説明

X線検査装置

【課題】低コストおよび省スペースで、既に構築された搬送ラインに対してX線検査を追加するX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置100においては、受取部600によりベルトコンベア900から物品Bが受け取られる。次いで、X線検査部700により受取部600から受け取った物品Bの異物検査が行われる。そして、受渡部800によりX線検査部700において検査された物品Bがベルトコンベア900に受け渡される。また、X線漏洩防止カバー910は、X線検査部700から照射されるX線の漏洩を防止する。受取部600および受渡部800は、物品Bの載置部が平面のみからなり、かつ物品Bを載置しつつ搬送する受取テーブル611,受渡テーブル811と、物品Bの移動を補助する案内ガイド板621、補助案内部622,623、案内ガイド板821、補助案内部822,823とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の異物を検出するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品の内部に含有された異物を検出するために、X線により異物を検出するX線検出装置の開発が行われている。例えば、特許文献1記載の透視検査装置では、放射線を照射して被検査物を検査する透視検査装置に係り、特に1回の透視によって検査できない長尺のワークを検査する場合に有効な透視検査装置について開示されている。
【0003】
特許文献1記載の透視検査装置は、放射線遮蔽構成をとったテーブル収容室と検査室とが連設され、この検査室内に配置された放射線発生器と透視装置との間に被検査物を設置して透視検査を行う装置において、テーブル収容室および検査室に跨って配置された複数の区画に分割された回転テーブルと、この回転テーブルを所定角度ずつ間欠回転させるテーブル回転駆動装置と、回転テーブルの各区画ごとに荷振り可能に設けられ、被検査物を載置してなる載置台と、この載置台上の被検査物を初期検査位置に設定する初期位置設定装置と、検査室内に設けられ、回転テーブルの回転によって検査室内に到達したある区画の載置台を所定角度回動させて、載置台上の被検査物の検査領域を可変させる検査領域可変装置とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用昭59−117956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、特許文献1記載の透過検査装置においては、長物ワークを一個ずつ区画に載置させてX線検査を間欠回転で行っているため、連続した物品の検査を行うことができず、さらにワークの大きさも区画の大きさに制限されるという問題がある。
【0006】
一方、近年において、連続して搬送される物品に対しても物品を停止させることなく、X線検査を行うことが求められ始めている。しかしながら、X線検査工程を追加するために、新たにX線検査ラインを設計および新設することは、多大なコストがかかり問題が生じる。
【0007】
また、一の搬送ラインにおいて多種の物品が搬送される場合もあり、一律にX線検査工程を追加することは、容易ではなかった。
【0008】
本発明の目的は、低コストおよび省スペースで、既に構築された搬送ラインに対してX線検査を追加することができるX線検査装置を提供することである。
本発明の他の目的は、低コストおよび省スペースで、既に構築された搬送ラインに対してX線検査を追加することができ、かつ多種の物品に対応したX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)
一局面に従うX線検査装置は、物品を搬送する搬送ラインに設けられるX線検査装置であって、搬送ラインから物品を受け取る受取部と、受取部から受け取った物品の異物検査を行うX線検査部と、X線検査部におけるX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カバーと、X線検査部において検査した物品を搬送ラインに受け渡す受渡部と、を含み、受取部および受渡部は、物品の載置部が平面のみからなり、かつ物品を載置しつつ搬送する回転テーブルと、物品の移動を補助する案内ガイドとを含むものである。
【0010】
X線検査装置においては、受取部により搬送ラインから物品が受け取られる。次いで、X線検査部により受取部から受け取った物品の異物検査が行われる。そして、受渡部によりX線検査部において検査された物品が搬送ラインに受け渡される。また、X線漏洩防止カバーは、X線検査部から照射されるX線の漏洩を防止する。受取部および受渡部は、物品の載置部が平面のみからなり、かつ物品を載置しつつ搬送する回転テーブルと、物品の移動を補助する案内ガイドとを含む。
【0011】
この場合、X線漏洩防止カバーを設けることにより、搬送ライン側にX線が漏洩することを防止することができる。また、受取部および受渡部は、回転テーブルおよび案内ガイドを含むので、低コストで既に構築された搬送ラインに対して当該X線検査装置を取付け、容易にX線検査工程を追加することができる。すなわち、回転テーブルおよび案内ガイドを用いて既存の搬送ラインから被検査対象の物品を検査するX線検査ラインを容易に形成することができる。
