XBP1ペプチド、CD138ペプチドおよびCS1ペプチド
本開示は、とりわけ、免疫原性のXBP1、CD138、およびCS1に由来するペプチド(およびその薬学的組成物)を特徴とする。本ペプチドを、種々の方法(免疫応答の誘導方法,抗体産生方法、および癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害)の処置方法など)で使用することができる。本ペプチドを、MHC分子多量体組成物中に含め、例えば、細胞集団中のT細胞の検出方法で使用することもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府によって資金供与を受けた研究開発に関する声明
本出願に記載された研究は、各々the National Institutes of Healthから授与された、助成金番号第P50−100707号、第PO1−78378号および第RO1−50947号によって補助された。したがって、政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
背景
多発性骨髄腫およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症は、米国でそれぞれ年間約45,000人および1,500人が罹患する2つの血液癌である。両障害は、しばしば、例えば、化学療法を単独で使用するか、骨髄移植と組み合わせて使用して処置されるにもかかわらず、これらの障害の1つに罹患した患者の予後は一般的に不良である。したがって、有効な治療および/または予防的レジメンが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本開示は、免疫原性X−Boxタンパク質1(XBP1)、CD138、およびCD2サブセット1(CS1)に由来するペプチドおよびこのペプチドの使用方法に関する。本ペプチドは、多数の性質(例えば、HLA−A2分子に対する高親和性、HLA−A2のペプチド結合裂溝内の高安定性、およびMHC分子と会合して細胞(例えば、癌細胞)表面上に発現した場合にT細胞の活性化および増殖を誘導する能力が含まれる)を保有することが発見された。
【0004】
ペプチド(およびその薬学的組成物)を種々の適用(免疫応答の誘導方法、T細胞の活性化方法、抗体の産生方法、および、例えば、癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞癌)の処置方法など)で使用することができることが以下の記載から明らかであろう。さらに、本ペプチドをMHC分子多量体組成物中に含めることができ、これを使用して、例えば、細胞集団中のペプチド特異的T細胞を検出することができる。
【0005】
1つの態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを特徴とする。本ペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子など)に結合することができる。
【0006】
別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを特徴とする。本ペプチドを、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識することができる。
【0007】
別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるペプチドからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチドを特徴とする。4個以下の置換は、保存的または非保存的であり得る。
【0009】
さらに別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを特徴とする。4個以下の置換は、保存的または非保存的であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子)に結合することができる。MHC分子は、例えば、HLA−A2分子であり得る。MHC分子は、例えば、ヒトMHC分子であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識することができる。
【0012】
本明細書中に記載の任意の単離ペプチドのいくつかの実施形態では、第2のアミノ酸配列は、ターゲティングポリペプチド、免疫刺激分子、免疫グロブリンまたはその抗原結合フラグメント、免疫グロブリン分子のFc受容体結合領域、またはキャリアポリペプチドを構成することができるか、これらであり得る。ターゲティングポリペプチドは、例えば、単離ペプチドを抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞)にターゲティングさせるペプチドであり得る。免疫刺激分子は、例えば、サイトカインまたはTヘルパーエピトープであり得る。免疫グロブリンは、例えば、単鎖Fv免疫グロブリンフラグメントまたは免疫グロブリン分子全体であり得る。キャリアペプチドは、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)ポリペプチドを含むことができるか、KLHであり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドは、リンカー配列を含むことができる。リンカー配列は、第1のアミノ酸配列を第2のアミノ酸配列に連結することができる。リンカー配列は、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、またはこれを超える)のプロテアーゼ切断部位を含むか、これらからなることができる。
【0014】
本明細書中に記載の任意の単離ペプチドのいくつかの実施形態では、第2のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列のアミノ末端またはカルボキシ末端側にあり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを検出可能に標識することができる。
【0016】
さらに別の態様では、本開示は、(i)本明細書中に記載の任意の単離ペプチドをコードする単離核酸、(ii)(i)の単離核酸を含むベクター、または(iii)(ii)のベクターを含む培養細胞を特徴とする。ベクターを、発現調節配列に作動可能に連結することができる。培養細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。培養細胞は、例えば、真菌細胞、植物細胞、または動物細胞(例えば、線虫細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、魚類細胞、または哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞))であり得る。培養細胞は、免疫細胞(本明細書中に記載の任意の免疫細胞など)であり得る。
【0017】
別の態様では、本開示は、ペプチドの産生方法を特徴とする。本方法は、ペプチドを発現させる条件下で本明細書中に記載の任意の培養細胞を培養する工程を含む。本方法はまた、細胞または細胞が培養された培地からペプチドを単離する工程を含むことができる。
【0018】
別の態様では、本開示は、1つまたは複数の本明細書中に記載の任意の単離ペプチドおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物を特徴とする。組成物はまた、例えば、1つまたは複数の治療薬、診断薬、予防薬、または免疫刺激剤を含むことができる。免疫刺激剤には、例えば、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、アジュバント、または本明細書中に記載の任意の他の免疫刺激剤が含まれるが、これらに限定されない。Tヘルパーエピトープは、例えば、PADRE配列またはユニバーサル破傷風トキソイドTヘルパー(TT Th)エピトープであり得る。アジュバントを、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、Toll受容体のリガンド、QS21、RIBI、コレラ毒素(CT)、E.coli易熱性毒素(LT)、変異体CT(MCT)、および変異体E.coli易熱性毒素(MLT)からなる群より選択することができる。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、(i)1つまたは複数の本明細書中に記載の任意の単離ペプチド、および被験体にペプチドを投与するための説明書、および/または(ii)1つまたは複数の単離ペプチドをコードする単離核酸、1つまたは複数の単離核酸を含むベクター、あるいは1つまたは複数のベクターを含む培養細胞、および単離ペプチド産生のための説明書を含むキットを特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態では、キットはまた、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリア、1つまたは複数の免疫刺激剤、あるいは1つまたは複数の治療薬、診断薬、もしくは予防薬を含むことができる。1つまたは複数の免疫刺激剤を、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、およびアジュバントからなる群より選択することができる。
【0021】
別の態様では、本開示は、容器および容器内に含まれる組成物を含む製造品であって、組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するための有効成分を含み、有効成分が1つまたは複数の本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを含む、製造品を特徴とする。容器は、組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するのに使用するものであることを示すラベルを有することができる。ラベルは、さらに、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に組成物を投与することを示すことができる。製造品はまた、哺乳動物に組成物を投与するための説明書を含むことができる。組成物は、例えば、溶液、乾燥物、または凍結乾燥物であり得る。
【0022】
さらに別の態様では、本開示は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)の本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを被験体に送達する工程を含む、被験体において免疫応答を誘導するための方法を特徴とする。本方法はまた、被験体への1つまたは複数のペプチドの送達後に、被験体において免疫応答が起こったかどうかを決定する工程を含むことができる。1つまたは複数のペプチドを、薬学的組成物として被験体に送達することができる。被験体は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)または本明細書中に記載の任意の他の被験体であり得る。被験体は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有し得るか、有する疑いがあり得るか、発症するリスクがあり得るか、これらからの寛解状態にあり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の形質細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する工程を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数の化学療法薬、電離放射線の1つまたは複数の形態、あるいは1つまたは複数の免疫療法薬を被験体に投与する工程を含むことができる。電離放射線の1つまたは複数の形態は、例えば、γ線照射、X線照射、またはβ線照射であり得る。1つまたは複数の化学療法薬を、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、アドリアマイシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル(verampil)、ポドフィロトキシン、タキソール、トランス白金(transplatinum)、5−フルオロウラシル(5−flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート、および上記の任意のアナログからなる群より選択することができる。本方法はまた、1つまたは複数の免疫刺激剤を被験体に投与する工程を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、送達する工程は、1つまたは複数のペプチドを被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、送達する工程は、1つまたは複数の核酸を被験体に投与することを含み、各核酸は1つまたは複数のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は発現調節配列に作動可能に連結される。核酸は、核酸でトランスフェクトされた組換え細胞中に存在し、1つまたは複数のペプチドを発現し得る。組換え細胞は、被験体から得た細胞のトランスフェクションによって作製されたトランスフェクトされた細胞またはトランスフェクトされた細胞の子孫であり得る。組換え細胞は、抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞などであるが、これらに限定されない)であり得る。
【0026】
上記の任意の方法のいくつかの実施形態では、送達する工程は、1つまたは複数のペプチドを細胞と接触させること、および細胞への1つまたは複数のペプチドの接触後、細胞を被験体に送達することを含む。細胞は、例えば、抗原提示細胞(本明細書中に記載の任意の抗原提示細胞など)であり得る。細胞は、例えば、被験体から得た細胞または細胞の子孫であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、被験体と同一の種の別の被験体から得た細胞または細胞の子孫であり得る。他の被験体は、被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現することができる。少なくとも1つのMHC分子は、例えば、MHCクラスI分子(HLA−A2分子など)であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、1つまたは複数のペプチドを被験体に投与する前に被験体から1つまたは複数の造血幹細胞を含む細胞集団を得る工程を含むことができる。
【0028】
別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の処置方法を特徴とする。本方法は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)の本明細書中に記載の任意のペプチドを被験体に投与する工程であって、被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、発症するリスクがある、工程を含む。
【0029】
別の態様では、本開示は、処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現するかどうかを決定する工程であって、癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現する場合、(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。本方法はまた、1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現することを決定した後に、選択された1つまたは複数のペプチドを被験体に送達する工程を含むことができる。
【0030】
さらに別の態様では、本開示は、癌を有する哺乳動物の処置を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現するかどうかを決定する工程であって、癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現する場合、(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。本方法はまた、1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現することを決定した後に、1つまたは複数のペプチドを被験体に送達する工程を含むことができる。
【0031】
別の態様では、本開示は、処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現するかどうかを決定する工程であって、癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現する場合、(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。本方法はまた、1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現することを決定した後に、選択された1つまたは複数のペプチドを被験体に送達する工程を含むことができる。
【0032】
さらに別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現する場合、(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。
【0033】
さらに別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現する場合、(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法を特徴とする。
【0034】
別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現する場合、(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法を特徴とする。
【0035】
上記の任意の方法のいくつかの実施形態では、被験体または哺乳動物は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療を受けており、且つ前記治療に応答しなかった被験体または哺乳動物であり得る。
【0036】
別の態様では、本開示は、哺乳動物において免疫応答を誘導するための方法を特徴とする。本方法は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)の本明細書中に記載の任意のペプチドと接触させた免疫細胞または免疫細胞の子孫を被験体に投与する工程を含む。本方法は、免疫細胞を1つまたは複数のペプチドと接触させる工程を含むことができる。免疫細胞は、例えば、T細胞であり得る。T細胞を、抗原提示細胞の存在下で1つまたは複数のペプチドと接触させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、接触前に免疫細胞を得る工程を含むことができる。免疫細胞を、被験体または被験体と同一の種の別の被験体から得ることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では(例えば、細胞を別の被験体から得る実施形態では)、免疫細胞は被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現する。少なくとも1つのMHC分子は、例えば、MHCクラスI分子(HLA−A2分子など)であり得る。
【0039】
さらに別の態様では、本開示は、(i)1つまたは複数の本明細書中に記載の任意のペプチドおよび(ii)2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)のMHC分子のペプチド結合領域を含む主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体を含む組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、各ペプチド結合領域はこれに結合した(i)を有する。いくつかの実施形態では、各ペプチド結合領域は、これに非共有結合または共有結合した(i)を有する。MHC分子多量体は、2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)のMHC分子全体を含むことができる。MHC分子多量体は、ヒトMHC分子を含むことができる。MHC分子多量体は、MHCクラスI分子(HLA−A2分子など)を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)のペプチドを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、2個以上のペプチド結合領域は同一のMHC分子に由来し得る。いくつかの実施形態では、2個以上のペプチド結合領域は異なるMHC分子に由来する。いくつかの実施形態では、2個以上のペプチド結合領域は、少なくとも2個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の同一MHC分子由来の領域と少なくとも1個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の異なるMHC分子由来の領域との混合物であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、MHC分子多量体は、1つまたは複数のペプチドのうちの少なくとも1つに結合することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物を検出可能に標識することができる。例えば、1つまたは複数のペプチドおよび/あるいは1つまたは複数のペプチド結合領域を検出可能に標識することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のMHC分子多量体のうちの少なくとも1つあるいは1つまたは複数のペプチドのうちの少なくとも1つを検出可能に標識する。
【0044】
さらに別の態様では、本開示は、各多量体がMHC分子の2個以上のペプチド結合領域を含む1つまたは複数の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体、および1つまたは複数の本明細書中に記載の任意のペプチドを含む組成物を含むキットを特徴とする。本キットはまた、組成物の細胞との接触についての説明書、1つまたは複数のMHC分子多量体のうちの1つあるいは1つまたは複数のペプチドのうちの1つを検出可能に標識するための説明書、1つまたは複数の検出可能な標識、および/あるいは1つまたは複数の検出可能な標識のうちの少なくとも1つを検出するための説明書を含むことができる。1つまたは複数の検出可能な標識を、発光標識、蛍光標識、放射性標識、および酵素標識からなる群より選択することができる。
【0045】
他で定義しない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般に理解される意味を有する。矛盾する場合、本書類(定義が含まれる)に従う。好ましい方法と材料を以下に記載しているが、本明細書中に記載の方法と材料に類似するか等価な方法と材料を本発明の実施または試験で使用することもできる。本明細書中に言及した全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引例は、その全体が参考として援用される。本明細書中に開示の材料、方法、および実施例は例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。
【0046】
本発明の他の特徴および利点(例えば、被験体における免疫応答の誘導方法)は、以下の説明、図面、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したXBP1ペプチドの親和性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:XBP1117〜125(LLREKTHGL(配列番号1);XBP1番号1ペプチド)、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2);XBP1番号2ペプチド)、XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3);XBP1番号3ペプチド)、XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4);XBP1番号4ペプチド)、XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5);XBP1番号5ペプチド)、およびXBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27);XBP1番号6ペプチド)。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))もコントロールとして評価した。
【図2】図2は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子の裂溝内のフルオロフォア標識したXBP1ペプチド(XBP1184〜192(NISPWILAV(XBP1 2N;配列番号2))およびYISPWILAV(XBP1 2M;配列番号6))の安定性を示す棒グラフである。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))もコントロールとして評価した。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はペプチドの安定性を測定した時間間隔を示す。
【図3】図3は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したXBP1ペプチドの親和性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:未変性XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7);XBP1 SP番号1p)およびXBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9);XBP1 SP番号3p)。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」))もコントロールとして評価した。
【図4】図4は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子の裂溝内のフルオロフォア標識したXBP1ペプチド(XBP1 SP 1N(GILDNLDPV;配列番号7);XPB1 SP 3N(ELFPQLISV;配列番号9)およびXBP1 SP 3M(YLFPQLISV 配列番号10))の安定性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はペプチドの安定性を測定した後の時間間隔を示す。
【図5】図5は、ヒトリンパ球の混合集団中のCD4+およびCD8+Tリンパ球の比率を示す一連の一次元蛍光フローサイトメトリー(FFC)ヒストグラムである。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)集団を、刺激しないか(unstim)、XBP1 2M(XBP1 2M−CTL)またはXBP−1 S3M(上記)のうちの1つで刺激した。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」)もコントロールとして評価した。各ヒストグラムのY軸は細胞数を示し、X軸は細胞上のCD4抗原(左列)またはCD8抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。ゲート内に細胞の比率を示す。
【図6】図6は、XBP1ペプチド(XBP1 2MまたはXBP1 3M)での刺激後のCD69+/CD45RO+またはCD45RA+/CCR7+であるリンパ球集団中の細胞の比率を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。各ドットプロットのY軸は細胞上のCD69抗原(左列)またはCD45RA抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示し、各ドットプロットのX軸は細胞上のCD45RO抗原(左列)またはCCR7抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図7】図7は、多発性骨髄腫(MM)McCAR細胞およびMM1S細胞ならびに急性骨髄性白血病(AML)ML−2細胞と共培養したIFN−γ(インターフェロン−γ)XBP1−CTL(XBP1 2M−CTLおよびXBP1 SP 3M−CTL)の放出を示す棒グラフである。Y軸はCTL含有細胞から放出されたIFN−γ量を単位pg/mLで示す。
【図8】図8は、MM細胞またはAML細胞との共培養後のXBP1−CTL(XBP1 2M−CTLおよびXBP1−SP 3M CTL)の増殖を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。Y軸は集団中の各細胞数を示し、X軸は細胞中のカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)量を示す。
【図9】図9および10は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のXBP1−CTL依存性溶解を示す一対の折れ線グラフである。XBP1−2M特異的CTL(図9)またはXBP1−SP−3M−CTL(図10)をU266癌細胞、McCaAR癌細胞、ML−2癌細胞、またはMM1S癌細胞とそれぞれ共培養し、CTLによる癌細胞溶解量を癌細胞から放出されたカルセイン量の関数として計算した。Y軸は標的細胞の特異的溶解比を示し、X軸はCTLの癌細胞に対する比(エフェクターの標的細胞に対する比)(1:1、10:1、20:1、または60:1)を示す。
【図10】図9および10は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のXBP1−CTL依存性溶解を示す一対の折れ線グラフである。XBP1−2M特異的CTL(図9)またはXBP1−SP−3M−CTL(図10)をU266癌細胞、McCaAR癌細胞、ML−2癌細胞、またはMM1S癌細胞とそれぞれ共培養し、CTLによる癌細胞溶解量を癌細胞から放出されたカルセイン量の関数として計算した。Y軸は標的細胞の特異的溶解比を示し、X軸はCTLの癌細胞に対する比(エフェクターの標的細胞に対する比)(1:1、10:1、20:1、または60:1)を示す。
【図11】図11は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したCD138ペプチドの親和性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:CD138256〜264(VIAGGLVGL;CD138番号1p(配列番号11));CD138260〜268(GLVGLIFAV;CD138番号2p(配列番号12));CD1385〜13(ALWLWLCAL;CD138番号3p(配列番号13));およびCD1387〜15(WLWLCALAL;CD138番号3p(配列番号14))。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」)もコントロールとして評価した。
【図12】図12は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子の裂溝内のフルオロフォア標識したCD138番号2ペプチドの安定性を示す棒グラフである(インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」)と比較した場合)。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はペプチドの安定性を測定した時間間隔を示す。
【図13】図13は、集団中のCD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球の比率を示す一連の一次元FFCヒストグラムである。CTL集団を刺激しなかったか(unstim)、CD138番号2ペプチド(CD138−CTL)で刺激した。各ヒストグラムのY軸は細胞数を示し、X軸は細胞上のCD4抗原(左列)またはCD8抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。
【図14】図14は、CD138番号2ペプチドでの刺激後のCD69+/CD45RO+またはCD45RA+/CCR7+であるリンパ球集団中の細胞の比率を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。CTL集団を刺激しなかったか(unstim)、CD138番号2ペプチド(CD138−CTL)で刺激した。各ドットプロットのX軸(FL−1)は細胞上のCD69抗原(左列)またはCD45RA抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示し、各ドットプロットのY軸(FL−2)は細胞上のCD45RO抗原(左列)またはCCR7抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図15】図15は、多発性骨髄腫(MM)McCAR細胞(CD138+/HLA−A2+)、MM1S細胞(CD138+/HLA−A2−)、または急性骨髄性白血病(AML)ML−2細胞(CD138−/HLA−A2−)と共培養したCD138−CTLからのIFN−γ放出を示す棒グラフである。Y軸はCTLからのIFN−γの放出量を単位pg/mLで示し、X軸は刺激細胞として使用した癌細胞を示す。CD138−CTLの抗原特異性およびHLA−A2拘束を、腫瘍細胞株での一晩の刺激後のIFN−γ分泌の誘導の測定によって決定した。
【図16】図16は、McCAR癌細胞、ML−2癌細胞、またはMM1S癌細胞との共培養後のCD138−CTL(CD138番号2p−CTL)の増殖を示す一連の一次元FFCヒストグラムである。Y軸は集団中の各細胞数を示し、X軸は細胞中のカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)量を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図17】図17は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のCD138−CTL依存性溶解を示す折れ線グラフである。CD138番号2p特異的CTL(癌細胞U266、ML−2、またはMM1S細胞とそれぞれ共培養した)およびCTLによる癌細胞溶解量を、癌細胞からのカルセインの放出量の関数として計算した。Y軸は標的細胞の特異的溶解比を示し、X軸はCTLの癌細胞に対する比(エフェクター:標的比)(1:1、10:1、20:1、または60:1)を示す。
【図18A】図18Aおよび18Bは、CD107アッセイによって決定した癌細胞のCD138−CTL依存性溶解を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。各ドットプロットのX軸はCD107aおよびCD107bに特異的に結合するFITC抱合抗体の蛍光強度を示し、Y軸はCD8に特異的に結合するPE抱合抗体の蛍光強度を示す。図18Aは異なる比(エフェクター:標的比)(5:1、1:1、または1:5)でのCD138ペプチドでパルスしたT2細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたT2細胞のCTLによる溶解を示す。図18Bは、CTLのMcCAR細胞に対する比(エフェクター:標的比)(1:1)でCD138ペプチドでパルスしたMcCAR細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたMcCAR(CD138+/HLA−A2+)細胞のCTLによる溶解を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図18B】図18Aおよび18Bは、CD107アッセイによって決定した癌細胞のCD138−CTL依存性溶解を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。各ドットプロットのX軸はCD107aおよびCD107bに特異的に結合するFITC抱合抗体の蛍光強度を示し、Y軸はCD8に特異的に結合するPE抱合抗体の蛍光強度を示す。図18Aは異なる比(エフェクター:標的比)(5:1、1:1、または1:5)でのCD138ペプチドでパルスしたT2細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたT2細胞のCTLによる溶解を示す。図18Bは、CTLのMcCAR細胞に対する比(エフェクター:標的比)(1:1)でCD138ペプチドでパルスしたMcCAR細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたMcCAR(CD138+/HLA−A2+)細胞のCTLによる溶解を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図19】図19は、多数の各多発性骨髄腫癌細胞サンプルによるCS1 mRNAの相対発現(Y軸)を示す棒グラフである。各サンプルを、多発性骨髄腫を有する異なるヒト患者から得た。
【図20】図20は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したCS1ペプチドの親和性を示す棒グラフである。X軸は平均蛍光強度を示し、Y軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:CS1−P1:CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15));CS1−P2:CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16));CS1−P3:CS1232〜240(LLVPLLLSL(配列番号17));およびCS1−P4:CS19〜17(TLIYILWQL(配列番号18))。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「インフルエンザ基質58〜66」)もコントロールとして評価した。
【図21】図21は、チミジン取り込みアッセイによって決定したCS1−P2ペプチド提示するヒトT2細胞(「P2−T2」)と接触させたCS1−P2−CTLの増殖を示す折れ線グラフである。Y軸は分裂細胞に取り込まれた3H−チミジンの1分あたりの数(CPM)を示し、X軸はCTL含有細胞をT2細胞と培養した時間を示す。
【図22】図22は、CS1−P1、CS1−P2、CS1−P3、またはCS1−P4ペプチドをそれぞれ提示するT2細胞と共培養したCS1−CTL(P1−、P2−、P3−、およびP4−CTL)からのIFN−γの放出を示す棒グラフである。Y軸はCTLからのIFN−γの放出量を単位pg/mLで示す。
【図23】図23は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のCS1−CTL依存性溶解を示す棒グラフである。P2−CTLを癌細胞U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、またはMM1S細胞とそれぞれ共培養し、CS1−CTLによって誘導された癌細胞の溶解量を癌細胞からのカルセインの放出量の関数として計算した。Y軸は細胞毒性率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
本開示は、例えば、被験体における免疫応答を誘導するか(例えば、CTL応答を刺激する)、抗体産生を刺激するために使用することができる免疫原性XBP1、CD138、およびCS1に由来するペプチド(およびその薬学的組成物)を特徴とする。ペプチドを、種々の適用(免疫応答の誘導方法、抗体の産生方法、および癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞疾患の処置方法など)で使用することができる。ペプチドを、MHC分子多量体組成物中に含めることもでき、例えば、細胞集団中のT細胞の検出方法で使用することもできる。
【0049】
ペプチドならびに例示的なペプチドの作製および使用方法の詳細な説明を以下に示す。
【0050】
ペプチド
本開示は、表1に記載の配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%(例えば、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、またはこれを超える)同一のアミノ酸配列からなるか本質的になる単離ペプチドを特徴とする。
【0051】
【表1】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「XBP1、非スプライシング」ペプチドは、その末端が261個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトXBP1タンパク質の非スプライシング形態の関連アミノ酸位置に対応するXBP1のフラグメントである:
【0052】
【化1】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「XBP1、スプライシング」ペプチドは、その末端が376個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトXBP1タンパク質のスプライシング形態(XBP1スプライシング)の関連アミノ酸位置に対応するXBP1のフラグメントである:
【0053】
【化2】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「CD138」ペプチドは、その末端が310個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトCD138タンパク質内の関連アミノ酸位置に対応するCD138のフラグメントである:
【0054】
【化3】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「CS1」ペプチドは、その末端が335個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトCS1タンパク質内の関連アミノ酸位置に対応するCS1のフラグメントである:
【0055】
【化4】
関連配列が配列番号19〜22を有する野生型で全長の成熟ヒトタンパク質中で生じるので、本明細書中に記載のペプチドを、本明細書中でしばしば、ペプチドのN末端およびC末端アミノ酸の残基数(例えば、XBP1117〜125)を使用して言及する。これらのペプチドは、頻繁に、配列番号19〜22を有する野生型で全長の成熟タンパク質の対応するセグメントと同一の配列を有するであろう。しかし、用語「XBP1、非スプライシングペプチド」(例えば、アミノ酸位置:117〜125、184〜192、189〜197、192〜200、または110〜118を有するXBP1、非スプライシングペプチド)、「XBP1、スプライシングペプチド」(例えば、アミノ酸位置:196〜204、193〜201、または367〜375を有するXBP1、スプライシングペプチド)、「CD138ペプチド」(例えば、アミノ酸位置:256〜264、260〜268、5〜13、または7〜15を有するCD138ペプチド)、およびCS1ペプチド(例えば、アミノ酸位置236〜245、239〜247、232〜240、または9〜17を有するCS1ペプチド)がヒト以外の種のXBP1非スプライシングペプチド、XBP1スプライシングペプチド、CD138、またはCS1ポリペプチド(それぞれ)のペプチドフラグメントであり得ると理解される。当業者に認識されるように、かかる非ヒトポリペプチドのペプチドフラグメントのN末端およびC末端アミノ酸数は、必ずしもヒトポリペプチドの対応するペプチドフラグメント中の数と同一ではない。さらに、非ヒトポリペプチドのペプチドフラグメントの長さおよび/またはアミノ酸は、必ずしも、ヒトポリペプチドの対応するペプチドフラグメント中の長さおよび/またはアミノ酸と同一ではないであろう。当業者は、非ヒトXBP1非スプライシング、XBP1スプライシング、CD138、およびCS1ポリペプチド由来のペプチドのN末端およびC末端アミノ酸、長さ、およびアミノ酸配列を確立する方法を理解しているであろう。これを行うための1つの有用な方法は、配列アラインメント、特に、最大相同性配列アラインメントである。
【0056】
2ペプチド配列間の同一率(例えば、配列番号1〜18のペプチドおよびこのペプチドと少なくとも66%同一であり得る別のアミノ酸配列)を、種々のアルゴリズムおよびコンピュータプログラム(Clustal W(The European Bioinformatics Institute(EMBL−EBI)、BLAST−Protein(National Center for Biotechnology Information(NCBI),United States National Institutes of Health)、およびPSAlign(University of Texas A&M;Szeら(2006)Journal of Computational Biology 13:309−319)が含まれるが、これらに限定されない)を使用して決定することができる。
【0057】
上記のヒトおよび非ヒトペプチドのバリアントも本明細書中に開示する。本明細書中に記載のヒトおよび非ヒトペプチドのバリアントには、(i)4個以下(例えば、3、2、または1個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換または非保存的置換)、(ii)末端または内部の欠失、または(iii)末端または内部の付加(全て以下に詳述する)を有するペプチド形態が含まれ得る。
【0058】
本開示はまた、配列番号1〜18のアミノ酸配列(表1に記載)からなるか、本質的になるが、4個以下(例えば、3個以下、2個以下、または1個以下)の置換を有するペプチドを特徴とする。置換は、例えば、保存的または非保存的であり得る(上記)。
【0059】
保存的置換には、以下の群内の置換が含まれる:バリン、アラニン、およびグリシン;ロイシン、バリン、およびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システイン、およびトレオニン;リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正電荷の(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれる。負電荷の(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。上記の極性群、塩基性群、または酸性群の一方のメンバーの同一群の別のメンバーとの任意の置換を、保存的置換と見なすことができる。対照的に、非保存的置換は、一方のアミノ酸の異なる特徴を有する別のアミノ酸との置換である。
【0060】
いくつかの実施形態では、任意のペプチドの位置3、4、5、6、7、および8の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、または5個全て)を置換しない。いくつかの実施形態では、任意のペプチドの位置3、4、5、6、7、および8の1つまたは複数は表1中のペプチドのアミノ酸と同一である。
【0061】
表1に記載の配列番号1〜18のいずれか1つから本質的になるか、いずれか1つからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドも特徴とする。第1のアミノ酸配列は、例えば、4個以下の置換(保存的置換または非保存的置換)を有し得るか、表1に記載の配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも約66%(例えば、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、またはこれを超える)同一であり得る。
【0062】
ペプチドの第2の相同アミノ酸配列は、一般に、細胞中での配列番号1〜18の免疫原性ペプチドの生成に悪影響を及ぼさない(そして、悪影響を及ぼさないように選択される)。細胞機構は、ペプチド中の任意のさらなる配列が除去されて配列番号1〜18の免疫原性ペプチドが得られると予想され、このペプチドがクラスIまたはクラスII MHC分子によって提示されてXBP1、CD138、またはCS1を発現する癌細胞に対する免疫応答を刺激する。
【0063】
第1のアミノ酸配列に対して「異種の」アミノ酸配列または用語「異種アミノ酸配列」は、天然に存在する第1のアミノ酸配列に隣接するアミノ酸配列以外の任意のアミノ酸配列である。例えば、ヒトXBP1中のLLREKTHGL(配列番号1)に直接隣接する2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20、またはこれを超える)および/または20個未満(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個)のカルボキシおよび/またはアミノ末端アミノ酸は、配列番号1に対して異種であると見なされない。配列番号1〜18のアミノ酸配列と100%未満同一であるか1〜4個の保存的置換を含む第1のアミノ酸配列を含むペプチドは全く天然に存在し得ないと理解される。
【0064】
いくつかの実施形態では、第2のアミノ酸配列は、単一アミノ酸であり得る。第1のアミノ酸配列に対して「異種の」アミノ酸、すなわち、用語「異種アミノ酸」は、天然に存在する第1のアミノ酸配列に隣接するアミノ酸以外の任意のアミノ酸であると理解される。例えば、ヒトXBP1中のLLREKTHGL(配列番号1)に直接隣接する2個のアミノ酸は、配列番号1に対して異種であると見なされない。
【0065】
異種配列は、例えば、組換えタンパク質(例えば、FLAG、ポリヒスチジン(例えば、ヘキサヒスチジン)、血球凝集素(hemagluttanin)(HA)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合タンパク質(MBP))の精製のために使用される配列であり得る。異種配列はまた、診断用または検出用マーカーとして有用なタンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、別のタンパク質由来のシグナル配列(KDEL(配列番号23)配列または本明細書中に記載の任意の他の配列など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、免疫グロブリン分子の全てまたは一部(例えば、免疫グロブリン重鎖定常領域の全てまたは一部、以下を参照のこと)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、治療ポリペプチドまたは免疫刺激ポリペプチド(例えば、Tヘルパーエピトープ(例えば、PADREエピトープまたは破傷風トキソイドユニバーサルTヘルパー細胞エピトープ)またはサイトカインまたはケモカインの全部または一部)、および/または例えば、免疫応答(例えば、抗体生成のため)の誘発で有用なキャリア(例えば、KLH)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1つまたは複数のリンカーペプチド配列を含むことができる(以下を参照のこと)。ペプチドはまた、ターゲティングポリペプチドを含むことができる。異種配列は種々の長さであってよく、いくつかの場合、異種アミノ酸配列が付着する第1のアミノ酸配列より長い配列であり得る。第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドは配列に関して天然に存在するタンパク質に対応しないと理解される。
【0066】
本明細書中で使用する場合、ターゲティングポリペプチドは、これらが(例えば、第1のアミノ酸配列)に付着する部分を特異的組織(例えば、リンパ節)もしくは細胞(例えば、抗原提示細胞または他の免疫細胞)、または、in vitroの場合、特異的な単離分子または分子複合体にターゲティングさせるポリペプチドである。ターゲティングポリペプチドは、例えば、抗体(免疫グロブリン)もしくはその抗原結合フラグメントまたは細胞表面受容体のリガンドであり得る。抗体(またはその抗原結合フラグメント)は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、または抗体のFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fvフラグメント、もしくはscFvフラグメントであり得る。Fc領域(抗原結合領域を含むか含まない)を含むかFc領域である抗体フラグメントを使用して、Fc受容体発現細胞(例えば、指状嵌入樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞などの抗原提示細胞)に試薬をターゲティングさせることもできる。細胞表面受容体のリガンドは、例えば、ケモカイン、サイトカイン(例えば、インターロイキン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)、または細胞死受容体リガンド(例えば、FasLまたはTNFα)であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、異種配列は、例えば、細胞または細胞の特異的区画(例えば、小胞体またはゴルジ装置)へのペプチドの送達を補助する「輸送配列」であり得る。輸送配列には、例えば、膜転位配列、トランスポータン配列、アンテナペディア配列、環状インテグリン結合ペプチド、およびTat媒介ペプチド、またはこれらの改変バージョンが含まれ得る。
【0068】
リンカーペプチドは、第1のアミノ酸配列を1つまたは複数の異種アミノ酸配列に連結することができる。例えば、リンカーペプチドは、第1のアミノ酸配列を第2のアミノ酸配列に連結することができる。リンカーペプチドは、例えば、少なくとも4〜6個のアミノ酸がグリシンであるアミノ酸ストレッチであり得るか、これらを含むことができる。(例えば、Manceboら(1990)Mol.Cell.Biol.10:2492−2502を参照のこと)。リンカーはまた、6個以上(例えば、7、8、9、10、11、または12個、またはこれを超える)ヒスチジン残基であり得るか、これらを含むことができる。リンカーペプチドは、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8個、またはこれを超える)プロテアーゼ切断部位を含むことができるか、これらであり得る。プロテアーゼ部位は、例えば、トリプシン、キモトリプシン(chymotrypin)、または第Xa因子切断部位であり得る。かかるプロテアーゼ部位は、例えば、異種配列から第1のアミノ酸配列を分離するのに有用であり得る。例えば、トリプシンプロテアーゼ切断部位によってポリヒスチジン配列(この場合、精製のために使用した)に連結した第1のアミノ酸配列を含むペプチドの発現および精製後、ポリヒスチジン配列を、ペプチドのトリプシンとの接触によって第1のアミノ酸配列から除去することができる。
【0069】
第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、種々の方法で相互に会合することができる。本明細書中で使用する場合、2個以上の原子または分子単位の間の相互作用という背景における「〜と会合する」には、2個以上の原子または分子単位(例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列)の任意の共有結合または非共有結合、または物理的混合物が含まれる。共有結合(1つまたは複数の価電子対を共有する2個の原子)の化学的性質は当該分野で公知であり、例えば、ジスルフィド結合またはペプチド結合が含まれる。非共有結合は、価電子対を共有しない原子間または分子間の化学結合である。例えば、非共有相互作用には、例えば、疎水性相互作用、水素結合相互作用、イオン結合、ファンデルワールス結合、または双極子−双極子相互作用が含まれる。かかる非共有相互作用の例には、抗体−抗原複合体形成または結合対相互作用(第1および第2の結合対メンバーの相互作用(ストレプトアビジンとビオチンとの間の相互作用など))が含まれる。したがって、用語「〜と会合した」(例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列という背景における)は、用語「含む」と同一の広がりを有すると理解される。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含むペプチドは融合タンパク質であり得る。例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、単一の核酸配列によってコードすることができる(そして、単一の核酸配列由来の融合タンパク質として発現することができる)。いくつかの例では、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、2個以上(例えば、3、4、5、または6個、またはこれを超える)の異なる核酸配列によってコードすることができる。例えば、第1のアミノ酸配列を第1の核酸配列によってコードすることができ、第2のアミノ酸配列を第2の核酸配列によってコードすることができる(以下の「核酸およびペプチドの産生方法」を参照のこと)。
【0071】
個別に発現または産生する場合、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、多数の公知の化学架橋剤のいずれかを使用して相互に架橋することができる。かかる化学架橋剤の例は、「障害」ジスルフィド結合が含まれる結合を介して2個のアミノ酸残基を連結させる化学架橋剤である。これらの結合では、架橋単位内のジスルフィド結合は、例えば、還元型グルタチオンまたは酵素ジスルフィドレダクターゼの作用によって(いずれかのジスルフィド結合側の基の障害による)還元から防御される。1つの適切な化学架橋剤である4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)は、一方のアミノ酸配列上の末端リジンおよび他方のアミノ酸配列上の末端システインを使用した2アミノ酸配列間にかかる結合を形成する。ヘテロ二官能性試薬は、各アミノ酸配列上の異なるカップリング部分によって架橋させる。このような方法で、得られた「二量体」は、いずれかのホモ二量体(例えば、2個の第1のアミノ酸配列または2個の第2のアミノ酸配列)またはホモ二量体とヘテロ二量体との混合物よりもむしろヘテロ二量体(第1および第2のアミノ酸配列を含むペプチド)であろう。したがって、第1のアミノ酸配列上のカップリング部分はシステイン残基であり得、他方はリジン残基であり得る。他の有用な架橋剤には、2個のアミノ基(例えば、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド)、2個のスルフヒドリル基(例えば、1,4−ビス−マレイミドブタン)、アミノ基およびスルフヒドリル基(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、アミノ基およびカルボキシル基(例えば、4−[p−アジドサリチルアミド]ブチルアミン)、ならびにアルギニン側鎖中に存在するアミノ基およびグアニジウム(guanadium)基(例えば、p−アジドフェニルグリオキサール一水和物)に連結する化学物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
