X線ビームプロセッサ
X線ビームプロセッサシステムは、複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールドと、空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状ミラーであって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設された複数のミラーと、前記複数のミラーを前記導波構成体に取付ける複数の取付部材とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスレファレンス)
本件特許出願は米国仮特許出願第61/109561号(2008年10月30日付けで米国特許商標庁(USPTO)に出願)に基づく優先権を主張するものであり、同米国仮特許出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。
【0002】
(共同研究契約者の名称)
第三者との間で締結された共同研究契約は存在していない。
【0003】
(連邦政府による研究開発支援に関する陳述)
本件特許出願の主題に関して連邦政府による研究開発支援を受けてはいない。
【背景技術】
【0004】
MRI装置とビーム発生器とを用いた癌治療システムが公知となっている。しかしながら、在来のその種の癌治療システムの多くは、治療対象の癌組織の周囲の健康な組織にまでダメージを及ぼすものであった。本明細書に記載するビームプロセッサ及びそれに関連する様々なシステムは、かかる在来の癌治療システムに改良を施すものであり、特に、癌組織の周囲領域に存在する健康な組織に及ぼすダメージを最小限にし、且つ、ターゲット組織をより確実に死滅させることができるようにするものである。従来のこの種の癌治療システムを開示した文献としては、米国特許出願第12/242577号(出願日:2008年9月30日、発明の名称:「細胞に関する制御を自動化すると共に事前算出フィードフォワード制御と画像フィードバック制御とを介して照射を行うことでターゲットにエネルギを供給するようにしたフォトン利用の非侵襲的外科手術システム」がある(以下「‘577特許出願」という)。この’577特許出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。尚、本件特許出願の発明者のうちMr. Oostingは、この‘577特許出願の発明者でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の非侵襲的外科手術システムのためのビーム発生器としては、線形加速器やX線管などをはじめとする様々なX線ビーム源が使用される。しかしながら、X線ビームを用いることには問題があり、その問題とは、X線ビームは合焦させることが容易でないにもかかわらず、X線源から出射されるX線ビームは発散ビームであって、X線源であるビーム発生器からの距離の二乗に比例して拡散することである。それゆえ、高度のコヒーレント性及びコリメート性を有するX線ビームを、癌細胞を破壊するのに十分なX線照射強度をもって、ターゲット細胞である癌細胞に合焦させることのできるビームプロセッサが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様はX線ビームプロセッサシステムに関するものであり、このX線ビームプロセッサシステムは、複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、空胴形状または複合円錐形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状ミラーであって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設された複数のミラーと、前記複数のミラーを前記導波構成体に取付けるための複数の取付部材とを備えている。この態様において、前記複数のミラーは、圧電駆動されることで移動制御されるようにしてある。
【0007】
本発明の別の1つの態様はX線ビームプロセッサシステムに関するものであり、このX線ビームプロセッサシステムは、複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、複数のリング状回路基板であって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設されており、複数個の電気チップを備えている複数の回路基板と、前記複数個の電気チップに接続された複数本のチャネルを備えた複数本のポリキャピラリーチューブと、前記複数の回路基板を前記導波構成体に取付けるための複数の取付部材とを備えている。この態様において、前記複数本のポリキャピラリーチューブは駆動されることで移動制御されるようにしてある。
【0008】
本発明のその他の態様としては、先へ行くほど縮径する形状とした導波構成体、二重円錐型の光学構成体、内周面入射型の円錐状光学構成体、外周面入射型の円錐状光学構成体、それに、ポリキャピラリーチューブを装備した外周面入射型の円錐状光学構成体等を備えたビームプロセッサに関連した特徴を備えたものがあり、これらについては後に詳述するとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の第1の実施の形態の側面図であり、ビームプロセッサの構成要素を示した図である。
【図1B】ターゲット側から導波構成体の中を見た図であり、内周側円錐状ビーム、外周側円錐状ビーム、及び中心ビームを示した図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態に用いられている光学系の図であり、ミラーの形状及び配列と、ミラーの駆動に関連したミラーの角度とを示した図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態の平面図であり、その実施の形態に用いられている光学系の様々な構成要素を示した図である。
【図4】本発明の別の実施の形態の側面図であり、別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系はポリキャピラリーチューブを用いて構成されている。
【図5A】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は積層型導波チャネルを備えたものである。
【図5B】本発明の実施形態の側面図であり、積層型導波チャネルに入射したX線ビームの方向の変化を示した図である。
【図6】本発明の更に別の実施の形態を示す図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は先へ行くほど縮径する形状の導波構成体を備えたビームプロセッサを構成するものである。
【図7】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、二重円錐型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【図8】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、内周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【図9】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、外周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【図10】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、ポリキャピラリーチューブを装備した外周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは本発明の第1の実施の形態の側面図であり、ビームプロセッサの構成要素を示した図である。この第1の実施の形態に係るビームプロセッサの構成要素には、ビーム発生器1、トンネル型ミラーシールド2、複数の取付部材3、複数の入射側ミラー4aと複数の出射側ミラー4bとを含んで成るミラー構成体4、導波構成体(導波体)5、内周側円錐状ビーム6、外周側円錐状ビーム7、中心ビーム8、それにターゲット9が含まれる。
【0011】
ビーム発生器1はX線フォトン発生源であり、これはいかなる種類のX線フォトン発生源であってもよいが、ただし、このビーム発生器1が、線形加速器、X線管、または放射性同位元素から成るものとすることが好ましい。
【0012】
トンネル型ミラーシールド2は、不要なフォトンがミラー構成体4へ入射するのを防止するための遮蔽部材であり、鉛材料製の(またはその他の高密度材料から成る)遮蔽部材とすることが好ましく、また、精密機械加工により製作した部材とすることが好ましい。
【0013】
複数の取付部材3は、2つの構成要素を互いに固定された相対位置関係、もしくは互いに略々固定された相対位置関係に保持するために用いられる構造部材であり、2つの構成要素の間に固定される部材とすることが好ましい。取付部材3によってミラー構成体4の個々のミラーを駆動可能に取付けるには、ミラーを支持する基礎部材が取付部材3に固定されていて、ミラーがその基礎部材に対して相対的に駆動(移動)される構成とすることが好ましい。
【0014】
光学系の構成要素であるミラー構成体4の複数のミラーは、導波構成体5の複数のポートの各々(ただし中心ポートを除く)に対応して複数のミラー群に分けられている(図2示)。即ち、好ましくは、各導波体5の入射端ないし出射端の各々に対応して、ミラー構成体4の1枚または所定枚数のミラーから成るミラーセットが1組ずつ装備されるとよく、ただし中心ポートにだけはミラーセットが装備されていない。例えば、513個のポートを備えたビームプロセッサであれば、その光学系のミラー構成体4は、1024組のミラーセットを装備したものとすることになる。このミラー構成体4については、後に図2を参照して更に詳細に説明する。
【0015】
