説明

XI因子の治療学的使用

本発明は、出血性エピソードを治療するための方法および組成物を提供する。当該方法は、それを必要とする患者に対してXI因子ポリペプチドをそのような治療の有効量で含有する製剤を投与することにより実施される。本発明の方法は、凝固時間の短縮;止血の増強;凝血塊溶解時間の増大;凝血塊強度の増大;および/または前記患者における総合クロット特性(OCQ)の増大の1以上を生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、出血性エピソードの予防および/または治療のためのヒト XI因子の治療学的使用、生物学的液体からのXI因子およびXI因子ポリペプチドの精製方法、並びに医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒト XI因子は、各々約80kDaの分子量を有する2つの同一のサブユニットからなるセリンプロテアーゼである。FXIは、分子量が〜160KDaのジスルフィド結合のホモに量対として血漿中を循環している。FXIは、Arg369 と Ile370の間の各モノマーの切断により活性化され、ジスルフィド結合された50 kDaのアミノ末端重鎖と35 kDaのカルボキシ末端の軽鎖を形成する。当該蛋白質は、第4染色体(4q35)15エクソンおよび14イントロンに位置する23kbの遺伝子によりコードされる蛋白質であり、2097ヌクレオチドからなるmRNAをコードしており、またそれは、18アミノ酸のアミノ末端シグナル(リーダー)ペプチドと成熟蛋白の各モノマーに存在する607アミノ酸もまたコードする。エクソンIII-Xは、4つの直列型反復配列(アップルドメイン)をコードし、これは人血漿PKにおいて発見された類似のドメインと相同性を有する(58%の同一性)。エクソンXI〜XVは、典型的なトリプシン様触媒的ドメインをコードし、これは、内部のArg 369〜Ile 370結合でチモーゲンの蛋白質分解性の切断によって活性化され、4つのアップルドメイン(369アミノ酸)を含む重鎖と、軽鎖または触媒的ドメイン(238アミノ酸)を産生する。
【0003】
凝固の開始のための1機序は、損傷の部異で組織因子(TF)の循環への暴露を介して、次に連続して生じ、以下が連続してそれに続く;(i)血漿VII因子(FVII)のTFに対する結合および活性化されたVII因子(FVIIa)へのその蛋白分解性変換;(ii)X因子のTF-FVIIa複合体への結合および活性化X因子(FXa)への蛋白分解性変換;(iii)FXaによるプロトロンビンからトロンビンへの蛋白分解性変換;および(iV)組織因子経路インヒビター(TFPI)とFXaの間の複合体の産生、続く、TFPI:FXa複合体のTF-FVIIaへの結合は、トロンビンのFXa活性を減弱化し、TF経路を介して生じたトロンビンの流動を制限する。この層の間に産生される比較的少量のトロンビンは、FXIからFXIaへの活性化(これがIX因子からFIXaに活性化する)を、当該V因子の血小板の表面における活性化および更なるX因子の活性を結果として生じる。これらの現象は、更に十分な量のトロンビンの形成を促進(所謂、トロンビンバースト)し、フィブリノーゲンをフィブリンに変換し、それによって、初期の血小板プラグを安定化し、適切な止血に帰着する。
【0004】
その同族のプロテアーゼ、FXIIa、FXIaとトロンビンによってFXIを負に荷電する表面とその活性化に結合することを進めるコファクター高分子量キニノーゲン(HK)で、ダイマーic FXIは、非共有結合性の複合体でチモーゲンとしてプラズマを循環する。最も重要なA2領域で、FXIに対するHK結合部位は、複数のアップル領域(A1、A2、A4)を含む。Zn2+イオンの存在でHKによる複合体形成は、FXIを活性化の血小板に結合することを促進することが示された。活性化の血小板の表面によるFXIの相互作用は、FXIのA3領域の中で残りSer248-Val271を通して媒介されることが示された;残基Ser248、Arg250、Lys255、Phe260とGln263は、また、この相互作用に関係した。FXIのA3領域も残基Thr249-Phe260の範囲内でヘパリン結合部位を含む、そして、残基Lys252とLys253は血小板に結合に関係した。FXIとHKが非共有結合性の複合体でプラズマを循環し、HKが活性化の血小板sの表面に結合することが示されるにもかかわらず、そして、血小板表面とFXIとの相互作用は明らかに、HK-FXI複合体の結合が必要ではない。代わりに、FXIダイマーが直接高親和性(活性化の血小板s(約1500の部位/血小板;約10nMでのKd)の特異的な部位)と結合するように見える。FXIの単離された組換えA3領域は、活性化された血小板における同じ数の部位に対して、およびFXIダイマーと同じ親和性で結合する。
【0005】
当該活性化された酵素FXIaはまた、活性化血小板における飽和性部位(約800pMでのKd; 500部位/血小板)に対して高親和性結合することが示されており、溶液中で観察されるそれらと類似の率で、FIXを活性化することができる。FXIの基質FIX結合部位は、A2領域におけるサブドメイン(Ala134〜Leu172)とA3領域における2つのサブドメイン(Ile184〜Val192とSer259〜Ser265)を含む。血小板面に対する結合は、FXIダイマーの1ポリペプチド鎖を利用し、それによってFIXのための基質結合部位として他のモノマーを示している糖蛋白1b-V〜IX複合体によって媒介される。FIXa発生が、FXaによるプロトロンビン活性化をも促進する血小板表面に対するFIXa触媒FX活性化を局所化するのに貢献するようである。
【0006】
血小板表面におけるトロンビンの局所爆発的な発生に導く膜関連複合体を形成することに加えて、その機能的活性が血小板表面に結合されているかどうか、または、それが溶液で遊離しているかどうかに依存しているように見える種々のプラズマと血小板プロテアーゼインヒビターによって、FXIaはまた調節を受ける。従って、α-1-プロテアーゼインヒビター、抗トロンビンIII、C1インヒビター、α-2-抗プラスミン、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)および蛋白質Cインヒビターを含む多くのセリンプロテアーゼインヒビターは、全て、プラズマコンパートメントにおいてFXIaを失活させることが示されている。しかしながら、活性化された血小板の環境の範囲内で、FXIaの最も生理的に関連するインヒビターはプロテアーゼネキシンII(PNII)でありそうであり、そして、それは非常に低い血漿濃度で見つかるが、通常の生理的状況下で3〜5nMで血漿濃度を示唆している血小板α-顆粒(108の血小板当りで1-1.5nMのPNIIが放出される)から分泌される。PNIIは、ヘパリンの存在において有意に強化される300〜500pMのKiを伴ってFXIaの強力なインヒビターである。PNIIおよび他のプロテアーゼインヒビターによるFXIaの調節の部位は溶液中で生じるのに対して、HKおよびZn2+イオンの存在またはプロトロンビンおよびCa2+の存在における血小板表面に対するFXIの結合は、PNIIと血小板表面において生じたFXIa活性が止血性血栓に局在化されることを示すα-1-プロテアーゼインヒビターとの両方によって不活性化から保護されている。ヘパラン硫酸グリコサミノグリカンを含む内皮細胞が、それによって内皮の上でFXIaの阻害を増強しているFXIa/PNII複合体のアセンブリを促進するかもしれないことも可能である。
【0007】
活性化血小板の表面におけるトロンビン発生におけるFXIの関与はまた、トロンビン活性化線溶インヒビターを介した線溶の阻害における役割を果していると考えられ、TAFIは、プラスミノーゲン結合および活性化において役割を果しているフィブリンからC末のリジン残基を蛋白質分解性に除去する。インタクトなFXIフィードバックループは、有意なTAFI活性化のために充分なトロンビンを生成するのに必要であると考えられている。
【0008】
特に、血小板と骨髄巨核球は明らかにFXIの第2の形態を合成し、それは、血小板由来FXI(pd-FXI)と称され、エクソンVを欠失することにおいて循環形態とは異なり、第2のアップル領域をコードする2つの第1のエクソンであり、インビトロの研究は血小板XI因子aのための好ましい基質がプラズマFXIとFIX以外である可能性があることを明らかにした。血小板FXI(Mr 220 KDa)が、血小板原形質膜と関係していることが明らかになっている。血小板は、約300分子のpd-FXIを細胞に含む。
【0009】
FXI欠損は、出血の可変的傾向によって特徴づけられる常染色体性の劣性症候群である。たとえ重篤であるとしても、当該患者が外科的な外傷によって疑問を呈されるまで、当該欠失は臨床上症状がない可能性がある;しかしながら、場合によっては出血が、欠損の重症度を問わずに起こる。FXI欠損にかかった患者の最適な管理は、FXIレベルに加えて多くの特徴に対する注意を必要とする。最初に、部分的な欠損を伴う個体における出血傾向を評価する、および更なる因子が寄与しているかどうかを評価することが重要である。そのような評価は、FVIIICとフォン・ウィルブランド因子レベル、出血時間と血小板凝集の測定を含まなければならない。新鮮凍結血漿は、FXI欠損の第1の既知の症例を治療するために用いられており、FXI濃縮物の開発されるまでの主要な治療であった。血漿の主要な不利益は、多量に必要とすること、アレルギー反応および感染薬剤の伝搬の可能性である。加えて、この製品中のかなり多様なFXI含有量が報告されている。2つのFXI濃縮物が、現在利用できる。バイオ・プロダクツ・ラボラトリー(Bio Products Laboratory(BPL)、イングランド)からのFXI濃縮物は、どのように残留するFXIaからも保護することを考えて、高濃度の抗トロンビン(平均102iu/mL)とヘパリン(10u/mL)と共に製剤化されている。第2のFXI濃縮物はヘモリーベン(Hemoleven、フランス)によって生産され、当該製品は3〜5u/mLのヘパリン、2〜3iu/mLの抗トロンビンとC1インヒビターと共に製剤化される。さらに、FXIの75-95%活性を保存するプールされた新鮮凍結血漿を低温殺菌することが可能であることが報告されている。軽度のFXI欠損を罹患する患者は通常、新鮮凍結血漿で治療されるであろうが、重篤なFXI欠損に罹患する患者は、FXI濃縮物を用いた治療を受ける得る。
【0010】
手術または大きな外傷に関連して過度に出血している患者、および輸血を必要とする患者(先天性のFXI欠損を患っていない人々も含む)は、少しの出血も経験していない人々よりもより多くの合併症を発症する。ヒト血液または血液製剤(凝固欠損など治療するための、例えば、血小板、白血球、血漿由来濃縮物など)の投与を必要とする中等度の出血でさえも、ヒトウイルス(肝炎、HIV、パルボウイルス、およびその他の現在未知のウイルスなど)を移す危険性と関連する合併症を導き得る。大量輸血を必要とする広範囲な出血は、障害のある肺および腎臓機能を含む多臓器不全の発現に繋がる可能性がある。一旦、対象がこれらの重篤な合併症を発症したならば、多くのサイトカインとを含んでいるイベントと炎症反応を含むイベントのカスケードが始まり、何れの治療も極めて困難に、または多くの場合、不成功とする。従って、外科手術並びに主要組織損傷の治療の主要目的は、出血を回避するか、最少限にすることである。そのような出血を回避する、または最小限にするために、線維素溶解酵素によって容易に溶かされない安定であり且つ固体の止血性プラグの形成を確実にすることが重要である。さらに、そのようなプラグまたは凝血塊の迅速かつ効果的な形成を確実にすることが重要である。
【0011】
WO2003007983は、出血性発症の治療のためのVIIaおよびFXI因子の組合せの使用を開示する。
【0012】
従って、安定フィブリンクロットの迅速な、制御された形成に結びつく改善された止血治療法が当該技術において必要である。
【発明の開示】
【0013】
[発明の概要]
本発明は、出血性エピソードを治療するための方法および組成物を提供する。当該方法は、それを必要とする患者に対して、XI因子(FXI)ポリペプチドを含有する製剤をそのような治療に有効な量で投与ことによって実施される。本発明の方法は以下の1以上に帰着する;還元型の血液凝固時間;止血の増強;クロット溶解時間の増大;クロット強度の増大;および/または前記患者における総合的クロット特性(overall clot quality、OCQ)の増加。
【0014】
ある態様において、FXIポリペプチドの投与の後で、当該患者が少なくとも約5nM、10nM、30nM、60nMまたは120nMの効果的なFXI血漿濃度を示す。ある態様において、FXIポリペプチドは、配列番号1に記載の配列または、少なくとも1のFXI関連生物活性を保持するその断片を含む。ある態様において、FXIポリペプチドは、配列番号2に記載の配列または少なくとも1つのFXI関連生物活性を保持するその断片を含む。ある態様において、当該FXIポリペプチドは、配列番号1若しくは配列番号2の誘導体、または1以上のアミノ酸配列改変物を含む配列番号1若しくは配列番号2の何れかの変異体を含む。ある態様において、当該FXIポリペプチドは、配列番号1の配列を有する。ある態様において、当該FXIポリペプチドは、配列番号2の配列を有する。
【0015】
ある態様において、当該患者は先天性のFXI欠損を患わない。ある態様において、当該出血性エピソードは、外科的手術、歯科的処置、外傷または血液希釈に対して二次的なものである。ある態様において、当該患者は後天性FXI欠失を患う。
【0016】
当該発明はまた、出血性エピソードを予防するための方法および組成物を提供する。当該方法は、それを必要とする患者に対して、FXIポリペプチドを含む製剤を出血を防ぐために有効な量で投与することによって実施される。
【0017】
ある態様において、本発明の方法は、FXIポリペプチドの投与の前に、更に以下を具備する:(a)前記患者から血液の検体を得ること;(b)以下の少なくとも1を測定すること:FXI濃度、FXIa:FXIの比率または凝固を復元するのに必要な外因性FXI量;および(c)工程(b)の結果を基に、治療のための前記FXIの有効量を決定すること。
【0018】
1態様において、本発明の当該方法はVII因子/VIIa因子凝固剤の投与を含まない。
【0019】
ここで使用される場合、Factor VII/Factor VIIa凝固剤は、WO2003007983で述べられるように、VII因子/VIIa因子凝固剤はVII因子ポリペプチドまたはVII因子関連のポリペプチドである。
【0020】
本発明はまた、出血性エピソードの治療のための方法および組成物であって、当該患者が、(i)FXIポリペプチドを含む第1の量の製剤および(ii)非VII因子/VIIa因子凝固剤を含む製剤の第2の量を、組合わせにおいて当該第1および第2の量がそのような治療に有効である条件下で投与される方法および組成物も提供される。
【0021】
非VII因子/VIIa因子凝固薬剤の非限定的な例は、以下を含む:XI因子I、リン脂質、XI因子II;組織因子経路インヒビター(TFPI)インヒビター;第IX因子;トロンビン活性化可能な線溶インヒビター(TAFI);プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1);第V因子;蛋白質 C インヒビター;蛋白質 S インヒビター;組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)インヒビター;プロトロンビン、VIII因子、フィブリノゲンおよびX因子。
【0022】
本発明はまた、(i)単離された組換え型FXIポリペプチドを具備していると(ii)薬学的に許容される担体または賦形剤を具備する医薬製剤を提供する。
【0023】
本発明は更に、生物学的物質からXI因子ポリペプチドを精製する方法であって、当該方法が当該物質を陽イオン交換クロマトグラフィ物質、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質およびハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質上での逐次的なクロマトグラフィに供することを具備する方法を提供する。
【0024】
[発明の詳細な説明]
本発明は、外因的に投与されたXI因子(FXI)がFactor VII/Factor VIIa凝固薬剤の投与なしでヒト血液で一般の止血薬として効果的でありえるという驚くべき知見に基づく。本発明に従うFXIの治療的な使用は、以下の1以上を提供する可能性がある:凝固時間の短縮、堅固なクロット、および線溶に対するクロット形成の抵抗性の増大および出血に関連する合併症の減少。
【0025】
本発明は出血性エピソードの治療または予防、止血の改良、クロット溶解時間の増大および/またはクロット強度の増大のための治療学的使用において有利な方法および組成物を提供する。当該方法は、これらの望ましい治療的目的の1以上を成し遂げるために、患者に対してXI因子の有効量を投与することによって実行される。当該組成物は、FXIの治療的使用のための、FXIを含む医薬製剤を含む。1態様において、当該組成物は、FXIの治療的使用のための、単離されたFXIを含む医薬製剤を含む。1態様において、当該組成物はFXIの治療的使用のための、組換え型のFXIを含む医薬製剤を含む。1態様において、当該組成物はFXIの治療的な使用のための、単離された組換え型のFXIを含む医薬製剤を含む。
【0026】
1つの一連の態様において、本発明は、正常なヒト患者に対するFXIの投与に関する。ここで使用される、「正常な」ヒトはXI因子における先天性欠損に罹患していない者である(すなわち、血友病 C、Seligsohn(1993)Thromb. Haemost. 70:68-71を参照されたい);正常なヒトは、これに限定されるものではないが、血小板減少(血小板の数が少ないまたは活性が低い)を示す患者、外科的手術または歯科的手順を計画されているまたは経験している患者、外傷または臓器障害のある患者および結果として血小板の数の低下したおよび/またはフィブリノーゲン、FVIIIおよび/または他の凝固蛋白質のレベルが低下している患者を含む。正常なヒト患者は、例えば、出血、外傷、化学療法、肝臓疾患、血液希釈(例えば、血液量を維持するまたはショックを予防するための血漿増量剤または塩溶液)のための血漿中のFXI(または何れかの凝固蛋白または因子)の一過性の減少、何れの他の環境も関与しない先天性のFXI遺伝子における欠損を示す患者を含む。
【0027】
もう1つの一連の態様において、本発明は、先天性のFXI欠失を患っているヒト患者に、単離されたおよび/または組換え型のFXIの投与に関するものである。
【0028】
もう1つの一連の態様において、本発明は、後天性FXI欠失を患っているヒト患者に、単離されたおよび/または組換え型のFXIの投与に関するものである。
【0029】
本発明の実施において、何れかのFXIポリペプチドも、出血の予防または治療において有効であるように使用されてよい。これは、血液若しくはプラズマ若しくは血小板に由来するFXIポリペプチド、または何れかの適切なホスト生物体または細胞において組換え手段によって製造されたFXIポリペプチドを含む。FXIポリペプチドに、それらの非切断(チモーゲン)形態が含まれるのと同様に、蛋白分解性に処理されて得られたそれらの夫々の生理活性型(FXIaと記す)のものも含まれる。
【0030】
ここで使用されるように、FXIポリペプチドは、これに限定するものではないが、FXIと同様にFXI関連ポリペプチドも含む。用語「FXI」は、これに限定されるものではないが、野生型ヒト血漿FXIのアミノ酸配列を有するポリペプチド(例えば、Fujikawa et al., Biochem. 25:2417 (1986)に記載される)、並びに他の種由来の野生型FXI、例えば、ウシ、ブタ、イヌ、ネズミ、ウサギおよびサーモンFXIなどを含むことを意図する。一般に、免疫応答を誘発する危険を減らすために、被験者と同系のFXI蛋白質が使用されることが好まれる。非ヒトFXIの製造および特徴づけは、例えば、ガイラニ(Gailani (1997), Blood 90:1055)により記載されている。本発明はまた、獣医科の手順の範囲におけるそのようなXI因子蛋白質の使用も含む。
【0031】
ある態様において、FXIポリペプチドは、野生型ヒト血漿FXIである(配列番号1)。他の態様において、FXIは血小板由来FXI(pd-FXI)であり(配列番号2)、例えば、Hsuらが記載している通りである(Hsu et al. (1998), J. Biol. Chem. 273:13787-93)。
【0032】
FXIポリペプチドは、更に、1個人から他の個人の間に存在し、その間で異なるFXIの天然対立遺伝子変異含む。また、FXIコード核酸の供給源、FXIが産生されるホスト細胞およびFXI生成細胞が維持される状況に従って、グリコシレーションまたは他の翻訳後修飾の程度と部位は、若干の状況で異なってもよい。
【0033】
FXI関連ポリペプチドは、これに限定されるものではないが、科学的に修飾されたヒトFAI類縁体(即ち、FXI誘導体)の何れかをであるFXIポリペプチドおよび/または1以上のヒトFXI関連アミノ酸配列改変体(即ち、FXI変異体)を含むFXIポリペプチドを含む。そのようなFXI関連ポリペプチドは、ヒトFXIに関連する生物活性の1以上の側面において変化を示す可能性があり、これらに限定するものではないが、それには、安定性の変化、リン脂質結合ノ変化、特異的酵素活性の変化、免疫原性の変化、生物学的利用能の変化、1以上のFXI結合相手に対する結合の変化、FXIインヒビターに対する結合の変化などが含まれる。FXI関連ポリペプチドsは、それらの未切断(チモーゲン)形態におけるそのようなポリペプチド、並びに、それらのそれぞれの生理活性形態を得るためにタンパク分解性に処理されたそのようなポリペプチドを含み、それは「FXIa関連ポリペプチド」または「活性化されたFXI関連ポリペプチド」と示されてもよい。
