説明

X線検査装置

【課題】本発明の課題は、簡易な構造で、被検査物の高さに応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができ、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができるX線検査装置を提供することである。
【解決手段】本発明に係るX線検査装置は、商品900に検査室内でX線を照射して検査を行い、検査室の開口部にX線の漏洩を防止するX線漏洩防止カーテン500を備える。X線検査装置は、閉状態のときにX線漏洩防止カーテン500が開口部を閉塞し、開状態のときに商品900が開口部を通過する。X線漏洩防止カーテン500は、商品900を水平に搬送するベルトコンベアの搬送面810に対して垂直方向に設けられた第1の回動軸530を中心に回動する第1の回動板510と、第1の回動軸530の上方に設けられた第2の回動軸540を中心に回動する第2の回動板520とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物にX線を照射し、被検査物内の異物を検出するX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検査物内の異物を検出するためにX線検査装置が使用されている。このX線検査装置に関して、日々研究開発が行われている。
【0003】
特許文献1には、透過X線を検出することによって被検査物に含まれる異物の検出を行うX線異物検査装置であって、X線の漏洩を防止して作業者の安全を図るX線異物検査装置について開示されている。
【0004】
特許文献1記載のX線異物検査装置においては、透過X線によって、被検査物に含まれる異物の検出を行うX線異物検査装置において、被検査物を搬送する水平のコンベアと、該コンベアの始端部近傍および終端部近傍に配置され、被検査物の搬送により押し上げられて、該被検査物のサイズに従って該被検査物の通過空間が形成されるX線漏洩防護のれんであって、該X線漏洩防護のれんは上記通過空間が容易に形成されるように、垂直方向に分割されており、更に水平方向に多段階に屈折可能な構造のX線漏洩防護のれんを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−270174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この特許文献1に記載のX線異物検査装置は、水平方向に多段階で屈折可能な構造のX線漏洩防護のれん(以下、「X線漏洩防止カーテン」という。)を有している。このX線漏洩防止カーテンは、多段階で屈折するために、多数の回動軸が必要となる。そのため、X線漏洩防止カーテンが複雑な構造となるので、X線異物検査装置の製造コストの増大を招いていた。
【0007】
本発明の目的は、簡易な構造で、被検査物の高さに応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができ、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができるX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)
一局面に係るX線検査装置は、搬送部によって搬送される被検査物に検査室内でX線を照射して検査を行い、検査室の被検査物の搬入または搬出に用いられる開口部にX線の漏洩を防止するX線漏洩防止部材を備え、閉状態のときにX線漏洩防止部材が開口部を閉塞し、開状態のときに被検査物が開口部を通過するX線検査装置であって、X線漏洩防止部材は、被検査物を水平に搬送する搬送部の搬送面に対して垂直方向に設けられた第1の回動軸を中心に回動することで開閉する第1の回動板と、第1の回動軸の上方に設けられた第2の回動軸を中心に回動することで開閉する第2の回動板とを備える。
【0009】
この場合、第2の回動板に押し当たる高さの被検査物は、第1の回動板および第2の回動板を開状態にして検査室の開口部を通過する。また、第2の回動板に押し当たらない高さの被検査物は、第2の回動板を閉状態にしたまま、第1の回動板を開状態にして検査室の開口部を通過する。これにより、簡易な構造で、被検査物の高さに応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができる。その結果、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができる。また、X線漏洩防止部材が簡易な構造なので、X線検査装置の製造コストを低減させることができる。
【0010】
(2)
X線検査装置において、第1の回動軸および第1の回動板は、それぞれ一対ずつ設けられ、一対の第1の回動板が観音開き構造であることが好ましい。
【0011】
この場合、一対の第1の回動板が観音開きするので、被検査物が搬送部の中央側に誘導されやすくなる。これにより、被検査物を安定して搬送することができる。
