説明

X線検査装置

【課題】被検査物の底面付近および被検査物の全体についても異物検査を行うことが可能なX線検査装置を提供する。
【解決手段】X線検査装置は、被検査物Bを搬送する検査テーブル711と、検査テーブル711で搬送される被検査物BにX線を照射するX線源200と、X線源200から照射されるX線を検知するラインセンサ400とを備えている。そして、X線源200は、検査テーブル711の水平な搬送面と、被検査物Bの搬送領域のX線源200から最も離れた位置Pとの交点Gへ入射するX線とのなす角(θ1)が0°より大きく且つ30°以下を満たすように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線を真横から照射する横照射型のX線検査装置、X線を真上から照射する垂直照射型のX線検査装置、および、X線を斜めから照射する斜め照射型のX線検査装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
【0003】
特許文献1には、X線検出器とX線発生器とを搬送装置の移動方向に対して角度θを傾けて配置するX線異物検査装置が開示されている。また、特許文献2には、X線源を搬送機構による検査対象物の搬送方向に対して垂直な面内で、X線照射位置にある検査対象物に対して斜め方向にX線を照射する位置に配置したX線異物検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−177299号公報
【特許文献2】特開2004−317184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のX線異物検出装置は、搬送される被検査物を搬送面に対して傾けて、底面付近の異物を一カ所に集めて、異物の検出精度を向上させている。しかしながら、この特許文献1に記載のX線異物検出装置は、被検査物の底面付近の異物のみを検出するものであるので、被検査物の全体について異物検査を行うことができない。すなわち、異物が底面付近にあるとは限らない被検査物(例えば、瓶入りのインスタントコーヒー(粒、粉)、スタンド型の菓子等)についての検査には適していない。
【0006】
また、特許文献2に記載のX線異物検査装置は、容器底面の肉厚によって透過X線量が減少することに伴う異物検出の判定誤差を抑える目的で、X線源から照射されるX線が容器底面に対して、大きな角度をもって通過するようにしている。すなわち、このX線異物検出装置は、容器底面付近の異物を検出するものであるので、被検査物の全体について異物検査を行うことには適していない。よって、異物が底面付近にあるとは限らない被検査物についての検査には適していない。
【0007】
そこで、本発明の目的は、被検査物の底面付近、及び、被検査物の全体について異物検査を行うことが可能なX線検査装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るX線検査装置は、被検査物を搬送する搬送部と、搬送部で搬送される被検査物にX線を照射するX線源と、X線源から照射されるX線を検知するセンサとを備え、X線源は、搬送部の水平な搬送面と、被検査物の搬送領域のX線源から最も離れた位置との交点へ入射するX線とのなす角(θ1)が0°より大きく且つ30°以下を満たすように配置される。
【0009】
上記構成によれば、角θ1を0°より大きくすることによって、被検査物の底面を斜めから観察することができる。これにより、底面付近の異物をセンサにより拡大して検知することができる。また、角θ1を30°以下にすることによって、被検査物の全体を側方からX線照射することができるので、底面付近および被検査物の全体(中央部分および上面部分)についても異物検査を行うことができる。
このように、底面付近の異物の検知が可能となれば、底面付近に異物が沈殿しやすい液体の被検査物の異物検査が可能となる。また、被検査物の全体の検査が可能となれば、中央部分および上面部分に異物が混入する可能性がある被検査物(例えば、瓶入りのインスタントコーヒー(粒、粉)、スタンド型の菓子等)の異物検査が可能となる。すなわち、本発明では、様々なタイプの被検査物の異物検査を行うことが可能な汎用性の高いX線検査装置を得ることができる。
【0010】
本発明に係るX線検査装置は、被検査物を搬送する搬送部と、搬送部で搬送される被検査物にX線を照射するX線源と、X線源から照射されるX線を検知するセンサとを備え、X線源は、照射野の中心と搬送部の搬送面とのなす角(θ2)が0°より大きく且つ30°以下を満たすように配置される。
【0011】
上記構成によれば、角θ2を0°より大きくすることによって、被検査物の底面を斜めから観察することができる。これにより、底面付近の異物をセンサにより拡大して検知することができる。また、角θ2を30°以下にすることによって、被検査物の全体を側方からX線照射することができるので、底面付近および被検査物の全体(中央部分および上面部分)についても異物検査を行うことができる。
このように、底面付近の異物の検知が可能となれば、底面付近に異物が沈殿しやすい液体の被検査物の異物検査が可能となる。また、被検査物の全体の検査が可能となれば、中央部分および上面部分に異物が混入する可能性がある被検査物(例えば、瓶入りのインスタントコーヒー(粒、粉)、スタンド型の菓子等)の異物検査が可能となる。すなわち、本発明では、様々なタイプの被検査物の異物検査を行うことが可能な汎用性の高いX線検査装置を得ることができる。
【0012】
