説明

mPGES−1阻害剤としてのフェナントレン誘導体

本発明は式:


の新規化合物又はその医薬的に許容可能な塩に関する。これらの化合物はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、従って、変形性関節症、関節リウマチ及び急性又は慢性疼痛等の各種疾患又は病態に伴う疼痛及び/又は炎症を治療するために有用である。mPGES−1酵素により介在される疾患又は病態の治療方法と、医薬組成物にも関する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(発明の背景)
プロスタグランジン代謝の調節は現在の抗炎症治療の中心に位置する。NSAID及びCOX−2阻害剤はシクロオキシゲナーゼの活性を妨害し、アラキドン酸(AA)をプロスタグランジン(PG)H2に変換するのを妨げる。PGH2はその後、末端プロスタグランジンシンターゼにより代謝され、対応する生理的に活性なPG類、即ちPGI2、トロンボキサン(Tx)A2、PGD2、PGF2α及びPGE2となる。薬理学、遺伝学及び中和抗体の各面のアプローチを総合すると、炎症におけるPGE2の重要性は明白である。多くの点で、炎症動物モデルにおけるPGE2依存性シグナル伝達の妨害はNSAID又はCOX−2阻害剤治療として有効であると言える。従って、プロスタグランジンEシンターゼ(PGES)によるPGH2からPGE2への変換は炎症刺激の伝達における中枢段階であると思われる。
【0002】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)は向炎症刺激暴露後に誘導される誘導性PGESである。mPGES−1は炎症により末梢とCNSで誘導されるので、急性及び慢性炎症性疾患の新規ターゲットとなる。特定mPGES−1阻害剤の開発の基本原理はNSAID及びCox−2阻害剤の治療効用が主に向炎症性PGE2の阻害に起因し、副作用特性が主に他のプロスタグランジンの阻害に起因するという前提に基づく。
【0003】
本発明はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1酵素の選択的阻害剤であり、従って、変形性関節症、関節リウマチ及び急性又は慢性疼痛等の各種疾患又は病態における疼痛及び炎症の治療に有用であると思われる新規化合物に関する。更に、向炎症性PGE2を選択的に阻害することにより、本発明の化合物は胃腸及び腎毒性等の従来の非ステロイド性抗炎症薬による他のプロスタグランジンの阻害に伴う副作用の可能性が低いと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第4,256,108号
【特許文献2】米国特許第4,166,452号
【特許文献3】米国特許第4,265,874号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Design of Prodrugs,H.Bundgaard編,Elsevier,1985
【非特許文献2】JOC 2000,65,8210
【発明の概要】
【0006】
本発明は式I
【0007】
【化1】

の1属の化合物又はその医薬的に許容可能な塩に関する。これらの化合物はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、従って、変形性関節症、関節リウマチ及び急性又は慢性疼痛等の各種疾患又は病態に伴う疼痛及び/又は炎症を治療するために有用である。mPGES−1酵素により介在される疾患又は病態の治療方法と、医薬組成物にも関する。
【0008】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式I
【0009】
【化2】

[式中、
Aはアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びシクロアルキル又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
Bはアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びシクロアルキル又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
但し、AとBが同時にフェニルであることはなく;
Jは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Mは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
但し、J、K、L又はMの少なくとも1個は−N−以外のものであり;
は(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;(5)−OH;(6)−N;(7)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(ここで、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(8)C1−4アルコキシ;(9)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(10)C1−4アルキル−S(O)−;(11)−NO;(12)C3−6シクロアルキル;(13)C3−6シクロアルコキシ;(14)フェニル;(15)カルボキシ;(16)C1−4アルキル−O−C(O)−;及び(17)−CNから構成される群から選択され;
、X、X及びXは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(ここで、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;(17)C1−4アルキル−O−C(O)−;及び(18)−CNから構成される群から独立して選択され;
各R及びRは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−10アルキル又はC2−10アルケニル(ここで、前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、あるいは隣接する炭素原子上の2個の水素は一緒になり、−CH−で置換され、シクロプロピル基を形成してもよく、あるいは同一炭素原子上の2個の水素は置換され、一緒になってスピロC3−6シクロアルキル基を形成してもよく、前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルは場合により−OH、アセチル、アセチルオキシ、メトキシ、エテニル、R11−O−C(O)−、R35−N(R36)、−R37−N(R38)−C(O)−、シクロプロピル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、前記ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルは場合によりC1−4アルキル又はモノヒドロキシ置換C1−4アルキルで置換されている。);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)R13−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(R15)−;(12)R16−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)R19−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(19)R34−O−C(O)−;(20)R39−C(O)−O−;並びに(21)各々場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−から構成される群から独立して選択される置換基で置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル又はフリル(ここで、前記C1−4アルキルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されている。)から構成される群から独立して選択され;
各Zは(1)H;(2)C1−6アルキル(ここで、前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、C1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。);(3)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジル又はそのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されたC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されたテトラヒドロピラニル;及び(9)O、N又はSから独立して選択される1〜3個の原子を含み、場合によりメチルで置換された5員芳香族複素環から構成される群から独立して選択され;
各R、R10、R15、R24及びR32は(1)H;及び(2)C1−4アルキルから構成される群から独立して選択され;
各R11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30、R31、R34及びR39は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−;(5)フェニル;(6)ベンジル;(7)ピリジル;及び(8)ピリジルメチルから構成される群から独立して選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル、ベンジル、ピリジル及びピリジルメチルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、前記C1−4アルキルは更にオキソ又はメトキシ又は両者で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37及びR38は(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OH;及び(5)ベンジル又は1−フェニルエチルから構成される群から独立して選択され;R17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、R28とR29、R35とR36、及びR37とR38はこれらが結合している窒素原子と一緒になり、場合により−O−、−S(O)−及び−N(R32)−から独立して選択される1又は2個の原子を含む5又は6員単環を形成してもよく;
各kは独立して0、1又は2である。]により表される1属の化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩{但し、式Iの前記化合物がプロドラッグであるとき、前記プロドラッグは式A
【0010】
【化3】

[式中、
は(1)C1−6アルキル;(2)PO−C1−4アルキル−;(3)C1−4アルキル−C(O)−O−CH−(ここで、C1−4アルキル部分は場合によりR33−O−C(O)−で置換されている。);及び(4)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
33は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)フェニル;(5)ベンジル;及び(6)ピリジルから構成される群から選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。]により表される。}に関する。
【0011】
この属内で、本発明は式B
【0012】
【化4】

(式中、
WはO又はSであり、XはCRであり、bは二重結合であるか、あるいは
XはO又はSであり、WはCRであり、aは二重結合である。)により表される第1の亜属の化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩に関する。
【0013】
第1の亜属内で、本発明は、
及びXがHであり;
KがCH又はNであり;
Mが−C(X)−であり;
及びXが(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から独立して選択される式Bの1分類の化合物に関する。
【0014】
この分類内で、本発明はR及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、フェニル、
【0015】
【化5】





から構成される群から独立して選択される式Bの1亜分類の化合物に関する。
【0016】
上記亜分類内で、本発明は下表
【0017】
【表1】


から選択される化合物又は前記化合物のいずれかの医薬的に許容可能な塩に関する。
【0018】
同様に上記属内で、本発明は式C
【0019】
【化6】

(式中、
Y及びZはCH及びN、又はそのN−オキシドから構成される群から独立して選択される。)により表される第2の亜属の化合物に関する。
【0020】
第2の亜属内で、本発明は、
及びXがHであり;
KがCH又はCFであり;
Mが−C(X)−であり;
及びXが(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から独立して選択される式Cにより表される1分類の化合物に関する。
【0021】
この分類内で、本発明はR及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、フェニル、
【0022】
【化7】





から構成される群から独立して選択される式Cにより表される1亜分類の化合物に関する。
【0023】
上記亜分類内で、本発明は下表
【0024】
【表2】


から選択される化合物又は前記化合物のいずれかの医薬的に許容可能な塩に関する。
【0025】
同様に上記属内で、本発明は、
が(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から選択され;
、X、X及びXが(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;及び(6)CNから構成される群から独立して選択される式Iにより表される第3の亜属の化合物に関する。
【0026】
同様に上記属内で、本発明はMが−C(X)−である式Iにより表される第4の亜属の化合物に関する。
【0027】
第4の亜属内で、本発明はXがH以外のものである式Iにより表される1分類の化合物に関する。
【0028】
この分類内で、本発明はXとXが同一であり、(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から選択される式Iにより表される1亜分類の化合物に関する。
【0029】
同様に上記属内で、本発明はR又はRの少なくとも一方が存在しており及びH以外のものである式Iにより表される第5の亜属の化合物に関する。
【0030】
第5の亜属内で、本発明はR及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、フェニル、
【0031】
【化8】





から構成される群から独立して選択され、但し、R又はRの少なくとも一方が存在しており及びH以外のものである式Iにより表される1分類の化合物に関する。
【0032】
同様に上記属内で、本発明は、
Aがアリール及びヘテロアリール、又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
Bがアリール及びヘテロアリール、又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
但し、AとBが同時にフェニルであることはない式Iにより表される第6の亜属の化合物に関する。
【0033】
同様に上記属内で、本発明は下記群
【0034】
【化9】


から選択される化合物又は前記化合物のいずれかの医薬的に許容可能な塩に関する。
【0035】
別の態様では、本発明は医薬的に許容可能なキャリヤーと共に式Iの化合物を含有する医薬組成物に関する。
【0036】
別の態様では、本発明はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態の治療を必要とするヒト患者における前記疾患又は病態の治療方法に関し、この方法は、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態を治療するために有効な量の式Iの化合物を前記患者に投与することを含む。
【0037】
本明細書に記載する表において、実施例18のR、実施例23のR、実施例28〜31のR、実施例44〜45のR、実施例47〜53のR及び実施例55のRは環との結合を示す。1例として実施例53参照。
【0038】
この態様内で、本発明は疾患又は病態が急性又は慢性疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎及び原発性月経困難症から構成される群から選択される上記方法に関する。
【0039】
又はRが存在しない場合または各種原子の原子価要件を満たすに足りない数でしか存在しない場合、原子の原子価要件を満たすように水素原子が存在する。
【0040】
本発明は適宜、上記化合物の任意のものの医薬的に許容可能な塩を含む。本明細書の趣旨では、「R/R」なる項目はこの欄に記載する置換基がR又はRで表される位置に置換していることを意味する。隣の欄の「R/R」なる項目は記載する置換基がR又はR位のうちの前欄で置換されていないほうに置換していることを意味する。例えば、実施例6はR=CN及びR=H又はR=H及びR=CNであり、両方の互変異性体を表す。
【0041】
「ハロゲン」又は「ハロ」なる用語はF、Cl、Br及びIを含む。
【0042】
「アルキル」なる用語は指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖構造とその組み合わせを意味する。従って、例えばC1−6アルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−ブチル、t−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及び1,1−ジメチルエチルが挙げられる。
【0043】
「アルケニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素二重結合をもち、水素が別の炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖構造とその組み合わせを意味する。例えばC2−6アルケニルとしては、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニル等が挙げられる。
【0044】
「アルキニル」なる用語は少なくとも1個の炭素−炭素三重結合をもつ指定炭素原子数の直鎖又は分岐鎖構造とその組み合わせを意味する。例えばC3−6アルキニルとしては、プロピニル、1−メチルエチニル、ブチニル等が挙げられる。
【0045】
「アルコキシ」なる用語は指定炭素原子数の直鎖、分岐鎖又は環状構造のアルコキシ基を意味する。例えばC1−6アルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が挙げられる。
【0046】
「シクロアルキル」とは各々炭素原子数4〜8の単環式又は二環式飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの「縮合類似体」とは結合点が非芳香族部分に位置するようにアリール又はヘテロアリール基と縮合した単環を意味する。シクロアルキルとその縮合類似体の例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、テトラヒドロナフチル、デカヒドロナフチル、インダニル等が挙げられる。
【0047】
「アリール」とは炭素原子のみを含む単環式又は二環式芳香環を意味する。アリールの「縮合類似体」とは結合点が芳香族部分に位置するように単環式シクロアルキル基又は単環式ヘテロシクリル基と縮合したアリール基を意味する。アリールとその縮合類似体の例としてはフェニル、ナフチル、インダニル、インデニル、テトラヒドロナフチル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾピラニル、1,4−ベンゾジオキサニル等が挙げられる。
【0048】
「ヘテロアリール」とはO、S又はN(又はそのN−オキシド)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、各環が5〜6員環の単環式又は二環式芳香環を意味する。ヘテロアリールの「縮合類似体」とは結合点が芳香族部分に位置するように単環式シクロアルキル基又は単環式ヘテロシクリル基と縮合したヘテロアリール基を意味する。ヘテロアリールの例としてはピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ピリダジニル、ピラジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、フロ(2,3−b)ピリジル、キノリル、インドリル、イソキノリル等が挙げられる。
【0049】
「ヘテロシクリル」とはO、S又はN(又はそのN−オキシド)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含み、各環が4〜8員環の単環式又は二環式飽和環を意味し、結合点は炭素でも窒素でもよい。ヘテロシクリルの「縮合類似体」とは結合点が非芳香族部分に位置するようにアリール又はヘテロアリール基と縮合した単環式複素環を意味する。「ヘテロシクリル」とその縮合類似体の例としてはピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イミダゾリジニル、2,3−ジヒドロフロ(2,3−b)ピリジル、ベンゾオキサジニル、テトラヒドロヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ジヒドロインドリル等が挙げられる。この用語は芳香族以外の部分不飽和単環(例えば窒素又はN置換(1H,3H)−ピリミジン−2,4−ジオン(N置換ウラシル)を介して結合した2−又は4−ピリドン)も含む。
【0050】
本明細書に記載する化合物は不斉中心を含む場合があり、従ってエナンチオマーとして存在する場合がある。本発明の化合物が2個以上の不斉中心をもつ場合には、更にジアステレオマーとして存在する場合もある。本発明は実質的に純粋な分割したエナンチオマー、そのラセミ混合物及びジアステレオマーの混合物としてのこのような可能な全立体異性体を含む。上記式Iは所定位置に明確な立体配置を指定せずに示している。本発明は式Iの全立体異性体とその医薬的に許容可能な塩を含む。例えば適切な溶媒から分別結晶によりエナンチオマーのジアステレオマー対を分離することができ、例えば光学活性酸もしくは塩基を分割剤として使用するか又はキラルHPLCカラムを利用して従来手段により、こうして得られたエナンチオマーの対を個々の立体異性体に分離することができる。更に、既知配置の光学的に純粋な出発材料又は試薬を使用して立体特異的合成により一般式Iの化合物の任意エナンチオマー又はジアステレオマーを得ることもできる。
【0051】
本明細書に記載する化合物はオレフィン二重結合を含む場合があり、特に指定しない限り、E及びZ幾何異性体を含むものとする。
【0052】
本明細書に記載する化合物は水素結合点を変えて存在する場合もある(互変異性体と言う)。式Iの化合物は以下の互変異性体
【0053】
【化10】

