説明

XBRLデータ検証/作成システム及びXBRLデータ検証/作成プログラム

【課題】利用者の手間を大幅に削減することができ、XBRLに対する知識がなくても容易にXBRLデータを検証することができるXBRLデータ検証システムを提供する。
【解決手段】XBRLデータ検証システムは、表示情報ファイルからの財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位情報等を表示情報Aとして保存し、インスタンス文書のコンテキスト、表示金額単位、数値データ、文書情報等からインスタンステーブルBと文書情報Cとを作成し、スキーマファイルを読み込み、インスタンス文書が直接又は間接的に参照しているスキーマを用いて、要素テーブルDとスキーマリストEとを作成し、スキーマリストに含まれる表示リンクベース、計算リンクベースおよび名称リンクベースからそれぞれ表示リンクツリーF、計算リンクツリーG、名称リンクツリーHを生成し、上記A〜Hのうちの任意の組み合わせに基づいて財務諸表に関する情報を作成し表計算ソフト上で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、XBRLデータ検証/作成システム及びXBRLデータ検証/作成プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の財務情報を記述するための国際的な標準仕様としてXBRLが注目され世界的に普及が進んでいる。わが国の金融庁でも、2008年4月1日より開始する事業年度から、有価証券報告書等の開示書類に含まれる財務諸表については原則XBRLを用いることと定めた。XBRLとは(eXtensible Business Reporting Language)の略であり、XML(eXtensible Markup Language)の一様式である。XBRLには、財務報告のための仕様(FR)と取引データのための仕様(GL)の2種類があるが、ここでは財務報告のための仕様(FR)を例に説明する。
【0003】
以下、XBRLの基本的な仕組みについて説明する。XBRLは多種多様な財務諸表を表現するために、インスタンス文書と、これとは分離したタクソノミ文書とからなる構造を用いている。インスタンス文書は、売上高や経常利益といったデータそのものを記した財務情報の本体である。また、タクソノミ文書は、勘定科目名や各情報の表示方法、計算方法などを定義したものであり、XML Schemaを使ってインスタンス文書の語彙(要素名、属性など)を定義した「スキーマ」と、XLinkで定義される「リンクベース」がある。この「リンクベース」には、勘定科目の表示名称を示す「名称リンクベース」、勘定科目の参考文献を示す「参照リンクベース」、勘定科目の表示順序を示す「表示リンクベース」、勘定科目の計算方法を示す「計算リンクベース」、勘定科目の階層構造を示す「定義リンクベース」がある。ここで、表示リンク、計算リンク、定義リンクは、要素間の関係を定義している。関係は、従属関係(親子関係)で表される。ただし、定義リンクについてはXBRLの最新の仕様(Spec2.1)では省略可能となったので基本的には利用されなくなってきている。
【0004】
以上まとめると、XBRL文書は、以下のA〜Fの構成要素からなる文書であると言える。
【0005】
A スキーマ(要素定義)
B 名称リンク(要素の名称を定義)
C 参照リンク(参照法令等を定義)
D 表示リンク(表示の順序を定義)
E 計算リンク(計算方法を定義)
F 定義リンク(要素間の関係を階層的に定義)
G インスタンス(A−Fで定義された要素を使って、数値データを定義する)
特開2008−134864は、XBRLインスタンス作成者がいつのタクソノミに準拠しているか容易に判断でき、XBRLエンジンを保有していない場合でもXBRLインスタンスを検証できる方法及びシステムを開示している。
【0006】
また、特開2007−164591は、拡張タクソノミと拡張タクソノミとを含むXBRLにより記述された財務情報の分析業務を効率的に行うことができる方法及びシステムを開示している。
【0007】
【特許文献1】特開2008−134864
【特許文献2】特開2007−164591
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インスタンス文書を作成する場合を例にとると、従来では専用ソフトにより、要素の定義、表示リンクの定義、計算リンクの定義等を、別々のインターフェースを通じて行った後に、改めて数値を入力してインスタンス文書を作成していた。このためインスタンス文書の作成を柔軟に行うことは可能だが、XBRLの知識に乏しい人が事前の準備なしに専用ソフトを利用してインスタンス文書を作成することは極めて困難であった。
【0009】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、その目的とするところは、利用者の手間を大幅に削減することができ、XBRLに対する知識がなくても容易にXBRLデータを検証/作成することができるXBRLデータ検証/作成システム及びXBRLデータ検証/作成プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るXBRLデータ検証システムは、インスタンス文書と、タクソノミ文書とから構成されるXBRLデータの検証を行うXBRLデータ検証システムであって、前記タクソノミ文書は、スキーマファイルと、名称リンクファイルと、表示リンクファイルと、計算リンクファイルと、表示情報ファイルとを含み、前記表示情報ファイルから、財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位情報等を読み込み、表示情報として保存する手段と、前記インスタンス文書から、コンテキスト、表示金額単位、数値データ、文書情報等を読み込んでインスタンステーブルと文書情報とを作成する手段と、前記スキーマファイルを読み込み、前記インスタンス文書が直接又は間接的に参照しているスキーマを用いて、要素テーブルとスキーマリストとを作成する手段と、前記スキーマリストに含まれる表示リンクベース、計算リンクベースおよび名称リンクベースを読み込んで、前記表示リンクベースから表示リンクツリーを生成し、前記計算リンクベースから計算リンクツリーを生成し、前記名称リンクベースから名称リンクツリーを生成する手段と、前記表示情報、前記インスタンステーブル、前記文書情報、前記要素テーブル、前記スキーマリスト、前記表示リンクツリー、前記計算リンクツリー、前記名称リンクツリーのうちの任意の組み合わせに基づいて財務諸表に関する情報を作成し表計算ソフト上で表示する手段と、を具備する。
