説明

c−Metに対する抗体

本発明は、c-Met、好ましくはヒトc-Metに特異的に結合し、またc-Metを阻害するように機能するヒト抗体を含む抗体、およびこの抗原結合部分に関する。本発明はまた、ヒト抗c-Met抗体、およびこの抗原結合部分にも関する。本発明はまた、キメラ抗体、二重特異性抗体、誘導体化抗体、単鎖抗体、または融合タンパク質の一部である抗体にも関する。本発明はまた、ヒト抗c-Met抗体に由来する、単離された重鎖および軽鎖の免疫グロブリン、ならびにこのような免疫グロブリンをコードする核酸分子にも関する。本発明はまた、ヒト抗c-Met抗体、このような抗体を含む組成物を作製する方法、ならびに抗体および組成物を診断および治療に使用する方法にも関する。本発明はまた、本発明のヒト抗c-Met抗体を含む、重鎖および/または軽鎖の免疫グロブリン分子をコードする核酸分子を用いる遺伝子治療法も提供する。本発明はまた、本発明の核酸分子を含むトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物にも関する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
c-Metと特異的に結合するヒトモノクローナル抗体、またはこの抗原結合部分。
【請求項2】
抗体または抗体の一部が、以下に挙げる特性の少なくとも1つを有する、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体または抗原結合部分:
(a)ヒト細胞と結合すること;
(b)インスリン様成長因子1受容体に対する選択性より少なくとも100倍大きいc-Metに対する選択性を有すること;
(c)2.0×10-7 Mまたはそれ以下のKDでc-Metと結合すること;
(d)c-Metに対して1.0×10-3 s-1またはこれより小さい解離速度定数(koff)を有すること;
(e)ヒトHGFの存在下でヒトc-Metと結合すること。
【請求項3】
抗体または抗体の一部が、2.0×10-7 Mもしくはそれ以下のKDでc-Metと結合し、かつHGFとc-Metとの結合を阻害する、請求項2記載のヒトモノクローナル抗体または抗体の一部。
【請求項4】
抗体または抗体の一部が、以下からなる群より選択される少なくとも1つの特性を有する、ヒトc-Metと特異的に結合して阻害する、ヒト化されたキメラ抗体、またはヒトモノクローナル抗体もしくはこれらの抗原結合部分:
(a)c-Metとの結合をめぐって、13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;13.3.2L-A91T;および13.3.2L-A91T, H-E42K;13.3.2L-A91T, H-E42K, S97Tからなる群より選択される抗体と交差競合すること;
(b)c-Metとの結合をめぐって、13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;13.3.2L-A91T;および13.3.2L-A91T, H-E42K;13.3.2L-A91T, H-E42Kからなる群より選択される抗体と競合すること;
(c)13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;13.3.2L-A91T;13.3.2L-A91T, H-E42K;および13.3.2L-A91T, H-E42Kからなる群より選択される抗体と同様に、c-Metの同じエピトープと結合すること;
(d)13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;13.3.2L-A91T;13.3.2L-A91T, H-E42K;および13.3.2L-A91T, H-E42K, S97Tからなる群より選択される抗体と実質的に同じKDでc-Metと結合すること;ならびに
(e)13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;13.3.2L-A91T;13.3.2L-A91T, H-E42K;および13.3.2L-A91T, H-E42Kからなる群より選択される抗体と、実質的に同じ解離速度定数でc-Metと結合すること。
【請求項5】
以下を含む、c-Metと特異的に結合するモノクローナル抗体:
(a)X2がリシンであり、かつX4がスレオニンである、シグナル配列を含まないSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む重鎖;および
(b)シグナル配列を含まないSEQ ID NO:4で表されるアミノ酸配列を含む軽鎖(X8がスレオニン)。
【請求項6】
以下からなる群より選択される、c-Metと特異的に結合するモノクローナル抗体:
(a)シグナル配列を含まない、X2がグルタミン酸であり、かつX4がセリンであるSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を有する重鎖、およびX8がアラニンであるSEQ ID NO:4で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体;
(b)シグナル配列を含まない、SEQ ID NO:6で表されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む抗体、およびSEQ ID NO:8で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖;
(c)シグナル配列を含まない、SEQ ID NO:10で表されるアミノ酸配列を有する重鎖、およびSEQ ID NO:12で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体;ならびに
(d)シグナル配列を含まない、SEQ ID NO:14で表されるアミノ酸配列を有する重鎖、およびSEQ ID NO:16で表されるアミノ酸配列を有する軽鎖を含む抗体。
【請求項7】
以下を含む、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体または抗原結合部分:
(a)モノクローナル抗体13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;および13.3.2H-E42K, S97Tからなる群より選択される抗体の重鎖から独立に選択される重鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3;または