として存在する。個々の互変異性体とその混合物が式Iに含まれる。
【0054】
本発明は本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、このようなプロドラッグは必要な化合物に容易にインビボ変換可能な本発明の化合物の機能的誘導体である。従って、本発明の治療方法において、「投与する」なる用語は具体的に開示する化合物又は具体的に開示していないとしても、患者に投与後に指定化合物にインビボ変換する化合物で各種記載病態を治療することを意味する。適切なプロドラッグ誘導体の従来の選択及び製造手順は例えば“Design of Prodrugs,”H.Bundgaard編,Elsevier,1985に記載されている。これらの化合物の代謝産物としては、本発明の化合物を生体環境に導入後に生成される活性種が挙げられる。本発明のプロドラッグの具体例は式Cの化合物である。
【0055】
「ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態を治療する」なる用語はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素を阻害することにより有利に治療又は予防される任意疾患又は病態を治療又は予防することを意味する。この用語はリウマチ熱、インフルエンザや他のウイルス感染症に伴う症状、感冒、腰痛及び頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防処置)、歯痛、捻挫及び挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(関節リウマチを含む)、変形性関節疾患(変形性関節症)、通風及び強直性脊椎炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格系疼痛症候群(例えば滑液包炎)、熱傷、外傷、並びに外科及び歯科処置後の疼痛等の各種病態の疼痛、発熱及び炎症の緩和に加え、外科疼痛の予防処置も含む。更に、この用語は細胞悪性形質転換及び転移性腫瘍増殖の抑制、従って癌の治療も含む。この用語は更に子宮内膜症及びパーキンソン病の治療に加え、糖尿病網膜症や腫瘍血管新生で発生するようなmPGES−1により介在される増殖性疾患の治療も含む。「治療」なる用語は上記疾患又は病態の徴候及び症状を緩和するように患者を治療することのみならず、上記疾患又は病態の発症又は進行を予防するために無症状患者を予防処置することも意味する。
【0056】
「治療するために有効な量」なる用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により求められる組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する薬剤の量を意味する。この用語は研究者、獣医、医師又は他の臨床医により組織、系、動物又はヒトで予防することが求められる生物学的又は医学的イベントの発生の危険を防止又は低減する薬剤の量も意味する。本発明で使用される式Iの化合物の適切な用量レベルについては後述する。化合物は1日1回又は2回のレジメンで投与することができる。
【0057】
本発明の医薬組成物は活性成分としての式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有しており、更に医薬的に許容可能なキャリヤーと場合により他の治療成分を加えることができる。「医薬的に許容可能な塩」なる用語は無機塩基と有機塩基を含む医薬的に許容可能な非毒性塩を生じる塩基から製造される塩を意味する。無機塩基から誘導される塩としてはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第2鉄、第1鉄、リチウム、マグネシウム、第2マンガン、第1マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が挙げられる。アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容可能な非毒性有機塩基から誘導される塩としては第1級、第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂(例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が挙げられる。
【0058】
本発明の化合物が塩基性である場合には、無機酸と有機酸を含む医薬的に許容可能な塩を生じる酸から塩を製造することができる。このような酸としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、蓚酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、琥珀酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、10−ウンデセン等が挙げられる。
【0059】
本発明の化合物のmPGES−1阻害活性により、式Iの化合物はリウマチ熱、インフルエンザや他のウイルス感染症に伴う症状、感冒、腰痛及び頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防処置)、歯痛、捻挫及び挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節炎(関節リウマチ、若年性関節リウマチを含む)、変形性関節疾患(変形性関節症)、急性通風及び強直性脊椎炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格系疼痛症候群(例えば滑液包炎)、熱傷、外傷、並びに外科及び歯科処置後の疼痛等の各種病態の疼痛、発熱及び炎症の緩和に加え、外科疼痛の予防処置にも有用である。更に、このような化合物は細胞悪性形質転換及び転移性腫瘍増殖を抑制すると思われるので、癌の治療に使用することもできる。式Iの化合物は子宮内膜症、血友病性関節症及びパーキンソン病の治療又は予防にも有用であると思われる。
【0060】
式Iの化合物は更に収縮性プロスタノイドの合成を防止することによりプロスタノイド誘発性平滑筋収縮を抑制し、従って、月経困難症、早産及び喘息の治療に有用であると思われる。
【0061】
mPGES−1酵素の選択的阻害により、式Iの化合物は特に消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎又は胃腸障害の再発病歴をもつ患者;GI出血、低プロトロンビン血症等の貧血を含む凝固障害、血友病又は他の出血障害(血小板機能低下又は障害に関係するものを含む);腎疾患(例えば腎機能障害);外科手術又は抗凝固剤投与前の患者;並びにNSAID誘発性喘息を生じやすい患者のように非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)が禁忌となるような場合に従来の非ステロイド性抗炎症薬の代用として有用であることが実証されよう。
【0062】
本発明の化合物は治療又は予防を必要とする対象における新生物形成の治療又は予防にも有用である。「治療」なる用語は新生物増殖、瀰漫又は転移の部分的又は完全な抑制に加え、新生物細胞の部分的又は完全な破壊を意味する。「予防」なる用語は臨床的に明白な新生物形成の発症の完全な予防又は危険のある個体における新生物形成の前臨床的に明白な段階の発症の予防を意味する。悪性細胞への転換の予防又は前癌細胞から悪性細胞への進行の阻止もしくは逆転もこの定義に含むものとする。この用語は新生物形成を発症する危険のある対象の予防処置を含む。治療の目的である「対象」なる用語は公知新生物形成の任意1種をもつ任意ヒト又は哺乳動物対象を意味し、ヒト対象が好ましい。予防法では、対象は任意ヒト又は哺乳動物対象であり、新生物形成を発現する危険のあるヒト対象が好ましい。対象としては発癌物質接触により危険のある場合や、新生物形成の遺伝的素因のある場合等が挙げられる。
【0063】
「新生物形成」なる用語は良性及び癌性両者の腫瘍、増殖及びポリープを含む。従って、本発明の化合物は扁平上皮乳頭腫、基底細胞腫、移行上皮乳頭腫、腺腫、ガストリノーマ、胆管細胞腺腫、肝細胞腺腫、尿細管腺腫、オンコサイトーマ、グロムス腫瘍、メラニン細胞性母斑、線維腫、粘液腫、脂肪腫、平滑筋腫、横紋筋腫、良性奇形腫、血管腫、骨腫、軟骨腫及び髄膜腫等の良性腫瘍、増殖及びポリープの治療又は予防に有用である。本発明の化合物は扁平上皮癌、基底細胞癌、移行上皮癌、腺癌、悪性ガストリノーマ、胆管細胞癌、肝細胞癌、腎細胞癌、悪性黒色腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、悪性奇形腫、血管肉腫、カポジ肉腫、リンパ管肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、悪性髄膜腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫及び白血病等の癌性腫瘍、増殖及びポリープの治療又は予防にも有用である。本明細書の趣旨では、「新生物形成」は脳腫瘍、骨癌、上皮性新生物(上皮癌)、基底細胞癌、腺癌、消化管癌(例えば口唇癌、口腔癌、食道癌、小腸癌及び胃癌)、結腸癌、直腸癌、肝臓癌、膀胱癌、膵臓癌、卵巣癌、子宮頸癌、肺癌、乳癌及び皮膚癌(例えば扁平上皮癌及び基底細胞癌)、前立腺癌、腎細胞癌、並びに全身の上皮細胞、間葉細胞又は血液細胞を冒す他の公知癌を含む。本発明の化合物は上記癌の任意のものの治療又は予防に有用である。本発明の化合物は扁平上皮、基底細胞、移行上皮、腺上皮、G細胞、胆管上皮、肝細胞、尿細管上皮、メラニン細胞、線維性結合組織、心臓骨格、脂肪組織、平滑筋、骨格筋、生殖細胞、血管、リンパ管、骨、軟骨、髄膜、リンパ球及び造血細胞の各種細胞型の良性及び癌性腫瘍、増殖及びポリープの治療又は予防に有用である。前記化合物は家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)の対象等の腺腫性ポリープをもつ対象を治療するために使用することができる。更に、前記化合物はFAPの危険のある患者でポリープの形成を予防するために使用することができる。好ましくは、本発明の化合物は結腸直腸癌、食道胃癌、乳癌、頭頸部癌、皮膚癌、肺癌、肝臓癌、胆嚢癌、膵臓癌、膀胱癌、子宮内膜/頸癌、前立腺癌、甲状腺癌及び脳腫瘍の治療又は予防に有用である。
【0064】
同様に、式Iの化合物は従来のNSAIDを他の物質又は成分と現在併用投与している製剤においてこれらのNSAIDの部分的又は完全な代用として有用である。従って、別の側面では、本発明は上記定義によるmPGES−1により介在される疾患の治療用医薬組成物として、非毒性治療有効量の上記定義による式Iの化合物と、別の疼痛緩和剤(例えばアセトアミノフェンやフェナセチン);オピオイド鎮痛薬(例えばコデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルヒネ、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン及びペンタゾシン);興奮剤(例えばカフェイン);H2−アンタゴニスト;水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウム;シメチコン;消炎剤(例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリン又はレボデオキシエフェドリン);鎮咳薬(例えばコデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン又はデキストロメトルファン);利尿薬;鎮静又は非鎮静抗ヒスタミン薬;プロトンポンプ阻害剤(例えばオメプラゾール);ブラジキニン−1アンタゴニスト;VR1受容体アンタゴニスト;及びナトリウムチャネル遮断薬(NAV1)等の1種以上の成分を含有する医薬組成物に関する。偏頭痛の治療又は予防用として、本発明は5−HTアゴニスト(例えばリザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン及びナラトリプタン)又はCGRPアンタゴニストとの併用投与にも関する。更に、本発明はmPGES−1により介在される疾患の治療方法として、場合により上記のような成分の1種以上と併用して、このような治療を必要とする患者に非毒性治療有効量の式Iの化合物を投与する方法に関する。
【0065】
上記のように、上記定義によるmPGES−1により介在される疾患の治療用医薬組成物は場合により1種以上の上記成分を加えてもよい。
【0066】
別の側面では、本発明は式Iの化合物とプロトンポンプ阻害剤の併用投与に関する。本発明のこの側面で使用することができるプロトンポンプ阻害剤としてはオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾール及びエソメプラゾール又は前記阻害剤の任意のものの医薬的に許容可能な塩が挙げられる。これらのプロトンポンプ阻害剤は市販されており、例えばオメプラゾール(PRILOSEC,AstraZeneca)、ランソプラゾール(PREVACID,TAP Pharmaceuticals)、ラベプラゾール(ACIPHEX,Janssen Pharmaceutica)、パントプラゾール(PROTONIX,Wyeth−Ayerst)及びエソメプラゾール(NEXIUM,AstraZeneca)が挙げられる。前記プロトンポンプ阻害剤は従来の用量で投与することができる。例えば、オメプラゾール又はオメプラゾールマグネシウムは10mg、20mg又は40mgの用量で投与することができる。ランソプラゾールは15mg又は30mgの用量で投与することができる。ラベプラゾールナトリウムは20mgの用量で投与することができる。パントプラゾールは20mg又は40mgの用量で投与することができる。エソメプラゾールは20mg又は40mgの用量で投与することができる。式Iの化合物とプロトンポンプ阻害剤は単一医薬製剤として又は患者に実質的に同時に投与される2個の別個の製剤として同時に投与することができる。あるいは、2種の物質の医薬効果が患者に同時に得られるのであれば、式Iの化合物とプロトンポンプ阻害剤を時差的に逐次投与してもよい。
【0067】
活性成分を含有する医薬組成物は例えば錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁液、分散性散剤もしくは顆粒剤、エマルション、ハードもしくはソフトカプセル、又はシロップもしくはエリキシル剤等の経口使用に適した形態とすることができる。経口用組成物は医薬組成物の製造方法として当分野で公知の任意方法により製造することができ、このような組成物は医薬的にエレガントで口当たりのよい製剤を提供するために甘味剤、香味剤、着色剤及び防腐剤から構成される群から選択される1種以上の物質を添加することができる。錠剤は錠剤の製造に適した医薬的に許容可能な非毒性賦形剤との混合物として活性成分を含有する。これらの賦形剤としては例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);顆粒化剤及び崩壊剤(例えばコーンスターチ又はアルギン酸);結合剤(例えば澱粉、ゼラチン又はアラビアガム)及び滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)が挙げられる。錠剤はコーティングしなくてもよいし、胃腸管での崩壊と吸収を遅らせることにより長期持続作用を提供するように公知技術によりコーティングしてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリル等の時間遅延剤を使用することができる。錠剤は制御放出用浸透圧治療用錠剤を形成するように米国特許第4,256,108号;4,166,452号;及び4,265,874号に記載されている技術によりコーティングしてもよい。
【0068】
経口用製剤は活性成分を不活性固体希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリン)と混合したハードゼラチンカプセルの形態でもよいし、活性成分を水又は油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油)と混合したソフトゼラチンカプセルの形態でもよい。本発明の製剤の具体例は微結晶セルロースとラクトースの50/50ブレンドと、式Iの化合物1mg、10mg又は100mgを含有する乾燥充填カプセル剤である。
【0069】
水性懸濁液は水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物として活性材料を含有する。このような賦形剤としては懸濁剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアラビアガム);分散剤又は湿潤剤として天然ホスファチド(例えばレシチン)、アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、脂肪酸とヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール)、又は脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタン)が挙げられる。水性懸濁液は更に1種以上の防腐剤(例えばp−ヒドロキシ安息香酸エチル又はp−ヒドロキシ安息香酸n−プロピル)、1種以上の着色剤、1種以上の香味剤及び1種以上の甘味剤(例えばスクロース、サッカリン又はアスパルテーム)を添加することができる。
【0070】
液体製剤は自己乳化性薬剤送達システム及びNanoCrystal(登録商標)技術の使用を含む。シクロデキストリン包接錯体も使用することができる。
【0071】
油性懸濁液は植物油(例えば落花生油、オリーブ油、ゴマ油又はココナツ油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)に活性成分を懸濁することにより製剤化することができる。油性懸濁液は増粘剤(例えば蜜蝋、固形パラフィン又はセチルアルコール)を添加することができる。口当たりのよい経口製剤にするために上記のような甘味剤や香味剤を添加してもよい。これらの組成物はアスコルビン酸等の酸化防止剤の添加により防腐処理することができる。
【0072】
水を加えて水性懸濁液を調製するのに適した分散性散剤及び顆粒剤は分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の防腐剤との混合物として活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は上記のものが例示される。例えば甘味剤、香味剤及び着色剤等の他の賦形剤も添加することができる。
【0073】
本発明の医薬組成物は水中油エマルションの形態でもよい。油相は植物油(例えばオリーブ油又は落花生油)又は鉱油(例えば流動パラフィン)又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤としては天然ホスファチド(例えば大豆レシチン)、脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステル又は部分エステル(例えばモノオレイン酸ソルビタン)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物(例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン)が挙げられる。エマルションは更に甘味剤と香味剤を添加することができる。
【0074】
シロップ及びエリキシル剤は甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロース)を加えて製剤化することができる。このような製剤は更に粘膜保護剤、防腐剤、香味剤及び着色剤を添加することができる。医薬組成物は滅菌注射用水性又は油性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は上記のような適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して公知技術に従って製剤化することができる。滅菌注射用製剤は非経口投与に許容可能な非毒性希釈剤又は溶剤を媒体とする滅菌注射溶液又は懸濁液(例えば1,3−ブタンジオール溶液)でもよい。使用可能な許容可能なビヒクル及び溶剤としては水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。更に、従来通りに滅菌不揮発油を溶剤又は懸濁媒体として使用する。この目的には、合成モノ又はジグリセリド等の任意無刺激性不揮発油を使用することができる。更に、オレイン酸等の脂肪酸も注射剤の製造に使用される。
【0075】
式Iの化合物は薬剤の直腸投与用座剤形態で投与することもできる。これらの組成物は常温では固体であるが、直腸温度で液体となり、従って直腸内で溶けて薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することにより製造することができる。このような材料はカカオバターとポリエチレングリコールである。
【0076】
局所用には、式Iの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等を使用する。(本願の趣旨では、局所投与はマウスウォッシュと嗽薬を含む。)
【0077】
本発明の医薬組成物は更にtween 80、tween 20、ビタミンE TPGS(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル)及びGelucire(登録商標)等の吸収促進剤を利用することができる。
【0078】
上記病態の治療には、約0.01mg〜約140mg/kg体重/日、又は患者1人1日当たり約0.5mg〜約7gの用量レベルが有用である。例えば、化合物約0.01〜50mg/kg体重/日、又は患者1人1日当たり約0.5mg〜約3.5g、好ましくは患者1人1日当たり2.5mg〜1gを投与することにより炎症を有効に治療することができる。
【0079】
単一製剤を製造するためにキャリヤー材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方式により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤は組成物全体の約5〜約95%の適量のキャリヤー材料と配合した活性成分0.5mg〜5gを含有することができる。用量単位形態は一般に活性成分約1mg〜約500mg、通常は25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。4mg、8mg、18mg、20mg、36mg、40mg、80mg、160mg、320mg及び640mgの用量も利用できる。1mg、10mg又は100mgを含有する用量単位形態も考えられる。
【0080】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度等の種々の因子によって異なる。
【0081】
合成方法
1)チオフェン/オキサゾール系
本発明の式Ia−dの化合物は下記スキーム1〜5に要約する合成経路に従い、本明細書に記載する方法により製造することができる。式Ia−bのイミダゾールは必要なヘテロフェナントレンキノンiaから多段階シーケンスで製造することができる。ヘテロフェナントレンイミダゾールIaはヘテロフェナントレンキノンiaと適切に置換されたアルデヒドiiを酢酸等の溶媒中、NHOAcやNHHCO等の試薬で処理することにより得られる。官能基R〜Rのいずれかの適切な相互変換(例えばTHFや酢酸等の適切な溶媒中で臭素やN−ブロモスクシンイミド等の適切なハロゲン化剤によるハロゲン化、又はTHF等の適切な溶媒中でブチルリチウム等の有機金属試薬によるトランスメタル化後にヨウ素や二酸化炭素等の求電子剤の添加、又は他の適切な任意官能基相互変換)によりイミダゾールIaを更にイミダゾールIbに変換することができる。イミダゾールIa又はIbをDMFやDMSO等の溶媒中、CuCNで処理し、モノ又はビスニトリル(M=CCN)Icを生成する。その後、R〜R位のいずれかで官能基相互変換を行うことができる。例えば、R〜R置換基の1個以上がCl、Br又はIであり、MがCBr又はCI以外のものである場合には、THF、DMF又はDME等の適切な溶媒中、Pd(PPhやCuI等の触媒と、炭酸ナトリウムやジイソプロピルアミン等の塩基の存在下で加熱する等の交差カップリング反応を促進する条件下でIcをモノ置換アルキニル、スタナン、ボロン酸、ボラン又はボロン酸エステルの存在下におくことによりIcをIdに変換することができる。この最後の例示段階又は他の適切な任意官能基変換をR〜Rで反復することができる。
【0082】
【化11】

