説明

X線CT装置

【課題】 診断対象部位以外の生体組織に対する不要なX線照射を低減する。
【解決手段】 被検体の正面方向にX線を放射したときのX線検出器の出力に基づく撮影
計画用画像データを生成する撮影計画用画像データ生成手段と、前記撮影計画用画像デー
タに基づく画像とカーソルを表示する表示手段と、前記撮影計画用画像データに基づく画
像に対して前記カーソルの位置が変更されるよう操作者に入力させるための入力手段と、
前記入力手段への入力に基づいて、X線管及びX線検出器と被検体の相対的な位置関係を
、被検体の横方向に関して変更させるための移動手段と、前記移動手段による位置関係の
変更の後に、前記回転手段を駆動させて診断用画像データを生成させるよう制御する制御
手段と、を有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT装置に係り、特にヘリカルスキャン方式等により被検体の広範囲な
領域に対して画像データの収集を行なうX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のX線CT装置では、X線検出器や演算処理部の高速化及び高性能化によりCT画
像データ(以下では、画像データと呼ぶ。)のリアルタイム表示が可能となり、又、へリ
カルスキャン方式やマルチスライス方式、更には、これら2つの方式を組み合わせたマル
チヘリカルスキャン方式の開発により広範囲の画像データを短時間で収集することが可能
となった。
【0003】
ヘリカルスキャン方式あるいはマルチヘリカルスキャン方式のX線CT装置によれば、
被検体の体軸方向における広範囲な領域に対しX線投影データ(以下では投影データと呼
ぶ。)を収集し、得られたこれらの投影データを再構成処理することにより体軸方向(ス
ライス方向)に垂直な複数枚の画像データあるいはボリュームデータに基づく3次元画像
データの生成を行なうことができる。
【0004】
この場合、X線CT装置の架台回転部に設けられたX線管及びX線検出器を被検体の周
囲で高速回転しながら前記被検体が載置された寝台上の天板をその体軸方向に所定速度で
移動することにより、X線管及びX線検出器が被検体の周囲を螺旋状に回転移動する所謂
ヘリカルスキャンが行なわれる。そして、このヘリカルスキャンにより、X線管及びX線
検出器の回転中心を撮影中心とし体軸方向に広範囲な投影データの収集が短時間で行なわ
れる。
【0005】
ところで、上述のヘリカルスキャン方式のX線CT装置を用いて体軸方向における複数
の撮影領域(例えば、頭部領域、胸部領域、腹部領域及び脚部領域)に対し投影データを
収集する場合、被検体に対して予め生成した撮影計画用画像データ(スキャノ像データ)
を用いて上述の各撮影領域における被検体の形状(例えば、天板上に仰臥した被検体の横
幅)を検出し、この検出結果に基づいて前記被検体の形状(横幅)に対応したX線照射ビ
ームを形成するウエッジを予め設けられた複数種類のウエッジの中から選択して用いる方
法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−22951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の特許文献1に記載された方法によれば、被検体の厚み変化に伴なうX線減衰の影
響をウエッジの形状(曲率)によって補正することができ、更に、ウエッジの形状により
被検体を介さずにX線検出器に直接照射されるX線を大幅に低減することができる。従っ
て、均一な感度を有した投影データを収集することができ良質な画像データの生成が可能
となる。又、各撮影領域における被検体の形状(横幅)を自動的に検出することができる
ため、体軸方向に広範囲な投影データの収集を短時間で行なうことが可能となり被検体や
操作者の負担が軽減される。
【0008】
しかしながら、上述の方法によれば、被検体を載置した天板の移動方向は、この被検体
の体軸方向に限定されているため、常に被検体の体軸(即ち、脊柱)が撮影中心の近傍に
配置された状態で投影データの収集が行なわれる。このため、被検体における診断対象部
位の中心が上述の体軸から離れている場合、体軸を中心として前記診断対象部位が含まれ
た広範囲な領域に対して投影データを収集する必要があり、従って、診断対象部位以外の
生体組織に対して不要なX線が照射されるという問題点を有していた。
【0009】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体の診断対象
部位の中心が体軸から離れている場合、横方向移動が可能な天板を用いて前記診断対象部
位の中心を撮影中心あるいはその近傍に設定することにより、診断対象部位以外の生体組
織に対するX線被曝量の低減を可能にしたX線CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明のX線CT装置は、被検体に対して
X線を放射するX線管と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線
管及び前記X線検出器を前記被検体の体軸の周囲で回転させる回転手段と、前記被検体の
正面方向にX線を放射したときの前記X線検出器の出力に基づく撮影計画用画像データを
生成する撮影計画用画像データ生成手段と、前記撮影計画用画像データに基づく画像とカ
ーソルを表示する表示手段と、前記撮影計画用画像データに基づく画像に対して前記カー
ソルの位置が変更されるよう操作者に入力させるための入力手段と、前記入力手段への入