【0011】
また、本発明の第2の態様に係るXBRLデータ検証プログラムは、インスタンス文書と、タクソノミ文書とから構成されるXBRLデータの検証を行うXBRLデータ検証プログラムであって、前記タクソノミ文書は、スキーマファイルと、名称リンクファイルと、表示リンクファイルと、計算リンクファイルと、表示情報ファイルとを含み、コンピュータを、前記表示情報ファイルから、財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位情報等を読み込み、表示情報として保存する手段、前記インスタンス文書から、コンテキスト、表示金額単位、数値データ、文書情報等を読み込んでインスタンステーブルと文書情報とを作成する手段、前記スキーマファイルを読み込み、前記インスタンス文書が直接又は間接的に参照しているスキーマを用いて、要素テーブルとスキーマリストとを作成する手段、前記スキーマリストに含まれる表示リンクベース、計算リンクベースおよび名称リンクベースを読み込んで、前記表示リンクベースから表示リンクツリーを生成し、前記計算リンクベースから計算リンクツリーを生成し、前記名称リンクベースから名称リンクツリーを生成する手段、及び前記表示情報、前記インスタンステーブル、前記文書情報、前記要素テーブル、前記スキーマリスト、前記表示リンクツリー、前記計算リンクツリー、前記名称リンクツリーのうちの任意の組み合わせに基づいて財務諸表に関する情報を作成し表計算ソフト上で表示する手段と、して機能させる。
【0012】
また、本発明の第3の態様に係るXBRLデータ作成システムは、表計算ソフト上に入力された情報に基づいてXBRLデータを作成するXBRLデータ作成システムであって、作成者により入力された情報のうち、種別と業種とに基づいて、標準タクソノミを決定するとともに、決定された標準タクソノミに基づいてパターン別リンクベースファイルを読み込んでパターン選択シートとして表示する手段と、作成者により前記パターン選択シートから選択されたパターンシートに基づいて企業拡張層以外のタクソノミセットを決定するとともに、標準のスキーマファイルに基づいて、要素テーブルを作成する手段と、標準の表示リンクファイル、計算リンクファイル、名称リンクファイルを読み込んで、それぞれ表示リンクツリー、計算リンクツリー、名称リンクツリーを作成する手段と、前記表示リンクツリーと前記名称リンクツリーとを用いて、各財務諸表毎に台紙となるスケルトン表を表示するとともに、各財務諸表で用いられる可能性のある全要素を網羅した要素一覧表を表示する手段と、作成者により拡張科目定義シートに定義された勘定科目を拡張要素テーブルとして保持するとともに、作成者により前記スケルトン表に入力された情報のうち、勘定科目名、冗長科目名、会計期間、金額に基づいてインスタンステーブルを作成し、財務諸表名、各列の見出し、表示金額等に基づいて表示情報を作成し、入力された勘定科目の並び順と段下げ情報に基づいて作成者表示リンクツリーまたは出力表示リンクツリーを作成し、表計算ソフト上の数式を解析して作成者計算リンクツリーまたは出力計算リンクツリーを作成する手段と、前記拡張要素テーブルからスキーマファイル、定義リンクファイルおよび名称リンクファイルを作成し、前記インスタンステーブルからインスタンス文書ファイルを出力するとともに前記表示情報から表示情報ファイルを出力し、前記出力表示リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された表示リンクファイルを作成するとともに、前記出力計算リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された計算リンクファイルを出力する手段と、を具備する。
【0013】
また、本発明の第4の態様に係るXBRLデータ作成プログラムは、表計算ソフト上に入力された情報に基づいてXBRLデータを作成するXBRLデータ作成プログラムであって、コンピュータを、作成者により入力された情報のうち、種別と業種とに基づいて、標準タクソノミを決定するとともに、決定された標準タクソノミに基づいてパターン別リンクベースファイルを読み込んでパターン選択シートとして表示する手段、作成者により前記パターン選択シートから選択されたパターンシートに基づいて企業拡張層以外のタクソノミセットを決定するとともに、標準のスキーマファイルに基づいて、要素テーブルを作成する手段、標準の表示リンクファイル、計算リンクファイル、名称リンクファイルを読み込んで、それぞれ表示リンクツリー、計算リンクツリー、名称リンクツリーを作成する手段、前記表示リンクツリーと前記名称リンクツリーとを用いて、各財務諸表毎に台紙となるスケルトン表を表示するとともに、各財務諸表で用いられる可能性のある全要素を網羅した要素一覧表を表示する手段、作成者により拡張科目定義シートに定義された勘定科目を拡張要素テーブルとして保持するとともに、作成者により前記スケルトン表に入力された情報のうち、勘定科目名、冗長科目名、会計期間、金額に基づいてインスタンステーブルを作成し、財務諸表名、各列の見出し、表示金額等に基づいて表示情報を作成し、入力された勘定科目の並び順と段下げ情報に基づいて作成者表示リンクツリーまたは出力表示リンクツリーを作成し、表計算ソフト上の数式を解析して作成者計算リンクツリーまたは出力計算リンクツリーを作成する手段、及び前記拡張要素テーブルからスキーマファイル、定義リンクファイルおよび名称リンクファイルを作成し、前記インスタンステーブルからインスタンス文書ファイルを出力するとともに前記表示情報から表示情報ファイルを出力し、前記出力表示リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された表示リンクファイルを作成するとともに、前記出力計算リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された計算リンクファイルを出力する手段、として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、XBRLデータの検証/作成に関わる利用者の手間を大幅に削減することができ、XBRLに対する知識がなくても容易にXBRLデータを検証/作成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0016】
