説明

p38MAPキナーゼ阻害剤による、動物における急性の炎症の治療方法

本発明は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤を投与することによって、乳腺炎を含む急性の炎症性の状態を有する動物を治療する方法を提供する。本発明はまた、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤を投与することによって、急性の炎症性の状態に苦しむ動物においてミルクの産生を促進し、そしてミルクの廃棄を減少させるための方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、急性の炎症及びそれによって引き起こされた状態を有する動物の治療のための、p38MAPキナーゼの使用に関する。特に、本発明は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤を投与することによって、乳腺炎を含む急性の炎症性の状態を有する動物を治療する方法を提供する。本発明はまた、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤を投与することによって、急性の炎症性の状態に苦しむ動物においてミルクの産生を促進し、そしてミルクの廃棄を減少させるための方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物における急性の炎症反応は、しばしば組織を損傷して器官または組織の機能の喪失及び付随性の負の影響を健康、産生、及び行動全体に及ぼす。
【0003】
マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼは、情報伝達及び刺激に対する細胞応答の増幅に関与する主要酵素である。MAPキナーゼのp38群は、炎症の開始及び進行に関係する一群のMAPキナーゼである。P38群は、本来のp38MAPキナーゼの少なくとも3つの知られた同族体を含む(Ono et al., (2000) Cellular Signalling 12:1-13)。炎症の初期の事象は、サイトカイン放出、好中球の活性化及び速やかな蓄積とそれに続く単核細胞の動員を含む。P38MAPキナーゼは、多くの異なる細胞における広範囲の炎症反応の制御に中心的役割を演じる。最近の研究は、p38MAPキナーゼ阻害剤である[(S)-5-[2-(1−フェニルエチルアミノ)ピリミジン-4-イル]-1-メチル-4-(3-トリフルオロメチルフェニル)-2-(4-ピペリジニル)イミダゾール]が、リポポリサッカライド(LPS)によって誘発された軽い肺の炎症のマウスモデルにおける肺への最初の好中球の動員を減少させたことを示した(Nick et al., (2000)J. Immunol.164:2151-2159)。P38MAPキナーゼは、生理化学的ストレス、リポポリサッカライド(LPS)またはE.コリによる処置、トル様受容体並びにTNF及びIL-1受容体からの情報伝達を含む広範な細胞外刺激による刺激後の二重のリン酸化によって活性化される。P38リン酸化の産物は、TNF、IL-1、IL-6、iNOS及びシクロオキシゲナーゼ−2を含む炎症性のサイトカインの産生を仲介する。
【0004】
乳腺炎は、乳を出している乳牛を苦しめるものであり、米国だけでも毎年20億ドルを超える経済的損失を伴う、畜産業における最も費用のかかる病気の1つである(Blosser, T. (1979)J. Dairy Sci. 62: 119-127)。乳腺炎は、ブドウ球菌、連鎖球菌、及び大腸菌型を含む多くの細菌病原体の乳房内感染によって引き起こされる。乳腺炎に起因する経済的損失は、ミルクの産生減少及び質の低下、獣医学的費用及び乳牛の死の増加を含む。ミルク産生の減少は、細菌感染への炎症反応に関連した病理生理学的変化に広く起因する。参考文献として本明細書中に援用されている、Shuster, D. and Kehrli, M.E. (1995) Am. J. Vet. Res. 56(3):212-320;Shuster et al. (1991) J. Dairy Sci. 74:1527-1538;Shuster et al. (1991) J. Dairy Sci. 74:3407-3411;Shuster et al. (1991) J. Dairy Sci. 74:3763-3774。上記で特徴づけされた細菌によって引き起こされた乳腺炎は、臨床的または潜在性の病気のいずれかとして顕在化することができる。Cullor et al. (1990)Disorders of the mammary gland in large animal medicine., B.P. Smith The C.V. Mosby Company, St. Louis. Mo. 63146, pp.1047-1067。臨床的な病気は、ミルクにおける変化を伴う弱く罹患した乳房から、最終的にはその乳房が失われることとなるひどく感染した乳房を介して、しばしば死に至る全身的な病気の乳牛まで、多様である。潜在性の乳腺炎は、多くの乳牛の群れに蔓延している。罹患した乳房は、上記の病原性細菌に感染しているが、臨床的徴候はない。ミルク中の体細胞のレベルが増加し、この変化は慣用の手段によって検出可能である。潜在性の乳腺炎は、ミルクの産生及び質の低下を伴う。
【0005】
ここに、我々は、結果として動物のミルクの産生を増加し、損失及び廃棄を減少させる、p38MAPキナーゼ活性の亢進に特徴を有する、急性の炎症性の状態の治療方法において有用なp38のキナーゼ活性の阻害剤を開示する。
【発明の開示】
【0006】
発明の要約
本発明は、炎症性の病気の治療又は急性の炎症性の病気からの回復の促進を必要とする動物においてその方法を提供し、該方法は上記動物に少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の有効量を投与することを含む。
【0007】
本発明の他の側面は、急性の炎症性の病気に罹った動物におけるミルク産生の促進又はミルク損失の減少のための方法であり、該方法は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の有効量を上記哺乳動物に投与することを含む。
【0008】
本発明の第3の側面は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の有効量の投与を含む、動物におけるCOX-2酵素、TNF,又はIL-1の合成及び活性を阻害する方法を目的とする。
【0009】
本発明の他の側面は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の有効量の投与を含む、動物におけるアポトーシス細胞死を阻害する方法を目的とする。
【0010】
好ましい実施態様において、p38MAPキナーゼ阻害剤は、以下の:
(i)以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は、-Hであり;
R2は、置換又は非置換のヘテロ環、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ環は、独立して以下の:窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む、飽和、部分的に飽和又は不飽和の5、6、又は7員環であって;そして、上記の任意のヘテロ環がベンゼン環または他のヘテロ環に縮合している任意の2環式基を含み;そして上記窒素は、酸化状態にあって、N-オキシド形態であってもよく;そして場合によりRyで置換されており;
各Ryは、独立して、-ハロ、-OH、-(C1-C6)アルキル、-(C2-C6)アルケニル、-(C2-C6)
アルキニル、-O(C1-C6)アルキル、-O(C2-C6)アルケニル、-O(C2-C6)アルキニル、(C0-
C6)アルキル‐NR13R14、-C(O)-NR13R14、-SO2R13、-SOR13、-SR13、-NR13-SO2R14、-N
R13-C(O)-R14、-NR13-OR14、‐SO2-NR13R14、-CN、-CF3、-C(O)(C1-C6)アルキル、=O
、-SO2-フェニル、又はC(O)-Ar若しくはhet-Arであり;
R3は、独立して、-H、-ハロ、-OH、-(C1-C10)アルキル、OCH3、NH2、NHR、であって、ここで、Rは、アリール、ヘテロアリール又はアルキルであり;そして、
R4は、置換または非置換のアリール及びヘテロアリールであり;
各R13及びR14は、それぞれ独立して、以下の:-H;結合のための炭素原子以外の1若しくは2個の炭素原子が、以下の:S、O及びNから成る群から独立して選ばれる、1若しくは2個のヘテロ原子で置換されていてもよく、ここで、各炭素原子が場合により、1、2若しくは3個のハロで置換されている、-(C1-C6)アルキル;場合により1、2若しくは3個のハロで置換されている、-(C2-C6)アルケニル;又は結合のための炭素原子及びエチニル原子以外の1つの炭素原子が、場合により1つの酸素原子で置換されており、そしてここで、各炭素原子が場合により1、2若しくは3個のハロで置換されている、‐(C2-C6)アルキニルであるか;或いは、
R13及びR14は、それらが結合しているNと一緒になって、hetを形成する。}
によりあらわされる化合物、
(ii)以下の式II
【化2】