力に基づいて、前記X線管及び前記X線検出器と前記被検体の相対的な位置関係を、前記
被検体の横方向に関して変更させるための移動手段と、前記移動手段による位置関係の変
更の後に、前記回転手段を駆動させて診断用画像データを生成させるよう制御する制御手
段と、を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項2に係る本発明のX線CT装置は、被検体に対してX線を放射するX線管
と、前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、前記X線管及び前記X線検出器
を前記被検体の体軸の周囲で回転させる回転手段と、前記X線検出器の出力に基づいて、
前記被検体の体軸方向及び横方向に広がりを有する撮影計画用画像データを生成する撮影
計画用画像データ生成手段と、前記撮影計画用画像データに基づく画像とカーソルを表示
する表示手段と、前記撮影計画用画像データに基づく画像に対する前記カーソルの位置が
変更されるよう操作者に入力させるための入力手段と、前記入力手段への入力に基づいて
、前記X線管及び前記X線検出器と前記被検体の相対的な位置関係を、前記被検体の横方
向に関して変更させるための移動手段と、前記移動手段による位置関係の変更の後に、前
記回転手段を駆動させて診断用画像データを生成させるよう制御する制御手段と、を有す
ることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例におけるX線CT装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施例におけるX線ウエッジの具体的な構成を示す図。
【図3】同実施例のX線ウエッジによるX線照射範囲を示す図。
【図4】同実施例におけるX線検出器の構成を示す図。
【図5】同実施例の投影データ収集部におけるデータ束ねを説明するための図。
【図6】同実施例の表示部に表示された撮影計画用画像データと各種カーソルの具体例を示す図。
【図7】同実施例の入力部における表示パネルに表示された撮影計画値の具体例を示す図。
【図8】同実施例における診断用画像データの収集手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例)
以下に述べる本発明の実施例では、天板に載置した被検体の正面方向にX線管を固定し
た状態で前記天板をその体軸方向に移動することによって投影データを収集し、この投影
データに基づいて生成した撮影計画用画像データの体軸方向における複数の診断対象部位
に対し撮影範囲や中心位置等を設定する。
【0014】
次に、マルチヘリカルスキャン方式により上述の複数の診断対象部位に対する投影デー
タを連続的に収集する際、前記天板を横方向移動することによって各診断対象部位の中心
位置をX線CT装置の撮影中心あるいはその近傍に配置し、更に、撮影範囲の情報に基づ
いて前記診断対象部位に対するX線照射に好適なウエッジを選択することにより診断対象
部位を中心とした所定範囲における投影データを収集する。そして、得られた投影データ
を再構成処理してスライス方向に複数枚の診断用画像データを生成し表示部に表示する。
【0015】
尚、以下の実施例では、マルチヘリカルスキャン方式のX線CT装置について述べるが
、これに限定されるものではなく、チャンネル方向に1列のX線検出器が配列されたヘリ
カルスキャン方式のX線CT装置であってもよい。
【0016】
(装置の構成)
以下、本発明の実施例におけるX線CT装置の構成につき図1乃至図7を用いて説明す
る。
【0017】
図1は、本実施例におけるX線CT装置100の全体構成を示すブロック図であり、こ
のX線CT装置100は、被検体50に対してX線を照射するX線発生部1と、被検体3
0を透過したX線を検出して投影データを収集する投影データ収集部2と、X線発生部1
及び投影データ収集部2を搭載し被検体30の周囲で高速回転する架台回転部3を備え、
更に、図示しない寝台の上面にスライド可能に設けられ被検体30を載置してその診断対
象部位を架台回転部3の中心領域に移動する天板4と、天板4の移動、架台回転部3の回
転及びX線発生部1が備えた後述のX線ウエッジ13の移動を行なう移動機構部5を備え
ている。
【0018】
又、X線CT装置100は、投影データ収集部2が収集した投影データを処理して撮影
計画用画像データと診断用画像データを生成する画像データ生成部6と、生成した上述の
画像データを表示する表示部7と、被検体情報の入力、撮影条件の設定、診断対象部位の
範囲やその中心位置の設定等を行なう入力部8と、上述の各ユニットを統括的に制御する
システム制御部9を備えている。
【0019】
X線発生部1は、被検体30に対しX線を照射するX線管11と、このX線管11の陽
極と陰極の間に印加する高電圧を発生するための高電圧発生器12と、X線管11から放
射されたX線の照射範囲や照射強度分布を制御するX線ウエッジ13と、高電圧発生器1
2が発生した高電圧を架台回転部3に設けられたX線管11に供給するスリップリング1
4を備えている。
【0020】
X線管11は、X線を発生する真空管であり、高電圧発生器12から供給された高電圧
によって加速した電子をタングステンターゲットに衝突させてX線を放射する。又、X線
ウエッジ13は、X線管11と被検体30の間に設けられ、X線管11から放射されたX
線を所定の照射範囲に絞り込む機能と被検体30に対するX線の照射強度分布を設定する
機能を有している。
【0021】