【0083】
ヘテロフェナントレンキノンiaはスキーム2及び3に要約するシーケンスに従って製造することができる。スキーム2に示すように、(例えばフェニル酢酸のエステル化、活性化弗化アリールをマロン酸誘導体で置換後に脱炭酸、又は安息香酸のウルフ転位により製造することができる)適切に置換されたブロモフェニル酢酸エステルiiiをDMFやDME等の適切な溶媒中、Pd(PPh等の触媒と弗化セシウム等の塩基の存在下にヘテロアリールボロン酸ivで処理した後に、THFとメタノール等の適切な溶媒混合物中、水酸化ナトリウム等の塩基でエステルを加水分解し、フェニル酢酸vを生成する。1,2−ジクロロエタンやTHF等の溶媒中、触媒量のDMFの存在下に塩化チオニルや塩化オキサリル等の適切な試薬で処理して酸vをその塩化アシルに変換した後に、1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、三塩化アルミニウム等のルイス酸の存在下で分子内環化を行い、フェナントロールviを生成する。DMF等の溶媒中、空気の存在下に触媒量のN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)]で処理することによりこのフェナントロールviを直接酸化してヘテロフェナントレンキノンiaとすることができる。あるいは、DMF等の適切な溶媒中、Pd(dppf)Cl等の触媒と酢酸カリウム等の塩基の存在下にビス(ピナコラート)ジボロンで処理することによりブロモフェニル酢酸エステルiiiをそのボロン酸エステルに変換することもできる。DMF等の適切な溶媒中、Pd(dppf)Cl等の触媒と酢酸カリウム等の塩基の存在下にこのボロン酸エステルviiを臭化ヘテロアリールviiiと交差カップリングさせてフェニル酢酸vを生成した後に、上記のようにヘテロフェナントレンキノンiaに変換することができる。
【0084】
ヘテロフェナントレンキノンiaはスキーム3に示すように製造することもできる。DMF等の溶媒中、水素化ナトリウムやナトリウムメトキシド等の塩基の存在下でホスホニウム塩ixを脱プロトン化した後にアルデヒドxを加え、E異性体とZ異性体の混合物としてスチルベンxiを生成する。シクロヘキサン等の適切な溶媒中、ヨウ素等の酸化剤と酸化プロピレン等の酸スカベンジャーの存在下で紫外線を照射してこの混合物の分子内環化を行い、ヘテロフェナントレンxiiaを生成する。このヘテロフェナントレンxiiaを酢酸等の適切な溶媒中、CrO等の酸化剤で直接酸化してヘテロフェナントレンキノンiaとすることができ、あるいは場合により、官能基R〜Rのいずれかの適切な相互変換(例えばTHF等の適切な溶媒中、N−ブロモスクシンイミド等の試薬によるハロゲン化又はブチルリチウム等の有機金属試薬によるトランスメタル化後にヨウ素や二酸化炭素等の求電子剤の添加)により(スキーム4及び5に例示するように)ヘテロフェナントレンxiiaを更にヘテロフェナントレンxiibに変換することもできる。
【0085】
【化12】

【0086】
スキーム4に例示するように、トルエン等の適切な溶媒中、酢酸パラジウム等の触媒とトリブチル錫メトキシド等の適切なスタナンとトリ−o−トリルホスフィン等の適切なリガンドの存在下に酢酸イソプロペニルで処理し、官能基化されたヘテロフェナントレンxiib−1とすることにより2段階法でヘテロフェナントレンxiia−1をヘテロフェナントレンxiib−2に変換することができる。予め形成しておいた四塩化チタンと金属リチウムの混合物でこのヘテロフェナントレンxiib−1を処理し、第3級アルコールxiib−2を得、酢酸中、CrOで酸化し、ヘテロフェナントレンキノンia−1を生成し、スキーム1に示すように更に対応するイミダゾールIa−dに変換することができる。
【0087】
【化13】

【0088】
xiib−2に存在するメチレン第3級アルコール置換基はスキーム5に示す変換シーケンスにより付加することもできる。ヘテロフェナントレンxiia−1をメチルリチウムとブチルリチウムで順次処理した後、THF等の溶媒中、三フッ化ホウ素エーテル錯体の存在下に酸化イソブチレンで処理し、メチレン第3級アルコールで官能基化されたヘテロフェナントレンxiib−2を直接生成する。このアルコールをTHF中、水素化ナトリウムで処理した後、t−ブチルジメチルシリルクロリドで処理し、TBS保護アルコールとし、酢酸中、CrOで酸化後、酢酸等の溶媒中、適切に置換されたアルデヒドiiとNHOAcやNHHCO等の試薬で処理することによりヘテロフェナントレンイミダゾールIa−1に変換する。イミダゾールIa−1の第3級アルコール置換基をTHF中、TBAFで脱保護した後、DMFやDMSO等の溶媒中、CuCNで処理し、モノ又はビスニトリル(M=CCN)Ic−1を生成する。
【0089】
【化14】

【0090】
2)ピリジン系
本発明の式Ie−hの化合物は下記スキーム6〜11に要約する合成経路に従い、本明細書に記載する方法により製造することができる。式Ie−fのイミダゾールは必要なアザフェナントレンキノンibから多段階シーケンスで製造することができる。アザフェナントレンイミダゾールIeはアザフェナントレンキノンibと適切に置換されたアルデヒドiiを酢酸等の溶媒中、NHOAcやNHHCO等の試薬で処理することにより得られる。官能基R〜Rのいずれかの適切な変換により、(スキーム10に例示するように)イミダゾールIeを更にイミダゾールIfに変換することができる。イミダゾールIe又はIfをDMFやDMSO等の溶媒中、CuCN又はNaCNで処理し、モノ又はビスニトリル(M=CCN)Igを生成する。その後、R〜R位のいずれかで官能基相互変換を行うことができる。例えば、R〜R置換基の1個以上がCl、Br又はIであり、MがCBr又はCI以外のものである場合には、THF、DMF又はDME等の適切な溶媒中、Pd(PPhやCuI等の触媒と、炭酸ナトリウムやジイソプロピルアミン等の塩基の存在下で加熱する等の交差カップリング反応を促進する条件下でIgをモノ置換アルキニル、スタナン、ボロン酸、ボラン又はボロン酸エステルの存在下におくことによりIgをIhに変換することができる。この最後の例示段階又は他の適切な任意官能基変換をR〜Rで反復することができる。
【0091】
【化15】

【0092】
アザフェナントレンキノンibはスキーム7−9に要約するシーケンスに従って製造することができる。スキーム7に示すように、市販アザフェナントレンxiii−aを酢酸等の溶媒中、五酸化二ヨウ素等の酸化剤で処理することにより直接酸化してアザフェナントレンキノンibとすることができる。あるいは、市販7,8−ベンゾキノリンをトルエン等の溶媒中、フェニルリチウム等のアルキル又はアリールリチウム試薬で処理した後に、塩化メチレン等の溶媒中、二酸化マンガン等の酸化剤で酸化し、官能基化されたアザフェナントレンxiii−bを生成した後に、上記のように酸化してアザフェナントレンキノンibとすることもできる。
【0093】
【化16】

【0094】
アザフェナントレンキノンibはスキーム8に示すシーケンスにより製造することもできる。DMF等の適切な溶媒中、Pd(PPh等の触媒と炭酸ナトリウム等の塩基の存在下に(例えばアリールベンズアミドのオルトリチオ化後にホウ酸トリメチルでクエンチした後、酸ワークアップにより製造した)ベンズアミドボロン酸xvで3−メチル−2−ブロモピリジンxivを処理し、ビアリールxviaを生成した後、THF等の溶媒中、LDAやKHMDSとジイソプロピルアミンの混合物等の脱プロトン化剤で処理し、アザフェナントロールxviiaを生成する。空気の存在下にDMF等の溶媒中、触媒量のN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)]で処理することによりこのアザフェナントロールxviiaを直接酸化してアザフェナントレンキノンibとすることができる。あるいは、塩化メチレン等の溶媒中、ピリジン窒素をMCPBA等の酸化剤で酸化後、DMF等の溶媒中、オキシ塩化リンの存在下に転位させる等の一連の官能基変換をビアリールxviaに実施し、2−クロロピリジン誘導体を得ることもできる。この誘導体化ビアリールxvibに上記と同一の環化及び酸化手順を実施し、アザフェナントレンibを得ることができる。同様に、アザフェナントロールxviiaに一連の官能基変換を実施することができ、例えば、R〜R置換基の1個以上がCl、Br又はIである場合には、THF、DMF又はDME等の適切な溶媒中、又はメタノール等のアルコール溶媒とDMFの混合物中、Pd(PPhやCuI等の触媒と、炭酸ナトリウムやジイソプロピルアミン等の塩基の存在下で加熱する等の交差カップリング反応を促進する条件下でxviiaをモノ置換アルキニル、スタナン、ボロン酸、ボラン、ボロン酸エステル又は一酸化炭素の存在下におくことによりxviiaをxviibに変換することができる。
【0095】
【化17】

【0096】
アザフェナントレンキノンibの第3の合成経路をスキーム9に記載する。DME等の適切な溶媒中、Pd(PPh等の触媒と、炭酸ナトリウム等の塩基の存在下に2−ブロモ−3−ピリジンカルボキシアルデヒドxviiiを3−アルコキシボロン酸xixで処理し、ビアリールxxを生成する。予めブチルリチウムで処理しておいた2−トリメチルシリル−1,3−ジチアンの溶液でこのアルデヒドxxを処理した後、メタノールと水の混合物中、塩化水銀(II)で処理し、エステルxxiaを得る。このエステルxxiaをTHFとメタノール等の適切な溶媒混合物中、水酸化ナトリウム等の塩基で水素化し、酸xxiiを生成することができる。あるいは、塩化メチレン等の溶媒中、ピリジン窒素をMCPBA等の酸化剤で酸化後、DMF等の溶媒中、オキシ塩化リンの存在下に転位させる等の一連の官能基変換をエステルxxiaに実施して2−クロロピリジン誘導体xxibを得、上記のように加水分解して酸xxiiを得ることもできる。THF等の溶媒中、トリエチルアミン等の塩基の存在下に(JOC 2000,65,8210に記載されているようにベンゾトリアゾールと塩化メチルスルホニルから製造した)N−(1−メタンスルホニル)ベンゾトリアゾールで酸xxiiをアシル化し、N−アシルベンゾトリアゾールxxiiiを生成する。1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、三塩化アルミニウム等のルイス酸の存在下でxxiiiの分子内環化を行い、アザフェナントロールxviicを生成し、DMF等の溶媒中、空気の存在下に触媒量のN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)]で処理するか又は酢酸等の溶媒中、五酸化二ヨウ素等の酸化剤で処理することにより直接酸化してアザフェナントレンキノンibとすることができる。あるいは、(スキーム11に例示するように)アザフェナントロールxviicに一連の官能基変換を実施して官能基化されたアザフェナントロールxviidを生成し、上記のように酸化してアザフェナントレンキノンibとすることができる。
【0097】
【化18】

【0098】
上記スキーム中の各種中間体で場合により実施される官能基変換の例をスキーム10及び11に示す。スキーム10に示すように、イミダゾールIe−1を塩化メチレン等の溶媒中、MCPBA等の酸化剤で処理してN−オキシドIf−1を生成し、無水酢酸で処理してピリドンIf−2を形成するか又はDMF等の溶媒中、オキシ塩化リンで処理して2−クロロピリジン誘導体If−3を生成することができる。これらのイミダゾールIf−1、If−2及びIf−3をスキーム6に示すようにDMFやDMSO等の溶媒中、CuCNで処理し、モノ又はビスニトリル(M=CCN)Igを生成することができる。
【0099】
【化19】

