説明

avβ5インテグリンに関連のある疾患を治療および予防するための方法および組成物

【課題】肺水腫の効果的で、そして特異的な治療法の提供。
【解決手段】αvβ5インテグリン拮抗剤を投与する。該拮抗剤は、ヒト化抗体、scFv、Fab、または(Fab’)2を含めた抗体または抗体フラグメントでありうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する関連文献
本出願は、2004年4月2日に出願された米国特許仮出願番号第60/559,175号の利益を主張し、その開示は、全ての目的のためにここにその全体を参照により組み込む。
【0002】
連邦政府に支援された研究および開発の下になされた発明に対する権利のための供述
本発明は、国立公衆衛生研究所により授与された認可番号HL53949号の下に政府支援で行われた。政府は、本発明に所定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
肺水腫(「PE」)は、毎年、数百万の人々に影響を及ぼし、そして実質的な罹患および死亡を引起す。PE患者では、肺胞が肺の毛細血管からの液体であふれ、このことは全身循環への酸素運搬を危険にさらすことになる(非特許文献1)。一連の事象は、低酸素血症、高炭酸ガス血症を起こし、および適切な処置が取られない場合には死に至る。
【0004】
肺における液体ホメオスタシスを破壊するあらゆる症状および薬剤は、大まかに、心臓性または非心原性PEに分けられうるPEを生じうる(例えば、非特許文献2を参照)。例えば、肺炎、敗血性ショック、外傷、嘔吐物の吸引、または化学吸引による、肺損傷の結果として発生しうる、例えば、急性肺損傷/成人(急性)呼吸窮迫症候群すなわち「ARDS」は、しばしば、非心原性PEに関連する。非心原性PEは、肺組織の血管透過性における変化によって特徴づけられ、そしてそれは、肺における液体レベルの増加を導く。心原性PEは、しばしば、左側の心不全により引起され、および心臓発作、心臓弁(僧帽弁または大動脈弁)の漏出または狭窄、または心筋の衰弱および/または硬化のいずれかを生じる心臓のいずれかの疾患(心筋症)の合併症である場合もある。心不全は、増加した圧力を、肺静脈に伝播する。肺静脈における圧力が上昇すると、液体は、空気空間(肺胞)中に押し出される。この液体は、その後、正常な酸素交換に対する障害となり、そして息切れを生じさせる。心原性PEは、肺の液体レベルの増加を導く毛細血管静水圧が増加することによって特徴づけられる。
【0005】
PEは、例えば、毛細管透過性の変化;感染;吸入したまたは循環している毒素;血管活性物質(例えば、ヒスタミン、キニン);播種性血管内凝固;免疫学的反応;放射線関連肺炎;尿毒症;溺死寸前;煙の吸入;および急性呼吸窮迫症候群;左心室不全;僧帽弁狭窄;細菌性心内膜症状;肺静脈線維症;肺静脈の起点の先天性的狭窄;肺静脈の閉塞性疾患;液体の過剰注入;低アルブミン血症(例えば、腎性、肝性、栄養、またはたんぱく喪失性腸症から);高い高度;薬剤過剰投与、CNS外傷、クモ膜下出血、肺塞栓症、肺実質疾患、子癇、麻酔、および心肺バイパス手術によって引起される。
【0006】
PEの徴候としては、例えば、息切れ、速いおよび/または苦しい呼吸、頻拍、高血圧、胸苦しさ、チアノーゼを伴うか、または伴わない冷たい四肢、泡状またはピンク色の痰を伴う咳、呼吸補助筋の過度の使用、ぜん鳴を伴うかまたは伴わない湿ったラ音、およびそれらの組合せが挙げられる。PEを診断する試験は、完全血球算定(CBC)、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、および血清タンパク質などの血液試験が挙げられる。尿検査、動脈血液ガス(ABG)、胸部X線、および心電図(ECG)、および医師が、診断をPEに絞る上で支援するためのすべてが使用される。
【0007】
心原性PEの治療は、通常、患者を100%酸素下に置くこと、不安を軽くし、そしてある程度有益な心臓の効果を供するモルヒネ、利尿のためのフロセミド、心筋が送りださなければならない仕事に反する仕事を減らす血管拡張剤、および心臓収縮能を増加させるドプタミン(doputamine)などの変力剤を含む。使用されてきた他の方法は、4つのうちの3つの四肢にした駆血帯を交代して血液量を500ml減少させることである。
【非特許文献1】Hallら、CURRENT THERAPY IN RESPIRATORY MEDICINE(R.Cherniack編、1986年)、222−227頁
【非特許文献2】KakourosおよびKakouros、Hellenic J.Cardiol44巻:385−391頁(2003年)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
残念ながら、PEについての特異的なまたは満足ゆくまで有効な治療で、利用可能なものはない。したがって、当業界においては、PEについていっそう効果的で、そして特異的な治療法についての必要性がある。本発明は、このおよび他の問題を指向する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、PEなどのαvβ5インテグリンに関与する疾患を治療または予防するための組成物および方法を提供する。
【0010】
本発明の1つの実施態様は、哺乳類対象(例えば、ヒト、サルまたはチンパンジーのような霊長類;イヌ科動物またはネコ科動物)におけるPEを治療または予防する方法を提供する。
αvβ5インテグリンの拮抗剤の治療量または予防量を、その対象に投与する。拮抗剤は、例えば、1kDa未満、0.5kDa未満、または0.25KDa未満の剤でありうる。拮抗剤は、ヒト化抗体、scFv、Fab、または(Fab’)2を含めた抗体または抗体フラグメントでありうる。抗体は、ALULA、ヒト化ALULAであり得るか、またはαvβ5インテグリンに対する特異的結合についてALULAと競合しうる。投与は、それに限定されないが、静脈内、鼻腔内、または気管支内でありうる。本発明の方法は、PEを有するか、またはPEを発現する危険のある個体を治療するために有用である。急性肺損傷および/またはARDSおよびまたはPEを治療または予防するための第2の治療剤を、対象に投与してもよく、そしてそれに限定されないが、例えば、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、利尿剤、気管支拡張剤、血小板阻害剤、αvβ5インテグリンに結合する抗体、β5に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6インテグリンの拮抗剤、β2作動薬、または界面活性剤が挙げられる。
【0011】
本発明の別の実施態様は、αvβ5インテグリンに対する結合についてALULAと特異的に競合する抗体を提供する。この実施態様の抗体は、ALULAそれ自身、ヒト化ALULA;例えばALULAのscFv、Fabおよび(Fab’)2を含めたALULAのフラグメント、またはαvβ5インテグリンに対する結合についてALULAと競合する別の抗体でありうる。本発明は、このような抗体および薬学上許容しうる賦形剤を含む医薬組成物も提供する。医薬組成物は、PEを治療または予防する第2の治療剤(例えば、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、利尿剤、気管支拡張剤、αvβ5インテグリンに結合する抗体、β5に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、およびαvβ6インテグリンの拮抗剤)をさらに含んでもよい。または、医薬組成物は、脳梗塞、心筋梗塞、および癌(すなわち、新脈管形成)の治療剤を含めてもよい。
【0012】
本発明の別の実施態様は、PEを治療するための剤を同定する方法を提供する。いくつかの実施態様では、その方法は、複数の剤をαvβ5インテグリンと接触させること、αvβ5インテグリンに対するリガンドの結合に競合する剤を選択すること、およびPEにおける選択剤の効果を決定することを含む。PEにおける効果を示す剤は、PEを治療するための剤として認められる。複数の剤は、複数の抗体でありうるか、または1KDaより下でありうる。リガンドは、例えばALULAを含めた抗体でありうるか、またはビトロネクチン、フィブロネクチン、オステオポンチン、テネイシンCおよびアデノウイルス
ペントンベースでありうる。
【0013】
本発明の別の実施態様は、PEを治療または予防するためのキットを提供する。キットは、αvβ5インテグリンの拮抗剤(例えば、ALULAを含めたモノクローナル抗体、およびαvβ5インテグリンに対する結合についてALULAと競合する抗体)および肺水腫を治療するための第2の治療剤(例えば、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、利尿剤、気管支拡張剤、αvβ5インテグリンに結合する抗体、β5に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6インテグリンの拮抗剤、β2作動薬、または界面活性剤を含む。
【0014】
本発明のこれらおよび他の実施態様は、続く詳細な説明によってさらに例示される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】β5-/-マウスが、肺損傷で誘発されるPEから保護されることを示すインビボ実験からの結果を示す。
【図2】β5に特異的に結合する抗体(すなわち、ALULA)が、虚血灌流で誘発されたPEの重篤度を減じることを示すインビボ実験からの結果を示す。
【図3】β5に特異的に結合する抗体(すなわち、ALULA)が、多量の呼気量換気からの肺損傷により誘発される重篤度を減じることを示すインビボ実験からの結果を示す。
【図4】β5に特異的に結合する抗体(すなわち、ALULA)が、広範な濃度のαvβ5インテグリン・リガンドであるビトロネクチンで被覆された皿に対する、αvβ5インテグリンを発現する細胞の付着を遮断することを示すインビトロ実験からの結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
I.導入
本発明は、αvβ5インテグリンに結合する剤で、動物を処置することが、PEの徴候を減らすという驚くべき知見に部分的に基づく。さらに詳細には、αvβ5インテグリンに対するリガンドの結合を遮断することで、PEの重篤度を減じることができる。本発明者らは、αvβ5インテグリンに結合する抗体が、αvβ5インテグリンのリガンドであるビトロネクチンの、αvβ5インテグリンに対する結合を遮断することを示した。本発明者らは、αvβ5インテグリンに結合する抗体の投与が、PEの重篤度を減じることをさらに示した。したがって、本発明は、αvβ5の拮抗剤の有効量を、対象に投与することによって、対象におけるPEを治療または予防する方法を提供する。
【0017】
本発明は、「ALULA」と称される開示された抗体と競合する抗体、並びにそのような抗体を包含する医薬組成物も提供する。以下の実施例でさらに詳細に説明されるとおり、ALULAは、αvβ5インテグリンに結合し、そして哺乳類対象へのALULAの投与は、対象におけるPEの重篤度を減じる。
【0018】
本発明は、αvβ5インテグリンと相互作用する剤を特定し、そしてPEを治療するそれらの能力についてそれらを試験することによって、PEの治療のための新たな剤を特定する方法も提供する。
【0019】
II.定義
「αvβ5拮抗剤」は、αvβ5インテグリン上の利用可能なリガンド結合部位についてαvβ5リガンドと競合するあらゆる剤である。αvβ5拮抗剤としては、αvβ5、β5に特異的に結合する剤、並びに、αvβ5またはβ5および例えばαvβ3またはαvβ6などの少なくとも1つの他のインテグリンに結合する剤が挙げられる。
【0020】
αvβ5インテグリンは、中でも細胞−細胞相互作用、細胞−細胞外マトリックス相互作用、および細胞−病原体相互作用を介在する非共有的に結合したα/βヘテロダイマーを含む接着分子のファミリーの一員である。αvβ5は、β5サブユニットを含有する唯一のインテグリンである。αvβ5は、RGDペプチド配列を認識し、そしてビトロネクチンに結合し(例えば、Hynes、Cell69巻:11−25頁(1992年)を参照)、そして脳梗塞、心筋梗塞、癌(すなわち、新脈管形成)、および眼の新生脈管形成疾患を含めた複数の障害にかかわってきた(例えば、Friedlanderら、Science 270巻(5241):1500−2頁(1995年);Friedlanderら、PNAS USA 93巻(18):9764−9頁(1996年);Elicieriら、J.Cell Biol. 157巻(10:149−159頁(2002年);Hebaら、J.Vasc.Res.38巻(3):288−300頁(2001年);Soekiら、Cardiology 93巻(3):168−74頁(2000年);およびLiら、Am.J.Physiol.270巻(5Pt2):H1803−11(1996年)を参照)。αvおよびβ5は、両方とも、配列決定および特徴づけされた(例えば、それぞれ、Hynes、1992年上記、および米国特許第5,527,679号を参照)。
【0021】
αvβ5インテグリン拮抗剤の「治療上の用量」または「治療上有効な量」または「有効量」は、例えば、患者における脳梗塞、心筋梗塞、癌(すなわち新脈管形成)、眼の新生脈管形成疾患、およびPE(例えば、肺での液体貯留、肺性毛細血管静水圧の増加、または息切れ)を含めたαvβ5インテグリンに関連した疾患の徴候の重篤度を予防、緩和、軽減または減少させる拮抗剤の量である。
【0022】
用語「抗体」は、抗原に特異的に結合し、認識する免疫グロブリン遺伝子またはそれの機能性フラグメントによりコードされたポリペプチドをいう。認識された免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかに分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタまたはイプシロンに分類され、そしてそれは、順に、それぞれ、免疫グロブリン分類IgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定義する。
【0023】
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含む。各テトラマーは、2つの同一の対のポリペプチド鎖により構成され、そして各対は、1つの「軽」(約25kDa)および1つの「重」鎖(約50−70kDa)を有する。各鎖のN末端は、抗原認識に主に関与する約100から110までまたはそれより多くのアミノ酸の可変領域を規定する。したがって、用語「可変重鎖」、「VH」または「VH」は、Fv、scFv、dsFvまたはFabを含めた免疫グロブリン重鎖の可変領域をいい、用語「可変軽鎖」、「VL」または「VL」は、Fv、scFv、dsFvまたはFabを含めた免疫グロ
ブリン軽鎖の可変領域をいう。
【0024】
抗体機能性フラグメントの例は、それに限定されないが、完全抗体分子、Fv、単鎖Fv(scFv)、相補性決定領域(CDR)、VL(軽鎖可変領域)、VH(重鎖可変領域)、Fab、F(ab)2’およびそれらの、または標的抗原に結合する能力のある免疫グロブリン・ペプチドの機能性部分のいずれかの組合せ等の抗体フラグメントが挙げられる(例えば、FUNDAMENTAL IMMUNOLOGY(Paul編、4版、2001年を参照)。当業者に認識されるとおり、多様な方法、例えば、ペプシン等の酵素を用いた無傷の抗体の分解、またはデノボ合成により、種々の抗体フラグメントを得ることができる。抗体フラグメントは、しばしば、化学的、または組換えDNA手法を用いることによるかいずれかで、デノボに合成される。したがって、ここで使用される場合、用語「抗体」は、全抗体の修飾により生成される抗体フラグメントか、または組換えDNA手法を用いてデノボで合成されるもの(例えば、単鎖Fv)、またはファージディスプレイライブラリを用いて特定したもの(例えば、McCaffertyら(1990年)Nature 348巻:552頁)のいずれかを含む。用語「抗体」は、二価の、または二重特異性分子、ジアボディー(diabodies)、トリアボディー(triabodies)、およびテトラボディー(tetrabodies)も含む。二価のおよび二重特異性分子は、例えば、Kostelnyら、J.Immunol.148巻:1547頁(1992年)、PackおよびPluckthun、Biochemistry 31巻:1579頁(1992年)、Hollingerら、PNAS.USA 90巻:6444頁(1993年)、Gruberら、J Immunol.:5368頁(1994年)、Zhuら、Protein Sci.6巻:781頁(1997年)、Huら、Cancer Res.56巻:3055頁(1996年)、Adamsら、Cancer Res.53巻:4026頁(1993年)、およびMcCartneyら、Protein Eng.8巻:301頁(1995年)に記載されている。
【0025】
「ヒト化」抗体は、ヒトにおける免疫原性が低いまま、非ヒト抗体の反応性を保持する抗体である。これは、例えば、非ヒトCDR領域を保持し、抗体の残りの部分を、それらのヒト対応物と置換することによって達成されうる。例えば、Morrisonら、PNAS USA 81巻:6851−6855頁(1984年);MorrisonおよびOi、Adv.Immunol.、44巻:65−92頁(1988年);Verhoeyenら、Science、239巻:1534−1536頁(1988年);Padlan、Molec.Immun.、28巻:489−498頁(1991年);Padlan、Molec.Immun.、31巻(3):169−217頁(1994年)を参照。
【0026】
「単鎖Fv(scFv)」または「単鎖抗体」は、scFv抗体のVHおよびVL領域が、単鎖を有しており、この単鎖が折り返されて、2本鎖の抗体で見られるものに類似の抗原結合部位を作り出しているタンパク質をいう。scFv抗体を作成する方法は、例えば、Wardら、Exp Hematol.(5):660−4頁(1993年);およびVaughanら、Nat Biotechnol.14巻(3):309−14頁(1996年)に記載されている。単鎖Fv(svFv)抗体は、適宜、長さ50個以内のアミノ酸、一般的には40個以内のアミノ酸、好ましくは30個以内のアミノ酸、さらに好ましくは20個以内のアミノ酸のペプチド・リンカーを含む。いくつかの実施態様では、ペプチド・リンカーは、配列Gly−Gly−Gly−Gly−Ser、例えば2、3、4、5、または6配列の鎖状体(concatamer)である。しかし、リンカー内のいくつかのアミノ酸置換が作成できることが好ましい。例えば、バリンは、グリシンに置換できる。追加のペプチド・リンカーおよびその使用は、当業界でよく知られている。例えば、Hustonら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 8巻:5879頁(1988年);Birdら、Science 242巻:4236頁(1988年);Glockshuberら、Biochemistry 29巻:1362頁(1990年);米国特許番号第4,946,778号、米国特許番号第5,132,405号およびStemmerら、Biotechniques 14巻:256−265頁(1993年)を参照。
【0027】
タンパク質またはペプチドに言及する場合、語句「抗体に特異的に(または選択的に)結合する」とは、タンパク質および他の生体物質の異種集団の存在下でタンパク質の存在を決定する結合反応をいう。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下で、特異的抗体は、特定のタンパク質(例えば、αvβ5インテグリン、β5、またはそれらの一部)に結合し、サンプル中に存在する他のタンパク質とは有意な量の結合をしない。このような条件下で、抗体に対する特異的結合は、特定のタンパク質に対する特異性について選択される抗体を必要としうる。例えば、αvβ5インテグリンまたはβ5ポリペプチドに対する抗体は、そのタンパク質と特異的に免疫反応性を示すが他のタンパク質には示さない多型変異体を除く抗体を得るために選択することができる。例えばそのタンパク質は、当該の配列に少なくとも80%、85%、90%、95%または99%同一なタンパク質である。
【0028】
多様なイムノアッセイ・フォーマットは、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択するために使用されうる。例えば、固相ELISAイムノアッセイ、ウエスタン・ブロット、または免疫組織化学は、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。特異的免疫反応性を決定するために使用されうるイムノアッセイ・フォーマットおよび条件の説明についてはHarlowおよびLane、Antibodies,A Laboratory Manual、コールド・スプリング・ハーバー・パブリケーションズ、ニューヨーク(NY)(1988年)を参照。通常は、特異的または選択的反応は、バックグランドシグナルまたはノイズの少なくとも2倍であり、通常はバックグランドの10から100倍を上回る。
