説明

mGluR5受容体のアロステリック調節因子としての二環式チアゾール

【化1】


本発明は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(「mGluR5」)の正のアロステリック調節因子でありそしてグルタミン酸機能障害と関連する疾患および受容体のmGluR5サブタイプが関与する疾病の処置もしくは防止に有用である式(I)の新規の二環式チアゾールに関する。本発明はまた、そのような化合物を含んでなる製薬学的組成物に、そのような化合物および組成物を製造する方法に、そしてmGluR5が関与する疾患の防止および処置のためのそのような化合物および組成物の使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝型グルタミン酸受容体サブタイプ5(「mGluR5」)の正のアロステリック調節因子でありそしてグルタミン酸機能障害と関連する疾患および受容体のmGluR5サブタイプが関与する疾病の処置もしくは防止に有用である新規の二環式チアゾールに関する。本発明はまた、そのような化合物を含んでなる製薬学的組成物に、そのような化合物および組成物を製造する方法に、そしてmGluR5が関与する疾患の防止および処置のためのそのような化合物および組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
グルタミン酸塩(glutamate)は、哺乳類中枢神経系における主要なアミノ酸神経伝達物質である。グルタミン酸塩は、学習および記憶のみならず、知覚、シナプス可塑性の発達、運動制御、呼吸および心臓血管機能の調節のような多数の生理機能において主要な役割を果たす。さらに、グルタミン酸塩は、グルタミン酸作動性神経伝達の不均衡がある、いくつかの異なる神経および精神疾患の中心にある。
【0003】
グルタミン酸塩は、迅速な興奮性伝達に関与するイオンチャンネル型グルタミン酸受容体チャンネル(iGluR)、ならびにNMDA、AMPAおよびカイニン酸受容体の活性化によってシナプス神経伝達を媒介する(非特許文献1)。
【0004】
さらに、グルタミン酸塩は、シナプス効能の微調整に寄与するさらに調節性の役割を有する代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)を活性化する。
【0005】
グルタミン酸塩は、本明細書においてオルトステリック(orthosteric)結合部位と呼ばれる、受容体の大きな細胞外アミノ末端ドメインへの結合によってmGluRを活性化する。この結合は受容体の構造変化を誘導し、それはGタンパク質および細胞内シグナル伝達経路の活性化をもたらす。
【0006】
mGlu5およびNMDA受容体は、海馬、皮質および線条体において共発現される。
【0007】
mGluR5は、PKC−およびSrc−依存的機序によってNMDA受容体機能を強化する。mGluR5もしくはNMDA受容体の遮断は認知機能を損ない、一方、mGluR5もしくはNMDA受容体の活性化はアンフェタミンにより乱されたプレパルス抑制(PPI)を正常化する。mGluR5受容体の刺激は、統合失調症におけるNMDA受容体機能低下を正常化すると想定される。mGluR5の正のアロステリック調節因子(PAM)は、統合失調症の認知、陽性および陰性症状、ならびに様々な形態の認知症および軽度認識障害における認知障害に有益な効果を有し得る。
【0008】
これまで、mGluRを標的とする利用可能な薬理学的手段の大部分は、グルタミン酸塩の構造アナログであるのでファミリーのいくつかのメンバーと交差反応しそして限られた生物学的利用能を有するオルトステリックリガンドである(非特許文献2)。mGluRで作用する選択的化合物を開発することへの新たな道は、高度に保存されたグルタミン酸結合部位と異なる部位に結合することにより受容体を調節する、アロステリック機序によって作用する分子を同定することである。mGluRの正のアロステリック調節因子は、最近、この魅力的な代替物を与える新規の薬理学的存在として浮上している。このタイプの分子は、いくつかのmGluRサブタイプに対して発見されている(非特許文献3に概説される)。
【0009】
特許文献1、特許文献2および特許文献3(Merz)は、グループI mGluRの調節因子としてテトラヒドロキノリノンを開示する。特許文献4(ヴァンダービルト大学)は、mGluRの正のアロステリック調節因子としてベンズアミドを開示する。縮合したチアゾール化合物は、とりわけ特許文献5(Vertex)、特許文献6(Lilly)、特許文献7(UCB)、特許文献8(Lilly)および特許文献9(Eli Lilly)からさらに既知である。2010年4月1日に公開された特許文献10(Addex Pharma,S.A.)は、mGluR5の正のアロステリック調節因子としてオキサゾール誘導体を開示する。2008年1月31日に公開された特許文献11(UCB Pharma,S.A.)は、本明細書に開示されるものと異なるチアゾール環の2位の基を有するヒスタミンH3受容体リガンドとしての縮合したオキサゾールおよびチアゾールを開示する。2010年10月7日に公開された特許文献12(Sepracor
Inc.)は二環式化合物を開示し、そしてmGluR5 NAMとしてのそれらの活性についてのデータを提供し;例示化合物のいずれも二環式コアにカルボニル基を含有しない。
【0010】
先行化合物に対して改善された特性バランス、特に優れた吸収、分配、代謝および排出(AdMe)プロフィール、優れた安定性および例えば並列人工膜透過性アッセイ(PAMPA)において測定した場合の透過性のような有益な特性を有する新規化合物を提供することが本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO−2005/082856明細書
【特許文献2】WO−2007/023242明細書
【特許文献3】WO−2007/023290明細書
【特許文献4】WO 2008/151184明細書
【特許文献5】WO−2008/060597明細書
【特許文献6】WO−2008/076562明細書
【特許文献7】WO−2008/001076明細書
【特許文献8】WO−2008/066174明細書
【特許文献9】WO−2006/066174明細書
【特許文献10】US 2010/0081690明細書
【特許文献11】WO 2008/012010明細書
【特許文献12】WO 2010/114971明細書
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kew and Kemp Psychopharmacol.,(2005),179:4−29
【非特許文献2】Schoepp D.D.et al.Neuropharmacology(1999),38(10),1431−1476
【非特許文献3】Mutel(2002)Expert Opin.Ther.Patents 12:1−8
【発明の概要】
【0013】
[発明の記述]
本発明は、式(I)
【0014】
【化1】