{式中、
「A」は、置換または非置換のピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、またはイソチアゾリルであり;
R6及びR7は、独立して、-H或いは置換または非置換の(シクロ)アルキル、フェニル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
R8は、独立して、ハロ、(ペルハロ)アルキル、(ペルハロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル(オキシ)、フェニル、OH、(ペルハロ)アルコキシ、フェノキシ、アルキルチオ、アルキル(アミノ)スルホニル、アルキルスルファモイル、カルバモイル、アシルまたはカルボキシであり;そして、
sは、0〜5である。}
によりあらわされる化合物、
(iii)以下の式III:
【化3】

{式中、
「B」は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリルなどの置換または非置換のヘテロ基であり;
R9は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R10は、H、アルキル、フェニル、F、ClまたはCNであり;そして、
sは、0〜5である。}
により表される化合物、及び
(iv)以下の式IV:
【化4】

{式中、
「C」は、置換または非置換のピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、またはイソチアゾリルであり;
R11は、H、アルケニル、アルキニル、或いは置換または非置換の(シクロ)アルキル、フェニル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル、またはアミノであり;
R12は、ハロ、(シクロ)アルキル(オキシ)、(ペルハロ)アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール(オキシ)、ヘテロシクリル(オキシ)、OH、(ペルハロ)アルコキシ、フェノキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルアミノスルホニル、NO2、置換及び非置換のアミノまたはカルバモイルであり;そして、
sは、0〜5である。}
により表される化合物から選ばれる。
【0011】
好ましい実施態様において、p38MAPキナーゼ阻害剤は、以下の:
(i)化合物MAPKi#1
【化5】

(ii)化合物MAPKi#2
【化6】

(iii)化合物MAPKi#3
【化7】

(iv)式IIIaの化合物
【化8】

(v)式IVaの化合物
【化9】

から選ばれる。
【0012】
好ましい実施態様においては、炎症性の病気は、以下の:乳腺炎、呼吸器疾患、滞留胎盤膜、子宮炎、子宮蓄膿症、腸炎、肝炎、腎炎、敗血症、内毒血症、蹄葉炎、凍傷、及び閉塞性の腸の問題から成る群から選ばれる。
【0013】
好ましい閉塞性の腸の問題は、以下の:疝痛、第四胃変位、及び盲腸捻転から成る群から選ばれる。
【0014】
好ましい実施態様においては、炎症性の病気は乳腺炎であり、動物は乳牛である。
【0015】
さらなる実施態様においては、医薬として許容可能な担体が好ましい。
【0016】
「A」、「B」、「C」、「het」または「ヘテロ環」という用語は、場合により以下の:窒素、イオウ及び酸素から選ばれる、1または2個のヘテロ原子を含む、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、またはイソチアゾリルなどの置換へテロ基をさす。
【0017】
本明細書中の「アルキル」という用語、並びに(例えば、アルコキシなどの)他の基のアルキル部分は、(メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、二級ブチル、三級ブチルなどの)直線状または分岐していることができ、そしてそれらは環状であること(シクロプロピルまたはシクロブチルなど)もできる。
【0018】
「ハロゲン」という用語は、フッ化、塩化、臭化、またはヨウ化、或いはフッ化物、塩化物、臭化物またはヨウ化物を含む。
【0019】
「アリール」という用語は、場合により1〜3個の、フッ化、塩化、トリフルオロメチル、(C1-C6)アルコキシ、(C6-C10)アリールオキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシまたは(C1-C6)アルキルなどの好適な置換基で置換された、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニルなどの芳香族ラジカルを意味する。
【0020】
「ヘテロアリール」という用語は、環中にO、S及びNから選ばれる1つのヘテロ原子を通常有する、芳香族ヘテロ環基を指す。
【0021】
本明細書中の「ヘテロ環」という用語は、1〜9個の炭素原子及びN、O、S及びNRから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含む環状の基を指す。かかる環の例は、中でも、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニルを含む。
【0022】
上記の用語のさらなる例は、権利請求された発明において利用される化合物をさらに記載する本明細書中に援用されている参考文献中により完全に記載される。
【0023】
急性の炎症性の状態に関して本明細書において使用される「治療することまたは治療」という用語は、腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−1(IL-1)及びシクロオキシゲナーゼ−2(COX-2)の阻害を含む、p38MAPキナーゼによって仲介される炎症反応に関連する症状を阻害し、軽減し、予防し、または回復させること、並びにTNF、IL-1及びCOX-2を含む炎症性のサイトカインの増強によって引き起こされる炎症性の状態または病気の症状を改善することを意味する。急性の炎症の症状からの回復が促進された場合、該治療は、治療的であると考えられる。
【0024】
本発明によって考慮される「促進された回復」は、感染し、治療された動物の状態と感染した投薬されない動物の状態の比較から慣用的に判定される。促進された回復は、以下の:呼吸機能、成長速度、生殖行動、歩行運動、ミルクの合成及び分泌などの、炎症性の組織の以前の生理学的性能への近似的な復帰のいずれによっても評価される。例は、ミルク廃棄の減少、ミルク収量の増加、炎症の減少、ミルク中のE.コリレベルの減少、またはホエーPGE2レベルの低下などを含む。本発明の方法は、例えば、動物における急性の炎症反応からの回復を促進するのに有効である。
【0025】
本明細書中で使用される「急性の炎症性の状態」は、乳腺炎、呼吸器疾患、滞留胎盤膜、子宮炎、子宮蓄膿症、腸炎、肝炎、腎炎、敗血症、蹄葉炎、凍傷、及び疝痛、第四胃変位、盲腸捻転を含む腸閉塞の問題及び内毒血症を含むが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書中で使用される「動物」という用語は、ウマ科哺乳類、コンパニオンアニマル、家畜を含むが、これらに限定されないすべての哺乳類をさす。
【0027】
本明細書中で使用される「ウシ」という用語は、(食用の)去勢牛、雄ウシ、雌ウシ、及び子ウシを含むが、これらに限定されないウシをさす。好ましくは、本発明の方法は、乳を出す非ヒト哺乳類である動物;最も好ましくは乳牛に適用される。
【0028】
「有効量」という用語は、p38MAPキナーゼ阻害剤が投与された動物におけるミルク産生を増加させ、ミルク廃棄を減少させ、E.コリ計測数を減少させ、またはホエーPGE2レベルを減少させるのに十分な、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の量をさす。P38MAPキナーゼ阻害剤の有効量は、例えば、該阻害剤が急性の炎症性の状態または病気に罹った動物の回復を促進することを意味する。
【0029】
「医薬として許容可能な担体」という用語は、活性成分の生理活性の有効性を妨害せず、化学的に不活性であって、それが投与される対象に対して有毒でない担体媒体をさす。
【0030】
詳細な説明
本発明は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤を投与することによって、乳腺炎を含む急性の炎症性の状態を有する動物を治療するための方法を提供する。本発明はまた、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤を投与することによって、急性の炎症性の状態に罹った動物においてミルク産生を促進し、そしてミルク廃棄を減少させるための方法も提供する。
【0031】
本発明のために利用されるp38MAPキナーゼ阻害剤化合物は、特に、本明細書に含まれる記載を参照し、または引用された参考文献を介して、化学の分野で周知の過程に類似した過程を含む合成経路によって合成されることができる。
【0032】
式Iの化合物は、p38MAPキナーゼ阻害剤でもあり、そして炎症、骨関節炎、リューマチ関節炎、癌、脳卒中または心臓発作における再灌流または虚血、自己免疫疾患及び他の障害の治療において有用である。
【0033】
式I:
【化10】

