説明

pチャネル電界効果トランジスタ

【課題】水素と窒素の混合プラズマにより水素終端表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタを提供する。
【解決手段】pチャネル電界効果トランジスタにおいて、液体電解質20をゲートとして使用し、水素と窒素の混合プラズマにより水素終端13表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体電解質をゲートとして使用し、水素終端と酸素終端あるいは水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしたpチャネル電界効果トランジスタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、市販のSiMOSFETを基礎とするイオン感応性FET(ISFET)は、酸化膜や酸化膜/Si界面へのイオンの侵入による動作不良を防止するため、Si酸化膜をSi窒化膜で覆う構造となっている。このSi酸化膜を覆うSi窒化膜表面が感応部となることから、感応部が酸化膜/Si界面から離れることになり、表面の電位変化に対応する電流変化が小さく、高感度化が困難である。
【0003】
これに対応するため、感応膜や保護膜としてのシリコン窒化膜やアルミナ膜の稠密性を上げ、レーザーアブレーション等を使用し、膜厚を薄くして感応性を高くする成膜技術を用いている。
【非特許文献1】H.Kawarada,Surface Science Reports 26(1996)205
【非特許文献2】G.W.Swain,Advanced Materials,6,(1994)388
【非特許文献3】藤嶋 昭;化学と工業51,(1998)207
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者らは、オゾン処理した表面で、チャネルの抵抗が上昇し、それを用いたpチャネル電界効果トランジスタを作製した。さらに閾値電圧が負の方向に移動することを見い出した。その時に、チャネルとしてのダイヤモンド表面が酸素終端されていることを光電子分光(XPS)により、明らかにした。
【0005】
そして、かかる電界効果トランジスタとしては、
(1)トランジスタ動作は液体電解質中のさまざまなイオンに影響を受け過ぎるため、イオン感応性のない表面チャネルを有する電界効果トランジスタが基準電位を決定するトランジスタとして必要である。
【0006】
(2)任意の有機分子、生体分子を感応チャネルに直接固定できるトランジスタ形成技術が必要とされる。
【0007】
このような分野の技術としては、上記した非特許文献1〜3がある。
【0008】
ISFET(イオン感応性電界効果トランジスタ)はその集積化、微細化のメリットから盛んに研究が進められ、すでにSiを用いたものは市販されている。ダイヤモンドは物理的化学的に安定であることから、将来は生体適合型バイオセンサとして期待されている。
【0009】
また、ボロンドープされたダイヤモンドは、p型の半導体的導電性を示す。表面を水素で終端されたアンドープのダイヤモンドも表面にp型の導電層を有する。この水素終端表面導電層は室温においても高い表面キャリア密度を示し(1013/cm2 )、温度依存性をほとんど示さない。さらに、ほとんどのキャリアは表面からの浅い領域に存在する(〜10nm)。このような構造はFETの動作に有利であるため、本願発明者らはアンドープで水素終端処理を施したダイヤモンドを用いISFETの研究を行っている。
【0010】
また、水素終端構造はダイヤモンドの合成にマイクロ波プラズマCVD法により、as grownで得られるため、ボロンドープよりも容易にp型の半導体的導電性を得ることができる。ボロンドープのダイヤモンド電極は広い電位窓を持ち、溶存酸素の影響が少なく、バックグラウンド電流が微小なことであるとの特徴から、電極の研究は広い範囲で進歩している。本願発明者らはアンドープ水素終端ダイヤモンドがボロンドープダイヤモンド電極と同様に広い電位窓を持つことをすでに確認しており、これを用いてダイヤモンドISFETの開発を世界ではじめて行った。
【0011】
上記したように、本願発明者らは更にチャネルの構成の研究をすすめた結果、本発明は、水素と窒素の混合プラズマにより水素終端表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕pチャネル電界効果トランジスタにおいて、液体電解質をゲートとして使用し、水素と窒素の混合プラズマにより水素終端表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとするようにしたものである。
