gC1qR/p32を標的化するための方法および組成物

【課題】gC1qR/p32と選択的に相互作用するとともに、化学療法剤、遺伝子治療ベクター又は他の薬剤を適切な組織へ選択的に標的化するのに適した分子を提供する。
【解決手段】gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、該対象に配列番号1を含む組成物を投与するステップとを含む。gC1q/p32受容体の存在を検出する方法が更に開示され、該方法は、細胞とLyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含み、これにより、gC1q/p32受容体の存在を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出願への相互参照
本願は、2006年7月13日に出願された米国仮特許出願第60/807,255号の利益を主張する。米国仮特許出願第60/807,255号は、その全体が参考として本明細書中に組み込まれる。
【0002】
国家により補助された研究に関する申告
本願発明は、NIH補助金第PO1CA82713号、および同第RO1CA115410号;癌センター(Cancer center)支援補助金第P30CA30199号;ならびに国防総省補助金第DAMD17−02−1−0315号のもと、政府の支援でなされた。
【0003】
発明の分野
本発明は、概して分子医学及び癌生物学に関し、より具体的にはgC1q/p32受容体と相互作用する分子に関する。
【背景技術】
【0004】
C1qは古典的補体経路のCI複合体の構成要素である(非特許文献1)。C1qの生物学的機能は多様であり、オプソニン化及び細胞溶解のための補体カスケードの開始並びにC1q受容体を発現する細胞型に依存する複数の異なる機能の媒介を含む。C1qは、単球/マクロファージにおけるFcR及びCR1媒介性食作用を亢進させ(D.A.Bobakら、Eur.J.Immunol.1988;18:2001−2007;D.A.Bobakら、J.Immunol.1987;138:1150−1156)、B細胞による免疫グロブリン産生を刺激し(K.R.Youngら、J.Immunol.1991;146:3356−3364)、血小板を活性化してαIIb/β3インテグリン,P−セレクチン及び凝固促進活性を発現させ(E.I.B.Peerschkeら、J.Exp.Med.1993;178:579−587;E.I.B.Peerschkeら、J.Immunol.1994;152:5896−5901)、マクロファージの腫瘍細胞毒性を活性化し(R.W.Leuら、J.Immunol.1990;144:2281−2286)、T細胞増殖に対して抗増殖作用を及ぼし(A.Chenら、J.Immunol.1994;153:1430−1440)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)侵入蛋白質InIBの受容体として機能するBraunら、EMBO J,2000;19:1458−1466)。
【0005】
C1q分子の球状頭部に結合する、gC1qR/p32(或いは、p32と称され、本明細書ではgC1qR/p32と称される)と称される33キロダルトン(kD)の受容体が同定され、クローニングされ、配列決定されている(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4)。gC1qR/p32の結晶構造も判明している(Jiangら、PNAS,1999;96,3572−3577)。cC1qRと称される別の60kDの受容体は、C1qのアミノ末端コラーゲン様領域に結合する(B.Ghebrehiwet,Behring Inst.Mitt.1989;84:204−215;A.Chenら、J.Immunol.1994;153:1430−1440)。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅によるgC1q−R mRNAの検出及び免疫化学的方法によるgC1q−R蛋白質の発現に基づき、この受容体は、多数の異なる細胞型、例えば、B細胞、T細胞、単球/マクロファージ、好中球、好酸球、線維芽細胞、血小板、内皮細胞、肝細胞、神経細胞及び平滑筋細胞に存在することが見出された。gC1q−R蛋白質は腫瘍細胞及び腫瘍において過剰発現している(非特許文献5)。
【0006】
血管の内膜は高度に多様性である。多くの、また、おそらくすべての正常組織はその血管系に組織特異的「シグネチャー」を付与し、腫瘍血管は形態及び分子組成において正常血管と異なる(Ruoslahti E.Specialization of tumor vasculature.Nat Rev Cancer 2002;2:83−90)。腫瘍は膨張性増殖を支持するため、血管新生を誘導し(Hanahan D,Weinberg RA.The hallmarks of cancer.Cell 2000;100:57−70)、腫瘍血管の多くの変化は血管新生と関連する(Brooks PGら、J Reprod Med 1994;39:755−60;Christianら、J Cell Biol 2003;163:871−8;Ferraraら、Nat Med 1999;5:1359−64;Pasqualiniら、Cancer Res 2000;60:722−7)。更に、腫瘍血管は腫瘍型特異的、また、一部の病期では腫瘍病期特異的特性を有する。ファージライブラリーのin vivoスクリーニングにより、臓器特異的腫瘍形成の二匹のトランスジェニックマウスモデルにおいて血管新生シグネチャーを選択的に認識する、異なる集団のホーミングペプチドが生じた。ホーミングペプチドは、同一腫瘍において前悪性病変の新生血管と完全な悪性病変の新生血管とを識別することもできる。腫瘍におけるリンパ管も、腫瘍リンパ管と正常組織におけるリンパ管とを識別する特異的マーカーを保有する(Laakkonenら、Nat Med 2002;8:751−755;Laakkonenら、Proc Natl Acad Sci USA,2004;101:9381−9386:Zhangら、Cancer Res,2006;66:5696−9706)。腫瘍血管及びリンパ管は腫瘍治療の重要な標的を提供する。腫瘍血管を破壊し、或いはその増殖を阻止することにより腫瘍増殖を抑制し、一方、腫瘍リンパ管は腫瘍増殖に不可欠ではないが、これを破壊することにより転移が減少する(Saharinenら、Trends Immunol 2004;25:387−95)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】R.B.Sim及びK.B.M.Reid,Immunology Today 1991;12:307−311
【非特許文献2】B.Ghebrehiwetら、J.Exp.Med.1994;179:1809−1821
【非特許文献3】E.I.B.Peerschkeら、J.Immunol.1994;152:5896−5901
【非特許文献4】A.Chenら、J.Immunol.1994;153:1430−1440
【非特許文献5】Rubinsteinら、Int J Cancer,2004;110:741−750
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
腫瘍におけるgC1qR/p32の発現亢進及び本明細書で報告されている知見は、gC1q受容体(或いは、当該技術分野ではgC1qR、本明細書ではp32、全体ではgC1qR/p32と称される)を選択的に標的とする新規治療方法の必要性があることを示す。本発明は、gC1qR/p32と選択的に相互作用するとともに、化学療法剤、遺伝子治療ベクター又は他の薬剤を適切な組織へ選択的に標的化するのに適した分子を提供することにより、この必要性を満たす。関連する利点もまた提供される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、例えば、以下を提供する:
(項目1)
gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法であって、
a.gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、
b.前記対象に配列番号1を含む組成物を投与するステップと
を含む方法。
(項目2)
前記対象が癌を有する、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記組成物が部分(moiety)を更に含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記部分(moiety)が、治療成分、診断薬又はナノ粒子である、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記治療成分がDNA関連プロセスを標的とする、項目4に記載の方法。
(項目6)
前記治療成分が、細胞毒性剤、アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質、配列選択剤(sequence−selective agent)、血管新生阻害剤、シクロホスファミド、メルファラン、マイトマイシンC、ビゼレシン、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、SN−38、Et−743、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ゲルダナマイシン、クロラムブシル、メトトレキサート及びTLK286からなる群より選択される、項目4に記載の方法。
(項目7)
gC1q/p32受容体の存在を検出する方法であって、
a.細胞とLyp−1組成物(前記Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、
b.gC1q/p32受容体と前記Lyp−1組成物との相互作用を検出し、これにより、gC1q/p32受容体の存在を検出するステップと
を含む方法。
(項目8)
前記部分(moiety)が、検出可能物質、ポリペプチド、核酸分子又は低分子である、項目7に記載の方法。
(項目9)
前記Lyp−1組成物がウイルスを含む、項目7に記載の方法。
(項目10)
前記Lyp−1組成物がファージを含む、項目7に記載の方法。
(項目11)
前記検出可能物質が、低分子、フルオロフォア、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13又はそれらの組合せである、項目8に記載の方法。
(項目12)
gC1q/p32受容体とLyp−1組成物との相互作用を検出する方法であって、前記Lyp−1組成物が、配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、
a.gC1q/p32受容体を含む可能性について細胞を選択するステップと、
b.前記Lyp−1組成物と前記細胞とを接触させるステップと、
c.gC1q/p32受容体と前記Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含む方法。
(項目13)
前記部分(moiety)が検出可能物質である、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記部分(moiety)が、ポリペプチド、核酸分子、低分子、フルオロフォア、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13又はそれらの組合せである、項目12に記載の方法。
(項目15)
Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する方法であって、前記Lyp−1組成物が、配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、前記Lyp−1組成物と細胞とを接触させ、これにより、前記Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達するステップを含む方法。
(項目16)
前記細胞が対象内にあり、前記細胞が、前記対象の別の細胞におけるgC1q/p32受容体の存在を検出することにより、gC1q/p32受容体を含む可能性について選択される、項目15に記載の方法。
(項目17)
Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する方法であって、前記Lyp−1組成物が、配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、
a.gC1q/p32受容体を含む可能性について細胞を選択するステップと、
b.前記Lyp−1組成物と前記細胞とを接触させ、これにより、前記Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達するステップと
を含む方法。
(項目18)
対象の細胞におけるgC1q/p32受容体レベルを評価する方法であって、
a.前記対象の細胞と、配列番号1を含む組成物に結合した検出可能物質を含むLyp−1組成物とを接触させるステップと、
b.gC1q/p32受容体と相互作用するLyp−1組成物のレベルを検出し、これにより、前記細胞におけるgC1q/p32受容体レベルを評価するステップと
を含む方法。
(項目19)
前記対象におけるgC1q/p32受容体レベルが、同一対象における過去の測定値と比較される、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記対象におけるgC1q/p32受容体レベルが、対照レベル又は標準レベルと比較される、項目18に記載の方法。
(項目21)
gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定する方法であって
a.前記対象の細胞とLyp−1組成物(前記Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、
b.gC1q/p32受容体と前記Lyp−1組成物との相互作用を検出し、これにより、gC1q/p32の存在又はレベルを検出し、gC1q/p32受容体の存在又はレベルにより、前記対象がgC1q/p32受容体と関連する疾患を有すると確認するステップと
を含む方法。
(項目22)
前記疾患が癌である、項目21に記載の方法。
(項目23)
前記細胞が癌細胞である、項目21に記載の方法。
(項目24)
gC1q/p32受容体と相互作用する化合物をスクリーニングする方法であって、
a.被験化合物、Lyp−1組成物(前記Lyp−1組成物は配列番号1を含む)及びgC1q/p32受容体を接触させるステップと、
b.非結合Lyp−1組成物を検出し、所与量の非結合Lyp−1組成物が、gC1q/p32受容体と相互作用する化合物を示すステップと
を含む方法。
(項目25)
前記Lyp−1組成物が、配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を更に含む、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記部分(moiety)が検出可能物質を更に含む、項目25に記載の方法。
(項目27)
gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法であって、
a.gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、
b.前記対象にgC1q/p32受容体と相互作用する組成物を投与し、これにより、gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置するステップと
を含む方法。
(項目28)
前記組成物が、抗体、蛋白質又は化学物質である、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記細胞が、生物内、対象内、原位置、生体外、培養物中又は試験管内にある、項目12から28のいずれか一項に記載の方法。
(項目30)
gC1q/p32受容体と相互作用する前記組成物が、Lyp−1を模倣する、項目27に記載の方法。
(項目31)
gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置する方法であって、gC1q/p32受容体の発現又は活性を調節する組成物を前記対象に投与し、これにより、gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置或いは予防するステップを含む方法。
(項目32)
前記疾患が癌である、項目31に記載の方法。
(項目33)
gC1q/p32受容体の発現又は活性が阻害される、項目31に記載の方法。
(項目34)
gC1q/p32受容体の発現が、阻害性核酸を用いて阻害される、項目33に記載の方法。
(項目35)
前記阻害性核酸がsiRNAである、項目34に記載の方法。
(項目36)
gC1q/p32受容体の活性が、LyP−1ペプチド、抗体又はLyp−1の低分子模倣体によって阻害される、項目33に記載の方法。
gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、該対象に配列番号1を含む組成物を投与するステップとを含む。
【0010】
gC1q/p32受容体の存在を検出する方法が更に開示され、該方法は、細胞とLyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含み、これにより、gC1q/p32受容体の存在を検出する。
【0011】
gC1q/p32受容体とLyp−1組成物との相互作用を検出する方法が更に開示され、該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、該方法は、gC1q/p32受容体を含む可能性について細胞を選択するステップと、該Lyp−1組成物と該細胞とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含む。
【0012】
Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する方法が更に開示され、該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、該方法は、該Lyp−1組成物と細胞とを接触させるステップを含み、これにより、該Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する。
【0013】
Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する方法が開示され、該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、該方法は、gC1q/p32受容体を含む可能性について細胞を選択するステップと、該Lyp−1組成物と該細胞とを接触させるステップとを含み、これにより、該Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する。
【0014】
対象の細胞におけるgC1q/p32受容体レベルを定量且つ/或いは評価する方法が更に開示され、該方法は、該対象の細胞と配列番号1を含む組成物に結合した検出可能物質を含むLyp−1組成物とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と相互作用するLyp−1組成物のレベルを検出ステップとを含み、これにより、該細胞におけるgC1q/p32受容体レベルを定量且つ/或いは評価する。
【0015】
gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定する方法が本明細書で開示され、該方法は、該対象の細胞とLyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含み、これにより、該細胞におけるgC1q/p32の存在又はレベルを検出し、該細胞におけるgC1q/p32受容体の存在又はレベルにより、該対象がgC1q/p32受容体と関連する疾患を有すると確認される。
【0016】
gC1q/p32受容体と相互作用する化合物をスクリーニングする方法が更に開示され、該方法は、被験化合物、Lyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む)及びgC1q/p32受容体を接触させるステップと、非結合Lyp−1組成物を検出するステップとを含み、所与量の該非結合Lyp−1組成物がgC1q/p32受容体と相互作用する化合物を示す。
【0017】
gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法が更に開示され、該方法は、gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、Lyp−1と同じ部位においてgC1q/p32受容体と相互作用する組成物を該対象に投与するステップとを含み、これにより、gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する。
【0018】
gC1q/p32受容体は、例えば、細胞表面又は細胞内にありうる。該細胞は任意の背景にあってよく、例えば、生物内、原位置、生体外、培養液中及び/又は試験管内でよい。
【0019】
gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置或いは予防する方法が更に開示され、該方法は、gC1q/p32受容体の発現又は活性を調節する組成物を該対象に投与するステップを含み、これにより、gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置或いは予防する。該疾患は癌でありうる。gC1q/p32受容体の発現又は活性は阻害されうる。これは、阻害性核酸、例えば、shRNA又はsiRNAの使用によって生じうる。gC1q/p32受容体の活性は、LyP−1ペプチド、抗体又はLyp−1の低分子模倣体によって阻害されうる。
【0020】
開示される方法及び組成物の更なる利点は、一部が後述の説明に示され、一部が該説明から理解され、或いは開示される方法及び組成物の実施により理解されうる。開示される方法及び組成物の利点は、添付された特許請求の範囲に詳細に示される要素及び組合せによって理解され、達成される。前述の全般的説明及び後述の詳細な説明は共に単に例示的且つ説明的であって、特許請求される本発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0021】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、開示される方法及び組成物の複数の実施形態を示し、該説明と共に開示される方法及び組成物の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】プルダウンアッセイにおいてgC1q/p32RがLyp−1ペプチドと結合することを示す図である。プルダウンアッセイは、MDA−MB−435培養細胞(a)又はMDA−MB−435腫瘍異種移植片(b)から得られた蛋白抽出物由来のビオチン化Lyp−1ペプチド(配列番号1,CGNKRTRGC)にて示される。陰性対照として、腫瘍ホーミングペプチドCREKA(配列番号3)と、そのアミノ酸組成及び環状構造においてLyp−1に類似するペプチドCRV(配列番号4,CRVRTRSGC)とが用いられた。(a)左側パネル:Lyp−1結合蛋白質の銀染色。矢印は特異的33kDバンドを示し、これは質量分析によりgC1q/p32Rと確認された。右側パネル:gC1q/p32受容体に対するモノクローナル抗体を用いた、Lyp−1及び対照ペプチドに結合した総細胞抽出物(総溶解物)・蛋白質の免疫ブロット。該抗体は総蛋白質溶解物及びLyp−1プルダウンにおいて33kDのバンドを認識する。両対照ペプチドからのプルダウンにおいて抗gC1q/p32受容体反応性バンドは検出されない。Lyp−1ペプチドによりMDA−MB−435腫瘍異種移植片からプルダウンされた蛋白質の銀染色は、更なる75kDバンドを示し(b−左側パネル)、これも質量分析によりC1q/p32受容体と確認された。gC1qR/p32に対する該モノクローナル抗体は、Lyp−1ペプチドプルダウンにおいてのみ75kD及び33kDバンドを認識した(b−右側パネル)。
【図2】Lyp−1ファージが精製gC1qR/p32蛋白質に特異的に結合することを示す図である。(a)精製gC1qR又は対照としてのBSAがマイクロタイターウェルに被覆され(5μg/ml)、108pfuの無挿入(insertless)ファージ、Lyp−1ファージ又は別の腫瘍ホーミングペプチド(CREKA、配列番号3)を保有する対照ファージとの結合に対して標的化された。37℃で16時間のインキュベーション後、結合ファージを溶出させ、プラークアッセイにより定量した。その結果は、無挿入ファージ(insertless phage)に対する回収されたLyp−1及びCREKA(配列番号3)の倍数として表され、5回の独立試験の典型である。(b)gC1qRのN末端に対する抗体は、精製gC1qR/p32へのLyp−1ファージの結合を阻害する。左側パネル:前駆体(aa−1−282)及び成熟(aa74−282)gC1qR/p32蛋白質の略図。ボックスは、該成熟蛋白質のそれぞれN末端(aa76−93)、C末端(aa204−282)においてモノクローナル抗体mAb 60.11,mAb 74.5.2に認識されるアミノ酸残基を示す。mAb 60.11に認識されるアミノ酸配列も示されている。右側パネル:20μg/mlのmAbs60.11,74.5.2又は精製マウスIgG1(mIgG)の存在下又は非存在下、1.5×10pfuの無挿入(insertless)及びLyp−1ファージが、マイクロタイタープレートに被覆されたgC1qR/p32蛋白質に37℃で6時間結合された。その結果は、3回の独立試験の典型であり、Lyp−1ファージ結合単独を100%としてファージ結合のパーセントとして表される。
【図3A】LyP−1ペプチドが腫瘍細胞抽出物中のp32蛋白質に結合することを示す図である。A.MDA−MB−435培養細胞の抽出物由来のビオチン化LyP−1ペプチド(CGNKRTRGC、配列番号1)に結合した蛋白質。配列CREKA(配列番号3)及びCRVRTRSGC(CRV、配列番号4)を有するペプチドが、プルダウンにおける陰性対照として用いられた。左側パネル:LyP−1結合蛋白質の銀染色。矢印は質量分析によりp32と確認された特異的バンドを示す。右側パネル:Lyp−1及び対照ペプチドに結合した総細胞抽出物(溶解物)・蛋白質の抗p32免疫ブロット。
【図3B】LyP−1ペプチドが腫瘍細胞抽出物中のp32蛋白質に結合することを示す図である。B.p32へのファージ結合。精製p32又は対照としてのBSAがマイクロタイターウェルに被覆され、Lyp−1ファージ、無挿入(insertless)ファージ並びに腫瘍ホーミングペプチドCREKA(配列番号3)及びLyP−2(CNRRTKAGC、配列番号7)を示すファージクローンの該ウェルへの結合の試験を行った。その結果は、無挿入ファージ(insertless phage)に対する結合ペプチドファージの倍数として表され(±SD)、5回の独立試験の典型である。
【図3C】LyP−1ペプチドが腫瘍細胞抽出物中のp32蛋白質に結合することを示す図である。C.前駆体(アミノ酸1−282)及び成熟(アミノ酸74−282)形態のp32蛋白質の図表示。ボックスは、該成熟蛋白質のそれぞれN末端(アミノ酸76−93)、C末端(アミノ酸204−282)においてモノクローナル抗体mAb 60.11,mAb 74.5.2に認識されるアミノ酸残基を示す。mAb 60.11に認識されるアミノ酸配列も示されている。
【図3D】LyP−1ペプチドが腫瘍細胞抽出物中のp32蛋白質に結合することを示す図である。D.mAb 60.11による精製p32へのLyp−1ファージ結合の阻害。抗p32 mAb 74.5.2及び精製マウスIgG1(mIgG;陰性対照)は結合を阻害しない。その結果は、3回の独立試験の典型であり、Lyp−1ファージ結合単独を100%としてファージ結合のパーセントとして表されている(±SD)。
【図4A】腫瘍細胞におけるp32の発現及び細胞表面局在を示す図である。A.図示培養腫瘍細胞株の抽出物における内在性p32の免疫ブロット。p32はmAb 60.11により検出され、ローディングコントロールとしてβ−アクチンが用いられた。B及びC.腫瘍細胞培養液(B)並びにMDA−MB−435及びC8161腫瘍異種移植片由来の一次細胞懸濁液(C、左側パネル)におけるp32の細胞表面発現を検出するためのFACS解析。完全長p32に対するウサギIgG又はポリクローナル抗体が、生細胞に適用され、Alexa 488標識二次抗体で検出された。解析のため、ヨウ化プロピジウム陰性(生)細胞をゲートした。腫瘍異種移植片由来の溶解物におけるp32の総発現レベルが免疫ブロットにより検出された(C、右側パネル)。
【図4B】腫瘍細胞におけるp32の発現及び細胞表面局在を示す図である。A.図示培養腫瘍細胞株の抽出物における内在性p32の免疫ブロット。p32はmAb 60.11により検出され、ローディングコントロールとしてβ−アクチンが用いられた。B及びC.腫瘍細胞培養液(B)並びにMDA−MB−435及びC8161腫瘍異種移植片由来の一次細胞懸濁液(C、左側パネル)におけるp32の細胞表面発現を検出するためのFACS解析。完全長p32に対するウサギIgG又はポリクローナル抗体が、生細胞に適用され、Alexa 488標識二次抗体で検出された。解析のため、ヨウ化プロピジウム陰性(生)細胞をゲートした。腫瘍異種移植片由来の溶解物におけるp32の総発現レベルが免疫ブロットにより検出された(C、右側パネル)。
【図4C】腫瘍細胞におけるp32の発現及び細胞表面局在を示す図である。A.図示培養腫瘍細胞株の抽出物における内在性p32の免疫ブロット。p32はmAb 60.11により検出され、ローディングコントロールとしてβ−アクチンが用いられた。B及びC.腫瘍細胞培養液(B)並びにMDA−MB−435及びC8161腫瘍異種移植片由来の一次細胞懸濁液(C、左側パネル)におけるp32の細胞表面発現を検出するためのFACS解析。完全長p32に対するウサギIgG又はポリクローナル抗体が、生細胞に適用され、Alexa 488標識二次抗体で検出された。解析のため、ヨウ化プロピジウム陰性(生)細胞をゲートした。腫瘍異種移植片由来の溶解物におけるp32の総発現レベルが免疫ブロットにより検出された(C、右側パネル)。
【図5A】LyP−1が細胞表面にてp32に結合することを示す図である。A.C8161細胞が、空pCDNA3.1ベクター又はp32 pCDNA3.1ベクターと共にpEGFPを一過性にトランスフェクションされた。トランスフェクション細胞はEGFP発現について選別され、選別された集団は抗p32によるファージ結合アッセイ及び免疫ブロット分析のために用いられた。空ベクター又はp32ベクターをトランスフェクションされた細胞へのLyp−1ファージ結合は、無挿入ファージ(insertless phage)に対する結合の倍数として表される。グラフは二重に行われた2回の独立試験における結合の平均を表す(p32トランスフェクション細胞におけるLyP−1対無挿入ファージ(insertless phage)p<0.05;Studentのt検定)。
【図5B】LyP−1が細胞表面にてp32に結合することを示す図である。B.MDA−MB−435 S35細胞がp32特異的又は対照siRNAsを一過性にトランスフェクションされた。トランスフェクションの48時間後、p32発現の阻害が免疫ブロット分析及び免疫染色により検定された(上部パネル)。対照としてβ−アクチンが用いられた。(下部パネル)10μM FITC結合LyP−1ペプチド又はLyP−1と同じ全体的電荷を有する対照ペプチドARALPSQRSR(ARAL、配列番号5)の存在下、p32 siRNA又は対照siRNAをトランスフェクションされた細胞が、4℃で1時間インキュベートされた。ペプチドの非存在下にてインキュベートされた細胞が陰性対照として機能した。p32発現のダウンレギュレーションは該細胞へのLyP−1結合を減少させたが(左側パネル)、対照ペプチドの蛍光は影響を受けなかった(右側パネル)。3回の試験から典型的な試験が示されている。
