペガシスのそれは、180μg/週である。
【0072】
本発明に関連して用いられるシトクロムP450モノオキシゲナーゼ(“CYP”)阻害剤は、VX−950の代謝を阻害すると予想される。それ故に、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ阻害剤は、VX−950の代謝を阻害するのに有効な量だろう。従って、CYP阻害剤は、VX−950の生物学的利用率またはVX−950への暴露が、CYP阻害剤の不存在下でのVX−950と比較して増加するような量で投与される。CYP阻害剤には、リトナビル(WO94/14436)、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリン、クロメチアゾール、シメチジン、イトラコナゾール、フルコナゾール、ミコナゾール、フルボキサミン、フルオキセチン、ネファゾドン、セルトラリン、インジナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、サキナビル、ロピナビル、デラビルジン、エリスロマイシン、VX−944およびVX−497が含まれるが、これらに限定されない。好ましいCYP阻害剤には、リトナビル、ケトコナゾール、トロレアンドマイシン、4−メチルピラゾール、シクロスポリンおよびクロメチアゾールが含まれる。
【0073】
シトクロムP450モノオキシゲナーゼ活性を阻害する化合物の能力を測定するための方法は、公知である(US6,037,157、およびYun, et al. Drug Metabolism & Disposition, vol. 21, pp. 403−407 (1993)を参照のこと)。VX−950およびCYP阻害剤の対象への共投与の影響を評価するための方法もまた、公知である(US2004/0028755)。かかる方法は全て、組み合わせの薬物動態への影響を決定するために本発明に関連して用いられ得る。
【0074】
本発明の1つの態様は、CYP3A4およびVX−950の阻害剤を投与するための方法を提供する。
【0075】
本明細書中の方法は、a)VX−950および他の薬剤の組み合わせ;または、b)2個以上の剤形のVX−950、を投与または共投与することを含み得る。共投与は、同一の剤形または異なる剤形にて、各阻害剤を投与することを包含する。異なる剤形で投与されるとき、該阻害剤は、ほぼ同時または他の剤形の投与中のいずれかの時間を含む、異なる時間に投与され得る。分割剤形は、任意の順序で投与され得る。すなわち、いずれかの剤形は、他の剤形の前、共に、またはその後に投与され得る。
【0076】
VX−950、および何らかのさらなる薬剤を、分割剤形で製剤することができる。あるいは、患者に投与すべき剤形の数を減らすために、VX−950、および何らかのさらなる薬剤を、何らかの組み合わせで製剤できる。いずれかの分割剤形を、同時に、または異なる時間に投与することができる。剤形を、その生物学的効果が有利になるように時間内に投与すべきであることが理解されるはずである。
【0077】
本発明のレジメンおよび剤形によれば、VX−950は、試料中または患者のウイルス量(該ウイルスは、ウイルス生活環に必須のNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードする)を減少させるのに有効な量(または、本発明の方法を実行するのに有効な量)で、薬学的に許容される担体と共に存在する。あるいは、本発明の組成物には、本明細書中に記載のさらなる薬剤が包含される。各成分は、個々の組成物、組合せ組成物、または単一組成物中に存在し得る。
【0078】
化合物の薬学的に許容される塩を、これらの組成物に用いるとき、それらの塩は、好ましくは、無機または有機の、酸および塩基から誘導される。そのような酸性塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩(camphorate)、カンファースルホン酸塩(camphor sulfonate)、シクロペンタン−プロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3−フェニル−プロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基性塩には、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、NメチルDグルカミンのような有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リジンのようなアミノ酸との塩などが含まれる。
【0079】