【0034】
FXI誘導体の非限定的な例は、以下を含む:リン酸エステル化、硫酸化、ペグ化(PEGylation)によって、または1以上の糖転移酵素および/またはグリコシダーゼの作用によって、インビボまたはインビトロに関係なく、修正された野生型FXIまたはFXI異型(Ekdahl et al.(1999),Thromb. Haemost. 82:1283-8、を参照されたい)。
【0035】
FXI異型の非限定的な例は、以下を含む:1以上のN結合またはO結合グリコシレーションコンセンサス部位は、修飾されている、1本鎖FIX(即ち、野生型においてと同様にモノマーポリペプチドは鎖内蛋白分解性切断に対する対象ではない)であり、および1以上のシステイン残基が除去または配置転換されるシステイン変異体であり、これに限定されるものではないが、当該モノマーまたはダイマーのジスルフィド結合様式を変える改変を含む。1態様において、Cys11(これは分子間または分子内ジスルフィド結合に関与するとは考えられていない)は除去されるか、置換される。
【0036】
1つの一連の態様において、FXI変異体は、野生型ヒトFXIに比較して血漿での半減期が短い。1態様において、FXI変異体は、50時間未満の半減期を持つ。1態様において、FXI変異体は、24時間未満の半減期を持つ。1態様において、FXI変異体は、12時間未満の半減期を持つ。1態様において、FXI変異体は、6時間未満の半減期を持つ。
【0037】
1態様において、FXI変異体は、3時間未満の半減期を持つ。
【0038】
1つの一連の態様において、FXI変異体は、ペプチドであって、1以上の部位でのN結合グリコシレーションは、同属のN結合グリコシレーションコンセンサス部位の修飾により、例えば、N72、N108、N335、N432、N473または前記の何れかの組合わせの何れかのアミノ酸との独立した置換によって崩壊させられるポリペプチドである。そのような変異体の非限定的な例は以下を含む;FXI-N72Q; FXI-N108Q; FXI-N335Q、FXI-N432Q、FXI-N473Q; FXI-N72Q/N108Q; FXI-N72Q/N108Q/N335Q; FXI-N72Q/N108Q/N335Q/N432Q; FXI-N72Q/N108Q/N335Q/N432Q/N473Q; FXI-N72Q/N432Q; FXI-N72Q/N473Q; FXI-N108Q/N432Q; FXI-N108Q/N473Q;およびFXI-N432Q/N473Q。例えば、1以上の部位でのN結合グリコシレーションの崩壊はまた例えば以下によって達成され得る:(i)残基72-74、108-110、335-337、432-434および473-475(すなわち、各々の部位の1以上の残基は、欠失される可能性があり、何れの他のアミノ酸も置換される可能性はない);(ii)N+2残基の独立した置換(例えば、T74をS以外の何れかの残基に置換すること、S110をT以外の何れかの残基への置換、S337のS以外の何れかの残基への置換、S434のT以外の何れかの残基への置換、T475のT以外の何れかの残基への置換;(iii)N+1残基のグリコシレーション崩壊アミノ酸(これに限定されるものではないが、例えばプロリン(P))。上記の手段の何れの組合せも、FXIポリペプチド内での異なる部位での独立してグリコシレーションを崩壊させるのに用いられてもよいと理解されるであろう。
【0039】
また、本発明は、FXI配列の全てまたは一部分と他の異種ペプチド配列のキメラまたは融合ペプチドも含む。1以上の当該4アップルドメインは他のポリペプチドからの類似のアップルドメインにより置換されてもよく(例えば、Gailani et al.(1999) Blood 94:621aを参照されたい)、または1以上のアップルドメインのが完全に欠失されてもよい。もう1つの態様において、LDL レセプター関連蛋白質(LRP)のための結合部位は(例えば、IXa因子の残基Phe342-Asn346を含むペプチドであり、これはLRPとの相互作用に寄与することが示されている;Rohlena et al. (2003), J. Biol. Chem. 278:9394) 、その薬物動態的な性質を修飾するためのFXIポリペプチドの配列に付与される。
【0040】
その活性形態におけるFXIのダイマーの性質(および、例えば、血小板結合およびFIX活性化における2つのモノマーの非対称性の機能)は、また、本発明において使用するためのFXIヘテロダイマーを含む製剤、即ち、非同一のFXI(またはFXI関連)モノマーポリペプチドの組合わせを含むFXIヘテロダイマーを含む製剤を可能にする。唯一の必要条件は、ヘテロダイマーがFXI生物活性の1以上の有利な側面を示すことである。
【0041】
本発明において使用するためのFXIポリペプチドは、これに限定されるものではないが、野生型ヒトFXIと実質的に同じか、または改善された生物学的活性を示すポリペプチド、並びにFXI生物活性が、野生型ヒトFXIの活性に比較して実質的に修飾去れているか、減少しているポリペプチドを含む。
【0042】
本発明の実施において、変異体を含むFXIaまたはFXIa関連ポリペプチドを含む有用な組成物は、当該野生型FXIに相当するものが、同様の供給源から得られた、または同様の細胞型においてにおいて生成される場合、および当該活性の比較が同一のFXI活性アッセイにおける類似の試験によりなされる場合に、野生型FXIを単独で含む組成物の特異的活性の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、または少なくとも約130%を示すものを含む。ここで使用される場合、用語「活性」および「特異的活性」は、個々にまたは集合体において、FXI生物活性の何れの側面または複数の側面に対して適用される。
【0043】
ある態様において、FXI関連ポリペプチドの特異的なタンパク分解性の活性と野生型ヒトFXIのタンパク分解性活性との間の比率は、FXIアミド分解アッセイで試験した場合には、少なくとも約1.25である;他の態様においては、当該比率は少なくとも約2.0である;更なる態様においては、当該比率は少なくとも約4.0である。
【0044】
[FXI生物活性]
本発明の実施において、1以上の異なる側面のFXI生物活性が、例えば以下において定量化、使用されてよい;(i)以下よりの選択:治療学的投与のためのFXI組成物、製剤、FXI生産または精製方法など;および/または(ii)異なる治療様式の有効性を評価すること。生物活性のこれらの側面の何れのためのFXIaの「特異的活性」も、FXIaポリペプチドの単位質量当りの活性の単位として表されることが理解されるであろう。
【0045】
これらの側面は以下を含む。
【0046】
I.蛋白質分解性活性
(a)アミド分解活性は、インビトロで、適切な色素産生基質、例えば、S2355 (Chromogenix)などを使用して定量化されてよく、エクダールらの記載の通りである(Ekdahl et al. (1999), Thromb.Haemost. 82:1283-8.)。測定された活性は、明らかな特異性活性を有する標準FXIa試料(Enzyme Research Laboratories)と比較され、値は、FXIa活性のAUとして表される。
【0047】
(b)FXI活性化活性は、直接的にインビトロで、IX因子からIXaへの蛋白分解性の変換を例えばカイラニらの記載の通りに測定することにより定量化することが可能である(Gailani et al. (2001), Blood 97:3117-3122)。
【0048】
II.結合活性およびインヒビター
野生型ヒトFXIは多くの結合相手を有し、プレカリクレイン(PK)、高分子量キニノーゲン(HK)、トロンビン/プロトロンビン、IX因子(FIX)およびGP1b-V-IXと称される血小板関連FXI受容体を含む。本発明の実施の再に、何れの従来の結合実験を使用して、これらの(または他の)結合相手に対するFXIポリペプチドの親和性を定量化してよい。そのような結合実験は、これに検定するものではないが、何れかの結合相手が標識化されている競合的結合実験を含む。
【0049】
また、FXIポリペプチド結合相手に含まれるものは、FXI活性部位インヒビターであり、これに限定するものではないが、抗トロンビンIII、C1インヒビター、α2抗トリプシン、PAI-1、蛋白質CインヒビターおよびプロテアーゼネキシンII(PNII)が含まれる。FXIポリペプチドに関するこれらの化合物の親和性は、従来の結合実験の使用によって定量化してよい;或いは、特定のFXIポリペプチド製剤のタンパク分解性活性のためのそのような化合物のインヒビター活性は、アミド分解性またはFIX活性化分析を使用して測定してもよい。
【0050】
III. 凝固パラメータ:
凝固時間、クロット溶解時間およびクロットの強度は、患者の止血性のシステムの状態を評価するために使用される臨床パラメータである。血液サンプルは、FXIポリペプチドの投与の後に適切な間隔で患者から採血され、これらのパラメータの1以上が評価される。或いは、FXIポリペプチドまたは製剤が、ヒト対象から採血された血液のインビトロ/エクスビボでの治療のために使用されてもよい。
【0051】
血液凝固時間は、標準PTまたはaPTT分析によって評価されてよい。
【0052】
クロット溶解時間およびクロット強度は、トロンボエラストグラフィ(thromboelastograpy)により測定されてよく、これはヴィッグらにより記載されている(Vig et al. (2001) Blood coagulation & fibrinolysis, Vol. 12 (7) pp. 555-561. and Sorensen (2003) Throm Haemost 1:551-558)。あるいは、カーなどによって述べられるように、クロットの強度が評価されてもよい(Carr et al, (1991), Am. J. Med. Sci. 302: 13-8)。
【0053】
トロンボエラストグラフィで測定されるようなFXIの凝固活性を反映する1パラメータは、「総合的クロット特性」(OCQ)である。一旦クロット形成が始められると(t=0)、時間の相関としてのクロット強度の測定は、クロット形成の最大速度 (max vel)、並びに最大速度に到達するまでに要する時間(tvax vel)を明らかにする。その後、組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)の追加により、線溶と線溶の最大速度(tmin vel)に到達するまでに要求される時間の導出が可能になる。OCQは、次のように算出される:
(Max vel / tmax vel) X (tmin vel − tmax vel)
IV.薬物動態学的パラメータ
野生型ヒトFXIは、血漿中で約50時間の半減期を持ち、そのHKとの相互作用に少なくとも部分的に媒介されると考えられている。本発明の実施において、FXIポリペプチド、即ち、未変性のFXIと異なる薬物動態学的な性質を示すものが、使われてもよい。非限定的な例は、FXI関連オリゴ糖から1以上の末端シアル酸残基を除去するシアリダーゼで処理されたFXIポリペプチド、ペグ化による修飾されたFXIポリペプチド、およびHKとの相互作用に変化を示すFXIポリペプチドを含む。本発明の実施において、薬物動態学的性質は、例えば、WinNonlin Professional Version 3.1(Pharsight社、マウンテンビュー、CA、米国)を使用して算出されてもよい。1以上の値が存在する場合には、算出は、各々の時間点で平均濃度値を使用して実行される。
【0054】
以下のように薬物動態学的パラメータは、算出されてよい:AUC、AUC%Extrap、Cmax、tmax、λz、t1/2、CLおよびVzは、以下の公式を使用する:
【表1】

【0055】
[FXIの生産と精製]:
本発明において使用するためのFXIポリペプチドは、血漿からからまたは当該分野において公知の適切な方法を用いる組換え供給源から製造されてよい。ここで使用される場合、用語「単離」は、この中に使われるように、「単離される」用語は、それが合成された細胞、またはそれらが天然(例えば、血漿または血液)において見つかる媒体から分離されたFXIポリペプチドをいう。
【0056】
起源であるそれらの細胞からのポリペプチドの分離は、当該分野において公知の何れの方法によって達成されてもよく、これに限定されるものではないが、接着細胞培養物からの所望の産生物を含む細胞用培地を除去すること;遠心または濾過により接着細胞を除去すること;など。任意に、FXIポリペプチドは、更に精製されてもよい。精製は、当該分野で公知の何れの方法を使用して達成されてよく、これに限定するものではないが、例えば、アフィニティクロマトグラフィ、例えば、抗FXI抗体カラムまたはペプチドアフィニティーカラム(その非限定的な例は、ヘパリン、Blue、Red、L-アルギニン、ベンズアミジンペプチド(Benzamidine peptide)、他の色素またはRP-クロマトグラフィを含む)などを含んでよい;疎水性相互作用クロマトグラフィ;イオン交換クロマトグラフィ;サイズ除外クロマトグラフィ;電気泳動的な手順(例えば、調製用の等電焦点(isoelectric focusing, IEF)、ディファレンシャルな溶解性(例えば、塩、pH、アンモニウム硫酸塩または他の添加物を使用する、例えば、何れかの沈殿でもまたは結晶化など)または、抽出法など、より詳しく上述において記載される通りである。精製の後で、製剤(preparation)は好ましくは重量で約 10%未満、より好ましくは約5%未満、最も好ましくは約1%未満の宿主細胞に由来する非FXIポリペプチドを含む。
【0057】
血漿からのFXIの精製はまた、既知の方法によ達成してよく、これに限定するものではないが、コイデらおよびブーマらによって開示される方法を含み、当該文献は参照によりここに組み込まれる(Koide et al. (1977), Biochem. 16: 2279 and Bouma et al. (1977), J.Biol.Chem. 252:6432)。組換えFXIを製造する方法は、当該分野においてで公知である。例えば、ケンボール・クックら(Kemball-Cook et al. (1994), Gene 139:275)、フジカワら(Fujikawa et al. (1986), Biochem. 25:2417)、およびメイジャーズら(Meijers et al.(1992), Blood 79:1435)を参照されたく、これらの文献は参照によりここに組み込まれる。FXIaは、また、エンザイム・リサーチ・ラボラトリーズ(Enzyme Research Laboratories、サウスベンド、IN)から商業的に入手可能である。
【0058】
本発明は更に、FXIポリペプチド、例えば組換えFXIなど、を他の生物学的材料から精製する方法であって、陽イオン交換クロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに当該材料を供することを含む方法に関する。
【0059】
本発明は更に、FXIポリペプチド、例えば組換えFXIなど、を他の生物学的材料から精製する方法であって、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに当該材料を供することを含む方法に関する。
【0060】
本発明は更に、FXIポリペプチド、例えば組換えFXIなど、を他の生物学的材料から精製する方法であって、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに当該材料を供することを含む方法に関する。
【0061】
本発明は更に、FXIポリペプチド、例えば組換えFXIなど、を他の生物学的材料から精製する方法であって、陽イオン交換クロマトグラフィ物質、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質およびハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに当該材料を供することを含む方法に関する。記載されるように、逐次的なクロマトグラフィが順番に実行されることが理解されるべきである。
【0062】
用語「ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーの物質」は、ここで使用される場合、当該分野で公知の何れかのハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質であって、FXIポリペプチドと結合することが可能な物質を意味し、例えば、ハイドロキシアパタイトマトリックスなどでよい。
【0063】
用語「陽イオン交換クロマトグラフィ物質」は、ここで使用される場合、当該技術分野において公知の何れの陽イオン交換クロマトグラフィ物質であって、FXIポリペプチドと結合することが可能な物質を意味し、例えば、陽イオン交換マトリックスなどでよい。
【0064】
用語「疎水性相互作用クロマトグラフィ物質」は、ここで使用される場合、当該技術分野において公知の何れの疎水性相互作用クロマトグラフィ物質であって、FXIポリペプチドと結合することが可能な物質を意味し、例えば、疎水性相互作用クロマトグラフィマトリックスなどでよい。
【0065】
1態様において、本発明は、FXIポリペプチドを生物学的材料から精製する方法であって、以下の工程を具備する発明に関する:
FXIポリペプチドを含有する生物学的材料を第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に供すること、前記クロマトグラフィは以下を具備する:
(i)前記生物学的材料を前記第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に加えること;
(ii)未結合物質を第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーAで溶出すること、ここで、バッファーAは当該第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合していない物質を溶出するために適切である;および
(iii)未結合物質を前記第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーA’で溶出すること、ここでバッファーA’は、当該第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合していない物質を溶出するために適切である;および
(iv)前記FXIポリペプチドを当該第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーA”で溶出すること、ここでバッファーA”は、前記第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からFXIポリペプチドを溶出するために適切である。
【0066】
1態様において、本発明は、FXIを生物学的材料から精製する方法であって、以下の工程を具備する方法に関する:
工程(iv)からの溶出液、または工程(iv)からの溶出液の使用により調製された液体を疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を使用するクロマトグラフィに対して供することであって、前記クロマトグラフィが以下を具備する:
(v)工程(iv)からの当該溶出液または工程(iv)からの溶出液を使用して調製された液体を前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して適用すること;
(vi)未結合物質を前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質からバッファーBで溶出すること、ここでバッファーBは、前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である;および
(vii)前記FXIポリペプチドを前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質からバッファーB’での勾配溶出により溶出すること、ここでバッファーB’はFXIポリペプチドを前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質から溶出するために適切である。
【0067】
1態様において、本発明は、FXIを生物材料から精製する方法であって、当該方法が以下の工程を具備する方法に関する:
工程(vii)からの溶出液、または工程(vii)からの当該溶出液の使用により調製された液体をハイドロアパタイト物質を使用するクロマトグラフィに対して供することであって、前記クロマトグラフィが以下を具備する方法に関する:
(viii)工程(vii)からの溶出液、または工程(vii)からの溶出液の使用により調製された液体を前記ハイドロアパタイトクロマトグラフィ物質に対して適用すること;
(ix)非結合物質を前記ハイドロアパタイトクロマトグラフィ物質からバッファーCで溶出すること、ここで、バッファーCは当該は井戸得ろ岸アパタイトクロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である:および
(x)前記FXIポリペプチドを前記ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質からバッファーC’でのグラジエント溶出により溶出すること、ここでバッファーC”はFXIペプチドを前記ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質から溶出することに適切である。