カップリング部分は、好ましくは、各アミノ酸配列の末端(CまたはN)に存在するであろう。これらは、上記のように、各アミノ酸配列上のシステイン残基または一方のアミノ酸配列上のシステインおよび他方のアミノ酸配列上のリジンであり得る。カップリング部分が2個のシステイン残基である場合、例えば、アミノ酸配列を酸化条件に曝露することによって架橋することができる。
【0073】
ペプチドは第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含むことができるか、ペプチドは1個を超える(例えば、2、3、4、5、6、7、または8個、またはこれを超える)さらなる異種アミノ酸配列を含むことができる。さらなる異種アミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列のアミノ末端および/またはカルボキシ末端に隣接するか連結することができる。
【0074】
2個を超えるアミノ酸配列が連結される場合、少なくとも1つのアミノ酸配列は1個を超える架橋部分を有することができる。例えば、第1のアミノ酸配列は、アミノ末端およびカルボキシ末端に架橋部分を有することができる。かかる多量体を、「連続的に」構築することができる。したがって、各アミノ酸配列は、鎖中の末端アミノ酸配列のみがドメイン間(または作用因子間)結合に関与する1つの残基を有する一方で、「内部」アミノ酸配列がそれぞれドメイン間結合に関与する2個の部分を有するように次ぎに連結される。あるいは、一方のアミノ酸配列(第1のアミノ酸配列など)を、複数(例えば、2、3、4、または5個)の他のアミノ酸配列に連結することができる。
【0075】
第1の成分が表1に記載の配列番号1〜18のアミノ酸配列からなるか、本質的になる第1の成分および第2の成分を含むペプチド組成物も特徴とする。第2の成分は、例えば、異種アミノ酸配列(上記)、任意の他の抗原性ペプチド(例えば、本明細書中に記載のもの以外のXBP−1、CD138、またはCS1ペプチド、検出可能な標識(以下を参照のこと)、治療薬、診断薬、または予防薬(以下を参照のこと)であり得る。例えば、ペプチド組成物は、配列番号1〜18のうちの1つおよび検出可能な標識(放射性核種など)からなるか、本質的になるアミノ酸配列を含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、配列番号1〜18のいずれか1つのペプチドは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端に異種であるか未変性タンパク質中に存在する200個まで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200個)のアミノ酸を有することができると理解される。
【0077】
本明細書中に記載のペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子)に結合することができる。「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」は、生理学的免疫応答を担う細胞相互作用の調節で役割を果たす遺伝子クラスターである。ヒトでは、MHCはHLA複合体として公知である(例えば、Paulら,FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY,3rd Edition,Raven Press,New York,(1993)およびStites,et al.,IMMUNOLOGY,8th Edition,Lange Publishing,Los Altos,Calif.(1994)を参照のこと)。
【0078】
本明細書中で使用する場合、「HLAスーパータイプまたはファミリー」は、共有するペプチド結合特異性に基づいて分類したHLA分子組をいう。一定のアミノ酸モチーフを保有するペプチドに対していくらか類似の結合親和性を共有するHLAクラスI分子を、HLAスーパータイプに分類する。用語HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリー、HLAファミリー、およびHLA xx様分子(xxは特定のHLA型を示す)は同義語である。HLAクラスI分子の型には、例えば、HLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A24、HLA−B7、HLA−B27、HLA−B44、HLA−B58、またはHLA−B62が含まれる。かかるHLA分子は、米国特許第7,026,443号(その開示全体が参考として援用される)に詳述されている。
【0079】
ペプチドは、高親和性または中親和性でMHC分子に結合することができる。本明細書中で使用する場合、HLAクラスI分子へのペプチドの「高親和性」結合を、解離定数(KD)50nM未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1、または0.05未満)での結合と定義する。「中親和性」は、約50nMと約500nMとの間(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500nM)のKDでのHLAクラスI分子へのペプチドの結合である。HLAクラスII分子へのペプチドの「高親和性」結合を、100nM未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1、または0.05未満)のKDでの結合と定義する。HLAクラスII分子に対するペプチドの「中親和性」は、約100と約1000nMとの間(例えば、100、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000nM)のKDでの結合である。ペプチドおよびMHC分子の結合親和性を決定する方法は当該分野で公知であり、添付の実施例に記載されている。適切な方法は、例えば、米国特許第7,026,443号にも記載されている。
【0080】
本明細書中に記載のペプチドを、MHC分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識することもできる。種々の適切な方法を使用して、ペプチドがMHC分子と会合してT細胞上のT細胞受容体によって認識されるかどうかを決定することができる。例えば、正常な被験体由来の末梢血リンパ球(PBL)を、抗原提示細胞存在下にてin vitroで数週間にわたって試験ペプチドと培養することができる。ペプチドに特異的なT細胞はこの期間中に活性化されるようになり、このT細胞を、例えば、増殖アッセイ(3H−チミジンアッセイのカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイ)、限界希釈アッセイ、細胞傷害性アッセイ(例えば、カルセイン放出アッセイ)、またはサイトカイン(例えば、IFNγ)、リンホカイン−、もしくは51Cr放出アッセイを使用して検出することができる(例えば、Wentworth,P.A.et al.,Mol.Immunol.32:603,1995;Celis,E.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2105,1994;Tsai,V.et al.,J.Immunol.158:1796,1997;Kawashima,I.et al.,Human Immunol.59:1,1998(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。適切なin vivo法は、ペプチドを含むアジュバントをHLAトランスジェニックマウスに皮下投与するHLAトランスジェニックマウスの免疫化を含み、免疫化の数週間後、脾細胞を取り出し、試験ペプチドの存在下にてin vitroで約1週間培養する。ペプチド特異的T細胞を、例えば、51Cr放出アッセイを使用して検出する(例えば、Wentworth,P.A.et al.,J.Immunol.26:97,1996;Wentworth,P.A.et al.,Int.Immunol.8:651,1996;Alexander,J.et al.,J.Immunol.159:4753,1997(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。適切な方法は、添付の実施例にも記載されている。例えば、(MHC分子という背景における)ペプチドによるT細胞の活性化を、CD107毒性アッセイまたはカルセイン放出アッセイによって決定することができる(例えば、実施例13および14を参照のこと)。
【0081】
さらに、抗原特異的T細胞の直接定量を、検出可能に標識されたMHC複合体(本明細書中に記載の任意のMHC分子多量体組成物(以下を参照のこと)など)またはHLA−I四量体でのT細胞の染色によって行うことができる(例えば、Altman,J.D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10330,1993 and Altman,J.D.et al.,Science 274:94,1996(各開示全体が参考として援用される)に記載)。
【0082】
いくつかの実施形態では、ペプチドの1つまたは複数の性質を調整する(例えば、増加または減少させる)ために、ペプチドを改変することができる(例えば、ペプチドのアミノ酸を置換することができる)。例えば、MHC分子に対するペプチドの親和性を増加させるために、表1に記載のペプチドのうちの1つの1つまたは複数の(例えば、2、3、または4個の)アミノ酸を置換することができる。いくつかの実施形態では、T細胞受容体とペプチドとの間の結合相互作用(MHC分子という背景において)を増強させるために、本明細書中に記載のペプチドのうちの1つのアミノ酸(例えば、ペプチドのアミノ酸残基に接触するT細胞受容体)を改変することができる。かかる改変ペプチドを、しばしば、「改変ペプチドリガンド」という。(例えば、Kalergisら(2000)J Immunol.165(1):280;Conlonら(2002)Science 1801および国際公開番号WO02070003号(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと。)
適切なペプチドの修飾方法および修飾の影響の決定方法は、添付の実施例に記載され、例えば、Collinsら(Immunlogical Reviews(1998)163:151−160,(その開示全体が参考として援用される)に記載されている。
【0083】
核酸およびペプチドの産生方法
本開示はまた、上記の任意のペプチドの1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個)をコードする核酸配列(および核酸配列を含む核酸ベクター)およびその産生方法を特徴とする。かかる方法は、任意選択的に、本明細書中に記載の任意のペプチドの1つまたは複数をコードする核酸配列(この核酸配列は発現調節配列に作動可能に連結される)を含む核酸ベクターを含む細胞(または細胞群)を準備する工程およびペプチドを発現させる条件下で細胞を培養する工程を含むことができる。本方法はまた、細胞または細胞を培養した培地から1つまたは複数のペプチドを単離する工程を含むことができる。
【0084】
1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドの組換え発現のための核酸配列およびベクター(例えば、発現ベクター)の適切な構築方法は当業者に周知であり、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Second Edition vol.1,2 and 3.Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,New York,USA,Nov.1989(その開示全体が参考として援用される)に記載されている。核酸およびベクターを使用して、例えば、広範な種々の宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、または哺乳動物細胞が含まれる)中にペプチドを発現させることができる。核酸およびベクターを、例えば、下記のin vivoおよびex vivo法で使用することもできる。
【0085】
ペプチドコード配列を、核酸によってコードされるペプチドの発現を指示するプロモーターおよび/またはエンハンサーエレメントに作動可能に連結することができる。エンハンサーにより、時間、位置、およびレベルに関して発現特異性が得られる。プロモーターと異なり、エンハンサーは、プロモーターが存在する場合に転写開始部位から種々の距離で存在する場合に機能することができる。エンハンサーはまた、転写開始部位の下流または関連遺伝子のエクソン中に存在することができる。コード配列をプロモーターの調節下におくために、プロモーターの1ヌクレオチドと約50ヌクレオチドとの間の下流(3’)にペプチドの翻訳読み取り枠の翻訳開始部位を配置する必要がある。目的のプロモーターには、サイトメガロウイルスhCMV最初期遺伝子、SV40アデノウイルスの初期または後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、ファージAの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、および酵母α接合因子のプロモーター、アデノウイルスE1b最小プロモーター、またはチミジンキナーゼ最小プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
ペプチドコード配列またはペプチドコード配列を含むベクターは、シグナルペプチドをコードするリーダー配列を含むことができる。リーダー配列は、1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドをコードする配列の5’末端に存在し得る。シグナルペプチドは、所与のペプチドのN末端のすぐ後ろに存在し得るか、リーダー配列がペプチドをコードする核酸配列とインフレームで存在する場合、1つまたは複数(例えば、2、3、4、6、8、10、15、または20個)のアミノ酸によってN末端から離れていてもよい。一般に分泌前にペプチドから切断されるシグナルペプチド(勿論、シグナルペプチドが膜貫通タンパク質の挿入を指示しない限り)は、付着されるペプチドを翻訳中に宿主細胞小胞体(ER)の内腔に方向付け、次いで、ペプチドが分泌小胞を介して宿主細胞環境に分泌される。有用なシグナルペプチドには、例えば、サイトカインまたは成長因子の未変性のリーダー配列、KDEL(配列番号23)または、例えば、米国特許第5,827,516号(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載の任意のシグナル配列が含まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、ペプチドコード配列の5’末端は、外来ATG「開始配列」を含むことができる。すなわち、例えば、ペプチドが適切に転写および翻訳されることを確実にするために、ペプチドをコードする核酸にATG配列を付加することができる。リーダー配列が一般にATG開始配列を含むにもかかわらず、含まない実施形態では、ATG配列を、リーダー配列をコードする核酸の5’末端に付加することができる。
【0088】
ペプチドコード配列および発現ベクターの適切な構築方法は当業者に周知であり、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Second Edition vol.1,2 and 3.Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,New York,USA,Nov.1989(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
【0089】
組換えベクターを、種々の方法を使用して細胞に導入することができる。これらの方法は、少なくともその一部が、核酸が導入される細胞の型に依存し得る。例えば、細菌細胞を、エレクトロポレーションまたは熱ショックなどの方法を使用して形質転換することができる。酵母細胞のトランスフェクション方法には、例えば、スフェロプラスト技術またはホールセル塩化リチウム酵母形質転換法が含まれる(例えば、米国特許第4,929,555号;Hinnenら(1978)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 75:1929;Itoら(1983)J.Bacteriol.153:163;米国特許第4,879,231号;およびSreekrishnaら(1987)Gene 59:115(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。動物細胞のトランスフェクションは、例えば、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション、熱ショック、リポソーム、またはトランスフェクション試薬(FUGENE(登録商標)またはリポフェクタミン(登録商標)など)の使用、または溶液中での裸の核酸ベクターの細胞との接触による細胞へのベクターの導入を特徴とすることができる(例えば、Sambrookら,前出を参照のこと)。
【0090】
本明細書中に記載のペプチドの小規模または大規模産生のために使用することができる発現系には、以下などの微生物:組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis);組換え酵母発現ベクターで形質転換された真菌(例えば、酵母(例えば、SaccharomycesおよびPichia));組換えウイルス発現ベクターを感染させた昆虫細胞系(例えば、バキュロウイルス);組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV))を感染させたか、組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、またはワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、VERO、HeLa、MDCK、WI38、およびNIH 3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物から直接獲得し、プラスミドベクターで形質転換されたか、ウイルスベクター(例えば、特に、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、弱毒化ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクター)を感染させた初代細胞または第2継代細胞も宿主細胞として有用である。
【0091】
上記のように、本明細書中に記載の任意のペプチドの発現後、ペプチドを、標準的技術を使用して培養細胞または細胞が培養された培地から単離することができる(Sambrookら、前出を参照のこと)。タンパク質の単離方法は当該分野で公知であり、例えば、液体クロマトグラフィ(例えば、HPLC)、アフィニティクロマトグラフィ(例えば、金属キレート化または免疫アフィニティクロマトグラフィ)、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、沈殿、または差時的可溶化が含まれる。
【0092】
より小さなペプチド(例えば、200個未満(例えば、175個未満、150個未満、125個未満、100個未満、90個未満、80個未満、70個未満、または60個未満)のアミノ酸を有するペプチド)を、FMOC固相合成などの標準的な化学的手段によって化学合成することができる(実施例1を参照のこと)。
【0093】
本明細書中に記載のペプチドを、単離することができるが、必須ではない。本明細書中に記載の任意のペプチドに適用する場合、用語「単離された」は、天然に伴う成分(例えば、タンパク質または天然に存在する生体分子または有機分子)から単離または精製されたペプチド、そのフラグメント、(または、組成物については高分子複合体)をいう。組換え分子(例えば、組換えペプチド)は常に「単離されている」と理解される。典型的には、調製物中の同型の総分子の少なくとも60重量%(例えば、サンプル中の同型の総分子の60%)を構成する場合、ペプチド(またはフラグメントもしくは高分子複合体)は単離されている。例えば、調製物またはサンプル中の総タンパク質の少なくとも60重量%を構成する場合、本明細書中に記載のペプチドを単離されたと見なす。いくつかの実施形態では、調製物中の分子は、調製物中の同型の総分子の少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%からなる。
【0094】
同様に、本明細書中に記載のペプチドコード配列またはペプチドコード配列を含むベクターも単離することができる。本明細書中に記載の任意のペプチドコード配列またはベクターに適用する場合、用語「単離された」は、天然に伴う成分(例えば、核酸、タンパク質、または他の天然に存在する生体分子または有機分子)から分離または精製されたペプチドコード配列またはベクター、そのフラグメントをいう。組換え分子(例えば、組換えベクターまたはペプチドコード配列)は常に「単離されている」と理解される。典型的には、調製物中の同型の総分子の少なくとも60重量%(例えば、サンプル中の同型の総分子の60%)を構成する場合、ペプチドコード配列またはベクター(またはそのフラグメント)は単離されている。例えば、調製物またはサンプル中の総核酸の少なくとも60重量%を構成する場合、本明細書中に記載のペプチドコード配列またはベクターを単離されたと見なす。いくつかの実施形態では、調製物中の分子は、調製物中の同型の総分子の少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%からなる。
【0095】
いくつかの実施形態では、単離ペプチド、ペプチドコード配列、またはベクターを、凍結、凍結乾燥、または固定し、分子が活性(例えば、ペプチドがMHC分子(MHCクラスI分子など)に結合する能力またはベクターが細胞中のペプチドの発現を補助する能力)を保持できる適切な条件下で保存することができる。
【0096】
ペプチドのさらなるプロセシング
本明細書中に記載の任意のペプチドの発現または合成後、ペプチドをさらにプロセシングすることができる。さらなるプロセシングはペプチドに対する化学的または酵素的改変を含むことができるか、ペプチドを改変する場合、プロセシングは既存の改変の酵素的または化学的変更またはその両方を含むことができる。ペプチドのさらなるプロセシングは、異種アミノ酸配列(上記の任意の異種アミノ酸配列などであるが、これらに限定されない)の付加(共有結合的または非共有結合的連結)を含むことができる。酵素処置は、例えば、ペプチドが修飾される条件下での1つまたは複数のプロテアーゼ、ホスファターゼ、またはキナーゼとのペプチドの接触を含むことができる。酵素処置は、ペプチドのグリコシル化またはグリコシル化の改変が可能な1つまたは複数の酵素(例えば、オリゴサッカリルトランスフェラーゼまたはマンノシダーゼ)とのペプチドの接触を含むことができる。
【0097】
プロセシングは、例えば、検出可能な標識のペプチドへの付加を含むことができる。例えば、ペプチドを、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ)、蛍光物質(例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン、フルオレセイン、ダンシルクロリド、アロフィコシアニン(APC)、またはフィコエリトリン)、発光物質(例えば、ランタニドまたはそのキレート)、生体発光物質(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、またはエクオリン)、または放射性核種(例えば、3H、32P、33P、125I、または35S)で検出可能に標識することができる。
【0098】
プロセシングはまた、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール部分(ポリエチレングリコール部分など))へのペプチドのカップリングを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーを、ペプチド上のN末端である部位にてポリペプチドにカップリングする。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ポリマーを抱合することができる内部ポリマー抱合部位が得られる1つまたは複数の内部アミノ酸挿入を含むことができる。
【0099】
薬学的組成物
任意の本明細書中に記載のペプチドおよびペプチドをコードする核酸を、薬学的組成物に組み込むことができる。かかる組成物は、典型的には、1つまたは複数のペプチド(および/またはペプチドをコードする核酸)および薬学的に許容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容可能なキャリア」には、薬学的投与に適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。1つまたは複数のペプチドを、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、乳濁液などの形態の薬学的組成物として処方することができる。補助的活性化合物(例えば、1つまたは複数の化学療法薬)を組成物に組み込むこともできる。
【0100】
薬学的組成物を、一般に、その意図する投与経路に適合するように処方する。投与経路の例には、経口、直腸、および非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、経皮、または経粘膜)が含まれる。非経口適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:滅菌希釈剤(注射用蒸留水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒など)、抗菌薬(ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど);抗酸化剤(アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)、緩衝液(酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはリン酸緩衝液など)、および張度調整剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)。塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基でpHを調整することができる。組成物を、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量バイアル中に封入することができる。
【0101】
注射に適切な薬学的組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌注射液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与のために、適切なキャリアには、生理食塩水、静菌化蒸留水、クレモフォールEL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。全ての場合、薬学的組成物は無菌でなければならず、容易にシリンジ中に存在する範囲の流動物であるべきである。製造および保存条件下で安定であるべきであり、微生物(細菌および真菌など)によるいかなる汚染に対しても保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその安定な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。微生物による汚染の防止を、種々の抗菌薬および抗真菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチロメサールなど)によって行うことができる。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖、多価アルコール(マンニトール(manitol)、ソルビトールなど)、塩化ナトリウム)を含めることが望ましいであろう。注射用組成物の吸収の延長を、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含めることによって促進することができる。
【0102】
滅菌注射液を、上記列挙の1成分または成分の組み合わせと共に適切な溶媒中に必要量の1つまたは複数のペプチド(またはペプチドをコードする1つまたは複数の核酸)を組み込み、必要に応じて、その後に濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、上記列挙の基剤となる分散媒および必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルへのペプチド(またはペプチドをコードする核酸)の組み込みによって分散液を調製する。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、調製方法は、その予め濾過滅菌した溶液から有効成分および任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる真空乾燥または凍結乾燥を含むことができる。
【0103】
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。経口治療的投与のために、1つまたは複数のペプチドを賦形剤と共に組み込み、錠剤、トローチ、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態で使用することができる。経口組成物を、含嗽剤として使用するための流動物キャリアを使用して調製することもできる。薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント材料を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、およびトローチなどは、任意の以下の成分または類似の性質の化合物を含むことができる:結合剤(微結晶性セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなど)、賦形剤(デンプンまたはラクトースなど)、崩壊剤(アルギン酸、プリモゲル、またはトウモロコシデンプンなど)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、またはステロートなど)、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素など);甘味剤(スクロースまたはサッカリンなど);または香味剤(ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバーなど)
粉末および錠剤は、1%〜95%(w/w)の各ペプチドまたは2つ以上のペプチドの混合物を含むことができる。一定の実施形態では、ペプチドは、約5%〜70%(w/w)の範囲であり得る。適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、およびカカオバターなどである。用語「調製」は、キャリアとしてのカプセル化材料でのペプチド(または核酸)の処方を含むことを意図する。この処方により、他のキャリアを含むか含まないペプチドがキャリアで取り囲まれ、それにより、ペプチドが組み込まれるカプセルが得られる。同様に、カシェおよびロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェ、およびロゼンジを、経口投与に適切な固体投薬形態として使用することができる。
【0104】
経口使用に適切な水溶液を、水への活性成分の溶解および適切な所望の着色剤、フレーバー、安定剤,増粘剤の添加によって調製することができる。経口使用に適切な水性懸濁液を、粘着性物質(天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤など)を有する水への微粉化した活性成分の分散によって作製することができる。
【0105】
吸入による投与のために、ペプチドまたは核酸を、適切な噴射剤(例えば、二酸化炭素などのガス)を含む加圧容器またはディスペンサーまたは噴霧器からエアゾールスプレーの形態で送達することができる。
【0106】
経粘膜手段または経皮手段によって全身投与することもできる。経粘膜投与または経皮投与のために、浸透すべきバリアに適切な浸透剤を処方物中で使用する。かかる浸透剤は当該分野で一般に公知であり、例えば、経粘膜投与のための界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。鼻内噴霧または座剤の使用によって経粘膜投与を行うことができる。経皮投与のために、ペプチドまたは核酸を、当該分野で一般に公知の軟膏、蝋膏、ゲル、またはクリームに処方することができる。
【0107】
ペプチドまたは核酸を、直腸送達のための座剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の座剤の基剤を使用)または停留浣腸の形態で調製することもできる。
【0108】
1つの実施形態では、ペプチドまたは核酸を、体内からの急速な排出からペプチドを防御するキャリア(制御放出処方物(埋没物およびマクロカプセル化送達系が含まれる)など)を使用して調製することができる。生分解性の生体適合性ポリマー(エチレンビニルアセタート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、およびポリ乳酸など)を使用することができる。かかる処方物の調製方法は当業者に明らかであろう。材料を、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から購入することもできる。リポソーム懸濁液(例えば、APC特異的抗原に対するモノクローナル抗体を使用してAPCにターゲティングしたリポソームが含まれる)を、薬学的に許容可能なキャリアとして使用することもできる。これらを、当業者に公知の方法(例えば、米国特許第4,522,811号に記載の方法)にしたがって調製することができる。
【0109】
投与が容易であり、且つ一様に投薬するための投薬単位形態での経口組成物または非経口組成物を処方することが有利であり得る。本明細書中で使用する場合、投薬単位形態は、処置すべき被験体のための単位投薬として適切な物理的に個別の単位をいい、各単位は、必要な薬学的キャリアと関連して所望の治療効果が得られるように計算された所定量のペプチド(または核酸)を含む。投薬単位は、使用説明書を同封することもできる。
【0110】
ペプチドをコードする核酸分子をベクターに挿入し、遺伝子療法ベクター(上記)として使用することができる。遺伝子療法ベクターを、例えば、静脈内注射、局所投与(例えば、米国特許第5,328,470号を参照のこと)によるか、定位注射(例えば、Chen,et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって被験体に送達することができる。遺伝子療法ベクターの薬学的調製物は、許容可能な希釈剤中に遺伝子療法ベクターを含むことができるか、遺伝子送達ビヒクルが包埋された遅延放出マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞(例えば、レトロウイルスベクター)からインタクトに産生することができる場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つまたは複数の細胞を含むことができる(以下の「Ex Vivo法)を参照のこと)。
【0111】
遺伝子送達ビヒクルのさらなる例には、リポソーム、生体適合性ポリマー(天然高分子および合成高分子が含まれる)、リポタンパク質、ポリペプチド、ポリサッカリド、リポ多糖、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子、細菌、ウイルス(バキュロウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルスなど)、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、ならびに種々の真核宿主および原核宿主中での発現について記載した当該分野で典型的に使用され、且つ遺伝子療法および簡潔なタンパク質発現のために使用することができる他の組換えビヒクルが含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクターなどが含まれる。抗体またはそのフラグメントなどのターゲティング部分を含むリポソームを使用して、被験体への送達のための核酸の薬学的組成物を調製することもできる。
【0113】
本明細書中に記載の任意の薬学的組成物を、下記のように投与のための説明書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
【0114】
MHC分子多量体組成物およびこの組成物の使用方法
本開示はまた、(i)1つまたは複数の上記の任意のペプチドおよび(ii)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体を含む組成物を特徴とする。多量体は、2個以上の(例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)MHC分子全体またはMHC分子のペプチド結合領域を含む。1つまたは複数のペプチドを、MHC分子多量体に会合(例えば、共有結合または非共有結合)することができる。
【0115】
多量体のMHC分子は、MHCクラスI分子(例えば、HLA−A2分子)またはMHCクラスII分子であり得る。MHC分子は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヒト、または本明細書中に記載の任意の他の哺乳動物)のMHC分子であり得る。
【0116】
多量体中の2個以上のMHC分子(またはMHC分子のペプチド結合領域)は、同一のMHC分子または異なるMHC分子に由来し得る。例えば、MHC分子多量体は、5個のMHC分子を含むことができ、そのうちの3個は同一のMHC分子であり、そのうちの2個は最初の3個と異なる。別の例では、多量体の各MHC分子は異なる。MHC分子の少なくとも1個は、ペプチドの少なくとも1個に結合することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、上記組成物は、少なくとも2個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または15個、またはこれを超える)の本明細書中に記載の任意のペプチドを含むことができる。
【0118】
組成物を、検出可能な標識と会合することもできる。例えば、多量体の1つまたは複数のMHC分子を、検出可能な標識に共有結合または非共有結合することができる。適切な検出可能な標識(例えば、酵素、蛍光物質、発光物質、生体発光物質、または放射性核種)および検出可能な標識をペプチドまたはMHC分子に連結する方法は上に記載されている。
【0119】
MHC多量体組成物を、以下のように上記ペプチドを使用して生成することができる:HLA分子に結合するペプチドを対応するHLA重鎖およびβ2−ミクログロブリンの存在下で再折り畳みして、三分子複合体を生成する。次いで、複合体を、予め重鎖に操作した部位の重鎖のカルボキシル末端でビオチン化する。次いで、ストレプトアビジンの添加により多量体形成を誘導する。
【0120】
T細胞受容体が広範な種々の他のペプチド−MHC複合体のうちの標的細胞上の特異的ペプチド−MHC複合体を認識することができるので、本明細書中に記載のMHC多量体組成物を使用して、例えば、無関係のT細胞集団中の抗原特異的T細胞を検出することができる(以下を参照のこと)。かかるアッセイのために、多量体を、一般に、検出可能に標識するであろう(上記を参照のこと)。
【0121】
例えば、多量体MHC分子/ペプチド複合体をアッセイで使用して、免疫原への曝露後の抗原特異的CTLの存在について末梢血単核球を評価することができる。MHC多量体複合体を使用して、抗原特異的CTLを直接視覚化し(例えば、Oggら,Science 279:2103−2106,1998およびAltmanら,Science 174:94−96,1996を参照のこと)、末梢血単核球サンプル中の抗原特異的CTL集団の頻度を決定することができる。1つの例では、MHC多量体の多量体化のために使用した検出可能に標識されたストレプトアビジンを使用して、多量体のMHC分子/ペプチド複合体に結合するT細胞を標識することができる。これを行うために、多量体で処置した細胞を、例えば、標識(例えば、ビオチンに抱合したフルオロフォア)に曝露する。次いで、細胞を、例えば、フローサイトメトリーを使用して容易に単離または検出することができる。
【0122】
適用
本明細書中に記載のペプチド(およびその薬学的組成物)、組成物を含むMHC多量体、キット、および製造品を、種々の方法で使用することができる。例えば、ペプチドを使用して、(i)被験体(例えば、癌を有する被験体)において免疫応答を誘導し、(ii)培養物中でT細胞を活性化し、そして/または(iii)多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの癌を処置またはさらに防止することができる。上記のように、組成物を含むMHC多量体を使用して、例えば、無関係のT細胞集団中の抗原特異的T細胞を検出することができる。
【0123】
ペプチド(またはその薬学的組成物)、組成物を含むMHC多量体、キット、または製造品の有用性は本明細書中に記載の特定の実施形態に決して制限されないが、これらの試薬を使用することができる例示的方法を以下に示す。
【0124】
免疫応答の誘導方法
本開示はまた、被験体における免疫応答の種々の誘導方法を特徴とする。被験体における免疫応答の誘導方法は、本明細書中に記載の任意のペプチド(またはペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター)(あるいは1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチド(またはベクター)を含む任意の薬学的組成物)の1つまたは複数を被験体に投与する工程を含むことができる。任意の本明細書中に記載のペプチドを使用して、1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドをコードする核酸発現系の使用によって免疫応答を刺激することができる。すなわち、被験体における免疫応答の誘導方法は、1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター(または発現ベクターを含む薬学的組成物)を被験体に投与する工程を含むことができる。免疫応答は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、TH1応答、TH2応答、または両応答型の組み合わせであり得る。
【0125】
任意の上記方法はまた、例えば、被験体における癌(例えば、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害、またはXBP1、CD138、またはCS1を発現する任意の他の癌)を処置または防止(予防)する方法であり得る。用語「防止する」、「防止すること」、または「防止」を、本明細書中で、所与の容態のための所与の処置に関連して使用する場合、この用語は、処置された被験体が臨床的に観察可能なレベルの容態を全く発症しないか(例えば、被験体が容態の1つまたは複数の症状を示さないか、癌の場合、被験体が検出可能なレベルの癌を発症しない)、被験体における容態が処置しなかった場合よりもゆっくりおよび/または低い程度(例えば、被験体における症状がより少ないか、癌細胞数がより少数である)で発症することを意味する。これらの用語は、被験体がいかなる容態の態様も経験しない状況に単に制限されない。例えば、容態(進行癌)の所与の徴候が生じると予想される癌の早期診断(例えば、被験体由来のサンプル中の少数の癌細胞の検出)中に処置し、別で予想されるよりも被験体がより少数および/または軽度の容態の症状を経験する場合、処置により容態が「防止された」というであろう。被験体の癌の明らかな症状が軽度でしかない場合、処置により、癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害)を「防止する」ことができる。「防止」は、このように処置された被験体によって1つの癌細胞でさえ生じなかったに違いないということを意味しない。
【0126】
一般に、被験体に送達されたペプチドは、薬学的に許容可能なキャリア(例えば、生理食塩水)中に懸濁され、経口、直腸、または非経口で投与されるであろう(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内、腹腔内、直腸内、膣内、鼻腔内、胃内,気管内、または肺内に注射されるであろう(以下を参照のこと)。
【0127】
薬学的組成物の定期的ボーラス注射によって投与することができるか、外部(例えば、IVバッグ)または内部(例えば、生体内分解性(bioerodable)埋没物、生体人工臓器、または植え込んだ試薬産生細胞のコロニー)に存在するリザーバからの静脈内または腹腔内投与によって不断的または連続的に投与することができる。例えば、米国特許第4,407,957号、同第5,798,113号、および同第5,800,828号(それぞれの全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0128】
治療核酸の従来の薬学的に許容可能な投与経路には、筋肉内経路、皮下経路、皮内経路、経皮経路、静脈内経路、直腸経路(例えば、浣腸、坐薬)、経口経路、胃内経路、鼻腔内経路、および有効な吸入経路の他の経路、ならびに他の非経口投与経路が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。投与経路を組み合わせることができるか、必要に応じて、核酸分子および/または免疫応答に及ぼす所望の影響に応じて調整することができる。被験体への核酸の投与方法には、種々の周知の技術(ベクター媒介遺伝子移入(例えば、ウイルス感染/トランスフェクションまたは種々の他のタンパク質ベースもしくは脂質ベースの遺伝子送達複合体)など)ならびに「裸の」ポリヌクレオチドの送達を容易にする技術(エレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達、および被験体または被験体の細胞へのポリヌクレオチドの導入のために使用される種々の他の技術など)が含まれ得る。
【0129】
一般に、ペプチドまたは核酸の必要とされる投薬量は、投与経路の選択、処方物の性質、被験体の疾病の性質または重症度、被験体の免疫状態、被験体のサイズ、体重、表面積、年齢、および性別、投与される他の薬物、ならびに担当する医療専門家の判断に依存する。
【0130】
免疫応答誘導に適切なペプチドの投薬量は、被験体1kgあたり、0.000001〜10mgの試薬または抗原性/免疫原性組成物の範囲である。種々の試薬および種々の投与経路の有効性の相違を考慮して、必要な投薬量は非常に変化すると予想される。例えば、経鼻投与または直腸投与には、静脈内注射による投与より高い投薬量が必要であり得る。これらの投薬レベルの変動を、当該分野で十分に理解されている至適化のための標準的な経験による日常業務を使用して調整することができる。投与は単回または複数回であり得る(例えば、2、3、4、6、8、10、20、50、100、150、またはこれを超える回数)。例えば、ペプチドを初回免疫として投与し、次いで、追加免疫として1回または複数回投与することができる。
【0131】
本明細書中に記載の方法という背景における被験体への核酸の投与用量は、長期間にわたる被験体における有利な治療応答を得るためか、症状を緩和するために十分であるべきである。例えば、被験体または達成すべき臨床的目的に依存して使用投薬量が変化するにもかかわらず(以下を参照のこと)、適切な投薬量範囲は、約1μgまで、約1,000μgまで、約5,000μgまで、約10,000μgまで、約25,000μgまで、または約50,000μgの核酸/mlキャリアの単回投薬量が得られる範囲である。
【0132】
治療効率(例えば、被験体における免疫応答を誘導するための1つまたは複数のペプチドまたはペプチドをコードする核酸の効率)を最適にするために、ペプチドまたは核酸を含む組成物を、異なる投与レジメンで最初に投与することができる。単位用量およびレジメンは、例えば、哺乳動物の種、その免疫状態、哺乳動物の体重が含まれる要因に依存する。
【0133】
薬学的組成物(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドあるいは1つまたは複数のペプチドをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む薬学的組成物)のための投与頻度は、医療従事者(例えば、医師または看護士)の技術および臨床判断の範囲内である。典型的には、投与レジメは、至適な投与パラメーターを確立することができる臨床試験によって確立される。しかし、従事者は、被験体の年齢、健康状態、体重、性別、および医学的状態に応じてかかる投与レジメを変化させることができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物を、少なくとも2回(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、または20回、またはこれを超える回数)被験体に投与することができる。例えば、薬学的組成物を、1ヶ月に1回を3ヶ月間、1週間に1回を1ヶ月間、1年に1回を3年間、1年に1回を5年間、5年毎に1回、10年毎に1回、または3年毎に1回を一生被験体に投与することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、試薬を、免疫調節薬(Toll受容体リガンドまたはアジュバントなど)と共に投与することができる(以下を参照のこと)。
【0136】
本明細書中で定義する場合、ペプチドまたはペプチドをコードする核酸の「治療有効量」は、処置した被験体において免疫応答を生じることができるペプチドまたは核酸の量である。ペプチドの治療有効量(すなわち、有効投薬量)には、被験体またはサンプルの重量1キログラムあたりのミリグラム、マイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬が含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。核酸の治療有効量には、被験体またはサンプル重量1キログラムあたりのマイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬も含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。
【0137】
本明細書中で定義する場合、ペプチドまたはペプチドをコードする核酸の「予防有効量」は、処置した被験体中の癌細胞(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の細胞)に対して免疫応答を生じることができるペプチドまたは核酸の量である。この免疫応答は、被験体における癌の発症を防止することができるか、被験体が癌を発症するか発症し続ける機会を実質的に軽減することができる(上記を参照のこと)。ペプチドの予防有効量(すなわち、有効投薬量)には、被験体またはサンプルの重量1キログラムあたりのミリグラム、マイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬が含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。核酸の予防有効量には、被験体またはサンプル重量1キログラムあたりのマイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬も含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。
【0138】
被験体は、抗原に対して免疫応答を生じることができる任意の動物(哺乳動物(例えば、ヒト(例えば、ヒト患者)または非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ、またはサル)、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、スナネズミ、ハムスター、ウマ、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、またはヤギ)、イヌ、ネコ、またはクジラ)などであるが、これらに限定されない)であり得る。被験体は、癌(多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症など)またはXBP1、CD138、またはCS1を発現する任意の他の癌型を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある被験体であり得る。被験体は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症からの寛解にある被験体であり得る。
【0139】
本方法はまた、1つまたは複数のペプチド(または核酸)を被験体に投与する前に、被験体の癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害)の1つまたは複数の癌細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する工程を含むことができる。これらのタンパク質の発現には、mRNA発現およびタンパク質発現の両方が含まれる。細胞中のタンパク質発現およびmRNA発現の検出方法は当該分野で公知であり、例えば、タンパク質検出のための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンおよびドットブロッティング技術、または免疫組織化学技術、およびmRNA検出のための逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはノーザンブロッティング技術が含まれる(Sambrookら,前出を参照のこと)。
【0140】
本方法はまた、1つまたは複数の化学療法薬、電離放射線の1つまたは複数の形態、あるいは1つまたは複数の免疫調節薬を被験体に投与する工程を含むことができる。電離放射線の1つまたは複数の形態は、γ線照射、X線照射、またはβ線照射であり得る。1つまたは複数の化学療法薬を、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、アドリアマイシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル、ポドフィロトキシン、タモキシフェン、タキソール、サリドマイド、レナリドマイド、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、hsp90インヒビター(例えば、タネスピンマイシン)、トランス白金、5−フルオロウラシル(5−flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート、または上記のいずれかのアナログからなる群より選択することができる。免疫調節薬には、例えば、種々のケモカインおよびサイトカイン(インターロイキン 2(IL−2)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、およびインターロイキン 12(IL−12)など)が含まれる。
【0141】
被験体は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの癌を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがあり得る。「癌を有する疑いがある」被験体は、癌の1つまたは複数の症状を有する被験体である。癌の症状は当業者に周知であり、一般に、疼痛、体重減少、脱力感、過剰な疲労、摂食困難、無食欲、慢性咳嗽、息切れの悪化、喀血、血尿、血便、嘔気、嘔吐、腹部膨満、鼓脹,腹膜腔中の液体、膣出血、便秘、腹部膨隆、結腸の穿孔、急性腹膜炎(感染、発熱、疼痛)、疼痛、吐血、大量の発汗、発熱、高血圧、貧血、下痢、黄疸、眩暈、悪寒、筋攣縮、および嚥下困難などが含まれるが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の症状には、具体的には、例えば、骨痛(例えば、背中または肋骨中)、高レベルの血中カルシウム、過度の口渇または排尿、便秘、嘔気、無食欲、錯乱、脚の脱力感またはしびれ、体重減少、または反復性感染症が含まれる。ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を示す症状には、例えば、脱力感、リンパ節の腫脹、重度の疲労、鼻出血、体重減少、神経学的問題が含まれる。
【0142】
本明細書中で使用する場合、「癌の発症するリスクがある」被験体は、癌を発症する素因(すなわち、腫瘍抑制遺伝子の変異(例えば、BRCA1、p53、RB、またはAPCの変異)などの癌を発症する遺伝的素因)を有するか、条件にさらされていたか、現在条件にさらされており、それによって癌に罹患し得る被験体である。したがって、被験体はまた、被験体が変異原性または発癌性レベルの一定の化合物(例えば、紙巻きタバコ中の発癌性化合物(アクロレイン、4−アミノビフェニル、芳香族アミン、ベンゼン、ベンズ{a}アントラセン、ベンゾ{a}ピレン、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、ポロニウム−210(ラドン)、ウレタン、または塩化ビニルなど))に曝されている場合、「癌の発症するリスクがある」被験体であり得る。被験体が、例えば、大量の紫外線またはX線照射に曝されたか、腫瘍を引き起こす/関連するウイルス(パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、B型肝炎ウイルス、またはヒトT細胞白血病−リンパ腫ウイルスなど)に曝された(例えば、感染した)場合、被験体は、「癌の発症するリスクにあり」得る。さらに、被験体が炎症(例えば、慢性炎症)に罹患している場合、被験体は、「癌の発症するリスクにあり」得る。例えば、被験体が意義未確定の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)を有する場合、被験体は多発性骨髄腫の発症するリスクがあり得る。
【0143】
上記から、「癌を有する疑いがある」または「癌の発症するリスクがある」被験体は、目的の種内の全ての被験体というわけではないことが明らかであろう。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、被験体へのペプチドまたは核酸の投与後に被験体で免疫応答が起こったかどうかを決定する工程を含むことができる。被験体において免疫応答が起こったかどうかを決定するための適切な方法は、例えば、被験体由来の生物サンプル中のペプチドに特異的な抗体の存在を検出するための免疫アッセイの使用を含む。例えば、被験体へのペプチドの投与後、生物サンプル(例えば、血液サンプル)を被験体から得て、ペプチドに特異的な抗体の存在について試験することができる。免疫応答を、サンプル中の活性化T細胞の存在または量のアッセイによって検出することもできる。かかるアッセイには、例えば、増殖アッセイ、限界希釈アッセイ、細胞傷害性アッセイ(例えば、リンホカインまたは51Cr放出アッセイ)が含まれる(上記)。
【0145】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、被験体が癌を有するかどうかを決定する工程を含むことができる。適切なかかる決定方法は、被験体中で検出すべき癌の型に依存するが、これは、当該分野で公知である。かかる方法は定性的または定量的であり得る。例えば、医療従事者は、被験体が多発性骨髄腫の2つ以上の(例えば、3、4、5、または6つまたはこれを超える)症状(本明細書中に記載の任意の症状など)を示す場合、被験体は多発性骨髄腫を有すると診断することができる。被験体の血中カルシウムレベル、白血球数または赤血球数、または尿中タンパク質量の測定によって、被験体が多発性骨髄腫を有することを決定することもできる。
