説明

X線異物検出装置

【課題】画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができるX線異物検出装置を提供すること。
【解決手段】搬送路上を搬送される被検査物Wに互いに異なる強度のX線を照射するX線管12a、12bと、被検査物Wの搬送方向に配置され、異物判定に必要な解像度より高解像度であるとともにX線管12a、12bから照射され被検査物Wを透過するX線に応じた画像データをそれぞれ出力するX線ラインセンサ50、60と、X線ラインセンサ50、60からの画像データを合成して被検査物Wに対応する1つの画像データとして出力する画像合成部44と、画像合成部44からの画像データの画像サイズを縮小する画像縮小部46と、画像縮小部46が出力する画像データに基づいて被検査物W中の異物の有無を判定する判定部48と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肉、魚、加工食品、医薬品等の被検査物中に混入した異物を検出するX線異物検出装置に関し、特に、複数本のX線ラインセンサからの画像を合成して異物を強調させた画像を得るエネルギーサブトラクション法を採用したX線異物検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線異物検出装置は、搬送路上を所定間隔で順次搬送されてくる各品種の被検査物(例えば、肉、魚、加工食品、医薬品など)にX線発生器からX線を照射し、この照射したX線の透過量から被検査物中に金属、ガラス、石、骨などの異物が混入しているか否かや被検査物の欠品などを検査するようになっている。
【0003】
従来、この種のX線異物検出装置では、管電圧の異なるX線源を用いて得た複数枚(例えば、2枚)の画像を合成することで、被検査物の厚みによる影響を低減させ、異物を強調させた画像を得るエネルギーサブトラクション法を採用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−91483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、エネルギーサブトラクション法を用いて2台のX線ラインセンサカメラからの画像を合成する際に、X線ラインセンサカメラの素子サイズ程度、被検査物の位置ズレが生じてしまうため、合成した画像上における被検査物の位置ズレにより被検査物のエッジが強調されてしまい異物検出感度が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができるX線異物検出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るX線異物検出装置は、被検査物を搬送路上で搬送する搬送手段と、前記搬送路上を搬送される被検査物に互いに異なる強度のX線を照射する第1のX線源および第2のX線源と、前記被検査物の搬送方向に配置され、異物判定に必要な解像度より高解像度であるとともに前記第1のX線源および前記第2のX線源から照射され前記被検査物を透過するX線に応じた画像データをそれぞれ出力する第1のX線ラインセンサおよび第2のX線ラインセンサと、前記第1のX線ラインセンサおよび第2のX線ラインセンサからの画像データを合成して前記被検査物に対応する1つの画像データとして出力する画像合成手段と、前記画像合成手段からの画像データの画像サイズを縮小する画像縮小手段と、前記画像縮小手段が出力する画像データに基づいて前記被検査物中の異物の有無を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成により、画像合成手段で高解像度の画像データを用いて合成することにより素子サイズに由来する画像上の被検査物の位置ズレを低減することができ、また、合成後の画像を画像縮小手段により縮小することにより、合成後の画像上に残った被検査物の位置ズレを画像サイズの縮小とともに更に低減することができる。
【0009】
また、合成後の画像を画像縮小手段により縮小することにより、判定手段の仕様を変更することなく異物の判定を行うことができる。
【0010】
したがって、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0011】
また、本発明に係るX線異物検出装置は、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサの走査周期を短くすることにより、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサが、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする。
【0012】
この構成により、第1のX線ラインセンサおよび第2のX線ラインセンサに高解像度のセンサを用いることなく、低コストに、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0013】
また、本発明に係るX線異物検出装置は、前記搬送手段による被検査物の搬送速度を低速にすることにより、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサが、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする。
【0014】
この構成により、第1のX線ラインセンサおよび第2のX線ラインセンサに高解像度のセンサを用いることなく、低コストに、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0015】
また、本発明に係るX線異物検出装置は、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサの検出素子のサイズを小さくすることにより、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサが、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする。
【0016】