【0068】
1態様において、本発明は、FXIを生物的材料から精製する方法であって、以下の工程を具備する方法に関する:
(a)FXIポリペプチドを含有する生物学的材料を第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に供すること、前記クロマトグラフィは以下を具備する:
(i)前記生物学的材料を前記第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に加えること;
(ii)未結合物質を第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーAで溶出すること、ここで、バッファーAは当該第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合していない物質を溶出するために適切である;および
(iii)未結合物質を前記第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーA’で溶出すること、ここでバッファーA’は、当該第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合していない物質を溶出するために適切である;および
(iv)前記FXIポリペプチドを当該第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーA”で溶出すること、ここでバッファーA”は、前記第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からFXIポリペプチドを溶出するために適切である;
(b)工程(iv)からの溶出液、または工程(iv)からの溶出液の使用により調製された液体を疎水性相互作用クロマトグラフィ物質を使用するクロマトグラフィに対して供することであって、前記クロマトグラフィが以下を具備する:
(v)工程(iv)からの当該溶出液または工程(iv)からの溶出液を使用して調製された液体を前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して適用すること;
(vi)未結合物質を前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質からバッファーBで溶出すること、ここでバッファーBは、前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である;および
(vii)前記FXIポリペプチドを前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質からバッファーB’での勾配溶出により溶出すること、ここでバッファーB’はFXIポリペプチドを前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質から溶出するために適切である;
(c)工程(vii)からの溶出液、または工程(vii)からの当該溶出液の使用により調製された液体をハイドロアパタイト物質を使用するクロマトグラフィに対して供することであって、前記クロマトグラフィが以下を具備する方法に関する:
(viii)工程(vii)からの溶出液、または工程(vii)からの溶出液の使用により調製された液体を前記ハイドロアパタイトクロマトグラフィ物質に対して適用すること;
(ix)非結合物質を前記ハイドロアパタイトクロマトグラフィ物質からバッファーCで溶出すること、ここで、バッファーCは当該は井戸得ろ岸アパタイトクロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である:および
(x)前記FXIポリペプチドを前記ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質からバッファーC’での勾配溶出により溶出すること、ここでバッファーC”はFXIペプチドを前記ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質から溶出することに適切である。
【0069】
FXIポリペプチドの精製は、サンプル中の他の成分に関連して当該サンプル中のFXIポリペプチドの濃度を増加し、結果としてFXIポリペプチドの純度を上げる工程である。サンプルの他の成分に関して当該サンプル中のFXIポリペプチドの濃度は、当該s軟プル中のFXIポリペプチドの濃度と等量ではないことが理解されるべきである。当該FXIポリペプチドの純度の上昇は、続く当該技術分野において公知の方法を使用することにより測定されてもよく、例えば、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリペプチドアクリルアミドゲル電気泳動、Sodium Dodecyl Sulfate Polyacrylamide Gel Electrophoresis), HPLC (高速液体クロマトグラフィ、High Performance Liquid Chromatography)またはベリクロームアッセイ(Berichrome assays(Dade Behring Diagnostics))またはクロット活性試験(Clot activity assay)などである。
【0070】
生物学的材料は、細胞、細胞成分または細胞産生物に由来する何れの物質であっても、それらを含む物質であってもよい。生物学的材料は、生物学的液体であってもよい。
【0071】
生物学的液体は、細胞、細胞成分または細胞酸生物に由来する何れの液体であっても、それらを含む液体であってもよい。生物学的液体は、これに限定されるものではないが、細胞培養物、細胞培養上清、細胞溶解物、細胞抽出物、組織抽出物、血液、血漿、血清、それら全てはホモジネートおよび濾過、およびその画分であってもよく、例えば、未分画生物学的液体のクロマトグラフィにより収集してもよい。
【0072】
当該FXIポリペプチドは広範に多様な生物学的材料から精製されてもよく、例えば、天然にFXIポリペプチドを産生する細胞培養上清、そればかりでなく、FXIポリペプチドを産生するように遺伝的に修飾された細胞であってもよく、例えば、FXIポリペプチドをコードするDNAで形質転換された哺乳類細胞(例えば、CHO細胞など)であってもよい。
【0073】
当該生物学的材料は、第一の陽イオン交換クロマトグラフィー物質における適用の前に多くの方法を使用することにより処理されてもよい。そのような方法は、これに限定するものではないが、遠心、濾過を含む。1態様において、当該生物学的材料は、生物学的体液である。本発明の1態様において、当該生物学的液体は細胞溶解物の上清である。本発明の1態様において、当該生物学的液体は、酵母細胞溶解物の上清である。
【0074】
本発明の1態様において、当該FXIポリペプチドは細胞培養物、例えば上述の通りの哺乳類細胞培養物から精製される。当該工程(a)におけるクロマトグラフィの前に、当該哺乳類細胞を細胞培養上清から遠心および/または濾過により分離してもよい。EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびベンズアミジンHCLなどのインヒビターが、クロマトグラフィ工程(a)に供される前に含ませてもよい。
【0075】
バッファーは、基質を含む溶液であり、前記基質は少量の酸または塩基が添加されるエ溶液のpHにおける有意な変化を防止することが可能であり、それによって当該溶液の殆ど最初の酸性度または塩基性度を維持することが可能である。バッファーは通常、尺さんまたは弱塩基をその塩と共に含有する。
【0076】
当該生物学的液体のpHは、工程(a)におけるクロマトグラフィに先駆けて、バッファーAのpHに調整してもよく、例えば、1MのHClまたは1MのNaOHを使用して、または従来公知の他の手段によって行ってよい。
【0077】
第一の陽イオン交換クロマトグラフィは、当該技術分野において公知の何れの陽イオン交換クロマトグラフィ物質であって、ある設定の条件でFXIポリペプチドペプチドを結合することが可能であり、異なる設定の条件ではそれを放出する物質であり、例えば、するホプロピル基を有する陽イオン交換クロマトグラフィ物質などである。更に、これに限定されるものではないが陽イオン交換クロマトグラフィ物質の例は、誘導体化されたデキストラン、アガロース、セルロース、ポリペプチドアクリルアミドおよび特別なシリカ、例えばカルボキシメチルなどを含む。適切な陽イオン交換クロマトグラフィ物質は、FXIポリペプチドを含有する生物学的流体を選択の当該陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して供し、画分を回収しおよびその純度および当該画分の内容を決定し、例えば、SDS-PAGE(ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミドゲル電気泳動、Sodium Dodecyl Sulfate Polyacrylamide Gel Electrophoresis)、HPLC(高速液体クロマトグラフィ)、クロット活性、またはベリクロームアッセイ(Dade Behring Diagnostics)、当該流出液の280nmでの吸収のモニタリングおよびその他の当該技術分野で公知の他の方法を用いることなどにより確認されてよい。適切な陽イオン交換クロマトグラフィ物質は、これに限定するものではないが、ストリームライン・SP・XL(Streamline SP XL (Amersham Biosciences cat no 17-5073))、オベリックス・ST・CIEX(Obelix ST CIEX (Amersham Biosciences cat no 11-0010))、ストリームライン・ダイレクト・DST(Streamline Direct CST (Amersham Biosciences 17-5266))、S-サポート・ウノスフェア(S-Support Unosphere, BioRad cat no 156-0113)またはトヨパール(Toyopearl SP-550C Toso Haas cat no 14028)などを含む。1態様において、オベリックス・ST・CIEXを使用する。
【0078】
第一の陽イオン交換クロマトグラフィ物質は、当該生物学的材料の適用の前にバッファーAで前平衡をされてもよい。
【0079】
バッファーAは、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびベンズアミジンHCLなどのプロテアーゼインヒビターを含んでもよいが、他の商業的に入手可能なプロテアーゼインヒビターも使用してもよい。
【0080】
本発明の1態様において、バッファーAのpHは6.5〜9である。更なる態様においては、バッファーAのpHは7〜9である。更なる態様において、バッファーAのpHは約8である。
【0081】
本発明の1態様において、バッファーAの伝導率は約40mS/cm未満である。
【0082】
バッファーA”は、FXIの溶出に使用される。典型的には、この場合のバッファーAおよびA’のステップ(ii)における洗浄のために使用される当該バッファーの1以上の成分の濃度が、溶出の過程の間に増加または減少するか、または新たな成分が当該バッファー、このようその濃度に添加される。この増加または減少は、当該分野において公知であるように連続的にまたは非連続的な工程で行われてよい。陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合した物質の溶出のために、塩、例えば、NaCLなどをバッファーAに対して添加することが通例である。この特異的な陽イオン交換体が、疎水性相互作用クロマトグラフィ樹脂として使用されてもよく、この種の樹脂としてプロパンジオール/グリセロールをバッファーAに添加してバッファーA’を形成することは慣習的である。仮にNaCLおよびプロパンジオール/グリセロールの両方をバッファーAに対して添加しても、次にFXIを溶出することが可能である。例えば、当該FXIポリペプチドの溶出の初めまたは終わりに溶出する望まれない不純物を溶出するための更なる処理のために、FXIポリペプチド含有画分をプールすることの決定は当業者の知識の範囲である。同様に、例えば、前平衡、溶出時間、洗浄、陽イオン交換クロマトグラフィ物質の再構成などに関して陽イオン交換クロマトグラフィの実施の一般的な技術は、周知である。
【0083】
工程(iv)におけるFXIポリペプチド溶出の後に、当該FXIポリペプチドプロテアーゼ阻害剤、例えば、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびベンズアミジンなどを含む当該溶出液を追加し、次に工程(v)に取り掛かる。当該溶出液は、また、例えば4℃で24時間以上、または例えば−80℃で保存されてよい。
【0084】
工程(b)において使用するための疎水性相互作用クロマトグラフィ物質は、何れの当該分野で公知の疎水性相互作用クロマトグラフィ物質、ある設定の条件下でFXIポリペプチドを結合することが可能であり、且つ異なる設定の条件ではそれを放出する物質、例えば、フェニル、ブチルまたはオクチル基またはポリアクリル樹脂で誘導体化された疎水性相互作用クロマトグラフィ物質などであってよい。非限敵的な適切な疎水性相互作用クロマトグラフィ物質は、アンバークロム(登録商標)CG71(Tosoh Bioscience)、フェニルセファロース(登録商標)ハイパフォーマンス(Amersham, cat no 17-1082)、フェニルセファロース(登録商標)6ファスト・フロー・ハイ・サブスティチューション(Amersham, cat no 17-0973)、トヨパールR・ブチル650(Tosoh Bioscience)、トヨパールR・フェニル(Tosoh Bioscience)、ソース(Source、登録商標)15Phe(Amersham, cat no 17-0147)、ブチルセファロース(登録商標)ハイ・パフォーマンス・サブスティチューション(Amersham, cat no 17-3100)、オクチルセファロース(登録商標)(Amersham, cat no 17-0946)、およびフェニルセファロース(登録商標)ハイ・パフォーマンス・ハイ・サブスティチューション(Amersham)などである。本発明の1態様において、当該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質はリガンドとしてブチルを使用する。
【0085】
バッファーBおよびNaCLが、工程(b)における当該クロマトグラフィに先駆けて、過程(iv)から当該溶出液、若しくは過程(iv)から当該抽出液の使用により調製される液体に、約1〜2体積以上添加されてもよく、または同じ成分を含むが、例えば2倍の濃度などのバッファーBの濃縮されたものなどを、過程(iv)からの当該溶出液に対して、若しくは過程(iv)からの当該溶出液の使用により調製された液体に対して、当該濃縮されたバッファーの濃度に相当する量で(2倍に濃縮されたバッファーが1.5堆積の量に添加される)添加される。
【0086】
緩衝Bは、約5〜約9、例えば、約8を有してよい。本発明の1態様において、緩衝Bは、25mS/cmよりも大きな、例えば、70mS/cmよりも大きな伝導率を有する。これは、例えば、リン酸バッファーの使用により、または当該技術分野において公知の他の手段、例えば、NaCLなどのにより達成される。本発明の1態様において、工程(iv)からの溶出液の伝導率または工程(iv)から溶出液の使用によって調製される液体は、少なくとも約60mS/cmの伝導率に調整される。
【0087】
緩衝B’は、勾配溶出法によってFXIポリペプチドの溶出のために使われる。勾配溶出溶においては、バッファーB’の当該成分は溶出過程において変化する。典型的に、このような場合のバッファーBにおいては、 工程(vi)における洗浄に使用される当該バッファーの成分は、溶出の過程において増加若しくは減少し、または新規成分が当該バッファーに対して添加され、それからこの成分の濃度は溶出の過程において増加される。この増加または減少は、連続的または非連続的に、当該技術分野に周知のように、行われてよい。疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して結合した物質の溶出のために、少なくとも結合したFXIポリペプチドの大部分が溶出されるまで水で当該洗浄用バッファーを希釈することは慣習的である。更なる処理、例えば、当該FXIポリペプチドの初めまたは終わりでの望まれない不純物の溶出を除外するためなど、のためにプールするためのFXIポリペプチド含有画分の定量は、当業者の知識の範囲内である。同様に、例えば、前平衡、溶集T時間、洗浄、当該疎水性相補作用クロマトグラフィ物質再構成など、疎水性相互作用クロマトグラフィの実施の一般的技術は周知である。
【0088】
本発明の1態様において、過程(vii)からの溶出液または過程(vii)からの溶出液の使用により調製された液体は、以下の工程を具備する方法の使用により処理される:
(1)その安定を有意に完全する有効量において、当該FXIポリペプチドの安定性を増加できる1以上の安定化剤を添加すること、および/または
この工程、当該分野で公知の前処置および任意の他の工程は、単独でまたは組合わせて実施されてもよく、当該工程が実施される順番は重大ではない。当業者は、これらの工程をどのように行うかおよびいつ行うかの決定をすルことが可能であろう。
【0089】
本発明の1態様において、FXIポリペプチドの物理的なおよび/または化学安定性を増加させることが可能な安定化剤は、FXIを含む画分に加えられる
FXIポリペプチドの用語「物理的な安定性」は、ここで使用される場合、当該蛋白質の生物学的活性および/または当該蛋白質の熱動力ストレス、および/または例えば、疎水性表面および界面などを不安定化する相互作用に暴露された結果として不溶性の凝集またはマルチマーを形成するような当該蛋白質の潜在的傾向をいう。バッファーAに存在する場合、当該FXIポリペプチドの物理学的安定性は、適切な容器(例えば、カートリッジまたはバイアル)に充填された当該製剤を機械的/物理的なストレス(例えば、攪拌など)に異なる温度で種々の時間に亘って暴露された後に、視覚的検査および/または濁度測定の手段により評価されてよい。
【0090】
バッファー中に存在する場合、FXIポリペプチドの視覚的検査は、暗色の背景を用いてシャープな焦点光において行ってよい。当該組成物の濁度は、濁りの度合いを視覚的なスコア評価、例えば、0〜3のスケール(全く濁りが示されない組成物はスコア0に相当し、日光の下で視覚的な濁りが示される組成物は、視覚的スコア3に相当する)によって、特徴付けてよい。それが日光の下で視覚的に濁りを示す場合、組成物は、蛋白質凝集に関して物理的に不安定であると分類される。あるいは、当該組成物の濁りは、当業者に周知の簡単な濁度測定により評価されてもよく、例えば、405nM(OD405)の波長で当該溶液の光学的濃度を測定することによって評価されてもよい。
【0091】
水性蛋白質組成物の物理的安定性は、また、光学的な薬剤または当該タンパク質の高次構造上の状態についてのプローブの使用により評価してもよい。当該プローブは、好ましくは当該蛋白質の非天然配位異性体に対して優先して結合する小分子である。蛋白質構造の小分子光学的プローブの1例は、チオフラビン(Thioflavin)Tである。チオフラビンTは、アミロイドフィブリルの検出のために広範に使用されている蛍光色素である。フィブリル、および恐らく同様に他の蛋白質構造の存在において、フィブリル蛋白質形態と結合した場合、チオフラビンTは、約450nmで新しい最大の励起の上昇と482nmでの高い蛍光を生じる。非結合のチオフラビンTは、当該波長で本質的に非蛍光である。
【0092】
他の小分子が、天然から非天然状態への蛋白質構造における当該変化のプローブとして使用することができる。例えば、「非疎水性パッチ」は、蛋白質の露出した疎水性パッチに対して優先的に結合することを探索する。当該疎水性パッチは、一般的に、その天然の状態では蛋白質の三次構造内に埋没するが、蛋白質の展開または変性するに従って露出される。これらの小分子、分光学的なプローブの例は、芳香族、疎水性色素、例えば、アントラセン、アクリジン、フェナントロリンなどである。他の分光学的プローブは、金属アミノ酸複合体、例えば、疎水性アミノ酸、例えば、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンおよびバリンなどとコバルト金属との複合体などである。
【0093】
当該FXIポリペプチドの「化学的安定性」の語は、ここで使用される場合、当該蛋白質構造における共有結合的変化をいい、天然蛋白質構造に比較して、潜在的に生物学的活性の低いおよび/または免疫原性特性の高い化学的分解産物の形成を導く変化をいう。種々の化学分解産物は、当該天然蛋白質の種類および性質並びに当該蛋白質の曝される環境に依存して形成される。化学分解の除去は、多くは恐らくは完全に避けられるものではなく、化学的分解産物の量の増加は多くの場合は貯蔵中および当該蛋白質組成物の使用中に見られ、これは当業者に周知の通りである。殆どの蛋白質は、アミド分解、そこにおいてそのグルタミニルまたはアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解され遊離カルボン酸を形成する過程を受け易い。他の分解経路は、高分子量転換産物の形成、そこにおいて2以上の蛋白質分子が、互いにアミド基転移および/またはジスルフィド相互作用を介して共有結合的に結合され、供給結合ダイマー、オリゴマーおよびポリマー分解産物の形成を導く(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(例えば、メチオニン基の)酸化を他の異なる化学的分解として挙げることできる。当該FXIポリペプチドの化学的安定性は、バッファーB’に存在する場合、
