説明

mPGES−1阻害剤としての2−(フェニルまたは複素環)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール類

本発明は、式(I)


の新規化合物またはこの医薬的に許容される塩を包含する。これらの化合物は、ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、したがって骨関節炎、関節リウマチおよび急性もしくは慢性の痛みなどの様々な疾病または症状からの痛みおよび/または炎症を治療するのに有用である。mPGES−1酵素介在性の疾病または症状の治療方法および医薬組成物もまた包含される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
プロスタグランジン代謝の調節は、現在の抗炎症治療の中心にある。NSAID類およびCOX−2阻害剤は、シクロオキシゲナーゼ活性およびアラキドン酸(AA)をプロスタグランジン(PG)H2に変換するこれらの能力を遮断する。PGH2は、続いて末端のプロスタグランジン合成酵素によって対応する生物学的に活性なPG類、すなわちPGI2、トロンボキサン(Tx)A2、PGD2、PGF2α、およびPGE2へと代謝され得る。薬理学的、遺伝学的、および中和的な抗体アプローチの組み合わせは、炎症におけるPGE2の重要性を証明している。多くの点で、炎症の動物モデルのPGE2依存性信号の遮断は、NSAID類またはCOX−2阻害剤による治療と同じくらい有効となり得る。したがって、プロスタグランジンE合成酵素(PGES)によるPGH2のPGE2への変換は、炎症性刺激の伝達の極めて重要なステップを代表することができる。
【0002】
ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)は、炎症誘発性刺激に暴露された後に誘発性PGESである。mPGES−1は、炎症によって末梢およびCNSで誘発され、したがって急性および慢性の炎症性障害に対する新規の標的を表わす。特異的mPGES−1阻害剤を開発するための原理は、NSAID類およびCox−2阻害剤の治療の有用性が、大部分は炎症誘発性PGE2の阻害によるものであり、この一方で副作用プロファイルは大部分が他のプロスタグランジンの阻害によるかもしれないという仮説を中心に展開されている。
【0003】
本発明は、ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1の酵素の選択的阻害剤であり、したがって、骨関節炎、関節リウマチおよび急性もしくは慢性の痛みなどの様々な病気または症状における痛みおよび炎症の治療に役立つ新規な化合物に向けられる。さらに、本発明の化合物は、炎症誘発性PGE2を選択的に阻害することによって、従来の非ステロイド性抗炎症薬による他のプロスタグランジン類の阻害に伴う胃腸および腎臓毒性などの副作用が少なくなる可能性を有すると考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、式I
【0005】
【化8】

の新規な化合物またはこの医薬的に許容される塩を包含する。これらの化合物は、ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)酵素の阻害剤であり、したがって、骨関節炎、関節リウマチおよび急性もしくは慢性の痛みなどの様々な病気または症状からの痛みおよび/または炎症の治療に有用である。mPGES−1酵素介在性の病気または症状の治療方法および医薬組成物もまた包含される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、式B
【0007】
【化9】

[式中、
は、
【0008】
【化10】

であり、および
は、(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−10アルキルまたはC2−10アルケニル(前記C1−10アルキルまたはC2−10アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、または隣接する炭素原子上の2個の水素は一緒になって−CH−で置換されてシクロプロピル基を形成してもよく、または同じ炭素原子上の2個の水素原子は置換されて一緒になってスピロC3−6シクロアルキル基を形成してもよく、および前記C1−10アルキルまたはC2−10アルケニルは、場合により、−OH、アセチル、メトキシ、エテニル、R11−O−C(O)−、R35−N(R36)−、R37−N(R38)−C(O)−、シクロプロピル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジルおよびフェニルから成る群から独立して選択される1個から3個の置換基で置換されていてもよく、前記ピロリル、イミダゾリル、ピリジルおよびフェニルは、場合により、C1−4アルキルまたはモノ−ヒドロキシ置換C1−4アルキルで置換されていてもよい);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)Rl3−S(O)(11)R14−S(O)−N(Rl5)−;(12)Rl6−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)Rl9−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OHまたは−(CH)C=N−OCH;(19)R34−O−C(O)−;(20)R39−C(O)−O−;および(21)フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニルまたはフリルから成る群から選択され、各々は、場合により、F、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−およびR26−N(R27)−から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、前記C1−4アルキルは、場合によりハロおよびヒドロキシから独立して選択される1個から3個の基で置換されていてもよく;
各Zは、(1)H;(2)C1−6アルキル(前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、およびC1−6アルキルは、場合により、ヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−およびR30−O−C(O)−から独立して選択される1個から3個の置換基で置換されていてもよい)、(3)−(CH)C=N−OHまたは−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジルまたはこれのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいテトラヒドロピラニル;および(9)O、NまたはSから独立して選択される1から3個の原子を含み、場合によりメチルで置換されていてもよい5員の芳香族複素環から成る群から独立して選択され;
各R15、R24およびR32は、(1)H;および(2)C1−4アルキルから成る群から独立して選択され;
各R11、Rl2、R13、R14、R16、R23、R25、R30、R31、R34およびR39は、(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−;(5)フェニル;(6)ベンジル;および(7)ピリジルから成る群から独立して選択され、前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、フェニル、ベンジルおよびピリジルは、それぞれ場合により、OH、F、Cl、BrおよびIから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、および前記C1−4アルキルは、さらにオキソもしくはメトキシまたはこの両方で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37およびR38は、(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OHおよび(5)ベンジルまたは1−フェニルエチルから成る群から独立して選択され;およびR17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R26およびR27、およびR28およびR29、R35およびR36、およびR37およびR38は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により−O−、−S(O)−および−N(R32)−から独立して選択される1個または2個の原子を含む5個または6個の炭素原子の単環を形成してもよく;および
各kは独立して0、1または2である。]によって表わされる化合物の属、もしくはこのプロドラッグ、または前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容される塩を包含する。
【0009】
この属内において、本発明は、RがR12−Oである式Bの化合物の第1下位属を包含する。
【0010】
この第1下位属において、本発明は式Bの化合物クラスを包含し、そこではR12は、(1)C1−4アルキルおよび(2)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−から成る群から選択され、前記C1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルは、場合により、OH、F、Cl、BrおよびIから成る群から独立して選択される1から3個の置換基でそれぞれ置換されていてもよい。
【0011】
また、この属には、本発明は、式Bの化合物の第2下位属を包含し、そこではRがF、Cl、BrおよびIから選択される。
【0012】
本発明は、以下の表から選択される化合物:
【0013】
【化11】

【0014】
【表2】


または上記の化合物の任意の医薬的に許容される塩を包含する。
【0015】
本発明は、また、医薬的に許容される担体と組み合わせた式Bの化合物を含む医薬組成物を包含する。
【0016】
別の実施形態では、本発明は、式Bの化合物を、ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1介在性疾病または症状を治療するための有効量でヒト患者に投与することを含むミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1介在性疾病または症状の治療を必要とするヒト患者の治療方法。この実施形態内では、疾病または症状は、急性もしくは慢性の痛み、骨関節炎、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎および一次性月経困難症から成る群から選択される。
【0017】
本発明は、また、
【0018】
【化12】

の化合物またはこの医薬的に許容される塩を包含する。
【0019】
本発明は、また、
【0020】
【化13】

の化合物またはこの医薬的に許容される塩を包含する。
【0021】
本発明は、また、
【0022】
【化14】

の化合物またはこの医薬的に許容される塩を包含する。
【0023】
本発明は、また、
【0024】
【化15】

の化合物またはこの医薬的に許容される塩を包含する。
【0025】
本発明は、必要に応じて、前記化合物の任意の医薬的に許容される塩を含む。本明細書の目的のために、表題「R/R」は、この欄で示された置換基がRまたはRのどちらかによって表わされる位置で置換されていることを意味する。この隣の欄では、表題「R/R」は、示された置換基が、前の欄で置換されていないRまたはRの位置で置換されることを意味する。一例として、実施例6は、R=CNおよびR=H、またはR=HおよびR=CNを表わし、これは両方の互変異性体を表わす。
【0026】
用語「ハロゲン」または「ハロ」は、F、Cl、Br、およびIを含む。
【0027】
用語「アルキル」は、炭素原子の示された数を有する直鎖状もしくは分枝状の構造およびこれらの組み合わせを意味する。したがって、例えばC1−6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、2−プロピル、s−およびt−ブチル、ブチル、ペンチル、ヘキシルならびに1,1−ジメチルエチルを含む。
【0028】
用語「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素−炭素の二重結合を有する水素がさらなる炭素−炭素二重結合で置換されていてもよい示された数の炭素原子の直鎖状もしくは分枝状の構造、およびこれらの組み合せを意味する。C2−6アルケニルは、例えば、エテニル、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどを含む。
【0029】
用語「アルキニル」は少なくとも1つの炭素−炭素の三重結合を有する炭素原子の示された数の直鎖状もしくは分枝状の構造、およびこれらの組み合せを意味する。C3−6アルキニルは、例えば、プロペニル、1−メチルエテニル、ブテニルなどを含む。
【0030】
用語「アルコキシ」は、示された数の炭素原子を有する直鎖状、分枝状もしくは環状の配置のアルコキシ基を意味する。C1−6アルコキシは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどを含む。
【0031】
用語「シクロアルキル」は、示された数の炭素原子を有する場合により直鎖状もしくは分枝状の構造と結合していてもよい単環式、二環式または三環式の構造を意味する。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシル、シクロブチルメチル、シクロプロピルメチルなどが挙げられる。
【0032】
本明細書に記述された化合物は不斉中心を含んでいてもよく、したがってエナチオマーとして存在してもよい。本発明による化合物が2つ以上の不斉中心を有する場合には、これらはさらにジアステレオマーとして存在することができる。本発明は、実質的に純粋な分割されたエナンチオマー、これらのラセミ体混合物と同様にジアステレオマー混合物などの可能性のある立体異性体を含む。上記式Iは、ある位置では明確な立体化学なしで示されている。本発明は、式Iの全ての立体異性体およびこれらの医薬的に許容される塩を含む。エナチオマーのジアステレオマー対は、例えば、適切な溶媒からの分別結晶によって分離されることができ、このようにして得られるエナンチオマーの1対は、従来の手段、例えば光学的に活性な酸もしくは塩基を分割剤としてまたはキラルHPLCカラム上で使用して、個々の立体異性体に分離することができる。さらに、一般式Iの化合物の任意のエナンチオマーまたはジアステレオマーは、既知の配置の光学的に純粋な出発原料または試薬を使用して立体特異的合成によって得ることができる。
【0033】
本明細書に記述された化合物のうちのいくつかは、オレフィン二重結合を含んでおり、特に断りのない限り、EおよびZの幾何異性体の両方を含むように意味される。
【0034】
本明細書に記述された化合物のうちのいくつかは、水素の結合の異なるポイントを有して存在してもよく、互変異性体と称される。式Iの化合物は、以下の互変異性型:
【0035】
【化16】

