説明

X線画像合成装置、方法及びプログラム

【課題】
空港での手荷物検査官の訓練の効率を上げるなどのため、任意のX線撮影装置を用いて撮影された、異なる被写体に対する複数のX線画像を合成し、当該X線撮影装置を用いて異なる被写体を1画像として撮影されたX線画像と同等のX線画像を作成できるX線画像合成装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】
試験体データ入力手段1からX線撮影装置に固有な試験体データ2を入力する。合成係数算出手段3で、X線合成係数を算出し、X線合成係数DB4に登録する。合成対象物データ入力手段5よりX線部品画像を入力し、X線部品画像DB6に登録する。X線部品画像DB6には複数のX線部品画像を保持することができる。合成画像作成手段7で、合成先画像のオペレータが指定した位置にX線部品画像DB6から複数の画像部品を配置し、各画像部品とX線重ね合わせ用データ4から合成X線画像データ9を作成する。表示部10で、合成X線画像データ9を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像合成技術に係り、特に、X線検査に携わる検査員の訓練に好適な、複数のX線画像を合成する装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空港における手荷物のX線検査に携わる検査員を対象にした、X線画像から危険物を発見するための訓練は、モニターに表示されたX線画像を写真に撮影して実施されていた。手荷物のX線画像は、その内容物の位置や組み合わせによって表示のされ方が異なるため、内容物の位置や組み合わせを変えて、何度もX線装置から表示されたX線画像を撮影しなければならなかった。また、X線装置の機種毎にX線画像の輝度が異なるため、同一の手荷物であったとしても、X線装置の機種が異なる場合には、その都度、X線画像を撮影しなければならなかった。さらに、新たな危険物が発見される度に、それを用いたX線画像を何枚も撮影し訓練する必要があるため、訓練用のX線画像の作成は煩雑で時間を要する作業となっている。このような背景から、訓練用のX線画像を容易に作成する技術が求められていた。
【0003】
X線画像を作成する手法については、個々の物品(以下、部品という)の素材と、厚みと、X線透過率などからシミュレートし、X線画像を作成する手法が知られている。しかし、部品の素材や厚みなどを計測するには、多くの時間を費やさなければならない。特に、パソコンなど電子機器には複数の素材が使用されているため、すべての素材と厚みを明らかにすることは困難である。
【0004】
したがって、部品(例えば、バッグやバッグに入れる個々の日用品など)に対して、X線撮影装置によってX線画像(以下、X線部品画像という)を作成し、複数のX線部品画像を任意に合成して部品を重ね合わせたX線画像を作成することができれば、部品の組み合わせや位置を変更して撮影しなくてもよいため、訓練用のX線画像を作成する時間は大幅に短縮される。それによって、訓練の効率と効果の向上と、ひいては航空運輸の安全性の向上が実現できる。
【0005】
画像を合成する手法については、例えば、特許文献1には、X線画像にマーキング用の画像を合成する技術が示されている。また、X線画像以外の写真画像の場合には、複数画像を加工編集できる手法が多く開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−253430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の合成手法は、X線画像(11ビット/画素)の各画素の最上位ビットに非X線画像(1ビット/画素)のビットを割り付け、12ビット/画素の合成画像とする手法である。しかしながら、情報量が1ビット/1画素であるため、任意のX線部品画像など、白黒だけでなくその中間色も使用する画像を合成することは考慮されておらず、また、X線撮影装置の機種ごとに異なるX線画像を合成することはできない。
【0008】
一方、一般の写真画像を対象とする画像合成手法では、X線撮影装置固有の特性を考慮していないため、異なる被写体に対する複数のX線画像を合成したとしても、被写体を重ね合わせて撮影したX線画像と同等の画像を作成することはできない。
【0009】
本発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、任意のX線撮影装置を用いて撮影された、異なる被写体に対する複数のX線画像を合成し、当該X線撮影装置を用いて異なる被写体を1画像として撮影されたX線画像と同等のX線画像を作成できるX線画像合成装置、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題は、yを、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出する合成係数算出手段と、複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成する合成画像作成手段と、を備えることを特徴とするX線画像合成装置により達成できる。
【0011】
また、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを入力する試験体データ入力手段と、yを前記X線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出する合成係数算出手段と、複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを入力する合成対象物データ入力手段と、該X線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成する合成画像作成手段と、前記合成画像を表示する表示手段と、を備えることを特徴とするX線画像合成装置により達成できる。