また、塩基性窒素を含む基は、塩化、臭化およびヨウ化、メチル、エチル、プロピルおよびブチルのような低級ハロゲン化アルキル;硫化ジメチル、硫化ジエチル、硫化ジブチルおよび硫化アミルのような硫化ジアルキル、塩化、臭化およびヨウ化、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルのような長鎖ハロゲン化物、ベンジルおよびフェネチル臭化物のようなハロゲン化アラルキルなどのような物質と四級化し得る。それにより。水または油に可溶性または分散性の生成物が得られる。
【0080】
本発明の組成物および方法に利用される化合物はまた、選択的な生物学的特性を高めるのに適当な機能性を追加することにより修飾され得る。そのような修飾は、当技術分野で公知であり、一定の生物系(例えば、血液系、リンパ系、中枢神経系)への生物学的浸透を増加し、経口アベイラビリティーを増加し、注射による投与を可能にするための溶解性を増加し、代謝を変化させ、排泄速度を変化させることが含まれる。
【0081】
これらの組成物に用いることのできる薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンのような血清タンパク質、リン酸塩のような緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸のような部分的グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの基質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂のような塩または電解質が含まれるが、これらに限定されない。
【0082】
好ましい態様によれば、本発明の組成物を、哺乳動物、特にヒトに対する薬剤投与のために製剤する。
【0083】
かかる本発明の医薬組成物(ならびに、本発明の、方法において使用するための組成物、組み合わせ、キットおよびパッケージ)を、経口で、非経腸で、舌下に、吸入スプレーにより、局所に、経直腸に、経鼻的に、口腔内に、経膣的に、または埋め込みリザーバー(implanted reservoir)により投与することができる。本明細書中で用いる用語“非経腸”には、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑液内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病変内および頭蓋内注射または注入技術が含まれる。好ましくは、前記組成物を、経口または静脈内投与する。より好ましくは、前記組成物を経口投与する。
【0084】
本発明の組成物の滅菌注射剤は、水性または油性懸濁液であり得る。これらの懸濁液は、適する分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を用いて、当技術分野で公知の技術により製剤することができる。前記滅菌注射製剤はまた、非毒性の非経腸投与可能な希釈剤または溶媒中、例えば1,3−ブタンジオール溶液として、滅菌注射溶液または懸濁液であり得る。用いることのできる許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル溶液および生理食塩水である。さらに、滅菌した不揮発性油が、溶媒または懸濁化媒体として都合よく用いられる。この目的に関して、合成モノまたはジグリセリドを含む、何らかの無菌性の不揮発性油を用いることができる。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体のような脂肪酸が、注射剤の製造において、オリーブ油またはヒマシ油のような天然の薬学的に許容される油、とりわけそれらのポリオキシエチル化型として有用である。これらの油剤または油懸濁液にはまた、エマルジョンおよび懸濁液を含む薬学的に許容される剤形の構築において通常用いられる、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤のような、長鎖アルコール希釈剤または分散剤が含まれ得る。他の通常用いられる、トゥイーン系、スパン系(Span)および他の乳化剤のような界面活性剤、または薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造に通常用いられる生物学的利用率のエンハンサーはまた、製剤目的に使用することもできる。
【0085】
VX−950およびさらなる薬剤を含む本発明の組成物において、VX−950および前記さらなる薬剤は、約10から100%の投与量レベルで存在すべきであり、より好ましくは、単剤療法レジメンにおいて通常投与される投与量の約10から80%で存在すべきである。
【0086】
