説明

microRNA発現プロファイリングに基づく膀胱癌の検出方法

【課題】miRNAの機能、特に、細胞の癌化との関連を解明し、miRNAの発現量の変動を測定することから成る膀胱癌の検出方法を提供すること。
【解決手段】細胞中のmiR-96, miR-190, miR-183, miR-130b, miR-124b, miR-215, miR-224及びmiR-106a、並びに、miR-145, miR-30a-3p, miR-100, miR-150, miR-133a, miR-320, miR-133b, miR-151, miR-195, miR-125b, miR-152, miR-218, miR-199-s, miR-199a, miR-199a*, miR-223, miR-139, miR-9及び miR-140から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動を測定することから成る、膀胱癌の検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、microRNAの発現量の変動を測定することから成る、膀胱癌の検出方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
成熟型マイクロRNA(miRNA)とは19〜21塩基のnon-coding RNA分子であり、70〜100塩基ほどのヘアピン構造をとる前駆体マイクロRNA(pre-miRNA)から成る。2007年3月時点で、500種類のヒトmiRNAがゲノム中に存在することが報告されている(miRBase::Sequences, Sanger Institute)。miRNAの機能は、遺伝子の非翻訳領域の配列依存的に作用し、遺伝子発現を翻訳後あるいは転写レベルで制御していることから、発生、分化およびアポトーシスに関与していることが示唆されるが、その機能は依然不明である。近年、miRNAの間違った遺伝子制御機構がヒト疾患に関与していることが報告されている。特に最近、ヒト癌細胞において発現が変動しているmiRNAの報告が相次いでなされている (review Calin and Croce, 2006)。
【0003】
ヒト癌との関与が初めて報告されたのは、慢性リンパ性白血病であり、miR-15あるいはmiR-16の発現が癌細胞で低下していることが示された(Calin et al, 2002)。その後固形癌においては、miR-17-92が肺癌細胞で発現が亢進していることが報告されている(Hayashida et al, 2005)。更に、6種類、540症例の固形癌臨床検体を用いた解析からmiRNAのsignatureが報告されている(Volinia et al, 2006)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Calin GA and Croce CM (2006) MicroRNA signatures in human cancers, Nature Reviews, 6, 857-866.
【非特許文献2】Volinia S et al, (2006) A microRNA expression signature of human solid tumors define cancer gene targets, PNAS, USA, 103, 2257-2261.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、ゲノム中に存在するmiRNAは現在500種類ほど報告されているが、その多くのmiRNAに関する機能は依然不明である。特に、miRNAは多くの遺伝子の発現を制御していることからヒト疾患に関与していることが示唆されており、近年、癌遺伝子あるいは癌抑制遺伝子として注目されている。従って、本発明の目的は、miRNAの機能、特に、細胞の癌化との関連を解明することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
今回、本発明者は、膀胱癌臨床検体および細胞株を用いて、ゲノム中に存在する156種のmiRNAについてその発現プロファイリングを行った。その結果、27種類のmiRNAが膀胱癌において発現変動していることが判明した。これらmiRNAは膀胱癌の癌化プロセスに重要な役割を担っていると考えられる。本発明はこのような知見に基づき完成した。
【0007】
即ち、本発明は、主に以下の各態様を含むものである。
[1]細胞中のmiR-96, miR-190, miR-183, miR-130b, miR-124b, miR-215, miR-224及びmiR-106a、並びに、miR-145, miR-30a-3p, miR-100, miR-150, miR-133a, miR-320, miR-133b, miR-151, miR-195, miR-125b, miR-152, miR-218, miR-199-s, miR-199a, miR-199a*, miR-223, miR-139, miR-9及び miR-140から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動を測定することから成る、膀胱癌の検出方法。
