説明

mPGES−1阻害剤としての2−(フェニルまたはヘテロ環式)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール

本発明は、式I:


を有する新規化合物またはその医薬的に許容され得る塩を包含する。これらの化合物はミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、よって骨関節症、関節リウマチ、及び急性または慢性疼痛のような各種疾患または状態に由来する痛み及び/または炎症を治療するのに有用である。mPGES−1酵素により媒介される疾患または状態の治療方法及び医薬組成物も包含されている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロスタグランジン代謝のモジュレーションは現在の抗炎症治療の中心にある。NSAID及びCOX−2阻害剤はシクロオキシゲナーゼの活性及びそのアラキドン酸(AA)をプロスタグランジン(PG)H2に変換する能力を阻止する。PGH−12はその後末端プロスタグランジンシンターゼにより対応の生物学的に活性なPG類、すなわちPGI2、トロンボキサン(Tx)A2、PGD2、PGF2α及びPGE2に代謝され得る。薬理学的、遺伝的及び中和抗体アプローチの組合せは炎症におけるPGE2の重要性を示している。多くの点で、炎症の動物モデルにおいてPGE2依存性シグナル伝達を破壊することはNSAIDまたはCOX−2阻害剤を用いた治療と同じくらい有効であり得る。従って、プロスタグランジンEシンターゼ(PGES)によるPGH2のPGE2への変換は炎症刺激の伝搬におけるきわめて重要なステップとなる。
【0002】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)は炎症誘発性刺激に曝された後の誘導性PGESである。mPGES−1は炎症により末梢及びCNSにおいて誘導され、よって急性及び慢性の炎症性疾患の新規標的となる。特定のmPGES−1阻害剤の開発は、NSAID及びCox−2阻害剤の治療有用性は炎症誘発性PGE2の阻害に大きく起因し、副作用プロフィールは他のプロスタグランジンの阻害に大きく起因するという仮説を中心に展開されている。
【0003】
本発明は、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1酵素の選択的阻害剤であり、よって各種疾患または状態(例えば、骨関節症、関節リウマチ、及び急性または慢性疼痛)の治療に有用である新規化合物に関する。更に、本発明の化合物は、炎症誘発性PGE2を選択的に阻害することにより、慣用されている非ステロイド系抗炎症剤による他のプロスタグランジンの抑制に関連する副作用(例えば、胃腸管及び腎臓毒性)を減らし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、式I:
【0005】
【化7】

を有する新規化合物またはその医薬的に許容され得る塩を包含する。これらの化合物は、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、よって各種疾患または状態(例えば、骨関節症、関節リウマチ、及び急性または慢性疼痛)に由来する痛み及び/または炎症の治療に有用である。mPGES−1酵素が媒介する疾患または状態の治療方法及び医薬組成物も包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、式I:
【0007】
【化8】

[式中、
Jは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、
Mは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、ただしJ、K、LまたはMの少なくとも1つは−N−以外であり;
、X、X及びXは独立して(1)H、(2)−CN、(3)F、(4)Cl、(5)Br、(6)I、(7)−OH、(8)−N3、(9)C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル(ここで、前記したC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記したC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい)、(10)C1−4アルコキシ、(11)NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−、(12)C1−4アルキル−S(O)k−、(13)−NO2、(14)C3−6シクロアルキル、(15)C3−6シクロアルコキシ、(16)フェニル、(17)カルボキシ、及び(18)C1−4アルキル−O−C(O)−からなる群から選択され;
、R、R、R、R、R、R及びRは独立して(1)H、(2)F、(3)Cl、(4)Br、(5)I、(6)−CN、(7)C1−6アルキルまたはC2−6アルケニル(ここで、前記したC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルに結合している水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されていてもよく、前記したC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルは場合により−OH、メトキシ、R11−O−C(O)−、シクロプロピル、ピリジル及びフェニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい)、(8)C3−6シクロアルキル、(9)R12−O−、(10)R13−S(O)k−、(11)R14−S(O)kN(R15)−、(12)R16−C(O)−、(13)R17−N(R18)−、(14)R19−N(R20)−C(O)−、(15)R21−N(R22)−S(O)k、(16)R23−C(O)−N(R24)−、(17)Z−C≡C、(18)−(CH3)C=N−OHまたは−(CH3)C=N−OCH3、及び(19)フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニルまたはフリル(ここで、これらの各々は場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−からなる群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、前記C1−4アルキルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよい)からなる群から選択され;
各Zは独立して(1)H、(2)C1−6アルキル(ここで、前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい)、(3)−(CH3)C=N−OHまたは−(CH3)C=N−OCH3、(4)R31−C(O)−、(5)フェニル、(6)ピリジルまたはそのN−オキシド、(7)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、(8)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、及び(9)O、NまたはSから独立して選択される1〜3個の原子を含有し、場合によりメチルで置換されていてもよい5員の芳香族ヘテロ環からなる群から選択され;
、R10、R15、R24及びR32は各々独立して(1)H及び(2)C1−4アルキルからなる群から選択され;
11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30及びR31は各々独立して(1)H、(2)C1−4アルキル、(3)C3−6シクロアルキル、(4)フェニル、(5)ベンジル、及び(6)ピリジルからなる群から選択され、前記したC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、C1、Br及びIからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28及びR29は各々独立して(1)H、(2)C1−6アルキル、(3)C1−6アルコキシ、(4)OH、及び(5)ベンジルまたは1−フェニルエチルからなる群から選択され;
17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、及びR28とR29はこれらが結合している窒素原子と一緒に結合して、5〜6個の炭素原子、場合により−O−、−S(O)k−及び−N(R32)−から独立して選択される1〜2個の原子を含有する単環式環を形成し得;
各kは独立して0、1または2である]
で表される化合物の属またはそのプロドラッグ、または前記化合物またはプロドラッグの医薬的に許容され得る塩を包含する。
【0008】
この属内で、本発明は、式A:
【0009】
【化9】

で表される化合物の亜属またはそのプロドラッグ、または前記化合物またはプロドラッグの医薬的に許容され得る塩を包含する。
【0010】
この亜属内で、本発明は、式A(式中、X、X、X及びXが独立して(1)H、(2)−CN、(3)F、(4)Cl、(5)Br、及び(6)Iからなる群から選択される)を有する化合物のクラスを包含する。
【0011】
この亜属内で、本発明は、式A(式中、X、X及びXがHであり、XがH以外である)を有する化合物のクラスをも包含する。このクラスには、本発明は、式A(式中、Xが−CNである)を有する化合物のサブクラスをも包含する。
【0012】
この亜属内で、本発明は、式A(式中、RまたはRの少なくとも1つがH以外である)を有する化合物のクラスをも包含する。
【0013】
この亜属内で、本発明は、式A(式中、RまたはRの少なくとも1つがH以外である)を有する化合物のクラスをも包含する。
【0014】
この亜属内で、本発明は、式A(式中、RまたはRの少なくとも1つがH以外である)を有する化合物のクラスをも包含する。
【0015】
この亜属内で、本発明は、式A(式中、RまたはRの少なくとも1つがH以外であり、R、R、R、R、R及びRがHである)を有する化合物のクラスをも包含する。このクラス内で、本発明は、式A(式中、R及びRの両方がH以外である)を有する化合物のサブクラスをも包含する。このサブクラス内で、本発明は、式A(式中、RまたはRの1つが独立してF、Cl、Br及びIからなる群から選択され、RまたはRの他方がZ−C≡Cである)を有する化合物を包含する。このクラス内で、本発明は、式A(式中、R及びRが独立して水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、エチル、ビニル、シクロプロピル、−CO2i−Pr、CO2CH3、−SO2CF3、3−ピリジル、アセチル、
【0016】
【化10】



からなる群から選択され、ただしRまたはRの少なくとも1つはH以外である)を有する化合物のサブクラスをも包含する。
【0017】
上記した属内で、本発明は、式B:
【0018】
【化11】

を有する化合物の亜属またはそのプロドラッグ、或いは前記化合物またはプロドラッグの医薬的に許容され得る塩を包含する。この亜属内で、本発明は、式B(式中、RまたはRの1つが独立してF、Cl、B及びIからなる群から選択され、RまたはRの他方がZ−C≡Cである)を有する化合物のクラスを包含する。
【0019】
上記した属内で、本発明は、式C:
【0020】
【化12】

