説明

X線検査装置

【課題】既設ラインに容易に着脱ができ、さらにX線の漏洩を確実に防止することができるX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置100は、既設のトップチェーン型コンベア900に対して着脱可能な連結ユニット120,130と、連結ユニット120,130の側方に配置される共通ユニット110とを備え、連結ユニット120,130は、共通ユニット110へ物品Bを搬入出する搬入口911A,搬出口912Aを有する漏洩防止カバー911,912と、共通ユニット110へ物品Bを搬入出させる受取部600および受渡部800とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線源を用いて被検査物内における異物の有無検査が行われている。当該検査においてX線検査装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1では、転倒しやすい被検査物を安定的に搬送でき、X線漏洩のおそれが少なく、機長が過大とならず設置スペースが小さくて済むX線検査装置について開示されている。
【0004】
特許文献1記載のX線検査装置では、X線遮蔽構造の筐体と、筐体に設けられて筐体内に搬入された被検査物にX線を照射するX線発生手段と、筐体に設けられて被検査物を透過したX線を検知するX線検知手段と、筐体の前段から筐体を通過して筐体の後段に被検査物を搬送する搬送手段と、筐体の外部にある搬送手段を覆うX線遮蔽構造のカバーとを備えたX線検査装置において、筐体の前段と後段の少なくとも一方において、搬送手段による被検査物の搬送方向と交差するカバーの端面が閉止され、かつ端面の近傍であって搬送方向に平行なカバーの一対の壁面の一方に開口が形成され、搬送手段の搬送方向と平行かつ一致しない搬送方向に沿ってX線検査装置に被検査物を供給する外部搬送手段の端部に、カバーの開口を介して搬送手段の端部が並設しており、開口を経て外部搬送手段と搬送手段との間で被検査物が乗り移るように構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−91324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1のX線検査装置においては、設計段階からX線検査工程を考慮する必要がないメリットがあるものの、実際に取り付けを行う場合には、連続した搬送手段の中途を分離する必要があり、当該分離した箇所にX線検査装置を設置するため(段落番号0030参照)、既設ラインの搬送手段を再構築する必要が生じる。または既設ラインを介挿するX線検査装置の分だけ既設ラインを延長させる必要が生じる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、既設ラインに容易に着脱ができ、さらにX線の漏洩を確実に防止することができるX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)
一局面におけるX線検査装置は、被検査物にX線を照射することによりX線検査を行うX線検査装置であって、既設ラインの連通部分に対して着脱可能な連結ユニットと、連結ユニットの側方に配置される共通ユニットとを備え、連結ユニットは、共通ユニットへ被検査物を搬入出する搬入出口を有する搬入出漏洩防止カバーと、共通ユニットへ被検査物を搬入出させる連結搬送部と、を含み、共通ユニットは、既設ラインに並列された検査ラインを形成するメイン搬送部と、メイン搬送部により搬送される被検査物に対して、搬入出口から離れる方向に向かってX線を照射するX線源と、X線源から照射されるX線を検出するX線センサとを含むものである。
【0009】
この場合、既設ラインの連通部分に対して連結ユニットを介して共通ユニットを接続し、容易に検査ラインを併設することができる。すなわち、既設ラインを分離または改造せずに、検査ラインを側方から設けることができる。
また、X線源は、搬入出口から離れる方向に向かってX線を照射するので、X線源から照射されたX線が直接的に搬入口および搬出口から漏洩することを防止でき、さらにX線が、乱反射を繰返しても、X線が減衰するだけの距離を確保することができる。
さらに、上記構成によれば、検査ラインを取り除くことで、既設ラインに被検査物を搬送することもできる。すなわち、被検査物のX線検査が不要の被検査物の場合には、既存ラインに被検査物を搬送させることができる。