[2]細胞中のmiR-96, miR-190, miR-183, miR-130b, miR-124b, miR-215, miR-224及びmiR-106a、並びに、miR-145, miR-30a-3p, miR-100, miR-150, miR-133a, miR-320, miR-133b, miR-151, miR-195, miR-125b, miR-152, miR-218, miR-199-s, miR-199a, miR-199a*, miR-223, miR-139, miR-9及び miR-140から成る群より選択された少なくとも一つのmiRNAの発現量の変動に基づく、膀胱癌の治療又は予防に有効な物質のスクリーニング方法。
[3]本発明スクリーニング方法に用いるスクリーニングキット。
【発明の効果】
【0008】
本発明において、特定のmiRNA の発現量の変動を測定することによって、膀胱癌の検出が可能となり、更に、これらmiRNA の発現量の変動に基づき、膀胱癌の治療又は予防に有効な物質をスクリーニングすることが可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の方法において測定される合計27種類のmiRNA:miR-96, miR-190, miR-183, miR-130b, miR-124b, miR-215, miR-224及びmiR-106a、並びに、miR-145, miR-30a-3p, miR-100, miR-150, miR-133a, miR-320, miR-133b, miR-151, miR-195, miR-125b, miR-152, miR-218, miR-199-s, miR-199a, miR-199a*, miR-223, miR-139, miR-9及び miR-140に関する情報(例えば、塩基配列等)は、既に記載したデータベース(miRBase::Sequences, Sanger Institute)から容易に入手可能である。
【0010】
上記27種類のmiRNAの中の8種類のmiRNA(第1グループ):、miR-96, miR-190, miR-183, miR-130b, miR-124b, miR-215, miR-224及びmiR-106aに関しては、その発現量が正常細胞と比較して膀胱癌細胞において有意に亢進していることが判明した。従って、より具体的には、これらmiRNAの少なくとも一つのmiRNAの発現量の亢進(増加)を測定することによって、膀胱癌を検出することが可能である。この場合、miRNAの発現量が有意に亢進しているとは、例えば、miRNAの発現量が正常組織由来の細胞に比べて、約2倍以上、好ましくは約5倍以上、更に好ましくは約10倍以上であり、これを基準として膀胱癌であるか否かを判定することができる。
【0011】
一方、その他の19種類のmiRNA(第2グループ):miR-145, miR-30a-3p, miR-100, miR-150, miR-133a, miR-320, miR-133b, miR-151, miR-195, miR-125b, miR-152, miR-218, miR-199-s, miR-199a, miR-199a*, miR-223, miR-139, miR-9及び miR-140に関しては、その発現量が正常細胞と比較して膀胱癌細胞において有意に低下(減少)していることが判明した。従って、より具体的には、これらmiRNAの少なくとも一つのmiRNAの発現量の低下を測定することによって、膀胱癌を検出することが可能である。この場合、miRNAの発現量が有意に低下しているとは、例えば、miRNAの発現量が正常組織由来の細胞に比べて、約2分の1以下、好ましくは約5分の1以下、さらに好ましくは約10分の1以下であり、これを基準として膀胱癌であるか否かを判定することができる。
【0012】
従って、第1グループに含まれる少なくとも一つのmiRNAの発現量の亢進に基づき、膀胱癌の治療又は予防に有効な物質をスクリーニングすることができる。より具体的には、以下の工程:
(a) 被検物質の存在下に細胞を培養する工程、
(b)該細胞における各miRNAの発現量を測定する工程、及び
(c)発現量の亢進を抑制するか又は発現量を減少させる物質を選択する工程、を含む方法でスクリーニングすることができる。
【0013】
更に、第2グループに含まれる少なくとも一つのmiRNAの発現量の低下に基づき、膀胱癌の治療又は予防に有効な物質をスクリーニングすることができる。より具体的には、以下の工程:
(a) 被検物質の存在下に細胞を培養する工程、
(b)該細胞における各miRNAの発現量を測定する工程、及び