本発明の医薬組成物は、カプセル、錠剤、ピル、粉剤、粒剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されない何らかの経口的に許容される剤形で経口投与され得る。経口用錠剤の場合において、通常用いられる担体には、ラクトースおよびコーンスターチが含まれる。ステアリン酸マグネシウムのような滑剤もまた、一般的に添加される。カプセル形態での経口投与に関して、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥コーンスターチが含まれる。水性懸濁液が経口用に必要とされるとき、活性成分を、乳化剤および懸濁化剤と結合させる。要すれば、ある甘味剤、香味剤または着色剤を、添加することもできる。許容される液体剤形には、乳剤、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が含まれる。
【0087】
あるいは、本発明の医薬組成物は、直腸投与用に坐剤の形態で投与され得る。これらは、前記薬剤と、室温で固体であるが、直腸温で液体であり、故に直腸で薬剤を放出し得る、適する無刺激性の賦形剤を混合することにより製造できる。そのような物質には、ココアバター、蜜蝋およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0088】
本発明の医薬組成物はまた、とりわけ処置の標的が、眼、皮膚、または下部消化管の疾患を含む、局所適用により到達しやすい領域または器官を含むとき、局所投与され得る。適する局所製剤は、これらの領域または器官のそれぞれ用に容易に製造される。
【0089】
当技術分野で認識される通り、医薬組成物はまた、リポソームの形態で投与することができる。
【0090】
本発明者らは、VX−950が、経口投与可能であることを証明した。従って、本発明の好ましい医薬組成物は、経口投与用に製剤される。
【0091】
CYP阻害剤に関して、1日につき体重1kg当たり約0.001から約200mgの投与量レベルが、典型的であろう。より典型的には、1日当たり約0.1から約50mg/kg、または約1.1から約25mg/kgの間の投与量レベルであり得る。
【0092】
リトナビルの好ましい剤形に関しては、米国特許第6,037,157号、およびそこに引用される文献:米国特許第5,484,801号、米国特許出願第08/402,690号、および国際特許出願WO95/07696およびWO95/09614を参照のこと)。
【0093】
本発明に関係する投与を、長期または短期療法として用いることができる。単一剤形を製造するために担体物質と結合され得る活性成分の量は、処置する宿主および特定の投与方法に依存して変化し得る。典型的な製剤は、約5%から約95%の活性化合物(w/w)を含み得る。好ましくは、かかる製剤は、約20%から約80%の活性化合物を含む。
【0094】
患者の状態が改善された場合、本発明の化合物、組成物または組み合わせの維持量を、必要ならば、投与することができる。その後、投与の投与量あるいは頻度、または両方を、その症状の関数として、改善された状態が、症状が所望のレベルに軽減され、処置を終えるべきときを維持するレベルに減らすことができる。しかしながら、患者は、疾患症状の何らかの再発により長期的に断続的な処置を必要とし得る。
【0095】
何らかの特定の患者に対する特定の投与量および処置レジメンが、用いる特定の化合物の活性、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、混合薬、担当医の判断、および処置すべき特定の疾患の重症度、これまでの治療歴、共存疾患または併用薬、ベースラインのウイルス量、種、疾患の期間、肝機能の状態および肝線維症/肝硬変の程度、ならびに治療目標(移植によるウイルス循環の排除またはウイルスの根絶)を含む、様々な因子に依存して変化し得ることも理解されるべきである。活性成分の量は、特定の記載した化合物、組成物中のさらなる抗ウイルス剤の存在または不存在、および性質にも依存し得る。
【0096】
他の態様によれば、本発明は、本発明の薬学的に許容される組成物を該患者に投与することにより、ウイルスの生活環に必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼをコードするウイルスにより特徴付けられるウイルスに感染した患者を処置するための方法を提供する。好ましくは、本発明の方法は、HCV感染を有する患者の処置に用いられる。かかる処置は、ウイルス感染を完全に根絶するか、またはその重症度を低減し得る。好ましくは、患者は哺乳動物である。より好ましくは、患者はヒトである。
【0097】
