説明

p38キナーゼ阻害剤としての二環式誘導体

式(I)の新しい二環式誘導体。式中、種々の置換基の意味は明細書本文中に開示されている。これらの化合物は、p38キナーゼ阻害剤として有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい二環式誘導体シリーズ、それらを調製する方法、これらの化合物を含む薬剤組成物、並びに治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
キナーゼは、外部シグナルに対する種々の細胞応答に関与するタンパク質である。90年代には、MAPK(分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ)と呼ばれる新しいキナーゼファミリーが発見された。MAPKは、セリン及びトレオニン残基におけるリン酸化によってその基質を活性化する。
【0003】
MAPKは、成長因子、炎症誘発性サイトカイン、UV照射、エンドトキシン及び浸透圧ストレスを含めて、広範囲のシグナルに応答して他のキナーゼによって活性化される。活性化されると、MAPKは、特定の遺伝子又は遺伝子群の発現を最終的に増加又は減少させる、転写因子などの他のキナーゼ又はタンパク質をリン酸化によって活性化する。
【0004】
MAPKファミリーは、p38、ERK(細胞外制御プロテインキナーゼ)、JNK(C−Jun N末端キナーゼ)などのキナーゼを含む。
【0005】
p38キナーゼは、ストレスに対する細胞応答において、また、多数のサイトカイン、特に腫よう壊死因子(TNF−α)、インターロイキン−1(IL−1)、インターロイキン−6(IL−6)及びインターロイキン−8(IL−8)の合成における活性化経路において、極めて重要な役割を果たす。
【0006】
IL−1及びTNF−αは、マクロファージ及び単球によって産生され、免疫調節プロセス及び他の生理病理学的症状の媒介に関与する。例えば、高レベルのTNF−αは、炎症性疾患、自己免疫疾患、並びにリウマチ様関節炎、骨関節炎、糖尿病、炎症性腸疾患、敗血症などの結合組織及び骨組織の分解を誘発するプロセスと関連がある。
【0007】
したがって、p38キナーゼ阻害剤は、上記のものなどのIL−1、TNF−αなどのサイトカインによって媒介される疾患の治療又は予防に有用であると考えられる。
【0008】
一方、p38阻害剤は、IL−6、IL−8、インターフェロン−γ、GM−CSF(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)などの他の炎症誘発性タンパク質を阻害することも見出された。さらに、最近の研究では、p38阻害剤は、サイトカイン合成だけでなく、シクロオキシゲナーゼ2酵素(COX−2)の誘導など、誘導するシグナルカスケードも遮断することが見出された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、p38キナーゼを阻害することができる新規化合物を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、一般式Iの化合物に関する。
【0011】
【化2】

式中、
Aは、CR又はNRであり、
及びRは独立にC1−4アルキルであり、
は−(CH−Cyであり、又は1個以上のRで置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
mは1又は2であり、
は−B−Rであり、
は、水素、C1−4アルキル、ハロゲン又はC1−4アルコキシであり、
は、フェニル環の任意の利用可能な炭素原子と結合することができ、ハロゲン又はメチルであり、
nは0又は1であり、
Bは、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−であり、
は、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル及びC1−4ハロアルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよい、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロゲン、−NR1010又はフェニルであって、さらに、同じ炭素原子上の2個のR基は結合して−(CH−基を形成することができ、
は、C1−6アルキル又は−(CH−Cyであり、
pは0、1又は2であり、
qは2、3、4、5又は6であり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれも1個以上のR11で置換されていてもよく、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール又はC3−7シクロアルキルであって、そのいずれも1個以上のR12で置換されていてもよく、
及びR10は独立に水素又はC1−4アルキルであり、
11は、ハロゲン、R13、−OR13’、−NO、−CN、−COR13’、−CO13’、−CONR14’14’、−NR14’14’、−NR14’COR13’、−NR14’CONR14’14’、−NR14’CO13、−NR14’SO13、−SR13’、−SOR13、−SO13、−SONR14’14’又はCyであり、
12は、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ又はCyであり、
13は、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルであり、
13’は、水素又はR13であり、
14は、C1−4アルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルであり、
14’は、水素又はR14であり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれもC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル及びC1−4ハロアルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
15は、水素、R16、−COR17、−CONHR17、−SO17又は−COOR17であり、
16は、ハロゲン、−OR13’、−NO、−CN、−COR13’、−CO13’、−CONR14’14’、−NR1818、−NR14’COR13’、−NR14’CONR14’14’、−NR14’CO13、−NR14’SO13、−SR13’、−SOR13、−SO13、−SONR14’14’及びCyから選択される1個以上の基で置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
17は、R16又はCyであり、
18は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル又はC1−4アルコキシC1−4アルキルであり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれもC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、ヒドロキシ、C1−4ヒドロキシアルキル及び−NR1919から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
19は、水素又はC1−4アルキルである。
【0012】
本発明は、式Iの化合物の塩及び溶媒和化合物にも関する。
【0013】
式Iの幾つかの化合物は、種々の立体異性体を生じ得るキラル中心を有し得る。本発明は、これらの立体異性体の各々及びその混合物に関する。
【0014】
式Iの化合物は、p38キナーゼ阻害剤であり、TNF−αなどのサイトカインの産生も阻害する。
【0015】
したがって、本発明の別の態様は、治療用の一般式Iの化合物に関する。
【0016】
【化3】

式中、
Aは、CR又はNRであり、
及びRは独立にC1−4アルキルであり、
は−(CH−Cyであり、又は1個以上のRで置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
mは1又は2であり、
は−B−Rであり、
は、水素、C1−4アルキル、ハロゲン又はC1−4アルコキシであり、
は、フェニル環の任意の利用可能な炭素原子と結合することができ、ハロゲン又はメチルであり、
nは0又は1であり、
Bは、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−であり、
は、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル及びC1−4ハロアルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよい、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロゲン、−NR1010又はフェニルであって、さらに、同じ炭素原子上の2個のR基は結合して−(CH−基を形成することができ、
は、C1−6アルキル又は−(CH−Cyであり、
pは0、1又は2であり、
qは2、3、4、5又は6であり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれも1個以上のR11で置換されていてもよく、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール又はC3−7シクロアルキルであって、そのいずれも1個以上のR12で置換されていてもよく、
及びR10は独立に水素又はC1−4アルキルであり、
11は、ハロゲン、R13、−OR13’、−NO、−CN、−COR13’、−CO13’、−CONR14’14’、−NR14’14’、−NR14’COR13’、−NR14’CONR14’14’、−NR14’CO13、−NR14’SO13、−SR13’、−SOR13、−SO13、−SONR14’14’又はCyであり、
12は、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ又はCyであり、
13は、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルであり、
13’は、水素又はR13であり、
14は、C1−4アルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルであり、
14’は、水素又はR14であり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれもC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル及びC1−4ハロアルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
15は、水素、R16、−COR17、−CONHR17、−SO17又は−COOR17であり、
16は、ハロゲン、−OR13’、−NO、−CN、−COR13’、−CO13’、−CONR14’14’、−NR1818、−NR14’COR13’、−NR14’CONR14’14’、−NR14’CO13、−NR14’SO13、−SR13’、−SOR13、−SO13、−SONR14’14’及びCyから選択される1個以上の基で置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
17は、R16又はCyであり、
18は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル又はC1−4アルコキシC1−4アルキルであり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれもC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、ヒドロキシ、C1−4ヒドロキシアルキル及び−NR1919から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
19は、水素又はC1−4アルキルである。
【0017】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩と、薬剤として許容される1種類以上の賦形剤とを含む、薬剤組成物に関する。
【0018】
本発明の別の態様は、p38媒介性疾患の治療又は予防用医薬品の製造のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0019】
本発明の別の態様は、サイトカイン媒介性疾患の治療又は予防用医薬品の製造のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0020】
本発明の別の態様は、TNF−α、IL−1、IL−6及び/又はIL−8によって媒介される疾患の治療又は予防用医薬品の製造のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0021】
本発明の別の態様は、免疫、自己免疫及び炎症性疾患、循環器疾患、感染症、骨吸収障害、神経変性疾患、増殖性疾患、並びにシクロオキシゲナーゼ2の誘導に関連するプロセスから選択される疾患の治療又は予防用医薬品の製造のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0022】
本発明の別の態様は、p38媒介性疾患の治療又は予防のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0023】
本発明の別の態様は、サイトカイン媒介性疾患の治療又は予防のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0024】
本発明の別の態様は、TNF−α、IL−1、IL−6及び/又はIL−8によって媒介される疾患の治療又は予防のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0025】
本発明の別の態様は、免疫、自己免疫及び炎症性疾患、循環器疾患、感染症、骨吸収障害、神経変性疾患、増殖性疾患、並びにシクロオキシゲナーゼ2の誘導に関連するプロセスから選択される疾患の治療又は予防のための、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用に関する。
【0026】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量を疾患の治療又は予防を必要とする対象、特にヒトに投与することを含む、前記対象においてp38媒介性疾患を治療又は予防する方法に関する。
【0027】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量を疾患の治療又は予防を必要とする対象、特にヒトに投与することを含む、前記対象においてサイトカイン媒介性疾患を治療又は予防する方法に関する。
【0028】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量を疾患の治療又は予防を必要とする対象、特にヒトに投与することを含む、前記対象においてTNF−α、IL−1、IL−6及び/又はIL−8によって媒介される疾患を治療又は予防する方法に関する。
【0029】
本発明の別の態様は、式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の治療有効量を疾患の治療又は予防を必要とする対象、特にヒトに投与することを含む、前記対象において免疫、自己免疫及び炎症性疾患、循環器疾患、感染症、骨吸収障害、神経変性疾患、増殖性疾患、並びにシクロオキシゲナーゼ2の誘導に関連するプロセスから選択される疾患を治療又は予防する方法に関する。
【0030】
本発明の別の態様は、以下を含む、上記式Iの化合物の調製方法に関する。
(a)式Iの化合物において、R15がHであるときには、式IXの化合物を式Xaのアミンと反応させること、
【0031】
【化4】

(式中、A、R、R、R、m及びnは上記意味を有し、Yはハロゲン又はトリフルオロメタンスルホナートである。)
(b)式Iの化合物において、Rが−CONRであり、R15がHであるときには、式IIの化合物を式HNR(III)のアミンと反応させること、
【0032】
【化5】

(式中、A、R、R、R、R、m及びnは、上記意味を有する。)
(c)式Iの化合物において、Rが−NHCORであり、R15がHであるときには、式IVの化合物を式RCOOH(V)の酸と反応させること、
【0033】
【化6】