【0012】
(3)
X線検査装置において、一対の第1の回動板は、閉状態のときに互いに一部が重なり合うように形成されていることが好ましい。
【0013】
この場合、一対の第1の回動板は閉状態のときに互いに一部が重なり合うので、第1の回動板同士の間に隙間が生じにくくなる。これにより、X線が検査室の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0014】
(4)
X線検査装置において、第2の回動軸は、搬送部の搬送面に対して平行方向に設けられ、第2の回動板は、第2の回動軸に吊り下げられていることが好ましい。
【0015】
この場合、第2の回動板は、第2の回動軸に吊り下げられているので、自重によって閉じることができる。これにより、開状態の第2の回動板を閉じるための弾性体を用いなくてもよいので、X線検査装置の製造コストを低減させることができる。
【0016】
(5)
X線検査装置において、第2の回動板は、閉状態のときに第1の回動板と一部が重なり合うように形成され、かつ、第1の回動板よりも被検査物の搬送方向上流側に配置されていることが好ましい。
【0017】
この場合、第1の回動板と第2の回動板は閉状態のときに一部が重なり合うので、第1の回動板と第2の回動板の間に隙間が生じにくくなる。これにより、X線が検査室の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0018】
また、第2の回動板は、第1の回動板よりも被検査物の搬送方向上流側に配置されている。第2の回動板に押し当たらない高さの被検査物は、第2の回動板を閉状態にしたまま、第1の回動板を開状態にして検査室の開口部を通過する。その結果、簡易な構造で、被検査物の高さに応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができ、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができる。
【0019】
(6)
X線検査装置において、第1の回動軸は、開状態の第1の回動板を閉じるための弾性体と、弾性体を覆うカバーとを有することが好ましい。
【0020】
この場合、弾性体がカバーで覆われているので、被検査物が弾性体に直接接触するのを防止することができる。これにより、弾性体の弾性力を維持することができる。また、仮に弾性体が長期間の使用により破損した場合であっても、破損した弾性体がカバーの外に出るのを防止することができる。その結果、破損した弾性体が搬送される被検査物中に異物として混入するのを防止することができる。
【0021】
(7)
X線検査装置において、第1の回動板および第2の回動板の少なくとも一方は、第1の回動軸または第2の回動軸を中心に回動することで開閉する複数の回動片からなることが好ましい。
【0022】
この場合、被検査物は、押し当たらない回動片を閉状態にしたまま、押し当たる回動片を開状態にして検査室の開口部を通過する。これにより、簡易な構造で、被検査物の高さおよび幅に応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができる。その結果、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができる。
【0023】
(8)
X線検査装置において、第1の回動板の回動片は、閉状態のときに回動片の下方側で隣接している回動片と一部が重なり合い、かつ、下方側の回動片よりも被検査物の搬送方向上流側に配置されていることが好ましい。
【0024】
この場合、第1の回動板の回動片同士は閉状態のときに一部が重なり合うので、第1の回動板の回動片同士の間に隙間が生じにくくなる。これにより、X線が検査室の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0025】
また、回動片は、下方側の回動片よりも被検査物の搬送方向上流側に配置されている。これにより、被検査物は、押し当たらない回動片を閉状態にしたまま、押し当たる回動片を開状態にして開口部を通過する。その結果、簡易な構造で、被検査物の高さに応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができ、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができる。
【0026】
(9)
X線検査装置において、第1の回動板および第2の回動板の少なくとも一方は、金属板からなることが好ましい。
【0027】
この場合、回動板は、金属板からなるので、耐久性に優れており、よじれにくい。これにより、回動板同士の間に隙間が生じにくくなる。その結果、X線が検査室の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るX線検査装置によれば、簡易な構造で、被検査物の高さに応じて被検査物が検査室の開口部を通過するときに必要となる力を変化させることができ、被検査物が検査室の開口部を通過しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係るX線検査装置の模式的外観図である。