【0029】
結合について「特異的に競合する」剤は、ポリペプチドへの抗体の特異的結合を減じる。抗原に対する二次抗体の結合が、当業界で知られる競合結合アッセイのいずれかを使用して、一次抗体の存在下で、少なくとも30%、通常には少なくとも約40%、50%、60%または75%まで、そしてしばしば、少なくとも約90%まで減少される場合、一次抗体は、二次抗体の結合を競合的に阻害すると見なされる(例えば、HarlowおよびLane、上記を参照)。
【0030】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを示すのとほとんど同じ意味で使用される。これらの用語は、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に生じるアミノ酸の人為的な化学的擬態物であるアミノ酸ポリマー、並びに、天然に生じるアミノ酸ポリマーおよび非天然に生じるアミノ酸ポリマーに使用する。ここで使用される場合、これらの用語は、アミノ酸残基は共有ペプチド結合により連結されている、全長タンパク質(すなわち、抗原)を含めたあらゆる長さのアミノ酸鎖を包含する。
【0031】
用語「アミノ酸」は、天然に生じる、および合成のアミノ酸、並びに、天然に生じるアミノ酸に類似の方法で機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸擬態物をいう。天然に生じるアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、並びに、後に修飾されるアミノ酸であり、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸塩、およびO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的化学構造を有しており、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、およびR基に結合されるα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニン、スルホキシド、メチオニン・メチル・スルホニウムがある。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持する。「アミノ酸擬態物」は、アミノ酸の一般的化学構造と異なる構造を有するが、天然に生じるアミノ酸と同様の方法で機能する化合物をいう。
【0032】
アミノ酸は、一般に知られる三文字表記によるか、またはIUPAC−IUB生化学命名法委員会によって推奨される一文字表記によるかのいずれかによってここに引用されうる。同様に、ヌクレオチドは、それらの一般に認可された一文字コードによって引用されうる。
【0033】
用語「ペプチド擬態物」および「擬態物」は、本発明のαvβ5拮抗剤と実質的に同じ構造および機能上の特性を有する合成した化学化合物をいう。ペプチド類似体は、テンプレート・ペプチドに類似の特性を有する非ペプチド薬剤として医薬品業界で一般に使用される。非ペプチド化合物のこれらのタイプは、「ペプチド擬態物(peptide mimetics)」または「ペプチド擬態物(peptidomimetics)」と称される(例えば、Fauchere
、J.Adv.Drug Res.15巻:29頁(1986年);VeberおよびFreidinger TINS、392頁(1985年);およびEvansら、J.Med.Chem.30巻:1229頁(1987年)を参照)。治療上有用なペプチドに構造的に類似するペプチド擬態物(peptide mimetics)は、等価物、または増強された治療上または予防上の効果を生じさせるために使用されうる。一般に、ペプチド擬態物(peptidomimetics)は、αvβ5リガンドなどの天然に生じるパラダイムポリペプチド(す
なわち、生物学上または薬理学上の活性を示すポリペプチド)に構造的に類似しており、しかし例えば、−CN2NH−、−CH2S−、−CH2−CH2−、−CH=CH−(シスおよびトランス)、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−からなる群から選択される連結によって適宜置換される1つまたはそれ以上のペプチド連結を有する。擬態物は、全部が合成された、アミノ酸の非天然の類似体より構成されるか、または部分的に天然のペプチド・アミノ酸と部分的に非天然のアミノ酸の類似体のキメラ分子であるかのいずれかである。擬態物は、その置換が、擬態物の構造および/または活性を実質的に変化させない限り、あらゆる量の天然のアミノ酸同類置換を組み込むことができる。
【0034】
ここに使用される場合、用語「核酸」および「ポリヌクレオチド」は、ほとんど同じ意味で使用される。用語「ポリヌクレオチド」の使用は、オリゴヌクレオチド(すなわち、短いポリヌクレオチド)を含む。この用語は、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および天然に生じる変異体をもいい、および例えば、そして限定するものではなく、ホスホロチオエート、ホスホラミデート、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2−O−メチルリボヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)などの合成および/または非天然に生じる核酸(すなわち、核酸類似体または修飾された骨格残基または連結を包含する)をもいう。特に示されない限り、特定の核酸配列は、保存的に修飾されたその変異体(例えば、縮重コドン置換)、および相補的配列、並びに明示された配列も黙示的に包含する。特に、縮重コドン置換は、1つまたはそれ以上の選択した(または全)コドンの第三の位置が、混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を発生させることによって達成されうる(例えば、Batzerら、Nucleic Acid Res.19巻:5081頁(1991年);Ohtsukaら、J.Biol.Chem.260巻:2605−2608頁(1985年);およびCassolら(1992年);Rossoliniら、Mol.Cell.Probes 8巻:91−98頁(1994年)を参照)。
【0035】
「siRNA」または「RNAi」は、二本鎖RNAを形成する核酸をいい、この二本鎖RNAは、siRNAが、遺伝子または標的遺伝子と同じ細胞内で発現する場合、遺伝子
または標的遺伝子の発現を減少または阻害する能力を有するものである(例えば、Bass、Nature、411巻、428−429頁(2001年);Elbashirら、Nature、411巻、494−498頁(2001年);国際公開番号00/44895号;国際公開番号01/36646号;国際公開番号99/32619号;国際公開番号00/01846号;国際公開番号01/29058号;国際公開番号99/07409号;および国際公開番号00/44914号を参照)。したがって、「siRNA」は、相補鎖によって形成される二本鎖RNAをいう。ハイブリダイズで、二本鎖分子を形成するsiRNAの相補的部分は、通常は、実質的または完全な同一性を有している。1つの実施態様では、siRNAは、標的遺伝子に実質的または完全に同一性を有し、二本鎖siRNAを形成する核酸をいう。siRNAの配列は、全長標的遺伝子、またはその部分列に対応しうる。通常は、siRNAは、少なくとも約15−50のヌクレオチドの長さである(例えば、二本鎖siRNAの各相補的配列は、15−50のヌクレオチドの長さであり、そして二本鎖siRNAは、約15−50の塩基対の長さ、好ましくは約、好ましくは約20−30の塩基ヌクレオチドの長さ、好ましくは約20−25のヌクレオチドの長さ、例えば20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30のヌクレオチドの長さである)。
【0036】
「サイレンシング」または「下方調節」は、標的配列、すなわち、RNAiによって標的にされる配列の転写および/または翻訳の検出可能な減少、または干渉するRNAまたは他の核酸配列の不在下で検出される正常なレベルと比較して、標的配列またはタンパク質の量または活性における減少をいう。検出可能な減少は、5%または10%と同程度に少量であるか、または80%、90%または100%と同程度に多いかでありうる。さらに一般的には、検出可能な減少が、20%、30%、40%、50%、60%または70%の範囲にある。
【0037】
III.αvβ5の阻害
本発明は、αvβ5インテグリンに対するリガンドの結合を阻害することによって、PE、脳梗塞、心筋梗塞、癌(例えば、αvβ5インテグリン関連新脈管形成を抑制することによって)、および眼の新生血管疾患(例えば、αvβ5インテグリン関連新脈管形成を抑制することよって)などのαvβ5インテグリンに関与する疾患を治療または予防する方法を提供する。αvβ5インテグリン発現またはαvβ5インテグリンに対するリガンド結合を阻害するあらゆる方法は、本発明の方法によって、αvβ5インテグリンに関与する疾患を治療するために使用されうる。例えば、αvβ5インテグリンに特異的に結合する抗体、β5サブユニットに特異的に結合する抗体、αvβ5インテグリンのリガンド、およびそのリガンドのペプチド、非ペプチドおよびペプチド擬態物類似体は、αvβ5インテグリンに対する結合を阻害し、それによって、αvβ5に関与する疾患を治療または予防するために使用することができる。さらに、β5の発現を阻害するポリヌクレオチド(例えば、siRNA分子、アンチセンス配列など)は、αvβ5に関与する疾患を治療または予防するために使用することができる。いくつかの実施態様では、その疾患は、PEである(例えば、心原性および非心原性PEを含めた)。いくつかの実施態様では、PEの治療は、例えば肺繊維症などの下流の障害をも治療または予防する。
【0038】
A.抗体
本発明の1つの態様によって、αvβ5インテグリンに、またはαvβ5インテグリンのβ5サブユニットに特異的に結合する抗体は、例えば、PE、脳梗塞、心筋梗塞、癌(すなわち、新脈管形成)、および眼の新生血管疾患(すなわち、新脈管形成)を含めた、αvβ5に関与する疾患を治療または予防するために使用することができる。抗体は、αvβ5インテグリンに対する、またはαvβ5インテグリンのβ5サブユニットに対する結合について他のリガンドとも競合しうる。適切な抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ヒト化抗体および抗体フラグメント(すなわち、Fv、Fab、(Fab’)2
、またはscFv)が挙げられる。
【0039】
いくつかの実施態様では、αvβ5インテグリンのβ5サブユニットに結合するモノクローナル抗体ALULA(2004年2月13日に、20110−2209バージニア州、マナサス、ユニバーシティー・ブルバード10801(10801 University Blvd.Manassas,VA20110−2209)のATCCでなされたATCC寄託番号PTA−5817号)は、例えばPE、脳梗塞、心筋梗塞、および癌(すなわち、新脈管形成)、および眼の新生血管疾患(すなわち、新脈管形成)を含めたαvβ5インテグリンに関与する疾患を治療または予防するために使用される。理論に結び付けられることなく、ALULAは、肺における血管透過性に対するαvβ5インテグリンに介在される変化を遮断することによって作用することが仮定される。いくつかの実施態様では、ヒト化ALULA、ALULAフラグメント、またはαvβ5インテグリン、またはαvβ5インテグリンのβ5サブユニットに対する結合についてALULAと競合するモノクローナル抗体を、PEを治療するために使用する。
【0040】
モノクローナル抗体は、当業者に知られた種々の技術によって得られる。簡潔には、所望の抗原で免疫された動物から得られる脾臓細胞を、通常は骨髄腫細胞を用いた融合によって不死化する(例えば、KohlerおよびMilstein、Eur.J.Immunol.6巻:511−519頁(1976年)を参照)。不死化の代替方法としては、エプスタイン・バー・ウイルス(Epstein Barr Virus)、癌遺伝子、またはレトロウイルスを用いた形質転換、または当業界でよく知られた他の方法が挙げられる。単一不死化細胞から生じるコロニーを、抗原についての所望の特異性および親和性の抗体の産生についてスクリーニングし、このような細胞によって産生されるモノクローナル抗体は、脊椎動物宿主の腹膜腔への注入を含めた種々の技術によって強化されうる。あるいは、Huseら、Science 246巻:1275−1281頁(1989年)によって概説される一般的プロトコールによって、ヒトB細胞から得られるDNAライブラリーをスクリーニングすることによって、モノクローナル抗体またはその結合フラグメントをコードするDNA配列を単離しうる。
【0041】
モノクローナル抗体を収集し、そしてイムノアッセイ、例えば、固形支持体に固定された免疫原を用いた固相イムノアッセイで免疫原について滴定する。モノクローナル抗体は、通常、少なくとも約0.1mM、さらに通常には少なくとも約1μM、好ましくは少なくとも約0.1μMまたはそれより多く、そして最も好ましくは0.01μMまたはそれより多くのKdで結合する。
【0042】
例示的実施態様では、ウサギまたはマウスなどの動物を、αvβ5ポリペプチド、またはこのようなポリペプチドをコードする核酸構築物で免疫付与する。免疫付与の結果として生じた抗体を、標準方法を使用して単離しうる。
【0043】
結合フラグメントおよび他の誘導体を含む本発明の免疫グロブリンは、トランスフェクト細胞(例えば、骨髄腫またはハイブリドーマ細胞などの不死化真核生物の細胞)での、またはマウス、ラット、ウサギ、またはよく知られた方法によって抗体を産生する能力のある他の脊椎動物での発現によることを含めた多様な組換えDNA技術によって容易に産生されうる。DNA配列についての適切な起源細胞、および免疫グロブリン発現および分泌のための宿主細胞は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(American Type Culture Collection)(カタログ・オブ・セルラインズ・アンド・ハイブリドーマ(Catalogue of Cell Lines and Hybridomas)、5版(1985年)、ロックビル、メリーランド(Rockville,Md))などの多数の出典から得ることができる。
【0044】
いくつかの実施態様では、抗体は、ヒト化抗体、すなわち、ヒトにおける免疫原性が低いまま、非ヒト抗体の反応性を保持する抗体である。これは、例えば、非ヒトCDR領域を保持し、そして抗体の残りの部分を、ヒト対応物と置換することによって達成される。例えば、Morrisonら、PNAS USA、81巻:6851−6855頁(1984年);MorrisonおよびOi、Adv.Immunol.、44巻:65−92頁(1988年);Verhoeyenら、Science、239巻:1534−1536頁(1988年);Padlan、Molec.Immun.、28巻:489−498頁(1991年);Padlan、Molec.Immun.、31(3)巻:169−217頁(1994年)を参照。抗体をヒト化するための技術は、当業界でよく知られており、例えば、米国特許番号第4,816,567号;第5,530,101号;第5,859,205号;第5,585,089号;第5,693,761号;第5,693,762号;第5,777,085号;第6,180,370号;第6,210,671号;および第6,329,511号;国際公開番号87/02671号;欧州特許出願番号第0173494号;Jonesら(1986年)Nature 321巻:522頁;およびVerhoyenら(1988年)Sicence 239巻:1534頁に記載されている。ヒト化抗体は、さらに、例えばWinterおよびMilstein(1991年)Nature 349巻:293頁に記載されている。例えば、ヒト化免疫グロブリンフレームワーク領域をコードする第一の配列、および所望の免疫グロブリン相補性決定領域をコードする第2の配列セットを包含するポリヌクレオチドは、合成で、または適切なcDNAとゲノムDNAセグメントを組合わせることによって産生されうる。ヒト定常領域DNA配列は、多様なヒト細胞からよく知られた方法によって単離されうる。免疫グロブリンを産生するための本発明のCDRは、αvβ5インテグリンに特異的に結合する能力のあるモノクローナル抗体(例えば、ALULAまたはαvβ5インテグリンに対する特異的結合についてALULAと競合する抗体)から同様に由来する。
【0045】
いくつかの場合には、ヒト・フレームワークへのCDRの移送は、ヒト化抗体についての特異性の損失を導く。これらの場合には、復帰突然変異は、その抗体のヒト部分のフレームワーク領域に導入されうる。復帰突然変異を作る方法は、当業界でよく知られており、例えばCoら、PNAS USA 88巻:2269−2273頁(1991年)および国際公開番号90/07861号に記載されている。
【0046】
いくつかの実施態様では、抗体は、Fab、F(ab’)2、FvまたはscFvなどの抗体フラグメントである。化学消化(例えば、パパインまたはペプシン)および組換え方法を含めた当業界で知られるあらゆる手段を使用して、抗体フラグメントを発生させうる。組換え体核酸を単離および作製する方法は、当業者に知られている(Sambrookら、Molecular Cloning.A Laboratory Manual(2版、1989年);Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology(1995年)を参照)。抗体は、E.coli、他の細菌宿主、酵母、およびCOS、CHO等の種々の高度真核生物の細胞およびヘラ細胞株(HeLa cells lines)骨髄腫細胞株を含めた多様な宿主細胞で発現されうる。
【0047】
本発明の1つの実施態様は、αvβ5インテグリンに対する特異的結合についてALULAと競合する抗体を特定する方法を提供する。
【0048】
競合結合アッセイは、αvβ5インテグリンに対する特異的結合についてALULAと競合する抗体を特定するために使用されうる。当業界で知られる多数の競合的結合アッセイのいずれかを、同じ抗原に対する2つの抗体の間の競合を測定するために使用しうる。簡潔には、別の抗体の結合を阻害する様々な抗体の能力を試験する。例えば、抗体は、サンドイッチELISAアッセイを使用して、抗体が結合するエピトープによって識別することができる。これは、ウェルの表面を覆う捕捉抗体を使用することによって行われうる。その後、標識した抗原の飽和濃度以下を、捕捉表面に加える。このタンパク質は、特異的抗体:エピトープ相互作用を通して抗体に結合する。洗浄後、検出可能な部分(例えば、HRP、そして標識抗体は、検出抗体として定義される)が共有結合で連結した二次抗体をELISAに添加する。この抗体が、捕捉抗体と同じエピトープを認識する場合、その特定のエピトープがもはや結合できないため、標的タンパク質に結合することはできないであろう。しかし、もしこの二次抗体が、標的タンパク質上の異なるエピトープを認識する場合には、結合することは可能であり、そしてこの結合は、関連の基質を使用して活性のレベル(したがって、結合した抗体)を定量することによって検出されうる。バックグランドは、捕捉および検出抗体の両方として単一抗体を使用することによって規定し、最大のシグナルは、抗原特異的抗体で捕捉し、そしてその抗原の上の標識に対する抗体で検出することによって規定されうる。バックグランドと最大のシグナルを参照として使用して、抗体は、エピトープ特異性を測定するペアワイズ(pair-wise)な手段で評価されうる。
【0049】
抗原に対する二次抗体の結合が、上記アッセイのいずれかを使用して、一次抗体の存在下で、少なくとも30%、通常少なくとも約40%、50%、60%または75%まで、そしてしばしば、少なくとも約90%まで減じられる場合、一次抗体は、二次抗体の結合を競合的に阻害すると見なされる。
B.αvβ5小分子拮抗剤
【0050】
αvβ5のいずれかの小分子拮抗剤は、PEを治療または予防するために、本発明の方法によって使用されうる。一般に、小分子は、質量で1000ダルトン未満であり、そしてしばしば500ダルトン未満である。
【0051】
αvβ5小分子拮抗剤の例としては、例えば、米国公開特許出願番号2000/40019206号、2004/0019037号、2004/0019035号、2004/0018192号、2004/0010023号、2003/0181440号、2003/0171271号、2003/0139398号、2002/0037889号、2002/0077321号、2002/0072500号、米国特許番号第6,683,051号、およびGoodmanら、J.Med Chem.45(5)巻:1045−51頁(2002年)に記載されるものが挙げられる。
【0052】
例えば、米国特許公開番号20040019206A1に記載されている式Iの化合物が、それらの種々な異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含めて使用できる:
【化1】