【図5C】LyP−1が細胞表面にてp32に結合することを示す図である。C.40μg/mlのmIgG1(対照)、mAb 60.11又はmAb 74.5.2の存在下でのRaji細胞におけるLyP−1ファージ結合。バックグラウンドファージ結合を定量するため、無挿入ファージ(insertless phage)が用いられた。その結果は、3回の独立試験の典型であり、mIgG1の存在下におけるLyP−1ファージの結合が100%に設定されたファージ結合のパーセントとして表されている(±SD)。
【図6A】腫瘍異種移植片及びヒト癌におけるp32の発現を示す写真図である。A.リンパ管に対するマーカーとしてのp32及びポドプラニン或いは血管に対するマーカーとしてのCD31及びMeca−32に対するMDA−MB−435異種移植片腫瘍由来切片の二重染色。ポリクローナル抗p32抗体はポドプラニン陽性領域における細胞塊を認識する。p32及びポドプラニンの両方に対して陽性を示す細胞は、血管マーカーに対して陰性を示す脈管様構造体の内側を覆う場合が多い(下部パネル)。
【図6B】腫瘍異種移植片及びヒト癌におけるp32の発現を示す写真図である。B.腫瘍におけるLyP−1ペプチドとp32との共局在。フルオレセイン結合LyP−1ペプチドが、MDA−MB−435腫瘍を有するマウスに静注され、1時間循環させられた後、LyP−1蛍光のp32の免疫組織化学的染色及び分析のために腫瘍が除去された。
【図6C】腫瘍異種移植片及びヒト癌におけるp32の発現を示す写真図である。C.静注FITC−LyP−1ペプチド(上部パネル)及びp32蛋白質(下部パネル)のマクロファージマーカーCD11b及びGr−1との部分的腫瘍共局在。
【図6D】腫瘍異種移植片及びヒト癌におけるp32の発現を示す写真図である。D及びE.ヒト組織アレイにおけるp32の免疫組織化学的検出。抗p32 mAb 60.11が染色に用いられた。(D)連続組織切片がp32と上皮膜抗原(EMA)とに対して別個に染色された。(E)腫瘍と対応する正常組織とにおけるp32発現の比較。検討された全組織の平行切片がmAb 60.11ではなくmIgGとインキュベートされ、染色を示さなかった。
【図6E】腫瘍異種移植片及びヒト癌におけるp32の発現を示す写真図である。D及びE.ヒト組織アレイにおけるp32の免疫組織化学的検出。抗p32 mAb 60.11が染色に用いられた。(D)連続組織切片がp32と上皮膜抗原(EMA)とに対して別個に染色された。(E)腫瘍と対応する正常組織とにおけるp32発現の比較。検討された全組織の平行切片がmAb 60.11ではなくmIgGとインキュベートされ、染色を示さなかった。
【図7A】MDA−MB−435腫瘍細胞におけるp32のノックダウンを示す図である。A.左上パネル、p32に対してShRNAを安定に発現している3つのMDA−MB−435クローン(p32kd;Cl 1,2及び3)及び塩基ミスマッチ対照ShRNAを発現している3つのクローン(対照、Cl 4,5及び6)由来の全細胞溶解物に対する免疫ブロット分析。右上パネル−培地におけるフェノールレッド表示のオレンジ/イエローへの色変化により示されるような、p32ノックダウンクローンの培養培地の酸性化。下部パネル:資料に記載されているように計算され、また、対照に対して示されるような(p<0.001)、細胞播種4日後の乳酸産生及びグルコース消費。
【図7B】MDA−MB−435腫瘍細胞におけるp32のノックダウンを示す図である。B.図示グルコース濃度で培地にて4日間増殖されたp32ノックダウン及び対照細胞の溶解物由来の細胞内ATP。各溶解物に存在するATPは、25mMグルコースにて増殖された対照クローンのATP産生に対して正規化された。その結果は、3つのp32kd及び3つの対照クローンに関して行われた2回の独立試験の平均(±SEM)である(=p<0.03,**=p<0.002)。
【図7C】MDA−MB−435腫瘍細胞におけるp32のノックダウンを示す図である。C.酸素消費。対照クローンに対するp32ノックダウンクローンの値が示されている。その結果は三重に行われた3回の独立試験(±SD)に由来する(**=p<0.001,=p<0.05)。
【図7D】MDA−MB−435腫瘍細胞におけるp32のノックダウンを示す図である。D.細胞におけるp32の局在の共焦点分析。p32ノックダウン及び対照細胞は抗N末端p32ポリクローナル抗体及び抗シトクロムcモノクローナル抗体、次に、Alexa 488,Alexa 594のそれぞれ抗ウサギ二次抗体、抗マウス二次抗体で染色された。右側のパネルは融合パネルにおける白枠領域の高倍率写真である。
【図8A】in vitroでの腫瘍細胞の増殖及び生存に対するp32ノックダウンの作用を示す図である。A.高(25mM)及び低(2.5mM)グルコース条件下におけるMDA−MB−435 p32ノックダウン(kd)及び対照細胞の増殖。3つのp32ノックダウン及び対照クローンの二重ウェル中の絶対細胞数を計算することにより、各時点における平均細胞数が測定された(p<0.0002)。右側のパネルは、25mM又は2.5mMグルコースでの6日後の2つの対照及びp32 kdクローンの呈色培地を示す。
【図8B】in vitroでの腫瘍細胞の増殖及び生存に対するp32ノックダウンの作用を示す図である。B.左側パネル−図示グルコース濃度を含む培地での3日後のp32ノックダウン及び対照細胞の顕微分析。p32 kdクローンは2.5mMグルコースにて形態変化を示し、0.5mMグルコースにて細胞死が著明となる。細胞死はFITC−アネキシンVと結合する細胞のFACS解析により定量された(右側パネル;=<0.05)。
【図8C】in vitroでの腫瘍細胞の増殖及び生存に対するp32ノックダウンの作用を示す図である。C.左上パネル、親p32 kdクローン及びそれに由来する、p32 shRNAサイレンシングに対して抵抗性のcDNAからp32を発現し(Cl #3,8,14)、或いは空cDNAベクターをトランスフェクションされた(Cl #9,10,18)単一クローンの免疫ブロット分析。p32の内在レベルを検出するため、対照ShRNA(対照)を発現するクローンが用いられた。左下パネルはp32の再導入による培養培地pHの回復を示す。中央部パネル及び右側パネルは、対照、p32 kd及びp32回復(p32kd+p32)クローンにおける乳酸産生、グルコース消費及び増殖率を示す。
【図9A】p32ノックダウン細胞由来の腫瘍の増殖特性を示す図である。ヌードマウスの乳腺脂肪体における3つのp32 kd及び対照クローンから腫瘍が増殖された(1クローン当たり6マウス)。A.対照腫瘍はサイズが均一であるが、p32 kd腫瘍は対照細胞腫瘍より有意に小さく、或いは肥大して出血性である。中央部パネルは出血を伴う広範な壊死を有するノックダウン細胞腫瘍の一例を示す。右側パネルは期間の関数として腫瘍体積の平均を示す(±SEM,p<0.001)。
【図9B】p32ノックダウン細胞由来の腫瘍の増殖特性を示す図である。ヌードマウスの乳腺脂肪体における3つのp32 kd及び対照クローンから腫瘍が増殖された(1クローン当たり6マウス)。B.腫瘍細胞におけるBrdUの取込み。マウスは殺処分の24時間前にBrdUのパルス投与を受けた。グラフはBrdU染色に対して陽性を示した1フィールド当たりの細胞の数を示す。データは、1腫瘍当たり4ランダムフィールドにてBrdU陽性細胞の数をImage−Jソフトウェアにより計算することによって得られた(N=14個の腫瘍/群);p<0.003。
【図9C】p32ノックダウン細胞由来の腫瘍の増殖特性を示す図である。ヌードマウスの乳腺脂肪体における3つのp32 kd及び対照クローンから腫瘍が増殖された(1クローン当たり6マウス)。C.p32 kd及び対照細胞クローン由来腫瘍のヘマトキシリン/エオシン染色。p32 kd腫瘍における暗色部分は広範な壊死を示す。上部画像は10倍の拡大にて撮像され、下部画像は200倍の拡大での図示枠部分に対応する。壊死部分のパーセントはImage−Jソフトウェアにより計算された(p<0.001)。
【図10A】抗p32処置による腫瘍増殖の阻害を示す図である。ヒト及びマウスp32のaa76−93に対するポリクローナル抗体が作製され、in vivoにて腫瘍へのホーミングの試験が行われた。図10A−アフィニティー精製された抗N末端p32ポリクローナル抗体又は対照としてのウサギIgGが、MDA−MB−435又はC8161腫瘍異種移植片を有するマウスの尾静脈に注入された。腫瘍及び種々の器官が注射後1時間にて除去され、切片化され、Alexa 488抗ウサギIgG二次抗体を用いてウサギIgGの存在について検討された。該抗体は、FITC LyP−1の静注後、或いは腫瘍切片のp32染色により可視化される細胞塊に類似する細胞塊を認識する(図10A左側パネル)。MDA−MB−435異種移植片へのホーミングはC8161腫瘍へのホーミングより効率的であり、これらはそれぞれ高レベル、低レベルのp32を示す(図10A右側パネル)。
【図10B】抗p32処置による腫瘍増殖の阻害を示す図である。ヒト及びマウスp32のaa76−93に対するポリクローナル抗体が作製され、in vivoにて腫瘍へのホーミングの試験が行われた。図10B−MDA−MB−435腫瘍異種移植片を有するマウスが、総計33日間、400・800μgのポリクローナル抗p32又はウサギIgGを3日毎に静注された(n=4マウス/群)。グラフでは、抗p32及びウサギIgGで処置されたマウスにおける腫瘍増殖の動態が示されている。処置全体を通してのマウスの一定体重により示されるように、両抗体の投与は毒性作用を示すことなく、腫瘍増殖を有意に阻害した(Studentのt検定、p<0.001)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
開示される方法及び組成物は、以下の特定の実施形態の詳細な説明及びその中に含まれる実施例並びに図及びその前述・後述の説明を参照することにより、より容易に理解されうる。
【0024】
本発明の化合物、組成物、物品、デバイス及び/又は方法が開示・説明される前に、別記されない限り、それらが特定の合成法若しくは特定の組換えバイオテクノロジー法、又は、別記されない限り、特定の試薬に限定されるものではなく、そのようなものとして、当然、変形しうるということが理解されるべきである。本明細書で用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明することを目的とするものであって、限定することを目的とするものではないということも理解されるべきである。
【0025】
(A.定義)
本明細書及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈上、明らかに別様に示されない限り、複数の言及物を含む。従って、例えば、「(1つの)医薬担体」は2つ以上のそのような担体の混合物などを含む。
【0026】
本明細書で範囲は、「約」1つの特定の数値から、且つ/或いは「約」別の特定の数値までというように表されうる。そのような範囲が表される場合、別の実施形態はその1つの特定の数値から、且つ/或いはその別の特定の数値までを含む。同様に、数値が先行する「約」を用いて近似値として表される場合、その特定の数値が別の実施形態を形成するということが理解されるであろう。各範囲の終点は、他の終点に関連し、且つ他の終点から独立して有意であることが更に理解されるであろう。本明細書では多くの数値が開示されるとともに、各数値がその数値自体に加えて「約」その特定の数値としても本明細書で開示されることも理解される。例えば、数値「10」が開示される場合、「約10」も開示される。1つの数値が開示される場合、当業者には適切に理解されるように、その数値「以下」、その数値「以上」及び数値間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、数値「10」が開示される場合、「10以下」及び「10以上」も開示される。本出願全体にわたり、データが多くの異なる形式にて提供されるとともに、このデータが終点及び始点並びに任意の組合せのデータ点の範囲を表すということも理解される。例えば、特定のデータ点「10」及び特定のデータ点15が開示される場合、10及び15超、以上、未満、以下、相当並びに10〜15が開示されると考えられることが理解される。2つの特定の単位間における各単位も開示されるということも理解される。例えば、10及び15が開示される場合、11,12,13及び14も開示される。
【0027】
本明細書及び後述の特許請求の範囲では、多くの用語への言及がなされ、これらは以下の意味を有すると定義づけられるものとする。
【0028】
「任意の」又は「任意に」とは、後述の事象又は事態が生じる場合もあれば生じない場合もあって、その記載が、前記事象又は事態が生じる場合並びにそれが生じない場合を含むということを意味する。
【0029】
「マルチウェルプレート」という用語は、実質的に平坦な面に設置されたアドレス可能なウェル(addressable wells)の二次元配列をいう。マルチウェルプレートは任意の数の別個のアドレス可能なウェル(addressable wells)を含むことができ、任意の幅又は深さのアドレス可能なウェル(addressable wells)を含む。マルチウェルプレートの一般的な例は、96ウェルプレート、384ウェルプレート及び3456ウェルNanoplates(商標)を含む。そのようなマルチウェルプレートは任意の好適な材料から構成されうる。好適な材料の例には、プラスチック、ガラス又は任意の本質的に電気的に非伝導性の材料が含まれる。
【0030】
「ノックダウン」とは、検出可能なmRNA発現の減少を意味する。一般的に、核酸は遺伝子発現をノックダウンするのに用いられ、一般に、mRNAのような標的配列とハイブリダイズすることができる配列を含む。そのような機能性核酸の例には、アンチセンス分子、リボザイム、三重鎖形成核酸、外部ガイド配列(EGS)及び低分子干渉RNAs(siRNA)が含まれる。
【0031】
本明細書で用いられるような「遺伝子ノックアウト」という用語は、当業者には周知の任意のトランスジェニック技術によってなされた機能の完全な喪失を伴う、in vivoでの遺伝子の標的破壊をいう。一例では、遺伝子ノックアウトを有するトランスジェニック動物は、標的遺伝子が、相同組換えによって非機能的にされる遺伝子を標的とする挿入によって非機能的にされたトランスジェニック動物である。
【0032】
「ヒット(hit)」という用語は、アッセイにて所望の特性を示す被験化合物をいう。
【0033】
「被験化合物」という用語は、推定モジュレーターとして1つ以上のスクリーニング法によって試験される化学物質をいう。被験化合物は任意の化学物質でよく、例えば、無機化学物質、有機化学物質、蛋白質、ペプチド、炭水化物、脂質又はそれらの組合せでよい。通常、スクリーニングには被験化合物の様々な所定の濃度、例えば、0.01マイクロモル、1マイクロモル及び10マイクロモルが用いられる。対照被験化合物は、該被験化合物の非存在下におけるシグナルの測定又は標的を調節することが公知である化合物との比較を含みうる。
【0034】
「トランスジェニック」という用語は、そのすべての細胞内に外来性遺伝物質を含む生物を示すのに用いられる。該用語は、初期胚若しくは受精卵のin vitro操作又は特異的な遺伝子ノックアウトを誘導する任意のトランスジェニック技術により、そのゲノムが改変された任意の生物を含む。
【0035】
「トランス遺伝子」という用語は、技巧を用いて細胞に挿入され、その細胞から成長する生物のゲノムの一部となる(即ち、安定に組み込まれ、或いは安定な染色体外要素として)任意のDNA断片をいう。そのようなトランス遺伝子は、部分的又は完全に異種(即ち、外来性)である遺伝子を含み得、或いは生物の内在性遺伝子と相同の遺伝子を表しうる。この定義内に含まれるのは、DNAに転写され、それからゲノムに組み込まれるRNA配列の付与によって生成されるトランス遺伝子である。本明細書で開示されるトランス遺伝子は、非ヒトトランスジェニック動物において発現されうる蛍光又は生物発光蛋白質をコードするDNA配列を含みうる。
【0036】
本明細書で用いられるような「活性」という用語は、分子の相互作用の測定可能な結果をいう。これらの活性を測定する一部の例示的な方法が本明細書で示される。
【0037】
本明細書で用いられるような「調節する(modulate)」という用語は、適切な対照と比べた場合のある測定可能な方法にて活性を変化させる化合物の能力をいう。アッセイにおける化合物の存在の結果として、これらの化合物の非存在下における対照と比べ、活性は上昇或いは低下しうる。好ましくは、活性の上昇は、化合物の非存在下における活性レベルと比べ、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは、少なくとも100%である。同様に、活性の低下は、化合物の非存在下における活性レベルと比べ、少なくとも25%、より好ましくは、少なくとも50%、最も好ましくは、少なくとも100%である。既知の活性を上昇させる化合物は「アゴニスト」である。既知の活性を低下させ、或いは阻止する化合物は「アンタゴニスト」である。
【0038】
「阻害する」という用語は、活性又は発現を低減し、或いは低下させることを意味する。これは、活性又は発現の完全な阻害或いは部分的阻害でありうる。阻害は対照又は標準レベルと比較されうる。阻害は、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99又は100%となりうる。
【0039】
本明細書で用いられるような「モニタリング」という用語は、活性が測定されうる、当該技術分野における任意の方法をいう。
【0040】
本明細書で用いられるような「付与(する)」という用語は、化合物又は分子を当該技術分野において公知のものに加える任意の手段をいう。付与の例には、ピペット、pipettemen、シリンジ、針、チューブ、ガンなどの使用が含まれうる。これは手動又は自動でありうる。付与は、核酸をディッシュ、細胞、組織、無細胞系に付与する任意の手段又は他の任意の手段によるトランスフェクションを含み得、in vitro又はin vivoでよい。
【0041】
本明細書で用いられるような「予防する」という用語は、疾患又は病状と関連する異常の身体的発現を予防するため、疾患又は病状の臨床症状の発症前に化合物を投与することをいう。
【0042】
本明細書で用いられるような「処置する」という用語は、臨床症状の発症後に化合物を投与することをいう。
【0043】
本明細書で用いられるような「処置を必要とする」という用語は、介護者(例えば、ヒトの場合、医師、看護師、ナースプラクティショナー又は個人;非ヒト哺乳動物を含む動物の場合、獣医)によって下される、対象が処置を必要とし、或いは処置から利益を得るという判断をいう。この判断は、介護者の専門知識の領域にあるが、本発明の化合物によって処置可能な病状の結果として対象が病気であり、或いは病気になるという知識を含む、様々な因子に基づいて下される。
【0044】
本明細書で用いられるように、「対象」は、動物、植物、細菌、ウイルス、寄生生物及び他の任意の生物若しくは存在物を含むが、それらに限定されない。対象は、脊椎動物、より具体的には哺乳動物(例えば、ヒト、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、非ヒト霊長動物、ウシ、ネコ、テンジクネズミ又は齧歯動物)、サカナ、トリ又は爬虫類又は両生動物でよい。対象は、無脊椎動物、より具体的には節足動物(例えば、昆虫及び甲殻類)でよい。該用語は特定の年齢又は性別を指示しない。従って、雄又は雌にかかわらず、成体及び新生動物である対象並びに胎仔が包括されるものとする。患者とは疾患又は障害に苦しむ対象をいう。「患者」という用語はヒト及び家畜である対象を含む。
【0045】
「より高い」、「増加させる」、「上昇させる」又は「上昇」とは、例えば、対照と比べた場合の基礎レベルを上回る増加をいう。「低い」、「より低い」、「減少させる」又は「減少」とは、例えば、対照と比べた場合の基礎レベルを下回る減少をいう。
【0046】
本出願全体にわたって様々な文献が引用される。本出願が関連する最新技術をより十分に示すため、これらの文献の開示内容はそれらの全体を参照して本明細書に組み込まれる。また、開示される文献は、参照が拠り所となっている文において考察されている、それらに含まれる材料について個々具体的に参照して本明細書に組み込まれる。
【0047】
別記されない限り、開示される方法及び組成物は特定の合成法、特定の分析手法又は特定の試薬に限定されるものではなく、そのようなものとして、変形しうるということが理解されるべきである。本明細書で用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明することを目的とするものであって、限定することを目的とするものではないということも理解されるべきである。
【0048】
(材料)
開示される組成物及び本明細書で開示される方法の範囲内にて用いられる組成物自体を調製するために用いられる構成要素が開示される。これら及び他の材料が本明細書で開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群などが開示されると同時に、これらの化合物のそれぞれの様々な個別的且つ集合的な組合せ及び置換の具体的な言及が明確に開示されないような場合、各々が本明細書で具体的に企図・説明されるということが理解される。例えば、特定のペプチドが考察・開示され、該ペプチドを含む多くの分子に対してなされうる多くの改変が考察される場合、これとは反することを具体的に示さない限り、該ペプチドのありとあらゆる組合せ及び置換並びに可能な改変が具体的に企図される。従って、分子A,B及びCのクラス並びに分子D,E及びFのクラスが開示され、組合せ分子の一例A−Dが開示される場合、各々が個々に列挙されなくとも、各々は個別的且つ集合的に企図され、組合せA−E,A−F,B−D,B−E,B−F,C−D,C−E及びC−Fが開示されると考えられることを意味する。同様に、これらの任意のサブセット又は組合せも開示される。従って、例えば、A−E,B−F及びC−Eの亜群が開示されると考えられうる。この概念は、限定されないが、開示組成物を作製し使用する方法におけるステップを含む、本出願のあらゆる態様に適用される。従って、実施可能な種々の追加ステップがある場合、これらの追加ステップの各々が、開示方法の任意の具体的な実施形態又は実施形態の組合せで実施されうることが理解される。
【0049】
(A.Lyp−1及びgC1qR/p32)
Lyp−1(配列番号1,CGNKRTRGC)はgC1q受容体(gC1qR/p32、これは、文献では代替用語gC1qR及びp32の1つにより述べられており、本明細書ではgC1qR,gC1q受容体又はp32として、或いはgC1qR及びp32として文献において周知の蛋白質を指す“gC1qR/p32”として述べられる)と選択的に相互作用することが見出されている。gC1qR/p32は、腫瘍リンパ脈管系、例えば、乳癌腫瘍、扁平上皮癌及び骨肉腫のリンパ脈管系と関連する。gC1qR/p32は炎症とも関連する(Waggonerら、J Immunol.2005年10月 1;175(7):4706−14,gC1q/p32受容体及び炎症に関する教示について、その全体を参照して本明細書に組み込まれる)。
【0050】
本明細書で開示されるように、ペプチドLyp−1(配列番号1)とgC1qR/p32との相互作用は、蛋白抽出物由来のビオチン化Lyp−1ペプチドを用いたプルダウンアッセイにより確認された(図1)。陰性対照として、腫瘍ホーミングペプチドCREKA(配列番号3)と、そのアミノ酸組成及び環状構造においてLyp−1に類似するペプチドCRV(CRVRTRSGC、配列番号4)とが用いられた。両対照ペプチドからのプルダウンでは抗gC1qR/p32反応性バンドは検出されなかった。gC1qR/p32に対するモノクローナル抗体は、Lyp−1ペプチドプルダウンにおいてのみ75kD及び33kDバンドを認識した。
【0051】
更に、Lyp−1ファージは精製gC1qR/p32蛋白質に特異的に結合した。精製gC1qR/p32又は対照としてのBSAは、マイクロタイターウェルに被覆され、無挿入ファージ(insertless phage)、Lyp−1ファージ又は別の腫瘍ホーミングペプチド(CREKA、配列番号3)を保有する対照ファージとの結合への標的とされた。図2aに認められるように、Lyp−1ファージはgC1qR/p32と結合したが、無挿入(insertless)及び対照ファージは本質的に全く相互作用を示さなかった。更に、gC1qR/p32のN末端に対する抗体は、Lyp−1ファージの精製gC1qR/p32への結合を阻害した(図2B)。
【0052】
gC1qR/p32の蛋白質濃度及び細胞表面発現は、培養腫瘍細胞及び腫瘍異種移植片においても示される。図4Aは異なる腫瘍細胞株の溶解物からのgC1qR/p32のウェスタンブロット分析を示す。共にLyp−1ファージの低バインダーであるC8161メラノーマ細胞及びHL−60前骨髄球性(promyelocitic)白血病細胞は、より高いLyp−1ファージ結合活性を示すMDA−MB−435及びBT549乳癌細胞と比べ、低レベルのgC1qR/p32を示す。MDA−MB−435腫瘍異種移植片由来の腫瘍細胞培養液又は一次細胞懸濁液中のgC1qR/p32の細胞表面発現を検出するため、FACS分析が用いられた。ヨウ化プロピジウム陰性(生)細胞は分析のためにゲートされた。MDA−MB−435腫瘍異種移植片由来の細胞懸濁液では、ポリクローナル抗gC1qR/p32抗体は、対照ウサギIgGと比べ、FACSピークの有意なシフトを生じさせた。gC1qR/p32の細胞表面発現はMDA−MB−435及びBT549培養細胞では低かった。C8161細胞ではgC1qR/p32の細胞表面発現はなかった。
【0053】
更に、gC1qR/p32の過剰発現はLyp−1ファージのC8161メラノーマ細胞への結合を亢進させた(図5)。gC1qR/p32の過剰発現を検出するため、ファージ結合アッセイ及びウェスタンブロット分析が用いられた。Lyp−1ファージのgC1qR/p32への結合は空ベクターへの結合よりはるかに多かった。また、RNAi媒介性gC1qR/p32サイレンシングは、Lyp−1ペプチドの細胞表面への結合を減少させる。MDA−MB−435細胞は、gC1qR/p32特異的又は対照siRNAsを一過性にトランスフェクションされた。ペプチドの非存在下にてインキュベートされた細胞がFITC陰性対照として機能を果たした。対照siRNAをトランスフェクションされた細胞と比べ、gC1qR/p32発現のダウンレギュレーションはLyp−1のピークシフトを生じさせたが、対照ペプチドの蛍光では生じさせなかった。
【0054】
図3はgC1qR/p32及びLyp−1ペプチドの腫瘍局在を示す。MDA−MB−435腫瘍異種移植片における、それぞれgC1qR/p32及びリンパ管若しくは血管、ポドプラニン及びMeca32/CD31の染色を行った。ポリクローナル抗gC1qR/p32抗体は、血管を欠くがリンパ管を含む細胞塊又はポドプラニンに対して陽性であるがCD31又はMeca32に対しては陽性ではない脈管様構造体の内側を覆う細胞を認識した。gC1qR/p32陽性に局在するLyp−1ペプチドは腫瘍内でパッチする。
【0055】
これらの知見に基づき、gC1qR/p32と関連する疾患及び障害において有用なLyp−1組成物が本明細書で開示される。例えば、本明細書で開示されるLyp−1組成物は、原発腫瘍を有する癌患者において腫瘍転移を低減或いは予防するのに有用である。Lyp−1組成物は、例えば、前転移性乳癌又は骨癌を有する患者に、或いは初期又は晩期転移性乳癌又は骨癌を有する患者に投与されうる。Lyp−1ポリペプチドは、例えば、乳癌又は骨肉腫リンパ脈管系のような腫瘍リンパ脈管系を画像化するのにも有用となりうる。開示組成物はそれを必要とする患者における炎症を低減或いは予防するのにも有用である。
【0056】
従って、アミノ酸配列GNKRTRG(配列番号2)を含む単離ペプチド若しくはペプチド模倣体又はそのペプチド模倣体が本明細書で開示される。本発明は、アミノ酸配列CGNKRTRGC(配列番号1)を含む単離ペプチド若しくはペプチド模倣体又はそのペプチド模倣体を更に提供する。
【0057】
腫瘍並びに炎症及びgC1qR/p32と関連する他の疾患及び障害の部位と選択的に相互作用する、Lyp−1を含む組成物のような組成物が開示される。様々なLyp−1組成物が開示方法において用いられうる。そのような組成物には、限定されないが、本明細書で開示されるようなペプチドが含まれる。開示される化合物、組成物、分子及び方法は、開示されるようなペプチド及びペプチド模倣体を含む、種々の形態での開示Lyp−1組成物を含み、或いは用いることができる。表現の便宜上、本明細書で多くの箇所においてペプチドの使用又は包含が繰り返し述べられる。そのような場合、種々の形態のLyp−1組成物も、ペプチドに関して述べられるのと同じ又は同様の態様にて用いられ、或いは含まれうると考えられると理解され、それにより、そのような使用及び包含は具体的に企図・開示される。
【0058】
gC1q/p32受容体と関連する複数の疾患及び障害がある。その例には、限定されないが、癌及び炎症が含まれる。
【0059】
配列番号1を含む組成物は部分(moiety)を更に含みうる。部分(moieties)の例には、限定されないが、治療又は診断成分(moieties)が含まれる。治療成分(moieties)には、血管新生阻害剤又は細胞毒性剤が含まれうる。治療成分(moiety)はDNA関連プロセスを標的としうる。治療成分(moiety)は、アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質及び配列選択剤(sequence−selective agent)からなる群より選択されうる。治療成分(moieties)の他の例には、シクロホスファミド、メルファラン、マイトマイシンC、ビゼレシン、シスプラチン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、SN−38、Et−743、アクチノマイシンD、ブレオマイシン、ゲルダナマイシン、クロラムブシル、メトトレキサート及びTLK286が含まれる。部分(moiety)はナノ粒子でもよい。
【0060】
gC1q/p32受容体の存在を検出する方法が開示され、該方法は、細胞とLyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含み、これにより、gC1q/p32受容体の存在を検出する。gC1q/p32受容体は、例えば、細胞表面又は細胞内に存在しうる。該細胞は任意の背景にあってよく、例えば、生物内、原位置、生体外、培養液中及び/又は試験管内でよい。
【0061】
部分(moiety)は検出可能部分(moiety)でありうる。そのような部分(moieties)例には、限定されないが、ポリペプチド、核酸分子、低分子、フルオロフォア、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13又はそれらの組合せが含まれる。
【0062】
上述の細胞と接触させられるLyp−1組成物は、一例ではウイルスを含みうる。該Lyp−1組成物はファージも含みうる。
【0063】