(XBRLデータの検証)
まず、本発明の第1実施形態に係るXBRLデータ検証システムについて図面を参照して詳細に説明する。図1は、XBRLデータ検証サービスを行うサービス提供業者が当該サービスをウェブサービスとして提供する場合のXBRLデータ検証システムの構成図である。インターネット1に接続された金融庁サーバ8には、タクソノミ文書9と、XBRLインスタンス文書10とが格納されている。また、サービス提供業者が所有するXBRLデータ検証システムサーバ(以下、単に検証サーバと呼ぶ)8には、金融庁サーバ3からインターネット1を介してあらかじめダウンロードされたタクソノミ文書5と、XBRLインスタンス文書4とが格納されている。また、検証サーバ3には、インターネット1を介して監査人などの検証実施者6、7のクライアント端末が接続されており、インターネット1を介した検証が可能となっている。
【0017】
また、検証実施者自身が検証サーバ3を所有する場合には、検証を行う検証実施者2がLAN経由で検証サーバ3に接続して検証を行う。
【0018】
検証サーバ3には、XBRLデータの検証を行う検証プログラムが、Java(登録商標)システムの形態でインストールされている。検証プログラムは後述するように、表示情報ローダープログラム、インスタンス文書ローダープログラム、スキーマ・ローダープログラム、リンクベース・ローダープログラム、表計算への出力プログラムなどの個々のプログラムを組み合わせたものである。
【0019】
監査人などの検証実施者6または7がクライアント端末を使用して検証サーバ3に接続すると、検証プログラムが起動され、検証サーバ3に格納されているタクソノミ文書5からのタクソノミの選択を行うことが可能になる。同時に、XBRLデータがXBRLインスタンス文書4から読み出されるのでその中から検証対象のXBRLデータを指定することができる。
【0020】
検証実施者6または7が自社で作成したXBRLデータあるいは金融庁サーバ8からダウンロードした他社作成のXBRLデータを検証する場合には当該XBRLデータを検証サーバ3にアップロードして検証を行う。検証サーバ3は検証を行い、検証の出力結果(表計算ソフトデータ)を検証実施者6または7に提供する。
【0021】
なお、検証実施者6または7は、検証サーブ3に接続して検証を行うのではなく、スタンドアロンのクライアント端末を用いて検証を行うことも可能である。この場合、クライアント端末には検証プログラムがJava(登録商標)システムの形態でインストールされるが、検証実施者6または7は、表計算ソフトの機能拡張ソフト(アドイン)をインタフェースとして検証プログラムとメッセージやデータのやり取りを行う。
【0022】
以下に、本発明に係るXBRLデータの検証方法について詳細に説明する。図2は、財務諸表の一例としての「損益計算書」を示している。図3は、XBRL文書の一例であり、図2に示す損益計算書の中の「売上高」、「売上原価」、「売上総利益」について記述している。図3のAはスキーマであり、図3のBは名称リンクであり、図3のDは表示リンクであり、図3のEは計算リンクであり、図3のGはインスタンスである。図3のC(参照リンク)、F(定義リンク)については記述を省略する。
【0023】
図3のB(名称リンク)では、要素の名称を以下の手順で定義している。
【0024】
1:スキーマのNetSalesと結びつける。
【0025】
2:名前を定義。
【0026】
3:1と2を結ぶ −> NetSalesに名称を付与。
【0027】
また、図3のD(表示リンク)では、損益計算書(StatementsOfIncomeAbstract)で売上高(NetSales)と売上原価(CostOfSales)及び売上純利益(GrossProfit)の表示順を以下の手順で定義している。
【0028】
1:スキーマのNetSalesと結びつける。
【0029】
2:名前を定義(売上)。
【0030】
3:1と2を結ぶ −> NetSalesに名称を付与。
【0031】
4:スキーマのCostOfSalesと結びつける。
【0032】
5:名前を定義(売上原価)。
【0033】
6:4と5を結ぶ −> CostOfSalesに名称を付与。
【0034】
7:スキーマのGrossProfitと結びつける。
【0035】
8:名前を定義(売上総利益)。
【0036】
9:7と8を結ぶ −> GrossProfitに名称を付与。
【0037】
また、図3のE(計算リンク)では、売上純利益(GrossProfit)は売上高(NetSales)の加算と売上原価(CostOfSales)の減算から計算されることを以下の手順で定義している。
【0038】
1:スキーマのGrossProfitと結びつける。
【0039】
2:スキーマのNetSalesと結びつける。
【0040】
3:GrossProfitの子供としてNetSalesをリンクする、演算方法は加算。
【0041】
4:スキーマのCostOfSalesと結びつける。
【0042】
5:GrossProfitの子供としてCostOfSalesをリンクする、演算方法は減算。
【0043】
この例に示されるように、XBRLデータは財務諸表を構成する要素が、名称リンク/表示リンク/計算リンク等に分かれて表現されるため、専用ソフトを用いたとしてもXBRLの知識に乏しい人がインスタンス文書を作成することは極めて困難である。そこで、本発明では、XBRLデータの検証や作成を、専用ソフトを用いるのではなく、表計算ソフトを用いて行うことにより容易に行えるようにしたことを特徴とする。
【0044】
1.XBRLデータの準備
以下のa〜fのXBRLデータを用意する。
【0045】
a スキーマファイル(.xsd)
b 名称リンクファイル(-label.xml)
c 表示リンクファイル(-presentation.xml)
d 計算リンクファイル(-calculation.xml)
e インスタンス文書ファイル(.xbrl)
f 表示情報ファイル(-information.xml)
ここでは実際に金融庁に提出された四半期報告書のXBRLデータをサンプルに使用している。なお、[背景技術]で述べたA〜Fの構成要素のうち、「参照リンク」は法令等への参照情報のみで財務諸表の構成に直接関連するものでないため省略した。また、「定義リンク」は最新のXBRL仕様(Spec2.1)において省略可能となっているため省略した。また、「表示情報ファイル」は金融庁独自の仕様であるが、財務諸表ごとの金額単位の設定等についての情報を有し、金融庁サーバに提出されたXBRLデータをHTML表示するときに使用されるものである。