または薬学上許容できるそれらの塩であって、
ここでXは、
【化2】


であり、
【0053】
Yは、N――R1、O、およびSからなる群から選択される;yおよびzは、0、1、2および3から選択される整数から独立に選択される;Aは、NまたはCである;R1は、H、アルキル、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、アシルオキシメトキシカルボニル;アルキル(低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アミノ、アルコキシ、アリール、またはアリール(1つまたはそれ以上のハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、シアノ、アルキルスルホニル、アルキルチオ、ニトロ、カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環、または縮合単環複素環で適宜置換された)から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された);アリール(ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、低級アルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、シアノ、ニトロ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、カルボキシ誘導体、アミノ、アリール、縮合アリール、単環複素環および縮合単環複素環から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)、単環複素環類、および単環複素環(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリールまたは縮合アリールから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)からなる群から選択される;または
【0054】
8と一緒になってR1は、低級アルキル、ヒドロキシ、ケト、アルコキシ、ハロ、フェニル、アミノ、カルボキシルまたはカルボキシルエステル、および縮合フェニルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された4−12員二窒素含有複素環を形成するか、または
【0055】
8と一緒になってR1は、低級アルキル、フェニルおよびヒドロキシからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された5員ヘテロ芳香族環を形成するか、またはR8と一緒になってR1は、フェニル基と融合した5員ヘテロ芳香族環を形成する;
【0056】
8(R1と一緒にならない場合)およびR9は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールアミノ、アミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、アシルオキシメトキシカルボニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、アリール、アシル、ベンゾイル;アルキル(低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、カルボキシル誘導体、アミノ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、スルホニル、アリール、アラルキルから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された);アリール(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシル誘導体、アリールオキシ、アミド、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチル、スルホニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、スルホン酸、スルホナミド、アリール、縮合アリール、単環複素環、縮合単環複素環;アリール(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシル誘導体、アリールオキシ、アミド、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチルスルホニル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環、または縮合単環複素環から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)、単環複素環;単環複素環(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシ誘導体、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アリール、縮合アリール、単環および二環複素環アルキルから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)、−SO210(式中、R10は、アルキル、アリールおよび単環複素環からなる群から選択され、全ては、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、トリフルオロアルキル、アミド、アルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロアルコキシ、トルフルオロメチルスルホニル、アリール、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、および単環複素環からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換される)からなる群から独立に選択される;および
【化3】


(式中、R10は、上のとおり定義される)
または
【0057】
NR8およびR9は、一緒になって、低級アルキル、カルボキシル誘導体、アリールまたはヒドロキシからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換される4−12員環1窒素含有単環または二環を形成し、上記環は、O、NおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を適宜含有する;
またはXは、
【化4】


である。
Xは、
【化5】


である。
【0058】
式中、Y1は、アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、アリール、単環複素環;アルキル(適宜アリールで置換された(アリールは、ハロ、ハロアルキル、アルキル、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリールまたは縮合アリールからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換されうる));アリール(ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、縮合アリール、ニトロ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、またはアルキルから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)、アルキニル、アルケニル、―S―R11および−OR11(式中、R11は、H、アルキル、アラルキル、アリール、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択されるか、またはR8と一緒になってR11は、低級アルキル、ヒドロキシ、ケト、フェニル、カルボキシルまたはカルボキシルエステル、および縮合フェニルで適宜置換された4−12員の一窒素および一硫黄または一酸素含有複素環を形成するか、またはR8と一緒になってR11は、チアゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾール、またはベンゾチアオゾールである;R8は、上のとおり定義される)からなる群から選択される;または
【0059】
1(Y1が炭素である場合)は、R8と一緒になって、アルキル、アリール、ケトまたはヒドロキシと適宜置換した、4−12員の一窒素または二窒素含有環を形成する;またはXは、
【化6】


(式中、R1とR8は、一緒になって、低級アルキル、ヒドロキシ、ケト、フェニル、またはカルボキシル誘導体からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された、5−8員の二窒素含有複素環を形成し;そしてR9は、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、またはアシルオキシメトキシカルボニルからなる群から選択される)であるか;または
【0060】
Xは、
【化7】

【0061】
(R1とR8は、一緒になって、ヒドロキシ、ケト、フェニル、またはアルキルで適宜置換された5−8員の二窒素含有複素環を形成し;そして、R9は、両方とも、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、およびアシルオキシメトキシカルボニルからなる群から選択される)
である;
【0062】
2、R3およびR4は、H、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、カルボキシル誘導体、トリハロアセトアミド、アセトアミド、アリール、縮合アリール、シクロアルキル、チオ、単環複素環、縮合単環複素環およびX(Xは、上のとおり定義される)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基から独立に選択される;
【0063】
5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボキシル誘導体、ハロアルキル、シクロアルキル、単環複素環;単環複素環(アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アリール、縮合アリール、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、スルホンアミド、チオ、アルキルチオ、カルボキシル誘導体、アミノ、アミドで適宜置換された);アルキル(ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アルキニル、アルケニル、アルキル、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホニル、アリールスルホキシド、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アシルアミド、カルボキシル誘導体、スルホンアミド、スルホン酸、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体、アリール、アリールチオ、アリールスルホキシド、またはアリールスルホンの1つまたはそれ以上で適宜置換された)(全ては、ハロ、アルキル、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、アリール、縮合アリール、単環複素環および縮合単環複素環、単環複素環チオ、単環複素環スルホキシド、および単環複素環スルホンで、アリール環に適宜置換され、そしてそれは、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、縮合アリール、またはアルキルで適宜置換されうる)、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、およびアリールカルボニル;アリール(ハロ、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アシルオキシ、カルボキシル誘導体、カルボキシルアルコキシ、アミド、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチルスルホニル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環および縮合単環複素環で1つまたはそれ以上の位置に適宜置換された)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基から独立に選択される。
【0064】
米国特許公開番号20040019037A1に記載されている式IIの化合物もそれらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含めて使用することができる:
【化8】