科学的分解産物の量を異なる環境条件に暴露された後の種々の時間で測定することにより評価できる;分解産物の形成は、例えば、多くの場合温度の上昇によって促進される。個々の分解産物の量は、多くの場合、分子サイズに依存して当該分解産物を分離すること、および/または種々のクロマトグラフィ技術(例えば、SEC-HPLC および/または RP-HPLCなど)の使用に供することにより測定される。
【0094】
バッファーB’に存在するときに(例えば、ある時間に亘ってOD405で濁度を測定することによって決定する場合などに)、FXIポリペプチドの物理的および/または化学的安定性を有意に改善することの可能な何れの薬剤も安定化剤として使用してよい。
【0095】
安定化剤として使用するために適切な薬剤は、例えば、塩(例えば、塩化ナトリウムなど)、糖、アルコール(例えば、C4-C8アルコールなど)、アルジトール、アミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファンまたはスレオニンなど)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400など)またはその1以上の混合物などである。何れの糖、例えば、単糖、二糖、または多糖、または水溶性ぐる間などが使用されてよい。アルジトールは、構造がHOCH2-[CH(OH)]n-CH2OHであり、nは1、2、3…である多価アルコールである。糖、アルコールまたはアルジトールである構造の非限定的な例は、果糖、ブドウ糖、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、蔗糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース-Na、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、アラビトール、グリセロール(グリセリン)、プロパン-1,2-ジオール(プロピレングリコール)、プロパン-1,3-ジオールおよびブタン-1,3-ジオールである。上述された糖、アルコールおよびアルジトールを個々にまたは組合わせて使用してもよい。その物質が液体製剤に溶解され、溶液におけるFXIポリペプチドのその物理的安定性が改善される限り、使用される量に一定の制限はない。これに関しては、レミントンが参照される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995)
本発明の1態様において、多価アルコールタイプの1以上の安定化剤が添加される。
【0096】
本発明の1態様において、以下からなる群より選択される1以上の安定化剤が添加される;グリセロール(プロパン-1,2,3-トリオール)、プロピレングリコール(プロパン-1,2-ジオール)、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコール(1プロパノール)およびイソプロピルアルコール(2-プロパノール)。本発明の1態様において、以下からなる群より選択される1以上の安定化剤が添加される;グリセロール、プロピレングリコールおよびプロパン-1,3-ジオール。
【0097】
本発明の更なる態様において、当該安定化が、液体アルコールまたは液体多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコールまたはイソプロピルアルコール)であるとき、安定化剤は約50容量%(v/v)〜約5容量%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約10%(v/v)まで、約20%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約10%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約20%(v/v)の濃度で存在する。
【0098】
言及された当該安定化剤は、上述の通り、当該FXIポリペプチドの物理的および/または化学的安定性を増大することが可能である。FXIポリペプチドの物理的および/または化学的安定性を有意に改善する(例えば、ある時間に亘ってOD405で濁度を測定することによって決定される)ことの可能な何れの薬剤も、安定化剤として使用されてよい。
【0099】
過程(vii)からの当該溶出液は、医薬組成物の製造のために使用されてよい。これは、バッファーの変更および/または生理学的な値への伝導率および/またはpHの調整、および/または他の動作を、哺乳類、例えば、ヒトなどにおける使用に許容可能にするために当該溶出液に与えることを含む;そのような溶出液をこの方法のために受け入れられるようにする手段は周知の技術である。当該溶出液はまた、例えば、4℃で24時間以上、または例えば、−80℃で保存されてよい。本発明の1態様において、当該方法は、更に過程(vii)からの当該溶出液、または過程(vii)からの当該溶出液を使用することにより調製された液体をヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に対して供する工程を含んでよく、前記クロマトグラフィは以下を具備する:
(viii)過程(vii)からの当該溶出液、または過程(vii)からの溶出液を使用することにより調製された液体を前記ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に対して添加すること;
(ix)当該ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質から非結合物質を、バッファーCを用いて溶出すること、ここで、バッファーCは、当該ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適している;および
(x)前記FXI ポリペプチドを当該ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質から、バッファーC’を用いて溶出すること、ここで、バッファーC’は当該ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に工程(viii)において結合しているFXIポリペプチドの溶出に適切である。
【0100】
過程(vii)からの当該溶出液を使用することによって調製される液体は、例えば、適用の前に調製されてもよい。
【0101】
本発明の1態様において、過程(vii)からの当該溶出液または過程(vi)からの当該溶出液を使用することによって調製される液体の伝導率は、水を添加することにより約20mS/cm未満に調整される。pHは5.8〜9に調製される。1態様においてpHは6である。
【0102】
バッファーCおよびバッファーC’の組成は、当該FXIポリペプチドの所望される最終医薬組成物の観点から選択されてよい。そのような組成は、当業者の知識の範囲内である。
【0103】
本発明の1態様において、バッファーCは1以上の安定剤を含み、その安定化剤は前述したように、FXIポリペプチドの物理的および/または化学的安定性を増大することができる。バッファーC(例えば、一定期間に亘ってOD405で濁度を測定することによって決定される)の存在下で、FXIポリペプチドの物理的および/または化学的安定性を有意に改善することができる何れの薬剤もバッファーCまたはバッファーC'の安定化剤として用いられてよい。
【0104】
バッファーCはの安定化剤として用いることに適切な薬剤は、例えば、塩(例えば、塩化ナトリムなど)、糖、アルコール(例えば、C4-C6アルコールなど)、アルジトール、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アルパルギン酸、トリプトファンまたはスレオニンなど)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400など)、またはその1以上の混合物であってよい。何れの糖、例えば単糖、二糖、または多糖または水溶性のグルカンが使用されてよい。糖、アルコールまたはアルジトールである物質の非限定的物質の例は、果糖、ブドウ糖、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、蔗糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性澱粉、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース-Na、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、アラビトール、グリセロール(グリセリン)、プロパン-1,2-ジオール(プロピレングリコール)、プロパン-1,3-ジオールおよびブタン-1,3-ジオールである。上述された糖、アルコールおよびアルジトールは、個々に、または組合わせて用いられてよい。当該物質が液状製剤で溶解し、溶液中でFXIポリペプチドの物理的安定性を改善する限り、使用される量に対する一定の制限はない。この点は、レミントンを参照される(Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995)。
【0105】
本発明の1態様において、バッファーCは多価アルコールタイプの1以上の安定化剤を含む。
【0106】
本発明の1様態において、バッファーCは塩化ナトリウムを含む。
【0107】
グリセロール(プロパン-1,2,3-トリオール)、プロピレングリコール(プロパン-1,2-ジオール)、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコール(1-プロパノール)、およびイソプロピルアルコール(2-プロパノール)からなる群より選択される1以上の安定化剤が(X)からの当該液体に添加される。
【0108】
本発明の1態様において、グリセロール、プロピレングリコールおよびプロパン-1,3-ジオールからなる群より選択される1以上の安定化剤が添加される。本発明の1態様において、プロピレンが添加される。
【0109】
本発明の更なる態様において、当該安定化剤は約5%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは用いられる液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約10%(v/v)〜約20%(v/v)の濃度で存在する。更なる態様において、液体アルコールまたは液体多価アルコールタイプの安定化剤は、約10%(v/v)の濃度で存在する。
【0110】
バッファーC’は勾配溶出法によって、FXIポリペプチドの溶出のために使われるが、バッファーC’の組成は溶出の過程で変化する。典型的には、この工程(ix)(この場合バッファーC)で洗浄に用いられるバッファーの構成要素の1以上の濃度が溶出の過程で増減されるか、または、新規の構成要素がバッファーに加えられ、次に、この構成要素の濃度は溶出の過程で増加する。この増減は連続的に、または非連続的な工程で生じてよく、それは当該技術分野において周知である。
【0111】
ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーに結合している物質の溶出のためには、慣習的には、少なくとも結合したFXIポリペプチドの大部分が溶出されるまで、塩、例えばK-PO4、または塩化ナトリウムなどをバッファーCに加え、次に当該塩の濃度を増加する。例えば、FXIポリペプチドの溶出の始まり、または終わりで溶出する不要な不純物を除外するための更なる工程のために、プールに対してFXIポリペプチドを含む画分を決定することは、当業者の知識の範囲内である。同様に、例えば、前平衡、溶出時間、洗浄、陽イオン交換クロマトグラフィ物質の再構成などに関して、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィーを実行することなどの一般的技術は、周知である。
【0112】
一連の態様において、FXIの精製において使用される何れかまたは全ての溶液における1以上の安定化剤の使用が、コントロール(即ち、同じ処理に供するFXIであるが、当該安定剤が不在のもの)の物理的および/または化学的安定性よりも少なくとも10%、25%、50%または100%多くのFXIの物理的および/または化学的安定性を増大する結果を生じる。他の一連の態様において、FXIの精製において使用される何れかのまたは全ての当該用鋭意における1以上の安定化剤の使用が、コントロール(即ち、同じ処理に供するFXIであるが、当該安定剤が不在のもの)の物理学的および/または化学的安定性の少なくとも2倍、5倍、10倍または20倍のFXIの物理的および/または化学的安定性の増大する結果を生じる。
【0113】
FXIの活性化
野生型ヒトFXIは、通常、Arg360とIle370の間で蛋白分解性の切断によって活性化され、これは、FXIa、FXIIaまたはトロンビンによって触媒され得る。必要に応じて、本発明において使用するためのFXIの活性化を、FXIaまたはFXIIa(共にEnzyme Research Laboratories、South Bend, INからのもの)またはトロンビン(Sigma)の使用によって達成されてもよい。例えば、サンらを参照されたい(Sun et al. (1999) J. Biol Chem 51:36373-36373 and Baglia (2003) J. Biol Chem 24:21744-21750)。また、他のプロテアーゼをFXIポリペプチドおよび特にFXI関連ポリペプチドを活性化するために利用することも本発明の範囲内である。
【0114】
本発明は、異なるFXI活性化レベルを有する製剤を利用するFXIの治療学的投与のための方法および組成物を含む。ある態様において、当該方法および組成物は、何れの活性化手順にも供されてないFXIポリペプチドを使用する。ある態様において、当該FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤は、以下の(質量での)活性化比を示す:約1:99〜約99:1のチモーゲンFXIまたはFXI関連ポリペプチド、例えば、5:95〜約95:5;約10:90〜約90:10;約20:80〜約80:20;約30:70〜約70:30;約40:60〜約60:40;および約50:50のチモーゲンFXIまたはFXI関連ポリペプチド。ある態様において、当該製剤は、モル濃度基準で総FXIに比較して約5%以下のFXIa;より好ましくは約2.5%以下、更により好ましくは約1%以下、より好ましくは約0.5または0.1%以下のFXIaを含む。ある態様において、当該性剤は、約0.01〜0.05%以下のFIXaをモル濃度基準で含む。ある態様において、当該製剤は、約0.01〜0.04%のFXIaをモル濃度基準で含む。ある態様において、当該製剤は、約0.01〜0.03%のFXIaをモル濃度基準で含む。
【0115】
また、本発明は、野生型FXIに比較して異なる活性化されるべき能力を示すFXI関連ポリペプチド、例えば、トロンビンによってよりもFXIIaによってより容易に活性化されるFXI関連ポリペプチド、およびその逆のもの;蛋白分解性切断がなくとも恒常的に活性化されるポリペプチド;1モノマーは(突然変異または化学修飾によって)蛋白質分解性に活性化されないものであるヘテロダイマー;などに関連する。
【0116】
更に、本発明はまた、自己活性化に抵抗性の、即ち、トロンビン(および/またはFXIIa)による活性化の割合がFXIaによる活性化の割合に対する率が野生型FXIよりも高い変異型であるFXI関連ポリペプチドに関する。
【0117】
本発明の当該方法および組成物はまた、処理、前処理、貯蔵、または活性化を阻害および/または促進する更なる薬剤とFXIポリペプチドの共投与を利用してもよい。活性化を阻害する薬剤の非限定的例は、C1エステラーゼインヒビター (C1Inb)、α-2抗プラスミン、(α2AP)、α1-アンチトリプシン(α1AT)、プロテアーゼネキシンII、ベンズアミジン、ヘパリン、および抗トロンビンIIIを含み、活性化を促進する薬剤の非限定的例はFXIa、FXIIa、およびトロンビンを含む。
【0118】
FXIを含む医薬製剤:
本発明は、予防および/または治療学的処置のためのFXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を医薬組成物を含む。
【0119】
本発明に従う医薬組成物または製剤は、FXIポリペプチドを、例えば、0.001〜100 mg/mlの濃度で、好ましくは薬学的に許容される担体に溶解して、好ましくは水性担体または希釈剤に溶解して含む。即ち、本発明に従う使用に適切な薬学的組成物は、FXIおよび/またはFXI関連ポリペプチドを含む製剤を、好ましくは精製された形態で、適切なアジュバンドおよび適切な担体または希釈剤と混合することによって作られる。種々の水性担体、例えば、水、緩衝化された水、0.4%の食塩水、0.3%グリシン、糖、界面活性剤、塩、バッファー、グリセロール、保存剤、プロテアーゼインヒビター、グリコールなどが使用されてよい。本発明の製剤はまた、非水性担体を使用して、例えば、ゲルの形態で、または障害部位に対して送達またはターゲティングするためのリポソーム製剤として製剤化されてもよい。リポソーム製剤は、一般的に、例えば、以下に記載される;米国特許第4,837,028, 4,501,728号および第4,975,282号。当該組成物は、慣習的な周知の滅菌技術によって滅菌されてもよい。得られた水性溶液を、無菌条件下での使用のためのパッケージングまたは濾過をされてもよく、凍結乾燥されてもよく、当該凍結乾燥された製剤は、投与前に滅菌された水性溶液と組み合わされた製剤であってもよい。
【0120】
当該組成物は、薬学的に許容される補助物質またはアジュバントを含んでもよく、これには非限定的であるが、pH調整剤、緩衝剤、張性調整剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、キレート剤などが含まれる。当業者は、本発明の組成物を適切な方法で、例えば、レミントンの製剤科学(Remington's Pharmaceutical Sciences, Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, PA, 1990)に開示されるような容認される操作で製剤化してよい。
【0121】
本発明の1態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む当該医薬組成物は更に、pH補助剤および緩衝剤を含む。本発明の1態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む当該医薬組成物は、更に、張性調整剤を含む。本発明の1態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む当該医薬組成物は、更に保存剤を含む。本発明の1態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む当該医薬組成物は、更に安定剤を含む。本発明の1態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む医薬組成物は、更に界面活性剤を含む。本発明の1態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む医薬組成物は、更にキレート剤を含む。
【0122】
適切なバッファーの非限定的な例は、酢酸バッファー、炭酸バッファー、クエン酸バッファ、グリシルグリシンバッファー、ヒスチジンバッファー、グリシンバッファー、リジンバッファー、アルギニンバッファー、燐酸バッファー(例えば、リン酸ナトリウム二水素、リン酸二ナトリウム水素またはリン酸三ナトリウムなどを含む)を含む、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)バッファー、ビシンバッファー、トリシンバッファー(tricine buffers)、リンゴ酸バッファー、コハク酸バッファー、マレイン酸バッファー、フマル酸バッファー、酒石酸バッファー、アスパラギン酸バッファーおよびその混合物を含む。
【0123】
薬学的に許容される保存剤の非限定的な例は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、クロロクレゾール、p−オキシ安息香酸メチル、p−ヒドロオキシ安息香酸エチル、プロピルp-オキシ安息香酸塩、ブチルp-オキシ安息香酸塩、2−フェノキシエタノール、2−フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、チオメロサール(thiomerosal)、ブロノポール、安息香酸、イミドウレア(imidurea)、クロロヘキシジン(chlorohexidine)、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化ベンゼトニウム、クロルフェネシン(3-p-クロルフェノシキプロパン-1,2-ジオール)((chlorphenesine(3-p-chlorphenoxypropane-1,2-diol))、ベンズアミジンおよびその混合物を含む。本発明の更なる態様において、保存剤は0.1mg/mL〜20mg/mLの濃度で存在する。本発明の1つの更なる態様において、保存剤は0.1mg/mL〜5mg/mLの濃度で存在する。本発明の更なるもう1つの態様において、保存剤は5mg/mL〜10mg/mLの濃度で存在する。本発明の更なるもう1つの態様において、保存剤は10mg/mL〜20mg/mLの濃度で存在する。医薬組成物における保存剤の使用は当業者に周知である(例えば、以下を参照されたい;Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995)。
