説明

[18F]フルオロハロアルカンの固相製造

【課題】 [18F]フルオロハロアルカンの固相合成法の提供。
【解決手段】 式(I):
固体担体−リンカー−SO−O−(CHX (I)
(式中、nは1〜7の整数であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である。)の固体担体結合前駆体を18で処理して式(II):
18F−(CH−X (II)
(式中、n及びXは式(I)の化合物について定義した通りである。)の[18F]フルオロハロアルカンを生成させ、次いで、適宜(i)過剰18Fの、例えばイオン交換クロマトグラフィーによる除去及び/又は(ii)有機溶媒の除去を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は[18F]ブロモフルオロメタンのようなフルオロハロアルカン化合物の製造法に関する。[18F]フルオロハロアルカンはO−、N−及びS−[18F]フルオロアルキル化の実施に重要な試薬であり、ポジトロン放出断層撮影法(PET)検査用放射標識放射性リガンドに常用されている。
【背景技術】
【0002】
18F]フルオロハロアルカンは従来適当な前駆体化合物から脱離基の[18F]Fによる求核置換反応で製造されてきた。例えばZhang et al.,Applied Radiation and Isotopes 57,335−342(2002)には、[18F]Fでの2−トリフルオロメタンスルホニルオキシエチルブロマイドの求核置換反応による[18F]フルオロエチルブロマイドの合成が記載されており、Seung−Jun et al. Applied Radiation and Isotopes(1999),51,293−7には、3−[18F]フルオロプロピルブロマイドの同様の合成法が記載されている。同様の方法は、Comagic et al. Applied Radiation and Isotopes(2002),56,847−851にも記載されており、[18F]Fでの1,2−ジブロモエタンの求核置換反応によって2−ブロモ−1−[18F]フルオロエタンが合成されている。本願出願人の国際特許出願PCT/GB02/02505号には、固相求核フッ素化法に関して記載されている。
【特許文献1】国際公開第03/002157号パンフレット
【非特許文献1】Zhang et al.,Applied Radiation and Isotopes 57,335−342(2002)
【非特許文献2】Seung−Jun et al. Applied Radiation and Isotopes(1999),51,293−7
【非特許文献3】Comagic et al. Applied Radiation and Isotopes(2002),56,847−851
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
放射標識試薬としての[18F]フルオロハロアルカン類の重要性から、生成物の単離が容易で、良好な放射化学収率でそれらを製造するための合成法に対するニーズが依然として存在している。さらに、自動化の容易なかかる合成法に対するニーズも存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第一の態様では、[18F]フルオロハロアルカンの製造方法であって、式(I)
固体担体−リンカー−SO−O−(CHX (I)
(式中、nは1〜7の整数であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である。)
の固体担体結合前駆体を18で処理して式(II)
18F−(CH−X (II)
(式中、n及びXは式(I)の化合物について定義した通りである。)
の[18F]フルオロハロアルカンを生成させ、次いで、適宜
(i)過剰18の、例えばイオン交換クロマトグラフィーによる除去、及び/又は
(ii)有機溶媒の除去、
を行う方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
好ましくは、上記の式(I)の化合物において、nは1〜4の整数であり、さらに好ましくは1又は2である。式(I)の化合物において、Xは好ましくは臭素又はヨウ素である。製造される式(II)の好ましい[18F]フルオロハロアルカンは、[18F]フルオロブロモメタン、[18F]フルオロヨードメタン、[18F]フルオロブロモエタン、[18F]フルオロヨードエタン、[18F]フルオロブロモプロパン及び[18F]フルオロヨードプロパンである。
【0006】
式(II)の[18F]フルオロハロアルカンは固相から溶液中に取り出され、未反応前駆体はすべて樹脂に結合したまま残り、簡単な濾過で分離できるので、HPLCなどによる面倒な精製の必要性がなくなる。式(II)の[18F]フルオロハロアルカンは、イオン交換クロマトグラフィーなどによる過剰Fの除去及び/又は有機溶媒の除去によって純度を高めることができる。
【0007】
スキーム1に示す通り、式(I)の化合物は、Merrifield樹脂、NovaSyn(登録商標)TGブロモ樹脂、(ブロモメチル)フェノキシメチルポリスチレン、又はWang樹脂のような市販のスルホン酸官能化樹脂から簡便に製造することができ、これらを塩素化剤と反応させて対応塩化スルホニル樹脂を生じさせればよい。これは樹脂を、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム又はアセトニトリルのような適当な不活性溶媒中、五塩化リン、三塩化リン、塩化オキサリル又は塩化チオニルで処理し、昇温下で所定時間加熱することによって実施し得る。過剰の試薬は追加量の不活性溶媒で洗浄することによって樹脂から除去し得る。塩化ホスホリル樹脂を次いでトレーサーのアルコール類似体と反応させて、式(I)の樹脂結合前駆体を生じさせる。これは、例えば、水素化ナトリウム又はトリアルキルアミン(トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなど)のような可溶性非求核塩基を含有するクロロホルム、ジクロロメタン、アセトニトリル又はテトラヒドロフランのような不活性溶媒中のアルコール溶液で樹脂を処理することによって実施し得る。反応は10〜80℃の温度、最適には室温で約1〜24時間実施し得る。過剰のアルコール及び塩基は、次いで追加量のクロロホルム、ジクロロメタン又はテトラヒドロフランのような不活性溶媒で洗浄することによって固体担体から除去し得る。別法として、リンカーをハロアルカンに結合してから固体担体に結合させ、上記と同様の化学的方法で式(I)の化合物を形成してもよい。
【0008】
【化1】