【0100】
スキーム11に示すように、DMF等の適切な溶媒中、イミダゾール等の塩基の存在下にt−ブチルジフェニルシリルクロリド等の試薬を使用してハロアザフェナントロールxviicを適切な保護基で保護し、保護ハロアザフェナントロールxviid−1を得る。次に、塩化メチレン等の溶媒中、三臭化ホウ素等の試薬を使用してこのハロアザフェナントロールxviid−1上のアルコキシ置換基を脱保護し、フェノールxviid−2を得、THF等の適切な溶媒中、第1級アルコールROH、トリフェニルホスフィン及び活性化剤(例えばアゾジカルボン酸ジ−t−ブチル)の存在下に光延反応を実施し、ハロアザフェナントロールxviid−3を生成することができる。次に、トルエン等の適切な溶媒中、酢酸パラジウム等の触媒とトリブチル錫メトキシド等の適切なスタナンとトリ−o−トリルホスフィン等の適切なリガンドの存在下に酢酸イソプロペニルで処理し、官能基化されたアザフェナントレンxviid−4を得ることにより2段階法でこのハロアザフェナントロールxviid−3をアザフェナントレンxviid−5に変換することができる。予め形成しておいた四塩化チタンと金属リチウムの混合物でこのアザフェナントレンxviid−4を処理し、第3級アルコールxviid−5を得、THF等の溶媒中、弗化テトラブチルアンモニウムで処理し、フェノールxviid−6を遊離させる。このアザフェナントロールxviid−6をDMF等の溶媒中、空気の存在下に触媒量のN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)]で処理するか又は酢酸等の溶媒中、五酸化二ヨウ素等の酸化剤で処理し、アザフェナントレンキノンib−1を生成し、スキーム6に記載するように更に対応するイミダゾールIe−hに変換する。
【0101】
【化20】

【0102】
3)インドール系
本発明の式Ii−mの化合物は下記スキーム12〜13に要約する合成経路に従い、本明細書に記載する方法により製造することができる。式Ii−jのイミダゾールは必要なヘテロフェナントレンキノンicから多段階シーケンスで製造することができる。ヘテロフェナントレンイミダゾールIiはヘテロフェナントレンキノンicと適切に置換されたアルデヒドiiを酢酸等の溶媒中、NHOAcやNHHCO等の試薬で処理することにより得られる。官能基R〜Rのいずれかの適切な変換によりイミダゾールIiを更にイミダゾールIjに変換することができる。イミダゾールIi又はIjをDMFやDMSO等の溶媒中、CuCNで処理し、モノ又はビスニトリル(M=CCN)Ikを生成する。その後、R〜R位のいずれかで官能基相互変換を行うことができる。例えば、R〜R置換基の1個以上がCl、Br又はIであり、MがCBr又はCI以外のものである場合には、THF、DMF又はDME等の適切な溶媒中、Pd(PPhやCuI等の触媒と、炭酸ナトリウムやジイソプロピルアミン等の塩基の存在下で加熱する等の交差カップリング反応を促進する条件下でIkをモノ置換アルキニル、スタナン、ボロン酸、ボラン又はボロン酸エステルの存在下におくことによりIkをImに変換することができる。この最後の例示段階又は他の適切な任意官能基変換をR〜Rで反復することができる。
【0103】
【化21】

【0104】
ヘテロフェナントレンキノンicはスキーム13に要約するシーケンスに従って製造することができる。スキーム13に示すように、(例えばフェニル酢酸のエステル化、活性化弗化アリールをマロン酸誘導体で置換後に脱炭酸、又は安息香酸のウルフ転位により製造することができる)適切に置換されたブロモフェニル酢酸エステルiiiをキシレン等の適切な溶媒中、Pd(OAc)等の触媒と、P(t−Bu)等のリガンドと、炭酸カリウム等の塩基の存在下にインドールxxivで処理した後に、THFとメタノール等の適切な溶媒混合物中、水酸化ナトリウム等の塩基でエステル官能基を加水分解し、フェニル酢酸xxvを生成する。THF等の溶媒中、触媒量のDMFの存在下に塩化オキサリル等の適切な試薬で処理して酸xxvをその塩化アシルに変換した後に、1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、三塩化アルミニウム等のルイス酸の存在下で分子内環化を行い、ヘテロフェナントロールxxviを生成する。DMF等の溶媒中、空気の存在下に触媒量のN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)]で処理することによりこのフェナントロールxxviを直接酸化してヘテロフェナントレンキノンicとすることができる。
【0105】
【化22】

【0106】
4)ビスチオフェン系
本発明の式In−qの化合物は下記スキーム14〜16に要約する合成経路に従い、本明細書に記載する方法により製造することができる。式In−oのイミダゾールは必要なヘテロフェナントレンキノンidから多段階シーケンスで製造することができる。ヘテロフェナントレンイミダゾールInはヘテロフェナントレンキノンidと適切に置換されたアルデヒドiiを酢酸等の溶媒中、NHOAcやNHHCO等の試薬で処理することにより得られる。官能基R〜Rのいずれかの適切な相互変換(例えばTHFや酢酸等の適切な溶媒中、臭素やN−ブロモスクシンイミド等の適切なハロゲン化剤によるハロゲン化、又はTHF等の適切な溶媒中、ブチルリチウム等の有機金属試薬によるトランスメタル化後にヨウ素や二酸化炭素等の求電子剤の添加、又は他の適切な任意官能基相互変換)によりイミダゾールInを更にイミダゾールIoに変換することができる。イミダゾールIn又はIoをDMFやDMSO等の溶媒中、CuCNで処理し、モノ又はビスニトリル(M=CCN)Ipを生成する。その後、(スキーム16に例示するように)R〜R位のいずれかで官能基相互変換を行うことができる。例えば、R〜R置換基の1個以上がCl、Br又はIであり、MがCBr又はCI以外のものである場合には、THF、DMF又はDME等の適切な溶媒中、Pd(PPhやCuI等の触媒と、炭酸ナトリウムやジイソプロピルアミン等の塩基の存在下で加熱する等の交差カップリング反応を促進する条件下でIpをモノ置換アルキニル、スタナン、ボロン酸、ボラン又はボロン酸エステルの存在下におくことによりIpをIqに変換することができる。この最後の例示段階又は他の適切な任意官能基変換をR〜Rで反復することができる。
【0107】
【化23】

【0108】
ヘテロフェナントレンキノンidはスキーム15に要約するシーケンスに従って製造することができる。スキーム15に示すように、適切に置換されたブロモチオフェンxxviiをDME等の適切な溶媒中、Pd(PPh等の触媒と、炭酸ナトリウム等の塩基の存在下にチオフェンボロン酸xxviiiで処理し、ビスチオフェンxxixを生成する。このビスチオフェンxxixを1,2−ジクロロエタン等の溶媒中、塩化オキサリルで処理し、ヘテロフェナントレンキノンidを生成する。
【0109】
【化24】

【0110】
スキーム16に例示するように、イミダゾールIp−1をTHFと水等の適切な溶媒混合物中、NBSで処理し、ジブロモイミダゾールIq−1を生成する。
【0111】
【化25】

【実施例】
【0112】
以下、非限定的な実施例により本発明を例示する。
【0113】
【表3】


【0114】
【表4】


【0115】
【表5】


【0116】
(実施例1)
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−チエノ[3’,2’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
【0117】
【化26】

【0118】
ステップ1:(2−ブロモフェニル)酢酸メチル
(2−ブロモフェニル)酢酸(14.5g,67.4mmol)の0℃のメタノール300mL)溶液に塩化チオニル(7.4mL,101mmol)をゆっくりと加えた。得られた溶液を0℃で15分間、次いで室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮し、(2−ブロモフェニル)酢酸メチル(16.4g)を得た。
【0119】
ステップ2:[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]酢酸メチル
上記ステップ1からの(2−ブロモフェニル)酢酸メチル(4.58g,20mmol)と、ジボロンピナコールエステル(7g,27mmol)と、Pd(dppf)Cl・CHCl(653mg,0.8mmol)と、酢酸カリウム(6.87g,70mmol)をDMF(130mL)に加えた混合物を窒素雰囲気下に10分間パージした後、80℃に一晩加熱した。付加当量のパラジウム触媒(300mg)を加え、加熱を5時間続けた後、反応混合物を水で希釈した。水層をジエチルエーテルで抽出し、有機層を水洗し(3回)、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中2.5−10%酢酸エチル)により精製し、[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]酢酸メチル(1.72g)を無色シロップ状物として得た。
【0120】
ステップ3:[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸メチル
上記ステップ2からの[2−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]酢酸メチル(345mg,1.25mmol)と、2−ブロモチオフェン(242μL,2.5mmol)と、Pd(dppf)Cl(51mg,0.06mmol)と、炭酸ナトリウム(2M,3mL)をDMF(12mL)に加えた混合物を10分間窒素パージした後、85℃に2時間加熱した。次に反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水洗し(3回)、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10%酢酸エチル)により精製し、[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸メチル(148mg)を無色シロップ状物として得た。
【0121】
ステップ4:[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸
上記ステップ3からの[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸メチル(181mg,0.78mmol)のTHF(6mL)/メタノール(6mL)溶液に水酸化ナトリウム(1N,3mL)を加えた。混合物を室温で1.5時間、次いで45℃で30分間撹拌した後、室温まで冷却し、小容量になるまで濃縮した。残渣を水で希釈し、HCl(1N)で酸性化し、得られた沈殿を濾過し、[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸(126mg)を白色固体として得た。
【0122】
ステップ5:ナフト[1,2−b]チオフェン−4−オール
上記ステップ4からの[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸(118mg,0.54mmol)の0℃のTHF(4mL)溶液に塩化オキサリル(137mg,108mmol)を加え、次いでDMF(20μL)を加えた。得られた黄色溶液を0℃で2時間撹拌した後、(30℃で)減圧濃縮した。残渣を1,2−ジクロロエタン(4mL)と同時蒸発させ、得られた黄色シロップ状物を1,2−ジクロロエタン(4mL)に溶かした。この溶液に室温で三塩化アルミニウム(108mg,0.81mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、CHClで希釈し、冷水でクエンチした。水層をCHClで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、ナフト[1,2−b]チオフェン−4−オール(103mg)をベージュ色固体として得た。
【0123】
ステップ6:ナフト[1,2−b]チオフェン−4,5−ジオン
反応混合物に空気をバブリングしながら、上記ステップ5からのナフト[1,2−b]チオフェン−4−オール(94mg,0.47mmol)とN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物(16mg,0.05mmol)をDMF(6mL)に加えた混合物を室温で一晩撹拌した。次に混合物を水でクエンチし、5分間撹拌し、得られた固体沈殿を濾過し、水洗し、ナフト[1,2−b]チオフェン−4,5−ジオン(61mg)を赤レンガ色固体として得た。
【0124】
ステップ7:2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−チエノ[3’,2’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
上記ステップ6からのナフト[1,2−b]チオフェン−4,5−ジオン(54mg,0.252mmol)の酢酸(5mL)溶液に酢酸アンモニウム(195mg,2.52mmol)と2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド(52mg,0.33mmol)を加えた。混合物を6時間加熱還流した後、水に注ぎ、5分間撹拌し、濾過した。固形分をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)により精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−3H−チエノ[3’,2’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(75mg)を黄褐色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d,互変異性体混合物):12.8(0.5Ha,bs),12.6(0.5Hb,bs),8.73−8.71(0.5Ha,m),8.46−8.41(0.5Hb,m),8.30−8.25(0.5Ha,0.5Hb,m),7.98−7.87(2Ha,b,m),7.71−7.62(3Ha,b,m),7.54(1Ha,b,d),7.40(1Ha,b,t)。
【0125】
(実施例2)
2−(8−クロロ−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0126】
【化27】

【0127】
ステップ1:(2−ブロモ−4−クロロフェニル)酢酸ベンジル
2−ブロモ−4−クロロ安息香酸(1.18g,5mmol)の0℃のTHF(40ml)溶液に塩化オキサリル(1.27g,10mmol)を加え、次いでDMF(20μL)を加えた。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、減圧濃縮した(30℃)。残渣をアセトニトリル(4mL)と同時蒸発させ、残渣を高減圧下に乾燥した。この粗酸塩化物の0℃のTHF/CHCN(1:1,20mL)溶液に(トリメチルシリル)ジアゾメタン(ヘキサン中2M,3.13mL)を加え、次いでトリエチルアミン(870μL,6.25mmol)を加えた。得られた黄色溶液を0℃で1時間、5℃で一晩撹拌した。反応混合物を半固体残渣となるまで減圧濃縮し、2,4,6−トリメチルピリジン(4mL)とベンジルアルコール(4mL)に取った。混合物を175℃に20分間加熱した後、室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。有機層を1N HCl、水(2回)で順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10%酢酸エチル)により精製し、(2−ブロモ−4−クロロフェニル)酢酸ベンジル(926mg,55%)を赤茶色油状物として得た。
【0128】
ステップ2:[4−クロロ−2−(3−チエニル)フェニル]酢酸ベンジル
上記ステップ1からの(2−ブロモ−4−クロロフェニル)酢酸ベンジル(424mg,1.25mmol)と、3−チエニルボロン酸(320mg,2.5mmol)と、弗化セシウム570mg,3.75mmol)と、Pd(PPh(72mg,0.06mmol)をDME(10mL)に加えた混合物を10分間窒素パージした後、3.5時間加熱還流した。次に反応混合物を室温まで冷却し、水と酢酸エチルで希釈した。有機層を水洗し(3回)、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(100%トルエン)により精製し、[4−クロロ−2−(3−チエニル)フェニル]酢酸ベンジル(358mg,83%)を黄色シロップ状物として得た。
【0129】
ステップ3:[4−クロロ−2−(3−チエニル)フェニル]酢酸
この酸は[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸メチルの代わりに上記ステップ2からの[4−クロロ−2−(3−チエニル)フェニル]酢酸ベンジルを使用した以外は実施例4のステップ4に記載したように製造した。
【0130】
ステップ4:8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン−4−オール
本化合物は[2−(2−チエニル)フェニル]酢酸の代わりに上記ステップ3からの[4−クロロ−2−(3−チエニル)フェニル]酢酸を使用した以外は実施例4のステップ5に記載したように製造した。
【0131】
ステップ5:8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン
本ジオンはナフト[1,2−b]チオフェン−4−オールの代わりに上記ステップ4からの8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン−4−オールを使用した以外は実施例4のステップ6に記載したように製造した。
【0132】
ステップ6:8−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
本イミダゾールはナフト[1,2−b]チオフェン−4,5−ジオンの代わりに上記ステップ5からの8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオンを使用し、2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒドの代わりに2,6−ジブロモベンズアルデヒドを使用した以外は実施例4のステップ7に記載したように製造した。
【0133】
ステップ7:2−(8−クロロ−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
上記ステップ6からの8−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(212mg,0.43mmol)のDMF(5mL)溶液にCuCN(154mg,1.72mmol)を加えた。反応混合物を100℃で2時間、次いで115℃で20分間撹拌した。更にCuCN(80mg)を加え、反応混合物を115℃で1時間撹拌した。室温まで冷却し、水、酢酸エチル及び15%水酸化アンモニウムで希釈した。混合物を室温で20分間撹拌した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせて水洗し(4回)、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。材料をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中66%酢酸エチル)により精製し、2−(8−クロロ−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(107mg)を黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):13.2(1H,bs),8.70−8.55(2H,m),8.40−8.28(3H,m),8.05(1H,t),7.85(1H,d),7.70(1H,dd)。
【0134】
(実施例3)
6−ブロモ−5,8−ジクロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
【0135】
【化28】