【0124】
非限定的な張性調整剤(当該製剤に実質的な等張を与える目的のために通常組み込まれる)の例は、塩(例えば、塩化ナトリウムなど)、糖、アルコール(例えば、C4-C8アルコールなど)、アルジトール、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファンまたはスレオニンなど)、ポリエチレングリコール(例えば、PEG400など)およびその混合物を含む。何れの糖、例えば、単糖、二糖または多糖、水溶性グルカンなどが使用されてよい。非限定的な糖、アルコールまたはアルジトールである物質の例は、果糖、ブドウ糖、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、蔗糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性澱粉である、ヒドロキシエチル澱粉、カルボキシメチルセルロース-Na、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、アラビトール、グリセロール(グリセリン)、プロパン-1,2-ジオール(プロピレングリコール)、プロパン-1,3-ジオールおよびブタン-1,3-ジオールである。上述された当該糖、アルコールおよびアルジトールは個々にまたは組合わせて使用されてもよい。当該物質が当該液体製剤において溶解される限り、使用される量に一定の制限はない。
【0125】
1態様において、張性調整剤は、約1mg/mL〜約150mg/mLの濃度で存在する。更なる本発明の態様において、当該張性調整剤は、約1mg/mL〜約50mg/mLの濃度で存在する。1態様において、当該張性調整剤はNaCLである。1態様において、当該張性調整剤は、約1mg/mL〜約150mg/mLの濃度で存在するNaCLである。本発明の更なる態様において、当該張性調整剤は、約1mg/mL〜約50mg/mLの濃度で存在するNaCLである。
【0126】
キレート剤の非限定的な例は、EDTAの塩、クエン酸およびアスパラギン酸、およびその混合物を含む。ある態様において、キレート剤は、0.1mg/ml〜5mg/ml;0.1mg/ml〜2mg/ml;または2mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。
【0127】
本発明の医薬組成物は、治療学的に活性な成分として、液体医薬組成物における貯蔵において凝集形態を恐らくは示し得るポリペプチドを含んでよい。当該用語「凝集形態」は、当該ポリペプチド分子の間の物理的相互作用を示すことを意図し、当該物理的相互作用は結果として、溶解を維持し得るオリゴマー、または当該溶液から沈殿する大きな可視できる集合体であるオリゴマーの形態を生じる。当該用語「貯蔵において」は、液体医薬組成物または一旦製造されても直ちには対象に投与されない形態をいう。むしろ、製造に続いて、液体形態で、凍結状態で、または液体形態または対象に投与するために適切な他の形態に後に再構成されるための乾燥形態で、貯蔵されるようにパッケージングされる。当該「乾燥形態」の語は、液体医薬組成物または凍結して乾燥すること(即ち、凍結乾燥)により(以下を参照されたい;Williams and Polli (1984), J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59)、スプレードライ(spray-drying)により(以下を参照されたい;Masters (1991)、Spray-Drying Handbook(5th ed; Longman Scientific and Technical, Essex, U.K.), pp. 491-676;Broadhead et al. (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206; and Mumenthaler et al. (1994) Pharm. Res. 11:12-20)、または空気乾燥により(Carpenter and Crowe (1988), Cryobiology 25:459-470; and Roser (1991) Biopharm. 4:47-53)乾燥された剤形をいう。液体医薬組成物の貯蔵においてポリペプチドにより形成される凝集は、そのポリペプチドの生物学的活性には不利に影響し、当該医薬組成物の治療学的有効性の損失を生ずる。更に、凝集の形成は、他の問題、例えば、当該ポリペプチド含有医薬組成物を注入システムを使用して投与する場合に管、膜またはポンプを閉塞することなどの原因になり得る。
【0128】
本発明の1態様において、当該医薬組成物は、当該組成物の貯蔵における当該ポリペプチドによる凝集形成を減少するために十分な量のアミノ酸塩基を含む。用語「アミノ酸塩基」は、何れかの問題のアミノ酸がその遊離塩基形態で、またはその塩形態で存在するアミノ酸またはアミノ酸の組み合わせを示す。アミノ酸を組合わせて使用する場合、当該アミノ酸の全てがそれらの遊離塩基の形態で存在してもよく、全てがそれらの塩の形態で存在してもよく、ある程度が遊離塩基形態であると同時に他はそれらの塩の形態で存在してもよい。1態様において、本発明の組成物の製造において使用されるアミノ酸は、荷電された側鎖を有するもの、例えば、アルギニン、リジン、アスパラギン酸またはグルタミン酸などである。特定のアミノ酸(例えば、グリシン、メチオニン、ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニンまたはその混合物など)の何れの立体異性体、またはこれらの立体異性体の組合わせは、特定のアミノ酸がその遊離塩基形態またはその塩形態の何れかで存在する限り、本発明の医薬組成物において存在してよい。1態様において、L−立体異性体が使用される。本発明の組成物はまた、これらのアミノ酸の類似体で調製されてもよい。「アミノ酸類似体」により、本発明の当該液体医薬組成物の貯蔵における当該ポリペプチドによる凝集形成の減少の所望の効果について結びつく天然に生じるアミノ酸の誘導体を意図する。適切なアルギニン類似体は、例えば、アミノグアニジン、オルニチンおよびN−モノエチルL−アルギニンなどを含み、適切なメチオニン類似体は、エチオニンおよびブチオニンを含み、並びに適切なシステイン類似体はS−メチル−Lシステインを含む。他のアミノ酸と同様に、当該アミノ酸類似体は、遊離塩基形態またはそれらの塩形態の何れであっても当該組成物に組み込まれる。化合物イミダゾールもまた、本発明の状況においてアミノ酸類似体としてみなされるべきである。典型的には、当該アミノ酸またはアミノ酸類似体が、当該蛋白質の凝集を十分に抑制するまたは遅延する濃度で使用される。
【0129】
1態様において、当該医薬製剤は、メチオニン(または他の含硫アミノ酸またはアミノ酸類似体)を含み、当該XI因子ポリペプチドが酸化に影響されやすい少なくとも1のメチオニン残基ポリペプチドペプチドを含むポリペプチドである場合に、メチオニン残基がそれらのスルフィド形態に酸化されることを阻害する。用語「酸化の阻害」は、時間と共に酸化された(メチオニンの)種の蓄積の最小限化を示すことを意図する。メチオニン酸化の抑制は、その適切な分形成における当該ポリペプチドのより強い保持に帰着する。メチオニン何れの立体異性体(L,DまたはDL異性体)またはその組合わせが使用できる。添加されるべき量は、メチオニン残基の酸化を阻害するために十分な量であり、メチオニンのスルフィド結合の量が抑制機構に許容されるように添加されるべきである。典型的に、これは、当該組成物は約10%〜約30%以下のメチオニンスルホキシド形態を含むことを意味する。これは一般的には、添加されるメチオニンの割合がメチオニン残基に対して約1:1〜約1000:1、例えば、10:1〜約100:1の範囲となるような量でメチオニンが添加されることにより達成される。
【0130】
安定化剤の非限定的な例は、高分子量ポリマーまたは低分子量化合物、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 3350など)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ−/ヒドロキシセルロールおよびその誘導体(HPC、HPC-SL、HPC-LおよびHPMCを含む)誘導剤、シクロデキストリン、含硫物質、例えば、モノチオグリセロール、チオグリコール酸および2-メチルチオエタノール、種々の塩(例えば、塩化ナトリウム)、グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコール(1-プロパノール)とイソプロピルアルコール(2-プロパノール)を含む。
【0131】
界面活性剤の非限定的な例は以下を含む;洗浄剤、エトキシル化されたひまし油、ポリグリコール化されたグリセリド、アセチル化されたものグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンブロックポリマー(例えば、ポロキサマー(poloxamers)、例えば、プルロニック(Pluronic、登録商標)F68、ポロキサマー188および407、トリトンX-100)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体、例えばアルキル化およびアルコキシル化された誘導剤(「トゥイーン」、例えば、Tween-20、Tween-40、Tween-80およびBrij-35)、モノグリセリドおよびそのエトキシル化誘導体、ジグリセリドおよびそのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチンおよびリン脂質(例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ジホスファチジルグリセロールおよびスフィンゴミエリンなど)、リン脂質の誘導体(例えば、ジパルミトイル-ホスファチジン酸)およびリゾリン脂質(例えば、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリンおよび1-アシル-sn-グリセロ3-燐酸エステルのエタノールアミン、コリン、セリンまたはスレオニン)、およびリゾホスファチジルとホスファチジルコリンのアルキル-、アルコキシル-(アルキルエステル)およびアルコキシ-(アルキルエーテル)誘導体、例えば、リゾホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよび極性ヘッド群、即ち、コリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトール、および正に荷電するDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリンおよびリソホスファチジルツレオニン、およびグリセロリン脂質(例えば、セファリンなど)、グリセロ糖脂質(例えば、ガラクトピラノシドなど)、スフィンゴ糖脂質(例えば、セラミド、ガングリオシドなど)、ドデシルホスホコリン、雌鶏卵子リゾレシチン、フシジン酸誘導体(例えば、ナトリウムタウロ-ジヒドロフシデート(dihydrofusidate)など)、長鎖脂肪酸[例えば、C6-C12脂肪酸(例えば、オレイン酸またはカプリル酸)]とその塩、アシルカルニチンおよびそれの誘導剤、は、Nα-アクリル化誘導体のリジン、アルギニンおよびヒスチジン、側鎖がアシル化された誘導体のリジン、アルギニンおよびヒスチジンおよび中性または酸性アミノ酸、中性アミノ酸および2の電荷されたアミノ酸の何れかの組合わせを含むNα-アシル化された誘導体のトリペプチド、DSS(ドキュセートナトリウム、CASレジストリno 577-11-7)、ドキュセートカルシウム、CASレジストリno 128-49-4)、ドクセートカリウム、CASレジストリ no 7491-09-0 ])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウムまたは硫酸ラウリルナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸およびそれの誘導剤、胆汁酸とその塩類、およびグリシンまたはタウリン複合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル3-アンモニオ1-プロパンスルホネート、陰イオン性の(アルキル-アリール-スルホネート)、一価の表面活性物質、双性イオンの表面活性物質(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルフォネート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホネート)、陽イオン界面活性剤(四級アンモニウム塩基;例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウムなど)、非イオン界面活性剤(例えば、ドデシルβ-D-グルコピラノシド)、およびポロキサミン(例えば、テトロニックス(Tetronic)など)、すなわち、エチレンジアミンに対するプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの連続する添加から誘導される四官能基性ブロックコポリマー;または以下からなる群より選択される界面活性剤;イミダゾリン誘導体またはその混合物。1態様において、当該医薬製剤は、約0.01mg/mL〜約50mg/mlの範囲の濃度で界面活性剤を含む。
【0132】
1態様において、当該医薬製剤はTween-80を含む。1態様において、当該医薬製剤はポロキサマー(poloxamer)188を含む。1態様において、当該医薬製剤は電解質を含む。1態様において、当該医薬製剤は電解質、例えばNaCLなどを含む。1態様において、当該医薬製剤は電解質、例えばKCLなどを含む。
【0133】
1態様において、Tween80が安定剤として使用される場合に、電解質、例えばNaCLなどの例えば150mMの濃度が使用される。1態様において、貯蔵に続く凝集が避けられる。
【0134】
一連の態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドを含む医薬製剤において使用される当該1以上の安定化剤は、コントロール(即ち、同じ処理に供するFXIであるが、当該安定剤が不在のもの)の物理的および/または化学的安定よりも少なくとも10%、25%、50%または100%増大したFXI関連ポリペプチドの物理学的および/または化学的安定性を生じる。他の一連の態様において、FXIまたはFXI関連ポリペプチドの製剤を含む医薬製剤における1以上の安定化剤の使用が、コントロール(即ち、同じ処理に供するFXIであるが、当該安定剤が不在のもの)の物理的および/または化学的安定よりも少なくとも2倍、5倍、10倍または20倍増大したFXI関連ポリペプチドの物理学的および/または化学的安定性を生じる。
【0135】
以下の表は、非限定的な適切な製剤化の例を提供する。そのような製剤が1.7mg/mlのFXIを含んだとき、凝集は外界温度で少なくとも1ヵ月後に観察されなかった。
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【表2−4】

【表2−5】

非限定的な態様において、凍結乾燥後に活性FXIの回収を可能にする適切な製剤は以下を含む;
FXI濃度:0.2mg/mL
バッファー:20mMのバッファー(ヒスチジンまたはTRIS)(pH 5.5、6.5の7.4)、25mg/mLのマンニトール(増量剤)、2.5mg/mLのNaCL(増量剤)、0.01%のTween 80を含む。
【0136】
好ましくは、当該医薬組成物は、非経口的に、すなわち、静脈内、皮下または筋肉内に投与される;静脈内が最も好ましい。
【0137】
それらはまた、連続またはパルス状に点滴によって投与されてもよい。FXIポリペプチドを投与するための何れの有効な方法も使用されてよく、例えば、粘膜または吸入方法による投与を使用することも含まれることが理解されるであろう。
【0138】
本発明の製剤の局所への送達、例えば、局所適用は、例えばスプレー、灌流、ダブルバルーンカテーテル、ステントなどが、血管移植またはステント、バルーンカテーテルをコートするために使用されるヒドロゲルに組み込まれて、ガーゼまたは他の包帯材料に組み込まれて、または他の安定した方法により実施されてよい。
【0139】
本発明の医薬組成物は種々の剤形において、例えば、溶液、懸濁液、エマルジョン、マイクロエマルジョン、多層乳剤、泡状、塗剤、ペースト、硬膏剤、軟膏、錠剤、コーティング錠、リンス剤、カプセル(例えば、硬ゼラチンカプセルまたは軟ゼラチンカプセル)、坐剤、直腸カプセル、滴剤、ゲル、スプレー、散剤、エアゾール、吸入剤、点眼、眼軟膏、眼科用リンス剤、膣用ペッサリー、膣用リング、膣用軟膏、注射用溶液、インサイチューで変化する溶液(例えば、インサイチューでゲル化、インサイチューでの設定、インサイチューでの沈殿またはインサイチューでの結晶化)、注入溶液またはインプラントなどとして投与されてもよい。
【0140】
本発明の医薬組成物は更に、(例えば、共有結合、疎水性または静電気的相互作用を介して)薬物担体、薬物送達系または高度な薬物送達系に調合される、または結合若しくは接合され、当該XI因子ポリペプチドの更に安定化を増強し、生物学的利用能を増大し、溶解性を増加し、不利な作用を減少し、当業者に周知の時間治療を達成し、および/または患者のコンプライアンスを上げる。担体、薬物送達系および高度な薬物送達系の例は、これに限定されるものではないが、ポリマー、例えば、セルロースおよびその誘導体、他の多糖(例えば、デキストランおよびその誘導体、澱粉およびその誘導体など)、ポリ(ビニルアルコール)、アクリレートおよびメタクリレートポリマー、ポリ乳酸およびポリグリコール酸およびそのブロックコポリマー、ポリエチレングリコール、担体蛋白質(例えば、アルブミンなど)、ゲル(例えば、サーモゲリングシステム(thermogelling systems)、例えば、当業者に周知のグロックコポリマー系)、ミセル、リポソーム、マイクロスフェア、ナノパーティキュレート(nanoparticulates)、液晶(liquid crystals)およびその分散、脂質−水系における相行動の分野の当業者に周知のL2相および分散、ポリマー化ミセル、多層乳剤(自己乳化および自己マイクロエマルジョン化)、シクロデキストリンおよびその誘導体、およびデンドライマー(dendrimer)などを含む。
【0141】
本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、固体、半固体物質、粉末および溶液、例えば、定量吸入器、乾燥粉吸入器または噴霧器を使用している肺投与のための使用に適切であり、それらの全ては問う業者に周知の装置である。
【0142】
本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、制御された放出、徐放、遅延性の放出、遅れた放出、緩慢な放出の薬物送達系の剤形において使用されるために適切である。本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、例えば、腸管外の制御された放出および徐放性系(両方の軽は何倍も投与回数を減らす)である当業者に周知の種類、例えば制御放出および徐放系を皮下投与のための剤形において有用である。本発明の範囲を限定するものではないが、有用な制御放出系および組成物は、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、ポリマーミセル、マイクロスフィアおよびナノパーティクルである。
【0143】
本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物のために重要な制御放出系を製造する方法は、これに限定されるものではないが、結晶化、凝結、共同結晶、沈殿、共沈、乳化、分散、高圧均質化、被包、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、マイクロスフェアを製造するための溶媒の蒸発、押出と超臨界の液体処理を含む。一般的な参照は、以下において可能である;Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L., ed., Marcel Dekker, New York, 2000) and to Drugs and the Pharmaceutical Sciences vol. 99: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000)。
【0144】
非経口投与は、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内投与が注射器の手段により、例えば、ペン型の装置の注射器などにより実施されてよい。或いは、非経口投与は、注入ポンプによって実施することが可能である。本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む溶液または懸濁液の形態での組成物の投与のための更なる選択肢は、鼻用または肺用スプレーとしての投与である。他の選択肢として、本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、経皮的投与、例えば、ニードルレスインジェクションによって、パッチ(例えば、イオン注入性パッチなど)の適用によって、または経粘膜(例えば、バッカルなど)投与によって適用されてよい.