上記したX線検査装置において、搬送面とのなす角が10°以上且つ30°以下である。
すなわち、本発明に係るX線検査装置は、被検査物を搬送する搬送部と、搬送部で搬送される被検査物にX線を照射するX線源と、X線源から照射されるX線を検知するセンサとを備え、X線源は、搬送部の水平な搬送面と、被検査物の搬送領域のX線源から最も離れた位置との交点へ入射するX線とのなす角(θ1)が10°より大きく且つ30°以下を満たすように配置される。
また、本発明に係るX線検査装置は、被検査物を搬送する搬送部と、搬送部で搬送される被検査物にX線を照射するX線源と、X線源から照射されるX線を検知するセンサとを備え、X線源は、照射野の中心と搬送部の搬送面とのなす角(θ2)が10°より大きく且つ30°以下を満たすように配置される。
【0013】
上記構成によれば、小さな異物の検出が可能となるX線検査装置を得ることができる。
【0014】
X線検査装置において、センサにより検出されたX線データに基づいて、被検査物の液面高さを検出する検出部をさらに備える。
【0015】
上記構成によれば、被検査物の底面付近および被検査物の全体についての異物検査、および、被検査物の液面検査を行うことができる。すなわち、異物検査および液面検査を同時に行うことが可能な汎用性に優れたX線検査装置を得ることができる。
【0016】
X線検査装置において、X線源から照射されるX線には、略水平方向に照射されるX線が含まれる。
【0017】
上記構成によれば、被検査物の上部付近に水平方向に進行するX線が照射されることによって、被検査物の上部付近が真横から撮像されることになる。これにより、被検査物の液面検査および容量検査を行うことができる。したがって、上記した異物検査、及び、内容物のレベルチェックを同時に行うことができるX線検査装置を得ることができる。
【0018】
X線検査装置において、搬送部は、被検査物を外周端近傍に載置して搬送する回転テーブルを含む。
【0019】
上記構成によれば、粘性の低い液体の被検査物に異物が混入している場合、回転テーブルの遠心力により当該被検査物中の異物を外周方向に集合させることができる。その結果、異物の検出エリアをある程度特定することができるので、異物の検出精度がさらに向上する。
【0020】
X線検査装置において、被検査物は、水平方向の長さより垂直方向の長さが大きい縦型であって、当該縦型の被検査物は、搬送部を起立姿勢で搬送される。
【0021】
底面から被検査物の内容物の上限付近までの高さがあり、その底面および被検査物の内容物の上限付近の両方を検査することが困難な縦型の被検査物について、本発明のX線検査装置によれば、X線検査を行うことができる。
また、横倒して検査できない被検査物を起立姿勢の状態のままX線検査することができるので、X線検査後の後工程である梱包工程において、当該起立姿勢の被検査物を効率良く梱包することが可能となる。例えば、横倒して検査できない被検査物としては、搬送に不安定な被検査物等が挙げられる。
【0022】
X線検査装置において、センサは、垂直方向に沿って複数の素子が配置されるラインセンサである。
【0023】
上記構成によれば、センサが垂直方向に延在するので、水平方向に関して省スペース化を図ることができる。
【0024】
X線検査装置において、X線源から照射されるX線は、ラインセンサの上部において略水平方向に入射すると共に、ラインセンサの下部において斜め方向に入射する。
【0025】
上記構成によれば、ラインセンサの上部において、被検査物の内容物の上限付近を通過したX線が入射する。すなわち、被検査物の内容物が存在する部分を通過したX線と、被検査物の内容物が存在しない部分を通過したX線とが、連続的に当該ラインセンサの上部に入射する。これにより、被検査物の内容物が存在する部分と存在しない部分との境界分離が容易になる。
一方、ラインセンサの下部において、被検査物の底面付近を通過したX線が入射する。これにより、被検査物の底面付近に溜まる異物が拡大されるので、当該異物が検出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の全体構成を示した正面図である。
【図2】図1に示したX線検査装置の内部構成を示した平面図である。
【図3】図1に示したX線検査装置の内部構成を示した側面図である。
【図4】図1に示したX線検査装置のX線源の照射角度を示した模式側面図である。
【図5】従来のX線検査装置のX線源の照射角度を示した模式側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るX線検査装置の技術的効果を確認するために行った実施例に係る(a)サンプルの斜視図、(b)実験方法を示した模式図である。
【図7】実施例の実験結果を示した(a)表、(b)グラフである。
【図8】図1に示したX線検査装置の変形例に係るX線源とラインセンサとの関係を示した模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係るX線検査装置について図面を参照しながら説明する。
【0028】