「と選択的に相互作用する」とは、提示化合物又は物質が、非標的物質と比べて提示標的物質と優先的に相互作用することができるということである。従って、例えば、in vivoにてLyp−1は非標的物質と比べてgC1qR/p32と優先的に相互作用することができる。従って、gC1qR/p32が癌細胞又は炎症部位と関連する場合、Lyp−1は、非癌細胞又は炎症を含まない部位と比べ、癌細胞又は炎症部位と優先的に相互作用する。一般的に、例えば、腫瘍との選択的或いは優先的相互作用は、癌部位における、少なくとも2倍又はそれ以上の局在を特徴とする。Lyp−1ペプチドは、非腫瘍性組織の複数又は多くの組織型と比べ、或いは大部分又はすべての非腫瘍性組織と比べ、5倍、10倍、20倍又はそれ以上の腫瘍のような癌部位への優先的局在を特徴としうる。従って、場合により、Lyp−1はgC1qR/p32が存在する臓器に加え、1つ又はそれ以上の正常臓器と部分的に相互作用することが理解される。選択的相互作用は標的化又はホーミングとも称されうる。
【0064】
上述のように、優先的且つ/或いは選択的ホーミングを含む選択的相互作用は、Lyp−1が正常部位及び/又は非標的部位に結合しないということではない。一部の実施形態では、対応する標的に対する相互作用選択性は、例えば、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約150倍又は少なくとも約200倍となりうる。選択的相互作用は、例えば、他の非標的要素に対する相対量又は相対的Kの点からみることができる。一部の実施形態では、Lyp−1は、対応する標的に対する少なくとも約50倍の選択性、少なくとも約100倍の選択性、少なくとも約200倍の選択性、少なくとも約300倍の選択性、少なくとも約400倍の選択性、少なくとも約500倍の選択性、少なくとも約600倍の選択性、少なくとも約700倍の選択性、少なくとも約800倍の選択性、少なくとも約1000倍の選択性又は少なくとも約1500倍の選択性を有しうる。例えば、一部の好ましい実施形態では、Lyp−1は、約200nM未満、約150nM未満、約100nM未満又は約75nM未満の標的に対するK値を有しうる。一部の好ましい実施形態では、Lyp−1は、約50nM超、約25nM超、約20nM超、約15nM超、約10nM超、約5nM超、約3nM超又は約1nM超の標的に対するK値を有しうる。一部の好ましい実施形態では、標的化部分(moiety)は、約10−8M未満、約10−9M未満、約10−10M未満、約10−11M未満、約10−12M未満、約10−13M未満又は約10−14M未満のKにてその標的と結合する。
【0065】
(B.p32/gC1q受容体)
腫瘍細胞におけるgC1qR/p32発現をノックダウンすると、その代謝が解糖に向かってシフトし、驚くべきことに、解糖表現型が、特に有害な増殖条件下、腫瘍細胞の生存及び増殖の障害と関連することが見出されている(実施例2)。同時に、gC1qR/p32ノックダウン細胞の腫瘍原性が低下する。従って、本明細書で述べられるようなgC1q/p32受容体関連障害及び疾患を処置するため、gC1q/p32受容体を標的とする方法が本明細書で開示される。そのような疾患の一例は癌である。
【0066】
gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置する方法も本明細書で開示され、該方法は、gC1q/p32受容体の発現又は活性を調節する組成物を該対象に投与するステップを含み、これにより、gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置する。該対象は癌を有しうる。gC1q/p32受容体の発現又は活性は阻害されうる。これは、阻害性核酸、例えば、shRNA又はsiRNAの使用によって生じうる。gC1q/p32受容体の活性は、LyP−1ペプチド、抗体又はLyp−1の低分子模倣体によって阻害されうる。本明細書で開示される癌を処置する方法は、部分(moieties)に関するセクションにおける下述のような他の治療法とも併用して用いられうる。
【0067】
gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象が本明細書で開示される。これは、該対象がgC1q/p32受容体のレベル上昇又はgC1q/p32受容体のレベル低下を有し、或いは疾患又は障害の症状を処置又は改善するため、gC1q/p32受容体が標的とされうるということである。「gC1q/p32受容体のレベル上昇」とは、該対象におけるgC1q/p32受容体の数が全体として、当業者に受容される正常、基礎又は標準レベルを超えて増加しているということである。これは、所定の細胞に存在するgC1q/p32受容体の数が、基礎、正常又は標準量を超えて増加しているということでもありうる。「gC1q/p32受容体のレベル低下」とは、該対象におけるgC1q/p32受容体の数が全体として、当業者に受容される正常、基礎又は標準レベルを超えて減少しているということである。これは、所定の細胞に存在するgC1q/p32受容体の数が、基礎、正常又は標準量を超えて減少しているということでもありうる。当業者であれば、本明細書で開示される方法及び当業者には周知の方法を用いて、対象全体及び個々の細胞におけるgC1q/p32レベルを定量することができるであろう。それを行う一方法は、本明細書で開示されるようなLyp−1の使用を含む。gC1q/p32受容体と関連する疾患は、例えば、癌を含む。
【0068】
(C.ペプチド及びペプチド模倣体)
配列番号1を含む単離ペプチドに関する組成物(Lyp−1)が開示される。該単離ペプチドは、例えば、配列番号1、配列番号1と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列又は1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1のアミノ酸配列を含みうる。該ペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも約90%、80%、70%又は60%同一でありうる。配列番号1のアミノ酸配列は、例えば、1,2,3,4,5,6,7,8又は9個の保存的アミノ酸置換を有しうる。該ペプチドはアミノ酸配列・配列番号1のキメラを含みうる。そのようなキメラは、1つの配列の配列が別の配列に付加される付加、1つの配列の配列が別の配列の配列に置換される置換又は組合せでありうる。特定のアミノ酸配列に関連して本明細書で用いられるように、「保存的変異体」とは、第一のアミノ酸が、該第一のアミノ酸と同様の少なくとも1つの生化学的性質を有する別のアミノ酸又はアミノ酸類似体に置換される配列であり、同様の性質には、例えば、同様のサイズ、電荷、疎水性又は水素結合能が含まれる。
【0069】
アミノ酸配列は、線状、円状又は環状でありうる。アミノ酸セグメントは、任意の好適な結合、例えば、ジスルフィド結合を介して環状化或いは環化されうる。該ペプチドは、任意の好適な長さ、例えば、100残基未満の長さを有しうる。該ペプチドは50残基未満の長さを有しうる。該ペプチドは20残基未満の長さを有しうる。
【0070】
開示ペプチドは単離形態でありうる。開示ペプチドに関連して本明細書で用いられるように、「単離(された)」という用語は、通常、細胞内のペプチドと会合し、或いはライブラリー又は粗調製物におけるペプチドと会合している、夾雑ポリペプチド、脂質、核酸及び他の細胞物質のような物質から比較的遊離している形態であるペプチドを意味する。
【0071】
開示ペプチドは任意の好適な長さを有しうる。開示ペプチドは、例えば、6,7,8,9,10,12,15,20,25,30,35又は40残基未満の比較的短い長さを有しうる。開示ペプチドは有意により長い配列の背景においても有用となりうる。従って、該ペプチドは、例えば、最大50,100,150,200,250,300,400,500,1000又は2000残基の長さを有しうる。特定の実施形態では、ペプチドは少なくとも10,20,30,40,50,60,70,80,90,100又は200残基の長さを有しうる。更なる実施形態では、ペプチドは、5〜200残基、5〜100残基、5〜90残基、5〜80残基、5〜70残基、5〜60残基、5〜50残基、5〜40残基、5〜30残基、5〜20残基、5〜15残基、5〜10残基、10〜200残基、10〜100残基、10〜90残基、10〜80残基、10〜70残基、10〜60残基、10〜50残基、10〜40残基、10〜30残基、10〜20残基、20〜200残基、20〜100残基、20〜90残基、20〜80残基、20〜70残基、20〜60残基、20〜50残基、20〜40残基又は20〜30残基の長さを有しうる。本明細書で用いられるように、「残基」という用語はアミノ酸又はアミノ酸類似体をいう。
【0072】
本明細書では様々な蛋白質及び蛋白質配列について考察するため、それらの蛋白質配列をコードしうる核酸も開示されることが理解される。これには、特定の蛋白質配列に関連するすべての縮重配列、即ち、1つの特定の蛋白質配列をコードする配列を有するすべての核酸並びに蛋白質配列の開示変異体及び誘導体をコードする、縮重核酸を含むすべての核酸が含まれうる。従って、それぞれの特定の核酸配列は本明細書で完全に記されない場合もあるが、実際には、開示蛋白質配列を通してありとあらゆる配列が本明細書で開示・説明されるということが理解される。
【0073】
ペプチドに類似するが、天然のペプチド結合を介して結合されない分子が生成されうる。例えば、アミノ酸又はアミノ酸類似体の結合には、CHNH−,−CHS−,−CH−CH−,−CH=CH−(シス及びトランス)、−COCH−,−CH(OH)CH−及び−CHHSO−が含まれる(これら及び他は、Spatola,A.F.,Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins,B.Weinstein(編)、Marcel Dekker社、New York,p.267(1983);Spatola,A.F.,Vega Data(1983年3月)、Vol.1,3号、Peptide Backbone Modifications(総説);Morley,Trends Pharm Sci(1980)pp.463−468;Hudson,D.ら、Int J Pept Prot Res 14:177−185(1979)(−CHNH−,CHCH−);Spatolaら、Life Sci 38:1243−1249(1986)(−CH H−S);Hann J.Chem.Soc Perkin Trans.I 307−314(1982)(−CH−CH−、シス及びトランス);Almquistら、J.Med.Chem.23:1392−1398(1980)(−COCH−);Jennings−Whiteら、Tetrahedron Lett 23:2533(1982)(−COCH−);Szelkeら、欧州特許出願、EP45665CA(1982):97:39405(1982)(−CH(OH)CH−);Holladayら、Tetrahedron.Lett 24:4401−4404(1983)(−C(OH)CH−);及びHruby Life Sci 31:189−199(1982)(−CH−S−)に見出されうる;それらの各々は参照して本明細書に組み込まれる。特に好ましい非ペプチド結合は−CHNH−である。ペプチド類似体は、例えば、β−アラニン、γ−アミノ酪酸などのように結合原子間に2つ以上の原子を有しうることが理解される。
【0074】
異種蛋白質に融合した開示ペプチドを含むキメラ蛋白質も開示される。一実施形態では、該異種蛋白質は、サイトカイン活性、細胞毒性活性又はアポトーシス促進活性といった治療活性を有しうる。更なる実施形態では、該異種蛋白質は抗体又はその抗原結合断片でありうる。他の実施形態では、該キメラ蛋白質は、異種蛋白質に融合した、アミノ酸配列・配列番号1を含むペプチド又はその保存的変異体若しくはペプチド模倣体を含む。該開示ペプチドに融合した蛋白質に関連して本明細書で用いられるような「異種」という用語は、該ペプチド又は該ペプチドに由来する該ペプチド模倣体をコードする遺伝子以外の供給源から得られる蛋白質を意味する。開示キメラ蛋白質は、限定されないが、100残基未満、200残基未満、300残基未満、400残基未満、500残基未満、800残基未満又は1000残基未満の長さを含む種々の長さを有しうる。
【0075】
本明細書で用いられるように、「キメラ」及び「キメラ(の)」とは、2つ以上の供給源に由来する配列の任意の組合せをいう。これには、例えば、サブユニット(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸)の単一部分から他の配列に付加、挿入且つ/或いは置換される供給源配列全体までが含まれる。キメラは、例えば、1つの配列の1つ以上の部分が1つ以上の他の配列の1つ以上の部分に付加される付加;1つの配列の1つ以上の部分が1つ以上の他の配列の1つ以上の部分に置換される置換;又は組合せでよい。「保存的置換キメラ」は、キメラの供給源配列がある構造的且つ/或いは機能的関連を有し、また、同様或いは類似の構造及び/又は機能を有する配列部分が互いに置換される置換キメラを指すのに用いられうる。典型的なキメラ抗体及びヒト化抗体が保存的置換キメラの例である。
【0076】
別個の機能を有する第二のペプチドに融合したLyp−1を含む二官能性ペプチドも開示される。そのような二官能性ペプチドは、完全長分子の異なる部分によって付与される、少なくとも2つの機能を有し、例えば、gC1qR/p32と選択的に相互作用する能力に加え、抗血管新生活性又はアポトーシス促進活性を示しうる。
【0077】
各々が独立してペプチド(例えば、アミノ酸配列・配列番号1又はその保存的変異体若しくはペプチド模倣体)を含む、少なくとも2つのサブ配列を含む単離多価ペプチドも開示される。該多価ペプチドは、各々が独立してペプチドを含む、例えば、少なくとも3個、少なくとも5個又は少なくとも10個のそのようなサブ配列を有しうる。特定の実施形態では、該多価ペプチドは、2,3,4,5,6,7,8,9,10,15又は20個の同一或いは非同一サブ配列を有しうる。更なる実施形態では、該多価ペプチドは配列番号1のリピートのような同一サブ配列を含みうる。更なる実施形態では、該多価ペプチドは、介在アミノ酸によって分離されない、連続的な同一或いは非同一サブ配列を含む。一層更なる実施形態では、該多価ペプチドは環状であり、或いは配座的に制限されうる。一例では、該ペプチドはジスルフィド結合を介して環状化或いは環化されうる。
【0078】
本明細書で用いられるように、「ペプチド」という用語は、ペプチド、蛋白質、蛋白質の断片などを意味するのに広範に用いられる。本明細書で用いられるような「ペプチド模倣体」という用語は、その構造的基盤となるペプチドの活性を有するペプチド様分子を意味する。そのようなペプチド模倣体は、化学修飾ペプチド、非天然アミノ酸を含むペプチド様分子及びペプトイドを含み、ペプチド模倣体が由来するペプチドの標的との選択的相互作用のような活性を有する(例えば、Goodman及びRo,Peptidomimetics for Drug Design,“Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery”Vol.1(M.E.Wolff(編);John Wiley & Sons社 1995)、803−861頁を参照)。
【0079】
様々なペプチド模倣体が当該技術分野において公知であり、例えば、制限アミノ酸、ペプチド二次構造を模倣する非ペプチド成分又はアミド結合同配体を含むペプチド様分子が含まれる。非天然制限アミノ酸を含むペプチド模倣体は、例えば、α−メチル化アミノ酸;α,α−ジアルキルグリシン又はα−アミノシクロアルカンカルボン酸;Nα−Cα環化アミノ酸;Nα.−メチル化アミノ酸;β−又はγ−アミノシクロアルカンカルボン酸;α,β−不飽和アミノ酸;β,β−ジメチル又はβ−メチルアミノ酸;β−置換−2,3−メタノアミノ酸;N−Cε又はCα−CΔ環化アミノ酸;置換プロリン或いは別のアミノ酸模倣体を含みうる。ペプチド二次構造を模倣するペプチド模倣体は、例えば、非ペプチドβ−ターン模倣体;γ−模倣体;β−シート構造の模倣体;又はへリックス構造の模倣体を含み得、それらの各々は当該技術分野において周知である。ペプチド模倣体は、例えば、レトロ−インベルソ修飾のようなアミド結合同配体;還元アミド結合;メチレンチオエーテル又はメチレン−スルホキシド結合;メチレンエーテル結合;エチレン結合;チオアミド結合;トランス−オレフィン又はフルオロオレフィン結合;1,5−二置換テトラゾール環;ケトメチレン又はフルオロケトメチレン結合或いは別のアミド同配体を含むペプチド様分子でもありうる。当業者は、これら及び他のペプチド模倣体が、本明細書で用いられるような「ペプチド模倣体」という用語の意味範囲内に包含されることを理解する。
【0080】
ペプチド模倣体を同定する方法は当該技術分野において周知であり、例えば、潜在的ペプチド模倣体のライブラリーを含むデータベースのスクリーニングを含む。一例として、Cambridge Structural Databaseは、既知の結晶構造を有する300,000以上の化合物のコレクションを有する(Allenら、Acta Crystalloqr.Section B,35:2331(1979))。この構造寄託は、新たな結晶構造が決定されるため、継続的に更新され、好適な形状、例えば、開示ペプチドと同じ形状及び標的分子に対する潜在的な幾何学的・化学的な相補性を有する化合物のスクリーニングに用いられうる。ペプチド又は該ペプチドと結合する標的分子の結晶構造が得られない場合、例えば、CONCORDプログラムを用いて構造が生成されうる(Rusinkoら、J.Chem.Inf.Comput.Sci.29:251(1989)。別のデータベースであるAvailable Chemicals Directory(Molecular Design Limited,Information Systems社;カリフォルニア州San Leandro)は、市販されている約100,000個の化合物を含み、また、例えば、癌細胞と選択的に相互作用する活性を有するペプチドの潜在的ペプチド模倣体を同定するために探索されうる。
【0081】
所望とあれば、Lyp−1のような単離ペプチドは環状であり、或いは配座的に制限されうる。本明細書で用いられるように、ペプチドのような「配座的に制限された」分子は、三次元構造が経時的に実質的に1つの空間配置に維持される分子である。配座的に制限された分子は、親和性、代謝安定性、膜透過性又は可溶性の増大のような特性の向上を有しうる。構造制約の方法は当該技術分野において周知であり、本明細書の他の箇所で更に考察されるような環化を含む。
【0082】
ペプチドに関連して本明細書で用いられるように、「環状」という用語は、2つの非隣接アミノ酸又はアミノ酸類似体間の分子内結合を含む構造を意味する。環化は共有結合又は非共有結合を介して生じうる。分子内結合には、限定されないが、骨格−骨格、側鎖−骨格及び側鎖−側鎖結合が含まれる。好ましい環化方法は、非隣接アミノ酸又はアミノ酸類似体の側鎖間ジスルフィド結合の形成を介するものである。ジスルフィド結合を形成することができる残基には、例えば、システイン(Cys)、ペニシラミン(Pen)、β,β−ペンタメチレンシステイン(Pmc)、β,β−ペンタメチレン−β−メルカプトプロピオン酸(Pmp)及びそれらの機能的等価物が含まれる。
【0083】
ペプチドは、例えば、1つのアミノ酸又はアミノ酸類似体の側鎖基を用いて、アミノ末端残基のN末端アミンへの共有結合を形成することができるラクタム結合を介して環化することもできる。ラクタム結合を形成することができる残基には、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、リシン(Lys)、オルニチン(orn)、α,β−ジアミノ−プロピオン酸、γ−アミノ−アジピン酸(Adp)及びM−(アミノメチル)安息香酸(Mamb)が含まれる。更に、環化は、例えば、リシン(Lys)及びロイシン(Leu)残基間のリシノノルロイシン結合或いは2つのチロシン(Tyr)残基間のジチロシン結合の形成を介して生じうる。当業者はこれら及び他の結合が環状ペプチドに含まれうるということを理解する。
【0084】
(D.機能性核酸)
本明細書で考察されるように、機能性核酸は、例えば、gC1q/p32受容体の発現を調節するのに用いられうる。機能性核酸は、標的分子との結合又は特定の反応の触媒のような特定の機能を有する核酸分子である。機能性核酸分子は以下の分類に分けられうるが、それは限定を意図するものではない。例えば、機能性核酸には、アンチセンス分子、アプタマー、リボザイム、三重鎖形成分子及び外部ガイド配列が含まれる。機能性核酸分子は、標的分子が有する特定の活性の影響因子、阻害因子、調節因子及び刺激因子として作用することができ、或いは機能性核酸分子は、他のいずれの分子からも独立した新規(de novo)活性を有しうる。
【0085】
機能性核酸分子は、任意の高分子、例えば、DNA、RNA、ポリペプチド又は炭水化物鎖と相互作用することができる。本明細書で考察されるように、機能性核酸はgC1q/p32受容体と相互作用することができる。機能性核酸は、標的分子と機能性核酸分子との配列相同性に基づき、他の核酸と相互作用するように設計されることが多い。他の場合では、機能性核酸分子と標的分子との間の特定の認識は、機能性核酸分子と標的分子との配列相同性に基づくのではなく、むしろ特定の認識が生じることを可能とする三次構造の形成に基づく。
【0086】
アンチセンス分子は、標準(canonical)或いは非標準(non−canonical)塩基対を介して標的核酸分子と相互作用するように設計される。アンチセンス分子と標的分子との相互作用は、例えば、RNAseH媒介性RNA−DNAハイブリッドの分解を通じて標的分子の破壊を促進するように設計される。或いは、アンチセンス分子は、通常、標的分子において生じうるプロセシング機能、例えば、転写又は複製を妨害するように設計される。アンチセンス分子は標的分子の配列に基づいて設計されうる。標的分子の最もアクセス可能な領域を見出すことによる、アンチセンス効率性の最適化のための多くの方法が存在する。例示的な方法はDMS及びDEPCを用いたin vitro選択試験及びDNA修飾試験であろう。アンチセンス分子は10−6,10−8,10−10又は10−12以下の解離定数(k)にて標的分子と結合することが好ましい。アンチセンス分子の設計・使用に役立つ方法及び技法の代表的サンプルが、以下の米国特許の非限定的一覧に見出されうる:5,135,917,5,294,533,5,627,158,5,641,754,5,691,317,5,780,607,5,786,138,5,849,903,5,856,103,5,919,772,5,955,590,5,990,088,5,994,320,5,998,602,6,005,095,6,007,995,6,013,522,6,017,898,6,018,042,6,025,198,6,033,910,6,040,296,6,046,004,6,046,319及び6,057,437。
【0087】
アプタマーは、好ましくは、特殊な態様にて標的分子と相互作用する分子である。典型的には、アプタマーは、ステム・ル一プ又はG−カルテットのような特定の二次及び三次構造に折り畳む、長さ15〜50塩基の範囲の小核酸である。アプタマーは、ATP(米国特許第5,631,146号)及びテオフィリン(theophiline)(米国特許第5,580,737号)のような小分子並びに逆転写酵素(米国特許第5,786,462号)及びトロンビン(米国特許第5,543,293号)のような大分子と結合することができる。アプタマーは10−12M未満の標的分子からのksにて極めて強固に結合することができる。アプタマーは、10−6,10−8,10−10又は10−12未満のkにて標的分子と結合することが好ましい。アプタマーは極めて高度の特異性にて標的分子と結合することができる。例えば、分子上の単一位置においてのみ異なる、標的分子と別の分子との結合親和性の10000倍以上の差異を有するアプタマーが単離されている(米国特許第5,543,293号)。アプタマーは、背景結合分子とのkより少なくとも10,100,1000又は10000倍低い標的分子とのkを有することが好ましい。例えば、ポリペプチドに対して比較する場合、背景分子は異なるポリペプチドであることが好ましい。
【0088】
種々の異なる標的分子と結合するためのアプタマーの作製及び使用の代表例が、以下の非限定的米国特許一覧に見出されうる:5,476,766,5,503,978,5.631,146,5,731,424,5,780,228,5,792,613,5,795,721,5,846,713,5,858,660,5,861,254,5,864,026,5,869,641,5,958,691,6,001,988,6,001,020,6,013,443,6,020,130,6,028,186,6,030,776及び6,051,698。
【0089】
リボザイムは分子内又は分子間にて化学反応を触媒することができる核酸分子である。従って、リボザイムは触媒核酸である。リボザイムは分子間反応を触媒することが好ましい。天然系において見出されるリボザイム、例えば、ハンマーヘッド型リボザイム(例えば、限定されないが、以下の米国特許:5,334,711,5,436,330,5,616,466,5,633,133,5,646,020,6,562,094,5,712,384,5,770,715,5,856,463,5,861,288,5,891,683,5,891,684,5,985,621,5,989,908,5,998,193,5,998,203,Ludwig及びSproatによるWO 9858058,Ludwig及びSproatによるWO 9858057並びにLudwig及びSproatによるWO 9718312)、ヘアピンリボザイム(例えば、限定されないが、以下の米国特許:5,631,115,5,646,031,5,683,902,5,712,384,5,856,188,5,866,701,5,869,339及び6,022,962)及びテトラヒメナリボザイム(例えば、限定されないが、以下の米国特許:5,595,873及び5,652,107)に基づくヌクレアーゼ又は核酸ポリメラーゼ型反応を触媒する、多くの異なるタイプのリボザイムがある。天然系には見出されないが、特殊な新規(de novo)反応を触媒するように設計されている多くのリボザイムもある(例えば、限定されないが、以下の米国特許:5,580,967,5,688,670,5,807,718及び5,910,408)。好ましいリボザイムはRNA又はDNA基質を開裂させ、より好ましくは、RNA基質を開裂させる。通常、リボザイムは後に開裂する標的基質の認識及び結合を通じて核酸基質を開裂させる。この認識は大部分が標準(canonical)或いは非標準(non−canonical)塩基対の相互作用に基づく場合が多い。標的基質の認識が標的基質配列に基づくため、この特性により、リボザイムは核酸の標的特異的開裂の特に良好な候補物質となる。種々の異なる反応を触媒するためのリボザイムの作製及び使用の代表例が、以下の非限定的米国特許一覧に見出されうる:5,646,042,5,693,535,5,731,295,5,811,300,5,837,855,5,869,253,5,877,021,5,877,022,5,972,699,5,972,704,5,989,906及び6,017,756。
【0090】
三重鎖形成機能性核酸分子は、二本鎖又は一本鎖核酸と相互作用することができる分子である。三重鎖分子が標的領域と相互作用すると、三重鎖と称される構造が形成され、その構造にはWatson−Crick及びHoogsteen塩基対に依存する複合体を形成する三本鎖のDNAがある。三重鎖分子は高親和性及び特異性にて標的領域と結合することができるため、好ましい。三重鎖形成分子は、10−6,10−8,10−10又は10−12未満のkにて標的分子と結合することが好ましい。種々の異なる標的分子と結合するための三重鎖形成分子の作製及び使用の代表例が、以下の非限定的米国特許一覧に見出されうる:5,176,996,5,645,985,5,650,316,5,683,874,5,693,773,5,834,185,5,869,246,5,874,566及び5,962,426。
【0091】
外部ガイド配列(EGSs)は、標的核酸分子と結合し、複合体を形成するする分子であり、この複合体は標的分子を開裂させるRNase Pによって認識される。EGSsは選択RNA分子を特異的に標的とするように設計されうる。RNAse Pは細胞内の転移RNA(tRNA)をプロセシングするのに役立つ。標的RNA:EGS複合体に天然tRNA基質を模倣させるEGSを用いて、細菌RNAse Pは動員されてほとんど如何なるRNA配列も開裂することができる(YaleによるWO 92/03566並びにForster及びAltman,Science 238:407−409(1990))。
【0092】
同様に、真核EGS/RNAse Pを標的化したRNAの開裂を用いて、真核細胞内の所望の標的を開裂させることができる。(Yuanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:8006−8010(1992);YaleによるWO 93/22434;YaleによるWO 95/24489;Yuan及びAltman,EMBO J 14:159−168(1995)並びにCarraraら、Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)92:2627−2631(1995))。種々の異なる標的分子の開裂を促進するためのEGS分子の作製及び使用の代表例が、以下の非限定的米国特許一覧に見出されうる:5,168,053,5,624,824,5,683,873,5,728,521,5,869,248及び5,877,162。
【0093】
(E.核酸送達)
対象の細胞内への外因性DNAの投与及び取込み(即ち、遺伝子導入又はトランスフェクション)を含む、本明細書で記載される方法では、開示核酸は裸DNA又はRNAの形態でよく、或いは該核酸は該核酸を該細胞に送達するためのベクター内にあってよく、それにより、当業者には十分に理解されるように、抗体をコードしているDNA断片はプロモーターの転写調節下にある。該ベクターはアデノウイルスベクター(Quantum Biotechnologies,Inc.(カナダ・ケベック州ラバル(Laval))のような市販の調製物でよい。核酸又はベクターの細胞への送達は、種々のメカニズムを介して可能である。一例として、送達は、市販のリポソーム調製物、例えば、LIPOFECTIN,LIPOFECTAMINE(GIBCO−BRL,Inc.、メリーランド州ゲイサーズバーグ(Gaithersburg))、SUPERFECT(Qiagen,Inc.、ドイツ・ヒルデン(Hilden))及びTRANSFECTAM(Promega Biotec, Inc.、ウィスコンシン州マディソン)並びに当該技術分野において標準的な手順に従って開発された他のリポソームを用いて、リポソームを介することが可能である。加えて、開示核酸又はベクターは、その技術がGenetronics,Inc.(カリフォルニア州サンディエゴ)から得られるエレクトロポレーションにより、また、SONOPORATION装置(ImaRx Pharmaceutical Corp.、アリゾナ州ツーソン(Tucson))によってin vivoにて送達されうる。
【0094】
一例として、ベクター送達は、組換えレトロウイルスゲノムをパッケージすることができるレトロウイルスベクター系のようなウイルス系を介することができる(例えば、Pastanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:4486,1988;Millerら、Mol.Cell.Biol.6:2895,1986参照)。次に、組換えレトロウイルスは細胞を感染させ、これにより、広範に中和する抗体(又はその活性断片)をコードする核酸を感染細胞に送達するのに用いられうる。勿論、改変核酸を哺乳動物細胞に導入する厳密な方法は、レトロウイルスベクターの使用に限定されない。この処置に対しては他の技法が広範に利用でき、アデノウイルスベクター(Mitaniら、Hum.Gene Ther.5:941−948,1994)、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター(Goodmanら、Blood 84:1492−1500,1994)、レンチウイルスベクター(Naidiniら、Science 272:263−267,1996)、偽型レトロウイルスベクター(Agrawalら、Exper.Hematol.24:738−747,1996)の使用を含む。リポソーム送達及び受容体媒介並びに他のエンドサイトーシス機構のような物理的導入法も用いられうる(例えば、Schwartzenbergerら、Blood 87:472−478,1996参照)。本開示組成物及び方法は、これら及び他の一般的に用いられる遺伝子導入法の任意の方法と併せて用いられうる。