【0013】
〔2〕上記〔1〕記載のpチャネル電界効果トランジスタにおいて、前記アミノ終端にペプチド結合にて2価カルボン酸を作用させ、カルボキシル化を行うことを特徴とする。
【0014】
〔3〕上記〔2〕記載のpチャネル電界効果トランジスタにおいて、前記アミノ終端にペプチド結合によるカルボキシル化を行った上で、さらにペプチド結合によるDNAを固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0016】
(1)生体分子の固定には水素終端構造ではなく、他の終端構造(酸素終端、アミノ終端)が必要であるが、そのような終端構造でもトランジスタが動作することが分かり、表面へ任意の分子を固定する道筋ができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のpチャネル電界効果トランジスタは、液体電解質をゲートとして使用し、水素と窒素の混合プラズマにより水素終端表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとする。
【実施例】
【0018】
以下、従来の研究から本発明に至るまでを詳細に説明する。
【0019】
ダイヤモンドはその広帯域ギャップ、高い移動度、高い熱導電性や広い電位窓から様々なデバイスへの適用の要求に応えられる材料である。ダイヤモンドを用いたデバイスが、初めて作製され〔参考文献[1]:H.Kawarada,M.Aoki and M.Ito,Appl.Phys.Lett.65,1563(1994)〕、ダイヤモンドはハイパワーな高周波デバイス〔参考文献[2]:P.Gluche,A.Aleksov,A.Vescan,W.Ebert and E.Kohn,IEEE Electron Device Lett.Vol.18,No.11(1997)、参考文献[3]:H.Taniuchi,H.Umezawa,T.Arima,M.Tachiki and H.Kawarada,IEEE Electron Device Lett.Vol.22,No.8(2001)〕、やバイオセンサーへの適用が可能である。
【0020】
ドーピング無しの水素終端により、高い表面キャリア密度(〜1013cm-2)を持つ水素終端構造のダイヤモンドのp型表面導電層を得ることができた。これは150K〜400Kの温度幅でも安定であった〔参考文献[4]:K.Hayashi,S.Yamanaka,H.Okushi and K.Kajimura,Appl.Phys.Lett.68,376(1996)〕。
【0021】
高導電層は、化学的クリーニングや酸素で周囲を覆うアニーリング(annealing)や酸素プラズマ処理によって除去することができる〔参考文献[5]:H.Kawarada,Surface Science Reports26,205(1996)〕。この高導電層の除去は、水素原子が酸素原子により化学的に表面に吸収される置換により起こるものである。
【0022】
エンハンスモード(ノーマリー・オフ)の電界効果トランジスタもデプレッションモード(ノーマリー・オン)の電界効果トランジスタも水素終端構造のダイヤモンド表面におけるゲート金属により実現可能である(上記参考文献[5])。ここでは、閾値電圧のダイヤモンド電界効果トランジスタとしての機能を犠牲にせずに、ゲート金属のみで、閾値電圧のコントロールを試みた。しかしながら、ダイヤモンド導電層の閾値電圧(Vth)のコントロールは、今のところ実現されていない。
【0023】
さらに、気相成長法によってマイクロ波ブラズマをアシストすることにより、シリコン基板上に多結晶のダイヤモンドフィルムが合成され、その上に液体電解質ゲートダイヤモンド電界効果トランジスタが作製された〔参考文献[6]:H.Kawarada,Y.Araki,T.Sakai,T.Ogawa and H.Umezawa,Phys.Status Solidi A185,79(2001)〕。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の参考例を示すオゾン(O3 )処理を施した電界効果トランジスタの模式図、図2はそのオゾン(O3 )処理を施したチャネル部の模式図(図1の点線部分の拡大図)、図3はそのゲートとしてのKCl溶液濃度〔M〕に対する閾値電圧〔V〕の特性図である。
【0026】