本実施形態に係るX線検査装置100は、図1及び図2に示すように、既設のトップチェーン型コンベア900に取り付けられ、該トップチェーン型コンベア900によって搬送される被検査物B中に含まれる異物の検査(異物検査)、及び、被検査物Bの内容量が適正か否かを判断する検査(レベルチェック検査)などを行う。このX線検査装置100は、主として、X線源200、ラインセンサ400、制御部500(図3参照)、受取部600、搬送部700、受渡部800、筺体910、及び、表示部920からなる。本実施形態に係る被検査物Bは、水平方向の長さより垂直方向の長さが大きい縦型であって、当該縦型の被検査物Bは、コンベア900および本実施形態に係るX線検査装置100を起立姿勢で搬送されて、当該X線検査装置100の下流に配置される梱包装置により、被検査物Bは起立状態のまま梱包される。この被検査物Bは、例えば、ペットボトル入りの液体、瓶入りのインスタントコーヒー(粒、粉)、スタンド型の菓子等である。
【0029】
(受取部)
図2及び図3に示すように、受取部600は、トップチェーン型コンベア900から被検査物Bを受け取るために設けられる。この受取部600は、受取テーブル611、回転軸612、第1モータ613、案内ガイド板614を有している。垂直に設けられた回転軸612の一端側に第1モータ613が取り付けられ、回転軸612の他端側に水平面を有する受取テーブル611が取り付けられる。この受取テーブル611は、天板が円板形状からなる。また、受取テーブル611上には、トップチェーン型コンベア900上の被検査物Bを該受取テーブル611から後述する搬送部700の検査テーブル711に案内する案内ガイド板614が設けられる。
【0030】
(搬送部)
図2及び図3に示すように、搬送部700は、被検査物Bを受取部600から受渡部800まで搬送するために設けられている。具体的には、搬送部700は、受取部600から受け取った被検査物BをX線検査位置Pまで搬送すると共に、当該X線検査位置PにおいてX線が照射された被検査物Bを受渡部800まで搬送する。この搬送部700は、検査テーブル711、回転軸712、及び、第2モータ713を有している。検査テーブル711は、被検査物Bを外周端近傍に載置して搬送する。これにより、検査テーブル711に載置される被検査物Bには、遠心力が加わり、被検査物Bに含まれる異物が検査テーブル711の回転方向の径方向外側(矢印Y1方向)に集合する。なお、検査テーブル711の搬送面(上面)は、水平方向に延在する水平面である。
【0031】
(受渡部)
図2及び図3に示すように、受渡部800は、X線検査によって良品と判断された被検査物Bを検査テーブル711からトップチェーン型コンベア900に受け渡すために設けられる。この受渡部800は、受渡テーブル811、回転軸812、第3モータ813、案内ガイド板814を有している。なお、図3における括弧書きの符号は、受取部600と同様の構成からなる受渡部800の関係を示すために記載している。垂直に設けられた回転軸812の一端側に第3モータ813が取り付けられ、回転軸812の他端側に水平面を有する受渡テーブル811が取り付けられる。この受渡テーブル811は、天板が円板形状からなる。また、受渡テーブル811上には、検査テーブル711上の被検査物Bを該受渡テーブル811からトップチェーン型コンベア900に案内する案内ガイド板814が設けられる。
【0032】
(X線源)
X線源200は、図3および図4(a)に示すように、X線検査位置Pに搬送された被検査物BにX線を照射するために設けられている。本実施形態に係るX線源200は、例えば、側方から見て40°以上50°以下の照射野Wを有している。この照射野Wが被検査物Bの検査範囲となる。ここで、図4(a)に示すように、線源200は、照射野Wの中心C(1点鎖線)が斜め下方に向くように配置されており、具体的には、当該照射野Wの中心Cと水平面H(1点鎖線)とのなす角θ2が0°<θ2≦30°を満たすように配置される。好ましくは、当該角θ2は、10°≦θ2≦30°であり、さらに好ましくは、角θ2は、10°である。当該理由については、後述する。この実施形態では、後述する検査テーブル711の搬送面Mが水平面であるので、上記した角θ2は、照射野Wの中心Cと搬送面Mとのなす角に相当する。
【0033】
また、図4(a)に示すように、X線源200から照射される様々な照射角のX線には、略水平方向に照射されるX線(図4(a)中の0°で示される1点鎖線)が含まれる。上記のように、X線源200を配置することにより、被検査物Bの上部付近では、X線源200から照射されるX線が略水平方向(図4(a)中の0°で示される1点鎖線、5°で示される2点鎖線など)に進行し、且つ、被検査物Bの底面付近では、X線源200から照射されるX線が斜め下方に進行する(図4(a)中の25°で示される2点鎖線など)。これにより、図4(b)に示したX線透過画像Eに示すように、被検査物Bの上部付近を側方から観察可能になると共に、被検査物Bの底面付近を斜め上方から観察可能になる。
【0034】
また、X線源200と被検査物Bとの関係において、X線源200は、図4(a)の拡大図に示すように、搬送部700の水平な搬送面Mと、被検査物Bの搬送領域のX線源200から最も離れた位置Pとの交点Gへ入射するX線LYとのなす角θ1が0°<θ1≦30°を満たすように配置される。好ましくは、当該角θ1は、10°≦θ1≦30°である。当該理由については、後述する。本実施形態では、上記した角θ2が、θ2=10°を満たすようにX線源200が配置される場合において、角θ1が20°≦θ1≦25°となるようにX線源200が配置されている(図4(a)のX線LYが20°≦θ1≦25°の範囲を通過していることから明らかである)。
【0035】