【0046】
2.XBRLデータの読み込みと処理
図4は、検証プログラムによる処理の詳細を説明するための図である。検証プログラムは、表示情報ローダープログラム30と、インスタンス文書ローダープログラム31と、スキーマ・ローダープログラム32と、リンクベース・ローダープログラム33と、表計算への出力プログラム48などにより構成される。
【0047】
(A)表示情報ローダープログラム30は、表示情報ファイル20から、財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位情報等を読み込み、財務諸表出力に備えて表示情報40として保存する(図4の手順S1)。図5は表示情報40の一例を示している。表示情報40には、財務諸表ID40−1、インスタンス文書ファイル名40−2、財務諸表1の表示情報40−3、財務諸表2の表示情報40−4などが含まれる。
【0048】
(B)次に、インスタンス文書ローダープログラム31は、インスタンス文書21から、コンテキスト(会計期間等の情報)、表示金額単位、数値データ、文書情報等を読み込み、読み込んだ情報からインスタンステーブル41および文書情報42を作成する(図4の手順S2)。図6はインスタンステーブル41の一例を示している。図6に示すように、インスタンステーブル41は主に各項目41−1、41−2の数値データ41−3〜41−6と、コンテキストリスト41−7とを保持する。図7は図6のインスタンステーブル41に実際に(例えば図3のG(インスタンス)に示すような)数値データを入れた状態を示している。
【0049】
また、図8は文書情報42の一例を示している。文書情報42には、インスタンス文書21に含まれている財務諸表の有無、財務諸表の各列の有無、財務諸表を表示する場合にどの名称リンク、表示リンク、計算リンクを用いるかの情報が保持されている。
【0050】
(C)次に、スキーマ・ローダープログラム32は、スキーマファイル22を読み込み、インスタンス文書21が直接参照しているスキーマ、およびそれらがさらに参照しているスキーマ…と次々にすべてを読み込み、要素テーブル43とスキーマリスト44とを作成する(図4の手順S3)。
【0051】
要素テーブル43は勘定科目をあらわす要素名に、見出し/金額項目区分、貸借区分、期間/時点区分情報等を加えたものであり、図9は要素テーブルの一例を示している。スキーマリスト44は種々のスキーマ情報44−1〜44−3からなり、インスタンス文書21が参照している表示リンク、計算リンクおよび名称リンクを一覧にしたものである。図10はスキーマリスト44の一例を示す図である。
【0052】
(D)次に、リンクベース・ローダープログラム33は、スキーマリスト44に含まれるすべての表示リンクベース23、計算リンクベース24および名称リンクベース25を読み込んで以下のような処理を行う(図4の手順S4)。
【0053】
各リンクには図11(A)に示すように、要素間の関係、あるいは各要素に対する付加情報がアーク(関係)とロケータ(スキーマを参照する要素)、あるいはアークとリソース(データ)という表現方法で示されているが、このままでは効率のよい処理が行えないため、図11(B)に示すような、処理に適したツリー形式のデータ構造に置き換える。
【0054】
XBRLはXMLの一種であるが、XMLの内部表現として従来から一般的に用いられているDOMツリーでは、文字列も子要素によって分割されうるものとして、要素ノードと同等に扱われる。しかし、XBRLの各文書で用いられるXMLは一般のXMLとは異なり、仕様上マークアップされた文字列は要素によって分割されることはないため、要素ノードとして扱う必要がなく単純なテキストデータとして扱うことができる。
【0055】
そこで本発明では、XBRLの内部表現としてDOMツリーを用いず、文字列データを単純なテキストデータとした独自のノードツリーを用いている(図12)。このノードツリーの各ノードはその文字列データ、要素名、各種属性、および自分の親及び複数個の子ノードの情報を有している。以下、[ツリー」はそのノードツリーを指す(図4の手順S4)。
【0056】
表示リンクおよび計算リンクについては、インスタンス作成者の拡張に応じてアークの上書き処理を行う。
【0057】
XBRLでは、標準タクソノミで定義された表示順序や計算方法を変更したい場合はもとのタクソノミを変更するのではなく、既定の要素間の関係(アーク)を一旦取り消し、新たに独自の表示順や計算方法を定義するという方法をとる。本発明でもツリーを生成する前に、表示リンクと計算リンクに対し、このアークの上書き処理を行う。
【0058】
リンクベース・ローダープログラム33は、読み込んだ表示リンクベース23から図12に示すような表示リンクツリー45を生成する。一般に実際の財務諸表に現れる勘定科目は、スキーマで定義されている要素の一部であるため、インスタンス文書に使用されている要素およびその親ノードにマークをつけ、マークがつけられたもののみを処理すればよいようにして効率化を図る。
【0059】
次に、リンクベース・ローダープログラム33は、読み込んだ計算リンクベース24から計算リンクツリー46(図13)を生成する。図13は、例えば完成工事高と開発事業等売上高を加算(図では+の記号で示す)すると売上高が得られ、完成工事高を加算し完成工事原価を減算(図では−の記号で示す)すると完成工事総利益が得られることを示している。
【0060】
ここで、計算リンクツリー46は表示リンクツリー45とは異なり、ある要素が複数の要素に加算あるいは減算される場合があるため、ツリー構造にはならない場合がある。そのような場合には、図14の(A)〜(E)に示すように、ノードを複製してツリー構造を作成する。
【0061】
次に、リンクベース・ローダープログラム33は、読み込んだ名称リンクベース25から図15(A)、(B)に示すような名称リンクツリー47を生成する。名称リンクツリー47の子ノードは、1つの要素に対する複数の名称(標準ラベル、冗長ラベル、合計ラベル、期首ラベル、期末ラベル等)から構成される。
【0062】
3.表計算ソフトへの出力
以上のように分析された情報40〜47を表計算への出力プログラム48により処理すると、下記の5種類のシートが作成される。
【0063】
(A)概要シート50(図16は概要シート50の一例を示している。)
概要シート50は、上記表示情報40、インスタンステーブル41、スキーマリスト44に基づいて作成される。
【0064】
(B)パターンシート51(図17はパターンシート51の一例を示している。)
