説明

pH指示染料を含有する高分子材料

pHに応じて変色するヒドロゲルフィルムを用いて創傷のpHを評価する。ヒドロゲルフィルムは、創傷全域のpHの監視に用い得るように、実質的にその全範囲に指示薬を組み込むことが適当である。創傷のpH情報を用いると、適当な創傷治療法の選択を容易に行うことができる。ヒドロゲルフィルムは包帯に組み込まれることが適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子材料、特にヒドロゲル状の材料に関するが、それに限定されるものではない。好ましい実施形態は、基体、例えば創傷などの体組織のpHを評価して創傷の医学的診断および適切な治療を促進する際の上記材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人体または動物体の体組織、例えば創傷の治療は、創傷の詳細な評価、正確な診断、それに基づく適切な治療法の選択を容易にする創傷の特性、例えば滲出液のpHの評価が難しいために問題を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の一実施形態の目的は上記問題を解決することにある。
他の実施形態の目的は、例えば、医学的用途や他の用途において有用であり得る高分子材料および方法の少なくともいずれかを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一態様によれば、基体または環境のpHを評価する方法が提供される。この方法は、基体を試験材料と接触させる工程、または試験材料を環境に導入する工程のいずれかを有し、試験材料はpHに応じて変色するように構成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
試験材料は高分子材料を含むことが好ましい。そのような高分子材料は、天然のものであってもよいし、合成のものであってもよい。高分子材料がヒドロゲルを含むものであればより好ましい。ヒドロゲルは、水不溶性の架橋含水材料と定義され得る。
【0006】
ヒドロゲルは、適当には、少なくとも50重量%、好ましくは、少なくとも60重量%、より好ましくは、少なくとも70重量%、特には、少なくとも80重量%の水分を含む。水分量は95重量%以下である。好ましい実施形態において、水分量は90〜95重量%の範囲である。水分レベルは、任意の適当な手段、例えば熱重量分析で測定し得る。
【0007】
ヒドロゲルは、天然もしくは合成多糖類、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、または架橋ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアルキレングリコール、例えば、プロピレングリコール(およびそれらのコポリマー)、ならびにコラーゲン(およびそれらの任意の成分)を含み得る。
【0008】
試験材料は、キャリヤ手段と、pHに応じて変色するように構成された指示手段とを含むことが好ましい。キャリヤ手段と指示手段とは、互いに共有結合していてもよいし、別の方法で互いに結合していてもよい。例えば、指示手段はキャリヤ手段に含浸されていてもよいし、適当には、指示手段はキャリヤ手段によって規定されたマトリックスに捕捉されていてもよい。指示手段はキャリヤ手段全体にほぼ均一に分散していることが好ましい。試験材料は、使用時に指示手段が試験材料から有意に滲出しないようにすることが好ましい。
【0009】
基体と最初に接触したときの試験材料中の指示手段の濃度(モル)と比較した、基体と最初に接触してから少なくとも1分後、好ましくは、少なくとも5分後、特に、少なくとも1時間後の濃度(モル)の比は、少なくとも0.9、好ましくは、少なくとも0.95
、より好ましくは、少なくとも0.99、特には、約1である。
【0010】
試験材料は、少なくとも0.01重量%、好ましくは、少なくとも0.05重量%、より好ましくは、少なくとも0.08重量%の指示手段を含むことが適当である。この場合、指示手段の重量は乾燥重量に基づいて測定される。試験材料は、上記のように評価して、適当には3重量%未満、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、特には0.2重量%未満の指示手段を含む。
【0011】
キャリヤ手段は、試験材料中の水分重量を除いた場合、試験材料の少なくとも90重量%を構成することが好ましい。
キャリヤ手段は、指示手段がキャリヤ手段に共有結合している場合には、天然もしくは合成高分子またはそれらの残基を含み得る。多糖類やコラーゲン(およびその任意の成分)が適当な天然高分子の例である。合成高分子としては、任意で架橋されたポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアルキレングリコール、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、およびそれらのコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールコポリマーなどが挙げられる。
【0012】
指示手段は、キャリヤ手段に共有結合している場合には、天然物質、合成物質およびそれらの残基のいずれかを含み得る。指示手段は、キャリヤ手段に共有結合されるか、またはキャリヤ手段に含浸されることにより、キャリヤ手段と結合し得るように、キャリヤ手段との適合性を有する任意のpH感受性指示薬であり得る。指示手段は、適当には、少なくともpH4〜8の範囲内、好ましくは、少なくともpH2〜10の範囲内、より好ましくは、少なくとも1〜14の範囲内で感受性を有する。指示手段は、適当には、少なくとも1pH単位、好ましくは、少なくとも0.75pH単位、特に、少なくとも0.5pH単位の精度を有する。
【0013】
指示手段は、縮合反応、例えばアルドール縮合、またはアセチル化反応によりキャリヤ手段に共有結合され得る。利用可能な官能基に応じて他の反応が用いられ得る。
場合によっては、キャリヤ手段に従来型指示薬が共有結合され得る。
【0014】
有利には、本発明の方法に用いるキャリヤ手段に、上記の種類の指示手段、例えば万能指示薬を、共有結合させることなく結合させることができる。
それ自体指示手段として作用することにより、pHに応じて変色するように構成され得る高分子材料は、
(a)下記式の反復単位を有する第1高分子材料
【0015】
【化1】