【0065】
または薬学上許容できるそれらの塩であって
【0066】
Xは、以下からなる群から選択される:
【化9】

【0067】
Y−Zは、−CH2CH2−または−CONR3−であり;Aは、OまたはNR1であり;mは、Oまたは1であり;R1は、水素またはC1-3アルキルであり;各非芳香族環炭素原子は、未置換であるか、または1つまたは2つのR2置換基で独立に置換されており、そして各芳香族環炭素原子は、未置換であるか、またはC1-8アルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロヘテロアルキル、C3-8シクロアルキル−C1-6アルキル、C3-8シクロヘテロアルキル−C1-6アルキル、アリール、アリール−C1-6アルキル、アミノ、アミノ−C1-6アルキル、C1-3アシルアミノ、C1-3アシルアミノ−C1-6アルキル、(C1-6アルキル)1-2アミノ、C3-6シクロアルキル−C0-2アミノ、(C1-6アルキル)1-2アミノ−C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-4アルコキシ−C1-6アルキル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル−C1-6アルキル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル−C1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6アルキル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、C1-8アルキル−S(O)0-2、(C1-8アルキル)0-2アミノカルボニル、C1-8アルキルオキシカルボニルアミノ、(C1-8アルキル)1-2アミノカルボニルオキシ、(アリールC1-3アルキル)1-2アミノ、(アリール)1-2アミノ、アリール−C1-3アルキルスルホニルアミノ、およびC1-8アルキルスルホニルアミノからなる群から選択される1つのR2置換基で独立に置換されているか;または同じ非芳香族炭素原子上にあるとき、2つのR2置換基は、それらが付着される炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成するか;または2つのR2置換基は、それらが付着される炭素原子と一緒に連結して、3から6員までの飽和スピロ−炭素環を形成し;R3は、水素またはC1-4アルキルであり;R4は、アリール(ここでアリール基は、フェニル、ナフチル、ピリジニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキザゾリル、イソチアゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾ(1,3)ジオキソラニル、ベンゾ(1,4)ジオキサニル、およびキノキサリニルからなる群から選択される)であり;そしてモノ、ジ、およびトリ−置換アリール(ここで、アリールは上で定義されるとおりであり、そして置換基は、独立に、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6アルキル、ハロゲン、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキル、アリール、アリールC1-3アルキル、アミノ、アミノC1-6アルキル、C1-3アシルアミノ、C1-3アシルアミノ−C1-6アルキル、C1-6アルキルアミノ、ジ(C1-6)アルキルアミノ、C1-6アルキルアミノ−C1-6アルキル、ジ(C1-6)アルキルアミノ−C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシ−C1-6アルキル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル−C1-6アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル−C1-6アルキル、C1-5アルキルカルボニルオキシ、シアノ、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、またはニトロであるか;または2つの隣り合った置換基は、それらが付着される炭素原子と一緒になって、連結して、その環の炭素原子が、オキソまたはC1-3アルキルで置換されうるものである、N、O、およびSからなる群から選択される1または2つのヘテロ原子を含有する5または6員飽和または不飽和環を形成し;そしてR5は、水素またはC1-3アルキルである。
【0068】
米国特許公開番号20040019035A1に記載されている式IIIの化合物はそれらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、またはそれらの薬学上許容しうる塩またはエステルを、本発明の方法に使用することができる:
【化10】

【0069】
米国特許公開番号20040010023A1に記載されている式IVの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、またはそれらの薬学上許容しうる塩またはエステルを、本発明の方法に使用することができる:
【化11】

【0070】
式中、R1は、ORまたはN(R)2であり、Rは、H、A、シクロアルキル、Ar、アリールアルキルまたはPolであり、互いに独立に、各々の場合にR2およびR3は、H、A、Hal、NO2、OR、N(R)2、CN、CO――R、SO3R、SO2R、NH――C(O)AまたはSRであり、R4は、Hal、R、OR、CN、N(R52、またはNO2により一または二置換されうる、1から4個までのN原子を有する単または二環芳香族複素環(ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−、1,2,4−および1,2,3−トリアジンおよびテトラジンを除く)であり、R5は、HまたはAであり、R6は、HalまたはNO2であり、Aは、1から8個までのC原子を有するアルキル(ここで、アルキル基は、R6に一または複数置換されうる、および/またはそれらのアルキル炭素鎖は、――O――により中断されうる)であり、Arは、未置換、または一、二、または三置換されるアリールであり、シクロアルキルは、3から15個のC原子を有するシクロアルキルであり、Halは、F、Cl、BrまたはIであり、Polは、末端官能基を有しない固相であり、互いに独立に、各場合にn、mは、1、2、3、4、5または6であり、oは、1、2、3または4であり、そしてpは、1、2、3、4または5である。
【0071】
米国特許公開番号20030181440A1に記載されている式Vの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、または薬学上許容できるそれらの塩またはエステルは、本発明の方法に使用することができる:
【化12】

【0072】
式中、Mは、C1-4アルキレン(適宜、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、シクロアルキル(ここで、環炭素原子は、炭素鎖に対する付着の点を形成する)またはアリール(適宜ハロゲンで置換される)から選択される1つの置換基に、炭素鎖内で置換され、そしてAから選択される1つの置換基に、末端炭素上で置換される)、C2-4アルケニレン(Aから選択される1つの置換基で置換される)、ヘテロサイクレン(heterocyclyene)(適宜、Aから選択される1つの置換基で置換される)、ヘテロサイクレニレン(heterocyclenylene)(Aから選択される1つの置換基で置換される)、アリーレン(Aから選択される1つの置換基で置換される)、(C1-4アルキレン)アリール(Aから選択される1つの置換基で、C1-4アルキレン上で置換される)またはアリーレン(C1-4)アルキル(Aから選択される1つの置換基で、アリーレン上に置換される)から選択される;
【0073】
Aは、適宜存在し、そしてヘテロアリール、ヘテロサイクリル(heterocyclyl)、R3HN――、(ヘテロアリール)アミノ、(ヘテロサイクリル)アミノ、R3HNC(==NH)ー−、R3HNC(==NH)NHー−、R3HNC(==O)NH――、R3C(==NH)NHー−、(ヘテロサイクリル)アミノオキシ、(ヘテロアリール)アミノオキシ、R3HNC(==NH)NHOー−、R3C(==NH)NHOー−、R3HNC(==NH)NHC==O)ー−、またはR3C(==NH)NHC(==O)ー−から選択される;ここでヘテロアリールおよびヘテロサイクリルは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヘテロアリール(C1-4アルキルに適宜置換される)、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、トリハロ(C1-4)アルキル、C1-4アルキルカルボニル、C1-4アルコキシカルボニル、アリール(C1-4)アルコキシカルボニル、R3HN−、アミノ(C1-4)アルキル、C1-4アルキルアミノ(C1-4)アルキルまたはジ(C1-4アルキル)アミノ(C1-4)アルキルから独立に選択される1から5個の置換基に適宜置換され、
【0074】
ただし、AがH2NC(=NH)NHー−である場合、それにより独立に、Qが――CH2――であるとき、Wは、水素でない;
【0075】
Lは、――C(==O)ー−、−ーSO2−ー、−ーOC(==O)ー−または――HNC(==O)ー−から選択され;R1は、水素、C1-8アルキルまたはシクロアルキルから選択される;R2は、水素またはC1-8アルキルから選択される;R3は、水素、C1-8アルキル、アリール、アリール(C1-8)アルキル、シクロアルキル、ヒドロキシ、シアノまたはニトロから選択される;Qは、ー−CH2−ー、−ーCH(C1-8アルキル)−、−ーCH(C2-8アルケニル)−、−ーCH(C2-8アルキニル)−、−ーCH(アリール)−(ここでアリールは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、−ーOー−(C1-3アルキル)−Oー−、ハロゲン、ヒドロキシ、トリハロ(C1-3)アルキルまたはトリハロ(C1-3)アルコキシ)、−ーCH(ヘテロアリール)−(ここでヘテロアリールは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、−ーOー−(C1-3アルキル)−Oー−、アミノ、C1-4アルキルアミノ、またはジ(C1-4)アルキルアミノから選択される置換基に適宜置換される)または−ーCH(アリール((C1-8)アルキル)−から独立に選択される1から5個までの置換基に、適宜置換される)から選択される;Wは、水素またはN(R4)Tから選択される;rは、0または1から選択される整数である;R4は、水素、C1-8アルキルまたはC2-6アシルから選択される;Tは、R5C(==O)ー−、R5OC(==O)ー−またはR5C(==Nー−CN)ー−から選択される;R5は、C1-8アルキル、アリール、アリール(C1-8)アルキルまたはアミノ(ここで、アミノ基は、C1-8アルキルから独立に選択される1つから2つまでの置換基で適宜置換される)から選択される;R6は、水素、C1-8アルキル、アリール(C1-8)アルキル、(R7)N(C1-8)アルキル、(R8)(R7)N(C1-8)アルキルまたは(R8)(R7)NC(==O)−(C1-8)アルキルから選択される;そして、R7およびR8は、水素、C1-8アルキルまたはシクロアルキルから独立に選択される;および薬学上許容しうるそれらの塩。
【0076】
米国特許公開番号20030139398A1に記載されている式VIの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、または薬学上許容しうるそれらの塩またはエステルを本発明の方法に使用することができる:
【化13】

【0077】
式中、Aは、カルボニル、アミノ、カルバモイル、アセトアミド、アセチミド(acetimido)、アミジノ、イミノメチルアミノ、ウレイド、ビウレト(biureto)、ビウレア(biurea)、チオウレイド、グアニジノ、ビグアニド、ビグアニジノ、アミドラゾン、ヒドラゾ、カルバゾイル、セミカルバジド、シクロアルキレン、ヘテロサイクレン(heterocyclene)、アリーレン、およびヘテロアリーレンからなる群から選択される;ここで、アリーレンおよびヘテロアリーレンは、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、ハロゲン、(ハロ)1-3(C1-8)アルキルおよび(ハロ)1-3(C1-8)アルコキシからなる群から独立に選択される1つから2つまでの追加の置換基で適宜置換される;(B)は、適宜存在し、そしてNH、OおよびC(O)からなる群から選択される;Mは、C1-6アルキレン、C2-6アルケニレン、C2-6アルキニレン、およびアリーレンからなる群から選択される;ここで、アリーレンは、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、ハロゲン、(ハロ)1-3(C1-8)アルキルおよび(ハロ)1-3(C1-8)アルコキシからなる群から独立に選択される1から4個までの追加の置換基で適宜置換される;R3は、水素、C1-8アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-8)アルキル、アミノ、C1-8アルキルアミノ、ジ(C1-8)アルキルアミノ、イミノ、イミノメチル、アミジノ、C1-8アルキルアミジノ、ジ(C1-8)アルキルアミジノ、シクロアルキルアミジノ、ハロゲンおよびヒドロキシからなる群から独立に選択される1つから2つまでの置換基である;ここでシクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルのアリールおよびヘテロアリール部分は、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、アリールおよびハロゲンからなる群から独立に選択される1から2つまでの置換基で適宜置換される;そしてヘテロシクロは、オキソから選択された置換基で適宜置換される;(L)は、適宜存在し、そしてNH、O、SおよびC(O)からなる群から選択される;Yは、単結合により環に連結された2つの置換基、および二重結合により環に連結された1つの置換基にからなる群から選択される;ここで、単結合により環に連結された2つの置換基は、水素、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、ハロゲン、(ハロ)1-3(C1-4)アルキルおよび(ハロ)1-3(C1-4)アルコキシからなる群から独立に選択される;または、その2つの置換基は、一緒になって、シクロアルキルおよび――O――(CH21-4−O――からなる群から選択される部分を形成する;そしてここで、二重結合により環に連結された1つの置換基は、S、O、C1-8アルキリデン、イミノ、(C1-4)アルキルイミノ、(ハロ)1-2メチレンおよび(ハロ)1-3(C2-4)アルキリデンからなる群から選択される;Xは、N、NH、OおよびSからなる群から選択される;R1は、適宜存在し、そして水素、C1-8アルキル、シクロアルキル、シクロアルキル(C1-6)アルキル、アリール、アリール(C1-6)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-6)アルキル、アリールアミノおよびヘテロアリールアミノからなる群から選択される;ここでアリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルのアリールおよびヘテロアリール部分は、C1-8アルキル、C1-8アルコキシ、アリール、アリール(C1-8)アルキル、ヘテロアリール、アミノ、C1-8アルキルアミノ、ジ(C1-8アルキル)アミノ、ヘテロアリールアミノ、イミノ、イミノメチル、スルホニル、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、(ハロ)1-3(C1-4)アルキルおよび(ハロ)1-3(C1-4)アルコキシからなる群から独立に選択される1から5つまでの置換基で適宜置換される;Eは、WおよびW’で置換されたC1-4アルキルである;Fは、UおよびU’で置換されたC1-4アルキルである;W、W’、UおよびU’は、水素、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、C2-8アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキル(C1-4)アルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロ(C1-4)アルキル、アリール、アリール(C1-4)アルキル、ビアリール、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-4)アルキル、――N[(R4),T(R5)]およびハロゲンからなる群から独立に選択される;ここでヘテロシクロ、アリール、ビアリール、ヘテロアリールおよびヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルのアリールおよびヘテロアリール部分は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、アミノ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4アルキル)アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロおよびシアノからなる群から独立に選択される1から5つまでの置換基で適宜置換される;または、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルのアリールおよびヘテロアリール部分の2つの置換基は、一緒になって、シクロアルキル、ヘテロシクロおよび――O――(CH21-4――O――からなる群から選択される部分を形成する;ただし、W、W’、UおよびU’の内の1つが――N[(R4),T(R5)]から選択される場合、それにより残りのW、W’、UおよびU’は――N[(R4),T(R5)]から選択できない;R4は、水素およびC1-8アルキルからなる群から選択される;Tは、アリーレン、カルボニル、カルボキシル、スルホニルおよび――C(O)NH――からなる群から選択される;ここでアリーレンは、C1-4アルキル、C1-4アルコキシおよびハロゲンからなる群から独立に選択される1から2つまでの追加の置換基で適宜置換される;R5は、水素、C1-8アルキル、C2-8アルケニル、シクロアルキル、ヘテロシクロ、アリール、アリール(C1-4)アルキル、アリール(C2-4)アルケニル、ビアリール、ビアリール(C1-4)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1-4)アルキル−Iおよびアミノからなる群
から選択される;ここでヘテロシクロ、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキル、アリールアルケニル、ビアリール、ビアリールアルキル、およびヘテロアリールアルキルのアリールおよびヘテロアリール部分は、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヘテロシクロ、アリール、アリール(C1-4)アルキル、アリールスルホニル、ヘテロアリール、アミノ、C1-4アルキルアミノ、ジ(C1-4アルキル)アミノ、ハロゲン、ヒドロキシ、(ハロ)1-3(C1--4)アルキルおよび(ハロ)1-3(C1-4)アルコキシからなる群から独立に選択される1から5つまでの置換基で適宜置換される;または、アリール、ヘテロアリール、およびアリールアルキル、アリールアルケニルおよびヘテロアリールアルキルのアリールおよびヘテロアリール部分の2つの任意の置換基は、一緒になって、シクロアルキル、ヘテロシクロおよび――O――(CH21-4――O――からなる群から選択される部分を形成する;R6は、水素、C1-8アルキルおよび(CH21-8CON(R72からなる群から選択される;そしてR7は、水素、C1-8アルキルおよびシクロアルキルからなる群から選択される;および薬学上許容しうるラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびそれらの塩。
【0078】
米国特許公開番号20020037889A1に記載されている式VIIの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、または薬学上許容しうるそれらの塩またはエステルを本発明の方法に使用することができる:
【化14】