【0012】
さらに、本発明においては、回転テーブルの物品載置部が平面のみからなるので、従来のように、搬送される物品に応じて受け渡し用のテーブルを交換する必要がなく、物品の形状が変化した場合であっても、物品載置部が、確実に搬送ラインから物品を受け取ったり、X線検査部から搬送ラインへ物品を受け渡したりすることができる。
【0013】
すなわち、従来では、搬送される物品に応じて受け渡し用のテーブルに当該物品に対する凹または物品を区切るための壁部が設けられていたが、当該凹または壁部が不要となり、搬送される物品に応じて受け渡し用のテーブルを交換する必要がない。
【0014】
(2)
X線検査部は、物品の載置部が平面のみからなり、かつ物品を円弧状に搬送する搬送テーブルを有し、受取部および受渡部の案内ガイドは、搬送ラインと搬送テーブルとの間を物品が円弧軌道で搬送されるように配置されることが好ましい。
【0015】
この場合、受取部からX線検査部を介して受渡部まで、物品が円弧軌道に沿って搬送されることとなる。したがって、搬送径路に曲がり角が出来ないため、物品を安定して搬送することができる。例えば、搬送径路を直線で構成した場合、搬送径路に曲がり角が生じる。その結果、搬送径路の曲がり角において搬送時における物品の姿勢が不安定になる。
一方、物品が円弧軌道に沿って搬送される場合には、物品の姿勢に急激な影響を与えないため、円滑に安定して搬送を行うことができ、さらに、搬送ラインに対して最短距離のX線検査を行う径路を形成することができる。
【0016】
(3)
X線検査部は、X線源とX線源から照射されたX線を受光する検出装置とを含み、X線源は、搬送テーブルの上方に設けられ、かつX線源から照射されるX線が、搬送テーブルにより円弧状に搬送される物品に対して上方から斜め下方に向けて照射されるように設けられ、検出装置は、照射されたX線を受光する位置に設けられてもよい。
【0017】
この場合、X線源から照射されるX線が検出装置により受光される。したがって、物品のX線検査を確実に行うことができる。また、X線源が搬送テーブルの上方に設けられるので、搬送テーブルの外側からX線を照射する場合と比較して、X線検査装置の設置スペースを少なくすることができる。
また、物品が容器に収容された液体の場合には、円弧状に搬送される物品に対してX線検査を行うので、遠心力により物品内の異物が円弧状の外側方向に移動するので、X線検査により異物を確実に検出することができる。
【0018】
(4)
X線源は、搬送ラインから遠ざかる方向へ向けてX線を照射することが好ましい。
【0019】
この場合、X線源は、搬送ラインから遠ざかる方向へ向けてX線を照射するので、X線源からX線が照射されて乱反射した場合であっても搬送ライン側にX線が漏洩することを防止できる。
【0020】
(5)
案内ガイドは、一対の湾曲部材からなる。この場合、案内ガイドは、一対の湾曲部材からなるので、物品の搬送を安定して行うことができる。
【0021】
(6)
受取部および受渡部の案内ガイドは、物品の形状に応じて調整する調整部を有することが好ましい。
【0022】
この場合、物品の大きさが大きくなったり、小さくなったりした場合であっても、調整部により案内ガイドを調整することで、物品に対するX線検査を容易に行うことができる。
【0023】
(7)
搬送テーブルは、カーボンからなってもよい。
【0024】
この場合、搬送テーブルは、カーボンからなる。それにより、搬送テーブルは、X線を透過しやすく、X線の照射に影響を与えないというメリットがある。さらに、剛性も高く、金属と比較して軽量なので物品を確実に保持することができ、搬送テーブルの回転の安定性を向上し、重量増加した物品を検査対象に含めることができ、さらに搬送テーブルにおける駆動モータの容量を低減して、低コストおよび省電力を実現することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るX線検査装置によれば、低コストおよび省スペースで、既に構築された搬送ラインに対してX線検査を追加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るX線検査装置の概略的構成の一例を示す模式的平面図
【図2】図1のX線検査装置の概略を説明するための模式的側面図
【図3】ベルトコンベアにX線検査装置を取り付ける一例を説明するための模式図
【図4】物品Bの大きさが変更した場合の幅調整機構による案内ガイド板および補助案内部の動作の一例を示す模式図
【図5】物品Bの大きさが変更した場合の幅調整機構による案内ガイド板および補助案内部の動作の一例を示す模式図
【図6】本実施形態に係る受取部の一例を説明するための説明図
【図7】従来に使用されていた受取部を説明するための説明図
【図8】X線検査部におけるX線の光軸の一例について説明する模式図
【図9】X線漏洩防止カバーにおける効果を説明するための説明図