(式中、AおよびBは、同一または異なっており、任意で置換された芳香族基および複素環式芳香族基から選択され、少なくとも一方は比較的極性の原子もしくは基を含み、RおよびRは、独立して、比較的非極性の原子もしくは基を含む)と、
(b)下記一般式の化合物を提供することにより調製または調製可能である第1高分子材料
【0016】
【化2】

(式中、A、B、RおよびRは上述の通りであり、水性溶媒中、化合物中の基C=Cを互いに反応させると、第1高分子材料を形成する)とのいずれかを含み得る。
【0017】
第1高分子材料において、AおよびBは、同一または異なっており、任意で置換された芳香族基および複素環式芳香族基から選択され、少なくとも一方は比較的極性の原子または基を含み、RおよびRは、独立して、比較的非極性の原子または基を含むことが好ましい。
【0018】
Aおよび/またはBは、多環式芳香族基または複素環式芳香族基であり得る。AおよびBは、独立して、好ましくは任意で置換された5員環、より好ましくは任意で置換された6員環の芳香族基および複素環式芳香族基から選択される。複素環式芳香族基の好ましいヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が挙げられるが、中でも、酸素および窒素、特に窒素が好ましい。好ましい複素環式芳香族基は一つのヘテロ原子しか含まない。ヘテロ原子または上記へテロ原子は、複素環式芳香族基が高分子骨格に結合する位置から最も離れて位置することが好ましい。例えば、複素環式芳香族基が6員環を含む場合、ヘテロ原子は、環の高分子骨格との結合位置に関して4位に位置することが好ましい。
【0019】
AおよびBは異なる基を表すことが好ましい。AまたはBの一方は任意で置換された芳香族基を表し、他方は任意で置換された複素環式芳香族基を表すことが好ましい。Aは、任意で置換された芳香族基を表し、Bは、任意で置換された複素環式芳香族基、特にピリジニル基などの窒素ヘテロ原子を含む複素環式芳香族基を表すことが好ましい。
【0020】
特段の注釈がない限り、本明細書に記載の任意で置換された基、特に基AおよびBは、ハロゲン原子、並びに任意で置換されたアルキル、アシル、アセタール、ヘミアセタール、アセタールアルキルオキシ、ヘミアセタールアルキルオキシ、ニトロ、シアノ、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、スルフィニル、アルキルスルフィニル、スルホニル、アルキルスルホニル、スルホネート、アミド、アルキルアミド、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、ハロカルボニルおよびハロアルキル基によって置換され得る。任意で置換された基の上には、好ましくは最高3個、より好ましくは最高1個までの任意で置換された基が配置され得る。
【0021】
特段の注釈がない限り、アルキル基は、最高10個、好ましくは最高6個、より好ましくは最高4個までの炭素原子を有し、メチル基およびエチル基が特に好ましい。
AおよびBはそれぞれ極性の原子または基を表すことが好ましい。すなわち、基AおよびBにある程度の電荷分離が存在し、かつ/または基AおよびBが炭素原子および水素原子のみを含むことはない。
【0022】
AおよびBの少なくとも一方は、縮合反応を受け得る官能基、例えば、キャリヤ手段と反応して、キャリヤ手段と指示手段とが互いに共有結合した試験材料を規定する官能基を
含むことが好ましい。好ましくは、Aが縮合反応を受け得る官能基を含む。
【0023】
基AおよびBの一方はカルボニル基またはアセタール基を有する任意で置換された基を含むことが好ましく、ホルミル基が特に好ましい。基AおよびBの他方は、アルキル基である任意の置換基を含み、アルキル基としては、任意で置換された、好ましくは非置換のC1−4アルキル基、例えばメチル基が特に好ましい。
【0024】
Aは、基、例えば、芳香族基、特に(好ましくは、Aが任意で置換されたフェニル基を表す場合、高分子骨格に関して4位において)ホルミル基または下記一般式の基で置換されたフェニル基を表すことが好ましい。
【0025】
【化3】

上記式中、xは1〜6の整数であり、Rは、それぞれ独立して、アルキルもしくはフェニル基であるか、一緒にアルカレン(alkalene)基を形成する。
【0026】
Bは、任意で置換された複素環式芳香族基、特に、ヘテロ原子が水素原子または任意で置換されたアルキルもしくはアラルキル基で置換された含窒素複素環式芳香族基を表すことが好ましい。より好ましくは、Bは、下記一般式の基を表す。
【0027】
【化4】