【0009】
式(I)の化合物において、「固体担体」は、当該プロセスで使用する溶媒には不溶であるが、リンカー及び/又はハロアルカンを共有結合させることができる適当な固相担体であればよい。適当な固体担体の具体例としては、ポリスチレン(ポリエチレングリコールなどとのブロックグラフトでもよい)、ポリアクリルアミド又はポリプロピレンのようなポリマー、或いはかかるポリマーで被覆したガラス又はケイ素が挙げられる。固体担体はビーズやピンのような小さな離散粒子の形態でもよいし、或いはカートリッジの内面又はマイクロ加工容器のコーティングでもよい。
【0010】
式(I)の化合物において、「リンカー」は、固体担体構造から反応性部位を十分に離隔して反応性を最大限に発揮させるのに適した有機基であればよい。好適には、リンカーは、0〜4個のアリール基(好適にはフェニル)及び/又はC1−16アルキル(好適にはC1−6アルキル)又はC1−16ハロアルキル(好適にはC1−6ハロアルキル)、典型的にはC1−16フルオロアルキル(好適にはC1−6フルオロアルキル)、又はC1−16アルコキシ又はC1−16ハロアルコキシ(好適にはC1−6アルコキシ又はC1−6ハロアルコキシ)、典型的にはC1−16フルオロアルコキシ(好適にはC1−6フルオロアルコキシ)からなり、適宜、アミド又はスルホンアミド基のような1〜4個の官能基を含む。かかるリンカーの具体例は固相化学の当業者には周知であり、以下のものが挙げられる。
【0011】
【化2】