【図10】第2の実施形態に係るX線検査装置の概略的構成の例を示す模式的平面図
【図11】図10のX線検査装置の概略を説明するための模式的側面図
【図12】ベルトコンベアにX線検査装置を取り付ける一例を説明するための模式図
【図13】物品の大きさが変更された場合の幅調整機構による一対の案内ガイド部材の動作例を示す模式図
【図14】物品の大きさが変更された場合の幅調整機構による一対の案内ガイド部材の動作例を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るX線検査装置について図面を参照しながら説明する。
【0028】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線検査装置100の概略的構成の一例を示す模式的平面図であり、図2は図1のX線検査装置100の概略を説明するための模式的側面図である。
【0029】
図1および図2に示すように、X線検査装置100は、ベルトコンベア900に取り付けられる。また、X線検査装置100は、主に受取部600、X線検査部700、受渡部800、およびX線漏洩防止カバー910からなる。
【0030】
受取部600は、受取テーブル611、回転軸612、第1モータ613、案内ガイド板621、補助案内部622,623、幅調整機構624、支持部材625および駆動部626からなる。X線検査部700は、X線源200、ラインセンサ400、制御部500、検査テーブル711、回転軸712、第2モータ713からなる。受渡部800は、受渡テーブル811、回転軸812、第3モータ813、案内ガイド板821、補助案内部822,823、幅調整機構824、支持部材825および駆動部826からなる。なお、図2における括弧書きの符号は、受取部600と同様の構成からなる受渡部800の関係を示すために記載している。
【0031】
(受取部)
垂直に設けられた回転軸612の一端側に、第1モータ613に取り付けられ、回転軸612の他端側に水平面を有する受取テーブル611が取り付けられる。本実施形態に係る受取テーブル611は、天板が円板形状からなる。また、支持部材625の一端側に駆動部626および幅調整機構624が設けられ、支持部材625の他端側に、案内ガイド板621および補助案内部622,623が設けられる。
【0032】
(検査部)
垂直に設けられた回転軸712の一端が、第2モータ713に取り付けられ、回転軸712の他端に水平面を有する検査テーブル711が取り付けられる。本実施形態に係る検査テーブル711は、天板が円板形状のみからなる。
また、検査テーブル711は、カーボン材質からなる。それにより、検査テーブル711は、X線を透過しやすく、X線の照射に影響を与えないというメリットがある。さらに、剛性も高く、金属と比較して軽量なので物品を確実に保持することができ、検査テーブル711の回転の安定性を向上することができる。特に、軽量であるので、検査テーブル711の偏芯等を防止することができる。また、剛性が高いので、重量増加した物品を検査対象に含めることができ、さらに駆動モータの容量を低減して、低コストおよび省電力を実現することができる。
【0033】
また、X線検査部700に設けられたX線漏洩防止カバー910内には、制御部500が内蔵される。さらに、検査テーブル711の上方には、X線源200が設けられる。当該X線源200は、上方から平面視した場合に、ベルトコンベア900の搬送方向(図1の矢印HL1の方向)に対して交差するように設けられ、かつ側面視した場合に、ベルトコンベア900に近い方向から遠ざかる方向(図9の矢印−L1の方向)に向かって斜め下方に照射できるよう配設されている。ラインセンサ400は、X線源200から照射されたX線が物品Bを透過し、当該透過したX線を受けることができる位置に設けられる。
【0034】
制御部500は、X線源200との間で送受信、およびラインセンサ400からの信号を受信できるように設けられる。また、制御部500は、第1モータ613、第2モータ713、第3モータ813、駆動部626、幅調整機構624,824との送受信が可能なように設けられる。
【0035】
(受渡部)
垂直に設けられた回転軸812の一端側に第3モータ813が取り付けられ、回転軸812の他端側に水平面を有する受渡テーブル811が取り付けられる。本実施形態に係る受渡テーブル811は、天板が円板形状からなる。また、支持部材825の一端側に駆動部826および幅調整機構824が設けられ、支持部材825の他端側に案内ガイド板821および補助案内部822,823が設けられる。
【0036】
次に、図1および図2に示したX線検査装置100の動作の一例について説明を行う。
【0037】
図1および図2に示すように、ベルトコンベア900上を搬送される物品Bが受取部600の案内ガイド板621により受取テーブル611側に移動される。この場合、物品Bは、矢印HL2の方向に沿って案内ガイド板621および補助案内部622の間または上面を通過し、受取テーブル611に載置される。
【0038】