【0010】
(2)
第2の発明において、X線検査装置のメイン搬送部は、被検査物を円弧状に搬送させる。
【0011】
この場合、メイン搬送部は、被検査物を円弧状に搬送するので、既設ラインから被検査物を離間させることができ、X線源から照射されたX線が被検査物に乱反射した場合であっても、搬入出口からX線が漏洩することを防止できる。
さらに、被検査物をスムーズに円弧状に搬送することができるので、底面よりも高さの比率が大きい、すなわち背の高い被検査物であっても、安定して搬送を行い、X線検査を行うことができる。
【0012】
(3)
第3の発明において、X線検査装置のメイン搬送部は、天面が平面のみからなる1または複数の回転テーブルを有する。
【0013】
この場合、メイン搬送部は、天面が平面のみからなる1または複数の回転テーブルから形成されるので、回転テーブルを回転させることで、被検査物を搬送することができる。また、天面が平面のみからなる回転テーブルを用いることで、種々の大きさの被検査物に対応することができる。これにより、種々の既設のコンベアに対して、X線検査装置を取り付けることができ、X線検査装置の汎用性を高めることができる。さらに、回転テーブルを用いることで、円滑な検査ラインを形成することができ、被検査物をスムーズに移動させることができる。
【0014】
(4)
第4の発明において、X線検査装置の連結搬送部が、既設ラインおよび検査ラインの間で被検査物を案内する案内ガイドを有し、案内ガイドは、被検査物を既設ラインおよび検査ラインのうちいずれか一方の当該ラインを選択する選択部を有する。
【0015】
この場合、選択部により、既設ラインおよび検査ラインの少なくとも一方のラインを選択することで、被検査物をいずれか一方の当該ラインに搬送することができる。その結果、容易に既設ラインを搬送される種々の被検査物に対する特定の被検査物のみに対してX線検査を行うことができ、特定以外の被検査物に対してX線検査を行わないことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るX線検査装置の外観を示した正面図である。
【図2】X線検査装置の概略的構成の一例を示す模式的平面図である。
【図3】X線検査装置の概略を説明するための模式的側面図である。
【図4】共通ユニットに接続ユニットを取り付ける状態を説明するための模式図である。
【図5】X線検査装置を既設のトップチェーン型コンベアに取り付ける状態を説明するための模式図である。
【図6】X線検査装置の概略的構成の他の例を示す模式的平面図である。
【図7】共通ユニットに接続ユニットを取り付ける状態を説明するための模式図である。
【図8】X線検査装置を既設のトップチェーン型コンベアに取り付ける状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係るX線検査装置について図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態においては、底面よりも鉛直方向の側面の方が相対的に大きい被検査物を例示して説明を行う。
【0018】
(第1実施形態)
まず、図1および図2に示すように、既設のトップチェーン型コンベア900における物品Bの搬送方向をX方向と仮定する。また、鉛直方向をZ方向と仮定し、X方向と水平面において直交する方向をY方向と仮定する。
【0019】
既設のトップチェーン型コンベア900は、一連のコンベアからなる。X線検査装置100は、後述するように、トップチェーン型コンベア900に対して矢印Yの方向から取り付けられる。
【0020】
図1のX線検査装置100は、該トップチェーン型コンベア900によって搬送される物品Bの検査を行う。当該検査には、物品B中に含まれる異物の検査、物品Bが複数の個体から構成される場合の該個体数の検査(欠品検査)、物品Bが飲料水の場合の該容量検査(液面検査)、および、物品Bの割れまたは欠けの検査等が含まれる。
【0021】
図2に示すX線検査装置100は、共通ユニット110および連結ユニット120,130からなる。
【0022】
共通ユニット110は、主として、X線検査部700、X線漏洩防止構造の筐体910、および表示部920(図1参照)からなる。連結ユニット120は、受取部600および漏洩防止カバー911を含み、連結ユニット130は受渡部800および漏洩防止カバー912を含む。