(式中、A、R、R、R、m及びnは、上記意味を有する。)
(d)式Iの化合物において、Rが−NHCONHRであるときには、式IVの化合物を式RNCO(VI)のイソシアナートと反応させること、又は
(e)式Iの化合物を式Iの別の化合物に1段階又は複数の段階で転化すること。
【0034】
上記定義において、C1−nアルキルという用語は、基として、又は基の一部として、1からn個の炭素原子を含む線状又は分枝アルキル鎖を意味する。nが4であるときには、この用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル基を含む。nが6であるときには、例として、とりわけ、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びヘキシル基が挙げられる。
【0035】
1−4ハロアルキル基とは、C1−4アルキル基の1個以上の水素原子を、同じでも異なっていてもよい1個以上のハロゲン原子(すなわち、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)で置換することによって生成する基を意味する。例としては、とりわけ、トリフルオロメチル、フルオロメチル、1−クロロエチル、2−クロロエチル、1−フルオロエチル、2−フルオロエチル、2−ブロモエチル、2−ヨードエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3−フルオロプロピル、3−クロロプロピル、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、4−フルオロブチル及びノナフルオロブチルが挙げられる。
【0036】
1−4アルコキシ基とは、1から4個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味する。アルキル部分は、上で定義したのと同じ意味を有する。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ及びtert−ブトキシが挙げられる。
【0037】
1−4ハロアルコキシ基とは、C1−4アルコキシ基の1個以上の水素原子を、同じでも異なっていてもよい1個以上のハロゲン原子(すなわち、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨード)で置換することによって生成する基を意味する。例としては、とりわけ、トリフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、1−クロロエトキシ、2−クロロエトキシ、1−フルオロエトキシ、2−フルオロエトキシ、2−ブロモエトキシ、2−ヨードエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシ、3−フルオロプロポキシ、3−クロロプロポキシ、2,2,3,3−テトラフルオロプロポキシ、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロポキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、4−フルオロブトキシ及びノナフルオロブトキシが挙げられる。
【0038】
1−nヒドロキシアルキル基とは、C1−nアルキル基の1個以上の水素原子を1個以上のヒドロキシ基で置換することによって生成する基を意味する。例としては、とりわけ、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシエチル、1,2−ジヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル及び1−ヒドロキシブチルが挙げられる。
【0039】
1−4アルコキシC1−4アルキル基とは、C1−4アルキル基の1個の水素原子を、上記のものなどの1個のC1−4アルコキシ基で置換することによって生成する基を意味する。例としては、とりわけ、メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、イソブトキシメチル、sec−ブトキシメチル、tert−ブトキシメチル、2−(メトキシ)エチル、2−(エトキシ)エチル、2−(プロポキシ)エチル、2−(イソプロポキシ)エチル、2−(ブトキシ)エチル、3−(メトキシ)プロピル、3−(エトキシ)プロピル及び4−(メトキシ)ブチルが挙げられる。
【0040】
ハロゲン基とは、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。
【0041】
3−7シクロアルキル基とは、3から7個の炭素原子を有する飽和単環式炭化水素環、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルを意味する。
【0042】
ヘテロアリールという用語は、N、S及びOから選択される1から4個のヘテロ原子を含む、芳香族の5若しくは6員の単環式又は8から12員の二環式環を意味する。ヘテロアリール基は、利用可能な任意の炭素又は窒素原子を介して、分子の残りの部分と結合することができる。環中のN原子は、酸化されてNを形成していてもよい。ヘテロアリール基は、Cy、Cy、Cy及びCyの定義において示したように置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は、同じでも、異なっていてもよく、環中の利用可能な任意の位置に存在し得る。ヘテロアリール基の例としては、とりわけ、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、フリル、イミダゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチオフェニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリダジニル、イミダゾピリジニル、イミダゾピリミジニル、インダゾリル、インドリル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル(naphthiridinyl)、ピラゾロピラジニル、ピラゾロピリジニル、ピラゾロピリミジニル、プリニル、キナゾリニル、キノリニル及びキノキサリニルが挙げられる。
【0043】
ヘテロシクリル基とは、3から7員の単環式炭素環、又は8から12員の二環式炭素環を意味する。環は、飽和でも、部分不飽和(すなわち非芳香族)でもよく、N、S及びOから選択される1から4個のヘテロ原子(heteratom)を含み、利用可能な任意の炭素又は窒素原子を介して分子の残りの部分と結合し得る。さらに、環中の1個以上のC又はS原子は、酸化されて、CO、SO又はSO基を形成していてもよい。ヘテロシクリル基は、Cy、Cy及びCyの定義において示したように置換されていてもよい。置換されている場合、置換基は、同じでも、異なっていてもよく、環中の利用可能な任意の位置に存在し得る。好ましくは、ヘテロシクリルは、3から7員の単環式環である。より好ましくは、ヘテロシクリル環は5又は6個の環原子を有する。ヘテロシクリル基の例としては、アジリジニル、オキシラニル、オキセタニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリジニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピロリジニル、チアゾリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、アゼピニル、オキサジニル、オキサゾリニル、ピロリニル、チアゾリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、イソオキサゾリニル、イソチアゾリニル、テトラヒドロイソキノリニル、2−オキソ−ピロリジニル、2−オキソ−ピペリジニル、4−オキソ−ピペリジニル、2−オキソピペラジニル、2(1H)−ピリドニル、2(1H)−ピラジノニル、2(1H)−ピリミジノニル、2(1H)−ピリダジノニル及びフタルイミジルが挙げられるが、これらだけに限定されない。
【0044】
ヘテロアリールの上記定義において、特定の例が、一般用語中で二環(bicycle)に言及するときには、可能な全原子配置が含まれる。例えば、ピラゾロピリジニルという用語は、1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリジニル、1H−ピラゾロ[3,4−c]ピリジニル、1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジニル、1H−ピラゾロ[4,3−b]ピリジニルなどの基を含むものと理解すべきであり、イミダゾピラジニルという用語は、1H−イミダゾ[4,5−b]ピラジニル、イミダゾ[1,2−a]ピラジニル、イミダゾ[1,5−a]ピラジニルなどの基を含むものと理解すべきであり、ピラゾロピリミジニルという用語は、1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジニル、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジニル、ピラゾロ[1,5−c]ピリミジニルなどの基を含むものと理解すべきである。
【0045】
「1個以上で置換されていてもよい」という表現は、基が1個以上、好ましくは1、2、3又は4個の置換基で、より好ましくは1又は2個の置換基で置換され得ることを意味する。ただし、前記基は、置換されやすい、利用可能な十分な位置にある。前記置換基は、存在するときには、同じでも、異なっていてもよく、利用可能な任意の位置に存在し得る。
【0046】
式Iの化合物において、R基は存在しなくても(n=0)、存在しても(n=1)よい。Rが存在するときには、フェニル環上の利用可能な任意の位置に存在し得る。
【0047】
置換基の定義において、同じ付番の2個以上の基が示されるときには(例えば、−NRCONR−、−NR1010、−NR14’CONR14’14’など)、2個以上の基が同一である必要はない。2個以上の基の各々は、その基を規定する可能な意味のリストから独立に選択され、したがって、同じでも、異なっていてもよい。
【0048】
したがって、本発明は、上で定義した式Iの化合物に関する。
【0049】
別の実施形態においては、本発明は、AがCRである、式Iの化合物に関する。
【0050】
別の実施形態においては、本発明は、AがNRである、式Iの化合物に関する。
【0051】
更なる実施形態においては、本発明は、mが1である、式Iの化合物に関する。
【0052】
更なる実施形態においては、本発明は、mが2である、式Iの化合物に関する。
【0053】
更なる実施形態においては、本発明は、AがCRであり、mが1である、式Iの化合物に関する。
【0054】
更なる実施形態においては、本発明は、AがNRであり、mが1である、式Iの化合物に関する。
【0055】
更なる実施形態においては、本発明は、RがRと同一である、式Iの化合物に関する。
【0056】
更なる実施形態においては、本発明は、RがRと同一であって、どちらもメチルである、式Iの化合物に関する。
【0057】
更なる実施形態においては、本発明は、Rが、−(CH−Cy、C1−6アルキル又はC1−6ヒドロキシアルキルである、式Iの化合物に関する。
【0058】
更なる実施形態においては、本発明は、Rが、Cy、C1−6アルキル又はC1−6ヒドロキシアルキルである、式Iの化合物に関する。
【0059】
更なる実施形態においては、本発明は、RがCy又はC1−6アルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0060】
更なる実施形態においては、本発明は、CyがC3−7シクロアルキルである、式Iの化合物を提供する。
【0061】
更なる実施形態においては、本発明は、Rが、水素、メチル、ハロゲン又はメトキシである、式Iの化合物に関する。
【0062】
更なる実施形態においては、本発明は、nが0である、式Iの化合物に関する。
【0063】
更なる実施形態においては、本発明は、nが0であり、RがC1−4アルキル、ハロゲン又はC1−4アルコキシである、式Iの化合物に関する。
【0064】
更なる実施形態においては、本発明は、nが0であり、Rがメチル、ハロゲン又はメトキシである、式Iの化合物に関する。
【0065】
更なる実施形態においては、本発明は、Bが−CONH−、−NHCO−又は−NHCONH−である、式Iの化合物に関する。
【0066】
更なる実施形態においては、本発明は、Bが−CONR−又は−NRCO−である、式Iの化合物に関する。
【0067】
更なる実施形態においては、本発明は、Bが−CONH−又は−NHCO−である、式Iの化合物に関する。
【0068】
更なる実施形態においては、本発明は、Bが−CONR−であり、RがC3−7シクロアルキルである、式Iの化合物に関する。
【0069】
更なる実施形態においては、本発明は、Bが−CONH−であり、Rがシクロプロピルである、式Iの化合物に関する。
【0070】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が、水素、R16、−COR17又は−SO17である、式Iの化合物に関する。
【0071】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が、水素、R16又は−COR17である、式Iの化合物に関する。
【0072】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が水素又はR16である、式Iの化合物に関する。
【0073】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が水素であり、又は−OR13’、−NR1818及びCyから選択される1個以上の基で置換されていてもよいC1−6アルキルである、式Iの化合物に関する。
【0074】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が水素であり、又は−OR13’、−NR1818及びCyから選択される1個の基で置換されていてもよいC1−6アルキルである、式Iの化合物に関する。
【0075】
更なる実施形態においては、本発明は、CyがCyであり、−NR1818が−NR14’14’である、式Iの化合物に関する。
【0076】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が水素であり、又は−OR13’及びCyから選択される1個以上の基で置換されていてもよいC1−6アルキルである、式Iの化合物に関する。
【0077】
更なる実施形態においては、本発明は、R15が水素である、式Iの化合物に関する。
【0078】
また、本発明は、上記特定の好ましい基の可能な全組合せを網羅する。
【0079】
更なる実施形態においては、本発明は、実施例22に記載のアッセイなどのp38アッセイにおいて、10μM、より好ましくは1μM、更に好ましくは0.1μMにおいて、p38活性の50%を超える活性を阻害する上記式Iの化合物に関する。
【0080】
更なる実施形態においては、本発明は、以下から選択される式Iの化合物に関する。
【0081】
N−シクロプロピル−4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)ベンズアミド、
4,N−ジメチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2−エチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[2−(3−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピルメチル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
4,N−ジメチル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル−N−フェニルベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル−N−(3−ピリジル)ベンズアミド、
N−ベンジル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル−N−(2−チアゾリル)ベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4,N,N−トリメチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
N−[4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)フェニル]フラン−3−カルボキサミド、
2−シクロプロピル−N−[4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)フェニル]アセトアミド、
2−シクロプロピル−N−[3−(2−(3−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチルフェニル]フラン−3−カルボキサミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]シクロプロピルカルボキサミド、
2−シクロプロピル−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]フラン−3−カルボキサミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]チオフェン−2−カルボキサミド、
2−クロロ−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]イソニコチンアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]−2−(ピロリジン−1−イル)イソニコチンアミド、
2−シクロプロピル−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−インダン−5−イルアミノ)フェニル]アセトアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド、
1−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]−3−イソプロピル尿素、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−メチルアミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(モルホリン−4−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジン−1−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
3−[N−(3−(4−アミノピペリジン−1−イル)プロピル)−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド、
(R)−N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(2−メトキシエチルアミノ)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−[2−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]エチル]アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−(ピペラジン−1−イル)エチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−フルオロベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メトキシベンズアミド、
4−クロロ−N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド、
2−シクロプロピル−N−[5−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−2−メチルフェニル]アセトアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−メトキシアセチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
3−[N−シクロプロパンカルボニル−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド、
3−(2−シクロペンチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド、及び
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(メタンスルホニル)アミノ]−4−メチルベンズアミド。
【0082】
本発明の化合物は、1個以上の塩基性窒素を含むことがあり、したがって、有機又は無機酸と塩を形成し得る。これらの塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、及び、とりわけ、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、フマル酸、シュウ酸、酢酸、マレイン酸、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、グリコール酸、コハク酸、プロピオン酸などの有機酸との塩が挙げられる。本発明の化合物の一部は、1個以上の酸性プロトンを含むことがあり、したがって、塩基とも塩を形成し得る。これらの塩の例としては、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、亜鉛などの無機カチオンとの塩、及びアンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシルアルキルアミン、リジン、アルギニン、N−メチルグルカミン、プロカインなどの薬剤として許容されるアミンと一緒に形成される塩が挙げられる。
【0083】
使用することができる塩のタイプは、塩を治療目的で使用したときに、薬剤として許容される限り、限定されない。薬剤として許容される塩という用語は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、医学的判断に従って、ヒト及び他のほ乳動物の組織と接触して使用するのに適切である、塩を表す。薬剤として許容される塩は当分野で周知である。
【0084】
式Iの化合物の塩は、本発明の化合物の最終単離及び精製中に得ることができ、又は従来の方法で、式Iの化合物を十分な量の所望の酸又は塩基で処理して、塩を生成することによって調製することができる。式Iの化合物の塩は、イオン交換樹脂を用いたイオン交換によって、式Iの化合物の別の塩に転化することができる。
【0085】
式Iの化合物とその塩は、一部の物性が異なり得るが、本発明では等価である。式Iの化合物のすべての塩が本発明の範囲内に含まれる。
【0086】
本発明の化合物は、その中で反応する、又はそこから沈殿又は結晶化する、溶媒と複合体を形成し得る。これらの複合体は、溶媒和化合物として知られる。本明細書では、溶媒和化合物という用語は、溶質(式Iの化合物又はその塩)と溶媒によって形成される、多様な化学量論の複合体を指す。溶媒の例としては、水、エタノールなどの薬剤として許容される溶媒が挙げられる。水との複合体は、水和物として知られる。水和物を含めて、本発明の化合物(又はその塩)の溶媒和化合物は、本発明の範囲内である。
【0087】
本発明の化合物の一部は、幾つかのジアステレオ異性体及び/又は幾つかの光学異性体として存在し得る。ジアステレオ異性体は、クロマトグラフィー、分別結晶などの従来技術によって分離することができる。光学異性体は、従来の光学分割技術によって、光学的に純粋な異性体に分割することができる。この分割は、一般式Iの鏡像異性合成中間体又は生成物に対して実施することができる。光学的に純粋な異性体は、エナンチオ特異的な合成によって個別に得ることもできる。本発明は、個々の全異性体、及び合成によって得られても、物理的混合によって得られても、その混合物(例えば、ラセミ混合物又はジアステレオマー混合物)を網羅する。
【0088】
式Iの化合物は、以下の方法に従って得ることができる。当業者には明らかなように、所与の化合物を調製するのに使用される正確な方法は、その化学構造に応じて変わり得る。さらに、下記方法の一部では、反応性基又は不安定基を従来の保護基で保護することが必要な、又は望ましい場合がある。これらの保護基の性質、及びその導入又は除去の手順は、当分野で周知である(例えば、Greene T.W. and Wuts P.G.M, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, John Wiley & Sons, 3rd edition, 1999参照)。例として、アミノ官能基の保護基として、tert−ブトキシカルボニル(Boc)又はベンジル(Bn)基を使用することができる。カルボキシル基は、例えば、C1−4アルキルエステル、又はベンジルなどのアリールアルキルエステルの形で保護することができ、ヒドロキシル基は、例えば、テトラヒドロピラニル(THP)又はベンジル(Bn)基で保護することができる。保護基が存在するときにはいつでも、その後の脱保護段階が必要である。脱保護段階は、上記参考文献に記載のものなどの有機合成において標準条件下で実施することができる。
【0089】
別段の記載がない限り、以下の方法において、種々の置換基の意味は、一般式Iの化合物に関して上述した意味である。
【0090】
=−CONR及びR15=Hである式Iの化合物(Ia)は、以下のスキームに示すように、式IIの化合物と式IIIのアミンから得ることができる。
【0091】
【化7】

