説明

X線診断装置及び画像処理装置

【課題】撮像時間が比較的長時間にわたる例えば血管形態観察目的と心筋灌流目的を兼ねた撮像において、被曝低減を実現すること。
【解決手段】X線診断装置は、パルスX線を発生するX線源2と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器5と、X線検出器の出力に基づいて画像を発生する画像演算記憶部10と、パルスX線を撮像期間内に繰り返し発生させるとともにパルスX線の発生周期を撮像期間内で変化させるためにX線源を制御するシステム制御部8とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスX線により被検体を撮像するX線診断装置及びX線の心臓冠状動脈造影診断に好適な画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血管内インターベンション治療直後に、血管造影撮像をおこない、造影剤が心筋へ流れ込むようすの時間変化を観測し、治療終了判断の支援をする手法がある。2000年にこの手法で予後が予測できるという論文(Gibson)が発表されて以来、この手法で薬効や手技技法の評価をおこなう例が多くなってきている。
【0003】
この指標は臨床的に有用であることがエビデンスとれているのにもかかわらず、まだルーチンの臨床で毎日使われているには至っていない。原因として、被曝が増大すること、定量性が低いこと、が挙げられている。
【0004】
血管形態観察を検査目的とする撮像法では一般的に図6のように撮像している。すなわち、心拍運動にして3〜5心拍、撮像時間にして5秒程度だけ、X線をパルス状に照射して画像を得ている。
【0005】
一方、心筋灌流の計測を検査目的とする場合には、長時間にわたる撮像が必要になる。少なくとも5秒、一般に30秒程度、長くて60秒程度の継続観察が好ましいと考えられる。そこで、血管形態観察を目的とした撮像にこの心筋灌流を目的とした撮像を加えると図7のような撮像法が必要になる。
【0006】
ここで別の案として、血管形態観察を目的とした撮像と、心筋灌流を目的とした撮像を別々にして合計2回の撮像をおこなうという考え方もある。しかしその場合は、投与する造影剤が2倍になってしまい、最も好ましくない。
【0007】
また、従来の血管観察用のX線診断装置、いわゆるX線アンジオ装置においては、冠状動脈造影は施行されるが、造影剤による心筋血流の定量的計測はできなかったので、別室や別の時間帯に核医学診断装置やMRI装置にて心筋血流を計測する必要があった。
【0008】
冠状動脈に複数の狭窄が存在してそのいずれかの病変による虚血がある場合に、カテーテル室では心筋血流が計測できないので虚血の部位を簡単に特定できなかった。
【0009】
冠状動脈の末梢血管の狭窄・塞栓・血栓の存在が疑われる場合に、その確認や血栓溶解剤による治療後の心筋血流回復確認が困難であった。
【0010】
X線診断装置を用いて、心筋血流を計測し、画像表示することができなかった。
【非特許文献1】Relationship of TIMI Myocardial Perfusion Grade to Mortality After Administration of Thrombolytic Drugs, C. Michael Gibson, MS, MD; Christopher P. Cannon, MD; Sabina A. Murphy, MPH;Kathryn A. Ryan, BS; Rebecca Mesley, BS; Susan J. Marble, RN, MS; Carolyn H. McCabe, BS;Frans Van de Werf, MD, PhD; Eugene Braunwald, MD;, Circulation, 101, 125-130, 2000
【非特許文献2】Arnoud W.J. van 't Hof, MD; Aylee Liem, MD; Harry Suryapranata, MD; Jan C.A. Hoorntje, MD; Menko-Jan de Boer, MD; Felix Zijlstra, MD;, Angiographic Assessment of Myocardial Reperfusion in Patients Treated With Primary Angioplasty for Acute Myocardial Infarction, Myocardial Blush Grade, Circulation, 97, 2302-2306, 1998)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、撮像時間が比較的長時間にわたる例えば血管形態観察目的と心筋灌流目的を兼ねた撮像において、被曝低減と造影剤量低減を実現することにある。
また本発明の目的は、心筋血流に関する有用な情報を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によるX線診断装置は、パルスX線を発生するX線源と、被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線検出器の出力に基づいて画像を発生する画像発生部と、前記パルスX線を撮像期間内に繰り返し発生させるとともに前記パルスX線の発生周期を前記撮像期間内で変化させるために前記X線源を制御する制御部とを具備する。
本発明に係る画像処理装置は、心臓冠状動脈造影撮影シーケンスのもとで発生された複数の画像のデータを記憶する記憶部と、前記複数の画像のデータに基づいて、心筋への血液供給領域に設定された基準領域に関する基準の時間濃度曲線と、心筋領域内に設定された複数の局所領域に関する複数の時間濃度曲線とを発生し、前記基準の時間濃度曲線に対する前記複数の時間濃度曲線の相関をそれぞれ表す複数の指標を演算する演算部とを具備する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撮像時間が比較的長時間にわたる例えば血管形態観察目的と心筋灌流目的を兼ねた撮像において、被曝低減と造影剤量低減を実現することができる。
また本発明によれば、心筋血流に関する有用な情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態を説明する。
まず、以下の説明で用いる用語について次の通り定義する。
パルスレート;パルスX線を被検体に照射する頻度を規定する指標であり、単位時間(1秒又は1分)又は1心拍あたりのパルスX線の照射回数を、単位(回/秒、回/分)又は(回/心拍)で表したものであり、単位時間で撮像する画像枚数を表すフレームレートはパルスレートに実質的に等価である。なお、パルスX線の照射には、X線管球からパルスX線を発生してそのまま被検体に照射する形態だけでなく、連続的にX線を発生し、X線シャッター等でパルスX線を生成して被検体に照射する形態も含む。
灌流;心筋への血液の流れを表す。
R波;心電波形のピーク波を表す。
RR間隔;R波とR波の間の時間間隔を表す。
mA;X線管球の電極間に流れる管電流であり、パルスX線の高さを表す指標として用いられる。
パルス幅;パルスX線の継続時間を表し、単位はmsecである。
mAs;管電流とパルス幅を掛け算した管電流時間積であり、X線の強度を表す指標として用いられる。
プロトコル;各種条件をまとめて保存してあるパラメータのセット
ブラッシュ(Blush);心筋に造影剤が流れ込む程度をGibsonらが半定量化した数値である。
コントロール画像;基準画像
図1は、本実施形態に係るX線撮影装置を示している。X線撮影装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、Cアーム7を有する。Cアーム7は、支持機構6に回転自在に支持される。Cアーム7の一端にはX線発生部2が取り付けられる。X線発生部2は、X線管球21とX線コリメータ22を有する。高電圧発生部1は、X線管球22の電極間に印加する高電圧(管電圧)を発生し、またX線管球22のフィラメントに供給するフィラメント電流を発生する。高電圧制御部20は、システム制御部8の制御に従って、高電圧発生部1で発生する管電圧及び/又はフィラメント電流を制御する。