【0023】
図2および図3に示すように、連結ユニット120の受取部600は、第1実施形態にかかるトップチェーン型コンベア900に応じた構造を有している。受取部600は、受取テーブル611、回転軸612、第1モータ613、および案内ガイド板614を有している。
また、連結ユニット130の受渡部800も、第1実施形態にかかるトップチェーン型コンベア900に応じた構造を有している。受渡部800は、受渡テーブル811、回転軸812、第3モータ813、および案内ガイド板814を有している。なお、図3における括弧書きの符号は、受取部600と同様の構成からなる受渡部800の関係を示すために記載している。
【0024】
一方、共通ユニット110のX線検査部700は、X線源200、ラインセンサ400、制御部500、検査テーブル711、回転軸712、第2モータ713、および不良品ボックス714(図1または図2参照)を有している。
なお、本実施形態における受取テーブル611、検査テーブル711および受渡テーブル811の天面は、水平板部材からなり、天面には、仕切り板を設けていない。以下、共通ユニット110および連結ユニット120,130の各構成について詳細に説明する。
【0025】
(連結ユニットの受取部)
図2および図3に示すように、受取部600は、トップチェーン型コンベア900から物品Bを受け取るために設けられる。したがって、受取部600は、トップチェーン型コンベア900から物品Bを受け取ることが可能な構造で構築されている。本実施の形態においては、垂直に設けられた回転軸612の一端側に第1モータ613が取り付けられ、回転軸612の他端側に水平面を有する受取テーブル611が取り付けられる。この受取テーブル611は、天板が水平面のみからなる円板からなる。また、受取テーブル611上には、トップチェーン型コンベア900上の物品Bを該受取テーブル611から検査テーブル711に案内する案内ガイド板614が設けられる。本実施の形態において案内ガイド板614は、取り外し可能に設けられている。
【0026】
(共通ユニットのX線検査部)
続いて、図2および図3に示すように、X線検査部700において、受取部600から受け取った物品BにX線が照射される。すなわち、X線検査部700は、当該X線を用いて該物品BのX線検査を行う。
垂直に設けられた回転軸712の一端側に第2モータ713が取り付けられる。また、回転軸712の他端側に水平面を有する検査テーブル711が取り付けられる。このCFRP(炭素繊維)からなる検査テーブル711は、受取部600から受け取った物品Bを当該検査テーブル711の上面の外周端近傍に載置して検査テーブル711の回転方向(−R1方向)に沿って搬送する。
【0027】
(共通ユニットのX線源)
続いて、X線源200は、検査テーブル711の上方に設けられる。X線源200は、検査テーブル711の載置面に載置される物品Bに対してX線を照射できるよう設けられている。このX線源200は、検査テーブル711の略中心方向から径方向外側で、且つ、トップチェーン型コンベア900から遠ざかる方向に向かってX線を照射している。すなわち、本実施の形態においては、矢印Yの方向に沿ってX線を照射する。X線源200から照射されたX線は、ラインセンサ400に入射される。
また、本実施の形態において、X線源200は、X線の照射野の中心が水平面から下方に5度から45度までの範囲で傾斜するように設けられている。それにより、物品Bの全体、液体収容の場合には、液面および底面について全体的に検査を行うことができる。
【0028】
(共通ユニットのラインセンサ)
ラインセンサ400は、X線源200から照射されたX線を検知して、制御部500に検知信号を出力する。本実施形態では、既設のトップチェーン型コンベア900から遠ざかる方向(矢印Yの方向)にX線源200からX線が照射されるので、ラインセンサ400は、トップチェーン型コンベア900と離れた位置で鉛直方向に沿って配置されている。
【0029】
(共通ユニットの制御部)
図3に示すように、筐体910内には、制御部500が内蔵される。この制御部500は、第1モータ613、第2モータ713、第3モータ813との間で信号の送受信が可能なように設けられる。また、制御部500は、X線源200との間で信号の送受信、およびラインセンサ400からの信号を受信できるように設けられる。制御部500は、X線源200を冷却するクーラ950のオンオフを制御する。なお、クーラ500は、トップチェーン型コンベア900の鉛直上方向(矢印Zの方向)に設けられており、物品Bの高さよりも高い位置に設けられる。