この構成により、検査速度の低下を招くことなく検出素子が配列される主走査方向にも高解像度の画像を得ることができ、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができるX線異物検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係るX線異物検出装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るX線異物検出装置の側面および内部構成を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係るX線異物検出装置の画像処理の概念を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るX線異物検出装置の画素サイズの大きさ(解像度)と被検査物Wの位置ズレとの関係を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
まず構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、X線異物検出装置1は、搬送部2と検出部3とを筐体4の内部に備え、表示器5を筐体4の前面上部に備えている。
【0022】
搬送部2は、被検査物Wを所定間隔をおいて順次搬送するものである。この搬送部2は、例えば筐体4に対して水平に配置されたベルトコンベアにより構成されている。搬送部2は、図1に示す駆動モータ6の駆動により予め設定された搬送速度で搬入口7から搬入された被検査物Wを搬出口8側(図中X方向)に向けて搬送面としてのベルト面2a上を搬送させるようになっている。筐体4内部においてベルト面2a上を搬入口7から搬出口8まで貫通する空間は搬送路21を形成している。
【0023】
検出部3は、順次搬送される被検査物Wに対し、搬送路21の途中の検査空間22においてX線を照射するとともに被検査物Wを透過するX線を検出するものであり、搬送路21途中の検査空間22の上方に所定高さ離隔して配置されたX線発生器9と、搬送部2内にX線発生器9と対向して配置されたX線検出器10を備えている。
【0024】
X線発生源としてのX線発生器9は、金属製の箱体11の内部に設けられた円筒状のX線管12a、12bを図示しない絶縁油に浸漬した構成を有しており、X線管12a、12bの陰極からの電子ビームを陽極のターゲットに照射させてX線を生成している。X線管12a、12bは、その長手方向が被検査物Wの搬送方向(X方向)となるよう配置されている。X線管12a、12bにより生成されたX線は、下方のX線検出器10に向けて、図示しないスリットにより略三角形状のスクリーン状となって搬送方向(X方向)を横切るように照射されるようになっている。
【0025】
ここで、X線管12a、12bが発生するX線の強度は、X線管12a、12bの陽極と陰極との間に流す電流(管電流)に比例して変化するとともに、発生するX線の波長がX線管12a、12bの陽極と陰極との間に印加する電圧(管電圧)に応じて短くなり透過力が強くなる。本実施の形態では、X線管12aが発生するX線の強度とX線管12bが発生するX線の強度を異ならせており、例えば、X線管12aを高出力、X線管12bを低出力として、異なる透過特性のX線により互いに異なるコントラストの画像データを出力するようにしている。なお、X線管12a、12bが発生するX線の強度は、必ずしも一定値に固定されるものではなく、検出対象とする異物および被検査物Wの種類や搬送速度に応じて、X線管12a、12bの管電流または管電圧が調整されるようになっている。
【0026】
X線検出器10は、搬送される被検査物Wの搬送方向(X方向)の平面上で搬送方向と直交するY方向に複数の検出素子を直線状に並べたX線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60を被検査物Wの搬送方向に備えている。X線ラインセンサ50は、高出力のX線管12aから照射されて被検査物Wを透過した検出信号(濃度データの画像)を出力し、X線ラインセンサ60は、高出力のX線管12bから照射されて被検査物Wを透過した検出信号(濃度データの画像)を出力するようになっている。
【0027】
ここで、本実施の形態では、X線検出器10は、内蔵する図示しないA/D変換部によりX線ラインセンサ50、60の検出信号(輝度値データ)をデジタルデータに変換して濃度データとして出力するようになっているが、X線検出器10の外部にA/D変換部を備える構成としたり、A/D変換前の輝度値データのまま後段の制御部40に出力する等の構成としてもよく、デジタルデータである濃度データに変換することは必須要件ではない。
【0028】
X線ラインセンサ50、60を備えるX線検出器10からは、後述する判定部48(図2参照)での異物混入の有無の判定に必要な解像度よりも高解像度の画像データを出力するようになっている。
【0029】
例えば、X線ラインセンサ50、60がそれぞれ備える複数の検出素子のサイズを、異物混入の有無の判定に必要なサイズよりも小さくすることで、X線検出器10から高密度、高解像度の画像データを得ることができる。
【0030】
また、X線ラインセンサ50、60の走査周期を短くすることで、被検査物Wの搬送方向に限定されるが、走査周期が長い場合よりも、X線検出器10から高密度、高解像度の画像データを得ることができる。
【0031】
また、被検査物Wの搬送速度を低速にすることにより、一定の走査周期に対して、X線検出器10から高密度、高解像度の画像データを得ることができる。
【0032】
なお、X線検出器10から高解像度の画像データを得るための上記の手法は、組合せて用いることができる。
【0033】
図2に示すように、搬送路21内の天井部21aには、搬送方向(X方向)に沿って複数個所にX線遮蔽用の遮蔽カーテン16が吊り下げ配置されている。遮蔽カーテン16は、X線を遮蔽する鉛粉を混入したゴムシートをのれん状(上部が繋がっており下部が帯状に分割された状態)に加工したものから構成されており、検査空間22から搬送路21を介してX線が筐体4の外部に漏えいすることを防止するものである。遮蔽カーテン16は、本実施の形態では、搬入口7と検査空間22との間、および検査空間22と搬出口8との間にそれぞれ2枚ずつ設けられており、1つの遮蔽カーテン16が被検査物Wと接触して弾性変形して隙間が生じた場合でも、他の遮蔽カーテン16がX線を遮蔽するので漏えい基準量を超えることなくX線の漏えいを防止できるようになっている。搬送路21における遮蔽カーテン16により囲まれた内側の空間が検査空間22を構成している。