【0136】
ステップ1:4−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]チオフェン
塩化(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウム(17.3g)の0℃のDMF(200mL)溶液にNaH(油中60%,2g)を加えた。混合物を0℃で30分間撹拌した後、4−ブロモチオフェン−2−カルボアルデヒド(8g)のDMF(20mL)溶液を加えた。混合物を0℃で30分間撹拌した後、室温まで昇温し、1時間撹拌した。1N HClとEtOを加えることにより反応混合物をクエンチした。水層をEtOで抽出し、有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過した。揮発分を減圧除去し、残渣をシリカフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、4−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]チオフェン(10g)を異性体混合物として得た。
【0137】
ステップ2:1−ブロモ−8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン
パイレックス(登録商標)内側水冷ジャケット付き2L容器に上記ステップ1からの4−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]チオフェン(5g)のシクロヘキサン溶液を加えた後にヨウ素(424mg)のTHF溶液を加えた。反応混合物に空気をバブリングしながら450W中圧水銀ランプを内側インサートに挿入することにより溶液に撹拌下に紫外線を24時間照射した。反応混合物を10%Naでクエンチし、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。残渣をシリカフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、1−ブロモ−8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン(3.8g)を得た。
【0138】
ステップ3:1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン
上記ステップ2からの1−ブロモ−8−クロロナフト[2,1−b]チオフェン(306mg)のTHF(30ml)/水(3mL)溶液にN−クロロスクシンイミド(411mg)を加えた。反応混合物を70℃に一晩加熱した後、10%Naと酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。残渣をシリカフラッシュクロマトグラフィー(100%ヘキサン)により精製し、1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン(335mg)を得た。
【0139】
ステップ4:1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン
上記ステップ3からの1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン(335mg)の酢酸溶液にCrO(404mg)を加えた。混合物を120℃で2時間加熱し、室温まで冷却し、水と酢酸エチルに注いだ。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。残渣をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチル)により精製し、1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン(180mg)を得た。
【0140】
ステップ5:6−ブロモ−5,8−ジクロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
上記ステップ4からの1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン(180mg)の酢酸溶液に酢酸アンモニウム(766mg)と2,6−ジブロモベンズアルデヒド(197mg)を加えた。混合物を120℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。残渣をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25−50%酢酸エチル)により精製し、6−ブロモ−5,8−ジクロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(180mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400Mhz,アセトン−d):9.74(1H,s),8.48(1H,d),7.87(2H,d),7.73(1H,d),7.49(1H,t)。
【0141】
(実施例4)
2−(6−ブロモ−5,8−ジクロロ−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0142】
【化29】

【0143】
実施例24からの6−ブロモ−5,8−ジクロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(180mg)のDMSO溶液にCuCN(106mg)を加えた。反応混合物を90℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却し、水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、揮発分を減圧除去した。残渣をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50−75%酢酸エチル)により精製し、2−(6−ブロモ−5,8−ジクロロ−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(78mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400MhHz,アセトン−d):9.86(1H,s),8.64(1H,d),8.40(2H,d),8.07(1H,t),7.83(1H,d)。
【0144】
(実施例5)
2−[5−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0145】
【化30】

【0146】
本イミダゾールは下記のような2種類の経路により製造することができた。
【0147】
経路A:
ステップ1:2−[2−(4−ブロモフェニル)ビニル]−5−クロロチオフェン
本化合物は塩化(4−クロロベンジル)トリフェニルホスホニウムの代わりに臭化(4−ブロモベンジル)トリフェニルホスホニウムを使用し、4−ブロモチオフェン−2−カルボアルデヒドの代わりに5−クロロチオフェン−2−カルボアルデヒドを使用した以外は実施例24のステップ1に記載したように製造した。
【0148】
ステップ2:8−ブロモ−2−クロロナフト[2,1−b]チオフェン
本ナフトチオフェンは4−ブロモ−2−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]チオフェンの代わりに上記ステップ1からの2−[2−(4−ブロモフェニル)ビニル]−5−クロロチオフェンを使用し、反応混合物に紫外線を24時間でなく2日間照射した以外は実施例24のステップ2に記載したように製造した。
【0149】
ステップ3:1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)アセトン
上記ステップ2からの8−ブロモ−2−クロロナフト[2,1−b]チオフェン(3.67g,12.3mmol)のトルエン(100mL)溶液に酢酸イソプロペニル(2.04mL)を加え、次いでトリブチル(メトキシ)スタナン(5.33mL)、酢酸パラジウム(II)(277mg)及びトリ−o−トリルホスフィン(826mg)を加えた。得られた混合物を85℃に一晩加熱し、室温まで冷却し、炭酸水素ナトリウムと酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出し,有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)アセトン(2g,39%)を得た。
【0150】
ステップ4:1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−2−メチルプロパン−2−オール
TiCl(CHCl中1M,18.2mL)の−78℃のジエチルエーテル溶液にメチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M,11.4mL)を加えた。得られた溶液を−78℃で0.5時間撹拌した後、上記ステップ3からの1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)アセトン(2.5g,9.1mmol)の−78℃のジエチルエーテル溶液を加えた。5分後に混合物を0℃まで昇温し、2時間撹拌した。反応混合物を1N HCl、水及び酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料を次段階(下記ステップ5)で直接使用した。
【0151】
ステップ5:2−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン
上記ステップ4からの粗1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−2−メチルプロパン−2−オールの酢酸溶液にCrO(3.4g)を加えた。混合物を70℃で30分間撹拌した後、水と酢酸エチルでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチル)により精製し、2−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン(630mg,22%,2段階)を得た。
【0152】
ステップ6:1−[5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−8−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
本イミダゾールは1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオンの代わりに上記ステップ5からの2−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオンを使用し、反応混合物を120℃に一晩ではなく70℃に一晩加熱した以外は実施例24のステップ5に記載したように製造した。
【0153】
ステップ7:2−[5−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
本イミダゾールは6−ブロモ−5,8−ジクロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾールの代わりに上記ステップ6からの1−[5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−8−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用した以外は実施例25に記載したように製造し、2−[5−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):8.41(1H,s),8.36(2H,d),8.35(1H,d),8.21(1H,s),8.01(1H,t),7.67(1H,d),3.49(1H,s),2.99(2H,s),1.27(6H,s)。
【0154】
経路B:
ステップ1:1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−2−メチルプロパン−2−オール
実施例30の経路Aのステップ2からの8−ブロモ−2−クロロナフト[2,1−b]チオフェン(1.5g,5mmol)の−78℃のTHF(60mL)溶液にメチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M,472μL)とブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,2.3mL)を加えた。混合物を−78℃で30分間撹拌した後、酸化イソブチレン(670μL)を加え、次いでBF・OEt(958μL)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間撹拌した後、1M HClでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−2−メチルプロパン−2−オール(780mg)を黄色油状物として得た。
【0155】
ステップ2:tert−ブチル[2−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−1,1−ジメチルエトキシ]ジメチルシラン
上記ステップ1からの1−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−2−メチルプロパン−2−オール(1g)のTHF溶液に水素化ナトリウム(60%油分散液,826mg)を加えた。混合物を2分間加熱還流した後、室温まで冷却した。塩化tert−ブチルジメチルシリル(3.1g)を加え、反応混合物を2時間加熱還流した後、水でクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせてブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料を次段階(下記ステップ3)で直接使用した。
【0156】
ステップ3:8−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−2−クロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオン
本化合物は1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェンの代わりに上記ステップ2からの粗tert−ブチル[2−(2−クロロナフト[2,1−b]チエン−8−イル)−1,1−ジメチルエトキシ]ジメチルシランを使用し、120℃で2時間ではなく70℃で20分間反応を行った以外は実施例24のステップ4に記載したように製造した。粗生成物を次段階(下記ステップ4)で直接使用した。
【0157】
ステップ4:8−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
本イミダゾールは1−ブロモ−2,8−ジクロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオンの代わりに上記ステップ3からの粗8−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−2−クロロナフト[2,1−b]チオフェン−4,5−ジオンを使用し、120℃で一晩ではなく70℃で一晩反応を行った以外は実施例24のステップ5に記載したように製造した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、8−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(1.1g,47%)を得た。
【0158】
ステップ5:1−[5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−8−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
上記ステップ4からの8−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(1.1g)を仕込んだフラスコにTBAF(THF中1M,30mL)を加えた。得られた溶液を24時間加熱還流した後、反応混合物に水を加えた。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物を次段階(下記ステップ6)で直接使用した。
【0159】
ステップ6:2−[5−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
本イミダゾールは6−ブロモ−5,8−ジクロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾールの代わりに上記ステップ5からの粗1−[5−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−8−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用した以外は実施例25に記載したように製造し、2−[5−クロロ−8−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−チエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを得た。
【0160】
(実施例6)
2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン
【0161】
【化31】

【0162】
ステップ1:ベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン
ベンゾ[h]キノリン(2.64g,14.7mmol)の酢酸(60mL)溶液に五酸化二ヨウ素(5.5g,16.5mmol)を加えた。得られた溶液を2時間加熱還流した後、10%チオ硫酸ナトリウムと酢酸エチルに注ぎ、30分間撹拌した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせて10%チオ硫酸ナトリウム、ブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、粗ベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン(3.5g)を茶−オレンジ色固体として得た。
【0163】
ステップ2:2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン
上記ステップ1からのベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン(2.25g,10.75mmol)の酢酸(160mL)溶液に酢酸アンモニウム(17g,220mmol)と2,6−ジブロモベンズアルデヒド(4g,15.2mmol)を加えた。混合物を2時間加熱還流した後、水で希釈し、1時間撹拌し、濾過した。固形分を酢酸エチルに溶かし、有機層を水とブラインで順次洗浄した後、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。 粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中1−10%アセトン)により精製し、2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(2.67g,55%)をベージュ色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):9.28(1H,d,J=8.2Hz),9.13(1H,d,J=4.8Hz),9.03(1H,d,J=8.1Hz),8.49(1H,d,J=8.0Hz),7.98−7.94(4H,m),7.86(1H,t,J=7.7Hz),7.59(1H,t,J=8.1Hz)。
【0164】
(実施例7)
2−(1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル
【0165】
【化32】

【0166】
実施例36のステップ2からの2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(206mg,0.45mmol)のDMF(8mL)溶液にCuCN(130mg,1.45mmol)を加えた。得られた混合物を80℃に20時間加熱した後、更にCuCN(130mg)を加え、混合物を100℃に7時間加熱した後、室温まで冷却し、NHOH、ブライン及び酢酸エチルの混液に注ぎ、16時間撹拌した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(CHCl中3−30%アセトン)により精製し、2−(1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル(16mg)を黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):9.27(1H,d,J=8.3Hz),9.08−9.04(2H,m),8.52(1H,d,J=7.7Hz),8.46(2H,d,J=7.9Hz),8.02−7.92(3H,m),7.82(1H,t,J=7.7Hz)。
【0167】
(実施例8)
2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン7−オキシド
【0168】
【化33】

【0169】
実施例36からの2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(2.67g,5.89mmol)のCHCl(120mL)懸濁液にMCPBA(約60%,3.5g,12.1mmol)を加えた。得られた懸濁液を室温で21時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウムでクエンチした。最少量の酢酸エチル、MeOH及びTHFを加え、混合物を室温で数分間撹拌した後、濾過し、2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン7−オキシド(2.16g,78%)を白色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):10.85(1H,d,J=8.5Hz),8.76(1H,d,J=6.2Hz),8.51(2H,dd,J=8.3,14.0Hz),7.95−7.87(4H,m),7.79−7.73(2H,m),7.51(1H,t,J=8.2Hz)。
【0170】
(実施例9)
2−(6−クロロ−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル
【0171】
【化34】

【0172】
ステップ1:6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン
実施例38からの2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン7−オキシド(340mg)のオキシ塩化リン(5mL)懸濁液を100℃に3時間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルと25%酢酸アンモニウムに分配した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中2−30%酢酸エチル)により精製し、6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(55mg)を白色固体として得た。
【0173】
ステップ2:2−(6−クロロ−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル
上記ステップ1からの6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(47mg,0.096mmol)のDMF(3mL)溶液にCuCN(20mg,0.22mmol)を加えた。得られた混合物を80℃に4時間加熱した後、更にCuCN(10mg)を加え、混合物を80℃に23時間加熱した後、室温まで冷却し、NHOH、ブライン及び酢酸エチルの混液に注ぎ、1.5時間撹拌した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中20−70%酢酸エチル)により精製し、2−(6−クロロ−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル(15mg,41%)を黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):9.13(1H,d,J=8.1Hz),8.89(1H,d,J=8.4Hz),8.49(3H,m),8.01(1H,t,J=7.9Hz),7.94−7.88(2H,m),7.80(1H,t,J=7.7Hz)。
【0174】
(実施例10)
2−(6−フェニル−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル
【0175】
【化35】

【0176】
ステップ1:2−フェニルベンゾ[h]キノリン
ベンゾ[h]キノリン(430mg,2.41mmol)の室温のトルエン(8mL)溶液にフェニルリチウム(シクロヘキサン/エーテル(70/30)中1.8M,2mL,3.6mmol)を加えた。混合物を室温で17時間撹拌した後、0℃まで冷却し、水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料の塩化メチレン(40mL)溶液にMnO(24g,276mmol)を加えた。混合物を室温で30分間撹拌した後、MgSO(24g)を加え、混合物を室温で30分間撹拌した後、セライトで濾過し、濾液を濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中2−5%エーテル)により精製し、2−フェニルベンゾ[h]キノリン(396mg,64%)を黄色油状物として得た。
【0177】
ステップ2:2−フェニルベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン
本ジオンはベンゾ[h]キノリンの代わりに上記ステップ1からの2−フェニルベンゾ[h]キノリンを使用した以外は実施例36のステップ1に記載したように製造し、2−フェニルベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオンを得た。
【0178】
ステップ3:2−(2,6−ジブロモフェニル)−6−フェニル−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン
本イミダゾールはベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオンの代わりに上記ステップ2からの2−フェニルベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオンを使用した以外は実施例36のステップ2に記載したように製造し、2−(2,6−ジブロモフェニル)−6−フェニル−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリンを得た。
【0179】
ステップ4:2−(6−フェニル−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル
本イミダゾールは2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリンの代わりに上記ステップ3からの2−(2,6−ジブロモフェニル)−6−フェニル−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリンを使用し、CuCN4当量を使用した以外は実施例37に記載したように製造し、2−(6−フェニル−1H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリルを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):9.46(1H,d,J=8.0Hz),8.90(1H,d,J=8.5Hz),8.51−8.41(6H,m),7.99(1H,t,J=7.9Hz),7.89(1H,t,J=6.9Hz),7.80(1H,t,J=7.1Hz),7.60(2H,t,J=7.5Hz),7.51(1H,t,J=7.3Hz)。
【0180】
(実施例11)
6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン
【0181】
【化36】