【0015】
Cアーム7の他端にはX線検出部5が取り付けられる。X線検出部5は、寝台4に載置される被検体3を挟んで、X線発生部2のX線管球22に対峙する。X線検出部5は、典型的には、入射X線を直接的又は間接的に電荷に変換する複数の検出素子(画素)が2次元状に配列されてなる固体平面検出器である。X線検出部5は、システム制御部8の制御により典型的には電荷蓄積、電荷読出及びリセットからなる1サイクルの検出動作を一定周期で繰り返す。
【0016】
画像演算・記憶部10は、X線検出部5からの出力に基づいて画像のデータを発生する機能、画像のデータを記憶する機能、画像のデータを処理する機能を有している。システム制御部8は、インジェクタ15から被検体3へ造影剤を注入を開始する時点でインジェクタ15から出力される注入開始信号、被検体への造影剤注入を終了する時点でインジェクタ15から出力される注入終了信号と、心電計16で測定された被検体3の心電図(ECG)とに基づいて、後述のように撮像動作を制御することを主な機能として有している。システム制御部8には操作部9が接続される。操作部9には、ハンドスイッチ12、ディスプレイ及びタッチパネル等を有するユーザインタフェース14が設けられる。
【0017】
図2にはシステム制御部8による撮像動作を示している。撮像に先だって、被検体に対しカテーテルが挿入され、例えば心臓冠状動脈入り口部まで進められ、その位置で造影検査が開始される。
【0018】
検査開始とともに、パルスX線の発生が開始される。パルスX線の発生開始からパルスX線の発生終了までの撮像期間は、システム制御部8による撮像制御、より具体的にはパルスX線の発生制御の相違により、順番に3つの区間(A)、(B)、(C)に区分されることができる。
【0019】
区間(A)は造影剤がまだ投与されていない期間であり、その時間長は約1〜3心拍程度である。区間(A)では、心電同期のもとでパルスX線は不定周期で繰り返し発生される。例えば、区間(A)では、システム制御部8は心電図(ECG)のR波を検出し、RR間隔から心臓拡張末期を同定し、その時点でのみパルスX線を発生させる。つまり、区間(A)のパルスレートは1回/心拍であり、パルスX線は不定周期で繰り返し発生される。
【0020】
X線検出部5の検出動作は、区間(A)を含めて、区間(A)、区間(B)及び区間(C)の全撮像期間にわたって、クロックに同期して、例えば30サイクル/秒(30fps)のフレームレートの逆数の一定周期で繰り返される。
【0021】
なお、心電同期として且つ一定周期(例えば30fpsの逆数)で収集方法を採用してもよい。具体的には、図8に示すように、例えば一定周期(例えば30fpsの逆数)で収集している間にR波を検出したら、それまで一定周期で照射していたリズムをリセットし、再び一定周期(例えば30fpsの逆数)で収集する。この手法によれば、R波直後のフレームはどの心拍でも心電同期がとれていることになり、且つその後は高速に例えば30fpsで収集される。
【0022】
また、一定の周期(例えば30fpsの逆数)で収集する区間において、図9に示すように、心電同期とし且つ一定の周期(例えばRR間隔の1/10)で収集してもよい。具体的には、例えば一定周期(例えば30fpsの逆数)で収集している間にR波を検出したとき、それまで一定周期で照射していたリズムをリセットし、RR間隔を計算してRR間隔の10分の1の時間を計算し、次の心拍周期では当該計算された周期(一定周期)で収集する。この手法によれば、R波直後のフレームはどの心拍でも心電同期がとれていることになり、且つその後は高速に収集される。
【0023】
パルスX線の発生周期に対応する画像データが画像演算記憶部10に記憶される。しかし、パルスX線が発生しない周期に対応する画像データは画像演算記憶部10に記憶されない。画像のデータは、造影前の区間(A)を後述の区間(B)、(C)と区別するコードとともに記憶される。
【0024】
インジェクタ16のトリガ操作により造影剤の注入が開始される。インジェクタ16からシステム制御部8に造影剤注入開始信号が供給される。システム制御部8は、造影剤注入開始時点から予め決められた遅延時間Δt1を経過した時点で区間(A)を終了し、区間(B)を開始する。遅延時間Δt1は、インジェクタ16から造影剤注入信号が出力された時点から造影剤がカテーテル先端から出るまでに要する時間、例えば約1秒に設定される。
【0025】
区間(B)では、パルスX線は一定周期で繰り返し発生される。例えば、区間(B)では、システム制御部8は、クロックに同期して、検出動作の30サイクル/秒(30fps)のフレームレートと同じパルスレート(30回/秒)の逆数の一定周期で繰り返しパルスX線を発生させる。パルスX線の時間幅(継続時間)は、X線検出部5の検出動作における電荷蓄積期間長と等価に設定される。結果的に、パルスX線はX線検出部5の検出サイクルに同期して発生される。区間(B)では、画像データが30fpsのフレームレートで発生され、全て画像演算記憶部10に記憶される。画像のデータは、造影期間中の区間(B)を区間(A)、(C)と区別するコードとともに記憶される。
【0026】
インジェクタ16は予め決められた量の造影剤の注入が完了した時点でシステム制御部8に造影剤注入終了信号を供給する。システム制御部8は、造影剤注入終了時点から予め決められた遅延時間Δt2を経過した時点で区間(B)を終了し、区間(C)を開始する。遅延時間Δt2は、遅延時間Δt1より長く、例えばインジェクタ16から造影剤注入信号が出力された時点から造影剤がカテーテル先端から出るまでに要する時間の2倍の時間(約2秒)に設定される。区間(B)は、例えば約3〜5心拍程度又は5秒程度の時間である。
【0027】
区間(C)は、区間(A)と同様に、心電同期のもとでパルスX線は不定周期で繰り返し発生される。区間(C)でも、システム制御部8は心電図(ECG)のR波を検出し、RR間隔から心臓拡張末期を同定し、その時点でのみパルスX線を発生させる。区間(C)のパルスレートは1回/心拍であり、パルスX線は不定周期で繰り返し発生される。画像のデータは、造影後の区間(C)を区間(A)、(B)と区別するコードとともに記憶される。
【0028】
なお、上述の説明では、区間(A)、(C)は、心電同期による不定周期でパルスX線を発生しているが、図3に示すように、一定周期でパルスX線を繰り返し発生するものであってもよい。典型的には、区間(A)、(C)のパルスX線は、区間(B)の周期(1/30秒)より長い一定周期(1秒)で繰り返し発生される。この場合、区間(B)のパルスレートは、1回/秒となる。
【0029】
上記パルスレート制御によれば、全期間にわたって高いパルスレートを継続するよりも被曝を低減することができる。しかも、関心部位に造影剤が流通する期間は、比較的高い時間分解能を確保することができる。それ以外の期間は、比較的低い時間分解能であっても、診断に要する心臓拡張末期の画像を収集することができる。
【0030】
区間(C)の終了は、画像演算記憶部10の画像処理結果を受けてシステム制御部8により判定される。例えば、区間(C)に収集される画像各々から、区間(A)で収集した複数の画像から発生された基準画像(コントロール画像)を差分し、得られた差分画像の全体又は局所領域の濃度合計又は平均濃度(測定値)をリアルタイムで測定する。上記コントロール画像は、区間(A)で収集された複数の画像の平均画像として画像演算記憶部10により発生され、記憶される。平均処理によりランダムノイズが抑制され得る。
【0031】
差分画像の測定値は、図4に例示するように、初期値L0から、撮影部位又は関心部位への造影剤流入に伴って時間経過とともに変化し(図4では低くなり)、造影剤流出に伴って初期値L0に戻っていく。そこで濃度の初期値L0に近似するしきい値を、例えば、0.9<a<1として、a・L0の値に予め設定しておき、測定値が当該しきい値に達した時刻t4で、システム制御部8は高電圧制御部20にX線照射中止信号を出力する。高電圧制御部20は、システム制御部8からX線照射中止信号を受け、高電圧発生部1からX線管球21への管電圧の印加を終了する。なお、区間(C)が例えば30秒を経過した場合には、システム制御部8は、測定値がしきい値以下にならなくとも、X線照射中止信号を出力して、X線照射を強制的に終了させる。