(c)発現量の低下を抑制するか又は発現量を増加させる物質を選択する工程、を含む方法でスクリーニングすることができる。
【0014】
このようなスクリーニング方法において、例えば、膀胱癌由来の細胞中を使用した場合には、膀胱癌の治療に有効な物質をスクリーニングすることが可能である。一方、癌化が促進されるような状況下(例えば、公知の発癌物質の共存下、放射線の照射等)におかれた正常組織由来の細胞を使用した場合には、被検物質は膀胱癌の予防に有効な物質をスクリーニングすることが可能である。
【0015】
本発明の検出方法及びスクリーニング方法において、miRNAの発現量は当業者に公知の任煮の方法で測定することが出来る。例えば、上記の各miRNAに特異的にハイブリダイズするプライマー又はプローブを用いてmiRNAの発現量を測定することが出来る。このようなプライマー又はプローブは、当業者であれば、上記のデータベースの情報等を参考にして、これらのmiRNAの塩基配列に基づき適宜設計することが可能である。
【0016】
このようなプライマー又はプローブを用いる測定方法としては、Northern blot法が古典的方法である。最近では、miRNAを搭載したマイクロアレイ(Liu et al, 2004; Lim et al, 2005)、改良型インベーダー法(Allawi et al, 2004)、ビーズを基にしたフローサイトメータ法(Lu et al, 2005)などが報告されている。また、最も定量性のある方法としてreal-time PCRがある(Chen et al, 2005)。
【0017】
上記のプライマー又はプローブの塩基配列は、鋳型との特異的な結合が可能となるような適当な塩基数、例えば、数十bp、10〜30bp程度を有することが好ましく、更には、プライマー内でヘアピン構造をとったり、センス鎖とアンチセンス鎖とが互いにアニーリングしないような塩基配列とすることも重要である。例えば、OligoTM(National Bioscience Inc.製)のような市販のプライマー設計用のソフトウェアを使用することも可能である。
【0018】
本発明のスクリーニング方法に使用されるキットは、測定対象又は測定原理等に応じて、適当な構成をとることが出来る。該キットは、その構成要素として、例えば、上記のmRNA(cDNA)の増幅用プライマー及びDNAチップ等で使用するハイブリダイゼーション用のプローブを含むことが出来る。更に、上記キットには、その構成・使用目的などに応じて、当業者に公知の他の要素又は成分、例えば、各種試薬、酵素、緩衝液、反応プレート(容器)等が含まれる。尚、PCR反応後の検出を容易にするために、これらプライマーの少なくともいずれかの末端に、当業者に公知の任意の蛍光物質等の標識物質が結合していることが好ましい。例えば、適当な蛍光物質として、6−カルボキシフルオレッセイン(FAM)、4,7,2’,4’,5’,7’−ヘキサクロロー6−カルボキシフルオレッセイン(HEX)、NED(アプライドシステムズジャパン社)及び6−カルボキシ−X−ローダミン(Rox)等を挙げることが出来る。
【0019】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例の記載によって何ら限定して解釈されるものではない。当業者であれば、本明細書の記載に基づき、本発明の技術的範囲を逸脱せずに、多くの変形及び修飾を実施することが可能である。又、特に記載のない場合には、以下の実施例は、例えば、Sambrook and Maniatis, in Molecular Cloning-A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989; Ausubel, F. M. et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N.Y, 1995等に記載されている、当業者に公知の標準的な遺伝子工学及び分子生物学的技術に従い実施することが出来る。尚、本明細書中に引用された文献の記載内容は本明細書の開示、及び、内容の一部を構成するものである。
【実施例】
【0020】
(方法)
miRNA特異的逆転写反応および定量PCR
膀胱癌患者臨床検体19検体(癌部14検体、非癌部5検体)及び膀胱癌由来細胞株3種(BOY、KK47、T24)よりtotal RNAをtrizol(Gibco BRL, Life Technologies, Gaitherburg, MD, USA)用いて抽出した。cDNAは得られたtotal RNAからmiRNA特異的なプライマー(TaqMan microRNA Assay Protocol, PE, Applied Biosystems, Foster City, CA, UAS)を用いて合成した。逆転写反応は以下のとおり行った。10nM RNA samples, 50nM stem-loop RT primer, 1 x RT buffer, 0.25mM each of dNTPs, 3.33 U/μl MultiScribe reverse transcriptase 及び 0.25 U/μl RNase Inhubitor。また、これら7.5μlの反応液を以下のプロトコールでインキュベートした。16℃・30分、42℃・30分、85℃・5分、反応後4℃で保存した。定量PCRは、ABI 7300 Seqence Detection Systemを用いて以下の反応系で行った。95℃・10分インキュベートした後、95℃・15秒、60度・10分の反応を40回行った。