導波構成体5は、鉛材料またはその他の高密度材料で製作したものとすることが好ましく、ビーム発生器1から出射されたフォトンのうち、この導波構成体5のポートを通過したフォトンだけが、この導波構成体5のビーム発生器1とは反対側へ到達することができるようにするものである。従って、この導波構成体5のビーム発生器1とは反対側のものは、この導波構成体5のポートへ入射したフォトン以外のフォトンからは遮蔽されることになる。導波構成体5は複数のポート即ち開口を備えており、それらポートは入射したフォトンを通過させるように構成されており、従って各々のポートが導波体として機能するようにしてある。本発明の1つの実施の形態においては、各々のポートに金めっきを施して、ポートの壁面がX線ミラーとして機能するようにしてある。この複数本の導波体は、X線ビームをコリメートすると共にX線ビームに高度のコヒーレント性を付与する機能を提供するものである。
【0016】
複数本の導波体は、3つの導波体に分けられている。3つの導波体とは、外周側リング状導波体と、内周側リング状導波体と、それに単一の中心ポートとである。導波構成体5の夫々の出射ポートから出射してビーム交差部9へ伝搬するフォトンによって内周側円錐状ビーム6及び外周側円錐状ビーム7が形成される。また、ビーム発生器1から中心ポートを通過してビーム交差部9へ伝搬するフォトンによって中心ビーム8が形成される。各々の導波体5からの個々のX線ビームは、複数枚の出射側ミラー4bによってそれらの出射後の方向が定められてビーム交差部において互いに交わり、このビーム交差部に、X線を照射しようとするターゲット9が配置される。
【0017】
図2に、図1Aに示したミラー構成体4の個々のミラーの形状及び配列と、それらミラーの駆動態様とを示した。より詳しくは、ミラー構成体4の各々のミラーは、その一端が固定枢動連結点(位置が固定した枢動連結点)に連結されており、他端がアクチュエータ(このアクチュエータは圧電式アクチュエータとすることが好ましい)に連結されており、それによって、ミラーの偏向角を微細な段階的調節量をもって調節できるようにしてある。ある1枚のミラーへのどのような角度調節も、それが後続のミラーの偏向角に影響を及ぼすために、後続のミラーの駆動(揺動)が必要となることがある。使用するX線ビームの波長に合わせて、ミラーの形状及び配列と、ミラーの駆動態様とを定める際に、ミラーの反射面に対する入射X線ビームの角度が臨界角を超えないようにする必要があり、その臨界角は0.58°である。それゆえ、図2に示した具体例において、ミラーの反射面に対する入射X線ビームの角度は約0.50°とすることが好ましい。また、出射角と入射角とは略々同一角度になる。この場合、各ミラーで反射させることにより得られる合計偏向角は約1°となり、その補角は約179°となる。
【0018】
例えば図3に示したように、リング状ミラー構成体の各セグメントが5枚のミラーで構成されている場合には、それら5枚のミラーによって得られる合計偏向角は5°になり(この角度は波長に対応した臨界角の10倍以下である)、ビーム方向は基準に対して90°から85°になる。入射側リング状ミラー構成体と出射側リング状ミラー構成体とのいずれにおいてもこのようにビームの合計偏向角が5°になるものとし、また、導波構成体5の長さが36インチ(約910mm)であるものとし、また更に、導波構成体5の外周側リング状導波体の出射ポートの配列円の直径が4インチ(約100mm)であるものとするならば、ビーム発生器1からターゲット9までの全長は、約7フィート(約2130mm)になる。
【0019】
一方、出射側リング状ミラー構成体の各セグメントが1枚だけのミラーで構成されている場合には、ビーム発生器1からターゲット9までの全長は、22.86+36+114.58=173.44インチ=14.45フィート(約4410mm)になる(外周側円錐状ビーム群7の円錐底面の中心からビーム交差部9へ至る直線を一辺とする直角三角形を描いた場合に、その直角三角形の底辺は2インチ(約50mm)であり、ビーム交差部9におけるその直角三角形の頂角は5°である。したがって、導波構成体5からビーム交差部9までの長さは、2インチ/tan(5°)=22.86インチになる。一方、ミラーの枚数が1枚である場合には、その頂角が1°にしかならないために、その長さは2インチ/tan(1°)=114.58インチになる)。この構成は、ビーム交差部9に集まったX線ビームを、内周面をミラー面とした後続の導波構成体5へ導入する場合に必要とされる構成である。これによって最終的に出力として得られるX線ビームは、X線レーザにかなり類似したものとなる。また、そうした場合の単位体積あたりのフォトン密度は、入力ビームと比べて出力ビームの方が数百倍の大きさになるが、その出力ビームの輝度は、おそらく、実際のX線レーザと同程度の輝度と見なし得るに十分ではない。
【0020】
ただし、この構成をカスケード結合すれば、即ち、導波構成体5と、出射側ミラー4bで構成した出射側リング状ミラー構成体とを組合せたアセンブリを、幾組もカスケード結合するならば、それによって複数台のビーム発生器から出射させたX線ビームを結合することができるため、入力ビームの本数を増すことによって最終的に得られる出力ビームの輝度をより増大させることができる。
【0021】
このビームプロセッサによれば、ビーム交差部9におけるフォトン密度を非常に高くすることができ、そのフォトン密度は、円錐状無修正ビームないし強度変調放射線治療(IMRT)用ビームによって同一寸法の体積要素の内部に作り出せるフォトン密度よりも、はるかに高密度とすることができる。しかも、ビーム発生器1からビームプロセッサへ向けて出射されるエネルギの圧倒的大部分を廃棄しつつ、そのような高いフォトン密度を達成することができるのである。これが可能であるのは、出射されたエネルギのうち、ミラー構成体4によって捕捉されて、導波構成体5の導波チャネルへ導入されたエネルギだけが使用されるからである。このように、フォトンストリームの一部分だけを選択的に使用することで、患者の体内に導入されるエネルギ総量を劇的に低下させて、望ましくない副作用が生じる確率を低く抑えつつ、ターゲット細胞に対して確実に十分な治療を施すことが可能となっている。
【0022】
またその場合に、入力ビームのエネルギの全体のうち、実際に使用するエネルギの割合を0%〜0.0001%の範囲内で変化させることができる(これはおおよその数値であり、ミラーの枚数、導波構成体の導波チャネルの本数、それにフォトンストリームの本数に応じて異なったものとなる)。
【0023】
また、ミラー構成体4の複数のミラーに個別に装備したアクチュエータを用いて、複数本のフォトンストリームのオンオフ変調を個別に行うことができる。その場合に、ミラー構成体4の一部のミラーに対してオンオフ変調操作を加え、それらミラーで反射して導波構成体5の対応する導波体へ入射していたフォトンストリームの向きを変えて入射しないようにすることで、出力ビームの照射強度を高速変調して上下させることができる。また、このオンオフ変調操作を利用して、ビームの照準合せに使用する低エネルギの出力ビームを作り出すこともでき、ターゲット細胞を破壊するために使用するエネルギバーストを作り出すこともできる。
【0024】
入力ビームの全体のうち使用しない部分のビームは全て遮蔽することが好ましく、そうすることによって、患者が不必要に被曝するのを防止することができる。
【0025】
ビーム発生器1から見て患者の背後に相当する位置に2次元センサアレイを設置するのもよく、そうすれば、そのセンサアレイを用いて、位置フィードバックデータを収集することができる。この方式によれば、使用するセンサアレイが適切な解像度を有するものであれば、出射側ミラー4bによって、確実に患者の体内の所望の位置にビーム交差部9を作り出せるようにするための、適切なフィードバック機能が提供される。
【0026】
フォトンストリームを各ミラーで反射させる際に生じるエネルギ損失は、そのミラー面とフォトンストリームとが成す角度が臨界角である0.58°を超えていなければ、おおよそ1%程度になる。1本のフォトンストリームの経路中に全部で6枚のミラーが介在する場合には、フォントストリームをそれらミラーで反射させて偏向させるために生じる合計エネルギ損失は約6%になる。このエネルギ損失に、更に導波構成体5に起因するエネルギ損失が加わることもある。
【0027】
導波構成体5へ入射する際に損失が生じないものとすれば、ポートの個数が101個のビームプロセッサによって得られるビーム交差部9におけるフォトン密度(単位体積あたりのフォトン個数)のピーク値は、このようなビームプロセッサを使用しない在来の方式で、ただし同じX線源を使用して、そのX線源から患者までの距離を、X線源とそのビームプロセッサへのフォトン入射位置までの距離とを等しくした場合に得られるフォトン密度の約95倍になる。また、実際には、従来の方式を用いた場合には、X線源から患者までの距離はその距離よりも更に大きく設定されることが多い。そのため、従来の方式と比べたときのフォトン密度のピーク値の倍率は95倍より更に大きくなる。
【0028】
更には、導波構成体5へ入射する際に20%のエネルギ損失が生じるものとした場合であっても、本発明のこの実施の形態に係るビームプロセッサによれば、ビーム交差部9におけるフォトン密度のピーク値は、このようなビームプロセッサを使用しない場合と比べて約75倍になる。
【0029】
導波構成体5のポートへフォトンを入射させるための照準合せを容易に行えるようにするには、各々のポートの入射口の周囲にセンサ材料を配設して、フィードバック情報が得られるようにするとよい。
【0030】
図4は本発明の別の実施の形態の側面図であり、別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は複数本のポリキャピラリーチューブ10を用いて構成されており、それらポリキャピラリーチューブは各々が複数本のチャネルを有している。この実施の形態では、回路基板11上に複数個のチップ13(不図示)が搭載され、それらチップ上に何百本ものポリキャピラリーチューブ10が装備されている。また、回路基板11の内周面と外周面との両面にチップを搭載するようにすれば、ポリキャピラリーチューブ10の合計本数を倍増することができる。各々のポリキャピラリーチューブ10はビームの方向を変化させるために個別に駆動可能としてある。各ポリキャピラリーチューブ10は、それぞれが38本ずつのチャネルを有するものとすることが好ましく、またその場合に、各チャネルの直径は1μmとし、各ポリキャピラリーチューブの直径は7μmとすることが好ましい。