{式中、
R1は、-Hであり;
R2は、置換又は非置換のヘテロ環、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ環は、独立して以下の:窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む、飽和、部分的に飽和又は不飽和の5、6、又は7員環であって;そして、上記の任意のヘテロ環がベンゼン環または他のヘテロ環に縮合している任意の2環式基を含み;そして上記窒素は、酸化状態にあって、N-オキシド形態であってもよく;そして場合によりRyで置換されており;
各Ryは、独立して、-ハロ、-OH、-(C1-C6)アルキル、-(C2-C6)アルケニル、-(C2-C6)
アルキニル、-O(C1-C6)アルキル、-O(C2-C6)アルケニル、-O(C2-C6)アルキニル、(C0-
C6)アルキル‐NR13R14、-C(O)-NR13R14、-SO2R13、-SOR13、-SR13、-NR13-SO2R14、-N
R13-C(O)-R14、-NR13-OR14、‐SO2-NR13R14、-CN、-CF3、-C(O)(C1-C6)アルキル、=O
、-SO2-フェニル、又はC(O)-Ar若しくはhet-Arであり;
R3は、独立して、-H、-ハロ、-OH、-(C1-C10)アルキル、OCH3、NH2、NHR、であって、ここで、Rは、アリール、ヘテロアリール又はアルキルであり;そして、
R4は、置換または非置換のアリール及びヘテロアリールであり;
各R13及びR14は、それぞれ独立して、以下の:-H;結合のための炭素原子以外の1若しくは2個の炭素原子が、以下の:S、O及びNから成る群から独立して選ばれる、1若しくは2個のヘテロ原子で置換されていてもよく、ここで、各炭素原子が場合により、1、2若しくは3個のハロで置換されている、-(C1-C6)アルキル;場合により1、2若しくは3個のハロで置換されている、-(C2-C6)アルケニル;又は結合のための炭素原子及びエチニル原子以外の1つの炭素原子が、場合により1つの酸素原子で置換されており、そしてここで、各炭素原子が場合により1、2若しくは3個のハロで置換されている、‐(C2-C6)アルキニルであるか;或いは、
R13及びR14は、それらが結合しているNと一緒になって、hetを形成する。}
によりあらわされる化合物、該化合物又は異性体のプロドラッグ、或いは該化合物、異性体、又はプロドラッグの医薬として許容可能な塩。
【0034】
特に、化合物MAPKi#1は、式Iの化合物中に記載された属の1種である。MAPKi#1は、(本明細書中に参考文献としてその全体が援用された)PCT国際特許出願公開第WO95/02591A1号及び同第WO96/21452A1号の主題であり、そして本明細書中により完全に記載されたとおりに製造されることができる。
【化11】

【0035】
式IIの化合物、5-(フェニルヘテロアリール)-1,3-ジヒドロ-2-ベンズイミダゾロンもp38MAPキナーゼ阻害剤であり、炎症、骨関節炎、リューマチ関節炎、癌、脳卒中又は心臓発作における再灌流又は虚血、自己免疫疾患及び他の障害の治療において有用である。
【化12】

【0036】
式II:
{式中、
「A」は置換又は非置換のピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、又はイソチアゾリルであり;
R6及びR7は、独立してH、又は置換若しくは非置換の(シクロ)アルキル、フェニル、ヘテロアリール、若しくはヘテロシクリルであり;
R8は、独立して、ハロ、(ペルハロ)アルキル、(ペルハロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル(オキシ)、フェニル、OH、(ペルハロ)アルコキシ、フェノキシ、アルキルチオ、アルキル(アミノ)スルホニル、アルキルスルファモイル、カルバモイル、アシル又はカルボキシであり;そして、
sは、0〜5である。}
により表される化合物は、(本明細書中のその全体が参考文献として援用されている)PCT国際特許出願公開第WO2002/072576号の主題であり、そして式IIの化合物の製造は、本明細書中に記載されている。
【0037】
式II
{式中、「A」、R6、R7、R8及びsは、上記の定義のとおりである。}
により表される化合物は、PCT国際特許出願公開第WO2002/072576号(注:記号「A、R6、R7、R8」は、PCT国際特許出願公開第WO2002/072576号中では異なる名称によって同定されることができる)中により完全に記載されたとおりに製造されることができる。特に、化合物MAPKi#2は、以下のスキームI中に示されたとおりに製造されることができる。
【化13】