また、制御部500は、X線検査の結果不良と判断した場合、棒715を動作させ、物品Bを不良品ボックス714に投入させる。
【0030】
また、この制御部500は、ラインセンサ400からの検知信号に基づきX線透過画像を作成して表示部920(図1参照)に表示すると共に、当該X線透過画像に基づいて物品Bの検査を行う。この制御部500によって検査された物品Bの内の不良品は、後述する受渡部800に渡されずに、図2に示した棒715によって検査テーブル711の面上から落下され、不良品ボックス714(図1および図2参照)に投入される。
【0031】
(連結ユニットの受渡部)
図2および図3に示すように、受渡部800は、X線検査部700によって良品と判断された物品Bを検査テーブル711からトップチェーン型コンベア900に受け渡すために設けられる。したがって、受渡部800は、トップチェーン型コンベア900へ物品Bを受け渡すことが可能な構造で構築されている。本実施の形態において、物品Bは、受取部600において受け取られたトップチェーン型コンベア900の下流側の同一コンベア上に戻される。
また、本実施の形態においては、垂直に設けられた回転軸812の一端側に第3モータ813が取り付けられ、回転軸812の他端側に水平面を有する受渡テーブル811が取り付けられる。本実施形態に係る受渡テーブル811は、天板が円板形状からなる。また、受渡テーブル811上には、検査テーブル711上の物品Bを該受渡テーブル811からトップチェーン型コンベア900に案内する案内ガイド板814が設けられる。本実施の形態において案内ガイド板814は、取り外し可能に設けられている。
【0032】
(共通ユニットの筐体)
図1および図2に示すように、筐体910は、X線源200を覆うように設けられ、当該筐体910の外部にX線が漏洩しないようにX線遮蔽構造を有している。そのため、X線源200から照射されたX線が乱反射した場合でも、該乱反射した大部分のX線を筐体910内に残留させることができる。
【0033】
(連結ユニットの筐体)
漏洩防止カバー911および漏洩防止カバー912は、筐体910に接続可能に設けられる。また、漏洩防止カバー911には、受取部600に物品Bを搬入させる搬入口(開口部)911Aが設けられ、漏洩防止カバー912には、受渡部800から物品Bを搬出させる搬出口912A(開口部)が設けられる。
本実施形態では、搬入口911Aと搬出口912Aとは、平面視においてX線照射方向(矢印Yの方向)に対して直交する方向(矢印Xの方向)に開口している。
さらに、これにより、X線源200から照射されたX線が反射した1次線(X線源200から照射されたX線が1度反射したもの)が直接、当該搬入口911Aおよび搬出口912Aから漏洩するのを防止している。上記構成により搬入口911Aおよび搬出口912Aに、物品Bを倒す障害となる漏洩防止カーテンなど所定のX線遮蔽手段を設ける必要がなくなる。
【0034】
(既設のトップチェーン型コンベアに対するX線検査装置の取り付け方法)
続いて、トップチェーン型コンベア900にX線検査装置100を取り付ける状態について説明を行う。
【0035】
まず、多数の連結ユニットの中から既設のトップチェーン型コンベア900に対応する連結ユニット120,130を選択する。次に、連結ユニット120を共通ユニット110の側方(図中矢印120Rの方向)から接続し、連結ユニット130を共通ユニット110の側方(図中矢印130Rの方向)から接続する。そして、X線検査装置100が形成される。
【0036】
次に、図5に示すように、既設のトップチェーン型コンベア900に対して側方から(矢印Y方向)X線検査装置100を接続する。それにより、図2に示したように、トップチェーン型コンベア900に対してX線検査装置100を容易に追加することができる。
【0037】
なお、この場合、トップチェーン型コンベア900に対してX線検査装置100の受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811、X線源200、およびラインセンサ400等の高さを調整する高さ調整機構(図示せず)が設けられている。この高さ調整機構によりトップチェーン型コンベア900の高さに合うように受取テーブル611、検査テーブル711、受渡テーブル811、X線源200、およびラインセンサ400等の高さ調整をし、既設のトップチェーン型コンベア900にX線検査装置100を介挿する。