式中、A、R、R、R、R、m及びnは、上記意味を有する。この反応は、(ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩又はN,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの活性化剤の存在下で、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンなどの塩基の存在下で、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、実施される。或いは、反応は、有機合成において標準条件を用いて、式IIのカルボン酸を塩化アシルに転化し、続いてトリエチルアミンなどの塩基の存在下で、例えばジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、式IIIのアミンとの反応によって塩化アシルを式Iaのアミドに転化し、好ましくは0℃で冷却することによって、実施することができる。
【0092】
=−NHCOR及びR15=Hである式Iの化合物(Ib)は、以下のスキームに示すように、式IVの化合物と式Vの酸から得ることができる。
【0093】
【化8】

式中、A、R、R、R、m及びnは、上記意味を有する。この反応は、化合物II及びIIIから化合物Iaを調製する上記の場合と同じ条件下で実施される。
【0094】
=−NHCONR及びR15=Hである式Iの化合物(Ic)は、以下のスキームに示すように、式IVの化合物から得ることができる。
【0095】
【化9】

式中、A、R、R、R、R、m及びnは、上記意味を有する。R=Hである式Icの化合物は、化合物IVを式VIのイソシアナートで処理することによって得ることができる。この反応は、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの適切な温度で実施することができる。或いは、式Icの化合物は、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリンなどの塩基の存在下で、アセトニトリル、ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、トリホスゲンを用いて式IVのアミンを対応するイソシアナート(XXIV)に転化することと、次いで生成したイソシアナートXXIVを、第一段階で使用した溶媒などの適切な溶媒中で、式IIIのアミンと反応させることとを含む2段階で、式IVの化合物から得ることができる。
【0096】
式IIの化合物は、以下のスキームに示すように、式VIIのエステルの加水分解によって得ることができる。
【0097】
【化10】

式中、RはC1−4アルキルであり、A、R、R、m及びnは、上記意味を有する。この反応は、KOHなどの塩基の存在下で、エタノールなどの適切な溶媒中で、好ましくは加熱して、実施することができる。
【0098】
式IVの化合物は、以下のスキームに示すように、式VIIIのニトロ化合物を還元することによって得ることができる。
【0099】
【化11】

式中、A、R、R、m及びnは、上記意味を有する。この反応は、塩化スズ(II)、鉄などの還元剤の存在下で、エタノール、酢酸などの適切な溶媒中で実施することができ、或いは水素ガス及び活性炭担持パラジウムなどのパラジウム触媒の存在下で、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチルなどの適切な溶媒中で実施することができる。
【0100】
式VII及びVIIIの化合物は、以下のスキームに示すように、式IXの化合物を式Xのアミンと反応させることによって得ることができる。
【0101】
【化12】

式中、Yはハロゲン、好ましくはブロモ、又はトリフルオロメタンスルホナートであり、ZはCOOR又はNOであり、A、R、R、R、m及びnは、上記意味を有する。この反応は、CsCO、ナトリウムtert−ブトキシドなどの塩基の存在下で、酢酸パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などのパラジウム触媒及び2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルなどのホスフィンの存在下で、トルエン、ジオキサンなどの溶媒中で、実施することができる。
【0102】
或いは、R15=Hである式Iの化合物は、以下のスキームに示すように、式IXの化合物を式Xaのアミンと反応させることによって得ることができる。
【0103】
【化13】

式中、A、R、R、R、m、n及びYは、上記意味を有する。この反応は、化合物IX及びXから化合物VII/VIIIを調製する上記の場合と同じ条件下で実施される。
【0104】
A=CR(IXa:A=CR、m=1;IXb:A=CR、m=2)であり、Yがハロゲンである式IXの化合物は、以下のスキームに示すように、式XIの化合物を式XIIのアルキル化剤と反応させることによって得ることができる。
【0105】
【化14】

式中、R、R及びmは上記意味を有し、Yはハロゲン、好ましくはブロモであり、RはR又はRであり、Wはハロゲン又はアルキルスルホナート、好ましくはヨードである。この反応は、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの温度で実施することができる。R≠Rであるときには、この反応は、式XIの化合物をアルキル化剤RWでアルキル化して、モノアルキル化中間体を生成することと、次いでこの中間体を第2のアルキル化剤RWと反応させて、式IXa、bの化合物を生成することとを含む二段階で実施される。
【0106】
A=NR及びm=1である式IXの化合物(IXc)は、以下のスキームに示すように、式XIIIaの化合物を式XIVのアミンと反応させることによって得ることができる。
【0107】
【化15】