上記式中、Rは、水素原子または任意で置換されたアルキルもしくはアラルキル基を表し、Rは水素原子またはアルキル基を表し、Xは強酸性イオンを表す。
【0028】
およびRは、独立して、水素原子、または任意で置換されたアルキル基、好ましくは非置換のアルキル基から選択することが好ましい。RおよびRは同一の原子または基を表すことが好ましい。RおよびRは水素原子を表すことが好ましい。
【0029】
好ましい第1高分子材料は、以下のモノマーのいずれかから、国際出願番号第WO98/12239号明細書に記載の方法で調製することができ、上記文献は参照により本明細書に文献援用される:
α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、γ−(ホルミルスチリル)−ピリジニウム、α−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−β−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−α−(o−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−エチル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−(2−ヒドロキシエチル)−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−アリル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−メチル−γ−(m−ホルミルスチリル)−ピリジニウ
ム、N−ベンジル−α−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム、N−ベンジル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウムおよびN−カルバモイルメチル−γ−(p−ホルミルスチリル)−ピリジニウム。これらの四級塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、過塩素酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、メト硫酸塩、リン酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩およびp−トルエンスルホン酸塩の形態で用いられ得る。
【0030】
また、モノマー化合物は、以下を含む、アセタール基を有するスチリルピリジニウム塩であり得る。
【0031】
【化5】


前記第1高分子材料は、下記式を有するものであり得る。
【0032】
【化6】

上記式中、A、B、RおよびRは上記と同様であり、nは整数である。整数nは、適当には10以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、特には5以下である。整数nは、適当には、少なくとも1、好ましくは、少なくとも2、より好ましくは、少なくとも3である。
【0033】
好ましい試験材料は、架橋手段により架橋された第3高分子材料を含む第2高分子材料を含む。第2高分子材料は、第3高分子材料を選択し、これを架橋手段で処理することによって調製され得る。第3高分子材料は、(上記のように架橋される前には)ヒドロキシ、カルボン酸、カルボン酸誘導体(例えば、エステル)およびアミン基から選択された官能基を含み得る。第3高分子材料は、炭素原子を含む骨格、好ましくは実質的に炭素原子からなる骨格を有することが好ましい。前記骨格は飽和されていることが好ましい。骨格のペンダント基は1つ以上の上述した官能基である。第3高分子材料は、少なくとも10,000の分子量を有し得る。第3高分子材料はポリビニルポリマーであることが好ましい。第3高分子材料は、ポリビニルポリマーを含むコポリマーであり得る。好ましい第3高分子材料としては、任意で置換された、好ましくは非置換のポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリプロピレングリコールや、コラーゲン(およびその任意の成分)などが挙げられる。ポリビニルアルコールは特に好ましい第3高分子材料である。
【0034】
特に好ましい実施形態において、第2高分子材料は架橋ポリビニルアルコールを含む。
好ましい架橋手段は化学的架橋物質を含む。そのような物質は、第3高分子材料の官能基と反応し得る少なくとも2つの官能基を有する多官能化合物であることが好ましい。架橋手段は、第3高分子材料の高分子骨格に沿って存在する基または第3高分子材料の高分子構造中に存在する基と反応し得る1つ以上のカルボニル、カルボキシル、ヒドロキシ、エポキシ、ハロゲンまたはアミノ官能基を含むことが好ましい。好ましい架橋手段は少なくとも2つのアルデヒド基を含む。したがって、好ましい実施形態において、第2高分子材料は、少なくとも2つのアルデヒド基を有する材料を用いて、ポリビニルアルコール含有ポリマーまたはコポリマーを架橋することによって形成された材料を含む。したがって、第2高分子材料は、下記式Iの部分を含むことが好ましい。
【0035】
【化7】

上記式中、Lは架橋手段の残基である。
【0036】
架橋手段は上述のような第1高分子材料を含むことが好ましい。
第3高分子材料および架橋手段からの第2高分子材料の形成(特に、架橋手段が第1高分子材料を含む場合)は、縮合反応を伴うことが好ましい。第2高分子材料の形成には酸触媒反応が関与することが好ましい。第3高分子材料と架橋手段は、反応することにより、例えば縮合反応を受けることによって、第2高分子材料を形成するように構成された官能基を含むことが好ましい。
【0037】
第2高分子材料は、第3高分子材料と、架橋手段、特に上記第1高分子材料との混合物を生成し、2種の材料を反応させることによって調製され得る。この混合物は、好ましくは、少なくとも2重量%、より好ましくは、少なくとも3重量%の第3高分子材料を含む。第3高分子材料の分子量が比較的低い(例えば、50,000)場合、混合物中の第3高分子材料の最高量は40重量%までであり得る。第3高分子材料の分子量がより高い場合、その最高量は、より低く、例えば、30重量%、または20重量%までであり得る。混合物は、少なくとも0.05重量%、好ましくは、少なくとも0.1重量%の架橋手段、特に第1高分子材料を含み得る。架橋手段の量は3重量%までであり得る。
【0038】
第2高分子材料を調製する際には、第3高分子材料と架橋手段とを水中で混合することが好ましい。混合物は、少なくとも80重量%、適当には、少なくとも85重量%、好ましくは、少なくとも90重量%の水分を含み得る。混合物は、他の微量成分、例えば、第3高分子材料と架橋手段とから第2高分子材料を形成するための触媒、特に酸を含み得る。
【0039】
第2高分子材料の製造に用いる第3高分子材料の架橋手段に対する重量%比は、適当には、少なくとも10、好ましくは、少なくとも15、より好ましくは、少なくとも19である。この比率は、50未満、好ましくは40未満、特には30未満であり得る。
【0040】
第2高分子材料は、下記式の部分を含むことが適当である。
【0041】
【化8】