上記した角θ1を規定しているのは、被検査物Bの底面の外周部分(コーナー部分)に異物が集まり易いからである。特に、被検査物Bの内容物が粘性の低い液体の場合には、検査テーブル711の回転による遠心力によって当該被検査物Bの底面のコーナー部分に異物が集まり易くなる。また、被検査物Bの容器の底面形状の影響によっては、当該被検査物Bの底面のコーナー部分に異物が集まり易くなる。例えば、底面の中央部が内側に凸状となる底面形状の容器では、被検査物Bの底面の外周部分に異物が集まり易い。したがって、本実施形態では、被検査物Bの搬送領域のX線源200から最も遠い位置Pに係る角θ1を規定することによって、異物の検出精度を向上させることができる。
【0036】
(ラインセンサ)
ラインセンサ400は、X線源200から照射されたX線を検知して、制御部500にX線データ(輝度値)を出力する。本実施形態では、既設のトップチェーン型コンベア900から遠ざかる方向(矢印Y1方向)にX線が照射されるので、ラインセンサ400は、X線源200のトップチェーン型コンベア900とは反対側に配置されている。このラインセンサ400は、垂直方向(矢印Z方向)に沿って複数の素子が配置されるラインセンサである。このラインセンサ400において、X線源200から照射されるX線は、図4(a)に示すように、当該ラインセンサ400の上部(ラインセンサ400の中央より上側部分)において略水平方向に入射すると共に、ラインセンサ400の下部(ラインセンサ400の中央より下側部分)において斜め方向に入射する。
【0037】
(制御部)
図3に示すように、制御部500は、X線検査装置100の各アクチュエータ(第1モータ613、第2モータ713、第3モータ813等)の動作を制御する。また、本実施形態では、制御部500は、ラインセンサ400により検出されたX線データ(輝度値)に基づいて、被検査物Bの液面高さを検出する検出部として機能する。制御部(検出部)500は、X線を検知するラインセンサ400にデータ通信可能に接続されており、当該制御部500は、当該X線データ(輝度値)に基づいて、被検査物BのX線透過画像E(図4(b)参照)を作成し、当該X線透過画像Eから被検査物Bの液面高さを検出する。
【0038】
本実施形態では、被検査物Bの上部付近において、X線源200から照射されるX線が略水平方向に進行するので、当該上部付近については、液体内を通過したX線を検知したラインセンサ400によるX線データ(輝度値)と、液体外を通過したX線を検知したラインセンサ400によるX線データ(輝度値)と、に明確に差が生じるので、制御部500は、液面高さを容易に検出することができる。
【0039】
(筺体)
図1及び図2に示すように、筺体910は、X線源200を覆うように設けられ、当該筺体910の外部にX線が漏洩しないようにX線遮蔽構造を有している。そのため、X線源200から照射されたX線が乱反射した場合でも、該乱反射したX線を筺体910内に残留させることができる。この筺体910は、図2に示すように、上記した受取部600に被検査物Bを搬入させる搬入口(開口部)911と、上記した受渡部800から被検査物Bを搬出させる搬出口912(開口部)とを有している。本実施形態では、筺体910のトップチェーン型コンベア900側の面913には、開口が無く、搬入口911と搬出口912とは、平面視においてX線照射方向に対して直交する方向に開口している。
【0040】
(X線検査装置の動作)
次に、図2及び図3に示したX線検査装置100の動作の一例について説明を行う。
【0041】
図2及び図3に示すように、トップチェーン型コンベア900上を矢印HL1の方向に沿って搬送される被検査物Bが受取部600の案内ガイド板614により受取テーブル611側に移動される。この場合、被検査物Bは、矢印HL2の方向に沿って一対の案内ガイド板614の間を通過し、受取テーブル611に載置される。
【0042】
受取テーブル611に載置された被検査物Bは、受取テーブル611が矢印R1の方向に回転することにより、矢印HL3の方向に移送され、検査テーブル711に受け渡される。
【0043】
検査テーブル711に載置された被検査物Bは、検査テーブル711が矢印−R1の方向に回転することにより、検査テーブル711上を矢印HL4の方向に沿って移動し、X線検査位置Pに到達して、X線源200からX線が照射される。
【0044】
そして、X線が照射された被検査物Bは、X線検査位置Pから検査テーブル711上を矢印HL5の方向に沿って移動する。この際、前述したX線検査によって不良品と判断された被検査物Bは、図示しない不良品ボックスに投下される。一方、X線検査によって良品と判断された被検査物Bは、矢印HL6の方向に沿って一対の案内ガイド板814の間を通過し、受渡テーブル811に載置される。
【0045】
受渡テーブル811に載置された被検査物Bは、受渡テーブル811が矢印Rの方向に回転することにより、矢印HL7の方向に移送される。この場合、被検査物Bは、一対の案内ガイド板814の間を通過し、トップチェーン型コンベア900上に戻される。その後、トップチェーン型コンベア900で搬送される被検査物Bは、下流の梱包装置により梱包される。
【0046】
(本実施形態のX線検査装置の特徴)
以上のように、本実施形態のX線検査装置100では、X線源200が、搬送部700の水平な搬送面Mと、被検査物Bの搬送領域のX線源200から最も離れた位置Pとの交点Gへ入射するX線LYとのなす角θ1が0°<θ1≦30°を満たすように配置されている。このように、角θ1を0°より大きくすることによって、被検査物Bの底面を斜め上方から観察することができる(図4(b)のX線透過画像E参照)。これにより、底面付近の異物をラインセンサ400により拡大して検知することができる。また、角θ1を30°以下にすることによって、被検査物Bの全体を側方からX線照射することができるので、底面付近および被検査物Bの全体(中央部分および上面部分)についても異物検査を行うことができる。