【0079】
Xは、以下からなる群から選択される。
【化15】

【0080】
各R1は、独立に、水素またはC1-3アルキルであり、そして各非芳香族環炭素原子は、未置換であるか、または1つまたは2つのR2置換基で独立に置換され、そして各芳香族環炭素原子は、未置換であるか、またはC1-8アルキル、C3-8シクロアルキル、C3-8シクロヘテロアルキル、C3-8シクロアルキル−C1-6アルキル、C3-8シクロヘテロアルキル−C1-6アルキル、アリール、アリール−C1-6アルキル、アミノ−C1-6アルキル、C1-3アシルアミノ、C1-3アシルアミノ−C1-6アルキル、アミノ、(C1-6アルキル、)1-2アミノ、C3-6シクロアルキル−C0-2アミノ、(C1-6アルキル)1-2アミノ−C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、C1-4アルコキシ−C1-6アルキル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル−C1-6アルキル、C1-3アルコキシカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル−C1-6アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6アルキル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、C1-8アルキル−S(O)0-2、(C1-8アルキル)0-2アミノカルボニル、C1-8アルキルオキシカルボニルアミノ、(C1-6アルキル)1-2アミノカルボニルオキシ、(アリール)1-2アミノ、アリール−C1-3アルキルスルホニルアミノ、およびC1-8アルキルスルホニルアミノからなる群から選択される1つのR2置換基で独立に置換される;または同じ非芳香族炭素原子上にあるとき、2つのR2置換基は、それらが付着される炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成する;または2つのR2置換基は、それらが付着される炭素原子と一緒になって、連結して、3から6員までの飽和スピロ−炭素環を形成する;R4は、アリール(ここで、アリール基は、フェニル、ナフチル、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、キノリル、イソキノリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンズチアゾリル、ベンゾキサゾリル、ジヒドロベンゾフリル、ベンゾ(1,3)ジオキソラニル、およびベンゾ(1,4)ジオキサニルからなる群から選択される);および一、二、三置換アリール(ここで、置換基は、独立に、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシ−C1-6アルキル、ハロゲン、C1-8アルキル、C3-8シクロアルキル、アリール、アリールC1-3アルキル、アミノ、アミノC1-6アルキル、C1-3アシルアミノ、C1-3アシルアミノ−C1-6アルキル、C1-6アルキルア
ミノ、ジ(C1-6)アルキルアミノ、C1-6アルキルアミノ−C1-6アルキル、ジ(C1-6)アルキルアミノ−C1-6アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4アルキルチオ、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルコキシ−C1-6アルキル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニル−C16アルキル、C1-5アルコキシカルボニル、C1-3アルコキシカルボニル−C1-6アルキル、C1-5アルキルカルボニルオキシ、シアノ、トリフルオロメチル、1,1,1−トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、またはニトロである)である;または2つの隣あう置換基は、それらが付着される炭素原子と一緒に連結して、N,O、およびSからなる群から選択される1または2のヘテロ原子を含有する5員または6員飽和または不飽和環を形成し、その環炭素原子は、オキソまたはC1-3アルキルで置換されうる;そしてR3は、水素またはC1-3アルキルである。
【0081】
米国特許公開番号20020077321A1に記載されている式VIIIの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、または薬学上許容しうるそれらの塩またはエステルを、本発明の方法に使用することができる:
【化16】

【0082】
式中、
【化17】

【0083】
は、4−8員単環または7−12員二環である;その環は、適宜飽和または不飽和である;その環は、アルキル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホンアミド、アシル、アシルアミノ、アルキルスルホン、スルホンアミド、アリル、アルケニル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキニル、カルボキサミド、シアノ、および――(CH2nCOR(式中、nは、0−2であり、そしてRは、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルまたはアミノである)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換される;
【0084】
1は、下記式の5−9員単環または7−12員二環複素環であり;
【化18】

【0085】
少なくとも1つの窒素原子を含有し、そして適宜、O、N、S、SO2、およびCOからなる群から選択される1から4個のヘテロ原子を含有し;適宜飽和または不飽和である;1つまたはそれ以上のRkにより適宜置換されるのは、ヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、チオアルキル、シアノ、アミノ、アルキルアミノ、ハロアルキル、ハロゲン、アシルアミノ、スルホンアミド、および――COR(式中、Rは、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルまたはアミノである)からなる群から選択される;
【0086】
またはA1は、
【化19】

【0087】
式中、Y1は、N――R2、O、およびSからなる群から選択される;R2は、H;アルキル;アリール;ヒドロキシ;アルコキシ;シアノ;アミド;アルキルカルボニル;アリールカルボニル;アルコキシカルボニル;アリールオキシカルボニル;ハロアルキルカルボニル;ハロアルコキシカルボニル;アルキルチオカルボニル;アリールチオカルボニル;アシルオキシメトキシカルボニルからなる群から選択される;R2は、R7と一緒になって、低級アルキル、チオアルキル、アルキルアミノ、ヒドロキシ、ケト、アルコキシ、ハロ、フェニル、アミノ、カルボキシルまたはカルボキシルエステルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された4−12員二窒素含有複素環を形成する;またはR2は、R7と一緒になって、適宜不飽和でO、NおよびSから選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有する4−12員複素環を形成する;またはR2は、R7と一緒になって、アリールまたはヘテロアリール環と縮合した5員ヘテロ芳香族環を形成する;R7(R2と一緒にならない場合)およびR8は、H;アルキル;アラルキル;アミノ;アルキルアミノ;ヒドロキシ;アルコキシ;アリールアミノ;アミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル;アルコキシカルボニル;アリールオキシ;アリールオキシカルボニル;ハロアルキルカルボニル;ハロアルコキシカルボニル;アルキルチオカルボニル;アリールチオカルボニル;アシルオキシメトキシカルボニル;シクロアルキル;ビシクロアルキル;アリール;アシル;ベンゾイル;からなる群から独立に選択される;またはNR7およびR8は一緒になって、低級アルキル、カルボキシル誘導体、アリールまたはヒドロキシから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換され、そして上記環が、適宜、O、NおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を含有するものである4−12員一窒素含有単環または二環を形成する;R5は、H、およびアルキルからなる群から選択される;
【0088】
またはAは、
【化20】

【0089】
式中、Yは、アルキル;シクロアルキル;ビシクロアルキル;アリール;単環複素環からなる群から選択される;Z1は、CH2、CH2O、O、NH、NRk、CO、S、SO、CH(OH)、およびSO2からなる群から選択され、ここでRkは、Hまたは低級アルキルから選択される;Z2は、O、SおよびNからなる群から選択される1つまたはそれ以上のヘテロ原子を含有する1−5炭素リンカーである;または、Z1−Z2は、さらに、カルボキサミド、スルホン、オキシム、スルホンアミド、アルケニル、アルキニルまたはアシル基を含みうる;ここでZ1−Z2の炭素および窒素原子は、アルキル、アルコキシ、チオアルキル、アルキルスルホン、アリール、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、アルキルアミノ、ヘテロアリール、アルケニル、アルキニル、カルボキシアルキル、ハロゲン、ハロアルキルまたはアシルアミノにより適宜置換される;
【0090】
式中、Z2−Z1は、X1置換基に対してパラまたはメタ位で、
【化21】

【0091】
に付着される;nは、整数0、1または2である;RCは、水素;アルキル;ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、アルコキシ、アミノ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシアルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アルキルアミノ、アリールアミノ、アルキルスルホニルアミノ、アシル、アシルアミノ、スルホニル、スルホンアミド、アリル、アルケニル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキニル、アルキニルアルキル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、カルボキサミド、シアノ、および――(CH2n−ーCOR(式中、nは、0−2であり、そしてRは、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルおよびアミノからなる群から選択される;X1は、――O――、CO、SO2、NRmおよび(CHRpqからなる群から選択される;式中、Rmは、Hまたはアルキルである;Rpは、H、アルキル、アルコキシまたはヒドロキシであり、そしてqは、0または1である;X2は、――CHRe――、CO、SO2、O、NRfおよびSからなる群から選択される;Reは、H、アルキル、ヒドロキシおよびアルコキシからなる群から選択される;Rfは、Hまたはアルキルである;XまたはYは、――CRg――または――N――(式中、Rgは、H、アルキル、ハロアルキル、フルオロ、アルコキシアルキル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アルキルスルホン、ヘテロアラルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、およびカルボニルアルキルからなる群から選択される)からなる群から独立に選択される;基Xー−X2−ーYは、アシル、アルキル、アミノ、エーテル、チオエーテル、スルホン、およびオレフィンからなる群から選択される部分を適宜含有して;
【化22】

【0092】
3−8員単環系;または8−11員二環系を形成し;適宜飽和または不飽和で;単環系は、N、OおよびSから選択される1−2個のヘテロ原子を適宜含有する;二環系は、N、O、Sから選択される1−4個のヘテロ原子を適宜含有するか、またはSO2またはCO等の基を適宜含有する;そしてアルキル、ハロゲン、シアノ、カルボアルコキシ、ハロアルキル、アルコキシアルキル、アルキルスルホン、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキルまたはアルコキシからなる群から選択される1つまたはそれより多くの置換基で都合により置換される;Rbは、X3−Rh(式中、X3は、O、SおよびNRj(式中、RhおよびRjは、H、アルキル、アシル、アリール、アラルキルおよびアルコキシアルキルからなる群から独立に選択される)からなる群から選択される;およびnは、0、1または2である)である。
【0093】
さらに、米国特許公開番号20020072500号に記載されている式IXまたは式Xの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、または薬学上許容しうるそれらの塩またはエステルを本発明の方法に使用することができる:
【化23】

【0094】
式中、
Xは
【化24】

【0095】
Yは、N――R1、OおよびSからなる群から選択される;Aは、NまたはCである;
1は、H、アルキル、アリール、ヒドロキシ、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アルケニル、アルキニル、アミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、アシルオキシメトキシカルボニル;アルキル(低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アミノ、アルコキシ、アリール;またはアリール(1つまたはそれ以上のハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、シアノ、アルキルスルホニル、アルキルチオ、ニトロ、カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環、または縮合単環複素環から選択される1またはそれ以上の置換基で適宜置換された));アリール(ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、低級アルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、シアノ、ニトロ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、カルボキシル誘導体、アミノ、アリール、縮合アリール、単環複素環および縮合単環複素環から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)、単環複素環;および単環複素環(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリールまたは縮合アリールから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)からなる群から選択される;またはR1は、R8と一緒になって、低級アルキル、ヒドロキシ、ケト、アルコキシ、ハロ、フェニル、アミノ、カルボキシルまたはカルボキシルエステル、および縮合フェニルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された4−12員二窒素含有複素環を形成する;またはR1は、R8と一緒になって、低級アルキル、フェニルおよびヒドロキシから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された5員ヘテロ芳香族環を形成する;またはR1は、R8と一緒になって、フェニル基で縮合された5員ヘテロ芳香族環を形成する;R8(R1と一緒にならない場合)およびR9は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールアミノ、アミド、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシ、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシ−カルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、アシルオキシメトキシカルボニル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、アリール、アシル、ベンゾイル;アルキル(低級アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、カルボキシル誘導体、アミノ、アルコキシ、チオ、アルキルチオ、スルホニル、アリール、アラルキル、アリール(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシル誘導体、アリールオキシ、アミド、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチル、スルホニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環、縮合単環複素環から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された);アリール(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、カルボキシル誘導体、アリールオキシ、アミド、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチルスルホニル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環、または縮合単環複素環;単環複素環(ハロゲン、ハロアルキル、低級アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アリール、縮合アリール、単環、および二環複素環アルキルから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された)から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された);−SO210(式中、R10は、アルキル、アリールおよび単環複素環からなる群から選択され、全ては、ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、アシルアミノ、トリフルオロアルキル、アミド、アルキルアミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニルアミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチルスルホニル、アリール、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、および単環複素環から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換される)からなる群から独立に選択される;そして
【化25】

【0096】
式中、R10は、上のとおり定義される;またはNR8およびR9は、一緒になって、低級アルキル、カルボキシル誘導体、アリールまたはヒドロキシから選択された1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された4−12員一窒素含有単環または二環を形成し、そして上記環は、O、NおよびSからなる群から選択されるヘテロ原子を都合により含有する;
または、Xは
【化26】

【0097】
式中、Y1は、アルキル、シクロアルキル、ビシクロアルキル、アリール、単環複素環、アルキル(ハロゲン、ハロアルキル、アルキル、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、または縮合アリールから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された);アリール(ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アリール、縮合アリール、ニトロ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、またはアルキルから選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された);アルキニル、アルケニル、――S――R11および――OR11(式中、R11は、H、アルキル、アラルキル、アリール、アルケニル、およびアルキニルからなる群から選択されるか、またはR11は、R8と一緒になって、低級アルキル、ヒドロキシ、ケト、フェニル、カルボキシルまたはカルボキシルエステル、および縮合フェニルで適宜置換された4−12員一窒素および一硫黄または一酸素含有複素環を形成するか、またはR11は、R8と一緒になって、チアゾール、オキサゾール、ベンゾキサゾールまたはベンゾチアゾールである;R8は、上のとおり定義される)からなる群から選択される;またはY1(Y1が、炭素である場合)は、R8と一緒になって、アルキル、アリール、ケトまたはヒドロキシで適宜置換された4−12員一窒素または二窒素含有環を形成するか;または
Xは、
【化27】

【0098】
式中、R1およびR8は、一緒になって、低級アルキル、ヒドロキシ、ケト、フェニル、またはカルボキシル誘導体からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基で適宜置換された5−8員二窒素含有複素環を形成する;R9は、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキル−カルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニル、またはアシルオキシメトキシカルボニルからなる群から選択されるか;またはXは、
【化28】