受取テーブル611に載置された物品Bは、受取テーブル611が矢印R1の方向に回転することにより、矢印HL3の方向に移送され、検査テーブル711に受け渡される。
【0039】
検査テーブル711が矢印−R1の方向に回転することにより、検査テーブル711に載置された物品Bは、検査テーブル711上を矢印HL4の方向に沿って移動し、X線源200から照射されたX線により異物検査が実施される。
ここで、物品Bには、検査テーブル711の回転により遠心力が加えられており、異物が検査テーブル711の外周側または内周側に移動しやすくなる。この具体例については、後述する。
【0040】
そして、X線検査が終了した物品Bは、検査テーブル711上を矢印HL5の方向に沿って移動する。この場合、物品Bは、矢印HL6の方向に沿って案内ガイド板821および補助案内部822の間を通過し、受渡テーブル811に載置される。
受渡テーブル811に載置された物品Bは、受渡テーブル811が矢印Rの方向に回転することにより、矢印HL7の方向に移送される。この場合、物品Bは、案内ガイド板821および補助案内部823の間を通過し、ベルトコンベア900上に戻される。
【0041】
次に、ベルトコンベア900にX線検査装置100を取り付ける状態について説明を行う。図3は、ベルトコンベア900にX線検査装置100を取り付ける一例を説明するための模式図である。
【0042】
図3に示すように、ベルトコンベア900に対してX線検査装置100をベルトコンベア900の搬送方向と垂直な方向(図中矢印L1の方向)から介挿する。それにより、図1に示したように、ベルトコンベア900に対してX線検査工程を容易に追加することができる。
【0043】
なお、この場合、ベルトコンベア900に対してX線検査装置100の受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811、X線源200、およびラインセンサ400等の高さを調整する高さ調整機構(図示せず)が設けられている。この高さ調整機構によりベルトコンベア900の高さに合うように受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811、X線源200、およびラインセンサ400等の高さ調整をし、ベルトコンベア900にX線検査装置100を介挿する。
【0044】
次いで、図4および図5は、物品Bの大きさが変更した場合の幅調整機構624による案内ガイド板621および補助案内部622,623の動作の一例を示す模式図であり、図6は本実施形態に係る受取部600の一例を説明するための説明図であり、図7は従来に使用されていた受取部を説明するための説明図である。
【0045】
図4に示すように、物品Bとして飲料水の缶が搬送されており、図5に示すように、飲料水の缶(物品B)よりも大きな果物の缶詰等(物品C)に変更された場合、幅調整機構624により案内ガイド板621が矢印T2の方向に移動される、または補助案内部622,623が矢印T1の方向に移動される、または案内ガイド板621が矢印T2の方向に移動されつつ補助案内部622,623が矢印T1の方向に移動される。このように、幅調整機構624により案内ガイド板621および補助案内部622,623の間隔を大きく調整することができる。
また、矢印T1と逆方向または矢印T2と逆方向に案内ガイド板621を移動させてもよい。また、補助案内部622,623を移動させてもよい。したがって、幅調整機構624により案内ガイド板621の位置を調整し、面を有する補助案内部622,623の位置を調整することができる。
【0046】
このように、幅調整機構624により物品Bから物品Cへと物品の大きさが変更した場合であっても、容易にX線検査を行うことができる。なお、図4および図5においては、受取部600について説明を行ったが、受渡部800においても幅調整機構624により案内ガイド板821および補助案内部822,823の間隔を調整することができる。
【0047】
また、図7に示すように、従来においては、物品Bから物品Cに物品を変更した場合には、切り欠き部および垂直壁を有する保持部材991を、異なる切り欠き部および垂直壁を有する保持部材992に取り替える作業が必要であったが、図6に示すように、物品Bから物品Cに物品を変更した場合、物品B,Cを受取テーブル611の面611Fで支持しつつ、案内ガイド板621および補助案内部622,623を幅調整機構624により調整することにより、物品取換えに容易に対応することができる。
【0048】
なお、従来においては、検査テーブルにおいても、保持部材991に示す垂直壁が設けられていたため、物品取換えに時間を費やしたが、本実施形態においては、検査テーブル711の天面が円板平面(図6の面611Fと同様)からなるので、物品取換えに容易に対応することができる。
【0049】
また、幅調整機構624のみならず、さらにX線源の光軸の角度を調整する調整機構(図示せず)、受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811の相対位置を調整する相対位置調整機構(図示せず)を設けてもよい。