【0146】
ex vivoアプローチ。被験体における免疫応答のex vivo誘導ストラテジーは、被験体から得た適切なAPC(例えば、樹状細胞、単球、またはマクロファージ)を任意の本明細書中に記載のペプチドと接触させる工程を含むことができる。あるいは、細胞を、1つまたは複数のペプチドをコードする核酸(例えば、発現ベクター)でトランスフェクトし、任意選択的に、ペプチドを発現させる期間および条件下で培養することができる。トランスフェクション方法は、細胞および細胞にトランスフェクトされる核酸の型に依存するであろう(上記の「核酸およびペプチドの産生方法」およびSambrookら,前出も参照のこと)。接触またはトランスフェクション後、細胞を被験体に戻す。
【0147】
細胞は、MHCクラスIまたはII分子を発現する広範な種々の型のいずれかであり得る。例えば、細胞には、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、T細胞(例えば、Tヘルパー細胞、CD4+細胞、CD8+細胞、または細胞傷害性T細胞)、またはB細胞が含まれ得る。
【0148】
ex vivoでの免疫応答の刺激方法は、in vitroで(例えば、被験体から得たリンパ球集団中の)T細胞を、本明細書中に記載のペプチドの1つに結合したMHC分子を発現する抗原提示細胞と、T細胞の活性化に十分な期間(および条件下で)接触させる工程を含むことができる。接触後、活性化したT細胞を、この細胞を得た被験体に再導入する。本明細書中に記載のペプチドのうちの1つに結合したMHC分子を発現するAPCの生成方法を、本項の上に記載している。
【0149】
任意のex vivo法のいくつかの実施形態では、細胞を、本被験体以外の同種の被験体(同種間)から得て、これを試薬(または免疫原性/抗原性組成物)と接触させ、被験体に投与することができる。
【0150】
被験体における抗体の産生方法
免疫原(例えば、1つまたは複数の本明細書中に記載の任意のペプチド)に特異的な抗体の産生方法は当該分野で公知であり、以下で詳述している。例えば、本明細書中に記載のペプチドに特異的な抗体または抗体フラグメントを、例えば、動物を使用した免疫化またはファージディスプレイなどのin vitro法によって生成することができる。本明細書中に記載のペプチドの全部または一部を使用して、抗体または抗体フラグメントを生成することができる。
【0151】
ペプチドを使用して、ペプチドでの適切な被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物(ヒトなど))の免疫化によって抗体を調製することができる。適切な免疫原性調製物は、例えば、本明細書中に記載の任意の試薬を含むことができる。調製物は、さらに、アジュバント(フロイント完全または不完全アジュバントなど)、ミョウバン、RIBI、または類似の免疫賦活薬を含むことができる。アジュバントは、例えば、コレラ毒素(CT)、E.coli易熱性毒素(LT)、変異体CT(MCT)(Yamamotoら(1997)J.Exp.Med.185:1203−1210)、および変異体E.coli易熱性毒素(MLT)(Di Tommasoら(1996)Infect.Immunity 64:974−979)も含む。MCTおよびMLTは、親分子と比較してアジュバント活性を実質的に損わなずに毒性を実質的に減少させる点変異を含む。免疫原性ペプチド調製物(例えば、本明細書中に記載の任意の試薬)での適切な被験体の免疫化により、ポリクローナル抗ペプチド抗体応答が誘導される。
【0152】
本明細書中で使用する場合、用語抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、ペプチド(例えば、本明細書中に記載のペプチド)に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)をいう。本明細書中に記載のペプチドに特異的に結合する抗体は、ペプチドに結合するが、サンプル中の他の分子に実質的に結合しない抗体である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例には、例えば、F(ab)フラグメント、F(ab’)2フラグメント、または本明細書中に記載の任意の他の抗体フラグメントが含まれる(以下を参照のこと)。
【0153】
抗ペプチド抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の調製物であり得る。本明細書中で使用する場合、用語モノクローナル抗体は、ペプチドと免疫反応することができる抗原結合部位のたった1つの種を含む抗体分子集団をいう。したがって、モノクローナル抗体組成物は、典型的には、免疫反応する特定のペプチドに対して単一の結合親和性を示す。
【0154】
ポリクローナル抗ペプチド抗体を、ペプチド免疫原での適切な被験体の免疫化によって上記のように調製することができる。免疫化した被験体における抗ペプチド抗体力価を、標準的な技術(固定化ペプチドを使用した酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などを使用)によって長期にわたってモニタリングすることができる。必要に応じて、ペプチドに指向する抗体分子を哺乳動物から(例えば、血液から)単離し、プロテインAクロマトグラフィなどの技術によってさらに精製して、IgG画分を得ることができる。免疫化後の適切な時期に(例えば、抗ペプチド抗体力価が最高の時点で)、抗体産生細胞を被験体から得、これを使用して、標準的技術(Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495−497によって最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol.Today 4:72)、またはEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら(1985),Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)など)によってモノクローナル抗体を調製することができる。リンパ球および固定化細胞株の融合のために使用される多数の周知のプロトコールのいずれかを、抗ペプチドモノクローナル抗体の生成のために適用することができる(例えば、Current Protocols in Immunology,supra;Galfreら(1977)Nature 266:55052;R.H.Kenneth,in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,New York(1980);およびLerner(1981)Yale J.Biol.Med.,54:387−402(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0155】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの別の調製方法として、モノクローナル抗ペプチド抗体を、本明細書中に記載のペプチドを使用した組換え組み合わせ免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)のスクリーニングによって同定および単離し、ペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することができる。
【0156】
抗ペプチド抗体(例えば、モノクローナル抗体)を使用して、アフィニティクロマトグラフィまたは免疫沈降などの技術によってペプチドを単離することができる。さらに、抗ペプチド抗体を使用して、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイにおいてペプチドを検出することができる。抗体を、任意選択的に、検出可能な標識(本明細書中に記載の任意の検出可能な標識など)または結合対の第1または第2のメンバー(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチン)にカップリングすることができ、その第2のメンバーを検出可能な標識に抱合することができる。
【0157】
標的ペプチド(例えば、本明細書中に記載のペプチド)に対する非ヒト抗体を、非ヒト宿主(例えば、げっ歯類)中で産生し、次いで、例えば、米国特許第6,602,503号、欧州特許第239 400号、米国特許第5,693,761号、および米国特許第6,407,213号(各開示全体が参考として援用される)に記載のようにヒト化することもできる。
【0158】
欧州特許第239 400号(Winterら)は、(所与の可変領域内での)その一方の種のCDRの他方の種由来のCDRとの置換による抗体の変更を記載している。CDR置換抗体は、真のキメラ抗体と比較して、ヒトにおける免疫応答を誘発する可能性が低いかもしれない。これはCDR置換抗体が非ヒト成分の含有量がかなり少ないからである。Riechmannら(1988)Nature 332,323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239,1534−1536(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと。典型的には、マウス抗体のCDRを、組換え核酸技術の使用によってヒト抗体中の対応する領域に置換して、所望の置換抗体をコードする配列を産生する。所望のアイソタイプのヒト定常領域遺伝子セグメント(例えば、CHについてのγIおよびCLについてのκ)を付加することができ、ヒト化した重鎖および軽鎖の遺伝子を哺乳動物細胞中で同時発現させて可溶性ヒト化抗体を産生することができる。
【0159】
WO90/07861号は、元のマウス抗体のV領域フレームワークに対する至適なタンパク質配列相同性についてコンピュータ分析によってヒトVフレームワーク領域を選択する工程、およびマウスV領域の三次構造をモデリングしてマウスCDRと相互作用する可能性が高いフレームワークアミノ酸残基を視覚化する工程を含むプロセスを記載している。次いで、これらのマウスアミノ酸残基を、相同なヒトフレームワークに重ね合わせる。米国特許第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、および同第5,530,101号も参照のこと。Tempestら(1991)Biotechnology 9,266−271は、標準として、マウス残基のラジカル導入を行わないCDRグラフティングのためにNEWMおよびREIの重鎖および軽鎖にそれぞれ由来するV領域フレームワークを使用する。NEWMおよびREIベースのヒト化抗体を構築するためのTempestらのアプローチ使用の利点は、NEWMおよびREI可変領域の三次元構造がX線結晶学から知られており、したがって、CDRとV領域フレームワーク残基との間の特異的相互作用をモデリングすることができることである。
【0160】
特定の位置(例えば、1つまたは複数(例えば、少なくとも5、10、12、または全て)の以下の位置:(軽鎖可変ドメインのフレームワーク中)4L、35L、36L、38L、43L、44L、58L、46L、62L、63L、64L、65L、66L、67L、68L、69L、70L、71L、73L、85L、87L、98L、および/または(重鎖可変ドメインのフレームワーク中)2H、4H、24H、36H、37H、39H、43H、45H、49H、58H、60H、67H、68H、69H、70H、73H、74H、75H、78H、91H、92H、93H、および/または103H(Kabatナンバリングに従う))に、ヒト免疫グロブリン配列(例えば、コンセンサスヒトアミノ酸残基)を挿入する置換を含むように非ヒト抗体を改変することができる。例えば、米国特許第6,407,213号(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0161】
標的ペプチドに結合する完全なヒトモノクローナル抗体を、例えば、Boernerら(1991)J.Immunol.,147,86−95に記載のようにin vitro予備刺激ヒト脾細胞を使用して産生することができる。これらを、Perssonら,1991,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,88:2432−2436またはHuang and Stollar(1991)J.Immunol.Methods 141,227−236、また米国特許第5,798,230号(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のレパートリークローニングによって調製することができる。巨大な非免疫化ヒトファージディスプレイライブラリーを使用して、標準的なファージテクノロジーを使用してヒト治療薬として開発することができる高親和性抗体を単離することもできる(例えば、Vaughan et al,1996;Hoogenboomら(1998)Immunotechnology 4:1−20;and Hoogenboomら(2000)Immunol Today 2:371−8;米国特許出願公開第2003−0232333号(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0162】
本明細書中で使用する場合、「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列をいう。例えば、配列には、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部が含まれ得る。例えば、配列は、1、2、またはそれを超えるN末端またはC末端アミノ酸、内部アミノ酸を省略することができるか、1つまたは複数の挿入またはさらなる末端アミノ酸を含むことができるか、他の変化を含むことができる。1つの実施形態では、免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むペプチドは、別の免疫グロブリン可変ドメイン配列と会合して標的結合構造(すなわち、「抗原結合部位」)(例えば、標的ペプチドと相互作用する構造)を形成することができる。
【0163】
抗体のVH鎖またはVL鎖は、重鎖または軽鎖の定常領域の全部または一部をさらに含み、それにより、重鎖または軽鎖の免疫グロブリン鎖をそれぞれ形成することができる。1つの実施形態では、抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖の四量体である。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖を、ジスルフィド結合によって連結することができる。重鎖定常領域は、典型的には、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)およびヒンジ領域を含む。軽鎖定常領域は、典型的には、CLドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、典型的には、宿主組織または因子(種々の免疫系細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)が含まれる)への抗体の結合を媒介する。
【0164】
抗体の1つまたは複数の領域は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得るか、ヒト化され得る。例えば、1つまたは複数の可変領域は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得る。例えば、1つまたは複数のCDR(例えば、重鎖(HC)CDR1、HC CDR2、HC CDR3、軽鎖(LC)CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3)はヒトであり得る。各軽鎖CDRはヒトであり得る。HC CDR3はヒトであり得る。1つまたは複数のフレームワーク領域(FR)はヒトであり得る(例えば、HCまたはLCのFR1、FR2、FR3、およびFR4)。いくつかの実施形態では、全フレームワーク領域はヒトである(例えば、ヒト体細胞(例えば、免疫グロブリンを産生する造血細胞または非造血細胞)に由来する)。1つの実施形態では、ヒト配列は、例えば、生殖系列核酸によってコードされる生殖系列配列である。1つまたは複数の定常領域は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得るか、ヒト化され得る。別の実施形態では、少なくとも70、75、80、85、90、92、95、または98%のフレームワーク領域(例えば、集合的にFR1、FR2、およびFR3または集合的にFR1、FR2、FR3、およびFR4)または全抗体は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得るか、ヒト化され得る。例えば、FR1、FR2、およびFR3は、集合的に、ヒト生殖系列セグメントによってコードされるヒト配列と少なくとも70、75、80、85、90、92、95、98、または99%同一であり得る。いくつかの実施形態では、マウス抗体をヒト化するために、マウスIg遺伝子座の1つまたは複数の領域を、対応するヒトIg遺伝子座に置換することができる(例えば、Zouら(1996)The FASEB Journal Vol 10,1227−1232;Popovら(1999)J.Exp.Med.189(10)1611−1619;およびNicholsonら(1999)J.Immunol.6898−6906(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0165】
「事実上ヒトの」免疫グロブリン可変領域は、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトで免疫原性応答を誘発しないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含む免疫グロブリン可変領域である。「事実上ヒトの」抗体は、抗体が正常なヒトで免疫原性応答を誘発しないために十分な数のヒトアミノ酸位置を含む抗体である。
【0166】
「ヒト化」免疫グロブリン可変領域は、改変形態が非改変形態よりもヒトにおいて免疫応答を少なく誘発するように改変された(例えば、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトで免疫原性応答を誘発しないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含むように改変された)免疫グロブリン可変領域である。「ヒト化」免疫グロブリンの説明は、例えば、米国特許第6,407,213号および米国特許第5,693,762号(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)を含む。いくつかの場合、ヒト化免疫グロブリンは、1つまたは複数のフレームワークアミノ酸位置に非ヒトアミノ酸を含むことができる。
【0167】
抗体の全部または一部は、免疫グロブリン遺伝子またはそのセグメントによってコードすることができる。例示的ヒト免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α(IgA1およびIgA2)、γ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに多種多様な免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDaまたは214アミノ酸)は、NH2末端(約110アミノ酸)で可変領域遺伝子によってコードされ、COOH末端でκまたはλ定常領域遺伝子によってコードされる。全長免疫グロブリン「重鎖」(約50kDaまたは446アミノ酸)は、同様に、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上記定常領域遺伝子の1つ(例えば、γ(約330アミノ酸をコードする))によってコードされる。
【0168】
用語、全長抗体の「抗原結合フラグメント」は、目的の標的に特異的に結合する能力を保持する全長抗体のフラグメントをいう。用語、全長抗体の「抗原結合フラグメント」の範囲内に含まれる結合フラグメントの例には、以下が含まれる:(i)Fabフラグメント(VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる1価フラグメント)、(ii)F(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した2つのFabフラグメントを含む2価フラグメント)、(iii)Fdフラグメント(VHおよびCH1ドメインからなる)、(iv)Fvフラグメント(単一の抗体アームのVLおよびVHドメインからなる)、(v)dAbフラグメント(Wardら,(1989)Nature 341:544−546)(VHドメインからなる))、および(vi)機能性を保持する単離相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン(VLおよびVH)が個別の遺伝子にコードされるにもかかわらず、これらのドメインを、組換え法を使用して、合成リンカーによって連結し、VLおよびVH領域が対合して単鎖Fv(scFv)として公知の1価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製可能である(例えば、Birdら(1988)Science 242:423−426;およびHustonら(1988)Proc. Natl. Acad. Sci.USA 85:5879−5883,(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0169】
抗体
本明細書中に記載の方法によって産生された単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1〜18のいずれかのアミノ酸配列内またはこれに重複するエピトープに選択的に結合することができる。抗体はまた、配列番号1〜18のいずれかのアミノ酸配列内またはこれに重複するエピトープに結合する抗体の結合をクロスブロッキングする抗体であり得る。典型的には、10−6M未満のKDで抗体が結合する場合、エピトープへの抗体の結合は選択的と見なす。必要に応じて、結合条件の変化によって、選択的結合に実質的に影響を及ぼすことなく非特異的結合を減少させることができる。「クロスブロッキングする」抗体または「クロスブロッキング抗体」は、(第1の抗体の非存在下で起こるペプチドへの第2の抗体の結合と比較して)エピトープ(例えば、配列番号1〜18のいずれかの中またはこれに重複して含まれるエピトープ)に結合した場合に第2の抗体がペプチドに結合する能力が減少または消失する第1の抗体をいう。
【0170】
本明細書中に記載の方法によって産生された抗体(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドに特異的な抗体)を使用して、例えば、XBP1、CD138、またはCS1を発現する癌細胞を検出することができ、したがって、本明細書中に記載の多数の例示的方法で有用であることが理解される。
【0171】
治療の選択方法
癌(例えば、形質細胞障害(多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症など)またはXBP1、CD138、またはCS1が発現される任意の癌)を有する被験体のための治療を選択する方法は、任意選択的に、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がXBP1を発現するかどうかを決定する工程、および、1つまたは複数の細胞がXBP1を発現する場合、配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含む。上記のように、アミノ酸配列が、(i)被験体中に免疫応答を誘導することができ、(ii)MHC分子に結合することができ、(iii)MHC分子の背景において、T細胞上のT細胞受容体によって認識することができる場合、アミノ酸配列は、配列番号1〜10のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも66%同一であり得るか、4個以下の置換を含むことができる。ペプチドはまた、表1に記載の配列番号1〜10のいずれか1つから本質的になるか、これからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0172】
癌を有する被験体のために治療を選択する方法は、任意選択的に、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がCD138を発現するかどうかを決定する工程、および、1つまたは複数の細胞がCD138を発現する場合、配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくともペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含むことができる。上記のように、アミノ酸配列が、(i)被験体中に免疫応答を誘導することができ、(ii)MHC分子に結合することができ、(iii)MHC分子の背景において、T細胞上のT細胞受容体によって認識することができる場合、アミノ酸配列は、配列番号11〜14のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも66%同一であり得るか、4個以下の置換を含むことができる。ペプチドはまた、表1に記載の配列番号11〜14のいずれか1つから本質的になるか、これからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0173】
癌を有する被験体のために治療を選択する方法は、任意選択的に、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がCS1を発現するかどうかを決定する工程、および、1つまたは複数の細胞がCS1を発現する場合、配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくともペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含むことができる。上記のように、アミノ酸配列が、(i)被験体中に免疫応答を誘導することができ、(ii)MHC分子に結合することができ、(iii)MHC分子の背景において、T細胞上のT細胞受容体によって認識することができる場合、アミノ酸配列は、配列番号15〜18のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも66%同一であり得るか、4個以下の置換を含むことができる。ペプチドはまた、表1に記載の配列番号15〜18のいずれか1つから本質的になるか、これからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0174】
被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がXBP1、CD138、およびCS1の2つ以上を発現する場合、適切なペプチドの組み合わせを被験体に送達することができると理解される。例えば、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がXBP1およびCD138を発現すると決定される場合、治療の選択方法は、(a)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物と、配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物との組み合わせ、または(ii)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドおよび配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含むことができる。
【0175】
1つまたは複数の細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する方法は当該分野で公知であり、上に記載している。例えば、被験体から得た生物サンプル(例えば、血液サンプルまたはリンパ節組織サンプル)を、本明細書中に記載の方法によって作製したXBP1、CD138、またはCS1特異的抗体を使用して試験して、細胞(または細胞溶解物)によるXBP1、CD138、またはCS1ポリペプチド発現の存在または量を検出することができる(例えば、実働する実施例およびSambrookら前出を参照のこと)。ポリペプチドの存在または量について生物サンプルをアッセイする方法には、例えば、ELISA、免疫組織化学、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング、またはドットブロッティングアッセイが含まれる。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の方法はまた、被験体由来の生物サンプルを準備する工程および/または被験体から生物サンプルを得る工程を含むことができる。本明細書中に記載の方法に適切な生物サンプルには、目的の分析タンパク質(例えば、XBP1、CD138、またはCS1タンパク質)を含む任意の体液、細胞、組織、またはそのフラグメントが含まれる。生物サンプルは、例えば、被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)から得た検体であり得るか、かかる被験体に由来し得る。例えば、サンプルは、生検によって得た組織切片または組織培養物中に存在するかこれに適応した細胞であり得る。生物サンプルはまた、細胞含有体液(尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液、涙、粘液、または吸引液(例えば、肺吸引液または乳頭吸引液)など)、または紙またはポリマー基質上に吸収させたかかるサンプルであり得る。生物サンプルを、必要に応じて、特定の細胞型を含む画分にさらに分画することができる。例えば、血液サンプルを、血清または特定の血球型(赤血球または白血球(白血球細胞)など)を含む画分に分画することができる。必要に応じて、サンプルは、被験体由来のサンプル型の組み合わせ(組織と体液との組み合わせなど)であり得る。
【0177】
生物サンプルを、被験体(例えば、癌(例えば、多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症)を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある被験体)から得ることができる。任意の適切な生物サンプルを得る方法を使用することができるが、例示的な方法には、例えば、静脈切開、スワブ(例えば、口内スワブ)、吸引、または細針吸引生検手順が含まれる。細針吸引に感受性を示す組織の非限定的な例には、リンパ節、肺、甲状腺、乳房、および肝臓が含まれる。サンプルを、例えば、マイクロダイセクション(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)またはレーザーマイクロダイセクション(LMD))、膀胱洗浄、スメア(PAPスメア)、または乳管洗浄によって回収することもできる。
【0178】
例えば、上記方法を使用した被験体における癌(例えば、多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症)の検出後、医療従事者(例えば、医師)は、例えば、(i)薬物の処方箋の記入、(ii)被験体への薬物の提供(しかし、必ずしも投与しない)(例えば、患者が医師のオフィスに滞在している間の患者に対する処方薬物サンプルの付与)、(iii)提案または推奨される治療法(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドを含む治療)の患者への伝達(会話、書面(処方箋以外)、または電子的伝達(電子メール、安全なサイトへの電子的投稿));または(iv)被験体に適切な治療法の同定および、例えば、診療録による他の医療関係者への情報の周知によって被験体に適切な治療法(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドを含む治療)を選択することができる。後者(iv)は、例えば、1個を超える治療または治療薬を異なる医療従事者によって患者に投与すべき場合に有用であり得る。
【0179】
(任意の上記方法を使用した)被験体中のXBP1、CD138、またはCS1の存在または量の検出および/または被験体のための治療の選択後、医療従事者(例えば、医師)は、適切な治療法を被験体に施与ことができる。本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドを含む治療の施与方法は、上に詳述している。
【0180】
さらに、医療従事者はまた、1つまたは複数のさらなる癌治療薬または抗癌剤の副作用を処置するための1つまたは複数の薬物を選択、処方、および/または投与することができる。多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の処置に適切な化学療法薬には、例えば、メルファラン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、プレドニゾン、デキサメタゾン、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、またはレナリドマイドが含まれる。
【0181】
抗癌剤の副作用には、例えば、貧血、胃腸管の症状(例えば、嘔気、嘔吐、下痢)、白血球減少症(感染症を引き起こし得る白血球数の減少)、一過性の脱毛、または血小板減少症(出血を引き起こし得る血小板数の減少)が含まれる。したがって、医師は、抗貧血薬(エポエチンα(例えば、Procrit(登録商標)またはEpogen(登録商標))など)と共に化学療法薬(ビンクリスチンなど)を被験体に処方するか投与することができる。
【0182】
キットおよび製造品
本開示はまた、種々のキットを特徴とする。キットは、例えば、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の本明細書中に記載の任意のペプチド(あるいは1つまたは複数のペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター)、および被験体にペプチドを投与するための説明書を含むことができる。キットは、1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリアおよび/あるいは1つまたは複数の免疫刺激剤を含むことができる。免疫刺激剤は、例えば、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、またはアジュバントであり得る。
【0183】
キットはまた、1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬を含むことができる。1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬には、以下が含まれるが、これらに限定されない:(i)炎症反応を調整する薬剤(例えば、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ステロイド、クロモリンナトリウム、またはテオフィリン)、(ii)腎臓および/または心血管機能に影響を及ぼす薬剤(例えば、フロセミド、チアジド、アミロライド、スピロノラクトン、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、ジゴキシン、イソルジル、ドブタミン、リドカイン、キニジン、アデノシン、ジギタリス、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、またはメバロナート)、(iii)胃腸機能に影響を及ぼす薬物(例えば、オメプラゾールまたはスクラルファート)、(iv)抗生物質(例えば、テトラサイクリン、クリンダマイシン、アンホテリシンB、キニーネ、メチシリン、バンコマイシン、ペニシリンG、アモキシシリン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、クロラムフェニコール、イソシアジド、フルコナゾール、またはアマンタジン)、(v)抗癌剤(例えば、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ヒドロキシ尿素、プレドニゾン、タモキシフェン、シスプラチン、またはデカルバジン)、(vi)免疫調節薬(例えば、インターロイキン、インターフェロン(例えば、インターフェロンγ(IFN−γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)、シクロスポリン、FK506、アザチオプリン、ステロイド)、(ix)血液および/または造血器官に作用する薬物(例えば、インターロイキン、G−CSF、GM−CSF、エリスロポエチン、ヘパリン、ワルファリン、またはクマリン)、または(vii)ホルモン(例えば、成長ホルモン(GH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン、TSH、ACTH、インスリン、FSH、CG、ソマトスタチン、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲステロン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、チロキシン、トリヨードサイロニン)、ホルモンアンタゴニスト、石灰化および骨代謝回転に影響を及ぼす薬剤(例えば、リン酸カルシウム、副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD、ビスホスホネート、カルシトニン、フルオリド)。
【0184】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書中に記載のXBP1、CD138、および/またはCS1抗体のいずれかの1つまたは複数(例えば、1、2、または3、またはこれを超える)を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、それぞれ異なるタンパク質に特異的な2つの抗体を含むことができる。例えば、キットは、1つのXBP1特異的抗体(本明細書中に記載)および1つのCS1特異的抗体(本明細書中に記載)を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、それぞれ異なるタンパク質に特異的な3つの抗体を含むことができる。キットは、任意選択的に、1つまたは複数のXBP1、CD138、および/またはCS1タンパク質の存在または量について生物サンプルをアッセイするための説明書を含むことができる。
【0185】
容器、および容器内に含まれる組成物を含む製造品であって、組成物が哺乳動物(例えば、ヒト)において免疫応答を誘導するための有効成分を含み、有効成分が1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の本明細書中に記載の任意のペプチドを含み、容器は組成物が哺乳動物(例えば、本明細書中に記載の任意の哺乳動物)における免疫応答の誘導用であることを示すラベルを有する、製造品も特徴とする。ラベルは、さらに、多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に組成物を投与すべきであることを示すことができる。製造品の組成物は乾燥物または凍結乾燥物であり得、例えば、乾燥または凍結乾燥した組成物の溶解のための1つまたは複数の解決法(および/または説明書)を含むことができる。
【0186】
製造品はまた、哺乳動物(例えば、上記)に組成物を投与するための説明書を含むことができる。
【0187】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、本発明を制限しない。
【実施例】
【0188】
実施例1.材料と方法
細胞株。ヒト多発性骨髄腫細胞株:McCAR、MM1S、およびU226を、American Type Culture Collection(ATCC;Manassas,VA)から入手した。ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株(ML−2)は、Dr.Y.Matsuo,Fujisaki Cell Center,Okayama,Japanから特別に提供して頂いた。HLA−A2.1分子を発現するヒトB細胞およびT細胞ハイブリッドであるT2細胞株(Zweerinkら,(1993)J Immunol.150(5):1763−71)は、Dr.J.Molldrem(University of Texas M.D.Anderson Cancer Center,Houston,TX)から提供して頂き、抗原提示細胞(APC)の供給源として使用した。全細胞株を、10%ウシ胎児血清(FCS;BioWhittaker,Walkersville,MD)、100IU/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン(Gibco−Life Technologies)を補足したRPMI−1640培地(Gibco−Life Technologies,Rockville,MD)中で培養した。
【0189】
試薬。フィコエリトリン(PE)に抱合したマウス抗ヒトCD80またはCD83モノクローナル抗体(mAb)を、Immunotech(Hialeigha,FL)から購入した。フルオレセインイチオシアナート(fluoroscein isothyocyanate)(FITC)、PE、またはPerCPと抱合したCD3、CD4、CD8、CD14、CD40、CD45RA、CD45RO、CD69、CD80、CD83、CD86、CCR7、HLA−A2、およびHLA−DR特異的mAbsをBecton Dickinson/Pharmingen(San Diego,CA)から購入した。
【0190】
合成ペプチド。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL;配列番号25)およびMAGE−3ペプチド(FLWGPRALV;配列番号26)を、コントロールHLA−A2結合ペプチドとして使用した。6つの未変性スプライシングXBP1ペプチド:XBP1117〜125(LLREKTHGL;配列番号1);XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2));XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3));XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4));XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5));XBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27));3つの未変性スプライシングXBP1ペプチド(SP XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7));SP XBP1193〜201(ILLGILDNL(配列番号8));SP XBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9))が含まれる);ヘテロクリティックXBP1(YISPWILAV(配列番号6));およびヘテロクリティックスプライシングXBP1(YILDNLDPV(配列番号27));およびYLFPQLISV(配列番号10))ペプチドをデザインし、潜在的なHLA−A2結合ペプチドとして試験した。本明細書中で使用する場合、「ヘテロクリティック」(例えば、ヘテロクリティックペプチド)は、対応する野生型ペプチドよりも免疫原性が高いペプチドを産生するために野生型または元の配列由来の1つまたは複数のアミノ酸が改変されたペプチドの形態をいう。例えば、すぐ上に記載の例示的ヘテロクリティックペプチドでは、太字のアミノ酸は、XBP1の野生型配列から改変したアミノ酸を示す。
【0191】
4つの未変性CD138ペプチド:CD138256〜264(VIAGGLVGL(配列番号11));CD138260〜268(GLVGLIFAV(配列番号12));CD1385〜13(ALWLWLCAL(配列番号13));およびCD1387〜15(WLWLCALAL(配列番号14))をデザインし、潜在的なHLA−A2結合ペプチドとして試験した。
【0192】
4つの未変性CS1ペプチド:CS1−P1:CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15));CS1−P2:CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16));CS1−P3:CS1232〜240(LLVPLLLSL(配列番号17));およびCS1−P4:CS19〜17(TLIYILWQL(配列番号18))を、(3つの異なるデータベースRANKPEP、BIMAS、およびNetMHCを使用して)デザインし、潜在的なHLA−A2結合ペプチドとして試験した(例えば、Recheら(2002)Human Immunology 63:710−709を参照のこと)。
【0193】
XBP−1およびCD138ペプチドを、標準的なFMOC(9−フルオレニルメチル−オキシカルボニル)化学によって合成し(Biosynthesis,Lewisville,TX)、逆相クロマトグラフィを使用して85%超に精製し、質量分析によって分子量について確証した。New England Peptides LLCによって純度95%超のCS1ペプチドを合成した。凍結乾燥したペプチドをジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma,St.Louis,MO)に溶解し、AIM−V培地(Gibco−Life Technologies)で希釈し、−140℃で保存した。
【0194】
ペプチド結合アッセイ。XBP1、CD138、またはCS1ペプチドを、T2細胞上のHLA−A2結合について評価した。アッセイでは、T2細胞を洗浄し、無血清AIM−V培地に最終濃度1×106細胞/mlで再懸濁し、24ウェル組織培養プレートに移した。細胞を、50μg/mlの各XBP1、CD138、またはCS1ペプチド、または30μg/mlインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド+3μgヒトβ2ミクログロブリン(Sigma)とインキュベートし、加湿空気中にて37℃、5%CO2でインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞を洗浄し、次いで、FITC抱合した(またはHLA−A2へのCS1ペプチドの結合の決定の場合、PE抱合した)マウス抗ヒトHLA−A2モノクローナル抗体と4℃で15分間接触させた。細胞を再度洗浄し、次いで、CellQuest(商標)v2.1ソフトウェア(Becton Dickinson,San Jose,CA)を具備したFACSort(商標)フローサイトメーターを使用した蛍光フローサイトメトリー(FFC)によって分析した。ペプチドがHLA−A2に結合する能力を、HLA−A2へのペプチドの結合に原因するT2細胞表面上のHLA−A2分子の上方制御の測定によって決定し、FFC分析を使用して平均蛍光強度(MFI)に反映させた。
【0195】
ペプチド安定性アッセイ。HLA−A2分子の結合溝中のXBP1またはCD138ペプチドの安定性を、ヒトT2細胞株を使用して試験した。T2細胞を、上記の種々のペプチドとインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞を洗浄して非結合ペプチドを除去し、次いで、10μg/mlブレフェルジンA(Sigma)と37℃で1時間インキュベートして、新規に合成されたHLA−A2.1分子の細胞表面発現をブロッキングした。ペプチド/HLA−A2結合安定性を、ブレフェルジンA処置の0、2、4、6、および18時間後に測定した。インキュベーション後、細胞を採取し、洗浄し、FITC抱合マウス抗ヒトHLA−A2モノクローナル抗体で染色し、CellQuest(商標)v2.1ソフトウェア(Becton Dickinson)を具備したFACSort(商標)フローサイトメーターを使用したFFCによって分析した。
【0196】
単球由来成熟樹状細胞の生成。末梢血単核球(PBMC)を、Ficoll−Paque(商標)Plus(Amersham Pharmacia Biotech AB,Uppsala Sweden)による標準的な密度勾配遠心分離を使用して正常なヒトドナーから得たロイコパックから単離した。樹状細胞(DC)を、以下のように接着細胞画分として得た単球から生成した。未成熟DC(immDC)を生成するために、単球を、1,000U/ml GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)および1,000U/ml IL−4(インターロイキン−4)の存在下にて、10%ウシ胎児血清(FCS;BioWhittaker,Walkersville,MD)を補足したRPMI−1640培地(Gibco−Life Technologies,Rockville,MD)中で7日間培養した。新鮮な培地+GM−CSFおよびIL−4を、1日おきに培養物に添加した。1,000U/ml IFN−α(インターフェロンα)+10ng/ml TNF−α(腫瘍壊死因子α)中で7日目に新鮮なGM−CSFおよびIL−4を含む10%FCS−RPMIと共にimmDCを3日間培養することによって成熟DC(mDC)を得た。immDCおよびmDCを回収し、CD14、CD40、CD80、CD83、CD86、およびHLA−DR特異的抗体およびFFC分析を使用して、その発現表現型について試験した。
【0197】
CD3+T細胞の単離。正常ドナーのT細胞を、Miltenyi Biotec(Auburn,CA)のPanT細胞単離キットを使用して、PBMCの非接着細胞画分(単球接着後)から得た。簡潔に述べれば、ハプテン抱合したCD11b、CD16、CD19、CD36、およびCD56抗体のカクテルを使用した標識ならびに抗ハプテンモノクローナル抗体にカップリングしたMACマイクロビーズを含むカラムによるB細胞、NK細胞、初期赤血球系細胞、血小板、および好塩基球の枯渇によってT細胞を富化させた。溶出物(陰性細胞画分)を、富化CD3+T細胞としてカラムから回収した。最初に得たT細胞から富化したCD3+T細胞の純度(平均±標準偏差)を、フローサイトメトリーによって試験し、94±2%であることが判明した。
【0198】
ペプチド特異的CTLの誘導。ペプチド特異的CTL(すなわち、XBP1、CD138、またはCS1−ペプチド特異的CTL)を、XBP1、CD138、またはCS1−ペプチドパルスした抗原提示細胞(APC)(T2細胞またはmDCのいずれか)での正常なHLA−A2+ドナーから得たCD3+Tリンパ球の反復刺激によってex vivoで生成した。簡潔に述べれば、T2細胞を洗浄し、無血清AIM−V培地(Gibco BRL)に再懸濁し、50μg/mlの適切なXBP1またはCD138ペプチドで37℃で一晩パルスした。ペプチドパルスしたAPCを洗浄し、計数し、10Gyで照射し、これを使用して、10%ヒトAB血清(BioWhittaker,Walkersville,MD)を補足したAIM−V培地中にて、T2/ペプチド(刺激物質)のCD3+T細胞(反応物)に対する比が1:40でCD3+T細胞を予備刺激した。T細胞培養物を、照射したAPC/ペプチドにて7日間毎に合計で4サイクル再刺激して、XBP1ペプチド特異的CTL(XBP1−CTL)、CD138ペプチド特異的CTL(CD138−CTL)、またはCS1ペプチド特異的CTL(CS1−CTL)を生成した。本明細書中で言及した「XBP1−CTL」、「CD138−CTL」、および「CS1−CTL」がクローン性(または均一な)集団ではないことが上記から明らかである。むしろ、XBP1−CTL細胞、CD138−CTL細胞、およびCS1−CTL細胞は、正常ドナーから得た非特異的CTL、APC、および他のリンパ球と共にXBP1ペプチド、CD138ペプチド、またはCS1ペプチド特異的CTLを含むリンパ球(lympocyte)の不均一な集団である。50U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を、第2の刺激の2日後に培養物に添加した。コントロールT細胞培養物(ペプチドで刺激せず)を、50U/ml IL−2を含む10%ヒトAB血清を補足したAIM−V培地中で保存した。
【0199】
XBP1−CTL、CD138−CTL、または標的細胞の表現型分析。XBP1−CTL、CD4、またはCD8の表現型を決定するために、細胞による発現を抗CD4−PEまたは抗CD8−FITCマウス抗ヒトmAbを使用して検出した。さらに、種々の他の発現マーカーを、FITC抱合した抗CD69/PE抱合した抗CD45ROまたはFITC抱合した抗CD45RA−FITC/PE抱合した抗CCR7マウス抗ヒトmAbのいずれかの組み合わせを使用して細胞上で検出した。あるいは、U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞によるHLA−A2発現を、FITC抱合した抗HLA−A2抗ヒトmAbを使用して決定した。細胞の抗体との4℃で15分間の接触後、細胞を洗浄し、CellQuest v2.1ソフトウェア(Becton Dikinson)を具備したFACSort(商標)フローサイトメーターを使用して分析した。
【0200】
ウェスタンブロッティング。各細胞株(U266、McCAR、ML−2、およびMM1S)由来の約100μgタンパク質溶解物を、Laemmliサンプル緩衝液(0.1M Tris−HCl緩衝液(pH6.8)、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.05%β−メルカプトエタノール、10%グリセロール、および0.001%ブロモフェノールブルーを含む)に懸濁し、2分間ボイルし、8〜16%勾配ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に80Vで2時間供した(Xcell Surelock Mini Cell,Invitrogen,Carlsbad,CA)。タンパク質ラダー(既知の分子量のタンパク質の混合物)をゲルにおけるサイズマーカーとして使用して、ペプチドの分子量を決定した(Invitrogen,Carlsbad,CA)。ゲルを、ニトロセルロース膜(Trans−Blot,0.2ミクロン転写膜,Bio−Rad Laboratories,CA)上にトリス−グリシン緩衝液中にて40Vで2時間エレクトロブロッティングした。ニトロセルロース膜上へのタンパク質の移行を、ポンソーS染色によって確認した。マウス抗ヒトXBP1抗体または抗ヒトCD138抗体との膜のインキュベーションを、1%BSAを含むリン酸緩衝化生理食塩水およびTween20(PBST)中で一定に震盪しながら1時間行った。膜をPBSTで3回洗浄し、3%脱脂粉乳を含むPBST中の抗マウスIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体中にて1時間インキュベートした。洗浄後、特異的タンパク質を、製品マニュアル中に提供された説明書(Amersham Life Sciences Inc.,Arlington Heights,IL)にしたがって高感度化学発光を使用して検出した。
【0201】
IFN−γELISA。多発性骨髄腫(MM)細胞(McCAR、MM1S)、急性骨髄性白血病(AML)細胞(ML−2)、またはT2細胞(上記)との共培養後のXBP1−CTL、CD138−CTL、またはCS1−CTLによるIFN−γ放出を、BD Biosciences(San Diego,CA)のヒトIFN−γELISAキットを使用して測定した。簡潔に述べれば、標準としての精製IFN−γまたはCTL上清の希釈物を、モノクローナル抗ヒトIFN−γ捕捉抗体でプレコーティングした96ウェルプレートのウェルに移し、室温で2時間インキュベートした。数回の洗浄後、検出抗体およびアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体を含む緩衝液を各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、次いで、各ウェルに西洋ワサビペルオキシダーゼ基質溶液を添加し、室温で30分間インキュベートした。停止液を各ウェルに添加し、PerkinElmer Wallac Victor2カウンター(PerkinElmer,Wellesley,MA)を使用して450nmでの吸光度を決定した。CTL培養物上清中のサイトカインの存在量を、IFN−γ検量線に基づいて計算した。
【0202】
カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)追跡による細胞増殖。XBP1−CTLまたはCD138−CTLをPBS(Gibco−BRL)で2回洗浄し、RPMI−1640培養培地に濃度1×106細胞/mlで再懸濁した。DMSO中の5mM保存液の形態のCFSE(Molecular Probes,Eugene,OR)をCTLに添加して最終濃度5μMにし、遮光したCO2インキュベーター中に37℃で10分間インキュベートした。インキュベーション後、CTL細胞の体積の5倍に等価な体積の氷冷PBS(2%FCS含有)を細胞に添加して反応を停止させた。細胞を氷上で5分間インキュベートし、遠心分離し、全部で3回の洗浄後に新鮮なPBS(2%FCS含有)に再懸濁した。CFSE標識したT細胞を、RPMI培養培地を使用して濃度2×106細胞/mlに調整し、2×105細胞/mlのMcCAR細胞、ML−2細胞、MM1S細胞、または細胞なしで刺激した。刺激したCFSE標識細胞を、4日目にFFC分析によって試験した。
【0203】
細胞傷害性アッセイ。XBP1−CTL、CD138−CTL、またはCS1−CTLの細胞傷害活性を、例えば、Rodenら(1999)J.Immunol Methods 226:29−41に記載のカルセイン放出アッセイによって測定した。簡潔に述べれば、標的細胞(3×105細胞)(T2、U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞が含まれる)を、10mMカルセイン−AM(Molecular Probes)を含む無血清培養培地中にて37℃で30分間インキュベートし、5%FCSを含む冷PBSで3回洗浄し、エフェクター細胞(5×103細胞/ウェル)と種々のエフェクター:標的細胞比にて96ウェルU底マイクロタイタープレート(三連ウェル/サンプル)中でインキュベートした。プレートを、37℃および5%CO2にて3時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を1,000rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、100μlの上清を96ウェル平底マイクロタイタープレート(Nunc)のウェルに移し、カルセイン放出を、細胞からの蛍光放出量として測定した(VICTOR2−1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer,Boston,MA)を使用)。最大カルセイン放出を界面活性剤放出した標的細胞数から得、自発的放出をエフェクター細胞の非存在下での標的細胞数から得た。細胞傷害性を以下のように計算した:%比溶解(specific lysis)=[(実験的放出−自発的放出)÷(最大放出−自発的放出)]×100。
【0204】
