説明

X線コンピュータ断層撮影装置

【課題】任意の天板位置または回転角から投影データの収集を開始すること。
【解決手段】収集開始位置決定部43は、データ収集回路21による投影データの収集開始予定時点における天板位置を決定する。収集開始角度決定部39は、収集開始予定時点におけるX線管13の第1の回転角度を決定する。曝射開始角度決定部41は、決定された第1の回転角度と、天板25の移動開始予定時点から収集開始予定時点までの時間間隔とに基づいて、移動開始予定時点におけるX線管13の第2の回転角度を決定する。スキャン制御部47は、X線管13を被検体回りに回転させるために回転駆動部17を制御し、第2の回転角度にX線管13が到達したことを契機として、天板25が移動を開始するように天板移動部27を制御し、決定された天板位置に天板25が到達したことを契機として、投影データの収集を開始するようにデータ収集回路21を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影装置は、X線管が特定の回転角度に到達したことをトリガとして投影データの収集を開始する軌道同期スキャンを実行している。従って管電流や天板速度等の収集条件が同一の場合、同一の回転角度から投影データを収集し始めることができるが、収集条件が異なる場合、異なる回転角度から投影データを収集し始めてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06―78916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態の目的は、任意の天板位置または回転角度から投影データの収集を開始することが可能なX線コンピュータ断層撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、X線を発生するX線管と、前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出する検出器と、前記X線管と前記検出器とを回転可能に支持する第1の支持機構と、前記X線管と前記検出器とを前記被検体回りに回転させるために前記第1の支持機構を駆動する第1の駆動部と、前記被検体が載置される天板と、前記天板を移動可能に指示する第2の支持機構と、前記天板を移動させるために前記第2の支持機構を駆動する第2の駆動部と、前記検出器を介して前記被検体に関する投影データを収集する収集部と、前記収集部による投影データの収集開始予定時点における前記天板の位置を、ユーザからの指示に従って決定する位置決定部と、前記収集開始予定時点における前記X線管の第1の回転角度を、ユーザからの指示に従って決定する第1角度決定部と、前記決定された第1の回転角度と、前記天板の移動開始予定時点から前記収集開始予定時点までの時間間隔とに基づいて、前記移動開始予定時点における前記X線管の第2の回転角度を決定する第2角度決定部と、前記X線管を前記被検体回りに回転させるために前記第1の駆動部を制御し、前記決定された第2の回転角度に前記X線管が到達したことを契機として、前記天板が移動を開始するように前記第2の駆動部を制御し、前記決定された天板の位置に前記天板が到達したことを契機として、投影データの収集を開始するように前記収集部を制御する制御部と、を具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図。
【図2】図1のX線コンピュータ断層撮影装置によるヘリカルスキャンの前段階における動作例について説明するための図。
【図3】図1の移動開始角度決定部による移動開始角度の決定処理を説明するための図。
【図4】図1のX線コンピュータ断層撮影装置によるヘリカルスキャンの実行時における動作例について説明するための図。
【図5】第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図。
【図6】図5のX線コンピュータ断層撮影装置によるコンベンショナルスキャンの前段階における動作例について説明するための図。
【図7】図5のX線コンピュータ断層撮影装置によるコンベンショナルスキャンの実行時における動作例について説明するための図。
【図8】本実施形態の変形例に係るX線コンピュータ断層撮影装置の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わるX線コンピュータ断層撮影装置を説明する。
【0008】
なお、X線コンピュータ断層撮影装置により利用されるスキャン方式にはコンベンショナルスキャンとヘリカルスキャンとがある。コンベンショナルスキャンは、天板の移動を伴わず、従って被検体に対してX線管が円軌道を描く。ヘリカルスキャンは、天板の移動を伴い、被検体に対してX線管が螺旋軌道を描く。しかし、コンベンショナルスキャンとヘリカルスキャンとでは、X線コンピュータ断層撮影装置の構成が一部異なる。以下、第1実施形態においては、ヘリカルスキャンを実行するX線コンピュータ断層撮影装置について説明し、第2実施形態においては、コンベンショナルスキャンを実行するX線コンピュータ断層撮影装置について説明する。
【0009】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1の構成を示す図である。図1に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台3とコンソール5とを備える。
【0010】