【0015】
[式中、
XはCHおよびNRから選択され;
Aは1,2−エタンジイル;1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
はフェニル;1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のハロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aは一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
は水素;メチル;メトキシエチル;アリール;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のハロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択され;
ここで、アリールは場合によりメチル、メトキシ、シアノ、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメチルオキシよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである]
を有する、代謝型グルタミン酸受容体5調節因子活性を有する化合物およびその立体異性体、ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物に関する。
【0016】
本発明はまた、式(I)の化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体もしくは賦形剤を含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0017】
さらに、本発明は薬剤としての使用のための式(I)の化合物にそしてmGluR5が関与する神経および精神疾患の処置もしくは防止用の薬剤としての使用のための式(I)の化合物に関する。
【0018】
本発明はまた、mGluR5が関与する神経および精神疾患を処置するかもしくは防ぐための薬剤の製造のための式(I)の化合物もしくは本発明の製薬学的組成物の使用にも関する。
【0019】
さらに、本発明はmGluR5が関与する神経および精神疾患を処置するかもしくは防ぐための薬剤の製造のための追加の医薬品と組み合わせた式(I)の化合物の使用に関する。
【0020】
さらに、本発明は、製薬学的に許容しうる担体を式(I)の化合物の治療的に有効な量とよく混合することを特徴とする、本発明の製薬学的組成物を製造する方法に関する。
【0021】
本発明はまた、神経および精神疾患および疾病の防止、処置もしくは予防における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として、式(I)の化合物および追加の医薬品を含んでなる製品にも関する。
【0022】
本発明の化合物の化学名は、Advanced Chemical Development,Inc.,ソフトウェア(ACD/Name productバージョン10.01;ビルド15494,2006年12月1日)を用いてChemical Abstracts Service(CAS)により承認された命名規約に従ってつけられた。
互変異性体の場合、構造の示される互変異性体の名称がつけられた。しかしながら、他の示されない互変異性体もまた本発明の範囲内に包含されることは明らかなはずである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[発明の詳細な記述]
定義
単独でもしくは別の基の一部として本明細書において使用する場合に「ハロゲン」もしくは「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素もしくはヨウ素をさし、ヨウ素もしくは塩素が好ましく、そしてフルオロが特に好ましい。
【0024】
単独でもしくは別の基の一部として本明細書において用いる場合に「アルキル」という用語は、他に記載されない限り、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−メチルエチル、1,1−ジメチルエチル、2−メチルプロピル、3−メチルブチル、1,2−ジメチルプロピル、1−ヘキシル、1,2,2−トリメチルプロピル、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル、1,1,2,2−テトラメチルプロピル、1−ヘプチルおよび1−オクチルが包含されるがこれらに限定されるものではない、飽和した直鎖状もしくは分枝鎖状炭化水素鎖基をさす。
【0025】
単独でもしくは別の基の一部として本明細書において用いる場合に「C1〜3アルカンジイル」という用語は、他に記載されない限り、例えばメチレン;1,2−エタンジイル;1,3−プロパンジイル;およびその分枝異性体のような1〜3個の炭素原子を有する2価の直鎖状もしくは分枝鎖状飽和炭化水素基をさす。
【0026】
別の態様において、本発明は
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エタンジイル;1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のハロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のハロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択される
式(I)の化合物ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物に関する。
【0027】
さらなる態様において、本発明は
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のハロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のハロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択される
式(I)の化合物ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物に関する。
【0028】
別の態様において、本発明は
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されたピ
リジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択される
式(I)の化合物ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物に関する。
【0029】
別の好ましい態様において、本発明は
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;およびベンジルよりなる群から選択される
式(I)の化合物ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物に関する。
【0030】
別の態様において、本発明は
XがCHもしくはNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;ピリジン−3−イル;および5−フルオロ−ピリジン−3−イルよりなる群から選択され;
が水素;メチル;2−メトキシエチル;およびベンジルよりなる群から選択される式(I)の化合物ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物に関する。
【0031】
1つの態様において、XはNRである。
【0032】
1つの態様において、XはCHである。
【0033】
1つの態様において、Aは1,2−エテンジイルおよび1,2−エチンジイルから選択される。
【0034】
1つの態様において、Aは1,2−エチンジイルである。
【0035】
別の態様において、XがCHである場合にR−Aは一緒になってメチルで置換された3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルである。
【0036】
別の態様において、XがCHである場合にRはフェニルおよび場合によりフルオロ置換基で置換されていてもよいピリジニルよりなる群から選択される。
【0037】
別の態様において、XがCHである場合にRは場合によりフルオロ置換基で置換されていてもよいピリジニルである。
【0038】
別の態様において、XがCHである場合にRは5−フルオロ−3−ピリジニルである。
【0039】
別の態様において、Rはフェニルである。
【0040】
別の態様において、Rは水素、メチル、2−メトキシエチルおよびベンジルよりなる群から選択される。
【0041】
さらに別の好ましい態様において、Rはメチル;メトキシエチル;およびベンジルよりなる群から選択される。
【0042】
別の態様において、Rは2−メトキシエチルである。
【0043】
別の態様において、RはHである。
【0044】
別の態様において、Rはメチルである。
【0045】
別の態様において、Rはベンジルである。
【0046】
別の態様において、アリールは場合によりメチル、メトキシ、フルオロおよびトリフルオロメチルよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0047】
別の態様において、アリールは場合により1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されていてもよいフェニルである。
【0048】
上記に示される興味深い態様の全ての可能な組み合わせは、本発明の範囲内に包含されると考えられる。
【0049】
特定の化合物は
5,6−ジヒドロ−2−(フェニルエチニル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
2−[(5−フルオロ−3−ピリジニル)エチニル]−5,6−ジヒドロ−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
6,7−ジヒドロ−2−(フェニルエチニル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;
6,7−ジヒドロ−5−メチル−2−(フェニルエチニル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;
5,6−ジヒドロ−2−[(E)−2−(フェニルエテニル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
5,6−ジヒドロ−2−(2−フェニルエチル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
2−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イル)−5,6−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7(4H)−オン;
5,6−ジヒドロ−2−(3−ピリジニルエチニル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;6,7−ジヒドロ−5−(2−メトキシエチル)−2−(フェニルエチニル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;および
6,7−ジヒドロ−2−(フェニルエチニル)−5−(フェニルメチル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;
ならびにその製薬学的に許容しうる塩および溶媒和物の群から選択することができる。
【0050】
治療用途のために、式(I)の化合物の塩は、対イオンが製薬学的に許容しうるものである。しかしながら、製薬学的に許容できない酸および塩基の塩もまた、例えば製薬学的に許容しうる化合物の製造もしくは精製において、用途を見出し得る。全ての塩は、製薬学的に許容しうるかもしくはそうでないにしても、本発明の範囲内に包含される。
【0051】
製薬学的に許容しうる塩は、式(I)の化合物が形成することのできる治療的に有効な無毒の酸付加塩形態を含んでなると定義される。該塩は、式(I)の化合物の塩基形態を適切な酸、例えば無機酸、例えばハロゲン化水素酸、特に塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸
およびリン酸;有機酸、例えば酢酸、ヒドロキシ酢酸、プロパン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸およびパモン酸で処理することにより得ることができる。
【0052】
逆に、該塩形態は適切な塩基での処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0053】
酸性プロトンを含有する式(I)の化合物はまた、適切な有機および無機塩基での処理によりそれらの治療的に有効な無毒の塩基塩形態に転化することもできる。適切な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウム塩、有機塩基、例えば第一級、第二級および第三級脂肪族および芳香族アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4つのブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリンおよびイソキノリンとの塩;ベンザチン、N−メチル−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、ならびにアミノ酸、例えばアルギニンおよびリシンとの塩を含んでなる。
【0054】
逆に、該塩形態は適切な酸での処理により遊離酸形態に転化することができる。
【0055】
溶媒和物という用語は、式(I)の化合物が形成することのできる溶媒付加形態ならびにその塩を含んでなる。そのような溶媒付加形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0056】
上記にもしくは下記において使用する場合に「立体化学的異性体」もしくは「立体異性体」という用語は、式(I)の化合物が有し得る全ての可能な異性体を定義する。他に記載されないかもしくは示されない限り、化合物の化学表示は全ての可能な立体化学的異性体の混合物を意味し、該混合物は基本分子構造の全てのジアステレオマーおよび鏡像異性体を含有する。本発明はまた、他の異性体を実質的に含まない、すなわち、50%未満、好ましくは20%未満、より好ましくは10%未満、好ましくは5%未満、特に2%未満そして最も好ましくは1%未満と関連する、式(I)の化合物の個々の異性体の各々ならびにそれらの塩および溶媒和物も包含する。従って、式(I)の化合物が例えば(R)として特定される場合、これは、該化合物が(S)異性体を実質的に含まないことを意味する。立体中心はR−もしくはS−立体配置を有することができ;2価の環状の(部分的に)飽和した基上の置換基はシス−もしくはトランス−立体配置のいずれかを有することができる。二重結合を含む化合物は、該二重結合でE−もしくはZ−立体化学を有することができる。式(I)の化合物の立体異性体は、本発明の範囲内に包含される。
【0057】
CAS命名法の慣例に従って、既知の絶対立体配置の2個の立体中心が化合物に存在する場合、最も低い番号が付けられたキラル中心、基準中心(reference center)にRもしくはS記述子が指定される(カーン−インゴールド−プレローグ順位付け規則に基づく)。第二の立体中心の立体配置は相対的記述子[R,R]もしくは[R,S]を用いて示され、ここで、Rはいつも基準中心として特定され、そして[R,R]は同じキラリティーを有する中心を示し、そして[R,S]は異なるキラリティーの中心を示す。例えば、化合物における最も低い番号が付けられたキラル中心がS立体配置を有し、そして第二の中心がRである場合、立体記述子はS−[R,S]として特定される。「α」および「β」が用いられる場合:最も低い環番号を有する環系における不斉炭素原子上の最優先置換基の位置は、任意にいつも、環系により決定され
る平均平面の「α」位にある。基準原子上の最優先置換基の位置に対する環系における他の不斉炭素原子上の最優先置換基(式(I)の化合物における水素原子)の位置は、それが環系により決定される平均平面の同じ側にある場合には「α」、もしくはそれが環系により決定される平均平面の反対側にある場合には「β」と命名される。
【0058】
本願の枠組みにおいて、元素は、特に式(I)の化合物に関して記載される場合に、天然存在度でもしくは同位体濃縮形態におけるいずれかで、天然に存在するかもしくは合成的に製造されるいずれかの、この元素の全ての同位体および同位体混合物を含んでなる。式(I)の放射性標識化合物は、H、11C、18F、122I、123I、125I、131I、75Br、76Br、77Brおよび82Brの群から選択される放射性同位体を含んでなることができる。好ましくは、放射性同位体はH、11Cおよび18Fの群から選択される。
【0059】
製造
本発明の化合物は一連の工程により一般に製造することができ、それらの各々は当業者に既知である。特に、化合物は以下の合成方法に従って製造することができる。
【0060】
式(I)の化合物は、当該技術分野で既知である分割方法に従って互いに分離することができる鏡像異性体のラセミ混合物の形態において合成することができる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により対応するジアステレオマー塩に転化することができる。該ジアステレオマー塩形態を次に例えば選択的もしくは分別結晶化により分離し、そして鏡像異性体をアルカリによりそれから遊離させる。式(I)の化合物の鏡像異性体を分離する代わりの方法には、キラル固定相を用いる液体クロマトグラフィーが含まれる。該純粋な立体化学的異性体はまた、反応が立体特異的に起こるならば、適切な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から得ることもできる。
【0061】
A.最終化合物の製造
実験方法1
Aが−C≡C−である式(I−a)の化合物は、反応スキーム(1a)に従って式(II)の中間体と式(III)の中間体との間のソノガシラカップリングにより製造することができる。反応は、例えばDMFのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばトリエチルアミンのような適当な塩基、例えばPdCl(PPhのようなPd錯体触媒の存在下で、例えば80℃〜120℃で例えば反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。代替ソノガシラ反応条件は、文献に記述される反応方法から当業者が選択することができる。反応スキーム(1a)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、Zは水素もしくはトリメチルシリルであり、そしてTは例えばハロのようなPd媒介カップリング反応に適当な基である。
【0062】
【化2】

【0063】
あるいはまた、Aが−C≡C−である式(I−a)の最終化合物は、反応スキーム(1b)に従って式(IV)の中間体と式(V)の中間体との間のソノガシラカップリングに
より製造することができる。反応は、例えばDMFのような適当な反応溶媒中で、例えばトリエチルアミンのような適当な塩基、例えばPdCl(PPhのようなPd錯体触媒の存在下で、例えば60℃〜150℃のような適度に高い温度で行われる。代替ソノガシラ反応条件は、文献に記述される反応方法から当業者が選択することができる。反応スキーム(1b)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、そしてT’は例えばハロのようなPd媒介カップリング反応に適当な基である。
【0064】
【化3】

【0065】
実験方法2
Aが−CH=CH−である式(I−b)の化合物は、反応スキーム(2a)に従って式(II)の中間体を式(VI)の中間体と反応させることにより製造することができる。反応は、例えばアセトニトリルのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばトリエチルアミンのような適当な塩基、例えばPdCl(PPhのようなPd錯体触媒の存在下で、例えば60℃〜120℃で例えば反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。反応スキーム(2a)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、そしてTは例えばハロのようなPd媒介カップリング反応に適当な基である。
【0066】
【化4】

【0067】
あるいはまた、Aが−CH=CH−である式(I−b)の最終化合物は、反応スキーム(2b)に従って式(II)の中間体を式(VII)の中間体と反応させることにより製造することができる。反応は、例えば1,4−ジオキサンのような適当な反応不活性溶媒もしくは例えば1,4−ジオキサン/DMFのような不活性溶媒の混合物中で、例えば水性NaHCOもしくはNaCOのような適当な塩基、例えばPd(PPhのようなPd錯体触媒の存在下で、例えば10分間、例えばマイクロ波照射を用いて150℃で反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。反応スキーム(2b)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、そしてTは例えばハロのようなPd媒介カップリング反応に適当な基である。RおよびR3’は水素もしくはアルキルであることができ、または一緒になって例えば式−CHCH−、−CHCHCH−もしくは−C(CHC(CH−の2価の基を形成することができる。
【0068】
【化5】

【0069】
Aが−CH=CH−である式(I−b)の化合物はまた、反応スキーム(2c)に従って式(I−a)の最終化合物に存在する三重結合の部分水素化により製造することもできる。反応は、当業者が既知である反応条件を適用して、適当な反応不活性溶媒中、水素および水素化触媒の存在下で行われる。反応スキーム(2c)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0070】
【化6】