で存在する。個々の互変異性体のみならず、これらの混合物は式Iに包含される。
【0036】
本発明は、この範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、このようなプロドラッグは、本発明の化合物の官能性誘導体であり、これらはインビボで必要な化合物に容易に変換される。したがって、本発明の治療方法においては、用語「投与する」は、具体的に開示された化合物または具体的に開示されていない化合物(しかしこれは患者への投与後にインビボで特定の化合物に変換する)を使用する、上記した様々な症状の治療を包含するべきである。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための従来手順は、例えば、「Design of Prodrugs」ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。これら化合物の代謝物質は、本発明の化合物を生物の周囲環境に導入した場合に生成される活性種を含む。本発明の例示されるプロドラッグは、式Cの化合物である。
【0037】
用語「ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1介在性疾病または症状を治療すること」は、ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1(mPGES−1)酵素を阻害することにより有利に治療または予防される任意の疾病または症状を治療または予防することを意味する。この用語は、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染に関連した徴候、風邪、腰部および首の痛み、月経困難症、頭痛、片頭痛(応急および予防的処置)、歯痛、捻挫および筋挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節リウマチ、変形性関節疾患(骨関節炎)、痛風および強直性脊椎炎を含む関節炎、急性、亜急性および慢性の筋骨格痛症候群、滑液包炎、火傷、外傷、および外科手術および歯の処置後の苦痛などと同様に手術の痛みの先制治療を含む様々な症状の痛み、発熱および炎症の軽減を含む。さらに、この用語は細胞の悪性形質転換および転移腫瘍成長の抑制およびこの結果癌の治療を含む。この用語は、また、子宮内膜症およびパーキンソン病の治療を含み、同様に糖尿病性網膜症および腫瘍血管新生で生じるかもしれないmPGES−1介在性の増殖疾患の治療を含む。用語「治療すること」は、疾病または症状の徴候と症状を有する患者を軽減するために患者を治療するのみならず、疾病または症状の発症または進行を防ぐために予防的に無症候性の患者を治療することを包含する。
【0038】
用語「治療するための有効量」とは、研究者、獣医、医学博士または他の臨床医によって求められている組織、系、動物、またはヒトの生物学的または医学的応答を引き出す医薬または薬剤の量を意味するように意図される。この用語はまた、組織、系、動物またはヒトにおいて研究者、獣医、医学博士または他の臨床医によって防止することを求められる生物学的または医学的事象の発生の危険を防止または減少する薬剤の量を包含する。本発明で使用される式Iの化合物の適切な服用レベルは、下記に説明される。化合物は、1日当たり1回または2回の処方計画で投与されてよい。
【0039】
本発明の医薬組成物は、有効成分として式Iの化合物またはこの医薬的に許容される塩を含み、また医薬的に許容される担体および場合により他の治療成分を含んでもよい。用語「医薬的に許容される塩」は、無機塩基および有機塩基を含む無毒な医薬的に許容される塩を生じる塩基から調製された塩を含む。無機塩基に由来する塩は、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第一マンガン塩、第二マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などを含む。特に好ましいのは、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩である。医薬的に許容される有機の無毒性塩基に由来する塩は、1級、2級および3級アミン、天然に存在する置換されたアミンを含む置換アミン類、環状アミン類、および塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン類、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を含む。
【0040】
本発明の化合物が塩基性の場合、塩は医薬的に許容される塩を生じる酸から調製され、酸としては無機酸および有機酸を含む。このような酸としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、1,5−ナフタレンジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、1,2−エタンンジスルホン酸、エタンスルホン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、蓚酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、ピバル酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、ウンデカン酸、10−ウンデセン酸などを含む。
【0041】
本発明の化合物のmPGES−1阻害活性によって、式Iの化合物は、リウマチ熱、インフルエンザまたは他のウイルス感染に関連した徴候、風邪、腰部および首の痛み、月経困難症、頭痛、片頭痛(応急および予防的処置)、歯痛、捻挫および筋挫傷、筋炎、神経痛、滑膜炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、変形性関節疾患(骨関節炎)、急性痛風および強直性脊椎炎を含む関節炎、急性、亜急性および慢性の筋骨格痛症候群、滑液包炎、火傷、外傷、および外科手術および歯の処置後の痛みと同様に手術の痛みの先制治療を含む様々な症状の痛み、発熱および炎症の軽減に有用である。さらに、このような化合物は、細胞の悪性形質転換および転移腫瘍増殖の抑制をすることができ、この結果癌の治療に使用することができる。式Iの化合物は、また、子宮内膜症、血友病性関節症およびパーキンソン病の治療または予防に有用である。
【0042】
式Iの化合物は、さらに収縮性プロスタノイドの合成を防止することによりプロスタノイド誘発平滑筋収縮を阻害し、したがって月経困難症、早産および喘息の治療に有用であり得る。
【0043】
mPGES−1酵素の選択的な阻害によって、式Iの化合物は、特に従来の非ステロイド性抗炎症剤(NSAID類)の代替物として有用であることが分かる。このような非ステロイド性抗炎症剤が、消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎または胃腸の病変の再発病歴;GI出血、低プロトロンビン血症、血友病または他の出血の問題などの貧血を含む凝固障害(低下した、または損傷を受けた血小板機能に関係のあるものを含む);腎臓病(例えば、損傷を受けた腎臓機能)を有する患者;手術前または抗凝血剤を服用している患者;およびNSAID誘発喘息に感受性の患者には禁忌であり得る。
【0044】
同様に、式Iの化合物は、これらが他の薬剤または成分と現に同時投与される製剤では、従来のNSAID類の部分的なまたは完全な代替物として有用である。したがって、さらなる態様では、本発明は上記で定義したmPGES−1介在性疾病の治療のための医薬組成物を包含し、該組成物は上記で定義した式Iの化合物および別の痛み緩和剤などの1以上の成分の無毒な治療上有効量を含み、このような別の痛み緩和剤は、アセトアミノフェンまたはフェナセチン;コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフィン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィンおよびペンタゾシンなどのオピオイド系鎮痛薬;カフェインを含む増強剤;H2−アンタゴニスト;水酸化アルミニウムまたは水酸化マグネシウム;シメチコン;フェニレフリン、フェニルプロパノラミン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、エピネフリン、ナファゾリン、キシロメタゾリン、プロピルヘキセドリンまたはレボ−デスオキシエフェドリンを含むうっ血除去剤;コデイン、ヒドロコドン、カラミフェン、カルベタペンタン、またはデキストラメトルファンを含む鎮咳剤;利尿剤;鎮静または非鎮静抗ヒスタミン剤;オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;ブラジキニン−1アンタゴニスト;VR1受容体アンタゴニスト;およびナトリウムチャネルブロッカー(NAV1)を含む。片頭痛の治療または予防については、本発明は、リザトリプタン、スマトリプタン、ゾルミトリプタンおよびナラトリプタンなどの5−HTアゴニスト、またはCGRPアンタゴニストとの同時投与も包含する。さらに、本発明は、mPGES−1介在性疾病の治療を必要とする患者に式Iの化合物の無毒性の治療上有効量を投与することを含み、場合により直ぐ上に列挙した1以上のこのような有効成分と同時投与されることを含むmPGES−1介在性疾病を治療する方法を包含する。
【0045】
上に示したように、定義されたようなmPGES−1介在性疾病を治療するための医薬組成物は、場合により上記で列挙した1以上の成分を含んでもよい。
【0046】
別の態様では、本発明はプロトンポンプ阻害薬を式Iの化合物と同時投与することを包含する。本発明のこの態様で利用され得るプロトンポンプ阻害薬は、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、パントプラゾールおよびエソメプラゾール、または前記した任意の医薬的に許容される塩を含む。これらのプロトンポンプ阻害薬は商業的に入手可能であり、例えばオメプラゾール(PRILOSEC、AstraZeneca)、ランソプラゾール(PREVACID、TAP Pharmaceuticals)、ラベプラゾール(ACIPHEX、Janssen Pharmaceutica)、パントプラゾール(PROTONIX、Wyeth−Ayerst)およびエソメプラゾール(NEXIUM、AstraZeneca)が挙げられる。前記プロトンポンプ阻害薬は、従来の服用量で投与されてよい。例えば、オメプラゾールまたはオメプラゾールマグネシウムは、10mg、20mgまたは40mgの服用量で投与されてよい。ランソプラゾールは、15mgまたは30mgの服用量で投与されてよい。ラベプラゾールナトリウムは、20mgの服用量で投与されてよい。パントプラゾールは、20mgまたは40mgの服用量で投与されてもよい。エソメプラゾールは、20mgまたは40mgの服用量で投与されてよい。式Iの化合物およびプロトンポンプ阻害薬は、単一の薬剤投薬形態で、または本質的に同時に患者に服用される2つの別個の投薬形態として投与されてよい。もしくは、式Iの化合物およびプロトンポンプ阻害薬は、2つの薬剤の医薬的効果が患者によって同時に実現される限り、別々に時間差をおいて順次、服用されてもよい。
【0047】
有効成分を含む医薬組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁剤、分散可能粉末または顆粒剤、乳剤、硬カプセル剤もしくは軟カプセル剤、またはシロップ剤またはエリキシル剤が経口使用に適した形態であり得る。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物を製造するために当分野で公知の任意の方法によって調製することができ、このような組成物は、医薬的に上品で快い製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤から成る群から選択される1つ以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適する無毒性の医薬的に許容される賦形剤を有する混合における有効成分を含む。これらの賦形剤は、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;顆粒化剤および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアラビアゴム;および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクであり得る。これらの錠剤は、コーティングされていなくてもよいし、または既知の技術で胃腸管における崩壊および吸収を遅らせて、これによってより長期間にわたる徐放性作用を提供するためにコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延材料が使用されてもよい。さらに、これらは、米国特許第4,256,108号;4,166,452号;および4,265,874号に記載された技術によってコーティングされ、放出を制御するための浸透圧療法錠剤を形成することができる。
【0048】
経口用製剤はまた、有効成分が不活性な固体の希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合されている硬ゼラチンカプセル、または有効成分が水または油性媒体(例えば落花生油、流動パラフィン、またはオリーブ油)と混合されている軟ゼラチンカプセルが提示される。本発明のために例示される製剤は、微結晶性セルロースとラクトースの50/50ブレンドおよび式Iの化合物の1mg、10mgまたは100mgを含む乾燥充填カプセルである。
【0049】
水性懸濁剤は、水性懸濁剤の製造に適切な賦形剤と混合された活性物質を含む。このような賦形剤は、懸濁化剤、例えば、カルボキシメチル−セルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴムであり、分散剤または湿潤剤は、天然リン脂質、例えば、レシチン、またはアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールから誘導されるポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートなどの部分エステルとの縮合物、またはエチレンオキシドと、脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートである。水性懸濁剤は、1種類以上の防腐剤、例えば、エチルまたはn−プロピル、p−ヒドロキシ安息香酸、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、およびスクロース、サッカリン、またはアスパルテームなどの1種類以上の甘味剤を含むこともできる。
【0050】
液体製剤は、自己乳化性ドラッグデリバリーシステムおよびNanoCrystal(登録商標)技術の使用を含む。シクロデキストリン包接複合体も利用することができる。
【0051】
油性懸濁剤は、植物油、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油、もしくはヤシ油、または流動パラフィンなどの鉱物油中に有効成分を懸濁させることによって調剤することができる。油性懸濁剤は、増粘剤、例えば、密蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールを含むことができる。上述したものなどの甘味剤、および香味剤は、口当たりの良い経口製剤を提供するために添加することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0052】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適切な分散性散剤および顆粒剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤および1種類以上の防腐剤と混合された有効成分を提供する。適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤は、既に上述したものによって例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤および着色剤も存在させることができる。
【0053】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態とすることもできる。油相は、植物油、例えば、オリーブ油もしくは落花生油、または鉱物油、例えば、流動パラフィン、またはこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然リン脂質、例えば、ダイズ、レシチン、および脂肪酸と無水ヘキシトールから誘導されるエステルまたは部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレアート、および前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。乳剤は、甘味剤および香味剤を含むこともできる。
【0054】
シロップ剤およびエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロースと共に処方することができる。このような製剤は、粘滑剤、防腐剤および香味剤および着色剤を含むこともできる。医薬組成物は、無菌注射用水性または油脂性懸濁剤の形態とすることができる。この懸濁液剤は、上述の適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を用いて既知の技術によって処方することができる。無菌注射用製剤は、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒、例えば1,3−ブタンジオール溶液の無菌注射液または懸濁液とすることもできる。使用可能である許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液である。また、従来、無菌固定油が溶媒または分散媒体として使用されている。このため、合成モノまたはジグリセリドを含むあらゆる無刺激性固定油を使用することができる。また、オレイン酸などの脂肪酸も注射用製剤に使用される。
【0055】
式Iの化合物は、薬物を直腸投与するための坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、常温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって調製することができる。このような材料は、カカオ脂およびポリエチレングリコール類である。
【0056】
局所使用する場合は、式Iの化合物を含むクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、液剤、または懸濁液剤などが使用される。(本出願では、局所適用は、洗口剤および含嗽剤を含むものとする。)
本発明の医薬組成物はまた、tween80、tween20、ビタミンE TPGS(d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)およびGelucire(登録商標)などの吸収促進剤を利用してもよい。
【0057】
上記した症状の治療には、1日に体重1kgあたり約0.01mgから約140mg、または1日に患者あたり約0.5mgから約7gのオーダの用量レベルが有効である。例えば、化合物を1日に体重1kgあたり約0.01から約50mg、または1日に患者あたり約0.5mgから約3.5g、好ましくは1日に患者あたり2.5mgから1g投与することによって炎症を効果的に治療し得る。
【0058】
単一剤形を製造するために担体材料と組み合わせることができる有効成分の量は、治療される宿主および特定の投与モード次第で変更される。例えば、ヒトの経口投与用製剤は、全組成物の約5から約95パーセントに変動し得る適切な通常量の担体材料に配合された0.5mgから5gの活性物質を含有し得る。投与単位形態は一般に、有効成分約1mgから約500mg、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mgを含有する。4mg、8mg、18mg、20mg、36mg、40mg、80mg、160mg、320mgおよび640mgの服用量も使用され得る。1mg、10mgまたは100mgを含む投与単位形態もまた包含される。
【0059】
しかしながら、任意の特定患者の具体的な用量レベルは、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、併用薬物、および治療を受けている特定疾患の重症度を含む多様な要因に左右される。
【0060】
以下の化合物は本発明を例示する。これらの化合物は下記のスキームおよび実施例に従い合成された。
【0061】
【化17】