【0182】
ステップ1:N,N−ジエチル−4−メトキシ−2−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド
三口フラスコにPd(PPh(10.5g,9mmol)を仕込み、15分間窒素パージした。次にDME(500mL)を加え、次いで2−ブロモ−3−メチルピリジン(20mL,0.18mol)を加えた。溶液を室温で10分間撹拌した後、{2−[(ジエチルアミノ)カルボニル]−5−メトキシフェニル}ボロン酸(0.28mol,Can.J.Chem.2000,78,905)のDME(300mL)溶液を滴下漏斗で加えた後、炭酸ナトリウム(2M,550mL)を同じく滴下漏斗で加えた。混合物を5時間加熱還流した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中40−90%酢酸エチル)により精製し、N,N−ジエチル−4−メトキシ−2−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(53.8g,定量的)を黄色固体として得た。
【0183】
ステップ2:N,N−ジエチル−4−メトキシ−2−(3−メチル−1−オキシドピリジン−2−イル)ベンズアミド
上記ステップ1からのN,N−ジエチル−4−メトキシ−2−(3−メチルピリジン−2−イル)ベンズアミド(1.95g,6.53mmol)とMCPBA(約60%,6g,20mmol)のCHCl(60mL)懸濁液を室温で22時間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで数回抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル中10−50%エタノール)により精製し、N,N−ジエチル−4−メトキシ−2−(3−メチル−1−オキシドピリジン−2−イル)ベンズアミド(1.37g,67%)を茶色油状物として得た。
【0184】
ステップ3:2−(6−クロロ−3−メチルピリジン−2−イル)−N,N−ジエチル−4−メトキシベンズアミド
オキシ塩化リン(11mL,118mmol)を0℃のDMF(130mL)に加えた。溶液を室温で10分間撹拌した後、上記ステップ2からのN,N−ジエチル−4−メトキシ−2−(3−メチル−1−オキシドピリジン−2−イル)ベンズアミド(17.11g,54.4mmol)のDMF(250mL)溶液をカニューレで加えた。混合物を室温まで昇温し、10分間撹拌した後、100℃の油浴に5分間浸した。反応混合物を室温まで冷却し、25%酢酸アンモニウムに注いだ。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50−70%酢酸エチル)により精製し、2−(6−クロロ−3−メチルピリジン−2−イル)−N,N−ジエチル−4−メトキシベンズアミド(10.93g,60%)を薄いオレンジ色固体として得た。
【0185】
ステップ4:2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オール
ジイソプロピルアミン(220μL,1.57mmol)の0℃のTHF(5mL)溶液にブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,600μL)を加えた。混合物を0℃で20分間撹拌した後、上記ステップ3からの2−(6−クロロ−3−メチルピリジン−2−イル)−N,N−ジエチル−4−メトキシベンズアミド(200mg,0.6mmol)のTHF(2mL)溶液をカニューレで加えた。反応混合物を0℃で10分間撹拌した後、室温まで昇温し、1時間撹拌した。反応混合物を0℃まで再冷却し、KHMDS(トルエン中0.5M,2.5mL)を加え、反応混合物を室温まで昇温し、0.5時間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10%酢酸エチル)により精製し、2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オール(115mg,74%)をベージュ色固体として得た。
【0186】
本カルビノールは下記手順を使用することにより製造することもできた。
【0187】
ステップ4−a:2−(3−メトキシフェニル)ニコチンアルデヒド
丸底フラスコに2−ブロモニコチンアルデヒド(10.45g,56mmol)、(3−メトキシフェニル)ボロン酸(17.1g,113mmol)及びPd(PPh(3.3g,2.86mmol)を仕込み、15分間窒素パージした。次にDME(300mL)と炭酸ナトリウム(2M,90mL)を加え、混合物を17時間加熱還流した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30−70%酢酸エチル)により精製し、2−(3−メトキシフェニル)ニコチンアルデヒド(15.14g,定量的)を黄色固体として得た。
【0188】
ステップ4−b:[2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]酢酸メチル
ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M,30.2mL)を1,3−ジチアン−2−イル(トリメチル)シラン(14.4mL,75.6mmol)の−78℃のTHF(80mL)溶液に滴下漏斗で加えた。添加の完了後、反応混合物を−78℃で0.5時間撹拌した。この溶液に上記ステップ4−aからの2−(3−メトキシフェニル)ニコチンアルデヒド(14.62g,68.5mmol)のTHF(50mL)溶液をカニューレで加えた。反応混合物を室温まで昇温し、1時間15分間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗生成物をMeOH(560mL)と水(62mL)に溶かし、塩化水銀(II)(38g,140mmol)を加えた。反応混合物を85℃に6時間加熱した後、室温まで冷却し、セライトで濾過した後、濾液を濃縮した。残渣を酢酸エチルと25%酢酸アンモニウムに分配した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30−50%酢酸エチル)により精製し、[2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]酢酸メチル(10.7g,61%)を黄色油状物として得た。
【0189】
ステップ4−c:[2−(3−メトキシフェニル)−1−オキシドピリジン−3−イル]酢酸メチル
上記ステップ4−bからの[2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]酢酸メチル(10.7g,41.6mmol)とMCPBA(約60%,36g,125mmol)のCHCl(350mL)懸濁液を室温で20時間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムと酢酸エチルでクエンチした。エタノールを加えて粒状物質を可溶化した。水相を酢酸エチルで数回抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル中30−50%エタノール)により精製し、[2−(3−メトキシフェニル)−1−オキシドピリジン−3−イル]酢酸メチル(11.45g,定量的)をオレンジ色シロップ状物として得た。
【0190】
ステップ4−d:[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]酢酸メチル
オキシ塩化リン(8.2mL,87.9mmol)を0℃のDMF(36mL)に加えた。溶液を室温で10分間撹拌した後、上記ステップ4−cからの[2−(3−メトキシフェニル)−1−オキシドピリジン−3−イル]酢酸メチル(11g,40.2mmol)をトルエン(18mL)とDMF(10mL)の混液に溶かした溶液をカニューレで加えた。混合物を室温まで昇温し、10分間撹拌した後、100℃の油浴に10分間浸した。反応混合物を室温まで冷却し、25%酢酸アンモニウムに注いだ。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10−30%酢酸エチル)により精製し、[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]酢酸メチル(6.7g,57%)を黄色油状物として得た。
【0191】
ステップ4−e:[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)酢酸
上記ステップ4−dからの[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]酢酸メチル(6.7g,22.9mmol)をTHF(100mL)/MeOH(35mL)/水(35mL)の混液に加えた混合物を0℃まで冷却した。この混合物に水酸化ナトリウム(2N,35mL)を加えた。反応混合物を室温まで昇温し、20分間撹拌した後、HCl(2N,35mL)でクエンチし、濃縮した。残渣を酢酸エチルと25%酢酸アンモニウムに分配した。水相を酢酸エチルで数回抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)酢酸(6.22g,98%)を黄色固体として得た。
【0192】
ステップ4−f:1−{[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]アセチル}−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール
上記ステップ4−eからの[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル)酢酸(2.55g,9.18mmol)と1−(メチルスルホニル)−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール(1.82g,9.28mmol,JOC,2002,65,8210)の室温のTHF(50mL)溶液にトリエチルアミン(1.8mL,12.9mmol)を加えた。混合物を19時間加熱還流した後、濃縮した。残渣を酢酸エチルと25%酢酸アンモニウムに分配した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10−20%酢酸エチル)により精製し、1−{[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]アセチル}−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール(1.52g,44%)を黄色固体として得た。
【0193】
ステップ4−g:2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オール
上記ステップ4−fからの1−{[6−クロロ−2−(3−メトキシフェニル)ピリジン−3−イル]アセチル}−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール(1.51g,3.98mmol)のジクロロエタン(100mL)溶液に三塩化アルミニウム(1.62g,12.1mmol)を加えた。混合物を70℃に0.5時間加熱した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中5−10%酢酸エチル)により精製し、2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オール(927mg,90%)を得た。
【0194】
ステップ5:2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン
反応混合物に空気をバブリングしながら上記ステップ4からの2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オール(300mg,1.15mmol)とN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物(40mg,0.12mmol)をDMF(8mL)に加えた混合物を室温で3時間撹拌した。次に混合物を25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン(300mg,95%)をオレンジ色固体として得た。
【0195】
ステップ6:6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン
上記ステップ5からの2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン(300mg,1.09mmol)の酢酸(40mL)溶液に酢酸アンモニウム(1.7g,22mmol)と2,6−ジブロモベンズアルデヒド(440mg,1.67mmol)を加えた。混合物を45分間加熱還流した後、25%酢酸アンモニウムに注ぎ、1時間撹拌し、濾過した。固形分を酢酸エチルに溶かし、有機層を水とブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中5−20%酢酸エチル)により精製し、6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(480mg,85%)をベージュ色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):8.79(1H,d,J=8.5Hz),8.52(1H,d,J=2.6Hz),8.37(1H,d,J=8.8Hz),7.97(2H,d,J=8.2Hz),7.88(1H,d,J=8.5Hz),7.60−7.56(2H,m),4.01(3H,s)。
【0196】
(実施例12)
2−(6−クロロ−9−メトキシ−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル
【0197】
【化37】

【0198】
実施例42からの6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン(150mg,.289mmol)のDMF(4mL)溶液にCuCN(90mg,1.0mmol)を加えた。得られた混合物を80℃に15時間加熱した後、室温まで冷却し、NHOH、ブライン、酢酸エチル及びTHFの混液に注ぎ、2時間撹拌した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料はトルエンで100℃にて0.5時間スウィッシュされ(swished)、濾過され、2−(6−クロロ−9−メトキシ−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル)イソフタロニトリル(75mg,63%)をベージュ色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):8.87(1H,d,J=8.4Hz),8.54(1H,s),8.49−8.38(3H,m),7.99(1H,t,J=7.7Hz),7.87(1H,d,J=8.4Hz),7.57(1H,d,J=8.6Hz),4.03(3H,s)。
【0199】
(実施例13)
2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル]イソフタロニトリル
【0200】
【化38】

【0201】
ステップ1:6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−2−クロロベンゾ[h]キノリン−9−オール
ジイソプロピルアミン(7mL,50mmol)の0℃のTHF(130mL)溶液にKHMDS(トルエン中0.5M,100mL)を加えた。混合物を0℃で0.5時間撹拌した後、実施例42のステップ3からの2−(6−クロロ−3−メチルピリジン−2−イル)−N,N−ジエチル−4−メトキシベンズアミド(6.6g,19.8mmol)の0℃のTHF(60mL)溶液にカニューレで40分間かけて加えた。得られた混合物を0℃で0.5時間撹拌した後、飽和塩化ナトリウム数滴でクエンチした後、1N HClを加えた。反応混合物を減圧濃縮し、残渣を25%酢酸アンモニウムと酢酸エチルに分配した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、粗2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オールを得た。この粗材料のDMF(180mL)溶液にイミダゾール(4.1g,60.2mmol)を加え、次いでtert−ブチルジフェニルクロロシラン(14.5mL,55.7mmol)を加えた。得られた混合物を室温で1.5日間撹拌した。25%酢酸アンモニウムでクエンチし、有機層を水とブラインで順次洗浄した後、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカ(ヘキサン中2−5%酢酸エチル)で短時間濾過し、6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン(14.78g)を得た。この生成物とトリエチルアミン(1.7mL,12.19mmol)の−10℃のジクロロエタン(300mL)溶液に内部温度を−5℃未満に維持しながらBBrを滴下漏斗で40分間かけて加えた。添加の完了後、反応混合物を0℃まで昇温し、1時間撹拌した後、室温まで昇温し、4時間撹拌した。反応混合物を25%酢酸アンモニウムでクエンチし、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中2−20%酢酸エチル)により精製し、6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−2−クロロベンゾ[h]キノリン−9−オール(5.8g,61%,3段階)をベージュ色固体として得た。
【0202】
ステップ2:6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリルオキシ)−2−クロロ−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン
上記ステップ1からの6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−2−クロロベンゾ[h]キノリン−9−オール(592mg,1.22mmol)のTHF(15mL)溶液にシクロプロピルメタノール(180uL,2.25mmol)、トリフェニルホスフィン(580mg,2.21mmol)及びアゾジカルボン酸ジ−tert−ブチル(370mg,1.61mmol)を順次加えた。混合物を室温で3時間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカ(ヘキサン中2−30%酢酸エチル)で濾過した。材料を集めてヘキサンで20時間スウィッシュし、濾過し、6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリルオキシ)−2−クロロ−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン(660mg,定量的)を白色固体として得た。
【0203】
ステップ3:9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ベンゾ[h]キノリン−6−オール
丸底フラスコに上記ステップ2からの6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリルオキシ)−2−クロロ−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン(4.98g,9.25mmol)、酢酸パラジウム(II)(210mg,0.93mmol)及びトリ−o−トリルホスフィン(570mg,1.87mmol)を仕込み、15分間窒素パージした。次にトルエン(20ml)を加え、次いで酢酸イソプロペニル(1.6mL,14.5mmol)とトリブチル(メトキシ)スタナン(4mL,14mmol)を加えた。得られた混合物を100℃に1時間加熱した後、室温まで冷却し、付加当量の酢酸パラジウム(II)(210mg)、トリ−o−トリルホスフィン(570mg)、酢酸イソプロペニル(1.6mL)及びトリブチル(メトキシ)スタナン(4mL)を加えた。混合物を120℃に2時間加熱した後、室温まで冷却し、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中0−5%酢酸エチル)により精製し、1−[6−{tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン−2−イル]アセトン(2.4g)を得、以下の手順で使用した。TiCl(CHCl中1M,18mL)を仕込んだ−78℃の丸底フラスコにメチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M,11.2mL)を滴下漏斗で加えた。得られた深紅色溶液を−78℃で0.5時間撹拌した後、1−[6−{tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン−2−イル]アセトンの0℃のジエチルエーテル(40mL)溶液にカニューレで加えた。得られた混合物を0℃で5時間撹拌した後、1N HClと酢酸エチルでクエンチし、次いで25%酢酸アンモニウムを加えた。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中0−6%酢酸エチル)により精製し、1−[6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ)−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン−2−イル]−2−メチルプロパン−2−オール(655mg)を得た。この材料のTHF(15mL)溶液に弗化テトラブチルアンモニウム(THF中1M,2.3mL)を加えた。混合物を室温で50分間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中20−60%酢酸エチル)により精製し、9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ベンゾ[h]キノリン−6−オール(200mg)を得た。
【0204】
ステップ4:9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオン
本キノンは2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オールの代わりに上記ステップ3からの9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ベンゾ[h]キノリン−6−オールを使用した以外は実施例42のステップ5に記載したように製造した。
【0205】
ステップ5:1−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
本イミダゾールは2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオンの代わりに上記ステップ4からの9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオンを使用した以外は実施例42のステップ6に記載したように製造し、1−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを得た。
【0206】
ステップ6:2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル]イソフタロニトリル
本化合物は6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリンの代わりに上記ステップ5からの1−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用した以外は実施例43に記載したように製造し、2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル]イソフタロニトリルを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d,互変異性体混合物):13.18−13.10(1Ha,b,bs),8.88(0.6Ha,d,J=8.16Hz),8.76−8.67(1.4Ha,b,m),8.61(0.3Hb,d,J=8.75Hz),8.39−8.31(2.6Ha,b,m),7.98(1Ha,b,t,J=7.93Hz),7.74−7.66(1Ha,b,m),7.51−7.43(1Ha,b,m),4.92(0.6Ha,bs),4.77(0.4Hb,bs),4.09(2Ha,b,d,J=6.91Hz),3.24(2Ha,b,s),1.43−1.34(1Ha,b,m),1.28(6Ha,b,s),0.69−0.62(2Ha,b,m),0.49−0.43(2Ha,b,m)。
【0207】
(実施例14)
9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジシアノフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチル
【0208】
【化39】

