説明

hGLP−1、エクセンジン−4およびその類似体の医薬組成物

本発明は、hGLP-1(7-36)-NH2ならびにその誘導体および類似体、hGLP-1(7-37)-OHならびにその誘導体および類似体、ならびに/あるいはエクセンジン-4ならびにその誘導体および類似体よりなる群から選択される少なくとも1種類のペプチド化合物、亜鉛ならびに溶剤の澄明溶液もしくは水性混合物、懸濁液または半固体状の医薬組成物を含み、該ペプチド化合物の少なくとも95%は該溶剤により溶解している医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
本出願は、米国仮特許出願No. 60/791,701(2006年4月13日出願)に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は、ヒトグルカゴン様ペプチド-1もしくはエクセンジン-4および/またはhGLP-1もしくはエクセンジン-4の類似体もしくは誘導体を含む医薬組成物、ならびにヒトの特定の疾患および/または状態を処置するためにそれらの医薬組成物を使用する方法に関する。
【0003】
天然またはヒト合成GLP-1およびその誘導体は代謝不安定であり、インビボで1〜2分の血漿半減期をもつにすぎない。インビボ投与した際、同様に急速に分解する。この代謝不安定性が療法用としてのGLP-1を制限している。したがって、持続放出プロフィールをもつ特定の医薬組成物が求められている。
【0004】
本発明の目的は、注射部位に投与直後に貯留物(depot)を形成するため長期間にわたって生物活性を保持することができる配合物を設計および提供することである。
さらに、このペプチドの療法ウインドウが狭いことを考慮すると、この貯留物から得られるPKプロフィールは可能な限り平坦でなければならない。
【0005】
本発明は、1日ないし1週間以上の放出を提供する医薬組成物を含む。
本発明の医薬組成物は、澄明溶液、水性懸濁液、もしくは溶液の水性混合懸濁液、または半固体であってもよい。
【0006】
グルカゴン様ペプチド-1(7-36)アミド(GLP-1(7-36)-NH2)は、腸L細胞においてグルカゴン前駆物質プレプログルカゴンの組織特異的翻訳後プロセシングにより合成され(Varndell, J. M., et al., J. Histochem Cytochem, 1985: 33: 1080-6)、食事に応答して循環中へ放出される。GLP-1の血漿濃度は約15 pmol/Lの空腹時濃度から40 pmol/Lの食後ピーク濃度に上昇する。グルコースを経口投与した場合、静脈内投与と比較して、一定の血漿グルコース濃度上昇について血漿インスリンの上昇は約3倍であることが証明された(Kreymann, B., et al., Lancet 1987:2, 1300-4)。インクレチン効果として知られる食事によるこのインスリン放出は主に体液性であり、現在ではGLP-1がヒトにおける最も有効な生理的インクレチンであると考えられている。GLP-1は、インスリン向性作用のほか、グルカゴン分泌を抑制し、胃内容物排出を遅延させ(Wettergren A., et al., Dig Dis Sci 1993: 38: 665-73)、末梢グルコース廃棄を増大させる(D'Alessio, D. A. et al., J. Clin Invest 1994: 93: 2293-6)。
【0007】
1994年に、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)患者においてGLP-1の1回皮下(s/c)投与が食後グルコース濃度を完全に正常化し得たという所見に従って、療法用としてのGLP-1の可能性が示唆された(Gutniak, M.K., et al., Diabetes Care 1994: 17: 1039-44)。この作用は、インスリン放出の増加とグルカゴン分泌の減少の両方により仲介されると考えられた。さらに、NIDDM患者においてGLP-1の静脈内注入が食後胃内容物排出を遅延させることが示された(Williams, B., et al., J. Clin Endo Metab 1996: 81: 327-32)。スルホニル尿素類と異なり、GLP-1のインスリン向性作用は血漿グルコース濃度に依存する(HoIz, G.G. 4th, et al., Nature 1993: 361: 362-5)。したがって、低い血漿グルコース濃度ではGLP-1仲介インスリン放出がないことは、重篤な低血糖症に対して保護する。この組合わせ作用は、NIDDMの治療に現在用いられている他の薬剤に優る療法上の特異な利点の可能性をGLP-1に与える。
【0008】
多数の研究が、GLP-1は健康な対象に投与された場合にはインスリン濃度およびグルカゴン濃度のほか血糖値に強い影響を及ぼすことを示している(Orskov, C, Diabetologia 35:701-711, 1992; Hoist, J. J., et al., 糖尿病の管理におけるGLP-1の可能性, Glucagon III, Handbook of Experimental Pharmacology, Lefevbre PJ, 編, ベルリン, Springer Verlag, 1996, p. 311-326);これらはグルコース依存性の作用である(Kreymann, B., et al., Lancet ii: 1300-1304, 1987; Weir, G.C., et al., Diabetes 38: 338-342, 1989)。さらに、それは糖尿病患者についても有効であり(Gutniak, M., N. Engl J Med 226: 1316-1322, 1992; Nathan, D.M., et al., Diabetes Care 15: 270-276, 1992)、II型糖尿病の対象において血糖値を正常化し(Nauck, M. A., et al., Diagbetologia 36: 741-744, 1993)、I型患者において血糖調節を改善し(Creutzfeldt, W.O., et al., Diabetes Care 19: 580-586, 1996)、これらはそれを療法薬として使用する可能性を高める。
【0009】
しかし、GLP-1は代謝不安定であり、インビボで1〜2分の血漿半減期(t1/2)をもつにすぎない。外から投与するGLP-1も急速に分解される(Deacon, C.F., et al., Diabetes 44 :1126-1131, 1995)。この代謝不安定性が療法用としての天然GLP-1の可能性を制限している。
【0010】
療法用としてのGLP-1およびその類似体の可能性を配合の改善によって改善するために多数の試みがなされた。たとえば国際特許出願公開no. WO 01/57084には、GLP-1類似体の結晶を製造する方法が記載され、これらはその結晶および医薬的に許容できるキャリヤーを含む注射剤などの医薬組成物の調製に有用であると述べられている。GLP-1(7-37)-OHの不均一微結晶性クラスターを塩類溶液から成長させ、亜鉛および/またはm-クレゾールで結晶を浸漬処理した後に検査した(Kim and Haren, Pharma. Res. Vol. 12 No. 11 (1995))。針状晶および非晶質沈殿を含有するGLP-1(7-36)-NH2の粗結晶懸濁液が、亜鉛またはプロタミンを含有するホスフェート溶液から調製された(Pridal, et. al., International Journal of Pharmaceutics Vol. 136, pp. 53-59 (1996))。欧州特許出願公開no. EP 0619322A2には、pH 7〜8.5の緩衝液中におけるこのタンパク質の溶液を特定の組合わせの塩類および低分子量ポリエチレングリコール(PEG)と混合することによる、微結晶形のGLP-1(7-37)-OHの製造が記載されている。U.S.P. No. 6,566,490には、特にGLP-1の微結晶の播種が記載され、これは精製ペプチド生成物の製造を補助すると述べられている。U.S.P. 6,555,521 (US '521)には、正方晶系の平らな棒または板状の形状をもつGLP-1結晶が開示されており、これらは改善された純度をもち、インビボ活性の延長を示すと述べられている。US '521は、それらの結晶が比較的均一であること、また急速に沈降し、互いに凝集またはクランピングし、注射針を閉塞し、全般的に投与をさらに予測不可能にするとされる従来の結晶性クラスターおよび非晶質結晶懸濁液より長期間、懸濁状態を維持することを教示している。
【0011】
生分解性トリブロックコポリマー、ポリ[(dl-ラクチド-co-グリコリド)-b-エチレングリコール-b-(-ラクチド-co-グリコリド)]をGLP-1の制御放出配合物中に用いることが示唆された。しかし、他のポリマー系と同様に、トリブロックコポリマーの製造は複雑なプロトコルを伴い、粒子形成が一貫しない。
【0012】
同様に、生分解性ポリマー、たとえばポリ(乳酸-co-グリコール酸) (PLGA)もペプチドの持続送達配合物中に用いることが示唆された。しかし、そのような生分解性ポリマーの使用は当技術分野では好まれなかった。これらのポリマーは一般に水溶解度が低く、水-非混和性の有機溶剤、たとえば塩化メチレンを必要とし、および/または製造中に過酷な製造条件を必要とするからである。そのような有機溶剤および/または過酷な製造条件は、当該ペプチドまたはタンパク質のコンホメーション変化を誘発するリスクを高め、構造統合性を低下させ、生物活性を損なうと考えられる(Choi et al., Pharm. Research, Vol. 21, No. 5, (2004))。ポロキサマー(Poloxamer)も同様な難点があった(前掲)。
【0013】
以上の参考文献に記載されたGLP-1組成物は不純物を捕捉する傾向があり、および/または他の点で再現性のある製造および投与が難しいので、GLPの医薬配合物を製造するには不都合である。GLP類似体は高濃度では吐き気を誘発することも知られているので、低い初期血漿濃度で持続薬物効果を得ることが求められている。したがって、より容易にかつより信頼性をもって製造され、より容易にかつより再現性をもって患者に投与され、望ましくない副作用を低下させるために低い初期血漿濃度を提供する、GLP-1配合物が求められている。
【0014】
発明の概要
本発明は、以下の項目(1)〜(28)および特許請求の範囲にまとめることができる。
(I)1観点において本発明は、(a)室温で1 mg/mLを超える水溶解度および中性pHを有し、hGLP-1(7-36)-NH2ならびにその誘導体および類似体、hGLP-1(7-37)-OHならびにその誘導体および類似体、エクセンジン-4(exendin-4)ならびにその誘導体および類似体、
【0015】
【化1】