【0012】
また、コンピュータを用いて構築されたX線画像合成装置におけるX線画像合成方法であって、予め、前記コンピュータが備える試験体データ入力手段が、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを入力するステップと、前記コンピュータが備える合成係数算出手段が、yを前記X線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出するステップと、を実行し、次いで、前記コンピュータが備える合成対象物データ入力手段が、複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを入力するするステップと、前記コンピュータが備える合成画像作成手段が、該X線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成するステップと、前記コンピュータが備える表示手段が、前記合成画像を表示するステップと、を実行することを特徴とするX線画像合成方法により達成できる。
【0013】
また、コンピュータを、X線画像合成手段として機能させるためのプログラムであって、予め、前記コンピュータを、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを入力する試験体データ入力手段と、yを前記X線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出する合成係数算出手段と、して機能させ、次いで、前記コンピュータを、複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを入力する合成対象物データ入力手段と、該X線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成する合成画像作成手段と、前記合成画像を表示する表示手段と、して機能させることを特徴とするプログラムにより達成できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、厚みの異なる同一素材のX線画像データからX線画像合成用の係数を算出し、当該係数を用いて計算することによって、複数のX線部品画像を合成でき、当該X線撮影装置と同等のX線画像を容易に作成することができる。
【0015】
さらに、被写体の組み合わせや位置を何度も変更しても、X線撮影装置で撮影する必要がなくなるため、訓練用のX線画像を作成する時間を大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による画像合成処理の機能ブロック図である。
【図2】合成画像作成までの全体の処理フローを説明する図である。
【図3】試験体データの例を示した図である。
【図4】試験体データより計測した、輝度と厚みのデータの例を示した図である。
【図5】図4のデータから求められたX線画像合成係数を含むX線画像合成係数DB(データベース)の内容を示した図である。
【図6】図4のデータと求められた数1のグラフを示した図である。
【図7】X線部品画像の例を示した図である。
【図8】合成画像作成手段7での処理フローを示した図である。
【図9】各X線部品画像から輝度を計測する際の輝度の計測方法を示した図である。
【図10】合成した画像の例を示した図である。
【図11】危険物の存在する画像の表示例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は本実施形態におけるX線画像合成装置のブロック図である。X線画像合成装置は、厚みの異なる同一素材のX線画像と厚みデータを入力する試験体データ入力手段1と、試験体データを記憶する試験体DB2と、記憶された複数の試験体データからX線画像合成係数を算出する合成係数算出手段3と、X線画像合成係数を記憶するX線画像合成係数DB4と、訓練に使用するX線部品画像を入力する合成対象物データ入力手段5と、X線部品画像を記憶するX線部品画像DB6と、X線画像合成係数DB4に記憶されているX線画像合成係数を用いて、任意のX線部品画像を合成する合成画像作成手段7と、合成画像作成手段7によって合成されたX線画像を記憶する合成画像DB8と、合成されたX線画像をモニター画面に表示する表示手段9で構成されている。
【0018】
試験体データ入力手段1、合成係数算出手段3、合成対象物データ入力手段5、合成画像作成手段7、表示手段9は、いずれも、例えば、所定演算処理プログラムを記憶したROMやハードディスク、その演算処理プログラムを実行するCPU、読み込んだデータを一時的に記憶するためのRAMなどで構成されている。また、試験体DB2、X線画像合成係数DB4、X線部品画像DB6、合成画像DB8は、例えばハードディスクなどの記憶媒体で構成されている。
【実施例】
【0019】
以下に、空港で手荷物を検査するために使用している所定のX線透視手荷物検査装置を通して作成した複数のX線部品画像をコンピュータで合成し、空港の検査員に対して合成したX線画像内に危険物を発見させる訓練を実施する場合を例に、本発明について説明する。なお、本実施例で用いるX線透視手荷物検査装置の機種名を「X線検査装置A」とする。
【0020】
図2は図1で示された装置全体の処理手順を示すフローチャートである。図1に示すブロック構成を参照しつつX線画像合成装置の動作を説明する。
【0021】