式中、R及びRは上記意味を有し、Yはハロゲン、好ましくはブロモである。この反応は、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、場合によっては(トリエチルアミン又はN,N−ジイソプロピルエチルアミンのような)第三級アミン、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの塩基の存在下で、室温から溶媒の沸点までの温度で実施することができる。或いは、この反応は、メタノール、エタノール、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、式XIIIaの化合物からアミンXIVによる臭素置換によって中間体アミノエステルを生成することと、酢酸又はポリリン酸中で加熱して式IXcの化合物に最終的に環化することとを含む二段階で実施することができる。
【0108】
Yがトリフルオロメタンスルホナートである式IXの化合物は、以下のスキームに示すように、式XVの化合物から出発して得ることができる。
【0109】
【化16】

式中、A及びmは上記意味を有し、Yはトリフルオロメタンスルホナートである。この反応は、無水トリフルオロメタンスルホン酸、塩化トリフルオロメタンスルホニルなどの適切なスルホニル化剤の存在下で、ピリジン、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、0℃から室温までの適切な温度で実施することができる。
【0110】
式XVの化合物は、以下のスキームに示すように、式XVIの化合物から出発して得ることができる。
【0111】
【化17】

式中、A及びmは、上記意味を有する。この反応は、48%HBrなどの強酸の存在下で、室温から溶媒の沸点までの適切な温度で、又は三臭化ホウ素などのルイス酸の存在下で、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、好ましくは−78℃から室温までの温度で、実施することができる。
【0112】
A=CR(XVIa:A=CR、m=1;XVIb:A=CR、m=2)である式XVIの化合物は、以下のスキームに示すように、式XIの化合物を式IXa、bの化合物に転化する上記の場合と同じ条件下で、式XVIIの化合物の反応によって得ることができる。
【0113】
【化18】

式中、R、R及びmは、上記意味を有する。
【0114】
A=NR及びm=1である式XVIの化合物(XVIc)は、以下のスキームに示すように、式XIIIbの化合物を式XIVのアミンと反応させることによって得ることができる。
【0115】
【化19】

式中、R及びRは、上記意味を有する。この反応は、XIIIaから化合物IXcを調製する上記の場合と同じ反応条件下で実施することができる。
【0116】
式XIIIa、bの化合物は、以下のスキームに示すように、式XVIIIの化合物から出発して得ることができる。
【0117】
【化20】

式中、Rは上記意味を有し、Y’はハロゲン、好ましくはブロモ、又はメトキシである。この反応は、N−ブロモスクシンイミドなどの適切なハロゲン化剤の存在下で、場合によっては2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイルなどのラジカル開始剤の存在下で、CCl、CHCl、アセトニトリル、クロロベンゼンなどの適切な溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの適切な温度で、場合によっては混合物に照射して、実施することができる。
【0118】
式XVIIIの化合物は、以下のスキームに示すように、式XIXのカルボン酸を式XXのアルコールと反応させることによって得ることができる。
【0119】
【化21】

式中、Rは上記意味を有し、Y’はハロゲン、好ましくはブロモ、又はメトキシである。この反応は、濃硫酸などの無機酸の存在下で、式XXのアルコールを溶媒として用いて、室温から溶媒の沸点までの適切な温度で実施することができる。或いは、式XIXの化合物は、標準条件を用いて対応する塩化アシルに転化することができ、次いで塩化アシルは、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、例えばジクロロメタンなどの適切な溶媒中で、0℃から室温までの適切な温度で、式XXのアルコールとの反応によって、式XVIIIの対応するエステルに転化することができる。
【0120】
A=NR(XVIc:m=1;XVId:m=2)である式XVIの化合物は、以下のスキームに示すように、式XXIの化合物から出発して得ることができる。
【0121】
【化22】

式中、R及びmは、上記意味を有する。Rがアルキル型基であるときには、この反応は、式XXIIのハロゲン化物又はアルキルスルホナート、好ましくはヨウ化アルキルなどのアルキル化剤を用いて、水素化ナトリウムなどの塩基の存在下で、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中で、室温から溶媒の沸点までの温度で処理することによって、実施することができる。Rがフェニル又はヘテロアリール基であるときには、この反応は、KCO、NaCO、KPOなどの塩基、及びヨウ化銅(I)などの銅触媒の存在下で、N−メチルピロリドンなどの溶媒中で、好ましくは還流させながら、加熱して、式XXIIのハロゲン化物、好ましくは臭化物との反応によって、実施することができる。
【0122】
或いは、A=NR(IXc:m=1;IXd:m=2)である式IXの化合物は、以下のスキームに示すように、式XXIIIの化合物から出発して、同様に得ることができる。
【0123】
【化23】