【0016】
ならびにその誘導体および類似体、
【0017】
【化2】

【0018】
ならびにその誘導体および類似体、ならびに
【0019】
【化3】

【0020】
ならびにその誘導体および類似体よりなる群から選択される少なくとも1種類のペプチド化合物;
(b)二価金属イオン;ならびに
(c)溶剤
の澄明溶液を含み、ただし、該ペプチド化合物の少なくとも95%は該溶剤により溶解している医薬組成物に関する。
【0021】
1.二価金属イオンが亜鉛である、項目(I)に記載の組成物。
2.1態様において本発明は、溶剤が水である、項目(I)および(1)に記載の組成物である。
【0022】
3.非水性媒質を含む、項目(I)に記載の組成物。
4.ペプチド化合物が約0.00001〜500 mg/mL、好ましくは約0.0001〜10 mg/mLの濃度で存在する、項目(I)〜(3)のいずれか1つに記載の組成物。
【0023】
5.亜鉛が約0.0005〜50 mg/mLの濃度で存在する、項目(1)に記載の組成物。
6.さらに保存剤を含む、項目(I)〜(5)のいずれか1つに記載の組成物。
7.保存剤が、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコールおよびメチルパラベンよりなる群から選択される、項目(6)に記載の組成物。
【0024】
8.保存剤が約0.01〜50 mg/mLの濃度で存在する、項目(7)に記載の組成物。
9.さらに等張化剤を含む、項目(I)〜(8)のいずれか1つに記載の組成物。
10.等張化剤が約0.01〜50 mg/mLの濃度で存在する、項目(I)〜(9)のに記載の組成物。
【0025】
11.さらに安定剤を含む、項目(I)〜(10)のいずれか1つに記載の組成物。
12.安定剤が、イミダゾール、アルギニンおよびヒスチジンよりなる群から選択される、項目(11)に記載の組成物。
【0026】
13.さらに界面活性剤を含む、項目(1)〜(12)のいずれか1つに記載の組成物。
14.さらにキレート化剤を含む、項目(1)〜(13)のいずれか1つに記載の組成物。
15.さらに緩衝剤を含む、項目(1)〜(14)のいずれか1つに記載の組成物。
【0027】
16.緩衝剤が、トリス、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸およびビス-トリスよりなる群から選択される、項目(15)に記載の組成物。
17.さらに塩基性ポリペプチドを含む、項目(1)〜(16)のいずれか1つに記載の組成物。
【0028】
18.塩基性ポリペプチドが、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、プロタミン、プトレッシン、スペルミン、スペルミジンおよびヒストンよりなる群から選択される、項目(17)に記載の組成物。
【0029】
19.さらにアルコール類または単糖類もしくは二糖類を含む、項目(1)〜(18)のいずれか1つに記載の組成物。
20.アルコール類または単糖類もしくは二糖類が、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセロール、トレハロース、マンニトール、グルコース、エリスロース、リボース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、ショ糖および乳糖よりなる群から選択される、項目(19)に記載の組成物。
【0030】
21.さらに硫酸アンモニウムを含む、項目(1)〜(20)のいずれか1つに記載の組成物。
22.有効量の項目(1)〜(21)に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩および医薬的に許容できるキャリヤーまたは希釈剤を含む、医薬組成物。
【0031】
23.その必要がある対象においてGLP-1受容体からアゴニスト効果を誘発する方法であって、有効量の項目(1)〜(22)に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含む方法。
【0032】
24.その必要がある対象において、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、代謝障害、関節炎、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄および神経変性性疾患よりなる群から選択される疾患を処置する方法であって、有効量の項目(1)に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含む方法。
【0033】
25.さらに他の観点において本発明は、その必要がある対象においてGLP-1受容体からアゴニスト効果を誘発する方法であって、有効量の前記に定めた項目(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を含む本発明配合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0034】
26.さらに他の観点において本発明は、その必要がある対象において、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、代謝障害、関節炎、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄、神経変性性疾患、腎不全、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、肺水腫、高血圧症、および摂食低下が望まれる障害よりなる群から選択される疾患を処置する方法であって、有効量の前記に定めた項目(I)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を含む本発明配合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0035】
27.項目(26)の好ましい方法は、処置される疾患が、I型糖尿病またはII型糖尿病である方法である。
(II)1観点において本発明は、(a)室温で1 mg/mLを超える水溶解度を有し、かつpH 3.0〜8.0、好ましくはpH 4.0〜6.0を有し、hGLP-1(7-36)-NH2ならびにその誘導体および類似体、hGLP-1(7-37)-OHならびにその誘導体および類似体、エクセンジン-4ならびにその誘導体および類似体、
【0036】
【化4】