【0038】
化合物MAPKi#2は、上記のスキームIに示したとおりに製造された。4-フルオロ-N-メトキシ-N-メチル-3-ニトロ‐ベンズアミド(3)は、4-フルオロ-3-ニトロ安息香酸(1)(100g、0.54モル)を無水塩化メチレン(1L)中に吸収させ、そして1.5mLのDMFを添加することによって製造された。この溶液に、塩化オキサリル(61mL、0.702モル)を加えた。1.5時間後、溶媒を真空で除去し、そして粗酸塩化物(2)(黄色のオイル)を塩化メチレン(50mL)中に吸収させ、そして、塩化メチレン(950mL)中のトリエチルアミン(150.5mL、1.08モル)及びWainrebアミン塩酸塩(68.5g、0.702モル)の混合物に0℃で攪拌しながらゆっくりと加えた。反応を室温まで温めて、一夜攪拌した。反応混合物を飽和リン酸二水素ナトリウムで洗浄し、続いて水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧濃縮してオレンジ−黄色のオイルを得た。粗製オイルをペンタンで倍散して、110.28g(90%)の黄色〜オフホワイトの粉末(3)を得た。
【0039】
塩化メチレン(250mL)中の4-フルオロ‐N-メトキシ-N-メチル-3-ニトロ‐ベンズアミド(3)(20gm、87.6ミリモル)の溶液に、イソプロピルアミン(11.4g、192.8ミリモル)を数回にわけて添加した。反応を室温で一夜攪拌し;次の朝、1HNMRによって反応が完了したことを判定した。反応混合物を水(2×100mL)で洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧濃縮して24.95g(97%)の黄色固体(4)を得た。
【0040】
エタノール(500mL)中の4-イソプロピルアミノ-N-メトキシ-N-メチル-3-ニトロベンズアミド(4)(24.95g、93ミリモル)の溶液/スラリーに、カーボン上で10%Pdを加えた(約1g)。得られた黒いスラリーをParrシェーカー上で5時間水素化し、その後、TLC(酢酸エチル)は、出発物質が完全に消費されたことを示した。(また、エタノール溶液の色は、明るい黄色から透明に変わり、出発物質の完全な消費を示した。)触媒を濾去し(セライト)、そして、溶媒を真空中で除去して21.95gm(98%超)の濃い紫色の粘ちょうなオイルとして置換アニリン(5))を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0041】
塩化メチレン(300mL)中の3-アミノ-4-イソプロピルアミノ-N-メトキシ-N-メチル-ベンズアミド(5)(21.95g、92ミリモル)にトリホスゲン(27g、92ミリモル)を、少量ずつ加えた(注意:ガス発生)。トリホスゲンの添加完了後、反応物を室温で一夜攪拌し、その後、1HNMR及びTLCが反応完了を示した。有機相を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で3回洗浄し、有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮して赤い泡状物(6)を24.2g(定量的)得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0042】
トリホスゲンの使用をさけるための別の環化は、カルボニルジイミダゾールを使用することによって達成されることができる。無水塩化メチレン(250mL)中の3-アミノ-4-tert-ブチルアミノ-N-メトキシ-N-メチル-ベンズアミド(22.5g、89.5ミリモル)の攪拌溶液に、少しずつカルボニルジイミダゾール(16.0g、98.5ミリモル)を加えた(熱発生)。4時間攪拌後、反応物のアリコートの1HNMRは、出発物質を全く示さなかった。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を反応混合物に加え、有機相を分離し、飽和炭酸水素溶液及び塩水で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム上で乾燥した。減圧濃縮により、25.68gの濃い色の泡状物(6、しかし別のアミンを有する)を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0043】
無水DMSO(25mL)中のナトリウム水素化物のスラリー(720mgのミネラルオイル中60%分散物、18ミリモル)に、1-イソプロピル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾイミダゾール-5-カルボン酸メトキシ-メチル-アミド(6)(4.2g、16ミリモル)を少量ずつ加えた(注意:ガス発生)。得られた混合物を30分間攪拌し、その間、溶液は茶色に変わった。DMSO(10mL)中のヨウ化メチル溶液(1.5mL、24ミリモル)を滴下して加え、得られた溶液を、TLC(酢酸エチル)が完全な反応を示すまで攪拌した。反応を水(15倍体積過剰)で停止させ、水相を酢酸エチル(3×200mL)で抽出した。併合した有機相を水と塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮して4.8g(98%)の茶色のオイル(7)を得た。
【0044】
別のアルキル化はセシウム炭酸塩を使用することによって達成されることができる。DMF(330mL、最終濃度0.3M)中の4-アミノ-3-エトキシカルボニルアミノ-安息香酸メチルエステル(23.6g、99ミリモル)の攪拌溶液にセシウム炭酸塩(114g、350モル、3.5当量)を加えた。得られた緑色のスラリーを70℃で一夜加熱し、その後、反応混合物のアリコートの1HNMRは、完全な環化を示した(反応が進行するにしたがって、色が緑から茶色に変化した)。反応物をその後室温に冷却し、ヨウ化エチル(22.7mL、218ミリモル)を加えた。反応物を室温で1時間攪拌し、その後、アリコートの1HNMRは完全に反応したことを示した。そして、反応混合物を水(15倍容)で希釈し、得られた水相を酢酸エチル(3×150mL)で抽出した。有機物を併合し、1N HCl及び水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧濃縮して19.4gのオレンジ色の固体(7、しかし代わりのアミンを含む)を得て、これをさらに精製することなく使用した。
【0045】
無水DME(700mL)中の1−イソプロピル−3−メチル−2−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾイミダゾール−5−カルボン酸メトキシ−メチル−アミド(7)(17g、61ミリモル)をp−フルオロベンジルマグネシウムクロライド(Rieke Metals, Et2O中、0.25M、400mL、100ミリモル)に加えた。反応混合物を一夜攪拌し、その後、反応物のアリコートの1HNMRは出発物質が残っていないことを示した。反応混合物中の過剰のグリニヤール試薬を飽和リン酸2水素ナトリウム水溶液で反応停止させ、DMEを真空中で除去した。残った水相を酢酸エチル(3×200mL)で抽出し、併合した抽出物を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、溶媒を減圧濃縮した。クロマトグラフィー(Flash 75, グラジエント溶出25%酢酸エチル−ヘキサン〜50%酢酸エチル−ヘキサン)によって15gの白色固体(8)を得た。
【0046】
酢酸(60mL)中、1−イソプロピル−3−メチル−5−p−フルオロフェニルアセチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(8)(10.0g、31ミリモル)の溶液を攪拌しながら、ここへ臭素(1.63mL、31.6ミリモル)を一度に加えた。反応物を一夜攪拌し(およそ4時間)、その後、1H NMRによって反応が完了したことがわかった。反応物を減圧濃縮して、残留物を酢酸エチル(150mL)中に吸収させ、そして飽和炭酸水素ナトリウム溶液で2回洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして減圧濃縮して12.1gの褐色の固体(9)を得て、これを精製することなく使用した。
【0047】
5−(ブロモ−p−フルオロフェニル−アセチル)−1−イソプロピル−3−メチル−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−オン(8)(0.5g、1.23ミリモル)、ピラジン−2−カルボキサミジンハイドロクロライド(0.395g、2.49ミリモル)、炭酸セシウム(1.22g、3.74ミリモル)及びDMF(4.0mL)の混合物を攪拌して60℃に加熱した。1時間後、反応が完了したことをLCMSで判定した。反応物を室温まで冷却し、そして水(40mL)で希釈した。1時間攪拌後、粗懸濁液を濾過し、そして固体をフラッシュクロマトグラフィー(ジエチルエーテル、続いて酢酸エチル)によって精製し、40mgの標題化合物(MAPKi#2)を薄い褐色の固体として得た。
【0048】
化合物、MAPKi#3を、上記のスキームI、及び式4の化合物を製造するためにステップ3においてイソプロピルアミンの代わりにt−ブチルアミンを使用すること以外は下記のスキームIIの記載のとおりに製造した。
【化14】