CD107細胞傷害性アッセイ。CD107細胞傷害性アッセイを、Bettsら(2003)およびMittendorfら(2005)を以下に詳述のように少し変更して行った。無血清培地中および組織培養プレートのウェル中で成長したT2細胞またはMcCAR細胞を、CD138ペプチドまたはMAGEペプチドと37℃で約12時間接触させた。次いで、細胞を洗浄して、非結合ペプチドを除去した。次いで、CD138−CTLを、上記の処置したT2細胞またはMcCAR細胞(それぞれ、ペプチド抗原を提示する)と種々のエフェクター:標的比で共培養した。10μlアリコートの各CD107aおよびCD107b(共に検出可能な標識FITCに抱合)を、CD138−CTL添加と同時に各ウェルに添加した。細胞を含むプレートを1000rpmで5分間遠心分離し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、0.02μgのブレフェルジンAを各ウェルに添加し、細胞を37℃でさらに4時間インキュベートした。細胞を回収し、Pharmingen染色緩衝液(Pharmingen−BD Biosciences,San Jose,CA)で洗浄し、PE抱合したマウス抗ヒトCD8抗体と30分間接触させてCD8発現を検出した。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0205】
実施例2.XBP1184〜192(NISPWILAV)およびスプライシングXBP1367〜145(ELFPQLISV)ペプチドはHLA−A2結合に対して高い親和性/安定性を示す。
【0206】
非スプライシングまたはスプライシングXBP1タンパク質(上記を参照のこと)の全長配列を、検索ソフトウェアSYFPEITHI(MHCリガンドおよびペプチドモチーフのデータベース、Institute for Cell Biology,Department of Immunology,Heidlberg)を使用して分析して、HLA−A2に特異的なペプチドを予想し、その後にBIMASプログラムによって半減期解離速度が延長されたペプチドを選択した。全部で6つの潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを、以下の非スプライシングXBP1タンパク質から選択した:XBP1117〜125(LLREKTHGL(配列番号1);XBP1番号1ペプチド)、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2);XBP1番号2ペプチド)、XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3);XBP1番号3ペプチド)、XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4);XBP1番号4ペプチド)、XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5);XBP1番号5ペプチド)、およびXBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27);XBP1番号6ペプチド)。さらに、3つの潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを、評価のために以下のスプライシングXBP1タンパク質から選択した:SP XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7);SP XBP1番号1ペプチド)、SP XBP1193〜201(ILLGILDNL(配列番号8);SP XBP1番号2ペプチド)、およびSP XBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9);SP XBP1番号3ペプチド)。これらの未変性XBP1ペプチドおよびインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))(HLA−A2結合ペプチドであることが公知)のHLA−A2親和性を、T2ペプチド結合アッセイを使用して評価した。ペプチドの特異的親和性を、HLA−A2へのペプチド結合後のT2細胞上のHLA−A2上方制御の関数であるHLA−A2−平均蛍光強度(MFI)として評価した。非スプライシングXBP1タンパク質由来の試験ペプチドのうち、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2);XBP1番号2pという)は、HLA−A2に対して最も高い親和性を有し(MFI=720±140)、インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号16))(MFI=604±10)よりもさらに高い親和性を保有すると判断された。残りのペプチドであるXBP1117〜125(LLREKTHGL(配列番号1))、XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3))、XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4))、XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5))、およびXBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27))はまた、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2))ペプチドよりも低いが、HLA−A2親和性に対して有意な親和性を有していた(図1)。
【0207】
各ペプチドのHLA−A2結合安定性を、ブレフェルジンA処置の0、2、4、6、および18時間後に評価した。予備研究により、非スプライシングXBP1番号2pペプチドがインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))と比較して有意に低レベルのHLA−A2結合安定性を有することが証明された。HLA−A2裂溝内のXBP1番号2pの安定性を改善するために、アルギニン184をチロシンと置換したヘテロクリティックペプチドを未変性XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2))からデザインした(ヘテロクリティックYISPWILAV(配列番号6)ペプチド;本明細書中でXBP1 2Mと呼ばれる;太字のアミノ酸は野生型配列から改変されたアミノ酸を示す)。図2は、XBP1 2MのHLA−A2結合安定性を試験するための実験結果を示す。図2に示すように、未変性ペプチド対応物と比較してヘテロクリティックペプチドについて有意により長い期間のT2細胞上のHLA−A2上方制御(ペプチドの結合安定性の関数として)が認められた。これらの結果は、ペプチドの改変によってより高いHLA−A2結合安定性が得られたことを証明した。
【0208】
試験したスプライシングXBP1ペプチドのうち、未変性SP XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7);SP XBP1番号1p)およびSP XBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9);SP XBP1番号3p)は、それぞれMFIスコア762±167および785±84に反映されるように、HLA−A2に対する高親和性を有していた。この親和性は、MFI=807±113を有するインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))の親和性に匹敵した(図3)。ペプチド配列SP XBP1番号1pおよびSP XBP1番号3pを上記のように改変して、そのHLA−A2結合安定性を増強した。すなわち、各ペプチドの第1のアミノ酸をチロシンと置換した。図4は、その未変性対応物と比較してヘテロクリティックペプチドYLFPQLISV(配列番号10;SP XBP1番号3Mという)によって誘導されたT2細胞上のHLA−A2上方制御の増加を示す。このより高いレベルのHLA−A2上方制御を、細胞含有ウェルからの過剰な非結合ペプチドの除去後のヘテロクリティックペプチドのブレフェルジンA中での6時間の培養によって維持した。XBP1番号3Mの有効性と対照的に、ヘテロクリティックペプチドYILDNLDPV(配列番号28)(未変性ペプチドXBP1番号1pに由来)は、その未変性対応物を超えるHLA−A2安定性の有意な増加を示さなかった。
【0209】
したがって、ヘテロクリティックペプチドYLFPQLISV(配列番号10)およびYISPWILAV(配列番号6)を、XBP1抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(XBP1−CTL)を活性化する能力をさらに評価するために選択した。
【0210】
実施例3.XBP1−CTLは非刺激T細胞と異なる表現型を示す
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を、異なる細胞表面抗原(例えば、CD8)の発現によって表現型的に定義する。細胞表面抗原を使用して、ナイーブまたは活性化記憶細胞としてCTLをさらに定義することもできる。例えば、ナイーブヒトCTLをCD45RA+/CCR7+の存在によって同定することができるのに対して、活性化ヒト記憶細胞をCD69+/CD45RO+として同定することができる。ヘテロクリティックペプチドで刺激したヒトT細胞集団に対してフローサイトメトリーを行って、ナイーブまたは活性化記憶細胞であったCTLの比率を決定した。図5は、XBP1ヘテロクリティックペプチドで刺激したCTLが非刺激T細胞培養物(33%)と比較して有意に高い比率のCD8+T細胞を誘導し(非スプライシングペプチド刺激:81%;スプライシングペプチド刺激:75%)、非刺激T細胞培養物(64%)と比較して低い比率のCD4+T細胞(非スプライシングペプチド刺激:14%;スプライシングペプチド刺激:18%)を誘導することを示す。非刺激コントロールT細胞またはCD138−CTLを、ナイーブ(CD45RA+/CCR7+)または活性化記憶(CD69+/CD45RO+)細胞状態についてさらに試験した。コントロールT細胞培養物が24%のCD45RA+CCR7+ナイーブ細胞を含んでいた場合、たった1%または2%のXBP1−CTLしかこの表現型を示さなかった。さらに、CD69+/CD45RO+(活性化記憶)表現型を発現する細胞集団は、コントロールT細胞(4%)と比較してXBP1−CTL中で有意に高かった(非スプライシングペプチド刺激:62%;スプライシングペプチド刺激:64%)(図6)。これらの結果は、XBP1ヘテロクリティックペプチドがT細胞の表現型を活性化CTLに変化させることを証明している。
【0211】
実施例4.McCARおよびU266はHLA−A2およびXBP1抗原を発現する
いくつかの多発性骨髄腫細胞株中でのHLA−A2およびXBP1抗原の発現を、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロッティングを使用して決定した。U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞をそれぞれ検出可能に標識した抗HLA−A2抗体と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した。高HLA−A2表面発現は、U266細胞株、McCAR細胞株、およびML−2細胞株で検出されたが、MM1S細胞株で検出されなかった。種々の各細胞株中でのXBP1の細胞内発現を、ウェスタンブロットによって決定した。細胞溶解物を各細胞株から調製し、SDS−PAGEに供した。これらの分析により、スプライシングXBP1タンパク質がU266細胞株、McCAR細胞株、およびMM1S細胞株中で発現したが、ML−2細胞株中で発現しなかったことが示された。対照的に、全ての試験した細胞株中に非スプライシングXBP1が認められた。
【0212】
実施例5.XBP1−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性のIFN−γ分泌
上記で生成したXBP1−CTLの抗原特異性およびHLA−A2.1拘束を、上記で参照した多発性骨髄腫細胞株での刺激後のIFN−γ分泌の誘導の測定によって決定した。XBP1−CTLは、McCAR細胞と培養した場合にIFN−γ分泌の有意な増加(*p<0.05)を示した。対照的に、ML−2細胞またはMM1S細胞と培養した場合にXBP1−CTL由来の極めて少ないIFN−γ分泌が認められた(図7)。McCAR細胞のみがHLA−A2およびXBP1の両方を発現することが見出された。これらの結果により、XBP1−CTLは多発性骨髄腫細胞上に提示されたXBP1ペプチドに対して抗原特異的およびHLA−A2拘束応答が可能であることが示唆される。
【0213】
実施例6.XBP1−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性の細胞増殖
XBP1−CTLを、上記のようにカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)に曝露した。種々の腫瘍株での刺激に応答したXBP1−CTLの増殖を、細胞中のCFSE量の測定によって決定した。CFSEは膜透過性色素であり、細胞によって取り込まれる。細胞分裂の際、CFSEの半分が各娘細胞に分配される。次いで、各娘細胞が分裂する場合、元のCFSE濃度の全部で1/4が第3世代細胞に分配される。したがって、細胞分裂数を、各細胞集団中の色素の濃度の逆数として決定することができる。
【0214】
XBP1−CTLを、膜透過性色素CFSEと10分間インキュベートし、洗浄し、次いで、上記多発性骨髄腫細胞と接触させた。CFSE量をフローサイトメトリーを使用して決定した。細胞を50U/ml IL−2とインキュベートした場合、有意なCTL増殖は認められなかった。しかし、XBP1−CTL細胞をMcCAR細胞と培養した場合に有意により高いCTL増殖が認められた(M1ゲーティング;XBP1−2M:55%、XBP1 SP−3M:42%)(図8)。これらの結果は、CTL細胞の増殖がXBP1特異的且つHLA−A2拘束性であり、IFN−γ分泌データと一致することを証明する。
【0215】
実施例7.XBP1−CTLの抗原特異的およびHLA−A2拘束性の細胞傷害活性
ヘテロクリティックXBP1ペプチド特異的CTLが多発性骨髄腫細胞を特異的に標的して溶解する能力を決定した。YISPWILAV(配列番号6;XBP1 SP 2M)またはYLFPQLISV(配列番号10;XBP1 SP 3M)ペプチドのいずれかで誘導したXBP1−CTLを、カルセイン放出細胞傷害性アッセイによって多発性骨髄腫細胞の溶解能力について試験した。各CTL集団をMM細胞またはAML細胞と共培養し、溶解量を、溶解細胞からのカルセイン放出量の測定によって決定した。図9および10に示すように、XBP1 2M特異的CTL(図9)およびXBP1 SP 3M特異的CTL(図10)は、HLA−A2+/XBP1+悪性MM細胞を溶解することができた(McCAR(XBP1 2M−CTLによって9〜50%溶解およびXBP1 SP 3M−CTLによって15〜69%溶解)およびU266(XBP1 2M−CTLによって16〜74%溶解およびXBP1 SP 3M−CTLによって18〜83%溶解))。しかし、CTLは、HLA−A2+AML細胞(ML−2)またはHLA−A2−MM細胞(MM1S)の溶解を有意に誘導せず、この細胞傷害性が抗原特異的且つHLA−A2拘束性であることが証明された。さらに、CTLはナチュラルキラー(NK)感受性細胞株K562を死滅させず、多発性骨髄腫細胞に対して認められた細胞傷害性はXBP1−CTL中のNK細胞の夾雑に起因しないことが確認された。
【0216】
実施例8.HLA−A2結合に対するCD138ペプチドの親和性
CD138の全長配列(上記を参照のこと)を、検索ソフトウェアSYFPEITHI(MHCリガンドおよびペプチドモチーフのデータベース、Institute for Cell Biology,Department of Immunology,Heidlberg)を使用して分析して、HLA−A2に特異的なペプチドを予想し、その後にBIMASプログラムによって半減期解離速度が延長されたペプチドを選択した。全部で以下の4つの潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを選択した:CD138256〜264(VIAGGLVGL;CD138番号1p(配列番号11));CD138260〜268(GLVGLIFAV;CD138番号2p(配列番号12));CD1385〜13(ALWLWLCAL;CD138番号3p(配列番号13));およびCD1387〜15(WLWLCALAL;CD138番号4p(配列番号14))。これらの未変性CD138ペプチドおよびインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))のHLA−A2結合親和性を、T2ペプチド結合アッセイを使用して評価した。ペプチドの親和性をHLA−A2−平均蛍光強度(MFI)(HLA−A2は、HLA−A2特異的結合によってT2細胞上で上方制御される)として評価した。
【0217】
CD138由来の試験ペプチドのうち、CD138番号2pが最も特異的なHLA−A2結合を有すると判断された(MFI=690±65)。これは、HLA−A2特異的コントロールインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66の親和性(MFI=705±80)に近かった。残りのペプチド(CD138番号1p、CD138番号3p、およびCD138番号4p)は、CD138番号2pペプチドよりも有意に低いHLA−A2結合親和性を示した(図11)。
【0218】
CD138番号2pのHLA−A2結合安定性も、ブレフェルジンA処置の0、2、4、6、および18時間後に評価した。図12は、CD138番号2pのHLA−A2結合安定性を試験するための実験の結果を示す。図12中に示すように、CD138番号2pは、長期間(ペプチドパルス化後0時間、2時間、4時間、6時間、または一晩)にわたってT2上でHLA−A2上方制御を誘導する能力がインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))とほぼ等価であった。これにより、HLA−A2分子へのCD138番号2p結合の安定性レベルが高いことが証明された。
【0219】
したがって、CD138抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CD138−CTL)を活性化する能力のさらなる評価のためにCD138番号2pを選択した。
【0220】
実施例9.CD138−CTLは非刺激T細胞と異なる表現型を示す
ヘテロクリティックペプチドで刺激したT細胞集団に対してFFCを実施して、ナイーブまたは活性化記憶細胞であったCTLの比率を決定した。図13は、CD138番号2pペプチドで刺激したCTLが非刺激T細胞培養物(33%)と比較して有意に高いCD8+T細胞の比率(ペプチド刺激:82%)を示し、非刺激T細胞培養物(64%)と比較して低いCD4+T細胞の比率(ペプチド刺激:15%)を示したことを示す。刺激していないコントロールT細胞またはCD138−CTLを、ナイーブ(CD45RA+/CCR7+)または活性化記憶(CD69+/CD45RO+)細胞状態についてさらに試験した。コントロールT細胞培養物が24%のCD45RA+CCR7+ナイーブ細胞を含んでいた場合、たった1%のCD138−CTLしかこの表現型を示さなかった。さらに、CD69+/CD45RO+(活性化記憶)表現型を発現する細胞集団は、コントロールT細胞(4%)と比較してCD138−CTL(67%)において有意に高かった(図14)。これらの結果は、CD138番号2pペプチドが、T細胞の表現型を活性化CTLの表現型に変化させたことを証明している。
【0221】
実施例10. McCARおよびU266はHLA−A2およびCD138抗原を発現する。
【0222】
いくつかの多発性骨髄腫細胞株におけるHLA−A2およびCD138抗原の発現をFFCを使用して決定した。U266細胞株、McCAR細胞株、およびML−2細胞株で高HLA−A2表面発現が検出されたが、MM1S細胞株では検出されなかった。U266細胞株、McCAR細胞株、およびMM1S細胞株でCD138の細胞内発現が認められたが、ML−2細胞株では認められなかった。
【0223】
実施例11.CD138−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性のIFN−γ分泌
種々の腫瘍細胞株での一晩の刺激後のIFN−γ分泌の誘導によってCD138−CTLの抗原特異性およびHLA−A2拘束をさらに確認した。CD138−CTLは、多発性骨髄腫MM1S細胞(CD138+/HLA−A2−)または急性骨髄性白血病ML−2細胞(CD138−/HLA−A2−)での刺激と比較してMcCAR細胞(CD138+/HLA−A2+)での刺激後にIFN−γ分泌の有意な増加(*p<0.05)を示した。これらの結果により、CD138−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性の応答がさらに証明される。
【0224】
実施例12.CD138−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性の細胞増殖
種々の腫瘍株での刺激に応答したCD138−CTLの増殖を、細胞中のCFSE量の測定によって決定した。CD138−CTLを、膜透過性色素CFSEと10分間インキュベートし、洗浄し、次いで、上記多発性骨髄腫細胞と接触させた。FFCを使用してCFSE量を決定した。細胞を50U/ml IL−2とインキュベートした場合、有意な細胞増殖は認められなかった。しかし、CD138−CTL細胞をMcCAR細胞と培養した場合、有意により高いCTL増殖が認められた(M1ゲーティング;50%)(図16)。これらの結果により、CTL細胞増殖がCD138特異的およびHLA−A2拘束性であり、IFN−γ分泌データと一致することが証明される。
【0225】
実施例13.カルセイン(Calcien)−細胞傷害性アッセイにおけるCD138−CTL
CD138−CTLが多発性骨髄腫細胞を特異的にターゲティングして溶解する能力を決定した。いずれかのCD138番号2pペプチドで誘導したCD138−CTLを、カルセイン放出細胞傷害性アッセイによって多発性骨髄腫細胞を溶解する能力について試験した。図17に示すように、CD138−CTLは、HLA−A2+/CD138−1+悪性多発性骨髄腫細胞U266を溶解することができた。しかし、CTLはHLA−A2+AML細胞(ML−2)やHLA−A2−MM細胞(MM1S)を有意に溶解せず、この細胞傷害性が抗原特異的およびHLA−A2拘束性であることが証明された。さらに、CTLはナチュラルキラー(NK)感受性細胞株K562を死滅させず、多発性骨髄腫細胞に対して認められた細胞傷害性がCD138−CTL中のNK細胞の夾雑に起因しないことが確認された。
【0226】
実施例14.CD107細胞傷害性アッセイにおけるCD138−CTL
CD107アッセイにより、脱顆粒(標的細胞溶解中に起こる最初の事象)中のみで発現されるマーカーを使用して、応答するCD8+T細胞の表現型および機能を特徴づけることが可能である。このアッセイを使用して、CD138−CTLの細胞傷害性レベルを、フローサイトメトリー分析によってCD138−CTLの細胞表面上のCD107aおよびCD107bの上方制御レベルを分析することによって測定した。結果により、CD138−CTLが生理学的変化を受けて、異なるエフェクターに対する標的比(5:1、1:1、または1:5)で、対応するCD138−ペプチド提示T2細胞の溶解を誘導するが、無関係のMAGE3ペプチドパルスしたT2細胞では誘導しなかったことが証明された(図18A)。さらに、CD138−CTLは、対応するCD138ペプチド提示McCAR細胞(CD138+/HLA−A2+)細胞の溶解を誘導したが、無関係のMAGE3ペプチド提示細胞は誘導しなかった(CTL:刺激物質比(1:1)で)(図18B)。
【0227】
実施例15.多発性骨髄腫細胞株および初代多発性骨髄腫癌細胞によるCS1ポリペプチドの発現
いくつかの多発性骨髄腫細胞株におけるHLA−A2およびCS1抗原の発現を、FFCマイクロアレイ分析を使用して決定した。U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞をそれぞれ検出可能に標識した抗HLA−A2抗体および検出可能に標識した抗CS1抗体と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した。同様に、MMを有する6人の各患者から初代MM細胞を得、検出可能に標識した抗HLA−A2抗体および検出可能に標識した抗CS1抗体と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した。高レベルのHLA−A2およびCS1タンパク質表面発現がU266細胞株、McCAR細胞株、およびML−2細胞株の表面上で検出されたが、MM1S細胞株上には検出されなかった。
【0228】
CS1がヒト患者から得た初代MM細胞中で発現されるかどうかを試験するために、マイクロアレイ分析を複数の患者から得た初代MMサンプルに対して行った。総RNAを各MM患者のCD138精製腫瘍細胞から単離し、Affymetrix U133 Plus 2.0アレイ(Affymetrix,California)を使用してマイクロアレイ分析に供した。MMを持たない患者由来の細胞中の発現と比較して、MM細胞中の高CS1 mRNA発現が大部分のMM細胞中で認められた(図19)。
【0229】
まとめると、これらの結果により、CS1タンパク質が初代および培養したMM細胞の両方で発現されることが証明される。
【0230】
実施例16.HLA−A2結合に対するCS1ペプチドの親和性
CS1タンパク質の全長配列(上記を参照のこと)を検索ソフトウェアRANKPEP、BIMAS、およびNetMHCを使用して分析して、HLA−A2に特異的なペプチドを予想した。全部で4つの以下の潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを選択した:CS1−P1:CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15));CS1−P2:CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16));CS1−P3:CS1232〜240(LLVPLLLSL(配列番号17))、およびCS1−P4:CS19〜17(TLIYILWQL(配列番号18))。これらの未変性CS1ペプチドおよびインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))のHLA−A2結合親和性を、T2ペプチド結合アッセイを使用して評価した。ペプチドの親和性を、HLA−A2−平均蛍光強度(MFI)(HLA−A2はHLA−A2特異的結合によってT2細胞上で上方制御される)として評価した。HLA−A*0201分子に結合するペプチドを、T2細胞株を使用して測定した。T2細胞(1×106細胞/mL)を、3μgのヒトβ2−ミクログロブリンおよび/または50μg/mLのCS1ペプチドとインキュベートした。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチドを、ポジティブコントロールとして使用した。一晩のインキュベーション後、細胞を洗浄し、PE標識したマウス抗ヒトHLA−A2 mAbで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。蛍光指標(FI=ペプチド+β2ミクログロブリンでパルスしたT2細胞の平均チャネル蛍光/β2ミクログロブリンのみでパルスしたT2細胞の平均チャネル蛍光)を計算して、HLA−A2.1特異的ペプチド結合に原因するT2細胞上のHLA−A2.1分子の上方制御を決定した。
【0231】
CS1由来の試験ペプチドのうち、3つ(P2、P3、およびP4)は、インフルエンザ基質ペプチドよりもHLA−A2に対して高い親和性を有していた。残りのペプチドP1(CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15)))は、インフルエンザ基質ペプチドよりもわずかに低いHLA−A2結合親和性しか示さなかった(図20)。
【0232】
実施例17.P2ペプチド特異的CS1−CTLの拡大
CD8+T細胞をヒト末梢血単核球(PBMC)から単離し、P2(CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16)))ペプチド提示自己樹状細胞と培養した。CD8+細胞を、7日毎のペプチド提示樹状細胞の添加によって再刺激した。4回目の再刺激後、CS1239〜247に特異的な培養物中のCTLの比率を、PE抱合したHLA−A*0201 P2−四量体検出部分およびFITC抱合した抗CD8モノクローナル抗体で染色したフロー分析によって評価した。集団中の約4.1%の細胞がHLA−A*0201 P2−四量体および抗CD8抗体の両方によって結合され、約4.1%の細胞がCS1−CTLであることを示した。
【0233】
実施例18.CS1−CTLのCS1 P2ペプチド特異的細胞活性化
CS1−CTLの増殖活性を、トリチウム化チミジン(3H−チミジン)組み込みアッセイによって評価した。CS1−CTL(5×104/ウェル)を、CS1 P2ペプチドを提示する(または提示しない)照射T2細胞(5×103/ウェル)とそれぞれ24、48、および72時間培養した。3H−チミジン(0.5μCi)を、細胞回収の12時間前にウェルに添加した。CS1 P2提示T2細胞と培養したCS1−CTLは、CS1 P2ペプチドを提示しないT2細胞と接触させたCS1−CTLと比較して、増殖が顕著に増加した(図21)。モノクローナル抗CD25−PC5抗体を使用したフローサイトメトリーによる表面PC5発現の上方制御の測定によって、インキュベーションの48時間後にCS1−CTLの活性化を決定した。増殖CS1−CTLがCS1 P2提示T2細胞との培養の際にPC5発現の増加を示した所見により、CS1−CTLも活性されることが示唆された。
【0234】
実施例19.CS1−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性のIFN−γ分泌
CS1−CTLの抗原特異性およびHLA−A2拘束を、表面HLA−A2と関連して各CS1ペプチドを提示するT2細胞での4つの異なる各CS1−CTL集団(CS1−P1−CTL、CS1−P2−CTL、CS1−P3−CTL、およびCS1−P4−CTL)の一晩の刺激後のIFN−γ分泌の誘導によってさらに確認した。各CS1−CTL集団がIFN−γ分泌のいくらかの増加を示した一方で、CS1−P2−CTLはP2−ペプチド提示T2細胞との接触後に最も高い程度のIFN−γ分泌を示した(図22)。これらの結果は、CS1−CTL集団による抗原特異的およびHLA−A2拘束性の応答をさらに証明する。
【0235】
実施例20.カルセイン(Calcien)−細胞傷害性アッセイにおけるCS1−CTL
CS1−CTLが多発性骨髄腫細胞を特異的にターゲティングして溶解する能力を決定した。CS1−CTLをCS1−P2ペプチドで2回活性化し(1日目および7日目)、カルセイン放出細胞傷害性アッセイによって多発性骨髄腫細胞の溶解能力について試験した。MM細胞株(MM.1S、U266、およびMCCAR)をカルセイン−AM(5μg/ml)によって標識し、これらを標的細胞として5,000細胞/ウェルで使用した。エフェクター細胞の標的細胞に対する比は20:1であった。図23に示すように、CS1−P2−CTLは標的MM細胞株MCCAR(HLA−A2+/CS1+)の死滅に有効であった(30%細胞傷害性)のに対して、MM.1S(HLA−A2−/CS1+)およびU266(HLA−A2+/CS1−)標的細胞では有意な細胞傷害性は認められなかった。さらに、CS1−CTLはP2ペプチドと接触させたMCCAR細胞に対して高い細胞傷害性を示し、それにより、ペプチド特異的およびHLA−A2拘束性の細胞傷害効果が確認された。
【0236】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて記載しているが、上記説明は本発明の例示を意図し、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義される。他の態様、利点、および修正形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【技術分野】
【0001】
連邦政府によって資金供与を受けた研究開発に関する声明
本出願に記載された研究は、各々the National Institutes of Healthから授与された、助成金番号第P50−100707号、第PO1−78378号および第RO1−50947号によって補助された。したがって、政府は、本発明に一定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
背景
多発性骨髄腫およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症は、米国でそれぞれ年間約45,000人および1,500人が罹患する2つの血液癌である。両障害は、しばしば、例えば、化学療法を単独で使用するか、骨髄移植と組み合わせて使用して処置されるにもかかわらず、これらの障害の1つに罹患した患者の予後は一般的に不良である。したがって、有効な治療および/または予防的レジメンが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
本開示は、免疫原性X−Boxタンパク質1(XBP1)、CD138、およびCD2サブセット1(CS1)に由来するペプチドおよびこのペプチドの使用方法に関する。本ペプチドは、多数の性質(例えば、HLA−A2分子に対する高親和性、HLA−A2のペプチド結合裂溝内の高安定性、およびMHC分子と会合して細胞(例えば、癌細胞)表面上に発現した場合にT細胞の活性化および増殖を誘導する能力が含まれる)を保有することが発見された。
【0004】
ペプチド(およびその薬学的組成物)を種々の適用(免疫応答の誘導方法、T細胞の活性化方法、抗体の産生方法、および、例えば、癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞癌)の処置方法など)で使用することができることが以下の記載から明らかであろう。さらに、本ペプチドをMHC分子多量体組成物中に含めることができ、これを使用して、例えば、細胞集団中のペプチド特異的T細胞を検出することができる。
【0005】
1つの態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを特徴とする。本ペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子など)に結合することができる。
【0006】
別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドを特徴とする。本ペプチドを、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識することができる。
【0007】
別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66(例えば、少なくとも66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99)%同一であるペプチドからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを特徴とする。
【0008】
別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチドを特徴とする。4個以下の置換は、保存的または非保存的であり得る。
【0009】
さらに別の態様では、本開示は、配列番号1〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含む単離ペプチドを特徴とする。4個以下の置換は、保存的または非保存的であり得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子)に結合することができる。MHC分子は、例えば、HLA−A2分子であり得る。MHC分子は、例えば、ヒトMHC分子であり得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識することができる。
【0012】
本明細書中に記載の任意の単離ペプチドのいくつかの実施形態では、第2のアミノ酸配列は、ターゲティングポリペプチド、免疫刺激分子、免疫グロブリンまたはその抗原結合フラグメント、免疫グロブリン分子のFc受容体結合領域、またはキャリアポリペプチドを構成することができるか、これらであり得る。ターゲティングポリペプチドは、例えば、単離ペプチドを抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞)にターゲティングさせるペプチドであり得る。免疫刺激分子は、例えば、サイトカインまたはTヘルパーエピトープであり得る。免疫グロブリンは、例えば、単鎖Fv免疫グロブリンフラグメントまたは免疫グロブリン分子全体であり得る。キャリアペプチドは、KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)ポリペプチドを含むことができるか、KLHであり得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドは、リンカー配列を含むことができる。リンカー配列は、第1のアミノ酸配列を第2のアミノ酸配列に連結することができる。リンカー配列は、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10、またはこれを超える)のプロテアーゼ切断部位を含むか、これらからなることができる。
【0014】
本明細書中に記載の任意の単離ペプチドのいくつかの実施形態では、第2のアミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列のアミノ末端またはカルボキシ末端側にあり得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを検出可能に標識することができる。
【0016】
さらに別の態様では、本開示は、(i)本明細書中に記載の任意の単離ペプチドをコードする単離核酸、(ii)(i)の単離核酸を含むベクター、または(iii)(ii)のベクターを含む培養細胞を特徴とする。ベクターを、発現調節配列に作動可能に連結することができる。培養細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。培養細胞は、例えば、真菌細胞、植物細胞、または動物細胞(例えば、線虫細胞、昆虫細胞、鳥類細胞、魚類細胞、または哺乳動物細胞(例えば、ヒト細胞))であり得る。培養細胞は、免疫細胞(本明細書中に記載の任意の免疫細胞など)であり得る。
【0017】
別の態様では、本開示は、ペプチドの産生方法を特徴とする。本方法は、ペプチドを発現させる条件下で本明細書中に記載の任意の培養細胞を培養する工程を含む。本方法はまた、細胞または細胞が培養された培地からペプチドを単離する工程を含むことができる。
【0018】
別の態様では、本開示は、1つまたは複数の本明細書中に記載の任意の単離ペプチドおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む薬学的組成物を特徴とする。組成物はまた、例えば、1つまたは複数の治療薬、診断薬、予防薬、または免疫刺激剤を含むことができる。免疫刺激剤には、例えば、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、アジュバント、または本明細書中に記載の任意の他の免疫刺激剤が含まれるが、これらに限定されない。Tヘルパーエピトープは、例えば、PADRE配列またはユニバーサル破傷風トキソイドTヘルパー(TT Th)エピトープであり得る。アジュバントを、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、Toll受容体のリガンド、QS21、RIBI、コレラ毒素(CT)、E.coli易熱性毒素(LT)、変異体CT(MCT)、および変異体E.coli易熱性毒素(MLT)からなる群より選択することができる。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、(i)1つまたは複数の本明細書中に記載の任意の単離ペプチド、および被験体にペプチドを投与するための説明書、および/または(ii)1つまたは複数の単離ペプチドをコードする単離核酸、1つまたは複数の単離核酸を含むベクター、あるいは1つまたは複数のベクターを含む培養細胞、および単離ペプチド産生のための説明書を含むキットを特徴とする。
【0020】
いくつかの実施形態では、キットはまた、例えば、1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリア、1つまたは複数の免疫刺激剤、あるいは1つまたは複数の治療薬、診断薬、もしくは予防薬を含むことができる。1つまたは複数の免疫刺激剤を、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、およびアジュバントからなる群より選択することができる。
【0021】
別の態様では、本開示は、容器および容器内に含まれる組成物を含む製造品であって、組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するための有効成分を含み、有効成分が1つまたは複数の本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを含む、製造品を特徴とする。容器は、組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するのに使用するものであることを示すラベルを有することができる。ラベルは、さらに、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に組成物を投与することを示すことができる。製造品はまた、哺乳動物に組成物を投与するための説明書を含むことができる。組成物は、例えば、溶液、乾燥物、または凍結乾燥物であり得る。
【0022】
さらに別の態様では、本開示は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)の本明細書中に記載の任意の単離ペプチドを被験体に送達する工程を含む、被験体において免疫応答を誘導するための方法を特徴とする。本方法はまた、被験体への1つまたは複数のペプチドの送達後に、被験体において免疫応答が起こったかどうかを決定する工程を含むことができる。1つまたは複数のペプチドを、薬学的組成物として被験体に送達することができる。被験体は、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)または本明細書中に記載の任意の他の被験体であり得る。被験体は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有し得るか、有する疑いがあり得るか、発症するリスクがあり得るか、これらからの寛解状態にあり得る。
【0023】
いくつかの実施形態では、本方法は、被験体の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の形質細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する工程を含むことができる。
【0024】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つまたは複数の化学療法薬、電離放射線の1つまたは複数の形態、あるいは1つまたは複数の免疫療法薬を被験体に投与する工程を含むことができる。電離放射線の1つまたは複数の形態は、例えば、γ線照射、X線照射、またはβ線照射であり得る。1つまたは複数の化学療法薬を、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、アドリアマイシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン(plicomycin)、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル(verampil)、ポドフィロトキシン、タキソール、トランス白金(transplatinum)、5−フルオロウラシル(5−flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート、および上記の任意のアナログからなる群より選択することができる。本方法はまた、1つまたは複数の免疫刺激剤を被験体に投与する工程を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、送達する工程は、1つまたは複数のペプチドを被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態では、送達する工程は、1つまたは複数の核酸を被験体に投与することを含み、各核酸は1つまたは複数のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、ヌクレオチド配列は発現調節配列に作動可能に連結される。核酸は、核酸でトランスフェクトされた組換え細胞中に存在し、1つまたは複数のペプチドを発現し得る。組換え細胞は、被験体から得た細胞のトランスフェクションによって作製されたトランスフェクトされた細胞またはトランスフェクトされた細胞の子孫であり得る。組換え細胞は、抗原提示細胞(樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞などであるが、これらに限定されない)であり得る。
【0026】
上記の任意の方法のいくつかの実施形態では、送達する工程は、1つまたは複数のペプチドを細胞と接触させること、および細胞への1つまたは複数のペプチドの接触後、細胞を被験体に送達することを含む。細胞は、例えば、抗原提示細胞(本明細書中に記載の任意の抗原提示細胞など)であり得る。細胞は、例えば、被験体から得た細胞または細胞の子孫であり得る。いくつかの実施形態では、細胞は、被験体と同一の種の別の被験体から得た細胞または細胞の子孫であり得る。他の被験体は、被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現することができる。少なくとも1つのMHC分子は、例えば、MHCクラスI分子(HLA−A2分子など)であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、1つまたは複数のペプチドを被験体に投与する前に被験体から1つまたは複数の造血幹細胞を含む細胞集団を得る工程を含むことができる。
【0028】
別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の処置方法を特徴とする。本方法は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)の本明細書中に記載の任意のペプチドを被験体に投与する工程であって、被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、発症するリスクがある、工程を含む。
【0029】
別の態様では、本開示は、処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現するかどうかを決定する工程であって、癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現する場合、(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。本方法はまた、1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現することを決定した後に、選択された1つまたは複数のペプチドを被験体に送達する工程を含むことができる。
【0030】
さらに別の態様では、本開示は、癌を有する哺乳動物の処置を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現するかどうかを決定する工程であって、癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現する場合、(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。本方法はまた、1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現することを決定した後に、1つまたは複数のペプチドを被験体に送達する工程を含むことができる。
【0031】
別の態様では、本開示は、処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現するかどうかを決定する工程であって、癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現する場合、(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。本方法はまた、1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現することを決定した後に、選択された1つまたは複数のペプチドを被験体に送達する工程を含むことができる。
【0032】
さらに別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法を特徴とする。本方法は、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現する場合、(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む。
【0033】
さらに別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現する場合、(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法を特徴とする。
【0034】
別の態様では、本開示は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現する場合、(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチドからなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法を特徴とする。
【0035】
上記の任意の方法のいくつかの実施形態では、被験体または哺乳動物は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療を受けており、且つ前記治療に応答しなかった被験体または哺乳動物であり得る。
【0036】
別の態様では、本開示は、哺乳動物において免疫応答を誘導するための方法を特徴とする。本方法は、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、または18個)の本明細書中に記載の任意のペプチドと接触させた免疫細胞または免疫細胞の子孫を被験体に投与する工程を含む。本方法は、免疫細胞を1つまたは複数のペプチドと接触させる工程を含むことができる。免疫細胞は、例えば、T細胞であり得る。T細胞を、抗原提示細胞の存在下で1つまたは複数のペプチドと接触させることができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、接触前に免疫細胞を得る工程を含むことができる。免疫細胞を、被験体または被験体と同一の種の別の被験体から得ることができる。
【0038】
いくつかの実施形態では(例えば、細胞を別の被験体から得る実施形態では)、免疫細胞は被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現する。少なくとも1つのMHC分子は、例えば、MHCクラスI分子(HLA−A2分子など)であり得る。
【0039】
さらに別の態様では、本開示は、(i)1つまたは複数の本明細書中に記載の任意のペプチドおよび(ii)2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)のMHC分子のペプチド結合領域を含む主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体を含む組成物を特徴とする。いくつかの実施形態では、各ペプチド結合領域はこれに結合した(i)を有する。いくつかの実施形態では、各ペプチド結合領域は、これに非共有結合または共有結合した(i)を有する。MHC分子多量体は、2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)のMHC分子全体を含むことができる。MHC分子多量体は、ヒトMHC分子を含むことができる。MHC分子多量体は、MHCクラスI分子(HLA−A2分子など)を含むことができる。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)のペプチドを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、2個以上のペプチド結合領域は同一のMHC分子に由来し得る。いくつかの実施形態では、2個以上のペプチド結合領域は異なるMHC分子に由来する。いくつかの実施形態では、2個以上のペプチド結合領域は、少なくとも2個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の同一MHC分子由来の領域と少なくとも1個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の異なるMHC分子由来の領域との混合物であり得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、MHC分子多量体は、1つまたは複数のペプチドのうちの少なくとも1つに結合することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、組成物を検出可能に標識することができる。例えば、1つまたは複数のペプチドおよび/あるいは1つまたは複数のペプチド結合領域を検出可能に標識することができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のMHC分子多量体のうちの少なくとも1つあるいは1つまたは複数のペプチドのうちの少なくとも1つを検出可能に標識する。
【0044】
さらに別の態様では、本開示は、各多量体がMHC分子の2個以上のペプチド結合領域を含む1つまたは複数の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体、および1つまたは複数の本明細書中に記載の任意のペプチドを含む組成物を含むキットを特徴とする。本キットはまた、組成物の細胞との接触についての説明書、1つまたは複数のMHC分子多量体のうちの1つあるいは1つまたは複数のペプチドのうちの1つを検出可能に標識するための説明書、1つまたは複数の検出可能な標識、および/あるいは1つまたは複数の検出可能な標識のうちの少なくとも1つを検出するための説明書を含むことができる。1つまたは複数の検出可能な標識を、発光標識、蛍光標識、放射性標識、および酵素標識からなる群より選択することができる。
【0045】
他で定義しない限り、本明細書中で使用した全ての技術用語および科学用語は、本発明に属する当業者によって一般に理解される意味を有する。矛盾する場合、本書類(定義が含まれる)に従う。好ましい方法と材料を以下に記載しているが、本明細書中に記載の方法と材料に類似するか等価な方法と材料を本発明の実施または試験で使用することもできる。本明細書中に言及した全ての刊行物、特許出願、特許、および他の引例は、その全体が参考として援用される。本明細書中に開示の材料、方法、および実施例は例示のみを目的とし、本発明を制限することを意図しない。
【0046】
本発明の他の特徴および利点(例えば、被験体における免疫応答の誘導方法)は、以下の説明、図面、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したXBP1ペプチドの親和性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:XBP1117〜125(LLREKTHGL(配列番号1);XBP1番号1ペプチド)、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2);XBP1番号2ペプチド)、XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3);XBP1番号3ペプチド)、XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4);XBP1番号4ペプチド)、XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5);XBP1番号5ペプチド)、およびXBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27);XBP1番号6ペプチド)。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))もコントロールとして評価した。
【図2】図2は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子の裂溝内のフルオロフォア標識したXBP1ペプチド(XBP1184〜192(NISPWILAV(XBP1 2N;配列番号2))およびYISPWILAV(XBP1 2M;配列番号6))の安定性を示す棒グラフである。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))もコントロールとして評価した。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はペプチドの安定性を測定した時間間隔を示す。
【図3】図3は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したXBP1ペプチドの親和性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:未変性XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7);XBP1 SP番号1p)およびXBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9);XBP1 SP番号3p)。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」))もコントロールとして評価した。
【図4】図4は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子の裂溝内のフルオロフォア標識したXBP1ペプチド(XBP1 SP 1N(GILDNLDPV;配列番号7);XPB1 SP 3N(ELFPQLISV;配列番号9)およびXBP1 SP 3M(YLFPQLISV 配列番号10))の安定性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はペプチドの安定性を測定した後の時間間隔を示す。
【図5】図5は、ヒトリンパ球の混合集団中のCD4+およびCD8+Tリンパ球の比率を示す一連の一次元蛍光フローサイトメトリー(FFC)ヒストグラムである。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)集団を、刺激しないか(unstim)、XBP1 2M(XBP1 2M−CTL)またはXBP−1 S3M(上記)のうちの1つで刺激した。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」)もコントロールとして評価した。各ヒストグラムのY軸は細胞数を示し、X軸は細胞上のCD4抗原(左列)またはCD8抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。ゲート内に細胞の比率を示す。