【0071】
実験方法3
Aが−CHCH−である式(I−c)の化合物は、反応スキーム(3)に従って式(I−b)の最終化合物に存在する二重結合の水素化により製造することができる。反応は、当業者に既知である反応条件を適用して、適当な反応不活性溶媒中、水素および水素化触媒の存在下で行われる。反応スキーム(3)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0072】
【化7】

【0073】
実験方法4
−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イル(ここでZとして表される)である式(I−d)の化合物は、反応スキーム(4)に従って式(II)の中間体と式(VIII)の中間体との間のスズキカップリングにより製造することができる。反応は、例えば1,4−ジオキサンのような不活性溶媒もしくは例えば1,4−ジオキサン/DMFのような適当な
不活性溶媒の混合物中で、例えば水性NaHCOもしくはNaCOのような適当な塩基、例えばPd(PPhのようなPd錯体触媒の存在下で、例えば10分間、例えばマイクロ波照射を用いて150℃で反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。代替スズキカップリング反応条件は、文献に十分に記載される反応方法から当業者が選択することができる。反応スキーム(4)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、Zは先に定義した通りであり、そしてTは例えばハロのようなPd媒介カップリング反応に適当な基である。RおよびR3’は水素もしくはアルキルであることができ、または一緒になって例えば式−CHCH−、−CHCHCH−もしくは−C(CHC(CH−の2価の基を形成することができる。
【0074】
【化8】

【0075】
実験方法5
本明細書により(I−e)と呼ばれる、Aが−O−C1〜3アルカンジイル−である式(I)の化合物もしくは本明細書により(I−f)と呼ばれる、Aが−(NR)−C1〜3アルカンジイル−である式(I)の化合物は、それぞれ、反応スキーム(5a)および(5b)に従って、本明細書により(II−a)と呼ばれるTがブロモである式(II)の中間体を式(IX−a)もしくは(IXb)のアルコールもしくはアミンと反応させることにより製造することができる。反応は、例えばアセトニトリルのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばCsCOのような適当な塩基の存在下で、例えば、反応を完了させる期間、例えば一晩にわたって80℃で反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。代替反応条件は、文献に十分に記載される反応方法から当業者が選択することができる。反応スキーム(5a)および(5b)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、そしてRは水素であり、そしてmは1〜3の間の整数である。
【0076】
【化9】

【0077】
【化10】

【0078】
実験方法6
本明細書により(I−g)と呼ばれる、Aが−O−である式(I)の化合物は、反応スキーム(6)に従って、式(II−a)の中間体を式(X)のアルコールと反応させることにより製造することができる。反応は、例えばアセトニトリルのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばCsCOのような適当な塩基の存在下で、例えば、反応を完了させる期間、例えば一晩にわたって80℃で反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。代替反応条件は、文献に十分に記載される反応方法から当業者が選択することができる。反応スキーム(6)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0079】
【化11】

【0080】
実験方法7
本明細書により(I−h)と呼ばれる、XがNRである式(I)の化合物は、反応スキーム(7)に従って、本明細書により(I−i)と呼ばれるXがNHである式(I)の中間体と式(XI)の中間体との間のカップリング反応により製造することができる。反応は、例えばトルエンのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばNaCOのような適当な塩基の存在下で、例えばN,N’−ジメチルエチレンジアミンのようなリガンドの存在下で、例えばCuIのような銅塩の存在下で、例えば、反応を完了させる期間、例えば一晩にわたって120℃で反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。反応はまた、例えばアセトニトリルもしくはDMFのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばCsCOもしくは水素化ナトリウムのような適当な塩基の存在下で、反応を完了させる期間、例えば一晩にわたって、例えば80℃で反応混合物を加熱するかもしくは0℃のような低温でのような温熱条件下で行うこともできる。あるいはまた、反応条件は文献に十分に記載される反応方法から当業者が選択することができる。反応スキーム(7)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、そしてQはハロのような基である。
【0081】
【化12】

【0082】
B.中間化合物の製造
実験方法8
Tがブロモである式(II−a)の中間体は、反応スキーム(8)に従って式(XII)の中間体の反応により製造することができる。反応は、当業者に既知である反応条件を適応して、例えば臭化銅(II)と3−メチル−1−ニトロソオキシ−ブタンの混合物のような、ハロゲン原子へのNH基の転化に適当な試薬もしくは試薬の混合物で行われる。反応スキーム(8)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0083】
【化13】

【0084】
実験方法9
式(IV)の中間体は、反応スキーム(9)に従って式(XIII)の中間体の反応により製造することができる。反応は、当業者に既知である反応条件を適用して、例えばフッ化テトラブチルアンモニウムのような、プロト脱シリル化(proto−desilylation)に適当な試薬で行われる。反応スキーム(9)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0085】
【化14】

【0086】
実験方法10
式(XIII)の中間体は、反応スキーム(10)に従って式(II)の中間体をトリメチルシリルアセチレンと反応させることにより製造することができる。反応は、例えばDMFのような適当な反応不活性溶媒中で、例えばN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような適当な塩基、例えばPd(PPhのようなPd錯体触媒、例えばPPhのようなホスフィン、例えばCuIのような銅塩の存在下で、そして例えば80℃〜120℃で例えば反応混合物を加熱するような温熱条件下で行われる。反応スキーム(10)
において、全ての変記号は式(I)において定義した通りであり、そしてTは例えばハロのようなPd媒介カップリング反応に適当な基である。
【0087】
【化15】

【0088】
実験方法11
本明細書により(XII−a)と呼ばれる、XがNRである式(XII)の中間体は、反応スキーム(11)に従ってチオ尿素と本明細書により式(XIV−a)と呼ばれるXがNRである式(XIV)の中間体との反応により製造することができる。反応は、例えばエタノールのような反応不活性溶媒中で、例えば80℃のような適度に高い温度で反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(11)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0089】
【化16】

【0090】
実験方法12
式(XIV−a)の中間体は、反応スキーム(12)に従って式(XV)の中間体の臭素化により製造することができる。反応は、例えば四塩化炭素のような反応不活性溶媒中で、例えばN−ブロモスクシンイミドのような適当な臭素化剤と、例えば10〜15℃のような適度に低い温度で反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(12)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0091】
【化17】

【0092】
実験方法13
式(XV)の中間体は、反応スキーム(13)に従って式(XVI)の中間体の脱カル
ボキシル化により製造することができる。反応は、例えば水のような反応不活性溶媒中で、例えば酢酸のような適当な酸性剤(acidic agent)と、100℃のような適度に高い温度で、反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(13)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0093】
【化18】

【0094】
実験方法14
式(XVI)の中間体は、反応スキーム(14)に従って式(XVII)の中間体の反応により製造することができる。反応は、例えばエタノールのような反応不活性溶媒中で、例えばナトリウムエトキシドのような適当な塩基と、例えば85℃のような適度に高い温度で、反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(14)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0095】
【化19】

【0096】
実験方法15
式(XVII)の中間体は、反応スキーム(15)に従って塩化マロニルエチルと式(XVIII)の中間体との反応により製造することができる。反応は、例えばジクロロメタンのような反応不活性溶媒中で、例えばトリエチルアミンのような適当な塩基と、0℃のような低温で、反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(15)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0097】
【化20】

【0098】
実験方法16
式(XVIII)の中間体は、反応スキーム(16)に従ってアクリル酸エチルと式(XIX)の適切なアミンとの反応により製造することができる。反応は、例えばエタノールのような反応不活性溶媒中で、例えば塩酸のような適当な酸と、90℃のような高温で、反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(16)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0099】
【化21】

【0100】
実験方法17
本明細書により(XII−b)と呼ばれる、XがN−Hである式(XII)の中間体は、反応スキーム(17)に従って式(XX)の中間体から製造することができる。反応は、当業者に既知である反応条件を適応して、例えば塩酸のようなtert−ブトキシカルボニル基の切断用の適当な試薬で行われる。反応スキーム(17)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0101】
【化22】

【0102】
実験方法18
式(XX)の中間体は、反応スキーム(18)に従ってチオ尿素と式(XXI)の中間体との反応により製造することができる。反応は、例えばエタノールのような反応不活性溶媒中で、例えば80℃のような適度に高い温度で反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(18)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0103】
【化23】

【0104】
実験方法19
式(XXI)の中間体は、反応スキーム(19)に従って式(XXII)の中間体の臭素化により製造することができる。反応は、例えば四塩化炭素のような反応不活性溶媒中で、例えばN−ブロモスクシンイミドのような適当な臭素化剤と、例えば10℃〜15℃のような適度に低い温度で反応を完了させる期間にわたって行われる。反応スキーム(19)において、全ての変記号は式(I)において定義した通りである。
【0105】
【化24】