【0209】
ステップ1:6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−9−(シクロプロピルメトキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル
実施例45のステップ2からの6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリルオキシ)−2−クロロ−9−(シクロプロピルメトキシ)ベンゾ[h]キノリン(1.52g,2.83mmol)、酢酸パラジウム(II)(65mg,0.28mmol)及びdppf(320mg,0.58mmol)をエタノール(20mL)とDMF(20mL)の混液に溶かした溶液を減圧下にパージし、一酸化炭素を3回再充填した。トリエチルアミン(820μL,3.7mmol)を加え、混合物を一酸化炭素雰囲気下で90℃に3時間加熱した。25%酢酸アンモニウムと酢酸エチルに注ぐことにより反応混合物をクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中0−20%酢酸エチル)により精製し、9−(シクロプロピルメトキシ)−6−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル(300mg)に加えて6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−9−(シクロプロピルメトキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル(380mg)を得た。
【0210】
ステップ2:9−(シクロプロピルメトキシ)−6−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル
上記ステップ1からの6−{[tert−ブチル(ジフェニル)シリル]オキシ}−9−(シクロプロピルメトキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル(380mg,0.659mmol)のTHF(7mL)溶液に弗化テトラブチルアンモニウム(THF中1M,670μL)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中5−20%酢酸エチル)により精製し、9−(シクロプロピルメトキシ)−6−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル(124mg)を得た。
【0211】
ステップ3:9−(シクロプロピルメトキシ)−5,6−ジオキソ−5,6−ジヒドロベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチル
本キノンは2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−6−オールの代わりに上記ステップ2からの9−(シクロプロピルメトキシ)−6−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチルを使用した以外は実施例42のステップ5に記載したように製造した。
【0212】
ステップ4:9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチル
本イミダゾールは2−クロロ−9−メトキシベンゾ[h]キノリン−5,6−ジオンの代わりに上記ステップ3からの9−(シクロプロピルメトキシ)−5,6−ジオキソ−5,6−ジヒドロベンゾ[h]キノリン−2−カルボン酸エチルを使用した以外は実施例42のステップ6に記載したように製造し、9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチルを得た。
【0213】
ステップ5:9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジシアノフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチル
本イミダゾールは6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリンの代わりに上記ステップ4からの9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチルを使用した以外は実施例43に記載したように製造し、9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジシアノフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチルを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):8.95(1H,d,J=8.35Hz),8.75(1H,d,J=2.67Hz),8.46(2H,d,J=7.93Hz),8.40(2H,dd,J=8.57,2.11Hz),7.98(1H,t,J=7.94Hz),7.59(1H,dd,J=8.82,2.67Hz),4.47(2H,q,J=7.09Hz),4.10(2H,d,J=6.94Hz),1.44(3H,t,J=7.10Hz),1.38−1.31(1H,m),0.67−0.60(2H,m),0.48−0.42(2H,m)。
【0214】
(実施例15)
2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル]イソフタロニトリル
【0215】
【化40】

【0216】
ステップ1:3−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−イル]ペンタン−3−オール
実施例52のステップ4からの9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−カルボン酸エチル(340mg,0.57mmol)の−78℃のCHCl(10mL)溶液に臭化エチルマグネシウム(ジエチルエーテル中3M,1.4mL)を加えた。混合物を−45℃まで昇温し、0.5時間撹拌した後、−30〜−25℃まで昇温した。反応混合物をこの温度で4時間撹拌した後、25%酢酸アンモニウムでクエンチした。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。粗材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(トルエン中5−40%酢酸エチル)により精製し、3−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−イル]ペンタン−3−オール(300mg,86%)を得た。
【0217】
ステップ2:2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル]イソフタロニトリル
本イミダゾールは6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−メトキシ−1H−ベンゾール[h]イミダゾ[4,5−f]キノリンの代わりに上記ステップ1からの3−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−6−イル]ペンタン−3−オールを使用した以外は実施例43に記載したように製造し、2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(1−エチル−1−ヒドロキシプロピル)−3H−ベンゾ[h]イミダゾ[4,5−f]キノリン−2−イル]イソフタロニトリルを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d+TFA):8.77(1H,d,J=8.41Hz),8.69(1H,d,J=2.62Hz),8.44(2H,d,J=7.90Hz),8.38(1H,d,J=8.75Hz),8.01−7.93(2H,m),7.52(1H,dd,J=8.74,2.62Hz),4.08(2H,d,J=6.92Hz),2.18−2.06(2H,m),1.96−1.85(2H,m),1.39−1.26(1H,m),0.70(6H,t,J=7.29Hz),0.66−0.57(2H,m),0.49−0.38(2H,m)。
【0218】
(実施例16)
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−[1]ベンゾチエノ[3’,2’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
【0219】
【化41】

【0220】
ステップ1:[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸メチル
実施例4のステップ1からの(2−ブロモフェニル)酢酸メチル(344mg,1.5mmol)と、1−ベンゾチエン−2−イルボロン酸(334mg,1.87mmol)と、Pd(PPh(52mg,0.045mmol)と、弗化セシウム(456mg,3mmol)をDME(8mL)に加えた混合物を窒素雰囲気下で10分間パージした後、5時間加熱還流した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した。有機層を水洗し(3回)、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(100%トルエン)により精製し、[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸メチル(328mg)を淡黄色シロップ状物として得た。
【0221】
ステップ2:[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸
上記ステップ1からの[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸メチル(325mg)のTHF(10mL)/メタノール(10mL)溶液に水酸化ナトリウム(1N,5mL)を加えた。混合物を55℃で1.5時間撹拌した後、室温まで冷却し、小容量になるまで濃縮した。残渣を水で希釈し、HCl(1N)で酸性化し、得られた沈殿を濾過し、[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸(235mg)を白色固体として得た。
【0222】
ステップ3:ベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−6−オール
上記ステップ2からの[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸(230mg)と塩化チオニル(314μL,4.3mmol)を1,2−ジクロロエタン(5mL)に加えた混合物を2.5時間加熱還流した後、反応混合物を蒸発乾凅した。残渣を1,2−ジクロロエタン(3mL)と同時蒸発させ、得られたレンガ色固体を1,2−ジクロロエタン(6mL)に懸濁した。この懸濁液に室温で三塩化アルミニウム(170mg,1.28mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、水とCHClで希釈した。水層をCHClで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(100%トルエン)により精製し、ベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−6−オール(56mg)をベージュ色固体として得た。
【0223】
ステップ4:ベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−5,6−ジオン
反応混合物に空気をバブリングしながら上記ステップ4からのベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−6−オール(48.5mg,0.19mmol)とN,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)水和物[Co(SALEN)](6.5mg,0.02mmol)をDMF(4mL)に加えた混合物を室温で一晩撹拌した。次に混合物を水でクエンチし、15分間撹拌した。水層を酢酸エチルで抽出し,有機層を合わせて水洗し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、ベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−5,6−ジオン(44mg)を暗赤色固体として得た。
【0224】
ステップ5:2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−[1]ベンゾチエノ[3’,2’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
上記ステップ4からのベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−5,6−ジオン(36mg,0.13mmol)と、2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド(28.5mg,0.18mmol)と、酢酸アンモニウム(105mg,1.36mmol)を酢酸(4mL)に加えた混合物を110℃に5時間加熱した後、水で希釈し、10分間撹拌した。得られた沈殿を濾過し、得られた固形分を水洗した後、分取クロマトグラフィープレート2枚(溶離液:ヘキサン中30%酢酸エチル)で精製し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−[1]ベンゾチエノ[3’,2’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール(40mg)を淡黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.85(1H,bs),9.25(1H,d),8.54(1H,d),8.31(1H,d),8.16(1H,d),7.79−7.58(6H,m),7.43(1H,t)。
【0225】
(実施例17)
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−[1]ベンゾチエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
【0226】
【化42】

【0227】
ステップ1:[2−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]酢酸メチル
本化合物は1−ベンゾチエン−2−イルボロン酸の代わりに1−ベンゾチエン−3−イルボロン酸を使用した以外は実施例56のステップ1に記載したように製造した。
【0228】
ステップ2:[2−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]酢酸
本酸は[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸メチルの代わりに上記ステップ1からの[2−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]酢酸メチルを使用した以外は実施例56のステップ2に記載したように製造した。
【0229】
ステップ3:ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−オール
上記ステップ2からの[2−(1−ベンゾチエン−3−イル)フェニル]酢酸(1.17mmol)の0℃のTHF(6mL)溶液に塩化オキサリル(297mg,2.34mmol)を加え、次いでDMF(1滴)を加えた。得られた溶液を0℃で1時間撹拌した後、(40℃で)減圧濃縮した。残渣を1,2−ジクロロエタン(5mL)と同時蒸発させた後、高減圧下に30分間乾燥した。粗酸塩化物を1,2−ジクロロエタン(8mL)に溶かした。この溶液に室温で三塩化アルミニウム(213mg,1.6mmol)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した後、CHClと水で希釈した。水層をCHClで抽出し、有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)により精製し、ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−オール(96mg)を得た。
【0230】
ステップ4:ベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−5,6−ジオン
本ジオンはベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−6−オールの代わりに上記ステップ3からのベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−6−オールを使用した以外は実施例56のステップ4に記載したように製造した。
【0231】
ステップ5:2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−[1]ベンゾチエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾール
本イミダゾールはベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−5,6−ジオンの代わりに上記ステップ4からのベンゾ[b]ナフト[1,2−d]チオフェン−5,6−ジオンを使用した以外は実施例56のステップ5に記載したように製造し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−[1]ベンゾチエノ[2’,3’:3,4]ナフト[1,2−d]イミダゾールをベージュ色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d,互変異性体混合物):12.9(0.5Ha,bs),12.75(0.5Hb,bs),9.31−9.29(1Ha,b,m),9.09−9.02(1Ha,b,m),8.88(0.2Hb,d),8.58(0.8Hb,d),8.21(1Ha,b,d),7.85−7.67(4Ha,b,m),7.59−7.56(2Ha,b,m),7.42(1Ha,b,t)。
【0232】
(実施例18)
2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1,12−ジヒドロベンゾ[c]イミダゾ[4,5−a]カルバゾール
【0233】
【化43】

【0234】
ステップ1:[2−(1H−インドール−3−イル)フェニル]酢酸メチル
実施例4のステップ1からの(2−ブロモフェニル)酢酸メチル(2.52g,11mmol)と、1H−インドール(1.17g,10mmol)と、酢酸パラジウム(II)(22.5mg,0.1mmol)と、P(t−Bu)(61mg,0.3mmol)と、炭酸カリウム(3当量)をキシレン(40mL)に加えた混合物を窒素雰囲気下に10分間パージした後、110−120℃に一晩加熱した。次にP(t−Bu)数滴と酢酸パラジウム(II)(10mg)を加え、反応混合物を110−120℃に6時間加熱した。反応混合物を飽和塩化アンモニウムでクエンチし、酢酸エチルと水に分配した。有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中25%酢酸エチル)により精製し、[2−(1H−インドール−3−イル)フェニル]酢酸メチル(435mg)をベージュ色固体として得た。
【0235】
ステップ2:[2−(1H−インドール−3−イル)フェニル]酢酸
本酸は[2−(1−ベンゾチエン−2−イル)フェニル]酢酸メチルの代わりに上記ステップ1からの[2−(1H−インドール−3−イル)フェニル]酢酸メチルを使用した以外は実施例56のステップ2に記載したように製造した。
【0236】
ステップ3:7H−ベンゾ[c]カルバゾール−6−オール
上記ステップ2からの[2−(1H−インドール−3−イル)フェニル]酢酸(387mg,1.54mmol)の0℃のTHF(15mL)溶液に塩化オキサリル(392mg,3mmol)を加え、次いでDMF(2.5μL)を加えた。得られた懸濁液を0℃で3時間撹拌した後、室温まで昇温し、1時間撹拌した。次に三塩化アルミニウム(133mg)を加え、反応混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、酢酸エチルと水に分配した。有機層をNaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中30%酢酸エチル)により精製し、7H−ベンゾ[c]カルバゾール−6−オール(230mg)を得た。
【0237】
ステップ4:5H−ベンゾ[c]カルバゾール−5,6(7H)−ジオン
本ジオンはベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−6−オールの代わりに上記ステップ3からの7H−ベンゾ[c]カルバゾール−6−オールを使用した以外は実施例56のステップ4に記載したように製造した。
【0238】
ステップ5:2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1,12−ジヒドロベンゾ[c]イミダゾ[4,5−a]カルバゾール
本イミダゾールはベンゾ[b]ナフト[2,1−d]チオフェン−5,6−ジオンの代わりに上記ステップ4からの5H−ベンゾ[c]カルバゾール−5,6(7H)−ジオンを使用した以外は実施例56のステップ5に記載したように製造し、2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1,12−ジヒドロベンゾ[c]イミダゾ[4,5−a]カルバゾールを得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.75(1H,bs),11.35(1H,bs),9.00(1H,d),8.65(1H,d),8.6−8.4(1H,m),7.9−7.63(3H,m),7.6−7.5(2H,m),7.5−7.3(3H,m)。
【0239】
(実施例19)
2−(1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0240】
【化44】

【0241】
ステップ1:3,3’−ビチオフェン
3−ブロモチオフェン(2g,12.2mmol)と3−チエニルボロン酸(2.4g,18.4mmol)をDME(100mL)に加えた混合物に炭酸ナトリウム(2M,18.4mL)を加えた。混合物を減圧下に脱気し、窒素を再充填した。Pd(PPh(707mg,0.61mmol)を加え、反応混合物を10時間加熱還流した後、酢酸エチルと水で希釈した。水層をジエチルエーテルで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10%酢酸エチル)により精製し、3,3’−ビチオフェン(1.1g,55%)を得た。
【0242】
ステップ2:2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール
上記ステップ1からの3,3’−ビチオフェン(1.1g,6.6mmol)の1,2−ジクロロエタン(20mL)溶液に塩化オキサリル(287μL)を加えた。反応混合物を2日間加熱還流した後、付加量の塩化オキサリル(100μL)を加えた。反応混合物を更に2日間加熱還流した後、付加量の塩化オキサリル(250μL)を加えた。反応混合物を更に3日間加熱還流した後、5℃に2時間保持した。得られた沈殿を濾過した。得られた固形分をヘキサンで洗浄した後、熱エタノールで30分間スウィッシュし、濾過し、高減圧下に乾燥し、対応するジオン(500mg)を得た。このジオン(500mg,2.27mmol)と、酢酸アンモニウム(1.7g,22.7mmol)と、2,6−ジブロモベンズアルデヒド(778mg,2.95mmol)を酢酸(11mL)に加えた混合物を2時間加熱還流した。次に反応混合物を室温まで冷却し、水に注ぎ、得られた沈殿を濾過した。得られた固形分を酢酸エチルに溶かし、この溶液を飽和炭酸水素ナトリウムとブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中10−100%酢酸エチル)により精製し、2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール(630mg,63%)を得た。
【0243】
ステップ3:2−(1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
上記ステップ2からの2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール(630mg,1.36mmol)のDMF(7mL)溶液にCuCN(487mg,5.4mL)を加えた。反応混合物を80℃で一晩撹拌した後、室温まで冷却し、10%水酸化アンモニウムと酢酸エチルとTHFの混液に注いだ。混合物を室温で1時間撹拌した。水層を酢酸エチルで抽出し,有機層を10%水酸化アンモニウムとブラインで順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50−100%酢酸エチル)により精製し、2−(1H−ビスチエノ[2,3−e:3’2’−g]ベンズイミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(200mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d):14.3(1H,s),8.45(2H,d),8.12(2H,dd),7.98(1H,t),7.9(1H,d),7.82(1H,d)。
【0244】
(実施例20)
2−(5,8−ジブロモ−1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0245】
【化45】