上記式中、R、RおよびBは上述の通りであり、Aは、第1高分子材料と第3高分子材料との反応後の上記の基Aの残基を表し、Yは、第1高分子材料と第3高分子材料との反応後の第3高分子材料の残基を表し、Xは第1高分子材料と第3高分子材料の残基と間に延びる結合原子または基を表す。1つの好ましい実施形態において、Aは、任意で置換されたフェニル基を表し、Xは、酸素原子を介して第3高分子材料の残基に結合する下記の基を表す。
【0042】
【化9】

例えば、基Xは、第3高分子材料の高分子骨格に結合し得る。
【0043】
上述のように、第1高分子材料自体をpHに応じて変色するように構成することも可能であり、したがって、第1高分子材料を含む試験材料の場合、試験材料に付加的な指示手段を加える必要はない。しかしながら、試験材料は、好ましくはキャリヤ手段と、キャリヤ手段で規定されたマトリックス内に捕捉された指示手段とを含むが、但し、指示手段は、キャリヤ手段に共有結合していないことが好ましい。好ましい実施形態において、キャリヤ手段は上記のようなヒドロゲルを含み、ヒドロゲルは上記のような第2高分子材料を含むことが好ましい。特に好ましい実施形態において、ヒドロゲルは架橋ポリビニルアルコールを含む。そのようなポリビニルアルコールは、上記のような第1高分子材料により架橋されることが好ましい。
【0044】
第1態様の方法において、pHは試験材料の外観の変化に基づいて評価されることが好ましい。pHは試験材料の色に基づいて評価されることがより好ましい。
第1態様の方法は、試験材料の外観、例えば色と、基準手段、例えば、カラーチャートなどの色基準手段とを比較して、基体または環境のpHを評価する工程を含むことが好ましい。
【0045】
試験材料は、外部基準手段に頼ることなく、試験材料から直接pH情報が得られるように構成され得る。例えば、試験材料に、該試験材料から直接pH情報が得られるように適当に構成された基準手段を組み込み得る。
【0046】
第1態様の方法は、試験材料の外観に関する情報を記録する工程を含むことが好ましい。試験材料の色を記録するか、かつ/またはpHを記録し得る。
第1態様の方法は、基体または環境のpHを評価する工程と、その後で、評価したpHに基づいて別の工程を実施する工程を含むことが好ましい。例えば、基体が体組織、例えば創傷である場合、評価したpHに基づいて体組織の治療法を選択することが好ましい。
【0047】
基体または環境は、固体、液体または気体を含み得る。気体に関して、試験材料は環境のpH評価を可能にする気体環境内に配置され得る。基体または環境は固体および/または液体を含むことが好ましい。例えば、好ましい実施形態において、基体または環境は、例えば滲出液または膿などの流体を排出し得る創傷などの体組織である。
【0048】
試験材料は、主平面の面積が、適当には1500cm未満、好ましくは1000cm未満、より好ましくは500cm未満、特には100cm未満のシート状であり得る。上記面積は少なくとも1cmであり得る。試験材料は、少なくともその一部にわたって、少なくとも0.5mm、好ましくは、少なくとも1mm、より好ましくは、少なくとも1.5mmの厚さを有し得る。厚さは、実質的にその全域にわたって、好ましくは2cm未満、より好ましくは1cm未満、特には0.6cm未満である。
【0049】
第1材料は、第1位置、第2位置、第3位置および第4位置(これらの位置は第1材料表面に分散していることが好ましい)においてpHに応じて変色するように構成されることが好ましい。これらの4つの位置によって画定される面積(すなわち、四辺形を形成するように4つの位置を結び付ける想像線によって画定される面積)の、試験材料の主表面
面積に対する比率は、少なくとも0.5、好ましくは、少なくとも0.65、より好ましくは、少なくとも0.8、特には、少なくとも0.9である。試験材料は、単に上記4つの位置によって画定された領域の点または小領域において変色するように構成されるよりはむしろ、4つの位置により画定された領域のほぼ全体にわたって変色するように構成されることが好ましい。試験材料は、実質的にその主表面全体にわたってpHに応じて変色するように構成されてもよい。
【0050】
試験材料はシート状であり、キャリヤ手段と指示手段とを含む場合、指示手段は、第1位置、第2位置、第3位置および第4位置に配置されることが好ましく、これら4つの位置の間に画定される面積の、試験材料の主表面面積に対する比率は、少なくとも0.5、好ましくは、少なくとも0.65、より好ましくは、少なくとも0.8、特には、少なくとも0.9である。特に好ましいのは、4つの位置で規定された領域のほぼ全体にわたって指示手段が分布する場合である。