【0106】
式(III)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)および(XXII)の出発材料は、市販されているかもしくは当業者に周知である通常の反応方法に従って製造することができる化合物である。
【0107】
従って、式(III)の中間体は、例えばChem.Rev.2007,107(3),874−922;Chem.Rev.2006,106(12),5387−5412およびそこに引用される参考文献に記載の通り製造することができ、もしくは市販されている。
【0108】
従って、式(VII)の中間体は、例えばJ.Am.Chem.Soc.2002,124(27),8001−8006;J.Org.Chem.2008,73(14),5589−5591;Org.Lett.2008,10(5),811−814およびそこに引用される参考文献に記載の通り製造することができ、もしくは市販されている。
【0109】
従って、式(VIII)の中間体は、例えばJ.Org.Chem.2008,73(14),5589−5591;およびそこに引用される参考文献に記載の通り製造することができ、もしくは市販されている。
【0110】
従って、式(XI)および式(XIX)の中間体は、商業的に入手することができる。
【0111】
従って、式(XII−a)の中間体は、商業的に入手することができる。
【0112】
薬理学
本発明において提供される化合物は代謝型グルタミン酸受容体の正のアロステリック調節因子であり、特にそれらはmGluR5の正のアロステリック調節因子である。本発明の化合物はグルタミン酸認識部位、オルトステリックリガンド部位にではなく、代わりにアロステリック部位に結合するようである。グルタミン酸塩もしくはmGluR5のアゴニストの存在下で、本発明の化合物はmGluR5反応を増大する。本発明において提供される化合物は、グルタミン酸塩もしくはmGluR5アゴニストへのそのような受容体の反応を増大するそれらの能力に基づいてmGluR5でそれらの効果を有し、受容体の反応を高めると考えられる。
【0113】
本明細書において用いる場合「処置」という用語は、疾病の進行の遅延、遮断、抑止もしくは停止があり得る全ての過程をさすものとするが、全ての症状の全消失を必ずしも示さない。
【0114】
従って、本発明は、医薬品としての使用のためのもしくは薬剤としての使用のための本発明の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物に関する。
【0115】
本発明はまた、薬剤の製造のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物、または本発明の製薬学的組成物の使用に、ならびにその処置もしくは防止がmGluR5のアロステリック調節因子、特にその正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類における症状を処置するかもしくは防ぐ、特に処置するための薬剤の製造のための本発明の化合物もしくは本発明の製薬学的組成物の使用にも関する。
【0116】
本発明はまた、その処置もしくは防止がmGluR5のアロステリック調節因子、特にその正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類における症状の処置もしくは防止、特に処置における使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物、または本発明の製薬学的組成物にも関する。
【0117】
本発明はまた、その処置もしくは防止がmGluR5の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類におけるグルタミン酸機能障害と関連する様々な神経および精神疾患の危険性の処置、防止、改善、制御もしくは減少における使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物、または本発明の製薬学的組成物にも関する。
【0118】
また、本発明は、その処置もしくは防止がmGluR5の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類におけるグルタミン酸機能障害と関連する様々な神経および精神疾患の危険性を処置するか、防ぐか、改善するか、制御するかもしくは減らすための薬剤の製造のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物、または本発明の製薬学的組成物の使用にも関する。
【0119】
本発明はまた、その処置もしくは防止がmGluR5のアロステリック調節因子、特にその正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類における症状を処置するかもしくは防ぐ、特に処置するための薬剤の製造における使用のための本発明の化合物もしくは本発明の製薬学的組成物にも関する。本発明はまた、その処置もしくは防止がmGluR5のアロステリック調節因子、特にその正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類における症状を処置するかもしくは防ぐ、特に処置するための本発明の化合物もしくは本発明の製薬学的組成物にも関する。
【0120】
また、本発明はその処置もしくは防止がmGluR5の正のアロステリック調節因子の神経調節作用によりもたらされるかもしくは促進される、ヒトを包含する哺乳類におけるグルタミン酸機能障害と関連する様々な神経および精神疾患の危険性を処置するか、防ぐか、改善するか、制御するかもしくは減らすための薬剤の製造のための本発明の化合物もしくは本発明の製薬学的組成物の使用にも関する。
【0121】
本発明が例えば哺乳類の処置のための薬剤の製造のための本発明の化合物もしくは組成物の使用に関するといわれる場合、そのような使用は、本発明の化合物もしくは組成物の有効量をそのような例えば処置を必要とする哺乳類に投与することを含んでなる、哺乳類の例えば処置の方法としてある種の法域において解釈されるべきであることが理解される。
【0122】
特に、グルタミン酸機能障害と関連する神経および精神疾患には、以下の症状もしくは疾病の1つもしくはそれ以上が包含される:急性神経および精神疾患、例えば心臓バイパス手術および移植の後の脳障害、脳卒中、脳虚血、脊髄損傷、頭部外傷、周生期低酸素症、心停止、低血糖性神経損傷、認知症(エイズ誘発認知症を包含する)、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症、眼損傷、網膜症、認知障害、特発性および薬剤誘発性パーキンソン病、筋肉痙攣および振戦、てんかん、痙攣を包含する筋痙直と関連する疾患、片頭痛(片頭痛(migraine headache)を包含する)、尿失禁、物質耐性、物質離脱(例えばアヘン剤、ニコチン、タバコ製品、アルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、鎮静剤、睡眠薬などのような物質を包含する)、精神病、統合失調症(その陽性、陰性および認知症状を包含する)、不安神経症(全般性不安障害、パニック障害および強迫神経症を包含する)、気分障害(鬱病、躁病、両極性障害を包含する)、三叉神経痛、難聴、耳鳴り、眼の黄斑変性、嘔吐、脳浮腫、疼痛(急性および慢性状態、激痛、難治性疼痛、神経障害性疼痛および外傷後疼痛を包含する)、遅発性ジスキネジー、睡眠障害(ナルコレプシーを包含する)、注意欠陥/多動性障害ならびに行為障害。
【0123】
特に、症状もしくは疾病は、不安障害、精神病性障害、人格障害、物質関連障害、摂食障害、気分障害、片頭痛、てんかんもしくは痙攣性疾患、小児期障害、認知障害、神経変性、神経毒性および虚血の群から選択される中枢神経系疾患である。
【0124】
好ましくは、中枢神経系疾患は、広場恐怖症、全般性不安障害(GAD)、強迫神経症(OCD)、パニック障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、対人恐怖症および他の恐怖症の群から選択される不安障害である。
【0125】
好ましくは、中枢神経系疾患は、統合失調症、妄想性障害、統合失調性感情障害、統合失調症様障害および物質誘発性精神病性障害の群から選択される精神病性障害である。
【0126】
好ましくは、中枢神経系疾患は、強迫性人格障害および統合失調質、統合失調症性障害の群から選択される人格障害である。
【0127】
好ましくは、中枢神経系疾患は、アルコール中毒、アルコール依存症、アルコール離脱、アルコール離脱性せん妄、アルコール誘発性精神病性障害、アンフェタミン依存症、アンフェタミン離脱、コカイン依存症、コカイン離脱、ニコチン依存症、ニコチン離脱、オピオイド依存症およびオピオイド離脱の群から選択される物質関連障害である。
【0128】
好ましくは、中枢神経系疾患は、神経性無食欲症および神経性過食症の群から選択される摂食障害である。
【0129】
好ましくは、中枢神経系疾患は、双極性障害(IおよびII)、気分循環性障害、鬱病、気分変調性障害、大鬱病性障害および物質誘発性気分障害の群から選択される気分障害である。
【0130】
好ましくは、中枢神経系疾患は片頭痛である。
【0131】
好ましくは、中枢神経系疾患は、全身非痙攣性てんかん、全身痙攣性てんかん、小発作てんかん重積症、大発作てんかん重積症、意識の障害のあるもしくはない部分てんかん、乳児痙攣、持続性部分てんかんおよびてんかんの他の形態の群から選択されるてんかんもしくは痙攣性疾患である。
【0132】
好ましくは、中枢神経系疾患は注意欠陥/多動性障害である。
【0133】
好ましくは、中枢神経系疾患は、せん妄、物質誘発性持続性せん妄、認知症、HIV疾患による認知症、ハンチントン病による認知症、パーキンソン病による認知症、アルツハイマー型の認知症、物質誘発性持続性認知症および軽度認識障害の群から選択される認知障害である。
【0134】
上記の疾患のうち、統合失調症および認知症の処置は特に重要である。
【0135】
現在、米国精神医学会の精神疾患の診断と統計の手引の第4版(DSM−IV)は、本明細書に記述される疾患の同定のための診断手段を提供する。本明細書に記述される神経および精神疾患の別の命名法、疾病分類学および分類体系が存在すること、ならびにこれらは医学および科学の進歩とともに発展することを当業者は認識する。
【0136】
従って、本発明はまた、上記の疾病のいずれか1つの処置における使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物にも関する。
【0137】
本発明はまた、上記の疾病のいずれか1つを処置することにおける使用のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物にも関する。
【0138】
本発明はまた、上記の疾病のいずれか1つの処置もしくは防止、特に処置のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物にも関する。
【0139】
本発明はまた、上記の疾病のいずれか1つの処置もしくは防止用の薬剤の製造のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物の使用にも関する。
【0140】
本発明はまた、上記の疾病のいずれか1つの処置用の薬剤の製造のための一般式(I)の化合物、その立体異性体ならびにその製薬学的に許容しうる酸もしくは塩基付加塩および溶媒和物の使用にも関する。
【0141】
本発明の化合物は、上記の疾病のいずれか1つの処置もしくは防止のために哺乳類、好ましくはヒトに投与することができる。
【0142】
式(I)の化合物の有用性を考慮して、上記の疾病のいずれか1つを患っているヒトを包含する温血動物を処置する方法および上記の疾病のいずれか1つをヒトを包含する温血動物において防ぐ方法が提供される。
【0143】
該方法は、ヒトを包含する温血動物への式(I)の化合物、その立体異性体およびその製薬学的に許容しうる付加塩もしくは溶媒和物の治療的に有効な量の投与、すなわち全身もしくは局所投与、好ましくは経口投与を含んでなる。
【0144】
従って、本発明はまた、防止および/もしくは処置を必要とする患者に本発明の化合物の治療的に有効な量を投与することを含んでなる上記の疾病のいずれか1つの防止および/もしくは処置の方法にも関する。
【0145】
本発明のPAMの治療的に有効な量は、mGluR5の活性を調節するために十分な量であることならびにこの量はとりわけ疾病のタイプ、治療製剤における化合物の濃度および患者の症状により異なることを当業者は認識する。一般に、本明細書に記述される疾患のような、mGluR5の調節が有益である疾病を処置するための治療薬として投与されるPAMの量は、主治医によりケースバイケースで決定される。
【0146】
一般に、適当な用量は0.5nM〜200μM、そしてさらに通常は5nM〜50μMの範囲において処置部位でPAMの濃度をもたらすものである。これらの処置濃度を得るために、おそらく処置を必要とする患者は約0.01mg/kg〜約50mg/kg体重、好ましくは約0.01mg/kg〜約25mg/kg体重、より好ましくは約0.01mg/kg〜約10mg/kg体重、より好ましくは約0.01mg/kg〜約2.5mg/kg体重、さらにより好ましくは約0.05mg/kg〜約1mg/kg体重、より好ましくは約0.1〜約0.5mg/kg体重の有効治療毎日量を投与される。治療的効果を得るために必要とされる、有効成分とも本明細書において呼ばれる、本発明の化合物の量は、もちろんケースバイケースで異なり、特定の化合物、投与の経路、レシピエントの年齢および症状、ならびに処置する特定の疾患もしくは疾病によって異なる。処置の方法はまた、1日に1〜4回の間の服用の処方計画で有効成分を投与することを含むこともできる。これらの処置方法において、本発明の化合物は好ましくはアドミッション(admission)の前に調合される。以下に本明細書において記載の通り、適当な製薬学的製剤は周知のそして容易に利用可能な成分を用いて既知の方法により製造される。