【0032】
区間(C)の終了は、図4に破線で示す濃度時間曲線の傾斜によって判定しても良い。画像演算記憶部10で繰り返し計算した濃度時間曲線の傾斜が、水平に近似したしきい値に達した時刻t3に区間(C)は終了する。
【0033】
なお、画像演算記憶部10では、様々な画像処理機能を有する。例えば、区間(B)で得られた画像から心筋灌流に必要な画像を抜き出す。これには区間(B)で収集した画像から心臓拡張末期の時刻に最も近い画像を各心拍ごとに特定する。区間(B)では30fpsで画像収集されているため、最大でも時間ずれ誤差は33msec以内となる。これは心筋灌流計測には十分に問題のないずれ量である。区間(B)で特定された複数の画像各々と、区間(C)で得られた複数の画像から選択された画像とを合成することにより、合成画像を生成する。複数の合成画像から、区間(A)のコントロール画像を差分して、複数の差分画像を生成する。複数の差分画像を区間(B)内での時間経過に従って配列して表示することにより、造影剤の流出の様子を把握することができる。
【0034】
なお、上記説明では、造影剤の注入開始/終了により、自動的に区間の切り替え、つまりパルスレート(フレームレート)を変化させるようにしているが、オペレータによる操作部9のパルスレート切り替え指示により、任意の時点でパルスレートを手動で切り替えるようにしてもよい。
【0035】
上記説明では、3区間としたが、最初の区間(A)をなくして2区間でもよい。この場合コントロール画像は区間(B)の最初のほうのフレームを用いる。
【0036】
差分画像を得た後、定量的な評価をする場合がある。この場合、画像上に関心領域(ROI)を設定し、その値を読む。
【0037】
尚、厳密さを要する場合は、血管関心領域と心筋関心領域の間の時間差を考慮するのがよい。すなわち血流は太い血管を流れた後に小血管を得て心筋に達するため、時間差がうまれる。実際には300msec〜1sec程度の時間差がある。病変を有する患者ではこの時間差がさらに長くなる。そこで、太い血管に血管関心領域を設定した場合は、結果、関心領域のデータは、時刻0から(T−τ)までを積算し、これに対する心筋関心領域は、時刻Tのデータを取ることが好ましい。こうした厳密なことをしたい場合には、先の画像収集において1心拍に2枚のデータを取ることが好ましく、すなわち1心拍に2回のX線パルス照射をする。
【0038】
上記定量計測において、さらにノイズを低減したい場合は、近傍フレームで平均処理をするとよい。すなわち図5に示すように、心臓動きが少ない瞬間に、複数、例えば2つのパルスX線を一体として発生し、それに伴って収集される2画像を平均した画像から計測を行う。これにより1画像だけの場合よりもノイズが低減される。ただし心臓動きの要素が加算されてしまうので、心臓動きがほとんど無い時間で複数パルスを出すことが必須である。あるいは動き補正をするという手段もある。
【0039】
この心筋灌流の画像および定量数値を得るのは、空間的に粗くても大丈夫である。そこで例えば生画像が1024×1024マトリクスの画像であっても、心筋灌流画像は256×256マトリクスでもよい。そこで心拍同期収集区間では画素加算して画像収集することにより、画像を粗くするかわりに、1画素あたりのX線吸収量が少なくててもよいようにする。例えば4画素加算する場合は、X線量を1/4にする。
【0040】
心筋灌流を計算するためには、フレーム間でX線条件が変わってはならない。X線条件が変わってしまうと画像の濃度も変わってしまうので、何を測っているのか意味がなくなる。よって提案する収集方法のうち少なくとも1心拍に1枚の画像は、kVおよびmA、msecを同一にして撮像する。
【0041】
ここでさらなる工夫としては、kVのみは固定とし、mAsは変動させてもよい。この場合はフレームごとのmAs値を記録しておき、心筋灌流画像を作成する場合は記録したmAs値に基づいて画像を補正してあげる。これが成り立つ理由は単純なX線物理式を参照すればよく、mAsの変動は単純に濃度の変動に比例する。
【0042】
その他、以下の通り、様々な変形が可能である。
最終区間(C)の終了判定のために画像濃度値をしきい値と比較したが、所望の灌流計算値をリアルタイムに計算し、計算に十分なデータが得られたら終了判定をするものであってもよい。その他に、区間(C)において十分なデータが得られたら撮像終了する、近似曲線が描けるのに十分なデータが得られたら撮像終了するものとしてもよい。そのとき、区間(C)において十分なデータが得られたら撮像を終了してよい旨を通知し、オペレータの終了指示を待機するようにしてもい。当該通知は、メッセージ表示、ピピピ等の音を鳴らすことにより行われる。
【0043】
画像演算記憶部10で撮像期間中にリアルタイムで灌流計測値を計算し、表示部11に表示する。
一定周期でパルスX線を発生する区間と、心電同期でパルスX線を発生する区間とをオペレータによる手動で切り替えるようにしてもよい。例えば、操作部9に設けられた撮像ボタンが2段階になっていて押し方で切り替わる。サブボタンを有し、メインボタンだけでは一定周期でパルスX線を発生するが、メインとサブを同時に押している間は心拍同期でパルスX線を発生する。サブボタンは、メインボタンの近傍にあってもよいし、離れていても良い(フットスイッチと手元スイッチ)。最終区間においてはオペレータが撮像ボタンを離したら終わりとする。
【0044】
心拍同期においては、1心拍につき1照射(1パルス)とするとき、1照射は、心臓収縮末期、心臓拡張末期、心臓拡張中期のいずれかがオペレータにより選択される。
【0045】
1心拍につき2照射(2パルス)のとき、例えば、第1照射はR波から所定後、第2照射はR波から異なる所定後とする。所定後とは、R波からの絶対時間で管理してもよいし、RR間隔を元にした相対時間で管理しても良い。例えば、第1照射は、心臓収縮末期、拡張末期、拡張中期、のいずれかとする。第2照射は、第1照射より所定時刻だけ前のタイミングとする。所定時刻とは計測点Aから計測点Bまでに造影剤が流れ込むのに要する時間とする
1心拍につき3照射(3パルス)以上とし、3パルスは隣接していて、得られる複数画像は平均化のために利用される。複数心拍につき1照射(1パルス)とする。区間(B)の心拍同期撮像の時間が所定の時間を超えた場合には、自動的にK心拍につき1照射(1パルス)に移行する。
【0046】
心拍同期の照射においては、X線エネルギーを同一にする。全てのパルスX線で同じkVとmAsを用いることを基本とするが、kVを同じとするが、mAsは異なるものとしてもよい。そのときmAs値を記録し、後段処理で補正する。
【0047】
再生時には、見やすいように画像処理して表示する。パルスレートが変化する制御のもとで収集された複数の画像のデータから、一定間隔の画像のデータを生成することを考慮し、区間(A、C)、(B)ともに、共通のクロックに対して、パルスX線の発生タイミングを同期させる。これによりデータ生成時は必ず同じ心位相のデータが生成できる。
【0048】
区間(A、C)においても、区間(B)と同じ周期で画像を収集してもよい。心電同期による画像列を生成する際には、最も近い時刻の画像を特定して生成する。一定周期の画像群と、心拍間隔の画像群、とを別々に再生する。再生する時は、実時間で再生表示する。
【0049】
(第2実施形態)
以下図面を参照して第2実施形態を説明する。まず、以下説明で用いる用語について次の通り定義する。
心筋灌流;心筋濃染、心筋パーフュージョン(Perfusion)、心筋ブラッシュ(Blush)、これらは技術的には厳密には異なるが、血液が毛細血管から心筋へ流出入する現象を表現する。
微小灌流(micro circulation);毛細血管における血流の流れ。
X線アンジオ装置;X線診断装置の中の特に血管撮像を主用途とするものである。
X線画像;被検体を透過したX線の強度分布を表す画像であり、X線画像ともいう。
X線動画像;2次元検出器によって時間tにわたって繰り返し撮影された一連のX線画像のデータセットである。