パターンシート51は表示リンクツリー45から作成される。ここでは、企業が財務諸表作成に使用しているパターンを出力する。ここでのパターンは、表示リンクを読み込むときに同時に取得している。
【0065】
(C)拡張科目シート52(図18は拡張科目シート52の一例を示している)
ここでは、企業が独自に拡張した科目を出力する。拡張科目シート52は要素テーブル43と名称リンクツリー47から作成される。
【0066】
(D)財務諸表シート53(貸借対照表や損益計算書等の財務諸表毎に異なるシートを出力する)。図21は財務諸表シート53の一例を示している。
【0067】
財務諸表シート53は、表示情報40、インスタンステーブル41、文書情報42、要素テーブル43、表示リンクツリー45、計算リンクツリー46、名称リンクツリー47から作成される。
【0068】
ここでは、表示情報40から財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位等を取得する。表示情報40がない場合は既存の情報から組み立てて、表見出し、列見出し等を出力する。
【0069】
表示リンクツリー45を1度たどり、表示すべき項目が格納される予定のセル位置を調べて、数式の前方参照を解決しておく。
【0070】
数式(例えば合計の数式)は通常、表示項目の最終行に位置するが、財務諸表の様式においては、図19に示すように、最初に位置する場合もある。このようなケースを解決するためには、一度数式を構成する要素がどの位置にあるかを知る必要が生じる。
【0071】
表示リンクツリー45をルートからたどりながら、科目名、金額をセルに出力する。
【0072】
計算リンクツリー46において、ツリーの親ノード、すなわち計算方法が定義されている項目については、数式を組み立てて埋め込む。
【0073】
この処理において、本発明の特徴である、表示リンクツリー45と計算リンクツリー46の関連付けが行われる。
【0074】
いま、貸借対照表において、表示リンクツリー45、計算リンクツリー46が図20のように定義されていたとする。表示リンクツリー45では、流動負債45−1を親とした場合に、支払手形及び買掛金45−2、短期借入金45−3、未払法人税等45−4、賞与引当金45−5、受注損失45−6、その他45−7、流動負債合計45−8が子としてぶらさがっている。また、計算リンクツリー46では、流動負債46−1を親とした場合に、支払手形及び買掛金46−2、短期借入金46−3、未払法人税等46−4、引当金46−5、その他46−6が子としてぶらさがっており、さらに引当金46−5には賞与引当金46−7、受注損失46−8が子としてぶらさがっている。なお、図中のB31,B32などは表計算ソフトのセルアドレスを示している。
【0075】
上記ツリー構造においては、流動負債合計45−8が計算リンクツリー46 の親になっているので、この関係を表すための数式を生成する必要がある。
【0076】
図20において、支払手形及び買掛金45−2から未払法人税等45−4までは、計算リンクツリー46に対応する表示リンクツリー45が存在する(つまり実際に表示される)。しかし計算リンクツリー46の引当金46−5には、対応する表示リンク45が存在しないため、セル位置を用いた表計算ソフトの数式を生成することができない。
【0077】
そこで本発明では、下位項目が存在する計算リンクツリー46のノードについては、最下位のノードまで探索して、表示リンクツリー45の項目と計算リンクツリー46を関連付け、この関係を表すための数式を生成することを可能にしている。
【0078】
実際に指定された金額との差額を求める式を組み立てて埋め込む。
【0079】
生成された数式どおりに合計を求める。実際にインスタンス文書に指定された金額との差額(誤差)が許容範囲外のものについては赤で表示する。XBRLには、切り捨てまたは四捨五入等の端数処理方式を示す方法がないため、最小値は切り捨て、最大値は四捨五入を想定してその範囲内かどうかをチェックしている。
【0080】
図21に示す財務諸表シートによれば、企業が作成したXBRLデータの計算リンクが妥当であったかどうかを検証することができる。B列の計算で囲まれた部分、「売上総利益」「販売費及び一般管理費」「営業利益」等には提出企業があらかじめ計算して単数処理を終えた数値が転記される。
【0081】
一方、C列の同じ行位置には、「売上総利益」「販売費及び一般管理費」「営業利益」等の計算リンクをたどって、表計算ソフトの計算式が作成される。また、D列にはB列とC列の差額計算を行う計算式が作成される。D列で差額が発生した場合、検証プログラムは構成される計算リンクをカウントし、端数処理の結果であるか否かを判定する。端数処理の結果でないと判定された場合、差額は赤字表示となる。この結果、検証実行者はD列の差額を見れば、計算リンクが正しく設定されているかどうかを判定することができる。
【0082】
以上のように、第1実施形態では、(1)XBRLの表示リンクと名称リンクから、中間ファイル等を介することなく、直接、表計算ソフト上にインデントされた財務諸表を作成する、(2)XBRLの計算リンクを表計算ソフトの計算式として表現する、(3)XBRLでは別々に定義されている表示リンクと計算リンクを表計算ソフト上で関連付け、理解しやすい表現とする、という手順を用いることによって、専用ソフトにおける、定義を別個に行わなければならないという煩雑な状況をなくして、作成者の手間を大幅に削減することを可能にしている。
【0083】
さらに、専用ソフトでは、表示リンクと計算リンクが分離されているが、本実施形態では表計算ソフト上で一体となって表示されるため、XBRLの知識に乏しい人でも容易にインスタンス文書の検証を行うことができる。
【0084】
(XBRLデータの作成)
次に、本発明の第2実施形態に係るXBRLデータ作成システムについて図面を参照して詳細に説明する。図22は、XBRLデータ作成サービスを行うサービス提供業者が当該サービスをウェブサービスとして提供する場合のXBRLデータ作成システムの構成図である。インターネット100に接続された金融庁サーバ109には、タクソノミ文書110が格納されている。また、サービス提供業者が所有するXBRL作成システムサーバ(以下、単に作成サーバと呼ぶ)103には、金融庁サーバ109からインターネット100を介してあらかじめダウンロードされたタクソノミ文書104が格納されている。また、作成サーバ103には、金融庁に対して財務報告を行う企業などのインスタンス作成者107,108のクライアント端末が接続されており、インターネット100を介したXBRLデータ(インスタンス)の作成が可能となっている。