【0246】
実施例59からの2−(1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(100mg,0.28mmol)とNBS(100mg,0.56mmol)をTHF(5mL)と水(0.5mL)に加えた混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を10% Naでクエンチし、酢酸エチルと水で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮した。材料をシリカフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、2−(5,8−ジブロモ−1H−ビスチエノ[2,3−e:3’,2’−g]ベンズイミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(25mg)を得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,DMSO−d):14.4(1H,s),8.48(2H,d),8.3(2H,d),8.0(1H,t)。
【0247】
生物活性測定アッセイ
プロスタグランジンEシンターゼ活性の阻害
ミクロソームプロスタグランジンeシンターゼアッセイ、全細胞アッセイ及びin vivoアッセイでプロスタグランジンEシンターゼ活性の阻害剤として化合物を試験する。これらのアッセイは酵素免疫測定法(EIA)又は質量分析法を使用してプロスタグランジンE2(PGE2)合成を測定する。ミクロソーム調製に使用する細胞はヒトmPGES−1 cDNAをコードするプラスミドを一過的にトランスフェクトしたCHO−K1細胞とする。細胞実験に使用する細胞は(ヒトmPGES−1を発現する)ヒトA549とする。選択した化合物の活性のインビボ試験にはモルモットを使用する。これらの全アッセイで100%活性はビヒクル処理サンプルにおけるPGE産生として定義する。IC50及びED50は未阻害対照に比較してPGE合成を50%阻害するために必要な阻害剤濃度又は用量を表す。
【0248】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼアッセイ
ヒトmPGES−1 cDNAをコードするプラスミドを一過的にトランスフェクトしたCHO−K1細胞からプロスタグランジンEシンターゼミクロソームフラクションを調製する。次にミクロソームを調製し、5μg/mlミクロソームPGES−1を化合物又はDMSO(終濃度1%)と共に20〜30分間室温でインキュベートすることによりPGESアッセイを開始する。酵素反応は200mM KPi pH7.0,2mM EDTA及び2.5mM 還元型GSH中で実施する。次にPGH基質をイソプロパノールで終濃度1μMに調製した溶液(アッセイウェルの終濃度3.5%)を添加することにより酵素反応を開始し、室温で30秒間インキュベートする。SnClの1N HCl溶液(終濃度1mg/ml)を加えることにより反応を終了する。標準市販キット(Assay Designs製品Cat #:901−001)を使用してEIAにより酵素反応アリコートにおけるPGE産生の測定を実施する。
【0249】
代表的な化合物のこのアッセイのデータを下表に示す。効力はIC50として表し、記載値は少なくともn=3の平均である。
【0250】
【表6】

【0251】
ヒトA549全細胞プロスタグランジンEシンターゼアッセイ
基本原理
全細胞はプロスタグランジンEシンターゼ阻害剤等の抗炎症性化合物の細胞透過性と生化学的特異性の試験用に無傷の細胞環境を提供する。これらの化合物の阻害活性を試験するために、ヒトA549細胞を10ng/ml組換えヒトIL−1βで24時間刺激する。インキュベーション後にmPGES−1依存性PGE産生に対する選択性及び効果の測定値としてPGEとPGF2αの産生をEIAにより測定する。
【0252】
方法
ヒトA549細胞はヒトミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1を特異的に発現し、IL−1βで24時間処理後にその発現を誘導する。細胞2.5×10個を100μl/ウェル(96ウェルプレート)で播種し、標準条件下に一晩インキュベートする。次にIL−1β 10ng/mlを添加した細胞培養用培地100μlを細胞に加えた後、2% FBSを添加したRPMI又は50% FBSを添加したRPMIを加える。次に薬剤又はビヒクル(DMSO)2μlを加え、サンプルをすぐに混合する。細胞を24時間インキュベートし、インキュベーション後に培地175μlを回収し、PGEとPGF2αの含量をEIAによりアッセイする。
【0253】
ヒト全血プロスタグランジンEシンターゼアッセイ
基本原理
全血はプロスタグランジンEシンターゼ阻害剤等の抗炎症性化合物の生化学的効力の試験用に蛋白及び細胞リッチ培地を提供する。これらの化合物の阻害活性を試験するために、ヒト血液をリポ多糖(LPS)で24時間刺激し、mPGES−1発現を誘導する。インキュベーション後にmPGES−1依存性PGE産生に対する選択性及び効果の測定値としてプロスタグランジンE2(PGE)とトロンボキサンB2(TxB)の産生をEIAにより測定する。
【0254】
方法
文献(Brideauら,Inflamm.Res.,vol.45,p.68,1996)に報告されているmPGES−1活性のヒト全血アッセイを下記のように実施する。
【0255】
ヒトボランティアから新たに採取した静脈血をヘパリン管に採血する。これらの対象は外観上炎症症状がなく、採血前少なくとも7日間NSAIDの投与を停止する。血液250μlをビヒクル(DMSO)1μl又は試験化合物1μlと共にプレインキュベートする。その後、細菌由来LPS 100μg/ml(0.1% w/vウシ血清アルブミンを添加したリン酸緩衝食塩水で希釈した大腸菌血清型0111:B4)を加え、サンプルを24時間37℃でインキュベートする。0時点の未刺激対照血液(LPS未添加)をブランクとして使用する。24時間インキュベーション後に血液を4℃にて10分間3000rpmで遠心する。上記のようなEIAキットを使用してPGEとTxBについて血漿をアッセイする。
【0256】
抗炎症活性のインビボ測定
基本原理
丸ごとの動物はインビトロで特性決定された試験化合物の抗炎症活性を確認するための総合生理系を提供する。プロスタグランジンEシンターゼ阻害剤の活性をインビボ測定するために、LPS炎症刺激前後に動物に化合物を投与する。LPSをモルモットの後肢に注射し、注射から4.5及び/又は6時間後に痛覚過敏測定値を記録する。
【0257】
経口投与用試験化合物の調製
ボールミルシステムを使用して試験化合物を粉砕し、非晶質化する。瑪瑙製ボールを充填した瑪瑙製ジャーに化合物を仕込み、Planetary Micro Mill Pulverisette 7システム等の装置で10分間高速回転する。その後、ジャーを開き、粉砕した固体に0.5% methocel溶液を加える。この混合物を再び10分間高速回転する。得られた懸濁液をシンチレーションバイアルに移し、適量の0.5% methocel溶液で希釈し、2分間音波処理し、懸濁液が均質になるまで撹拌する。あるいは、適切な任意化学的又は機械的方法により得られた非晶質材料を使用して試験化合物を調製することもできる。その後、投与前にこの非晶質固体に適切なビヒクル(例えばドデシル硫酸ナトリウム0.02〜0.2%を添加した0.5% methocel)を加えて所定時間(例えば12時間)混合撹拌する。
【0258】
方法
体重200〜250グラムの雄性Hartleyモルモットを使用する。LPS(30mg/kg)をモルモットの左後肢足蹠に注射し、注射した足に痛覚過敏を誘発する。直腸温度と疼痛過敏(痛覚過敏)の指標である足逃避潜時をLPS注射前に測定し、基線として使用する。足逃避潜時は熱性痛覚過敏計器(Ugo Basile Corp.)を使用して測定する。この測定中は、ガラス底の8”×8”プレキシガラス収容箱に動物を収容する。低出力(223mW/cm)の赤外線を後肢足蹠に照射する。動物が足を引っ込める(熱に誘発される疼痛知覚の徴候)までの時間を記録する。赤外線は動物が照射領域から足を引っ込めるとすぐに遮断する。赤外線は時間が20秒に達したときにも自動的に遮断する。
【0259】
予防投与パラダイム:
18ゲージ給餌針を使用して試験化合物5ml/kgを経口投与する。化合物投与の1時間後に26ゲージ針を使用して容量100μlのLPS(血清型0111:B4,10μg)又は0.9%食塩水を左後肢足蹠領域に注射する。LPS投与の4.5時間後に直腸温度と熱性足逃避潜時を測定する。測定後にCOを使用して動物を安楽死させ、腰椎、後肢及び血液サンプルを採取する。
【0260】
逆パラダイム:
LPSの足蹠注射前と3時間後に各動物の熱性足逃避を測定する。LPSを投与し、3時間の時点で逃避潜時の低下を示さない動物は試験から除外し、安楽死させる。熱性足逃避測定直後に試験化合物5ml/kgを経口投与する。化合物投与から1.5時間後と3時間後(LPS投与から4.5時間後と6時間後)に熱性逃避潜時を測定する。最終読取り後に、COを使用して動物を安楽死させ、夫々質量分析と薬剤濃度によるプロスタグランジン測定用に腰椎サンプルと血液サンプルを採取する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化46】

[式中、
Aはアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びシクロアルキル又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
Bはアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル及びシクロアルキル又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
但し、AとBが同時にフェニルであることはなく;
Jは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
Mは−C(X)−及び−N−から構成される群から選択され、
但し、J、K、L又はMの少なくとも1個は−N−以外のものであり;
は(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;(5)−OH;(6)−N;(7)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(ここで、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(8)C1−4アルコキシ;(9)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(10)C1−4アルキル−S(O)−;(11)−NO;(12)C3−6シクロアルキル;(13)C3−6シクロアルコキシ;(14)フェニル;(15)カルボキシ;(16)C1−4アルキル−O−C(O)−;及び(17)−CNから構成される群から選択され;
、X、X及びXは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−OH;(7)−N;(8)C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニル(ここで、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキル、C2−6アルケニル又はC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ又はオキソ基で置換されていてもよい。);(9)C1−4アルコキシ;(10)NR10−、NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−又はNR10−C(O)−;(11)C1−4アルキル−S(O)−;(12)−NO;(13)C3−6シクロアルキル;(14)C3−6シクロアルコキシ;(15)フェニル;(16)カルボキシ;(17)C1−4アルキル−O−C(O)−;及び(18)−CNから構成される群から独立して選択され;
各R及びRは(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−10アルキル又はC2−10アルケニル(ここで、前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、あるいは隣接する炭素原子上の2個の水素は一緒になり、−CH−で置換され、シクロプロピル基を形成してもよく、あるいは同一炭素原子上の2個の水素は置換され、一緒になってスピロC3−6シクロアルキル基を形成してもよく、前記C1−10アルキル又はC2−10アルケニルは場合により−OH、アセチル、アセチルオキシ、メトキシ、エテニル、R11−O−C(O)−、R35−N(R36)、−R37−N(R38)−C(O)−、シクロプロピル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、前記ピロリル、イミダゾリル、ピリジル及びフェニルは場合によりC1−4アルキル又はモノヒドロキシ置換C1−4アルキルで置換されている。);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)R13−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(R15)−;(12)R16−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)R19−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(19)R34−O−C(O)−;(20)R39−C(O)−O−;並びに(21)各々場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−から構成される群から独立して選択される置換基で置換されたフェニル、ナフチル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニル又はフリル(ここで、前記C1−4アルキルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されている。)から構成される群から独立して選択され;
各Zは(1)H;(2)C1−6アルキル(ここで、前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、C1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されている。);(3)−(CH)C=N−OH又は−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジル又はそのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されたC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されたテトラヒドロピラニル;及び(9)O、N又はSから独立して選択される1〜3個の原子を含み、場合によりメチルで置換された5員芳香族複素環から構成される群から独立して選択され;
各R、R10、R15、R24及びR32は(1)H;及び(2)C1−4アルキルから構成される群から独立して選択され;
各R11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30、R31、R34及びR39は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−;(5)フェニル;(6)ベンジル;(7)ピリジル;及び(8)ピリジルメチルから構成される群から独立して選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル、フェニル、ベンジル、ピリジル及びピリジルメチルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、前記C1−4アルキルは更にオキソ又はメトキシ又は両者で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37及びR38は(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OH;及び(5)ベンジル又は1−フェニルエチルから構成される群から独立して選択され;R17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、R28とR29、R35とR36、及びR37とR38はこれらが結合している窒素原子と一緒になり、場合により−O−、−S(O)−及び−N(R32)−から独立して選択される1又は2個の原子を含む5又は6員単環を形成してもよく;
各kは独立して0、1又は2である。]により表される化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩
{但し、式Iの前記化合物がプロドラッグであるとき、前記プロドラッグは式A
【化47】

[式中、
は(1)C1−6アルキル;(2)PO−C1−4アルキル−;(3)C1−4アルキル−C(O)−O−CH−(ここで、C1−4アルキル部分は場合によりR33−O−C(O)−で置換されている。);及び(4)C1−4アルキル−O−C(O)−から構成される群から選択され;
33は(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)フェニル;(5)ベンジル;及び(6)ピリジルから構成される群から選択され;前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、Cl、Br及びIから構成される群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい。]により表される。}。
【請求項2】
式B
【化48】

(式中、
WはO又はSであり、XはCRであり、bは二重結合であるか、あるいは
XはO又はSであり、WはCRであり、aは二重結合である。)により表される請求項1に記載の化合物又はそのプロドラッグ又は前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容可能な塩。
【請求項3】
及びXがHであり;
KがCH又はNであり;
Mが−C(X)−であり;
及びXが(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から独立して選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、フェニル、
【化49】





から構成される群から独立して選択される請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
下表
【表7】


から選択される請求項4に記載の化合物又は前記化合物のいずれかの医薬的に許容可能な塩。
【請求項6】
式C
【化50】

(式中、
Y及びZはCH及びN、又はそのN−オキシドから構成される群から独立して選択される。)により表される請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
及びXがHであり;
KがCH又はCFであり;
Mが−C(X)−であり;
及びXが(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から独立して選択される請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、フェニル、
【化51】





から構成される群から独立して選択される請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
下表
【表8】


から選択される請求項8に記載の化合物又は前記化合物のいずれかの医薬的に許容可能な塩。
【請求項10】
が(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から選択され;
、X、X及びXが(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;及び(6)CNから構成される群から独立して選択される請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Mが−C(X)−である請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がH以外のものである請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
とXが同一であり、(1)F;(2)Cl;(3)Br;(4)I;及び(5)CNから構成される群から選択される請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
又はRの少なくとも一方が存在しており及びH以外のものである請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
及びRが水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、メトキシ、エチル、ビニル、シクロプロピル、プロピル、ブチル、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、フェニル、
【化52】





から構成される群から独立して選択され、但し、R又はRの少なくとも一方が存在しており及びH以外のものである請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
Aがアリール及びヘテロアリール、又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
Bがアリール及びヘテロアリール、又は前記基のいずれかの縮合類似体から構成される群から選択され;
但し、AとBが同時にフェニルであることはない請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
下記群
【化53】


から選択される請求項1に記載の化合物又は前記化合物のいずれかの医薬的に許容可能な塩。
【請求項18】
医薬的に許容可能なキャリヤーと共に請求項1に記載の化合物を含有する医薬組成物。
【請求項19】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態の治療を必要とするヒト患者における前記疾患又は病態の治療方法であって、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1により介在される疾患又は病態を治療するために有効な量の請求項1に記載の化合物を前記患者に投与することを含む前記方法。
【請求項20】
疾患又は病態が急性又は慢性疼痛、変形性関節症、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎及び原発性月経困難症から構成される群から選択される請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2009−537460(P2009−537460A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510246(P2009−510246)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000867
【国際公開番号】WO2007/134434
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】