【0095】
一例として、抗体をコードしている核酸がアデノウイルスベクターにて対象の細胞に送達される場合、アデノウイルスのヒトへの投与のための用量は、1回の注射当たり約10〜10プラーク形成単位(pfu)の範囲でよいが、1回の注射当たり1012pfuほどの高用量でもよい(Crystal,Hum.Gene Ther.8:985−1001,1997;Alvarez及びCuriel,Hum.Gene Ther.8:597−613,1997)。対象は単回注射を受けることができ、或いは、追加注射が必要な場合、不定期間及び/又は処置の有効性が確定するまで6カ月間隔(又は当業者によって決定されるような適切な期間間隔)にて反復されうる。
【0096】
核酸又はベクターの非経口投与が用いられる場合、一般的に、それは注射を特徴とする。注射可能物は、液体の溶液若しくは懸濁液、注射前の液状懸濁溶液に適した固体形態又は乳剤として従来の形態にて調製されうる。非経口投与の比較的最近修正された手法は、一定用量が維持されるように、徐放又は持続放出の利用を含む。治療用化合物の好適な製剤及び種々の投与経路の更なる考察については、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第19版)A.R.Gennaro(編)、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン(Easton)1995を参照されたい。
【0097】
(F.抗体)
(i.抗体一般)
gC1q/p32受容体を調節するのに用いられうる抗体又はLyp−1が本明細書で開示される。そのような抗体の例は図10に見出されうる。「抗体」という用語は、本明細書では広範な意味で用いられ、ポリクローナル及びモノクローナル抗体を含む。無傷免疫グロブリン分子に加え、gC1qR/p32と相互作用する能力に対して選択される限り、「抗体」という用語には、それらの免疫グロブリン分子の断片又は重合体並びに免疫グロブリン分子のヒト若しくはヒト化変種又はその断片も含まれる。抗体は、本明細書で述べるin vitroアッセイを用い、或いは類似の方法により、その所望の活性について試験され得、その後、既知の臨床試験法に従って、そのin vivoでの治療活性及び/又は予防活性が試験される。
【0098】
本明細書で用いられるような「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体集団から得られる抗体を指し、即ち、集団内の個々の抗体が、抗体分子の小サブセットに存在しうる天然変異の可能性を除いて同一である。本明細書におけるモノクローナル抗体は、所望の拮抗活性を示す限り、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種から得られ、或いは特定の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応配列と同一或いは相同であり、一方、該鎖の他の部分が、別の種から得られ、或いは別の抗体クラス又はサブクラスに属する抗体の対応配列と同一或いは相同である「キメラ」抗体並びにそのような抗体の断片を具体的に含む(米国特許第4,816,567号及びMorrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984)参照)。
【0099】
開示モノクローナル抗体は、モノクローナル抗体を生成する任意の処理を用いて作製されうる。例えば、開示モノクローナル抗体は、Kohler及びMilstein,Nature,256:495(1975)により報告されているようなハイブリドーマ法を用いて調製されうる。ハイブリドーマ法では、典型的には、マウス又は他の適切な宿主動物が免疫剤で免疫化され、該免疫剤に特異的に結合する抗体を産生し、或いは産生することができるリンパ球を誘導する。或いは、リンパ球は、例えば、本明細書で述べるHIV Env−CD4共受容体複合体を用いてin vitroにて免疫化されうる。
【0100】
モノクローナル抗体は、米国特許第4,816,567号(Cabillyら)に述べられているような組換えDNA法によっても作製されうる。開示モノクローナル抗体をコードしているDNAは、従来の処理を用いて容易に単離・配列決定されうる(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードしている遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを用いることにより)。例えば、Burtonらに対する米国特許第5,804,440号及びBarbasらに対する米国特許第6,096,441号に述べられているようなファージ提示法を用いて、抗体及び活性抗体断片のライブラリーを作製・スクリーニングすることもできる。
【0101】
in vitro法は一価抗体を調製するのにも適している。抗体を消化し、その断片、特に、Fab断片を生成することは、当該技術分野において公知のルーチンの技法を用いて行われうる。例えば、消化はパパインを用いて行われうる。パパイン消化の例は、1994年12月22日に公開されたWO 94/29348及び米国特許第4,342,566号に述べられている。典型的には、抗体のパパイン消化により、各々が単一抗原結合部位を有する、Fab断片と称される2つの同一抗原結合断片及び残りのFc断片が生じる。ペプシン処理では、2つの抗原結合部位を有し、それでも抗原を架橋することができる断片が生じる。
【0102】
他の配列に結合しているか否かにかかわらず、該断片は、特定の領域又は特定のアミノ酸残基の挿入、欠失、置換若しくは他の選択修飾も含みうる。但し、抗体又は抗体断片の活性が、非修飾抗体又は抗体断片と比べて有意に変化或いは損傷しないものとする。これらの修飾は、ジスルフィド結合可能なアミノ酸を除去/付加し、その生体寿命を延ばし、その分泌特性を変化させるなどのような何らかの付加的特性を付与しうる。いずれの場合でも、抗体又は抗体断片は、その同種抗原への特異的結合のような生物活性特性を有する必要がある。抗体若しくは抗体断片の機能性領域又は活性領域は、蛋白質の特定領域の突然変異生成、次に、発現及び発現ポリペプチドの試験によって同定されうる。そのような方法は当業者には容易に明らかであり、抗体又は抗体断片をコードしている核酸の部位特異的突然変異生成を含みうる(Zoller,M.J.Curr.Opin.Biotechnol.3:348−354,1992)。
【0103】
本明細書で用いられるように、「抗体」又は「抗体(複数)」という用語は、ヒト抗体及び/又はヒト化抗体も指しうる。多くの非ヒト抗体(例えば、マウス、ラット又はウサギ由来の抗体)はヒトにおいて天然に抗原性であり、従って、ヒトに投与されると、望ましくない免疫応答を生じさせうる。従って、本方法におけるヒト又はヒト化抗体の使用は、ヒトに投与される抗体が望ましくない免疫応答を惹起する可能性を低下させるのに役立つ。
【0104】
(ii.ヒト抗体)
開示されるヒト抗体は任意の技法を用いて調製されうる。ヒトモノクローナル抗体生成のための技法の例には、Coleら(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77,1985)及びBoernerら(J.Immunol,147(1):86−95,1991)により述べられている技法が含まれる。ヒト抗体(及びその断片)はファージ提示ライブラリーを用いても生成されうる(Hoogenboomら、J.Mol.Biol.,227:381,1991;Marksら、J.Mol.Biol.,222:581,1991)。
【0105】
開示ヒト抗体はトランスジェニック動物からも得られうる。例えば、免疫化に応答してヒト抗体の完全レパートリーを生成することができるトランスジェニック突然変異マウスが報告されている(例えば、Jakobovitsら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:2551−255(1993);Jakobovitsら、Nature,362:255−258(1993);Bruggermannら、Year in Immunol.,7:33(1993)参照)。具体的には、これらのキメラ及び生殖細胞系突然変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(J(H))遺伝子のホモ接合欠失は、内在性抗体生成の完全な阻害をもたらし、そのような生殖細胞系突然変異マウスへのヒト生殖細胞系抗体遺伝子アレイの良好な導入は、抗原投与後、ヒト抗体の生成をもたらす。本明細書で述べるように、所望の活性を有する抗体はEnv−CD4共受容体複合体を用いて選択される。
【0106】
(iii.ヒト化抗体)
一般的に、抗体ヒト化技法は、抗体分子の1つ以上のポリペプチド鎖をコードしているDNA配列を操作するための組み換えDNA技術の使用を含む。従って、非ヒト抗体(又はその断片)のヒト化形態は、ヒト(レシピエント)抗体のフレームワークに組み込まれた非ヒト(ドナー)抗体由来の抗原結合部位の一部分を含むキメラ抗体又は抗体鎖(又はその断片例えば、Fv,Fab,Fab’若しくは抗体の他の抗原結合部)である。
【0107】
ヒト化抗体を作製するには、レシピエント(ヒト)抗体分子の1つ以上の相補性決定領域(CDRs)由来の残基が、所望の抗原結合特性(例えば、標的抗原に対するあるレベルの特異性及び親和性)を有することが既知であるドナー(非ヒト)抗体分子の1つ以上のCDRs由来の残基に置換される。一部の例では、ヒト抗体のFvフレームワーク(FR)残基が対応する非ヒト残基に置換される。ヒト化抗体は、レシピエント抗体にも移入CDR又はフレームワーク配列にも見出されない残基も含みうる。一般的に、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源からそれに導入される1つ以上のアミノ酸残基を有する。実際、ヒト化抗体は、通常、いくつかのCDR残基、及び、おそらくいくつかのFR残基が、げっ歯類抗体における類似部位由来の残基に置換されるヒト抗体である。一般的に、ヒト化抗体は、抗体定常領域(Fc)、典型的にはヒト抗体の定常領域の少なくとも一部を含む(Jonesら、Nature,321:522−525(1986),Reichmannら、Nature,332:323−327(1988)及びPresta,Curr.Opin.Struct.Biol,2:593−596(1992))。
【0108】
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該技術分野において公知である。例えば、ヒト化抗体は、げっ歯類CDRs又はCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することにより、Winterとその共同研究者ら(Jonesら、Nature,321:522−525(1986),Riechmannら、Nature,332:323−327(1988),Verhoeyenら、Science,239:1534−1536(1988))の方法に従って作製されうる。ヒト化抗体を生成するのに用いられうる方法は、米国特許第4,816,567号(Cabillyら)、米国特許第5,565,332号(Hoogenboomら)、米国特許第5,721,367号(Kayら)、米国特許第5,837,243号(Deoら)、米国特許第5,939,598号(Kucherlapatiら)、米国特許第6,130,364号(Jakobovitsら)及び米国特許第6,180,377号(Morganら)にも述べられている。
【0109】
(iv.抗体の投与)
抗体の投与は本明細書で開示されるように行われうる。抗体送達のための核酸手法も存在する。患者又は対象自身の細胞が核酸を吸収し、コードされた抗体又は抗体断片を生成・分泌するように、例えば、広範に中和する抗DES−1抗体及び抗体断片は、抗体又は抗体断片をコードする核酸調製物(例えば、DNA又はRNA)としても患者又は対象に投与されうる。核酸の送達は、例えば、本明細書で開示されるような任意の手段によるものでよい。
【0110】
(G.Lyp−1組成物)
配列番号1(Lyp−1)を含み、任意に部分(moiety)も含むLyp−1組成物が開示される。該部分(moiety)は任意の分子でよい。例えば、配列番号1に結合された治療剤を含む部分(moieties)が開示される。該部分(moiety)はgC1q/p32受容体に有用に標的化される分子であることが好ましい。例えば、治療効果を有する部分(moieties)のような標的に作用する部分(moieties)又は蛍光分子若しくは放射性核種のような標的の検出、可視化若しくは画像化を容易にする部分(moieties)である。gC1qR/p32と選択的に相互作用する配列番号1のような開示ペプチドは、例えば、腫瘍若しくは癌に作用し、炎症若しくは感染を低減又は排除し、且つ/或いは創傷治癒を促進することができる部分(moieties)と有用に結合されうる。種々の治療剤がLyp−1組成物において有用であり、限定されないが、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗血管新生剤、ポリペプチド、核酸分子及び低分子が含まれる。
【0111】
Lyp−1組成物は、例えば、2又はそれ以上、3又はそれ以上、5又はそれ以上、10又はそれ以上、12又はそれ以上、30又はそれ以上、40又はそれ以上、50又はそれ以上、100又はそれ以上、200又はそれ以上、300又はそれ以上、400又はそれ以上、500又はそれ以上、1000又はそれ以上の配列番号1のコピーを含みうる。Lyp−1組成物はすべてが同一アミノ酸配列を有するペプチドを含みうる。別の実施形態では、Lyp−1組成物は2又はそれ以上の非同一アミノ酸配列を含みうる。例えば、配列番号1と別の標的化ペプチドは別個或いは共に用いられうる。複数のペプチドを組み込んでいるLyp−1組成物において有用な部分(moieties)には、限定されずに、ファージ、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス及び他のウイルス、細胞、リポソーム、ポリマーマトリクス、非ポリマーマトリクス、粒子、例えば、金粒子、微小デバイス、ナノデバイス及びナノスケールの半導体物質が含まれる。
【0112】
Lyp−1組成物は、例えば、少なくとも2つのペプチドに結合されたリポソーム又は他のポリマーマトリクスを含みうる。所望とあれば、リポソーム又は他のポリマーマトリクスは、少なくとも10、少なくとも100又は少なくとも1000個の配列番号1のようなペプチドに結合されうる。リポソームはそのようなコンジュゲートにて有用となりうる;リポソームはリン脂質又は他の脂質からなり、作製及び投与が比較的簡易である、非毒性で生理的に許容可能であって代謝可能な担体である(Gregoriadis,Liposome Technology,Vol.1(CRC Press社、フロリダ州ボーカラトーン(Boca Raton)(1984))。リポソーム又は他のポリマーマトリクスは、別の成分、例えば、限定されずに、治療剤、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗血管新生剤、ポリペプチド又は核酸分子を任意に含みうる。
【0113】
開示Lyp−1組成物の成分は任意の好適な態様にて組み合わせられ、連結且つ/或いは結合されうる。例えば、部分(moieties)とペプチドは、共有結合的或いは非共有結合的に、直接或いは間接に、リンカー部分の有無にかかわらず、結合されうる。
【0114】
(1.部分(moieties))
部分(moiety)を標的に向けるのに有用な組成物が開示される。例えば、部分(moiety)はLyp−1組成物に組み込まれうる。本明細書で用いられるように、「部分(moiety)」という用語は、一般的に、生物学的に有用な機能を結合分子に付与する、物理的、化学的或いは生物学的物質を意味するのに広範に用いられる。部分(moiety)は任意の天然或いは非天然物質でよく、限定されずに、生物学的物質、例えば、細胞、ファージ若しくは他のウイルス;有機化学物質、例えば、低分子;放射性核種;核酸分子若しくはオリゴヌクレオチド;ポリペプチド;又はペプチドを含む。有用な部分(moieties)には、限定されないが、治療剤、例えば、癌化学療法剤、細胞毒性剤、アポトーシス促進剤及び抗血管新生剤;検出可能な標識及び造影剤;並びにタグ又は他の不溶性支持体が含まれる。有用な部分(moieties)には、限定されずに、ファージ及び他のウイルス、細胞、リポソーム、ポリマーマトリクス、非ポリマーマトリクス或いは粒子、例えば、金粒子、微小デバイス及びナノデバイス並びにナノスケールの半導体物質が更に含まれる。当該技術分野において公知のこれら及び他の部分(moieties)は、コンジュゲートの成分でありうる。
【0115】
(i.治療剤)
部分(moiety)は治療剤でありうる。本明細書で用いられるように、「治療剤」という用語は、正常或いは病変組織において1つ以上の生物活性を有する分子を意味する。様々な治療剤が部分(moiety)として用いられうる。
【0116】
一部の実施形態では、治療剤は癌化学療法剤でありうる。本明細書で用いられるように、「癌化学療法剤」は癌細胞の増殖、成長、寿命又は転移活性を阻害する化学物質である。そのような癌化学療法剤は、限定されずに、ドセタキセルのようなタキサン;ドキソルビシンのようなアントラサイクリン;アルキル化剤;ビンカアルカロイド;代謝拮抗剤;シスプラチン又はカルボプラチンのような白金剤;メトトレキサートのようなステロイド;アドリアマイシンのような抗生物質;イソファミド;又は選択的エストロゲン受容体モジュレーター;トラスツズマブのような抗体でよい。
【0117】
タキサンはLyp−1組成物において有用な化学療法剤である。有用なタキサンには、限定されずに、ドセタキセル(Taxotere;Aventis Pharmaceuticals,Inc.;ニュージャージー州Parsippany)及びパクリタキセル(Taxol;Bristol−Myers Squibb社;ニュージャージー州プリンストン)が含まれる。例えば、Chanら、J.Clin.Oncol.17:2341−2354(1999)及びParidaensら、J.Clin.Oncol.18:724(2000)を参照されたい。
【0118】
Lyp−1組成物において有用な癌化学療法剤は、アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン、イダルビシン又はダウノルビシンでもよい。ドキソルビシンは一般的に用いられる癌化学療法剤であり、例えば、乳癌を処置するのに有用でありうる(Stewart及びRatain:“Cancer:Principles and practice of oncology”第5版、第19章(DeVita,Jr.ら(編);J.P.Lippincott社 1997);Harrisら、上記“Cancer:Principles and practice of oncology,”1997)。加えて、ドキソルビシンは抗血管新生活性を有し(Folkman,Nature Biotechnology 15:510(1997);Steiner,“Angiogenesis:Key principles−Science,technology and medicine,”449−454頁(Steinerら(編);Birkhauser Verlag社、1992))、これは癌の処置においてその効果に寄与しうる。
【0119】
アルキル化剤、例えば、メルファラン又はクロラムブシルも有用な癌化学療法剤でありうる。同様に、ビンカアルカロイド、例えば、ビンデシン、ビンブラスチン又はビノレルビン;或いは代謝拮抗剤、例えば、5−フルオロウラシル、5−フルオロウリジン又はそれらの誘導体は有用な癌化学療法剤でありうる。
白金剤も有用な癌化学療法剤でありうる。そのような白金剤は、例えば、Crown,Seminars in Oncol.28:28−37(2001)において報告されているような、例えば、シスプラチン又はカルボプラチンでよい。他の有用な癌化学療法剤には、限定されずに、メトトレキサート、マイトマイシンC、アドリアマイシン、イホスファミド及びアンサマイシンが含まれる。
【0120】
乳癌及び他のホルモン依存性癌の処置に有用な癌化学療法剤は、エストロゲンの作用に拮抗する薬剤、例えば、選択的エストロゲン受容体モジュレーター又は抗エストロゲン剤でもよい。選択的エストロゲン受容体モジュレーターであるタモキシフェンは、乳癌の処置のためにコンジュゲートにおいて用いられうる癌化学療法剤である(Fisherら、J.Natl.Cancer Instit.90:1371−1388(1998))。
【0121】
治療剤はヒト化モノクローナル抗体のような抗体でありうる。一例として、抗上皮増殖因子受容体2(HER2)抗体であるトラスツズマブ(Herceptin;Genentech社、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)は、HER2/neu過剰発現乳癌を処置するのに有用な治療剤でありうる(Whiteら、Annu.Rev.Med.52:125−141(2001))。
【0122】
有用な治療剤は、本明細書で用いられるように、直接或いは間接的に細胞死を促進する任意の分子でありうる細胞毒性剤でもよい。有用な細胞毒性剤には、限定されずに、低分子、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣体、核酸分子、細胞及びウイルスが含まれる。非限定例として、有用な細胞毒性剤には、細胞毒性低分子、例えば、ドキソルビシン、ドセタキセル又はトラスツズマブ;更に下述されるような抗微生物ペプチド;カスパーゼ及び毒素のようなアポトーシス促進ポリペプチド、例えば、カスパーゼ−8;ジフテリア毒素A鎖、シュードモナス外毒素A、コレラ毒素、リガンド融合毒素、例えば、DAB389EGF、トウゴマ(ricinus communis)毒素;並びに細胞毒性T細胞のような細胞毒性細胞が含まれる。例えば、Martinら、Cancer Res.60:3218−3224(2000);Kreitman及びPastan,Blood 90:252−259(1997);Allamら、Cancer Res.57:2615−2618(1997);並びにOsborne及びCoronado−Heinsohn,Cancer J.Sci.Am.2:175(1996)を参照されたい。本明細書で述べられ、或いは当該技術分野において公知のこれら及び追加の細胞毒性剤が、開示コンジュゲート及び方法において有用でありうることを当業者は理解する。
【0123】
一実施形態では、治療剤は治療用ポリペプチドでよい。本明細書で用いられるように、治療用ポリペプチドは生物学的に有用な機能を有する任意のポリペプチドでよい。有用な治療用ポリペプチドは、限定されずに、サイトカイン、抗体、細胞毒性ポリペプチド;アポトーシス促進ポリペプチド;及び抗血管新生ポリペプチドを包含する。非限定例として、有用な治療用ポリペプチドは、サイトカイン、例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、腫瘍壊死因子−β(TNF−β)、顆粒球・マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターフェロン・アルファ(IFN−α);インターフェロン・ガンマ(IFN−γ)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−2(IL−2)、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−4(IL−4)、インターロイキン−6(IL−6)、インターロイキン−7(IL−7)、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−12(IL−12)、リンフォタクチン(LTN)又は樹状細胞ケモカイン1(DC−CK1);抗HER2抗体又はその断片;毒素又はカスパーゼを含む細胞毒性ポリペプチド、例えば、ジフテリア毒素A鎖、シュードモナス外毒素A、コレラ毒素、リガンド融合毒素、例えば、DAB389EGF又はリシン;或いは抗血管新生ポリペプチド、例えば、アンジオスタチン、エンドスタチン、トロンボスポンジン、血小板第4因子;アナステリン;又は本明細書で更に述べられ、或いは当該技術分野において公知の抗血管新生ポリペプチドの1つ(下記参照)でよい。生物活性を有するこれら及び他のポリペプチドが「治療用ポリペプチド」でありうることが理解される。
【0124】
治療剤は抗血管新生剤でもよい。本明細書で用いられるように、「抗血管新生剤」という用語は、血管の成長・発達である血管新生を低減或いは阻止する分子を意味する。様々な抗血管新生剤がルーチンの方法によって調製されうる。そのような抗血管新生剤には、限定されずに、低分子;蛋白質、例えば、ドミナントネガティブ型の血管新生因子、転写因子及び抗体;ペプチド;並びにリボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む核酸分子とドミナントネガティブ型の血管新生因子及び受容体、転写因子をコードしている核酸分子及び抗体とその抗原結合断片が含まれる。例えば、Hagedorn及びBikfalvi,Crit.Rev.Oncol.Hematol.34:89−110(2000)並びにKirschら、J.Neurooncol.50:149−163(2000)を参照されたい。
【0125】
血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、in vivoでの乳癌の血管新生を含む多くのタイプの癌における血管新生に重要であることが示されている(Borgstromら、Anticancer Res.19:4213−4214(1999))。VEGFの生物学的作用は、内皮細胞の増殖、生存、移動及び管形成並びに血管透過性の調節を含む。抗血管新生剤は、例えば、VEGFの発現若しくはシグナリング又は別の血管新生因子を低下させる阻害因子又は中和抗体、例えば、抗VEGF中和モノクローナル抗体でよい(上記Borgstromら、1999)。抗血管新生剤は、別の血管新生因子、例えば、線維芽細胞増殖因子ファミリーのメンバー、例えば、FGF−1(酸性)、FGF−2(塩基性)、FGF−4又はFGF−5(Slavinら、Cell Biol.Int.19:431−444(1995);Folkman及びShing,J.Biol.Chem.267:10931−10934(1992))或いは内皮細胞特異的Tie2受容体チロシンキナーゼを介してシグナル伝達するアンジオポイエチン−1のような血管新生因子(Davisら、Cell 87:1161−1169(1996);及びSuriら、Cell 87:1171−1180(1996))或いはこれらの血管新生因子の1つの受容体を阻害することもできる。様々なメカニズムが作用して血管新生因子の活性を阻害することができ、これには、限定されずに、受容体結合の直接阻害、血管新生因子の細胞外空間への分泌を低減することによる間接阻害又は血管新生因子の発現、機能若しくはシグナリングの阻害が含まれると理解される。
【0126】
様々な他の分子も抗血管新生剤として機能することができ、これには、限定されずに、アンジオスタチン;アンジオスタチンのクリングルペプチド;エンドスタチン;アナステリン、フィブロネクチンのヘパリン結合断片;アンチトロンビンの改変形態;コラゲナーゼ阻害因子;基底膜ターンオーバー阻害因子;アンジオスタティックステロイド;血小板第4因子とその断片及びペプチド;トロンボスポンジンとその断片及びペプチド;並びにドキソルビシンが含まれる(O’Reillyら、Cell 79:315−328(1994));O’Reillyら、Cell 88:277−285(1997);Homandbergら、Am.J.Path.120:327−332(1985);Homandbergら、Biochim.Biophys.Acta 874:61−71(1986);及びO’Reillyら、Science 285:1926−1928(1999))。市販の抗血管新生剤には、例えば、アンジオスタチン、エンドスタチン、メタスタチン及び2ME2(EntreMed社;メリーランド州ロックビル(Rockville));Avastin(Genentech社;カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)のような抗VEGF抗体;並びにVEGFR−2阻害剤、例えば、VEGFR−2の低分子阻害剤であるSU5416(SUGEN社;カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)及びVEGFR−2の低分子阻害剤であるSU6668(SUGEN社)、血小板由来増殖因子及び線維芽細胞増殖因子I受容体が含まれる。これら及び他の抗血管新生剤がルーチンの方法によって調製され得、本明細書で用いられるような「抗血管新生剤」という用語に包含されることが理解される。
【0127】
本明細書で開示されるLyp−1組成物は炎症部位にも用いられうる。この目的に有用な部分(moieties)は、炎症を防止する抗炎症剤、組織増殖を防止する再狭窄防止剤、血栓の形成を阻害或いは制御する抗血栓形成剤又は血栓溶解剤並びに組織増殖を調節し組織の治癒を向上させる生物活性剤を含む複数の基礎群に属する治療剤を含みうる。有用な治療剤の例には、限定されないが、ステロイド、フィブロネクチン、抗凝固剤、抗血小板機能剤、血管の内面壁における平滑筋細胞増殖を防止する薬剤、ヘパリン、ヘパリン断片、アスピリン、クマジン、組織プラスミノーゲン活性化因子(TPA)、ウロキナーゼ、ヒルジン、ストレプトキナーゼ、抗増殖剤(メトトレキサート、シスプラチン、フルオロウラシル、アドリアマイシン)、抗酸化剤(アスコルビン酸、ベータカロチン、ビタミンE)、代謝拮抗剤、トロンボキサン阻害剤、非ステロイド及びステロイド抗炎症剤、ベータ及びカルシウムチャンネル遮断薬、DNA及びRNA断片を含む遺伝物質、完全発現遺伝子、抗体、リンホカイン、増殖因子、プロスタグランジン、ロイコトリエン、ラミニン、エラスチン、コラーゲン並びにインテグリンが含まれる。
【0128】
有用な治療剤は抗微生物ペプチドでもよい。これは創傷又は他の感染部位を標的とするのに特に有用でありうる。従って、例えば、抗微生物ペプチドを含むLyp−1組成物も開示され、この場合、該Lyp−1組成物は選択的に取り込まれ、標的部位に対して高毒性を示す。有用な抗微生物ペプチドは、Lyp−1組成物に取り込まれない場合、低い哺乳動物細胞毒性を有しうる。本明細書で用いられるように、「抗微生物ペプチド」という用語は、1つ以上の微生物を死滅させ、或いはその増殖を遅延させる能力である抗微生物活性を有する天然或いは合成ペプチドを意味する。抗微生物ペプチドは、例えば、グラム陽性若しくはグラム陰性細菌又は菌類又は原虫を含む1つ以上の細菌株を死滅させ、或いはその増殖を遅延させることができる。従って、抗微生物ペプチドは、例えば、1つ以上の大腸菌(Escherichia coli)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)又は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)株に対する、例えば、静菌或いは殺菌活性を有しうる。下述に制約されることを望まないが、抗微生物ペプチドは、自己会合の結果として膜二重層を通じたイオンチャンネルを形成する能力により、生物活性を有しうる。