【0051】
試験材料は固体を含むことが好ましい。試験材料は柔軟であることが好ましい。試験材料は、そのシートの1つの自由端を、少なくとも90°、好ましくは180°裏返せるようになっていることが好ましい。その結果、試験材料は、不規則形状表面、例えば、ヒトまたは動物の体表面に実質的に合わせて体表面に接触させることができる。試験材料は、生体適合性であることが好ましい。試験材料は、適当には、少なくとも70重量%、好ましくは、少なくとも80重量%、より好ましくは、少なくとも90重量%、特には、少なくとも95重量%の水分を含む。したがって、試験材料は、該試験材料が付与される体組織から実質的に水分を奪わないので有利である。試験材料は、基体または環境への接触に用いる表面で、7未満かつ好ましくは3.5より高いpHを有し得る。表面のpHは、4〜5の範囲、好ましくは4.5〜5であり得る。
【0052】
場合により、それぞれが異なるpH範囲内で基体(例えば、創傷)を評価するように構成された複数の異なる試験材料を提供し得る。その場合、評価しようとする基体の予想pHに基づいて適当な試験材料を選択し得る。
【0053】
試験材料は、アセンブリの一構成要素であり得る。例えば、試験材料は、積層板などを形成するように、別の材料に付着させたり、結合させたりすることができる。試験材料は包帯の一部であり得る。包帯は、使用時に組織(例えば、創傷)の第1領域に接触するように構成された主表面を有し得る。試験材料は、第1領域の少なくとも50%の個々の部分を監視し得るように、(例えば、キャリヤ内に適当に分散されている指示薬により)第1領域の面積の少なくとも50%、適当には、少なくとも60%、好ましくは、少なくとも70%、より好ましくは、少なくとも80%、特には、少なくとも90%にわたって変色するように構成される。
【0054】
試験材料は、包帯を形成するか包帯の構成要素である場合、変色して、包帯の交換または創傷との相互作用に適当な時期を示し得るという点で、包帯材料の最適な利用を促進し得る。
【0055】
試験材料は、(例えば、指示手段が配置され、試験材料の実質的な領域にわたって変色するように構成されている場合)接触する基体のpHマップを提供するように構成され得る。したがって、試験材料は、基体上の第1接触位置のpHを示す第1の色と、基体上の第2接触位置のpHを示す第2の色などを表し得る。さらに、基体(または環境)のpHが変化すると、試験材料の色も変化してpHの変化を示す。したがって、試験材料は、基体または環境のpH推移の経時的追跡を可能にする。第1態様の方法は、そのようなpH推移を追跡する工程を含み得る。
【0056】
また、試験材料は、例えば透明であることによって、該試験材料によって変色をその場で観察できるように構成されてもよい。このようにして、試験材料を創傷と接触させて創傷のpHを経時的に監視し得る。
【0057】
試験材料は、速やかに、例えば、30秒以内、好ましくは15秒以内、より好ましくは10秒未満で変色するように構成され得る。したがって、試験材料は、一実施形態において、その色を変化させて基体のpHを示すのに必要な時間だけ基体と接触させられ、次いで除去され得る。
【0058】
試験材料は、該試験材料を基体に対して固定するため、かつ/または該試験材料を環境内に固定するための固定手段を含み得る。試験材料をヒトまたは動物の身体の一部、例えば、創傷などの体組織のpHの評価に用いる場合、固定手段は、試験材料を身体に対して取り外し可能に固定できるように、取り外し可能に固定され得ることが好ましい。固定手段は、試験材料を適当な位置に保持するために身体に接触させるように構成されたテープ(または同種のもの)を含み得る。
【0059】
本発明の第2態様により、基体または環境のpHを評価するための試験材料の製造法が提供される。この方法は、指示手段をキャリヤ手段と結合させる工程を含む。
第2態様の方法は、キャリヤ手段の前駆物質を選択する工程と、指示手段の存在下で、指示手段がキャリヤ手段と結合するように、指示手段が例えばキャリヤ手段に組み込まれるように、前駆物質を変換させる(例えば、反応させる)工程とを含むことが好ましい。一実施形態において、キャリヤ手段の前駆物質は、場合により指示手段としても作用し得る架橋手段により架橋されることによって変換され得る。別の好ましい実施形態において、前駆物質は、架橋手段に加えて指示手段の存在下で、架橋手段により架橋されることにより変換される。この場合、この方法は、指示手段をキャリヤ手段に共有結合させることなく、指示手段をキャリヤ手段内に封入するように構成され得る。この方法は、試験材料を誘導体化して、1種以上のその特性を調整する工程、例えば、試験材料の変色特性に変化をもたらす工程を含み得る。