【0049】
式IIIの化合物はMAPキナーゼ、好ましくはp38キナーゼ、の強力な阻害剤であり、炎症、骨関節炎、リューマチ関節炎、癌、脳卒中または心臓発作における再灌流または虚血、自己免疫疾患及び他の障害の治療において有用である。「B」が、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリルなどの置換または非置換のヘテロ基であり;R9がH、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;R10がH、アルキル、Ph、F、Cl、またはCNであり;そして、sが0〜5である、式IIIの化合物は、(本明細書中に参考文献としてそっくりそのまま援用されている。記号R9及びR10は、米国特許出願第2003−078432号における記号とは異なることに注意。)米国特許出願第2003−078432号の主題であり、式IIIの化合物の製造は本明細書中に記載する。
【化15】

【0050】
一般的な例示的目的のために、以下に示す反応スキームIIIは、式IIIaの化合物の合成のための候補経路を提供する。各反応ステップのより詳細な記載は上記の参考文献を参照のこと。
【化16】

【0051】
特に、「B」、R9、R10及びsが上記のように定義される、式IIIの化合物は、スキームIIIに示し、そして、3−イソプロピル−3H−ベンゾトリアゾール−5−カルボアルデヒデインのTHF溶液を濃NH4OHで処理し、続いてピペラジン及びイソシアニド化合物を加えて式IIIaの化合物を提供することによって、米国特許出願第2003−078432号(注意:「B」、R9、R10の記号は異なり、米国特許出願第2003−078432号中では異なる記号で記載される。)中でより完全に記載されるとおりに製造されることができる。
【0052】
式IVの化合物、6−(フェニルヘテロシクリル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジンは、炎症、骨関節炎、リューマチ関節炎、癌、脳卒中または心臓発作における再灌流または虚血、自己免疫疾患、及び他の障害の治療において有用である。式IVの化合物は、(その全体が参考文献として本明細書中に援用されている)PCT国際特許出願公開第WO2002072579号の主題であり、式IIIの化合物の製造がその中に記載されている。
【化17】

【0053】
式IVの化合物、または医薬として許容可能なその塩は、動物における急性の炎症の治療において有用であり、ここで、式IV中、「C」は、置換または非置換のピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、またはイソチアゾリルであり;R11は、H、アルケニル、アルキニル、或いは置換または非置換の(シクロ)アルキル、フェニル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル、またはアミノであり;R12は、ハロ、(シクロ)アルキル(オキシ)、(ペルハロ)アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール(オキシ)、ヘテロシクリル(オキシ)、OH、(ペルハロ)アルコキシ、フェノキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルアミノスルホニル、NO2、置換及び非置換アミノまたはカルバモイルであり;そして、sは0〜5である。
【0054】
「C」、R11、R12及びsが上記で定義された、式IVの化合物は、PCT国際特許出願公開第WO2002072579号中でより完全に記載されたとおりに製造されることができる(注意:記号「C」、R11、R12は、PCT国際特許出願公開第WO2002072579号においては、異なる記号で定義されている)。例えば、式IVaの化合物は、6−クロロニコチン酸とN,O−ジメチルヒドロキシルアミン.bul.HClを濃縮することによって製造される(96%)。(i-Bu)2AlHによるアミドの処理によりアルデヒド(24%)を提供し、そして、これを(フェニル)(p−トリルスルホニル)メチルイソシアニドと結合させて2−クロロ−5−(4−フェニルオキサゾール−5−イル)ピリジンを得た(71%)。ヒドラジン(100%)への変換、続いてイソブチリルクロライドとの結合、そしてPOCl3を用いる結晶化(32%)によって、式IVaの化合物を得た。
【化18】