架台3は、円環又は円板状の回転フレーム11を搭載する。回転フレーム11は、X線管13とX線検出器15とを被検体P回りに回転可能に支持している。信号及び電力伝送にはスリップリング機構(図示せず)が用いられる。具体的には、回転フレーム11と架台3の固定部とは、スリップリング機構のブラシ(図示せず)を介して電気的に接続されている。X線検出器15は、撮影領域を挟んでX線管13に対向する。固定部は、回転駆動部17に電気的に接続されている。回転駆動部17は、コンソール5内のスキャン制御部47による制御に従って回転フレーム11を回転軸Z回りに回転させ、X線管13とX線検出器15とを被検体P回りに回転する。
【0011】
なお、Z軸は、回転フレーム11の回転軸に規定される。Y軸は、X線管13のX線焦点とX線検出器15のX線検出面の中心とを結ぶ軸に規定される。Y軸は、Z軸に直交する。X軸は、Y軸とZ軸とに直交する軸に規定される。このように、XYZ直交座標系は、X線管13の回転とともに回転する回転座標系を構成する。
【0012】
X線管13は、高電圧発生部19に電気的に接続される。X線管13は、高電圧発生部19から高電圧の印加を受けてX線を発生する。高電圧発生部19は、スキャン制御部47による制御に従ってX線管13に高電圧を印加する。
【0013】
X線検出器15は、X線管13から発生され被検体Pを透過したX線を検出する。そしてX線検出器15は、検出されたX線の線量に応じたアナログの電流信号を発生する。X線検出器15は、データ収集回路21(DAS)に接続されている。データ収集回路21は、X線検出器15を介して被検体に関する投影データを収集する。より詳細には、データ収集回路21は、スキャン制御部43による制御に従ってX線検出器15から電流信号を読み出し、読み出された電流信号に信号処理をしてデジタルの投影データを生成する。生成された投影データは、スリップリング機構(図示せず)を介してコンソール5の前処理部33に供給される。
【0014】
架台3は、回転角度検出部23を有している。回転角度検出部23は、磁気センサ、光センサ、または位置検出エンコーダ(ロータリーエンコーダ)により実現される。回転角度検出部23は、回転フレーム11のZ軸回りの回転角度が特定角度に位置することを検出し、その旨の電気信号(回転角度信号)を出力する。特定角度としては、後述する曝射開始角度や収集開始角度が好適である。例えば、回転角度検出部23は、この特定角度に対応する回転フレーム11の一部分に固定されると良い。出力された回転角度信号は、入力部31を介してコンソール5内に供給される。
【0015】
ここでは、X線管13が回転フレーム11上最も高い位置にある場合、X線管13の回転角度が0°、反対にX線管13が回転フレーム11上最も低い位置にある場合、X線管13の回転角度が180°であると規定する。
【0016】
被検体Pは、天板25に載置される。天板25は、Z軸に沿って移動可能に天板支持機構26により支持されている。典型的には、天板支持機構26は、天板25の長軸がZ軸に平行するように天板25を支持する。天板25と天板支持機構26とは、寝台を構成する。天板支持機構26は、天板移動部27に電気的に接続されている。天板移動部27は、スキャン制御部47による制御に従って天板支持機構26を駆動し、天板25をZ軸に沿って移動させる。
【0017】
天板25または天板支持機構26には、天板位置検出部28が取り付けられている。天板位置検出部28は、磁気センサ、光センサ、または位置検出エンコーダ(ロータリーエンコーダ)により実現される。天板位置検出部28は、天板位置が特定位置にあることを検出し、その旨の電気信号(天板位置信号)を出力する。出力された天板位置信号は、入力部31を介してコンソール5内に供給される。この特定位置としては、例えば、後述する収集開始天板位置が好適である。天板位置検出部28は、例えば、この特定位置に対応する天板25や天板支持機構27等の一部分に固定される。
【0018】
なお天板位置は、天板25上の基準点のZ軸方向に関する位置により規定されるものとする。この基準点の位置は、例えば、X線管13のX線焦点とX線検出面15の中心とを結ぶ線に交差する天板25上の点に規定される。
【0019】
図1に示すように、コンソール5は、入力部31、前処理部33、再構成部35、画像処理部37、収集開始角度決定部39、曝射開始角度決定部41、収集開始天板位置決定部43、移動開始角度決定部45、スキャン制御部47、表示部49、操作部51、記憶部53、及びシステム制御部51を備える。
【0020】
入力部31は、架台3とコンソール5との通信に利用されるインターフェースである。具体的には、入力部31は、回転角度検出部23から回転角度信号を入力する。また、入力部31は、天板位置検出部28から天板位置信号を入力する。
【0021】
前処理部33は、データ収集回路21から供給された投影データに対数変換や感度補正等の前処理を施す。再構成部35は、前処理が施された投影データに基づいて被検体に関する画像データを再構成する。画像処理部37は、画像データに種々の画像処理を施す。
【0022】
収集開始角度決定部39は、ユーザによる操作部51を介した指示に従って、データ収集回路21による投影データの収集開始予定時点におけるX線管13の回転角度を設定する。以下、収集開始予定時点におけるX線管13の回転角度を収集開始角度と呼ぶことにする。
【0023】
曝射開始角度決定部41は、収集開始角度とX線安定時間とに基づいて、X線管13によるX線の発生開始予定時点におけるX線管の回転角度を決定する。以下、X線発生開始予定時点におけるX線管13の回転角度を曝射開始角度と呼ぶことにする。