[式中、
Ylは:(1)C1−6アルキル、(2)PO4−C1−4アルキル−、(3)C1−4アルキル−C(O)−O−CH2−(ここで、前記C1−4アルキル部分は場合によりR33−O−C(O)−で置換されていてもよい)、及び(4)C1−4アルキル−C−C(O)−からなる群から選択され、
33は(1)H、(2)C1−4アルキル、(3)C3−6シクロアルキル、(4)フェニル、(5)ベンジル、及び(6)ピリジルからなる群から選択され、前記したC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合により各々OH、F、Cl、Br及びIからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい]
に従う式Iを有する化合物の亜属またはその医薬的に許容され得る塩を包含する。
【0021】
本発明はまた、式Iを有する化合物を医薬的に許容され得る担体と組み合わせて含む医薬組成物も包含する。
【0022】
本発明はまた、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1媒介疾患または状態の治療を要するヒト患者に対して請求項1に記載の化合物をミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1媒介疾患または状態を治療するのに有効な量投与することを含む前記患者における前記疾患または状態の治療方法をも包含する。この実施態様内で、疾患または状態が急性または慢性疼痛、骨関節症、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎及び一次性月経困難症からなる群から選択される上記方法が包含される。
【0023】
下記化合物は本発明を例示する。これらの化合物は下記するスキーム及び実施例に従って合成した。
【0024】
【化13】

【0025】
【表2】







【0026】
適切ならば、本発明は上記化合物の医薬的に許容され得る塩を含む。本明細書中、項目“R/R”は、列中で指定されている置換基がRまたはRのいずれかで表される位置で置換されていることを意味する。隣の列中の項目“R/R”は指定されている置換基が前列で置換されていないRまたはRの位置で置換されていることを意味する。例えば、実施例6はR=CN且つR=H、またはR=H且つR=CNであり、いずれも互変異性体であることを表す。
【0027】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、Br及びIを含む。
【0028】
用語「アルキル」は、指定数の炭素原子を有する直鎖状または分岐状構造、及びその組み合わせを意味する。よって、C1−6アルキルの例にはメチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−及びt−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及び1,1−ジメチルエチルが含まれる。
【0029】
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を有し、水素が追加の炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい指定数の炭素原子を有する直鎖状または分岐状構造、及びその組み合わせを意味する。C2−6アルケニルの例にはエテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニル等が含まれる。
【0030】
用語「アルキニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を有し、指定数の炭素原子を有する直鎖状または分岐状構造、及びその組み合わせを意味する。C3−6アルキニルの例にはプロペニル、1−メチルエテニル、ブテニル等が含まれる。
【0031】
用語「アルコキシ」は、指定数の炭素原子を有する直鎖状、分岐状または環状配置を有するアルコキシ基を意味する。C1−6アルコキシの例にはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ等が含まれる。
【0032】
用語「シクロアルキル」は、指定数の炭素原子を有し、場合により直鎖鎖または分岐状構造と組み合わされた単環式、二環式または三環式構造を意味する。シクロアルキル基の例にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチル等が含まれる。
【0033】
本明細書中に記載されている化合物は不斉中心を含み得、よってエナンチオマーとして存在し得る。本発明化合物が2個以上の不斉中心を含む場合には、更にジアステレオマーとしても存在し得る。本発明は、実質的に純粋な分割エナンチオマー、そのラセミ混合物及びジアステレオマーの混合物としてのすべての可能な立体異性体を含む。上記式Iは特定の位置での明確な立体化学なしに示されている。本発明は、式Iを有するすべての立体異性体及びその医薬的に許容され得る塩を含む。エナンチオマーのジアステレオマー対は、例えば適当な溶媒からの分別結晶により分離され得、こうして得られるエナンチオマー対は慣用の手段により、例えば分割剤として光学的に活性な酸または塩基により、或いはキラルHPLCカラムを用いて個々の立体異性体に分離され得る。更に、一般式Iを有する化合物のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、公知の立体配置を有する光学的に純粋な出発物質または試薬を用いて立体特異的合成により得られ得る。
【0034】
本明細書中に記載されている化合物の幾つかはオレフィン二重結合を含有し、別段の記載がない限りE及びZ幾何異性体の両方を含むことを意味する。
【0035】
本明細書中に記載されている化合物の幾つかは、互変異性体と称される異なる水素結合ポイントを有して存在し得る。式Iを有する化合物は以下の互変異性体で存在し得る:
【0036】
【化14】