【0062】
【表3】











【0063】
【化18】

【0064】
【表4】

【0065】
合成方法
本発明の式Iの化合物は、下記のスキーム1および4で概説された合成ルートに従って、およびここに記載された方法によって調製することができる。式Iのイミダゾールは、必須のフェナントレンキノンiから多段工程で調製することができる。フェナントレンイミダゾールiiiは、フェナントレンキノンiおよび適宜置換されたアルデヒドiiをNHOAcまたはNHHCOなどの試薬で酢酸などの溶媒中、処理することにより得られる。イミダゾールiiiをDMFまたはDMSOなどの溶媒中、CuCNで処理することによりモノまたはビス−ニトリル(M=CCN)Iaが生成する。引き続く官能基の相互変換は、RからRの任意の位置で行うことができる。例えば、RからRの置換基の1個以上がCl、BrまたはIに相当し、およびMがCBrまたはClとは異なる場合、Iaをモノ置換アルキニル、スタンナン、ボロン酸、ボランまたはボロナートの存在下、交差カップリング反応を促進する条件下に置くことによりIbに変換することができる;このカップリング反応はPd(PPhおよびCuIなどの触媒、炭酸ナトリウムまたはジイソプロピルアミンなどの塩基の存在下、THF、DMFまたはDMEなどの適切な溶媒中、加熱して行われる。この最後に例示された工程、または任意の他の適切な官能基の変形は、反復してRからR上で繰り返すことができる。
【0066】
【化19】

【0067】
フェナントレンキノンiは、スキーム2および3で概説された順序に従って調製されることができる。水素化ナトリウムまたはナトリウムメトキシドなどの塩基の存在下、DMFなどの溶媒中でのホスホニウム塩ivの脱プロトン化(スキーム2)に続き、アルデヒドvの添加により、スチルベンviがEおよびZ異性体の混合物として生成する。ヨウ素などの酸化剤、および酸化プロピレンなどの酸捕捉剤の存在下、シクロヘキサンなどの適切な溶媒中、この混合物をUV光に曝すことによる分子内環化によって、フェナントレンviiを生成する。このフェナントレンviiaは、CrOなどの酸化剤で酢酸などの適切な溶媒中、直接酸化されてフェナントレンキノンiを提供する、または場合により、フェナントレンviiaは、THFなどの適切な溶媒中、ブチルリチウムなどの有機金属反応剤の使用による金属交換反応などにより、任意の官能基RからRを適宜相互変換し、次いでヨウ素または二酸化炭素などの求電子試薬を追加することによりフェナントレンviibとさらに合成することができる。別法として(スキーム3)、フェニル酢酸viiiは、炭酸カリウムなどの塩基の存在下、および無水酢酸の存在下、アルデヒドixと縮合してニトロスチルベンxを生成する。次いで、このニトロアリールxは、水酸化アンモニウムの存在下、酢酸などの適切な溶媒中、鉄または硫酸鉄などの適切な還元剤で還元してアミンxiを生成する。このアミンxiを水酸化ナトリウムなどの水性水酸化物の存在下、亜硝酸ナトリウムでジアゾ化し、次いで硫酸およびスルファミン酸などの酸で酸性化し、銅またはフェロセンなどの触媒の存在下、環化することによりフェナントレンカルボン酸xiiを生成する。このフェナントレンは、酢酸などの適切な溶媒中、三酸化クロムなどの適切な酸化剤を使用して酸化し同時に脱カルボキシル化することによりフェナントレンキノンiを与える。
【0068】
【化20】

【0069】
【化21】

【0070】
スキーム4で示されるように、ハロフェナントレンxiiiを水素化ナトリウムまたはジイソプロピルエチルアミンなどの塩基の存在下、DMFまたは塩化メチレンなどの適切な溶媒中で2−(トリメチルシリル)エトキシメチルなどの適切な保護基により保護することにより、保護されたフェナントレンイミダゾールxivを与える。その後、このフェナントレンイミダゾールxivは、一酸化炭素でPd(OAc)などの触媒、およびトリエチルアミンなどの塩基の存在下、メタノールおよびDMFなどのアルコール性溶媒の混合物または他の適切な有機溶媒中で、カルボニル化される。このエステルxvを有機リチウム、有機セリウムまたはグリニャール試薬などの求核試薬で、エーテル、THFまたは塩化メチレン(グリニャール試薬)などの有機溶媒中処理して第3級アルコールxviを与える。例えば、xviをTHFなどの有機溶媒中で、塩酸などの鉱酸で、またはTBAFなどのフッ化物源の存在下イミダゾール保護基を処理することにより、脱保護されたイミダゾールxviiを与える。このフェナントレンイミダゾールxviiをCuCNで、DMFまたはDMSOなどの溶媒中、処理することによりモノ−またはビス−ニトリル(M=CCN)Idを生成した。その後の官能基の相互変換は、RからRの任意の位置で行うことができる。例えば、RからRの置換基の1個以上が、Cl、BrまたはIに相当する場合、およびMがCBrまたはClとは異なる場合、Idは、Idをモノ置換アルキニル、スタンナン、ボロン酸、ボランまたはボロナートの存在下に、交差カップリング反応を促進する条件下、例えばPd(PPhおよびCuIなどの触媒の存在下、および炭酸ナトリウムまたはジイソプロピルアミンなどの塩基などの存在下、THF、DMFまたはDMEなどの適切な溶媒中加熱するなどの条件下に置くことによりIeに変換することができた。この最後に例示された工程または他の任意の適切な官能基の変換は、反復してRからR上で繰り返すことができる。
【0071】
【化22】

【0072】
イミダゾール2級アミンは、スキーム5に記述されるように、適切に官能化されたフェナントレンイミダゾールIをアシル化剤またはヨウ化メチルなどのアルキル化剤などの試薬で、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下、DMFなどの適切な溶媒中で処理することにより、置換することができる。
【0073】
【化23】

【実施例】
【0074】
本発明は、以下の非制限的な実施例により例示される。
【0075】
(実施例14)
2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]−3−フルオロベンゾニトリル
【0076】
【化24】

【0077】
工程1:6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオン(Bhatt Tetrahedron,1963,20,803)30g(82mmol)の酢酸1.0L溶液に、NHHCO25.9g(328mmol)を加え、次いで2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒド26g(164mmol)を添加した。この溶液を130℃で一晩攪拌し、室温に冷却し、水2.5Lに注いだ。混合物をろ過し、水、次いでヘキサンおよびジエチルエーテルで洗浄した。得られた固体は、ディーンスターク装置でトルエン1.0L中還流し、水約100mLを3時間かけて除去した。室温に冷却するとベージュ色の固体が溶液から結晶化した。この固体をろ過し、トルエンで洗い、ポンプで減圧にして6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール32g(80%)を得た。
【0078】
工程2:2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロベンゾニトリル
工程1からの6,9−ジブロモ−2−(2−クロロ−6−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール3.0gのDMF(10mL)溶液に、CuCN587mgを加え、溶液を130℃で一晩攪拌した。溶液を室温に冷却し、水酸化アンモニウムおよび酢酸エチルを加えた。層を分離し、有機相を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を30%から50%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配を使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィで精製して2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロベンゾニトリル500mgを得た。
【0079】
工程3:2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]−3−フルオロベンゾニトリル
工程2からの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)−3−フルオロベンゾニトリル(320mg)のDMF(2mL)溶液に、トリエチルアミン5mL、2−メチル−3−ブチン−2−オール0.1mL、CuI20mgおよびPd(PPh82mgを添加した。得られた混合物を80℃で一晩攪拌し、室温に冷却し、酢酸エチル/水で希釈した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を30%から50%の酢酸エチル/ヘキサンの勾配を使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィで精製して2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]−3−フルオロベンゾニトリル85mgを得た。H NMR(アセトン−d):δ 8.89(s,2H)、8.71(bs,1H)、8.51(bs,1H)、7.93(d,1H)、8.88−8.72(m,4H)、4.55(s,1H)、1.65(s,6H)。
【0080】
(実施例25)
2−(6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0081】
【化25】

【0082】
工程1:1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム
無水エタノール200mL中、1−(3−フェナントリル)エタノン50g(0.23mol)およびヒドロキシルアミン塩酸塩40gの混合物を混合した。この溶液を加熱還流し、次いでピリジンの70mLを添加した。3時間後、反応を室温にまで冷却し、溶液を留去した。氷/水の混合物を残渣に加え、混合物を1時間攪拌した。得られたオフホワイト色の固体をろ過し、水洗し、風乾し、ジエチルエーテル中で再結晶して1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム32gを得た。
【0083】
工程2:3−フェナントリルアミン
リン酸385gに、工程1からの1−(3−フェナントリル)エタノンオキシム32g(0.14mol)を100℃で30分間かけて添加した。混合物を100℃で2時間攪拌し、室温に冷却し、次いで水/氷を添加した。30分間攪拌し、ろ過し、水洗した。次に、この白色固体を、メタノール500mLおよび濃塩酸40mLに入れた。反応物を一晩還流し、室温に冷却し、濃縮した。酢酸エチル/水の混合物を残渣に加え、得られた溶液は10NのKOHで塩基性とした。水層は酢酸エチルで抽出され、合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発物を減圧下除去して3−フェナントリルアミン25gをベージュ色の固体として得た。
【0084】
工程3:3−クロロフェナントレン
CuCl(21g)を高減圧下115℃で90分間乾燥し、その後65℃に冷却し、乾燥アセトニトリル250mLおよび亜硝酸t−ブチル26gを添加した。工程2からの3−フェナントリルアミン(25g)を、30分間かけてアセトニトリルの100mL溶液として添加した。反応は、65℃で45分間攪拌され、室温に冷却され、次いで1N塩酸の1Lが添加された。水層を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を溶離剤としてヘキサンを使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィで精製して白色固体を得て、これをヘキサンから再結晶して3−クロロフェナントレン14.4gが白色固体として生成された。
【0085】
工程4:3−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
工程3からの3−クロロフェナントレン12.5g(58.7mmol)の酢酸350mL溶液に、CrO23.5g(0.23mol)を添加した。反応物を100℃で2時間攪拌し、室温に冷却し、水2Lに注いだ。この懸濁液を、1時間攪拌し、ろ過し、水洗した。残渣を高減圧下、乾燥して3−クロロフェナントレン−9,10−ジオン12.5g(88%)を与えた。
【0086】
工程5:6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、3,6−ジブロモフェナントレン−9,10−ジオンの代わりに3−クロロフェナントレン−9,10−ジオンを使用して、および2−フルオロ−6−クロロベンズアルデヒドの代わりに2,6−ジブロモベンズアルデヒドを使用して、実施例14、工程1に記述された手順により調製されて、6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール27gのオフホワイト色の固体を与えた。
【0087】
工程6:2−(6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
工程5からの6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール32g(65.7mmol)のDMF(300mL)溶液に、CuCN14.7gを添加した。反応物を80℃で一晩攪拌し、室温に冷却し、水1.5L、酢酸エチル1.5Lおよび濃水酸化アンモニウム200mLの混合液に注ぎ、室温で1時間攪拌した。水層を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機層を10%水酸化アンモニウム、水、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をトルエン(2×200mL)および酢酸エチル(1L)中で激しく振った。得られた固体を、60%→80%→100%の勾配を有する酢酸エチル/ヘキサンを使用するシリカゲルでのフラッシュクロマトグラフィで5回に分けて精製して2−(6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル19.9gを淡黄色固体として得た。H NMR(400MHz,DMSO):δ 14.32(s,1H)、9.0−8.9(m,2H)、8.55−8.45(m,4H)、7.99(t,1H)、7.85−7.78(m,2H)、7.72(t,1H)。
【0088】
(実施例36)
2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0089】
【化26】