冠状動脈撮像;造影剤により強調した冠状動脈内腔に関するX線画像を撮像することをいう。
冠状動脈;冠状動脈(coronary)
ピクセル;収集されたX線画像における画素
フュージョン画像;X線画像とX線画像とをオーバーレイにより合成した画像をいう。
自然対数;Ln
心位相;心電図信号によって検出されたR波を目印とし、R波から次のR波までの時間を100%で規格化し、現在のフレームの時刻を%で表現する。例えば心臓収縮末期の心位相は25%付近である。
【0050】
ROI;関心領域(Region Of Interest)
カテーテル室;カテーテル検査室、血管造影検査室、血管インターベンション治療室とほぼ同義である。
【0051】
図10に本実施形態に係るX線診断装置、ここではX線アンジオ撮影装置の外観を示し、図11に機能ブロック図を示す。X線撮影装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、Cアーム7を有する。Cアーム7は、機構制御部6に回転自在に支持される。Cアーム7の一端にはX線発生部2が取り付けられる。X線発生部2は、X線管20とX線絞り器21を有する。高電圧発生部1は、X線管20の電極間に印加する高電圧(管電圧)を発生し、またX線管20のフィラメントに供給するフィラメント電流を発生する。高電圧制御部17は、システム制御部8の制御に従って、高電圧発生部1で発生する管電圧及び/又はフィラメント電流を制御する。
【0052】
Cアーム7の他端にはX線検出部5が取り付けられる。X線検出部5は、検出器18と、検出器18の出力を処理して画像データを生成する画像データ生成部19とを有する。検出器18は寝台4に載置される被検体3を挟んで、X線発生部2のX線管20に対峙する。検出器18は、典型的には、入射X線を直接的又は間接的に電荷に変換する複数の検出素子(画素)が2次元状に配列されてなる固体平面検出器である。X線検出部5は、システム制御部8の制御により電荷蓄積、電荷読出及びリセットからなる1サイクルの検出動作を一定周期で繰り返す。被検体3には心電図モニタ端子15が装着される。心電図モニタ受信部16は心電図モニタ端子15からの信号を受信し、被検体3の心電図のデータを発生する。システム制御部8には操作部9が接続される。操作部9には、ハンドスイッチ12、ディスプレイ及びタッチパネル等を有するユーザインタフェース14が設けられる。
【0053】
演算処理部23は、画像収集保存部10と画像処理部11とを有する。画像収集保存部10は、X線検出部5から出力される画像データを心位相データを関連付けて記憶する。画像処理部11は、心臓冠状動脈造影撮影シーケンスのもとで発生された複数の画像のデータに基づいて、心筋への血液供給領域としての冠状動脈上に設定された基準領域に関する時間濃度曲線(基準時間濃度曲線)に対する、心筋領域内に設定された複数の局所領域に関する複数の時間濃度曲線の相関をそれぞれ表す複数の指標を演算するとともに、指標のマップを作成し、マップを冠状動脈像と合成して合成画像を発生する。なお、時間濃度曲線は、元画像の濃度を対象としても良いし、造影前のマスク画像と造影後のコントラスト画像との差分画像上の濃度(造影剤濃度の近似値)を対象としても良い。ここでは、差分画像上の濃度に関する時間濃度曲線として説明する。
【0054】
本実施形態では、指標として3種類を提供する。
第1の指標Kは、造影剤注入開始から造影剤注入終了までの造影剤流入期間を対象として、冠状動脈の基準時間濃度曲線を入力関数、心筋局所領域の時間濃度曲線を出力関数とした時の、局所心筋に関する「血液の流入状態を表す指標K」として計算される。第2の指標Kは、造影剤注入終了から撮影完了までの造影剤流出期間を対象として、冠状動脈の基準時間濃度曲線を入力関数、心筋局所領域の時間濃度曲線を出力関数とした時の、局所心筋に関する「血液の流出状態を表す指標K」として計算される。第3の指標Kは、指標Kと指標Kとから計算される。尚、この時の時間濃度曲線とは、人体に投与された造影剤が注目部位(本実施形態では冠状動脈と心筋)に分布したり通過したりする際の造影剤量のみに比例した信号成分と定義する、。
【0055】
図12、図13は一般的なX線アンジオ撮影で得えられる冠状動脈造影画像(以下CAG画像という)を例示している。CAG画像では、造影剤のX線の吸収線量が大きいので冠状動脈を通過中は冠状動脈の形状が他の組織と区別できる程にコントラストがついて識別できる(図12参照)。図13に示すように、カテーテル101が冠状動脈102まで挿入操作され、その位置でカテーテル101から一定時間継続的に造影剤が注入される。X線撮像は、少なくとも造影剤注入開始前から、造影剤注入終了後所定時間経過までの期間にわたって行われる。
【0056】
造影剤が冠状動脈にカテーテル101を経由して注入されるときに図10のX線診断装置にてX線画像を心電図とともに収集する。画像収集後、操作部9を介してオペレータによりCAG画像上に冠状動脈上の基準領域(心筋血液供給領域)103と、心筋上に複数の心筋局所領域104とが設定される(図32A、図33参照)。
【0057】
複数の心筋局所領域104は、心筋領域上に設定され、典型的には複数の画素を有する。心筋局所領域104の造影剤量に相当する濃度は典型的には画素平均値として計算される。しかし、心筋局所領域104は単一の画素を有するものであってもよい。心筋血液供給領域103は、典型的には、血管と略等価な幅又は少し小さい幅を有する矩形形状を有し、血管に沿って任意の向きに設定され、複数の画素が含まれる。心筋血液供給領域103の造影剤量に相当する濃度としては典型的には画素平均値として計算される。心筋血液供給領域103は、インジェクターと心筋注目領域の間の流路の任意の部分、より限定するとカテーテルの任意の部分、又はカテーテルの出口(冠状動脈入口に等価)から心筋注目領域の間のの任意の部分に設定される。
【0058】
画像処理部11は、心筋血液供給領域103に関する時間濃度曲線(Time Density curve;TDC)を生成する。同様に、画像処理部11は、複数の心筋局所給領域104に関する複数の時間濃度曲線を生成する。この生成過程の詳細を図34に示す。
【0059】
図32のCAGX線画像の座標(x,y)での時刻tでの画素値をCAG(x,y,t)とし、図34の画素値をこの自然対数をとったln(CAG(x,y,t))とする。これにより組織或いは造影剤の単位体積あたりの減弱係数をμ、図21のX線の透過方向のその組織または造成剤の分布厚さをLとすると、図14の画素はln(CAG(x,y,t))∝μLの関係がある。2次元画像である図13画像上で認識される冠状動脈や心筋部画像に分布する造影剤の総量はμLに比例する。すなわち造影剤の無い時刻t=t0の画像T0の画素値をCAG(x,y,t0)とすると、
ln(CAG(x,y,t))−ln(CAG(x,y,t0))
は、図13のX線画像上で認識される冠状動脈や心筋部画像に分布する造影剤の総量に比例して図14に示す画像T1からT5で示す一連の画像内では相対的に冠状動脈や心筋部画像などに分布する造影剤総量を示している。
【0060】
すなわち、CAG画像は一方向からの透過画像であるので、画像中心付近、通常は画像中心に位置させる心筋の検査対象部分では心筋に対して略垂直にX線が当たるため厚み効果はあまり生じないが、画像中心から外れた周縁部分では心筋に対してX線がその接線に近い向きで当たるため、厚み効果が強く表れる。つまり、中心部分に対して周縁部分は造影剤濃度の積分距離が長くなる。従って、心臓の周縁部分で測定される造影剤濃度の信頼性は、中心部分で測定される造影剤濃度の信頼性よりも低い。しかし、上述したように、通常は画像中心付近に心筋の検査対象部分を位置合わせするためその部分に関しては高い信頼性で指標を得ることができる。なお、検査対象ではない画像中心から所定距離離れた信頼性の低い心臓の周縁部分に関する指標は表示対象から外してもよい。
【0061】