【0024】
収集開始天板位置決定部43は、ユーザによる操作部51を介した指示に従って、データ収集回路21による投影データの収集開始予定時点における天板位置を決定する。以下、収集開始予定時点における天板位置を収集開始天板位置と呼ぶことにする。
【0025】
移動開始角度決定部45は、収集開始角度決定部43により決定された収集開始角度と天板予備移動時間とに基づいて、天板25の移動開始予定時点におけるX線管13の回転角度を決定する。以下、移動開始予定時点におけるX線管13の回転角度を天板移動開始角度と呼ぶことにする。天板予備移動時間は、天板25の移動開始予定時点から投影データの収集開始予定時点までの時間間隔に規定される。
【0026】
スキャン制御部47は、収集開始天板位置(あるいは収集開始角度)からへリカルスキャンを実行するために、データ収集回路15、回転駆動部17、高電圧発生部19、及び天板移動部27を制御する。具体的には、まずスキャン制御部47は、ユーザにより操作部51を介して回転開始の指示がなされたことを契機として回転駆動部17を制御して回転フレーム11を回転させる。次にスキャン制御部47は、X線管13が天板移動開始角度に到達したことを契機として天板移動部27を制御して天板25の移動を開始させる。次にスキャン制御部47は、X線管13が曝射開始角度に到達したことを契機として高電圧発生部19を制御してX線を発生させる。そしてスキャン制御部47は、天板25が収集開始天板位置に到達したことを契機としてデータ収集回路21を制御して投影データの収集を開始させる。
【0027】
表示部49は、再構成部35により再構成された画像データに対応する画像、あるいは画像処理部37により画像処理された画像データに対応する画像をディスプレイに表示する。操作部51は、入力デバイスによる操作者からの各種指令や情報入力を受け付ける。記憶部53は、画像データを記憶する。また、記憶部53は、X線コンピュータ断層撮影装置1の制御プログラムを記憶している。システム制御部55は、記憶部53に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って各部を制御する。
【0028】
次にX線コンピュータ断層撮影装置1の動作例について説明する。
【0029】
まずは、図2を参照しながらヘリカルスキャンの前段階におけるX線コンピュータ断層撮影装置1の動作例について説明する。ヘリカルスキャンの前段階は、収集開始天板位置や曝射開始角度、収集開始角度、天板移動開始角度等を決定するために設けられる。なおヘリカルスキャンの前段階において、回転フレーム11の回転速度やX線条件、天板25の移動速度等の収集条件は、スキャン制御部47により設定されているものとする。以下、回転フレーム11の回転速度の設定値を設定架台速度と呼ぶことにする。また、天板25の定速移動時の速度の設定値を設定天板速度と呼ぶことにする。X線条件は、管電流や管電圧、フィラメントの種類等のX線の線量に影響を与えるあらゆる因子を含む。
【0030】
ヘリカルスキャンの前段階において、まずユーザは、操作部51等を介して、天板位置を指定する。収集開始天板位置決定部43は、ユーザにより操作部51を介して指定された天板位置を収集開始天板位置AZに決定する(ステップSA1)。決定された天板位置AZのデータは、スキャン制御部47に供給される。典型的には、天板位置AZは、スキャンエキスパートシステムによるスキャン範囲の設定に連動して決定される。なお天板位置AZの設定は、この方法のみに限定されない。例えば、天板位置AZとしてユーザにより操作部51を介して直接的に天板位置の座標等が指定されてもよい。
【0031】
また、ヘリカルスキャンの前段階において、ユーザは、操作部51等を介して投影データの回転角度を指定する。収集開始角度決定部39は、指定された回転角度を収集開始角度AAに決定する(ステップSA2)。収集開始角度AAとしては、0°〜360°までの任意の回転角度に指定可能である。収集開始角度AAのデータは、スキャン制御部47に供給される。
【0032】
なお収集開始角度の指定方法は、上記のように、回転角度を直接的に指定する方法のみに限定されない。例えば、ユーザにより被検体Pの体位が指定されるようにしてもよい。被検体Pの体位が指定されると収集開始角度決定部39は、被検体Pの体位に応じて収集開始角度を決定する。例えば、決定部39は、被検体Pの体位と収集開始角度とを関連付けたテーブルを利用して、ユーザにより指定された体位に応じた収集開始角度を決定してもよい。具体的には、被検体Pが左腕を下にして天板25に横たわる場合、収集開始角度は30°に、被検体Pが背中を下にして天板25に横たわる場合、収集開始角度は120°に、被検体Pが右腕を下にして天板25に横たわる場合、収集開始角度は210°に、被検体Pが腹部を下にして天板25に横たわる場合、収集開始角度は300°に設定されるとよい。
【0033】
なお、ステップSA1とSA2との順番は、上記の順番に限定されない。すなわち、ステップSA2の次にステップSA1が行われても良い。
【0034】
ステップSA1及びSA2が行われると移動開始角度決定部45は、収集開始天板位置と天板予備移動時間とに基づいて天板移動開始角度TAを決定する(ステップSA3&SA4)。
【0035】