【0090】
工程1:1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼン
(4−ブロモベンジル)トリフェニルホスホニウムブロマイド(396g;0.77mol)のDMF2.5L溶液に、0℃で4回に分けてNaH(油中60%)37g(0.92mol)を添加した。溶液を0℃で1時間攪拌し、次いで4−クロロベンズアルデヒド109g(0.77mol)を2回に分けて添加した。この混合物を室温にまで加温し、1時間攪拌し、反応物を水10LおよびEtO2.5Lの5℃の混合液に注いで急冷した。水層をEtOで抽出し、合わせた有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥した。揮発性物質を減圧下で除去し、残渣をシクロヘキサン1.5Lに溶解し、シリカゲルパッド(シクロヘキサンで洗浄)を通してろ過した。溶液から白色固体として結晶化した一方の異性体16gおよび揮発性物質を蒸発後、1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼンの他方の異性体166gが単離された。
【0091】
工程2:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン
パイレックス(登録商標)製内部水冷式ジャケットを備えた2L反応容器に、工程1からの1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼン5.16g(17mmol)、シクロヘキサン2L、THF25mL、酸化プロピレン25mLおよびヨウ素6.7g(26mmol)を充填した。攪拌溶液に窒素ガスを吹き込み脱気し、内部に450W中圧水銀ランプを挿入することによりUV光に24時間曝した。反応を10%Naで急冷し、水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣を最小限の量の酢酸エチル中で激しく振って、3−ブロモ−6−クロロフェナントレン約5gを固体として得た。
【0092】
工程3:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
工程2からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン(1.71g;5.86mmol)の酢酸35mL溶液に、CrO2.3g(23.5mmol)を添加した。混合物を100℃で2時間攪拌し、室温にまで冷却し、水300mL中に注ぎ、1時間攪拌した。懸濁液をろ過し、水およびEtOで洗浄し、ポンプで減圧にして3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン1.67gを固体として得た。
【0093】
工程4:9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
工程3からの3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン15.5gの酢酸400mLの溶液に、酢酸アンモニウム74.2gおよび2,6−ジブロモベンズアルデヒド19.1gを添加した。混合物を120℃で一晩攪拌し、室温にまで冷却し、水4Lで希釈し、ろ過した。得られた固体をディーンスターク装置を使用してトルエン中2時間還流した。室温にまで冷却した後、懸濁液をろ過し、固体をトルエンで洗浄し、得られたベージュ色の固体を高減圧下、乾燥して9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール26gを得た。
【0094】
工程5:2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
工程4からの9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール26gの乾燥DMF200mL溶液に、CuCN14.2gを添加した。反応物を85℃で一晩攪拌し、室温に冷却し、食塩水を添加して混合物を30分間攪拌した。溶液を酢酸エチルで希釈し、10%水酸化アンモニウム、食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去して2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル26gを固体として得た。H NMR(アセトン−d):9.19(s,1H)、9.02(s,1H)、9.71(bs,1H)、8.49(bs,1H)、8.39(d,2H)、8.07(t,1H)、7.97(d,1H)、8.81(d,1H)。
【0095】
(実施例40)
2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0096】
【化27】

【0097】
工程1:(2E)−2−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アクリル酸
機械的攪拌子を備えた2Lフラスコに、2−ニトロ−4−クロロベンズアルデヒド183g、4−ブロモフェニル酢酸212gおよび無水酢酸233mLを充填した。この溶液に、炭酸カリウム82gを添加し、反応物を一晩100℃で攪拌した。得られた黒い混合物を室温にまで冷却し、水1.6L、次いで10%塩酸800mLを添加した。この溶液をデカントし、水/酢酸エチル中に取り上げた。層を分離し、有機相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をEtOH中で粉末化し、母液を4回以上EtOHで粉末化して所望の(2E)−2−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アクリル酸219gを得た。
【0098】
工程2:(2E)−3−(2−アミノ−4−クロロフェニル)−2−(4−ブロモフェニル)アクリル酸
工程1からの(2E)−2−(4−ブロモフェニル)−3−(4−クロロ−2−ニトロフェニル)アクリル酸135gの酢酸1.2Lおよび水80mLの50℃溶液に、鉄(粉末)98gを50℃より下に温度を維持しながら少しずつ添加した。混合物を50℃で2時間攪拌し、室温にまで冷却し、酢酸エチル(1L)で希釈し、セライトの詰め物を通してろ過した。水(1L)を添加し、層を分離し、有機層を2回水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。残存する酢酸は、粗製の混合物に水1Lを添加することにより除去し、溶液をろ過し、水1Lを添加して洗浄し、最後に固体を高減圧下で乾燥して(2E)−3−(2−アミノ−4−クロロフェニル)−2−(4−ブロモフェニル)アクリル酸130gを得た。
【0099】
工程3:3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン
このキノンは、実施例36の工程1から3に記述された手順により、または以下の手順を使用することにより得ることができる。濃硫酸118mLの0℃水1.0L溶液に、以下のようにして調製される溶液を滴下して加えた。工程2からの(2E)−3−(2−アミノ−4−クロロフェニル)−2−(4−ブロモフェニル)アクリル酸65gの水1L中に水酸化ナトリウム11gを添加し、0℃で10分間攪拌し、NaNO(15g)を加え、得られた溶液を0℃で20分間攪拌した。30分後、スルファミン酸(12.5g)をこの混合物に添加し、ガス発生が止んでから、アセトン1.3Lを添加し、溶液を0℃で10分間攪拌した。次いで、この混合液をフェロセン(6.9g)のアセトン溶液480mLに添加し、緑色の沈殿物を形成させた。20分間攪拌した後、水(2.0L)を添加し、固体をろ過し、6−ブロモ−3−クロロフェナントレン−9−カルボン酸を得て、これを風乾した。この粗製のフェナントレンを酢酸2.0Lに入れ、次いでCrO 54gを添加した。反応物を110℃に置き、1時間攪拌後、CrO18gを添加した。反応はTLCで監視し、3時間の間1時間毎にCrO 18gを添加し、H NMRで100%変換が観察された。混合物を室温にまで冷却し、水(2.0L)で希釈し、ろ過し、水(1.0L)で洗浄し、乾燥して3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオン37gを黄色固体として得た。
【0100】
工程4:9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、実施例36、工程4に記載された手順により得られた。
【0101】
工程5:2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
このイミダゾールは、実施例36、工程5に記載された手順により得られた。
【0102】
工程6:2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル13gのDMF240ml溶液に、2−メチル−3−ブチン−2−オール5.5mL、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム2.0g、ヨウ化銅1.1gおよびジイソプロピルアミン5.6mLを添加した。混合物を55℃で1時間攪拌し、次いで室温にまで冷却し、酢酸エチル(250mL)で希釈した。水(250mL)を添加し、層を分離し、有機相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、揮発性物質を減圧下で除去した。次いで、粗製の混合物を50%のヘキサン/酢酸エチルを使用してシリカゲルで精製する。その後、生成物をTHF中で再結晶し、熱い酢酸エチル/エーテル混合液中で粉末化して[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル5.4gを淡黄色固体として得た。H NMR(アセトン−d):8.93(s,2H)、8.53(m,2H)、8.36(d,2H)、8.01(t,1H)、7.78(d,2H)、4.53(s,1H)、1.61(s,6H)。
【0103】
(実施例60)
2−(1−{[ジヒドロキシ(ジオキシド)ホスフィノ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0104】
【化28】

【0105】
工程1:2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオンの代わりにフェナントレン−9,10−ジオンを使用して実施例36、工程4に記述された手順に従って、2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールが得られた。
【0106】
工程2:2−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
この化合物は、実施例36、工程5の手順を使用して、所望の2−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルを得るために9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを使用して得られた。
【0107】
工程3:2−[1−(クロロメチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
工程2からの2−(1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(1g、2.91mmol)を炭酸セシウム(1.14g、3.49mmol)とクロロヨードメタン(10mL)中で混合した。混合物を80℃で一晩加熱した。反応物を室温にまで冷却し、水200mLおよび酢酸エチル500mLに注いだ。層を分離し、有機層を水200mL、飽和重炭酸ナトリウム水溶液200mL、食塩水100mLで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。粗製の固体を、ヘキサン中40%酢酸エチルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して2−[1−(クロロメチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル357mg(31%)および生成物と出発原料との混合物650mgを得た。
【0108】
工程4:2−(1−{[ジヒドロキシ(ジオキシド)ホスフィノ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
工程3からの2−[1−(クロロメチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(200mg、0.509mmol)をDMF(5mL)中でテトラメチルアンモニウムジ(tert−ブチル)ホスファート(288mg、1.02mmol)と混合し、50℃で8時間加熱した。これを室温にまで冷却し、水15mLおよび酢酸エチル35mLに注いだ。層を分離し、有機層を水10mL(2回)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液10mL、食塩水で洗浄し、無水の硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧下で除去した。粗製の固体をヘキサン中50から70%の酢酸エチルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して保護されたホスファート221mg(77%)を得た。この固体155mgを、10%TFA/トルエン(3mL)に溶解し、室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。得られた粗製の生成物を、C18カラムを使用し、44から49%アセトニトリル+0.2%TFAの勾配で8分間にわたり溶出する半分取的RP−HPLCにより精製した。生成物を含む画分を合わせ、凍結乾燥して所望の2−(1−{[ジヒドロキシ(ジオキシド)ホスフィノ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル80mgを得た。
【0109】
H NMR(DMSO):9.05(d,1H)、8.95(d,1H)、8.54−8.61(m,2H)、8.47(d,2H)、8.06(t,1H)、8.70−8.85(m,4H)、6.21(d,2H)。
【0110】
(実施例87)
2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0111】
【化29】

【0112】
工程1:6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)―1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
ジ−ブロモキノン(38.6g、0.1mol)、酢酸アンモニウム(165g、2.1mol)およびジブロモベンズアルデヒド(45g、0.1mol)の酢酸(1.5L)懸濁液を16時間、加熱還流した。反応混合物は、水(2.2L)へ注ぎ、次いで2時間攪拌して急冷した。得られた固体をろ過し、水およびヘキサンで順次リンスした。次に、固体をディーンスタークを使用してトルエン(600mL)中4時間加熱還流し、その後ろ過して所望の6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)―1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールをベージュ色の粉末(62.3g、97%)として得た。
【0113】
工程2:6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
工程1からの6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)―1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(61.8g、0.1mol)の0℃THF(980mL)懸濁液に、水素化ナトリウム(鉱油中、60%分散液、10g、0.25mol)を添加した。この懸濁液を0℃で15分間攪拌し、次いでSEMCl(45mL、0.25mol)を添加した。混合物を室温にまで加温し、3時間攪拌後、水中に注いだ。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を食塩水で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製物質をヘキサン/ジエチルエーテル中で4時間激しく振り、その後ろ過して6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールをベージュ色の粉末(71.5g、95%)として得た。
【0114】
工程3:メチル6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−カルボキシラート
1Lの三頸丸底フラスコ中、工程2からの6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(22.8g、30.8mmol)のDMF(150mL)およびMeOH(150mL)溶液に、Pd(OAc)(350mg、1.5mmol)およびdppf(1.7g、3.0mmol)を添加した。混合物を3回、脱気して、一酸化炭素を再充填した。次いで、トリエチルアミン(9.5mL、43mmol)を添加し、反応混合物を一酸化炭素の雰囲気下60℃に1時間加熱した。反応物は、これを水および酢酸エチルに注入することにより急冷された。次いで、反応物はセライトを通してろ過し、水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を1回食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製物質をシリカ(トルエン中0から5%の酢酸エチル)上でのフラッシュクロマトグラフィにより精製して所望のメチル6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−カルボキシラートの異性体をベージュ色の固体(9.8g、44%)として得た。
【0115】
工程4:2−[6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]プロパン−2−オール
工程3からのメチル6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−カルボキシラートの異性体(9.9g、13.8mmol)のCHCl(200mL)溶液(−78℃)に、メチルマグネシウムブロマイド(EtO中、3.0M、33mL)を付加漏斗から添加した。次に、混合物を−40℃にまで加温し、この温度で0.5時間攪拌し、次いで−30から−35℃に加温し、この温度で2時間攪拌した。次いで、反応混合物を、−25℃に加温し、3時間攪拌し、その後0℃で1.5時間攪拌した。反応物を水および酢酸エチル中に注入して急冷した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を1回食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製の生成物をTHF(150mL)に溶解し、0℃に冷却した。次いで、TBAF(THF中1.0M、35mL)を添加し、混合物を17時間加熱還流し、その後25%NHOAcで急冷し、水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を1回食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。シリカ(トルエン中5から30%のTHF)でのフラッシュクロマトグラフィによる精製後に得られた物質は、トルエン中で5時間激しく振り、ろ過して2−[6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]プロパン−2−オールを白色粉末(4.53g、56%、2工程)として得た。
【0116】
工程5:2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
シアン化銅(420mg、4.7mmol)を工程4からの2−[6−ブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−9−イル]プロパン−2−オール(1.25g、2.1mmol)のDMF(100mL)溶液(室温)に添加し、混合液を80℃で18時間加熱し、その後NHOHおよび酢酸エチルの混合液に注ぎ、1時間攪拌した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、食塩水で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。シリカ(トルエン中20から80%の酢酸エチル)でのフラッシュクロマトグラフィによる精製後に得られた物質は、酢酸エチルおよびTHF中で2時間激しく振り、ろ過して2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを黄色固体(250mg、25%)として得た。
【0117】
H NMR δ(ppm)(TFA添加DMSO):9.08(1H,s)、8.90(1H,s)、8.45−8.39(4H,m)、7.99−7.91(3H,m)、1.61(6H,s)。
【0118】
(実施例88)
2−[6−(シクロプロピルエチニル)−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0119】
【化30】