【0147】
式(I)の化合物を包含する、mGluR5のそのような正のアロステリック調節因子はグルタミン酸塩へのmGluR5の反応を高めるので、本発明の方法が内因性グルタミン酸塩を利用することは有益である。
【0148】
式(I)の化合物を包含する、mGluR5の正のアロステリック調節因子はアゴニストへのmGluR5の反応を高めるので、本発明は、mGluR5アゴニストと組み合わせて式(I)の化合物を包含するmGluR5の正のアロステリック調節因子の有効量を投与することによる、例えば上記のもののような、グルタミン酸機能障害と関連する神経および精神疾患の処置にまで及ぶことが理解される。
【0149】
本発明の化合物は、式(I)の化合物もしくは他の薬剤が有用性を有し得る疾病もしくは症状の危険性の処置、防止、制御、改善もしくは軽減において1つもしくはそれ以上の他の薬剤と組み合わせて利用することができ、ここで、一緒の薬剤の組み合わせはいずれかの薬剤のみより安全であるかもしくは有効である。
【0150】
製薬学的組成物
本発明はまた、本明細書に記述される疾患のような、mGluR5受容体の調節が有益である疾病を防ぐかもしくは処置するための組成物も提供する。有効成分を単独で投与することは可能であるが、製薬学的組成物としてそれを与えることが好ましい。従って、本発明はまた製薬学的に許容し得る担体もしくは希釈剤および有効成分として本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物もしくはその立体化学的異性体の治療的に有効な量を含んでなる製薬学的組成物にも関する。担体もしくは希釈剤は、組成物の他の成分と適合しそしてそのレシピエントに有害でないという意味において「許容可能」でなければならない。
【0151】
本発明の化合物、特に式(I)の化合物、その製薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物および立体化学的異性体、またはその任意の亜群もしくは組み合わせは、投与目的のために様々な製薬学的形態に調合することができる。適切な組成物として、薬剤を全身的に投与するために通常用いられる全ての組成物を挙げることができる。
【0152】
本発明の製薬学的組成物は、薬学の分野において周知である任意の方法により、例えばGennaro et al.Remington’s Pharmaceutical
Sciences(18thed.,Mack Publishing Company,1990,特にPart 8:Pharmaceutical preparations and their Manufactureを参照)に記載のもののような方法を用いて製造することができる。本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効成分として、場合により塩形態における、特定の化合物の有効量を製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤とよく混合して合わせ、この担体もしくは希釈剤は投与に所望される製剤の形態により多種多様な形態をとることができる。これらの製薬学的組成物は、特に経口的、経直腸的、経皮的、非経口注射によるかもしくは吸入による投与に適当な単位投与形態物においてが望ましい。例えば、経口投与形態物における組成物を製造することにおいて、例えば懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳剤および液剤のような経口用液状製剤の場合には例えば水、グリコール、油、アルコールなどのような通常の製薬学的媒質のいずれかを;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には例えば澱粉、糖、カオリン、希釈剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などのような固形担体を用いることができる。投与の容易さのために、経口投与が好ましく、そして錠剤およびカプセル剤は最も都合のよい経口投与単位形態物に相当し、この場合、固形の製薬学的担体が明らかに用いられる。非経口組成物では、溶解性を促進するために他の成分、例えば界面活性剤を含むことができるが、担体は少なくとも大部分において滅菌水を通常は含んでなる。例えば、注入可能な液剤を製造することができ、ここで、担体は食塩水溶液、グルコース溶液もしくは食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注入可能な懸濁剤もまた製造することができ、この場合、適切な液状担体、懸濁化剤などを用いることができる。また包含されるのは、使用直前に液状製剤に転化することが意図される固形製剤である。経皮投与に適当な組成物において、担体は、場合によりわずかな割合の任意の性質の適当な添加剤と組み合わせて、場合により浸透促進剤および/もしくは適当な湿潤剤を含んでなってもよく、これらの添加剤は皮膚に重大な悪影響をもたらさない。該添加剤は皮膚への投与を容易にすることができ、そして/もしくは所望の組成物を製造するために役立ち得る。これらの組成物は様々な方法において、例えば経皮パッチとして、スポットオンとして、軟膏として投与することができる。
【0153】
投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投与形態物における上記の製薬学的組成物を調合することは特に有益である。単位投与形態物は、本明細書において用いる場合、単位投薬量として適当な物理的に別個の単位をさし、各単位は必要とされる製薬学的担体と会合して所望の治療効果をもたらすように計算された有効成分の所定の量を含有する。そのような単位投与形態物の例は、錠剤(分割錠もしくはコート錠を包含する)、カプセル剤、丸剤、散剤パケット、カシェ剤、座薬、注入可能な液剤もしくは懸濁剤など、およびその分離した倍量である。
【0154】
本発明の化合物は経口投与可能な化合物であるので、経口投与のための補助化合物を含んでなる製薬学的組成物は特に有益である。
【0155】
製薬学的組成物における式(I)の化合物の溶解性および/もしくは安定性を高めるために、α−、β−もしくはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体、特にヒドロキシアルキル置換されたシクロデキストリン、例えば2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンもしくはスルホブチル−β−シクロデキストリンを用いることは有益であり
得る。また、アルコールのような共溶媒は、製薬学的組成物における本発明の化合物の溶解性および/もしくは安定性を向上することができる。
【0156】
正確な投薬量および投与の頻度は、当業者に周知であるように、使用する式(I)の特定の化合物、処置する特定の症状、処置する症状の重症度、特定の患者の年齢、体重、性別、疾患の程度および一般的な身体状態ならびに個体が服用している可能性がある他の薬剤により決まる。さらに、該有効毎日量は、処置した患者の反応によりそして/もしくは本発明の化合物を処方する医師の評価により減らすかもしくは増やし得ることは明らかである。
【0157】
投与の形態により、製薬学的組成物は0.05〜99重量%、好ましくは0.1〜70重量%、より好ましくは0.1〜50重量%の有効成分、および1〜99.95重量%、好ましくは30〜99.9重量%、より好ましくは50〜99.9重量%の製薬学的に許容しうる担体を含んでなり、全てのパーセンテージは組成物の総重量に基づく。
【0158】
単一の投与形態物を製造するために担体材料と組み合わせることができる式(I)の化合物の量は、処置する疾病、哺乳類種および特定の投与形態により異なる。しかしながら、一般的な指針として、本発明の化合物の適当な単位用量は、例えば、好ましくは0.1mg〜約1000mgの間の活性化合物を含有することができる。好ましい単位用量は1mg〜約500mgの間である。より好ましい単位用量は1mg〜約300mgの間である。さらにより好ましい単位用量は1mg〜約100mgの間である。そのような単位用量は、70kgの成人の総投薬量が投与当たり患者のkg体重につき0.001〜約15mgの範囲であるように、1日に1回より多く、例えば1日に2、3、4、5もしくは6回、しかし好ましくは1日に1もしくは2回投与することができる。好ましい投薬量は投与当たり患者のkg体重につき0.01〜約1.5mgであり、そしてそのような治療は何週間もしくは何ヶ月そして場合によっては何年にもわたって延長することができる。しかしながら、任意の特定の患者の特定の用量レベルは、当業者により良く理解されるように、用いる特定の化合物の活性;処置する個体の年齢、体重、一般的な健康、性別および食事;投与の期間および経路;排出の速度;これまでに投与されている他の薬剤;ならびに治療を受ける特定の疾病の重症度を包含する様々な因子により決まることが理解される。
【0159】
典型的な投薬量は、1日に1回もしくは1日に何回も服用する1個の1mg〜約100mg錠剤もしくは1mg〜約300mg、あるいは1日に1回服用しそして比例して高い含有量の有効成分を含有する1個の持続放出型カプセル剤もしくは錠剤であることができる。持続放出効果は、異なるpH値で溶解するカプセル材料により、浸透圧でゆっくり放出するカプセル剤により、もしくは制御放出の任意の他の既知の手段により得ることができる。
【0160】
当業者に明らかであるように、場合によってはこれらの範囲外の投薬量を使用することが必要であり得る。さらに、臨床医もしくは処置する医師は、個々の患者反応と併せて治療をどのようにしてそしていつ開始するか、中断するか、調整するかもしくは終わらせるかを分かっていることに留意する。
【0161】
すでに記載したように、本発明はまた、式(I)の化合物もしくは他の薬剤が有用性を有し得る疾病もしくは症状の危険性の処置、防止、制御、改善もしくは軽減における本発明の化合物および1つもしくはそれ以上の他の薬剤を含んでなる製薬学的組成物にならびに薬剤の製造のためのそのような組成物の使用にも関する。式(I)の化合物もしくは他の薬剤が有用性を有し得る疾病もしくは症状の危険性の処置、防止、制御、改善もしくは軽減における薬剤の製造のためのそのような組成物の使用もまた意図される。本発明はま
た、本発明の化合物とmGluR5オルトステリックアゴニストとの組み合わせにも関する。本発明はまた、薬剤としての使用のためのそのような組み合わせにも関する。本発明はまた、その処置もしくは防止がmGluR5アロステリック調節因子、特に正のmGluR5アロステリック調節因子の神経調節効果によりもたらされるかもしくは促進される、例えば上記の症状のような、ヒトを包含する哺乳類における症状の処置もしくは防止における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として、(a)本発明の化合物、その製薬学的に許容しうる塩もしくはその溶媒和物、および(b)mGluR5オルトステリックアゴニストを含んでなる製品にも関する。そのような組み合わせもしくは製品の異なる薬剤は製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤と一緒に単一の製剤において組み合わせることができ、またはそれらは製薬学的に許容しうる担体もしくは希釈剤と一緒に別個の製剤に各々存在することができる。
【0162】
以下の実施例は本発明を説明するがその範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0163】
実験部分
本発明の化合物を製造するためのいくつかの方法を以下の実施例において説明する。他に記載されない限り、全ての出発材料は商業的供給業者から入手し、そしてさらに精製せずに使用した。
【0164】
以下、「m.p.」という用語は融点を意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「DMF」はジメチルホルムアミドを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「ACN」はアセトニトリルを意味し、「AcOEt」は酢酸エチルを意味し、「AcOH」は酢酸を意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「MeOH」はメタノールを意味する。
【0165】
マイクロ波支援反応は、シングルモード反応器:InitiatorTM Sixty
EXPマイクロ波反応器(Biotage AB)において、もしくはマルチモード反応器:MicroSYNTH Labstation(Milestone,Inc.)において行った。
【0166】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、試薬グレード溶媒を用いてシリカゲル60 F254プレート(Merck)上で実施した。オープンカラムクロマトグラフィーは、標準的な技術を用いてシリカゲル、粒径60Å、メッシュ=230〜400(Merck)上で行った。自動フラッシュカラムクロマトグラフィーは、Armen InstrumentからのSPOTもしくはLAFLASHシステム上の不定形シリカ、粒径15〜40μm(順相使い捨てフラッシュカラム)上で、Merckからの連結式カートリッジを使用して行った。
【0167】
A.中間体の製造
実施例A1
中間体1の製造
【0168】
【化25】