【0031】
図4に示したビームプロセッサにおいては、複数個のチップ上に装備された駆動可能な複数本のポリキャピラリーチューブ10を用いて、発散ビームの形で出射されるX線ビームの個々の部分ビームを夫々に方向付けて、鉛材料製の筒部材の中に形成された長さが3フィート(約910mm)の複数本の導波チャネル12の中へそれら部分ビームを夫々に入射させるようにしている。それら複数本の導波チャネル12は、その本数を513本とすることが好ましく、また、その直径を7μmとし、その内面に金めっきが施されたものとすることが好ましい。出射側の出口では、複数個のチップ上に装備された駆動可能な複数本のポリキャピラリーチューブ10によって構成されたリングによって、ビームの照準がターゲット9に合わせられる。チップ上のそれらポリキャピラリーチューブ10を用いて、複数本の導波体5の一部をオフにすることによって、個々のミラーの照準合せのチェックを個別に行うこともでき、また、必要に応じてX線照射強度を低減させることができる。
【0032】
ビーム発生器1が出射するX線ビームを、500個以上のポリキャピラリー光学素子チップ13により構成されたリングによって、捕捉し且つ導波構成体5の複数のポートの中へ入射させる構成とすることが好ましい。それら多数個のポリキャピラリー光学素子チップ13は、その各々が38本ずつのチャネルを有し、それら38本のチャネルによって、直径が7μmの1本のポリキャピラリーチューブが形成されているようにすることが好ましい。それら多数個のポリキャピラリー光学素子チップの各々を駆動することによって、導波構成体5の各々の導波チャネルのオンオフ制御を行い、それによってX線照射強度を制御できるようにしておくことが好ましい。導波構成体5は、筒形とすることが好ましい。各々の導波体5は、その直径が7μmの、内面に金めっきが施されたチューブから成るものとすることが好ましく、長さを1mとし、鉛材料製の円筒形状の遮蔽部材の中に配設された構成のものとすることが好ましい。導波構成体5を通過した複数本のX線ビームは、リング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラーによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0033】
図5Aは本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る積層型導波チャネル12を備えた光学系の構成要素を示した図である。図5Bは積層型導波チャネルに入射したX線ビームの方向の変化を示した側面図である。この実施の形態は図4に示した実施の形態と同様の構成であり、相違している点は、複数本のX線ビームを案内して導波チャネルに入射させるための手段として、複数個の駆動可能なチップ上に装備された導波チャネルを用いるようにしたことである。
【0034】
図6は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は、図4に示したものと同様の、多数個のポリキャピラリー光学素子チップにより構成されたリングを備えたものであり、このリングが複数本のX線ビームを導波して、先に行くほど縮径する円錐形状とした積層型導波構成体5の中へ入射させるようにしてある。積層型導波構成体5は、高密度材料の薄層と低密度材料の薄層とを交互に積層して形成したものとすることが好ましい。積層型導波構成体5を通過したX線ビームは、この積層型導波構成体5の出射側の出口に設けられたリング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラー4bによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0035】
図7に示したビームプロセッサでは、ステンレス鋼製の滑らかな形状の基板の表面に設けたシート状の光学素子である積層型平面導波体を丸めて先に行くほど拡径する円錐形状とすることで円錐状光学構成体を構成する。また、その積層型平面導波体は、高密度材料の薄層と低密度材料の薄層とを交互に積層して形成したものとすることが好ましい。この実施の形態では、複数本のX線ビームが導波体5に結合するようにしてあり、その結合方式は、共鳴結合によるビーム結合とすることが好ましい。この円錐状光学構成体は、ビーム収集用の内周側円錐状光学構成体として機能するものである。この円錐状光学構成体は、その円錐面の形状を、入射ビームの経路から逸れるように僅かに湾曲した形状とすることが好ましい。この内周側円錐状光学構成体は、その円錐面の外周面側においてX線ビームを収集するものである。
【0036】
以上に加えて、ビーム収集用の円錐状光学構成体である、外周側円錐状光学構成体7は、入射ビームの経路へ向かってせり出すように僅かに湾曲した形状となっていることが好ましく、ビーム発生源から出射される発散ビームのより広い発散角範囲のビームを収集する。外周側円錐状光学構成体7もまた、積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど僅かに拡径する空胴形状即ち円錐形状の円錐状光学構成体としたものとすることが好ましい。外周側円錐状光学構成体7は、その円錐面の内周面側においてX線ビームを収集するものである。
【0037】
図7に示したように、外周側円錐状光学構成体と内周側円錐状光学構成体とは、それらの最大拡径部において互いに合流するように結合して単一の平面導波体5を形成している。当業者には容易に理解されるように、これら2つの円錐状光学構成体は、それらを太くするほど、より広い発散角のX線ビームを収集することができ、ひいてはX線照射強度を増大させることができる。図6に示したように、平面導波体5によって、先に行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状の円錐状光学構成体が形成されている。この円錐状光学構成体は、ビーム濃縮用の円錐状光学構成体であり、その円錐面の形状は湾曲しておらず直線状である。X線ビームは、濃縮用の円錐状光学構成体を通過する間にそのコヒーレント性及びアドヒーレント性が向上する。この平面導波体5を通過したX線ビームは、リング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラーによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0038】
図7は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は二重円錐型の円錐状光学構成体を備えたものである。図7に示したように、ビーム収集用の円錐状光学構成体とビーム濃縮用の円錐状光学構成体とが連続した構成であり、それら2つの円錐状光学構成体は、基板上に高密度材料の薄層と低密度材料の薄層とを交互に積層することで一体形成されている。尚、その基板はステンレス鋼製とすることが好ましい。別構成例として、ビーム収集用の円錐状光学構成体とビーム濃縮用の円錐状光学構成体とを個別に製作した上で、複数本のポリキャピラリー光学素子で構成したリングをそれら2つの円錐状光学構成体の間に配設し、このリングを介してそれら2つの円錐状光学構成体を結合するようにしてもよい。その場合のポリキャピラリー光学素子は、駆動可能なチップ13上に装備するようにして、フォトンをビーム濃縮用の円錐状光学構成体に導入するか否かの選択を行えるようにするとよく、そうすることで、X線照射強度を制御することが可能になる。更にもう1つの別構成例として、ビーム収集用の円錐状光学構成体とビーム濃縮用の円錐状光学構成体とを個別に製作した上で、積層型導波体を装備した複数個の駆動可能なチップ13で構成したリング状光学構成体をそれら2つの円錐状光学構成体の間に配設し、このリング状光学構成体を介してそれら2つの円錐状光学構成体を結合することによって、X線照射強度を制御可能にするのもよい。以上に加えて、この実施の形態では、中心部に冷却管を装備して表面を冷却するようにすることが好ましい。また、以上に記載した2通りの別構成例においては、駆動可能なチップ13より後方に、そしてビーム濃縮用の円錐状光学構成体の外周に、鉛材料製の遮蔽部材を配設して、駆動可能なチップ13をオフ位置にしたときにその遮蔽部材でX線を吸収できるようにすることが好ましい。また、それら複数個の駆動可能なチップ13は、個別に制御可能なものとしておくことが好ましく、そうすれば、照準合せ及びビーム制御が容易となる。
【0039】
図8は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は、内周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。図7の実施の形態と図8の実施の形態とを比較すると、図8に示したビーム収集用の円錐状光学構成体は、光学素子として積層型平面導波体を用いて構成されているという点において、図7に示した円錐状光学構成体と同様のものであるが、ただし、図8に示した円錐状光学構成体は、その円錐面の内周側でX線ビームを収集する内周面入射型の外周側円錐状光学構成体である。図8に示したビームプロセッサは、シート状の光学素子である積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど拡径する空胴形状即ち円錐形状とし、しかもその円錐面の形状を、入射ビームの経路へ向かってせり出すように僅かに湾曲した形状としたものである。この積層型平面導波体5は、ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15に接続している。ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15は、シート状の積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状としたものであり、その円錐面の形状は湾曲しておらず直線状である。図8に示したように、2つの円錐状光学構成体の接続部には、それらの中央に鉛材料製の遮蔽部材が配設されており、これによって、導波チャネルの外部を伝搬するX線ビームがビーム濃縮用の円錐状光学構成体へ入射するのを防止している。2つの円錐状光学構成体は、それらを互いに固定連結して、その全体を一体的に位置制御することで照準合せを行うものとすることが好ましい。この実施の形態では、ビーム収集用の円錐状光学構成体14の入射側の端部に鉛片を用いて口縁部を形成してあり、この口縁部が図8に示したようにビーム発生器1に近接して位置するようにすることが好ましい。ビーム収集用の円錐状光学構成体14がビーム発生器1に近接して位置していれば、全てのX線ビームがこのビーム収集用の円錐状光学構成体14の「内部」に存在することになる(そのためこの実施の形態では「内周面入射型の円錐状光学構成体」という用語を使用している)。ビーム収集用の円錐状光学構成体14をこの構成とすることによって、発散ビームのうちのより多くを導波チャネルの中に導入することが可能となる。