【0012】
各例において、kは0〜3の整数であり、nは1〜16の整数であり、Rは水素又はC1−6アルキルである。
【0013】
18による式(I)の化合物の処理は、Na18F、K18F、Cs18F、フッ化18Fテトラアルキルアンモニウム又はフッ化18Fテトラアルキルホスホニウムのような適当な18源での処理によって実施し得る。フッ化物の反応性を高めるため、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサンのような相間移動触媒を添加して、反応を非プロトン性溶媒中で実施してもよい。こうした条件下で反応性フッ素イオンが得られる。18での処理は、好適には、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、スルホラン、N−メチルピロリジノンのような適当な有機溶媒の存在下で適度な温度(例えば15℃〜180℃)、好ましくは昇温下で実施する。反応が完了したら、溶媒中に溶解した式(II)の[18F]フルオロハロアルカンを濾過によって簡便に固相から分離する。
【0014】
過剰18はイオン交換クロマトグラフィー又は固相吸着剤などの適当な手段によって[18F]フルオロハロアルカンの溶液から除去し得る。適当なイオン交換樹脂としては、BIO−RAD AG1−X8又はWaters QMAが挙げられ、適当な固相吸着剤としてはアルミナが挙げられる。過剰18は非プロトン性溶媒中でこうした固相を用いて室温で除去し得る。
【0015】
有機溶媒は、昇温真空下での蒸発或いは窒素又はアルゴンのような不活性ガス流を溶液に流すなどの常法によって除去し得る。
【0016】
別の態様では、本発明は[18F]フルオロハロアルカンの製造法であって、式(III)
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、n及びXは式(I)の化合物について定義した通りであり、Yはアニオン(好ましくはトリフルオロメチルスルホン酸(トリフレート)アニオン又はテトラフェニルホウ酸アニオン)である。)
の固体担体結合前駆体を18で処理して式(II)
18F−(CH−X (II)
(式中、n及びXは式(III)の化合物について定義した通りである。)
の[18F]フルオロハロアルカンを生成させ、次いで、適宜
(i)過剰18の、例えばイオン交換クロマトグラフィーによる除去、及び/又は
(ii)有機溶媒の除去、
を行う方法を提供する。
【0019】
式(III)の化合物は、Merrifield樹脂又はWang樹脂のような市販の官能化樹脂から簡便に製造し得る。好適には、リンカー基(ヨードフェノールなど)を含むヒドロキシヨードアリールを炭酸セシウムのような無機塩基で処理し、次いでN,N−ジメチルホルムアミドのような不活性溶媒で予め膨潤させておいた樹脂に添加し、昇温下(例えば30〜80℃)で反応させる。過剰の試薬は追加の不活性溶媒で樹脂を洗浄することによって除去し得る。得られるヨードフェノール官能化樹脂を、過酸化水素のような酸化剤の存在下で、酢酸アニオン源(酢酸、無水酢酸又は塩化アセチルなど)で処理して対応ジアセトキシヨードフェニル官能化樹脂を得る。ジアセトキシヨードフェニル官能化樹脂を、塩酸、トリフルオロメタンスルホン酸又は酢酸のような酸の存在下、ジクロロメタンのような不活性溶媒中で低温(好適には−40℃〜10℃)で撹拌してから、フルオロハロアルカン、好適には適度な温度で樹脂にカップリングし得るホウ酸もしくはトリ有機スズ(トリアルキルスズ)誘導体として官能化したものを添加する。前段と同様、式(III)の所望の化合物は濾過及び不活性溶媒での洗浄によって分離し得る。
【0020】
式(III)の化合物において、リンカーは上記で定義した通りであるが、好適にはIに隣接してアリール基(好適にはフェニル)を含む。好ましい具体例は以下の通りである。
【0021】
【化4】

【0022】
式中、各フェニルは適宜、C1−6アルキル及びC1−6アルコキシから選択される1〜4個の基で置換されていてもよいが、好適には非置換である。
【0023】
による式(III)の化合物の処理、式(III)の好ましいハロアルカン、過剰のF及び有機溶媒の除去は、好適には上記の式(I)の化合物について説明した通りである。
【0024】
式(I)及び(III)の化合物は新規であり、本発明の別の態様をなす。
【0025】
上述の通り、[18F]フルオロハロアルカンの固相合成法の利点としては、プロセスが比較的迅速であること、精製法が簡単であること、自動化が容易であることが挙げられ、これらはすべては本プロセスがPET用18F−標識トレーサーの製造に使用し得る[18F]フルオロハロアルカンの製造に適していることを意味する。従って、本発明はPET試薬用の式(II)の[18F]フルオロハロアルカンの製造法を提供する。
【0026】
簡便には、式(I)又は(III)の固体担体前駆体は、放射線医薬品調剤室、PETセンター又は核医学部局向けのキットの一部として提供できる。キットは適当な自動化合成機に装着できるカートリッジを含んでいてもよい。カートリッジは、固体担体結合前駆体とは別に、不要フッ素イオンを除去するためのカラム、反応混合物を蒸発させて生成物を必要に応じて処方することができるように連結された適当な容器を含んでいてもよい。試薬、溶媒その他合成に必要な消耗品を、放射能濃度、体積、送達時間などに関する顧客条件に合致するように合成機を操作できるようにするソフトウエアを記録したコンパクトディスクと共に含んでいてもよい。
【0027】
簡便には、キットの部品はすべて作業間の汚染のおそれを最小限とし、無菌及び品質を保証するため使い捨てとする。
【0028】
本発明はさらにPET用[18F]フルオロハロアルカンの製造用放射性合成キットであって、
(i)式(I)又は(III)の化合物を収容した容器、及び
(ii)18源で上記容器を溶出する手段、及び
(iii)過剰18を除去するためのイオン交換カートリッジ、
を備えるキットを提供する。
【0029】
本発明はさらにPET用[18F]フルオロハロアルカンの製造用放射性合成キット用のカートリッジであって、
(i)式(I)又は(III)の化合物を収容した容器、及び
(ii)18源で上記容器を溶出する手段、
を備えるカートリッジを提供する。
【実施例】
【0030】
以下の実施例で本発明を例示する。
【0031】
実施例1 18F]フルオロブロモメタンの合成
実施例1(i) ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホニルクロライドの製造
Weiming Qiu and Donald J.Burton Journal of fluorine chemistry,60(1993)93−100記載の方法による。
【0032】
【化5】