式中、R及びmは上記意味を有し、Yはハロゲン、好ましくはブロモである。この反応は、化合物XXIから化合物XVIc、dを調製する上記の場合と同じ反応条件下で実施される。
【0124】
式III、V、VI、X、Xa、XI、XII、XIV、XVII、XIX、XX、XXI、XXII及びXXIIIの化合物は、市販されているか、又は文献に広範に記載された方法によって調製することができ、都合良く保護することができる。
【0125】
また、本発明の一部の化合物は、有機化学における周知の反応を用いて、既報の標準実験条件下で、一段階又は数段階の官能基の適切な転化反応によって、式Iの別の化合物から得ることもできる。
【0126】
したがって、R15基を別のR15基に転化して、式Iの更に別の化合物を得ることができる。例えば、R15=Hは、ハロゲン化物、好ましくはヨウ化物、アルキル−又はアリールスルホナートなどの適切なアルキル化剤を用いて、とりわけ、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドなどの塩基の存在下で、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエンなどの適切な溶媒中で、場合によってはクラウンエーテルの存在下で、−78℃から溶媒の沸点までの温度でアルキル化することによって、R15=R16に転化することができる。同様に、R15=−COR17又は−SO17である式Iの化合物を、標準手順によって、例えば、式R17COClの酸塩化物、又は式R17SOClの塩化スルホニルで処理し、加熱することによって、R15=Hである式Iの化合物から得ることができる。
【0127】
、R及びR15の基に関する他の転化としては、例えば、以下のものが挙げられる。
ピリジン、トリエチルアミンなどの塩基の存在下での、ジクロロメタン、クロロホルムなどの適切な溶媒中での、塩化メタンスルホニルなどのハロゲン化スルホニルとの反応による、又はテトラヒドロフランなどの適切な溶媒中での、SOClなどのハロゲン化剤との反応による、第一級若しくは第二級ヒドロキシル基から脱離基、例えば、メシラート、トシラートなどのアルキルスルホナート若しくはアリールスルホナート、又はCl、Br、Iなどのハロゲンへの転化と、それに続く、場合によってはトリエチルアミン、KCO、NaH、KOHなどの塩基の存在下で、ジメチルホルムアミド、1,2−ジメトキシエタン、アセトニトリルなどの適切な溶媒中で、アルコール、アミン又はチオールとの反応による、前記脱離基の置換;
標準条件下の、例えば上記方法に従った、アミンからアミド、カルバマート、尿素又はスルホンアミドへの転化;
場合によっては適切な溶媒の存在下で、好ましくは加熱して、アミンとの反応による、芳香族ハライドから芳香族アミンへの転化;
塩基性条件下におけるアルキル化剤での処理によるアミドのアルキル化。
【0128】
これらの相互転換反応は、実施例において更に詳細に説明する。
【0129】
当業者には明らかなように、これらの相互転換反応を、式Iの化合物、及び任意の適切なその合成中間体に対して実施することができる。
【0130】
上述したように、本発明の化合物は、p38キナーゼ阻害剤として作用し、炎症誘発性サイトカインを減少させる。したがって、本発明の化合物は、ヒトを含めたほ乳動物において、p38がある役割を果たす疾患の治療又は予防に有用であると予想される。この疾患は、TNF−α、IL−1、IL−6、IL−8などのサイトカインの過剰産生によって引き起こされる疾患を含む。これらの疾患としては、免疫、自己免疫及び炎症性疾患、循環器疾患、感染症、骨吸収障害、神経変性疾患、増殖性疾患、並びにシクロオキシゲナーゼ2の誘導に関連するプロセスが挙げられるが、これらだけに限定されない。本発明の化合物によって治療又は予防される好ましい疾患は、免疫、自己免疫及び炎症性疾患である。
【0131】
例として、本発明の化合物によって治療又は予防することができる免疫、自己免疫及び炎症性疾患としては、リウマチ性疾患(例えば、リウマチ様関節炎、乾せん性関節炎、感染性関節炎、進行性慢性関節炎、変形性関節炎、骨関節炎、外傷性関節炎、痛風性関節炎、ライター症候群、多発性軟骨炎、急性滑膜炎及び脊椎炎)、(ネフローゼ症候群を伴う、又は伴わない)糸球体腎炎、自己免疫性血液疾患(例えば、溶血性貧血、再生不良性(aplasic)貧血、特発性血小板減少症及び好中球減少)、自己免疫性胃炎及び自己免疫性炎症性腸疾患(例えば、潰よう性大腸炎及びクローン病)、宿主対移植片病、同種移植片拒絶、慢性甲状腺炎、グレーブス病、強皮症(schleroderma)、(I型及びII型)糖尿病、(急性及び慢性)活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、重症筋無力症、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、乾せん、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、湿疹、日焼け、慢性腎不全、スティーブンス・ジョンソン症候群、特発性スプルー、サルコイドーシス、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎、結膜炎、角結膜炎、中耳炎、歯周病、肺間質性線維症、ぜん息、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎、塵肺、肺不全症候群、肺気腫、肺線維症、ケイ肺症、慢性炎症性肺疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患)、並びに気道の他の炎症性又は閉塞性疾患が挙げられる。
【0132】
治療又は予防することができる循環器疾患としては、とりわけ、心筋梗塞、心肥大、心不全、虚血−再潅流障害、血栓症、トロンビン誘発性血小板凝集、急性冠動脈症候群、アテローム性動脈硬化症及び脳血管障害が挙げられる。
【0133】
治療又は予防することができる感染症としては、とりわけ、敗血症、敗血症ショック、内毒素ショック、グラム陰性菌による敗血症、細菌性赤痢、髄膜炎、脳マラリア、肺炎、結核、ウイルス性心筋炎、ウイルス性肝炎(A型肝炎、B型肝炎及びC型肝炎)、HIV感染、サイトメガロウイルスによって引き起こされる網膜炎、インフルエンザ、ヘルペス、重度の熱傷に付随する感染の治療、感染によって引き起こされる筋痛、感染に続発するカヘキシー、及びレンチウイルス、ヤギ関節炎ウイルス、ビスナ・マエディ(visna−maedi)ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、ウシ免疫不全ウイルス、イヌ免疫不全ウイルスなどの獣医学的ウイルス感染が挙げられる。
【0134】
治療又は予防することができる骨吸収障害としては、骨粗しょう症、骨関節炎、外傷性関節炎及び痛風性関節炎、並びに多発性骨髄腫に関係する骨障害、骨折及び骨移植などが挙げられ、骨芽細胞活性の誘導及び骨量の増加が必要である全プロセスが一般に挙げられる。
【0135】
治療又は予防することができる神経変性疾患としては、とりわけ、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳虚血及び外傷性神経変性疾患が挙げられる。
【0136】
治療又は予防することができる増殖性疾患としては、子宮内膜症、固形腫よう、急性及び慢性骨髄性白血病、カポジ肉腫、多発性骨髄腫、転移性黒色腫、並びに眼球血管新生、乳児性血管腫などの血管形成障害などが挙げられる。
【0137】
p38キナーゼ阻害剤は、プロスタグランジン産生を担う酵素であるシクロオキシゲナーゼ2(COX−2)などの炎症誘発性タンパク質の発現も阻害する。したがって、本発明の化合物は、COX−2媒介性疾患の治療又は予防に、特に浮腫、熱、頭痛などの神経筋痛、癌によって引き起こされるとう痛、歯痛、関節炎痛、痛覚過敏及び異痛症に伴うプロセスの治療に使用することもできる。
【0138】
化合物のp38活性阻害能を求めるインビトロ及びインビボでのアッセイは、当分野で周知である。例えば、試験化合物を精製p38酵素と接触させて、p38活性が阻害されるかどうかを判定することができる。或いは、細胞系アッセイによって、例えば、刺激を受けた末梢血単核球(PBMC)又は他の細胞タイプにおいて、TNFアルファなどのサイトカインの産生を阻害する化合物の能力を測定することができる。本発明の化合物のp38阻害剤としての生物活性を試験するのに使用することができるアッセイを以下で詳細に開示する(実施例22参照)。
【0139】
活性化合物を選択するために、10μMにおける試験では、実施例22の試験において50%を超える阻害活性を示さなければならない。より好ましくは、化合物は、1μMにおいて50%を超える阻害を示すべきであり、更に好ましくは、0.1μMにおいて50%を超える阻害を示すべきである。
【0140】
本発明は、本発明の化合物(又は薬剤として許容されるその塩若しくは溶媒和化合物)と、薬剤として許容される1種類以上の賦形剤とを含む、薬剤組成物にも関する。賦形剤は、組成物の他の成分と適合するという意味で「許容され」なければならず、そのレシピエントに無害でなければならない。
【0141】
本発明の化合物は、任意の薬剤の形で投与することができる。薬剤の性質は、周知のとおり、活性化合物の性質、及びその投与経路によって決まる。任意の投与経路、例えば、経口、非経口、経鼻、眼球、直腸及び局所投与を使用することができる。
【0142】
経口投与用固体組成物としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤などが挙げられる。いずれの場合でも、製造方法は、活性化合物と賦形剤の簡単な混合物、乾式造粒又は湿式造粒に基づく。これらの賦形剤は、例えば、ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール、リン酸水素カルシウムなどの希釈剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポビドンなどの結合剤、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウムなどの崩壊剤、及び例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクなどの潤滑剤であり得る。錠剤は、さらに、消化管におけるその崩壊及び吸収を遅延させるために、公知技術によって、適切な賦形剤で被覆することができ、それによって作用を長期間維持することができ、又は単純にその感覚刺激性若しくはその安定性を改善することができる。活性化合物は、天然又は合成フィルムコーティング剤を用いて、不活性ペレット上に塗布することによって組み込むこともできる。活性化合物が水又は油性媒体、例えば、ヤシ油、鉱油又はオリーブ油と混合された、軟ゼラチンカプセル剤も可能である。
【0143】
水を添加して経口懸濁液剤を調製するための散剤及び顆粒剤は、活性化合物を分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び防腐剤と混合することによって得ることができる。他の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤を添加することもできる。
【0144】
経口投与用液体剤形としては、精製水、エタノール、ソルビトール、グリセリン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、プロピレングリコールなどの一般に使用される不活性希釈剤を含む、乳濁液剤、溶液剤、懸濁液剤、シロップ剤、エリキシル剤などが挙げられる。前記組成物は、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、香味剤、防腐剤、緩衝剤などのコアジュバントも含み得る。
【0145】
本発明による非経口投与用注射用製剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油などの水系又は非水系溶媒中の無菌溶液、懸濁液又は乳濁液を含む。これらの組成物は、湿潤剤、乳化剤、分散剤、防腐剤などのコアジュバントも含み得る。これらの組成物は、任意の公知の方法によって滅菌することができ、又は使用直前に水若しくは任意の他の無菌注射用媒体に溶解させる無菌固体組成物として調製することができる。無菌材料から出発し、無菌材料を全製造プロセスを通してこれらの条件下で維持することもできる。
【0146】
直腸投与の場合、活性化合物を、好ましくは、例えば、植物油、固体半合成グリセリドなどの油性基剤、又はポリエチレングリコール(マクロゴール)などの親水性基剤を用いた坐剤として処方することができる。
【0147】
本発明の化合物は、眼、皮膚、腸管などの経路を介して到達可能な区域又は器官で発症する病態を治療するための局所適用用に処方することもできる。製剤としては、本化合物が適切な賦形剤中に分散又は溶解した、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、溶液剤、貼付剤などが挙げられる。
【0148】
経鼻投与又は吸入の場合、本化合物をエアゾール剤として処方することができ、好都合には適切な噴霧剤を用いて放出させることができる。
【0149】
投与量及び投与回数は、とりわけ、治療する疾患の性質及び重症度、患者の年齢、全身状態及び体重、並びに投与する特定の化合物及び投与経路によって決まる。適切な投与量範囲の代表例は、約0.01mg/Kgから約100mg/Kg/日であり、これを1回で、又は分割用量として投与することができる。
【0150】
本発明を以下の実施例によって説明する。
【実施例】
【0151】
実施例では以下の略語を使用した。
【0152】
ACN: アセトニトリル
DMF: ジメチルホルムアミド
EDC.HCl: N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩
EtOAc: 酢酸エチル
EtOH: エタノール
HOBT: 1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物
MeOH: メタノール
PyBOP: (ベンゾトリアゾル−1−イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート
TEA: トリエチルアミン
THF: テトラヒドロフラン
: 保持時間
LC−MS: 液体クロマトグラフィー−質量分析法
LC−MSスペクトルを以下のクロマトグラフィー法に従って実施した。
【0153】
方法1: カラムTracer Excel 120、ODSB 5μm(10mm×0.21mm)、温度:30℃、流量:0.35mL/min、溶離剤:A=ACN、B=0.1%HCOOH、勾配:0分間 10%A − 10分間 90%A − 15分間 90%A。
方法2: カラムX−Terra MS C18 5μm(150mm×2.1mm)、温度:30℃、流量:0.35mL/min、溶離剤:A=ACN、B=10mM炭酸水素アンモニウム、勾配:0分間 10%A − 10分間 90%A − 15分間 90%A。
方法3: カラムX−Terra MS C18 5μm(100mm×2.1mm)、温度:30℃、流量:0.35mL/min、溶離剤:A=ACN、B=0.1%HCOOH、勾配:0分間 10%A − 10分間 90%A − 15分間 90%A。
方法4: カラムX−Terra MS C18 5μm(100mm×2.1mm)、温度:30℃、流量:0.35mL/min、溶離剤:A=ACN、B=10mM炭酸水素アンモニウム、勾配:0分間 10%A − 10分間 90%A − 15分間 90%A。
【0154】
MSスペクトルをポジティブエレクトロスプレーイオン化モードによって走査範囲100から800amuで得た。
【0155】
分取HPLCを以下のクロマトグラフィー条件を用いて実施した。
カラムX−Terra Prep MS C18 5μm(100mm×19mm)、流量:20mL/min、溶離剤:A=ACN、B=75mM炭酸水素アンモニウム、勾配。
【0156】
参考実施例1
メチル4−ブロモ−2−メチルベンゾアート
4−ブロモ−2−メチル安息香酸(6.17g、0.29mol)のMeOH(170mL)溶液に、HSO 95%(3mL)を添加した。それを終夜加熱還流させ、室温に冷却した。溶媒を蒸発させ、EtOAcを添加した。有機相を飽和NaHCO、NaCO水溶液及び水で洗浄した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させて、標記化合物6.43gをオイルとして得た(収率:98%)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):2.58(s、3H)、3.89(s、3H)、7.36(d、J=1.8Hz、1H)、7.41(dd、J=8.1Hz、J’=1.8Hz、1H)、7.78(d、J=8.1Hz、1H)。
【0157】
参考実施例2
メチル4−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゾアート
(参考実施例1で得た)メチル4−ブロモ−2−メチルベンゾアート(9.60g、0.42mol)のCCl(150mL)溶液に、N−ブロモスクシンイミド(7.46g、0.42mol)及び過酸化ベンゾイル(0.19g、0.79mmol)を添加した。反応混合物を250ワットランプで照射しながら室温で4時間撹拌し、次いで沈殿した固体をろ別した。ろ液を1N NaOH及び水で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させて、所望の化合物11.87gをオイルとして得た。オイルは、静置すると固化した(収率:92%、未補正)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):3.94(s、3H)、4.90(s、2H)、7.51(dd、J=8.4Hz、J’=2.1Hz、1H)、7.63(d、J=1.8Hz、1H)、7.84(d、J=8.4Hz、1H)。
【0158】
参考実施例3
5−ブロモ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
(参考実施例2で得た)メチル4−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゾアート(4.9mmol)のMeOH(40mL)溶液に、アニリン(0.93g、5.1mmol)及びTEA(1.05mL、7.6mmol)を添加した。混合物を24時間加熱還流させ、次いで室温に冷却した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、出発アニリンの混じった所望の化合物1.07gを得た。生成物をCHClに溶解させ、有機相を1N HClで洗浄し、NaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させて、標記化合物0.98gを得た(収率:67%)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):4.85(s、2H)、7.18(m、1H)、7.46(m、2H)、7.64−7.86(複合シグナル、5H)
【0159】
参考実施例3A
5−ブロモ−2−エチル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
(参考実施例2で得た)メチル4−ブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゾアート(1.2mmol)のMeOH(10mL)溶液に、エチルアミン(2M MeOH溶液1.2mL、2.4mmol)を添加した。混合物を24時間加熱還流させ、次いで室温に冷却した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物0.2gを得た(収率:72%)。
LC−MS(方法1):t=6.83min;m/z=240.0/242.0[M+H]
【0160】
参考実施例3B
5−ブロモ−2−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
参考実施例3に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、参考実施例2及び3−アミノ−1−プロパノールから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=5.23min;m/z=270.0/272.0[M+H]
【0161】
参考実施例3C
5−ブロモ−2−シクロペンチル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
参考実施例3Aに記載の手順と類似の手順に従って、ただし、参考実施例2及びシクロペンチルアミンから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法3):t=7.62min;m/z=280.4/282.4[M+H]
【0162】
参考実施例3D
5−ブロモ−2−(2−ヒドロキシエチル)−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
参考実施例3Aに記載の手順と類似の手順に従って、ただし、参考実施例2及びエタノールアミンから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法4):t=4.47min;m/z=256.3/258.3[M+H]
【0163】
参考実施例4
5−ブロモ−2,2−ジメチルインダン−1−オン
水素化ナトリウム(55%鉱油液、1.37g、31.3mmol)のトルエン(8.5mL)懸濁液に、5−ブロモ−1−インダノン(3.00g、14.2mmol)及びヨウ化メチル(4.43g、31.3mmol)を添加した。混合物を90℃で終夜加熱し、室温に冷却した。MeOHを数滴添加して、過剰の水素化物を分解した後、EtOAc及び水を添加した。相分離させ、水相をEtOAcで2回再抽出した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物2.43gを得た(収率:72%)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):1.25(s、6H)、2.98(s、2H)、7.51(d、J=8.4Hz、1H)、7.60−7.63(複合シグナル、2H)。
【0164】
参考実施例5
2,2−ジメチル−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オン
水素化ナトリウム(55%鉱油液、26.80g、0.55mol)のベンゼン(159mL)懸濁液に、6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オン(50.00g、0.28mol)及びヨウ化メチル(99.10g、0.69mol)を添加した。混合物を終夜加熱還流させ、室温に冷却した。MeOHを数滴添加して、過剰の水素化物を分解した後、EtOAc及び水を添加した。相分離させ、水相をEtOAcで再抽出した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させて、標記化合物を得た(定量収率)。
H NMR(80MHz、CDCl) δ (TMS):1.19(s、6H)、1.94(t、J=6.5Hz、2H)、2.93(t、J=6.5Hz、2H)、3.82(s、3H)、6.67(ブロード s、1H)、6.80(dd、J=9Hz、J’=2Hz、1H)、7.99(d、J=9Hz、1H)。
【0165】
参考実施例6
2,2−ジメチル−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オン
(参考実施例5で得た)2,2−ジメチル−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オン(20.0g、98mmol)と48%HBr水溶液(279mL)の混合物を2時間加熱還流させた。次いで、HBrを蒸留除去し、反応粗製物を室温に冷却し、水及びエチルエーテルで希釈した。相分離させ、生成物を1N NaOHによって有機相から抽出した。塩基性水相を2N HClで酸性にし、かくして得られた固体をろ過によって単離し、減圧乾燥させて、所望の化合物16.06gを黄褐色固体として得た(収率:86%)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):1.21(s、6H)、1.96(t、J=6.3Hz、2H)、2.92(t、J=6.3Hz、2H)、5.62(s、1H、OH)、6.65(d、J=2.4Hz、1H)、6.76(dd、J=8.4Hz、J’=2.4Hz、1H)、7.98(d、J=8.4Hz、1H)。
【0166】
参考実施例7
2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルトリフルオロメタンスルホナート
0℃に冷却した、(参考実施例6で得た)2,2−ジメチル−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オン(15.00g、78.8mmol)のピリジン(40mL)溶液に、無水トリフルオロメタンスルホン酸(24.46g、86.7mmol)を添加した。反応混合物を室温に加温し、終夜撹拌した。水及びEtOAcで希釈後、相分離させ、水相をEtOAcで3回再抽出した。混合有機相を水で洗浄し、10%HClで2回洗浄し、NaSOで脱水し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物21.54gを得た(収率:85%)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):1.23(s、6H)、2.02(t、J=6.3Hz、2H)、3.03(t、J=6.3Hz、2H)、7.15(d、J=2.4Hz、1H)、7.20(dd、J=8.7Hz、J’=2.4Hz、1H)、8.13(d、J=8.7Hz、1H)。
【0167】
参考実施例8
エチルN−[2−(3−メトキシフェニル)エチル]カルバマート
0℃に冷却した、3−メトキシフェネチルアミン(25.00g、0.17mol)とTEA(25mL、0.18mol)のCHCl(500mL)溶液に、クロロギ酸エチル(19.53g、0.18mol)を滴下し、反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。次いで、水を添加し、相分離させた。水相をCHClで再抽出した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させて、所望の化合物を得た(定量収率)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):1.23(t、J=7.2Hz、3H)、2.78(t、J=6.9Hz、2H)、3.43(q、J=6.6Hz、2H)、3.80(s、3H)、4.10(q、J=6.9Hz、2H)、4.69(ブロード s、1H)、6.74−6.79(複合シグナル、3H)、7.22(t、J=7.8Hz、1H)。
【0168】
参考実施例9
6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
(参考実施例8で得た)エチルN−[2−(3−メトキシフェニル)エチル]カルバマート(18.98g、85.0mmol)とポリリン酸(60g)の混合物を120℃で3時間加熱し、次いで60℃に冷却した。水及びEtOAcを添加し、混合物を室温に冷却した。相分離させ、水相をCHClで数回再抽出した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、極性が増加するEtOAc−MeOH混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物10.24gを得た(収率:68%)。
H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):2.97(m、2H)、3.55(m、2H)、3.85(s、3H)、6.31(ブロード s、1H)、6.70(d、J=2.1Hz、1H)、6.85(dd、J=8.7Hz、J’=2.4Hz、1H)、8.01(d、J=8.4Hz、1H)。
【0169】
参考実施例10
2−(2−クロロフェニル)−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
アルゴン下の(参考実施例9で得た)6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(1.50g、8.5mmol)のN−メチルピロリドン(4mL)溶液に、1−ブロモ−2−クロロベンゼン(2.34g、12.3mmol)、ヨウ化銅(I)(0.33g、1.7mmol)及び炭酸カリウム(2.33g、16.9mmol)を添加し、混合物を200℃で終夜加熱した。混合物を冷却し、CHCl及び1N NaOHを添加した。相分離させ、水相をCHClで2回再抽出した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させた。かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物2.01gを得た(収率:77%)。
LC−MS(方法1):t=8.05min;m/z=288.1/290.1[M+H]
【0170】
参考実施例11
2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン
−78℃に冷却した、アルゴン下の(参考実施例10で得た)2−(2−クロロフェニル)−6−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(2.01g、7.0mmol)の無水CHCl(40mL)溶液に、三臭化ホウ素(1M CHCl溶液、13.9mL、13.9mmol)を添加した。混合物を室温に加温し、終夜撹拌した。氷冷後、1N HClを添加し、混合物を30℃で30分間撹拌した。次いで、相分離させ、水相をCHClで再抽出した。混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させて、所望の化合物1.86gを得た(収率:98%)。
LC−MS(方法1):t=6.41min;m/z=274.1/276.1[M+H]
【0171】
参考実施例12
2−(2−クロロフェニル)−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−6−イルトリフルオロメタンスルホナート
(参考実施例11で得た)2−(2−クロロフェニル)−6−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1−オン(1.82g、6.7mmol)のCHCl(50mL)溶液に、ピリジン(1.1mL、13.3mmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し、無水トリフルオロメタンスルホン酸(2.06g、7.3mmol)を添加した。反応混合物を室温に加温し、終夜撹拌した。水で希釈後、相分離させ、水相をCHClで再抽出した。混合有機相を1N HClで洗浄し、NaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させた。得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物2.14gを得た(収率:80%)。
LC−MS(方法1):t=9.65min;m/z=406.0/408.0[M+H]
【0172】
参考実施例13
5−(2−メチル−5−ニトロフェニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
(参考実施例3で得た)5−ブロモ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン(200mg、0.69mmol)のトルエン(17mL)溶液をアルゴン下で30分間還流させ、次いで室温に冷却した。酢酸パラジウム(II)(12mg、0.05mmol)、(±)2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(32mg、0.05mmol)、カリウムtert−ブトキシド(110mg、0.98mmol)及び2−メチル−5−ニトロアニリン(126mg、0.83mmol)を添加した。混合物をアルゴンで不活性化し、90℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、CHCl及び水を添加した。相分離させ、水相をCHClで再抽出した。混合有機相を3N HCl及び1N NaOHで洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物200mgを得た(収率:80%)。
LC−MS(方法1):t=9.91min;m/z=358.0[M−H]
【0173】
参考実施例14−21
参考実施例13に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な化合物から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0174】
【表1】