【0038】
(X線検査装置の動作)
次に、図2および図3に示したX線検査装置100の動作の一例について説明を行う。
【0039】
図2および図3に示すように、トップチェーン型コンベア900上を矢印HL1の方向に沿って搬送される物品Bが受取部600の案内ガイド板614により受取テーブル611側に移動される。この場合、物品Bは、矢印HL2の方向に沿って一対の案内ガイド板614の間を通過し、受取テーブル611に載置される。
【0040】
受取テーブル611に載置された物品Bは、受取テーブル611が矢印R1の方向に回転することにより、矢印HL3の方向に移送され、検査テーブル711に受け渡される。
【0041】
検査テーブル711が矢印−R1の方向に回転することにより、検査テーブル711に載置された物品Bは、検査テーブル711上を矢印HL4の方向に沿って移動し、X線源200からX線が照射される。
【0042】
そして、X線検査が終了した物品Bは、検査テーブル711上を矢印HL5の方向に沿って移動する。この際、前述したX線検査によって不良品と判断された物品Bは、棒715により不良品ボックス714に投下される。一方、X線検査によって良品と判断された物品Bは、矢印HL6の方向に沿って一対の案内ガイド板814の間を通過し、受渡テーブル811に載置される。
受渡テーブル811に載置された物品Bは、受渡テーブル811が矢印R1の方向に回転することにより、矢印HL7の方向に移送される。この場合、物品Bは、一対の案内ガイド板814の間を通過し、受け取られたトップチェーン型コンベア900上に戻される。
【0043】
また、本実施の形態において、物品BのX線検査工程処理を行わない場合、一対の案内ガイド板614,814を取り外すことができる。その結果、トップチェーン型コンベア900上を矢印HL1の方向に沿って搬送される物品Bは、矢印HL1の方向のまま、トップチェーン型コンベア900上を搬送される。
【0044】
(本実施形態における効果)
以上のように、本実施形態に係るX線検査装置100においては、既設のトップチェーン型コンベア900に対して連結ユニット120,130を介して共通ユニット110を接続し、容易に矢印HL3,HL4,HL5,HL6の検査ラインを併設することができる。すなわち、既設のトップチェーン型コンベア900を分離または改造せずに、検査ラインを矢印Yの方向から設けることができる。
【0045】
また、X線源200は、搬入口911A,搬出口912Aから離れる方向に向かってX線を照射するので、X線源200から照射されたX線が直接的に搬入口911Aおよび搬出口912Aから漏洩することを防止できる。また、検査テーブル711は、物品Bを円弧状に搬送するので、既設のトップチェーン型コンベア900から物品Bを離間させることができ、X線源200から照射されたX線が物品Bに乱反射した場合であっても、搬入口911A,搬出口912AからのX線漏洩を防止できる。
【0046】
さらに、天面が平面のみからなる検査テーブル711を用いることで、物品Bだけでなく、種々の大きさの物品に対応することができる。これにより、種々の既設のトップチェーン型コンベア900に対して、X線検査装置100を取り付けることができ、X線検査装置100の汎用性を高めることができる。さらに、検査テーブル711を用いることで、円滑な円弧状の検査ラインを形成することができるので、物品Bをスムーズに安定して搬送させることができる。
【0047】
また、本実施の形態によれば、X線検査装置100を矢印−Yの方向へ取り除く、または一対の案内ガイド板614,814を取り外すことで、X線検査を行わず、既設のトップチェーン型コンベア900に、物品Bを搬送させることもできる。すなわち、物品BのX線検査が不要の場合には、容易にトップチェーン型コンベア900に物品Bを搬送させることができる。