図2は、本実施例に用いられるX線ウエッジ13の具体例を示したものであり、このX
線ウエッジ13は、例えば、曲率の異なる凹面を有した3つのウエッジ13a乃至13c
を被検体30の体軸方向(図1のZ方向)に重ねることによって構成されている。尚、以
下では、説明を簡単にするために曲率の異なる3種類のウエッジ13a乃至13cを有し
たX線ウエッジ13について述べるがこれに限定されるものではなく、更に多くのウエッ
ジを有していてもよい。
【0022】
このX線ウエッジ13は、移動機構部5における後述のウエッジ移動機構51によって
Z方向に所定距離移動し、このとき、X線管11に対向して配置されたウエッジ13a乃
至13cの何れかにより被検体30に対するX線の照射範囲及び照射強度分布が決定され
る。
【0023】
図3は、X線ウエッジ13によるX線の照射範囲を示したものであり、X線管11から
放射されたX線はその前方に配置されたX線ウエッジ13及び被検体30の診断対象部位
31を通過し、投影データ収集部2における後述のX線検出器21によって検出される。
このとき、X線ウエッジ13の形状により診断対象部位31に対するX線の照射範囲が決
定される。
【0024】
即ち、診断対象部位31が比較的広範囲な図3(a)の場合には、大きな曲率半径の凹
面を有するウエッジ13aが選択されて用いられ、診断対象部位31が狭範囲な図3(c
)の場合には、小さな曲率半径の凹面を有するウエッジ13cが用いられる。
【0025】
上述のように、診断対象部位の大きさに対応した照射範囲の設定に好適なウエッジ13
a乃至13cを用いることにより、診断対象部位以外の生体組織に対するX線被曝量を低
減することが可能となる。又、診断対象部位に対して照射されるX線は、X線ウエッジ1
3の凹面形状により中央部が最大となる照射強度分布を呈し、この照射強度分布により診
断対象部位の厚みに伴なうX線減衰の影響は低減される。
【0026】
図1に戻って、投影データ収集部2は、被検体30を透過したX線を検出するX線検出
器21と、このX線検出器21から出力された複数チャンネルの検出信号を所定のチャン
ネル数に束ねるスイッチ群22と、スイッチ群22の出力信号に対して電流/電圧変換と
A/D変換を行なうデータ収集回路(以下、DAS(data acquisition system)ユニット
と呼ぶ。)23と、DASユニット23の出力信号に対してパラレル/シリアル変換、電
気/光/電気変換及びシリアル/パラレル変換を行なうデータ伝送回路24を備えている

【0027】
次に、投影データ収集部2のX線検出器21につき、図4を用いて説明する。図4は、
X線検出素子211が2次元配列されたX線検出器21の展開図を示したものであり、X
線検出素子211の各々は、X線を光に変換するシンチレータと光を電気信号に変換する
フォトダイオードによって構成されている。
【0028】
このX線検出器21には、例えば、被検体30の体軸方向であるスライス方向(Z方向
)に対して80素子、又、前記スライス方向に直交するチャンネル方向(X方向)に対し
て約900素子のX線検出素子211が配列されている。但し、チャンネル方向に配列さ
れたX線検出素子211は、実際には、図3において示したようにX線管11の焦点を中
心とした円弧に沿って架台回転部3に取り付けられている。そして、X線検出器21にお
けるスライス方向の中央部には、例えば、X線検出素子211が0.5mm間隔で32素
子配置され、これら32素子のX線検出素子211の両端には、X線検出素子211が1
.0mm間隔で24素子ずつ配置されている。
【0029】
図1に戻って、投影データ収集部2のスイッチ群22は、図示しないマルチプレクサを
備え、X線検出器21から供給された投影データをDASユニット23へ転送する際、X
線検出素子211から出力されたスライス方向における複数チャンネルの投影データを所
定チャンネル数M1に「データ束ね」してDASユニット23へ供給する。
【0030】
一方、DASユニット23は、図示しないM1チャンネルの受信部を有し、X線検出器
21から供給された投影データに対して電流/電圧変換とA/D変換を行なう。又、デー
タ伝送回路24は、図示しないパラレル/シリアル変換器と電気/光/電気変換器とシリ
アル/パラレル変換器を有し、DASユニット23から出力された複数チャンネルの投影
データは、架台回転部側に設けられた前記パラレル/シリアル変換器において時系列的な
1チャンネルの投影データに変換され、前記電気/光/電気変換器による光通信によって
架台固定部側の前記シリアル/パラレル変換器に供給される。
【0031】
次いで、前記シリアル/パラレル変換器において、1チャンネルの投影データは複数チ
ャンネルの投影データに戻されて画像データ生成部6における後述の投影データ記憶部6
1に保存される。尚、このデータ伝送方法は、架台回転部3に設けられた投影データ収集
部2と架台回転部3の外部に設けられた画像データ生成部6の間の信号伝送が可能であれ
ば他の方法に替えることが可能であり、例えば、既に述べたスリップリング等のデバイス
を使用しても構わない。
【0032】
そして、X線発生部1のX線管11及びX線ウエッジ13と投影データ収集部2は、被
検体30を挟むように対向して架台回転部3に装着され、移動機構部5における後述の架
台回転機構52により被検体30の体軸方向(Z方向)に平行な軸を回転中心として、例
えば、1回転/秒乃至2回転/秒で高速回転する。
【0033】
次に、図5を用いて上述の投影データ収集部2における「データ束ね」について説明す
る。但し、この図では、説明を簡単にするために、スライス方向に12個のX線検出素子