図1,図2において、1は高抵抗表面チャネル、2はオゾン(O3 )処理、3はp型表面導電層、4はソース電極、5はドレイン電極、6はソース電極4を被覆するエポキシ樹脂、7はドレイン電極5を被覆するエポキシ樹脂、8は液体電解質としてのKClからなるゲート、9は参照電極(Ag/AgCl)、10はアンドープ多結晶ダイヤモンド層である。
【0027】
この参考例では、図1に示すように、高抵抗表面チャネル1を有するダイヤモンド電界効果トランジスタ(FETs)をオゾン(O3 )処理2することにより作製した。このオゾン処理2により、ダイヤモンドの表面導電層が徐々に失われた。図3に示すように、60分間のオゾン処理cの後、シート抵抗はオゾン処理をしなかったd表面の20〜30倍となり、0.44Vの閾値電圧(Vth)のシフトを引き起こした。閾値電圧の絶対値は、オゾン処理の時間の増加に伴い増加した。よって、閾値電圧がオゾン処理によりコントロールできることが分かった。なお、図3におけるaはオゾン処理20分後、bはオゾン処理40分後を示している。
【0028】
ドレイン電極5とソース電極4は、液体電解質8とオゾン処理(O3 )2より保護するために、エポキシ樹脂6,7で覆われる。ダイヤモンド表面のエポキシ樹脂6,7で覆われていないチャネル領域は、直接液体電解質8と酸化物オゾンと接触する。
【0029】
参照電極(Ag/AgCl)9がゲート電極として用いられた。全てのデバイスがエンハンスメントモードで、p型表面導電層3に作製され、チャネルの長さは500μmで、幅は10mmであった。
【0030】
水素終極構造を持つダイヤモンドは塩化物イオン(Cl- )に対し、感応性を示すと報告されてきた〔参考文献[7]:T.Sakai,H.Kanazawa,Y.Araki,H.Umezawa,M.Tachiki and H.Kawarada,Jpn.J.Appl.Phys.48,2595(2002)〕。
【0031】
したがって、ここでは塩化物イオンの使用により容易に表面の変化を評価できるので、高濃度(10-2モル/リットル)の塩化カリウム(KCl)溶液を液体電解質として、また、FETは、電位窓が約3Vのダイヤモンド内にバイアスされた〔参考文献[8]:R.Tenne,K.Patel,K.Hashimoto and A.Fujishima,J.Electroanal.Chem 347,409(1993)〕。
【0032】
前述した60分のオゾン処理c(図3参照)の後、シート抵抗はオゾン処理しなかったd(図3参照)表面の20〜30倍の高さを示した。60分間のオゾン処理c(図3参照)前後のIDS(ドレイン−ソース間電流)−VDS(ドレイン−ソース間電圧)特性を図4(a),図4(b)に示す。
【0033】
このIDS−VDS特性は、定性的に従来のMISFETsと一致する。ここでは、ゲート電圧(VGS)をコントロールすることで、ドレイン電流を−80μAでVDS=−0.4Vあたりで維持しようと試みた。60分間のオゾン処理c(図3参照)の後、VGSは−0.7V〔図4(a)参照〕から−1.1V〔図4(b)参照〕へシフトした。オゾン処理によりチャネルが高抵抗になったので、ゲート電圧(VGS)の絶対値はドレイン電流を維持するために増加する。オゾン処理後の相互コンダクタンス(gm )は処理前と同じであった。ドレイン側及びソース側のキャリアは、大きな負のチャネルバイアスのため、表面導電層を作るためにチャネルへ移動した。
【0034】
水素終端構造のダイヤモンドのエネルギー帯は、図5(a)に示すように蓄積層(accumulation layer)を作るために上方へ曲がる。いくつかのモデル〔参考文献[9]:S.G.Ri,T.Mizumasa,Y.Akiba,Y.Hirose,T.Kurosu and M.Iida,Jpn.J.Appl.Phys.34,5550(1995)、参考文献[10]:F.Maier,M.Riedel,B.Mantel,J.Ristein and L.Ley,Phys.Rev.Lett.85,3472(2002)〕は提示されているが、表面上方エネルギー帯曲がりの原因はここでは明らかにできなかった。
【0035】
図2に示すように、オゾンは分解し、酸素遊離基を生成する。水素原子が、酸素遊離基により化学的に表面に吸収され部分的に置換するため、表面導電性は減少する。酸素終端構造を持つダイヤモンド表面は、一般に絶縁性を示し、シート抵抗はオゾン処理の後増加する。したがって、水素終端構造を持つダイヤモンド表面は、オゾン処理により部分的に酸素終端構造を持ったといえる。部分的に酸素終端構造を持ったダイヤモンド表面のエネルギー帯曲がりは、図5(b)に示すように、ホールにデプレッション層を作るために減少する。オゾン処理により、導電ダイヤモンド層チャネルのキャリア濃度はP+ からPへと変化した。