本明細書中の投与量は、好ましくはインビボでの使用用である。それにもかかわらず、これは、目的に応じてこれらの量のVX−950の使用に限定されるものと意図されない。さらに他の態様において、本発明は、生物学的物質と、本発明の化合物を含む薬学的に許容される組成物を結合する段階を含む、患者に投与することを目的として該生物学的物質を前処理する方法を提供する。かかる生物学的物質には、血液および血漿、血小板、血液細胞の亜集団などのその成分;腎臓、肝臓、心臓、肺などの器官;精子および卵子;骨髄およびその成分、ならびに食塩水、デキストロースなどの患者に注入される他の液体が含まれるが、それらに限定されない。
【0098】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを組み合わせる段階を含む、VX−950、またはその薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される担体、アジュバント、またはビヒクルを含む組成物を製造するための方法を提供する(ここで、組成物中のVX−950の投与量は、本発明のいずれかの態様と一致する。)。本発明の別の態様は、前記組成物が、本明細書中に記載の1個またはそれ以上のさらなる薬剤を含む方法を提供する。
【0099】
本発明はまた、VX−950、またはその薬学的に許容される塩を、本明細書中に記載の投与量で含む治療レジメンを提供する。本発明の別の態様において、治療レジメンはさらに、本明細書中に記載の1個またはそれ以上のさらなる薬剤を含む。
【0100】
医薬組成物はまた、単一パッケージ、通常ブリスターパッケージに一連の処置全体を含む“患者パック(patient pack)”で患者に処方され得る。患者パックは、患者が、従来の処方において通常紛失される患者パックに含まれる添付文書をいつでも利用できる点で、薬剤師が、大量購入物から患者への薬剤分配を行なう従来の処方よりも有利である。添付文書の包含は、患者に医者の指示の順守を改善させることが明らかにされている。
【0101】
患者が本発明の正しい使用をするように指示する添付文書を包含する単一の患者パック、または各製剤の患者パックを用いる本発明の組み合わせの投与は、本発明の望ましいさらなる特徴であることが理解されるだろう。
【0102】
さらなる局面によれば、本発明は、少なくともVX−950(本発明の投与量)および本発明の組み合わせの使用指示書を含む添付情報を含むパッケージである。何らかの組成物、剤形、治療レジメンまたは本発明の他の態様は、医薬的パッケージで存在し得る。本発明の別の態様において、前記医薬的パッケージは、本明細書中に記載の1個以上のさらなる薬剤をさらに含む。さらなる薬剤または複数の薬剤は、同一のパッケージまたは異なるパッケージで提供され得る。
【0103】
本発明の他の局面は、各医薬成分の単一または複数の医薬製剤;貯蔵中および投与前に医薬製剤(複数可)を保存する容器;および、HCV感染を処置または予防するのに有効な方法で薬剤投与を行うための指示書を含む、HCV感染の処置またはHCV感染の予防における患者への使用のための(または、本発明の他の方法における使用のための)パッケージ化されたキットを包含する。
【0104】
従って、本発明は、VX−950(および、所望によりさらなる薬剤)の用量の同時または連続投与のためのキットを提供する。典型的に、そのようなキットは、例えば、薬学的に許容される担体中(および、単一または複数の医薬製剤中)、各化合物の組成物および任意のさらなる薬剤(複数可)、ならびに同時または連続投与のための指示書を含み得る。
【0105】
他の態様において、パッケージキットは、自己投与のための1個またはそれ以上の剤形;貯蔵中および使用前に前記剤形を保存するための、好ましくは密閉された容器;および、薬剤投与を行うための指示書を包含して提供される。指示書は、一般的に、添付文書、ラベル、および/またはキットの他の成分の指示書であり、剤形または複数の剤形が、本明細書中に記載されている。各剤形は、一枚の金属箔−プラスチック薄板で形成される個々の空間(cell)または半球形(bubble)中に、他から分離されたそれぞれの剤形を包含させるか、または剤形は、プラスチック容器のような単一の容器中に包含され得る。本発明のキットはまた、典型的には、個々のキット成分をパッケージングするための手段、すなわち、剤形、容器、および使用のための指示書を含み得る。そのようなパッケージング手段は、段ボール箱または紙箱、プラスチック容器または金属箔容器などの形態であり得る。
【0106】
本発明のキットは、何らかの組成物、剤形、治療レジメン、または医薬的パッケージのような、本発明のいずれかの局面を具現化し得る。
【0107】
本発明のパッケージおよびキットは、所望により、複数の組成物または剤形を含む。従って、本発明は、1個の組成物または2個以上の組成物を含むパッケージおよびキットであり得る。
【0108】
ある例示的態様は、下記に描写および記載されているが、本発明の化合物を、当業者に一般的に利用可能な適当な出発物質を用いて、概して上記に記載の方法に従い製造することができることは、当然のことである。