611−1乃至611−12を配列した場合について述べる。
【0034】
即ち、図5のX線検出器21では、例えば、スライス方向の中心部において8素子のX
線検出素子211−3乃至211−10が0.5mm間隔で配置され、その両端には、X
線検出素子211−1乃至211−2及びX線検出素子211−11乃至211−12が
1mm間隔で夫々配置されている。
【0035】
一方、DASユニット23は、M1(M1<12)チャンネルの電流/電圧変換器23
1−1乃至231−M1及びA/D変換器232−1乃至232−M1を有し、スイッチ
群22は、X線検出素子211において検出された12列の受信信号をM1列に「データ
束ね」している。この「データ束ね」によって、マルチヘリカルスキャンにおけるスライ
ス厚を変えることが可能となる。
【0036】
例えば、X線検出素子211−3乃至211−10を、スイッチ群22を介してDAS
ユニット23の電流/電圧変換器231−1乃至231−M1に接続することによりスラ
イス厚0.5mmのデータがM1スライス分得られる。一方、スライス厚1mmのデータ
が要求される場合には、X線検出素子211−1を電流/電圧変換器231−1、X線検
出素子211−2を電流/電圧変換器231−2、X線検出素子211−3及び211−
4を電流/電圧変換器231−3、X線検出素子211−5及び211−2を電流/電圧
変換器231−4に夫々接続し、更に、X線検出素子211−7及び211−8を電流/
電圧変換器231−5、X線検出素子211−9及び211−10を電流/電圧変換器2
31−2、X線検出素子211−11を電流/電圧変換器231−7、X線検出素子21
1−12を電流/電圧変換器231−M1に接続する。
【0037】
同様の方法により、図4に示した0.5mm間隔のX線検出素子211から得られる検
出信号に対して上述の「データ束ね」を行なうことにより、X線検出素子211をスライ
ス方向に1mm間隔で24素子配列した場合と等価な投影データが収集される。即ち、こ
の場合のスライス方向における実効素子数は24となる。このような「データ束ね」によ
り、狭い領域を高分解能で撮影する場合と広い領域を高感度で撮影する場合の何れにおい
ても対応することが可能となる。
【0038】
次に、図1の天板4は図示しない寝台の上面に対しスライド可能に設けられ、被検体3
0はその体軸方向が天板4の長手方向に一致するように載置される。そして、被検体30
を載置した天板4は、移動機構部5が備える後述の天板移動機構53により、被検体30
の体軸方向及びこの体軸方向に直角な方向に移動する。尚、以下では被検体30の体軸方
向と直角な方向(X方向)に対する天板4の移動を横方向移動と呼ぶ。
【0039】
一方、移動機構部5は、X線発生部1におけるX線ウエッジ13を体軸方向に移動させ
るウエッジ移動機構51と、架台回転部3を被検体30の周囲で回転させる架台回転機構
52と、天板4の体軸方向移動及び横方向移動を行なう天板移動機構53と、これらの移
動機構を制御する移動機構制御部54を備えている。
【0040】
ウエッジ移動機構51は、移動機構制御部54から供給されたウエッジ移動制御信号に
従って図2に示したX線ウエッジ13を被検体30の体軸方向に所定距離だけ移動させ、
又、架台回転機構52は、移動機構制御部54から供給された架台回転制御信号に基づき
、架台回転部3に装着されたX線管11、X線ウエッジ13及び投影データ収集部2を架
台回転部3と共に被検体30の周囲で回転させる。
【0041】
一方、天板移動機構53は、移動機構制御部54から供給された天板移動制御信号に基
づき、天板4の体軸方向移動と横方向移動を行なう。即ち、撮影計画用画像データの生成
を目的とした投影データ(撮影計画用投影データ)の収集に際しては、X線管11を被検
体30の正面方向に対向させた状態で天板4のみを所定速度で体軸方向へ移動させる。又
、診断用画像データの生成を目的とした投影データ(診断用投影データ)の生成に際して
は、X線管11、X線ウエッジ13及び投影データ収集部2が被検体30の周囲で高速回
転する状況下で天板4を体軸方向へ移動させる。
【0042】
更に、被検体30における診断対象部位の中心をX線CT装置100の撮影中心に設定
する際には、撮影計画用画像データにおいて設定された診断対象部位の中心位置に基づい
て天板4の横方向移動を行なう。尚、体軸方向移動における天板4の移動速度は、通常、
当該診断対象部位に対する画像の解像度や許容される被曝量等に基づいて設定される。
【0043】
そして、移動機構制御部54は、システム制御部9あるいは入力部8から供給される移
動指示信号に基づいてウエッジ移動制御信号、架台回転制御信号及び天板移動制御信号を
生成し、上述のウエッジ移動機構51、架台回転機構52及び天板移動機構53の各ユニ
ットに供給する。
【0044】
次に、画像データ生成部6は、投影データ記憶部61と、撮影計画用画像データ生成部
62と、診断用画像データ生成部63と、画像データ記憶部64を備えている。
【0045】
投影データ記憶部61には、投影データ収集部2において生成され、架台回転部3の回
転角度情報やX線検出素子211の配列位置情報、更には、天板4の移動位置情報等の付
帯情報が付加された当該被検体30の投影データが保存される。この場合、架台回転部3
の高速回転と天板4の体軸方向移動及び横方向移動を行なうことによって収集された診断
用投影データと、X線管11を被検体30の正面に配置した状態で天板4のみを体軸方向