【図6】図6は、XBP1ペプチド(XBP1 2MまたはXBP1 3M)での刺激後のCD69+/CD45RO+またはCD45RA+/CCR7+であるリンパ球集団中の細胞の比率を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。各ドットプロットのY軸は細胞上のCD69抗原(左列)またはCD45RA抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示し、各ドットプロットのX軸は細胞上のCD45RO抗原(左列)またはCCR7抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図7】図7は、多発性骨髄腫(MM)McCAR細胞およびMM1S細胞ならびに急性骨髄性白血病(AML)ML−2細胞と共培養したIFN−γ(インターフェロン−γ)XBP1−CTL(XBP1 2M−CTLおよびXBP1 SP 3M−CTL)の放出を示す棒グラフである。Y軸はCTL含有細胞から放出されたIFN−γ量を単位pg/mLで示す。
【図8】図8は、MM細胞またはAML細胞との共培養後のXBP1−CTL(XBP1 2M−CTLおよびXBP1−SP 3M CTL)の増殖を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。Y軸は集団中の各細胞数を示し、X軸は細胞中のカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)量を示す。
【図9】図9および10は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のXBP1−CTL依存性溶解を示す一対の折れ線グラフである。XBP1−2M特異的CTL(図9)またはXBP1−SP−3M−CTL(図10)をU266癌細胞、McCaAR癌細胞、ML−2癌細胞、またはMM1S癌細胞とそれぞれ共培養し、CTLによる癌細胞溶解量を癌細胞から放出されたカルセイン量の関数として計算した。Y軸は標的細胞の特異的溶解比を示し、X軸はCTLの癌細胞に対する比(エフェクターの標的細胞に対する比)(1:1、10:1、20:1、または60:1)を示す。
【図10】図9および10は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のXBP1−CTL依存性溶解を示す一対の折れ線グラフである。XBP1−2M特異的CTL(図9)またはXBP1−SP−3M−CTL(図10)をU266癌細胞、McCaAR癌細胞、ML−2癌細胞、またはMM1S癌細胞とそれぞれ共培養し、CTLによる癌細胞溶解量を癌細胞から放出されたカルセイン量の関数として計算した。Y軸は標的細胞の特異的溶解比を示し、X軸はCTLの癌細胞に対する比(エフェクターの標的細胞に対する比)(1:1、10:1、20:1、または60:1)を示す。
【図11】図11は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したCD138ペプチドの親和性を示す棒グラフである。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:CD138256〜264(VIAGGLVGL;CD138番号1p(配列番号11));CD138260〜268(GLVGLIFAV;CD138番号2p(配列番号12));CD1385〜13(ALWLWLCAL;CD138番号3p(配列番号13));およびCD1387〜15(WLWLCALAL;CD138番号3p(配列番号14))。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」)もコントロールとして評価した。
【図12】図12は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子の裂溝内のフルオロフォア標識したCD138番号2ペプチドの安定性を示す棒グラフである(インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「Inf.v.p.」)と比較した場合)。Y軸は平均蛍光強度を示し、X軸はペプチドの安定性を測定した時間間隔を示す。
【図13】図13は、集団中のCD4+Tリンパ球およびCD8+Tリンパ球の比率を示す一連の一次元FFCヒストグラムである。CTL集団を刺激しなかったか(unstim)、CD138番号2ペプチド(CD138−CTL)で刺激した。各ヒストグラムのY軸は細胞数を示し、X軸は細胞上のCD4抗原(左列)またはCD8抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。
【図14】図14は、CD138番号2ペプチドでの刺激後のCD69+/CD45RO+またはCD45RA+/CCR7+であるリンパ球集団中の細胞の比率を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。CTL集団を刺激しなかったか(unstim)、CD138番号2ペプチド(CD138−CTL)で刺激した。各ドットプロットのX軸(FL−1)は細胞上のCD69抗原(左列)またはCD45RA抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示し、各ドットプロットのY軸(FL−2)は細胞上のCD45RO抗原(左列)またはCCR7抗原(右列)に結合した蛍光標識した特異的抗体の蛍光強度を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図15】図15は、多発性骨髄腫(MM)McCAR細胞(CD138+/HLA−A2+)、MM1S細胞(CD138+/HLA−A2−)、または急性骨髄性白血病(AML)ML−2細胞(CD138−/HLA−A2−)と共培養したCD138−CTLからのIFN−γ放出を示す棒グラフである。Y軸はCTLからのIFN−γの放出量を単位pg/mLで示し、X軸は刺激細胞として使用した癌細胞を示す。CD138−CTLの抗原特異性およびHLA−A2拘束を、腫瘍細胞株での一晩の刺激後のIFN−γ分泌の誘導の測定によって決定した。
【図16】図16は、McCAR癌細胞、ML−2癌細胞、またはMM1S癌細胞との共培養後のCD138−CTL(CD138番号2p−CTL)の増殖を示す一連の一次元FFCヒストグラムである。Y軸は集団中の各細胞数を示し、X軸は細胞中のカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)量を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図17】図17は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のCD138−CTL依存性溶解を示す折れ線グラフである。CD138番号2p特異的CTL(癌細胞U266、ML−2、またはMM1S細胞とそれぞれ共培養した)およびCTLによる癌細胞溶解量を、癌細胞からのカルセインの放出量の関数として計算した。Y軸は標的細胞の特異的溶解比を示し、X軸はCTLの癌細胞に対する比(エフェクター:標的比)(1:1、10:1、20:1、または60:1)を示す。
【図18A】図18Aおよび18Bは、CD107アッセイによって決定した癌細胞のCD138−CTL依存性溶解を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。各ドットプロットのX軸はCD107aおよびCD107bに特異的に結合するFITC抱合抗体の蛍光強度を示し、Y軸はCD8に特異的に結合するPE抱合抗体の蛍光強度を示す。図18Aは異なる比(エフェクター:標的比)(5:1、1:1、または1:5)でのCD138ペプチドでパルスしたT2細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたT2細胞のCTLによる溶解を示す。図18Bは、CTLのMcCAR細胞に対する比(エフェクター:標的比)(1:1)でCD138ペプチドでパルスしたMcCAR細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたMcCAR(CD138+/HLA−A2+)細胞のCTLによる溶解を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図18B】図18Aおよび18Bは、CD107アッセイによって決定した癌細胞のCD138−CTL依存性溶解を示す一連の二次元FFCヒストグラムである。各ドットプロットのX軸はCD107aおよびCD107bに特異的に結合するFITC抱合抗体の蛍光強度を示し、Y軸はCD8に特異的に結合するPE抱合抗体の蛍光強度を示す。図18Aは異なる比(エフェクター:標的比)(5:1、1:1、または1:5)でのCD138ペプチドでパルスしたT2細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたT2細胞のCTLによる溶解を示す。図18Bは、CTLのMcCAR細胞に対する比(エフェクター:標的比)(1:1)でCD138ペプチドでパルスしたMcCAR細胞または無関係のMAGE3ペプチドでパルスしたMcCAR(CD138+/HLA−A2+)細胞のCTLによる溶解を示す。ドットプロットの右上象限中に細胞の比率を示す。
【図19】図19は、多数の各多発性骨髄腫癌細胞サンプルによるCS1 mRNAの相対発現(Y軸)を示す棒グラフである。各サンプルを、多発性骨髄腫を有する異なるヒト患者から得た。
【図20】図20は、ヒトT2細胞表面上のHLA−A2分子に対するフルオロフォア標識したCS1ペプチドの親和性を示す棒グラフである。X軸は平均蛍光強度を示し、Y軸はアッセイでスクリーニングした以下の種々のペプチドを示す:CS1−P1:CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15));CS1−P2:CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16));CS1−P3:CS1232〜240(LLVPLLLSL(配列番号17));およびCS1−P4:CS19〜17(TLIYILWQL(配列番号18))。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24);「インフルエンザ基質58〜66」)もコントロールとして評価した。
【図21】図21は、チミジン取り込みアッセイによって決定したCS1−P2ペプチド提示するヒトT2細胞(「P2−T2」)と接触させたCS1−P2−CTLの増殖を示す折れ線グラフである。Y軸は分裂細胞に取り込まれた3H−チミジンの1分あたりの数(CPM)を示し、X軸はCTL含有細胞をT2細胞と培養した時間を示す。
【図22】図22は、CS1−P1、CS1−P2、CS1−P3、またはCS1−P4ペプチドをそれぞれ提示するT2細胞と共培養したCS1−CTL(P1−、P2−、P3−、およびP4−CTL)からのIFN−γの放出を示す棒グラフである。Y軸はCTLからのIFN−γの放出量を単位pg/mLで示す。
【図23】図23は、カルセイン放出アッセイによって決定した癌細胞のCS1−CTL依存性溶解を示す棒グラフである。P2−CTLを癌細胞U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、またはMM1S細胞とそれぞれ共培養し、CS1−CTLによって誘導された癌細胞の溶解量を癌細胞からのカルセインの放出量の関数として計算した。Y軸は細胞毒性率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
詳細な説明
本開示は、例えば、被験体における免疫応答を誘導するか(例えば、CTL応答を刺激する)、抗体産生を刺激するために使用することができる免疫原性XBP1、CD138、およびCS1に由来するペプチド(およびその薬学的組成物)を特徴とする。ペプチドを、種々の適用(免疫応答の誘導方法、抗体の産生方法、および癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞疾患の処置方法など)で使用することができる。ペプチドを、MHC分子多量体組成物中に含めることもでき、例えば、細胞集団中のT細胞の検出方法で使用することもできる。
【0049】
ペプチドならびに例示的なペプチドの作製および使用方法の詳細な説明を以下に示す。
【0050】
ペプチド
本開示は、表1に記載の配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%(例えば、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、またはこれを超える)同一のアミノ酸配列からなるか本質的になる単離ペプチドを特徴とする。
【0051】
【表1】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「XBP1、非スプライシング」ペプチドは、その末端が261個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトXBP1タンパク質の非スプライシング形態の関連アミノ酸位置に対応するXBP1のフラグメントである:
【0052】
【化1】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「XBP1、スプライシング」ペプチドは、その末端が376個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトXBP1タンパク質のスプライシング形態(XBP1スプライシング)の関連アミノ酸位置に対応するXBP1のフラグメントである:
【0053】
【化2】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「CD138」ペプチドは、その末端が310個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトCD138タンパク質内の関連アミノ酸位置に対応するCD138のフラグメントである:
【0054】
【化3】
表1に示し、且つアミノ酸位置で表記した「CS1」ペプチドは、その末端が335個のアミノ酸および以下の配列を有するヒトCS1タンパク質内の関連アミノ酸位置に対応するCS1のフラグメントである:
【0055】
【化4】
関連配列が配列番号19〜22を有する野生型で全長の成熟ヒトタンパク質中で生じるので、本明細書中に記載のペプチドを、本明細書中でしばしば、ペプチドのN末端およびC末端アミノ酸の残基数(例えば、XBP1117〜125)を使用して言及する。これらのペプチドは、頻繁に、配列番号19〜22を有する野生型で全長の成熟タンパク質の対応するセグメントと同一の配列を有するであろう。しかし、用語「XBP1、非スプライシングペプチド」(例えば、アミノ酸位置:117〜125、184〜192、189〜197、192〜200、または110〜118を有するXBP1、非スプライシングペプチド)、「XBP1、スプライシングペプチド」(例えば、アミノ酸位置:196〜204、193〜201、または367〜375を有するXBP1、スプライシングペプチド)、「CD138ペプチド」(例えば、アミノ酸位置:256〜264、260〜268、5〜13、または7〜15を有するCD138ペプチド)、およびCS1ペプチド(例えば、アミノ酸位置236〜245、239〜247、232〜240、または9〜17を有するCS1ペプチド)がヒト以外の種のXBP1非スプライシングペプチド、XBP1スプライシングペプチド、CD138、またはCS1ポリペプチド(それぞれ)のペプチドフラグメントであり得ると理解される。当業者に認識されるように、かかる非ヒトポリペプチドのペプチドフラグメントのN末端およびC末端アミノ酸数は、必ずしもヒトポリペプチドの対応するペプチドフラグメント中の数と同一ではない。さらに、非ヒトポリペプチドのペプチドフラグメントの長さおよび/またはアミノ酸は、必ずしも、ヒトポリペプチドの対応するペプチドフラグメント中の長さおよび/またはアミノ酸と同一ではないであろう。当業者は、非ヒトXBP1非スプライシング、XBP1スプライシング、CD138、およびCS1ポリペプチド由来のペプチドのN末端およびC末端アミノ酸、長さ、およびアミノ酸配列を確立する方法を理解しているであろう。これを行うための1つの有用な方法は、配列アラインメント、特に、最大相同性配列アラインメントである。
【0056】
2ペプチド配列間の同一率(例えば、配列番号1〜18のペプチドおよびこのペプチドと少なくとも66%同一であり得る別のアミノ酸配列)を、種々のアルゴリズムおよびコンピュータプログラム(Clustal W(The European Bioinformatics Institute(EMBL−EBI)、BLAST−Protein(National Center for Biotechnology Information(NCBI),United States National Institutes of Health)、およびPSAlign(University of Texas A&M;Szeら(2006)Journal of Computational Biology 13:309−319)が含まれるが、これらに限定されない)を使用して決定することができる。
【0057】
上記のヒトおよび非ヒトペプチドのバリアントも本明細書中に開示する。本明細書中に記載のヒトおよび非ヒトペプチドのバリアントには、(i)4個以下(例えば、3、2、または1個)のアミノ酸置換(例えば、保存的置換または非保存的置換)、(ii)末端または内部の欠失、または(iii)末端または内部の付加(全て以下に詳述する)を有するペプチド形態が含まれ得る。
【0058】
本開示はまた、配列番号1〜18のアミノ酸配列(表1に記載)からなるか、本質的になるが、4個以下(例えば、3個以下、2個以下、または1個以下)の置換を有するペプチドを特徴とする。置換は、例えば、保存的または非保存的であり得る(上記)。
【0059】
保存的置換には、以下の群内の置換が含まれる:バリン、アラニン、およびグリシン;ロイシン、バリン、およびイソロイシン;アスパラギン酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリン、システイン、およびトレオニン;リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。非極性疎水性アミノ酸には、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが含まれる。極性中性アミノ酸には、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが含まれる。正電荷の(塩基性)アミノ酸には、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが含まれる。負電荷の(酸性)アミノ酸には、アスパラギン酸およびグルタミン酸が含まれる。上記の極性群、塩基性群、または酸性群の一方のメンバーの同一群の別のメンバーとの任意の置換を、保存的置換と見なすことができる。対照的に、非保存的置換は、一方のアミノ酸の異なる特徴を有する別のアミノ酸との置換である。
【0060】
いくつかの実施形態では、任意のペプチドの位置3、4、5、6、7、および8の1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、または5個全て)を置換しない。いくつかの実施形態では、任意のペプチドの位置3、4、5、6、7、および8の1つまたは複数は表1中のペプチドのアミノ酸と同一である。
【0061】
表1に記載の配列番号1〜18のいずれか1つから本質的になるか、いずれか1つからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドも特徴とする。第1のアミノ酸配列は、例えば、4個以下の置換(保存的置換または非保存的置換)を有し得るか、表1に記載の配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも約66%(例えば、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、または90%、またはこれを超える)同一であり得る。
【0062】
ペプチドの第2の相同アミノ酸配列は、一般に、細胞中での配列番号1〜18の免疫原性ペプチドの生成に悪影響を及ぼさない(そして、悪影響を及ぼさないように選択される)。細胞機構は、ペプチド中の任意のさらなる配列が除去されて配列番号1〜18の免疫原性ペプチドが得られると予想され、このペプチドがクラスIまたはクラスII MHC分子によって提示されてXBP1、CD138、またはCS1を発現する癌細胞に対する免疫応答を刺激する。
【0063】
第1のアミノ酸配列に対して「異種の」アミノ酸配列または用語「異種アミノ酸配列」は、天然に存在する第1のアミノ酸配列に隣接するアミノ酸配列以外の任意のアミノ酸配列である。例えば、ヒトXBP1中のLLREKTHGL(配列番号1)に直接隣接する2個以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20、またはこれを超える)および/または20個未満(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1個)のカルボキシおよび/またはアミノ末端アミノ酸は、配列番号1に対して異種であると見なされない。配列番号1〜18のアミノ酸配列と100%未満同一であるか1〜4個の保存的置換を含む第1のアミノ酸配列を含むペプチドは全く天然に存在し得ないと理解される。
【0064】
いくつかの実施形態では、第2のアミノ酸配列は、単一アミノ酸であり得る。第1のアミノ酸配列に対して「異種の」アミノ酸、すなわち、用語「異種アミノ酸」は、天然に存在する第1のアミノ酸配列に隣接するアミノ酸以外の任意のアミノ酸であると理解される。例えば、ヒトXBP1中のLLREKTHGL(配列番号1)に直接隣接する2個のアミノ酸は、配列番号1に対して異種であると見なされない。
【0065】
異種配列は、例えば、組換えタンパク質(例えば、FLAG、ポリヒスチジン(例えば、ヘキサヒスチジン)、血球凝集素(hemagluttanin)(HA)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、またはマルトース結合タンパク質(MBP))の精製のために使用される配列であり得る。異種配列はまた、診断用または検出用マーカーとして有用なタンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))であり得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、別のタンパク質由来のシグナル配列(KDEL(配列番号23)配列または本明細書中に記載の任意の他の配列など)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、免疫グロブリン分子の全てまたは一部(例えば、免疫グロブリン重鎖定常領域の全てまたは一部、以下を参照のこと)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、治療ポリペプチドまたは免疫刺激ポリペプチド(例えば、Tヘルパーエピトープ(例えば、PADREエピトープまたは破傷風トキソイドユニバーサルTヘルパー細胞エピトープ)またはサイトカインまたはケモカインの全部または一部)、および/または例えば、免疫応答(例えば、抗体生成のため)の誘発で有用なキャリア(例えば、KLH)を含むことができる。いくつかの実施形態では、ペプチドは、1つまたは複数のリンカーペプチド配列を含むことができる(以下を参照のこと)。ペプチドはまた、ターゲティングポリペプチドを含むことができる。異種配列は種々の長さであってよく、いくつかの場合、異種アミノ酸配列が付着する第1のアミノ酸配列より長い配列であり得る。第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドは配列に関して天然に存在するタンパク質に対応しないと理解される。
【0066】
本明細書中で使用する場合、ターゲティングポリペプチドは、これらが(例えば、第1のアミノ酸配列)に付着する部分を特異的組織(例えば、リンパ節)もしくは細胞(例えば、抗原提示細胞または他の免疫細胞)、または、in vitroの場合、特異的な単離分子または分子複合体にターゲティングさせるポリペプチドである。ターゲティングポリペプチドは、例えば、抗体(免疫グロブリン)もしくはその抗原結合フラグメントまたは細胞表面受容体のリガンドであり得る。抗体(またはその抗原結合フラグメント)は、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、完全なヒト抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、または抗体のFabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fvフラグメント、もしくはscFvフラグメントであり得る。Fc領域(抗原結合領域を含むか含まない)を含むかFc領域である抗体フラグメントを使用して、Fc受容体発現細胞(例えば、指状嵌入樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞などの抗原提示細胞)に試薬をターゲティングさせることもできる。細胞表面受容体のリガンドは、例えば、ケモカイン、サイトカイン(例えば、インターロイキン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または16)、または細胞死受容体リガンド(例えば、FasLまたはTNFα)であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態では、異種配列は、例えば、細胞または細胞の特異的区画(例えば、小胞体またはゴルジ装置)へのペプチドの送達を補助する「輸送配列」であり得る。輸送配列には、例えば、膜転位配列、トランスポータン配列、アンテナペディア配列、環状インテグリン結合ペプチド、およびTat媒介ペプチド、またはこれらの改変バージョンが含まれ得る。
【0068】
リンカーペプチドは、第1のアミノ酸配列を1つまたは複数の異種アミノ酸配列に連結することができる。例えば、リンカーペプチドは、第1のアミノ酸配列を第2のアミノ酸配列に連結することができる。リンカーペプチドは、例えば、少なくとも4〜6個のアミノ酸がグリシンであるアミノ酸ストレッチであり得るか、これらを含むことができる。(例えば、Manceboら(1990)Mol.Cell.Biol.10:2492−2502を参照のこと)。リンカーはまた、6個以上(例えば、7、8、9、10、11、または12個、またはこれを超える)ヒスチジン残基であり得るか、これらを含むことができる。リンカーペプチドは、少なくとも1つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8個、またはこれを超える)プロテアーゼ切断部位を含むことができるか、これらであり得る。プロテアーゼ部位は、例えば、トリプシン、キモトリプシン(chymotrypin)、または第Xa因子切断部位であり得る。かかるプロテアーゼ部位は、例えば、異種配列から第1のアミノ酸配列を分離するのに有用であり得る。例えば、トリプシンプロテアーゼ切断部位によってポリヒスチジン配列(この場合、精製のために使用した)に連結した第1のアミノ酸配列を含むペプチドの発現および精製後、ポリヒスチジン配列を、ペプチドのトリプシンとの接触によって第1のアミノ酸配列から除去することができる。
【0069】
第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、種々の方法で相互に会合することができる。本明細書中で使用する場合、2個以上の原子または分子単位の間の相互作用という背景における「〜と会合する」には、2個以上の原子または分子単位(例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列)の任意の共有結合または非共有結合、または物理的混合物が含まれる。共有結合(1つまたは複数の価電子対を共有する2個の原子)の化学的性質は当該分野で公知であり、例えば、ジスルフィド結合またはペプチド結合が含まれる。非共有結合は、価電子対を共有しない原子間または分子間の化学結合である。例えば、非共有相互作用には、例えば、疎水性相互作用、水素結合相互作用、イオン結合、ファンデルワールス結合、または双極子−双極子相互作用が含まれる。かかる非共有相互作用の例には、抗体−抗原複合体形成または結合対相互作用(第1および第2の結合対メンバーの相互作用(ストレプトアビジンとビオチンとの間の相互作用など))が含まれる。したがって、用語「〜と会合した」(例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列という背景における)は、用語「含む」と同一の広がりを有すると理解される。
【0070】
いくつかの実施形態では、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含むペプチドは融合タンパク質であり得る。例えば、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、単一の核酸配列によってコードすることができる(そして、単一の核酸配列由来の融合タンパク質として発現することができる)。いくつかの例では、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、2個以上(例えば、3、4、5、または6個、またはこれを超える)の異なる核酸配列によってコードすることができる。例えば、第1のアミノ酸配列を第1の核酸配列によってコードすることができ、第2のアミノ酸配列を第2の核酸配列によってコードすることができる(以下の「核酸およびペプチドの産生方法」を参照のこと)。
【0071】
個別に発現または産生する場合、第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を、多数の公知の化学架橋剤のいずれかを使用して相互に架橋することができる。かかる化学架橋剤の例は、「障害」ジスルフィド結合が含まれる結合を介して2個のアミノ酸残基を連結させる化学架橋剤である。これらの結合では、架橋単位内のジスルフィド結合は、例えば、還元型グルタチオンまたは酵素ジスルフィドレダクターゼの作用によって(いずれかのジスルフィド結合側の基の障害による)還元から防御される。1つの適切な化学架橋剤である4−スクシンイミジルオキシカルボニル−α−メチル−α(2−ピリジルジチオ)トルエン(SMPT)は、一方のアミノ酸配列上の末端リジンおよび他方のアミノ酸配列上の末端システインを使用した2アミノ酸配列間にかかる結合を形成する。ヘテロ二官能性試薬は、各アミノ酸配列上の異なるカップリング部分によって架橋させる。このような方法で、得られた「二量体」は、いずれかのホモ二量体(例えば、2個の第1のアミノ酸配列または2個の第2のアミノ酸配列)またはホモ二量体とヘテロ二量体との混合物よりもむしろヘテロ二量体(第1および第2のアミノ酸配列を含むペプチド)であろう。したがって、第1のアミノ酸配列上のカップリング部分はシステイン残基であり得、他方はリジン残基であり得る。他の有用な架橋剤には、2個のアミノ基(例えば、N−5−アジド−2−ニトロベンゾイルオキシスクシンイミド)、2個のスルフヒドリル基(例えば、1,4−ビス−マレイミドブタン)、アミノ基およびスルフヒドリル基(例えば、m−マレイミドベンゾイル−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、アミノ基およびカルボキシル基(例えば、4−[p−アジドサリチルアミド]ブチルアミン)、ならびにアルギニン側鎖中に存在するアミノ基およびグアニジウム(guanadium)基(例えば、p−アジドフェニルグリオキサール一水和物)に連結する化学物質が含まれるが、これらに限定されない。
【0072】
カップリング部分は、好ましくは、各アミノ酸配列の末端(CまたはN)に存在するであろう。これらは、上記のように、各アミノ酸配列上のシステイン残基または一方のアミノ酸配列上のシステインおよび他方のアミノ酸配列上のリジンであり得る。カップリング部分が2個のシステイン残基である場合、例えば、アミノ酸配列を酸化条件に曝露することによって架橋することができる。
【0073】
ペプチドは第1のアミノ酸配列および第2のアミノ酸配列を含むことができるか、ペプチドは1個を超える(例えば、2、3、4、5、6、7、または8個、またはこれを超える)さらなる異種アミノ酸配列を含むことができる。さらなる異種アミノ酸配列は、第1のアミノ酸配列のアミノ末端および/またはカルボキシ末端に隣接するか連結することができる。
【0074】
2個を超えるアミノ酸配列が連結される場合、少なくとも1つのアミノ酸配列は1個を超える架橋部分を有することができる。例えば、第1のアミノ酸配列は、アミノ末端およびカルボキシ末端に架橋部分を有することができる。かかる多量体を、「連続的に」構築することができる。したがって、各アミノ酸配列は、鎖中の末端アミノ酸配列のみがドメイン間(または作用因子間)結合に関与する1つの残基を有する一方で、「内部」アミノ酸配列がそれぞれドメイン間結合に関与する2個の部分を有するように次ぎに連結される。あるいは、一方のアミノ酸配列(第1のアミノ酸配列など)を、複数(例えば、2、3、4、または5個)の他のアミノ酸配列に連結することができる。
【0075】
第1の成分が表1に記載の配列番号1〜18のアミノ酸配列からなるか、本質的になる第1の成分および第2の成分を含むペプチド組成物も特徴とする。第2の成分は、例えば、異種アミノ酸配列(上記)、任意の他の抗原性ペプチド(例えば、本明細書中に記載のもの以外のXBP−1、CD138、またはCS1ペプチド、検出可能な標識(以下を参照のこと)、治療薬、診断薬、または予防薬(以下を参照のこと)であり得る。例えば、ペプチド組成物は、配列番号1〜18のうちの1つおよび検出可能な標識(放射性核種など)からなるか、本質的になるアミノ酸配列を含むことができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、配列番号1〜18のいずれか1つのペプチドは、アミノ末端および/またはカルボキシ末端に異種であるか未変性タンパク質中に存在する200個まで(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200個)のアミノ酸を有することができると理解される。
【0077】
本明細書中に記載のペプチドは、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子(例えば、MHCクラスI分子またはMHCクラスII分子)に結合することができる。「主要組織適合遺伝子複合体」または「MHC」は、生理学的免疫応答を担う細胞相互作用の調節で役割を果たす遺伝子クラスターである。ヒトでは、MHCはHLA複合体として公知である(例えば、Paulら,FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY,3rd Edition,Raven Press,New York,(1993)およびStites,et al.,IMMUNOLOGY,8th Edition,Lange Publishing,Los Altos,Calif.(1994)を参照のこと)。
【0078】
本明細書中で使用する場合、「HLAスーパータイプまたはファミリー」は、共有するペプチド結合特異性に基づいて分類したHLA分子組をいう。一定のアミノ酸モチーフを保有するペプチドに対していくらか類似の結合親和性を共有するHLAクラスI分子を、HLAスーパータイプに分類する。用語HLAスーパーファミリー、HLAスーパータイプファミリー、HLAファミリー、およびHLA xx様分子(xxは特定のHLA型を示す)は同義語である。HLAクラスI分子の型には、例えば、HLA−A1、HLA−A2、HLA−A3、HLA−A24、HLA−B7、HLA−B27、HLA−B44、HLA−B58、またはHLA−B62が含まれる。かかるHLA分子は、米国特許第7,026,443号(その開示全体が参考として援用される)に詳述されている。
【0079】
ペプチドは、高親和性または中親和性でMHC分子に結合することができる。本明細書中で使用する場合、HLAクラスI分子へのペプチドの「高親和性」結合を、解離定数(KD)50nM未満(例えば、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1、または0.05未満)での結合と定義する。「中親和性」は、約50nMと約500nMとの間(例えば、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、または500nM)のKDでのHLAクラスI分子へのペプチドの結合である。HLAクラスII分子へのペプチドの「高親和性」結合を、100nM未満(例えば、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、1、0.5、0.1、または0.05未満)のKDでの結合と定義する。HLAクラスII分子に対するペプチドの「中親和性」は、約100と約1000nMとの間(例えば、100、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、660、670、680、690、700、710、720、730、740、750、760、770、780、790、800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000nM)のKDでの結合である。ペプチドおよびMHC分子の結合親和性を決定する方法は当該分野で公知であり、添付の実施例に記載されている。適切な方法は、例えば、米国特許第7,026,443号にも記載されている。
【0080】
本明細書中に記載のペプチドを、MHC分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識することもできる。種々の適切な方法を使用して、ペプチドがMHC分子と会合してT細胞上のT細胞受容体によって認識されるかどうかを決定することができる。例えば、正常な被験体由来の末梢血リンパ球(PBL)を、抗原提示細胞存在下にてin vitroで数週間にわたって試験ペプチドと培養することができる。ペプチドに特異的なT細胞はこの期間中に活性化されるようになり、このT細胞を、例えば、増殖アッセイ(3H−チミジンアッセイのカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)アッセイ)、限界希釈アッセイ、細胞傷害性アッセイ(例えば、カルセイン放出アッセイ)、またはサイトカイン(例えば、IFNγ)、リンホカイン−、もしくは51Cr放出アッセイを使用して検出することができる(例えば、Wentworth,P.A.et al.,Mol.Immunol.32:603,1995;Celis,E.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2105,1994;Tsai,V.et al.,J.Immunol.158:1796,1997;Kawashima,I.et al.,Human Immunol.59:1,1998(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。適切なin vivo法は、ペプチドを含むアジュバントをHLAトランスジェニックマウスに皮下投与するHLAトランスジェニックマウスの免疫化を含み、免疫化の数週間後、脾細胞を取り出し、試験ペプチドの存在下にてin vitroで約1週間培養する。ペプチド特異的T細胞を、例えば、51Cr放出アッセイを使用して検出する(例えば、Wentworth,P.A.et al.,J.Immunol.26:97,1996;Wentworth,P.A.et al.,Int.Immunol.8:651,1996;Alexander,J.et al.,J.Immunol.159:4753,1997(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。適切な方法は、添付の実施例にも記載されている。例えば、(MHC分子という背景における)ペプチドによるT細胞の活性化を、CD107毒性アッセイまたはカルセイン放出アッセイによって決定することができる(例えば、実施例13および14を参照のこと)。
【0081】
さらに、抗原特異的T細胞の直接定量を、検出可能に標識されたMHC複合体(本明細書中に記載の任意のMHC分子多量体組成物(以下を参照のこと)など)またはHLA−I四量体でのT細胞の染色によって行うことができる(例えば、Altman,J.D.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:10330,1993 and Altman,J.D.et al.,Science 274:94,1996(各開示全体が参考として援用される)に記載)。
【0082】
いくつかの実施形態では、ペプチドの1つまたは複数の性質を調整する(例えば、増加または減少させる)ために、ペプチドを改変することができる(例えば、ペプチドのアミノ酸を置換することができる)。例えば、MHC分子に対するペプチドの親和性を増加させるために、表1に記載のペプチドのうちの1つの1つまたは複数の(例えば、2、3、または4個の)アミノ酸を置換することができる。いくつかの実施形態では、T細胞受容体とペプチドとの間の結合相互作用(MHC分子という背景において)を増強させるために、本明細書中に記載のペプチドのうちの1つのアミノ酸(例えば、ペプチドのアミノ酸残基に接触するT細胞受容体)を改変することができる。かかる改変ペプチドを、しばしば、「改変ペプチドリガンド」という。(例えば、Kalergisら(2000)J Immunol.165(1):280;Conlonら(2002)Science 1801および国際公開番号WO02070003号(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと。)
適切なペプチドの修飾方法および修飾の影響の決定方法は、添付の実施例に記載され、例えば、Collinsら(Immunlogical Reviews(1998)163:151−160,(その開示全体が参考として援用される)に記載されている。
【0083】
核酸およびペプチドの産生方法
本開示はまた、上記の任意のペプチドの1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14個)をコードする核酸配列(および核酸配列を含む核酸ベクター)およびその産生方法を特徴とする。かかる方法は、任意選択的に、本明細書中に記載の任意のペプチドの1つまたは複数をコードする核酸配列(この核酸配列は発現調節配列に作動可能に連結される)を含む核酸ベクターを含む細胞(または細胞群)を準備する工程およびペプチドを発現させる条件下で細胞を培養する工程を含むことができる。本方法はまた、細胞または細胞を培養した培地から1つまたは複数のペプチドを単離する工程を含むことができる。
【0084】
1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドの組換え発現のための核酸配列およびベクター(例えば、発現ベクター)の適切な構築方法は当業者に周知であり、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Second Edition vol.1,2 and 3.Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,New York,USA,Nov.1989(その開示全体が参考として援用される)に記載されている。核酸およびベクターを使用して、例えば、広範な種々の宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、または哺乳動物細胞が含まれる)中にペプチドを発現させることができる。核酸およびベクターを、例えば、下記のin vivoおよびex vivo法で使用することもできる。
【0085】
ペプチドコード配列を、核酸によってコードされるペプチドの発現を指示するプロモーターおよび/またはエンハンサーエレメントに作動可能に連結することができる。エンハンサーにより、時間、位置、およびレベルに関して発現特異性が得られる。プロモーターと異なり、エンハンサーは、プロモーターが存在する場合に転写開始部位から種々の距離で存在する場合に機能することができる。エンハンサーはまた、転写開始部位の下流または関連遺伝子のエクソン中に存在することができる。コード配列をプロモーターの調節下におくために、プロモーターの1ヌクレオチドと約50ヌクレオチドとの間の下流(3’)にペプチドの翻訳読み取り枠の翻訳開始部位を配置する必要がある。目的のプロモーターには、サイトメガロウイルスhCMV最初期遺伝子、SV40アデノウイルスの初期または後期プロモーター、lac系、trp系、TAC系、TRC系、ファージAの主要オペレーターおよびプロモーター領域、fdコートタンパク質の調節領域、3−ホスホグリセリン酸キナーゼのプロモーター、酸性ホスファターゼのプロモーター、および酵母α接合因子のプロモーター、アデノウイルスE1b最小プロモーター、またはチミジンキナーゼ最小プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0086】
ペプチドコード配列またはペプチドコード配列を含むベクターは、シグナルペプチドをコードするリーダー配列を含むことができる。リーダー配列は、1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドをコードする配列の5’末端に存在し得る。シグナルペプチドは、所与のペプチドのN末端のすぐ後ろに存在し得るか、リーダー配列がペプチドをコードする核酸配列とインフレームで存在する場合、1つまたは複数(例えば、2、3、4、6、8、10、15、または20個)のアミノ酸によってN末端から離れていてもよい。一般に分泌前にペプチドから切断されるシグナルペプチド(勿論、シグナルペプチドが膜貫通タンパク質の挿入を指示しない限り)は、付着されるペプチドを翻訳中に宿主細胞小胞体(ER)の内腔に方向付け、次いで、ペプチドが分泌小胞を介して宿主細胞環境に分泌される。有用なシグナルペプチドには、例えば、サイトカインまたは成長因子の未変性のリーダー配列、KDEL(配列番号23)または、例えば、米国特許第5,827,516号(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載の任意のシグナル配列が含まれる。
【0087】
いくつかの実施形態では、ペプチドコード配列の5’末端は、外来ATG「開始配列」を含むことができる。すなわち、例えば、ペプチドが適切に転写および翻訳されることを確実にするために、ペプチドをコードする核酸にATG配列を付加することができる。リーダー配列が一般にATG開始配列を含むにもかかわらず、含まない実施形態では、ATG配列を、リーダー配列をコードする核酸の5’末端に付加することができる。
【0088】
ペプチドコード配列および発現ベクターの適切な構築方法は当業者に周知であり、例えば、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual Second Edition vol.1,2 and 3.Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor,New York,USA,Nov.1989(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載されている。
【0089】
組換えベクターを、種々の方法を使用して細胞に導入することができる。これらの方法は、少なくともその一部が、核酸が導入される細胞の型に依存し得る。例えば、細菌細胞を、エレクトロポレーションまたは熱ショックなどの方法を使用して形質転換することができる。酵母細胞のトランスフェクション方法には、例えば、スフェロプラスト技術またはホールセル塩化リチウム酵母形質転換法が含まれる(例えば、米国特許第4,929,555号;Hinnenら(1978)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 75:1929;Itoら(1983)J.Bacteriol.153:163;米国特許第4,879,231号;およびSreekrishnaら(1987)Gene 59:115(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。動物細胞のトランスフェクションは、例えば、リン酸カルシウム、エレクトロポレーション、熱ショック、リポソーム、またはトランスフェクション試薬(FUGENE(登録商標)またはリポフェクタミン(登録商標)など)の使用、または溶液中での裸の核酸ベクターの細胞との接触による細胞へのベクターの導入を特徴とすることができる(例えば、Sambrookら,前出を参照のこと)。
【0090】
本明細書中に記載のペプチドの小規模または大規模産生のために使用することができる発現系には、以下などの微生物:組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coliおよびB.subtilis);組換え酵母発現ベクターで形質転換された真菌(例えば、酵母(例えば、SaccharomycesおよびPichia));組換えウイルス発現ベクターを感染させた昆虫細胞系(例えば、バキュロウイルス);組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)およびタバコモザイクウイルス(TMV))を感染させたか、組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム(例えば、メタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス(例えば、アデノウイルス後期プロモーター、CMVプロモーター、SV40プロモーター、またはワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)に由来するプロモーターを含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO、BHK、293、VERO、HeLa、MDCK、WI38、およびNIH 3T3細胞)が含まれるが、これらに限定されない。哺乳動物から直接獲得し、プラスミドベクターで形質転換されたか、ウイルスベクター(例えば、特に、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、弱毒化ワクシニアウイルス、カナリアポックスウイルス、アデノウイルス、およびアデノ随伴ウイルスなどのウイルスベクター)を感染させた初代細胞または第2継代細胞も宿主細胞として有用である。
【0091】
上記のように、本明細書中に記載の任意のペプチドの発現後、ペプチドを、標準的技術を使用して培養細胞または細胞が培養された培地から単離することができる(Sambrookら、前出を参照のこと)。タンパク質の単離方法は当該分野で公知であり、例えば、液体クロマトグラフィ(例えば、HPLC)、アフィニティクロマトグラフィ(例えば、金属キレート化または免疫アフィニティクロマトグラフィ)、イオン交換クロマトグラフィ、疎水性相互作用クロマトグラフィ、沈殿、または差時的可溶化が含まれる。
【0092】
より小さなペプチド(例えば、200個未満(例えば、175個未満、150個未満、125個未満、100個未満、90個未満、80個未満、70個未満、または60個未満)のアミノ酸を有するペプチド)を、FMOC固相合成などの標準的な化学的手段によって化学合成することができる(実施例1を参照のこと)。
【0093】
本明細書中に記載のペプチドを、単離することができるが、必須ではない。本明細書中に記載の任意のペプチドに適用する場合、用語「単離された」は、天然に伴う成分(例えば、タンパク質または天然に存在する生体分子または有機分子)から単離または精製されたペプチド、そのフラグメント、(または、組成物については高分子複合体)をいう。組換え分子(例えば、組換えペプチド)は常に「単離されている」と理解される。典型的には、調製物中の同型の総分子の少なくとも60重量%(例えば、サンプル中の同型の総分子の60%)を構成する場合、ペプチド(またはフラグメントもしくは高分子複合体)は単離されている。例えば、調製物またはサンプル中の総タンパク質の少なくとも60重量%を構成する場合、本明細書中に記載のペプチドを単離されたと見なす。いくつかの実施形態では、調製物中の分子は、調製物中の同型の総分子の少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%からなる。
【0094】
同様に、本明細書中に記載のペプチドコード配列またはペプチドコード配列を含むベクターも単離することができる。本明細書中に記載の任意のペプチドコード配列またはベクターに適用する場合、用語「単離された」は、天然に伴う成分(例えば、核酸、タンパク質、または他の天然に存在する生体分子または有機分子)から分離または精製されたペプチドコード配列またはベクター、そのフラグメントをいう。組換え分子(例えば、組換えベクターまたはペプチドコード配列)は常に「単離されている」と理解される。典型的には、調製物中の同型の総分子の少なくとも60重量%(例えば、サンプル中の同型の総分子の60%)を構成する場合、ペプチドコード配列またはベクター(またはそのフラグメント)は単離されている。例えば、調製物またはサンプル中の総核酸の少なくとも60重量%を構成する場合、本明細書中に記載のペプチドコード配列またはベクターを単離されたと見なす。いくつかの実施形態では、調製物中の分子は、調製物中の同型の総分子の少なくとも75重量%、少なくとも90重量%、または少なくとも99重量%からなる。
【0095】
いくつかの実施形態では、単離ペプチド、ペプチドコード配列、またはベクターを、凍結、凍結乾燥、または固定し、分子が活性(例えば、ペプチドがMHC分子(MHCクラスI分子など)に結合する能力またはベクターが細胞中のペプチドの発現を補助する能力)を保持できる適切な条件下で保存することができる。
【0096】
ペプチドのさらなるプロセシング
本明細書中に記載の任意のペプチドの発現または合成後、ペプチドをさらにプロセシングすることができる。さらなるプロセシングはペプチドに対する化学的または酵素的改変を含むことができるか、ペプチドを改変する場合、プロセシングは既存の改変の酵素的または化学的変更またはその両方を含むことができる。ペプチドのさらなるプロセシングは、異種アミノ酸配列(上記の任意の異種アミノ酸配列などであるが、これらに限定されない)の付加(共有結合的または非共有結合的連結)を含むことができる。酵素処置は、例えば、ペプチドが修飾される条件下での1つまたは複数のプロテアーゼ、ホスファターゼ、またはキナーゼとのペプチドの接触を含むことができる。酵素処置は、ペプチドのグリコシル化またはグリコシル化の改変が可能な1つまたは複数の酵素(例えば、オリゴサッカリルトランスフェラーゼまたはマンノシダーゼ)とのペプチドの接触を含むことができる。
【0097】
プロセシングは、例えば、検出可能な標識のペプチドへの付加を含むことができる。例えば、ペプチドを、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼ)、蛍光物質(例えば、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン、フルオレセイン、ダンシルクロリド、アロフィコシアニン(APC)、またはフィコエリトリン)、発光物質(例えば、ランタニドまたはそのキレート)、生体発光物質(例えば、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、またはエクオリン)、または放射性核種(例えば、3H、32P、33P、125I、または35S)で検出可能に標識することができる。
【0098】
プロセシングはまた、ポリマー(例えば、ポリアルキレングリコール部分(ポリエチレングリコール部分など))へのペプチドのカップリングを含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリマーを、ペプチド上のN末端である部位にてポリペプチドにカップリングする。いくつかの実施形態では、ペプチドは、ポリマーを抱合することができる内部ポリマー抱合部位が得られる1つまたは複数の内部アミノ酸挿入を含むことができる。
【0099】
薬学的組成物
任意の本明細書中に記載のペプチドおよびペプチドをコードする核酸を、薬学的組成物に組み込むことができる。かかる組成物は、典型的には、1つまたは複数のペプチド(および/またはペプチドをコードする核酸)および薬学的に許容可能なキャリアを含む。本明細書中で使用する場合、用語「薬学的に許容可能なキャリア」には、薬学的投与に適合する溶媒、分散媒、コーティング、抗菌薬および抗真菌薬、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。1つまたは複数のペプチドを、シロップ、エリキシル、懸濁液、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ゲル、乳濁液などの形態の薬学的組成物として処方することができる。補助的活性化合物(例えば、1つまたは複数の化学療法薬)を組成物に組み込むこともできる。
【0100】
薬学的組成物を、一般に、その意図する投与経路に適合するように処方する。投与経路の例には、経口、直腸、および非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、吸入、経皮、または経粘膜)が含まれる。非経口適用のために使用される溶液または懸濁液は、以下の成分を含むことができる:滅菌希釈剤(注射用蒸留水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒など)、抗菌薬(ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど);抗酸化剤(アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸など)、緩衝液(酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液、またはリン酸緩衝液など)、および張度調整剤(塩化ナトリウムまたはデキストロースなど)。塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基でpHを調整することができる。組成物を、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または多用量バイアル中に封入することができる。
【0101】
注射に適切な薬学的組成物には、滅菌水溶液(水溶性の場合)または分散液および滅菌注射液または分散液の即時調製のための滅菌粉末が含まれる。静脈内投与のために、適切なキャリアには、生理食塩水、静菌化蒸留水、クレモフォールEL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。全ての場合、薬学的組成物は無菌でなければならず、容易にシリンジ中に存在する範囲の流動物であるべきである。製造および保存条件下で安定であるべきであり、微生物(細菌および真菌など)によるいかなる汚染に対しても保存されなければならない。キャリアは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびその安定な混合物を含む溶媒または分散媒であり得る。例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合の必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって適切な流動性を維持することができる。微生物による汚染の防止を、種々の抗菌薬および抗真菌薬(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチロメサールなど)によって行うことができる。多くの場合、組成物中に等張剤(例えば、糖、多価アルコール(マンニトール(manitol)、ソルビトールなど)、塩化ナトリウム)を含めることが望ましいであろう。注射用組成物の吸収の延長を、吸収を遅延させる薬剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を組成物中に含めることによって促進することができる。