【0040】
別構成例として、図7に示して上で説明したように、先へ行くほど拡径する円錐状光学構成体と、先へ行くほど縮径する円錐状光学構成体とを、ポリキャピラリーチューブ10または積層型導波体を装備した複数個の駆動可能な光学チップ13で構成されたリング状光学構成体を介して接続し、それによってX線照射強度を制御できるようにしてもよい。
【0041】
また更なる別構成例として、図4及び図5に示したように、出射するX線ビームが、リング型ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラーによって、照準を合わせられるようにしてもよい。この実施の形態では、各々のチャネルから出射方向の異なる2本のX線ビームが出射するような構成となることがある。そのような場合には、積層型平面導波体5で構成された出射側の円錐状光学構成体の中心に、不要なX線ビームを吸収するための鉛材料製の遮蔽部材を設置することが必要となることもある。
【0042】
図9及び図10は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の光学系の構成要素を示した図である。これらの図に示した光学系は、外周面入射型の円錐状光学構成体を備えており、図10に示した光学系ではその外周面入射型の円錐状光学構成体に加えて更に、複数本のポリキャピラリーチューブ10が装備されている。図9及び図10に示した外周面入射型の円錐状光学構成体は、図7に示して上で説明した外周面入射型の円錐状光学構成体と同様の構成のものであるが、ただし、図7の構成ではX線ビームを収集するために更に内周面入射型の円錐状光学構成体が併用されている点が異なっている。これに対して図9及び図10の構成では、X線ビームの収集は円錐状光学構成体の外周面だけで行われている。この外周面入射型の円錐状光学構成体は、積層型平面導波体5を丸めて先に行くほど拡径する空胴形状即ち円錐形状とし、しかもその円錐面の形状を、徐々に入射ビームの経路から逸れるように僅かに湾曲した形状としたものである。また、このビーム収集用の円錐状光学構成体の積層型平面導波体5は、ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15に接続している。ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15は、積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状としたものである。X線ビームは、この円錐状光学構成体出射側の出口に設けられたリング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚の出射側ミラー4bによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0043】
図4及び図5に示して先に説明した構成と同様に、先へ行くほど拡径する空胴形状即ち円錐形状とした円錐状光学構成体と、先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状とした円錐状光学構成体とは、複数本のポリキャピラリーチューブ10または、積層型導波体を装備した複数個の駆動可能なチップ13を用いて構成したリング状光学構成体を介して互いに接続することで、X線照射強度の制御を行えるようにするのもよい。
【0044】
以上に説明した様々な形態のビームプロセッサは、それらの各部分を適宜に組合せることによって、種々の用途に適合した更に別の様々なビームプロセッサを構成することができるものである。例えば、当業者には容易に理解されるように、ビーム収集用の円錐状光学構成体14を、先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状とした円錐状導波構成体5と組合せて用いることも可能である。更に、ビーム収集用の円錐状光学構成体14と、先へ行くほど縮径する円錐形状とした円錐状導波構成体5との接続部に、複数本のポリキャピラリーチューブまたは、積層型平面導波体を装備した複数個の駆動可能なチップ13を配置して用いるようにしてもよい。
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスレファレンス)
本件特許出願は米国仮特許出願第61/109561号(2008年10月30日付けで米国特許商標庁(USPTO)に出願)に基づく優先権を主張するものであり、同米国仮特許出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。
【0002】
(共同研究契約者の名称)
第三者との間で締結された共同研究契約は存在していない。
【0003】
(連邦政府による研究開発支援に関する陳述)
本件特許出願の主題に関して連邦政府による研究開発支援を受けてはいない。
【背景技術】
【0004】
MRI装置とビーム発生器とを用いた癌治療システムが公知となっている。しかしながら、在来のその種の癌治療システムの多くは、治療対象の癌組織の周囲の健康な組織にまでダメージを及ぼすものであった。本明細書に記載するビームプロセッサ及びそれに関連する様々なシステムは、かかる在来の癌治療システムに改良を施すものであり、特に、癌組織の周囲領域に存在する健康な組織に及ぼすダメージを最小限にし、且つ、ターゲット組織をより確実に死滅させることができるようにするものである。従来のこの種の癌治療システムを開示した文献としては、米国特許出願第12/242577号(出願日:2008年9月30日、発明の名称:「細胞に関する制御を自動化すると共に事前算出フィードフォワード制御と画像フィードバック制御とを介して照射を行うことでターゲットにエネルギを供給するようにしたフォトン利用の非侵襲的外科手術システム」がある(以下「‘577特許出願」という)。この’577特許出願の開示内容はこの言及をもって本願開示に組込まれたものとする。尚、本件特許出願の発明者のうちMr. Oostingは、この‘577特許出願の発明者でもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の非侵襲的外科手術システムのためのビーム発生器としては、線形加速器やX線管などをはじめとする様々なX線ビーム源が使用される。しかしながら、X線ビームを用いることには問題があり、その問題とは、X線ビームは合焦させることが容易でないにもかかわらず、X線源から出射されるX線ビームは発散ビームであって、X線源であるビーム発生器からの距離の二乗に比例して拡散することである。それゆえ、高度のコヒーレント性及びコリメート性を有するX線ビームを、癌細胞を破壊するのに十分なX線照射強度をもって、ターゲット細胞である癌細胞に合焦させることのできるビームプロセッサが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様はX線ビームプロセッサシステムに関するものであり、このX線ビームプロセッサシステムは、複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、空胴形状または複合円錐形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状ミラーであって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設された複数のミラーと、前記複数のミラーを前記導波構成体に取付けるための複数の取付部材とを備えている。この態様において、前記複数のミラーは、圧電駆動されることで移動制御されるようにしてある。
【0007】
本発明の別の1つの態様はX線ビームプロセッサシステムに関するものであり、このX線ビームプロセッサシステムは、複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、複数のリング状回路基板であって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設されており、複数個の電気チップを備えている複数の回路基板と、前記複数個の電気チップに接続された複数本のチャネルを備えた複数本のポリキャピラリーチューブと、前記複数の回路基板を前記導波構成体に取付けるための複数の取付部材とを備えている。この態様において、前記複数本のポリキャピラリーチューブは駆動されることで移動制御されるようにしてある。
【0008】
本発明のその他の態様としては、先へ行くほど縮径する形状とした導波構成体、二重円錐型の光学構成体、内周面入射型の円錐状光学構成体、外周面入射型の円錐状光学構成体、それに、ポリキャピラリーチューブを装備した外周面入射型の円錐状光学構成体等を備えたビームプロセッサに関連した特徴を備えたものがあり、これらについては後に詳述するとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】本発明の第1の実施の形態の側面図であり、ビームプロセッサの構成要素を示した図である。
【図1B】ターゲット側から導波構成体の中を見た図であり、内周側円錐状ビーム、外周側円錐状ビーム、及び中心ビームを示した図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態に用いられている光学系の図であり、ミラーの形状及び配列と、ミラーの駆動に関連したミラーの角度とを示した図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態の平面図であり、その実施の形態に用いられている光学系の様々な構成要素を示した図である。