【0099】
式中、R1およびR8は、一緒になって、ヒドロキシ、ケト、フェニル、またはアルキルで適宜置換された5−8員二窒素含有複素環を形成し;そしてR9は、両方とも、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、ハロアルキルカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、アルキルチオカルボニル、アリールチオカルボニルおよびアシルオキシメトキシカルボニルからなる群から選択される;R2、R3およびR4は、H、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、カルボキシル誘導体、トリハロアセトアミド、アセトアミド、アリール、縮合アリール、シクロアルキル、チオ、単環複素環、縮合単環複素環、およびX(ここでXは、上のとおり定義される)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の置換基から独立に選択される;R5、R6およびR7は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、カルボキシル誘導体、ハロアルキル、シクロアルキル、単環複素環、単環複素環(アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ヒドロキシ、アリール、縮合アリール、ニトロ、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、スルホンアミド、チオ、アルキルチオ、カルボキシル誘導体、アミノ、アミド、アルキル(ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、チオ、アルキルチオ、アルキニル、アルケニル、アルキル、アリールチオ、アルキルスルホキシド、アルキルスルホニル、アリールスルホキシド、アリールスルホニル、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルスルホンアミド、アリールスルホンアミド、アシルアミド、カルボキシル誘導体、スルホンアミド、スルホン酸、ホスホン酸誘導体、ホスフィン酸誘導体、アリール、アリールチオ、アリールスルホキシド、またはアリールスルホンの1つまたはそれ以上で適宜置換された)で適宜置換された);全ては、ハロ、アルキル、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、カルボキシル誘導体、アルコキシ、アリールオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アミド、アリール、縮合アリール、単環複素環および縮合単環複素環、単環複素環チオ、単環複素環スルホキシド、および単環複素環スルホンに、アリール環上で適宜置換され、そしてそれは、ハロ、ハロアルキル、ニトロ、ヒドロキシ、アルコキシ、縮合アリール、またはアルキルで適宜置換されうる;アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、およびアリールカルボニル、アリール(ハロ、ハロアルキル、アルキル、アルコキシ、アリールオキシ、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、アルキルチオ、ハロアルキルチオ、チオ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アシルオキシ、カルボキシル誘導体、カルボキシアルコキシ、アミド、アシルアミノ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロアルコキシ、トリフルオロメチルスルホニル、アルキルスルホニル、スルホン酸、スルホンアミド、アリール、縮合アリール、単環複素環および縮合単環複素環に、1つまたはそれ以上の位置で適宜置換された)からなる群から独立に選択される。
【化29】

【0100】
式中、R1およびR2は、水素、ヒドロキシアルキル、ハロアルキルおよびハロからなる群から選択される。
【0101】
GoodmanらJ.Med Chem.45(5)巻:1045−51頁(2002年)に記載されている式XI、XII、XIII、XIV、XV、XVI、XVII、XVIII、XIX、およびXXの化合物は、それらの種々の異性体、エナンチオマー、互変異性体、ラセミ体および多形体を含め、または薬学上許容しうるそれらの塩またはエステルを本発明の方法に使用することができる:
【化30】