【0175】
参考実施例22
4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)安息香酸
(参考実施例14で得た)メチル4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)ベンゾアート(0.7g、1.9mmol)のEtOH(39mL)溶液に、KOH(1g、18.8mmol)の水(3mL)溶液を添加し、混合物を2時間加熱還流させた。室温に冷却後、溶媒を蒸発させ、残渣を水で希釈した。溶液を6N HClで酸性にし、CHClで抽出した。有機相をNaSOで脱水し、溶媒を蒸発させて、標記化合物を得た(定量収率)。
LC−MS(方法1):t=8.31min;m/z=359.2[M+H]
【0176】
参考実施例23−25
参考実施例22に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な化合物から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0177】
【表2】

【0178】
参考実施例23:H NMR(300MHz、CDCl) δ (TMS):1.25(t、J=7.2Hz、3H)、2.33(s、3H)、3.64(q、J=7.2Hz、2H)、4.30(s、2H)、5.68(ブロード s、1H)、6.90−6.95(複合シグナル、2H)、7.34(d、J=8.1Hz、1H)、7.71(d、J=8.1Hz、1H)、7.75(dd、J=7.8Hz、J’=1.8Hz、1H)、7.99(d、J=1.5Hz、1H)。
【0179】
参考実施例26
5−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
(参考実施例13で得た)5−(2−メチル−5−ニトロフェニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン(0.25g、0.69mmol)のEtOH(16mL)溶液に、塩化スズ(II)(0.64g、3.45mmol)を添加し、混合物を3時間加熱還流させた。混合物を冷却し、CHClで希釈した。有機相を飽和NaHCO及び塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物0.14gを得た(収率:61%)。
LC−MS(方法1):t=6.32min;m/z=330.1[M+H]
【0180】
参考実施例26A
5−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2−(3−ヒドロキシプロピル)−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン
参考実施例26に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例15Bで得た)2−(3−ヒドロキシプロピル)−5−(2−メチル−5−ニトロフェニルアミノ)−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オンから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=3.97min;m/z=312.2[M+H]
【0181】
参考実施例27−30
参考実施例26に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な化合物から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0182】
【表3】

