Array ( [harmful] => 0 [next] => Array ( [id] => A,2012-109106 [meishou] => X線発生装置及びX線管の駆動方法 ) [prev] => Array ( [id] => A,2012-109104 [meishou] => 面光源装置及び立体表示装置 ) ) X線管装置

X線管装置

【課題】 X線管装置を冷却及び加熱する構造を持ったX線管装置を提供する。
【解決手段】 陽極とこれに対向する位置に陰極を配置し、前記陽極及び陰極を支持し、且つ前記陽極及び陰極の間の絶縁を確保する為に前記陽極及び陰極の周囲を真空に保つための真空外囲器から構成されたX線管球と、前記X線管球の前記陽極と前記陰極に高電圧を印加するための高電圧接続部と、前記X線管球と前記高電圧接続部の絶縁及び前記X線管球の冷却をするための絶縁油、及びこれらを抱合する管容器から構成されるX線管装置において、発熱源であるターゲットによるX線管球表面の熱をペルチェ素子の吸熱側より吸収し、ペルチェ効果により吸熱温度より高い温度として放熱側へ熱を移動させることにより、放熱側を高温にし熱伝達による絶縁油への放熱をしやすくすることで冷却効率を高め、さらに前記ペルチェ素子への供給電流向きを逆にすることでX線管装置を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線管装置に関するものであり、特に、X線管装置の冷却及び加熱に係る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
X線管はその発生X線を被検体に照射し、被検体を透過したX線の線量を測定し、その測定線量に基づいてX線画像を作成して、被検体の検査または診断を行うX線装置に用いられている。X線管を搭載したX線装置は、医療の分野ではX線透視装置やX線撮影装置などに、また工業用の分野では種々の製品の欠陥検査や異物検査などに広く利用されている。
【0003】
X線管装置においてはX線を発生させるために陰極から放出した電子を陽極に衝突させる。衝突のエネルギーの約1%がX線となるが約99%は熱となるため、X線管装置の各部は高温になってしまう。したがってX線管装置において発生する熱をどう扱うかはきわめて重要な問題である。
【0004】
特にターゲットは非常に高温になり、輻射によりターゲット周辺の真空外囲器などの温度も上昇する。またX線管にはターゲットから跳ね返った電子(以下、反跳電子)が衝突することによる発熱もあり、また反跳電子を捕捉するための構造(以下、コレクタ)などの温度も上昇する。
【0005】
これらの問題を解決する為、従来のX線管はターゲットを冷却させる構造や、各部の温度が上昇しないよう様々な冷却構造をとったものがある。例えば、真空外囲器に近接した場所に流路を設け真空外囲器を冷却する方法がある。(特許文献1参照)。また、反跳電子による発熱を冷却するために反跳電子が衝突する部分に流路を設け冷却する方法がある(特許文献2参照)。しかし、従来構造だけでは熱伝達による放熱に限界があり、X線管の冷却を向上させるには熱伝達を促進させるための構造を設けたり、発熱源のターゲットからの吸熱の効率をよくしたりする必要がある。
【0006】
また、X線管装置は冷却ばかりでなく暖めることも必要である。通常CT用X線管装置では使用前にウォーミングアップをしてX線管球を暖める。これはX線管の陽極が冷えている時と暖まっている時との熱膨張差による焦点の位置ズレを防ぐためである。X線管装置のウォーミングアップは撮影と同じように陰極から電子を陽極に衝突させてX線を照射させながら陽極を暖めることにより行なう。
【0007】
一方、モノタンク式X線管装置の陽極とステータコイルの近傍の絶縁油を効率良く冷却する技術として、ぺルチェ素子を用いたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-209532号公報
【特許文献2】特許4376480号公報
【特許文献3】特開2003-123999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来技術(特に特許文献3は、ペルチェ素子をX線管装置の冷却のために用い、暖めるために用いないという欠点がある。
【0010】
