説明

pH依存性の溶解度を有する有効成分の持続放出製剤

本発明は、pH依存性の溶解度を有する活性素の持続放出のための新規な製剤に関する。本発明の製剤は、活性素の特定用量を有する親水性ポリマーをベースとするマトリックス支持体を含み、有機酸の酸性塩の形態で1種または複数種の酸性化剤をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤のさまざまな活性成分に使用できる新規な持続放出製剤に関する。
【0002】
本発明は特に、pH依存性の溶解度を示す、塩基の形態またはこれらの塩基の付加塩の形態で使用される活性成分の持続放出に適した新規な製剤に関する。特に本発明は、ゾルピデムと一緒に使用することができるが、この活性成分単独に限定されない持続放出製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
ゾルピデムは、本発明による製剤の使用に好適な短時間作用型催眠薬である。ゾルピデムは、イミダゾピリジンの化学的ファミリーから誘導される活性成分である。これは、錠剤の形態で経口投与される。
【0004】
ゾルピデムは迅速に作用し、上限6時間の範囲にわたる作用期間を有する。薬力学的および薬物動態学データは、ゾルピデムが迅速吸収作用と迅速生物利用能の双方を有することを示す。具体的には、ゾルピデムの70%が、使用された治療的用量において、経口投与後に利用可能であり、これは、従来の形態においては5から10mgの範囲である。最大血漿濃度は、0.5から3時間に到達し、半減期は短く、平均2.4時間である。
【0005】
ゾルピデムの即時放出投与形態は既に公知である。これらは製剤が胃腸管において迅速に分解し、胃腸管の流動体中に溶解し、次いで活性成分が吸収され、患者に眠気を誘発することによってその薬理学的効果を生じることを可能にする。
【0006】
所望の睡眠期間と人体から薬剤の排出に要する期間との双方に両立できる期間にわたって活性成分を放出することを可能にするゾルピデムの持続放出投与形態もまた、知られている。
【0007】
このような持続放出形態は、文献EP−A−1135125に具体的に記載され、ここではセルロース系ポリマー材料の塊中に埋め込まれた活性成分を含む単一層を含む持続放出錠剤について記載されている。水性媒体と接触するとマトリックスを形成するこのポリマー材料は、活性成分の溶解を遅延させることができ、その結果比較的ゆっくりとその薬理学的効果を生じさせることができる。
【0008】
文献EP−A−1135125にはまた、ゾルピデムの持続放出製剤の他の実施形態について記載されている。例えば、ゾルピデムが2つの構成要素、例えば外側にある即時放出構成要素と例えば内側にある持続放出構成要素とに存在する多層錠剤が記載されている。
【0009】
持続放出構成要素は、ポリマー材料(特にセルロース系ポリマー)の層またはコア部を含み、この層またはコア部がこれが含むゾルピデムの量を即時放出構成要素よりもゆっくりと放出する。この実施形態によれば、各構成要素に含まれる2つのゾルピデム用量の総量が患者に投与することが望ましい用量に相当する。
【0010】
遭遇する消化媒体のpHの影響を受けずにゾルピデムの溶解性を維持するために十分低いミクロ−pHを確保するために、文献EP−A−1135125では、例えば、クエン酸、酒石酸またはフマル酸の酸性化剤の使用について記載している。本特許出願において、「局所ミクロ−pH」(または「局所pH」)の用語は、該製剤が胃腸管において溶解する際、該製剤の直後の周辺環境において、具体的に、該製剤の非分解部分において、水が一定の時点において既に浸透した部分にあるpHを意味することが意図される。
【0011】
しかし、これらの酸性化剤には、特定の条件下、該製剤に存在するセルロース系ポリマーと反応し得るという欠点がある。
【0012】
従って、該製剤が熱および湿気に曝される場合、該酸性化剤は該製剤のマトリックス賦形剤を構成するセルロース系ポリマーの部分的加水分解を引き起こし、その結果短いポリマー鎖を生じる可能性があることが分かった。次いで、酸性化剤による該ポリマーの分解は、該製剤の安定減少をもたらし得、製造業者は余儀なく熱および湿気に関してより厳格な保存条件を勧告し、またはより気密/水密な包装システムを備えざるを得ない可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、pHの影響を受けずに、マトリックスに存在するポリマーが分解することなく、または活性成分の安定性に対して負の効果が全くなく、局所pHを該活性成分の溶解度を確保するのに十分低く維持することを可能にする持続放出製剤を提供することによって、この欠点を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の主題は、このような持続放出製剤に関する。