【0048】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、物品Bが被検査物に相当し、X線検査装置100がX線検査装置に相当し、既設のトップチェーン型コンベア900が既設ラインに相当し、連結ユニット120,130が連結ユニットに相当し、共通ユニット110が共通ユニットに相当し、搬入口911A,搬出口912Aが搬入出口に相当し、漏洩防止カバー911,912が搬入出漏洩防止カバーに相当し、受取テーブル611および受渡テーブル811が連結搬送部に相当し、矢印HL3,HL4,HL5,HL6の方向が検査ラインに相当し、検査テーブル711がメイン搬送部に相当し、矢印−Yの方向が搬入出口から離れる方向に相当し、X線源200がX線源に相当し、ラインセンサ400がX線センサに相当し、検査テーブル711が回転テーブルに相当し、一対の案内ガイド板614,814が案内ガイドに相当する。
【0049】
(第2実施形態)
上記した第1実施形態に係るX線検査装置100では、既設のトップチェーン型コンベア900にX線検査装置100を取り付けて、物品BのX線検査を行う例について説明したが、この第2実施形態に係るX線検査装置100aは、異なるタイプの既設のL型トップチェーン型コンベア900aにX線検査装置100を取り付けて、物品BのX線検査を行う例について説明を行う。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明を行う。
【0050】
図6に示すように、第2実施形態に係るX線検査装置100aは、共通ユニット110および連結ユニット120a,130aからなる。
【0051】
共通ユニット110は、主として、X線検査部700、X線漏洩防止構造の筐体910、および表示部920(図6参照)からなる。連結ユニット120aは、受取部600aおよび漏洩防止カバー913を含み、連結ユニット130aは受渡部800aおよび漏洩防止カバー914を含む。
【0052】
図6に示すように、連結ユニット120aの受取部600は、第2実施形態にかかるL型トップチェーン型コンベア900aに応じた構造を有している。受取部600aは、直線トップチェーン型コンベア611a、案内ガイド板614a、スターホイール618aおよび支持板619aを有している。
また、連結ユニット130aの受渡部800aも、第2実施形態にかかるL型トップチェーン型コンベア900aに応じた構造を有している。受渡部800aは、直線トップチェーン型コンベア811a、案内ガイド板814aおよび案内ガイド板814aを有している。
【0053】
一方、共通ユニット110は、第1実施形態の共通ユニットと同一物である。したがって、X線検査部700は、X線源200、ラインセンサ400、制御部500、検査テーブル711、回転軸712、第2モータ713、および不良品ボックス714を有している。
以下、共通ユニット110および連結ユニット120,130の各構成について詳細に説明する。
【0054】
(連結ユニットの受取部)
図6に示すように、受取部600aは、L型トップチェーン型コンベア900aから物品Bを受け取るために設けられる。したがって、受取部600aは、L型トップチェーン型コンベア900aから物品Bを受け取ることが可能な構造で構築されている。本実施の形態においては、L型トップチェーン型コンベア900a上にスターホイール618aが設けられ、当該スターホイール618aの下方に支持板619aが設けられる。また、スターホイール618aにより搬送される物品Bが、一対の案内ガイド板614aおよび直線トップチェーン型コンベア611aにより搬送される。本実施の形態において案内ガイド板614aは、制御部500によりL型トップチェーン型コンベア900aおよび直線トップチェーン型コンベア611aのいずれか一方に物品Bを搬送できるように制御可能に設けられている。具体的には、案内ガイド614aが矢印Yと逆方向に移動することにより、L型トップチェーン型コンベア900aにより物品Bを搬送させ続けることができ、案内ガイド614aが矢印Yの方向に移動することにより、直線トップチェーン型コンベア611aにより物品Bを搬送させることができる。
【0055】
(連結ユニットの受渡部)
図6に示すように、受渡部800aは、X線検査部700によって良品と判断された物品Bを検査テーブル711からL型トップチェーン型コンベア900aに受け渡すために設けられる。したがって、受渡部800aは、L型トップチェーン型コンベア900aへ物品Bを受け渡すことが可能な構造で構築されている。
本実施の形態において、物品Bは、受取部600aにおいて受け取られたL型トップチェーン型コンベア900aの下流側の同一コンベア上に戻される。