【0129】
典型的には、抗微生物ペプチドは高塩基性であり、線状或いは環状構造を有しうる。以下に更に考察されるように、抗微生物ペプチドは両親媒性アルファ−へリックス構造を有しうる(米国特許第5,789,542号;Javadpourら、J.Med.Chem.39:3107−3113(1996);並びにBlondelle及びHoughten,Biochem.31:12688−12694(1992)を参照)。抗微生物ペプチドは、例えば、Manchenoら、J.Peptide Res.51:142−148(1998)に述べられているようなβストランド/シート形成ペプチドでもよい。
【0130】
抗微生物ペプチドは天然或いは合成ペプチドでよい。天然抗微生物ペプチドは、細菌、昆虫、両生動物及び哺乳動物のような生物源から単離されており、宿主生物を細菌感染から防護することができる誘導防御蛋白質を表すと考えられる。天然抗微生物ペプチドには、グラミシジン、マガイニン、メリチン、デフェンシン及びセクロピンが含まれる(例えば、Maloy及びKari,Biopolymers 37:105−122(1995);Alvarez−Bravoら、Biochem.J.302:535−538(1994);Bessalleら、FEBS 274:−151−155(1990.);並びにBlondelle及びHoughten,Bristol(編)、Annual Reports in Medicinal Chemistry 159−168頁 Academic Press社、サンディエゴ参照)。抗微生物ペプチドは、天然ペプチドの類似体、特に、両親媒性を保持或いは促進する天然ペプチド類似体でもよい(下記参照)。
【0131】
Lyp−1組成物に組み込まれた抗微生物ペプチドは、Lyp−1に関連する低い哺乳動物細胞毒性を有しうる。哺乳動物細胞毒性はルーチンのアッセイを用いて容易に評価されうる。一例として、哺乳動物細胞毒性は、上記Javadpourら、1996に述べられているようなin vitroでのヒト赤血球の溶解により測定されうる。低い哺乳動物細胞毒性を有する抗微生物ペプチドは、ヒト赤血球に対して溶解性でなく、或いは溶解活性のためには100μM超の濃度、好ましくは、200,300,500又は1000μM超の濃度を必要とする。
【0132】
一実施形態では、抗微生物ペプチド部分が、真核細胞に取り込まれると、ミトコンドリア膜の破壊を促進するLyp−1組成物が開示される。特に、そのような抗微生物ペプチドは真核細胞膜と比べて優先的にミトコンドリア膜を破壊する。細菌細胞膜に類似するが真核細胞膜と対照的なミトコンドリア膜は、高含量の負荷電リン脂質を有する。抗微生物ペプチドは、例えば、ミトコンドリア膨張アッセイ又は当該技術分野において周知の別のアッセイを用いて、ミトコンドリア膜を破壊する活性を測定されうる。例えば、(KLAKLAK)(配列番号6)は、真核細胞を死滅させるのに必要な濃度より有意に低い濃度10μMにて著明なミトコンドリア膨張を誘発する抗微生物ペプチドである。
【0133】
例えば、50μM,40μM,30μM,20μM,10μM又はそれ以下にて有意なミトコンドリア膨張を誘発する抗微生物ペプチドは、ミトコンドリア膜の破壊を促進するペプチドと考えられる。
【0134】
一般的に、抗微生物ペプチドは希釈水溶液中にてランダムコイル構造を有するが、高レベルのらせん性が、らせん促進溶媒及び両親媒性媒体、例えば、ミセル、合成二重層若しくは細胞膜に誘導されうる。αへリックス構造は当該技術分野において公知であり、理想的なαへリックスは1回転当たり3.6残基及び1残基当たり1.5Åの移動距離(1回転当たり5.4Å;Creighton,Proteins:Structures and Molecular Properties W.H Freeman社、ニューヨーク(1984)参照)を有することを特徴とする。両親媒性αへリックス構造では、極性及び非極性アミノ酸残基が両親媒性ヘリックスに配列され、これは、ペプチドがらせん軸に沿って観察されると、疎水性アミノ酸残基が一面にて優勢であり、親水性残基が対向面にて優勢であるαへリックスである。
【0135】
広範に異なる配列の抗微生物ペプチドが単離されており、両親媒性αへリックス構造を共通の特徴として共有している(Saberwalら、Biochim.Biophys.Acta 1197:109−131(1994))。両親媒性及びらせん性を向上させると予測されるアミノ酸置換を有する天然ペプチド類似体は、抗微生物活性の増大を典型的に有する。概して、抗微生物活性の増大を有する類似体は、哺乳動物細胞に対する細胞毒性の増大も有する(Maloyら、Biopolymers 37:105−122(1995))。
【0136】
抗微生物ペプチドに関連して本明細書で用いられるように、「両親媒性αへリックス構造」という用語は、親水性面が生理的pHにて複数の極性残基を含み、疎水性面が非極性残基を含むαへリックスを意味する。極性残基は、例えば、リシン又はアルギニン残基であり得、一方、非極性残基は、例えば、ロイシン又はアラニン残基でありうる。一般的に、両親媒性アルファ−へリックス構造を有する抗微生物ペプチドは、両親媒性ドメイン内での同数の極性及び非極性残基と、中性pHにてペプチドに全体的な正電荷を付与するのに十分な数の塩基性残基とを有する(Saberwalら、Biochim.Biophys.Acta 1197:109−131(1994))。ロイシン又はアラニンのようならせん促進アミノ酸が抗微生物ペプチドに有利に含まれうることを当業者は理解する(例えば、上記Creighton,1984参照)。両親媒性αへリックス構造を有する合成抗微生物ペプチドは当該技術分野において公知であり、例えば、McLaughlin及びBeckerへの米国特許第5,789,542号に述べられている。
【0137】
これら及び他の薬剤が有用な治療剤であって、これらが開示組成物及び方法において別個或いは共に用いられうるということが医薬腫瘍学の分野における当業者には理解される。従って、Lyp−1組成物が1つ以上のそのような治療剤を含みことができ、また、所望とあれば、追加成分が該組成物の一部として含まれうるということが理解される。非限定例として、場合により、Lyp−1と治療剤との間にオリゴペプチドスペーサーを用いることが望ましいこともある(Fitzpatrick及びGarnett,Anticancer Drug Des.10:1−9(1995))。
【0138】
他の有用な薬剤には、血栓溶解剤、アスピリン、抗凝固剤、鎮痛剤及び鎮静剤、ベータ遮断薬、ace(エース)阻害薬、硝酸塩、律動安定化剤(rhythm−stabilizing drugs)並びに利尿剤が含まれる。心臓への損傷を制限する薬剤は、心臓発作の数時間以内に投与されると最も奏功する。血塊を粉砕し、酸素に富む血液が遮断血管中に流れることを可能とする血栓溶解剤は、心臓発作後にできる限り早く投与されれば、患者の生存可能性を高める。心臓発作後数時間以内に投与される血栓溶解剤が最も効果的である。静注の場合、これらには、アニソイル化プラスミノーゲンストレプトキナーゼ活性化因子複合体(ASPAC)若しくはアニストレプラーゼ、組換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(r−tPA)及びストレプトキナーゼが含まれる。開示Lyp−1組成物では任意のこれら又は類似薬剤を用いることができる。
【0139】
(ii.検出可能物質)
開示Lyp−1組成物中の部分(moiety)は検出可能物質でもよい。様々な検出可能物質が開示方法において有用である。本明細書で用いられるように、「検出可能物質」という用語は検出されうる任意の分子をいう。有用な検出可能物質には、in vivo投与され、その後、検出されうる化合物及び分子が含まれる。開示組成物及び方法において有用な検出可能物質には、限定されないが、放射性標識及び蛍光分子が含まれる。検出可能物質は、例えば、直接或いは間接に、好ましくは、非侵襲的且つ/或いはin vivo可視化法により、検出を容易にする任意の分子でよい。例えば、検出可能物質は、例えば、放射線的技法を含む、任意の公知の画像化法によって検出されうる。検出可能物質には、例えば、造影剤が含まれ得、例えば、該造影剤はイオン性或いは非イオン性である。一部の実施形態では、例えば、検出可能物質はタンタル化合物及び/又はバリウム化合物、例えば、硫酸バリウムを含む。一部の実施形態では、検出可能物質は放射性ヨウ素のようなヨウ素を含む。一部の実施形態では、例えば、検出可能物質は、有機ヨード酸、例えば、ヨードカルボン酸、トリヨードフェノール、ヨードホルム及び/又はテトラヨードエチレンを含む。一部の実施形態では、検出可能物質は、非放射性検出可能物質、例えば、非放射性同位体を含む。例えば、特定の実施形態では、非放射性検出可能物質としてGdが用いられうる。検出可能物質の他の例には、検出可能な放射線(例えば、蛍光励起、放射性崩壊、スピン共鳴励起など)を放出し、或いは放出させられうる分子、局所電磁場(例えば、磁性、強磁性、強磁性、常磁性且つ/或いは超常磁性種)に作用する分子、放射エネルギー(例えば、クロモフォア及び/又はフルオロフォア)、量子ドット、重元素及び/又はその化合物を吸収し、或いは散乱させる分子が含まれる。例えば、米国特許公開第2004/0009122号に述べられている検出可能物質を参照されたい。
検出可能物質の他の例には、プロトン放出分子、放射線不透過性分子及び/又は放射性分子、例えば、Tc−99m及び/又はXe−13のような放射性核種が含まれる。そのような分子は放射性医薬品として用いられうる。更に別の実施形態では、開示組成物は、本明細書で開示される検出可能物質の任意の組合せを含む、1つ又はそれ以上の異なるタイプの検出可能物質を含みうる。
【0140】
蛍光部分(moieties)には、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、5,6−カルボキシメチルフルオレセイン、テキサスレッド、ニトロベンズ−2−オキサ−1,3−ジアゾール(diazol)−4−イル(NBD)、クマリン、塩化ダンシル、ローダミン、アミノ−メチルクマリン(AMCA)、エオシン(Eosin)、エリトロシン(Erythrosin)、BODIPY(登録商標)、カスケードブルー(Cascade Blue)(登録商標)、オレゴングリーン(Oregon Green)(登録商標)、ピレン、リサミン、キサンテン、アクリジン、オキサジン、フィコエリトリン、ランタニドイオンの大環状キレート、例えば、量子染料(商標)、蛍光エネルギー転移色素、例えば、チアゾールオレンジ−エチジウムヘテロ二量体並びにシアニン色素Cy3,Cy3.5,Cy5,Cy5.5及びCy7が含まれる。他の具体的な蛍光標識例には、3−ヒドロキシピレン 5,8,10−トリスルホン酸、5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)、酸性フクシン(Acid Fuchsin)、アリザリンコンプレクソン(Alizarin Complexon)、アリザリンレッド(Alizarin Red)、アロフィコシアニン(Allophycocyanin)、アミノクマリン(Aminocoumarin)、アントロイルステアリン酸(Anthroyl Stearate)、アストラゾンブリリアントレッド4G(Astrazon Brilliant Red 4G)、アストラゾンオレンジR(Astrazon Orange R)、アストラゾンレッド6B(Astrazon Red 6B)、アストラゾンイエロー7 GLL(Astrazon Yellow 7 GLL)、アタブリン(Atabrine)、オーラミン(Auramine)、オーロホスフィン(Aurophosphine)、オーロホスフィンG,BAO 9(Aurophosphine G,BAO 9)(ビスアミノフェニルオキサジアゾール(Bisaminophenyloxadiazole))、BCECF、硫酸ベルベリン(Berberine Sulphate)、ビスベンズアミド(Bisbenzamide)、ブランコフォアFFG溶液(Blancophor FFG Solution)、ブランコフォアSV(Blancophor SV)、Bodipy F1、ブリリアントスルホフラビンFF(Brilliant Sulphoflavin FF)、カルセインブルー(Calcien Blue)、カルシウムグリーン(Calcium Green)、カルコフロールRW溶液(Calcofluor RW Solution)、カルコフロールホワイト(Calcofluor White)、カルコフロールホワイトABT溶液(Calcofluor White ABT Solution)、カルコフロールホワイト標準溶液(Calcofluor White Standard Solution)、カルボスチリル(Carbostyryl)、カスケードイエロー(Cascade Yellow)、カテコールアミン(Catecholamine)、Chinacrine、コリホスフィンO(Coriphosphine O)、クマリン−ファロイジン(Coumarin−Phalloidin)、CY3.1 8、CY5.1 8、CY7、Dans(1−ジメチルアミノナファリン5スルホン酸)(1−Dimethyl Amino Naphaline 5 Sulphonic Acid)、Dansa(ジアミノナフチルスルホン酸)、Dansyl NH−CH3、ジアミノフェニルオキシジアゾール(DAO)、ジメチルアミノ−5−スルホン酸、ジピロメテンボロンジフルオリド、ジフェニルブリリアントフラビン7GFF(Diphenyl Brilliant Flavine 7GFF)、ドーパミン(Dopamine)、エリトロシンITC(Erythrosin ITC)、Euchrysin、FIF(ホルムアルデヒド誘起蛍光)、フラゾオレンジ(Flazo Orange)、Fluo 3、フルオレスカミン(Fluorescamine)、Fura−2、ゲナクリルブリリアントレッドB(Genacryl Brilliant Red B)、ゲナクリルブリリアントイエロー10GF(Genacryl Brilliant Yellow 10GF)、ゲナクリルピンク3G(Genacryl Pink 3G)、ゲナクリルイエロー5GF(Genacryl Yellow 5GF)、グロキサン酸(Gloxalic Acid)、グラニュラーブルー(Granular Blue)、ヘマトポルフィリン(Haematoporphyrin)、Indo−1、イントラホワイトCf液体(Intrawhite Cf Liquid)、ロイコフォアPAF(Leucophor PAF)、ロイコフォアSF(Leucophor SF)、ロイコフォアWS(Leucophor WS)、リサミンローダミンB200(Lissamine Rhodamine B200)(RD200)、ルシファーイエローCH(Lucifer Yellow CH)、ルシファーイエローVS(Lucifer Yellow VS)、マグダラレッド(Magdala Red)、マリーナブルー(Marina Blue)、マキシロンブリリアントフラビン10 GFF(Maxilon Brilliant Flavin 10 GFF)、マキシロンブリリアントフラビン8 GFF(Maxilon Brilliant Flavin 8 GFF)、MPS(メチルグリーンピロニンスチルベン(Methyl Green Pyronine Stilbene))、ミトラマイシン(Mithramycin)、NBDアミン、ニトロベンズオキサジドール(Nitrobenzoxadidole)、ノルアドレナリン、ヌクレアファストレッド(Nuclear Fast Red)、ヌクレアイエロー(Nuclear Yellow)、ニロサンブリリアントフラビンE8G(Nylosan Brilliant Flavin E8G)、オキサジアゾール(Oxadiazole)、パシフィックブルー(Pacific Blue)、パラローザニリン(Pararosaniline)(フォイルゲン(Feulgen))、ホルワイトAR溶液(Phorwite AR Solution)、ホルワイトBKL(Phorwite BKL)、ホルワイトRev(Phorwite Rev)、ホルワイトRPA(Phorwite RPA)、ホスフィン3R(Phosphine 3R)、フタロシアニン(Phthalocyanine)、フィコエリトリンR(Phycoerythrin R)、ポリアザインダセンポントクロームブルーブラック(Polyazaindacene Pontochrome Blue Black)、ポルフィリン(Porphyrin)、プリムリン(Primuline)、プロシオンイエロー(Procion Yellow)、ピロニン(Pyronine)、ピロニンB(Pyronine B)、ピロザールブリリアントフラビン7GF(Pyrozal Brilliant Flavin 7GF)、キナクリンマスタード(Quinacrine Mustard)、ローダミン123(Rhodamine 123)、ローダミン5 GLD(Rhodamine 5 GLD)、ローダミン6G(Rhodamine 6G)、ローダミンB(Rhodamine B)、ローダミンB 200(Rhodamine B 200)、ローダミンBエクストラ(Rhodamine B Extra)、ローダミンBB(Rhodamine BB)、ローダミンBG(Rhodamine BG)、ローダミンWT(Rhodamine WT)、セロトニン(Serotonin)、セブロンブリリアントレッド2B(Sevron Brilliant Red 2B)、セブロンブリリアントレッド4G(Sevron Brilliant Red 4G)、セブロンブリリアントレッドB(Sevron Brilliant Red B)、セブロンオレンジ(Sevron Orange)、セブロンイエローL(Sevron Yellow L)、SITS(プリムリン(Primuline))、SITS(スチルベンイソチオスルホン酸(Stilbene Isothiosulphonic acid))、スチルベン(Stilbene)、Snarf 1、スルホローダミンB Can C(sulpho Rhodamine B Can C)、スルホローダミンGエクストラ(Sulpho Rhodamine G Extra)、テトラサイクリン(Tetracycline)、チアジンレッドR(Thiazine Red R)、チオフラビンS(Thioflavin S)、チオフラビンTCN(Thioflavin TCN)、チオフラビン5(Thioflavin 5)、チオライト(Thiolyte)、チオゾールオレンジ(Thiozol Orange)、チノポールCBS(Tinopol CBS)、トゥルーブルー(True Blue)、ウルトラライト(Ultralite)、ウラニンB(Uranine B)、ユービテックスSFC(Uvitex SFC)、キシレンオレンジ(Xylene Orange)及びXRITCが含まれる。
【0141】
特に有用な蛍光標識には、フルオレセイン(5−カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ローダミン(5,6−テトラメチルローダミン)並びにシアニン色素Cy3,Cy3.5,Cy5,Cy5.5及びCy7が含まれる。これらの蛍光の吸収極大と放射極大は、それぞれ:FITC(490nm;520nm)、Cy3(554nm;568nm)、Cy3.5(581nm;588nm)、Cy5(652nm:672nm)、Cy5.5(682nm;703nm)、Cy7(755nm;778nm)であり、従って、それらの同時検出を可能とする。フルオレセイン色素の他の例には、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2’,4’,1,4−テトラクロロフルオレセイン(TET)、2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、2’,7’−ジメトキシ−4’,5’−ジクロロ−6−カルボキシローダミン(JOE)、2’−クロロ−5’−フルオロ−7’,8’−融合フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(NED)及び2’−クロロ−7’−フェニル−1,4−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(VIC)が含まれる。蛍光標識は、Amersham Pharmacia Biotech社、ニュージャージー州Piscataway;Molecular Probes社、オレゴン州ユージーン(Eugene);及びResearch Organics社、オハイオ州クリーブランド(Cleveland)を含む、様々な市販供給源から得られうる。蛍光プローブとその使用については、Richard P.HauglandによるHandbook of Fluorescent Probes and Research Productsにも述べられている。
【0142】
放射性検出可能物質の更なる例には、ガンマ放出体、例えば、ガンマ放出体In−111,I−125及びI−131、レニウム−186及び188並びにBr−77(例えば、Thakur,M.L.ら、Throm Res.Vol.9 345頁(1976);Powersら、Neurology Vol.32 938頁(1982);及び米国特許第5,011,686号参照);陽電子放射体、例えば、Cu−64,C−11,及びO−15並びにCo−57,Cu−67,Ga−67,Ga−68,Ru−97,Tc−99m,In−113m,Hg−197,Au−198及びPb−203が含まれる。他の放射性検出可能物質には、例えば、トリチウム、C−14及び/又はタリウム並びにRh−105,I−123,Nd−147,Pm−151,Sm−153,Gd−159,Tb−161,Er−171及び/又はTl−201が含まれうる。
【0143】
テクニチウム−99m(Technitium−99m)(Tc−99m)の使用が好ましく、他の出願に述べられており、例えば、米国特許第4,418,052号及び米国特許第5,024,829号を参照されたい。Tc−99mは、140keVの単一光子エネルギー及び約6時間の半減期を有するガンマ放出体であり、Mo−99/Tc−99ジェネレータから容易に得られうる。
【0144】
一部の実施形態では、放射性検出可能物質を含む組成物は、標的化部分(moiety)を検出に適した放射性同位体と結合することによって調製されうる。その結合は、キレート化剤、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N−,N’,N”,N”’−四酢酸(DOTA)及び/又はメタロチオネインを介して生じ得、これらのいずれも標的化部分(moiety)に共有結合されうる。一部の実施形態では、テクネチウム−99m(technetium−99m)、還元剤及び水溶性リガンドの水性混合物が調製され、次に、開示標的化部分(moiety)と反応することを許容されうる。そのような方法は当該技術分野において公知であり、例えば、国際公開第WO 99/64446号を参照されたい。一部の実施形態では、放射性ヨウ素を含む組成物は交換反応を用いて調製されうる。例えば、高温ヨウ素と低温ヨウ素との交換は当該技術分野において公知である。或いは、放射性ヨウ素標識化合物はトリブチルスタンニル中間体を介し、対応するブロモ化合物から調製されうる。
【0145】
磁性検出可能物質には、例えば、磁気共鳴画像(MRI)に用いられる常磁性造影剤、例えば、ガドリニウムジエチレントリアミン五酢酸が含まれる(例えば、De Roos,A.ら、Int.J.Card.Imaging Vol.7 133頁(1991)参照)。一部の好ましい実施形態では、検出可能物質として、原子番号21,22,23,24,25,26,27,28,29,42,44,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69又は70を有する元素の二価又は三価イオンである常磁性原子を用いる。好適なイオンには、限定されないが、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、プラセオジム(III)、ネオジム(III)、サマリウム(III)及びイッテルビウム(III)並びにガドリニウム(III)、テルビウム(terbiurn)(III)、ジスプロシウム(dysoprosium)(III)、ホルミウム(III)及びエルビウム(III)が含まれる。一部の好ましい実施形態では、高磁気モーメントを有する原子、例えば、ガドリニウム(III)を用いる。
【0146】
一部の実施形態では、磁性検出可能物質を含む組成物は、標的化部分(moiety)を常磁性原子と結合することによって調製されうる。例えば、好適な常磁性原子の金属酸化物又は金属塩、例えば、硝酸塩、塩化物若しくは硫酸塩は、水/アルコール媒体、例えば、メチル、エチル及び/又はイソプロピルアルコール中に溶解或いは懸濁されうる。その混合物は、同様の水/アルコール媒体中の等モル量の標的化部分(moiety)の溶液に加えられ、攪拌されうる。その混合物は、反応が終了或いはほぼ終了するまで適度に加熱されうる。形成された不溶性組成物は濾過によって得られ得、一方、可溶性組成物は溶媒を蒸発させることによって得られうる。キレート化部分(moieties)における酸性基が開示組成物中に残存する場合、例えば、該組成物の単離又は精製を促進するため、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム及び/又はリチウムの水酸化物、炭酸塩及び/又は重炭酸塩)を用いて酸性基を中和することができる。
【0147】
好ましい実施形態では、検出可能物質は、Lyp−1のgC1qR/p32との相互作用能に干渉しないように、Lyp−1に結合されうる。一部の実施形態では、検出可能物質はLyp−1に化学的に結合されうる。一部の実施形態では、検出可能物質は、それ自体がLyp−1に化学的に結合されるとともに、画像化・標的化部分(moieties)を間接的に結合する部分(moiety)に化学的に結合されうる。
【0148】
(H.医薬組成物及び担体)
開示組成物は医薬的に許容可能な担体にてin vivo投与されうる。「医薬的に許容可能」とは、生物学的或いは別様に望ましくないことがない物質を意味し、即ち、該物質は、望ましくない生物学的作用を生じさせず、或いはそれが含まれる医薬組成物の他の成分と有害的に相互作用せず、Lyp−1組成物と共に対象に投与されうる。当業者には周知であるように、当然、担体は、活性成分の劣化を最小限にし、且つ対象における有害な副作用を最小限にするように選択されうる。該物質は溶液、懸濁液状でよい(例えば、微粒子、リポソーム又は細胞に取り込まれる)。
【0149】
(1.医薬的に許容可能な担体)
抗体を含む該組成物は、医薬的に許容可能な担体と組み合わせて治療に用いられうる。
【0150】
好適な担体とその製剤については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第19版)A.R.Gennaro(編)、Mack Publishing Company、ペンシルベニア州イーストン(Easton)、1995に述べられている。通常、製剤を等張性とするため、適量の医薬的に許容可能な塩が製剤中に用いられる。医薬的に許容可能な担体例には、限定されないが、生理食塩水、リンゲル溶液及びデキストロース溶液が含まれる。溶液のpHは、好ましくは、約5〜約8、より好ましくは、約7〜約7.5である。更なる担体には、持続放出調製物、例えば、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透過性マトリクスが含まれ、そのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム、リポソーム又は微粒子の形態である。例えば、投与経路及び投与組成物濃度に依存し、特定の担体がより好ましくなりうることが当業者には明らかであろう。
【0151】
医薬担体は当業者には公知である。最も典型的には、これらは、生理的pHでの無菌水、生理食塩水及び緩衝液のような溶液を含む、ヒトへの薬剤投与のための標準的担体であろう。該組成物は筋肉内或いは皮下投与されうる。当業者に用いられる標準的処置に従って、他の化合物が投与される。
【0152】
医薬組成物は選択分子に加え、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、防腐剤、界面活性剤などを含みうる。医薬組成物は、1つ以上の活性成分、例えば、抗微生物剤、抗炎症剤、麻酔剤なども含みうる。
【0153】
該医薬組成物は、局所又は全身処置が望ましいか、また、処置対象部位に依存し、多くの方法にて投与されうる。投与は、局所(経眼、経膣、経直腸、鼻腔内を含む)、経口、吸入或いは非経口、例えば、点滴静注、皮下、腹腔内又は筋肉内注射でよい。開示抗体は、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内或いは経皮投与されうる。
【0154】
非経口投与用の調製物は、無菌水性或いは非水性溶液、懸濁液及び乳剤を含む。非水性溶媒例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油及びオレイン酸エチルのような注射用有機エステルである。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、乳液又は懸濁液を含み、生理食塩水及び緩衝媒質を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンゲル液或いは固定油を含む。静脈内ビヒクルは、流体及び栄養素補充物、電解質補充物(例えば、リンゲルデキストロースに基づく電解質補充物)などを含む。防腐剤及び他の添加剤は、例えば、抗微生物剤、抗酸化剤、キレート化剤及び不活性ガスなどとしても存在しうる。
【0155】
局所投与用の製剤は、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤及び粉末剤を含みうる。従来の医薬担体、水性、粉末或いは油性基剤、増粘剤などが必要であり、或いは望ましい可能性もある。
【0156】
経口投与用の組成物は、粉末又は顆粒、懸濁液又は水溶液又は非水性媒質、カプセル、包装袋又は錠剤を含む。増粘剤、芳香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤又は結合剤が望ましい可能性もある。
【0157】
一部の組成物は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸及びリン酸並びに有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸及びフマル酸との反応により、或いは無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム並びに有機塩基、例えば、モノ−、ジ−、トリアルキル・アリールアミン及び置換エタノールアミンとの反応により形成される、医薬的に許容可能な酸−又は塩基−付加塩として投与されうる。
【0158】
(I.コンビナトリアル・ケミストリー/スクリーニング法)
開示組成物は、開示組成物と所望のように相互作用する分子又は高分子を同定するための任意のコンビナトリアル技法のための標的として用いられうる。コンビナトリアル技法又はスクリーニング技法を通じて同定される組成物も開示され、配列番号1又はその一部分にて開示される組成物がコンビナトリアル又はスクリーニングプロトコルにおける標的として用いられる。
【0159】
コンビナトリアル技法又はスクリーニング法において開示組成物を用いると、特定の所望の特性、例えば、gC1qR/p32との相互作用を有する高分子のような分子が同定されるということが理解される。Lyp−1のような開示組成物を用いた場合に同定・単離される分子も開示される。従って、Lyp−1のような開示組成物を含むコンビナトリアル又はスクリーニング手法を用いて生成される産物も本明細書で開示される。
【0160】