【0015】
pH依存性の溶解度を有する活性成分の持続放出のための本発明の製剤は、活性成分の所定用量を含む親水性ポリマーをベースとするマトリックス賦形剤を含み、有機酸の酸性塩の形態で1種または複数種の酸性化剤を含むことを特徴とする。該酸性化剤の酸性塩は、例えば、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸またはリンゴ酸の酸性塩およびこれらの混合物であり得る。
【0016】
事実、このような酸性化剤は、低い局所pHを維持し、その結果pHの影響を受けずに該活性成分の放出を確保することを可能にするが、これらが接触している親水性ポリマーマトリックスの分解を全く引き起こさないことが分かった。
【0017】
酸性塩の形態の酸性化剤の例は、酒石酸一カリウム(または酸性酒石酸カリウム)、酒石酸一ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウムおよび/またはこれらの混合物である。上記酸性塩のなかでも、酒石酸一カリウムは、酒石酸ゾルピデムまたはヘミ酒石酸ゾルピデムの安定性になんら影響を与えない利点も有する。
【0018】
酸性化剤の割合(%)は、該製剤の総重量に対して計算して、約2重量%から約10重量%であり、例えば約4重量%から約8重量%である。
【0019】
本発明がゾルピデムの製剤に限定されないことはいうまでもない。溶解度が周囲のpHに依存する他の活性成分を本発明の文脈において使用することができる。これは、特に、遊離の塩基の形態または塩の形態にて該製剤に存在する塩基性活性成分の場合にあてはまり、これらの活性成分は、中性pHにおいておよびpKa値が2より大きい場合は、水性媒体中で不溶性または弱溶解性である。
【0020】
例えば、本発明と一緒に使用することができる他の活性成分は、N−[2−[(4−アミノカルボニル)ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]−2−[[3−[4−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]アミノ]ピリミジン−4−カルボキシイミド、5−(8−アミノ−7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)−3−[1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1,3,4−オキソジアゾール−2(3H)−オン塩酸塩、7−フルオロ−2−オキソ−4−[2−[4−(チエノ[3,2−c]ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]エチル]−1,2−ジヒドロキノリン−1−アセトアミド、クロピドグレルおよびミゾラスチンである。
【0021】
本発明の文脈において使用することができる活性成分は、塩基、付加塩、特に酸性塩、水和物または溶媒和物の形態で、すなわち水の分子もしくは溶媒の1つまたは複数との会合あるいは組合せの形態で存在することができる。例えば、ゾルピデムは、ヘミ酒石酸塩の形態で使用することができる。
【0022】
本発明の製剤は、活性成分の持続放出を可能にするマトリックス賦形剤を含む。親水性ポリマーをベースとするマトリックス賦形剤の例として、セルロースおよびこの誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース、植物ゴムおよびこの誘導体、アルギン酸誘導体ならびにデンプンおよびこの誘導体に言及することができる。
【0023】
本発明の持続放出製剤はまた、この種の製剤で使用される従来の成分を含む。従って、本発明の製剤は、当業者に公知なものから選択される1種または複数種の希釈剤、離解剤、結合剤、潤滑剤、流動賦形剤および着色剤を含むことができる。
【0024】
希釈剤の例として、ラクトースおよびこの誘導体(例えば、ラクトース一水和物)、セルロースおよびこの誘導体(例えば、微結晶セルロース)、マンニトール、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウムならびにデンプンおよびこの誘導体(特にα化デンプンおよび架橋デンプン)に言及することができる。
【0025】
結合剤の例として、低分子量ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこの誘導体(例えば、Methocel(登録商標)E5)ならびにポビドン(例えば、Kollidon K30)に言及することができる。
【0026】
離解剤の例として、デンプンおよびこの誘導体(例えば、カルボキシメチルデンプンナトリウム)、架橋ポビドン、クロスカルメロースならびに低分子量ヒドロキシプロピルセルロースに言及することができる。