【0050】
続いて、図8は、X線検査部700におけるX線の光軸の一例について説明する模式図である。なお図8は、図1の矢印HL4の方向に沿って移動した後から矢印HL5の方向に沿って物品が移動する前における説明図である。
すなわち、X線源200から照射されるX線が、ベルトコンベア900と90度をなすように、かつ交差ベルトコンベア900から遠ざかる方向に照射するようX線源200が配置されている。
【0051】
図8に示すように、X線源200は、X線源200から照射される光軸の中心が検査テーブル711の上に配置される物品Bの点HT1および点HT2を通過するように鉛直方向から角度θ1傾けて設けられる。なお、X線源200から照射されるX線の領域範囲が物品Bのすべての範囲を含むように配設されていることは、言うまでもない。
【0052】
ここで、検査テーブル711の上に配置される物品Bは、遠心力CF1が加えられた状態で搬送される。そのため、物品Bの点HT1および点HT2の近傍に異物BU1,BU2が移動する可能性が高い。
【0053】
すなわち、具体的に、物品Bが飲料であり、飲料の内部に異物がある場合、異物BU2の比重が飲料よりも重い場合には、物品B内で検査テーブル711の外周側で物品Bの下部(点HT2近傍)に移動し、異物BU1の比重が飲料よりも軽い場合には、物品B内で検査テーブル711の内周側で物品Bの上部(点HT1近傍)に移動しやすくなる。
したがって、最適に異物BU1,BU2を検出するために、点HT1から点HT2を通過するように角度θ1を設定している。
【0054】
次に、図9は、X線漏洩防止カバー910における効果を説明するための説明図である。
【0055】
図9に示すように、X線漏洩防止カバー910は、X線源200およびラインセンサ400を外包するように設けられる。また、図9に示すように、X線源200は、ベルトコンベア900の方向とは異なる方向、すなわち、矢印−Lの方向に向けて設けられている。そのため、X線源200からX線が照射され、X線が矢印X1の方向、矢印X2の方向、矢印X3の方向に乱反射した場合でも、乱反射した大部分のX線を下方またはX線漏洩防止カバー910内に残留させることができる。その結果、ベルトコンベア900側に漏洩することを防止することができる。
【0056】
(第1の実施形態における効果)
以上のように、本実施形態に係るX線検査装置100においては、X線漏洩防止カバー910を設けることにより、ベルトコンベア900側にX線が漏洩することを防止することができる。また、受取部600および受渡部800は、受取テーブル611、受渡テーブル811および案内ガイド板621、補助案内部622,623、案内ガイド板821、補助案内部822,823を含むので、低コストで既に構築された搬送ラインに対して当該X線検査装置100を取付け、容易にX線検査工程を追加することができる。すなわち、受取テーブル611,受渡テーブル811および案内ガイド板621、補助案内部622,623、案内ガイド板821、補助案内部822,823を用いて既存の搬送ラインから被検査対象の物品Bを検査するX線検査ラインを容易に形成することができる。
【0057】
さらに、本発明においては、受取テーブル611,受渡テーブル811の面611Fが平面のみからなるので、従来のように、搬送される物品に応じて受け渡し用の保持部材991,992を交換する必要がなく、物品Bの形状が物品Cの形状に変化した場合であっても、受取テーブル611,受渡テーブル811の天面が、確実にベルトコンベア900から物品B,Cを受け取ったり、X線検査部700からベルトコンベア900へ物品を受け渡したりすることができる。
【0058】
また、本実施形態に係るX線検査装置100では、受取部600からX線検査部700を介して受渡部800まで、物品Bが物品Bが、矢印HL1,〜,HL7の方向の連続した曲線で構成された円弧軌道に沿って搬送されることとなる。したがって、搬送径路に曲がり角が出来ないため、物品Bを安定して搬送することができる。例えば、搬送径路を直線で構成した場合、搬送径路に曲がり角が生じる。その結果、搬送径路の曲がり角において搬送時における物品Bの姿勢が不安定になる。
【0059】
一方、物品Bが円弧軌道に沿って搬送される場合には、物品Bの姿勢に急激な影響を与えないため、円滑に安定して搬送を行うことができ、さらに、ベルトコンベア900に対して最短距離のX線検査を行う径路を形成することができる。
【0060】
また、X線検査装置100では、X線源200から照射されるX線がラインセンサ400により受光される。したがって、物品BのX線検査を確実に行うことができる。また、X線源200が検査テーブル711の上方に設けられるので、検査テーブル711の外側からX線を照射する場合と比較して、X線検査装置100の設置スペースを少なくすることができる。さらに、X線源200は、ベルトコンベア900から遠ざかる方向(矢印−L1の方向)へ向けてX線を照射するので、X線源200からX線が照射されて乱反射した場合であってもベルトコンベア900側にX線が漏洩することを防止できる。
【0061】