【0037】
ならびにその誘導体および類似体、
【0038】
【化5】

【0039】
ならびにその誘導体および類似体、ならびに
【0040】
【化6】

【0041】
ならびにその誘導体および類似体よりなる群から選択される少なくとも1種類のペプチド化合物;
(b)二価金属イオン;ならびに
(c)溶剤
の澄明溶液もしくは水性混合物、懸濁液または半固体状の医薬組成物を含み、ただし、該ペプチド化合物の95%±5%未満が該溶剤により溶解している医薬組成物に関する。
【0042】
本発明の第2観点の参照番号1〜27は項目IIにおける番号である。
1.二価金属イオンが亜鉛である、項目(II)に記載の組成物。
2.1態様において本発明は、溶剤が水である、項目(II)および(1)に記載の組成物である。
【0043】
3.非水性媒質を含む、項目(II)に記載の組成物。
4.ペプチド化合物が約0.00001〜500 mg/mL、好ましくは約0.0001〜10 mg/mLの濃度で存在する、項目(II)〜(3)のいずれか1つに記載の組成物。
【0044】
5.亜鉛が約0.0005〜50 mg/mLの濃度で存在する、項目(1)に記載の組成物。
6.さらに保存剤を含む、項目(II)〜(5)のいずれか1つに記載の組成物。
7.保存剤が、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコールおよびメチルパラベンよりなる群から選択される、項目(6)に記載の組成物。
【0045】
8.保存剤が約0.01〜50 mg/mLの濃度で存在する、項目(7)に記載の組成物。
9.さらに等張化剤を含む、項目(II)〜(8)のいずれか1つに記載の組成物。
10.等張化剤が約0.01〜50 mg/mLの濃度で存在する、項目(II)〜(9)に記載の組成物。
【0046】
11.さらに安定剤を含む、項目(II)〜(10)のいずれか1つに記載の組成物。
12.安定剤が、イミダゾール、アルギニンおよびヒスチジンよりなる群から選択される、項目(11)に記載の組成物。
【0047】
13.さらに界面活性剤を含む、項目(II)〜(12)のいずれか1つに記載の組成物。
14.さらにキレート化剤を含む、項目(II)〜(13)のいずれか1つに記載の組成物。
15.さらに緩衝剤を含む、項目(II)〜(14)のいずれか1つに記載の組成物。
【0048】
16.緩衝剤が、トリス、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸およびビス-トリスよりなる群から選択される、項目(15)に記載の組成物。
17.さらに塩基性ポリペプチドを含む、項目(II)〜(16)のいずれか1つに記載の組成物。
【0049】
18.塩基性ポリペプチドが、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、プロタミン、プトレッシン、スペルミン、スペルミジンおよびヒストンよりなる群から選択される、項目(17)に記載の組成物。
【0050】
19.さらにアルコール類または単糖類もしくは二糖類を含む、項目(II)〜(18)のいずれか1つに記載の組成物。
20.アルコール類または単糖類もしくは二糖類が、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセロール、トレハロース、マンニトール、グルコース、エリスロース、リボース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、ショ糖および乳糖よりなる群から選択される、項目(19)に記載の組成物。
【0051】
21.さらに硫酸アンモニウムを含む、項目(II)〜(20)のいずれか1つに記載の組成物。
22.有効量の項目(II)〜(21)に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩および医薬的に許容できるキャリヤーまたは希釈剤を含む、医薬組成物。
【0052】
23.その必要がある対象においてGLP-1受容体からアゴニスト効果を誘発する方法であって、有効量の項目(II)〜(22)に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含む方法。
【0053】
24.その必要がある対象において、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、代謝障害、関節炎、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄および神経変性性疾患よりなる群から選択される疾患を処置する方法であって、有効量の項目(II)に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含む方法。
【0054】
25.さらに他の観点において本発明は、その必要がある対象においてGLP-1受容体からアゴニスト効果を誘発する方法であって、有効量の前記に定めた項目(29)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を含む本発明配合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0055】
26.さらに他の観点において本発明は、その必要がある対象において、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、代謝障害、関節炎、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄、神経変性性疾患、腎不全、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、肺水腫、高血圧症、および摂食低下が望まれる障害よりなる群から選択される疾患を処置する方法であって、有効量の前記に定めた項目(II)の化合物またはその医薬的に許容できる塩を含む本発明配合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0056】
27.項目(26)の好ましい方法は、処置される疾患が、I型糖尿病またはII型糖尿病である方法である。
本明細書においてアミノ酸のすべての略号(たとえばAla)は-NH-CR1R2-CO-の構造を表わし、ここでR1およびR2はアミノ酸の側鎖である(たとえば、AlaについてはR1= CH3およびR2 = H)。Amp、1-Nal、2-Na1、Nle、Cha、3-Pa、4-PalおよびAibは、それぞれ下記のα-アミノ酸の略号である:4-アミノ-フェニルアラニン、β-(1-ナフチル)アラニン、β-(2-ナフチル)アラニン、ノルロイシン、シクロヘキシルアラニン、β-(3-ピリジニル)アラニン、β-(4-ピリジニル)アラニンおよびα-アミノイソ酪酸。他のアミノ酸の定義は下記のとおりである:Uraはウロカニン酸;Ptaは(4-ピリジルチオ)酢酸;Paaはトランス-3-(3-ピリジル)アクリル酸;Tma-HisはN,N-テトラメチルアミジノ-ヒスチジン;N-Me-AlaはN-メチル-アラニン;N-Me-GlyはN-メチル-グリシン;N-Me-GluはN-メチル-グルタミン酸;Tleはt-ブチルグリシン;Abuはα-アミノ酪酸;Tbaはt-ブチルアラニン;Ornはオルニチン;Aibはα-アミノイソ酪酸;β-Alaはβ-アラニン;Gabaはγ-アミノ酪酸;Avaは5-アミノ吉草酸;Adoは12-アミノドデカン酸、Aicは2-アミノインダン-2-カルボン酸;Aunは11-アミノウンデカン酸;およびAecは4-(2-アミノエチル)-1-カルボキシメチル-ピペラジン:これらは下記の構造により表わされる。
【0057】
【化7】