図3を参照しながら、移動開始角度決定部45による天板移動開始角度TAの決定処理を説明する。図3に示すように、天板25は、天板予備移動時間PTにおいて、初期位置SZから収集開始天板位置AZまで移動する。天板予備移動時間PTは、加速時間ATとマージンMTとからなる。加速時間ATは、天板25の移動開始時点から設定天板速度CVに到達する時点までの時間間隔に規定される。設定速度CVは、投影データ収集中における天板速度である。マージンMTは、天板25の移動速度が設定天板速度CVに到達した時点から投影データの収集開始時点までの時間間隔に規定される。換言すれば、天板予備移動時間PTは、天板移動開始予定時点から投影データの収集開始予定時点までの時間間隔に等しい。
【0036】
収集条件の設定段階において、天板予備移動量(天板予備移動時間PTにおける天板25の移動量)と設定天板速度CVとは、スキャン制御部47により予め設定されている。移動開始角度決定部45は、天板予備移動量と設定天板速度CVとに基づいて、天板予備移動時間PTを算出する。より詳細には、設定天板速度CVに応じて、加速時間ATと加速移動量(加速時間ATにおける天板25の移動量)ADとは自動的に決定される。これら加速時間AT、天板予備移動量PD、加速移動量AD、及び設定天板速度CVに下記の(1)式を適用することにより天板予備移動時間PTが算出される。
【0037】
PT=AT+(PD−AD)/CV ・・・(1)
なお(PD−AD)/CVは、マージンMTに等しい。
【0038】
天板予備移動時間PTが算出されると決定部45は、設定天板速度CVと天板予備移動時間PTとに基づいてX線管予備回転量PRを決定する(ステップSA3)。X線管予備回転量PRは、天板移動開始時点から投影データの収集開始時点までのX線管13の回転角度量に規定される。例えば、設定天板速度CVに従って天板予備移動時間PTを回転角度に換算することによりX線管予備回転量PRが決定される。
【0039】
X線管予備回転量PRが決定されると決定部45は、収集開始角度AAとX線管予備回転量PRとに基づいて天板移動開始角度TAを決定する(ステップSA4)。例えば、決定部45は、収集開始角度AAからX線管予備回転量PRを減ずることにより天板移動開始角度TAを算出する。天板予備移動時間PTのデータや天板移動開始角度TAのデータ、X線管予備回転量PRのデータは、スキャン制御部47に供給される。
【0040】
図2に示すように、ステップSA3及びSA4が行われると曝射開始角度決定部41は、収集開始角度AAとX線安定時間とに基づいてX線曝射開始角度XAを決定する(ステップSA5)。
【0041】
ここで、曝射開始角度決定部41によるX線曝射開始角度XAの決定処理について詳細に説明する。決定部41は、まず、収集開始角度AAとX線安定時間とに基づいてX線安定時間内におけるX線管13の回転角度量XRを決定する。X線安定時間は、X線管13がX線を発生し始めてからX線の線量が安定するまでに必要な時間である。X線安定時間は、例えば、管電流や管電圧、フィラメントの種類等のX線条件に応じて決定される。あるいはX線安定時間は、X線条件とX線安定時間とを関連付けたテーブルにより決定されてもよい。また、X線安定時間は、設定架台速度及びX線条件に基づいて決定されてもよい。X線安定時間が決定されると決定部41は、設定架台速度を利用してX線安定時間をX線安定回転量PRに換算する。例えば、設定架台速度にX線安定時間を乗じることにより回転角度量XRが算出される。回転角度量XRが算出されると、決定部41は、収集開始角度AAから回転角度量XRを減ずることにより曝射開始角度XAを算出する。典型的には、X線曝射開始角度XAは、天板移動開始角度TAよりも収集開始角度AAとの角度差が小さい。これは、X線安定時間が天板予備移動時間よりも小さいことに起因する。曝射開始角度XAのデータは、スキャン制御部43に供給される。
【0042】
なお、ステップSA4とSA5との順番は、上記の順番に限定されない。すなわち、ステップSA3→SA4→SA5の順番に行われても良いし、ステップSA3→SA5→SA4の順番に行われても良い。
【0043】
このようにして、収集開始天板位置AZ、収集開始角度AA、天板移動開始角度TA、及びX線曝射開始角度XAが決定されると、ヘリカルスキャンの前段階が終了する。
【0044】
次に図4を参照しながらヘリカルスキャンの実行時におけるX線コンピュータ断層撮影装置1の動作例について説明する。まずユーザにより操作部51を介して回転フレーム11の回転開始指示がなされたことを契機としてスキャン制御部47は、回転フレーム11を回転するために回転駆動部17を制御する。回転フレーム11は、回転開始時から設定架台速度まで加速し、その後、設定架台速度で繰り返し定速回転する。回転速度が設定架台速度に到達すると操作部51のX線曝射開始ボタンが押下可能状態に移行される。ユーザによりX線曝射開始ボタンが押されるとスキャン制御部47は、X線管13が移動開始角度TAに到達することを待機する。
【0045】
X線管13が移動開始角度TAに到達されたことを契機として、スキャン制御部47は、天板移動部27を制御して天板25の移動を開始する(ステップSA6)。天板25は、移動開始時においては初期位置SZに配置され、移動開始とともに初期位置SZから収集開始天板位置AZまで上述の基準点に対して相対的に移動する。
【0046】