ステップS21において、所定のX線撮影装置で作成したX線画像の試験体データが試験体データ入力手段1により入力される。試験体データとは、厚みの異なる同一素材からなる試験体のX線画像と試験体の厚みのデータ及びX線撮影装置の機種名である。本実施例では、試験体として1mm、2mm、3mm、4mmの厚みのある鉄板を使用し、試験体DB2には図3の通り、X線透視手荷物検査装置のX線画像とその機種名として「X線検査装置A」及び鉄板の厚みデータが記憶される。試験体の素材は必ずしも鉄でなくても良いが、均質で、厚みの違いによる濃度の差がX線画像にはっきり写る程度のX線吸収率を持つ素材であることが必要である。また、厚みは正確である必要がある。X線画像と試験体の厚みとX線撮影装置の機種名は、例えばリレーショナルデータベースによって関連付けられているものとする。
【0022】
次に、ステップS22からステップS23において、X線画像の合成係数が合成係数算出手段3により算出される。ステップS22では、試験体DB2に記憶された同一機種名かつ同一素材のX線画像の試験体の各ピクセルの輝度の平均を算出する。本実施例では、図4の通りX線検査装置Aで撮影した試験体データの厚みごとの輝度の平均I(輝度)が算出される。
【0023】
ステップS23では、ステップS22で算出した輝度から、X線画像合成係数(X線撮影装置固有の合成係数)を算出し、図5の通り機種名とともにX線画像合成係数DB4に記憶される。X線画像合成係数は、図6に示す通り、試験体データの輝度と厚みから数1により近似計算して算出する。
【0024】
【数1】

【0025】
ただしa、bは係数である。数1は、X線が透過する物体の厚さxと、X線透過率即ち画像の輝度yの相関を表し、求められた係数aがX線画像合成係数となる。図6は機種名「X線検査装置A」の例であり、X線画像合成係数は158.17となる。
【0026】
ステップS24以降では、検査員に対して訓練を行うためのX線部品画像の入力と、X線画像の合成が行われる。ステップS24においては、例えばX線検査装置Aで撮影したX線部品画像、X線部品画像の名称及び機種名「X線検査装置A」が、合成対象物データ入力手段5によって入力され、X線部品画像DB6に記憶される。X線部品画像DB6に記憶される画像は、例えば図7に示すような、バッグ、バッグに入れる日用品、あるいは危険物などの手荷物の画像、その画像名称、及び機種名「X線検査装置A」である。
【0027】
ステップS25においては、X線部品画像DB6に記憶された画像の中から任意に選択された複数のX線部品画像が、合成画像作成手段7で合成され、合成画像DB8に記憶される。
【0028】
合成画像作成手段7の処理の詳細を図8のフローチャートを用いて説明する。任意に選択された複数のX線部品画像に対して、ステップS91において合成する全ての画素の計算が終了した場合に画像合成の処理が終了する。そうでない場合には、ステップS92においてX線部品画像の画素から輝度を計測する。ステップS92での輝度計測の詳細について図9を用いて説明する。図9は、合成する画像上のある画素Pの輝度を求める場合を示した図である。画素Pの位置にはX線部品画像AとX線部品画像Bの2種のX線部品画像が配置されている。Paは合成画像上のX線部品画像A配置内における画素Pの位置に相当するX線部品画像A上の画素である。同様に、Pbは合成画像上のX線部品画像B配置内における画素Pの位置に相当するX線部品画像B上の画素である。この場合、画素Pa、画素Pbが輝度を計測する画素となる。
【0029】
ステップS93において、X線部品画像を撮影したX線撮影装置に関するX線画像合成係数で輝度を各々除算することにより、各X線部品画像のX線透過率を算出する。例えば、X線検査装置Aで撮影したX線部品画像からX線透過率を算出する場合は、X線検査装置Aの合成係数158.17で輝度を各々除算すればよい。除算の手順は、図9を用いて説明すると、Paの輝度が100、Pbの輝度が130の場合のX線透過率は、Paは100を158.17で除算し、Pbは130を158.17で除算し、それぞれ0.63と0.82となる。
【0030】
ステップS94において各X線部品画像のX線透過率を全て乗算し、合成する画素のX線透過率を求める。例えば、図9のPaとPbのX線透過率が前述の通り0.63と0.82の場合には、合成する画素のX線透過率は、0.63と0.82を乗算し、0.52となる。
【0031】
ステップS95において、ステップS94で求めたX線透過率に、合成画像で想定するX線撮影装置のX線画像合成係数を乗算することによって輝度に変換する。例えば、X線検査装置Aと同等の画像を作成する場合は、図5の158.17を合成係数として乗算すれば良く、前述のX線透過率0.52の輝度は82.25となる。合成画像で想定するX線撮影装置は、X線部品画像を撮影したX線撮影装置と同一でなくても良い。合成画像で想定するX線撮影装置がX線部品画像を撮影したX線撮影装置と異なる場合、ステップS93で使用するX線画像合成係数とステップS95で使用するX線画像合成係数は異なる係数を使用することとなる。
【0032】
ステップS96において、ステップS94によって求めた輝度を、合成する画素にセットする。例えば、図9を用いて説明すると、PaとPbを合成した輝度82.25を合成する画素の位置Pにセットする。ステップS92からステップS96まで全ての画素に対して繰り返すことにより、合成画像データが作成される。例えば、図10はバッグと刃物とデジタルカメラを合成した例である。合成画像データは合成画像DB8に格納される。
【0033】
ステップS26においては、空港で手荷物の検査に当たる検査員に対して訓練を行うために、ステップS25で作成し、合成画像DB8に格納された合成画像データを表示手段9で表示させる。例えば、図11に示す通り、危険物の存在する画像や存在しない画像を繰り返し表示させる。検査員に危険物の有無を回答させることによって発見率を高めることができる。