各互変異性体及びその混合物が式Iの範疇に入る。
【0037】
本発明は、その範囲内に本発明化合物のプロドラッグを含む。通常、前記プロドラッグは、インビボで容易に所要の化合物に変換され得る本発明化合物の官能誘導体である。よって、本発明の治療方法において、用語「投与する」は、具体的に開示されている化合物または具体的に開示されていないが患者に投与後インビボで具体的に開示されている化合物に変換する化合物を用いる本明細書中に挙げられている各種状態の治療を包含する。適当なプロドラッグ誘導体の選択及び製造の一般的方法は、例えばH.Bundgaard編,“Design of Prodrug”,Elsevier(1985年)発行に記載されている。これらの化合物の代謝物は、本発明化合物を生物学的環境に導入すると生ずる活性種を含む。本発明のプロドラッグの例は式Cを有する化合物である。
【0038】
用語「ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1媒介疾患または状態」は、ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1(mPGES−1)酵素を阻害することにより有利に治療または予防される疾患または状態を治療または予防することを意味する。この用語は、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染に関連する症状、感冒、腰痛、頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防的治療)、歯痛、捻挫及び筋ちがい、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節リウマチ、変形性関節疾患(骨関節症)、痛風及び強直性脊椎炎を含めた関節炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格痛症状(例えば、滑液包炎、熱傷、損傷、及び手術及び歯科処置後の疼痛)、及び手術痛の予防的治療を含めた各種状態の痛み、発熱及び炎症の緩和を含む。加えて、この用語は細胞悪性転換及び転移性腫瘍増殖の抑制、よって癌の治療を含む。この用語は、子宮内膜症及びパーキンソン病の治療及び糖尿病性網膜症及び腫瘍血管新生で起こり得るようなmPGES−1媒介増殖性疾患の治療をも含む。用語「治療する」は、疾患または状態の兆候及び症状を緩和するために患者を治療すること及び疾患または状態の発症または進行を予防するために無症候患者を予防的に治療することを含む。
【0039】
用語「治療有効量」は、研究者、獣医師、医者または他の臨床家が求めている組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す薬物または医薬品の量を意味すると意図される。この用語は、組織、系、動物またはヒトにおいて研究者、獣医師、医者または他の臨床家が予防しようとしている生物学的または医学的事象の発生を予防またはそのリスクを減ずる医薬の量をも含む。本発明において使用される式Iを有する化合物の適当な用量レベルを下記する。前記化合物を1日1回または2回のレジメンで投与してもよい。
【0040】
本発明の医薬組成物は活性成分として式Iを有する化合物またはその医薬的に許容され得る塩を含み、医薬的に許容され得る担体及び場合により他の治療成分をも含み得る。用語「医薬的に許容され得る塩」には、非毒性の医薬的に許容され得る塩を生ずる無機塩基及び有機塩基を含めた塩基から製造される塩が含まれる。無機塩基から誘導される塩にはアルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第1鉄、第2鉄、リチウム、マグネシウム、第一マンガン、第二マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が含まれる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩及びナトリウム塩が特に好ましい。医薬的に許容され得る有機非毒性塩基から誘導される塩には第1級,第2級及び第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂(例えば、アルギニン、ベタイン、カフェィン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメエチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン等)の塩が含まれる。
【0041】
本発明化合物が塩基性のとき、塩は医薬的に許容され得る塩を生ずる無機酸及び有機酸を含めた酸から製造され得る。前記酸には酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、1,2−エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミン四酢酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、10−ウンデセン酸等が含まれる。
【0042】
本発明化合物のmPGES−l阻害活性に基づいて、式Iを有する化合物は、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染に関連する症状、感冒、腰痛、頸痛、月経困難症、頭痛、偏頭痛(急性及び予防治療)、歯痛、捻挫及び筋ちがい、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節リウマチ、変形性関節疾患(骨関節症)、痛風及び強直性脊椎炎を含めた関節炎、急性、亜急性及び慢性筋骨格痛症状(例えば、滑液包炎、熱傷、外傷、及び手術及び歯科処置後の疼痛)、及び術痛の予防処置を含めた各種状態の痛み、発熱及び炎症を緩和するために有用である。加えて、前記化合物は細胞悪性転換及び転移性腫瘍増殖を抑制し得、よって癌の治療に使用され得る。式Iを有する化合物は子宮内膜症及びパーキンソン病の治療または予防にも有用であり得る。
【0043】
また、式Iを有する化合物は、収縮性プロスタノイドの合成を防止することによりプロスタノイド誘発平滑筋収縮をも抑制し、よって月経困難症、早産及び喘息の治療に使用され得る。
【0044】
mPGES−1酵素の選択的阻害に基づいて、式Iを有する化合物は慣用の非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)に対する代替薬として、特に消化性潰瘍、胃炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、憩室炎、胃腸病巣の再発の病歴を有する患者;GI出血、凝血障害、例えば低プロトロンビン血症、血友病、または(血小板機能の低下または障害に関連する問題を含めた)他の出血の問題のような貧血を有する患者;腎臓疾患(例えば、低下した腎臓機能)を有する患者;手術前または抗凝固薬を服用している患者;及びNSAID誘発喘息に感受性の患者のような非ステロイド系抗炎症剤が禁忌である場合に有用であることが判明している。
【0045】
また、式Iを有する化合物は、現在他の薬物または成分と一緒に投与されている製剤において慣用のNSAIDに対する完全または部分的置換物として有用である。よって、更なる態様で、本発明は非毒性治療有効量の上に定義した式Iを有する化合物及び1つ以上の成分、例えば別の疼痛緩和薬、例えばアセトアミノフェンまたはフェナセチン;オピオイド鎮痛薬、例えばコデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、リボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルヒネ、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン及びペンタゾシン;増強薬、例えばカフェイン;H2アンタゴニスト;水酸化アルミニウムまたはマグネシウム;シメチコン;うっ血除去薬、例えばフェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、シュードエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンまたはレボ−デスオキシエフェドリン;抗組織剤、例えばコデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタンまたはデキストロメトルファン;利尿剤;鎮痛または非鎮痛抗ヒスタミン薬;及びプロトンポンプ阻害剤、例えばオメプラゾールを含む上記したmPGES−1媒介疾患を治療するための医薬組成物を包含する。本発明は、偏頭痛の治療または予防のための5−HTアゴニスト(例えば、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン及びナラトリプタン)との同時投与をも包含する。加えて、本発明は、mPGES−1媒介疾患の治療を要する患者に対して非毒性治療有効量の式Iを有する化合物を場合により直前にリストした成分の1つ以上と同時投与することを含むmPGES−1媒介疾患の治療方法をも包含する。
【0046】
上記したように、上記mPGES−1媒介疾患を治療するための医薬組成物は場合により上にリストした成分を1つ以上含有し得る。
【0047】
活性成分を含有する医薬組成物は経口用に適した形態(例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性または油性懸濁液剤、分散性散剤または顆粒剤、エマルジョン剤、硬または軟カプセル剤、シロップ剤またはエリキシル剤)であり得る。経口用組成物は、医薬組成物の当業者に公知の方法に従って製造され得、前記組成物は医薬的に上品で口に合う製剤を提供するために甘味料、着香料、着色料及び保存料からなる群から選択される1つ以上の物質を含有し得る。錠剤は活性成分を錠剤の製造に適している非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含有する。前記賦形剤の例は不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化及び崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;及び滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。錠剤にコーティングが被せられていなくても、胃腸管での崩壊及び吸収を遅らせて長期間にわたり作用が持続するように公知技術によりコーティングを被せてもよい。例えば、徐放性材料(例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリル)を使用し得る。制御放出のために浸透性治療用錠剤を形成するために米国特許第4,256,108号明細書、同第4,166,452号明細書及び同第4,265,874号明細書に記載されている技術によりコーティングを被せてもよい。
【0048】
経口用製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合されてなる硬ゼラチンカプセル剤、または活性成分が水または油性媒体(例えば、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油)と混合されてなる軟ゼラチンカプセル剤としても提供され得る。
【0049】
水性懸濁液剤は、水性懸濁液を製造するのに適している賦形剤と混合して活性成分を含有している。前記賦形剤は懸濁剤、例えばナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム;分散/湿潤剤は天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)、エチレンオキシドと長鎖脂肪アルコールとの縮合生成物(例えば、ヘプトデカエチレン−オキシセタノール)、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、またはエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物(例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。水性懸濁液剤は、1つ以上の保存料(例えば、安息香酸エチル、n−プロピル、p−ヒドロキシ)、1つ以上の着色料、1つ以上の着香料及び1つ以上の甘味料(例えば、スクロース、サッカリンまたはアスパルテーム)をも含有し得る。
【0050】
液体製剤は自己乳化性薬物デリバリーシステム及びNanoCrystal(登録商標)テクノロジーの使用を含む。シクロデキストリン封入複合剤も使用され得る。
【0051】
油性懸濁液剤は、活性成分を植物油(例えば、ピーナッツ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油)または鉱油(例えば、流動パラフィン)中に懸濁させることにより製剤化され得る。油性懸濁液剤は増粘剤(例えば、蜜ろう、固形パラフィンまたはセチルアルコール)を含有してもよい。口に合う経口製剤を提供するために上記したような甘味料及び着香料を添加してもよい。前記組成物は抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸)を添加することにより保存され得る。
【0052】
水を添加することにより水性懸濁液を調製するのに適している分散性散剤及び顆粒剤は分散/湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の保存剤と混合して活性成分を有している。適当な分散/湿潤剤及び懸濁剤の例は既に上記されている。追加の賦形剤、例えば甘味料、着香料及び着色料を存在させてもよい。
【0053】
本発明の医薬組成物は水中油型エマルジョン剤の形態でもあり得る。油相は植物油(例えば、オリーブ油または落花生油)、鉱油(例えば、流動パラフィン)またはその混合物であり得る。適当な乳化剤は天然に存在するホスファチシド(例えば、大豆、レシチン、脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル(例えば、ソルビタンモノオレエート)、及び前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり得る。エマルジョン剤に甘味料及び着香料を含有させてもよい。
【0054】
シロップ剤及びエリキシル剤は甘味料(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロース)を用いて製剤化され得る。前記製剤に粘滑薬、保存料、着香料及び着色料を含有させてもよい。医薬組成物は滅菌注射可能な水性または油性懸濁液の形態であり得る。この懸濁液は上に挙げた適当な分散/湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化され得る。滅菌注射可能な製剤は非毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または溶媒中の滅菌注射可能な溶液または懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用可能な許容され得るビヒクル及び溶媒として水、リンガー溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液が挙げられる。加えて、滅菌の固定油が通常溶媒または懸濁媒体として使用されている。この目的で、合成モノ−またはジグリセリドを含めた無刺激性固定油が使用され得る。加えて、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が注射剤の調製に使用される。
【0055】
式Iを有する化合物は、薬物の直腸内投与用座剤の形態でも投与され得る。前記組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、よって直腸中で溶融して薬物を放出する適当な非刺激性賦形剤と薬物を混合することにより製造され得る。前記懸濁剤はカカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0056】
局所使用する場合、式Iを有する化合物を含有するクリーム剤、軟膏剤、ゼリー剤、溶液剤または懸濁液剤等が使用される(本明細書中、局所投与はマウスウォッシュ及びうがい薬を含む)。
【0057】
本発明の医薬組成物は、吸収強化剤(例えば、トゥイーン80、トゥイーン20、ビタミンE TPGS(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)及びGelucire(登録商標))を使用してもよい。
【0058】
上記した状態の治療には約0.01〜約140mg/kg体重/日または約0.5mg〜約7g/患者/日のオーダーの用量レベルが有用である。例えば、炎症は約0.01〜50mgの化合物/kg体重/日または約0.5mg〜約3.5g/患者/日、好ましくは2.5mg〜1g/患者/日を投与することにより効果的に治療され得る。
【0059】
1回剤形を形成するように担体材料と組み合わされ得る活性成分の量は、治療する宿主及び具体的投与モードに応じて変更する。例えば、ヒトに経口投与しようとする製剤は0.5mg〜5gの活性化合物を組成物の全量の約5〜約95%の範囲であり得る適当な有利な量の担体材料とコンパウンドして含み得る。単位剤形は通常約1〜約500mg、一般的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg,500mg,600mg、800mgまたは1000mgの活性成分を含む。4mg、8mg、18mg、20mg、36mg、40mg、80mg、160mg、320mg及び640mgの用量も使用され得る。本発明のために使用され得る製剤を下表に例示する。
【0060】
しかしながら、特定患者に対する具体的用量レベルは年齢、体重、全身健康状態、性別、食事、投与時間、投与ルート、排泄率、薬物の組み合わせ及び治療を受ける特定疾患の重症度を含めた各種要因に依存することは理解される。
【0061】
合成方法
本発明の式Iを有する化合物は、以下のスキーム1〜4に概説する合成ルート及び本明細書中に記載されている方法に従って製造され得る。式Iを有するイミダゾールは、必要なフェナントレンキノンから複数ステップで製造され得る。フェナントレンイミダゾールiiiは、フェナントレンキノン及び適切に置換されているアルデヒドiiを溶媒(例えば、酢酸)中試薬(例えば、NH4OAcまたはNH4HCO3)で処理することにより得られる。イミダゾールiiiを溶媒(例えば、DMFまたはDMSO)中CuCNで処理すると、モノ−またはビス−ニトリル(M=CCN)Iaが生ずる。その後官能基はR〜R位置の任意の位置で変換され得る。例えば、R〜R置換基の1個以上がCl、BrまたはIであり、MがCBrまたはCIとは異なるならば、クロスカップリング反応を促進する条件(例えば、適当な溶媒(例えば、THF、DMFまたはDME)中触媒(例えば、Pd(PPh3)4及びCuI)の存在下及び塩基(例えば、炭酸ナトリウムまたはジイソプロピルアミン)の存在下で加熱)下でIaをモノ置換アルキニル、スタンナン、ボロン酸、ボランまたはボロネートの存在下に置くことによりIalbに変換され得る。この最後に例示したステップまたは他の適当な官能基変換はR〜Rで繰り返され得る。
【0062】
【化15】