【0033】
1,4−ジヨードペルフルオロブタン(I(CFI)(24.14g、53.2mmol)、亜ジチオン酸ナトリウムNa(24g、117.2mmol)及び硫酸水素ナトリウムNaHCO(12.8g、152.4mmol)の水HO(36ml)/アセトニトリルCHCN(36ml)中の混合物を室温で2時間撹拌した。これを濾過し、濾液を減圧下で濃縮してアセトニトリルを除いた。残渣にHO(100ml)を加えた。得られた溶液を激しく撹拌し、Iの色が消失するまで0℃で塩素ガスClで処理した。ジクロロメタンCHCl(100ml)を加え、混合物を激しく振盪した。有機相を分離し、水相をCHClで抽出した。有機相を一緒にして水HO、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムNaSOで乾燥し、濃縮してワックス状の黄色結晶性固体(15.4g、74%)を得た。ヘキサンから再結晶し、ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホニルクロライドの灰白色針状晶を得た。
19F−NMR(CDCl、CFCl基準)δ:−104.4、−119.1。
【0034】
実施例1(ii) ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸二カリウム塩の製造
【0035】
【化6】

【0036】
水酸化カリウムKOH(9.8g、5当量)と水HO(19ml)の溶液に攪拌しながらペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホニルクロライド(14g、35mmol)を85℃〜90℃で少しずつ加えた。添加後、さらに4時間上記温度で反応を続け、一晩冷却した。これを濾過し、固体を少量の冷水で洗浄し、真空乾燥してペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸二カリウム塩を得た。
19F−NMR(CDOD、CFCl基準)δ:−114.00、−120.11。
【0037】
実施例1(iii) ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸の製造
米国特許第4329478号公報(Fred E.Behr.)に記載の方法による。
【0038】
【化7】

【0039】
ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸二カリウム塩(15g、34.2mmol)を熱水(100ml)に溶解した。この溶液を、予め過剰の6N−HClで洗浄し、蒸留水で濯いでおいたAmberlyst 15樹脂(40×4cm)のイオン交換カラムに加えた。次いで、カラムを蒸留水でゆっくりと洗浄し、最初の300mlの水溶液を集めた。この溶液を真空濃縮し、残渣を減圧下で80℃で乾燥し、ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸(11.0g、30mmol、88%)を得た。
H−NMR(CDCl)δ:8.00。
18F−NMR(CDCl、CFCl基準)δ:−114.7、−121.3。
【0040】
実施例1(iv) ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸無水物の製造
米国特許第4329478号公報(Fred E.Behr.)に記載の方法による。
【0041】
【化8】

【0042】
ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸(11.0g、〜30mmol)をP(40g、〜10当量)及び砂と混合した。混合物を140〜180℃に加熱し、ドライアイス冷却回収器で減圧下で蒸留し、粗生成物(5.12g)を得た。再蒸留によって純ペルフルオロブタン−1,4−ビス−スルホン酸無水物を得た。
18F−NMR(CDCl、CFCl基準)δ:−105.7、−121.8。
【0043】
実施例1(v) PS−4−(ベンジル−エチル−スルホンアミド)オクタフルオロ−ブタン−1−スルホン酸の合成
【0044】
【化9】

【0045】
予めジクロロメタン(2ml)で膨潤した後追加量のジクロロメタン(2ml)に懸濁しておいたポリスチレン樹脂(Novabiochem社製、NovaSyn樹脂)(202mg)の一部に、ペルフルオロブチル−1,4−サイクリックスルホン酸無水物(116mg、5当量)を加えた。次いで、ジイソプロピルエチルアミン(0.174ml)を加え、懸濁液を室温で一晩撹拌した。溶媒を濾過によって除去し、ジクロロメタン(5ml)、メタノール(5ml)、DMF(5ml)、水(5ml)、メタノール(5ml)及びジクロロメタン(5ml)を順次加えて濾過して樹脂を洗浄した。得られた樹脂を1M−NaOH/THF/水(2×2ml)で処理して再度メタノール(5ml)、ジクロロメタン(5ml)及びメタノール(5ml)で順次洗浄した。次いで、樹脂を高真空下で乾燥した。
ゲル相19F−NMR(CFCl基準、300K)δ:−121.0、−114.8、−113.4。
【0046】
実施例1(vi) PS−4−(ベンジル−エチル−スルホンアミド)オクタフルオロ−ブタン−1−スルホニルクロライドの合成
【0047】
【化10】