【0085】
また、作成者自身が作成サーバ103を所有する場合には、XBRLデータの作成を行うインスタンス作成者106がLAN経由で作成サーバ103に接続してインスタンスの作成を行う。
【0086】
作成サーバ103には、XBRLデータの作成を行うための作成プログラムが、Java(登録商標)システムの形態でインストールされている。作成プログラムは後述するように、タクソノミ・セレクタープログラム、スキーマ・ローダープログラム、リンクベース・ローダープログラム、作成者入力データ解析プログラム、XBRL出力プログラムなどの個々のプログラムを組み合わせたものである。
【0087】
インスタンス作成者106または107がクライアント端末を使用して作成サーバ103に接続すると、作成プログラムが起動され、作成サーバ103に格納されているタクソノミ文書104からのタクソノミの選択を行うことが可能になる。インスタンス作成者106または107は選択したタクソノミを用いてXBRLデータ(インスタンス)の作成を行う。
【0088】
なお、インスタンス作成者106または107は、作成サーブ103に接続してXBRLデータの作成を行うのではなく、スタンドアロンのクライアント端末を用いてXBRLデータの作成を行うことも可能である。この場合、クライアント端末には作成プログラムがJava(登録商標)システムの形態でインストールされるが、インスタンス作成者106または107は、表計算ソフトの機能拡張ソフト(アドイン)をインタフェースとして作成プログラムとメッセージやデータのやり取りを行う。
【0089】
以下に、本発明に係るXBRLデータの作成方法について詳細に説明する。図23は、作成プログラムによる処理の詳細を説明するための図である。作成プログラムは、タクソノミ・セレクタープログラム130、スキーマ・ローダープログラム131−1、リンクベース・ローダープログラム131−2、作成者入力データ解析プログラム132、XBRL出力プログラム133などにより構成される。
【0090】
1.各表示、計算、名称リンクベースに使用するタクソノミの選択(図23の手順S10)
(A)まず、作成者は図24に示すような概要シート120に、作成する財務諸表の種別(連結・個別、年度・四半期・中間等の種別)、業種、開示者名、金額単位、提出日、提出回数等を入力する。
【0091】
(B)タクソノミ・セレクタープログラム130は、(A)で入力された種別と業種に基づいて、標準タクソノミを決定する。標準タクソノミでは、タクソノミの肥大化を抑制するため、財務諸表の異なる表示方法やそれに伴う計算上の関係が、パターン別リンクベースファイル140として別ファイルに部品化されている。
【0092】
タクソノミ・セレクタープログラム130は、決定された標準タクソノミからこれらのパターン別リンクベースファイル140を読み込んで一覧表(パターン選択シート)
121として表示する(図25)。作成者はこの一覧表の中から、使用するパターンシートを選択する。
【0093】
2.選択されたタクソノミからスケルトン表/要素一覧表の作成(図23の手順S11、S12)
(A)まず、スキーマ・ローダープログラム131−1は、パターンシートの選択(図25)に基づいて、企業拡張層以外のタクソノミセットを決定する。次に、スキーマ・ローダープログラム131−1は、標準のスキーマファイル141を読み込み、検証時と同様に要素テーブル142を作成する(手順S11)。
【0094】
(B)次に、リンクベース・ローダープログラム131−2は、標準の表示リンク、パターン指定シートで指定されたパターンの表示リンク、およびをそれらが参照している
表示リンクファイル143−1をすべて読み込み、表示リンクツリー144−1を作成する。計算リンクファイル143−2も同様に読み込み、計算リンクツリー144−2を
作成する。さらに、リンクベース・ローダープログラム131−2は、標準の名称リンクファイル143−3を読み込み、名称リンクツリー144−3を作成する。
【0095】
(C)次に、リンクベース・ローダープログラム131−2は、表示リンクツリー144−1と名称リンクツリー144−3を用いて、各財務諸表毎に台紙となるスケルトン
表122(図26)を表示する。また作成者の入力の便宜をはかるため、リンクベース・ローダープログラム131−2は、各財務諸表で用いられる可能性のある全要素を網羅
した要素一覧表(図27、図28)を表示する(手順S12)。
【0096】
3.作成者入力データの解析(図23の手順S13)
(A)作成者は、2.で作成/表示されたスケルトン表に勘定科目名、各会計期間毎の金額、表計算ソフト上の数式、財務諸表名、各列の見出しを入力する。また入力された勘定科目名とタクソノミの要素とを結びつけるため、作成者は、勘定科目名の隣の列に、要素一覧表123から選択した要素の冗長科目名を記入する。この場合、企業が独自に定義する拡張科目については要素一覧表にないため、別途、拡張科目定義シート124に定義する。
【0097】
(B)作成者入力データ解析プログラム132は、拡張科目定義シート124に定義された科目を拡張要素テーブル157として保持する。
【0098】
(C)次に、作成者入力データ解析プログラム132は、入力された勘定科目名、冗長科目名、会計期間、金額に基づいてインスタンステーブル158を作成する。
【0099】
(D)次に、作成者入力データ解析プログラム132は、入力された財務諸表名、各列の見出し、表示金額等に基づいて表示情報159を作成する。
【0100】
(E)次に、作成者入力データ解析プログラム132は、作成者により入力された財務諸表の勘定科目の並び順と段下げ情報に基づいて作成者表示リンクツリー160を作成する。この作成者表示リンクツリー160が標準の表示リンクツリーと比較して表示階層が異なるノードについては、出力表示リンクツリー160として保持する。
【0101】
(F)次に、作成者入力データ解析プログラム132は、作成者が入力した数式を解析し、作成者計算リンクツリー161を作成する。作成者計算リンクツリー161が標準計算ツリーと比較し、計算要素、計算順序が異なるノードについては、表示リンクと同様に、出力計算リンクツリー161として保持する。
【0102】
4.作成したXBRLデータの出力(図23の手順S14)
(A)XBRL出力プログラム133は、拡張要素テーブル157からスキーマファイル150、定義リンクファイル151および名称リンクファイル(日本語、英語)152を作成する。