【0063】
フェナントレンキノンは、スキーム2及び3に概説されているシーケンスに従って製造され得る。ホスホニウム塩iv(スキーム2)を溶媒(例えば、DMF)中塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはナトリウムメトキシド)の存在下で脱保護した後、アルデヒドを添加すると、E及びZ異性体の混合物としてスチルベンviが生ずる。この混合物を適当な溶媒(例えば、シクロヘキサン)中UV光の照射下、酸化剤(例えば、ヨウ素)及び酸スカベンジャー(例えば、プロピルレンオキシド)の存在下で分子内環化すると、フェナントレンviiが生ずる。このフェナントレンviiaを適当な溶媒(例えば、酢酸)中酸化剤(例えば、CrO3)を用いて直接酸化すると、フェナントレンキノンが生じ得る。または、場合によりフェナントレンviiaは更に、官能基R〜Rの適当な転換により、例えば適当な溶媒(例えば、THF)中有機金属試薬(例えば、ブチルリチウム)を用いて金属交換反応にかけた後求電子試薬(例えば、ヨウ素または二酸化炭素)を添加することによりフェナントレンviibに加工され得る。或いは(スキーム3)、フェニル酢酸viiiを塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下及び無水酢酸の存在下でアルデヒドixと縮合させるとニトロスチルベンが生じ得る。次いで、このニトロアリールを適当な溶媒(例えば、酢酸)中水酸化アンモニウムの存在下で適当な還元剤(例えば、鉄または硫酸鉄)を用いて還元すると、アミンxiが生ずる。このアミンxiを水性水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で亜硝酸ナトリウムを用いてジアゾ化した後、酸(例えば、硫酸及びスルファミン酸)を用いて酸化し、触媒(例えば、銅またはフェロセン)の存在下で環化すると、フェナントレンカルボン酸xiiが生ずる。このフェナントレンを適当な溶媒(例えば、酢酸)中適当な酸化剤(例えば、三酸化クロム)を用いて酸化と同時に脱カルボキシル化すると、フェナントレンキノンが生ずる。
【0064】
【化16】


【0065】
スキーム4に示すように、ハロフェナントレンxiiiを適当な溶媒(例えば、DMFまたはジクロロメタン)中塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはジイソプロピルエチルアミン)の存在下で適当な保護基(例えば、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル)で保護すると、保護フェナントレンイミダゾールxivが生ずる。次いで、このフェナントレンイミダゾールxivをアルコール性溶媒の混合物(例えば、メタノール及びDMF)または他の適当な有機溶媒中触媒(例えば、Pd(OAc)2)の存在下及び塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で一酸化炭素を用いてカルボニル化する。エステルxvを有機溶媒(例えば、エーテル、THFまたはジクロロメタン)中求核試薬(例えば、有機リチウム、有機セリウム)またはグリニヤール試薬を用いて処理すると、第3級アルコールxviが生ずる。イミダゾール保護基を例えばxviを有機溶媒(例えば、THF)中無機酸(例えば、塩酸)を用いてまたはフッ素源(例えば、TBAF)の存在下で処理することにより除去すると、非保護イミダゾールxviiが生ずる。このフェナントレンイミダゾールxviiを溶媒(例えば、DMFまたはDMSO)中CuCNで処理すると、モノ−またはビス−ニトリル(M=CCN)Idが生ずる。その後官能基はR〜R位置のいずれかで変換され得る。例えば、R〜R置換基の1個以上がCI、BrまたはIであり、MがCBrまたはCIと異なるならば、クロスカップリング反応を促進する条件(例えば、適当な溶媒(例えば、THF、DMFまたはDME)中触媒(例えば、Pd(PPh3)4及びCuI)の存在下及び塩基(例えば、炭酸ナトリウムまたはジイソプロピルアミン)の存在下で加熱)下でIdをモノ置換アルキニル、スタンナン、ボロン酸、ボランまたはボロネートの存在下に置くことによりIdleに変換され得る。
【0066】
【化17】

【0067】
イミダゾール第2級アミンは、スキーム5に記載されているように適当に官能化されているフェナントレンイミダゾールを適当な溶媒(例えば、DMF)中塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下で試薬(例えば、アシル化剤、またはヨウ化メチルのようなアルキル化剤)で処理することにより置換され得る。
【0068】
【化18】

【実施例】
【0069】
本発明を下記非限定的実施例により説明する。
【0070】
実施例14
2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]−3−フルオロベンゾニトリル
【0071】
【化19】

【0072】
ステップ1:6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオン(Bhatt,Tetrahedron,20:803(1963))(30g,82ミリモル)を酢酸(1.0L)中に含む溶液にNH4HCO3(25.9g,328ミリモル)及び2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒド(26g,164ミリモル)を順次添加した。溶液を130℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、水(2.5L)に注いだ。混合物を濾過し、水で洗浄し、次いでヘキサン及びジエチルエーテルで洗浄した。生じた固体をディーン・スターク装置を用いてトルエン(1.0L)中で還流し、約100mLの水を3時間かけて除去した。室温に冷却すると、ベージュ色固体が溶液から晶出した。この固体を濾過し、トルエンで洗浄し、減圧下でポンピングして、32g(80%)の6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを得た。
【0073】
ステップ2:2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)−3−フルオロベンゾニトリル
ステップ1からの6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(3.0g)のDMF(10mL)溶液にCuCN(587mg)を添加し、溶液を130℃で一晩撹拌した。溶液を室温まで冷却した後、水性水酸化アンモニウム及び酢酸エチルを添加した。層を分離し、有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。残渣を30%→50% 酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、500mgの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)−3−フルオロベンゾニトリルを得た。
【0074】
ステップ3:2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]−3−フルオロベンゾニトリル
ステップ2からの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(320mg)のDMF(2mL)溶液にトリエチルアミン(5mL)、2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.1mL)、Cul(20mg)及びPd(PPh3)4(82mg)を添加した。生じた混合物を80℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、酢酸エチル/水で希釈した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。残渣を30%→50% 酢酸エチル/ヘキサンを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、85mgの2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]−3−フルオロベンゾニトリルを得た。1H NMR(アセトン−d6):δ 8.89(s,2H),8.71(bs,1H),8.51(bs,1H),7.93(d,1H),8.88−8.72(m,4H),4.55(s,1H),1.65(s,6H)。
【0075】
実施例25
2−(6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
【0076】
【化20】