【0169】
ACN(250mL)中の2−アミノ−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(19g、112mmol)、臭化銅(II)(27g、120mmol)および3−メチル−1−ニトロソオキシ−ブタン(18g、153mmol)の混合物を80℃で1時間加熱した。反応混合物を次に室温まで冷却し、そしてHClの10%溶液に注ぎ込んだ。混合物をDCMで抽出し、そして有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて19.6g(75%)の中間体1を生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0170】
実施例A2
中間体2の製造
【0171】
【化26】

【0172】
四塩化炭素(500mL)中の2,4−ジオキソ−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(40g、187.58mmol)の混合物に10℃〜15℃の範囲において反応温度を維持してN−ブロモスクシンイミド(33.38g、187.58mmol)を少しずつ加えた。混合物を10℃〜15℃で2時間さらに攪拌した。反応混合物を室温まで温めておき、そして溶媒を真空中で蒸発させた。このようにして得られる残留物をAcOEtに溶解し、そしてHOで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて30g(55%)のラセミ中間体2を生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0173】
実施例A3
中間体3の製造
【0174】
【化27】

【0175】
EtOH(400mL)中の中間体2(25g、85.6mmol)、チオ尿素(6.5g、85.6mmol)およびNaHCO(7.2g、85.6mmol)の混合物を80℃で2.5時間加熱した。反応混合物を次に室温まで冷却し、そして固体を濾過して分離した。濾液を真空中で蒸発させて残留物を生成せしめ、それをEtOHから結晶化させた。このようにして得られる黄色の結晶を濾過して分離し、そして乾燥させて15g(66%)の中間体3を生成せしめた。
【0176】
実施例A4
中間体4の製造
【0177】
【化28】

【0178】
1,4−ジオキサン中のHClの4M溶液(100mL)中の中間体3(15g、55.6mmol)の溶液を室温で30分間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させて10g(95%)の中間体4を黄色の粉末として生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0179】
実施例A5
中間体5の製造
【0180】
【化29】

【0181】
クロロホルム(250mL)中の2−アミノ−5,6−ジヒドロ−4H−ベンゾチアゾール−7−オン(10g、59mmol)の攪拌溶液に室温で濃HSOを加えた。次にアジ化ナトリウム(7.6g、117mmol)を混合物に2時間にわたって注意深く加えた(激しいガス発生)。反応混合物を室温で48時間さらに攪拌した。砕いた氷に混合物を注ぎ込み、そして溶液のpHが約9になるまでNaHCOの飽和溶液を加えた。生じた沈殿を濾過して分離し、そしてHOおよびAcOEtで洗浄した。固体をオーブン(T=50℃)中で乾燥させて9g(83%)の中間体5を生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0182】
実施例A6
中間体6の製造
【0183】
【化30】

【0184】
ACN(100mL)中の中間体4(8g、39.8mmol)、臭化銅(II)(10.43g、46.68mmol)および3−メチル−1−ニトロソオキシ−ブタン(6.8g、58.35mmol)の混合物を室温で1.5時間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させた。このようにして得られる残留物をAcOEtに溶解し、そしてHOで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて5g(55%)の中間体6を生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0185】
実施例A7
中間体7の製造
【0186】
【化31】

【0187】
ACN(250mL)中の中間体5(20g、109mmol)、臭化銅(II)(24g、107mmol)および3−メチル−1−ニトロソオキシ−ブタン(33.5g、286mmol)の混合物を80℃で1時間加熱した。次に反応混合物を室温まで冷却し、そしてHClの10%溶液に注ぎ込んだ、混合物をDCMで抽出し、そして有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて23g(87%)の中間体7を生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0188】
実施例A8
中間体8の製造
【0189】
【化32】

【0190】
室温でTHF(45mL)およびトリエチルアミン(22.5mL)の混合物中の3−ブロモ−5−フルオロピリジン(5g、28.4mmol)、トリメチルシリルアセチレン(3.35g、34mmol)およびヨウ化銅(I)(0.13g、0.68mmol)の溶液にPdCl(PPh(0.48g、0.68mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で室温で14時間攪拌し、次に真空中で濃縮した。このようにして得られる残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;石油エーテル/AcOEt 10:1)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて0.9g(16%)の中間体8を褐色の油として生成せしめた。
【0191】
実施例A9
中間体9の製造
【0192】
【化33】

【0193】
AcOH(7mL)中の4−フルオロアニリン(11.5mL、121.4mmol)の溶液にアクリル酸エチル(15.85mL、145.68mmol)を加えた。混合物を封管中90℃で18時間攪拌した。反応混合物を室温まで温めておき、そして次に冷却した水上に注ぎ、NaCOの10%溶液の添加により塩基性化し、そしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;AcOEt/ヘプタン 0/100〜10/90)により精製した。所望の画分を集め、そして真空中で蒸発させて24.6g(66%)の中間体9を生成せしめた。
【0194】
実施例A10
中間体10の製造
【0195】
【化34】

【0196】
DCM(10mL)中の中間体9(10g、47.34mmol)の溶液に、塩化マロニルエチル(7.88mL、61.54mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(16.49mL、94.68mmol)を加えた。混合物を室温で1時間攪拌し、そして次に追加のDCMで希釈し、そしてNHClの飽和溶液で洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;AcOEt/ヘプタン 0/100〜20/80)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて11g(71%)の中間体11を橙色の油として生成せしめた。
【0197】
実施例A11
中間体11の製造
【0198】
【化35】

【0199】
EtOH中のナトリウムエトキシドの21%溶液(14.39mL、38.55mmol)中の中間体10(6.27g、19.27mmol)の混合物を85℃で16時間攪拌した。溶媒を真空中で蒸発させ、そして残留物をAcOEtとHOの間で分配した。水層を分離し、1N HCl溶液の添加により酸性化し、そしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて5g(93%)の中間体11を生成せしめ、さらに精製せずに次の段階において使用した。
【0200】
実施例A12
中間体12の製造
【0201】
【化36】

【0202】
AcOH(0.6mL)およびHO(59.4mL)の混合物中の中間体11(7.5g、26.86mmol)の溶液を90℃で16時間攪拌した。反応混合物を乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて5.5g(99%)の中間体12を生成せしめ、それをさらに精製せずに次の段階において使用した。
【0203】
実施例A13
中間体13の製造
【0204】
【化37】

【0205】
0℃でDCM(60mL)中の中間体12(5.5g、26.54mmol)の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(5.2g、29.2mmol)を加えた。混合物を0℃で30分間攪拌し、そして溶媒を真空中で蒸発させて7.7g(>100%)の中間体13を生成せしめ、さらに精製せずに次の段階において使用した。
【0206】
実施例A14
中間体14の製造
【0207】
【化38】

【0208】
エタノール(60mL)中の中間体13(4.14g、14.48mmol)、チオ尿素(1.1g、14.48mmol)およびNaHCO(1.22g、14.48mmol)の混合物を80℃で1時間加熱した。次に反応混合物を室温まで冷却し、そして固体を濾過して分離した。濾液を真空下で濃縮して3.1g(81%)の中間体14を生成せしめ、さらに精製せずに次の段階において使用した。
【0209】
実施例A15
中間体15の製造
【0210】
【化39】

【0211】
ACN(80mL)中の中間体14(3g、11.39mmol)、臭化銅(II)(3.05g、13.67mmol)および3−メチル−1−ニトロソオキシ−ブタン(2.3mL、17.09mmol)の混合物を室温で45分間攪拌した。次に反応混合物を真空中で濃縮した。このようにして得られる残留物をAcOEtとHOの間で分配した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;AcOEt/ヘプタン 0/100〜30/70)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて1.2g(32%)の中間体15を白色の固体として生成せしめた。
【0212】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【0213】
【化40】

【0214】
室温で1,4−ジオキサン(50mL)中の中間体1(2.3g、9.86mmol)、フェニルアセチレン(2.01g、19.7mmol)、ヨウ化銅(I)(0.2g、1.05mmol)およびトリエチルアミン(2.98g、29.58mmol)の溶液に[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)(0.2g、0.245mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で還流で2時間攪拌した。反応混合物を次に室温まで冷却し、そして揮発性物質を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;石油エーテル/AcOEt
1:2)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて1.2g(52%)の化合物1を固体として生成せしめた。H NMR(400MHz,CDC1)δppm2.28(quin,J=6.4Hz,2H),2.70(t,J=6.3Hz,2H),3.13(t,J=6.1Hz,2H),7.39−7.53(m,3H),7.60−7.70(m,2H).
【0215】
実施例B2
化合物2の製造
【0216】
【化41】

【0217】
室温でTHF(8mL)中の中間体1(0.2g、0.86mmol)、中間体8(0.25g、1.29mmol)、ヨウ化銅(I)(0.006g、0.034mmol)およびPdCl(PPh(0.012g、0.017mmol)の溶液に窒素雰囲気下でフッ化テトラブチルアンモニウム(2.58mL、2.58mmol;THF中1M溶液)を加えた。反応混合物を室温で14時間攪拌し、次に真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;石油エーテル/AcOEt 5:1)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて化合物2(101.5mg、43%の収率)を黄色の固体として生成せしめた。H NMR(300MHz,CDC1)δppm2.19(quin,J=6.4Hz,2H),2.50−2.72(m,2H),3.04(t,J=6.2Hz,2H),7.55(dd,J=8.3,1.3Hz,1H),8.50(br.s.,1H),8.63(br.s.,1H).
【0218】
実施例B3
化合物3の製造
【0219】
【化42】