【0060】
さらなる実施形態において、第2態様の方法は、さらなる活性成分を試験材料に組み込むために、さらなる活性成分の存在下でキャリヤ手段の前駆物質を変換させる工程を含み得る。活性成分は薬理学的特性を有し得る。活性成分は抗菌剤であり得る。
【0061】
本発明の第3態様により、基体または環境のpHを評価する方法が提供される。この方法は、基体を試験材料と接触させるか、試験材料を環境内に導入する工程を含む。試験材料は、架橋手段により架橋された第3高分子材料を含み、架橋手段は芳香族または複素環式芳香族基を含む。
【0062】
架橋手段は、試験材料が少なくともいくつかのpH状態下で発色するように構成された発色団を規定することが好ましい。架橋手段は、多くの(好ましくは、少なくとも4種の、より好ましくは、少なくとも8種の)芳香族および/または複素環式芳香族基を有することが好ましい。架橋手段はフェニル基を有し得る。架橋手段は、少なくとも1種の複素環式芳香族基、特に、含N複素環式芳香族基を含み得る。
【0063】
本発明の第4態様により、本質的に本明細書に記載のような試験材料が提供される。
第4態様の試験材料は、第1態様に記載のようなヒドロゲルを含むことが好ましい。
第4態様の試験材料は、(ヒドロゲルであることが好ましい)キャリヤ手段と、pHに応じて変色するように構成された指示手段とを含み、指示手段は、キャリヤ手段に含浸させることが適当である。指示手段はキャリヤ手段に共有結合させないことが好ましい。
【0064】
第4態様の試験材料は、第1、第2および第3態様に記載のような試験材料の任意の特徴を有し得る。
本発明の第5態様により、本明細書に記載のような試験材料を収容したパッケージが提供される。
【0065】
このパッケージは試験材料を完全封入することが好ましい。パッケージは殺菌されていることが好ましく、試験材料をさらに殺菌する必要なく、パッケージから取り出した後そのまま創傷に適用し得るように構成することが適当である。
【0066】
本発明の第6態様により、基体または環境のpH評価における本明細書に記載のような試験材料の使用法が提供される。
1つの好ましい実施形態において、人体または動物体の一部を含む基体のpH評価用品を製造するための本明細書記載のような試験材料の使用法が提供される。
【0067】
本発明の第7態様により、基体または環境のpHを評価するための本明細書記載のような第1高分子材料の使用法が提供される。
本明細書記載の任意の発明または実施形態の任意の態様における任意の特徴は、必要な変更を加えて、本明細書記載の任意の他の発明または実施形態の任意の態様における任意の特徴と組み合わされ得る。
【0068】
以下に本発明の特定の実施形態を実施例として説明する。
一般的に、創傷のpHは、pHに応じて変色するヒドロゲルフィルムを用いて評価され得る。そのような創傷のpH情報は、創傷の適当な治療法を選択し易くするのに用いられ得る。ヒドロゲルをオートグレーブで殺菌し、抗菌/防腐剤を充填して、非侵襲的かつ簡単な方法で創傷滲出液のpHを示す創傷包帯を得ることができる。
【0069】
さらなる詳細は以下の実施例に示す。これらの実施例は、変色する(実施例2)ヒドロゲルフィルムの製造法(実施例1および8)、フィルムの変色を促進かつ調整する方法(実施例3および5)、従来型酸/塩基指示薬をヒドロゲルフィルムに組み込む方法(実施例6)、およびフィルムを抗菌性にする方法(実施例7)について説明している。
【0070】
実施例1 − 一般的なヒドロゲルフィルムの製造方法
工程(a) − ポリ(1,4−ジ(4−(N−メチルピリジニル))−2,3−ジ(4−(1−ホルミルフェニル)ブチリデンの調製
これは、国際出願番号第PCT/GB97/02529号明細書の実施例1に記載のように調製した。上記文献は参照により本明細書に文献援用される。この方法では、周囲温度下で4−(4−ホルミルフェニルエテニル)−1−メチルピリジニウムメトスルホネート(SbQ)を水と混合して、1重量%を超えるSbQの水溶液を調製する。そのような条件下では、SbQ分子は凝集体を形成する。次いで、水溶液を紫外光に暴露する。これによって、凝集体中の隣接する4−(4−ホルミルフェニルエテニル)−1−メチルピリジニウムメトスルフェート分子(VIII)の炭素−炭素二重結合間において光化学反応が生じ、以下の反応スキームに示すようなポリマー、すなわち、ポリ(1,4−ジ(4−(N−メチルピリジニル))−2,3−ジ(4−(1−ホルミルフェニル)ブチリデンメトスルホネート(IX)が生成する。当然のことながら、化合物VIIIおよびIXのアニオンは明確にするために省略されている。
【0071】
【化10】