【0120】
工程1:2−[6−(シクロプロピルエチニル)−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
実施例87からの2−[6−ブロモ−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(1.26g、2.62mmol)、Pd(PPh(190mg、0.27mmol)およびヨウ化銅(100mg、0.52mmol)を含む丸底フラスコに、窒素を15分間パージし、次いでDMF(50mL)、シクロプロピルアセチレン(1.4mL、21mmol)およびジ−イソプロピルアミン(560μL、4mmol)を添加した。得られた混合物を60から65℃で3.5時間加熱し、室温にまで冷却し、その後NHOHおよび酢酸エチルの混合物に注ぎ、1時間攪拌した。水相を酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、食塩水で1回洗浄し、NaSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。シリカ(トルエン中30から100%の酢酸エチル)でのフラッシュクロマトグラフィによる精製後に得られた物質は、トルエン中で2時間激しく振り、その後ろ過して2−[6−(シクロプロピルエチニル)−9−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを黄色固体(350mg)として得た。母液は混合画分と一緒にし、シリカ(トルエン中3から40%のアセトニトリル)でのフラッシュクロマトグラフィにより再精製してビス−ニトリル(286mg)を得た(全収率52%)。
【0121】
H NMR δ(ppm)(TFA添加DMSO):8.92(1H,s)、8.87(1H,s)、8.43−8.39(4H,m)、7.96(1H,t),7.90(1H,d)、7.71(1H,d)、1.60(7H,s)、0.90(2H,t)、0.84(2H,d)。
【0122】
(実施例117)
2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
【0123】
【化31】

【0124】
工程1:2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
9−BBNのTHF溶液(24ml、12mmol、0.5M)に、2−メチル−3−ブテン−2−オール(345mg、4.0mmol)を添加し、得られた溶液を窒素雰囲気下、室温で一晩撹拌した。PdCl(dppf)(324mg、0.40mmol)、CSCO(2.4g、8.0mmol)およびPhAs(124mg、0.4mmol)が充填された第2フラスコに、実施例36からの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル、DMF(24ml)およびHO(0.88ml)を添加し、混合物を窒素雰囲気下、5分間攪拌した。次いで、ヒドロホウ素化反応混合物を第2フラスコに移し、得られた反応懸濁液を室温で窒素雰囲気下、5日間攪拌した。食塩水で処理した後、水相をEtOAcで抽出し、合わせた有機溶液を水および食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ過して乾燥剤を除去した後、溶液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィ(50%EtOAc/ヘキサン)で精製して2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル600mgを黄色固体として得た。H NMR(400MHz,アセトン):δ 13.10(s br,1H);8.94(s,1H);8.77(s,1H);8.70−8.60(m br,2H);8.39(d,2H),8.03(t,1H);7.75(dd,1H);7.69(dd,1H);4.92(s,1H);3.05(m,2H);1.95(m,2H);1.33(s,6H)。
【0125】
(実施例123)
(±)−2−[9−クロロ−6−(3,4−ジヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0126】
【化32】

【0127】
工程1:2−[6−クロロ−9−(3−メチルブテ−3−エン−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
実施例40からの2−[9−クロロ−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(120mg、0.26mmol)のベンゼン(4mL)の攪拌懸濁液に、Burgess試薬(70mg、0.29mmol)を添加し、窒素雰囲気下、2時間還流した。得られた反応混合物をEtOAc(20mL)で希釈した。このEtOAc溶液を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ過して乾燥剤を除去した後、有機溶液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィ(50/50のEtOAc/ヘキサンで溶出)で精製して、2−[6−クロロ−9−(3−メチルブテ−3−エン−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル90mgを黄色固体として得た。
【0128】
工程2:(±)−2−[9−クロロ−6−(3,4−ジヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
工程1からの2−[6−クロロ−9−(3−メチルブテ−3−エン−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(22mg、0.05mmol)の50/50のt−BuOH/HO(0.5mL)攪拌懸濁液に、AD−mix−α(70mg)を0℃で添加した。混合液を0℃で24時間攪拌したままにした。得られた反応混合物を飽和Na水溶液で処理し、10分間攪拌し、水で希釈後、EtOAcで抽出した。このEtOAc溶液を水、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥した。ろ過して乾燥剤を除去した後、この有機溶液を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(50/50のEtOAc/ヘキサンから95/5のEtOAc/MeOHで溶出)により精製して黄色固体19mgを得た。これと同じ手順をAD−mix−βで繰り返して黄色固体をさらに19mgを得た。これらの2つの黄色固体を合わせてラセミ体の2−[9−クロロ−6−(3,4−ジヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを得た。
【0129】
H NMR(400MHz,アセトン):δ 8.84(d,1H);8.80(s,1H);8.57(d,1H);8.47(d,1H);8.39(d,2H);8.03(t,1H);7.77(dd,8.6Hz,1H);7.71(dd,1H);4.56(s,1H);4.30(s,1H);3.67(q,2H);1.56(s,3H)。
【0130】
(実施例135)
2−[9−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0131】
【化33】

【0132】
工程1:2−(6−ブロモ−9−クロロ−1―{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
実施例36からの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(5g、10.9mmol)のTHF(30mL)溶液に、NaH(油中60%分散液、1.31g、32.7mmol)を添加した。この混合物を室温で10分間攪拌した後、2−(トリメチルシリル)エトキシメチルクロライド(5.8mL,32.7mmol)を添加した。1時間後、反応は水をゆっくりと加えて急冷された。水層は、酢酸エチルで抽出し、有機層を水で1回、食塩水で1回洗浄し、無水のMgSOで乾燥し、濃縮して粗製の2−(6−ブロモ−9−クロロ−1―{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(6.06g)を得た。
【0133】
工程2:2−(9−クロロ−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
トリブチル(メトキシ)スタンナン(4.5mL、15.5mmol)、イソプロペニルアセタート(1.7mL、15.5mmol)、上記工程1からの2−(6−ブロモ−9−クロロ−1―{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(6.06g、10.3mmol)、パラジウム(II)アセタート(0.232g、1.03mmol)およびトリ−o−トリルホスフィン(0.628g、2.07mmol)のトルエン(50mL)溶液を100℃で一晩加熱した。反応混合物を水および酢酸エチルで急冷した。通常の処理およびシリカ(ヘキサン中50%酢酸エチル)上でのクロマトグラフィにより、2−(9−クロロ−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル}イソフタロニトリル(2.8g)が黄色−オレンジ色の固体として単離された。
【0134】
工程3:2−(9−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
TiCl(CHCl中1M、20mL)を−78℃で充填した丸底フラスコに、メチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M、12.5mL)を添加した。得られた濃赤色の溶液を−78℃で15分間攪拌し、次に、上記工程2からの2−(9−クロロ−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(2.8g、5.0mmol)のジエチルエーテル(10mL)溶液(0℃)をカニューレから添加した。得られた混合物を0℃で3時間攪拌し、次いで飽和塩化アンモニウムで急冷した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製物質をシリカ(ヘキサン中50%酢酸エチル)でのフラッシュクロマトグラフィにより精製して2−(9−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(1.94g)を得た。
【0135】
工程4:2−[9−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
上記工程3からの2−(9−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(1.94g)をTBAF(THF中、1M、20mL)に溶解した。混合物を5時間加熱還流し、次いで水で急冷した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層は食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製物質をシリカ(ヘキサン中50%酢酸エチル)でのフラッシュクロマトグラフィにより精製して2−[9−クロロ−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(500mg)を黄色固体として得た。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):13.13(1H,bs)、8.87(1H,s)、8.77(1H,s)、8.58(1H,m)、8.43(1H,m)、8.35(2H,d,J=7.9Hz)、7.99(1H,t,J=7.9Hz)、7.73(2H,dd,J=1.9、8.6Hz)、3.51(1H,bs)、3.08(2H,s)、1.26(6H,s)。
【0136】
(実施例160)
2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0137】
【化34】

【0138】
工程1:1−ブロモ−4−[2−(4−メトキシフェニル)ビニル]ベンゼン
このスチルベンは、4−クロロベンズアルデヒドの代わりにp−アニスアルデヒドを使用し、実施例36の工程1に記載されているようにして調製された。
【0139】
工程2:3−ブロモ−6−メトキシフェナントレン
このフェナントレンは、1−ブロモ−4−[2−(4−クロロフェニル)ビニル]ベンゼンの代わりに上記工程1からの1−ブロモ−4−[2−(4−メトキシフェニル)ビニル]ベンゼンを使用し、4日間照射を行って、実施例36の工程2に記載されているようにして調製された。
【0140】
工程3:3−ブロモ−6−メトキシフェナントレン−9,10−ジオン
このキノンは、3−ブロモ−6−クロロフェナントレンの代わりに上記工程2からの3−ブロモ−6−メトキシフェナントレンを使用し、実施例36の工程3に記載されているようにして調製された。
【0141】
工程4:3−ブロモ−6−ヒドロキシフェナントレン−9,10−ジオン
上記工程3からの3−ブロモ−6−メトキシフェナントレン−9,10−ジオンおよび過剰のBBrのCHCl混合物を室温で攪拌して3−ブロモ−6−ヒドロキシフェナントレン−9,10−ジオンを得た。これは、次の工程(下記の工程5)で直接使用された。
【0142】
工程5:3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオン
工程4からの3−ブロモ−6−ヒドロキシフェナントレン−9,10−ジオンのアセトン溶液を過剰の炭酸カリウム、ヨウ化カリウムおよび(ブロモメチル)シクロプロパンで処理した。混合物を一晩加熱還流し、その後標準処理して3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンを得た。
【0143】
工程6:6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、3−ブロモ−6−クロロフェナントレン−9,10−ジオンの代わりに上記工程5からの3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンを使用し、実施例36の工程4に記載されているようにして調製された。
【0144】
工程7:2−[6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
このイミダゾールは、9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程6からの6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを使用し、実施例36の工程5に記載されているようにして調製された。生成物に存在する不純物は、sharplessジヒドロキシル化によって除去された。
【0145】
工程8:2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(3−ヒドロキシ−3−メチルブチ−1−イン−1−イル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
このイミダゾールは、2−(9−ブロモ−6−クロロ−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルの代わりに、上記工程7からの2−[6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを使用し、実施例40の工程6に記載されているようにして調製された。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):13.04(1H,bs)、8.88(1H,d,J=5.7Hz)、8.49(2H,m)、8.33(3H,m)、7.99(1H,t,J=8.0Hz)、7.73(1H,d,J=8.2Hz)、7.43(1H,d,J=8.8Hz)、4.54(1H,bs)、4.17(2H,d,J=6.8Hz)、1.63(6H,s)、1.48−1.36(1H,m)、0.68(1H,m)、0.49−0.45(1H,m)。
【0146】
(実施例168)
2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0147】
【化35】