移動することによって収集された撮影計画用投影データの各々に対し上述の付帯情報が付
加される。
【0046】
次に、撮影計画用画像データ生成部62は、撮影計画の設定に際して投影データ記憶部
61に一旦保存された撮影計画用投影データを読み出し、その付帯情報(即ち、X線検出
素子211の配列位置情報及び天板4の移動位置情報)に基づいて撮影計画用画像データ
を生成する。尚、このとき生成される撮影計画用画像データは、通常のX線診断装置によ
って得られる透視画像データに類似したものとなり、この撮影計画用画像データの生成に
用いられる撮影計画用投影データは診断用投影データと比較して少ないX線量で収集する
ことが可能である。
【0047】
一方、診断用画像データ生成部63は、診断用画像データの生成に際して投影データ記
憶部61に保存されている診断用投影データを読み出し、その付帯情報(即ち、架台回転
部3の回転角度情報、X線検出素子211の配列位置情報及び天板4の移動位置情報)や
システム制御部9から供給されるスライス画像データ枚数及びスライス間隔等の情報に基
づいて再構成処理を行ない体軸方向に垂直な複数の診断用画像データを生成する。
【0048】
そして、生成された上述の撮影計画用画像データ及び診断用画像データの各々は画像デ
ータ記憶部64に保存される。
【0049】
次に、表示部7は、図示しない表示データ生成回路と変換回路とモニタを有している。
前記表示データ生成回路は、画像データ生成部6の画像データ記憶部64に保存されてい
る撮影計画用画像データあるいは診断用画像データを読み出し、これらの画像データに患
者情報等の付帯情報を付加して表示データを生成する。特に、撮影計画用画像データの表
示に際しては、被検体30に対して設定あるいは更新された診断対象部位の範囲やこの診
断対象部位におけるスライス画像データ枚数及びスライス間隔等を示す範囲カーソルや診
断対象部位の中心位置を示す中心カーソルを前記撮影計画用画像データに重畳して表示デ
ータを生成する。そして、前記変換回路は、上述の表示データに対してD/A変換とテレ
ビフォーマット変換を行なって前記モニタに表示する。
【0050】
図6は、表示部7のモニタに表示された当該被検体30の撮影計画用画像データと各種
カーソルの具体例を示したものであり、例えば、撮影計画用画像データにおける被検体3
0の頭部、胸部、腹部及び脚部の各撮影領域における診断対象部位(斜線部)には初期設
定あるいは更新された高さH及び幅Wの診断対象部位範囲とこの診断対象部位におけるス
ライス画像データ枚数N及びスライス間隔Dを示す範囲カーソルKxと前記診断対象部位
の中心位置を示す中心カーソルKyが示される。
【0051】
即ち、頭部領域の診断対象部位範囲(Ha、Wa)には、スライス間隔Daで配列され
たNa枚のスライス画像データの位置を示す範囲カーソルKxaとこの診断対象部位の中
心位置を示す中心カーソルKyaが表示され、胸部領域の診断対象部位範囲(Hb、Wb
)には、スライス間隔Dbで配列されたNb枚のスライス画像データの位置を示す範囲カ
ーソルKxbとその中心カーソルKybが表示される。
【0052】
同様にして、腹部領域及び脚部領域では診断対象部位範囲(Hc、Wc)に対しスライ
ス間隔Dcで配列されたNc枚のスライス画像データの位置を示す範囲カーソルKxc及
びその中心カーソルKycと診断対象部位範囲(Hd、Wd)に対しスライス間隔Ddで
配列されたNd枚のスライス画像データの位置を示す範囲カーソルKxd及びその中心カ
ーソルKydが夫々表示される。
【0053】
一方、入力部8は、表示パネル、キーボード、各種スイッチ、選択ボタン、マウス等の
入力デバイスを備えたインターラクティブなインターフェースであり、被検体情報の入力
、投影データ収集条件、再構成条件及び画像表示条件の設定、撮影計画の設定、各種コマ
ンド信号の入力等を行なう。
【0054】
特に、撮影計画の設定に際し、図6の範囲カーソルKxに基づく診断対象部位範囲、ス
ライス画像データ枚数及びスライス間隔の情報や中心カーソルKyに基づく診断対象部位
の中心位置情報は入力部8に備えられた表示パネルにおいて、例えば、図7のように表示
される。そして、操作者は、表示部7のモニタに表示されたカーソルあるいは入力部8の
表示パネルに表示された数値を上述の入力デバイスを用いて確定あるいは更新することに
より当該被検体に対する撮影計画を設定する。
【0055】
次に、システム制御部9は、図示しないCPUと記憶回路を備え、入力部8から供給さ
れる各種の設定情報や入力情報を内部の記憶回路に一旦保存する。そして、これらの入力
情報に従って、X線発生部1、投影データ収集部2、移動機構部5、画像データ生成部6
及び表示部7を統括的に制御する。
【0056】
(診断用画像データの収集手順)
次に、本発明の実施例における診断用画像データの収集手順につき図8のフローチャー
トを用いて説明する。
【0057】
X線CT装置100の操作者は、診断用画像データの収集に先立って、上述の投影デー
タの収集条件や画像再構成条件、更には画像表示条件等の画像データ収集条件を入力部8
において設定し、設定されたこれらの条件はシステム制御部9の記憶回路に保存される。
【0058】
画像データ収集条件の設定が終了したならば、操作者は、被検体30を天板4に載置し
、その基準部位(例えば、頭頂部)が架台回転部3の中央部に配置されるように被検体3
0をスライス方向に移動する(図8のステップS1)。
【0059】
次いで、操作者は、入力部8において撮影計画用画像データの生成開始コマンドを入力
する(図8のステップS2)。このコマンド信号を入力部8から受信したシステム制御部