なお、図14の血液供給領域103は、イラスト上でわかりやすくするために円で描画したがその形状は図13で示すようにカテーテル101を通過して冠状動脈に流入して動脈血と混合した時のTDCを計測できるように冠状動脈を囲むように例えば矩形に近い形状に設定される。心筋上の局所領域104はカテーテル101にて造影剤が注入される冠状動脈の支配領域(その冠状動脈を通過した血液が供給されることにより活動している心筋の領域)であって狭窄やその先の毛細血管の微小循環の有無が疑われる心筋部位全体について、例えば関心領域104で示すN×Nピクセル(N=1,3,5,...奇数)で例えばN=5として画素をサンプリングし、例えば5×5サイズのスムージング処理後以下で述べる演算結果をその画素の中心位置を代表位置として記録する。
【0062】
[観測]
上記のように、観測される値はln(CAG(x,y,t))−ln(CAG(x,y,t0))である。ここで心筋血液供給領域103に関する血管単位体積あたりの造影剤相対濃度の基準TDCをCa(t)とし、同様に心筋単位体積あたりの造影剤相対濃度をCmyo(t)とする。すると観測値とCa、Cmyoとの関係は次式で表される。なお、Caは造影剤注入前後の差分値を表しているので、初期値Ca(0)は0値になる。
【数1】

【0063】
ここで(xa,ya)は図13の冠状動脈の上流に設定した関心領域103内の画素であり、値の平均値、或いは関心領域内の総量を表す。どちらを用いても良いが以下の操作では選択した一方のみを使用する。混在使用はしない。tは時刻を表し、単位は秒である。aは動脈を意味する。
【数2】

【0064】
ここで(xmyo,ymyo)は図13に示す心筋に設定した局所の関心領域104内の画素であり、値の平均値、或いは関心領域104内の総量を表す。複数の関心領域104は、図15A、図15Bに示す操作部9を介してCAG画像上に設定されたパフュージョンの演算範囲105を図32A、図33に示すように分割した相互に同一形状及びサイズの複数の局所領域である。なお、添え字のmyoはmyocardium(冠状動脈)を意味する。
【0065】
[モデル]
次に、心筋への造影剤の流出入モデルとして後述の(理論1)を導入する。これにより次の関係を得る。
【数3】

【0066】
[観測値のモデルへの適応]
画像T1からT5は一連の心電同期で撮像したCAG画像のうちの特定の心位相106に対応するCAG画像である。その収集時刻をt1,t2,..t5とする。かかる心電同期画像T1〜T5のセットについて、画像処理部11では、[観測]と[モデル]で導かれた(1)(2)(3)式にて記述する処理を行う。
【数4】

【0067】
画像処理部11では、心筋血流に比例する実際的な心筋局所領域への血液の流入の様子を反映した指標K'を算出する。まず、造影剤がカテーテルから注入開始された時点から注入完了の時点までの造影剤流入期間が、指標Kの計算対象期間として設定される。図16に示すように、当該造影剤流入期間内に収集した複数のX線画像から、心筋への血液供給領域103に関する時間濃度曲線Ca(t)と、複数の心筋局所領域103に関する複数の時間濃度曲線Cmyo(t)とが生成される。
【0068】
次に、画像処理部11では、図17に示すように、血管供給領域103を通過する造影剤の時間積分(造影剤の流入量)∫Ca(t)を横軸とし、縦軸に、心筋局所領域104の造影剤存在量Cmyo(t)として、時刻ごとの値をプロットする。つまり、心筋全体への血液供給量に対する心筋局所における血液の取り込み量の時間変化の離散分布が生成される。この離散分布に対して直線フィティング処理により得られた直線の傾きとして指標(第1指標)K'が算出される。この指標K'は、心筋全体への血液供給に対して心筋局所がどの程度追従して血液を受け入れているか否かを定量化したものとしての意義を有する。指標K'が正常範囲から低値側に外れているとき、冠状動脈の血液流入に対して、心筋局所での血液流入が追従していない、つまり当該心筋局所領域は流入障害を起こしている可能性がある。指標K'が正常範囲から高値側に外れているとき、当該心筋局所領域は流出障害を起こしている可能性がある。画像処理部11では、すべての局所領域104について同様の処理により指標K'を計算し、指標K'のマップを作成する。この得られたマップをCAG画像に重ねあわせ(フュージョン)て合成画像を生成し、表示部24に表示することができる。これにより心筋機能を心筋組織との位置関係とともに判断することができる。
【0069】
変形例A)
なお、上述では一連の心電図同期CAG画像T1からT5は、連続した画像から抽出したが、患者への被曝を低減するために、撮像時に特定の心電図位相のみX線を発生させるように図10の装置を制御して後述の(理論1)に必要な画像セットのみを収集することもできる。
変形例B)
さらに後述の(理論2)によれば造影剤が心筋部に到達してさらに排泄される流出期間における一連のTDCカーブ(図18)から図19で示すグラフィプロット法で直線近似により得られたKとKにより血流と造影剤の心筋からのバックディフュージョン(心筋から血管に造影剤が戻る量)を計測でき、図15を用いて前述同様に表示することができる。同様に時間tは患者への被曝を低減するために、撮像時に特定の心電図位相のみX線を発生させるように図10の装置を制御して理論1に必要な画像セットのみを収集することもできる。
【0070】
変形例C)
さらにK1とKの比(K/K)を計算して表示することにより、「C. Michael Gibson, MS, MD; Christopher P. Cannon, MD; Sabina A. Murphy, MPH; Kathryn A. Ryan, BS; Rebecca Mesley, BS; Susan J. Marble, RN, MS; Carolyn H. McCabe, BS; Frans Van de Werf, MD, PhD; Eugene Braunwald, MD; for the TIMI (Thrombolysis In Myocardial Infarction) Study Group, Relationship of TIMI Myocardial Perfusion Grade to Mortality After Administration of Thrombolytic Drugs, Circulation. 2000;101:125-130.」に示された分類法を定量化(自動化)することが可能になる。すなわち図28の分類表に従って自動分類したり、図29A、図29Bのような指標K、Kの関係を表すグラフにプロットして表現することが可能になる。
【0071】
変形例D)
本実施形態により、同一患者、同一方向の一連の心電図同期CAG画像を二種類収集する。すなわち、図20A、図20Bに示すように、安静時の心筋血流画像205(=Prest(x,y))と例えばアデノシンのような心筋血流を増加させる効果を有する薬剤を投与後の薬剤負荷時の心筋血流画像206(=Pstress(x,y))を収集する。安静時と負荷時の比較画像として(心筋血流画像206)/(心筋血流画像205)=Pstress(x,y)/Prest(x,y)を定義すると、心筋血流画像205,206で同一方向の収集された同一位置(x,y)では撮像方向の心筋分厚さは同じなので割り算により近似的にキャンセルされ、単位心筋体積あたりの血流増加比(心筋Flow reserve)を得ることができる。
【数5】

【0072】
また同様に、狭窄等の治療前の指標K'beforeと治療後の指標K'afterを計測し、割り算すると、単位心筋体積あたりの血流増加比(治療による回復比)を得ることができる。
【0073】
変形例E)
また実施形態によれば、図27に例示するように、後述の[理論1、2]を完全に演算しなくても、Cmyo(t)=ln(CAG(x,y,t)−ln(CAG(x,y,t0))とおいたときに、Cmyo(t)−Cmyo(t)の画像は心筋への血流を示しており、この差分動画像を表示することも同一検査時に限って可能である。ここで、t=造影剤注入直前である。
【0074】
(理論1)
時刻tにおける心筋部の造影剤相対濃度Cmyo(t)、冠状動脈血液中の造影剤相対濃度時間曲線をCa(t)、心筋流入血流をKK1、心筋流出血流をKK2と表す。図23において、心筋部と冠状動脈血中の造影剤の質量バランスは式(1)で表現できる
【数6】

【0075】