【0077】
ステップ1:1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム
無水エタノール(200mL)中で1−(3−フェナントリル)エタノン(50g,0.23モル)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(40g)の混合物を合わせた。溶液を還流加熱した後、ピリジン(70mL)を添加した。3時間後、反応物を室温まで冷却し、溶液を回転蒸発させた。残渣に氷/水の混合物を添加し、混合物を1時間撹拌した。生じたオフホワイト色固体を濾過し、水で洗浄し、風乾し、ジエチルエーテル中で再結晶して、32gの1−(3−フェナントリル)エタノンオキシムを得た。
【0078】
ステップ2:3−フェナントリルアミン
ポリリン酸(385g)に100℃でステップ1からの1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム(32g,0.14モル)を30分間かけて添加した。混合物を100℃で2時間撹拌し、室温まで冷却した後、水/氷を添加した。30分間撹拌し、濾過し、水で洗浄した。次いで、この白色路固体をメタノール(500mL)及び濃HC1(40mL)中に入れた。反応物を一晩還流し、室温まで冷却し、濃縮した。残渣に酢酸エチル/水の混合物を添加し、生じた溶液を10N KOHで塩基性とした。水性層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去して、25gの3−フェナントリルアミンをベージュ色固体として得た。
【0079】
ステップ3:3−クロロフェナントレン
CuCl2(21g)を高真空下115℃で90分間乾燥させた後、65℃まで冷却し、乾燥アセトニトリル(250mL)及び亜硝酸t−ブチル(26g)を添加した。ステップ2からの3−フェナントリルアミン(25g)をアセトニトリル(100mL)中溶液として30分間かけて添加した。反応物を65℃で45分間撹拌し、室温まで冷却した後、1N HCl(1L)を添加した。水性層をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。残渣を溶離液としてヘキサンを用いるシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、白色固体が生じた。この固体をヘキサンから再結晶して、14.4gの3−クロロフェナントレンを白色固体として得た。
【0080】
ステップ4:3−クロロフェナントレン−9,l0−ジオン
ステップ3からの3−クロロフェナントレン(12.5g,58.7ミリモル)を酢酸(350mL)中に含む溶液にCrO3(23.5g,0.23モル)を添加した。反応物を100℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、水(2L)に注いだ。懸濁液を1時間撹拌し、濾過し、水で洗浄した。残渣を高真空下で乾燥して、12.5g(88%)の3−クロロフェナントレン−9,10−ジオンを得た。
【0081】
ステップ5:6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオンを3−クロロフェナントレン−9,10−ジオンに代え、2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒドを2,6−ジブロモベンズアルデヒドに代えて実施例14のステップ1に記載されている手順に従って製造して、27gの6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールをオフホワイト色固体として得た。
【0082】
ステップ6:2−(6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
ステップ5からの6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(32g,65.7ミリモル)のDMF(300mL)溶液にCuCN(14.7g)を添加した。反応物を80℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、水(1.5L)、酢酸エチル(1.5L)及び濃水酸化アンモニウム(200mL)の混合物に注ぎ、室温で1時間撹拌した。水性層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を10% 水酸化アンモニウム、水、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。残渣をトルエン(2×200mL)及び酢酸エチル(1L)でスウィッシュした。得られた固体を60%→80%→100% 酢酸エチル/ヘキサンで5回に分けてシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、19.9gの2−(6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリルを淡黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,DMSO):δ 14.32(s,1H),9.0−8.9(m,2H),8,55−8.45(m,4H),7.99(t,1H),7.85−7.78(m,2H),7.72(t,1H)。
【0083】
実施例36
2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
【0084】
【化21】

【0085】
ステップ1:1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼン
臭化(4−ブロモベンジル)トリフェニルホスホニウム(396g,0.7モル)をDMF(2.5L)中に含む溶液に0℃でNaH(油中60%)(37g,0.92モル)を4回に分けて添加した。溶液を0℃で1時間撹拌した後、4−クロロベンズアルデヒド(109g,0.77モル)を2回に分けて添加した。この混合物を室温まで加温し、1時間撹拌し、反応物を水(10L)とEt2O(2.5L)の5℃混合物に注ぐことによりクエンチした。水性層をEt2Oで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥した。揮発物を減圧下で除去し、残渣をシクロヘキサン(1.5L)中に溶解し、シリカゲルパッドを介して濾過した(シクロヘキサンで洗浄)。16gの1つの異性体が溶液から白色固体として晶出し、揮発物を蒸発させた後、166gの他の異性体1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼンが単離された。
【0086】
ステップ2:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン
パイレックス(登録商標)内側水冷ジャケットを備えた2L容量の容器にステップ1からの1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼン(5.16g,17ミリモル)、シクロヘキサン(2L)、THF(25mL)、プロピレンオキシド(25mL)及びヨウ素(6.7g,26ミリモル)を充填した。溶液を撹拌しながら窒素を通気することにより脱ガスし、内側に450W中圧水銀ランプを装入することによりUV光に24時間曝した。反応物を10% Na2S2O3でクエンチし、水性層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。残渣を最小量の酢酸エチル中でスウィッシュして、約5gの3−ブロモ−6−クロロフェナントレンを固体として得た。
【0087】
ステップ3:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
ステップ2からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン(1.71g,5.86ミリモル)を酢酸(35mL)中に含む溶液にCrO3(2.3g,23.5ミリモル)を添加した。混合物を100℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、水(300mL)に注ぎ、1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、水及びEt2Oで洗浄し、減圧下でポンピングして、1.67gの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオンを固体として得た。
【0088】
ステップ4:9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
ステップ3からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン(15.5g)を酢酸(400mL)中に含む溶液に酢酸アンモニウム(74.2g)及び2,6−ジブロモベンズアルデヒド(19.1g)を添加した。混合物を120℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、水(4L)で希釈し、濾過した。生じた固体をディーン・スターク装置においてトルエン中で2時間還流した。室温まで冷却した後、懸濁液を濾過し、固体をトルエンで洗浄し、生じたベージュ色固体を高真空下で乾燥して、26gの9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−lH−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを得た。
【0089】
ステップ5:2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
ステップ4からの9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(26g)を乾燥DMF(200mL)中に含む溶液にCuCN(14.2g)を添加した。反応物を85℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、ブラインを添加し、混合物を30分間撹拌した。溶液を酢酸エチルで希釈し、10% 水酸化アンモニウム及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去して、26gの2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリルを固体として得た。1H NMR(アセトン−d6):9.19(s,1H),9.02(s,1H),9.71(bs,1H),8.49(bs,1H),8.39(d,2H),8.07(t,1H),7.97(d,1H),8.81(d,1H)。
【0090】
実施例40
2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
【0091】
【化22】

【0092】
ステップ1:(2E)−2−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アクリル酸
攪拌機を備えた2L容量のフラスコに2−ニトロ−4−クロロベンズアルデヒド(183g)、4−ブロモフェニル酢酸(212g)及び無水酢酸(233mL)を充填した。この溶液に炭酸カリウム(82g)を添加し、反応物を100℃で一晩撹拌した。生じた暗色混合物を室温まで冷却し、水(1.6L)及び10% HCl(800mL)を順次添加した。溶液をデカントし、水/酢酸エチルに排出した。層を分離し、有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。残渣をEtOH中で摩砕し、母液をEtOHでもう4回摩砕して、219gの所望の(2E)−2−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アクリル酸を得た。
【0093】
ステップ2:(2E)−3−(2−アミノ−4−クロロフェニル)−2−(4−ブロモフェニル)アクリル酸
ステップ1からの(2E)−2−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アクリル酸(135g)を酢酸(1.2L)及び水(80mL)中に含む50℃溶液に、温度を50℃以下に維持しながら鉄粉(98g)を少しずつ添加した。混合物を50℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、酢酸エチル(1L)で希釈し、セライトプラグを介して濾過した。水(1L)を添加し、層を分離し、有機層を水、ブラインで2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去した。粗な混合物にH2O(1L)を添加することにより残留酢酸を除去し、溶液を濾過し、追加のH2O(1L)で洗浄し、最後に固体を高真空下で乾燥して、130gの(2E)−3−(2−アミノ−4−クロロフェニル)−2−(4−ブロモフェニル)アクリル酸を得た。
【0094】
ステップ3:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
このキノンは実施例36のステップ1〜3に記載されている手順に従って、または以下の手順を用いることにより得ることができる。濃硫酸(118mL)を水(1.0L)中に含む0℃溶液に、ステップ2からの(2E)−3−(2−アミノ−4−クロロフェニル)−2−(4−ブロモフェニル)アクリル酸(65g)を水(1L)中に含む溶液を添加し、次いでNaOH(11g)を添加し、0℃で10分間撹拌し、NaNO2(15g)を添加し、生じた溶液を0℃で20分間撹拌して調製した溶液を滴下した。30分後、この混合物にスルファミン酸(12.5g)を添加し、ガスの発生が止まったらアセトン(1.3L)を添加し、溶液を0℃で10分間撹拌した。次いで、この混合物をフェロセン(6.9g)をアセトン(480mL)中に含む溶液に添加すると、緑色沈澱が形成された。20分間撹拌した後、水(2.0L)を添加し、固体を濾過し、6−ブロモ−3−クロロフェナントレン−9−カルボン酸を得、風乾した。この粗なフェナントレンを酢酸(2.0L)中に入れた後CrO3(54g)を添加した。反応物を110℃で放置し、1時間撹拌した後CrO3(18g)を添加した。反応物をTLCによりモニターし、CrO3(18g)を3時間毎に添加した。1H NMRにより100%の変換が観察された。混合物を室温まで冷却し、水(2.0L)で希釈し、濾過し、水(1.0L)で洗浄し、乾燥させた後、37gの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,l0−ジオンを黄色固体として得た。
【0095】
ステップ4:9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、実施例36のステップ4に記載されている手順に従って得た。
【0096】
ステップ5:2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
このイミダゾールは、実施例36のステップ5に記載されている手順に従って得た。
【0097】
ステップ6:2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル(13g)をDMF(240mL)中に含む溶液に2−メチル−3−ブチン−2−オール(5.5mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(2.0g)、ヨウ化銅(1.1g)及びジイソプロピルアミン(5.6mL)を添加する。混合物を55℃で1時間攪拌した後、室温まで冷却し、酢酸エチル(250mL)で希釈する。水(250mL)を添加し、層を分離し、有機相をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、揮発物を減圧下で除去する。次いで、粗な混合物をシリカゲルで50% ヘキサン/酢酸エチルを用いて精製する。次いで、生成物をTHF中で再結晶し、高温の酢酸エチル/エーテル混合物中で摩砕して、5.4gの[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリルを明黄色固体として得る。1H NMR(アセトン−d6):8.93(s,2H),8.53(m,2H),8.36(d,2H),8.01(t,1H),7.78(d,2H),4.53(s,1H),1.61(s,6H)。
【0098】
実施例60
2−(1−{[ジヒドロキシ(ジオキシド)ホスフィノ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
【0099】
【化23】