【0148】
この化合物は以下に記述する2つのルートによって調製された。
ルートA:
工程1:6−ブロモフェナントレン−3−オール
0℃でBBr(CHCl中、1M、17mL)を含むフラスコに、実施例160の工程2からの3−ブロモ−6−メトキシフェナントレン(1g、3.5mmol)のCHCl(10mL)溶液を添加した。反応混合物を室温にまで加温し、30分間攪拌し、その後、水で急冷した。水層をCHClで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮して粗製の6−ブロモフェナントレン−3−オールを得た。
【0149】
工程2:3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン
上記工程1からの6−ブロモフェナントレン−3−オール(0.823g、3.02mmol)、(ブロモメチル)シクロプロパン(0.5mL、5.4mmol)、炭酸カリウム(2.5g、18mmol)およびヨウ化カリウム(5mg)のアセトン(50mL)混合物を3日間、加熱還流した。次いで水を加え、反応混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製物質をシリカ(100%のヘキサン)のフラッシュクロマトグラフィにより精製して3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン(0.859g、87%)を得た。
【0150】
工程3:1−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]アセトン
このフェナントレンは、2−(6−ブロモ−9−クロロ−l−([2−{トリメチルシリル}エトキシ]メチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルの代わりに、上記工程2からの3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレンを使用し、実施例135の工程2に記載されているようにして調製された。
【0151】
工程4:1−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オール
このフェナントレンは、2−(9−クロロ−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルの代わりに、上記工程3からの1−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]アセトンを使用し、実施例135の工程3に記載されているようにして調製された。粗製の生成物は次の反応に直接使用された。
【0152】
工程5:tert−ブチル(2−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシラン
上記工程4からの粗製の1−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オールのTHF(10mL)溶液に、水素化ナトリウム(油中、60%分散液、0.27g、6.79mmol)を添加した。混合物を2分間加熱還流し、次いで室温にまで冷却した。Tert−ブチルジメチルシリルクロライド(0.512g、3.39mmol)を添加し、反応混合物を2時間加熱還流した。反応物を通常処理して、tert−ブチル(2−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシラン(0.5g)が得られた。これは粗製物質のまま次の工程に使用された。
【0153】
工程6:3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオン
上記工程5からのtert−ブチル(2−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシラン(0.5g、1.15mmol)の酢酸(10mL)溶液に、CrO(0.346g、3.46mmol)を添加した。この混合物を50℃で30分間攪拌し、室温にまで冷却し、水中に注ぎ、15分間攪拌した。懸濁液をろ過し、水洗し、ポンプで減圧にして3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンを得た。
【0154】
工程7:6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
上記工程6からの3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオン(1.15mmol)の酢酸(10ml)溶液に、酢酸アンモニウム(1.78g、23mmol)およびジブロモベンズアルデヒド(0.42g、1.5mmol)を添加した。この混合物を70℃で1時間攪拌し、室温にまで冷却し、水中に注ぎ、5分間攪拌した。得られた固体を水とジエチルエーテルで洗浄した。粗製物質をシリカ(ヘキサン中、30%酢酸エチル)のフラッシュクロマトグラフィによって精製して6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(0.223g)を黄色固体として得た。
【0155】
工程8:1−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
TBAF(THF中1M、10mL)を、上記工程7からの6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール(0.223g、0.31mmol)を含むフラスコに室温で添加した。得られた溶液を36時間加熱還流し、その後、反応混合物に水を添加した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。粗製の生成物は、次の反応(下記工程9)に直接使用された。
【0156】
工程9:2−[9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
このイミダゾールは、9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程8からの粗製の1−[9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用し、実施例36の工程5に記載されているようにして調製された。
【0157】
H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.96(1H,bs)、8.70(1H,m)、8.59(1H,m)、8.32(3H、d,J=8.0Hz)、8.28(1H,m)、7.95(1H,t,J=7.9Hz)、7.67(1H,d,J=8.1Hz)、7.38(1H,d,J=8.7Hz)、4.09(2H,d,J=6.9Hz)、3.46(1H,bs)、3.05(2H,s)、1.38−1.34(1H,m)、1.25(6H,s)、0.67−0.63(2H,m)、0.45−0.41(2H,m)。
【0158】
ルートB:
工程1:3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオン
このキノンは、3−ブロモ−6−クロロフェナントレンの代わりに、上記ルートAの工程2からの3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレンを使用して、実施例160の工程5に記載のようにして、または実施例36の工程3に記載の手順に従って調製された。
【0159】
工程2:6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、実施例160の工程6に記載されたようにして調製された。
【0160】
工程3:2−[6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
このイミダゾールは、実施例160の工程7に記載されたようにして調製された。
【0161】
工程4:2−(6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
このSEM保護イミダゾールは、6,9−ジブロモ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程3からの2−[6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリルを使用して、実施例87の工程2に記載されたようにして調製された。
【0162】
工程5:2−(9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
このイミダゾールは、2−(6−ブロモ−9−クロロ−1−([2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルの代わりに、上記工程4からの2−(6−ブロモ−9−(シクロプロピルメトキシ)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルを使用して、実施例135の工程2に記載されたようにして調製された。
【0163】
工程6:2−(9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル
このイミダゾールは、2−(9−クロロ−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルの代わりに、上記工程5からの2−(9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−オキソプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリルを使用して実施例135の工程3に記載されたようにして調製された。
【0164】
工程7:2−(9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
上記工程6からの粗製の2−(9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル)イソフタロニトリル(1.37mmol)を、TBAF(THF中1M、10mL)に溶解し、混合物を1.5時間、加熱還流した。水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。物質をシリカ(ヘキサン中70%酢酸エチル)のフラッシュクロマトグラフィで精製して2−(9−(シクロプロピルメトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル(240mg)を得た。
【0165】
(実施例172)
2−[9−(2−シクロプロピルエトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]−5−フルオロイソフタロニトリル
【0166】
【化36】

【0167】
工程1:3−ブロモ−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレン
実施例168のルートAの工程1からの6−ブロモフェナントレン−3−オール(3g、11mmol)、2−シクロプロピルエタノール(2.85g、33mmol)およびトリフェニルホスフィン(5.78g、22mmol)のTHF(50mL)混合物に、ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシラート(5.08g、22mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌し、その後、水で急冷した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。物質をシリカ(100%ヘキサン)のフラッシュクロマトグラフィにより精製して3−ブロモ−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレンを得た。
【0168】
工程2:1−[6−(2−シクロプロピルエトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オール
このフェナントレンは、3−ブロモ−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレンの代わりに、上記工程1からの3−ブロモ−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレンを使用して、実施例168のルートAの工程3および4に記載された2段階プロセスを経由して、または下記の手順に従って調製された。
【0169】
上記工程1からの3−ブロモ−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレン(11mmol)のTHF(75mL)溶液に−78℃で、順次、メチルリチウム(ジエチルエーテル中1.6M、1mL)およびブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、5.3mL)を添加した。混合物を−78℃で30分間攪拌し、その後、イソブチレンオキシド(2.9mL、33mmol)を添加し、次いでBF.OEt(4.2mL、33mmol)を加えた。反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、1MのHClで急冷した。水層を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、濃縮した。物質をシリカ(ヘキサン中100%酢酸エチル)のフラッシュクロマトグラフィにより精製して1−[6−(2−シクロプロピルエトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オール(1.33g)を黄色油として得た。
【0170】
工程3:tert−ブチル(2−[6−(2−シクロプロピルエトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシラン
このフェナントレンは、1−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オールの代わりに、上記工程2からの1−[6−(2−シクロプロピルエトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用して、実施例168のルートAの工程5に記載されたようにして調製された。
【0171】
工程4:3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレン−9,10−ジオン
このキノンは、tert−ブチル(2−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシランの代わりに、上記工程3からのtert−ブチル(2−[6−(2−シクロプロピルエトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシランを使用して、実施例168のルートAの工程6に記載されたようにして調製された。
【0172】
工程5:6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(2−シクロプロピルエトキシ)−2−(2,6−ジブロモ−4−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンの代わりに、上記工程4からの3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンを使用し、およびジブロモベンズアルデヒドの代わりに2,6−ジブロモ−4−フルオロベンズアルデヒドを使用して、実施例168のルートAの工程7に記載されたようにして調製された。
【0173】
工程6:1−[9−(2−シクロプロピルエトキシ)−2−(2,6−ジブロモ−4−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
このイミダゾールは、6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程5からの6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(2−シクロプロピルエトキシ)−2−(2,6−ジブロモ−4−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを使用し、実施例168のルートAの工程8に記載されたようにして調製された。
【0174】
工程7:2−[9−(2−シクロプロピルエトキシ)−6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)―1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]−5−フルオロイソフタロニトリル
このイミダゾールは、9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程6からの1−[9−(2−シクロプロピルエトキシ)−2−(2,6−ジブロモ−4−フルオロフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用して、実施例36の工程5に記載されたようにして調製された。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.95(1H,bs)、8.70(1H,m)、8.58(1H,m)、8.28(4H,m)、7.67(1H,d,J=8.1Hz)、7.40(1H,d,J=9.1Hz)、4.31(2H,t,J=6.5Hz)、3.43(1H,bs)、3.05(2H,s)、1.78(2H,q、J=6.7Hz)、1.26(6H,s)、0.98(1H,m)、0.54−0.48(2H,m)、0.20−0.18(2H,m)。
【0175】
(実施例180)
2−[6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−9−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
【0176】
【化37】

【0177】
工程1:3−ブロモ−6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)フェナントレン
このフェナントレンは、(ブロモメチル)シクロプロパンの代わりに4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタンを使用して、実施例168のルートAの工程2に記載されたようにして調製された。
【0178】
工程2:2−メチル−1−[6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−3−フェナントリル]プロパン−2−オール
このフェナントレンは、3−ブロモ−6−(2−シクロプロピルエトキシ)フェナントレンの代わりに、上記工程1からの3−ブロモ−6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)フェナントレンを使用して、実施例172の工程2に記載されたようにして調製された。
【0179】
工程3:tert−ブチル(1,1−ジメチル−2−[6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−3−フェナントリル]エトキシ)ジメチルシラン
このフェナントレンは、1−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−2−メチルプロパン−2−オールの代わりに、上記工程2からの2−メチル−1−[6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−3−フェナントリル]プロパン−2−オールを使用して、実施例168のルートAの工程5に記載されたようにして調製された。
【0180】
工程4:3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)フェナントレン−9,10−ジオン
このキノンは、tert−ブチル(2−[6−(シクロプロピルメトキシ)−3−フェナントリル]−1,1−ジメチルエトキシ)ジメチルシランの代わりに、上記工程3からのtert−ブチル(1,1−ジメチル−2−[6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−3−フェナントリル]エトキシ)ジメチルシランを使用して、実施例168のルートAの工程6に記載されたようにして調製された。
【0181】
工程5:6−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール
このイミダゾールは、3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(シクロプロピルメトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンの代わりに、上記工程4からの3−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−6−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)フェナントレン−9,10−ジオンを使用して、実施例168のルートAの工程7に記載されたようにして調製された。
【0182】
工程6:1−[2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
このイミダゾールは、6−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}−2−メチルプロピル)−9−(シクロプロピルメトキシ)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H)フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程5からの6−(2−([tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ)−2−メチルプロピル)−2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールを使用して、実施例168のルートAの工程8に記載されたようにして調製された。
【0183】
工程7:2−[6−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−9−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−2−イル]イソフタロニトリル
このイミダゾールは、9−ブロモ−6−クロロ−2−(2,6−ジブロモフェニル)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾールの代わりに、上記工程6からの1−[2−(2,6−ジブロモフェニル)−9−(4,4,4−トリフルオロブトキシ)−1H−フェナントロ[9,10−d]イミダゾール−6−イル]−2−メチルプロパン−2−オールを使用して、実施例36の工程5に記載されたようにして調製された。H NMR δ(ppm)(400MHz,アセトン−d):12.95(1H,bs)、8.72(2H,m)、8.33(4H,m)、7.96(1H,t,J=7.9Hz)、7.68(1H,d,J=8.1Hz)、7.42(1H,d,J=9.5Hz)、4.36(2H,t,J=6.0Hz)、3.45(1H,bs)、3.05(2H,s)、2.57−2.51(2H,m)、2.20−2.12(2H,m)、1.25(6H,s)。
【0184】
生物学的活性測定のためのアッセイ
プロスタグランジンE合成酵素活性の阻害
化合物がミクロソームのプロスタグランジンe合成酵素、全細胞およびインビボアッセイにおいて、プロスタグランジンE合成酵素活性の阻害剤として試験される。これらのアッセイは酵素免疫測定法(EIA)または質量分析のいずれかを使用して、プロスタグランジンE2(PGE2)合成を測定する。ミクロソーム製剤に使用される細胞は、ヒトのmPGES−1のcDNAをコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトされたCHO−K1細胞である。細胞系実験で使用される細胞は、ヒトA549(これはヒトmPGES−1を発現する)である。モルモットが、選択された化合物のインビボでの活性を試験するために使用される。これらのすべてのアッセイにおいて、100%活性は、ビヒクル処置サンプルにおけるPGE生産として定義される。IC50およびED50は、非阻害対照と比較して、PGE合成を50%阻害するのに必要な阻害剤の濃度または用量を表わす。
【0185】
ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素アッセイ
プロスタグランジンE合成酵素のミクロソーム画分は、ヒトmPGES−1のcDNAをコードするプラスミドで一過性にトランスフェクトされたCHO−K1細胞から調製される。次いで、ミクロソームが調製され、PGESアッセイが、化合物またはDMSO(最終1%)と共に室温で20から30分間、5μg/mlのミクロソームPGES−1を培養して始まる。酵素反応は、200mMのKPi、pH 7.0、2mMのEDTAおよび2.5mMのGSH還元体中で行なわれる。その後、酵素反応は、イソプロパノール(アッセイウエル中、最終的に3.5%)中で調製された最終的にlμMのPGH基質の添加によって開始され、30秒間、室温で培養する。反応は、1NのHCl(最終的に1mg/ml)中のSnClの添加によって終了する。酵素反応の一定分量中のPGE生産の測定は、標準の市販キット(Assay Designs社のカタログ番号:901−001)を使用してEIAによって行われる。
【0186】
代表的な化合物に対するこのアッセイからのデータは、下記の表に示される。効力は、IC50として表記され、示された値は少なくともn=3の平均である。
【0187】
【表5】