【0072】
工程(b)
300,000の分子量を有する所定量の88%加水分解ポリビニルアルコールを6時間かけて60℃に加熱して水に溶解した。次いで、これを放冷する。
【0073】
工程(c)
蒸留水に、8重量%の工程(b)のポリビニルアルコールと、0.33重量%の工程(a)のブチリデンポリマーとを溶かして溶液を調製し、酸触媒(HCl)を添加して、この溶液のpHを2.5未満に低下させた。次いで、溶液を、ガラスのペトリ皿中(またはステンレススチール基板上)に厚さ2mmの深さまで注いだ。これを24時間風乾した。その後、フィルムを基板から剥離して、50℃で1時間真空乾燥した。
【0074】
上述のように酸触媒を添加すると、混合物は重合し、それにより工程(a)のブチリデンポリマーは以下のスキームに従ってポリビニルアルコールを架橋する。
【0075】
【化11】

【0076】
実施例2 − pHに応じたフィルムの変色
実施例1のフィルムを脱イオン水または蒸留水中で再水和し、既知のpHを有する湿潤表面と接触させた。新たな表面と接触すると、フィルムは2〜4秒後に変色して、呈示する色で新たな表面のpHを示す。フィルムは、pH1〜2では淡黄色であり、最大pH7まではオレンジの色合いで変化し、次いで、pHをアルカリ領域まで上昇させてゆくと緑色から青色になる。
実施例3 − フィルム変色の強化
実施例1に記載のように調製された乾燥フィルムを4MのNaOHに16時間浸した。
(必要に応じて、他のアルカリを用いてもよい)。これは、ブチリデンポリマー残基上のアルデヒド基をカルボキシレート基に変換させるものと考えられ、フィルムは暗青色になる。7%塩酸に浸すと、フィルムの色は非常に淡い黄色に変化する。一般的に、上記酸はアルカリの中和に用いられる。次いで、フィルムを蒸留水で洗浄して酸を除去する。
【0077】
調製されたフィルムは実施例2に記載のように評価することができ、pHに応じた変色が強化されたことが分る。
実施例4 − ブチリデンポリマーの誘導体化
工程(a)のブチリデンポリマーのメタノール溶液に実施例1の乾燥フィルムを浸した。(アセトンなどの他の溶媒、またはブチリデンポリマーは溶解するが、乾燥フィルムは溶解、膨潤もしくは浸透しない任意の他の溶媒を用いてもよい)。これによって、確実に乾燥フィルムとブチリデンポリマーとの反応が表面でのみ生じ、フィルムの大部分では前記反応は生じないようにする。次いで、濃塩酸を用いて、混合物を2.5未満のpHに酸性化し、さらに1時間反応させた。次いで、フィルムを溶液から取り出し、メタノールで洗浄した。次いで、フィルムを実施例3に記載のように処理して、(体積中および表面の)ブチリデンポリマー上のアルデヒド基をカルボン酸基に変換させた。調製されたフィルムを実施例2のように処理すると、実施例1の実施形態によるものと比べて、より強度の変色が観察される。
【0078】
実施例5 − ヒドロゲルフィルムの化学修飾
実施例1および2に記載のように調製、処理したフィルムを一連の反応に供して修飾すると、多くの場合、異なる変色が生じ得る。例えば、酸性溶液中で、ポリビニルアルコール上のヒドロキシル基を尿素と反応させると、アルカリ性のpH領域でより濃い緑色を生じる。
【0079】
実施例6 − 万能指示薬を組み込んだフィルムの調製
10重量%の実施例1、工程(b)のポリビニルアルコールと、0.5重量%の実施例1、工程(a)のブチリデンポリマーとを含む溶液33mlを万能指示薬溶液(イソプロパノール中約1重量%溶液)1mlと合わせて選択した。0.5mlの20%HCl溶液を加えてゲル化を開始させ、混合物をペトリ皿に注入して、フィルムを形成し、硬化させて風乾した。得られたフィルムは、1〜14のpH範囲で、ゲルの変色によって示されるように、pH感受性である。
【0080】
このフィルムは、含水量が高いので包帯として用いられ得る。このフィルムを開放創上に配置して、変色による創傷のpHを監視し得る。
実施例7 − 抗菌剤の組み込み
実施例1の手順に従うが、但し、工程(c)で酸触媒を添加する前に、0.5重量%の抗菌剤(硫酸ネオマイシンまたはセトリミド)を添加した。次いで、酸触媒を加え、工程(c)に記載のようにフィルムの調製を続けた。フィルムは依然、実施例2に記載のようにpHに応じて変色するので、実施例3〜5に記載のようにさらに処理し得る。
【0081】
調製されたフィルムは、フィルムを貼り付ける創傷の状態に関するpH情報を自動的に提供し得る抗菌包帯またはそのような包帯の一部を形成するのに用いると有利である。
抗菌剤は実施例6のフィルムにも組み込み得る。
【0082】
実施例8 − 代替ポリビニルアルコールの使用
種々の加水分解度および/または種々の分子量を有するポリビニルアルコールを用いて実施例1の手順を繰り返した。調製されたフィルムの強度は上記変数により影響を受けることが分った。
【0083】
本願に関連して本明細書と同時またはそれより前に提出され、本明細書と共に公開されるすべての文書および文献に注意が向けられなければならず、そのような文書および文献はすべてそのまま本明細書に文献援用される。
【0084】
本明細書(添付特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示されているすべての特徴、および/またはそのように開示されている任意の方法またはプロセスのすべての工程は、そのような特徴および/または工程の少なくともいくつかが相互排他的である組み合せを除き、任意の組み合せで組み合せ得る。
【0085】
(本明細書添付特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示されているいずれの特徴も、明示的に別段の定めがない限り、同一、同等または類似目的を果たす代替特徴に置き換えられ得る。したがって、明示的に別段に定めた場合を除き、開示されている各特徴は、一般的な一連の同等または類似特徴の一例に過ぎない。
【0086】
本発明は上記実施形態の詳細に限定されるものではない。本発明は、本明細書(添付特許請求の範囲、要約書および図面を含む)に開示されている特徴の任意の新規な特徴もしくは新規な組み合せ、または、そのように開示されている任意の方法もしくはプロセス工程の任意の新規工程もしくは新規組み合せにまで及ぶ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体または環境のpHを評価する方法であって、基体を試験材料と接触させる工程、および試験材料を環境に導入する工程のうちのいずれかを有し、前記試験材料がpHに応じて変色するように構成されている方法。
【請求項2】
前記基体または環境は人体または動物体の組織であり、前記試験材料は前記組織に接触するように構成された主表面を有する包帯の少なくとも一部であり、試験材料は前記組織の第1領域に接触するように構成されており、かつ前記第1領域の少なくとも50%の個々の要素のpHを監視し得るように、前記第1領域の面積の少なくとも50%にわたって変色するように構成されている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験材料はヒドロゲルである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記材料は、キャリヤ手段と、pHに応じて変色するように構成された指示手段とを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記キャリヤ手段と前記指示手段とは互いに共有結合している、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記指示手段は、前記キャリヤ手段に含浸されて、前記キャリヤ手段によって形成されるマトリックス内に捕捉されている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記試験材料は、少なくとも0.01重量%以上、3重量%未満の前記指示手段を含む、請求項4から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記キャリヤ手段は、前記指示手段がキャリヤ手段に共有結合している場合には、天然高分子、合成高分子、およびそれらの残基のいずれかを含み、前記指示手段は、該指示手段が前記キャリヤ手段に共有結合している場合には、天然物質、合成物質、およびそれらの残基のいずれかを含む、請求項4から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記試験材料はシート形状を有し、かつその第1位置、第2位置、第3位置および第4位置でpHに応じて変色するように構成されており、前記4つの位置の間に画定される面積とシートの主表面の面積との比率が少なくとも0.5である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記試験材料は、架橋手段により架橋された第3高分子材料を含む第2高分子材料を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第3高分子材料は、ポリビニル反復単位を含むポリビニルポリマーまたはコポリマーである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第3高分子材料は、任意で置換されたポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリアルカレングリコールおよびコラーゲンから選択される、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2高分子材料は、架橋ポリビニルアルコールまたはそのコポリマーを含む、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記第2高分子材料は、下記式Iの部分を含み、
【化1】