【0100】
ステップ1:2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオンをフェナントレン−9,10−ジオンに代えて実施例36のステップ4に記載されている手順に従って2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを得た。
【0101】
ステップ2:2−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールに代えて2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールに代えて実施例36のステップ5に記載されている手順を用いて所望の2−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリルを得た。
【0102】
ステップ3:2−[1−(クロロメチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
ステップ2からの2−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル(1g,2.91ミリモル)をクロロヨードメタン(10mL)中で炭酸セシウム(1.14g,3.49ミリモル)と混合した。混合物を80℃に一晩加熱した。反応物を室温まで冷却し、水(200mL)及び酢酸エチル(500mL)に注いだ。層を分離し、有機層を水(200mL)、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(200mL)及びブライン(100mL)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。粗な固体を40% 酢酸エチル/ヘキサンを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、357mgの2−[1−(クロロメチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル(31%)及び650mgの生成物と出発物質の混合物を得た。
【0103】
ステップ4:2−(1−{[ジヒドロキシ(ジオキシド)ホスフィノ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
ステップ3からの2−[1−(クロロメチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル(200mg,0.509ミリモル)をDMF(5mL)中でジ(tert−ブチル)リン酸テトラメチルアンモニウム(288mg,1.02ミリモル)と混合し、50℃で8時間加熱した。室温まで冷却し、水(15mL)及び酢酸エチル(35mL)に注いだ。層を分離し、有機層を水(10mL×2)、飽和水性炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)、ブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。粗な固体を50〜70% 酢酸エチル/ヘキサンを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、221mgの保護ホスフェート(77%)を得た。この固体の155mgを10% TFA/トルエン(3mL)中に溶解し、室温で一晩攪拌した。溶媒を減圧下で除去した。生じた粗な生成物をC18カラムで、8分間で44→49% アセトニトリル+0.2% TFAで勾配溶離する半分取RP−HPLCにより精製した。生成物を含む画分を合わせ、凍結乾燥して、80mgの所望の2−(1−{[ジヒドロキシ(ジオキシド)ホスフィノ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリルを得た。1H NMR(DMSO):9.05(d,1H),8.95(d,1H),8.54−8.61(m,2H),8.47(d,2H),8.06(t,1H),8.70−8.85(m,4H),6.21(d,2H)。
【0104】
実施例87
2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
【0105】
【化24】

【0106】
ステップ1:6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
ジブロモキノン(38.6g,0.1モル)、酢酸アンモニウム(165g,2.1モル)及びジブロモベンズルデヒド(45g,0.1モル)を酢酸(1.5L)中に含む懸濁液を16時間還流加熱した。水(2.2L)に注ぎ、2時間攪拌することにより反応混合物をクエンチした。生じた固体を濾過し、水及びヘキサンで順次濯いだ。次いで、固体をディーン・スターク装置においてトルエン(600mL)中で4時間還流加熱した後、濾過して、所望の6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールをベージュ色粉末(62.3g,97%)として得た。
【0107】
ステップ2:6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
ステップ1からの6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(61.8g,0.1モル)をTHF(980mL)中に含む懸濁液に0℃で水素化ナトリウム(鉱油中60%分散液,10g,0.25モル)を添加した。懸濁液を0℃で15分間攪拌した後、SEMCl(45mL,0.25モル)を添加した。混合物を室温まで加温し、3時間攪拌した後、水に注いだ。水性相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な物質をヘキサン/ジエチルエーテル中で4時間スウィッシュした後、濾過して、6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールをベージュ色粉末(71.5g,95%)として得た。
【0108】
ステップ3:6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−l−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−カルボン酸メチル
1L容量の3首丸底フラスコ中のステップ2からの6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(22.8g,30.8ミリモル)をDMF(150mL)及びMeOH(150mL)中に含む溶液にPd(OAc)2(350mg,1.5ミリモル)及びdppf(1.7g,3.0ミリモル)を添加した。混合物を3回脱ガスし、一酸化炭素を逆充填した。次いで、トリエチルアミン(9.5mL,43ミリモル)を添加し、反応混合物を一酸化炭素雰囲気下60℃で1時間加熱した。水及び酢酸エチルに注ぐことにより反応物をクエンチした。次いで、セライトを介して濾過し、水性相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な物質をシリカフラッシュクロマトグラフィー(0〜5% 酢酸エチル/トルエン)により精製して、所望の6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−9−カルボン酸メチルの異性体をベージュ色固体(9.8g,44%)として得た。
【0109】
ステップ4:2−[6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−9−イル]プロパン−2−オール
ステップ3からの異性体6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−カルボン酸メチル(9.9g,13.8ミリモル)をCH2Cl2(200mL)中に含む−78℃の溶液に滴下漏斗を介して臭化メチルマグネシウム(Et2O中3.0M,33mL)を添加した。混合物を−40℃に加温した後、この温度で0.5時間攪拌し、次いで−30〜35℃に加温し、この温度で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を−25℃に加温し、3時間攪拌した後、0℃で1.5時間攪拌した。水及び酢酸エチルに注ぐことにより反応物をクエンチした。水性相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。粗な生成物をTHF(150mL)中に溶解し、0℃に冷却した。次いで、TBAF(THF中1.0M,35mL)を添加し、混合物を17時間還流加熱した後、25% NH4OAcでクエンチし、水性相を酢酸エチルで抽出し、有機層をブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(5〜30% THF/トルエン)により精製後得た物質をトルエン中で5時間スウィッシュした後、濾過して、2−[6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−9−イル]プロパン−2−オールを白色粉末(4.53g,56%,2ステップ)として得た。
【0110】
ステップ5:2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
ステップ4からの2−[6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−9−イル]プロパン−2−オール(1.25g,2.1ミリモル)をDMF(100mL)中に含む溶液に室温でシアン化銅(420mg,4.7ミリモル)を添加し、混合物を80℃で18時間加熱し、その後NH4OHと酢酸エチルの混合物に注ぎ、1時間攪拌した。水性相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(20〜80% 酢酸エチル/トルエン)により精製した後得た物質を酢酸エチル及びTHF中で2時間スウィッシュした後、濾過して、2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリルを黄色固体(250mg,25%)として得た。1H NMR δ(ppm)(DMSO+TFA):9.08(1H,s),8.90(1H,s),8.45−8.39(4H,m),7.99−7.91(3H,m),1.61(6H,s)。
【0111】
実施例88
2−[6−(シクロプロピルエチニル)−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
【0112】
【化25】

【0113】
ステップ1:2−[6−(シクロプロピルエチニル)−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
実施例87からの2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル(1.26g,2.62ミリモル)、Pd(PPh3)4(190mg,0.27ミリモル)及びヨウ化銅(100mg,0.52ミリモル)を収容している丸底フラスコに窒素を15分間パージした後、DMF(50mL)、シクロプロピルアセチレン(1.4mL,21ミリモル)及びジイソプロピルアミン(560μL,4ミリモル)を添加した。生じた混合物を60〜65℃で3.5時間加熱し、室温まで冷却した後、NH4OHと酢酸エチルの混合物に注ぎ、1時間攪拌した。水性相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、ブラインで1回洗浄し、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。シリカフラッシュクロマトグラフィー(30〜100% 酢酸エチル/トルエン)により精製後得た物質をトルエン中で2時間スウィッシュした後、濾過して、2−[6−(シクロプロピルエチニル)−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,l0−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリルを黄色固体(350mg)として得た。母液を混合分画と合わせ、シリカフラッシュシリカクロマトグラフィー(3〜40% アセトニトリル/トルエン)により再精製して、286mgのビス−ニトリル(総収率52%)を得た。1H NMR(DMSO+TFA) δ(ppm):8.92(1H,s),8.87(1H,s),8.43−8.39(4H,m),7.96(1H,t),7.90(1H,d),7.71(1H,d),1.60(7H,s),0.90(2H,t),0.84(2H,d)。
【0114】
実施例117
2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル
【0115】
【化26】