【図2】図1に示したX線検査装置の内部構造を示す模式的斜視図である。
【図3】図1に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンの模式的斜視図である。
【図4】図1に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンの模式的側面図である。
【図5】図3、4に示したX線漏洩防止カーテンのねじりバネとカバーの模式的斜視図である。
【図6】図4に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンを商品が通過する状態を説明するための模式的側面図である。
【図7】図4に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンを商品が通過する状態を説明するための模式的側面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るX線検査装置のX線漏洩防止カーテンの模式的斜視図である。
【図9】図8に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンを商品が通過する状態を説明するための模式的側面図である。
【図10】図8に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンを商品が通過する状態を説明するための模式的側面図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係るX線検査装置のX線漏洩防止カーテンの模式的斜視図である。
【図12】図11に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンを商品が通過する状態を説明するための模式的側面図である。
【図13】図11に示したX線検査装置のX線漏洩防止カーテンを商品が通過する状態を説明する。
【図14】本発明の変形例に係るX線検査装置のX線漏洩防止カーテンの模式的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(第1実施形態)
図1に示すように、第1実施形態に係るX線検査装置100は、装置内部に検査室300が形成されている。検査室300には、被検査物である商品900(図2参照)の搬入用の開口部310と搬出用の開口部310とがそれぞれ形成され、X線照射装置200が内蔵されている。また、X線検査装置100は、検査室300の各開口部310を貫通するように設けられた搬送部であるベルトコンベア800を備える。
【0031】
また、X線検査装置100は、検査室300の開口部310からX線が漏洩することを防止するために、X線漏洩防止部材であるX線漏洩防止カーテン500を備える。このX線漏洩防止カーテン500の詳細構造については後述する。
【0032】
図2に示すように、検査室300は、X線照射装置200、ラインセンサ220、X線漏洩防止カーテン500、案内ガイド700およびベルトコンベア800からなる。X線漏洩防止カーテン500は、検査室300の搬入用の開口部310と搬出用の開口部310のそれぞれに1つずつ設けられている(図1参照)。X線漏洩防止カーテン500は、第1の回動板510と第2の回動板520を1つずつ組み合わせたものを台座570で保持している。
【0033】
ベルトコンベア800は、無端状のベルトが一対のローラに巻回されて設けられ、搬送面810に置かれた商品900を水平に搬送する。ベルトコンベア800の内部には、シンチレータおよびフォトダイオード素子からなるラインセンサ220が設けられている。ベルトコンベア800の搬送面810には、一対の案内ガイド700が設けられている。この案内ガイド700は、商品900の搬送方向(矢印Xの方向)に延びた板材からなり、搬送される商品900がベルトコンベア800上からこぼれ落ちることを防ぐためのものである。
【0034】
また、ベルトコンベア800は、商品900の搬送を開始する位置から、搬入用の開口部310に設けられたX線漏洩防止カーテン500に商品900が接触する位置まで、少なくとも500mm以上の距離が設けられていることが好ましい。これにより、搬送される商品900の姿勢が安定するので、検査室300における検査効率を高めることができる。
【0035】