本発明の1態様において、本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、6週間より長くに亘る使用と3年より長くに亘る貯蔵に適切である。
【0145】
本発明の他の態様において、本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、4週間より長くに亘る使用と3年より長くに亘る貯蔵に適切である。
【0146】
本発明の更なる態様において、本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、4週間より長くに亘る使用と2年より長くに亘る貯蔵に適切である。
【0147】
本発明の更なる態様において、本発明に従う方法の使用によって製造されたXI因子ポリペプチドを含む医薬組成物は、2週間より長くに亘る使用と2年より長くに亘る貯蔵に適切である。
【0148】
ある態様において、FXIポリペプチド製剤は、約4.0〜約10.0のpHを有する。ある態様において、FXIポリペプチド製剤は、約4.0〜約8.0のpHを有する。ある態様において、FXIポリペプチド製剤は、約4.0〜約7.0のpHを有する。ある態様において、FXIポリペプチド製剤は、約4.0〜約6.5のpHを有する。ある態様において、FXIポリペプチド製剤は、約4.0〜約6.0のpHを有する。ある態様において、FXIポリペプチド製剤は約6.5未満のpHを有し、例えば、約pH5.0〜約6.5;例えば約5.5〜約6.5のpHを有する。
【0149】
XI因子の治療学的投与:
本発明は、FXIを使用する出血の予防および治療のために提供される。出血は、循環系の何れの構成要素からの血液の溢血することをいう。出血エピソードは、外科手術、外傷またはその他の組織損傷の形成に関連する不必要な、抑制されていない、多くの場合過剰な出血、並びに出血性疾患を有する対象における不必要な出血を含む。出血は、自然発生的なイベント、例えば、脳内出血(ICH)として生じることもある。出血エピソードは、基本的に正常な凝固系を有する対象において生じてもよく、しかしながら、(一時的な)凝固障害を経験している対象、同様に、先天性または後天性凝固または出血性疾患を有する対象において生じてもよい。不完全な血小板機能を有する対象において、当該出血は、血友病に起因する出血になぞられてよく、何故ならば、止血系が、血友病の場合のように、欠乏しているか、異常な必須凝固「化合物」(例えば、血小板またはフォン・ウィルブラント因子蛋白質など)を有するからである。広範な組織損傷を経験する、例えば、外科手術または大きな外傷に関して経験する対象において、正常な止血性機構が、即効性の止血の必要性によって圧倒されている可能性があり、それらは基本的に(外傷前または外科手術前の)正常な止血機構にも拘わらず過剰出血が発生する可能性がある。そのような患者、更に多くの場合、多くの輸血を受けている患者は、当該出血および/または輸血(即ち、当該出血および/または輸血のための凝固蛋白質の希釈、線溶系の増加および血小板数の低下)の結果として(一時的な)凝固障害発生する。出血はまた、器官(例えば脳、内耳領域と目)に起こる可能性もある;これらは外科的止血の可能性が限られた領域であり、従って、満足な止血を達成することに関して問題がある。
【0150】
同様な問題は、種々の臓器(肝臓、肺、腫瘍組織、胃腸管)からの生検を取り出す過程、並びに腹腔鏡下手術および急進的な恥骨後前立腺摘除術において生じ得る。これら全ての状況の共通点は、手術技術(縫合、クリップなど)による止血を提供することが困難であることであり、また、出血が広がっている場合(例えば、出血性の胃炎および大量子宮出血など)も同様である。出血はまた、抗凝固療法における患者であって、与えられた治療により不完全な止血が誘導された患者においても生じ得る;これらの出血は、多くの場合、急性であり且つ大量である。抗凝固療法は、血栓塞栓性疾患を予防するためにしばしば行われる。そのような治療は、ヘパリン、プロテオグリカンの他の形態、ワーファリンまたは他のビタミンK拮抗剤の形態、凝固蛋白質のインヒビター、並びに、アスピリンおよび他の血小板凝集インヒビター、例えば、GP IIb/IIIa活性の抗体または他のインヒビターなどを含む可能性がある。当該出血はまた、所謂、血栓溶解療法のためである可能性もあり、当該血栓溶解療法は、抗血小板剤(例えば、アセチルサリチル酸など)、抗凝固剤(例えば、ヘパリンなど)、およびフィブリン溶解酵素物質(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター、tPA)との併用治療を含む。出血エピソードはまた、これに限定されるものではないが、急性吐血(haemarthroses)(接合部における出血)、慢性出血性関節症、血腫(例えば、筋肉、腹膜後、舌下、および咽頭後方など)、脳溢血、手術(例えば、肝切除など)、抜歯、および消化管出血(例えば、UGI出血など)を有する患者における外科手術または外傷と関連した制御されていない、且つ過剰な出血を含むことが意味される。出血エピソードは以下に関連する可能性がある;VIII因子に対するインヒビター;血友病A;インヒビターによる血友病A;血友病B;VII因子の欠失; XI因子の欠失;血小板減少;フォンウィルブランド因子の欠失(フォン−ウィルブランド病);重篤な組織損傷;重篤な外傷;手術;腹腔鏡下手術;アシドーシス、血液希釈、消費性凝固障害、線溶亢進、ハイポセルミア(hyopthermia)、出血性の胃炎;生検をすること;抗凝固療法;上部胃腸肝出血(UGI);または幹細胞移植。当該出血エピソードは、大量子宮出血;機械的な止血の可能性が限ら
れた器官で生じること;脳に起こること;内耳領域に起こること;または目に起こる;可能性がある。
【0151】
血小板の計数または活性の低下は、患者の血漿に存在する血小板(platelets、thrombocytes)の数およびそのような血小板の生物学的、凝固関連活性をいう。計数の低下は、例えば、血小板破壊の増加、血小板産生の減少、および脾臓における血小板の正常な機能よりも大きい貯蔵のためである可能性がある。血小板減少は、例えば、1マイクロリットルにつき血小板150,000未満の血小板計数として定義される;正常な血小板計数の上限は、通常、1マイクロリットルにつき血小板150,000〜450,000であると見なされる。血小板計数は、オートメーション化した血小板カウンターで測定されてよい;これは、当業者に周知の方法である。血小板計数の低下による症候群は、血小板減少(coagulophathy)を含むが、これに限定されるものではない。血小板活性の側面は、血小板の凝集、接着および血液凝固性活性を含むが、これに限定されるものではない。例えば、活動性低下は糖蛋白異常、異常な膜-細胞骨格相互作用、血小板顆粒の異常、血小板凝血活性の異常、シグナル伝達および分泌の異常に起因する可能性がある。血小板活性、凝集、接着および血液凝固性活性を含む血小板活性は、当業者に周知の標準的な方法で測定される(以下を参照されたい;Platelets. A Practical Approach, Ed. S.P. Watson & K.S. Authi: Clinical Aspects of Platelets Disorders (K.J. Clemetson) 15:299-318, 1996, Oxford University Press; Williams Hematology, Sixth Edition, Eds. Beutler, Lichtman, Coller, Kipps & Seligsohn, 2001, McGraw-Hill)。血小板活性の低下による症候群は、グランズマン・スロンバテニス(Glanzmann thrombathenis)、ベルナール−スーリエ症候群、ストレージ・ポール・ディジーズ(storage poll disease)、抗凝血性の処置および血栓溶解性の処置を含むが、これに限定されるものではない。
【0152】
本発明の状況において、これに限定するものではないが、治療は、予想される出血の予防を含む出血の予防、例えば、外科的手術の間に生じるまたは結果として生じる予期される出血、並びに既に生じている出血、例えば、外傷において、当該出血を阻害するまたは最小化する目的で予防することの両方を含む。当該出血は、確認された部位であっても、未確認の部位であってもよい。FXIポリペプチドを含んでいる製剤の予防投与は、このように治療に含まれる。
【0153】
ある態様において、正常なヒト患者、即ち、FXIの先天性欠損を患っていない患者が、FXIおよび/またはFXI関連ポリペプチドを、野生型FXIの約0.05mg〜約500mgに相当する投与量を1日当たり、または出血エピソード当たりで投与されてもよく、例えば約1mg〜約200mg、または例えば約1mg〜約175mgを1日当たり、1出血エピソード当たり、負荷量と維持量として70kgの対象に対して投与されてもよく、当該患者の重量、状態、当該状態の重症度に依存して投与されてもよい。
【0154】
ある態様において、血液は、FXIポリペプチドでの治療を必要とする患者から採血され、(FXIポリペプチド投与の前に)分析が実施され、以下の1以上の評価がなされる:(i)FXIの血漿レベル;(ii)活性化:チモーゲンFXIの割合;および/または(iii)効果的な凝固を復元するために外因的に添加されるべき必要とされるFXIの濃度;分析の結果に基づいて、FXIポリペプチドの適切な量が予め決定された処方計画を用いて投与される。何れの適切な分析もこれらの決定のために使用されてよく、例えば、ELISAまたはゲルベース法が含まれる。適切な校正標準が使用され、測定されたレベルと、通常レベルのヒト血漿におけるFXI(約30nM)を比較することを可能にする。典型的に、少なくとも約5nM、例えば、約10nM、例えば、約15nM、例えば、約20nM、例えば、少なくとも約30nMのFXI、例えば、60nM、例えば、120 nMのFXIのレベルでFXIが補充されることが望ましいであろう。
【0155】
FXI関連ポリペプチドが患者におけるFXI活性の補充のために使用される場合、当該FXI関連ポリペプチドは、少なくとも1のFXIの生理活性の特定のレベルを示すであろうし、当該治療の目的は、予め定められた野生型FXIの量に相当する生理活性を提供する量(即ち、「有効FXI血漿濃度」)で提供することである。
【0156】
本発明のある態様において、FXIポリペプチドの治療学的投与は、FXIの血漿濃度が約3nM;5nM;または10nM以下の患者に対して行われることを含む。
【0157】
併用療法
本発明はまた、FXIポリペプチドが非VII因子/VIIa因子凝固剤と共に投与される併用療法を提供する方法および組成物を含む。適切な非VII因子/VIIA因子凝固剤は、これに限定されるものではないが、XIII因子(例えば、WO 01/85198を参照されたい);組織因子経路インヒビター(TFPIインヒビター)のインヒビター(例えば、WO 01/85199を参照されたい);IX因子(例えば、WO 02/062376を参照されたい);トロンビン活性化可能な線溶インヒビター(TAFI)(例えば、PCT/DK02/00734を参照されたい; PAI-1(例えば、PCT/DK02/00735を参照されたい;V因子(例えば、PCT/DK02/00736を参照されたい);蛋白質Cインヒビター(例えば、PCT/DK02/00737を参照されたい);トロンボモジュリン(例えば、PCT/DK02/00738を参照されたい);蛋白質Sインヒビター(例えば、PCT/DK02/00739を参照されたい);組織プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(例えば、PCT/DK02/00740を参照されたい);α2-抗プラスミン(例えば、PCT/DK02/00741を参照されたい);アプロチニン(例えば、PCT/DK02/00742を参照されたい);トラネキサム酸(例えば、PCT/DK02/00751を参照されたい);ε-アミノカプロン酸(例えば、PCT/DK02/00752を参照されたい);プロトロンビン、トロンビン、VII因子、X因子およびフィブリノーゲンを含む。
【0158】
以下は、本発明の態様のリストである。
【0159】
態様1:出血性エピソードを治療する方法であって、前記方法がそれを必要とする患者に対してXI因子(FXI)またはFXI関連ポリペプチドをそのような治療に有効な量で投与することを投与することを具備する方法。
【0160】
態様2:態様1で定義される方法であって、前記投与が前記患者の凝固時間を短縮する方法。
【0161】
態様3:態様1または態様2において定義される方法であって、前記投与が前記患者における止血を強化する方法。
【0162】
態様4:実施例1〜3のいずれかで定義される方法であって、前記投与が前記患者におけるクロット溶解時間を増大する方法。
【0163】
態様5:態様1〜4の何れかに定義される方法であって、前記投与が前記患者におけるクロット強度を増大する方法。
【0164】
態様6:態様1〜5の何れかに定義される方法であって、前記患者における総合的クロット特性(OCQ)を増大する方法。
【0165】
態様7:態様1〜6の何れかの定義される方法であって、前記投与に続き、前記患者が少なくとも約5nMの効果的なFXI血漿濃度を示す方法。
【0166】
態様8:態様7で定義された方法であって、前記有効なFXI血漿濃度が少なくとも約10nMである方法。
【0167】
態様9:態様8に定義された方法であって、前記有効なFXI血漿濃度が少なくとも約30nM 、例えば、少なくとも約60nM、例えば少なくとmお約120nMである方法。
【0168】
態様10:態様1〜9に定義された方法であって、前記FXIまたはFXI関連ポリペプチドが配列番号1または、少なくとも1のFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントを含む方法。
【0169】
態様11:態様1〜9に定義された方法であって、前記FXIまたはFXI関連ポリペプチドが配列番号2または、少なくとも1のFXI関連生物学的活性が保持されたそのフラグメントを含む方法。
【0170】
態様12:態様11に定義された方法であって、前記患者が、先天性のFXI欠損を患っていない方法。
【0171】
態様13:態様1〜12の何れかに定義された方法であって、前記出血性エピソードが以下からなる群より選択された状態の二次性のものである方法:外科的手術、歯科的処置、外傷または血液希釈。
【0172】
態様14:態様1〜13の何れかに定義された方法であって、更に、前記投与に先駆けて以下を具備する方法:
(a)前記患者から血液のサンプルを得ること;(b)少なくとも以下の1を決定すること:FXI濃度、FXIa:FXIの割合、または凝集を再建するために必要な外因性FXI量;および(c)工程(b)の結果を基に、前記治療のために有効なFXIの量を決定すること。
【0173】
態様15:出血性エピソードを治療する方法であって、前記方法が、前記患者に対して、(i)FXIポリペプチドを含有する第1の量の製剤、および(ii)非VII因子/VIIa因子凝集剤のを含む製剤の第2の量を投与することを具備する方法、ここで、組合わせにおける前記第1および第2の量は、そのような治療に対して有効である。
【0174】
態様16:態様15で定義された方法であって、前記非VII因子/VIIa因子凝固剤が以下からなる群より選択される方法:XIII因子;組織因子経路インヒビター(TFPI)インヒビター;IX因子;トロンビン活性可能な線溶インヒビター(TAFI);プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1);V因子;蛋白質 C インヒビター;蛋白質 S インヒビター;および組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)インヒビター。
【0175】
態様17:態様15または態様16に定義された方法であって、前記投与が、前記患者における凝固時間を短縮する方法。
【0176】
態様18:態様15〜17の何れかに定義された方法であって、前記投与が前記患者の止血を増強する方法。
【0177】
態様19:態様15〜18の何れかに定義された方法であって、前記投与が前記患者のクロット溶解時間を増大する方法。
【0178】
態様20:態様15〜19の何れかに定義される方法であって、前記投与が、前記患者のクロット強度を増強する方法。
【0179】
態様21:態様15〜20の何れかに定義される方法であって、前記投与が前記患者の総合的クロット特性(OCQ)を増大する方法。
【0180】
態様22:態様15〜21の何れかに定義された方法であって、前記投与に続き、前期患者が、少なくとも約5nMの有効FXI血漿濃度を示す方法。
【0181】
態様23:態様22に定義される方法であって、前記有効FXI血漿濃度が少なくとも約10nMである方法。
【0182】
態様24:態様23に定義される方法であって、前記有効FXI血漿濃度が少なくとも約30nM、例えば、少なくとも約60nM、例えば少なくとも約120nMである方法。
【0183】
態様25:態様15〜14の何れかに定義される方法であって、前記FXIまたはFXI関連ポリペプチドが配列番号1の配列または少なくとも1のFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントを具組む方法。
【0184】
態様26:態様15〜24の何れかに定義される方法であって、前記FXIまたはFXI関連ポリペプチドが配列番号2の配列または少なくともFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントを含む方法。
【0185】
態様27:態様15〜26の何れかに定義される方法であって、前記患者が先天性FXI欠損に罹患していない方法。
【0186】
態様28:態様15〜27の何れかに定義される方法であって、前記出血性エピソードが以下からなる群より選択される状態の二次性のものである方法:外科的手術、歯科的処置、外相または血液希釈。
【0187】
態様29:態様15〜28の何れかに定義される方法であって、前記投与の前に、更に、以下を具備する方法:
(a)前記患者から血液のサンプルを得ること;(b)少なくとも以下の1を決定すること:FXI濃度、FXIa:FXIの割合、または凝集を再建するために必要な外因性FXI量;および(c)工程(b)の結果を基に、前記治療のために有効なFXIの量を決定すること。
【0188】
態様30:態様1で定義された方法であって、前記方法が、VII因子/VIIa因子凝固剤の投与を具備しない方法。
【0189】
態様31:(i)単離された組換えFXIポリペプチド、および(ii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬製剤。
【0190】
態様32:出血性エピソードを治療するためのFXIポリペプチドの使用。
【0191】
態様33:態様32に従う使用であって、前記出血性エピソードが以下からなる群より選択される状態の二次的なものである方法;外科手術、歯科的処置、外傷または血液希釈。
【0192】
態様34:態様32に従う使用であって、前記出血性エピソードがVII因子/VIIa因子凝固剤で治療されない使用。
【0193】
態様35:それを必要とする患者において止血を増強するためのFXIポリペプチドの使用。
【0194】
態様36:それを必要とする患者においてクロット溶解時間を増大するためのFXIポリペプチドの使用。
【0195】
態様37:それを必要とする患者においてクロット強度を増加するためのFXIポリペプチドの使用。
【0196】
態様38:それを必要とする患者における総合的クロット特性(OCQ)を増加するためのFXIポリペプチドの使用。
【0197】
態様39:それを必要とする患者における血液凝固時間を減少するためのFXIポリペプチドの使用。
【0198】
態様40:態様32〜39の何れかに従う使用であって、患者における有効FXI血漿濃度が少なくとも約5nMに増加する使用。
【0199】
態様41:態様40に従う使用であって、有効FXI血漿濃度が少なくとも約10nMに増加する使用。
【0200】
態様42:態様40に従う使用であって、有効FXI血漿濃度が少なくとも約30nMに増加する、例えば、少なくとも約60nM、例えば、少なくとも約120nMに増加する使用。
【0201】
態様43:態様32〜42の何れかに従う使用であって、治療されるべき当該患者が、VII因子/VIIa因子凝固剤を用いた治療を受けない使用。
【0202】
態様44:出血性エピソードを治療するための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【0203】
態様45:態様44に従う使用であって、前記出血性エピソードが以下の群から選択される状態の二次的なものである方法;外科手術、歯科的処置、外傷または血液希釈。
【0204】
態様46:態様44または態様45に従う使用であって、前記出血性エピソードがVII因子/VIIa因子凝固剤を用いた治療を受けていない使用。
【0205】
態様47:それを必要とする患者における止血強化のための医薬製剤の製造のためのFXIポリペプチドの使用。
【0206】
態様48:それを必要とする患者におけるクロット溶解時間の増大のための医薬製剤を製造のためのFXIポリペプチドの使用。
【0207】
態様49:それを必要とする患者におけるクロット強度を増大するための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【0208】
態様50:それを必要とする患者における総合的クロット特性(OCQ)を増大するための医薬製剤を製造のためのFXIポリペプチドの使用。
【0209】
態様51:それを必要とする患者における血液凝固時間の短縮ための医薬製剤の製造のためのFXIポリペプチドの使用。
【0210】
態様52:態様47〜51の何れかに従う使用であって、当該患者における有効FXI血漿濃度を少なくとも約5nMに増加する使用。
【0211】
態様53:態様52に従う方法であって、当該有効FXI血漿濃度を少なくとも約10nMに増加する使用。
【0212】