【0058】
Accが表わすものは、下記よりなる群から選択されるアミノ酸である:1-アミノ-1-シクロプロパンカルボン酸 (A3c);1-アミノ-1-シクロブタンカルボン酸 (A4c);1-アミノ-1-シクロペンタンカルボン酸 (A5c);1-アミノ-1-シクロヘキサンカルボン酸 (A6c);1-アミノ-1-シクロヘプタンカルボン酸 (A7c);1-アミノ-1-シクロオクタンカルボン酸 (A8c);および1-アミノ-1-シクロノナンカルボン酸(A9c)。前記式において、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシフェニルアルキルおよびヒドロキシナフチルアルキルは、1〜4個のヒドロキシ置換基を含むことができる。COX5は-C=O・X5を表わす。-C=O・X5の例にはアセチルおよびフェニルプロピオニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本明細書中で用いる他の略号の完全な名称は下記のとおりである:Bocはt-ブチルオキシカルボニル、HFはフッ化水素、Fmはホルミル、Xanはキサンチル、BzIはベンジル、Tosはトシル、DNPは2,4-ジニトロフェニル、DMFはジメチルホルムアミド、DCMはジクロロメタン、HBTUはヘキサフルオロリン酸2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム、DIEAはジイソプロピルエチルアミン、HOAcは酢酸、TFAはトリフルオロ酢酸、2ClZは2-クロロベンジルオキシカルボニル、2BrZは2-ブロモベンジルオキシカルボニル、OcHexはO-シクロヘキシル、Fmocは9-フルオレニルメトキシカルボニル、HOBtはN-ヒドロキシベンゾトリアゾール;PAM樹脂は4-ヒドロキシメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂;トリス(Tris)はトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン;およびビス-トリス(Bis-Tris)はビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-トリス(ヒドロキシメチル)メタン(すなわち2-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール)。
【0060】
用語”ハロ”または”ハロゲン”には、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードが含まれる。
用語”(C1-C12)炭化水素部分”、”(C1-C30)炭化水素部分”などには、指示した炭素数をもつ分枝鎖および直鎖アルキル、アルケニルおよびアルキニル基が含まれる。ただし、アルケニルおよびアルキニルの場合は最低2個の炭素がある。
【0061】
本発明のペプチドは本明細書において他の形式でも表わされる;たとえば(A5c8)hGLP-1(7-36)NH2:天然配列から置換されたアミノ酸が第1セットの括弧内に置かれたもの(たとえばhGLP-1中のAla8の代わりにA5c8)。略号GLP-1は、グルカゴン様ペプチド-1を意味する;hGLP-1はヒトグルカゴン様ペプチド-1を意味する。括弧内の数字はそのペプチド中に存在するアミノ酸の番号を表わす(たとえばhGLP-1(7-36)はヒトGLP-1に対するペプチド配列のアミノ酸7〜36である)。hGLP-1(7-37)に対する配列は、Mojsov, S., Int. J. Peptide Protein Res., 40, 1992, pp. 333-342に挙げられている。hGLP-1(7-36)NH2中の表示”NH2”は、ペプチドのC末端がアミド化されていることを示す。hGLP-1(7-36)はC末端が遊離酸であることを意味する。hGLP-1(7-38)において、位置37および38の残基は、別途指示しない限りそれぞれGlyおよびArgである。エクセンジン-4に対する配列は、J. W. Neidigh, et al. Biochemistry, 2001 , 40, pp13188-13200に挙げられている。
【0062】
”澄明溶液(clear solution)”が意味するものは、溶剤および1種類以上の溶質からなり、95%±5%、好ましくは99%の溶質が完全に溶解した溶液であり、したがってその溶液は比較的透明である。澄明溶液は、用いる溶剤の純度に応じて溶解していない可視溶質および/または他の不活性粒子を痕跡量含む場合があるが、そのような粒子は乳濁または混濁した外観を形成するのに十分な量ではない。澄明溶液は懸濁液には適用されない。懸濁液は多様な連続相からなる不均質混合物であるのに対し、溶液は2以上の物質の均質な単相混合物である。
【0063】
水性混合物、懸濁液または半固体が意味するものは、溶剤および1種類以上の溶質からなり、溶質が部分的に溶解している可能性のある配合物であり、したがってその配合物は透明な組成物ではなく、溶質の濃度に応じて澄明溶液と同様に液状であるかまたはより粘稠な可能性があるが、なお細い注射針で注射することができる。
【0064】
本発明に用いるペプチドは有利には医薬的に許容できる塩類の形で供給することができる。そのような塩類の例には下記のものと形成される塩類が含まれるが、これらに限定されない:有機酸(たとえば酢酸、乳酸、マレイン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、安息香酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸またはパモ酸、トリフルオロ酢酸(TFA))、無機酸(たとえば塩酸、硫酸またはリン酸)、およびポリマー酸(たとえばタンニン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、またはポリ乳酸-グリコール酸)。
【0065】
本発明のペプチドの塩を調製するための代表的な方法は当技術分野で周知であり、標準的な塩交換法により達成できる。
当業者に周知のように、GLP-1の既知の用途の可能性は多様かつ多数である(参照:Todd, J.F., et al., Clinical Science, 1998, 95, pp. 325-329;およびTodd, J.F. et al., European Journal of Clinical Investigation, 1997, 27, pp.533-536)。したがって、天然GLP-1 (すなわちhGLP-1(7-36)-NH2およびhGLP-1(7-37)-OH)、エクセンジン-4、PC-DAC(登録商標)、Liraglutide(登録商標)および/またはAVE-0010/ZP-10を本発明に従ってアゴニスト作用を誘発するために投与すると、GLP-1により処置できることが知られている多様な衰弱性の疾患および状態の処置を前進させることができる:たとえばI型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、代謝障害、関節炎、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄、神経変性性疾患、腎不全、うっ血性心不全、ネフローゼ症候群、肝硬変、肺水腫、高血圧症、および摂食低下が望まれる障害。
【0066】
したがって、本発明の範囲には、有効成分として項目(I)の少なくとも1種類の化合物を含む、本発明において定める医薬組成物が含まれる。
本発明の配合物における有効成分の量は変更できるが、有効成分の量は適切な投与量が得られるものである必要がある。選択する投与量は目的とする療法効果、投与経路、および処置期間に依存し、普通は担当医が決定するであろう。一般に、本発明の活性を得るために有効な量は1×10-7〜200 mg/kg/日、好ましくは1×10-4〜100 mg/kg/日であり、これを1回量として投与するか、または多数回量に分割することができる。
【0067】
本発明の配合物は、好ましくは非経口的に、たとえば筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下などに投与される。
非経口投与のための本発明の製剤には、目的とするインビボ放出プロフィールが達成される限り、無菌の水性もしくは非水性の液剤、懸濁液剤、ゲル剤または乳剤が含まれる。非水性の溶剤またはビヒクルの例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、たとえばオリーブ油およびトウモロコシ油、ゼラチン、ならびに注射用有機エステル、たとえばオレイン酸エチルである。そのような剤形は、佐剤、たとえば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤をも含有することができる。それらは、たとえば細菌捕獲フィルターによる濾過、組成物への殺菌薬の装入、組成物の照射、または組成物の加熱により殺菌することができる。それらは無菌固体組成物の形で調製することもでき、それらを使用直前に無菌水または他の無菌注射用媒質に溶解することができる。
【0068】
別途定義しない限り、本明細書中で用いるすべての技術用語および科学用語は本発明が属する技術分野の当業者が一般に理解しているのと同じ意味をもつ。本明細書中で述べるすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献を本明細書に援用する。
【0069】
詳細な記述
ペプチドの合成
本発明の実施に有用なペプチドは、標準的な固相ペプチド合成法により製造でき、それらの方法で製造された。たとえばStewart, J. M., et al., Solid Phase Synthesis (Pierce Chemical Co., 第2版, 1984を参照)。Lysまたは他のアミノ酸残基の遊離アミンに、当技術分野で既知の標準法により置換基を結合させることができる。たとえば、部分的に保護されたペプチド-樹脂を3モル当量の遊離酸およびジイソプロピルカルボジイミドの両方と塩化メチレン中で1時間混合することにより、残基の遊離アミンに遊離酸を結合させることによって、アシル基を結合させることができる。
【0070】
hGLP-1(7-36)-NH2ペプチドは、加速Boc-化学固相ペプチド合成を行なうように改変されたApplied Biosystems (カリフォルニア州フォスターシティー)モデル430Aペプチド合成装置により合成された。参照: Schnolzer, et al., Int. J. Peptide Protein Res., 90:180 (1992)。4-メチルベンゾヒドリルアミン(MBHA)樹脂(Peninsula, カリフォルニア州ベルモント)を用いた。下記のように側鎖保護したBocアミノ酸(Bachem, CA, カリフォルニア州トランス; Nova Biochem., カリフォルニア州ラ・ホーヤ)を用いた:
【0071】
【化8】