天板25の移動が開始されるとスキャン制御部47は、X線管13が曝射開始角度XAに到達することを待機する。X線管13が曝射開始角度XAに到達することを契機としてスキャン制御部47は、高電圧発生部19を制御してX線管13によるX線の発生を開始させる(ステップSA7)。X線の線量は、曝射開始直後においては管電流値やフィラメント温度等のX線条件が設定値に到達せず安定しない。ヘリカルスキャンの実行時と前段階とでX線条件が変更されていないので、X線の線量は、理論的には曝射開始時点からX線安定時間後に設定値に到達し安定する。換言すれば、X線管13が曝射開始角度XAからX線安定回転量XRだけ回転するとX線の線量は設定値で安定する。
【0047】
また、天板25の移動が開始されるとスキャン制御部47は、天板25が収集開始天板位置AZに到達することを待機する。天板25が収集開始天板位置AZに到達されるとスキャン制御部47は、データ収集回路21を制御して投影データの収集を開始させる(ステップSA8)。ヘリカルスキャンの実行時と前段階とにおいて収集条件は変更されていないので、天板25が収集開始天板位置AZに到達することは、X線管13が収集開始角度AAに到達することとみなせる。なお天板25が収集開始天板位置AZに到達することの認識方法は、1.天板位置、2.天板移動開始時点からの経過時間による2通りある。以下に2通りの認識方法について具体的に説明する。
【0048】
認識方法1−1: 天板25の移動が開始されるとスキャン制御部47は、移動開始時点(X線管13が移動開始角度TAに到達した時点)からの経過時間を計測し、移動開始時点から天板予備移動時間だけ経過することを待機する。そして移動開始時点から天板予備移動時間だけ経過したことを契機としてスキャン制御部47は、データ収集回路21に投影データの収集を開始させる。設定天板速度や天板予備移動量等の収集条件は、ヘリカルスキャンの実行時と前段階とで変更されていない。従って、移動開始時点から天板予備移動時間だけ経過した時点においては、天板25が収集開始天板位置に位置しているとみなすことができる。すなわちスキャン制御部47は、移動開始時点から天板予備移動時間だけ経過したことを、天板25が収集開始天板位置に到達したことと同義であるとみなしている。このように移動開始時点からの経過時間により天板25が収集開始天板位置に到達したことを認識することにより、後述の認識方法1−2のように天板位置検出部28を利用しないで済む。従って認識方法1−1は、認識方法1−2に比して簡便な構成により、天板25が収集開始天板位置に到達したこと認識することができる。
【0049】
認識方法1−2: 天板25の移動開始位置検出用の天板位置検出部28の他に、収集開始天板位置検出用の天板位置検出部28が天板25や天板支持機構26に設けられている。天板位置検出部28は、天板位置が収集開始天板位置に到達する毎にその旨を示す天板位置信号(以下、収集開始信号と呼ぶことにする。)をスキャン制御部47に供給する。天板25が移動開始位置に到達するとスキャン制御部47は、天板位置検出部28から収集開始信号が供給されることを待機する。収集開始信号が供給されることを契機としてスキャン制御部47は、データ収集回路21にX線検出器15を介した投影データの収集を開始させる。すなわち、スキャン制御部47は、収集開始信号が到達されたことを、天板25が収集開始角度に到達したことと同義とみなしている。このように、天板位置により天板25が収集開始天板位置に到達したことを直接的に認識することにより、認識方法1−1に比して、より確実に収集開始天板位置から投影データの収集を開始することができる。
【0050】
投影データの収集が開始されるとスキャン制御部47は、収集開始天板位置AZから天板25をスキャン範囲だけ移動し、スキャン範囲だけ移動するとヘリカルスキャンを終了する。すなわち、スキャン制御部47は、回転駆動部17を制御して回転フレーム11の回転を停止させ、高電圧発生部19を制御してX線の発生を停止させ、データ収集回路21を制御して投影データの収集を停止させ、天板移動部29を制御して天板25の移動を停止させる。
【0051】
かくして第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1は、ヘリカルスキャンにおいて、ユーザの指示に従う任意の天板位置を収集開始天板位置として決定する。X線コンピュータ断層撮影装置1は、決定された収集開始天板位置を利用して天板移動開始角度を決定する。ヘリカルスキャン時において、X線コンピュータ断層撮影装置1は、X線管13が天板移動開始角度に到達したことを契機として天板25の移動を開始させ、X線管13が曝射開始角度に到達したことを契機としてX線の発生を開始させ、天板25が収集開始天板位置に到達したことを契機として投影データの収集を開始させる。従ってX線コンピュータ断層撮影装置1は、設定天板速度や設定架台速度等の収集条件が異なるヘリカルスキャンであっても、常にユーザの指示通りの天板位置または回転角度から投影データを収集することができる、また、収集条件が異なる複数のヘリカルスキャンに関する複数の画像を比較読影する場合、回転角度依存によるノイズの影響を無視することもできる。
【0052】
なお上述の説明においては、回転角度検出部23は、回転フレーム11に固定されるとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。すなわち、回転角度検出部23は、回転フレーム11の円周回りに回動可能に設けられても良い。この場合、回転角度検出部23は、回転フレーム11と略同形状を有する案内レール上にスライド可能に設けられている。案内レールは、架台3内であって回転フレーム11の近傍に収容される。回転フレーム11の任意の回転角度に移動するために、モータからの駆動信号を受けて回転角度検出部23は案内レール上でスライドされる。例えば、回転角度検出部23は、曝射開始角度や収集開始角度に対応する案内レール上の角度位置に配置される。このように回転角度検出部23が回動可能に設けられることにより、回転角度検出部23が固定されている場合に比して、回転角度検出部23を任意の角度に容易に移動させることが可能となる。