【0036】
正の表面電荷を持つ水素終端構造のダイヤモンド表面はCl- イオンに感応性を示す(上記参考文献[7]参照)。しかし、60分間のオゾン処理c(図3参照)の後、表面状態は、上述のように、部分的に酸素終端構造となり、表面電荷はニュートラルとなったので、液体電解質のCl- イオンは部分的に酸素終端構造となったダイヤモンド表面に吸着されない。つまり、図6に示すように、部分的に酸素終端構造となったダイヤモンド表面はCl- イオンに対し不感応である。
【0037】
DS=−0.4Vの時の閾値電圧を図6(b)に示す。閾値電圧は、キャリア濃度の減少に伴い、より負の値へとシフトしていく。絶対閾値電圧は、オゾン処理の時間の増加に伴い、増加していく。ここでは、電解質のイオン濃度が高い(KCl 10-2モル/リットル)ので、溶液の拡散層(グイ層 Gouy layer)キャパシタンス値の変化は無視してもよいと考えられる〔参考文献[11]:R.Memming,Semiconductor Electrochemistry,Wiley Interscience,New York,2001,p.84.〕。
【0038】
したがって、閾値電圧のシフトはオゾン処理時間とダイヤモンドチャネル表面の酸素終端構造の率に依存する。オゾン処理の利点は、閾値電圧がコントロールできることと、表面電荷がニュートラルになることである。したがって、チャネルとして有効である。
【0039】
ダイヤモンドの酸化は、Siの酸化とは異なる。Siの酸化はSi|SiO2 界面状態で連続的にSiO2 フィルムを作製し続ける。一方、オゾン処理によるダイヤモンド表面の酸化は、表面層に限定される。
【0040】
図7はダイヤモンド表面を光電子分光(XPS)により観察した結果を示す図である。図7(a)はオゾン処理をしない水素終端状態のダイヤモンド表面、図7(b)は60分間のオゾン処理の後のダイヤモンド表面の光電子分光(XPS)による観察結果であり、横軸に拘束エネルギー(eV)、縦軸にスペクトル強度(相対単位)を示している。
【0041】
この結果より、60分間のオゾン処理の後のダイヤモンド表面には明らかに酸素が生成していることが分かる。
【0042】
このダイヤモンド表面の酸素の量は、オゾン処理時間の増加に伴い増加する。このように、オゾン処理によって、表面導電チャネルが全て除去されれば、ノーマリーオフモードにおいてゲート金属に関係なく、P+ (ソース)−i(チャネル)−P+ (ドレイン)構造のダイヤモンド電界効果トランジスタが実現できる。
【0043】
次に、本発明のバイオセンサーへの適用例である水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタについて説明する。
【0044】
なお、電解質溶液としては、KClに代えて、KBrを用いても良好な結果を示すことができた。その特性図を図8に示す。
【0045】
図8(a)はKClの場合、図8(b)はKBrの場合であり、横軸にモル濃度(M)、縦軸は閾値電圧(V)を示している。
【0046】
図8(a)に示すように、KClのオゾン処理を行う前bでは、低い閾値電圧であったが、50分のオゾン処理を行った結果a、閾値電圧を高くすることができた。また、図8(b)に示すように、KBrの場合も、オゾン処理を行う前bでは、低い閾値電圧であったが、50分のオゾン処理を行った結果a、閾値電圧を高くすることができた。
【0047】
また、これら以外のアルカリイオン等の正イオン、ハロゲンイオン等の負イオンを有する電解質溶液であってもよい。
【0048】
次に、水素終端とアミノ終端を有するバイオセンサー機能を有するpチャネル電界効果トランジスタへの適用について説明する。
【0049】
図9は本発明の実施例を示す水素終端とアミノ終端を有するpチャネル電界効果トランジスタの模式図、図10はそのアミノ終端への各種のバイオ生体の作用状態を示す模式図である。
【0050】
図9において、11はアンドープ多結晶ダイヤモンド層、12は酸素(フッ素)終端絶縁領域、13は水素終端領域、14はナノ改質領域、15はソース電極、16はドレイン電極、17はソース電極を被覆するエポキシ樹脂、18はドレイン電極を被覆するエポキシ樹脂、19はDNA,生体分子、20は液体電解質である。
【0051】
ここでは、液体電解質20をゲートとして使用し、水素と窒素の混合プラズマにより水素終端表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタとしている。