【0034】
X線異物検出装置1は、X線検出器10からの濃度データが入力されるとともに被検査物W中の異物の有無を判定する制御部40を備えている。
【0035】
制御部40は、X線ラインセンサ50、60からの濃度データをそれぞれ複数記憶する記憶部42と、X線ラインセンサ50、60からの濃度データの画像(以下、単に画像という)を合成する画像合成部44と、画像合成部44から出力された合成された画像を縮小する画像縮小部46と、画像縮小部46で縮小された画像に対して被検査物Wと異物との判別を行って異物の混入の有無を判定する判定部48と、判定結果を表示する表示器5とを備えている。
【0036】
記憶部42は、X線ラインセンサ50、60からの画像を一時的に記憶するものであり、画像を高速に記憶および読み出しが可能なメモリから構成されている。
【0037】
画像合成部44は、X線ラインセンサ50からの画像と、X線ラインセンサ60からの画像とを、そのまま、すなわち素子サイズ(画素サイズ)が小さい高解像度のままで合成するようになっており、これにより、X線ラインセンサ50からの画像とX線ラインセンサ60からの画像とを合成するときの画像上の被検査物Wの位置合わせの精度が高められ、2つの画像間における位置ズレを低減している。
【0038】
具体的には、図3に示すように、X線ラインセンサ50からの画像Aと、X線ラインセンサ60からの画像Bは、何れも小さい素子サイズ(高解像度)のままの画像であり、これらの画像Aと画像Bとを画像合成部44で合成することで、画素サイズに由来する合成画像AB上の2つの被検査物Wの位置ズレを低減するようになっている。
【0039】
ここで、画素サイズの大きさ(解像度)と被検査物Wの位置ズレとの関係について説明する。図4に示すように、X線ラインセンサ50からの画像A上の被検査物Wの位置と、X線ラインセンサ60からの画像B上の被検査物Wの位置との間には、各ラインセンサ間での画像の取得タイミングによる位置ズレを除外した場合であっても、X線ラインセンサ50、60の素子サイズ程度、位置ズレが生じてしまう。すなわち、この位置ズレは、X線ラインセンサ50、60の画素の大きさ、すなわち解像度に由来するものであり、画素が大きく解像度が低ければ位置ズレが大きくなるが、上記のように、画素が小さく解像度が高い画像を用いることで位置ズレが低減されることとなる。
【0040】
画像縮小部46は、画像合成部44で合成された画像を、下段の判定部48での異物判定に必要な素子サイズまで縮小、すなわち低解像度の画像に縮小するようになっている。
【0041】
具体的には、図3に示すように、画像合成部44で合成された後の合成画像ABの画像サイズを縮小することにより、合成後の合成画像AB上に残った被検査物の位置ズレを画像サイズの縮小とともに更に低減するようになっている。また、画像縮小部46により、画像を下段の判定部48での異物判定に必要な素子サイズまで縮小することにより、判定部48の対応画像サイズに関する設計を変更する必要がなくなる。
【0042】
このように、本実施の形態では、従来よりも高解像度の画像を用いて2つの画像を合成することで位置ズレを低減し、合成後の高解像度の画像を縮小することで後段での異物の判定用の低解像度の低解像度の画像とするとともに、位置ズレを更に低減するようになっている。
【0043】
判定部48は、画像縮小部46で縮小された画像に対して、画像上の被検査物Wの中から異物を検出し、異物の混入の有無を判定するようになっている。
【0044】
また、制御部40は、設定部49を備えており、この設定部49からは、X線発生器9のX線出力、被検査物Wの搬送速度、X線検出器10の走査周期等の検査パラメータの設定操作、選択操作が行われるようになっている。
【0045】
次に動作を説明する。
【0046】
制御部40は、予め設定された速度で搬送部2を駆動して被検査物Wを搬送するとともに、予め設定された強度でX線発生器9から被検査物WにX線を照射する。
【0047】
ついで、制御部40は、X線ラインセンサ50からの画像とX線ラインセンサ60からの画像とを記憶部42に記憶する。
【0048】
ついで、制御部40は、画像合成部44により、X線ラインセンサ50からの画像と、X線ラインセンサ60からの画像とを、小さい素子サイズのままで合成する。
【0049】
ついで、制御部40は、画像縮小部46により、画像合成部44で合成された画像を縮小する。
【0050】
ついで、制御部40は、判定部48により、画像縮小部46で縮小された画像に対して、画像上の被検査物Wの中から異物を検出し、異物の混入の有無を判定し、判定結果を表示器5に表示する。
【0051】
以上のように、本実施の形態に係るX線異物検出装置1は、被検査物Wを搬送路上で搬送する搬送部2と、搬送路上を搬送される被検査物Wに互いに異なる強度のX線を照射するX線管12a、X線管12bと、被検査物Wの搬送方向に配置され、異物判定に必要な解像度より高解像度であるとともにX線管12a、X線管12bから照射され被検査物Wを透過するX線に応じた画像データをそれぞれ出力するX線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60と、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60からの画像データを合成して被検査物Wに対応する1つの画像データとして出力する画像合成部44と、画像合成部44からの画像データの画像サイズを縮小する画像縮小部46と、画像縮小部46が出力する画像データに基づいて被検査物W中の異物の有無を判定する判定部48と、を備えている。
【0052】
この構成により、画像合成部44で高解像度の画像データを用いて合成することにより素子サイズに由来する画像上の被検査物Wの位置ズレを低減することができ、また、合成後の画像を画像縮小部46により縮小することにより、合成後の画像上に残った被検査物Wの位置ズレを画像サイズの縮小とともに更に低減することができる。
【0053】
また、合成後の画像を画像縮小部46により縮小することにより、判定部48の仕様を変更することなく異物の判定を行うことができる。
【0054】