搬送される商品900は、案内ガイド700によってベルトコンベア800上から落下せずに、搬送方向(矢印Xの方向)に移動する。そして、商品900は、搬入側の開口部310に設けられたX線漏洩防止カーテン500を通過して、検査室300の内部へと移動する。次いで、商品900は、X線照射装置200からX線210が照射される。商品900を透過したX線210は、ラインセンサ220に入射する。X線210が照射された商品900は、搬出側の開口部310に設けられたX線漏洩防止カーテン500を通過して、検査室300の外部へと移動した後、次工程のベルトコンベアに搬送される。
【0036】
<X線漏洩防止カーテン>
図3および図4に示すように、X線漏洩防止カーテン500は、第1の回動板510、第2の回動板520、第1の回動軸530、第2の回動軸540、第1の軸支部550、第2の軸支部560および台座570からなる。また、第1の回動軸530は、開状態の第1の回動板510を閉じるための回動板戻し部580を有する。
【0037】
台座570は、搬送方向(矢印Xの方向)の上流側と下流側に、第1の回動板510と第2の回動板520をそれぞれ1つずつ回動自在に保持している。第1の回動板510と第2の回動板520を組み合わせたもの同士の間隔は、商品900の長さよりも長くなるように構成されている。
【0038】
第1の回動板510は、ベルトコンベア800の搬送面810近傍に設けられている(図4参照)。第2の回動板520は、第1の回動板510と面一となるようにして、第1の回動板510上に設けられている。
【0039】
第1の回動軸530は、第1の軸支部550の孔を貫通し、ベルトコンベア800の搬送面810に対して垂直方向に設けられている。第1の回動板510は、金属板からなり、閉状態から開状態になるとき、搬送方向下流側に向かって第1の回動軸530を中心に回動する。
【0040】
第2の回動軸540は、第2の軸支部560の孔を貫通し、第1の回動軸530の上方に、かつ、ベルトコンベア800の搬送面810に対して平行方向に設けられている。第2の回動板520は、金属板からなり、第2の回動軸540に吊り下げられ、閉状態から開状態になるとき、上方に向かって第2の回動軸540を中心に回動する。
【0041】
X線漏洩防止カーテン500は、第1の回動板510と第2の回動板520の両方が閉状態のとき、搬入側の開口部310または搬出側の開口部310を閉塞してX線210が検査室300の外部に漏れることを防止する。また、X線漏洩防止カーテン500は、第1の回動板510および第2の回動板520の少なくとも一方が開状態のとき、商品900が検査室300に搬入または搬出される。
【0042】
<回動板戻し部>
図5に示すように、第1の回動軸530に設けられた回動板戻し部580は、弾性体であるねじりバネ581と、ねじりバネ581を覆うカバー582とを有する。ねじりバネ581は、その弾性力によって開状態の第1の回動板510が閉状態となるように、第1の回動軸530を回動させる。
【0043】
<X線漏洩防止カーテンの動作>
図6に示すように、商品900の高さが第2の回動板520に押し当たる高さの場合、商品900は、搬送方向上流側の第1の回動板510および第2の回動板520の両方を回動させて開状態にして通過する。商品900の通過後、搬送方向上流側の第1の回動板510および第2の回動板520は、開状態から閉状態となる。搬送方向上流側の第1の回動板510および第2の回動板520が閉状態となった後に、商品900は、搬送方向下流側の第1の回動板510および第2の回動板520の両方を回動させて開状態にして通過する。商品900の通過後、搬送方向下流側の第1の回動板510および第2の回動板520は、開状態から閉状態となる。
【0044】
商品900がX線漏洩防止カーテン500を通過している間は、搬送方向上流側の第1の回動板510および第2の回動板520が閉状態であるか、または搬送方向下流側の第1の回動板510および第2の回動板520が閉状態である。そのため、X線210が検査室300の外部へ漏洩することを防止することができる。
【0045】
図7に示すように、商品900の高さが第2の回動板520に押し当たらない高さの場合、商品900は、搬送方向上流側および搬送方向下流側の第1の回動板510を回動させて開状態にし、X線漏洩防止カーテン500を通過する。このとき、搬送方向上流側および搬送方向下流側の第2の回動板520は、回動せず、閉状態のままである。
【0046】
本実施形態では、第2の回動板520に押し当たる高さの商品900は、第1の回動板510および第2の回動板520を開状態にして開口部310を通過する。また、第2の回動板520に押し当たらない高さの商品900は、第2の回動板520を閉状態にしたまま、第1の回動板510を開状態にして開口部310を通過する。これにより、簡易な構造で、商品900の高さに応じて商品900が検査室300の開口部310を通過するときに必要となる力を変化させることができる。その結果、商品900が検査室300の開口部310を通過しやすくすることができる。また、X線漏洩防止カーテン500が簡易な構造なので、X線検査装置100の製造コストを低減させることができる。
【0047】