【図4】本発明の別の実施の形態の側面図であり、別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系はポリキャピラリーチューブを用いて構成されている。
【図5A】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は積層型導波チャネルを備えたものである。
【図5B】本発明の実施形態の側面図であり、積層型導波チャネルに入射したX線ビームの方向の変化を示した図である。
【図6】本発明の更に別の実施の形態を示す図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は先へ行くほど縮径する形状の導波構成体を備えたビームプロセッサを構成するものである。
【図7】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、二重円錐型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【図8】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、内周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【図9】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、外周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【図10】本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示しており、この光学系は、ポリキャピラリーチューブを装備した外周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1Aは本発明の第1の実施の形態の側面図であり、ビームプロセッサの構成要素を示した図である。この第1の実施の形態に係るビームプロセッサの構成要素には、ビーム発生器1、トンネル型ミラーシールド2、複数の取付部材3、複数の入射側ミラー4aと複数の出射側ミラー4bとを含んで成るミラー構成体4、導波構成体(導波体)5、内周側円錐状ビーム6、外周側円錐状ビーム7、中心ビーム8、それにターゲット9が含まれる。
【0011】
ビーム発生器1はX線フォトン発生源であり、これはいかなる種類のX線フォトン発生源であってもよいが、ただし、このビーム発生器1が、線形加速器、X線管、または放射性同位元素から成るものとすることが好ましい。
【0012】
トンネル型ミラーシールド2は、不要なフォトンがミラー構成体4へ入射するのを防止するための遮蔽部材であり、鉛材料製の(またはその他の高密度材料から成る)遮蔽部材とすることが好ましく、また、精密機械加工により製作した部材とすることが好ましい。
【0013】
複数の取付部材3は、2つの構成要素を互いに固定された相対位置関係、もしくは互いに略々固定された相対位置関係に保持するために用いられる構造部材であり、2つの構成要素の間に固定される部材とすることが好ましい。取付部材3によってミラー構成体4の個々のミラーを駆動可能に取付けるには、ミラーを支持する基礎部材が取付部材3に固定されていて、ミラーがその基礎部材に対して相対的に駆動(移動)される構成とすることが好ましい。
【0014】
光学系の構成要素であるミラー構成体4の複数のミラーは、導波構成体5の複数のポートの各々(ただし中心ポートを除く)に対応して複数のミラー群に分けられている(図2示)。即ち、好ましくは、各導波体5の入射端ないし出射端の各々に対応して、ミラー構成体4の1枚または所定枚数のミラーから成るミラーセットが1組ずつ装備されるとよく、ただし中心ポートにだけはミラーセットが装備されていない。例えば、513個のポートを備えたビームプロセッサであれば、その光学系のミラー構成体4は、1024組のミラーセットを装備したものとすることになる。このミラー構成体4については、後に図2を参照して更に詳細に説明する。
【0015】
導波構成体5は、鉛材料またはその他の高密度材料で製作したものとすることが好ましく、ビーム発生器1から出射されたフォトンのうち、この導波構成体5のポートを通過したフォトンだけが、この導波構成体5のビーム発生器1とは反対側へ到達することができるようにするものである。従って、この導波構成体5のビーム発生器1とは反対側のものは、この導波構成体5のポートへ入射したフォトン以外のフォトンからは遮蔽されることになる。導波構成体5は複数のポート即ち開口を備えており、それらポートは入射したフォトンを通過させるように構成されており、従って各々のポートが導波体として機能するようにしてある。本発明の1つの実施の形態においては、各々のポートに金めっきを施して、ポートの壁面がX線ミラーとして機能するようにしてある。この複数本の導波体は、X線ビームをコリメートすると共にX線ビームに高度のコヒーレント性を付与する機能を提供するものである。
【0016】
複数本の導波体は、3つの導波体に分けられている。3つの導波体とは、外周側リング状導波体と、内周側リング状導波体と、それに単一の中心ポートとである。導波構成体5の夫々の出射ポートから出射してビーム交差部9へ伝搬するフォトンによって内周側円錐状ビーム6及び外周側円錐状ビーム7が形成される。また、ビーム発生器1から中心ポートを通過してビーム交差部9へ伝搬するフォトンによって中心ビーム8が形成される。各々の導波体5からの個々のX線ビームは、複数枚の出射側ミラー4bによってそれらの出射後の方向が定められてビーム交差部において互いに交わり、このビーム交差部に、X線を照射しようとするターゲット9が配置される。
【0017】
図2に、図1Aに示したミラー構成体4の個々のミラーの形状及び配列と、それらミラーの駆動態様とを示した。より詳しくは、ミラー構成体4の各々のミラーは、その一端が固定枢動連結点(位置が固定した枢動連結点)に連結されており、他端がアクチュエータ(このアクチュエータは圧電式アクチュエータとすることが好ましい)に連結されており、それによって、ミラーの偏向角を微細な段階的調節量をもって調節できるようにしてある。ある1枚のミラーへのどのような角度調節も、それが後続のミラーの偏向角に影響を及ぼすために、後続のミラーの駆動(揺動)が必要となることがある。使用するX線ビームの波長に合わせて、ミラーの形状及び配列と、ミラーの駆動態様とを定める際に、ミラーの反射面に対する入射X線ビームの角度が臨界角を超えないようにする必要があり、その臨界角は0.58°である。それゆえ、図2に示した具体例において、ミラーの反射面に対する入射X線ビームの角度は約0.50°とすることが好ましい。また、出射角と入射角とは略々同一角度になる。この場合、各ミラーで反射させることにより得られる合計偏向角は約1°となり、その補角は約179°となる。
【0018】
例えば図3に示したように、リング状ミラー構成体の各セグメントが5枚のミラーで構成されている場合には、それら5枚のミラーによって得られる合計偏向角は5°になり(この角度は波長に対応した臨界角の10倍以下である)、ビーム方向は基準に対して90°から85°になる。入射側リング状ミラー構成体と出射側リング状ミラー構成体とのいずれにおいてもこのようにビームの合計偏向角が5°になるものとし、また、導波構成体5の長さが36インチ(約910mm)であるものとし、また更に、導波構成体5の外周側リング状導波体の出射ポートの配列円の直径が4インチ(約100mm)であるものとするならば、ビーム発生器1からターゲット9までの全長は、約7フィート(約2130mm)になる。
【0019】
一方、出射側リング状ミラー構成体の各セグメントが1枚だけのミラーで構成されている場合には、ビーム発生器1からターゲット9までの全長は、22.86+36+114.58=173.44インチ=14.45フィート(約4410mm)になる(外周側円錐状ビーム群7の円錐底面の中心からビーム交差部9へ至る直線を一辺とする直角三角形を描いた場合に、その直角三角形の底辺は2インチ(約50mm)であり、ビーム交差部9におけるその直角三角形の頂角は5°である。したがって、導波構成体5からビーム交差部9までの長さは、2インチ/tan(5°)=22.86インチになる。一方、ミラーの枚数が1枚である場合には、その頂角が1°にしかならないために、その長さは2インチ/tan(1°)=114.58インチになる)。この構成は、ビーム交差部9に集まったX線ビームを、内周面をミラー面とした後続の導波構成体5へ導入する場合に必要とされる構成である。これによって最終的に出力として得られるX線ビームは、X線レーザにかなり類似したものとなる。また、そうした場合の単位体積あたりのフォトン密度は、入力ビームと比べて出力ビームの方が数百倍の大きさになるが、その出力ビームの輝度は、おそらく、実際のX線レーザと同程度の輝度と見なし得るに十分ではない。
【0020】
ただし、この構成をカスケード結合すれば、即ち、導波構成体5と、出射側ミラー4bで構成した出射側リング状ミラー構成体とを組合せたアセンブリを、幾組もカスケード結合するならば、それによって複数台のビーム発生器から出射させたX線ビームを結合することができるため、入力ビームの本数を増すことによって最終的に得られる出力ビームの輝度をより増大させることができる。
【0021】
このビームプロセッサによれば、ビーム交差部9におけるフォトン密度を非常に高くすることができ、そのフォトン密度は、円錐状無修正ビームないし強度変調放射線治療(IMRT)用ビームによって同一寸法の体積要素の内部に作り出せるフォトン密度よりも、はるかに高密度とすることができる。しかも、ビーム発生器1からビームプロセッサへ向けて出射されるエネルギの圧倒的大部分を廃棄しつつ、そのような高いフォトン密度を達成することができるのである。これが可能であるのは、出射されたエネルギのうち、ミラー構成体4によって捕捉されて、導波構成体5の導波チャネルへ導入されたエネルギだけが使用されるからである。このように、フォトンストリームの一部分だけを選択的に使用することで、患者の体内に導入されるエネルギ総量を劇的に低下させて、望ましくない副作用が生じる確率を低く抑えつつ、ターゲット細胞に対して確実に十分な治療を施すことが可能となっている。