したがって、画像合成時の画像上の被検査物Wの位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るX線異物検出装置1は、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60の走査周期を短くすることにより、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60が、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする。
【0056】
この構成により、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60に高解像度のセンサを用いることなく、低コストに、画像合成時の画像上の被検査物Wの位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0057】
また、本実施の形態に係るX線異物検出装置1は、搬送部2による被検査物Wの搬送速度を低速にすることにより、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60が、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする。
【0058】
この構成により、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60に高解像度のセンサを用いることなく、低コストに、画像合成時の画像上の被検査物Wの位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0059】
また、本実施の形態に係るX線異物検出装置1は、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60の検出素子のサイズを小さくすることにより、X線ラインセンサ50およびX線ラインセンサ60が、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする。
【0060】
この構成により、検査速度の低下を招くことなく検出素子が配列される主走査方向にも高解像度の画像を得ることができ、画像合成時の画像上の被検査物Wの位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができる。
【0061】
また、上記した実施の形態では、互いにX線強度が異なる2つのX線ラインセンサ50、60を備えているが、より多くのX線ラインセンサを被検査物Wの搬送方向に配置し、各X線ラインセンサからの画像を合成するように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明に係るX線異物検出装置は、画像合成時の画像上の被検査物の位置ズレを低減し、異物検出能力の低減を防ぐことができるという効果を有し、複数本のX線ラインセンサからの画像を合成して異物を強調させた画像を得るエネルギーサブトラクション法を採用したX線異物検出装置として有用である。
【符号の説明】
【0063】
1 X線異物検出装置
2 搬送部(搬送手段)
2a ベルト面
3 検出部
4 筐体
5 表示器
6 駆動モータ
7 搬入口
8 搬出口
9 X線発生器
10 X線検出器
11 箱体
12a X線管(第1のX線源)
12b X線管(第2のX線源)
16 遮蔽カーテン
21 搬送路
21a 天井部
22 検査空間
42 記憶部
44 画像合成部(画像合成手段)
46 画像縮小部(画像縮小手段)
48 判定部(判定手段)
49 設定部
50 X線ラインセンサ(第1のX線ラインセンサ)
60 X線ラインセンサ(第2のX線ラインセンサ)
W 被検査物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を搬送路上で搬送する搬送手段と、
前記搬送路上を搬送される被検査物に互いに異なる強度のX線を照射する第1のX線源および第2のX線源と、
前記被検査物の搬送方向に配置され、異物判定に必要な解像度より高解像度であるとともに前記第1のX線源および前記第2のX線源から照射され前記被検査物を透過するX線に応じた画像データをそれぞれ出力する第1のX線ラインセンサおよび第2のX線ラインセンサと、
前記第1のX線ラインセンサおよび第2のX線ラインセンサからの画像データを合成して前記被検査物に対応する1つの画像データとして出力する画像合成手段と、
前記画像合成手段からの画像データの画像サイズを縮小する画像縮小手段と、
前記画像縮小手段が出力する画像データに基づいて前記被検査物中の異物の有無を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とするX線異物検出装置。
【請求項2】
前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサの走査周期を短くすることにより、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサが、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする請求項1に記載のX線異物検出装置。
【請求項3】
前記搬送手段による被検査物の搬送速度を低速にすることにより、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサが、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする請求項1に記載のX線異物検出装置。
【請求項4】
前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサの検出素子のサイズを小さくすることにより、前記第1のX線ラインセンサおよび前記第2のX線ラインセンサが、異物判定に必要な解像度より高解像度の画像データを出力することを特徴とする請求項1に記載のX線異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−122927(P2012−122927A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275516(P2010−275516)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】