gC1q/p32受容体と相互作用する化合物をスクリーニングする方法が本明細書で開示され、該方法は、被験化合物、Lyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む)及びgC1q受容体を接触させるステップと、非結合Lyp−1組成物を検出するステップとを含み、所与量の非結合Lyp−1組成物がgC1q/p32受容体と相互作用する化合物を示す。
【0161】
gC1q/p32受容体活性を調節する被験化合物をスクリーニングする方法も開示され、該方法は、gC1q/p32受容体を含む細胞を被験化合物と接触させるステップと、gC1q/p32受容体活性の変化を検出するステップとを含み、gC1q/p32受容体活性の変化レベルがgC1q/p32受容体活性を調節する化合物を示す。
【0162】
「活性の変化レベル」とは、gC1q/p32受容体が活性の上昇又は低下を示すことができるということである。活性の上昇は、基準、対照又は基礎レベルと比べ、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99若しくは又は100%の上昇又は1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,20,25,30,35,40,45,50,75若しくは100倍以上の活性の上昇でありうる。活性の低下は、基準、対照又は基礎レベルと比べ、1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,20,21,22,23,24,25,26,27,28,29,30,31,32,33,34,35,36,37,38,39,40,41,42,43,44,45,46,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85,86,87,88,89,90,91,92,93,94,95,96,97,98,99又は100%の活性の低下でありうる。例えば、被験化合物はgC1q/p32受容体の他の化合物と相互作用する能力を低下させるようにgC1q/p32受容体と相互作用することができ、これにより、その活性を低下させる。別例では、被験化合物はgC1q/p32受容体の合成を阻止することができ、これにより、そのようにしてその活性を低下させる。
【0163】
gC1q/p32受容体と相互作用する被験化合物をスクリーニングする方法が開示され、該方法は、gC1q/p32受容体を含む細胞を被験化合物と接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該被験化合物との相互作用を検出するステップとを含む。該被験化合物がgC1q/p32受容体と相互作用することが示された後、該被験化合物は、gC1q/p32受容体関連障害を処置する能力を含む、gC1q/p32受容体活性を調節する能力について更に試験されうる。
【0164】
癌のようなgC1q/p32受容体関連障害を処置するのに用いられうる被験化合物をスクリーニングする方法が更に開示され、該方法は、gC1q/p32受容体を含む細胞を被験化合物と接触させるステップと、gC1q/p32受容体活性の変化を検出するステップとを含み、gC1q/p32受容体活性の変化レベルがgC1q/p32受容体活性を調節しうる化合物を示す。該被験化合物がgC1q/p32受容体活性を調節することが示された後、次に、該被験化合物はgC1q/p32受容体関連障害を処置する能力について試験されうる。
【0165】
該調節は、gC1q/p32受容体活性の低下、発現又はgC1q/p32受容体関連障害を処置する能力を含みうる。「低下」とは、活性が、該被験化合物の非存在下より該被験化合物の存在下のほうが少ないということである。該調節はgC1q/p32受容体活性又は関連活性の上昇を含みうる。「上昇」とは、活性が、該被験化合物の非存在下より該被験化合物の存在下のほうが多いということである。
【0166】
gC1q/p32受容体の応答は、種々の濃度の被験化合物の存在下にて測定されうる。その測定ステップは被験化合物の種々の濃度にて応答を測定するステップも含みうる。例えば、被験化合物の濃度は1nM〜1000μMの範囲でよい。
【0167】
本発明により企図されるアッセイは結合アッセイ及び活性アッセイを含む。これらのアッセイは従来のフォーマット又はハイスループットフォーマットにて行われうる。モジュレータースクリーニングは刺激物質及び阻害物質を同定するように設計される。スクリーニングされる可能性がある物質の供給源は、天然源、例えば、細胞抽出物(例えば、細菌、真菌、藻類及び植物細胞を含むが、これらに限定されない無脊椎動物細胞)並びに合成源、例えば、化合物ライブラリー又は生物ライブラリー、例えば、抗体物質又はペプチドライブラリーを含む。物質は活性を刺激或いは阻害する能力についてスクリーニングされる。結合アッセイは活性レベルを検出するのに用いられる。活性の機能アッセイ及び結合アッセイは、アゴニスト(刺激性)及びアンタゴニスト(阻害性)化合物のようなモジュレーターのスクリーニングに容易に適合される。
【0168】
gC1q/p32受容体(及び下流活性)のモジュレーター、例えば、アゴニスト及びアンタゴニストをスクリーニングし、且つ同定するための多数のアッセイが本明細書で企図される。一例では、細胞が固定され、候補モジュレーターとの相互作用が検出される。別例では、被験化合物が固定される。更に別の例では、gC1q/p32受容体と被験化合物との相互作用が溶液アッセイにて評価される。別に企図されるアッセイはジハイブリッドアッセイの変形を含み、蛋白質/蛋白質相互作用のモジュレーターは、形質転換又はトランスフェクション宿主細胞における陽性シグナルの検出により同定される。
【0169】
本発明の企図による候補モジュレーターのスクリーニングは、化合物ライブラリーを含む任意の化合物を含む。低分子モジュレーターの同定には多くの異なるライブラリーが用いられ、(1)化学ライブラリー、(2)天然産物ライブラリー及び(3)ランダムペプチド、オリゴヌクレオチド若しくは有機分子からなるコンビナトリアルライブラリーを含む。化学ライブラリーは、ランダム化学構造又は既知の化合物の類似体又は従来の薬物発見スクリーニングにおいて「ヒット(hits)」若しくは「リード(leads)」として同定されている化合物の類似体からなり、その一部は天然産物又は非指向的合成有機化学由来でありうる。天然産物ライブラリーは、微生物、動物、植物又は海洋生物のコレクションであり、これらは、(1)土壌、植物若しくは海洋微生物由来の培養液の発酵・抽出又は(2)植物若しくは海洋生物の抽出により、スクリーニング用の混合物を作製するのに用いられる。天然産物ライブラリーは、ポリケチド、非リボソームペプチド及びそれらの変異体(非天然)を含む。概要については、Science 282:63−68(1998)を参照されたい。コンビナトリアルライブラリーは、混合物としての多数のペプチド、オリゴヌクレオチド又は有機化合物からなる。これらのライブラリーは従来の自動合成法、PCR、クローニング又は合成法により調製が比較的容易である。特に興味深いものは非ペプチドコンビナトリアルライブラリーである。更に別の興味深いライブラリーには、ペプチド、蛋白質、ペプチド模倣体、マルチパラレル合成コレクション、リコンビナトリアル及びポリペプチドライブラリーが含まれる。コンビナトリアル・ケミストリー及びそれから作製されるライブラリーの概要については、Myers,Curr.Opin.Biotechnol.8:701−707(1997)を参照されたい。本明細書で述べる種々のライブラリーの利用を通したモジュレーターの同定により、候補「ヒット(hit)」(又は「リード(lead)」の修飾が、該「ヒット(hit)」の活性を調節する能力を最適化することが可能となる。
【0170】
本発明により企図される候補モジュレーターは、設計され、可溶性形態の結合パートナー並びにそのキメラ又は融合蛋白質を含みうる。本明細書で用いられるような「結合パートナー」は、非ペプチドモジュレーター、ペプチドモジュレーター(例えば、ニューロペプチド変異体)、抗体(モノクローナル及びポリクローナル抗体、単鎖抗体、キメラ抗体、二機能性/二重特異性抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、相補性決定領域(CDR)移植抗体を含み、本明細書で開示されるようなポリペプチドを特異的に認識する、CDR及び/又は抗原結合配列を含む化合物を含む)、抗体断片及び発現産物に対して免疫特異的な抗体ドメインを含む修飾化合物を広範に包含する。
【0171】
化合物の標的蛋白質との結合又は相互作用を測定するアッセイは、標的蛋白質のアンフォールディング又は変性を阻害する化合物を同定するアッセイ、親和性限外濾過(affinity ultrafiltration)を通して標的蛋白質に結合する化合物を分離し、次に、イオンスプレー質量分析/HPLC法又は他の物理的方法・分析法を行うアッセイ、キャピラリー電気泳動アッセイ並びに2−ハイブリッドアッセイを含む。
【0172】
被験リガンドの標的蛋白質への直接結合を同定する、1つのそのようなスクリーニング法が米国特許第5,585,277号に述べられており、これは参照して本明細書に組み込まれる。この方法は、一般的に、蛋白質が折り畳まれた状態及び折り畳まれていない状態の混合として存在し、且つ該2つの状態を絶えず繰り返すという原理に依存する。被験リガンドが折り畳まれた形態の標的蛋白質に結合すると(即ち、該被験リガンドが標的蛋白質のリガンドである場合)、該リガンドに結合される標的蛋白質分子はその折り畳まれた状態のままである。従って、折り畳まれた標的蛋白質は、リガンドの非存在下より、標的蛋白質と結合する被験リガンドの存在下のほうに多く存在する。リガンドの標的蛋白質への結合は、標的蛋白質の折り畳まれた状態と折り畳まれていない状態とを識別する任意の方法により判定されうる。このアッセイが施行されるため、標的蛋白質の機能が既知である必要はない。この方法により、被験リガンドとして実質的に如何なる物質でも評価され得、これには、限定されないが、金属、ポリペプチド、蛋白質、脂質、多糖類、ポリヌクレオチド及び有機低分子が含まれる。
【0173】
標的蛋白質のリガンドを同定する別の方法が、Wieboldtら、Anal.Chem.,69:1683−1691(1997)に述べられており、これは参照して本明細書に組み込まれる。この技法では、溶液相にて一度にコンビナトリアルライブラリーの20〜30物質の標的蛋白質への結合についてスクリーニングする。標的蛋白質に結合する物質は、簡易な膜洗浄により他のライブラリー要素から分離される。フィルターに保持される、特異的に選択された分子は、次に、標的蛋白質分子から解放され、HPLC及び空気補助式エレクトロスプレー(イオンスプレー)イオン化質量分析により分析される。この処理では、標的蛋白質に対する最大親和性を有するライブラリー要素を選択し、特に、低分子ライブラリーに有用である。
【0174】
或いは、そのような結合相互作用は、Fieldsら、Nature,340:245−246(1989)及びFieldsら、Trends in Genetics,10:286−292(1994)(共に参照して本明細書に組み込まれる)に報告されているイースト2ハイブリッドシステムを用いて間接的に評価される。2ハイブリッドシステムは、2つの蛋白質又はポリペプチド間の相互作用検出するための遺伝子アッセイである。これは、既知の対象蛋白質に結合する蛋白質を同定し、或いは相互作用に重要なドメイン又は残基を明示するのに用いられうる。この方法に関する変形例が、DNA結合蛋白質をコードする遺伝子をクローニングし、蛋白質に結合するペプチドを同定し、且つ薬物をスクリーニングするように開発されている。2ハイブリッドシステムは、転写活性化ドメインを、レポーター遺伝子の上流活性化配列(UAS)に結合するDNA結合ドメインに近接させる一対の相互作用蛋白質の能力を利用し、一般的に、酵母において行われる。そのアッセイは、(1)第一の蛋白質に融合したDNA結合ドメイン及び(2)第二の蛋白質に融合した活性化ドメインをコードしている2つのハイブリッド遺伝子の構築を必要とする。該DNA結合ドメインは第一のハイブリッド蛋白質をレポーター遺伝子のUASへ標的化するが、大部分の蛋白質が活性化ドメインを欠失しているため、このDNA結合ハイブリッド蛋白質はレポーター遺伝子の転写を活性化しない。該活性化ドメインを含む第二のハイブリッド蛋白質は、UASと結合しないため、単独でレポーター遺伝子の発現を活性化することはできない。しかし、両ハイブリッド蛋白質が存在すると、該第一及び第二の蛋白質の非共有結合性相互作用により、該活性化ドメインはUASに連結し、レポーター遺伝子の転写を活性化する。
【0175】
文献は薬物発見のためのHTS結合アッセイにおける放射性標識リガンドの使用例に満ちている(Williams,Med.Res.Rev.11:147−184(1991);Sweetnamら、J.Nat.Prod.56:441−455(1993)参照。これらは、ハイスループットスクリーニングに関する教示につき、それらの全体を参照して本明細書に組み込まれる)。HTS結合スクリーニングにおける放射性標識リガンドにより、新規の神経再生化合物をスクリーニングすることも可能である。HTS結合アッセイに組換え受容体が好ましい他の理由には、より良好な特異性(より高い相対純度)及び大量の受容体物質を生成する能力が含まれる(Hodgson,Bio/Technology 10:973−980(1992)参照)。
【0176】
組換え蛋白質の発現のための様々な異種系が利用でき、当業者には周知である。そのような異種系は、細菌(Strosbergら、Trends in Pharm.Sci.13:95−98(1992))、酵母(Pausch,Trends in Biotech.15:487−494(1997))、数種類の昆虫細胞(Vanden Broeck,Intl.Rev.Cytol.164:189−268(1996))、両生動物細胞(Jayawickremeら、Curr.Opin.Biotechnol.8:629−634(1997))及び複数の哺乳動物細胞株(CHO,HEK293,COSなど;Gerhardtら、Eur.J.Pharmacol.334:1−23(1997);Wilsonら、Brit.J.Pharmacol.125:1387−1392(1998)参照)を含む。これらの例は、線虫から得られる細胞株を含む、他の可能な細胞発現系の使用を除外しない(WO 98/37177))。
【0177】
gC1qR/p32又はそれに関連する下流産物若しくは遺伝子の阻害は、種々の生物学的応答を生じさせることができ、典型的には、それは、宿主細胞に発現される蛋白質によって媒介される。該蛋白質は宿主細胞の天然構成成分でよく、或いは周知の組換え技術により導入されうる。該蛋白質は天然種の突然変異体でもよい。該蛋白質は無傷或いはキメラでよい。
【0178】
蛍光変化は、リガンド誘発性の膜電位又は細胞内pH変化をモニタリングするのにも用いられうる。HTSに適した自動システムがこれらを目的として報告されている(Schroederら、J.Biomol.Screening 1:75−80(1996))。これらのアッセイによって同定されうるモジュレーターには、天然リガンド化合物;天然リガンドの合成類似体及び誘導体;抗体、抗体断片及び/又は天然抗体若しくは抗体様コンビナトリアルライブラリー由来の抗体様化合物;並びに/或いはハイスループットスクリーニングのライブラリー及び当該技術分野において公知の他のライブラリーによって同定される合成化合物がある。gC1qR/p32と相互作用するモジュレーターはすべて、Lyp−1様ポリペプチドを同定するのに有用である(例えば、診断目的、病理学的目的及び当該技術分野において公知の他の目的として)。アゴニストとアンタゴニストモジュレーターは、本明細書で述べる目的のため、gC1qR/p32をそれぞれアップレギュレーション、ダウンレギュレーションするのに有用である。
【0179】
アッセイは単一の推定モジュレーターを用いて行われうる。アッセイは候補アゴニストと組み合わせた既知のアゴニストを用いても行われうる(又はその逆(visa versa))。用いられうる検出可能分子には、限定されないが、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、放射性並びに生物発光、リン光及び蛍光を含むがこれらに限定されない光学的手段により検出可能な分子が含まれる。これらの検出可能分子は、生物学的適合性分子である必要があり、分子の生物学的機能を損なうべきではなく、検出可能分子の検出される能力を損ねてはならない。好ましい検出可能分子は、それらが化学的、機械的、電気的或いは放射活性的に励起されて蛍光、リン光又は生物発光を放出するように、光学的に検出可能な蛋白質を含む、光学的に検出可能な分子である。より好ましい検出可能分子は、例えば、緑色蛍光蛋白質(GFP)を含む蛍光蛋白質のような本質的に蛍光性の分子である。検出可能分子は、Barakら(米国特許第5,891,646号及び第6,110,693号)に述べられているような方法により、GRK蛋白質にコンジュゲートされうる。検出可能分子は、前端、後端又は中央部においてコンジュゲートされうる。
【0180】
(J.コンピュータ支援薬物設計)
開示組成物は、開示組成物の構造を同定し、或いは、例えば、低分子のような開示組成物と所望の態様にて相互作用する潜在性又は実際の分子を同定するため、任意の分子モデリング技術のための標的として用いられうる。
【0181】
モデリング技術において開示組成物を用いると、特定の所望の特性、例えば、阻害又は刺激又は標的分子の機能を有する高分子のような分子が同定されるということが理解される。開示組成物、例えば、Lyp−1を用いた際に同定・単離される分子も開示される。従って、開示組成物、例えば、Lyp−1を含む分子モデリング手法を用いて生成される産物も本明細書で開示されると考えられる。
【0182】
従って、選択分子と結合する分子を単離する1つの方法は合理的設計によるものである。これは構造情報及びコンピュータモデリングにより成されうる。コンピュータモデリング技術は、選択分子の三次元原子構造の可視化及び該分子と相互作用する新規化合物の合理的設計を可能とする。通常、三次元構造体は選択分子のX線結晶解析又はNMR画像由来のデータに依存する。分子動力学は力場データを必要とする。コンピュータグラフィックスシステムは、新規化合物が標的分子に結合する態様の予測を可能とし、該化合物及び標的分子の構造の実験的操作が結合特異性を完全にすることを可能とする。一方又は両方においてわずかな変更がなされると、分子−化合物相互作用がどのようになるかという予測には、分子力学ソフトウェア及び、通常、分子設計プログラム・ユーザー間の使い勝手の良いメニュー方式のインターフェースと一体となった計算集約型コンピュータ(computationally intensive computer)を必要とする。
【0183】
分子モデリングシステムの例は、CHARMm及びQUANTAプログラム、Polygen Corporation、マサチューセッツ州ウォルサム(Waltham)である。CHARMmはエネルギー最小化及び分子動力学的機能を果たす。QUANTAは分子構造の構築、グラフィックモデリング及び解析を行う。QUANTAは互いの分子の挙動の相互作用の構築、修正、可視化及び解析を可能とする。
【0184】
多くの論文で特定の蛋白質と相互作用する薬物のコンピュータモデリングが概説されており、例えば、Rotivinenら、1988 Acta Pharmaceutica Fennica 97,159−166;Ripka,New Scientist 54−57(1988年6月16日);McKinaly及びRossmann,1989 Annu.Rev.Pharmacol.Toxiciol.29,111−122;Perry及びDavies,QSAR:Quantitative Structure−Activity Relationships in Drug Design 189−193頁(Alan R.Liss,Inc.1989);Lewis及びDean,1989 Proc.R.Soc.Lond.236,125−140及び141−162;並びに、核酸成分のモデル酵素に関し、Askewら、1989 J.Am.Chem.Soc.111,1082−1090である。化学物質をスクリーニングし、グラフィックに示す他のコンピュータプログラムは、BioDesign,Inc.、カリフォルニア州パサディナ(Pasadena)、Allelix,Inc、カナダ・オンタリオ州ミシサーガ(Mississauga)及びHypercube,Inc.、オンタリオ州ケンブリッジのような企業から入手可能である。これらは主に特定の蛋白質に特異的な薬物への適用のために設計されているが、DNA又はRNAの特定の領域(その領域が同定されると)と特異的に相互作用する分子の設計に適合されうる。
【0185】
結合を変化させうる化合物の設計及び生成に関連して上述したが、基質結合又は酵素活性を変化させる化合物について、天然産物又は合成化学物質を含む既知の化合物並びに蛋白質を含む生物活性物質のライブラリーをスクリーニングすることも可能である。
【0186】
(K.類似機能を有する組成物)
本明細書で開示される組成物がgC1qR/p32との相互作用のような特定の機能を有するということが理解される。開示機能を果たすための特定の構造条件が本明細書で開示され、開示構造に関連する、同じ機能を果たすことができる様々な構造があり、また、これらの構造が最終的に、同じ結果、例えば、刺激又は阻害を成すということが理解される。
【0187】
(L.キット)
本明細書で開示される方法を実施するのに用いられうる試薬に引き付けられる(drawn to reagents)キットが本明細書で開示される。該キットは本明細書で考察される任意の試薬又は試薬の組合せを含むことができ、或いはそれは開示方法の実施において必要又は有益であると理解されうる。例えば、該キットはLyp−1及びgC1q/p32受容体を含みうる。
【0188】
(M.混合物)
該方法が組成物又は成分又は試薬を混合するステップ又は接触させるステップを含む場合には常に、該方法を実施することにより、多くの異なる混合物が生成される。例えば、該方法が3つの混合ステップを含む場合、該ステップが別個に行われると、これらのステップの各ステップの後、独特の混合物が形成される。加えて、該ステップが如何様に行われたかにかかわらず、すべてのステップの完了時に混合物が形成される。本発明の開示では、開示方法の実施により得られるこれらの混合物並びに、例えば、本明細書で開示される任意の開示試薬、組成物又は成分を含む混合物が企図される。
【0189】
(N.システム)
開示方法を実施し、或いはその実施を支援するのに有用なシステムが開示される。一般的に、システムは、構造、機械、デバイスなどのような製造物品と組成物、化合物、物質などとの組合せを含む。開示され、或いは開示内容から明らかである、そのような組合せが企図される。
【0190】
(O.コンピュータ読み取り可能媒体)
開示核酸及び蛋白質は、アミノ酸のヌクレオチドからなる配列として表されうるということが理解される。これらの配列を示す種々の方法があり、例えば、ヌクレオチドであるグアノシンはG又はgで表されうる。同様に、アミノ酸であるバリンはVal又はVで表されうる。当業者は、存在する種々の方法の任意の方法にて任意の核酸又は蛋白質配列を示し、且つ表す方法を理解し、それらの各々は本明細書で開示されると考えられる。本明細書で具体的に企図されるのは、コンピュータ読み取り可能媒体、例えば、市販のフロッピー(登録商標)ディスク、テープ、チップ、ハードドライブ、コンパクトディスク及びビデオディスク或いは他のコンピュータ読み取り可能媒体でのこれらの配列の表示である。開示配列のバイナリコード表示も開示される。当業者はコンピュータ読み取り可能媒体が何たるものであるかを理解する。従って、核酸又は蛋白質配列が記録、保管或いは保存されるコンピュータ読み取り可能媒体である。
【0191】
(P.ペプチド合成)
本明細書で開示される組成物及び開示方法を実施するのに必要な組成物は、他に特記されない限り、その特定の試薬又は化合物のために当業者には周知の任意の方法を用いて作製されうる。
【0192】
開示蛋白質、例えば、配列番号1を生成する1つの方法は、蛋白質化学技法により2つ以上のペプチド又はポリペプチドを共に連結することである。例えば、ペプチド又はポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)又はBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学を用いた、現在利用可能な実験装置を用いて化学合成されうる(Applied Biosystems,Inc.、カリフォルニア州フォスターシティ(Foster City))。例えば、開示蛋白質に対応するペプチド又はポリペプチドが標準的化学反応により合成されうるということを当業者は容易に理解することができる。例えば、ペプチド又はポリペプチドは合成され、その合成用樹脂から切断され得ないが、一方、ペプチド又は蛋白質の他の断片は合成され、次に、該樹脂から切断され得、これにより、他の断片では機能的に遮断された末端基を露出させる。ペプチド縮合反応により、これらの2つの断片は、それぞれカルボキシル末端、アミノ末端におけるペプチド結合を介して共有結合され、抗体又はその断片を形成することができる(Grant GA(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.、ニューヨーク(1992);Bodansky M及びTrost B.(編)(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer−Verlag Inc.、ニューヨーク(これは、少なくともペプチド合成に関連する物質につき、参照して本明細書に組み込まれる)。或いは、ペプチド又はポリペプチドは、本明細書で述べるようにin vivoにて独立して合成される。これらの独立したペプチド又はポリペプチドは、単離されると、同様のペプチド縮合反応により、連結されてペプチド又はその断片を形成することができる。
【0193】
例えば、クローン又は合成ペプチドセグメントの酵素的ライゲーションは、比較的短いペプチド断片が結合され、より大きいペプチド断片、ポリペプチド又は全蛋白質ドメインを生成することを可能とする(Abrahmsen Lら、Biochemistry,30:4151(1991))。或いは、合成ペプチドの天然化学的ライゲーションを用いて、短いペプチド断片から大きいペプチド又はポリペプチドを合成的に構築することができる。この方法は2ステップ化学反応からなる(Dawsonら、Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776−779(1994))。第一のステップは、非保護合成ペプチド−チオエステルと、アミノ末端Cys残基を含む別の非保護ペプチドセグメントとの化学選択的反応であり、最初の共有結合生成物としてチオエステル結合中間体が得られる。反応条件に変化がなければ、この中間体は自発的で迅速な細胞内反応を受け、ライゲーション部位において天然ペプチド結合を形成する(Baggiolini Mら(1992)FEBS Lett.307:97−101;Clark−Lewis Iら、J.Biol.Chem.,269:16075(1994);Clark−Lewis Iら、Biochemistry,30:3128(1991);Rajarathnam Kら、Biochemistry 33:6623−30(1994))。
【0194】
或いは、非保護ペプチドセグメントは化学的に結合され、化学的ライゲーションの結果として該ペプチドセグメント間に形成される結合が非天然(非ペプチド)結合である(Schnolzer,Mら、Science,256:221(1992))。この技法は、蛋白質ドメインの類似体及び完全な生物活性を有する大量の比較的純粋な蛋白質を合成するのに用いられている(deLisle Milton RCら、Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press社、ニューヨーク、257−267頁(1992))。
【0195】
(方法)
組成物とgC1qR/p32との相互作用の方法が開示される。そのような相互作用は、例えば、選択的、標的化又はホーミングでよい。gC1qR/p32との相互作用は、Lyp−1により媒介され得、本明細書で述べるような任意のLyp−1又はLyp−1組成物を含みうる。gC1qR/p32との相互作用は、疾患及び病状、例えば、gC1qR/p32と関連する疾患及び/又は病状を検出且つ/或いは処置するのに有用でありうる。
【0196】
gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法が本明細書で開示され、該方法は、gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、該対象に配列番号1(Lyp−1)を含む組成物を投与するステップとを含む。
【0197】
gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する方法が更に開示され、該方法は、gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定するステップと、Lyp−1と同じ部位においてgC1q/p32受容体と相互作用する組成物を該対象に投与するステップとを含み、これにより、gC1q/p32受容体と関連する疾患を処置する。gC1q/p32受容体と相互作用する組成物は、例えば、抗体、蛋白質又は化学物質でありうる。
【0198】
Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する方法が開示され、該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、該方法は、該Lyp−1組成物と細胞とを接触させるステップを含み、これにより、該Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する。
【0199】
一例では、該細胞は対象内にある。該細胞が対象内にある場合、該細胞は、該対象の別の細胞におけるgC1q/p32受容体の存在を検出することにより、gC1q/p32受容体を含む可能性について選択されうる。
【0200】
Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する方法が更に開示され、該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、該方法は、gC1q/p32受容体を含む可能性について細胞を選択するステップと、該Lyp−1組成物と該細胞とを接触させるステップとを含み、これにより、該Lyp−1組成物をgC1q/p32受容体に送達する。
【0201】
gC1q/p32受容体とLyp−1組成物との相互作用を検出する方法が更に開示され、該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含み、該方法は、gC1q/p32受容体を含む可能性について細胞を選択するステップと、該Lyp−1組成物と該細胞とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含む。
【0202】
対象の細胞におけるgC1q/p32受容体レベルを定量且つ/或いは評価する方法が開示され、該方法は、該対象の細胞と配列番号1を含む組成物に結合した検出可能物質を含むLyp−1組成物とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と相互作用するLyp−1組成物のレベルを検出ステップとを含み、これにより、該細胞におけるgC1q/p32受容体レベルを定量且つ/或いは評価する。該対象におけるgC1q/p32受容体レベルは、同一対象における過去の測定と比較され、或いは対照のレベル又は基準レベルと比較されうる。
【0203】