さらに、物品Bの大きさが変更した場合であっても、幅調整機構624,824により案内ガイド板621、補助案内部622,623、案内ガイド板821、補助案内部822,823を調整することで、物品Bに対するX線検査を容易に行うことができる。
【0062】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態に係るX線検査装置100aの概略的構成の一例を示す模式的平面図であり、図11は、図10のX線検査装置100aの概略を説明するための模式的側面図である。以下、第2の実施形態に係るX線検査装置100aが第1の実施形態に係るX線検査装置100と主に異なる点について説明を行う。
【0063】
図10および図11に示すように、X線検査装置100aは、案内ガイド板621および補助案内部622,623の代わりに、受取部600aにおいて一対の案内ガイド部材634a,635aおよび一対の案内ガイド部材634b,635bを有する。
【0064】
また、X線検査装置100aは、案内ガイド板821および補助案内部822,823の代わりに、受渡部800aにおいて一対の案内ガイド部材834a,835aおよび一対の案内ガイド部材834b,835bを有する。
【0065】
また、図10に示すように、X線漏洩防止カバー910内には、不良品排出部材790および不良品排出部930が設けられている。検査テーブル711において不良品が検出された場合には、不良品排出部材790が回動し、不良品と判定された物品を不良品排出部930から外部に排出させる。
【0066】
ここで、物品B内の内容物の液面高さを求めることがある。この場合、上述したように、物品Bが飲料水の缶である場合、回転搬送により液面は揺れる。そこで、X線源200は、回転搬送により揺れる液面に対して斜め方向のX線XSを照射し、動くことがない液体底面に対して斜め方向のX線XSを照射する。このようにX線XSを照射することで、画像取得部(図示せず)は液面画像および液体底面の画像をX線透過画像上で平面的に面積を持った状態で取得できる。そして、中心位置検出部(図示せず)は液面画像および液体底面の画像の各中心位置を検出する。液面の中心位置は変化し難く、液体底面の中心位置は変化しないので、高さ検出部(図示せず)は各中心位置の高さ座標の差分を演算することで、当該差分を液面高さとして得ることができる。
【0067】
また、本実施形態では、図11に示すように、X線漏洩防止カバー910がベルトコンベア900の上方から当該ベルトコンベア900の搬送面を覆うように設けられている。そして、X線漏洩防止カバー910には、物品Bの搬入を行う搬入口911と搬出を行う搬出口912とが設けられている。
【0068】
次に、ベルトコンベア900にX線検査装置100aを取り付ける状態について説明を行う。図12は、ベルトコンベア900にX線検査装置100aを取り付ける一例を説明するための模式図である。
【0069】
図12に示すように、ベルトコンベア900に対してX線検査装置100aを当該ベルトコンベア900の搬送方向と垂直な方向(図中矢印L1の方向)から介挿する。それにより、図10に示したように、ベルトコンベア900に対してX線検査工程を容易に追加することができる。
【0070】
なお、この場合、ベルトコンベア900に対してX線検査装置100aの受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811、X線源200、およびラインセンサ400等の高さを調整する高さ調整機構(図示せず)が設けられている。この高さ調整機構によりベルトコンベア900の高さに合うように受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811、X線源200、およびラインセンサ400等の高さ調整をし、ベルトコンベア900にX線検査装置100aを介挿する。
【0071】
図13および図14は、物品Bの大きさが変更された場合の幅調整機構624による一対の案内ガイド部材634a,635a,634b,635bの動作例を示す模式図である。なお、図13は上面図であり、図14は斜視図である。
【0072】
物品Bから物品Cへと物品の大きさが変更された場合、図13(a)および図14(a)の案内ガイド部材635a,635bは、図13(b)および図14(b)に示すように幅調整機構624によりそれぞれ矢印T1,T3の方向に移動される。また、図13(a)および図14(a)の案内ガイド部材634a,634bは、図13(b)および図14(b)に示すように幅調整機構624によりそれぞれ矢印T2,T4の方向に移動される。なお、矢印T1と矢印T3とが平行でないことで、移動の際に案内ガイド部材635aと案内ガイド部材635bとの干渉が防止され、矢印T2と矢印T4とが平行でないことで、移動の際に案内ガイド部材634aと案内ガイド部材634bとの干渉が防止される。また、案内ガイド部材634a,634b,635a,635bだけでなく、案内ガイド部材834a,834b,835a,835bも幅調整機構824により同様に移動される。
【0073】