9は、移動機構部5の移動機構制御部54に対して移動指示信号を供給し、移動機構制御
部54は、この移動指示信号に基づいて架台回転制御信号を生成し架台回転機構52に供
給する。そして、架台回転機構52は、前記架台回転制御信号に従って架台回転部3を低
速回転させ、この架台回転部3に取り付けられたX線管11を被検体30の正面位置に設
定する。
【0060】
次いで、移動機構制御部54は、天板移動機構53に対して天板移動制御信号を供給し
、天板移動機構53は、前記天板移動制御信号に従って被検体30を載置した天板4をそ
の体軸方向に所定速度で移動する。
【0061】
一方、システム制御部9は、X線発生部1の高電圧発生器12に対してX線放射指示信
号を供給し、高電圧発生器12は、上述のステップ1の初期設定にて設定された投影デー
タ収集条件に従い撮影計画用投影データの収集を目的としたX線照射に必要な電力(管電
圧及び管電流)をX線管11に供給する。そして、この電力の供給を受けたX線管11は
、被検体30に対してファンビームX線を照射する。
【0062】
X線管11から照射され被検体30を透過したX線は、投影データ収集部2のX線検出
器21によって検出される。即ち、被検体30を透過したX線は、X線検出器21におい
て透過線量に比例した電荷(電流)信号に変換され、スイッチ群22においてスライス方
向に対しM1チャンネルの「データ束ね」が行なわれる。そして、「データ束ね」された
電流信号は、DASユニット23に供給されて電流/電圧変換とA/D変換が行なわれ撮
影計画用投影データが生成される。
【0063】
この撮影計画用投影データは、架台回転部3に装着されたデータ伝送回路24の送信部
に送られて光信号に変換され、空中を介して架台固定部10に取りつけられたデータ伝送
回路24の受信部にて受信される。そして、受信された撮影計画用投影データは、その付
帯情報であるX線検出素子211の配列位置情報及び天板4の移動位置情報と共に画像デ
ータ生成部6の投影データ記憶部61に保存される。
【0064】
同様の手順によって天板4を被検体30の体軸方向に順次移動させながらX線の照射と
撮影計画用投影データの収集を繰り返し、被検体30の略全身に対して収集した撮影計画
用投影データとその付帯情報を投影データ記憶部61に順次保存する。(図8のステップ
S3)。
【0065】
一方、画像データ生成部6の撮影計画用画像データ生成部62は、システム制御部9か
らの指示信号に従い投影データ記憶部61に保存された撮影計画用投影データとその付帯
情報を順次読み出す。そして、この付帯情報に基づいて撮影計画用画像データを生成し画
像データ記憶部64に一旦保存する。
【0066】
次いで、表示部7の表示データ生成回路は、画像データ生成部6の画像データ記憶部6
4に保存された撮影計画用画像データを読み出し、撮影領域単位で予め設定されている標
準的な診断対象部位範囲、スライス画像データ枚数及びスライス間隔を示す範囲カーソル
Kxや前記診断対象部位の中心位置を示す中心カーソルKyを前記撮影計画用画像データ
に重畳して表示データを生成する。そして、表示部7の変換回路は、上述の表示データに
対してD/A変換とテレビフォーマット変換を行ないモニタに表示する(図8のステップ
S4)。
【0067】
表示部7のモニタに表示された撮影計画用画像データ(図6参照)を観察した操作者は
、この撮影計画用画像データに重畳表示されている範囲カーソルKx及び中心カーソルK
yの幅や位置、更には数を確認し、変更する必要がある場合には、前記モニタに表示され
ているカーソルあるいは表示部7の表示パネルに一覧表示されている数値(図7参照)を
入力部8の入力デバイスによって更新し撮影計画を設定する(図8のステップS5)。
【0068】
上述の撮影計画の設定が終了したならば、操作者は、入力部8において診断用画像デー
タの生成開始コマンドを入力する(図8のステップS6)。
【0069】
このコマンド信号を入力部8から受信したシステム制御部9は、移動機構部5の移動機
構制御部54に対して移動指示信号を供給し、移動機構制御部54は、前記移動指示信号
に基づき天板移動機構53に対して天板移動制御信号を供給する。次いで、天板移動機構
53は、前記天板移動制御信号に従って天板4を脚部方向に移動させ被検体30の頭頂部
を架台回転部3の中心部に戻した後、被検体30の頭部領域(L=1)における診断対象
部位の中心がX線CT装置100の撮影中心に位置するように天板4を横方向移動する。
【0070】
又、移動機構制御部54は、システム制御部9から供給された移動指示信号に基づきウ
エッジ移動機構51に対してウエッジ移動制御信号を供給する。そして、ウエッジ移動機
構51は、前記ウエッジ移動制御信号に従ってX線ウエッジ13を体軸方向に移動するこ
とにより頭部領域の診断対象部位に対するX線照射に好適なウエッジをX線管11に対向
させて配置する。
【0071】
尚、上述の天板4の横方向移動及びX線ウエッジ13の体軸方向移動は、上述のステッ
プS5において設定された頭部領域における診断対象部位範囲(図6のWa)及びその中
心位置の情報に基づいて行なわれる(図8のステップS7)。
【0072】
そして、上述のX線ウエッジ13の体軸方向移動と天板4の横方向移動が終了したなら
ば、天板移動機構53は、移動機構制御部54からの天板移動制御信号に基づいて天板4
を頭部方向に所定速度で移動し、架台回転機構52は、移動機構制御部54からの架台回
転制御信号に基づいて架台回転部3を高速回転することにより頭部領域に対するマルチヘ