【化31】


【化32】

【0102】
いくつかの場合には、本発明のαvβ5拮抗剤は、トリペプチド配列RGDを包含する。インテグリンのためのリガンドとしてのこのような分子の設計は、例えば、Pierschbacherら、J.Cell.Biochem.56巻:150−154頁(1994年);Ruoslati、Ann.Rev.Cell.Dev.Bio.12巻:697−715頁(1996年);Chorevら、Biopolymers 37巻:367−375頁(1995年);Pasqualiniら、J.Cell.Biol.130巻:1189−1196頁(1995年);Smithら、J.Biol.Chem.269巻:32788−32795頁(1994年);および米国特許番号第5,780,426号および第6,683,051号で例示される。
【0103】
C.αvβ5インテグリンの発現を阻害すること
上記の検討のとおり、本発明は、αvβ5インテグリンに対するリガンドの結合を遮断することが、PEの重篤度を減じるという驚くべき知見に基づいている。例えば、後述の実施例3で示されるとおり、本発明者らは、β5-/-マウスが、肺損傷に関連したPEを発生しないことを示した。したがって、転写または翻訳レベルで、αvβ5インテグリン遺伝子の特異的発現に干渉するヌクレオチド配列を、PEを治療または予防するために使用することができる。このアプローチは、例えば、siRNAを用いたmRNAの分解を誘発するか、またはmRNAをアンチセンス核酸でマスキングするかのいずれかによって、特異的に突然変異したmRNAの転写または翻訳を遮断するsiRNAおよび/またはアンチセンス・オリゴヌクレオチドを利用しうる。
【0104】
1.siRNA
β遺伝子に対応する二本鎖siRNAは、β5mRNA転写物の分解を誘発することによってαvβ5インテグリンの転写および/または翻訳をサイレントにし、したがって、αvβ5インテグリンの発現を予防することによってPEを治療または予防するために使用しうる。siRNAは、一般的には、長さ約5から約100ヌクレオチド、さらに一般的には、長さ約10から約50ヌクレオチド、最も一般的には、長さ約15から約30ヌクレオチドである。siRNA分子およびそれらを発生させる方法は、例えば、Bass、2001年、Nature、411巻、428−429頁;Elbashirら、2001年、Nature、411巻、494−498頁;国際公開番号00/44895号;国際公開番号01/36646号;国際公開番号99/32619号;国際公開番号00/01846号;国際公開番号01/29058号;国際公開番号99/07409号;および国際公開番号00/44914号に記載されている。dsRNAまたはsiRNAを転写するDNA分子(例えば、ヘヤピン二重鎖として)は、RNAiも提供する。dsRNAを転写するためのDNA分子は、米国特許番号第6,573,099号で、そして米国特許出願公開番号第2002/0160393号および第2003/0027783号およびTuschlおよびBorkhardt、Molecular Interventions、2巻:158頁(2002年)で開示される。例えば、ジーンバンク(Genbank)受託番号:AK054968号;BF588784号;BE208820号;BE207859号;またはBE206567号で示される核酸配列に特異的にハイブリダイズするdsRNAオリゴヌクレオチドは、本発明の方法に使用することができる。RNA干渉の不在下で検出されるPE徴候に比較して重篤度における減少は、siRNAの効果をモニターするために使用することができる。
【0105】
siRNAは、siRNAの注射、吸入、または経口摂取によることを含めて、当業界で知られるあらゆる手段を使用して、対象に送達されうる。siRNAのための別の適切な送達システムは、例えば、巨大分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフィア、ビーズ、および水中油型エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含めた脂質ベースシステムなどのコロイド分散系である。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームは、インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとして有用な人工膜小胞体である。核酸は、リポソーム内にRNAおよびDNAを含み、そして生物学上活性な形態で細胞に送出される(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.、6巻:77、1981年)。リポソームは、当業界で知られるいずれかの手段を使用して、特定の細胞型または組織に標的にされうる。
【0106】
2.アンチセンス・オリゴヌクレオチド
β5ポリペプチドをコードする核酸配列に特異的にハイブリダイズするアンチセンス・オリゴヌクレオチドは、αvβ5インテグリンの転写および/または翻訳をサイレントにし、それによりPEを治療または予防するためにも使用されうる。例えば、ジーンバンク(Genbank)受託番号:BF588784号;BE208820号;BE207859号;BE206567号;NM_002213号;BC006541号;NM_174679号;AF468059号;AY434090号;NM_010580号;BC058246号;XM_147237号;AF022111号;AF022110号;AF043257号;AF043256号;およびS58644号で示される核酸配列に特異的にハイブリダイズするアンチセンス・オリゴヌクレオチドを、本発明の方法に使用することができる。アンチセンス核酸の不在下で検出される徴候と比較して、PE徴候の重篤度における減少は、アンチセンス核酸の効果をモニターするために使用することができる。
【0107】
アンチセンス核酸は、特異的mRNA分子の少なくとも一部に相補的であるDNAまたはRNA分子である(例えば、Weintraub、Scientific American,262巻:40頁(1990年)を参照)。一般的には、合成アンチセンス・オリゴヌクレオチドは、通常、15から25塩基の間の長さである。アンチセンス核酸は、天然に生じるヌクレオチドまたは例えばホスホロチオエート、メチルホスホネート、および−アノマー糖−ホスフェート、骨格修飾ヌクレオチドなどの修飾ヌクレオチドを包含しうる。
【0108】
細胞中で、アンチセンス核酸は、対応のmRNAにハイブリダイズし、二本鎖分子を形成する。細胞は、二本鎖であるmRNAを翻訳しないので、アンチセンス核酸は、mRNAの翻訳に干渉する。約15ヌクレオチドのアンチセンス・オリゴマーは、それらが容易に合成され、そして標的ヌクレオチド突然変異体産生細胞に導入されるときに、それより大きい分子より問題を引き起こしにくいために好ましい。遺伝子のインビトロ翻訳を阻害するアンチセンス法の使用は、当業界でよく知られている(Marcus−Sakura、Anal.Biochem.、172巻:289頁(1988年))。一般的でないが、DNAに直接結合するアンチセンス分子を使用しうる。
【0109】
αvβ5インテグリン遺伝子に特異的なアンチセンス・ポリヌクレオチドの送達は、例えば、ポリヌクレオチドの直接注入、吸引、または摂取を含めた当業界で知られるあらゆる手段を使用して達成されうる。さらに、アンチセンス・ポリヌクレオチドは、ここに示されるとおり組換え発現ベクター(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、またはレトロウイルスに基づいたウイルスベクター)またはコロイド性分散液系(例えば、リポソーム)を使用して送達されうる。ここに教示されるとおり遺伝子療法として利用されうる種々のウイルスベクターを含む。
【0110】
IV.別のαvβ5拮抗剤を特定すること
αvβ5インテグリンの別の拮抗剤を、当業者に周知の方法によって容易に特定しうる。拮抗剤についてスクリーニングするための1つの簡便な方法は、インテグリンの既知リガンドの結合について競合する候補の拮抗剤の能力を測定することを含む。例えば、ビトロネクチン、フィブロネクチン、オステオポンチン、テネイシンcおよびアデノウイルス・ペントンベースは、αvβ5インテグリンの候補の拮抗剤を特定する競合アッセイに使用されうるαvβ5インテグリンの既知リガンドである。アミノ酸配列RGDを包含する他のポリペプチドは、競合アッセイでも使用されうる。さらに、αvβ5インテグリンに結合するモノクローナル抗体およびそれのフラグメントを、αvβ5インテグリンの別の拮抗剤についてスクリーニングするために使用しうる。いくつかの実施態様では、ALUALおよびαvβ5に対する結合についてALULAと競合する抗体を、αvβ5インテグリンの別の拮抗剤についてスクリーニングするために使用する。
【0111】
競合アッセイは、当業界でよく知られている。一般的には、αvβ5インテグリンのリガンド、またはαvβ5インテグリンに結合するリガンドについて競合する抗体(例えば、ALUAL)を標識して、その結果、αvβ5インテグリンに対する結合における差(例えば、αvβ5インテグリンについて漸増量の候補の競合リガンドの存在下で)を測定しうる。リガンドは、天然に生じるリガンド並びに合成リガンドでありうる。競合アッセイは、候補の競合相手である拮抗剤の親和性を示す。
【0112】
多数の異なるスクリーニング・プロトコールは、細胞で、例えば、哺乳類細胞で、そして特にヒト細胞で、特定の位相のαvβ5インテグリンの活性または機能のレベルを調節する剤を特定するために利用されうる。一般的用語で、スクリーニング法は、例えば、αvβ5インテグリンに結合すること、またはαvβ5インテグリンに特異的な抗体(例えば、ALULA)またはリガンド(例えば、ビトロネクチン、フィブロネクチン、オステオポンチン、テネイシンCおよびアデノウイルスペントンベース)が、αvβ5インテグリンに結合することを妨げることによって、αvβ5に干渉する剤を特定するために複数の剤をスクリーニングすることを含む。
【0113】
そのように特定された剤の内の少なくともいくつかが、αvβ5インテグリン拮抗剤でありそうな場合、αvβ5インテグリンに結合する能力のある剤についてスクリーニングすることによって、予備スクリーニングを行いうる。結合アッセイは、通常には、αvβ5インテグリンを、1つまたはそれより多くの試験剤と接触させ、そしてαvβ5インテグリンおよび試験剤が結合複合体を形成するのに十分な時間を与えることを含む。いずれの結合複合形成体も多数の確立した分析技術を用いて検出することができる。タンパク結合アッセイには、それに限定されないが、免疫組織化学的結合アッセイ、フローサイトメトリまたは他のアッセイが挙げられる。このようなアッセイで利用されるαvβ5インテグリンは、自然に発現されるか、クローン化されるか、または合成されうる。
【0114】
本発明のスクリーニング法は、インビトロまたは細胞系のアッセイとして行われうる。細胞系のアッセイを、αvβ5インテグリンが発現されるあらゆる細胞で行うことができる。細胞系のアッセイには、剤結合またはその剤によるαvβ5インテグリン活性の修飾についてスクリーニングするためのαvβ5インテグリンを含有する全細胞または細胞分画を含みうる。当業者は、内因性αvβ5インテグリンを含有しないαvβ5インテグリンが細胞中で発現されうることをよく理解するであろう。適切な細胞系のアッセイは、例えば、DePaolaら、Annals of Biomedical Engineering 29巻:1−9頁(2001年)に記載されている。
【0115】
当初にαvβ5インテグリンと相互作用すると認識された剤は、明白な活性を確認するためにさらに試験されうる。好ましくは、このような研究は、後述の実施例1で示されるとおりPEの適切な細胞系または動物モデルで行われる。このような方法の基本的フォーマットは、モデルとしての役割を果たす動物に対する当初のスクリーニングの間に特定されるリード化合物を投与すること、そしてその後、実際に、PEが改善されるかどうかを測定することを含む。有効性を確認する研究で利用される動物モデルは、一般に、いずれかの種類の哺乳類である。適切な動物の特定の例は、それに限定されないが、霊長類(例えば、チンパンジー、サルなど)およびげっ歯類(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギなど)が挙げられる。
【0116】
αvβ5インテグリンの候補の拮抗剤として試験される剤は、ポリペプチド、糖、核酸または脂質等のあらゆる小化合物、または生物学上の実体でありうる。または、モジュレータは、αvβ5インテグリンまたはαvβ5インテグリン・リガンドの遺伝子改変版でありうる。最も頻繁には、水または有機(特に、DMSO系の)溶液に溶解されうる化合物を使用するが、基本的に、あらゆる化合物を、本発明のアッセイで候補のモジュレータまたはリガンドとして使用することができる。アッセイは、一般に平行に行われる(例えば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイター平板でのマイクロタイター・フォーマットで)、アッセイ段階を自動化し、そしてアッセイするあらゆる簡便な源から化合物を供給することによって、大きな化合物ライブラリーをスクリーニングするように設計される。
【0117】
いくつかの実施態様では、その剤は、1,500ダルトン未満、そしていくつかの場合には、1,000、800、600、500、または400ダルトン未満の分子量を示す。小分子が、高分子量の剤より、経口吸収を含めて、優れた薬理学的特徴と合致した物理化学的特性を示す高い可能性を示すので、比較的小さなサイズの剤が望ましい可能性がある。例えば、透過性および溶解性に基づいた剤として首尾よくいきそうにない剤は、以下のとおりLipinskiらによって記載されている:5Hより多くの結合ドナー(OHおよびNHの総計として表される)を示し、500を超える分子量を示し、5を越えるLogPを示し(または4.15を越えるMLogP);および/または10Hより多くの結合アクセプター(NおよびOの総計として表される)を有する。例えば、Lipinskiら、Adv Drug Delivery Res 23巻:3−25頁(1997年)を参照。生物学的輸送体についての支持体である化合物クラスは、特に規則に対する例外である。
【0118】
1つの実施態様では、高処理量スクリーニング法は、大量の候補となる治療化合物(候補となるモジュレータまたはリガンド化合物)を含有するコンビナトリアル化学またはペプチドライブラリーを提供することを含む。その後、このような「コンビナトリアル化学ライブラリー」または「リガンドライブラリー」を、本明細書中で示されるとおり、所望の特徴的活性を表示するライブラリー構成要素(特定の化学種またはサブクラス)を特定する1つまたはそれ以上のアッセイでスクリーニングする。そのように同定された化合物は、標準の「先導化合物」として役割を果たしうるか、またはそれら自身、候補となる、または実際の治療剤として使用されうる。
【0119】
コンビナトリアル化学ライブラリーは、試薬のような多数の化学「構築ブロック」を組合わせることによって、化学合成または生物学的合成のいずれかにより生成される多様な化学化合物の集合である。例えば、ポリペプチド・ライブラリー等の線状コンビナトリアル化学ライブラリーは、所定の化合物長(すなわち、ポリペプチド化合物でのアミノ酸の量)について可能な方法毎に化学構築ブロック(アミノ酸)の組を組合わせることによって形成される。化学構築ブロックのこのようなコンビナトリアル混合を通して、数百万の化合物を合成しうる。
【0120】
コンビナトリアル化学ライブラリーの作製およびスクリーニングは、当業者に周知である。このようなコンビナトリアル化学ライブラリーとしては、それに限定されないが、ペプチド・ライブラリーがある(例えば、米国特許第5,010,175号、Furka、Int.J.Pept.Prot.Res.37巻:487−493頁(1991年)およびHoughtonら、Nature354巻:84−88頁(1991年)を参照)。化学的多様性ライブラリーを生じる他の化学も使用しうる。このような化学としては、それに限定されないが、ペプトイド(例えば、PCT公開番号WO91/19735号)、コード化ペプチド(例えば、PCT公開番号WO93/20242号)、ランダム・バイオ−オリゴマー(例えば、PCT公開番号WO92/00091号)、ベンゾジアゼピン(例えば、米国特許番号第5,288,514号)、ヒダントイン、ベンゾジアゼピン、およびジペプチド等のダイバーソマー(diversomer)(Hobbsら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90巻:6909−6913頁(1993年))、ビニル性ポリペプチド(Hagiharaら、J.Amer.Chem.Soc.114巻:6568頁(1992年))、ショ糖骨格(scaffolding)を有する非ペプチド性ペプチ
ド擬態物(Hirschmannら、J.Amer.Chem.Soc.114巻:9217−9218頁(1992年))、小化合物ライブラリーの類似体有機合成(Chenら、J.Amer.Chem.Soc.116巻:2661頁(1994年))、オリゴカルバメート(Choら、Science 261巻:1303頁(1993年))、および/またはペプチジルホスホネート(Campbellら、J.Org.Chem.59巻:658頁(1994年))、核酸ライブラリー(Ausubel、BergerおよびSambrook、全て上記を参照)、ペプチド核酸ライブラリー(米国特許番号第5,539,083号を参照)、抗体ライブラリー(例えば、Vaughnら、Nature Biotechnology、14巻(3):309−314頁(1996年)およびPCT/US96/10287号を参照)、カーボハイドレート・ライブラリー(例えば、Liangら、Science、274巻:1520−1522頁(1996年)および米国特許第5,593,853号を参照)、小有機分子ライブラリー(例えば、ベンゾジアゼピン、Baum CおよびEN、1月18日、33頁(1993年);イソプレノイド、米国特許第5,569,588号;チアゾリジノンおよびメタチアザノン、米国特許第5,549,974号;ピロリジン、米国特許第5,525,735号および第5,519,134号;モルホリノ化合物、米国特許第5,506,337号;ベンゾジアゼピン、第5,288,514号などを参照)が挙げられる。
【0121】
コンビナトリアル・ライブラリーの作製のためのデバイスは、市販で入手可能である(例えば、ECIS TM、アプライド・バイオフェジックス・インク.、トロイ、ニューヨーク(Troy,NY)、MPS 390MPS、アドバンスド・ケム・テック、ケンタッキー州ルイズビル(Luisville,KY)、シンフォニー、レーニン、マサチューセッツ州ウォバーン(Woburn,MA)、433A アプライド・バイオシステムズ、カリフォルニア州フォスター・シティー(Foster City,CA)、9050プラス、ミリポア、マサチューセッツ州ベッドフォード(Bedford,MA))。さらに、数多くのコンビナトリアル・ライブラリーは、それら自身、市販で入手可能である(例えば、ComGenex、ニュージャージー州プリンストン(Princeton,N。J.)、トリポス,インク.(Tripos,Inc.)、ミズーリー州セントルイス(St.Louis,MO)、3ディー・ファーマシューティカルズ(3D Pharmaceuticals)、ペンシルベニア州エキストン(Exton,PA)、マーテック・バイオサイエンシズ(Martek Biosciences)、メリーランド州コロンビア(Columbia,MD)など)。
【0122】
V.治療的処置
上記検討のとおり、本発明は、αvβ5インテグリンの拮抗剤を包含する組成物も提供する。本発明の組成物は、例えば、PE、脳梗塞、心筋梗塞、および癌(すなわち、新脈管形成)を含めたαvβ5インテグリンを含む疾患を治療または予防するために提供されうる。
【0123】
1つの実施態様では、本発明の組成物(例えば、ALULA、ヒト化ALULA、またはALULAフラグメントを包含する組成物)は、PEを有するか、またはPEを発現する危険のある対象でPEを治療または予防ために提供されうる。例えば、毒性吸入因子にさらされた対象は、そのような暴露の後に処置されそうであるのに対して、PEの危険にある患者は、予防的および/または治療的に処置されうる。PEの危険ある患者としては、急性吸引を有する患者、細菌性敗血症の徴候を示す患者、その血管培養液が、グラム陽性またはグラム陰性細菌に陽性である患者、膵臓炎を有する患者、または出血性ショックにある患者が挙げられる。
【0124】
本発明の組成物は、ある期間(例えば、2、3、4、5、6日または1−3週またはそれより多く)、定期的に(例えば、毎日)投与されうる。
【0125】
注射(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、または皮内(intrademal))、吸引、経皮用途、直腸投与、または経口投与を含めて、当業界で知られるあらゆる経路を用いて、本発明の組成物を、哺乳類対象に直接投与して、αvβ5結合を遮断しうる。
【0126】
本発明の医薬組成物は、薬学上許容しうるキャリヤを包含しうる。薬学上許容しうるキャリヤは、投与されるべき特定の組成物によって、並びに、組成物を投与するために使用される特定の方法によって決定される。したがって、本発明の医薬組成物には広範で多様な適切な製剤がある(例えば、レミントンの医薬科学、17版、1989年を参照)。
【0127】
本発明の組成物は、単独で、または他の適切な成分と組合わせて、吸入を介して投与されるべきエアロゾル製剤(すなわち、それは、「霧状にされ」うる)にされうる。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧許容性の高圧ガスに入れることができる。
【0128】
投与に適切な製剤としては、水性および非水性溶液、等張性滅菌溶液が挙げられ、そしてそれは、抗酸化剤、緩衝液、細菌静止剤、および製剤を等張にさせる溶質;および懸濁剤、溶解化剤、粘度付与剤、安定化剤、および保存剤を含みうる水性および非水性滅菌懸濁液を含みうる。本発明の実施に際して、組成物を、例えば、経口、鼻、局所、静脈、腹腔内、または胸郭内で投与しうる。化合物の製剤は、アンプルおよびバイアルのような単位用量、または複数回用量を封入した容器中に存在しうる。溶液および懸濁液は、先に示した種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から製造しうる。調節剤も、調製された食品または薬剤の一部として投与されうる。
【0129】
経口投与に適切な製剤は、(a)水、生理食塩水またはPEG400等の希釈剤中に懸濁された有効量の包装された核酸等の液体溶液、(b)液体、固体、顆粒またはゼラチンとして、各々、予め測定された量の活性成分を含有するカプセル、小袋(sachet)または錠剤、(c)適切な液体中の懸濁液、および(d)適切なエマルジョンを包含しうる。錠剤形態としては、1つまたはそれ以上のラクトース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、微細セルロース、ゼラチン、コロイド性二酸化シリコン、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、充填剤、結合剤、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、風味剤、染料、崩壊剤、および薬学上適合しうるキャリヤを含みうる。薬用ドロップ形態は、ショ糖などの風味剤中に活性成分を包含し得て、同様に、トローチは、活性成分、当業界で知られるキャリヤに加えて、ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアエマルジョン、ゲルなどの不活性基材中に活性成分を包含する。