心筋部の血流あるいは血流と相関のあるパラメータを以下に述べる造影剤が心筋部へ流入する現象を利用するPatlak plot法で計算することができる。造影剤が心筋部へ流入し始める条件下(0≦t≦MTT)(MTT=mean tangent time=造影剤が動脈から心筋に入り静脈に出てくるまでの平均通過時間、心筋では通常5〜10sec程度)では、流出量k2Cmyo(t)は極めて少なく、Cmyo(t)≒0、KCa(t)>>Kmyo(t)の条件が成立し、このときEq.(1) は以下のように簡略化できる。
【数7】

【0076】
は造影剤が血液から心筋間質部へ移行する移行常数(sec-1)或いは (ml/min/g)を表し、血流に比例する。
Rutland MD. A single injection technique for subtraction of blood background in 131I-hippuran renograms. Br J Radiol 1979;52:134-137.
Patlak CS, Blasberg RG, Fenstermacher JD. Graphical evaluation of blood-to-brain transfer constants from multiple-time uptake data. J Cereb Blood Flow Metab 1983;3:1-7.
(理論2)
時刻tにおける心筋部の造影剤相対濃度をCmyo(t)、冠状動脈血液中の造影剤相対濃度をCa(t)と表す。図10において、心筋部と冠状動脈血中の造影剤の質量バランスは式(1)で表現できる
【数8】

【0077】
心筋部の血流あるいは血流と相関のあるパラメータを以下に述べる造影剤が心筋から流出するクリヤランスを利用する方法で計算することができる。
【0078】
Eq. (1)を積分し(2)を得る。
【数9】

【0079】
Y軸にY(t) X軸にX(t) をプロットすると直線の傾きがK、Y軸の切片はKを表す。Kは造影剤が血液から心筋間質部へ移行する移行常数で(sec-1)或いは (ml/min/g)を表し血流に比例する。Kは造影剤が心筋間質部から血液へ移行する移行常数(sec-1)を表す(以下文献を図31とともに参照)。
【0080】
Yokoi T, Iida H, Itoh H, Kanno I. A new graphic plot analysis for cerebral blood flow and partition coefficient with iodine-123-iodoamphetamine and dynamic SPECT validation studies using oxygen-15-water and PET. J Nucl Med 1993;34:498-505.
(実際の処理フロー)
以下、実際の画像処理フローの一例を説明する。ここに示す例は一例であり、前述の理論に基づく他の処理方法であってもよい。
図32を用いて、本実施形態の全体の具体的処理フローを説明する。X線画像は血管造影された被写体を写した動画像であることを特徴とする(S11)。なお、例えば動画は3〜60秒の継続時間を有する。1秒あたり10〜30枚の画像を有する動画像である。画像は同一方向、同一X線条件で撮像されたものである。撮像中には、患者の動き、寝台の動き、は無いものとする。
【0081】
画像処理部11では1心拍ごとに特定心位相に対応する1枚の画像を抽出し(S14)、その画像を造影剤注入前の同心位相の画像から差分処理する(S12)。具体的には、造影剤注入前の同心位相が複数枚ある場合は、平均した画像を差分処理する。
【0082】
画像処理部11では動き補償処理する(S13)。画像パターン(血管、心壁、カテ)を基準とした、パターンマッチング処理により動き補償量を検出する。特徴的なパターンの無いフレームでは、他時刻同位相で得られた移動量で代用する。動き補償は、画像全体を動かす、もしくはROI移動位置がわかるテーブルを保有する。動き補償では、患者の多少の体動き、呼吸運動、も補償される。
【0083】
特定の心位相は、操作部9を介して操作者により予め指定される。例えば心臓拡張末期に指定される。パルス撮像された多フレームから、最も近い時刻のフレームを抜き出してくる。なお、血液供給領域103の濃度時間曲線Caと心筋局所領域104の濃度時間曲線Cmyoでは異なる心位相を用いてもよい。Ca(t)に対しては、Cmyo(t+T)を用いる。ここでTは、血液供給領域103から心筋局所領域104まで造影剤が流れていくのに要する遅延値である。具体的には1〜10フレーム(1/30〜1/3sec)程度であることが多い。この遅延時間は、一般にTIMI frame count(TFC)もしくはcorrected TIMI frame count(CTFC)と呼ばれる。
【0084】
画像処理部11では、濃度時間積分Σca(t)に対するCmyo(t)の相関を表す傾斜としての指標Kを計算する(S15)。図17に例示したようにフィッティングして回帰直線を計算する。回帰は所定時間区間のみで計算させ、この所定区間は造影剤インジェクターと連動して決定する。すなわちインジェクターからの造影剤注入開始時刻をJ1、注入終了時刻をJ2とすると、所定区間の開始時刻t1は例えばt1=J1+1sec、所定区間の終了は例えばJ2+2secとする。また、所定区間は画像の値から判定するものであってもよい。すなわちTDCが立ちあがる時刻をt1とし、TDCがフラットになる時刻を所定区間の終了と定める。回帰直線との相関値を計算する。不整脈を含む心拍は計算から除外することが好ましい。ひとつの動画像に対してひとつのKを計算する。ただし高速化を目的として、フレームごとに随時Kを計算する手法でもよい。上述したように、画素ごとではなく、周囲N×M画素の平均値(Medianでもよい)をその画素の値とする。表示部24は血流画像を表示する(S17)。指標Kのマップを表示する。Kのマップは濃度値をカラー値に変換して表示してもよい。収集した元の動画像を表示し、その直後にKのマップを重ねて表示しても良いし、元画像とKのマップを左右に並べて表示してもよい。
【0085】
上述した変形例Aに対応して、本実施形態は、画像処理を、X線診断装置に一体化してもよいし(図10、図22)、もしくはX線診断装置から独立させた画像処理装置(図30、図23)として提供しても良い。血流画像(指標画像、マップ画像)に、元画像(血管画像、撮像された画像)を重ねて表示する(S16)。指標をそのままカラーテーブルにあてはめて得られるカラー血流画像に、白黒の元画像(血管画像)を重ねて表示する。なお、元画像は動画であり、血管動画像に血流カラー静止画像を重ねるのもよい。実際的には、血管静止画像に血流カラー静止画像を重ねる。動画から静止画像を作成するには、動画のうち最も濃い1フレームを選択するか、各画素ごろに動画の画素値の最も小さい値を検出して画像とする。元画像とは、差分前の画像、もしくは差分後の画像とする。グラフを表示することを特長とする(S21)。特定のROI(x,y)について、図16〜19のグラフを表示する。図17、図18のグラフには、フィッティング関数(回帰直線)の傾きと切片と相関値を表示する。血液供給領域103はオペレーターが指定する。血液供給領域103を画像上に指定のためのグラフィカルユーザインタフェース14を備える。1心拍の特定の心位相で1パルスX線を照射する(図23)。
【0086】
画像処理部11は指標KとKを計算する(図24)。指標Kに対するKの比(K)/Kを計算する(図25A)。画像処理部11はKとKの比のマップを生成する。
【0087】
また、画像処理部11は、図25Bに示すように、Kを横軸に、Kを縦軸に配置して、局所領域毎にKとKに対応する点をプロットする。分布上では、「正常」、「流入障害」、「流出障害」、「流出入障害」のような心筋機能を表す4種の区分に、各心筋局所領域を分類され得る。つまり、心筋局所領域を指標Kを第1閾値TH1に対する高低の区別と、指標Kの第2閾値TH2に対する高低の区別との組み合わせに分類する。これにより心筋機能を局所ごとに判定することができる。
【0088】