リカルスキャンが開始される。
【0073】
即ち、システム制御部9は、X線発生部1の高電圧発生器12に対してX線放射指示信
号を供給し、高電圧発生器12は、上述のステップ1の初期設定にて設定された投影デー
タ収集条件に従い診断用投影データの収集を目的としたX線照射に必要な電力(管電圧及
び管電流)をX線管11に供給する。そして、この電力の供給を受けたX線管11は、被
検体30に対してX線を照射する。
【0074】
そして、投影データ収集部2は、マルチヘリカルスキャンによって形成される複数方向
からの診断用投影データを上述のステップS3と同様の手順によって収集し、架台回転部
3の回転角度情報、X線検出素子211の配列位置情報及び天板4の移動位置情報等を付
加して画像データ生成部6の投影データ記憶部61に一旦保存する(図8のステップS8
)。
【0075】
一方、画像データ生成部6の診断用画像データ生成部63は、投影データ記憶部61に
保存された診断用投影データとその付帯情報を読み出し、この付帯情報やシステム制御部
9から供給されるスライス画像データ枚数及びスライス間隔等の情報に基づき前記診断用
投影データを再構成処理して診断用画像データを生成する。そして、得られた診断用画像
データは、画像データ記憶部64に保存され、必要に応じて表示部7のモニタに表示され
る(図8のステップS9)。
【0076】
上述の診断用画像データの生成と並行してマルチヘリカルスキャンによる診断用投影デ
ータの収集を連続的に行ない、予め設定された頭部領域の診断対象部位範囲(図6のHa
)における診断用投影データの収集が終了したならば、架台回転部3の高速回転と天板4
の体軸方向移動を継続したまま胸部領域(L=2)の診断対象部位に対するX線ウエッジ
13の体軸方向移動と天板4の横方向移動を行なう(図8のステップS7)。
【0077】
即ち、ウエッジ移動機構51は、移動機構制御部54から供給されたウエッジ移動制御
信号に従ってX線ウエッジ13を体軸方向移動することにより胸部領域における診断対象
部位範囲Wbに好適なウエッジを選択し、天板移動機構53は、移動機構制御部54から
供給された天板移動制御信号に従って天板4を横方向移動することにより胸部領域におけ
る診断対象部位の中心を撮影中心に移動する。
【0078】
そして、天板4の体軸方向移動によって胸部領域における診断対象部位の端部が撮影中
心に到達したならばこの胸部領域に対してマルチヘリカルスキャンを行なって診断用投影
データを生成し(図8のステップS8)、更に、収集した診断用投影データを再構成処理
し診断用画像データを生成して画像データ記憶部64に保存する(図8のステップS9)

【0079】
次いで、腹部(L=3)及び脚部(L=4)に対しても同様の手順によって投影データ
の収集と診断用画像データの生成を行なう(図8のステップS7乃至S9)。
【0080】
以上述べた本発明の実施例によれば、横方向移動が可能な天板を備えているため、被検
体の診断対象部位の中心が体軸から離れている場合においても、前記天板によって前記診
断対象部位の中心を撮影中心あるいはその近傍に設定することができる。このため、この
診断対象部位を中心とした所定領域に対しX線照射を行なってその投影データを収集する
ことが可能となる。更に、診断対象部位範囲の情報に基づいてウエッジの形状を選択する
ことにより、診断対象部位の大きさに対応したX線照射領域を容易に形成することができ
る。従って、診断対象部位の位置や大きさに関わらず、常に有効なX線照射が可能となり
診断対象部位以外の生体組織に対するX線被曝量を低減することができる。
【0081】
又、当該被検体の体軸方向における複数診断対象部位の診断用投影データをヘリカルス
キャン方式あるいはマルチヘリカルスキャン方式によって収集する際、撮影計画用画像デ
ータ上の各診断対象部位において予め設定された診断対象部位範囲及びその中心位置の情
報に基づいて前記天板の横方向移動と前記ウエッジの選択が自動的に行なわれるため、各
診断対象部位における投影データを連続的に収集することができる。このため、診断用投
影データの収集に要する時間が大幅に短縮され、検査効率が向上するのみならず操作者や
被検体の負担が軽減される。
【0082】
更に、当該被検体の体軸方向における複数診断対象部位の診断用投影データをヘリカル
スキャン方式あるいはマルチヘリカルスキャン方式によって収集する際、撮影計画用画像
データ上の各診断対象部位において予め設定されたスライス間隔及びスライス画像データ
枚数の情報に基づいて天板の体軸方向移動速度が設定されるため、診断対象部位の各々に
対するX線照射量を制御することができる。
【0083】
以上、本発明の実施例について述べてきたが、本発明は上述の実施例に限定されるもの
ではなく、変形して実施してもよい。例えば、上述の実施例では、マルチヘリカルスキャ
ン方式によって収集された診断用投影データを用いて複数枚の2次元画像データを生成す
る場合について述べたが、前記診断用投影データを用いてボリュームデータを生成し、更
に、このボリュームデータを処理してボリュームレンダリング画像データ等の3次元画像
データを生成してもよい。
【0084】
又、既に述べたように、上述の実施例では、マルチヘリカルスキャン方式のX線CT装
置について述べたが、チャンネル方向に1列のX線検出器が配列されたヘリカルスキャン
方式のX線CT装置であってもよい。
【0085】
更に、この実施例では、X線管11と投影データ収集部2の何れもが被検体30の周囲
で高速回転する所謂第3世代のX線CT装置について述べたが、X線検出器が被検体の周