【0072】
Boc基は100% TFAで1分ずつ2回の処理により除去された。Bocアミノ酸をHBTUおよびDIEAによりDMF中で予備活性化し、ペプチド-樹脂TFA塩を予め中和せずに結合させた。結合時間は5分間であった。
【0073】
ペプチド鎖を組み立てた後、樹脂をDMF中の20%メルカプトエタノール/10% DIEA溶液で30分ずつ2回処理した。次いで、N末端Boc基を100% TFAで2分ずつ2回の処理により除去した。ペプチド-樹脂をDMF中の10% DIEAで中和した(1分ずつ1回)後、Trp側鎖上のホルミル基を15%エタノールアミン/15%水/70% DMFの溶液で30分ずつ2回の処理により除去した。ペプチド-樹脂をDMFおよびDCMで洗浄し、減圧乾燥させた。アニソールおよびジチオトレイトールを含有するHF中、0℃で75分間、ペプチド-樹脂を撹拌することにより、最終開裂を行なった。HFを窒素流により除去した。残留物をエーテルで洗浄し、4N HOAcで抽出した。
【0074】
水性抽出液中のペプチド混合物を調製用逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、逆相VYDAC(登録商標) C18カラム(Nest Group, マサチュセッツ州サウスボロー)を用いて精製した。カラムを直線勾配(20%から50%までの溶液B、105分間かけて)により流速10 mL/分で溶離した(溶液A = 0.1%のTFAを含有する水;溶液B = 0.1%のTFAを含有するアセトニトリル)。画分を採集し、分析用HPLCで検査した。純粋な生成物を含有する画分を合わせて凍結乾燥した。最終ペプチドの純度を分析用HPLCシステムで検査した。エレクトロスプレー質量分析(MS(ES))Sを用いて最終生成物の分子量を検査した。
【0075】
本発明のTFAペプチド塩は、TFA含有緩衝液で溶離する調製用HPLCを用いてペプチドを精製することにより得られる。このペプチドを少量の0.25 N酢酸水溶液に溶解することにより、TFA塩を他の塩、たとえば酢酸塩に変換できる。得られた溶液を半調製用HPLCカラム(Zorbax, 300 SB, C-8)に装入する。カラムを(1) 0.1 N酢酸アンモニウム水溶液、0.5時間、(2) 0.25N酢酸水溶液、0.5時間、そして(3)直線勾配(20%から100%までの溶液B、30分間かけて)により、流速4 ml/分で溶離する(溶液Aは0.25N酢酸水溶液;溶液Bはアセトニトリル/水80:20中の0.25N酢酸)。前記ペプチドを含有する画分を採集し、凍結乾燥する。
【0076】
【化9】

【0077】
は商標PC-DAC(登録商標)で販売されており、Conjuchem(カナダ、ケベック州モントリオール)の所有である。前記に述べたペプチド:
【0078】
【化10】

【0079】
はLiraglutide(登録商標)として販売されており、Novo Nordisk(デンマーク、バグスベルド(Bagsvaerd))の所有である。前記に述べたペプチド:
【0080】
【化11】