【0188】
ヒトA549全細胞のプロスタグランジン合成酵素アッセイ
原理
全細胞は、プロスタグランジンE合成酵素阻害剤などの抗炎症性化合物の細胞透過性および生化学的特異性に関する研究のための完全な細胞環境を提供する。これら化合物の阻害活性を研究するために、ヒトA549細胞は、10ng/mlの組み換えヒトIL−1βで24時間刺激される。PGEとPGF2αの生産が、mPGES−1依存性PGE生産に対する選択性と有効性に関する読み出された情報として培養の終わりにEIAによって測定される。
【0189】
方法
ヒトA549細胞は、特異的にヒトのミクロソームプロスタグランジンE合成酵素−1を発現し、IL−1βでの24時間処理によりこの発現を誘発する。2.5×10細胞が100ul/ウェル(96−ウェルプレート)に播種され、標準的条件下、一晩培養される。次いで、10ng/mlのIL−1βを含む細胞培地100ulを細胞に添加し、RPMIを含む2%FBSまたはRPMIを含む50%FBSのいずれかを添加する。次いで、薬剤またはビヒクル(DMSO)の2μlを添加し、サンプルは直ちに混合される。細胞は24時間培養され、培養後、培養液の175μlを採取し、EIAによってPGEおよびPGF2αの含量を分析する。
【0190】
ヒト全血のプロスタグランジンE合成酵素アッセイ
原理
全血は、プロスタグランジンE合成酵素阻害剤などの抗炎症性化合物の生化学的効能に関する研究のためにタンパク質および細胞富化の環境を提供する。これらの化合物の阻害活性を研究するために、ヒト血液がmPGES−1発現を誘発するために24時間リポ多糖類(LPS)で刺激される。プロスタグランジンE2(PGE)およびトロンボキサンB2(TxB)の生産は、mPGES−1依存性PGE生産に対する選択性と有効性に関する読み出された情報として培養の終わりにEIAによって測定される。
【0191】
方法
報告(Brideau,et al.,Inflamm.Res.,vol.45,p.68,1996)されたmPGES−1活性に関するヒト全血アッセイは、以下に記載されるように行なわれる。
【0192】
ヒトのボランティアから新たに分離された静脈血は、ヘパリン処理されたチューブに採取される。これらの被験者は明らかな炎症性症状を有しておらず、血液採取前の少なくとも7日間はNSAID類を服用していない。血液250μlが、ビヒクル1ul(DMSO)または試験化合物1ulを使用して前培養される。次いで、細菌性LPS100μg/ml(リン酸緩衝生理食塩水中0.1%w/vウシ血清アルブミンで希釈された大腸菌血清型0111:B4)を添加し、検体を37℃で24時間培養する。時間0(LPSはない)における無刺激対照血液は、ブランクとして使用される。24時間培養の終わりに、血液は4℃、10分間、3000rpmで遠心分離される。上記したEIAキットを使用して、血漿はPGEおよびTxBに関してアッセイされる。
【0193】
抗炎症活性のインビボ測定
原理
全動物は、インビトロで特徴づけられた試験化合物の抗炎症活性を確認するための統合生理学システムを提供する。プロスタグランジンE合成酵素阻害剤の活性をインビボで測定するために、動物は炎症性刺激LPSの前後に化合物を投薬される。LPSはモルモットの後肢に注射され、痛覚過敏の測定は注射後4.5時間および/または6時間に記録される。
【0194】
経口投与用の試験化合物の製剤
試験化合物は、ボールミルシステムを使用して粉砕され、無定形にされた。化合物は、メノウボールを含むメノウジャーに入れられ、Planetary Micro Mill Pulverisette 7システムなどの装置中で10分間高速回転された。その後、ジャーを開き、0.5%のメトセル溶液を粉砕された固体に加えた。この混合物は、再び10分間高速回転された。得られた懸濁液は、シンチレーションバイアルに移され、0.5%メトセル溶液の適切量で希釈され、2分間超音波で処理され、懸濁液が均質になるまで攪拌された。別法として、試験化合物は、任意の適切な化学的または機械的技術によって得られた無定形材料を使用して製剤化することができる。次に、この無定形固体は、投薬に先立って、一定期間の間、例えば12時間、ドデシル硫酸ナトリウムの0.02から0.2%を有する0.5%メトセルなどの適切なビヒクルと混合し、攪拌される。
【0195】
方法
重さ200から250グラムの雄のHartleyモルモットが使用された。LPS(30mg/kg)が、モルモットの左後肢の足底に皮下注射して注射された足に痛覚過敏をもたらす。直腸温度および足蹠回避潜時、つまり痛みに対する神経過敏(痛覚過敏)の測定をLPS注射に先立って行い、基線として使用される。足蹠回避潜時は、熱痛覚過敏測定器具(Ugo Basile Corp.)を使用して測定される。この測定の間、動物はガラス土台の上の8”×8”プレキシガラス製保持箱に置かれる。穏やかな(223mW/cm)赤外線光は後方の足の下側に向ける。動物がその後ろ足を引っ込める(熱によってもたらされる痛みを感じるという徴候)のにかかる時間を記録する。動物がこのエリアからその後ろ足を引っ込める場合、赤外線光は直ちに止める。この時間が20秒に達する時はまた、光は自動的に止まる。
【0196】
投与前パラダイム:
試験化合物は、18ゲージの給餌針を使用して、5ml/kgが経口投与される。LPS(血清型0111:B4、10μg)または0.9%生理食塩水が、化合物を投与して1時間後に、26ゲージの注射針を使用して100μlの容量で左後肢の足の裏部位に注射される。LPSを投与して4.5時間後に、直腸温度および熱足蹠回避潜時が計測される。動物は、COを使用して安楽死させられ、採取された腰髄、後肢および血液検体が測定された。
【0197】
逆転パラダイム:
各動物の熱足蹠回避は、LPSの足の裏への注射の前に、および注射後3時間して測定される。LPS投与を受け、3時間の時点で回避潜時の減少を示さない動物は研究から取り除かれ安楽死させられる。試験化合物は熱足蹠回避試験の測定後、直ちに5ml/kgが経口的に投与される。熱足蹠回避潜時は、化合物の投与後(LPS投与後4.5および6時間)1.5時間および3時間に測定される。最終の読み取りの後、動物はCOを使用して安楽死させられ、腰髄および血液のサンプルは質量分析によるプロスタグランジンおよび薬剤レベルの測定のために、それぞれ採取される。
【0198】
実施例40を製造する代替方法は以下のとおりである。
【0199】
(代替実施例40)
【0200】
【化38】

【0201】
【化39】

【0202】
丸底フラスコに、炭酸カリウム(65g、469.7mmol)、HO(400mL)、MTBE(800)およびジエチルアミン(81mL、861.1mmol)を充填した。次いで、温度を25℃より下に維持しながら、p−クロロベンゾイルクロライド(100mL、782.8mmol)を、30分間かけて加えた。添加後、相を分離し、有機層を食塩水(200mL)で洗浄した。次いで、溶液の溶媒をDMEに交換してアミドの粗製溶液を得たが、これは次の工程に直接使用された。
【0203】
【化40】

【0204】
アミド(10g、47.3mmol)の7.5mL/gDME(75mL)の粗製溶液に、ホウ酸トリイソプロピル(19.5mL、85.1mmol)を添加し、得られた溶液を−25℃に冷却した。次いで、リチウムジエチルアミド(45.6mL、66.2mmol)の新たに調製した1.45M溶液を30分かけて滴下して加えた[注:リチウムジエチルアミドは、添加の間、0℃より下に温度を維持しながら、THF中のジエチルアミンをヘキサン中n−ブチルリチウムの2.5M溶液で処理して生成した]。添加の終わりに、混合物は、さらに15分間熟成し、15分ですべての出発原料は消費されて対応するボロン酸を>98%の位置選択性で得た。次いで、粗製の溶液は、次の工程に直接使用された。
【0205】
【化41】

【0206】
上で得たボロン酸の粗製溶液に、脱気した水(95mL)および固形のNaCO(13.5g、127.7mmol)を0℃で添加した。得られた懸濁液に、順次、PPh(223mg、0.85mmol)、2−ヨードトルエン(5.4mL、42.6mmol)およびPd(OAc)(95.5mg、0.43mmol)を添加し、混合物を脱気し、70℃に加熱し、6時間熟成し、6時間で2−ヨードトルエンの完全な消費が一般的に観察された。反応の終わりに、MTBE(75mL)を添加し、生成したスラリーをろ過した。塩化ナトリウムをこの二相ろ液に加えて分離を容易にし、層が分液された。有機層を水(20mL)で1回および食塩水(2×30mL)で洗浄した。次いで、粗製の溶液を濃縮し、溶媒をDMEに交換し、次の工程に直接使用された。代表的なアッセイ収率:90から94%。
【0207】
【化42】

【0208】
アミド(13.9g、46.2mmol)の7.5mL/gDME(104mL)の粗製溶液に、−45℃に維持しながら、新たに調製したLiNEtのTHF(41.7mL、60mmol)中1.44M溶液を15分かけて添加した。得られた褐色の溶液を75分間熟成し、この時間で出発原料の完全な消費がHPLCによって観察された。MTBE(120mL)を添加し、次いで6NのHCl(30.8mL、184.7mmol)をゆっくりと加えた。得られた混合物を室温にまで加温し、層を分離した(水層のpHは、2から3にすべきである)。有機層を水(55mL)、食塩水(60mL)で1回洗浄し、濃縮し、溶媒をトルエンに交換して結晶化させた。トルエン:DMEの3:1混合物中、約4mL/gの生成物が得られたら、スラリーを還流して固体をすべて溶解し、ゆっくりと60℃に冷却し、混合物を室温に冷却しながら、メチルシクロヘキサン5mL/gで1時間処理した(結晶は一般に75から80℃で形成される)。その後、スラリーを濃縮して生成物の3.5mL/g容量を得て、これをメチルシクロヘキサン2mL/gで0.5時間再処理した。スラリーを、0℃で0.5時間熟成し、ろ過し、湿ったケーキをトルエン:メチルシクロヘキサン(3:1)の冷混合物で洗浄し、次いでNを絶えず流しながら乾燥した。所望の生成物が淡黄褐色の固体として81%の収率で得られた。
【0209】
【化43】

【0210】
クロロ−フェナントロール(41g、179.8mmol)の乾燥DME(600mL、KF=25ppm、溶液KF=1000ppm)溶液に、15℃でBr(32.3mL、629.4mmol)を20分で添加し、添加の間、15℃の発熱が明らかであった。次いで、得られた懸濁液を、40から45℃に加温し、4時間熟成して透明な赤色の溶液を得た。NaSO(4.4g、36mmol)のHO(30mL)溶液を添加し、続いてNaCO(57g、539.4mmol)のHO(250mL)溶液を添加した。得られた懸濁液を55℃に加温し、5時間熟成し、この時間で完全に加水分解された(沈殿したNaCOを再溶解するためにHOの追加が必要かもしれない)。その後、反応混合物を35から40℃(35から40トル)で約1/3の容積に濃縮し、スラリーをろ過し、HO(80から100mL)、次いでDME:HO(1:1)100mLで洗浄し、Nの一定流量の下、乾燥した。得られた固体は、一般に次の工程で使用するのに十分なほど純粋であった;代表的な収率:93%。
【0211】
【化44】

【0212】
クロロブロモジケトン(4.54g、14.12mmol)、ジフルオロベンズアルデヒド(1.5mL、14.12mmol)および酢酸アンモニウム(21.77g、282.38mmol)を、窒素雰囲気下、250mLの3頸丸底フラスコに充填した。酢酸(90mL)を攪拌しながら添加し、スラリーを1時間120℃に加熱した。次に、スラリーを室温に冷却し、水(90mL)を30分かけて添加した。水の添加が終了したら、反応混合物をろ過し、水(45mL)で洗浄し、一晩窒素雰囲気中、減圧乾燥して酢酸塩を黄色固体として得た。
【0213】
遊離塩基を得るために、粗製の生成物を1:1のTHF/MTBE(90mL)に溶解し、250mLフラスコに1NのNaOH(45mL)と共に充填した。次いで、混合物を40℃に1時間加熱した。40℃で相をカットし、有機層を1NのNaOH(45mL)で洗浄した。次に有機層を濃縮し、溶媒をMTBEと交換し、45mLの最終的容量とした。反応混合物を1時間35℃でスラリー化し、室温に冷却し、MTBE(23mL)で洗浄し、窒素雰囲気下、乾燥した。ジフルオロイミダゾールの遊離塩基(5.97g)が淡黄色固体として95%の単離収率で得られた。
【0214】
【化45】