【0220】
室温で1,4−ジオキサン(50mL)中の中間体6(2.33g、10mmol)、フェニルアセチレン(2.0g、20mmol)およびトリエチルアミン(4.5g、45mmol)の溶液に窒素雰囲気下で[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロ−パラジウム(II)(0.73g、1mmol)およびヨウ化銅(I)(0.75g、4mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で80℃で2時間攪拌し、次に室温まで冷却し、そして真空中で濃縮した。得られる残留物をAcOEtに溶解し、そしてHOで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;石油エーテル/AcOEt 10:1〜1:1)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて化合物3(0.7g、30%の収率)を褐色の固体として生成せしめた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm3.00(t,J=7.0Hz,2H),3.50(td,J=7.0,2.5Hz,2H),7.44−7.57(m,3H),7.63−7.72(m,2H),8.07(br.s.,1H).
【0221】
実施例B4
化合物4の製造
【0222】
【化43】

【0223】
ACN(50ml)中の化合物3(0.25g、0.98mmol)、ヨウ化メチル(0.84g、5.9mmol)および炭酸セシウム(1.9g、5.9mmol)の混合物を80℃で一晩攪拌した。次に反応混合物を室温まで冷却し、そして真空中で濃縮した。粗生成物を逆相HPLC(勾配溶出:ACN中0.1%TFA/HO中0.1%TFA)により精製した。所望の画分を集め、NaHCO(水性飽和溶液)で洗浄し、そしてAcOEtで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて化合物4(50.3mg、19%の収率)を生成せしめた。H NMR(400MHz,DMSO−d)δppm2.97(s,3H),3.09(t,J=7.2Hz,2H),3.67(t,J=7.2Hz,2H),7.43−7.58(m,3H),7.67(d,J=6.8Hz,2H).
【0224】
実施例B5
化合物5の製造
【0225】
【化44】

【0226】
室温で、1,2−ジメトキシエタン(9mL)およびHO(3mL)中の中間体1(0.6g、2.6mmol)、トランス−2−フェニルボロン酸(0.38g、2.6mmol)およびNaCO(0.54g、5.2mmol)の溶液にPd(PPh(0.09g、0.06mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で80℃で一晩攪拌した。次に反応混合物を室温まで冷却し、HO(15mL)で希釈し、そしてAcOEt(15mL)で抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカ;石油エーテル/AcOEt 5:1)により精製した。所望の画分を集め、そして溶媒を真空中で蒸発させて化合物5(350mg、52%の収率)を生成せしめた。
【0227】
実施例B6
化合物6の製造
【0228】
【化45】

【0229】
THF(10mL)中の化合物5(0.35g、1.37mmol)の溶液に10%パラジウム担持木炭(palladium on charcoal)(0.035g)を加えた。混合物を室温で一晩水素化した。触媒を濾過して分離し、そして濾液を真空中で蒸発させた。粗生成物を逆相HPLC(勾配溶出:ACN中0.1%TFA/HO中0.1%TFA)により精製した。所望の画分を集め、NaHCO(水性飽和溶液)で洗浄し、そしてAcOEtで抽出した。有機層を分離し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させて化合物6(120mg、34%の収率)を油として生成せしめた。H NMR(300MHz,メタノール−d)δppm2.20(quin,J=6.3Hz,2H),2.61(t,J=6.6Hz,2H),3.02(t,J=6.1Hz,2H),3.12(t,J=7.3Hz,2H),3.33−3.41(m,2H),7.15−7.34(m,5H).
【0230】
実施例7(比較実施例)
化合物7の製造(比較実施例)
【0231】
【化46】

【0232】
窒素雰囲気下で、THF(12mL)中の鉱油中60%水素化ナトリウム(0.183g、4.58mmol)の懸濁液にベンジルアルコール(0.38mL、3.67mmol)を滴下して加えた。混合物を室温で15分間攪拌し、そして次に中間体15(1g、3.06mmol)を加えた。混合物をマイクロ波照射下で封管中120℃で25分間攪拌した。混合物をDCMとHOの間で分配した。有機層を分離し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させた。残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ;AcOEt/DCM/ヘプタン 0/0/100〜10/10/80)により精製し、所望の画分を集め、そして真空中で蒸発させて0.68g(63%)の化合物7を白色の固体として生成せしめた。C1915FNH NMR(400MHz,CDC1)δppm3.08(t,J=6.9Hz,2H),4.01(t,J=6.9Hz,2H),5.49(s,2H),7.08(t,J=8.7Hz,2H),7.29(dd,J=9.0,4.9Hz,2H),7.34−7.54(m,5H).
【0233】
実施例B8
化合物8の製造
【0234】
【化47】

【0235】
室温で1,2−ジメトキシエタン(3mL)およびEtOH(1mL)の混合物中の中間体7(0.2g、0.809mmol)、5’−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,4,5,6−テトラヒドロ−2H−[1,2’]ビピリジニル(0.23g、0.809mmol)およびNaCO(1mL、HO中2M溶液)の溶液にPd(PPh(0.02g、0.013mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で還流で12時間攪拌した。反応混合物を次に室温まで冷却し、そしてAcOEおよびHOを加えた。有機層を分離し、水およびブラインで連続して洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を真空中で蒸発させた。このようにして得られる残留物をMeOH(30mL)で処理した。このようにして形成される黄色の沈殿を濾過して分離し、そして真空中で乾燥させて化合物8(165mg、97%の収率)を生成せしめた。H NMR(300MHz,メタノール−d)δppm1.60−1.80(m,6H),2.10−2.20(m,2H),3.22(t,J=6.4Hz,2H),3.37(d,J=1.5Hz,1H),3.40−3.48(m,2H),3.65−3.75(m,4H),6.87(d,J=9.2Hz,1H),8.00(dd,J=9.0,2.6Hz,1H),8.67(d,J=2.3Hz,1H).
【0236】
実施例B9
化合物9の製造
【0237】
【化48】

【0238】
室温で1,2−ジメトキシエタン(3mL)およびHO(1mL)の混合物中の中間体1(0.2g、0.865mmol)、4−メチル−7−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]オキサジン(0.23g、0.865mmol)およびNaCO(0.23g、0.865mmol)の溶液にPd(PPh(0.03g、0.02mmol)を加えた。反応混合物を窒素雰囲気下で80℃で一晩攪拌し、次に室温まで冷却し、そしてAcOE(5mL)を加えた。有機層を分離し、HOで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、そして溶媒を真空中で蒸発させた。このようにして得られる残留物を逆相HPLC(勾配溶出:ACN中0.1%TFA/HO中0.1%TFA)により精製した。所望の画分を集め、NaHCO(水性飽和溶液)で洗浄し、そしてAcOEt(2x100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、そして真空中で蒸発させて化合物9(28mg、11%の収率)を生成せしめた。H NMR(300MHz,CDCL)δppm2.09−2.22(m,2H),2.51−2.59(m,2H),2.92(s,3H),3.00(t,J=6.1Hz,2H),3.
30−3.36(m,2H),4.20−4.25(m,2H),6.58(d,J=8.3Hz,1H),7.34(d,J=2.3Hz,1H),7.47−7.54(m,1H).
【0239】
表1および表2は、上記実施例に従って製造した化合物を記載する。
【0240】
【表1】

【0241】
【表2】

【0242】
【表3】

【0243】
C.分析部分
LCMS
本発明の化合物の(LC)MS−特性化のために、以下の方法を使用した。
【0244】
一般的方法1
HPLC測定は、ポンプ、ダイオードアレイ検出器(DAD)(使用した波長220nm)および以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるAgilent 1100モジュールを用いて行った。カラムフローは、Agilent MSDシリーズG1946CおよびG1956Aに分けられた。MS検出器は、API−ES(大気圧エレクトロスプレーイオン化)を用いて設定された。質量スペクトルは、100〜1000umaをスキャンすることによりポジティブイオン化モードのみにおいてもしくはポジティブ/ネガティブモードにおいて得られた。キャピラリーニードル電圧はポジティブイオン化モードでは2500Vであり、そしてネガティブイオン化モードでは3000Vであった。フラグメンテーション(fragmentation)電圧は50Vであった。乾燥ガス温度は10L/分の流量で350℃で維持した。
【0245】
方法A
一般的方法1に加えて;逆相HPLCを0.8mL/分の流速でYMC−Pack ODS−AQ、50x2.0mm 5μmカラム上で実施した。2つの移動相(A:0.1%TFAを有する水;B:0.05%TFAを有するACN)での勾配を合計7.5分の実行において使用した。2μLの典型的な注入容量を用いた。オーブン温度は50℃であった。
【0246】
方法B
一般的方法1に加えて;逆相HPLCを0.8mL/分の流速でUltimate XB−C18、50x2.1mm 5μmカラム上で実施した。2つの移動相(A:10mmol/L NHHCO;B:ACN)での勾配を合計7.5分の実行において使用した。2μLの典型的な注入容量を用いた。オーブン温度は50℃であった。
【0247】
一般的方法2
UPLC(超高速液体クロマトグラフィー)測定は、サンプラーオーガナイザー、脱気装置を有するバイナリポンプ、4つのカラムのオーブン、ダイオードアレイ検出器(DAD)および以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるAcquity UPLC(Waters)システムを用いて行った。カラムフローは、MS検出器への分割なしに使用した。MS検出器は、ESCIデュアルイオン化源(大気圧化学イオン化と組み合わせたエレクトロスプレー)を用いて設定された。窒素をネブライザーガスとして用いた。低分解能質量スペクトル(シングル四重極、SQD検出器)は、0.08秒のチャンネル間遅延を用いて0.1秒で100〜1000をスキャンすることによりポジティブ/ネガティブイオン化モードにおいて得られた。キャピラリーニードル電圧は3kVであった。コーン電圧はポジティブイオン化モードでは25V、そしてネガティブイオン化モードでは30Vであった。供給源温度を140℃で保った。
【0248】
方法C
一般的方法2に加えて:逆相UPLCをMS検出器への分割なしに50℃で1.0mL/分の流速でWatersからのBEH−C18カラム(1.7μm、2.1x50mm)上で実施した。2つの移動相(A:0.5g/L酢酸アンモニウム溶液+5%ACN、B:ACN)での勾配を合計5.0分の実行において使用した。注入容量0.5もしくは2.0μL。
【0249】
方法D
分取RP−HPLC精製:RP−HPLCによる精製は、アセトニトリル(非修飾(unmodified))−水(0.1%TFA)カスタム勾配でPhenomenex LunaC18カラム(50x30mm I.D.,5μm)を用いて質量検出によって起こる収集でもしくはGilson Inc.分取UVベースシステムを用いてカスタムHP1100自動精製システム上で行った。
【0250】
逆相Agilent LC−MSは、J−Sphere80−C18、3.0x50mm、4.1分勾配、5%CHCN/HO(両方の移動相において0.05%TFAを有する)〜100%CHCNを用いて行った。
【0251】
一般的方法3
HPLC測定は、ポンプ、ダイオードアレイ検出器(DAD)、カラムヒーターおよび以下のそれぞれの方法において特定されるようなカラムを含んでなるShimadzu LCMS 2010モジュールを用いて行った。カラムからのフローは、API−ES(大気圧エレクトロスプレーイオン化)を用いて設定されたMS検出器に分けられた。
【0252】
方法E
一般的方法3に加えて:逆相UHPLCを0.9mL/分の流速でPhenomenex synergi,30x2.0mm 2.5μmカラム上で実施した。2つの移動相(A:0.1%TFAを有する水;B:0.05%TFAを有するACN)での勾配を用いて0.9分で90%Aおよび10%Bから20%Aおよび80%Bまで、次に1.5分までに0%Aおよび100%Bまでの勾配条件を行い、そして2.0分まで1.55分で初期条件に平衡化した。1μLの典型的な注入容量を使用した。オーブン温度は60℃であった(MS極性:ポジティブ)。
【0253】
融点
値はピーク値もしくは融解範囲のいずれかであり、そしてこの分析方法と一般に関連する実験の不確実性で得られる。
【0254】
DSC
多数の化合物について、融点(m.p.)はDiamond DSC(PerkinElmer)で決定された。融点は10℃/分の温度勾配で測定された。最大温度は300℃であった(表3においてDSCで示される)。値はピーク値である。
【0255】
WRS−2A
多数の化合物について、融点(m.p.)はWRS−2A融点装置(Shanghai
Precision and Scientific Instrument Co.Ltd.)で決定された。融点は0.2〜5.0℃/分の直線的上昇率で測定された。報告される値は融解範囲である。最大温度は300℃であった(表3においてWRS−2Aで示される)。
【0256】
FP
多数の化合物について、融点はMettler FP62上もしくはMettler FP81HT−FP90装置上のいずれかでオープンキャピラリーチューブ中で決定された。融点は10℃/分の温度勾配で測定された。最大温度は300℃であった。融点をデジタル表示から読み取った。
【0257】
核磁気共鳴(NMR)
多数の化合物について、H NMRスペクトルは、それぞれ400MHzおよび500MHzで作動する、標準的なパルスシーケンスでBruker DPX−400上もしくはBruker AV−500分光計上のいずれかで記録した。化学シフト(δ)は、内部標準として使用したテトラメチルシラン(TMS)からの百万分の一(ppm)ダウンフィールド単位で報告される。
【0258】
【表4】

【0259】
【表5】

【0260】
D.薬理学的実施例
本発明において提供される化合物は、mGluR5の正のアロステリック調節因子であ
る。これらの化合物は、グルタミン酸結合部位以外のアロステリック部位に結合することによりグルタミン酸反応を増強するように思われる。グルタミン酸塩の濃度に対するmGluR5の反応は、式(I)の化合物が存在する場合に増加される。式(I)の化合物は、受容体の機能を高めるそれらの能力に基づいてmGluR5で実質的にそれらの効果を有すると考えられる。下記のそしてそのような化合物の同定に適当である細胞内Ca2+動員結合アッセイ方法を用いてmGluR5で正のアロステリック調節因子の作用を試験した。
【0261】
簡潔に言えば、ヒトmGluR5受容体をHEK−293細胞において安定に発現させ、そしてPDL被覆384ウェルプレートにおいて40,000細胞/ウェルの密度で培養した。細胞にカルシウム検出色素Fluo−4 AMを前負荷し、そして様々な濃度の試験化合物を外因性グルタミン酸塩の不在下で加えて直接的アゴニスト活性について試験した。その直後(2.5分)に、グルタミン酸塩のEC20当量(〜0.2μM)を加えた。化合物のみの添加(直接的アゴニスト反応)そして次にグルタミン酸塩のEC20のさらなる添加(正のアロステリック調節反応)の後にHamamatsu Functional Drug Screening System(FDSS)蛍光プレートリーダーを用いて蛍光シグナルをモニターした。EC50は、最大の50%であるグルタミン酸塩EC20媒介反応の増加をもたらす試験化合物濃度の負のlogとして定義された。個々の振幅は、各振幅に100を掛けそして次に積をグルタミン酸塩ECMax処理ウェルから得られる振幅の平均で割ることにより%効果として表された。本願において報告されるEmax値は、濃度反応曲線において得られる最大%効果として定義される。
【0262】
【表6】

【0263】
化合物8の薬理学的データは、同じアッセイにおいてpEC50=5.30、Emax=11%であった。
<4.52のpEC50が、同様のインビトロアッセイにおいて化合物13〜24について概算された。
【0264】
E.机上(prophetic)組成物実施例
これらの実施例を通して使用する場合に「有効成分」は、式(I)の最終化合物、その製薬学的に許容しうる塩、その溶媒和物および立体化学的異性体に関する。
【0265】
本発明の調合のレシピの典型的な実施例は下記の通りである:
【0266】
1.錠剤
有効成分 5〜50mg
第2リン酸カルシウム 20mg
ラクトース 30mg
タルカム 10mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg
ジャガイモ澱粉 200mgまで
本実施例において、有効成分は同量の任意の本発明の化合物で、特に同量の任意の例示化合物で置換することができる。
【0267】
2.懸濁剤
水性懸濁剤は、各1ミリリットルが1〜5mgの活性化合物の1つ、50mgのナトリウムカルボキシメチルセルロース、1mgの安息香酸ナトリウム、500mgのソルビトールおよび水を1mlまで含有するように経口投与用に製造される。
【0268】
3.注入剤
非経口組成物は、水中10体積%のプロピレングリコールに1.5重量%の本発明の有効成分を攪拌することにより製造される。
【0269】
4.軟膏
有効成分 5〜1000mg
ステアリルアルコール 3g
ラノリン 5g
白色ワセリン(white petroleum) 15g
水 100gまで
本実施例において、有効成分は同量の任意の本発明の化合物で、特に同量の任意の例示化合物で置換することができる。
【0270】
妥当なバリエーションは、本発明の範囲からの逸脱とみなされるべきではない。このように記述される本発明は当業者により様々に変更され得ることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
XはCHおよびNRから選択され;
Aは1,2−エタンジイル;1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
はフェニル;1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のハロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aは一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
は水素;メチル;メトキシエチル;アリール;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のハロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択され;
ここで、アリールは場合によりメチル、メトキシ、シアノ、フルオロ、クロロ、トリフルオロメチルおよびトリフルオロメチルオキシよりなる群から選択される1もしくは2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである]
の化合物もしくはその立体異性体、またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項2】
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エタンジイル;1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のハロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のハロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択される
請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項3】
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;1もしくは2個のハロ置換基で置換されたフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のハロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のハロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択される
請求項1もしくは2に記載の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項4】
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;ベンジル;およびフェニル部分が1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されるベンジルよりなる群から選択される
請求項1もしくは2に記載の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項5】
XがCHおよびNRから選択され;
Aが1,2−エテンジイル;および1,2−エチンジイルよりなる群から選択され;
がフェニル;ピリジニル;および1もしくは2個のフルオロ置換基で置換されたピリジニルよりなる群から選択されるか;
またはR−Aが一緒になって場合によりメチルで置換されていてもよい3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イルであり;
が水素;メチル;メトキシエチル;およびベンジルよりなる群から選択される
請求項1もしくは2に記載の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項6】
5,6−ジヒドロ−2−(フェニルエチニル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
2−[(5−フルオロ−3−ピリジニル)エチニル]−5,6−ジヒドロ−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
6,7−ジヒドロ−2−(フェニルエチニル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;
6,7−ジヒドロ−5−メチル−2−(フェニルエチニル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;
5,6−ジヒドロ−2−[(E)−2−(フェニルエテニル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
5,6−ジヒドロ−2−(2−フェニルエチル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;
2−(4−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾキサジン−7−イル)−5,6−ジヒドロ−1,3−ベンゾチアゾール−7(4H)−オン;
5,6−ジヒドロ−2−(3−ピリジニルエチニル)−7(4H)−ベンゾチアゾロン;6,7−ジヒドロ−5−(2−メトキシエチル)−2−(フェニルエチニル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;および
6,7−ジヒドロ−2−(フェニルエチニル)−5−(フェニルメチル)−チアゾロ[5,4−c]ピリジン−4(5H)−オン;
よりなる群から選択される請求項1に記載の化合物またはその製薬学的に許容しうる塩もしくは溶媒和物。
【請求項7】
薬剤としての使用のための請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
神経もしくは精神疾患の防止、処置もしくは予防における使用のための請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
神経もしくは精神疾患が、統合失調症、統合失調症様障害、統合失調性感情障害、妄想性障害、短期精神病性障害、共有精神病性障害、一般的健康状態による精神病性障害、物質誘発性精神病性障害、他に特定されない精神病性障害、認知症と関連する精神病、大鬱病性障害、気分変調性障害、月経前不快気分障害、他に特定されない抑鬱障害、I型双極性障害、II型双極性障害、気分循環性障害、他に特定されない双極性障害、一般的健康
状態による気分障害、物質誘発性気分障害、他に特定されない気分障害、全般性不安障害、強迫神経症、パニック障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、精神遅滞、広汎性発達障害、注意欠陥障害、注意欠陥/多動性障害、破壊的行動障害、妄想型人格障害、統合失調質(schizoid type)人格障害、統合失調型(schizotypical type)人格障害、チック障害、トゥレット症候群、物質依存、物質乱用、物質離脱、抜毛癖、および認知が損なわれている症状、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、レヴィー小体認知症、HIV疾患による認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病による認知症、健忘障害、軽度認知障害、加齢関連認知低下、拒食症および過食症のような摂食障害、ならびに肥満症から選択される請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量および製薬学的に許容しうる担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項11】
製薬学的に許容しうる担体を請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の治療的に有効な量とよく混合することを特徴とする、請求項10に記載の製薬学的組成物を製造する方法。
【請求項12】
神経および精神疾患および疾病の防止、処置もしくは予防における同時、別個もしくは逐次使用のための組み合わされた製剤として、
i)請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物;および
ii)mGluR5オルトステリックアゴニスト
を含んでなる製品。

【公表番号】特表2013−514327(P2013−514327A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543767(P2012−543767)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/069972
【国際公開番号】WO2011/073347
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】