【0081】
は、先行技術において”AVE-O010/ZP-10”と呼ばれ、Sanofi-Aventis(フランス、パリ)とZealand Pharma(デンマーク、グロストラプ(Glostrup))の共同所有である。
実験法
A. GLP-1受容体親和性の測定
本発明の実施に有用な化合物がGLP-1受容体に結合する能力を下記の方法で試験することができる。
【0082】
細胞培養:
GLP-1受容体を発現するRIN 5Fラットインスリノーマ細胞(ATCC-# CRL-2058, アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、バージニア州マナッサス)を、10%ウシ胎仔血清を含有するダルベッコの改変イーグル培地(DMEM)中で培養し、5% CO2/95%空気の加湿雰囲気で約37℃に維持する。
【0083】
放射性リガンド結合:
RIN細胞を20 mlの氷冷50 mMトリス-HCl中においてBrinkman Polytron (ニューヨーク州ウェストバリー) (設定6、15秒)でホモジナイズすることにより、放射性リガンド結合試験のための膜を調製する。ホモジェネートを遠心(39,000 g/10分)により2回洗浄し、最終ペレットを、2.5 mMのMgCl2、0.1 mg/mlのバシトラシン(Sigma Chemical, ミズーリ州セントルイス)および0.1%のBSAを含有する50 mMトリス-HClに再懸濁する。アッセイのために、一定部分(0.4 ml)を0.05 nMの(125I)GLP-1(7-36) (約2200 Ci/mmol, New England Nuclear, マサチュセッツ州ボストン)と共にインキュベートする;0.05 mlの非標識競合被験ペプチドを含むものと含まないもの。100分間のインキュベーション(25℃)後、予め0.5%ポリエチレンイミンに浸漬したGF/Cフィルター(Brandel, メリーランド州ガイザースバーグ)で急速濾過することにより、結合(125I)GLP-1(7-36)を遊離体から分離する。次いでフィルターを氷冷50 mMトリス-HCl 5 mlずつで3回洗浄し、フィルターに捕獲された結合放射能をガンマ分光計(Wallac LKB, メリーランド州ガイザースバーグ)で計数する。結合(125I)GLP-1(7-36)全体から1000 nMのGLP1(7-36) (Bachem, カリフォルニア州トレンス)の存在下で結合したものを差引いたものとして比結合を定義する。
【0084】
B. pHに対する溶解度の測定
有利なことに、本発明に用いる化合物は特定のpHで水溶液に比較的可溶性であり、二価金属イオン、たとえば亜鉛の存在下では水溶液に比較的不溶性である。本発明に用いる化合物は中性pHで室温において1 mg/mLを超える水溶解度をもつ。
【0085】
pH 7における化合物の水溶解度の測定:
本発明の実施に有利に使用できる化合物を下記の方法で試験して、室温または37℃で水中におけるそれらの溶解度を測定することができる。
【0086】
室温での溶解度を測定するために、2 mgのhGLP-1(7-36)-NH2を秤量し、ガラスバイアルに装入し、次いで200 uL量の脱イオン水をバイアルに添加する。この操作は、約25℃に維持した室内で行われる。得られた溶液のpHは約5と測定される。ペプチド試料は直ちに溶解し、澄明溶液がみられる。この試料溶液を少量の0.1N NaOHで処理することにより、中性pH (pH 7)にする。この中性溶液は澄明であることが観察され、したがってhGLP-1(7-36)-NH2の溶解度は室温で中性pHにおいて10 mg/mLを超えることが示される。
【0087】
37℃における溶解度を測定するために、2 mgのhGLP-1(7-36)-NH2を秤量し、ガラスバイアルに装入し、次いで200 uL量の脱イオン水をバイアルに添加する。この操作は、約37℃に維持した室内で行われる。得られた溶液のpHは約5と測定される。ペプチド試料は直ちに溶解し、澄明溶液がみられる。この試料溶液を少量の0.1N NaOHで処理することにより、中性pH (pH 7)にする。この中性溶液は澄明であることが観察され、したがってhGLP-1(7-36)-NH2の溶解度は37℃で10 mg/mLを超えることが示される。
【0088】
C.亜鉛濃度に対する化合物の水溶解度の測定
本発明の実施に有利に使用できる化合物を下記の方法で試験して、種々の亜鉛濃度のpH 7の水中におけるそれらの溶解度を測定することができる。
【0089】
ZnCl2を脱イオン水に溶解して100 mg/mlの濃度にし、HClでpHを2.7に調整することにより、亜鉛原液を調製する。この原液を適切に希釈することにより、種々のZnCl2濃度をもつ溶液(”Zn試験溶液”)を調製する。
【0090】
被験化合物の試料1 mgを各Zn試験溶液250μlに溶解して、被験化合物4 mg/mlを含む溶液を得る。次いで、白色沈殿が生成するまで0.2N NaOHを用いてこの溶液のpHを調整する。沈殿溶液を遠心し、母液をHPLCにより分析する。被験化合物のピークのUV吸収面積を測定し、検量曲線との対比により母液中の被験化合物の濃度を判定する。
【0091】
D.インビボアッセイ
本発明組成物を下記のアッセイにより試験してそれらがインビボ作用を促進および増強する能力を判定することができ、この方法で判定した。
【0092】
実験法-24時間:
実験前日に、体重約300〜35Ogの成体雄Sprague-Dawleyラット(Taconic, ニューヨーク州ジャーマンタウン)に右心房頚静脈カニューレをクロロハイドレート麻酔下で埋め込んだ。次いでラットを18時間絶食させた後、適切な被験化合物またはビヒクル対照をゼロ時点で注射した。実験期間全体を通してラットを絶食させ続けた。
【0093】
ゼロ時点でラットに被験化合物をpH 4.0またはpH 7.0の澄明溶液として皮下(sc)注射する。両方の場合とも、注射容量はごく少量(4〜6μL)であり、対象へのGLP-1化合物の投与量は75μg/kgである。皮下注射後、適切な時点で500μlの血液試料を静脈内(iv)カニューレから採取し、インスリン分泌増強の存在を調べるためにラットに静脈内グルコース攻撃を与える。グルコース攻撃の時点は、化合物注射後、0.25、1、6、12および24時間目である。初回の血液試料を採取した後、グルコース(1 g/kg)を静脈内注入し、500μlのヘパリン添加生理食塩水(10 U/mL)を一度に導入する。その後、グルコース注入後、2.5、5、10および20分目に血液試料を採取する。これらそれぞれの直後に500μlのヘパリン添加生理食塩水(10 U/mL)をカニューレから注入する。血液試料を遠心し、血漿を各試料から採集し、試料のインスリン含量をアッセイするまで-20℃に保存する。各試料中のインスリン量を、ラットインスリン酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)キット(American Laboratory Products Co., ニューハンプシャー州ウィンダム)により測定する。
【0094】
結果:
グルコース注入により誘発される持続的なインスリン増強活性が、24時間の実験期間全体にわたってみられる。
【0095】
実験法-期間延長:
一般の操作は前記と同じである。この場合、被験化合物またはビヒクル対照をゼロ時点で皮下(”sc”)注射する。グルコース攻撃の時点は、注射後、1、6、12、24、48および72時間である。静脈内カニューレによるグルコース注入およびその後の採血を前記実験の場合に従って実施する。絶食期間を延長するので、ビヒクルおよびグルコースのみの対照を各時点に含める。
【0096】
結果:
グルコースにより誘発される持続的なインスリン増強活性が、被験化合物の皮下注射後、少なくとも48時間みられる。さらに、前記の実験と同様に、グルコースに応答した初期の高レベルのインスリン増強はみられない。
【0097】
E.インビボ試験
本発明組成物を下記のアッセイ法E.1〜E.4.により試験してそれらがインビボで有効化合物の持続放出を促進する能力を試験することができ、この方法で試験した。
【0098】
以下のアッセイに用いる組成物を下記の一般法に従って調製した:
塩化亜鉛(Merck, Moltet del Valles, スペイン、バルセロナ)を、HClでpH 2.7に調整した無菌の注射用水(Braun, スペイン、ルビ(Rubi))に溶解することにより、100 mg/mlのZnCl2原液を調製した。この原液の希釈により、種々の濃度、たとえば0.1 mg/ml、0.5 mg/ml、2 mg/mlなどの亜鉛を含有する溶液を得た。同様に、1 mg/mlのZnCl2を含有する原液の希釈によって、より低い濃度、たとえば10μg/ml、20μg/ml、30μg/mlの亜鉛を含有する溶液を調製した。
【0099】