gC1q/p32受容体と関連する疾患を有する対象を同定する方法が更に開示され、該方法は、該対象の細胞とLyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む組成物に結合した部分(moiety)を含む)とを接触させるステップと、gC1q/p32受容体と該Lyp−1組成物との相互作用を検出するステップとを含み、これにより、該細胞におけるgC1q/p32の存在又はレベルを検出し、該細胞におけるgC1q/p32受容体の存在又はレベルにより、該対象がgC1q/p32受容体と関連する疾患を有すると確認される。
【0204】
gC1q/p32受容体と相互作用する化合物をスクリーニングする方法が更に開示され、該方法は、被験化合物、Lyp−1組成物(該Lyp−1組成物は配列番号1を含む)及びgC1q/p32受容体を接触させるステップと、非結合Lyp−1組成物を検出するステップとを含み、所与量の該非結合Lyp−1組成物がgC1q/p32受容体と相互作用する組成物を示す。該Lyp−1組成物は部分(moiety)を含み得、該部分(moiety)は配列番号1を含む。一例では、該部分(moiety)は検出可能物質でよい。スクリーニング方法は以下により詳細に考察される。
【0205】
gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置或いは予防する方法が本明細書で更に開示され、該方法は、gC1q/p32受容体の発現又は活性を調節する組成物を該対象に投与するステップを含み、これにより、gC1q/p32受容体と関連する対象における疾患を処置する。該対象は癌を有しうる。該組成物は癌に対する治療効果を有しうる。腫瘍サイズは縮小されうる。腫瘍増殖は、低下、停止或いは逆行されうる。
【0206】
gC1q/p32受容体の発現又は活性は阻害されうる。これは、阻害性核酸、例えば、shRNA又はsiRNAの使用によって生じうる。gC1q/p32受容体の活性は、LyP−1ペプチド、抗体又はLyp−1の低分子模倣体によって阻害されうる。これらの例は図10及び実施例2に見出されうる。本明細書で開示される、癌を処置或いは予防する方法は他の治療法と併せて用いられてもよい。
【0207】
上記に開示された組成物の治療効果は、腫瘍組織量の増加の鈍化又は減少でありうる。この腫瘍組織量の増加の鈍化又は減少は、未処置腫瘍又は異なる方法により処置される腫瘍と比べ、腫瘍組織量の増加の鈍化又は減少の1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%又は1000%以上の改善でありうる。
【0208】
開示方法に関わるgC1q/p32受容体は、例えば、細胞表面又は細胞内にありうる。該細胞は任意の背景にあってよく、例えば、生物内、原位置、生体外、培養液中及び/又は試験管内でよい。
【0209】
開示組成物は、無制御細胞増殖が生じる任意の疾患、例えば、癌を処置するのに用いられうる。異なるタイプの癌の非限定的一覧は以下のようになりうる:リンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、白血病、癌腫、固形組織の癌腫、扁平上皮細胞癌、腺癌、肉腫、神経膠腫、高グレード神経膠腫、芽腫、神経芽腫、形質細胞腫、組織球腫、黒色腫、腺腫、低酸素腫瘍、骨髄腫、エイズ関連リンパ腫若しくは肉腫、転移性癌又は一般の癌。
【0210】
処置をするのに開示組成物が用いられうる癌の代表的ではあるが非限定的ではない一覧は以下のものである:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳腫瘍、神経系癌、頭頸部癌(head and neck cancer)、頭頸部の扁平上皮細胞癌、腎臓癌、肺癌(lung cancers)、例えば、小細胞肺癌及び非小細胞肺癌、神経芽腫/膠芽腫、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌(prostate cancer)、皮膚癌、肝臓癌、黒色腫、口腔、咽喉、喉頭及び肺の扁平上皮細胞癌、結腸癌、子宮頸癌(cervical cancer)、子宮頸癌(cervical carcinoma)、乳癌及び上皮癌、腎臓癌、泌尿生殖器癌、肺癌(pulmonary cancer)、食道癌、頭頸部癌(head and neck carcinoma)、大腸癌、造血癌;精巣癌;結腸・直腸癌、前立線癌(prostatic cancer)或いは膵臓癌。
【実施例】
【0211】
(実施例1:Lyp−1及びgC1qR/p32)
Lyp−1とgC1qR/p32との相互作用はプルダウンアッセイにて実証された。MDA−MB−435培養細胞又はMDA−MB−435腫瘍異種移植片から得た蛋白抽出物由来のビオチン化Lyp−1ペプチド(配列番号1,CGNKRTRGC)を用いてプルダウンアッセイを行った。陰性対照として、腫瘍ホーミングペプチドCREKA(配列番号3)と、そのアミノ酸組成及び環状構造においてLyp−1に類似するペプチドCRV(配列番号4、CRVRTRSGC)とを用いた。銀染色及び免疫ブロッティング(immunobloting)を用いてLyp−1結合蛋白質を可視化した。図1(a)の左側パネルは銀染色の結果を示す。矢印は特異的33kDバンドを示し、これは質量分析によりgC1qR/p32と確認された。図1(a)の右側パネルは、gC1qR/p32に対するモノクローナル抗体を用いた、Lyp−1及び対照ペプチドに結合した総細胞抽出物(総溶解物)・蛋白質の免疫ブロッティング(immunobloting)の結果を示す。該抗体は総蛋白溶解物及びLyp−1プルダウンにおいて33kDのバンドを認識する。抗gC1qR/p32反応バンドは両対照ペプチドからのプルダウンでは検出されない。図1(b)の左側パネルは、Lyp−1ペプチドによりMDA−MB−435腫瘍異種移植片からプルダウンされた蛋白質の銀染色の結果を示し、更なる75kDバンドを示し、これも質量分析によりgC1qR/p32と確認された。図1(b)の右側パネルは免疫ブロッティングの結果を示す。gC1qR/p32に対するモノクローナル抗体は、Lyp−1ペプチドプルダウンにおいてのみ75kD及び33kDバンドを認識した。
【0212】
Lyp−1発現ファージは精製gC1qR/p32蛋白質に特異的に結合することが示された。精製gC1qR/p32又は対照としてのBSAをマイクロタイターウェルに被覆し(5μg/ml)、108pfuの無挿入ファージ(insertless phage)、Lyp−1ファージ又は別の腫瘍ホーミングペプチド(CREKA、配列番号3)を保有する対照ファージとの結合に対して標的化した。37℃で16時間のインキュベーション後、結合ファージを溶出させ、プラークアッセイにより定量した。その結果を図2(a)に示す。結果は、無挿入ファージ(insertless phage)に対する回収したLyp−1及びCREKA(配列番号3)の倍数として表し、5回の独立試験の典型である。
【0213】
gC1qR/p32のN末端に対する抗体は、精製gC1qR/p32へのLyp−1ファージの結合を阻害することが示された。図2(b)の左側パネルは、前駆体(aa−1−282)及び成熟(aa74−282)gC1qR/p32蛋白質の略図を示す。ボックスは、成熟蛋白質のそれぞれN末端(aa76−93)、C末端(aa204−282)においてモノクローナル抗体mAb 60.11とmAb 74.5.2に認識されるアミノ酸残基を示す。mAb 60.11に認識されるアミノ酸配列も示す。20μg/mlのmAbs60.11,74.5.2又は精製マウスIgG1(mIgG)の存在下又は非存在下、1.5×10pfuの無挿入(insertless)及びLyp−1ファージを、37℃で6時間、マイクロタイタープレートに被覆されたgC1qR/p32蛋白質に結合させた。その結果を図2(b)の右側パネルに示す。その結果は、3回の独立試験の典型であり、Lyp−1ファージ結合単独を100%としてファージ結合のパーセントとして表されている。
【0214】
培養腫瘍細胞及び腫瘍異種移植片においてgC1qR/p32の蛋白質レベル及び細胞表面発現を測定した。異なる腫瘍細胞株の溶解物をgC1qR/p32のウェスタンブロット分析に付した。ローディングコントロールとしてアクチンを用いた。共にLyp−1ファージの低結合体である(Laakkonenら、2002)C8161黒色腫細胞及びHL−60前骨髄球性(promyelocitic)白血病細胞は、より高いLyp−1ファージ結合能を示すMDA−MB−435及びBT549乳癌細胞と比べ、低レベルのgC1qR/p32を示す(図4(a)参照)。(b〜c)腫瘍細胞培養液(図4(b))又はMDA−MB−435腫瘍異種移植片由来の一次細胞懸濁液(図4(c))中のgC1qR/p32の細胞表面発現を検出するため、FACS解析を用いた。解析のため、ヨウ化プロピジウム陰性(生)細胞をゲートした。MDA−MB−435腫瘍異種移植片由来の細胞懸濁液では、ポリクローナル抗gC1qR/p32抗体は、対照ウサギIgGと比べてFACSピークの有意なシフトを生じさせる(図4(c)参照)。MDA−MB−435及びBT549培養細胞においてgC1qR/p32の細胞表面発現は低い(図4(b)参照)。より高いLyp−1ファージ結合能を有するMDA−MB−435サブクローンであるMDA−MB−435 S35は、MDA−MB−435親細胞と比べ、FACSピークのより大きなシフトを示す。C8161細胞ではgC1qR/p32は細胞表面に発現されない。
【0215】
gC1qR/p32の過剰発現はC8161黒色腫細胞へのLyp−1ファージ結合を亢進させることが示された。pCDNA3又はpCDNA3gC1qR/p32(10μg)と共にpEGFP(2μg)をC8161細胞に一過性にトランスフェクションした。トランスフェクションの22時間後、EGFP発現について細胞を選別した。gC1qR/p32過剰発現を検出するため、2つの選別集団をファージ結合アッセイ及びウェスタンブロット分析に用いた。その結果を図5に示す。空ベクター又はgC1qR/p32トランスフェクション細胞へのLyp−1ファージ結合は、無挿入ファージ(insertless phage)に対する結合の倍数として表されている。グラフは二重に行った2回の独立試験の結合の平均倍数を表す。
【0216】
RNAi媒介性gC1qR/p32サイレンシングは、Lyp−1ペプチドの細胞表面への結合を減少させることが示された。MDA−MB−435細胞にgC1qR/p32特異的又は対照siRNAsを一過性にトランスフェクションした。トランスフェクションの48時間後、ウェスタンブロット分析及び免疫染色により、gC1qR/p32発現の阻害を検討した。対照としてβ−アクチンを用いた。ウェスタンブロット分析及び免疫染色の両方においてgC1qR/p32サイレンシングはgC1qR/p32を明らかに減少させた。対照及びgC1qR/p32−siRNAトランスフェクション細胞におけるgC1qR/p32の細胞表面発現を、生(ヨウ化プロピジウム陰性)細胞のFACS解析により定量した。染色対照としてウサギIgGを用いた。gC1qR/p32サイレンシングは細胞表面発現を対照と同レベルまで減少させた。10μM FITC結合Lyp−1ペプチド又は同じアミノ酸電荷を有するとともに(ARALPSQRSR、配列番号5)低結合能を示す(左側の最初のグラフト(graft))対照ペプチドARALの存在下、gC1qR/p32又は対照siRNAトランスフェクション細胞を4℃で1時間インキュベートした。生細胞における蛍光量をFACSにより解析した。ペプチドの非存在下にてインキュベートした細胞をFITC陰性対照とした。対照siRNAトランスフェクション細胞と比べ、gC1qR/p32発現のダウンレギュレーション(gC1qRp32 siRNAの存在下)はLyp−1蛍光のピークのシフトを生じさせたが、対照ペプチド蛍光では生じなかった。対照ペプチドの検出は、gC1qR/p32 siRNA及び対照siRNAに晒された細胞における差異を示さなかった。
【0217】
gC1qR/p32及びLyp−1ペプチドの腫瘍局在を可視化した。MDA−MB−435腫瘍異種移植片において、gC1qR/p32、リンパ管若しくは血管、ポドプラニン及びMeca32/CD31を蛍光標識抗体で染色した。ポリクローナル抗gC1qR/p32抗体は、血管を欠くがリンパ管を含む細胞塊又はポドプラニンに対して陽性であるがCD31若しくはMeca32に対して陽性ではない血管様構造体の内側を覆う細胞を認識する。フルオレセイン結合Lyp−1ペプチドを、MDA−MB−435腫瘍を有するマウスに静注し、1時間循環させた後、gC1qR/p32の免疫組織化学的分析のために腫瘍を除去した。Lyp−1ペプチドは腫瘍内のgC1qR/p32陽性部分に局在する。
【0218】
(実施例2:ミトコンドリア/細胞表面蛋白質p32/gC1qRは、腫瘍細胞における解糖と酸化的リン酸化との均衡を調節する)
(i.序文)
腫瘍ホーミングペプチドであるLyp−1は、一部の腫瘍における腫瘍関連リンパ管及び腫瘍細胞に結合し、抗腫瘍効果を示す。マルチリガンド・マルチコンパートメンタル蛋白質p32/gC1qRがLyp−1に対する受容体であることを本明細書で示す。Lyp−1ペプチドは腫瘍培養細胞の抽出物由来gC1qR/p32に特異的に結合し、gC1qR/p32は、腫瘍リンパ管及びこれらの脈管に隣接した位置にある細胞において静注Lyp−1と共局在化した。ヒト組織の免疫組織化学的分析では、対応する正常組織と比べ、複数の癌におけるgC1qR/p32の発現の大幅な上昇を示した。shRNAによるC1qR/p32発現のノックダウンは、MDA−MB−435腫瘍細胞における解糖を亢進させ、ミトコンドリア呼吸を低下させた。驚くべきことに、該ノックダウンは低糖状態において腫瘍細胞の生存及び増殖能を損ない、それらの腫瘍原性をin vivoにて低下させた。C1qR/p32の発現回復はこれらの変化を逆行させた。
【0219】
悪性細胞及び腫瘍血管系に発現される特異的分子署名により、腫瘍はその非悪性対応物と区別される。腫瘍関連抗原、例えば、ある種の増殖因子及びサイトカイン受容体、膜型マトリクスメタロプロテイナーゼ及び細胞接着分子が多くの腫瘍に高度に発現される。同様に、腫瘍血管系と正常組織の血管系を識別する生化学的特徴には、種々の血管新生関連分子の発現が含まれる(Ruoslahti,2002;St Croixら、2000)。腫瘍リンパ管は正常組織のリンパ管(又は腫瘍血管)には存在しないマーカーを示すため、腫瘍リンパ管も特殊化される(Laakkonenら、2002;Zhangら、2006)。腫瘍血管及びリンパ管におけるマーカーは腫瘍型間で異なり得、腫瘍形成が前癌病変から完全に悪性の腫瘍に進展するにつれ、血管のマーカープロファイルは変化する(Hoffmanら、2003;Joyceら、2003;Zhangら、2006)。
【0220】
腫瘍血管及び腫瘍細胞の明確な蛋白質プロファイルは、診断・治療剤のリガンドを対象とする(シナプス(synaphic))標的化に利用されうる。標的化は化合物の特異性及び有効性を向上させるとともに副作用を低減する(Arapら、2002;Arapら、1998b;Jain,1998)。この部分的な成功により、腫瘍において選択的に発現されるマーカーを認識する新規分子を見出す必要性が強調される。
【0221】
その表面にランダムペプチド配列を示すファージライブラリーのin vivoスクリーニングにより、腫瘍血管系及び腫瘍細胞に特異的な多くのホーミングペプチドが得られている(Arapら、1998a;Porkkaら、2002)。ホーミングペプチドに対する受容体の同定により、新規腫瘍マーカーが得られ、遮断された場合に腫瘍の増殖/悪性度に作用するシグナル伝達経路も明らかになりうる。一部の腫瘍においてリンパ管を特異的に認識する環状ノナペプチドであるLyp−1(Laakkonenら、2002)は好例である。リンパ管は固形腫瘍の拡散に重要な管路であり、腫瘍内及び腫瘍周囲におけるその存在量は転移性向と相関する(Alitaloら、2004;Stackerら、2002)。
【0222】
該Lyp−1ペプチドはこれらの脈管に対するマーカーを提供するが、腫瘍細胞にも結合し、腫瘍リンパ管及び腫瘍細胞を選択的に標的とする能力を提供する。更に、Lyp−1の全身投与がマウスにおける腫瘍増殖を阻害するため、該Lyp−1ペプチドの標的分子(受容体)が腫瘍増殖に関与していると思われる(Laakkonenら、2004))。Lyp−1の蓄積が腫瘍における低酸素領域と一致し、腫瘍の飢餓が腫瘍培養細胞においてその結合及び内在化を亢進させるため、Lyp−1はストレスを受けている腫瘍細胞に対して細胞傷害性であるように思われる(Laakkonenら、2004)。Lyp−1系のこれらの独特の特性は、このペプチドに対する腫瘍細胞受容体の探索を促した。
【0223】
本試験において、Lyp−1に対する細胞受容体として、p32/p33/gC1qR/HABP1(p32)が同定された。元々、この蛋白質は核スプライシング因子SF−2との共精製に基づいて単離された(Krainerら、1991)。それはC1q蛋白質の球状頭部に結合することも見出され、従って、gC1q/p32受容体(gC1qR/p32)と命名された(Ghebrehiwetら、1994)。血漿蛋白質及び細胞外マトリックス成分、例えば、キニノゲン、第XII因子、ビトロネクチン及びヒアルロン酸がgC1qR/p32に結合することも報告されている(Deb及びDatta,1996;Herwaldら、1996;Josephら、1996;Limら、1996)。加えて、gC1qR/p32は複数の細菌及びウイルス蛋白質と相互作用し、その微生物性病因における役割の可能性を示す(Braunら、2000;Kittlesenら、2000;Matthews及びRussell,1998;Tangeら、1996)。
【0224】
gC1qR/p32蛋白質は、細胞型及び生理条件により、多様な細胞コンパートメントに存在しうる。この蛋白質は、ミトコンドリア(Dedioら、1998;Matthews及びRussell,1998;Mutaら、1997)、核(Krainerら、1991;Majumdarら、2002)及び細胞表面(Ghebrehiwetら、1994;Guptaら、1991;Soltysら、2000)において多様に位置づけられている。また、それは分泌され、細胞外マトリックスに結合されうる(Herwaldら、1996;Limら、1996;Rozanovら、2002a)。その多数の蛋白質相互作用及び細胞局在に関する種々異なる観察では、gC1qR/p32の哺乳動物細胞における生理的役割は不明瞭な状態にあった。酵母では、gC1qR/p32相同体が酸化的リン酸化を調節すると報告されている(Mutaら、1997)。
【0225】
腫瘍細胞におけるgC1qR/p32発現のノックダウンがそれらの代謝を解糖にシフトし、また、驚くべきことに、解糖表現型が、特に、有害な増殖条件下にて腫瘍細胞の生存及び増殖の障害と関連するということが本明細書で示される。加えて、gC1qR/p32ノックダウン細胞の腫瘍原性が低下する。
【0226】
(ii.結果)
(a.Lyp−1ペプチドはgC1qR/p32蛋白質に結合する)
Lyp−1ペプチドに対する受容体を同定するため、ビオチン標識Lyp−1及び対照ペプチドを、結合してLyp−1を内在化する細胞株であるMDA−MB−435細胞の抽出物とインキュベートした(Laakkonenら、2004)。Lyp−1は対照においては認められなかった30kDa範囲の特定のバンドと結合し(図3A、左側パネル)、その対照はペンタペプチドCREKA(配列番号3)(Simbergら、2007)及びノナペプチドCRVRTRSGC(配列番号4)であって、そのアミノ酸組成及び環状構造においてLyp−1に類似する。独立した2回のMALDI−TOF解析では、その特定のバンドが、補体成分C1qの球状頭部に対する受容体であるgC1qR/p32として公知の成熟型蛋白質を表すことが示された(Ghebrehiwetら、2002;Ghebrehiwetら、1994)。Lyp−1アフィニティー分離でも、BT549培養乳癌細胞及びMDA−MB−435異種移植片腫瘍の抽出物からgC1qR/p32が生じた。
【0227】
Lyp−1結合蛋白質のgC1qR/p32としての同定は、免疫ブロッティング及びファージ結合アッセイにより確認した。gC1qR/p32を標的としたモノクローナル抗体は該バンドを特異的に認識した(図3A右側パネル)。検出可能なgC1qR/p32は対照ペプチドによりプルダウンされなかった。Lyp−1ファージは無挿入(insertless)対照ファージの平均60倍にて精製gC1qR/p32蛋白質に結合したが、BSAを被覆されたプレートへのいずれのファージの結合もわずかに認められただけであった(図3B)。Lyp−1とコンセンサス配列を共有するが、異なるスペクトルの腫瘍リンパ管に結合するペプチドであるLyp−2(Zhangら、2006)は、gC1qR/p32に有意には結合しなかった。N末端(アミノ酸76−93)近傍にてgC1qR/p32に結合するモノクローナル抗体mAb 60.11は、Lyp−1ファージのgC1qR/p32への結合を90%低下させた(図3C)。対照的に、gC1qR/p32のC末端(アミノ酸204−218)を認識するmAb 74.5.2は、ファージ結合を阻害しなかった。これらの結果は、Lyp−1とgC1qR/p32との相互作用が特異的であり、且つアミノ酸76−93のgC1qR/p32のN末端が該相互作用に重要な役割を果たすということを示す。
【0228】
免疫ブロッティングでは、多くの腫瘍細胞株におけるgC1qR/p32発現とLyp−1結合との相関を示した。Lyp−1と有意には結合しないことが過去に示されている(Laakkonenら、2002)HL−60白血病細胞及びC8161黒色腫細胞は、低レベルのgC1qR/p32蛋白質を示し、一方、2つの強力なLyp−1結合体であるMDA−MB−435及びBT549((Laakkonenら、2002)は、豊富なgC1qR/p32を示した(図4A)。
【0229】
(b.gC1qR/p32蛋白質は細胞表面に発現され、Lyp−1結合を媒介する)
gC1qR/p32がLyp−1受容体として機能するには、それは細胞表面に発現される必要があるであろう。主に細胞内コンパートメント(ミトコンドリア、核及び細胞質)に局在するが、gC1qR/p32が細胞表面に存在することも報告されている(Ghebrehiwetら、1994;Guoら、1999;Peerschkeら、1994)。gC1qR/p32は細胞表面にも見出された。ポリクローナル抗gC1qR/p32抗体は、MDA−MB−435生細胞のFACS解析において、わずかであるが一定のシフトを生じさせた(図4B)。より大きなシフトがMDA−MB−435サブクローン(S35)において得られ、これは親細胞株より高い効率でLyp−1と結合する。Raji Burkittリンパ腫細胞は更に一層強陽性であった。興味深いことに、gC1qR/p32の総発現レベルはMDA−MB−435親細胞とS35変異細胞とで同様であった(図4A)。MDA−MB−435腫瘍異種移植片由来の単一細胞懸濁液は、細胞表面gC1qR/p32蛋白質に対し、MDA−MB−435培養細胞より強陽性であり、一方、C8161細胞は一次腫瘍細胞としてであってもLyp−1結合に対して本質的に陰性状態であった(図4C)。
【0230】
次に、Lyp−1結合に対するgC1qR/p32の強制発現及びノックダウンの影響を検討した。gC1qR/p32 cDNAによるC8161細胞の一過性トランスフェクションは、Lyp−1ファージ結合を対照ファージの5倍に増加させた(図5A)。空ベクターによるトランスフェクション後、2倍未満の結合が得られた。gC1qR/p32 siRNA構築体によるトランスフェクションは、MDA−MB−435細胞における発現を著明に低下させ(図5B、左上パネル)、FITC−Lyp−1ペプチドの細胞への結合の減少を伴った(図5B、左下パネル)。非関連siRNAがgC1qR/p32発現又はLyp−1結合に影響を与えず、また、siRNAがβ−アクチンの発現も変化させないことを対照は示した。また、Lyp−1のように3つの塩基性残基を有するが、MDA−MB−435細胞に有意には結合しない対照ペプチド(Laakkonenら、2002))は、gC1qR/p32ノックダウン及び対照細胞において同量の背景蛍光を発した(図5B、右下パネル)。最後に、Raji細胞(これは高レベルの細胞表面gC1qR/p32を示す)におけるmAb 60.11によるgC1qR/p32の阻害は、これらの細胞へのLyp−1結合を50%低下させたが、ファージ結合はmAb 74.5.2に影響されなかった(図5C)。これらの結果は、精製gC1qR/p32蛋白質で得られた結果と一致し(図3C)、細胞表面におけるgC1qR/p32の発現レベルが細胞へのLyp−1結合を決定することを示す。それらは、gC1qR/p32の細胞表面局在がgC1qR/p32の総発現から独立して調節され、また、腫瘍内微小環境が細胞表面発現を亢進させうることも示唆している。
【0231】
(c.MDA−MB−435腫瘍異種移植片及びヒト癌におけるgC1qR/p32の発現)
腫瘍におけるgC1qR/p32の局在を調べるため、MDA−MB−435腫瘍異種移植片の切片をgC1qR/p32及びポドプラニン(リンパ管/マクロファージマーカー)に対して染色した。gC1qR/p32に対して強陽性の細胞塊が腫瘍リンパ管に近接して見出され、一方、CD31又はMeca−32に対する染色により可視化したように、血管との関連はなかった(図6A、上部パネル)。gC1qR/p32を発現している細胞が、同様にポドプラニンに対して陽性であるが、CD31又はMeca−32に対しては陽性でない脈管様構造の内側を覆っていることも見出された(図6A、下部パネル)。正常組織及びC8161腫瘍異種移植片は、MDA−MB−435腫瘍よりはるかに少ないgC1qR/p32染色を示した。静注FITC−Lyp−1ペプチドは、高発現レベルのgC1qR/p32を有するとともに脈管腔と密接に関連する腫瘍領域に蓄積した(図6B)。gC1qR/p32/Lyp−1陽性細胞とマクロファージマーカーであるDC11b及びGr−1との相当程度の共局在があった(図6C)。腫瘍のリンパ管領域におけるgC1qR/p32の局在は、前述したLyp−1とMDA−MB−435腫瘍リンパ管との関連を裏付ける。これらの腫瘍におけるリンパ管内に取り込まれたgC1qR/p32陽性細胞は、リンパ管内皮細胞の腫瘍マクロファージ及び/又はマクロファージ様前駆体であると思われる。
【0232】
次に、臨床サンプルにおけるgC1qR/p32に対する免疫組織化学的染色により、種々のヒト癌におけるgC1qR/p32の発現レベルを比較した。染色強度(図6D、右側パネル)を視覚的にスコアリングし、腫瘍細胞における上皮膜抗原に対する並行染色と比較した(図6D、左側パネル)。組織内腫瘍細胞パーセント及びgC1qR/p32染色強度に基づき、各サンプルに免疫スコアを割り当てた(表1)。非悪性組織と比べ、複数の腫瘍型はgC1qR/p32発現レベルの上昇を示した(図6E)。特に、乳房の小葉癌、類内膜腺癌(endometroid adenocarcinoma)、黒色腫及び結腸と精巣の癌腫並びに肺の扁平上皮癌は、著明に上昇したgC1qR/p32発現を示した。検討した9個の前立腺癌のうち、有意なgC1qR/p32レベルを有するものはなかった。gC1qR/p32の発現は、胃、膵臓及び腎臓癌において高かったが、対応する非悪性組織も実質的レベルにてgC1qR/p32を発現させた。これらの結果は、腺癌細胞によるgC1qR/p32の選択的発現を示す過去の報告を裏付け、伸展させる。
【0233】
(d.gC1qR/p32の安定的ノックダウンは腫瘍細胞の代謝及び増殖を変化させる)
腫瘍生理におけるgC1qR/p32の役割を明示するため、腫瘍においてgC1qR/p32発現のshRNAベースのノックダウンを用い、次に、in vitro及びin vivoにて細胞を分析した。gC1qR/p32と相補的なshRNAs又は2塩基対ミスマッチ対照shRNAをMDA−MB−435腫瘍細胞に発現させた。一連のgC1qR/p32及び対照shRNA安定クローンをgC1qR/p32発現についてスクリーニングした。検出不可能なgC1qR/p32発現を有する3つのgC1qR/p32 shRNAクローン及び3つの対照shRNAクローンを分析のために選択した(図7A、左上パネル)。各gC1qR/p32ノックダウンクローンは、対照クローンと比べて著明に減少したFITC−Lyp−1ペプチドの取込みを示した。細胞播種後3〜4日時点のフェノールレッドの色変化が示すように、gC1qR/p32ノックダウンは培地の酸性化を著しく誘発した(図7A、右上パネル)。pHの低下と相応し、対照細胞と比べ、gC1qR/p32ノックダウンにおいて乳酸産生が有意に増大した(図7A、左下パネル)。
【0234】
乳酸は解糖の副産物であり、嫌気性条件下又はミトコンドリア機能障害の場合に蓄積しうる。ATP産生のためのその後の解糖への依存は、グルコースの乳酸への高率の変換及び高率のグルコース取込みと関連する。gC1qR/p32ノックダウン細胞が対照クローンより多くのグルコースを消費することが見出され、これは解糖の増加を示した(図7A、右下パネル)。しかし、解糖率及び乳酸産生の上昇はgC1qR/p32ノックダウン細胞の細胞増殖の増大と関連せず、それは、これらの細胞が対照細胞より緩慢に増殖したためである(以下の図8参照)。
【0235】
gC1qR/p32蛋白質は各主要細胞コンパートメントに存在することが見出されているが、それは主にミトコンドリア蛋白質である(Dedioら、1998;Jiangら、1999;Mutaら、1997;Soltysら、2000;van Leeuwen及びO’Hare,2001)。gC1qR/p32のミトコンドリアの役割と相応し、gC1qR/p32相同体を欠いている酵母の増殖障害は、ミトコンドリアのATP合成を維持することの異常と関連している(Mutaら、1997)。gC1qR/p32ノックダウン細胞は、高(25mM)グルコースを含む通常培地で増殖させると、対照細胞より20%低い総ATPを産生した(図7B)。解糖によるATP産生の増大がミトコンドリアの一部の欠失したATP合成を代償した可能性があるため、ミトコンドリアのATP産生の低下はそれよりも大きかった可能性もある。培地中のグルコース濃度を2.5mMに低下させると、対照クローンと比べてgC1qR/p32ノックダウンにおける細胞のATP産生により有害であった(50%低下)。これらのデータは、酸化的リン酸化(OXPHOS)を介する効率的なATP産生にgC1qR/p32が必要とされうることを示す。そのような役割と相応し、gC1qR/p32ノックダウン細胞は対照クローンより少ない酸素を消費した(図7C)。従って、gC1qR/p32の欠失は、おそらくミトコンドリア機能の擾乱を介してエネルギー代謝を解糖にシフトさせる。
【0236】
ミトコンドリアの形態はエネルギー代謝と密接に関連する。呼吸の亢進は相互接続したミトコンドリアネットワーク及び拡大したクリステコンパートメントと相関し、一方、OXPHOSの低下及び解糖の亢進は断片化ミトコンドリア及びマトリックスの拡張と相関する(Alirol及びMartinou,2006)。gC1qR/p32ノックダウン及び対照クローンにおけるミトコンドリアの共焦点分析は、gC1qR/p32が発現されないと、ミトコンドリアネットワークがフィブリル状というよりも断片化することを示した(図7D)。まとめると、これらのデータは、gC1qR/p32がミトコンドリア機能にとって重要であり、その不活性化がエネルギー代謝を解糖寄りに変化させるという見解を支持するものである。
【0237】
(e.gC1qR/p32の欠失は細胞増殖を損ない、細胞死を増加させる)
gC1qR/p32ノックダウン細胞は対照細胞より緩慢に増殖した(図8A、左側及び中央部パネル)。その差異は、特に、わずか2.5mMのグルコースを含む培地において顕著であった。これらの低グルコース条件下、gC1qR/p32ノックダウン細胞における培地は酸性にならず(図8A、右側パネル)、該細胞が細胞増殖を支持すると思われるレベルにて解糖を行うことができなかったことを示す。
【0238】