【0130】
本発明の内容で、患者に投与される用量は、時間をかけて対象に有益な応答、例えば、肺毛細管静水圧の減少、肺中の液体の減少、肺中の液体蓄積の速度の減少、またはそれらの組み合わせをもたらすのに十分であるべきである。あらゆる患者についての最適な用量レベルは、他の薬剤との可能な組み合わせで、そしてPEの重篤度で使用される特定の調節剤の効力、患者の年齢、体重、体力、および食事を含めた多様な因子による。用量サイズは、特定の対象での特定の化合物またはベクターの投与に付随するあらゆる副作用の存在、特性および範囲によっても決定される。
【0131】
投与されるべきαvβ5インテグリンの拮抗剤の有効量の拮抗剤を決定する上で、医師は、拮抗剤の循環する血漿濃度および拮抗剤毒性を評価しうる。一般に、拮抗剤の用量当量は、一般的な対象について約1ng/kgから10mg/kgまでである。
【0132】
投与について、αvβ5インテグリンの拮抗剤は、拮抗剤のLD50、および種々の濃度での拮抗剤の副作用よって決定される、対象の全体的および総合的な健康に適合した速度で投与されうる。投与は、単用量または分割用量を介して達成されうる。
【0133】
VI.組合せ療法
いくつかの実施態様では、αvβ5インテグリンの拮抗剤は、αvβ5インテグリンと関連した疾患または障害(例えば、脳梗塞、心筋梗塞、および癌(すなわち、新脈管形成))を治療または予防するための第2の治療剤と併用して投与される。例えば、αvβ5インテグリンの拮抗剤を、急性肺損傷および/またはARDSまたはPEを治療または予防するための第2の治療剤と併用して投与しうる。例えば、αvβ5インテグリンの拮抗剤(例えば、ALULA、ヒト化ALULA、またはALULAのフラグメント)を、例えば、利尿剤、気管支拡張剤、麻薬、酸素および選択的止血適用を含めたPEのための標準処置のいずれかと併用して投与しうる。さらに、αvβ5インテグリンの拮抗剤は、急性肺損傷および/またはARDSまたはPEに関連する代謝経路を標的にする剤と併用して投与されうる。例えば、αvβ5インテグリンの拮抗剤は、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、β−2作動薬、界面活性剤、αvβ5インテグリンまたはβ5に特異的に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6インテグリンに特異的に結合する抗体、αvβ6インテグリンの拮抗剤、トロンビン受容体拮抗剤、抗トロンビン剤、ロー・キナーゼ阻害剤、および例えばここに示されるアンチセンス・オリゴヌクレオチドおよびsiRNAを含めたαvβ5インテグリンの発現を阻害する核酸と併用して投与されうる。適切なTGFβ経路阻害剤としては、例えば、Lingら、J.Amer.Soc.Nephrol.14巻:377−388(2003年)、McCormickら、J.Immunol.163巻:5693−5699頁(1999年)、およびCordeiro、Curr.Opin.Mol.Ther.5巻(2):199−203頁(2003年)に記載されている、例えば、TGF−β抗体(TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3を特異的に阻害するもの、またはそれのいずれかの組合せを含めた);例えば、DaCosta Bayfield、Mol.Pharmacol.65巻(3):744−52頁(2004年)、Laping、Curr.Opin.Pharmacol.3巻(2):204−8頁(2003年)、Laping、Mol.Pharmacol.62巻(1):58−64頁(2002年)に記載されている、TGF−β受容体II型阻害剤またはTGF−β受容体I型キナーゼ阻害剤;例えば、Pittet、J.Clin.Invest.107巻:1537−1544頁(2001年);Wangら、Exp Lung Res.28巻(6):405−17頁(2002年)およびWang、Thorax 54巻(9):809−12頁(1999年)に記載されている、溶解性TGF−β受容体II型;例えば、Zhang、J.Invest.Dermatol.121巻(4):713−9頁(2003年)に記載されている、溶解性潜在関連ペプチド;例えば、Crawfordら、Cell 93巻:1159−1170頁(1998年)、Riberiroら、J.Biol.Chem.274巻:13586−13593頁(1999年)、およびSchultz−Cherryら、J.Biol.Chem.269巻:26775−26782頁(1994年)に記載されている、トロンボスポンジンI阻害剤が挙げられる。適切なβ−2作動薬としては、例えば、アルブテロール、ビトルテロール、フォルモテロール、イソプロテレノール、レバルブテロール、メタプロテレノール、ピルブテロール、サルメテロール、およびテルブタリンが挙げられる。適切な界面活性剤としては、Taeuschら、Acta Pharmacol Sin 23 補足版:11−15頁(2002年)に記載されている、例えば、エキソサーフ、インファサーフ、KL−4、プマクタント、サルバンタ、ベンチキュート、および界面活性剤TAが挙げられる。適切な抗トロンボ剤としては、例えば、ヒルジン、ヒルログ(バイオゲン(Biogen))、アルガトロバン(テキサス・バイオテクノロジー)およびエフェガトラン(リリー(Lilly))および米国特許番号第6,518,244号に記載される化合物が挙げられる。適切なトロンビン受容体拮抗剤は、例えば、米国特許番号第6,544,982号;第6,515,023号;第6,403,612号;第6,399,581号;および第5,446,131号に記載されている。適切なロー・キナーゼ阻害剤としては、例えば、Tasakaら、Am J Respir Cell Mol Biol.2005年5月18日に記載されている、例えば、Y−27632;例えば、Nishikimiら、J Hypertens.22巻(9):1787−96頁(2004年)に記載されてりう[Epub印刷前]、fasudi]、1−(5−イソキノリンスルホニル)−ホモピペラジン(HA−1077)、例えばSasakiら、Pharmacol Ther.93巻(2−3):225−32頁(2002年)で記載されている(S)−(+)−2−メチル−1−[(4−メチル−5−イソキノリン)スルホニル]−ホモピペラジン(H−1152P)、および例えば、米国特許番号第6,451,825号および第6,218,410号および米国特許公開番号20050014783号および20030134775号で記載されている追加のロー・キナーゼ阻害剤が挙げられる。
【0134】
さらに、αvβ5インテグリンの拮抗剤は、米国特許公開番号第20020192186号に記載されているアデノウイルス発現ATPaseと;米国特許公開番号第20020004042号に記載されているβ2アドレナリン作動性受容体と;米国特許番号第6,284,751号に記載されているVEGFβ拮抗剤と;米国特許番号第5,231,114号に記載されている脂質過酸化阻害剤と;および例えば、米国特許公開番号第2000/40019206号、第2004/0019037号、第2004/0019035号、第2004/0018192号、第2004/2004/0010023号、第2003/0181440号、第2003/0171271号、第2003/0139398号、第2002/0037889号、第2002/0077321号、第2002/0072500号、米国特許第6,683,051号およびGoodmanら、J.Med Chem.45巻(5):1045−51頁(2002年)に記載されているαvβ6、αvβ5、およびαvβ3インテグリンについての小分子阻害剤と併用して投与しうる。
【0135】
αvβ5インテグリンの拮抗剤(例えば、ALULA、ヒト化ALULA、またはALULAのフラグメント)および第2の治療剤は、同時に、または順次投与されうる。例えば、αvβ5インテグリンの拮抗剤を、最初に、続いて第2の治療剤を投与しうる。または、第2の治療剤を、最初に、続いてαvβ5インテグリンの拮抗剤を投与しうる。いくつかの場合には、αvβ5インテグリンの拮抗剤および第2の治療剤を、同一の製剤で投与する。他の場合には、αvβ5インテグリンの拮抗剤および第2の治療剤を、別個の製剤で投与する。αvβ5インテグリンの拮抗剤および第2の治療剤を、別個の製剤で投与するとき、それらの投与は、同時または順次に行いうる。
【0136】
投与については、対象の主要部および全般的健康に使用されるときに、αvβ5インテグリンの拮抗剤および第2の治療剤を、拮抗剤および第2の治療剤を組み合わせたLD50、および種々の濃度での拮抗剤および第2の治療剤の副作用によって決定された、対象の全体的および総合的な健康に適合した速度で投与しうる。いくつかの場合には、αvβ5インテグリンの拮抗剤および第2の治療剤を、サブ治療用量または治療用量で各々投与する。
【0137】
VII.キット
本発明は、PE、脳梗塞、心筋梗塞、および癌(すなわち、新脈管形成)を含めた、αvβ5インテグリンに関与する疾患を治療または予防するためのキットも提供する。そのキットは、αvβ5インテグリンの拮抗剤(例えば、ALULA、ヒト化ALULA、またはALULAのフラグメントを含めた、例えば、αvβ5インテグリンに結合する抗体)、およびβ5に結合する抗体(例えば、ALULA、ヒト化ALULA、またはALULAのフラグメント)、およびALULA)と競合する抗体、およびPEを含めたαvβ5インテグリンに関与する疾患の治療のための第2の治療剤を包含する。適切な第2の治療剤としては、例えば、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、利尿剤;気管支拡張剤、αvβ5インテグリンまたはβ5に特異的に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6に特異的に結合する抗体、αvβ6インテグリンの拮抗剤、β2−作動薬、および界面活性剤が挙げられる。キットは、キットを使用するための書面の指示(例えば、マニュアル)も含みうる。
【実施例】
【0138】
実施例1:材料および方法
げっ歯類の片肺虚血−PEの再灌流肺損傷モデル:マウスまたはラットが、肺移植、心肺バイパス、肺性血栓内膜摘出術、または重篤なショックを受ける。次に、虚血および再灌流を、それぞれ、30分および3時間誘発させた。虚血を誘発するために、30分間、左門を遮断すること(例えば、臍テープで)によって、左開胸を行う。再灌流を誘発するために、肺を、12ml/kgの空気の一回呼吸量で再膨張させ、そしてその後、正常な換気を再開する。動物を、3時間後に安楽死させ、そして各肺の透過性を、例えば、肺への標識アルブミン浸出を測定することによって評価し、脈管外肺当量(EVPE)として表された。
【0139】
PEのげっ歯類換気誘発肺損傷モデル:マウスまたはラットを、正常(kg当たり6ml)または高呼気量(kg当たり20ml)で換気させる。動物に、4時間後、125I標
識アルブミンを注射し、そしてその後、肺は、採取され、そしてEVPEを測定する。
【0140】
脈管外血漿当量(EVPE)の測定:EVPEを、例えば、Frankら、J.Biol.Chem.278巻(45):43939−43950頁(2003年)に記載されているとおりに測定した。簡潔には、血管トレーサー(例えば、125Iアルブミン)を、ラットの腹腔内に、肺採取の2時間前に注入する。血液を採取し、そして肺を取り出す。肺および血漿放射線活性を測定する。ヘモグロビン濃度を、肺ホモジネートで、そして血液で測定する。肺血管内放射線活性を、肺中の血液容積により血漿放射線活性計数を増幅することによって計算する。
【0141】
抗体:ALULAを、以下に示すとおりに作成した。W6/32;HLA A、BおよびCに特異的に結合するマウスモノクローナル抗体W6/32を、ATCCから得た。CD−1 WT;CD−1に結合するモノクローナル抗体を、ATCCから得た。
【0142】
実施例2:ALULAの作成、αvβ5インテグリンに特異的に結合するマウスモノクローナル抗体
αvβ5ノックアウト・マウスを、αvβ5インテグリン配列を包含するポリペプチドを発現する細胞で免疫した。αvβ5インテグリンを特異的に結合するモノクローナル抗体を、当業界で知られる方法を用いて特定した。さらに詳細には、β5に特異的に結合するALULAを特定した。ALULAを、2004年2月13日にATCCに寄託したが、受託番号:PTA−5817である。
【0143】
実施例3:β5-/-マウスは、PEに関連した肺損傷を発生しない
β5-/-マウスおよび野生型マウスを、上記の実施例1で記載したとおり換気させて、肺損傷に関連したPEを誘発させ、そしてEVPEを測定した。野生型マウスと対照的に、β5-/-マウスは、換気後にPEを発生しなかった。これらの結果は、αvβ5が、PEに関与することを示す。結果は、図1に示される。
【0144】
実施例4:β5に特異的に結合するモノクローナル抗体は、虚血再灌流に関連した肺水腫の重篤度を減少させる
虚血再灌流に関連したPEでのβ5の役割を決定するために、ラットに、以下の処置を施し、そしてEVPE測定を行った:
1.処置なし
2.腹腔内(i.p.)注射、グラム当たり4μgのW6/32.
3.腹腔内、グラム当たり4μgのALULA
4.虚血再灌流を、上記の実施例1で記載したとおり誘発させた。
5.虚血再灌流を、誘発させ、そしてグラム当たり4μgのW6/32を腹腔内に注射した。
6.虚血再灌流を、誘発させ、そしてグラム当たり4μgのALULAを腹腔内に注射した。
【0145】
これらの実験では、抗体は、虚血再灌流の誘発の前に注入した。
【0146】
ALULAでの処置を受けたラットは、対照ラットと比較してEVPEが減少したこと(すなわち、肺細胞透過性が減少したこと)を示し、これはβ5に特異的に結合するモノクローナル抗体が、PEの重篤度を減じうることを示す。
【0147】
結果は、図2に示す。
【0148】
実施例5:β5に特異的に結合するモノクローナル抗体は、肺損傷に関連した肺水腫の重篤度を減じる
肺損傷に関連したPEでのβ5の役割を決定するために、マウスに、以下の処置を施し、EVPE測定を行った:
1.正常な呼気量およびグラム当たり4μgのCD−1 WTの腹膜内注射
2.高呼気量およびグラム当たり4μgのCD−1 WTの腹膜内注射
3.正常な呼気量およびグラム当たり4μgのALULAの腹膜内注射
4.高呼気量およびグラム当たり4μgのALULAの腹膜内注射
【0149】
これらの実験では、抗体は呼気量処置の前に注入した。
【0150】
ALULAでの処置を受けたマウスは、対照マウスに比較してEVPEが減少したことを示し、これはβ5に特異的に結合するモノクローナル抗体が、PEの重篤度を減じうることを示す。
【0151】
したがって、ALULAは、丸ごとの哺乳類でのインビボの活性を遮断したことが示されたαvβ5に特異的な初めてのモノクローナル抗体であり、そして急性肺損傷(すなわち、PE)のモデルにおいて増大した血管透過性、および肺胞浸水の進行を遮断することが最初に示される。
【0152】
結果は、図3に示す。
【0153】
実施例6:抗体ALULAは、αvβ5インテグリンを発現する細胞に対するαvβ5インテグリン・リガンド、ビトロネクチンの結合を遮断する
αvβ5インテグリンを発現するSW−480細胞を、0μg/ml、0.3μg/ml、1μg/ml、および10μg/mlのALULAの存在下で、0μg/ml、0.1μg/ml、0.3μg/ml、および1μg/mlのビトロネクチンと接触させる。α9β1インテグリンに特異的なモノクローナル抗体(すなわち、Y9A2)を、負の対照として使用する。ALULAは、細胞に対するαvβ5インテグリン・リガンド、ビトロネクチンの結合を遮断する。結果は、図4に示す。
【0154】
上記の実施例は、本発明を例示するために提供されるが、しかしその範囲を限定するものでない。本発明の他の改変は、当業者に十分に明らかであり、そして付随の請求の範囲に含まれる。ここに引用される全ての刊行物、データベース、特許、特許出願、および受託番号は、全ての目的のためにその全体が参照によりここに組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
αvβ5インテグリンの拮抗剤の治療量を、対象に投与することを含む、哺乳類対象における肺水腫を治療または予防する方法。
【請求項2】
前記拮抗剤が、1kDaより小さい剤である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記拮抗剤が、抗体である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記抗体が、ヒト化抗体である請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記抗体が、scFv、Fab、および(Fab’)2からなる群から選択される請求
項3に記載の方法。
【請求項6】
前記抗体が、αvβ5インテグリンに対する特異的結合についてALULA(ATCC寄託番号PTA−5817号)と競合する請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記抗体が、ALULAである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗体が、ヒト化ALULAである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記投与が、静脈内投与、鼻腔内投与、および気管支内投与からなる群から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記哺乳類が、ヒトである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ヒトが、肺水腫を有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ヒトが、肺水腫を発生する危険にある請求項10に記載の方法。
【請求項13】
急性肺損傷を治療または予防するための第2の治療剤を、対象にさらに投与することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の治療剤が、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、利尿剤、気管支拡張剤、αvβ5インテグリンに結合する抗体、β5に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6インテグリンの拮抗剤、β2作動薬、および界面活性剤からなる群から選択される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
αvβ5に対する結合についてALULA(ATCC寄託番号PTA−5817号)と特異的に競合する抗体。
【請求項16】
前記抗体が、ALULAである請求項15に記載の抗体。
【請求項17】
前記抗体が、ヒト化ALULAである請求項15に記載の抗体。
【請求項18】
前記抗体が、scFv、Fab、および(Fab’)2からなる群から選択される請求項15に記載の抗体。
【請求項19】
薬学上許容しうる賦形剤、およびαvβ5に対する特異的結合についてALULA(ATCC寄託番号PTA−5817号)と競合する抗体を含む医薬組成物。
【請求項20】
前記抗体が、ALULAである請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記抗体が、ヒト化ALULAである請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項22】
急性肺損傷を治療または予防するための第2の治療剤をさらに含む請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記第2の治療剤が、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、利尿剤、気管支拡張剤、αvβ5インテグリンに結合する抗体、β5に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6インテグリンの拮抗剤、β-2作動薬、および界面活性剤からなる群から選択される請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
肺水腫を治療するための剤を同定する方法であって、
複数の剤をαvβ5と接触させること;
αvβ5インテグリンに対する結合についてαvβ5インテグリンのリガンドと競合する剤を選択すること;および
選択された前記の剤が、肺水腫に対する効果を有するかどうかを決定して、それにより肺水腫を治療するための剤を特定することを含む方法。
【請求項25】
前記複数の剤が、複数の抗体である請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記複数の剤が、それぞれ1KDaより小さい請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記リガンドが、抗体である請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記抗体が、ALULAである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記リガンドが、ビトロネクチン、フィブロネクチン、オステオポンチン、テネイシンCおよびアデノウイルスペントンベースからなる群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項30】
肺水腫を治療または予防するためのキットであって、
αvβ5インテグリンの拮抗剤;および
急性肺損傷を治療または予防するための第2の治療剤を含むキット。
【請求項31】
αvβ5インテグリンの前記拮抗剤が、モノクローナル抗体である請求項30に記載のキット。
【請求項32】
前記モノクローナル抗体が、ALULAである請求項31に記載のキット。
【請求項33】
前記モノクローナル抗体が、ヒト化ALULAである請求項31に記載のキット。
【請求項34】
前記第2の治療剤が、TGFβ経路阻害剤、活性化プロテインC、ステロイド、GM−CSF、血小板阻害剤、利尿剤、気管支拡張剤、αvβ5インテグリンに結合する抗体、β5に結合する抗体、αvβ5インテグリンの第2の拮抗剤、αvβ6インテグリンの拮抗剤、β-2作動薬、および界面活性剤からなる群から選択される請求項30に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−28611(P2013−28611A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−186169(P2012−186169)
【出願日】平成24年8月27日(2012.8.27)
【分割の表示】特願2007−506335(P2007−506335)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】