【0022】
またその場合に、入力ビームのエネルギの全体のうち、実際に使用するエネルギの割合を0%〜0.0001%の範囲内で変化させることができる(これはおおよその数値であり、ミラーの枚数、導波構成体の導波チャネルの本数、それにフォトンストリームの本数に応じて異なったものとなる)。
【0023】
また、ミラー構成体4の複数のミラーに個別に装備したアクチュエータを用いて、複数本のフォトンストリームのオンオフ変調を個別に行うことができる。その場合に、ミラー構成体4の一部のミラーに対してオンオフ変調操作を加え、それらミラーで反射して導波構成体5の対応する導波体へ入射していたフォトンストリームの向きを変えて入射しないようにすることで、出力ビームの照射強度を高速変調して上下させることができる。また、このオンオフ変調操作を利用して、ビームの照準合せに使用する低エネルギの出力ビームを作り出すこともでき、ターゲット細胞を破壊するために使用するエネルギバーストを作り出すこともできる。
【0024】
入力ビームの全体のうち使用しない部分のビームは全て遮蔽することが好ましく、そうすることによって、患者が不必要に被曝するのを防止することができる。
【0025】
ビーム発生器1から見て患者の背後に相当する位置に2次元センサアレイを設置するのもよく、そうすれば、そのセンサアレイを用いて、位置フィードバックデータを収集することができる。この方式によれば、使用するセンサアレイが適切な解像度を有するものであれば、出射側ミラー4bによって、確実に患者の体内の所望の位置にビーム交差部9を作り出せるようにするための、適切なフィードバック機能が提供される。
【0026】
フォトンストリームを各ミラーで反射させる際に生じるエネルギ損失は、そのミラー面とフォトンストリームとが成す角度が臨界角である0.58°を超えていなければ、おおよそ1%程度になる。1本のフォトンストリームの経路中に全部で6枚のミラーが介在する場合には、フォントストリームをそれらミラーで反射させて偏向させるために生じる合計エネルギ損失は約6%になる。このエネルギ損失に、更に導波構成体5に起因するエネルギ損失が加わることもある。
【0027】
導波構成体5へ入射する際に損失が生じないものとすれば、ポートの個数が101個のビームプロセッサによって得られるビーム交差部9におけるフォトン密度(単位体積あたりのフォトン個数)のピーク値は、このようなビームプロセッサを使用しない在来の方式で、ただし同じX線源を使用して、そのX線源から患者までの距離を、X線源とそのビームプロセッサへのフォトン入射位置までの距離とを等しくした場合に得られるフォトン密度の約95倍になる。また、実際には、従来の方式を用いた場合には、X線源から患者までの距離はその距離よりも更に大きく設定されることが多い。そのため、従来の方式と比べたときのフォトン密度のピーク値の倍率は95倍より更に大きくなる。
【0028】
更には、導波構成体5へ入射する際に20%のエネルギ損失が生じるものとした場合であっても、本発明のこの実施の形態に係るビームプロセッサによれば、ビーム交差部9におけるフォトン密度のピーク値は、このようなビームプロセッサを使用しない場合と比べて約75倍になる。
【0029】
導波構成体5のポートへフォトンを入射させるための照準合せを容易に行えるようにするには、各々のポートの入射口の周囲にセンサ材料を配設して、フィードバック情報が得られるようにするとよい。
【0030】
図4は本発明の別の実施の形態の側面図であり、別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は複数本のポリキャピラリーチューブ10を用いて構成されており、それらポリキャピラリーチューブは各々が複数本のチャネルを有している。この実施の形態では、回路基板11上に複数個のチップ13(不図示)が搭載され、それらチップ上に何百本ものポリキャピラリーチューブ10が装備されている。また、回路基板11の内周面と外周面との両面にチップを搭載するようにすれば、ポリキャピラリーチューブ10の合計本数を倍増することができる。各々のポリキャピラリーチューブ10はビームの方向を変化させるために個別に駆動可能としてある。各ポリキャピラリーチューブ10は、それぞれが38本ずつのチャネルを有するものとすることが好ましく、またその場合に、各チャネルの直径は1μmとし、各ポリキャピラリーチューブの直径は7μmとすることが好ましい。
【0031】
図4に示したビームプロセッサにおいては、複数個のチップ上に装備された駆動可能な複数本のポリキャピラリーチューブ10を用いて、発散ビームの形で出射されるX線ビームの個々の部分ビームを夫々に方向付けて、鉛材料製の筒部材の中に形成された長さが3フィート(約910mm)の複数本の導波チャネル12の中へそれら部分ビームを夫々に入射させるようにしている。それら複数本の導波チャネル12は、その本数を513本とすることが好ましく、また、その直径を7μmとし、その内面に金めっきが施されたものとすることが好ましい。出射側の出口では、複数個のチップ上に装備された駆動可能な複数本のポリキャピラリーチューブ10によって構成されたリングによって、ビームの照準がターゲット9に合わせられる。チップ上のそれらポリキャピラリーチューブ10を用いて、複数本の導波体5の一部をオフにすることによって、個々のミラーの照準合せのチェックを個別に行うこともでき、また、必要に応じてX線照射強度を低減させることができる。
【0032】
ビーム発生器1が出射するX線ビームを、500個以上のポリキャピラリー光学素子チップ13により構成されたリングによって、捕捉し且つ導波構成体5の複数のポートの中へ入射させる構成とすることが好ましい。それら多数個のポリキャピラリー光学素子チップ13は、その各々が38本ずつのチャネルを有し、それら38本のチャネルによって、直径が7μmの1本のポリキャピラリーチューブが形成されているようにすることが好ましい。それら多数個のポリキャピラリー光学素子チップの各々を駆動することによって、導波構成体5の各々の導波チャネルのオンオフ制御を行い、それによってX線照射強度を制御できるようにしておくことが好ましい。導波構成体5は、筒形とすることが好ましい。各々の導波体5は、その直径が7μmの、内面に金めっきが施されたチューブから成るものとすることが好ましく、長さを1mとし、鉛材料製の円筒形状の遮蔽部材の中に配設された構成のものとすることが好ましい。導波構成体5を通過した複数本のX線ビームは、リング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラーによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0033】
図5Aは本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る積層型導波チャネル12を備えた光学系の構成要素を示した図である。図5Bは積層型導波チャネルに入射したX線ビームの方向の変化を示した側面図である。この実施の形態は図4に示した実施の形態と同様の構成であり、相違している点は、複数本のX線ビームを案内して導波チャネルに入射させるための手段として、複数個の駆動可能なチップ上に装備された導波チャネルを用いるようにしたことである。
【0034】
図6は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は、図4に示したものと同様の、多数個のポリキャピラリー光学素子チップにより構成されたリングを備えたものであり、このリングが複数本のX線ビームを導波して、先に行くほど縮径する円錐形状とした積層型導波構成体5の中へ入射させるようにしてある。積層型導波構成体5は、高密度材料の薄層と低密度材料の薄層とを交互に積層して形成したものとすることが好ましい。積層型導波構成体5を通過したX線ビームは、この積層型導波構成体5の出射側の出口に設けられたリング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラー4bによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0035】
図7に示したビームプロセッサでは、ステンレス鋼製の滑らかな形状の基板の表面に設けたシート状の光学素子である積層型平面導波体を丸めて先に行くほど拡径する円錐形状とすることで円錐状光学構成体を構成する。また、その積層型平面導波体は、高密度材料の薄層と低密度材料の薄層とを交互に積層して形成したものとすることが好ましい。この実施の形態では、複数本のX線ビームが導波体5に結合するようにしてあり、その結合方式は、共鳴結合によるビーム結合とすることが好ましい。この円錐状光学構成体は、ビーム収集用の内周側円錐状光学構成体として機能するものである。この円錐状光学構成体は、その円錐面の形状を、入射ビームの経路から逸れるように僅かに湾曲した形状とすることが好ましい。この内周側円錐状光学構成体は、その円錐面の外周面側においてX線ビームを収集するものである。
【0036】
以上に加えて、ビーム収集用の円錐状光学構成体である、外周側円錐状光学構成体7は、入射ビームの経路へ向かってせり出すように僅かに湾曲した形状となっていることが好ましく、ビーム発生源から出射される発散ビームのより広い発散角範囲のビームを収集する。外周側円錐状光学構成体7もまた、積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど僅かに拡径する空胴形状即ち円錐形状の円錐状光学構成体としたものとすることが好ましい。外周側円錐状光学構成体7は、その円錐面の内周面側においてX線ビームを収集するものである。
【0037】