上記式中、Lは前記架橋手段の残基である、請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記架橋手段は、
(a)下記式の反復単位を有する第1高分子材料、
【化2】

(式中、AおよびBは同一または異なっており、任意で置換された芳香族基および複素環式芳香族基から選択され、少なくとも一方は比較的極性の原子もしくは基を含み、RおよびRは、独立して、比較的非極性の原子もしくは基を含む)、または
(b)下記一般式の化合物を提供することにより調製もしくは調製可能である第1高分子材料
【化3】

(式中、A、B、RおよびRは上記と同様であり、水性溶媒中において、前記化合物中のC=C基を互いに反応させると、第1高分子材料を形成する)
を含む、請求項10から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記試験材料は、キャリヤ手段と、キャリヤ手段により規定されたマトリックス内に捕捉された指示手段とを含み、前記指示手段がキャリヤ手段に共有結合していない、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
試験材料の外観を基準手段と比較する工程を含むか、または試験材料は、外部基準手段に頼ることなく、該試験材料から直接pH情報を得られるように構成されている、請求項1から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記基体または環境のpHを評価する工程と、その後で、評価したpHに基づいて別の工程を実施する工程とを含む、請求項1から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記基体は人体または動物体の組織であり、後続する前記人体または動物体の治療法が評価されたpHに基づいて選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記試験材料は人体または動物体用包帯の一部である、請求項1から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記試験材料は、接触する基体のpHマップを提供するように構成されている、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記試験材料は、透明であることにより、その場で該試験材料によって変色を観察できるように構成されている、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記試験材料が、前記基体に関して試験材料を固定するための固定手段を含み、前記試験材料が人体または動物体の一部のpH評価に用いられる、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
基体または環境のpHを評価するための試験材料の製造法であって、指示手段とキャリヤ手段とを結合させる工程を含む方法。
【請求項25】
前記キャリヤ手段を選択する工程と、前記指示手段が前記キャリヤ手段と結合状態となるように、前駆物質を前記指示手段の存在下で変換させる工程とを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記キャリヤ手段は、場合により前記指示手段としても作用する架橋手段によって架橋されることによりを変換される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記キャリヤ手段は、架橋手段に加えて指示手段の存在下で、架橋手段によって架橋されることにより変換される、請求項24から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記試験材料にさらなる活性成分を組み込むために、さらなる活性成分の存在下で前記キャリヤ手段を変換させる工程を含む、請求項24から27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
基体または環境のpHを評価する方法であって、基体と試験材料とを接触させる工程、または試験材料を環境に導入する工程のいずれかを有し、前記試験材料は、架橋手段により架橋された第3高分子材料を含み、前記架橋手段は芳香族基または複素環式芳香族基を含む方法。
【請求項30】
本質的に本明細書に記載のような試験材料。
【請求項31】
ヒドロゲルの形態にあるキャリヤ手段と、pHに応じて変色するように構成された指示手段とを含む、請求項30に記載の試験材料。
【請求項32】
請求項30または31に記載の試験材料を収容したパッケージ。
【請求項33】
前記試験材料を殺菌環境内に収容する、請求項32に記載のパッケージ。
【請求項34】
基体または環境のpH評価における請求項30または31に記載の試験材料の使用法。
【請求項35】
人体または動物体の一部を含む基体のpH評価用品を製造することを目的とした請求項34に記載の使用法。
【請求項36】
基体または環境のpHを評価するための、請求項15に記載のような前記第1高分子材料またはその残基の使用法。

【公表番号】特表2007−520694(P2007−520694A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540591(P2006−540591)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004869
【国際公開番号】WO2005/052572
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(506172300)エイジーティ サイエンシズ リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】AGT SCIENCES LIMITED
【Fターム(参考)】