【0047】
上記したように、底面付近の異物の検知が可能となれば、底面付近に異物が沈殿しやすい液体の被検査物Bの異物検査が可能となる。また、被検査物Bの全体の検査が可能となれば、中央部分および上面部分に異物が混入する可能性がある被検査物B(例えば、瓶入りのインスタントコーヒー(粒、粉)、スタンド型の菓子等)の異物検査が可能となる。すなわち、様々なタイプの被検査物Bの異物検査を行うことが可能な汎用性の高いX線検査装置100を得ることができる。
【0048】
また、本実施形態のX線検査装置100では、X線源200が照射野Wの中心Cと搬送面Mとのなす角θ2が0°<θ2≦30°を満たすように配置されている。このように、角θ2を0°より大きくすることによって、被検査物Bの底面を斜め上方から観察することができる(図4(b)のX線透過画像E参照)。これにより、底面付近の異物をラインセンサ400により拡大して検知することができる。また、角θ2を30°以下にすることによって、被検査物Bの全体を側方からX線照射することができるので、底面付近および被検査物Bの全体(中央部分および上面部分)についても異物検査を行うことができる。
【0049】
図5に示した従来のX線検査装置では、照射野Wpの中心Cpが水平面H(搬送面M)より下方に45°傾いているのに対して、図4に示した本実施形態のX線検査装置100では、照射野Wの中心Cが水平面H(搬送面M)より下方に10°傾いている。このとき、図5に示した従来のX線検査装置では、上記したθ1に対応する角が50°以上且つ55°以下の範囲(X線LYp付近の角度範囲)であるのに対して、図4に示した本実施形態のX線検査装置100では、θ1が0°<θ1≦30°の範囲となる。この場合、本実施形態に係るX線検査装置100で撮像したX線透過画像E(図4(b)参照)、および、従来のX線検査装置で撮像したX線透過画像Ep(図5(b)参照)では、共に被検査物Bの底面を斜め上方から観察できている。
【0050】
一方、従来のX線検査装置では、図5(a)に示すように、被検査物Bの上部付近において、X線(例えば、図5(a)中の45°で示したX線)が斜め上方から照射される。これに対して、本実施形態のX線検査装置100では、図4(a)に示すように、被検査物Bの上部付近において、X線(例えば、図4(a)中の0°及び5°で示したX線)が略水平方向に照射される。このため、従来のX線検査装置では、図5(b)に示すように、X線透過画像Epにおいて、被検査物Bの上部付近が斜め上方から観察されているのに対して、本実施形態のX線検査装置では、図4(b)に示すように、X線透過画像Eにおいて、被検査物Bの上部付近が横から観察されている。このため、従来のX線検査装置では、液面検査、容量検査、および、被検査物の上部付近の異物検査が困難になる。これに対して、本実施形態のX線検査装置100では、被検査物の底面付近の異物検査だけでなく、液面検査、容量検査、および、被検査物の上部付近の異物検査、も行うことができる。
【0051】
また、X線源200を角θ1(0°<θ1≦30°)且つ角θ2(0°<θ2≦30°)を満たすように配置することによって、X線源200の高さH1(図4(a)参照)が高くなるのを抑制することができる。その結果、X線検査装置100の高さが高くなるのを抑制することができ、X線検査装置100のコンパクト化を図ることができる。図5(a)に示すように、照射野Wpの中心Cpと水平面Hとのなす角θ2p=45°の従来のX線検査装置では、照射野Wp内に被検査物Bが納まる大きさにするには、X線源の高さH2を高くしなければならないところ、本実施形態では、X線源200の高さH1(図4(a)参照)を高くしなくとも、照射野W内に被検査物Bを納めることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態では、ラインセンサ400により検出されたX線データ(輝度値)に基づいて、被検査物BのX線透過画像E(図4(b)参照)を作成し、当該X線透過画像Eから被検査物Bの液面高さを検出する検出部(制御部500)を設けることによって、被検査物Bの液面高さを検知することができる。これにより、被検査物Bの液面検査を行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、X線源200から照射されるX線に略水平方向に照射されるX線(図4(a)中の0°のX線)が含まれることによって、被検査物Bの上部付近が真横から撮像されることになる。これにより、被検査物Bの液面検査および容量検査を行うことができる。したがって、上記した異物検査、および、内容物のレベルチェックを同時に行うことができる汎用性に優れたX線検査装置100を得ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、角θ1を10°≦θ1≦30°にすることによって、小さな異物の検出が可能となる。当該角θ1を10°≦θ1≦30°にすることにより小さな異物が検出可能となることは、後述する実施例により実証されている。また、同様に、角θ2を10°≦θ2≦30°にすることによって、小さな異物の検出が可能となる。当該角θ2を10°≦θ2≦30°にすることにより小さな異物が検出可能となることは、後述する実施例により実証されている。