さらに、画像処理部11では、図32Bに示すように4つの区分に4つのコード(1〜4)を割り当てて、コードを図32Aに示すように心筋局所領域に当てはめて元画像に重ねて表示するようにしてもよいし、図33に示すように、4つの区分を異なる表示態様、例えば輝度又は色相で区別して元画像に重ねて表示するようにしてもよい。この表示により、心筋機能障害の状態をその区別とともに空間的に把握することができる。
また、区分は、図28、図29Bに示したように分類してもよい。
【0089】
さらに画像処理部11は、比較解析処理を装備する(図26)。例えば同一手術中の時刻Aと時刻B(C,D,E,,,)の指標Kをそれぞれ計算し左右に並べて表示する。もしくは、時間的に切り替えて表示する。時刻Aと時刻B(C,D,E,,,)のKの比を計算して、比を画像表示する。比のカラー画像に、元画像を重ねて表示する。例えば治療前後での比のカラー画像を、血管が描出されている元画像に重ねて表示することにより、心筋のどの領域は治療によって血流回復が得られたかが可視化されてわかるようになる。
【0090】
以上説明した本実施形態の特徴としては以下の通りである。
X線CT装置から出されている造影剤を用いたPerfusion計算方法との差異としては、画像処理がCTとX線では大きく異なり、X線特有の処理が必要となる。X線は動画像であるため、特有の工夫、具体的には、1心拍に1枚の画像の抽出、背景差分、動き補償、厚み方向の処理、血管ROIの設定等の特有の処理を必要とした。
【0091】
X線での時間濃度曲線の傾きを見る公知方法との差異としては、[理論1、2]で述べた考え方そのものが異なる。指標Kにおいては横軸を流入量としたグラフを描く考え方が従来にはない。これにより、後段の解析や、結果画像が異なってくる。処理方法は時間濃度曲線の傾きを得る処理とはまったく異なる。
【0092】
文献の(或いは図28の)MBG(TMP)手法は、画像数値じたいには意味を持っていなかった。本実施形態では画像数値は心筋への流れ込み流速であるという意味を持つ点で、MBGより明らかに有用性が高い。流入量でNormalizeしているので、注入する造影剤量に左右されず、臨床の場でも定量性が得られる。
【0093】
目視ではないので定量性がある。予後予測できるので、この値を参考にしてインターベンション治療を終わって良いかどうかの判断ができる。処置(治療)前後で比較できるので、どれだけ流量が増えたか、すなわち心筋への血液供給がどれだけ改善したかが数値でわかる。処理自動化することにより、臨床でも簡単に使えるようになる。
【0094】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係るX線診断装置の構成を示す図。
【図2】図1のシステム制御部による撮像動作の一例を示す図。
【図3】図1のシステム制御部による他の撮像動作を示す図。
【図4】図1のシステム制御部による撮像終了判定処理を補足するための時間濃度曲線を示す図。
【図5】図1のシステム制御部によるさらに他の撮像動作を示す図。
【図6】従来の撮像動作を示す図。
【図7】従来の撮像動作を示す図。
【図8】図1のシステム制御部による他の撮像動作を示す図。
【図9】図1のシステム制御部による他の撮像動作を示す図。
【図10】本発明の第2実施形態によるX線診断装置の構成を示す図。
【図11】図10の特定部分の詳細図。
【図12】冠状動脈造影画像の一例を示す図。
【図13】本実施形態において、冠状動脈造影画像上に設定されるROIを示す図。
【図14】本実施形態において、画像収集シーケンスを示す図。
【図15A】本実施形態において、パフュージョンの演算範囲を示す図。
【図15B】本実施形態において、CAG画像上に設定操作されたパフュージョンの演算範囲を示す図。
【図16】図11の画像処理部により生成される造影剤流入期間における時間濃度曲線を示す図。
【図17】図11の画像処理部により計算される指標Kを示す図。
【図18】図11の画像処理部により生成される撮像期間における時間濃度曲線を示す図。
【図19】図11の画像処理部により計算される指標Kを示す図。
【図20A】本実施形態において、安静時と負荷時のパフュージョンの演算範囲を示す図。
【図20B】図2の画像処理部により生成される安静画像と負荷画像との比較画像を示す図。
【図21】本実施形態において、透過画像の厚み効果の補足図。
【図22】本実施形態の処理手順を示す流れ図。
【図23A】本実施形態の他の処理手順を示す流れ図。
【図23B】本実施形態の他の処理手順を示す流れ図。
【図24】本実施形態の他の処理手順を示す流れ図。
【図25A】本実施形態の他の処理手順を示す流れ図。
【図25B】本実施形態の2種の指標の分布を示す図。
【図26】本実施形態の他の処理手順を示す流れ図。
【図27】本実施形態の他の処理手順を示す流れ図。
【図28】図11の画像処理部による2種の指標を用いた局所領域の分類のための分類表を示す図。
【図29A】図11の画像処理部により生成される2種の指標の分布を示す図。
【図29B】図28の分類表に対応する指標分布上の区分を示す図。
【図30】本実施形態において、X線診断装置から独立させた画像処理装置を示す図。
【図31】本実施形態において、指標K、Kの説明図。
【図32A】図11の画像処理部により2種の指標K、Kから生成した心筋機能マップを示す図。
【図32B】図32Aのマップコードを示す図。
【図33】図32Aの他の心筋機能マップを示す図。
【符号の説明】
【0096】
1…高電圧発生部、2…X線発生部、3…被検体、4…寝台、5…X線検出部、6…機構制御部、7…Cアーム、8…システム制御部、9…操作部、10…画像演算記憶部、11…表示部、12…ハンドスイッチ、13…スイッチホルダ、14…ユーザインターフェース、15…インジェクター、20…高電圧制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルスX線を発生するX線源と、
被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づいて画像を発生する画像発生部と、
前記パルスX線を撮像期間内に繰り返し発生させるとともに前記パルスX線の発生周期を前記撮像期間内で変化させるために前記X線源を制御する制御部とを具備することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記撮像期間内の第1区間では前記パルスX線を一定周期で発生させ、前記撮像期間内の第2区間では前記パルスX線を心電同期により不定周期で発生させることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記被検体に対する造影剤の注入開始又は注入終了の時点を基準として前記第1区間と前記第2区間とを切り替えることを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記造影剤の注入開始又は注入終了の時点から所定の遅れ時間を経過した時点に前記第1区間と前記第2区間とを切り替えることを特徴とする請求項3記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像の濃度に基づいて前記第1区間と前記第2区間とを切り替えることを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記第1区間は1〜5秒に予め設定され、前記第2区間は1〜60秒に予め設定されることを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記第1区間は任意の時間長に予め設定され、前記第2区間は任意の心拍数に予め設定されることを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記第1区間では前記パルスX線は10〜30回/秒の頻度で発生され、前記第2区間では前記パルスX線は1〜5回/心拍の頻度で発生されることを特徴とする請求項2記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記撮像期間内の第1区間では前記パルスX線を心電同期により不定周期で発生させ、前記撮像期間内の前記第1区間に続く第2区間では前記パルスX線を一定の周期で発生させ、前記撮像期間内の前記第2区間に続く第3区間では前記パルスX線を心電同期により不定周期で発生させることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記被検体に対する造影剤の注入開始の時点を基準として前記第1区間から前記第2区間に切り替え、前記造影剤の注入終了の時点を基準として前記第2区間から前記第3区間に切り替えることを特徴とする請求項9記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記撮像期間内の第1区間では前記パルスX線を第1周期で発生させ、前記撮像期間内の第2区間では前記パルスX線を前記第1周期と異なる第2周期で発生させることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記被検体に対する造影剤の注入開始又は注入終了の時点を基準として前記第1区間と前記第2区間とを切り替えることを特徴とする請求項11記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記撮像期間内の第1区間では前記パルスX線を第1周期で発生させ、前記撮像期間内の前記第1区間に続く第2区間では前記パルスX線を前記第1周期より短い第2周期で発生させ、前記撮像期間内の第3区間では前記パルスX線を前記第2周期より長い第3周期で発生させることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記撮像期間内の第1区間では前記パルスX線を心電同期により不定周期で発生させ、前記撮像期間内の前記第1区間に続く第2区間では前記パルスX線を一定周期で発生させ、前記撮像期間内の第3区間では前記パルスX線を心電同期により不定周期で発生させることを特徴とする請求項13記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記パルスX線の発生周期を、前記撮像期間内の操作者により指示された時点で延長又は短縮することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項16】
前記制御部は、前記第1、第2区間にわたって一定周期でX線検出動作を繰り返すために前記X線検出器を制御することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項17】
前記画像のデータを前記第1、第2区間を区別して記憶する記憶部をさらに備えることを特徴とする請求項2又は9記載のX線診断装置。
【請求項18】
前記画像を前記第1区間と前記第2区間とで別々に再生する再生部をさらに備えることを特徴とする請求項17記載のX線診断装置。
【請求項19】
冠状動脈造影撮影シーケンスのもとで発生された複数の画像のデータを記憶する記憶部と、
前記複数の画像のデータに基づいて、心筋への血液供給領域に設定された基準領域に関する基準の時間濃度曲線と、心筋領域内に設定された複数の局所領域に関する複数の時間濃度曲線とを発生し、前記基準の時間濃度曲線に対する前記複数の時間濃度曲線の相関をそれぞれ表す複数の指標を演算する演算部とを具備することを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】
前記演算部は、前記心筋への造影剤流入期間における前記基準の時間濃度曲線に対する前記時間濃度曲線の相関を前記指標として前記局所領域ごとに演算することを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項21】
前記演算部は、前記心筋からの造影剤流出期間における前記基準の時間濃度曲線に対する前記時間濃度曲線の相関を前記指標として前記局所領域ごとに演算することを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項22】
前記演算部は、前記心筋への造影剤流入期間における前記基準の時間濃度曲線に対する前記時間濃度曲線の相関を表す第1指標と、前記心筋からの造影剤流出期間における前記基準の時間濃度曲線に対する前記時間濃度曲線の相関を表す第2指標とを前記局所領域ごとに演算することを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項23】
前記演算部は、前記第1指標と前記第2指標との比を前記局所領域ごとに演算し、前記比のマップを生成することを特徴とする請求項22記載の画像処理装置。
【請求項24】
前記比のマップを前記画像に重ねて表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項22記載の画像処理装置。
【請求項25】
前記基準の時間濃度曲線を前記時間濃度曲線とともにグラフとして表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項26】
前記演算部は、前記局所領域を前記第1指標の第1閾値に対する高低の区別と、前記第2指標の第2閾値に対する高低の区別との組み合わせに分類することを特徴とする請求項22記載の画像処理装置。
【請求項27】
前記演算部は、前記分類した組み合わせに関するマップを生成することを特徴とする請求項26記載の画像処理装置。
【請求項28】
前記演算部は、治療前に収集した前記心筋への造影剤流入期間における前記基準の時間濃度曲線に対する、治療後に収集した前記心筋への造影剤流入期間における前記基準の時間濃度曲線の相関を前記指標として前記局所領域ごとに演算することを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項29】
前記演算部は、治療前に収集した前記画像のデータから求めた前記指標に対する治療後に収集した前記画像のデータから求めた前記指標の比較結果を演算することを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項30】
前記指標は、前記心筋への造影剤流入期間における前記画像のデータから求められることを特徴とする請求項29記載の画像処理装置。
【請求項31】
前記指標は、前記心筋への造影剤流出期間における前記画像のデータから求められることを特徴とする請求項29記載の画像処理装置。
【請求項32】
前記演算部は、薬剤投与前に収集した前記画像のデータから求めた前記指標に対する薬剤投与後に収集した前記画像のデータから求めた前記指標の比較結果を演算することを特徴とする請求項19記載の画像処理装置。
【請求項33】
前記演算部は、前記指標に関するマップを生成することを特徴とする請求項19記載のX線診断装置。
【請求項34】
前記指標に関するマップを前記画像にオーバーレイして表示する表示部をさらに備えることを特徴とする請求項33記載の画像処理装置。
【請求項35】
前記演算部は、前記第1指標に関するマップ又は前記第2指標に関するマップを生成することを特徴とする請求項30記載の画像処理装置。
【請求項36】
X線を発生するX線管と、
被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線検出器の出力に基づいて画像のデータを発生する画像発生部と、
冠状動脈造影撮影シーケンスのもとで発生された複数の画像のデータに基づいて、心筋への血液供給領域に設定された基準領域に関する基準の時間濃度曲線と、心筋領域内に設定された複数の局所領域に関する複数の時間濃度曲線とを発生し、前記基準の時間濃度曲線に対する前記複数の時間濃度曲線の相関をそれぞれ表す複数の指標を演算する演算部とを具備することを特徴とするX線診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【公開番号】特開2013−106990(P2013−106990A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−48452(P2013−48452)
【出願日】平成25年3月11日(2013.3.11)
【分割の表示】特願2006−353430(P2006−353430)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】