【0102】
滅菌注射液を、上記列挙の1成分または成分の組み合わせと共に適切な溶媒中に必要量の1つまたは複数のペプチド(またはペプチドをコードする1つまたは複数の核酸)を組み込み、必要に応じて、その後に濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、上記列挙の基剤となる分散媒および必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルへのペプチド(またはペプチドをコードする核酸)の組み込みによって分散液を調製する。滅菌注射液調製用の滅菌粉末の場合、調製方法は、その予め濾過滅菌した溶液から有効成分および任意のさらなる所望の成分の粉末が得られる真空乾燥または凍結乾燥を含むことができる。
【0103】
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤または食用キャリアを含む。経口治療的投与のために、1つまたは複数のペプチドを賦形剤と共に組み込み、錠剤、トローチ、またはカプセル(例えば、ゼラチンカプセル)の形態で使用することができる。経口組成物を、含嗽剤として使用するための流動物キャリアを使用して調製することもできる。薬学的に適合する結合剤および/またはアジュバント材料を、組成物の一部として含めることができる。錠剤、丸薬、カプセル、およびトローチなどは、任意の以下の成分または類似の性質の化合物を含むことができる:結合剤(微結晶性セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなど)、賦形剤(デンプンまたはラクトースなど)、崩壊剤(アルギン酸、プリモゲル、またはトウモロコシデンプンなど)、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、またはステロートなど)、流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素など);甘味剤(スクロースまたはサッカリンなど);または香味剤(ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジフレーバーなど)
粉末および錠剤は、1%〜95%(w/w)の各ペプチドまたは2つ以上のペプチドの混合物を含むことができる。一定の実施形態では、ペプチドは、約5%〜70%(w/w)の範囲であり得る。適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、およびカカオバターなどである。用語「調製」は、キャリアとしてのカプセル化材料でのペプチド(または核酸)の処方を含むことを意図する。この処方により、他のキャリアを含むか含まないペプチドがキャリアで取り囲まれ、それにより、ペプチドが組み込まれるカプセルが得られる。同様に、カシェおよびロゼンジが含まれる。錠剤、粉末、カプセル、丸薬、カシェ、およびロゼンジを、経口投与に適切な固体投薬形態として使用することができる。
【0104】
経口使用に適切な水溶液を、水への活性成分の溶解および適切な所望の着色剤、フレーバー、安定剤,増粘剤の添加によって調製することができる。経口使用に適切な水性懸濁液を、粘着性物質(天然ゴムまたは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知の懸濁剤など)を有する水への微粉化した活性成分の分散によって作製することができる。
【0105】
吸入による投与のために、ペプチドまたは核酸を、適切な噴射剤(例えば、二酸化炭素などのガス)を含む加圧容器またはディスペンサーまたは噴霧器からエアゾールスプレーの形態で送達することができる。
【0106】
経粘膜手段または経皮手段によって全身投与することもできる。経粘膜投与または経皮投与のために、浸透すべきバリアに適切な浸透剤を処方物中で使用する。かかる浸透剤は当該分野で一般に公知であり、例えば、経粘膜投与のための界面活性剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体が含まれる。鼻内噴霧または座剤の使用によって経粘膜投与を行うことができる。経皮投与のために、ペプチドまたは核酸を、当該分野で一般に公知の軟膏、蝋膏、ゲル、またはクリームに処方することができる。
【0107】
ペプチドまたは核酸を、直腸送達のための座剤(例えば、カカオバターおよび他のグリセリドなどの従来の座剤の基剤を使用)または停留浣腸の形態で調製することもできる。
【0108】
1つの実施形態では、ペプチドまたは核酸を、体内からの急速な排出からペプチドを防御するキャリア(制御放出処方物(埋没物およびマクロカプセル化送達系が含まれる)など)を使用して調製することができる。生分解性の生体適合性ポリマー(エチレンビニルアセタート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルソエステル、およびポリ乳酸など)を使用することができる。かかる処方物の調製方法は当業者に明らかであろう。材料を、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から購入することもできる。リポソーム懸濁液(例えば、APC特異的抗原に対するモノクローナル抗体を使用してAPCにターゲティングしたリポソームが含まれる)を、薬学的に許容可能なキャリアとして使用することもできる。これらを、当業者に公知の方法(例えば、米国特許第4,522,811号に記載の方法)にしたがって調製することができる。
【0109】
投与が容易であり、且つ一様に投薬するための投薬単位形態での経口組成物または非経口組成物を処方することが有利であり得る。本明細書中で使用する場合、投薬単位形態は、処置すべき被験体のための単位投薬として適切な物理的に個別の単位をいい、各単位は、必要な薬学的キャリアと関連して所望の治療効果が得られるように計算された所定量のペプチド(または核酸)を含む。投薬単位は、使用説明書を同封することもできる。
【0110】
ペプチドをコードする核酸分子をベクターに挿入し、遺伝子療法ベクター(上記)として使用することができる。遺伝子療法ベクターを、例えば、静脈内注射、局所投与(例えば、米国特許第5,328,470号を参照のこと)によるか、定位注射(例えば、Chen,et al.(1994)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:3054−3057を参照のこと)によって被験体に送達することができる。遺伝子療法ベクターの薬学的調製物は、許容可能な希釈剤中に遺伝子療法ベクターを含むことができるか、遺伝子送達ビヒクルが包埋された遅延放出マトリックスを含むことができる。あるいは、完全な遺伝子送達ベクターを組換え細胞(例えば、レトロウイルスベクター)からインタクトに産生することができる場合、薬学的調製物は、遺伝子送達系を産生する1つまたは複数の細胞を含むことができる(以下の「Ex Vivo法)を参照のこと)。
【0111】
遺伝子送達ビヒクルのさらなる例には、リポソーム、生体適合性ポリマー(天然高分子および合成高分子が含まれる)、リポタンパク質、ポリペプチド、ポリサッカリド、リポ多糖、人工ウイルスエンベロープ、金属粒子、細菌、ウイルス(バキュロウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルスなど)、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、ならびに種々の真核宿主および原核宿主中での発現について記載した当該分野で典型的に使用され、且つ遺伝子療法および簡潔なタンパク質発現のために使用することができる他の組換えビヒクルが含まれるが、これらに限定されない。
【0112】
ウイルスベクターの例には、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、およびアルファウイルスベクターなどが含まれる。抗体またはそのフラグメントなどのターゲティング部分を含むリポソームを使用して、被験体への送達のための核酸の薬学的組成物を調製することもできる。
【0113】
本明細書中に記載の任意の薬学的組成物を、下記のように投与のための説明書と共に容器、パック、またはディスペンサーに含めることができる。
【0114】
MHC分子多量体組成物およびこの組成物の使用方法
本開示はまた、(i)1つまたは複数の上記の任意のペプチドおよび(ii)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体を含む組成物を特徴とする。多量体は、2個以上の(例えば、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)MHC分子全体またはMHC分子のペプチド結合領域を含む。1つまたは複数のペプチドを、MHC分子多量体に会合(例えば、共有結合または非共有結合)することができる。
【0115】
多量体のMHC分子は、MHCクラスI分子(例えば、HLA−A2分子)またはMHCクラスII分子であり得る。MHC分子は、哺乳動物(例えば、げっ歯類、非ヒト霊長類、ヒト、または本明細書中に記載の任意の他の哺乳動物)のMHC分子であり得る。
【0116】
多量体中の2個以上のMHC分子(またはMHC分子のペプチド結合領域)は、同一のMHC分子または異なるMHC分子に由来し得る。例えば、MHC分子多量体は、5個のMHC分子を含むことができ、そのうちの3個は同一のMHC分子であり、そのうちの2個は最初の3個と異なる。別の例では、多量体の各MHC分子は異なる。MHC分子の少なくとも1個は、ペプチドの少なくとも1個に結合することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、上記組成物は、少なくとも2個(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または15個、またはこれを超える)の本明細書中に記載の任意のペプチドを含むことができる。
【0118】
組成物を、検出可能な標識と会合することもできる。例えば、多量体の1つまたは複数のMHC分子を、検出可能な標識に共有結合または非共有結合することができる。適切な検出可能な標識(例えば、酵素、蛍光物質、発光物質、生体発光物質、または放射性核種)および検出可能な標識をペプチドまたはMHC分子に連結する方法は上に記載されている。
【0119】
MHC多量体組成物を、以下のように上記ペプチドを使用して生成することができる:HLA分子に結合するペプチドを対応するHLA重鎖およびβ2−ミクログロブリンの存在下で再折り畳みして、三分子複合体を生成する。次いで、複合体を、予め重鎖に操作した部位の重鎖のカルボキシル末端でビオチン化する。次いで、ストレプトアビジンの添加により多量体形成を誘導する。
【0120】
T細胞受容体が広範な種々の他のペプチド−MHC複合体のうちの標的細胞上の特異的ペプチド−MHC複合体を認識することができるので、本明細書中に記載のMHC多量体組成物を使用して、例えば、無関係のT細胞集団中の抗原特異的T細胞を検出することができる(以下を参照のこと)。かかるアッセイのために、多量体を、一般に、検出可能に標識するであろう(上記を参照のこと)。
【0121】
例えば、多量体MHC分子/ペプチド複合体をアッセイで使用して、免疫原への曝露後の抗原特異的CTLの存在について末梢血単核球を評価することができる。MHC多量体複合体を使用して、抗原特異的CTLを直接視覚化し(例えば、Oggら,Science 279:2103−2106,1998およびAltmanら,Science 174:94−96,1996を参照のこと)、末梢血単核球サンプル中の抗原特異的CTL集団の頻度を決定することができる。1つの例では、MHC多量体の多量体化のために使用した検出可能に標識されたストレプトアビジンを使用して、多量体のMHC分子/ペプチド複合体に結合するT細胞を標識することができる。これを行うために、多量体で処置した細胞を、例えば、標識(例えば、ビオチンに抱合したフルオロフォア)に曝露する。次いで、細胞を、例えば、フローサイトメトリーを使用して容易に単離または検出することができる。
【0122】
適用
本明細書中に記載のペプチド(およびその薬学的組成物)、組成物を含むMHC多量体、キット、および製造品を、種々の方法で使用することができる。例えば、ペプチドを使用して、(i)被験体(例えば、癌を有する被験体)において免疫応答を誘導し、(ii)培養物中でT細胞を活性化し、そして/または(iii)多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの癌を処置またはさらに防止することができる。上記のように、組成物を含むMHC多量体を使用して、例えば、無関係のT細胞集団中の抗原特異的T細胞を検出することができる。
【0123】
ペプチド(またはその薬学的組成物)、組成物を含むMHC多量体、キット、または製造品の有用性は本明細書中に記載の特定の実施形態に決して制限されないが、これらの試薬を使用することができる例示的方法を以下に示す。
【0124】
免疫応答の誘導方法
本開示はまた、被験体における免疫応答の種々の誘導方法を特徴とする。被験体における免疫応答の誘導方法は、本明細書中に記載の任意のペプチド(またはペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター)(あるいは1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチド(またはベクター)を含む任意の薬学的組成物)の1つまたは複数を被験体に投与する工程を含むことができる。任意の本明細書中に記載のペプチドを使用して、1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドをコードする核酸発現系の使用によって免疫応答を刺激することができる。すなわち、被験体における免疫応答の誘導方法は、1つまたは複数の本明細書中に記載のペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター(または発現ベクターを含む薬学的組成物)を被験体に投与する工程を含むことができる。免疫応答は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)、TH1応答、TH2応答、または両応答型の組み合わせであり得る。
【0125】
任意の上記方法はまた、例えば、被験体における癌(例えば、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害、またはXBP1、CD138、またはCS1を発現する任意の他の癌)を処置または防止(予防)する方法であり得る。用語「防止する」、「防止すること」、または「防止」を、本明細書中で、所与の容態のための所与の処置に関連して使用する場合、この用語は、処置された被験体が臨床的に観察可能なレベルの容態を全く発症しないか(例えば、被験体が容態の1つまたは複数の症状を示さないか、癌の場合、被験体が検出可能なレベルの癌を発症しない)、被験体における容態が処置しなかった場合よりもゆっくりおよび/または低い程度(例えば、被験体における症状がより少ないか、癌細胞数がより少数である)で発症することを意味する。これらの用語は、被験体がいかなる容態の態様も経験しない状況に単に制限されない。例えば、容態(進行癌)の所与の徴候が生じると予想される癌の早期診断(例えば、被験体由来のサンプル中の少数の癌細胞の検出)中に処置し、別で予想されるよりも被験体がより少数および/または軽度の容態の症状を経験する場合、処置により容態が「防止された」というであろう。被験体の癌の明らかな症状が軽度でしかない場合、処置により、癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害)を「防止する」ことができる。「防止」は、このように処置された被験体によって1つの癌細胞でさえ生じなかったに違いないということを意味しない。
【0126】
一般に、被験体に送達されたペプチドは、薬学的に許容可能なキャリア(例えば、生理食塩水)中に懸濁され、経口、直腸、または非経口で投与されるであろう(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、髄腔内、腹腔内、直腸内、膣内、鼻腔内、胃内,気管内、または肺内に注射されるであろう(以下を参照のこと)。
【0127】
薬学的組成物の定期的ボーラス注射によって投与することができるか、外部(例えば、IVバッグ)または内部(例えば、生体内分解性(bioerodable)埋没物、生体人工臓器、または植え込んだ試薬産生細胞のコロニー)に存在するリザーバからの静脈内または腹腔内投与によって不断的または連続的に投与することができる。例えば、米国特許第4,407,957号、同第5,798,113号、および同第5,800,828号(それぞれの全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0128】
治療核酸の従来の薬学的に許容可能な投与経路には、筋肉内経路、皮下経路、皮内経路、経皮経路、静脈内経路、直腸経路(例えば、浣腸、坐薬)、経口経路、胃内経路、鼻腔内経路、および有効な吸入経路の他の経路、ならびに他の非経口投与経路が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。投与経路を組み合わせることができるか、必要に応じて、核酸分子および/または免疫応答に及ぼす所望の影響に応じて調整することができる。被験体への核酸の投与方法には、種々の周知の技術(ベクター媒介遺伝子移入(例えば、ウイルス感染/トランスフェクションまたは種々の他のタンパク質ベースもしくは脂質ベースの遺伝子送達複合体)など)ならびに「裸の」ポリヌクレオチドの送達を容易にする技術(エレクトロポレーション、「遺伝子銃」送達、および被験体または被験体の細胞へのポリヌクレオチドの導入のために使用される種々の他の技術など)が含まれ得る。
【0129】
一般に、ペプチドまたは核酸の必要とされる投薬量は、投与経路の選択、処方物の性質、被験体の疾病の性質または重症度、被験体の免疫状態、被験体のサイズ、体重、表面積、年齢、および性別、投与される他の薬物、ならびに担当する医療専門家の判断に依存する。
【0130】
免疫応答誘導に適切なペプチドの投薬量は、被験体1kgあたり、0.000001〜10mgの試薬または抗原性/免疫原性組成物の範囲である。種々の試薬および種々の投与経路の有効性の相違を考慮して、必要な投薬量は非常に変化すると予想される。例えば、経鼻投与または直腸投与には、静脈内注射による投与より高い投薬量が必要であり得る。これらの投薬レベルの変動を、当該分野で十分に理解されている至適化のための標準的な経験による日常業務を使用して調整することができる。投与は単回または複数回であり得る(例えば、2、3、4、6、8、10、20、50、100、150、またはこれを超える回数)。例えば、ペプチドを初回免疫として投与し、次いで、追加免疫として1回または複数回投与することができる。
【0131】
本明細書中に記載の方法という背景における被験体への核酸の投与用量は、長期間にわたる被験体における有利な治療応答を得るためか、症状を緩和するために十分であるべきである。例えば、被験体または達成すべき臨床的目的に依存して使用投薬量が変化するにもかかわらず(以下を参照のこと)、適切な投薬量範囲は、約1μgまで、約1,000μgまで、約5,000μgまで、約10,000μgまで、約25,000μgまで、または約50,000μgの核酸/mlキャリアの単回投薬量が得られる範囲である。
【0132】
治療効率(例えば、被験体における免疫応答を誘導するための1つまたは複数のペプチドまたはペプチドをコードする核酸の効率)を最適にするために、ペプチドまたは核酸を含む組成物を、異なる投与レジメンで最初に投与することができる。単位用量およびレジメンは、例えば、哺乳動物の種、その免疫状態、哺乳動物の体重が含まれる要因に依存する。
【0133】
薬学的組成物(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドあるいは1つまたは複数のペプチドをコードする1つまたは複数の核酸配列を含む薬学的組成物)のための投与頻度は、医療従事者(例えば、医師または看護士)の技術および臨床判断の範囲内である。典型的には、投与レジメは、至適な投与パラメーターを確立することができる臨床試験によって確立される。しかし、従事者は、被験体の年齢、健康状態、体重、性別、および医学的状態に応じてかかる投与レジメを変化させることができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物を、少なくとも2回(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、15、または20回、またはこれを超える回数)被験体に投与することができる。例えば、薬学的組成物を、1ヶ月に1回を3ヶ月間、1週間に1回を1ヶ月間、1年に1回を3年間、1年に1回を5年間、5年毎に1回、10年毎に1回、または3年毎に1回を一生被験体に投与することができる。
【0135】
いくつかの実施形態では、試薬を、免疫調節薬(Toll受容体リガンドまたはアジュバントなど)と共に投与することができる(以下を参照のこと)。
【0136】
本明細書中で定義する場合、ペプチドまたはペプチドをコードする核酸の「治療有効量」は、処置した被験体において免疫応答を生じることができるペプチドまたは核酸の量である。ペプチドの治療有効量(すなわち、有効投薬量)には、被験体またはサンプルの重量1キログラムあたりのミリグラム、マイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬が含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。核酸の治療有効量には、被験体またはサンプル重量1キログラムあたりのマイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬も含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。
【0137】
本明細書中で定義する場合、ペプチドまたはペプチドをコードする核酸の「予防有効量」は、処置した被験体中の癌細胞(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の細胞)に対して免疫応答を生じることができるペプチドまたは核酸の量である。この免疫応答は、被験体における癌の発症を防止することができるか、被験体が癌を発症するか発症し続ける機会を実質的に軽減することができる(上記を参照のこと)。ペプチドの予防有効量(すなわち、有効投薬量)には、被験体またはサンプルの重量1キログラムあたりのミリグラム、マイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬が含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500ミリグラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約5ミリグラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。核酸の予防有効量には、被験体またはサンプル重量1キログラムあたりのマイクログラム、ナノグラム、またはピコグラム量の試薬も含まれる(例えば、約1ナノグラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約1マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、約100マイクログラム/キログラム〜約500マイクログラム/キログラム、または約1マイクログラム/キログラム〜約50マイクログラム/キログラム)。
【0138】
被験体は、抗原に対して免疫応答を生じることができる任意の動物(哺乳動物(例えば、ヒト(例えば、ヒト患者)または非ヒト霊長類(例えば、チンパンジー、ヒヒ、またはサル)、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、スナネズミ、ハムスター、ウマ、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、またはヤギ)、イヌ、ネコ、またはクジラ)などであるが、これらに限定されない)であり得る。被験体は、癌(多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症など)またはXBP1、CD138、またはCS1を発現する任意の他の癌型を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある被験体であり得る。被験体は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症からの寛解にある被験体であり得る。
【0139】
本方法はまた、1つまたは複数のペプチド(または核酸)を被験体に投与する前に、被験体の癌(例えば、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの形質細胞障害)の1つまたは複数の癌細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する工程を含むことができる。これらのタンパク質の発現には、mRNA発現およびタンパク質発現の両方が含まれる。細胞中のタンパク質発現およびmRNA発現の検出方法は当該分野で公知であり、例えば、タンパク質検出のための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンおよびドットブロッティング技術、または免疫組織化学技術、およびmRNA検出のための逆転写−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)またはノーザンブロッティング技術が含まれる(Sambrookら,前出を参照のこと)。
【0140】
本方法はまた、1つまたは複数の化学療法薬、電離放射線の1つまたは複数の形態、あるいは1つまたは複数の免疫調節薬を被験体に投与する工程を含むことができる。電離放射線の1つまたは複数の形態は、γ線照射、X線照射、またはβ線照射であり得る。1つまたは複数の化学療法薬を、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、アドリアマイシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル、ポドフィロトキシン、タモキシフェン、タキソール、サリドマイド、レナリドマイド、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、hsp90インヒビター(例えば、タネスピンマイシン)、トランス白金、5−フルオロウラシル(5−flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート、または上記のいずれかのアナログからなる群より選択することができる。免疫調節薬には、例えば、種々のケモカインおよびサイトカイン(インターロイキン 2(IL−2)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、およびインターロイキン 12(IL−12)など)が含まれる。
【0141】
被験体は、多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症などの癌を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがあり得る。「癌を有する疑いがある」被験体は、癌の1つまたは複数の症状を有する被験体である。癌の症状は当業者に周知であり、一般に、疼痛、体重減少、脱力感、過剰な疲労、摂食困難、無食欲、慢性咳嗽、息切れの悪化、喀血、血尿、血便、嘔気、嘔吐、腹部膨満、鼓脹,腹膜腔中の液体、膣出血、便秘、腹部膨隆、結腸の穿孔、急性腹膜炎(感染、発熱、疼痛)、疼痛、吐血、大量の発汗、発熱、高血圧、貧血、下痢、黄疸、眩暈、悪寒、筋攣縮、および嚥下困難などが含まれるが、これらに限定されない。多発性骨髄腫の症状には、具体的には、例えば、骨痛(例えば、背中または肋骨中)、高レベルの血中カルシウム、過度の口渇または排尿、便秘、嘔気、無食欲、錯乱、脚の脱力感またはしびれ、体重減少、または反復性感染症が含まれる。ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を示す症状には、例えば、脱力感、リンパ節の腫脹、重度の疲労、鼻出血、体重減少、神経学的問題が含まれる。
【0142】
本明細書中で使用する場合、「癌の発症するリスクがある」被験体は、癌を発症する素因(すなわち、腫瘍抑制遺伝子の変異(例えば、BRCA1、p53、RB、またはAPCの変異)などの癌を発症する遺伝的素因)を有するか、条件にさらされていたか、現在条件にさらされており、それによって癌に罹患し得る被験体である。したがって、被験体はまた、被験体が変異原性または発癌性レベルの一定の化合物(例えば、紙巻きタバコ中の発癌性化合物(アクロレイン、4−アミノビフェニル、芳香族アミン、ベンゼン、ベンズ{a}アントラセン、ベンゾ{a}ピレン、ホルムアルデヒド、ヒドラジン、ポロニウム−210(ラドン)、ウレタン、または塩化ビニルなど))に曝されている場合、「癌の発症するリスクがある」被験体であり得る。被験体が、例えば、大量の紫外線またはX線照射に曝されたか、腫瘍を引き起こす/関連するウイルス(パピローマウイルス、エプスタイン・バーウイルス、B型肝炎ウイルス、またはヒトT細胞白血病−リンパ腫ウイルスなど)に曝された(例えば、感染した)場合、被験体は、「癌の発症するリスクにあり」得る。さらに、被験体が炎症(例えば、慢性炎症)に罹患している場合、被験体は、「癌の発症するリスクにあり」得る。例えば、被験体が意義未確定の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)を有する場合、被験体は多発性骨髄腫の発症するリスクがあり得る。
【0143】
上記から、「癌を有する疑いがある」または「癌の発症するリスクがある」被験体は、目的の種内の全ての被験体というわけではないことが明らかであろう。
【0144】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、被験体へのペプチドまたは核酸の投与後に被験体で免疫応答が起こったかどうかを決定する工程を含むことができる。被験体において免疫応答が起こったかどうかを決定するための適切な方法は、例えば、被験体由来の生物サンプル中のペプチドに特異的な抗体の存在を検出するための免疫アッセイの使用を含む。例えば、被験体へのペプチドの投与後、生物サンプル(例えば、血液サンプル)を被験体から得て、ペプチドに特異的な抗体の存在について試験することができる。免疫応答を、サンプル中の活性化T細胞の存在または量のアッセイによって検出することもできる。かかるアッセイには、例えば、増殖アッセイ、限界希釈アッセイ、細胞傷害性アッセイ(例えば、リンホカインまたは51Cr放出アッセイ)が含まれる(上記)。
【0145】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、被験体が癌を有するかどうかを決定する工程を含むことができる。適切なかかる決定方法は、被験体中で検出すべき癌の型に依存するが、これは、当該分野で公知である。かかる方法は定性的または定量的であり得る。例えば、医療従事者は、被験体が多発性骨髄腫の2つ以上の(例えば、3、4、5、または6つまたはこれを超える)症状(本明細書中に記載の任意の症状など)を示す場合、被験体は多発性骨髄腫を有すると診断することができる。被験体の血中カルシウムレベル、白血球数または赤血球数、または尿中タンパク質量の測定によって、被験体が多発性骨髄腫を有することを決定することもできる。
【0146】
ex vivoアプローチ。被験体における免疫応答のex vivo誘導ストラテジーは、被験体から得た適切なAPC(例えば、樹状細胞、単球、またはマクロファージ)を任意の本明細書中に記載のペプチドと接触させる工程を含むことができる。あるいは、細胞を、1つまたは複数のペプチドをコードする核酸(例えば、発現ベクター)でトランスフェクトし、任意選択的に、ペプチドを発現させる期間および条件下で培養することができる。トランスフェクション方法は、細胞および細胞にトランスフェクトされる核酸の型に依存するであろう(上記の「核酸およびペプチドの産生方法」およびSambrookら,前出も参照のこと)。接触またはトランスフェクション後、細胞を被験体に戻す。
【0147】
細胞は、MHCクラスIまたはII分子を発現する広範な種々の型のいずれかであり得る。例えば、細胞には、骨髄細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、T細胞(例えば、Tヘルパー細胞、CD4+細胞、CD8+細胞、または細胞傷害性T細胞)、またはB細胞が含まれ得る。
【0148】
ex vivoでの免疫応答の刺激方法は、in vitroで(例えば、被験体から得たリンパ球集団中の)T細胞を、本明細書中に記載のペプチドの1つに結合したMHC分子を発現する抗原提示細胞と、T細胞の活性化に十分な期間(および条件下で)接触させる工程を含むことができる。接触後、活性化したT細胞を、この細胞を得た被験体に再導入する。本明細書中に記載のペプチドのうちの1つに結合したMHC分子を発現するAPCの生成方法を、本項の上に記載している。
【0149】
任意のex vivo法のいくつかの実施形態では、細胞を、本被験体以外の同種の被験体(同種間)から得て、これを試薬(または免疫原性/抗原性組成物)と接触させ、被験体に投与することができる。
【0150】
被験体における抗体の産生方法
免疫原(例えば、1つまたは複数の本明細書中に記載の任意のペプチド)に特異的な抗体の産生方法は当該分野で公知であり、以下で詳述している。例えば、本明細書中に記載のペプチドに特異的な抗体または抗体フラグメントを、例えば、動物を使用した免疫化またはファージディスプレイなどのin vitro法によって生成することができる。本明細書中に記載のペプチドの全部または一部を使用して、抗体または抗体フラグメントを生成することができる。
【0151】
ペプチドを使用して、ペプチドでの適切な被験体(例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、または他の哺乳動物(ヒトなど))の免疫化によって抗体を調製することができる。適切な免疫原性調製物は、例えば、本明細書中に記載の任意の試薬を含むことができる。調製物は、さらに、アジュバント(フロイント完全または不完全アジュバントなど)、ミョウバン、RIBI、または類似の免疫賦活薬を含むことができる。アジュバントは、例えば、コレラ毒素(CT)、E.coli易熱性毒素(LT)、変異体CT(MCT)(Yamamotoら(1997)J.Exp.Med.185:1203−1210)、および変異体E.coli易熱性毒素(MLT)(Di Tommasoら(1996)Infect.Immunity 64:974−979)も含む。MCTおよびMLTは、親分子と比較してアジュバント活性を実質的に損わなずに毒性を実質的に減少させる点変異を含む。免疫原性ペプチド調製物(例えば、本明細書中に記載の任意の試薬)での適切な被験体の免疫化により、ポリクローナル抗ペプチド抗体応答が誘導される。
【0152】
本明細書中で使用する場合、用語抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、ペプチド(例えば、本明細書中に記載のペプチド)に特異的に結合する抗原結合部位を含む分子)をいう。本明細書中に記載のペプチドに特異的に結合する抗体は、ペプチドに結合するが、サンプル中の他の分子に実質的に結合しない抗体である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例には、例えば、F(ab)フラグメント、F(ab’)2フラグメント、または本明細書中に記載の任意の他の抗体フラグメントが含まれる(以下を参照のこと)。
【0153】
抗ペプチド抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体の調製物であり得る。本明細書中で使用する場合、用語モノクローナル抗体は、ペプチドと免疫反応することができる抗原結合部位のたった1つの種を含む抗体分子集団をいう。したがって、モノクローナル抗体組成物は、典型的には、免疫反応する特定のペプチドに対して単一の結合親和性を示す。
【0154】
ポリクローナル抗ペプチド抗体を、ペプチド免疫原での適切な被験体の免疫化によって上記のように調製することができる。免疫化した被験体における抗ペプチド抗体力価を、標準的な技術(固定化ペプチドを使用した酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などを使用)によって長期にわたってモニタリングすることができる。必要に応じて、ペプチドに指向する抗体分子を哺乳動物から(例えば、血液から)単離し、プロテインAクロマトグラフィなどの技術によってさらに精製して、IgG画分を得ることができる。免疫化後の適切な時期に(例えば、抗ペプチド抗体力価が最高の時点で)、抗体産生細胞を被験体から得、これを使用して、標準的技術(Kohler and Milstein(1975)Nature 256:495−497によって最初に記載されたハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら(1983)Immunol.Today 4:72)、またはEBV−ハイブリドーマ技術(Coleら(1985),Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,Inc.,pp.77−96)など)によってモノクローナル抗体を調製することができる。リンパ球および固定化細胞株の融合のために使用される多数の周知のプロトコールのいずれかを、抗ペプチドモノクローナル抗体の生成のために適用することができる(例えば、Current Protocols in Immunology,supra;Galfreら(1977)Nature 266:55052;R.H.Kenneth,in Monoclonal Antibodies:A New Dimension In Biological Analyses,Plenum Publishing Corp.,New York,New York(1980);およびLerner(1981)Yale J.Biol.Med.,54:387−402(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0155】
モノクローナル抗体分泌ハイブリドーマの別の調製方法として、モノクローナル抗ペプチド抗体を、本明細書中に記載のペプチドを使用した組換え組み合わせ免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)のスクリーニングによって同定および単離し、ペプチドに結合する免疫グロブリンライブラリーメンバーを単離することができる。
【0156】
抗ペプチド抗体(例えば、モノクローナル抗体)を使用して、アフィニティクロマトグラフィまたは免疫沈降などの技術によってペプチドを単離することができる。さらに、抗ペプチド抗体を使用して、本明細書中に記載のスクリーニングアッセイにおいてペプチドを検出することができる。抗体を、任意選択的に、検出可能な標識(本明細書中に記載の任意の検出可能な標識など)または結合対の第1または第2のメンバー(例えば、ストレプトアビジン/ビオチンまたはアビジン/ビオチン)にカップリングすることができ、その第2のメンバーを検出可能な標識に抱合することができる。
【0157】
標的ペプチド(例えば、本明細書中に記載のペプチド)に対する非ヒト抗体を、非ヒト宿主(例えば、げっ歯類)中で産生し、次いで、例えば、米国特許第6,602,503号、欧州特許第239 400号、米国特許第5,693,761号、および米国特許第6,407,213号(各開示全体が参考として援用される)に記載のようにヒト化することもできる。
【0158】
欧州特許第239 400号(Winterら)は、(所与の可変領域内での)その一方の種のCDRの他方の種由来のCDRとの置換による抗体の変更を記載している。CDR置換抗体は、真のキメラ抗体と比較して、ヒトにおける免疫応答を誘発する可能性が低いかもしれない。これはCDR置換抗体が非ヒト成分の含有量がかなり少ないからである。Riechmannら(1988)Nature 332,323−327;Verhoeyenら(1988)Science 239,1534−1536(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと。典型的には、マウス抗体のCDRを、組換え核酸技術の使用によってヒト抗体中の対応する領域に置換して、所望の置換抗体をコードする配列を産生する。所望のアイソタイプのヒト定常領域遺伝子セグメント(例えば、CHについてのγIおよびCLについてのκ)を付加することができ、ヒト化した重鎖および軽鎖の遺伝子を哺乳動物細胞中で同時発現させて可溶性ヒト化抗体を産生することができる。
【0159】
WO90/07861号は、元のマウス抗体のV領域フレームワークに対する至適なタンパク質配列相同性についてコンピュータ分析によってヒトVフレームワーク領域を選択する工程、およびマウスV領域の三次構造をモデリングしてマウスCDRと相互作用する可能性が高いフレームワークアミノ酸残基を視覚化する工程を含むプロセスを記載している。次いで、これらのマウスアミノ酸残基を、相同なヒトフレームワークに重ね合わせる。米国特許第5,693,762号、同第5,693,761号、同第5,585,089号、および同第5,530,101号も参照のこと。Tempestら(1991)Biotechnology 9,266−271は、標準として、マウス残基のラジカル導入を行わないCDRグラフティングのためにNEWMおよびREIの重鎖および軽鎖にそれぞれ由来するV領域フレームワークを使用する。NEWMおよびREIベースのヒト化抗体を構築するためのTempestらのアプローチ使用の利点は、NEWMおよびREI可変領域の三次元構造がX線結晶学から知られており、したがって、CDRとV領域フレームワーク残基との間の特異的相互作用をモデリングすることができることである。
【0160】
特定の位置(例えば、1つまたは複数(例えば、少なくとも5、10、12、または全て)の以下の位置:(軽鎖可変ドメインのフレームワーク中)4L、35L、36L、38L、43L、44L、58L、46L、62L、63L、64L、65L、66L、67L、68L、69L、70L、71L、73L、85L、87L、98L、および/または(重鎖可変ドメインのフレームワーク中)2H、4H、24H、36H、37H、39H、43H、45H、49H、58H、60H、67H、68H、69H、70H、73H、74H、75H、78H、91H、92H、93H、および/または103H(Kabatナンバリングに従う))に、ヒト免疫グロブリン配列(例えば、コンセンサスヒトアミノ酸残基)を挿入する置換を含むように非ヒト抗体を改変することができる。例えば、米国特許第6,407,213号(その開示全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと。
【0161】
標的ペプチドに結合する完全なヒトモノクローナル抗体を、例えば、Boernerら(1991)J.Immunol.,147,86−95に記載のようにin vitro予備刺激ヒト脾細胞を使用して産生することができる。これらを、Perssonら,1991,Proc.Nat.Acad.Sci.USA,88:2432−2436またはHuang and Stollar(1991)J.Immunol.Methods 141,227−236、また米国特許第5,798,230号(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)に記載のレパートリークローニングによって調製することができる。巨大な非免疫化ヒトファージディスプレイライブラリーを使用して、標準的なファージテクノロジーを使用してヒト治療薬として開発することができる高親和性抗体を単離することもできる(例えば、Vaughan et al,1996;Hoogenboomら(1998)Immunotechnology 4:1−20;and Hoogenboomら(2000)Immunol Today 2:371−8;米国特許出願公開第2003−0232333号(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0162】
本明細書中で使用する場合、「免疫グロブリン可変ドメイン配列」は、免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列をいう。例えば、配列には、天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全部または一部が含まれ得る。例えば、配列は、1、2、またはそれを超えるN末端またはC末端アミノ酸、内部アミノ酸を省略することができるか、1つまたは複数の挿入またはさらなる末端アミノ酸を含むことができるか、他の変化を含むことができる。1つの実施形態では、免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むペプチドは、別の免疫グロブリン可変ドメイン配列と会合して標的結合構造(すなわち、「抗原結合部位」)(例えば、標的ペプチドと相互作用する構造)を形成することができる。
【0163】
抗体のVH鎖またはVL鎖は、重鎖または軽鎖の定常領域の全部または一部をさらに含み、それにより、重鎖または軽鎖の免疫グロブリン鎖をそれぞれ形成することができる。1つの実施形態では、抗体は、2つの免疫グロブリン重鎖および2つの免疫グロブリン軽鎖の四量体である。免疫グロブリンの重鎖および軽鎖を、ジスルフィド結合によって連結することができる。重鎖定常領域は、典型的には、3つの定常ドメイン(CH1、CH2、およびCH3)およびヒンジ領域を含む。軽鎖定常領域は、典型的には、CLドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、典型的には、宿主組織または因子(種々の免疫系細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的補体系の第1成分(Clq)が含まれる)への抗体の結合を媒介する。
【0164】
抗体の1つまたは複数の領域は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得るか、ヒト化され得る。例えば、1つまたは複数の可変領域は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得る。例えば、1つまたは複数のCDR(例えば、重鎖(HC)CDR1、HC CDR2、HC CDR3、軽鎖(LC)CDR1、LC CDR2、およびLC CDR3)はヒトであり得る。各軽鎖CDRはヒトであり得る。HC CDR3はヒトであり得る。1つまたは複数のフレームワーク領域(FR)はヒトであり得る(例えば、HCまたはLCのFR1、FR2、FR3、およびFR4)。いくつかの実施形態では、全フレームワーク領域はヒトである(例えば、ヒト体細胞(例えば、免疫グロブリンを産生する造血細胞または非造血細胞)に由来する)。1つの実施形態では、ヒト配列は、例えば、生殖系列核酸によってコードされる生殖系列配列である。1つまたは複数の定常領域は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得るか、ヒト化され得る。別の実施形態では、少なくとも70、75、80、85、90、92、95、または98%のフレームワーク領域(例えば、集合的にFR1、FR2、およびFR3または集合的にFR1、FR2、FR3、およびFR4)または全抗体は、ヒトであり得るか、事実上ヒトであり得るか、ヒト化され得る。例えば、FR1、FR2、およびFR3は、集合的に、ヒト生殖系列セグメントによってコードされるヒト配列と少なくとも70、75、80、85、90、92、95、98、または99%同一であり得る。いくつかの実施形態では、マウス抗体をヒト化するために、マウスIg遺伝子座の1つまたは複数の領域を、対応するヒトIg遺伝子座に置換することができる(例えば、Zouら(1996)The FASEB Journal Vol 10,1227−1232;Popovら(1999)J.Exp.Med.189(10)1611−1619;およびNicholsonら(1999)J.Immunol.6898−6906(各開示全体が参考として援用される)を参照のこと)。
【0165】
「事実上ヒトの」免疫グロブリン可変領域は、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトで免疫原性応答を誘発しないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含む免疫グロブリン可変領域である。「事実上ヒトの」抗体は、抗体が正常なヒトで免疫原性応答を誘発しないために十分な数のヒトアミノ酸位置を含む抗体である。
【0166】
「ヒト化」免疫グロブリン可変領域は、改変形態が非改変形態よりもヒトにおいて免疫応答を少なく誘発するように改変された(例えば、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトで免疫原性応答を誘発しないために十分な数のヒトフレームワークアミノ酸位置を含むように改変された)免疫グロブリン可変領域である。「ヒト化」免疫グロブリンの説明は、例えば、米国特許第6,407,213号および米国特許第5,693,762号(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)を含む。いくつかの場合、ヒト化免疫グロブリンは、1つまたは複数のフレームワークアミノ酸位置に非ヒトアミノ酸を含むことができる。
【0167】
抗体の全部または一部は、免疫グロブリン遺伝子またはそのセグメントによってコードすることができる。例示的ヒト免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α(IgA1およびIgA2)、γ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、δ、ε、およびμ定常領域遺伝子、ならびに多種多様な免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。全長免疫グロブリン「軽鎖」(約25kDaまたは214アミノ酸)は、NH2末端(約110アミノ酸)で可変領域遺伝子によってコードされ、COOH末端でκまたはλ定常領域遺伝子によってコードされる。全長免疫グロブリン「重鎖」(約50kDaまたは446アミノ酸)は、同様に、可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上記定常領域遺伝子の1つ(例えば、γ(約330アミノ酸をコードする))によってコードされる。
【0168】
用語、全長抗体の「抗原結合フラグメント」は、目的の標的に特異的に結合する能力を保持する全長抗体のフラグメントをいう。用語、全長抗体の「抗原結合フラグメント」の範囲内に含まれる結合フラグメントの例には、以下が含まれる:(i)Fabフラグメント(VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる1価フラグメント)、(ii)F(ab’)2フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した2つのFabフラグメントを含む2価フラグメント)、(iii)Fdフラグメント(VHおよびCH1ドメインからなる)、(iv)Fvフラグメント(単一の抗体アームのVLおよびVHドメインからなる)、(v)dAbフラグメント(Wardら,(1989)Nature 341:544−546)(VHドメインからなる))、および(vi)機能性を保持する単離相補性決定領域(CDR)。さらに、Fvフラグメントの2つのドメイン(VLおよびVH)が個別の遺伝子にコードされるにもかかわらず、これらのドメインを、組換え法を使用して、合成リンカーによって連結し、VLおよびVH領域が対合して単鎖Fv(scFv)として公知の1価分子を形成する単一のタンパク質鎖として作製可能である(例えば、Birdら(1988)Science 242:423−426;およびHustonら(1988)Proc. Natl. Acad. Sci.USA 85:5879−5883,(各開示全体が本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0169】
抗体
本明細書中に記載の方法によって産生された単離抗体またはその抗原結合フラグメントは、配列番号1〜18のいずれかのアミノ酸配列内またはこれに重複するエピトープに選択的に結合することができる。抗体はまた、配列番号1〜18のいずれかのアミノ酸配列内またはこれに重複するエピトープに結合する抗体の結合をクロスブロッキングする抗体であり得る。典型的には、10−6M未満のKDで抗体が結合する場合、エピトープへの抗体の結合は選択的と見なす。必要に応じて、結合条件の変化によって、選択的結合に実質的に影響を及ぼすことなく非特異的結合を減少させることができる。「クロスブロッキングする」抗体または「クロスブロッキング抗体」は、(第1の抗体の非存在下で起こるペプチドへの第2の抗体の結合と比較して)エピトープ(例えば、配列番号1〜18のいずれかの中またはこれに重複して含まれるエピトープ)に結合した場合に第2の抗体がペプチドに結合する能力が減少または消失する第1の抗体をいう。
【0170】
本明細書中に記載の方法によって産生された抗体(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドに特異的な抗体)を使用して、例えば、XBP1、CD138、またはCS1を発現する癌細胞を検出することができ、したがって、本明細書中に記載の多数の例示的方法で有用であることが理解される。
【0171】
治療の選択方法
癌(例えば、形質細胞障害(多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症など)またはXBP1、CD138、またはCS1が発現される任意の癌)を有する被験体のための治療を選択する方法は、任意選択的に、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がXBP1を発現するかどうかを決定する工程、および、1つまたは複数の細胞がXBP1を発現する場合、配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含む。上記のように、アミノ酸配列が、(i)被験体中に免疫応答を誘導することができ、(ii)MHC分子に結合することができ、(iii)MHC分子の背景において、T細胞上のT細胞受容体によって認識することができる場合、アミノ酸配列は、配列番号1〜10のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも66%同一であり得るか、4個以下の置換を含むことができる。ペプチドはまた、表1に記載の配列番号1〜10のいずれか1つから本質的になるか、これからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0172】
癌を有する被験体のために治療を選択する方法は、任意選択的に、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がCD138を発現するかどうかを決定する工程、および、1つまたは複数の細胞がCD138を発現する場合、配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくともペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含むことができる。上記のように、アミノ酸配列が、(i)被験体中に免疫応答を誘導することができ、(ii)MHC分子に結合することができ、(iii)MHC分子の背景において、T細胞上のT細胞受容体によって認識することができる場合、アミノ酸配列は、配列番号11〜14のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも66%同一であり得るか、4個以下の置換を含むことができる。ペプチドはまた、表1に記載の配列番号11〜14のいずれか1つから本質的になるか、これからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0173】
癌を有する被験体のために治療を選択する方法は、任意選択的に、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がCS1を発現するかどうかを決定する工程、および、1つまたは複数の細胞がCS1を発現する場合、配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくともペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含むことができる。上記のように、アミノ酸配列が、(i)被験体中に免疫応答を誘導することができ、(ii)MHC分子に結合することができ、(iii)MHC分子の背景において、T細胞上のT細胞受容体によって認識することができる場合、アミノ酸配列は、配列番号15〜18のいずれかのアミノ酸配列と少なくとも66%同一であり得るか、4個以下の置換を含むことができる。ペプチドはまた、表1に記載の配列番号15〜18のいずれか1つから本質的になるか、これからなる第1のアミノ酸配列および第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列を含むペプチドであり得る。
【0174】
被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がXBP1、CD138、およびCS1の2つ以上を発現する場合、適切なペプチドの組み合わせを被験体に送達することができると理解される。例えば、被験体の癌の1つまたは複数の細胞(例えば、形質細胞)がXBP1およびCD138を発現すると決定される場合、治療の選択方法は、(a)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物と、配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物との組み合わせ、または(ii)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドおよび配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのペプチドを含む組成物を被験体のための治療として選択する工程を含むことができる。
【0175】
1つまたは複数の細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する方法は当該分野で公知であり、上に記載している。例えば、被験体から得た生物サンプル(例えば、血液サンプルまたはリンパ節組織サンプル)を、本明細書中に記載の方法によって作製したXBP1、CD138、またはCS1特異的抗体を使用して試験して、細胞(または細胞溶解物)によるXBP1、CD138、またはCS1ポリペプチド発現の存在または量を検出することができる(例えば、実働する実施例およびSambrookら前出を参照のこと)。ポリペプチドの存在または量について生物サンプルをアッセイする方法には、例えば、ELISA、免疫組織化学、フローサイトメトリー、ウェスタンブロッティング、またはドットブロッティングアッセイが含まれる。