【0055】
また、本実施形態では、角θ1を0°≦θ1≦30°にすることによって、被検査物BのX線通過距離L(以下で詳細に説明する)が短くなる。これにより、被検査物BのX線通過距離Lが短くなる分だけX線が被検査物Bで減衰されるのを抑制できるので、異物と被検査物Bとのコントラストが明確に現れて、異物の検出精度が向上する。
【0056】
具体的には、図5に示した従来のX線検査装置では、水平な搬送面Mと、被検査物Bの搬送領域のX線源200から最も離れた位置との交点Gpへ入射するX線LYpとのなす角θ1pが50°≦θ1p≦55°となっているのに対して、図4に示した本実施形態のX線検査装置100では、角θ1が0°≦θ1≦30°となっている。
【0057】
この場合、図4(a)および図5(b)に示すように、被検査物Bの底面のコーナー部分付近を通過するX線LY,LYpを比較すると、本実施形態のX線検査装置100のX線LYが被検査物Bを通過する距離(最長被検査物通過距離)Lは、従来のX線検査装置のX線LYpが被検査物Bを通過する距離(最長被検査物通過距離)Lpより、短くなっている。コーナー部分に異物がある場合、従来のX線検査装置では、X線LYpが距離Lpだけ被検査物Bを通過する間に減衰されて、被検査物Bと異物とのコントラストが小さくなるのに対して、本実施形態のX線検査装置100では、X線LYが被検査物Bを通過する距離Lが短いので、被検査物Bと異物とのコントラストが明確に現れる。その結果、異物の検出精度が向上する。
【0058】
また、本実施形態では、搬送部700が被検査物Bを外周端近傍に載置して搬送する検査テーブル711を含むことによって、粘性の低い液体の被検査物B内に異物が混入している場合、検査テーブル711の遠心力により当該被検査物B中の異物を外周方向に集合させることができる。その結果、異物の検出エリアをある程度特定することができるので、異物の検出精度がさらに向上する。特に、本実施形態では、角θ1(0°≦θ1≦30°)を、被検査物Bの搬送領域(異物が貯留しやすいエリア)との関係で規定しているので、当該異物の検出精度が非常に向上する。
【0059】
また、本実施形態のX線検査装置100において、被検査物Bが水平方向の長さより垂直方向の長さが大きい縦型であって、当該縦型の被検査物Bが搬送部700を起立姿勢で搬送されることによって、底面から被検査物Bの内容物の上限付近までの高さがある縦型の被検査物Bについて、当該X線検査装置100によりX線検査を行うことができる。
また、横倒して検査できない被検査物Bを起立姿勢の状態のままX線検査することができるので、X線検査後の後工程である梱包工程において、当該起立姿勢の被検査物Bを効率良く梱包することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態のX線検査装置100が垂直方向(矢印Z方向)に沿って複数の素子が配置されるラインセンサ400を備えることによって、ラインセンサ400が垂直方向に延在するので、水平方向に関して省スペース化を図ることができる。
【0061】
また、本実施形態に係るX線検査装置100において、X線源200から照射されるX線が、ラインセンサ400の上部において略水平方向に入射すると共に、ラインセンサ400の下部において斜め方向に入射する。すなわち、ラインセンサ400の上部において、被検査物Bの内容物の上限付近を通過したX線が入射する。この場合、被検査物Bの内容物が存在する部分を通過したX線と、被検査物Bの内容物が存在しない部分を通過したX線とが、連続的に当該ラインセンサ400の上部に入射する。これにより、被検査物Bの内容物が存在する部分と存在しない部分との境界分離が容易になる。
一方、ラインセンサ400の下部において、被検査物Bの底面付近を通過したX線が入射する。これにより、被検査物Bの底面付近に溜まる異物が拡大されるので、当該異物が検出し易くなる。
【0062】
<請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係>
上記実施形態においては、X線検査装置100が「X線検査装置」に相当し、X線源200が「X線源」に相当し、ラインセンサ400が「センサ」に相当し、制御部500が「検査部」に相当し、搬送部700が「搬送部」に相当し、検査テーブル711が「回転テーブル」に相当し、被検査物Bが「被検査物」に相当し、搬送面Mが「搬送面」に相当し、照射野Wが「照射野」に相当し、被検査物Bの搬送領域のX線源200から最も離れた位置Pとの交点Gへ入射するX線とのなす角θ1が「被検査物の搬送領域のX線源から最も離れた位置との交点へ入射するX線とのなす角」に相当し、照射野Wの中心Cと検査テーブル711の搬送面Mとのなす角θ2が「照射野の中心と前記搬送部の搬送面とのなす角」に相当する。
【実施例】
【0063】