【0116】
ステップ1:2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
9−BBNのTHF溶液(24ml,12ミリモル,0.5M)に2−メチル−3−ブテン−2−オール(345mg,4.0ミリモル)を添加し、生じた溶液をN2下室温で一晩攪拌した。PdC12(dppf)(324mg,0.40ミリモル)、Cs2CO3(2.4g,8.0ミリモル)及びPh3As(124mg,0.4ミリモル)を充填している第2のフラスコに、実施例36からの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル)イソフタロニトリル、DMF(24ml)及びH2O(0.88ml)を添加し、混合物をN2下で5分間攪拌した。次いで、臭化水素化混合物を第2のフラスコに移し、生じた反応懸濁液をN2下室温で5日間攪拌した。ブラインで処理し後、水性相をEtOAcで抽出し、合わせた有機溶液を水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、溶液を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(50% EtOAc/ヘキサン)により精製して、600mgの2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリルを黄色固体として得た。1H NMR(400MHz,アセトン):δ 13,10(s br,1H),8.94(s,1H),8.77(s,1H),8.70−8.60(m br,2H),8.39(d,2H),8.03(t,1H),7.75(dd,1H),7.69(dd,1H),4.92(s,1H),3.05(m,2H),1.95(m,2H),1.33(s,6H)。
【0117】
実施例123
(±)−2−[9−クロロ−6−(3,4−ジヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−l−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
【0118】
【化27】

【0119】
ステップ1:2−[6−クロロ−9−(3−メチルブタ−3−エン−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
実施例40からの2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−l−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル(120mg,0.26ミリモル)をベンゼン(4mL)中に含む懸濁液を攪拌し、ここにバージェス試薬(70mg,0.29ミリモル)を添加し、N2下で2時間還流した。生じた反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈した。このEtOAc溶液を水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、有機溶液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50/50 EtOAc/ヘキサンで溶離)により精製して、90mgの2−[6−クロロ−9−(3−メチルブタ−3−エン−l−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリルを黄色固体として得た。
【0120】
ステップ2:(±)−2−[9−クロロ−6−(3,4−ジヒドロキシ−3−メチルブタ−l−イン−l−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル
ステップ1からの2−[6−クロロ−9−(3−メチルブタ−3−エン−l−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリル(22mg,0.05ミリモル)を50/50 t−BuOH/H2O(0.5mL)中に含む懸濁液を攪拌し、ここに0℃でAD−mix−α(70mg)を添加した。混合物を0℃で24時間攪拌した。生じた反応混合物を飽和Na2S2O3水溶液で処理し、10分間攪拌し、水で希釈し、EtOAcで抽出した。このEtOAc溶液を水及びブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。濾過により乾燥剤を除去した後、有機溶液を減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50/50 EtOAc/ヘキサン〜95/5 EtOAc/MeOHで溶離)により精製して、19mgの黄色固体を得た。この同一手順をAD−mix−βを用いて繰り返して、更に19mgの黄色固体を得た。これら2つの黄色固体を合わせて、ラセミ体2−[9−クロロ−6−(3,4−ジヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾル−2−イル]イソフタロニトリルを得た。1H NMR(400MHz,アセトン):δ 8.84(d,1H),8.80(s,1H),8.57(d,1H),8.47(d,1H),8.39(d,2H),8.03(t,1H),7.77(dd,8.6Hz,1H),7.71(dd,1H),4.56(s,1H),4.30(s,1H),3.67(q,2H),1.56(s,3H)。
【0121】
生物学的活性を測定するためのアッセイ
プロスタグランジンEシンターゼ活性の阻害
化合物をミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ、全細胞及びインビボアッセイにおいてプロスタグランジンEシンターゼ活性の阻害剤として試験する。これらのアッセイは酵素イムノアッセイ(EIA)または質量分析を用いてプロスタグランジンE2(PGE2)合成を測定する。ミクロソーム調製のために使用される細胞は、ヒトmPGES−1 cDNAをコード化するプラスミドを一過性にトランスフェントしたCHO−K1細胞である。細胞ベース実験のために使用される細胞は、(ヒトmPGES−1を発現する)ヒトA549である。インビボで選択化合物の活性を試験するためにはモルモットを使用する。これらのアッセイのすべてにおいて、100%活性はビヒクル処理サンプルにおけるPGE2産生と規定される。IC50及びED50は非抑制コントロールと比較してPGE2合成を50%抑制するのに必要な阻害剤の濃度または用量を表す。
【0122】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼアッセイ
プロスタグランジンEシンターゼミクロソーム分画は、ヒトmPGES−1 cDNAをコード化するプラスミドを一過性にトランスフェクトしたCHO−K1細胞から調製する。次いで、ミクロソームを調製し、5μg/mlのミクロソームPGES−1を化合物またはDMSO(最終1%)と室温で20〜30分間インキュベートすることによりPGESアッセイを開始する。酵素反応は200mM KPi(pH7.0)、2mM EDTA及び2.5mM 還元型GSH中で実施する。次いで、イソプロパノール(アッセイウェル中最終3.5%)中で調製した1μM 最終PGH2基質を添加することにより酵素反応を開始し、室温で30秒間インキュベートする。1N HC1中SnC12(最終lmg/ml)を添加することにより反応を停止する。酵素反応アリコートにおけるPGE2産生の測定は一般的な市販キット(Assay Designsのカタログ番号:901−001)を用いてEIAにより実施する。
【0123】
代表的化合物に対するこのアッセイからのデータを下表に示す。力価をIC50として表示し、示した値は少なくともn=3の平均である。
【0124】
【表3】