また、本実施形態では、第2の回動板520は、第2の回動軸540に吊り下げられているので、自重によって閉じることができる。これにより、開状態の第2の回動板520を閉じるための弾性体を用いなくてもよいので、X線検査装置100の製造コストを低減させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、ねじりバネ581がカバー582で覆われているので、商品900がねじりバネ581に直接接触することを防止することができる。これにより、ねじりバネ581の弾性力を維持することができる。また、仮にねじりバネ581が長期間の使用により破損した場合であっても、破損したねじりバネ581がカバー582の外に出るのを防止することができる。これにより、破損したねじりバネ581が、搬送される商品900中に異物として混入することを防止することができる。
【0049】
また、本実施形態では、第1の回動板510および第2の回動板520は、金属板からなるので、耐久性に優れており、よじれにくい。これにより、第1の回動板510と第2の回動板520の間に隙間が生じにくくなる。その結果、X線210が検査室300の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るX線検査装置100のX線漏洩防止カーテン500aについて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同様の符号を付し適宜その説明を割愛する。上記の第1実施形態では、1つの第2の回動板520に対して1つの第1の回動板510が組み合わせられている例について説明したが、この第2実施形態では、1つの第2の回動板520に対して2つの第1の回動板が組み合わせられている。
【0051】
図8に示すように、X線漏洩防止カーテン500aにおいては、第2の回動板520の下方に、第1の回動軸530および第1の回動板510がそれぞれ一対ずつ設けられている。この一対の第1の回動板510は観音開き構造である。また、この一対の第1の回動板510は、閉状態のときに互いに一部が重なり合うように形成されている。具体的には、一方の第1の回動板510は、他方の第1の回動板510の一部を覆う延長部材511が形成されている。
【0052】
第2の回動板520は、閉状態のときに第1の回動板510と一部が重なり合うように形成されている。また、第2の回動板520は、組み合わせられた第1の回動板510よりも商品900の搬送方向上流側に配置されている。
【0053】
図9に示すように、商品900の高さが第2の回動板520に押し当たる高さの場合、商品900は、一対の第1の回動板510と第2の回動板520を回動させて開状態にし、X線漏洩防止カーテン500aを通過する。一対の第1の回動板510は、中央から両側へと開く観音開きをすることによって開状態となる。
【0054】
図10に示すように、商品900の高さが第2の回動板に押し当たらない高さの場合、商品900は、一対の第1の回動板510を回動させて開状態にし、X線漏洩防止カーテン500aを通過する。このとき、第2の回動板520は、回動せず、閉状態のままである。
【0055】
本実施形態では、一対の第1の回動板510が両開きするので、商品900がベルトコンベア800の中央側に誘導されやすくなる。これにより、商品900を安定して搬送することができる。
【0056】
また、本実施形態では、一対の第1の回動板510は閉状態のときに互いに一部が重なり合うので、第1の回動板510同士の間に隙間が生じにくくなる。これにより、X線210が検査室300の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0057】
また、本実施形態では、第1の回動板510と第2の回動板520は閉状態のときに一部が重なり合うので、第1の回動板510と第2の回動板520の間に隙間が生じにくくなる。これにより、X線210が検査室300の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0058】
また、第2の回動板520が第1の回動板510よりも商品900の搬送方向上流側に配置されている。これにより、第2の回動板520に押し当たらない高さの商品900は、第2の回動板520を閉状態にしたまま、第1の回動板510を開状態にして開口部310を通過する。その結果、簡易な構造で、商品900の高さに応じて商品900が検査室300の開口部310を通過するときに必要となる力を変化させることができ、商品900が検査室300の開口部310を通過しやすくすることができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係るX線検査装置100のX線漏洩防止カーテン500bについて説明する。なお、上記第1、2実施形態と同様の構成については、第1、2実施形態と同様の符号を付し適宜その説明を割愛する。上記の第1、2実施形態では、第1の回動板510および第2の回動板520がそれぞれ一枚の板材から形成されている例について説明したが、この第3実施形態では、第1の回動板510および第2の回動板520がそれぞれ複数枚の板材から形成されている。
【0060】
図11に示すように、第1の回動板510は、第1の回動軸530を中心に回動することで、それぞれ開閉する複数の回動片512からなる。複数の回動片512は、閉状態のときに面一となるようにして形成されている。
【0061】
第2の回動板520は、第2の回動軸540を中心に回動することで、それぞれ開閉する複数の回動片522からなる。複数の回動片522は、閉状態のときに面一となるようにして形成されている。
【0062】
図12に示すように、商品900の高さが第2の回動板520に押し当たる高さの場合、商品900は、第1の回動板510の全部の回動片512と、第2の回動板520の全部または一部の回動片522を回動させて開状態にし、X線漏洩防止カーテン500bを通過する。このとき、第2の回動板520の回動片522は、商品900の幅に応じて、回動する数が変化する。なお、図12では、一部の回動片522が回動している状態のX線漏洩防止カーテン500bを示す。
【0063】
図13に示すように、商品900の高さが第2の回動板520に押し当たらない高さの場合、商品900は、第1の回動板510の全部または一部の回動片を回動させて開状態にし、X線漏洩防止カーテン500bを通過する。このとき、第1の回動板510の回動片512は、商品900の高さに応じて、回動する数が変化する。また、第2の回動板520の全ての回動片522は、回動せず、閉状態のままである。なお、図11〜13では、第1の回動軸530に設けられている回動板戻し部580を省略して、X線漏洩防止カーテン500bを示す。
【0064】
本実施形態では、商品900は、押し当たらない回動片512や回動片522を閉状態にしたまま、押し当たる回動片512や回動片522を開状態にして検査室300の開口部310を通過する。これにより、簡易な構造で、商品900の高さおよび幅に応じて商品900が検査室300の開口部310を通過するときに必要となる力を変化させることができる。その結果、商品900が検査室300の開口部310を通過しやすくすることができる。
【0065】
<変形例>
(A)
第3実施形態においては、第1の回動板510の回動片512は、閉状態のときに回動片512の下方側で隣接している回動片512と一部が重なり合うものであってもかまわない。その場合、上方側の回動片512は、下方側の回動片512よりも商品900の搬送方向上流側に配置されている。
【0066】
本変形例では、第1の回動板510の回動片512同士は閉状態のときに一部が重なり合うので、回動片512同士の間に隙間が生じにくくなる。これにより、X線210が検査室300の外部へ漏洩することをより確実に防止することができる。
【0067】
また、本変形例では、第1の回動板510の回動片512は、下方側の回動片512よりも商品900の搬送方向上流側に配置されている。これにより、商品900は、押し当たらない回動片512を閉状態にしたまま、押し当たる回動片512を開状態にして検査室300の開口部310を通過する。その結果、簡易な構造で、商品900の高さに応じて商品900が検査室300の開口部310を通過するときに必要となる力を変化させることができ、商品900が検査室300の開口部310を通過しやすくすることができる。
【0068】
(B)
図14に示すように、X線漏洩防止カーテン500cでは、第2の回動軸540がベルトコンベア800の搬送面810に対して垂直方向に設けられていてもかまわない。この場合、第2の回動軸540には回動板戻し部580が設けられている。第2の回動板520は、閉状態から開状態になるとき、搬送方向下流側に向かって第2の回動軸540を中心に回動する。
【0069】
(C)
第1の回動板510と第2の回動板520は、商品900が開口部310を通過するときに必要となる力を低減させるために、金属より軽い樹脂からなるものであってもかまわない。また、第1の回動板510の形状と第2の回動板520の形状は、複数の屈曲部を有するものであってもかまわない。
【0070】
(D)
X線漏洩防止カーテン500は、X線検査装置100の製造コストを低減するために、第1の回動板510と第2の回動板520とを組み合わせたものを1つ有するものであってもかまわない。また、X線漏洩防止カーテン500は、X線210が検査室300の外部へ漏洩することをより確実に防止するために、第1の回動板510と第2の回動板520とを組み合わせたものを3つ以上有するものであってもかまわない。
【0071】
(E)
第2の回動板520は、X線210が検査室300の外部へ漏洩することをより確実に防止するために、第1の回動板510の一部を覆う延長部材が形成されていてもかまわない。
【0072】
(F)
回動板戻し部580の弾性体は、ゴム状の部材であってもかまわない。
【0073】
(G)