【0048】
上記実施例1(v)の方法で製造した樹脂の一部をジクロロメタン(2ml)で膨潤させ、次いで1M−HCl/THF/水(10×5ml)で順次洗浄して遊離スルホン酸を得る。樹脂をジクロロメタン、メタノール及びTHFで順次洗浄して高真空下で乾燥する。
【0049】
次いで、樹脂をジクロロメタンに懸濁し、過剰の常用塩素化剤(例えば五塩化リン、三塩化リン又は塩化チオニル)を加える。懸濁液を2時間撹拌し、濾過し、樹脂をジクロロメタン、次いでTHFで洗浄する。
【0050】
実施例1(vii) フルオロブロモメタン前駆体樹脂の合成
【0051】
【化11】

【0052】
上記実施例1(vi)に記載の通り製造し予めTHFで膨潤しておいた樹脂の一部に、ブロモメタノールとTHFの溶液を加える。これにカリウムt−ブトキシドとテトラヒドロフランの溶液を加え、懸濁液を一晩撹拌する。濾過後、樹脂をジクロロメタンとTHFで連続的に洗浄し、次いで高真空下で乾燥する。
【0053】
実施例1(viii) 放射性フッ素化による[18F]フルオロブロモメタンの製造
カートリッジに収容した樹脂(実施例1(vii)に記載の通り製造)の一部に、クリプトフィックス、炭酸カリウム及び[18F]−フッ素の乾燥アセトニトリル溶液を加える。懸濁液を85℃に10分間加熱し、溶液を濾過する。次いで、溶液をC18固相抽出カートリッジに流し、水洗してアセトニトリル、クリプトフィックス及び炭酸カリウムを除去する。さらにアセトニトリルを加えてカートリッジの放射性フッ素化生成物を洗浄し、0.1M−HCl溶液に回収する。この溶液を5分間加熱してから、中和し、分析する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
18F]フルオロハロアルカンの製造方法であって、式(I)
固体担体−リンカー−SO−O−(CHX (I)
(式中、nは1〜7の整数であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である。)
の固体担体結合前駆体を18で処理して式(II)
18F−(CH−X (II)
(式中、n及びXは式(I)の化合物について定義した通りである。)
の[18F]フルオロハロアルカンを生成させ、次いで、適宜
(i)過剰18の、例えばイオン交換クロマトグラフィーによる除去、及び/又は
(ii)有機溶媒の除去、
を行う、方法。
【請求項2】
nが1〜4の整数、好ましくは1又は2である、請求項1記載の[18F]フルオロハロアルカンの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の[18F]フルオロハロアルカンの製造方法であって、製造される式(II)の化合物が[18F]フルオロブロモメタン、[18F]フルオロヨードメタン、[18F]フルオロブロモエタン、[18F]フルオロヨードエタン、[18F]フルオロブロモプロパン及び[18F]フルオロヨードプロパンから選択される、方法。
【請求項4】
請求項1記載の式(I)の化合物。
固体担体−リンカー−SO−O−(CHX (I)
式中、nは1〜7の整数であり、Xは塩素、臭素又はヨウ素である。
【請求項5】
nが1〜4の整数、好ましくは1又は2である、請求項4記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
PET用[18F]フルオロハロアルカンの製造用放射性合成キットであって、
(i)請求項1乃至3のいずれか1項記載の式(I)の化合物を収容した容器、及び
(ii)18源で上記容器を溶出する手段、及び
(iii)過剰18を除去するためのイオン交換カートリッジ、
を備えるキット。
【請求項7】
放射性合成キット用のカートリッジであって、
(i)請求項1乃至3のいずれか1項記載の式(I)の化合物を収容した容器、及び
(ii)18源で上記容器を溶出する手段、
を備えるカートリッジ。

【公表番号】特表2006−510709(P2006−510709A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−561682(P2004−561682)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/GB2003/005630
【国際公開番号】WO2004/056726
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504000591)ハマースミス・イメイネット・リミテッド (26)
【氏名又は名称原語表記】Hammersmith Imanet Ltd
【Fターム(参考)】