態様54:態様53に従う使用であって、当該有効FXI血漿濃度を少なくとも約30nMに、例えば、少なくとも約60nM、例えば少なくとも約120nMに増加する使用。
【0213】
態様55:態様44〜54の何れかに従う使用であって、当該治療されるべき患者が、VII因子/VIIa因子凝固剤を用いた治療を受けない使用。
【0214】
態様56:態様32〜55の何れかに従う使用であって、当該治療されるべき患者が、先天性FXI欠損を患わない使用。
【0215】
態様57:態様32〜56の何れかに従う使用であって、前記FXIポリペプチドが配列番号1の配列、または少なくとも1つのFXI関連生物活性を保持するそのフラグメントを含む使用。
【0216】
態様57:態様32〜56のいずれか、前記FXIポリペプチドが配列番号2の配列、または少なくとも1つのFXI関連生物活性を保持するそのフラグメントを含む使用
態様58:態様32〜57の何れかに従う使用であって、前記FXIポリペプチドが、非VII因子/VIIa因子凝固剤との組合わせにおいて投与される使用。
【0217】
態様59:態様58に従う使用であって、前記凝固剤が以下からなる群より選択される使用:XI因子II;組織因子経路インヒビター(TFPI)インヒビター;IX因子;トロンビン活性化線溶インヒビター(TAFI);プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター-1(PAI-1);5因子;蛋白質 C インヒビター;蛋白質 S インヒビター;および組織プラスミノーゲンアクチベーター(tPA)インヒビター。
【0218】
態様60:生物学的材料からFXIポリペプチドを精製する方法であって、当該方法が、陽イオン交換クロマトグラフィ物質、疎水性相互作用クロマトグラフィ物質およびハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質上での逐次的なクロマトグラフィに当該物質供することを具備する方法。
【0219】
態様61。態様60に従う方法であって、当該FXIポリペプチドが組換えFXIである方法。
【0220】
態様62:態様60または態様61に従う方法であって、当該FXIポリペプチドがヒトFXIである方法。
【0221】
態様63:態様60または態様61に従う方法であって、当該FXIポリペプチドがダイマーである方法。
【0222】
態様64:態様63に従う方法であって、当該FXIポリペプチドがヒトサブユニットのダイマーである方法。
【0223】
態様65:態様60〜64の何れかに従う方法であって、当該生物学的物質が生物学的液体である方法。
【0224】
態様66:態様65に従う方法であって、当該生物学的液体が哺乳動物細胞の上澄みである方法。
【0225】
態様67:態様66に従う方法であって、当該生物学的液体がCHO培養物の上澄みである方法。
【0226】
態様68:態様60〜67の何れかに従う方法であって、当該方法が以下の工程を含む方法:
(a)FXIポリペプチドペプチドを含む生物学的物質を第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに供すること、ここで、前記クロマトグラフィは以下を具備する:
(i)前記生物学的物質を前記第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して添加すること;
(ii)バッファーA’を用いて、第1の陽イオンクロマトグラフィ物質から非結合の物質を溶出すること、ここで、バッファーAは第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である;および
(iii)当該第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーA’を用いて非結合物質を溶出すること、ここで、バッファーA’は、第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である;
および(iv)当該第1の陽イオン交換クロマトグラフィ物質からバッファーA”を用いて前記FXIポリペプチドを溶出すること、ここでバッファーA”は、前記第1の陽イオン交換クロマトグラフィから前記FXIポリペプチドを溶出するために適切である;
(b)工程(iv)からの当該溶出液、または工程(iv)からの溶出液を使用して調製した液体を疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して供すること、前記クロマトグラフィは以下を具備する:、
(v)工程(iv)からの当該溶出液、または工程(iv)からの溶出液を使用して調製した液体を前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して添加すること;(v) 言われた疎水的相互作用クロマトグラフィーの材料に、工程(iv)または液体から溶出液を塗布することは、工程(iv)から溶出液の使用によって備えた;
(vi)非結合物質を当該クロマトグラフィ物質からバッファーBを用いて溶出すること、ここで、バッファーBは当該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適切である:および
(vii)前記FXIポリペプチドを前記クロマトグラフィ物質から、バッファーB’の勾配溶出により溶出すること、ここで、バッファーB’は、前記疎水性相互作用クロマトグラフィ物質からFXIを溶出するために適切である。
【0227】
態様69;態様68に従う方法であって、ここで、バッファーAがFXIポリペプチドの安定性を増加できる1以上の安定化剤を含む方法。
【0228】
態様70;態様69に従う方法であって、ここで、バッファーAが、安定化剤を含み、当該安定化剤が糖、アルコールまたはアルジトールである方法。
【0229】
態様71;態様70に従う方法であって、ここで、バッファーAが安定化剤を含み、当該安定化剤が糖、C4-C8-アルコールまたはアルジトールである方法。
【0230】
態様72;態様71に従う方法であって、ここで、バッファーAが安定化剤を含み、当該安定化剤が多価アルコールである方法。
【0231】
態様73;態様72に従う方法であって、ここで、バッファーAが以下からなる群より選択される安定化剤を含む方法;グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコール。
【0232】
態様74;態様73に従う方法であって、ここで、バッファーAが以下からなる群より選択される安定化剤を含む方法;グリセロール、プロピレングリコールおよびプロパン-1,3-ジオール。
【0233】
態様75;態様72〜74の何れかに従う方法であって、ここで前記安定化剤が、約5%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する方法。
【0234】
態様76態様75に従う方法であって、前記安定化剤が、約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で存在する方法。
【0235】
態様77;態様76に従う方法であって、前記安定化剤が、約10%(v/v)〜約20%(v/v)の濃度で存在する方法。
【0236】
態様78;態様77に従う方法であって、前記安定化剤が約10%(v/v)の濃度で存在する方法。
【0237】
態様79;態様78に従う方法であって、前記安定化剤が約20%(v/v)の濃度で存在する方法。
【0238】
態様80;態様68〜79の何れかに従う方法であって、当該バッファーAのpHが約6.5〜約9である方法。
【0239】
態様81態様80に従う方法であって、バッファーAのpHが約7〜約9である方法。
【0240】
態様82;態様81に従う方法であって、バッファーAのpHが約8である方法。
【0241】
態様83;態様68〜82の何れかに従う方法であって、バッファーAが、約50mS/cm未満の伝導率を有する方法。
【0242】
態様84;態様60〜83の何れかに従う方法であって、当該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質が配位子としてブチルまたはフェニルを使用する方法。
【0243】
態様85;態様84に従う方法であって、当該疎水性相互作用クロマトグラフィ物質がフェニル・セファロース・ハイ・パフォーマンス・ハイサブスチチューションである方法。
【0244】
態様86;態様84に従う方法であって、当該疎水性相互作用クロマトグラフィがブチル・セファロース・ハイ・パフォーマンス・ハイサブスチチューションである方法。
【0245】
態様87;態様68〜86の何れかに従う方法であって、当該バッファーBのpHが約6〜約9である方法。
【0246】
態様88;態様87に従う方法であって、当該バッファーBのpHが約8である方法。
【0247】
態様89;態様68〜88の何れかに従う方法であって、バッファーBが50mS/cmよりも大きい伝導率を有する方法。
【0248】
態様90;態様89に従う方法であって、バッファーBが70mS/cmよりも大きい伝導率を有する方法。
【0249】
態様91;態様68〜90の何れかに従う方法であって、過程(vii)からの当該溶出液または過程(vii)からの当該溶出液の使用により調製された液体を以下の工程を具備する方法により処理する方法;
(1)当該FXIポリペプチドの安定性を増加できる1以上の安定化剤をその安定性の有意な改善に有効な量で添加すること、および/または、
(2)過程(vii)からの当該溶出液または過程(vii)からの当該溶出液の使用により調製された液体のpHを約7〜約9のpHに調整すること。
【0250】
態様92;態様91に従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が、糖、アルコールまたはアルジトールである方法。
【0251】
態様93;態様92に従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が、糖、C4-C8-アルコールまたはアルジトールである方法。
【0252】
態様94;態様93に従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が、多価アルコールである方法。
【0253】
態様95;態様94に従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が以下からなる群より選択される方法;グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコール。
【0254】
態様96;態様95に従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が以下からなる群より選択される方法;グリセロール、プロピレングリコールおよびプロパン-1,3-ジオール。
【0255】
態様97;態様94〜96の何れかに従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が約5%(v/v)〜約50% (v/v)の濃度で添加される方法。
【0256】
態様98;態様97に従う方法であって、約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で添加される方法。
【0257】
態様99;態様98に従う方法であって、工程(1)において使用される当該安定化剤が約10%(v/v)〜約20%(v/v)の濃度で添加される方法。
【0258】
態様100;態様60〜99の何れかに従う方法であって、当該方法が更に、疎水性相互作用クロマトグラフィからの溶出液、または疎水性相互作用クロマトグラフィからの溶出液を使用することにより調製された物質をハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに対して供する工程を具備する方法。
【0259】
態様101;態様68〜100の何れかに従う方法であって、当該方法が更に以下の工程を具備する方法;
過程(vii)からの溶出液または過程(vii)からの溶出液を使用することにより調製された部液体を、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質上でのクロマトグラフィに供すること、ここで、前記クロマトグラフィは以下を具備する;
(viii)過程(vii)からの(希釈されpHを調整された)当該溶出液、または、過程(vii)からの溶出液を使用することにより調製された液体を前記ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に対して添加すること;
(ix)当該ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質から非結合物質を、バッファーCを用いて溶出すること、ここで、バッファーCは、当該ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に対して結合しない物質を溶出するために適している;および
(x)前記FXI ポリペプチドを当該ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質から、バッファーC’を用いて溶出すること、ここで、バッファーC’は当該ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ物質に工程(viii)において結合しているFXIポリペプチドの溶出に適切である。
【0260】
態様102;態様101に従う方法であって、ここで、バッファーCおよび/またはバッファーC’が、当該FXIポリペプチドの安定性を増加できる1以上の安定化剤を含む方法。
【0261】
態様103;態様101に従う方法であって、ここで、安定化剤が当該FXI含有画分に対して添加され、当該安定化剤が糖、アルコールまたはアルジトールである方法。
【0262】
態様104;態様103に従う方法であって、安定化剤が添加され、当該安定化剤が、糖、C4-C8-アルコールまたはアルジトールである方法。
【0263】
態様105;態様104に従う方法であって、安定化剤が添加され、当該安定化剤が多価アルコールである方法。
【0264】
態様106;態様105に従う方法であって、以下からなる群より選択される安定化剤が添加される方法;グリセロール、プロピレングリコール、プロパン-1,3-ジオール、プロピルアルコールおよびイソプロピルアルコール。
【0265】
態様107;態様106に従う方法であって、以下からなる群より選択される安定化剤が添加される方法;グリセロール、プロピレングリコールおよびプロパン-1,3-ジオール。
【0266】
態様108;態様105〜107の何れかに従う方法であって、前記安定化剤が約5% (v/v)〜約50% (v/v)の濃度で添加される方法。
【0267】
態様109;態様108に従う方法であって、前記安定化剤が約10%(v/v)〜約50%(v/v)の濃度で添加される方法。
【0268】
態様110;態様109に従う方法であって、前記安定化剤が約10%(v/v)〜約20%(v/v)の濃度で添加される方法。
【0269】
態様111;態様110に従う方法であって、前記安定化剤が約10%(v/v)の濃度で添加される方法。
【0270】
態様112;態様101〜111の何れかに従う方法であって、バッファーCおよび/またはバッファーC’が約5.8〜約7.8のpHを有する方法。
【0271】
態様113;態様101〜112の何れかに従う方法であって、バッファーCおよび/またはバッファーC’が約6.0のpHを有する方法。
【0272】
態様114;態様60〜113の何れかに従う方法の使用により製造されるFXIポリペプチドを含む医薬組成物。
【0273】
以下は、本発明の非限定的な例として意図される。
【0274】
[例]
例1:心臓病患者での止血におけるFXIの効果
血液は、心肺バイパスを伴う心臓外科手術を受ける5人の患者から、手術前後に採取された。
【0275】
クロットの形成および安定性におけるFXIの効果は、roTEG(回転性血栓弾性描写法(rotational thromboelastography))を使用し、ヴィッグらの方法を使用して評価した( Vig et al.(2001)Blood Coagulation & Fibrinolysis 12:555)。
【0276】
手短に言うと、凝固はイノビン(Innovin)(最終希釈: 1:50,0000)(Dade Behring)およびCaCL2(最終濃度: 15nM)を、FXI(2.5、10または25nM)(HTI/Enzyme ResearchLaboratories, Essen)の存在下または非存在下で加えることによって始められた。線溶は、4nM tPA(American Diagnostica)の添加により始められた。
【0277】
測定は、ROTEG-04 全血止血系回転血栓弾性描写装置(Whole Blood Haemostasis System Rotation Thrombelastography apparatus)(Pentapharm GmBH)を使用して行った。総合的クロット特性(OCQ)は以下の通り算出される:
(Max vel/t max vel)X(tmin vel − tmax vel
OCQを次に、コントロールサンプル(何れの止血剤の非存在下でインキュベートされた)に対して基準化する
結果を図1に示す。FXIは、かなり総合的にクロット形成を改善し、FXIの存在下で形成されたクロットは線溶に対する抵抗性が増加した。
【0278】
例2:正常血液での止血におけるFXIの効果
血液は4例の正常な対象から採取し、例1で記述したように、クロットの形成におけるFXIの効果をROTEGにより評価した。
【0279】
図2は、FXIが正常血のOCQにおいて用量依存的な増加を生じたことを示す。
【0280】
例3:グリコシレーションを崩壊するFXIポリペプチドの活性
以下の置換を含むFXI変異体は、標準的な方法を使用して構成され、HEK293細胞へのトランスフェクションの後に発現された。天然細胞培養上清は、37℃で96時間に亘り増殖した細胞から集められた。例1で述べられたように、FXI活性はROTEGによって測定された。
【0281】
結果は、以下の表に示される。
【表3】

【0282】
例4:FXI製剤の貯蔵安定性
FXIの以下の溶液が調製されて、5℃で5週間に亘り貯蔵され、その後、FXI活性が例1に記載された通りに測定された。
【0283】
1. 4mMの酢酸塩、150mMのNaCL、pH5.4における384nMのFXI
2. 50mMのアセテートバッファー、150mMのNaCL、pH 5.4における190nMのFXI
3. 50mMのアセテートバッファー、150mMのNaCL、pH 5.4、1mMのCaCL2における190nMのFXI
4. 50mMのアセテートバッファー、75mMのNaCL、pH 5.4、300mg/mLの蔗糖における190nMのFXI
5. 50mMのMESバッファー、pH 6.5、150mMのNaCLにおける190nMのFXI
6. 50mMのMESバッファー、pH 6.5、150mMのNaCL、1mMのCaCL2における190nMのFXI
7. 50mMのMESバッファー、pH 6.5、75mMのNaCL、300mg/mlの蔗糖における190nMのFXI
結果は図3に示す。
【0284】
例5:FXIのための結合ペプチド
以下の実験は、FXIを結合するペプチドを識別するために実施された。
【0285】
I.ペプチド・ライブラリの合成:
以下のライブラリは、ラップ・ポリマー(Rapp Polymere、ドイツ)からのテンタゲル(Tentagel)樹脂ビードにおけるFmoc固相ペプチド合成を使用して合成された。
【0286】
3つの異なるペプチド・ビード・ライブラリ(peptide bead libraries)が、スクリーニングで使われた。
【0287】
それは、BL121、BL122およびBL123と名付けられた。
【0288】
ライブラリBL121の構成は:
O1-O2-O3-O4-O5-O6-O7-O8-O9-O10-O11-O12-O13-O14-テンタゲル樹脂、ここで、OnはL-アミノ酸であり、およびn=1、2および11、12は、メチオニンおよびシステイン以外の何れかのプロテイノジェニック(proteinogenic)なL-アミノ酸であってよく、およびn=4、5および7、8および10、11および13、14は、メチオニンおよびシステイン以外の何れかのプロテイノジェニックなL−アミノ酸であるか、および欠失していてもよく、並びにn=3、6、9、12は、Phe、Trp、Tyr、Leuであってよい。
【0289】
ライブラリBL122の構成は:
O1-O2-O3-O4-O5-O6-O7-O8-O9-O10-O11-O12-テンタゲル樹脂、ここで、OnはL-アミノ酸であり、およびn=1〜12は、メチオニンおよびシステイン以外の何れのプロテイノジェニックなL−アミノ酸であってよい。
【0290】
ライブラリBL124の構成は:
O1-O2-O3-O4-O5-O6-O7-Asp-Phe-Pro-O8-O9-O10-O11-テンタゲル樹脂、ここで、OnはL-アミノ酸であり、およびn=1〜11は、メチオニンおよびシステイン以外の何れのプロ低の外ニックL−アミノ酸であってよい。
【0291】
2.当該ペプチドビードライブラリのスクリーニング:
ヘマトロジック・テクノロジー(Heamatologic Technologies)からの組換えXI因子が購入でき、標準的な実験プロトコールに従ってビオチン標識化される。次に、5 μLのXI因子(1,2μM)および1μLのストレプトアビジン−アルカリホスファターゼ(1mg/mL、Sigma)を3つの合成ペプチドビードライブラリ、BL121、BL122およびBL124に対して夫々に添加し、約2〜3時間に亘りインキュベートした。当該インキュベーションバッファーは、15mMのTRIS-HCl、pH=7.4, 0.15MのNaCL、0.5%のウシ血清アルブミン(BSA)および0.05%のTween20である。洗浄用バッファー(M TRIS-HCl、pH=7.4、0.15MのNaCLおよび0.05%のTween20)で洗浄した後で、BCIPおよびNBTを冷バッファー(50mMのTRIS-HVl、pH=8.8、0.15MのNaCL、0.05%のTween20および15mMのMgCL2)に添加し、呈色が30分〜1.5時間続くことを可能にした。