【0053】
また、上述の説明においては、天板予備移動時間からX線管予備回転量を決定し、X線管予備回転量から天板移動開始角度を決定するとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。例えば、天板予備移動時間と設定架台速度とに基づいて直接的に天板移動開始角度が決定されてもよい。
【0054】
上述において、X線発生停止予定時点における回転角度(以下、曝射停止角度と呼ぶことにする。)を設定してもよい。この場合、X線管13が曝射停止角度に到達したことを契機としてスキャン制御部47は、高電圧発生部19を制御してX線の発生を停止させる。これにより任意のビュー範囲をスキャンすることができる。
【0055】
さらに第1実施形態において、X線に弱い臓器を保護するために、X線の発生をオンする角度範囲(以下、オン範囲と呼ぶことにする)とX線の発生をオフする角度範囲(以下、オフ範囲と呼ぶことにする)とが設定されてもよい。オン範囲は、収集開始角度から収集停止角度までの角度範囲に規定される。オフ範囲は、収集停止角度から収集開始角度までの角度範囲に規定される。例えば、360°のうちの略240°分の角度範囲はオン範囲に設定され、残りの略120°分の角度範囲はオフ範囲に設定されるとよい。この設定により、X線管13が繰り返し回転されている間、X線のオンとオフとを同一の角度範囲で規則正しく繰り返すことができる。このようにして、X線管13が放射線に弱い臓器に比較的接近している角度範囲をオフ範囲に設定し、比較的接近していない角度範囲をオン範囲に設定することにより、放射線に弱い臓器をX線から保護して比較的長い時間に亘ってスキャンを実行することができる。
【0056】
また、オン範囲において高電圧発生部19は、高線量のX線と低線量のX線とを交互に曝射させるために、高電圧と低電圧とをX線管13に対して交互に供給してもよい。
【0057】
[第2実施形態]
次に第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置について説明する。上述のように第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、コンベンショナルスキャンを実行する。なお以下の説明において、第2実施形態と略同一の機能を有する構成要素については、同一符号を付し、必要な場合にのみ重複説明する。
【0058】
図5は、第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2の構成を示す図である。図5に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置2は、第1実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置1に搭載されている天板位置検出部28、収集開始天板位置決定部43、及び移動開始角度決定部45を有していない。
【0059】
スキャン制御部57は、収集開始角度からコンベンショナルスキャンを実行するために、回転駆動部17、高電圧発生部19、及びデータ収集回路21を制御する。具体的には、まずスキャン制御部57は、ユーザにより操作部51を介して回転開始の指示がなされたことを契機として回転駆動部17を制御して回転フレーム11を回転させる。次にスキャン制御部57は、X線管13が曝射開始角度に到達したことを契機として高電圧発生部19を制御してX線を発生させる。そしてスキャン制御部57は、X線管13が収集開始角度に到達したことを契機としてデータ収集回路21を制御して投影データの収集を開始させる。
【0060】
次に第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2の動作例について説明する。
【0061】
まずは、図6を参照しながらコンベンショナルスキャンの前段階におけるX線コンピュータ断層撮影装置2の動作例について説明する。コンベンショナルスキャンの前段階は、曝射開始角度や収集開始角度を決定するために設けられる。なおコンベンショナルスキャンの前段階において、設定架台速度やX線条件等の収集条件(スキャン条件)は、すでにスキャン制御部57により設定されているものとする。
【0062】
図6に示すように、コンベンショナルスキャンの前段階において、まずユーザは、操作部51等を介して回転角度を指定する。任意の回転角度が指定されると収集開始角度決定部39は、指定された回転角度を収集開始角度AAに決定する(ステップSB1)。
【0063】
収集開始角度AAが決定されると曝射開始角度決定部41は、収集開始角度AAとX線安定時間とに基づいてX線安定回転量を決定する(ステップSB2)。
【0064】
X線安定回転量XRが算出されると曝射開始角度決定部41は、収集開始角度とX線安定時間内の回転角度量とに基づいて曝射開始角度XAを決定する(ステップSB3)。
【0065】
曝射開始角度が決定されるとコンベンショナルスキャンの前段階が終了する。
【0066】