【0176】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載の任意の方法はまた、被験体由来の生物サンプルを準備する工程および/または被験体から生物サンプルを得る工程を含むことができる。本明細書中に記載の方法に適切な生物サンプルには、目的の分析タンパク質(例えば、XBP1、CD138、またはCS1タンパク質)を含む任意の体液、細胞、組織、またはそのフラグメントが含まれる。生物サンプルは、例えば、被験体(例えば、ヒトなどの哺乳動物)から得た検体であり得るか、かかる被験体に由来し得る。例えば、サンプルは、生検によって得た組織切片または組織培養物中に存在するかこれに適応した細胞であり得る。生物サンプルはまた、細胞含有体液(尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、痰、脳脊髄液、涙、粘液、または吸引液(例えば、肺吸引液または乳頭吸引液)など)、または紙またはポリマー基質上に吸収させたかかるサンプルであり得る。生物サンプルを、必要に応じて、特定の細胞型を含む画分にさらに分画することができる。例えば、血液サンプルを、血清または特定の血球型(赤血球または白血球(白血球細胞)など)を含む画分に分画することができる。必要に応じて、サンプルは、被験体由来のサンプル型の組み合わせ(組織と体液との組み合わせなど)であり得る。
【0177】
生物サンプルを、被験体(例えば、癌(例えば、多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症)を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある被験体)から得ることができる。任意の適切な生物サンプルを得る方法を使用することができるが、例示的な方法には、例えば、静脈切開、スワブ(例えば、口内スワブ)、吸引、または細針吸引生検手順が含まれる。細針吸引に感受性を示す組織の非限定的な例には、リンパ節、肺、甲状腺、乳房、および肝臓が含まれる。サンプルを、例えば、マイクロダイセクション(例えば、レーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)またはレーザーマイクロダイセクション(LMD))、膀胱洗浄、スメア(PAPスメア)、または乳管洗浄によって回収することもできる。
【0178】
例えば、上記方法を使用した被験体における癌(例えば、多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症)の検出後、医療従事者(例えば、医師)は、例えば、(i)薬物の処方箋の記入、(ii)被験体への薬物の提供(しかし、必ずしも投与しない)(例えば、患者が医師のオフィスに滞在している間の患者に対する処方薬物サンプルの付与)、(iii)提案または推奨される治療法(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドを含む治療)の患者への伝達(会話、書面(処方箋以外)、または電子的伝達(電子メール、安全なサイトへの電子的投稿));または(iv)被験体に適切な治療法の同定および、例えば、診療録による他の医療関係者への情報の周知によって被験体に適切な治療法(例えば、本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドを含む治療)を選択することができる。後者(iv)は、例えば、1個を超える治療または治療薬を異なる医療従事者によって患者に投与すべき場合に有用であり得る。
【0179】
(任意の上記方法を使用した)被験体中のXBP1、CD138、またはCS1の存在または量の検出および/または被験体のための治療の選択後、医療従事者(例えば、医師)は、適切な治療法を被験体に施与ことができる。本明細書中に記載の1つまたは複数のペプチドを含む治療の施与方法は、上に詳述している。
【0180】
さらに、医療従事者はまた、1つまたは複数のさらなる癌治療薬または抗癌剤の副作用を処置するための1つまたは複数の薬物を選択、処方、および/または投与することができる。多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の処置に適切な化学療法薬には、例えば、メルファラン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、ドキソルビシン、プレドニゾン、デキサメタゾン、プロテオソームインヒビター(例えば、ボルテゾミブ)、サリドマイド、またはレナリドマイドが含まれる。
【0181】
抗癌剤の副作用には、例えば、貧血、胃腸管の症状(例えば、嘔気、嘔吐、下痢)、白血球減少症(感染症を引き起こし得る白血球数の減少)、一過性の脱毛、または血小板減少症(出血を引き起こし得る血小板数の減少)が含まれる。したがって、医師は、抗貧血薬(エポエチンα(例えば、Procrit(登録商標)またはEpogen(登録商標))など)と共に化学療法薬(ビンクリスチンなど)を被験体に処方するか投与することができる。
【0182】
キットおよび製造品
本開示はまた、種々のキットを特徴とする。キットは、例えば、1つまたは複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の本明細書中に記載の任意のペプチド(あるいは1つまたは複数のペプチドをコードする核酸配列を含む発現ベクター)、および被験体にペプチドを投与するための説明書を含むことができる。キットは、1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリアおよび/あるいは1つまたは複数の免疫刺激剤を含むことができる。免疫刺激剤は、例えば、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、またはアジュバントであり得る。
【0183】
キットはまた、1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬を含むことができる。1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬には、以下が含まれるが、これらに限定されない:(i)炎症反応を調整する薬剤(例えば、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、ナプロキセン、ステロイド、クロモリンナトリウム、またはテオフィリン)、(ii)腎臓および/または心血管機能に影響を及ぼす薬剤(例えば、フロセミド、チアジド、アミロライド、スピロノラクトン、カプトプリル、エナラプリル、リシノプリル、ジルチアゼム、ニフェジピン、ベラパミル、ジゴキシン、イソルジル、ドブタミン、リドカイン、キニジン、アデノシン、ジギタリス、メバスタチン、ロバスタチン、シンバスタチン、またはメバロナート)、(iii)胃腸機能に影響を及ぼす薬物(例えば、オメプラゾールまたはスクラルファート)、(iv)抗生物質(例えば、テトラサイクリン、クリンダマイシン、アンホテリシンB、キニーネ、メチシリン、バンコマイシン、ペニシリンG、アモキシシリン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、ドキシサイクリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、クロラムフェニコール、イソシアジド、フルコナゾール、またはアマンタジン)、(v)抗癌剤(例えば、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシル、シタラビン、メルカプトプリン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ヒドロキシ尿素、プレドニゾン、タモキシフェン、シスプラチン、またはデカルバジン)、(vi)免疫調節薬(例えば、インターロイキン、インターフェロン(例えば、インターフェロンγ(IFN−γ)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、腫瘍壊死因子α(TNFα)、腫瘍壊死因子β(TNFβ)、シクロスポリン、FK506、アザチオプリン、ステロイド)、(ix)血液および/または造血器官に作用する薬物(例えば、インターロイキン、G−CSF、GM−CSF、エリスロポエチン、ヘパリン、ワルファリン、またはクマリン)、または(vii)ホルモン(例えば、成長ホルモン(GH)、プロラクチン、黄体形成ホルモン、TSH、ACTH、インスリン、FSH、CG、ソマトスタチン、エストロゲン、アンドロゲン、プロゲステロン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)、チロキシン、トリヨードサイロニン)、ホルモンアンタゴニスト、石灰化および骨代謝回転に影響を及ぼす薬剤(例えば、リン酸カルシウム、副甲状腺ホルモン(PTH)、ビタミンD、ビスホスホネート、カルシトニン、フルオリド)。
【0184】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書中に記載のXBP1、CD138、および/またはCS1抗体のいずれかの1つまたは複数(例えば、1、2、または3、またはこれを超える)を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、それぞれ異なるタンパク質に特異的な2つの抗体を含むことができる。例えば、キットは、1つのXBP1特異的抗体(本明細書中に記載)および1つのCS1特異的抗体(本明細書中に記載)を含むことができる。いくつかの実施形態では、キットは、それぞれ異なるタンパク質に特異的な3つの抗体を含むことができる。キットは、任意選択的に、1つまたは複数のXBP1、CD138、および/またはCS1タンパク質の存在または量について生物サンプルをアッセイするための説明書を含むことができる。
【0185】
容器、および容器内に含まれる組成物を含む製造品であって、組成物が哺乳動物(例えば、ヒト)において免疫応答を誘導するための有効成分を含み、有効成分が1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個、またはこれを超える)の本明細書中に記載の任意のペプチドを含み、容器は組成物が哺乳動物(例えば、本明細書中に記載の任意の哺乳動物)における免疫応答の誘導用であることを示すラベルを有する、製造品も特徴とする。ラベルは、さらに、多発性骨髄腫および/またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に組成物を投与すべきであることを示すことができる。製造品の組成物は乾燥物または凍結乾燥物であり得、例えば、乾燥または凍結乾燥した組成物の溶解のための1つまたは複数の解決法(および/または説明書)を含むことができる。
【0186】
製造品はまた、哺乳動物(例えば、上記)に組成物を投与するための説明書を含むことができる。
【0187】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図するが、本発明を制限しない。
【実施例】
【0188】
実施例1.材料と方法
細胞株。ヒト多発性骨髄腫細胞株:McCAR、MM1S、およびU226を、American Type Culture Collection(ATCC;Manassas,VA)から入手した。ヒト急性骨髄性白血病(AML)細胞株(ML−2)は、Dr.Y.Matsuo,Fujisaki Cell Center,Okayama,Japanから特別に提供して頂いた。HLA−A2.1分子を発現するヒトB細胞およびT細胞ハイブリッドであるT2細胞株(Zweerinkら,(1993)J Immunol.150(5):1763−71)は、Dr.J.Molldrem(University of Texas M.D.Anderson Cancer Center,Houston,TX)から提供して頂き、抗原提示細胞(APC)の供給源として使用した。全細胞株を、10%ウシ胎児血清(FCS;BioWhittaker,Walkersville,MD)、100IU/mlペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシン(Gibco−Life Technologies)を補足したRPMI−1640培地(Gibco−Life Technologies,Rockville,MD)中で培養した。
【0189】
試薬。フィコエリトリン(PE)に抱合したマウス抗ヒトCD80またはCD83モノクローナル抗体(mAb)を、Immunotech(Hialeigha,FL)から購入した。フルオレセインイチオシアナート(fluoroscein isothyocyanate)(FITC)、PE、またはPerCPと抱合したCD3、CD4、CD8、CD14、CD40、CD45RA、CD45RO、CD69、CD80、CD83、CD86、CCR7、HLA−A2、およびHLA−DR特異的mAbsをBecton Dickinson/Pharmingen(San Diego,CA)から購入した。
【0190】
合成ペプチド。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL;配列番号25)およびMAGE−3ペプチド(FLWGPRALV;配列番号26)を、コントロールHLA−A2結合ペプチドとして使用した。6つの未変性スプライシングXBP1ペプチド:XBP1117〜125(LLREKTHGL;配列番号1);XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2));XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3));XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4));XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5));XBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27));3つの未変性スプライシングXBP1ペプチド(SP XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7));SP XBP1193〜201(ILLGILDNL(配列番号8));SP XBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9))が含まれる);ヘテロクリティックXBP1(YISPWILAV(配列番号6));およびヘテロクリティックスプライシングXBP1(YILDNLDPV(配列番号27));およびYLFPQLISV(配列番号10))ペプチドをデザインし、潜在的なHLA−A2結合ペプチドとして試験した。本明細書中で使用する場合、「ヘテロクリティック」(例えば、ヘテロクリティックペプチド)は、対応する野生型ペプチドよりも免疫原性が高いペプチドを産生するために野生型または元の配列由来の1つまたは複数のアミノ酸が改変されたペプチドの形態をいう。例えば、すぐ上に記載の例示的ヘテロクリティックペプチドでは、太字のアミノ酸は、XBP1の野生型配列から改変したアミノ酸を示す。
【0191】
4つの未変性CD138ペプチド:CD138256〜264(VIAGGLVGL(配列番号11));CD138260〜268(GLVGLIFAV(配列番号12));CD1385〜13(ALWLWLCAL(配列番号13));およびCD1387〜15(WLWLCALAL(配列番号14))をデザインし、潜在的なHLA−A2結合ペプチドとして試験した。
【0192】
4つの未変性CS1ペプチド:CS1−P1:CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15));CS1−P2:CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16));CS1−P3:CS1232〜240(LLVPLLLSL(配列番号17));およびCS1−P4:CS19〜17(TLIYILWQL(配列番号18))を、(3つの異なるデータベースRANKPEP、BIMAS、およびNetMHCを使用して)デザインし、潜在的なHLA−A2結合ペプチドとして試験した(例えば、Recheら(2002)Human Immunology 63:710−709を参照のこと)。
【0193】
XBP−1およびCD138ペプチドを、標準的なFMOC(9−フルオレニルメチル−オキシカルボニル)化学によって合成し(Biosynthesis,Lewisville,TX)、逆相クロマトグラフィを使用して85%超に精製し、質量分析によって分子量について確証した。New England Peptides LLCによって純度95%超のCS1ペプチドを合成した。凍結乾燥したペプチドをジメチルスルホキシド(DMSO)(Sigma,St.Louis,MO)に溶解し、AIM−V培地(Gibco−Life Technologies)で希釈し、−140℃で保存した。
【0194】
ペプチド結合アッセイ。XBP1、CD138、またはCS1ペプチドを、T2細胞上のHLA−A2結合について評価した。アッセイでは、T2細胞を洗浄し、無血清AIM−V培地に最終濃度1×106細胞/mlで再懸濁し、24ウェル組織培養プレートに移した。細胞を、50μg/mlの各XBP1、CD138、またはCS1ペプチド、または30μg/mlインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド+3μgヒトβ2ミクログロブリン(Sigma)とインキュベートし、加湿空気中にて37℃、5%CO2でインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞を洗浄し、次いで、FITC抱合した(またはHLA−A2へのCS1ペプチドの結合の決定の場合、PE抱合した)マウス抗ヒトHLA−A2モノクローナル抗体と4℃で15分間接触させた。細胞を再度洗浄し、次いで、CellQuest(商標)v2.1ソフトウェア(Becton Dickinson,San Jose,CA)を具備したFACSort(商標)フローサイトメーターを使用した蛍光フローサイトメトリー(FFC)によって分析した。ペプチドがHLA−A2に結合する能力を、HLA−A2へのペプチドの結合に原因するT2細胞表面上のHLA−A2分子の上方制御の測定によって決定し、FFC分析を使用して平均蛍光強度(MFI)に反映させた。
【0195】
ペプチド安定性アッセイ。HLA−A2分子の結合溝中のXBP1またはCD138ペプチドの安定性を、ヒトT2細胞株を使用して試験した。T2細胞を、上記の種々のペプチドとインキュベートした。一晩のインキュベーション後、細胞を洗浄して非結合ペプチドを除去し、次いで、10μg/mlブレフェルジンA(Sigma)と37℃で1時間インキュベートして、新規に合成されたHLA−A2.1分子の細胞表面発現をブロッキングした。ペプチド/HLA−A2結合安定性を、ブレフェルジンA処置の0、2、4、6、および18時間後に測定した。インキュベーション後、細胞を採取し、洗浄し、FITC抱合マウス抗ヒトHLA−A2モノクローナル抗体で染色し、CellQuest(商標)v2.1ソフトウェア(Becton Dickinson)を具備したFACSort(商標)フローサイトメーターを使用したFFCによって分析した。
【0196】
単球由来成熟樹状細胞の生成。末梢血単核球(PBMC)を、Ficoll−Paque(商標)Plus(Amersham Pharmacia Biotech AB,Uppsala Sweden)による標準的な密度勾配遠心分離を使用して正常なヒトドナーから得たロイコパックから単離した。樹状細胞(DC)を、以下のように接着細胞画分として得た単球から生成した。未成熟DC(immDC)を生成するために、単球を、1,000U/ml GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)および1,000U/ml IL−4(インターロイキン−4)の存在下にて、10%ウシ胎児血清(FCS;BioWhittaker,Walkersville,MD)を補足したRPMI−1640培地(Gibco−Life Technologies,Rockville,MD)中で7日間培養した。新鮮な培地+GM−CSFおよびIL−4を、1日おきに培養物に添加した。1,000U/ml IFN−α(インターフェロンα)+10ng/ml TNF−α(腫瘍壊死因子α)中で7日目に新鮮なGM−CSFおよびIL−4を含む10%FCS−RPMIと共にimmDCを3日間培養することによって成熟DC(mDC)を得た。immDCおよびmDCを回収し、CD14、CD40、CD80、CD83、CD86、およびHLA−DR特異的抗体およびFFC分析を使用して、その発現表現型について試験した。
【0197】
CD3+T細胞の単離。正常ドナーのT細胞を、Miltenyi Biotec(Auburn,CA)のPanT細胞単離キットを使用して、PBMCの非接着細胞画分(単球接着後)から得た。簡潔に述べれば、ハプテン抱合したCD11b、CD16、CD19、CD36、およびCD56抗体のカクテルを使用した標識ならびに抗ハプテンモノクローナル抗体にカップリングしたMACマイクロビーズを含むカラムによるB細胞、NK細胞、初期赤血球系細胞、血小板、および好塩基球の枯渇によってT細胞を富化させた。溶出物(陰性細胞画分)を、富化CD3+T細胞としてカラムから回収した。最初に得たT細胞から富化したCD3+T細胞の純度(平均±標準偏差)を、フローサイトメトリーによって試験し、94±2%であることが判明した。
【0198】
ペプチド特異的CTLの誘導。ペプチド特異的CTL(すなわち、XBP1、CD138、またはCS1−ペプチド特異的CTL)を、XBP1、CD138、またはCS1−ペプチドパルスした抗原提示細胞(APC)(T2細胞またはmDCのいずれか)での正常なHLA−A2+ドナーから得たCD3+Tリンパ球の反復刺激によってex vivoで生成した。簡潔に述べれば、T2細胞を洗浄し、無血清AIM−V培地(Gibco BRL)に再懸濁し、50μg/mlの適切なXBP1またはCD138ペプチドで37℃で一晩パルスした。ペプチドパルスしたAPCを洗浄し、計数し、10Gyで照射し、これを使用して、10%ヒトAB血清(BioWhittaker,Walkersville,MD)を補足したAIM−V培地中にて、T2/ペプチド(刺激物質)のCD3+T細胞(反応物)に対する比が1:40でCD3+T細胞を予備刺激した。T細胞培養物を、照射したAPC/ペプチドにて7日間毎に合計で4サイクル再刺激して、XBP1ペプチド特異的CTL(XBP1−CTL)、CD138ペプチド特異的CTL(CD138−CTL)、またはCS1ペプチド特異的CTL(CS1−CTL)を生成した。本明細書中で言及した「XBP1−CTL」、「CD138−CTL」、および「CS1−CTL」がクローン性(または均一な)集団ではないことが上記から明らかである。むしろ、XBP1−CTL細胞、CD138−CTL細胞、およびCS1−CTL細胞は、正常ドナーから得た非特異的CTL、APC、および他のリンパ球と共にXBP1ペプチド、CD138ペプチド、またはCS1ペプチド特異的CTLを含むリンパ球(lympocyte)の不均一な集団である。50U/mlのインターロイキン−2(IL−2)を、第2の刺激の2日後に培養物に添加した。コントロールT細胞培養物(ペプチドで刺激せず)を、50U/ml IL−2を含む10%ヒトAB血清を補足したAIM−V培地中で保存した。
【0199】
XBP1−CTL、CD138−CTL、または標的細胞の表現型分析。XBP1−CTL、CD4、またはCD8の表現型を決定するために、細胞による発現を抗CD4−PEまたは抗CD8−FITCマウス抗ヒトmAbを使用して検出した。さらに、種々の他の発現マーカーを、FITC抱合した抗CD69/PE抱合した抗CD45ROまたはFITC抱合した抗CD45RA−FITC/PE抱合した抗CCR7マウス抗ヒトmAbのいずれかの組み合わせを使用して細胞上で検出した。あるいは、U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞によるHLA−A2発現を、FITC抱合した抗HLA−A2抗ヒトmAbを使用して決定した。細胞の抗体との4℃で15分間の接触後、細胞を洗浄し、CellQuest v2.1ソフトウェア(Becton Dikinson)を具備したFACSort(商標)フローサイトメーターを使用して分析した。
【0200】
ウェスタンブロッティング。各細胞株(U266、McCAR、ML−2、およびMM1S)由来の約100μgタンパク質溶解物を、Laemmliサンプル緩衝液(0.1M Tris−HCl緩衝液(pH6.8)、1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.05%β−メルカプトエタノール、10%グリセロール、および0.001%ブロモフェノールブルーを含む)に懸濁し、2分間ボイルし、8〜16%勾配ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)に80Vで2時間供した(Xcell Surelock Mini Cell,Invitrogen,Carlsbad,CA)。タンパク質ラダー(既知の分子量のタンパク質の混合物)をゲルにおけるサイズマーカーとして使用して、ペプチドの分子量を決定した(Invitrogen,Carlsbad,CA)。ゲルを、ニトロセルロース膜(Trans−Blot,0.2ミクロン転写膜,Bio−Rad Laboratories,CA)上にトリス−グリシン緩衝液中にて40Vで2時間エレクトロブロッティングした。ニトロセルロース膜上へのタンパク質の移行を、ポンソーS染色によって確認した。マウス抗ヒトXBP1抗体または抗ヒトCD138抗体との膜のインキュベーションを、1%BSAを含むリン酸緩衝化生理食塩水およびTween20(PBST)中で一定に震盪しながら1時間行った。膜をPBSTで3回洗浄し、3%脱脂粉乳を含むPBST中の抗マウスIgG−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体中にて1時間インキュベートした。洗浄後、特異的タンパク質を、製品マニュアル中に提供された説明書(Amersham Life Sciences Inc.,Arlington Heights,IL)にしたがって高感度化学発光を使用して検出した。
【0201】
IFN−γELISA。多発性骨髄腫(MM)細胞(McCAR、MM1S)、急性骨髄性白血病(AML)細胞(ML−2)、またはT2細胞(上記)との共培養後のXBP1−CTL、CD138−CTL、またはCS1−CTLによるIFN−γ放出を、BD Biosciences(San Diego,CA)のヒトIFN−γELISAキットを使用して測定した。簡潔に述べれば、標準としての精製IFN−γまたはCTL上清の希釈物を、モノクローナル抗ヒトIFN−γ捕捉抗体でプレコーティングした96ウェルプレートのウェルに移し、室温で2時間インキュベートした。数回の洗浄後、検出抗体およびアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体を含む緩衝液を各ウェルに添加し、室温で1時間インキュベートした。ウェルを洗浄し、次いで、各ウェルに西洋ワサビペルオキシダーゼ基質溶液を添加し、室温で30分間インキュベートした。停止液を各ウェルに添加し、PerkinElmer Wallac Victor2カウンター(PerkinElmer,Wellesley,MA)を使用して450nmでの吸光度を決定した。CTL培養物上清中のサイトカインの存在量を、IFN−γ検量線に基づいて計算した。
【0202】
カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(CFSE)追跡による細胞増殖。XBP1−CTLまたはCD138−CTLをPBS(Gibco−BRL)で2回洗浄し、RPMI−1640培養培地に濃度1×106細胞/mlで再懸濁した。DMSO中の5mM保存液の形態のCFSE(Molecular Probes,Eugene,OR)をCTLに添加して最終濃度5μMにし、遮光したCO2インキュベーター中に37℃で10分間インキュベートした。インキュベーション後、CTL細胞の体積の5倍に等価な体積の氷冷PBS(2%FCS含有)を細胞に添加して反応を停止させた。細胞を氷上で5分間インキュベートし、遠心分離し、全部で3回の洗浄後に新鮮なPBS(2%FCS含有)に再懸濁した。CFSE標識したT細胞を、RPMI培養培地を使用して濃度2×106細胞/mlに調整し、2×105細胞/mlのMcCAR細胞、ML−2細胞、MM1S細胞、または細胞なしで刺激した。刺激したCFSE標識細胞を、4日目にFFC分析によって試験した。
【0203】
細胞傷害性アッセイ。XBP1−CTL、CD138−CTL、またはCS1−CTLの細胞傷害活性を、例えば、Rodenら(1999)J.Immunol Methods 226:29−41に記載のカルセイン放出アッセイによって測定した。簡潔に述べれば、標的細胞(3×105細胞)(T2、U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞が含まれる)を、10mMカルセイン−AM(Molecular Probes)を含む無血清培養培地中にて37℃で30分間インキュベートし、5%FCSを含む冷PBSで3回洗浄し、エフェクター細胞(5×103細胞/ウェル)と種々のエフェクター:標的細胞比にて96ウェルU底マイクロタイタープレート(三連ウェル/サンプル)中でインキュベートした。プレートを、37℃および5%CO2にて3時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を1,000rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、100μlの上清を96ウェル平底マイクロタイタープレート(Nunc)のウェルに移し、カルセイン放出を、細胞からの蛍光放出量として測定した(VICTOR2−1420マルチラベルカウンター(PerkinElmer,Boston,MA)を使用)。最大カルセイン放出を界面活性剤放出した標的細胞数から得、自発的放出をエフェクター細胞の非存在下での標的細胞数から得た。細胞傷害性を以下のように計算した:%比溶解(specific lysis)=[(実験的放出−自発的放出)÷(最大放出−自発的放出)]×100。
【0204】
CD107細胞傷害性アッセイ。CD107細胞傷害性アッセイを、Bettsら(2003)およびMittendorfら(2005)を以下に詳述のように少し変更して行った。無血清培地中および組織培養プレートのウェル中で成長したT2細胞またはMcCAR細胞を、CD138ペプチドまたはMAGEペプチドと37℃で約12時間接触させた。次いで、細胞を洗浄して、非結合ペプチドを除去した。次いで、CD138−CTLを、上記の処置したT2細胞またはMcCAR細胞(それぞれ、ペプチド抗原を提示する)と種々のエフェクター:標的比で共培養した。10μlアリコートの各CD107aおよびCD107b(共に検出可能な標識FITCに抱合)を、CD138−CTL添加と同時に各ウェルに添加した。細胞を含むプレートを1000rpmで5分間遠心分離し、37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、0.02μgのブレフェルジンAを各ウェルに添加し、細胞を37℃でさらに4時間インキュベートした。細胞を回収し、Pharmingen染色緩衝液(Pharmingen−BD Biosciences,San Jose,CA)で洗浄し、PE抱合したマウス抗ヒトCD8抗体と30分間接触させてCD8発現を検出した。細胞を洗浄し、フローサイトメトリーによって分析した。
【0205】
実施例2.XBP1184〜192(NISPWILAV)およびスプライシングXBP1367〜145(ELFPQLISV)ペプチドはHLA−A2結合に対して高い親和性/安定性を示す。
【0206】
非スプライシングまたはスプライシングXBP1タンパク質(上記を参照のこと)の全長配列を、検索ソフトウェアSYFPEITHI(MHCリガンドおよびペプチドモチーフのデータベース、Institute for Cell Biology,Department of Immunology,Heidlberg)を使用して分析して、HLA−A2に特異的なペプチドを予想し、その後にBIMASプログラムによって半減期解離速度が延長されたペプチドを選択した。全部で6つの潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを、以下の非スプライシングXBP1タンパク質から選択した:XBP1117〜125(LLREKTHGL(配列番号1);XBP1番号1ペプチド)、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2);XBP1番号2ペプチド)、XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3);XBP1番号3ペプチド)、XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4);XBP1番号4ペプチド)、XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5);XBP1番号5ペプチド)、およびXBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27);XBP1番号6ペプチド)。さらに、3つの潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを、評価のために以下のスプライシングXBP1タンパク質から選択した:SP XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7);SP XBP1番号1ペプチド)、SP XBP1193〜201(ILLGILDNL(配列番号8);SP XBP1番号2ペプチド)、およびSP XBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9);SP XBP1番号3ペプチド)。これらの未変性XBP1ペプチドおよびインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))(HLA−A2結合ペプチドであることが公知)のHLA−A2親和性を、T2ペプチド結合アッセイを使用して評価した。ペプチドの特異的親和性を、HLA−A2へのペプチド結合後のT2細胞上のHLA−A2上方制御の関数であるHLA−A2−平均蛍光強度(MFI)として評価した。非スプライシングXBP1タンパク質由来の試験ペプチドのうち、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2);XBP1番号2pという)は、HLA−A2に対して最も高い親和性を有し(MFI=720±140)、インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号16))(MFI=604±10)よりもさらに高い親和性を保有すると判断された。残りのペプチドであるXBP1117〜125(LLREKTHGL(配列番号1))、XBP1189〜197(ILAVLTLQI(配列番号3))、XBP1192〜200(ILAVLTLQI(配列番号4))、XBP1110〜118(KLLLENQLL(配列番号5))、およびXBP193〜101(RMSELEQQV(配列番号27))はまた、XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2))ペプチドよりも低いが、HLA−A2親和性に対して有意な親和性を有していた(図1)。
【0207】
各ペプチドのHLA−A2結合安定性を、ブレフェルジンA処置の0、2、4、6、および18時間後に評価した。予備研究により、非スプライシングXBP1番号2pペプチドがインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))と比較して有意に低レベルのHLA−A2結合安定性を有することが証明された。HLA−A2裂溝内のXBP1番号2pの安定性を改善するために、アルギニン184をチロシンと置換したヘテロクリティックペプチドを未変性XBP1184〜192(NISPWILAV(配列番号2))からデザインした(ヘテロクリティックYISPWILAV(配列番号6)ペプチド;本明細書中でXBP1 2Mと呼ばれる;太字のアミノ酸は野生型配列から改変されたアミノ酸を示す)。図2は、XBP1 2MのHLA−A2結合安定性を試験するための実験結果を示す。図2に示すように、未変性ペプチド対応物と比較してヘテロクリティックペプチドについて有意により長い期間のT2細胞上のHLA−A2上方制御(ペプチドの結合安定性の関数として)が認められた。これらの結果は、ペプチドの改変によってより高いHLA−A2結合安定性が得られたことを証明した。
【0208】
試験したスプライシングXBP1ペプチドのうち、未変性SP XBP1196〜204(GILDNLDPV(配列番号7);SP XBP1番号1p)およびSP XBP1367〜375(ELFPQLISV(配列番号9);SP XBP1番号3p)は、それぞれMFIスコア762±167および785±84に反映されるように、HLA−A2に対する高親和性を有していた。この親和性は、MFI=807±113を有するインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))の親和性に匹敵した(図3)。ペプチド配列SP XBP1番号1pおよびSP XBP1番号3pを上記のように改変して、そのHLA−A2結合安定性を増強した。すなわち、各ペプチドの第1のアミノ酸をチロシンと置換した。図4は、その未変性対応物と比較してヘテロクリティックペプチドYLFPQLISV(配列番号10;SP XBP1番号3Mという)によって誘導されたT2細胞上のHLA−A2上方制御の増加を示す。このより高いレベルのHLA−A2上方制御を、細胞含有ウェルからの過剰な非結合ペプチドの除去後のヘテロクリティックペプチドのブレフェルジンA中での6時間の培養によって維持した。XBP1番号3Mの有効性と対照的に、ヘテロクリティックペプチドYILDNLDPV(配列番号28)(未変性ペプチドXBP1番号1pに由来)は、その未変性対応物を超えるHLA−A2安定性の有意な増加を示さなかった。
【0209】
したがって、ヘテロクリティックペプチドYLFPQLISV(配列番号10)およびYISPWILAV(配列番号6)を、XBP1抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(XBP1−CTL)を活性化する能力をさらに評価するために選択した。
【0210】
実施例3.XBP1−CTLは非刺激T細胞と異なる表現型を示す
細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を、異なる細胞表面抗原(例えば、CD8)の発現によって表現型的に定義する。細胞表面抗原を使用して、ナイーブまたは活性化記憶細胞としてCTLをさらに定義することもできる。例えば、ナイーブヒトCTLをCD45RA+/CCR7+の存在によって同定することができるのに対して、活性化ヒト記憶細胞をCD69+/CD45RO+として同定することができる。ヘテロクリティックペプチドで刺激したヒトT細胞集団に対してフローサイトメトリーを行って、ナイーブまたは活性化記憶細胞であったCTLの比率を決定した。図5は、XBP1ヘテロクリティックペプチドで刺激したCTLが非刺激T細胞培養物(33%)と比較して有意に高い比率のCD8+T細胞を誘導し(非スプライシングペプチド刺激:81%;スプライシングペプチド刺激:75%)、非刺激T細胞培養物(64%)と比較して低い比率のCD4+T細胞(非スプライシングペプチド刺激:14%;スプライシングペプチド刺激:18%)を誘導することを示す。非刺激コントロールT細胞またはCD138−CTLを、ナイーブ(CD45RA+/CCR7+)または活性化記憶(CD69+/CD45RO+)細胞状態についてさらに試験した。コントロールT細胞培養物が24%のCD45RA+CCR7+ナイーブ細胞を含んでいた場合、たった1%または2%のXBP1−CTLしかこの表現型を示さなかった。さらに、CD69+/CD45RO+(活性化記憶)表現型を発現する細胞集団は、コントロールT細胞(4%)と比較してXBP1−CTL中で有意に高かった(非スプライシングペプチド刺激:62%;スプライシングペプチド刺激:64%)(図6)。これらの結果は、XBP1ヘテロクリティックペプチドがT細胞の表現型を活性化CTLに変化させることを証明している。
【0211】
実施例4.McCARおよびU266はHLA−A2およびXBP1抗原を発現する
いくつかの多発性骨髄腫細胞株中でのHLA−A2およびXBP1抗原の発現を、フローサイトメトリーおよびウェスタンブロッティングを使用して決定した。U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞をそれぞれ検出可能に標識した抗HLA−A2抗体と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した。高HLA−A2表面発現は、U266細胞株、McCAR細胞株、およびML−2細胞株で検出されたが、MM1S細胞株で検出されなかった。種々の各細胞株中でのXBP1の細胞内発現を、ウェスタンブロットによって決定した。細胞溶解物を各細胞株から調製し、SDS−PAGEに供した。これらの分析により、スプライシングXBP1タンパク質がU266細胞株、McCAR細胞株、およびMM1S細胞株中で発現したが、ML−2細胞株中で発現しなかったことが示された。対照的に、全ての試験した細胞株中に非スプライシングXBP1が認められた。
【0212】
実施例5.XBP1−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性のIFN−γ分泌
上記で生成したXBP1−CTLの抗原特異性およびHLA−A2.1拘束を、上記で参照した多発性骨髄腫細胞株での刺激後のIFN−γ分泌の誘導の測定によって決定した。XBP1−CTLは、McCAR細胞と培養した場合にIFN−γ分泌の有意な増加(*p<0.05)を示した。対照的に、ML−2細胞またはMM1S細胞と培養した場合にXBP1−CTL由来の極めて少ないIFN−γ分泌が認められた(図7)。McCAR細胞のみがHLA−A2およびXBP1の両方を発現することが見出された。これらの結果により、XBP1−CTLは多発性骨髄腫細胞上に提示されたXBP1ペプチドに対して抗原特異的およびHLA−A2拘束応答が可能であることが示唆される。
【0213】
実施例6.XBP1−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性の細胞増殖
XBP1−CTLを、上記のようにカルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE)に曝露した。種々の腫瘍株での刺激に応答したXBP1−CTLの増殖を、細胞中のCFSE量の測定によって決定した。CFSEは膜透過性色素であり、細胞によって取り込まれる。細胞分裂の際、CFSEの半分が各娘細胞に分配される。次いで、各娘細胞が分裂する場合、元のCFSE濃度の全部で1/4が第3世代細胞に分配される。したがって、細胞分裂数を、各細胞集団中の色素の濃度の逆数として決定することができる。
【0214】
XBP1−CTLを、膜透過性色素CFSEと10分間インキュベートし、洗浄し、次いで、上記多発性骨髄腫細胞と接触させた。CFSE量をフローサイトメトリーを使用して決定した。細胞を50U/ml IL−2とインキュベートした場合、有意なCTL増殖は認められなかった。しかし、XBP1−CTL細胞をMcCAR細胞と培養した場合に有意により高いCTL増殖が認められた(M1ゲーティング;XBP1−2M:55%、XBP1 SP−3M:42%)(図8)。これらの結果は、CTL細胞の増殖がXBP1特異的且つHLA−A2拘束性であり、IFN−γ分泌データと一致することを証明する。
【0215】
実施例7.XBP1−CTLの抗原特異的およびHLA−A2拘束性の細胞傷害活性
ヘテロクリティックXBP1ペプチド特異的CTLが多発性骨髄腫細胞を特異的に標的して溶解する能力を決定した。YISPWILAV(配列番号6;XBP1 SP 2M)またはYLFPQLISV(配列番号10;XBP1 SP 3M)ペプチドのいずれかで誘導したXBP1−CTLを、カルセイン放出細胞傷害性アッセイによって多発性骨髄腫細胞の溶解能力について試験した。各CTL集団をMM細胞またはAML細胞と共培養し、溶解量を、溶解細胞からのカルセイン放出量の測定によって決定した。図9および10に示すように、XBP1 2M特異的CTL(図9)およびXBP1 SP 3M特異的CTL(図10)は、HLA−A2+/XBP1+悪性MM細胞を溶解することができた(McCAR(XBP1 2M−CTLによって9〜50%溶解およびXBP1 SP 3M−CTLによって15〜69%溶解)およびU266(XBP1 2M−CTLによって16〜74%溶解およびXBP1 SP 3M−CTLによって18〜83%溶解))。しかし、CTLは、HLA−A2+AML細胞(ML−2)またはHLA−A2−MM細胞(MM1S)の溶解を有意に誘導せず、この細胞傷害性が抗原特異的且つHLA−A2拘束性であることが証明された。さらに、CTLはナチュラルキラー(NK)感受性細胞株K562を死滅させず、多発性骨髄腫細胞に対して認められた細胞傷害性はXBP1−CTL中のNK細胞の夾雑に起因しないことが確認された。
【0216】
実施例8.HLA−A2結合に対するCD138ペプチドの親和性
CD138の全長配列(上記を参照のこと)を、検索ソフトウェアSYFPEITHI(MHCリガンドおよびペプチドモチーフのデータベース、Institute for Cell Biology,Department of Immunology,Heidlberg)を使用して分析して、HLA−A2に特異的なペプチドを予想し、その後にBIMASプログラムによって半減期解離速度が延長されたペプチドを選択した。全部で以下の4つの潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを選択した:CD138256〜264(VIAGGLVGL;CD138番号1p(配列番号11));CD138260〜268(GLVGLIFAV;CD138番号2p(配列番号12));CD1385〜13(ALWLWLCAL;CD138番号3p(配列番号13));およびCD1387〜15(WLWLCALAL;CD138番号4p(配列番号14))。これらの未変性CD138ペプチドおよびインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))のHLA−A2結合親和性を、T2ペプチド結合アッセイを使用して評価した。ペプチドの親和性をHLA−A2−平均蛍光強度(MFI)(HLA−A2は、HLA−A2特異的結合によってT2細胞上で上方制御される)として評価した。
【0217】
CD138由来の試験ペプチドのうち、CD138番号2pが最も特異的なHLA−A2結合を有すると判断された(MFI=690±65)。これは、HLA−A2特異的コントロールインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66の親和性(MFI=705±80)に近かった。残りのペプチド(CD138番号1p、CD138番号3p、およびCD138番号4p)は、CD138番号2pペプチドよりも有意に低いHLA−A2結合親和性を示した(図11)。
【0218】
CD138番号2pのHLA−A2結合安定性も、ブレフェルジンA処置の0、2、4、6、および18時間後に評価した。図12は、CD138番号2pのHLA−A2結合安定性を試験するための実験の結果を示す。図12中に示すように、CD138番号2pは、長期間(ペプチドパルス化後0時間、2時間、4時間、6時間、または一晩)にわたってT2上でHLA−A2上方制御を誘導する能力がインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))とほぼ等価であった。これにより、HLA−A2分子へのCD138番号2p結合の安定性レベルが高いことが証明された。
【0219】
したがって、CD138抗原特異的細胞傷害性Tリンパ球(CD138−CTL)を活性化する能力のさらなる評価のためにCD138番号2pを選択した。
【0220】
実施例9.CD138−CTLは非刺激T細胞と異なる表現型を示す
ヘテロクリティックペプチドで刺激したT細胞集団に対してFFCを実施して、ナイーブまたは活性化記憶細胞であったCTLの比率を決定した。図13は、CD138番号2pペプチドで刺激したCTLが非刺激T細胞培養物(33%)と比較して有意に高いCD8+T細胞の比率(ペプチド刺激:82%)を示し、非刺激T細胞培養物(64%)と比較して低いCD4+T細胞の比率(ペプチド刺激:15%)を示したことを示す。刺激していないコントロールT細胞またはCD138−CTLを、ナイーブ(CD45RA+/CCR7+)または活性化記憶(CD69+/CD45RO+)細胞状態についてさらに試験した。コントロールT細胞培養物が24%のCD45RA+CCR7+ナイーブ細胞を含んでいた場合、たった1%のCD138−CTLしかこの表現型を示さなかった。さらに、CD69+/CD45RO+(活性化記憶)表現型を発現する細胞集団は、コントロールT細胞(4%)と比較してCD138−CTL(67%)において有意に高かった(図14)。これらの結果は、CD138番号2pペプチドが、T細胞の表現型を活性化CTLの表現型に変化させたことを証明している。
【0221】
実施例10. McCARおよびU266はHLA−A2およびCD138抗原を発現する。
【0222】
いくつかの多発性骨髄腫細胞株におけるHLA−A2およびCD138抗原の発現をFFCを使用して決定した。U266細胞株、McCAR細胞株、およびML−2細胞株で高HLA−A2表面発現が検出されたが、MM1S細胞株では検出されなかった。U266細胞株、McCAR細胞株、およびMM1S細胞株でCD138の細胞内発現が認められたが、ML−2細胞株では認められなかった。
【0223】
実施例11.CD138−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性のIFN−γ分泌
種々の腫瘍細胞株での一晩の刺激後のIFN−γ分泌の誘導によってCD138−CTLの抗原特異性およびHLA−A2拘束をさらに確認した。CD138−CTLは、多発性骨髄腫MM1S細胞(CD138+/HLA−A2−)または急性骨髄性白血病ML−2細胞(CD138−/HLA−A2−)での刺激と比較してMcCAR細胞(CD138+/HLA−A2+)での刺激後にIFN−γ分泌の有意な増加(*p<0.05)を示した。これらの結果により、CD138−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性の応答がさらに証明される。
【0224】
実施例12.CD138−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性の細胞増殖
種々の腫瘍株での刺激に応答したCD138−CTLの増殖を、細胞中のCFSE量の測定によって決定した。CD138−CTLを、膜透過性色素CFSEと10分間インキュベートし、洗浄し、次いで、上記多発性骨髄腫細胞と接触させた。FFCを使用してCFSE量を決定した。細胞を50U/ml IL−2とインキュベートした場合、有意な細胞増殖は認められなかった。しかし、CD138−CTL細胞をMcCAR細胞と培養した場合、有意により高いCTL増殖が認められた(M1ゲーティング;50%)(図16)。これらの結果により、CTL細胞増殖がCD138特異的およびHLA−A2拘束性であり、IFN−γ分泌データと一致することが証明される。
【0225】
実施例13.カルセイン(Calcien)−細胞傷害性アッセイにおけるCD138−CTL
CD138−CTLが多発性骨髄腫細胞を特異的にターゲティングして溶解する能力を決定した。いずれかのCD138番号2pペプチドで誘導したCD138−CTLを、カルセイン放出細胞傷害性アッセイによって多発性骨髄腫細胞を溶解する能力について試験した。図17に示すように、CD138−CTLは、HLA−A2+/CD138−1+悪性多発性骨髄腫細胞U266を溶解することができた。しかし、CTLはHLA−A2+AML細胞(ML−2)やHLA−A2−MM細胞(MM1S)を有意に溶解せず、この細胞傷害性が抗原特異的およびHLA−A2拘束性であることが証明された。さらに、CTLはナチュラルキラー(NK)感受性細胞株K562を死滅させず、多発性骨髄腫細胞に対して認められた細胞傷害性がCD138−CTL中のNK細胞の夾雑に起因しないことが確認された。
【0226】
実施例14.CD107細胞傷害性アッセイにおけるCD138−CTL
CD107アッセイにより、脱顆粒(標的細胞溶解中に起こる最初の事象)中のみで発現されるマーカーを使用して、応答するCD8+T細胞の表現型および機能を特徴づけることが可能である。このアッセイを使用して、CD138−CTLの細胞傷害性レベルを、フローサイトメトリー分析によってCD138−CTLの細胞表面上のCD107aおよびCD107bの上方制御レベルを分析することによって測定した。結果により、CD138−CTLが生理学的変化を受けて、異なるエフェクターに対する標的比(5:1、1:1、または1:5)で、対応するCD138−ペプチド提示T2細胞の溶解を誘導するが、無関係のMAGE3ペプチドパルスしたT2細胞では誘導しなかったことが証明された(図18A)。さらに、CD138−CTLは、対応するCD138ペプチド提示McCAR細胞(CD138+/HLA−A2+)細胞の溶解を誘導したが、無関係のMAGE3ペプチド提示細胞は誘導しなかった(CTL:刺激物質比(1:1)で)(図18B)。
【0227】
実施例15.多発性骨髄腫細胞株および初代多発性骨髄腫癌細胞によるCS1ポリペプチドの発現
いくつかの多発性骨髄腫細胞株におけるHLA−A2およびCS1抗原の発現を、FFCマイクロアレイ分析を使用して決定した。U266細胞、McCAR細胞、ML−2細胞、およびMM1S細胞をそれぞれ検出可能に標識した抗HLA−A2抗体および検出可能に標識した抗CS1抗体と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した。同様に、MMを有する6人の各患者から初代MM細胞を得、検出可能に標識した抗HLA−A2抗体および検出可能に標識した抗CS1抗体と接触させ、フローサイトメトリー分析に供した。高レベルのHLA−A2およびCS1タンパク質表面発現がU266細胞株、McCAR細胞株、およびML−2細胞株の表面上で検出されたが、MM1S細胞株上には検出されなかった。
【0228】
CS1がヒト患者から得た初代MM細胞中で発現されるかどうかを試験するために、マイクロアレイ分析を複数の患者から得た初代MMサンプルに対して行った。総RNAを各MM患者のCD138精製腫瘍細胞から単離し、Affymetrix U133 Plus 2.0アレイ(Affymetrix,California)を使用してマイクロアレイ分析に供した。MMを持たない患者由来の細胞中の発現と比較して、MM細胞中の高CS1 mRNA発現が大部分のMM細胞中で認められた(図19)。
【0229】
まとめると、これらの結果により、CS1タンパク質が初代および培養したMM細胞の両方で発現されることが証明される。
【0230】
実施例16.HLA−A2結合に対するCS1ペプチドの親和性
CS1タンパク質の全長配列(上記を参照のこと)を検索ソフトウェアRANKPEP、BIMAS、およびNetMHCを使用して分析して、HLA−A2に特異的なペプチドを予想した。全部で4つの以下の潜在的なHLA−A2結合未変性ペプチドを選択した:CS1−P1:CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15));CS1−P2:CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16));CS1−P3:CS1232〜240(LLVPLLLSL(配列番号17))、およびCS1−P4:CS19〜17(TLIYILWQL(配列番号18))。これらの未変性CS1ペプチドおよびインフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチド58〜66(GILGFVFTL(配列番号24))のHLA−A2結合親和性を、T2ペプチド結合アッセイを使用して評価した。ペプチドの親和性を、HLA−A2−平均蛍光強度(MFI)(HLA−A2はHLA−A2特異的結合によってT2細胞上で上方制御される)として評価した。HLA−A*0201分子に結合するペプチドを、T2細胞株を使用して測定した。T2細胞(1×106細胞/mL)を、3μgのヒトβ2−ミクログロブリンおよび/または50μg/mLのCS1ペプチドとインキュベートした。インフルエンザウイルスタンパク質基質ペプチドを、ポジティブコントロールとして使用した。一晩のインキュベーション後、細胞を洗浄し、PE標識したマウス抗ヒトHLA−A2 mAbで染色し、フローサイトメトリーによって分析した。蛍光指標(FI=ペプチド+β2ミクログロブリンでパルスしたT2細胞の平均チャネル蛍光/β2ミクログロブリンのみでパルスしたT2細胞の平均チャネル蛍光)を計算して、HLA−A2.1特異的ペプチド結合に原因するT2細胞上のHLA−A2.1分子の上方制御を決定した。
【0231】
CS1由来の試験ペプチドのうち、3つ(P2、P3、およびP4)は、インフルエンザ基質ペプチドよりもHLA−A2に対して高い親和性を有していた。残りのペプチドP1(CS1236〜245(LLLSLFVLGL(配列番号15)))は、インフルエンザ基質ペプチドよりもわずかに低いHLA−A2結合親和性しか示さなかった(図20)。
【0232】
実施例17.P2ペプチド特異的CS1−CTLの拡大
CD8+T細胞をヒト末梢血単核球(PBMC)から単離し、P2(CS1239〜247(SLFVLGLFL(配列番号16)))ペプチド提示自己樹状細胞と培養した。CD8+細胞を、7日毎のペプチド提示樹状細胞の添加によって再刺激した。4回目の再刺激後、CS1239〜247に特異的な培養物中のCTLの比率を、PE抱合したHLA−A*0201 P2−四量体検出部分およびFITC抱合した抗CD8モノクローナル抗体で染色したフロー分析によって評価した。集団中の約4.1%の細胞がHLA−A*0201 P2−四量体および抗CD8抗体の両方によって結合され、約4.1%の細胞がCS1−CTLであることを示した。
【0233】
実施例18.CS1−CTLのCS1 P2ペプチド特異的細胞活性化
CS1−CTLの増殖活性を、トリチウム化チミジン(3H−チミジン)組み込みアッセイによって評価した。CS1−CTL(5×104/ウェル)を、CS1 P2ペプチドを提示する(または提示しない)照射T2細胞(5×103/ウェル)とそれぞれ24、48、および72時間培養した。3H−チミジン(0.5μCi)を、細胞回収の12時間前にウェルに添加した。CS1 P2提示T2細胞と培養したCS1−CTLは、CS1 P2ペプチドを提示しないT2細胞と接触させたCS1−CTLと比較して、増殖が顕著に増加した(図21)。モノクローナル抗CD25−PC5抗体を使用したフローサイトメトリーによる表面PC5発現の上方制御の測定によって、インキュベーションの48時間後にCS1−CTLの活性化を決定した。増殖CS1−CTLがCS1 P2提示T2細胞との培養の際にPC5発現の増加を示した所見により、CS1−CTLも活性されることが示唆された。
【0234】
実施例19.CS1−CTLによる抗原特異的およびHLA−A2拘束性のIFN−γ分泌
CS1−CTLの抗原特異性およびHLA−A2拘束を、表面HLA−A2と関連して各CS1ペプチドを提示するT2細胞での4つの異なる各CS1−CTL集団(CS1−P1−CTL、CS1−P2−CTL、CS1−P3−CTL、およびCS1−P4−CTL)の一晩の刺激後のIFN−γ分泌の誘導によってさらに確認した。各CS1−CTL集団がIFN−γ分泌のいくらかの増加を示した一方で、CS1−P2−CTLはP2−ペプチド提示T2細胞との接触後に最も高い程度のIFN−γ分泌を示した(図22)。これらの結果は、CS1−CTL集団による抗原特異的およびHLA−A2拘束性の応答をさらに証明する。
【0235】
実施例20.カルセイン(Calcien)−細胞傷害性アッセイにおけるCS1−CTL