図7に示したように、外周側円錐状光学構成体と内周側円錐状光学構成体とは、それらの最大拡径部において互いに合流するように結合して単一の平面導波体5を形成している。当業者には容易に理解されるように、これら2つの円錐状光学構成体は、それらを太くするほど、より広い発散角のX線ビームを収集することができ、ひいてはX線照射強度を増大させることができる。図6に示したように、平面導波体5によって、先に行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状の円錐状光学構成体が形成されている。この円錐状光学構成体は、ビーム濃縮用の円錐状光学構成体であり、その円錐面の形状は湾曲しておらず直線状である。X線ビームは、濃縮用の円錐状光学構成体を通過する間にそのコヒーレント性及びアドヒーレント性が向上する。この平面導波体5を通過したX線ビームは、リング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラーによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0038】
図7は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は二重円錐型の円錐状光学構成体を備えたものである。図7に示したように、ビーム収集用の円錐状光学構成体とビーム濃縮用の円錐状光学構成体とが連続した構成であり、それら2つの円錐状光学構成体は、基板上に高密度材料の薄層と低密度材料の薄層とを交互に積層することで一体形成されている。尚、その基板はステンレス鋼製とすることが好ましい。別構成例として、ビーム収集用の円錐状光学構成体とビーム濃縮用の円錐状光学構成体とを個別に製作した上で、複数本のポリキャピラリー光学素子で構成したリングをそれら2つの円錐状光学構成体の間に配設し、このリングを介してそれら2つの円錐状光学構成体を結合するようにしてもよい。その場合のポリキャピラリー光学素子は、駆動可能なチップ13上に装備するようにして、フォトンをビーム濃縮用の円錐状光学構成体に導入するか否かの選択を行えるようにするとよく、そうすることで、X線照射強度を制御することが可能になる。更にもう1つの別構成例として、ビーム収集用の円錐状光学構成体とビーム濃縮用の円錐状光学構成体とを個別に製作した上で、積層型導波体を装備した複数個の駆動可能なチップ13で構成したリング状光学構成体をそれら2つの円錐状光学構成体の間に配設し、このリング状光学構成体を介してそれら2つの円錐状光学構成体を結合することによって、X線照射強度を制御可能にするのもよい。以上に加えて、この実施の形態では、中心部に冷却管を装備して表面を冷却するようにすることが好ましい。また、以上に記載した2通りの別構成例においては、駆動可能なチップ13より後方に、そしてビーム濃縮用の円錐状光学構成体の外周に、鉛材料製の遮蔽部材を配設して、駆動可能なチップ13をオフ位置にしたときにその遮蔽部材でX線を吸収できるようにすることが好ましい。また、それら複数個の駆動可能なチップ13は、個別に制御可能なものとしておくことが好ましく、そうすれば、照準合せ及びビーム制御が容易となる。
【0039】
図8は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の構成例に係る光学系の構成要素を示した図である。この光学系は、内周面入射型の円錐状光学構成体を備えたものである。図7の実施の形態と図8の実施の形態とを比較すると、図8に示したビーム収集用の円錐状光学構成体は、光学素子として積層型平面導波体を用いて構成されているという点において、図7に示した円錐状光学構成体と同様のものであるが、ただし、図8に示した円錐状光学構成体は、その円錐面の内周側でX線ビームを収集する内周面入射型の外周側円錐状光学構成体である。図8に示したビームプロセッサは、シート状の光学素子である積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど拡径する空胴形状即ち円錐形状とし、しかもその円錐面の形状を、入射ビームの経路へ向かってせり出すように僅かに湾曲した形状としたものである。この積層型平面導波体5は、ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15に接続している。ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15は、シート状の積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状としたものであり、その円錐面の形状は湾曲しておらず直線状である。図8に示したように、2つの円錐状光学構成体の接続部には、それらの中央に鉛材料製の遮蔽部材が配設されており、これによって、導波チャネルの外部を伝搬するX線ビームがビーム濃縮用の円錐状光学構成体へ入射するのを防止している。2つの円錐状光学構成体は、それらを互いに固定連結して、その全体を一体的に位置制御することで照準合せを行うものとすることが好ましい。この実施の形態では、ビーム収集用の円錐状光学構成体14の入射側の端部に鉛片を用いて口縁部を形成してあり、この口縁部が図8に示したようにビーム発生器1に近接して位置するようにすることが好ましい。ビーム収集用の円錐状光学構成体14がビーム発生器1に近接して位置していれば、全てのX線ビームがこのビーム収集用の円錐状光学構成体14の「内部」に存在することになる(そのためこの実施の形態では「内周面入射型の円錐状光学構成体」という用語を使用している)。ビーム収集用の円錐状光学構成体14をこの構成とすることによって、発散ビームのうちのより多くを導波チャネルの中に導入することが可能となる。
【0040】
別構成例として、図7に示して上で説明したように、先へ行くほど拡径する円錐状光学構成体と、先へ行くほど縮径する円錐状光学構成体とを、ポリキャピラリーチューブ10または積層型導波体を装備した複数個の駆動可能な光学チップ13で構成されたリング状光学構成体を介して接続し、それによってX線照射強度を制御できるようにしてもよい。
【0041】
また更なる別構成例として、図4及び図5に示したように、出射するX線ビームが、リング型ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚のミラーによって、照準を合わせられるようにしてもよい。この実施の形態では、各々のチャネルから出射方向の異なる2本のX線ビームが出射するような構成となることがある。そのような場合には、積層型平面導波体5で構成された出射側の円錐状光学構成体の中心に、不要なX線ビームを吸収するための鉛材料製の遮蔽部材を設置することが必要となることもある。
【0042】
図9及び図10は本発明の更に別の実施の形態の側面図であり、更に別の光学系の構成要素を示した図である。これらの図に示した光学系は、外周面入射型の円錐状光学構成体を備えており、図10に示した光学系ではその外周面入射型の円錐状光学構成体に加えて更に、複数本のポリキャピラリーチューブ10が装備されている。図9及び図10に示した外周面入射型の円錐状光学構成体は、図7に示して上で説明した外周面入射型の円錐状光学構成体と同様の構成のものであるが、ただし、図7の構成ではX線ビームを収集するために更に内周面入射型の円錐状光学構成体が併用されている点が異なっている。これに対して図9及び図10の構成では、X線ビームの収集は円錐状光学構成体の外周面だけで行われている。この外周面入射型の円錐状光学構成体は、積層型平面導波体5を丸めて先に行くほど拡径する空胴形状即ち円錐形状とし、しかもその円錐面の形状を、徐々に入射ビームの経路から逸れるように僅かに湾曲した形状としたものである。また、このビーム収集用の円錐状光学構成体の積層型平面導波体5は、ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15に接続している。ビーム濃縮用の円錐状光学構成体15は、積層型平面導波体5を丸めて先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状としたものである。X線ビームは、この円錐状光学構成体出射側の出口に設けられたリング状ミラー構成体4の駆動可能な1枚または複数枚の出射側ミラー4bによってターゲット9に照準を合わせられる。
【0043】
図4及び図5に示して先に説明した構成と同様に、先へ行くほど拡径する空胴形状即ち円錐形状とした円錐状光学構成体と、先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状とした円錐状光学構成体とは、複数本のポリキャピラリーチューブ10または、積層型導波体を装備した複数個の駆動可能なチップ13を用いて構成したリング状光学構成体を介して互いに接続することで、X線照射強度の制御を行えるようにするのもよい。
【0044】
以上に説明した様々な形態のビームプロセッサは、それらの各部分を適宜に組合せることによって、種々の用途に適合した更に別の様々なビームプロセッサを構成することができるものである。例えば、当業者には容易に理解されるように、ビーム収集用の円錐状光学構成体14を、先へ行くほど縮径する空胴形状即ち円錐形状とした円錐状導波構成体5と組合せて用いることも可能である。更に、ビーム収集用の円錐状光学構成体14と、先へ行くほど縮径する円錐形状とした円錐状導波構成体5との接続部に、複数本のポリキャピラリーチューブまたは、積層型平面導波体を装備した複数個の駆動可能なチップ13を配置して用いるようにしてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線ビームプロセッサシステムにおいて、
複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、
設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、
空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、
前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状ミラーであって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設された複数のミラーと、
前記複数のミラーを前記導波構成体に取付ける複数の取付部材とを備え、
前記複数のミラーは、圧電駆動されることで移動制御される、
ことを特徴とするビームプロセッサシステム。
【請求項2】