【0215】
方法A:ジフルオロイミダゾール(6.79g、13.39mmol)およびシアン化ナトリウム(3.28g、66.95mmol)を、窒素雰囲気下500mL丸底フラスコに充填した。N−メチルピロリドン(NMP、60mL)を攪拌しながら添加し、スラリーを175℃に28時間加熱した。その後、反応混合物を室温に冷却した。水(240mL)を2時間かけて添加し、スラリーを48時間攪拌した。塩化ナトリウム(36g)をスラリーに添加し、さらに2時間撹拌した。その後、スラリーを0℃にまで冷却し、1時間撹拌し、ろ過し、水(30mL)で洗浄した。次に、湿潤ケーキを、窒素雰囲気下、乾燥して所望の生成物をNMP溶媒和物として得た。
【0216】
固体を1時間65℃でTHF(42mL、7.5mL/g)中、スラリー化した。次いで、混合物を室温に冷却し、続いて水(14mL、2.5mL/g)を1時間かけて添加した。次に、スラリーを減圧下で濃縮し、溶媒14mLを除き、得られたスラリーをろ過した。湿ったケーキを1:1のTHF/HO(14mL)で洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥した。乾燥生成物(3.83g)が、THF溶媒和物として54%の単離収率で得られた。
【0217】
方法B:
【0218】
【化46】

【0219】
トリブロモイミダゾールの遊離塩基1.0g(1.8mmol)、NaCN260mg(5.3mmol)、CuI135mg(0.71mmol)およびDMF7mLを混合し、脱気し、次いで120℃で45時間加熱した。水:NHOH(6:1)の7mLを添加し、粗製の生成物をろ過して単離した。乾燥後、物質を1:1のTHF:MTBE(16mL)から再結晶してジシアノ生成物をTHF溶媒和物として870mg(97%)を得た。
【0220】
方法C:トリブロモイミダゾールAcOH塩(1.30g、遊離塩基として87wt%、2mmol)をDMF(5.7mL)中、K[Fe(CN)]・3HO(845mg、2mmol、微粉末)、CuI(76.2mg、0.4mmol)および1,2−フェニレンジアミン(43.3mg、0.4mmol)で処理した。反応混合物を135℃で36時間加熱し、DMF(5.7mL)で希釈し、熱い間にろ過した。固体をアセトンで徹底的に洗浄し、洗浄液をろ液と混合した。有機溶液を濃縮してアセトンを除き、HO(2.8mL)を室温で15分間かけて添加した。得られた固体を、ろ過して採取し、HOで洗浄して褐色の固体(1.06g)を得た。次に、粗製の固体を、THF(4mL)中、60℃で1時間攪拌し、室温にまで冷却した。得られた固体は、ろ過によって採取し、ヘキサンで洗浄し、乾燥し、ジシアナイドのTHF溶媒和物をオフホワイト色の粉末(864mg、89.5wt%)として得た。
【0221】
上記の方法BおよびCに関して、トリブロモイミダゾール化合物は、ジフルオロイミダゾール化合物を製造するための上記手順に従って、しかしジフルオロベンズアルデヒドの代わりにジブロモベンズアルデヒドを用いて製造される。
【0222】
【化47】

【0223】
撹拌棒および隔壁ねじ蓋を備えた7mlバイアルに、約16wt%の水(固形担体および水に対して補正された約1.0mgのPd(OH))を含む炭素上の20wt%Pd(OH)6.2mg、化合物7の69mg、トリフェニルホスフィン8mg、およびヨウ化銅(I)6mgを充填した。バイアルは、窒素を充填したグローブボックス内に入れられ、そこへ残存する窒素パージ反応物質が添加された。N,N−ジメチルホルムアミド(0.68mL)を充填し、続いて2−メチル−3−ブチン−2−オール(0.022mL)およびトリエチルアミン(0.031mL)を充填した。バイアルは密閉され、グローブボックスから取り除かれ、窒素パージされた付属カバーを装備した加熱ブロックに入れられ、52℃の外部温度に加温した。反応は約17時間加熱しながら攪拌した。この時の反応のHPLC分析は、210nmで臭化物7の>99LCAP変換を有する外部標準物質を用いて、実施例40への約95%LCAP変換を示した。
【0224】
以下の実施例は、無定形物質としての実施例40を製造する方法を記述する。
【0225】
(実施例A)
実施例40の固体2グラムおよびジメチルスルホキシド(DMSO)溶媒10mlが、室温でガラス製フラスコに充填された。固体はすべて溶解した。この溶液は、1994年5月24日に付与された米国特許第5,314,506号に開示されたのと類似の衝突噴流装置を使用して、水(抗溶媒として)20から30mlと急速に混合されて実施例40を無定形物質として沈殿させた。衝突時のDMSOの水に対する比率は、1/2から1/3の範囲である。得られたスラリーは、攪拌下、水30から20mlを含むジャケット付晶析装置に送られた。最終的なDMSO/水の比率は1/5で維持される。バッチの温度は、−5℃から5℃に維持されて、スラリー中の実施例40の無定形固体の安定性を維持した。スラリーをろ過し、0℃から−5℃で水洗した。湿潤ケーキは、真空乾燥した。ケーキの結晶性は、X線回折分析および光学顕微鏡によって検査された。ケーキ中に残存する溶媒は、GCによって分析された。
【0226】
光学顕微鏡像の無定形固体は、いくらかの複屈折結晶を有する主として非複屈折性である。無定形固体のGC分析は、固体中、<0.5wt%の残留DMSOを示す。
【0227】
(実施例B)
IKA−Works回転子/固定子ホモジナイザー(微細分散要素を有するモデルT25)を備えた、攪拌機としての125mLジャケット付晶析装置に、DI水50mLを充填する。ホモジナイザーを9.1m/sの先端速度で回転させ、容器内の水温が0℃から2℃になるまでジャケットの温度を調整する。実施例40の1gを個別の50mlフラスコ中のTHF5mlに溶解し、次いでこの溶液を上記の125ml晶析装置に5分かけて添加する。充填後、上記晶析装置のジャケットの温度を調整して0から2℃のバッチ温度を達成する。バッチをろ過し、冷水で洗浄する。乾燥検体はXRDで分析され、物質が無定形であることを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式B:
【化1】

[式中、
は、
【化2】

であり、および
は、(1)H;(2)F;(3)Cl;(4)Br;(5)I;(6)−CN;(7)C1−10アルキルまたはC2−10アルケニル(前記C1−10アルキルまたはC2−10アルケニルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、または隣接する炭素原子上の2個の水素は一緒になって−CH−で置換されてシクロプロピル基を形成してもよく、または同じ炭素原子上の2個の水素原子は置換されて一緒になってスピロC3−6シクロアルキル基を形成してもよく、および前記C1−10アルキルまたはC2−10アルケニルは、場合により、−OH、アセチル、メトキシ、エテニル、R11−O−C(O)−、R35−N(R36)−、R37−N(R38)−C(O)−、シクロプロピル、ピロリル、イミダゾリル、ピリジルおよびフェニルから成る群から独立して選択される1個から3個の置換基で置換されていてもよく、前記ピロリル、イミダゾリル、ピリジルおよびフェニルは、場合により、C1−4アルキルまたはモノ−ヒドロキシ置換C1−4アルキルで置換されていてもよい);(8)C3−6シクロアルキル;(9)R12−O−;(10)Rl3−S(O)−;(11)R14−S(O)−N(Rl5)−;(12)Rl6−C(O)−;(13)R17−N(R18)−;(14)Rl9−N(R20)−C(O)−;(15)R21−N(R22)−S(O)−;(16)R23−C(O)−N(R24)−;(17)Z−C≡C;(18)−(CH)C=N−OHまたは−(CH)C=N−OCH;(19)R34−O−C(O)−;(20)R39−C(O)−O−;および(21)フェニル、ナフチル、ピリジル、ピラダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チエニルまたはフリル、から成る群から選択され、各々は、場合により、F、Cl、Br、I、C1−4アルキル、フェニル、メチルスルホニル、メチルスルホニルアミノ、R25−O−C(O)−およびR26−N(R27)−から成る群から独立して選択される置換基で置換されていてもよく、および前記C1−4アルキルは、場合によりハロおよびヒドロキシから独立して選択される1個から3個の基で置換されていてもよく;
各Zは、(1)H;(2)C1−6アルキル(前記C1−6アルキルに結合している水素原子の1個以上はフッ素原子で置換されていてもよく、およびC1−6アルキルは、場合により、ヒドロキシ、メトキシ、シクロプロピル、フェニル、ピリジル、ピロリル、R28−N(R29)−およびR30−O−C(O)−から独立して選択される1個から3個の置換基で置換されていてもよい);(3)−(CH)C=N−OHまたは−(CH)C=N−OCH;(4)R31−C(O)−;(5)フェニル;(6)ピリジルまたはこれのN−オキシド;(7)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいC3−6シクロアルキル;(8)場合によりヒドロキシで置換されていてもよいテトラヒドロピラニル;および(9)O、NまたはSから独立して選択される1から3個の原子を含み、場合によりメチルで置換されていてもよい5員の芳香族複素環から成る群から独立して選択され;
各R15、R24およびR32は、(1)H;および(2)C1−4アルキルから成る群から独立して選択され;
各R11、Rl2、R13、R14、R16、R23、R25、R30、R31、R34およびR39は、(1)H;(2)C1−4アルキル;(3)C3−6シクロアルキル;(4)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−;(5)フェニル;(6)ベンジル;および(7)ピリジルから成る群から独立して選択され、前記C1−4アルキル、C3−6シクロアルキル、C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−、フェニル、ベンジルおよびピリジルは、それぞれ場合により、OH、F、Cl、BrおよびIから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよく、および前記C1−4アルキルは、さらにオキソもしくはメトキシまたはこの両方で置換されていてもよく;
各R17、R18、R19、R20、R21、R22、R26、R27、R28、R29、R35、R36、R37およびR38は、(1)H;(2)C1−6アルキル;(3)C1−6アルコキシ;(4)OHおよび(5)ベンジルまたは1−フェニルエチルから成る群から独立して選択され;およびR17およびR18、R19およびR20、R21およびR22、R26およびR27、およびR28およびR29、R35およびR36、およびR37およびR38は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、場合により−O−、−S(O)−および−N(R32)−から独立して選択される1個または2個の原子を含む5個または6個の炭素原子の単環を形成してもよく;および
各kは独立して0、1または2である。]による請求項1に記載の化合物、もしくはこのプロドラッグ、または前記化合物もしくはプロドラッグの医薬的に許容される塩。
【請求項2】
がR12−Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
l2が、(1)C1−4アルキルおよび(2)C3−6シクロアルキル−C1−4アルキル−から成る群から選択され、前記C1−4アルキルおよびC3−6シクロアルキルは、それぞれ場合により、OH、F、Cl、BrおよびIから成る群から独立して選択される1から3個の置換基で置換されていてもよい、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がF、Cl、BrおよびIから選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
以下の表から選択される化合物:
【化3】

【表1】

または上記化合物のうちのいずれかの医薬的に許容される塩。
【請求項6】
医薬的に許容される担体と組み合わせた請求項1に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の化合物を、ミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1介在性疾病または症状を治療するための有効量でヒト患者に投与することを含むミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1介在性疾病または症状の治療を必要とするヒト患者のミクロソームのプロスタグランジンE合成酵素−1介在性疾病または症状の治療方法。
【請求項8】
疾病または症状が、急性もしくは慢性の痛み、骨関節炎、関節リウマチ、滑液包炎、強直性脊椎炎および一次性月経困難症から成る群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
【化4】

である化合物、またはこの医薬的に許容される塩。
【請求項10】
【化5】

である化合物、またはこの医薬的に許容される塩。
【請求項11】
【化6】

である化合物、またはこの医薬的に許容される塩。
【請求項12】
【化7】

である化合物、またはこの医薬的に許容される塩。

【公表番号】特表2009−516713(P2009−516713A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541559(P2008−541559)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001904
【国際公開番号】WO2007/059611
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】