本発明の目的は、X線管装置を冷却及び加熱する構造を持ったX線管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、陽極とこれに対向する位置に陰極を配置し、前記陽極及び陰極を支持し、且つ前記陽極及び陰極の間の絶縁を確保する為に前記陽極及び陰極の周囲を真空に保つための外囲器から構成されたX線管球と、前記X線管球の前記陽極と前記陰極に高電圧を印加するための高電圧接続部と、前記X線管球と前記高電圧接続部の絶縁及び前記X線管球の冷却をするための絶縁油、及びこれらを抱合する管容器から構成されるX線管装置において、発熱源であるターゲットによるX線管球表面の熱をペルチェ素子の吸熱側より吸収し、ペルチェ効果により吸熱温度より高い温度として放熱側へ熱を移動させることにより、放熱側を高温にし熱伝達による絶縁油への放熱をしやすくすることで冷却効率を高め、さらに前記ペルチェ素子への供給電流向きを逆にすることでX線管装置を加熱することを特徴としたX線管装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、X線管装置を冷却及び加熱する構造を持ったX線管装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係る構造の概略図
【図2】真空外囲器の一部にペルチェ素子6を用いる方法の図
【図3】ターゲットに配置したペルチェ素子の構造のより詳細を示した図
【図4】ペルチェ素子6の冷却効率を促進させる為にヒートシンクやヒートパイプ9を取り付ける方法の図
【図5】冷却流路10を取り付けた例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
該当図面をもちいて、それぞれの実施例について説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1について添付図面を参照しながら説明する。
まず、図1は本発明の実施例1に係る構造の概略図である。X線管装置を構成する筐体があり筐体内にX線管が配置され、その他は絶縁性を保つ為の液体が満たされている。X線管は陰極1と陽極2を有し、また陰極1と陽極2を真空気密に内包している。陽極は回転陽極または固定陽極とする。陽極2はターゲットを有し、回転陽極の場合には回転体支持構造が設けられステータコイル3によって回転する。回転体支持構造は軸受等があり、玉軸受、すべり軸受、流体軸受がある。X線を発生させるために陰極から放出された電子は陽極ターゲットの焦点面に衝突し、X線に変換される。しかし、陰極から放出され陽極に衝突した電子の一部が反跳電子として他の部分に跳ね返る。跳ね返った電子はコレクタ4によって捕捉されたり、真空外囲器5に衝突する。電子が衝突することによりターゲットやコレクタ4は温度が上昇する。これらの温度上昇した部分の温度を下げる為には絶縁油により効率よく放熱する必要がある。
【0016】
そのためにターゲット付近の真空外囲器5やコレクタ4またはコレクタ4周辺の真空外囲器5にペルチェ素子6を取り付ける。ペルチェ素子6を取り付ける位置は例えば図1に示すとおりターゲット裏面の真空外囲器5やコレクタ4、コレクタ4周辺の真空外囲器5に取り付ける。ペルチェ素子6により真空外囲器5の熱はペルチェ素子の真空外囲器5に接している面から吸熱され、液体側の面から放熱される。ペルチェ素子6により吸熱面と放熱面には温度差が生じ、放熱側は吸熱側より高い温度となる。放熱側は吸熱側より高い温度になることで、従来よりも放熱側と絶縁油との温度差が大きくなるため、熱伝達による絶縁油への放熱が良くなる。ここで、ペルチェ素子は放熱面の温度が低ければ低いほど吸熱面の温度も低くなる。したがってペルチェ素子を用いることで真空外囲器と接している面の温度差が大きいくなり熱の移動、つまり真空外囲器の放熱がよくなり、真空外囲器が効率よく冷却される。
【0017】
一方、X線管球をウォームアップで加熱するときはペルチェ素子6の供給電流の向きを冷却時と逆にする。電流向きを逆にすることで放熱面が吸熱面となり、吸熱面が放熱面となる。これにより熱の移動が逆になり、X線管、陽極ターゲットが暖められる。ペルチェ素子6の電源は直流電源でありX線管装置またはCT装置、レントゲン装置等の電源に取り付けられ電流の向きを可変できるものとする。
【実施例2】
【0018】
実施例2として図2のように真空外囲器の一部にペルチェ素子6を用いる方法もある。真空外囲器の一部にペルチェ素子6を用いることによりペルチェ素子の吸熱側と、ターゲットやその他発熱する各部との温度差が大きくなるため、輻射による放熱が大きくなる。輻射による放熱がよくなることによりターゲットやその他発熱する各部の温度が従来よりも低く保たれるため、材料に対する負荷が小さくなる。ペルチェ素子を真空外囲器の一部に組み込むことにより各部の熱が直接吸熱面や放熱面に作用するので熱移動の効率がさらに良くなる。