【0109】
全ての引用文献は、参照により本明細書中に包含される。
【0110】
本発明をより十分に理解するために、下記に調製および実験例を記載する。これらの実施例は、説明のみを目的とし、いかなる点でも本発明の範囲を制限するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0111】
実施例1
HCVレプリコン細胞分析プロトコール
C型肝炎ウイルス(HCV)レプリコンを含む細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、0.25mg/mlのG418、適当な添加剤を含むDMEM(媒体A)中で維持した。
【0112】
1日目に、レプリコン細胞単層を、トリプシン:EDTA混合物で処理し、除き、その後、媒体Aを、最終濃度100,000細胞/mlまで希釈した。10,000細胞/100μlを、96ウェル組織培養プレートの各ウェル中に播種し、37℃にて、組織培養インキュベーター中で一晩培養した。
【0113】
2日目、化合物(100%DMSO中)を、2%FBS、0.5%DMSO、適当な添加剤を含むDMEM(媒体B)中に連続的に希釈した。DMSOの最終濃度を、一連の希釈を通して0.5%に維持した。
【0114】
レプリコン細胞単層上の媒体を除去し、その後、様々な濃度の化合物を含む媒体Bおw添加した。化合物を含まない媒体Bを、化合物なしの対照として、他のウェルに添加した。
【0115】
細胞を、37℃の組織培養インキュベーター中、化合物または0.5%DMSOを含む媒体B中で、48時間インキュベートした。48時間のインキュベーションの最後に、媒体を取り除き、レプリコン細胞単層をPBSで一度洗浄し、RNA抽出前に−80℃で貯蔵した。
【0116】
処理したレプリコン細胞単層を含む培養プレートを解凍し、一定量のウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)のような他のRNAウイルスを、各ウェルにて細胞に添加した。RNA抽出試薬(RNeasyキットの試薬のような)を、RNA分解を避けるために細胞に直ちに添加した。全RNAを、抽出効率および一貫性を改善するための改良を含む、製造業者の指示書に従って抽出した。最後に、HCVレプリコンRNAを含む全細胞RNAを、溶出させ、さらなる処理まで−80℃で貯蔵した。
【0117】
TaqmanリアルタイムRT−PCR定量化分析を、特定のプライマーおよびプローブの2個のセットを用いて行った。1つは、HCVについて、もう1つは、BVDVについて行った。処理したHCVレプリコン細胞由来の全RNA抽出物を、同じPCRウェル中に、HCVおよびBVDV RNAの両方の定量のために、PCR反応に追加した。実験的失敗に印をつけ、各ウェル中のBVDV RNAレベルを基に却下した。各ウェル中のHCV RNAのレベルを、同じPCRプレートで実行する標準曲線に従い計算した。化合物処理によるHCV RNAレベルの阻害または減少の割合を、DMSOを用いて計算し、化合物なしの対照を0%阻害とした。IC50(HCV RNAレベルの50%阻害が見られる濃度)を、いずれかの既知化合物の滴定曲線から計算した。
【0118】
VX−950は、レプリコン分析において顕著な活性を証明された。VX−950は、240ng/mLのIC50および476ng/mLのIC90を有することが示された。
【0119】
実施例2
HCV Ki分析プロトコール
5AB基質および産物の単離のためのHPLCマイクロボア方法
基質:
NH−Glu−Asp−Val−Val−(α)Abu−Cys−Ser−Met−Ser−Tyr−COOH。
【0120】
20mM 5ABの原液(または、選択した濃度)を、DMSO w/0.2M DTTで作製した。これを、−20℃にて、アリコートで貯蔵した。
【0121】
緩衝液:50mM HEPES、pH7.8;20%グリセロール;100mM NaCl。
【0122】
全分析量は、100μLである。
【表1】

【0123】
緩衝液、KK4A、DTT、およびtNS3を合わせ;96ウェルプレートの各ウェルに各78μLずつ分配した。これを、30℃で5から10分間、インキュベートした。
【0124】
2.5μLの適当な濃度の試験化合物を、DMSO中に溶解し(DMSOのみを対照とする)、各ウェルに添加した。これを、室温で15分間、インキュベートした。
【0125】
20μLの250μM 5AB基質の添加により反応を開始し(25μM濃度は、5ABのKm値と等しいかわずかに低い)、
30℃で20分間、インキュベートし、
25μLの10%TFAを添加して反応を終了し、
HPLCバイアルに120μLアリコートを移した。
【0126】