第1の回動板510と第2の回動板520は、一方のみが回動片からなるものであってもかまわない。
【0074】
(H)
X線漏洩防止カーテン500において、搬送方向上流側に設けられている第1の回動板510と、搬送方向下流側に設けられている第1の回動板510は、縦幅と横幅とが同じであってもかまわないし、縦幅および横幅の少なくとも一方が異なっていてもかまわない。また、搬送方向上流側に設けられている第2の回動板520と、搬送方向下流側に設けられている第2の回動板520は、縦幅と横幅が同じであってもかまわないし、縦幅および横幅の少なくとも一方が異なっていてもかまわない。
【0075】
(I)
第2、3実施形態において、一対の第1の回動板510同士は、縦幅と横幅が同じであってもかまわないし、縦幅および横幅の少なくとも一方が異なっていてもかまわない。
【0076】
(J)
第3実施形態において、第1の回動板510の複数の回動片512同士は、縦幅と横幅が同じであってもかまわないし、縦幅および横幅の少なくとも一方が異なっていてもかまわない。また、第2の回動板520の複数の回動片522同士は、縦幅と横幅が同じであってもかまわないし、縦幅および横幅の少なくとも一方が異なっていてもかまわない。
【0077】
(K)
第1〜3実施形態において、検査室300は、案内ガイド700を備えていなくてもかまわない。
【符号の説明】
【0078】
100 X線検査装置
210 X線
300 検査室
310 開口部
500、500a、500b、500c X線漏洩防止カーテン(X線漏洩防止部材)
510 第1の回動板
512 回動片
520 第2の回動板
522 回動片
530 第1の回動軸
540 第2の回動軸
581 ねじりバネ(弾性体)
582 カバー
800 ベルトコンベア(搬送部)
810 搬送面
900 商品(被検査物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送部によって搬送される被検査物に検査室内でX線を照射して検査を行い、前記検査室の被検査物の搬入または搬出に用いられる開口部にX線の漏洩を防止するX線漏洩防止部材を備え、閉状態のときに前記X線漏洩防止部材が前記開口部を閉塞し、開状態のときに被検査物が前記開口部を通過するX線検査装置であって、
前記X線漏洩防止部材は、被検査物を水平に搬送する前記搬送部の搬送面に対して垂直方向に設けられた第1の回動軸を中心に回動することで開閉する第1の回動板と、
前記第1の回動軸の上方に設けられた第2の回動軸を中心に回動することで開閉する第2の回動板とを備えることを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
前記第1の回動軸および前記第1の回動板は、それぞれ一対ずつ設けられ、該一対の第1の回動板が観音開き構造であることを特徴とする請求項1に記載のX線検査装置。
【請求項3】
前記一対の第1の回動板は、閉状態のときに互いに一部が重なり合うように形成されていることを特徴とする請求項2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記第2の回動軸は、前記搬送部の搬送面に対して平行方向に設けられ、
前記第2の回動板は、前記第2の回動軸に吊り下げられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記第2の回動板は、閉状態のときに前記第1の回動板と一部が重なり合うように形成され、かつ、該第1の回動板よりも被検査物の搬送方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記第1の回動軸は、前記開状態の第1の回動板を閉じるための弾性体と、
前記弾性体を覆うカバーとを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記第1の回動板および前記第2の回動板の少なくとも一方は、前記第1の回動軸または前記第2の回動軸を中心に回動することで開閉する複数の回動片からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記第1の回動板の回動片は、閉状態のときに該回動片の下方側で隣接している回動片と一部が重なり合い、かつ、該下方側の回動片よりも被検査物の搬送方向上流側に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記第1の回動板および前記第2の回動板の少なくとも一方は、金属板からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−58082(P2012−58082A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201787(P2010−201787)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】