(b)モノクローナル抗体13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2L-A91Tからなる群より選択される抗体の軽鎖から独立に選択される軽鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3。
【請求項8】
ヒトのVH 4-31の遺伝子、ヒトのVH 4-39の遺伝子、ヒトのVH 3-7の遺伝子、ヒトのVH 1-18の遺伝子、またはヒトのVH 3-33の遺伝子を用いる重鎖を含む、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体または抗原結合部分。
【請求項9】
ヒトのVK L5の遺伝子またはヒトのVK A27の遺伝子を用いる軽鎖を含む、請求項8記載のヒトモノクローナル抗体またはこの抗原結合部分。
【請求項10】
VLドメインおよびVHドメインが、13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;および13.3.2L-A91TのVLドメインおよびVHドメインとアミノ酸配列において、それぞれと少なくとも90%同一である、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体。
【請求項11】
以下である、c-Metと特異的に結合するモノクローナル抗体またはこの抗原結合部分:
(a)重鎖が、13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;および13.3.2H-S97Tからなる群より選択される抗体の重鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列を含み;
(b)軽鎖が、13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2L-A91Tからなる群より選択される抗体の軽鎖のCDR1、CDR2、およびCDR3のアミノ酸配列を含み;
(c)抗体が、(a)の重鎖と(b)の軽鎖を含み;または
(d)重鎖および軽鎖のCDRのアミノ酸配列が、13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;13.3.2H-S97T;および13.3.2L-A91Tからなる群より選択される同じ抗体から選択される、(c)の抗体。
【請求項12】
請求項11記載のヒトモノクローナル抗体または抗体の一部分であって:
(a)いずれもシグナル配列を含まない、重鎖が、13.3.2(X2がグルタミン酸であり、かつX4がセリンであるSEQ ID NO:2);9.1.2(SEQ ID NO:6);8.70.2(SEQ ID NO:10);8.90.3(SEQ ID NO:14);13.3.2H-E42K;13.3.2H-S97T;13.3.2H-E42K, S97Tからなる群より選択される抗体の重鎖の可変部ドメインのアミノ酸配列を含み;
(b)いずれもシグナル配列を含まない、軽鎖が、13.3.2(X8がアラニンであるSEQ ID NO:4);9.1.2(SEQ ID NO:8);8.70.2(SEQ ID NO:12);8.90.3(SEQ ID NO:16);13.3.2L-A91Tからなる群より選択される抗体の軽鎖の可変部ドメインのアミノ酸配列を含み;
(c)抗体もしくは抗体の一部分が、両方の可変部ドメインを含み;または
(d)いずれもシグナル配列を含まない、抗体もしくは抗体の一部分が、13.3.2(X2がグルタミン酸であり、かつX4がセリンであるSEQ ID NO:2、およびX8がアラニンであるSEQ ID NO:4);9.1.2(SEQ ID NO:6および8);8.70.2(SEQ ID NO:10および12);8.90.3(SEQ ID NO:14および16);13.3.2H-E42K;13.3.2H-S97T;13.3.2H-E42K, S97T;ならびに13.3.2L-A91Tからなる群より選択される同じ抗体に由来する可変部ドメインの配列を含む、ヒトモノクローナル抗体または抗体の一部分。
【請求項13】
以下からなる群より選択される、c-Metと特異的に結合する、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体:
(a)X8がスレオニンであるSEQ ID NO:4、およびX2がリシンであり、X4がセリンであるSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む抗体;
(b)X8がスレオニンであるSEQ ID NO:4、およびX4がスレオニンであり、X2がリシンであるSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む抗体;
(c)X8がスレオニンであるSEQ ID NO:4、およびX2がグルタミン酸であり、X4がセリンである、SEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む抗体;
(d)X8がアラニンであるSEQ ID NO:4、およびX2がグルタミン酸であり、X4がスレオニンであるSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む抗体;
(e)X8がアラニンであるSEQ ID NO:4、およびX2がリシンであり、X4がセリンであるSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む抗体;ならびに
(f)いずれもシグナル配列を含まない、X8がアラニンであるSEQ ID NO:4、およびX2がリシンであり、X4がスレオニンであるSEQ ID NO:2で表されるアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合部分、および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体もしくは抗原結合部分、または請求項14記載の薬学的組成物を治療対象に投与する段階を含み、抗体または抗体の一部分がc-Metを阻害する、治療を必要とする対象の過増殖障害を治療する方法。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体もしくは抗原結合部分、または請求項14記載の薬学的組成物を治療対象に投与する段階を含み、抗体、抗原結合部分、または薬学的組成物がc-Metを活性化する、治療を必要とする対象の創傷治癒もしくは組織再生を促す方法。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体もしくは抗原結合部分、または該抗体もしくは該部分の重鎖または軽鎖を産生する、単離された細胞系列。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体の重鎖もしくはこの抗原結合部分、または軽鎖もしくはこの抗原結合部分をコードするヌクレオチド配列を含む、単離された核酸分子。