CS1−CTLが多発性骨髄腫細胞を特異的にターゲティングして溶解する能力を決定した。CS1−CTLをCS1−P2ペプチドで2回活性化し(1日目および7日目)、カルセイン放出細胞傷害性アッセイによって多発性骨髄腫細胞の溶解能力について試験した。MM細胞株(MM.1S、U266、およびMCCAR)をカルセイン−AM(5μg/ml)によって標識し、これらを標的細胞として5,000細胞/ウェルで使用した。エフェクター細胞の標的細胞に対する比は20:1であった。図23に示すように、CS1−P2−CTLは標的MM細胞株MCCAR(HLA−A2+/CS1+)の死滅に有効であった(30%細胞傷害性)のに対して、MM.1S(HLA−A2−/CS1+)およびU266(HLA−A2+/CS1−)標的細胞では有意な細胞傷害性は認められなかった。さらに、CS1−CTLはP2ペプチドと接触させたMCCAR細胞に対して高い細胞傷害性を示し、それにより、ペプチド特異的およびHLA−A2拘束性の細胞傷害効果が確認された。
【0236】
他の実施形態
本発明をその詳細な説明と併せて記載しているが、上記説明は本発明の例示を意図し、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明は添付の特許請求の範囲によって定義される。他の態様、利点、および修正形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドであって、
前記ペプチドが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する、単離ペプチド。
【請求項2】
配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドであって、
前記ペプチドが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識される、単離ペプチド。
【請求項3】
配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるペプチドからなる第1のアミノ酸配列、および
前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列
を含む単離ペプチド。
【請求項4】
配列番号1〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド。
【請求項5】
配列番号1〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および
前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列
を含む単離ペプチド。
【請求項6】
前記4個以下の置換の少なくとも1つが保存的置換である、請求項4または5に記載の単離ペプチド。
【請求項7】
前記ペプチドが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する、請求項3から6のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項8】
前記MHC分子がヒトMHC分子である、請求項1、2、または7に記載の単離ペプチド。
【請求項9】
前記ペプチドが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識される、請求項1、または3から7のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項10】
前記MHC分子がMHCクラスI分子である、請求項1、2、または7から9のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項11】
前記MHC分子がHLA−A2分子である、請求項10に記載の単離ペプチド。
【請求項12】
前記MHC分子がMHCクラスII分子である、請求項1、2、または7から9のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項13】
前記第2のアミノ酸配列がターゲティングポリペプチドを構成する、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項14】
前記ターゲティングポリペプチドにより、前記単離ペプチドが抗原提示細胞にターゲティングされる、請求項13に記載の単離ポリペプチド。
【請求項15】
前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項14に記載の単離ペプチド。
【請求項16】
前記抗原提示細胞がマクロファージ、単球、またはB細胞である、請求項14に記載の単離ペプチド。
【請求項17】
前記第2のアミノ酸配列が免疫刺激分子を構成する、請求項3または5から12に記載の単離ペプチド。
【請求項18】
前記免疫刺激分子がサイトカインまたはTヘルパーエピトープである、請求項17に記載の単離ペプチド。
【請求項19】
前記第2のアミノ酸配列が免疫グロブリンまたはその抗原結合フラグメントを構成する、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項20】
前記免疫グロブリンが単鎖Fv免疫グロブリンフラグメントである、請求項19に記載の単離ペプチド。
【請求項21】
前記第2のアミノ酸配列が免疫グロブリン分子のFc受容体結合領域を含む、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項22】
前記第2のアミノ酸配列が免疫グロブリン分子全体を構成する、請求項21に記載の単離ペプチド。
【請求項23】
前記第2のアミノ酸配列がキャリアポリペプチドを含む、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項24】
前記キャリアペプチドがKLHポリペプチドを含む、請求項23に記載の単離ペプチド。
【請求項25】
リンカー配列をさらに含む、請求項3または5から24のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項26】
前記リンカー配列が前記第1のアミノ酸配列を前記第2のアミノ酸配列に連結させる、請求項25に記載の単離ペプチド。
【請求項27】
前記リンカー配列が少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位を含む、請求項25または26に記載の単離ペプチド。
【請求項28】
前記リンカー配列が少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位からなる、請求項25から27のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項29】
前記第2のアミノ酸配列が前記第1のアミノ酸配列のアミノ末端またはカルボキシ末端側にある、請求項3または5から28のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項30】
前記単離ペプチドが検出可能に標識される、請求項1から29のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項31】
配列番号1から18のいずれか1つからなる単離ペプチド。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチドをコードする単離核酸。
【請求項33】
請求項32に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項34】
前記核酸配列が発現調節配列に作動可能に連結される、請求項33に記載のベクター。
【請求項35】
請求項33に記載のベクターを含む培養細胞。
【請求項36】
請求項34に記載のベクターを含む培養細胞。
【請求項37】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項35または36に記載の培養細胞。
【請求項38】
前記細胞がヒト細胞である、請求項37に記載の培養細胞。
【請求項39】
前記細胞が免疫細胞である、請求項35から38のいずれか1項に記載の培養細胞。
【請求項40】
ペプチドの産生方法であって、請求項36から39のいずれか1項に記載の細胞を前記ペプチドを発現させる条件下で培養する工程を含む、方法。
【請求項41】
前記細胞または前記細胞が培養された培地から前記ペプチドを単離する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
1つまたは複数の請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチドおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項43】
1つまたは複数の免疫刺激剤をさらに含む、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記1つまたは複数の免疫刺激剤が、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、およびアジュバントからなる群より選択される、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記TヘルパーエピトープがPADRE配列またはユニバーサル破傷風トキソイドTヘルパー(TT Th)エピトープである、請求項44に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記アジュバントが、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、Toll受容体のリガンド、QS21、RIBI、コレラ毒素(CT)、E.coli易熱性毒素(LT)、変異体CT(MCT)、および変異体E.coli易熱性毒素(MLT)からなる群より選択される、請求項44に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬をさらに含む、請求項42から46のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチド、および
前記ペプチドを被験体に投与するための説明書
を含む、キット。
【請求項49】
1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリアをさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
1つまたは複数の免疫刺激剤をさらに含む、請求項48または49に記載のキット。
【請求項51】
前記1つまたは複数の免疫刺激剤が、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、およびアジュバントからなる群より選択される、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬をさらに含む、請求項48から51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項53】
容器、および
前記容器内に含まれる組成物
を含む、製造品であって、
前記組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するための有効成分を含み、前記有効成分が1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドを含み、前記容器は、前記組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するのに使用するものであることを示すラベルを有する、製造品。
【請求項54】
前記ラベルが、多発性骨髄腫を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に前記組成物を投与すべきであることをさらに示す、請求項53に記載の製造品。
【請求項55】
前記ラベルが、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に前記組成物を投与すべきであることをさらに示す、請求項53または54に記載の製造品。
【請求項56】
前記哺乳動物に前記組成物を投与するための説明書をさらに含む、請求項53から55のいずれか1項に記載の製造品。
【請求項57】
前記組成物が乾燥または凍結乾燥されている、請求項53から56のいずれか1項に記載の製造品。
【請求項58】
被験体において免疫応答を誘導するための方法であって、1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドを被験体に送達する工程を含む、方法。
【請求項59】
前記被験体への1つまたは複数のペプチドの送達後に、前記被験体において免疫応答が起こったかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記1つまたは複数のペプチドを薬学的組成物として前記被験体に送達する、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記被験体が哺乳動物である、請求項58から60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記哺乳動物がヒトである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項58から63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがある、請求項58から63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症からの寛解にある、請求項58から64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記被験体の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の形質細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
1つまたは複数の化学療法薬、電離放射線の1つまたは複数の形態、あるいは1つまたは複数の免疫療法薬を前記被験体に投与する工程をさらに含む、請求項58から66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記電離放射線の1つまたは複数の形態がγ線照射、X線照射、またはβ線照射である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記1つまたは複数の化学療法薬が、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、アドリアマイシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル、ポドフィロトキシン、タモキシフェン、タキソール、トランス白金、5−フルオロウラシル(5−flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート、および上記のいずれかのアナログからなる群より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記被験体に1つまたは複数の免疫刺激剤を投与する工程をさらに含む、請求項58から69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記送達する工程が、前記1つまたは複数のペプチドを前記被験体に投与することを含む、請求項58から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記送達する工程が1つまたは複数の核酸を前記被験体に投与することを含み、前記核酸がそれぞれ前記1つまたは複数のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が発現調節配列に作動可能に連結される、請求項58から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記核酸が前記核酸でトランスフェクトされた組換え細胞中に存在し、前記1つまたは複数のペプチドを発現する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記組換え細胞が、前記被験体から得た細胞のトランスフェクションによって作製されたトランスフェクトされた細胞またはトランスフェクトされた細胞の子孫である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記組換え細胞が抗原提示細胞である、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記抗原提示細胞がマクロファージ、単球、またはB細胞である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記送達する工程が、
前記1つまたは複数のペプチドを細胞と接触させること、および
前記細胞への前記1つまたは複数のペプチドの接触後、前記細胞を前記被験体に送達すること
を含む、請求項58から77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記細胞が抗原提示細胞である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記抗原提示細胞が、樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記細胞が、前記被験体から得た細胞または細胞の子孫である、請求項78から80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞が、前記被験体と同一の種の別の被験体から得た細胞または細胞の子孫である、請求項78から80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
その他の被験体が前記被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも1つのMHC分子がMHCクラスI分子である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記MHCクラスI分子がHLA−A2分子である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記1つまたは複数のペプチドを前記被験体に投与する前に前記被験体から1つまたは複数の造血幹細胞を含む細胞集団を得る工程をさらに含む、請求項58から85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を治療するための方法であって、
1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドを被験体に投与する工程を含み、前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、発症するリスクがある、方法。
【請求項88】
処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法であって、
哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現するかどうかを決定する工程であって、前記癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および
1つまたは複数の前記癌細胞がXBP1を発現する場合、
(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、
(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程、を含む、方法。
【請求項89】
前記1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現することを決定した後に、前記選択された1つまたは複数のペプチドを前記被験体に送達する工程をさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
癌を有する哺乳動物のための処置を選択するための方法であって、
哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現するかどうかを決定する工程であって、前記癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、ならびに
1つまたは複数の前記癌細胞がCD138を発現する場合、
(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程、を含む、方法。
【請求項91】
前記1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現することを決定した後に、前記1つまたは複数のペプチドを前記被験体に送達する工程をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法であって、
哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現するかどうかを決定する工程であって、前記癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、ならびに
1つまたは複数の前記癌細胞がCS1を発現する場合、
(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、
(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程、を含む、方法。
【請求項93】
前記1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現することを決定した後に、前記選択された1つまたは複数のペプチドを前記被験体に送達する工程をさらに含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現する場合、
(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法。
【請求項95】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現する場合、
(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法。
【請求項96】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現する場合、
(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法。
【請求項97】
前記被験体または哺乳動物が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療を受けており、且つ前記治療に応答しなかった、請求項88から96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
哺乳動物において免疫応答を誘導するための方法であって、1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドと接触させた免疫細胞または前記免疫細胞の子孫を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項99】
前記方法が接触する工程を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
前記T細胞を、抗原提示細胞の存在下で前記1つまたは複数のペプチドと接触させる、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記接触前に前記免疫細胞を得る工程をさらに含む、請求項99から101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記免疫細胞を前記被験体から得る、請求項98から102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記免疫細胞を前記被験体と同一の種の別の被験体から得る、請求項98から102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記免疫細胞が前記被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現する、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記少なくとも1つのMHC分子がMHCクラスI分子である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記MHCクラスI分子がHLA−A2分子である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
(i)請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチドおよび(ii)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体を含み、前記多量体がMHC分子の2個以上のペプチド結合領域を含む、組成物。
【請求項109】
前記MHC分子多量体がMHC分子の4個または5個のペプチド結合領域を含む、請求項108に記載の組成物。
【請求項110】
各ペプチド結合領域がこれに結合した(i)を有する、請求項108または109に記載の組成物。
【請求項111】
各ペプチド結合領域がこれに非共有結合した(i)を有する、請求項110に記載の組成物。
【請求項112】
各ペプチド結合領域がこれに共有結合した(i)を有する、請求項110に記載の組成物。
【請求項113】
前記MHC分子多量体が2個以上のMHC分子全体を含む、請求項108から112のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項114】
前記MHC分子多量体がヒトMHC分子を含む、請求項108から113のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項115】
前記MHC分子多量体がMHCクラスI分子を含む、請求項108から114のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項116】
前記MHCクラスI分子がHLA−A2分子である、請求項115に記載の組成物。
【請求項117】
前記組成物が少なくとも2個以上の前記ペプチドを含む、請求項108から116のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項118】
前記2個以上のペプチド結合領域が同一のMHC分子に由来する、請求項108から117のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項119】
前記2個以上のペプチド結合領域が異なるMHC分子に由来する、請求項108から117のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項120】
前記MHC分子多量体が前記1つまたは複数のペプチドのうちの少なくとも1つに結合することができる、請求項108から119のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項121】
前記組成物が検出可能に標識されている、請求項108から120のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項122】
各多量体がMHC分子の2個以上のペプチド結合領域を含む、1つまたは複数の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体、および
1つまたは複数の請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチド
を含む組成物を含むキット。
【請求項123】
前記組成物の細胞との接触についての説明書をさらに含む、請求項122に記載のキット。
【請求項124】
1つまたは複数の検出可能な標識をさらに含む、請求項122または123に記載のキット。
【請求項125】
前記1つまたは複数の検出可能な標識が、発光標識、蛍光標識、放射性標識、および酵素標識からなる群より選択される、請求項124に記載のキット。
【請求項126】
前記1つまたは複数のMHC分子多量体のうちの1つまたは前記1つまたは複数のペプチドのうちの1つを検出可能に標識するための説明書をさらに含む、請求項122から125のいずれか1項に記載のキット。
【請求項127】
前記1つまたは複数の検出可能な標識の少なくとも1つを検出するための説明書をさらに含む、請求項125または126に記載のキット。
【請求項128】
前記1つまたは複数のMHC分子多量体の少なくとも1つまたは前記1つまたは複数のペプチドの少なくとも1つを検出可能に標識する、請求項122から127のいずれか1項に記載のキット。
【請求項1】
配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドであって、
前記ペプチドが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する、単離ペプチド。
【請求項2】
配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチドであって、
前記ペプチドが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識される、単離ペプチド。
【請求項3】
配列番号1〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるペプチドからなる第1のアミノ酸配列、および
前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列
を含む単離ペプチド。
【請求項4】
配列番号1〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド。
【請求項5】
配列番号1〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および
前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列
を含む単離ペプチド。
【請求項6】
前記4個以下の置換の少なくとも1つが保存的置換である、請求項4または5に記載の単離ペプチド。
【請求項7】
前記ペプチドが主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する、請求項3から6のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項8】
前記MHC分子がヒトMHC分子である、請求項1、2、または7に記載の単離ペプチド。
【請求項9】
前記ペプチドが、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子と会合して、T細胞上の抗原特異的T細胞受容体によって認識される、請求項1、または3から7のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項10】
前記MHC分子がMHCクラスI分子である、請求項1、2、または7から9のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項11】
前記MHC分子がHLA−A2分子である、請求項10に記載の単離ペプチド。
【請求項12】
前記MHC分子がMHCクラスII分子である、請求項1、2、または7から9のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項13】
前記第2のアミノ酸配列がターゲティングポリペプチドを構成する、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項14】
前記ターゲティングポリペプチドにより、前記単離ペプチドが抗原提示細胞にターゲティングされる、請求項13に記載の単離ポリペプチド。
【請求項15】
前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項14に記載の単離ペプチド。
【請求項16】
前記抗原提示細胞がマクロファージ、単球、またはB細胞である、請求項14に記載の単離ペプチド。
【請求項17】
前記第2のアミノ酸配列が免疫刺激分子を構成する、請求項3または5から12に記載の単離ペプチド。
【請求項18】
前記免疫刺激分子がサイトカインまたはTヘルパーエピトープである、請求項17に記載の単離ペプチド。
【請求項19】
前記第2のアミノ酸配列が免疫グロブリンまたはその抗原結合フラグメントを構成する、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項20】
前記免疫グロブリンが単鎖Fv免疫グロブリンフラグメントである、請求項19に記載の単離ペプチド。
【請求項21】
前記第2のアミノ酸配列が免疫グロブリン分子のFc受容体結合領域を含む、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項22】
前記第2のアミノ酸配列が免疫グロブリン分子全体を構成する、請求項21に記載の単離ペプチド。
【請求項23】
前記第2のアミノ酸配列がキャリアポリペプチドを含む、請求項3または5から12のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項24】
前記キャリアペプチドがKLHポリペプチドを含む、請求項23に記載の単離ペプチド。
【請求項25】
リンカー配列をさらに含む、請求項3または5から24のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項26】
前記リンカー配列が前記第1のアミノ酸配列を前記第2のアミノ酸配列に連結させる、請求項25に記載の単離ペプチド。
【請求項27】
前記リンカー配列が少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位を含む、請求項25または26に記載の単離ペプチド。
【請求項28】
前記リンカー配列が少なくとも1つのプロテアーゼ切断部位からなる、請求項25から27のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項29】
前記第2のアミノ酸配列が前記第1のアミノ酸配列のアミノ末端またはカルボキシ末端側にある、請求項3または5から28のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項30】
前記単離ペプチドが検出可能に標識される、請求項1から29のいずれか1項に記載の単離ペプチド。
【請求項31】
配列番号1から18のいずれか1つからなる単離ペプチド。
【請求項32】
請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチドをコードする単離核酸。
【請求項33】
請求項32に記載の核酸配列を含むベクター。
【請求項34】
前記核酸配列が発現調節配列に作動可能に連結される、請求項33に記載のベクター。
【請求項35】
請求項33に記載のベクターを含む培養細胞。
【請求項36】
請求項34に記載のベクターを含む培養細胞。
【請求項37】
前記細胞が哺乳動物細胞である、請求項35または36に記載の培養細胞。
【請求項38】
前記細胞がヒト細胞である、請求項37に記載の培養細胞。
【請求項39】
前記細胞が免疫細胞である、請求項35から38のいずれか1項に記載の培養細胞。
【請求項40】
ペプチドの産生方法であって、請求項36から39のいずれか1項に記載の細胞を前記ペプチドを発現させる条件下で培養する工程を含む、方法。
【請求項41】
前記細胞または前記細胞が培養された培地から前記ペプチドを単離する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
1つまたは複数の請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチドおよび薬学的に許容可能なキャリアを含む、薬学的組成物。
【請求項43】
1つまたは複数の免疫刺激剤をさらに含む、請求項42に記載の薬学的組成物。
【請求項44】
前記1つまたは複数の免疫刺激剤が、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、およびアジュバントからなる群より選択される、請求項43に記載の薬学的組成物。
【請求項45】
前記TヘルパーエピトープがPADRE配列またはユニバーサル破傷風トキソイドTヘルパー(TT Th)エピトープである、請求項44に記載の薬学的組成物。
【請求項46】
前記アジュバントが、フロイント完全アジュバント、フロイント不完全アジュバント、ミョウバン、Toll受容体のリガンド、QS21、RIBI、コレラ毒素(CT)、E.coli易熱性毒素(LT)、変異体CT(MCT)、および変異体E.coli易熱性毒素(MLT)からなる群より選択される、請求項44に記載の薬学的組成物。
【請求項47】
1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬をさらに含む、請求項42から46のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
【請求項48】
1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチド、および
前記ペプチドを被験体に投与するための説明書
を含む、キット。
【請求項49】
1つまたは複数の薬学的に許容可能なキャリアをさらに含む、請求項48に記載のキット。
【請求項50】
1つまたは複数の免疫刺激剤をさらに含む、請求項48または49に記載のキット。
【請求項51】
前記1つまたは複数の免疫刺激剤が、Tヘルパーエピトープ、改変ペプチドリガンド、およびアジュバントからなる群より選択される、請求項50に記載のキット。
【請求項52】
1つまたは複数の治療薬、診断薬、または予防薬をさらに含む、請求項48から51のいずれか1項に記載のキット。
【請求項53】
容器、および
前記容器内に含まれる組成物
を含む、製造品であって、
前記組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するための有効成分を含み、前記有効成分が1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドを含み、前記容器は、前記組成物が哺乳動物において免疫応答を誘導するのに使用するものであることを示すラベルを有する、製造品。
【請求項54】
前記ラベルが、多発性骨髄腫を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に前記組成物を投与すべきであることをさらに示す、請求項53に記載の製造品。
【請求項55】
前記ラベルが、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがあるか、発症するリスクがある哺乳動物に前記組成物を投与すべきであることをさらに示す、請求項53または54に記載の製造品。
【請求項56】
前記哺乳動物に前記組成物を投与するための説明書をさらに含む、請求項53から55のいずれか1項に記載の製造品。
【請求項57】
前記組成物が乾燥または凍結乾燥されている、請求項53から56のいずれか1項に記載の製造品。
【請求項58】
被験体において免疫応答を誘導するための方法であって、1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドを被験体に送達する工程を含む、方法。
【請求項59】
前記被験体への1つまたは複数のペプチドの送達後に、前記被験体において免疫応答が起こったかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記1つまたは複数のペプチドを薬学的組成物として前記被験体に送達する、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記被験体が哺乳動物である、請求項58から60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記哺乳動物がヒトである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項58から63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、有する疑いがある、請求項58から63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症からの寛解にある、請求項58から64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記被験体の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の形質細胞がXBP1、CD138、またはCS1を発現するかどうかを決定する工程をさらに含む、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
1つまたは複数の化学療法薬、電離放射線の1つまたは複数の形態、あるいは1つまたは複数の免疫療法薬を前記被験体に投与する工程をさらに含む、請求項58から66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記電離放射線の1つまたは複数の形態がγ線照射、X線照射、またはβ線照射である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記1つまたは複数の化学療法薬が、シスプラチン、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトセシン、アドリアマイシン、イフォスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン(bisulfan)、ニトロソ尿素(nitrosurea)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリコマイシン、マイトマイシン、エトポシド、ベラムピル、ポドフィロトキシン、タモキシフェン、タキソール、トランス白金、5−フルオロウラシル(5−flurouracil)、ビンクリスチン(vincristin)、ビンブラスチン(vinblastin)、メトトレキサート、および上記のいずれかのアナログからなる群より選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記被験体に1つまたは複数の免疫刺激剤を投与する工程をさらに含む、請求項58から69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記送達する工程が、前記1つまたは複数のペプチドを前記被験体に投与することを含む、請求項58から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記送達する工程が1つまたは複数の核酸を前記被験体に投与することを含み、前記核酸がそれぞれ前記1つまたは複数のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含み、前記ヌクレオチド配列が発現調節配列に作動可能に連結される、請求項58から70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記核酸が前記核酸でトランスフェクトされた組換え細胞中に存在し、前記1つまたは複数のペプチドを発現する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記組換え細胞が、前記被験体から得た細胞のトランスフェクションによって作製されたトランスフェクトされた細胞またはトランスフェクトされた細胞の子孫である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記組換え細胞が抗原提示細胞である、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記抗原提示細胞が樹状細胞である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記抗原提示細胞がマクロファージ、単球、またはB細胞である、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記送達する工程が、
前記1つまたは複数のペプチドを細胞と接触させること、および
前記細胞への前記1つまたは複数のペプチドの接触後、前記細胞を前記被験体に送達すること
を含む、請求項58から77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記細胞が抗原提示細胞である、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記抗原提示細胞が、樹状細胞、マクロファージ、単球、またはB細胞である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記細胞が、前記被験体から得た細胞または細胞の子孫である、請求項78から80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞が、前記被験体と同一の種の別の被験体から得た細胞または細胞の子孫である、請求項78から80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
その他の被験体が前記被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記少なくとも1つのMHC分子がMHCクラスI分子である、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記MHCクラスI分子がHLA−A2分子である、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記1つまたは複数のペプチドを前記被験体に投与する前に前記被験体から1つまたは複数の造血幹細胞を含む細胞集団を得る工程をさらに含む、請求項58から85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を治療するための方法であって、
1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドを被験体に投与する工程を含み、前記被験体が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有するか、発症するリスクがある、方法。
【請求項88】
処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法であって、
哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現するかどうかを決定する工程であって、前記癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、および
1つまたは複数の前記癌細胞がXBP1を発現する場合、
(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、
(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程、を含む、方法。
【請求項89】
前記1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現することを決定した後に、前記選択された1つまたは複数のペプチドを前記被験体に送達する工程をさらに含む、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
癌を有する哺乳動物のための処置を選択するための方法であって、
哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現するかどうかを決定する工程であって、前記癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、ならびに
1つまたは複数の前記癌細胞がCD138を発現する場合、
(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程、を含む、方法。
【請求項91】
前記1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現することを決定した後に、前記1つまたは複数のペプチドを前記被験体に送達する工程をさらに含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
処置を必要とする哺乳動物に処置を選択するための方法であって、
哺乳動物中の癌の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現するかどうかを決定する工程であって、前記癌が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症である、工程、ならびに
1つまたは複数の前記癌細胞がCS1を発現する場合、
(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、
(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程、を含む、方法。
【請求項93】
前記1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現することを決定した後に、前記選択された1つまたは複数のペプチドを前記被験体に送達する工程をさらに含む、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がXBP1を発現する場合、
(a)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号1〜10のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号1〜10のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号1〜10のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法。
【請求項95】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCD138を発現する場合、
(a)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号11〜14のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号11〜14のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号11〜14のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法。
【請求項96】
多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を有する哺乳動物のために治療薬を選択するための方法であって、哺乳動物の多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の1つまたは複数の癌細胞がCS1を発現する場合、
(a)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる単離ペプチド、
(b)配列番号15〜18のいずれか1つのアミノ酸配列からなるが、4個以下の置換を有する単離ペプチド、および
(c)(i)配列番号15〜18のいずれか1つからなるが、4個以下の置換を有する第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド、および
(d)(i)配列番号15〜18のいずれか1つと少なくとも66%同一であるアミノ酸配列からなる第1のアミノ酸配列、および(ii)前記第1のアミノ酸配列に対して異種の第2のアミノ酸配列、を含む単離ペプチド
からなる群より選択される1つまたは複数のペプチドを前記哺乳動物のための治療薬として選択する工程を含む、方法。
【請求項97】
前記被験体または哺乳動物が多発性骨髄腫またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療を受けており、且つ前記治療に応答しなかった、請求項88から96のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
哺乳動物において免疫応答を誘導するための方法であって、1つまたは複数の請求項1から31に記載の任意のペプチドと接触させた免疫細胞または前記免疫細胞の子孫を被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項99】
前記方法が接触する工程を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記免疫細胞がT細胞である、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
前記T細胞を、抗原提示細胞の存在下で前記1つまたは複数のペプチドと接触させる、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記接触前に前記免疫細胞を得る工程をさらに含む、請求項99から101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記免疫細胞を前記被験体から得る、請求項98から102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記免疫細胞を前記被験体と同一の種の別の被験体から得る、請求項98から102のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記免疫細胞が前記被験体と共通の少なくとも1つのMHC分子を発現する、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記少なくとも1つのMHC分子がMHCクラスI分子である、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記MHCクラスI分子がHLA−A2分子である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
(i)請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチドおよび(ii)主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体を含み、前記多量体がMHC分子の2個以上のペプチド結合領域を含む、組成物。
【請求項109】
前記MHC分子多量体がMHC分子の4個または5個のペプチド結合領域を含む、請求項108に記載の組成物。
【請求項110】
各ペプチド結合領域がこれに結合した(i)を有する、請求項108または109に記載の組成物。
【請求項111】
各ペプチド結合領域がこれに非共有結合した(i)を有する、請求項110に記載の組成物。
【請求項112】
各ペプチド結合領域がこれに共有結合した(i)を有する、請求項110に記載の組成物。
【請求項113】
前記MHC分子多量体が2個以上のMHC分子全体を含む、請求項108から112のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項114】
前記MHC分子多量体がヒトMHC分子を含む、請求項108から113のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項115】
前記MHC分子多量体がMHCクラスI分子を含む、請求項108から114のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項116】
前記MHCクラスI分子がHLA−A2分子である、請求項115に記載の組成物。
【請求項117】
前記組成物が少なくとも2個以上の前記ペプチドを含む、請求項108から116のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項118】
前記2個以上のペプチド結合領域が同一のMHC分子に由来する、請求項108から117のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項119】
前記2個以上のペプチド結合領域が異なるMHC分子に由来する、請求項108から117のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項120】
前記MHC分子多量体が前記1つまたは複数のペプチドのうちの少なくとも1つに結合することができる、請求項108から119のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項121】
前記組成物が検出可能に標識されている、請求項108から120のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項122】
各多量体がMHC分子の2個以上のペプチド結合領域を含む、1つまたは複数の主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子多量体、および
1つまたは複数の請求項1から31のいずれか1項に記載のペプチド
を含む組成物を含むキット。
【請求項123】
前記組成物の細胞との接触についての説明書をさらに含む、請求項122に記載のキット。
【請求項124】
1つまたは複数の検出可能な標識をさらに含む、請求項122または123に記載のキット。
【請求項125】
前記1つまたは複数の検出可能な標識が、発光標識、蛍光標識、放射性標識、および酵素標識からなる群より選択される、請求項124に記載のキット。
【請求項126】
前記1つまたは複数のMHC分子多量体のうちの1つまたは前記1つまたは複数のペプチドのうちの1つを検出可能に標識するための説明書をさらに含む、請求項122から125のいずれか1項に記載のキット。
【請求項127】
前記1つまたは複数の検出可能な標識の少なくとも1つを検出するための説明書をさらに含む、請求項125または126に記載のキット。
【請求項128】
前記1つまたは複数のMHC分子多量体の少なくとも1つまたは前記1つまたは複数のペプチドの少なくとも1つを検出可能に標識する、請求項122から127のいずれか1項に記載のキット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18A】
【図18B】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2011−523560(P2011−523560A)
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512566(P2011−512566)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/045866
【国際公開番号】WO2009/149021
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(399052796)ダナ−ファーバー キャンサー インスティテュート インク. (36)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/045866
【国際公開番号】WO2009/149021
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(399052796)ダナ−ファーバー キャンサー インスティテュート インク. (36)
【Fターム(参考)】
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