【0027】
潤滑剤の例として、ステアリン酸およびこの塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム)、ステアリルフマル酸ナトリウムならびにグリセリルベヘネートに言及することができる。
【0028】
流動賦形剤の例として、シリカおよびこの誘導体、例えば、無水コロイダルシリカ、コロイダル二酸化ケイ素ならびにタルクについて言及することができる。
【0029】
着色剤の例として、金属酸化物、例えば、鉄(特に赤鉄または黄鉄)酸化物、インジゴチン、クルクミン、リフラビン、タートラジン、アゾルビン、カルミン、エリスロシン、red2G、特許ブルーV、クロロフィル、クロロフィル銅錯体、カロテノイド、パプリカの抽出物、アントシアン、二酸化チタン、アルミニウム、銀、金および他の医薬的に許容される着色剤に言及することができる。
【0030】
1つの実施形態によれば、本発明の製剤は、フィルム被覆層を含む。該フィルム被覆層は、1種または複数種の不透明化剤、可塑剤、染料およびまた1種または複数種のフィルム形成性ポリマー賦形剤を含むことができる。
【0031】
これらの成分は、当業者に知られているものから選択される。不透明化剤の例として、酸化チタンに言及することができ、可塑剤の例として、ポリエチレングリコールおよびこの誘導体に言及することができ、賦形剤の例として、ラクトースおよびこの誘導体、例えば、ラクトース一水和物に言及することができる。フィルム形成性ポリマー賦形剤の例として、ヒドロキシプロピルエチルセルロースおよびポリビニルアルコールに言及することができる。
【0032】
一般に、本発明の製剤は、持続放出構成要素および場合によって即時放出構成要素を含む。
【0033】
本発明によれば、「即時放出構成要素」の用語は、即時放出活性成分の所定量、例えば、即時放出錠剤もしくは小丸薬、またはゼラチンカプセルもしくは錠剤に製剤されるこれらの用量のいくつか;錠剤における即時放出マトリックス;多層錠剤における即時放出層;コーティング錠剤における即時放出コーティング層などを含む用量を意味することが意図される。
【0034】
「持続放出構成要素」の用語は、持続放出活性成分の所定用量、例えば、持続放出錠剤またはゼラチンカプセルもしくは錠剤に製剤されるこれらの用量のいくつか;錠剤における持続放出マトリックス;多層錠剤における持続放出層などを含む用量を意味することが意図される。
【0035】
本発明の製剤の単位投与形態としては、錠剤、特にコア部を有する、多層の被覆された錠剤などの経口形態;軟質または硬質のゼラチンカプセルが含まれる。
【0036】
1つの実施形態によれば、本発明の製剤は、多層錠剤、特に二層錠剤からなる。
【0037】
第1の層は、即時放出層であり、ゾルピデムの単回用量を含み、水と接触して迅速に分解することによって、第1の層が含む全てのゾルピデムを送達する。第2の層は、持続放出層であり、またゾルピデムの単回用量を含み、浸食および拡散によって該活性成分を徐々に送達する。この2つの層の各活性成分の含有量は、変化させ得;一般に、それぞれの用量は、実質的に同じレベルの量である。
【0038】
例えば、即時放出層は、該製剤に含まれる活性成分の総用量の40%から55%、例えば48%の活性成分を含むことができ、持続放出層は、該製剤に含まれる活性成分の総用量の45%から60%、例えば52%を含むことができる。
【0039】
従って、1つの実施形態によれば、本発明の製剤には、溶解度がpH依存性である活性成分、および1種または複数種の結合剤を含み、希釈剤、離解剤、潤滑剤または着色剤などの1種または複数種の他の賦形剤を場合によって含む第1の即時放出層と、
該第1の層に隣接し、溶解度がpH依存性である活性成分、酸性塩の形態の1種または複数種の酸性化剤、および1種または複数種のマトリックス賦形剤を含み、希釈剤、結合剤、潤滑剤または着色剤などの1種もしくは複数種の他の賦形剤を場合によって含む第2の持続放出層と、が含まれる。
【0040】
1つの実施形態によれば、該第1の即時放出層には、考慮中の該第1の層の総重量に対する重量パーセントとして、
1重量%から10重量%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
50重量%から95重量%の希釈剤、
0重量%から10重量%の離解剤、
0重量%から5重量%の結合剤、
0.5重量%から2.5重量%の潤滑剤、
0重量%から0.5重量%の流動剤、
0重量%から1重量%の着色剤
が含まれる。
【0041】
1つの実施形態によれば、該第2の持続放出層には、考慮中の該第2の層の総重量に対する重量パーセントとして、
1重量%から10重量%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