【0055】
本発明により、乳腺炎などの急性の炎症性の状態に罹った対象動物に、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の有効量が投与され、そして、約1〜2週間以内に、上記動物は、感染した非投薬動物の2倍超のミルクを産生する。好ましい実施態様において、該動物は乳を出す乳牛である。
【0056】
E.コリなどによる感染症に罹った乳を出す動物は、高いE.コリ計測数を含むミルクをしばしば産生し、そのミルクは、加工後においてさえ、哺乳動物の消費に適さない。本発明はまた、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の投与によって、急性の炎症性の状態に罹った動物におけるミルク廃棄の減少をも提供する。ミルク廃棄の減少は、急速であり、約1週間以内に起こる。本発明は、さらに、p38MAPキナーゼ阻害剤で治療された動物からのミルクサンプル中のE.コリ数を減少させるための方法を提供する。
【0057】
本発明のp38MAPキナーゼ阻害剤は、動物における炎症性の状態の治療において使用されることができ、該状態は、単球及び/またはマクロファージを含むがこれらに限定されない動物細胞における過剰のまたは未制御のサイトカイン産生により悪化させられるかまたは引き起こされる。好ましいp38MAPキナーゼ阻害剤は、MAPKi#1、MAPKi#2及びMAPKi#3を含む。
【0058】
したがって、本発明のp38MAPKキナーゼ阻害剤は、IL-1、IL-6及びTNFなどの炎症過程に関連するサイトカインの産生及び活性を阻害することができ、したがって、治療に使用される。IL-1、IL-6及びTNFは、広範な細胞及び組織に影響を及ぼし、そして、これらのサイトカイン並びに他の白血球由来のサイトカインは広く多様な病気の状況及び状態の重要な炎症性メディエーターである。本発明のp38MAPキナーゼ阻害剤はまた、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2(PGHS-2)などの多くの他の名前で呼ばれる、COX-2などの炎症促進性タンパク質をも阻害する。炎症促進性脂質メディエーターの産生の原因であるCOX-2の制御は、広く多様な細胞及び組織にも影響する。炎症性サイトカイン及び炎症性タンパク質の制御は、したがって、乳腺炎を含むがこれに限定されない広く多様な病気及び状態を改善するために決定的なものである。
【0059】
したがって、他の側面において、本発明は、少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤の有効量の投与を含む、COX-2酵素合成の阻害によって動物を治療する方法を提供する。
【0060】
本発明はまた、p38MAPキナーゼ阻害剤の有効量及び医薬として許容可能な担体を投与することを含む、サイトカインを介する急性の炎症を治療するための方法をも提供する。1つの実施態様において、本発明は、TNFを阻害する方法を提供する。他の実施態様において、本発明はIL-1を阻害する方法を提供する。さらに他の実施態様において、本発明はp38MAPキナーゼ経路を介するアポトーシス細胞死を阻害する方法を提供する。
【0061】
特に、p38MAPキナーゼ阻害剤は、単球及び/またはマクロファージを含むがこれらに限定されない動物細胞における、過剰のまたは未制御のIL-1またはTNF産生によって悪化させられるかまたは引き起こされる、動物における病気又は状態の治療に使用される。
【0062】
過剰の又は未制御のサイトカイン産生が病気の悪化及び/又は発生において関係付けられる多くの状態又は病気がある。これらは、乳腺炎、呼吸器疾患、滞留胎盤膜、子宮炎、子宮蓄膿症、腸炎、肝炎、腎炎、敗血症、蹄葉炎、凍傷、疝痛、第四胃変位、内毒血症、及び盲腸捻転などの動物における急性の炎症性の病気を含む。
【0063】
病気の状況を改善又は予防するために、P38MAPキナーゼ阻害剤は、サイトカイン産生が正常レベル、いくつかの場合には正常レベル未満まで下方制御されるように、サイトカイン、特にIL-1、IL-6又はTNFの作用及び産生を阻害する十分量で投与される。サイトカインレベルの測定は、慣用手段を用いて当業者によって達成される。
【0064】
本明細書中で使用される「サイトカイン」という用語は、細胞の機能に影響を与え、そして炎症反応において細胞間相互作用を調節する分子である、いかなる分泌ポリペプチドもさす。サイトカインは、どの細胞が産生するかにかかわらず、モノカイン及びリンホカインを含むがこれらに限定されない。サイトカインの例は、インターロイキン−1(IL-1)、腫瘍壊死因子−アルファ(TNF-α)及び腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)を含むが、これらに限定されない。
【0065】
治療においてp38MAPキナーゼ阻害剤を使用するためには、通常、かかる阻害剤は標準的な製剤習慣に従って医薬組成物に製剤される。したがって、本発明はまた、有効かつ非毒性量の少なくとも1つのp38MAPキナーゼ阻害剤及び医薬として許容可能な担体を含む医薬組成物にも関する。
【0066】
P38MAPキナーゼ阻害剤及びそれを含む医薬組成物は、経口、局所、非経口、または吸入などの薬物投与に便利に使用されるいかなる経路によっても、便利に動物に投与されることができる。P38MAPキナーゼ阻害剤は、p38MAPキナーゼ阻害剤を標準的な医薬担体と慣用手順によって併合することによって製剤された慣用の剤型で投与されることができる。P38MAPキナーゼ阻害剤はまた、知られた第二の治療活性化合物と併合して慣用の用量で投与されるか、またはp38MAPキナーゼ阻害剤の相乗的性質を利用して、2つ以上のp38MAPキナーゼ阻害剤が一度に投与されて、炎症及びそれによって引き起こされた状態の促進された阻害を提供してもよい。
【0067】
慣用用量のp38MAPキナーゼ阻害剤の投与手順は、成分を適宜、混合、造粒、及び圧縮または溶解して所望の製剤とすることを含んでよい。医薬として許容可能な担体または希釈剤の形態及び特性は、それが併合される活性成分の量、投与経路及び他の周知の変数によって決められることは理解されるであろう。担体は、製剤の他の成分と適合性であり、その受容者である動物に対して有害でないという意味で「許容可能」でなければならない。
【0068】
使用される医薬担体は、例えば、固体または液体のいずれかであることができる。固体担体の例は、ラクトース、シュークロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などである。液体担体の例は、シロップ、ピーナツ油、オリーブ油、水などである。同様に、担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリル、またはジステアリン酸グリセリル単独或いはワックスをともに含むような当業者に周知の徐放性物質を含んでもよい。
【0069】
「全身投与」という用語は、静脈内、皮下及び筋肉内投与を指す。全身投与が好ましい。
【0070】
P38MAPキナーゼ阻害剤は、静脈内、筋肉内、乳房内、または皮下投与による非経口投与が好ましい。非経口投与の皮下及び筋肉内形態が一般に好ましい。そのような投与のための好適な剤型は、慣用技術によって製造されることができる。
【0071】
本明細書中に開示されるp38MAPキナーゼ阻害剤のすべての使用方法については、非経口投薬計画は、約0.05mg/全体重kg〜約20mg/全体重kg、好ましくは約0.1mg/全体重kg〜5mg/全体重kg、より好ましくは約0.1mg/全体重kg〜1mg/全体重kgであることことが好ましい。当業者は、p38MAPキナーゼ阻害剤の個別の投薬の最適量及び間隔が、治療される状態、投与形態、経路及び部位、並びに治療される特定の患者の性質及び範囲によって決定され、そのような最適条件が慣用技術によって決定可能であることを認識するであろう。また、当業者は、治療の最適経過、すなわち、定義された日数の間、与えられるp38MAPキナーゼ阻害剤の1日あたりの用量数が、治療決定試験の慣用の課程を用いて当業者によって確認されることができることを理解するであろう。
【実施例】
【0072】
33頭の乳を出すホルスタイン牛をミルク産生及び乳を出している日数によって分けた5つの処理群に無作為に割り当てた。ミルク及び血液サンプル並びに体温データを−1日目の朝の搾乳時に収集した。臨床スコア及び−1日における朝の搾乳時に実施したCalifornia Mastitis Test(CMT)の結果に基づいて各乳牛から1つの正常な乳房を選択した。41日目の夕方の搾乳後に、選択された乳房に約30cfuのE.コリ(MacDonald 487)を輸注した。ミルク及び血液サンプル並びに体温データを0日目の朝の搾乳時の処置前に収集した。0日目の朝の搾乳後に、試験計画にしたがって乳牛を処置した。処置後、ミルク及び血液サンプル並びに体温データを11、24、35、48、72、144、168、192、及び216時間において収集した。各搾乳時における輸注した乳房の臨床スコア及びミルク産生を評価した。ミルクサンプルを培養(E.コリ)、SCC、TNF-α及びPGE2について分析し、並びに血液白血球含量%(leucogram)を測定した。
【表1】