【0103】
(B)次に、XBRL出力プログラム133は、インスタンステーブル158からインスタンス文書ファイル154を出力するとともに、表示情報159から表示情報ファイル153を出力する。
【0104】
(C)次に、XBRL出力プログラム133は、出力表示リンクツリー160から、標準のアークを上書きし、作成者のアークが挿入された表示リンクファイル155を出力する。表示階層以外にも、表示に標準以外のラベルを使用する場合、たとえば「営業利益」がマイナスであった場合、「営業損失(△)」というラベルを使用する場合も標準アークの上書きが必要であるが、これらの上書き・挿入は金額、財務諸表の種類によって自動的に行われる。
【0105】
(D)次に、XBRL出力プログラム133は、表示リンクの場合と同様に、出力計算リンクツリー161から、標準のアークを上書きし作成者のアークが挿入された計算リンクファイル156を出力する。
【0106】
以上のように、第2実施形態では、(1)表計算ソフトの計算式からXBRLの計算リンクを作成する、(2)表計算ソフト上のインデントされた名称データからXBRLの表示リンクと名称リンクを作成する、という手順を用いることによって、専用ソフトにおける、定義を別個に行わなければならないという煩雑な状況をなくして、作成者の手間を大幅に削減することを可能にしている。
【0107】
さらに、専用ソフトでは、表示リンクと計算リンクが分離されているが、本実施形態では表計算ソフト上で一体となって表示されるため、使用者はごく自然に表計算ソフト上での表示が会計ルールに即していること、作成した計算式が会計のルールに即していることの2点に注意を払うだけで、XBRLの知識に乏しい人でも容易にインスタンス文書の作成を行うことができる。
【0108】
なお、上記した実施形態ではXBRLデータの検証と作成とを別個に行う場合について説明したが、ある者が上記作成プログラムを用いてXBRLデータを作成して金融庁にアップロードし、その後、同一の者が当該XBRLデータをダウンロードして上記検証ソフトを用いて検証することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るXBRLデータ検証システムの構成図である。
【図2】図2は、財務諸表の一例としての「損益計算書」を示す図である。
【図3】図3は、XBRL文書の一例を示す図である。
【図4】図4は、検証ソフトによる処理の詳細を説明するための図である。
【図5】図5は、表示情報40の一例を示す図である。
【図6】図6は、インスタンステーブル41の一例を示す図である。
【図7】図7は、図6のインスタンステーブル41に実際に数値などを入れた状態を示す図である。
【図8】図8は、文書情報42の一例を示す図である。
【図9】図9は、要素テーブルの一例を示す図である。
【図10】図10は、スキーマリスト44の一例を示す図である。
【図11】図11は、要素間の関係を示す図である。
【図12】図12は、表示リンクツリー45の一例を示す図である。
【図13】図13は、計算リンクツリー46の一例を示す図である。
【図14】図14は、計算リンクツリー46の他の例を示す図である。
【図15】図15(A)、(B)は、名称リンクツリーの一例を示す図である。
【図16】図16は、概要シートの一例を示す図である。
【図17】図17は、図17はパターンシートの一例を示す図である。
【図18】図18は、拡張科目シートの一例を示す図である。
【図19】図19は、数式(例えば合計の数式)が表示項目の最初に位置する例を示す図である。
【図20】図20は、表示リンクと計算リンクの一例を示す図である。
【図21】図21は、表計算ソフト上に作成されたインデントされた財務諸表の一例を示す図である。
【図22】図22は、本発明の第2実施形態に係るXBRLデータ作成システムの構成図である。
【図23】図23は、作成プログラムによる処理の詳細を説明するための図である。
【図24】図24は、概要シートの一例を示す図である。
【図25】図25は、パターン別リンクベースファイルの一覧表を示す図である。
【図26】図26は、スケルトン表の一例を示す図である。
【図27】図27は、要素一覧表の一例を示す図である。
【図28】図28は、要素一覧表の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1 インターネット
2 検証実施者
3 XBRL検証システムサーバ
4 XBRLインスタンス文書
5 タクソノミ文書
6,7 検証実施者
8 金融庁サーバ
9 タクソノミ文書
10 XBRLインスタンス文書
30 表示情報ローダープログラム
31 インスタンス文書ローダープログラム
32 スキーマ・ローダープログラム
33 リンクベース・ローダープログラム
48 表計算への出力プログラム
100 インターネット
101 インスタンス作成者
102 XBRLインスタンス文書
103 XBRL作成システムサーバ
104 タクソノミ文書
105 XBRLインスタンス文書
106,107 インスタンス作成者名
108 XBRLインスタンス文書
109 金融庁サーバ
110 タクソノミ文書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスタンス文書と、タクソノミ文書とから構成されるXBRLデータの検証を行うXBRLデータ検証システムであって、前記タクソノミ文書は、スキーマファイルと、名称リンクファイルと、表示リンクファイルと、計算リンクファイルと、表示情報ファイルとを含み、
前記表示情報ファイルから、財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位情報等を読み込み、表示情報として保存する手段と、
前記インスタンス文書から、コンテキスト、表示金額単位、数値データ、文書情報等を読み込んでインスタンステーブルと文書情報とを作成する手段と、
前記スキーマファイルを読み込み、前記インスタンス文書が直接又は間接的に参照しているスキーマを用いて、要素テーブルとスキーマリストとを作成する手段と、
前記スキーマリストに含まれる表示リンクベース、計算リンクベースおよび名称リンクベースを読み込んで、前記表示リンクベースから表示リンクツリーを生成し、前記計算リンクベースから計算リンクツリーを生成し、前記名称リンクベースから名称リンクツリーを生成する手段と、