40重量%から80重量%の希釈剤、
20重量%から50重量%のマトリックス賦形剤、
5重量%から15重量%の酸性化剤、
0.5重量%から2.5重量%の潤滑剤、
0重量%から0.5重量%の流動剤
が含まれる。
【0042】
この実施形態によれば、該製剤にはまた、第1および第2の層を被覆する、フィルム被覆層が含まれ得る。このフィルム被覆層は、市販の組成物、例えば、Opadry(登録商標)II 32F20797およびOpadry(登録商標)YS−1−1418の名称で販売されている製品から作製することができ、一般に、主成分として、フィラー賦形剤、ポリマー結合剤、不透明化剤、可塑剤、着色剤および溶媒が含まれている。
【0043】
第1および第2の層に含まれている賦形剤は、酸性化剤を例外として、互いに同じでありまたは異なっていてよい。
【0044】
本発明による組成物は、当業者に知られている方法によって調製することができる。即時放出錠剤は、微結晶セルロース、マンニトール、ソルビトールもしくはラクトースなどの希釈剤と一緒に塩基の形態または塩の形態における活性成分の混合物を直接圧縮することによって調製することができる。離解剤または潤滑剤などの他の賦形剤を添加することができる。機能性賦形剤間およびまたこれらの希釈剤間の選択は、当業者によく知られている。
【0045】
もう1つの実施形態によれば、活性成分と適切な希釈剤、離解剤および結合ポリマーとの混合物を水一粒状化し、次いで得られた粒状化物質を調整および乾燥し、潤滑剤を添加し、その後錠剤圧縮機で圧縮することによって該錠剤を調製することができる。
【0046】
使用される方法は、一般に文献、例えば、B.B.Sheth、F.J.Bandelin、R.JF.Shangraw、Compressed tablets,in Pharmaceutical dosage forms:Tablets、Vol.1、H.A.Lieberman and L.Lachman編、Dekker N.Y.(1980年)に記載されている。
【0047】
該持続放出錠剤は、離解剤を用いることなしに、該製剤中にマトリックス賦形剤を取り込むことによって調製することができる。例えば、このようなマトリックス賦形剤は、例えば、セルロースをベースとする上記親水性ポリマーであり、この親水性ポリマーは水と接触すると膨潤し、膨潤したポリマー網状組織を通過する拡散によって、持続する仕方で活性成分を放出する。
【0048】
いくつかの層またはいくつかの被覆剤を有する錠剤を調製するための方法は、W.C.Gunselによってcompression coated and layer tablets in Pharmaceutical dosage forms:Tablets、Vol.1、H.A.Lieberman and L.Lachman編、Dekker N.Y.(1980年)に記載されている。
【実施例1】
【0049】
ゾルピデムの6.25mg用量を含む2層錠剤の調製
下記表Iに示される組成を有する錠剤を、上記一連の処理方法によって調製する。
【0050】
【表1】

【実施例2】
【0051】
ゾルピデムの12.5mg用量を含む2層錠剤の調製
下記表IIに示される組成を有する錠剤を、上記一連の処理方法によって調製する。
【0052】
【表2】

【実施例3】
【0053】
酒石酸ゾルピデムおよび酒石酸の12.5mgを含む2層錠剤の調製
下記表IIIに示される組成を有する錠剤を、上記一連の処理方法によって調整する。
【0054】
【表3】

【実施例4】
【0055】
本発明の製剤の安定性研究
本発明による製剤の安定性を、実施例3によって調製された製剤の安定性と比較する。
【0056】
実験条件は以下の通りである:
バケット装置
溶解溶媒:脱気0.01M HCl500ml
回転速度:100rpm
温度:37℃、0.5℃
試験試料:1容器当たり1錠分析
溶解時間:6時間
試料採取:連続
読み取り:30分まで5分毎、次いで6時間まで15分毎
アッセイ:295nmにおけるUV分光測光法(キュベット:10mm、フィルター:0.22μm)
標準:HCl0.01Mにおける無水酒石酸塩(標準試薬)に換算して表される酒石酸ゾルピデムの25mg/lにおける溶液。
【0057】
得られた結果を図1および図2に表し、ここで図1は実施例3によって調製された製剤(酸性化剤として酒石酸を含むゾルピデム錠剤12.5mg)を用いて得られた、時間の関数としての溶解プロファイルの展開を示し、図2は実施例2によって調製された製剤(酸性化剤として酒石酸一カリウムを含むゾルピデム錠剤12.5mg)を用いて得られた、時間の関数としての溶解プロファイルの展開を示す。
【0058】