【0056】
本実施の形態において、検査テーブル711上の物品Bを受け取り、直線トップチェーン型コンベア811aからトップチェーン型コンベア900へ案内する案内ガイド板814aが設けられる。案内ガイド板814aは、物品Bを受け取り、Y方向に搬送した後、X方向に移動させつつ、Y方向に搬送する。
【0057】
(連結ユニットの筐体)
漏洩防止カバー913および漏洩防止カバー914は、筐体910に接続可能に設けられる。また、漏洩防止カバー913には、受取部600aに物品Bを搬入させる搬入口(開口部)911Aが設けられ、漏洩防止カバー914には、受渡部800aから物品Bを搬出させる搬出口912A(開口部)が設けられる。
本実施形態では、搬入口911Aは、平面視においてX線照射方向(矢印Yの方向)と直交する方向(矢印Xの方向)に開口しており、搬出口912Aは、平面視においてX線照射方向(矢印Yの方向)を並行にオフセットさせた方向に開口している。
さらに、これにより、X線源200から照射されたX線が反射した1次線(X線源200から照射されたX線が1度反射したもの)が直接、当該搬入口911Aおよび搬出口912Aから漏洩するのを防止している。上記構成により搬入口911Aおよび搬出口912Aに、物品Bを倒す障害となる漏洩防止カーテンなど所定のX線遮蔽手段を設ける必要がなくなる。
【0058】
(既設のトップチェーン型コンベアに対するX線検査装置の取り付け方法)
続いて、L型トップチェーン型コンベア900aにX線検査装置100aを取り付ける状態について説明を行う。
【0059】
まず、多数の連結ユニットの中からL型トップチェーン型コンベア900aに対応する連結ユニット120a,130aを選択する。次に、連結ユニット120aを共通ユニット110の側方(図7中矢印120Rの方向)から接続し、連結ユニット130aを共通ユニット110の側方(図7中矢印130Rの方向)から接続する。そして、X線検査装置100aが形成される。
【0060】
次に、図8に示すように、L型トップチェーン型コンベア900aに対して側方から(矢印Y方向)X線検査装置100aを接続する。それにより、図6に示したように、L型トップチェーン型コンベア900aに対してX線検査装置100aを容易に追加することができる。
【0061】
(本実施形態における効果)
以上のように、本実施形態に係るX線検査装置100aにおいては、L型トップチェーン型コンベア900aに対して連結ユニット120a,130aを介して共通ユニット110を接続し、容易に矢印HL3,HL4,HL5,HL6の検査ラインを併設することができる。すなわち、L型トップチェーン型コンベア900aを分離または改造せずに、検査ラインを矢印Yの方向から設けることができる。
【0062】
また、制御部500により、L型トップチェーン型コンベア900aおよびX線検査装置100のラインの少なくとも一方のラインが選択されることで、物品Bをいずれか一方の当該ラインに搬送することができる。その結果、容易にL型トップチェーン型コンベア900aを搬送される種々の物品Bに対する特定の物品のみに対してX線検査を行うことができ、特定以外の物品に対してX線検査を行わないことができる。
【0063】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、物品Bが被検査物に相当し、X線検査装置100aがX線検査装置に相当し、既設のトップチェーン型コンベア900aが既設ラインに相当し、連結ユニット120a,130aが連結ユニットに相当し、共通ユニット110が共通ユニットに相当し、搬入口911A,搬出口912Aが搬入出口に相当し、漏洩防止カバー913,914が搬入出漏洩防止カバーに相当し、直線トップチェーン型コンベア611aおよび直線トップチェーン型コンベア811aが連結搬送部に相当し、矢印HL3,HL4,HL5,HL6の方向が検査ラインに相当し、検査テーブル711がメイン搬送部に相当し、矢印−Yの方向が搬入出口から離れる方向に相当し、X線源200がX線源に相当し、ラインセンサ400がX線センサに相当し、検査テーブル711が回転テーブルに相当し、一対の案内ガイド板614a,814aが案内ガイドに相当し、制御部500が選択部に相当する。
【0064】
<第1変形例>
なお、上記実施の形態においては、X線源200の照射野を水平面から傾斜させることとしたが、これに限定されず、鉛直上方向から下方向に向けて照射してもよく、水平方向に照射してもよい。