【0073】
データ分析
試験製品の有効性の評価を、チャレンジした非投薬群に対する処置の効果の各変数についての比較に基づいて決定した。PC-SASバージョン6.12.のMIXED法を用いてデータを分析した。モデルは、処置、時間及びそれらの相互作用を含んだ。不均一に間隔をおいたサンプリング時間を説明するために、時間にわたる乳牛群内の共分散を、球面性のある分散構造によるRepeatedステートメント分析を用いてモデル化した。有意性(P≦0.10)についての試験は、チャレンジした非投薬群に比較した主要な治療効果に基づいた。0.10以下のP値は、処置群毎の動物数及びSAS手順の保守的性質に基づいて選択した。
【0074】
E.コリチャレンジに対する応答
各乳牛の1つの乳房を約30cfuのE.コリ(MacDonald487菌株)でチャレンジすると、13〜24時間以内で重症の乳腺炎を生じた。全部で、チャレンジした27個の乳房の27個において臨床的乳腺炎を発症した。チャレンジ後の直腸温度ピーク及び細菌コロニー数データは、生じた乳腺炎が先の試験において観察されたよりも重症であったことを示唆した。
【0075】
E.コリにより誘発された乳腺炎への体温の急性相応答に対する処置の効果
いずれのp38MAPキナーゼ阻害剤化合物で処置した乳牛と、感染した非投薬の乳牛との間でも、処置後の体温の有意な差は観察されなかった(図1)。
【0076】
ミルク産生
MAPKi#1で処置した乳牛は、ビヒクルで処置した感染乳牛に比べて、処置後の乳腺炎に関連したミルク産生の損失が有意に少ないことを示した(P=0.1、図2)。図2からの1日のミルク産生値の平均に基づいて、処置後の13日間、MAPKi#1で処置した乳牛は感染した非投薬の乳牛の2倍超のミルクを産生した(847lbs対365lbs)。MAPKi#2で処置した乳牛も、対照の乳牛よりも多くのミルクを産生した(689lbs対365lbs)。MAPKi#3で処置した乳牛は、感染した非投薬対照の乳牛と同量のミルクを試験期間中に産生した(366lbs対365lbs)。
【0077】
臨床スコア
MAPKi#1及びMAPKi#2で処置した乳牛は、非投薬対照よりも有意に改善されたミルク臨床スコアを有した(図3、それぞれ、P<0.001、P=0.006)。MAPKi#3で処置した乳牛は、感染した非投薬対照と類似するミルク臨床スコアを有した。
【0078】
3つのp38MAPキナーゼ阻害剤化合物のいずれで処置した乳牛についても、有意に改善された腺臨床スコアを観察した(図4、MAPKi#1、MAPKi#2及びMAPKi#3のそれぞれについて、P=0.0004、P=0.004、P<0.001)。MAPKi#1 及びMAPKi#2で処置した乳牛は、ミルク及び腺スコアの両方について有意な改善を示した。臨床スコアの累積値も、対照に比べてMAPKi#1 及びMAPKi#2で処置した乳牛について有意に低かった(図5、それぞれ、P=0.0001及び0.07)。
【0079】
ミルク体細胞計測数(SCC)
ミルクSCCは、すべての処置群の乳牛において、チャレンジ後13時間で増加した(図6)。全体的に凝固したいくつかのミルクサンプルはSCCについて分析しなかったが、代わりにデータ分析の目的で、機器により読み取り可能な最大値である10,000,000細胞/mlに割り当てた(log10=7)。いくつかの正常なミルクサンプルは、機器の検出限界(2000細胞/ml)未満のSCCを有し、データ分析の目的のために0の代わりに1000の値を割り当てた。この試験において、p38 MAPKi化合物による乳牛の処置は、感染した非投薬対照の乳牛に比べて有意にSCCを改善することはなかった。MAPKi#1及びMAPKi#3で処置した乳牛は、特に処置後6日で、より低いSCCの傾向を示した(それぞれ、P=0.13、0.18)。
【0080】
白血球含量%
非感染、非投薬の乳牛については、試験の間を通じて総白血球数及び総好中球数は比較的変化しないままであった(図7及び8)。感染した非投薬の乳牛は、WBC及びPMNについて典型的な二相性の応答を示した。どちらもチャレンジ後(0〜72時間)に劇的に低下し、そして、試験の後期に(144〜216時間)、WBC数はチャレンジ前のレベル近くまで復帰し、PMN数はチャレンジ前のレベルの2倍超に達した。0〜72時間についてデータ分析すると、MAPKi#1又はMAPKi#2で処置した乳牛についての総WBC及びPMN数は、対照またはMAPKi#3で処置した乳牛に比べて有意に急速にチャレンジ前のレベルに復帰した(それぞれ、P=0.004、0.06)。これらのデータは、MAPKi#1又はMAPKi#2による処置の直後には、末梢血から乳腺へ補充されるPMN量が少なかったことを示唆する。好中球が溶解し、その内容物を周囲環境へ放出するときに、乳腺中の組織病理に寄与することは知られている。腺へ補充される好中球が少ないことは、組織病理を少なくする。組織病理の少なさは、ミルク産生の損失を減らし、正常なミルク及び腺への復帰をより速める。
【0081】
ホエーPGE2
0時点でMAPKi#1、MAPKi#2又はMAPKi#3で処置した乳牛は、すべて、感染した非投薬対照の乳牛に比べて、平均ホエーPGE2レベルの有意な低下を示した(図9、それぞれ、P=0.0038、0.0741、0.0934)。ホエーPGE2レベルは、E.コリチャレンジの13時間後(0時点)の処置前において上昇していた。処置後、MAPKi#1で処置した乳牛は、11時間でホエーPGE2レベルの低下を示し、MAPKi#2で処置した乳牛のホエーPGE2は同じレベルに留まり、そして、MAPKi#3で処置した乳牛は、ホエーPGE2レベルが上昇し続けた。3つの処置群すべての乳牛が、処置の24時間後にPGE2レベルの低下を示し、48時間までにすべてがベースライン近くまで復帰した。
【0082】
ミルク中のE.コリコロニー計測数
ミルクサンプル中のE.コリ数を図10に示す。処置の時点(0時間)で、ミルク中の平均E.コリコロニー計測数は、チャレンジ群について14.5〜19.1log2cfu/mlであった。処置後(11〜168時間)、平均E.コリコロニー計測数は、感染した非投薬対照に比べてMAPKi#1で処置した乳牛で有意に減少した(P=0.007)。MAPKi#2で処置した乳牛も、対照に比べてミルク中のE.コリ数の低下を示したが、その差は有意でなかった(P=0.15)。MAPKi#3で処置した乳牛は、対照に比べてミルク中のE.コリ数の低下を示さなかった。これらの化合物が直接的な抗菌性を有するとは考えられないが、p38 MAPK酵素自体は多くの細胞プロセスに関与し、そのいくつかはミルク及び乳腺中での細菌の増殖及び/又は生存に影響しうる。ウシ好中球が産生する天然の抗菌ペプチド(デフェンシン)は、p38 MAPK酵素によってブロックされるか又は阻害されるかもしれない。これらの化合物による上記酵素の阻害は、これらのペプチドを自然に放出させ、そして好中球による殺菌を促進するかもしれない。他の可能性のある説明は、p38 MAPK酵素系が好中球のアポトーシスの活性化に寄与し、p38 MAPKを阻害することによって好中球のアポトーシスが遅らされ、そして感染と戦う好中球の能力を引き伸ばすというものである。
【0083】
E.コリによる乳牛のチャレンジは、100%の臨床的乳腺炎の発生率を生じた。感染した非投薬対照に比べて、急性相応答における有意な改善(より少ないミルク産生の損失、改善されたミルク臨床スコア、腺臨床スコア、累積臨床スコア、総白血球計測数、ホエーPGE2及びミルク中のE.コリ計測数)が、MAPKi#1で処置した乳牛について観察された。ミルク、腺及び累積臨床スコアにおける有意な減少、並びに減少したE.コリ計測数が、対照の乳牛に比べてMAPKi#2で処置した乳牛について観察された。MAPKi#3で処置した乳牛は、有意に減少したホエーPGE2及び改善した腺臨床スコアを示したが、感染した対照に比べて、ミルク産生の改善又はミルクスコアの改善の傾向は示さなかった。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の平均体温を示す。
【図2】図2は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の一日のミルク産生の平均を示す。
【図3】図3は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛のミルク臨床スコアの平均を示す。
【図4】図4は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の腺臨床スコアの平均を示す。
【図5】図5は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の累積臨床スコアの平均を示す。
【図6】図6は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛のミルク中の体細胞計測数(SCC)のlog10の平均を示す。
【図7】図7は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の総WBC(末梢血)の平均を示す。
【図8】図8は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の総PMN(末梢血)の平均を示す。
【図9】図9は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛のホエーPGE2濃度の平均を示す。
【図10】図10は、MAPKi#1、MAPKi#2、MAPKi#3、又はビヒクルの投与の13時間後に、生理食塩水又は30cfuのE.コリを1つの乳房に投与された乳牛の細菌(E.コリ)数(ml中)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症性の病気の治療又は急性の炎症性の病気からの回復の促進を必要とする動物における炎症性の病気の治療又は急性の炎症性の病気からの回復の促進のための方法であって、前記動物に1つ以上のp38 MAPキナーゼ阻害剤の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
急性の炎症性の病気にかかった動物におけるミルク産生の促進又はミルクの損失の減少のための方法であって、前記哺乳動物に1つ以上のp38 MAPキナーゼ阻害剤の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
動物におけるCOX-2酵素、TNF又はIL-1の合成及び活性を阻害する方法であって、1つ以上のp38 MAPキナーゼ阻害剤の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
動物におけるアポトーシス細胞死を阻害する方法であって、1つ以上のp38 MAPキナーゼ阻害剤の有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
上記p38 MAPキナーゼ阻害剤が、以下の:
(i)以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は、-Hであり;
R2は、置換又は非置換のヘテロ環、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロ環は、独立して以下の:窒素、酸素及びイオウから成る群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含む、飽和、部分的に飽和又は不飽和の5、6、又は7員環であって;そして、上記の任意のヘテロ環がベンゼン環または他のヘテロ環に縮合している任意の2環式基を含み;そして上記窒素は、酸化状態にあって、N-オキシド形態であってもよく;そして場合によりRyで置換されており;
各Ryは、独立して、-ハロ、-OH、-(C1-C6)アルキル、-(C2-C6)アルケニル、-(C2-C6)
アルキニル、-O(C1-C6)アルキル、-O(C2-C6)アルケニル、-O(C2-C6)アルキニル、(C0-
C6)アルキル‐NR13R14、-C(O)-NR13R14、-SO2R13、-SOR13、-SR13、-NR13-SO2R14、-N
R13-C(O)-R14、-NR13-OR14、‐SO2-NR13R14、-CN、-CF3、-C(O)(C1-C6)アルキル、=O
、-SO2-フェニル、又はC(O)-Ar若しくはhet-Arであり;
R3は、独立して、-H、-ハロ、-OH、-(C1-C10)アルキル、OCH3、NH2、NHR、であって、ここで、Rは、アリール、ヘテロアリール又はアルキルであり;そして、
R4は、置換または非置換のアリール及びヘテロアリールであり;
各R13及びR14は、それぞれ独立して、以下の:-H;結合のための炭素原子以外の1若しくは2個の炭素原子が、以下の:S、O及びNから成る群から独立して選ばれる、1若しくは2個のヘテロ原子で置換されていてもよく、ここで、各炭素原子が場合により、1、2若しくは3個のハロで置換されている、-(C1-C6)アルキル;場合により1、2若しくは3個のハロで置換されている、-(C2-C6)アルケニル;又は結合のための炭素原子及びエチニル原子以外の1つの炭素原子が、場合により1つの酸素原子で置換されており、そしてここで、各炭素原子が場合により1、2若しくは3個のハロで置換されている、‐(C2-C6)アルキニルであるか;或いは、
R13及びR14は、それらが結合しているNと一緒になって、hetを形成する。}
によりあらわされる化合物、
(ii)以下の式II
【化2】