前記表示情報、前記インスタンステーブル、前記文書情報、前記要素テーブル、前記スキーマリスト、前記表示リンクツリー、前記計算リンクツリー、前記名称リンクツリーのうちの任意の組み合わせに基づいて財務諸表に関する情報を作成し表計算ソフト上で表示する手段と、
を具備することを特徴とするXBRLデータ検証システム。
【請求項2】
インスタンス文書と、タクソノミ文書とから構成されるXBRLデータの検証を行うXBRLデータ検証プログラムであって、前記タクソノミ文書は、スキーマファイルと、名称リンクファイルと、表示リンクファイルと、計算リンクファイルと、表示情報ファイルとを含み、
コンピュータを、
前記表示情報ファイルから、財務諸表名、各列の見出し、表示金額単位情報等を読み込み、表示情報として保存する手段、
前記インスタンス文書から、コンテキスト、表示金額単位、数値データ、文書情報等を読み込んでインスタンステーブルと文書情報とを作成する手段、
前記スキーマファイルを読み込み、前記インスタンス文書が直接又は間接的に参照しているスキーマを用いて、要素テーブルとスキーマリストとを作成する手段、
前記スキーマリストに含まれる表示リンクベース、計算リンクベースおよび名称リンクベースを読み込んで、前記表示リンクベースから表示リンクツリーを生成し、前記計算リンクベースから計算リンクツリーを生成し、前記名称リンクベースから名称リンクツリーを生成する手段、及び
前記表示情報、前記インスタンステーブル、前記文書情報、前記要素テーブル、前記スキーマリスト、前記表示リンクツリー、前記計算リンクツリー、前記名称リンクツリーのうちの任意の組み合わせに基づいて財務諸表に関する情報を作成し表計算ソフト上で表示する手段と、
して機能させるためのXBRLデータ検証システム。
【請求項3】
表計算ソフト上に入力された情報に基づいてXBRLデータを作成するXBRLデータ作成システムであって、
作成者により入力された情報のうち、種別と業種とに基づいて、標準タクソノミを決定するとともに、決定された標準タクソノミに基づいてパターン別リンクベースファイルを読み込んでパターン選択シートとして表示する手段と、
作成者により前記パターン選択シートから選択されたパターンシートに基づいて企業拡張層以外のタクソノミセットを決定するとともに、標準のスキーマファイルに基づいて、要素テーブルを作成する手段と、
標準の表示リンクファイル、計算リンクファイル、名称リンクファイルを読み込んで、それぞれ表示リンクツリー、計算リンクツリー、名称リンクツリーを作成する手段と、
前記表示リンクツリーと前記名称リンクツリーとを用いて、各財務諸表毎に台紙となるスケルトン表を表示するとともに、各財務諸表で用いられる可能性のある全要素を網羅した要素一覧表を表示する手段と、
作成者により拡張科目定義シートに定義された勘定科目を拡張要素テーブルとして保持するとともに、作成者により前記スケルトン表に入力された情報のうち、勘定科目名、冗長科目名、会計期間、金額に基づいてインスタンステーブルを作成し、財務諸表名、各列の見出し、表示金額等に基づいて表示情報を作成し、入力された勘定科目の並び順と段下げ情報に基づいて作成者表示リンクツリーまたは出力表示リンクツリーを作成し、表計算ソフト上の数式を解析して作成者計算リンクツリーまたは出力計算リンクツリーを作成する手段と、
前記拡張要素テーブルからスキーマファイル、定義リンクファイルおよび名称リンクファイルを作成し、前記インスタンステーブルからインスタンス文書ファイルを出力するとともに前記表示情報から表示情報ファイルを出力し、前記出力表示リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された表示リンクファイルを作成するとともに、前記出力計算リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された計算リンクファイルを出力する手段と、
を具備することを特徴とするXBRLデータ作成システム。
【請求項4】
表計算ソフト上に入力された情報に基づいてXBRLデータを作成するXBRLデータ作成プログラムであって、
コンピュータを、
作成者により入力された情報のうち、種別と業種とに基づいて、標準タクソノミを決定するとともに、決定された標準タクソノミに基づいてパターン別リンクベースファイルを読み込んでパターン選択シートとして表示する手段、
作成者により前記パターン選択シートから選択されたパターンシートに基づいて企業拡張層以外のタクソノミセットを決定するとともに、標準のスキーマファイルに基づいて、要素テーブルを作成する手段、
標準の表示リンクファイル、計算リンクファイル、名称リンクファイルを読み込んで、それぞれ表示リンクツリー、計算リンクツリー、名称リンクツリーを作成する手段、
前記表示リンクツリーと前記名称リンクツリーとを用いて、各財務諸表毎に台紙となるスケルトン表を表示するとともに、各財務諸表で用いられる可能性のある全要素を網羅した要素一覧表を表示する手段、
作成者により拡張科目定義シートに定義された勘定科目を拡張要素テーブルとして保持するとともに、作成者により前記スケルトン表に入力された情報のうち、勘定科目名、冗長科目名、会計期間、金額に基づいてインスタンステーブルを作成し、財務諸表名、各列の見出し、表示金額等に基づいて表示情報を作成し、入力された勘定科目の並び順と段下げ情報に基づいて作成者表示リンクツリーまたは出力表示リンクツリーを作成し、表計算ソフト上の数式を解析して作成者計算リンクツリーまたは出力計算リンクツリーを作成する手段、及び
前記拡張要素テーブルからスキーマファイル、定義リンクファイルおよび名称リンクファイルを作成し、前記インスタンステーブルからインスタンス文書ファイルを出力するとともに前記表示情報から表示情報ファイルを出力し、前記出力表示リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された表示リンクファイルを作成するとともに、前記出力計算リンクツリーから標準のアークを上書きして作成者のアークが挿入された計算リンクファイルを出力する手段、
として機能させるためのXBRLデータ作成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−146109(P2010−146109A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320114(P2008−320114)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(301005016)株式会社インターネットディスクロージャー (2)