【0021】
miRNA1156種類の定量化と膀胱癌で発現変動するmiRNAの選び出し
膀胱癌患者臨床検体19例(癌部14検体および非癌部5検体)及び膀胱癌由来細胞株3種について、既に記載したデータベース(miRBase::Sequences, Sanger Institute)から選んだ156種類のmiRNA及びコントロール遺伝子の解析を行った。解析結果について、マイクロアレイで用いられているglobal median normalization法を用いてデータの標準化を行った。この解析データから、癌部および非癌部で優位に(P<0.01)発現差のある遺伝子を選択した。その結果、27種類のmiRNAが癌部で有意に発現変動していることが判明した(8種類のmiRNAは癌部で発現亢進、19種類のmiRNAは癌部で発現低下)。以下の表1及び表2にそのリストを示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
更に、膀胱癌で有意(P<0.01)に発現変動している27種類のmiRNAを用いてクラスター解析した結果、正常移行上皮5検体および癌細胞株3種類は同一のクラスターに帰属した。また、癌部14検体は、11検体と3検体の2つのクラスターに分かれたが、正常部のクラスターとは異なっていることが判明した。
【0025】
(考察)
今回の解析で27種類のmiRNAが膀胱癌に関係するmiRNAとしてリストアップすることができた。この中で、正常移行上皮に比べ、癌部で発現が低下しているmiRNAの中のmiR-30a-3p、miR-133b、及びmiR-145は、同じくABI TaqMan法を用いた大腸癌のプロファイルにおいても癌部において発現が低下していることが報告された(Bandres et al, 2006)。miR-145は大腸癌(Cummins et al, 2006)以外にも、肺癌(Yanaihara et al, 2006)や乳癌(Iorio et al, 2005)で発現が低下することが報告されており、癌抑制遺伝子的な働きを担うmiRNAであることが示唆される。
【0026】
miRNAの特徴は、遺伝子発現を翻訳後あるいは転写レベルで制御していることであり、ひとつのmiRNAが数10から数100の遺伝子を制御していることが示唆されている。しかしながら、配列の相同性からだけではそのターゲット遺伝子の予測は不十分であり、現在もそれぞれのmiRNAに対するターゲット遺伝子は不明である。癌部で発現か低下しているmiRNAのターゲット遺伝子は癌の発生や進展に関わっていることが予想される。つまり、miRNAが本来制御している遺伝子がmiRNAの発現低下により制御不能になることが癌化に関与していることは容易に想像できる。その典型例は、肺癌で発現が低下しているlet-7のターゲット遺伝子が癌遺伝子のRASであることである。miR-145のターゲット遺伝子については、癌遺伝子のMYCN、FOS、YESや細胞周期遺伝子のcyclin D2、あるいはMAPKシグナルであるMAP3K3やMAPK4K4であることが予想されている(Iorio et al, 2005)。
【0027】
また、同様に今回の解析により、癌部で発現の低下が認められたmiR-133bについては、そのターゲットがRASであることが示唆されている(Bandres et al, 2006)。さらに興味深いことに、YESやMAP3K3はmiR-133bとmiR-145の両方のターゲットである可能性がある(Bandres et al, 2006)。膀胱癌では、miR-133bと配列が極めて類似しているmiR-133aも癌部で発現が低下している。このことは、両miRNAが共同で同一のターゲット遺伝子を制御している可能性があり大変興味深い。
【0028】
一方、癌部で発現は亢進しているmiRNAは、癌遺伝子としての機能を有していると考えられる。すなわち、miRNAが過剰に発現することにより、ターゲットとなる遺伝子をより制御してloss of functionを引き起こしている可能性が高い。今回の解析では8種類のmiRNAが癌部で発現上昇が認められた。この中で、miR-96およびmiR-183は大腸癌においても発現が亢進することが報告されている(Bandres et al, 2006)。この2つのmiRNAは染色体7q32.2にクラスターを形成していることが知られており、膀胱癌細胞における染色体増幅との関連を調べる必要性がある。