次に図7を参照しながらコンベンショナルスキャン時におけるX線コンピュータ断層撮影装置2の動作例について説明する。まずユーザにより操作部51等を介して回転フレーム11の回転開始指示を入力する。回転開始指示がなされたことを契機としてスキャン制御部57は、回転フレーム11を回転するために回転駆動部17を制御する。回転フレーム11は、回転開始時から設定架台速度に到達するまで加速し、その後、設定架台速度で繰り返し定速回転する。回転速度が設定架台速度に到達すると操作部51のX線曝射開始ボタンが押下可能状態に移行される。ユーザによりX線曝射開始ボタンが押されるとスキャン制御部57は、X線管13が曝射開始角度XAに到達することを待機する。
【0067】
X線管13が曝射開始角度XAに到達されたことを契機として、スキャン制御部57は、高電圧発生部19を制御してX線管13からX線を発生させる(ステップSB4)。
【0068】
X線の発生が開始されるとスキャン制御部57は、X線管13が収集開始角度に到達することを待機する。そしてX線管13が収集開始角度に到達したことを契機としてスキャン制御部57は、データ収集回路21に投影データの収集を開始させる(ステップSB5)。なおX線管13が収集開始角度AAに到達することの認識方法は、1.曝射開始時点からの経過時間、2.X線管13の回転角度の2通りある。以下に2通りの認識方法について具体的に説明する。
【0069】
認識方法2−1: X線管13が曝射開始角度XAに到達するとスキャン制御部57は、曝射開始時点(X線管13が曝射開始角度XAに到達した時点)からの経過時間を計測し、曝射開始時点からX線安定時間だけ経過することを待機する。そして曝射開始時点からX線安定時間だけ経過したことを契機としてスキャン制御部57は、データ収集回路21に投影データの収集を開始させる。設定架台速度やX線条件等の収集条件は、コンベンショナルスキャンの実行時と前段階とで変更されていない。従って、曝射開始時点からX線安定時間だけ経過した時点においては、X線管13が収集開始角度AAに位置しているとみなすことができる。すなわちスキャン制御部57は、曝射開始時点からX線安定時間経過したことを、X線管13が収集開始角度AAに到達したことと同義であるとみなしている。このように曝射開始時点からの経過時点によりX線管13が収集開始角度AAに到達したことを認識することにより、後述の認識方法2−2に示すように、収集開始角度検出用の回転角度検出部23を設けないで済む。従って認識方法2−1は、認識方法2−2に比して簡便な構成により、X線管13が収集開始角度に到達したこと認識することができる。
【0070】
認識方法2−2: この場合、曝射開始角度検出用の回転角度検出部23の他に、収集開始角度検出用の回転角度検出部23を回転フレーム11に設ける必要がある。収集開始角度検出用の回転角度検出部23は、X線管13が収集開始角度AAに到達する毎にその旨を示す回転角度信号(以下、収集開始信号と呼ぶことにする。)をスキャン制御部57に供給する。X線管13が曝射開始角度XAに到達するとスキャン制御部57は、収集開始角度検出用の回転角度検出部23から収集開始角度信号が供給されることを待機する。収集開始信号が供給されることを契機としてスキャン制御部57は、データ収集回路21にX線検出器15を介した投影データの収集を開始させる。すなわち、スキャン制御部57は、収集開始信号が到達されたことを、X線管13が収集開始角度AAに到達したことと同義とみなしている。このように、X線管13の回転角度によりX線管13が収集開始角度AAに到達したことを認識することにより、認識方法2−1に比して、より確実に収集開始角度から投影データの収集を開始することができる。
【0071】
投影データの収集が開始されるとスキャン制御部57は、画像再構成に必要な回転角度量だけX線管13を回転し、この回転角度量だけX線管13が回転するとコンベンショナルスキャンを終了させる。すなわち、スキャン制御部57は、高電圧発生部19を制御してX線管13の発生を停止させ、データ収集回路21を制御して投影データの収集を停止させ、回転駆動部17を制御して回転フレーム11の回転を停止させる。
【0072】
なお、X線コンピュータ断層撮影装置2により利用される画像再構成法には、フルスキャン法とハーフスキャン法とがある。フルスキャン法では、1スライスあるいはボリュームの画像のデータを再構成するために、被検体Pの周囲1周、すなわち約360°分の投影データが必要である。また、ハーフスキャン法では、1ボリュームの画像のデータを再構成するために、180°+α(α:ファン角)分の投影データが必要である。本実施形態は、フルスキャン法とハーフスキャン法とのいずれの方法も適用可能である。
【0073】
かくして第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置2は、コンベンショナルスキャンにおいて、ユーザの指示に従う任意の回転角度を収集開始角度に決定する。X線コンピュータ断層撮影装置1は、決定された収集開始角度とX線安定時間とに基づいて曝射開始角度を決定する。X線コンピュータ断層撮影装置2は、X線管13が曝射開始角度に到達したことを契機としてX線管によるX線の発生を開始させ、X線管13が収集開始角度に到達したことを契機としてデータ収集回路21による投影データの収集を開始させる。従ってX線コンピュータ断層撮影装置2は、設定架台速度やX線条件等の収集条件が異なるコンベンショナルスキャンであっても、常にユーザの指示通りの回転角度から投影データを収集することができる。従って、放射線に弱い臓器面からX線曝射を避けて投影データを収集することができる。また再構成された画像には、回転角度に応じたノイズが発生する場合がある。しかしながら、第2実施形態によれば、収集条件によらす常に同一の回転角度から投影データを収集することができるので、収集条件が異なる複数のコンベンショナルスキャンに関する複数の画像を比較読影する場合、回転角度依存によるノイズの影響を無視することができる。