囲360度に渡って配列されX線管のみが高速回転する第4世代のX線CT装置、あるい
は、X線管とX線検出器が被検体の周囲360度に渡って配列された第5世代のX線CT
装置であっても構わない。
【符号の説明】
【0086】
1…X線発生部
11…X線管
12…高電圧発生器
13…X線ウエッジ
14…スリップリング
2…投影データ収集部
21…X線検出器
22…スイッチ群
23…DASユニット
24…データ伝送回路
3…架台回転部
4…天板
5…移動機構部
51…ウエッジ移動機構
52…架台回転機構
53…天板移動機構
54…移動機構制御部
6…画像データ生成部
61…投影データ記憶部
62…撮影計画用画像データ生成部
63…診断用画像データ生成部
64…画像データ記憶部
7…表示部
8…入力部
9…システム制御部
10…架台固定部
100…X線CT装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線を放射するX線管と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の体軸の周囲で回転させる回転手段と、
前記被検体の正面方向にX線を放射したときの前記X線検出器の出力に基づく撮影計画
用画像データを生成する撮影計画用画像データ生成手段と、
前記撮影計画用画像データに基づく画像とカーソルを表示する表示手段と、
前記撮影計画用画像データに基づく画像に対して前記カーソルの位置が変更されるよう
操作者に入力させるための入力手段と、
前記入力手段への入力に基づいて、前記X線管及び前記X線検出器と前記被検体の相対
的な位置関係を、前記被検体の横方向に関して変更させるための移動手段と、
前記移動手段による位置関係の変更の後に、前記回転手段を駆動させて診断用画像デー
タを生成させるよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
被検体に対してX線を放射するX線管と、
前記被検体を透過したX線を検出するX線検出器と、
前記X線管及び前記X線検出器を前記被検体の体軸の周囲で回転させる回転手段と、
前記X線検出器の出力に基づいて、前記被検体の体軸方向及び横方向に広がりを有する
撮影計画用画像データを生成する撮影計画用画像データ生成手段と、
前記撮影計画用画像データに基づく画像とカーソルを表示する表示手段と、
前記撮影計画用画像データに基づく画像に対する前記カーソルの位置が変更されるよう
操作者に入力させるための入力手段と、
前記入力手段への入力に基づいて、前記X線管及び前記X線検出器と前記被検体の相対
的な位置関係を、前記被検体の横方向に関して変更させるための移動手段と、
前記移動手段による位置関係の変更の後に、前記回転手段を駆動させて診断用画像デー
タを生成させるよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とするX線CT装置。
【請求項3】
前記撮影計画用画像データ生成手段は、前記X線管を前記被検体に対して回転させない
でX線を放射したときの前記X線検出器の出力に基づく撮影計画用画像データを生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記撮影計画用画像データ生成手段は、前記X線管を前記被検体の正面方向に対向させ
た状態でX線を放射したときの前記X線検出器の出力に基づく撮影計画用画像データを生
成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記表示手段は、予め設定されている標準的な診断対象部位を示す前記カーソルを初期
的に表示することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記範囲カーソルは、矩形であることを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記X線検出器は、前記被検体の体軸方向及びこの体軸方向と直交する方向に従って2
次元的に配列されたX線検出素子を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項
に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記X線検出器の出力に基づく複数方向からの投影データを再構成して
診断用画像データを生成させるよう制御することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか
1項に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記複数方向からの投影データに基づいてボリュームデータを生成さ
せ、前記ボリュームデータに基づいてボリュームレンダリング画像データを生成させるこ
とを特徴とする請求項8に記載のX線CT装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−157742(P2012−157742A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115982(P2012−115982)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2012−66373(P2012−66373)の分割
【原出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】