【0029】
尚、本明細書中で括弧内の数字で引用した公知文献は以下の通りである。
1. Calin GA and Croce CM (2006) MicroRNA signatures in human cancers, Nature Reviews, 6, 857-866.
2. Calin GA et al, (2002) Frequent deletions and down-regulation of micro- RNA genes miR15 and miR16 at 13q14 in chronic lymphocytic leukemia, PNAS, USA, 99, 15524-15529.
3. Hayashida Y et al, (2005) A polycistronic microRNA cluster, miR-17-92, is overexpressed in human lung cancers and enhances cell proliferation. Cancer Res, 65, 9628-9632.
4. Volinia S et al, (2006) A microRNA expression signature of human solid tumors define cancer gene targets, PNAS, USA, 103, 2257-2261.
5. Liu CG et al, (2004)An oligonucleotide microchip for genome-wide microRNA profiling in human and mouse tissues, PNAS, U S A, 101, 9740-9744.
7. Lim LP et al, (2005) Microarray analysis shows that some microRNAs downregulate large numbers of target mRNAs, Nature, 433, 769-773.
8. Allawi HT et al, (2004) Quantitation of microRNAs using a modified Invader assay, Rna., 10, 153-1161.
9. Lu J et al, (2005) MicroRNA expression profiles classify human cancers, Nature, 435, 834-838.
10. Chen C et al, (2005) Real-time quantification of microRNAs by stem-loop RT-PCR, Nucleic Acids Res, 33, e179.
11. Bandres E et al, (2006) Identification by Real-time PCR of 13 mature microRNAs differentially expressed in colorectal cancer and non-tumoral tissues, Molecular Cancer, 5, 29.
12. Cummins JM et al, (2006) The colorectal microRNAome, PNAS, USA, 103, 3687-3692.
13. Hayashita Y et al, (2006) A polycistronic microRNA cluster, miR-17-92, is overexpressed in human lung cancers and enhances cell proliferation, Cancer Res, 65, 9628-9632.
14. Iorio MV et al, (2006) MicroRNA gene expression deregulation in human breast cancer, Cancer Res, 65, 7065-7070.
【産業上の利用可能性】
【0030】
今回、膀胱癌臨床検体を用いた解析から膀胱癌に関与するmiRNAを探索した。その結果、特定されたmiRNAには、これまでに他の癌で報告あるmiRNAが含まれており、我々の解析の妥当性を示している。これらmiRNAは膀胱癌の診断のみならず治療の標的として大変有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
miR-183の発現量が正常組織由来の細胞に比べて10倍以上亢進していることを膀胱癌細胞の判定基準とする、細胞中のmiR-183の発現量の亢進を測定することから成る、膀胱癌細胞の検出方法。
【請求項2】
miR-183に特異的にハイブリダイズするプライマーを用いてmiR-183の発現量を測定する、請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
リアルタイムPCRによりmiR-183の発現量を測定する、請求項2記載の検出方法。
【請求項4】
細胞中のmiR-183の発現量の亢進に基づく、膀胱癌の治療又は予防に有効な物質のスクリーニング方法。
【請求項5】
請求項4記載のスクリーニング方法であって、
(a) 被検物質の存在下に細胞を培養する工程、
(b)該細胞におけるmiR-183の発現量を測定する工程、及び
(c) miR-183の発現量の亢進を抑制するか又は発現量を減少させる物質を選択する工程、を含む方法。

【公開番号】特開2013−55969(P2013−55969A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−287862(P2012−287862)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2007−276191(P2007−276191)の分割
【原出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2007年8月25日 日本癌学会発行の「第66回 日本癌学会学術総会 講演要旨集」の第473ページに発表
【出願人】(304021831)国立大学法人 千葉大学 (601)
【出願人】(504258527)国立大学法人 鹿児島大学 (284)
【Fターム(参考)】