前記X線ビーム発生器が、線形加速器、X線管、または放射性同位元素から成ることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項3】
前記複数のミラーが、前記導波構成体のビーム発生器側に配設された複数の入射側ミラーと、前記導波構成体のターゲット側に配設された複数の出射側ミラーとを含むことを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項4】
前記複数の出射側ミラーは、前記出射ポートから出射するX線ビームを、癌細胞を含むターゲットへ方向付けるものであることを特徴とする請求項3記載のビームプロセッサシステム。
【請求項5】
前記ミラーシールド部材が鉛材料製であることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項6】
前記複数の出射ポート及び前記複数の入射ポートの内周面に、金めっきが施されていることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項7】
前記X線ビーム発生器から中心ポートを通過してターゲットへ伝搬するX線ビームが、中心ビームを形成するようにしてあることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項8】
前記ミラーを支持する基礎部材が前記取付部材に固定され、前記ミラーが前記基礎部材に対して相対的に駆動されるようにしてあることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項9】
前記導波構成体が更に、外周側リング状構成体と、内周側リング状構成体と、中心ポートとを備えていることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項10】
前記外周側リング状構成体及び前記内周側リング状構成体へ伝搬する複数本のX線ビームによって、前記ビーム発生器と前記複数の入射ポートとの間に内周側円錐状ビーム及び外周側円錐状ビームが形成され、それらX線ビームが更に前記複数の出射ポートから前記ターゲットへ伝搬する際に、別の内周側円錐状ビーム及び別の外周側円錐状ビームが形成されるようにしてあることを特徴とする請求項9記載のビームプロセッサシステム。
【請求項11】
X線ビームプロセッサシステムにおいて、
複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、
設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、
空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、
前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状回路基板であって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設されており、複数個の電気チップを備えている複数の回路基板と、
前記複数個の電気チップに接続された複数本のチャネルを備えた複数本のポリキャピラリーチューブと、
前記複数の回路基板を前記導波構成体に取付ける複数の取付部材とを備え、
前記複数本のポリキャピラリーチューブは、X線ビームの方向を変化させるために駆動される、
ことを特徴とするX線ビームプロセッサシステム。
【請求項12】
前記複数本のポリキャピラリーチューブが個別に駆動可能であることを特徴とする請求項11記載のX線ビームプロセッサシステム。
【請求項13】
前記複数本のポリキャピラリーチューブの各々が約38本ずつのチャネルを有し、各チャネルは直径が約1μmであり、各ポリキャピラリーチューブは直径が7μmであることを特徴とする請求項12記載のX線ビームプロセッサシステム。
【請求項14】
鉛材料製の筒部材の中に形成された長さが約3フィート(約910mm)の約513本の導波チャネルを更に備えており、それら導波チャネルは、その内面に金めっきが施され、その直径が7μmであることを特徴とする請求項11記載のX線ビームプロセッサシステム。
【請求項1】
X線ビームプロセッサシステムにおいて、
複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、
設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、
空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、
前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状ミラーであって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設された複数のミラーと、
前記複数のミラーを前記導波構成体に取付ける複数の取付部材とを備え、
前記複数のミラーは、圧電駆動されることで移動制御される、
ことを特徴とするビームプロセッサシステム。
【請求項2】
前記X線ビーム発生器が、線形加速器、X線管、または放射性同位元素から成ることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項3】
前記複数のミラーが、前記導波構成体のビーム発生器側に配設された複数の入射側ミラーと、前記導波構成体のターゲット側に配設された複数の出射側ミラーとを含むことを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項4】
前記複数の出射側ミラーは、前記出射ポートから出射するX線ビームを、癌細胞を含むターゲットへ方向付けるものであることを特徴とする請求項3記載のビームプロセッサシステム。
【請求項5】
前記ミラーシールド部材が鉛材料製であることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項6】
前記複数の出射ポート及び前記複数の入射ポートの内周面に、金めっきが施されていることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項7】
前記X線ビーム発生器から中心ポートを通過してターゲットへ伝搬するX線ビームが、中心ビームを形成するようにしてあることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項8】
前記ミラーを支持する基礎部材が前記取付部材に固定され、前記ミラーが前記基礎部材に対して相対的に駆動されるようにしてあることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項9】
前記導波構成体が更に、外周側リング状構成体と、内周側リング状構成体と、中心ポートとを備えていることを特徴とする請求項1記載のビームプロセッサシステム。
【請求項10】
前記外周側リング状構成体及び前記内周側リング状構成体へ伝搬する複数本のX線ビームによって、前記ビーム発生器と前記複数の入射ポートとの間に内周側円錐状ビーム及び外周側円錐状ビームが形成され、それらX線ビームが更に前記複数の出射ポートから前記ターゲットへ伝搬する際に、別の内周側円錐状ビーム及び別の外周側円錐状ビームが形成されるようにしてあることを特徴とする請求項9記載のビームプロセッサシステム。
【請求項11】
X線ビームプロセッサシステムにおいて、
複数本のX線ビームを発生するX線ビーム発生器と、
設定領域からのX線ビームを遮蔽するミラーシールド部材と、
空胴形状の導波構成体であって、X線ビームを導波して該導波構成体の中を伝搬させるように構成され、複数の入射ポートと複数の出射ポートとを備えた導波構成体と、
前記導波構成体の軸心「X」に対して同軸心的に配列された複数のリング状回路基板であって、前記複数の入射ポート及び前記複数の出射ポートに近接してそれらに対してほぼ平行に配設されており、複数個の電気チップを備えている複数の回路基板と、
前記複数個の電気チップに接続された複数本のチャネルを備えた複数本のポリキャピラリーチューブと、
前記複数の回路基板を前記導波構成体に取付ける複数の取付部材とを備え、
前記複数本のポリキャピラリーチューブは、X線ビームの方向を変化させるために駆動される、
ことを特徴とするX線ビームプロセッサシステム。
【請求項12】
前記複数本のポリキャピラリーチューブが個別に駆動可能であることを特徴とする請求項11記載のX線ビームプロセッサシステム。
【請求項13】
前記複数本のポリキャピラリーチューブの各々が約38本ずつのチャネルを有し、各チャネルは直径が約1μmであり、各ポリキャピラリーチューブは直径が7μmであることを特徴とする請求項12記載のX線ビームプロセッサシステム。
【請求項14】
鉛材料製の筒部材の中に形成された長さが約3フィート(約910mm)の約513本の導波チャネルを更に備えており、それら導波チャネルは、その内面に金めっきが施され、その直径が7μmであることを特徴とする請求項11記載のX線ビームプロセッサシステム。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2012−507727(P2012−507727A)
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534817(P2011−534817)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/062811
【国際公開番号】WO2010/051469
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511109043)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2009/062811
【国際公開番号】WO2010/051469
【国際公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(511109043)
【Fターム(参考)】
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