腫瘍細胞は低グルコース条件下にて細胞死を被る傾向を有する(Inokiら、2003;Jonesら、2005)。次に、gC1qR/p32の欠失がこの特性をMDA−MB−435細胞に付与するかを判定した。gC1qR/p32ノックダウン細胞と対照細胞におけるアネキシンV陽性細胞のパーセントは高グルコース培地にて同様であったが、該ノックダウン細胞のより高い感受性が低グルコース培地にて明らかとなった(図8B)。
【0239】
shRNAノックダウンの特異性を示すため、ノックダウン細胞においてgC1qR/p32産生を復元した。サイレント突然変異がgC1qR/p32 shRNAによる阻害に対する抵抗性を付与するgC1qR/p32 cDNAを用いて、gC1qR/p32発現を元のレベルに戻した(図8C)。この処理により、乳酸蓄積、グルコース消費及びノックダウン細胞の増殖が正常化した(図8C)。これらの結果は、オフターゲット効果がノックダウンの表現型効果に関与しないことを示す。
【0240】
(f.gC1qR/p32の欠失は腫瘍細胞の悪性度を抑制する)
腫瘍におけるgC1qR/p32発現の上昇並びにgC1qR/p32ノックダウン細胞の増殖及び生存の阻害により、腫瘍形成におけるgC1qR/p32の役割の検討が促された。対照及びgC1qR/p32ノックダウン細胞クローンをヌードマウスの乳腺脂肪体に正所性注射し(orthotopically injected)、腫瘍増殖をモニタリングした。gC1qR/p32ノックダウン細胞は対照より小さい腫瘍を生じさせ、或いは該腫瘍は肥大し、軟性で紫色であり、図示腫瘍内出血を止めた後、血液の放出があった(図9A、左側及び中央部パネル)。出血がノックダウン腫瘍のサイズに寄与しても、これらの腫瘍の増殖率は対照腫瘍より有意に低かった(p<0.001)。BrdU取込みによる腫瘍における細胞増殖の評価では、gC1qR/p32ノックダウン腫瘍において有意に減少した数のBrdU陽性細胞を示し(図9B)、これはin vitroでのノックダウン細胞の低増殖率と一致する。腫瘍切片の病理組織学的分析では、対照腫瘍と比べ、gC1qR/p32ノックダウンにおける広範な壊死を示した(図9C)。一部の壊死はgC1qR/p32ノックダウン小腫瘍においても明らかであり、これは壊死がgC1qR/p32欠損細胞によって生じる腫瘍の初期事象であることを示す。まとめると、これらのデータにより、腫瘍の増殖及び維持におけるgC1qR/p32の重要な役割が確定される。
【0241】
(iii.考察)
ミトコンドリア/細胞表面蛋白質gC1qR/p32が、特定の癌における腫瘍リンパ管及び腫瘍細胞のエピトープを特異的に認識する腫瘍ホーミングペプチドLyp−1に対する受容体であることを本明細書で示す。shRNAによりgC1qR/p32発現をノックダウンすると、MDA−MB−435腫瘍細胞において解糖が上昇し、ミトコンドリア呼吸が低下し、腫瘍原性が低下することを示す。gC1qR/p32の発現が実験癌及びヒト癌においてアップレギュレーションされることが多いため、その結果は、解糖の上昇(ワールブルク効果)が腫瘍増殖に必ずしも有利ではないことを示す。
【0242】
複数の系統のエビデンスが、LyP−1ペプチドが、gC1qR/p32、即ち、補体のC1q成分に対する受容体gC1qR/p32として周知の蛋白質と特異的に結合することを示している。第一に、LyP−1ファージは精製gC1qR/p32蛋白質と結合し、その相互作用はgC1qR/p32のN末端に対する抗体によって阻害された。第二に、gC1qR/p32の内在性発現レベル及び細胞表面局在は、異なる細胞株のLyP−1と結合する能力と相関した。第三に、gC1qR/p32の過剰発現は細胞へのLyP−1結合を亢進させ、RNAiサイレンシングはそれを低下させた。最後に、静注FITC−LyP−1ペプチドはin vivoにてgC1qR/p32発現が高い腫瘍領域へホーミングした。gC1qR/p32のLyP−1受容体としての同定により、癌におけるgC1qR/p32の発現及び役割の更なる研究が促された。
【0243】
gC1qR/p32蛋白質は主にミトコンドリア蛋白質であるが、細胞質、核、また、LyP−1結合に最も重要である細胞表面に見出されうる(Ghebrehiwetら、1994;Guoら、1999;Peerschkeら、1994)。他の複数のミトコンドリア蛋白質はミトコンドリア外部位においても見出される(Soltys及びGupta,1999)。例えば、ミトコンドリアシャペロン蛋白質HSP60及びHSP70は細胞表面(Soltys及びGupta,1997)及び小胞体においても認められている(Singhら、1997;Soltys及びGupta,1996)。腫瘍細胞及び負荷細胞の表面に見出されるHSP60(Kaurら、1993;Xuら、1994)は、特定の蛋白質に対するシャペロンとして機能しうる(Khanら、1998)。興味深いことに、シャペロン様機能はgC1qR/p32に対しても示唆されている(Hirasawaら、2001;Kittlesenら、2000;Robles−Floresら、2002;Rozanovら、2002b;Schaererら、2001;Storzら、2000)。FACSデータは、gC1qR/p32の細胞表面局在性に関する先行知見を裏付け、腫瘍内微小環境がgC1qR/p32の細胞表面発現を亢進させうることを示す。
【0244】
該表面におけるgC1qR/p32の量は細胞内gC1qR/p32の総量と必ずしも相関せず、これは該局在が別個に制御されていることを示す。興味深いことに、2つの遍在細胞内蛋白質ヌクレオリン(Christianら、2003)及びアネキシン1(Ohら、2004)が、腫瘍血管内細胞表面に異常に発現されることが示されており、それらは血管新生の特異的マーカーとして機能する。組織におけるgC1qR/p32の発現はヌクレオリン又はアネキシン1の発現よりはるかに限定されるが、LyP−1ペプチド(Laakkonenら、2004;Laakkonenら、2002)及び抗gC1qR/p32(本研究)が全身投与後のそれらの腫瘍内蓄積において著しく特異的であるため、その細胞表面発現は更なる腫瘍特異度を付加しうる。
【0245】
抗gC1qR/p32抗体による組織切片の抗体染色及び静注抗gC1qR/p32により、過去に報告されているLyP−1と腫瘍の特定領域との関連性が確認された。LyP−1ペプチド(Laakkonenら、2004;Laakkonenら、2002)と同様に、抗体は腫瘍内の2つの主要位置:リンパ管に富むが血管が少ない領域での細胞塊及び明らかにリンパ管を示す脈管様構造体を概略的に示した。リンパ管新生(lymphagiogenesis)に寄与する骨髄由来マクロファージが報告されており(Kerjaschkiら、2006;Maruyamaら、2007;Maruyamaら、2005)、腫瘍内の有意な数のgC1qR/p32強陽性細胞が、マクロファージマーカーに対しても陽性であることが見出された。LyP−1/抗gC1qR/p32陽性細胞が、リンパ管内皮細胞の前駆体として機能しうる稀なマクロファージ集団を表すと仮定された。
【0246】
gC1qR/p32のshRNA媒介性ノックダウンに関する知見は、腫瘍細胞におけるgC1qR/p32の重要な役割を示す。in vitroにて該ノックダウンは腫瘍細胞によるグルコース代謝の解糖経路の利用の著しい増加をもたらした。これらの代謝変化は、酵母におけるgC1qR/p32相同体を不能にする突然変異によって生じる代謝変化に類似する(Mutaら、1997)。gC1qR/p32ノックダウンは、細胞増殖の阻害、細胞死の増加及び腫瘍原性の障害とも関連した。shRNA抵抗性gC1qR/p32構築体がそれらを逆行させたため、これらの変化は該ノックダウンによって特異的に生じた。
【0247】
乳癌及び他の一部の腺癌はgC1qR/p32をアップレギュレーションするが、他の一部の癌、特に前立腺癌は検出可能レベルにてgC1qR/p32を発現しないということが見出された。マウス及びヒトゲノムはわずか1つのgC1qR/p32関連遺伝子を含むように思われ、関連遺伝子がgC1qR/p32を欠失する腫瘍において同じ役割にて機能しうる可能性は低くなる。興味深いことに、大部分の悪性腫瘍と対照的に、大部分の前立腺癌は高解糖性ではない(Effertら、1996;Hoferら、1999;Liu,2006)。従って、それらはgC1qR/p32の相殺作用を必要としないであろう。
【0248】
腫瘍において解糖反応を誘導する一因子は癌遺伝子mycである(Shimら、1997)。c−mycの変化が、高解糖活性を示す(Isidoroら、2005)乳癌において一般的である(Blancatoら、2004;Liao及びDickson,2000)ことは注目に値する。従って、gC1qR/p32の役割は、c−mycの過度の解糖促進活性を抑制すると同時に、その腫瘍促進作用を残存させることでありうる。
【0249】
また、ミトコンドリア代謝、自食作用及びgC1qR/p32間に関連が存在しうる。自食作用は細胞内分解の動的プロセスである。高分子分解から生じる栄養物を動員することにより、自食作用は酵母から哺乳動物に至る生物における代謝ストレスを緩衝するように作用する(Levine,2007;Rubinszteinら、2007)。自食作用におけるgC1qR/p32蛋白質の役割が過去に示唆されており(Senguptaら、2004)、最近になり、gC1qR/p32がミトコンドリアにおける自食作用誘導蛋白質smARFと相互作用し、それを安定化することが報告されている(Reefら、2007)。更に、酵母における種々の自食作用関連蛋白質に対する遺伝子の欠損は、ミトコンドリアの異常形態を生じさせ、酸化的リン酸化を低下させ、増殖障害を伴った(Zhangら、2007)。これはノックダウンgC1qR/p32を有する腫瘍細胞における所見を表現型模写するものであり、それはこれらの細胞もミトコンドリアの変化、酸化的リン酸化から解糖へのシフト及び増殖不良を示したためである。
【0250】
自食作用は腫瘍抑制因子として作用しうるが、腫瘍増殖も亢進させうる(Degenhardtら、2006;Levine,2007)。腫瘍抑制機能は、DNA損傷を引き起こし、その結果、腫瘍の進行を促進しうる突然変異の蓄積を生じさせうる酸素ラジカル源の除去における自食作用の役割に関連しうる。見方を変えると、自食作用はストレス下にある細胞の生存機構である。腫瘍はそれらの血液供給を上回ることが多く、これは局所部位の低酸素及び栄養枯渇を生じさせる。自食作用を作動させると、そのようなストレス下での生存のための共食い的機構が付与される。
【0251】
これらの結果は、gC1qR/p32発現が自食作用反応に関与するという想定と一致する。第一に、LyP−1ペプチドは腫瘍における低酸素(また、おそらく栄養欠乏)領域に蓄積し(Laakkonenら、2004)、これらの領域がgC1qR/p32を選択的に発現するということが抗gC1qR/p32抗体を用いた本発明の研究において実証されている。第二に、自食作用反応を欠く腫瘍は、代謝カタストロフィーと称されるプロセスを通じて壊死する傾向がある(Jinら、2007)。これはまさしく、gC1qR/p32ノックダウン細胞から増殖させた腫瘍に認められたものである。これらの腫瘍は壊死性・出血性大コアを含む場合が多かった。更に、LyP−1ペプチド処置はin vivoにて腫瘍におけるTUNEL陽性病変を誘発し(Laakkonenら、2004)、これらの部位におけるアポトーシス又は初期壊死を示した。
【0252】
腫瘍形成に対する自食作用の二重作用(また、おそらく、gC1qR/p32発現の拡張による)を考慮すると、自食作用の抑制が腫瘍の処置に役立ちうるか、或いはそれは有害となりうるかということに関する疑問が生じる。自食作用の抑制から生じる部分的腫瘍壊死は有害な結果を生じさせうる一機構であり、それは壊死が炎症を生じさせ、炎症メディエーターが腫瘍増殖を促進しうるためである(Degenhardtら、2006)。その結果は、自食作用抑制に誘発される壊死が治療法として有益となりうることを示す。大部分のgC1qR/p32ノックダウン腫瘍において広範な壊死が認められたが、腫瘍は野生型腫瘍より緩慢に増殖した。その結果は、gC1qR/p32が腫瘍治療のための新規標的を表すことを示す。例えば、RNAi又はヒトモノクローナル抗体及びLyP−ペプチドを模倣する低分子量化合物は、この可能性を役立てるのに用いられうる。
【0253】
(iv.試験手順)
(a.試薬)
60.11及び74.5.2マウスモノクローナル抗gC1qR/p32抗体をChemicon社(カリフォルニア州Temecula)から購入した。ラットモノクローナル抗マウスCD−31、ラット抗MECA−32、ラット抗マウスCD−11b及びR−フィコエリトリン(R−PE)結合ラット抗マウスGr−1をBD−PharMingen社(カリフォルニア州サンホセ)から、抗上皮膜抗原(クローンE29)をChemicon社から、抗β−アクチンをSigma−Aldrich社(ミズーリ州セントルイス)から購入した。モノクローナル抗シトクロムcをBD−PharMingen社から購入した。ラット抗ポドプラニン抗体はDrs.T.Petrova及びK.Alitalo(ヘルシンキ大学(University of Helsinki)、フィンランド・ヘルシンキ)から提供を受けた。ChromPureウサギIgG(全分子)をJackson ImmunoResearch Laboratories社(ペンシルベニア州West Grove)から、精製マウスIgG1(mIgG)をBD−PharMingen社から購入した。精製ポリクローナル抗全長gC1qR/p32はDr.B.Ghebrehiwet(ストーニーブルック大学(Stony Brook University)、ニューヨーク州)からの寛大なる寄贈物であった。ニュージーランド白ウサギにおいて、マウス(TEGDKAFVEFLTDEIKEE、配列番号8)及びヒト(TDGDKAFVDFLSDEIKEE、配列番号9)gC1qR/p32蛋白質のアミノ酸76−93に対応するペプチドの混合物に対するポリクローナル抗gC1qR/p32抗体 NH2末端抗体を作製した。該ペプチドを、そのN末端にて付加したシステイン残基を介してキーホールリンペットヘモシアニン(Pierce社、イリノイ州ロックフォード(Rockford))に結合し、該ヘモシアニンの製造業者の使用説明書に従って、そのコンジュゲートを用いて該ウサギを免疫化した。該抗体を、N末端システインを介してSulfolinkゲル(Pierce社、)に結合した該ペプチドに対してアフィニティー精製した。Dr.A.Strongin(バーナム医学研究所(Burnham Institute for Medical Research)、カリフォルニア州ラ・ホーヤ(La Jolla))から、pcDNA3.1 Zeo及びpET−15bベクターにてヒトgC1qR/p32 cDNAの提供を受けた。gC1qR/p32の一過性siRNAノックダウン(C1QBP−HSS101146−47−48 Stealth RNAi)のオリゴヌクレオチド二本鎖及び陰性対照二本鎖(Stealth RNAi対照低GC及び中程度GC)をInvitrogen社(カリフォルニア州カールズバッド(Carlsbad))から購入した。パラホルムアルデヒド固定・パラフィン包埋された腫瘍及び正常組織サンプルの組織アレイ(コア径0.6mm)をApplied Phenomics LLC(エストニア・タルトゥ(Tartu))から購入した。
【0254】
(b.細胞培養及び安定細胞株の作製)
MDA−MB−435,C8161,BT549,HL60及びRaji細胞を、4500mg/ml(25mM)のグルコースを含むとともに、10%FBS及び1%グルタミンペニシリン−ストレプトマイシン(Glutamine Pen−Strep)(Omega Scientific社、カリフォルニア州ターザナ(Tarzana))を補充したDMEM(ピルビン酸ナトリウム無し)中、37℃/5%COにて維持した。高・低グルコース条件における試験のため、まず、細胞を、10%透析(dialized)FBS(dFBS;グルコース≦5mg/dl,Invitrogen社)を補充したDMEM(25mMのグルコース)に数日間適合させた。
【0255】
BLOCK−iTレンチウイルスRNAi発現系(Invitrogen社)により、MDA−MB−435細胞における対照及びgC1qR/p32 shRNAの安定発現を果たした。Invitrogen社のRNAi Designerを用いて、gC1qR/p32と相補的なshRNAs配列の設計を行った(Gene−Bank NM_001212)。まず、該二本鎖オリゴヌクレオチドをpENTRTM/U6ベクター中にクローン化し、一過性トランスフェクションにより、gC1qR/p32サイレンシングの試験を行った。次に、製造業者の使用説明書に従って、293FT細胞株におけるレンチウイルスRNAi産生のため、至適gC1qR/p32 shRNA配列(標的化ヌクレオチド5’−GGATGAGGTTGGACAAGAAGA−3’、配列番号10)をpLenti6/BLOCK−iTTM−DESTベクターに移入した。対照shRNAとして、異なる領域のgC1qR/p32 cDNA(5’−CCCAATaTCGTGGTTGAtGTTATAA−3’、配列番号11)小文字のヌクレオチドは塩基対ミスマッチを示す)を標的とする2塩基対ミスマッチshRNAを用いた。MDA−MB−435細胞にgC1qR/p32及び対照RNAiレンチウイルスストックを導入した。ブラストサイジン(5μg/ml,Invitrogen社)含有培地にて安定導入クローンの選択を行った。
【0256】
選択shRNAに対して抵抗性を示すgC1qR/p32構築体を生成するため、quick Change II部位特異的突然変異誘発キット(Stratagene社;テキサス州Cedar Creek)を用いて、shRNAにより標的となるgC1qR/p32配列(5’−GGATGAGGTTGGACAgGAgGA−3’、配列番号12、小文字のヌクレオチドはサイレント突然変異を示す)内に2つのサイレント突然変異を導入した。テンプレートとしてpcDNA3.1Zeo gC1qR/p32構築体を用いた。その結果生じた構築体を、gC1qR/p32 shRNAを安定に発現するMDA−MB−435細胞クローンにトランスフェクションし、Zeocin(600μg/ml,Invitrogen社)を用いてgC1qR/p32の発現回復を有するクローンを選択した。
【0257】
(c.プルダウンアッセイ及び質量分析)
氷上にて2時間、ストレプトアビジンアガロースビーズ(Sigma−Aldrich社)を2容量のリン酸緩衝食塩水(PBS)中に再懸濁させ、3μg/10μlのビオチン化(biotynilated)ペプチドビーズにコンジュゲートした。インキュベーション後、PBS/50mM n−オクチル−β−Dグルコピラノシド(Calbiochem社;カリフォルニア州サンディエゴ)でビーズを3回洗浄し、遊離ペプチドを除去した。冷PBS/200mM n−オクチル−β−Dグルコピラノシド及び1%プロテアーゼインヒビターカクテル(Sigma−Aldrich社)中に、80〜90%集密での細胞をペレット状にし、溶解した。その溶解物を氷上にて30分間インキュベートし、その後、14000rpmで30分間遠心分離した。蛋白質1mgを含む上清のアリコートを4℃で2時間、40μlのストレプトアビジンビーズで予め清澄化し、次に、ビオチン化ペプチドをロードしたストレプトアビジンビーズと4℃で一晩インキュベートした。PBS/50mM n−オクチル−β−Dグルコピラノシドによる6回の洗浄後、該ビーズを40μlのSDS−PAGEローディングバッファー中で5分間煮沸し、溶出物質を4〜20%ポリアクリルアミドゲル上で分離し、銀染色(Invitrogen社)により可視化した。LyP−1ペプチドプルダウンに現れたが対照ペプチドプルダウンには現れなかったバンドを切除し、トリプシンで消化し、生じたペプチドをマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析法により分析した。その情報をProfoundソフトウェアにより蛋白質配列データに対してクエリーした。
【0258】
(d.in vitroファージ結合アッセイ)
マイクロタイターウェル(Costar社、ニューヨーク州コーニング(Corning))に、100μl/ウェルのカーボネート緩衝液(15mM炭酸ナトリウム、35mM重炭酸ナトリウム)にて、5μg/mlの精製gC1qR/p32又はBSA(Sigma−Aldrich社)を4℃で一晩被覆した。製造業者の使用説明書に従って、ウェルをTBSで3回洗浄し、Pierce Superblockバッファーでブロックした。108pfuのLyP−1及び対照ファージを、100μl/ウェルのTBS/0.05%tween−20にてウェルに加え、37℃で16時間インキュベートした。TBS/0.05%tween−20中で6回洗浄した後、結合したファージを200μlのTris−HCl 1M pH7.5/0.5%SDSで30分間溶出させ、次に、プラークアッセイにより定量した。抗gC1qR/p32抗体によるファージ結合の阻害のため、20μg/mlのmAb抗gC1qR/p32抗体又はmIgGの存在下、1.5×107pfuのLyP−1又は無挿入(insertless)ファージをgC1qR/p32蛋白質に37℃で6時間結合させた点が異なる態様にて、上述のようにアッセイを行った。細胞に関してアッセイを行った際、2×106個のRaji細胞を500μlのPBS/1%BSA中に再懸濁させ、40μg/mlのmAb抗gC1qR/p32抗体又はmIgGと4℃で1時間プレインキュベートした。次に、108pfuの無挿入(insertless)又はLyP−1ファージを該細胞に加え、4℃で3時間インキュベートした。細胞をPBS/1%BSAで5回洗浄し、結合したファージをプラークアッセイにより定量した。
【0259】
(e.免疫ブロッティング及び免疫組織学)
組織培養プレートにて増殖させた細胞を、PBSで洗浄し、完全プロテアーゼインヒビターカクテルを含有するNETバッファー1%NP40(150mM NaCl,50mM Tris−Hcl pH7.5,5mM EDTA pH8,1%NP40)で溶解した。14,000rpmで20分間の遠心分離により、非結合物質を除去した。Bio−Rad蛋白質アッセイにより、上清の蛋白質濃度を定量した。腫瘍溶解物を調製するため、腫瘍を除去し、切片化し、1mg/mlのコラゲナーゼ(Sigma−Aldrich社)を補充したDMEM(重量体積比1:4)にて37℃で30分間解離させた。その細胞懸濁液を1000rpmで5分間遠心分離し、細胞ペレットをPBS/1%BSAで3回洗浄し、その後、1%NP40を含有するNETバッファーに溶解した。等量の蛋白質を含む各溶解物のアリコートを4〜20%勾配ゲルでのSDS−PAGEにより分離し、蛋白質をニトロセルロース膜(Invitrogen社)に移した。1μg/mlの一次抗体60.11モノクローナル抗gC1qR/p32、ポリクローナル抗gC1qR/p32及び抗β−アクチン並びにヤギ抗ウサギ又はウサギ抗マウスIgG−HRP(希釈率1:1000,Dako Cytomation社;カリフォルニア州Carpinteria)で免疫ブロットを調製した。SuperSignal West Pico Chemiluminescent Substrate(Pierce社、イリノイ州ロックフォード(Rockford))を用いてブロットを発色させた。
【0260】
アセトン固定及びMolecular Probes(Invitrogen社)からの試薬を用いて、凍結組織切片の免疫組織化学的染色を行った。二次抗体はAlexaFluor−594ヤギ抗ラット又はウサギIgG,AlexaFluor−488ヤギ抗ウサギIgGであった。スライドをPBSで洗浄し、DAPI(1μg/ml)と5分間インキュベートし、ProLong Goldアンチフェード試薬でマウントした。室温で20分間、4%PFAに固定し、次に、PBS中0.2%Triton−X−100で5分間透過化処理した培養細胞において、シトクロムc及びgC1qR/p32を検出した。パラフィン包埋された正常及び悪性ヒト組織アレイ切片を脱パラフィン化し、次に、Target Retrieval Solution(Dako−Cytometion社)で処理した。ビオチン化抗マウスIgG及びVectastain ABCキット(Vector Laboratories Inc、カリフォルニア州バーリンゲーム(Burlingame)で検出されたgC1qR/p32及び上皮膜抗原を除き、該組織アレイ切片を上述のように染色した。内在性ビオチンによる非特異的染色を阻止するため、抗体のインキュベーション前に切片をDAKO Biotin Blockingシステムにより処理した。
【0261】
(f.FACS解析)
培養細胞を細胞酵素非含有解離バッファー(Gibco/Invitrogen社)で解離し、1%BSAを含むPBS(PBSB)中に回収した。腫瘍由来の単一細胞懸濁液を上記のように得た。FACS染色のため、2.5×105個の細胞を100μlのPBSB中に再懸濁させ、PBSB中でポリクローナル抗完全長gC1qR/p32又はウサギIgG(20μg/ml)と4℃で30分間インキュベートした。該細胞をPBSBで洗浄し、4℃で30分間、ヤギ抗ウサギAlexa 488(2.5μg/ml)で染色した。結合したFITC−ペプチドのFACS解析のため、培養細胞を上記のように解離し、10%FCS/DMEM中で10μMのFITC−ペプチドと4℃で1時間インキュベートした。PBSBによる洗浄後、生細胞と死細胞とを識別するため、該細胞を、2μg/mlのヨウ化プロピジウム(PI,Molecular Probes/Invitrogen社)を含むPBS中に再懸濁させ、BD Biosciences FACSortを用いて1サンプル当たり10,000個の細胞を分析した。
【0262】
(g.増殖率及び細胞死の定量)
MDA−MB−435クローンを、12ウェルプレートにて1ウェルあたり2.5×104個の細胞密度で二重にDMEM(25mMグルコース)/10%透析FBSに播種し、一晩付着させた。該培地を洗浄により除去し、10%透析FBS及び25若しくは2.5mMグルコースを補充したグルコース非含有(glucose−free)DMEM(Mediatech,Inc.、バージニア州ハーンドン(Herndon))と交換した。CountBright絶対計数ビーズ(absolute counting beads)(Molecular Probes/Invitrogen社)を用いたフローサイトメトリーにより、各時点における各ウェル中の絶対細胞数を定量した。細胞死の定量では、細胞を25,2.5又は0.5mMグルコースにて3日間増殖させ、Bio Vision社(カリフォルニア州マウンテンビュー(Mountain View))が提供しているAnnexin V−FITCキットを用いて、フローサイトメトリーにより死細胞を定量した。
【0263】
(h.乳酸産生及びグルコース消費の定量)
概してSigma Diagnostic処置No836−UVに従って、培養培地に存在する乳酸の量を定量した。すべての構成要素をSigma社から別個に購入した。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(10mg)を2mlのグリシン緩衝液、4mlの水及び100μlの乳酸脱水素酵素(1000U/ml)中に溶解した。96ウェルプレートにて5μlの培地サンプルを145μlの酵素混合物に加え、室温で30分間インキュベートした。NADH産生による340nmにおける吸光度増加を培地に元々存在する乳酸の尺度として用いた。所与の時点(Tx)における乳酸産生/ウェルを(TxにおけるA340nmの細胞培地−A340nmの培地のみ[To])÷Txにおける細胞数から求めた。培地に存在するグルコースの量を、Bio Vision社が提供するGlucose Assay Kit(K606−100)を用いて定量した。グルコース消費/ウェルを(培地のみにおけるnmolグルコース(To)−Txにおける細胞培地でのnmolグルコース)÷Txにおける細胞数として計算した。
【0264】
(i.細胞内ATPの測定)
ATP Bioluminescence Assay Kit CLS II(Roche社;シティー、ステート(city,state))を用いたルシフェリン−ルシフェラーゼベースのアッセイにより、細胞内ATPレベルを定量した。細胞(2.5×106個)をDMEM(25mMグルコース)/10%dFCSでの6ウェルプレートに播種した。細胞を洗浄した翌日、25又は2.5mMグルコースを含む新鮮培地を加えた。4日後、1%NP40を含む300μlのNETバッファー中に該細胞を溶解させた。100mM Tris,4mM EDTA(pH7.75)にて上清を4回希釈し、Spectra Max Geminiプレートリーダーにて50μlのルシフェラーゼ試薬を用いて50μlのサンプルを二重にアッセイした。1秒の遅延後、光シグナルを10秒間集積した。Bio−Rad蛋白質アッセイ(Bio−Rad Laboratories社、カリフォルニア州ハーキュリーズ(Hercules))により定量した蛋白質濃度に対して生物発光単位を正規化した。
【0265】
(j.酸素消費の定量)
BD Bioscience社が提供しているBD Oxygen Biosensor Systems(OBS)を用いて、培養下の細胞の酸素消費率を測定した。
200μlの最終培地体積での96ウェルOBSプレート上に播種した12,000個の細胞の三重サンプルを測定に用いた。並列プレート上に播種した細胞をサンプリングすることにより、CountBright絶対計数ビーズ(absolute counting beads)を用いて各時点における細胞数を測定した。ボトムプレート読み取り構成を用いて、Spectra Max Geminiプレートリーダー(励起485nm及び発光630nm)にて24時間毎に蛍光を測定した。細胞付加前の同じウェル由来のブランク値及び測定時におけるウェル中の細胞数を計算に入れることにより、各測定を正規化した(Guarinoら、2004)。
【0266】
(k.マウス及び腫瘍)
腫瘍を生成するため、2×106個のMDA−MB−435細胞/100μlのPBSをBALB/cヌードマウスの乳腺脂肪体に正所性注射した(orthotopically injected)。動物実験はすべて、バーナム医学研究所動物実験委員会(Animal Research Committee of Burnham Institute for Medical Research)から承認を受けた。3日毎に腫瘍のサイズをモニタリングし、測定した。腫瘍細胞のin vivoでのBrdU標識のため、腫瘍を有するマウスにBrdU(Sigma− Aldrich社)1mgを腹腔内注射した。24時間後にマウスを殺処分し、腫瘍を除去し、Bouin液(Ricca Chemical Company、テキサス州アーリントン(Arlington))にて72時間固定し、その後、パラフィン包埋に対するプロセシングを行った。
【0267】
表1. 悪性組織及び正常組織におけるgC1qR/p32の発現の免疫スコア。I=染色強度(スケール 1〜3)、%=所与のgC1qR/p32染色強度を有する腫瘍細胞(EMA陽性)のパーセント(スケール 0〜100)。IS=免疫スコア:I×%(スケール 0〜300)。NT(非腫瘍)はサンプルに腫瘍細胞が確認されないことを示すのに用いられた。
【0268】
【表1A】

【0269】
【表1B】

【0270】
【化1】

【0271】
【化2】

【0272】
【化3】

【0273】
【化4】

【0274】
【化5】

【0275】
【化6】

【0276】
【化7】

【0277】
【化8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2013−60463(P2013−60463A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−282110(P2012−282110)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2009−519695(P2009−519695)の分割
【原出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(508236848)バーナム インスティテュート フォー メディカル リサーチ (9)
【Fターム(参考)】