{式中、
「A」は、置換または非置換のピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、またはイソチアゾリルであり;
R6及びR7は、独立して、-H或いは置換または非置換の(シクロ)アルキル、フェニル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであり;
R8は、独立して、ハロ、(ペルハロ)アルキル、(ペルハロ)シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル(オキシ)、フェニル、OH、(ペルハロ)アルコキシ、フェノキシ、アルキルチオ、アルキル(アミノ)スルホニル、アルキルスルファモイル、カルバモイル、アシルまたはカルボキシであり;そして、
sは、0〜5である。}
によりあらわされる化合物、
(iii)以下の式III:
【化3】

{式中、
「B」は、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリルなどの置換または非置換のヘテロ基であり;
R9は、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
R10は、H、アルキル、フェニル、F、ClまたはCNであり;そして、
sは、0〜5である。}
により表される化合物、及び
(iv)以下の式IV:
【化4】

{式中、
「C」は、置換または非置換のピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、またはイソチアゾリルであり;
R11は、H、アルケニル、アルキニル、或いは置換または非置換の(シクロ)アルキル、フェニル、ヘテロアリール、またはヘテロシクリル、またはアミノであり;
R12は、ハロ、(シクロ)アルキル(オキシ)、(ペルハロ)アルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール(オキシ)、ヘテロシクリル(オキシ)、OH、(ペルハロ)アルコキシ、フェノキシ、アルキルチオ、アルキルスルホニル、アルキルアミノスルホニル、NO2、置換及び非置換のアミノまたはカルバモイルであり;そして、
sは、0〜5である。}
により表される化合物から選ばれる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記p38 MAPキナーゼ阻害剤が、以下の:
(i)化合物MAPKi#1
【化5】

(ii)化合物MAPKi#2
【化6】

(iii)化合物MAPKi#3
【化7】

(iv)式IIIaの化合物
【化8】

(v)式IVaの化合物
【化9】

である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記炎症性の病気が、以下の:乳腺炎、呼吸器疾患、滞留胎盤膜、子宮炎、子宮蓄膿症、腸炎、肝炎、腎炎、敗血症、内毒血症、蹄葉炎、凍傷、及び閉塞性の腸の問題から成る群から選ばれる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記閉塞性の腸の問題が、以下の:疝痛、第四胃変位、及び盲腸捻転から成る群から選ばれる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記炎症性の病気が、乳腺炎であり、且つ前記動物が乳牛である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項10】
さらに、医薬として許容可能な担体を含む、請求項5〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
請求項7〜12のいずれか1項に記載の病気の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の製造における、請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項12】
動物におけるミルク産生の促進或いはミルク損失又は廃棄の減少のための、1つ以上のp38 MAPキナーゼの阻害剤の阻害剤の製造における、請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
急性の炎症性の病気にかかった動物におけるミルク損失の減少を治療又は予防するための、COX-2酵素、TNF、IL-1の阻害剤の製造又はアポトーシス細胞死の阻害における、請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用に特徴を有する、炎症性の病気の治療において使用されるための医薬の製造方法。
【請求項15】
動物における炎症性の病気又はミルク産生の減少の治療における請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物の使用のための指導書とともにパッケージ中にある請求項5〜9のいずれか1項に記載の化合物の、COX-2酵素、TNF、IL-1の阻害剤の製造又はアポトーシス細胞死の阻害における使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−514730(P2007−514730A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−544579(P2006−544579)
【出願日】平成16年12月6日(2004.12.6)
【国際出願番号】PCT/IB2004/004035
【国際公開番号】WO2005/060967
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】