以下、上記した実施形態に係るX線検査装置100の技術的効果を確認するために行った実施例について説明する。この実施例では、被検査物Bの一例として、図6(a)に示すように、サンプルS1、サンプルS2、および、サンプルS3を準備して、当該サンプルS1〜S3の傾き角度Xを10°、30°、45°および60°に変化させて、異物の検出限界サイズを測定した。なお、上記したサンプルS1〜S3の傾き角度Xは、上記した実施形態におけるθ1およびθ2のいずれにも相当する角度である(図6(b)参照)。θ1について、上記実施形態では、X線源200がX線を横方向から照射するのに対して、本実施例では、X線源がX線を縦方向から照射するという違いはあるが、上記実施形態における角θ1と、サンプルS1〜S3の底面とX線源から最も離れたサンプルS1〜S3のコーナー部分QeへのX線LY1とのなす角(角度X)と、が実質的に対応しているので、実施形態に係るθ1と本実施例に係る角度Xとは対応している。また、θ2について、同様に、上記実施形態では、X線源200がX線を横方向から照射するのに対して、本実施例では、X線源がX線を縦方向から照射するという違いはあるが、X線源に対してサンプルS1〜S3の底面(上記実施形態の搬送面Mに相当)を相対的に傾斜させる点で、本実施例は、上記した実施形態と共通しているので、実施形態に係るθ2と本実施例に係る角度Xとは対応している。
【0064】
この実施例では、異物の一例として、種々のサイズのSUS球からなる異物を準備し、上記したサンプルS1〜S3のそれぞれの底面のコーナー部分Qe(上記実施形態のコーナー部分Qに相当:図6(b)参照)に、当該種々のサイズのSUS球を貼り付けて、X線検査を行った。上記したX線検査装置100においては、X線源200の傾斜角度を水平方向から10°未満の範囲において、調整することが難しいため、本実施例においては、サンプルS1〜S3の傾き角度Xを10°以上で実験を行った。
【0065】
ここで、具体的な測定方法について説明しておく。この測定では、サンプルS1〜S3を搬送する搬送コンベアの上方にX線源が配置され、且つ、そのX線源から下方に向けてX線が照射される、いわゆる上照射タイプのX線検査装置(株式会社イシダ:IX−GE−4043)を用いた。そして、上記したように、サンプルS1〜S3を傾けた状態で搬送することによって、仮想の斜め照射として測定を実施した。搬送コンベアのスピードは、30m/minとし、感度設定はオートセットを使用した。X線照射角度を一定に保つために、サンプルS1〜S3は、搬送コンベアの中央で搬送される。測定結果は、図7に示す通りである。
【0066】
(サンプルS1についての測定結果)
図6(a)に示すように、サンプルS1は、底面が略楕円形状の被検査物であって、そのサイズは、当該略断面形状の長手方向の長さが約70mm、その長手方向に直交する方向の長さが約35mm、高さが約120mm、となっている。図7(a)に示すように、サンプルS1の傾き角度Xを10°にした場合、直径0.5mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS1の傾き角度Xを30°にした場合、直径0.5mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS1の傾き角度Xを45°にした場合、直径0.6mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS1の傾き角度Xを60°にした場合、直径0.7mmまでのサイズの異物が検出可能であった。
【0067】
(サンプルS2についての測定結果)
図6(a)に示すように、サンプルS2は、底面が略円形状の被検査物であって、そのサイズは、当該略断面形状の長手方向の長さが約60mm、その長手方向に直交する方向の長さが約60mm、高さが約170mm、となっている。図7(a)に示すように、サンプルS2の傾き角度Xを10°にした場合、直径0.6mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS2の傾き角度Xを30°にした場合、直径0.6mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS2の傾き角度Xを45°にした場合、直径0.7mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS2の傾き角度Xを60°にした場合、直径1.2mmまでのサイズの異物が検出可能であった。
【0068】
(サンプルS3についての測定結果)
図6(a)に示すように、サンプルS3は、底面が略矩形状の被検査物であって、そのサイズは、当該略断面形状の長手方向の長さが約85mm、その長手方向に直交する方向の長さが約85mm、高さが約180mm、となっている。図7(a)に示すように、サンプルS3の傾き角度Xを10°にした場合、直径0.7mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS3の傾き角度Xを30°にした場合、直径0.7mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS3の傾き角度Xを45°にした場合、直径1.0mmまでのサイズの異物が検出可能であった。また、サンプルS3の傾き角度Xを60°にした場合、直径1.5mmまでのサイズの異物が検出可能であった。
【0069】
(測定結果のまとめ)
図7(b)に示すように、サンプルS1〜S3の傾向を見ると、傾き角度Xが30°より大きくなると、異物の検出限界サイズが悪くなっているのが確認できた。言い換えれば、傾き角度Xが30°以下の場合には、いずれのサンプルS1〜S3において、異物の検出限界サイズが良好であると確認できた。すなわち、本実施例により、上記実施形態に係る角θ1を10°≦θ1≦30°にすることによって、小さな異物の検出が可能となることが実証された。また、同様に、角θ2を10°≦θ2≦30°にすることによって、小さな異物の検出が可能となることが実証された。
【0070】