<第2変形例>
また、上記実施の形態においては、固定式の筐体910を設けられることとしたが、これに限定されず、筐体910の一部に開閉可能で、かつ漏洩防止効果を有する開閉扉を設けてもよい。また、筐体910の一部に内部を確認できるX線不透過窓を設けてもよい。
<第3変形例>、
また、上記実施の形態においては、クーラ950をトップチェーン型コンベア900の鉛直上方に所定の間隔を空けて設けることにより、物品Bをトップチェーン型コンベア900で搬送することができるとしているが、これに限定されず、クーラ950は、X線源200の熱を冷却することができる位置で、かつ共通ユニット110の他の箇所に配置してもよい。
<第4変形例>
さらに、漏洩防止カバー911,漏洩防止カバー912は、それぞれ連結ユニット120,130に設けることとしているが、これに限定されず、搬入口911A、搬出口912Aの周辺部材以外を共通ユニット110の筐体910と同一化させてもよい。
【0065】
さらに、本発明の好ましい実施形態は上記の通りであるが、本発明はそれらだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これらの作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0066】
B 物品
100 線検査装置
100a 線検査装置
110 共通ユニット
120 連結ユニット
120a 連結ユニット
130 連結ユニット
130a 連結ユニット
200 X線源
400 ラインセンサ
500 制御部
600 受取部
600a 受取部
611 受取テーブル
611a 直線トップチェーン型コンベア
612 回転軸
614 案内ガイド板
614a 案内ガイド板
618a スターホイール
619a 支持板
700 線検査部
711 検査テーブル
712 回転軸
714 不良品ボックス
715 棒
800 受渡部
800a 受渡部
811 受渡テーブル
811a 直線トップチェーン型コンベア
812 回転軸
814 案内ガイド板
814a 案内ガイド板
900 トップチェーン型コンベア
900a 型トップチェーン型コンベア
910 筐体
911 漏洩防止カバー
911A 搬入口
912 漏洩防止カバー
912A 搬出口
913 漏洩防止カバー
914 漏洩防止カバー
920 表示部
950 クーラ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物にX線を照射することによりX線検査を行うX線検査装置であって、
既設ラインの連通部分に対して着脱可能な連結ユニットと、
前記連結ユニットの側方に配置される共通ユニットとを備え、
前記連結ユニットは、
前記共通ユニットへ前記被検査物を搬入出する搬入出口を有する搬入出漏洩防止カバーと、
前記共通ユニットへ前記被検査物を搬入出させる連結搬送部と、を含み、
前記共通ユニットは、
前記既設ラインに並列された検査ラインを形成するメイン搬送部と、
前記メイン搬送部により搬送される前記被検査物に対して、前記搬入出口から離れる方向に向かってX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されるX線を検出するX線センサとを含むことを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記メイン搬送部は、前記被検査物を円弧状に搬送することを特徴とする請求項1記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記メイン搬送部は、天面が平面のみからなる1または複数の回転テーブルを有することを特徴とする請求項1または2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記連結搬送部は、前記既設ラインおよび前記検査ラインの間で前記被検査物を案内する案内ガイドを有し、
前記案内ガイドは、前記被検査物を前記既設ラインおよび前記検査ラインのうちいずれか一方の当該ラインを選択する選択部を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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