下記の方法により、基質およびKK4Aから単離したSMSY産物:
マイクロボア単離方法:
装置:
Agilent 1100
Degasser G1322A
Binary pump G1312A
Autosampler G1313A
Column thermostated chamber G1316A
Diode array detector G1315A
カラム:
Phenomenex Jupiter;5マイクロン C18;300オングストローム;150×2mm;P/O 00F−4053−B0
カラム温度自動調節器:40℃
注入量:100μL
溶媒A=HPLC等級純水+0.1%TFA
溶媒B=HPLC等級アセトニトリル+0.1%TFA
【0127】
【表2】

停止時間:17分
実行後:10分。
【0128】
実施例3
VX−950を無作為化、二重盲検、プラセボ−対照、単回用量漸増試験において調べた。25名の健康な男性ボランティアが登録された。各対象は、VX−950の複数の単回用量を、少なくとも7日間、3種の用量のVX−950を増加用量で、そして1種の用量のプラセボを個別に受けた。
【0129】
25mgから1250mgの用量を評価した。2倍ずつ増量しながら、より低用量範囲で攻撃的であり、より高用量範囲で保守的になるようにフィボナッチ数を変更した、用量漸増スキームを用いた。
【0130】
VX−950は、全ての用量レベルで良好な耐容性を示し、重大な有害事象は、試験中には報告されなかった。用量の増加により有害事象が増加することはなかった。
【0131】
薬物動態分析を、統計学的モーメント手法を用いて行った。図1Aおよび図1Bは、平均濃度−時間プロフィールを説明する。選択した導き出された薬物動態パラメーターを、図2A−2Dに示す。薬物動態分析が、VX−950が、3時間の平均tmaxで吸収されたことを示した。2%未満のVX−950は、尿中で変化なく除かれ、薬剤が、主に代謝経路から排泄されることを示す。
【0132】
実施例4
感染ウイルス分析
VX−950は、感染ウイルス分析において、196ng/mLのIC50を証明した。
【0133】
実施例5
VX−950を、24名の健康な対象および34名のC型肝炎陽性対象において、無作為化、プラセボ−対照、反復投与、盲検、用量漸増試験で調べた。
【0134】
健康な対象を、3つのパネルにそれぞれ8名の対象に分けた。各パネルにおいて、6名の対象がVX−950を受容し、2名の対象がプラセボを受容した。健康な対象に、5日間連続して、450mg、750mg、または1250mgのVX−950を8時間毎に投与した。前記健康な対象は、18歳から65歳までであり(18歳と65歳を含む)、肝炎B、C型肝炎、およびHIV陰性であった。男性は、18.5−29.0kg/m(18.5kg/mと29.0kg/mを含む)の肥満度指数を有していた。女性は、18.5−32.5kg/m(18.5kg/mと32.5kg/mを含む)の肥満度指数を有していた。
【0135】
C型肝炎(遺伝子型1型)陽性の対象を、3つのパネルにそれぞれ12名の対象に分けた。各パネルにおいて、10名の対象がVX−950を受容し、2名の対象がプラセボを受容した;750mgを8時間毎の群において、2名の対象が、VX−950を受容した8名の対象およびプラセボを受容した2名の対象よりも早く投与を中止した。HCV陽性対象に、14日間連続して、450mgまたは750mgのVX−950を8時間毎、または1250mgのVX−950を12時間毎に投与した。
【0136】
VX−950は、全ての用量で良好な耐容性を示し、重大な有害事象は、試験中には報告されなかった;軽度および中程度の有害事象が、報告された。全ての対象が、試験を完了した。増加用量で有害事象が増加することはなかった。
【0137】
HCV陽性対象について、下記の対象の割合が、プラセボ、450mg、8時間毎、750mg、8時間毎、および1250mg、12時間毎の群それぞれの未治療患者の割合:33.2%、10%、12.5%、および30%であった。
【0138】
HCV陽性対象を、処置後、HCV RNAレベルがベースラインに戻るまで測定するために試験した。
【表3】

【0139】
*4名の患者由来の試料は、それが、遺伝子型1a型または1b型であるかどうかを決定することができない分析のため、遺伝子型1型として分類した。
BMI、肥満度指数;HCV、C型肝炎ウイルス;q8h、8時間毎;q12h、12時間毎;SD、標準偏差。
ベースラインからのHCV RNAの変化、VX04−950−101で試験した。
【0140】
【表4】

値は、n(%)である。q8h、8時間毎;q12h、12時間毎。
【0141】
実施例6