【0292】
3.配列決定
活性青色ビーズを当該ライブラリから取り出し、エドマン・シーケンサー(the Edman sequencer (Procise, Applied Biosystems))で配列決定した。
【0293】
結果
本発明に従うライブラリBL121、BL122およびBL123において見つかった特異的なXI因子およびXI因子様結合ペプチドは、以下に概説されるアミノ酸配列を含むペプチドを含む:
BL121において見つかる配列
配列番号:03: SRWPWSVFPDFPD
配列番号04: DVWDYVVFDDFPS
配列番号05: QRWVPYDDFPSLRS
配列番号06: RHFHVFPDFPFVH
配列番号07: HHFPPFSHFPDLPQ
配列番号08: RRLPLSRLPDFP
配列番号09: HPFFRGYPDFPD
配列番号10: HPWHLVYPDFPS
配列番号11: HDWLVRWPDFPS
配列番号12: SHFWRQWPDFSD
配列番号13: PQLRWHDFPDFGS
配列番号14: VVWRHWQDFDQFVV
配列番号15: VDWQWSRFDDFPS
配列番号16: HPWFDDFPHLFQ。
【0294】
ライブラリBL122からの配列
配列番号17: YKWIHHDDFPLV
配列番号18: FDRKRVHPDFPH
配列番号19: DVWDYVVFDDFPS
配列番号20: QQPIQRFPDFP
配列番号21: QAIFTRFPDFPN
配列番号22: EWFPDFPEGSDG
配列番号23: HTHAFPDFPPH
配列番号24: LVKGFPDFPNHN
配列番号25: GPFPYAYEDFPE
配列番号26: FYLKTRYYDFPE
配列番号27: FQARHTIGDFPA
配列番号28: RIKDFPSDSNTV
配列番号29: IWESHKVIEDFP
配列番号30: QWFSVSRYQDFD
配列番号31: QKDFHWRILPDF
配列番号32: KIVKFPHTFPDL
配列番号33: HLYDFDLDNEY
配列番号34: KTILGDVDFDI
配列番号35: RQLHPFHHFHG
配列番号36: RSWLRYGYGH
配列番号37: FNWNNVDEYYDW
配列番号38: DQWDWEDYDEAW
配列番号39: YDIYDDYEIWA。
【0295】
BL124において見つけられる配列
配列番号40: YPKHIYADFPSTRL
配列番号41: YPRHIYPDFPTDTT
配列番号42: YLKHAWPDFPKLQQ
配列番号43: YVRHRFEDFPTALP
配列番号44: FPWHKYEDFPSPRT
配列番号45: QPAHRYPDFPRNNH
配列番号46: LPKTRFLDFPHVSF
配列番号47: LPPARYPDFPAAKK
配列番号48: IPKNRFSDFPDAQG
配列番号49: LPSFRFPDFPATKT
配列番号50: RVLNRYPDFPTTNQ
配列番号51: FFKKTYADFPTSQT
配列番号52: IFKKTYEDFPRFVY
配列番号53: VLHNKYDDFPRVKK
配列番号54: KVKHRFNDFPVWGN。
【0296】
有用なFXI-結合ペプチドは、Asp-Phe-Proのコアアミノ酸モティーフを有するものを含むことが断定される。
【0297】
例6
哺乳類の細胞培養からの細胞は、遠心または濾過によって上清から分離された。ベンズアミジンとEDTAが、終濃度1mMで添加された。
【0298】
例7
オベリックス(Obelix) ST CIEX(cat no 11-0010)を使用する第1の陽イオン交換クロマトグラフ法
オベリックスマトリックスはバッファーAの5カラム量(cv)で平衡化され、1mLの充填カラム当たり150mL上清に相当する量を当該カラムに対して添加した。当該カラムを4cvののバッファーA(30mM Tris pH 8,0)、次に5cvのバッファーA’(50mMのTris、50%のグリセロール87% pH 9,0)で洗浄した。次に、5cvのバッファーA”(50mMのTris、50%のグリセロール87%、1MのNaCl、pH 9,0)で溶出を行った。流速は16cv/時間であり、温度は0〜10℃であった。当該カラムは1MのNaOHで再生した。画分は約50%のピークの高さから採取し、最初のピーク溶出は廃棄するが、次の主要なピークはFXIを含む。FXIポリペプチド含有画分の分析は、C4・ジュピター・フェノモネックス(Jupiter Phenomonex cat no OOG-4167-EO、4.6x250 mm)を用いるHPLC(下記参照)と、NUpage 4-12% Bis/トリスGel(インビトロゲン)上で減少する条件下のMOPSランニングバッファーを用いてのSDS-PAGEによって実施された。ベンズアミジンおよびEDTAを、FXIポリペプチドを含む画分に添加され(1mMまで)、更なる使用時まで、冷蔵庫で約4℃に保たれるか、−80℃で凍結された。
【0299】
Obelix ST CIEXの代替物は、Streamline Direct CST(アマシャム, cat no 17-5266-03)である。(図4、調製用のクロマトグラム)
例8
ブチル・セファロース・ハイ・パフォーマンス・ハイ・サブスチチューション(cat no 17-3100)を使用する疎水的相互作用クロマトグラフィ
2MのNaCL、40mMのTrisを含みpH8のバッファーの1.5体積が、例7からのFXIポリペプチドを含む当該混合画分に添加され、8.2、もし既にそうでなければ8.0〜8.4に調整された。ブチル・セファロース・ハイ・パフォーマンス・ハイ・サブスチチューションマトリックスは、3cvのバッファーB(1MのNaCL、20mMのTris、pH 8.0)で平衡化し、約1mg/mLに相当する量を当該カラムに添加した。当該カラムを次に2cvのバッファーBで洗浄し、次に、バッファーBから100%溶出バッファーB’(20mMのTris、pH 8,0)への20cvから2cvの100溶出バッファーB’へと続く勾配溶出に供する。流速は12 cv/hで、温度が0-10℃であった。画分は、約10cvの溶出の後に15cvまで採取した。FXIポリペプチドを含有する画分の分析は、4.6x250 mmのC4 fupiter Phenomonex cat no OOG-4167-EOを使用するHPLC(下記を参照されたい)と、還元条件化でのMOPSランニングバッファーを用いたNUpage 4-12% Bis/Tris Gel(インビトロゲン)におけるSDS-PAGEによって実施した。プロピレングリコールの1/4体積を、直接に、FXIポリペプチド含有画分の当該プールに対して、最終濃度が20%(v/v)プロピレングリコールに添加し、その得られたプールを次に約4℃で、または凍結して更なる使用時まで保存した。
【0300】
ブチル・セファロース・ハイ・パフォーマンス・ハイ・サブスチチューションの代替はフェニル・セファロース・ハイ・パフォーマンス・ハイ・サブスチチューションである。この代替マトリクスは、後の溶出に帰着する(図5、調製用クロマトグラム)。
【0301】
例9
CHT Hydroxyapatite Type I BioRad cat no 157-0020を使用するハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ
例8からのFXIポリペプチド含有画分のプールのpHは6,0に調整され、1体積の水が20mS/cmより下の伝導率に加えられた。ハイドロキシアパタイトType I 20μmマトリックスは、6cvのバッファーCで平衡化され、次に、5mg/mLのゲルに相当する量を当該カラムに添加した。当該カラムを、次に、バッファーC(20mMのK-PO4、pH 6,0)の15cvで洗浄し、95%のバッファーCと5%の溶出用バッファーC’(20mMのK-PO4、2MのNaCL、pH 6.0)は洗浄工程を遂行する。5%C’から100%C’までの勾配溶出が実施され、小規模のフラクションで当該FXIポリペプチドを溶出するために使用された。当該FXIポリペプチド画分を含有するプールの伝導率は、約60mS/cmであり、pHは約6.0であった。FXIポリペプチド含有画分の分析は、4.6x250 mmのC4 fupiter Phenomonex cat no OOG-4167-EOを使用したHPLC(下記を参照されたい)によって、および還元条件下でMOPSランニングバッファーでのNUpage 4-12% Bis/Tris Gel(インビトロゲン)におけるSDS-PAGEによって実施した。当該HPLCの純度は>97%であり、FXIの濃度は約1.2mg/mLである。
【0302】
高純度のFXI含有フラクションが回収され、プロピレングリコールが、最終的に10%v/vに加えられ、-20℃で保存された。(図6、調製用のクロマトグラム)
例10
HPLC分析手順
高速液体クロマトグラフィ(HPLC;上述の例7-9で言及された)は、4.6x250 mmのC4 Jupiter Phenomonex cat no OOG-4167-EOを使用し、以下のバッファーを使用して実施された:
バッファーI:H2O中で0.1%のTFA
バッファーII:CH3CN中で0.07%のTFA。
【0303】
当該カラムの平衡は、75%(v/v)のバッファーIと25%(v/v)のバッファーIIとの混合物を使用して5分(流速1mL/min)で実施された。
【0304】
当該カラムの溶出は、75%のバッファーI/25%のバッファーIIから39%のバッファーI/61%のバッファー IIまでに向かう18分(流速1ml/分)に亘る勾配を用いて行われた。
【0305】
当該カラムの再生は、2分間に亘る100%のバッファ−IIでの洗浄により実施した。(流速0.5ml/分)。使用された当該検出波長は、214nmであった。温度は、50℃であった。2〜50μgのサンプルを当該カラムに載せた。
【0306】
ここで参照された全ての特許、特許出願および参考文献は、参照することにより、それらの全体がここに組み込まれる。
【0307】
本発明の多くのバリエーションが、上記の詳細な説明の見地から当業者に対して示唆されるであろう。そのような明らかなバリエーションは、添付の特許請求の範囲が完全に意図する範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0308】
【図1】図1は、心臓外科手術の前後に患者から得た血液における総合的クロット特性におけるFXIの量の増加効果を示すグラフである。
【図2】図2は、正常な対象から得た血液における総合的クロット特性におけるFXIの量の増加効果を示すグラフである。
【図3】図3は、96日間の5°Cでの貯蔵の後の異なるFXI製剤の生物活性を示すグラフである。
【図4】図4は、例7で述べられるObelix ST CIEX(Cat no 11-0010)を使用する第1の陽イオン交換クロマトグラフィからのXI因子ポリペプチド含有画分の調製用のクロマトグラムである。
【図5】図5は、例8で記載されるブチルセファロース高性能高置換(cat no 17-3100)を使用した疎水性相互作用クロマトグラフィからのXI因子ポリペプチド含有画分の調製用のクロマトグラムである。
【図6】図6は、例9で記載されるCHTハイドロキシアパタイトタイプI (BioRad cat no 157-0020)を使用したハイドロキシアパタイトクロマトグラフィからのXI因子ポリペプチド含有画分の調製用のクロマトグラムである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出血性エピソードを治療する方法であって、前記方法がそれを必要とする患者に対して、XI因子(FXI)またはFXI関連ポリペプチドをそのような治療に有効な量で含む製剤を投与することを具備する方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記投与が前記患者における凝固時間の短縮を生じる方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記投与が前記患者の止血の増強を生じる方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記投与が凝血塊溶解時間の増大を生じる方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記投与が前記患者において凝血塊強度の増大を生じる方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記投与が前記患者における包括クロット特質(OCQ)の増大を生じる方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記投与に続き、前記患者が少なくとも約5nMの有効FXI血漿濃度を示す方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記有効FXI血漿濃度が少なくとも約10nMである方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記有効FXI血漿濃度が少なくとも約30nMである方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記FXIまたはFXI関連ポリペプチドが配列番号1の配列を含む、または少なくとも1のFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントを含む方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記FXIまたはFXI関連ポリペプチドが、配列番号2の配列または少なくともFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントを含む方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、前記患者が先天性FXI欠損症に罹患していない方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記出血性エピソードが手術、歯科的処置、外傷または血液希釈からなる群より選択される状態の二次的なものである方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記投与の前に以下を具備する方法;
(a)前記患者から血液のサンプルを得ること;(b)少なくとも1のFXI濃度、FXIa:FXIの比率、または凝固の回復に必要な外因性のFXIの量を測定すること;および(c)工程(b)の結果を基に、治療のためのFXI有効量を決定すること。
【請求項15】
出血性エピソードを治療するための方法であって、前記方法が前記患者に対して(i)第1の量のFXIポリペプチド含有製剤、(ii)第2の量の非VII因子/VIIa因子凝固剤を含む製剤を投与することを具備し、前記第1のおよび第2の量は組み合わせにおいてそのような治療のために有効である方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記非VII因子/VIIa因子凝固剤が、XIII;組織因子経路阻害剤(TFPI)阻害剤;IX因子;トロンビン活性化繊維素溶解阻害剤(TAFI);プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1);V因子;プロテインC阻害剤;プロテインS阻害剤;および組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)阻害剤からなる群より選択される方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、前記方法がVII因子/VIIa因子凝固剤の投与を具備しない方法。
【請求項18】
(i)単離された組換えFXIポリペプチドおよび(ii)薬学的に許容された担体または賦形剤を含む医薬製剤。
【請求項19】
出血性エピソードを治療するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項20】
請求項19に記載の使用であって、前記出血性エピソードが手術、歯科的手順、外傷または血液希釈からなる群より選択される状態の二次的なものである使用。
【請求項21】
請求項19または20の何れか1項に記載の使用であって、前記出血性エピソードがVII因子/VIIa因子凝固剤により治療されない使用。
【請求項22】
それを必要とする患者における止血の増強のためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項23】
それを必要とする患者における血塊溶解時間の増大のためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項24】
それを必要とする患者における血塊強度を増大するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項25】
それを必要とする患者における総合凝血塊質(OCQ) の増大のためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項26】
それを必要とする患者における凝固時間の短縮のためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項27】
請求項19〜25の何れか1項に記載の使用であって、当該患者における有効FXI血漿濃度が少なくとも5nMまで増加される使用。
【請求項28】
請求項26に記載の使用であって、当該有効FXI血漿濃度が少なくとも約10nMまで増加される使用。
【請求項29】
請求項27に記載の使用であって、当該有効FXI血漿濃度が少なくとも約30nMまで増加する使用。
【請求項30】
請求項19〜28に記載の何れか1項に記載の使用であって、当該治療されるべき患者が、VII因子/VIIa因子凝固剤での治療を受けていない使用。
【請求項31】
出血性エピソードの治療のための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項32】
請求項31に記載の使用であって、前記出血性エピソードが、手術、歯科的手順、外傷、または血液希釈からなる群より選択される状態の二次的なものである使用。
【請求項33】
請求項31または32の何れか1項に記載の使用であって、前記出血性エピソードがVII因子/VIIa因子凝固剤により治療されていない使用。
【請求項34】
それを必要とする患者における出血の増強のための医薬製剤の製造のためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項35】
それを必要とする患者における血塊溶解時間の増大のための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項36】
それを必要とする患者における血塊強度を増大するための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項37】
それを必要とする患者における総合的クロット特性(OCQ)の増大のための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項38】
それを必要とする患者における凝固時間を短縮するための医薬製剤を製造するためのFXIポリペプチドの使用。
【請求項39】
請求項31〜38の何れか1項に記載の使用であって、当該患者における当該有効FXI血漿濃度が少なくとも約5nMである使用。
【請求項40】
請求項39に記載の使用であって、当該有効FXI血漿濃度が少なくとも約10nMまで増加する使用。
【請求項41】
請求項40に記載の使用であって、当該有効FXI血漿濃度が少なくとも約30nMまで増加する使用。
【請求項42】
請求項31〜41の何れか1項に記載の使用であって、当該治療されるべき患者がVII因子/VIIa因子凝固剤での治療を受けていない使用。
【請求項43】
請求項19〜42の何れか1項に記載の使用であって、当該治療されるべき患者が先天性FXI欠損症に罹患していない使用。
【請求項44】
請求項19〜43の何れか1項に記載の使用であって、前記FXIポリペプチドが配列番号1の配列または少なくとも1のFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントを含む使用。
【請求項45】
請求項19〜43の何れか1項に記載の使用であって、前記FXIポリペプチドが配列番号2の配列または少なくとも1のFXI関連生物学的活性を保持するそのフラグメントをを含む使用。
【請求項46】
請求項19〜45の何れか1項に記載の使用であって、前記FXIポリペプチドは、非VII因子/VIIa因子凝固剤と組合わせて投与されるべき使用。
【請求項47】
請求項46に記載の使用であって、前記非VII因子/VIIa因子凝固剤が、XIII因子;組織因子経路阻害剤(TFPI)阻害剤;IX因子;トロンビン活性化繊維素溶解阻害剤(TAFI);プラスミノーゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1);V因子;プロテインC阻害剤;プロテインS阻害剤;および組織型プラスミノーゲン活性化因子(tPA)阻害剤からなる群より選択される使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2007−513881(P2007−513881A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540175(P2006−540175)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000810
【国際公開番号】WO2005/049070
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】