【0125】
ヒトA549全細胞プロスタグランジンEシンターゼアッセイ
(原理)
全細胞は、プロスタグランジンEシンターゼ阻害剤のような抗炎症性化合物の細胞浸透性及び生化学的特異性を研究するための無傷な細胞環境を与える。これらの化合物の阻害活性を研究するために、ヒトA549細胞を10ng/mlの組換えヒトIL−1βを用いて24時間刺激する。PGE2及びPGF2αの産生は、インキュベーション後にEIAによりmPGES−1依存性PGE2産生に対する選択性及び有効性の表示値として測定する。
【0126】
(方法)
ヒトA549細胞は、ヒトミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1を特異的に発現し、1L−1βで24時間処理後その発現を誘導する。2.5×104細胞を100ul/ウェル(96ウェルプレート)に接種し、標準条件下で一晩インキュベートする。次いで、細胞に100ulのIL−1β(10ng/ml)を含有する細胞培地を添加した後、2% FBS含有RPMIまたは50% FBS含有RPMIを添加する。次いで、2μ1の薬物またはビヒクル(DMSG)を添加し、サンプルを直ぐに混合する。細胞を24時間インキュベートし、インキュベーション後175μlの培地を集め、EIAによりPGE2及びPGF2α含量についてアッセイする。
【0127】
ヒト全血プロスタグランジンEシンターゼアッセイ
(原理)
全血はプロスタグランジンEシンターゼ阻害剤のような抗炎症性化合物の生化学的効果の研究のためのタンパク質及び細胞リッチ環境を与える。これらの化合物の阻害活性を研究するために、ヒト血液をリポポリサッカライド(LPS)で24時間刺激してmPGES−1発現を誘導する。インキュベーション後にプロスタグランジンE2(PGE2)及びトロンボキサンB2(T×B2)の産生をEIAによりmPGES−1依存性PGE2産生に対する選択性及び有効性についての表示値として測定する。
【0128】
(方法)
報告されている(Brideauら,Inflamm.Res.,45:68(1996))mPGES−1活性についてのヒト全血アッセイは下記するように実施する。
【0129】
ヒトボランティアからの新しく単離した静脈血をヘパリン処理したチューブに集める。これらの被験者は明らかな炎症状態を持たず、採血前少なくとも7日間NSAIDを服用していない。250μ1の血液を1ulのビヒクル(DMSO)または1ulの試験化合物とプレインキュベートする。次いで、100μg/mlの細菌性LPS(リン酸緩衝生理食塩液中0.1%(w/v) ウシ血清アルブミンで希釈した大腸菌血清型0111:B4)を添加し、サンプルを37℃で24時間インキュベートする。時間0での非刺激コントロール血液(LPSなし)をブランクとして使用する。24時間のインキュベーション後に血液を4℃で3000rpmで10分間遠心する。血漿を上記したEIAキットを用いてPGE2及びTxB2についてアッセイする。
【0130】
抗炎症性活性のインビボ測定
(原理)
全動物はインビトロで特性評価した試験化合物の抗炎症活性を確認するための統合生理学的系を与える。インビボでプロスタグランジンEシンターゼ阻害剤の活性を調べるために、動物に炎症刺激LPSの前または後に化合物を投与する。LPSはモルモットの後肢に注射し、注射から4.5及び/または6時間後に痛覚過敏測定値を記録する。
【0131】
(方法)
体重200〜250gの雄Hartleyモルモットを使用した。LPS(30mg/kg)をモルモットの左後肢の足底下に注射して、注射した足に痛覚過敏を生じさせる。直腸温度及び痛みに対する過敏性(痛覚過敏)の尺度の足引込め潜時をLPS注射前に測定し、ベースラインとして使用する。足引込め潜時は熱痛覚過敏器具(Ugo Basile Corp.)を用いて測定する。この測定中、動物をガラスベースの上の8”×8”プレキシガラス保持箱に入れる。適度(223mW/cm2)の赤外光を後肢の下側に当てる。動物がその肢を外すのに要した時間(熱により引き起こされる痛みを感ずる指標)を記録する。動物がその肢をその領域から引込めたとき直ちに赤外光を切る。時間が20秒になったときも光を自動的に切る。
【0132】
(予備投与パラダイム)
試験化合物を18ゲージ栄養補給針を用いて5ml/kgで経口投与する。化合物投与から1時間後、LPS(血清型0111:B4,10μg)または0.9% 生理食塩液を100μ1の容量で26ゲージ針を用いて左後肢の足底域に注射する。LPS投与から4.5時間に直腸温度及び熱的足引込め潜時(thermal paw withdrawal latency)を測定する。測定後動物をCO2を用いて安楽死させ、腰髄、後肢及び血液サンプルを採取する。
【0133】
(逆転パラダイム)
各動物の熱的足引込めをLPSを足底下注射前及びその3時間後に測定する。LPSを投与されたが、3時間の時点で引込み潜時の減少を示さない動物は研究から外し、安楽死させる。熱的足引込め測定の直後に試験化合物を5ml/kgで経口投与する。化合物投与から1.5及び3時間後に(LPS投与から4.5及び6時間後に)に熱的引込め潜時を測定する。最終測定後、動物をCO2を用いて安楽死させ、腰髄及び血液サンプルをそれぞれ質量分析及び薬物レベルによるプロスタグランジン測定のために採取する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Jは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、
Kは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、
Lは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、
Mは−C(X)−及び−N−からなる群から選択され、ただしJ、K、LまたはMの少なくとも1つは−N−以外であり;
、X、X及びXは独立して(1)H、(2)−CN、(3)F、(4)Cl、(5)Br、(6)I、(7)−OH、(8)−N、(9)C1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニル(ここで、前記したC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、前記したC1−6アルキル、C2−6アルケニルまたはC2−6アルキニルは場合によりヒドロキシ基で置換されていてもよい)、(10)C1−4アルコキシ、(11)NR10−C(O)−C1−4アルキル−O−、(12)C1−4アルキル−S(O)k−、(13)−NO、(14)C3−6シクロアルキル、(15)C3−6シクロアルコキシ、(16)フェニル、(17)カルボキシ、及び(18)C1−4アルキル−O−C(O)−からなる群から選択され;
、R、R、R、R、R、R及びRは独立して(1)H、(2)F、(3)Cl、(4)Br、(5)I、(6)−CN、(7)C1−6アルキルまたはC2−6アルケニル(ここで、前記したC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルに結合している水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されていてもよく、前記したC1−6アルキルまたはC2−6アルケニルは場合により−OH、メトキシ、R11−O−C(O)−、シクロプロピル、ピリジル及びフェニルからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい)、(8)C3−6シクロアルキル、(9)R12−O−、(10)R13−S(O)k−、(11)R14−S(O)kN(R15)−、(12)R16−C(O)−、(13)R17−N(R18)−、(14)R19−N(R20)−C(O)−、(15)R21−N(R22)−S(O)k、(16)R23−C(O)N(R24)−、(17)Z−C≡C、(18)−(CH)C=N−OHまたは−(CH)C=N−OCH、及び(19)フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニルまたはフリル(ここで、これらの各々は場合によりF、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−及びR26−N(R27)−からなる群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、前記C1−4アルキルは場合によりハロ及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよい)からなる群から選択され;
各Zは独立して(1)H、(2)C1−6アルキル(ここで、前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されていてもよく、前記C1−6アルキルは場合によりヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−及びR30−O−C(O)−から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい)、(3)−(CH)C=N−OHまたは−(CH)C=N−OCH、(4)R31−C(O)−、(5)フェニル、(6)ピリジルまたはそのN−オキシド、(7)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいC3−6シクロアルキル、(8)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいテトラヒドロピラニル、及び(9)O、NまたはSから独立して選択される1〜3個の原子を含有し、場合によりメチルで置換されていてもよい5員の芳香族ヘテロ環からなる群から選択され;
、R10、R15、R24及びR32は各々独立して(1)H及び(2)C1−4アルキルからなる群から選択され;
11、R12、R13、R14、R16、R23、R25、R30及びR31は各々独立して(1)H、(2)C1−4アルキル、(3)C3−6シクロアルキル、(4)フェニル、(5)ベンジル、及び(6)ピリジルからなる群から選択され、前記したC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルは各々場合によりOH、F、C1、Br及びIからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28及びR29は各々独立して(1)H、(2)C1−6アルキル、(3)C1−6アルコキシ、(4)OH、及び(5)ベンジルまたは1−フェニルエチルからなる群から選択され;
17とR18、R19とR20、R21とR22、R26とR27、及びR28とR29はこれらが結合している窒素原子と一緒に結合して、5〜6個の炭素原子、場合により−O−、−S(O)k−及び−N(R32)−から独立して選択される1〜2個の原子を含有する単環式環を形成し得;
各kは独立して0、1または2である]
で表される化合物またはそのプロドラッグ、或いは前記化合物またはプロドラッグの医薬的に許容され得る塩。
【請求項2】
式A:
【化2】

を有する請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグ、或いは前記化合物またはプロドラッグの医薬的に許容され得る塩。
【請求項3】
、X、X及びXは独立して(1)H、(2)−CN、(3)F、(4)Cl、(5)Br、及び(6)Iからなる群から選択される請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
、X及びXはHであり、XはH以外である請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
は−CNである請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
またはRの少なくとも1つはH以外である請求項2に記載の化合物。
【請求項7】
またはRの少なくとも1つはH以外である請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
またはRの少なくとも1つはH以外である請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
またはRの少なくとも1つはH以外であり、R、R、R、R、R及びRはHである請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
及びRは共にH以外である請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
またはRの1つはF、Cl、Br及びIからなる群から独立して選択され、RまたはRの他方はZ−C≡Cである請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
及びRは独立して水素、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード、シアノ、メチル、エチル、ビニル、シクロプロピル、−COi−Pr、−COCH、−SOCF、3−ピリジル、アセチル、
【化3】



からなる群から選択され、ただしRまたはRの少なくとも1つはH以外である請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
式B:
【化4】

を有する請求項1に記載の化合物またはそのプロドラッグ、或いは前記化合物またはプロドラッグの医薬的に許容され得る塩。
【請求項14】
またはRの1つは独立してF、Cl、Br及びIからなる群から選択され、RまたはRの他方はZ−C≡Cである請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式C:
【化5】

[式中、
Y1は(1)C1−6アルキル、(2)PO−C1−4アルキル−、(3)C1−4アルキル−C(O)−O−CH−(ここで、前記C1−4アルキル部分は場合によりR33−O−C(O)−で置換されていてもよい)、及び(4)C1−4アルキル−O−C(O)−からなる群から選択され;
33は(1)H、(2)C1−4アルキル、(3)C3−6シクロアルキル、(4)フェニル、(5)ベンジル、及び(6)ピリジルからなる群から選択され、前記したC1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニル、ベンジル及びピリジルの各々は場合によりOH、F、Cl、Br及びIからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい]
を有する請求項1に記載の化合物のプロドラッグまたはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項16】
下表:
【化6】

【表1】








から選択される請求項1に記載の化合物またはその医薬的に許容され得る塩。
【請求項17】
請求項1に記載の化合物を医薬的に許容され得る担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項18】
ミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1媒介疾患または状態の治療を要するヒト患者に対して請求項1に記載の化合物をミクロソームプロスタグランジンEシンターゼ−1媒介疾患または状態の治療に有効な量を投与することを含む前記患者における前記疾患または状態の治療方法。
【請求項19】
疾患または状態は急性または慢性疼痛、骨関節症、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎及び一次性月経困難症からなる群から選択される請求項18に記載の方法。

【公表番号】特表2008−524121(P2008−524121A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545802(P2007−545802)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【国際出願番号】PCT/CA2005/001921
【国際公開番号】WO2006/063466
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】