【0183】
参考実施例31
3−アミノ−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミド
3−アミノ−4−フルオロ安息香酸(0.30g、1.93mmol)のDMF(27mL)溶液に、EDC.HCl(0.41g、2.11mmol)、HOBT(0.26g、1.93mmol)及びN−メチルモルホリン(0.58g、5.79mmol))を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。シクロプロピルアミン(0.11g、1.93mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、CHCl及び水を添加した。相分離させ、有機相を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物0.35gを得た(収率:92%)。
LC−MS(方法1):t=4.24min;m/z=195.1[M+H]
【0184】
参考実施例32−33
参考実施例31に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な酸から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0185】
【表4】

【0186】
参考実施例34
2−(ピロリジン−1−イル)イソニコチン酸
2−クロロイソニコチン酸(0.25g、1.58mmol)のピロリジン(1.5mL)溶液を80℃で終夜加熱した。溶媒を蒸発させ、水及びCHClを添加し、相分離させた。水相のpHを5に調節し、固体を沈殿させ、ろ過し、水及びCHClで洗浄した。生成物を減圧乾燥後、標記化合物95mgを得た(収率:31%)。
LC−MS(方法1):t=1.14min;m/z=193.1[M+H]
【0187】
参考実施例35
3−アミノ−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド
参考実施例31に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、3−アミノ−4−メチル安息香酸及びシクロプロピルアミンから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法2):t=4.44min;m/z=191.5[M+H]
【0188】
(実施例1)
N−シクロプロピル−4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)ベンズアミド
(参考実施例22で得た)4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)安息香酸(100mg、0.28mmol)のDMF(4mL)溶液に、EDC.HCl(59mg、0.31mmol)、HOBT(37mg、0.28mmol)及びN−メチルモルホリン(0.08g、0.84mmol))を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。シクロプロピルアミン(15mg、0.28mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、CHCl及び水を添加した。相分離させ、有機相を飽和NaHCOで洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物96mgを得た(収率:86%)。
LC−MS(方法1):t=8.35min;m/z=398.2[M+H]
【0189】
(実施例1A−1D)
実施例1に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な化合物から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0190】
【表5】

【0191】
(実施例2)
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド
実施例1に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例24で得た)3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル安息香酸から出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=7.74min;m/z=349.3[M+H]
【0192】
(実施例2A−2G)
実施例2に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切なアミンから出発して、以下の表の化合物を得た。
【0193】
【表6】

【0194】
(実施例3)
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド
実施例1に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例25で得た)3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチル安息香酸から出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法2):t=8.77min;m/z=363.3[M+H]
【0195】
(実施例4)
N−[4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)フェニル]フラン−3−カルボキサミド
(参考実施例26で得た)5−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン(70mg、0.21mmol)のDMF(6mL)溶液に、3−フランカルボン酸(28mg、0.25mmol)、HOBT(28mg、0.21mmol)、PyBOP(107mg、0.21mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.11mL)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、CHCl及び飽和NaHCOを添加した。相分離させ、有機相をNaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を分取HPLCによって精製して、標記化合物8mgを得た(収率:9%)。
LC−MS(方法1):t=9.21min;m/z=422.0[M−H]
【0196】
(実施例4A−4B)
実施例4に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な化合物から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0197】
【表7】

【0198】
(実施例5)
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチルフェニル]フラン−3−カルボキサミド
実施例4に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例30で得た)6−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2,2−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−オンから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法2):t=9.64min;m/z=389.3[M+H]
【0199】
(実施例6)
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]シクロプロピルカルボキサミド
実施例4に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例27で得た)5−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2,2−ジメチルインダン−1−オン及びシクロプロパンカルボン酸から出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=8.30min;m/z=349.2[M+H]
【0200】
(実施例6A−6E)
実施例6に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切な酸から出発して、以下の表の化合物を得た。
【0201】
【表8】

【0202】
(実施例7)
2−シクロプロピル−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−インダン−5−イルアミノ)フェニル]アセトアミド
実施例4に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例28で得た)5−(3−アミノフェニルアミノ)−2,2−ジメチルインダン−1−オン及びシクロプロピル酢酸から出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=8.15min;m/z=349.3[M+H]
【0203】
(実施例8)
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド
0℃に冷却した、塩化アセチル(28mg、0.36mmol)のCHCl(5mL)溶液に、TEA(54mg、0.54mmol)及び(参考実施例27で得た)5−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2,2−ジメチルインダン−1−オン(0.1g、0.36mmol)のCHCl(5mL)溶液をアルゴン下で添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、混合物をCHCl及び水で希釈し、相分離させた。水相をCHClで再抽出し、混合有機相を塩水で洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物43mgを得た(収率:37%)。
LC−MS(方法1):t=7.37min;m/z=323.3[M+H]
【0204】
(実施例9)
1−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]−3−イソプロピル尿素
(参考実施例27で得た)5−(5−アミノ−2−メチルフェニルアミノ)−2,2−ジメチルインダン−1−オン(0.10g、0.36mmol)のDMF(2mL)溶液に、イソプロピルイソシアナート(36mg、0.43mmol)をアルゴン下で添加し、混合物を70℃で終夜加熱した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物34mgを得た(収率:26%)。
LC−MS(方法1):t=8.24min;m/z=366.1[M+H]
【0205】
(実施例10)
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−メチルアミノ]−4−メチルベンズアミド
−78℃に冷却した、(実施例2で得た)N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド(0.1g、0.29mmol)の無水THF(6mL)溶液に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(2M THF溶液0.29mL、0.58mmol)をアルゴン下で添加した。冷却浴を除去し、混合物を室温で45分間撹拌した。−78℃に再冷却後、ヨウ化メチル(40mg、0.29mmol)を添加した。冷却浴を除去し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、飽和NHCl 2mLを添加し、混合物をCHCl及び水で希釈した。相分離させ、有機相をNaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を分取HPLCによって精製して、標記化合物55mgを得た(収率:53%)。
LC−MS(方法1):t=8.41min;m/z=363.1[M+H]
【0206】
(実施例11)
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド
a)N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド
(実施例2で得た)N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド(0.2g、0.57mmol)の無水トルエン(6.5mL)懸濁液に、水素化ナトリウム(50mg、60%油分散、1.14mmol)及び15−クラウン−5(4mg、0.02mmol)をアルゴン下で添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで、3−ブロモプロパノールテトラヒドロピラニルエーテル(0.13g、0.57mmol)を添加し、混合物を90℃で終夜加熱した。混合物を冷却し、EtOAc及び飽和NaHCOで希釈した。相分離させ、有機相をNaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させて、所望の化合物を得た(定量収率)。
LC−MS(方法1):t=9.74min;m/z=491.2[M+H]
【0207】
b)標記化合物
酢酸(6.5mL)、THF(3.25mL)及び水(1.6mL)の混合物中の(セクションa)で得た)N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド(0.57mmol)溶液を50℃で終夜加熱した。溶媒を蒸発させ、残渣をEtOAcで希釈し、飽和NaHCOで洗浄した。有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物112mgを得た(収率:48%)。
LC−MS(方法1):t=7.20min;m/z=407.1[M+H]
【0208】
(実施例11A)
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド
実施例11に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、3−ブロモプロパノールテトラヒドロピラニルエーテルの代わりに2−ブロモエタノールテトラヒドロピラニルエーテルを用いて、標記化合物を得た。
LC−MS(方法4):t=6.21min;m/z=393.5[M+H]
【0209】
(実施例12)
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(モルホリン−4−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド
a) 3−[N−(5−シクロプロピルアミノカルボニル−2−メチルフェニル)−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]プロピルメタンスルホナート
(実施例11で得た)N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド(90mg、0.22mmol)の無水CHCl(2.2mL)溶液に、TEA(29mg、0.29mmol)を添加し、混合物を0℃に冷却した。塩化メタンスルホニル(26mg、0.23mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。水で希釈後、相分離させた。水相をCHClで再抽出し、混合有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させて、標記化合物110mgを得た(収率:97%)。
LC−MS(方法1):t=8.25min;m/z=485.2[M+H]
【0210】
b)標記化合物
(セクションa)で得た)3−[N−(5−シクロプロピルアミノカルボニル−2−メチルフェニル)−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]プロピルメタンスルホナート(110mg、0.21mmol)とモルホリン(37mg、0.43mmol)の混合物のアセトニトリル(2mL)溶液を70℃で終夜撹拌した。溶媒を蒸発させ、残渣をCHCl及び飽和NaHCOで希釈した。相分離させ、有機相をNaSOを用いて脱水し、溶媒を蒸発させた。かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物67mgを得た(収率:62%)。
LC−MS(方法1):t=5.49min;m/z=476.3[M+H]
【0211】
(実施例12A−12G)
実施例12に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、段階b)においてモルホリンの代わりに適切なアミンを用いて、以下の表の化合物を得た。
【0212】
【表9】

【0213】
(実施例12H−12I)
実施例12に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、実施例11の代わりに実施例11Aから出発し、段階b)においてモルホリンの代わりに適切なアミンを用いて、以下の表の化合物を得た。
【0214】
【表10】

【0215】
(実施例13)
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−フルオロベンズアミド
(参考実施例4で得た)5−ブロモ−2,2−ジメチルインダン−1−オン(215mg、0.9mmol)のトルエン(8mL)溶液をアルゴン下で30分間還流させ、次いで室温に冷却した。酢酸パラジウム(II)(11mg、0.05mmol)、(±)2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(33mg、0.05mmol)、炭酸セシウム(0.88g、2.7mmol)及び(参考実施例31で得た)3−アミノ−N−シクロプロピル−4−フルオロベンズアミド(0.35g、1.80mmol)を添加した。混合物をアルゴンで不活性化し、90℃で終夜加熱した。反応混合物を室温に冷却し、セライトパッドによってろ過した。CHCl及び水を添加し、相分離させ、有機相を3N HClで洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、かくして得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物196mgを得た(収率:62%)。
LC−MS(方法1):t=7.61min;m/z=353.1[M+H]
【0216】
(実施例14−15)
実施例13に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、各場合において適切なアミンから出発して、以下の表の化合物を得た。
【0217】
【表11】