適切な量のアッセイすべき化合物を秤量し、得られた各亜鉛溶液の適切な容量に溶解して、目的濃度、たとえば4 mg/mlの化合物を含む澄明溶液を得た。得られた溶液を次いでマイクロフィルターで濾過し、必要ならば投与前は遮光バイアル内に保存した。
【0100】
被験対象の血漿中の被験化合物濃度は、当技術分野で既知の多数の方法により測定することができる。簡便な1方法においては、たとえば125Iで放射性ヨウ素化した既知量の被験化合物と競合する被験化合物に対するウサギ由来の抗体を用いるラジオイムノアッセイ法により、化合物濃度を測定する。
【0101】
E.1.薬物動態試験1
本発明組成物により対象に投与した生物活性化合物の生物学的利用能に対して亜鉛が及ぼす影響を、下記に従って判定することができ、この方法で判定した。
【0102】
前記の方法に従って、それぞれ4 mg/mLの被験化合物(pH = 2.7)、ならびに0.0、0.1、0.5および2.0 mg/mlのZnCl2を含む4種類の水性組成物を配合した。4種類の組成物それぞれを16匹のSprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories, 米国マサチュセッツ州ウィルミントン)に皮下投与した。ラットの平均年齢は約8〜9週齢であり、平均体重は約260〜430 gであった。ラットに飼料と水を任意に摂取させた。
【0103】
E.2. 薬物動態試験2
本発明組成物により対象に投与した生物活性化合物の生物学的利用能に対して注射容量が及ぼす影響を、下記に従って判定することができ、この方法で判定した。
【0104】
前記の方法に従って、それぞれ3000、300および75μg/mL(pH = 2.7)、ならびに0.5 mg/mlのZn濃度をもつ3種類の水性組成物を配合した。3種類の組成物それぞれを16匹のSprague-Dawleyラット(Charles River Laboratories, 米国マサチュセッツ州ウィルミントン)に皮下投与した。ラットの平均年齢は約8〜10週齢であり、平均体重は約330〜460 gであった。試験開始前にラットを一夜絶食させた。各ラットに75μg/kg量の被験化合物を投与するように注射容量を選択した(それぞれ0.025 ml/kg、0.25 ml/kgおよび1 ml/kg)。
【0105】
E.3.薬物動態試験3
本発明組成物により対象に投与した生物活性化合物の生物学的利用能に対して亜鉛が及ぼす影響を、下記に従って判定することができ、この方法で判定した。
【0106】
前記の方法に従って、それぞれ4 mg/mLの被験化合物(pH = 2.7)、ならびに10、20および30μg/mLの亜鉛を含む3種類の水性組成物を配合した。3種類の組成物それぞれを16匹の雄アルビノSprague-Dawleyラット(St. Feliu de Codines, スペイン、バルセロナ)に皮下投与した。試験開始前にこれらのラットを一夜絶食させた。
【0107】
E.4.薬物動態試験4
本発明組成物により対象に投与した生物活性化合物の生物学的利用能に対して亜鉛および生物活性化合物の濃度が及ぼす影響を、下記に従って判定することができ、この方法で判定した。
【0108】
前記の方法に従って、2種類の水性組成物を配合した。第1溶液は1.45 mg/mlの被験化合物および30μg/mlの亜鉛を含み、第2溶液は1.45 mg/mlの被験化合物を含有するが亜鉛を含有しなかった。両溶液ともpH = 2.7であった。各溶液を、年齢約54〜65カ月齢、体重約16〜21 kgの雄ビーグル犬(Isoquimen, スペイン、バルセロナ)に皮下投与した。試験開始前にこれらのイヌを一夜絶食させた。さらに、有効化合物のみを含有する第2溶液を静脈内投与した。
【0109】
E.5.薬物動態試験の例
この部分は、100 mg/gの天然ヒトグルカゴン様ペプチド-1であるhGLP-1(7-36)-NH2ペプチドの水性配合物およびZn (ZnCl2から)(モル比[ペプチド:Zn]=1.5:1)の組成物の調製および投与を開示する。
【0110】
被験物質は天然hGLP-1(7-36)-NH2であり、Polypeptide(米国)により提供された。
E.5.1.調製法
ペプチド化合物を秤量し、秤量した量のZnCl2溶液(1.474 mg Zn/ml)と混合して、最終ペプチド濃度100 mg/gおよび最終モル比[ペプチド:Zn]=1.5:1になるようにした。
【0111】
29Gの針(0.33 mm)付きの注射器に、15 mg量のペプチドを投与するのに必要な量の組成物を充填した。調製した時点で試料を分析し、組成物を雄ビーグル犬に投与した。
下記の分析結果が得られた:
ペプチド含量:10.31 +/- 0.03 % w/w
注射量:15.71 +/- 0.18 mg
HPLC純度:98.5%Ar
4.5
組成物のモル比の値は[ペプチド:Zn]=1.44:1であった。
【0112】
E.5.2. PK試験、生物学的分析および結果
この試験の目的は、ZnCl2を含む100 mg/gのGLP-1(7-36)-NH2アセテート(モル比[ペプチド:Zn]=1.5:1)の配合物を純ペプチド15 mgの全理論量で雄ビーグル犬に1回皮下投与した後の天然hGLP-1(7-36)-NH2の血清薬物動態プロフィールを評価することであった。
【0113】
組成物を調製当日に純ペプチド15 mg(約150μl)の全理論量で雄ビーグル犬に投与した。
合計6匹の年齢約33〜84カ月齢、体重約12〜25 kgの雄ビーグル犬を用いた。イヌを乾燥標準飼料および飲用水を自由に摂取させて維持し、両方を定期的に検査した。
【0114】
食物相互作用の可能性を避けるために、動物を通常より6時間長く絶食させた(投与前に約18時間の絶食)。
完全な薬物動態プロフィールを得るために6匹の動物を選択した。
【0115】
動物に個別に皮下経路で肩甲骨間領域に投与した。この領域をアルコール溶液(Diolina(登録商標), Braun-Dexon)で消毒した。GLP-1(7-36)-NH2の理論量は15 mg (イヌ当たり約150μlの配合物)であった;充填済み0.3-ml Terumo Myjector注射器中、12×O.33mm Unimed注射針で。
【0116】
注射前(ゼロ時点)および投与後35日内の数回の時点で、約2.0 mlの血液試料を腕頭静脈から採取した。
次いで、15% EDTA-K3水溶液(血液ml当たり12μl)を抗凝固剤として入れた予冷した4-mlポリエチレン試験管に血液を装入した。保存剤Trasylol(登録商標) (50 KIU、または血液ml当たり5μl)およびDPP-IV阻害薬(血液ml当たり10μl)を添加した。遠心するまで(1600 g、4℃で20分間、Sigma K4-15遠心機)、血液試料を冷水浴内に保持した。最後に血漿をポリプロピレン凍結試験管内へデカントし、速やかに-80℃のフリーザーへ移した後、分析した。
【0117】
GLP-1類似体を内標準として用いるLC-MS/MS (API4000)に接続した固相抽出により、0.3 mlのイヌ血漿を固相抽出した後に血漿試料中のGLP-1(7-36)-NH2濃度を測定し、追跡した。この方法を0.25〜25 ng/mlのイヌ血漿GLP-1(7-36)-NH2濃度の測定のために実施した。
【0118】
実施例に開示した組成物をD=15 mgのペプチド投与量(906.1μg/kg)でイヌに1回皮下投与した後に得られた血漿ペプチドプロフィールを図1に示す。
E.6.追加の薬物動態試験A
E.5.1に開示したものと同一の組成物を5℃に少なくとも1週間保持し、前記の例(E.5.2)の記載に従って試験する。
【0119】
E.7.追加の薬物動態試験B
E.5.1に開示したものと同一の組成物を、15 mgより高いペプチド投与量で試験する。
E.8.追加の薬物動態試験C
E.5.1で調製したものと同様な、100 mg/gより低いペプチド濃度の組成物を試験する。
【0120】
E.9.追加の薬物動態試験D
E.5.1で調製したものと同様な、1.5:1より高いペプチド/Znモル比の組成物を試験する。
【0121】
E.10.追加の薬物動態試験E
E.5.1で調製したものと同様な、1.5:1より高いペプチド/Znモル比および100 mg/gより低いペプチド濃度の組成物を試験する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】Znを含む100 mg/gのhGLP-1(7-36)-NH2の水性組成物を、D=15 mgペプチドでイヌに1回皮下投与した後に得られた血漿ペプチドプロフィールを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)室温で1 mg/mLを超える水溶解度を有し、かつpH 3.0〜8.0、好ましくはpH 4.0〜6.0を有し、hGLP-1(7-36)-NH2ならびにその誘導体および類似体、hGLP-1(7-37)-OHならびにその誘導体および類似体、エクセンジン-4ならびにその誘導体および類似体、
【化1】