(第2の実施形態における効果)
このように、X線検査装置100aでは、一対の案内ガイド部材634a,635a、一対の案内ガイド部材634b,635b、一対の案内ガイド部材834a,835aおよび一対の案内ガイド部材834b,835bが湾曲部材からなり、それぞれの対が一定幅の搬送経路を形成しているので、物品Bの搬送を安定して行うことができる。また、故障等で受取テーブル611または受渡テーブル811の回転速度が急に変化しても、案内ガイド部材634a,635a,634b,635bおよび案内ガイド部材834a,835a,834b,835bが落下防止壁の役割を果たす。これにより、物品Bが当該受取テーブル611または受渡テーブル811から落下することが防止される。
【0074】
また、本実施形態に係るX線検査装置100aでは、X線漏洩防止カバー910を設けることにより、ベルトコンベア900側にX線XSが漏洩することを防止することができる。
【0075】
また、受取部600aおよび受渡部800aが簡単な構成であるので、既に構築された搬送ラインに対して低コストでX線検査装置100aを取り付け、容易にX線検査工程を追加できる。すなわち、既存の搬送ラインから物品Bを検査するX線検査ラインを容易に形成できる。
【0076】
また、受取テーブル611および受渡テーブル811が平面のみからなるので、従来のように、搬送される物品に応じて受け渡し用の保持部材991,992を交換する必要がない。それにより、物品Bの形状が物品Cの形状に変化した場合であっても、受取テーブル611の面611Fおよび受渡テーブル811の天面が確実にベルトコンベア900から物品B,Cを受け取ったり、X線検査部700からベルトコンベア900へ物品B,Cを受け渡すことができる。
【0077】
また、本実施形態に係るX線検査装置100aでは、受取部600aからX線検査部700を介して受渡部800aまで、物品Bが矢印HL1,〜,HL7の方向の連続した曲線で構成された円弧軌道に沿って搬送されることとなる。したがって、搬送径路に曲がり角が出来ないため、物品Bを安定して搬送することができる。例えば、搬送径路を直線で構成した場合、搬送径路に曲がり角が生じる。その結果、搬送径路の曲がり角において搬送時における物品Bの姿勢が不安定になる。
【0078】
一方、物品Bが円弧軌道に沿って搬送される場合には、物品Bの姿勢に急激な影響を与えないため、円滑に安定して搬送を行うことができ、さらに、ベルトコンベア900に対して最短距離のX線検査を行う径路を形成することができる。
【0079】
また、本実施形態に係るX線検査装置100aでは、X線源200から照射されるX線XSがラインセンサ400により受光される。したがって、物品BのX線検査を確実に行うことができる。また、X線源200が検査テーブル711の上方に設けられるので、検査テーブル711の外側からX線XSを照射する場合と比較して、X線検査装置100aの設置スペースを少なくすることができる。さらに、X線源200は、ベルトコンベア900から遠ざかる方向(矢印−L1の方向)へ向けてX線XSを照射するので、X線源200からX線XSが照射されて乱反射した場合であってもベルトコンベア900側にX線XSが漏洩することを防止できる。
【0080】
さらに、物品Bが物品Cに変更された場合であっても、案内ガイド部材634a,635a,634b,635bおよび案内ガイド部材834a,835a,834b,835bを幅調整機構624,824により移動させることで、物品Cの搬送およびX線検査を容易に行うことができる。
【0081】
(請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係)
上記実施形態においては、物品B,Cが物品に相当し、ベルトコンベア900が搬送ラインに相当し、X線検査装置100がX線検査装置に相当し、受取部600が受取部に相当し、X線検査部700がX線検査部に相当し、X線漏洩防止カバー910がX線漏洩防止カバーに相当し、受渡部800が受渡部に相当し、受取テーブル611,受渡テーブル811が回転テーブルに相当し、案内ガイド板621、補助案内部622,623、案内ガイド板821、補助案内部822,823が案内ガイドに相当し、検査テーブル711が搬送テーブルに相当し、X線源200がX線源に相当し、ラインセンサ400が検出装置に相当し、点HT1および点HT2を通過する方向が上方から斜め下方に向ける方向に相当し、矢印−L1の方向が搬送ラインから遠ざかる方向に相当し、幅調整機構624,824が調整部に相当し、X線XSがX線に相当し、一対の案内ガイド部材634a,635a、一対の案内ガイド部材634b,635b、一対の案内ガイド部材834a,835aおよび一対の案内ガイド部材834b,835bが一対の湾曲部材に相当する。
【0082】
(変形例)