【0052】
図10(a)に示すように、シリコンよりも高密度なアミノ化が行われたダイヤモンド表面21には、2価カルボン酸(コハク酸)22が作用する。
【0053】
また、図10(b)に示すように、ダイヤモンド表面21には、ペプチド結合23により、カルボキシル化が行われる。
【0054】
更に、ダイヤモンド表面21には、図10(c)に示すように、図10(b)におけるカルボキシル化したものに、ペプチド結合24により、DNA25が結合される。
【0055】
このように、チャネル部へのDNA,生体分子19の結合により、かかるpチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧を変化させることができ、バイオセンサーとしての道を開くものである。
【0056】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明のpチャネル電界効果トランジスタは、バイオセンサーとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の参考例を示すオゾン(O3 )処理を施した電界効果トランジスタの模式図である。
【図2】本発明の参考例を示すオゾン(O3 )処理を施したチャネル部の模式図である。
【図3】本発明の参考例を示すゲートとしてのKCl溶液濃度〔M〕に対する閾値電圧〔V〕の特性図である。
【図4】本発明の参考例を示す電界効果トランジスタのIDS−VDS特性図である。
【図5】本発明の参考例を示す電界効果トランジスタの水素終端構造のダイヤモンドのエネルギー帯を示す図である。
【図6】部分的に酸素終端構造となったダイヤモンド表面のCl- イオンに対する感応状態を示す図である。
【図7】電界効果トランジスタのダイヤモンド表面を光電子分光(XPS)により観察した結果を示す図である。
【図8】本発明の参考例を示す電界効果トランジスタの電解質溶液のモル濃度(M)に対する閾値電圧(V)の特性を示す図である。
【図9】本発明の実施例を示す水素終端とアミノ終端を有するpチャネル電界効果トランジスタの模式図である。
【図10】本発明の実施例を示すpチャネル電界効果トランジスタのアミノ終端への各種のバイオ生体の作用状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0059】
1 高抵抗表面チャネル
2 オゾン(O3 )処理
3 p型表面導電層
4,15 ソース電極
5,16 ドレイン電極
6,17 ソース電極を被覆するエポキシ樹脂
7,18 ドレイン電極を被覆するエポキシ樹脂
8 液体電解質としてのKClからなるゲート
9 参照電極(Ag/AgCl)
10,11 アンドープ多結晶ダイヤモンド層
12 酸素(フッ素)終端絶縁領域
13 水素終端領域
14 ナノ改質領域
19 DNA,生体分子
20 液体電解質
21 ダイヤモンド表面
22 2価カルボン酸(コハク酸)
23,24 ペプチド結合
25 DNA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体電解質をゲートとして使用し、水素と窒素の混合プラズマにより水素終端表面をアミノ化し、水素終端とアミノ終端が混在したダイヤモンド表面をチャネルとしてなるpチャネル電界効果トランジスタ。
【請求項2】
請求項1記載のpチャネル電界効果トランジスタにおいて、前記アミノ終端にペプチド結合にて2価カルボン酸を作用させ、カルボキシル化を行うことを特徴とするpチャネル電界効果トランジスタ。
【請求項3】
請求項2記載のpチャネル電界効果トランジスタにおいて、前記アミノ終端にペプチド結合によるカルボキシル化を行った上で、さらにペプチド結合によリDNAを固定することを特徴とするpチャネル電界効果トランジスタ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−86088(P2007−86088A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339732(P2006−339732)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【分割の表示】特願2002−274343(P2002−274343)の分割
【原出願日】平成14年9月20日(2002.9.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)