実施例2の製剤は、実施例3によって調製された製剤の熱および湿気安定性より大きな安定性を示すようである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は実施例3によって調製された製剤を用いて得られた、時間の関数としての溶解プロファイルの展開を示す。
【図2】図2は実施例2によって調製された製剤を用いて得られた、時間の関数としての溶解プロファイルの展開を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポリマーをベースとするマトリックス賦形剤を含み、前記マトリックス賦形剤は活性成分の所定の用量を含み、有機酸の酸性塩の形態における1種または複数種の酸性化剤を含むことを特徴とする、pH依存性の溶解度を有する活性成分と一緒に使用することができる持続放出製剤。
【請求項2】
前記酸性化剤の酸性塩が、クエン酸、酒石酸、フマル酸、コハク酸またはリンゴ酸の酸性塩およびこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記酸性化剤の酸性塩が、酒石酸一カリウム、酒石酸一ナトリウム、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウムおよび/またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記酸性化剤の百分率が、前記製剤の総重量に対して約2重量%から約10重量%、例えば約4重量%から約8重量%であることを特徴とする、請求項2または3に記載の製剤。
【請求項5】
前記活性成分が、ゾルピデム、N−[2−[(4−アミノカルボニル)ピリミジン−2−イル]アミノ]エチル]−2−[[3−[4−(5−クロロ−2−メトキシフェニル)ピペラジン−1−イル]プロピル]アミノ]ピリミジン−4−カルボキシイミド、5−(8−アミノ−7−クロロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−5−イル)−3−[1−(2−フェニルエチル)ピペリジン−4−イル]−1,3,4−オキソジアゾール−2(3H)−オン塩酸性塩、7−フルオロ−2−オキソ−4−[2−[4−(チエノ[3,2−c]ピリジン−4−イル)ピペラジン−1−イル]エチル]−1,2−ジヒドロキノリン−1−アセトアミド、クロピドグレルおよびミゾラスチンから選択されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
前記酸性化剤の酸性塩が、酒石酸一カリウムであり、前記活性成分がヘミ酒石酸ゾルピデムであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
前記マトリックス賦形剤を形成する前記ポリマーが、セルロースおよびこの誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロース、植物ゴムおよびこの誘導体、アルギン酸誘導体ならびにデンプンおよびこの誘導体から選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
1種または複数種の希釈剤、離解剤、結合剤、潤滑剤、流動賦形剤および着色剤を含むことを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
第1の即時放出層(第1の即時放出層は、溶解度がpH依存性である活性成分および1種または複数種の結合剤を含み、希釈剤、離解剤、潤滑剤または着色剤などの1種または複数種の他の賦形剤を場合によって含む。)と、
第1の層に隣接する第2の持続放出層(第2の持続放出層は、溶解度がpH依存性である活性成分、酸性塩の形態における1種または複数種の酸性化剤および1種または複数種のマトリックス賦形剤を含み、希釈剤、結合剤、潤滑剤または着色剤などの1種または複数種の他の賦形剤を場合によって含む。)と
を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
第1の即時放出層が、考慮中の第1の層の総重量に対する重量パーセントとして、
1重量%から10重量%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
50重量%から95重量%の希釈剤、
0重量%から10重量%の離解剤、
0重量%から5重量%の結合剤、
0.5重量%から2.5重量%の潤滑剤、
0重量%から0.5重量%の流動剤、
0重量%から1重量%の着色剤
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の製剤。
【請求項11】
第2の持続放出層が、考慮中の第2の層の総重量に対する重量パーセントとして、
1重量%から10重量%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