【0019】
図3は、ターゲットに配置したペルチェ素子の構造のより詳細を示したものである。局所的に冷却したい部分を図3のようにp型の熱電半導体7とn型の熱電半導体8で接合し、直流電流を流し、ターゲット側の面から液体側の面へ熱を運ぶようにさせターゲットの熱を冷却させる。また、電流の向きを逆にすることで陽極を加熱する。
【実施例3】
【0020】
実施例3として図4のようにペルチェ素子6の冷却効率を促進させる為にヒートシンクやヒートパイプ9を取り付ける方法もある。ここで、ペルチェ素子は放熱面の温度が低くなるほど吸熱面の温度が低くなる。したがって、放熱面の温度をヒートシンクやヒートパイプを用いて温度を下げることで、より吸熱面の温度が下がるので真空外囲器やターゲットをさらに良く冷却することができる。
【実施例4】
【0021】
また実施例4として図5のように冷却流路10を取り付けたものがある。ペルチェ素子の放熱面に冷却流路を取り付けることでペルチェ素子の冷却効率をさらに向上させることができる。
【実施例5】
【0022】
実施例5として、X線管装置の温度差を利用しゼーベック効果を利用する方法もある。N型P型を温度差がある部分に用いてゼーベック効果を利用し起電力を発生させ電力を供給する。特に温度差が生じやすい陽極ターゲット付近の真空外囲器や陰極のコレクタ周辺に用いることで得られる誘起される電力が多くなり、さらにペルチェ効果に用いるペルチェ素子との距離が近くなる為ゼーベック効果で得られた電力を少ない損失でペルチェ効果に用いるペルチェ素子に利用できる。
これらは前記実施形態に限定されるものではなく、構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、X線管装置を用いたX線透視撮影装置、X線CT装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1 陰極、2 陽極、3 ステータコイル、4 コレクタ、5 真空外容器、6 ペルチェ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極とこれに対向する位置に陰極を配置し、前記陽極及び陰極を支持し、且つ前記陽極及び陰極の間の絶縁を確保する為に前記陽極及び陰極の周囲を真空に保つための真空外囲器から構成されたX線管球と、前記X線管球の前記陽極と前記陰極に高電圧を印加するための高電圧接続部と、前記X線管球と前記高電圧接続部の絶縁及び前記X線管球の冷却をするための絶縁油、及びこれらを抱合する管容器から構成されるX線管装置において、発熱源であるターゲットによるX線管球表面の熱をペルチェ素子の吸熱側より吸収し、ペルチェ効果により吸熱温度より高い温度として放熱側へ熱を移動させることにより、放熱側を高温にし熱伝達による絶縁油への放熱をしやすくすることで冷却効率を高め、さらに前記ペルチェ素子への供給電流向きを逆にすることでX線管装置を加熱することを特徴としたX線管装置。
【請求項2】
陽極とこれに対向する位置に陰極を配置し、前記陽極及び陰極を支持し、且つ前記陽極及び陰極の間の絶縁を確保する為に前記陽極及び陰極の電極の周囲を真空に保つための真空外囲器から構成されたX線管球と、前記X線管球の前記陽極と前記陰極に高電圧を印加するための高電圧接続部と、前記X線管球と前記高電圧接続部の絶縁及び前記X線管球の冷却をするための絶縁油、及びこれらを抱合する管容器から構成されるX線管装置において、前記真空外囲器をペルチェ素子の構造にすることにより発熱源であるターゲットの熱を吸熱側より吸収し、吸熱温度より高い温度として放熱側へ移動させることで、放熱側を高温にし熱伝達による絶縁油への放熱をしやすくし、さらに供給電流向きを逆にすることでX線管装置を加熱することができることを特徴としたX線管装置。
【請求項3】
請求項1記載のX線管装置において、陽極近辺にペルチェ素子を使用することを特徴としたX線管装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109105(P2012−109105A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256765(P2010−256765)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,602)