ならびにその誘導体および類似体、
【化2】

ならびにその誘導体および類似体、ならびに
【化3】

ならびにその誘導体および類似体よりなる群から選択される少なくとも1種類のペプチド化合物;
(b)二価金属イオン;ならびに
(c)溶剤
の澄明溶液もしくは水性混合物、懸濁液または半固体状の医薬組成物を含み、ただし、該ペプチド化合物の95%±5%未満が該溶剤により溶解している医薬組成物。
【請求項2】
二価金属イオンが亜鉛である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
溶剤が水である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
溶剤が非水性媒質である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
さらに非水性媒質を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
ペプチド化合物が約0.00001〜500 mg/mL、好ましくは約0.0001〜10 mg/mLの濃度で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
亜鉛が約0.0005〜50 mg/mLの濃度で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】
さらに保存剤を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
保存剤が、m-クレゾール、フェノール、ベンジルアルコールおよびメチルパラベンよりなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
保存剤が約0.01〜50 mg/mLの濃度で存在する、請求項8または9に記載の組成物。
【請求項11】
さらに等張化剤を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
等張化剤が約0.01〜50 mg/mLの濃度で存在する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
さらに安定剤を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
安定剤が、イミダゾール、アルギニンおよびヒスチジンよりなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
さらに界面活性剤を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
さらにキレート化剤を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
さらに緩衝剤を含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
緩衝剤が、トリス、酢酸アンモニウム、酢酸ナトリウム、グリシン、アスパラギン酸およびビス-トリスよりなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
さらに塩基性ポリペプチドを含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
塩基性ポリペプチドが、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリオルニチン、プロタミン、プトレッシン、スペルミン、スペルミジンおよびヒストンよりなる群から選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
さらにアルコール類または単糖類もしくは二糖類を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
アルコール類または単糖類もしくは二糖類が、メタノール、エタノール、プロパノール、グリセロール、トレハロース、マンニトール、グルコース、エリスロース、リボース、ガラクトース、フルクトース、マルトース、ショ糖および乳糖よりなる群から選択される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
さらに硫酸アンモニウムを含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
有効量の請求項1〜23のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩および医薬的に許容できるキャリヤーまたは希釈剤を含む、医薬組成物。
【請求項25】
その必要がある対象においてGLP-1受容体からアゴニスト効果を誘発する方法であって、有効量の請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含む方法。
【請求項26】
その必要がある対象において、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満症、グルカゴノーマ、気道の分泌障害、代謝障害、関節炎、骨粗鬆症、中枢神経系疾患、再狭窄および神経変性性疾患よりなる群から選択される疾患を処置する方法であって、有効量の請求項1〜24のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬的に許容できる塩を対象に投与することを含む方法。
【請求項27】
疾患がI型糖尿病またはII型糖尿病である、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−533460(P2009−533460A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505516(P2009−505516)
【出願日】平成19年4月13日(2007.4.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/009292
【国際公開番号】WO2007/120899
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(505474717)ソシエテ・ドゥ・コンセイユ・ドゥ・ルシェルシュ・エ・ダプリカーション・シャンティフィック・エス・ア・エス (41)
【Fターム(参考)】