【0034】
ステップS21からステップS23と、ステップS24と、ステップS25からステップS26はそれぞれ独立に実施することができる。例えば、最初に、ステップS21からステップS23でX線画像合成係数をX線画像合成係数DB4に登録しておく。次に、ステップS21からステップS23までは操作せず、ステップS24でX線部品画像をX線部品画像DB6に登録しておく。それ以降は起動のたびにステップS21からステップS24を操作する必要はなく、既存のX線画像合成係数とX線部品画像を使用してステップS25からステップS26の操作で画像合成を行うことができる。ただし、合成画像作成手段7で使用するX線画像合成係数は、X線画像合成係数DB4に全て登録されていなくてはならない。
【0035】
本実施例の通り使用することによって、危険物や日用品の組み合わせ画像を簡単に作成することができるため、検査員は多種の画像から訓練することが可能になる。本実施例に基づいて最新の危険物を組み合わせた画像を作成し、全国の空港に配布することにより検査員のレベルアップにつなげることが可能となる。
【符号の説明】
【0036】
1 試験体データ入力手段
2 試験体DB
3 合成係数算出手段
4 X線画像合成係数DB
5 合成対象物データ入力手段
6 X線部品画像DB
7 合成画像作成手段
8 合成画像DB
9 表示手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
yを、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出する合成係数算出手段と、
複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成する合成画像作成手段と、
を備えることを特徴とするX線画像合成装置。
【請求項2】
所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを入力する試験体データ入力手段と、
yを前記X線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出する合成係数算出手段と、
複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを入力する合成対象物データ入力手段と、
該X線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成する合成画像作成手段と、
前記合成画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とするX線画像合成装置。
【請求項3】
コンピュータを用いて構築されたX線画像合成装置におけるX線画像合成方法であって、
予め、前記コンピュータが備える試験体データ入力手段が、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを入力するステップと、
前記コンピュータが備える合成係数算出手段が、yを前記X線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出するステップと、を実行し、
次いで、前記コンピュータが備える合成対象物データ入力手段が、複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを入力するするステップと、
前記コンピュータが備える合成画像作成手段が、該X線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成するステップと、
前記コンピュータが備える表示手段が、前記合成画像を表示するステップと、を実行することを特徴とするX線画像合成方法。
【請求項4】
コンピュータを、X線画像合成手段として機能させるためのプログラムであって、
予め、前記コンピュータを、所定のX線撮影装置を用いて撮影された、同一素材で厚さの異なる複数の試験体のX線画像データを入力する試験体データ入力手段と、
yを前記X線画像データを構成する画素の輝度、xを前記試験体の厚さ、a及びbを係数としたとき、関係式y=a*exp(−bx)に基づき、係数aを算出する合成係数算出手段と、して機能させ、
次いで、前記コンピュータを、複数の合成対象物毎に前記X線撮影装置を用いて撮影された、個々のX線画像データを入力する合成対象物データ入力手段と、
該X線画像データを構成する画素の輝度を、前記係数aで除して、該画素におけるX線透過率(exp(−bx))を求め、該X線画像データの合成により重なり合う画素における前記X線透過率どうしを乗じて、合成後の該画素におけるX線透過率とし、該X線透過率に前記係数aを乗じて、該画素の輝度とする合成画像を作成する合成画像作成手段と、
前記合成画像を表示する表示手段と、して機能させることを特徴とするプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−230532(P2010−230532A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−79132(P2009−79132)
【出願日】平成21年3月27日(2009.3.27)
【特許番号】特許第4471032号(P4471032)
【特許公報発行日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(398038720)システム・プロダクト株式会社 (6)
【出願人】(507215356)財団法人空港保安事業センター (2)
【Fターム(参考)】