【請求項19】
核酸分子に機能的に連結させた発現制御配列を任意で含む、請求項18記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項20】
請求項19記載のベクター、または請求項18記載の核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項21】
請求項20記載の宿主細胞、または請求項17記載の細胞系列を適切な条件で培養する段階、および抗体または抗原結合部分を回収する段階を含む、抗c-Met抗体またはこの抗原結合部分を作製する方法。
【請求項22】
請求項18記載の核酸を含む非ヒトトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物であって、該核酸を発現する非ヒトトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物。
【請求項23】
請求項22記載の非ヒトトランスジェニック動物またはトランスジェニック植物から抗体を単離する段階を含む、ヒトc-Metと特異的に結合する抗体またはこの抗原結合部分を単離する方法。
【請求項24】
以下の段階を含む、c-Metと特異的に結合する抗体またはこの抗原結合部分で、治療を必要とする対象を治療する方法:
(a)重鎖もしくはこの抗原結合部分をコードする、単離された核酸分子、軽鎖もしくはこの抗原結合部分をコードする単離された核酸分子、または軽鎖および重鎖、もしくはこれらの抗原結合部分をコードする核酸分子の両方の有効量を投与する段階;ならびに
(b)核酸分子を発現させる段階。
【請求項25】
以下の段階を含む、c-Metと特異的に結合するヒトモノクローナル抗体を作製する方法:
(a)ヒト抗体を産生可能な非ヒトトランスジェニック動物を、c-Met、c-Metの免疫原性部分、またはc-Metを発現する細胞もしくは組織によって免疫化する段階;
(b)トランスジェニック動物がc-Metに対する免疫応答を惹起可能とする段階;ならびに
(c)トランスジェニック動物からBリンパ球を単離する段階。
【請求項26】
請求項25記載の方法で作製された、単離された抗体。
【請求項27】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合部分を細胞に接触させる段階を含む、c-Metを発現する細胞に対するHGFの結合を阻害する方法。
【請求項28】
請求項1〜13のいずれか一項記載の抗体または抗原結合部分を単球に接触させる段階を含む、単球増殖を阻害する方法。
【請求項29】
以下からなる群より選択される、請求項1記載の抗体または抗原結合部分:
(a)シグナル配列を含まない、抗体13.3.2H-E42Kの重鎖のアミノ酸配列、およびX8がアラニンであるSEQ ID NO:4で表される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体;
(b)シグナル配列を含まない、抗体13.3.2H-E42K, S97Tの重鎖のアミノ酸配列、およびX8がアラニンであるSEQ ID NO:4で表される軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体;
(c)シグナル配列を含まない、X2がグルタミン酸であり、かつX4がセリンである、SEQ ID NO:2のアミノ酸配列、および抗体13.3.2L-A91Tの軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体;
(d)シグナル配列を含まない、抗体13.3.2H-E42Kの重鎖のアミノ酸配列、および抗体13.3.2L-A91Tの軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体;ならびに
(e)シグナル配列を含まない、抗体13.3.2H-E42K, S97Tの重鎖のアミノ酸配列、および抗体13.3.2L-A91Tの軽鎖のアミノ酸配列を含む抗体。
【請求項30】
0抗体13.3.2;9.1.2;8.70.2;8.90.3;13.3.2H-E42K;13.3.2H-E42K, S97T;および13.3.2L-A91Tからなる群より選択される抗体のFR1、FR2、FR3、またはFR4のアミノ酸配列の1つもしくは複数を含む、c-Metと特異的に結合するモノクローナル抗体、またはこの抗原結合部分。
【請求項31】
以下を含む、請求項1記載のヒトモノクローナル抗体:
(a)シグナル配列を含まない、モノクローナル抗体13.3.2、9.1.2、8.70.2、もしくは8.90.3の重鎖のアミノ酸配列と少なくとも90%が同一である重鎖のアミノ酸配列;
(b)シグナル配列を含まない、モノクローナル抗体13.3.2、9.1.2、8.70.2、もしくは8.90.3の軽鎖のアミノ酸配列と少なくとも90%が同一である軽鎖のアミノ酸配列;または
(c)(a)および(b)の両方。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図6M】
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【図6N】
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【図6O】
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【図6P】
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【公表番号】特表2007−501013(P2007−501013A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522679(P2006−522679)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/025107
【国際公開番号】WO2005/016382
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506041626)ファイザー プロダクツ インコーポレイティッド (1)
【出願人】(506042346)アブジェニックス インク. (1)
【Fターム(参考)】