なお、案内ガイド板621,821および補助案内部622,623,822,823を設けることとしたが、これに限定されず、案内ガイド板621,821に物品Bを能動的に移動させるベルトを設けてもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、湾曲面のみからなるX線漏洩防止カバー910を設けた場合について説明したが、これに限定されず、平面のみからなるX線漏洩防止カバー、平面および曲面からなるX線漏洩防止カバーを用いてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、一対の案内ガイド部材635a,635bおよび一対の案内ガイド部材634a,634bが平行移動することとしているが、これに限定されず、一対の案内ガイド部材635a,635bの少なくとも一方が回転動作、回転動作およびスライド動作を行ってもよく、一対の案内ガイド部材634a,634bの少なくとも一方が回転動作、回転動作およびスライド動作を行ってもよい。
【0085】
また、案内ガイド部材634aと案内ガイド部材634bとを一体化し、案内ガイド部材635aと案内ガイド部材635bとを一体化し、また、案内ガイド部材834aと案内ガイド部材834bとを一体化し、案内ガイド部材835aと案内ガイド部材835bとを一体化してもよい。
【0086】
さらに、本発明の好ましい一実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これらの作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0087】
100,100a X線検査装置
200 X線源
400 ラインセンサ
500 制御部
600,600a 受取部
611 受取テーブル
612 回転軸
613 第1モータ
621 案内ガイド板
622,623 補助案内部
624 幅調整機構
625 支持部材
626 駆動部
634a,635a,634b,635b 案内ガイド部材
700 検査部
711 検査テーブル
712 回転軸
713 第2モータ
800,800a 受渡部
811 回転テーブル
812 回転軸
813 第3モータ
821 案内ガイド板
822,823 補助案内部
824 幅調整機構
825 支持部材
826 駆動部
834a,835a,834b,835b 案内ガイド部材
900 ベルトコンベア
910 X線漏洩防止カバー
991 テーブル
992 保持部材
XS X線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送ラインに設けられるX線検査装置であって、
前記搬送ラインから前記物品を受け取る受取部と、
前記受取部から受け取った物品の異物検査を行うX線検査部と、
前記X線検査部におけるX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カバーと、
前記X線検査部において検査した前記物品を搬送ラインに受け渡す受渡部と、を含み、
前記受取部および前記受渡部は、前記物品の載置部が平面のみからなり、かつ前記物品を搬送する回転テーブルと、前記物品の移動を補助する案内ガイドとを含むことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記X線検査部は、前記物品の載置部が平面のみからなり、かつ前記物品を円弧状に搬送する搬送テーブルを有し、
前記受取部および前記受渡部の案内ガイドは、前記搬送ラインと前記搬送テーブルとの間を前記物品が円弧軌道で搬送されるように配置されたことを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記X線検査部は、X線源と、前記X線源から照射されたX線を受光する検出装置とを含み、
前記X線源は、前記搬送テーブルの上方に設けられ、かつ前記X線源から照射されるX線が、前記搬送テーブルにより円弧状に搬送される物品に対して上方から斜め下方に向けて照射されるように設けられ、
前記検出装置は、前記照射されたX線を受光する位置に設けられたことを特徴とする請求項2記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記X線源は、前記搬送ラインから遠ざかる方向へ向けてX線を照射することを特徴とする請求項3記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記案内ガイドは、一対の湾曲部材からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記受取部および前記受渡部の案内ガイドは、前記物品の形状に応じて調整する調整部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記搬送テーブルは、カーボンからなることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−180114(P2011−180114A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125274(P2010−125274)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】