サンプルS1〜S3の傾き角度Xが大きくなれば、X線源から照射されたX線がコーナー部分Qeに到達するまでにサンプルS1〜S3内を通過する距離が長くなり、サンプルS1〜S3の傾き角度Xが小さくなれば、X線源から照射されたX線がコーナー部分Qに到達するまでにサンプルS1〜S3内を通過する距離が短くなる。このため、サンプルS1〜S3の傾き角度Xが小さいときには、傾き角度Xが大きいときに比べて、X線が異物の手前であまり減衰されない。その結果、サンプルS1〜S3の傾き角度Xが小さいときに、異物とサンプルS1〜S3とのコントラストが明確に現れて、小さな異物まで検出可能になった。
【0071】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態および実施例に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態および実施例の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0072】
例えば、上記実施形態では、回転テーブルである検査テーブル711により被検査物Bの搬送部700を構成する例について説明したが、本発明の搬送部は、この検査テーブル711に限らず、種々の搬送部が適用可能である。例えば、コンベアベルトであっても良いし、トップチェーン型コンベアであっても良い。
【0073】
また、上記実施形態では、被検査物の一例として、水平方向の長さより垂直方向の長さが大きい縦型の被検査物Bを検査対象としたが、本発明はこれに限らず、垂直方向の長さが水平方向の長さより大きい横型の被検査物を検査対象としても良いし、袋状の被検査物を検査対象としても良い。
【0074】
また、上記実施形態では、垂直方向に沿って複数の素子が配置されるラインセンサ400を用いる例について説明したが、本発明はこれに限らず、ラインセンサの配置は垂直方向に限定されない。具体的には、図8に示した変形例のように、X線源200の照射野Wの中心Cが水平面H(搬送面M)に対してθ2(0°<θ2≦30°)傾いている場合において、ラインセンサ400Aの上部を垂直方向から外側にθ2と同じ角度だけ傾けても良い。
【符号の説明】
【0075】
100 X線検査装置
200 X線源
400 ラインセンサ
500 制御部
711 検査テーブル
B 被検査物
C 照射野の中心
H 水平面
W 照射野
Q 被検査物の底面のX線源から離れたコーナー部分
θ1 搬送部の水平な搬送面と、被検査物の搬送領域のX線源から最も離れた位置との交点へ入射するX線とのなす角
θ2 照射野の中心と搬送面とのなす角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される前記被検査物にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されるX線を検知するセンサとを備え、
前記X線源は、前記搬送部の水平な搬送面と、前記被検査物の搬送領域の前記X線源から最も離れた位置との交点へ入射する前記X線とのなす角(θ1)が0°より大きく且つ30°以下を満たすように配置されることを特徴とする、X線検査装置。
【請求項2】
被検査物を搬送する搬送部と、
前記搬送部で搬送される前記被検査物にX線を照射するX線源と、
前記X線源から照射されるX線を検知するセンサとを備え、
前記X線源は、照射野の中心と前記搬送部の搬送面とのなす角(θ2)が0°より大きく且つ30°以下を満たすように配置されることを特徴とする、X線検査装置。
【請求項3】
前記搬送面とのなす角が10°以上且つ30°以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のX線検査装置。
【請求項4】
前記センサにより検出されたX線透過画像に基づいて、前記被検査物の液面高さを検出する検出部をさらに備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項5】
前記X線源から照射されるX線には、略水平方向に照射されるX線が含まれることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項6】
前記搬送部は、前記被検査物を外周端近傍に載置して搬送する回転テーブルを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項7】
前記被検査物は、水平方向の長さより垂直方向の長さが大きい縦型であって、
当該縦型の被検査物は、前記搬送部を起立姿勢で搬送されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項8】
前記センサは、垂直方向に沿って複数の素子が配置されるラインセンサであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のX線検査装置。
【請求項9】
前記X線源から照射されるX線は、前記ラインセンサの上部において略水平方向に入射すると共に、前記ラインセンサの下部において斜め方向に入射することを特徴とする、請求項8に記載のX線検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−68126(P2012−68126A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213237(P2010−213237)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】