【0074】
かくして本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、任意の天板位置または回転角から投影データの収集を開始することができる。
【0075】
(変形例)
上述のように、第1及び第2実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、架台3とコンソール5とを備えるとした。しかしながら、本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、X線コンピュータ断層撮影装置1は、架台3及びコンソール5に加え、さらに、架台制御装置7を備えても良い。第1実施形態のようにヘリカルスキャン機能を有するX線コンピュータ断層撮影装置1の場合、架台制御装置7は、入力部31、収集開始角度決定部39、曝射開始角度決定部41、収集開始位置決定部43、移動開始位置決定部45、及びスキャン制御部47を有する。このような構成により、本実施形態に係るスキャン制御機能をコンソール5から除き、架台制御装置7に担わせることができる。従って、低コストで本実施形態に係るスキャン制御機能をX線コンピュータ断層撮影装置に実装させることができる。なお、第2実施形態のようにヘリカルスキャン機能を有さないX線コンピュータ断層撮影装置1の場合、架台制御装置7は、入力部31、収集開始角度決定部39、曝射開始角度決定部41、及びスキャン制御部47を有するとよい。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0077】
1…X線コンピュータ断層撮影装置、3…架台、5…コンソール、11…回転フレーム、13…X線管、15…X線検出器、17…回転駆動部、19…高電圧発生部、21…データ収集回路、23…回転角度検出部、25…天板、26…天板支持機構、27…天板移動部、28…天板位置検出部、31…入力部、33…前処理部、35…再構成部、37…画像処理部、39…収集開始角度決定部、41…曝射開始角度決定部、43…収集開始位置決定部、45…移動開始角度決定部、47…スキャン制御部、49…表示部、51…操作部、53…記憶部、55…システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線を発生するX線管と、
前記X線管から発生され被検体を透過したX線を検出する検出器と、
前記X線管と前記検出器とを回転可能に支持する第1の支持機構と、
前記X線管と前記検出器とを前記被検体回りに回転させるために前記第1の支持機構を駆動する第1の駆動部と、
前記被検体が載置される天板と、
前記天板を移動可能に指示する第2の支持機構と、
前記天板を移動させるために前記第2の支持機構を駆動する第2の駆動部と、
前記検出器を介して前記被検体に関する投影データを収集する収集部と、
前記収集部による投影データの収集開始予定時点における前記天板の位置を、ユーザからの指示に従って決定する位置決定部と、
前記収集開始予定時点における前記X線管の第1の回転角度を、ユーザからの指示に従って決定する第1角度決定部と、
前記決定された第1の回転角度と、前記天板の移動開始予定時点から前記収集開始予定時点までの時間間隔とに基づいて、前記移動開始予定時点における前記X線管の第2の回転角度を決定する第2角度決定部と、
前記X線管を前記被検体回りに回転させるために前記第1の駆動部を制御し、前記決定された第2の回転角度に前記X線管が到達したことを契機として、前記天板が移動を開始するように前記第2の駆動部を制御し、前記決定された天板の位置に前記天板が到達したことを契機として、投影データの収集を開始するように前記収集部を制御する制御部と、
を具備するX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記X線管が前記第2の回転角度に到達した時点からX線安定時間だけ経過したことを契機として、前記収集部に投影データの収集を開始させる、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項3】
前記第2角度決定部は、前記天板の位置に基づいて前記時間間隔を算出する、請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
【請求項4】
前記第2角度決定部は、
前記時間間隔と予め設定されたX線管回転速度とに基づいて前記時間間隔に亘る前記X線管の回転量を決定し、
前記回転量と前記第1の回転角度とに基づいて前記第2の回転角度を決定する、
請求項1記載のX線コンピュータ断層撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157691(P2012−157691A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2447(P2012−2447)
【出願日】平成24年1月10日(2012.1.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】