経口投与量剤形を、下記の通りに製造した。VX−950およびポビドンK29/32を塩化メチレン中に溶解し、その後、ラウリル硫酸ナトリウムを添加し、均一な懸濁液を形成するために溶液を分散させた。この懸濁液を、90℃の入り口温度および56℃の出口温度を用いてスプレー乾燥させ、生成物をサイクロンから集めた。スプレー乾燥した分散物を、75℃で8時間、流動層乾燥させた。得られた粉末を、ガラスバイアル中で前もって測定し、投与直前に、対象への投与のために水(30mL)に懸濁した。投与に関して、各バイアルを、水全量が90mLである水の3分割量で洗浄した。
【表5】

【0142】
実施例7
HCV RNAの検出を、Roche molecular Diagnosticsから市販されているRoche COBAS TaqMan HCV/HPS分析器を用いて行った。他の分析器も利用可能である。
【0143】
実施例8
血清ネオプテリン濃度を、処置前、7日目および14日目、ならびに処置後7−10日目に、定量的競合ELISA(ELItest(登録商標)ネオプテリン、Brahms, Hennigsdorf, Germany)で測定した。検出下限(LLD)は、2nmol/lであった。
【0144】
実施例9
血清ALTを、商業的に利用可能な方法で測定した。
【0145】
実施例10
ヒト血漿中、VX−950の確認方法
VX−950
原液:2−プロパノール中、0.961mg/mlのVX−950(10.0ml)
希釈した原液1:2−プロパノール中、96.1μg/mlのVX−950(5.00ml)
希釈した原液2:2−プロパノール中、9.61μg/mlのVX−950(10.0ml)
希釈した原液3:2−プロパノール中、0.961μg/mlのVX−950(10.0ml)
原液および希釈した原液を、ふた付きホウケイ酸チューブ(11.5ml)中、−20℃で貯蔵した。
【0146】
9.1.3 内部標準(化合物1)
原液:2−プロパノール中、1.00mg/mlの化合物1(VX−950の閉環構造類似体)(5.00ml)
希釈溶液(working solution):アセトニトリル中、300ng/mLの化合物1(100ml)
原液を、ふた付きホウケイ酸チューブ(11.5ml)中で、希釈溶液を、ふた付きホウケイ酸チューブ(100ml)中で、全て−20℃で保存した。
【0147】
試料調製
血漿100μlのアリコート、100μlの内部標準希釈溶液(または、空試料用のアセトニトリル)を、抽出チューブに添加した。30秒間ボルテックス混合後、500μlのトルエンを添加し、抽出を30秒間のボルテックス混合により行った。+4℃にて5分間、3000rpmでの遠心後、水層をアセトン混合物およびドライアイス中で凍結し、有機層を別のチューブに移した。50μlの2,2−ジメトキシプロパンを添加し、試料を、約+30℃にて、窒素下で、乾燥するまで蒸発した。残渣を、300μlのヘプタン:アセトン(90:10、v/v)[または、ヘプタン:THF(80:20、v/v)]中に、60秒間のボルテックス混合により再溶解した。試料を、注入バイアルに移し、60μlのアリコートを、クロマトグラフ系に注入した。
【0148】
クロマトグラフ条件
移動相:(定組成溶出)ヘプタン:アセトン:メタノール(80:19:1、v/v/v)
作製(Make−up)溶媒:アセトニトリル:アセトン:メタノール:ギ酸(40:60:1:1、v/v/v/v)
カラム温度:−1℃
流速:1.00ml/分(その内:0.750ml/分が移動相および0.250ml/分が、作製溶媒)(検出器に完全に移る)
注入量:60μl
オートサンプラー温度:+3℃。
【0149】
本発明者らは、本発明の多数の態様を記載しているが、本発明者らの基本例を、本発明の化合物および方法を利用する他の態様を提供するために変形してもよいことは、明白である。故に、本発明の範囲は、上記の実施例として示されている特定の態様というよりむしろ、添付の特許請求の範囲により定義されるべきであることは、当然である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
750mgのVX−950を1日3回投与し、PEG化インターフェロンおよびリバビリンを投与することを含む治療レジメンによる投与によってC型肝炎を処置するための医薬の製造を目的とする、VX−950の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【公開番号】特開2013−60474(P2013−60474A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−1638(P2013−1638)
【出願日】平成25年1月9日(2013.1.9)
【分割の表示】特願2007−539241(P2007−539241)の分割
【原出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】