40重量%から80重量%の希釈剤、
20重量%から50重量%のマトリックス賦形剤、
5重量%から15重量%の酸性化剤、
0.5重量%から2.5重量%の潤滑剤、
0重量%から0.5重量%の流動剤
を含むことを特徴とする、請求項9に記載の製剤。
【請求項12】
主成分として、フィラー賦形剤、ポリマー結合剤、不透明化剤、可塑剤、着色剤および溶媒を含むフィルム形成性層を含むことを特徴とする、請求項9に記載の製剤。
【請求項13】
第1の即時放出層の総重量に対する重量パーセントとして表されて、
4.8%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
67.65%のラクトース一水和物、
20.0%の微結晶セルロース、
3.8%のカルボキシメチルデンプンナトリウム、
2.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース6m.Pa.s、
1.0%のステアリン酸マグネシウム、
0.2%の無水シリカコロイド、
0.049%の酸化鉄、
適量の純水
を含む第1の即時放出層と、
第2の持続放出層の重量に対する重量パーセントとして表されて、
5.2%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
40.6%のラクトース一水和物、
25.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロース4000m.Pa.s、
20.0%の微結晶セルロース、
8.0%の酒石酸一カリウム、
1.0%のステアリン酸マグネシウム、
0.2%の無水コロイダルシリカ、
適量の純水
を含む第2の持続放出層と、
フィルム被覆層の重量に対する重量パーセントとして表されて、
36.0%のラクトース一水和物、
28.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロース15m.Pa.s、
20.54%の酸化チタン、
10.0%のポリエチレングリコール3350、
5.46%のインジゴチン、
適量の純水
を含むフィルム被覆層と
を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
第1の即時放出層の重量に対する重量パーセントとして表されて、
2.4%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
70.05%のラクトース一水和物、
20.0%の微結晶セルロース、
3.8%のカルボキシメチルデンプンナトリウム、
2.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース6m.Pa.s、
1.0%のステアリン酸マグネシウム、
0.2%の無水コロイダルシリカ、
0.049%の酸化鉄、
適量の純水
を含む第1の即時放出層と、
第2の持続放出層の重量に対する重量パーセントとして表されて、
2.6%のヘミ酒石酸ゾルピデム、
38.2%のラクトース一水和物、
30.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロース4000m.Pa.s、
20.0%の微結晶セルロース、
8.0%の酒石酸一カリウム、
1.0%のステアリン酸マグネシウム、
0.2%の無水コロイダルシリカ、
適量の純水
を含む第2の持続放出層と、
フィルム被覆層の重量に対する重量パーセントとして表されて、
36.0%のラクトース一水和物、
28.0%のヒドロキシプロピルメチルセルロース15m.Pa.s、
24.63%の酸化チタン、
10.0%のポリエチレングリコール3350、
1.37%の酸化鉄、
適量の純水
を含むフィルム被覆層と
を含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項15】
軟質または硬質のゼラチンカプセルの、錠剤の形態、例えばコア部を有する被覆された多層錠剤であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の製剤。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−546830(P2008−546830A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518906(P2008−518906)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【国際出願番号】PCT/FR2006/001466
【国際公開番号】WO2007/003746
【国際公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】