【0218】
(実施例16)
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド
実施例1に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例24Aで得た)3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)安息香酸から出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=7.50min;m/z=335.1[M+H]
【0219】
(実施例17)
2−シクロプロピル−N−[5−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−2−メチルフェニル]アセトアミド
実施例4に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例29で得た)5−(3−アミノ−4−メチルフェニルアミノ)−2,2−ジメチルインダン−1−オン及びシクロプロピル酢酸から出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法1):t=8.19min;m/z=363.3[M+H]
【0220】
(実施例18)
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−メトキシアセチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド
(実施例2で得た)N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド(100mg、0.29mmol)のCHCl(2mL)溶液に、TEA(0.05mL、0.34mmol)を添加し、混合物を0℃に冷却した。塩化メトキシアセチル(34mg、0.31mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌し、次いで40℃で2時間加熱した。追加のTEA及び塩化メトキシアセチルを添加し、混合物を40℃で更に48時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いでCHCl及び水で希釈した。相分離させ、有機相を2N NaOHで洗浄し、NaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物39mgを得た(収率:32%)。
LC−MS(方法3):t=7.69min;m/z=421.4[M+H]
【0221】
(実施例19)
3−[N−シクロプロパンカルボニル−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド
実施例18に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(実施例2で得た)N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド及びシクロプロパンカルボニルクロリドから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法4):t=8.44min;m/z=417.4[M+H]
【0222】
(実施例20)
3−(2−シクロペンチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド
実施例13に記載の手順と類似の手順に従って、ただし、(参考実施例3Cで得た)5−ブロモ−2−シクロペンチル−2,3−ジヒドロイソインドル−1−オン及び(参考実施例35で得た)3−アミノ−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミドから出発して、所望の化合物を得た。
LC−MS(方法4):t=6.72min;m/z=390.5[M+H]
【0223】
(実施例21)
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(メタンスルホニル)アミノ]−4−メチルベンズアミド
水素化ナトリウム(60%鉱油液17mg、0.42mmol)の無水DMF(3mL)懸濁液に、(実施例2で得た)N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド(100mg、0.29mmol)及び塩化メタンスルホニル(32μL、0.42mmol)を順次添加し、混合物を60℃で18時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いでEtOAc及び水で希釈した。相分離させ、有機相をNaSOを用いて脱水した。溶媒を蒸発させ、得られた粗生成物を、極性が増加するヘキサン−EtOAc混合物を溶離剤として用いたシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物20mgを得た(収率:16%)。
LC−MS(方法4):t=7.13min;m/z=427.2[M+H]
【0224】
(実施例22)
バイオアッセイ
p38α酵素活性の阻害:
貯蔵化合物の100%DMSO溶液を、まず、DMSOで1×10−3から3.2×10−8Mの濃度に希釈し、次いでキナーゼアッセイ緩衝剤(10mM Tris−HCl、pH7.2、10mM MgCl、0.01%tween 20、0.05%NaN、1mM DTT)で4×10−5から1.3×10−9Mの濃度範囲にさらに希釈する。各化合物のうち溶液5μLを384ウェル黒色Optiplate(Packard、6007279)に移し、続いて、いずれもキナーゼアッセイ緩衝剤で希釈された、ATP(Boehringer、519987)5μL、フルオレセイン標識EGFRペプチド基質5μL及び活性p38αキナーゼ5μL(完全長ヒトp38αに対応するGSTタグ付き融合タンパク質;UpstateによってE.コリ(E.coli)、14−251中で発現。)を添加する(表1の最終濃度参照)。混合物を室温(RT)で2時間インキュベートする。IMAP結合緩衝剤で400倍に希釈した(Milli Qで5倍希釈した貯蔵濃度)IMAP結合試薬60μLを添加して反応を停止する。室温で30分間インキュベーション後、Analyst(商標)多モード蛍光プレートリーダー(Molecular Devices)によって励起波長485nm及び発光波長530nm(1秒/ウェル)でFPを測定する。
【0225】
【表12】

【0226】
データ処理を以下のとおり実施する:p38酵素添加なしを最大阻害効果とし、p38酵素添加を最小阻害効果として、効果の百分率を計算する。各実験において、個々の化合物濃度を2つ組で試験し、効果の百分率を各濃度について計算する。
【0227】
全実施例の化合物は、上記アッセイにおいて10μMで50%を超える阻害を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iの化合物又はその塩。
【化1】

(式中、
Aは、CR又はNRであり、
及びRは独立にC1−4アルキルであり、
は−(CH−Cyであり、又は1個以上のRで置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
mは1又は2であり、
は−B−Rであり、
は、水素、C1−4アルキル、ハロゲン又はC1−4アルコキシであり、
は、フェニル環の任意の利用可能な炭素原子と結合することができ、ハロゲン又はメチルであり、
nは0又は1であり、
Bは、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−であり、
は、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル及びC1−4ハロアルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよい、ヒドロキシ、C1−4アルコキシ、ハロゲン、−NR1010又はフェニルであって、さらに、同じ炭素原子上の2個のR基は結合して−(CH−基を形成することができ、
は、C1−6アルキル又は−(CH−Cyであり、
pは0、1又は2であり、
qは2、3、4、5又は6であり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれも1個以上のR11で置換されていてもよく、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール又はC3−7シクロアルキルであって、そのいずれも1個以上のR12で置換されていてもよく、
及びR10は独立に水素又はC1−4アルキルであり、
11は、ハロゲン、R13、−OR13’、−NO、−CN、−COR13’、−CO13’、−CONR14’14’、−NR14’14’、−NR14’COR13’、−NR14’CONR14’14’、−NR14’CO13、−NR14’SO13、−SR13’、−SOR13、−SO13、−SONR14’14’又はCyであり、
12は、C1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ又はCyであり、
13は、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルであり、
13’は、水素又はR13であり、
14は、C1−4アルキル又はC1−4ヒドロキシアルキルであり、
14’は、水素又はR14であり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれもC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル及びC1−4ハロアルコキシから選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
15は、水素、R16、−COR17、−CONHR17、−SO17又は−COOR17であり、
16は、ハロゲン、−OR13’、−NO、−CN、−COR13’、−CO13’、−CONR14’14’、−NR1818、−NR14’COR13’、−NR14’CONR14’14’、−NR14’CO13、−NR14’SO13、−SR13’、−SOR13、−SO13、−SONR14’14’及びCyから選択される1個以上の基で置換されていてもよいC1−6アルキルであり、
17は、R16又はCyであり、
18は、水素、C1−4アルキル、C1−4ヒドロキシアルキル又はC1−4アルコキシC1−4アルキルであり、
Cyは、フェニル、ヘテロアリール、C3−7シクロアルキル又はヘテロシクリルであって、そのいずれもC1−4アルキル、ハロゲン、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルキル、C1−4ハロアルコキシ、ヒドロキシ、C1−4ヒドロキシアルキル及び−NR1919から選択される1個以上の基で置換されていてもよく、
19は、水素又はC1−4アルキルである。)
【請求項2】
CyがCyであり、−NR1818が−NR14’14’である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
AがCRである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
AがNRである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
mが1である、請求項1から4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が、−(CH−Cy、C1−6アルキル又はC1−6ヒドロキシアルキルである、請求項1、2、4又は5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が、Cy、C1−6アルキル又はC1−6ヒドロキシアルキルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がRと同一であり、どちらもメチルである、請求項1、2、3又は5のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、水素、メチル、ハロゲン又はメトキシである、請求項1から8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
Bが、−CONR−又は−NRCO−である、請求項1から9のいずれかに記載の化合物。
【請求項11】
15が、水素、R16、−COR17又は−SO17である、請求項1から10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
15が、水素である、又は−OR13’、−NR1818及びCyから選択される1個以上の基で置換されていてもよいC1−6アルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
以下から選択される、請求項1に記載の化合物:
N−シクロプロピル−4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)ベンズアミド、
4,N−ジメチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2−エチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[2−(3−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[2−(2−ヒドロキシエチル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピルメチル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
4,N−ジメチル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル−N−フェニルベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル−N−(3−ピリジル)ベンズアミド、
N−ベンジル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチル−N−(2−チアゾリル)ベンズアミド、
3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4,N,N−トリメチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチルベンズアミド、
N−[4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)フェニル]フラン−3−カルボキサミド、
2−シクロプロピル−N−[4−メチル−3−(1−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)フェニル]アセトアミド、
2−シクロプロピル−N−[3−(2−(3−ヒドロキシプロピル)−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−6−イルアミノ)−4−メチルフェニル]フラン−3−カルボキサミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]シクロプロピルカルボキサミド、
2−シクロプロピル−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]フラン−3−カルボキサミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]チオフェン−2−カルボキサミド、
2−クロロ−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]イソニコチンアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]−2−(ピロリジン−1−イル)イソニコチンアミド、
2−シクロプロピル−N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソ−インダン−5−イルアミノ)フェニル]アセトアミド、
N−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]アセトアミド、
1−[3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メチルフェニル]−3−イソプロピル尿素、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−メチルアミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(モルホリン−4−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−ジメチルアミノプロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(4−(2−ヒドロキシエチル)−ピペリジン−1−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
3−[N−(3−(4−アミノピペリジン−1−イル)プロピル)−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド、
(R)−N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(3−ヒドロキシピロリジン−1−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(2−メトキシエチルアミノ)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(3−(ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ)プロピル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−[2−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]エチル]アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−(ピペラジン−1−イル)エチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−フルオロベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−4−メトキシベンズアミド、
4−クロロ−N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド、
N−シクロプロピル−3−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)ベンズアミド、
2−シクロプロピル−N−[5−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イルアミノ)−2−メチルフェニル]アセトアミド、
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(2−メトキシアセチル)アミノ]−4−メチルベンズアミド、
3−[N−シクロプロパンカルボニル−N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)アミノ]−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド、
3−(2−シクロペンチル−1−オキソ−2,3−ジヒドロイソインドル−5−イルアミノ)−N−シクロプロピル−4−メチルベンズアミド、及び
N−シクロプロピル−3−[N−(2,2−ジメチル−1−オキソインダン−5−イル)−N−(メタンスルホニル)アミノ]−4−メチルベンズアミド。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかに記載の式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩と、薬剤として許容される1種類以上の賦形剤とを含む、薬剤組成物。
【請求項15】
p38媒介性疾患の治療又は予防用医薬品の製造のための、請求項1から13のいずれかに記載の式Iの化合物、又は薬剤として許容されるその塩の使用。
【請求項16】
p38媒介性疾患が、免疫、自己免疫及び炎症性疾患、循環器疾患、感染症、骨吸収疾患、神経変性疾患、増殖性疾患、並びにシクロオキシゲナーゼ2の誘導に関連するプロセスから選択される、請求項15に記載の使用。

【公表番号】特表2008−544965(P2008−544965A)
【公表日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518715(P2008−518715)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/006256
【国際公開番号】WO2007/000340
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507037024)
【Fターム(参考)】